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1967-06-27 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十七日(火曜日)    午後三時五分開議  出席委員    委員長 矢野 絢也君   理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 中曽根康弘君 理事 福井  勇君    理事 渡辺美智雄君 理事 石野 久男君    理事 三木 喜夫君 理事 内海  清君       秋田 大助君    池田 清志君       岡本  茂君    桂木 鉄夫君       世耕 政隆君    増岡 博之君       箕輪  登君    石川 次夫君       三宅 正一君    佐々木良作君       吉田 之久君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         原子力委員会委         員       山田太三郎君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  丹羽 周夫君     ————————————— 六月二十七日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  吉田之久君が議長指名委員に選任された。 同日  委員吉田之久君辞任につき、その補欠として佐々  木良作君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力基本法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)  動力炉・核燃料開発事業団法案内閣提出第七  三号)      ————◇—————
  2. 矢野絢也

    矢野委員長 これより会議を開きます。  原子力基本法の一部を改正する法律案及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま議題といたしました両法律案審査のため、本日、原子燃料公社理事長今井美材君及び日本原子力研究所理事長丹羽周夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢野絢也

    矢野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  4. 矢野絢也

    矢野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  5. 石野久男

    石野委員 私は、ただいま審議しておりますこの事業団法については、さきに本会議でも質問いたしました。きょう総理においでいただいたのは、この法案を審議する過程で、この動力炉及び核燃料自主開発の面で、この法案現状のままでは、なかなか自主開発は言うべくして行ないがたいのではないかと懸念される面がたくさんございますので、この際総理から、この法案に関し以下お尋ねします点についてはっきりした所見を承っておきたいと思います。  まず第一に、この法案原子力基本法と平和三原則を完全に守らなければいけないということは、もうだれもわかっていることでありますが、この法案の示すところによりますと、燃料公社法がなくなります。基本法第七条で、原子燃料公社に対しては、核燃料国家管理ということを規定づけておるのでありますが、事業団法ができたその時点で、核燃料国家管理というものがどこかへ消えてなくなってしまっておる。こういう重大な基本法精神の変革というものが出ているわけでございます。この事業団法制定にあたって、総理基本法は絶対に変えません、変更するつもりはございませんということを言っているにもかかわらず、事業団法の中には、そういう点でわれわれの理解しにくい点がありますので、これは政府の意図するものと違うのではないか、こういうふうに考えますが、こういう点について総理はどういうふうに考えておられるか、この点をまず最初にお聞きしたい。
  6. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これはもう私が申し上げるまでもなく、原子力基本法がございますから、平和三原則、これを守らなければいけない。また、その立場に立って今回の事業団もつくるわけでありますし、また、基本法にのっとってこれからも運営される、かように私は考えております。原子力委員会等におきましても、それらの点では何ら疑問を存しておらないのであります。  ただいま言われます核燃料国家管理、これが民有に移っているのではないか。そういう点はございますけれども、しかし御承知のように、原子炉等規制法がございますから、平和利用あるいは安全というようなことについては、その規制法の適用でこれは十分でございます。したがいまして、いま心配されるような点は全然ない、私はかように考えております。
  7. 石野久男

    石野委員 政府はしばしばそういう点御説明をなさるのですが、基本法の第十条には、核原料物質輸入輸出の問題について、やはり国家管理のたてまえから、政府が指定する者に限ってこれらのいろいろな業務をさせるというようなことが規定されているわけです。ところが、本法の制定にあたって基本法の改正がありますが、それは第七条と第十七条の規定であって、こういう十条の規定なんかには手を加えていない、こういうようなところに政府考え方の落ちがあるのではなかろうか。また、基本法の基本的な精神を踏んまえていこうという、そういうかまえが欠けておりはしないかという懸念を持ちます。もしそうでないならば、やはりこの法案が早急の間にできたということにおける何かの間違いであろうかと思うので、こういう点はどうしてももう一ぺん再考すべきである、政府基本法を守るのだという立場考えなければならぬのじゃないかと思います。そういう点では、政府としては再考する用意がございますか。
  8. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御承知のように、核物質核燃料、こういうものは平和利用はいたしますけれども、これを軍事的に使うというようなことは一切しない。何度も実は申し上げております。基本法ばかりじゃございません。もう日本憲法自身がこういうことについては非常に敏感でございますから、私は何らの疑念を持っていないのです。いまつくるものがそれらの点について非常にあいまいだというような点があれば、これは御指摘を願いたいと思いますけれども、私はもうそういうことはないように思いますので、どうかたびたびの声明その他もひとつ御信頼願いたいと思います。
  9. 石野久男

    石野委員 これはやはり検討を加えないと問題が残るように思っておるのです。たとえば十条の問題なんかは明らかに何か手を加えなければならぬのじゃないかというふうな考え方をしておりますので、もしそういう点があったら、これは委員会としてもそういう点について若干の手直しなり修正を加えていかなければならぬ、こういうように考えておるので、その点はひとつ政府としても理解してもらわなければいかぬと思います。
  10. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 それはもう、これらの点について何ら疑念が残らないように、これは御審議を通じて十分御意見も聞かしていただきたいと思います。また、今回は新しいものをつくるのでございますから、ただいまいうような基本的な問題で疑念があったり疑惑があったりして、わが国平和利用に暗影を投ずるようなことがあってはならない、私はかように思いますので、りっぱなものをつくるようにひとつ御協力願いたいと思います。
  11. 石野久男

    石野委員 私は、この事業団法をつくることによって核燃料及び動力炉開発をするということに積極的に賛成したいと思っているのです。ただ事業団の、この法案現状のままで行きますると、開発するといっても、よそのものを輸入してきて、そこでの成果をあげるのじゃ何にもなりませんから、やはり自主開発ということが徹底的に必要だと思います。自主開発をするにあたって、原子力十年の歩みの中で何べんかプロジェクトを持ってきましたけれども総理長官をやった経験があるわけですが、それがみな中途で挫折してしまっております。今度の場合は二十年にわたる長期計画でございますから、途中で腰折れをするようなことがあってはならないと思うのです。政府はこういう場合に腰折れをさせないためのてこ入れといいますか、やはり確固たる方針を持っていてもらわないと困るのです。この事業団の中で一番大きい問題は、今度は民間協力を得てやるということでございまするので、民間協力については、現状は確かに民間協力は積極的に出ているように見えます。しかし十年、二十年という間には財界の変動もあったりしまして、その民間協力も必ずしもいま期待しているようには得られないのじゃないかという憂いを持つわけです。そういうときに、たとえば景気が悪くなったときに財界の諸君が協力体制を引っ込めてしまう、引き潮のようにさあっと去ってしまうというようなことがあったのでは長期計画は遂行できません。やはりそういう点に対する歯どめをするために、政府に確固たる信念がなければならぬと思いますが、総理はそういう点についてどういうふうにお考えになっておられるか。
  12. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 今回の動力炉開発、これはたいへんな大事業であります。ただいま資金的な面からもいろいろ御心配のような点をお話しでございますが、私は資金資金だが、また科学技術の力を結集すること、いわゆる国力をあげて総力を発揮しないとできない問題だ、かように思います。いま計画されるものを、それじゃ一年間に資金をもっとふやしてつぎ込めば開発の時期が早くなるかというと、どうもそれはそういうように期待できない。原子力委員会のほうからも見えておりますから、それは十分お聞き取りだと思いますが、これは金だけで全部片づくというものでもないようです。あまり金をつぎ込みましても、その金が使えないというような状態でもあると思います。問題はやはり国、民間、その協力十分実績をあげるようにしたいものだ、かように思います。乗り出した以上、途中で引っ込むとか途中で変えるとかあるいはチェックするとか、こういうようなことがあってはならないと思います。これはたいへんな大事業である、かように考えておりますので、踏み切る以上そういうような考え方で臨むつもりでございます。  この事業団自身が、一面、自分でも事業をやりますし、また、民間協力を得るという観点で積極的に民間とも——資金的ないろいろな計画協力するような形になっておりますから、そういうような点でいまのような御心配が生ずるのじゃないかと思いますが、私はこのものは、政府ばかりでなく、民間におきましても、長期開発計画と取り組む、そういう体制ができておる、かようにかたく信じております。
  13. 石野久男

    石野委員 民間協力については強い自信を持ってその協力体制を期待しておるということでございますが、私は簡単に総理にお聞きしておきたいことは、こういうことなんです。財界が非常に不況の段階になったときに、いまはせっかく協力体制をきめてくれているけれども、たとえば五年先、十年先のときに、せっかく大事なときに財界がいろいろな事情でそれに協力できなくなってきたときに、体制をどう固めるかということが一番われわれ心配しているところなんです。これには政府が強力な規制といいますか、私は別に国家統制とか官僚統制とかいう意味じゃございませんが、財界を逃がさないで最後最後までその体制の中にぐっと持ち込んでいくようなことにするには、何か政府としては手を打たなければいかぬのじゃないか、そういうふうに考える。それはいまははっきりしないでしょうけれども、何かそのことを考え用意は持っていなくちゃいけないだろうと思うのですよ。ただ単に統制はいけないからといって、財界の意向だけに追随して、政府は金だけ出すけれども、都合の悪くなったときには財界は引き揚げてもしかたがないのだ、これではいけないと思うので、やはりその点に対する総理の何か押えをきかすということについての考え方なり、また配慮するという用意があるかどうか、その点をひとつ聞かしてもらいたい。
  14. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまこれを開発するといいましても、いま二千億が一応予定されておる。その程度のもので、景気が不景気になってにっちもさっちもいかないという、そういう事態をいま考えるという気持ちになりません。私はこの程度の問題は、いわゆる不景気だといいましてもくふうはできるように思っております。しかしそれでもなおできない、こういうような場合に政府がその年度の事業をどういうようにして遂行するか、そのときにひとつ取り組んでみたいと思います。私、別に逃げるわけじゃありませんが、この程度のことは、わが国国力から見まして、長期にわたることですし、これは可能なように思っております。いま大事なことですから、石橋をたたく必要もあろうかと思いますが、そこまで考えぬでもいいのじゃないかと私は楽に考えております。
  15. 石野久男

    石野委員 財政はあくまでも綿密でなければならないと思いますので、その点を配慮願いたいと思います。  それから私は、この事業の大きなプロジェクトを達成させるためには、金の面と人の面で政府が積極的に体制固めと決意を持っていなくちゃいけないだろうと思うのです。金の面では、先ほどちょっと総理は、金だけつぎ込んでもだめだということを言っておられました。それはそのとおりで、同時に人を用意しなくちゃいけないと思います。私は、人と金とを用意することによって、日本の炉の開発核燃料原料開発については、一年でも二年でも期間を詰めるという努力政府になかったらいけないだろうと思う。そういう意味で、金の面でも実はいまの二千億を、場合によれば私たちは五千億くらいの予定をとって、その点から二十年の予定を五年くらい詰めていくという努力をしてもらいたい。そういう意味で、人の計画と金の計画について政府は積極的な方針を示してもらいたいと思いますが、その点についての総理の所信をひとつ聞かしていただきたい。
  16. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど申しましたように、私は金のほうのことは、まあ金のことはまかしておけというわけじゃありませんが、わりに心配なくいくと思いますが、問題は人のほうの問題だ、かように思います。ことに総力を結集するという、そういう考え方に立って、先生方といいますか、学者の動員体制、これはなかなかむずかしいことだと思います。大体数においても不足ですから、もう大学人員確保の点について、養成の面でも積極的に乗り出さなければならぬと思いますが、さらにまた、各部門を結び合わせて総合的に成果をあげる、こういうことに特に力を尽くさないと、いまのような派閥争いその他ではなかなかこの大事業は達成できないんじゃないか、かように思っております。この点では実はたいへん心配をしております。しかし、いままでのわが国原子力の発達の経過を顧みますと、そういう背景もだんだんできておるように思いますので、今回の動力炉開発というような大事業に取り組む体制にもだんだん近づいておる、かように思います。しかしこの点をさらに私どもとしては気をつけなければならない。しろうとよりも、そういう意味では専門家意見を十分尊重していく。そこらに原子力委員会に積極的に働いていただくものが多分にありはしないか、かように思っております。とにかく大学からの養成から始め、また既成の方々の総力も結集するにはどうしたらいいか、ここにたいへんな問題がある、かように思っております。
  17. 石野久男

