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1967-06-20 第55回国会 衆議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 小渕 恵三君 理事 丹羽 兵助君    理事 川崎 寛治君       大村 襄治君    上林山榮吉君       北澤 直吉君    小坂善太郎君       古屋  亨君    細田 吉藏君       山田 久就君    石橋 政嗣君       西風  勲君    穗積 七郎君       横山 利秋君    門司  亮君       渡部 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  出席政府委員         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君  委員員外出席者         大蔵省主計局法         規課長     小田村四郎君         郵政大臣官房郵         政参事官    舘野  繁君     ————————————— 本日の会議に付した案件  宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン  放送に必要な設備譲与に関する法律案(内閣  提出第八二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備譲与に関する法律案参議院送付)を議題とし、審査を進めます。  前会に引き置き質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 総務長官がおいでになる前に、いささか、宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備譲与に関する法律案について、具体的な点をお伺いしたいと思います。  大蔵省はどなたがお見えになりましたか。
  4. 臼井莊一

    臼井委員長 小田法規課長が見えております。
  5. 横山利秋

    横山委員 委員長、ぼくは主計局長出席をお願いしたのですが、主計局長はきょうどうしていますか。
  6. 小田村四郎

    小田説明員 岩尾主計局次長出席予定でございましたが、ただいま参議院大蔵委員会交付税特別会計法改正質疑がございますので、そちらのほうに出席しております。
  7. 横山利秋

    横山委員 次長は一人ばかりじゃなくて、三人おるでしょう。
  8. 小田村四郎

  9. 横山利秋

    横山委員 今回のテレビジョン放送に必要な予算をずっと精査してみますと、四十一年度予算のうち、債務負担行為一般会計の二つに分かれていますね。私はこの立て方に一つの疑問を持ったわけなんです。つまり、四十一年度を例にとりますと、整備費が二億一千五百六十二万です。その中で一億七千六百三十七万は債務負担行為である。三百九十二万円は一般会計予算、そのほかに百六十五が三千円が旅費となっている。一体債務負担行為というものが、その年度予算総則議決をして、その年度歳出をするということはおかしいではないかと思うのですが、どうですか。
  10. 小田村四郎

    小田説明員 債務負担行為の定義につきましては、財政法第十五条に規定されております。しかしてこの四十一年度予算におきまして支出いたされました金額は、歳出予算金額のうちから支出されたわけでございます。国庫債務負担行為は、ただいま先生指摘なさいましたように、総額で四億三千三百万円——失礼しました。四十一年度において歳出される分として予定しました分が一億七千六百万でございます。したがって、実態を申し上げますと、この国庫債務負担行為に基づきまして四億三千三百万円の契約をいたしまして、その契約のうち、一億七千六百円につきましては四十一年度歳出予算に基づいて支出した、こういうことになるわけでございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 そうすると、予算総則では、四十一年度国庫債務負担行為四億三千三百二十六万円を国会議決した、まず第一に、これは事実ですね。そうして、その中で四十一年度の分一億七千六百三十七万を四十一年度に現実に支出した、これも事実ですね。そうすると、その一億七千六百三十七万という数字は四十一年度一般歳出の中に入っておるわけですね。そうですか。その点だけはっきりしてください。
  12. 小田村四郎

    小田説明員 そのとおりでございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 そうですね。そうすると、四十一年度一般会計で一億七千六百三十七万という数字議決しながら、債務負担行為としてまた一億七千六百三十七万を議決しておる。二重の議決をしておる、こういうわけですね。
  14. 小田村四郎

    小田説明員 そのとおりでございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 それはおかしいではないか。その年に支出をするならば、なぜその年の分一億七千六百三十七万を議決する必要があるか。四十一年度は四十二年度分の債務負担行為二億五千六百八十八万を議決すればいいではないか。この点はどうなんです。
  16. 小田村四郎

    小田説明員 先生御承知のとおり、国庫債務負担行為と申しますのは、国が債務負担する権限を国会で御承認をいただく形式でございます。そうして、国庫債務負担行為によりまして御議決をいただました額につきましては、国はその額の範囲内で契約することはできるわけでございますけれども支出することはできないわけでございます。国が現金を支出するにつきましては、すべて歳出予算の額に基づくことを要するわけでございます。したがって、国庫債務負担行為の御承認をいただきましても、別に歳出予算の御議決をいただきませんと国としては支出をすることができません。したがって、そこがダブってくるわけです。そこで、ただいま先生が御指摘になりましたのは、四十一年度歳出予算として御議決いただく分を除外いたしまして、翌年度以降に支出される予定の額についての債務負担行為議決を求めればよいではないか、こういう御指摘かと思います。しかし、この点はまあいろいろ各説がございまして、部内でも検討されたようでございます。しかし、いま私どもがとっております結論といたしましては、契約というものはやはり一体である。そこで、歳出予算に基づく契約と、それから国庫債務負担行為に基づく契約と、別個の契約があるのではなくて、その両者——両者と申しますか、全体を一つ契約として結ぶものでございます。ですから、これは翌年度にわたる債務負担をするということになりますので、そういうものにつきましては一体として債務負担行為の御議決をいただくことが望ましいのではないか、かように考えまして、債務負担自体につきましてはその総額を御議決いただくように予算番に記載したわけでございます。と申しますのは、歳出、つまり支出に立ちます前に、支出原因となりますところの債務負担というものが必要でございます。歳出があって、そのあと債務負担が行なわれるのではなくて、支出の前に時間的に債務負担というものが行なわれます。原因、結果という点から見ましても、債務負担のほうが支出原因となるわけでございますので、まずその原因となります行為につきまして一体として御議決をいただき、さらに支出につきましては、歳出予算に基づいて支出をする、こういうやり方が正しいというふうに現在考えておるわけでございます。
  17. 横山利秋

    横山委員 あなたのおっしゃっておる法律上の基盤は、このテレビの法案については、財政法十五条の一項で論じておられるのですが、二項で論じておられるのですか。
  18. 小田村四郎

    小田説明員 ただいま御指摘いただきました国庫債務負担行為の内容は、財政法第十五条の一項でございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 この一項は、言うまでもありませんが、「法律に基くもの又は歳出予算金額若しくは継続費総額範囲内におけるものの外、」とをなっておる。「国が債務負担する行為をなすには、予め予算を以て、国会議決を経なければならない。」つまり、歳出予算金額のうちであるならば債務負担行為は必要でない。これは常識ですよ。全部この歳出予算のうちもやらなければならぬということだったら、たいへんなことですね。だから、それは二重だから、歳出予算のうちであるならば債務負担行為について議決の必要はない、その外であるならば必要だ、こういっている。しかし、もう一つ条件があって、外ということは、その年度支出しないということが債務掛行為である。その年度支出をするということがわかっておるならば、これは一般会計歳出予算金額の中に明示されるのが当然で、明示をされたならば、これはもう債務負担行為は必要としないということになるわけです。いまの政府提案は、四十一年度予算歳出の中に入っている、金額一億七千六百三十七万を、また債務負担行為議決しておる、一つのことについて二重の議決をしておる。それはおかしいと私は言う。あなたの議論は、いや、そうではあるけれども、四十二年度のこの一億五千六百八十八万、この分について議決をしてもらえばいいようなものであるけれども一つ契約だから、ここで全部を通して議決してもらうのだ、こう言う。その理屈は、財政法で明示しておる「歳出予算金額の外、」こういう明文であるからして、財政法違反をしておると私は言うのです。この分はもうこ一般会計の中に入っておるのだから、これは議決をする必要はない。こちらの分だけ議決をして何が困るか、なぜ困るか。もうこ一般会計予算の中には何のために使うかということは明示されておるではないか。明示されておるのだから、どうしても通して議決をしなければならないという積極的な理由はない、私の主張はこうなんです。それは財政法に「歳出予算金額の外」と明らかに書いてある。この「外」という解釈を、何か聞くところによれば、きわめてややこしい解釈をなさるそうですけれども、そういう解釈をするということはこれは詭弁であって、すなおに財政法運用しておる人の態度ではない、こう考える。
  20. 小田村四郎

    小田説明員 ただいま先生の御指摘をいただきましたような意見は部内でもあったようでございます。そこでいろいろ検討が行なわれたと聞いております。しかしながら、現在のような——またもう一つつけ加えさせていただきますと、そういうお考え方に基づきまして一般会計予算を御審議いただいた事例も前にあったのでございます。これを現在のように訂正いたしましたのは、やはりいろいろ内部で検討した結果でございます。ここで申しております歳出予算というものの性格になるわけでございますが、そもそも歳出予算契約できるのは、原則といたしましてその年度支出を終わるという経費につきまして契約をするのでございます。そこで、翌年度にわたる契約歳出予算金額としてできるかどうか、こういう問題がございます。これは財政法繰越明許費につきまして、四十三条の三によりまして、翌年度にわたる債務負担が特別の場合にできることになっておりますけれども、それ以外の場合には認められないというのが財政法のたてまえではないか。そういうことになりますと、翌年度にわたる一体としての契約をするためには、やはり国庫債務負担行為として御議決をいただいた金額総額でするほうが正しいのではないだろうか、こういう考え方に落ちついたわけでございます。  なお、それでは二重に議決を受けるではないかという点につきましては、国庫債務負担行為で御議決をいただきまして契約をし、そしてその翌年度歳出が立ちます。その立った歳出予算の金頭によってもう一度契約ができるかどうか、こういう問題もあるわけでございますが、この場合ももう一度歳出予算について御議決をいただくわけでございます。そういう点も考えたのでございます。  それから、別々にして困る点があるか、こういう御質問がございましたが、実務上から申しますと、これは非常に技術的な問題でございまして、会計職員の単なる技術上の問題とお考えいただいてけっこうでございますが、その困る点は別に法律上どうこうという問題でなくて、単なる実務的な技術的な問題としてお答えいたしますと、会計職員は、支出いたしますと歳出簿に記帳するわけでございます。それから契約をいたしますと、支出負担行為差引簿というものを備えまして、そこで支出契約をした金額を記入いたします。その場合に、一つ契約について、国庫債務負担行為の分と、それから歳出予算に基づく契約と、一つ契約を三つに分けて記帳しなければいけない、こういう問題もございます。実務上からも、一本の契約である以上は、一本の契約にふさわしい形にするほうが望ましいという点もあったわけでございます。ただこれは、ただいまおしかりをいただきましたように、そういうことがもとでこういう改正をしたのではなくて、先ほど申し上げましたように、支出原因となりますところの債務負担行為というものを一体としてとらえるのが、財政法におきまする歳出予算の位置にふさわしいのではないかという考え方から、現在のようなやり方に統一したわけでございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 そういうことが私はどうしても必要だと思いません。必要であるならば、財政法十五条を改正しなければいかぬ。十五条は、「法律に基くもの又は歳出予算金額若しくは継続費総額範囲内におけるものの外、国が債務負担する行為をなすには、」と明文にされておるわけです。だから、この十五条は、歳出予算金額範囲内におけるもののうちならば、債務負担行為議決をする必要はないと明白に出ておるのですよ。必要のない議決国会にさせたという提案責任がある。それでは事務的に困るというのであるならば、財政法を正確に改正し、四十一年度支出をするが四十二年度にまたがる工事などは、四十一、四十二両年度を通じて債務負担行為として議決を求めることにすればよいのである。そうじゃないですか。事務官僚が十五条を適当に解釈してそうしてまぎらわしきやり方をするということは、逸脱行為であると私は思う。あなたは法規課長であるならば、自分がやったことではないけれども、この辺は問題があるということはあなたもおわかりのとおりである。したがって、これはいまのあなたのお立場からいっても、前年度行ないました措置については適当でないと、ひとつ明白に言ってもらいたい。言ってもらえばぼくは納得する。
  22. 小田村四郎

