○三木(喜)
委員 聞き捨てならぬのは、こっちも聞き捨てならぬのです。したがって、文部
大臣なりあるいは岡野審議官、高木さんがそうおっしゃるなら、聞き捨てならぬ立場でわれわれもこれを
検討します。ビッグサイエンスの取り組み方というものは国をあげてやらなければならぬ問題です。一東大の問題ではなくなっておるわけです。それなるがために糸川さんも殺してしまったわけですよ。あれだけペンシルロケットからこんなにりっぱにやられた人を、
体制のない中で、大きいビッグサイエンスの中で彼を殺してしまったことは非常に私たちは惜しいと思うのですよ。糸川さんの功績を私たちは無にして文句を言っておるのではないのです。こういうことを再びやらないために全部衆知を集めてやる
体制は何かということを言っておるわけです。あなたは、いまこの
研究というものを無視しておると言うが、
研究は無視しません。
大学なりあるいはそうしたメーカーで
研究することは大いにいいわけなんです。それをどの
体制の上に積み上げていくか、いわゆる打ち上げに対するところの
体制づくりをやろうじゃないかということですよ。そうして、軍事に
利用されないように、あるいは汚職の根を断つために
法律づくりをやって、
宇宙開発基本法ぐらいまでつくって、そうして
体制をきっちりと定めなければいかぬわけなんですよ。これはあなたの部下なんですよ。いま、
日本は足らぬ足らぬとおっしゃるけれども、この貧しい中で一東大に三十四億円の金を四十二年度に出すのじゃないですか。十七億の金を
科学技術庁に出すのじゃないですか。両方で五十億をこすのですよ。しかも一基打ち上げれば一億円、ミューのごときは五億円、これをぼかすかやられたら、もうたまらぬ。限界に来ている、こういうぐあいに言っているわけです。どこまでもやるんだと強弁なさるなら、してください。それが一国の文部
大臣のあるべき姿ですか。私は、
研究や
大学の自治はやっぱりどこかで生かしていかなければならぬけれども、手に余っておる、こういうぐあいに言っておるのじゃないですか。「現在、ロケット担当の
職員は、女子
事務員も含め観測ロケット
経理係七人、観測ロケット
業務係六人しかいない。このスタッフで、
年間三十億円を越す宇宙予算を、正常にこなすのは無理というものだろう。とくに、理工系となると、
経理担当
職員には、さっぱり分らないものも出てくる。となると、教授陣の一方的な要求が通りやすくなる恐れが十分ある。」文部
大臣、この
経理の状況をごらんになりましたか。全部教授の担当ですよ。それはそうかもしれませんけれども、あるいは業者にまかせ切り。たとえば後ほど触れるところの記録映画、スチール、録音ともに二千七百万円、これが糸川さんの所管になっております。そして糸川さんは一切会計にはノータッチだとおっしゃっておりますけれども、現に担当者は糸川となっております。しかも、この
経理の乱脈ぶりは新聞や週刊誌に報道されております。私はそのとおりではないだろうと思いますけれども、東大の名誉のために、これは解明してください、そういうように東大がだいじょうぶだとおっしゃるなら。この週刊誌に書いたところを告訴するなり、あるいは何とかする必要があろうと思います。それに対して、こういうところは間違いだというところの反駁書くらい出したらどうですか。それも出さずに今日まで、のうのうとやっておることは、いかほど黒いところはございませんといっても、東大の名誉がこれを許しませんよ。私はいまから指摘しますから、それを言ってください。東大の
経理乱脈事件は大々的に新聞や週刊紙に報道された。その中には、ある教授の愛人に不正ロケット観測費を払った疑いや、愛人の実兄が経営する個人工場にあいまいな金が払われていることなどが指摘されている。その後二カ月以上たったのに、東大当局からは何の反論もなく、それどころか大河内総長がその件について剱木文相にわびたという。これはこの前のとき申し上げました。つまり、新聞報道の
内容について、ほぼ事実だと認めたことになるだろうと私は思います。
そこで、高木さんは東大宇宙研の最高
責任者です。あなたの部下の糸川博士は、迷惑が他人に及ばないようにと辞職しているのではないですか。これは糸川さんのお考えを中央公論でも読ましていただきました。さらにまた、その他の発表でも読んだわけですけれども、しかし、それだけではおさまらぬものがあるわけですね。それをどういうぐあいに高木本部長は思われますか。