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1967-06-13 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十三日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 進藤 一馬君    理事 福井  勇君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 河村  勝君       大竹 太郎君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    徳安 實藏君       中川 一郎君    長谷川 峻君       福家 俊一君    堀川 恭平君       山村新治郎君    板川 正吾君       小川 三男君    神門至馬夫君       内藤 良平君    野間千代三君       渡辺 芳男君    山下 榮二君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         運輸政務次官  金丸  信君         運輸省船員局長 河毛 一郎君         海上保安庁次長 井上  弘君  委員外出席者         社会保険庁医療         保険部船員保険         課長      竹元 修一君         水産庁生産部長 亀長 友義君         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 六月十三日  委員岡本富夫君辞任につき、その補欠として松  本忠助君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  船員災害防止協会等に関する法律案内閣提出  第一〇五号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  船員災害防止協会等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 労働省に引き続いてお伺いするわけであります。これは監督課長所管外であるかもしれませんが、この前労働省所管漁船船員の安全というか防災、そういうものについて質疑をしたわけでありますが、本日引き続いてお尋ねしたいのは、従来不満足ではありますが、漁船船員労働条件、そういうものについては、運輸省あるいは水産庁連名でそれぞれ指導要綱というものを出しまして、指導しているやに聞いているわけであります。多少の改善方向労働条件についてはあったやに仄聞するわけでありますが、労働省所管漁船船員に対する労働条件改善、こういうことについて、従来いま申し上げたような形をとってやったためしがあるかどうか。あるいはないとするならば、何か別途の方法でおやりになっているかどうか、そういう点について、所管外かもしれませんが、お答えを願いたいと思うのです。
  4. 藤繩正勝

    藤繩説明員 漁船労働条件につきましては、先般来先生から御指摘がございましたように、他の産業に比較しまして、必ずしも良好であるとは言いがたい実情にあろうかと思います。そこで特に五トン未満の船とか、あるいは二十トン未満漁船等につきましては、全面的に私どものほうの労働基準法適用があるわけでございますが、これらにつきまして最も重点と考えられますところの漁船労働災害防止につきましては、主として海難事故というものの防止重点にいたしまして、現地で集団指導を何回か重ねておる次第でございまして、昭和四十一年の数字を見ましても、すでに百十四回にわたりまして集団指導を行なっておりますが、またそれぞれの地元で災害防止協議会というようなものを設けまして、たとえば北海道の例で申し上げますと、関係事業主はもとよりでございますが、海上保安庁、道警、気象台等関係官庁の方も出ていただきまして、私どものほうからいろいろ漁船海難防止、あるいは転落防止機械設備による災害防止等につきまして具体的な指導を行なっている次第でございます。労働災害以外につきまして、たとえば私どもが監督いたしました結果では、賃金の不払いとか、あるいは就業規則の不備とか、そういった問題が見つかりまして、そのつど指導を加えておるわけでございまして、特にたとえば賃金制度につきましても一般工業その他の産業のように、明確な基準を定めて労働条件を明示して処理するというたてまえでございますけれども実態は昔ながらの慣行で水揚げ等によってこれを分配するというようなものも根強く残っておるように見られます。私どもとしましては賃金制度につきましても十分監督指導を加えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  そういう関係指導したことがあるかというようなお尋ねでございますが、一例を申し上げますと、青森、北海道等におきますイカ釣りの問題につきましては、かねてから年少労働者を乗せないように、あるいは賃金等条件についてもできるだけ明確にするようにというような、あるいは労災加入等につきましても促進するようにいろいろ指導を加えてきておるわけでございます。ただ御指摘のように、漁業というものの事業の性格、それから私どものほうの監督能力の不十分というようなことがございまして、決して十分な成果があがっておるとは申し上げられない実情にございますので、今後とも十分努力してまいりたいというふうに考えております。
  5. 久保三郎

    久保委員 いまお答えがありましたが、言うならば一般的な指導というか、そういうことはおやりのようでございますが、特段のことが行なわれていないというふうにわれわれはとるわけであります。いまお話しの中にありましたが、労働災害防止について特段の配慮をなさっているということでありますが、漁船船員災害というか、そういうものの大半労働条件の問題にかかってくるのが多いのであります。その端的なあらわれは、御承知のように大仲歩合制が主としてとられている、そういう制度賃金が支払われておる。そうしますれば、無理して能力以上に操業もしなければならぬし、あるいは能力以上の魚も積んで帰らねばならぬ。そういうことになりますれば、当然のごとく、昔ながらの板子一枚下は地獄であるということを前提にして操業しておるわけでありますから、言うならば大付歩合制、そういう刺激給自体に問題が一つある。そういうことを考えれば、さっき申し上げたように、労働条件そのものを直さぬ限りは決定的な災害防止にはならぬと極言してもいいのではないかと私は思っておる。だからそういう制度を是認したままで、たとえばいま審議中のこの法案が通過いたしまして、それぞれの協会ができたにしても、残念ながらこれは言うならば精神訓話に終わるのではなかろうかというふうにわれわれは思っておるわけです。だから、そういう点についてどのように考えているか、もう一ぺん簡単でけっこうですから——どうも長い答弁は、言うなれば自信のないときに通例はあるのであります。きょうの監督課長答弁がそうであるとは決して申し上げません。端的に短い答弁をしていただければけっこうだし、もしやっていないというなら、それはこれから具体的にやる、どういうふうにしてやるかは別として、指導しなければならぬというふうな決意だけでも述べていただければけっこうだと思うのですが、それをしも所管外であるというので答弁できないのならば、次回は権威ある者にこちらに来てもらって答弁してもらう。どちらかに返事してください。
  6. 藤繩正勝

    藤繩説明員 答弁を短くせいという御指摘のようでございますが、先生指摘の点非常に同感でございますので、その点を御説明させていただきますと、実は漁業についてただいまそういった刺激的な給与形態が安全問題とつながるという御指摘でございますが、先般来交通災害に関連いたしまして、私ども自動車運転者労働条件の取り締まりをやっておりますが、やはり刺激的な歩合給という問題が同じように取り上げられておるわけでございます。そこでその点は非常に同感に存ずるわけでございますが、ただいま御指摘大仲歩合制につきましても、すでに農林省でもこの点を御指摘になりまして、漁業白書でも、たとえば歩合給制固定給プラス奨励給に移行させるというふうな指導をやっておられるように聞いております。そこで私どもといたしましても、できるだけ刺激給的な形態のなくなりますように、そういう方向に向かって今後十分指導を加えたい。農林省ともよく打ち合わせて指導をやってまいりたいというふうに思う次第でございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから次にまいりますが、いまの答弁のとおりに処置されるものと承知しておきます。  そこで、この前の委員会で最後に、北洋において遭難した何隻かの小さい漁船について、その後調べてこの席で報告してほしい、こういうふうに関係の省庁にはお願いしたはずだと思うのですが、船員局長お願いしましたね。——それではそのことを簡単にそれぞれ答弁願いたい。
  8. 井上弘

    井上(弘)政府委員 それでは、海上保安庁でございますが、海難の状況をざっと御説明申し上げたいと思います。  北洋方面におきます海難は、年間四百隻余りございます。そのうち漁船海難が九〇%にのぼりまして、四十一年度におきましては三百九十六隻という数字になっております。しこうしてこれによります死亡、行くえ不明は百八十四名になっております……
  9. 久保三郎

    久保委員 答弁中でありますが、私が前回お願いしておいたのは、北洋で小さい漁船が三隻か四隻いっときに遭難した。しかも遭難した中には、無線機の扱いも、それから海図の見方もわからぬというような者が乗っていたというような事件がありました。その調査をされたならば、この席から報告してほしい、こういう要求でありますので、全般的なお話をあなたが答弁されるのは筋でありますが、時間の制約もありますので、そのことだけをもしお調べでありましたら答弁願いたい、かように思います。
  10. 井上弘