    小田説明員 ただいま申し上げましたように、わが国の財政法におきましては、いわゆる単年度主義、その年度経費はその年度内支出しなければならないという単年度主義を採用しております。これは憲法上いろいろ問題がございますけれども財政法におきましては、第四十二条におきまして、繰越明許費以外のものは、翌年度において使用することができない、こういう規定があるわけでございます。それと、さらに繰越明許費規定、あるいは、先ほど申し上げました四十三条の三の、翌年度にわたる債務負担規定、こういうものから総合して判断いたしますと、歳出予算というものは、原則としてその年度内支出を終わるものについて契約をし、支出をするというのがたてまえでございます。したがって、この十五条におきます歳出予算金額という規定につきましても、その金額範囲内において債務負担する行為をすることができるのは、その年度内支出を終わることが予定されている金額についてである、かように解釈するのがきわめて順当な解釈ではないかというふうに思うわけでございます。したがって、そのように解釈すれば、ここで「歳出予算金額の外」と書いてございましても、その年度内支出を終わらない契約、つまり年度をまたがりますところの契約につきまして国庫債務負担行為の御議決をいただくことは、財政法趣旨に沿うところでございますし、また、その契約の全貌について十分御審議をいただけるゆえんではないか、かように思うわけでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 しかし、そういう、三月三十一日にすべての仕事が完了するものについてだけという、解釈ほんとうに厳密になさるならば、政府予算の中で、道路をここから向こうまでつくる今年度はここまでだ、来年度はここまでだ、こういう場合に、常に同じ仕事でありながら厳密にここまでだというようなやり方でやっていますか。実際問題としてそんな厳密な解釈はあり得ないじゃありませんか。三月三十一日に完了するものについてだけ歳出予算支出する、そういうふうに実際の予算の運営をやっていますか。やってないでしょう。そうだとしたならば、この問題だけそういうやり方をするということは、私はあくまで申しますが、適当でないですよ。この財政法十五条の「歳出予算金額範囲内におけるものの外」の「外」というのを、あなたのように広義なかってな解釈をするというのは許されない。私の言うように、四十一年度の分は一般会計の中に入っているのだから、債務負担行為をする必要はない、四十二年度の分についてのみ債務負担行為議決を四十一年度に受けておけばよろしいのだと私は強く主張しているんだが、それで事務手続上どうしても困るという積極的な理由はないではないか。国会一つの問題について二重の議決を求めるという妙なやり方財政法十五条を歪曲したようなやり方をするよりも、これは議決を一ぺんするのだから必要はない、四十二年度分だけ議決をすればそれでいいのだと私は主張するんだが、それではどうしても困るという困る理由がどこにあるのですか。
  24. 小田村四郎

    小田説明員 御指摘いただきましたような、たとえば四十一年度歳出予算に含まれる契約を除きまして、四十二年度以降の歳出になる分だけについて国庫債務負担行為金額を決定すべし、こういう御提案でどうしても困るという点があるかどうか、こういう仰せでございますが、どうしても困るかどうかという実務上の問題は、先ほど申し上げましたように、致命的なものではございません。ただ、私が先ほど申し上げました財政法解釈につきまして、それが非常に恣意的な解釈であるという御指摘があったわけでありますが、私どもはそうは思わないわけでございます。三月三十一日までに支出を終わらない経費につきましては、原則として不用に立てるべきであるというのが財政法の現在のたてまえでございまして、その例外といたしまして、たとえば繰越明許費であるとか、あるいは事故繰り越しであるとか、あるいは国庫債務負担行為、あるいは継続費であるとか、そういう例外がございます。ございますけれども原則はあくまでも三月三十一日までに支出を終わるべきであるというのがたてまえでございまして、そのたてまえによって解釈することは、むしろ、財政法解釈の上から申しまして当然ではないだろうかというのが私ども考え方でございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 私も大蔵委員として、財政法がある意味においては、相当厳密な単年度主義であるために、実際運用上あちらこちらにふぐあいのような点があるのは認めますよ。認めるからといって、財政法解釈をなるべく拡大解釈をする、そういう習慣、そういう風潮が大蔵省にあるということは、常に言語道断だと思っている。これは一例ですが、財政法違反だといって国会で野党から攻撃を受ける場合というのが最近非常に多いのですよ。ほんとう財政法がそういう点で問題があるならば、オーソドックスに財政法改正をはかるべきである。それを、何度も申し上げて恐縮ですけれども、だれが読んでも、年度内歳出を許されたものについて債務負担行為はやる必要はないと書いてある。しかも、正確に言うならば、一つのものについて二回議決をさせるということについては、何と言ったっておかしいですよ。そういうようなことを法律改正によらずに、ぼくは率直に言いますけれども、うまく国会の目をかすめて、財政法をなるべく拡大解釈をして、それに理論づけをする、法律解釈専用家というか、職人根性を出して、これまでは何とか言い抜けできるだろう、ここまでは言い抜けできるだろうということで、常識的な線を逸脱するような解釈をいつまでも続けるということはいかぬですよ。あなたは財政法解釈なり運用の当面の責任者であるならば、こういうふぐあいやり方、こういう不適当なやり方をなさらずに、これは堂々と法律改正をして、誤解を受けないようにすべきではないですか。どう思いますか。
  26. 小田村四郎

    小田説明員 現在、国庫債務負担行為について御議決をいただいております予算形式は、決して財政法拡大解釈とか、あるいは国会の目をかすめるというようなつもりは全然ないわけでございます。繰り返し申し上げましたように、現在の財政法のたてまえから申しまして、ただいま政府でとっております解釈が、財政法趣旨に一番沿った解釈であると思うわけでございます。  それから、国会の御議決を二回いただくという点でございますが、この点は、たとえば昭和四十二年度歳出予算についてごらんいただきますと、四十二年度歳出予算につきましても四億九千七百万円の御議決をいただいたわけでございます。この中で、前年度国庫債務負担行為によりまして契約の御議決をいただいた分が二億五千六百万円ございます。それではこの二億五千六百万円の分は二重に御議決をいただいたということでございますが、これは支出額について御議決をいただいておるわけでございます。それでは四十一年度歳出予算のうちで一億七千六百万円、これは二重に御議決をいただいたのかということになりますが、これも支出額について御議決をいただいたわけでございます。その間の性質はいずれも同じことではないかと私は思うわけでございまして、決して国会の御審議につきまして脱法的なことをするというようなことでなく、十分御審議をいただくためにもこのほうが望ましいのではないかと思うわけでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 あなたはわかってものを言っておるような気がするのですがね。私が二重の議決というのは、財政法十五条によって、その年度において支出をする金額については債務負担行為をする必要はないと明白に出ているわけです。四十一年度一億七千六百三十七万円は、歳出予算の中に明記されているでしょう。そうでしょう。明記されているものについては、十五条の一項によって、債務負担行為をする必要はないと明白になっているではないか、それにもかかわらず、もう一度債務負担行為で一億七千六百三十七万は議決を求めておるではないか、それが二重だ、こう言うわけだ。
  28. 小田村四郎

    小田説明員 財政法十五条におきまして、金額のほか、国国議決を経なければならないという規定がございますのは、歳出予算金額範囲内においても債務負担する行為ができるのであるということを意味しておる規定でございます。そこで、四十一年度歳出分について申しますと、それでは、国庫債務負担行為の一億七千六百万円のほかに一億七千六百円の歳出予算が同時にございますから、この分で国庫債務負担行為と別に契約ができるかということになりますと、それはできないと思います。これは四十二年度歳出予算におきまして二億五千六百万円の歳出予算がついておりますが、この分についてもう一度契約ができるかという問題が起こるわけでございますが、この点は、すでに前年国庫債務負担行為の御議決をいただいて債務負担契約をいたしました以上は、これについて再び契約をするということは許されないではないかと思うわけでございます。
  29. 横山利秋

    横山委員 私の申し上げるのは、四十一年度の一億七千六百万円は歳出予算の中に入っているのだから、債務負担行為をする必要はない。残り四十二年度分の二億五千六百万円について四十一年度債務負担行為議決を求めればそれでよろしいのだ、こう言っておる。あなたはそれに対して、いや、そうではあるけれども契約事務手続上一本で債務負担行為にやってもらったほうがいいという、事務手続上のことだけ言っておられる。事務手続が優先して財政法十五条を逸脱するようなことはいかぬと私は言っておる。すなおに考えてみて、十五条の運用というものは、その年に出せると歳出予算にきまったものは債務負担行為議決を求める必要はないと書いてあるのだから、事務官僚の、一本でやってもらうとやりやすいとかいう便宜主義財政法をかってに解釈されてもらっては困ると私は言っておる。私の言うようなやり方でいかぬと言えないでしょう。あとは出先の役人やあるいは予算編成のときの便宜主義だけだ。また第二案として、継続費でなぜいかぬかとも言い得る。堂々と財政法十四条の二の継続費によって二年にわたって議決を求めておけばよろしい。これまたやれることではないか。どう考えても、四十一年度のこのやり方については、あなたもはしなくもおっしゃったように、大蔵省内部でも意見があった。意見があったけれども、このことはそう目につかぬし、拡大解釈すればいいではないか、こういうふうに解釈すればできるではないかというようなことでおやりになってはいかぬというのです。どうです。
  30. 小田村四郎

    小田説明員 たびたび申し上げましたように、こういう解釈を行ないましたのは、便宜主義という観点からではございません。実務上確かにこのほうが有利であるということは申し上げましたけれども、そのために現在のような予算形式になったということではないのでございます。先ほどから申し上げておりますように、歳出予算をもって債務負担ができるのは、年度内支出を終わる経費原則とするというのが、財政法の正しい解釈であろう、そういう解釈からいたしますれば、年度をまたがりますところの契約については、歳出予算のほかに別途国庫債務負担行為をもって御議決をいただくほうが正しいという考え方からきておるのでございまして、単なる実務上の便利からこういう考え方をとったものではございません。
  31. 横山利秋

    横山委員 そんなら、こういう解釈になったのはいつからですか。あなたは経緯を知っておりますか。
  32. 小田村四郎

    小田説明員 昭和三十六年度からと聞いております。
  33. 横山利秋

    横山委員 三十五年度まではこういう解釈はいかぬとされておったのでしょう。三十六年からこういう解釈でもいいということになったのでしょう。大蔵省財政法十五条を、いままでいかぬといっておったものを、今度はそれでやろうかと、そんなにかってに解釈するものですか。
  34. 小田村四郎

    小田説明員 当時のいきさつにつきましては私もつまびらかにしないわけでございますが、必ずしも歳出予算以外に国庫債務負担行為を記載するという一つ解釈で統一されておったわけではないようでございまして、何か両方の形式が併存しておったというように聞いております。この点は私実は正確に確かめておりませんので、もし間違いがあれば、訂正させていただきたいと思います。そこで、これをやはり統一すべきであるということから、現在のような形式に統一されたというように聞いております。
  35. 横山利秋

    横山委員 もう過去の経緯をやっておると時間がなくなりますから——いずれにしても、あなたの答弁をもってしても、三十五年度以前における法解釈と三十六年度以降における法解釈と変わったというわけでしょう。大蔵省でかってに——かってにと言うと、あなたはおこるかもしれぬけれども、事実そうでしょう。三十六年度あたりから変わったということになる。そういうかってな解釈大蔵省内部でやって、事務に便利だからというやり方をしてはいかぬと私はあくまで主張いたします。  先ほど御答弁がなかったのですが、継続費ではなぜいかぬのですか。
  36. 小田村四郎

    小田説明員 この点は、継続費がよいか、国庫債務負担行為がよいかという点につきましては、この経費の性質等に関しますところの実体的な判断が必要かと思いますので、あるいは総理府の御当局から御答弁いただいたほうがいいのではないかと思いますが、形心的に申しますれば、総理府のほうから国庫債務負担行為の御要求があったので、そのように査定したということだろうと思います。  継続費との相違でございますが、継続費の場合は、支出予算の額についての御議決をいただきますが、国庫債務負担行為の場合には、その国雄債務負担行為によりまして御議決をいただいた額について支出するには、別途また歳出予算の御議決をいただかなければならない、こういう相違点がございます。それから継続費の場合には、財政法の十四条の二に継続費の定義がございますが、「工事、製造その他の事業で、その完成に数年度を要するものについて、」ということで、継続費となり得る対象につきまして限定、制約がございます。国庫債務負担行為の場合には、その契約の内容について制限はございません。そういうような点が相違点でございますけれども、この点は……
  37. 横山利秋

    横山委員 いまあなたがお読みになったように、財政法立法の歴史はいろいろあります。私も承知しておりますけれども、すなおに読んで、十四条の二は「国は、工事、製造その他の事業で、」といっておる。このテレビの設備は明らかに工事です。何で継続費にしないのか、何で債務負担行為でかかる便宜主義をやるのか、どうもその点に、大蔵省の人は頭がよ過ぎて、あれやこれやと逃げ道をさがし過ぎるという感じがいたします。どなたか御答弁願えますか。なぜ継続費でいけないか。
  38. 山野幸吉

    ○山野政府委員 継続費で絶対できないような予算ではないと思います。しかし、実はマイクロのときもたしかそうだと思いますが、従来債務負担行為でやってきた関係もございまして、特にこの場合に継続費にという要請はしなかったわけでございます。
  39. 小田村四郎

