○
高木説明員 ただいま
長官の御
説明がございましたので、それを補足し、かつ、いま
三木先生から御
質問がありました点について、私がお答えするものをお答えしていきたいと思います。
ちょっと御参考までに、
種子島のことはいま
長官が御
説明あったとおりでございまして、現在
内之浦で
ミューを発射するときに、もしも
地上で
異常燃焼でもしたことを考えまして、一・五キロから二キロの半径の
保安区域を設けてございます。将来
実用衛星ということを考えて、まだ
直径がきまっておりませんが、
ミューより非常に大きなものをつくったときにどの程度の
保安距離がよいかというようなことをこれから
検討いたしますと、やはり
内之浦の周辺にはかなりな
人家があるので避けたいというようなことまで考えまして、
種子島がたいへんいい地域だ、こう考えております。
鹿児島の
実験場がいま六十七ヘクタールございますが、
種子島は現時点では九十四ヘクタールの
面積が
利用できるようでございます。実はここに持ってきました資料は
コスパーのインフォーメーション・ブレテン・ナンバー三十四というのでありまして、これは
ロケットを発射する
施設などをつくるための
手引き書を
糸川教授が国連から依頼されまして、そして
コスパーで発行したものでございます。それによりますと、
東大がやっております
内之浦の
実験と同じようなスカウトを上げたりあるいは
観測ロケットを上げているワロップスステーションというのが
アメリカにありますが、これが三千八百ヘクタールございまして、われわれの五、六十倍広い
面積を有しておりますし、
ケープケネディは、これは必ずしも
人工衛星ばかりではございませんと思いますが、五万ヘクタールあるわけでございます。このようにわりあいに
ロケットの
発射点には広い
面積を要しますので、
内之浦の
近所は山また山で、
人家も
近所にございます
関係上、まず将来の
大型のことを考えて
種子島を選んだわけでございます。もちろん
電波のようなものは共用できるものもございまして、たとえ、
ば内之浦で
ラムダの
実験をやるときに、千キロ離れておる東京の鹿島から郵政省の
電波研究所の
電波追跡装置で応援してくれておるということもあるわけで、
鹿児島の
内之浦並びに
種子島は六十キロメートル離れておりますが、有無相通じてやれると考えております。
発射点だけはできるだけ広い
面積をとっておきたい、また平地がほしい、こんなことが
種子島を選んだ理由でございます。
次は、
誘導、無
誘導のことについてでございますが、
先ほども御指摘がありましたように、
ラムダの
実験は一号、二号、三号と、最終的には
軌道に小さなプローブを乗せるということには失敗しております。しかしその間に、
人工衛星技術というのは大分けに分けて
二つございまして、
一つは
所定の
軌道にずっと乗るか乗らないか。その次は一定高度に行って、水平に行って
人工衛星のたまが
所定の速度で出ていくかどうか。その二段目のところをいま
ラムダを使って
実験をしておりまして、最初の、
所定の
軌道に乗るかどうかは、
外国の場合は
誘導をしております。その
誘導技術も、昨年、
科学技術庁のほうと
東大のほうと、将来
ミュー衛星あるいは
実用衛星を行なうのにぜひ
誘導も早く進めたい。一ヵ所でやるには非常に大きな仕事だから、両方で分担して、それぞれ特徴あるものをつくっていこう、こういうことになりました。
東大のほうでは、たとえばサイドジェットで制御するということ、これは姿勢制御で卒業しております。それからもう
一つは、
ロケットを推進している間に
方向を曲げる、スラスト・ベクトル・コントロールといいますか、向きを変えるようなやり方、これは
東大のほうでお引き受けいたしまして、
地上試験はすでに済んでおります。
科学技術庁のほうでは、一番下の一段目のところで羽根を使って
方向を曲げる、あるいはエンジンの
方向をジンバル装置で曲げる、こういうようなことを分担していただきまして、
基礎研究はそれぞれ進んでいる
状況かと思います。こういうほうの
技術は確かに
日本にはいままでなかった
技術でございますので、それの
基礎研究から
開発までに多少の時間はかかりますが、昨年、ことしあたりと
基礎研究を進め、いつかの
段階にそういうものを適用していく考えでございます。
ラムダのように小型のものにつきましては、そういう
誘導装置などもつければつけられるかもわかりませんけれども、とりあえず風の影響をどうやってなくすかということでやってみますと、どのくらいの精度でほぼ
所定の
軌道からはずれないでいくかということをまず確かめられますと、今度はそういう
誘導装置をつけて、その範囲内に正確に乗せるということができるようになるかと思いますので、
基礎研究から
開発にかけて非常に時間がかかっておるということについては、御了承を願いたいと思います。
また、
ラムダ一、二、三につきましては、時々御報告をいろいろなところにはしておるのでございますが、もちろん一号機から二号機、二号機から三号機に至る間には、あらゆる改良を行ないますと同時に、その中間には十分な
基礎研究を何回も繰り返しやっております。たとえば一号から二号の場合に、一号の場合には予期しなかった二段目と三段目の切断で
方向が曲がるとか、そういうことがありましたので、その次には、その切断の部分を十分に調査し、