    石野委員 私は、時間が非常にありませんので、最後一つだけ伺っておきたいのですが、この事業をやるのには、開発体制でございますが、体制が非常に大事だと思います。そういう時点では事業団自身について、時間がないので多く申せませんけれども、どうもやはり事業団は、最初参謀本部的性格だということになっておりますが、実際には法案の第三条が規定してあるように、やはり実施部隊のような性格になっております。こういうことでは、総体的に体制固めをして所期の目的を達成するのには、これだけではどうもまずいんではないかという考え方を私たちは持っているわけです。そこで、事業団自身体制については、もう少し国会でも練らなくちゃいけないんじゃないか、それから、政府の側としても練るべきじゃなかろうか、こういうふうに私は思っているんです。そういう意味から、事業団自身体制、それから、事業団原子力委員会、この委員会との関係、特に私は、委員会の力がもう少し全体として引っぱっていくだけの力がなければならぬだろう、こういうような考え方もしているわけです。そういう問題については、国会としてもなお引き続いて検討を加えていきませんと、この法案だけではちょっと無理なような気がする。それから、全体としての原子力総合開発体制というものもこの際考えなければいけないのじゃないか、こういうように私たちは思っている。政府としても、これは法案が出ても、まだいろいろ足りないものがあると思いますので、私たちはこの法案が通過するかしないかとは別な立場で、やはり検討を加えるべきじゃないかということが考えられます。政府はそういうような用意があるかということが一つ。  それからいま一つは、そういうことをするために私たちは、場合によれば、こういう科学技術特別委員会の中にそのための小委員会のようなものをつくって、政府を鞭撻しながら、われわれもやはりその開発についての体制を固めるために一そう強く、その政策の樹立の問題だとか、計画の問題だとか、実施面運営面等について、国会立場からチェックするぐらいの意欲的な面を出さなくちゃいけないんじゃないかというような考え方をしているわけなんです。そういう問題について政府はそれと協力する用意があるかどうか、そういうことについての総理所見もこの際承らしていただきたい。
  18. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これはもう科学技術の問題ですから、これで検討は終わった、こういうものじゃないと思います。日に月に新たに進む。そういう意味でそれに負けないようにすることは必要だと思います。ただ、この問題は、石野君のただいまの御意見を聞いていると、何だかその時期がまだ早いんじゃないかというようにとれて、この事業団設立がおくれるかのような印象を持つのですが、私はそうじゃなくて、やはり検討検討として絶えず補充し前進していく、そういうことは意気込んでもらいたいと思いますが、しかし今日この事業団法律は、早く通していただいて、そうして設立に乗りかかっていただく。また検討していただくことはいいですけれども、この動き、この運動をチェックするという——これはことばが不適当で、あるいは検討するという意味だったろうかと思いますが、やはり新しいものをチェックするという、これはどうかと思うので、どうか積極的にこの仕事をひとつやる、そういう方向で前向きで絶えず検討していただきたいと思います。私は、そういう意味で、特別委員会の中にあるいは専門部会を設けられようと、それは別にとやかくは申しません。しかし私は、いまの時期、これはやはり動力炉開発、これに乗り出すべきときだと思う。しかし、いまのわれわれの考え方で十分だと、これはなかなか言えないだろうと思います。そういう点では、いま石野君の言われるような点をよくくふうもし、また謙虚にそういう御意見も取り入れて、そうしてりっぱなものをつくっていく。いずれにいたしましても、たいへん巨額の金を使うのでございますから、私はこの程度の金ならと、かようには申しましたが、二千億といえばたいへんな巨額な金です。そういうものが使われるのですから、十分成果をあげるということでなければならぬと思います。だから、そういう意味でどこまでも謙虚にならなければならぬと思います。ただ、この技術の問題、ことに私どもつけやきばでいろいろなことを申しますけれども、もとの十分の深い知識があるわけではございませんから、各方面の意見を徴するというか、そういう態度でこの問題と取り組んでいきたい。これだけを申し上げまして、今回のこの案は、未熟な点があればこの機会にさらにそれを直していきますが、どうか一日も早くスタートできるようにしていただきたいとお願いしておきます。
  19. 石野久男

    石野委員 最後にちょっと一言だけ……。  この法案の中での取り扱いで、特にこの炉の扱い燃料扱いをするのには安全性の問題が非常に大事だと思います。そういう点では、法案の中にはまだもう少しいろいろ手を加えなければならぬものがあるのじゃないかと思うので、そういう点についても政府はひとつ考えてもらいたいと思っておるのだが、総理所見をひとつ聞かしてもらいたい。
  20. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは別に、いまのように私急ぐからといって、安全性を無視するとか、あるいは安全性考えないとか、こういうことがあっては、それはもう申しわけないのであります。ことに、原子力最初から絶えず安全性、これを高めるようにあらゆる努力が払われてまいっております。また、今回の動力炉開発というのは、これは国情に応じて私たちがくふうしようというのでありますから、開発された暁において安全度が高まること、これはもちろんですが、それまでもこの取り扱いにつきましても、十分この安全ということは絶えず気をつけなければならないことである。ただいまのような御注意もございましたから、なおさら、これの関係者等におきましてこの安全ということには深い思いをいたすように私どもも注意するつもりでございます。
  21. 石野久男

    石野委員 私は終わります。
  22. 矢野絢也

  23. 三木喜夫

    三木(喜)委員 きょう総理がわざわざおいでいただいておりますので、この際にひとつ政府の腹がまえをしっかりお聞きしておきたい、こういう意図でございます。  三つほど端的にお聞きしたいのですが、まず第一に、今回こうした大事業と取り組み、しかもビッグサイエンスと取り組むわけですが、それが長丁場になるわけであります。したがって、いろいろな点におきまして私たちは万全のかまえで臨まなければならないと考えます。だから、野党もこれには十分協力しよう、こういうかまえで今回臨んでおるわけであります。しかしながら、これに比べまして政府のかまえといいますか、これがどうも私たち気にかかる、こういうところがありますので、きょうはわざわざ総理においでいただいたわけであります。  まず、私たちが重要に考えますのは、第一は、将来のエネルギー源でこの原子力発電が最適である、こういうぐあいに考えることと、それから、産業の発展の中核をなすということと、それから、国民生活にこの原子力平和利用ということが大きな影響を持っておるということ、この三点に立ちまして非常に重視しております。しかしながら、政府のかまえの点で私は非常に心配に思うところのものは何かと言いますと、先般原子力委員会から総理に対して、この事業団の問題で相談をなされました。そのときに原子力委員会に対しまして総理のほうから、公社公団はこの際新設することは見合わすのだ、こういうことで、原子力委員会をなだめておられるわけであります。しかしながら、その後新設された公社公団が二つも三つもあるということなんですね。これはおかしいじゃないかということで、私は二階堂長官にもこの問題をお聞きしましたし、それから原子力委員の有澤さんにもお聞きしたのですが、やはりお二人のお考えの中には遺憾な意思表示がそれとなしになされておるわけです。  そこで総理にお聞きしたいことは、たとえば環境衛生金融公庫、これはもう単独に新しくできておるわけですね。これとこの事業団と比べられて、環境衛生金融公庫のほうを重く見られたような感じがするのですが、こういう考え方政府なり総理考え方にある以上、出発からおかしいと思うのです。こういうスタートのしかたをしたら、万全の策でなくして不万全の策です。こういうように思うのです。なぜこういう選択のしかたをせられたか。いろいろ政治的な背景はあるだろうと私は思います。しかしこれはどうも、大事業だ、大事業だといわれておりながら、大事業の感覚が総理の中にはないのじゃないだろうか。また科学技術庁長官としましても、ビッグサイエンスだということを言いながらビッグサイエンスの認識が足らぬのじゃないかということを、私はずっと言うておるわけです。これは非常に心配な一点でありますので、この点ひとつお聞きしたいと思います。
  24. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま、公社公団等の新設という一般の問題ですね。一般の問題ではそういうものをなるべくつくらないようにする、これはもうもっともなことで、その基本的な態度は私ども持っております。しかしただいまもお話がありましたように、時世の要請というものがございます。時代、時代によりまして、そういう特殊な点については特別な要請がございます。これにやはりこたえるというのが政治でございます。そういうところから、公社公団の整理もする、同時にまた、新しいもの、これもやはり必要ならつくる、こういうことであります。私は原則論はいままでたびたび説明しましたから、これは社会党の方も御賛成くださると思います。問題は、いま御審議をいただいております事業団が、燃料公社と別に新しい事業団ができたら、いま三木君が言われるとおりだと思います。しかし私どもはこれを燃料公社と新しい開発をするものと一緒にすることが最も望ましい形ではないか、かような結論になって、今回この事業団をつくったというのでございます。基本的な線からは別に私は逸脱はしておらないと思う。問題は燃料動力炉開発、これを一緒にやることがいいか悪いか、むしろこれは多分に関連があるので一緒にやることがより効果的である、かように私ども政府考えたのであります。したがって、いまもここでいろいろ耳打ちもされたのでございますが、別に二階堂君も反対だとか遺憾の意は表しておらないようで、どうかその点誤解のないようにお願いしたいと思います。
  25. 三木喜夫

    三木(喜)委員 せっかく総理の御答弁ですけれども、私どうもいまの御答弁に満足しません。なぜかと言いますと、この前の委員会のときに、私は今回のこの出発は、有澤先生に悪いですけれども、有澤先生が委員会で答弁なさったことを聞いておりますと、私は有澤エレジーだと言うのです。なぜかと言いますと、総理のところへお願いに行きますと、原子力委員会法によりますと尊重しなければならぬということになっておるのです。しかしながら、そこは下手に出られまして、お願いしますということを総理のところに行かれて頼まれたんです。その結果、先がた申し上げましたような答えになったわけであります。それから帰ってきての原子力委員会におきましての論議は実にてんやわんやだったようであります。悲観論も出ますし、もう放棄しようかというような意見も出たし、いろいろそういうような産みの悩みをなめて、そうしてやっとここに妥協の産物として原子力委員会は納得されて、思い直して出発をされておるわけだと思うのです。これでは私はいかぬということを申し上げております。しかしながら、それは水かけ論になりますので、もう一つほかのことと対比して総理のお考えを聞いておきたいと思う。  私は、動力炉開発核燃料開発というものは産業におけるところの、動力を中心にしたところの一大国防計画だと思うのです。しかし、今回三次防が論議されようとしておりますが、この三次防では二兆三千億という予算が、長期の見通しが立てられております。総理は、産業におけるところのこの大きな産業革命をもたらすであろう長丁場のこの問題に対しまして、これが大きな国防計画だというようにお考えになりませんか。戦争において、武力において負けたんだ。そこで取り返すべきものは産業、平和の中で取り返さなかったらならないという基本的な考え方を私は持っておるわけなんです。したがって、これの対比のしかたというものを総理はしっかり持ってもらわなかったら、ただ技術的に燃料公社とこれをひっつけたほうが便利だろうという便宜主義的に考えてもらったら、この問題は出発から誤っておりますぞということを言いたいのです。そういうことで、三次防と対比しながらこの問題をどう考えておられるかということを言っていただきたいと思います。
  26. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 三次防と対比し、そうしてこれは国防計画だと言われると非常に誤解を受けますが、これはどこまでも平和利用でございまして、軍事的な国防計画と関連を持つと言う。それは持たすことが実は無理なんだ。だからこれは産業の平和的な国策だとおっしゃるなら、これは私はわかりますが、国防だと言われると、ことばがたいへん惑わされやすいのです。確かに御指摘になりましたように、新しいエネルギー源として原子力は大事にしなければならない。だからこそ、特に私どもは新しくこれに力を入れておるわけであります。ただいまは重油によるもの、これはたいへん安くできておるようでありますけれども、しかしこれも公害が発生したりいろいろな問題がございますから、平和利用、その立場からの原子力発電、この将来性というものを展望いたしますと、これはたいへん力を入れて今日整備さすべきじゃないか、かように私は思っております。しかし、ただいまの国防計画とはこれは全然別なんで、産業整備、産業のエネルギー確保、こういう意味でこの問題が取り上げられてしかるべきだと思います。  また、いま核拡散防止条約その他の問題がございますけれども、それにつきましても絶えず私どもが注意しておりますのは、平和利用ということについてはわれわれ関心を持っております。しかしながら、核爆発そのもの、ただいまの放射能もこれが制御できない状態のもとにおいて、平和利用ということを口にいたしましても、現実にはこれはよほどかけ離れている、どうしようもないものじゃないかというのがいまの落ちでございます。しかしながらこの原子力発電、それのための動力炉等については、完全に平和に限ることができる。これがまた国会がきめた原子力基本法、それの定むるところでございまして、基本法を逸脱するようなことは絶対にない。また、そういうことがあってはならないからこそ、皆さん方もこれは監視していらっしゃる、かように私は思っておりますので、ただいまのおことばは、これはちょっと用語といたしまして誤解を招きやすいと思いますので、私はその点は触れないといいますか、使わないようにしております。三次防自身はこういう問題とは別に、いまのわずか——だんだん詰めてみますると、結局定員の問題なんかが三次防の骨格をなすようだし、少しは在来の兵器の改善その他もございます。進歩等もございますけれども、そういう意味で、原子力あるいは核物質、そういうものは全然採用してない、どうか誤解のないようにお願いしたいと思います。
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もう一点お聞きしておきます。  いまのおことばの中に、私は平和国家としてよみがえった日本としては軍事に力を入れてはいけぬのですから、したがって産業上の国防だ、こういうように言っておりますから誤解のないように、してください。しかも、総理はなかなか該博な知識を次々お出しになりますが、基本的には私の考えておることと一緒だと思います。そこで第三次防に二兆三千億も金を出されるのだったら、これが平和国家としての大きな生きていく道なんですから、したがってこれに今後金をどれだけ出されますか、二千億だけではとてもできないですよ。長期の見通しでいまお答えがなかったから、これは十分考えるということでもけっこうなんです。これは考えてもらわないことにはやれないですよ。これならわれわれとしても、総理がそんなお考えなら、考えを変えなければいかぬわけです。そこで長期の長丁場にわたってのビッグサイエンス、しかも大事業をやる国の姿勢として、予算の面でどういうような心がまえを持たれるか、総理のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  28. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま原子力委員会その他の御高見も拝承いたしまして、そして計画されておるもの、一応資金的にはこれでおさまっておるように思います。
  29. 三木喜夫

    三木(喜)委員 不満足ですけれども、これで終わります。
  30. 矢野絢也

    矢野委員長 吉田之久君。
  31. 吉田之久

    吉田(之)委員 先ほどから石野さんや三木さんの質問を聞いておりまして、どうも与野党が振りかわっていると思うのです。ここの委員会の発言を聞いておりますと野党のほうが非常に熱意があって、政府のほうがとんとおっとりしていらっしゃる。非常にゆうゆうとしていらっしゃるような気配を感じてならないのです。いまもおっしゃっておりましたけれども、われわれはこの狭い国土、それから乏しい地下資源、しかも軍事力を本格的に持つべきではない日本、しかも一億の優秀な民族がおるこの日本としてのこれからの生きていく道は、どうしても科学技術日本ということをバックボーンとして、この道で日本の栄光を切り開いていく以外にない。いろいろ申されました。平和日本、文化国家日本、あるいは福祉国家建設、それぞれ大事ではありますけれども、どうしても最後には国論を科学技術日本というところに統一しない限り民族の宿命は打開できない、こう私は考えるのです。簡単でけっこうですから、そう思うか、そう思わないか、ひとつお答えください。
  32. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 同感でございます。
  33. 吉田之久