    小田説明員 ちょっと補足させていただきすすと、憲法に予算の単年度主義原則としてうたわれておりまして、その単年度主義例外として、先ほど申し上げましたように、国庫債務負担行為とか継続費とか、繰越明許費とか、いろいろあるのであります。その中で単年度主義に一番遠いものが実は継続費である、私どもはかように考えておるわけでございます。国庫債務負担行為の場合には、債務負担をいたしましても、それを支出することにつきましては、もう一度国会の御議決をいただかないと支出ができません。そういう意味からいたしますと、財政法原則としては、国庫債務負担行為でできるならば、なるべき国庫債務負担行為でやることが筋ではないだろうかというふうに私どもは思うわけでございます。継続費のほうが非常にやりやすい、あるいは能率があがるというものについて継続費ということが考えられますけれども、本件の場合には、私、実態はあまりよく存じ上げませんが、国庫債務負担行為で十分にその機能を果たせるのではないかと思いますので、その点だけちょっと補足さしていただきます。
  40. 横山利秋

    横山委員 ちょっと聞きますが、継続費は、たとえば三年なら三年分を四十一年度予算議決をしたら、翌年度継続費予算歳出予算の中に入らないとおっしゃるわけですか。
  41. 小田村四郎

    小田説明員 当然料年度歳出予算の中に入りますし、そうして財政法規定されておりますように、「当該継続費につき重ねて審議することを妨げるものではない。」ということが財政法に明記されています。
  42. 横山利秋

    横山委員 ぼくの言い分は、なるほど、債務負担行為をなるべくして、継続費やり方を少なくしたほうがいいという議論はわからぬではない、しかし、債務貧打行為をするについては、財政法を厳密に解釈してもらなければ困る、こういうことなんですよ。だから、もし債務負担行為でぐあいが悪いということであるならば継続費にする。しかも十四条に「工事、製造その他の事業」というふうに制限列挙の方式というようなところにまで財政法に明白になっておる。テレビの施設は明らかに工事じゃないか、しかも合計いたしますと七億近い大工事じゃないか、明らかに十四条の二項に該当する問題ではないか。なぜそれをしない。七億というような工事はしたことがない、一億だ二億だ、だから債務負担行為である、あるいは、いままでやったのだから債務負担行為だという考え方も、きわめて便宜主義に考えられる。この際、かかるやり方については再検討してもらいたい。いかがです。
  43. 小田村四郎

    小田説明員 十五条の解釈といたしましては、私どもは現在の解釈を変更することは考えておりません。この解釈が一番正しいというふうに思うわけでございます。  それから、国庫債務負担行為継続費とどちらにすべきかという点につきましては、もちろん、大蔵省としても検討する必要がございますが、何よりも、その事業の実施に当たりますところの所管官庁におきましてどちらが有利であるかという判断がまず先に立つべきものと考えられますので、各省におきまして継続費のほうが望ましいという判断が出ますれば、大蔵省として予算編成上そのように努力すべきであろう、かように思うわけであります。
  44. 横山利秋

    横山委員 押し問答になりかねないのでありますが、この際私は明白に、四十一年度のこのテレビジョン放送に必要な設備予算支出については不適当である、また、この種の問題については、十四条に明白になっておる継続費運用をすべきだ、こういうふうに強く主張しておきたいと思います。  次に移りますが、この法律案によりますと、「宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備」という法律案の名前でございますが、このテレビジョン放送は、申すまでもなく、全沖繩に対して行なわれるテレビジョン放送、こういう解釈でございましょうね。法律案の名前をざっと読みますと、宮古群島及び八重山群島だけのテレビジョン放送ととりかねないのですが、全沖繩ですね。
  45. 山野幸吉

    ○山野政府委員 お答えいたします。  このただいま御審議いただいております、そしてまた七億一千万円の予算で設けます設備は、そのもの自体は宮古群島及び八重山群島だけのテレビジョン放送設備でございます。
  46. 横山利秋

    横山委員 そうですか。宮古、八重山にだけ受信のできる意味であって、全沖繩にやるものではない。そうしますと、将来このテレビジョンのこれによって沖繩に置かれる特殊法人の会社は、将来計画としてはどういう計画をもっているのですか。
  47. 山野幸吉

    ○山野政府委員 いまのところ、一九六九年の当初からは沖繩放送公社が群島を含めました沖繩全体の放送をするという計画で、いま審議中でございます。
  48. 横山利秋

    横山委員 先般も同僚委員が質問をいたしましたけれども、この両群島における人口、それから受信をするであろう人口、それによって想像される受信料の総額、それによって想像される経営採算ということが問題だと思うのでありますが、それらはどうですか。
  49. 山野幸吉

    ○山野政府委員 御案内のように、宮古、八重山には人口十二万、世帯数にしまして大体二万五千と聞いております。  そこで、先ほど申し上げましたように、六九年から全琉をエリアとする放送を始めたい予定でありますが、この新しい放送公社が順調に出発いたしますれば、できるだけ早い機会に全島の放送をやりたいということを琉球政府では考えておるわけでございます。もちろん、この先島だけで、たとえば受信料を主体にしまして運営することはほとんど不可能でございます。したがいまして、琉球政府としましては、現在のところ、二十万ドルの資本金をもちまして発足する予定でございますが、さしあたって受信料をどうするかという問題につきましては、まだ最終的な琉球政府の意見はきまっておりません。したがいまして、たとえば受信料を相当低くきめるのか、あるいは受信料を当初から先島だけに取るのか取らないのか、そういうことを含めまして目下琉球政府で御検討中でございまして、いまのところ、まだここでお答え申し上げる段階にはなっていないわけでございます。
  50. 横山利秋

    横山委員 日本政府としては設備を琉球政府譲与するという意味はどういうことなんですか。それじゃこれだけあなたのほうに七億のお金をあげるから、適当にやりなさいということなのか。また、容易に想像できるのは、二万五千の世帯で、しかも貧乏な人が多いのだから、なかなかテレビを買うこともできなかろう、テレビを買ったって、受信料が高いのじゃ困るだろうということは容易に想像される。そうだとすれば、一体日本政府は、これをやるについて、将来構想としてはどういうお考えなのですか。一体、沖繩全島に対してテレビ放送が順調に行なわれるように今後もやはりめんどうをみるというのか、それとも、受信料が高ければ、それについてもまた協力をするというのか、これをやるときの相談は一体どういうことになっておるのですか。
  51. 山野幸吉

    ○山野政府委員 御案内のように、日本政府がこの施設を完成いたしますと、琉球政府に譲渡いたします。琉球政府のほうでは、現在立法院で放送法を審議中でございまして、問題点は、沖繩放送公社をつくる場合に、いわゆる民放との関係をどう調整するかという複雑な問題がございまして、沖繩放送公社の全体の構想はでき上がっていないわけでございます。しかし、琉球政府——私この間も沖繩へ参りまして、主席にお会いしましていろいろお話を聞きましたが、たとえどのような形になろうとも、先島のテレビジョンを琉球政府が譲渡を受けて運営するのに支障を来たすようなことはしない、絶対それまでには体制をつくるという明確な御回答があったわけでございます。もちろん、この運営につきましては、私ども、現存のところ、日本政府で運営費の赤字を援助するとか、そういうことは考えておりません。
  52. 横山利秋

    横山委員 先ほどあなたもお聞きのように、予算やり方で非常にぼくは異議を呈したのですが、大体四十一年度予算編成の際から、施設をつくったら譲渡するお気持ちでしたか。
  53. 山野幸吉

    ○山野政府委員 そのとおりでございます。
  54. 横山利秋

    横山委員 そういうことであるならば、国会に少し不親切じゃないですか。四十一年度予算審議するときにそれは明白になっていましたか。予算審議の際に、予算書の中に、これは将来沖繩政府に譲渡する予定であると書いてありましたか。
  55. 山野幸吉

    ○山野政府委員 明確に琉球政府に譲渡するということは書いてございませんが、沖繩援助費の予算の中に計上されておる予算に基づく工事でございますから、そうして私どもとしましては、当初から琉球政府のほうに譲渡するのだというたてまえで予算委員会等で御説明申し上げたことがあるわけでございます。
  56. 横山利秋

    横山委員 自分の腹の中には、将来これをやるという気持ちがあったって、国会議決を求めたゆえんのものは、沖繩援助費として、そっちでつくってもらうという気持ちでやっているのですね。だから、そもそも出発点からこれは東芝と債務負担行為を結んでそうして日本政府が直接に工事にかかったわけですね。そうすると、予算上は、日本の国有財政が沖繩にできるということで国会審議がなされておったというのが普通のことだと思う。ところが、あなたのほうは、日本の国有財政が沖繩にこれから存在をするということは頭の中にはない。できたら沖繩にやるのだということを腹の中に置いて予算審議を求めるということは適当ではないのじゃないですか。本来この法律案は四十一年度予算のときに出さるべき性格のものではありませんか。なぜそれをやらないのか。途中で、でき上がったらこれはやるのだというのでは、国会を愚弄したようなものじゃありませんか。国会はそういうつもりで審議したのではない。これは沖繩援助費になって、政府がつくるのだ、沖繩に国有財産ができるのだ、そういう考えで国会審議したと見るのが正当ですね。初めからそういう気持ちがないのだったら、なぜ昨年の予算審議の際に予算とあわせて本法案を国会提案しなかったのですか。
  57. 山野幸吉

    ○山野政府委員 たしか昨年の予算委員会の一般質問では、完成後においては琉球政府に譲渡しますというような答弁を政府側としては申し上げております。したがいまして、昨年の時点におきましても、でき上がりましたものは、その国有財産は琉球政府に譲渡するという考え方できておるわけでございます。  また、法律案を昨年出すのが適当であるという御指摘は、私もごもっともだと思いますが、御案内のように、完成して国有財産になる時点は本年の十一月でございます。したがいまして、あまりに遠い時点で将来を予見して法案を提出いたしますよりか、いまの時点がむしろ適当ではないか、かように考えたわけであります。
  58. 横山利秋

    横山委員 総務長官がお見えになりましたが、いままでの質疑をあなたに聞いてもらわなければいけなかったけれども、私が本日指摘しました点は、法規課長は石頭で、私と意見が食い違うのですが、まず第一はこういうことなんです。あなたの答えをこれから長い時間求めるのは何ですから、説明だけしておきます。  四十一年度一般会計予算に一億七千六百万という数字が入っているわけです。国会議決しながら、また債務負担行為として二重の議決をしているのはおかしい。財政法十五条では、その年に歳出をする金額については、債務負担行為をするのに国会議決を求める必要はない。それにもかかわらず、一般会計歳出予算の中で議決をさせ、また一億七千六百万の数字を四十二年度の分と合わせて国会議決をさせた。この分は不必要な二重の議決をさせた。何でだといって聞いたら、そのほうが一本で便利であるし、これは財政法違反しない、こういう解釈だ。ところが、財政法十五条は、歳出予算範囲外のものについては議決を求めよと書いてある。範囲内のものについては議決を求める必要はない、こういうのが私の立論です。それから、ぼくは、こういうことであるならば継続費でやるべきだ、もしも明白にやりたければ、継続費でやるべきだ。そういう債務負担行為の二重議決をして一本でやるということは適当でない、いずれかを明白にしろ、こう言っているのです。これが第一です。  第二番目は、いまお聞きになったように、大体去年の国会予算議決を求めたときに、あなた方は、これはもうでき上がったら向こうにやるという腹をきめておったらしい。そういう腹なら、何で四十一年度予算のときにこの法律案を提出しないか。そのときに国会のオーソドックスな審議は、局長が何と言ったか知らぬけれども、一応予算上は沖繩援助費で書いてあって、そして日本政府が直接に工事をやる、だから国有財産が沖繩にできるんだなと考える。予算番をずっと見たものはそうでしょう。ところが、腹の中では、できたらやるんだ、こういう話です。そんな不親切な、自分かってなことがあるか。この予算をこれから議決を願うのでありますが、でき上がりましたら譲与いたしますから、この両方並べて御承認を願いますというのが親切なやり方である。しかるに局長は、でき上がる前からやるといってもおかしい、でき上がってからではおそ過ぎる、いまがちょうどいいころかげんだ——まさにいいころかげんな答弁であります。いいころかげんの答弁は許さぬですよというのが私の主張であります。一々全くごもっともでしょう。あなたがごもっともと言えば、次の質問に移ります。
  59. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 きょうは衆参両院合わせて七つほど委員会を担当いたしておりますので、中座というか、出席いたしませんで、申しわけありませんでした。  いま最終的に要約された横山委員の御質問でありますが、やはり四十一年度法律案を出さなかった、御審議を願わなかったということについては、これはどうも私も当時タッチいたしておりませんので、何とも言いかねるのでありますが、御趣旨のことはよく考えさしていただきます。  なお、その前段の問題でありますが、やはりそういった点で問題が起きるであろう、財政法との関連の問題も起きるであろうというようなことで、政府といたしましても、大蔵省考え方あるいは法制局等の考え方を十分練りまして、これでよろしいということで御審議を願っておるわけでございます。しかし、横山委員としてもいろいろの御意見があるようでありますが、政府としては何ら違法なことはしていない、私はこのように考えております。
  60. 横山利秋

