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1967-05-11 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十一日(木曜日)    午後二時七分開議  出席委員    委員長 矢野 絢也君   理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 福井  勇君 理事 渡辺美智雄君    理事 三木 喜夫君 理事 内海  清君       秋田 大助君    池田 清志君       桂木 鉄夫君    世耕 政隆君       増岡 博之君    箕輪  登君       村上信二郎君    加藤 勘十君       三宅 正一君    森本  靖君       山内  広君  出席国務大臣         文 部 大 臣 剱木 亨弘君         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  藤井孝四郎君         科学技術庁計画         局長      梅澤 邦臣君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         科学技術庁振興         局長      谷敷  寛君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君  委員外出席者         科学技術庁宇宙         開発推進本部長 高木  昇君         文部省大学学術         局審議官    岡野  澄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(科学技術振興基本施策)      ————◇—————
  2. 矢野絢也

    矢野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術振興基本施策について質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 きのうに引き続きまして、宇宙開発について質問をしたいと思います。  ソ連宇宙船ソユーズ一号が軌道に乗ったと思いますと、四月の二十四日、同機中のコマロフ大佐が殉職されたというような不幸なできごとがあり、また、これより先にはアメリカアポロ宇宙船の乗員が焼死されたという事件があって、このところ、宇宙に向かって全世界の人々の持っておる夢が一時に冷えるような強烈なショックが与えられたわけであります。しかし両国とも地上でのこうした犠牲にめげず、宇宙開発をあくまで推進するであろうということを私たちは確信いたしますが、しかし一つ反省期に入ったということは言えると思います。読売新聞にも反省期宇宙開発ということが書かれております。その結果、アメリカは月へ一緒にとソ連に呼びかけ、国際協力機会を求めようとしておりますし、さらにソ連は、非常に強いショックとそれから深甚な反省検討の上に立ってであろうと思いますが、月への一番乗りはアメリカに譲る、こういうようなことを言い出しておるわけであります。規模は非常に小さいとは思いますけれども、日本にも同じような反省機会が訪れておるのではないかと思うのです。それは、私たちロケット先覚者だ、こういうように思っておりました東大糸川さんが辞任をされております。それからラムダ4S一号機、二号機、三号機と、三機とも失敗しておるわけなんです。それから実用衛星につきまして、各省庁が開発の意欲を非常に燃やしておるわけであります。こういう状態を踏まえまして、私は、この際研究開発と、そうして打ち上げ業務というものを十分にこの際検討をしてみて、そうして一元化できるものは一元化努力をする。それから長期計画をこの際立てる。このことは前々からの一つ至上命令であったと思いますけれども、内外とも一つ反省期に入ったのでございますから、この科学技術振興対策特別委員会におきましても、この問題を取り上げてぜひ検討する必要があろう、私はこういうふうに思うわけであります。その点につきまして、文部大臣おいでになり、さらにまた、科学技術庁長官おいでになるので、二大臣から、この際はっきりとお考えを聞いておきたい。——文部大臣はおられませんから、長官からひとつお聞かせいただきたいと思います。
  4. 二階堂進

    二階堂国務大臣 ただいま三木さんのほうからお話がございましたとおり、世界各国宇宙開発は非常な勢いで進んでおるわけでございまして、特に実用衛星段階に今日入ってきておりまして、わが国におきましても、宇宙の物理的な科学研究開発のために、東京大学中心になりまして過去十ヵ年間にわたって非常な努力を示してこられ、またその成果は各方面から非常に注目されております。また、この研究のプロセスにおきまして、あるいは成果において、国際的な協力も進んできておるというような状況でございます。  そこで、先ほど申し上げましたように実用衛星がすでにもう打ち上げられて、通信放送等利用されておるという現段階におきまして、わが国におきましても、おくれてはおりますが、少なくともそういうところまでぜひ開発を進めていかなければならないということで、科学技術庁におきましては、鹿児島県の種子島にその打ち上げの基地を昨年以来設けまして、目的に向かってこれから整備を行なおうという段階にあるわけでございます。  そこで、先ほどお話がございましたとおりに、宇宙空間における物理的な現象等についての空間研究というものは、これはやはり現在まで東京大学中心になって行なってきておりますし、その成果というものは学界あるいは国際物理学者研究等に非常に貢献をいたしておりますので、この研究は、私は国際協力観点から考えてみましても進めていかなければならぬと思っておりますが、実用衛星の打ち上げの計画につきましては、三木さんも御承知のとおり、放送衛星計画があるし、あるいは航行衛星計画があるし、あるいは測地衛星等計画がある等々、各省関係のある計画が立てられておるわけでございます。そこで、この各省にまたがるこの計画を、各省ばらばらでいろいろ研究開発するとかあるいは打ち上げ施設をつくるとかいうことになりますと、行政上から考えてみましても非常に適当でないと私は考えますし、また頭脳の面から考えてみましても、そうたくさん関係頭脳者がおるわけでもありませんし、また資金も、大型のプロジェクトになりつつあります現況を考えてみますと、たいへんな国費を投じなければならない、あるいは国費だけじゃなくして民間の相当な資金も必要とするということになりますので、そういう観点から考えてみますときに、できるものは、やはりこれは一元的な機構というものをつくって、そして効果的に有効適切なる機構をもって開発を進めていくということが一番適切な考え方ではなかろうか、こう私は考えまして、いま各省関係のある仕事ではございますが、先般来閣議におきましても、この問題を私二回ほど発言をいたしました。総理からも、できる限り早くそういう構想をまとめろということでございますので、そういう構想で、私の科学技術庁中心になってというわけではございませんが、とにかく私のほうでも一つ原案ともいうべきものを考えて、いま検討いたしておるという段階でございまして、三木さんのおっしゃるとおりのそういう方向に向かって研究を進めてまいりたいと考えておるようなわけでございます。
  5. 岡野澄

    岡野説明員 宇宙開発一元化という問題でございますが、一元化の内容、範囲、段階というものについてきめこまかく検討する必要があろうかと存じます。昨年宇宙開発審議会におきまして、人工衛星の打ち上げ及びその利用に関する長期計画の御審議が行なわれて、建議が行なわれたわけでございます。これによりますと、東大宇宙航空研究所では科学衛星計画科学技術庁宇宙開発推進本部では実用実験衛星計画をそれぞれ推進しようということでございます。文部省といたしましては、この建議にのっとって、従来どおり科学衛星計画東大中心に推進してまいりたいと思っておりますが、この両者の間に重複がないように十分計画調整され、緊密な連絡のもとに進めるということでございます。  なお、ただいま長官からお話がございましたような、将来宇宙実用面での利用計画が進むにつれまして、これを効率的に推進するためには、一元的な組織が必要だと存ずるわけであります。このことについても引き続き宇宙開発審議会検討を願って、その結論に従って文部省としても協力してまいりたいと考えております。ただ、宇宙開発行政体制が将来一元化いたしましても、基礎研究研究者の養成は大学の固有な任務だと考えております。  なお、御承知のように宇宙科学研究のために使用するロケットミュー型ロケット直径一・四メートルの規模で十分であると大学ではいっておりますので、それ以上の大型ロケット研究開発大学は行なわないということでございます。このことにつきましては、昨年当衆議院の科学技術振興対策特別委員会においても御確認願っておるところでございますので、その方針でまいりたいと考えております。
  6. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで、いまお二人から御答弁いただいたわけでありますが、私この機会に、いままで宇宙開発のあり方につきまして各新聞の論調、それから科学技術振興対策特別委員会宇宙開発小委員会の中で論議された意見、それから小委員長の報告、そうしたものをこの機会に全部目を通してみたわけです。そういたしますと、やはり現在、いまお二人が言われましたような問題点を踏まえておりながら、今日まで問題として残っておる、たくさん未解決のものがある。いまお話を聞いておりますと、科学技術庁文部省とのここしばらく、数年の間における接点、これはミューと、それからそれ以後に科学技術庁において開発するであろう大型衛星、こういうものについて、そこでスイッチを切りかえる、こういうことと、それから現在追跡試験については、これは科学技術庁責任においてやるというように、交通整理ですね、交通整理のできておるところはこの二つのように思うわけなんです。しかし、問題点は、これは読売の三十九年十二月二十八日、「「科学振興」を実りあるものに」というものですが、そういう題で書いておりますが、これに書いておりますところの要点は、国産衛星をつくる場合の国家目的を示さなければならないということです。大臣は、これについて私は原案を持っておる、こういうお話でしたが、何といいましても、国産衛星国家目的をはっきりしなければいかぬと思うのです。これが読売の論説に載っておるわけであります。  それから、これは日経の四十一年の五月三十日ですが、「日本宇宙開発軌道に」ということで、体制の一本化急げ、計画ばらばら基地は小粒、こういうことが書いてある。私はきのう基地の問題を聞いたのですが、相隣合わせたところに種子島内之浦二つあるわけなんです。もはや内之浦は狭くなってしまっている。そうして大型は打ち上げられない。だから、種子島だということになっておりますが、はやここでも、重複だとは言いませんけれども、こういう相隣合わせたところでこういうことが起こっておる。そこにやはり一貫性が必要だと思います。そのことが日経新聞に書いてあるわけでございます。  それから、これは朝日だったと思うのですが、「日本宇宙開発計画」というのが四十年ごろだったと思いますが、私の切り抜きに日付が書いてないのですが、とにかく科学技術庁新島防衛庁試射場から打ち上げた液体固体組み合わせの二段式ロケット、これを発射した時分の記事なんですが、これには「心配な無誘導式文部省案」とある。今度のラムダ4S一号機から三号機までは無誘導ですから、こういう心配は私もあると思うのです。それから「科学技術庁案液体推進技術不足」これにも総合的な長期計画を立てなきい。そしてそのあとに、早くも大蔵省は難色を示してきたとある。これは、いま大臣も言われましたように、各省庁がばらばらでありますと、頭脳にしても、それに対する資金にしても、ずいぶんロスが多いと思いますからこういう難色を示していると思うのです。要するに、これには総合的な長期計画を立てなさい、こういうようなことが載っているわけであります。  それから、これは中曽根さんと兼重さんと宮地さんの座談会ですが、注目することは、東大ロケットだけに熱心であった、日本衛星打ち上げの段階ではもっと考えるべきではないか、こういう座談会がなされております。これは兼重さんが特にそういうように言っておられるわけです。これは宇宙開発審議会の会長ですから、御意見はよくおわかりになるだろうと思います。それと同時に、科学技術庁に対して、いまもお話大臣からありましたけれども、東大成果をどのように移すかということです。東大がこれまで示してまいりました成果というものも、これは看過できない大きな功績があったと思うのです。それをどういうぐあいに移していくかという、科学技術庁との調整のかぎが必要である。こういうことと、それから兼重きんが、東大ロケットばかりには周到な用意をしたけれども、しかし二つの欠点があるということを指摘されております。目標にどのようにして当てるかということ、これが非常にぐらついている。それから誘導技術には周到でない、こういうふうに言われているわけです。これは私総合していま申し上げたので、御意見は両省庁ともあろうと思います。  そこで、ただいま申し上げましたことについてひとつ御意見を聞かしていただいて、その中から私は問題点を摘出してまいりたい、こういうぐあいに思いますから、ひとつ御意見を承りたいと思います。
  7. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いろいろな御意見でございますが、こまかい技術的なことにつきましては、また、局長も来ておりますからお答えをいたさせますが、国産衛星目的という、広い意味の御発言一つでございましたし、それから一本化についての考え方、あるいは内之浦種子島一貫性がないという問題、あるいは東大研究成果をどういうふうに見るかというようなお話でございました。  御承知のとおりに、ロケット開発研究につきましては、わが国ロケット開発は、先ほど申し上げましたとおりに、東大中心になって今日までやってきましたが、非常にコストの少ない金できわめて効率的なロケット開発されてきておる。その理論といい、あるいは燃料等開発といい、あるいはそれに付属するテレメーター、あるいは電子工学的な部面、そういう部面につきましては非常に優秀な成果をおさめてきておると私は思います。そこで、世界でも、アメリカなどが相当進んだロケットの打ち上げをやっておりますが、それと比べて、機械とかあるいは研究においては決して遜色のないものをわが国も持っておるわけでございますので、あくまでもロケット国産技術でつくったものでなければならぬと私は思っておりますし、また、そのことによって電子工学部面などが相当進んでくると私は思っております。また、わが国科学技術開発の将来を考えてみましても、外国で進んだものがあるからといって、それをすぐさま持ってきて、それをまねしてやるというような従来の考え方では、日本科学技術の進歩はない。あくまでも進んだものはどんどん進めていくところにわが国の独特の技術開発も進められていく。そうして今日まで開発してまいりました目的がすべて平和利用だということで、独特な考え方で進んできておるわけでございます。諸外国の例を考えてみますと、軍事目的一緒になって非常に膨大な人員と金がつぎ込まれてきております。したがって、私はそういう面では相当進んだ技術もあろうかと思っておりますが、しかし、わが国は少ない金で、しかも平和目的に限ってこういう研究開発を行なってきたというところに特色があると思っておりますので、そういう特色は私はあくまでも伸ばしていくべきものだと考えております。  なお、一本化の問題につきましては、先ほどお話し申し上げましたが、やはり計画目標を明らかにして長期計画を立てるということが私は必要であろうと思っております。昭和四十二年度までに科学衛星を打ち上げる、四十五年度までには実用実験衛星を打ち上げる。こういう一応の方向閣議で了解もされておりますし、また、宇宙開発審議会でもそういう結論が出ておりますが、もう少し、先ほど申し上げましたように、もろもろのいろんな計画もあるわけでございますので、そういう計画をやはり長期計画の上に明記して、そうしてできるならばそういう計画閣議において決定をしていくというところまで持っていかなければならないのではないかと考えております。  そこでそういう計画を立てて、それを進めていくためには、やはり責任体制というものを明らかにする必要がある。そこでその責任体制はやはり一本化した体制というものが当然必要になってくる。長期計画を立てて、その責任体制を明確にする。そしてその目標年度に向かってこれを進めていくという構想を現在考えつつあるわけでございます。  それから種子島内之浦基地が対立している。両方に、近いところに二つ基地を持っておるのはどうも一貫性がないじゃないかというお話でございますが、昭和三十六年か七年ごろから内之浦基地というものは実際には着手になっておるわけでございます。秋田で行なっておりました実験が相当成果をおきめて、だんだん規模が大きくなってくる、これは地理的にいっても非常に都合の悪いというようなことでもありましたので、全国各地に、東大中心となりまして、適当な候補地をさがしたわけでございますが、この基地はどこでもいいというわけにはまいらない、これは三木さん御承知のとおりでございます。空の交通事情、あるいは磁気線関係、あるいは都会に近いところであってはならないとか、あるいは広い場所が必要であるとか、これは空の関係やら周囲の状況等々、これをきめる場合にはいろんなこまかい条件に適したところが必要である、しかも緯度が赤道の直下といいますか、最も高いところまで打ち上げられて、そうして高い空間が調査できる、こういうような緯度関係からも最も適当なところだというところが選ばれてくるわけでございます。その際に鹿児島県の内之浦とか種子島というところが一つの有力な候補地として考えられている。それが昭和三十六年から内之浦というところをばその基地としてあそこに設備の着工をいたして、設備を生かしてきたわけでございます。  そのときはまだ、科学技術庁といたしましては、私はそのころのことはよく存じておりませんが、いまのような実用衛星段階を考えて基地をどこかにつくろうということはなかったのではないかと考えておりますが、新島等においていろんなロケット開発研究をやっておったことは承っておりますが、その後この新島の問題が少しややこしくなりましたので、種子島が、従来候補地として考えられておりましたところが最もよかろうということで種子島にこの基地をつくることになったわけでございますが、この内之浦基地種子島基地が近いところにあるということが必ずしもこの研究開発の上から見て非常な対立を示しておるのだというふうに私は考えたくないのでございまして、いま内之浦では相当な山をば切り開いて、そこに基地をつくっておるわけでございますが、大型衛星を打ち上げるような施設をつくることになりますというと、事実上この内之浦では場所が狭い。もしあそこを拡張するといたしますれば、海のほうに敷地をつくって、そして埋め立てでもして大きな基地をつくらなければならない。これには相当金がかかる。でございますので、内之浦をさらに拡張して設備をつくるということをやめまして、最も条件のいい、先ほど申し上げましたもろもろ条件から考えて、しかもずっと前から有力な候補地としてきめられておりました種子島にその土地を選んで基地をつくることにいたしたわけでございます。  先ほどから申し上げておりますように、東大研究開発をしております内之浦には、それぞれの目的研究開発すべきものがたくさんございます。今日までも、先ほど申し上げましたごとく、非常にりっぱな成果をおさめておる研究開発も行なっておるわけでございます。  それはそれとして、また、宇宙開発審議会でも答申がなされておりますように、ロケットミュー型、直径一・四メートル以内のミューロケットまでである、それ以上のものは種子島でやるのだ、こういうような答申の趣旨にも沿って、その大きなものを打ち上げる適当な基地種子島である、こういうことで種子島を設けておるようなわけでございます。  その他、燃料あるいは誘導のことについていろいろお尋ねがございましたが、これは文部省のほうからお答えしていただくことにいたします。
  8. 高木昇

