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1967-04-26 第55回国会 衆議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十六日(水曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 小渕 恵三君 理事 大平 正芳君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 竹下  登君    理事 川崎 寛治君 理事 帆足  計君    理事 永末 英一君       大村 襄治君    小平 久雄君       古屋  亨君    山田 久就君       西風  勲君    横山 利秋君       門司  亮君    伊藤惣助丸君  出席国務大臣         労 働 大 臣 早川  崇君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  出席政府委員         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         外務省北米局長 東郷 文彦君         大蔵省国有財産         局長      松永  勇君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         外務省北米局北         米課長     枝村 純郎君     ――――――――――――― 四月二十六日  委員渡部一郎君辞任につき、その補欠として伊  藤惣助丸君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十七日  宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン  放送に必要な設備の譲与に関する法律案内閣  提出第八二号)(予) 同月十四日  沖繩即時日本復帰に関する請願(山中貞則君  紹介)(第八七八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十四日  北方領土日本復帰促進に関する陳情書外十三  件(第二  〇一号)  北方領土日本復帰促進等に関する陳情書  (第二〇二号)  沖繩施政権返還に関する陳情書外一件  (第  二〇三号)  沖繩在住被爆者の救援に関する陳情書  (第二〇四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措  置法案(内閣提出第二四号)  沖繩その他の固有領土に関する件(沖繩経済  及び財政援助に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  沖繩その他の固有領土に関する件について調査を進めます。  この際申し上げますが、理事会でお話のありました資料につきましては、本日委員各位のお手元まで配付いたさせましたので、御了承を願います。  本日は、理事諸君協議のとおり、沖繩経済及び財政援助に関する問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
  3. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 本委員会沖繩問題の総括的な特別委員会として設置をされ、本格的な審議が始められるわけでありますが、基本問題をあと回しにして、経済財政援助問題等から、こういうことで、やむを得ない審議の方向に入るわけでありますが、それだけに、総務長官には沖繩問題の国内における担当大臣として具体的なことをお尋ねいたしてまいりますが、責任をもってひとつ御答弁を願いたいと思うのであります。  まず第一に、先般琉球政府松岡主席アメリカに行き、ジョンソン大統領はじめアメリカ政府のおもな人たちと会って帰ってこられ、佐藤総理をはじめ水田大蔵大臣あるいは塚原総務長官等に会われて帰っておるわけでありますが、その際に総務長官が、本土政府としては沖繩経済総合開発を進める考えだ、地元で受け入れ体制を整えてほしい、こういうふうに松岡主席に言われておることを新聞等で拝見しておるわけであります。そこで、本土との格差を埋めていく、総理沖繩に行かれて以来、本土との一体化、こういうことでそれぞれ進められておるわけでありますが、総合開発を進める考えだ、こういうふうに言っておられるわけでありますが、その内容をまずお聞かせいただきたいのであります。
  4. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 松岡主席が訪米されましてジョンソン大統領はじめその他の要人に会われた御報告をこの間承った席上、私が、わずかな時間ではありましたけれども主席に申し上げたことが、新聞にそのように伝えられた、その御質問であると考えておりますが、もちろん、沖繩施政権全面返還は望ましいことでありまするけれども、たびたび申されておりまするように、極東の情勢によって、いま直ちに全面返還ということの困難さがあることは、これは言うまでもないことであります。したがって、返還の日に備えて、本土との格差是正のための方策というものがあらゆる方面からとられなければならないことも、これまた当然でございます。日本政府といたしましても今回百三億という沖繩援助というものをきめたのもそこにあるわけでございまするけれども、私が申した経済開発という考え方は、この間日商会頭の足立さんをはじめ、大阪の市川さんもそうでありまするが、沖繩経済振興懇談会が今度現地の那覇において行なわれまして、その後各委員が各地を視察され、産業全般を見られて、その結果を私にいろいろと御報告があったのであります。今日まで砂糖とパイナップルであるといわれた沖繩に、その他の面でも大いに開発をすれば、伸びていく沖繩産業のために役に立つものがたくさんある、そのための方策政府もまたわれわれも一体となって考えなければならぬという御報告も受けておったわけでございますが、私としても沖繩現状考えまするときに、経済開発という一つのビジョンを持って今後進みたいと就任以来考えておりましたので、たまたま私の考えと一致いたしたというようなこともそこに出てきたわけでございます。したがって、今後具体的に当面取り上げられる問題は牧畜の問題だと思いまするけれども、それにとどまらず、あらゆる面から沖繩産業の発展というものを本土考えるし、沖繩考えていただきたい、それについては、ひとつ十分なる体制をとっていただきたいということを私は申し上げたのであります。  なお、いま一つ即応する体制をお願いしたゆえんのものは、百三億の援助費をきめましても、これを審議すべき立法院の現在の状況というものが、教育二法案をめぐりまして正常化を欠いておるような状態がありまするので、この予算の問題、またこれに関する法律案審議も順調に行なわれますことが、すなわちわれわれの意図している目的を達成する道でもありまするので、そういった面の体制整備と申しまするか、すみやかに立法院正常化も進めていただきたいということで、受け入れ体制というのは、この二つのことを考えながら私は松岡主席に申し上げたわけでございます。
  5. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 現在日本政府米国側から沖繩に出しておりまする援助というものは、琉球政府予算の中では三二%程度しか両方合わせても達していないわけであります。本土の各県に対しては大体六〇%程度交付税、こういうことになっているわけでありますが、さらに、水田大蔵大臣松岡さんが会われたときに、水田大蔵大臣のほうでは、沖繩への援助は各県並みに流せるようにしたい、こういうふうに言っておるわけですね。本日大蔵大臣がいませんので、その辺はなかなかかみ合ってこないと思います。しかし、大蔵大臣は、沖繩への援助は各県並みに流せるようにしたいし、法的な点などで検討すべきこともある、そこで基礎整備のために主計局資料を集めたり調整させている、こういうふうに言っておるわけです。当然に、今日日本政府の中における担当大臣として、各県並みに流せるようにしたいと大蔵大臣が言っておるわけでありますから、その点は総務長官のほうと話し合いはあると思うのです。だから、いま総合開発云々といったことは、これは全く枝葉末節のことであって、沖繩本土との一体化、あるいは本土並みに引き上げていくという基本的なものには総務長官答弁は何ら触れていないのです。そういたしますと、いま水田大蔵大臣が言った、府県並みにしたいということと、そのことについて総務長官のほうとどのような話し合いが行なわれておるのか、あるいは調整が行なわれておるのか、明確に御答弁願いたいのであります。
  6. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 松岡主席大蔵大臣が申された意図も私は間接には承っておりまするか、まだこの問題で大蔵大臣意見調整をはかる、あるいは御相談するような場面はまだ持っておりません。しかし、今後財政の許す限りにおいて援助費の増額という形では、財政当局と私も十分打ち合わせていきたいと考えております。
  7. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 府県並みに流せる方法を検討したいということは、総務長官のほうとしてはまだ検討していないということですね。
  8. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 それはやっております。大体佐賀県を例にとりまして、それとの比較、また他府県との比較も行ないまして、いかにすればそういった県と差がないところまでいけるかということを、特連局中心にして検討いたしております。
  9. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、琉球政府に対する援助というのは、府県並み援助をしていくという方式の問題が一つあります。もう一つは、根本的には、長期計画があって、その上で現在の援助というのが行なわれているのかどうか。
  10. 山野幸吉

    山野政府委員 沖繩援助につきましては、現在民政府琉球政府の間で、一九六五年を基点としまして七二年に至る計画をつくっておるように聞いております。しかし、これは経済財政全体を含んだ総合的なきちっとした計画ではない。したがって、日米援助、それから沖繩税収入等を勘案しまして毎年度是正していく計画になっております。したがって、一般には、たとえば一九六八年度計画はこうだということは、まだ公表されておりません。したがって、いま先生の御指摘になられましたような意味の、いわゆるきちっとした長期計画はないわけでございます。そういう長期計画があればよろしいのですが、これは何といいましても、沖繩施政権アメリカにありますので、米国民政府中心にしてそういう計画がつくられれば、そういう面にのっとって日本援助考えていくということも可能でございますが、現在のところ、まだそういうところまでは至っておりません。
  11. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いまの答弁は訂正してほしいと思うのです。六五年ではなしに、六六年から七一年のはずです。その点は、まず訂正してもらいたい。
  12. 山野幸吉

    山野政府委員 当初は六五年を起点にして計画を立てておりました。そして、それは一部発表になったものもございますが、実直的には六六年が起点になっております。
  13. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ところが、その長期計画琉球立法院でも公表されていないわけですよ。昨年の一月に米民政府琉球政府の間で長期計画作成委員会ができて、六六年から七一年にかけての六カ年計画というのが進められておるわけです。このことについては日本政府はどのような形でこれに参加しているのですか。
  14. 山野幸吉

    山野政府委員 実は昨年の九月の協議委員会のときに、米側から、これはきまった計画ではないけれども、こういう計画をいま検討しておるのだという意味で、長期計画の提示があったわけでございます。したがいまして、その後私どもとしましてはその内容等について検討しておりますけれども、私ども考えておるような沖繩のいわゆる財政計画的なものとは相当違ったものでございまして、まだ日本政府としてこれに対して正式に意見を言う段階にはなっておりません。いずれにいたしましても、日本政府としては適当な機会にその計画について日本政府意見を出したいと考えております。
  15. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ケネディ新政策のあとの民生安定五カ年計画のときに、政府側が何べんか、調査団といいますか、視察団を出して、各省からいろいろこれをやろうとした。しかし、結局この五カ年計画も実施されないまま終わっているわけですね。今日の六カ年計画も、これは日本政府としての意向は反映されないまま、実際には単年度年度アメリカ側から援助を要求されて、それに対して日本側が出しておる、こういう、きわめて従属的というか、第二次的な参加のしかたをしておるわけです。ところが、先ほど長官は、日本側が自主的に総合開発を進めていくのだと、こう言われた。しかし、そのことが実際には現地長期計画との関連からすればコミットしていることがないわけです。長官、どうですか。
  16. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 川崎委員は従来の経過について非常に詳しいので、たいへん教えていただく面がありましたけれども、私は、長期計画というものが私の考えている経済開発の構想というものにマッチしていけるというふうに考えて、今後もそれで進んでいく考えでございます。
  17. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 本土との一体化を進めるという、あるいは府県並みに引き上げていく、援助方式については検討しておるという。しかし、その長期計画ですら参加できないでおるわけでしょう。どれだけ自主性が持てるのですか。
  18. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 従来のあり方に対しましてわがほうの主張を述べて、態度を変えていくことは私は可能であろうと考えております。
  19. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは具体的にお尋ねします。  昨年日米協議委員会でようやくきまりました教員給与半額国庫負担、この問題がきまって、そして昨年は十九億ですね。ところが、これは国会で四十一年度予算が四月初め成立をした。四十一年度予算は四月から発効したわけですね。そして日米協議委員会半額国庫負担というのが非常にもめた末に——ワトソンのほうは、三分の一、三分の一、三分の一、こういう主張であったわけだが、もめて、半額国庫負担、こういう形に一応なったわけですね。ところが、実際に沖繩側で七月から発足をした琉球政府予算においては、三分の一民政府給与負担分を出しておるわけですね。そういたしますと、半額半額といった日米協議委員会での決定は、琉球政府予算作成段階あるいは実行段階においては狂っておるわけですね。そうしますと、日米協議委員会決定になったことが、実際には琉球政府予算を作成する過程で民政府から変えられておるわけです。自主性がないじゃないですか。そのことはどうですか。国会に対しては、二分の一国庫負担だということで、半額半額で通しておるわけです。ところが、実際には向こう側年度においては狂っておるわけです。
  20. 山野幸吉

    山野政府委員 全体の数字としてはそういう数字になっておりますが、これは高等学校給予費が入っておりまして、それを除きまして、なお、昨年度日本政府教職員給与援助費は十カ月で組んでおりまして、したがって、そういう関係がございまして日本の額が低く出ておるわけでございます。ただ、その日本政府小中学校教職員の二分の一負担の残りの部分をアメリカ政府が持ちたいという意図から米民政府負担になるものは、これは向こう側施政権がございまして、向こうでそういう措置をしたいとおっしゃるのでありますから、それは私どもにはどうにもならないわけでございますが、日本政府としては、小中学校教職員の二分の一の給与負担はそのとおりやっております。
  21. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、もう少しこまかくお尋ねいたしますが、二分の一は日本政府あとの二分の一の中におけるつまり六分の二、三分の一が民政府米国側、六分の一が琉球政府ということですか。六分の一が琉球政府で、あとの六分の二が民政府、こういう比率になりますか。
  22. 山野幸吉

