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1967-06-07 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月七日(水曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 進藤 一馬君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 河村  勝君       大竹 太郎君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    徳安 實藏君       福家 俊一君    堀川 恭平君       水野  清君    板川 正吾君       小川 三男君    神門至馬夫君       内藤 良平君    野間千代三君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       山下 榮二君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         運輸省船員局長 河毛 一郎君  委員外出席者         労働省労働基準         局労災防止対策         部長      鈴木 健二君         参  考  人         (中央労働災害         防止協会会長) 三村 起一君         参  考  人         (中央労働災害         防止協会専務理         事)      大瀧士夫君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 六月七日  委員亀岡高夫君及び中川一郎辞任につき、そ  の補欠として大石武一君及び中山マサ君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大石武一君及び中山マサ辞任につき、そ  の補欠として亀岡高夫君及び中川一郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 六月三日  東武鉄道西新井大師線廃止反対に関する請願(  鯨岡兵輔君紹介)(第一一七九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  船員災害防止協会等に関する法律案内閣提出  第一〇五号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  船員災害防止協会等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際おはかりいたします。  本案審査のため、本日、中央労働災害防止協会会長三村起一君及び専務理事大瀧士夫君参考人として御出席をお願いし、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内藤隆

    内藤委員長 異議なしと認め、よってさよう決定いたしました。  参考人からの意見聴取質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。     —————————————
  4. 内藤隆

    内藤委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。渡辺芳男君。
  5. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 中央労働災害防止協会会長なり専務理事さんに、ひとつ順次質問をいたしていきますから、私のほうもまた手元資料もございませんので、わかるように御説明願いたいと思います。  まず中央労働災害防止協会定款規程設定年月日、それから建設業をはじめとして五つ防止協会がございますね、これの定款規程設定年月日、それから各防止協会常駐役職員の構成について御説明を願いたいと思います。
  6. 鈴木健二

    鈴木説明員 お尋ねの件でありますが、業種別団体のことも入っておりますので、適宜私から答弁させていただきたいと思います。  定款を制定いたしました年月日は、実はきょうはっきりしたものを全部持ってきておりませんけれども中央災防協会につきましては三十九年八月一日に中央労働災害防止協会定款が制定されております。ほかの業種別団体につきましても、大体三十九年の八月前後に設立いたしました関係上、定款ができましたのはその前後だ、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  7. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これから御質問するのですが、中央災防協会以外はわからないのですか。それは災防部長のほうでわかりますね。
  8. 鈴木健二

    鈴木説明員 はい。
  9. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いま設立年月日などの説明でしたが、これから活動内容質問する立場から、先ほど常駐役職員の陣容、これを説明してくれ、こういうことで質問をいたしましたが、中央災防協会とそれから建設業陸運貨物運送業林業港湾貨物運送事業鉱業、こういうふうに六つありますね。具体的にその中央協会に参加をしておる業種会員ですね、どういうのがおもであるのか、それから業種別にそれぞれ災防協会五つつくっておりますが、一体その業者で何%の組織率を持っているか、わかりましたらこの点を二つ御説明を願いたいと思うのです。
  10. 鈴木健二

    鈴木説明員 先ほど言い落としましたが、各協会役員でございますが、専務理事常任理事、監事、こういうふうな役員がございます。中央災防におきましては常勤のもの十人、建設につきましては五人、陸上についても五人、林業についても五人、港湾については三、鉱業については五ということになっております。それから会員数でございまするが、中央災防協会は三百二十、これは昭和四十二年五月十日現在で三百二十でございます。これは三百二十人ということではございませんで、団体を入れまして三百二十、こういうふうに御理解いただきたいと思います。あとの協会につきましては、一つずつ申し上げますと、建設で二万八千、陸上で一万一千、林業で三万五千、港湾で千七百九十、鉱業で二百二十一、合計七万七千人程度会員を擁しております。この会員数発足いたしました三十九年の三万七千に比べまして約倍以上になっておる、こういう現況にございます。その産業における業者との比率が何%になっておるか、これは今日調べておりませんで手持ちの資料がございませんので、はっきりした数字は申し上げかねると思います。
  11. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 強制加入ではありませんから、熱意がないと各業種団体はなかなか結集することはできないと思うのです。発足してからまだ二年ないし二年半ぐらいですから、そう期待をした効果がないことは私もわかりますけれども、しかし現実にいまのこの法律が三十九年の六月に国会を通過してできましてから、災防運動をやるということになって、一番私どもが心配をいたしておるのは、大企業の場合は比較的、労働災害防止活動というものは企業自体もよくやっておるし、そしてまた労働組合も相当団体交渉などを通じて強く言いますから、ある意味では徹底をしているわけですが、会員にならない零細な業種、そしてまた中には中小の業者であっても加入していない、こういうふうなことが今日各業種にあるのかないのか。これは積極的に行政指導で、いいことでありますからやらなければならぬと思うのですが、いままでの努力ですね、こういうことについて、協会のほうと災防部長のほうから少し説明を願いたいと思います。
  12. 鈴木健二

    鈴木説明員 先ほど申し上げましたように、会員数は三十九年の設立当初に比べましては倍以上、中央災防を除きまして七万七千人と伸びてはおりますけれども対象事業事業主の数から見ますとまだ非常に少ない、こういうふうに理解いたしております。特に港湾とか林業はそもそも本来零細企業が多うございまして、この会員の中にも零細企業も入っておりますが、全体といたしましては零細企業はなかなか把握しにくい。また会費の関係もありまして、向こうから自発的な加入ということもなかなか困難であるということで、特に零細企業につきましては今後努力を重ねて加入していただく、こういう努力を続けなければならぬと思っております。その努力のしかたでございますが、協力を、自主的団体ではございますけれども、私ども地方基準局監督署、これが安全衛生等について監督なり指導をやっております。そういう監督なり指導——一応別個な話になりますけれども、そういう機会を通じまして、こうした団体加入災害防止に積極的に活動していただくように要請する、こういう形で加入を促進してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  13. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 中央協会にお尋ねします。中央協会と、一番初め申し上げましたが、まだお話がございませんからですが、五つ業種防止協会ですね、これとの関係、それから二重加入ということはないと思うのですが中央協会がほかの五つ防止団体に対してどういう連絡指導といいますか、任務がありますか。具体的にやっておることについていままでの経過説明いただきたいと思う。
  14. 大瀧四士夫