    高木説明員 ただいま長官の御説明がございましたので、それを補足し、かつ、いま三木先生から御質問がありました点について、私がお答えするものをお答えしていきたいと思います。  ちょっと御参考までに、種子島のことはいま長官が御説明あったとおりでございまして、現在内之浦ミューを発射するときに、もしも地上異常燃焼でもしたことを考えまして、一・五キロから二キロの半径の保安区域を設けてございます。将来実用衛星ということを考えて、まだ直径がきまっておりませんが、ミューより非常に大きなものをつくったときにどの程度の保安距離がよいかというようなことをこれから検討いたしますと、やはり内之浦の周辺にはかなりな人家があるので避けたいというようなことまで考えまして、種子島がたいへんいい地域だ、こう考えております。鹿児島実験場がいま六十七ヘクタールございますが、種子島は現時点では九十四ヘクタールの面積利用できるようでございます。実はここに持ってきました資料はコスパーのインフォーメーション・ブレテン・ナンバー三十四というのでありまして、これはロケットを発射する施設などをつくるための手引き書糸川教授が国連から依頼されまして、そしてコスパーで発行したものでございます。それによりますと、東大がやっております内之浦実験と同じようなスカウトを上げたりあるいは観測ロケットを上げているワロップスステーションというのがアメリカにありますが、これが三千八百ヘクタールございまして、われわれの五、六十倍広い面積を有しておりますし、ケープケネディは、これは必ずしも人工衛星ばかりではございませんと思いますが、五万ヘクタールあるわけでございます。このようにわりあいにロケット発射点には広い面積を要しますので、内之浦近所は山また山で、人家近所にございます関係上、まず将来の大型のことを考えて種子島を選んだわけでございます。もちろん電波のようなものは共用できるものもございまして、たとえ、ば内之浦ラムダ実験をやるときに、千キロ離れておる東京の鹿島から郵政省の電波研究所電波追跡装置で応援してくれておるということもあるわけで、鹿児島内之浦並び種子島は六十キロメートル離れておりますが、有無相通じてやれると考えております。発射点だけはできるだけ広い面積をとっておきたい、また平地がほしい、こんなことが種子島を選んだ理由でございます。  次は、誘導、無誘導のことについてでございますが、先ほども御指摘がありましたように、ラムダ実験は一号、二号、三号と、最終的には軌道に小さなプローブを乗せるということには失敗しております。しかしその間に、人工衛星技術というのは大分けに分けて二つございまして、一つ所定軌道にずっと乗るか乗らないか。その次は一定高度に行って、水平に行って人工衛星のたまが所定の速度で出ていくかどうか。その二段目のところをいまラムダを使って実験をしておりまして、最初の、所定軌道に乗るかどうかは、外国の場合は誘導をしております。その誘導技術も、昨年、科学技術庁のほうと東大のほうと、将来ミュー衛星あるいは実用衛星を行なうのにぜひ誘導も早く進めたい。一ヵ所でやるには非常に大きな仕事だから、両方で分担して、それぞれ特徴あるものをつくっていこう、こういうことになりました。東大のほうでは、たとえばサイドジェットで制御するということ、これは姿勢制御で卒業しております。それからもう一つは、ロケットを推進している間に方向を曲げる、スラスト・ベクトル・コントロールといいますか、向きを変えるようなやり方、これは東大のほうでお引き受けいたしまして、地上試験はすでに済んでおります。科学技術庁のほうでは、一番下の一段目のところで羽根を使って方向を曲げる、あるいはエンジンの方向をジンバル装置で曲げる、こういうようなことを分担していただきまして、基礎研究はそれぞれ進んでいる状況かと思います。こういうほうの技術は確かに日本にはいままでなかった技術でございますので、それの基礎研究から開発までに多少の時間はかかりますが、昨年、ことしあたりと基礎研究を進め、いつかの段階にそういうものを適用していく考えでございます。ラムダのように小型のものにつきましては、そういう誘導装置などもつければつけられるかもわかりませんけれども、とりあえず風の影響をどうやってなくすかということでやってみますと、どのくらいの精度でほぼ所定軌道からはずれないでいくかということをまず確かめられますと、今度はそういう誘導装置をつけて、その範囲内に正確に乗せるということができるようになるかと思いますので、基礎研究から開発にかけて非常に時間がかかっておるということについては、御了承を願いたいと思います。  また、ラムダ一、二、三につきましては、時々御報告をいろいろなところにはしておるのでございますが、もちろん一号機から二号機、二号機から三号機に至る間には、あらゆる改良を行ないますと同時に、その中間には十分な基礎研究を何回も繰り返しやっております。たとえば一号から二号の場合に、一号の場合には予期しなかった二段目と三段目の切断で方向が曲がるとか、そういうことがありましたので、その次には、その切断の部分を十分に調査し、地上で数回行ないまして、そして二号機にはそのための故障は起こらなかったのでございます。二号から三号に至る故障につきましては、これまた反省いたすと同時に、地上では非常に数多くのテーマを何回かやりまして、結局は全部つなぎ合わせて空へ飛ばしてみないとわからないという点もございますので、三号ではそれを行ないました。ところが三段目ではぐあいが悪くて着火しなかったということになりまして、これはただいま原因をいろいろ分析し、いままで同じものをやってよかったのが、三段目が六回目にそういうことが起きたのでございますので、さらにもう少し地上実験の回数をふやさなくてはならない。その点も十分慎重にやっておるつもりでございます。以上のような進み方が現在の進行状況でございます。  それから、ただいまロケットにのみ熱心でということでございましたが、やはりまずロケットが十分大きく、かつ高く上がるようになってこそ観測も初めてできますので、やはりロケットは最優先で進めますけれども、ただいまラムダでの高度が二千キロメートル以上上がっております。内側の放射能体の観測が日本でできるようになりました。したがって、これに要する観測用の電子機器にしろ、それから観測項目でたいへん世界にも誇り得るものが数できてまいりました。またこれだけ大型のものを安全に飛ばすための安全装置、コースがはずれれば二段目、三段目に点火しないように処置をする。あるいはテレメーターとかレーダーとかいう点に最新の電子工学を入れまして、表面には出ておりませんけれども、一機一機徐々に進んでおると考えております。近ごろ電子工業で問題になっております集積回路のごときものも、これは宇宙開発によって促進されておりますので、わが国でも宇宙のほうにぜひこれを取り入れるというのが現段階でございます。そういうようなことから、ほかの分野の基礎研究なり開発を、この宇宙開発がたいへん刺激しております。また、ロケットそのものも外国でわりあいによく評価されておりますのも、それに必要な特殊な材料などがほとんど国産でできるからでございまして、そういう材料工学の分野にもたいへん刺激になっておる、こう考えておりますので、今後はますますロケットばかりでなく、ロケット周辺のいろいろな科学技術が、科学なりあるいは材料なり電子工学なり、冶金工学なりというものに非常に刺激を与える、こういうふうな考えでおります。  あと、東大成果をどういうふうにするかということでございますが、ミューロケットが現時点で実用方面から要望されておる、実用衛星を上げるには力が足りない。そこでミューより大きいものを上げたいという要望が出て、したがってまた種子島、こういうふうになったわけでございます。それは実用衛星のほうでは、静止衛星を早く上げたいとか、あるいは重さが二、三百キログラムのものとか、電力も相当大きなものとか、こういうお話で、とてもそれは、現在の東大中心として考えておるミューロケットでは、七十キロくらいで五百キロメートルとか千キロメートルとかの低高度の衛星が現時点では考えられ、かつまた、それが宇宙科学には役に立つのだ、実用ではちょっと時代おくれではないか、こういうようなことからミューより大きいものになったわけでございます。その大きなほうのロケットにつきましては、下のほうは固体燃料ミューより大きな固体燃料を使って——全部固体燃料にするか、あるいは実用衛星ですと、軌道の制御なり、それが非常に精密なものを要するので、そのときに液体ロケットを使ったほうがいいのじゃないか、こういう観点から、いままで進めておりました液体燃料ロケットをさらに進めていくという考え方でございます。固体燃料でも速度制御あるいは方向を曲げるということはできないことはないわけでございますので、これもまた並行して——先ほど、固体燃料ロケットを向きを変えるのを、東大と推進本部と両方で分担して開発している、こう申し上げたとおりでございます。したがって、そういう成果を全部実用衛星のほうに、ロケットのほうにまず振り向けるわけでございまして、それに対しては、設計とかあるいは基礎研究開発、そういうものを東大のほうも一緒になって、ほかの省庁の仕事といりでも御協力してやるというようなことは、私たちは当然考えておるのでございます。  それから衛星につきましても、科学衛星は小さい、あるいは通信なりテレビを送ることはできませんけれども、若干共通部分がございます。実用衛星がいろいろ出てくるが、そういうものをひっくるめて共通部分があるわけでございます。太陽電池とか電源とかあるいはテレメーダー、レーダーというようなものは共通でございますので、そういう多目的な実用試験衛星をなるべく早くつくる、それに対しましても、われわれ本部では、小さな衛星における経験、つまり衛星の構造、なるたけ軽くてじょうぶなものをつくるというような構造の研究とか、あるいは人工衛星になりますと、非常に温度が変化いたします。それを常温の中におさめるにはどういう技術が必要か、これなどは全部形が小さいのから大きいのへ比例的に応用することもできます。そのためのスペースチェンバーも、小さなものは東大にもございますので、こういうものを共用することによっていくのではないかと思います。あるいは十分御質問にお答えできなかったかもわかりませんが、とりあえず御説明申し上げました。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 非常に長いこと説明を受けたのですが、私の申し上げておることにはまだ触れていただいておらぬと思います。いま申し上げました、各新聞社が指摘しておりますことは、長官も御存じのように、一本化への長期計画ということです。これは長官から答えていただいたのですが、私不満足です。それからいま高木本部長からお答えいただいたのは、私がお聞きしておるのは、無誘導ということについて、これは問題があるじゃないかと言っておるわけなんです。これに対する答えとは私は思いませんし、それから液体推進技術不足だということも指摘されております。それから目標に当てるところの努力がされていない、そういう用意がしてない、これは兼重さんの指摘ですね。こういう技術的な面についてそれが足らないとか、いややっておるのだということだけ簡単にひとつ言っていただきたいと思います。  それから大臣のほうは、文部大臣おいでになったら私お聞きしようと思っておりますが、とにかく一元化といってもただ四十二年に科学衛星を打ち上げるのだ——これはあとから聞きますよ。ラムダ4S一号機から三号機まで失敗しておるのですから、四十二年に上がりますかということです。しかしそういうことを言うだけが計画ではありません。四十五年に実用衛星を打ち上げるのだと言うのはやすいのですけれども、どういうようなプログラムでやるかということを言っていただかなかったら、そんなことは、昔からいつも同じことを言っておるわけです。これでは話になりません。私が申し上げるのは、今日の日本宇宙開発に対する問題点は、はしなくも二つ問題点が出てきたわけです。それは最初に申し上げましたようにラムダ4S一号が三機とも相次いで失敗したのです。それまでは国民にはいまにも衛星が上がるぞ、上がるぞといって、そうしてそういう期待を持たせたのですよ。それならそんな期待を持たす必要はないのですよ。こういうところにも私は問題があろうと思いますが、それはいいとして、それで四十二年に上げますよと言う。こういうことだけ長官言っておってはいかぬと思うのです。  私は問題点を整理しますが、いままで問題はやはり東大に過重な負担をかけておると思うのです、研究から開発からそうして打ち上げまで。そのために問題が起こってきたのが今度の会計の問題です。会計は不正はない、不当じゃない、こういうふうにいわれますけれども、しかし私は必ずしもそうだとは思わぬわけです。あとで内容は検討してみますけれども、これは決算委員会で華山さんが指摘しております。私も角度を変えて申し上げたい点がありますからあとで言いますけれども、そういうように二つの面に露呈してきたわけです。管理面、管理する面が非常にむずかしいわけですよ。これは学問の自由と大学の自治の中であれだけのことが行なわれるかどうかということです。範囲を出ておると私は思うのです。それからその失敗の問題、そうすると研究はどの程度にするか、東大はどの程度を守ってもらう、開発はどういうところでやるか、そうして打ち上げ業務はだれがやるようにするのか、私たちの小委員会の委員長報告は、法人をつくってやらすようにしなさいということをいっておるのですよ。中曽根さんが報告しておりますのは、そういうぐあいに言っておりますよ。それに対する見通しも何にもつけてくれずに、あなた科学大臣になっておられる。それは私たちもそのときからの科学の委員なんです。その答えを聞きたいわけです。どう考えてくれるのか、何のために小委員会をもってわれわれにやらせたのか、われわれ何のためにやったかわからない。そういう意味合いで聞いておるわけなんです。  もうただ、ことばの端の一つのあらわれで、種子島とそれから内之浦とがひっついておるからどうこうということではないのです。計画を持ったらこんなことにはならないと思うのです。あなたのところも四十年でしょう、防衛庁の発射場から発射しておるのは。そうじゃないですか。私この新聞ではこういうふうに見たのです。「科学技術庁宇宙開発推進本部が昨年七月、新島防衛庁試射場から打上げた液体・固体組合せ式の二段式ロケット」こういうところを借りなくてもやはり同じように内之浦から上げたらいいじゃないか。防衛庁のを何しに借りるのですか。そういうところに重複があったり意地の張り合いかどちらか知りませんが、私はそういう問題があると思う。まあそんなことはいいのです。もっと大きな長期の見通しと研究開発と打ち上げ業務とどういうふうに分離してやっていくか。そうでなければ、これは東大には荷が重いですよ。今日こういう事件が起こってきて国会の問題になったりするのは、東大に荷を重く負わしておるからだと思います。これはあとで大臣がお見えになったら的確に聞きたいと思いますから、文部大臣が来られるまで私の意見を言うのはいけないかと思いますけれども、そういう意味合いで申し上げておる。もう一ぺんひとつ簡単に言ってください。
  10. 二階堂進

