○宮地説明員 いまの問題は非常にむずかしい問題でございまして、まず、
宇宙開発及び宇宙の研究ということが、いままでわが国では考えられなかったような規模のものであるということでございます。それが第一の問題点でございます。いわゆる
ビッグサイエンスと私
たちは言っておりますが、もちろん原子核の問題なんかも
一つの
ビッグサイエンスでございますし、今後そういうものがどかどかと出てくるのでございますが、新しい問題としてこれは
学術会議でも考えで、おりますが、なかなか簡単には
結論が出てこない。それから
宇宙開発審議会でも、この問題はずいぶん
論議されておりますが、簡単には出てこない。
それはどういう点であるかと申しますと、国の方針としてやるかやらないかをきめなくちゃならないというところに大きな問題がございます。普通の形の宇宙空間研究というのは、従来の
学術としてはやっておりました。ところがそれだけではいかなくて、非常にたくさんの金がかかることで、これは現在各国がそのために投資している額をごらんになればわかりますように、非常に大きな額が投資されておるのです。私は始終そういうことを言っているのですが、昔は戦争というものがあって、それで科学技術というものが非常に進歩したと申しますけれども、いまではそうではなくて、国がいまのような
ビッグサイエンスというものを推進することによって科学技術が非常に大きく進歩するものである、こう私自体は確信しております。現在方々の国でそういう
方向に動いております。
アメリカ、ソ連をはじめ、先ほど
お話がありましたようにフランスなんかも、
日本とはけたの違う投資をしております。そのようにしてやっておる。
なぞそれをやるかということは非常に問題でありますが、自然科学のほうから申しますと、これなくしては新しい進歩がないといわれるくらいに非常に高く評価しなくちゃならないと思います。いまの自然科学のほうでは、そういうことによってあらゆる新しい分野が開けておるということであります。
それからその次の問題は、宇宙の重要性ということです。これは通信
衛星なんかが飛びまして、どんなに重要であるかということがおわかりだと思いますが、そういうようなことから非常に大きく新しい分野が開けた。大きな技術革新と申しますか、世の中が変わるような大きな事件だと思うのです。そういうように宇宙というものが使われる。これは単に産業界とか学界だけでそれをどうしようかと考えてもとうていだめでありまして、やはり相当大きな投資を、損をすることを覚悟で投資をして、その国が学問とか技術それ自体を相当大きく伸ばさなくちゃならない。それは私は政府の
責任だと考えるのであります。それだけに相当大きな覚悟でこの問題を考えなくちゃならないのでございます。
ところで、今度はいまの
日本の
宇宙開発についての一元化問題について触れたいと思います。これはかねがね
宇宙開発審議会でも非常に問題になりまして、何とかそれを
ビッグサイエンスとして国の
責任におい相当に進めたいという考え方で寄り寄りいろいろな議論が出ます。問題点がどこにあるかと申しますと、
宇宙開発を進めるためには学問研究、いゆる
大学でやるような研究、基礎研究と申しますか、これは自然科学の研究だけではなくて、いまいろいろ議論がございました宇宙工学と申しますか、たとえば
ロケット、それからそれに使いますエレクトロニクス、そういったようなあらゆる工学の基礎として大きな面がございます。そういった学問的な研究というものが
一つ。それからこの
宇宙開発から出てまいりますいろいろな技術というもの、これはいま普通の生活にどんどん入り込んでくるくらいに、新しい技術が次々に出てまいりますので、産業界が
日本の工業全体の進歩としてどうしても考えなくちゃならないというところに来ておる、そういう産業界の考え方、それの投資と申しますか、そういうようなもの、それと並んで
——これは、いきなりそれを進めたからといってペイするものではないということです。いきなり産業界がそれだけの資本を投じてすぐその利益があがるというものではなくて、長い目で見なくてはならないものでありますから、したがって、国として進めるべきだ、国として相当な予算を計上してやらねばならないものであると考えております。
それでは、これはなぜいままでうまくいかなかったのか。とにかく、ある程度は、われわれが初め考えましたような
方向に次第に進んでいっていると思うのでありますが、これは
宇宙開発審議会で答申いたしましたように、いまの
東大でやっておりますことは、相当基礎的なことでございまして、それがある程度完成に近づきつつある。
高木教授が
大学のほうでおやりになっておる研究は、いまのミュー
ロケットの完成ということを考えておる。それをつくる。そのミューも一・四メートルのところで、一応とにかく次の段階は科学技術庁のほうで今度推進をしようとしておる。その
方向に持っていく。いわゆるバトンタッチをしようというように考えて、あらゆることが進められております。
ところがそれを具体的にどうするかという点がなかなかむずかしいのでありまして、このむずかしい一番大きな理由は、いまへたにこれをいじりますと、いまの発展のスピードがとまりはしないか、それから
科学研究に使っておりますから、それが阻害されはしないかという
心配が非常にございます。そこで、その
やり方が問題なのであります。ですから、方針としては大体大きな道はついておるのでありますが、さてそれを具体的にやるというところに一番大きな問題があるように思います。実はきょう午後も学界のほうの
連中が集まりまして、将来そういう問題をどのように進めたらいいかという学界のほうの考え方を検討しようというようなことをやることになっております。そういったように学界でも寄り寄り
——どのようにそれをバトンタッチするかという点が非常に大きな問題で、そこで学界のほうの意向というのも非常に重要でありまして、それは国がこれだけの予算をやるからやれといわれてもなかなかできません。
大学のほうだけでこれをやろうとしても、予算がなければできませんし、それだけの
協力がなくてはできませんので、やはり国全体としてうまく動かすような形をとらなくてはいけない、そのように考えております。
そんなところでいいでしょうか。