    大瀧参考人 中央協会と五業種団体は一応別個な団体になっておりますが、しかし五業種のそれぞれの団体中央協会正会員になっております。この正会員というのは、現在、各地方基準局、そういうのが四十八団体、それから全国的な事業主団体が十三ございます。五業種団体もそうですか、そういうものも正会員になっておるのでございまして、この正会員に対しましては、いろんな事業を推進する場合におきまして何かと連絡をとりながらやっております。そういうような関係で、密接不可分な状態にあることをおわかりいただきたいと思います。
  15. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 中央協会活動内容について簡単な資料をいただいていますが、端的に言って、皆さんがこの活動計画の中で最も力を入れているものは、一体何であるか。  そしてまた、これはちょっと違う質問になりますが、災防部長のほうにお伺いしますけれども、この五業種災防協会の中で、発足以来最も充実した活動をしている防止団体はどこか、比較的どうも熱意がないじゃないかというのは一体どういう防止団体があるか、これは率直に明らかにしてもらいたいと思います。
  16. 大瀧四士夫

    大瀧参考人 中央労働災害防止協会活動重点というような問題について申し上げたいと思いますが、中央協会事業計画の中で最も重点を置いておることは、毎年労働省労働災害防止実施計画というものを法律に基づいて策定しておりまして、その線に従ってわれわれは計画を立てるのでございますが、教育関係、それから調査研究関係、それから広報関係、それからもう一つ大事なことは安全衛生技術指導、いわゆるコンサルタントの問題でございます。  そこで、それらのいろんな活動を含めまして、昭和四十二年に最も重点的にやりたいと思っておることは、緑十字の日の実施普及の問題でございます。これは、日本におきましては昭和三年から安全週間、それから昭和二十五年から全国衛生週間をやっておりますが、これは日本安全衛生運動の推進のために非常に大きな役割りを今日まで果たしてまいりました。しかしその週間も、週間が過ぎてみると何となく遠くに貫き去られるような感じがするものですから、毎月一日を緑十字の日として、安全衛生の問題を反着し、あるいは防止計画を立てて、繰り返し繰り返し反復して反省と前進を続けていく、こういうところに重点を置きまして、一昨年から労働省の後援を得まして、この緑十字の日の普及の問題につきましては非常に大きな力を入れてやっておるつもりでございます。  それからもう一つは、危険有害物表示の問題でございますが、この問題も、最近いろんな技術の進展によりまして、労働者が無知であるために思わざる大きな災害を起こしておる事例がたくさんございます。そういうことのために、やはり危険有害物を取り扱う場合は、それがはっきりだれでもわかるような表示をして、そういう労働災害を防いでいきたい、こういうようなことに本年は非常に大きな重点を置いてやっていきたい。それから職長クラス安全衛生に対する関心を高めて、現場の労働災害をできるだけ防ぐようにつとめていきたい。それから先ほど申し上げました安全衛生技術指導の問題でございまするが、これも本年は大いに力を入れてやりたいと思いまして、若干コンサルタントの増員もいたしておるところでございます。大体中央協会重点を置いておることはそういうようなことでございます。
  17. 三村起一

    三村参考人 ちょっと私から補足して申し上げます。  ただいま大瀧専務理事から申し上げたことで尽きてはおりますが、なお申し上げたいと思うのは、特に毎年、安全のほうの大会衛生大会と開いております。ここでは単に一つの行事としてやるわけでなく、三日間にわたりまして、年間に研究したこと並びにいろいろな実績並びにインプルーブメント、そういうことについての各自の体験を持ち寄りまして、部会に分かれてやるのでございまして、そこにはいまの五業種もみな入って、建設陸運港湾運送それから鉱山林業等がみな一緒に入ってやっておりまして、相携えて、先ほどお話がありました五業種との関係は、そういう点においても特に密接にやっております。また、そこでの話は実に真剣そのものでありますことと、実にりっぱな資料が出ております。ことに最近御承知のとおり、思わざるところの災害が非常にふえてきております。たとえば船舶にいたしましても、名古屋のドックにおけるあのシンナーの全く予想しないととろの爆発がある。ああいったような予測をしないような、無知といえば無知かもしれませんけれども、予測せざるところの爆発も起こってくるのでございますので、そういう点についての——特に爆発性事故が最近多いのでございます。かつ、それが大型化しておりますから、特にその点については深甚な研究調査をやっておるわけでございます。また、安全と衛生とは一体不可分のものだという考えがございますので、衛生も同時に今年は一緒にやることにしております。そういう次第でございますので、五業種との関係も密接でありますのと同時に、新しい災害に対する研究について、できるだけの努力をしておるつもりでございます。
  18. 鈴木健二

