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1967-05-17 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十七日(水曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 矢野 絢也君   理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 中曽根康弘君 理事 福井  勇君    理事 渡辺美智雄君 理事 石野 久男君    理事 三木 喜夫君 理事 内海  清君       秋田 大助君    池田 清志君       岡本  茂君    桂木 鉄夫君       佐々木義武君    世耕 政隆君       箕輪  登君    村上信二郎君       加藤 勘十君    森本  靖君       山内  広君  出席国務大臣         文 部 大 臣 剱木 亨弘君         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  藤井孝四郎君         科学技術庁計画         局長      梅澤 邦臣君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         科学技術庁振興         局長      谷敷  寛君  委員外出席者         科学技術庁宇宙         開発推進本部長 高木  昇君         文部省大学学術         局審議官    岡野  澄君         会計検査院事務         総局第二局長  井上  鼎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  理化学研究所法の一部を改正する法律案内閣 提出第四八号) 科学技術振興対策に関する件(宇宙開発に関す る問題)      ————◇—————
  2. 矢野絢也

    矢野委員長 これより会議を開きます。  理化学研究所法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。内海清君。
  3. 内海清

    内海(清)委員 理化学研究所法の一部改正について、ごく簡単に質問を申し上げたいと思います。  この理研につきましては、科学技術庁のほうで理研監督に関する事務をやっておるように承知しておるのでありますが、この理研特殊法人でございますし、科学技術庁監督というのは具体的にどういうふうな範囲で行なわれておるか、これをひとつお伺いいたします。
  4. 二階堂進

    二階堂国務大臣 局長のほうから答弁させます。
  5. 谷敷寛

    谷敷政府委員 お答えいたします。  理化学研究所特殊法人としまして多額の政府資金を出しておりますので、その業務の適正を期するためには、法律によりまして政府監督をしておるわけでございます。その内容は、業務監督上の命令権と、これに必要な報告聴取をし、立ち入り検査をするという一般的な監督権のほか、役員の任免、業務方法認可、毎事業年度事業計画資金計画収支予算、財務諸表の認可、承認、こういうような監督権を持っております。これらの監督権は、内閣総理大臣監督権でございますが、大部分は科学技術庁長官に委任されておりまして、長官が具体的に監督を行なっておるわけでございます。
  6. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、大体理研に対しては全般的な監督というふうなことに相なっておるようであります。したがって、そういうことになりますと、前にこの問題で渡辺委員から経理の問題など、いろいろ質問もあったようでございますけれども、そういうことに対しましても、結局科学技術庁で厳重な監督をやってきた、こういうことでございますね。
  7. 谷敷寛

    谷敷政府委員 そのとおりでございます。
  8. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、この前の渡辺委員質問を見ましても、会議録質疑応答の段階では、質問のなにに対しまして十分解明されていないように会議録を見て思うのであります。いまの理研法によれば、あの程度経理に対しても監督はそれ以上はむずかしいということでございますか。
  9. 谷敷寛

    谷敷政府委員 前回の渡辺委員の御質問に対する当局の御説明が必ずしも十分でなかったために、若干誤解もあるのじゃないかというふうに考えられますので、釈明をさせていただきます。  最も大きな問題は、政府の出します金を出資金という形で出しておるために、経理上非常に大きな赤字というかっこうになっているじゃないかという点だったと思います。この点につきましては、前から政府部内では、政府の出します金を出資金として出すか補助金として出すかということにつきまして、大蔵省なり会計検査院あたりの間でもいろいろ実は意見があったのでございますが、現在までのところの方針といたしましては、出資金として出したほうがいいんじゃないか。なぜかと申しますと、一つは、理化学研究所につきましては政府が金を出しまして、相当期間たった後には相当研究成果が生ずるのじゃないかというふうなことも期待されますので、国が投下いたします資金補助金として出しまして——結局これは補助金として出せば理化学研究所に贈与をしたと同じかっこうになるわけでございますが、そういう形で出すよりも、出資金として出して国が持ち分を持っておるというかっこうにしたほうが国に有利ではないかというような点が一点。それからまたあわせまして、理化学研究所が行ないます研究はやはり国が主体性を持って進めるべき性質の研究であるから、そういうことを考えましてもやはり国が主体性を持った出資というかっこうで出したほうがいいじゃないかというような見解に基づきまして出資金として出しておるわけでございます。したがいまして、現状経理の面から見ますと相当赤字が出たかっこうになっておりますが、将来相当の期間を見ました場合に、たとえば研究成果で非常にりっぱな特許等が、とれまして、それがどんどん実施されまして実施料収入等もあがってくるということも考えられますので、そういうことになりますと、現在の赤字を逐次解消するということも不可能ではございませんので、現在のところは、なお出資ということで処理していったほうがいいのではないかというようなことになっております。
  10. 内海清

    内海(清)委員 理研運営の面から見ても補助金より出資金のほうがいいだろうというふうなこともあるのだと思いますが、しかし、現状においては出資金も年々赤が出るためにこれが食いつぶされるのではないかという一つのあれがあるようです。だから、将来非常な研究成果があがって特許権などを獲得した場合には大きな金が入り、それで埋め合わせがつくではないか、これも一つ期待に属するわけですが、現状においては、そういうふうな議論が出るのも私は無理ないというふうに考えるわけです。したがって、そういう面からいえば、非常にすっきりしたものでないということは私は言えると思うのであります。だから、われわれが大きい期待を持って将来はうまくいくだろうということでありますけれども、現状においてはなおそこに検討する余地があるのじゃなかろうか、もう少しすっきりしたものに経理もするということ、何かの形でこれが研究されるべきものじゃなかろうかと思うわけであります。きょうは私も時間の制限を受けておりますからいよいよ簡単なことになると思いますが、この点は、今後科学技術庁におきましても十分ひとつ御検討願いたい。将来の期待にのみ大きくこれを考えていっても、これはあくまでも期待でございますから、その間にどのくらいな時間がかかるかというあれもありますので、いつまでもこういうすっきりしない姿でいくことはどうであろうかというふうに考えるわけであります。これに対しまする大臣の御所見をひとつ……。
  11. 二階堂進

    二階堂国務大臣 先ほど局長からお答えいたしましたとおり、やはり国が出資という形で、しかも国の責任をある程度明確にした形で出資もいたしておるのでございますし、また、将来この理研運営のあり方につきましても、もう少し拡充強化していく必要があるのではないか、こういうふうにも考えますので、したがって、いま会計等の面につきましても、国の責任がある程度明確にされるようなことは当然だと思いますので、お説の点につきましては、関係各省ともひとつ十分連絡をいたしまして、できるだけそういうふうな方向に持っていくように検討を重ねてまいりたいと思っております。
  12. 内海清

    内海(清)委員 次に、今度の理研法の一部改正一つの大きい問題は、現在東京都にある研究施設が狭くなった。したがって埼玉県に移すということであります。しかし、これを機会に何か研究体制を現在のものよりも一そう拡充して、より効果的な研究をしようというようなお考えがこの際あるのかどうか、この点をひとつ……。
  13. 二階堂進

    二階堂国務大臣 理研は、御承知のとおり五十年にもなる歴史を持っておる研究所でありますし、また、ここの研究成果が、日本科学振興技術開発にいろいろな面で相当貢献をしておると考えますが、御承知のとおり、いまありますこの理研は場所も非常に狭いし、古くなっておる。また、土地が借りものでもあるという関係から、今度移転するということになったわけでございますが、それにつきましても、やはりいろいろなテーマをもって研究開発をやっておるような状態でございますが、さらにいま大きな問題として取り上げておりますのは、核融合研究サイクロトロン総合研究、これが一つの大きなテーマで、これはうんと力を入れていくというような研究部門でありますし、さらにまた、農薬の問題が最近やかましくなってきております。水銀剤を含めた農薬の被害というものが各地に出ておりまして、そこで農薬につきましては昭和四十三年度に全部この水銀剤を使った農薬をやめるという国の方針、農林省の方針も明確になっております。ここで一昨年来、昨年、本年新しい農薬研究開発しておるわけでございます。この農薬研究についても力を入れていきたい。その他宇宙線に関する研究、あるいは量子ニレクトロニクスとか、バイオニクスとか、あるいは海洋科学とか、その他の研究を今後相当積極的にやりたい、こういうようなことでもございますし、また、技術革新が非常なテンポで進んでおりますときでございますだけに、産業界との連携も密接にはかって、そして運営も機動的に行なっていきたい、こういう拡大されていくような方向理研運営を考えていく。また、実際先ほど申し上げましたような新しい分野に取り組んでいくというようなこと等もございますので、今度移転をして拡充強化をはかるというようなことになった、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  14. 内海清

    内海(清)委員 これはせっかく今度移転されるのでして、施設も新しくなるし、そういうことでございますので、特にいまの時代は、お話にありましたような科学技術振興というものは非常なものがございます。したがって、そういう新しい時代に要求されますこの面につきましては、今後一そう理研等中心になってこれを進めていただかなければならぬのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございまして、この点はひとつ、いま大臣のお話しになりましたようなことにつきまして、今後一そう新しい分野も開拓して、日本科学技術進歩中心的な役割りを果たしていただきたい、こういうふうに要望しておきたいと思います。  それから、この理研研究に従事しておられます方は、これは職員数が五百五十八ですか、まあ六百足らずだと思うのでありますけれども、これは実際は理研職員のみでなしに、あるいは大学との共同研究とか、あるいは民間との共同研究とかいうふうなことがあるのだと思います。あるいは大学から入りますとか、あるいは民間から人が入っていって共同研究するという場合の研究体制といいますか、構成といいますか、そういうふうなものはどういうふうに相なっておりますか。
  15. 谷敷寛

    谷敷政府委員 大学との間ではおもに共同研究という形をとっておりまして、主として文部省から科学研究費補助金というのを受けております。これは昭和四十年度には約十二件、金額で一千万円ぐらいでございますが、こういう金をもらいまして大学のほうから研究者がやってまいりまして、理研共同研究をするという形でやっております。  それから民間との間では、共同研究という形はほとんどこざいませんで、民間とは受託研究という形で研究が行なわれております。これはやはりテーマによりまして民間から必要な資金を受けまして、民間技術者が来る場合も来ない場合も両方ございますが、そういう形で研究をやっております。この概況は、昭和四十年度には二十九件、約三千二百万円、四十一年度は二十二件、二千八百万円ということになっております。どういうようなテーマがあるかと申しますと、おもなものは、たとえば八幡製鉄株式会社から薄鋼板の成型性形状性に関する研究というようなテーマ委託を受けるとか、あるいは日本放射性同位元素協会から放射性同位元素の配分に関する研究というようなテーマ研究委託を受けるとか、あるいは科研化学株式会社から抗結核性あるいは農薬用抗生物質に関する研究委託を受けるとか、こういうような形で研究が進められております。
  16. 内海清

    内海(清)委員 大学のほうは大体共同研究でやる。それから民間のほうは共同研究でなしに委託研究をやる、共同研究は大体やらないのだということですが、民間にもだいぶん技術者なりあるいは研究者がおるわけであります。こういう面の頭脳利用するといいますか、そういう面から考えましても、私は委託研究のみでなしに共同研究もやられるべきではなかろうかと思いますが、この点はなぜ民間のは共同研究をやらないのかということです。
  17. 谷敷寛

    谷敷政府委員 実際はその民間研究をやります場合に、委託研究契約という名前契約を結んでおりますが、その内容は先ほど申しましたように共同研究と同じ実態になっておるわけです。
  18. 内海清

    内海(清)委員 実質名前が違うということなのですが、これは民間から委託させて委託料を取るということで、そのほうが都合がいいかもしれませんけれども、私は別にその区別を設ける必要一もないと思うのですけれどもね。何か大学のと民間のとそういう区別をつけることは、実質が変わらなければ何もそういうことをする必要もないと思いますが、その点どうでしょうか。
  19. 谷敷寛

    谷敷政府委員 大学の場合は、先ほど申しましたように、文部省補助金を受けてやるというかっこうになっておりますので、これを受託研究という名前で整理するのはちょっとぐあいが悪いので、まあ共同研究というかっこうになっております。そういう形式的な差別の問題だと思います。
  20. 内海清