    二階堂国務大臣 先ほど計画を立てるべきだと申し上げましたが、これはただ四十二年度に科学衛星を打ち上げる、四十五年度に実用衛星を打ち上げるんだという一応の目標を私は申し上げたのでありまして、これに到達するためには、具体的にいろいろなロケット開発して実験をやるわけでございますから、その具体的な実験計画については、いま大体考えておるものもあると私も思っております。これは、局長も来ておりますから、局長のほうから、どういうロケットを、どの段階で、何の目的のために打ち上げるのか、こういうことの説明はいたさせたいと思っております。  それと、この一元化構想の中で研究開発というものをどういうふうに考えるのかということでありますが、先ほど高木先生もおっしゃいましたとおり、それぞれ基礎研究にわたることは、これは東大でも相当やってきておられますし、また、今日の段階になってきますと、御指摘のとおり、やはり大学研究する部門は少し荷が重過ぎるのじゃないか、こういうような御意見でございますが、大型計画になってまいりますと相当ばく大な金も要るわけでございますし、施設も必要でございますから、一大学内の研究室でどこまでやっていいかということは、御指摘のとおり、私も少し荷が重過ぎる点があるのじゃないか、学園等でやる研究には、それなりの一つの範囲があるのじゃないかというふうに考えております。  そこで、先ほどから申し上げておりますように、実用衛星を打ち上げる段階になりますと、やはり機構一元化しなければならないということを申し上げましたが、その中にはお説のとおり、小委員会の御発表になっておりまする特殊法人、こういうものをどうしてもつくる段階になってきておる。むしろこれはおそきに失したためにおしかりを受けておるんだと思っております。新島でやったのは、事務当局から聞いてみますと、四十年度でございますか、確かに防衛庁の施設を借りてやっておった。なぜ東大のほうでやらなかったかということでございますが、私は確かにそういうふうな重複にわたるようなことが過去においてあったかもしれないと思っております。しかし、いまそういうことを議論しておる段階ではございませんので、打ち上げる施設、あるいは打ち上げた衛星の管理、あるいは利用面、それから計画、追跡、そういったようなものの予算等をつかさどるもの、そういうものは予算、計画その他総合調整国際協力、こういったような部面は、政府機関の中で一つにまとめて考えるべきであって、打ち上げる施設、機関につきましては、私が別途に、いま個人的に考えております構想は、小委員会の結論にもございますとおり、いろいろな構想があるようでございますが、私は特殊法人をつくってやるほうが最も適切なる方法ではないかと考えております。こういうような大きなプロジェクトを開発して、打ち上げて、管理その他をやるためには、民間も学界も有能な人たちが自由に参加できるような組織をつくったほうが、現在の日本の組織から考えてみますと最もいいのではないかというふうに考えておりますので、そういう方向で私は私なりに私の役所のほうに命じまして、そういう考え方一つの案としてつくらしておるわけでございまして、できるならば、私はこの八月ごろまでにはそういう構想をまとめてみたい。もとより、これをまとめる上につきましては、関係各省、特に文部省あるいは東大等との話し合いもいたさなければなりませんし、また、宇宙開発審議会におきましても、そういう結論が一応出ておるようでありますので、もとよりそういう審議会の方々の御意見も聞きたい、私はこういうふうに考えておりますが、一応私の役所といたしましては、まず私の役所なりの案というものを示して、そうして関係各省とか審議会のほうの意見も聞いてみたい、こういうように考えておるわけでございます。
  11. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 長官からお答えになりました点に補足いたしまして、先生御指摘の長期計画構想と申しますか、私どもがどういうような態度で対処するかということにつきまして、多少御説明申し上げたいと思います。  先生の御指摘のとおり、長期計画というものが確定いたしておりませんと、これは体制問題ともからみまして、わが国宇宙開発の先を見通すことができないわけでございます。お知りおきのとおり、昨年の八月に出ました宇宙開発審議会人工衛星の打ち上げと利用に関しますところの建議を見ましても、これはさしあたり昭和四十五年度までの計画目標を示すのであって、さらに必要な科学技術的な課題については、長期計画を立案すべきであるというようなことも御指摘になっておるわけでございます。さらに科技特の小委員会の結論には、十年あるいは十五年にわたりますような先行きを見ましたところの長期計画もつくる必要があるという御指摘もたしか載っていたと思うわけでございますが、そういうような意味におきまして、現在私どもは十年から十五年先の長期的な見通しもできればやりたい。それから四十五年以降に行ないますところの三ヵ年程度の実用衛星計画につきましても考えていきたい。そのような四十六年度以降の計画の橋渡しと申しまするか、現在の技術的な段階におきましては一つの橋渡しということになりましょうが、その裏が、実用実験衛星ということばを使っておりまするけれども、そのような構想におきましてのものをつくってみたい。これを要するに第一期計画というように称しております。  こういうようなことの具体的な立案をいたしますために、すでに御承知おきかとも存じますが、本月の一日に当庁の事務分掌規程を改正いたしまして、私どものほうの局の中に長期計画をいたしますための計画室というものを設置いたしました。特にこの計画室の本命は、御指摘の長期計画、四十五年までの第一期計画あるいはそれから後の三年程度のさらに実用に接着したもの、でき得ますればその後十年ないし十五年の長期的な見通し、こういうようなものを立てたいと思うわけでございますが、特にさしあたり、御承知のとおり、最近通信衛星関係その他の各省庁からの衛星の御要望が非常にあるわけでございますが、これらは諸元、重量等がいまだ明定しておりませんので、お知りおきのとおり、ロケット開発いたします場合に、衛星の諸元との関係というものが非常に大きいわけでございます。この両者ができるだけ緊密な連絡をとりませんと、今後の開発が十分にまいりませんので、この計画室に郵政、海上保安庁、建設、通産、気象庁というような通信衛星あるいは航行衛星もしくは気象衛星関係の業務を担当しておられます各関係官に併任でおいでいただきまして、今後の衛星計画の全般を通じましての、もちろん省と省との間の連携はいたしますけれども、実際の業務におきましても、意思の疎通をはかろうと思っておるわけでございます。  いま申し上げましたように、衛星自体の諸元がきまりませんと、これに対応いたしますところのロケットの能力というものもきめ得ないわけでございますけれども、端的に申しまして、中高度程度、一万キロぐらいで二百キログラム程度のものは現在の技術においても、先ほど橋渡しと申しましたが、そういうものができると思うわけでございます。これもいま申し上げましたように、はっきりした衛星のほうのオーダーがまだきまっておりませんので、それと並行的にロケットの系統を考えていく。開発手順につきましては、先ほど高木先生からおっしゃいましたように、第一段及び第二段は、ミューロケットの一・四メートルのものの大型化、高性能化をはかるわけでございます。この場合には、いま想定いたしますると、直径が二メートル半ぐらいになるかと思われまするので、その点におきまして先ほど説明のございましたように、現在の内之浦の物理的な狭隘さから種子島の射場の必要性が出てくるわけでございます。  三段目ケットにつきましては、その推力がいま三・五トン程度でございますけれども、これを十トン程度に大型化いたしまして、この三段目におきまして、特に衛星誘導制御の主目的を達したい。もちろん一、二段の固体ロケットにつきましても誘導制御はいたします。誘導制御の内容につきましては、先ほど高木先生からお話のございましたとおりでございます。  それから追跡問題につきましては、これはすでに当庁におきまして一元的に行なうことになりましたから、角度測定併用ドプラー周波数測定方式をとることになっておりまして、四十二年度からすでに予算措置等もとられておりますので、この点につきましては、四十二年度に間に合うように進めたいと思っております。いずれにいたしましても、こういうような庁内組織をつくりまして、関係各省、特に衛星側のユーザーと申しますか、そういう省庁からも担当官の併任をいただきまして、緊密に連絡をとりまして、できるだけ早い期間に長期計画というものを定めるべくただいま計画を練っております。  なお、体制問題につきましては、先ほど長官から御説明がございましたので、省略させていただきます。
  12. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文部省、さっき技術的な面を二つ聞いたでしょう。無誘導液体燃料……。
  13. 高木昇