    鈴木説明員 五業種災防団体活動で、どういう団体が活発でどういう団体があんまり実績をあげていないかというふうな御質問でございますが、私どもこうした災防団体に対しまして、どういう事柄をやってほしいということは、年次別計画に示しておるわけでございます。念のために特にやっていただきたいことを示しておりますのは、安全衛生教育実施労働災害防止規程作成安全衛生技術指導実施会員相互間におけるパトロール実施調査研究及び広報活動積極的展開、こういうことを各業種別団体に要請し、その活動を期待している、こういうことになっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、五業種につきましては発足いたしましてからまだ三年に満たない状況でございますので、その活動を全般的に見ますると、私どもが期待しているところまでまだいっていない、こういうふうに考えられるわけでございます。しかし具体的にとってみますると、労働災害防止規程作成につきましては、各業種別団体等におきまして一応基礎的な事項について防止規程作成を終わっております。また会員相互間におけるパトロール実施につきましては、特に業種性格もあるのでありましょうが、建設港湾等におきましてかなり活発に行なわれている、こういうふうに感じております。全般としてどの業種が活発でどの業種が活発でないということはなかなか判断しがたいわけでございまするが、私の感じではなはだ恐縮でございますけれども鉱山につきましては、御存じのように、鉱山保安行政というものが通産省にあるような関係で、役所のあれがちょっと違います関係から、鉱山につきまして活動が若干われわれが期待しているところまでいってない面があるのではないか、こういうふうな感じを受けているような次第でございます。
  19. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 一番労働災害の多い業種がとりあえず防止協会をつくったのでありますから、その中で重点的に取り入れなければならぬといいますか、運動中心課題でありますか、これはやはりサービスを中心にした教育の問題が非常に重要視されなければならぬと思うのです。技術指導仕事をやる上においては、こういう近代化の時期でありますから必要でありますけれども、何と申しましても、災害発生率の多い業種でありますから、安全第一の人命尊重思想というものを徹底をするということを基本にして、この法律はつくられたと思うのです。それを二義的にするということではないでしょうが、中心にしないと、防止団体がつくられた意義というものはなくなってしまうわけですね。相変わらず、私のいただきました資料によりますと、災害発生率が多いわけですよ。減少目標というものを立てるにしても、一面的には、ていさいが悪いから傷害事故、軽い程度のものは隠してしまえということになってしまう。陰にこもってしまう。死亡事故などというものはこれは隠すわけにいきませんから、当然のこととして明るみに出ますが、その死亡事故というものも非常に多いわけですね。ですから、いま中心的に活動内容をこういうふうにしてやっていますと伺いましたけれども、この安全衛生思想徹底というものを管理者が、業種によってはただ名目的に示してあるというふうな程度のものもあると思うのですね。こういう関係について一体どういう計画を持ってやっているか、これをひとつ御説明を願いたいと思うのです。
  20. 鈴木健二

    鈴木説明員 先生おっしゃいましたように、災害発生率は、毎年、率から申しますると、かなり順調な減少を示しております。しかしながら最近新工法とか新材料というようなものが出てまいりまして、かえって重大災害なり、あるいは死亡災害がふえているというような、まことに憂慮にたえない事態で、私ども責任を痛感しておるわけでございますが、私ども安全行政はあくまでも先生のおっしゃいましたように、第一には各企業企業使用者労働者もとにかく安全を守るということを何よりも優先するということを基礎に置いて安全管理体制整備をするとか、あるいは点検を十分に行なうとか、あるいは安全衛生教育徹底する、こういうことになろうかと思いまして、そういう線で私どもいろいろな機会を通じて指導なり監督実施しておるわけでございます。
  21. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 具体的に内容に少し入りたいと思うのですが、いま私の手元港湾貨物運送事業労働災害防止規程があります。四十一年の七月に決定されたものです。ですから、まだ一年もたっておりませんが、一つには、聞くところによりますと、これは会員はこの規程を知っている。しかし端的に言って、労働者はこういう規定があるということを大半は知らないという現状にあります。この第二章の第五条に「(設備点検整備)」こう書いてあります。この五条にきめられました条文というものは、きわめていいものをきめてあると私は関係団体から聞いております。聞いておりますが、これを実行すると、具体的に仕事をやる前に点検をするのですから、実行すればいいのだけれども、なかなか実行するということは困難な事態にある。実はやっていないのだ。会員はそうは言わないのでしょうけれども、働く労働者はこういうものを聞いたことはない。こんなことを実行してもらえればまことに私どもは歓迎すべきだ、こういうふうに言っておるのですが、いいことをきめられて、りっぱな条文をきめられてあっても、実際は実行しないのでは、仏つくって魂入れずということになりますね。この点の運動というものが、実際には形式的で、実が入らない状態にあるのではないだろうか。これは港湾貨物運送業者だけに限らず、趣旨徹底をしなければ、こういう規程を設けても何にもならぬじゃないかというのが、私の言い分なんです。これらの指導について、防止協会は特に当面の責任者ですから、中央協会皆さんが出ておられますから、そういうことを一体どういうふうに徹底をしているのか、ひとついままでの経過というものを説明願いたいのです。
  22. 鈴木健二

    鈴木説明員 協会のほうにお聞きのようでございますが、中央災防協会は、御存じかと思いますけれども災防規程をつくるようになっておりません。しかし五業種中央災防協会会員でございますので、協会といたしましても、どういうふうな規程をつくり、どういうふうな活動をしているかということは把握していただかなければならぬことだと思いますけれども中央災防協会には、この規程をつくることは法律的に義務づけられていないわけでございます。したがって、この規程をつくることが法律的に予想されておりますものは、中央協会鉱山を除いた他の四業種があるわけでございます。先ほど申しましたように、実は規程をつくりましたのが、つい最近やっとでき上がったというような状況で、これがどこまで徹底しているかということになりますと、先生の御指摘のように十分徹底していない面がある、こういうふうに私どもも思っております。  この規程のそもそもの性格でございますが、一種の会員同士の自主的な規制ということで、法律的にはこれを使用者労働者関係で義務づける、こういうふうなものではないわけでございますが、こうした制度があります以上、これをつくった者、またそのつくられた事業場で働く者、みんなにこれを知っていただくということが必要でございますので、各業種別団体に対しましてそういうふうに広くみんなに知ってもらう、またこれが守られるようにひとつやってくれということを強く要請しておりまするし、また地方基準監督官にはこの災害防止規程を配りまして、こういうことで業界が自主的に規制をやっておるのであるから、監督等を行なう場合には、単に基準法違反ということでなくして、こうした規程が守られているかどうかということをもよく目を通すように努力してくださいということを地方にもよく指導をしておるわけであります。ただ残念ながら、御指摘のとおり災防規程ができましてからまだ間がないものでございますので、十分徹底していない点があることは事実でございます。今後一そう努力いたしまして徹底をさせていくようにしたいと思っております。
  23. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いままでの運動について散発的な質問をしてまいりましたが、労災防止対策部長、あまりこまかい資料は要りませんが、この際、三十五年ごろの就業中の業務上の災害死傷事故、それから三十九年、法が制定されている年ですね。それから、具体的に防止協会発足をして防止目標を立てて、今年度に至るまでの目標と、実績というのは恐縮だけれども災害発生状況というもの、これを調べてひとつ出してもらいたいと思うのです。各業種にわたってわかっておるならいまここで説明願いたいのですが、少し長くなると思うので、これはひとつ出してもらいたいと思います。  それから、私が一番災防協会なりそれから各業者に要望したいのは、この死亡事故です。これはどの業種についても今日、就業中における死亡事故というものに非常に重大な関心を持ちつつあることはいい傾向にありますけれども、特に死亡事故が非常に多い業種でありますから、この点についていままでの状況を見ておりますと、一体どういうところに一番原因があるか。技術のふなれであるとか、あるいは散発的に起きた死傷事故などというふうにいろいろあるけれども、実際問題として一番発生の多い仕事中の事故というものは何に原因しておりますか。わかりましたらその点だけはひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  24. 鈴木健二