    横山委員 一歩譲って言うならば、違法でないにしても、妥当なやり方とは思われぬ。しかも先ほど課長の答弁によりますと、三十五年まではこういう解釈はとらなかった、三十六年から、協議の結果、こういう解釈をとるようになった。そうすると、そこで政府の内部でも意見が通っておったわけです。今回こういう解釈をとるについても議論があった。そういう議論のあるようなやり方よりも、オーソドックスに、私の言うようなやり方でいいではないか、あるいはそれがいかぬなら財政法を直せばいいじゃないか、それがいかぬなら継続費でなぜいかぬ、十四条では、工事、製造とちゃんと書いてあるのだから、ずばりと当てはまるではないか、それがなぜ継続費でいかぬかと言うたら、法規課長は、そこは私の所管ではありません、総理府がこうやれと言ったんだから、やれと言った以上は適法だと思ったからやったということで、だれも答弁する人がないわけですね。局長がまたいいころかげんの答弁をして、そこで次に移った、こういうことになっておるわけです。おわかりですね、十分御検討願います。
  61. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 承知いたしました。
  62. 横山利秋

    横山委員 長官がお見えになりましたから、わずかな時間でありますけれども、大事なことをぜひこの時間のうちにお伺いしたいのであります。  下田さんがまたおかしなことを、言いましたね。あの趣旨はあなたも総理も御了承ですか、それとも個人的な発言ですか。
  63. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私は下田君から伺っておりません。なお、あの考え方は、私想像いたしますに、下田君が常日ごろ言っておられた、現地の人々の考え方を中心とした一つの対案というか、対策をつくって問題を提起したいというあの方の考え方があそこであらわれたのではなかろうか——これは私の想像であります。あの発言をするについて、外務大臣からの連絡とか政府考え方がそこにあったというようなことは全然ございません。
  64. 横山利秋

    横山委員 総理大臣なり、外務大臣なり、あなたは、あれは個人のかってな発言だというふうにお考えですか。
  65. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 下田個人の発言であろうと考えております。
  66. 横山利秋

    横山委員 いやしくも駐米大使として赴任の直前でありますが、これほど重大なことが、個人のかってな発言ということが許されますか。  あなたはあの意見に賛成でありますか、反対でありますか、それとも別な意見でありますか。
  67. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 よその家のことについては私は内政干渉いたしたくないのでありますが、下田君が外務省でどういう立場にあるか、マスコミ等で見ますと、某高官筋とかいうことでマスコミはかなり大きく扱っておるようであります。外務省の中のことは私よくわかりません。  あの考えをとるかどうかという御質問でありますが、私は、この委員会でも常に申しておりますように、もちろん施政権の全面返還が望ましい、しかし、いま極東の情勢というものがそれをなかなか許さない情勢にある、しかし、あらゆる問題をあらゆる角度からとらえていくということはこの際大事である、必要であると考えております。したがって、今後、たとえば大濱委員会というものが、教育に関する問題についてのある一つの結論が近く出ると思いますが、そのあと、今日までの総理と大渡さんとの会談において、総理直属の審議会と申しますか、委員会のようなものもできることでありましょうから、その機関においていろいろな問題の検討が行なわれるものと私は考えております。
  68. 横山利秋

    横山委員 簡潔で非常によろしい。その調子でもうちょっと……。  それで言うのですけれども、下田さんはいろいろ言う人だ。だからいろいろ物議をかもす。けれども、今回は日本国を代表して一番焦点のアメリカに行く大使です。大使として赴任の直前に、あなたが必ずしも全面的賛成でないことを常々と公表し、その信念をもって赴任するということは、重大なことだと思う。日本政府を代表する意見でなければ、これは明らかに逸脱行為です。今回は特に逸脱行為です。しかし、あなた方が下田個人の意見だからといって見のがすことは、明らかにそれを包容しておる、下田発言というものを自分も了承しておると客観的に見られてもしかたがないですよ。その点はどう思いますか。
  69. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 誤解があるといけませんから、はっきり申し上げますが、ああいう考え方について下田君なり外務省の三木さんから伺ったことは私はないのであります。下田君とプライベートに会うことはありますが、あの考え方を私がストレートにじかに聞いたことはありません。しかし、人間だから、いろいろなことを考えるでしょう。先ほど冒頭に申し上げましたように、下田君の頭の中には、沖繩の地元の方々の考えというものをまず念頭に入れて、そうして問題の提起をするというようなことを私は伺っておりましたので、そういうことからあの発言があったのではなかろうかということを私は申し上げたのであります。しかも事前にそういう御連絡もございませんし、また、あれが政府の今日までの見解であるというようなこともないということは私はっきり申し上げたのでありますが、私は後段に述べたように、あらゆる問題をあらゆる角度から検討するというときにおいて、あの発言というものは私も新聞記事でよく拝読いたしたような次第でございます。
  70. 横山利秋

    横山委員 あなたが下田さんとお会いになったり、いろいろお打ち合わせをなさったことはないと信じます。しかし、あなたも閣僚の一人として、駐米大使として赴任する直前に記者会見でしゃべったということは、決して個人的資格とはもう言えなくなっており、もしもこの発言というものが放置されるというならば、暗黙の了解と客観的に見られてもしかたがないじゃないかというのが私の言い分なんです。もしもこの下田発言を放置するということであるならば、これは実は政府の意向を体して、かってではあるけれども、アドバルーンを上げたのだ、政府も暗黙にこれを了解しておる、こう見られてもしかたがないが、あなたはそれに対してお答えがないということであるならば、そのように了解する。そうでない、この考えは私の考えと違うというならば、これを明らかにしてもらいたい。違うのであるならば、また下田さんがこういうことをむぞうさに——むぞうさとは思わぬけれども、腹があってやったことだと思うが、放置しておいてはいけませんよ。下田発言については、政府の考えは違うんだということを明らかにする必要がいまやある、こういうことを私は三段論法で申し上げておるんですよ。
  71. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私ももちろん政府の一人でありまするし、それから下田君は、外務次官、いまは駐米大使でありますが、私の隷下にある者ではございません。それから、先ほどから何回も繰り返しておるように、下田君からこの考えを聞いたこともございません。また、政府としてああいう考え方政府の方針として打ち出したこともございません。したがって、あの新聞が出ましたあと、三木外務大臣に私お目にかかりましたときに、これはどういうことであるかということをお聞きいたしました。三木外務大臣は、政府考え方ではない、やはり下川君が個人で現地の方々の意向というものを体して問題を提起したのではなかろうか、こういうような話を三木さんとあの翌日であったかにやったことはあります。私は、施政権の全面返還が望ましいということは、これは繰り返して申しておりまするが、今日の沖繩の置かれている立場から、常にこの委員会でも申し上げておるように、あらゆる角度からあらゆる問題をとらえることは、私は当然のことだと考えております。したがって、私も今後いろいろな問題を考えるときに、ああいうこともやはり念頭から離れることはできない、このように考えております。
  72. 横山利秋

    横山委員 念頭から離れることができない。そうすると、要するに、いろいろな場合があるけれども、そのいろいろな場合の中に下田発言のようなこともあり得るということになるわけですね。それじゃもうある程度あなたのお考えはわかりましたが、そうすると、下田発言については、個人といいながら、決してあれは個人ではない。駐米大使赴任面前の記者会見であるから、また、駐米大使として全権を持って行くのでありますから、政府は下田発言に対しまして下田さんに何らか注意するとか、あるいはそのままやってもらっては困る、あるいは政府の考えは違うとか、こういうことをおっしゃる気持ちはないと見てよろしいですか。
  73. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 これは三木外務大臣の立場においてなさるべきことではないでしょうか。
  74. 横山利秋

    横山委員 それでも、あなたも閣僚の一人ですし、大事な、しかも沖繩担当ですから……。
  75. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 まだ政府の方針としてああいうものは打ち出されてはおらぬ。しかし、繰り返すようですが、あらゆる角度からあらゆる問題をとらえる場合に、現地の人がああいう考えを持っておるということを、私は、沖繩の新聞でも拝見したし、また、向こうからおいでになった方の御意見を伺ったこともありますし、あるいはまた、まっこうからこれに反対する御意見も聞いておりますし、こういう情勢から、あらゆる問題をとらえていく、あらゆる問題を検討していくということは必要であろうと考えております。
  76. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 臼井莊一

    臼井委員長 では速記をお始め願います。
  78. 横山利秋

    横山委員 まことに時間のないところで、長官も端的にお答えのようでありますから、私も、時間節約上、端的に御質問いたします。  下田発言の一番の基礎になります考えは、二つあると思うのです。一つは、沖繩住民の意見でやろうというような発言であります。もう一つは、「沖繩基地は多くの米軍基地の墓石であり、これによってバランスが保たれている。核も自由に使えることが必要だ。沖繩の核基地を認めて復帰することは、核については従来どおりということであり、本土への新たな核基地設置、持ち込みを意味するものではない、新たな持込みは現状では不可能である。」こういう考えが基礎になっています。  まず、第二のほうから伺いたいと思うのですけれども、この、持ち込みではない、従来どおりということだというものの考え方は、私は詭弁もはなはだしいと思うのです。全くそれは何かばかにしたようなものの言い方だと思うのです。  それから第一のほうの、国民全体の問題として考えずに、沖繩の諸君がいいと言ったらいいじゃないかというように、沖繩百万の人間にどうだどうだといって言わせるというのは酷であり、また、本上にあるわれわれとしてもいささかひきょうな言い方ではないか、なぜ一心同体として考えないのかというように考えるのでありますが、長官はどうお考えでございましょうか。
  79. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私、下田君に会っておりませんので、下田君がどういう考えでどういうあれかは、それは下田君に聞いてもらわなければ困りますがね。
  80. 横山利秋

    横山委員 これはお逃げになると時間がかかるのです。どこの新聞でも全部こういうことは出ておるのです。そのことについては間違いがない。  では、あなたが確かめてないにしても、一応下田発言がそういうことであるとして、どうお考えですかと聞き直します。
  81. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 先ほどから繰り返しておりますように、政府の考えはそういうものはとっておりません。
  82. 横山利秋

    横山委員 そうしますと、沖繩住民の意思によって問題を解決しようという気持ちは持っていない、それから、核基地をそのまま認めて復帰することは、従来どおりだから持ち込みではない、こういう二つの考えを政府はとっていないと考えてよろしいわけですね。
  83. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 そういう考え方はきめておりません。
  84. 横山利秋

    横山委員 先ほどは、とっていないとおっしゃったが、いまは、きめてないというふうにおっしゃって、ちょっとニュアンスが違いますが、どっちがほんとうでしょうか。
  85. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 前のほうのことばにいたします。とっておりません。
  86. 横山利秋

    横山委員 そうしますと、繰り返し重要な発言を下田さんはなさって行かれたことになるわけです。もうこれは決定的な沖繩問題処理の考え方の問題でありまして、下田さんが駐米大使に行く前に、いかに個人といえども、これは駐米大使としての公式な記者会見ですから、ゆゆしい発言をされたと私は思うわけです。あなたも閣僚の一人として、これほどいま明白にその二つのかなめになるものの考え方政府はとらないとおっしゃるならば、駐米大使として赴任される下田さんに対して、その考えは違うぞ、日本政府の今日の考え方は違うぞといって御注意をなさるべきだと確信するのですが、それを御注意なさいますか、放置なさいますか。
  87. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 あの新聞記事について、どういう形で会見が行なわれたか、私それは存じておりません。沖繩の問題ですと最近非常にマスコミが大きく扱いますから、ことにいま横山委員がおっしゃるように、赴任前の共同記者会見でしたら、ああいうふうに大きく扱うことは十分想像できるわけであります。しかし、あれがどういうふうに発言が行なわれ、どういう席であったか、私は存じておりません。新聞記事で拝見しただけでありますから、その間をまず明確にいたせば、どういう意図であったかということもあるいはそんたくできるのではないかと思っております。  なお、後段の御質問の、これについて何か注意がましいことをすべきではないかという話でありますが、それは外務大臣がなすべきことであって、私としては別にどうこうする考えはございません。
  88. 横山利秋

