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1967-06-14 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十四日(水曜日)    午後一時四十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 石野 久男君   理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 渡辺美智雄君 理事 三木 喜夫君    理事 内海  清君       池田 清志君    岡本  茂君       桂木 鉄夫君    佐々木義武君       世耕 政隆君    三宅 正一君       佐々木良作君  出席国務大臣         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         原子力委員会委         員       山田太三郎君         通商産業省公益         事業局技術長  藤波 恒雄君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  丹羽 周夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力基本法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)  動力炉・核燃料開発事業団法案内閣提出第七  三号)      ————◇—————
  2. 石野久男

    石野委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  原子力基本法の一部を改正する法律案及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま議題といたしました両法律案審査のため、本日、原子燃料公社理事長今井美材君、日本原子力研究所理事長丹羽周夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石野久男

    石野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 石野久男

    石野委員長代理 両参考人には御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。  御意見の聴取は、質疑応答の形式で行ないますが、どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。佐々木良作君。
  5. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 六月一日の本委員会におきまして、私は原子力政策進め方根本にさかのぼって、第一に原子力政策に取り組む姿勢について私の所信を明らかにしながら、政府のお考えをただしたわけでありまして、特に技術政策が欠けておることを指摘いたしたわけであります。そして、その具体的な問題の一つといたしまして、政府方針としては在来炉国産化という、言うならば、き然とした方針を掲げておられる。しかしながら、その在来炉国産化という国の方針を実現しようとする裏づけになる、言うならばポリシーが欠けておる。このポリシーが欠けておったのでは、やろうと思ったってできないのじゃないか、こういうことを申し上げたわけであります。  これは私は昨年の二月から同様な話をしているわけでありまして、正直いいまして、有澤先生にしろ丹羽先生にしろ、局長その他の関係の各位は、私の言うところはまあ大体おわかりだろうと思うのです。ただ、おまえの言うことはわかるけれども、そうやろうと思ってもなかなかそれができぬのだ、こういうふうにおっしゃりたいのだろうと私は思うのです。そうであればあるほど、わかっておってもできないことをそのまま素通りしてやったのでありましては、これは学究の徒か何かにはなれましても、政治の日程にはのり得ないものだと考える。したがって私は、原子力政策を進めようと思うならば、皆さんがおわかりになっておってもそれがどうして実現できないのかということを突き詰めざるを得ないわけでありまして、これは二階堂長官にはたいへん失礼なのでありますけれども二階堂長官ほんとうは腹の底でわかってもらって、あなたがいわゆる政治の力を発揮して、原子力政策を遂行するための佐藤内閣姿勢を整えていただかなければこれはできぬ、私はこう思っているわけでありますから、これはくどいようでありますけれども長官には何べんでも聞いてもらわなければならぬことになるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  これまでのいろいろなお話を承りましても、それから「原子力開発長期利用計画」というこのまとまった書物によりましても、大体国としてやりたい方針というのはわかっておる。しかしそれにもかかわらず、それがどうしてできないかということを、私は繰り返し繰り返し長官に申し上げたいわけです。したがって、ざっくばらんに概略的に見まして、在来炉を、特に軽水炉中心にして、これを民間がにない手になって国産化しなければならぬ、こういう方針がまず第一に掲げられておる。それがこのままではできませんよ、それを実施するためのポリシーをくっつけなければできませんよ。したがって、国の方針はあっても、この方針どおり実現できませんということを指摘しようとしているわけです。  それからまた、二番目には高速増殖炉並びに新型転換炉自主開発をするのだという方針を掲げられて、そのにない手がいま出されておる事業団だと、こうなっておる。しかし、いまのままでは、現在の国が持っておるところの技術能力、それからそれを総合し実現するための言うならば政治的な力、その裏づけが目下のところないから、こう書いてあっても、この法律案を通しても、これはできませんよということを私はほんとうのところは言いたいのです。そして実現させるためにどうして協力しようか、そういうふうに持っていきたいわけであります。同じように燃料問題について似たようなことがあるわけです。したがって、きょうは高速増殖炉新型転換炉の問題については根本の問題でありますから、この次ぐらいにすることにいたしまして、燃料問題からひとつ具体的に意見交換をいたしてみたい、こう思うわけであります。申し上げましたような立場で申し上げますので、ひとつ十分に御批判をいただきながら御見解を承りたいと思います。  これは長官というよりも有澤先生に念を押しておいたほうがいいかと思いますが、燃料問題の基本的な考え方については動力炉開発懇談会ですかで、一昨年でしたか中間報告というのがありまして、それを基本にしてこれまで政策を立てられ、今後もそれを中心に動いていくように見えるのでありますが、この中間報告によりますと、要するに核燃料サイクルを確立する、こういう基本方針に立っておられると思いますが、あの当時のこの方針は、大体いまもそのまま踏襲されておることであり、核燃料サイクルの確立という問題は、その一つ核燃料をどうして安定供給をはかるか、核燃料安定供給方法いかん、それを追求することだ。二つ目には、その燃料の効率的な利用を高めるのにはどういうふうにやったらいいか、大体この二つの内容を持ったものであって、それを遂行しようとされておるのだ、こう考えたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  6. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 そのとおりであります。
  7. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 重ねてお伺いいたしますが、その核燃料安定供給ということばの今日的な意義は、具体的には何になるのだろうか。私が答えを言ってしまって恐縮のようでありますけれども、今日、いまの日本にとっての安定供給意味というのは、一つ天然ウランをどうして確保するかということ、一つはいまそろそろ始まっておる軽水炉中心としての核燃料のための濃縮ウランをどりして確保するか、こういう二つのことではなかろうかと思うのです。この二つ措置を遂行するために、いま具体的な措置としてどのような政策がとられつつありますか。
  8. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 核燃料政策の今日現在の段階において最も必要なことは、いま御指摘のありましたように、一つウラン原料確保する、第二は濃縮ウラン確保する、この二点にあろうと思います。  ウラン原料確保につきましては、これは国内ウラン鉱探査を進めておりまして、これもだんだん成果があがっておると私は思っておりますが、しかし一方、ウラン燃料に対する需要というものは非常な勢いで伸びてまいっておりますので、とても国内の現在探査した結果に比べますと、非常な不足を来たすわけでございます。それで、できれば海外においてウラン資源確保をはかりたい、こういう考えから、先般来カナダとかオーストラリアという方面に調査団を出しまして、先方資源の事情につきまして調査をいたしました。その結果、たとえばカナダで申しますと、カナダにおいてウラン資源確保する可能性がかなり大きいものがある、見込みがある、こういう結論を得ておりますので、その結論に基づきまして、カナダにおきましてウラン資源確保を進めたい。いまその進め方につきまして、いろいろ民間におきましても協議をいたしておるところであります。  他方の濃縮ウランにつきましては、これは何と申しましても、アメリカ合衆国から輸入確保するということが必要でありますので、今般日米原子力協定改定を通じまして、さしあたって必要とする濃縮ウランの量を、この協定改定を通じて確保するようにいたしておるわけでございます。
  9. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これは長官局長か知りませんが、その辺にまず事務的に伺ってみたいと思いますが、今度の事業団法によりますと、この業務のところの二十三条によりますと、前の原子燃料公社関係を規定しておった原燃法で、業務の中に入っておりましたところの核原料物質輸入、買い取り、それから売り渡し、それから燃料の同じような輸入、輸出、買い取り、売り渡し、貸し付け、さらに三つ目には副産物の売り渡しというのがありましたが、これは今度そのまま削除されておりますけれども、こういう仕事は、今度の引き継がれる事業団ではやらないということを意味するのですか。
  10. 村田浩

    村田政府委員 この事業団は、現在原子燃料公社が行なっております業務はそのまま承継するたてまえで考えておりますが、この第二十三条に規定します業務範囲として、従来原子燃料公社法で規定しておりましたただいまのような燃料物質輸入等につきましての業務を特に特記しませんでしたのは、燃料公社をつくりました当時は、核燃料というものがすべて国家管理的な環境のもとでしか購入、輸入等もできないというような情勢でありまして、そういう点から見て、この燃料公社にその業務を行なわせる必要があるだろう、こういうことであったわけでありますが、その後の情勢は、御案内のとおり、天然ウランにつきましても昭和三十六年から民有化されております。それから濃縮ウランにつきましても近く民有化される、こういう状況になっております。したがいまして、これらの輸出入業務というものは、輸出入貿易管理令のもとで規制すればよろしいわけでございまして、この事業団が特に原子燃料公社のほうにおいて定めたような主たる業務としてそういうことを行なう必要はなくなっておる。万一この事業団において、特に核燃料等輸入する、あるいは販売するという業務が必要になりました場合には、付帯業務において行なうという考え方でよろしいのではないか、こういう情勢の変化を織り込みまして、ただいまのような業務範囲を定めたわけでございます。
  11. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、いま特別どうということではなくて、もしそのようなことをやらなければならない場合には、新法による付帯事業の中に入れることができる、こういうことで、どうということはないということですか。いま公社では何かこの種類の仕事をしておるのですか。
  12. 村田浩

    村田政府委員 これまで一部カナダから燃料を買ったとかいうことはございますけれども、現在そういうようなことは行なっておりません。たとえば原子力発電株式会社東海発電所に必要な核燃料につきましては、原子力発電会社が直接イギリスの原子力公社契約を結びまして輸入いたしております。それから、これからつくられます軽水型の原子力発電所につきましても、それぞれの電力会社米国から輸入するという考え方で進んでおりますので、ただいまのところ、この原子燃料公社が発展的に解消しまして設立される事業団においてそのような事業を行なわせるという考えはございません。
  13. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、従来もたいしたことはやっておらなかったし、したがって、これをはずしてもたいしたことはないし、民有化方針がだんだん進んでくるから、何ということなく削った、必要があれば付帯事業で、こういう感じでよろしいか。そうすると、いまの民有化の原則に戻るわけでありますが、公社は何も、たとえばウラン鉱輸入について直接の義務なり、義務というか、国の政策背景にして事を運ぶという手段ではなくなってくるわけですね。公社というのは国の政策背景にしてそれを遂行する手段ではなくなってくる。それを民有化方針にまかされることになる。ということは、簡単にいえば、その問題は民間で適当にやってくれ、こういうふうに解してよろしいか。
  14. 村田浩

    村田政府委員 民有化という方針政府として定めております以上、民間が所有する核燃料の手配につきましては、安全保障措置あるいは安全性確保という点は別としまして、その輸出入等業務民間が主体になって行なう、そのことでいくべきだと考えて、どうであってもいいということではありません。もちろん貿易管理令等規制いたしますし、安全性安全保障措置については原子炉等規制法で厳重な規制を行なうわけでありまして、ほったらかすわけでは毛頭ございませんが、特に輸出入業務等について規定して、この事業団をして政府方針どおりやらしめるのだ、そのような規定を特に設ける必要はない、こう考えているわけであります。なお、この事業団法におきましては、ただいま佐々木先生指摘の点は、今回特に項目としてあげてございませんけれども、しかしながら、この第二十三条の2におきまして海外地域における核原料物質探鉱、採鉱及び選鉱を行なう、そういうことにつきましての業務ということを一応載せてございますが、これは前回の原子燃料公社法にはなかった事項でございます。
  15. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 長官にお伺いいたしたいのですけれども長官いまお聞きのように、民有化方針が進められておるので、言うならば、海外ウラン資源確保するのは民間企業にまかせてやらせよう、民間企業に期待しようという手段らしいと私は思うのです。ところが、この長期計画には、いまの局長お話のような、いいかげんに入ってくるのを規制すればいいというような消極的なことではなくて、先ほど有澤先生からのお話にあったように、ウラン資源確保しなければならぬ、海外ウラン資源を積極的に確保していかなければならぬという方針が掲げてある。これは八〇ページから八一ページをごらんになっていただきたい。「ウラン資源相当程度開発輸入方法によって確保していくことが望ましい。」政府方針としては、こういうふうにしたいということです。そして今度は八〇ページのしまいごろには、世界大勢におくれないように早急にやらねばならぬと書いてあります。つまりいま海外におけるウラン鉱の獲得の問題は微妙な問題を含んでおる。取り合いになれば高くなり過ぎる、といって、ほっておけばあるいは手がつかなくなってしまう、こういう意味で、各国とも触角をそれぞれ伸ばしておるところだと思うのです。それであるにもかかわらず、むしろ日本では、言うならば、政策が一歩後退するような形で民有化方針を強化するということは、言い直してみるならば、国の責任をそれだけ薄くして、民間が適当にやってくれ、こういうふうに受け取られる状態にいまなっておると思うのです。このウラン資源の適当な量を、開発輸入方式でも何でもいいけれども、何とか確保したいということ、世界大勢におくれないようにやらねばならぬということは、私は国の方針だろうと思うのですけれども、この国の方針をだれがどうやって実現することになるか、ひとつお考えをお聞かせいただきたい。
  16. 二階堂進

    二階堂国務大臣 先ほどからの佐々木先生の、技術政策がない、技術者が足らない、燃料をどうするのか、こういう御意見、私はもっともだと思っております。この原子力エネルギー開発長期計画を完遂するためには、燃料が何よりも大事なことは論をまつまでもないことであります。したがって、その長期計画の中にも、燃料確保ということは政府が積極的に民間を指導するなり、あるいは新しくできるだろうと予想されるこの事業団におきましても、やはり国の一つ政策として、できる限り海外ウラン資源探鉱、あるいは民間海外において開発をする、あるいは外国会社提携をして開発をやる、あるいは輸入契約を結ぶような場合にも、私は、政府としては積極的にそういうことがやりやすいように指導していく必要があろうと思っております。御承知のように、世界各国天然ウラン資源探鉱探査につきましては相当触角を動かしてやっておる。私も先般産業界方々懇談をいたしましたが、その際にも、海外ウラン資源探鉱等についても民間にまかせておったのでは、リスクの多い山仕事なんだからなかなかできない、もう少し政府が積極的にやるべきだ、これはアフリカにおいても西イリアンにおいても相当あると見られておる、そういうところにも積極的に手を伸ばすべきだ、こういう御意見も承りました。私はもっともだと思っております。したがって、先ほど局長が申しましたことは、これはたてまえとしては将来——民間関係産業団体方々も最近カナダとか米国とか調査団を派遣されまして、積極的にこの燃料確保については動きを始めておられます。したがって、こういう面につきましては、資金の面なり、いろいろな外交ルートを通じて折衝なりを積極的に応援してあげたいと私は思っております。なお、天然ウラン資源確保につきましては、先ほど申し上げましたような見地からいたしまして、将来とも不安のないようなところまで持っていくような態度で進むべきだと私は思っておりますが、まあ資源民有化が前提となっておりますから、一応民間方々の積極的な開発努力にまつ、そして側面的に政府もそういう民間資源確保については助言なり指導なりあるいは援助なりを行なっていく、こういうたてまえを一応とるべきだと思っております。しかし何と申しましても、先ほどから申し上げますように、燃料がなければどうにもならないことですから、私はそういう点につきましても一そう積極的に力をいたすような努力をいたすべきだと考えております。
  17. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 長官の意図は私どもも十分わかるのだし、私は長官の熱意を疑っておるわけでもないのです。ところが実際は民間にまかせるということになっておって、たいした助成措置もないのです。だから、このままにしておくと、これは早急に世界大勢におくれないようにしようというこの作文とは全然違ったことになるのではないか、早急に世界大勢におくれないようにするためには、民間がやるのであるならば、民間がやりよい状態を国の政策としてつくって前進させるのでないとできないじゃないか、こう私は言っているのです。そこのところが私は足りないと思うのですが、どうですか、長官
  18. 二階堂進

