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1967-06-13 第55回国会 衆議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十三日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 小渕 恵三君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 竹下  登君 理事 丹羽 兵助君    理事 川崎 寛治君 理事 永末 英一君       大村 襄治君    上林山榮吉君       谷垣 專一君    古屋  亨君       石橋 政嗣君    西風  勲君       横山 利秋君    門司  亮君       渡部 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         外務省北米局長 東郷 文彦君  委員外出席者         郵政大臣官房郵         政参事官    館野  繁君     ————————————— 六月十三日  委員森清辞任につき、その補欠として谷垣專  一君が議長指名委員に適任された。 同日  委員谷垣專一君辞任につき、その補欠として森  清君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月九日  宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン  放送に必要な設備譲与に関する法律案内閣  提出第八二号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン  放送に必要な設備譲与に関する法律案内閣  提出第八二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  去る九日本委員会に付託になりました宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備譲与に関する法律案参議院送付)題とし、審査を進めます。  本案は、去る七日すでに提案理由説明を聴取いたしております。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渕恵三君。
  3. 小渕恵三

    小渕委員 ただいま議題となっております宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備譲与に関する法律案につきまして、政府に若干の質疑をいたしたいと思います。  まず、ここに一文があるのですが、それは「当地に参る一週間前私は東京の総理官邸で、かわいい宮古豆記者諸君に囲まれました。宮古から夏休みを利用して本土を訪れた中学生のみなさんでした。おカッパ頭をまじえたかわいいみなさんの代表が「私の島では日本テレビが見られません。早く日本テレビを見られるようにして下さい。」といわれました。私は、この小さい人々の言葉に先島のみなさんのすべての声を感じたのであります。みなさん方の強い要望でありますテレビ局の設置を早速取上げ、できるだけ早く本土と同じ番組をみられるようにこれを実現したいと考えております。」これは一昨年の八月に総理宮古あるいは石垣にまいりましたときに、その空港であいさつをした文句の主要な部分であります。  今回政府提案をされておりますこの法律案につきましては、すでに予算的な処置は四十二年度予算でその建設については決定を見ており、すでに工事も着工し、完成に向かって進んでおるわけでありますが、この法律も、この完成に伴ってその施設等琉球政府譲与するという法律であります。これが一貫した一つの流れとして——政府提案してきましたその底に流れる精神としては、まずこの総理発言も、その一環として、あるいはその発端となったということは言い得ると思いますが、そのとおりでございましょうか。
  4. 上村千一郎

    上村政府委員 小渕委員のおっしゃるとおりでございます。
  5. 小渕恵三

    小渕委員 今度テレビが見られるようになります沖繩におけるいわゆる先島と称せられる島々につきましては、私も何度も明地に行ったこともありますし、院からは、逓信委員会視察団現地に参りましてその状況をつぶさに視察し、一日も早くその期待にこたえるよう努力をいたしておることは当然であり、私どももできる限り早い機会テレビ視聴が可能になることをこいねがっておるわけであります。  ちょっと話はそれるのでありますが、この前この委員会でも少し出ましたが、沖繩では、本島においてはテレビ視聴は、三十九年だったと思いますが、可能になってきておるわけであります。しかしながら、本土におけるニュース、そういったものは、沖繩人たちにはなかなか十二分に把握できないという感じが幾分いたすわけであります。本委員会でも同僚議員から指摘をされましたが、いつぞや東大の沖繩調査団というのが沖繩に参りまして調査した結果があります。そこで、これは調査内容一つでありますが、設問として、沖繩本土復帰積極的役割りを果たしたのは何かということで幾つか列挙されておるのですが、その中で、本土における新聞あるいはラジオテレビ、こういうものがどの程度沖繩人たちに訴えられているかという点では、本土新聞はわずか〇・九%、ラジオテレビが一・三%、こういう数字でありまして、直接本上からいくラジオテレビあるいは新聞、こういったものによる本土復帰に対する役割りを聞いたわけでありますが、その役割りに対してのパーセンテージがきわめて少ないわけであります。そういった観点からも、できる限り本土におけるほんとうの姿というものが、こういうテレビを通じて沖繩人たちに実際の形で訴えられるということをこいねがう一つ理由でもあるわけであります。  それからもう一つ、きょうは注文でありますが、外務省の方はおられますか。——おられなければ、発言だけにとどめておきますが、これも日本雑誌に出ておったのですが、できる限り本土における実際の姿というものを沖繩人たちに知ってもらいたいという意味で、口に触れましたものですから、あるいはほんとうであればお考えを願いたいと思うのです。  四月の二十八日に、講和条約が締結されて十五周年だ、こういうことで、沖繩の代表的な報道機関であります二つの会社が外務省記者クラブのメンバーに入った。それに対して外務省の高官が、一種籍口令をしくようなと誤解をされるような発言をしたということが雑誌に出ておりました。私ども、できる限り本土の実際の姿というものを——テレビを映すということもその一環でありますが、新聞記者に、そういうことを話さないようにとは言わぬと思いますが、それに疑わしきような発言はできる限り慎むと同時に、もっともっと積極的に外務省のあり方というものをPRすべきが当然ではないかというような感じがいたしておりますので、冒頭指摘をいたしておきたいと思います。  そこで、この内容に入らしていただきたいと思います。  まず、テレビ放送のこの設備琉球政府譲与するために特別な立法をここに行なうわけであります。それにつきましては、この法律案提案理由説明の中にも、財政法九条にのっとることもできない、同時に、国有財産法二十八条あるいは物品無償貸付及び譲与等に関する法律も適用できないから、こういう法律を特につくるのだ、こういう主張がされておるわけでありますが、いま少しくこの法的な根拠について御説明をいただきたいと思うわけであります。
  6. 山野幸吉