    高木説明員 無誘導のものにつきましては、私は、姿勢制御で、外国にもそういう例がないではないので、あれでやっていけるのではないか。スカウトでは一段目から羽根をつけてやっておりますが、これはいずれあとから技術開発されたら取り入れられると思っております。  それから次は……。
  14. 三木喜夫

    三木(喜)委員 液体推進……。
  15. 高木昇

    高木説明員 それの計画でございますか。
  16. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いや、それが非常に不備だと指摘されておったですね。
  17. 高木昇

    高木説明員 このほうの進み方は非常にゆっくりでございまして、確かに液体燃料ロケットは、現在は液体酸素と液体水素の組み合わせまで進んでおるにもかかわらず、日本ではまだ非常に小規模液体酸素の地上実験が進められておるという状況でございます。それで、これはいま局長お話のように、三トンなり十トン程度の大きさのものについてもう少し進んだものを開発する必要があると私たちも考え、大学の連中もそういうつもりで、固体燃料ロケットというものは、最後にはその比推力には限度があって、結局液体酸素、液体水素という組み合わせがいまは一番いいようでございます。こういう問題をどこまで進めていくかということは、これはやはり長期計画がはっきりきまりますと、もうちょっと進める必要があるのではないか、こう考えております。
  18. 三木喜夫

    三木(喜)委員 高橋調整局長のほうからお話があったように、科学技術庁としては、長期計画なり一元化努力をされておるようであります。計画室を五月一日に新設されて、そこに郵政省、運輸省、建設省、海上保安庁、それから気象庁、科学技術庁が集まって一元的に衛星本体を開発しようという、こういう考え方はよくわかるのですが、結局本体をきめることができないと思うのですね。どういうぐあいにきめるかということです。長官は八月を大体目標にしてやる、長期計画なり開発の本体をどういうものにするか、これについては八月ということを明示されましたから、そういうふうに記憶しておきます。  それから一元化努力なんですが、先がた私これにちょっと触れたわけですが、当然高木本部長は技術庁と文部省のパイプになるということで、愛知長官のときに入ってこられたのですから、四十年度に新島で打ち上げるよりもやはり東大の発射場で打ち上げるほうが、私は一元化への努力一つの形かとも思いましたけれども、それはそれでよろしい。  ただ、私が心配することは、いま二つ——液体燃料についてはちょっとおくれておるのだ、こういうことですけれども、あなたの発言の中に、液体燃料についてはやらなければしょうがないからやっておるだけであって、これはお添えものだというような考え方発言があるわけなんです。これは、科学技術庁液体燃料でやるといって非常に力を入れておられる。その調整役であられるあなたが、液体燃料に対して熱意を示しておられぬような発言一つ聞けるわけです。  それからいま調整局長はそういうぐあいに言いましたけれども、私の聞いたところでは、体制問題の小委員会が、第一回が四十年の十二月十日、第二回が四十一年一月二十六日に研究調整局長室で行なわれておるわけです。それには文部省から岡野さんも出ておられますし、それから科学技術庁からも出ておられて、それぞれの意見を出されておるわけなんですが、この中でこういう発言がなされております。これは高木さんの発言ですが、「私としては一元化はしないほうがよいという理念を持っている。NASAも一本にしてかえって非効率的でよくない。一元化というのはことばの魔術である。たとえば内之浦については、一元化しなくとも東大が使わないときに使えばよい。ロケットについては、実用衛星にはミューでは小さいから二メートルぐらいのを考えて新たに本部で開発すればよい。さきには本部の救済策として丁六五メートルを考えたが、宇宙審ではもっと大きいものと意見が多い。これには内之浦は射場として小さい。」こういうふうに言っておられます。この中に一元化するという理念は感ぜられない。私は、あなたは一元化するために本部長になられたと思っておったのに、こういう発言をされておることを見ましたときに、いかほどいま長官が言われたり、あるいは高橋調整局長がそのようにおっしゃっても、一元化への努力はあなたによっては皆無である、できないと思うのです。この点どうですか。
  19. 高木昇

    高木説明員 どういう発言をそういうふうに引用されておるのか、私よく——一月二十六日の、ちょっと、私はそこにリファされて、そこで私が何か述べたということでございますと、たいへん責任あることになりまして——私自体はそういう気持ちでなく、まず重複した計画重複しないようにし、分担するものは分担し、こうやってつとめてきたつもりでございますし、また一元化機構ができた場合に、私はもちろん東大のグループもどういう体制になるかわかりませんが、協力するものはするというふうに実は申し上げてきておるとおりでございまして、宇宙開発審議会体制委員会でも特殊法人というお話もございましたし、また、宇宙開発省のように全部各省庁が入るようなものができまして、その中の一つの分子として、学術関係で当然宇宙科学までひっくるめてそれ自体も宇宙開発構想の中に織り込まれるのだと私は思っておりますので、私はどういうふうに私の発言がリファされたか、抜き書きされたかわかりませんけれども、私はそういう一元化は反対だという理念でいままでやってきたつもりは毛頭ございませんので、どうかそういうふうに御承知おき願いたいと思います。このことにつきましては、たとえば科学技術庁局長その他にお聞きいただいてもわかると思います。
  20. 矢野絢也

    矢野委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  21. 矢野絢也

    矢野委員長 速記を始めてください。  それでは内海清君。
  22. 内海清

    ○内海(清)委員 私は長官の所信表明につきまして若干質問いたしたいと思いますが、この問題につきましては、いま三木委員のほうから宇宙開発一元化というふうな問題が取り上げられたわけでございます。これにももちろん関係いたすわけでございますが、文部大臣が来られるようですから、その問題は大部分は大臣が来られてからにしたほうがよかろうと思いますので、その際に質問いたしたいと思います。  この科学技術開発につきまして大臣は所信表明の中で「科学技術の振興をはかるためには、総合的な観点から、計画的、効率的に推進することが肝要でありまして、所要の体制の整備、諸施策等の強化、拡充等をはかるため、全力を傾注してまいりたいと存じます。」こういうことを言っておられるわけであります。これはまことにけっこうだと思うのであります。しかし、ここで問題になりますことは、しからばそれを推進するにあたりまして、その行政責任と、さらにはこれを裏づけます財政措置がうまくマッチしておるかどうか、この点が問題の中心ではないかと私は思うのであります。  最近いろいろ話題になっておりますビッグサイエンスというふうなものに対しましても、政府は常に官民共同開発ということをよく言われるのでありますが、そういう点から考えましたときに、この官民共同開発というような名のもとに行なおうといたします場合には、従来の関係から見て、とかく政府の政治責任の焦点がどうもぼけるのではなかろうか、かような気がいたすのであります。こういう点につきまして大臣はどうお考えになっておられるのか、この点をまず第一にお聞きいたしたい。
  23. 二階堂進

    二階堂国務大臣 私は所信表明の中でも、いま内海さんのほうからお話がありましたことを申し上げておるわけでありますが、何と申しましても、科学技術の進歩発達は非常に目ざましいものがあるわけでございます。技術を制するものが経済を制するということが非常に強く叫ばれておる。現下の国際情勢を考えてみましても、わが国における科学技術開発あるいは進歩が一体どのレベルにきておるかということを非常に考えざるを得ないわけでございます。また、欧州諸国におきましても、テクノロジーギャップと申しますか、技術格差という問題が先進諸国の首脳部の間においても非常に強く論議をされております。OECDの中におきましても、技術格差の問題を検討するために専門部会が設けられておるような状況でもございます。私はこういうような情勢を考えてみますと、日本の進んだ技術はさらに一そう促進する必要がある。おくれた部面におきましても、これをできるだけ早く追いつく水準にまで持っていかなければならない。これは政府として当然考えていかなければならない問題ではないかと思っております。  そういうことで、いまそういうことを考えてみますときに、従来政府のとってまいりました科学振興に対する国の力の入れ方というものが私は十分であったとは考えておりません。率直に申しまして、非常におくれておったのではないか。特に国民の側から見てみましても、科学とか技術というものに対する関心が非常に少なかったのじゃないか、こういうようなことを考えてみますと、科学技術を進歩させるためにはこれは単に一政府の力だけではいけない。官民一体となって総力を結集してまいらなければならない部面が非常に多いのではないか。これは原子力開発の問題にいたしましても、宇宙開発の問題にいたしましても、あるいはその他の分野におきましても、そういうことが言えるのじゃないかということで、特に宇宙開発あるいは原子力開発等につきましては長期計画を立てるとか、あるいは一元的な機構を設けるとか、あるいは特殊法人をつくってその推進をはかるとかいう構想を固めつつあるわけでございます。  そこで、官民一体となると責任の分野が不明確になるのじゃないかということでございますが、私は、そういう長期計画を立てるとか、科学技術を促進するために基本的な法律をつくるとかいうことにつきましては、政府がリーダーシップをとらなければならぬというふうに考えております。そのもとに官民一体の、民間、産業界あるいは学界の協力を求めるという体制をつくっていく。でございますから、あくまでも、基礎的な法律をつくって、その計画を法律に基づいて推進していくとか、あるいは国のとるべき予算というものを十分とって促進する体制責任をもって進めていくという体制、これは国の責任においてやるのだということでございますから、私は、官民一体と申しましても、必ずしも責任の分野、特に政府の持つべき責任の分野が不明確になるとは考えておりません。むしろそういう体制を政府が示してこそ、民間とかあるいは産業界の協力体制が得られるのじゃないか、そうしてまた、国際的な協力も強く促進できるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  24. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣の御答弁によりますると、責任体制はおのずからはっきりしてくるであろうということでありますが、これは今日まで科学技術庁で進めてこられましたものを見ましても、必ずしも大臣の言われたようになっていない。たとえば原子力船の問題しかりであります。これはその代表的なものではないか。結局、官民共同開発ということが非常に大きな災いをした。私は前にも申し上げましたけれども、こういう最も新しい開発というものは、やはり国がその基本的な責任を持っていかなければ、民間企業というものは、極端に申し上げますならば、営利会社である。したがって、なかなか営利のめどがつかないものに対しては思い切って投資ができないということです。ここに問題があると思う。でありますので、この点は私は今後のわが国科学技術開発から考えましても、一番問題になる点ではなかろうかというふうに考えるのであります。  それで、大臣はまた所信表明の中で、「技術的後進性を払拭し、わが国独自の自主的技術開発、確立する」こういうふうに述べられておるのであります。こういう点から考えまして、政府と民間の共同開発の限界というものはどの辺にあるのか、こういうことを心配いたすのであります。これが明確になりませんと、今後のわが国技術開発につきましても、やはりいままでと同様な多くの問題を繰り返してくるのじゃなかろうか、こういう心配をいたすのであります。その点に関します御所見を承りたいと思います。
  25. 二階堂進

    二階堂国務大臣 これは、いま先生がおっしゃるとおりのことは、私はあったと思うのであります。そういうこと等をいろいろ反省いたしてみまして、やはり高度の科学技術の水準にまで持っていく責任というものは、ある程度国が責任を持ってやらねばいけない部面が相当ある、これは私も率直に認めます。  そこで、いま例をとって先生がおっしゃいましたが、原子力船の問題も多年にわたる問題でございましたが、これは政府が全部引き受けてそういうものをつくっていくんだということよりも、将来はやはりこれは民間に利用さして商業ベースに乗っかって運営ができるような方向に持っていかねばなりません。そこで、民間のほうにも、資金部面におきましてもある程度の世話をお願いしておる、また、建造する船のほうにつきましても、あるいは将来の運営等につきましても、民間の持つべき部面が相当多いわけでございますから、そういうほうにもお願いしてまいっておるわけでございます。  また、原子力発電の問題につきましても、相当長期にわたる基礎的な研究開発というものが必要であるわけでございます。そこで、原子力の研究につきましては、東海村に原子力研究所というものを設けまして、基礎的な研究をやっておる。そこででき上がったものを応用とかあるいは実際の運用面に移す場合には、民間の協力にゆだねる、また、でき上がったものは民間の運営にまかせる、こういう方向に持っていかなければならぬわけでございますからして、そういうことについては、国が持つべきものは国が資金もあるいは研究の主体も持ってきたということはある程度は言えるんじゃないかと思いますけれども、しかし、国が持つべき開発に投ずべき力、金、そういうものに対する力の入れ方は、私は今日までずっといろいろ勉強してみますと、先生がおっしゃったような批判を受けるべき点が確かにあったのじゃないかと考えざるを得ないのでございます。今後はやはりそういうこと等も考えまして、官民一体の協力体制を得るためには、できるならば、そうした共同研究利用施設等も積極的に国がつくって、そしてそこへ民間の有能な頭脳も集めて研究をし、その成果をいろいろな産業界にも均てんしていく、こういうような構想も私は考えられてしかるべきものではないかと思っておりますが、いま国で考えております筑波山ろくの研究学園都市、ああいう施設一つのそういう構想に基づくような方向で持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  26. 内海清