    二階堂国務大臣 私は民間がやるのを、民間で自主的な開発努力にただまって、手をこまねいて見ているというだけではいけないと思っております。また、そうではないのでありまして、いま民間海外におけるウラン資源開発あるいは共同で外国会社提携をして開発するような場合にも相当資金が要ると思っております。そういう資金裏づけをしてあげたり、あるいは外交ルートを通してそういうようなことがやりやすいようにしてあげるとかいうようなことは、私は政府として当然やるべきことだと思っております。決して政府民間にまかしたから民間でかってにおやりなさい、こういう傍観的な態度でないと私は思っております。
  19. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 傍観するかしないかは別として、現に意欲を燃やしてやれるような政策裏づけがないではないかということを心配しておるわけです。  有澤先生にちょっとお伺いいたしたいのですが、昨年三月の私のこの問題の質問に対しまして、有澤先生は、海外ウラン資源確保についてはいろいろな話があるし、そしていま実際に何とかしなければならぬと思って切歯扼腕しておる状態だ。しかしながら、実際にはジョイントベンチャーであるとかなんとかいっても、やるとしてもすぐ山を掘らなければならぬ。掘った鉱石の始末をしなければならぬ。鉱石を貯蔵しておけば金がかかる。その辺の、鉱石処理等も含めて考えると、何ともいまそれを、言うならば具体的に推進する方法がない。燃料公社でこれをやろうとしても、まだそのようなウラン鉱石を使う状態になっておらないのに、その鉱山を持っておるということを、たとえば大蔵省に説明しても通らぬから、大蔵省の了解は得られない。したがって、言うならば、いま転換炉のプロジェクトを考えようとしているが、これが早うきまって、それが何とかなるなら、これをやらなければならぬからウラン鉱を持ちたいのだ、こう言えば何とかなりそうだと思うので、そのような条件ができるのを持っておるのだという御発言がありました。日本新型転換炉のためのウラン鉱ならば、私はそうだろうと思うのです。しかし、いま私どもが早急にというか、端的に心配しておりますのは、新型転換炉ができた後に、日本新型転換炉用ウラン鉱もさることながら、これから当分の間は実証炉としての軽水炉が入ってくることは間違いないので、これがどんどん進められていくと、そのもとは濃縮ウランだ。濃縮ウランだが、これは先ほどお話のように——またあとでも聞きたいと思いますけれども濃縮ウラン確保するためにいろいろなアメリカとの交渉は続けるといたしましても、なおかつアメリカ濃縮ウラン技術を通すにしても、なお別にウラン鉱石を持っておって、これをアメリカに渡してこうせい、こういう意味の、日本で使う新型転換炉用ウラン鉱石だけではなくて、日本で次々にできてくる軽水炉燃料供給安定確保をはかるために、海外ウランを何とか押えなければならぬという必要性も私は相当に生まれてきていると思うのですよ。そうすると、これに対しては、目下のところ手の打ちようがないということになりはせぬかと思いますが、御所見を承りたいと思います。
  20. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いま御指摘になりましたように、昨年二月には私そう申し上げましたが、その後いよいよ民有化方針もきまりまして、アメリカ天然ウラン賃濃縮をするということも可能になってまいりました。その条件等もだんだん明らかになってまいりました。それですから、現在たとえばカナダ天然ウランを買い付けるということになりますと、かなり安く天然ウランを入手することができます。したがって、それを賃濃縮をしましても濃縮ウランとして安いものが得られる、こういうふうな関係がだんだん明瞭になってまいりましたので、昨年公社のほうからも調査者カナダに参りましていろいろ調査をいたしますと、先方鉱山業者とたとえばジョイントベンチャーをやるという可能性が非常に大きくなってまいりました。また、その後民間におきましても調査団が出まして、カナダとそのジョイントベンチャーの問題についていろいろ話が進んでおります。私どもは、これは在来炉型の燃料についての供給確保の問題でございますので、民間のほうで自分で積極的にやるということでありますならば、それは民間でぜひやってもらいたい、私どもも外から応援をするということにしております。が、もし民間のほうが、かなり消極的であるというふうな場合におきましては、今度の法案に出ておりますように、事業団海外の地域において核燃料資源の獲得をやる、こういうたてまえをとっておるわけでございまして、いまのところは、民間先方会社といろいろ折衝を始めておりますので、その成果を見守っておるところであります。また、いまのような開発輸入方式もむろんこの際やるべきでございますが、他方におきましては、十年なり十五年なり長期の引き取り契約をもやるようにひとつ進めたい、こういうふうに考えております。  いずれにしましても、この核燃料資源確保の問題につきましては、やり方その他につきまして、いま御指摘のありましたように、具体的な政策をどうするかというその問題につきましては、私どもも非常に重要な問題だと考えまして、最近核燃料懇談会というものを設けまして、各方面の専門家なり関係者に集まっていただきまして、核燃料確保のための具体方針といいますか、具体的な政策をどうすべきかということを検討することになっております。それで昨日実はその懇談会の発足をいたしました。引き続きこれからなるべくすみやかに結論を出すように取り運びたい、こういうふうに考えております。
  21. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 原子力の政策をこしらえ、推進するのに、たいへん民主的な方法がとられ過ぎておって、原子力委員会というもの自身が、ほんとういうと、日本の民主主義には間に合わぬぐらいな、りっぱ過ぎる入れものであると思うのです。したがって知恵はいろいろ出されるけれども、そこらに力が発生しないから、さっぱり実現を来たさないということだろうと思うのです。この上に、また懇談会に懇談会を積み重ねられても、知恵は出るかもしれないけれども、私ども政治日程は、知恵をさがすのではなくて、少々間違っておっても、タイムリーに実践しなければならぬというところに政治の一番大事なことがあると思うのです。そこのところをはき違えられると、何とも困ってくる。正直申し上げまして、私は端的にこういう感じがするのですよ。公社で、いまでも海外探鉱を行ない、あるいはその山を押えることも、法上できないこともない。それができないのは、先ほどお話のように、何としても大蔵省に説明がつかない、大蔵省に納得させることができないということでしょう。政府部内で大蔵省に納得させることがでない。政府の中というのは、言うならば、一軒の家と似たようなものだと私は思うのですよ。同時に、その経済性ということになれば、ある一つ会社なら会社と見てもいいと思うのですが、そんなあぶないものに国の銭が払えるわけがないじゃないか、そんなむだな金を出せるわけがないじゃないかと言うのが大蔵省だ。それに対して公社のほうから、いやそんなことはない、国のために必要だから出せ、国のためにはより必要なんだと言うのが長官であり、あるいは原子力委員会それ自身でなければならぬと思うのです。そのことが言えなくて、まだとれない状態のときに、似たような金を民間で出せと言えますか。いまでも、軽水炉のための賃加工のためのウラン鉱石を押えるにしましても、言うならば、現在の新型転換炉用ウラン鉱大蔵省に説明しにくいのと同じ意味で、電気会社——まだともかくアメリカを通じて濃縮ウランが何とかなるのですよ。その段階で、電気会社が金を出し、あるいは山師かどこか知らぬけれども鉱山会社が金を出して、そして大蔵省でさえも認められないような、そんなあぶないことをやれるかというものを、もっとそろばんの高い、そろばんの高いと言ったら悪いけれども、国家性、国の政策というものをもっと薄くしか考えてはおらない企業に、そのことをやれということが有澤先生できますか、それに期待をかけることができますか、お伺いをいたしたいと思います。
  22. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 期待をかけることができるかどうかというよりも、事実もうすでに電力会社並びに鉱山会社が協力してカナダの某会社と折衝を始めているのです。これは事実なんです。それがどの程度にいくか、また規模がどの程度のものになるか、そのいかんによりましては、私どもさらにもっと大規模にやるとか、もう少し積極的にこれに取り組むとかいうような問題になってくると思います。いまのところは、採算の点はどういうふうになりますか、まだよく聞いておりませんけれども、とにかく、電力会社にいたしましても、ウラン資源確保ということは、電力の安定的な供給をするためには、やっぱりそれだけの用意をしなければならぬという自覚も持つようになってきて、そして、事実カナダにおいてジョイントベンチャーに乗り出す、こういうことに相なっておるわけです。これは事実ですから、お認め願わなければならぬ点だと思います。
  23. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 自然発生的にいまできつつある。しかし、有澤先生は、昨年の私の質問のときに、ほんとうは昨年から考えて、おととしの段階でそのような必要があった、そのような国際的に見ていいチャンスがあった、私自身切歯扼腕したと言われました。そのチャンスを逸した責任はだれがとればいいのです。そして、今度いまの民間のやつがうまくいくという見通しがありますか。国の政策でしょう。ウラン鉱確保しなければならぬという国の方針を実践しようとしているわけですよ。この前のチャンスを逸したことは、これは国では損でもなかったし、何でもないということでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
  24. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 この前にたしか一つ申し込みがあったわけでございますが、しかしそのときには、まだ細目に入って話し合いをするというふうにはいかなかった。なぜならば、われわれにおきましては状況判断が全然つかない事情にあったわけであります。ですから、そのときには、すぐ話に乗るというわけにまいりませんでしたけれども、かりに話に入ったといたしましても、それが実を結んだかどうかもわかりません。今回の場合におきましては、いま申し上げましたように、とにかく民間のほうでウラン資源確保ということで、大きな前進をしつつある状況であります。ですから、これができない、見込みがないということになりますれば、われわれとしましては、いまも申し上げましたような核燃料懇談会におきまして、そういう問題も十分検討するつもりでおります。また、ここに、海外の地域において核燃料の獲得をはかるということもできるようにこの法案にわざわざ入れてありますのも、その趣旨なんでございます。
  25. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 この前のときは、くどいようですけれども、やらねばならぬし、やりたい、そのやりたいという感じがあったから切歯扼腕されたのだと私は思うのです。国のためにやりたいし、やらねばならぬと考えた、しかしながら、それをやり得る条件がまだ国の中で整っていなかった、私はこういうふうに理解したのですけれども、そうじゃないのですか。
  26. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私は、早くから、海外においてエネルギー資源というものは、日本国内資源がありませんから、海外においての資源を獲得すべきである、こういう考え方を持っておるわけであります。国としてやるべきだ、こういう考え方を持っております。石油につきましては、今度石油公団というものができることになりましょうが、そのほうで海外における石油資源を獲得するという方向に進んでおるわけでございます。ウラン資源の場合においても、考え方としては、私は基本的にはそう思っております。ただ、しかし、民間と一体となってやれるならば、民間と一体となってやったほうがいい、国の政策だから民間はほっぽり出しておいて、国が独自といいましょうか、単独でそういう仕事をやるというふうにのみ考えるのはいかがなものかと考えております。民間がやらないときには、これは国のいわゆるナショナルインタレストの点からいって重要でございますから、国として出なければならない。ところが、いままではなかなか民間のほうもそういう機運がなかったのでありますけれども、昨年の大体秋以降でございましょうか、昨年来民間におきましてもそういう機運が非常に盛り上がってまいりまして、そして現に、先ほどお話し申し上げましたような動き方に相なってきておるわけでございます。ですから、あくまでも私の申し上げたい点は、民間でもしゃらないというならば、これは国のナショナルインタレストを守る上からいって国としてやらなければならない、こういうふうに考えますが、しかし民間が国の方針に沿った動き方をするときには、国と民間とが一体となってこれに当たるほうが、いろいろの点から、たとえば資金の面もそうでございましょう、いわゆるナショナルインタレストの自覚の点においてもそうでありましょう、一緒に、民間と一体となってやるのが望ましいことだ、こういうふうに考えておるわけです。
  27. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 民間が国の方針に沿った状態にやるようにすることが国の政策じゃないのですか。国の政策を国自身の手でやることと、民間をしてやらしめることとあるけれども、両方国の政策であり、国の方針であることに間違いないじゃないですか。国でせぬならぬことであるから国が全部やるということでもなし、それから国の政策民間がやってはならないということでもなし、民間自身が国の政策を担当することは多々あるわけじゃありませんか。したがって、私は、民間でも国でもいいけれども、タイムリーに国が望むようなことをやらせることが必要なんじゃないですか。海外鉱石を押さえることが必要だというのが国の政策であるならば、国でやろうが民間でやろうが、タイムリーにどうして押さえるかという手段、これだけが残るのじゃないですか。そうするならば、去年なら去年、おととしならおととしがその一つのチャンスであった、その場合にやれなかったということは残念であることには私は間違いないと思う。国として一つの損失である。あるいは損失と言いがたいならば逸機であったという反省があって私はしかるべきだと思う。この反省なしに、今度そろそろ民間が始まるそうだからこれがやったのを見てからでいいじゃないかという考え方は、有澤先生にしてはだんだん答弁なれがし過ぎて、むしろ長官よりもよほど答弁がじょうずになられたきらいがあると思う。もう一ぺん、ちょっとほんとうの話を聞かしていただきたいと思うのです。
  28. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私も、いま御指摘のありましたように、二年前でしたか、あのときに早くやることができればたいへんよかったということは、いまもそう思っております。やるにしましても、すぐどの程度やられたかということは問題であるといたしましても、言うより早くやったほうがよかったという気持ちはいまも持っております。民間をしてやらせるというお話がありましたが、この点につきましては、私どもかねがね民間とも原子力平和利用、特に発電の問題については話し合いを常にしておりまして、やはり民間としてもこのウラン資源確保ということが必要であるということを説明もし、いろいろ意見も交換をしてまいりました。その結果、そればかりじゃないとは思いますが、政府のほうにおいても、どうしてもその問題としてウラン資源確保をやらなくちゃいけないという態度も明らかになるとともに、民間のほうもまた、そういう行動に出られるように相なったわけでございまして、言ってみますれば、民間政府との間がちょうど一本となってやるようになってきた、こういうふうに考えております。ですから、そういう状況のもとにおいて、さらにこの問題を具体的な政策としてどういうものを考えるべきか、これをこの懇談会で検討しよう、こういうことになっておりまして、海外におけるウラン資源確保の問題になって一そう具体的に、切実に相なってきておるように私は考えております。
  29. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そのカナダの話が具体的にいまどうなりつつあるか、通産のほうにひとつ伺いましょうか。
  30. 村田浩

    村田政府委員 ただいま有澤先生からお話がございましたけれども、ただいま日本側とカナダ側とで話し合っておりますカナダにおけるウラン資源開発についての話し合いも、もとはと申しますと、原子燃料公社から調査を行ないに行きまして、カナダでいろいろ事情を調べた、その中で出てきた一つの話、これを持ち帰りまして、国内において原子力委員会にも報告し、さらに民間にも報告しまして、そうして民間側での検討を求め、その検討がいま実りつつある、こういうことであります。現在のこのカナダの話も、もとはと言えば、やはり原子燃料公社がそういう先駆的な話し合いをしてきたというところからスタートをしておるわけでありまして、そこに私は国としての一つの役割りが果たされてきておると思います。  そこで、現在の状況でありますが、政府としましては、民間においてこのような海外における探鉱開発ということにつきまして乗り出す意気込みを持っておるということでありました場合には、これを促進されるように援助するといいますか、そういう立場にあるわけでありますが、私どもの承知しておりますところでは、先方探鉱契約につきましての条件がございまして、この計画自身は二段階に分かれております。最初の段階は、現在先方会社が持っておりますカナダのエリオットレーク地域の場所をさらに探査することであり、そこに相当量のウラン鉱が埋蔵されておることは、すでにその周辺の地質構造等から明らかなわけでありまして、一説に十万トン程度というようなことが伝えられておりますが、問題はやはり原子力発電の経済性と関連して、コストの安いウラン鉱を入手できるかどうかでありますので、コストの安いウラン鉱開発するためには、それに必要な探鉱をさらにしなくてはならない。この探鉱をまず第一段階で両方のジョイントベンチャーとしてやる。その第一段階の探鉱の結果、ここを実際に採掘すれぱいいということがわかってまいりました際に、かつまた、ある値段でウランにできます鉱量が把握されました段階において、次の採掘という事業に、これもジョイントベンチャーで進める、こういうような内容になっております。  それで、ただいま民間におきましては、この中心になる原子燃料公社のほうからもエキスパートが参加しまして、まず第一段階の探鉱をどのように契約してやるか、先方条件そのままを受け入れてやるか、あるいはもう少しその条件について日本側としていろいろ注文を付するかということにつきまして、かなり突き詰めた検討をやっておられるわけでありまして、その結論は、大体今月中くらいにはつけよう、こういう予定で進めておられるはずであります。  問題は、第二段階の採掘事業ということに進むについての国内体制でございますが、この点につきましても、探鉱にかかりますからには、相当探鉱費も投入いたさなければなりません。ただいま予定されておりますのは、少なくて約四億円くらい、多い場合には約二十億円くらいが一年半ないし三、四年の間に必要かと見られております。さらにそれが成功いたしました場合には、その後の事業化に五、六千万ドルの資金が必要とされておるようであります。そういった資金問題を先々どういうふうに考えていくかということが次の課題になっておるわけでございまして、そういった点につきまして、ただいま有澤先生等からお話がありましたように、政府としての助成策というものをどのように考えられるか検討されることになると思います。
  31. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ウラン資源安定供給のために、日本の発電計画から見るならば、いつごろまでにどれぐらいな資源確保が必要かというそろばんをはじいておられますか。
  32. 村田浩

    村田政府委員 わが国の原子力発電計画は、この長期計画にございますように、大体昭和五十年度までに六百万キロ、それから六十年度までに三千万ないし四千万キロとなっておりますが、この発電計画を実施するについて必要なウランの量、これにつきましては、原子炉の型、規模あるいは今後の技術発達による燃焼度の向上等々によりまして違ってまいりますけれども、一応の前提を置きまして、今後建設されるこれらの原子炉のほとんどが軽水炉である、こう仮定いたしまして計算いたしますと、昭和五十年度までに必要なウランの量は累計にいたしまして天然ウラン換算一万三千トン程度、それから昭和六十年度におきましては累計して天然ウラン換算約九万トン程度、こういうように試算されております。
  33. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 その計画に合うような状態で、いまの第一のカナダとの話が進んでおる、こう了解してよろしいか。
  34. 村田浩

    村田政府委員 海外におけるウラン鉱確保方法としましては短期の契約、長期の購入契約、それからただいま話に出ましたカナダとの間のごとき開発輸入方式による方法、大きく分けるとこういう三つあるわけでございますが、長期計画にありますように、これらただいま述べました必要なウラン鉱量を確保するには、幾つかの入手方法を組み合わしてやるのが最もよろしい。つまりスポット買いで非常に安く買えるものがあれば、これは買っていく。しかし長期購入契約相当の鉱量がある値段で買えるということがはっきりしておる場合には、それもやるべきだ。しかしながら、それらではまだ不安がございますので、ただいまのような開発輸入方式というものを、時間はかかるが長期的な観点からやるべきだ、こう考えているわけであります。このカナダの場合に限りませんけれども、ただいまのカナダの場合で言いますと、先ほど申しましたように、一応これまで推定されておる鉱量が十万トンということがいわれております。ただ十万トンが平均してどのくらいの価格で入手可能かということは、これから行なわれるでありましょう探鉱の結果にもよって違うわけでございますから、実際のカナダとの契約によって二十年間における九万トンのどのぐらいが確実に入るかということは、ただいまの時点ではまだ確言できませんけれども、オーダーといたしましては、大体適当なところにいっておるのではないかと思っております。
  35. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 数字をこしらえて計画を立てられることは役所では非常にじょうずです。あなたのところで立てられた原子力の、あるいは開発なりその他の計画が大蔵省に認められてそのままいったためしがどれだけありますか。原子力の、たとえば原電の研究計画でも非常に具体的なことを立てられる。しかしながら、それは大蔵省との折衝の中でぐっと一ぺんに折られてしまうじゃないですか。そのような計画をもってあなたは計画とされるような気がする。たとえばいまのウラン鉱確保計画も、発電量とあわせて算術ではじきすればすぐ出ることですよ。その算術のはじいた数字を私は要求しているのではなくて、それを確保するための措置がだいじょうぶかということを私どもは追及していかなければならぬということです。そのための確保措置こそがまさに政策であり、ここで論議すべきことであると私は思うのです。したがって、先ほどあなた一番最初にちょっと触れられましたけれども、たとえば原燃がこれまで何をしておったんだかみたいな、そのことを私は批判しようなんで思っているのじゃないのです。済んでいることを、何をしておったんだなんと言おうと思うのじゃなくて、これからだいじょうぶですか——、これまでやったことが全然だいじょうぶだと言われるなら、こんなことを審議しなくて、ほっておけばだいじょうぶだということになる。ところが、見ておって、だいじょうぶでないんだよ。何から何までだいじょうぶじゃないから、私は気になって、一生懸命になってやろうとしよるわけだ。よろしいかな。これまでのやり方を批判しているのじゃないんですよ。合わせてもって一本にして原子力の力をつけようとしているわけだ。そしてそのような形であなたも答弁もされ、そしてこの国会の力を使うということが、原子力に対する力をつけるということだ、私はこう思っているのです。その意味でいうと、たいへん失礼だけれども先ほどの、作文はたいへんじょうずだ。あの中間報告の中身なんというのは、一年半も二年もかかられてずいぶん吟味された、日本国じゅうの知恵を集められた方針だから、それは間違いない方針だ。どこに出したって、中学校なら一等取れるし、卒業論文なら間違いなしに博士号だ。しかし、あのことがそのままいま日本政治の日程にのっておりますかということを私は心配しているんですよ。そうでしょう。ウラン確保のためにどんな措置が講じられたか。何にも実際には海外ウラン確保のために措置が講じられていませんよ。あなたの書いたこの本には何と書いてある。こうしなければならぬと書いてある。世界大勢におくれないようにすべきである、べきであると書いてある。そして方法は何だといえば、たいがい何とか民間がやってくれようと思います。そしてまた、民間がやりつつあるのを見て、それから吟味してまあまあおそくはないだろうと思います、そんな無責任な話はないと私は思う。少なくとも国の方針をきめられたのならば、わしらの計画はこうだけれども民間はここまでしかまだきておりはせぬ。そろばんばかりぎゃあぎゃあ言っとって、まだものにはなりそうにもない、ここが心配ですぜということがなければならぬとぼくは思うんだ。心配でないものなら、ほっておけばいい。格別私は、この問題に対する基本的な心配は、御承知のように、普通の金鉱だとかあるいは炭鉱さがしに歩いているものじゃないはずです。単なるリスクの問題だけじゃないはずです。民間の問題に対して、民間の企業に期待をかけておると言われるのは、これはそろそろそろばんにも合いそうだという状況で、民間としてもペイするであろう、ペイするための措置だけをくっつけてやればいいだろう、それがたぶんこれからあらわれてくる政策だろう、私はこうだろうと思うんですよ。たとえば金融措置をするとか金利の措置をするとかね。そうしさえすればそろばんに合うようになるのだから、民間がやるであろう、大体何とかなるであろう、いまのお考えはこういうことだと思うのです。しかし、御承知のように、これの一番根本的な問題は、ウラン鉱というものが戦略物資だということですよ。戦略物資だということだ。同時にまた、石油と同じような意味で、いまの経済価値だけを見ても、独占化の危険決してなしとはしないものだ、これが一番最初から皆さんの頭にもあったはずだとぼくは思うのです。国際資本によるところの独占化の危険を配慮しながら、しかも、戦略物資として各国——商売人だけが、民間が相手にしているのじゃなくて、国というものが、資源という立場から相当な考慮を払いつつある。この立場を両方煮詰めてくるならば、ウラン鉱石の国際市場性というものをそう簡単に割り切って見ることに対する危険を私は感じるのです。この危険をあなたは感じませんか。もう一ぺんお答えいただきたい。
  36. 村田浩