    山野政府委員 ただいま御質問ございました点は、現在の財政法第九条第一項によりますと、「国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」こういうことになっておりまして、これに基づいて、いま御指摘ございましたように、国有財産法二十八条に無償譲渡の場合が規定してございまます。この譲与できる場合が四つ制限列挙してございますが、これはいずれも公共団体及び私人に対して無償譲与等をする場合のことを限定的に列挙してございます。また、物品無償貸付及び譲与等に関する法律の第三条の規定によりますと、災害救助物資等につきましての無償譲与できる場合が、八つの場合に限定されて列挙してあります。これらのいずれにもこの場合は該当いたさないのでございまして、いま御配付申し上げました資料にも、過去の立法例二つばかり掲げてございますが、国で今回建設いたします国の財産である先島のテレビ放送設備琉球政府譲与する場合は、そのいずれにも該当いたさないのでございまして、したがいまして、今回特別立法をいたしまして御審議をお願いすることにいたした次第でございます。
  7. 小渕恵三

    小渕委員 なるほど、ここにも二つ立法例が列挙されておりますけれども、将来沖繩には相当のこうした貸与物が出てくるのではないかという気がしますし、また、そうあってしかるべきであるかもしれません。そういったときに、逐一法律をもってこうした貸与物を明らかにしていくよりも、むしろ、沖繩に対する貸与物に関しては一切一つ法律で許されるような法律をつくり上げる意図、気持ちはありましょうか。
  8. 上村千一郎

    上村政府委員 小渕委員がおっしゃるように、いろいろ一括してやるというようなことも考えなければなるまいだろう。けれども、御案内のように、沖繩の地位、いろいろな法律関係というものは、特殊な事情でございまして、どうしてもケースバイケースというような方式をたどるよりほかないような実情にいまなっておるわけです。そういうわけで、ただいまこの先島のテレビ設備に関しまして、単独立法として、宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備譲与に関する法律案、こういう案を御審議賜わるということになってきた。そうすると、次から次へとこれから起きた場合に、みな単独立法でいくということになるときわめて煩瑣じゃないか、こういうような御意見、はなはだごもっともではございますが、今後いろいろ検討いたすことにいたしまして、いまのところケースバイケースというような状態になっておりますのは、沖繩の特殊ないろいろな状態にもございますので、慎重に検討しながら進んでおるというわけでございます。
  9. 小渕恵三

    小渕委員 御説明のとおり、やはりケースバイケース考えなければならぬということも理解できます。願わくは、ケースバイケースであっても、将来ともそういった場合がさらに出現することもこれまた希望して、法律的な問題につきましてはこれにてとどめ、次に、先島地区のテレビジョン放送施設建設がすでに始まり、十一月ですか完成を見ようとしておるわけでありますが、その進捗状態につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  10. 館野繁

    館野説明員 お答えいたします。  この工事は、昨年の十一月着工いたしまして、ただいまのところ、建築物工事が約八割方現地でできております。一方、送信設備その他、この機械設備類は現在内地で作製中でございまして、これが内地ででき上がりまして輸送にかかりますのが八月ごろの予定でございますが、そのあと現地で据えつけるというようなことで、完成電波発射が十一月ということの予定でございます。
  11. 小渕恵三

