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1967-03-23 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十三日(木曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 矢野 絢也君    理事 齋藤 憲三君 理事 中曽根康弘君    理事 渡辺美智雄君 理事 石野 久男君    理事 三木 喜夫君 理事 内海  清君       秋田 大助君    池田 清志君       岡本  茂君    桂木 鉄夫君       佐々木義武君    世耕 政隆君       藤尾 正行君    村上信二郎君       加藤 勘十君    山内  広君       佐々木良作君  出席国務大臣         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  藤井孝四郎君         科学技術庁計画         局長      梅澤 邦臣君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         科学技術庁振興         局長      谷敷  寛君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         科学技術庁資源         局長      佐々木 即君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の  基本施策)      ————◇—————
  2. 矢野絢也

    矢野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、二階堂国務大臣より、科学技術行政に関する所信を承ることといたします。二階堂国務大臣
  3. 二階堂進

    二階堂国務大臣 第五十五国会におきまして、科学技術庁長官としての所信を述べさせていただきます。  科学技術振興は、わが国発展の基礎をなすものであります。  今後のわが国経済社会発展は、一にかかって科学技術振興にあるといっても過言ではなく、国家百年の大計を確立する大前提であるといわなければなりません。  とりわけ、資本取引自由化を目前に控え、本格的開放経済体制に向かわんとする今日、わが国が今後とも経済発展、民生の向上をはかるとともに、国際的な地位を確立し、世界経済に貢献していくためには、何といってもわが国技術的後進性を払拭し、わが国独自の自主的技術開発、確立することがぜひとも必要であります。  また、最近の科学技術は、一方におきまして細分化、専門化し、他方において大型化総合化傾向にあります。  このような状況のもとにありまして、わが国科学技術振興をはかるためには、総合的な観点から、計画的、効率的に推進することが肝要でありまして、所要の体制整備、諸施策等強化拡充等をはかるため、全力を傾注してまいりたいと存じます。  このため、昭和四十二年度におきましては、次のような諸施策を講ずる所存であります。  第一に、科学技術振興基盤強化をはかるため、総合的、長期的な科学技術に関する基本的な計画の策定につとめるとともに、科学技術基本法案につきましても、現在関係各方面との緊密な協力のもとに検討を進めております。また、試験研究機関人づくり推進はもちろんのこと、科学技術振興は、国民一般の深い理解と熱意によってはじめて実るものであることに思いをいたしまして、その普及啓発活動には特に努力を注ぎたいと思います。  第二に、原子力平和利用につきましては、原子力開発利用の現状にかんがみ、従来の長期計画を改定し、今後の情勢に対処するための原子力利用についてのビジョンを明確化するとともに、わが国総合エネルギー対策一環としまして、新型転換炉及び高速増殖炉等動力炉開発推進するため、既存の原子燃料公社を改組し、新事業団を設立しまして、動力炉研究開発を国のプロジェクトとして官民の総力を結集して強力に推進する所存であります。また、原子力第一船の建造につきましては、いよいよ昭和四十二年度からその建造に着手し、今後の造船、海運の発展における世界的趨勢におくれることなく、これに関連する国産技術の確立をはかっていく所存であります。このほか、原子力平和利用総合的推進策といたしまして、使用済み燃料の再処理放射線利用安全対策強化等を行ないたいと考えております。  第三に、宇宙開発は、いまや一国の科学技術水準の指標ともいえるものでありますので、わが国におきましても、宇宙開発審議会の建議の線に沿って、昭和四十五年度に実用衛星を打ち上げることを目標として、人工衛星及びロケット開発沖縄等人工衛星追跡施設建設種子島射場整備等をはかりたいと考えております。  また、宇宙開発一元化につきましては、さしあたり本年度東京大学の打ち上げる科学衛星追跡は、当庁で一元的に行なうことになりましたが、今後も一元化については前向きに検討を続けてまいる所存であります。  第四に、社会開発一環といたしまして、台風豪雨豪雪等各種自然災害に対処する防災科学技術大気汚染水質汚濁騒音振動等公害を防止する公害防止技術交通事故防止技術等総合研究推進する考えであります。  また、国際化時代に対応した資源総合的利用方策について調査を進めるとともに、食生活の改善及び生鮮食料品流通合理化に資するコールドチェーン調査実験を強力に推進いたす所存であります。  第五に、国産技術開発を強力に推進することの重要性にかんがみ、新技術開発発明実施化等促進するとともに、試験研究費増加に対する税額控除制度新設等税制上の優遇措置強化拡充するなど、民間における科学技術振興をはかってまいる所存であります。また、国におきましても、無機材質研究所をはじめ、その他の研究所等による研究技術開発を今後とも強力に推進していくほか、研究学園都市建設推進すること等により、国立試験研究機関基盤強化を行なうつもりであります。  第六に、科学技術のあらゆる分野で国際協力重要性が増大していることにかんがみ、対OECD活動の一そうの強化、二国間交流拡充等を行なう所存であります。  以上、科学技術振興のための諸施策について申し述べましたが、現在ほど科学技術国民生活のすみずみまで密接に結びつき、その水準向上のため欠くべからざる要素となっている時期がかつてなかったことに思いをいたしまして、わが国科学技術の自主的、飛躍的な振興のために、最大の努力をいたしたいと考えます。  委員各位の一そうの御支援によりまして、この重責を果たしたいと思います。     —————————————
  4. 矢野絢也