    井上(弘)政府委員 たいへん失礼いたしました。全般的なことにつきましては、また先生に個別的に御説明申し上げます。
  11. 河毛一郎

    河毛政府委員 前回の遭難でございますが、全体で十一隻の船がいわゆる遭難をいたしましたわけでございますが、このうち現在まだ未帰還のものが三隻ございます。そのほかに道西で一隻ございますので、全体が十二隻、こういう結果でございます。  それから、この遭難につきましてはいろいろ問題がございますが、まず私の関係いたしております船員局関係の点を申し上げますと、ほとんどの船が四トン、あるいは六トンというような非常に小さい船でございまして、ただそのうち一隻、三十六トンという中型サケマスの船がございます。したがいまして、まず船員法から申し上げますと、船員法上で検討を要しますのはこの中型の三十六トンの船でございますが、これにつきましては、私ども船員法所定の手続によって行動しておるかどうかということを調べました結果は、船員法上必要な、たとえば就業規則の届け出、雇い入れの公認その他は完全に行なっておる次第でございます。それからまた、行政指導の面におきましても、こういった漁船船主対象といたしまして、労働条件改善その他につきまして指導を行なっておりますことは、先ほど先生からお話がございましたとおりでございまして、具体的には釧路周辺地区で本年も二月、三月の期間におきまして、このような点で二回説明会を開きまして指導の徹底をはかっておるわけでございます。ただ今回の具体的な遭難につきましては、やはり気象条件が非常に悪いということでございますので、この辺につきまして、船長として十分な配慮を行なったかどうかという点については今後さらに検討をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから次に、これらの船のうち五トン以上のものにつきましては船舶職員法適用がございまして、船舶職員法によりまして所定船長あるいは機関長を乗せる必要があるわけでございますが、この点につきましても調査いたしましたところ、実態といたしましては全部所定職員を乗せておりますので、法律上特に問題はないわけでございます。ただこの点に関しましても、さらに船の堪航性という問題につきましては、今後安全法その他の検討を待って私どものほうも十分検討いたしたい、こう考える次第でございます。  以上、簡単でございますが、私どもの所管いたしております関係につきまして、実情を御報告申し上げました。
  12. 久保三郎

    久保委員 労働省水産庁——水産省は引き継ぎがなかったでしょう。だからわからない。答弁しないわけだ。いや、あとから生産部長にはまとめて質問しますから、そのときでいいです。労働省は、四・九トンというのもあったし、いま言ったように五トン前後というのもあったが、これは調べたか。労働省自体では調べないですか。
  13. 藤繩正勝

    藤繩説明員 先般の北海道漁船災害につきましては、私ども出先でも一応調査をいたしておりまして、被災者の特に労災保険加入関係等調査をいたしております。それから事前の指導につきましては、先ほどもお答えしましたように、北海道漁船海難防止連絡協議会、それからそれぞれの出先におきまして年二回程度の打ち合わせをやり、指導いたしておるというような次第でございます。
  14. 久保三郎

    久保委員 どの答弁を聞いても答弁としてはもっともな答弁でありまして、あまり手落ちはないと思いますが、現実は沈没をいたしております。人間も死んでおります。そういうのはいわゆる答弁範囲に入っていないのかどうか、私は非常に残念に思うわけです。  そこで、時間もありませんから主として水産庁にお伺いするわけでございますが、いまこの審議中の法律、それによる協会、こういうものをつくって防災基本計画あるいは実施計画、そういうものに基づいて防災をしていこう、こういうことでありますが、先日の委員会で、船舶というものは入っているが、これについてはあまり具体的でない、それからほかのほうの防災協会というか、これは建造物というか、言うならば汽車とか飛行機とかそういうものが建造物に入っているのかという質問に対しては、それはあまり明確な答弁がない。答弁がないところを見ると、ほかのほうのいわゆる防災に関する法律対象の中にある建造物というのは、製造工業等の建物のことをさすらしい、こういうふうに私は理解したわけです。そこでいま審議中のものには船舶、いわゆる船そのものというのも防災対象になっているわけです。船員災害というか、その中には船舶も入っている。だから、言うならばこの船舶自体の安全、そういうものを重点に考えれば船員災害大半はなくなるであろうというふうにも言える。それに加えて、先ほど申し上げた刺激給を合理的な給与に改めれば、災害はほとんどなくて済むだろうとさえわれわれは思うのであります。しかし人間が動かすことでありますから、もう一つは、やはり資格のある者、技能がしっかりした者が操船すれば、それでもう何も心配ないのだ、こういうふうに思うわけでございますが、なかなかそういうふうにはいっていない。そういうふうな問題点を逐次つぶしていくという、そういうことが必要なんだが、なかなかこの法案自体を見てもそういうふうには受け取れない。  そこで生産部長にお伺いするのでありますが、あなたにこの種の質問は初めてではないのでありまして、何回も質問しているわけでありますが、漁船船員災害、これを防止する、それには生活環境改善する、それから安全性を高めていくということが考えられねばなりません。でありますから、この一部は審議中のこの法案の中にも含まれている。ところがそういう生活環境改善とか安全性というか、そういうものの改善を阻害しているものは、言うならば総トン数許可制、こういうふうにわれわれは見ているわけであります。この間質問した五トン以下の漁船にしても、これはたしか北海道知事許可ということで、水産庁は直接許可してはいないだろうと思うのでありますが、そういうのが出ていって、いわゆる総トン数許可制というか、そういうものと、いま申し上げたようなものが混在しているというふうに一つは見るわけであります。そこでこの総トン数許可制というのを廃止して、いわゆるいまの漁船特殊規程によるところの従業制限、これは言うならば魚をとる方法によって第一種、第二種、第三種というふうに認可しているわけでありますが、これはやはりすべからく、いままでも言ったように漁船船員設備あるいは生活というか居住区の改善、こういうようなことを中心にして許可をしていくのが一番正しいと思うのです。だから船の大小——四・九トンで二百キロも三百キロも沖合いに行ってしまうというようなことは、おそらく漁船特殊規程をつくったときには想像できなかったと私は思うのです。言うならば、おかから目で見える範囲操業していたということであります。ところが最近では、そういう操業では生活がやっていけない。という理由は、沿岸漁業が荒らされているということも片一方にあるし、沿岸漁業の中に零細漁民がひしめき合っている。そこから抜け出すには、やはり最低限、金がないから、小さい船で思い切り遠くへ出て大きい船と同じように魚をとってこよう、こういうふうになってきている。そこには海図も読めない、無線の操作もできないような船員を乗り込ませている。先般あったように、船長も何も乗り込まぬで、だれか知らぬ、資格のない者が船を乗り出して行ってしまった。それで事故を起こしたというようなことも、そういうために起きたのだろうとわれわれは推察するのです。そういうことで、いままでの従業制限というものを、先ほど来申し上げたような観点から検討し直すことが時代の要請ではないだろうか、あるいは船員災害防止する大きな条件ではないか、こういうふうに一つは思う。  それからもう一つは、洋上転載というものによって、太平洋あたりだと思いますが、カツオあるいはマグロ操業で、長い期間そこで操業するということになりますれば、当然船員に対する食糧あるいは飲料水が必要なんだが、いまの実態から見ると、どうも飲料水や特に生鮮食料品補給が十分でないままに操業しておる。そこからくる疾病というものもかなり多いのではないかというふうに、われわれは見ているわけだ。だから問題は、生鮮食料品を積みなさい、飲料水はこれだけ積みなさいと言っても、長期の操業でありますから、残念ながらこれはできない。洋上補給といえば油が主になっている、あるいは持っていきやすい米ぐらいの補給、そういうもので長い期間海洋操業をさしておくということがやはり災害の大きな原因ではないかというように思うわけです。そういうものを放置しておいて災害防止協会をつくってみたところで、本質的に改善されるものは何だろうかというふうにわれわれは疑問に思うわけでありますが、水産庁としてはどんなふうに思っていらっしゃるか、御答弁をいただきたい。
  15. 亀長友義