    村田政府委員 一つ申し落としましたけれども政府として当面のウラン確保につきましてやっておりますのは、先ほど佐々木先生お話にございました日米協定改定を含めております。これによって米側から当面五百数十万キロワットの軽水炉が三十年にわたって運転するに必要な濃縮ウランの量を協定確保する、そういう措置を講じつつございます。これは年末までを一つのめどとして交渉中でございますが、この約束ができますと、その場合の米国の原子力委員会方針は、これも先ほどお話にございましたように、賃濃縮ということがたてまえといたされておりまして、米国AECの持ちます濃縮ウラン工場で購入国が持ってきました天然ウランを必要な濃度に濃縮するわけでありますが、その場合に購入者がウランの手配がつかないときは、米国のAECが一応その手当てをするという約束になっております。その場合の手当ては、結局ウランの価格ということになるわけであります。ただいま米国では、将来は別としまして、ただいまの時点では、一ポンド当たり八ドルという建て値でAECは購入しておりまして、この鉱石でよければその手当てをやりましょう、こういう約束で進めておるわけであります。したがいまして、ただいま私ども考えます海外におけるウラン鉱の手配というのは、やはりこういった経済性を無視した、これの何倍もするようなウラン確保するということであっては、原子力発電計画に支障を来たすわけでありますので、当面はやはり開発されるウラン鉱が入手されますときに、一ポンド当たり大体八ドル以下ぐらいのものになるようなもの、こういったものを見つけて手配すべきであろうというふうに考えるわけであります。しかしずっと先になりますと、もう少し高いものも開発すべきでございましょうけれども、まずここ十年程度というものは、そういったウランを手当てすべきであろうと考えておるわけであります。  戦略物質であるために、将来どういうふうに押えられるかわからないというただいまの御論旨は、そういう点は確かにあろうと思いますが、現在自由諸国において、ポンド当たり十ドル以下で採掘可能な量というのは約七十万トンとされておりまして、そのうち、わが国がここ二十年の間に大体入手する必要があると思われます量は、先ほどの原子力発電計画に沿って考えてみますと、おおよそ世界の消費量の一割程度、この一割程度を確保すれば、わが国の原子力発電計画は遂行できるという見通しでおります。そういった点である程度経済性のあるウランを全世界の消費量の、これは平和利用についてのでありますが、一割程度確保するためにはどうしてやっていくのがいいかというような立場から問題を詰めていきたい、こう思っておるわけであります。
  37. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 いま私はすぐ経済性を無視してウラン鉱石を押えろなんて言っているのじゃないのです。それから同時に、いま私はそれほどウラン資源に対する心配をしているのじゃないのです。そうではなくて、ウラン資源というものについては、特別な、御承知のような戦略物質であり、そうしてこれは一時は、言うならば非常な買い占めが行なわれそうな風潮が世界の中にぐうっと出てきた。そうして、言うならば山師みたいな者がワワワッと値を上げようとした。そしてしばらくしておると、今度はまたすうっとそれが冷静になった。いま冷静になっておるところだと私は思うのです。したがって、そんなに心配せぬでも、技術的にだんだんと開発も進んでくるし、だからウラン資源としてはそう大きく心配しなくてもいいものだということは、私もそういう気がしておるのです。しかしそのことのために——日本というのは、悪いけれども流行が非常にきびしいのだ。スカートを短くせいといったら、一ぺんに短くなってしまうし、長くせいといったら一ぺんに長くなってしまう。ビッグサイエンスだといったら、一ぺんにビッグサイエンスだというような話で、ぐわーっと流行する。中身もなしに流行するから、しばらくすると、何だったかわけがわからぬようにさめてしまう。そこが私は日本人の、言うならば気にしなければならぬ、政策の立案者、特別長期計画の立案者としては非常に気にしなければならぬことだと思うのです。したがって、数年前のように、ウラン鉱石に対してわあわあといま言うこと自身は、これは私は慎まなければならぬと思う。それがゆえにこそ、私らがちょっと言えば、皆さんのほうから逆に、いまはさめておるのだけれども、ここをこう心配しながらやりよるのですよ、悩みはこことこことにある、何とか手伝ってもらえませんかなみたいな話がどうして出ないのだろう。わしらが協力せぬでもいいなら、こんなところに問題を出しなさんな、こっちも忙しいのだから。  原子力委員長に、特に有澤さんも十分御承知のことだと思いますから、この問題に対して私は国の責任を回避してはならない、民間にまかせるといったことは、やり方を当分民間にまかせたら何とかうまくそろばんに合うようになるかもしれないということであって、国としてのウラン鉱石ウラン資源を、必要量は民間でいかなければ、先ほどお話がありましたように、タイムリーに、民間でぐあいが悪ければ、公社でも何でもやって確保しなければならぬのだぞという国の責任を回避してはならない、この感じをはっきりと持ちながら、ひとついまの方策がいいならいいで進めてもらってもいいですけれども、間違いないようにお進めいただきたい、こう思います。  それから、先ほどお話しの燃料確保の問題の中で、天然ウランの問題とともに濃縮ウランの問題が出てまいりましたので、ちょっと触れておきたいと思います。  同じように今度の新しい事業団法案によりますと、二十三条の四号かに「核燃料物質の生産」ということばが入っておりますね。この「生産」という中にはウラン濃縮ということは解釈上入りますか。
  38. 村田浩

    村田政府委員 これはウラン燃料要素をつくります場合の原料となるウラン精鉱——イエローケーキといっておりますが、これから燃料要素の形まで持っていく工程をすべて含めております。したがいまして、ウラン精鉱から濃縮ウランをつくって、その濃縮ウランによる燃料をつくろう、こういう場合でございますと、濃縮ウランの工程も入ってくるわけであります。
  39. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、将来事業団としてウラン濃縮事業も行ない得る、こういうことですね。
  40. 村田浩

    村田政府委員 ただいまそういうことを考えておるわけではございませんけれども、そういった場合がきまして、どこにやらせるかというようなときに、この事業団にやらせたいという場合には、この項目から読み得ると考えております。
  41. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ウラン濃縮は将来日本でやろう、あるいはやるべきであるというお考えでしょうか。これは有澤先生にお伺いしたほうがよろしいですか。
  42. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 現在のウラン濃縮の方法につきましてはいろいろ方法がありますので、その方法をもう少し研究をいたしまして、かなり経済的にペイするような方法が見つかった場合には開発をするということも考えております。これも実は長期計画の中にもそういうふうに書いてありますが、それに基づきまして、先ほど申し上げました核燃料懇談会でウラン濃縮をどういうふうに研究を進めていくか、その研究を進めた上で、いよいよその結果に基づいて濃縮をするとかしないとかいう方針をきめたい、こういうふうに考えております。われわれから申しますと、そういうウラン濃縮を必要とする時期があるかもしれない、こういうふうには考えております。
  43. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 それは、そろばんが合うような状態になればやるということなのか、濃縮ウラン確保するためには、ウラン濃縮事業を興さなければならないというふうに考えるという意味か、どっちですか。
  44. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 濃縮ウランといたしましても、たとえばプルトニウムを燃料として使うことができるならば、ある程度燃料としては同じような結果を得ることもできるかと思います。それですから、プルトニウムの利用、サーマルユースの問題との関連におきまして、どうしても濃縮をしなければならぬという事態が起こり得るかもしれませんが、それはまだはっきり私どもはつかまえておりませんが、いずれにしましても、そういう濃縮のウランをプルトニウムの利用と関連して考えていきたいと思っております。そのための研究の準備は十分しておきたい、こういう考え方になっております。
  45. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、政策としてはそろばんに合う事業ならやるとかやらぬとかいうことよりは、まあ当分の間は軽水炉用の濃縮ウランというのは、アメリカにたよっておれば大体よかろう、したがって、言うならば、いまの濃縮ウラン確保の方策は当分の間はアメリカとの契約を更改するなりして、どうしてここで確保するかというところに焦点を置いで確保策を立てておられる、こう考えてよろしいわけですね。
  46. 村田浩

    村田政府委員 さようでございます。
  47. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 それでありますならば、その場合に、いまの日米交渉に行なわれておる状態等についても吟味したいのですが、この間中曽根君の質問でだいぶ話が出たようでありますので、これは省略をいたしたいと思います。  ただ一般に考えまして、われわれしろうと流に見ると、当分の間はこれにたよっておってもいいような気もするけれども、それに対して相当の不安をまた国の中でも持っておることも事実だろうと思います。したがって、いま有澤先生からもお話しのように、技術開発の問題を進めておるし、進めなければならぬということだと思うのです。しかし、有澤先生、これは端的に、ほんとうにいまやってますか。多分やるとすれば、原研と原燃くらいのことだろうけれども、どれくらいの規模というか、どれくらいの金目でいまやっておりますか。
  48. 村田浩

    村田政府委員 ウラン濃縮につきましては、現段階は非常に基礎的な研究の段階でございます。従来やってきましたことをかいつまんで申しますと、原子力研究所では新しいウラン濃縮の方法として化学的分離法があるかどうか、そういったこととか、あるいは従来のガス拡散法による隔膜による分離、そういった基礎的な私学的な研究、それから原子燃料公社におきましては、ウラン濃縮の一つ方法である遠心分離法につきまして、現在はまだ遠心分離法に使われるべき遠心分離機自体の性能向上に関連しての一連の研究開発、これをやっております。原研の場合は、非常に基礎的研究でございますので、全般の基礎研究の中に予算としては入っておりますから、特に取り立ててこれが幾らということは申し上げられないのでありますが、原子燃料公社のほうでやってきております遠心分離法の研究につきましては、四十一年度においてはたしか七百万円、四十二年度においては装置をつくるために債務負担行為額として六千数百万円がついております。
  49. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 私、いま聞いてもわからぬけれども、伺った程度ではまあまあやっているということにしておいてくださいなぐらいな話にしか聞こえないのですがね。私はこれはようわからぬけれども、そんなにむずかしい技術開発のことではなくて、プラントとしてやることのむずかしさというか、そろばんというのか、そういうことが中心ではなかろうか。したがって、技術者による技術開発の問題はたいへん重要なことではあるけれども、それよりも国の政策として、相当のそろばんをはずしてやるかやらないかというむしろ国の政策のほうが中心になって考えられるべき筋合いのものではなかろうか、私はこういう気がするわけです。したがって、目下のところはアメリカにたよってやるということでやむを得ぬところだろうと思うのですが、だから、研究も細々とということだろうと思いますけれども、そのような意味で、有澤先生、これまたタイムリーに、そのようなプラントに取り組まなければならぬかどうかという判断を原子力委員会自身が立てられることを私は特に希望しておきたいと思います。  だんだんこまかいことになって恐縮でありますけれども、一通り聞かなければならぬものですから……。  今度は同じ問題で、燃料の加工の問題について伺いたいと思うのです。同じあの条文を見ますと、燃料確保というのが原燃法にはあったにもかかわらず、この「加工」という字が今度は削除してありますね。これは先ほどからのお話しのように民有化方針ということで、今度は事業団でもやらない、こういう意味ですか。   〔石野委員長代理退席、三木(喜)委員長代理   着席〕
  50. 村田浩

    村田政府委員 従来原子燃料公社法の中に業務としまして「加工」ということをわざわざ入れてあったわけでございます。これは先ほど来申し上げておりますように、当時燃料そのものが国有あるいは国家管理的な色彩を強くせぜるを得ないものと考えられておりまして、したがって、そのような燃料を加工いたし、これを実際の燃料要素としてつくっていくというような仕事は、場合によっては燃料公社がほとんど全面的にやらなくてはならないかもしれない、そういう状況も考えられましたので、特に「加工」ということを入れたわけでございますが、今回事業団法をつくるにあたりまして、その点につきましては、民有化という前提、民有化のもとに現在すでに民間企業において加工事業を行なうという計画が出てきております。そういう情勢ともにらみ合わせまして、特にこの事業団業務の中に「加工」ということを特掲する必要はないと考えて落としたわけでございます。しかしながら、先ほど「生産」ということばで申し上げましたように、ここで申します「生産」というのは核燃料物質の原料から最終形態まで持っていく、そこまでの工程をすべて含めて考えておりますので、たとえばいわゆるプルトニウムの燃料という特殊なものを加工していくというようなことがございました場合には、この事業団において第四項の「核燃料物質の生産及び保有を行なうこと。」というところで続みまして行なわしめる予定でございます。
  51. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、民有化方針ということから今度全部やめる、こういう意味よりも従来と変わらないのだ、「生産」ということばの中に含めて考えればいい、こういう意味で従来の公社のやり方なり考え方と大差ない、やろうと思えばいつでもできる、こういうふうに読んでくれ、こういう意味ですね——。わかりました。  そうするならば、その次に、実質的な燃料確保については、この計画にも書いてありますように、これは民間企業でやろう、こういうことのようであります。これも実証炉在来炉国産化という方針と同じような意味で、民間でもってこれを国産化しよう、こういうふうに考えてよろしいか、政策考え方は。
  52. 村田浩

    村田政府委員 在来炉、すなわち軽水炉のようなものでございました場合には、燃料の技術を含めまして包括的に、この場合はアメリカでございますが、アメリカ会社日本会社が技術提携し、その提携技術をもとにして国産化を進めるという方法をとっておるわけでございます。燃料の加工事業につきましても、当面需要のございますのは、研究用原子炉等特殊なものを除きますと、ほとんど軽水型の原子力発電所用の燃料でございますので、そのような燃料の加工ということは、提携技術をベースにして、民間の加工事業を育成して、これに当たらしめたいというのが基本的な考え方でございます。
  53. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 外国の技術を導入してそれを国産化する、そうして、その技術を改良発展させると、こう書いてあります。私がせんだってから言っている問題は、改良発展をさせるような形で技術導入がされつつあるかという点なのです。実際には私は、この間の質疑応答の中では在来炉国産化ということがいまのようなやり方では、必ずしも技術を発展させるような状態で導入されておらないのではないか、という疑問を持っておるわけです。そのような意味で、同じようにこの燃料国産化ということも、この燃料を改良発展させる技術になるような形で技術導入がされつつあるかどうか、はなはだ私は疑問に思っているのですけれども、これは丹羽先生に伺ったほうがよろしいですか、どうですか。
  54. 丹羽周夫

    丹羽参考人 具体的な例をもって申し上げたほうがはっきりするだろうと思います。ただいま原研では、原子力委員会の御決定になりました方針に従いまして、たとえそれがいわゆる実証炉、在来型炉といわれておりますもの、これは軽水炉がおもでありまするが、それが今度は日本でどんどんつくられて据えつけられていく、せめてそれに必要なる燃料だけぐらいは少なくとも完全に国産したいのだ、ライセンスアグリーメントというものにつきましては、おそらく佐々木先生と少し違ったニュアンスを私自身持っておるんじゃないかと思いますが、それはあとで申し上げることにいたしまして、ともかくも、いまのところ大部分は、はっきり申しますとウエスチングハウスなりゼネラルエレクトリックなりの設計図面、その中には材料もありまするし、加工法も書いてあるものだろうと思いまするが、そういうものに従って国内の材料を使い、国内の工作機械といいますか、工作法を用いて燃料をつくる、同じ材料、同じ工作法でありましても、設計は向こうのものかもしれぬが、やはり国内でつくられたものである。これはやはりユーザーの慣例といたしまして、それは試験を経なければ使いたくないということが、単にこれは原子炉の機械ばかりじゃなくて、ほかの火力発電所の機械もみんなそうでありまするが、そういう観念が特に原子力においてはあるわけであろうということで、ただいま原研ではJPDRという、あのパワーデモンストレーションリアクターを使いまして、JPDR2という計画を立てておりまして、第一次の計画はほとんど終末に近づきつつあります。それはフラックスデンシティーがいままでと同じようなものでやってきておる。その中にも、しかしながら、一、二のメーカーにつきましては、彼らのライセンサー、すなわち米国会社でやっておるよりはよりベターであると思われるような材料のコンポーネントをつくって、これもテストしてくれということになっております。なおまた、ハルデン計画というものに原研はジョインしまして、すでにあそこへ燃料を送りまして、いろいろもっと高いフラックスデンシティー、ハイアーバーンアップのもとにテストしてもらうことになっております。というわけで、国産された燃料といえども、やはり国内国内の材料を使い工作法を使って同じ設計のもとにおいても、国内でつくられたという意味においてこれを試験しようということで、ただいま着々進んでおります。この次のステージはもう少しフラックスデンシティーを増して、もっとハイアーデューティーのもとに国産された燃料を試験しようというふうにいたしております。したがいまして中には必ずしも彼らの——彼らと言いますのはライセンサーのハンドレッドコピーのものばかりではないということも申し上げられます。
  55. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 外国から持ってきた図面によって、その図面どおりのものを、日本の材料によって日本人の技術でこしらえあげるということは、私はできると思うのです。それが、ある意味での、まず一番最初に理解される国産化だろうと私は思うのです。しかし、ほんとう国産化というのは、その図面自身を日本の技術でつくれなければならぬはずだと思うのです。その図面自身を日本人の手によってつくれるかどうか、その状態が来つつあるかどうかということを伺いたいと思います。
  56. 丹羽周夫