    内海(清)委員 これはたいした問題ではございません。問題では、こざいませんけれども、やはり民間技術者をその研究体制の中に入れ、頭脳を活用するとするならば、やはり共同研究ということのほうが私は筋が通ると思うのであります。なぜそれも人を出してまで委託研究ということばを使わなければならぬかということを思いますので、これはたいした問題ではございませんけれども、やはりことばを聞いて受け取る側からいえばそういう一つの疑問が起こると思います。この点もひとつ御研究いただきたい、こう思います。  それから、私どもたいへん勉強が足らぬで理研についても十分なる知識を持たないわけでありますけれども、理研は今日までいろいろ、株式会社時代のような経過も過ぎてきておりまして、相当歴史は深いわけですが、理研という名前はかなり国民の間に通っておる名前だと思うのです。ところが、理研がはたして今日まで研究でどういうふうな大きな成果をあげておるかというふうなことにつきましては、案外これは知られていないと思うのです。そういう点から申しまして、今後こういうふうなものがわが国の科学を進める中心としてやるということにつきましては、そういう面もやはり国民に、できるだけ多数の者に理解させておくということ、同時に、民間から考えましても、こういうふうなものをできるだけ利用というたら語弊があるかもしれませんが、やはりその研研というものを活用するというふうな方面に持っていかなければならぬと思うのであります。これはごく大ざっぱなものでいいと思いますけれども、理研のこれまでの研究成果の中で代表的なものをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  21. 谷敷寛

    谷敷政府委員 理研成果につきましては、たとえば学会誌等年間約二百点ぐらいの研究論文等も発表されておりますし、また、特許権につきましては、現在約五百二十件の特許権を持っておりまして、そのうちの百四十件は産業界で実施されております。その実際上の収入年間約五千万円にのぼっております。前はもっと特許使用料等はたくさんございましたが、これは昭和三十三年に現在の特殊法人に移りますときに整理をいたしまして、いま申し上げました五百二十件というのは昭和三十三年以降の特許でございます。おもなる業績といたしましては、いろいろございますが、日本理研が独特の研究として指摘できますものは、一つ宇宙線研究でございまして、これにつきましては現在日本では理研だけがやっておりまして、これは世界的な宇宙観測網の一環としてやっておるわけであります。このほかは、たとえばサイクロトロンによるラジオアイソトープ製造技術研究、あるいは放射線測定法及び測定器研究あるいは核融合研究電子ビームによる微細加工研究、その他いろいろございますが、大体非常に代表的なものを申し上げますとそんなようなものが中心かと思います。
  22. 内海清

    内海(清)委員 いろいろ重要な研究がなされてきたようでございますが、これは案外一般国民が知らないわけです。特にそのほうの関心のある人以外はほとんど知りません。理研という名前は知っておるけれども、なかなか知らないので、やはりこれは一般国民にもできるだけ理研研究成果を知らしめる必要があるだろう。したがって、この研究成果のたとえば応用と申しますか、あるいは特に民間理研研究成果を活用するといいますか、そういう方面はどういうふうになっておるか。これは理研研究を十分知らなければ案外それを活用できない、応用できないということがあると思うのでありますが、理研特許権のあるものは、これはもちろん特許でございますからあれですが、その他の研究につきましては、民間にこれを自由に使わしておるのかどうかというような点もあると思いますから、そういう点につきましての状態をひとつ知らしていただきたい。
  23. 谷敷寛

    谷敷政府委員 理研業績普及につきましては、理研内部に相談役とか参与とかいう名前で業界の有力な方々を集めておりまして、そういう方を通じていろいろ宣伝をするということもございますし、また、内部機構といたしまして普及部という部を設けておりまして、その普及部中心になりまして業績宣伝普及をやっておるわけでございます。したがいまして、その成果実施等につきましても決して閉鎖的ではなくて、利用を希望される方には極力これに応ずるという体制でやっております。
  24. 内海清

    内海(清)委員 さっき申しましたように、特許権の設定されたものは、これはもうはっきりするわけです。その他のものは民間でそれを自由に活用せしめるというふうになっておりますかどうですか。
  25. 谷敷寛

    谷敷政府委員 特許権のないものは、これはもう制度上もだれが利用してもいいわけでございまして、何ら制約は、こざいませんが、理研といたしましては、そういうものも極力皆さんに使っていただくという体制で、その普及部の仕事も、特許のみならずそういうことも普及することでやっております。そういう事実上の技術宣伝する方法といたしましては、この資料にも出ておりますけれども、学術講演会とかシンポジウムというものをしばしば催しまして、そういうところに関係者のお集まりを願って研究成果を発表するということをやっております。
  26. 内海清

    内海(清)委員 もちろん、特許以外のものはそれは自由にあれしていいわけですが、私の申します意味は、日本の実際の産業とかその他の状況を見て、せっかく理研研究したものがあるが活用していないようなものについては、むしろ理研のほうから、こういう研究があるが、君のところでこれをひとつ活用するようなことを考えてみたらどうかという、そういうむしろ反対理研のほうから私は積極性がほしいというふうに思うのです。これは民間でももちろん相当な会社になれば、そういう研究部門を持っておって、理研研究も十分承知しておると思いますけれども、そうでないのが、御承知のとおりきわめて多いわけですね。だから日本産業あるいは技術進歩ぜしめようという場合に、せっかく国が理研というものをつくって研究さしておるのだから、その研究成果民間においても十分活用される体制はきわめて必要であり、理研においてもむしろこれは一つの義務じゃないかとさえ私は考えるわけなんです。そういう体制について、ことばが足りませんでしたが、私はお尋ねしたかったわけです。そういう点どうなんでしょう。
  27. 二階堂進

    二階堂国務大臣 私もいま内海さんのおっしゃる意見には全く同感で、ございまして、理研については専門家とかあるいは物理学者とか、こういう部面に関係をしておる人は相当よく知っておるわけでありますが、相当ないろんな実験の成果とかあるいは特許でやったものとかあるわけでございます。こういう成果等についての普及といいますか、みんな広く国民産業界に知らしめるという努力政府のほうも、科学技術庁としても足りなかったのじゃないか、また、民間においてもそういう努力が足らなかったんじゃないかということを私は非常に痛感いたしまして、科学技術庁に入りまして以来、いろんな機会をとらえまして、そういう啓蒙と申しますか、努力をいたしておりますし、先般科学技術週間等も一週間ございましたが、その機会にも、今日まで日本産業発展技術革新貢献をした数々の成果があるわけでございますが、そういうものを一つのパンフレットにしまして、皆さんのほうにもお配りしたと思いますが、いまおっしゃるとおり、こういう啓蒙普及という努力が足らなかった。先ほどから申し上げますように、今日、日本産業発展というものの根底はやはり科学技術、特に最近目ざましく発展していく技術革新によるところが大きいわけでございます。言うならば、国民生活にこの科学技術というものが非常に深く根をおろしておる。また根をおろしておるものでなければ価値がないのだ、こういう観点から考えましても、私はいま一そう努力をする必要があると思っております。特に、発明協会という民間協会もございますが、ここでも小さないろんな民間発明と一いうものが相当持ち込まれてくる。この中には非常に役立つものもあれば、もう一歩手を加えると非常に国民生活あるいは産業発展に寄与できるものがある。そのもう一歩というところの手助けをするところがない。新技術開発事業団というものもありますけれども、これは大きなものを大体主にして取り上げておる、この下のほうの中小企業者の仲間において発見されたり発明されたようなものが、もう一つのところでこの成果が大きくあがるというようなものがない、そういうことなどもございますので、目下私はそういうこと等についても、先ほど先生のおっしゃいましたような、国民に広く知らしめる、また利用せしめるというような立場からも、積極的に検討を加えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  28. 内海清

    内海(清)委員 私はこの程度で終わりますけれども、私は、いま大臣の申されたこと、これは非常に必要なことだと思うのであります。せっかく国が研究所をつくりましても、その研究成果というものが死蔵されたのでは何にもならないということなんであります。しかし、どうもいろいろ見ましても、これは理研のみではございません。すべての研究所にそういうきらいがみるのではなかろうか、もっと民間人がその中に飛び込んで、ほんとうにともに研究もし、その成果を活用する、応用するということが出てこなければならぬと思うのであります。どうかひとつ、せっかく今度は研究施設も新しくなってまいりまして、研究体制も十分整えていただいて、ほんとう研究所としての使命を果たす、こういうことに最大の御努力を願いたいということを強く要望申し上げまして質問を終わります。      ————◇—————
  29. 矢野絢也

    矢野委員長 引き続き科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術振興の基本施策について質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  30. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 文部大臣に出席を要求しておったわけでございますが、文教委員会がありましていまだおいでになりませんので、文部大臣に聞くところは保留しておきまして、そしてその他の面から進めてまいりたいと思います。  ちょうど宇宙開発の問題について本委員会で審議しておりますのと時を同じういたしまして、新聞紙上では、宇宙技術及び科学の国際シンポジウムが十五日から開かれております。十五カ国から二百五十人の人が参加して、世界の頭脳をこれに傾けておるようでございます。二階堂長官も、代読でありますけれども、メッセージを送っておられるようであります。したがいまして、私は本委員会におきまして、宇宙開発のどの点が問題になって、それをどう解決つけていくかということが論議されるということは非常に意義のあることだと思います。前回も申し上げましたように、ちょうど宇宙開発に非常に功績のありました糸川さんがやめられておるわけであります。さらに各省庁とも人工衛星打ち上げにつきましては非常に熱意を燃やしてきたときでありますから、ただ打ち上げるだけが当面の目標ということでなくて、一体何で今日東大のラムダ4S一号から三号まで失敗したか、この失敗の問題に対しましても深甚なメスを加えるということが私は非常に必要だと思う。そういう見地からきょうはお聞きしたいと思うわけです。とともに、これは科学技術庁文部省もあるいは他の省庁もございません。ほんとうにどういうぐあいにすれば、国費を有効適切に使って、そしてビッグサイエンスに取り組むところの姿勢を示すことができるか、これが私は非常に重大だと思うのです。  そこで第一番にお聞きしたいことは、文部大臣がおいでになりませんけれども、長官がおいでになっておりますので、五月十三日の新聞には、政庁内で、宇宙開発一元化について文相構想と技術長官との発言に食い違いがあった。十二日の閣議で取り上げられたことが新聞に載っております。私は長官の言われたことが正しいと思うのですが、どういう点が文部大臣と食い違ったか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  31. 二階堂進

    二階堂国務大臣 五月十三日の新聞の記事がどういう記事か、私は存じませんが、閣議で話になりましたことは事実でございますが、文部大臣と私とが何か食い違った意見を述べて、論争したという事実は全然、ございません。ただ、従来から、御承知のとおり、国会でこの宇宙開発の一元化の問題がいろいろ論議されておりまして、その一元化構想について質疑応答内容等が新聞に出ておる関係からいたしまして、郵政大臣のほうから、この一元化の構想については、これは考え方はそうあるべきだが、一体その範囲をどこまで持っていくのかという私に対する質問がございました。そこで私は、これは文部省の東大でやっておられる研究、これはそれなりの目的を持ち、また、今日までの研究開発成果というものは高く評価していくべきものがある。今後のことにつきましては、審議会の考え方、あるいは有田文部大臣時代にきめられたような構想でもって進めていくということになっております。また、郵政省や気象庁、運輸省等で考えておりまする、それぞれの目的を持った研究開発というものが関係各省専門家において行なわれておる。この研究それ自体は、それぞれ違った専門的な学者なり技術者がおって勉強していくことでございますので、そういうことについては、この一元化という中に考えるべきものではなかろう。特に大学における研究の自由というものは、あくまでも守っていかなければならないものではないか、守っていくべきものである。ただ、各省が考えておる——諸外国でも実用の段階になってまいっておりますので、したがって、私どもが考えておりますのは、実用の段階においての施設なり運営なりをどう持っていくべきものかということを考えておるのでございまして、いま大学とか各役所で専門家がおって研究をしておることまで私の構想の中に取り入れているのじゃないのだ、こういう話をいたしただけであります。そこで、総理も、研究をやることはいいけれども、これがダブって国費がむだづかいされるということは厳に慎むように考えていったらいいじゃないか、そういうことをよく考えてやれ、こういう発言が——私は、これはそのままのことを申し上げます。そのとおりなことでございまして、文部大臣もそれについては何の意見もなかったし、私との間に意見の食い違いの発言は全然なかった、こういうことでございます。
  32. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そうしますと、「二階堂長官は十二日の閣議で、宇宙開発の一元化のため体制づくりについて「一元化は特殊法人で実施することが望ましいが、これはロケットを打ち上げると管理をこの特殊法人で引き受けることを意味している。」」こういうように新聞には書いてあります。しかし文部大臣は、閣議の後、記者会見でこういう発表をしております。「基礎研究であるかぎり東大宇宙航空研は、一元化体制ができた後も引きつづき独自にロケット打上げを実施する」と述べておる。ここに、閣議での食い違いではありませんけれども、食い違いを呼んでおるわけであります。前段のほうは、長官が言われたことですから、これは間違いがないでしょうね。後段について、こういうようなことを言っておられるのですが、これは文部大臣がおいでになってからお聞きいたします。  そこで私、この前十一日には、東大のラムダ4Sについて技術報告書を提出するように要求したわけであります。文部大臣はある程度作成の期間を許してもらえば提出する、こういうように答弁されておるのでありますが、あれからかなり時間もたっておりますし、それからラムダ4Sの一号機になりますと昨年の九月です。それから二号機は昨年の十二月、三号機は四月六日が延びて十三日になりましたね。最近のものでも一カ月以上になっておるわけです。東大の宇宙研の内部では総合的な技術報告書がまとまっておるということは当然だろうと思うのです。高木本部長は、十一日の当委員会で、報告書は所内版としてガリ版で配っておる、こういうことですが、ガリ版刷りはまだ国会に出していないようであります。それを用意していただいておりますか。
  33. 高木昇

