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1967-07-05 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月五日(水曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 進藤 一馬君 理事 福井  勇君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 河村  勝君       阿部 喜元君    小渕 恵三君       大竹 太郎君    木部 佳昭君       砂田 重民君    徳安 實藏君       中川 一郎君    福家 俊一君       水野  清君    山村新治郎君       板川 正吾君    小川 三男君       神門至馬夫君    内藤 良平君       野間千代三君    渡辺 芳男君       永江 一夫君    松本 忠助君  出席政府委員         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省港湾局長 佐藤  肇君  委員外出席者         参  考  人         (日本港運協会         会長)     小川 乕三君         参  考  人         (全日本港湾労         働組合中央執行         委員長)    兼田富太郎君         参  考  人         (神戸市長)  原口忠次郎君         参  考  人         (海運造船合理         化審議会海上コ         ンテナー輸送部         会長)     米田富士雄君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  外貿埠頭公団法案内閣提出第一〇三号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  外貿埠頭公団法案を議題とし、審査を進めます。  これより、本案に関して参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、日本運協会会長小川乕三君全日本港湾労働組合中央執行委員長兼田富太郎君、神戸市長原口忠次郎君、海運造船合理化審議会海上コンテナー輸送部会長米田富士雄君、以上四名のお方であります。  参考人各位には、本日、御多忙にもかかわらず御出席を賜わり、まことにありがとうございます。  本法律案につきましては、深い御見識を有せられる参考人各位から、それぞれの立場に立って忌憚のない御意見を承り、もって本案審査参考に供したいと存ずる次第であります。  御意見開陳はおおむね十分程度におまとめいただくようお願いいたします。御意見開陳は、委員長指名順に御発言を願うことといたします。  なお、御意見開陳のあと、委員から参考人各位に対し質疑を行ないますから、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。  それでは、小川参考人にお願いいたします。小川乕三君
  3. 小川乕三

    小川参考人 私は社団法人日本港運協会会長としての公職をあずからせていただいておりますとともに、事業といたしましては小川運輸株式会社経営して、東京湾周辺すなわち東京横浜、千葉その他の港湾において港湾運送事業を行なっているものであります。  結論的に申し上げますと、わが港湾はいかにも外国貿易関係埠頭岸壁が貧弱であるということは言えるのでございます。  御承知のごとく、船舶荷役を行なう場合は、接岸荷役沖取り荷役があげられます。船舶荷役本来の姿としては接岸荷役がオーソドックスのものであり、沖取り荷役河川の多い港湾、あるいは特殊の事情によるべきものであると言えるのであります。しかるに、手元の統計によりますと、昭和三十一年には、接岸荷役沖取り荷役比率は五六対四四、五大港、以下同じでございます。それが昭和四十年には七一対二九と相なりまして、埠頭岸壁施設がだいぶ整備された傾向を数字が物語っているのでございますが、まだ沖取り荷役の存在は相当な比率を示していると言えます。この二つ荷役を合算したものを昭和三十一年度に比較してみますと、一〇〇対二五七ということになります。ところが、他方港湾取り扱い貨物量増勢を見ますと、昭和三十一年度一〇〇に対しまして、昭和四十年度は三六三でございます。この貨物量増勢に対するには、まだまだ港湾埠頭岸壁整備が必要であると考えられます。  さらに、別の角度から考えてみますと、従来、貨物船舶から積みおろしされ、または船舶に積み込まれる経路考えてみますと、荷役方法としては、接岸荷役あり沖取り荷役あり、また接岸沖取り併用がございます。労働力が合理的に配置されずに、むだが生じている傾向が特に最近著しいのでございます。さらにまた、船積み陸揚げ貨物港頭地帯以外の奥地河川工場河岸等と結びついているというような貨物経路に思いをいたすとき、さらに労務力の合理的な適正配置とはおよそ縁遠くなります。  すでに御承知のごとく、港湾労働力の逼迫は常識でございまして、港湾労働者になる者はいないとさえ極言されているのが現在の状態でございます。  私ども港湾運送事業者に課せられた使命は、少しでも早く荷役作業を終了して、本船を速発させることが私どもの責任でございます。このためには、右に述べたような労働事情を無視し、採算を度外視して労働力をかき集めて、本船の速発に奉仕している日常でございます。その結果は、労働力生産性が低下するとともに、事業経営はますます窮迫を告げつつあるのでございます。  御承知のごとく、私ども料金認可制となって、かってに上げ下げできるものではございません。したがって、この経営窮迫は、何らか切り開く道を発見しなければ、企業の倒産とともに本船のストップということになるのでございます。  ただいま国会で御審議中の外貿埠頭公団法が成立し、外貿埠頭計画的に着々と整備され、ここに計画的、合理的接岸荷役が行なわれることになりますと、実にはかり知れない利益があると存じます。  まず第一に、ますます窮迫する港湾労働力を最も有効に、最も合理的に利用できることであります。荷役作業計画化されるようになると、労働力をむだに使い、労働者に迷惑をかけていた点は改善され、ひいては労働生産力も向上することは当然でございます。失われ行く港湾労働者港湾につなぎとめて、貿易の振興に、海運発展のためその一翼をになわせるには、働きよい環境条件が必要でございます。この意味において、近代的外貿埠頭が一日も早く完成されることを期待するものでございます。  先年の未曾有の船込み現象は、いまだ皆さまの御記憶にあると存じます。そのおり叫ばれたのは、一日も早く接岸バースを完成してほしいということを思い出していただきたく存じます。  次に、このような画期的な施設整備するにはだれが適当であるかということを考えますと、すでに過去の例の示すごとく、港湾管理者がこれを担当するには、あまりにも事業的にも、また財政的にも膨大であり、従来の公共事業方式による建設整備は、その限界に来ていると思われるのでございます。それとともに、これらの埠頭が最も効率的に運営されるためには、埠頭専用使用が望ましく、この意味においても、従来の公共事業方式による建設整備では無理と言えましょう。したがって、新たな外貿埠頭公団を設置してこの種の事業を行なわせることは適当であると信じます。  ただ、新設のこの公団が、役所式でなく、能率的に運営されることを希望いたしますと同時に、港湾法第十三条にいう私企業への不干与ということを厳守して、いやしくも民業を圧迫されることのないように切望して、私の賛成意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  4. 内藤隆

    内藤委員長 次に兼田参考人にお願いいたします。
  5. 兼田富太郎

    兼田参考人 私は、この法案に対し、港で働く労働者立場から見た意見を申し上げてみたいと思います。  この法案は、帰するところ、埠頭効率的使用ということをねらっておるのでありましょうから、その効率的使用のためには、労働者が港を動かさなければ動かすことはできないのでありまして、そういう意味から、まず最初に、この法案が適用される四つの港の港湾労働者状態をかいつまんで御紹介させていただきます。  港湾仕事重労働中の重労働であるということにつきましては、現場を見られたことのないお方でも、ほぼ見当がついていらっしゃると思いますけれども、それはたいへんな労働であります。この炎天下で、二十四時間連続労働が今日行なわれております。どうぞ、この機会を借りまして恐縮ですけれども、当委員会先生方にこの港湾実情を御視察願えないかと思うくらいです。そういう重労働でありますから、四十歳以上になりますと、もうこの仕事が無理になってきます。また労働災害は、船内作業において全産業中の第一位であります。はなはだ不名誉の第一位でありますけれども、毎年第一位を続けている状況であります。こういう重労働危険作業を二十四時間連続労働で働いて、月に平均税込み四万五千円程度です。収入面でも他産業に比べてたいへんな低賃金でありますばかりでなく、一体こういう重労働危険作業を二十四時間連続労働をさせるということは、労働基準法がどうであれ、人間尊重が叫ばれる今日、私たちは許されることではないと思うのです。私はこういう二十四時間連続労働というのは、人間性に対するはなはだしく乱暴な挑戦だと思います。しかも、そういうことをどうしてもやらなければならぬのであろうかというふうに考えてみますと、横浜では十時間二交代制がとられています。ところがその他の港では二十四時間連続労働で翌日一日休み、つまり警察官のような勤務の状態になるわけでありますけれども、とにもかくにも重労働、二十四時間連続労働であるというこの現状は耐えられるものではありません。私の考えによりますと、こういう重労働というのはたぶん他の社会のどんな片すみにも残っていないと思います。これはひとり港湾にのみ現存するはなはだ遺憾な事実だと思います。したがいまして、今日港湾労働者になろうとする者がきわめて少なくなりましたし、また就職をしてもすぐやめていく、こういう状況であります。  そこで、私たちは十数年前、ILOの内陸運輸委員会が一九四九年に採択いたしました港湾労働者の雇用安定に関する決議、これをもとといたしまして、国会港湾労働法をつくってくださるように請願をし続けてまいりました。そのおかげで昨年の七月に、法が六大港完全実施をされることになったのでありますけれども、私たちのこのねらいは、少しでも港湾労働者労働環境なり労働条件なりというものを引き上げて、そして港湾労働者を港に定着をさせるということがねらいでありました。この法がちょうど満一年になるわけでありますけれども、この法の運営を見ますと、はなはだ成績がよろしくありません。つまり経営者はこの法律が示しておる登録された労働者を雇用することをきらいまして、やみから労働力を連れてくる。むろんこの法律には十六条に、職業安定所窓口労働力が得られない場合は他から連れてきてもよいというただし書きがあります。そこのところを悪用しているといえばことばが過ぎるかもしれませんけれども、とにかくそこのところを利用して、職安の窓口から労働力を得ようとしない、そのためにこの法律はいまやざる法化しようとする危機にございます。ともあれ、私たちはそういうことをやってでも港湾労働者を港に定着させるということに力を注いでまいりましたけれども、いま申し上げますように、あまりかんばしい成績ではないという実情でございます。したがいまして、この外貿埠頭公団法が実施される四つの港の港湾労働者たちは、港に働くことをもって一生の仕事とする、天職とすると申しますか、そういう気持ちにはなっていないと思います。したがいまして、他に職を求めるかというてもそうは簡単にまいらないような状況でありますし、毎日を不平と不満の中で作業しておる、こういう状況でございます。  さて、この外貿埠頭公団法についてでありますけれども、私は海運港湾というものの使命は、より安全で、より早く、より安くということをモットーとすべきであるということにつきましては、別段異存がございません。しかし、そうするのだからといって、これまで父祖伝来事業として長いこと業を営んできた零細企業や、そこに雇用されている労働者をば犠牲にして港からほうり出すということが、どうして理屈として成り立つでしょうか、こういうふうに私たちは思います。したがいまして、安全で、早く、安くというモットー海運港湾政策が立てられていることについては異議はございませんけれども、それには業者労働者もだれひとり、港からほうり出されて犠牲にあう者がないという、そのことがつけ加えられないと、私は社会正義に反すると思います。こういう意味から、私は、この法案の中にはそのようなところは少しも書いてございませんけれども、このままでいきますと、零細企業なり、そこに働く労働者は、業と労働者が一緒にスクラップ化されてしまうのではないかというおそれをひしひしと感じております。  ごく最近のエコノミスト誌によりますと、日本海運業者の中には、港運業者はこの際しこのみたてとなって死んでもらわなければならぬということを言うておる人があると書かれています。これは私は、法案がそういうことをねらっておるとは思いませんけれども埠頭専用貸し、そうしてその専用貸しせられた埠頭における荷役作業会社の合併、統廃合等々が起こるのでありましょうから、いま私が申し上げたような不安は必ずこれはつきまとうのでありまして、そこのところが、この外貿埠頭公団法による日本埠頭効率使用をねらうこのやり方というものは、だれをも泣かさないのだというものが付加されていませんと、私たちは反対せざるを得ないのであります。この労働者立場というものにつきましてはおわかりがいただけるかと思います。  最後に、先ほど申し上げました低賃金状況料率状況とについて、私の考えを述べさしていただきたいと思います。御承知のように、先ほどもお話がありましたけれども港湾運賃料金というものは運輸省の所管するところでありまして、自由な値段がつけられるものではありません。ところが港湾労働者が先ほど申し上げました低賃金であるということと、料率が低いということとは無関係ではむろんございません。よく公共料金が云々といわれますけれども、私たち考えによりますと、公共料金またはいまいろいろ問題になっておる料金は、大衆消費料金のことをさして、特にそれが値上がりをしてはいけないというのが根本だと思います。ところが港湾作業料金運賃というものは、御承知のように大衆消費ではございません。港湾作業で引っ越しの貨物を運ぶような人はおりません。つまり、港湾料率大船会社、大荷主の、いわゆる私たちことばで言う独占企業体がおもにこれを支払う側でありまして、受け取るほうの会社側中小零細企業であります。したがいまして、この料金のことを考える場合に、一般の大衆消費料金と混同して考えるということは間違いだと思います。さらに、港湾料金というものは国境のようなものでありまして、日本の各港に入ってくる船舶の約半数は、船腹トンでいいましても約半分は外国船であります。したがいまして、国境で商売をしているようなものでありまして、外国船からもとるのでありますから、これがたいへんに安いということになりますと、私は国益にも反すると思うのです。つまり日本海運資本船会社がかり料率を安くしようとする政策を用いた場合に、ついでに外国船会社にも安く日本労働力を提供するということになってくるのであります。この辺も特に御留意をいただきたいと思う点でございます。ちなみに日本港湾料金は、アメリカの十分の一であります。そういう状態でありまして、言うなれば、国家の外貨をかせぐとか、いわゆる国のそういう外国との取引の関係において、たいへんに港湾料率が下がっているということは、外国に安く使われているといいますか、買いたたかれているといいますか、そういう関係を生じておるということを私は申し上げておきたいのであります。  したがいまして、私は本法案につきましては、何回も申し上げますけれども、だれをも泣かさないのだということが明確に出ないと、いわゆる早く、安く、安全にといいましても、それはなるほど社会的要請でありましょうからそうするにいたしましても、そうするために大ぜいの人間を泣かすんだという結果になるのなら、これは社会的要請でないと私は思うのです。そういう意味合いにおきまして、私はこの法案にそういう点を盛り込んでいただくことを望みますけれども、これは労働面のことにタッチしておる法律ではありませんので、これも無理なことかと思いますけれども、いまの資本主義社会では、首を切る切らぬの自由は経営者が握っておるのでありますから、結局どういうことをやっても、このままでいくと零細企業労働者にしわ寄せがくるのではないかということをたいへんにおそれて、日本港湾労働者は、ひとりたち組合だけではなく、すべての組合がその点に非常な関心を持って反対をしておるということを申し上げておきたいのであります。  以上であります。
  6. 内藤隆