    丹羽参考人 まだ非常に完全にそうであるということは言えないと思います。ただ、二、三の材料——原子燃料製造会社はみずからこんなことをしたらどうだろう、こういうことをしたらどうだろうという、単に燃料棒のコンポーネントといいますか、組織といいますか、のみならず構造自身もいろいろな改良案を持っております。しかし、私こういう原子力機器の製造会社の諸外国の親会社との特許契約の内容はほとんど存じません。その程度は、この前も申し上げましたとおり、だいぶ会社によって違うようであります。が、たぶんほんとう——ほんとうといいますか、一番いままでにも行なわれてきましたような甲種の、従来から見ますというと、一番完全といいますか、完全ということばは非常に不適当ですが、まとまったライセンスアグリーメントにおきましては、それぞれライセンシーとライセンサーが契約を結んだその後にいろいろみずからの力でも改良、進歩の設計なり研究なりをした、これはお互いにエクスチェンジする義務を義務づけられている例が多いと思います。そんなようなことも考えまして、私個人といたしましては、残念ではありまするけれども、ほとんど商業化されておる、しかもライセンスアグリーメントがすでに結ばれてしまっておるというものにつきましては、私は、国において国の材料を使い、国の工作法を使って国産をするということのために必要なる試験なり実験なりは、これは原研とかなんとかいうものの持っておる設備でやってやらなければなりませんけれども軽水炉といえども、まだまだ進歩改良の余地は多々あると私も思っておりまするが、このために国費を、そこまで金があればけっこうでありますけれども、まあいまの日本の貧乏世帯ではそこまではやらなくてもいいんじゃないかというふうに私は考えております。
  57. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 たいへん重要なことだと思うのです。ほんとうは私自身も政策的には丹羽さんのお考えに近いのです。ところが説明を聞きますと、みんな国産化するのだという説明になっておるものだから、ほんとうにそうか、こういうふうに私は開き直りたくなりつつあるのです。長官、こういうことらしいのです、私はわからぬのだけれどもね。たとえばいまは燃料の話をしておりますけれども、原子炉の場合には、燃料イコール炉、炉イコール燃料考えたら私はいいと思う。どうも炉の一つの部分が燃料みたいなことらしい。その中で、先ほどの話のように、燃料加工の国産化燃料加工の民間企業による事業化ということは、いまアメリカでもできておる、日本に図面を持ってきて実用に供されておるそのものをそのまま製作できる、作成できる、こういうことらしいのです。そのことと、新しく設計をし得るかということとは、どうも別なことらしい。たとえば、炉で言いますと、東電なら東電の一号炉を入れます。東電の一号炉をGEで持ってくる。私は、国産化といえば、一号炉で経験したのだから、二号炉は同じようなものはみな日本でできるのだろう、こう思った。確かにできるとこの間丹羽さんもおっしゃった。ところができるという意味は、一号炉と同じものをつくれと言われたらできる。一号炉の図面によって一号炉と同じものを日本の材料によってつくれと言われれば大体できるだろう、こういうことらしいのです。しかし、いまの日進月歩の状態では、発電所をつくるのに一号炉をまず入れたら、二号炉を入れるときにはすでに能率のいい二号炉の設計に変わっておるのです。したがって、二号炉は一号炉よりももう少し能率のいい二号炉を据えつけたい。したがって、私は、ほんとうの技術を習得するという意味は、一号炉を入れて、日本のメーカーが一生懸命これをつくるようになれば、それを少し改良発展させて、二号炉はもう少し能率のいい二号炉をみずからつくることができるのかと思ったのです。ところがどうもそうではないらしい。技術提携、協力ということになって行なわれておるのは、たとえばGEと東芝との間に結ばれておるその契約というのか、技術交流の内容はたぶんわからぬけれども、一号炉の図面をそのままあげましょう。したがって、ほかの発電所でもこの一号炉と同じようなものをつくるならそれでつくりなさい。それが国産化第一号、第二号、第三号同じものができるのでいいでしょう。それから今度は、もう少し上等な二号炉をつくる場合に、日本でこの二号炉を入れる場合には、この二号炉の図面もまた都合によってはあげてもよろしゅうございますよ。二号炉をつくる図面を日本技術者がつくり上げる能力を植えつけるということではなさそうなんですよ。  重工業局長、ちょっと伺いたい。ややこしい問題を言おうとしておるのではないのです。私は、問題の理解ができないから、いま非常に悩みながら考えておるわけであります。私の記憶によれば、いまの新鋭火力でも発電所を、たとえば新鋭火力の発電所を五つつくるといたします。それをずっと五年前から一つずつつくってきたとします。その場合に、五年前につくったA発電所の一号炉は輸入、それから二年目につくったB発電所の一号炉も輸入、それから三年目につくったC発電所の一号炉も輸入、それからたとえば現在に近い段階でつくられる何番目かの一号炉もまたたぶんGEかその辺の輸入であるのではあるまいか。そうして、おのおの二号炉をつくる場合には一号炉と同じ二号炉をつくっておるのであって、同じ二号炉の場合ならば何ということはないから、初めてそれが国産化できる。したがって、今度は三号炉を同じようなものをつくるという場合には、なるべくならば国のものでつくれ、したがって外国のものは入れるなという理屈にはなる。しかしながら、毎年一つずつ発電所がつくられるおのおのの一号炉が何で全部輸入でなければならないか。それは、たぶん前の発電所の一号炉よりもことしの発電所の一号炉のほうが技術が相当上等になっておる、変わっておる。このものがまだ国でつくれないのだ、こういうことらしい。したがって、たとえばいまの原子炉の場合でも、一号炉をつくる設計図を日本へ持ってきて、そうして一号炉と同じものをつくれというならば、日本の東芝でも何でも少し研究すればできる、こういうことらしいのです。だから、それを国産化と言ってしまうのなら、私はそれでもいいと思う。だから、一号炉を入れて早くそれと同じものをつくれるようにしてしまえ、そして二度と再び似たようなものを入れるな、国でつくれるようにせい、こういう政策は成り立つと思うのです。ところが、一号炉が完成したときにつくり上げる二号炉については、すでに同じGEの二号炉ではもう設計が変わっておって、もっと能率のいいものになりつつある。特に原子炉の場合には比出力というものが何かあるらしい。つまり同じ大きさの炉でも、発電力が大きいのだ。一号炉と二号炉とは同じ炉であって、一号炉が三十万キロであるのに二号炉が三十五万キロだというのだ。同じ大きさであるのに三号炉は四十万キロだというのです。それはさっきの燃料との関係において、燃料の改善、改良が加えられ、同時にその炉のどこかの部分が改善に改良が加えられて二号炉の技術となり、三号炉の技術となってくる。したがって、日本でつくる場合には、最初の一号炉をつくるときの契約で一号炉の図面を上げましょう、だから一号炉と同じものを二つでも三つでもつくることを国産化するというのなら、それもやりなさい。しかし能率のいい二号炉はできませんよ。しかしながら、契約の中で二号炉、つまり三十五万キロが出る設計ができたならば、その図面もまた上げましょうという技術提携になっておるらしい。何かよく聞くと、それが包括的技術提携とか何とかというらしいのだ。要するに、それを非常に私流に割り切って考えるならば、何のことはない、そうすると日本の頭脳が入る余地はないじゃないか。一号炉の図面をもらうときに、日本人は手先が器用だから、ちょっとことばは悪いが、ちょこちょこっと——ちょこちょこっとでもないかもしれないが、組み立てさえすればよろしい。それから今度はもう少し上等の、言うならば二号炉の図面を輸入してくるというか、くれる条件になっておる。二号炉をつくってもらえばそいつをまた手本にして二号炉みたいなのはすぐできるということであって、日本人の技術の習得が一号炉を土台にして二号炉の技術を生むという習得のしかたではないという感じがするんです。そうすると、政策のポイントは、いま丹羽さんがお話しになったようなことになってくるのだ。いまの軽水炉に対して国産化ということを言う、あるいは燃料に対して燃料国産化ということを言う。その国産化という意味は、言うならば、向こうででき上がった図面どおりのものをつくるのだ、創意くふうがあるのじゃなくて、向こうからできた図面どおりのものを一だけもらったら同じようなものは二でも三でもつくるのだ、これを国産化と称する。しかし私の理解は、ほんとうはもう一つ意味国産化で、技術自身を習得するのだと思ったのですよ。技術を習得し、その技術の上に日本人の頭脳を加えて改良発展させて、今度は二号炉を創意くふうしてつくるんだ、こう思った。そうして、こうさせなければならぬと思った。私はわからぬけれども、聞いてみると、大体ドイツの技術のやり方というのはそうらしい。要するに、国際競争に負けないために、これからはAEGがGEに対して戦いを宣しなければならぬ、負けてはならぬ、こういう感じのために、一号炉を入れたら、一号炉の中でぐっとともかく研究開発をしていって、そこにはうんと銭をかけて、普通の契約だけではくれないものを、図面をつくる能力までくれろ、図面をつくるところまで参加さしてくれろ、おれのほうはもっと特別出してもよろしい。設計書をつくる——設計書もでき上がったものを手本にくれるのじゃなくて、設計書をつくるところにわれわれを参加さしてくれろ、技術を教えてくれろ。むずかしいのは炉心部分だか何だか知らぬけれども、そんなことらしい。それを一生懸命に習得をして、それにドイツの創意くふうを加えて、ドイツは、ドイツ流の二号炉なり三号炉なりをつくろうという努力をしている。私は、その意味国産化をせんならぬと思ったんだ。技術を習得をして、その習得した技術は、次の改良発展のための言うならばエキスにならなければならぬものだ、こう思った。しかしながら、どうもそのあと、またあっちこっち聞いてみると、たとえば軽水炉の技術の改良発展の進歩の速度というものは、いま日本人が頭脳を加えて一号炉を入れてイロハから勉強してみても、とてもアメリカがいきおるのに間に合いはせぬ。だから、二号炉のちょっといいのができたらまたその設計図を、三号炉のいいのができたらその設計図も、こうもらってくるのでよろしいということになりそうだ。それであるならば、通産省の政策も、一号炉の次に二号炉に似たような外国のものを買うなということになるのじゃなくて、安全性から見ると、やはり一つずつは入れなければならぬということになるような気が私はする。一番技術に弱い私の理解でありますから、全然とんちんかんに理解をしておるかもしれないと思うのです。ひとつ重工業局長のお考えを承りたいと思います。
  58. 高島節男

    ○高島政府委員 私も技術の専門家でございませんし、特に機械のほうの担当をやっておりますので、後ほど電気のほうから若干補足の説明をしていただきたいと思いますが、感じだけ申し上げますと、現在やっております在来炉国産化の動きでございますが、確かに最初のスタートは、おっしゃるようにこちらの技術が非常におくれておりますから、向こうからライセンスのアグリーメントをやりまして、そのコピーがないとこれは取っかかれません。それで、そのコピーが前提条件でありますと同時に、やや在来の火力より違った努力をしておりますのは、在来の火力の一号機でございますと、非常に大きなキロワットの、たとえば三十五万とかというのが飛び出してきた、そういう際にはほとんど向こうからすぽりと輸入をいたしまして、そのうちの部品だとかあるいは建設についての参加だとか、そういうことは全然なかったようでございます。これは私よりも佐々木先生のほうが歴史にお詳しいと思いますが、どうもそういうふうに聞いております。ただ、今度の一号炉の輸入ということに関連いたしましては、日本の技術は確かにおくれておって、追いつきがむずかしゅうございますけれども、電気機械メーカーに積極的に、場合によってはある部品をつくる、それから場合によっては電気事業者に協力をしていただきまして建設に参加していく。技術の核心を握っておらぬでもやれるような——非常に私もそこは俗な受け取り方をしておりますが、分野については参加をしていくという姿勢になっております点が、従来と少し違った動きであると思います。  ただ、原子力の現在の技術契約の内容、私もこまかに存じませんが、現在やっておりますのに即してまいりますと、先ほど指摘のように、どうも技術が日進月歩のようでございます。それで、いま私が言いましたような形でスタートをいたしておりますけれども、一号についてコピーを——まあ輸入でございますから、これは当然そのままつくってしまうのですが、二号について一号のままのコピーでやることは、電気事業者として、もっとキロワットを上げるとか性能がいいとかという形のものが向こうにまたできてくると、それを今度は取り入れねばならぬという角度の議論もまた出てくるわけであります。その際にはキロワットの増加とかいろいろな形で具体的にあらわれてまいりますが、そういたしますと、国産といいますか国内メーカーがそれに対して参加していく、むしろプライムコントラクター的な参加のしかたというものは非常にむずかしくなってくる。ただ輸入の一号でも、すでに参加してまいります建設とか部品とか、そういう面ではだんだん習熟をしてまいりますから、新しいものになっても基礎になって残っていく分野もあるのじゃないか、こういう感触をしろうとながら持っております。ただ相手が、次々と新しいのが出ていくのに追っついていくためには、ある場合にはそっくりそのままもう一度またコピーをいただかねばならぬ、技術援助契約の内容に従ってさらに新しいのを出せということをやっても、相手がなかなかその交渉に応じない。これは向こうが技術を持っておるところの強みがございますので、どうも必然的にそうなってくるのではないか。その点、要約いたしますと、在来火力時代よりは食いつき方といいますか、非常に容易な部分には、向こうとの間の提携でからみつく方法を覚えておるが、技術の進歩がさらに早いから、さらに一段とそれに追いついていくには非常にむずかしい面が出てきておるということを率直に感じております。  なお技術的な面に関連いたしておりますので、藤波技術長から、間違いがございましたらその点訂正をしていただきます。
  59. 藤波恒雄

    ○藤波説明員 特に重工業局長の説明につけ加えることはないわけでございますが、いまの説明にもございましたように、技術の進歩が非常に早い、また電力会社の中には非常に大きな電力系統を持っておるところもありますものでございますので、それらを勘案いたしまして、一号炉の規模でなく、二号炉、三号炉は将来を考えて規模も大きくし性能も大きくする、こういう計画が次々に織り込まれていくということになろうかと思いますので、その場合に同じタイプの、同じ軽水炉で申しましても、御存じのように、PWRとかBWRというのはタイプが違うわけでございますが、同じタイプのものであれば、多少の規模の相違という程度であれば、できるだけ二号炉からは国内製作でいくべきである、こういうことが先般の通産省のエネルギー調査会の原子力部会等での議論でも出ておりまして、メーカー方面でもそのようなことができるような素地をつくるための包括的技術提携もやるのだ。高島局長から御説明のありましたような態度で進もう、こういう話し合いが実はできておるわけでございますので、電気事業者のほうとしても、できるだけそういうことがやりやすいように、いろいろ外国メーカーとの、いわゆる一号炉の導入のときの条件におきましても考慮するし、あるいはメーカーとの今後の参加のための話し合い等についても、従来の火力以上に努力いたさなければならぬ、こういうぐあいに考えておるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、非常にジャンプした態度なり規模を採用する場合には、やはりそれの一号機というものは輸入して、その次はそれのデッドコピーでいく、次第次第に自主的考案も加味したものにいく、こういう段階を追わざるを得ないというのが現状であろうかと思います。
  60. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ちょっと話のニュアンスが違うのだ。丹羽先生にお伺いしましょうか。いま普通に行なわれている技術提携の内容は、私の理解では違っているかもしれないですよ。私の理解では、大体メーカーとメーカーとの技術提携のことで、電気会社の話じゃないですよ。技術提携の内容というのは、言うならば設計書を持ってきて、その設計書に書いてあるとおりを日本でつくらせることを教えるというのかな、材料から何から全部設計書どおりに日本ができるようにすることが内容の主たるものではなかろうか、アメリカとこっちとの技術提携の主たるものは、その設計書どおりに日本の材料を使って、日本の東芝なり日立なりという工場で、それが自分でもできるような状態まで仕上げることが、技術提携の大体中心的内容になっておるのではあるまいか、それが第一点です。まだその次があるのですよ。
  61. 丹羽周夫

