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1967-05-25 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十五日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 矢野 絢也君   理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 中曽根康弘君 理事 渡辺美智雄君    理事 石野 久男君 理事 三木 喜夫君    理事 内海  清君       池田 清志君    岡本  茂君       佐々木義武君    世耕 政隆君       増岡 博之君    加藤 勘十君  出席政府委員         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君  委員外出席者         宇宙開発審議会         委員      宮地 政司君         科学技術庁宇宙         開発推進本部長 高木  昇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(宇宙開発に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 矢野絢也

    矢野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  宇宙開発に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 きのうの理事会資料要求をいたしました。この件について、高木さんもおいでいただいておりますので、その趣旨、それから考え方を申して御協力をいただきたいと思います。  その本旨というのは、宇宙開発という仕事が大きな仕事になってまいりまして、しかも、国の責任においてやらなければならない部面が多分に出てきたと私は思うのです。そういう見地から、各方面にわたってこの際検討と、そして論議をやらなければいかぬじゃないか、こう思うのです。したがって、そういう意味合い資料でありますから、そのつもりでひとつ御協力をいただきたいと思います。これが一つであります。  それから、高木さんにおいでいただいて、数々のことをお聞きします。これは単に宇宙航空研究所長であるところの高木さん、宇宙開発推進本部長であるところの高木さんを追及するという意味合いではございませんので、よくその点は御了解いただきたいと思います。このビッグサイエンスに取り組むところの国のあり方はどうかという見地から反省の上に立って御質問申し上げたい、こう思うわけであります。  最初に、一つのできごとでありますけれども、この点からお聞きしたいと思います。それは、先般、東大宇宙研インド軍人が留学しておったという記事が出ておりますが、これは大学の自治、学問の自由、平和目的をうたっておる東大立場といたしますと、たとえ知らないといっても、これはやはり問題であろうと思います。なぜ問題かといいますと、知らず知らずの間に軍事に利用されていくという、このことがこわいのであります。そういう立場でお聞きしたいと思います。新聞によりますと、平和目的にこれは違反ではないか。事情を知らずに受け入れたとはいえ、非常に考えなければならぬことではないかというような趣旨記事が載っておるわけです。この件についてお聞きしたいと思います。  それからもう一つ米陸軍極東研究開発局から研究資金援助東大宇宙航空研究所は受けておる。これは、旅費程度援助であります。一回目は十六万円ほど、二回目は三十八万円ほどを受け取っておるのです。額は少ないですけれども、ここにも、知らず知らずの間に軍事と癒着する面があるわけでありまして、この二点を、小さな問題だと思われるかもしれません。失敗だった、知らなかったんだと言われるかもしれませんけれども、そういうことが私はこわいと思うのです。  昨年度でしたか、この委員会におきまして、ロケット開発ミサイルとは、底辺におきましては、業者のところでもう連通管のようになっておるから、言うなれば、これは男湯女湯の違いで、下は湯は同じように通じておるんだ、こういうようなことを私は言ったことがあります。一昨年だったかと思います。そうして、今回の論議の中でも、あなたは武器であるとか武器でないとかいうところのごまかしにひとしいような答弁をされておって、私は非常に不満に思ったのです。  そういうところから軍事でない、あるいは結合しておるのではないというだけでは済まされぬものが出てきたと私は思うのです。知らなかったでは済まされぬものが出てきておるような気がするのです。その点について御答弁をいただきたいと思います。
  4. 高木昇

    高木説明員 第一の、インド人軍人宇宙研に来ていた、こういうお話でございますが、これは新聞に報道されたのは事実と違っております。  インド大使館に私のほうで確かめまして、そこの一等書記官がはっきり軍人ではございません、こういうふうに保証してございます。そういうことでございます。それから本国からもその点の報告が、私のところにあったわけではございませんが、外務省に公式に来ている、こういうふうに私は聞いております。したがいまして、私は履歴を信用して受けましたのでありますが、履歴にはドイツの大学とか、あるいはアメリカ大学で勉強もし、講師もしていたということを書いて、なおそれが軍人でないことを確かめてございます。この点は、インド大使館の証明も必要ならば取り寄せます。  それから第二は、ただいま御指摘のありました私のほうの教授学術国際会議に参加するための旅費を、米軍から切符をもらったという点でございます。その教授が昨日の教授会でちゃんとそのいきさつを弁明いたしましたが、この会議希有気体国際会議で、五回も続けております。主催者オックスフォード大学でございます。それにNASAとかイギリスのロイアルソサエティーとか、それにエアフォース、空軍が入っております。もちろんこの教授は、その会議に参加するために、何と申しましょうか、そのシンポジウムを開く大もとに旅費援助を依頼したのでございまして、それが軍の切符が来たということでございます。  私は、そのときにといいますか、その事実を知らなかったものですから、この点は私から不行き届きであったことをおわび申し上げますが、そういう国際会議に各国の人がいろいろ旅費援助を求めておりますことは知っております。私たち、きのうも教授会でこの点は反省をしておるということだけ申し上げたいと思います。
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 お調べになったようでありますけれども、この新聞によりますと、空軍技術将校空軍中尉だといっております。あなたは、このことにつきまして、軍人ではない、いまこうおっしゃっております。この新聞記事によりますと、あなたは、これはインド政府責任で、そうしてツンバの基地が空軍所属になっておったということを知らなかった、コスパルの関係の人だ、こういうふうに思っておった、こういうふうにおっしゃっております。しかし、空軍中尉ということが出ておりますので、なお私も疑問に思いますので、これは後ほど検討してみたいと思います。  それから、いま米陸軍極東研究開発局から研究資金援助東大がかなり受けておる、これはその一部分であります。そのことの可否につきましては、世論いろいろ取りざたしております。そういうこと全体に触れる気持ちはありませんけれども、私が申し上げたいのは、ロケットというものが科学衛星実用衛星方向を目ざしておる途中において、軍事と結合するようなことでは困るということを言っておるわけであります。東大建学精神、それから学術会議決議、それから宇宙開発審議会基本方策、こういうものに私はもとると思うのです。そういう点はどうですか。
  6. 高木昇

    高木説明員 東京大学はもちろんでございますし、第一回の答申にも宇宙開発は平和、公開、国際協力というふうに原則をきめられております。  学術会議でもそのとおりでございまして、私たちその線に従って、そういう誤解を生じないように一生懸命にやっておるつもりでございます。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 だから、私は建学精神にもとろうとはあなた思われないだろうと思う。しかし学術会議が、二十五年の四月に、戦争目的に関する科学研究には今後絶対に従わない、さらに宇宙開発審議会が、三十七年五月、宇宙開発平和目的に限る、こういう決議をしておるのですけれども、こういう事態が次々起こっていきますならば、単なる決議では私はもう用をなさない、こういうように思うのです。したがって、絶対に軍事利用はしないというところの歯どめが、私はこの際必要だと思うのですね。あなたはこれについてどう思われますか。歯どめの必要があると思われますか。決議建学精神宇宙開発審議会基本方策と、これだけあればもうだいじょうぶだ、このように思われますか。
  8. 高木昇

    高木説明員 私、その歯どめという意味がちょっとわからないのですけれども、たとえば立法とか、そういうことになるのでございましょうか。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 立法、ええ、そうです。
  10. 高木昇

    高木説明員 私、ちょっと個人的にはその辺が——たしか原子力にはそういうものがあるように伺っておりますし、国連でも宇宙平和利用というふうな国連の条約みたいなものができて、日本もそれに加盟するやに聞いております。それやこれやがいろいろ出てくるんではないか。そういうことがだんだんと日本の中でも世論として起きてくるのではないかと思います。私はそれに対してたいへん賛成であります。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、法律によって歯どめをする、こういうことには賛成なんですか、反対なんですか。
  12. 高木昇

    高木説明員 法律をおつくりになられれば、私は法律には従がわなくちゃならぬと思っております。私たちほんとう平和利用精神を持っておるつもりでございますし、東大としてそういうことが許されるわけではありません。たとえば、先ほどのインドの人でも、あとから調べてそうではないということを言われておりますので、私は今後もこういうことは気をつけていく、こういう決心でございますので、それに歯どめができましたならば、私どももそれに当然従う、従わなければならぬと思います。
  13. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それはおいおい質問の中でその点を明らかにして、あなたの決意を聞いていきたいと思います。  いま二つの問題を提起いたしましたが、これについては気をつけるということでありますから、今後どうぞ気をつけてください。  そこで、技術報告書を、実はきのうの理事会要求したわけです。この技術報告書について、あなたの決意をひとつ聞いておきたいと思います。  十一日と十七日の委員会で、ラムダ4Sの一、二、三号機に関する詳細なる技術報告書を早急に提出するように要求しておきまして、そして、きのうの理事会でその確認を得たわけであります。  まだそれができないかどうかということをひとつお聞きしておきたいと思います。
  14. 高木昇