    ○高木説明員 ただいまそれをまとめておるわけで、実は前回から一週間になりますが、この機会にはできておりません。十分に書いていただくつもりで、分厚くなると思いますが、印刷してでき上がるまでなおやはり一カ月ぐらいかかるかと思いますが、すっかりデータをそろえまして、報告を所内でまとめておりまして、それができましたら、提出いたします。
  34. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 東大の宇宙研の所内にはそれがあるのですか。
  35. 高木昇

    ○高木説明員 いま原稿を執筆中でございます。一、二、三を通じまして。それで活版印刷のほうは、もうちょっと見合わせるという所内のあれになっております。
  36. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それはおかしいのじゃないですか。私は、こういう問題というのは、結局何が失敗の原因であったかということをいち早く所内だけでもレクチュアしたり、あるいは検討することが必要だと思うのですよ。それを昨年の九月、そして十二月−今回の四月の分はいいとしましても、それだけたっておるのですから、東大の宇宙航空研の中にそれがあるはずです。出ておらなかったら、その失敗ということをさほど大きく考えておられないのじゃないかと私は思うのです。
  37. 高木昇

    ○高木説明員 一号の失敗のあれについては、ごく簡単なガリ版をつくっておきましたとおり、二段目、三段目の切断、これが致命傷になったわけでございまして、この点は、すぐ、実験が終わると同時に、私、教授会でもお話しし、それについて対策を持ち寄っていただける方があったら、こういう技術的な面でございますので、喜んで大ぜいから御意見を伺うわけであります。  それからあとは、たとえばここにもございますとおり、二段目、三段目の接合の切り離し点は、在来取りつけボルト四本でやっておりました。これを火薬で切断するわけでありますが、信頼度の向上からいえば一本でも少ないほうがいいだろうというので三本にいたしました。これで十分強度がもつかどうかという点を、実験を繰り返しまして、スタティックな、静的な荷重試験で切断試験を何回もやり、最後に結合部分の切断試験を二回やったわけであります。それによって、その点は二号機、二号機のほうはいま別に事故なしに進んでおるのでございます。もっとも、この二段、三段の接合も、在来これと同じタイプのロケットは五機やっておりまして、それで別に異常はなかったわけでございますが、やはり十分に念を入れまして、一号機ではその点が問題であったものですから、それは皆さんに御報告いたしました。  それからもう一つは、予定されたスピンがかかって二段目が回っておりますが、それをとめる装置がうまく動作しなかった。これはちゃんと無線でその装置の状態を送ってまいりますので、どこが欠点かということがわかりますが、姿勢制御装置のところの電源電圧が下がっておりまして、下がっておったためにそういう異常が起きた。なぜ下がったかということにつきましては、これは電源装置の整流部分のトランジスターの一方がぐあいが悪くなったということが判明−飛んでいる間にそういう電源電圧が下がっているということが判明いたしまして、そのために姿勢制御が不可能になった。これにつきましても直ちに対策を講じ、一号機のあとにはその性能向上をいたしまして、ロケットが飛んでいる環境の状況、あるいは周囲の真空とか温度の状況とかいうものを考慮して改良いたしまして、そして二号機に対処したようなわけでございます。  この二号機あるいは三号機についても御説明いたしたいと考えておったのでございますが、そういうふうに故障のポイントが失敗すれば、はっきりわかる、あるいはその周辺だということがわかる。そういたしますと、それをもとにいたしまして一ほかのほうは、たとえば一号機の場合におきましても、姿勢制御はできなかったけれども、四段目までが点火ができた、あるいはその他いろいろ実験を目的としておるところについては成果を得たわけでございますが、一番大事なそういう二段目、三段目の切断、そこで角度が曲がってしまったという事態にどう対処するかということで、いままでもやっていたことですが、さらに一号機のあとに続けて何回もやったようなわけでございます。この点については、所内では関係者は全部知っておることでございます。  二号機の場合につきましては、これも場所はどこかということは無線でずっと送ってまいりますので、この場所がどこであったということは判明しているわけでございまして、二号機の場合には、三段目の切り離し以後、スピンがほんとうは二・三サイクル毎秒回転があったものがゼロになるべきだったのですが、一・六サイクルになりました。これはもちろん地上でスピンモーターを働かせましてゼロにするという実験は何回か、地上に回転台がございまして、その上で実験はしていたわけでございまして、このときになぜゼロにならなかったのかということもその後テレメーターでわかったわけでございます。しかし、その場合には一・六サイクルという回転はまだしておりましても、そのあとは姿勢制御装置が一生懸命とめようというふうに働いてくれましたので、そのおかげで一この場合にはスピンをとめる固体燃料のロケットの力が足りなかった。これはほかの原因で、そのモーター自体は十分なパワーがあったのですけれども、逆に言いますと、あとで出てまいります四段目と三段目の接合をとめておくピンがゆるみまして、それがはずれて、したがって重量が変わったために、結合してあったらよかったかもわからないのですが、そこに原因があったということがわかりました。しかし姿勢制御そのものはその場合に〇・七度以内の誤差で入っておるということがわかり、また最後に、四段目に指令電波を出しまして点火させようといたしましたが、この場合には点火が失敗したためにうまくいきませんでした。これが二号機のときの原因でございます。  したがいまして、三号機のときに対策としてどういうことをやったか、これも直ちに所内で報告して、このところが故障である、したがってその故障を改めて、後にそういうことがないようにするにはどうしたらいいか、こういうことにつきましては、対策といたしまして、四段目の球型モーターを真空中で、つまり真空着火が一番問題でございますから、上にあがったときの状況を模擬するために真空の中で二回やりまして、点火するということを確認いたしました。それから球型モーターと姿勢制御の部分の取り付けのところの強度を増すべきだ。やはり目方を軽くしよう軽くしようとぎりぎりの設計にしておりますので、そこの点を、地上で十分振動試験とか切断試験をやったのでございますが、飛しょう中の状態を地上で再現する装置も具体的にはないし、またちょっと可能性もございませんが、取りつけ強度がどうか、それからそれを飛び出させる試験、こういうようなものを二回行ないまして、動作を確認したわけでございます。それからスピンをとめる、あるいはまた、姿勢制御をやってから再びスピンをかける、こういうふうな一連の操作をやはり地上の回転盤の上で二度実施いたしまして、いずれも地上に趣いてはこれで十分よろしいんだということになりましたし、また、頭を開くときにちょっとよけいな力がかかるとロケットの向きが変わるということもございますので、開頭試験を十分念を入れまして三回もやったり、こういうふうにいたしまして、実は三号機の設計製作に寄与させるようにしたわけでございます。二号機の場合には、先ほどの四段目点火の問題が、実際は四段目の推薬の真空中の試験を二回も念のためにさらに追加をして行ないましたけれども、取りつけ部がやはりはずれた、ゆるんだ。まあこういう取りつけというものについて、飛ばす前に十分検討したつもりでございますが、予想外の力がかかってこういうことが起こったのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。  それから三号機については、前回に御説明申し上げましたように、三段目の着火が行なわれなかったわけでございまして、これの原因につきましては、いまいろいろ検討中でございます。それの真空着火を何回となく今後も地上で行なうつもりでおるのでございますが、その原因などにつきましては、飛ばす前に十分に中の気圧を一気圧に保つように噴射口のところをふたをしておきまして、その気圧が保たれて、そして上がってまいりまして周辺が真空状態でもロケットの推薬の中は一気圧になっている、これを必ず確認して飛ばすわけでございますが、こういう問題が何らかのあれで気圧漏れが生じたか、もう一つはそのようなことがいま論議になっております。と申しますのは、三段目が着火しなかったというのは六機目に起こった事故でございますが、こういうことを十分慎重にやる。したがいまして、事故のあった場所がどこだかわからないというようなものではございませんで、すべて無線で測定しておりますので、大体この辺がどうなったということはわかりますので、それに対する対策は十分整えて次回の実験に資するわけでございます。  私たちラムダの——アメリカではこれと同じようなスカウトという固体燃料ロケットの四段式のものがございます。ラムダより大きくてミューより小さいが、アメリカではたいへんりっぱな固体燃料のロケットでございますが、これも初期の間には、たしか四回目か五回目で人工衛星を軌道に乗ぜたと聞いておりまして、現在までに三十数機上げております。最初のころは——私もちょっと外国の例は何か言いわけみたいでいやなんでございますが、最初のころは五回ばかり失敗しておりまして、それからだんだんと成功し、また途中で失敗しましたが、この、ころはほとんど成功するということになっておりまして、一九六〇年から五年がかりでここまで来ておりますが、その故障例を見ますと、二段目が点火しない、三段目が点火しない、やはり同様な故障をやっております。けれども、これが言いわけになるというわけでは決して、こざいませんで、私たちもそういう点火しないということに対しましては、もっともっと勉強しなくちゃならない、こう考えております。   したがいまして、いまのような故障点、それからうまくいったところは何カ所と、こういうようなことを常に所内に報告いたしまして、報告がおそくなりましたことはかねて私も気にはしておったのでございますが、ちょうどこの機会に少し時間を持ちまして、ガリ版でございますが、いまその報告書をまとめて、原稿をいま大至急集めておるところでございます。
  38. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 端的に答えていただきたいのですが、いまの失敗の原因については、その程度ですと新聞でも見ましたし、さらにまた、この間の報告書にもあったわけです。しかしながら、それでは東大の宇宙研の報告書というわけにはいかぬと思う。したがって、いまのお話では原稿をいま取りまとめ中である、こういうことで、実際にそういう報告書がいまない、こういうように理解していいですか。
  39. 高木昇

    ○高木説明員 各受け持ちの部分のデータその他はそれぞれの人が持っておりまして、この報告書を書くと申しますのは、たとえば成功した部分がございます。姿勢制御はどうやってやったとか、そういう詳しいグラフを全部載せるつもりでおるわけでございます。失敗した部分は、確かにネジがここのところでちょっとこうなったとかということであんまり書けないわけなんです。こういうところが力が弱くて失敗した。しかしほかのところは全部正常に飛んでいる。あるいは着火の模様に、どのぐらいの加速度が出て、どのぐらいの馬力が出た。その各段の馬力を全部電気的に送ってまいりますから、それによってたとえば六十四度なら六十四度の軌道にちゃんと乗った。それからレーダーで全部時々刻々あれを確かめた。それからどういう測定をしたとか、そういうデータを全部なまのデータから見られるグラフに書きかえて出す予定でございますので、そういう部分、それからまた、それに必要な、基礎になるような地上の試験結果、それもデータが出ております。それからラムダのランチャーの近所の改造の問題、それからそれを受信するための施設の改造の問題、そういうようなものを全部まとめて出す予定にしておりますので、故障の点そのものは実際は一、二ページになるかとも思います。ほかのデータは毎回出しておりますが、観測ロケットのようにデータの整理その他ともかみ合わせて特集号にして出します関係上、どうしても大体一年ぐらいおくれて活版印刷になりますので、速報としては所内にはガリ版でメモ的なものはむろん回して、このときにこういうものが書かれた、ああいうものが書かれた、その解析にはやっぱり時間がかかりますので、その点少し印刷期間がおくれますことをひとつ御了承願いたいと思います。
  40. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 私が聞いておるのは、国会に報告してもらうのには、そういう活版印刷にしてきっちりしなければならぬという、そういうたてまえにあるかもしれません。しかしながら、ほんとうに失敗を成功にさせるためには、やはりそうしたなまのデータを持っておらなければいわぬわけです。それがあるかないかを聞いておるわけですが、それはあるのですね。
  41. 高木昇