    横山委員 責めるようで恐縮でございますが、あなたは沖繩を担当していらっしゃる人であって、しかも沖繩の運命をきめる礎石になるような重大な方であります。ところが、あなたの話によれば、三木さんも下田さんと話をしていないままに発言をされたとして、国民がすべて受け取ったこの下田発言、赴任前の表明というものは、本土におるわれわれはもちろん、沖繩百万の諸君重大な影響を与えておることは、まぎれもない事実であります。もしもあなたが内容を、その場のニュアンスを知らないとするならば、これほどあなたが明白に下田発言はおれは違うんだとおっしゃるならば、確かめるべきであり、そして確かめた結果について国民の疑惑を晴らすべきである。ほんとうにこれは大事なことだと思うのですが、これをなさらないとするならば、事後にしても、暗黙にそれを了承しておると見られてもしかたがないですよ。どうですか、確かめますか、それとも放置しますか、どっちですか。
  89. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 あの新聞記事が出ました翌日、私は三木外務大臣にお目にかかってこの問題の話をいたしたことは、先ほど申したとおりであります。それ以外のことはございません。
  90. 横山利秋

    横山委員 私の問いに答えられないのですが、放置するか、さらに下田発言に対して政府は注意を喚起ないしは訂正をするか、二つともおとりにならないと考えてよろしゅうございますか。
  91. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私がストレートに下田君に言うべき問題ではないと考えておりますので、三木外務大臣と会いましたときにも、三木外務大臣のお話を伺ったのでありますが、いまのような横山委員の疑念の点もありますから、私はまた三木外務大臣に会いまして、この問題の私の考え方を述べてみたい、また三木外務大臣のお話も承ってみたい、このように考えております。
  92. 横山利秋

    横山委員 恐縮ですが、最初三木さんにお会いになりましたときの結論としては、いま伺ったニュアンスでは、何も措置しないというふうに伺いました。今度三木さんにお会いになるあなたのお心がまえは、いまあなたは明白に政府の考えと違うとおっしゃったのですから、そういう考えで三木さんにお会いになり、私の申し上げるように、これは注意をする、ないしは疑惑を晴らすために政府の考えを明白にするという意味であなた個人としてはお会いになるのでしょうね。
  93. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 問題の提起ということは私は決して悪いことではないと思うのですが、しかし、こういう重大な問題が所管大臣と何ら連絡なしに行なわれるということについては、これは注意すべきであろう、したがって、そういうことを頭に入れながら三木外務大臣とこの問題について話し合いたいと考えております。
  94. 横山利秋

    横山委員 あなたが先ほどおっしゃったように、沖繩問題についてはあらゆる場合を想定してという点が、政府の言ってこられた点であります。しかし、この下田発言は、あらゆる場合じゃない、一つの場合、まさにずばりの提起ですね。ここが非常に政府考え方と違う。下田さんは、自分はかく信ずるというてその一つの路線をあげて、そうして駐米大使として向こうへ行ってこの路線で自分は仕事をするという意思表明と国民は受け取っているわけですね。——いやいや、あなたはそういう顔をなさるけれども、この発言をしさいに検討すれば、あらゆる場合じゃないです。これは絶対一つの場合、一つの考えです。だからこれは非常に危険があると私は申し上げるのです。あなたの言うあらゆる場合についても議論があるけれども、これはまさに一つの考え、一つの方式——多少テニヲハがついても、この方式で自分は駐米大使としてその仕事をするという意思表明ですね。きわめて重大だと思いませんか。あなたはこの一つの方式の下田発言に対して否定をなさった。あなたは、あらゆる場合だと、もう一ぺん言い直されたけれども、あらゆる場合とは下田発言を含むかというて私が聞いたところ、あなたはまた否定をなすった。そうだとすれば、下田発言というものは、政府の今日の課題から逸脱しておる。のみならず、外交官として赴任直前にかかる重大問題を、あなたの言うところによれば、三木外務大臣とも相談せず、あなたも何も聞かないという中で発言をするということは、お役人として明らかに逸脱行為である。これを放置することは、また服務規律からいっても許されぬ。これは二重にたいへんなことです。どうもあなたの御答弁を聞いていますと、何とかできるものならほかっておきたいという顔色に見える。できるものならば下田発言をほかっておきたい……。
  95. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 ほかってとは、どういうことですか。
  96. 横山利秋

    横山委員 ほうっておきたい。
  97. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  98. 臼井莊一

    臼井委員長 速記を始めて。
  99. 横山利秋

    横山委員 私の申し上げているのは、あなたの先ほどからの答弁からいえば、有史として服務規律に違反する。政府の方針に反する。この二つです。最終的にこの二つの点についてお答えをいただきたい。
  100. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 官吏の服務規律というのは、どういうふうにどの程度に解釈するのか、私はわかりませんが……。
  101. 横山利秋

    横山委員 あなたの発言によれば、政府の意向に反したことを言ったから……。
  102. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 その点では、やはり直属上官である三木外務大臣が考えるべき事柄であって、私としてはこれについては別にどうこう考えておりません。
  103. 横山利秋

    横山委員 これはあきませんな。長官のお考えはある程度わかったけれども、長官は、三木外務大臣とお逃げになるから、次回に三木外務大臣に来ていただきましてこの問題を少し詰めさせていただきたい。質問を留保いたします。
  104. 臼井莊一

    臼井委員長 渡部一郎君。
  105. 渡部一郎

    ○渡部委員 このたびは委員会の皆さま方の御激励を受けまして沖繩へ行かしていただきまして、いろいろなことを観察さしていただきました。まず皆さま方にお礼を申し上げたいと存じます。  つきましては、そのいろいろな問題を見てまいりました都合上、現地の問題についてこちらで考えているのとだいぶ違うニュアンスを感ずるのであります。たとえば、いまお話しになりました下田発言のごときについても、現地においてはまことに悲惨をきわめるほどの反応が起こるということであります。こちらのほうではちょっとした遊びのような発言が、地元では重大な事項として考えられる、日本政府の全体的な動向として考えられる。沖繩の人々は、もしも返還を考えるならば、核つき返還ということにもし意見をまとめてくるなら、私がその問題について交渉してやる、こういうようなニュアンスの下田発言というものは、現地新聞ではトップで扱われる。そのために現地では痛ましいほどの議論が起こり始める、そうして結果においては、下田発言を受け付けなければ、返還問題、復帰問題についてはもう不可能であるというようなイメージがどっと流れてくるわけです。そして反応が起こる。私はこういうことを現実に目の前で見てまいりました。ちょうど私が行っておりますまん中に起こりましたが、非常に悲惨です。いま服務規律等の問題についていろいろ厳重なお話が横山委員からもございましたけれども、こういう問題について発言をなさるときには、地元の意見、意向というものをまとめるにしろ何にしろ、少し軽率な発言ではなかったか、ほんとう政府の動向としてものを言う場合だったら、もっと気をつけて発言すべきではなかったか。私は、少なくともここにいらっしゃる塚原長官が了承もしてないし、自分の意図でもないような発言が、たとえ他の隷下にあろうとも、行なわれるということは、十分今後の問題として考えなければいけないことではないか、こう感ずるのでございます。この点につきまして長官からちょっと御意見を伺いたいと思います。
  106. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 沖繩に行かれまして各般の御視察をなされましたこと、まことに御苦労さまでございます。  実は私も早く行かなければならぬと思っていますが、私まだ一回も沖繩を訪問する機会に恵まれませんので、国会が終わり次第、現地の事情をこのはだで、この目で、この耳で体得、体験したいと考えております。  これから渡部委員の貴重なお話を承りたいと思うのでありますが、冒頭に、沖繩の方々が非常なショックであるというお話、先ほど横山委員の御質問に対して、地元の考え方を頭に入れた問題提起ということを申しましたが、いま伺ってみると、そういったことについて地元は一つも考えていないという渡部委員の御発言でございまするが、私が聞いたところでは、一部そういうことがあったというのでそう思っておったのですが、これは私は訂正いたします。そういう、なまのお話を十分聞かしていただくことを私は望んでおります。
  107. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 臼井莊一

    臼井委員長 速記を始めて。
  109. 渡部一郎

    ○渡部委員 長官の御発言でございますが、いま申し上げましたことは、現地の反応というのは非常に悲惨な反応で、要するに私の、言いたかったことは、沖繩ではそう考えているのではなくて、それ以外のことを言ったら、それこそもう朝敵のように扱われる雰囲気さえできている。要するに、そういう御発言のために、沖繩の人たちのかすかな希望というものがそのつど見失われる。前長官の際の分離返還論のときの世論動向というものを調べてまいったのですが、分離返還論が一たび打ち上げられると、分離返還論以外のことを述べる者は、これこそ国賊扱いのような雰囲気になっている。それがぶちこわされると、今度は、分離返還論なんてだめだった、ざまを見ろという反応が全島にわたって起こる。そういうふうに、こちらのちょっとした反応が、それこそ、ひどい政治的抗争あつれきの主体となってくる。そういうことを今後お考えいただいて、慎重な御発言が望ましい、そういう意味でございます。  それからもう一つ、テレビでない話で恐縮なんでございますが、このテレビの入る先島地区の先のところに尖閣群島というのがあるのは御存じだろうと思います。その尖閣群島においてこの間から——これは相当程度確認された情報ではありませんけれども、台湾の漁夫がやってまいりまして、沖繩の人々と台湾の人々が両方で魚をとっておる地域であります。ところが、この尖閣群島に先ごろから台湾の人が住みついておって、どうやら占領している気配もある。ある地域では追い返されたという情報が現に流れております。こういう情報については御存じかどうか。それからまた、そういうことがあったら、協議対象、あるいはどういう手を打たれるか、その辺のことについてちょっと伺っておきたいと思うのであります。
  110. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 新聞で見た程度でありまして、私は何ら報告を受けておりません。
  111. 渡部一郎

    ○渡部委員 それについて情報を確かめたりすることはなさいますか。
  112. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 わきに特連局長もおりますが、こういう記事があったので、どういうことであるか、関係省とよく相談して私のところに教えてくれということは申しておりまするが、まだその詳報と申しますか、何も聞いておりません。
  113. 渡部一郎

    ○渡部委員 それについては、詳細な報告をとられた上、御報告にあずかりたいと思いますが、よろしょうございますか。
  114. 山野幸吉

    ○山野政府委員 よく情報をとってみたいと思っております。
  115. 渡部一郎

    ○渡部委員 それでは、いよいよテレビのほうに移りたいと思います。  このような沖繩の援助に対する問題でありますが、先ほどの特連局長のお話を伺っておりましたら、これについては譲渡ではないというようなお話が出ておったようでございます。宮古群島八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備の譲渡でございますが、これは譲渡ではなくて、援助を行なうのであるというような一節があったように私は伺いましたけれども、それは譲渡でなくて援助だというのは、どういう意味でございましょうか。
  116. 山野幸吉

    ○山野政府委員 先ほど私がお答え申し上げましたのは、横山委員の、この法案を四十一年度に出すべきであるという御質問に対しましてのお答えの一部に、実は昨年度は沖繩援助費としてテレビの予算を出しております、こういうお答えを申し上げたので、この施設を譲渡するわけじゃない、こう申し上げたわけではございません。
  117. 渡部一郎

    ○渡部委員 もしそうでありますならば、私は非常にしろうとっぽい言い方をいたしますけれども、今度行なわれるテレビの施設に関しましては、これを譲渡することになるわけでございますか。
  118. 山野幸吉

    ○山野政府委員 さようでございます。
  119. 渡部一郎

    ○渡部委員 そういたしますと、そのテレビ施設というものは現在時点においてはできているものでございますか。
  120. 山野幸吉

    ○山野政府委員 現在工事中でございまして、十一月に完成するわけでございます。
  121. 渡部一郎

    ○渡部委員 できていないものを——ということは、これはテレビ施設というものになってなくて、コンクリートのかたまり、あるいは金属製品のかたまりであるものを譲渡できますか。
  122. 山野幸吉

    ○山野政府委員 これは工事の中途で譲渡するわけではございませんので、工事が完成しまして、国有財産になりました後において譲渡をしようということでございます。
  123. 渡部一郎

    ○渡部委員 そこが私はいよいよわからないところでありますが、そのときに国有財産になったならば譲渡するという条項は、この中に入っておるのですか。
  124. 山野幸吉

    ○山野政府委員 これは法案の中にそういう文言はございますが、工事が完成いたしますと、郵政大臣が国有財産として取得いたしまして、大蔵大臣を経由して総理府に渡されまして、総理府から琉球政府に譲渡する。完成した後に、そういう国有財産になった後に譲渡するわけでございます。
  125. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、そのように国有財産に明確になってくる前の段階においてこういうものの譲渡がきめられるということに大きな疑義を感ずるのであります。このようなやり方で譲渡が行なわれた先例というのはあるのでございますか。
  126. 山野幸吉

    ○山野政府委員 これは参考資料にも出ておりますが、マイクロの施設をつくる場合に、同じ方式によりまして、工事中に法案を出しまして御審議いただいた後、工事が完成してそれを譲渡した例はございます。
  127. 渡部一郎