    小渕委員 この設備運営についてちょっとお伺いしたいのですが、運営主体はだれになるかということについてお伺いします。
  12. 上村千一郎

    上村政府委員 運営主体でございますが、これは実はただいま御審議を賜わっておりますところの法案が国会で成立をいたすということに相なりますと、結局、琉球政府のほうでは、この先島テレビ局の開局を機会に、本土放送法におおむね準拠いたしましたところの放送法立法府に立法勧告をいたしまして、そしてこの法案成立を待って、公共放送——政府出資による沖繩放送公社というようなものを設立いたしまして、それに運営を行なわさせる、こういうような方針になっておるわけでございます。
  13. 小渕恵三

    小渕委員 その公社の目的は、もちろん、その運営を円滑にして聴視者の利便をはかっていくことだと思いますが、その公社は、先島だけのテレビ聴視に関する公社となるわけですか。
  14. 山野幸吉

    山野政府委員 これは小渕委員も御承知のとおり、いま沖繩には公共放送がございませんで、全部民間放送でございますが、ただいま副長官からお話がございましたように、先島テレビ局置局機会にこの沖繩放送公社という公共放送をつくりまして、将来は、大体目標を六九年に置いておるようでございますが、六九年には全琉を放送エリアとする公共放送に持っていきたいということでございまして、そこまでいく間に、当面先島だけにするのか、あるいは一部本局を含めるのか、そういうことはまだ詳細な計画まではいま審議中でございますけれども、一九六九年の一月一日からは全琉をエリアとする公共放送に持っていきたいというのが、この放送法審議の過程で琉球政府が明らかにされておる構想でございます。
  15. 小渕恵三

    小渕委員 そうすると、いまの時点で考えられることは、その公社仕事内容放送エリアというものは先島だけを考えておる、将来においてはその公社がオール沖繩にその範囲を広げていく、こういう気持ち立法を推進するように勧告しておる、こういうことですか。
  16. 山野幸吉

    山野政府委員 いま御指摘いただきましたようにはっきりきまっておるわけではございませんで、御案内のように、先島の人口は約十二万、戸数でいって二万五千でございます。したがいまして、それだけを対象にすると、経営上なかなか問題があるという問題もありまして、おそらく琉球政府のほうとしては、できる限り早く全琉をエリアとするものにしていきたいという考えだと思いますが、民放等との御相談の結果どういうぐあいに持っていかれるかは、ただいま申し上げましたように、目下琉球政府部内で検討中でございます。
  17. 小渕恵三

    小渕委員 いまもお話にありましたように、これは琉球政府の中の問題だと思いますけれども民放との関係もいろいろあるわけでございますので、現時点におきまして日本政府として琉球政府立法勧告をしておるのは、公社をつくるということについてはそのとおりであり、その公社仕事範囲については先島に限定しておる、こういうことで了解してよろしいですか。
  18. 山野幸吉

    山野政府委員 ただいま申しますように、放送法の中に規定されております沖繩放送公社営業範囲等につきましては、先島を含めることは、これはいかなる場合においても当然含まれる、これが当面の主体になると思いますが、一九六九年の一月を待たないでも、できるだけ早く全琉を放送エリアとするものにしたいという方針民放お話し合いになっておるという状況でございます。
  19. 小渕恵三

    小渕委員 それでは、ちょっとこまかいことを確認しておきたいと思うのですが、一つ放送エリアの問題です。  宮古八重山とも群島と称しておるわけでありますので、いろいろな島があると思うのです。こういう島々も、このエリア——規模がいろいろむずかしいと思いますけれども、すべてカバーするものでありますかどうか、お伺いします。
  20. 館野繁

    館野説明員 お答えいたします。  ただいま施設建設をいたしておりますその計画におきましては、いわゆるカバレージ九九%をこえるものを計画しておりまして、世帯数からいいますと、ほとんど全世帯がカバーできる施設となっております。
  21. 小渕恵三

    小渕委員 それから、この放送ビデオ空輸でやるのだと聞いておりますけれどもマイクロ回線による直放送、ダイレクトの放送、こういうことも考えられないかどうか、この点についてお伺いします。
  22. 館野繁