    高木説明員 ただいまみんなの原稿を集めておる中途にございまして、まだでき上がっておりません。それで、非常にお急ぎというふうに私聞きまして、所内に帰ってはかりましたのですが、それでは、印刷じゃなくてリコピーをたくさん焼くような方式でないと、研究分担をしております連中の話では、六月一ぱいはかかる、こう言っておりました。それはガリ版でございます。ですから、ガリ版をやっておるひまがなければ、もしももうちょっと早くということだったら、手で書いた原稿を焼き増すよりしょうがないだろうこう言っておりましたが、できればガリ版にさせていただきたいと所内連中は言っておりました。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 十七日の委員会のあなたの答弁では、整理済みのデータが各研究者にあるということだったのです。それをまとめて印刷してこちらに回してくるのには一週間以上はかかるということだったので、きのうの理事会では、少なくとも六月の十五日までに出していただかなかったら、この国会が済んでしまうわけであります。国会を済ましてしまって何の論議をするかということですね。そういうことで、最低限の期限はきのう理事会で御了解を得たわけでありますけれども、いまの答弁ではいつ出るのですか。
  16. 高木昇

    高木説明員 六月十五日という御要求でございましたのでしょうか。
  17. 矢野絢也

    矢野委員長 そうです。
  18. 高木昇

    高木説明員 ていさいはかまわずそれに間に合わせるように考えたいと思います。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 少なくとも十五日には間に合わせていただきたいと思います。国会での論議ができないから言っておるのです。  次に、無誘導武器の問題でひとつお聞きしたいと思う。  あなたは、同じく十七日の委員会自己矛盾をおかしておるわけなんです。あなたはこれまで、無誘導ロケットでも、風の影響を補正して打ち上げれば、かなり正確に予定軌道衛星を乗せられるということを言っておりました。ところが、十七日の委員会では、私が、無誘導でもミサイルになり得る、アメリカオネストジョンは無誘導だと言いますと、あなたは、東大観測ロケットは風の影響でどこへ行ってしまうかわからない、そのために危険海域も広くとってある、東大ロケットは当てようと思って打ち上げているのではないと答弁されました。もし、あとで言われている東大観測ロケットは風の影響でどこへ行ってしまうのかわからないというのがほんとうならば、ラムダ4Sは風の影響でどこへ行ってしまうかわからないわけです。つまり、こういう話では、めったなことでは衛星にならないという結論になるわけたんです。そんなものを衛星になる、なると宣伝されて、そして多額の予算をずっと取り続けてやられておるということは、国民を欺瞞していることになるのではないかと私は思うのです。自己矛盾じゃないかと思う。自分にも忠実でないのではないかと思うのですね。その点どうですか。
  20. 高木昇

    高木説明員 誤解を招くような発言をいたしましたらお詫び申し上げます。  カッパーとか、昔の観測ロケットをやっておりましたときに、そのロケットについてわりあいに広い海域、また気象ロケットについてもかなり広い海域をとりましたのは、一に安全を非常に重視しているからでございます。ここ一、二年、正確にはこの一年ぐらいになると思いますが、風を正確にはかるレーダーをつくりまして、気球を何回も上げまして、そしてそれで風向きを正確に勘定いたしまして、その風速を各高さごとにはかる。あと電子計算機でずっと風の影響を出す。この方法を風レーダーとといっておりますが、一年前から——もう二年ぐらいになると思うのでございますが、気球発射前に何回も上げまして、そして地上から一万、二万、三万ぐらいの、ロケットが一番横風を受けて方向が変わりやすいところ、そこを正確に押えるようにいたしまして、その風レーダーで計算した結果、この海域のどこに落ちる、そのあらかじめ予定されたところから外へ出ないように発射角調整するということをやり出したのがこの一、二年でございます。それがだいぶうまくいくようになりまして、それを実施して、確かにレーダーでどこへ落ちたというのがわかりますから、それとあらかじめ予測して角度を変えたのが合うか合わないか、それをだんだん何回もやりながら修正して、風による分散をできるだけ少なくするというやり方を実施したのは、その風レーダーが備えられてからでございます。したがいまして、いま大体横風その他の影響を受けてどの辺の範囲に落ちる、それが安全海域の中であるということを確かめてやるようにしておりますので、たいへんオーバーな、どこへ行っちゃうかわからないということは、これはもうとても許されないことでございまして、もしオーバーな表現があったといたしましたら訂正さしていただきますが、いまは風の影響を受けてなるべく分散を少なくするようにということに努力しております。  その結果、たとえばL4Sの場合でございますが、三回目は六十四度、それに一段、二段と乗ってまいりまして、それは地上の風の影響がありますが、こういうのを一回、二回確かめながら、風によってなるべくその軌道がはずれないようにあらかじめ前調整をやる。それは一に発射前の風の影響がどのくらい正確にはかれるかということに関係してくるわけで、そのほうにいま非常に力を入れて分析をしておるわけでございます。ですから、そういう意味精度は実効上そう悪くない、悪くないというか、この間の報告にも書きましたとおり、ほとんど予定軌道に乗って風の影響を受けながら行った、こういうことを報告しております。これは報告書にちゃんとレーダーの軌跡を添えますからお認めいただけるだろうと思います。
  21. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは誘導か無誘導という問題で論議したことであります。その中であなたが、予定軌道に正確に無誘導でも乗せることができる、こういうようにおっしゃったのです。しかし後段では、どこへ行ってしまうかわからない。こういうわからないものを軌道に乗せられるかということが私たちの論旨です。だから、もっとそれをせんじ詰めますと、東大ロケットが無誘導だというところに問題があるんじゃないかと私は言ったわけであります。いまのお話では、かなり正確に風の影響を測定して打ち上げる。なるほど尾翼に対するところの風の影響は、前から受ける場合、横から受ける場合、下から受ける場合、いろいろ違ってくると思います。そのロケットが立ったり、あるいは寝たり、右に偏向したり、いろいろ違ってくると思います。そういうやり方自体が、誘導装置をつけてやることがいいんじゃないかという結論を私は持っておるわけなんです。そういう論議の中で、あなたのおっしゃったことが矛盾しておる。ことばじりをつかまえるのじゃないのですよ。そういう前提があるのです。誘導装置をつけるほうがいいんじゃないか、ここに日本ロケットが弱いんじゃないか、こういうことを言ったわけです。その中の答弁で、非常に非科学的な答弁をされたので申し上げたわけであります。そうすると、結論として、そういうような無誘導でも風の影響を考えて正確に軌道に乗せることができる、こういうことが正しいのですね。  次に、この前の論議の中で、私ももう一ぺん読み返してみて疑問に思うところがあるわけです。これは武器であるかどうかという論議の中で、やはり矛盾をおかされておるわけです。これは十七日の委員会ですけれども、オネストジョンは初速度を早くして、風による分散影響をなくして、命中精度を上げていると答弁した。つまりラムダ4Sは初速がおそいから命中精度が悪くミサイルにはならないという見解だったと思うのです。しかし、これもでたらめであろうと私は思う。私はオネストジョンについて調べてみました。それは無誘導固体ロケットで、長さは七・五メートル、直径は七十六センチ、これはラムダS一段目とよく似た大きさです。そして速度最初毎秒六百十メートル、一方、ラムダ4Sの第一段目が燃え尽きるところの速度秒速千二十メートルと発表されておるわけなんです。オネストジョン秒速六百十メートル、ラムダ4Sは秒速千二十メートルです。どう考えてもラムダ4Sの初速がおそいとは思えない。ところが、われわれが技術的な知識が乏しいということを幸いにして、口から出まかせの答弁をされておるのじゃないか。その場のがれでやられては国会審議には私はならぬと思う。これは国会を軽視した、ばかにされた発言ではないかと思うのです。私はそういう非常な公憤を持っておるのです。ラムダはおそいから、そして風の影響を受けるから兵器にはならぬということは、結局これはうそにひとしいと私は思う。兵器になるじゃないですか。
  22. 高木昇