    ○渡部委員 先輩議員がたくさんおやりになったあとでありますから、その先は重複いたしますのでこれで打ち切りますけれども、私は、さらに、施設が完成後において、この完成された施設がどのように使われるか、また運営が妥当に行なわれるか、それについて監督する権限が日本政府にどの程度あるのか、お伺いしたいと思います。
  128. 山野幸吉

    ○山野政府委員 これは施設が完成いたしまして日本政府が琉球政府に譲渡しました後におきましては、日本政府には監督の権限はございません。
  129. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうすると、これが完成した後においては、日本政府は、向こうがどういうふうに使おうがかまわないという意味だといたしますと、このテレビの施設についてはどういう使われ方をしようと、あるいは琉球政府がどこかに売ろうとも、あるいはこれをこわしてしまおうとも、それについては一言も言えない、こういう意味ですか。
  130. 山野幸吉

    ○山野政府委員 御案内のように、立法院に勧告しまして、立法院で放送法が審議されております。その内容によりますと、沖繩放送公社というのができます。琉球政府は、譲渡を受けましたら、その施設を沖繩放送公社に出資いたしまして、放送公社が通常に当たる、かように承知しております。
  131. 渡部一郎

    ○渡部委員 そういたしますと、今度の先島のテレビ施設ができました後において、その所有権というものは一体どこにあるものであるか、また、沖繩放送公社に対してその所有権が譲渡されるのか、あるいは琉球政府が握っておって、琉球政府がそれを持っておるのか、あるいは琉球政府以前において琉球政府以外の何かの放送設備に与えられるのか、その辺がきわめて明確でないように思いますけれども、その点はいかがでありましょうか。
  132. 山野幸吉

    ○山野政府委員 沖繩放送公社は、御案内のように、NHKに準じた公共放送でございます。したがいまして、琉球政府は日本政府から譲渡を受けますと、その沖繩放送公社に現物出資をするようになると思うのでございます。
  133. 渡部一郎

    ○渡部委員 沖繩放送公社というものは、現在できておるのですか。
  134. 山野幸吉

    ○山野政府委員 ただいま申し上げましたように放送法が審議中でございまして、したがいまして、これが可決されました後におきまして沖繩放送公社が発足いたすわけでございます。
  135. 渡部一郎

    ○渡部委員 そういたしますと、テレビ設備については、この譲渡を受ける主体というものが結局は沖繩放送公社になる、琉球政府が受けて、そしてそれを沖繩放送公社に出資する形になる、こういう意味ですか。
  136. 山野幸吉

    ○山野政府委員 日本政府としましては、琉球政府に譲渡するわけでございます。
  137. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうすると、その琉球政府がさらにそれを出資する沖繩放送公社については、まだこれは法律上もきまっておらない、こういう意味でございますか。
  138. 山野幸吉

    ○山野政府委員 さようです。
  139. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうすると、出資するものも明確でないし、出資を受けるところのものも明確でない。要するに、与えるものも与えられるものも明確でない。私はしろうとらしく質問するのですけれども、私がおみやげをあげようとすると、おみやげをあげる人もわからない、おみやげを持っていくそのおみやげの大きさもわからない、そして私が出かけていったとしたら、それはお使いにならぬと私は思います。ところが、これと同じことが、琉球政府の側の主体性もきまらないうちに、このような先ばしった行き方で行なわれる理由一体どこにあるのでしょうか。
  140. 山野幸吉

    ○山野政府委員 御案内のように、先高にテレビの施設をつくりまして、先島十二万の住民がテレビが見られるようにという強い熱望を持っていまして、佐藤総理が過般訪島されましたときにお約束になって予算化されたものであります。日本政府としましては、一刻も早くこれを完成して琉球政府に譲渡し、そして琉球政府はこれを必ず完成後直ちに受け入れの準備をして受け入れて、テレビ放送を先島の住民に見せるということになっておりまして、この間も琉球政府の主席にお会いいたしましたが、日本政府の施設が完成すれば、間に合うように、必ずこの運営には御心配をかけないということをおっしゃっておられますので、私どもは琉球政府のこの言明を信頼しておるわけでございます。
  141. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、今回の先島テレビの件に関しては、地元の大きな賛同の声や賛成の声や、これをありがたいとする声を無数に聞いてまいりました。ですから、私は、この先島テレビの件に関して、施設をつくることに関してとやかく言っておるのではない。そこのところをお間違いいただかないようにしていただきたいと思うのですけれども、ほかの場合において相手側の要望が山ほどあって、なおかつ、それからさんざんしぶったあげく、援助金を出したり、支出金を出したり、賠償金を出したりするのがいままでの通例でありました。ところが、この沖繩のテレビの件だけに関しては、もういち早く、向こうの体制もできないうちにお金の支出がきまり、物もできないのに、やることがきまる、そういうやり方であります。私が心配しているのは——それは沖繩の人々の要契が多年蓄積されたものでありますし、それに対して日本政府が、もうそれこそ大きな援助を行なおうとして積極的にやるという意味は、私はまことにうなずけるのであります。しかし、そうはどうも感じられない。他の問題についてはきょうは言うことを拘束されておりますので、申し上げないのでありますけれども、他の援助については非常にスピードがおそい。やることもできていない。ところが、このテレビの問題だけはばかに早く行なわれた。それは一体何なのか。私はホテルの一室で一晩じゅうよく考えてみたのですけれども、どう考えても不審の条々がある。結局は、この問題については、総理大臣が約束されたからというのでむちゃくちゃに急がれた形跡が明瞭に見取られる。私は、こういうのであるならば、この沖繩の援助に対して総理が約束したからというので、そうして早急なそのようなやり方をするだけでは、実際にはそれはほんとうの沖繩の人の福祉にはならないのではないか、こう考えるのでありますが、長官いかがでしょうか。
  142. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 沖繩の方々の強い願望と申しますか熱望と申しますか、そういうことも私はこのテレビについては伺っておりますので、渡部委員がおっしゃるように、総理が約束されたから急ぐのだというようなことはないと私は考えております。その過程においては、先ほど横山委員の御質問の小にも、また渡部委員の御質問の中にもありましたように、いろいろと完全に姿が整ってはいないではないかという御批判があることも私はよく承知をいたしてはおりますし、横山委員の御質問に対しても、そういうことがあることを私自身考えまして、大蔵省あるいは法制局等と法的措置等についても事前に確認を得てこの法律案の提出に賛成いたしたような一人でありますから、きちっとそろってないではないかという御批判はあるかもしれませんが、私は、地元の強い要望にこたえて違法でない、横山委員は妥当でないのだというおことばを使われましたが、違法でないというこのやり力は間違っていない、地元の要望にこたえる道であると考えております。
  143. 渡部一郎

    ○渡部委員 そのように妥当でないことでもあえてするだけの勇断が政府におありになるならば、ほかのことについてもどうしてもっと勇断を持たれないのかということが、私の結論なんです。  そこで、ほかの話を山ほどしたいのですけれども、きょうはテレデだけという先ほどから委員長の再三にわたる御言明ですから、一つの例にとどめて、あとに全部譲りますけれども、たとえばハンセン氏病なんかも典型的な例です。まことに悲惨をきわめておる。ある局においては、その島の半分以上がハンセン氏病にかかっておる。そして新生児がかかる。それに対して全然手が打たれていない。全然援助金が出されていない。そしてハンセン氏病にかかっている青年はどんどん数がふえておる。沖繩全島において五年前の二倍になっておる。ところが、そういう問題については、手続をたてとして日本政府は金を出さない。出そうともしない。そんなやり方があるかと私は率直に言いたい。テレビばかりはばかに親切であり、ハンセン氏病はどこへいったのか。らい病は気味が悪いからそんなやり方だったら、政治の中には該当しないのじゃないか。私は、この点は、それこそ早急に対策を立てて——きょうは申し上げないことになっておったのですけれども、こればかりは、人道に関する問題ですから、あえて申し上げるのですけれども、この次に二十八日に審議が行なわれますまでに、私が質問申し上げる前に、特連局ないし総務長官責任におきましてこの問題に対し明快妥当なる対策と結論をつけてそしてお持ちになりますことを私はお願いしたい。私が調べてまいった事項は差し上げてもけっこうです。ですけれども、これについて早急に対策を立てなければ、とんでもないことになる。私はそれをやっていただきたいと思うのですけれども、いかがでありましょうか。
  144. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 ハンセン氏病に対して日本政府が何もやっていないというお話でありますが、それは私は違うと思います。いろいろ比較はおありでしょうが、もちろん重大な関心を持ちまして対策を講じておりますし、今度の発見も、それは日本医師団の診療で発見したというふうに私は報告を承っておりますが、いずれにいたしましても、ああいう病気が非常に蔓延するということは、たいへんな社会問題であり、大きな政治問題でありますから、御趣旨を体しましてこれに取り組みたい。また、そのための資料その他、十分私のところで集め得るものは集めたいと考えておりますが、渡部委員からも十分御協力をお願いいたしたいと思います。
  145. 渡部一郎

    ○渡部委員 二十八日には、ひとつ対策をしっかり立てて、御返事をいただけますか。
  146. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 厚生省も関係があると思いますし、よく関係省と御相談をいたしまして、お答えいたしたいと考えております。
  147. 横山利秋

    横山委員 いまの発言は、たいへん私も痛感しておりましたことでありますから、恐縮でございますが、この間の調査団の結果を本委員会に資料として提出されるようにお願いいたします。
  148. 臼井莊一

    臼井委員長 資料につきましては、いずれ理事会にはかりまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと思います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  149. 臼井莊一

    臼井委員長 速記を始めてください。
  150. 渡部一郎

    ○渡部委員 それじゃ、その次でありますが、今回の沖繩テレビの問題につきましては、先島のテレビの場合に、施設が全部で七億余円というものが支出されるようであります。この先局地区のテレビの維持費については、これはどこが負担することになるのでありますか。
  151. 山野幸吉

    ○山野政府委員 その問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、沖繩放送公社は、時点はわかりませんけれども、全琉を放送エリアとする公共放送を行ないたい、こういう計画でございまして、先鳥だけを沖繩放送公社が運営するわけではございません。
  152. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうしますと、現存放送公社の計画につきましては、沖繩にある民放テレビの二社に対する関係はどのようにかるのでありますか。
  153. 山野幸吉

    ○山野政府委員 この点につきましては、実は現在放送法が審議中でございまして、それと並行しまして、この沖繩放送公社と琉球放送と沖繩テレビと、そういう関係においていろいろと話し合いが進んでおるようでございます。しかし、これは渡部委員も御案内のように、非常に複雑微妙な関係に現在ございまして、私どものほうでこれがどういう姿になるということをいま言える段階ではございません。私どものほうとして承知しておるのは、いずれにいたしましても、沖繩放送公社をきちっとつくって、日本のテレビ施設の受け入れとその運営には支障は与えないという琉球政府の言明を信頼しておるわけでございます。
  154. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうすると、民放二社との関係でありますが、現在、民放を買収して民放一社、公社一社というような計画があることは御存じですか。
  155. 山野幸吉

    ○山野政府委員 そういう考え方のあることは聞いてはおります。
  156. 渡部一郎

    ○渡部委員 それ以外にはどういう考え方がございますか。
  157. 山野幸吉

    ○山野政府委員 これは可能性の問題でありまして、まあ三通りか四通りの考え方がございますけれども、実は相当深刻な問題として現地でいま議論されている問題でございますので、日本政府の立場で、いま、こういう考え方と、こういう考え方と、こういう考え方があって、どれがどうだというようなことをここで申し上げることは私は差し控えたいと思います。
  158. 渡部一郎

    ○渡部委員 日本政府が提供するお金というものは、現地の放送公社ができればという前提です。ところが、現地の話の成り行きではどういうふうに向くかわからないわけです。そうすると、放送公社がどういう形によってできるかによって、先島地区のテレビをどういうふうに渡すかがもう変わってくるわけであります。そうすれば、現地の放送公社の法案の成り行きというものがどうなるかということについてわれわれが市大な関心を持つのは当然だと思うのです。また、その中のどれが妥当かについて関心を持つのも当然だと思うのです。ですから、私は局長に伺っているのですけれども、そのどれを妥当とし、どれを適当と考えておられるか、こう聞いているのであります。
  159. 山野幸吉

    ○山野政府委員 そういういろいろな、沖繩放送公社ができた場合の民放のあり方の問題は、沖繩内部の問題でございまして、私どもとしましては、琉球政府で言っておられますように、沖繩放送公社という公共放送ができて、それが中心になって先島テレビ施設を運営するということをたびたび言明されておられますので、そのことばを信頼しておるわけでございます。ほかの民放の姿がどうなるかということは、日本政府の立場からとやかく申し上げることはいかがかと考えるわけでございます。
  160. 渡部一郎