    亀長説明員 具体的に先ほど運輸省のほうからお話がありました太平洋の七トン未満サケマスの今回の事故につきまして、私も非常に遺憾なことだと思っております。もちろん気象あるいは積み荷が多かったというようないろいろな事情があると思いますけれども、われわれとしても、各種事情から現在この船を七トンに制限せざるを得ない実情にあるわけであります。  一つは、御承知のように、サケマスにつきましては、漁獲量その他について従来の船は原則として大きくしない。あるいは漁獲量は逐年減少する傾向にある。そういう客観情勢からいたしまして、船だけ大きくするということについては、私ども消極的なわけであります。もちろん漁船事故というものについては、われわれは十分な指導なり、あるいは今回特に安全性という趣旨から、二十トン以上の船には載荷基準というような制度を設けて、船に積み過ぎの場合にはすぐわかるようにはっきりしるしを入れさせるというような制度も考慮いたしておるわけであります。また七トン未満につきましても、無線電話あるいは膨張式いかだをつけさせる。そういうものをつけていない場合には、狭いほうの区域でしか操業させない。あるいは羅針盤をつけろとか、海図を備えろとか、救命用具をつけろとか、いろいろな指導を行なったり、さらにグループで操業をするようにとか、あるいは始終会議を催すとか、あるいは救命ブイ等については利子補給をするというふうな制度北海道では設けておりまして、各種の手を打っておるわけであります。ただ船型自体を大きくすることについては、いま言ったような事情もございますし、またこれは、従来制度的には、われわれ水産庁としては不本意ながら、各種違反状態を毎年公認してきたということであります。ということは、本来は無許可船であったわけであります。それを許可船として正規に公認し、さらに本来は二十海里だけの操業をするという約束で許可制にした。ところがやはり二十海里からさらに遠くへ行くというふうな状態で、あまり違法状態を現出するのも好ましくないということで、許可する海域を広げるというふうな、いわば認めてない事実をわれわれとして公認せざるを得ない。規定されたところではなかなか守ってくれないというふうな事情から、トン数に比較して遠くまで行くというのが現実であります。そういうことから、あるいは今回の事故の一因もそこにあるように思われるのでありますけれどもトン数自体を大きくすることにつきまして、七トン未満の問題については、各種客観情勢なり、さらに現在やっております各種指導でどの程度今回のような事件が防げるかという点につきましては、私どもとして今回の事件を契機として十分再検討いたしたいと考えております。  漁船一般の問題といたしまして、一つには従業制限の問題でありますが、現在従業制限漁船につきましては実際上適用されていない、特例を設けられているという点の御指摘だろうと思います。船舶法一般船舶についてはそれぞれ航行制限があるようでございますけれども漁船についてはそういうものがないという実情でございまして、私どもは率直に申しまして、昔と違って漁業の形が非常に変わってきておる。また漁業の種類によって船が遠くへ行くとか、小さくなるとかいうふうないまの特殊規程のあり方は、簡単に申しますれば古いものである、陳腐化しておる、われわれは率直にそういうふうに考えております。したがいまして、われわれとしても、船の大きさに応じた安全性という点を考慮し、また漁業特殊性を考慮した新たな航行制限、すなわち従業制限というものを将来とっていくのだという方向で、この問題については前向きで検討いたしておる次第でございます。現在のところ結論は得ておりませんけれども運輸省とも連絡をとりつつ、できるだけ早い機会に現在の漁船特殊規程というものは撤廃をして、新たな従業制限というものを考えていきたい、こういう気がまえでおります点を御了承願いたいと思います。  その他、洋上転載のことも御質疑がございましたが、原則として漁船につきましては洋上転載禁止をいたしております。ただ、たとえば母船式であるとか、あるいは特定のもののみが臨時的に洋上転載を認められる制度にいたしておりまして、原則的には一般的に洋上転載というのは禁止をいたしておるわけでございます。これは原則的にはやはり漁場で許可という制度をとっておる、許可を受けたものしかやらせないというたてまえをとっております関係上、この許可を受けたものだけが何回も転載をして利益をかせぐということは、本来の制度のあれからいって好ましくないというふうな考えもあります。そういう点もございまして、洋上転載というものは原則として禁止をいたしております。御指摘の点は若干マグロだとかいうものに例外がございまして、結局現在マグロについてはいろいろな点で非常に採算が悪くなっておる、そういう場合にやはり経済上の問題として、油を途中で補給して航海を長くするということが事実行なわれていると思います。これは洋上転載ではなく、洋上補給になるわけでありますが、そういう際にもわれわれとしては油だけの補給でなくて、できるだけ生鮮食料の補給もあわせてやるということを奨励いたしておるわけであります。もちろん洋上のことでございますので、陸上の食事のように完全な食事に至らないという不満は確かにございますし、われわれとしても食糧その他従業員の生活というものを考慮した洋上補給のあり方というものをもう少し業界にも指導して進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  全般的に申しまして、いろいろ重量制限の問題であるとか、あるいは洋上転載洋上補給という問題はむしろ水産行政の責任に属する点でありまして、私ども指摘の点については今後できるだけ早い機会に重量制限、洋上補給という問題についても改善をはかりたいと考えておりますが、しかし一般的に申しまして、漁船事故は、私どもがそういうことを言うとまことにぐあいが悪いのでございますけれども、乗っている人の不注意によるという場合も相当多いわけであります。これはやはりわれわれとしてもちろん努力しなければなりませんけれども、非常に不用意なことが行なわれておる。たとえば今回のサケマスの小さな船につきましても、当庁としては救命用具を備えつける義務を負わせているわけであります。さらに遠くへ行くものについては、無線電話及び膨張式救命いかだをつけなければいけないというような制度も設けておるわけでありますが、実際にそういうものが、なかなか役所の目に届かない分野では、簡単に言えばサボられるというふうなこともあるわけでありまして、そういう面でわれわれとしてももちろん努力しなければいけませんが、やはり民間の方にも自覚というものを促すということが、どうしてもわれわれとして一つの啓蒙運動として必要であろう、かように考えておるわけであります。
  16. 久保三郎

    久保委員 いまの生産部長お話では、重量制限というか、そういうものもこれから根本的に検討を加えていこうということでありますから、これは早い時期に結論を得られて、安全性も、漁船船員労働条件というか、そういうものもうまくいけるように考えてもらいたい、こういうように思います。  そこで船員局長にお尋ねするのでありますが、漁船船員労働条件については、先般答弁もありましたが、ただいま作業中である。これはいつのころ結論を得られるのですか。
  17. 河毛一郎

    河毛政府委員 漁船船員の労働時間につきましては、現在船員中央労働委員会におきまして、さしあたりまして、母船式漁業につきましてその労働時間を検討中でございます。だいぶ作業が進みまして、おそらくここ一、二カ月のうちに、私どもとしては御答申をいただけるような状態になるのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  18. 久保三郎

    久保委員 いま船員局長から話があったように、漁船船員労働条件、こういうものについて一、二カ月の間に答申があるだろう、そうすればそういう点の手続によってきめていきたい、こういう趣旨なんだが、それでは船員局長の管轄は船員法に基づくものだけ、それ以外のものは労働省なんだ、これは監督課長さんでは答弁ができますか。できますかというのはたいへん失礼ですが、監督課長だからできますな。どうですか、一緒にやりますか。
  19. 藤繩正勝

    藤繩説明員 ただいまお尋ねの点は、主として労働時間を中心とする労働条件かと拝聴いたしたのでございますが、労働基準法につきましては、御承知のように四十一条に適用除外の規定がございまして、農林水産の事業は労働時間、休憩、休日については適用がないということになっておりますので、法律的に申し上げますと、その点は特によるべき規制はないということになります。しかしながら御主張の向きは、賃金その他一般労働条件の劣悪ということが安全に非常に影響するということでございましょうから、私どもといたしましても、船員法の規定の整備ともにらみ合わせまして、適切な指導監督をやってまいりたいというふうに思う次第でございます。
  20. 久保三郎

    久保委員 監督課長さんのお話だと、船員法に基づいてそういうことができたならばというお話のようでありますが、われわれとすればもう少し——もちろん船員法の中の二十トン以上というか、そういうものと若干違う点もあるいはあるかもしれませんけれども、大体これは同一に漁船船員というものを扱う限りにおいては、やはり労働省も共同歩調をとっていまのような対策を立てるべきだと思うのですが、それは、法律にはおっしゃるとおり基準法の適用除外でありますが、除外ということは何にもきめなくていいということではありません。だから船員法の趣旨をくむならば、これはやはり船員局長の答弁の線に従って、労働省も取り扱う筋ではないかと私は思うのであります。どうも船員法ができたり労働基準法ができた当初のいきさつからいって、無理にさえぎったものだから、変な形も私はあると思うのです。だから御答弁のとおりになさることと思いますけれども、一、二カ月で船員局のほうには答申があるというのだから、それと見合って一応ことしじゅうくらいにはある程度基準をおつくりになったらどうか。あえて申し上げるのでありますが、監督課長さんはそういうものをつくる立場にございますか。
  21. 藤繩正勝