    ○高木説明員 なまのデータは。ございます。
  42. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それをなまのままでけっこうですから、見せてもらいたい、こういうように言うておるわけです。
  43. 高木昇

    ○高木説明員 なまのデータと申しますのは、ロケットからいろいろな測定結果を送ってくる。切断が起こるとぱっとそこに圧力がかかる。それから切断後加速度がどうなるか、それは電気量に変換して、地上でグラフに書かれます。そういうグラフでございましょうか。巻物みたいなのが二本、三本あるわけでございます。それはそのままでは受け持ち以外はわかりませんので、それを一々換算、キャリブレートいたしまして、これぐらいのものは何Gだ、これだと十Gがかかってくるというのを全部換算して、そういうグラフに直して、それ自体は終わると一カ月ぐらいかかって全部持ち寄りまして検討会をやっておりますので、所内でのそういうデータはございますので、それを全部まとめていまガリ版にしよう、こういうことでございます。見やすい結果に直して出そう、こういうことでございます。
  44. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 ちょっとまどろしい話になってくるのですが、ラムダ4S一号機は四十一年の九月だったのでしょう。一ヵ月たってそういうなまのデータから、いまおっしゃるように所内全部にわかるようなデータにして回されたものがあるかということです、私が聞いておるのは。なまのデータだったら、本人だけにしかわからないようなもので、所内の各班に回してみたところで何の検討にもならぬでしょう。そういう意味合いですよ。
  45. 高木昇

    ○高木説明員 こういうグラフが、たとえば結果が出まして、それをリコピーなり何なりで回しますが、ほかの、所員の興味ある人は見ておりますから、何かそれを見なかったという人でもおるというんでしょうか。私はそこがちょっとわからないのです。ですから、関係者は全部それを見て、これだけ圧力が出ているからここはこうなったはずだとか、その人の、たとえば加速度係の人とあとは何か観測の人とがいつもそのデータでやり合って、その結果をもらって自分の科学観測結果や何か全部カーブを引き直す。レーダーはレーダーで、確かに二千百五十キロ上がつたと、こういうのが出てくるのにやはり一カ月くらいかかります。そういうデータをもらうとはじめて自分の結果をそこでプロットし直す、そういうわけでございます。関係者の間には、全部リコピー程度でデータはあれしております。そういうデータは。ございます。
  46. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 関係者だけしかわからない、いまこういうお話でしたが、所内の全部にわかるようなものはつくられておるかどうかということを聞いたわけですが、それは、みなわかるということですね。それでもちろんこの電波受信の記録原紙やレーダー受信の原紙など、すべて含めた報告書を出されるわけですね。それはいまあるんですね。ありますか。
  47. 高木昇

    ○高木説明員 あります、いま申しますのは。なまのはございます。それから若干見やすいカブにしたものを、みんなが換算してお互いに使えるように——相互に使えるようにしないといけませんから、本人だけわかってもしようがないので、相互に使えるように修正したものをガリ版にして、一カ月ぐらいかかって集めてつくりたい、こう思っております。
  48. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それじゃ三つ総合してでなくて、一号機は一号機で一カ月以内にはそれができておるんでしょう。皆が利用できるものがあるのかということを、私は聞いておるんですよ。
  49. 高木昇

    ○高木説明員 それはございます。たとえばこういう記録がありますから、それを全部それぞれが変換して、自分の受け持ちではこういうカブ、自分の受け持ちではこういうカーブ、自分の受け持ちではこうだ、これはございます。で、それを皆が集まって、やはりそれぞれ専門家の話を聞けば、次の二号、三号の設計にそれが役立つわけです。予定どおりの性能が出たかどうか、こういうことでございます。
  50. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そうすると、私もわからないんですけれども、大体別の観測データを読ましていただいての結論ですが、ラムダ4S一号機は四十一年の九月に飛ばして、四段目はどこへ行ったかわからない。高さが幾らで、方向はどれだけかということも、これはわからない。二段目、三段目の切り離しに失敗した。いわゆるネジの中に火薬の爆薬のしかけがありますが、そのしかけが間違っわけでございますね。それを調べるレーダーの応答装置も、これには積んでいなかったようであります。一号機の四段目にはX線の観測器を積んでおったようですね。そして四段目は行ったところがわからなくなってしまった。こういうことのようです。私のこれを見たところが間違いでなければ……。  同じくラムダ4S二号は、四十一年の十二月に打ち上げて、失敗の原因は四段目に点火ぜられなかった。いまおっしゃられたわけですが、三段目が終わってから、これを水平にして、そしてそれから四段目の進行が始まるわけですね。そのときにちょうど鹿島の観測所では、回転がゼロとなっていない、自転がとまった瞬間がないということを報告しておりますが、しかし、おたくから出されたところのデータはそれとは違うものを出されたように思うのです。そして、いまおっしゃって、私初めてわかったんですが、一秒間に二・三回ですか、それが一・六回に下がって、一・六サイクルになって、そういうふうに回っておったと、いま白状されたわけですが……。
  51. 高木昇

    ○高木説明員 いいえ、一・六に下がりましたけれども、そのあとは姿勢制御装置がありますので、その姿勢制御装置がほとんどゼロの状態に持っていってくれましたので——スピソ停止装置というのは固体燃料のロケットを使っておりますから、一回ふいたらそれで終わりになってしまう。姿勢制御装置のほうは液体燃料のロケットを間欠的に使っておりますので、ゼロになるまでこれが働いてくれたわけです。
  52. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そうして結論は、こけしの首が落ちるように途中で落ちてしまって、四段目もだめになった。結局ちぎれたから点火してないわけですね、実態は。  それから三号機については、三段目が火がつかなかったが、なぜかその原因が明らかにされていないわけですね。
  53. 高木昇

    ○高木説明員 これはまあ推定でございますけれども、先ほど申し上げました一気圧に保っておくべき齢しりのふたのところが、飛ぶ前に十分気密が保たれておることは検討したのでございますが、飛んでいる間にゆるんで気圧が漏れたかというのが一つの解釈でございます。そうすると中が真空状態になりますので、この状態では点火いたしません。ですから、中が三段目の推薬の穴とこちらとの間がぴしゃっと詰まって気密になっていて、一気圧になっておれば、いままではちゃんとついたわけです。  もう一つは、そこに入れる着火剤の問題がございますが、着火剤も十分な量——実はそれと同じものを前にL3H三号機として、一月でしたか上げて、三段目に火がついておりますので、どうしてこういうことが起こったかということは、やはり気圧が漏れたのではなかろうか。そこに計量器を入れてなかったことは事実でございます。飛んでいる間におしりのふたがどのくらいゆるんだかということを電気で知らせる方法もあるわけですが、いままで六回、また、ラムダについては十一回目になるものですから、一応この点は卒業したと思って、真空で着火は十分だろう、こういうふうに私ども思い込んでいたということはあったかもしれませんが、たぶんその気圧が下がったものといまは考えざるを得ないわけでございます。飛ばす前までは、十分に中の気圧を確かめておいて、それが漏れてないということを確かめていつでもやるようにしております。したがって、地上から送り出すときにはそういうことはなかったと私は確信しておるわけです。飛んでる間にそういうふたが取れたんじゃないか、こういうことでございます。  それから一号機の場合でございますけれども、これはレーダーのトラソスポンダーは積んでおります。積んでおりましたが、それが非常に微弱であったために、最後まで十分追跡ができなかったということが実情でございまして、一半は電子装置にも責任はございます。しかし、高度千キロメートルから先にまいりまして、受信可能限界からは、内之浦側からはとれなかったわけでございます。
  54. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 大体、技術的なことは私もわかりませんが、この問題は、先がた想像の域で話をされている点がだいぶあったんですが、想像ではなくて、これはこういうデータによって、こういうところから、そういうふうに推定ができるというものを出されるのが至当ではないかと私は思うのです。いま私はこう思います、ああ思いますではいけないと思うので、だれが見ても、それはそうだというようなデータを集めておられることが、やはり成功に導くところの一つのポイントだと私は思うのです。だから、私はさっきからそれを聞いておるだけのことなんです。詳しい技術的なことなら、あなたは技術者ですから、これはこうだ、ああだおっしゃるでしょうけれども、そのことを聞いたって私らはわからないのですよ。そういうものを持って、この国会にもそういう普遍妥当的なものを出していただいて、国会でも、なるほどこうだ、そうなるだろうということを、第三者を呼んできて検討してもらって、結論を発表できるくらいにしなかったら、東大オンリーで固めておるようなことでは、技術的にも大きく伸びないと私は思うのですよ。だから、問題は、私が申し上げておることは、ラムダ4S一号から三号まで失敗したことは、技術の失敗か未熟かということを、やはり深甚に反省しなければだめであるということですよ。そういうデータを用意してくださいと、私は国会でこの前からずっと言っておるのに、あなたは口で答弁してしまうわけです。そしてまた、それは膨大なものをつくって報告しなければならないというような考え方に立っておられる。そうでなくて、技術問題については、第三者の技術者もおるのですから、私たちはわかりませんから、それらの人に検討してもらうところの資料を出してくれ、こういうように言っておるのです。そういうように御理解いただきたいと思います。  それからラムダ4Sの失敗のもう一つの原因といたしましては、私は会計経理の問題もあると思いますし、これは故意か偶然か、会計経理の問題が非常にずさんであるということを指摘されております。これはあとでお聞きしたいと思います。  それから、業者と一緒になって事をやっておられますから、これだけ大きなビッグサイエンスになりますと、業者とどの程度まで一体になってやるのか、あるいは全部業者にやらさせておられるところも見受けられるのですね。そういう点にしても、私は問題だと思います。  そして、最後に、ここまで来たのには、この前から申しておりますように、東大では荷が勝ったのではないか、負担が重くなったのではないか、これだけのビッグサイエンスに取り組むのには、東大だけに取り組ますということに私は問題があると思う。体制の問題をずっと言っておるわけであります。いずれにいたしましても、いまそういうデータはないように私は見受けられます。いろ一いろ御答弁なさいましたけれども、そういうように私は受け取ったわけであります。  次に高木本部長にお聞きしたいのですが、私もこの前、インドネシアにカッパi8型かを輸出されたときに、これは武器であるか武器でないかという論議をいたしました。田中武夫君もこの問題に触れておりましたが、その当時あなたはこのカッパー8型は武器にはなりませんというように言われたわけであります。その理由として誘導装置の問題をあなたは言われておるわけであります。今回やはり誘導装置の問題にあなた方は触れておられるわけです。この前は誘導については、東大と技術庁で分けてやることにしたと答弁したが、これは東大宇宙研もロケット誘導技術開発することを言ったのだと私は思うのですが、間違いありませんか。
  55. 高木昇