    高木説明員 私、オネストジョン速度とか性能については、よく知りません。  いまお話しになりました七・五メートル、七十六センチの御比較一段目速度比較でございましょうか。あと二段目、三段目——ラムダは三段ロケットでもございます。これをどういうふうに比較したらよろしいのか……。こういうことは申し上げられると思います。観測ロケットではペイロード搭載重量をなるべく大きくしたいのですけれども、オネストジョンなり兵器がどのくらいの炸薬などを積んでいるのか、私はよく存じません。ラムダの場合には一段目は全部推薬を入れております。二段目も全部、あるいはその一部に観測機器を八十キロとか八十五キロとか入れておりまして、したがいまして、燃料重量オネストジョンに比べて相当多いのじゃないかと思いますが、直接ロケット同士比較は私にはできません。燃料が多くて、そして推薬がゆっくり燃えていて、できるだけ燃料を詰めれば詰めるほど高く上がるわけでございますので、そこの計器重量を犠牲にしてまでも燃料を一ぱい詰めて高く上げたい、こういうふうに設計をしておりますので、いわゆる兵器の場合には、炸薬を二百キロとか三百キロ積んで初速を増すとか、そういうこととは設計の観点も違うのじゃないかと思うのです。私、実際申し上げて、兵器性能とか、速度とかまたそれを見比べてラムダ設計をしているというわけでもございませんので、私たちとしてはこれだけの高度にせめて百キログラムなり八十キログラムの計測器を上げてほしい、そういうことにした場合の安定、不安定の問題、一段、二段、三段と離れてもロケットが正常に飛ぶかとか、そういうことプラスできるだけ燃料を積んで高く上げたい、こういうことを考えておりますので、いまの御質問に満足のいくようなお答えができないのでございます。
  23. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は知らないとおっしゃるのは、ちょっとおかしいじゃないですか。あなたは、オネストジョンは初速度を早くして風による分散をなくし命中精度を上げていると答弁しておる。だからオネストジョン武器です。しかしながら、ラムダ速度がおそいのですから武器にはなりませんと言う。この答弁の中での話ですよ。だからオネストジョンを知らずに、兵器であるか兵器でないかという例にこれを用いられることの矛盾を言っておるわけなんです。それから、ラムダ4Sとオネストジョンとの比較は、これは私は知らないというようなことではいけないと思うのです。それから胴体だとかあるいは重量とか、こういう問題は私も両者を比較検討してみたのです。そうすると、オネストジョンは長さ七・五メートル、ラムダ4Sは入・三八メートル、直径は七十六センチと七十三センチ、重さは二トンと五トンとあるのです。それから燃料はどっちも固形。補助ブースターは、オネストジョンにはない、ラムダ4Sにはある。誘導オネストジョンはしない、ラムダ4Sもしない。速度オネストジョン秒速六百十メートル、ラムダ4Sが千二十メートル。到達距離オネストジョンは二十キロメートル、ラムダ4Sは七十キロメートル、こうなっておるのです。  ここで私が問題にしたのは、あなたは速度がおそいから兵器にならないのだと言っておられるけれども、オネストジョン秒速六百十メートル、これのほうがおそいのですよ。だから、こんなオネストジョンを持ってきて、兵器であるか兵器でないかの比較にこれを使われて、しかも、オネストジョン性能を私は知りませんと言う。いいかげんなことを言うにも私はほどがあると思うのです。兵器であるとか兵器でないか、兵器になるかならぬかという比較オネストジョンをあなたは持ってこられたでしょう。あなたそれは速度の問題で持ってこられたのじゃないですか。そうして私たちが調べてみますと、そういう矛盾が出てきておるわけだ。本部長として、これは兵器であるか兵器でないか、あるいはまた、軍事に利用されるか、軍事に利用されないかという、やはり私たち心配がある。その心配の関頭に立って、こういう兵器であるか兵器でないかという問題一つ持ってきても、そんなあいまいなことでは困ると思う。そういう点で申し上げておるので、きょうのあなたの答弁によりますと、よけいややこしくなってくる。
  24. 高木昇

    高木説明員 どうも申しわけございません。オネストジョンの名前が出たのは、前回三木先生からそういうオネストジョンというお話が出たもので、私は兵器の概念、常識について——私、オネストジョンを調べてないので、そんなことではいかぬとおしかりを受けるかもわかりませんが、しかし兵器の概念は、きっと初速度が速いのだろう、私、大砲から比べてそう存じておるのでございますし、たしか対戦車砲というのは速いというふうに伺っておりますけれども、私自体これに立ち入って調べるわけでもございませんので、どうかその点ひとつ御寛容のほどを願いたいと思います。  この数字を比べてみると、いまおっしゃいましたように、片や二十キロメートル、高さでございましょうか、水平距離でございましょうか、こちらは七十キロメートルというふうに出ております。秒速六百というのも、燃料を燃やして、燃やし終わったときに最大速度が出るので、これは最後の速度と私考えられます。静止しておるところからゆゆら上っていくわけでございますから、私が申しておりますのは、これも私、オネストジョン推薬の成分なりがどういうものかよく存じませんので、ただ、たぶんここのところ、一番風の影響を受けるのは、速度ゼロから上がって千メートルくらいの間に一番風の影響を受けまして、これだけ毎秒六百メートルも出てしまえば、もうそう風の影響を受けないわけでございまして、したがいまして、観測ロケットではなるたけランチャーを長くして、レールの上で、そこから離れるときには毎秒二十メートルとか四十メートルくらいの速度にしておいて、そうして、横風の五メートル、十メートルがあまりきかないようにしよう。それで私もオネストジョンのことを知らないでこういうことを申し上げてはいけませんが、もし兵器用で風の影響を受けさせまいと思えば、発射したときには非常にスピードが出て、あとは空気の濃いところはゆっくり走ったほうがよいかもわかりませんので、たしか推薬では最初の燃えるときには早く燃えるものをやって、それが燃え尽きるとおそく燃える燃料に移る、そういうふうな燃料のくふうをしてあるものもあると私は聞いておるのでございますが、一番風の影響を受けるか受けないかは、ランチャーを出たとたんでございまして、最終の速度燃料の大きさその他できまると考えております。  どうもたいへん矛盾したことを申したということをおとがめのようでございまして、このオネストジョンについては先生のほうからちょっとおっしゃられたものでありますから、兵器というのは、まあそういうものではないかという推定で申し上げたのでありまして、たいへん誤解を招いて申しわけございません。
  25. 三木喜夫

    三木(喜)委員 高木本部長誤解ではないのです。私は正しく、あなたのおっしゃったことを帰って検討し、検討して、そして申し上げておるわけです。話の順序を考えてください、そして話をそらさないようにしてください。これはかつての論議の中であなたがこういうことを言っておられる。ラムダ4Sは無誘導ですからこれは兵器にはなりません、こうおっしゃった。それなら無誘導でもオネストジョンがあるじゃないですか。これは兵器じゃないですか、こう言うのですよ。これは私の誤解ですか。  次に、あなたが、この間の答弁では、兵器にならない一つの理由として非常に速度がおそいですと、こうおっしゃたから、きょう、速度はおそくないじゃないですか、千二十メートルと六百メートルとどちらがおそいのですか、オネストジョンのほうがおそいじゃないですかと言うと、兵器比較について、兵器かどうかは知らぬ——オネストジョンを知られないで兵器になるか兵器にならないかという、そういう判定をされるのはおかしいのですよ。それを燃焼時間がどうやらこうやらと、こう言う。それはあります。なるほど空気の稠密なところを早く抜け切らぬことには風の影響を受けますから、したがって早く抜けようとするしかけがしてあることも事実ですけれども、それなら両者の燃焼時間の比較を出してください。どれだけ燃焼するか、空中を抜け出す間の燃焼時間が問題になってくるのです。それから目標に向かって違わなくいかなければいかぬというようなしかけになるわけです。その比較を一ぺん出してください。そう違わないと私は思うのですけれども、燃焼時間がどうだとか、固体燃料がどうだとか、これは両方とも固体燃料じゃないですか。重さだとかいうようなことを言っておりますが、その重さをみな入れての上で速度がそういうぐあいに出ているのです。それは最終速度か、あるいは初速速度かということが問題になってくるでしょうけれども、そういう論議の発展から兵器兵器でないか、兵器になり得るかどうかという話をしたわけです。  これは、ラムダ4Sは兵器になるのですよ。その上につけるものによって兵器になるのですよ。私はしろうとでありますが、そう思う。だから、こういう問題についても、最初から申し上げておりますように、そういう設計図も出してもらいたいと思うのです。あなた方のところから出ておると、こうおっしゃるかもしれませんけれども、設計図らしいものは出ていないわけなのです。だから、私はこの際重大な関頭に立っておりますから、技術報告書の問題に対しましても、きのうは資料要求をしておいたわけであります。そういう意味合いで申し上げておるわけで、誤解ではありません。誤解誤解とおっしゃっておるが、何も誤解ではありません、あなたの言い間違いですよ。そう思います。その点どうですか。
  26. 高木昇

    高木説明員 言い間違いとおっしゃいますが、何と申しますか、私、混乱して言い間違いをしたのかもわかりませんから。
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで私が最初に申し上げましたように、法的整備が日本としてはおくれておる。そうなってくると、東大にも迷惑がかかっておるでしょう。したがって、日本宇宙開発の後進性をあらわしておるのじゃないかと思うので、法的規制をすべきだということを前提として持っておるわけであります。原子力の平和利用につきましても、はっきり法的規制があるわけなんです。民主、自主、公開の原則がぴちっと立てられておるわけなんです。これだけビッグサイエンスになってきて、東大一つでかかえ切れなくなってきても、そうして軍事利用か、あるいはこれによって商売か、あるいはこれによって外国との技術提携かというような面でいろいろ足が出てきたわけです。ワクの中にはおれなくなってきたのですね。その中において、私はいま法的規制はどうかということを冒頭にお聞きしたわけです。法律できめられれば守らなければなりません。これは日本の国民だったらみなです。本部長が平和の理念に徹してやるというのなら、法的規制はいまその段階にきておるというくらいの信念を持たなければいかぬと思うのです。それがないところがいかぬと思う。のらりくらりと、ひょうたんなまずみたいな答弁国会でやられるところに私の非常な不満があるのです。ラムダ4Sが一号機、二号機、三号機と失敗した。アメリカのスカウトでも、あとで申し上げますけれども、あなたはいいかげんなことをおっしゃっておるように思うのです。そういうことで、もっと真剣に、しかも、まじめに答弁してください。混乱したからでなしに、信念を持ってひとつ言っていただきたいと思う。そういう意味合いで申し上げておるのですが、もう一回お聞きいたします。  こういう事態に立ち至って、法的規制は必要があると思われますか、思われないですか。私は、武器であるか武器でないか、そういう武器になるかならないかということによってあなたと論議したのですが、その段階一つを見ても、私は法的規制の必要がある、こう思うのですが、本部長のお考えをお聞きいたします。
  28. 高木昇