    藤繩説明員 ただいまもお答えしましたように、漁船につきましては、農林水産ということで労働基準法適用がないわけでございますが、しかしながら漸次船員法のほうで、一般漁船につきましてそういった規制が進んでまいりますれば、私どもとしてもそれに歩調を合わせて一つのしかるべき指導基準といいますか、そういったものをつくって指導していくということは当然であろうと思います。その点は法に基づく強力な指導というわけにはいきませんけれども、事の性質上十分関係業者にも理解徹底をはかるという意味で、指導を進めてまいりたいというふうに思っておる次第であります。
  22. 久保三郎

    久保委員 いまの法律のたてまえからいけば、いまお答えがあったとおりだろうと思うのでありますが、われわれとしては、基準法ができるときの除外規定というのはいかなる経緯であったかよくわかりませんけれども、現在の時点で考える場合には、やはり少なくとも労働省の省令というか、そういうものである程度きちんときめて規制していくのが正しいのではないだろうか、こういうふうに思う次第です。これはいずれにしても、われわれ自身の考えはあとからまた問題として提起したいと思います。  それから、これは生産部長にお伺いしたいのでありますが、先般神門委員かだれかの質問の中で、非常に自殺が多くなったというようなこととか、海上保安庁海難というか、そういうものでいろいろお話があったわけであります。これはどういうことか、いろいろ原因もあるだろうと思うのでありますが、傷害事件ども多くなっている。これは一つには、言うならば洋上における長期操業、そういうものからくる一つの悲劇的な事件だろうと思います。そこで、ラスパルマスあたりには厚生施設もできたし、領事館の設置もしたし、ここ二、三年の間にかなり前進した対策ができたと思うのです。ところが、いまの海外基地操業は、長いのは三年にもなろうという話をたまたま聞くのであります。そういうことが一つには傷害事件、あるいは疾病も問題としてあるだろうし、あるいは自殺もそういうところに出やしないかという心配がある。それから人間性の問題からいっても、そんなに長く四六時中、しかもこれはほとんどが労働でありますから、そういうものを考えると、海外基地における長期の操業はある程度規制をしたらどうか。船の規制はなかなかむずかしいと思うのでありますが、漁船船員のいわゆる操業期間については、ひとつ規制をしたらどうか。海外における操業は最大限一年、さらに海外基地以外の長期操業についても最大限半年とか四カ月とか、そういうふうに制限をしないと、さっき話したように、海外基地では三年もいたり、それから太平洋かどこかはわかりませんが、そういうところで洋上転載をやりながらやっていくということになると、一年もかかるかもわからぬ。だからこれは少なくとも最大限半年なら半年にするというような指導なり、規制をしてみたらどうかというふうに考えるわけです。まずもってその点で生産部長のほうから御答弁をいただきたい。続いて船員局長も関係ありそうだから、あなたからも答弁がほしい。
  23. 亀長友義

    亀長説明員 最近、御指摘のように自殺とか、あるいは精神的におかしくなる者が多いようでありますが、主としてこれは遠洋漁業をやっておりますマグロ漁業についてこうした問題があろうかと思います。あるいはトロール漁業についても、こうした問題があろうかと思います。一番長いラスパルマスの例を見ましても、大体トロール船の場合には一年半で船員が交代するという労働協約になっておりまして、一年半たてば船自体は帰らないでも、船員の交代は飛行機によって行なわれております。マグロ船につきましては、大体トロールに準じておる場合が多いのでありまして、三年も滞在しなければならぬという必然性は必ずしもない。あるいは個人の希望等でそういうものがあろうかと思いますけれども、大部分の場合にはマグロの場合でも一年以上出るということはありません。また海外基地を使用しておる場合には、一月に一回とか二回とか、それぞれ寄港いたすわけでありまして、もし本人の希望があればその基地から日本に帰ることはできるわけであります。もちろん操業期間が、昔に比べますと長くなっておるということは事実であります。なぜそうなったかと言えば、要するに事業の経営が悪くなっておる。昔のような状態、短期の航海では日本の漁業というものは存立しなくなっているというのが偽らざる状態であります。したがって、これが存立するためにある程度長期航海をしなければ漁業の経営が成り立たない。そこで問題は船員法との関係をどうするかということで、一年半で飛行機で交代するとか、あるいは一カ月ごとに基地に入るとか、そこで休養をとらせるとかいうことが行なわれておるわけでありまして、操業期間を短縮すればそれだけ日本の漁業は縮小するというふうに私は考えております。ある程度の航海の長期化ということは、現在の漁業なり生産を維持する上から、もちろん奨励すべきことではありませんけれども、やむを得ざることではないかと思います。問題は船員法との調整をどういうふうにするかという点でございまして、私どもとしても、あまり長いというような場合には、適宜基地から日本に直接船員を交代させるというふうな措置をとって問題を調整するというふうな考え方で、現在できるだけの指導をやっておるような状態でございます。
  24. 河毛一郎

    河毛政府委員 ただいまの特に漁船船員の自殺の問題でございますが、ただいま水産庁のほうからお話がございましたような、漁船船員の長期の操業というものについてのいろいろな配慮すべき点が今後あると存じます。この点については、私ども水産庁によく御連絡をいたしまして、私どものほうといたしまして希望を申し上げたい、こう考える次第でございます。  次に、私どもの本来の問題といたしましてこの問題を検討いたしました場合に、やはり漁船船員につきましては労働環境が一般商船に比べて非常に悪いというところに、確かにこのような問題が起こる一つの大きな原因があろうかと存じておりまして、この点につきましては、御承知のとおり昭和三十七年以来、労働環境の改善の措置を水産庁と御相談してきめまして、作業上の安全基準あるいは居住の条件、食料、船内衛生等、一定の基準を示して指導してまいったわけでございます。特にただいま問題になりました遠洋漁船につきましては特別の措置要領を受けまして、これも鋭意実施しているわけでございますが、今後船内設備を中心といたしまして、今回の労働災害の問題もあわせまして、そのようなことがないように特段の努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 生産部長から御答弁がありましたが、あなたのおっしゃることは、海外基地でも一カ月に一ぺんくらいはおかに上げるのだ、帰ろうと思えばそこから飛行機で帰れる。それはそのとおりですが、ないものがありまして、金がなければ飛行機にはただで乗せない。それから、ある一定期間労働しなければ賃金ももらえないということだと思うので、何もそういうことを一々申し上げる必要はありませんけれども、そういう問題がある。それには、いまの日本の漁業というか漁獲高が非常に少なくなってきて、長期の無理な——無理とは言わなかったが、そういう操業をしなければ経営は成り立たぬというお話でありますが、経営が成り立たぬから労働者が人間疎外の生活なり環境に置かれてもいいという話はもちろんございません、海外基地の問題は、いうならば国際市場の問題もございましょうけれども、経営の改善等も考えられて、一方日本に持ち込むところの漁獲物については、言うならば魚価安定ということをもっと徹底してやられることも一つではないかと私は思うのであります。そういうものがあまり思うにまかせないままに、とにかくいままで十日で間に合ったものが二十日も操業しなければ間に合わぬ。だからこれはやむを得ないのだということでは、政治としてはうまみがなさそうに私は思うわけであります。いずれにしても人間の命がまず第一に大切でありますから、いま申し上げたような線からいって、操業の短縮というか、そういうものの指導を続けてほしい、こういうふうに思います。  時間でありますから、この辺でやめますが、法案の中で二、三聞いておきます。時間がありませんから長い説明は要らないのでありますが、この中で衛生管理士あるいは安全管理士という条項がありますが、船員法にいうところの衛生管理者とここにいう衛生管理士とはいかなる相違があるのか、これが一つ。  それから船員災害防止規程、こういうものにはいろいろきめることになっているようでありますが、この中では、もういままで申し上げていたように、船舶という文字は全然ここの中からは出てこぬのであります。一番大事な船舶船員災害を招くということだろうと私は思って前回から質問しているわけでありますが、第十四条の一項二号、この中に当然重要なものは書き上げているようでありますが、ここに書き上げていない。それからさっき質問したように、この中には当然漁船船員に提供する食事や飲料水の問題が取り上げられるはずなのだが、何か鉱物等でできた機械、器具とかそういうものだけを連想するような条項なんですね。作業の実施方法、これはいいにしても、あとは何かこういう器具、機械、設備ということだけになっている。ところが、災害防止というものを健康衛生管理士まで任命して云々ということになるならば、この辺で何かなくちゃいけないのではなかろうか、こういうふうに二番目には思う。  それから次には、同じ条文の中で制裁規定をきめるというのだが、制裁規定をきめるほどならたいした実効があがるのかと思うんだが、さてほかのほうの防止協会災害防止規程に同じような条文があると思うんだが、これは参考に聞きたいんだが、これまで制裁をしたことがあるかどうか。それから船員局長に聞くのは、制裁というのはどういう制裁が予想されるのかということ。  それから厚生大臣の権限ですね。この権限は、言うならば協会の業務、帳簿、そういうもののほうを主としてやる。それから運輸大臣のほうは防止計画を認可するとか、そういうこと。そうなると、法人としての防止協会、この監督はあげて厚生大臣にありまして、実務行為は運輸大臣の監督に服す、こういうふうに見られるわけだが、そういうふうに了解してよろしいか。それから、もちろんこれは漁船船員ばかりじゃありませんけれども漁船関係もあるんだが、水産庁としてはこれに対しては何も発言というものはないのかどうか、そういうふうなことをひとつ答弁してほしいと思います。
  26. 河毛一郎