    鈴木説明員 協会発足して以降、災害発生率がどういうふうになっておるかの資料は、後ほど出させていただきますけれども、五業種につきましては、三年間になりますけれども発足当時に比べまして、その五業種努力もありまして減少はいたしております。詳しいことは資料で提出させていただきます。  事故発生原因でありますが、いろいろあるわけでございまして、一般的に申しますならば、機械設備等の不備の問題が一つと、その動作というものが標準動作から非常にはずれているというようなことが、お互いに組み合わされまして事故が起きるというのが言えることでございますが、資料によりますると、死亡災害の多いのは動力運搬機あるいは取扱運搬、こういうものが一番死亡なり重大災害が起こっているという資料が出ております。
  25. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 それはそれで後日に譲りますが、この陸上災防協会をつくるにあたっての法律案を審議中に幾つか意見が出て、結局成立いたしたのでありますが、修正をされましたのは参与の条項を設置したわけですね。これは学識経験者なり労働者代表を入れろ、それからまた、規程設定をしようとするときに労働者の代表の意見を聞きなさい、こういうことが中心的だったと聞いておりますが、これが必ずしも具体的な手続なり運用の面ではうまくやられておらないと私は聞いております。たとえば、ここに資料がありますが、港湾貨物運送事業災防協会の小川会長の名前で、四十一年の三月二十五日付の書面で、実はわれわれは理事会でこういう規程をつくることを決議いたしました、ついては——港湾委員長の名前あてに、この規程について御意見がありましたら伺います。これはまあ法の条文からいえば間違いですね。取り扱いの手続上も、そうしてまた規程をつくる段階において意見を聞こうということになっておるんですから、事後承諾か、意見を出してくれということになると、これはだいぶ違う話になります。この点がどうもほかの協会でもやられておるようになりますと、これは違うんじゃないか、こういうわけで、この書面の回答というものはなされるわけです。あなた方がかってにつくったんではないか、こういうことになるわけですね。目には目というふうになってしまうわけです。これがひとつ防止規程設定をする過程から今日まであまりいい状況にない。大体の本旨というのは、労働災害を防止するというのは政府でも労働省でも言っているように、労使が協力をしなければこれは実効があがらない、こう言っているんですからね。それが、協力を求めるという姿勢がない。この点は指導上に欠陥がありはしませんか。
  26. 鈴木健二

    鈴木説明員 各業種別団体災防規程作成する場合には学識経験者及び労働者の代表の意見を聞かなければならないという規定がございまして、その意見は規則で、書面をもって案を出して、その書面を提示して意見を聞く、こういう形になっております。したがって、その書面を出すときに理事会にかけて書面を提示するかどうかということは、まあ規則なり法律そのものの問題ではなくて、実際上の問題でそれがいいかどうか、妥当か妥当でないかという判断になろうかと思います。まあそういうことで、実質的には要するにこういうふうなたてまえになっておりますし、また先生指摘のように、災害防止問題については労使の協力ということが基本になるわけでございますので、意見を聞いた場合に、その意見を形式的に聞くのではなくして、実質的にいいものは取り上げていくという実体が備わらなければならない。これは私どももそういうふうに思っておりまするが、先ほど御指摘港湾災防規程につきましては、確かに意見は聞いたけれども、でき上がった中身につきましては出された意見があまり入っていないという結果は、あとで私ども聞いたわけでございまするが、なおその労働者意見を聞くだけではなくして、この規程につきましては労働基準審議会、御存じのように三者構成の労働基準審議会の意見も聞くようになっております。そうして協会のほうが労働者代表の意見を聞いて出したものを、さらに労働省におきまして労働基準審議会にかけてこれをきめる、こういう形になっておりますので、仕組みといたしましては十分労働組合意見が反映するという仕組みになっております。問題はその仕組みをほんとうに生かすか生かさぬかということだろうと思いまするが、この点についても従来未熟な点があって、十分その趣旨が生かされないという点もありましたけれども、今後私ども指導によりましてそういう点は解消していくという方向に持っていきたいと思っております。
  27. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 まあ回答の筋というのは必ずしも私は納得はできませんが、端的に言えば、防止規程をつくるにあたって一番身近なものはだれかといえば、学識経験者よりも労使の関係だと思うんですよ。これが一番仕事をやっている仲間ですからね。これに対して別に頭を下げてどうですかとは言わぬでもいいから、ひとつ相談をしようじゃないかというふうになっていかないと、問題は災害防止運動をやる、そしてその目的達成のために協力し合う仲間ですからね。この点が形式的な論議は別として、実際問題としてそういう運用をしなければいけないんじゃないか。ですから私どもは、この前の国会で先輩の先生方がそれぞれ主張をしたように、労働者代表を具体的に入れておけばいいのじゃないかということが、なかなかそれはうまくいかなかったのでありますが、これが私どもの懸念をした第一点です。  そこで、ついでに申し上げておきますが、たとえばその参与をつくることをきめましたね。この参与は会長が招集をするのですから。二十七条に災害防止協会関係はありますね。参与の条項がありますが、一体いままで何回招集をいたしましたか。私が聞く範囲では、この港湾なり陸上貨物運送の関係については年に一回くらい、そのものずばり言えば懇親会みたいな程度のものである。これはまだ発足したばかりだからなかなか手が回りませんというようなことじゃなくして、何のために参与というものをつくることに力点を置いて了解をしてこの法案がつくられているかということの目的と、その議論の経過からいきますと、これを軽視をしているんじゃないか。ですから、この規程の問題、参与の活用の問題というものが実際問題として行なわれていないと私は判断しますが、いままでの状況について、ひとつ経過について説明を願いたいと思います。
  28. 鈴木健二

