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今井参考人 御
指摘のごとく、大体
カナダの
ウランに比べましたらば、六、七割の品位しかないわけであります。六、七割ということは、
鉱石を倍近く使うということでございますので、いかに製錬法に苦心をいたしましても、
鉱石代だけは倍かかるという、そういう点が致命的にあるわけでございます。そこでわれわれとしましてここ数年来
努力してまいりましたのは、それはそれとして、製錬法というものは極力安くつくらなければならないということと、もう
一つは掘るのにどうして安く掘るかということでございました。
御
意見の中にございました水力
採鉱ということは非常に変わったことではありませず、石炭の採掘などにすでに活用されておる方法ではありますけれ
ども、しかし
わが国の
ウランの鉱床が石炭の鉱床に類似点を持っており、また岩石がひどくかたくないというような点から、水力
採鉱を活用するということは有効であるという予見を下されますので、これについて数年検討をしてきました。
また、それに続きまして、この水力
採鉱いたしましたものは、品位は何も上がったわけではございませんが、もしかしていわゆる製錬の方法でなく簡単な洗鉱の方法で大体の石をみんな捨ててしまって品位を上げることができるならば、これまた製錬費の低下に役立つことは自明でございますので、そのような簡単な洗鉱法の
研究をいたしてまいりました。幸いに日本の
ウラン鉱というものは微粒子のところに集まっておるという特性がございます。粉砕をして水で洗うというきわめて簡単な処置で
相当品位が上がるという結果を得ております。
次に一貫製練法という点でございますが、私ここで少しも今日までの技術成果を誇示するようなつもりはございませんが、しかしながら、貧鉱であるがゆえに、
世界じゅうどこでもやっていない
努力をしたことだけは間違いないと思います。そして、ただいま持っております技術の
内容を詳細申し上げるのは差し控えさせていただきますけれ
ども、少なくとも
世界の
製品である、
ウランの
製品である
イエローケーキというものをつくることは、今後少なくとも
濃縮ウランをつくるため、いやそれを条件とする必要はございません。すべての場合に
イエローケーキを中間体として一ぺん商品にする必要はございません。そうでなく、もっと
製品に近いところまで直接に持っていけばそれだけのコストダウンがあると
考えておりまして、そのような意味合いでいわゆる一貫製錬法、引き続いて最後まで持っていく、そういう方式の製錬法をやってまいりました。
さてこんなことが事実でございますが、しからばもし大きくやったら幾らくらいでやれるのだ、たいへんむずかしい
お尋ねでありますけれ
ども、私
ども頭の中でいつも描いておりますことは、一ポント八ドルというのが
アメリカの標準的
価格であるが、それではできない、まず一ポンド十二ドルくらいであればできるであろう、 いつもそう思っておったわけでございます。ただし、それは製錬の規模の大小によりけりでありまして、私
どもがいま
考えておりますのは、そんな決して大きなものではなくて、
イエローケーキにいたしまして、
年間二百トンとか三百トンとかいうような
程度のもので、そのくらいの値段を想像いたしておるのが現状でございます。