    河毛政府委員 最初の問題は、この法律によります衛生管理士、それから現在船に乗っております衛生管理者というものの相違でございます。申し上げるまでもなく、衛生管理者は船員法の規定によりまして、一定トン数以上の船につきましては乗り組み員の中から衛生管理者を選ばなければならないという規定によって設けられておるものでございまして、その任務は具体的な船について衛生管理を担当するという船員法の規定に基づくものでございます。それに対しまして衛生管理士は、この御審議願っております法律に基づきまして、船員災害防止の見地から広く会員に対しまして衛生管理上のいろいろなコンサルタント業務を行なうものでございます。したがいまして具体的な相違といたしましては、私どもはこの衛生管理士は相当グレードの高いものを考えておりまして、大体大学程度の学歴を持ちまして、医学等の科目をおさめるということを前提といたしておるものでございます。  次に御質問の第二点といたしまして、船舶そのものの問題をこの法律はどういうふうに考えておるかということでございますが、これにつきましては、前回もお答え申し上げましたように、船舶そのものが船員災害に密接な関連がありますことは御説のとおりでございますが、一応船舶そのものにつきましては、その堪航性を担保するために安全法以下の規定並びにそれに基づく行政がございますので、堪航性そのものにつきましてはその法の体系に主としてゆだねまして、この法律はそういったものと密接な関連を持ちつつ、船員災害というものを一般対象といたしまして仕事を行なっていく、こういうふうに考えておる次第でございます。  次に災害防止規程の関係でございますが、災害防止規程の表現その他につきましてはいろいろ御指摘のような問題が考えられるわけでございますが、特に船内における食料その他の問題につきましては、実は船員法が非常にこまかい規定を設けておるわけでございまして、船員法の表によりまして大体現在実施されておるわけでございます。したがって、船員法の規定を中心にしてそのようなものが実施されるということが、すでにでき上がっておるわけでございます。しかしながら、やはり衛生管理の面からさらにこまかいことを検討する必要があることはもちろんでございまして、この法律案にもございますように、防止規程は三号によりましてきわめて包括的な規定がございますので、それによって必要に応じ運用をしてまいりたい、こう考える次第でございます。  それから次に、船員災害防止規程につきましてはいわゆる制裁規定があるわけでございますが、これはどのような制裁規定を設けるかということにつきましては、たとえば考えられますことは、過怠金を賦課する、あるいは非常に極端な場合には、除名をするというようなことを私どもは想定しておる次第でございます。  それからその次に、協会の監督につきましては厚生省と共管になっておる次第でございますが、これはこの法律にもございますように、協会そのものの監督を厚生省が行なうということではございませんで、協会そのものの監督は運輸大臣、厚生大臣がともに行なう。ただ協会の行ないます事業あるいは防災規程を中心にいたしました業務につきましては、これは運輸大臣が行なうということで、協会は厚生省、その事業につきましては運輸省という趣旨ではございません。
  27. 久保三郎

    久保委員 約束の時間ですから、この次の委員会におりを見て御答弁なり、資料もいただきたいと思うのです。最初に水産庁生産部長にお願いしたいのですが、さっきの御答弁だと、どうも何か魚をとるほうはだんだん思わしくないような御答弁があったわけですね。いままでのようになかなかできない。それは事実と思うのです。それじゃ将来性についてはどういうふうにお考えであるのか、これが一つ。  それからもう一つは、海外基地漁業、ラスのほかにサモアのほうもありましたね。こっちのほうは漁船が、おととし聞いたときには、どうもラスに比べて退潮ぎみであるというようなお話がたしかあったと思うのです。それで、だんだん減ってきている、そういうことであるとするならば、ラスのほうの将来も、よくわかりませんけれども、ほんとうに成功しているかどうかというようなこと、また見込みがあるのかどうか、その二点ですね。  それから船員局長には、いままでうかつに聞かなかったのでありますが、問題は、いわゆる漁船船員の給料、賃金の問題ですね。御案内のとおり、大仲歩合制は今日ただいまでも厳然として控えている。それはいかぬ、そういう刺激給はまずいということをたびたびわれわれのほうからも言っているし、あなたのほうでも漸次これをなくしていきたい、こういう御答弁があるのだが、はたして水揚げによる月給というか賃金制度というものが、外国にもあるのかどうか。それから漁船船員というものが、外国の漁船船員と比べてどういうものであるのか。これは次の機会まで、数字関係しますからお示しいただいて、ちょっと御回答いただきたい、こういうふうに思っております。
  28. 亀長友義