    鈴木説明員 参与の設置状況は、中央防止は参与二十六名中、組合関係が十名、建設は八名中、組合関係が二名、陸上は二名中、二名、港湾は二名中、はっきり組合関係の人は一名、鉱業につきましては七名のうち七名、こういうふうな参与の任命状況になっております。率直に申しまして、この参与の活動は活発に行なわれておりません。こういうことでは法を制定いたしました趣旨にももとりますので、先般労働省といたしましては、各事業団体に対しまして、参与を相当回数招集し、実質的な審議が行なわれ、その意見が反映されるように御努力をわずらわしたいということを、各業種別団体等に私のほうから指示したと申しますか、そういうふうにやってほしいということを強く要請したような次第でございます。
  29. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これからの運用につきまして、私のほうはこの関係については十分注意をしてやってもらうことをひとつ要望いたしておきます。  次に、きょうは基準局長さんも見えておりませんから、災防部長のほうでひとつとくとお考えを願いたいのは、港湾荷役などの場合は、常用労働者以外に臨時に雇う場面が非常に多いわけですね。労働者の不足から、かき集めるという傾向がある。特に十八歳未満のいわば未成年の高校生、中学生というものをアルバイトなどで使っているということがときどき問題になります。  一、二の例をあげてみますが、特に四十年の十二月に門司港で、母一人子一人の中学生が、これはまあ雇うた雇用主もけしからぬ話でありますが、船内荷役中に大豆の下敷きになって死亡した事故があります。これは大騒ぎになりました。それからまた最近、これは具体的に申し上げますが、名古屋運輸の関係で、常に高校生のアルバイトを使っているという傾向がある。これはだいぶ当時労使間で問題になっておるのです。  こういうことは労基法四十九条の年少労働者規制業務の就業の禁止の条項にかかるわけですね。具体的に労働基準監督署などは監督する任務があると思います。しかし、まあ手が回らないといえば回らない。こういうととが実は防止協会の任務ではないかと思うのですよ。ただ事故を起こさないように気をつけろ、安全旗を立てる、あるいはポスターを張る、あるいは教育をする、そういうふうなPR運動に終始してはいけないと思うのです。これらの徹底をしない限り、労基法の幾つかの条項に違反をしてやっているようなことを許しておるような業者会員にしておくようでは困るわけですよ。除名したってそういうものはしようがないかもしれぬが、しかしお互いに、こういう民主的な世の中ですから、注意をし合って事前に指導をするなり、行政官庁でもそういうことについては目を光らして徹底的にひとつやらないと、とんだ事故が起きてからああでもないこうでもないと言っても、これは間に合わないことです。ことに港湾業者などは、下請があるでしょう。零細企業のほうに下請さしていると、あれがやっているんじゃないかと思っていたら、違うやつがやっている。死亡事故が起きたような場合に、補償能力がないなんていって、あとで問題になるわけです。こういう複雑な状況にありますから、どうかひとつこの点は十分注意をしてもらいたいと思うのです。どうかひとつ災防部長のほうでも協会のほうでも、これからの対策の重大な一環として、それぞれ業種には特殊的なものがありますが、ピックアップしてやってもらいたいと思うのです。  それからもう一つ。これは苦言みたいになりますが、実際防止協会で運営されている地方の各地域の支部、これについて若干私は調べてきた中では、たとえば陸上貨物運送事業、大体まあ大企業地方の支店長なり、あるいは所長、そういう人たちが会長なり支部長ですか部会長というものをやっておりますが、こういう人たちは非常に熱意があるわけなんですが、問題は、いつもどこへ行っても議論になるのは、やっぱり中小零細の会員だと思います。この自主的な運動ということが名目上の中心的なたてまえになっておりますから、この点がひっかかりますけれども、実際は防止協会労働省との密接な連絡、それから法に基づく労働省の強力な指導がなければ、これはうまくいきませんね。業者の自主的な運動といっても、これはつくられたものですから。で、最近の状況を見ますと、防止協会の地域の支部長の名前で招集しても、なかなか集まらない。集まるのはもうメンバーが常連になってしまう。これではどうにもならぬからということで、私の居住するある市では、労働基準監督署長の名前で招集をした。そうしたらば非常に集まりがよかった。だから監督署長の名前を借りようかなんという話にまでなったが、しかしそれでは防止協会の看板が泣きますね。実際問題として防止協会は有名無実になりますね。ですから最近は、連名で出しておるようなことをいっております。いずれにしても、そういうふうに今日、上のほうは熱意があるということに私どもは聞いても、実際の、末端と言うとおかしいけれども、地域における防止運動災防運動というものがまだまだ行なわれていない、こういうことについて皆さんどうお考えになりますか。
  30. 鈴木健二

    鈴木説明員 支部のお話が出ましたけれども、これは法律等におきましては、支部という下部機関を設ける、こういうたてまえになってないわけでございますが、実際上運動を展開する場合のまとまりといたしまして、支部というものができているのが実情でございます。支部のみならず、支部の下に地区協議会と申しますか、そういうふうなこともやりまして、この活動が末端に浸透するように、各協会ともずいぶん努力は続けているようでございます。  そこで、役所とこの協会との関係でございますが、私どもはその自主的な活動を期待する。日本という国柄から、自主的な活動ということがなかなか育ちにくい基盤はあると思いまするが、できるだけ自主的な活動を促進していくという基本線は守っていきたいと思います。しかしながら、自主的な活動をするにいたしましても、そのもとができなければ自主的な活動はできない。こういう意味におきまして、お手伝いをするという意味で、基準局なり監督署は、当該協会活動状況その他を十分聞きまして、こういうところを少し手当てをすれば協会活動がしやすくなるというようなことを判断いたしましたならば、監督等の打ち合わせ、あるいは集団指導、そういう際に、いま申しましたような線でこの協会活動に協力する、あるいは個別の監督指導等におきましても、そういう趣旨で事業主を説得する、こういうふうにつとめておる次第でございます。
  31. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 もう一つ具体的に申し上げます、これから皆さんが具体的に指導したり運動する場面に必要ですから。  端的に言って、まだ安全旗などのない業者なんというのが非常に多いわけです。ですから、一生懸命徹底するようにやっているとはいいながら、総会にはひとつ出ていこうじゃねえか、ほかのときには忙しいわい、こういう調子のもので、身が入っていないというのが今日の状況だと思うのです。これは率直に申し上げますが……。ですから、確かにポスターなり、あるいは規程説明会なども開かれたと思いますが、来るたび出てくる人間が違うようではいけないのですから、私が何もここで釈迦に説法することはないけれども、ちゃんと安全担当者なり衛生担当者なりというものはきめられておると思うのですが、もうその人間でなければだめだということを特に小、零細企業会員についてはやらないと、これはアブハチとらずになってしまうのではないかと思うのです。どうもこの点が盲点になっておると思うのですが、ひとつ今後の指導として、そういうものがつくられておるかな程度じゃ困るわけですから、ひとつ徹底をしてやっていただきたいと思うのです。  それから幾つかお伺いしますが、こまかいことはやめとして、重点的に申し上げますけれども防止協会をそれぞれ発足させて、災防部長なり中央協会皆さんが、これは労働者代表を理事に入れたほうがいいんじゃないかとお考えになることはございませんか。
  32. 鈴木健二