    内藤委員長 次に、原口参考人にお願いいたします。
  7. 原口忠次郎

    原口参考人 ただいま御紹介いただきました、神戸市長原口でございます。  外貿埠頭公団法案につきまして皆さん方に非常な御尽力を賜わっておりますことを、まずもって深くお礼申し上げる次第でございます。  外貿埠頭公団の設立につきましては、私ども数年来要望してまいりましたが、本年の四十二年度予算に内定を見ておりますことは、関係者一同非常に喜びとしているところであります。なぜ私ども外貿埠頭公団を急速につくっていただきたいと考えているかということ、簡単に港湾全体の問題についてお話し申し上げたいと思います。  私ども港湾を預かっております者、特に私は日本港湾協会会長をいたしております関係上、このことを申し上げますが、日本公共事業、特に地方公共団体がつくっておりますものは、御承知のとおり河川道路港湾でございます。輸送体系道路鉄道港湾でございます。その河川道路港湾を調べてみます。昭和十一、二年のころは、これらの公共事業の全体のワクの中で、港湾道路はほとんどパーセンテージが同じ程度でございまして、昭和十一、二年のころが一番いろいろな事業が盛んでございましたが、当時港湾道路と大体同じような予算規模でございました。ところが今日、四十一年度をとってみますと、河川港湾道路公共事業費は七千八百億ございます。その中で道路は四五%、三千億円以上使われております。ところが、港湾は全国でわずかに五・九%、約六%、四百億ちょっとでございます。こういうふうな日本全体の港湾予算割合で一体道路鉄道と、輸送体系にいたしましてもやっていけるだろうかというように考えられるわけでございます。たとえば道路の五カ年計画、最近これは改定されましたが、六兆六千億、鉄道は二兆九千七百億、港湾は五カ年計画六千五百億でございます。これを百万トン当たり貨物量輸送費に直してみますと、道路は二十七億円使っております。鉄道は九十七億円、港湾は九億円しか使っていない、こういう状態でございます。私ども港湾関係者は全部、港湾予算が非常に少ないから、これを何とかして増額してもらいたいということが年来の希望でございますし、また日本の将来の発展のためにどうしても欠くことのできない考え方だといって、私ども港湾予算の増額を今日まで言ってまいりましたけれども政府予算は前年度予算の何割増しというような形で進みます関係上、どうしても港湾予算は増額することが非常に困難でございます。したがいまして、非常にいろいろな点で増大いたしております。たとえば外国貿易は戦争前の十二年の六倍ぐらいにふえておりますにもかかわらず、その港湾施設はほとんど何割しかできていない、大部分は戦前の施設を使って貿易をやっている、こういう状態でございます。たとえば神戸港で申し上げますと、外航船入港船割合を申し上げますと、三十年と四十年と比較しますと、三十年の大体二倍にふえております。したがいまして、この四十年から五十年を想定いたしますと、大体四倍近く外航船はふえるのじゃないか。そうしなければ、政府計画されておる日本の経済の発展は望めないのではないかというのが、私ども考え方でございます。  それから、パースが不足いたしております。パースが不足しておるということは、いま申し上げるように港湾予算がございませんので、どうしてもバースをつくるわけにいかない。それだから常にパースが不足して、一番手近な現象として何が起こっているかと申しますと、神戸港で申し上げますと、三十七年に入港船舶が六千九百そうくらいございまして、そうしていわゆる岸壁突堤が不足のために沖に船待ちいたしておりますその時間が、二万七千時間でございます。三十八年には約七千そうの船で、待ち時間が二万一千時間、それから三十九年には七千百五十一そうでございますが、待ち時間が四万四千時間、こういうふうにふえまして、昨年、四十一年には約八千そうの外航船神戸港に入っておりますが、この待ち時間が三万七千五百三十時間となっております。この待っておるということはどういうことかと申しますと、滞船料が一時間大体二万七千円払われております。これは一万トンの船でございます。したがいまして、四十一年には神戸港だけで約十億円の滞船料を払っておる。これはもちろん日本船だけではございません。外国船も入っておりますが、そういう状態でございます。この滞船料を、外貿埠頭公団ができようとしております神戸、大阪、横浜東京について四十年度で調べてみますと、この四つの港で滞船しております時間が大体九万五千時間でございます。そうして先ほどの勘定でいたしますと、二十五億円の滞船料を払っておる、こういう状態でございます。  それでは外貿埠頭公団をつくらないで、いまのようないき方で港ができるかということでございますが、国の予算はなかなか画期的には増額できません。それから公共事業やり方としては、なかなかむずかしいのでございます。と申しますのは、地方費負担も非常にふえてまいる、こういうことでございます。  いままで申し上げましたのは今日の状態でございますが、これから私ども港湾を預っている者として非常に考えなければなりませんことは、海上輸送の大きな変革が来つつございます。それはコンテナ船というやり方でございます。日本港湾にいま本格的なコンテナ船が参りますと、どの港湾も、使える港湾一つもございません。しかたなく、コンテナ船を使わずやるというようなことになるわけでございます。したがいまして、どうしてもこのコンテナ輸送に対して港湾整備を急速にしなければならぬ、こういうことが非常に大きな理由でございます。したがいまして、こういうことをやりますためにも大きな費用がかかる、その費用港湾管理者はとても負担に応じ切れないから、特別な公団組織でもってやっていただきたい、こういうのが私ども希望でございます。  それで、新しい公団はいけないのだということをよく言われますけれども、さっき申し上げましたように、輸送体系道路であり、鉄道であり、港湾でなくちゃならぬ。しかも御承知のとおり道路には首都高速道路公団日本道路公団阪神高速道路公団、三つの公団がつくられて道路整備がされております。それから鉄道にも鉄建公団というものがつくられまして大きく整備されておりますし、河川にも水資源開発公団愛知用水公団二つ公団がございます。そうして急速にいろいろ整備をされております。ところが、港湾公団一つもございません。非常な大事な港湾であるにもかかわらず、そういう公団もなくて、地方公共団体が貧弱な財源を出して今日整備されておるというこの状態は、とても長く続くわけにはいかないのでございます。したがいまして、どうしても公団をつくっていただいて、そうして効率的に港湾を使用していただく。公共事業方式でつくりますと、公共事業の制約がございますので、効率的ということは第二段になります。したがいまして、埠頭公団をつくって効率的に運営していただきたい、こういうことでございます。  この公団ができ上がって、それでは一体どういうふうな形になるかということについて私の意見を二、三申し上げますが、第一番目の問題はこういう点でございます。いま日本の大きな港の中には、国の出先機関が横浜神戸は二十からございます。ほかの港でも十内外はございます。そうして、それは各省の出先機関でございまして、港湾関係の行政をおのおの独自にやっております。したがいまして、これを一元化したいという要望がございます。その要望のあるときにまた国の管理機関でございます公団ができることは、これは反対じゃないかという意見はございますけれども、私ども運輸省と御相談いたしまして協議いたしましたことは、公団はあくまで港湾管理権の行政の下にあって、そうして埠頭の所有権を有しておる。そして所有権の効率的運営の方法として貸し付けを行なうものである、あくまでも港湾管理者の行政権の下で公団は貸し付けを行なっていく、こういう協議をいたしましてそういう規定をされておるものと私どもは理解いたしております。  次には本公団の管理組織でございますが、この組織の中に十分地方公共団体港湾管理者の意思を尊重できるような人的構成をやっていただきたい。  それから第三点は経済問題でございますが、いま公団がつくっておりますのは、国と管理者が一割、それから財政投融資が四割、縁故債が四割と承っておりますけれども、縁故債、これは市中銀行を対象にするものでございますので、賃貸料が自然に高くなってまいります。市中銀行の利子は投融資より高いのでございますから、結局賃貸料が高くなってそれにはね返ってくるから、できるだけ財政投融資の面を大きくしていただいて、そうして金利負担を少なくして、賃貸料を安くしていただきたい、こういうのが私ども希望でございます。したがいまして、外貿埠頭公団はいま日本が当面いたしております経済の伸展に即応するために、外貿埠頭を急速につくり上げるために、どうしてもこういう方式でやっていただきたい。それからコンテナ輸送がもうすぐ参りますから、そのコンテナ輸送時代に入っております現在を克服するように急速に外貿埠頭公団でやっていただきたい、こういうことを私ども希望いたしております。  いろいろ皆さん方の御配慮を特にお願い申し上げまして、私の意見を終わります。(拍手)
  8. 内藤隆