    吉田(之)委員 この間もいろいろと委員会で討論いたしました。昭和三十年から四十二年までわずかこの十数年の間に、一緒に出発した日本とドイツとの間に非常に大きな格差が生じてしまったということを、長官もあるいは有澤原子力委員もともどもに認めておられるわけなんです。われわれは十年間に二千億の金をつぎ込んで、新しくこれからやり直そうということ大いにけっこうです。しかし、もっともっとやはり金をつぎ込まなければならない。いま総理はあまり大きく金をつぎ込んだって使い方を知らないのじゃないだろうかというふうなお考えのようでございますけれども長官以下この委員会政府の方々は、何とかして金がほしい、しかし大蔵省で削られるのだ、総理に通じないのだといって嘆いておられるにもかかわらず、総理自身があまり金をつぎ込んでやったってまだ使い方がわからないのじゃないだろうかというようなお考え方では、私どもはその間のズレが大き過ぎると思うのです。在外財産の補償に二千億の国費を投ずること、大いにけっこうです。またことしあたりは税の自然増収がほぼ三千億を下回らないだろうというふうなこともいわれております。にもかかわらず、この大きな国家目的のために十年間に二千億しか出さないというふうなことでは、米ソはおろか、ドイツにもそのつけられた格差をますます広げられていくだけではないかというふうな気がいたします。ビッグサイエンスとは、国がまずしっかりした計画を立てること、そして思い切って予算をつけること、そして民間の頭脳を動員すること、私はこれなくしてビッグサイエンスには取り組んでいけないと思いますが、どうお考えになりますか。
  34. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御承知のように私が座長をしておる科学技術会議が実はあるのであります。そうしてしばしば言われますことは、もっと研究費を出せ。これは各部門にわたりましてそういう意味では科学技術開発がおくれておる。ただいま御審議をいただいておりますのは、動力炉開発という一つの部門でございますが、しかしどうも全般として研究費の使い方が非常に少ない、こういう批判を実は受けておるのであります。私はその御意見を聞き、国自身が使うものも、また民間で使われるものも、どうも全部を合わせましても、日本の場合は非常に少ない。どうもまねをすることばかり力を入れるような気がしてならない。これはやはり税制あるいは資金、金融、それらの面についてもっとお世話申し上げなければいけない。国家財政の面からもこういうものに研究費をつぎ込まなければいかぬと実は思っておるのでございます。この前、参議院の本会議で大蔵大臣も、これから研究費はうんとひとつ気をつけて、あまりけちけちしないようにしたいものだ、こういうような答弁をいたしましたが、私それを聞いておりまして、ほんとうに自由にそういうことができればまことにしあわせだ。しかしなかなかわが国の実情から申しますと、大事なものに金を惜しみなく出すという、そこまでまだいっておりません。しかし、これからはわれわれがくふうし、将来の発展を願えば、ただいま申し上げるような研究費というものにもっと力を入れなければならぬ、かように思っております。また、大事な資金もそういう意味で使っていただくというか、そういう意味協力も願わなければならない、かように私ども考えます。
  35. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、事業団性格についてでありますけれども、絶えず二階堂長官や有澤原子力委員は、この事業団はあくまでも参謀本部的な性格のものである、ボード的なものなんだ、実践部隊ではないということをしばしば述べておられるわけなんでございますが、そのように理解してよろしゅうございますか。要するに、この事業団は、いままでいろいろあった、現にある事業団とは全く異なった新しい性格事業団である。この事業団を中心として官民一体の頭脳を集めるのだ。そういう意味で実践部隊にはならない、参謀本部的なものだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  36. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私に聞かれましても、二階堂君や有澤さんと別な考え方をするとは申しませんから、これはもうお二人の説明どおりお聞き取りいただいて御了承願いたいと思います。
  37. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、原子力委員会性格についてでございますけれども、この委員会総理直属の委員会であって、あくまでも原子力の政策の企画立案を行なう、そして審議決定する委員会であるというふうにわれわれは承っております。そういう意味では、単なる諮問委員会ではないと思うのです。また、行政委員会よりもさらに次元の高い政策を企画立案する委員会であると思うのです。私は、そうであるとするならば、この委員会科学技術庁に隷属するものではなくて、その審議決定したことは直ちに総理より各省庁に号令のかかるものでなければ意味がないと思うのです。形としては、大臣と同等の位置にある行政委員会以上のものでなければならない。しかし、先ほども質問がありましたように、現実としては、行政委員会にも及ばない非常に無力な存在となっております。総理は、このせっかくできた原子力委員会というものの機関を十分に御活用になっていないというふうな気がしてならないのでございますけれども、この点ひとつお伺いいたしたいと思います。
  38. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 原子力委員会は、お説のとおりでございます。そういうものでございます。これを十分活用してないというおしかりを受けましたが、せっかく皆さん方の御協力を得ておるのでありますから、この上とも大事にすることは当然であります。私はいままでも活用している。活用ということばはちょっとぐあいが悪いのですが、十分尊重している、かように思っておりますが、この上とも十分注意してまいるつもりでございます。
  39. 矢野絢也

  40. 石野久男

    石野委員 質問の前にちょっと委員長一つだけ確認しておきたいのでありますが、先般の委員会政府のほうに対して阿賀野川の問題についての資料などを要求しておりますが、まだ依然として出ておりませんからこれを早く出していただくように、なおまた三木君から出ておりますロケット関係に関する資料も依然として出ておりません。そういう資料を早く出していただくように、それからなお、私がお願いしておりますこの事業団法に関する人員の件についてやはりこまかい資料の要求をしておりますが、それも出ておりませんから、そういうものを早急に出していただくようにお願いいたします。
  41. 矢野絢也

    矢野委員長 ただいまお申し出のあった件につきましてはしかるべく処置をいたしたいと思っております。
  42. 石野久男

    石野委員 私は二階堂長官にひとつ……。  この事業団法の審議と関連して事業団がやろうとしておる仕事の中に再処理の問題が一つあります。再処理問題については、プルトニウムをつくり、いわゆる新型にしても高速増殖炉にしましても、その燃料がいわゆる燃料サイクルとして重要な位置を持っておるのでありますから、再処理工場をつくるということは私どもも非常に必要なことだと思っております。ただ問題は、安全性やその他の問題等を考えて、いま私たち原子力施設をするについては、先に同僚議員の中から、わが国には原子力のいわゆる放射能障害というようなものに対して非常に恐怖症的性格なものがあるのだというような意見のあったこともよく知っております。しかし、また他面においては、原子力の施設を一手に引き受けて、何でも掃きだめみたいにして受けておるところもあるわけなんです。たとえば茨城県なんかはそういうような一つの形になっておるのじゃないか。私は再処理工場をつくるにあたっては、安全性の問題との勘案の中で、過度に施設が集中して、安全性が個々の問題ではいいのだけれども、それを集積するというと非常に不安になるだろう、あるいはまた、事故が起きたときに、せっかくの施設がそのことのために生きてこなくなるのじゃないかという心配、こういうようなことについては配慮しなければならないのじゃないかというふうに私は思っているのですが、この安全性の問題についての地域との関係、立地的な関係で、長官は私のいまのような考え方についてはどういうような御所見でしょうか、ひとつ聞かしてもらいたい。
  43. 二階堂進

    二階堂国務大臣 国民の間に確かにいま石野さんがおっしゃったような安全性その他について心配があるという気持ちがあることは私も十分承知いたしております。したがいまして、この再処理工場をつくるような場合、特にこの安全性、危険なことにならないように、安全性には万全の上にも万全を期してまいりたい、また、こういう施設をつくる場合にはやはりそういう地元の人たちの不安を解消し、また、納得を求めた上でそういう施設の整備に当たる、こういう考え方は基本的に持っております。
  44. 石野久男

    石野委員 いま燃料公社計画しておりますフランスに頼んでおるサンゴバン社での設計、そしてそれの施設について、私は一昨年でございましたか、この委員会でいろいろとお聞きしたことがございました。まだその当時は、やはり立地の問題については確定してないというふうに聞いておったのでありますが、現在はこの施設をするということについての立地の面はもうはっきり確定しておるのでしょうか。
  45. 二階堂進

    二階堂国務大臣 まだ私どものほうではっきりここだということを決定したわけではありませんが、しかし従来から有力な候補地の一つであるというふうには考えております。
  46. 石野久男

    石野委員 有力な候補地の一つというのは、おそらく東海村のことを言うのだろうと思いますが、原子力局あるいは燃料公社は全国のどことどことどこを有力な候補地としていま設定しているのですか。今井理事長先にちょっと……。
  47. 今井美材

    今井参考人 私どもが直接ここを提供してくれるかどうかというような意味合いで交渉をいたしたところはほかにはございません。ただし図上でもありますし、あるいは資料等によりまして、主として太平洋岸を目標にいたしまして数カ所の調査をいたしました。それ以上の深い実質的な調査と申すことはできないと思います。
  48. 石野久男

    石野委員 太平洋岸でこれが有望だと思う土地は、どことどことどこでしたか。
  49. 今井美材

    今井参考人 たとえば北のほうで青森県、またあの周辺にも幾つかございましょうし、それからずっと西のほうに参りますると、いまのところ原子力発電所があまりないものでございますから、太平洋岸とは申しながら、中部地区ぐらいが終わりでございます。
  50. 石野久男

    石野委員 それらの土地に直接交渉しましたか。
  51. 今井美材

    今井参考人 ただいま申し上げましたごとく、ここを適当として提供してくれるかどうかという直接交渉はいたしておりません。
  52. 石野久男

    石野委員 大臣にお尋ねいたします。  大臣は敷地の選定についてそういう交渉をさせているのですか、いないのですか。
  53. 二階堂進

    二階堂国務大臣 これは私が就任前からのいきさつもありますし、どこがいいか、そういうところを調査しろ、こう言ったことはありませんが、従来の経過等からいたしまして、東海村の一地区が最も有力な候補地である、こういうふうにずっと説明を受けて、私もそのとおり納得してまいっております。
  54. 石野久男

    石野委員 私は現地におりますから、ことさらにどうこう言うのじゃないのですが、現地にも賛成する方もいるのです。それはいろいろな事由で、必ずしも望んではいないけれども、賛成する立場になっています。問題は安全性の問題について私たちはことさらに恐怖症的にはなりたくない。ことに再処理工場の問題については、わが国燃料サイクルを確立する上において非常に大事なものでございますから、これはやらなければいかぬと思っております。しかし、原子力関係、特に安全性の問題については、過度集中に基づくところのいろいろな危害が起きた場合の事態を私たちは一面においては考えなければならぬ。そのときの危害はなるべく少なくすべきだと思います。これから十年後、二十年後に各地に炉がたくさんできたときといまとは違いますから、今日の時点では、私はこういうような再処理工場の敷地を選定するにあたっては、もう少し全国的に目を広げて調査しなければいけないだろうと思うのです。いま今井理事長からの話を聞いておると、この問題はサンゴバンに設計を依頼してから今日まで何年かたっております。しかしその間、図上では予定地は定めているようだけれども、交渉も何もしていない。結局茨城県のあそこだけを候補地にしているわけです。私は今度の事業団法の中でも特に憂慮というか心配しておることは、私たち開発計画というものが国家的な一つプロジェクトとして遂行されようとしているときに、民間協力も得なければいけません。したがって、また、民間の言うことも聞かなければいけない。民間の便宜もはからなければならぬということはよくわかっておる。だけれども、再処理工場というものを、地域におけるところの意向というものを無視してでも、財界とかあるいはそれに関係する人々が積極的にそれを押しつけていくというやり方は非常に非民主的だと思うのです。こういうやり方は絶対に許してはいかぬと思うのです。私は、こういうようなやり方をするのであれば、これは事業団自身についても考えなければならぬと思う。率直に言って燃料公社国家管理をするという任務をもってやっておりますから、国の、あるいはまた私たちの言い分は相当通ると思うのです。しかし民間会社がこの中に入ってきていろいろな仕事をやるようになったら、とてもじゃない、政府の力も及ばないだろうし、われわれが言うことでさえもなかなか聞いてくれないだろうと思う。そういうことになったら、地域住民の言うことなんか何も聞いてはくれませんよ。そうして財界は自分たちの利益のために、最高の利潤を追求するためにのみいろいろな施設をし、行為をしていくだろうと思います。私は、そういうようなことが、もしこういう形の中でやられるとするならば、これは事業団そのものについて基本的に考えなければならぬし、原子力基本法の本質に基づいて考えなければならない。私は先ほど総理大臣にもお尋ねしましたが、今度の事業団を設定するにあたり、原子力燃料公社は廃止されます。その法律がもうなくなるのです。そうすると、率直に言って、第七条に規定するところの燃料国家管理というやつはどこかへ飛んでしまうのだ。事業団のどこにも国家管理精神は残りませんよ。そういうきわめて重大な、基本法精神を侵すという内容がこの中にあるのです。だから、私は総理に対してこういう問題について、基本法平和利用の問題についての精神をこの中に生かすためのわれわれの意向を入れるような修正などということも考えてもらわなければならぬじゃないか、われわれはそれを考えておるということについて、総理はまあそれは努力しようということを言われたから、私はそれを了としますけれども、しかし現に、たとえば再処理工場一つをとりましても、地域の人々の考え方というものについて、公社とかあるいはおえら方がどんどん行って地域を納得させるというやり方で、そして押しなべてこういうことで押えつけてしまうということはよろしくないと思う。今井理事長は先般茨城県に行きまして、この再処理工場について知事に申請をしておる。これはほかに敷地の選定に対する努力もちっともしないで茨城県にだけ、この反対の強い茨城県で今井理事長は知事に対する申請をしておるんだが、どういうつもりで理事長はそういう行為をしたのか、一応理事長意見を聞きたい。
  55. 今井美材