    鈴木説明員 災害問題が労使協力してやらなければならぬということは根本でございまするが、一義的には災害を防止するという責任は使用者にある、こういう判断に立っておるわけでございます。したがって法律のたてまえもそういう趣旨で、そうした義務を持つ使用者が自主的に災害防止活動をする団体ということで、その会員使用者なり使用者団体に限るということにいたしております。しかしながら、そうした目的を持った団体役員というものはどういう性格のものかということになりますと、これはおのずから考え方が違ってくるわけでございまして、いま申しましたように、災害防止の問題は労使に関係というよりは労使が協力してやらなければならないという性質のものでございますので、団体における執行部なりその他につきましては、何も労働組合の代表を排除する必要はないわけでございます。労働組合の代表でございましても、労働組合の出身の方でございましても、こうしたことに対して非常に熱意を持ち、十分経験を持ち、識見を持つという方でございましたならば、定款の定める総会の議決を経れば、当然理事なり監事、こういうところについて御活躍願うことは非常にけっこうなことだと思います。中央災防理事にも組合出身の方も入っておられますし、また港湾等におきましては、いま監事をやっておられますけれども、近く執行部のほうにかわっていただくという下交渉をしているようなことで、具体的にそういう適当な方があれば、議決機関である総会等の議決によりまして入っていただくということは、非常にけっこうなことではないかと思っております。
  33. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私は、業者団体なんですから、災防部長が言われるようなことを言えば、これはそのとおりだと思います。一面的には労使協力をしろ、しかし責任は私のほうにありますよということは、これは理屈としてはある面では成り立つとは思います。しかし現実に災害防止運動目標なりも立てて、一体ここにはどういう欠陥があるかということを、これは私は労使は共通の土俵の上で、かたくならないで、排除をしないで話をするということが一番いいことだと思っているのです。そういう場面というものがなくて、こうやりなさい、ああやりなさい、おれのほうは知らぬよという話では困るわけです。これは使用者のほうで協力を求めるという姿勢がない限り、これはどちらにどうだということでなくして、組合にもいろいろ姿勢の違うのがありますけれども、根本的に災防運動というものは一貫をした考え方といいますか、具体的な運用のしかたというものを持ってもらいたいと思うのです。特に労働省それから中央協会では……。そうしないと実効があがらないと見ているのです。ですから、法律が制定されて具体的にやられておることですから、ここでどうのこうのということを言っても始まりませんから、これからの運用の場面でいろいろな事故防止運動災害防止運動というものが行なわれるときに、あるいはこの定款にきめられた、こういうものはそれはそれでよかろう、しかし具体的に現場でやられておる災防運動などについて意見を聞いたり、そして話し合って、なごやかに運動の成果をあげるような仕組みというものが考えられませんか。この点は考えたことはございましょうか。
  34. 鈴木健二

    鈴木説明員 先ほど来申し上げましたように、この災害防止につきましては、労使が協力すると申しまするか、お互いに話し合って問題を解決していくということが最も好ましい姿でございます。そういうこともございまして、西欧諸国を見ましても、災害問題に対する労働組合活動というものは、釈迦に説法になりまするけれども、ずっと労働運動の安全問題に対する歴史を見てみますると、各企業における安全委員会活動、こういうものが中心になって今日まできておるわけでございます。日本におきましても基準法のたてまえから、安全委員会を設けるということになっておりまするけれども、この活動はまだ十分上がっておりませんので、今後の各企業におけるそういう問題の取り組み方というものは、安全委員会が活発に活動して、その意見が反映されるという形の運動を盛り上げていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  35. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 運輸大臣がせっかくおいでですから、この陸上災防協会法律が出たときに労働大臣をおつとめになっておられたようですが、あのときに議論になった、いま災防部長の回答がございましたが、私はどうも、蒸し返しではございませんけれども、労使間というものはある意味では対等の立場で話し合うという労組法の一条の精神もありますが、こういう災防運動などは、私自身はどうしてもこれは労使の共通の広場というものが必要だと思っておるのです。私も若干の経験がありますけれども、それが一番いいことだと思っておるのです。それが法律はつくられた、実際問題として安全委員会なり衛生委員会なり、事故防止委員会なり、企業によっていろいろな名目でそれぞれの目的を達成するための運動というものが行なわれておるわけです。しかし、そういうものが全然行なわれていない業種というものが比較的対象になり、災害発生率も多い関係があったと思うのですが、そういう行政指導というものがなかなかまだなされていない。業者の自主的な災防運動の過程で、そういうものが必要だということをまだ頭の中に考えていない業者が多いのじゃないか、こういうところに一つ問題があると思うのです。  これから船員災害関係についていろいろお伺いする面もありますけれども、船員災害などの場合については、具体的に海員組合と各業者との関係は、いろいろな話をスムーズにやられておるというふうな話を聞いております。片方が全然やられないで、規程をつくったから、君はどうだ、こういうふうな調子のものだけでは、こういう運動がこっちのほうはうまくいくが、こっちのほうはうまくいかないという場面があると思うのです。この点が私の一番懸念するところです。ですから、せっかく大臣が出席されておりますが、これからの陸上運送、特に港湾関係も運輸省の管轄下にあるのですけれども、そういう意味で労働者代表を参加させるという四角四面のことは抜きにして、具体的な運用の面でやれないか、こういうことをお考えになりませんか。
  36. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 お述べになりましたとおり、労使の関係というものは非常に広範な範囲にわたっております。その内容も非常に複雑であると思うのでございます。ある場合におきましては労使の立場というものは全く対立的でありまして、いささかもゆるがないというような場合もございますが、しかしその他の場合におきましては、労使の関係がきわめて円滑という以上に、全く共同の目的のために協力をしなければならぬというような関係がございます。もちろんこれらの問題につきましても、いかなる場合においても労使は必ず協力するとはまいらないでございましょう。同じ問題も取り扱いのいかんによっては労使の対立を引き起こすということもあろうかもしれませんが、しかしどう考えても協調をしなければならぬというような問題は非常に多いと思うのでございまして、この労働安全の問題のごときは、まさにその最もいい例の一つではないかと存ずるのでございます。したがいまして、安全問題につきましては、常にこれを遂行いたしまするには、なるほど法律上の義務者は使用者でございますが、しかし完全なる労働者の協力を得なければとうてい目的を実現することはむずかしいような場合でございまするので、私はこういった問題につきまして、労使対立という考え方に基づくべきものではなく、これは労使本来の協調協力という立場をまず前面に出して、そしてそのもとにいろいろな機構のあり方等を研究すべきものだというふうに考えておるのでございまして、こういう点から考えますると、ただいまお述べになりましたごとき点につきましては、全く同感の感を深くいたす次第であります。
  37. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ちょっと抽象的なお話のようですが、これから特に災防運動だけは意を尽くして、ひとつまた労働組合関係も協力をするという姿勢になると私は信じておりますけれども、いろいろな書面を見てみますと、そうでないところがいままではあったものですから、少し心配をいたしておるわけです。片方だけがやっておるようなかっこうであるけれども、片方は知らぬよという話では、どうもこれはうまくいかない。  それから防止協会関係災防部長に伺いますが、規程は、各労働者といいますか、あるいは班長なりキャップというものがそれぞれあると思いますが、そういうものにまで徹底をしたり、具体的に渡したりするようなことはありませんか。
  38. 鈴木健二