    丹羽参考人 いま佐々木先生がおっしゃいましたいわゆる技術提携は、われわれは乙種提携と称しております。乙種提携の場合にはまさにそのとおりであります。しかしその場合には図面代とか、図面代も紙代だけではなく、技術料も入っておりますが、それさえそのつど払っていけばいい。ところが、これはどっちかといえば、私自身も何十ヵ社という外国の社といろいろな技術提携をやった経験を持っておりますが、これは市場にもよりますけれども、市場によってはこれもけっこうかもしれませんが、これは国内の技術の促進という意味からはあまり好ましくないのです。ですから甲種技術提携ほんとうだろうと思います。その甲種においては、これもごくこまかいことを言いますと、多少ずつ内容の相違がありますけれども、単に図面だけをもらうんじゃないのです。それに必要な過去における実験データ、その実験データによってできておる理論なりフォーミュラなりをどういうふうにして計算に使うかというような、いわゆる理論的根拠までも一切がっさい受け取る、しかも、その後における両者の——両者というのはライセンシーとライセンサーでありますが、それぞれ研究してそれらを改良進歩させたならば、必ずお互いに交換しようということが通例であります。したがいまして、いま通産省からもおっしゃいましたように、一番最近わが国がその点においていばれるようになったものは船であります。これはむしろ外国から非常にたくさん教わりに来ております。ある部分はこのライセンス、このパテントを売ってくれぬかということになってきております。これはもう六、七十年来のわれわれ日本国民の勤勉のたまものであります。それから、これは私自身交渉したのでありますが、火力発電所の蒸気タービンとボイラー、特にボイラーは世界一のメーカーとライセンスアグリメントを結んだ経験がありますが、初めは非常に背負っていて、乙種的なものでなければ承知しない、こう言うので、そんなばかなことがあるかと言ってだいぶ向こうの副社長と激論をしました。とうとうこちらの言うとおりにさせましたが、最近ではむしろわれわれの経験のほうが豊富とは言えませんが、非常に豊富な経験を得てまいりまして、彼らに教えてやるような部分もできかけた。蒸気タービンにつきましても、これはだんだん専門の話になって恐縮でありますが、タービンブレード、羽根でございますね。羽根は決して一番長いものがこわれるわけじゃないのです。むしろ短い部分の羽根が、どういうものか知らぬが、こわれる。そこで、ある私の関係しておりました会社では、非常にイラボレートな実験研究をいたしまして、これが原因であるということを発見して、その発見した男は、いまも行っておりますが、もう三回ぐらいアメリカに行ってその会社に対する先生をしております。そこまで発展しておりますが、遺憾ながら、これはそう言うと原子力機器メーカーに相すまぬことになりますが、しかも、私それを伺ったのは二年くらい前でありますが、最初に私が申しました甲種契約の前提であるところの、まあ原子力機器ですから核物理的なデータ、すなわちコードだとか、あるいは原子力の動特性に関するいろんなセオリーだとか、データ等いろいろございます。まあ切りはありませんが、そういうものをまだ完全に教えてもらっていないものもあるし、教わっても、なかなかこれはそれこそ日進月歩で、まだ教わり終わっていないというような状態で、ちょうど、先ほど申しました船はもちろんのこと、ボイラー、タービンのような点までいくのが理想であろうと思いますけれども、なかなかそこまでは、そう一、二年やそこらではいかないのじゃないか、知識だけは相当持っておると思いますけれども、やはりこれは非常に金のかかる実験研究を伴うものでありますので、しかも、これは一応ライセンサーが持っておるものであって、いわゆる先進国たるアメリカというものがありますので、そしてライセンスアグリーメントを結んでおりますので、まあそれはひとつメーカーペースでやりなさいというのが私はほんとうであろうと思います。どのメーカーもおそらく、それは五年先か十年先か知りませんが、みずからの力で、たとえ新しい設計のものでも、あるいは容量が違ったものでも、みずから設計できるという状態になることを目途としており、またそうあるべきであろうと思います。タービン、ボイラー、船なんというものはそれ以上のような状態にいまの日本の国力はなっておるということは申し上げられると思います。
  62. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 いま一番入ってきておる軽水炉について、いわゆるリコピーによって国産のものをつくるということは、これはまあ二、三年でできそうだというふうに聞くのです。しかしながら、その技術を踏まえて改良し、発展させた内容を持つ図面自身、設計書自身を自分でつくりながらこしらえていくということには、なおその二、三年の後に、まあ四、五年か五、六年はまだ要するのではあるまいかという話があるのですけれども、大体そんなもんでしょうか。
  63. 丹羽周夫

    丹羽参考人 まあ、その年数はちょっとわかりませんし、民間のメーカーのほんとうのメンタルパワー、あるいはマンパワー、あるいは技術的能力がどの程度かは、若干見聞きはいたしておりますけれども、それが五、六年の後にはそうなるか、あるいは二、三年の後にできる能力がもうすでに養われておるか、これはまあ会社によって違うかもわかりませんし、ちょっと私、はっきりその辺は見当を申し上げることはできませんです。
  64. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 長官、いずれにしましても、国産化ということに、言うならば二種の意味があるらしいことを私は聞いたのです。いまお話しのように、向こうからつくった図面を持ってきて図面どおりのものを、つまりコピーと称するものをつくるのと、その技術を全部自分のものにして、その図面のつくられた背景を全部消化して、そうしてその技術を発展させて図面自身を自分でつくりながら新しいものをつくっていく国産化、言うならば、私は二種の、二重の意味があるというふうに考えておるわけです。したがいまして、これは話が技術論まで飛んでしまって恐縮なんでありますけれども、今後政策考えられる場合に、一口に国産化と言いますけれども、したがって私は、軽水炉の場合にはほんとうに全部自分でできなければならないようになる必要があるかどうかというのは、先ほど丹羽さんもお話があったように、私、疑問を持つのです。次々にいいものができるのですから、次々にいいものを入れてはそれをコピーし、次々にいいものを一つ入れてはコピーするというふうに考えても決して悪くはない。しかしながら、転換炉なり高速増殖炉なりを今度は自分で開発していこうというためには、一番土台になる同系統の技術である軽水炉なら軽水炉を自分でほんとうにつくれる、要するに自主開発ができる状態の技術を大体踏まえなければできそうにない感じがするのです。したがって、これからは、ほんとうはこの次くらいから入っていこうと思いますが、今度のこの事業団の計画自身に、転換炉をこのような時間割りでつくっていかれようということに、私は非常に大きな無理を感じているんです。無理でも銭かけてやろうというなら、それでもいいんですよ。無理を承知でやろうということならいいんだけれども、大体世間でも外国でもやっているんだから、これでできるらしいと考えては、私はえらい違いになるのじゃなかろうかという感じを持っておるわけです。これはまたあとで議論いたしましょう。  いまは、先ほどお話がありましたように、燃料の加工の問題から出発したわけでありまして、燃料加工を民間企業にまかせてつくらせる、こういうことがいまの政策中心になっておると思うんです。そのことは先ほど申し上げたように、大体図面は向こうから持ってきたものであり、そしてそれをリコピーしたものであり、その燃料日本でつくるという、この意味での製造工業は私は民間産業として十分成り立ち得る基礎も持ってきつつあるし、それでよかろうと思う。しかしここに書いてある、それを踏まえて改良、発展させるというのは、この計画書にも書いてあるとおり、これは、大体改良発展させる仕事は原研でやらねばならぬ、研究所でやらねばならぬ、こう書いてあることは、私は十分ひとつ検討する必要があろうかと思うんです。くどいようですけれども、私自身が納得いかぬものですから、私に理解させるつもりで私はいまことばを言いよるのですから、時間をとって同僚に恐縮でありますが御了解いただきたいのであります。だから、簡単に燃料加工についてはこの事業民間にやらせる、こう言われても、それはそれでけっこうだが、その技術の改良発展というものには特別の言うならば研究開発費をつけて研究開発をさせるのでなければ、なかなかものになりそうにもない。民間のペイする状態だけでほっておいたのでは、ものになりそうにもなさそうだぞという感じをひとつ御検討いただきたい、こう思うんです。  長くなって恐縮ですけれども燃料問題で次に行きまして、再処理の問題に入りたいと思います。再処理の問題は、これもちょっと長くなりますから、その前にプルトニウムの政策についてちょっとお伺いいたしたいと思います。プルトニウムを民有化する方針を進めよう、こういうことになっておるわけですか。
  65. 村田浩

    村田政府委員 先ほど来申し上げております核燃料民有化ということの中には、濃縮ウランのみならず、プルトニウムあるいは将来はウラン二三三というものが使われるようになるかもしれませんが、これらのいわゆる特殊核物質をすべて含めております。
  66. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 含めておることはわかるが、やはりその中にプルトニウムを入れておかなければなりませんか。そして、民有化方針の中に入れておくことに不安は感ぜられませんか。
  67. 村田浩

    村田政府委員 プルトニウムというものが、平和利用の面で、濃縮ウランに比べると、まだ開発がおくれておるということは事実と思います。しかしながら、平和利用である限り、これがいわゆる技術的にも経済的にも、燃料としての利用が実用化される必要があるわけでありまして、その点でプルトニウムを別な扱いにするということは、むしろ完全な実用化を進める上には望ましくないと思っております。そういう意味で、プルトニウムも同じく民間所有にいたしまして、そうして濃縮ウランなどの利用とあわせて十分これを活用していくというふうに持っていくことを考えまして、それですべてを含めておるわけであります。  そこで、民有にした場合の不安という点でありますが、おそらくその場合の不安と申しますのは、一つはいわゆる安全上の問題、それからもう一つが、これはいわば核爆発材料ともなり得るものでありますので、そういう点での安全保障上の問題、この二つからくる不安であろうかと思いますが、前者につきましては、プルトニウムがそのような有害な性質を持っておるということも十分考慮に入れての安全上の規制、これを行なうようにいたしておりますし、すでにその面につきましては、海外の技術もいろいろと研究いたし、現在の原子燃料公社にもすでに数キログラムのプルトニウムを取り扱わせておりまして、安全上支障なくこれらが取り扱い得られる技術というものが現に開発されつつあるわけであります。したがいまして、これらの技術を生かされますならば、民間において取り扱いましても十分に安全は確保し得ると考えております。  それから、安全保障の問題につきましては、これは濃縮ウランでございましても、プルトニウムでございましても、やはり規制法上の規制を受けまして、国としての安全保障を行なうと同時に国際的な安全保障措置が適用されまして、これが軍事上に流出するというようなことが絶対ないような措置体系ができておりますので、その点の不安はないと考えております。
  68. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 当分の間のプルトニウムの用途は、研究開発じゃないですか。
  69. 村田浩

    村田政府委員 プルトニウムを混合しました燃料開発していかなければなりませんので、そのような燃料技術をわが国で開発する上に相当量のプルトニウムが必要であります。それからまた、現在の高速増殖炉の研究にいたしましても、この研究に必要な臨界実験装置、あるいは実験炉、さらには原型炉等にプルトニウムを装荷いたしますので、そういったようなプルトニウム燃料開発するための研究開発用として、これまた相当量のプルトニウムの需要が予想されております。
  70. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 プルトニウムの当分の間の予見される用途というのは、要するに研究用ではないか、私のはこういう意味です。そして、その研究用という意味は、いまお話しのように、一つ高速増殖炉をねらっておられるのだから高速増殖炉のための研究開発用でしょう。それからもう一つは、いまこの事業団で一生懸命やられようとする新型転換炉のためのものでしょう。それからもう一つは、有澤先生がたびたび言われる、都合によっては軽水炉に対してもプルトニウムを装入したいという、軽水炉にプルトニウムを入れようかという研究用でしょう。そして、いま、この最後の研究は、言うならば、やっておるところがあるとすれば、これはやっぱり原研じゃないのですか。その近所じゃないですか。どこかほかやっていますか。
  71. 村田浩

    村田政府委員 軽水炉用の燃料にプルトニウムを利用するということの実際の実験等は、原研の施設を使ってやっております。
  72. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 この事業団の計画でもおわかりのように、高速増殖炉をねらうのも、新型転換炉をねらうのも事業団でしょう。そしてもう一つの、研究用の軽水炉燃料のためのプルトニウムを使おうというのも原研でしょう。そうすると、使うのはほとんど国または国の代理のものでしょう。それをどうして民有化するのですか。民有化なんか、概念的に燃料全部民有化という——私は、これはあるいは勘違いがあるかもしれないのですよ、何か国の方針みたいなものをぽっと仕立ててくるのが流行だ。燃料民有化も、来年には日米の原子力協定改定せんならぬ。それを機会にして燃料民有化を進める、こういう方針がぽっと出るのだな。そうすると、本来ならば、それを裏づけする個々の政策がなければならぬと私は思うのだ。ところが、その個々の政策の前に、非常に大ざっぱにぽっとそこだけいってしまう危険性があるのではなかろうか。これから当分の間プルトニウムというものを民間で使わんならぬことが何か特別にありますか。大部分はいまの三つの炉のための研究用であり、この三つの研究するものは、目下のところ国あるいは国の代理のものであるならば、こんなあぶないものを民有化という方針をとらなくてもいいじゃないか。なぜそれを民有化という方針をとられようとするのか、特別の理由があるかどうか、伺いたいと思います。
  73. 村田浩

    村田政府委員 米国におきましても、濃縮ウラン民有化と同時に、あわせてプルトニウムを民有化する方針を出しているわけですが、そのねらいとするところは、わが国でも同じだと思うのですが、民間の所有にすることによって、民間がこのプルトニウムを燃料として再利用していくということへ積極的に取り組む姿勢をつくりたい、こういうことが一つあるわけであります。ただいますぐには、実験の能力その他等から、原子燃料公社あるいは原研等におきましてプルトニウム燃料をつくり、これを実験することでありますが、それがうまく進むということを考えますと、当然そうしてできました特に軽水炉燃料としては、原子力発電会社等がお持ちになっておられる軽水炉の中にこれを入れて使うということでなければ、いわゆる国内における燃料のサイクルの確立ということにならないわけでございます。そういうような点に最初から関心を持って民間が取り組むというためには、その所有権を民間にあわせて持たしておくことが筋道としてよろしいと判断しておるわけであります。
  74. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これは局長が答えたら、あと有澤さんが答えると、似たようなことしか言いにくいことがあるかもしれぬが、こんな判断を事務官がしてはならぬと私は思うのです。これこそ原子力委員会で十分検討した上できめなければならぬと私は思います。もともとの話が、燃料民有化というのは、アメリカ中心とした技術レベルを考えての話じゃないですか。アメリカの原子力の技術のレベルを背景とした考え方と、十年も二十年もおくれているといわれる日本の技術の段階と同じに考えたハイカラものみたいなかっこうをすることは、これはかんべんしてもらいたいな。いま言うたように、確かに将来は軽水炉にプルトニウムを入れようという研究を一生懸命やられているのですから、それを使うようにしたいのですよ。したいけれども、そのことを研究するためのプルトニウムを使っているのは、国の機関がやるのじゃないですか。そんなまだ先の話を民間が期待して、民間がプルトニウムを買いだめしておくのですか。そんなことであるならなおさら危険なことだ。私はそこのところが、何か妙な、足が地についた政策でないような気がするのです。これはたびたび言うように、あるいは私の錯覚かもしれませんよ。燃料民有化という、言うならば非常にハイレベルな原子力の技術を背景としたところの世界水準の考え方なり方針なりをぽかっと日本に持ってきて、これからイロハで、まだ国ばかりが使う材料のものを、何で民有化ということの中に入れんならぬか。あなた方、それだけ国で管理しておったらいいじゃないか。私はどうしてこれをせんならぬか、どうにもわからない。特に心配することは、ひょっとすると、原子力発電所があるでしょう——これはあとからまた聞こうと思っておりますが、原子力発電所で最初から今度使用済み燃料が出ますね。使用済み燃料の始末をともかくすればプルトニウムが出てくる。へたして、このものを民間が持っておれば、これはいま高いものでしょう。研究用だから、国際的にも非常に高価なものですよ。ネコに小判というのはこのことで、いま電気会社やメーカーが持ったって、これは何ともかんともしょうがない。持って寝させておけば、金利を寝させていることと同じことだ。ややこしいことになる。したがって、もしこの背景にそのような経済的な負担を国がかぶりたくないというような感じでもあれば、これは私とんでもない責任回避だと思う。まさかそうでもなかろうと思うのだけれども有澤先生、何でこれをほかのものと同じように、ウランの石みたいなものと同じようなかっこうに、これを民有化方針の中に持ってこようとするのですか。少なくともまだ、国で研究していけば、これから五、六年間は国自身でそのまま押えておけばいいものと違いますか。
  75. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 民有化の問題でございますが、プルトニウムを含めて特殊核物質の民有化の問題ですけれども、さしあたって、確かにプルトニウムにつきましては、研究用に使うということは間違いないと思います。また実用という段階にはすぐにはまいりません。そしてプルトニウムの実用化についての研究を主としてやるのは原研と、この事業団といいますか今度の事業団であるだろう。これも間違いないと思います。しかし、民間のほうでもそれをやろうというところもないじゃないと思います。それをいろいろな炉に照射試験として照射して試験をやるということも考えられるわけです。ですから、いますぐ、ここ数年の間は研究用にしか使わないし、その研究用はもっぱら国または国の準機関ということだから、すぐ民有化しなくてもいいというお考えのようでございますけれども、私どもは、プルトニウムも、いま申し上げましたよううに、燃料として実用化するんだ、この大勢からいえば、この際濃縮ウランとともに民有化方針でいくということについてはそう大きな違いはないように思います。いまの原電で使用済み燃料の中にあるプルトニウム、これもかりにプルトニウムだけを国が管理するというか、国が所有するということになっておりますと、原電の使用済み燃料の中でできるものは、一応は原電の所有物でございますが、それをどうしても強制的に買い上げなきゃいかぬ、こういうことになります。最初はそういう方針でおりましたけれども、今度はわれわれのほうから申しますと、研究用に必要なものは原電のプルトニウムを買い上げる、こういう考え方になるわけです。むろん最初のうちはプルトニウムはとても足りませんから、原電の使用済み燃料からできるプルトニウムは全部国のほうで買い上げる。買い上げる場合には、一定の国際価格というような価格で買い上げることになるだろう、こういうふうに考えております。
  76. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これは長官に私は要望いたしておきたいと思います。いま有澤さんからお話のように、そういう経緯をもって、そういう考え方で私はきめようとされておるんだと思うのです。しかし私はその考え方は非常に根拠が薄いと思うのです。どうしてそうせんならぬかわからぬ。民間で一部持つものがあるかもしれないために、どうして全部を民間が持てるということにするのですか、あぶないものでもあり、むしろ逆に、これまでプルトニウムというのは、たいして日本で生産されなかったでしょう。その段階でこそ、民間で持とうと何も知ったことではないかもしれない。これからできるような状態になったときにこそ、国自身でまず研究計画を立てられて、高速増殖炉に、あるいは新型転換炉に、あるいは軽水炉に、それに必要な研究用のプルトニウムの分量の計画を立てられて、いま立っているのでしょう。五十キログラムだか百五十キログラムだかという話になっているのでしょう。その計画を立てられておるのは国じゃないですか。そしてそれを実験されるのも国じゃないですか。そういう実験にいよいよ入ろうというときに、どうして所有だけを民間というところに持っていくんだ。むしろそれは国の責任回避だ、私はそう思うのです。これは私が一口に言うよりも、長官、いろいろそれは有澤先生からわからぬ話をよく聞き、局長から言われると、やっぱりそんなものかもしれないと思われているかもしれないけれども、しろうとのほうがこれは間違いない考えだと私は思う。積み重ねられたややこしい話よりも、いま率直に私は考えてもらいたいと思う。こんなところにこだわる必要はちっともなくて、もっとやらなきゃならぬことがたくさんある。むしろアメリカ流に妙なハイカラなかっこうをされることのほうが間違いのもとだ。その意味でひとつ長官に強く私は要望しておきたいと思います。  次に再処理の問題。再処理に関する政府基本的なというよりも、委員会考え方は、現在の法律によりますと、再処理というのは、国または公社がやるということで、言うならば国と公社の独占になっておる。しかしながら、この長期計画によりますと、なるべくならば遠くない将来に法律の改正も行なって、再処理事業が民間でやれるような状態に、民間に移っていることを期待するというかまえだと思いますが、そういうことですか。そしてその理由はどういうところにあるのだろうか、伺いたいと思うのです。
  77. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 再処理につきましては、むろん最初の工場はいま原子燃料公社がこれを開発というか建設いたしまして、そして再処理事業を独占的に行なうということになっております。再処理の技術につきましてはいろいろ研究が進められておりまして、現に将来におきましてはおそらくもっといい再処理技術が開発されるというふうに見られております。したがって、第二の再処理工場を建設することが必要な時分には、おそらくそういう新しい技術も開発されているだろうし、そうなりますと、その時分にはまた原子力発電所がたいへんたくさん設立されまして、使用済み燃料の排出といいましょうか、使用済み燃料もたいへんたくさん出てくる、こういうふうな状況になりまして、そうなりました暁には、もう民間事業としてこれを行なうことも十分成り立つ、こういうふうに考えられます。むろん安全性の問題とか、そういうものの規制は別にやらなければいけませんけれども事業として成り立つものまでも国がやる必要はなかろう、こういうふうな考え方で、第二の工場を建設する時分には、おそらく民間がこれを事業としてやれる時期に到達するだろう、こういう見方をわれわれはしておるわけでございます。
  78. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 原燃でいま取りかかっておられる再処理工場建設の計画は、現状はどういうことになっておりますか。
  79. 村田浩