    山野政府委員 小中学校教職員給与費に関して申し上げますと、日本政府が二分の一国庫負担いたしますが、その残額琉球政府負担分につきまして、たしか今度プライス法改定になりますれば五百万ドルを米国政府で持つというような考え方に、私どもは間接的に聞いておるわけでございます。
  23. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そのことは額の問題じゃないですよ。日米協議委員会できまった方式というのが、実際には琉球政府予算の中では変わっておるわけですよ。つまり、日本が出す資金というのは日本法律に基づく、しかし、向こうでの実行日本法律に縛られない、こういう現状ですね。だから、給与半額国庫負担半額半額ということが日米協議委員会ではきまった。そのときにワトソンは三分の一、三分の一、三分の一を主張しておった。しかし、一応話は半額半額になった。ところが、実際に琉球政府予算においては三分の一アメリカ側援助しておる。こういうことになりますと、日米協議委員会できまったそういうきめ方というのは、実際には適当にやっておけばいいのだということになる。
  24. 山野幸吉

    山野政府委員 御指摘になりました点は、日米協議委員会できまったとおり出していないじゃないか、そういう姿になっていないじゃないかという点でございますが、現在の琉球予算はまだ今後補正をするわけでございます。おそらく今月か……。
  25. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 去年の問題ですよ。
  26. 山野幸吉

    山野政府委員 去年ですから、六月まででございますから、四月か五月で補正をすることになっており、そして日本政府から出します二カ月分の給与費も計上するわけでございます。したがいまして、決算から見ましたら、小中学校給与費は二分の一は日本政府が持ったということに必ずなると思います。これは間違いございません。
  27. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それは二分の一持ったことはわかるのですよ……。
  28. 山野幸吉

    山野政府委員 結果的には日本政府が二分の一を持つことになります。その残額につきまして、かりにプライス法改定になりますれば、前年度追加分としまして五百万ドル出しますから、ほぼその残額に当たる分を、日本政府の出した分に見合う額がアメリカから出ることになります。
  29. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 あんまりやっていると持ち時間がないので、少しまだ議論がありますけれども、これはいずれの機会に譲ります。  そこで、話は次に移りますが、日米協議委員会のそうした決定のしかたというのが、これは非常に問題があるわけで、日米協議委員というのは、佐藤総理も、何でも日米協議委員会に持ち込んで問題を解決するようなことを言われる。ところが、日米協議委員会の性格はそうじゃないわけですよ。沖繩に対する経済援助の問題を中心にやっているわけだし、佐藤ジョンソン会談で、機能を拡大したと言っておるが、実際には機能は拡大されていないわけですね。  そこで、ちょっとこれは話が援助そのものではありませんが、日米協議委員会の問題が出ましたので、私ここで特に総務長官にこの際お尋ねしておきたいのです。  それは、過ぐる協議委員会で、沖繩船舶の旗の問題が、国旗を並列するということにデザインとして変わったわけです。ところが、この問題は永末委員予算委員会質問した点にも関連をしてきますけれども沖繩の船に対する保護権というのは、協議委員会の中でも総務長官は全然要求はされておらぬわけですね。どうですか、その点は。沖繩の船に対する保護権問題等は、日の丸をつけるが、そのことは日本政府外交保護権の問題にまで発展させるということを協議委員会の中で要求されたのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  30. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 沖繩の方々がたいへん要望いたしておりまする日の丸の掲揚の問題については、御指摘のようにあの協議委員会において決定したのでありますが、外交保護権の問題については要求しないではないかという御質問でありまするが、これは施政権者であるアメリカが第一義的に保護権を持っておるというたてまえになっておりまするので、あの席では私は申し上げませんでした。しかし、日の丸はあげたわ、保護権はどうするかという問題が、これから大きな政治問題になると思いまするので、まず、法律的には施政権者であるアメリカ保護権がありますけれども、やはりこの問題については日米で十分話し合う問題ではなかろうかと考えております。しかし、あの席では私は申しませんでした。
  31. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、その船の問題は一応おきまして、これは今後またいたしたいと思いますが、船員の問題でお尋ねしたいのです。  沖繩の船の船員は、船員手帳を持っていますね。その船員手帳国籍欄というのには、日本人と書かれていないわけですね。本籍のところには、沖繩県何々と、こういうふうに書かれているわけです。国籍欄はなし、本籍欄沖繩県と、戦前の戸籍法でそのまま書かれているわけです。そして昨年の五月の日米協議委員会で、沖繩旅券については、沖繩の県民が渡航する場合に——これまた旅券法の問題が今度の国会にかかるわけですが、渡航する場合、第一義的に日本外交保護るものですね。旅券にかわりますね。そうしますと、沖繩県何々と書いてありますその船員手帳を持っている船員に対する外交保護権というのが当然にあるわけですね。その点はどうですか。
  32. 枝村純郎

    枝村説明員 お答え申し上げます。  沖繩の住民に対する外交保護責任を第一義的に日本政府が行使する、こういうことに昨年の五月の協議委員会できまりましたことは、いまのお説のとおりであります。それと同時に、日本旅券の発給を沖繩における南連事務所長が行なえるように、これも合意が成立いたしまして、そのように現在措置しておるわけであります。しかし、よしんば、現在民政府の発行しております身分証明書を持って渡航した人々でありましょうと、沖繩の人であれば、日本国民であり、日本国籍を有しておりますので、やはり日本政府の出先が第一義的に外交保護権を行使することになると思います。  それで、お尋ねの沖繩籍船舶船員人々でございますが、これもやはり同様になるかと思います。
  33. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますと、船に対しては、日の丸を掲げても、外交保護権はない。陸上に上がった場合には、船員に対する保護権はあるわけですね。そうすると、船の上の場合はどうなるわけですか。
  34. 枝村純郎

    枝村説明員 この点はむずかしい問題でございますけれども、結局、船舶に対する管轄権というものはアメリカ側が持っておるわけでございますから、その管轄権に伴う社会、経済でございますか、そういった問題についても有効な管轄を行使するということが旗国の義務でございますので、船舶上にある限りにおいてはアメリカ管轄が及ぶもの、このように考えております。
  35. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 船にはない。乗っている船員にはあるわけですね。そこはどうなるのですか。
  36. 枝村純郎

    枝村説明員 外交保護権と申しますのは、これは、自国の国民が外国に参りましたときに、そこで何か不当な取り扱いを受けるとか困難に逢着するとか、このいう場合に保護を行使する、こういうことでございます。船舶の上にありますときにはそういった問題は生じないのじゃなかろうか、こう思います。
  37. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 冗談じゃないですよ。自衛隊が出動するとまで予算委員会で言ったじゃないですか。そうすると、乗っている船員にはあるのでしょう。船に対してはないのでしょう。どこで切り離すのですか。
  38. 枝村純郎

    枝村説明員 したがいまして、船そのものが、拿捕でございますとか、あるいはそういった困難に逢着した、この場合には、旗国であるアメリカ——旗国と申しますか、その船籍のあります沖繩施政権者でありますアメリカがこれに対処する、このように考えております。
  39. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、それは切り離してやるわけですか。
  40. 枝村純郎

    枝村説明員 御質問は、要するに、公海上にある船舶上の船員に対する管轄権という問題につきましては、これはアメリカが持っておるんじゃないか、こういうふうにお答え申し上げたのでございます。
  41. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 だんだんあやしくなってきたわけですが、そうすると、総務長官は、日米協議委員会で、日の丸をつけるということについて外交保護権の問題を要求しておられないわけだ。いまの北米課長答弁でも、船員にはあるわけでしょう。なぜ船のことについてもっと強力にやらないのですか。
  42. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 私が要求しなかったのは、あの協議委員会における場でございまして、その後、いまのようないろんな矛盾と申しまするか、問題になる点がたくさんあることも、私は各方面から承ったわけでございます。たとえば、船と船員というものは、これは一体感でありますから、船の施政権者であるアメリカがこれを見る場合、その人はどうか。おりた場合には日本が見るけれども、船にいる場合には、船員と船との一体感ということでやはりアメリカ側にあるのではなかろうか。そうなりまするといろいろ不都合な点もあるように感ぜられますので、ある場では要求はいたしませんが、今後そういった問題も——単に経済援助の問題に日米協議委員会は限定すべきものではないというふうに私は考えておりますので、そういった点は関係省である外務省とよく連携をとりながら解決に努力をしていきたいと考えております。
  43. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、そういう矛盾を明確に御理解になっているわけだし、解決に努力する、こういうことだから、このことはこれ以上追及しません。この問題は早急に解決をしなければならない責任政府にある、こういうふうに思います。  たいへん時間が限られておって、いささか次の人に対して済まない気がするわけですが、ここで経済の問題にまた返ります。  沖繩において電力と水と金融と石油というものはアメリカに握られているわけですよ。ここからあがる利潤というのが毎年一千万ドル近くあるわけですね。これを自由に琉球政府管轄できない。日米合わせても三二%。本土県並みにしていきたいと総務長官は言ったが、しかし、そういう水であるとか電力であるとかという肝心なところを握られておるわけです。さらに、国有地、県有地——これは時間がありませんので、私はいずれの機会かあるいはきょうの午後でも同僚議員のあとでまた追及したいと思いますけれども、国有地、県有地の琉球政府への移管ということは、もう繰り返し繰り返し琉球政府民政府に対してこれまでやってきているわけです。これからの収入というものも百万ドル近いわけです。そういたしますと、そういう貴重なものが実際にはアメリカに握られておって、しかも生命財産まで全部投げ出しておる、こういう状態に同胞の九十六万はあるわけです。  時間がございませんから端的にお尋ねいたしますが、国有地、県有地の琉球政府への移管の問題について、これまで日本政府としてどう交渉してこられたかということが一つと、電力、水、金融、石油の問題について、これの管轄を一般民政府資金という形で民政府に握られております今日のこれまでの状態というものを改善するために、日本政府としてどれだけ努力をしてきたか。
  44. 山野幸吉

    山野政府委員 御指摘のように、水と電力につきましては、御案内のように琉球水道公社、それから電力は同じように琉球電力公社というのがございまして、これは民政府の管理になっておるわけでございます。もちろん、これ以外に、北部とかあるいは島のほうは全部各市町村で簡易水道その他やっておりますが、本島のおもな供給地域を持っておるところは水道公社の管轄区域になっておるわけでございます。それで、この移管の問題につきまして、御指摘のように、一部からそういう琉球政府に移管してくれという要請があることは事実でございます。ただこの問題は、電気の問題もそうでございますが、電気はこれは全部公社の管轄下にありますが、これは御案内のように基地の需要とも相当関連があるわけでございます。それから電気、水道とも、本島全部を含めたマスタープランというのがつくられておりまして、そして開発金融公社なりあるいは弁務官の一般資金等から資金を相当出しましてこのマスタープランの遂行に当たっておるわけでございます。したがいまして、これを現状におきまして琉球政府のほうへ移管するということになりますと、これは歳入の面では高等弁務官の一般資金の問題にも関連しますし、それから需要の面から、軍の基地の維持の面からもいろいろ問題が出てくるというようなことがございまして、私どもも時を得ましてそういう意向は民政府のほうに反映させておるのですが、現在まで実現を見るに至っておりません。  それから国県有地の問題につきましては、御指摘のように、琉球政府に移管してもらいたいという意向がありまして、これも、私どもは正式な外交ルートでやったことはございませんが、非公式にいろいろ接触を重ねてまいっておりますが、現在まで移管を見るに至っておりません。
  45. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ヘーグ条約の第五十五条においても、国有不動産等の扱いについては、占領中であろうとも明確に定められておるのです。ところが、民政府に移管になった今日においても、沖繩にあります国有地、県有地というものがかってに使われており、百万ドルからの収入をあげておる、こういうことになりますと、これは将来日本政府は、アメリカに対して、賠償として、日本に返ってきた場合に、この問題を要求する考えがあるのかないのか、あるいは、財産権というようなものをかってに使用しておきながら、このことについては無断使用、契約なしの使用をいつまでも継続するつもりなのかどうか、お尋ねいたします。
  46. 山野幸吉