    亀長説明員 私のほうからお答えをいたしますが、いま御提案の法律等につきましては、水産庁の所管ではございませんけれども、立案の過程等につきましても運輸省から十分御連絡をいただいておりまして、法案が制定されました暁におきましても、漁船船員に対する対策も含めまして、われわれとしては運輸省と十分連絡をとりながら、漁船船員災害防止についても努力をしてまいりたい、かように考えております。  それから漁業海外基地の問題についてでございますが、日本の漁業も、これは日本の工業化あるいは高度成長と申しますか、所得の向上によりましてかなり見込みとは違ってきております。そういう日本経済からの影響が一つ。もう一つは、世界的資源に非常に力を出す国がふえてきた、片方はソ連のような強大な国が国営でもって非常に強力な事業を行なうという面で、要するに漁獲高が落ちてくるという傾向は争えない事実であります。日本はそういう二つの要素のもとにありまして、将来日本漁業は非常に変わるだろうと私は思っております。それについて、伸びるのか縮むのかということは、あまり口幅ったく申し上げるつもりはありませんけれども、いわゆる世界の先進国、かりにアメリカ、イギリスの例をとれば、漁業は衰退をしておるということが一般的に言えます。アメリカ、イギリス、ノルウェーであるとか、あるいはドイツであるとかフランスであるとかいうふうに、いわゆる先進国は漁業が衰退をしておるということは明瞭な事実であります。なぜそうなったのかということについては、いろいろな見方があると思いますけれども漁業の生産は工業生産のように簡単に生産を拡大するというわけにはいかない。資源の問題、同時に漁業における作業自体が、必ずしも一般工業みたいに機械化はできないというふうな要素があるように思います。一方、所得向上、労働者の賃金というものを当然上げていかなければ、人が集まらない、そういう能力がはたしてあるかどうかということであります。日本の漁業がどうなるかわかりませんけれども、少なくともアメリカ、イギリスあるいはヨーロッパの先進国における漁業というのは、過去に比べれば衰退の過程をたどっておるということは事実であります。  それから海外基地の問題でございますが、ラスパルマスとサモアについて御質問がございましたので、お答えをいたしますと、サモアにつきましては、日本漁船が最初ほとんど独占的にアメリカのカン詰め会社と契約をして、そこのかん詰め工場に魚を売るというのが、サモア漁業実態でございます。ところが日本の漁船といたしましては、価格面で韓国との競争に負けたということであります。現在、大体におきまして韓国と日本が半々ぐらいということになっております。さらに、そこへ台湾の船も参加いたしておりまして、日本の漁船はサモアではかっての大きなシェアはなくなった。ということは、やはりアメリカの要求するような、あるいは韓国に対抗するような魚価では日本の船は引き合わなかった。さらに、そこで漁業をやるならば、アメリカへ売るよりも、日本に持って帰ったほうがいいということもありまして、サモアに参る船はだんだん減ってきたというのが実情であります。したがいまして、サモアの基地というのは、日本の最初始めた事業でありますけれども、現在は最初に比べれば半減をいたしております。もちろんサモアの基地対策につきましても、われわれも非常に頭を悩ましまして、サモアは米領でありまして、ハワイの総領事館の管轄にありますが、あそこでもいろいろな努力をされまして、各種のトラブルも現在は大かた解消いたしておりますけれども、これはある意味では、日本の漁船が減ったことにより自然的解消という面も私はあると思います。いずれにしましても、現在の状況が続けば、サモアにおいて日本が韓国あるいは台湾の船と競争をして、昔のように日本の船だけが非常に多いという状態になることは不可能であろうと思います。  ラスパルマスにつきましては、現在は日本のマグロ船、トロール船がほとんど利用いたしております。ラスパルマスはカナリア群島の島でありますけれども、御承知のように、あそこはスペイン領でありまして、スペインとしてはあそこを観光地として発達させるという傾向が非常に強いわけであります。もちろん、漁業の基地として日本の漁船等にいろいろなものを売って生活しているそういう業者は、日本の船を歓迎をいたしておりますけれども、スペインの政府としては必ずしも、実際問題として心から歓迎をしているわけではありません。また、観光地として発達させる上においては、あまり漁船が入るということは観光地として発達するゆえんでないという頭を持っているようであります。ただ、たてまえとして自由港になっておりますので、そういう意味で、自然的あるいは成り行きの形で日本の漁船を入れているということでありまして、必ずしも心から歓迎をしているわけではありません。そういう意味で、われわれとしても、なるべく問題を起こさないようにいろいろ指導をいたしているわけでありまして、現在総領事館もつくられておりますけれども、あまり積極的に日本の政府が、あたかも日本の国内に行なわれているような施策を、ラスパルマスにおいて、いろいろな施設をつくったり、とるということについては——スペイン政府は自分の領土内でそういう日本の行政的なことをやってもらっては困るというふうな頭が、非常に強いわけであります。これは当然私どももわが身に引き比べれば、主権を持つ国としてはある程度当然の要求であろうという考えを持たざるを得ないわけでありまして、できるだけあそこで紛争を起こさない、あくまでこれは人のところを借りているのだ、こういう意味で、礼儀正しい生活をしてもらうようにわれわれとしても指導いたしているわけであります。将来あそこの基地に現在よりも多い船が行くかどうかということにつきましては、私はおそらく減るであろう。現在すでに過去よりは大体四割ぐらい減っております。と申しますのは、大西洋における漁業が必ずしも往時より有利でなくなったという状態でありまして、往年よりはラスパルマスに寄港する船は減少いたしております。  以上のようなことでございまして、海外基地というものを使う際には、やはりこれは他国の領土を借用しているのだという謙虚な気持ちでそこを使うという心がまえでないと、私は将来日本はそこから追い出されるというような結果になりかねないだろうというふうな感じを持つわけでありまして、いろいろ船員の休養とか、そういう面で非常に役立つ、どうしても必要だということを考えますと、日本としてもそういうものを利用する際には十分な注意をもって利用する必要があるというふうに考えております。  それから賃金の問題につきまして、外国に歩合制の例があるかということでございますけれども、私の承知しておる限りでは、外国はほとんど歩合制でございます。
  29. 河毛一郎

    河毛政府委員 ただいま水産庁のほうからも、賃金の歩合制のことにつきましてお話がございました。久保先生から資料の御要求があったのでございますが、いまお話がございましたように、外国につきましても、いずれにいたしましても歩合給というものが入っておるということは間違いがないわけでございますが、私どもも従来この具体的な数字をつかむということにいろいろ努力してまいったわけでございますが、現在のところ、それは資料としてお出しできるまでにでき上がっていないということがございます。したがいまして、今後こういったものを数字でまとめるには相当の時間がかかるということがあるわけでございまして、まことに申しわけない次第でございますけれども、そういったことで今後相当時間がかかるということを御了承いただければ非常に幸いである、こういうふうに考える次第であります。
  30. 内藤隆

    内藤委員長 河村勝君。
  31. 河村勝

    ○河村委員 今回提出された法案というものは、こういうものをてこにしまして、今後行政当局はもちろんでありますけれども関係の労使がほんとうに一生懸命に災害、疾病の防止をやろうというふうに持っていくならば、非常に有効に使われるだろうと思うのであります。しかしながら、ただ陸上産業にできた、だからこっちもつくろうというだけのことでもってつくるというのであるならば、結果はただ外郭団体を一つこしらえたというだけのことに終ってしまって、何にもならない、そういうことに私はなるだろうと思うのであります。それで過去の実績というものを一応数字だけから見てみますと、どうもあまり安全衛生関係災害防止のことについて運輸省も、また労使の間でもあまり熱心にやっておらなかったような感じがするのでありますけれども、その点数字でもってちょっと御説明を願いたいと思うのですが、昭和三十八年から四十二年度までの間の業種別計画の中の海上産業災害防止計画を見ますと、船員の年死傷率だけを見ましても、大体年率九・五%ずつ災害を減らしていく、そういう計画になっておりますね。ところが一方、最近あなたのほうからいただいた資料を見ますと、最近四十年、四十一年の数字がないのですけれども、機帆船、漁船はもとより、近代化されつつある汽船についてすら、災害発生率あるいは疾病発生率というものがだんだんカーブが上がっているわけです。普通ならば、近代化するにつれて陸上産業なんかでも、こういう災害発生率が減っているのが常識なんですが、それがふえてきているというのはどういうわけか。あるいは最近の四十年、四十一年の数字がどうなっておるか。どういうわけでそういうような傾向を示しておるのか。少し御説明を願いたい。
  32. 河毛一郎

    河毛政府委員 ただいまお話のございました第一点でございますが、私どもが、陸上関係災害防止関係法律ができましたときに、これと同時にいま御審議を願っておりますような法律を出しませんでしたことは、まことに申しおけのない次第です。これにつきましては、当時の事情といたしまして、一つには労働安全衛生規則自身がいまだ未整備であった点、あるいはこのような法律案を具体的に行ないます場合に、やはりその中心となるある程度の民間の自主的な団体ができ上がっておるということが非常に必要なわけでございますが、そのような体制が整っておらなかったということに、主たる原因があるわけでございます。しかし、いままで御説明をいたしましたように、海上労働の災害発生率は、陸上の産業に比べましても、陸上関係で最も高いものに匹敵するようなものを持っております。またさらに、海上の災害防止というものを検討いたします場合には、単に職務上の災害にとどまりませんで、広く船内生活に伴うもろもろの問題を対象として行なう必要があるということで、私どもといたしましてはこの際、きわめて積極的な独自の立場からこの法律案を提出したわけでございます。この点御了承いただきたいと存ずる次第でございます。  次に、具体的な過去における災害発生の推移の状況でございますが、ただいま御指摘がございましたように、昭和三十八年の災害防止計画というものができ上がりましたときに、いわゆる計画的な数字がございました。これによりますと、大体九%ないし一〇%の減少率というものを見込んでおるわけでございます。この場合には実は保険関係からいたしまして、いわゆる葬祭料の支給件数あるいは職務上の療養給付の件数を基礎にして、具体的な数字をつくったわけでございます。その後そのようなもののうちからいわゆる療養給付の中の職務上の給付につきまして一定の推定率を設けてとりますと、ある程度災害が減っておるような数字も出るわけでありますが、別途運輸省昭和三十六年度から行ないました船員労働災害疾病実態調査によりますと、ただいま御指摘のように、船員災害は大型船も含めましてむしろ増加の傾向をたどっておる次第でございまして、私どもといたしましては、現在におきましては、この船員局の行なっております船員労働災害疾病実態調査数字によりまして、今後の対策を検討する必要があるというふうに判断しておる次第でございます。  さらに具体的にこのように災害発生率、特に傷病発生率が非常に高くなっておるわけでありまして、この原因につきましては、私どもも今後さらに研究する必要があると思われる点がございまして、直ちにこのような原因であるということを明確にお答えすることは、いまのところできないような状況でございます。今後海上労働科学研究所その他の助けも借りまして、この点については明確にしてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  33. 河村勝