    ○高木説明員 カッパーのインドネシアのときの問題は、この国会で御議論がございまして、カッパー8型は小さなロケットであるとか、初速度、燃料の問題だとか、いろいろ御答弁いたした記憶がございます。それから、ただいま誘導の問題が出たわけでございますが、人工衛星を上げるということになりますと、大なり小なり、姿勢制御はともかくといたしまして、軌道に六十四度なら六十四度ぴったりに乗ぜていく。そういたしますと風の影響を考えて六十四度に乗るような受け身のやり方もございますが、同時にみずからかじをとるということも必要でございまして、これは宇宙開発審議会で、昨年、科学衛星なり実用衛星を上げるとすれば、だんだんと誘導装置を開発していかなければならない、そういうことで東大のほうは姿勢制御をやるためにジェットを出すのをやっておりますので、そのままの技術を、今度は燃料が燃えておるときに、姿勢制御と同じようにジェットを出すことによって六十四度のコースのずれを修正する、こういうことができる、そういうふうな受け持ちを分担をいたしまして、推進本部のほうでは吹き出し口を自由に動かす、あるいは羽根に小さな羽根をつけてそれを動かす、一段目からやるという分担をいたしました。これは宇宙開発審議会でお認め願いまして、そして新聞にも出ておりましたが、すでにそういうものが本部の科学技術庁のほうでも進んでおる、こういう状況でございます。やはりそこは程度の差こそございますけれども、水平になるところまでは誘導していくということは、人工衛星が将来実用衛星のように軌道がかなり正確なものが要るというのには必要になります。
  56. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そうすると、誘導技術開発する、こういうことになりますね。それでけっこうです。われわれ、そのときに主張したのは、 ロケットの平和利用を主張したわけであります。そして、平和利用と軍事利用との差というものは、そういうような誘導装置をつけようがつけまいが、そんなことで差があるはずがないと思っておったわけですが、あなたのこの前の答弁のときには、誘導装置がついておりませんから、これは武器では、こざいませんということを言っておられるわけです。そうすると、今度東大がやられるのは武器をつくられるのかという論理が出てくるわけですね。この前私たちが質問したときにはそういうように言っておられます。そうして、この間の質問で私は、誘導装置に非常になにがある。東大のやっておられるのは、こういうふうにやっておればいきなり軌道に乗るかもしれない。姿勢制御装置がついておるからそれに乗るかもしれませんけれども、しかし目的に向かって発射していないわけですから、当てずっぽうにそういう軌道に乗ることはあっても、計画的に乗せるわけではない。だから誘導装置がなくてはいかぬのじゃないか、この点で非常に弱いじゃないかという話を、私は知りませんけれども、各論説を読んでみますと、そういうことが書いてあるということを申し上げた。帰ってこの前の会議録を調べてみますと、武器であるか武器でないかというところのけじめは、技術庁では区別はできにくいのですが、しかしながら、無誘導であるからこれは武器でないのだ、こういうような発言をされておるわけであります。だから、今後は武器でないところの証拠の誘導技術開発するのですから、東大は武器になるミサイルを開発しておるということになるわけですね、ということを言っておるわけです。
  57. 高木昇

    ○高木説明員 観測ロケットの場合は、もちろん誘導ということはいたしておりませんけれども、人工衛星になりますと、これは平和利用で、科学衛星なりあるいは実用衛星においても若干の誘導をしなくちゃなりません。で、昨年の宇宙開発審議会もそうでございますし、こちらの委員会も、国として人工衛星を上げるということになりますと、そこにいままでなかった一つの新技術開発していくということになるのじゃないかと思うのでございますが、それに沿って私たちゃっているつもりで、決して武器の研究をするとか、東大でそういうことを——東大と、こうおっしゃいましたけれども、やはり衛星というものがいままでの宇宙科学、ここまで進めてまいりました観測ロケットで縦断的にはかっておる観測に対して、やはり横方向に長時間にわたって観測できるほうが、両方相まって成果があがる。したがいまして、数年前から科学者の間ではできるだけ早く科学衛星を上げたいという要望もあり、かたがた日本としては、当然のことながら、それを武器にするという考えを私たちは持っておりませんですけれども、そういうふうにいたしまして、宇宙開発審議会でも誘導技術開発するということになったわけであります。  それから先ほどのお話でございますが、 (三木(喜)委員「それでけっこうです」と呼ぶ)たいへん当てずっぽうに私たちがやっているということでございますけれども、現時点におきましても、一号、二号、三号はいろいろ未熟なとおっしゃいました点、技術的に切断とか点火しなかったとか、こういうことでまことにどうも申しわけないと考えておりますけれども、それ以外の点につきまして、今後も大いに努力していくつもりでございますが、現在風の影響なんかをやってみますと、たとえば六十四度の線にプラスマイナス一度にはもう乗っかっておりまして、これは五百キロの高度にいたしまして、五十キロとか百キロぐらいの高さが違う程度でございますので、これは科学衛星として十分使えるというようなつもりで私たち考えておるのでございますが、技術がどんどん進歩していろいろなものが利用できるようになれば、ますます精度の高い、信頼度の高いものが使えるようになるだろうと思っております。
  58. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 私の言っておりますことは、あなたが武器にしないと、こうおっしゃっても、武器にしなければならない必然性が出てきたときは、あなたが何ぼそうおっしゃってもだめなんです、法律で規制するか何かしなくては。私の言っていることは、そういうあなたの決意を聞いているのじゃないのです。そういうことを言われるから、ぐらぐらとこれがぐらついて、武器になる可能性があるわけです。あなたはインドネシアにあれを輸出するときに、国会におきまして、誘導装置がついておりませんから、これは武器ではございません、武器にはなりません、なお燃料は非常におそく打ち上げられるところの燃料を使っておりますから、武器ではございません、こういうように言っておりますけれども、二つとも、これは武器が現実にあるわけなんですよ。われわれ不敏にしてそんなことは知らなかった。あなたにまんまとだまされておったわけです。この誘導か無誘導かという場合、無誘導のミサイルでも戦術兵器になっておるわけです。米国のオネストジョソがそのとおりであります。これは、石橋君がその後これを指摘しておるわけですから、はっきりしてきたわけであります。それから、燃焼速度が東大はおそい。おそい燃料は武器ではございません。早いのは、対戦車ミサイルなんかは即時燃焼でいっておるわけなんでありますから、これは武器だとおっしゃるのですけれども、おそいミサイルでも、これは現実に武器になっておるわけであります。こういうことで、この前のときには無誘導のミサイルは武器にならないとまんまとあなたからうそをつかれたからして、私たちはいまのような結論を出したわけです。しからば、東大は武器になるミサイルを開発されるのか、こういうことを言ったわけでありますが、あなたは、そうすると、国会をだますためのうそをこのとき言ったのですか。この国会に対してそういうようなうそをついて、これは兵器ではございません、兵器にはなりませんと、二つの理由から、無誘導であるということと、それから燃料が非常におそく燃焼するところの燃料だから、こういうことを言っておりますけれども、両方とも武器になる可能性があるわけなんです。
  59. 高木昇

    ○高木説明員 私、先生をだまそうとかうそを、そういうことを申し上げたつもりは毛頭ございませんので、どうもうそをついたと言われますと、私、はなはだ残念でございます。オネストジョソというのは——兵器のことは、先生のほうがお調べになっておるかもわかりませんが、初速の早いことによって風の分散をなくして、武器の場合には命中精度を上げるということで、こざいましょう。観測ロケットが武器になるという、私自体はそういうつもりでなく観測ロケットをやっておりますし、あれの上に載る計測器重量も五十キログラムという程度のものでございまして、たしか前回のこの委員会では武器にならないと先生方がおっしゃっていただいたような気がいたします。それから、無誘導ということばはなんでございますが、たとえばカッパーとかラムダが兵器になるか。私は絶対、それでございますから兵器になるかもしれない観測ロケットだといってここで申し上げたっもり、こざいませんので、どうぞひとり……。
  60. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そうじゃないんですよ。制御装置がついていないから武器ではございません。燃料が遅焼性の燃料であるから……。
  61. 高木昇

    ○高木説明員 それは申し上げましたけれども、たとえば対戦車砲や何かとは違うわけでございますね。何と申しますか、観測ロケットそのものを非常に機械的にもぎりぎりの線までやっておりますし、ノーズコーンもごらんのようなものでございますし、私自体はそれを転用できるものではないと思っておりますけれども、つまり観測ロケットをたくさん何千発も上げるということをおっしゃるわけでございますね、武器になるというのは。つまり風の影響を受けてどこへ行ってしまうかわからない。どこへ行ってしまうかわからないというと語弊がございますが、誘導してない場合には、たとえば、私たち、海へ落ちる海域もずいぶん広くとっておるわけでございまして、その中で船の立ち入りとかあるいは公海で船が通っても絶対に当たらぬという密度で実験を常に、逆に言えば、しているわけでございますが、当てようと思って上げているわけでは毛頭ないわけでございます。
  62. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 高木本部長、あなた、もう少し責任を感じてものを言ってください。この前のときに、私たちが武器になりますか、なりませんかと言ったら、これはその判別のしかたとして、無誘導であるから武器にはなりません、こういうことであった。武器じゃないんです。それから、燃料も違うから武器じゃありません、こういうぐあいにおっしゃったのですけれども、今度誘導装置を研究されるということになりますと武器になりますねということです。だから、武器をつくるんですか。そこまでいくと飛躍かもしれません。それでも平和目的にどんどん使うということで、それはいたしましょう。しかし前の発言は、私たち国会におる者がわからないからと思って、そういうような判別のしかた、識別のしかたをあなたはおっしゃったということを言っているわけです。それは武器ですか、武器でないですかとこっちは聞きたいですよ。当時ちょうどこれを注文して持っていったことが問題になったんですよ。あなたも御存じだと思うのです。四十年ですね。私もそのあとインドネシアに行きました。そうしますと、インドネシアでは全部上げて、何のために来たんだ、武器としてあなた方は調べに来たのか、こういうことだったのです。あの当時これを輸出しておったのは伊藤忠でしたか、そういうことで、国会でも論議になったわけですよ。二つの焦点があるわけです。一つは国費をかけて開発したところのものを、一商社がそれを売っていいか、それに東大がかんでいいかということですよ。これが一つだったのです。もう一つは、インドネシアは大統領がマレーシアを威圧するために、われわれはこういう武器に類するものを持っておるんだ、こういうためにやるんじゃないか。これは国際紛争を招くじゃないか。こういうものを送ってはいかぬじゃないかと言いましたときに、あなた方は、口をきわめて、武器じゃ。こざいません、武器でない証拠にこの二つがこうですと、そのときにその識別を言ったわけです。しかしながら、現実は、行きますと、やはり航空大臣がこれに対しまして立ち会って、しかも、全部軍人が立ち会って上へ上げておるわけですよ。ときにあたかもマレーシアの紛争があったときです。マレーシアを威圧することにも私は意義があっただろうと思いますが、今度まあクーデターに準じた平和なクーデターがありましたから、こちらのマレーシア紛争は解決がつきましたけれども、当時の大統領の考え方はそうではないかという心配を持っておったからそれを聞いたのですから、あなた方いま何だかんだとおっしゃるように、のらりくらりという御答弁と言うと悪いかもしれませんが、そういう答弁の中で、絶対に武器にはならぬのだ、武器にはなりません、こういうことですから、おっしゃったことが食言ですかと言っておるわけです。
  63. 高木昇

    ○高木説明員 私は、観測ロケットについては武器じゃないといまでも思っております。決して先生方をここでだましたりなんか、とんでもない、私はそういうことは申し上げるつもりはございません。どうかこの点はひとつ御了承願いたいと思います。
  64. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 次に、それならお聞きします。あなたの気持ちはそれでわかりました。そこで、高木本部長に次のを聞きたいと思います。  これは、この前もちょっと触れたのですが、あなたはそういう記録はどこにあるかとおっしゃったのですが、私はちゃんと記録を持ってきましたので、その記録によってあなたに聞きたいと思います。あなたは、昭和三十九年十二月に宇宙開発推進本部長になったときにですか、東大と科学技術庁を結ぶ大きなパイプになって、東大の技術科学技術庁に移し、一元化したい。一元化することによって、昭和四十二年度よりより早い時期に衛星打ち上げ目標を設定したいと思うと言っている。この趣旨のことは「日本経済」から「産経」「朝日」「毎日」「讃売」の当時のを見ますと、全部に出ております。あなたは、科学衛星の第一号を四十二年度より早くする努力、一元化の努力をやっておられるとは私は思わぬのです。上がる、上がらぬの技術的な問題、会計上の問題、あるいは業者との癒着の問題、そうして体制の問題と押えてみたときに、体制の問題にもあなたが力を入れておられるとは私は思わぬ。それは十三日の参議院予算委員会でミュー型ロケットによる科学衛星第一号の打ち上げは昭和四十三年度に延期すると剱木文相が答えておりますし、それから、この間そういう資料がどこから出たかということをおっしゃっておりましたので、資料をひとつお見せしたいと思います。これは体制問題小委員会第二回の議事の要旨です。これは科学技術庁からとりました。この中であなたはこういうぐあいにおっしゃっておる。いろいろな論議の過程は省略いたします。「私としては一元化はしないほうがよいという理念を持っている。NASAも一本にしてかえって非効率的でよくない。一元化というのはことばの魔術である。たとえば内之浦については、一元化しなくとも東大が使わないときに使えばよい。ロケットについては、実用衛星にはミューでは小さいから二メートルぐらいのを考えて新たに本部で開発すればよい。さきには本部の救済策として一・六五メートルを考えたが、宇宙審ではもっと大きいものと意見が多い。これには内之浦は射場として小さい。組織をいじらなくてもいまの航技研、本部に東大の先生が行くことも考えられる。」云々となっております。一元化はしないほうがいいという考え方と、いま国論になっておりますところの元化したほうがいいという考え方、それから科学技術庁長官も一元化に努力するという約束をされた。あなたは同じ科学技術庁の中におって、こういう思想やこういう考え方で体制問題小委員会に臨んでおられたら、これは職責からいっても私は怠慢ではないかと思うのです。それでいいのですか。これはあなたが示せと言われたから、私は持ってきたわけですよ。
  65. 高木昇