    高木説明員 私これは個人的なことでございますけれども、そういう規制があったほうが非常にいいと思っております。
  29. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いまそういう御答弁をいただいたので、私もそのように思うわけなんです。結局武器であるかないかというような、こういう技術的なことで区別することは私はできないと思うので、法的規制をすべきだという考え方を持っております。国際条約の中でも、いまおっしゃったように、平和条項があって、日本宇宙開発基本法をつくって軍事転用をこの際規制すべきだということを申し上げたいと思う。  次に、スカウトロケットの失敗回数についても、これもまた、あなたはいいかげんなことをおっしゃっておると思う。あなたは十七日の委員会アメリカの四段式固体ロケット、スカウトは五回失敗して六回目にやっと人工衛星軌道に乗せた、こういうように言っておられる。私はそれがほんとうかどうかということを調べてみました。ところがそれはまっかなうそです。スカウトロケットは一号機は一九六〇年七月一日に打ち上げられた。これは衛星打ち上げを目的としたものではなく、弾道飛行の形をとったわけですね。上向きに打ち上げられ、ロケット性能を調べたわけです。これは四段目に火がつかずに失敗しております。二号機は一九六〇年十月四日に、これも上向きに弾道を描いて飛ばしておるわけなんです。このときに成功して、高さ五千六百キロメートルに達した。高さ五千六百キロメートルですよ。これはひとつよく記憶しておいてください。  一九六〇年アメリカのスカウトは五千六百キロメートルを飛んでおるわけなんです。東大観測ロケットとして世界最高と宣伝したラムダ3型の千キロ、ラムダ3H型の二千キロよりはるかに高い高度です。世界最高といわれておりますね。しかしスカウトはもうこういう年代に世界最高を記録しておるわけなんです。この二つのスカウトは、いずれも衛星打ち上げをねらったものではなく、そのような宣伝や発表は一切やっていないのですから、衛星打ち上げ失敗の機数に入れるわけにはいかないわけです。スカウトの衛星打ち上げ第一号は一九六〇年十二月四日に行なわれ、これは二段目に点火せず失敗しております。しかし衛星打ち上げ第二号は、一九六一年二月十六日に成功し、ちゃんと軌道にエクスプローラー九号を乗せております。これは米国の航空宇宙局の年表を調べたものですが、それによりますと、このように出ておるわけです。この点は間違いはございませんか。また誤解しておるとおっしゃいますか。
  30. 高木昇

    高木説明員 いま記録に載っておるのは、おっしゃるとおり、一号機は一九六〇年の十二月で二段目点火せず、二号機は一九六一年の二月に、いまのエクスプローラー九号として成功しております。そのとおりでございます。  それで私が数機云々と申しましたのは、最初のほうからの号機でございますね。テストフライトのほうから勘定して、こういう話をスカウトの会社の人から聞いたということを申し上げまして、実際の年鑑に出ている記録は、ただいまのように一九六〇年の十二月をもってスカウトの一号と銘打っておるようでございます。ですから先生のおっしゃるとおりでございます。
  31. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それで高木所長、五回失敗して六回目に成功したなどと言っておるのはでたらめだ、こう言っておるのですよ。あなたはそれでも国会を軽視しておるとは言えない、軽視していないと強弁できますか。こんなことでさえ、いいかげんなことを言ってもらったら困るのですよ。一つ一つあなたの言われたことを調べなければ信用できないことになってしまうじゃないですか。そういう意味合いで申し上げておるのです。あなた、間違いだったですか。
  32. 高木昇

    高木説明員 テストフライトのほうから勘定するか、いわゆるそこの正式の何と申しましょうか、人工衛星計画から勘定するかでございまして、確かに私のはテストフライトあたりから勘定したもので、私が誤りでございます。人工衛星計画の正式記録が正しいと思いますから、一回目は不成功でも二回目で成功しました。
  33. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで、あなたがなぜこういうことをおっしゃったかというと、要するにラムダ4S一号機から三号機まで失敗した、これはたいしたことはないのだということを言いたいからだろうと思うのです。六回目に上がったじゃないですか、こうおっしゃっておりますけれども、東大ロケットにしましてもテスト飛行は何回もありますよ。しかしながら、人工衛星を打ち上げるのだと宣言してから、三回も失敗しておるわけなんです。スカウトは二回目にもう成功しておるということを言っておるのです。そこで、この論議を十分にやらなかったらいけないのじゃないかということを言っておるのです。よけいな言い方かもしれませんけれども、今回の東大ロケット打ち上げについては、糸川さんの問題は単なるできごとである。これによって全体を見失ってはいけない、単なるできごとである、こういうように世間も押え、あるいは国会も押えていくのか。糸川事件は単なるできごとかもしれぬけれども、東大の中でかかえ切れなくなって、あちこちに足が出ていった、こういう体制のままで一国の宇宙開発の体制を許していいかという大きな問題になってきておるわけなんです。その中にあって、ラムダ三機とも失敗した。これはアメリカのスカウトでさえ五回も失敗しておるじゃないか、たいしたことじゃないじゃないか。一発一億円以上するところのロケットを打ち上げておいて、そういう無責任な言い方では、私は済まされない時期がきたのではないかと思うのです。あなたはそういう意図でスカウトの問題を出してきた、私はこう思わざるを得ないと思います。次にミューは一機五億円以上でしょう。これをぼかすかぼかすか国民の税金を打ち上げられて、そういう無責任な言辞を弄するところの本部長によって、あるいは所長によってやられるということは情けないということを言うのですよ。もう少し反省してください。指摘されたら間違うておりました、こういう言い方では済まされぬと思うのですよ。その点どうですか。
  34. 高木昇

    高木説明員 いろいろ御注意をいただきまして、まことにそのとおりでございます。私も一番上の責任者として、できるだけ失敗がないように、積み重ねてやっていくように指導をしながらまいったのにもかかわらず、現実的にはそういう不成功があったことをたいへん残念に思っております。このスカウトの例を引いたり、あるいはバンガードがたくさん失敗したというような例を引きまして、私たちも失敗していいのだというふうに、私は決して申すつもりではございませんで、そういう前例もあったけれども、私たちもできるだけ最善の努力をいたしまして、早くそういう技術をマスターすることが大切ではないか、こういうつもりで進めてきておりまして、所内でのいろいろなディスカッションも現在やっておりますし、みなの力を、あるいは知恵を集めて、一歩一歩改良をしながら、今後の計画に処すというところが現状でございまして、宇宙開発をやるといたしますと、やはりだんだんとそういう失敗も出てまいりますので、できるだけそういうことのないようには心がけておるつもりで、地上試験なりあるいは飛ばす前の試験を、なるべく施設費をもらいまして進めていくというつもりでおります。
  35. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は、ラムダ4Sが三号機とも失敗したじゃないか、早く打ち上げなさい、打ち上げなさいと言うて、あおっておるのではありませんよ。なるほどあなたがおっしゃるように、基礎的な技術から積み上げていくという、堅実な行き方をしてもらわなければ困る面があるのです。こういうことをあおりますと、部品をアメリカからどんどん買い込んできて、それを組み立てるだけが東大仕事だということになっては、権威にかかわると思うのです。だからこんなことはいいです。  そうではなくて、私の申し上げておるのは、一九六〇年アメリカはすでにスカウトを打ち上げて、二回目に人工衛星にしております。今日まで何年たっておりますか。ことしは一九六七年です。七年たっておるわけです。その間にスカウトについてのいろいろな技術面あるいは設計面については、もう公表されておるのですよ。国会にも公表されておるのですよ。あなた方はラムダ4Sについても、構造とか技術面の失敗については何ら発表されないところに、私は問題があると言うておる。東大オンリー、エリートだけでは済まぬだろうということを言っておるのです。あなたがこれから一つ一つ積み上げていきたいとおっしゃることは、これはよくわかります。積み上げてください。そんなことにまで私たちは早くやれ、やれと慫慂するものではありません。そうして、私が申し上げたいのは、いま申し上げておりますように、一九六〇年にすでに成功しておる。データはもう出ておる。それなのに打ち上がらぬということは何じゃということを言いたいのですよ。  その次に、フランスの問題を申し上げます。十一年おくれたところのフランスが、すでに一九六五年十一月二十六日と、六六年二月十七日と、六七年と三回とも衛星発射が成功しておるのです。  日本の場合は、一九六六年九月二十六日、六六年十二月二十日、六七年四月十三日、ずっと間を詰めて三回やって三回とも失敗した。ここに私は問題があろうと思うのです。十年おくれておるのですよ。フランスはばたばたと三機とも成功しておるわけです。それも一年間ずつおいて六五年、六六年、六七年と三年がかり。日本は九月から四月までですよね。去年の九月から四月までに、三発ばんばんと打ち上げたのですよ。みな成功していない。ここに問題はないかということを先般申し上げたはずなんです。その点どうですか。
  36. 高木昇