    内藤委員長 それでは、次に米田参考人にお願いいたします。
  9. 米田富士雄

    ○米田参考人 私きょうは海運造船合理審議会のコンテナ部会長の資格でこちらに参上しておりますが、一面船主協会の副会長をやっております。きょうは部会長の資格でございますから、この点からまず申し上げまして、それから最近の海運業について申し上げたいと思います。そこで、私に与えられている時間が非常に短いものでございますから、合理化審議会の審議の模様の中でごくポイントらしいものを申し上げまして、それからそのあとで、今回の公団法案との関係はどうか、またそれに対して私がどういう希望を持っているかということを申し上げてみたいと思います。  合理化審議会がこれを取り上げまして、九月に答申をいたしたのでありますが、何ぶんにもコンテナ輸送というのは日本では初めてのものであります。巨額な投資を必要とし、それから輸送がどうなっていくか、いわゆる陸上輸送海上輸送との一貫性というふうなものがきて、輸送革命であるという面から、今後どういう方面にいくだろうかということ、あわせていま海運業者は再建整備計画のまん中におります。へたに間違いますとたいへんなことになるというふうなことからいたしまして、この問題の取り組みには、いままでの合理化審議会になかったような勉強をしたわけであります。たとえば外国のほうに人を派遣して、その意見を聞いてみるとか、あるいは各界からいろいろ研究したものを聞き取るということでございましたが、その結果得られたものを申し上げますと、まず世界におけるコンテナ輸送化の趨勢というものは、これはもうどうにも防ぎようがない、日本海運は、むしろこれに乗って、そしてそれを追い越して先んじていかないと、国際競争力を失っていくというふうな点が第一であります。  そこで今度は、コンテナ輸送というもののメリットというものを考えた場合に、やはり海陸の一貫輸送からする荷役費、包装費、その他の輸送費の軽減、それによって大幅に輸送コストが下げられる、それから荷役能率が飛躍的に増進する、それからコンテナ船が大きなものがつくれる、スピードも飛躍することができる、そういうふうなことからいたしますと、ひとり海運の国際競争力だけではなくて、日本貿易の国際競争力を増強して、今後日本貿易が国際的に伸展していく上に、輸送費の面から非常に大きく役に立つという結論に達したわけであります。したがいまして、これをひとり海運の問題というふうに取り上げるのは狭い、むしろ日本経済全般の問題としてこれを取り上げるべきであるというふうな観点から、この結論を得たわけであります。その点は、ひとりどもだけではなくて、経団連のほうでもこれと同じような見解で、全般の経済問題として取り上げてその研究に入っておるということでございます。  そこで日本の場合におきましては、アメリカとの関係からいって大急ぎにコンテナ体制を整えなければいけないというような、非常に何か壁にぶつかったといいますか、直面した切実性を持っているということであります。ところが片一方、先ほど申し上げましたように、日本海運は再建整備計画中である。したがいまして、こういうことによってまた過当競争が起こるとか、あるいは投資が非常にむだな方面に流れるというふうなことでございますと、せっかくの再建整備計画が水泡に帰してしまう。そこで今度は、このコンテナ輸送体制をやるためには、各企業間の協調、それからどのくらいの輸送需要量があるかという算定をやりまして、そのワク内でこのコンテナ輸送をやらなくてはいけないということになりまして、一応その算定をしたわけであります。それが太平洋航路では四隻で、さしあたりは三グループくらいであろう、あるいは二グループぐらいというものが出たわけであります。そこで、それによりまして、いまの船会社はある程度その三グループなら三グループ、これは外船も含めておりますから、日本船なら二グループ、そのワク内に入りなさいという結論に持っていったわけであります。そこで一応海運界の方向が出ますと、今度はこのコンテナ輸送で従来の輸送と非常に違うことは、やはりコンテナ・ターミナルということがこの輸送の中核体になるということであります。海陸の一貫輸送をやる、その接着点はいわゆるターミナルである。このターミナルの動かし方いかん、ターミナルの規模はどういうものであるかということが、結局このコンテナ輸送の成否のかぎを握るというようなことになるわけであります。  そこで、このターミナルの施設、それからターミナルの規模というふうなものについていろいろ検討をいたしました。ことにターミナルの運営につきましては、やはり海陸の一貫輸送をやるという立場からいえば、これを一元的に運営することがどうしても必要になる。いわゆる輸送責任者が全責任を持って陸から港、海、こういうものを一貫して輸送していくということでなければならないという結論に達してきた。また外国の例を見ても、ほとんど例外なくそういうふうになっております。  そこで今度は、そういうふうな立場で見ますと、いわゆるターミナルの専用借りという問題が出てまいりまして、今日の港湾法との関係で抵触することになった。そこで専用借りの道を開くためには、どうしてもやはりここに公団というものをつくっていただくよりしようがないというのが、今回の公団法の提出ということになってきたわけであります。私たち実は合理化審議会の結論的なものは、いまのような四囲の情勢から申しますと、この公団法の成立は一日も早くでなくては困るということでございます。現在アメリカのコンテナ船は、すでにこの秋から入ろうとしている。日本コンテナ船は来年の秋にできる計画で、いま建造計画を進めております。そうしますと、それに合う港がここにないということになりますと、せっかくつくった日本コンテナ船というものは遊ばなければならないというふうなことにもなってまいります。そこで、ぜひそれとうまくテンポが合うような形で埠頭をつくっていただきたい。その埠頭をつくるための公団法というものでありますから、ぜひこれをつくっていただきたい。しかしそれが間に合わないというしばらくの期間はやはり考えられますから、その間は現在ある神戸とか東京とかの港を暫定使用させていただきたい。その暫定使用の方法は、やはり専用借りをして、一元的な運営をもって、輸送者が全責任を持てるような体系でそれを動かすことができる一つの暫定使用というものを考慮していただきたいというふうなことでまいったわけであります。幸いにして政府がこの方針をお取り上げになりまして、非常に困難な社会情勢といいますか、そういう中で特別にこの公団をおつくりくださったということは、われわれとしては感謝にたえないところでございます。ぜひよろしくお願い申し上げたいということでございます。これが大体公団法のいままでの経緯でございます。  そこで、公団法の中を見ますと、いろいろこの法律には出ておりますけれども、まず第一に、この使用をさせるときに輸送責任者が全責任を持って輸送に当たられるような一元的な運営の形で使用をさしていただきたいということでございます。私たちは、先ほど兼田君の、海運業者港湾業者犠牲にしているというお話がありましたが、そうではなくて、全部が入ってもいいのです。とにかく一元的な運営ができるようにしなければ、このコンテナ輸送というものはその目的を達しないということになるかと思います。  それから片一方で現在、再建整備計画中でございます。コンテナ輸送に対してはたいへんな費用が要るわけでございます。また、コンテナの目的が輸送コストの低減というところを最終的なねらいにしているということであれば、その低減のために非常に大きな要素となる使用料の問題については、十分これはお考えいただかなくてはならない。法律では、その貸し付けの料金その他は政令できめられる、あるいは長期貸し付けとか、いろいろのことが出ておりますけれども、それはやはり現在再建整備計画中に進んでいる海運業者に耐えられるもの、またそれが競争力を持てるもの、またそれが日本貿易の振興に役立つ、あるいは海運の国際競争力に役立つ使用料というものでなければ困るわけであります。ここら辺のところをひとつおくみ願います。この法律事項ではないのでありますが、予算その他で海運業者に対する縁故融資とか、いろいろ出ております。われわれも縁故融資というものを絶対的に排撃するというわけではございませんけれども、やはり将来太平洋航路からさらにニューヨーク航路、欧州航路というふうに発展していくときに、われわれがどのくらい持てるかということについては非常な不安がございます。少なくとも、私は今度は海運業者立場を多少入れて申しますと、これを早く成立さしていただくためには、今年度の予算として予定されておられるそうであります二十億については、何とかしてひとつ協力したいという気持ちは持っております。何とかその協力方法を——海運会社は金があるわけじゃありません、借りかえとかなんとかやっているのですから、運輸省御当局のお知恵を拝借してやっていきたいというふうに考えております。  その他、一元的運営をやる場合に、使用者の意見というものが十分反映するような組織というものはやはり必要ではないか。法律を見ますと、その使用者の意見が反映するようなことになっているところが見当たりません。法律法律としてそうであるならば、また何らかの方法で使用者の意見がやはり反映できる、そこで一元的な運営ができるという体制をひとつ整えていただきたいというふうに存じます。海運業界といたしましては、ただいま私が部会長として申し上げましたようなこととそう違っておりませんで、やはりぜひこの機会につくっていただかないと、日本海運は立ちおくれるであろう。ただし、何といいますか、拠出の額その他については、長期的に見ると非常に大きな額になる。現在、これからだんだん船を大きくつくっていかなくてはならぬ。そのつくることと、こういうことと、どういうふうにバランスしていくかという問題があるというふうなことで、先行き非常に不安に思っておりますので、本年度のことは本年度として、先行きのことについては十分に考えていただきたいということが、大体私の申し上げる点でございます。  先ほど兼田さんかどなたかがいろいろ言われておりましたが、コンテナ輸送によってある程度労働の需給の波動性というものはなくなっていくと思います。いわゆるウイークリー・サービスを中心とすることによって、月末、月初の波動性というものはある程度是正される。むしろここに雇用の安定というふうなものがかなり出てくる。それからまた、コンテナ輸送は非常に機械化されておりますから、港湾労働者の技術、技能の向上というふうなものが、やはりここにコンテナ輸送に関しては出てくる。したがって、港湾労働者社会的な地位というものがむしろ向上する、コンテナ輸送に関しては向上するというふうに考えております。  それから、あと、定期船埠頭公団法の中にちょっと出ております。これも、現在、神戸の市長が言っておられたとおり、非常に滞船しております。コンテナ輸送でまいりますと、大体二十時間くらいで荷役が全部できます。現在のところ考えられているのは、大体三日か四日かかるようなものが、大体そのくらいで荷役ができるのであります。ですから、船の回転率が非常によくなるというところに非常なメリットがある。現在のように、港湾労働者が非常に足らないで、滞船が非常に多い。それは片方ではそうでありますけれども、片方で、現在におきましては、定期船がまた非常に足らない形になっております。ですから、定期船をやはりこれからつくらなくてはいけない。それに相応する定期船埠頭を設けなくてはいけない。その定期船埠頭の効率化をはかるためには、やはり専用貸しという制度をこの方面でも認めてもらいたいというふうなことで、今度の法律の中に入っております。まことに私たちとしてはけっこうなことであります。  時間の関係もございますのでごく大略申し上げましたが、あと何か御質問でもいただきましたらばお答えいたしたいというふうに考えております。     —————————————
  10. 内藤隆