    館野説明員 お答えいたします。  テレビ番組マイクロ回線電送ということになりますと、マイクロ波周波数帯、それからそれの幅ということが非常に限定されまして、ただいまのところでは、本島から先高までテレビ番組電送ができる程度周波数帯及び周波数帯の幅というものはとることが非常に困難でありますので、マイクロによる直接の電送ということは、ただいまのところ考えておりません。
  23. 小渕恵三

    小渕委員 その不可能の理由ですけれどもお金がなくて、お金をかければ可能だ、こういうことなのか、その他何かの理由がそこに存在するのか、その点お伺いしておきます。
  24. 館野繁

    館野説明員 お答えいたします。  まず、これは御承知のとおり、電話回線マイクロ——常識的に、マイクロ波帯と申しましても、非常に広い周波数帯でございますが、そのほうの低い周波数帯を使いまして電話回線計画は現在あるわけでございます。それは大体二千メガサイクル帯を予定しているようでございますが、テレビ電送のためには、少なくとも低くとも四千メガあるいは六千メガといったような高い周波数帯電波を四メガ、五メガというように幅広く伝搬させなければなりませんですけれども本島と先島の間、宮古の間二百八十キロでございますが、これを直接伝搬させるということは、現在の電波技術上、この周波数帯の特性から非常に困難でございますし、それから非常に技術的に不経済なと申しますか、非常に膨大な、何十億という施設を使えば、質の悪いテレビ電送は限時的には可能だと思いますけれども経済的な面と実際の画質の面からいいますと、これはほとんど使いものにならぬというような結論になって、ただいまのところは、番組を送りますのは空輸というものを想定して設計をいたしております。
  25. 小渕恵三

    小渕委員 お聞きしますと、資金の面からではなくして、技術的な点からなかなか困難だ、こういう御説明であります。この点になりますと、将来の技術の開発を待つよりいたし方ないと思いますので、その点につきましては大いに期待をしておきたいと思います。  そこで、いま電波関係では沖繩でアメリカの軍事的ないろいろな電波が使用されておると推定されておりまして、そういったレーダーによって、混信といいますか、そういうものは、今回の放送については、ビデオで送るということからして、関係を持たないものか、あるいは鳥の中におきまして、そうしたレーダーその他の電波関係のものと障害関係を起こすという危険性はないか、この点についてお伺いします。
  26. 館野繁

    館野説明員 お答えいたします。  一般的に申しますと、近所で使われています無線電波状況がわかりませんと、このテレビ局送信所建設設計はできないわけでございまして、必要な限りにおきまして、琉球政府を通じまして米国民政府と折衝していただきまして、その関連の機械設計いたしますに必要なチャンネルの選択をいたしたわけでございます。ただいままでのところ、米国民政府から沖繩政府に対する通知によりましても、局内において米政府あるいは米軍その他沖繩の中でたくさんの漁船その他の無線が使われておりますが、それらの一般無線との混信関係もないということを確かめた上で工事にかかっておるわけでございます。
  27. 小渕恵三

    小渕委員 それから、これが完成した暁におきましては、御承知のように、先島も含めて沖繩台風銀座とよくいわれますけれども台風が来た場合に、その設備施設その他のものが、塩害とか、こういうものに影響されることのないように万端整えておると思いますがこの点についてもお伺いしておきます。
  28. 館野繁

    館野説明員 御指摘のとおり、とにかく島にサテライト局中継局等を賢くわけでございますから、風及び塩害等のことにつきましては、詳細現地状況琉球政府からも教えてもらい、また、内地から二度派遣いたしました現地調査団におきましても、その点を十分調査いたしまして対応する設計をしておるわけでございます。
  29. 小渕恵三

    小渕委員 それから、ちょっと触れなかったのでありますが、一応お聞きしておきますが、工事内容、それから工事費、これについてお伺いしておきます。
  30. 館野繁

    館野説明員 お答えいたします。  工事内容といたしましては、宮古島と石垣島に、番組をつくる施設、すなわちスタジオ施設を持ちましたところの放送局それぞれ一カ所ずつ計二局でございます。そのほかに、無人中継局、普通、サテライト局と呼んでおりますが、これを三局、西表、与那国、それから石垣島本局電波の行かないところに一カ所、計三カ所、都合五局をもって矢島全域をカバーすることにしております。  なお、経費は、昨年四十一年度予算におきまして二億一千七百万円、それから四十二年度予算におきまして四億九千七百万円、計七億一千万円の予算を承認いただいておるわけでございます。
  31. 小渕恵三

