○米田
参考人 私きょうは
海運造船合理化
審議会のコンテナ部
会長の資格でこちらに参上しておりますが、一面船主協会の副
会長をやっております。きょうは部
会長の資格でございますから、この点からまず申し上げまして、それから最近の
海運業について申し上げたいと思います。そこで、私に与えられている時間が非常に短いものでございますから、合理化
審議会の
審議の模様の中でごくポイントらしいものを申し上げまして、それからそのあとで、今回の
公団法案との
関係はどうか、またそれに対して私がどういう
希望を持っているかということを申し上げてみたいと思います。
合理化
審議会がこれを取り上げまして、九月に答申をいたしたのでありますが、何ぶんにも
コンテナ輸送というのは
日本では初めてのものであります。巨額な投資を必要とし、それから
輸送がどうなっていくか、いわゆる陸上
輸送と
海上輸送との一貫性というふうなものがきて、
輸送革命であるという面から、今後どういう方面にいくだろうかということ、あわせていま
海運業者は再建
整備計画のまん中におります。へたに間違いますとたいへんなことになるというふうなことからいたしまして、この問題の取り組みには、いままでの合理化
審議会になかったような勉強をしたわけであります。たとえば
外国のほうに人を派遣して、その
意見を聞いてみるとか、あるいは各界からいろいろ研究したものを聞き取るということでございましたが、その結果得られたものを申し上げますと、まず世界における
コンテナ輸送化の趨勢というものは、これはもうどうにも防ぎようがない、
日本の
海運は、むしろこれに乗って、そしてそれを追い越して先んじていかないと、国際競争力を失っていくというふうな点が第一であります。
そこで今度は、
コンテナ輸送というもののメリットというものを
考えた場合に、やはり海陸の一貫
輸送からする
荷役費、包装費、その他の
輸送費の軽減、それによって大幅に
輸送コストが下げられる、それから
荷役能率が飛躍的に増進する、それから
コンテナ船が大きなものがつくれる、スピードも飛躍することができる、そういうふうなことからいたしますと、
ひとり海運の国際競争力だけではなくて、
日本の
貿易の国際競争力を増強して、今後
日本の
貿易が国際的に伸展していく上に、
輸送費の面から非常に大きく役に立つという結論に達したわけであります。したがいまして、これを
ひとり海運の問題というふうに取り上げるのは狭い、むしろ
日本経済全般の問題としてこれを取り上げるべきであるというふうな観点から、この結論を得たわけであります。その点は、
ひとり私
どもだけではなくて、経団連のほうでもこれと同じような見解で、全般の経済問題として取り上げてその研究に入っておるということでございます。
そこで
日本の場合におきましては、アメリカとの
関係からいって大急ぎにコンテナ体制を整えなければいけないというような、非常に何か壁にぶつかったといいますか、直面した切実性を持っているということであります。ところが片一方、先ほど申し上げましたように、
日本の
海運は再建
整備計画中である。したがいまして、こういうことによってまた過当競争が起こるとか、あるいは投資が非常にむだな方面に流れるというふうなことでございますと、せっかくの再建
整備計画が水泡に帰してしまう。そこで今度は、この
コンテナ輸送体制をやるためには、各
企業間の協調、それからどのくらいの
輸送需要量があるかという算定をやりまして、そのワク内でこの
コンテナ輸送をやらなくてはいけないということになりまして、一応その算定をしたわけであります。それが太平洋航路では四隻で、さしあたりは三グループくらいであろう、あるいは二グループぐらいというものが出たわけであります。そこで、それによりまして、いまの
船会社はある
程度その三グループなら三グループ、これは外船も含めておりますから、
日本船なら二グループ、そのワク内に入りなさいという結論に持っていったわけであります。そこで一応
海運界の方向が出ますと、今度はこの
コンテナ輸送で従来の
輸送と非常に違うことは、やはりコンテナ・ターミナルということがこの
輸送の中核体になるということであります。海陸の一貫
輸送をやる、その接着点はいわゆるターミナルである。このターミナルの動かし方いかん、ターミナルの規模はどういうものであるかということが、結局この
コンテナ輸送の成否のかぎを握るというようなことになるわけであります。
そこで、このターミナルの
施設、それからターミナルの規模というふうなものについていろいろ検討をいたしました。ことにターミナルの運営につきましては、やはり海陸の一貫
輸送をやるという
立場からいえば、これを一元的に運営することがどうしても必要になる。いわゆる
輸送責任者が全責任を持って陸から港、海、こういうものを一貫して
輸送していくということでなければならないという結論に達してきた。また
外国の例を見ても、ほとんど例外なくそういうふうになっております。
そこで今度は、そういうふうな
立場で見ますと、いわゆるターミナルの専用借りという問題が出てまいりまして、今日の
港湾法との
関係で抵触することになった。そこで専用借りの道を開くためには、どうしてもやはりここに
公団というものをつくっていただくよりしようがないというのが、今回の
公団法の提出ということになってきたわけであります。私
たち実は合理化
審議会の結論的なものは、いまのような四囲の情勢から申しますと、この
公団法の成立は一日も早くでなくては困るということでございます。現在アメリカの
コンテナ船は、すでにこの秋から入ろうとしている。
日本の
コンテナ船は来年の秋にできる
計画で、いま建造
計画を進めております。そうしますと、それに合う港がここにないということになりますと、せっかくつくった
日本の
コンテナ船というものは遊ばなければならないというふうなことにもなってまいります。そこで、ぜひそれとうまくテンポが合うような形で
埠頭をつくっていただきたい。その
埠頭をつくるための
公団法というものでありますから、ぜひこれをつくっていただきたい。しかしそれが間に合わないというしばらくの期間はやはり