    内藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  11. 久保三郎

    ○久保委員 質問者も多数あるようでありますし、時間の関係もありますので、手短に二、三お尋ねをしたいと思います。  米田さんにお伺いしたいのですが、この一元的な運営というお話でありまして、そうなりますと、これはドア・ツー・ドアというような形に当然なるわけであります。その場合、輸送業者である海運会社が一元的に運営なさる、そういうのが望ましい姿であるとおっしゃっているわけでありますが、その場合の一元的運営というのは、幾つか方法、形があると思うのですね。その形の中で、陸運、あるいは倉庫を含めて陸上運送の問題があるわけなんでありますが、そういう陸上運送のほうの一元的運営というのは、陸上輸送機関をどういうふうな扱いというか位置づけに、倉庫を含めて、なさろうとするのでありましょうか。これが一つであります。  もう一つは、これはあとから港湾運送のほうでもお尋ねしますが、特に、ただいまも言及なさった外貿専用貸し、あるいはコンテナターミナル、こういうところにおける港湾運送事業というものの位置づけです。これまた一元的運営の一環でありましょうから、そういうものをどういうふうにお扱いなさろうとするのか、それが二番目のお尋ねであります。  三番目は、さしあたりの構想としては北米航路に対して、マトソンを入れた三つのグループが想定されておるわけでありますが、すでにヨーロッパというかそういう方面でもそれぞれやってきておるようでありますから、案外欧州航路の中にも、われわれが予想しているより早くそういうコンテナ輸送というのがくるんじゃなかろうか、こういうことを考えております。そうなったときには、将来の展望でありますからはっきりした、きちんとしたものがおありでないかもしれませんが、将来の展望としてコンテナ輸送はどういう形でやるべきであろうか、あるいは、先ほどお話がありました海運再建の途上でありますから、この問題に関連して、さしあたり北米航路に対して二つのグループというか三つのグループでおやりになる、これは海運再建の中にそのまま織り込んで見られているのか、以上の点をお話しいただきたいと思います。
  12. 米田富士雄

    ○米田参考人 一元的運営につきましては、実は私たちもこれを審議会で検討するときに非常にもんだのであります。ドア・ツー・ドアということになれば、当然に陸上輸送も入ってくる。またそれによってこそ経費が節減されるのであるということでございますが、しかしそのやり方は必ずしも海運業者自身が全部をやるという形ではない。ここに一つの陸上輸送業者がある、それとしっかりしたタイアップをやりまして、そしてそのところで一貫輸送をやる。あるいはまた、別に一貫輸送をやるための特定の会社を、そういう陸上輸送業者その他と一緒になってつくりまして、そしてそれがやっていくというふうな、いろいろな方法があるかと思います。いずれにいたしましても、ワトソンのやり方その他を見ますと、やはりワトソンの運んだ荷物というものは、ワトソンのコンテナそのものでずっと奥地の需要地まで流れていく、この形はやはりどうしてもとらなくてはいけないのであります。ところが現在日本では道路事情その他からいいまして、そういう目標まではそう簡単にいかないと思いますけれども、これは何とかそこへ持っていくように道路事情その他を直していくということをやっていただくというつもりでやっております。  それから運送事業者の位置づけということに対して先生のお話がございましたが、ただいまの私のお答えの中に大体入っていると思います。一緒になってひとつやれるのはやる。ただそれが専用貸しの運営の線に沿っている。それから北米航路、これはいま御承知のようなわけで二グループになっております。これから先欧州航路、これは先生の御想像どおり、イギリスがいまコンテナ輸送に非常な熱を入れております。おそらくこういうような関係からいきますと、現在のいわゆる極東欧州同盟といいますか、欧州と日本とを結んでおります航路の輸送についても、コンテナというものは当然入ってくるというふうに考えております。ただしこの寄港地が、コンテナ埠頭をつくるだけのものを持っていない寄港地が相当ございます。ここら辺のところのサービスをどうするかということがやはり今後の問題として残りますけれども、当然欧州航路あるいは豪州航路というふうなものが次にくるというふうに考えております。まず第一に、太平洋航路でひとつ試運転をやってみようというふうな意気込みが現在あるわけであります。
  13. 久保三郎

    ○久保委員 次に原口市長さんに、お述べになったこととはちょっと違うかもしれませんが、けさの新聞を見ましたところが、港湾都市協議会というものをきのうあたりおやりになっているようであります。その中で議論された集約点が幾つか報道されているのでありますが、その一つに「港湾管理を民主化するため重要港湾は、それぞれの県と港のある市との共同管理とすること、」こういうふうに決議されているわけであります。これだけではわれわれにはちょっとわかりかねますが、これはどういうことを意味しているのか。  それからもう一つは、専門家である原口市長さんすでに御案内のとおり、港湾も今度のコンテナなどは最も特徴的に転換の大きなてこになって、港湾の機能——機能そのものは変わりませんけれども、いわゆる公物的な役目、そういうものはだいぶ変わってくると思います。だから、よってもって港湾管理の問題はどうあるべきかというのは論議のまとに今後もなるだろうと思うのです。そこで、いま私ども審議中の外貿埠頭公団は、その局部であるターミナルのいわゆるコンテナの操作あるいは外貿ライナーの荷物を扱うための埠頭としてこれを運営し、構築する公団、言うならば港湾管理の一部を公団が管理していくということにも機能上とれるわけなんです。そういうものを含めて、これから管理形態というか、そういうものはやはり考えていかねばならぬことだと思うのです。そこで、いま申し上げた、港湾都市協議会で御決議なさったいわゆる港湾管理の民主化、そのためには県と市の共同管理が好ましいということでありますが、それはどういう意味でありましょうか、もしお差しつかえなかったら御開陳をいただきたい。
  14. 原口忠次郎

    原口参考人 ただいまの御質問の、港湾都市協議会を清水できのう開きました。そうしていろいろ決議をいたしました。その中に、民主化のために都市がその港湾費用を分担しておって何らの発言権もないから、と申しますのは、大体地方港湾は県が管理いたしております。そうして国の予算が大体において二分の一、それから県費が二分の一、こういう状態でございますが、県によりましてはその地元の都市へその二分の一の負担をまた二分の一とか三分の一とかかけております。その予算を出しながら港湾のいろいろな運営あるいは埋め立て地の処分の問題等について、その市の意見が何ら反映していない。だから市の意見も反映するように組合方式——費用負担しておるものが集まってやる組合方式あるいは管理方式といいますか、ポートオーソリティー方式にいったらどうだという考え方でございます。したがいまして、民主化と申しますのは、その港湾関係しておりますポートオーソリティ方式にいく一つの手段としてそういう考え方をやったらどうだ、こういう考え方でございます。私ども港湾の管理、運営につきましては、いま各港を各県、市がばらばらに持っておりますことは、これは将来やはり、たとえば東京湾とか大阪湾とか、こういうふうな大きな一つの場所については、個々の管理じゃなくて、共同して管理するのが理想的ではないだろうか、私はそういうふうに感じております。したがいまして今度できます公団が、これは自分がつくる品物に対するだけの管理公団でございますが、そういうことはなかなか困難かもしれませんけれども、私は東京湾、大阪湾には将来やはり一つの大きな管理母体ができ上がるべきじゃないだろうか、そういう方向にいく一つの試練と考えたらどうだろうか、こういうふうに考えております。しかし当分の間はあくまでも港湾管理者の下でいくべきだ、こういう考え方でございます。したがいまして、港湾関係する各種団体が発言権を持つ管理方式、これが港湾の将来の姿ではないか、私はこういうふうに考えておりまして、きのうも決議いたしましたのは、そういう考え方一つのあらわれでございます。
  15. 久保三郎

    ○久保委員 次に、小川参考人にお伺いするのでありますが、先ほどのお話では、言うならば港湾労働について労働環境というかそういうものを整備しながらこういう新しい時代に対応していくことが必要なことであるというような意味をお述べになったのでありますが、一番問題なのは、さっき兼田参考人からもお話がありましたように、港湾運送事業は御案内のとおり、港湾運送事業の再編成というかそういうことで、その過程にいまあるわけであります。ところがこの港湾運送事業を再編成する、それを論議して法律にしていったときには、特に特徴的なコンテナ輸送港湾において大きな変革を与えるであろうということは、理屈としてはわかったけれども、実際にはだで感ずるほどではなかったと思うのであります。だから港湾運送事業を再編するというこの作業の過程で、また一つと言っては語弊があるが、もっと決定的なコンテナ輸送というものがきまして、いうならば当初イメージに描いていたところの将来のビジョン、そういうものはおそらく変更せざるを得ない事態ではなかろうかというふうにわれわれどもは見ているわけなんです。そうしますと、もちろんこれは輸送の近代化、合理化ということでありまして、その面ではもちろん新しい方式としてこれを是認し、もって拡大していかなければならぬと思うのでありますが、いうならば一番困るのは、困るというか一番心配なのは、港湾運送事業は、コンテナ一つとっても、沖取りというものはこれはないのですね。沖取りはなくて、沿岸荷役。しかもこれは労働力というか、じかに筋肉労働にたよるというものではない。むしろ大型の荷役機械の操作によってのみ積みおろしが可能である。こういうようになりますと、もちろんお述べになりましたように、労働力の質の転換というのを大きくせねばならぬ。その前に業界の再編成の中では、これはだいぶ変わってくるであろう。それから外貿の専用貸しの問題も、同じような形が出てくると思うのです。そこでお尋ねしたいのは、業界の再編成について、コンテナなり、この公団、外貿の問題を織り込みながら再編成ということをいまおやりになっている、考えておられるのだろうと思うのですが、そういうふうなことで、新しい要素を入れながら再編成を考えた場合に、兼田参考人からお述べになったように、零細企業の行く手と、そこに雇用されているところの労働者の行く手はどういうふうになるであろうか、これは一番われわれとしても心配の点でありますので、もしお差しつかえなければその点御開陳をいただきたいと思います。
  16. 小川乕三