    小渕委員 そうしますと、予定変更もなく、それから予算面でも一切の変更をさせず工事は着々として予定のとおり進んでいる、こういうことですね。
  32. 館野繁

    館野説明員 ただいまのところ、そのようなことでございます。
  33. 小渕恵三

    小渕委員 以上、概要についてほぼお尋ねをしたわけでありますが、最後に総務長官にお伺いいたすわけでありますが、テレビの局もできたということでありますし、そのフィルム等輸送の問題も問題はない、こういうことであります。しかし、放送する施設ができましても、言うまでもなく、テレビというものは、受ける方のテレビのセットがなければ見ることができないわけでありまして、冒頭申し述べましたが、総理沖繩に参りましたときの発言にもありますように、そういうものが一日も早く見られるようにということを強調されておるわけであります。率直に申し上げまして、本島と先島の問題をいろいろ考えましたときに、格差といいますか、必ずしも所得の平均化がされておるという感じはいたさないわけでありまして、十二万の方々がすべて見られるということは言い得るけれども、見ることができるかどうかということになりますと、今度は受像機関係でなかなか問題も起こってくると思うのです。せっかく日本政府がこの放送施設譲与して、見ることのできる体制だけはとったわけであります。今後、援助そのほかの形におきまして、公共機関を優先することもけっこうでありますが、受像機をできる限り貸与あるいは譲与するような方向にお考えを持っていっていただきたいという気持ちもいたしておるわけであります。この点につきまして長官の御意見を拝聴したいと思います。
  34. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 佐藤総理沖繩に参りましたときに、非常に強い御要望がこのテレビの問題であったことは、たびたび論議されておるところでございまするけれども、今回日の目を見るに至ったことは、まことに喜ばしいことでございます。しかしながら、いま小渕委員のおっしゃるように、必ずしも全部の者が各家庭において見ることができるかどうかという御懸念でございますが、私もそれはあると考えております。しかし、受像機を買うことについての援助ということになりますと、これは検討しなければならないと思いまするが、要は、その地方の方々経済の発展と申しますか、そういうものも十分考えていかなければならない。施政権が全面的に返還されるまで、本土との格差をなくするということをたびたび強調いたしておりまするが、経済の向上を願うと同時に、それでもなお願望が達せられないときの措置については、なお検討をしなければならない問題であると考えております。
  35. 小渕恵三

    小渕委員 もちろん、受像機を買うのは個々の家庭でありますので、それに逐一援助をするということは筋違いだということもわかります。当面、先ほど申し上げましたように、公共機関その他におきまして、できる限り何らかの形での援助というものが可能であれば、御検討賜わりたいと思います。こうしたりっぱな施設ができることは、この上ない喜びでありますし、これを本土政府の力によって譲与してこれが利用されるということも、これまたきわめて望んでおる状況であります。願わくば、一日も早く完成し、りっぱなものができ上がって、地元の方々に大いに富んでもらえるように私ども期待をして、質問を終わりたいと思います。
  36. 臼井莊一

  37. 古屋亨

    古屋委員 ただいま小渕委員からお話しになりまして、大体了解をしたのでありますが、一体これはいつからできると思えばいいんですか。現地の人が見えるようになるのは大体いつか、それをまずお伺いしたい。
  38. 山野幸吉

    山野政府委員 ただいまのところ、十二月から可能である、かように考えております。
  39. 古屋亨

    古屋委員 先島の人が非常に待望しておりますテレビを十二月から聴視できるということは、非常に喜ばしいことと私も考えておる次第でございます。しかしながら、十二月から開始されるのは、ただいまお配りになりました琉球政府法案が通ることを前提としておるのですか。そういう施設をせっかくこちらが十二月までに完成して向こうにお渡しになっても、沖繩のほうの立法院でこの法案が通過しなければ、あるいはその辺のいろいろな問題があれば、それがおくれるのであるかどうか、その辺の見通しはいかがでしょうか。
  40. 山野幸吉

    山野政府委員 御案内のことと思いますけれども、この放送法内容といたしまして、公共放送民放との調整問題がございまして、今後いろいろ検討されると思いますが、先般沖繩へ行きまして、行政主席はじめ御意見をいろいろ承ったのですが、琉球政府といたしましては、いかなることがあっても、先島の日本政府のつくられたテレビ施設を活用するために必要な受け入れ体制は、この放送法を通すことによって必ず間に合うようにしたい、そのつもりで日本政府工事を進めていただいてけっこうですという御意見でございますので、私ども立法院で放送法成立するものと考えております。
  41. 古屋亨