地上で数回行ないまして、そして二号機にはそのための故障は起こらなかったのでございます。二号から三号に至る故障につきましては、これまた
反省いたすと同時に、
地上では非常に数多くのテーマを何回かやりまして、結局は全部つなぎ合わせて空へ飛ばしてみないとわからないという点もございますので、三号ではそれを行ないました。ところが三段目ではぐあいが悪くて着火しなかったということになりまして、これはただいま原因をいろいろ分析し、いままで同じものをやってよかったのが、三段目が六回目にそういうことが起きたのでございますので、さらにもう少し
地上実験の回数をふやさなくてはならない。その点も十分慎重にやっておるつもりでございます。以上のような進み方が現在の進行
状況でございます。
それから、ただいま
ロケットにのみ熱心でということでございましたが、やはりまず
ロケットが十分大きく、かつ高く上がるようになってこそ観測も初めてできますので、やはり
ロケットは最優先で進めますけれども、ただいま
ラムダでの高度が二千キロメートル以上上がっております。内側の放射能体の観測が
日本でできるようになりました。したがって、これに要する観測用の電子機器にしろ、それから観測項目でたいへん
世界にも誇り得るものが数できてまいりました。またこれだけ
大型のものを安全に飛ばすための安全装置、コースがはずれれば二段目、三段目に点火しないように処置をする。あるいはテレメーターとかレーダーとかいう点に最新の
電子工学を入れまして、表面には出ておりませんけれども、一機一機徐々に進んでおると考えております。近ごろ電子工業で問題になっております集積回路のごときものも、これは
宇宙開発によって促進されておりますので、
わが国でも
宇宙のほうにぜひこれを取り入れるというのが現
段階でございます。そういうようなことから、ほかの分野の
基礎研究なり
開発を、この
宇宙開発がたいへん刺激しております。また、
ロケットそのものも
外国でわりあいによく評価されておりますのも、それに必要な特殊な材料などがほとんど国産でできるからでございまして、そういう材料工学の分野にもたいへん刺激になっておる、こう考えておりますので、今後はますます
ロケットばかりでなく、
ロケット周辺のいろいろな
科学技術が、科学なりあるいは材料なり
電子工学なり、冶金工学なりというものに非常に刺激を与える、こういうふうな考えでおります。
あと、
東大の
成果をどういうふうにするかということでございますが、
ミューロケットが現時点で実用方面から要望されておる、
実用衛星を上げるには力が足りない。そこで
ミューより大きいものを上げたいという要望が出て、したがってまた
種子島、こういうふうになったわけでございます。それは
実用衛星のほうでは、静止
衛星を早く上げたいとか、あるいは重さが二、三百キログラムのものとか、電力も相当大きなものとか、こういう
お話で、とてもそれは、現在の
東大を
中心として考えておる
ミューロケットでは、七十キロくらいで五百キロメートルとか千キロメートルとかの低高度の
衛星が現時点では考えられ、かつまた、それが
宇宙科学には役に立つのだ、実用ではちょっと時代おくれではないか、こういうようなことから
ミューより大きいものになったわけでございます。その大きなほうの
ロケットにつきましては、下のほうは固体
燃料、
ミューより大きな固体
燃料を使って——全部固体
燃料にするか、あるいは
実用衛星ですと、
軌道の制御なり、それが非常に精密なものを要するので、そのときに
液体ロケットを使ったほうがいいのじゃないか、こういう
観点から、いままで進めておりました
液体燃料ロケットをさらに進めていくという
考え方でございます。固体
燃料でも速度制御あるいは
方向を曲げるということはできないことはないわけでございますので、これもまた並行して——
先ほど、固体
燃料ロケットを向きを変えるのを、
東大と推進本部と両方で分担して
開発している、こう申し上げたとおりでございます。したがって、そういう
成果を全部
実用衛星のほうに、
ロケットのほうにまず振り向けるわけでございまして、それに対しては、設計とかあるいは基礎
研究開発、そういうものを
東大のほうも
一緒になって、ほかの
省庁の仕事といりでも御
協力してやるというようなことは、私
たちは当然考えておるのでございます。
それから
衛星につきましても、
科学衛星は小さい、あるいは通信なりテレビを送ることはできませんけれども、若干共通部分がございます。
実用衛星がいろいろ出てくるが、そういうものをひっくるめて共通部分があるわけでございます。太陽電池とか電源とかあるいはテレメーダー、レーダーというようなものは共通でございますので、そういう多
目的な実用試験
衛星をなるべく早くつくる、それに対しましても、われわれ本部では、小さな
衛星における経験、つまり
衛星の構造、なるたけ軽くてじょうぶなものをつくるというような構造の
研究とか、あるいは
人工衛星になりますと、非常に温度が変化いたします。それを常温の中におさめるにはどういう
技術が必要か、これなどは全部形が小さいのから大きいのへ比例的に応用することもできます。そのためのスペースチェンバーも、小さなものは
東大にもございますので、こういうものを共用することによっていくのではないかと思います。あるいは十分御
質問にお答えできなかったかもわかりませんが、とりあえず御
説明申し上げました。