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亀長説明員 私のほうから
お答えをいたしますが、いま御提案の
法律等につきましては、
水産庁の所管ではございませんけれ
ども、立案の過程等につきましても
運輸省から十分御
連絡をいただいておりまして、
法案が制定されました暁におきましても、
漁船船員に対する対策も含めまして、われわれとしては
運輸省と十分
連絡をとりながら、
漁船船員の
災害防止についても努力をしてまいりたい、かように考えております。
それから
漁業海外基地の問題についてでございますが、日本の
漁業も、これは日本の
工業化あるいは高度成長と申しますか、所得の向上によりましてかなり見込みとは違ってきております。そういう日本経済からの影響が
一つ。もう
一つは、世界的資源に非常に力を出す国がふえてきた、片方はソ連のような強大な国が国営でもって非常に強力な
事業を行なうという面で、要するに漁獲高が落ちてくるという傾向は争えない事実であります。日本はそういう二つの要素のもとにありまして、将来日本
漁業は非常に変わるだろうと私は思っております。それについて、伸びるのか縮むのかということは、あまり口幅ったく申し上げるつもりはありませんけれ
ども、いわゆる世界の先進国、かりにアメリカ、イギリスの例をとれば、
漁業は衰退をしておるということが
一般的に言えます。アメリカ、イギリス、ノルウェーであるとか、あるいはドイツであるとかフランスであるとかいうふうに、いわゆる先進国は
漁業が衰退をしておるということは明瞭な事実であります。なぜそうなったのかということについては、いろいろな見方があると思いますけれ
ども、
漁業の生産は
工業生産のように簡単に生産を拡大するというわけにはいかない。資源の問題、同時に
漁業における作業自体が、必ずしも
一般の
工業みたいに機械化はできないというふうな要素があるように思います。一方、所得向上、労働者の
賃金というものを当然上げていかなければ、人が集まらない、そういう
能力がはたしてあるかどうかということであります。日本の
漁業がどうなるかわかりませんけれ
ども、少なくともアメリカ、イギリスあるいはヨーロッパの先進国における
漁業というのは、過去に比べれば衰退の過程をたどっておるということは事実であります。
それから海外基地の問題でございますが、ラスパル
マスとサモアについて御
質問がございましたので、
お答えをいたしますと、サモアにつきましては、日本
漁船が最初ほとんど独占的にアメリカのカン詰め会社と契約をして、そこのかん詰め工場に魚を売るというのが、サモア
漁業の
実態でございます。ところが日本の
漁船といたしましては、価格面で韓国との競争に負けたということであります。現在、大体におきまして韓国と日本が半々ぐらいということになっております。さらに、そこへ台湾の船も参加いたしておりまして、日本の
漁船はサモアではかっての大きなシェアはなくなった。ということは、やはりアメリカの要求するような、あるいは韓国に対抗するような魚価では日本の船は引き合わなかった。さらに、そこで
漁業をやるならば、アメリカへ売るよりも、日本に持って帰ったほうがいいということもありまして、サモアに参る船はだんだん減ってきたというのが
実情であります。したがいまして、サモアの基地というのは、日本の最初始めた
事業でありますけれ
ども、現在は最初に比べれば半減をいたしております。もちろんサモアの基地対策につきましても、われわれも非常に頭を悩ましまして、サモアは米領でありまして、ハワイの総領事館の管轄にありますが、あそこでもいろいろな努力をされまして、
各種のトラブルも現在は大かた解消いたしておりますけれ
ども、これはある意味では、日本の
漁船が減ったことにより自然的解消という面も私はあると思います。いずれにしましても、現在の状況が続けば、サモアにおいて日本が韓国あるいは台湾の船と競争をして、昔のように日本の船だけが非常に多いという
状態になることは不可能であろうと思います。
ラスパル
マスにつきましては、現在は日本の
マグロ船、トロール船がほとんど利用いたしております。ラスパル
マスはカナリア群島の島でありますけれ
ども、御
承知のように、あそこはスペイン領でありまして、スペインとしてはあそこを観光地として発達させるという傾向が非常に強いわけであります。もちろん、
漁業の基地として日本の
漁船等にいろいろなものを売って
生活しているそういう業者は、日本の船を歓迎をいたしておりますけれ
ども、スペインの政府としては必ずしも、実際問題として心から歓迎をしているわけではありません。また、観光地として発達させる上においては、あまり
漁船が入るということは観光地として発達するゆえんでないという頭を持っているようであります。ただ、たてまえとして自由港になっておりますので、そういう意味で、自然的あるいは成り行きの形で日本の
漁船を入れているということでありまして、必ずしも心から歓迎をしているわけではありません。そういう意味で、われわれとしても、なるべく問題を起こさないようにいろいろ
指導をいたしているわけでありまして、現在総領事館もつくられておりますけれ
ども、あまり積極的に日本の政府が、あたかも日本の国内に行なわれているような施策を、ラスパル
マスにおいて、いろいろな施設をつくったり、とるということについては
——スペイン政府は自分の領土内でそういう日本の行政的なことをやってもらっては困るというふうな頭が、非常に強いわけであります。これは当然私
どももわが身に引き比べれば、主権を持つ国としてはある
程度当然の要求であろうという考えを持たざるを得ないわけでありまして、できるだけあそこで紛争を起こさない、あくまでこれは人のところを借りているのだ、こういう意味で、礼儀正しい
生活をしてもらうようにわれわれとしても
指導いたしているわけであります。将来あそこの基地に現在よりも多い船が行くかどうかということにつきましては、私はおそらく減るであろう。現在すでに過去よりは大体四割ぐらい減っております。と申しますのは、大西洋における
漁業が必ずしも往時より有利でなくなったという
状態でありまして、往年よりはラスパル
マスに寄港する船は減少いたしております。
以上のようなことでございまして、海外基地というものを使う際には、やはりこれは他国の領土を借用しているのだという謙虚な気持ちでそこを使うという心がまえでないと、私は将来日本はそこから追い出されるというような結果になりかねないだろうというふうな感じを持つわけでありまして、いろいろ
船員の休養とか、そういう面で非常に役立つ、どうしても必要だということを考えますと、日本としてもそういうものを利用する際には十分な注意をもって利用する必要があるというふうに考えております。
それから
賃金の問題につきまして、外国に歩合制の例があるかということでございますけれ
ども、私の
承知しておる限りでは、外国はほとんど歩合制でございます。