    ○高木説明員 その議事録をちょっと拝見したいと思っておりますけれども、私、その体制委員会の議事録を見ておりませんので、私がそういうふうにとられた発言をしたとすればたいへん……。私は一元化に反対しておるとかいうことでなく、それぞれが分担することによって、つまりNASAみたいにと申しましたのは、あらゆる役所の研究所とかそういうものを一切含んだものが理想的でございましょうけれども、そういうものが急にできるとも思えませんし、私、本部のほうでいろいろな企画があったのを、この一、二年はできるだけ両方の分担、東大のほうと仕事を分けて、実用の面としては確かに最初ミューをちょっとふくらましたようなもので、その上のほうに液体燃料ロケットを積むという二年くらい前に出た案がございましたが、やはりよく検討してみますと、ミューの一・四メートルとそれほど違いがなくて、むしろいま年々実用衛星の重さと高さが増してくるものですから、それを数年かかってつくって、できたころには役に立たなくてはたいへんだということを考えまして、また、宇宙開発審議会でもそういう話が出たわけでございます。宇宙開発審議会のほうでいろいろな議論がございましたけれども、結局政府に建議のような案に一応四十二年度はまとまって、確かに表面上二元化するようなかっこうになるかもわかりませんけれども、分担をすることによってだんだんと一元化に近づけようという気持ちは、私自体は変わりはございませんので、私は、実は決して一元化−一元化という意味がこれからいろいろ議論なされることと思いますが、それを妨げるために私が動いていたとか、そういうふうに議事録−私、議事録はもらっておりませんし、その委員会に議事録はないと思うのでございますが、確かに御期待のように二年間にぱっとやるということはできなかったかもわかりません。それはできなかったかもわかりませんけれども、しかし大きな目標だけは、それぞれ立ったのじゃなかろうかと私自体思っておりますので、どうかその点御了承を願いたいと思います。
  66. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 議事録はないと思いますけれども、ということですね。体制委員会をやれば記録はちゃんととらなければいけませんし、あなた方のほうも失敗の原因はちゃんと記録をとって、そして所内でよく検討なさるのがほんとうだろうと思いますが、現実にこれは私、科学技術庁からもらってきたのですから、そういう考えはないとおっしゃっても、そういう基本的な考えがあって動き回った——反対だ、反対だといって動き回ったとか、そういうことを私言っておるのではない。一元化は私は反対だ、ことばの魔術、こういう考え方では一元化できないと私は思います。あなたが一元化反対で具体的に動いたとは私は言っておりません。あなたのいままでのおっしゃっておることをずっと私読んでみたのですが、サンケイ新聞ではこういうようにおっしゃっております。「ほんとうに打ち上げの必要があるならば、東大と科学技術庁がハラ、ハラにやっている現状は、合理的でない、と考えまして……」この新聞でこういうておるのです。それからこれは昭和三十九年十二月四日の朝日新聞ですが、「人工衛星計画、一本化してスピード・アップ」、四十二年度より早くミューを打ち上げます、こう言ったのですが、現在ミューはどこへ行ってしまったのですか。これで打ち上げられますか。一本化、一元化体制というものに対してこういう態度では私はいかぬということを言うんです。「東大は四十二年度以降、人工衛星を打ち上げる計画だが、科学技術庁との一元化によって、この計画をスピード・アップしたい。東大が十年間蓄積してきた成果科学技術庁に引き渡し、応用面の開発に役立てることには異論がないので、いわば文部省から科学技術庁へ大きなパイプをひくことになったわけだ。」こうあなたは語っておられる。そうして、きのうの文部大臣の話を聞きますと、ミュー打ち上げ、そしてまたそのあともやる、これは参議院でおっしゃったようでありますが、この意見の食い違いは、ちょうど文部大臣おいでになっておりますから、聞いてみたいと思いますからあとにしておいて、あなた自身こういう矛盾撞着をおかしておるわけですよ。これで一本化可能と思われますかということを言っておる。
  67. 高木昇

    ○高木説明員 その新聞に書いておりますことは、私申したことで、そうしたいと言ったが、しかし私の力が不足で非常に時間−何年かかかっているのは申しわけないと思いますが、東大で基礎研究から始めてここまできたものを、早く実用に移したいというのが私の念願でございますからこそ、宇宙開発審議会でもきめていただいたとおり、なるべく早く東大のをやると同時に、それと並行して直径の大きなものにかかっていただきたい、こういうふうに頼んで、私も審議会で発言しているとおりでございます。それが真意でございまして、したがって、一本化を妨げるといったことについては、私どうにもふに落ちないのでございますが、まず計画をとにかく重複をとるということが大事なのと、それぞれの目標に一斉に進んで重複を避けるということが大事である。しかる後に、また適当な機構がございましたら、それにはめ込むなりなんなり、こういうことを申しておるのでございまして、矛盾はないつもりでございますが、しかも、それに非常に時間がかかった、二年やって何もできなかったじゃないか、こうおっしゃられますと、まさに私そのとおりでございます。
  68. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そのことを私は責めていないわけです。こういうビッグサイエンスになりますと、それは時間もかかるでしょう。手違いもあるでしょう。しかし、手を尽くして後に一いま私は四つの面を指摘しております。技術の面、それから経理の面、それから体制の面、その上に業者に開発さしておるということが私は問題だということを言っておるわけです。これは後ほど事実を示せとおっしゃるならば私示しますけれども、業者まかせでは困るのですよ。業者がうまい汁をみな吸ってしまいますよ。この四つの点を指摘したわけで、その部署部署に深甚な反省がなされておるなら私はいいと言うんですけれども、それがなされてないから、今日ラムダが三回も上がらなかったという悲しい事実、残念な事実を生んだんじゃないかということを言っておるので、あなたが二年かかってもできておらぬからいかぬと言うのではない。その背景には、いま申し上げましたように、一本化に対しましては非常にいいことをおっしゃっておるわけです。朝日新聞におきましても、サンケイ新聞を読みましても、これこそほんとうの一本化の努力だと思うのです。真意だと思うのです。しかしながら、この体制問題小委員会の議事の要旨を読ましてもらうと、こういうことをおっしゃっておるから私は納得いかない、こう言っておるのですが、これは知らぬ、とこうおっしゃるのですね。これは言った覚えがない。それならば、これは間違いだらけのことを書いておることになる。また、そんな議事録があるはずがないとあなたさっきおっしゃったんですが、なければそんなことは書いてないはずですが、あるんですからね。だから、これはもうとにかく私は言ったことはない、それはうそですということにして了承いたしましょうか。
  69. 高木昇

    ○高木説明員 私、その議事録を見まして、あるいは訂正するチャンスがあったら訂正したと思うのでございますが、私がほんとうにそう言ったとは思わないのですが、その議事録を私見て、訂正というか、見てなかったものですから、私のあるいは真意がそうやって誤解されておるのかもわかりません。私のしゃべったことが誤解されておるかもわかりません。
  70. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そこまで突き詰める気持ちはございません。真意が誤解されておって、こういう記録になっておるということはちょっとおかしいと思うのです。宙に浮いた、お互いにどう言った、こう言ったというならあれですけれども、記録に残っておるのですから、誤解も何もないわけなんです。これは間違いかどうかというだけの違いですね。あなたの真意でなかったら間違いだということに私はなると思うのです。訂正する機会があっただろうとか、なかっただろうということは論外です。これは訂正なんかしなくても、そういう考えや思想は変わらないのですから、そのことを私は問題にしておるので、そういう思想があれば一本化はできませんぞということを言っておるわけなんです。それはけっこうです。  ちょうど文部大臣がおいでになりまして、大臣は四時からのっぴきならぬ御用事があるそうでございますので、大臣にひとつお聞きいたしたいと思います。  先ほど、科学技術庁長官にはお聞きいたしました。毎日新聞の四十二年五月十三日、土曜日の記事によりますと、「宇宙開発一元化」という見出しで、「政府内で食い違い」がある、「文相構想と技術長官発言」こうなっております。科学技術庁長官の発言は、「一元化は特殊法人で実施することが望ましいが、これはロケットを打ち上げると管理をこの特殊法人で引き受けることを意味し」云々、「一元化構想を八月までにまとめたいと述べた」これが新聞に載っておるわけです。長官もそのとおりだということをおっしゃっておる。「一方、剱木文相は閣議後の記者会見で「基礎研究であるかぎり東大宇宙航空研は、一元化体制ができた後も引きつづき独自にロケット打上げを実施する」と述べ、二階堂長官の「ロケットの打上げと管理を特殊法人で引き受ける」との発言と大きな食い違いをみせた。」と新聞に載っておるわけです。こういうあいまいなことでは、一元化も何もあったものじゃないわけなんです。だから新聞は、この問題を取り上げたのだと思います。ただいま私は高木本部長に聞きますと、一元化に対しましては考え方が、これは体制問題小委員会でおっしゃったことがうそなら別問題ですけれども、議事録にこう書いてあることがほんとうなら、高木さんはいろいろの食言をなさっておるわけです。一本化するかのように見せて、そういうように努力するかのように見せて、本心は一本化しないほうがいいということで、そういう方向運営をせられるということになるので、そういうことをいま高木本部長とやりとりしておったわけであります。したがって、この新聞に書いてあることについての文相の所見をひとつお聞きしたいと思います。
  71. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 この一元化の問題につきましては、科学技術庁長官からいろいろお話があったとおりでございまして、その閣議の席上で私どもが意見の食い違いをしたことは絶対ございません。科学技術庁長官と閣議でいろいろほかの省とのお話があります場合に、特に私どもが一元化しなければならぬと申しておりますのは、今後実用衛星を打ち上げます場合において、各省でばらばらに打ち上げることは非常に国費のむだが多いから、これは一元化すべきじゃないか、それにつきまして、科学技術庁におきましてその一元化の具体的な方策をいろいろ御研究になり、関係各省がこれに相談をいたしまして、将来における科学技術庁の一元化の状態はどうあるべきかということの決定を見る段取りにいたしておるのでございまして、まだ閣内におきまして、一元化のあるべき姿というのは決定をいたしたわけではございません。  ただ私が、その閣議終了後における記者会見におきまして、そういうことを申し上げたのも事実でございます。しかしそれは、私は何も矛盾をしてないと思っております。なぜならば、ロケットの打ち上げについて、現在東大のやっております計画は、宇宙開発審議会におきましてはっきりと方針がきめられておる問題でございまして、この方針をいま直ちに、一元化の方策がまだ決定しない前に——この方針はわれわれ話し合いだけの段階でございまして、まだこれを変更するというような段階には至っておらない。既定方針としてはっきりと宇宙開発審議会できめられた方針がございますので、今後一元化した場合に、東大の打ち上げが、たとえば打ち上げだけについてはあるところにまとめてやるとか、あるいは打ち上げにつきまして、もちろんこれは四人の関係等もございまして各省がばらばらにこれを打ち上げたのではたいへんいろいろな問題が起こりますので、打ち上げについて一定のこれこそ一つの計画的な打ち上げを計画するとか、そういう問題は起こり得る問題だと思いますけれども、またあくまで東大のやっておりますのは実用ロケットではございません、特にまたロケットと申しましても、科学衛星を打ち上げますのはミュー型で終わるのでございますけれども、あるいは東大のやつはおります宇宙空間の縦の研究ということはまだ今後やらなければならぬ問題が残っておる。こういう問題についてそれも一元化をするというような問題が起これば、もちろんそれは私どもとしても協力をするつもりでございますが、現段階におきましては、宇宙空間の超高層の科学研究をやるということは当然東大の研究所の使命でございます。これは当然にやってまいるし、また、その実際の打ち上げ業務は一元的に将来行なうべきだという結論が出ますれば、私どもとしては何らそういうところにこだわっておるわけではございません。ただ、現段階においては、東大においてこれをやるということが、すでに宇宙開発審議会において方針がはっきりと東大はこの線までやるのだということがきめられておるのでございますから、まだ一元化は話し合いの段階で、しかも、実用衛星の段階でございますので、東大の既定計画は、話し合いの段階だけで変更されたとは思っておりません。したがいまして、私が、東大は、その一元化の完成とかそういう問題において、将来それもまた一元化するという結論が出るまでは当然に既定方針どおりやると申し上げることは、何ら矛盾でないと考えております。
  72. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 岡野審議官がおいでになっておりますが、宇宙開発審議会の、ただいま文部大臣が言われました点はどこに該当しておりますか。そこを読んでください。
  73. 岡野澄