    鈴木説明員 災防規程をつくりまして災防規程の中から非常に労働者にわかりやすいような絵をかいたり、そういうものをパンフレットをつくりまして、そういう段階までおろすようにという指導をいたしております。
  39. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 船員局長にお伺いをいたしますが、船舶のタラップですね、また保安の関係については次にお願いしますが、これは安全ネットをつけている外国船、それから日本の船でも持っているのと持っていないのとがありますが、このタラップを踏みはずして死傷事故が起きるということがありまして問題になりましたが、これは安全ネットをつけろということに国際条約ではなっておるかどうか、私はまだ調べておりませんが、盛んにそういうことを組合関係では言っておるわけです。聞くところによりますと、主としてソ連船などは安全ネットを全部整備をしておるようです。これは墜落して海に落ちる、あるいは高いところから落ちてしまって死傷事故になってしまう。非常に問題でありますから、特に国内船舶ですね、わが国の船舶などについてはこれはやるような指導といいますか、要請というものが具体的に行なわれなければいけないと思っております。まあ貨物船のことでありますけれども、外国船などについても、アメリカの船などはほとんどないというようなことも聞いております。その点はいままでやられておりましたか。
  40. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいま御質問のございました安全ネットの件でございますが、これは私がただいま存じ上げている限りにおきましては、法的にそのようなものをつけなければならないということにはなってないと考えておりますが、なお後刻調査いたしまして正確なことはお返事申し上げたいと思います。
  41. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私も勉強不足でありますから、この点はまたお伺いをして、できる限り各船に、外国船にもつけるというふうな要請ができるものかどうかわかりませんから、この点はひとつともに研究してみたいと思います。  次に、外国船内で作業をする場合、労働基準法が適用になるものかどうか。そうしないと傷害事故が起きたときに、一体どこの責任でどうだとかいうことが事故の性質上ありがちです。保護されない場面があるのですね。そういうことがあってはいけないから、この点はどうお考えですか。
  42. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございました外国船内における作業でございますが、これは一番よくございますのは、外国船がわが国に入港いたしまして荷役をする。荷役する労働者が外国船の船上でいろいろな荷役作業を行なうというのが一番多い例じゃないかと思いますが、この場合は労働者そのものは、船員ではございませんので、これは基準法の適用がある、こういうふうに私は考えております。
  43. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 船内荷役の場合に、ILO条約になりますと——こまかい話で恐縮でありますけれども、長時間労働しますと、昼も夜も食事をしなければなりません。どうも外国船の場合は、食堂などを便宜供与することを拒んでいるようです。これは条約の中にそういう便宜を供与すべきだ、端的に言えば湯茶ぐらいは出してやれ、そこの食堂でめしを食わせてやれ、こういうことが間々行なわれておらないようであります。これが一番どうも、外国船内の作業をする労働者は痛いようです。こまかいような話でありますが、痛切に感じておるようでありますが、こういう関係については、何か対策はございませんか。
  44. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 実はまことに申しわけないわけでございますが、ただいまの具体的な船内労務者のお話につきましては、私の直接の担当では実はございませんので、的確なお答えはしにくいわけでありますけれども、そういったことが非常に問題であるということは、私も過去においてそういった仕事をいたしておりましたので承知いたしておりますし、また具体的には外国船上における食事なり便所その他の問題については、私ども港湾局のほうでも労働省と御相談して具体的な検討をいたしておるはずである、こういうふうに承知いたしております。
  45. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 港湾関係が多いので、これは少し省きますけれども、船員の厚生施設整備の五カ年計画というものが、いま実施中でありますね。これは特に、船員が船内生活をする上において、いろいろと特殊な病気も発生しがちですが、それを中心にいろいろと行なわれていると思いますが、通常の陸上の生活とは違いますから、相当整備を具体的にやられていると思いますが、おもな関係についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  46. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 船員の厚生施設は、船員の海上労働の特殊性にかんがみまして、船内で非常に長く居住し、かつ働いてくるという関係がございまして、陸上においてそういった厚生施設を整備するということは非常に大切なことでございますが、わが国の船員の厚生施設の現状を簡単に申し上げますと、宿泊休憩施設が百八十一ございます。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 それから病院が十二ございます。それから診療所その他の医療施設が五十ございます。  大体これが現在の状況でございますが、これらのものがどのように運営されておるかということでございますが、まず船員保険の福祉事業といたしまして、病院あるいは保養所がつくられております。これは船員保険会によって運営されておるものでございますが、そのほか運輸省におきましても、昭和三十六年度から、ただいま御指摘がございましたように、厚生施設、これは宿泊施設及び医療施設でございますが、五カ年計画を立てまして、政府から一億二千五百万円のお金をいただきまして、総額で八億の事業費で、そのような施設を整備して今日に至っております。この五カ年計画につきましては、さらに最近におきまして特に新産都市その他の計画によりまして、いままでなかったところに新しく大きな港ができているという傾向も非常にございますし、それから特に内航関係につきましては、このような施設が非常に弱体であるということもございまして、今後さらに第二次的な計画を考えまして、必要に応じて予算要求をしてまいる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 三村起一