考えられますから、その間は現在ある
神戸とか
東京とかの港を暫定使用させていただきたい。その暫定使用の方法は、やはり専用借りをして、一元的な運営をもって、
輸送者が全責任を持てるような
体系でそれを動かすことができる
一つの暫定使用というものを考慮していただきたいというふうなことでまいったわけであります。幸いにして
政府がこの方針をお取り上げになりまして、非常に困難な
社会情勢といいますか、そういう中で特別にこの
公団をおつくりくださったということは、われわれとしては感謝にたえないところでございます。ぜひよろしくお願い申し上げたいということでございます。これが大体
公団法のいままでの経緯でございます。
そこで、
公団法の中を見ますと、いろいろこの
法律には出ておりますけれ
ども、まず第一に、この使用をさせるときに
輸送責任者が全責任を持って
輸送に当たられるような一元的な運営の形で使用をさしていただきたいということでございます。私
たちは、先ほど兼田君の、
海運業者、
港湾業者を
犠牲にしているというお話がありましたが、そうではなくて、全部が入ってもいいのです。とにかく一元的な運営ができるようにしなければ、この
コンテナ輸送というものはその目的を達しないということになるかと思います。
それから片一方で現在、再建
整備計画中でございます。
コンテナ輸送に対してはたいへんな
費用が要るわけでございます。また、コンテナの目的が
輸送コストの低減というところを最終的なねらいにしているということであれば、その低減のために非常に大きな要素となる使用料の問題については、十分これはお
考えいただかなくてはならない。
法律では、その貸し付けの
料金その他は政令できめられる、あるいは長期貸し付けとか、いろいろのことが出ておりますけれ
ども、それはやはり現在再建
整備計画中に進んでいる
海運業者に耐えられるもの、またそれが競争力を持てるもの、またそれが
日本の
貿易の振興に役立つ、あるいは
海運の国際競争力に役立つ使用料というものでなければ困るわけであります。ここら辺のところをひとつおくみ願います。この
法律事項ではないのでありますが、
予算その他で
海運業者に対する縁故融資とか、いろいろ出ております。われわれも縁故融資というものを絶対的に排撃するというわけではございませんけれ
ども、やはり将来太平洋航路からさらにニューヨーク航路、欧州航路というふうに
発展していくときに、われわれがどのくらい持てるかということについては非常な不安がございます。少なくとも、私は今度は
海運業者の
立場を多少入れて申しますと、これを早く成立さしていただくためには、今年度の
予算として予定されておられるそうであります二十億については、何とかしてひとつ協力したいという気持ちは持っております。何とかその協力方法を——
海運会社は金があるわけじゃありません、借りかえとかなんとかやっているのですから、
運輸省御当局のお知恵を拝借してやっていきたいというふうに
考えております。
その他、一元的運営をやる場合に、使用者の
意見というものが十分反映するような組織というものはやはり必要ではないか。
法律を見ますと、その使用者の
意見が反映するようなことになっているところが見当たりません。
法律は
法律としてそうであるならば、また何らかの方法で使用者の
意見がやはり反映できる、そこで一元的な運営ができるという体制をひとつ整えていただきたいというふうに存じます。
海運業界といたしましては、ただいま私が部
会長として申し上げましたようなこととそう違っておりませんで、やはりぜひこの機会につくっていただかないと、
日本の
海運は立ちおくれるであろう。ただし、何といいますか、拠出の額その他については、長期的に見ると非常に大きな額になる。現在、これからだんだん船を大きくつくっていかなくてはならぬ。そのつくることと、こういうことと、どういうふうにバランスしていくかという問題があるというふうなことで、先行き非常に不安に思っておりますので、本年度のことは本年度として、先行きのことについては十分に
考えていただきたいということが、大体私の申し上げる点でございます。
先ほど兼田さんかどなたかがいろいろ言われておりましたが、
コンテナ輸送によってある
程度労働の需給の波動性というものはなくなっていくと思います。いわゆるウイークリー・サービスを中心とすることによって、月末、月初の波動性というものはある
程度是正される。むしろここに雇用の安定というふうなものがかなり出てくる。それからまた、
コンテナ輸送は非常に機械化されておりますから、
港湾労働者の技術、技能の向上というふうなものが、やはりここに
コンテナ輸送に関しては出てくる。したがって、
港湾労働者の
社会的な地位というものがむしろ向上する、
コンテナ輸送に関しては向上するというふうに
考えております。
それから、あと、定期船
埠頭が
公団法の中にちょっと出ております。これも、現在、
神戸の市長が言っておられたとおり、非常に滞船しております。
コンテナ輸送でまいりますと、大体二十時間くらいで
荷役が全部できます。現在のところ
考えられているのは、大体三日か四日かかるようなものが、大体そのくらいで
荷役ができるのであります。ですから、船の回転率が非常によくなるというところに非常なメリットがある。現在のように、
港湾労働者が非常に足らないで、滞船が非常に多い。それは片方ではそうでありますけれ
ども、片方で、現在におきましては、定期船がまた非常に足らない形になっております。ですから、定期船をやはりこれからつくらなくてはいけない。それに相応する定期船
埠頭を設けなくてはいけない。その定期船
埠頭の効率化をはかるためには、やはり
専用貸しという制度をこの方面でも認めてもらいたいというふうなことで、今度の
法律の中に入っております。まことに私
たちとしてはけっこうなことであります。
時間の
関係もございますのでごく大略申し上げましたが、あと何か御質問でもいただきましたらばお答えいたしたいというふうに
考えております。
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