    ○河村委員 いままでの調査が不備があったということで実態調査をやられたということですが、その実態調査はどういうやり方でやることになったわけですか。
  34. 河毛一郎

    河毛政府委員 この船員労働災害疾病実態調査は、労安則によりまして船舶所有者に報告義務がございます。それに基づいて具体的な報告様式をきめまして、それを集計いたしておる、こういうことであります。
  35. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、その労働安全衛生規則の報告義務の規定というのは、前からあるわけですね。いままではそれはやってなくて、新しく最近やっと始めた、そういうことになるわけですか。
  36. 河毛一郎

    河毛政府委員 実は労働安全衛生規則そのものが昭和三十九年から実施されましたので、それまでもやってはおりましたけれども法律に基づいて徹底的な調査というものは最近の数年間である、こういうことでございます。ちょっと御説明が不十分でありましたが……。
  37. 河村勝

    ○河村委員 いままでの経過についてはわかりました。  これから実態調査が正確に行なわれるものと考えてお尋ねをいたしますけれども、かりにこの法案が通ったと仮定をいたしまして、法第三条でこれから船員災害防止計画というのをつくるわけですね。その場合当面、船員災害の減少目標というものをどのように考えて計画を立て、またそれをやろうとするつもりでおられるか、それを伺いたいと思います。
  38. 河毛一郎

    河毛政府委員 船員災害防止計画の一つの大きな目的は、船員災害の減少目標を定めるということでございます。これにつきましては、御承知のとおり、陸上におきましては昭和三十七年の、先ほど申し上げました新産業災害防止計画というものをそのまま労働災害防止基本計画といたしまして、この計画によりますと、五年間で大体災害発生率を半減するということが目標になっておる次第であります。そこで私どもといたしましても、この新産業災害防止計画は海上産業も含めて立てられたものでございますので、おおむねそのようなものを基準にして今後ものを考えていくということが基本的には必要でございますが、最近の災害の、ただいま御指摘のございましたような状況から見ますと・具体的な計画の策定にあたりましてはさらに検討する必要が多々あるのではなかろうか、こう存じます。さらにまたこの法律によりまして、船員中央労働委員会の御意見も伺いまして災害の減少目標をきめるということになっておりますので、そのような御意見も十分に拝聴いたしまして、適切なる減少目標を設定いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  39. 河村勝

    ○河村委員 そこで、これは前々から質問もございましたけれども、今回の場合、船員保険の被保険者が二十七万、そのうち今回計画の中に載っているのは十七万ですね。十万という差がございます。それでその十万というものが主として漁船、機帆船というような小さいものであって、この災害、疾病の発生率から見ても非常に高いものです。これが抜けておるというのは、この法案自体ではないかもしれないけれども、この中身の一番欠陥であろうと思います。そこで残りの十万ですね。これを大体とういうスケジュールで——おやりになる気があるものと考えて私は質問しておるのですけれども、この十万をどういうふうなスケジュールでこの中に入れていこうというふうにお考えになっておるのか、それを伺いたい。
  40. 河毛一郎

    河毛政府委員 二十七万船員がおります。私ども事業計画としていま十七万を対象にいたしておるわけでございますが、ただいまお話がございましたように、この法律はおよそ船舶所有者でございますれば、その規模の大小を問わないで、すべて協会に加入する資格を持っておるわけであります。したがいまして法律の趣旨から申し上げれば、当初よりすべての船舶所有者が協会の会員になりまして、自主的に災害防止活動を行なうということが理想でございます。ただ、数年前に発足いたしました陸上関係のいわゆる使用者の加入状況その他を参考にいたしますと、当初といたしましては、そのすべてを包含するということには現実には非常に問題があるようでございまして、発足して大体その会員数が、数年間で倍になるというような実績のようでございます。もちろんこの協会船舶所有者の自主的な団体でございまして、強制加入その他を行なうという制度の趣旨ではございませんし、私どもといたしましては、具体的な事業計画といたしましては、初年度につきましては、前々から御説明をいたしておりますような組織化された船舶所有者というものを対象といたしまして、いわゆる協会事業計画規模をきめたわけでございます。しかし、もちろん法律のたてまえはそのようなことでございますので、次年度以降におきましては、さらに逐次この会員数をふやしていくように特段の努力を払ってまいりたいと思います。ただその場合に、具体的にこのきわめて零細な船主をどのようにして会員にしていくかということにつきましては、やはり具体的な手段が要ると考える次第でございまして、特に問題でございますのは、これらの中小船主が非常に船主として未組織であるという点でございます。それからまた同時に、船主自身がその必要性を必ずしも十分に自覚してないという点がございます。そこでこのできました協会が、単に会員だけではなしに、一般的にいわゆる災害防止の思想というものを普及徹底することによって、これらの船主が自発的にこのような会に入らなければならないというように指導いたしますとともに、私どもの行政分野でいえば、内航対策その他が別途進められておりますが、これらによって船主の組織化あるいは近代化というものを並行してはかってまいりまして、これらの基礎の上に立って、今後できるだけすみやかに全船主がこの組織に加入するような環境をつくってまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  41. 河村勝

    ○河村委員 いま、組織化された船舶所有者の数を対象にしたというお話ですが、実際見ますと、漁船なんかでも何らかの協同組合その他の組織をつくっておるように思われるし、また内航の小型船舶も最近の海員組合その他の組織率を見ますと、一応これは運輸省の御説明が正しいとすれば、九三%くらいは組織化されておる、こういう報告なんですね。そうすると十万からの未組織があるということはちょっと考えられないのですが、それは事実ですか。
  42. 河毛一郎

    河毛政府委員 この点は私ちょっとお答えが不正確であったかもわかりません。私どもといたしましては、たとえば一応組織には何らかの形で入っておる、しかし入り方がきわめて不十分であるという——これは形式的にはそういうことはあり得ないわけでございますが、実際問題として、たとえば機帆船あたりを考えてみますと、一応協会の会員なり組合員になっておるけれども、なかなか具体的につかみがたいというような要素もございますので、そういったものも入れまして一応十七万ということにいたしたわけでございますが、しかしいずれにいたしましても、そのような一応組織に入っておるという船主につきましては、来年度以降特に急速に組織化される可能性が非常に強いグループである、こういうふうに考えております。
  43. 河村勝

    ○河村委員 厚生省にお伺いしたいのですが、厚生省としては今回十七万を対象にした、今後ふえていく場合には船員保険からの補助、これは人数がふえるに応じて当然自動的にふやしていってよろしい、そういうふうになっておりますか。
  44. 竹元修一

    ○竹元説明員 船員災害防止協会を今度新しく法律でつくっていくということになりましたので、私どもといたしましては、全船員を包括していくように努力を払ってまいりたいと思いますけれども、やはりまだ今後事業が開始されてまいりますので、その事業実施などによりましていろいろ検討はしてまいりたいと思いますけれども、その検討の内容といたしましては、やはり船員の数が増加いたしますれば、それに応じて補助金の額も増額していくというふうに考えておる次第でございます。
  45. 河村勝