    今井参考人 私どもが東海村を特別に、最初に実施いたしまする再処理工場の敷地として望んでおりますことは事実でございまして、この望んでおる理由は何かというお尋ねであると思うのでございますが、それは一つは、言うまでもなく初期において計画されておりまする原子力発電所、つまり私どもが受け入れまする使用済み燃料の量が比較的多く発生する地域であるということでございます。もう一つは、何ぶん再処理と申しましても、日本では長い経験と積み上げを持っておりませず、また現にできるだけ早く外国の技術に追いつきたいために海外技術の導入などをいたしてやる。その上に特別に大切なことは、外国技術をまねる以上に特別に考えなければならない安全問題などを言うこともある次第でございまして、いわば開発的要素がまだあるんだということと近いと思うわけでございます。そんな便宜を解決いたしまして、決して支障のないように運転をいたしたい、これが当然の希望でございますので、その点で便宜を受けることが多いいわゆる原子力センターのごとき土地を選択させてもらいたい、こう希望しておるわけでございます。さような次第で、東海村に対して特別に希望を持っておる次第でございます。
  56. 石野久男

    石野委員 今度つくる再処理工場は、営業用のものですか、研究用のものですか、どちらですか。
  57. 今井美材

    今井参考人 再処理事業がまだ完全に営業的であるということはできないと思います。キャパシティーから申しますと、パイロットプラントというには大きいのでありますけれども、そしてまた、実際に原子炉から出てくる燃料を処理するという意味合いにおいては、実用にならなければならないというわけでございますけれども、これが営業用というわけにはいかない。それゆえ燃料公社等がお引き受けすることであると考えております。
  58. 石野久男

    石野委員 それではこの炉は一日にどのくらいの処理能力を持ち、そしてまた、大体採算計算では損失を見込んで事業を起こすのですか。
  59. 今井美材

    今井参考人 まだ完全な設計ができませず、十分なデータが整っておりません現状で、ちょうど幾らに仕上がるかということは、まだお答えするデータが乏しいのでございます。ただし、先ほども申し上げましたように十分な営業的ベースではやっていき得ないという考え方でおります。  またもう一つ、能力はどのくらいかというお尋ねに対しましては、見方といたしましては従来一日に使用済み燃料が〇・七トン、これを基準にして考えておるのでございますので、たとえば年間三百日作業をいたしますと、二百十トンくらいの使用済み燃料を処理できるという勘定になるわけでございます。
  60. 石野久男

    石野委員 二百十トンの使用済み燃料は、どことどことどこから出てきますか。
  61. 今井美材

    今井参考人 二百十トンと申しますと、東海地区におきましてすでに動いております第一号の原子力発電会社の炉、あれは年間五十七トンくらいの使用済み燃料を発生する計算でございますので、昭和四十七年くらいになりますと、二百数十トンのものがたまっておる勘定になります。もしもこれを海外に持っていこうという計画がなければ、そういう勘定になります。そのほかに、そのころになりますと、その後に計画せられました軽水炉も幾分の燃料は排出されることになると思っております。それが昭和四十七年ごろに累積いたしておる量でございますので、それを見当といたしましてキャパシティーの設定が行なわれております。キャパシティーの設定をいたしますにつきましては、たいへんむずかしいことがございまして、大きいものをつくり過ぎますれば、初めのうちに原料が足らなくなるわけであります。そのようなことをやりますれば、償却費が勘定の中で非常に大きく占めております仕事のことでございますゆえ、一そうマイナスが大きくなります。また、あまり小さくつくれば、当然のことでありますけれども、非常に経済性が悪い。さようなことをいろいろ比較検討いたしまして、その結果といたしまして、先ほど申しました〇・七トンあるいは年間二百十トンという結論に到達をいたしました。
  62. 石野久男

    石野委員 東海村から使用済み燃料が年間五十トン近いものが出るということもおそらく今日では不可能なんだろうと思うのです。東海発電所は必ずしも所期のとおりに動いてないはずです。だから、それはそれとして、いずれにしましても、あるだけではとても再処理工場はやっていけない。そうするとやはり福井やその他のところで出るものをみんな入れるわけなんですが、それらの問題を含めて、もしこれは研究用というような形でつくるものならば、もっと考え方を変えるべきだと私は思うんですよ。もし営業用でやるのならば、やはり立地条件ももう少し考えなければならぬだろうと思う。  私はここで大臣に聞いておきたいのですが、再処理工場にしましても原子炉にしましても、先般われわれの同僚の松前さんからもお話があったように、たった十キロぐらいのものを、そういうような炉をつくるのでさえも非常にきびしい反対の地域があるわけですよ。茨城ではあそこへ幾つかの炉がたくさんできて、どんなに安全だ安全だと言っても、りっぱにできている市街地の計画が、再処理工場一つつくればやはり緑地帯を二キロだけあけなければならぬというようなことが要求されておるわけなんですよ。市街のどまん中に二キロの緑地帯をつくらなければならぬというようなことがずっといわれておる。それをもしやらなければ安全性が確保できないのだ。だから、ここで安全性の問題について、あまりに企業家とかあるいは事業をやる人々の恣意にまかせて、地域の住民のことを全然無視するというやり方については配慮してもらいたいと私は思う。ある地域においてはたった十キロの炉を入れることについてさえも、原子力委員会は許さないでおるというのに、一方ではもう炉は次から次へ重なってきておる。そういうようなところでも、なお地域で反対しているのを無理に押えて、あれやこれやと理事長自身が陳情までして陳情合戦をするという形です。これを見てごらんなさい、協力要請と反対、こういう大きい字で両方で陳情合戦をしているんだ、茨城では。こういうようなことを、特に原子燃料公社はほかの地域は全然選定もしない、当たってもみないでこういうやり方をすることは、私はあまりにもひどいと思うんだ。こういう点については、もう少し地域住民の声を聞くという民主的なやり方をひとつやってもらいたい。このことだけで私はやっておりますと、ほかの質問者のこともございますから、一応これでおきますが、あとはひとつ今井さんやそれから長官とも相談をして、もう東海村を既定の事実としてやるということについては考えてもらいたいと私は思います。  事業団をつくるにあたって、業界の意図どおりにいろいろ引きずり回されるというと、事業団自主開発の路線は誤るだろうという心配を私たちはいたしてまいりました。たまたま今度再処理工場の問題をするにあたって、こういうようなやり方をされたのでは、やはり私たち協力は非常にむずかしくなってくる。これはもう少し、ひとつ公社のほうも考えてもらいたい。業界の要請はよくわかっておる。そしてまた、研究者の方々もなるべく近いところに置いてそれを利用しようということもわかりますけれども、しかしこれは研究炉じゃないはずだ。だから、そういうことならばもう少し使用済み燃料の発生の点も勘案しつつ、他の地域など一応並べた上で考えるようにしてもらいたい。もう既定方針どおりにして、ほかは全然考えないで、地域の住民だけを押えつけるという、こういう権力主義的なやり方に対しては、私たちは平和的な三原則の利用はされてない、こう思いまするので、大臣ひとつそういう点についての考え方を聞かしてもらいたい。大臣からは茨城県に対して要請をしておるそうですから、そういうことがもしあるとするならば、大臣もひとつ考えてもらいたい。
  63. 二階堂進

    二階堂国務大臣 この再処理工場の問題で、私は業者と言われるのはどういう方か知りませんが、そういう方から話を聞いたこともありませんし、陳情を受けたこともありません。それから、いまお説のとおり、地元住民のいろいろな意見がございます。私のところにも知事さんほか、関係町長さん、議長さん、二回ほど見えまして、いろいろ意見を聞いております。十分聞いております。そういうこともありまして、また今井さんとも私はお話をいたしまして、そしていろいろ考え方も聞いておりますが、私は、従来からこういうものをきめる場合、権力的な威力をもって頭ごなしにきめようという考え方を持ったことはございません。あくまでも地元の方々の意見を十分聞きながら、できる限り民主的にこういう問題は解決していきたい、こういう基本的な態度は、いままでも持っておりますし、今後も持ち続けてまいりたい、かように考えております。
  64. 石野久男

    石野委員 再処理工場の問題については、あとでまたこまかい話をしたいと思います。地域的な問題もありまするし、全国的な立場での配慮もしてもらいたいと思います。  原子力基本法の線に沿って、私たちはやはり事業団法というものをできる限り自主開発の路線で早くつくることには別に意図はございませんですから、そうしたいと思っておるのですが、ただ問題になるのは、今度の法案ができますると、燃料公社がなくなってしまって、燃料公社の持っていた核燃料及び原料国家管理の問題がどこかに消えてしまうわけですね。そうして政府は閣議で核燃料及び原料の民有化の方向をきめた。そうすると、原子力基本法が差し示しておるこの国家管理の問題は、どこでどういうふうに立法の場で通っていったのか、実を言うと、わからない。行政的なそういう方針一つきまった。しかし国の立場からすれば、国会立場からすれば、この国家管理方針はまだ捨ててないはずだ。それにもかかわらず、立法するにあたって、すでに民有化を前提として事業団法ができておるとするならば、これは非常に国会に対する侮辱ではないか、こう思うのですが、そういう問題について長官はどういうふうにお考えになるか、有澤さんはどういうふうにお考えになっておりますか、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  65. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 核燃料についての国家管理の問題でございますが、最初原子力平和利用が始まりました時分には、核燃料についての問題といえば、これが平和利用に限定されるということと、それからもう一つは、安全性の問題、この二つの問題があったわけでございまして、その二つの問題を十分に解決するといいましょうか、打開する行き方といたしましては、国家管理が最もよかった、こういうことで、この核燃料に関する国家管理を行なう公社というものの設置を見たと私は考えております。しかし、自来十年の間に日本における原子力平和利用の観点というものはずっと守られてまいりましたし、また、それを守るだけの体制といいましょうか、これは国際的な条約のこともありますが、国内的な体制も十分整ってまいりました。と同時に、安全性の問題につきましても、原子炉等規制法の実施、この面におきまして十分な発展がありました。核燃料に関する安全性の問題も十分確保できる、こういう現実に相なってきたわけであります。安全性の問題は、それ以外にも炉その他につきまして、再処理工場も同様でございますが、安全性の問題につきましては安全審査会というのがありまして、ここでの安全に関する審査の基準なり、あるいは審査の方法なり、先生方もたいへん御勉強していただきましたし、また安全性審査に関する研究も進みまして、安全に関する問題は十分規制法並びにいまの安全審査会の両面から、これを確保することができるという見通しを持つに至ったわけでございます。この二つの問題がそういう形で十年間における発達の結果としてそういう時代になったといたしますれば、国家管理をあくまでも続けていくべき理由というものはだんだん消滅してきたように私ども考えております。ですから、われわれの委員会におきましても、最初は天然ウランをまずこれからはずす、そうして、今回特殊核物質につきましてても、これを民有化にする。民有化にしましても、だれでもすぐ自由に持てるというわけのものではない。みな規制法規制下に置かれた民間人がこれを持つということに相なるのでありますから、その点では、安全性の面からいっても別に変りはない、こういうふうに私ども考えております。
  66. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いま有澤先生からお答えになりましたとおりでございまして、私が就任以前、昨年の十月でありますか、閣議で民有化の方針が決定をされておったわけであります。また、いまお尋ねの問題は、法律の内容にも関係する点があろうかと思いますので、ちょっと原子力局長からも答弁をさせていただきます。
  67. 村田浩

    ○村田政府委員 基本法において、核燃料物質の国家管理についての規定があるのにもかかわらず、民有化方針を打ち出していることに矛盾があるのではないかという御質問かと承るのですが、基本法をつくられましたとき、あるいは原子燃料公社が進められましたときに、核燃料物質というものが、世界的に見まして入手が必ずしも容易でない、幾多の規制が行なわれる。その規制の中には、国が直接こういうものを所有しなければ、平和利用を行ないます上にも進めることができないのではないか、こういうような問題が相当強く考えられておったかと思います。しかし、その後の状況は、先ほど有澤委員御説明になりましたように、原子力平和利用が世界的にも広まるに従いまして、核燃料というものの平和利用の道も発展し、したがって、これを平和的に利用する種々の事業、あるいは研究開発というものも進んでまいりまして、少なくともその後の十年の状況としましては、これは国がみずから所有しなければ、平和的な核燃料の使用はできないという状況はなくなっておると思います。基本法のほうにおきましても、いわゆる国有でいくべきだという明確な規定ではないわけでありまして、したがって、そういった点から安全性並びに安全保障という点での国の管理が十分に行なえる体制のもとであれば、所有権が国にあると、あるいは民間にあるとにかかわらず、そのような管理を行なっていくことができる、こういうたてまえで諸般の核燃料政策を考えられているわけでございます。そういった点から、環境条件の整うに従って、核燃料の民有化を認めていくのだという方針がすでに昭和三十三年ごろから原子力委員会でも考えられておったわけでありまして、その第一の措置が昭和三十六年に天然ウランの民有化ということで発現され、今回残っておりました濃縮ウラン等の特殊核物質につきましても民有化という方針政府として打ち出されたわけであります。しかしながら、もとよりそのような民有化になりましても、安全性並びに安全保障についての国の管理ということは、原子炉等規制法を中心としまして十分に措置されておる。したがって、民間の会社等が特殊核物質を持って平和利用以外のものに使うとか、あるいはかってに外国に輸出するとか、あるいはまた許されないものを所持するとかということはあり得ない、そういうような規制が十分とられておるわけでありまして、管理上の不安ということは、決して起こってこないという状況にあるわけでございます。
  68. 石野久男