    高木説明員 フランスの研究がたいへん順調に、こうやって三年間に上げたこと、私たちまことに敬服し、また、うらやましいとすら思っております。ただディアマンというロケットを使ったと聞いておりまして、それがどのくらいの程度テストフライトをやったりなんかしたかということは聞いておりませんが、確かに私たちの機数も、もうちょっと経験をふやしてやらなければいけないと思いますし、フランスのように将来とも手がたくやっていきたいと思いますし、また日本が確かにアメリカから十年おくれの——七、八年になりますか、十年おくれの現状であるということについては、仰せのとおりでございます。何とかわれわれというか、日本の力で、できればそういうものをできるだけ早くまとめたいという希望でございます。
  37. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう意図で、私たちは非常に心配しますから、基本設計の図面と計算書を要求しておるわけです。これはそれこそ誤解していただいては困るのですが、私たちがそれを見てわかるというのではありません。わかりません。したがって、これについて専門の第三者的な科学者に見ていただいて、検討していただいて、私たち国会であなた方と一つになって、一本になって、一ぺんどろんこの論議をやってみたいと思うのです。そうでなかったら、私たちは何が隘路になっておるかということがわからないわけなんです。いま申し上げますように、スカウトについては、きちっとした技術設計書から何から全部出ておるわけです。それに東大は、何回失敗しても、ラムダからミューまで一切設計図は見せません、こういう態度では困る、こう言っておるのです。どうですか。秘密なんですか。秘密兵器なんですか、見せられぬということは。どうなんですか。
  38. 高木昇

    高木説明員 私はそういうことはないと思います。お見せできます。
  39. 三木喜夫

    三木(喜)委員 見せてください。見せてないじゃないですか。
  40. 高木昇

    高木説明員 御要求があれは——設計図面でございましょう。つまり製造図面、設計図面、全部でございますね。
  41. 三木喜夫

    三木(喜)委員 問題は、東大はその中に秘密主義になって、いままで見せることを極力避けてきたのかどうかという問題ですよ。国のロケット開発をやっておるのだという立場に立ってやるならば、それはほんとうに民主、自主、公開の原則に立ってやらなければいかぬじゃないかと思うのですけれども、秘密主義であったということを私は申し上げる。要求があれば見せますという、そんなものじゃないでしょう。私たちはこういう設計でこうしたけれども、ここに問題があって、こうなったのだ、日本の多くの学者がそれについて意見を言えという態度であってほしいということを言うのです。そうでなかったということを言っているのです。
  42. 高木昇

    高木説明員 私たちは、例の昔の生産技術研究所時代から、ロケットの寸法とか、チェンバーの厚みその他などは出しておりまして、一応その程度で皆さんの論議にはなると思って、公開しておるのでございます。いまのお話で、もっと詳しい図面が必要だといことでございましたら、もしそういう技術討論をなさろうという方があれば、私は喜んで出せます。
  43. 三木喜夫

    三木(喜)委員 要求がありましたら、という前提がつくところがおかしいと思うのです。私、申し上げます。昭和四十一年の二月二十四日、当委員会宇宙開発委員会が開かれたのですが、その会議録によると、あなたのところの教授であった糸川博士がインドネシアにカッパーを輸出したことに関しまして、こういうことを述べておられます。「大学でやっております研究は、全部研究報告が公開されておりますので、どのメーカーでもその資料を使いまして、ロケットを製作することができます。したがって、プリンス自動車のみならず、どこのメーカーでも東京大学報告によりまして、われわれが開発、完成いたしましたロケットを製作することができます。また、それを通産省が許可を与えれば国外に輸出することができると思います。」あのインドネシアに輸出した問題をめぐって論議をしたときに、こういう証言をしておりましたけれども、これはうそだというのですか。いま、要求があったら出しますとおっしゃった。前は、全部報告書が出て、公開の原則によって公開しておりますから、したがって、だれがつくろうと思ってもできますと言った糸川さんのとおりでいいのですか。だれがつくろうと思ってもできるような、そういう資料が公開されておるのですか。どうですか。あなたのいまのことばとニュアンスがだいぶ違っておる。要求があったら出します、そうでなかったら、うちでじっと握っておりますという言い方ですね。
  44. 高木昇

    高木説明員 ロケットの図面は、御承知のように、かなり大きなものになり、多岐にわたっておりまして、宇宙研報告とか、昔の生産技術研究所の報告には、概略の図面だけしか出ていないはずです。尾翼の構造とかなにかはちゃんと出してあります。(三木(喜)委員「尾翼だけです」と呼ぶ)それから寸法も、最大寸法は出ております。(三木(喜)委員「内部構造は出ておりません」と呼ぶ)ですから、そういう実際の継ぎ手はどういうふうにしているのだとか、あるいはかみ合わせばどうするのだということも、特に新しく考案したときは、そこの部分だけこう変えますと書いてございます。したがって、もしそういうときに、宇宙研にはそういう図面はあったといたしましても、それは……。私、秘密にはしていないということだけ申し上げたいと思います。秘密にはしておりません。  それで、いま要求と言われたので、あるいは誤解があるかもわかりませんが、そういういろいろなこまかな非常に大きな図面などを一々印刷して出しそろえているという状況ではございません。
  45. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これはスカウトの設計図ですが、何か一々膨大なものを取りそろえて、こうおっしゃっているようですけれども、これはスカウトのロケットの胴体です。内部構造ですよね。こういうことが詳しく出されているのですよね。これはみなそうですね。これはあなたも御存じのとおりです。これは宇宙開発推進本部から四十一年十一月に、スカウトロケットの手引きとして出ているわけです。これはそう大儀そうにおっしゃる問題ですか。要求があれば出しますとか、秘密にしておりませんとか——糸川さんは、四十一年のここの二月二十四日の小委員会で、だれがつくろうと思ってもできるような設計図等も出ております。こういうことをおっしゃっているのです。出ていないと私は言っているのです。出ているか出ていないかと聞いているのです。私は出ていないと思うのです。米国のスカウトの問題につきましては、こういうように出ているのです。そう大儀がることじゃないでしょう。こういうものはいままで出ましたかということを言うのです。それだけお聞きしているのです。
  46. 高木昇

    高木説明員 今度の報告書にその程度の図面は載せるつもりでおります。いままでのものは、それを非常に簡単化したのが報告に出ているだけで、そういう詳しい図面の分厚い報告書というのは、今度L4Sのときはちゃんと書くつもりでございます。
  47. 三木喜夫

    三木(喜)委員 今度のそれで私はひとつお願いしたいと思うのです。いままでにこういうものが出たのですか、出なかったのですかというのです。出なかったのですね。
  48. 高木昇

    高木説明員 ええ、そういう詳しい図面は出ておりません。
  49. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それでわかりました。だから、糸川さんの言われたことはうそですね。だれがつくろうと思ってもできるように、単にプリンスだけがつくれるのではなくて、ほかのところでも、だれでもつくれると、そういう証言をなさったのはうそですね。
  50. 高木昇