    小川参考人 ただいまいろいろ広範にわたっての御質問でございますが、まず私のほうの港運協会のいままでのあり方、またこれから進むべき道というものを先にお答えをいたしませんと、ピントをはずれますので、ちょっと長くなりますが……。  港湾運送業者というものは、先生方も御承知のとおり零細企業であるというらく印を押されて今日までまいりました。御承知のように、急激な産業の膨脹にわれわれ業界がとてもついていけなかったということがございます。そこでついていくにはどうしたらいいかということも、お役所の指導もあり、われわれ自体でもいろいろ考えまして、御指摘のありました、はしけとか船内とか沿岸とかいうものに業界も分かれておりましたが、両三年前から日本港運協会というものに一本にまとまりまして、ここで全部ひとつお役所の御指導をいただいてやっていこうということに相なりました。当時われわれが日本港運協会をつくりましたときに、愛される港運協会になろうじゃないかということが第一のモットーでございました。これはもちろん労働組合を含めてでございます。かような姿で今日までまいりましたが、先ほども兼田さんがおっしゃいました零細企業者はどうなるのだということでございますが、今回の十六条による——一番最初の十六条そのものずばりで申しますと、港湾運送事業者は即作業である、港湾運送事業者が自分で作業をしなければいけないという条文がございました。しかしそれをいろいろ懇請いたしましてみなす規定をつくっていただきまして、零細業者でも基準に達すれば業を続けることができるというように改めていただきました。そこで基準に達しない零細業者に対しましては、ただいまお役所と相談をいたしまして私どもも自分の仕事などなげうっていろいろお話もし指導もして、港から一人も失業者のないように、また一軒の脱落者もないように懸命の努力を続けております。これがはたして私が申し上げるとおりになるかならないかということは、今後の皆さま方の御指導あるいはお役所のあたたかい御理解、それから業界の考え方だと思いますが、業界もだいぶ考えが違ってまいりまして、こことそこと合併しようというような案も、各港ともちらほら出てまいりました。  私、ここで簡単に申し上げますと、私自体が個人企業のような社長でございますが、どうしても忘れられないのはおやじという味であります。おやじでいられるものが今度は時間に出勤しなければならぬということに対しましては、われわれも国の産業というものを考え、また自分の下で働く人たちのために、あえてそれを忍ばなければならないのじゃないかということを寄り寄り相談しておりますので、何とかその面ではお役所の御指導どおり御期待に沿えるのじゃないかと思います。私一番心配なのは、現在港は、一口に港湾運送業者と片づけますけれども、海陸の接点で、ここでつまずいたならば荷物はとまってしまいます。いかに海運界がりっぱな船をつくっても、企業家がどんな大きな工場をつくっても、そこでとまるという心配がございます。とまるということは、簡単に申し上げますれば、問題は一にも二にも労働力にあると思います。現在の労働事情をもってしましては、先ほども私公述の中に織り込みましたが、非常にふえる貨物に対しまして現在の労働力ではとてもついていけない。どうしてもこれを近代化して、あるいはただいまいろいろ御質疑になっておる公団等も早くつくっていただきまして、それでわれわれのほうも労務確保に万全を期してやってまいりたい、こう考えますので、このままでいくならば、労働力の不足から不荷役船が続出するということは、私は業界の責任者としてはっきり申し上げられます。一例を申し上げますならば、たとえば関東地方で申し上げますなら、鹿島団地をいま建設しております。京葉地帯のほうもやっております。特に八幡製鉄所等は急ピッチで工場の建設をやっておられます。かたがた来年からは、空港公団の工事が始まるというような事態に直面しております。まあこれも私どもの沿岸作業に相なりますので、つぶさに見てまいりましたが、業者はバスで一人一人労務者を乗せてきているというような情けない現状でございます。そういたしますと、どうしても港のほうはできるだけ近代化して、余剰の労働力を足りないほうに持っていくということを考えなければどうにもならない。と同時に、先ほどお話がございましたが、災害の問題も労働省の御指導で災害防止協会というのをつくりまして、いろいろ努力をいたしまして、災害の防止にやっきになっております。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 私どもがこれに賛成いたします根本の理由は、労働力がない、このままではたいへんなことになる、それですから、かような合理化された埠頭ができることに対して賛成でございます。ただ御質問のございました、しからばこれをつくったものが専用するんだということはけっこうでございますが、港湾法の十三条にもございますとおり、港湾運送業者を生かしていただきたいということが前提で賛成をしているわけでございます。たとえば船会社さんのほうなりどこなりがやって、陸から倉庫から船の積み込みから全部やるんだということに対しましては、私どものほうといたしましても、その点をただいま非常に研究をしておりますということを申し添えまして、御質問にお答えいたします。
  17. 野間千代三

    ○野間委員 二、三お尋ねをいたしますが、初めに米田さんに、審議会のほうの問題ではない、副会長さんをしていらっしゃるほうの立場なんですが、この資金計画の中で船会社の縁故債で四〇%、こういうふうになっておりますが、だいぶ前から問題になっている縁故債の問題については、いろいろ御意見を出していらしゃいますけれども、当初の予定では確かにこういう問題がなくて、財投資ということになっておったが、途中からこうなったものですから、いろいろ御事情があると思います。ただ問題は、専用貸しの対象になっている有力な業界じゃないかと思うのでありますが、そういう観点。それから縁故債が確かに単なる借金で、政府保証債でもないし、そういう問題で金利の問題がたいへんあると思うのですが、そういう点等についてはどういうふうにお考えなのか。その点が一つであります。  順に申し上げていきます。それから、次に原口市長さんに一点だけお願いします。先ほど言われましたように、今度の公団港湾管理者の行政のもとにあるというふうに規定をされておられたわけです。これはきのうの委員会でも多少質問をしたのですが、ほとんどの条文が、港湾管理に関係のあるところはそれぞれ管理者と協議をするというふうになっております。ただ四十六条のところだけは、つまり譲渡の問題ですね、公団が譲渡をする場合に、運輸大臣と協議をする、こういう点があるのでありますが、譲渡をされてしまう場合に、何か港湾管理者として将来不都合を生じるというようなことがないだろうかという心配が実はするわけでございますが、その点について港湾管理者としてどういうふうに考えていらっしゃいますか、この点だけ一つお尋ねしておきます。  それからあと小川さんと兼田さんに、これは関連をしますのでお願いをしたいのですが、いま港湾運送事業法の十六条改正によって、集約、系列化が行なわれております。これは小川さんのいまお述べになったとおりであります。そして確かに現在では、たとえば万国博の問題であるとか、いろいろな問題で港湾労働者が非常な不足になっているという点も事実だと思う。ただコンテナ化になっていった場合、おそらく先ほど米田さんが言われますような輸送の一貫体制という方向に進んでいくに違いないというふうに思います。その際に、たとえば、はしけであるとか、あるいは船内であるとか、沿岸であるとか、そうした現在の港湾運送事業者が営んでいる事業がはたしてどの程度残るだろうか。それは港湾の荷物あるいは輸出入の貨物が逐次増大をしていくことは、日本の経済の当然の成り行きで、そういう方向には進むと思いますけれども、はたしてその貨物の増大とコンテナ輸送体制に変革したあとの港湾荷役とが、どのくらいまでつり合いがとれるだろうかという点については、相当大きな疑問がありはしないかというふうに思うのです。これはたしか運輸省の課長さんでしたかの論文か何かで、アメリカで港湾労働者の更生資金ですか、そういうものをたくわえてそういう場合に対応するという協約が行なわれているというふうに伺っておりますが、あるいはそういうことが必要になりはしないかという心配があると思うのです。そういう点について港運協会としてどう考えていらっしゃるか。  それから兼田さんのほうに。兼田さんは現在の港湾労働者の実態についてお述べになりました。これは明らかにそうで、港湾労働法の制定によって何とかそれを近代化していこうとしているわけですが、いまの、現在行なわれております十六条改正に基づく集約、そういう点でも私は多少こぼれていく企業がありはしないかという観点から、十六条改正の問題について政府の善処を求める立場で質疑を行なったことがありますけれども、この集約化の問題のときでも、なおかつ、いま親方と言われましたが、親方として長年企業を営んでおったものでもこぼれていく企業がありはしないかという心配がある。それにもう一つは、進んできて、先ほど申しましたコンテナ化によって生じてくる労働力の実態、これはどうなるか。確かに残ったものは近代的な埠頭で働くということになりますが、残らないものが相当程度できはしないかという心配がございます。そういう点について兼田さんとしてどう考えていらっしゃるか。  それからなお、専用貸しということになってまいりますと、当然一番便利なのは、おそらく荷主あるいは船主が考えておりますことは、企業そのものが一貫であるということが目標になってきはしないか。とすれば、一つの系列のコンテナ輸送会社と港湾荷役、陸上、こうしたものまで強い一貫体制をつくってくるというふうになると思うのでありますが、そうなってまいりました場合に、現在の港湾運送労働者、これがおそらく大幅にいわばスクラップ化されるということが懸念されますが、そういう問題に対してどう考えていらっしゃるか。  それからもう一つは、コンテナ埠頭。コンテナー埠頭ということはこれは公共埠頭と違いますから、専用貸しをされている会社の、一企業の、いわば借りてる意味での私物化されるということになると思うのです。そういう環境の中で、はたして労働組合運動というものがどういうふうになるだろうか。これはわれわれが推測しても相当の違いが生じてきはしないかという気がするのでありますが、そういう点についてどういうふうに考えていらっしゃるか。大体以上お願いします。
  18. 米田富士雄

    ○米田参考人 では、簡単にお答えいたします。  先ほど縁故債と先生おっしゃいましたが、実はいまわれわれが要請されておりますのは長期の貸し付けでございます。公団に貸し付けるわけでございます。ところがこの貸し付け方について、まだはっきりした内容がきまっておりません。その貸し付けたそのものは担保になるかならぬか。また、それによって船をつくるというほうへ転換できますけれども、それもいまのところ非常にあやふやでわからないわけでございます。船会社は金がそうあるわけではございませんので、借りたりして船をつくったりなんかしてやっております。そのときに当然、そういうものの一部はこのほうに回ってくるということになります。これはあまり多額になりますと、今度は計画建造のほうへ非常に差しつかえてきます。それから、せっかく整備計画ができまして、整備計画によって海運会社が一本立ちになっていくというときに、またそういう貸し付け金、また自己資本率を減らされていくということになると、それが非常におそろしい。ですから、もし先生のおっしゃっていることばをなににいたしまして、ここで債券化してくれると、いわゆる債券というものでも持たしてくれれば、またそれによっていろいろそれを担保にして使うということが出るので、また違ったものが出るわけでございますが、現在のところはちょっとそうでないというところに非常に心配がある。  それから将来非常にコンテナの発展があります。そうすると、それがどのくらいのものが要請されるか不安である。だから、ことしの分については、私たちとしては何とか法律を成立させていただきたい。予算も組んであるということであれば、その中では非常に努力して、何か貸し付けの方法を皆さんと一緒になって努力してやっていきたい。しかしそれも四割というのはたぶんむずかしい。半分か半分以下くらいでもってどうだというようなところでいま話しておるわけでございます。むしろ再建、そのためには整備計画の途中であること、それから、今後船舶の大量建造、やはり船をつくる。そのほうへ資金を必要とし、多額の資金を固定させることになる。そういうおそれを感じておるわけでございます。お答えになりましたかどうですか……。
  19. 原口忠次郎