    石野委員 この安全性の問題については、もう管理の必要はないというところまできておりますというのは、それは原子力局とかその関係している皆さんがそう言うことであって、法律はやはり管理せよということが基本法ではきめてあるわけですね。特に私は、原子力委員会がこの法律をどういうふうに読むのかということについて有澤先生に一つ聞きたいのですが、管理の必要がなくなってきたということになれば、法律がそういうふうにきめてあったって、行政的に処置するならそれでいいじゃないか、それに従ってどんどん法律をつくっていったらいいじゃないかというのでは、法の権威がなくなるのじゃないですか。ここらのところが、やがてはそうなるであろうけれども、順序、方法があろうと思うのです。そういう方法が怠られてはいはしないかという懸念を持つわけですよ。だから、管理するというたてまえであるからこそ、やはりいろいろ取り扱うものについても指定をしたり何かしてきていると思うのです。管理がなければ、もう指定の必要なんかないと思うのです。たとえば、第十条は、「核原料物質の輸入、輸出、譲渡、譲受及び精錬は、別に法律で定めるところにより、政府の指定するものに限ってこれを行なわしめる」と書いてある。管理も何も必要なければ、この条項なんか必要ないと思うのです。私はそう思う。だから、そこらのところが、立法的な立場からいって、もう少しやはりお互いに考えなければならぬ問題がありはしないか。そういう点を原子力委員会ではどういうふうに見てこられているのか、所見を伺わしてもらいたい。
  69. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いま御指摘になりました国の管理といいますか、国の管理は、先ほど局長の説明にもありましたように、また、私からも申し上げましたように、規制法等によりまして十分国の管理はいたします。ただ、公社法においては、公社がこれを所有する、こういう形式をとっておるわけでございます。その点につきましては、今度の事業団法によって公社がこれを所有するということは必ずしもなくなる、こういう意味におきまして、今度の事業団法並びに基本法の改正において、その公社が所有するということが廃止になる、こういうふうな手続に相なろうかと思います。
  70. 石野久男

    石野委員 こういうような点については、もう少しお互いに論議を重ねませんと、お互いの理解は、自分たちの都合のいいようにだけ理解しておって、一般にはなかなかそうは理解できない面がたくさんあろうと思う。だから、私は、この点はやはり法案の審議の上において、与野党ともにもう少し検討を加えなければならぬのではなかろうかと思います。その点については、大臣も理解してもらっておいたほうがいいのではないかと思いますが、大臣の所見をひとつ伺わしてもらいたい。
  71. 二階堂進

    二階堂国務大臣 先ほど総理も答弁の中で申されましたとおり、十分皆さんの意見も聞いていきたい、こういうことでございましたので、私もそのように了解しておるつもりでございます。
  72. 石野久男

    石野委員 私は先ほど総理にもお尋ねしましたが、資金の点はともかくとして、人員の点で、総理は非常にそのことは大事なんだということをおっしゃっていました。この点については、私、きょう、文部大臣の出席も要求しておったのですけれども、参りませんが、どうしてもこれは、文教政策上の人員整備という長期計画一つ出なければいけないだろう、こういうふうに思います。そういう点については、これは長官のほうからも強い要求を文部政策の中に入れてもらう。原子力委員会もそのことをぜひやってもらわないというと画龍点睛を欠くことになりはせぬだろうか、こういうふうに思います。そういう点では、私はまたあとでも聞きますけれども政府のほうでもひとつ文部大臣に対してそのことを要請し、また、総理にこまかくそのことを要請する、予算面でもそれが具現されるように努力してもらえないかということを、ひとつ長官意見を聞いておきたいのです。
  73. 二階堂進

    二階堂国務大臣 おっしゃるとおりの方針で、私は文部省とも話し合いを進めてみたいと考えております。
  74. 石野久男

    石野委員 それから、先ほど私は、体制上の問題で、事業団それ自体についての体制も、もう少しやはりお互いに検討を加えなければならぬものがありはせぬだろうか。それから特に原子力委員会あるいは日本原子力研究所、こういうようなものとの関連性が、この前からの質疑応答の中では、委託する、あるいは下請だなんというようなことだけの話になっておりますけれども事業団ができて、原子力研究所というのは単なる下請的なものになってしまったのではいけませんから、これはやはり本来持っているところの目的研究なりなんなりというもっと底深いものに広げていき、そしてむしろ事業団なんかに対してリードマンになるような体制が研究所自体に持たれなければいけない。そうなってくると、これらの事業団及び研究所や原子力委員会その他の関連するものを一体とした体制というものをこれはどうしても考えなければならぬ。この点は、長官、ひとつ政府の中でも、単なる行政的な措置だけに終えてしまうのではなくて、これはやはり国会との関係の中、立法の関係の中でもう少し整備するということの必要があるんじゃないかと私は思います。行政的な措置でいくなら、これはほうっておいてもいいのですけれども、それに私は危惧を感じますから、そういう点について長官は心がまえをお持ちになっていらっしゃるかどうか、ひとつ御所見を……。
  75. 二階堂進

    二階堂国務大臣 おっしゃるとおりの心がまえは私も持っております。また、先ほどの石野さんのお話の中にもありましたが、特別委員会の中にもそういう専門部会的なものを設けたい、こういう考えでございましたし、また、原子力委員会のほうでもいろいろ御検討願うようなお話も承っておりますので、そういう形でひとつ今後間違いのないように対処していきたい、こういう考えでございます。
  76. 石野久男

    石野委員 最後にもとへ戻りまして、ちょっと先ほど聞き落としましたので、今井理事長にひとつお聞きしておきたいのですが、再処理工場の問題については、茨城県の東海村のほかにはもう地域の選定をする御所存はございませんかどうか、この点だけはっきり聞かしておいてもらいたい。
  77. 今井美材

    今井参考人 私といたしましては、ぜひ東海村にやらしていただきたいと希望いたしております。
  78. 石野久男

    石野委員 そうすると、ほかではもう当たってみるという意思はないということですね。
  79. 今井美材

    今井参考人 希望のある限り東海でやらしていただきたいと思います。
  80. 矢野絢也

  81. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いまの安全性の問題と関連があるのですけれども、私、一つだけ長官にお聞きしておきたいと思うのです。  私たち動力炉核燃料開発事業団というものに対して異常な熱意を持ってやればやるほど考えられることは、核兵器に転用される安全弁をどこに置くかということをいつも考えておるわけです。それと安全性の問題と二つ考えておるわけなんですが、先般長官は熊本においてこういうことを言っておられる。平和利用のための核爆発実験の権利は日本としても持っておらなければならぬというようなニュアンスの発言をなされておる。これについては記者会見で弁明をなさったようです。なぜこんな発言が出てくるのか、どういうところからこんなものが出てくるのか、それをまずお聞きしておきたい。
  82. 二階堂進

    二階堂国務大臣 これは私のほうからそういう発言をしたのではない。これはけさも私はクラブの記者会見で申しましたが、中央において国会なりいろんなところで話を聞いておる新聞記者の諸君には十分了解願える。新聞記者のほうからいきなり、核爆発実験をやるのかやらぬのかという、私は思ってもいないことを聞かれたものですから——向こうのほうから聞かれたのです。ですから私は、いやそういう考えは持っておりません、これはまだいま核拡散防止条約もどういう内容になるかわからない、また査察もどういうことになるかわからない、しかし日本は、平和利用、研究の自由というものは、あくまでも、核を持てる国も持たざる国も、将来といえども、平等にこの権利を留保しておくのだ、持てるものだけが自由な研究をやって、持たざるものが自由な研究もできないというようなことでは困ります、そういうことを答弁したら、あとからまた新聞記者がやって来て、権利を留保するということはもうやることですか、こう聞くから、いやそうじゃないのだ、そういうことで、私も忙しかったものですから、その程度にして——いますぐやるなんて毛頭考えておりませんので、中央において、この付近で新聞記者の諸君と話をするような気持で私は言ったら、向こうにしてみれば、たいへんな問題のように受け取られたのでしょう。あとはまた私は秘書官を通じまして、もし誤解があっては困るということでいろいろ話をいたしたのが、いまお読みになったような新聞記事になったわけでございます。私のほうからそんなことを質問されないのに申したわけでもございません。まあ言うならば、何と申しますか、考え方の格差が非常に地方と中央にあるということでございます。
  83. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それなら安心なんですが、長官考え方の中に、いまそんなことをやることはないですね。しかしながら、将来そういう核爆発を平和利用にできるとお思いですか、それはどうですか、それが全然ないのですか。
  84. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いま私はそういう考えは持っておりません。しかしこれは遠い将来のことになるかもわかりませんが、みんな世界の核を持っている国あるいは持たざる国も、核爆発の実験、これが平和利用だ、そしてこれは全然危険がないのだ、みんな世界がそうなったときにも、自分の国はそんなこともやらないのだ、研究はやらないのだ、こういうことでは困ると思っております。これはしかし、いまはそういう考えを持っておりません。しかし何十年あとか、何百年あとにはそうなったから、そのときになってもわれわれはやらないのだ、昔十年、五十年前に言ったからやりませんということでは私は困る、こう思っております。
  85. 三木喜夫

    三木(喜)委員 なぜ私がこういう念の押し方をするかといいますと、下田発言が最初この様式で出てきた、これは御存じでしょう。これは政府の外交官です。ここからこういう発言がなされたのですね。それからこの発言の裏には佐藤総理との打ち合わせがあった、こういうようにいわれておるわけなんです。その上で発言がなされたといわれておるわけなんでありまして、私は、こういう核爆発の平和利用ということは、政府に潜在的にそういう考え方があると思うのです。あればこそこういうような発言をなさったわけでありまして、そういう考え方は、外交官であろうが、総理がうしろにおって、そのことを了解を与えられたか、その辺はわかりませんけれども、そういう考え方の中で今次のこの事業団の問題を進めていくということになると、私は危険だと思うのです。なぜかと言いますと、将来において核爆発の平和利用ということを考えられますか。何十年後、何百年後ということばの魔術を使ってそういうふうなことを言われるということは、やはり根底に、この原子力の基本的な考え方の中に、政府の思想に混乱がある証拠ですよ。これは科学技術庁ではそんなことを言われないでしょうし、現に原子力委員会では、平和目的の核爆発装置と核兵器とを区別することはむずかしい、こういうようにはっきり言っておられるわけなんです。原子力委員会にはそういう混迷はないのですけれども政府要路の人にそういう混迷があるじゃないですか。あなたが熊本でそういう発言をなさったかなさらぬかは別問題といたしまして、これは間違いだったといたしまして、しかし、下田発言の裏にはそれがあるわけなんです。長官、核爆発というものは絶対に私は安全であり得ないと思うのです。放射能の対策をどないするのですか。これはよく言われておるところです。こういう危険なことばの遊戯の中に原子力の一番元締めである委員長が、間違いにもせよ、こういう中に引きずり込まれるようなことでは困る。はっきりそれは天下に宣明してもらわなければ困ります。新聞にもああいうようなことが出るということなら、いますぐに日本が、財界の一部の水上発言のように、それを核兵器に転用する、プルトニウムから原爆をつくるというような、そういう一足飛びの発想にはならないでしょう。しかしブレーキをかけるべきところにおられる人がそういうことでは困ると思うのです。そういう核爆発の平和利用——運河を掘るとか、そんなことにいますぐできますか、予想にもせよ。そういうことに使ったらいいと言う人がいるのですが、そのときには放射能がどんどん出てくる。その防御対策もしなくて、これでは困ると思うのです。政府の中にこういう混乱があると思うのです。そういうことはないですか。
  86. 二階堂進

    二階堂国務大臣 私は、考え方にはちっとも混迷はないと思っておりますし、私自身もそういう考え方は持っておりません。これはきわめて明確にしておきます。また下田発言が、総理と話をしてやったということも全然聞いておりませんし、またそういうことはあってならないことでございます。これはあくまでも下田次官の個人的な考え方を述べたにすぎない。あるいは外国の評論家が何か言ったことに対して解説を加えた、こういうことではなかったかと思っておりますが、私ども政府の部内においてもそういう考えを持っておると私は考えておりません。
  87. 三木喜夫

    三木(喜)委員 こういう重大な時期ですから、誤解でよかったと私は思います。しかしながら、政府としては、こういう十分な歯どめをやりながら、安全弁を置きながら進んでいただかなかったら、われわれがこの事業団法を審議しておるについても、国の内外から、社会党までこういう考え方の中で審議しておるのかということになりまして、要らざる誤解を受けると思うのです。こういう問題の審議を非常にまじめにやろうと考えれば考えるほど迷惑千万なことですから、こういう発言をやらされたとか、やらされぬとかいうような誤解に巻き込まれぬようにしていただきたいと思います。  まだこの問題については、きょうは吉田君があとにやられるそうでありますから、次の機会に触れていきたいと思います。
  88. 矢野絢也