    高木説明員 報告としてそういうものは出ておりませんけれども、ほかのメーカーでつくりたいというときに、プリンスと違う会社で、たとえばいま三菱などロケットのいろいろな開発をやっておる。そういう人はやはり一緒に相談しながらロケットの製作をやっておるので、つまりそういう図面——先生のおっしゃるような、そういうこまかいものは出ておりませんので、いまの糸川さんがおっしゃったというのはちょっとオーバであったかと思います。
  51. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういうように事態を明らかにしていただきますと、話を先に進めよいのです。私もそういう意味合いで「東京大学宇宙航空研究所報告」を手に入れてみたのです。観測ロケット特集号として三月に出ておるわけですね。しかしながら第三巻第一号B、通巻第十六号です。その間にそういうものが発表されたかどうかということをいま聞いたのですが、発表されていないということで、わかりました。この中を見ましたら、いろいろなことが詳しく出ておるのですよ。なるほど観測器から風速からあるいはレーダーから全部出ております。あるいは発射台から設置図から全部至れり尽くせりですけれども、肝心の胴体がどこでもつくれるようには報告されていないのです。そこに東大オンリーがある、そして業者オンリーが起こってくる。この業者でなかったら、これは注文できないということになってきますと、われわれにとってみますと、値段が問題になってきますよ。言いなり、こういうことになってきますと、これは国費の使用のしかたとしても、当然問題が起こってくるから言うのです。そういうことになりませんか。そういう意味合いで申し上げておるので、出ていないということになれば事態は明らかになりました。  したがって、私が要求しておるのは、いま所長も言われましたように、ラムダ4Sとミュー4Sの基本設計図と基本計算書を至急に出してもらいたい、こういうように要求するわけです。これは第三者の工学者の検討に資することができますし、さらにまた、その評価を確定したものにしたい、こう思うからです。決してあなた方を責めておるわけじゃありません。しかしながら、いままではどうも一つ一つの発表が率直な発表でない。国会においてやられておるのを見ましても、何か上からベールを着せて発表しておる。そうしていろいろな問題について追及してみますと、御答弁なさっておることがごまかしにひとしいような、そういう答弁をされておるから、私たちは非常に不満に思っておるわけなんです。冒頭申し上げましたように、あなたをつるし上げて、そして国の宇宙開発が推進するとは私は決して思っておりません。しかし、あなたが責任を感じなかったら、宇宙開発は推進できないということは自覚してもらいたいと思う。国会へ出てくれば、もうあいつらはしろうとだから、そこで出まかせの答弁しておけばいいだろう、常識的な答弁をしておけばそれで承知しておるだろう、これでは承知なりませんぞということを言うのですよ。よく御銘記いただきたいと思います。そして出していただくものは、そういう意味合いから出していただくわけであります。  それから、あなたのユーゴ出張の問題につきましても、これも私は非常に疑問に思っておるところがあります。しかし、これも科学技術庁に資料要求しておりますから、この資料が出てさましたらお尋ねしたいと思います。  次に、一元化の問題です。中曽根さんもこの一元化の問題では御意見があるようです。私も中曽根さんがこの四月に発表された所説を全部読んでみました。賛成のところは非常にございますけれども、あなた方は国会で追及されることをおそれて、与党の議員といわず、野党の議員といわず、こういう論議が起こることをもみ消そうというような態度では私は困ると思うのです。委員会内において対立する意見は大いに戦わす必要があると思うのです。そういうこそくな考えを持って対処してもらったら困ると思うのです。そういうことありませんか。
  52. 高木昇

    高木説明員 私、御質問趣旨がちょっとくみ取れなかったものですからなんですが、前回先生からお話のありましたように、一元化に対して何か私が反対とかということをお尋ねがございまして、私は、小委員会でもございました結論、あるいは宇宙開発審議会でありました御結論、さらにそれがだんだん変わっていくという——一元化の機構としていまや皆さま方のいろいろな御意見が、たとえば宇宙開発庁とかあるいは特殊法人というのが出てまいりました。それに対して学術界はもちろん協力をするということをたびたび私申し上げておりますので、私はいまもそれだけの気持ちでございます。
  53. 三木喜夫

    三木(喜)委員 みずから省みてやましいところがなかったら、そういうことは私はなさらないと思います。というのは、大学関係のほうからもうああいう発言をしておるのはやめさしてくれ、こういうような手が回ってきますと、これは国会審議にならぬということを言うておるのです。そういうことはなさっていないと思います。そういうことを聞いておるわけです。よろしい、そういうことは……。
  54. 高木昇

    高木説明員 どういう意味かわかりません、私はもう全然そんな……。
  55. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そんなことなさっていないと思います。それではけっこうです。しかしながら、それならばひとつみずから省みてやましいことのないような答弁をしていただきたいと思います。  一元化の問題について申し上げます。あなたは一元化の問題につきまして、十七日の委員会で一元化に反対する気持ちはないと答弁しておられる。これは間違いないですね。しかし、一元化を積極的に推進する気はなかったようです。あなたは、昭和三十九年十二月、宇宙開発推進本部長に就任されてから今日まで、ちょうど二年五ヵ月の間に、何回三鷹の推進本部に出勤されたか、私はそこから聞きたい。
  56. 高木昇

    高木説明員 私、御承知のように併任でございまして、宇宙研の所長もやっておりましてなかなかひまが得られませんで、しかし最初の間は火曜、木曜の午後出勤するようにしておりました。  それからしばらくたちましてから、部課長とも相談いたしまして、もう一つ、航空宇宙技術研究所のほうから十一人だかの併任をお願いして、技術的な問題はそちらのほうへまかせられるようになりましたので、部課長その他は私のほうへたびたび来て相談するようになりまして、時間の節約をはかっておる状況でございます。
  57. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それが横着ですよ。あなたが宇宙開発推進本部長になられたのは、一元化のかなめとしてなられたのですよ。併任された。そのかなめの人がかなめのところへ行く努力を怠っては、一元化の努力をしておりますと、こういうことを言われても、それは意味をなさないということを申し上げておるので、推進本部では、あなたの顔を見たことがないという人が大ぜいおるのです。それで本部長の職責が果たせますかという意味合いのことをお尋ねいたしますと、部課長を呼んでいつも聞いておる、時間の節約のためだ、こういうことになれば、これは横着だというんですよ。そこで会議をすることが——それなら会議にどうして出席するのですか。一元化の努力をするためにいろいろな会議をしなければいかぬと思うのです。これが一つの問題点です。みずから省みて、一元化の努力をするセンターにおけるところの勤務をされたかということが、私は大きなネックになると思うのですよ。ちゃらんぽらんで一元化を考えておられるのじゃございませんか。愛知長官からあなたにそういう大きな期待をかけられて併任をされておきながら、こういうことでは困ると思います。  次に、この前に私は質問いたしましたが、宇宙開発推進本部は昨年夏からことしの三月までに、種子島の宇宙センターに対する宮崎漁民の反対運動にあって大いに苦しまれました。あなたは推進本部長としてこの問題解決にどのような努力をされたか。私は、この努力のしかたにも問題があると思うのです。たとえば東大宇宙航空研究所の場合は、漁民を納得さすために業者からのリベートによって頭をなでた、こういううわささえ飛んでおるわけです。今日、二階堂長官が何回足を運んでも、あるいはまた、科学技術庁から何回足を運んでも、宮崎においての調整がうまくいかない。高橋研究調整局長、井上事務次官はもとより、二階堂長官までわざわざ足を運んで解決に努力されておる。あなたはこの問題の直接責任者です。ただの一度でも宮崎に出張されたか、これもされていないと思います。あなたは内之浦の東大ロケットを打ち上げるところさえ安全であればいい、業者のリベートで頭をなでようがどうしようが、そこさえ納得させればいいという考え方では、一元化の努力はできないと思う。努力をしておられないということを私は申し上げておる。これは出向かれましたか。
  58. 高木昇

    高木説明員 宮崎県には私、出向いておりません。と申しますのは、向こうの漁業対策の漁業組合の方々は私が両方兼ねておるのをよく知っておりまして、私にはむしろ来るな、といってはおかしいのでございますけれども、やはり役所の衝に当たる人に来てくれ、それは補償の問題その他ということもあるので、局長が再三行かれまして、私はそのときに一緒に行っておりません。  ただいまリベート云々というお話がございましたけれども、漁業組合には全然そういうことを私はしておりませんで、漁協のほうの謝金というのがちゃんと組んでございまして、それを漁業組合に協力の謝金の形で出しておる程度でございます。あとは私たち仕事の内容を御理解いただいて、宮崎県もこれに協力していただいておる、こういうことでございます。
  59. 三木喜夫

    三木(喜)委員 見解の相違かもしれませんが、そういうお考えでは私は困ると思います。それから、あなたに来てくれるな、こうおっしゃったことを聞いて、私、がく然としておるわけです。なぜ来てくれるなというか。
  60. 高木昇

    高木説明員 私ではあれにならないというわけです。つまり取りきめができない。
  61. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっと待ってください。そうではないのですよ。東大の先生方や高木部長が来られたら、漁民はこう言っておるのですよ。あなたのうしろには後光がさしておる、こう言うておるのです。それぞれの漁業補償をしてもらえるからだろうと私は思うのです。これはもっと突っ込んで分析しあるいは検討しておりません、あるいは漁民にまだ会っておりませんけれども、こういううわさを聞くわけなんです。だから前者と比較して後者の解決に当たるのには、あなたが行けばそれと同じことをやらなければならぬではないですか。業者のリベートによって、漁民の正式補償の上にもう一つ補償を積み上げなければならぬ、これでは困りますから来てくれるなというのではありませんか。これは想像で悪いです。しかしながら、あなたがここで強弁されるなら、私は徹底的にこの問題を調査いたします。しかしながら、そういうことは舞台裏の話ですから抜きにして、あなたが行かれるのが、表玄関から正式に責任を遂行されるところの態度ではないかということを言っておるわけです。しかし私は小ものですから来てくれるな、こういうような言い方だったから私は行かない、これはおかしいですよ、そんな言い方は。一元化の努力をする本部長としては心配すべきですよ。やっぱり国は内之浦と種子島と二つに分かれておかしいじゃないかということを言っておるわけです。しかしこの前の論議によりまして、スケールが違うからしかたがないという点もありました。それで私たちは一応納得しておるのですけれども、まだ納得できない点があります。これはあとで申し上げますが、まず職責の問題から申し上げておるわけであります。舞台裏の問題は、ここでは別にしましょう。
  62. 高木昇