    原口参考人 私に御質問の点をお答え申し上げます。  御指摘のとおり、四十六条は、重要な財産を譲渡し交換する場合には、運輸大臣の認可を受けなければならない、こういう条文になっておりますが、港湾管理者はどうなるのだということから考えますと、港湾管理者にも、認可というのはおかしいですけれども、協議するとかなんとか入れたらどうだというような、私ども初め希望を持っておりましたけれども、やはり法律的にこういう形じゃないとぐあいが悪い。それで、原則的にこの公団港湾管理者の下にあるということと、それから港湾管理者は代表として委員会委員を出しております。したがって、重要なる計画委員会に全部かかるので、大きな財産を譲渡したり交換するということは大きな事業計画でございます。やはり委員長で相当審議をされ、港湾管理者意見もそこへ入ってくる、こういう考え方でございます。
  20. 小川乕三

    小川参考人 先にコンテナの問題から申し上げますが、お役所の立てた見通しといたしまして、昭和五十年、二千五百十に対しまして、コンテナが五百八十という数字でございます。ですから、その数字から割りますと、四分の一弱じゃないですか。ですから、この荷物の総量というものに対しましては、私どもは何ら懸念を持っておりません。これがコンテナ化しても、港から仕事がなくなり、そのために業界が困るということはないということを確信しております。  それからお尋ねの近代化の問題でございますが、これは御承知のとおり、ちょうど今年で四年目になります。来年の十月までが一応期限になっております。その間に私どもも数十回、数百回という会議を重ねまして、御心配の零細企業者は結論的にいって合併をしていただきまして、港からはみ出しのないように、また働いている人から失業者を出さぬように、これはお役所と御相談もし、御指示もいただきまして、これはただいま着々と進めておるのであります。  先ほど申し上げましたように、ただいま確かにいろいろな問題がございますが、最近問題になっております協業化というような問題もいろいろお取り上げ願い、これから御相談願うことになっております。かような方法で一社も漏れなくこの中に入れていくという考えでございますし、またそうなると思いますということを付言いたします。
  21. 兼田富太郎

    兼田参考人 この集約の点について小川さんのお話と少し違うかもわかりませんけれども、私たちはやはりそういう集約や協業化の際に一人も漏れなくして、業者労働者もそのために犠牲を受けることのないようにしてもらいたいということは当然のことでありますし、そう要望しておりますけれども、コンテナの場合には皆さんもすでに御存じかと思いますけれども東京の場合にはすでに郵船と三菱倉庫との間に会社ができることになっております。もう設立の登記をしたと思います。私の知る範囲ではまだ労働者は雇っていないと思いますが、会社のむねだけは建てた。これから労働者を雇いたいというのだろうと想像をいたします。小川さんがいまおっしゃったようなふうであればよいけれども、ここではすでに四九%を三菱倉庫が株を持ち、五一%の株を郵船が持って、いわゆる埠頭ターミナル作業株式会社なるものができておる。そうすると、これまでの業者労働者はそこへ入っていないということが、明確にここでは事実としてあらわれております。このようにいたしますと、いま小川さんがおっしゃったようになれば私はよいと思っておりますけれども、そういうふうにコンテナ埠頭の場合になっていきますと、やはり、これからどうなさるのか知りませんけれども企業労働者は、これは港からほうり出されておるという実態が出ております。  それからコンテナ埠頭の場合に労働運動はどうなるだろうかということも、たいへん私たちは気がかりです。と申し上げますのは、御承知のように日本の港は、社会問題化するほど暴力と暗黒の世界、このごろはだいぶ神戸のほうでも少なくなってきたようでありますけれども、まだ暴力労務管理というようなものも存在します。したがいまして、そういう状況の中ではだれかれの経営者がどうであるとは申し上げませんけれども労働関係法につきましての違法行為というものは、他産業に比較してたいへんたくさんございます。そういう前提といいますか、そういう現状であります。その状態を踏まえて私たちは将来のことを考えなければなりませんが、コンテナ・ターミナルができますと、私もアメリカのハワイやサンフランシスコを見てまいりましたけれども、大きなターミナルにヤードが建てられて、垣根がつくられます。その中で一貫作業が行なわれるわけでありましょうから、必ず垣根のどこそこに入り口ができるわけです。そこには守衛さんが立っております。そうすると、この中へ、その一定地域の中で労働運動をやるために、また組合の集会をやったり、みなに伝達をするような、そういう行動をするためには、一々そこの会社の守衛さんの門鑑をもらわなければ入れないことになります。これはすでに八幡製鉄の場合が出ていますけれども港湾は御承知のように船会社以外には、八幡製鉄、大きな重化学工業の下請をみながやっておりますが、その場合に陸から行くのも海から行くのも八幡製鉄の門鑑がなければ入れません。だが、その構内には一つ組合組合員がおるわけでして、われわれは労働運動の自由からいえば、そこに自由に入れていろんな運動ができるのでなければならぬと思っていますけれども、片方は自分のところの構内の出入りの権利は、許可するしないの権利はこちらが握っておるんだということで門鑑をよこしません。現によこしていません。私らはこれは変な治外法権ができたものだと思っていますけれども、そういうことが現にあるわけでありまするから、コンテナになった場合に、そのコンテナ内の会社が入れまいと思えば、入れないようにすることができる。つまり私たちの団結権なり団体交渉権なりというものは、大きく制限をされるのではないかというおそれを持っております。こういうような状況に対してどうすればいいのかということですが、私たちは合理化というものが労働者犠牲なくやってくるということがもし考えられるなら、格別に反対をいたしません。けれども、むずかしい論理は別にいたしまして、これまでの実績を、あらゆる産業に出た事実を見ますと、合理化によって零細企業労働者犠牲を受けなかったことは、ただの一回もございません。私は、だからというて、いい機械ができてきて人間の苦汗労働を軽減してくれるという文明の進歩に対しては、これは反対をするわけにはまいりませんから、そのこと自体には、りっぱな機械を人間の知恵で発明をして、どんどんいろんなことをやれるようになるというこの文明の発展については、とやかくは私は言えない立場にあるのですけれども、それにしましても、だからというて犠牲を何ぼでも出してよろしいという理屈を承知するわけにはいかない。つまり機械や何か、コンテナならコンテナという、そういう機械が生み出す富を、こういう生産を、生み出してくれる所産をだれかが独占、ひとり占めをするから労働者のほうにしわ寄せがくるのであって、ここのところがちゃんと保障されない限り、必ずしわ寄せはくるものだ、そう思いますものですから、われわれとしては反対をするわけであります。だが、反対をしても、できるものはできる。人力車引きが汽車に石を投げたという昔から、ずっとどんどん出てきておる。  だから、こういう場合にどうするかということでありますけれども、先ほど機械化の場合の資金のお話が出ましたが、これはアメリカのILWUという組合がPMA、いわゆる太平洋船主協会と称していますが、アメリカのPMAという船会社の協会と労働協約を結びまして、コンテナその他いろいろな機械が入ってきた場合に、このことによって首を切られ、労働条件を下げられる者のための補償をする、金で補償をするという意味で、機械化基金という協定ができまして積み立てております。したがって、首を切られた者には働いていた当時の約八〇%の賃金が補償されている、こういう措置がとられていますけれども、これはそうなった場合の措置でありまして、労働運動の中にはそういうやり方がいいのか悪いのかということもたいへん問題があります。ともあれ日本では、さようなことができるとは私は思いません。なぜなら港湾経営者は非常に零細でありまして、機械化基金を積み立てていくというようなこともできない。ところがアメリカなんかの場合は港湾労働者組合船会社、荷主と対角線の労働協約を結んで一トン幾らということで作業についておる。こういうしかけになっておりますから、先ほどのような協定も可能なわけですけれども日本の場合には港運業というものを通じて港湾労働者は港で仕事をする権利ができてきておる、だから港運業者が飛ばされれば業もろとも飛ばされるという運命に置かれている。ここの違いがありますので、アメリカ型をやろうといったって、とてもそんなところへいくものじゃないと思いますし、やはり私は組合は——ここで組合の持っておる考えを簡単に申し上げておきますと、まずいろいろなことがありましょうけれども、私たちはやはりILOがきめている、労働安全につきましても、港湾労働者の福利厚生施設にいたしましても、全部きめておるわけですけれども、海の国日本といわれる日本でILOの決議や何かでは、私の知る範囲では港湾に関することが一番多くございます。たくさんございます。にもかかわらず、日本ではILOのそういう諸決議の線に乗ったのはこの間の港湾労働法だけでありまして、何もやっておらぬ。これは海の国日本といわれる国が、諸外国がそれほどたくさんの決議をしているのに何もやっていないというのは、少し私はおくれをとったということの原因じゃなかろうかと思います。  ともかくいま港では、労働者が小便に行くのでも便所がございません。このことについてもILOは、船に乗った船内労働者には便所と食堂を開放して貸せ、一定時間貨し与えろという決議がございます。それもしないものだから、本船の上で小便をやります。それから水道の水を飲もうにも、港頭地帯になかなか水道のせんがないというようなぐあいで、まるで馬の水を飲むところはあっても人間の水を飲むところがないじゃないかというふうに港湾労働者は腹を立てておるわけでありまして、そういう労働条件、副労働条件等々の整備をやってもらって、そして八時間労働制を確立してもらえれば、当分の間は首切りは起こらないと私も思いますけれども、しかしこれも筋肉苦汗労働の面でありまして、ホワイトカラーの事務職のほうは起こるのだろうと私は思います。  とにかくそういう状況でありまするから、これを全面的にその被害をなくするということができないまでも、それを緩和するという意味において、先ほど申し上げたような福利厚生施設労働災害の防止、八時間労働制等をやって、世界の人間並みな労働条件を与えるということに持っていってくださることを強くお願いをしたいわけであります。
  22. 小川乕三

    小川参考人 ただいま兼田さんから、三菱、郵船という埠頭の問題が出ましたので、ちょっと簡単にお答えしますが、これは三菱さんなり郵船がたとえばその会社をつくっても、これは港湾運送事業の認可を受けなければできないということになっておりますので、私ども港湾運送事業者とこれをみなしておりますから、申し添えます。
  23. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 砂田重民君。
  24. 砂田重民