    山野政府委員 御指摘のように、国県有地を民政府が管理していまして、そして国県有地からあがってくる果実を民政府の歳入にしている。これが御指摘のとおり百万ドルであるかどうか私は正確には知りませんが、おそらくその果実は主としてそういう国県有地の管理に要する経費に充当されておるものと私は考えておるのでございます。したがいまして、通常善良なる管理者として米民政府が膨大な国県有地を管理する場合に要する経費にその果実を充てている限りにおいては、そういう問題は生じないというぐあいに私は考えております。
  47. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大蔵省は来ておりますか。——沖繩にあります国有地、県有地が現在どれだけあるか、そしてこの国有地、県有地を米民政府が使うについて、どのような協定というか、約束に基づいて使わしておるのか、その点をひとつ明確に  していただきたい。
  48. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 沖繩にございます国有財産  でございますが、昭和四十一年三月三十一日現在で申し上げますと、価格で総額約五千三百万円、これは土地、立木、建物、工作物、船舶を含んでおります。なお、これは金額は、御承知のように  価格改定をいたしておりません。したがって、そ  の価格は原則として戦前の価格で表示されております。ただ、戦後南連の事務所等の建物等を加えたものについては、その建築した当時の価格で表示されております。  それから、現在大蔵省として沖繩にございます国有財産としてつかんでおります数字は以上のものでございますが、この財産を米軍が使っておる、それはどのような協定とか契約とかに基づくかというお尋ねでございます。本件については、そういう契約とかいうものではなくて、すなわち私法上の契約で使わしておるというものではなくて、平和条約の第三条によりましてこの地域についての施政権を米国が持っておるということから、その財産を管理する権は米側にある。所有権は日本側にあるが、その管理する権限が米側にあるということの当然の帰結として、米軍がこれを管理いたしておる、こういうふうに解釈いたしております。
  49. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ヘーグ条約の五十五条においても「占領国ハ敵国二属シ且占領地二在ル公共建物、不動産、森林及農場二村テハ其ノ管理者及用益権者タルニ過キサルモノナリト考慮シ右財産ノ基本ヲ保護シ且用益権ノ法則二依リテ之ヲ管理スヘシ」ということで、占領の時代においては管理があるわけです。善意の管理者でなくちゃならぬわけです。占領が解けた、たてまえとしてはこういうことになっている。しかし、契約なしに、平和条約第三条で財産権の処分——処分というか、そういう使用、そういうものについても自由にしなさいという権利は、平和条約三条からは絶対に出てこないと思う。アメリカは特に私有財産の尊重をしている国であるはずです。それが日本政府との間において善意の管理者でありましょう。そしてそれは管理に使われておるのでしょう。それならば、その百万ドルに近い——これは琉球政府資料によっても、百万ドルに近いということが出ておるわけです。そうしますと、百万ドルに近いものがどのように実際に管理の費用として使われておるか、それを日本政府として明確にできますか。
  50. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 先ほど申しましたように、所有権は国にある、管理権が施政権を持っておる米側にあるということは、何もなくて米側がやっているということではなくて、平和条約の第三条に基づいて施政権を持っておるということの帰結としてそうなるのであるというふうに解しております。なお、その百万ドルの収益をあげたものをどのように使っておるかということにつきましては、私のほうは承知いたしておりません。
  51. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いまちょっと聞き漏らしたのでありますけれども、契約なしに使われている内容が明確にわからぬ。善意な管理者としてやっておるでしょう。大切な日本の国有地なり県有地ですよ。それについてなぜ明確にできないのですか。施政権でそういう財産権のかってな使用権まで与えておるということになるのですか。
  52. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 私がこの答弁をいたすのが適当かどうか、ちょっと疑問でございますが、外務省当局からお答え願いたいと思いますけれども、平和条約の第三条で施政権を持つということがすなわちその法的根拠であって、いわゆる私法上の契約とか、そういうものがなければ違法であるというものではなくて、平和条約第三条に承認をいたしております日本として、そのいわゆる管理権というものは認めておるのだ、こういうたてまえになっておると思っております。
  53. 枝村純郎

    枝村説明員 私も必ずしも自信を持った御答弁は申し上げかねるのでございますか、平和条約第三条の帰結といたしまして施政権アメリカ側に認めた、その施政権内容というものは包括的であり、一々その国有財産の管理権でありますとか、そういったものは必ずしも特記しておらないといたしましても、その結果として国有財産管理権も移った、このように見て差しつかえないのじゃないかと私は思います。
  54. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これはもう時間のストップをかけられておりますから、十分に議論できませんけれども、現在のところ、国有地、県有地の琉球政府への移管ということについては要求しないということを先ほど特連局長は——要求するのですか。要求するのですね。それを明確にしますね。  それからなお、大事な国民の財産、県民の財産、それが琉球政府に移管されることによって財政的にも変わってくる。それは先ほどの電力や水や、そういうものとも同じです。そうしますと、自治権の拡大だというふうなことを言っておるが、名目的なそういう自治権の拡大なんということよりも、経済的な自立への基盤を与えるという意味においては、電力や水や金融や石油や、そういうものはいま基地が優先する形で処分権を与えておるかっこうになっておりますが、これはやはり九十六万県民の立場に立てば、民に移管をすべきだと思うのです。国有地や県有地についても、これは善意の管理者ということで、戦後二十数年間その中身が日本政府としてはわからぬというままあることは、これは許されないのです。だから、このことはやはりきちんとしなければならぬと思うのです。ですから、自治権の拡大だということの前に、やはり電力や水や金融や石油、それから国有地、県有地という問題については明確にして、また、民に移管をしていくということについていて日本政府としてどうするかを、総務長官からはっきりお答えいただきたいのです。
  55. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 関係役所は外務省、大蔵省でありまするが、特にこの問題は外務省との関連が強いので、よく外務省とも御相談いたしまするけれども、なるほど、非常な御批判の的になる問題でありまするから、今日までの経過その他もよく調べ上げ、ひとつこの問題は前向きに検討いたしていきたいと考えております。
  56. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 次に、経済問題としては、金融、保険等の問題です。アメリカのバンク・オブ・アメリカとか、アメリカンエキスプレスとか、こういうものがどんどん進出してきておるわけです。日本の銀行の支店や日本の保険関係というものは入れないわけです。金融の面では完全にアメリカに握られておるわけです。ドル通貨への切りかえの問題は早急にやらなければいけない問題だと思いますけれども、そうしますと、先ほど言ったそういう財産の面でも、本来固有の県民が持っておるそういう財産の使用なり管理なりというものについてもとられておる。一方、金融の面でも完全にアメリカ側に抑えられておって、日本側は出ていけない。これは製糖会社を沖繩につくる際にも問題が出ておるのです。開発金融公社がストップをすることによっておどしをかけて、中部製糖の合併に移っている経過は御存じのとおりだと思う。そうしますと、金融関係なり保険関係なり、そういうものが沖繩に入れないというふうなことについて、これは本土との一体化だとか、あるいは経済の自立化だとか、そういうことをおっしゃられるならば、そういう点についてどうしておられるか、あるいはどうしようとされるのか。
  57. 山野幸吉

    山野政府委員 金融機関につきましては、取り扱い銀行としては、日本政府援助金を中心とする取り扱い銀行としては六社進出しておるわけでございます。もちろん、アメリカの銀行と同じような機能が許されておるとは言いませんけれども、制限はありますが、六社進出している。それから投資の面では、これは先生御案内のとおり、製糖会社でありましょうと、今度の日航の合弁会社の問題もそうでございますが、投資の面では、相当程度の投資が行なわれて、おそらく米国側からの投資とほぼ同額の投資が日本から流れておる  ということでございます。これは御案内のように施政権アメリカ政府にありまして、しかもドル経済でございますから、したがいまして、沖繩の金融機関を本土の府県のように考えるわけにはまいらないのでございます。そのつどやはり施政権者の了承を得つつ必要に応じて常設しあるいは増強していくしか方法がないのでございます。もちろん、投資の面はそういう制約はありましても、近時沖繩経済人と本土との一体化というような面から、いろいろな事業についての投資がだんだん伸びておることは事実であります。それからまた、御案内のように、輸出入銀行を通ずる延べ払い方式の融資等の道も開かれて、ここ数年来相当進んではおりますが、まだまだ不十分であることは、御指摘のとおりでございます。今後私どもよく沖繩経済日本経済との関連を慎重に検討しながら、遺憾のないような措置をとってまいりたい、かように考えます。
  58. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 最後に一言だけ。百三億に援助費が増大しました。南連の機能は拡大しましたか。旅券発給は別です。
  59. 山野幸吉

    山野政府委員 旅券発給その他の事務を除いてと、こう御指摘でございますが、これは御案内のように、米国大使館の覚え書きで南連の機能がきめられておりまして、その後これは改定されておりませんけれども、そういうアメリカとの覚え書きの関係ではなくて、南連事務所の果たす琉球政府との意思の疏通その他の機能は、実質的には広がってまいっております。
  60. 臼井莊一

    臼井委員長 永末英一君。
  61. 永末英一

    永末委員 最初に、先ほどちょっと出ました沖繩船舶日の丸を掲揚する問題ですが、本日掲揚されておりますか。
  62. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 諸手続が完了しておりませんので、まだ掲揚されておるとは思いません。
  63. 永末英一

    永末委員 諸手続とは、どういうことがひっかかっているのですか。
  64. 山野幸吉

    山野政府委員 これは御案内のように、現在のデルタ旗が、琉球船舶規則によって、布令によってきめられておるわけでございます。したがいまして、まず布令の改正を行なって、そしてその結果を外交ルートを通じておそらく米側として関係国に周知徹底させて、その後においてそういう掲揚をするということになると思いますので、いましばらく時間がかかると思うわけでございます。
  65. 永末英一

    永末委員 布令の改正というのは、三月一日に日米協議委員会でこのことが合意を見ておって、すでに五十日以上もたっておる。布令の改正というのは、アメリカ側における議会とかなんとかというようないろいろな諸機関を経由することなくできる行為ではないか。しかるにかかわらず、五十日たってそれができぬというのは、何か原因があるのじゃないですか。
  66. 山野幸吉

    山野政府委員 私ども民政府からいろいろ聞いております事情は、ただいま申し上げた事情でございまして、そのほかに別に何らの意図があるとは考えておりません。
  67. 永末英一

    永末委員 世間では、協議委員会で合意を見た以上は、一番早い機会にこれが実現できるものだという感覚で受け取っておる。ところが、これはまだまだ見通しがつかぬ。いつごろ大体できるという見通しがあるのですか。
  68. 山野幸吉

    山野政府委員 何月何日というようなはっきりした日限は示されておりませんけれども、そんなに長い間かかるとは考えておりません。
  69. 永末英一

    永末委員 布令の内容は推測することはできませんけれども、それに基づいて関係各国へこれを了承させる、こういう話ですね。ところで問題は、先ほどちょっと触れられたように、船舶に関するわが国の保護権というものの形が、アメリカ国が関係各国に、この琉球の文字を付した日の丸の旗をあげた船舶、これを了承せしめる文書を出すときに、わが国の主張が盛られなければ、これは受け取った国にとって、その旗を掲げた船舶保護権一体どこにあるのかということがはなはだ不明確になろうと思う。そこで私は時期のことを申しておるのである。総務長官、あなたが努力をすると言われたけれども、その努力は、アメリカがいまのような諸手続を完了する過程においてやられなければならぬと私は思いますが、あなたの御見解はいかがですか。
  70. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 日の丸を掲揚することがきまりました日米協議委員会の会合のときに、いま言ったような布令の問題、それから諸外国に通報する問題等についてどれくらいかかるのか、非公式に私としても伺ったわけです。これは会が終わったあとでございますが……。できた以上はすぐにでもあげたい。長い間の念願であったのですから。そのとき私が伺ったのでは、二、三カ月ぐらいは要するのではなかろうか。あなたのおっしゃるように、五十日たってできないことは私自身も歯がゆく思っておるような次第でございますので、これは外務省が窓口になるでしょうけれども、私は私なりの立場においてできるだけの努力をして、ひとつ早い機会にこれが掲揚されるように努力いたしたいと思っております。
  71. 永末英一

    永末委員 時期の問題は承りました。私は内容の問題を申し上げておるのであって、あなたは先ほど、人に対する外交保護権船舶に対する外交保護権との矛盾というものをお認めになったわけである。それを何とか解決するように努力をしたい、ここまではこの委員会で言われた。私は、日の丸の掲揚された沖繩船舶が海を走り外国に寄港する、こういうことが起きる前に、船舶保護権というものに対して日本政府がどういう関係にあるかということをはっきりさせなければならぬと思いますが、あなたの御見解はいかがです。
  72. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 先ほども申しましたように、船そのものに対する保護権は、施政権者であるアメリカにある。しかし、矛盾とおっしゃいましたけれども、不合理性というか、そういった問題もありますので、そういった問題も含めてこれは今後何とかしなければならぬということを私は申し上げたのであります。船そのものは、やはり施政権者であるアメリカが持っておるという解釈をこれはとらざるを得ないと思っております。
  73. 永末英一