    ○内海(清)委員 なるほど大臣お話しのように、将来その開発が進んでまいりました場合には、それによって民間が大きな恩恵を受けるということはもちろんでございます。したがいまして、そういうふうなものにつきましては、民間におきましてもできるだけの協力をしなければならぬということは十分うなずけるわけでありますが、今日までの状況を見ますると、とかく政府におきましても、これは予算面を見ればおのずから明らかだと思いますけれども、科学技術の振興ということに対して政府はどれだけの熱意を持って、その行政責任に対する裏づけである財政措置をどの程度にやってきたかということを考えてみますならば、これは必ずしも十分ではなかったと思うのであります。  そこで、それはもちろん開発のそれぞれのケースによっても違いましょうが、民間と政府がどういうふうな限界でもって考えるべきかということ、これが今後の非常な問題になってくると思うのです。そのためには、いまお話しのような体制を一本化して、そうしてこの長期計画を立てる。これによって官民がおのおのの分野を守りながら、その計画達成に邁進する、このことが一番大事なことじゃなかろうか。いままでのわが国科学技術の振興におきましては、その点が非常に欠けておったのじゃなかろうかというふうに私は考えるわけです。たとえば原子力を例にとってみましても、日本の原子力予算が四十二年度で百五十億程度、ところが、これは一般会計予算に対しまして〇・三%程度にしか当たらぬと思う。これではたしてわが国の将来の発展をになう科学技術振興に対する国の態度として十分であるかどうか、この点は考えられなければならぬと思うのであります。まあアメリカの予算は、これはもちろん比べものになりませんけれども、アメリカの六七年度の原子力に対する予算は二十一億ドルということになっておるように思うのであります。邦貨に換算すれば七千五百六十億円程度になりますか、これはけた違いであります。けた違いでありますが、わが国ではこの科学技術開発のための投資というものが、そういう財政的な面から見まして、やはり今後私は民間の負担というものがかなり期待されるのではなかろうかということを思うわけであります。財政措置が不十分であるならば、必ず行政措置も制限を受けるのであります。私は、この悪循環を繰り返しておったのでは、わが国科学技術の今後の進歩発展というものもやはり大きな障害を受けるんじゃなかろうかというふうに考えるのであります。それらにつきまして、ひとつ大臣の御所見を承りたい。  なお、諸外国では、一つは、科学技術開発につきましては、いわゆる軍事利用という一つの面がある。これはわが国と非常に違うところであります。こういう軍事利用という面でこれは大きく援助いたしておりますが、わが国では平和利用に限られております。したがって、政府は、わが国の今後の科学技術開発については一そうそういう面で考えていかなければならぬのじゃなかろうかというふうに思うのであります。その辺に対する御所見をひとつお伺いしたい。
  27. 二階堂進

    二階堂国務大臣 お説のとおり、政府の科学技術開発に対する国の財政面からする力の入れ方というものは、今日必ずしも十分でないと私は考えております。このことは、先ほど内海さんがアメリカ外国の例を引いていろいろお話しになりましたとおりでございますが、もちろん、アメリカとかあるいはソ連とかいう国は、英国にしてもそうでしょうが、軍事目的のために巨大な金を投資している。その軍事費が民間の会社なりあるいは学園の研究方面に渡っておる。研究もどんどん進む、また人材の養成もどんどん進んでおる、こういう状況でございますが、わが国のように平和利用に限って開発を進めておる国の実情とおのずから違う面があると私は思っております。しかしながら、国民所得に対する研究開発投資の割合を考えてみましても、日本昭和四十年度で一・七%程度にしかすぎません。国民所得の割合から考えますと、五年後にはこの一・七%を二・五%程度にはどうしても持っていきたいということで、国の経済社会発展計画の中にもその数字を明確にいたしておるわけであります。そういたしましても、アメリカとか西ドイツ、英国等に比べましてまだまだ少ないわけでございます。しかしそういう方向に力を入れようということで、政府が数字をもって明らかにいたしておることは非常な前進だと私は思っております。また、本年度の科学技術庁の予算を見ても、皆さんの御協力によりまして、従来からしますとある程度予算が伸びたと私は思っておりますし、全体として対前年度比約一・九%以上伸びてきておるようでございます。これは関係各省に計上されておる予算すべてを入れてでございます。そういうようなことでございますので、今後国が果たすべき財政的な面の力というものに相当ウエートを置いて考えていかなければならないということは、内海先生のおっしゃったとおりだと私も考えておりますので、一そう力を入れてまいりたい、かように考えております。
  28. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣の参議院においでになる時間が迫っておるようでございますので、大臣にお尋ねしたほうがいい問題を拾って先にやりたいと思います。  ただいまの問題につきましては、いずれにいたしましても、今後わが国科学技術の振興のためには、国はよほど努力をしていただかなければ相ならぬ。今日わが国の産業面から見ましても、基幹的なものにつきましてはほとんど世界の五位のうちに入るという状態になっている。鉄鋼の面を見ましてもそうでありますし、一つの炉をつくるにしても、外国でできないような非常な開発わが国でやっておるという面もあるわけであります。近いうちにすべてが三位くらいに入ってくるようなわが国の非常な進歩でありますので、今後一そう政府として考えていただかなければ、このわが国の非常な産業の発展ということに対しても一つのブレーキになるのじゃないかということを心配いたしますがゆえに、申し上げたわけであります。  それから先ほど宇宙開発の問題につきましていろいろ議論があったわけであります。これは私ども全く同感でありますが、先ほど調整局長からお話がございましたように、科学技術庁の中には五月一日付で計画室ができたようであります。こういう際にこそ、たとえば宇宙開発の問題ももっと一本化する努力がなされるべきではないか。あるいは、これが、設置されるまでの経過を私十分知りませんから、努力されたか知りませんけれども、私どもしろうと考えで申しますと、なぜこの東大宇宙航空研究所を統合できなかっただろうかという気も私はいたすのであります。こういう宇宙開発というようなビッグサイエンスを一つ大学でもってやっておるというのは、世界でもあまり例がないように聞いておるのであります。東大に対するあまりに過重負担ということも、先ほど三木委員お話であるかとも思うのでありますが、こういうふうなものもそういう際にはもっと統合して一元化していく。これが、文部省関係科学技術庁関係で統合できなかったか、その辺の理由は私はわかりませんけれども、もし省が違うということで統合できぬといたしますならば、日本の政治機構の非常に悪いところである。いわゆるなわ張りというものが災いをしたとすれば、これまた問題であると思いますけれども、こういうふうな問題はそういう計画室などができます際に十分検討さるべき問題ではなかったろうかと思うのであります。この点についてちょっとお伺いしておきたい。
  29. 二階堂進

    二階堂国務大臣 大学研究体制のことにつきましては、文部省の方もおられますからあとでお話があるかと思っておりますが、私はアメリカに長くおりまして勉強いたしたのでありますが、マサチューセッツの工科大学、これは膨大ないろいろな研究施設を持ってやっております。またパサデナの工科大学におきましてもいろいろなテーマをもって学校独自の研究開発をやっております。私は在学中、驚くべき施設をもってやっておるのを見て驚いたことも記憶しておりますが、私は学園における自治、研究の自由というものはあくまでも守っていかなければならぬと思っております。  そこで宇宙開発に関連して、なぜ東大のそういう研究が一本化されなかったのかという御疑念でございますが、先ほどから申し上げておりますように、宇宙空間における物理化学等の研究開発東大独自でやってまいったわけでございます。また、ロケットにつきましても、先ほど高木先生がおっしゃったようなもろもろ研究が進められて、その成果が大きく評価されたことは疑う余地のないことであります。ただ、学園における研究範囲、限度というものは私はあるのじゃないかと思っております。非常に膨大な施設をつくって大きなプロジェクトに取り組んでいくという時代でもございますが、そこにはおのずから限界があるのじゃないか。そこで宇宙開発審議会におきましても、ロケットの追跡業務などにつきましては、高木さんのほうで一本化してやってもらうというようなことにもなっておりますし、また、実際大型ロケットを打ち上げるということになりますと、相当な設備も要るし、人も要るし、金も要る。そしてまた、各省がそれぞれ違った目的開発をやっていくということは、人の面から見ても、金の面から見ても不経済である。そこでこういうものを一つにまとめて一元的な機構でそういうものをやったほうがいいのではないか、こういう構想でございますので、私もそういうことはきわめて大事なことだと思って、答申の趣旨を尊重し、また科学技術特別委員会の先生方の報告にもあるその趣旨を尊重いたしまして、できる限り早い機会にそういう機構を取りまとめて、そして関係各省協力を得て、来年度予算においては、計画も予算もとにかくできるならば一つのまとまった一元的な機構で取りまとめていきたい。これは、おっしゃるとおり、なぜやらないかというおしかりを受けているほどでございます。私は、これはもうひとつ精魂を傾けてこの仕事に取り組んでいきたい、こういう考えでございますので、ひとつこの面につきましては先生方の御協力もお願いを申し上げておく次第でございます。
  30. 内海清

    ○内海(清)委員 それは全く大臣お話しのとおりでありまして、大学におきまして学問研究の自由ということはあくまでも守られなければなりません。しかし、そこにもおのずからお話しのように限度もあるであろうと思うのであります。いま宇宙開発につきましていろいろな問題を起こしておるときであり、でき得るならばこういうふうなものは早急に一元化していくところに資金のロスもなし、頭脳のロスもなし、最も効率的にこれが開発できるんじゃなかろうか、かように考えるわけであります。この点は今後十分ひとつ進めていただきたいと思います。  それから、これは飛び飛びになりますので、系統だっていたしませんのでお許しいただきたいのでありますが、原子力関係で最近長期計画の改定ができたということであります。ところが、この修正にあたりましては、もちろん一元化されていかなければなりませんが、政府としてはこれに対して今後どれだけの財政措置を講ぜられるような御決意があるか。これは、先ほど申しましたように、財政措置が十分でなければ行政措置もなかなかいかない。これは悪循環するわけであります。そこで、この点について行政、財政の責任がはっきりとしていなければ、この長期計画はまた、いままで行なわれたようなことを繰り返すのじゃなかろうかというふうに考えるのであります。これにつきましては、そういうふうな財政措置もすでに考えられてあるかどうかという点でございます。もしこれが考えられてなければ一つ目標というか、それに終わってしまうということになると思うのであります。その点につきましてお答えを願いたい。
  31. 二階堂進

    二階堂国務大臣 おっしゃるとおり、最近原子力の研究開発が非常に大きな一つの問題として提起されております。わが国におきましても、四月十三日でございますか、原子力開発長期計画というものを原子力委員会でまとめまして、それを閣議決定いたしました。現在原子力の基礎的な研究開発につきましては、東海村における原研でやっておりますが、これから二十年間の展望、特に電力関係、原子力発電による電力の需給関係の問題を考えてみまして、二十年の展望を考えてこの長期計画の中に明記いたしておりますものは、昭和五十年度には大体六百万キロワットの発電をいたしたい、そうして昭和六十年度までには大体三千万ないし四千万キロワットの発電をいたしたい、こういう計画を立てて、これに必要な資金が約二千億、こういう計画を明らかにいたしておるわけであります。  その計画を遂行する初年度の計画といたしまして、今国会にこの責任体制を明確にいたしまする関係から、核燃料と動力炉の開発に関する特殊法人をつくるために必要な法律を御提案申し上げて、御審議を願うことにいたしておるわけであります。将来の原子力発電の構想は、新型転換炉による開発、あるいはさらに十七、八年後における高速増殖炉、これはわが国において独自な燃料を使う、また冷却材あるいは減速材というものも独自なものを使って開発していこうという、自主的な開発を考えた炉でございますので、こういうことをやるには相当長年月にわたる基礎的な研究も要りますし、データも要りますし、施設も要りますので、約二十年後の展望を考えて、いま申し上げましたような約二千億に達するような計画を立てて、しかも、その計画の内容を明らかにいたして、それを遂行するために特殊な法人をつくって、責任体制を明確にして推進をしていく、こういう考えをいたしておるわけであります。
  32. 内海清

    ○内海(清)委員 動力炉の開発につきましては、いまお話しのような財政的な計画もあるようでありますが、その他のものにつきましても、これは同様に財政的な裏づけの計画が立てられ、これが遂行されていかなければならぬと思うのでありまして、この点につきましてはひとつ今後、時間がないようでありますからこれでやめますけれども、十分なる御努力をいただきたい。そういたしまして、初めてほんとうのわが国科学技術の振興というものが生まれてくると考えるのであります。これはひとつ要望しておきます。大臣に対する質問は以上で終わります。
  33. 二階堂進