    矢野委員長 引き続き、昭和四十二年度科学技術庁関係予算について、小林官房長より説明を聴取いたします。小林官房長
  5. 小林貞雄

    小林(貞)政府委員 昭和四十二年度科学技術庁予算案について御説明申し上げます。  昭和四十二年度政府予算案におきまして、科学技術庁予算は、歳出予算額二百四十三億六千三百万円、国庫債務負担行為額七十三億百万円を計上いたしました。これを前年度の当初予算額に比較いたしますと、歳出予算額三十八億五千四百万円、国庫債務負担行為額三十七億八千五百万円の増額となっており、歳出予算の比率において約一九%増となっております。  次に、予算要求額のうちおもな経費につきまして、その大略を御説明いたします。  第一に、科学技術振興基盤強化につきましては七億七百万円を計上いたしました。  まず、科学技術に関する総合的、長期的な基本計画を策定するために必要な調査費及び科学技術会議運営強化をはかるための経費等を含めて二千万円を計上いたしました。  次に、科学技術研究基盤強化対策一環として、試験研究機関研究公務員資質向上をはかるため、国内及び海外へ留学研究に派遣する経費として一億八千九百万円を計上いたしました。  また、科学技術普及啓発につきましては、地方における科学技術振興活動強化するため、新たに地方科学技術振興費補助金を設けてこれを助成し、一そうの推進をはかることといたしました。このため前年度より九百万円増額し、総額三千七百万円を計上いたしました。  研究学園都市建設に関連いたしましては、電子計算機等共同利用施設について必要な調査を行ならための調査費を計上いたしております。  科学技術情報活動強化につきましては、情報収集量増加をはかるとともに、情報提供迅速化効率化を目的として、情報検索機械化実施する予定であります。このため、日本科学技術情報センターに対しては、政府出資金及び補助金を合わせて四億五千五百万円を計上いたしました。  第二に、原子力平和利用推進につきましては、歳出予算額百四十九億四千八百万円、国庫債務負担行為額五十五億八千三百万円を計上し、施策拡充につとめることとしております。  (一)まず、動力炉開発につきましては、その主体性を確立するために、新たに動力炉・核燃料開発事業団(仮称)を設立し、高速増殖炉及び新型転換炉実用化をはかるための技術的研究実施することにいたしております。このため、十三億七千九百万円を計上いたしました。  (二)次に、日本原子力船開発事業団につきましては、原子力第一船の船種船型等を一部変更し、四十六年度完成を目途としてその建造工事に着手するとともに、陸上付帯施設等工事も開始する予定にいたしております。このため、七億五千二百万円を計上いたしました。  (三)また、日本原子力研究所につきましては、政府出資金九十億三千八百万円を計上し、建造中の材料試験炉臨界実験が年度内に行なわれるよう工事を進捗させるとともに、動力試験炉出力上昇のための改造工事等実施する計画でおります。  (四)原子燃料公社につきましては、使用済み燃料の再処理施設詳細設計プルトニウム燃料開発を前年度に引き続き実施することにいたしておりますが、ききに申し述べました動力炉・核燃料開発事業団が発足するに際しまして、この公社発展的に解散し、その事業を同事業団が引き継ぐことといたしまして、関係法案を御審議願う予定にいたしております。このため、原子燃料公社に対する政府出資金は、六ヵ月分の事業に必要な経費として十五億三千万円を計上いたしました。  (五)放射能安全対策に関する経費は八億一千万円を計上いたしましたが、このらち、放射線医学総合研究所につきましては、同研究所の行なら放射線安全対策及び放射線利用に関する試験研究強化をはかるため、六億九千百万円を計上いたしました。  (六)このほか、原子力平和利用推進につきましては、国立機関及び民間企業実施する原子力関係試験研究がありますが、これに必要な経費は前年度とほぼ同額の九億七百万円を計上いたしました。  第三に、宇宙開発推進につきましては、四十五年度に実用実験衛星を打ち上げるための諸般の準備に必要な経費として、前年度に比べ大幅な予算増額をはかって十七億二百万円を計上いたしました。  (一)まず、宇宙開発推進本部におきましては、人工衛星及びロケット等追跡施設整備、鹿児島県種子島ロケット発射場施設整備並びにロケットの試作及び宇宙開発研究委託等に必要な経費として十一億八千六百万円を計上いたしました。  (二)次に、航空宇宙技術研究所ロケット関係研究につきましては、前年度着工いたしました液体ロケット燃焼試験装置完成をはかるとともに、ロケット空気力学的研究に必要な設備等整備を行ならため五億九百万円を計上いたしました。  第四に、重要総合研究等推進につきましては十一億八千六百万円を計上いたしました。  (一)まず、台風豪雨豪雪等各種自然災害に対処する防災科学技術大気汚染水質汚濁騒音振動等公害防止科学技術交通事故防止技術及び食品保管技術等重要総合研究緊急重要研究等社会開発に資する試験研究推進するため、特別研究促進調整費を五億八千万円計上いたしました。  (二)次に、地震等災害を予防するための大型耐震実験装置国立防災科学技術センターに新設するための経費及び海洋科学技術振興のため潜水調査船建造工事を継続するための経費等として四億二千万円を計上いたしました。  (三)また、四十一年度に計上いたしました生鮮食料品流通合理化に資するためのいわゆるコールドチェーン推進につきましては、四十二年度も引き続きその事例的実験実施することにいたしておりますほか、資源総合的利用方策調査につきましても、その強化推進をはかることにいたしております。このため一億六千百万円を計上いたしました。  第五に、国産技術開発につきましては六億二千万円を計上いたしました。  その内容といたしましては、まず、最近国産技術開発規模大型化傾向にありますので、新技術開発事業団に五億八千八百万円の政府出資を行ない、その開発委託費契約限度額を引き上げるほか、その調査機能拡充強化して、未利用国有特許等の活用を促進することにいたしました。  次に、国が個人または中小企業に交付する発明実施化促進のための補助金は三千二百万円を計上いたしました。  第六に、国際交流促進につきましては、経済協力開発機構OECD活動に対する協力欧州原子力機関(ENEA)の実施する共同事業への参加及び国際原子力機関(IAEA)が本邦において開催を希望している国際原子力専門家会議に対する協力、並びに第四回アジアエレクトロニクス会議わが国が主催する計画など、科学技術国際協力に必要な経費として四千八百万円を計上いたしました。  最後に、所管試験研究機関整備強化につきましては四十四億五千二百万円を計上いたしました。これは、無機材質研究所研究態勢強化をはかるため一億六千七百万円、金属材料技術研究所における材料試験設備整備等に必要な経費十一億四千四百万円、航空宇宙技術研究所研究設備等整備するための経費十八億二千八百万円、及び理化学研究所における研究本館拡充農薬研究棟建設等施設整備並びに特別研究等実施に必要な政府出資金十八億二千二百万円等であります。  以上、簡単でありますが、昭和四十二年度の科学技術庁予算のうち、重要項目についてその大略を御説明いたしましたが、このほか、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条による国の契約限度額を、一般会計予算総則において六十五億円と定めることといたしております。  以上でございます。
  6. 矢野絢也

    矢野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午前十時三十四分散会