    村田政府委員 原子燃料公社のほうでただいまやっております再処理工場の計画は、すでに両三年前に一日の処理量規模といたしまして〇・七トン、それから処理技術といたしましては湿式法、ピュレックス法というものでありますが、これによる技術によりまして詳細設計を進めております。この詳細設計はわが国でまだこのような事業を行なった経験もございませんので、フランスのサンゴバン・テクニック・ヌーベル社と原子燃料公社とが契約を結びまして、現在その第三年目に入っております。  今後の予定としましては、この詳細設計は来年の暮れまでには完了いたす予定でありまして、完了いたすとともに、この詳細設計に基づきましたところの再処理工場の建設にかかるわけであります。建設をどこにやらせるかというようなことにつきましてはまだ決定いたしておりませんが、この詳細設計ができましたところで、できるならば国内事業者を対象に入れさせまして、そして建設させたい、こう思っております。建設工事は、もちろんそのときの契約によりますが、大体外国における状況等から見まして、建設に取りかかりましたならば、約三年で工場は完成する。したがって、順調にまいりますならば、昭和四十六年度中には完成いたしまして、四十六年度末かあるいは四十七年度早々にはいわゆる稼働に入れるものというふうに予定しております。
  80. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 当初計画では大体建設費八十億くらいでやろうという話があったように思いますが、目下のところは建設完了までの見込みはどのくらいかかる予定ですか。
  81. 村田浩

    村田政府委員 わが国で再処理工場を、初めどの程度の規模のものをつくるかということは、原子力委員会の中に再処理専門部会というのをおいていただきまして、長い問いろいろ専門家に御検討をいただいたわけでありますが、その際当初は比較的小規模の、つまり処理量でいいますと一日当たり三百五十キログラム程度のものでどうかという意見もございました。しかしその後、世界の状況あるいはわが国における原子力発電計画の発展等々のことも勘案しまして、ただいまは一日当たりその倍の〇・七トン、つまり七百キログラムを毎日処理できる程度の規模に改めたわけであります。そこでこの工場を建設しますときにどの程度かかるかということは、当初予備設計をイギリス、フランス、アメリカの各技術会社契約してやってもらいましたときから、建設費の推定につきましては、初めは百億以内で大体いけるかもしれないという話であったわけでありますが、予備設計を行ないました段階で調べた結果は、詳細設計費を含めまして、現在のところでは完成までに約百三十億程度かかるであろう、こういう見通しを得ております。
  82. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、それは大体単位当たり処理費をコスト計算すると、どれくらいの見当になる予定ですか。
  83. 村田浩

    村田政府委員 再処理料金のベースになるコストがどのくらいになるか、つまり使用済み燃料一トン当たりどの程度で処理できるかという点は、この事業を進めます上にたいへん重要な問題であります。したがって、原子力委員会の側でも、あるいはまた、原子燃料公社の側でも、これまでいろいろと検討してまいっておりますが、一番ベースになります建設費、これをどういう形で支出するか。つまり、全額が政府出資で行なわれるか、あるいは財投資金等を使うか、さらには他の借り入れ金等も使うか、そういうようなことによって、金利負担等も違ってまいります。償却年限等の見方によっても違ってまいります。それでいろいろな計算をしておりますので、現段階ではまだ建設の契約に入る段階でございませんので、具体的に一トン当たり幾らになるということをはっきりは申せないわけでありますが、また事実、これまでの大蔵省との折衝におきましても、建設費は大部分財投資金のような借り入れ金によって建設を進める。といいますのは、これは事業ということになっておりますので、事業にふさわしい金の投入のしかたをするという原則も一応ございます。その場合、どの程度の金利の借り入れ金でやれるということはまだ煮詰まっておりません。  ただ、結論的に申し上げますと、どのような資金の投入のしかたになりましても、この工場で行ないます再処理につきまして、その再処理料金は、いわゆる国際的な再処理料金と対比しまして、国際価格並みの再処理料金でやれるようにしたい、こういうふうに考えております。
  84. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 局長、どうもこれはしようがないのだけれども、言い出すと、何かやっていることがうまくいってないというのをしかられはせぬかということのほうが先にいくものだから、どうもわしらが心配していることをさらけ出されないんです。それだから問題はちっとも進展しないのだ。いま聞いてみると、去年言っていることと同じことだ。一年間たって何にも発展しておりはせぬということは、ほんとうのことを言うと、おかしい。だから何とかもう少し——とっちめはせぬですから、通さぬと思ったら、何ぽあなた方が言おうが、わしはこの法律を通しはせぬ。しかし一緒になって問題を前進しようじゃないかというかまえでなければ、一つもこの問題解決しませんよ。去年も私は同じことを言うたんです。同じことを言うたのだけれども、ちっとも問題は発展しなかった。いまも私の言おうとしていることは、結論から言うと、そろばんが合わぬようになるじゃないかということ、それを責めようとしているのじゃないのです。その金の出方を何とか新長官考えさせなければいかぬということを言おうとしているのだから、あんたが言うより私が言うほうが強うなるから、うんと大げさにふっかけて取ればいいのだ。そういう気がまえでないと私はいかぬと思う。しかし、この問題に対していろいろなうわさが出たことを知っております。そして何だか最初の予備設計に対して国際入札でやった。そのことがイギリスからか、どこからかけちがついて、いままた国際紛争にしようとしているとか、せぬとかしているのだとかいう話も知っております。そんなことを取り上げてあげつらって、やり方けしからぬなんということを言おうと思っているのじゃないのだ。わからぬかな、ほんまに。そうじゃなくて、大体最初八十億見当でいこうと思った、これはいきっこないのだ。この次には、原子力発電会社の人を私は詰めようと思っているのだ。これもいきっこないのだ。この人もほんとう中心だ。あの時分にわいわい言って、私がいかぬと言ったのに、いくと言ったのだから、十年前に。だから、これからゆっくりと詰める。それですから、八十億から百三十億、百三十億でもたぶんだめだ。これは百五十億になったって、二百億になってもいいのです。たぶん、そうすると相当高いものにつくだろうと思うのです。問題は、この費用を何と考えるかということが私はポイントなんです。もともと取り組み方が、私に言わせると、気に入らぬ。先ほどあなたは事業だと言われたでしょう。事業の観点で取り組んでおられる。事業の観点で取り組むから、大蔵省のほうには、そろばんが合うはずですと、こう説明されなければいかぬはずです。そうでしょう。大体そろばんが合うはずだ、要するにコストに見かわった処理料金で何とか処理するつもりですと、こう言わねばならぬ。長官、私の言いたいのは、それなら新しい技術開発はできませんと、こういうことなんだ。初めからしろうとがイロハからやるのに、そろばんに合うわけがないじゃないですか。それをうそをついて、そろばんに合う事業ですなんて言うて出発しようとするところに、原子力政策が前進しないもとがあるんだということを私は言いたいんだ。だから最初から事業の面と、研究開発費をつけなければならぬ面と、この二つをもって出発するということを閣議で決定させなさいと言うんですよ。そのことをあなたごまかしていこうとするものだから、さっぱり話が先に進みはせぬ。こんなもの、事業じゃないんだ。事業であると言ったのなら、ほんとうに出たときに責任をとらねばならぬ。そのときには事業団の総裁ぐらいになっておるからいいかもしれぬけれども、国民からいえば、そんなうそついてはならぬ。同志諸君だから、そんなうそをつかぬで、中身をさらけ出しなさい。結局問題は、これは高いコストにつきますよ。その実際の建設費ではじけば、トン当たり私は高くなると思う。千四、五百万になるのかどうか、ともかく高くつきますわ。それをそのまま民間の電気会社にかけるのは、再処理を委託するのは民間の電気会社ですから、民間の電気会社の委託料にそれを全部かけることはできないでしょう。有澤先生、それはそうでしょう。よろしゅうござんすな。コストを全部民間の電気会社の委託料として、処理料として——委託料というのか処理料というのか知らぬけれども、取るのではない、こういうお考えですね。そうしますと、その処理料金は何を基準にしてつけることが妥当だと考えられますか。
  85. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 料金のほうはかりにこれを外国、まあイギリスならイギリスに送って再処理をしてもらうときの料金、イギリスに送るには当然輸送費というものがかかります。ですから、イギリスの再処理工場においての再処理費、それからプラス輸送費、それが日本においての再処理料というふうに考えております。ですから、いまおしかりを受けました再処理工場は、確かに一方では実験的だし、研究開発的な面があります。また、他方においては若干事業的な面もあります。そこでその二つの割合を、またたいへんおこられるかもしれませんけれども、その割合をどう見るかということで、実は大蔵省とわれわれとのほうでなかなか意見が合わぬところがあったということは事実でございます。それで最後のところは、いま申し上げましたような再処理料金をきめて、それで引き合わないときには大蔵省のほうも金利負担をするとか利子補給をするとか、何かの方法でこの再処理工場の事業経営がつじつまが合うようにいたしますと、こういうことに相なっておるわけでございます。
  86. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 長官、眠たかろうけれども、頼みまっせ。一生懸命わしはそれを頼んでおるんだから。  いまの有澤先生お話ですと、コストが要するに何ぼつこうが、何ぼつこうかは悪いけれども、何ぼコストがかかろうが、要するに、その再処理の処理料というのか、委託料というのか、その基準は、委託するほうの電気会社のほうに損にも得にもならぬ状態にいたします、それが基準になるでしょう、こういうことでしょう。国際的なもの——、国際的なものということもちょっとむずかしいと思うけれども、まあまあそんなようなことですね。常識的に電気会社に損にも得にもならぬ料金を基準にしてきめたいと思います、そしてその料金とほんとうにかかったコストとの差額は、何としてもこれは政府が持つのです、こういうことだと思うのです。そして私は、この政府が持つということ、この方針をまず確立をしなさいと言うのですよ。そして結果から見るならば、これが研究開発費だ、こう見るべきだ。長官、よろしいか。何とか長官そいつをうんとのみ込みさえすれば、局長がうろうろしはせぬのだ、ほんとのことを言うと。長官がそれをどんと腹に入れさえすれば、そうすると来年からの予算だって、少なくとも佐藤内閣が続いておる間は、あなたが、よろしいか総理大臣、と言ったら、うんと言わねばならぬことになっておるのだから、その方針でやらなければ、この再処理工場はできない。次々と言って恐縮だけれども、私どもが心配しておるのは、燃料公社の諸君や局長の近所は、何かくちゃくちゃ言うと大蔵省にまたしかられはせぬか、来年度の予算折衝の上にひどい目にあわされはせぬかというので、はらはらほろほろしておって、何ともかんともならぬ状態だ。だから長官に申し上げておきたいが、これには堂々と研究開発費をつけなさい。それでなければ、最初国がやろうとした値打ちがないし、国がやる意味も何もないのだ、こういうことだと思うのです。非常に悪いことばで、たいへんきたないことばで私がたびたび同じことを言っているのは、国でやるのと民間でやるのと、ほんとうはそれは同じことであって、いずれにしても、そろばんが合う合わぬと言うけれども、最初からそろばんに合わぬと言うのだ。合わない部分を政府がリスク負担という考え方を、原子力政策を進める場合には立てなさい。それがすべてのもとだ。いましがたなしにこの再処理工場だけは有澤さんもうんと言っているのですよ。これから同じことを私は言おうと思うのだけれども、決してうんと言われないのですよ。ほんとうは言いたいのだけれども、言えないんだな。局長もそうだと思う。そこがおかしくなる。一日のときに言った在来炉国産化という問題も同じことであって、ほんとう国産化しようと思えば民間でもリスクを伴うのです。その民間のリスクをだれが負担するのか。民間にリスクが出ても、全部民間でリスクを負えという限り、民間はリスクを負うような原子力技術を発展させることはしないんです。何ぼすると言っても、へえと言って、下を向いてうんと言っているけれども、期待される五分の一もやりはせぬ。もしやったら、そんなもの株主総会でしかられる。わしもなけなしの一株でも持っていたら、株主総会へ行ってどなりつけてやるわ。そういうものですよ。だから政策裏づけがもとでなければならぬということは、声がつぶれながら申し上げたい。いまの問題も、再処理工場を燃料公社がやるというのは、繰り返して言うけれども、最初から事業じゃない。事業でない部分を研究開発費として政府が負担するという覚悟の上だ。だから大蔵省がぐずぐず言ったら長官頼むぜ。局長がぎゃあぎゃあ言わぬように、悲しまぬように、その前提に立ってひとつこの再処理工場の完成をぜひ期していただきたい。いま心配されておることは、ぐずぐず言うと、設計費だけでもあっちこっち頼んだというので、国際的に問題が起こったり、それからつまらぬぬれぎぬを着させられそうになったり、どうもやり方がへたじゃないかと言われはせぬかと思って、へたをすると建設計画自身が、来年度からの予算に建設予算がつかぬようになりはせぬかと思う。ほんとうは予定どおりの四十六年までにできないような、もっと小さくこま切れの予算しかつかぬようになりはせぬかと思うということを心配され過ぎているあまり、勇敢な行動がとれないのではないか。局長は決してそうは言いませんが、私は言うておきますから……。  関連して、この間の六月十二日の日刊工業新聞によりますと、原電一号炉の使用済み燃料の処理の問題について記事が出ておりました。私は本質的な問題ではないと思いますけれども、いまの問題としてはこれは相当の問題だと思うのです。その意味で、この段階で関連しながら伺っておきたいと思います。  長官御承知のように、原子力発電株式会社の東海一号炉というのが昨年からかもう運転が始まっておりまして、そうしていよいよことしの九月ごろですかから使用済みの燃料を取り出す作業が始まるわけで、この使用済み燃料をどう処理するかという問題なんだと思うのです。しかも、いまお話しのように国の再処理工場でほんとうは再処理したいだろうと思うのですけれども、御承知のように、まだ再処理工場はでき上がっておらない。再処理工場ができ上がっておらないこの段階で、東海一号炉から使用済み燃料が出てくる、これをどうするか、こういうことなんです。正直言って、科学技術庁ではたいへん困っておられると思うのだ。困っておるのだけれども、私はこの問題はひとつ政策のたてまえをはっきりして御処理をいただきたい、こう思うのです。したがって、原子力政策の一環として考えるべきである。まず、先ほどプルトニウムのお話を伺いました。そしてプルトニウムというのは、これから研究用として非常に必要なものであり、しかも高いものであり、国際的にそう簡単に入手できるかどうかむずかしいものだというふうに私は承っております。したがって、せっかく日本の炉から、初めて使用済み燃料からプルトニウムがとれるのだから、このプルトニウムは必ず日本の国の研究材料に使いたい、こういう方針がまず立てられなければならぬ、こう思いますけれども、御見解を承りたいと思います。
  87. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私どももそのように考えております。
  88. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 しかし念のために伺います。先ほどの日刊工業新聞によりますと、この東海一号炉の使用済み燃料の処理について三つの方法を検討中だ。その一つは、言うならば保管して残しておけということ。それからもう一つは、イギリスに頼んで、あれはコールダーホールですからもともとイギリスですから、イギリスに頼んで、言うならば委託処理をしてもらって、そしてプルトニウムはやはりこっちへ持ってこよう、こういう方法。それからもう一つ方法は、使用済み燃料ごとにみなイギリスに引き取ってもらおうということだ。そういう三つの方法が書いてあったと思うのです。しかし私は、先ほど方針によると、この第三番目のことというのは考えられないと思うのですけれども、やはりそれも考えておられるのかどうか、伺いたいと思います。
  89. 村田浩

    村田政府委員 ただいま御指摘の三つのうち、第三番目のものは考えておりません。つまり考えておりますのは日本の再処理工場ができまして、そこで再処理できるまで長期に貯蔵しておくか、あるいはそれまでの間に早く再処理して必要なプルトニウムを入手できるようにするか、その場合、そうするとしましても、どの程度を送り、どの程度を貯蔵するというのが望ましいのかどうか、そういった点を検討しておるわけであります。
  90. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これはいつごろまでにその方針をきめられますか。
  91. 村田浩

    村田政府委員 来年度予算で原燃の再処理工場の建設費関係等を考えていくわけでございますので、その時点を一つのめどとして、原子力委員会の御意見を承りながらきめていかなければならないと思っております。
  92. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 来年度予算との関係で……。
  93. 村田浩