    ○渡部委員 ところが、そのような問題が起こりましたときに、いまのお話によると、私はさっぱり態度がわからない。そうすると、先島地区のテレビ施設の運営につきましては、公社によってこの先島地区テレビを扱うということを、事実上は局長は、よろしいと、それを認めるという立場でやっていらっしゃるという意味ですか。
  161. 山野幸吉

    ○山野政府委員 先に申しましたように、公社は全琉を放送エリアとする公共放送をやりたいという考え方でございます。しかし、最悪の場合におきましても、どのような事態になろうとも、日本政府から譲渡を受けた先島のテレビ施設の運営に支障を与えるようなことはいたしませんということをしばしば言っておられますから、その琉球政府の言を、信頼しておるわけでございます。
  162. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうすると、先島地区のテレビの運営ができれば、放送公社でなくてもそれを譲渡することはあり得る、こういう意味でございますか。
  163. 山野幸吉

    ○山野政府委員 私どもは琉球政府に譲渡するしけでございますから、したがいまして、もちろんこれが公共的な立場で公正妥当に運営されることは日本政府としても関心は持っておりますが、これがどのようになるか、どういう放送形態にされるか、そういうことを日本政府の立場から申し上げるわけにいかないわけでございます。
  164. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうしますと、日本政府からはその放送形態についてはとやかく指定することはしない、こういう意味でございますね。
  165. 山野幸吉

    ○山野政府委員 そのとおりでございます。
  166. 渡部一郎

    ○渡部委員 それは長官も同意見でございますか。
  167. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 局長の答弁どおりです。
  168. 渡部一郎

    ○渡部委員 それでは私はそれは重大な発言だと伺います。と申しますのは、私が現地の沖繩テレビ等の幹部の方々から伺いましたところでは、現地の民間放送の側におきましては、これに対するきびしい反対論が展開されております。その反対論のおもなものは、現在民間放送側が粒々辛苦して赤字時代からこの放送設備をつくり上げたわけであります。ところが、それに対しまして、ようやく現在の黒字に転化したこの放送施設を公社に一本に移管してしまうということは、一つは、民間企業に対する圧迫と感じられておるのだと了解するのであります。第二番目におきましては、この放送設備そのものに対する規制の問題でありますが、きわめて穏当を欠く強力な公社法というのが用意されておるのでありまして、これは現在立法院においてさまざまな方面から討議をされておるようであります。したがいまして、私は、日本政府予算の都合上公社案でなければ出せないというようなニュアンスが現地に伝わっておりますために、この審議が、自由な審議が妨げられているように感ずるのでありましたが、幸いにして現在の局長並びに長官の御説明によって、テレビ運営が自由になるのであればこれは放送形態を問わぬというような内容のお話を伺いましたので、これは現地において、より自由な立場においてこの問題について討議が行なわれるであろう、こう感ずるのであります。  そこで私はもう一つ申し上げておきたいのでありますが、しからば、このような先島地区テレビ事業について、これを民間のこの二社のうちの一社が琉球政府から施設を借り受けてそうして先島地区のテレビを運営するならば、政府で当初予算に計上しているような経常費の約半分の費用でこれを運営することが可能であるとこれらの民放各社が言っておることを御承知でございましょうか。
  169. 山野幸吉

    ○山野政府委員 いろんなところから、ただいま御指摘になったような意見とか陳情のあることは聞いております。しかし、いずれにいたしましても、沖繩の内部でどのような放送の体制でいくかということは、琉球立法院なり琉球政府がおきめになることでございます。
  170. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうすると、民間放送がこのような先島のテレビ事業を行なうということがもう当然考えられる、そういうことも考えられておかしくない、こういう意味でございますか。
  171. 山野幸吉

    ○山野政府委員 現在進行中の問題でございますから、おそらく、先生がお聞きになりました意見も、最終的な確定的な意見じゃないと思うのでございます。私どもがただいままで聞いてきた意見は、放送法をつくって、沖繩放送公社をつくって、そうしてその公共放送において先島テレビを運営する、こういうぐあいに聞いておるわけでございます。
  172. 渡部一郎

    ○渡部委員 そこで私がさっきから申し上げておるのです。相手もはっきりしなければ、おみやげもはっきりしない。だから、どこのところにお中元を持っていくか、相手がわからないでおみやげを持って出た人と同じことだ。だから、民放というところにおみやげを持っていくのか、公社におみやげを持っていくのかわからない、こんなことになるのでありまして、現地の騒動も同じように起こるのであります。だから、私が言っておるのは、その辺の明確な方針がきまらないでこういう問題を扱うものじゃないし、こういう問題については明確な路線を早く日本政府としては打ち出すのが妥当ではないか、私はこう申し上げておるのであります。  次に私は郵政省関係で伺っておきたいのですけれども、このようなテレビの問題につきまして、公社あるいは民間のいずれの形態でも今後の審議においては考えられると、いま総務長官並びに特連局長が、言わたましたけれども——官房長は来ておられますか。
  173. 臼井莊一

    臼井委員長 竹下官房長は見えておりませんが、舘野郵政参事官が見えております。
  174. 渡部一郎

    ○渡部委員 舘野参事官も、郵政省側の意見も同じでございますか。
  175. 舘野繁

    ○舘野説明員 お答えいたします。  非常に書生論みたいなことを申し上げて恐縮に存じまするが、まずお断わり申し上げておきたいと思いますことは、沖繩援助の一環としましての先島におけるテレビ放送施設の譲渡に関しまして、郵政省は総理府から依頼を受けましてその施設をつくりまして、これを総理府にお渡しするという、建設に関してのみ郵政省は関与いたしておりまして、沖繩の電波行政、放送行政というものにつきましては、郵政省といたしまして、従来も現在も何ら御相談も受けておりませんし、それからいろいろのアイデアを琉球政府に差し上げるというようなことはいたしておりませんので、郵政省としてただいまの御質問にお答えする立場にございませんので、その点御了解いただきたいと思います。
  176. 渡部一郎

    ○渡部委員 この先島地区のテレビ並びに琉球一円にわたるテレビの経営について、民放のある社においては、NHKが直接管理をするというのであるならば、わが社を直ちに譲渡してもよい、こういう意見を表明しておると思うのでありますが、それについてはお聞きになっておりますか。
  177. 山野幸吉

    ○山野政府委員 そういう意見のあったことを聞いています。
  178. 舘野繁

    ○舘野説明員 ちょっと関連いたしまして——先生のいま御指摘のような御意見があったかどうか私たち存じませんけれども、ただいま、御承知のとおり、日本放送協会の設立基本法でありまするところの本上の放送法、それから放送局の免許開設の基本法でありまするところの電波法、これが沖繩に施行されておりませんので、日本放送協会が直接向こうに放送する、あるいは事業を行なうということは全然不可能でございますので、その点は、もしそういう御意見があったとしますならば、何か誤解じゃないかと思います。
  179. 渡部一郎

    ○渡部委員 それじゃ局長はそういう意見に対してどう思いますか。
  180. 山野幸吉

    ○山野政府委員 私が、意見があったことを聞きましたと申しますのは、現地でそういう意見を開いたことがございます、こういう意味で申し上げました。  それからなお、NHKとの関係につきましては、ただいまの答弁のとおりでございます。
  181. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうしますと、今度は、公社ができて、民社をもし買う場合、いま一番可能性が強く議論されておりますが、そういう場合の費用については、これを日本政府からの援助に仰ぐ形になっておるか、それとも、琉球政府が全額負担をするつもりでいるのか、私はその点を明確にしていただきたいと思います。というのは、このテレビの問題がこう出ておりますけれども、その後の出費が計上されておらないで、何だかよくわからないうちにこういう問題が起こってしまうのであるならば、現在出されているこの法律案だけでは私たちの審議する内容とはなり得ない、私はこう思うからでございます。
  182. 山野幸吉

    ○山野政府委員 日本政府の援助を別に予定しているわけではございません。
  183. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうすると、一社に対して四十万ドルとかあるいは六十万ドルとかいわれている金額については、これは琉球政府が全額出すべきだ、こういう日本政府の統一見解であると了承してよろしゅうございますか。長官、いかがですか。
  184. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 ただいまのお尋ねの件は、琉球政府が主体性を持ってなさることでありまするので、日本政府として、目下のところ、そういうことは考えておりません。
  185. 渡部一郎

    ○渡部委員 それは、要請があったら考えるという意味でございますか。
  186. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 先のことはわかりませんが、そういう要請も私はいまのところは考えられません。
  187. 渡部一郎

    ○渡部委員 それから、こんなにもこまかいことまで言わなければならないのは、相手もこっちもはっきりしていないからで、まことに私は不本意であります。まだ私は申し上げなければならないのでありますが、今後テレビ施設の譲渡が行なわれた後において、その番組あるいはテレビ事業の内容等について日本政府には発言権があるのかないのか、あるいは会計監査等の問題についてその権限があるのかどうか、あるいは会計検査等の問題についてその権限があるのかどうか、その三つについてお伺いしたいと思います。
  188. 山野幸吉

    ○山野政府委員 工事そのものにつきまして完成しますと、これは検査をして検収するわけでございますから、その時点でもう日本政府は終わるわけであります。これを譲渡すればいいわけであります。あとの運営上、番組編成とか、あるいはフィルムとかビデオ、そういうものの供給の問題、そういうようなことは、琉球政府のほうの要請があれば、あるいはNHKのほうで協力なさるかもしれませんし、もっぱら琉球政府の意向によってきまることでございまして、日本政府からとやかく申し上げるわけにはいかないのでございます。
  189. 渡部一郎

    ○渡部委員 それでは別の問題に移りますが、去る二月ころ、アメリカのの民政官が、沖繩の公社に対して新たなテレビチャンネルを割り当てようかというような話があったということでありますが、それについて郵政省では了知されておりますか。
  190. 舘野繁

    ○舘野説明員 実は現地発行の新聞においてそういうことが出ていたのを私拝見したことがございます。
  191. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうしますと、特連局のほうではその件は御存じありせせんですか。
  192. 山野幸吉

    ○山野政府委員 私のほうは特に聞いておりません。
  193. 渡部一郎

    ○渡部委員 もしそういうようなお話が具体的にあるのであるならば、この際チャンネルのワクを拡大しておくことが、将来の沖繩のためにも日本政府のためにも非常に良好であると考えますけれども、いかがでありますか。
  194. 舘野繁

    ○舘野説明員 お答えいたします。  沖繩で使いますチャンネル、電波の監理は、第一次的には琉球政府、それから、聞くところによりますと、民政府との協議があるそうでございますが、要するに、沖繩の電波法に基づきまして琉球政府の監理になっておりまして、これは日本の電波監理をいたしております郵政省の行政外のことでございますので、その事実が、たとえば新聞紙等によって私たち承知いたしましても、それに対しましてどうこうということは、何の行動も起こし得ませんし、また、はっきり申しまして、日本の電波行政、放送行政のらち外のことにただいまなっております。したがいまして、それぞれ個人といたしましては、そういう手だてがあれば望ましいであろうとか、あるいはどうであろうかというようなことでごいざますけれども、日本政府の電波担当の郵政省といたしましては、別に意見あるいは感想を申し述べることはないわけでございます。
  195. 渡部一郎

    ○渡部委員 それでは、あと二種類質問を申し上げたいと思うのですが、一つ放送の検閲の問題であります。  この「放送法に関する琉球政府の立法勧告書要綱」によりますと、その第三の「放送番組の編集の自由と責任等」の中において、二番に、「放送番組の編集および放送は、次の定めによること。イ  公安および善良な風俗を害しないこと。ロ 政治的に公平であること。ニ 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、ホ 人命もしくは人権を軽視し、または犯罪もしくは暴力を肯定することとならないようにすること。ヘ 青少年の豊かな情操の育成、健全な常識の発達その他人格の向上に役立つようにすること。」こういうような規定が含まれております。この規定については、前回放送法の改正案が提出されて、衆議院内における審議において、評判が悪くて否決になった部分とホ、ヘの部分が同一であると思いますが、いかがでありましょうか。  また、第一の目的の部分でありますが、目的の部分の中に「次に掲げる原則にしたがって、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」というところのうちの「二 放送のもつ教育的機能を通じて、教育の目的の実現と住民の一般的教養の向上に資するようにすること。」とありますが、これも放送法の改正案のこわれた部分と同じでありまして、私はこの部分について同じであると思いますが、いかがでありましょうか。
  196. 舘野繁