    ○河村委員 先ほど船員局長は来年度以降ふやすというようなお話でしたが、可能であるならば一日も早くこれに参加させるべきものだと思うのですが、そこで厚生省としてはどうなんですか、もしこれで予定以上に、十七万以上参加する人員がふえた場合には、本年度予算、といっても保険経理の中からですから、当然、いま千七百万円を予定しているものを年度途中であってもふやしても差しつかえないわけですね。
  46. 竹元修一

    ○竹元説明員 四十二年度におきましては千七百万円を計上いたしておりまして、その範囲内で補給するということでありまして、この十七万人以上に会員がふえましても、四十二年度、初年度でもございますので、この範囲内で交付するよりしかたがないのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  47. 河村勝

    ○河村委員 一般の予算の款項に属するものならそれはわかりますけれども船員保険の経理の中で、しかも項目としては目以下ですね。ですから保険経理が許すならば、当然この法の精神から考えて、人員がふえていったら補助もふやすというたてまえでよろしいんじゃないですか。
  48. 竹元修一

    ○竹元説明員 福祉施設費総額の範囲内の一つの項目としまして、船員災害防止対策事業費といたしまして、この千七百万円を計上いたしておるわけでございますが、この財源は、保険料の収入が千分の七で計算いたしましてそれが八億五千万になっておるわけでございますが、その範囲の中で、その他の事業と振り分けまして千七百万円というものが計上いたしてございますので、ことし年度内、四十二年度中におきましては、私どもといたしましては一応この十七万人を対象とするという方針でおるわけでございます。
  49. 河村勝

    ○河村委員 これは仮定の問題で、十七万以上ふえるかふえないかわからないわけですから、いまあわてて御返事をいただかなくたってけっこうですけれども、もしそういうことになったならば、それは望ましいことなんですから、決して予算の性格上許されないということではないわけですから、御検討願いたいと思います。  それから、この船員災害防止協会の四十二年度の予算案を見ますと、支出の中で役職員の人件費の占める額が千五百万円ですね。そうしまして、船員保険特別会計から繰り入れて補助をもらうのが千七百万円。そうすると、もうあらかた人件費でなくなってしまうわけですね。こういう種類の仕事というものは人がやるわけですから、人がこのくらい要るであろうということはわかりますけれども、せっかくの金があらかた人件費に食われてしまって、あとは事業収入などを当てにしておられるようだけれども、非常にもの足りないわけですね。ですからほんとうにやろうという気があるなら、このままじゃ仏つくって魂入れずみたいなかっこうになるのじゃないかと思うのですが、その点一体、これは船舶所有者の、使用者側のほうの支出金と船員保険のほうと両方にかかるわけですけれども、これをもっとふやしてほんとうに動けるようにするお考えはないのですか。
  50. 河毛一郎

    河毛政府委員 船員災害防止協会の予算におきまして積算いたしております人件費は、ただいま御指摘のような額でございます。船員災害防止協会の目的といたします仕事を行ないますためには、これは役員以下十二名の陣容でございますけれども、最小限度このようなスタッフが要るのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。ただ、全体の予算規模、事業規模との関連において少し率が高いではないかというような御指摘もございますが、私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、一応対象船員数を十七万と押えまして、これに事業収入その他を入れまして事業規模をきめた関係もございますので、先ほどの御指摘のような、今後さらに船舶所有者全般にこれを会員といたしまして事業規模を拡大していくという点には格段の努力をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  51. 河村勝

    ○河村委員 船員保険の関係のほうですね。これはもちろん会員が金も出さぬのに船員保険特別会計から金を出せということはおかしな話ですから、それは無理だと思いますが、会員のほうがもっと積極的にやろうというので金を出す、一人当たりの会費百円を二百円にするというふうなところまで踏み切ったならば、船員保険特別会計のほうからそれくらいの補助金は当然出せるものと考えますが、その点いかがですか。
  52. 竹元修一

    ○竹元説明員 この災害防止協会をどういうふうに運営していくかということは運輸省ともよく協議いたしまして、これから新しく船員災害防止協会が設立されて、そして船員災害防止するということになってまいりますと、運輸省とも協議いたしましてどういうふうに——将来計画も見通しもあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはりこの会員の拠出しました会費に見合うものを補助対象として、補助金を交付していきたいというのを基本的な考えといたしまして、今度の初年度の予算もそういうふうに編成したわけでございます。初年度の場合は、一応聞くところによりますと百円ということでございましたので、百円を基礎にして編成いたしました。もしその単価が上がりますれば、そのところも十分検討してまいりたいと思うわけでございます。
  53. 河村勝

    ○河村委員 それでは次に移りますが、この災害防止というものは労使協力というか、ほんとうに一体となってやらないと効果があがらない、これはもう当然でございます。そこでこの法案を見ましても、船員災害防止計画の基本計画をつくるのに船員中労委の意見を聞くとか、あるいはほかにも、災害防止規程ですかをつくるときに関係船員を代表する者の意見を聞かなければならないとか、そういうところはございますが、この今度でき上がる災害防止協会の仕事自体に対応する労働団体が参画するのかしないのか、これは入るとも入らぬとも書いてないわけですけれども、従来任意法人であった財団法人の船員労働災害防止協会の中には、船員組合の代表者が入っておったと思うのですけれども、今後この防止協会を設立するにあたりまして、その点はどういうふうにお考えになっておるのか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  54. 河毛一郎

    河毛政府委員 今度この法律が通りますれば、この法律によりましてでき上がります協会の運営につきまして、労使関係が非常に密接でなければ災害防止という仕事はできないという御趣旨で、労働組合をどういうふうに考えるべきかというお話でございますが、この法律は、御承知のとおり、船員災害防止というものの第一義的責任は船舶所有者にあるということに着目いたしまして、それらの所有者を会員とする団体でございます。しかし同時に、この事業船員ときわめて密接な関係を持っておるものであることは言うまでもないことでございますので、先ほど法律上の手だてといたしまして御指摘がございましたようなことのほかに、さらに協会自身の運営につきましては参与制度というものを設けまして、協会の業務の運営に関する重要事項に参与が参画する。その参与につきましては、学識経験ある人からこれを選ぶということに相なっておりますので、このような規定を活用することによりまして、御趣旨のような点が反映させられるように私どもとしては指導してまいりたい、こう考える次第でございます。  さらに、役員というか直接協会の運営に当たられる方々をどのようにするかということ、これは当然法律にございますように、総会におきまして定款の定めるところに従ってこれを選任するということでございます。従来、いまございます船員労働災害防止協会につきましては、ただいま先生お話しになりましたようなことが行なわれております。私どもは今後の問題といたしまして、あくまでも定款の定めるところにより、総会のきめることではございますが、いずれにいたしまして亀役員は、この協会が任務といたしますことに最も適切な方を選ぶということがその趣旨でございまして、それを第一条件として選ぶということを中心にものを考えていくことが一番大切なのではなかろうかと考えます。今後私どもに意見を求められればそのように指導をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  55. 河村勝

    ○河村委員 抽象的ではあるけれども、大体お考えはわかりましたが、船員保険そのものは相互保険で、一応被用者も掛け金を出しておるわけです。ですから陸上産業の場合とは区別して——陸上産業の場合には関係の労働団体の役員というものがないわけですけれども、一応そこでけじめはつけられると思いますので、ぜひともそういうふうに御指導願いたいと思います。その辺いま少し具体的に御返事できるならばしていただきたい。
  56. 河毛一郎

    河毛政府委員 ただいまのお話につきましては、基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、いずれにいたしましても、労使関係の密接な連絡なしには災害防止事業が円滑にいくというふうには考えておりませんので、そういう見地から船主その他に対しましても適切な行政指導を行なってまいりたいと考えております。
  57. 河村勝

    ○河村委員 質問を終わります。      ————◇—————
  58. 内藤隆

    内藤委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  目下産業公害対策特別委員会において審査中の、船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律案について、産業公害対策特別委員会に連合審査会の開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会を開会いたします場合の日時等につきましては、産業公害対策特別委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。  次会は、来たる十六日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十八分散会