    古屋委員 御承知のように、現在民放ラジオ二つテレビ二つ沖繩にあるようでございますが、これと今度できる公社の調整ということは、いままでも現地側で非常に苦労されておりますが、大体いまのお話で見通しがついたようでございまけれども、現実の問題として、こういう二つテレビ二つラジオという民放のほうは、公社というものに対して協力するというか、あるいは別の形でいくのかもしれませんけれども、そういう問題、並びに、先ほどの質問にもありましたように、公社はとりあえず先島だけをやるのか。六九年の一月一日までには全部やると言っておりますが、これは公共的色彩の公社でございますので、それに関連して、この公社本土放送法を取り入れたということでございますが、特にこの公社の特色といいますか、今度できる公社民放との関係については完全にその調整がつくかということは、前の経過を一部聞いておりますものとして、非常に心配な点があるものですから、その辺の見通し、あるいは公社の特色と申しますか、そういうものについてお話し願いたい。
  42. 山野幸吉

    山野政府委員 まず、民放との調整問題でございますが、現地においては非常に複雑な、また微妙な問題でございますが、私どもとしては、どういう形でということは、いまここで申し上げかねるのでございますが、主席の御意見を承りますと、最終的には必ず沖繩放送公社民放との形で運営できるようになるということをお聞きいたしましたので、安心しておるわけでございます。  それから、沖繩放送公社ができましたときに、まず先島からやるのか、あるいは全部同時に始めるのかという問題でございますが、この問題も、実は民放との調整がいかようになるかということが関連いたしておるわけでありまして、最悪の場合でも、先島の放送施設完成すれば、琉球政府としては、それを受け入れて放送を開始する体制に持っていきたい、こういうことでございます。しかし、琉球政府としては、そういう根本的な放送体系を同時にすっきりさして発足したいというのが、ただいまの御意見でございます。  なお、沖繩放送公社の性格でございますが、お手元にこの放送法のごく要綱を御配付申し上げてありますように、本土のNHKと大体同じ性格のものでございまして、公共放送として、中立公正な放送が可能になる体制をとっております。資本金は二十万ドル、全額政府出資でございます。それから、経営委員会というものを設けまして、七名の委員が、立法院の承認を得て、行政主席が任命される。総裁、副総裁一人、理事五人、こういうことになっております。それから財務、会計等の諸規定は、本土のNHKと国会との関係とほぼ同様でございます。放送番組につきましては、十人以上の番組委員会をつくりまして、放送番組の適正を期するというようになっておるわけでございます。
  43. 古屋亨

    古屋委員 それで私一つ感じますことは、ただいまの説明をお伺いいたしまして、琉球政府の主席のほうでこういう話であるから安心しているというようなお話でございますが、先島テレビ局設置に伴いまして、テレビセットの普及の予想というのを郵政省でお考になったことがあると思います。それについてテレビセットの普及の予測をたしか郵政省の調査団でお調べになったことがあって、何カ年計画というものがあったと思いますが、もしそれについてお見通しがあればお話しを願いたい。
  44. 館野繁

    館野説明員 お答えいたします。  セットの普及につきましては、何カ年計画というわけにはなかなかまいらないかと思いますが、予測といたしましては、電波発射当時におきましても、まず対総世帯に対しての五〇%近い受信者があるのではないかということを、本島の普及状況等から勘案いたしまして、数字を立てたことはございます。それ以後の状況につきましては、これは計画的に持っていくわけにはいきませんで——と申しますのは、発射するほうはほとんど一〇〇%のカバーの施設をするわけでございますから、あとは先鳥におきまする経済状況なり、聴視者、受信者の番組に対する関心度等によって普及が進むわけでございまして、当初は約半数、五〇%近いものを一応予定はしたことがございます。
  45. 古屋亨

    古屋委員 当初は五〇%というお話でございますが、いまの琉球地区の普及状況は大体七〇%程度でしょうか。
  46. 館野繁

    館野説明員 七〇%をちょっとこえたかと存じております。
  47. 古屋亨

    古屋委員 そうすると、五〇%と予測されておりますのは、大体先皇の電化の状況から考えて五〇%程度、あるいは経済状態考えて五〇%、こういうお見通しでしょうか。
  48. 館野繁