    ○舘野説明員 郵政省の職員といたしまして存じ上げていることだけを申し上げますと、御指摘のように、この要綱にありまする第一の目的、イロハニのニは現行法にございませんで、昨年政府から提案いたしました放送改正案に入っていた部分でございます。  それから「放送番組の編集および放送は、次の定めによること。」のところにおきましては、イ、ロ、ハ、ニ、これは本土の現行放送法そのままでございまして、ホ、ヘも、昨年度改正案を出しまして審議未了で廃案になりましたものに入っていたものでございます。
  197. 渡部一郎

    ○渡部委員 そういたしますと、私は、このような日本の国会において否決されたような文章がそのまま現地のほうに加わっておる、こういうのはまことに妥当でないように思いますが、いかがでございましょうか。
  198. 山野幸吉

    ○山野政府委員 この放送法につきましては、沖繩の立法院で御審議になるわけでございまして、政府のほうの立場からとやかく申し上げるのは適当ではないと考えます。
  199. 渡部一郎

    ○渡部委員 そこで、私はこれについては長官にお伺いしたいのでありますけれども、われわれがお金を出して、そしてそのわれわれのお金を出したことが放送法の改正を招き、あるいは公社のこういうことを招く以上、沖繩の放送に関してわれわれは責任を持つ立場であります。したがいまして、私は長官に対して、当国会においても、きわめて人権をあるいは棄損する内容を含んでいるところのこういう放送法に対してはどういう感想を持たれるか、それを一言伺っておきたいと思います。
  200. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 昨年国会において放送法、電波法が出されました際にはいろいろないきさつがあったことも私はよく聞いております。しかし、詳細は存じ上げておりませんが、それをもって直ちにどうこうということは、私はいま申し上げようとは思いません。  なお、沖繩の立法院で御審議願っていることにつきましては、やはり私のほうからとかくの批判はすべきでなく、良識をもって立法院においてこれらの扱いを決定すべきものである、私は、このように考えております。
  201. 渡部一郎

    ○渡部委員 その良識という意味は、あくまでも人権を侵害せず、また、あくまでもこの地域において善良な風俗が害されることなく、また、政治的に公正な立場がとられるべきである、そういう意味に理解してよろしいでしょうか。
  202. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 沖繩の立法院が自主的にこの問題を取り上げるものと私は信じております。
  203. 渡部一郎

    ○渡部委員 いま公正にこの審議をと言われたのは、それについてはあくまでも報道の事実を曲げないでそうして沖繩の人々のしあわせを願う立場で行なうべきであるという意味でございますか。
  204. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 そのとおりでございます。
  205. 渡部一郎

    ○渡部委員 そこで、私はもう一つ長官にこれは先に伺っておきたいのですが、この先島地区のテレビ放送かもし施行されますと、先島地域については公社がNHKと同等の料金を取ることを放送法においては認められておるわけであります、そのうちの料金の取り方については、日本の料金とは全く違ったところの、税金の取り方と同じようなやり方で、この公社に対するお金を全島的にわたって取るというような案がこの中には出ておるわけでありますが、これについては長官はどう考えられますか。
  206. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 その料金の問題、法案の内容でありまするから、これはやはり琉球政府がおきめになることで、私がとやかく申すべき問題ではないと考えております。
  207. 渡部一郎

    ○渡部委員 私がさんざん申し上げたのは、この場ではお答えになりにくい問題かもしれないと思います。しかし、私はこう思うのでありまして、少なくともお金を出すスポンサーのほうが、何も意見を言わないでお金を出すということは、世の中にはあり得ないのだし、また、いままでの通例を見ましても、日本政府はなかなかどうしてがっちりいろいろなことをおっしゃっておることは明らかです。私はいろいろ調べて拝見してまいりました。たとえば、地方の市町村に対するところのお金の出し方一つについても、ちゃんと用途から大きさまで指定をなさる、かつまた、パーセンテージまでがっちり指定をなさっておる。総務長官が、この問題だけに関しては、ウサギのようにしとやかに、何もおっしゃれないとおっしゃるのは、私は全然うなずけないのであります。だから、この問題については、私は、こういう料金の取り方、料金体系のあり方というものが問題になってくることは必然であり、それに関して良識ある立場をとるよう勧告なさることが必然だと思うのでありますが、この点いかがでありますか。
  208. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私は、性格上、相手の人格を非常に信頼し、自主的に処置されることを望んでおることでございますので、何か私に対していまおことばがありましたが、それは間違っておるのではなかろうか、私は今日まで自分の立場としてそういう立場を堅持してまいったつもりでございます。どうぞひとつ誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。  それからなお、料金の問題でございますが、繰り返すようでありますけれども、向こうの立法院が自主的にこの問題を取り扱って、まさか批判をされるようなことはない、かように私は考えておりますが、もし非常に批判が出るようなことでもありましたならば、はたしてどういう筋でこのことを申し上げていいのかわかりませんが、私の考えを申し上げる機会でもあれば——そういう機会もあろうと思いますが、私はそういうことはないというふうに考えております。
  209. 渡部一郎

    ○渡部委員 長官、最後にもう一つ伺いますが、前にNHKで沖繩テレビのほうにニュースあるいは番組を非常に多く提供されておった。多いときには四十数%にのぼるまで提供されておった。ところが、その当時、クリアランスルームというのがアメリカ側にあって、そのNHKの放送は検閲されたという事実がありますか、それについてちょっとお伺いしたい。
  210. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 いまうしろを振り向いたような状況であって、私はそれは初耳でございます。聞いておりません。
  211. 渡部一郎

    ○渡部委員 私はこの次までにちょっとお調べを願いたいと思います。そういう問題についていまうわさが立っておる以上は、この問題について検討していただきまして、番組の提供が、米国の民政府あるいは米国の行政下において検討されておるかどうかについて伺いたいと思うのでありますが、どうでしょう。
  212. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 全くの初耳でありますから、どういうふうになっておりますか、関係の役所によく聞いてみましょう。
  213. 渡部一郎

    ○渡部委員 その問題については次回に御返答をお待ちすることにしまして、長官はけっこうです。  それでは質問をもう少し続けさせていただきますが、先島地区のテレビの施設ができました際の料金収入についてはどういうふうに聞いておられますか。
  214. 山野幸吉

    ○山野政府委員 料金の問題を含めまして、いま運営全体の問題で検討中でございまして、確定的にこうする、こうだということになっておるとは私は聞いておりません。
  215. 渡部一郎

    ○渡部委員 それではさらに伺いますが、現在沖繩の全島にわたっては、テレビの料金は徴収されておりますか、おりませんか。聴視料というもののたぐいは取られておるか、おらないかを伺います。
  216. 山野幸吉

    ○山野政府委員 これは御案内のとおり民放でございますから、聴視料は取っていないわけでございます。
  217. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうすると、民放において聴視料を取っていない地域に対して今度公社が施行されるということは、事実上において沖繩全体に対して料金を取るという形になると予想されるかどうか、伺いたいと思います。
  218. 山野幸吉

    ○山野政府委員 原則的にそういうぐあいになると思います。
  219. 渡部一郎

    ○渡部委員 そこまで御存じで、また予想がされるものでありますならば、これが沖繩の各層に対してかなり強い波紋を呼び、あるいは抵抗を生むことは当然ではないかと思うのですが、そのことについてはどうお考えでございますか。
  220. 山野幸吉

    ○山野政府委員 別に逃げるわけではございませんけれども、いま当面の焦点になっている問題でございますから、日本政府の意見としてどうだこうだと、それを批判することはどうかと思いますが、しかし、公共放送をつくりまして、サービスを充実してそしてそれにふさわしい料金を取ろうという考え方は、妥当なものと私ども考えております。
  221. 渡部一郎

    ○渡部委員 妥当なものだとは考えないですか。
  222. 山野幸吉

    ○山野政府委員 考えています。
  223. 渡部一郎

    ○渡部委員 では伺いますけれども、きょうこんなにこまかいところまでいろいろ伺わなければならなかったほど、この法律が、要するにずさんなことになった原因一体どこにあったかという問題でございます。私はこの際はっきりしておきたいのでありますが、私の光電議員が先ほどから法律論を厳格に展開されていろいろ御質問をされました。その法律論のもたらす結論が、いまのこのようなことを一々聞かなければならなかった原因だと私は考えるのでございます。つまり、相手がわからなくて、中身が不明のところへお金を出すというやり方が行なわれた。これは財政法の点からいっても非常に問題であるし、こういうやり方が行なわれるならば、今度は琉球政府との間の関係が非常に不明確な中において、まるでつかみ金のようなやり方でお金が出される先例をつくるのではないかということを私はおそれるのでありすす。したがって、琉球政府のものの考え方もいろいろあるではありましょうけれども、また、琉球政府が単独でものができるのではなくて、アメリカ民政府の指揮下にあることも、米高等弁務官の指揮下にあることもよく存じておりますけれども、今度このようなたぐいの法案を出される際においては、もっとあらゆる問題を煮詰めた上で当国会に提出されるのが妥当なのではないか。たとえば、うちはお金だけ出せばいいんだといったって、お金を出した先がこのようにいいかげんなやり方では、私は、ほんとうのことを言ったら、金の出しようがないと思うのであります。したがいまして、今後においてはこういう問題はもっと明確にしなければ、せっかく善意をもってわれわれが出したお金というものが、現地政府の使い方によって甲論乙駁が行なわれる。われわれがせっかく先島地区のテレビを施行して喜んでもらおうと思っていたことが逆になってしまって、先高地区のテレビはありがたいけれども、テレビをめぐっての大紛争が起こる、それはわれわれ本土にいる日本人のとらない考え方ではなかろうかと思うのであります。そうすると、その責任一体だれが負わなければならないのか。私は当国会であると思うのであります。したがいまして、私はこの先島地区のテレビについては強力に一刻も早く推進したいという考え方を持っておりますけれども、私はいま申し述べた私の疑問点が幸いにして杞憂に終わることを望むのであります。沖繩の経済援助全般にわたって私はさらに論を展開したいのでありますが、それは今回は申し述べないことになっておりますので申し述べませんけれども、全般にわたってこういう傾向が見える。要するに、よくわからないことに金が出される、よくきまってないことにお金が出される、そうしてむだなこと、効果のないところへ使われてしまう、そういうおそれを多分に感ずるのであります。今後におきましてはほんとうに地元のためになるようなお金の出し方、そのためにもっと厳密にあらゆる資料を整えて検討するということが大事ではなかったか、私はこう思うのでありまして、今回先島地区のテレビがもたらすところの大きな現地に対する波紋を考えますときに、私はこれを強く要望しておきたいと思うのですが、それに対する見解と今後の決意を伺っておきたいと思います。
  224. 山野幸吉

    ○山野政府委員 渡部委員には現地をいろいろ御視察になりまして、直に現地の実情に触れられての御批判で、いろいろ私どもにも参考になる点があります。しかし、日本政府としましては累年相当多額の援助費を沖繩に注いできておりますが、その執行の結果は、会計検査院等の検査を通じましてもおおむね適正妥当に執行されておるのであります。したがいまして、私どもは、このテレビ施設につきましても、琉球政府責任をもって公正妥当な運用をはかる、こう、言明されましたそのことばを信頼して、これが先島住民のテレビサービスのために十分な権能を発揮することを強く期待しておるわけでございます。
  225. 渡部一郎

    ○渡部委員 私が少々不満に思いますのは、いまの御返答の中には、琉球政府を日本政府のほかに考えられるような考え方が濃厚ににおってくるので、ちょっと気に入らないのであります。それは何かといいますと、琉球政府自体というものが、政府という名前こそついておりますが、米民政府下におけるところの特殊な形態であります。この琉球政府のやることについては、アメリカの強力な抑制あるいは強力な制御下にあるのでありまして、アメリカ政府に対して少なくとも対等でものが言えるのは日本政府だけであります。したがって、アメリカ政府に対して私たちがある程度カバーをし、こういう問題の先の先まで考えるということにならなければ、それは本土政府として——向こうでは本土政府と呼んでおって、日本政府とは呼ばない。そのような本土政府考え方としては、きわめて冷たいものの考え方ではなかろうか、私はそう考えるのであります。  私はもうこれでけっこうであると思いますけれども、今後の問題といたしまして、どうかこういう問題の一つ一つについても十分の御検討を加えられるように——今回の審議にあたっても、資料がまことに不足でありました。というのは、単なる法案一枚しか渡されてこない。そうでなくして、これに伴う公社のほうのいろいろな考え方審議経過もこの際資料として出していただきたい。これは委員長にお願いしたいと思うのですけれども、今後においては、こういう問題の関連する事項については、かなり幅広く資料を取り寄せていただきたい、こう要請するのですが、よろしゅうこざいましょうか。——それでは、この問題につきましては私の質問はこれで終わらしていただきます。
  226. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  227. 臼井莊一

    臼井委員長 速記を始めて。  それでは、他に御発言もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十二分散会