    永末委員 総務長官日の丸の旗というのは日本の国の旗ですね。そうしてその上に三角旗がついておるということは、なかなか外から見てわからないものである。そうしてその船が外国へ行く。外国は、日の丸の旗を見れば、日本の船だ、こういう印象を受けてこれに対処するのは事実だと思う。その場合、布令によって各関係国にいろいろな文書でこういうものだという場合に、これの専属的な管轄権アメリカ国にあるということを通知されて、そして、その船が日本国の旗を掲げておるわけだ。そうすると、全然関係のない国の人で印象を受けることは、なるほど、アメリカ国は日本国を占領して、したがって、日本の旗を立てたものはアメリカ国の管轄だ、こう取りはしませんか。したがって私は、それまでに日本国の意見というものを知らしてやらなければ、とんでもない印象を受けさすのではないかと思うのです。御見解を承りたい。
  74. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 法理論的に、施政権者であるアメリカがこれの外交保護権を持っておる、これは動かすことができない。しかし、いま言ったように、国民感情からも、いま永末委員がおっしゃるような不合理性はだれでも考えると思っております。しかしながら、法律的にはそういう解釈しかできないとなった以上、実質的にこれをどうするかという——むずかしい問題ではありましょうけれども、先ほど言った船員と船との関係、これを解明するというものと並行しながら、あるいはむしろ先行させなければならぬ問題かもしれませんが、ひとつ研究さしていただきたいと思っております。法律的には、施政権者であるアメリカというものはどうにも動かすことはできないと思っております。
  75. 永末英一

    永末委員 私どもは、あなた方のほうの政府の解釈で施政権の所在、そしてその内容というものを考えられておることは承りました。しかし、施政権返還を目ざす過程においてこれは一つの突破口になると思います。したがって、日の丸の旗を掲げた沖繩船舶が実際上世界の海を走るときには、やはりその角度から、日本国の考え方日本政府の行動としてなし得る範囲というものを、その日の丸とともにつけてそして走らせる、こういう努力をするのが日本政府の義務だと思っております。重ねてひとつお聞きしたいと思います。
  76. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 その方向に向かってできるだけの努力をいたします。
  77. 永末英一

    永末委員 御努力を願います。  次は、経済援助について伺いたいと思います。  沖繩に対する経済援助というのは、いろいろ変遷がございました。しかしながら、現段階においては日米がこれに協力をするというのでありますが、その協力をしていく目的と申しますか、日本国の政府にある目的というものをこの際はっきりとしていただきたい。つまり、いままでは、アメリカ側の要請、アメリカ側の提案されたものに対して日本が合意をする。もう一つは、日本側が独自の援助計画を立てても、それはもう一ぺんアメリカ側の同意を得るというようなことであって、第二の問題はいわばつけたりの感覚になっておる。しかし、われわれが施政権返還を目ざす以上、沖繩の住民の福祉、安寧というものに対しては、日本政府の独自の考え方がなければならぬ。その意味合いで、経済援助をやっていくのでありますけれども、基本的には一体どういう目的をもってこの経済援助を行なおうとするのか、この点を明らかにしていただきたい。
  78. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 施政権返還される日に備えまして、本土との格差を是正するための経済援助というものは、主体性を持って自主的にやっていきたい。従来いろいろな経緯はありましたけれども、そういうものを基本的な考え方として進んでいくべきものと思います。
  79. 永末英一

    永末委員 従来のたてまえは、沖繩施政権アメリカ側にある。アメリカ考えですよ。したがって、アメリカが住民の福祉、安寧等について第一義の責任を持つ。そこで、いわゆる公的のことばを使えば、琉球政府がやっているいろいろな行政に関してアメリカ政府がこれを援助する、その補完的な役割りを日本政府がやる、こういう考え方でやってまいりました。しかし、いまは補完的ですか、対等の協力ですか、伺いたいと思います。
  80. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 フィフティー・フィフィテーというようなことばではあらわせないと思いますが、日米相互信頼の立場に立って今日の現実の情勢をにらみ合わしていけるならば、解決点はおのずから見出し得ると思っております。
  81. 永末英一

    永末委員 総務長官は、本土との格差の是正と言われましたが、その意味合いは、本土の住民がわが国の政府から受けておるものとのバランスを沖繩の住民との間にとろうというのか、沖繩が将来本土に復帰された場合には、おそらく本土の法制上からいえば府県の一つになる。その本土における府県に対して日本政府が与えておるものと、将来沖繩が府県の一つになる場合に日本政府が当然やらなくてはならないこと、その格差の是正をしようと言われるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  82. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 政府から出る金だけの問題ではなく、物心両面にわたってであります。
  83. 永末英一

    永末委員 物心両面はわかりました。格差の是正という意味を私は内容を付して質問申し上げたのですから、お答え願いたい。
  84. 山野幸吉

    山野政府委員 御案内のように、言うまでもありませんが、沖繩は、米国の援助日本援助、それから沖繩の住民の税負担、こういうことで財源が成り立っておるわけでございます。したがいまして、これを総合的に見まして、そういう沖繩財政規模を漸次充実して、そうして本土の相当県の住民が受けておる福祉と同じ福祉の程度にまで沖繩の住民福祉を上げていきたい、こういうのが当面の目標でございます。
  85. 永末英一

    永末委員 相当県の住民の受ける福祉と言われる。わが国におきましては、地方自治体と中央政府との間にはいろいろ問題がある。その一つの問題は、国の事務を府県におっかぶせておいて、その事務量だけの財政負担を中央政府がしていないのではないか。これが全部の地方自治体からの政府に対する不満ですね。だといたしますと、沖繩の場合、もし施政権返還されて本土の府県の一つになる場合に、当然これは国の事務をやるわけです。現在でも、もし沖繩がわが国の施政権が及んでおるならば、やらなくてはならない国の事務をやっておると思いますね。だといたしますと、格差是定というのは、まさしく現在の琉球政府が行なっておる事務の中で、国の事務、この部分については、やはりわが国の政府がほかの府県にやっておると同様の財政的な負担をすべきである、こういう結論になると思うが、いかがですか。
  86. 山野幸吉

    山野政府委員 御指摘になりましたような考え方もあると思うのでございますが、この琉球政府は、府県とは違って、国の事務を余分にやっておる。だから、その国の事務に要する経費は当然日本政府援助してやるべきではないか。ただしいて申しますれば、沖繩の住民の方々は、国政事務はやっておられるが、かわりに国税は納めておられないという関係もあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、国の事務に幾らかかっておるから、その経費を日本政府が持つということではなくて、やはり国政事務と都道府県の事務と申しますか、そういう都道府県相当の事務と合わせた全体の沖繩の行政の遂行のために必要な経費をアメリカ政府日本政府とで援助してやっておる、こういう考え方が、むしろ総合的に財政を見る面からいいのじゃないか、かように考えております。
  87. 永末英一

    永末委員 沖繩経済援助をみる場合に、目標をはっきりさせなければならない。これは民社党の主張ですよ。その方向からいくならば、いまのように、国税はとっておらないとおっしゃる。それは施政権が及んでいないのだから、国税をとるわけにはまらない。しかしながら、沖繩のいまの税制によって大体の所得は把握されておるわけです。そこへもし日本の税制を施行するならば、国税部分としてどれくらい入るか、これは簡単に試算のできる問題である。だといたしますと、いま私が申しましたように、施政権返還されれば当然日本の地方自治体としての扱いを受けなければならないものであるから、そこで私は当初質問いたしましたように、経済援助の目的はどこにあるのかと申しましたのもこの点である。したがって、あなたの言うようにどんぶり勘定でやっておるということであるならば、先ほど、フィフティー・フィフティーとはいかぬけれども、相互信頼の立場に立ってやっておるのだという総務長官の話ですが、それでは無目的である。いままでアメリカがやってきたやり方に対して、日本政府は新しくほんとうに相互協力という立場でやるならば、その際日本政府の目的というものをこの経済援助に筋金を入れるということが私は必要だと思う。そうでなければ、一体経済援助施政権返還とがばらばらになるのではないか。したがって、いまのようにどんぶり勘定ではなくて、やはり中央政府として地方自治体に持つべきものというのは試算をし、そうしてその限りのものは出す、この基本を立てていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  88. 山野幸吉

    山野政府委員 まず第一は、申し上げるまでもございませんが、沖繩の制度と日本のたとえば府県の制度というのは、行政の機能において非常に違っておるわけでございます。そのほかに、琉球政府政府の仕事をしておるわけでございます。政府のほうの仕事に要する経費は幾らか、こういうものを一昨年あたりの基準で試算して、七十億ともいわれ、八十億ともいっておられるわけでございますが、それだけを対象にしたらむしろ問題は簡単でございます。そうでなくて、やはり琉球政府が終戦後十年そこそこまで全く放置されてきた、その間の非常に行政のギャップが大きいわけでございます。したがいまして、その行政の水準を本土の府県まで引き上げていく、そうしてもちろんその上に国家事務も遂行できるようにしてやる、そのためにはおそらく明年度は一億一千万ドル近い予算規模になると思いますが、これらは佐賀県等と比較しましたら、これは比較にならない大きい財政規模になると思いますけれども、しかし、国政事務があり、さらに、長い間の行政水準の格差があるから、そういう規模の予算は当然必要であろうというぐあいに考えるのでございまして、そういう意味で私どもは、一方では相当府県との全体の財政規模等を勘案しながら、しかも国政事務を勘案し、さらに現在の低水準にある沖繩の行政水準を引き上げる点も考慮して日本政府援助を策定していくべきじゃないか、かように考えておるものでございます。
  89. 永末英一

    永末委員 約束によりまして、古屋委員質問があるようでございますから、私質問を終わっておりませんので、古屋委員質問後に続けることを委員長がお許しになるなら、ここで一応休憩をいたします。
  90. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 臼井莊一

    臼井委員長 速記を始めて。      ————◇—————
  92. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案を議題といたします。質疑の申し出がありますので、これを許します。古屋亨君。
  93. 古屋亨

    ○古屋委員 ただいま提出されております特別措置法案につきまして、二、三御質問をいたしたいと思うのであります。近年沖繩から本邦に就職のために移転をする者の数が非常にふえておりますが、これに伴いまして、本邦で離職し沖繩に帰る者もかなりの数に達しておる。しかしこれらの沖繩帰郷者は、本邦の失業保険法によります失業保険金の受給資格を得ましても、帰郷先の沖繩地域ではその受給資格に基づきます失業保険給付を受けることができない。したがいまして、その者が沖繩地域において失業した場合には、失業期間中の生活が保障されない。この問題の解決につきましては、国会をはじめ関係各方面から長いこと要望されておりましたが、政府がこのたび本法案を提出いたしまして、事案の解決に向かわれましたことは、まことに時宜に適した措置であると考える次第でありまして、私としても本法律案ができるだけすみやかに各位の御賛同を得て成立することを望んでやまないものでございます。  それで、この問題につきまして数点お伺いをいたしたいと思いますが、今回の特別措置法案の基本的な考え方につきまして、まず第一に労働大臣からお伺いしたいと思います。
  94. 早川崇

    ○早川国務大臣 いま御指摘のごとく、沖繩地域には本邦の失業保険法の適用がなく、また本邦には沖繩失業保険法の適用がないために、それぞれの地域で失業保険金の受給資格を得ました者も失業保険の給付を受けられないという実情でございます。そういう実情でございますので、今回の立法をいたしまして、相互主義で、本邦で受給資格を得た者は、沖繩へ帰りまして失業している場合には失業保険金をもらえる、沖繩において受給資格を得て本邦に帰って失業しておるという場合には、沖繩法律による給付金を内地でもらえる、こういうことに相互主義によりましていたさんとするものでございまして、その根本精神は、沖繩の方も同じ同胞であるという意識のにじみ出た立法である、かように私は考えておるわけであります。
  95. 古屋亨

    ○古屋委員 今回の措置におきまして、失業保険法相当給付の支給の対象となります者は年間どのくらいであると見積もられておりますか、また、これに要する費用は年間どのくらいと計上されておりますか。
  96. 早川崇

    ○早川国務大臣 本措置が可決せられました場合に、現在日本には沖繩から一万人をこえる労働者が来ておりまするが、失業保険の対象になると考えられる沖繩の方は、大体月平均二百人、平年度にいたしまして二千四百人と推定されるわけでございまして、本年度四十二年度予算におきましては、九カ月べースで、事務費を含めまして約一億五千万円の予算措置を計上いたしておる次第でございます。
  97. 古屋亨

    ○古屋委員 それでは、今回の措置におきまして、沖繩法相当給付の支給の対象になる者は年間何人ぐらいでありますか、また、これに要する費用はどのくらい計上されておりますか、お伺いしたいと思います。
  98. 早川崇