    館野説明員 御指摘のような点を考えましたものでございますが、これは非常に精密にやったものではございませんで、非常にラフな推定といたしまして一応そういう数字を想定いたしましたが、その要素といたしましては、御指摘のように、電源の状況、それから一般的な消費生活の水準といったようなものを勘案いたしたわけでございます。  なお、当初設計にかかります当時に比べまして商用電源の普及は進んでおりますので、その点の条件は、当初計画を立てましたときよりは条件がよくなっているようでございます。
  49. 古屋亨

    古屋委員 いまの電源の状況がよくなっているというのは、どの程度、もうちょっとそれについて……。
  50. 館野繁

    館野説明員 ただいま詳細な資料を持ち合わせてございませんが、その後の現地におきまする配電会社でございますかの計画が進められまして、当初、自家発でないと受像機の電源がないのではないかと思われました部落につきましても、配電の計画ができて、工事にかかっているというようなことを聞いております。詳細なものはただいま持ち合わせてございません。
  51. 古屋亨

    古屋委員 特連局長、先島の電源の問題、電力の問題についてはどういうお見通しでしょうか。
  52. 山野幸吉

    山野政府委員 御案内のように、八重山電力の拡張計画が現在ございまして、電力の増強をいま計画中でございます。一方、現在の電力量のうちで、しかも無電灯地帯がだいぶございますので、今年度の援助費では、実は先島のテレビの普及ということも考えまして、従来の農村電化の無電灯部落の解消計画を、先島の無電灯部落の解消計画に集中的に重点を置きまして、相当月数の施設の整備を考えております。これは既設の電力量でできるわけであります。もちろん、このテレビの電力自体については私は当面心配はないと思っておりますが、いろいろ工業化等に伴います電力の不足に対処しまして、先ほど申し上げましたような電力会社の増強計画も現在検討されておると聞いております。
  53. 古屋亨

    古屋委員 電力の問題は大体お伺いしましたが、結局、問題は三点くらいあると思います。  一つ放送番組ですね。これは御承知のように、いま沖繩では、内地からのマイクロによる分と、現地民放その他の分と、両方が一般の方は見られるわけです。もちろん、内地のものは時間的に制限されているようでありますが……。そうすると、先島に対しての放送番組は、大体いまのところは公社がこれを行ない、そして公社の責任のもとに、内地からのものも——それはビデオによってやるわけでありますが、あるいは那覇から民放のものも、そういうものが送られるというように解していいかどうかということをお伺いします。
  54. 山野幸吉

    山野政府委員 御指摘のように、沖繩放送公社が経営の主体になるわけでございますが、御案内のように、先島には飛行機が日に二回通っておりますので、したがいまして、この番組のフィルム、ビデオ等の輸送には不便はないわけでございます。その場合にも、先島は、いま申し上げましたように、二万五千戸、半分としまして一万二千五百戸しかないわけでございまして、できるだけこの経費を合理的に運用する必要があります。したがいまして、NHK等にフィルム等の協力方の要請はぜひお願いしたいということを沖繩側でも申されております。なお、番組等につきましては、今後そういう新しい機構ができました上できまることになるわけでございますが、相当程度本土番組も入っていくことと考えます。
  55. 古屋亨

    古屋委員 番組関係について郵政省の方にお伺いいたしますが、先高のほうに飛行機が一日二回、これは二回といっても、台風のとき等は飛行機は飛ばないので、何かストレージみたいなものを現地の島のほうにつくって、そういう台風等のためにビデオが届かない場合に、前のものをとっておいてそのときに使うというようなことは考えておられるのでしょうか。
  56. 館野繁

    館野説明員 お答えいたします。  お話しのように、天候等の事情によりまして、毎日確実に行くかどうかということは危惧される点でありますが、電波発射宮古及び石垣の局におきましては、もちろん、ビデオテープを放送にかける機械もございますし、それからビデオテープを撮影する設備もしてございます。なお、お話しのように、前もって本島から持っていきましたものを保管しておく設備予定している次第でございます。したがいまして、その日その日のニュースにおいてはあるいは一日おくれというようなことができるかもわかりませんけれども、その他シリーズもの、あるいは一つ一つが切り離されて製作された番組というようなものにつきましては、飛行機の欠便にかかわらず放送はできるというようにいたしております。
  57. 古屋亨