    高木説明員 種子島の漁船につきましては、私も高橋局長に全部お願いしてしまった点は確かにあるいはそうかもわかりませんですが、私もできるだけその両方がうまくいくように、鹿児島県なり宮崎県の漁協の方が上京するたびにはお会いいたしまして、ぜひお願いするということを言っております。  それから私、漁協の問題については絶対にそういうことはございませんので、ただ誠心誠意、東大連中は事務なり何なりが一生懸命お願いしてやって、いままで内之浦でさせてもらっていた、こういう実情でございます。
  63. 三木喜夫

    三木(喜)委員 漁業補償の問題は非常に深刻でありますから、どうか慎重に、職責を全うする意味合いにおいても努力してください。そうでなかったら、両者のアンバランスの中に宮崎の漁民やあるいはその他の漁民が困るわけなんですね。  そこでもう一つ最後にお聞きしたいことは、あなたは宇宙開発推進本部長として、内之浦の発射場を、科学技術庁の発射について、小型のロケットを打ち上げるときに使わせるという努力をされましたかということです。私たちが期待しておりますことは、本部長として両方併任されておるなら科学技術庁が発射する場所で困っておられるのなら、内之浦をお使いください、ミュー以上の大きなものならこれは別問題ですよ。これは種子島が必要だ、こうおっしゃるのならばしかたがないとしましても、先般の委員会でなぜ種子島や内之浦を使わずに防衛庁の新島ですか、あれを使われたかということを申し上げたと思うのです。どうぞ使ってください、こういうことを一回でもおっしゃったことがありますか。
  64. 高木昇

    高木説明員 私はそういうことは申しませんでしたが、そのことは、ここ一、二年の内之浦の発射機数が四十二になっておりまして、小型ロケットは内之浦でものいてくれ、こういう話が出ておりまして、実は科学技術庁のいまやっておるのはちょうど気象ロケットと同じぐらいのサイズでございますので、それの発射を手伝うということについては、私は内心はそう思っていたのでございますが、漁業問題でここ一、二年機数を減らせ減らせといってきたために、どうしてもいま本部が持っておるロケットとか、あるいは気象ロケットのような小さいものはもう一つ別に持ちたいものだというふうな気がしているくらいの状況で、内之浦なり種子島はほんとうの大型だけに数を減らすのがいいんじゃないか。これはほんとうに私の個人的な考え方でございます。私もいろいろ協力するということを申し上げておりますのは、だんだんと機数をいろいろと考え合わせてそういう方向にいくのではないかと考えております。
  65. 三木喜夫

    三木(喜)委員 高木さん、私はそういうことを提案されたり努力したことがありますかと聞いておるのです。あるならある、ないならないと聞かせてください。その理由はと聞いたら理由を言ってください。そうでなかったらだんだん長くなってしまうのですよ。私もなるべく演説することはやめますから、簡単に答えてください。努力したことはないのですか。
  66. 高木昇

    高木説明員 私、努力したことはございません。それは、ロケットの機種が違う、それからレーダーとかテレメーターなどが少し違うとか、そういうこともありまして、地上施設をすぐにそのまま使えるというわけにいかない。しかし、それはたとえば内之浦へ運んでやればいいじゃないか、こういうことになると思いますが、そこまで私努力して、そうしたらどうだと両方の機関を説得して、そういう地上のテレメーター、レーダーまでもお互いに持って行ったり来たりということをやって、この打ち上げを内之浦でやったらどうかということは私は努力いたしませんでした。ただ、種子島が簡単に開ける、こう思ったものですから、それならば、そこでお互いに地上施設はメーカーも違っておったり、ロケットの方式も違っておったり、これは長年それをやってきたプリンス、三菱の相互交換性もございませんので、そういう意味で、種子島ができたらその問題も解決する、こう考えたわけです。
  67. 三木喜夫

    三木(喜)委員 種子島は両方とも三菱だからだいじょうぶという意味ですか。
  68. 高木昇

    高木説明員 違います。内之浦の地上施設というのは、たとえばカッパーならカッパー、MT135ならMT135、それに該当する地上施設がある。ロケットとそれを受けるものとが組にならなかったら全然だめでございますから、その組になる方式を私はそろえたいとは思っておりますが、とにかく載るものが、たとえば互換性があるということも必要でございますし、そういう面の努力はしてまいりましたが、一応地上設備そのものについては新島時代から本部は持っておりまして、したがって、そういう点で互換性の問題あるいは標準化の問題ということを両者でなるべく早くやろうとは考えておったわけでございます。そういう点で、種子島というものが新島のかわりに得られれば、そこで実験をお互いにインターフェアしないでできるわけです。
  69. 三木喜夫

    三木(喜)委員 どうもふしぎなことを聞くものですね。新島の防衛庁のミサイル発射場は、要するに科学技術庁の発射とはサイズが合う、いろんなことでみんな合う。しかしながら、東大と科学技術とは——あなたは本部長で、そうして両方のかけ橋であるわけなんです。内之浦はいろいろな機器とか発射台とかいうものが合わないから、したがって、防衛庁の新島でやるほうがよいという結論が出ることになると、科学技術庁のロケットは即防衛庁のミサイルとサイズが合うということになりますね。
  70. 高木昇

    高木説明員 違います。科学技術庁のロケットは大体気象ロケットに近いもので、それ専用のランチャーがあります。発射台があります。防衛庁とは全然別でございます。それから液燃の発射台も科学技術庁専用の発射台で、やはりロケット発射台とがコンビになっておりまして、その中に入る電子機器も全部本部のは別でございます。ですから、防衛庁と全く同じということは全然ございません。
  71. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうなってくると、よけいややこしくなってくるのですよ。別のものを新島に持って行って、発射台を備えつけて、そうして打ち上げるのなら内之浦でもできそうなものだということです。新島まで持って行かなくても、種子島から近いところの内之浦でできるし、あなたというかけ橋があるじゃないですかということを言っているのです。変なことを勘ぐりたくなりますよ。防衛庁とイコールということになってくるとたいへんだ。なぜそんなことを許しておくのですか。あなたは本部長として科学技術庁が新島の防衛庁の試射場で小型ロケットを打ち上げました四十年六月十五日から十八日まで、また四十年の十一月十五日から二十二日までの二回、このときに内之浦は完全にあいておったわけですよ。私、これで調べてみますと、その日は完全にあいておりますよ。あなた方の打ち上げの日は、何回となしに打ち上げておりますが、その日はあいておりますよ。カッパー9M10これを打ち上げてからあいておりますよ。四十年三月二十八日から四十年七月八日までは内之浦は完全にがらあきですよ。種子島で打ち上げると漁民が非常に苦労をする、あるいはその解決がついていない、こういう苦衷はわかります。それならば、別の発射台を持って行ってやるというのならば内之浦でやるのと一緒じゃないですか。内之浦のやつは使えません、だから断わりました、こうおっしゃる。それで向こうへ行って向こうのはちょうどサイズが合いますかというと、いやそれは別です、別の発射台を持って行くのですと言う。高橋調整局長がおられますが、そういう非常に不便なことを国の経費を使ってなぜやられるのですか。そんなことを一つ見ても一元化の努力はおろか、なわ張り争い以外の何ものでもないじゃないですか。両方とも意地の張り合いをやっているとしか見られないじゃないですか、本部長、何をしておられるのですか、そんな簡単な問題でもできないのですから。高橋調整局長どうです。
  72. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 先ほど高木先生からお答えがありましたように、私が現職につきました際にもお話があったと思いますけれども、東大のほうの年間の打ち上げ実験回数あるいは打ち上げ機数、その他の点からなかなか具体的に日取りが取れないというようなことがたしかおもな原因だと思っております。私どもは、防衛庁との詳細につきましては先ほど高木先生からおっしゃいましたとおりでございますが、むしろこの前のときに申し上げましたように、そのような時点で、今後実用実験衛星を打ち上げるという前提に立ちました場合に、ロケットの径が大きくなりますこと、あるいは保安区域等を広く取らなければならぬという技術的な要請があるわけでございます。その際には思い切って百万坪ぐらいの広大な地域を取り得る可能性のある種子島のほうを、手をつけると申しますか将来の構想のもとに早く種子島のほうに射場をつくる方向に割り切って進んだほうがよろしい、こういう判断をいたしまして、種子島に射場をつくるということに相なったわけでございます。
  73. 三木喜夫