    ○砂田委員 最初に原口さんにひとつ、簡単なことなんですが、いままで港湾管理者として仕事をしてこられて、今度は新しいこういう公団が違う性格を持った埠頭の建設をするのですが、この公団がつくります埠頭公団が運営をしていくについて、この法律を読んでおられると思いますが、いままで港湾管理者として持ってこられた管理権というものと、今度の公団の運営とのその間に、何か港湾管理者として港湾管理権についての御心配な点がもしもおありでありましたら、この機会に話をしておいていただきたい。むしろ港湾管理権のことについては何の不安もない、管理者にも港湾管理者側から推薦する人も入るし、そういう不安は持っていないというお気持ちでございましたならば、不安はないというふうに答えていただきたいと思います。
  25. 原口忠次郎

    原口参考人 私ども、この公団ができるとき一番問題にいたしましたのは管理権の問題でございますが、管理権がどうということで岸壁、突堤がないということは非常に困りますので、管理権については法律はできましたけれども、今後われわれの管理権が侵害されないように十分やっていく方法はある。したがって、いま私ども考えておりますのは、管理権は侵害はないと思いますけれども、もし運営してまいりましていろいろな点があれば改正していただく、そしてとにもかくにも施設をつくることが一番急務である、こういうふうに私ども考えておりますから、管理権の問題は今後の問題でございますので、先生方のお力をかりまして、管理権が侵されないようにぜひやっていただきたい、こういう希望でございます。
  26. 砂田重民

    ○砂田委員 小川さんに伺いますが、いわゆる近代化、縦横両方の集約化をしいられておられる。たいへん前向きな御決意などもいま承りましたし、私たちもできるだけの御協力をしていきたいと思いますが、三十九年の三・三答申で昨年事業法改正をやりまして、ことしまた新三・三答申が出て、さらに拍車をかけられておる。そこで中小企業近代化促進法の指定事業になられましたけれども、近促法の中に書いてある助成措置だけで、いま皆さんが決意しておられるようなところまで縦横の集約化がいけるかどうか。近促法の助成だけではとてもできないのだ、こういうことはやはり国としても応援してくれなければやりきれないではないかという、何か具体的な御要望がありましたら、この機会に伺っておきたいと思います。
  27. 小川乕三

    小川参考人 砂田先生にお答え申し上げますが、私どもはいろいろな情勢等を察知いたしまして、役所のいう近代化に協力すべきだという論に変わりはございませんが、さて実際に集約、合併というときになりますと、一つの例を申せば、減税の措置とか金融のあっせんとかいうことは当然国でやっていただけるものと信じて進めております。それは私は、役所に参りましても最終的にはそうなりますということを申し上げてやっておりますので、近代化を進めてまいります上におきまして、何の減免措置もない、何の援助措置もないのだということですと、一介の命令になるのじゃないかと思うのです。命令で業者を縛るということは、非常に至難な問題があるのじゃないか。私、役所の幹部の方々がおられる前でこういうことを申し上げたくないのですけれども、しからばただいままで港湾運送業者に対しまして実際に経済的ないろいろな援助政策があったかどうかということに対しましては、無とは言いませんが、非常に少なかった。しかし港湾運送業者が今日までどうにか商売を続けてこられたのは、港湾運送事業法という法律があったから今日までこられたというように考えております。簡単な例を申しますと、三十年ごろは港湾料金なんというのは非常に安くなりまして、これを是正するために、お役所の指導もいただいて非常な努力をいたしまして今日に及んでおりますが、近代化の線が最終にきましたときに、われわれお役所にいろいろお願いを申し上げますけれども、どうぞ先生方にも格段の御配慮と御指導をお願いしたい、こう考えております。どうもありがとうございました。
  28. 砂田重民

    ○砂田委員 これはたいへんな御苦心だと思います。さっき海陸の接点というお話がございましたけれども、陸の側も海の側も、皆さんの業界以外のところは近代化がどんどん進んできてしまって、接点の皆さんのところに今度はしわが寄っているわけですから、どうぞひとつ前向きに御努力を願いたいと思います。  それから小川さんの業界がいまかかえておられる苦悩と同じように、兼田さんの組合にもしわ寄せをせられておる。ただ一つだけ兼田さんのお話の中で理解がいかない点がありましたので伺っておきたいと思うのですが、貨物量に比べて労働力というものは絶対量が不足しているのだ、これはさっきから皆さんがそういう話をしておられる。しかも先行きこの貨物量というものは相当の伸びを示すということも読んでおられる。これは業界も政府も両方ともそういう読みをしておる。数字も出ておる。そういう環境の中で労働力の絶対量が不足しているということが慢性的になっている。しかももう一つは、コンテナに移行されるであろう貨物量というものも大体見当がついている。また、コンテナでない、いままでの公共の埠頭などで扱ってきた貨物の量も、減らないでふえている。そういう環境の中で労働者の方が港からほうり出されるという御意見開陳が兼田さんからあったのですが、どうもそこのところが私もう一つ理解できませんので、補足して御説明をいただきたい。
  29. 兼田富太郎

    兼田参考人 ほんとうに御質問の趣旨のようで、ふえていくのに首を切られるとは何事だ、それは普通に考えればそういう疑問はあたりまえだと私は思うのです。ところがいまの実態から見まして、先ほど私は、港湾における労使の関係、労務管理のあり方はたいへんに荒々しいものだということを前提に踏まえて申し上げるということを言いましたけれども労働力の需要が大きいのだから人をふくらませばいいじゃないか、これは通常の考えで、普通の経営者はそうされると思うのです。ところがそうではなくて、労働時間を長くして、必要な労働力を雇わないという状況一つあります。だから私は冒頭の意見のときに、二十四時間連続労働が今日もあるのだということを強調いたしました。それを八時間労働に直してくれればまた違ってくるけれども、とにかくそういうことがあるのだということを申し上げました。つまり、貨物が百ふえたから労働力が百必要なんだ、だから百雇おうというすなおなやり方なら、全く先生の御指摘のとおりでございますけれども、なかなかそうではないということを私は申し上げておるわけで、いま言ったように労働時間を延ばしていく。場合によりましては二十四時間だけではございません。二十四時間交代ですから、ときには四十八時間連続労働にならないと甲番と乙番がひっくり返らないわけですね。そういうことも行なわれておるわけです。ひどいのは五十六時間というのがあります。港湾労働、特に船内労働はほんとうに重労働中の重労働ですから、人間の力や注意力で四十八時間も五十時間もたえられるものではありません。そういうことがあるので、そう普通の企業のように考えるわけにはまいらぬということを一つ御指摘をしておきたい。  いま一つは、港湾労働法の十六条に、登録をされた港湾労働者を雇わなければならない、ただし、職安の窓口で人が得られない場合にはほかのところから連れてきてもいいという条項がございます。いま、どこの港とは申し上げませんけれども、各法適用港の港湾業者労働力が非常にほしいのです。ほしいのに職安から絶対採りません。そしてやみから連れてくる。これは、いま総理府の中に港湾調整審議会というのがございまして、私もそこの委員をやっていますが、たいへん問題になっております。それは、労働力がほしければ雇えばいいじゃないか、そういうすなおな考えにいかないわけです。しかも、それでは職安から来るのは賃金が高くて、やみから連れてくるのは安いからそうするのかといえば、これは経済性があるからそう考えそうなことですけれども、そうでもない。職安の窓口は大体一日働きましていま千三百円から千四百円でございます。ところがやみから連れてくるのは千七、八百円で四、五百円の差がありますので、やみのほうが高いのです。そうすると、高い労働力をわざわざよそから連れてくるというのは経済性じゃございませんですね。これはやはり職安の窓口から雇用するというこの方式に抵抗しておる姿なんです。これもひとつ参考にしていただけるかと思いますが、そういうぐあいに、スムーズに必要だから雇うということには、遺憾ながら、これまでのところはなっていないというような点がございまして、さっきのように申し上げた次第です。どうぞひとつ御了解いただきたいと思います。
  30. 砂田重民

    ○砂田委員 いま港湾労働法のお話が出ましたから、港湾労働法に関連して兼田さんに伺っておきたいのです。職安の窓口から雇うことに、小川さんの業界の中にも抵抗を感じる人がある、これは経済性ではなくて、やみから連れてくるほうが高いにかかわらず、そういうことをやっておる、そういう御意見ですが、私はもう一つあるのじゃないかと思うのです。経済性も持っているんじゃないか、職安から日雇いの人を雇おうと思うと、通称あぶれ賃、そういった賃金を払わなければならない。プラスすれば、やみから連れてくるほうが百円ぐらい安い、そういう経済性もまた中にはあるんじゃないかと思うのです。そこへ港労法というものは昨年の七月にやっと実施されたばかりで、運送事業者のほうもまだなれていない。さっきお話に出たような、ある港においては暴力の支配下にあった、そういうことがだんだん払拭されてきているけれども、一部にはまだそういうことも残っている。そういった事態から、港労法というものの持っているまだ不備な点が私はたくさんあるだろうと思うのです。たとえば労働条件の改善だとか、皆さんの福利の施設をするにしても、港労法では業者負担ということもまたうたってある。そうすると、集約化をしいられている運送業者はともかく採算が非常に苦しい。職安の窓口から日雇いの関係労働力を得ようと思うと、あぶれ賃の問題も負担をしなければならない。福利施設をつくらなければなかなか人が来てくれないけれども、これもまた業者負担をしなければやっていけない。非常に三重苦、四重苦に業者も、またその労働者の人もいまあっている。そういう過渡期にあるんじゃないかという気持ちが実は私はするのです。過渡期にあるんだといういい証拠が、ときどき職安の窓口が無政府状態にすらなっているわけですね。職安にそれだけの能力を与えないで、労働力を確保するための作業仕事だけを職安に与えておるいまの労働法というものは、まだそういった不備な点がたくさんあるだろうと思う。  そこでもう一つここで考えなければいけないことは、いわゆる事業者の採算の問題、運輸省の認可している料金というものが適正なものなのかどうなのか。皆さんが賃上げをやられたら、賃上げはどうしてもやらなければいけない。そのためには港湾運送事業という仕事経営費用の中に含まれた労務費というものがうんと高い。船内で八〇%くらいですか、沿岸で七〇%ぐらい、はしけでさえ六〇%くらいまで労務費ではないかと思います。したがって賃上げをやれば、料金の引き上げなしには業者はやっていけない。そこにいろいろな経済性がからんできておると思うのです。割った話をすれば、料金が安いから採算が悪い。したがって昼間だけ仕事をしたのでは引き合わないから、わざわざ夜荷役をやって、夜荷役の割り増し料金をかせぐという業者も出てくるでありましょう。そういったことから二十四時間労働という無理な状態がある。あるいはデイタイムをやって、オールナイトをやって、さらにその翌日もオールナイトを続ける。そういう過酷な労働を、兼田さんが言われた零細な、経営のしにくい業者が自分のところの採算上そういう無理な労働をしいている。そこにもまた一つの皆さんの働きにくい、非常に重労働があるという原因もあるのじゃないか。そこで、労働法というものがスタートしたばかりで、まだ一年しかたっていない。その一年の間に労働法というものが持っている不備な点を、働いておられる兼田さんの側からごらんになって、こういう点はこういうふうに直すべきだ、そういう御意見があったらこの機会に承っておきたいと思うのです。
  31. 兼田富太郎