    二階堂国務大臣 先ほど申し上げました原子力発電の問題と、さらにまた原子力船の問題も先ほどお話を申し上げましたが、そういう計画を立てて原子力船の建造にことしから着工いたしておる。その他、放射線の関係研究開発、これらも相当進める計画を持っておるわけでございまして、これらの船とかその他の研究開発に必要な所要資金というものが大体四千五百億ぐらい要るだろう、こういう目標のもとに最善の努力を傾倒いたしてまいりたいと考えております。
  34. 内海清

    ○内海(清)委員 いずれにいたしましても、委員会が開かれましてからずっと問題になりました一元化という問題、この問題はきわめて重要な問題でありまして、むだのない投資のもとにこの計画的、効率的な開発体制ができる、こういうことに今後進めていただきたい、御要望申し上げておきます。  それでは、あと一、二御質問しておきたいと思います。いまも大臣からお話のありましたような原子力開発につきまして、動力炉・核燃料開発事業団というものがこの秋発足するようなことに相なっておるわけでございますが、この構想につきましては今後いろいろと論議を呼ぶことと思うのでありますが、これについて一、二質問しておきたいと思いますが、この原研との関連性はどうなっておるかということであります。従来動力炉開発の推進母体は、これは原研内の動力炉開発部が担当しておったと聞いておるのであります。ところが原研内のこれらの推進母体のすべてを新事業団に移すのかどうか、その処置についての行政指導はどのようにするのか、こういうことでございます。この点について、ひとつ御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。
  35. 村田浩

    ○村田政府委員 動力炉開発に関連しまして新しく設けられる動力炉・核燃料開発事業団の業務と、それから従来動力炉の研究を含め原子力一般の研究をやってまいりました原研との関係がどのようになるか、こういう御質問かと存じます。  動力炉・核燃料開発事業団のほうは後ほど法案を御審議いただくわけでございますが、これをつくります趣旨は、すでに御案内のとおり、わが国として新しい型の動力炉を自主的に開発してまいりたい、こういう趣旨でございまして、新しい型の動力炉と申しましても数多くございますが、どれもこれもというわけにまいりませんので、新型転換炉としては重水減速沸騰軽水冷却型という特定の型の動力炉を、また高速増殖炉といたしましてはナトリウム冷却型の高速増殖炉を、それぞれ国のプロジェクトとして、一定の期間内にプログラムに従ってその原型炉というものをつくり上げてまいろう、こういう開発計画でございます。したがって、動力炉開発と申しましても、この二つの特定の動力炉の原型炉をつくっていくというのがその使命でございますので、当然のことながら、原子炉一般あるいは動力炉一般としての基礎的な研究あるいは応用的な研究というものにつきましては、原子力研究所のサポートを全面的に受けなければならないというふうに考えております。  一例を申し上げますと、たとえば高速増殖炉につきましては、すでに新聞にも報道されておりますが、最近原子力研究所に建設しておりますところの高速臨界実験装置というものができ上がりました。これは高速型の原子炉のいわゆる炉物理を勉強する施設でございますが、この建設には約十億円近い資金が投入されております。この臨界実験装置を使いまして、高速型の動力炉のいわゆる炉物理関係のデータをとるわけでございまして、その際に、事業団のほうからは、事業団の設計いたします高速増殖炉の原型炉、これの炉心構造にマッチしたような臨界実験装置の内部の組みかえをいたしまして、これに必要な炉物理データをとっていくというようなことを原研に今後お願いしていくわけでございまして、それらの実験データあるいは測定結果というものが、わが国の自主的な開発として進められます高速増殖炉の設計に取り入れられるわけでございます。  これは一例でございますが、そういうようなことで、今後国のプロジェクトとして推進される動力炉開発につきまして、事業団は物をつくっていくという仕事についての責任をとり、それをささえる基礎的な、応用的な研究については原研の全面的な協力を受けていく、こういう形を考えているわけでございます。
  36. 内海清

    ○内海(清)委員 それでは、文部大臣が来られましたので、私はここで中断して、三木委員にやってもらいます。
  37. 矢野絢也

  38. 三木喜夫

    三木(喜)委員 お忙しい文部大臣にわざわざこちらへおいでいただきまして、ありがとうございます。  おいでいただきました趣旨は、御存じのように、世界的に見ましても、宇宙開発につきましててはソ連アメリカとに大きな事故がありまして、そうして、両大国ともこの問題については非常な反省をし、あるいは検討をしようという段階にいまなっているわけです。そうして、アメリカは、月へはソ連一緒にというような提案まで現在して、国際協力の手を差し伸べてまいったわけです。それからソ連は、この問題につきましては非常にショックが大きかったものですから、アメリカに月への第一歩は譲る、こういうような立場をとってまいったわけでございます。そういうように、世界的に見ましても反省期に入ったと思うのですが、このときにあたりまして、日本でも、もう大臣御存じのように、ラムダ4S一号機から三号機までが打ち上げに失敗したわけであります。この失敗をどうこうと私は責めるわけじゃありませんが、こういう問題をめぐって反省しなければならないという一つの要素があるわけです。それから糸川さんが辞任をされました。これも一つ反省の材料だろうと私は思うのです。それから人工衛星、特に実用衛星については、各省庁それぞれ開発に対するところの希望を持ってきたわけですね。したがって、この際、総括的に見ましても、どういう人工衛星実用衛星をつくったらよいかということについても総合的に意見調整しなければならぬ。したがって、科学技術庁には、長期計画と、それからそういう一元化体制をどのようにするかということでお聞きしたわけです。したがいまして、大臣にもこの点についてひとつお聞きしたいと思うのですが、もう時間がおありにならぬようでありますので、この間、四月二十一日の新聞に出ておりました記事に従って大臣のお考えを聞きたいと思うのです。  これはこういう見出しで出ておるわけです。「大河内総長ら文相にわびる」「ロケット問題」、「東大宇宙航空研究所の不明朗な事件が問題になっているが、大河内東大総長と高木研究所長は二十日夕、文部省に剱木文相をたずね、内之浦基地でのロケット発射失敗のいきさつを説明するとともに、同研究所ロケッ卜部門が経理問題について「世間を騒がせたことは申訳ない」とわびた。この席で文相は、ロケット開発一元化問題をめぐって「宇宙航研のあり方については、東大側で自主的に改善策を検討してほしい。大学研究所としては基礎および応用研究と、研究者の養成に重点を置くべきだと思う」と述べた。文部省の話では、大河内総長と高木所長はこれに対し大学側で具体案の検討にとりかかる、と答えたという。」こういうぐあいになっておるわけです。  そこで、これはもっともなことだと思うのですが、しかし、大臣はこの機会に一体何を指示されておるのかということと、高木所長もおいでになりますが、大河内総長は一体何をあやまったのか、記事だけでははっきりいたしませんから、これをひとつ明確にしていただきたい。
  39. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 大河内総長と高木所長がお見えになりましたことは新聞記事のとおりでございます。それで、これは私のほうからお招きしたのではございませんで、東大総長のほうからの申し入れでお会いいたしました。それで、それは主として宇宙航空研究所におきます経理問題につきましていろいろ会計検査院の問題が起こりましたり、また、それに関連いたしまして糸川さんの問題が起こったりいたしましたことにつきまして、世間を騒がせて申しわけなかったというお話でございました。それでいろいろ今後の問題等について雑談的にやったのでありますが、私が指示したというのではなしに、私といたしましては、主として経理上の問題については、これは学者の責任の問題でございませんで、主としてこれは事務系統の責任だと思います。その点について経理上、やはりビッグサイエンスになりましていろいろ困難がございましょうから、これについて経理が十分に運営してまいれますように御注意願わなければなりませんけれども、それに対して必要な人員でございますとか、あるいはその組織の問題等については文部省のほうでもできるだけの努力をいたしましょう。それはいろいろな問題がありましても、私、文部大臣といたしましては、この研究に対しましてはひとつしっかり——ラムタの三回目の打ち上げについて失敗がございました。しかし私どもは世間で相当——これは高木先生がいらっしゃいますから私が申すまでもないのでございますが、私ども三回目の場合にも、私はあるところでこれは実験であって、われわれの期待としては七五%くらいの期待を持っておるということは申し上げました。しかしこれは実験段階でございまして、これが完全に成功するという——ミュー型についてはそれを目ざしてやっておりますが、ミュー型を打ち上げる前の予備実験段階におきましてある程度の、二回目ですか制御装置まで成功いたしまして、最終段階に三回目をやろうとして失敗したのでございますが、しかしその間において学問的な研究成果は相当あげておるわけでございまして、実験としてこれを完全な失敗といわれるかどうか。私どもはやはり実験実験としてある程度の成果はあげたと思っておるのでございまして、どうかそういういろんな問題に気をくじくことなく、糸川先生がおやめになりましても、あとにどんどん後続する若い研究者もおられるようでございますから、ひとつ大いに今後の研究に、俗に申しますと気をめげずにやってほしいという意味合いのことを私申し上げました。東大総長も了とされますし、研究その他のあり方等については、新聞記事にもありますように、研究所なり大学において自主的にいろいろな問題については考慮いたしましょうということで別れたわけでございます。
  40. 三木喜夫

    三木(喜)委員 お急ぎですからもう一点だけ確かめておいて、あと岡野審議官ないしは高木本部長がおられますから、お聞きしたいと思います。  いまのお話では、経理上の問題があった。これについては会計責任糸川氏等にはない、会計のほうに責任があるのだ、それでこういうビッグサイエンスなんかについての予算あるいは経理あるいはその執行については人員をふやさなければならぬ、これは文部省として考えましょう、こういうように承ったのです。  それから第二の、ラムダ4S一号機から二号機、三号機の失敗は、失敗でなくて、学術的に非常に効果があった、こういうように言われたのですが、いま言われた中にはそれが一つと、それからもう一つは、ミューロケット人工衛星ですか、これの打ち上げの予備実験としてのラムダ4Sロケットの打ち上げだ、こういうようにいまお聞きをしたわけです。  そこで後段のラムダ4Sロケットの失敗か成功かという問題ですが、大臣の認識は七五%成功率があったと、こう言われておりますけれども、先般の予算委員会では民社党の永末委員が、一四%しか確率はなかったのだ。それで実際選挙に出るか。選挙の場合、五〇%の確率があるならば選挙に出るけれども、そういうときに選挙に出ますかというおもしろい質問をされておりましたけれども、いま大臣に聞きますと、七五%の確率であったと言う。この確率のほども、どこからそう言っていらっしゃるのか私は聞きたいと思うのです。  それから成功か不成功かということは、いや、準備段階だということになりますと、四段ロケットには私は計器を積むべきではないと思う。それを全部計器を積んで飛ばしておるわけです。だから、このままいけば人工衛星になる、こういう見通しを持ってやっておられたことは歴然としておるわけですけれども、まあそれはそれとしていいです、あとで質問しますから。ただ、準備段階ならそういうようなことをせずに、四段目はコンクリートを詰めるとかなんとかしてやる方法もあると思う。成功だったと言われておりますけれども、四段目のロケットはどこへ飛んでいってしまったかわからない、そういう状況では成功だったとは私は言えないと思うのです。  それから詳しい話はあとでしたいと思いますけれども、制御装置をやられたといいながら、三段ロケットを水平に保つところではやはり一回転して動いておった。静止しておったということを言っておられますけれども、やはりとまっていたのではなくて動いておった、こういうような事実も指摘されておるようであります。そうしますと成功ではないと私は思うのです。そういう事実をつかまえて成功と言われておるのか、その辺大臣の認識を非常に疑うわけなんですが一どうですか。
  41. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 この三回目の打ち上げが三段目に点火しませんで、これが失敗に終わったことは私認めておるわけでございまして、ただ三段目といえども実験計画の一連としてやったことでございまして、この実験計画全体としてはもちろん最終段階の一こういう専門的なことは先生がいらっしゃいますからなんですが、人工衛星科学衛星となることには成功いたしませんでしたけれども、しかし二回目におきましてすでに制御までいきまして、その次に点火しなかったということで、三回目の場合は当然にその制御装置の先までいけると、実はこう期待感を持ってやられたと思いますが、すでに成功しておりました三段目に点火しなかったというのについては、その失敗の原因についてはいま御調査中であるということを承っております。でございますが、私どもは、やはりソ連の場合でもアメリカの場合でも、発表にはならなかったかと思いますけれども、幾たびか実験段階においては失敗を繰り返して、しかし一歩一歩ある程度の実験の積み重ねで、いわゆる失敗によるいろいろな実験の積み重ねによって、最終段階のものが出てくるのございまして、実験そのものが目的でございますので、この打ち上げの人工衛星については成功しなかったということは言えると思いますが、実験そのものとしては、いろいろな面につきまして学問的なデータをそれによって獲得することができたのじゃなかろうか、そういう意味において、私どもは実験実験としてある程度の成果をあげておられたのじゃなかろうかと申し上げたわけでございます。間違いがございますればひとつ高木先生のほうから……。
  42. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いや、けっこうです。大臣だけ先に聞きますから。  そこで私、これは文部省からきょうもらったのですが、ラムダ4S一号機実験経過概要、こういうのが文部省に報告されておるのです。一号機、二号機、三号機、大臣のところの報告はこの程度ですか。
  43. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 さようでございます。
  44. 三木喜夫