    ○早川国務大臣 これは、沖繩で受給資格を得て本土に来て失業している者は非常に少なうございまして、この対象になる人は、大体月平均五十人、平年度におきまして約六百人と推定されまして、本年度予算におきましては、事務費を含めまして三千四百万円の予算措置を講じておる次第でございます。
  99. 古屋亨

    ○古屋委員 施行期日は政令で定めることになっておりますが、大体これはどういう見当で、また、政令で定めることになっております理由についてお伺いをいたしたいと思います。
  100. 早川崇

    ○早川国務大臣 国会におきまして本特別措置法案が審議されておりまするが、これと同様の趣旨の立法が並行して琉球政府において提案されておるわけでございます。これが成立する時期には若干のズレが避け得ないことでもございまするし、覚え書きの締結、実施細目につきまして、関係者でなお立法が成立した後におきましても実施のための若干の準備期間が必要でございます。と同時に、沖繩におきましては、日本と違いまして新会計年度が七月一日となっております。そういう関係から、政令にゆだねるほうがこの立法成立後実施するのには便宜であると考えまして、政令にゆだねた次第であります。
  101. 古屋亨

    ○古屋委員 私は、この法案ができるだけ早い機会に通過いたしまして、また、沖繩におきましてもできるだけ早い機会に法案が通過され、できるだけ早い機会にこれが実施されることを期待しておるものでございますが、この際一、二点お伺いしたいと思います。  先般御配付いただきました資料によりますと、本土就職者数の調べによりますと、四十年度においては総数が九千三百八十四人でございますが、そのうち職安経由が二千九百七十二人ということでございます。職安を経由しないで、日本内地の企業者が沖繩へ行って募集するものも相当あると思いますが、この職安経由とそうでないものとの将来の方向について、労働大臣としてはいかに考えられておりますか。ことばをかえて申しますと、数年前、沖繩から内地へ参りました若い方がいろいろの事情で途中で帰ってしまったということから、沖繩ではいろいろ問題になったことがありますが、私は、沖繩から内地へ来た者のアフターケアというような見地からいたしまして、個個の企業者が沖繩へ参って沖繩の職安を通じて募集する、あるいは個々的に扱う、それよりも、むしろ正式なルートの職安経由ということを今後——現在はその職安経由は三分の一程度でございますが、将来の問題としての大臣のお考えを承ることができれば幸いでございます。
  102. 有馬元治

    ○有馬政府委員 現在のところ約一万人本土に就職に来ておりますが、職安で取り扱っているのは、御指摘のように約三分の一でございます。これは主として学卒を中心にしておりますが、将来の方向としましては、学卒と同じように、募集についても労働省経由で琉球政府とかけ合う、こういうふうな筋が好ましい方向だろうと思います。ただ、国内におきましても、一般の求人、求職者を全部職安経由という取り扱いをいたしておりませんので、その辺は全部職安経由というわけにはいかぬと思いますが、できるだけその方向に持ってまいりたいと思います。
  103. 古屋亨

    ○古屋委員 その問題につきましては、個人企業者が雇用いたしました労務者等が途中で退職して、渡航費用をどうするかというような問題も沖繩では非常に心配されております。でありますから、将来の方向におきましてはただいまの御意見を承りまして、私も将来の方向についてはそれでありたいと思うのであります。  それで、もう一つ最後にお伺いしたいのでございますが、先ほど日米協議会のお話が出まして、経済援助、民生福祉というような点につきましては日米協議会において決定をするということになっておりますので、この法案につきましては予算を伴うものでありますから、日米協議会において予算関係として合意を見たものでありますか、あるいは日米協議会とは全然関係なく——ということはないと思いますけれども、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  104. 早川崇

    ○早川国務大臣 これは日米協議会を通しておりませんが、その経過がございますので、政府委員から答弁させます。
  105. 有馬元治

    ○有馬政府委員 沖繩失業保険の問題は、御承知のように、三十六年ごろから琉球政府側からの要請がございまして、ずっと懸案になって、今日ようやく解決を見ようとしているわけです。したがいまして、この日米協議会が、一昨々年の四月ですか、正式に設置される以前からこの問題は継続しておったわけでございます。そこで、日米琉三政府間の関係者、当事者の間でこの相互保障の措置についてずっと検討して今日に至っておりますので、日米協議会の関係者であります外務省、特連局その他の関係者とは十分連絡をとりながら、この問題を三者間で合意に達した、それを背景にこの特例措置をお願いしておる、こういうことでございまして、協議事項にもちろん入れて差しつかえないし、また実質的には協議したと同じような手続でこの問題は運んできた、こういう点を御了解いただきたいと思います。
  106. 古屋亨

    ○古屋委員 ただいまの職安局長のお話でございましたが、結局、予算関係ということでは日米協議会を経ているわけですね。
  107. 有馬元治

    ○有馬政府委員 今度のこの措置に必要な予算失業保険特別会計で措置しておりますので、予算の面も、協議会を直接通さずに、関係者間の協議で進めております。予算はもちろん本年度予算に特別会計の中に組み込んでおります。
  108. 古屋亨

    ○古屋委員 最後に、私、日米協議会の運営等につきまして、沖繩における労働者の福祉の向上という見地から、これは労働大臣の所管ではないと思いますが、今後、労働者の福祉ということにつきまして、訓練所の問題その他につきましてはぜひ推進をしていただきたいのでありまして、私の希望といたしましては、日米協議会がいま運営されておる状況を見ますと、将来の方向としては専門分野において分科会等をぜひおつくり願いまして、いろいろ各方面にわたる経済援助、民生福祉の問題について専門的に日米協議会の分科会等も設置されて、沖繩の福祉のためにぜひ政府側において努力されんことを希望し、同時に、南連の機構におきましても覚え書きがありますけれども、こういうような日本の必然行なうべき援助のために必要な機構というものはぜひ拡大をしていただきたいということを特に要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  109. 早川崇

    ○早川国務大臣 労働行政の面でもう一つこの機会に申しておきたいのは、外国労働者は、韓国、フィリピンその他、万国博で入れてくれという強い要望があるわけです。ところが、政府はこれを拒否いたしておるわけでございますが、沖繩からの移入の受け入れはもちろん積極的にこちらもお願いしておりますし、また、来た人の、先ほどお話がありましたアフターケアということにつきましては、特にこれから慎重に誠意をもって当たっていこう、そういう考えでおります。したがって、失業保険のこの立法というだけでなく、労働行政でもうんと沖繩に寄与する面があろうと思いますので、御趣旨に沿いまして十分配慮してまいりたいと思います。
  110. 臼井莊一

    臼井委員長 本案に対する残余の質疑は次会に譲ることにいたします。      ————◇—————
  111. 臼井莊一

    臼井委員長 それでは、沖繩経済及び財政援助に関する問題についての質疑を続行いたします。横山利秋君。
  112. 横山利秋

    ○横山委員 日米協議委員会というものの法律上の性格を伺いたい。つまり私の聞きたいのは、この協議委員会協議事項というものの拘束力を伺いたい。
  113. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 御承知のように、日米協議委員会は、故池田総理とケネディ大統領の話のときの合意に基づきまして、沖繩問題——沖繩の主として経済問題あるいは住民の安寧、福祉の問題について日米間で話し合う場をつくろうという趣旨でできたものでございます。そこはすなわち懇談の場でございます。そこで、特定の問題につきまして何らか合意がかりにできた場合には、その合意を別に政府間で取りきめるわけでございます。   〔委員長退席、竹下委員長代理着席〕 したがって、協議委員会自体は協議の場ということでございます。
  114. 横山利秋

    ○横山委員 そういたしますと、日米協議委員会法律上の拘束力を持っていない、こういうわけでございますか。
  115. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 委員会で話しました合意は、そのまま両国を拘束する法律上の効果を持つということにはならないわけでございます。
  116. 横山利秋

    ○横山委員 しからば、日本政府は、この合意いたしましたことについて、どういう考えでやるのでありますか。
  117. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 従来の例で申しますれば、沖繩援助予算の問題のほかに、たとえば旅券の問題であるとか、移住の問題であるとか、こういう個々の問題を議論しまして日米間に合意ができたのでございますが、そういう合意は、別に外交経路にのせまして、そこで通常の合意形式を経て両政府の約束としておるわけでございます。
  118. 横山利秋

    ○横山委員 一月二十五日に百三億の経済援助を合意いたしましたね。この協議委員会の十一回目の資料一四にございますが、これについて日本政府はどういう措置をとったのですか。
  119. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 御承知のように、そのときの合意は、日本政府は、所要の国内手続、すなわち、予算の問題でございますから、国会の承認を得た上でその約束を実行する、そういう条件のついた合意を、交換公文の形によって外務省と在京米大使館との間で取りきめたものでございます。
  120. 横山利秋

    ○横山委員 そうしますと、十一回の資料以外に、百三億の問題に関する交換公文があるわけですか。
  121. 山野幸吉

    山野政府委員 日米協議委員会で合意に達しましたその予算につきましては、別途、琉球政府米国民政府総理府、この間で覚え書きをかわしまして、その覚え書きによりまして、援助の総額、項目、金額をきめるわけでございます。
  122. 横山利秋

    ○横山委員 その覚え書きを次会に出していただきたい。よろしゅうございますね。  そうしますと、覚え書きが成立した以上は、日本政府はそれを実行する義務を負ったわけですね、法律上も。
  123. 山野幸吉

    山野政府委員 ただいま御指摘になりました覚え書きでございますが、この覚え書きは、通常七月ごろに正式に交換するわけでございまして、昨年度の覚え書きはございます。したがいまして、昨年度の分を御参考に提出させていただきたいと思います。
  124. 横山利秋

    ○横山委員 四十二年一月二十五日の百三億にわたるものについては、交換公文はございませんのですか。
  125. 山野幸吉

    山野政府委員 一月二十五日の百三億の分につきましては、まだ作成しておりません。
  126. 横山利秋

    ○横山委員 順序がおかしいじゃないですか。われわれはいま予算案の審議をしておるのですが、このうちの八十二億円の予算審議をいま国会でしておるわけですね。その予算審議をするとなれば、当然、かかる債務といいましょうか——債務といえるでしょうね。債務を負ったのであるからという交換公文が締結されて、国会へ出されなければならぬと思います。
  127. 山野幸吉

    山野政府委員 百三億につきまして、御指摘のとおり、昭和四十二年度予算に八十二億、それから昭和四十三年度に二十一億を予定しておるのでございますが、これはあくまで日本政府の所要の法的手続を経て初めて有効になるという合意でございます。したがいまして、今国会におきまして八十二億の予算審議をして終了していただいたときに、初めて日本政府としてはそれを支出できるのでございます。二十一億につきましては、明年度予算で御審議をいただく。したがいまして、日米琉の覚え書きは、琉球政府の会計年度が発足しまして事業実施に移る直前に、従来の例によりますと、三者で覚え書きを取りかわす、こういうことになっております。
  128. 横山利秋

    ○横山委員 そうしますと、この協議委員会の合意によって、八十二億円と二十一億円というものは、日本政府が将来国会でこれを承認を得、それに基づいて交換公文を締結するという義務を負っている、こういうわけですね。どうですか。
  129. 山野幸吉

    山野政府委員 その百三億のうち八十二億円、二十一億円につきましては、それぞれ当該年度国会におきまして予算が成立しましたときに、日本政府は出す義務を負うのでございます。
  130. 横山利秋

    ○横山委員 そこの点が私はただしたい点なんです。日米の合意が、百三億円というものが、少なくとも、法律的な効果は別としましても、重要な委員会として合意に達した。いま国会のわれわれの目の前にある予算書の中には、沖繩援助その他諸費として八十四億円が計上されている。二十一億円も同様にこれは債務を負つたというべきではないか。したがって、これは財政法上からいって、日本政府がすでに合意に達してそして将来にわたって百三億円の支出の義務を負った、こうするならば、八十四億円だけでなくて、二十一億円も予算書の中に何らかの形で出るべきではないだろうか。しかもそれを明々年度予算書の中に出せばいいという理屈は、私はこれは成り立たぬと思う。日本政府はこの日米協議委員会において当然これを義務を負ったとするならば、これは将来にかけて百三億円を支出する義務を負ったのであるから、他の継続費なりあるいは債務負担行為なり、それらと同様の性格を持つべき事実に至ったと考えるべきではないか。どうなんです。
  131. 山野幸吉