    矢野委員長 吉田之久君。
  89. 吉田之久

    吉田(之)委員 この間、十五日の質問で、予算の問題や組織の問題について御質問を申し上げましたので、そのあとの質問を続行いたしたいと思います。  他の委員からも申し述べられておりますけれども、私は特に人材の流出、この問題について申し上げたいと思うのです。特に最近資本の自由化が進んでまいりまして、アメリカは世界の技術を寡占しよう、独占しようというふうな動きがいよいよ顕著になってまいったというふうに聞いております。特にEEC諸国におきましてもこのことが非常に問題になっておる。ヨーロッパ諸国で現に経済成長率が六%にとまってしまったのは、アメリカがEEC諸国の技術を次第に寡占しかけたからであるというふうにもわれわれは聞いておるわけなんです。長官は絶えず、技術を制するものは世界を制するということを申しておられますけれども、現にアメリカをはじめ諸外国は、世界の技術を独占しかかってきておる、こういう事態に対処して、日本がいかにして日本技術者を確保し、そのレベルを上げていくために努力をしようとお考えになっているか。いま申し上げましたEEC諸国におけるアメリカのこうした動きについて、政府としては何らかの関知をしておられるのかどうか。対策を講じようとしておられるのかどうか。まず長官にお伺いいたしたいと思います。
  90. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いま吉田さんがおっしゃるとおり、アメリカに相当たくさんの優秀な科学技術者が流れていっておることはおっしゃるとおりでございまして、昨年のごときは、英国からも科学技術者の大学の卒業者が約七%程度アメリカに流出しておる。スイスのごときは一七%も出ていってしまっておる。こういう事態でありまして、EECとかNATOにおきましても、これらのアメリカの技術の、一がいにいいますと格差に対処する体制というもの、共同体をつくって対抗していこう、こういう各国間の共同体制というものをつくりつつある、こういう情勢は私も十分認識をいたしております。わが国におきましても、先生のおっしゃるとおり、優秀な技術者が最近、特に外国に出ていく人の三分の二がアメリカに平均二年か二年半滞在しておる。向こうに永住するような人はそう多くないと承っておりますけれども、いずれにしましても優秀な人が出て行っておる。こういう事態は私も十分認識をいたしております。したがって、その認識の上におきまして、やはりこうした流れに対抗していくわが国技術陣を強化するという対策は、十分立てていかなければいかぬと思っておりまして、総理もお話しになりましたとおりでありますので、今後文部省等あるいは国家が持つ研究機関等を通じて、人材の養成、そして処遇、待遇等の改善、研究施設の整備等にいっそうの努力を期していかなければならぬと考えております。
  91. 吉田之久

    吉田(之)委員 特に技術者の寡占、独占という問題は、ただ単に頭脳を集めるというだけでなしに、集めた頭脳を今度は研究させない、特定の技術に対しては研究を押えるというようなことによってでも、世界の技術をコントロールすることができるというほど深刻なもののようであります。ひるがえって、いまも長官が申されましたけれども、私もこの間東海村に行って、いろいろと現地で聞いてまいったのであります。この点につきましては丹羽参考人にお伺いをいたしたいと思うのです。原研でのお話でございましたが、われわれは——研究者たちは十分な基礎研究がこの原研でできると思ってやってきたけれども、どうもそういう十分な基礎研究ができないという点で非常に失望感を持っておるということを承ってまいりました。現に、現在年給九十三万円の収入を捨てて、大学で年給七十万円しかもらえないのに、原研から大学のほうへ帰っていくというような人たちが続出しておるということを聞いてまいったのであります。特に原子炉計測係の人たちだと思うのですけれども、現在おしなべてその平均年齢は三十歳くらいであります。七人の三十歳前後の大学出身の人たちがおりましたけれども、現在残っておる者はただ一人である。四人は全部大学へ散って行った。カナダへ行った人、あるいは北大へ戻った人、あるいは阪大の助教授や講師になった人、あるいは二人は一たん離れて再び戻ってきてはおるけれども、すでに現在は研究室から離れた立場において働いておる。結局たった一人残った人が、現在リアクターの重要なポイントを守っておるというふうなことを聞いたのであります。私の考えでは、ここには指導者がいないのではないか。三十前後の優秀な若い大学出の研究意欲に燃えた人たちを、十分に指導していくところの適当な指導者がいないのではないか。非常にたくさんのえらい人はおっても、現にこういう研究者たちの心を握って、引っぱっていくところの適当な指導者がいないのではないか。たとえば内藤という先生は、非常に若い人たちがしたっておった先生のようでありますけれども、過日名古屋大学へ行ってしまわれた。これに対する虚脱感というものが非常に大きいんだということを私は現に聞いてまいりました。このままではわれわれのうしろには全然後継者がいないではないか、後継者のいないような原研が、はたして今後のいろいろな研究開発をすることができるのであろうか、こういう孤独感と焦燥感が彼らには一ぱいに満ち満ちてきておる。そこで、いろいろな研究者、学者たちが、それぞれのくにへ帰っておやじと相談をした。どうも今度は事業団ができるそうだ、おれたち原研に対しての政府の信用があるのかないのか知らないけれども、何かまた上に事業団ができるらしい、友だちはどんどんやめていく、一体おれたちはどうしたものだろうかという点で、帰って行った人たちの話によりますと、それぞれその人たちの親たちは、いずれも日本の産業界をになっている重要な経済人であったり、あるいは学者たち、いわば日本のオピニオンリーダーたちが、そのむすこに対して、原研はやめておけよ、さっさと大学へ戻れというふうなことをみんなが言う。これではわれわれはたえられないではないかということを、私は現にこの耳で聞いてまいりました。丹羽理事長はこういう点についてどのような認識をお持ちになっているか、お聞きしたい。
  92. 丹羽周夫

    丹羽参考人 私は、一言で言いますと、原研の、特にたとえばいま原子力委員会が決定になって、そして新法人ができて、それがいろんなことをやろうとしているやり方なり内容なりをあまりよく知っていない、あるいは知らされていない、まあ若い連中といいますか、しかもそれが、かつて原研がそうであったごとく、みずから研究テーマを選び、みずからかって、と言うと悪いですが、いろんな実験研究をして論文を書いてきたという習慣性がまだやや残っておりますので、そういう方面におる、いま言ったような比較的若い層の人々の中にはまだ若干あるということは、私、見聞きしております。しかし私は、ついこの間も言ってまいりましたし、今日までに何べん言いましたか知りませんが、君たちは、というか原研の者は、原則論である、原則論ではあるが、主として目的基礎研究をやるところである、その目的基礎研究というものは何か、アイソトープのりっぱなものをつくるため、あるいは動力炉のりっぱなものを設計したり計算したりするため、あるいは放射線化学をやるためという目的を持った基礎研究をやるのが原則である、したがって、かってなテーマを選び、それが直接人類、民生に関係があろうがなかろうが、真理の探究的ないわゆる純粋研究をやるものは、これも原則的であって例外は幾らもあるけれども、それは主として大学の先生あるいはそれらに近いような研究者のやることが本命である、しかしながら、原研の目的基礎研究といえども、ものによっては大学の先生がやられるいわゆる純粋基礎研究よりももっと高度な深いものもあり得ることを私は知っておる、しかしそうであっても、それはあくまで目的基礎研究である、こういうふうに最近たびたび言っております。したがって、おおよそ——これは私の少し甘い点かもしれませんが、大部分の者は、早く研究テーマを具体的に与えられて、いままで自分がたくわえてきた知識、経験を生かして、いわゆる目的基礎研究に従事したいというて待っておるというのが大体の趨勢であると私は確信いたします。  ところが、これまたたびたび外部から聞かされておりますが、私、吉田先生からこういうような御質問があるらしいというお話を聞きましたので、過去五年間における原研退職者の種類と数を調べてまいりました。過去五カ年間に原研をやめた者は、いろんな種類をまぜまして四十八名あります。その中で外部から特にぜひくれというてしちくどいくらいに本人に直交渉をし、本人の承諾を得て、最後に私のところへ持ってこられたというのが、数としては一番多いのでありますが、いまおっしゃいました——具体的にはおっしゃいませんでしたが、名古屋へ行っちゃったとおっしゃったのは高木君のことだと思います。あれは名古屋の大学からしちくどいくらいに私に要求がありました。と同時に、高木君の性格あるいはアビリティーを考えまして、原研の部長としてこれから目的基礎研究をマネージしていくよりは、彼氏のためにも名古屋の大学へ行ったほうがよかろうというふうに考えて、原研としては惜しいけれども、そうして待遇はどうするつもりだと言ったところが、原研のいまもらっておるよりは少し減るけれども、そうひどく違わせないつもりであるというようなことで、高木君は、実を言うと惜しいけれども出したのであります。それに類似したものが一番多くて、過去五年間に二十一名ございます。それから外国留学による休職のような形のものが四十八名の中に六名おります。これはとかく向こうの研究所の要求もありましたり本人の要求もあって、留学期間を延ばしておる。これは休職扱いをしております。ほんとうのやめた者とは言えないかもしれません。それから結婚あるいは家庭の事情あるいは死亡というために原研を去った者、あるいはいなくなった者が十名あります。そして本人のほんとうの希望——いま申しました結婚なり家業の継承といったようなものは、本人の希望もあるかもしれませんが、これは家庭の事情が主であろうと思います。死亡に至ってはお話になりません。ほんとうに本人の希望があって、原研を去りたいといって去った者は、過去五年間に十一名しかございません。したがって、このうわさは、私に言わせていただきますならば、過大に伝えられておるというふうにしか私は思いません。
  93. 吉田之久

    吉田(之)委員 いろいろ理事長から詳細に御報告をいただいたわけなんですが、おっしゃるとおり原研の人たちに対しての目標と使命というものが十分与えられておらないわけなんです。知らそう、与えようとする努力も私は十分なされておるとは思わないのです。いろいろ努力はなさっておるでしょうけれども、彼らも自分のことでありますから非常に敏感であります。たとえば原子力委員会がいろいろと審議しておられること、あるいは今度の事業団設立されること、その間におけるいろいろな与える精神的な動揺、しかも結局は、われわれ原研には事業団から下請的な、部分的な研究しか与えられないのであろうというふうな悲観的な見方、こういうものがある中に対して、よほど積極的な努力をして、君たちにはこういう使命と責任があるのだ、こういう意欲を燃やしてもらいたいというようなことは、やり過ぎても私は決してやり過ぎることにはならないと思うのです。ところが現状においては、委員会自身がまだ及び腰でふらふらなさっておるのですから、末端の研究者たち心配しないほうがふしぎだと私どもは思います。現にいまもお話の中でおっしゃいましたように、純粋に研究したい者は大学へ戻ったほうがいいだろう。これは学者的な良心として丹羽参考人が率直におっしゃっておるおことばだと思います。やはりいやしくも学問と取っ組もうとする人たちは、純粋に学問を研究するということに対する非常に大きな魅力を持っておるわけであります。ならば、そういう意欲ある人たち大学に戻ろうとするのはむしろ当然だと私は思うのです。ましてこの人たちの多くは工学部出身であります。工学部出身の人たちは何か大きいものをつくりたいという本能的な一つ性格を持っておるというふうに私は考えるのです。ところが大きいものはなかなかつくれそうにはない、部分的な下請しかもらえない。しかも純粋研究する者はどんどん大学へ戻り、あるいは諸外国へ散っていく。先生は、全く自分の意思によって去った者はわずかに十一人だとおっしゃった。これは分類上はそうなるかもしれません。しかし私は、先ほど外部からスカウトされた人たち二十一名、あるいは家庭の事情等でやめていった人十名、外国へ行った人たち六名、やはり自分の意思なしには行くはずはないと思うのです。やはりいろいろと比較検討して、自分の置かれておる立場と能力を考え、この際行こうかということで決心して行くはずでございますから、おっしゃるように全く自分の意思だけでやめた者はこれだけだというふうなお考え方で今後の人材を養成しよう、人材を吸収していこう、結集していこうというふうな考え方であるならば、私は今後の日本科学技術振興、このビッグサイエンスに取り組む姿勢としてはやがて大きなつまずきを来たすのではないかというふうな気がいたしますので、特に金と人、人こそがこの問題の一番大事な宝ものであると思います。そういう点については、いままで政府としても、あるいは原子力委員会としても、あまりにもなすべき努力が足りなかったのではないかというふうな気がいたしますので、この点は、特に長官もひとつ深刻な問題としてお考えいただきたいと思うのであります。
  94. 丹羽周夫

    丹羽参考人 ちょっと関連して発言させていただきたいのですが……。  いま吉田先生がおっしゃいましたが、私の言い方が少しオーバーであった点もあることは認めます。たとえば外国留学による休職、これは原研の発令で留学させた者も含んでおりますが、ごく少数はみずから自分で金を持つからどこどこの研究所へ行かしてもらいたいと言って行っておる者もございます。しかし、これは休職扱いにしております。したがって、ほんとうの退職者ではないというふうに——戻ってこない自前の者もあるかもしれません。それから割愛というのは主として他方面への割愛ですが、全部しつこいくらいに要求されて行ったという者も相当ありますけれども、この数字はちょっとつかんでおりませんが、中には、私はもうやはり自由な研究か何かがしたいからということで、自主的に大学あるいはその他の研究所へ行った者もあることは確かであります。それにはこの五年間二十一名のうちのどれくらいだったという数字はちょっとつかんでおりません。  それからもう一つの点は、私も実は非常に心配いたしまして、昨年の初めから、あるいは一昨年の終わりごろからと言ったほうがいいかもしれませんが、原研の本命というものは先ほど申し上げたとおりのものであるし、君たちの十年間に蓄積した能力なり経験なりは、必ずや好むと好まざるとにかかわらず有効適切に、いやおうなしに働かされるときが来るぞ、ついては、その時期は、いまからほんとうに正直に申し上げますと、私の予想よりは半年以上、へたすると一年間くらいおくれておりますので、私自身閉口しておりますけれども、ともかくも、たとえばつい数日前にここまで決定いたしました。推進本部というところで決議をいただきまして、高速増殖炉の実験炉に関する、とりあえずやらなければならない研究テーマというものは推進本部で議決をしてもらっております。いずれこれは原子力委員会へ提出して御承認を求めなければなりませんが、それらの各研究テーマは一つだけのものもあるし、二つ、三つ兼ねたものもありまするが、グループに分けまして、グループリーダーというものはすでに発令済みであります。一番まずい点は、各グループに属する、いま言ったような三十代、四十前後のほんとうに有能なる研究者、実験者、これの張りつけが具体的に発令されていないのです。もうおそらく四、五日間のうちにはやられるであろうと思いますが、立案はもう済んでおります。それが済めば、なるほどおれはこういうことをやらされるのかということがわかって意気百倍するであろうと思いますが、いま先生がおっしゃいましたように、現在でも若干その傾向がありますが、一体新法人というものは原研とどういう関係になるだろうか、原研はある一定のことだけを下請的にやらされるだけではなかろうか、したがってというようなことで、いま先生がおっしゃいましたようなことは、私はしょっちゅう東海へ行きまして、こういうことばを使っております。君たちの揣摩憶測あるいは疑心暗鬼は無理もない、しかし、もうちょっと待て、こういうことを言っております。したがって、各プロジェクトあるいは各研究グループに所属する人間の具体的な発表をいたしますれば、この疑心暗鬼はほとんど大部分解消しはしないか、こういうふうに思っております。
  95. 吉田之久