    三木(喜)委員 こういう報告だけで所管庁の大臣がこうした国費を使って——一号機、二号機、三号機といっても一億数千万円の金を一機に使うのですから、相当な国費ですね。所管大臣がこれだけで見られて成功だった、失敗だった、こういわれると、これはもう間違いもはなはだしいものになってくる。概観だけでは、くつの上からかゆいところをなでるようなかっこうになると思うのです。アメリカのごときはあれだけの失敗をやって、議会に対して三千ページに及ぶところの報告書を出しておるわけです。したがって、この際こういう問題について、一応失敗が成功のもとだといまおっしゃいましたが、成功のもとにするためには、国会も、あるいは政府も、あるいは東大も、あるいは産業界も、あげてこれを検討できるような報告書を、私は少なくとも東大から出す必要があると思うのです。そうでなかったら失敗を成功にするという根拠は何もない。私たちやはりそういうことは知りたいと思う。その点どうお考えになりますか。私は、かいつまんで申し上げますと、こういう失敗に対してはこの際深甚に反省しなければならないし、検討しなければならない段階にきておるので、どうしてもこういう報告書を国会あるいは政府に提出してもらいたい、こういうことなんです。
  45. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私ども、各大学研究所その他の研究に対しまして、文部大臣が内容的なくわしい報告書を要求いたしておりません。ただし、その各研究所なり研究成果につきましては、各学会に相当詳しい報告書を出しまして、これは公開をいたして出しておるわけでございます。でございますから、文部大臣に対しまする経過の報告というのは、ごく簡単な報告は一応なされますが、しかし宇宙航空研究所といたしましては、いま申されましたようないわゆる実験の結果の詳しい報告書は、学会にも十分発表されておりますし、これがまた公開でございますし、もし必要がございますれば、私ども国会にも提出を申し上げて少しも差しつかえない問題でございます。ただ私ども研究の内容面まで詳しいデータを要求いたしましてもなかなか——だから大体のことを報告を受けますし、詳しい状況は、こういう問題が起こりますと、大学と私のほうと連絡をとりまして、詳しいデータは常に承っておるわけでございます。報告書としてはごく簡単でございますが、内容的には決してそういった簡単なもので取り済ましているという意味ではございません。
  46. 三木喜夫

    三木(喜)委員 専門誌にそういう発表をしておるということですけれども、これは大臣、言いのがれだと思います。どういう専門誌に発表されたかという、その実物をひとつ見せていただきたいし、いままでそういうものが——これは概観だけですよ。概観だけであって、そのほんとうのどこが原因だったかという追及のできるようなものは何も出てないのです。出ておるなら出してください。
  47. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 三回目の報告書は、私の承っておるところでは、いまずっと精密に調査を進めておるところでございまして、これから報告書の作成をやられるところだと思います。三回目のものは、まだできていないと聞いております。
  48. 三木喜夫

    三木(喜)委員 一回も二回も同じことだと思います。それを他の専門家が見て、なるほどここが原因であるというのが的確に押えられるようなものではないんです。全部秘密主義になっておるわけなんです。この点を明らかにしなかったら、ロケット開発あるいは研究、打ち上げということをいっても国民のものにならないわけです。ただ、から景気をあおって、そして国民を惑わしたにすぎないと思います。こういうことでは困ると思いますので、そういう報告書、第三者の専門家が見て、なるほどここに失敗の原因があるのだというものが押えられるような報告書でなければ私はいかぬと思う。いままでそうなっていません。これは私は専門家からも聞きました。
  49. 高木昇

    高木説明員 宇宙研の研究報告は随時出しておりますが、これは非常におくれていることは事実でございます。特にラムダの一、二、三につきましては、ごく最近に、とりあえずいろいろなデータの解析が済んだものだけでも、いまガリ版刷りで出して、所内に配付する、それから活版印刷のものは少しおくれて出す、こういうところを取りきめてございます。それから、外部にそれがわかるようなデータというのは、確かに印刷、公表しておりませんが、私たち研究者仲間、それから所内の連中には口頭並びに図面等で、この三号の場合も所内で相当時間をかけて検討会をやっております。こんなような事情でございます。
  50. 三木喜夫

    三木(喜)委員 お互いの中でやるのはけっこうですけれども、いま私が概観して申し上げたのは、国会に対して、少なくともこれだけの国費を使い、ビッグサイエンスに取り組まれたのですから、そして国会も非常に問題にしておるのですから、報告書を出していただけるかどうか。くつの上からかゆいところをなでておるような問題の提起ではなくて、第三者が見ても、なるほどこれで失敗したんだなということがわかるようなものを出してくれるかどうかということを大臣に聞いておるわけです。
  51. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 作成につきまして、ある程度の時間をお許し願えれば、お出しいただけるようになると思います。
  52. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もう一点大臣にお聞きしておきたいと思うのですが、すでに質問の内容を出しておりますように、経理問題についてこれでよかったかどうか。この間華山さんが決算委員会で質問をなさっております。これはいわゆる随意契約かどうかこうかという問題ですけれども、私がこう考えます点は、先がた大臣も言われましたように、経理が張っておる。これだけ大きな予算をもってやる場合には、大学の人員でやってはちょっと困難だと思うのです。会計に責任があるのではなくして、教授それ自体がその発注に当たっておられる、その予算を握っておられる部面があるわけなんです。こういうことをして、研究開発とそれから打ち上げ等の業務を一緒くたにやるということに、私は不明朗な面があると思うので、こういう経理のやり方でよいかどうか、この際反省を加えなければいかぬのじゃないか。それが一つと、先がた申しましたのですが、開発一元化の問題についての考えを聞かしておいていただきたい。
  53. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 確かに会計検査院から注意を受けたわけでございますが、これは、ロケットの製作につきまして当然にいろいろな経理上のむずかしい問題があることは事実でございます。この点につきましては、会計検査院ともよく御相談をいたしまして、今後の契約なり注文のしかたの取り運び、これらにつきまして十分改善をしてまいるということで、今後はああいったような注意を受けることのないようにいたしてまいる仕組みで続けておるわけであります。  それから一元化の問題でございますが、これは御承知のように、東大宇宙航空研究所と、それから科学技術庁の応用衛星と申しますか、これとの間につきましては、宇宙開発審議会におきまして審議をいたしまして、両者の間に重複なく、しかも協力して開発するという線が一応きめられておるわけです。しかし実用衛星になりますと、科学技術庁でやるだけでなしに、あるいは郵政省、あるいは気象庁とかいろいろなところでこれの打ち上げをやる計画があるようでございますので、これらの問題につきましては、ひとつ何とか一元化をしていこうじゃないかというお話がございまして、私もそれには全面的に賛意を表しまして、できるだけ協力してまいりたいと思っております。  ただ、内之浦の問題は、これはロケットの発射用につくって、いわゆる学術研究基礎研究を主としてやってまいっておるのでございまして、東大宇宙航空研究所としましては、この学問の基礎的研究とあわせまして、将来宇宙開発一元化されました場合におきましても、その要員の養成と申しますか、これはどうしても大学が引き受けなければならない面がございますので、そういう実験段階におきまする施設内之浦で、東大のほうでなお使っていく必要があるだろう。  いま一元化されようといたしますのは、いま予定されております種子島でいいか悪いかわかりませんが、相当大きな施設をもって各省がやろうとすることを一元的に行なっていくような一つ施設をやり、また研究体制をやっていく必要があるんじゃなかろうか。これは各省協力をいたしまして、今後いかにしてやるかという具体的な問題につきましては、今後話し合いを続けてまいりたい。ただ方向としては、あくまでこういう問題はばらばらにやらないで一元的にやるべきじゃないか。その方法をひとつ十分考えようという状態で今日あるわけでございます。
  54. 矢野絢也

    矢野委員長 内海清君。
  55. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣非常にお急ぎのようですから、簡単に……。  先ほどいろいろ科学技術庁開発一元化の問題で質問もいたしましたし、討論いたしたわけでありますが、その際に私は、科学技術庁の中に今度計画室ができました場合に、東大宇宙航空研究所、こういうふうなものとこれを統合といいますか、何かそこに一元化のあるいは検討をされなかったのかということを申し上げたのですが、それは別にいたしまして、今度の東大宇宙開発ロケット衛星等の問題が非常に論議されたわけです。これにつきまして私が聞いておりますところでは、こういうふうな、いわゆるいまのことばで申しますならばビッグサイエンスでありますが、こういうまことに膨大な計画といいますか、こういうふうなものが一つ大学だけで計画されておるようなのは世界でも例がないというようなことを聞いておりますが、大臣この点についてはどうお考えになっておりますか。
  56. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 これは、東大の場合は東大宇宙航空研究所でございますが、全国立大学の共同利用という形で東大にありますけれども、全部の大学のいわゆる共同利用といたしまして、各大学一つずつこれを持つわけにいかぬものですから、これは相当大きい組織でございますけれども、しかし私は、だんだん最近になりまして研究の態様が大きく、ビッグサイエンスの時代に移ってまいっておるのでございまして、大学であればビッグサイエンスをやってはいけない、こういうことはない、やはり大学でもやらなければならぬ問題があると思いますし、たとえば巨大加速器の問題なんか、これはどうするかわかりません。あるいは大学以外の特別の組織をつくるかもわかりませんけれども、そういう場合でありましても、いかなる場合でも、各大学が共同利用的に参加するという形をどうしてもとらなければならぬと思っております。
  57. 内海清

    ○内海(清)委員 もちろんこれは大学でそういうふうな研究が十分進められていけば問題ないわけです。ただ、それだけの体制ができておってやるのならいいわけですが、私が聞いております範囲では、なかなか世界にもこういうふうなものを一大学でやっておる例はないというふうなことを聞いております。もしこれをやらすとすれば、それに相応した体制が必要なんじゃないかということであります。もちろん、頭脳の面においてはあるいは申し分ないかもしれませんけれども、頭脳だけでこれはなかなかいかない。すべての体制がそれに伴って初めて完全なものができていくわけであります。その点について申し上げておるわけであります。そういう点については、いまの体制で遺憾ないということでございますか。
  58. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 終戦後わが国においてほとんど顧みられなかったような時代におきまして、東大でペンシル型からカッパー型と、非常にわずかな予算で宇宙研究開発を続けてまいりました。今日だんだん進展いたしまして、ラムダを打ち上げ、ミュー型というところまで実はまいったわけでございます。でございますから、この研究過程から申しますと、今日までずっとだんだん科学衛星を打ち上げるというところまで大体やってきたわけでございますが、しかしやはり大学においてやりますのは、御承知のとおり一定の限界は確かにあると思います。そこで、衛星の打ち上げにつきましても、ミュー型の科学衛星を打ち上げることをもって最終段階目標といたしまして、東大におきましては一・四メートルでございますか、それ以上の大きい衛星の打ち上げとかロケットの打ち上げはいたさない。そこに一つの限界を置きましてやっておるわけでございまして、それ以上のビッグサイエンスになってまいりますと、これはやはりいま申しました一元的に統合されたところで大きな研究が続けられていくべきものだと思います。一応大学としてはそういう段階におきまして、一つの限界があると私どもも思っております。
  59. 内海清