    ○岡野説明員 まず、宇宙開発審議会の四十一年八月三日の「人工衛星の打上げおよびその利用に関する長期計画について」という建議がございます。それで、当面「科学衛星計画については東京大学宇宙航空研究所中心となって推進する。なお、東京大学宇宙航空研究所としては、将来ミュー・ロケット(直径一・四メートル)より大型のロケットの研究開発は行なわない方針であるが、本審議会においてもこのことを確認し、妥当であると判断した。」という点、それから「実用実験衛星計画については科学技術庁宇宙開発推進本部が中心となって推進する。」「これら両計画の推進のためには東京大学宇宙航空研究所科学技術庁宇宙開発推進本部の間に緊密な連けいを保つものと一する。」ということでございます。なお、これに関連いたしまして「人工衛星追跡業務については科学技術庁宇宙開発推進本部が担当し、一元的に行なうものとする。」という点がいま大臣のおっしゃった点でございます。
  74. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そこに、一元化体制ができたあとも引き続き独自にロケット打ち上げを実施するということは言ってないでしょう。一元化すれば打ち上げ業務がそこに入ってくるわけですね。いまの二階堂長官のお話は。
  75. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 どういうふうにお考えであるか、私は御質問なさるのがわかりませんが、大学には大学研究という使命がございます。その研究使命までも一元的に実用衛星の打ち上げに持っていこうなどということは毛頭政府といえども考えていないと思う。大学が学問研究の過程におきまして、あるいはロケットを打ち上げるという場合があるかもしれません。ただ、しかし、そのロケットを打ち上げる業務というものはどこかにひとつ一元化しようじゃないかという問題が起これば、これはまた一元化することも考えられないことはないのでございますが、現段階においては、一・四メートル以上の、ミュー型より以上の大きいものを打ち上げない。しかし、その学問研究のためのロケットは、これを東大の学問研究の対象として打ち上げるということは、この開発計画とはいま切り離して私どもは考えておるということを申し上げたのでございます。
  76. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 これはどうですかな、そういうことをして。これをひとつ読みます。あなたの学校からこの話が出ておるのですよ。まずあなたの学校からの反省としまして「ズサソな契約方法」、こういうことから、いまこのロケットの経理をやっておる人は、女の方を寄ぜて七人、そしてそれらの人は経理はやっておるけれども、事実私は何に使われるのかわかりません。だから教授の言いなりです。勢い教授の言うままになるおそれが、一方的な要求が通りやすくなるのです、とこういうようなことを言っておるわけです。今日このロケットの開発がいままで数千万円から何十億というこういう額になってまいりますと、一大学研究の範囲内にこれがとどまるでしょうか。また一大学の教授がインドネシアへ行く、さらに高木さんはユーゴヘも行かれた。これは研究のためだと言われますけれども、後ほどその事実を私は指摘したいと思います。あるいは業者との醜聞関係が表に出てきた。これは酷ですよ。だから私が申し上げることは、原子力開発というようなビッグサイエンス、あるいはまた、宇宙開発というようなビッグサイエンスを、先がたから論議しておりますように、ひたすら失敗の原因は学界の問題だということになって、提起するような資料は何ら出してこない。そして東大オンリーで押えておる。経理はずさんである。ずさんな要素はあとで、きょうは会計検査院からも来てもらっておりますから、お聞きします。そうして、内部的には手に余っております。手の中から出てしまっております。どうにもなりませんと言っておるのです。まだまだ読んでみます。そういう中で、やれ学問の自由だ、大学の自治だ。自治の限界と学問研究の自由の限界があるのです。それを押えつけるのじゃないのですよ。一元化しても、その中にいろいろな東大の学者のアイデアなり頭脳なりあるいは開発の構想なりを入れてもらうのはいいと思うのです。それまで押えるのじゃない。そこに自由があるのじゃないですか。そういうことではなくて、まだどんどんやります、これは学問の自由のためだ、あるいは自治のためだ、こういうことでビッグサイエンスを取り扱い得るのなら、私はこの前のときの質問で、同じような金がさですよ、あの原子力商船もそのとおりであります。どんどん研究をする結果、原子力商船をやらすかというと、世間はそんなものやらさないでしょう。そこまで大学にやらすのは酷だということになるわけです。また、土木建築が、ここで橋梁の研究をするなら、淡路島に橋を東大がかけるかということです。そんなところまでいかないでしょう。私はそういう心配をするから、どこかに限界を設けて一元化のあれがあればやりたい、こういうふうに考えるのです。四十三年以降もやりますというような、これは強弁ではありませんか。
  77. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 経理の問題について会計検査院から御指摘を受けましたことは事実でございます。これはまことに申しわけないので、その後、会計検査院にもよく御相談申し上げまして、経理の改善につきまして最善の努力をいたしておるわけでございます。ただ、申し上げておきますが、宇宙航空研究所経理関係は、これはその宇宙航空研究所に配給はいたしておりますけれども、全部の責任は東大の事務当局にあるのでございまして、契約の当事者その他は事務局長がやっておるということになるのでございます。ただ、現場の配置人員が足りないということは事実でございますので、それは十分できるように拡充をしていく予定でございます。  ただ、私、先生に申し上げたいのでございますが、これは聞き捨てならぬ問題だと思います。私は、文部省の学術研究の推進についての責任を持っている。ビッグサイエンスになれば、これは大学研究の限界を越える。ビッグサイエンスはやってはならぬということになれば、どこがやるのでございましょうか。私は、このロケットの打ち上げについて、特にその初期から、あのペンシル型から非常に苦労されて今日のラムダ4型までの開発をいたしました。これが日本でその技術を輸入して持ってくるのなら別でございます。日本頭脳でこれを開発していくためには、いろいろな、たくさんな失敗も繰り返しますし、また時間もかかってまいります。経費もかかってまいります。しかし、これを日本が、そういうものはビッグサイエンスで大学研究の外で限界を越えたからやめろ、こうなれば、すでに日本はこの科学技術的な開発については世界からもおくれてもいいのだという結論になるのではないか。私は、ビッグサイエンスであろうといいましても、相当な重要な科学研究でございますならば、ある程度の、国費の多寡の問題より以上に、その学問の研究の価値というものについて御論議いただきたい。ですから、ビッグサイエンスになったら当然にこれは大学研究の限界を越える、こういう結論は、これはひとつお許し願いたいと思うのでございます。これは金額にいたしましても、それはもちろん何十億になってまいります。しかし、今日、アメリカやら諸外国において、このロケットの打ち上げに費やしている国費というのは、相当ばく大な金を費やしておるのでございます。ですから、私に言わぜれば、まだ日本でこのロケットにつぎ込んだ経費は、外国に比べますれば、まだわずかな額でしかないと思うのでございます。その経理の途中におきまして指摘された点はございましたけれども、私はそういう間において、何ら経理上においていわゆる非違行為はなかったと確信をいたしておるものでございます。ですから、不十分な点は、指摘を受けました点は十分改革をし、そういうことのないように今後とも努力をしてまいるつもりでございます。
  78. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 聞き捨てならぬのは、こっちも聞き捨てならぬのです。したがって、文部大臣なりあるいは岡野審議官、高木さんがそうおっしゃるなら、聞き捨てならぬ立場でわれわれもこれを検討します。ビッグサイエンスの取り組み方というものは国をあげてやらなければならぬ問題です。一東大の問題ではなくなっておるわけです。それなるがために糸川さんも殺してしまったわけですよ。あれだけペンシルロケットからこんなにりっぱにやられた人を、体制のない中で、大きいビッグサイエンスの中で彼を殺してしまったことは非常に私たちは惜しいと思うのですよ。糸川さんの功績を私たちは無にして文句を言っておるのではないのです。こういうことを再びやらないために全部衆知を集めてやる体制は何かということを言っておるわけです。あなたは、いまこの研究というものを無視しておると言うが、研究は無視しません。大学なりあるいはそうしたメーカーで研究することは大いにいいわけなんです。それをどの体制の上に積み上げていくか、いわゆる打ち上げに対するところの体制づくりをやろうじゃないかということですよ。そうして、軍事に利用されないように、あるいは汚職の根を断つために法律づくりをやって、宇宙開発基本法ぐらいまでつくって、そうして体制をきっちりと定めなければいかぬわけなんですよ。これはあなたの部下なんですよ。いま、日本は足らぬ足らぬとおっしゃるけれども、この貧しい中で一東大に三十四億円の金を四十二年度に出すのじゃないですか。十七億の金を科学技術庁に出すのじゃないですか。両方で五十億をこすのですよ。しかも一基打ち上げれば一億円、ミューのごときは五億円、これをぼかすかやられたら、もうたまらぬ。限界に来ている、こういうぐあいに言っているわけです。どこまでもやるんだと強弁なさるなら、してください。それが一国の文部大臣のあるべき姿ですか。私は、研究大学の自治はやっぱりどこかで生かしていかなければならぬけれども、手に余っておる、こういうぐあいに言っておるのじゃないですか。「現在、ロケット担当の職員は、女子事務員も含め観測ロケット経理係七人、観測ロケット業務係六人しかいない。このスタッフで、年間三十億円を越す宇宙予算を、正常にこなすのは無理というものだろう。とくに、理工系となると、経理担当職員には、さっぱり分らないものも出てくる。となると、教授陣の一方的な要求が通りやすくなる恐れが十分ある。」文部大臣、この経理の状況をごらんになりましたか。全部教授の担当ですよ。それはそうかもしれませんけれども、あるいは業者にまかせ切り。たとえば後ほど触れるところの記録映画、スチール、録音ともに二千七百万円、これが糸川さんの所管になっております。そして糸川さんは一切会計にはノータッチだとおっしゃっておりますけれども、現に担当者は糸川となっております。しかも、この経理の乱脈ぶりは新聞や週刊誌に報道されております。私はそのとおりではないだろうと思いますけれども、東大の名誉のために、これは解明してください、そういうように東大がだいじょうぶだとおっしゃるなら。この週刊誌に書いたところを告訴するなり、あるいは何とかする必要があろうと思います。それに対して、こういうところは間違いだというところの反駁書くらい出したらどうですか。それも出さずに今日まで、のうのうとやっておることは、いかほど黒いところはございませんといっても、東大の名誉がこれを許しませんよ。私はいまから指摘しますから、それを言ってください。東大の経理乱脈事件は大々的に新聞や週刊紙に報道された。その中には、ある教授の愛人に不正ロケット観測費を払った疑いや、愛人の実兄が経営する個人工場にあいまいな金が払われていることなどが指摘されている。その後二カ月以上たったのに、東大当局からは何の反論もなく、それどころか大河内総長がその件について剱木文相にわびたという。これはこの前のとき申し上げました。つまり、新聞報道の内容について、ほぼ事実だと認めたことになるだろうと私は思います。  そこで、高木さんは東大宇宙研の最高責任者です。あなたの部下の糸川博士は、迷惑が他人に及ばないようにと辞職しているのではないですか。これは糸川さんのお考えを中央公論でも読ましていただきました。さらにまた、その他の発表でも読んだわけですけれども、しかし、それだけではおさまらぬものがあるわけですね。それをどういうぐあいに高木本部長は思われますか。
  79. 高木昇