    吉田(之)委員 あまりこまかいことは聞きたくないのですけれども、しからばそういう四十八名の流出と申しますか転出といいますか、そういう人たちに対する十分な補充はすでになされたのですか。あるいはこれが完全に補充されただけでは戦力の強化にはならないのですよ。こういう人たちのほんとうの働き手でおってくれて、さらにあとに続く者がなければならないのですが、それはそれとして、四十八名の補充はなされたかどうか。あるいは休職扱いになっておる人たちの補充がなされなければならない。休職だって、アメリカで研究してくれても日本では何ら関係ないことですから、そういう補充がされておるのかどうか。要するに、私の考えとしては、やはりいろいろな学校や団体や諸外国から呼ばれる場合にも、なお原研のほうがはるかに魅力があればこの人たちは出ていかないと思うのです。そこに私は問題があると思います。
  96. 丹羽周夫

    丹羽参考人 おっしゃるような点もないとは申されないと私は思います。しかし、人数だけから申しますと、これは過去五年間の話ですから、五年間に四十八名、一年にしますと十名以下であります。人数的には、新入者としてこれより何倍かの、何倍になるか知らぬが、過去五年間ですから、私が就任しましてからも約三百何十名もらっておりますから、たぶん十数倍の補充はしてきておると思います。しかし、質的に申し上げますと、この四十八名、死んだ者は別としまして非常に惜しい人が多いと思います。したがって、完全に質的に四十八名が一〇〇%フィルアップされておるということは申されないというふうに考えます。
  97. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、有澤先生に御質問申し上げたいと思います。  国産化という意味の定義と申しますか、いろいろな意味で使われているようでもありますので、私は具体的に軽水炉の国産化をはかるというふうな場合、あるいは転換炉の国産化をはかる、いろいろおっしゃいますけれども、一体この国産化ということばはいかようにも解釈ができるわけなのです。例をあげて御質問を申し上げますが、たとえば三十五万キロの動力炉をそのまま導入をいたしまして、そうしてこれと全く同一のものを国内のメーカーがつくる、これはいわば組み立てることになりますね。全く同一のものを国内のメーカーが組み立てる、こういう意味で国産化ということばが使われておるのかどうか。あるいは二番目として三十五万キロを導入して、これを基礎として技術的な習得をいろいろやってみて、そうしてこれを拡大発展したものをみずから設計して組み立てる、これがほんとうの国産化の意味なのか、あるいはライセンス・アグリーメントに基づいて設計図を提供してもらう、そうしてその設計図に基づいて国内メーカーがこれを組み立てる、これを国産化と呼ぶのか。たとえていえば、この三つのうちのいずれをさして国産化とお考えになっておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  98. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 国産化という場合にはいろいろな段階があると私は思います。完全な国産化ということになりますれば、いまの例で申しますならば、三十五万キロの動力炉最初は導入して、それに基づいてその技術を、またその技術以外の研究をプラスして、そうして同じ型の——同じ型というのは、たとえば軽水型なら軽水型というものの製作をやれる段階が国産化としては最も完全な形のものだと思います。しかし、最初のうちはなかなかそうはいかないでしょうから、最初のうちは、この設計図をもらってきて、それをもとにして国内の頭脳と技術でこれを製作するのもむろん国産化というふうには言われると思います。
  99. 吉田之久

    吉田(之)委員 少し幅広いお考えのようだと思いますし、私はその考えでいいとは思います。しかし、やはり第二番目の国産化という考え方と三番目の国産化という考え方とは、その難易の度合いにおいてずいぶん違うのだろうとわれわれは思うのです。そういう非常に幅広いものをさして国産化を定義して、わが国で国産化をやるんだといったって、これはどうもピントが合ってこないと思うのです。したがって、今後の、たとえばここ数年間の国産化はこのワクでやるんだ、将来の国産化ということばはこれに限定した純粋な意味の国産化なんだ、こういうことの羅針盤をはっきりしないと、組織の組み方も予算のつけ方も定まらないというふうな気がするのでございますけれども、その辺までいろいろとお考えになったことがあるのかどうか伺いたい。
  100. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いま御指摘がありました最初の段階、おそらく原子炉で申しますと二号炉とか三号炉程度というのは向こうの設計図に基づいてそれを国内の頭脳と技術で製作するという段階であろうと思います。もっともその際にも、日本の場合におきましては地震その他がありまして、やはり日本的な改良もそれに若干加えなければ、いわゆるアメリカのものそのものを持ってきてすぐどうというわけにはいかないのではないかと思います。しかし、それは国産化の初期の段階で度合いによって国産化しまして、そして外国にも輸出ができるというふうな段階に進んでまいりまするのには、やはり自分でその同じタイプの炉については自分の研究もあり、経験もあり、そして自分自身で設計はむろんのことですが、設計を立てて製作をするという段階に到達することだと思います。
  101. 吉田之久

    吉田(之)委員 では、そのやさしいほうの国産化ですが、この国産化する炉などについてのいろいろな計画はすでにお持ちのはずだとわれわれは思うのです。そういう計画まで、たとえばいつどこがやさしいほうの国産化の意味での開発をするんだというふうなことをお考えになっているのかどうか、あるいは、そのときにも相当なリスクが伴うと思います。これに対する負担はだれがするのか、お考えになっているのかどうか伺いたい。
  102. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いま海外で開発されましたいわゆる在来炉型の導入、またその導入に基づいての国産化、つまりやさしいほうの国産化でございますが、これはわれわれといたしましては、それに使う燃料でありますとか、それの安全性の問題とか、そういう問題についての、国産化についての助成という問題を考えておるわけでございます。何といいましても海外に開発された炉でございますから、それを使う人が、つまりユーザーがはっきりないとつくるというわけにはまいりません。ですから、ユーザーがあって、そしてそのユーザーがメーカーに発注してそのメーカーが国産化を進めていく、こういう段階になろうかと思います。さらにそれを改良してより発達した、より進んだ国産化の場合になりますと、これは私は国内のメーカーとユーザーとが一体になってこういう炉を——在来型の炉でございますけれども、それの改良型のこういうものをつくりたいというプロジェクトを持ってまいりますならば、それにつきましては政府のほうでも十分助成をしたい、こういうふうに考えております。実はこれは、私、メーカーにもユーザーにも何回か呼びかけておるのです。そういう一つのメーカーとユーザーとのプロジェクトをひとつ持ってこい、こういうことを申しておりますが、しかし、おそらくはその段階になりまするにはこの初期の国産化の時代を過ぎないとなかなかそこまではいけないんじゃないか、こういうふうに考えます。
  103. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま在来炉のお話が出ましたが、在来炉、実証炉、大体同じ意味でございますね。私はこの機会に、有澤委員らが絶えず在来炉とか実証炉とかお述べになりますけれども、しからば一体実証炉というのはどういう意味なのか、読んで字のとおり、すでに実証済みの炉だといえばそれまでですよ。しかし、私はこの実証ということばが、非常に疑問を持たざるを得ないわけなんです。なぜかといいますと、アメリカにおいてドレスデンとかヤンキーなどがいわゆる実証炉といわれるものの炉をすでに運転いたしておりますけれども、この運転実績は総出力の五〇%を下回っておるというふうにわれわれは聞いております。この実証炉と呼ばれるものにもいろいろとまだ問題点があるのだということを私は証左していると思うのです。これは商業発電所としては今後非常に大きな問題になってくると思います。  次に、最近アメリカの原子力委員会は、軽水炉の拡大についてもきわめて慎重になってきたということをわれわれは聞いております。たとえばTVAの開発について建設許可は出したけれども、運転許可は別だと言っておるというふうなことであります。今後非常にきびしい監視をしていくというふうにわれわれは聞いております。したがって、AECは軽水炉の拡大設置に伴って安全上最近きわめて慎重になってきているのではないか。メーカーのほうであるGEのほうも、こういうアメリカ原子力委員会安全度に対する非常にきびしい監視的な慎重な態度に対して実は困っておるというふうなことも聞いておるわけです。  ひるがえって、わが国原子力委員会はこういう実証炉の安全性とかいう問題については、それと比較してすこぶる大胆過ぎるのではないか。まだ日本で十分国産化もされていないのに、外国ですでに実証されたんだからもう全然だいじょうぶなんだというふうなことで取りかかろうとしておられるところに、将来誤算が起きないかということを伺っておきたい。
  104. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 ただいま御指摘のAECが、いわゆる実証炉についての安全性のサイドから非常にきびしくなってきておるというお話でございます。私の知っておるところでは、この安全性審査につきましてのやり方は、アメリカのほうはだんだん、逐次審査を進めていって、最後になってもう運転よろしいというところまで審査を段階的に進めていくような方法をとっております。おそらくTVAの場合においても、だんだんラージスケールの炉になります。それだけに非常に小さい炉の場合よりもずっと慎重な安全性審査が段階的に進められておる、こういうことではなかろうかと思います。  日本の場合においても、安全審査は全部のデータを出して、それについて全体的に検討をやる。一つ一つ段階的にやるわけじゃなくて、全体としてやるわけです。その安全審査のやり方は、きょうは山田委員がお見えになっておりますから、山田さんからお話をしていただいたほうがいいかと思いますが、そういうわけでございますので、別に実証炉だからそのまま安全であるというふうにわれわれは考えておるわけではありません。実証炉といえども、やはりちゃんと日本の安全審査会にかけまして、安全であるかどうかを十分検討した上で設置の許可を出すわけでございます。ですから実証炉というのは、いまも現に開発が進んで営業運転をあっちこっちでやっておるという炉であるということでございますが、そうだからといって、すぐにそれが採算が合っているか合っていないか、そういうことはまた別問題ではないかと思います。
  105. 山田太三郎

    ○山田説明員 ただいまの初めにありました、実証炉といっておるけれども、まだ実際の発電能力は半分ぐらいのが多いんではないかというお話がございましたが、そういうふうに私ども聞いておりません。むしろ初めの計画が十万キロであったものが、同じ原子炉で十二万キロにできる、あるいは十四万キロにできるという、いわゆるストレッチという形のものが出されておるというのが、むしろ実情であろうというふうに考えております。  それから第二の、アメリカの原子力委員会が、最近非常に安全性について深刻な考えを持ってきたということにつきましては、これはアメリカが、従来非常に都会から離れたところに原子炉を置く、あるいはいわゆる格納容器によってこの安全性を保とうという考え方をしておりましたのですが、だんだん電力事業者その他の要望が、人口の多いところに原子炉を置きたいという、当然の要望が出てまいりましたので、それに対しては、従来彼らの考えておりました格納容器だけでは不十分であって、燃料が溶けないような装置を同時に開発しなければいかぬという考え方に最近転換してきたのであります。日本におきましては、これは安全指導のやり方を御説明しないといけないのですが、非常に大胆な仮定をいたしまして、原子炉の事故が起きると燃料が全部溶けてしまう、こういう前提からスタートしておりまして、どうせ溶けてしまうものならば、燃料を溶かさないように努力する必要がないという考え方がむしろございます。しかしそれではだんだん都会に近づくようなことを考える場合には困ってまいりまして、それで設計上原子炉の燃料を事故が起こっても溶かさないという装置について力を入れてきたという点があらわれております。これもつい最近、アメリカの原子炉等の安全の関係者が参りましたが、それとも話し合った結果、日本が三年くらい前に考えておったことを、いまごろ考えておるのかというふうに笑った。三年ぐらい前に、私が燃料を溶かさぬということが大事である、溶けてからそれをおおうということよりも、そういう方向にアメリカがなってきたということでございます。
  106. 吉田之久