    古屋委員 この立法勧告の要綱にありますが、受信料を取る、つまり聴視料を取るということでございますが、御承知のように、先島の、非常に貧しいと申しますか、経済状況からいたしまして、受信料をできるだけ安く考えるということは必要だろうと思います。それで、二十万ドルで公社ができるという場合に、私が一番懸念しておりますのは、先ほどもお話がありましたが、この運営採算の問題が今後の一番重点の問題である。そうしますと、これで運営ができないというようなことは、琉球政府にまかせっきりか、そういう場合を想像することは適当であるかどうかは別にいたしまして、先ほど総務長官に対する御質問で、受信装置について特に日本政府として便宜をはかるかどうかという問題は慎重に検討しなければならないというお話でございましたが、私は、何と言っても、これは日本が譲渡して始まる、始まって一番の問題は、運営採算の問題だろうと思うのです。そこでもうけるなんということは、とうてい想像できないと思うのですが、その赤字をどういうふうにカバーしていくかということが、特に受信料との関係において受信料も高く取れないということになれば、経営採算の問題だろうと思うのです。だから、これは将来の問題として——いま直ちにそういうことを申すのはいかがかと思いますが、やはり沖繩の先島の人がこれらの放送テレビ聴視できるということを非常に大きく期待しておりますので、各家庭における受信装置の問題あるいはまた、運営採算の問題についても適切な運営ができるように、将来において何らか援助を——直接援助か間接援助か、これは検討しなければなりませんが、やはりそういう点をある程度検討する必要があるのではないかと考えておりますが、副長官、ひとつお答えを願いたと思います。
  58. 上村千一郎

    上村政府委員 御趣旨はよくわかるわけでございますが、先ほど、この受信料の問題につきましては、各家庭というような問題につきましては、総務長官がお答えをいたしたとおりでございますが、学校だとかいうような公共施設の点につきましては、これは受信機につきましては予算措置ができておる、要するに援助の対象にいたしておる、こういうわけでございます。基本的な考え方は、これは古屋委員も御承知のとおり、本土との格差をできるだけなくしていこう、こういうような考えてございまするので、いろいろとむずかしい問題点もたくさんあると思いまするけれども、基本的な考え方によって検討いたしていきたい、こういうわけでございます。
  59. 古屋亨

    古屋委員 郵政の方にお伺いいたしますが、八重山とか、そういう僻地におけるテレビの普及のために、施設面か何かで郵政省として何か考えられる点はあるのですか。
  60. 館野繁

    館野説明員 施設の面と申しますると、何か技術的に受信しやすいような技術的な方策があるかというお話でございましょうか、それとも、何か施設の補助といったようなことがあり得るかということでございましょうか。  あとの意味でしたら、郵政省といたしましては、本土電波放送法の施行地域におきましても、特別そういうことはいたしておりませんで、送信のほうを規制し、計画し、免許しているということでございまして、受信のほうを特別郵政省といたしまして援助あるいは普及のための手当てというものはいたしておりませんので、沖繩におきましても、ちょっと方法は郵政省の立場からは考えつかない次第でございます。  なお、技術的に、受信しやすいような技術的な配慮がなされているか、あるいは考えられるかということにつきましては、これはただいま御審議願っておりまする施設送信計画といたしまして、電波がとにかくほとんど全世帯に届くような局の場所及び電力等を設計して施設しておるということでございまして、電波を出すほうからいたしますると、ほとんど一〇〇%のカバレージを、技術上相当の無理がありましたけれども、あえてそれを計画したということになっております。
  61. 古屋亨

    古屋委員 大体、私もこまかい点につきましてお伺いしたのでございますが、何と申しましても、最初に申し上げましたように、先島の方が一日も早くこれを聴視することができるということがこの法案であり、沖繩におきましても要望されておりますので、私は、ぜひこの法案が通過いたしまして、郵政省も十一月末に完成というようなことを目途とされておりますが、できるだけ早い機会に、たとえば内地において機械をつくって送るというような問題につきましては、マイクロのときにはいろいろ問題があったようでございますが、そういうことのないように、ぜひ一刻も早くこの施設完成されると同時に、特に特連局におかれましては、現地琉球政府と折衝されまして、スムーズに移行できるように、公社の問題、民放の問題の調整ということにつきましてもぜひ一そう積極的に話し合いをされることを特に希望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  62. 臼井莊一

    臼井委員長 では、暫時休憩いたします。    午前十一時三十九分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