    村田政府委員 少しことばが足りませんでしたが、来年度予算の概算要求をこの八月末までにいたすわけでありますので、それまでの時点の間に大体の方向をつけたほうがよいと考えております。
  94. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 来年度の概算要求とどういう関係があるのですか。
  95. 村田浩

    村田政府委員 第一の貯蔵するという場合でありますが、貯蔵するには、やはり貯蔵施設が必要であります。この貯蔵施設が、現在原電には相当量の貯蔵が可能になっております。排出された燃料を百五十日の間クールするための冷却のポンドというのはできておりますけれども昭和四十六年まで貯蔵するには容量が足りません。そこで、これを第一の方法、つまりわが国で再処理工場が稼働するまでの間貯蔵するということになりますと、どこかに貯蔵の施設をつくらなければなりませんが、原電としては、そういう貯蔵の施設を、特に新たによけいなものをつくるという考え方は持っておられないので、そういった場合には燃料公社側でつくるとかなんとかの方法考える必要もあろうかと思います。そうなりますと、予算と関連してまいるわけであります。
  96. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 去年も春ごろから、原子力発電会社としてはこの問題は困るので早う政府方針をきめてくれという要望を出したと承っております。それから、ことしも同じように出ている。私は、原子力会社のほうからいうと、一日も早うその方針をきめてもらいたい、こういうことだろうと思うのですが、政府の予算との関連で返事ができぬ、方針をきめられないということでしょうか。どういう返事をされたわけですか、去年の要望なりあるいはことしの要望なりに対して。
  97. 村田浩

    村田政府委員 まだ事務レベルでの話し合いをやっておりますので、最終的な何ではございませんが、私どもの承知しております範囲では、従来原電のほうではイギリス側に送り返したいというお考えがまず第一ございまして、そういった線でのお話があったわけでございますけれども、最近の御要望としては、できれば国内に貯蔵してくれないかというような線の御提案もございますので、それを検討いたさなければならぬと思っておるわけです。
  98. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 去年のお話のときに、そのような回答をされましたか。それから、ことしの話にもそのように回答をされておりますか。
  99. 村田浩

    村田政府委員 去年の際も、ことしの際も、どちらにするという回答は、まだいずれともいたしておりません。
  100. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、発電会社のほうの方針が変わったということですか。
  101. 村田浩

    村田政府委員 私どもの聞いております範囲では、発電会社の希望といいましょうか、どちらでもいいんだとは言っておられますが、どちらかといえば、こうしてもらえるとありがたいという意味での希望としては、若干、昨年とことしでは御希望の線が違っておると感じております。
  102. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 最初三十九年にどうしようかという相談をされたはずです。そのときの方針はどういう方針でしたか。
  103. 村田浩

    村田政府委員 三十九年のものは正確には覚えておりませんが、そのときには、イギリスに返す場合と国内で貯蔵する場合と、両方を考えて検討してみてくれ、そのためには、まず第一に、イギリス側がこれを引き受ける意思があるかないか。また引き受ける場合の条件、料金その他どういうことになるのか、そういったような点をひとつ検討してみてくれ、こういうことであったと記憶しております。
  104. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 政府で始末をしてくれるか、でなかったならばわれわれのほうで再処理をイギリスに委託しようか、どっちかの方針をきめてくれ、こういうことじゃなかったのですか。
  105. 村田浩

    村田政府委員 その点につきましては、二つ考え方がございまして、一つは、国内にせっかく再処理工場をつくるわけでございますから、最初からできるだけフルの稼働に持っていくように、ある程度の使用済み燃料を貯蔵してこれを充てるようにしたいという考え方一つ。ところで、他方におきましては、そういたしますと、先ほど佐々木先生の御指摘にもございましたように、せっかくわが国の中で生産されたプルトニウムが、それまでは回収されず、したがって研究開発その他にも利用できないということがございます。したがって、そういう点で、イギリスにかりに委託した場合に、どの程度の料金、どの程度の条件でそれが再処理が行なわれ、そこで生産されたプルトニウムが入手し得るのか、そういった点を調べていただきまして、それによって両方のメリット、デメリットを十分比較検討する必要があるというふうに考えたわけであります。
  106. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 局長、えらい悪いけれども、私はもう少しうがって話を聞いておるんです。私はきめがこまか過ぎて、いろいろあちこちからしかられるのですけれども、第一の基本的な方針として会社のほうで要望しているのは、再処理工場ができるまでは、使用済み燃料は全部再処理料金とプルトニウムとを差し引きゼロという感じ、損得なしという感じで原燃に引き取ってくれ、それがどうしても施設がないとかなんとかということで困るということであるならば、今度は電力会社のほうは、イギリスに委託処理をさせてくれ、そうして委託処理のための相当な交渉も行なわれておると私は聞いておるわけです。そんなぼうっとした話じゃないと思うのですけれどもほんとうにそうですか。
  107. 村田浩

    村田政府委員 三十九年以降そういった線で原電がイギリスの原子力公社と折衝されたのはお話しのとおりでありまして、その結果、現在明らかになっておりますのは、イギリスとしては、出てまいります使用済み燃料を最低で三年分の契約をするか、あるいは五年分の契約をするか、さらには七年分をまとめて契約するか、それによって再処理料金のコストも違ってまいりますので、引き受ける料金も違ってくる。あるいはまた、長期の委託契約をいたしますと、単なる再処理業務を行なうだけではなくして、さらにいろいろとプルトニウム技術等についても技術情報をいわばサービスとして提供しようというような、いろいろと条件を提示してまいりました。しかし、他方においては、わが国の再処理計画を円滑に進める必要がございますし、そういった点で、たとえば長期にわたってイギリスに送り返すということになりますと、再処理工場ができましても、当面ここで処理する使用済み燃料の量が非常に少なくて、稼働率が非常に低下する。稼働率が低下しますと、再処理のコストというものも高くなってくるということもございますから、その点でどの程度の量を、送り返すといたしますときにも、送り返したほうが全体としてベターであるかという点の検討が必要であったわけであります。
  108. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 大体どっちの方針で行かれるつもりですか。つまり原燃で引き取って——先ほど予算の都合でと言われました。それは保管設備をつくらなければならぬからというお話だったと思うのです。そうすると、大体保管設備をつくって引き取ろうという方針を重点に考えておられるのか、それから、電力会社がいま言っているように、おまえのほうが自発的にイギリスと交渉して、いまあなたの言われたような条件をなるべくぶっつけさして、日本のプルトニウム政策に役立つような形をなるべく織り込ませて、そうしてイギリスに処理させる、こういう方針でいこうとされておるのか、どっちですか。
  109. 村田浩

    村田政府委員 これは再処理計画とも関連しますので、最終的には原子力委員会におはかりしたいと思っておりますけれども、事務局の立場としましては、量をどの程度、つまり三年分にするか五年分にするかということは一応さておくといたしましても、プルトニウムをできるだけ、ある程度でも早く入手してわが国の研究開発利用できるということがはっきりいたしますならば、早期に出てまいりますもののあるものは送り返して、そうしてプルトニウムを入手するようにいたしたい。かたがた、こういうふうに実施いたしますことによって、先ほどの、わが国で将来再処理料金等を考えます場合のいわゆる再処理の国際価格はどういうものかということに対しての一つの具体的な資料が得られるのではないか、こういうふうに考えております。
  110. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 再処理費は、いまイギリスに持っていって大体どれくらいな見当になるだろうとお考えになっていますか。
  111. 村田浩

    村田政府委員 こまかい数字はちょっと持ってきておりませんが、私の記憶では、まとめて契約すればそれだけ安くなるわけでありますが、三年分程度の契約でありますと、一トン当たり千二、三百万円、五年程度でありますと一千万円、七年程度でありますと、トン当たり九百万円程度であったと記憶いたしております。これは途中の輸送費を含めてであります。
  112. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、大体そんなような見当で、なるべくならばひとつイギリスで早う処理させてしまおうというお考えのようでありますが、そうすると、その場合は、当然に、電気会社の所有に帰するプルトニウムは政府で買い上げる、こういうことになりますか。
  113. 村田浩

    村田政府委員 その趣旨が、政府といいますか国のほうで行ないますプルトニウム燃料の研究開発に使うプルトニウムを早く得たいということでありますので、その必要の範囲内、当然、この程度の量でありますと、すべて範囲内になるわけでありますが、買い上げたいと思っております。
  114. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 念のために、大体プルトニウムのこれから数年間の使用計画、先ほどの研究開発用に年々どれぐらい使うものか、そして、いまの原子力発電会社の使用済み燃料ではどれぐらいのプルトニウムが入手できるものか、承りたい。
  115. 村田浩

    村田政府委員 ちょっとこまかい数字を記憶しておりませんが、五年分として二百数十トンの燃料を送りますと、これによって得られるプルトニウムは大体三百五、六十キロであったと記憶いたします。  他方、プルトニウム燃料中心とするわが国におけるプルトニウムの研究開発に必要なプルトニウムの量は、この十年間の累計で申しますと、大体三トンを少しこえる、つまり三千キログラムを少しこえるぐらいになろうかと思います。
  116. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、当然に、これは日本の研究開発用の一部に充てるということが原則になって、そして早くプルトニウム自身を入手されるという方針で、あとはなるべく経済ベースで、ぼられぬようにやるということだろうと思いますが、それであるならば、なるべく早急にそのような方針を私は立てられるべきだと思います。いまのように、もしそれが逆に政府で保管しようということが前提であるならば、先ほどの予算措置の中で、保管用の設備費がとれるかとれないかということが大きな条件になろうと思いますが、そうでないのならば、これは早う方針を大体きめながら、きめながらというより、きめてしまったらおかしいかもしれませんが、その方針電力会社とイギリス側と早く条件交渉を最も有利にやらせるというのが筋ではなかろうか、こう私も思うわけであります。  それからもう一つ伺いたいと思いますが、それならばほんとうはそれでいいのだけれども、もしこの使用済み燃料自身をどこか処分しなければならぬという場合には、これは先ほど、言うならば第三の考え方があるかと伺いましたね。それは私はあり得ないと思うのですが、もしそのような場合には、これは特別の船をつくり、特別な容器をつくてやらなければならぬことであるし、わが国のプルトニウム政策からもとても考えられないものだ、こういうふうに私は思うのですけれども、何かそういうことも考える余地があるのですか。使用済み燃料をそのまま日本側の責任で送ってそして何とかしょうという、そのためには、だから、船だの容器だのというものを特別なものをつくらなければならぬ。おそらく私は一年も二年もかかるだろうと思いますが、そういうことも考えられたことがあったのですか。
  117. 村田浩

    村田政府委員 日本側で使用済み燃料をキャスクに入れまして、それをはるばるイギリスまで送るというような計画を私どものほうで具体的に考えたことはございません。ただ、一つ、原電の燃料ではなくて原子力研究所にございます研究用原子炉、この二号炉、JRR2といいますが、これに濃縮ウラン燃料を使っております。この使用済み燃料を原研が船会社契約いたしまして、これまで二回アメリカまで送り返したということはございます。
  118. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 公益業事局長がおいでになっておりますから、念のために一言承っておきたいと思いますが、この処理の問題は、大体いまのような方針で処理されようということらしいと思います。あとからこれは伺いますけれども、この原子力発電所のコストは相当高くついていると思います。その上に持ってきて、この使用済み燃料の処理のための費用がこれにかさんだのでは、一そうこれは料金高を来たして困ることになると思うのです。だから、原則的にはあくまでも使用済み燃料というものについては、最初の方針どおりに、処理とプルトニウムと少なくともとんとんで差し引きゼロだというような考え方中心になって、今後の折衝が進められなければならぬものじゃないかと思いますが、似たような考え方でおられるか、また、特別に何か考えがありますかどうか、承りたいと思います。
  119. 安達次郎

    ○安達政府委員 ただいま科学技術庁からのお答えに賛成でございます。
  120. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 原電一号炉の使用済み燃料の問題につきましては、ちょうど新聞記事に出ておったものでありますから、私は気になって伺ったわけであります。いずれにいたしましても、プルトニウムの問題とコストの問題と、両方をとらえて、私は早急にひとつ方針をきめられるように、しかも、それは原子力政策の一環でありますから、そのような立場で進められるようにお願いをいたしたいと思います。  通産側に伺いますが、いま話が出ました原電の東海一号炉、コールダーホール型は、昨年から運転を開始したわけですね。この運転を開始しておる東海一号炉の発電原価は大体どれぐらいになっており、それから、いま東電に売られておると思いますけれども、東電への売電価格はキロワットアワー当たりどれぐらいか、伺いたい。
  121. 安達次郎

    ○安達政府委員 御承知のように、原電一号炉は、最初の原子力発電所でもあります関係上、いろいろと困難にぶつかりまして、完成が予定よりも大体三年程度おくれてまいっております。まだ十六万六千までの全出力は出ておりません。それで、最近まで十二万五千で一部使用認可をいたして営業させておるわけでございます。ただいま、今月一ぱい補修中でございまして、これがほかに支障がなければ、全出力になるというような状況でございます。  そのような事情から、当初の建設予定が三百五十億でスタートしたものが、建設費の増高、それから金利の増高等から、約四百六十五億、約百十五億程度の増加になっております。この増加した部分の大部分、そのうちの約百八億程度を九電力がいわば共同の研究開発費というような形で、別途各社がそれぞれ負担いたすことにいたしております。したがって、発電原価のほうは、やはり最初のスタート当時に予想されました初年度四円九十九銭、約五円程度、耐用年数二十年間の平均で大体四円二十銭程度という当初の予定が、ほぼこの程度の線でおさまるのではないかというふうに見通しをしております。  なお、ただいままで一部使用認可をいたしました後に、仮払いというような形で東電に売っておりますのが、四十一年の七月ごろから九月の末までキロワットアワー当たり三円七十銭、十月一日からことしの三月三十一日まで四円三十銭というような仮払いをいたしております。  以上でございます。
  122. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、いまのお話は、要するに建設費が予定よりも相当かかった、そのかかり過ぎた分を百八億ですか、そのぐらいに見て、これは言うならば研究費みたいなものだということで、電気会社同士で負担し合うということにして、あとは普通の価格でも、これくらいは何とかかんべんせいというので、東電に売っておる。現在の価格はキロワットアワー当たり四円三十銭、こういうことですか。念のために、そうですね。  これは有澤先生御承知のように、この原子力発電会社をつくるときの論争というのを覚えておられると思うのですが、特に河野・正力論争というのがあったのを御存じでしょうか。
  123. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 よく覚えております。これはどうしても電発といいますよりか、国が原子力発電株式会社に参加しなければいかぬということでした。というのは、要するに、この発電会社がたいへん有望であって、民間だけが独占的なような状況になるのはまずいので、国もこれに参加すべきであるというのが河野さんと正力さんとの間の論争であったように私は記憶しております。
  124. 佐々木良作

    佐々木委員 これは昔の話ですから、どうでもいいんですけれども、私は、いま非常に吟味しなければならない段階に来ているとほんとうは思うんです。河野さんは、国も参加ということよりも、むしろこれは国の責任でやれ、こういうことだったと思うんです。正力さんは、民間でやれ、こういうことだったと思うんです。この河野・正力論争というのがぐっと上がってきた。私は小さいながらその中に割って入って、特殊会社でやってくれという案を出して、そうしてごちゃごちゃなって、そして最後に、正力さんが押し切って、完全な民間会社となって発足した。その前提には、そろばんが合うということがあったわけです。当時は佐々木さんが局長で、わしがあぶないものだと何ぼ言っても、ううん絶対だ、こう言って力まれたんだ。これは相当そろばんに合っていると思うがね。そういういんねんづきで出発したと思うんです。長官に御承知おきをいただきたいと思うのは、民間でやったことが間違いであったか、あるいは国が直接やるということがよかったかということではなくて、このものが持った意味は何であり、このものの意味をどうして生かすべきか、ほんとうはこういうことだと思うんですよ。ところが、いまやこれは顧みられない。おかしいことだと思うんです。  だから、もう少し話を進めてみましょう。いずれにしても、百億円以上のそろばん外の金が間違いなしにがかった。最初のものですから、期間もざっと倍です。金も三分の一、おおかた倍近くかかったということですよ。しかも、それは日本がやったんじゃなく、イギリスがちゃんとできるようにしてあるもの、これはもう間違いないんだといわれたもの、悪口を言う人は、建設については、ターンキー・システムだと言うて、日本人は手をうしろにこまねいておって、何にもせずに、イギリス人が出てきて、イギリスの人々がそのままやって、できましたよというて、あとからかぎをもらって、かぎをやりさえすれば動くようになる。これほど日本人が参加をせずにやられたものです。そしてたぶん、このための技術提携がメーカー側にどの程度やられて、どの程度効果をあげておるかというのは、まあたいしたことはないもので、何ということはなさそうな気がするものです。それであっても、予定よりも倍の期間と倍に近い金がかかってやられている。そのために、ともかくこの計画に食いついてやったものは、いずれにしてもどろんこになってやったことは間違いないと思うんです。にもかかわらず、非常に高くついておるということですね。  念のためにもう一ぺん、公益事業局長、これはいま東電に売られているんでしょう。先ほどの百億は研究開発費として、しかたがない、九社で分けるといたしまして——これは分けることもほんとうは問題があると思うんですよ。しかし、しかたがない、分けるといたしましても、東電側には一体どういうことだろう。その比較をしたいと思うのです。けれども、現在の東電の火力の発電原価というものはどれくらいですか。重油と石炭と、どんなものですか、大見当でよろしいです。
  125. 安達次郎

    ○安達政府委員 最近一番新しい姉崎あたりの六十万キロユニットで二円五、六十銭かと思います。
  126. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 東電で水火力平均したら、大体どれくらいの原価ですか。
  127. 安達次郎