    山野政府委員 お尋ねの点についてでございますが、経済援助に関しまして日本政府アメリカ合衆国との間の交換公文がございまして、その中に、「日本政府援助は、この目的のために予算で認められた資金から供与され、この資金の支出は、日本国の関係法令に従う。」こうございますし、それからまた、その次のほうに「日本政府日本国の次会計年度において供与する援助計画に関し、予算で認められた資金が利用できることを条件として」云々、こうございまして、日米間の協議委員会におきます対沖繩援助費は、合意したから、日本政府がすぐそのままストレートに支出の責任を負うということではないのでございまして、そういうことになれば、これは国会との関係で問題がある。したがいまして、国会で議決をされまして初めて日本政府としてはこの合意した援助金を出す、こういうことになるわけでございます。  それから、明年度の二十一億円の問題に関連してのお尋ねでございますが、御案内のように、琉球政府の会計年度日本政府の会計年度より三カ月おくれるわけでございます。したがいまして、日本政府援助金は、琉球政府の事業の進捗を見まして、その進捗に応じて援助金を支出することにしております。したがいまして、三月末までに資金が出る分を今年度に計上し、四月、五月、六月分は明年度予算に計上して、議決を得てから琉球政府に渡して十分間に合う、こういうことでございまして、日米間の合意の中でも、そういうことのほうがむしろ適切だということで、この両年度にまたがって百三億円をきめたわけでございます。
  132. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの言っているのは、日米琉の沖繩の問題である。私の言っているのは、日本国会及び日本財政法に基づいてものを言っておる。   〔竹下委員長代理退席、委員長着席〕 少なくともこの百三億円の支出というものは、要するに、日本政府が明年の四月、五月、六月に二十一億円を支出するという義務を負った、こう考えるべきではないか。少なくともそれと八十二億円とを合わせて百三億円をわれわれはこれから支出しなければならないという義務を日本政府は負ったと見るべきだ。したがって日本政府は、国会、われわれに対して、今後、八十二億円だけでなくて、二十一億円もこの問題と関連して支出をすることになりましたと、こういう立場をとるべきであります。当然これは継続費なりあるいは債務負担行為の中でおもてに出すべき財政法上の責任があるではないか、こう言っておるんです。
  133. 山野幸吉

    山野政府委員 先生のいまの御指摘になりました点は、若干私ども考え方と違うわけでございます。合意をしたから当然日本政府は百三億日支出の義務を負ったということの意味でございますが、法律的には、私どもは、百三億円の合意でそのまま日本政府が支出の義務を負ったとは解さないのでございます。もちろん、道義上あるいは政治上の責任はあるかもしれません。しかしながら、交換公文の覚え書きで、百三億円を合意するけれども日本の関係法令に従ってそれぞれ所要の手続がとられた後に初めて日本政府として支出するわけであります。したがいまして、明年度の二十一億円につきましては、あらためて明年度国会予算を計上して御議決をいただいてから支出するわけでございますから、私どもとしては、そのように百三億全体を、たとえば継続費なりあるいは債務負担行為なり、そういうものに持っていく必要はない、かように考えております。
  134. 横山利秋

    ○横山委員 少なくともこれは国家意思として、あなた個人でやったことではない。もちろん、言うまでもなく、国家と国家とが、協議委員会という、法的に設置された、総理大臣によって設置された委員会である。そこで、まあ百三億出しましょう、適当なときによかったら出しましょうというような筋合いの問題ではない。ここに公式に国会資料として出されているこの資料は、何らの責任を持たぬのだというつもりはあなたはないでしょう。少なくともあなたも責任がある立場として、この合意書によって百三億を出さなければいかぬという立場でしょう。それは明白にしてもらわなければ困る。出さぬでも出してもどっちでもいいんですよ。国会は承認していただければいいんですという——国会は承認する立場にある。けれども、一月二十五日ですか、合意をして、この国会に八十二億の支出を求めている。その八十二億と二十一億とは、切り離すことのできない一連の計画によってのっている。船をつくるにも、軍艦をつくるにも、飛行機をつくるにも、一連の計画の中でやられる。さればこそ、財政法は継続費の項目をきめ、債務負担行為の項目をきめている。それと同様の性格を持っておるわけです。だから、当然これは財政法に基づいて予算措置の中に出るべき筋合いの問題でないかと言っている。あなたはそれを財政法や国会というものを別の角度に考えている。沖繩政府あるいはアメリカ政府との関係上、向こうに拘束はそんなに受けてはいませんというだけの話であって、私とは次元が違う。財政法をもう少し勉強したらどうですか。総務長官、どう思いますか。これは国会軽視ですよ。
  135. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 会計年度が違う関係でこういった措置をとったわけであります。政治的な責任はあると思いますが、その他の問題については、特連局長の答弁のとおり私は解釈いたしております。
  136. 横山利秋

    ○横山委員 会計年度が一緒であったら当然百三億円になるわけです。しかし、会計年度が違うから二つに分けたというわけだ。一連のものだということは、あなたは証明しているようなものだ。これは八十二億と二十一億とは切り離すことはできないものだとあなたは言っている。会計年度が違うから二つにちぎっただけだ。そうだとすれば、一連の責任、義務を負った。しかも国会に対しても八十二億円の提案をしておる中で、二十一億円は切り離すことはできないじゃないか。そうであったら、これは当然継続費並びに債務負担行為の性格を持つものではないか。  これは委員長、大蔵省か法制局を呼んでいただかなければだめです。私は押し問答になりそうでございますから……。これは私は財政法違反だという考えを持っている。次会に法制局なりあるいは大蔵省、大蔵大臣を呼んで、この問題を明確にいたしたい。善処を願いたい。  それからあわせて、この財政援助内容について、先ほど永末委員から出たのですが、ここ数年間の沖繩援助の実態を少し承知いたしたいので、資料要求をいたしておきたいと思います。  沖繩政府の数年間の予算書を、そんなに膨大なものでなくともいいんだけれども、数年間の推移を各項目別にいただきたいのが一つと、それからあわせて、その中にも出てくると思いますけれども、この数年間の予算書を整理して、沖繩援助その他の諸費の数年間の推移を承知いたしたい。それから第三番目に、あらましでいいのでありますが、沖繩経済の現況といいますか、そういうものを本委員会資料として出していただきたいのであります。  本来それから入ると一番いいのでありますが、時間の関係上、長官に聞いておきたいのですが、私も、沖繩援助一体どういう方向で行なわれるかについてただしたいと思うのであります。  これを読みますと——いまちょっと見当たりませんが、合意の中で、アメリカ政府計画について日本政府が注文をつけているというところがございましたが、その際は、どんな注文をどういう角度でおつけになったのでありますか。
  137. 山野幸吉

    山野政府委員 御案内のように、日米協議委員会で対沖繩援助費を合意をいたす場合には、まず米側から、明年度沖繩援助費について援助の項目、金額等につきまして案が日本政府に対し出されるわけでございます。それを受け取りまして、その次に日本政府のほうから、それを政府といたしまして検討しまして、それに対して金額、項目等についてそれぞれ日本政府側からの意見を出しまして、これを一つの対案として日米協議委員会に出します。次に、日米琉技術委員会というのが現地にございますので、そこでその対案を流して審議いたしまして、そしてその了承があれば、その次の日米協議委員会で、日米援助総額、項目、金額の合意を行なう、こういうことになっておるわけでございます。
  138. 横山利秋

    ○横山委員 十一回の協議委員会におきまして、米側から提案のあった昭和四十二年度援助に関する提案に対し、対案を提出した。日本側は、その対案において、米国提案に若干の変更を提案したというが、これはどういう技術的な提案であったのか。一体沖繩援助に関する日本政府としての基本的な立場はどういうものであるか。私が端的に聞きたいと思いますのは、沖繩経済を今後どういう絵図面を描いてその目標に向かって進もうとしておるのであるかというのが、私の聞きたい焦点でありますから、その焦点に合わせてお答えを願いたい。
  139. 山野幸吉

    山野政府委員 先ほどの御質問にもございましたが、御指摘のようないわゆる沖繩の長期経済計画のようなものが確立しておりますれば、それを基礎にしまして毎年度予算総額等を策定できますが、現在の段階では、まだそういう確信の持てる長期計画が米琉側で策定されておりません。したがいまして、私どもは、先ほど総務長官もおっしゃいましたけれども、単に財政計画的なものではなくて、さらに経済全体を含めた総合的な経済計画というものを今後策定していかなければいかぬのじゃないか。そういうものを策定した暁には、それに基づいての日米援助というのが描かれていく、長期的なやういう絵図画ができてくる、こういうことでございます。現在のところは、いま先生御指摘のような長期的な総合的な計画は、まだ沖繩にはございません。
  140. 横山利秋

    ○横山委員 やの点は長官に聞きたいのですけれども、少なくとも、八十二億円という金が出るわけですね。これは向こうから聞いたものを、ただちょっとあそこを直せ、ここを直せというような筋合いの金ではないわけです。本土におりますわれわれが、とにかく沖繩はかくありたい、かく願いたいと思って、税金の中から出される金額であります。沖繩のほうでかりに長期経済計画がなかろうとも、日本政府としてはこれだけの金を年々歳々支出していくのでありますから、少なくとも日本政府として、あるべき期待の総図面というものがなくてはなりません。御存じのように、いま沖繩は基地経済である。そして産業は不振をきわめておる。この産業を工業中心にするのか、商業中心にするのか、サービス業中心にするのか、先ほど出たように、金融機関をどうしようとするのか、そういう構図というものが向こうにはなくても、八十二億円を出すというのであれば、こちら側に、かくありたい——このかくありたいことがいれられるか、いれられぬかは知らぬけれども、将来日本の県とするという立場に立つならば、いまから構図があってしかるべきです。少なくとも原則的なお考え総務長官として明らかにされるよう望みたい。
  141. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 お説のように、百三億という金は、飛躍的に増大した金額でありまするから、これの活用ということについては十分検討されなければならないわけであります。先ほども私申し上げましたように、今日沖繩に対してとるべき措置は、経済開発一つのビジョンといたしたいということを申しました。ただいま特連局長も申しましたように、長期経済計画というものができていないのはまことに遺憾でありまするが、私がこの間松岡主席に申しましたいわゆる受け入れ体制整備にいたしましても、さらに、足立さんを中心とする経済視察団、これを現地に派遣いたし、向こう会議をいたしまして、その御報告を受けましたのも、すべてその経済開発という一つの青写真を描きたいという気持ちもあったわけであります。おそきに失してはおるかもしれませんが、いま申しましたような観点から、基地経済にたよらず、どういうものに重点を置くかということは、今後ひとつ非常に早い機会にきめていかなければならぬ。確かにおそきに失するという御批判はあると思いまするが、それでもすみやかにこれを立てまして、沖繩経済開発に努力していきたいと考えております。
  142. 横山利秋

    ○横山委員 そこを聞いておるのですよ。そういうことはもうありきたりのことなんです。調査もされた、あなたも事情を承知しておられるとするならば、その基地経済からある程度脱却をして、経済開発の方向というものはどんなところに力点を置こうとしておるのかということを、最高責任者のあなたに聞いているのです。ないのですか。
  143. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 今日までの沖繩経済といえば、失礼な言い方かもしらぬが、パイナップルと砂糖というようなことが中心であったと私は思うのでありまするが、先ほども触れたように、今後牧畜という問題ももちろんクローズアップされてくる。しかし、それだけではいわゆる経済開発のビジョンにはならぬ。商業中心でいくのか、工業生産中心でいくのかということについては、まだコンクリートなものがないので、非常におそきに失するうらみはあるが、早急に対策を立てていきたい。現地の情勢というものとにらみ合わせてやっていきたい、このように考えております。
  144. 横山利秋

    ○横山委員 私どもは八十二億円でも少ないとは思っていますよ。思っていますけれども、少なくとも八十二億円の予算を支出するのに、さしあたりこちらはこれだけ出すから、ちょっとそこをああしてこうしてという希望を付するくらいで出してもらっては困りますよ。少なくとも、向こうに絵図面がなかろうとも、こちらの本土経済の体化をはかるというのならば、本土経済はこういうような方向に進んでおるのであるから、あなたのほうはこれをやってもらいたい、工業はこういうものがしかるべきだと思うが、どうだろうかというものがなくて何といたしますか。これでは、八十三億円並びに二十一億円、百三億円の支出に対して私どもは不安を感じます。それらの金は、少なくとも沖繩政府それ自身については、一つの理解というものもあり、一つの焦点も現実にはあろうかと思う。けれども、こちらのほうはこちらのほうとして——将来とも別な国でやっていくならそれでもいいですよ。それでも、賠償だとか、あるいはインドネシア援助というものについて、やはりそれだけの問題点というものをちゃんとかまえてやっているではありませんか。もう少しわれわれが納得するような経済開発の方向なり何なりというものを明らかにする義務があると私は思うのであります。お答えができませんか。
  145. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 資源に乏しい場所でありまするので、どういった方向でやるかということ、実は経済開発会議も、これは昨年発足したばかりで、まだ二回でありますが、それは言いわけと聞こえるかもしれませんけれども、早急にひとつ、横山委員の御趣旨のほどはわかりますので、決して百三億というものがむだ金でなかったという形をとる努力をいたしたいと考えております。
  146. 横山利秋