    兼田参考人 確かにお説のように、いま労働者業者港湾は近代化の曲がりかどといいますか、過渡期にあるということは、私もそう思っております。それから港湾業者が、いわゆるわずかな料率でいい労働条件を与えることはできないところから、いろいろなことが行なわれておるという点につきましても、その根本のところは、やはり業者の適正な利潤というものを保障し、港湾労働者の適正な賃金というものを保障するという料率が設定されなければいけないということも、私はそう思います。  そこで港湾労働法のことについてお尋ねでございますが、確かに私も、この七月一日でやっと一年たったばかりですから、そうたくさんのことを期待しても無理ではないかという説についても、一応うなずけるものがあると思いますが、これが職安が能力がないんだとか、みんながまだこのシステムになれないんだとか、そういう技術面からする困難で成績がよろしくないというなら、私はわかるのです。それはそれでいいと思うのです。前向きでみんなが努力をしてくれればいいと思うのです。だが、たいへん気がかりなことは、この港湾労働法はやはりないほうがいいということを考えておる——特にはしけの人じゃございません、この港湾労働法はないほうがいい、とにかくやみから連れてくればいいんだということを、口に出して言わないけれども、頭の中でそれをひそかに願っている人がおるとすると、これはやはり大問題だと私は思います。私にそんなことを言わしめるのは、私はやはり何がしかそういうにおいを感じるからです。つまり港湾労働の雇用は、経営者の方もよく考えて使ってもらわなければならぬのは、港湾産業に働くために雇われるのでありますから、それ以外の仕事につく必要はないはずなんです。ところが場合によっては、これはいまのことじゃありませんけれども、けんか出入りにも使うということすらあったような素地を持っておる職場でありますから、ここでやはり杯という観念やら、それからやみで雇うのも実はやみの人買いがおるわけでして、そういう人を通じて雇用するということは、むろんいうところの近代雇用でもありませんし、その雇用のしかたに暗い、いまわしいものがまつわるわけですから、暴力を排除するという方向とも矛盾をするわけでして、そういう港湾労働法はもうないほうがいい、やはり不便でもやみの雇用がいいというような思想がもしありとするなら、これはぜひとも労働省当局がしっかりしてもらって直さなければ、港湾労働法は若死にをすると実は私は思っておるくらいなんです。   〔細田委員長代理退席、進藤委員長代理着席〕  不備の点と申しますと四、五点あるのですけれども、一点、一番大事なのは十六条ただし書きで、実際にはどこからでも労働者を連れてこれるのですね。だから合法なんです。法文の限りでは非合法ではないのです。それがあるために、ざる法になっております。ここのところをどうしても直さないと、それがいろいろな問題を派生しておりますので、そういうことの点が一番不備な点だと思う。  それからあと一つは、退職金もつくるのだと書いてありまするけれども、一年たった今日もできていません。それから一時金等につきましても、失対の労働者にすら三万から四万のものを渡しているのに、ここでは一銭も払うことになっていない。そういう点、先ほど言いましたように、窓口賃金のほうが少し差があるというような形で、いわゆる登録労働者を青手帳組といいますが、この青手帳の人たちは、青手帳をもらって登録港湾労働者になることを喜ばないという状態が出ていて、登録労働者になり手がないという状況があるということでございます。その辺を直していかなければならぬと思います。
  32. 砂田重民

    ○砂田委員 時間がありませんので、最後に一点だけ米田さんに伺いたいのですが、月末月初の貨物の集中状態、これをコンテナ輸送体制というものを受け入れるこの機会の改めなければ、未来永劫改善する時期はないだろうと私は思う。兼田さんも言われた過酷な労働にも影響してきている。月半ばは時間外労働がなくて、月末月初だけ二十四時間だ、四十何時間だという労働をしいられる。ここにもまた影響してきていると思うのです。そこできのう運輸省、通産省には私は、影響するところが非常に大きいのですが、関係官庁あるいは関係業界全部集まってこの改善策について協議をする用意があるかということを伺って、役所側からはやっていこうという決意の御答弁を伺ったのですが、やはり主体の一つの業界として海運界も取り組んでいただかなければならぬと思うのですが、金融関係の今日までやってきている商習慣的なものが一番大きい原因じゃないかと私は思う。これは船主協会の副会長としての米田さんに伺うのですけれども、船主協会としても関係業界に働きかけてこの問題を解決しようという意欲はお持ちでございますか。
  33. 米田富士雄

    ○米田参考人 砂田先生のお尋ねの月末月初の集中配船というのは一つのガンでございまして、これを何とかして取り除こうということで長い間努力をしてまいりました。ところが、今度コンテナ輸送になりますと、ウイークリー・サービスが原則になるわけです。したがって、ウイークリー・サービスに合うように荷物が流れていかないといけない。そこで、それに関する限りは、月末集中配船というものはある程度解決できる。いま先生から海運業界のほうの心がまえをおただしになったのですが、海運業者がウイークリー・サービスをやるから他の産業はこれについてこいといっても、荷主のほうはなかなかついてこないであろう。幸いにしてコンテナ輸送のほうは、メリットを荷主のほうが相当感じてきているという面があります。やはりこれからはコンテナ・サービス、ウイークリー・サービスを利用しようということになりますと、その分野における月末月初配船ということは楽にできると思います。あとやはり一般の定期船のものではまだ残っていくというふうに思いますけれども、片一方でそれで安くなっていけば、それを使うほうがメリットがあるということになれば、月末に出すということが自然に平均化していくということが出てくるのではないかと私は希望を持っております。それから貿易業者もそれに対しては同じような希望が持てるのではないか。あとは生産業者、金融業者ですが、これもやはり金融業者のほうはついてまいるというふうに感じております。
  34. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 永江一夫君。
  35. 永江一夫

    ○永江委員 最初に米田さんにお尋ねしますが、先ほどのいろいろな御説明によりますと、縁故債についての御説明の中に、非常に不安なものが感ぜられます。この公団の運営の将来を考えますと、一つのウイーク・ポイントだと思われます。そこでこの公団についての出資は国と地方自治体が半々、関係機関のほうの縁故債の利子が高くて賃貸料にはね返ってくるということを原口参考人言っておられますが、この点についてもう少し具体的に何か御確信がないかどうか。  それから、時間がありませんから引き続いて原口参考人にお尋ねをしておきますが、国と地方公共団体の出資の割合は半々になっておりますが、先ほど御説明になりましたように道路鉄道港湾という三つの柱の中で、港湾に対して国が出しておる金が少な過ぎるという御趣旨から申しますと、国と公共団体の出資割合が半々ということは不公平のように思われますが、そういう点についてどういうふうにお考えになっておりますか。やはり同額で差しつかえないものであるか、あるいは国にもっと負担をかけさせるのがいいのじゃないかというような点について、もう一度御説明を願いたいのです。  それからあわせて、先ほど砂田さんからもお尋ねがありましたように、港湾に非常なウエートのある都市においては、港湾管理のこととこの公団の問題についての調整ということが、やはり不安なんであります。その点は、この港湾の管理ということにつきまして先ほど御所信の御説明がありましたけれども、私ども考えておるところによりますと、大体公団をできるだけなくしていこうという国会の大きな意図の中には、やはり公団というものが官僚統制によっていろんな弊害があるのだということからきておると思うのです。そういうさなかにおいてこの公団を設立するわけでありますから、この公団のいろいろな管理の方法については、よほどスタートからはっきりした線を引いておかないと、つくった公団がまた、いままでそれぞれ各方面から非難を受けたような公団と同じになる心配があるのです。そういう点について、くどいようでありますがもう一度原口参考人の御所信を承りたいと思います。
  36. 米田富士雄

    ○米田参考人 縁故債につきましては、先ほど申し上げましたように、債券じゃなくて当面は縁故の貸し付けであろう、こういうことであります。そこで、それが担保力も何も持たないで資金を三十年以上固定さしてしまう、そこに非常なむずかしいものがある。われわれとしてはついていけないと思うわけです。しかし今度の法律を成立させるためには、当面は二十億円を何とかくめんしてやってみたい。それなら将来はどうするかという問題になりますと、私は現在の日本海運業界の力その他から見まして、それから従来の港湾の建設の方法等を考えますと、やはり財政資金のワクをもっとふやすべきじゃないか、場合によっては政府の財政資金の投入をもっとふやすべきじゃないかというふうな感じがしております。しかしこれは今年度の問題ではなくて、来年度以降の問題でそういう点についてごくふうをいただけないだろうかというような感じがいたしております。
  37. 原口忠次郎

    原口参考人 私どもも、原則として公団がたくさんできることには賛成いたしかねますけれども港湾の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、いま港湾が非常に立ちおくれている、その立ちおくれをなおすために、方法は二つあろうと思います。たとえば公団に財政投融資をする金を地方管理者に融資をしていただいて、そして管理者がやっていくという方法もあると思いますけれども、そういう方法は現在の自治省の行き方ではなかなか許されない行き方だと思います。したがいまして、港湾をつくるということが非常に先決でございますので、つくるのにはどうすればいいかと申しますと、私ども管理者が考えますことは、もう公団方式以外にはないのでございます。したがいまして、ぜひ公団をつくっていただきたい。原則的にはいまのお話のとおりで、私どももあまり賛成いたしませんけれども、やはり日本の全体の経済を伸ばしていく港湾の役割りを考えますと、公団をつくって港湾整備を急速にやっていただきたい、こういうことでございます。いまの公共事業方式港湾をつくってまいりますと、私のほうで今度外貿埠頭公団ができてやりますポート・アイランドで、公共事業方式でございますと、国費が百三十億、市の負担が二百七十七億ということになります。全体の予算が大体四百億でございますが、こういう負担はとうていできない。それから急速に七カ年ないし八カ年くらいでこの外貿埠頭、ポート・アイランドをつくってもらいたいと思っておりますが、とてもそういう短期間に公共事業方式では負担能力がございません。したがいまして、市が二百七十七億負担しなければならぬのが、公団方式では約四十億でいけるのだ、こういう考え方でございます。したがいまして、ぜひとも公団をつくっていただきたい。公団をつくることが私どもは目的じゃなくして、港を早く整備していただきたい。その手段として公団をおつくりいただきますが、もし整備ができたらもう解散するとかなんとか、そういう方法をとっていただいてもけっこうじゃないか、こういうふうに考えておりますことを御答弁申し上げます。
  38. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 参考人に一言申し上げます。  本日は御多用のところ御出席をいただき、長時間にわたってきわめて貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次会は、明後七日金曜日午前十時理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会