    三木(喜)委員 調整局長、それでは答弁にならぬのですよ。種子島を広くとらなかったらこれからはやれない、それなら種子島に重点を置くべきだ、しかしながら種子島はいま漁民の反対があるから小型のやつを打ち上げることはできません、それなら内之浦ではどうですかと、こう言うのです。それをわざわざ防衛庁の試射場まで持っていって——新島ですよ。ここからは近いかもしれませんけれども、今度種子島との関連においては非常に遠いところですね。そういうところになぜ寄り道をしなければならぬのですかということを言うのです。高木さんに私は責任があると思いますけれども、科学技術庁にも責任がありますよ。
  74. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 先生の御指摘の漁業問題は、端的に申しまして(三木(喜)委員「漁業問題はいいです、ずばり答えてください。」と呼ぶ)私どもが新島に射場をきめましたことは、別に漁業問題とは関連がございませんでした。漁業問題につきまして問題が出ましたのは内之浦をきめましたあとでございますので、その後につきまして、それでは種子島が漁業問題で使えないならば、その間においては内之浦のほうの射場を使うということに対しての努力をしなかったかという点の御指摘かと思いますが、いまのところは漁業問題につきまして誠心誠意努力をいたしておりますので、初期の目的どおり種子島を使いたいというふうに現在は考えておりますので、現時点におきましては内之浦自体を使わしていただくというような交渉はいたしておりません。
  75. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これはまた後ほどやりましょう。防衛庁のほうならオーケーというて非常にスムーズに受け入れてもらえる、内之浦ならば受け入れてもらえない、そこにはかけ橋がありながら、ということを私たちは言いたいのです。何かやはり事情があるようですから、また私たちももう一ぺん調査をして、そして現実に解決をつける方向に向かわなければいかぬと思いますから、両者仲よくやってもらわなければいかぬと思いますから、そういう問題について提起したいと思うのです。高木部長にはもう一つお聞きしたいのですけれども、約束の時間が来ました。しかし宮地さんがわざわざおいでいただいておりますので、最後に宮地さんに御意見を伺いたいと思います。  私、この間から数回、この宇宙開発の問題について当委員会質問をいたしました。その趣旨は、いまいろいろな問題が起こりまして、そうして東大宇宙研のやっておりますところの宇宙開発やり方、あるいは科学衛星を打ち上げるという体制は東大だけでは荷が張っておるのじゃないか、単なる糸川さんのああいうミスだけで事を糊塗して、それを葬り去ってしまうわけにはいかぬのじゃないか、私は経理の問題からも、体制の問題からも、あるいは技術の問題からも、いろいろとお聞きいたしたわけであります。先般の新聞によりますと、四十一年の六月の二日、宮地さんは、宇宙開発ビッグサイエンス一つ、予算も普通の科学研究とはけた違いだ、そうなると科学者だけの決断ではなかなかやれない、それで中曽根さんもこの座談会に出られまして、やるなら国でと、こういうことを言っておられます。簡単に申し上げますと。これについてどういうお考えを持っておられるか、せっかくおいでになりましたし、あなたも責任の地任にあられる宇宙開発審議会の一人であられますから、率直な御意見をお聞きしておいて、以後の論議一つ資料にしたいと思いますので、お願いいたしたいと思います。
  76. 宮地政司

    ○宮地説明員 いまの問題は非常にむずかしい問題でございまして、まず、宇宙開発及び宇宙の研究ということが、いままでわが国では考えられなかったような規模のものであるということでございます。それが第一の問題点でございます。いわゆるビッグサイエンスと私たちは言っておりますが、もちろん原子核の問題なんかも一つビッグサイエンスでございますし、今後そういうものがどかどかと出てくるのでございますが、新しい問題としてこれは学術会議でも考えで、おりますが、なかなか簡単には結論が出てこない。それから宇宙開発審議会でも、この問題はずいぶん論議されておりますが、簡単には出てこない。  それはどういう点であるかと申しますと、国の方針としてやるかやらないかをきめなくちゃならないというところに大きな問題がございます。普通の形の宇宙空間研究というのは、従来の学術としてはやっておりました。ところがそれだけではいかなくて、非常にたくさんの金がかかることで、これは現在各国がそのために投資している額をごらんになればわかりますように、非常に大きな額が投資されておるのです。私は始終そういうことを言っているのですが、昔は戦争というものがあって、それで科学技術というものが非常に進歩したと申しますけれども、いまではそうではなくて、国がいまのようなビッグサイエンスというものを推進することによって科学技術が非常に大きく進歩するものである、こう私自体は確信しております。現在方々の国でそういう方向に動いております。アメリカ、ソ連をはじめ、先ほどお話がありましたようにフランスなんかも、日本とはけたの違う投資をしております。そのようにしてやっておる。  なぞそれをやるかということは非常に問題でありますが、自然科学のほうから申しますと、これなくしては新しい進歩がないといわれるくらいに非常に高く評価しなくちゃならないと思います。いまの自然科学のほうでは、そういうことによってあらゆる新しい分野が開けておるということであります。  それからその次の問題は、宇宙の重要性ということです。これは通信衛星なんかが飛びまして、どんなに重要であるかということがおわかりだと思いますが、そういうようなことから非常に大きく新しい分野が開けた。大きな技術革新と申しますか、世の中が変わるような大きな事件だと思うのです。そういうように宇宙というものが使われる。これは単に産業界とか学界だけでそれをどうしようかと考えてもとうていだめでありまして、やはり相当大きな投資を、損をすることを覚悟で投資をして、その国が学問とか技術それ自体を相当大きく伸ばさなくちゃならない。それは私は政府の責任だと考えるのであります。それだけに相当大きな覚悟でこの問題を考えなくちゃならないのでございます。  ところで、今度はいまの日本宇宙開発についての一元化問題について触れたいと思います。これはかねがね宇宙開発審議会でも非常に問題になりまして、何とかそれをビッグサイエンスとして国の責任におい相当に進めたいという考え方で寄り寄りいろいろな議論が出ます。問題点がどこにあるかと申しますと、宇宙開発を進めるためには学問研究、いゆる大学でやるような研究、基礎研究と申しますか、これは自然科学の研究だけではなくて、いまいろいろ議論がございました宇宙工学と申しますか、たとえばロケット、それからそれに使いますエレクトロニクス、そういったようなあらゆる工学の基礎として大きな面がございます。そういった学問的な研究というものが一つ。それからこの宇宙開発から出てまいりますいろいろな技術というもの、これはいま普通の生活にどんどん入り込んでくるくらいに、新しい技術が次々に出てまいりますので、産業界が日本の工業全体の進歩としてどうしても考えなくちゃならないというところに来ておる、そういう産業界の考え方、それの投資と申しますか、そういうようなもの、それと並んで——これは、いきなりそれを進めたからといってペイするものではないということです。いきなり産業界がそれだけの資本を投じてすぐその利益があがるというものではなくて、長い目で見なくてはならないものでありますから、したがって、国として進めるべきだ、国として相当な予算を計上してやらねばならないものであると考えております。  それでは、これはなぜいままでうまくいかなかったのか。とにかく、ある程度は、われわれが初め考えましたような方向に次第に進んでいっていると思うのでありますが、これは宇宙開発審議会で答申いたしましたように、いまの東大でやっておりますことは、相当基礎的なことでございまして、それがある程度完成に近づきつつある。高木教授大学のほうでおやりになっておる研究は、いまのミューロケットの完成ということを考えておる。それをつくる。そのミューも一・四メートルのところで、一応とにかく次の段階は科学技術庁のほうで今度推進をしようとしておる。その方向に持っていく。いわゆるバトンタッチをしようというように考えて、あらゆることが進められております。  ところがそれを具体的にどうするかという点がなかなかむずかしいのでありまして、このむずかしい一番大きな理由は、いまへたにこれをいじりますと、いまの発展のスピードがとまりはしないか、それから科学研究に使っておりますから、それが阻害されはしないかという心配が非常にございます。そこで、そのやり方が問題なのであります。ですから、方針としては大体大きな道はついておるのでありますが、さてそれを具体的にやるというところに一番大きな問題があるように思います。実はきょう午後も学界のほうの連中が集まりまして、将来そういう問題をどのように進めたらいいかという学界のほうの考え方を検討しようというようなことをやることになっております。そういったように学界でも寄り寄り——どのようにそれをバトンタッチするかという点が非常に大きな問題で、そこで学界のほうの意向というのも非常に重要でありまして、それは国がこれだけの予算をやるからやれといわれてもなかなかできません。大学のほうだけでこれをやろうとしても、予算がなければできませんし、それだけの協力がなくてはできませんので、やはり国全体としてうまく動かすような形をとらなくてはいけない、そのように考えております。  そんなところでいいでしょうか。
  77. 三木喜夫

    三木(喜)委員 時間がありませんので非常に残念でありますけれども、またの機会にいろいろ御意見を拝聴したいと思います。どうもありがとうございました。  質問につきましては、まだございますが、しかし、きょうはこれで中止させていただいて、後日またその機会を得さしていただきたいと思います。終わります。
  78. 矢野絢也

    矢野委員長 次会は、来たる五月三十一日水曜日午後一時より理事会、午後一時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散