    ○横山委員 私の第二点は、これまたきわめて不満なことでございまするが、後日資料提出されましたら、さらに私ども意見を加えまして十分ただしたいと思います。  先ほどからるる話が出ておるのでありますが、私は、日の丸問題についても先ほどの質疑応答にどうしても納得できないのであります。そもそも日本政府日の丸を掲げようと提案いたしました趣旨は、ただ住民感情だけでございましたか。どうもあなたの答弁からはそういうような感じがしてならぬのであります。日本人だから、住民感情だから、日の丸を掲げさせてやってくれ、おれはそれに対してどうも責任が持てぬから、アメリカ政府責任を持っておるという琉球という旗を掲げてくれ、これだけでございましたか。どうもそんな感じがしてならぬのであります。日本政府日の丸を掲げさせたということについて責任をどこで負おうとするのですか。端的にひとつ長官のお考えを聞かしてもらいたい。
  147. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 施政権返還が望ましいこと、これが念願であることは、これは言うまでもないのであります。しかし、目下極東の情勢その他を中心としてこれの困難なことも認めざるを得ないのでありまするが、その間にあっても沖繩の方々に対してなすべきものは一ぱいあると私は考えております。特にいま日の丸の問題でありまするが、民族上の感情問題としてこれの解決をはかる、それがすなわち施政権返還につながるかどうかという問題については、いろいろな批判が出てくるかもしれませんが、私としては、そういったものが一歩一歩念願をかなえていく道に通ずるものである、また、そうならなければならないというような気持ちで日の丸の問題に取り組んだわけでございます。
  148. 臼井莊一

    臼井委員長 残りの一問を帆足計君にお譲りになるそうですから。帆足計君。
  149. 帆足計

    ○帆足委員 総務長官——あと資料の要求であります。実は四月の二十八日に沖繩祖国復帰の愛国デー・デモンストレーションもあるのでございます。それで一言だけ。  国際連合の正式の決議によりまして、自治権を失っておる住民がその自治権回復のために物心両面の運動をすることに対しては、各国政府はこれを保護し助長するべしという項目がございます。したがいまして、長官はもとよりこの項目を御存じでしょうが、御存じであるならば、これを各警察に知らせ、沖繩総理府の出張所にも知らせ、琉球立法院及び琉球の警察にも知らせ、また弁務官の注意も促しておく必要があると思います。この決議には日本政府は率先してこれに調印いたしておるのでございます。すなわち、自治権がない国民が自治権を回復しようとする運動に対しては、諸国政府及び国際連合はこれを好意的に助長し、そして保護せねばならぬ。しかと御記憶のほど願いたいと思いますが、ちょっとそれだけ御答弁を……。
  150. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 ただいまの国連決議は、植民地問題に関する決議と存じます。
  151. 帆足計

    ○帆足委員 植民地問題に関する決議ではございません。
  152. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 沖繩は平和条約三条に基づきます特殊な地位にございますので、これを他の自治権のない地域と同様に扱うのは適当でないと考えておるわけでございます。今回の四月二十八日の催しに関しましては、それ自身についての評価と判断によってきめるべきものだと考えます。
  153. 帆足計

    ○帆足委員 これは重大問題です。時間はとりません。いまのあなたの発言は間違っております。植民地に関する決議ではありません。植民地状況を廃止すること——アボリッションということばがあります。廃止することについての決議でありまして、そのときの定義は、住民が自治権を現に失っておる領域を植民地と定義するということを、アメリカ代表が、自分の国はかつて英国の植民地であったから、その定義をするには自分がふさわしいと言って、定義をしております。その定義は詳しくその決議の中にも出ております。したがいまして、沖繩に自治権があるならばそれは適用しないが、しかし、自治権のない国民が自治権を回復するための運動は保護助成さるべしと、こう書いてあります。へ理屈をおっしゃらないで、そのまま受け入れるべき性質のものだと思います。また、世界人権憲章にもございますし、同じ趣旨は国連憲章の序文にも書いてあります。ちょっと御注意を促しておきますから、よくお考えになって、そうして総理府及び沖繩のほうにも徹底しておいてください。
  154. 横山利秋

    ○横山委員 その船舶旗、白地に赤くローマ字及び漢字で琉球と書かれた白い三角の旗というものは、これは何でありますか。国際法上国旗になりますか。
  155. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 いまの旗は、二つのきれから成っておりますがこれは一つの旗でございまして、その船舶沖繩籍であるということを示す旗でございます。
  156. 横山利秋

    ○横山委員 私は不敏にして知りませんが、公海を航行する船舶は国旗を掲げることになっておりますね。国旗というものは、万国共通の国旗をもって国旗とするというふうになっております。この二つで一つという考え方は、国際法上通っておりますか。外国船が見て、このローマ字及び漢字で書かれた琉球というものは、国際法上に通る国旗でございましょうか。
  157. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 国際法上の問題としましては、一つの国に属する船舶はその国の国旗を掲げなければいかぬ、こういうことでございまして、一つ船舶が二つ以上の国旗を掲げることはできない、こういうことでございまして、いまの沖繩の新しい船舶旗につきましては、これは二つの旗ではございませんので、二つのきれをもってつくられた一つの旗だということでございます。そこで、それは何を示すかと申しますと、その船舶沖繩の籍を持つ船舶である、こういうことでございます。
  158. 横山利秋

    ○横山委員 あなた方がかってに言うことであって、国際法上それは通りますか。
  159. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 国際法上、要するに、ある国がどういう国旗を持つかという問題と同じかと存じますが、ある国が持つ国旗の図柄とか、そういうことはその国の自由にきめられることでございますので、沖繩の船籍を示す船舶旗としてこういうものを使うということを周知いたしますれば、これを世界各国は受け入れるのが習慣でございます。
  160. 横山利秋

    ○横山委員 沖繩は一国ではないですね。国じゃないですね。周知徹底をする方法をとればというのですが、周知徹底は法律上どういう措置をとりますか。
  161. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 沖繩に現に施政権を待つ米国が、従来の国際的習慣に従った手続をとるわけでございます。
  162. 横山利秋

    ○横山委員 まだあがっていないのですから、とっていないのでしょうね。とるとすれば、どういう国際的習慣だとおっしゃるのですか。
  163. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 この船舶旗に関する合意は、御承知のようにことしの三月でございましたかできましたが、琉球民政府としましては、現在使われておりますデルタ旗は琉球民政府の布令できまっておりますから、むろん、これをまず直す。直しました上で、モナコに国際水路局というのがございますが、そこに通告し、それと同時に各国政府にも通告する。これはアメリカ側もそういう約束をいたしたことでございますから、その手続は進行中であると思います。
  164. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの言うのは、二つ合わして一つの国旗であるというのですね。その中の一つは、日の丸一つの国旗である。何かあなた自分でも自己矛盾におちいって、こういうあり方については実際困っているんでしょう。説明のしようがないですよ。二つ合わせて一つの国旗だ、その中の一つ一つの国旗だ、そんなばかな話はありませんよ。  それで、何で一体琉球ですか。何で沖繩でないのですか。
  165. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 最後の点からお答え申し上げますと、沖繩にあります沖繩政府が、公式には琉球政府という名前になっておりますところから、沖繩というかわりに琉球という字を使うことになったわけでございます。  それから、二つのきれという点に関しましては、私たちが非常に残念に存じますのは、施政権を返してもらう、船舶管轄権を完全にこっちに返してもらうというところまで話がついておらぬ点でございます。そこで、そういう状態で沖繩のために新しい旗をつくるならば、先ほど総務長官からもお話ございましたように、いままでのようなデルタ旗よりは、少なくとも模様でも日本の旗、日の丸があったほうがいい、しかし、船舶に関する管轄権が戻らない以上は、日の丸そのものを掲げることはできない、そこで苦心の結果、二つのきれをもって一つの旗としよう、そういうことになったわけでございます。したがいまして、二つのきれのうちの一つ、これは法律日本の国旗であるということではございませんので、同じ模様のきれと、その上にきれをつけた、その二つをもって沖繩籍をあらわす旗である、こういう暫定的な取りきめをしたわけでございます。そういう暫定的な措置をすることにいたしたわけでございます。
  166. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの北米局から出ております資料も、「沖繩問題現状に関する参考資料」と出ていますね。私ども沖繩に行ってみて、すべての人が沖繩と言って、琉球と言うのをいやがる。そういう心理をあなたも十分御存じだと思います。なぜ沖繩と書くことがいかぬのですか。これはちょっとしたことだけれども、私はこの方式にあまり賛成いたしませんけれども、かりに新しくこういうものをつくるなら、どうして一体沖繩と書かぬのですか。沖繩県民、沖繩におるすべての人々が、われわれとの間あるいはいろいろな会合の場合に、琉球と言いませんよ。みんな沖繩と言っている。あなた方も国会に出す資料沖繩と書くんだったら、なぜ、新しくこういうような、感心しないことだけれども——私は、アメリカ政府が、何か上に書いてくれ、デザインを一つつけてくれと言うかと思ったら、何のことはない、日本政府から要望したそうですね。このデザインを変更して、日章旗の上に、沖繩を示す何らかの標識を併揚するように要望した、日本政府からこの要求をしたそうですね。これはどうしてそんなことをするのですか。向こうから言われたからしかたがない、それなら図柄はこうしてくれというならともかくとして、日の丸をあげてもらいたい、上げるについては、済まぬけれども何らかそちらの旗をひとつ上げてもらえぬだろうか、そしてその中には、沖繩と書かないで琉球と書いてくれ。何と卑屈な根性でありましょうか。私はがまんがならぬような気がしてしかたがない。沖繩となぜ書かないのですか。
  167. 山野幸吉

    山野政府委員 総理府としましても関係がございますので、私から御答弁申し上げます。  これは端的に申しまして、私どものほうとしては、日本国旗を掲げさせていただいたらこれにこしたことはないわけでございます。しかし、それはやはり船舶法なり公海に関する条約なりで、旗国主義というものが、独立国ではないけれども、準用される立場にあるから、そういうどこかの、アメリカの国旗とかあるいは日本の国旗は掲げられない、そこでいま、デルタ旗という、わけのわからぬ旗で沖繩の船籍を示す旗を上げて航行しておるわけでございます。そこで、先ほど総務長官がおっしゃいましたように、ひとつ本土との一体の見地から日本日の丸を上げたいという民族感情をどうしても達成したい、ところが施政権者としては、いや、それは施政権アメリカにあるから、施政権者としての立場から、沖繩を示す独自の旗もなければいかぬ、日本の国旗だけを上げるわけにはいかぬということになるわけでございます。そうしますと、その掲揚のしかたとしましては、妥協の産物でございますが、これはデルタ旗と日本国旗とを合わせて一組の旗とする方法もありますれば、極端に申しまして、アメリカの国旗と日本の国旗とを上げるやり方もありますれば、あるいは今度のように三角旗と日本国旗を併揚するやり方もあるわけでございます。そこで日本政府としましては、もちろんアメリカ国旗は問題にならぬし、いまのデルタ旗も困る、そこで、日本国旗の上に三角旗を上げるといとことにいたしたわけでございます。  そこで、御指摘になりました沖繩琉球の問題でございます。私のほうから申しますと、これは率直に申し上げて、沖繩と書いたほうがいいと思います。しかし、やはり琉球というのは、御案内のように、アメリカ側から呼べば、琉球でございます。日本側から言うと、沖繩県ですから、沖繩と呼んでおる。ところが、この沖繩琉球かという呼称につきまして統一的な共通なことばはございませんから、したがいまして、いろいろ外交上の折衝の過程で、施政権者としての琉球という文字を使いたいというところに落ちついたわけでございます。それが結果としてはいまのような旗になった経緯でございます。
  168. 横山利秋

    ○横山委員 私はこの際強く要望しておきたいのでありますが、日の丸の問題ももちろん一つの民族感情ではあるけれども、しかし、単に民族感情として考えただけでは、これは沖繩県民の意思に反する。日の丸を上げたいということは、なるほど、根底には民族感情がある。けれども、同時にそれは、施政権の復活という、祖国に復帰したいということなんであるから、法律的な立場においても無視できないものがあるということを承知してもらわなければいかぬ。  それから同時に、琉球沖繩の問題についても、沖繩と名称変更を次の日米協議委員会で要求してもらいたい。当然のことだ。沖繩県民がだれ一人として琉球と呼ばれて喜んでいる人がありますか。沖繩と名称変更されるよう次の協議委員会に要求してもらいたい。
  169. 山野幸吉