    ○安達政府委員 手元に正確な数字はございませんが、感じで言いますと、三円を若干こすくらいかなという感じで見ております。
  128. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 長官有澤先生、いまお聞きのように、そんなようなことらしい。いま東電の買っている値段は四円三十銭、そうして東電の新鋭の火力であれば二円五十銭、たぶんいまの石炭火力くらいならば三円二、三十銭じゃないですか。そうして水火力の平均でも大体三円十銭程度、どれと比較したらいいかわかりませんけれども、私は、本来であるならば、このどこかと比較をしなければならぬので、まあ東電の原価のどれに比べるか、重油火力に比べたらよ過ぎるでしょうし、石炭火力に比べれば悪過ぎるでしょうし、平均適当なところにとって東電の電気の元値は三円前後、こう見ればいいのではないかと思うのです。  そうしますと、四円三十銭で買いますと、これはまだ十分なことになっておらぬが、全部ベターに出だすと、原子力発電会社の東海炉のほうは、キロワットアワーでどのくらいの電気が出ますか。まあ大体十億キロワットアワーくらいでしょう。目の子でみると、そんなもんでしょう。十億キロワットアワーということは、四円三十銭と三円前後と比べると、年間にすれば十四、五億じゃないですか。この十四、五億という言うならば損失、これは長官、当然に東京電力が負担すべきものでしょうか。いま東京電力が負担しているんだけれども、百億を九電力に分けながら……。どうお考えになりますか。
  129. 安達次郎

    ○安達政府委員 直接のお答えにはならないかもしれませんけれども、一応原電については国からは電発を通じ、それから九電力は全部出資しております。いま全部無配でございます。そういう意味からいいますと、電力十社が全部で一部の負担をしょっておるということになろうかと思います。  それからもう一つ、それを一社である東電だけにかぶらせるのが適当かどうかという問題、むずかしいわけでございますけれども、この場合、このコールダーホールの東海一号というのは、いわば電力サイドから見ましても、やはり運転技術なりその他のいろいろな勉強の場でもございまして、そういう意味で、研究開発的なファクターが大きいという意味でもある。そういう意味では、コストが高くても、最近電発で石炭火力をつくってでも、それぞれ九電力が引き受けるというような趣旨と同じで、全体のコストの中に溶け込んで、それでもって吸収していくということになろうかというふうに考えます。
  130. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 私は原子力政策を推し進めるための一環としてどう考えるべきかという政策立案の過程で、そういう立場からひとつお考えいただきたいという提案のしかたなんです。ですから、公益事業局長がいまの法制のもとで行政する形で結論を出されても、それはやむを得ないことだと思うのですけれども、そこに無理がありはしないか。年間まず百億、研究開発費として予定より多くかかったというので、株主であるがゆえに負担をして、だから九つで分ければ十億以上も金を出した上で、しかも年間十四、五億の損失を来たすということを、それをそのまま当然のこととして、東京電力でなくても電力会社、つまり民間負担としてそのままにしておいていいものであろうか。いま公益事業局長が言うように、これは、言うならば血となり肉となる、回り回って電力会社のためになるのだという理屈をこじつけて、やむなしに目をつぶってのんでおると私は思うのです。だから、電気会社はこりているから、このにがい薬を飲まされたのでこりてしまっておるから、今度は原子力発電会社に次のことはやらしはせぬ、こんなものやったら、新しいものをやられてまた高いものについたらかなわぬ、それよりは外国で十分でき上がって、間違いないそろばんに合うものというものを持ってくるにこしたことはない、そう考えるのは私は民間会社としては当然の考え方だと思うのです。  そこで、長官にお考えをいただき、御所見を承りたいのは、いまそのような形で政策が進められておって、ほんとうに技術を日本のものにするための事業が行なわれるであろうか。丹羽先生がこの間から盛んに言われておりますのは、メーカーにともかくやらせてみい、需要があればメーカーはみずから技術を習得しつつあるから、やればだんだんと技術習得が行なわれる、外国技術の習得、外国技術を国産化するのにはやってみなければあかぬのだから、したがって、ユーザーである電気会社日本のメーカーに注文を出せ。有澤先生も同じことを言われるのだ。やらなければできないので、外国から買う前に、あるいは一つ買ったら、その次はすぐ勉強させる意味日本のメーカーに発注せいと言われる。しかし電力側になってみれば、自分が出してつくった会社でそろばんがだいじょうぶだというところでやっても、思いがけないこれだけの損がきたわけです、原子力発電会社の。電気会社の株主というのは社会化し過ぎちゃっているから、だれもわけがわからずにおこらぬからいいようなものの、私は一株買って今度は総会に行ってあばれてやろうかしらんと思っている。何のためにおまえらそんなつまらないものをつくって銭を出してやった、その負担は電気会社が負うというのは、株主であるおれもその負担をこうむっていることじゃないか、こう言って私はけつをまくってやろうかしらんと思うほど、理屈はその理屈も成り立つと思います。したがって、私の申し上げたいことは、このようなリスクは当然につきものだ、これをどう処理すべきものか、これに何とか政策的なこたえ方をしなければ、これはだめなんじゃないかということです。御所見を承りたいと思います。
  131. 二階堂進

    二階堂国務大臣 佐々木さんの御意見先ほどから承って、骨身にしみて私も勉強いたしておるわけですが、原子力の開発の問題は国の政策として進めなければならないということは明らかであります。その進め方については、官民一体となって総力を結集してやろう、こういう態度一つあるわけなのです。そこで十年も二十年も立ちおくれておる原子力エネルギーの開発には、これを世界の水準まで追いつくのには容易ならざる努力が要るわけであります。いま東海村の原子力発電会社の問題も、そういうような、九電力も、また政府も金を出して、あそこに一つの試験的なものというか、つくろうということになってつくったところが、いろいろなものが次から次に起こって、期間もおくれたし、よけいな金が入った、こういうことでありますが、佐々木先生のおっしゃるのは、この原子力政策を国が進めるためには、リスクというものは全部国がめんどう見るべきだ、こういう御主張だろうと思っております。まさしく、そういう割り切った考え方をするならば、いろいろなリスクというものは、国が政策としてやらなければならないときめた以上は、国がそういうものは持つべきじゃないか、私はこれは基本的な考え方だと思っております。ただ、しかし、その次に、民間政府も大学も一緒になってこういうものを進めていくのだ、こういう立場があるし、また、こういうものは民間を主体として今後取り組んでもらわなければならないという立場一つ貫かれておる以上、やはりある程度は——リスクというものは予期せぜるものもある、全く予期せざるものについては国が当然責任を負わなければならないが、当然そういうリスクが考えられるものについては、ある程度民間も一体となって力を合わせていくことが、民間もそれだけ熱意を持ってくるから、そういう仕事に取り組んでいくということにもなろうかと思いますので、いま直ちに割り切って、すべてリスクというものは、国の政策で進めていく以上、政府が責任を負えという考え方はごもっともではあるようでございますけれども、なかなかそこまで割り切って、いま政策としてそういうことを明確にせよとおっしゃることはわからぬでもありませんが、私の立場でもそこまでなかなか言い切れないというような気持ちもいたすわけでございます。
  132. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 いますぐ返事せいというのじゃないのです。本気になって考えてもらわぬと私はあかんのじゃないかと思う。  原子力局長に念のために伺いますが、非常にこれまで進んでおるといわれるたとえばアメリカにおいては、原子力技術の大部分が軍事費で研究開発されましたね。軍事費で研究開発されたアメリカでさえも、私は最初は似たような政策を掲げておったと思うのです。今度は十年おくれて日本と同じようにやったドイツも、これに似たような政策を掲げて、そしてある一定期間のリスクを民間から軽減しながら、この技術を何とか前進させようとした措置をとったと思うのです。このアメリカとドイツとの政策を念のためにひとつ言うてみていただけませんか。
  133. 村田浩

    村田政府委員 アメリカにおいて、現在世界的に広く使われる傾向の出ております軽水炉技術を開発するにあたっては、もともとこの型の原子炉は原子力潜水艦の推進用としての研究がスタートになったわけであります。ですから、当然のことながら軍事予算というものが相当これに投入されたということは事実でございます。それで原子力潜水艦用の原子炉は軽水炉の中でも加圧水型といわれるものですが、その加圧水型を改良して沸騰水型というものをつくり出したのは、アメリカの原子力委員会に所属するアルゴンヌの研究所でございますが、今日GEあるいはウエスチングハウスが商業用原子力発電所として数十万キロワットの規模の軽水型原子炉をつくれるようになりましたについて、試算の根拠は私つまびらかにしませんけれども、ここに至るまでに投入された国の開発費というものは、軍事関係のものを含めまして十五億ドルにのぼっておる、大体その程度の金が現在の軽水炉をここまで発展させるのに投入されたというふうに聞いております。もっとも、最近はGEとかウエスチングハウスというところが自己の技術としてこれまた相当の研究費を投入しておるわけでありますが、基本的に国が、あるいは軍が投入しました費用というのはその程度にのぼっておると言われます。  それからドイツにおきましては、先ほどお話ございましたけれども、みずからの原子炉というものは、ドイツも軍事目的を持っておりませんのでやってきておりませんし、おくれて着手した。この点、日本と似ておるわけでございますが、そこで初めに行ないましたのが、わが国における原研のJPDRと同じ程度の規模の原子炉、これは沸騰水型でありますが、これをまずアメリカから購入しまして、これは完全な購入でございますが、そうして、その後アメリカ会社とドイツの会社が技術提携をしまして軽水炉を国産できるようにしたいということでやってきております。政府としてはこれを助成するについては、一方においては、メーカーが初めて手がける軽水型原子力発電所等を進めるについての研究開発費の一部を出してやる。それは発電所によって金額も違うようでございますが、大体十数億円というものを出してやりまして、これはいわば出しっぱなしということです。それからさらに電力会社につきましては、電力会社がその発電所を国産でつくりまして運転しておるそのことが、その地域における在来型の発電所、火力発電所等を建設した場合に比べて、もし高くついておる場合には、そのために生ずる欠損を総額において、一応九十億円という限度はつけておりますが、その限度までは赤字を埋めてやる。そうして埋めました赤字は、将来その電力会社がどんどん原子力発電等進めまして、利益を生じてくるということになりましたときに、いわば出世払いの形で返す、こういう方法をとって育成しておるようであります。
  134. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 重工業局長、いまのお話で、十分それは重工業局においても研究されておることだと思いますけれども、ドイツにおいて国内メーカーの競争力を強め、そうして国際競争に勝つような技術を習得し発展させるために、いまお話しのようにメーカーに直接の相当大幅な研究開発費を出しておる。民間にですよ、民間がやっても政府からその金を出しておるということをひとつ十分に御承知をいただきながら、日本民間のメーカーの技術レベルアップもひとつ政策立案に——大臣に聞いたって、悪いけれども、大臣のもとはあなた方がやるんだから、エキスを十分につくって出してもらわなければ困る。そうせぬと大臣はあなたのほうから言われて断りさえすればいいんだと思って、民間のことは民間でやるんだなんて答弁すればいいようになって、通産大臣がそういう答弁をされては困るから、きょうは大臣に来てもらおうと思ったけれども局長にかわりに来てもらったので、私は十分にひとつお考えをいただきたいと思うのです。  それから公益事業局長、御承知のように、いまドイツの電力会社に対して、まだ全部じゃありませんで、たぶんまだ二つ、三つしかそのケースに入ったのはないと思いますけれども二つ、三つであっても、いま言うなら、たとえば原子力発電会社、そのような式のものに対しましては、ちゃんとリスクは原則として政府が背負うという前提のもとにワクを百億だか九十億だかつくり、そうしてそこに、在来の発電所と同じように発電したならば生ずるであろうところの欠損部分に対しては九〇%まで補うという政策をぴしっと裏づけして、いまのようなリスクに対しては、言うならば政府がめんどうを見るという立場をとっていると思うのです。  それから先ほど原子力局長お話がありましたが、アメリカのほうのやつですね。軍事費で研究費をあれだけまかなっておきながら、なおかつ初期の段階においては、たぶんうちで言うと、いまの原研炉みたいなものなのか、あるいはその次の炉みたいなものなのか知りませんけれども、そのできたものの発生電力に対しましては、蒸気をはっきりと電気会社が買ってその電気会社にはもう一つも負担をかけない。蒸気の買電価格は、買うほうの会社の損にも得にもならぬ料金で買っておる。そうするとその損失は当然に政府から補うという方針をとってきたと思うのです。それからさらに発電所をつくった場合にも、そこの石炭火力か普通の火力かと比べまして、その火力との差額をそのまま政府が負担するという方針をとってきておったと私は思うのです。全部かどうか知りませんけれども、そういうふうに少なくとも原子力の技術を育てようと思う場合には、どこでも最初からそろばんが合っているんじゃない。そのそろばんに合わないリスクは原則として政府が負担する。民間電力会社民間のメーカーであっても、その技術を習得して発展させるためのリスクははっきり政府が負担するという政策をとって、そして技術をレベルアップする期間をはっきりとかけておる。いまごろになってそろそろ一本立ちになりそうだというのでだんだんと本格的な民間のそろばんに移そうとしておる、大体こういうことだと思うんですよ。ところが日本は、最初から何にもないでしょう。何にもない上に、アメリカのさっきのプルトニウムの政策じゃないけれどもアメリカ中心とした国際的なレベルがそろそろそろばんに合うんだ、だからそろばんに合う状態でやらなかったら、やらぬものが悪い。まず原燃の再処理工場は事業となっておらないのが悪い。それは悪いけれども今井さん、あなたがしかられるのではあるまい。お前さんのやり方が悪いからだ、なまけておったのか、冗費を使ったか知らないけれども、こういう感じで初めからにらまれているというところに問題があって、しかし、それはきょう大臣が引き受けてくれたんだから、ちゃんと開発費をつけるということだから間違いない。しかし政府の身がわりである再処理工場についてはその技術開発費として政府が持つということも、それほどおかしくないということを長官は了承されたと思う。大体その方針で行かれようと思う。しかし、そこで竿頭一歩を進めていただきたいのは、燃料公社のつくった再処理工場と、それから電力会社が銭を出し合ってつくった原子力発電所とどこが違うのか。原子力の技術を習得して日本のものにしようという意味において、その意味ではどこが違うのか。違うところは、片一方は国であり片一方は民間だというだけの相違ではないか。河野・正力論争で河野さんが負けた結果、電気会社が東電は十四、五億損せんならぬということじゃないか。河野さんにもつと応援すればよかったみたいな話になる。そんなばかな話はないはずだ。両方とも同じように国の技術政策を進めようがために民間の創意くふうをうんと動員したほうがよりよくできるであろうと思う。片方のほうは、そうではなくて、やはり国が監督しておらぬとぐあいが悪いと思って出発した。同じように技術を習得して、そしてそろばんに合うような技術を日本のものにしようという計画だと私は思うんですよ。その計画が、国でやった場合にはようやく——ようやく長官は了承したかもしれないけれども大蔵省は全然了承しておりはせぬ。それをまず内閣で了承さしていただきたい。それが了承できるのならば、同じ筋道であるはずだ。いまの原子力発電会社のコストをもう一ぺん政府に出せなんていうのではないですよ。そうじゃなくて、本来あれも出すべき性質のものだ、そういう感じで今後の技術政策を進めていただきたい。民だから官だからという相違は、私はないはずだ、そういうふうに思うのです。念のために、アメリカの軍事予算の研究開発費の使い方は、国が全部使っておりますか。有澤先生御存じだろうと思う。原子力関係でも、大部分はこれは民間ですよ。これは私のデータが違うかもしれません。いいかげんなところを探してきましたから違うかもしれませんけれども、軍事予算のほとんど三分の一に該当するくらいな大幅の金額が民間の企業か民間の研究所に委託研究費の形で出されておる。それを処理するのは、それを使っておるのは役所じゃありません。民間の人、民間の企業、たとえば東芝、あるいは三菱設立の何とか研究所、ここに国の費用が研究費として出されて、しかも軍事予算の多額なものがここに出されて、民間の創意くふう、創意の知恵をこれだけ動員しようとしているということ、さらにまた、軍事費から出ておる国立研究所自身の経営も民間に委託されているでしょう。局長御存じだろうと思うのですよ。アメリカの国立研究所の運営、経営自身は民間委託ですよ。つまり、民間の知恵と技術と創意くふうを動員するために政府が金を出しておるということです。私は、かくして初めて民と官との知恵を総動員する体制ができつつあると思うのですよ。国自身でリスクは負います、しかし創意くふうは民間でやってくれ、その分は銭を出そうじゃないか。しかも、研究費自身も、それから国でつくった研究所自身の運営も民間に委託している。したがって、連邦と政府と両方から出ておる百億になんなんとする研究開発費の中の三分の二を使っておるのは民間だ、政府の金を研究開発に使っておるのは民間だということです。私はアメリカだけを手本にしたくないのですけれども長官ぜひひとつ、その辺のことを、私の言うことは大うそであるかもしれぬから、あなたのところで研究さしていただきまして、アメリカにおいてはこのようにして官と民とが総力をあげて、知能動員に食いついておる姿を御承知いただきたいと思う。民と官とで分けて、仕分けなんかしておりはしません。ドイツにおいても同様だ。このかまえをぜひ私はお考えをいただきたい。長官から最初にお話しいただいたビッグサイエンスに対する取り組み方の基本は、私はこれだと思うのですよ。これがやれなければ、有澤先生、幾らあなたが官民の、合同の、なんて言われたって、これはだめですよ。今度事業団をつくって、これは官だ、それだけでいこうなんて、これからほんとうはそこを詰めたいと思うのだけれども、あなたが何ぼ号令をかけられて、石野君が質問しておったのに対して、精神的に協力体制を要望されておりました。そのお気持ちはよくわかりますけれども、なかなかもって、日立さんでも、東芝さんでも、東電でも、関西電力でも、何よりかわいいのは株主でなければならないはずだ。そうでなかったらこれはおかしい話だ。その方針でいきますと、協力だとかなんとかいったって限度があって、それをしいることは圧力ということであり、行政指導の名のもとに行なわれる好ましくない現象だということになってしまうのだと私は思うのです。  演説ばかりして恐縮でありますけれども、こっちから聞いておったのでは何ぼ時間をかけてやってもどうにもならぬものですから、まあ、五時がきましたので、皆さん眠かろうと思いますから、この辺で終わりにいたしますが、ほんとうに繰り返し申し上げたいのは、ビッグサイエンスに長官は取り組まれると言った。そして、その双壁の一つが原子力の平和利用だと言われた。原子力の平和利用には官民の総力をあげて取り組むのだと有澤先生は言われた。官民の総力をあげて取り組む姿勢は、これまでの役所の中に、官僚の中にあるレール、そのレールのまま走ったのでは絶対にできないのですよ。だから、ここに新しい政治の力を必要とし、新長官が生まれたのに大いなる期待をかけておるということです。御健闘をお願いいたしまして、本日の質問を終わりたいと思います。
  135. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員長代理 両参考人には長時間にわたり、まことにありがとうございました。  次会は、明十五日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後五時十五分散会