    ○内海(清)委員 いまの大臣お話によりますと、限界があるということ、それはもちろん基礎的な研究ということになりましょうから当然でありますが、いま大臣東大のところでミューまでやるというお話でございましたが、そこまでは計画されておるわけですか。
  60. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 さようでございます。ミュー型まではぜひひとつやりたいと思います。
  61. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっと関連。それなら、私は先がたから一本化の問題で反省すべきときがきた、こういうことを言うておるわけなんですが、なぜこういう経理上の問題が起こったかということをお考えになっていただきたい。これはもう手に合わぬですよ。これからミューということになれば一基五億円かかる。三発やりそこのうたら十五億円です。これを東大にやらすというのは私はどうかと思うのですね。いまラムダ4S型、これならもうここまできたんですから、その段階において完成せなければならぬ、こう言うておるわけです。ミューまでやるということになると、おのずから考え方が変わってこざるを得ぬわけです。きょう午後そういう問題について主として検討してきた。結局研究開発でしょう。それから打ち上げ業務でしょう。打ち上げ業務まで大学にやらしていいか、ここに問題が起こってきたのです。だから体制問題が出てきておるのです。大臣そこまで言われるならたいへんだと思うのですがね。
  62. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私が承っておりますのは、ミュー型の打ち上げまでは、これは宇宙開発審議会ではっきりと東大においてやるという、その区分が示されておるのでございます。ただ私は、どうもそういうことを言われますと、私はやはり文教関係におりまして一つの抵抗を感じるのでございますが、大学であればなぜ大きいことをやったらいけないのでございましょうか。これは打ち上げつつ一つ実験なり学問の研究をやってまいるのでございます。それでいま私どもが聞いておりますところでは、アメリカもまた宇宙計画をやっておりますけれども、アメリカ宇宙計画は、一年間の予算でアメリカがつぎ込んでいる金は二兆五千億だと称しております。これは日本の五兆円予算の約半額というものをこの宇宙計画につぎ込んで計画をいたしておるのでございます。それが日本はいままでに全部入れましてわずか百二億ですか、とにかくそれを学問研究のために、これは人類の科学の開発のために非常に必要なことじゃないかと私どもは思っているのです。それにある程度の研究費を注いでいただくということは、これは科学研究ということを重要視するなら当然に考えていただくべきことじゃなかろうか。そういうことをやっていって、そして宇宙開発において一元化されまして、実用衛星を打ち上げる。そういったときに、外国の学者やら知能を輸入しないで、日本人自体でその打ち上げのところにいわゆる研究者をどんどんつぎ込んでいく、こういかなければほんとうの意味の日本の科学研究というものはやっていけないのじゃなかろうか。そういう意味におきまして、ミュー型までは打ち上げるということを一応きめられておりますし、研究所でもそれを最終目標にして一生懸命研究いたしておるわけでございますから、一発五億くらいかかると思いますけれども、その点はひとつ何とか御支援を願いたいと切にお願いをいたす次第であります。
  63. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は、大学の学問の自由を侵すとか、あるいはまた、大学の自治を侵すというような、そういう立場では申し上げておりません。研究開発のある段階まではやってもいいと思うのですが、われわれ科学技術振興対策特別委員会の小委員会では、少なくとも特殊法人をそこにつくって、打ち上げ業務とか経理なんかについてはそれにやらすべきじゃないかという反省をいま持っておりますし、そういうような小委員長の報告をやっておるわけです。研究のバトンタッチは、なるほど一・四メートルの直径ミューまでは東大研究をやっていく。これはもういままでから言われていることですから、それはいいと思うのです。しかし経理から打ち上げ業務から全部やるというところに、糸川さんの今度やめられた原因もあるのでしょう。そういうところに問題が起こったのでしょう。それからミューまではやると強気で言っておられますけれども、そういう体制のもとに、誘導装置、これがいまなくして、そして三回失敗しておるのですよ。アメリカは二回で打ち上げてしまった。フランスは一回で打ち上げてしまっておる。そういう状況が出ておるわけなんですね。外国の例を見ましても、そういう失敗はあまり繰り返しておらぬように思うのです。そうした中で三回失敗して、これは私は神経質にごしゃごしゃ言うのじゃないのですよ。それは研究ですから、国費をつぎ込んで、価値ある研究なら幾らやってもいいので、神経質に言っておるのではなくて、東大をしてそういう失敗をさせた経理の問題と、そして三号まで失敗してしまって、いまだにそれについてはっきりと国会にもそれを示さなくて、秘密主義でおられる。こういうことでミューまで上がりますかということです。七五%と言っておりますけれども、永末君との質疑応答では、ラムダ4S型は一四%の確率だということを永末君は言っておりました。こんな確率のものをぼかすかぼかすか打ち上げられてはたまったものじゃない。もっと確信と自信を持って打ち上げてもらいたい。それなら私はいいと思うのですよ。それでも東大にはあまり過重な負担をかけ過ぎておるからこんな問題が起こってくるのです。そんなことを何も大臣から聞かなくても、私も文教方面の委員会におりますから、自治と研究の自由ということは、やはりこれは大事にしなければならぬと思うのです。そういう意味合いで言っておるわけですよ。
  64. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私も学問的なことは専門的にはわかりませんが、ただ、いま私が七五%と申しましたのは、第二回目が五〇、それから三回目が七五%ぐらいな確率を予想しているということをちょっと承ったのでございまして、研究された方々としましてはやはり最終段階まで成功を確信されて行なったのではないかと思います。ただ、私どもは確率としてはそうだということをちょっと承ったということを申し上げただけでございます。  それから打ち上げ業務だけを別にしてということにつきましては、私どもしろうとでございますけれども、ミュー型をつくり、それから打ち上げをやり、この打ち上げについては単に場所を貸すだけではございません。燃料をどうするか、いろいろな問題までも研究していかなければならぬと思いますし、打ち上げだけを分離して別のところにやらせるというようなことが可能であるかどうか、ちょっとその点は私にはわからないのでございますが、しかしやはり打ち上げまでもあわせてずっとやるところに研究過程の一貫性があるのじゃなかろうか。私どもはそう考えまして、できたらこのミュー型まではひとつ内之浦で打ち上げまでやらしていただくようにお願いをしたいと思っております。
  65. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういうことを無制限に、無原則にいけば、とにかく原子力商船でも研究していけば東大でつくったらいいという論理が出てくるわけです。それは事業団にやらしておるでしょう。それでこの各専門的な分野についての研究東大もわずらわさなければならぬでしょうし、さらにメーカーの中の専門家もおりますから、こういう方をわずらわしていく、こういうことになっていくのではないかと思う。そういう論理が飛躍してくるように私は思いますし、それから先がた言われておりますように、七五%の確率だということを相手から聞いたから、あるいは専門家から聞いたからということで七五%ということを言われるのなら、これはちょっと私はおかしいと思うのです。三回も失敗しておるんですからね。この次ミューにかかるのにそういう自信があるかどうかということですよ。誘導装置がないのですから。これはあとでお聞きいたします。学問の自由とそれから自治は侵す気持ちは毛頭ございませんということだけは言っておきたいと思います。
  66. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 原子力船を東大でつくるとか言われますけれども、原力子研究所とか原子力の応用、平和利用とかいう問題につきましてはもちろん別のところでやりましても、大学におきましてはやはり原子力の基礎研究だけはずっとやっていかなければならぬと同じことでございます。  それからロケットの場合も、人工衛星というか、実用衛星ならば、打ち上げた衛星がほかの実用的な作業をすることが目的だろうと思いますけれども、ロケットの場合は打ち上げそのものに一つの科学研究の用途を持っておりまして、たとえばミュー型を打ち上げてこれを科学衛星にするというだけではなしに、あくまで縦の研究としましては、高さにおいて何千キロメートルとかいうことをねらって、その高層の物理現象を研究するといヶので、人工衛星を打ち上げるというのがその唯一の目的ではございませんので、その意味においてのロケットの打ち上げというのは、ある程度学問研究の対象としてやらせていただきたいと思っておるのでございます。
  67. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいまの問題につきましては、大臣の時間が来ておるようでございますので、いずれにいたしましても、大学におきましては学問の自由なり研究の自由ということはあくまでも守られなければなりませんが、しかしそれは先ほど大臣も言われましたように、おのずから限界があるということであります。同時に、それに対しましてはすべての体制が整うことをやらなければ相ならぬ、決して成功するものではないということであります。これは私は先ほど一元化の問題で申したのでありますけれども、こういう開発体制を進めるにあたりましては、どうしても行政責任とこれの裏づけの財政の措置がなければ進んでいかない、悪循環を繰り返すだけということなんであります。そういう点から申しまして、いま大臣ミューの打ち上げにつきましても、一基五億円程度だけれども何とかしたいということでありますが、そういう体制がはっきりできてこなければこれはどうも相ならぬと思います。そういう点からして、今後この点についてはひとつ十分お考えいただきたいと思うわけであります。  それに関連しまして、最近日本の物理学会で米軍からの援助資金が問題になっております。これらにつきましても、やはり学会の姿勢の問題だけじゃないと私は思う。いま申しましたような行政責任というものと、それの裏づけである財政措置ができておって初めてこういうものがはっきりチェックできるのであって、これに対しましても政府の責任は私はないとはいえないと思います。そういう米軍の援助資金を受けているというふうな問題、この点についてはどうお考えですか。
  68. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 これは御承知のように、半導体の国際会議に際しまして、その開催費の一部にアメリカの陸軍極東研究開発局ですか、から援助資金が出ておったことは事実でございますが、学会の開催につきまして文部省のほうでタッチをいたしますのは、その経費について、寄付金の免税措置について文部省がお世話をいたしておりますけれども、その他は全部主催者側が自主的にこれを運んでまいっておるのでございます。やはりその援助を受けましたときに、アメリカから参ります学者の往復の飛行機代と日本に滞在いたします滞在費等をアメリカの援助した金でやるので、これでは学問の国際会議の自主性をそこなうものではないという判断で、その学会の主催者のほうの委員会で決定をしてお受け取りになったようでございます。まあこの点は、学会を開催しますについては、私どもはあくまで学会の自主性を重んじまして、内容面についてはいままで行政的にやっておらないのでございますが、こういうような問題につきましては、やはり将来いろいろな批判を受ける問題でございますので、学会につきましても、ひとつ自主的にこの問題については将来気をつけていただきたいと申してまいりたいと思います。  ただ、しかし、こういうことがありましたからというので、それでは大学研究やら学会の開催の方法について、一々行政的にこれに関与するかどうかという問題になりますと、私どもはやはりいままでの状態で、学者の自主性にできるだけまかしていくべきじゃなかろうかと現段階でもまだ考えております。
  69. 内海清

    ○内海(清)委員 もちろん、それは学会でやられることで、学会の責任においてやられることは必要でしょう。しかし、わが国で国際的な学会を開くという場合に、たとえば今度の問題でいえば、アメリカから学者が来る、その旅費なり宿泊費を学会で持たなければならぬということでありますが、こういうことはあらかじめわかっておるわけで、そういう学者を呼ばなければ学会を開く成果があがらぬということになるならば、当然これは、国としてもそういう学会を開くことが必要であると認めておるならば考えるべきである。同時に、政府のそういうものに対する十分な財政的な援助措置というものがあれば、そういう必要はなかったわけであります。だから学会が苦しまぎれに、何も好んで米軍の援助資金をもらったわけじゃないと思う。やむなくもらったと思うのです。それがいま非常な批判を受けているわけで、今後わが国で国際的な学会などを開かれる場合に、こういうことが障害になっては私はたいへんだと思う。そういう点につきましては政府として十分考えるべきではないか、責任を感ずるべきではないかと私は思います。
  70. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 国際の学会を開催します場合においては、大体二とおりあると思います。一つは、学術会議がこれは国際会議として開催すべきものだという判断をいたしましたものにつきましては、学術会議が主催いたしまして、これは当然に国費を計上いたしまして学術会議で行なわれております。これは年に大体二種類ないし三種類の学会が行なわれておりますし、大きな学会になりますと、閣議了解も得てやっておる場合が多うございます。その他の学会につきましては、学術会議に話をいたしまして、学術会議のほうで後援という形をとりまして行なうのでございまして、これは通常二十くらいの学会の国際会議日本で行なわれておるようでございます。いままで主催者が全部責任をもってやるということで、学会につきましては、ただ文部省のやる仕事は、先ほども申し上げましたが、一般から寄付を募集する合場におきまして、大蔵省の免税措置をあっせんいたすのがおもでございまして、その学会の開催費について文部省で補助をいたして——学術会議文部省の所管のところでないものですから、学会に対して直接的に補助をするというような方法は、現段階では、文部省ではございません。ただ、しかし、政府として考えました場合には、今度のような場合が起こりますと、やはり学術会議とも十分相談をいたしまして、相当大きい学会であって日本で開催する必要があります場合におきましては、いま言ったような問題が起こらないように、私も政府である程度学会開催について差しつかえないくらいな国費をこれに援助するような形を将来とるべきじゃなかろうか、そういうふうに思っております。
  71. 内海清

    ○内海(清)委員 従来そういうふうに扱われておったかもしれませんけれども、これを機会に政府もその点は十分反省いただいて、今後やはりそういうふうな国際的な学会の開催などに支障のないように、世間からいろんな疑惑を持たれないように政府としても今後十分考慮さるべきだ、こう思います。  これで終わります。大臣はけっこうです。
  72. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いよいよ本論に入りたいと思うのですが、しかし時間が過ぎましたので、私は高木さんと岡野さんに申し上げておきたいと思うのですが、一つはこのラムダ4S型の失敗の原因がいままでどういうことをやってなかったから起こったかというそういう点についてお聞きしたかったのです。  それから経理上の問題についてこのビッグサイエンスを取り扱う場合の経理としては荷が勝っておるということを先がたからずっと申し上げておるのですが、どういう点が勝っておるかということを事実をもってひとつお聞きしたいと思うのです。こういう点は、この次文部大臣おいでになりましたときに、文部大臣責任においてもお聞きしたいと思います。  それから一本化について岡野さんも高木さんもどうもあやしいことを言っておられる。文部省の範囲内ではやはり科学研究の範疇を守らなければならぬということは、私はわかります。しかし、だからといって、こうした体制の一本化に対していろいろ論議されているときに、あまりになわ張り根性に終始されるのはどうかと思う点がありますので、この点についてもお聞きしたいと思います。委員長、きょうはこれくらいにいたしまして、この次この問題について文部大臣あるいは科学技術庁長官おいでをいただいて納得のいくまで聞きたいと思いますので、きょうはこれで終わらせていただきます。
  73. 矢野絢也

    矢野委員長 次会は来たる五月十七日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会