    ○高木説明員 ただいま、糸川さんのお名前が出ましたけれども、私も本人に確かめて、事実じゃないと言っておりますし、中央公論に御本人が書かれたのを、私は正しいと思います。  それから先ほど映画のことで、糸川さんの担当というのがございましたが、これは映画をとるときに、今度の実験のどこをどうとるかとか、あるいは地上試験のどこをどうとるかとか、方々の中の研究班の申し出を集めまして、そして糸川さんがそれを裁量しておる、そういう意味で糸川さんの名前がそこに出ておるわけであります。
  80. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 井上第二局長にお聞きいたします。  会計検査院の特別検査が行なわれておるように聞いておるのですが、四月に入ってから特別検査をしているところは、東大宇宙研、電通映画社、熊取谷製作所、内之浦などを調べておられるようでありますが、それについて御調査になった結果をひとつ報告していただきたいと思います。
  81. 井上鼎

    ○井上会計検査院説明員 お答え申し上げます。  本年四月以降の検査で、宇宙研につきましては四月の十一日から十四日まで、内之浦につきましては二十四日から二十六日まで実地検査を行なっております。それから、先ほど先生がおっしゃいました熊取谷とか電通映画社でございますかについては、これは直接われわれ検査する権限はございませんので、検査の範囲には入っておりません。  それからその検査の結果でございますが、実はこの間におきましていろいろ調査をいたしまして、そして、その結果について担当者から報告を徴しておりますが、なお資料が不足しておりましたり、あるいはその担当者の方が当時見えないために、いろいろ詳しい事情をお聞きすることができないというような実情もございまして、まだその結果を御報告するまでには実は至っておらないわけでございます。御了承願います。
  82. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それを早急に、やはり疑惑を持たれておるところですから、あなた方の権限でやっていただかなかったら、これはいけないと思うのですね。今日までまだ何もしておられぬということなら、そのうちにだんだん、証拠というと悪いですけれども、あやしいところが消えていきますね。そういう心配はないですか。
  83. 井上鼎

    ○井上会計検査院説明員 いまのお話でございますが、証拠と申しますと、いろいろな記録なり、それから証拠書類でございますが、証拠書類につきましては、これは会計検査院に毎月の証拠書類が参っておりますので、その点は御心配ないと思います。その他の書類あるいは資料につきましては、これはまあこう言ってはおかしいわけですが、相手方に提出を求めて、相手方からそういう書類はないと言われれば、われわれとしても検察権があるわけじゃ、こざいませんので、それを強制的に出させるとか、あるいはまた、そういう書類があるかどうかについても、われわれはわからないわけでございます。まあ検査の限界というのがその辺にございます。その点ひとつ御了解を願いたいと思います。
  84. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 その中で、これは不合理だというようなことがあれば、そういうように正直に報告していただきたいと思います。ものがないからわからない一ものをなくしておることにも問題がありますよね。そういう点はひとつ十分に検査をしていただきたいと私は思うのです。  それから、高木さんにお聞きいたしたいと思います。先がたあなたは中央公論に御本人が書かれたものが正しい、こうおっしゃっていますが、先がた私が申し上げましたことは、一体どういうようにお考えになりますか。たとえば、この会計経一理の領収をされた人が、ある女性の子供さんで、未成年者であった。これは、知らなかった存ぜなかったでは、あなた方は済まされませんよ。そういう未成年者がこの受け取り人になるというような、領収の判を押すというのは、国会なり、あるいは国会の会計をどう考えておるかということです。まだたくさんありますが、たとえていえばこ  の点を、これで正しいとは、どういうように解釈なさるのですか。
  85. 高木昇

    ○高木説明員 それは昭和三十何年ですか、生産技術研究所時代で、私の所長ではなかった時代でございます。あとからそういうお話は聞きまして、非常に残念だと思ったわけでございます。会計検査院の御注意があったということを、私は聞いております。五、六年前だった時代でございます。
  86. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 官僚答弁ではそれでいいかもしれませんけれども、現在の部下が、以前にもせよそういうことをやって、そして、その部下があなたの下におったわけですから、以前であろうが、そのことがよいことか悪いことかということがおわかりになるだろうし、それに対するところの糸川さんの答弁は中央公論に出ておる。それが正しいとおっしゃるなら、どういうように考えておるかということを聞いておる。私の責任ではありません、こう言われるのは、私はふに落ちません。
  87. 高木昇

    ○高木説明員 私、そういうことがあったことを、たいへん残念に思っております。
  88. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それなら、高木さんにお聞きしたい一つとして、週刊誌や新聞に報道されたりしておりますね。これに対しましては、科学技術庁の一部門であり、しかも、あなたの部下でありますし、あるいは東大の名誉もありますから、これは一体どういうように考えて、どういうように対処なさろうとしておるか。このまま書かれっぱなしでいいのか、これをひとつお聞きしておきたいのと、あなたは昭和四十年八月五日の当委員会で、ロケットの輸出は、大学はタッチしない、こう答弁しております。しかし、カッパーロケットはこれまでユーゴスラビアとインドネシアへ輸出されておることは御存じのとおりであります。この両方とも大学はノータッチだという趣旨のように思うのですが、やはりそういうようにお考えになっておりますか。
  89. 高木昇

    ○高木説明員 商行為にはノータッチだ、こう考えております。
  90. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 その先のほう三…。
  91. 高木昇

    ○高木説明員 先と申しますと…・。
  92. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 糸川さんのこういう事件に対しまして、新聞、週刊誌の報道に対しまして、本部長としてはどう考えますか。
  93. 高木昇

    ○高木説明員 どう考えるかということは、私が何か抗議でもするということでございますか。
  94. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それはあなたの自由ですから、何なりと考えを言ってください。
  95. 高木昇

    ○高木説明員 週刊誌にずいぶん古い糸川さんのいろいろなことが書かれて、それは当時の新聞にも出ていたことでも。こざいましたので、私自体ほんとうに残念というか、非常にそういうことを思いまして、私としては当時そういうことに、東大として抗議するとかいう考えは持ちませんし……。
  96. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それでは書かれっぱなしで、それでいいかということになるのですね。それでも無抵抗主義で万事円満にいけばいい、こういうお考えですね。えらい意地の悪い質問ですけれども、しかし東大がこういうような疑惑を受けておるわけです。きょうは私も時間がないですから、大臣もおられませんし、先がた、大臣も聞き捨てなさらぬとおっしゃいましたから、私も聞き捨てならぬ立場で、このあと経理問題をやりたいと思いますが、それならそれでけっこうです。  質問の要点は、あなたは昨年の八月十一日から九月八日まで外遊をされております。何の目的でユーゴスラビアに寄られたかということを私たちは思うのです。世間ではロケットの売り込みにまた行ったのだろう、こういうことを言われているのですが、痛くない腹をさぐられておるようで不愉快でしょうから、その辺をひとつ言ってください。
  97. 高木昇

    ○高木説明員 アメリカ、イギリス、フランス、オランダへ参りまして、ユーゴに三日おりました。この目的はユゴのロケット協会がございまして、そこの大学で講演をしてくれというので、最近の宇宙科学成果などを講演いたしました。もう一つは、そこに大きな電子工業の会社がございまして、たいへん膨大な——テレビとかそういうものをつくり出しておりますので、その工場などを見ぜてもらった。それだけでございまして、ロケットの売り込みなどということは全然私は考えておりません。
  98. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 なるほど四十一年の八月十一日から八月二十四日まで東大の用務でアメリカ、英国へ出張されております。八月二十四日から九月八日まで、これは科学技術庁の費用でユーゴスラビアに行っておられますね。これは講演を頼まれた、こういうことになりますと、勢い前の売り込みという問題と関連があればこそ向こうは呼んでおるわけです。全然関係がないのにあなたを呼ぶはずはないと私は思うのです。そういう点を私たちは非常に疑問に思うわけです。インドネシアのことで、あなた方にいいかげんなことを言われて、痛い目にあわされたわけですからね。
  99. 高木昇

    ○高木説明員 決してそんなつもりは——売り込みだなんて私も考えてもおりませんし、学者として、向こうのロケット協会の会長さんはユーゴのベオグラードの大学の教授でございまして、そういう方と最近の事情を話すために行ったわけでございます。それだけでございますけれども、行くときに科学技術庁の本部長としての旅費の問題、それと東大とで持ち寄って出かけたわけでありまして、その旅費の切り方については詳しく覚えておりませんけれども、本来の科学技術庁としての目的は、NASAの本部に参りまして、ついこの間やりました日米協力の気象ロケットなどの話とか、また最近の向こうの動きなどを見てくる、そういうことで科学技術庁のほうを出てまいりました。旅費が不足なので両方で持ち寄っていただいたということであります。
  100. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 その点はまだ問題点もございますけれどもこの次にしまして、最後に本部長に一つお聞きしたいのですが、四月四日付の日経新聞によると、ラムダ4S三号機が成功しても失敗しても、私は宇宙研の所長をやめるつもりだった、と言っているが、4S三号機が失敗した今日、あなたは所長をやめられるのですか。私はあなたにやめろと強要しておるわけではありません。しかしながら、経理でこんな問題が起きて、そうして、あなたの部下の、さきがた大臣が言われましたように、国の至宝であるがごとき糸川さんがあっさりやめられて、そうして、糸川さんだけにたくさんのあらぬうわさが一ぱいつけられたまま、何らこれについては東大は解明しようとは思わないという、こういう状況やら、あるいはまた、これはあとで申し上げたいと思いますけれども、体制についても一元化は私は反対だ、ことばの魔術だという、さらに業者との間におきましても、開発らしい開発は業者にやらしておるという事態も出てきておるし、アメリカの技術を買ってきたという事実も出ておるし、さらに、まだほかの問題も、あなたにまつわるところの疑惑も私はいろいろ聞いておるわけであります。しかし個人の名誉に関するためにそういうことを一々取り上げるのはどうかと思うのでありますけれども、とにかく私の申し上げたいことは、いままで東大と学者の純粋性というものを私は信じておった。糸川さんもここへ出て、私は拍手を送った。しかし、今日こういう状態は何だと言いたいのですよ、こういう事態を引き起こして。この汚名を私はすすいでもらいたいと思うのです。それをすすがなければ、あなたはやはり責任をとるべきだと思うのですよ。そして、今日、学問の研究あるいは開発、発達のために、私は真相を明らかにする必要があると思うのです、失敗の真相も。だから言っておるわけであります。そして、今度ミューが打ち上げられるでしょう、けれども、このミューが泥にまみれたミューでは日本の恥さらしになりますよ。そういうものにならないように私はやってもらいたいと思うのです。  最後に、あなたはそういう発表をしておられるので、どんな責任を感じておられるかをひとつ聞いておきたいと思います。
  101. 高木昇

    ○高木説明員 日経新聞に私はそういうことを言った覚えはございませんが、私は非常に責任を痛感すると同時に、糸川さんにも最後まで慰留して、そして、大いにやっていただきたい、こういうように言い続けてきた本人でございます。私自体はいろいろ力及ばずして不始末な所長としてのあれもあったかもわかりませんが、いま一生懸命にそういうことのないように努力中でございます。したがって、やめるというようなことについては、私は申し上げたことはございません。
  102. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 気持ちはどうですか。
  103. 高木昇

    ○高木説明員 もう少しとにかく一生懸命この宇宙開発に精進して、早く実用のほうに持っていきたい一心でございます。
  104. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それでは、問題の残ったところは次にやらしていただくことにいたしまして、一応きょうはこれで終わりたいと思います。
  105. 矢野絢也

    矢野委員長 この際、おはかりいたします。  理化学研究所法の一部を改正する法律案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 矢野絢也

    矢野委員長 御異議なしと認め、本案の質疑は終了いたしました。  次会は、明十八日木曜日午前十時より理事会、十時十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会