    山野政府委員 十分ひとつ検討いたしまして、次回にでも総務長官なり外務大臣から御答弁していただきます。
  170. 臼井莊一

    臼井委員長 ただいま横山君から御要望になられた資料は、後刻理事会にはかりまして、その上でもって取り扱いを決定いたします。
  171. 帆足計

    ○帆足委員 ちょっと資料の追加をお願いします。  きょうはもう時間もございませんから、質問は省略いたしますが、ただ、先ほどの、自治権を奪われておる住民に対して、自治権回復の行動は国連並びに各国政府によって奨励さるべしという、この神聖にして侵すべからざることばは、四月二十八日のすべての新聞の巻頭に私は掲げられるべきものであると思います。私は時間があればこれをマークにして沖繩のデモに参加する皆さんに配りたいと思っているくらいでございます。そうしてこの決議は、国連憲章に同様のことがありますし、世界人権憲章にも同趣旨のことが掲げられてありますし、植民地に関する決議でありません、植民地廃止に関する決議の中にあって、これは当時植民地を持っていた恥ずべきアメリカ及びポルトガル、ベルギー、イギリスを除いて、すべての国はこれに賛成しております。ただこの席で最もこっけいであったのは、アメリカの代表が得々として植民地の定義をいたしまして、英国の植民地で非常に苦しんだから、植民地の定義をするに最もふさわしい人物は余であるとアメリカ代表が申しまして、植民地とは、自治権を奪われ、他国の総督によって、すなわち弁務官の支配される領域をいう、こういう定義をしました。いよいよ決議のときに、ばかやろう、何で百年前のことをぬかしたかとダレスにしかられて、急いで便所の中に隠れて棄権いたしたという、世にもみごとな挿話があるのでございます。したがいまして、四月二十八日の沖繩タイムス、琉球新報、その他日本の五大新聞の巻頭には、自治権を失った住民が自治権を回復しようとするその清らかな運動に対して、国際連合並びに各国政府はこれを助長し保護すべしということばを掲げてしかるべし、こういうふうに申したわけてあります。——もはや御答弁は無用でございますから、お控えください。  それからお願いがあるのですが、一つは、最近ベトナム事変が非呼に残酷の度を加えて、ベトナムではもう四十万以上の子供が殺されておりますし、婦女が泰行される数は数知れぬ。そこで、沖繩の同胞は、多少色が黒くて男ぶりもいい、また、女性も、目がぱっちりで、まつげも長いですから、錯覚を起こして、そうして非常に犯罪が増加しております。したがいまして、沖繩における日本人の犯罪、アメリカ人の犯罪、その累年統計と、そのうち、アメリカ人が犯罪をおかしたものの結末の報告のあったものと、報告がなくてどろんと消えてしまったものの統計をいただきたい。  それから第二番は、沖繩行きのパスポート、往復が自由になったということを言っておりまして、前のワトソンも私に——私は直接会ったのですが、もう近ごろほとんど旅券拒否はなくなったようなことを言いますから、私は、あなたはほんとに世情にうといと言った。そうではなくて、握りつぶしがふえた。もう一年くらいたってもまだ、出すか出さぬか——握りつぶしですから、拒否はしてないけれども、大体一カ月以上出さなかったものは、これは拒否と見て差しつかえないと思います。一カ月が四十日でもけっこうですが、通例の事務期間をこえて出さなかったものはこれは拒否なんです。ですから、拒否を表示したのと握りつぶしと二種類ありますから、その合計が往復どのくらいの数があるか、一覧表出していただきたい。その握りつぶしということがありますから、錯覚を抱かないようにお願いしたいと思います。  それから第三に、今後この審議を進めるにあたりまして、沖繩の将来あるべき総合計画を官民のどこかでつくって、アウトラインなりとも資料を  いただきたいという思いは横山委員と同じです。私はその場合にやはり二つの青写真が必要であって、一つは、貧しい沖繩県日本との格差をいま除こうとするその青写真、もう一つの青写真は、米軍が撤退したあと、直接軍需収入がなくなって、沖繩が自立せねばならぬ場合の青写真、二つの案がもはや必要であろうと思います。  日本の鉄鋼の産額は、昭和六年私が東大を出たときに二百万トンであったのが、驚くなかれ、昨年の暮れ選挙演説を始めたころ、四千二百万トンと言いましたら、藤井丙午君から、五千万トンをこえておるぞとしかられました。それから春の同窓会で会いましたところが、ことしは五千八百万トン、まさにフランスの三倍近い鉄鋼をつくっております。造船も世界一です。これは世界の約半分、大英帝国の四倍近くでしょう。さらに、自動車ですらが世界第三位というのですから、自動車協会の専務理事は、自動車は道路を通り、夜は車庫に寝るということを知らなかったのが千慮の一  失、結局殺人の凶器となっておりますが、その殺人率はアメリカの六倍、ヨーロッパの三倍、これは予算分科会で昨日やったことをちょっと御披露したわけですが、それほどの工業力になっておりながら、そして朴政権などという……。
  172. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと帆足君に申し上げます。時間がありませんから、資料要求だけにして……。
  173. 帆足計

    ○帆足委員 わかりました。  朴政権にすら三千億円も賠償と援助を加えてやるくらいだ。そのときの政府の説明は、日本は豊かで、出世払いである、そういう三千億円も払う余力を持つ日本が、たった一つ日本の熱帯、とうとい熱帯地方の世話ができないはずはないのでございますから、そういう総合政策をつくっていただきたい。もしなさる実力がなければ、私は中央経済研究所というのを持っておりますから、二、三百万円、補助金をいただけば、かわってつくってあげてもけっこうでありますが、御準備をお願いいたします。
  174. 臼井莊一

    臼井委員長 ただいま帆足君の御要求の資料に  つきましても、理事会にはかって協議することにいたします。  次に、先ほどのお約束に基づき、永末英一君に十分間だけ質問をお許し申し上げます。
  175. 永末英一

    永末委員 総務長官に対する質問は留保しておきます。  北米局長がおられますので、この際伺いたいのでありますが、アメリカ合衆国政府沖繩経済援助プライス法によって行なっておりますが、一体アメリカ政府は池田・ケネディ会談あるいは佐藤ジョンソン会談の共同声明等を通じましても、沖繩住民の福祉と安寧の向上について責任をわれわれは持っておるというが、その責任の持ち方が一体どの程度のものであるか伺いたいので、この際、アメリカ合衆国連邦政府アメリカの各ステートに対していろいろな連邦政府の金を流しておると思うのですが、それは一体一人当たりどれくらいになっておるか、伺いたい。
  176. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 ただいまの点は、一九六三年の統計で御了承願いたいと思いますが、それによりますと、米国連邦政府の各州に対する財政援助は総額で百十億ドル、一人頭にいたしますと約五十八ドルということになります。
  177. 永末英一

    永末委員 アメリカ合衆国政府沖繩に対してやった援助は、頭割りにして幾らになりますか。
  178. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 現在のプライス法の最高限千二百万ドルといたしますと、一人十二ドル、今回の改正がもし実現いたしますと、これが二十五ドルということになりますが、物価水準とか、いろいろほかの要素も考慮に入れましても、沖繩に対する援助は、アメリカの州に対する援助よりは少ないかと思います。
  179. 永末英一

    永末委員 北米局長としては、日本政府に対して、アメリカ合衆国の政府、その代表が、沖繩住民の福祉、安寧の向上に努力をすると約束をしておきながら、いまあなたがおっしゃったように、まことにどうも低いことしかやってない、責任を果たしていないのではないかと私は思うのでありますが、あなたはどう思いますか。
  180. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 たいへんむずかしい問題でございまして、そういう問題を財政援助額だけでもってにわかに判断することはできないかと思います。最近の米国政府沖繩統治に関する方針を見ますと、さかのぼった以前のことは私もよく存じませんけれども、ともかく、沖繩に対する自治権の拡大、住民の福祉の向上という点について良心的に考えるようになっておる。まだまだわれわれから見ましても十分とは思いませんが、しかし、政策の方向としては、そういうことで努力していると見ていいのではないかと存じます。
  181. 永末英一

    永末委員 日米協議委員会において、アメリカ沖繩に対する援助について日本政府として注文をつけられたことはありますか。
  182. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 日米協議委員会は、もっぱら日本側財政援助についての検討の場でございますが、むろん、これを審議しますにしても、沖繩自身の収入あるいは米国の援助、こういうものから沖繩予算が成り立っておるわけでございますから、当然そういうことも考慮に入るわけでございます。したがって、たとえばプライス法の成立、最高限の引き上げというような問題については、協議会の場におきましても、あるいはまた、別の機会におきましても、そのくらいのこともできな  いのではとても話にならぬという意味で、話し合  いを常時いたしております。
  183. 永末英一

    永末委員 語尾がだいぶんぼけておったのですが、アメリカ側主張によると、平和条約三条で施政権は自分が持っておるという。日本側はな  い。沖繩援助については、先ほどの話のように、  アメリカ側が出してきた項目について日本政府援助額を算定して、それからきめていく、こうい  うコースをとっておる。沖繩の住民にとっては、  一体だれがどこからどうしてくれるのかということについて、きわめて不安感を持っておると私は思います。もしアメリカ政府が自国民に対すると  同様の責任沖繩住民にも果たすのなら、彼らが言うように、平和条約三条によって持っておる施政権を良心的に果たしておると見なされるかもしれない。ところが、いま明らかになったように、それをやっていない。しかも、日本側援助については、アメリカ側が項目を出してきて、その項目に縛られつつ日本側考えるということであっては、一体沖繩住民の立場に立てばどうなのか。非常にうつろな点が出てくるでしょう。そういう点は日本政府としてはアメリカ側に強く要求すべきだと私は思いますが、これは大臣がおったほうがいいと思いますが、局長さんはどう思いますか。
  184. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 私の了解しますところでは、沖繩予算というのは、米国民政府琉球政府との間において経済長期計画というものを一応持ちまして、それに基づいて両者の間で協議して年々の予算を編成していくということであると了解いたしますが、その経過におきましても、米国民政府は、国防長官の直接の指揮のもとにある米国政府の機関として、その責任である沖繩の統治については、十分米国の責任を体し、沖繩の住民の安寧、福祉というものを考慮に入れた予算を両者協議してつくっていく、こういうのが実情であると思います。したがって、そういうことでありますから、現在の施政権アメリカ政府の手にあるという事態におきましては、残念ながら、日本のほうで沖繩財政計画を全部直接助けてつくってやるということはできないわけでありまして、形式的にはともかく、米国民政府側、琉球政府側、そちらからまず素案が出てくる、その上で、協議委員会の場等を通じて日本側意図を反映さしていく、こういう形になるのが、現在ではやむを得ないかと存じます。
  185. 永末英一

    永末委員 あなた方は、いまある筋道に従ってしか発言できませんからね。政治的要求として、日本政府として、もっとアメリカ政府に強く要求すべき筋合いの問題だと思いますから、しかるべき責任者が来たときにこれはもう一ぺんやりましょう。  そこで、特連局長さんにひとつ伺いたいのだけれども援助額の決定について、先ほどのように、アメリカが示した項目以外に日本政府として独自にやりたいということがあるならば、これを示して、協議委員会決定を得ればこれを実施できる、こういう申し合わせになっていると思うのですね。それをやったことはありますか。
  186. 山野幸吉

    山野政府委員 これはいろいろございまして、昨年の場合も、ただいま問題になりました小中学校教職員給与半額負担、これは最後まで民政府側としてはいろいろ消極的でございましたが、日本政府の積極的な提案で変更になったのでございます。その他、生活保護費を本土並みに扱う問題とか、あるいは糖業振興のための措置費であるとか、その他、予算項目にしましては相当数にのぼっております。
  187. 永末英一

    永末委員 資料要求をいたしたいと思います。  つまり、沖繩に対する援助額について先ほど横山委員から資料要求が出ましたが、その中で、いま私が申しましたように、日本政府の発想によって援助してきた額というものをはっきりひとつあげてください。  あと質問は次会に留保いたしまして、質問を終わります。
  188. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 資料要求。  さっき、午前中の質問で明確にしてなかったので、米民政府が管理をしている国有財産並びに県有財産の一覧表を出していただきたい。  それから次には、六六年から七一年にかけての六カ年計画内容を示していただきたい。  その二つをお願いします。
  189. 臼井莊一

    臼井委員長 ただいま永末君並びに川崎君の要求の資料につきましては、理事会にはかって、その上で決定いたします。  本日はこの程度にし、次会は公報にてお知らせ  いたします。   これにて散会いたします。    午後一時三十七分散会