    吉田(之)委員 いろいろいま有澤委員とそれから山田さんとの説明の中に、われわれもなかなか専門的でむずかしいと思うのですが、若干の見解の違いもあるのではないかと思うのです。これはいろいろとざらに研究をしていただきたいと思うのですが、私は有澤委員がおっしゃったように、実証炉ではあっても、まだまだいわゆる商業ベースとしては、それは完全に採算のとれるものだと実証されているわけではないし、さらにまた、小さい炉であるからだいじょうぶであっても、大きなものであるならば、非常にやはり安全性の問題で再検討を要する点が出てくるであろうし、あるいはいまお話しのとおり、僻地で、あるいは離れた海岸でつくっている間はいいとしても、どんどん都市周辺に動力炉をつくらなければならないというふうな事態になってくれば、また新たなる問題が出てくるであろうと思うのです。このように実証炉、実証炉と申しましても、決してすでに完全にあぶなげなく、いつ何どきでも使えて一〇〇%その効果を発揮し得るものであるとはわれわれは考えにくいと思います。さらば、軽水炉はすでに実証済みである、実証済みなんだから全部民間でやりなさい。われわれは新型転換炉と高速増殖炉のほうのウサギを追うのだというふうに、政府のお考え方がきまってきているようにわれわれは聞いておりますけれども、少し問題がありはしないかというふうに思いますが、有澤先生はどうお考えですか。
  107. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 政府としましては、いろいろやることが多いものですから、政府として力を入れるべきものは、まだ日本のエネルギー事情からいって、日本として必要だ、ほしいと考える炉の開発に大きな力を入れるべきものだと思う、こういうふうな考え方をしております。実証炉というのは、まだ実証といいますか、いまの採算の結果とか安全性についても、それはもうすでに開発されて、長い間それぞれの形で利用されておりますから、長い経験も積んでおります。その原理というかメカニズムも十分証明がある程度ついておるわけです。ですから、そういうものは日本のメーカーも設計図なら設計図あるいはノーハウというものさえ手に入れれば、日本のメーカーの技術をもってしても私は製作ができると思います。この場合の安全性についても、一応アメリカならアメリカにおいてすでに検討済みのものでありますけれども日本においてそれを設置する場合には、さらに日本の安全審査会でこれを十分検討して安全性を確かめる、こういうやり方をすることになっております。でありますから、実証炉を、つまり在来型、すでにアメリカならアメリカで開発したものを日本自身でまた政府が研究開発の費用を投じてこれを開発するということは、先ほど申しましたように燃料の問題であるとか、日本として特に必要な安全性の耐震設計であるとか、設備というような点においては、むろん日本においてある程度研究開発をしなければなりませんから、また、そういう点において政府が助成するということは考えますけれども、しかし製作そのものはもうユーザーとメーカーとの間でお話し合いがあって製作をしていただく、こういう方針委員会としてはとっておるわけでございます。
  108. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま申されました軽水炉の国産化についての政府の助成の問題ですが、確かに炉はできると思うのです。しかし問題はそれが商業ベースに合うかどうか、ここに一番の問題があると思います。やがては合うだろうと思いますけれども、やはり初期においてはいろいろな思わざる問題が出てくるだろうと思うのです。実はこの点で長官にお伺いいたしたいのでございますけれども長官は六月一日の佐々木良作氏の質問に対しましては、こういう民間に対する協力については何とかしょうというふうな表現を使っておられます。それから同じく六月九日の参議院本会議において、向井長年氏の質問に対して菅野通産大臣は、税とか、関税とか、開銀の融資等でいろいろと協力いたしましょうという答弁をなさっているのでございますけれども、そのあとで長官がお立ちになって、通産相のお答えのとおりでありますと、こう御答弁なさっておりますのですが、これは科学技術庁の長官協力のしかたとしては、これは通産大臣の考えることとは別な方法での協力がなければならないと思いますので、こういう点について、その後長官民間の軽水炉の開発について、国産化についてどのように協力していこうというふうなお考え方をきめられているか、御質問申し上げたいと思います。
  109. 二階堂進

    二階堂国務大臣 これはやはり私は民間、ユーザー、メーカーが主になってこれを開発していくべきものだと思っておりますが、もちろん経済性に合うかどうかということが一番大きな問題でありまして、御指摘のとおりでございますが、私はそういう面では通産大臣がお答えになりましたとおり、資金あるいは税制の面等で政府も御援助をししていくことがたてまえであろうかと思っております。しかし、なおこの基礎的な研究あるいは欠陥等を是正する意味においての国としての研究助成は、別な方法で考えていくべきものではなかろうかというふうに考えております。
  110. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、新型転換炉の日本的なものということに関する質問をいたしたいと思います。  これは有澤先生にお伺いをいたしたいのですが、われわれは新型転換炉の開発について日本的なものとは、これは専門家に聞いた説でございますけれども、CANDUとSGHWの中間的なところにあるものが日本的なものだというふうに想定できるというふうに聞いております。この中間にあるものというのはおそらく私は転換比の問題であろうと思うのです。私は今度のこの法案にも転換炉の定義に転換比を政令で定めるというふうなことも書かれておりますので、いずれにしてもこの転換比という問題が今後新型転換炉については非常に重要な問題なのではなかろうか。それがいろいろ燃料資源等とも比べ合わせて、きわめて日本的なものと結びつく重要なポイントであるのではないかというふうにわれわれは憶測をしているわけなんです。しかしながら、この転換比というものは、そう簡単に計算できるものではないというふうなことも一方側から聞いております。この間開かれたIAEAの燃焼度に関する国際シンポジウムで、この問題はまだきわめてむずかしいことが明らかになったというふうにわれわれは承っております。技術的な観点から、この日本的なものということを納得いくように一度御説明をいただきたいと思います。
  111. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 この問題は、山田委員からお答えを——私よりは山田委員が適当でございますから。
  112. 山田太三郎

    ○山田説明員 CANDU−BLWと、それからSGHWと、それからわれわれの考えております新型転換炉は、みな重水減速の軽水沸騰型、こういう一つの型に入れられますから非常に似てはおります。しかし、カナダはカナダなりにオプティマイズしておりますし、イギリスはイギリスの条件においてオプティマイズしております。それを簡単に申し上げますと、カナダは天然ウランでいくということを本旨としておりますから、これは日本もぜひそうしたいのですけれども、その非常にいい点はございますが、逆にこれは御承知のとおり天然ウランでやりますと、重水を使いましても原子炉は非常に大きなものにならざるを得ないのであります。あるいは重水をたくさん使わなければならないということから、資本費が高くなってまいります。建設費が高くなってまいります。しかし、カナダの条件はわりあいに金利等が安いものですから、建設費の高い面はそれほど影響してまいりません。  それからもう一つは、少し中に入って非常にむずかしいことで申しわけないのでございますが、天然ウランにするための努力の結果は、原子炉の中にあるひずみを与えております。これは正のボイド係数という名前で呼ばれておりますが、沸騰型でございますからあわができますので、あわができると原子炉のエネルギーを出す力がどんどんふえる、こういう傾向がございます。これは三つの面に影響を与えまして、一つは原子炉の動特性と申しますか、原子炉の出しております出力が変わりますと、それに対応する場合に非常にぐあいが悪いことが起こります。それから第二に、もし事故が起こって水がなくなってしまいますと、これは全部あわになったわけですからして、その場合には非常に原子炉の出すエネルギーがよけいになってくる。第三は、原子炉の普通の運転におきまして、原子炉の中の燃料の熱の出方が非常な変なところにひずみが出てまいります。そういう三点のぐあいの悪い点があるわけでございますが、それにもかかわらず天然ウランでいくというためには、カナダはその運転上非常な努力をしなければならないという点がございます。  ところが、日本一つの条件といたしまして、金利が高い。それから現在ではございませんが、将来プルトニウムを自分で持ち得るであろうということがございます。この再処理ということは現在カナダは考えておりません。したがって、その二つの点をわれわれは入れることができますと同時に、一般論といたしまして、重水ウランにおきましても、やはり若干濃縮したほうがいいということは、これは定説でございます。したがって、濃縮したほうが経済的になるということは定説でございますから、その意味で、微濃縮ウランあるいはプルトニウム濃縮を使いまして資本費を下げるということと、それからいまの正のボイド係数を小さくする。非常に不利な点をなくすというこの二つの点を入れることになるわけでございます。  なおSGHWは、これは濃縮ウランでございまして、イギリスは自分自身濃縮ウランをつくる能力がございますので、この濃縮ウランをパラメーターにして燃焼度を変えたり設計を変えたりしておりますが、しかし、プルトニウムは、その場合に現在の中に考えておりません。したがって、SGHWでプルトニウムを燃しますと非常に燃焼度が悪いのです。ですから、日本の場合には微濃縮ウランとそれからプルトニウムを両方使って一番いいところを選び出そうという点にございまして、なるほどCANDU−BLWとSGHWのまん中ではございますが、そのまん中にある点が日本に相当適した点を持っておるということを申し上げたいと思います。
  113. 吉田之久

    吉田(之)委員 結局おっしゃるとおり、CANDUとSGHWの——何か専門的にはよくわかりませんが、大体そのまん中くらいのところでひとつ日本的なものを開発していこう、そうしてプルトニウムを大いに使いながら、濃縮ウランを持たない日本としての燃料の自立サイクルをひとつ確保していこう、大体そのようなことでございますね。  ところで、結局はそういう非常にまだ不確定要素の多い転換比の問題等非常にむずかしい問題をとらえながら一つの炉型に限定して新型転換炉を日本開発していこう、独自でやっていこうという結果、結局できたものがCANDUとほとんど同じようなものであったとか、あるいはSGHWと大同小異のものであったとかいうふうなことになりはしないか。もしかそういうことであるとするならば、これは非常に遠回りしたことになるのではないか。むしろわれわれは新型転換炉を純粋に国産でやっていきたいという意欲は大いにわかりますけれども、やはり効率を考えて、導入しながら逐次改良を加えていく方法もあるのではないか。あえてどうしても新型転換炉だけは純粋に日本独自で開発しなければ日本的なものができないのだとおっしゃるあたりをもう少し御説明いただきたい。
  114. 山田太三郎

    ○山田説明員 いつの間にかCANDU−BLWに化けていたりあるいはSGHWになっているということはあり得ません。これは重水と燃料の比、あるいは重水とそれから軽水の比といったものをデザインの根底といたしておりまして、そういうことを少しずつ変えていくことによって、いま言ったようなものが出てまいりますし、いま言ったようなものが日本的であろうというふうに考えておりますから、そういう方向に行くことはあり得ないと思っております。以上です。
  115. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、民間との協力の問題について少し承っておきたいと思うのです。これは通産省の方がおられれば特に承りたいと思うのですが、おられなければ、長官にちょっとお伺いいたしますけれども、かりにいま問題になっております新型転換炉、あくまでも政府が今度の事業団開発研究をしていこう、こういう御意思のようでございますけれども、かりに民間のほうからたとえば百億なら百億の研究開発費を国から投入してくれないか、ならばわれわれが責任を持ってひとつ民間でもやってみようというふうなことを申し出たとするならば、これは仮定の論議でございますけれども、一体国としては、それでもこれは国でしかやらないのだ、民間ではやらさないというふうな非常に閉ざされたお考え方であるのかどうか。いまかりに民間がもちろん導入するかもしれません。しかし、たとえば非常に有効な風力発電所ができた。それは日本では風力というのは幾らでもある。これを導入すれば日本のエネルギー安定のためには非常に役立つものなんだというふうな場合に、これは科学技術の面からいえば、そんなものは導入したっておよそ意味がないと思うのですけれども、エネルギー政策の面から見れば、これは無視できない問題だと思うのです。たとえばの話で失礼でございますけれども日本の総合エネルギーの面から考えて、いま急に導入すればすぐに間に合う新型転換炉の可能性が出てきた場合に、そしてそれを民間があえて受けて立とうというふうな条件が出てきた場合には、国として、政府としてはどうなさるか。非常に変な質問でございますけれども一つ政府の決心を聞くバロメーターとして伺っておきたいと思います。
  116. 二階堂進

    二階堂国務大臣 仮定のお話でありまして、私はそういう仮定のお話にはならぬと思って、したがって、日本の国状に適したそういう新型転換炉の開発を今後も積極的に進めたいということでございます。ですから、そういう仮定のような話にならないという前提に立って国も考えておるわけでございますから、なかなか答弁がしにくいですけれども、まあその辺でひとつごかんべん願いたいと思います。
  117. 吉田之久

    吉田(之)委員 最後に、新型炉にしてもあるいは高速増殖炉にしても、これはやはり非常に大問題だと思うのです。二兎を追う者は一兎をも得ずということばがありますけれども、この二つのウサギというのは非常に大きなウサギであると私は思います。この二つをいつまでも追い続けるのか、一定の段階で新型転換炉に一つのめどがつけば、それはあとはひとつ民間にまかせて政府は高速増殖炉一本に切りかえていくのか、この辺の見通しについてどなたかから、お考え方があれば承りたい。
  118. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 新型転換炉につきましては、この事業団で原型炉を建設いたします。そのときにこの原型炉に基づきましていわゆる実証炉をつくるならば、そのときの在来型といいましょうか、コンベンショナルなものに比べまして経済的にも太刀打ちができるだろうというようなめどがつくわけでございます。それがこの事業団プロジェクトの成功という場合であろうと思います。われわれはその成功をあくまでも確保しようと思っておりますが、そういうことになりますれば、あとは新型転換炉をユーザーのほうにおいても使われる、こういうふうに考えます。ですからその段階に至れば新型転換炉についてさらに研究開発を加えなければならぬというようなことにはならないじゃないかと思います。いわんや、その時分になってまいりますと、おそらく高速実験炉の実用化の時期も非常に近づいてきておるということが言えると思います。ですから、そのときに高速実験炉のほうの将来がまだめどが立たないというようなことになりますれば、また新しく考えなければならぬ問題が出てくるかもしれませんが、いま世界的な傾向から判断をいたしますと、大体十五年ないし二十年ごろになりますと高速増殖炉の実用化という時期にだんだん入ってくるだろう、こういうふうに考えております。あとは高速増殖炉を一ぺんに何十もつくるというわけにはなかなかまいりませんので、一方、在来の軽水炉と、それからわれわれが開発した新型転換炉、そういう形の発電所もあれば、まだ高速増殖炉に基づく発電所もつくられていく、そういう形になって大体二十一世紀を迎えることになるのじゃないか、そういうふうに考えております。
  119. 吉田之久

    吉田(之)委員 以上、私はいろいろと現在の問題点、あるいは今後の検討に必要な用語の概念、あるいはあくまでもナショナルプロジェクトと取り組んでいこうとする政府あるいは原子力委員会の決意のほどをお伺いしたわけなんです。先ほどの総理の答弁を聞いておりますと、ずいぶん皆さん方と総理との間にこの問題に対するこまやかな点では認識のズレがあるように思います。大筋はどうせ一生懸命やるんだ、それはだれだって考えているのでしょうけれども、非常にこまやかな点でまだまだ意思の疎通を欠いておられる。もっと総理を皆さん方が教育してもらわなければいかぬと思うのです。もっと問題点を率直に総理に伝えておいていただかなければ、幾らここで論議したって結局は蜃気楼に終わってしまうのじゃないかというふうな点を非常に懸念いたしますので、その点も特に長官をはじめ皆さん方にお願いいたしておきまして、一応私の質問を終わらしていただきます。
  120. 矢野絢也

    矢野委員長 両参考人には長時間にわたり、まことにありがとうございます。  次会は、明二十八日水曜日午後二時より理事会、二時十五分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十四分散会