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石野委員 私は現地におりますから、ことさらにどうこう言うのじゃないのですが、現地にも賛成する方もいるのです。それはいろいろな事由で、必ずしも望んではいないけれ
ども、賛成する
立場になっています。問題は
安全性の問題について私
たちはことさらに恐怖症的にはなりたくない。ことに再処理工場の問題については、
わが国の
燃料サイクルを確立する上において非常に大事なものでございますから、これはやらなければいかぬと思っております。しかし、
原子力関係、特に
安全性の問題については、過度集中に基づくところのいろいろな危害が起きた場合の事態を私
たちは一面においては
考えなければならぬ。そのときの危害はなるべく少なくすべきだと思います。これから十年後、二十年後に各地に炉がたくさんできたときといまとは違いますから、今日の
時点では、私はこういうような再処理工場の敷地を選定するにあたっては、もう少し全国的に目を広げて調査しなければいけないだろうと思うのです。いま
今井理事長からの話を聞いておると、この問題はサンゴバンに設計を依頼してから今日まで何年かたっております。しかしその間、図上では
予定地は定めているようだけれ
ども、交渉も何もしていない。結局茨城県のあそこだけを候補地にしているわけです。私は今度の
事業団法の中でも特に憂慮というか
心配しておることは、私
たちの
開発計画というものが国家的な
一つの
プロジェクトとして遂行されようとしているときに、
民間の
協力も得なければいけません。したがって、また、
民間の言うことも聞かなければいけない。
民間の便宜もはからなければならぬということはよくわかっておる。だけれ
ども、再処理工場というものを、地域におけるところの意向というものを無視してでも、
財界とかあるいはそれに
関係する人々が積極的にそれを押しつけていくというやり方は非常に非民主的だと思うのです。こういうやり方は絶対に許してはいかぬと思うのです。私は、こういうようなやり方をするのであれば、これは
事業団自身についても
考えなければならぬと思う。率直に言って
燃料公社は
国家管理をするという任務をもってやっておりますから、国の、あるいはまた私
たちの言い分は相当通ると思うのです。しかし
民間会社がこの中に入ってきていろいろな仕事をやるようになったら、とてもじゃない、
政府の力も及ばないだろうし、われわれが言うことでさえもなかなか聞いてくれないだろうと思う。そういうことになったら、地域住民の言うことなんか何も聞いてはくれませんよ。そうして
財界は自分
たちの利益のために、最高の利潤を追求するためにのみいろいろな施設をし、行為をしていくだろうと思います。私は、そういうようなことが、もしこういう形の中でやられるとするならば、これは
事業団そのものについて基本的に
考えなければならぬし、
原子力基本法の本質に基づいて
考えなければならない。私は先ほど
総理大臣にもお尋ねしましたが、今度の
事業団を設定するにあたり、
原子力燃料公社は廃止されます。その
法律がもうなくなるのです。そうすると、率直に言って、第七条に
規定するところの
燃料の
国家管理というやつはどこかへ飛んでしまうのだ。
事業団のどこにも
国家管理の
精神は残りませんよ。そういうきわめて重大な、
基本法の
精神を侵すという内容がこの中にあるのです。だから、私は
総理に対してこういう問題について、
基本法の
平和利用の問題についての
精神をこの中に生かすためのわれわれの意向を入れるような修正などということも
考えてもらわなければならぬじゃないか、われわれはそれを
考えておるということについて、
総理はまあそれは
努力しようということを言われたから、私はそれを了としますけれ
ども、しかし現に、たとえば再処理工場
一つをとりましても、地域の人々の
考え方というものについて、
公社とかあるいはおえら方がどんどん行って地域を納得させるというやり方で、そして押しなべてこういうことで押えつけてしまうということはよろしくないと思う。
今井理事長は先般茨城県に行きまして、この再処理工場について知事に申請をしておる。これはほかに敷地の選定に対する
努力もちっともしないで茨城県にだけ、この反対の強い茨城県で
今井理事長は知事に対する申請をしておるんだが、どういうつもりで
理事長はそういう行為をしたのか、一応
理事長の
意見を聞きたい。