    三村参考人 先ほどお話がございました労働者関係のほうからの理事ですが、私のほうには常勤理事に桜井奎夫さんが入っておられます。それから監事に入江正治さんが入っていらっしゃいます。そのことを補足して申し上げておきます。
  48. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 この際、参考人に一言申し上げます。  本日は御多用中のところ御出席いただき、長時間にわたってきわめて貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。どうぞお引き取りいただきたいと思います。
  49. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 船員局長にお伺いいたしますが、三十九年六月ですか、財団法人の船員労働災害防止協会がつくられまして、今日まで若干の運動をやられてまいりましたが、特にこの船員災害防止協会に関する法律案の中で、この財団法人から特殊法人に移行する場合、これは補助金の面もあるでしょうし、会員負担の面も多少増加するとか、事業収入もある、こういうふうなことで、事業拡大といいますか、活動内容も拡大すると思いますが、特殊法人の防止協会に移行するにあたって役員構成、それから事務所とかいろいろあると思いますけれども、具体的に考えられている特徴的なものですね。活動内容はわかりますが、そういう関係について陣容強化を中心にして、ひとつ考えられていることだけ説明してください。
  50. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいま災害防止関係の民間団体といたしましては、お話がございましたように昭和三十九年に設立されました財団法人がございます。これは日本船主協会、大日本水産会その他の船主団体設立者となって、具体的な災害防止活動を行なっておるわけでございますが、現在は会長が一名、理事が十三名、監事が二名ございますけれども、有給の役員理事が一名のみでございます。あと職員の数は六名でございますが、これは大きな船会社から派遣の形できておる職員が大部分でございまして、きわめて小規模な陣容で行なっておるわけでございますが、そういった陣容の割合には比較的活発な活動をいたしておりまして、安全運動などの中心をなしておるわけでございます。そこで今回この法律案が通過いたしますれば、このような団体中心にいたしまして、さらに新しい法律に基づく災害防止協会に発展的に進んでまいるようにいたしたいと考えておるわけでございます。  そこで新しい協会のスタッフの問題でございますが、これにつきましては一応新しい協会ができまして、その総会によって規模はきまるべきものであることは当然でございますが、別途この新しい法律案に基づく協会に対しましては、政府が補助金を出すことができることになっております。その補助金といたしまして、船員保険特別会計から、四十二年度予算といたしまして千七百万円を計上されております。その補助金を積算いたします場合の私どもの考え方といたしましては、全体の事業規模を五千万程度に押えまして、有給の理事を三名、有給を含めまして全体の職員を十数名程度に考えまして補助金の積算をいたしておる次第でございます。
  51. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 船員局長、実は港湾貨物運送事業関係について聞いたのです。これは防止協会へ電話をかけて聞きました。専務が一人、常務が一人、職員が三人だという回答がありました。どうしてそういうふうに常勤の役職員が少ないのですか、仕事関係がうまく回らないんじゃないか、いや、お金がないという無責任な話をしましたが、しかしこれは相当な熱意のある人でないと、常勤の役員にもちょっと足らないというふうなことになるといけないと思うのです。私の話が具体的に間違っておるかどうかわかりませんが、電話で直接私の聞いたことでありますけれども、これから新しく発足をするのでありますから、そういう意味では、常勤の役職員が不足しているということではどうにもならないんだと感じましたのですが、この点はだいじょうぶですか。
  52. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話し申し上げましたように、全体の事業規模を五千万円程度に押えまして予算的には考えておる次第でございますが、私どもといたしましては、従来すでに民間の団体である程度の経験も積んでおります。またそのような非常に経験の深い方々もおられますので、ただいま申し上げましたような規模でさしあたって出発いたしまして、必要な最小限度の業務を行ない得るもの、こう考えておる次第でございます。ただ全体の事業規模の問題は、先ほども陸上関係でございましたように、この協会は船舶所有者であればその規模の大小を問わず加入できますし、またすべての船主がこれに加入するととが最も望ましいわけでございます。ただ、さしあたって零細な船主につきまして、今後参加を要請していくということに特段の努力が要ると思いますので、事業計画といたしましては、大体船員の数が全部で二十七万名ございますけれども、さしあたって、組織化されました、船員十七万名を持っておる船主を対象にいたしまして事業計画を考えております。したがいまして、今後協会事業内容の拡充につきましては、さらに船員の数をふやしてまいるように、船主に会員になるよう加入を勧告いたしまして、努力をしてまいる、こういうふうに考えております。
  53. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 この法律でいう防止協会会員になる資格は、特に船員法による船員という規定をされておりますね。それが二十七万名ですか。
  54. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 そのとおりでございます。
  55. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 特に船舶所有者の場合は、加入促進運動といいますか、組織率というものは比較的うまくいくんではないかと思うのですが、これは漁船関係がうまくいかないのですか。
  56. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 大体いま御指摘がございました、漁船関係の非常に零細な船主、それからもう一つ、一般の商船でございますが、機帆船といわれる木船がございます。これが非常に小そうございまして、そのわりには船員の数は多うございますので、この辺をどうやって会員として組織化してまいるかという点に、私ども重点があるわけでございます。
  57. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 総額、事業収入まで含めて五千万円ということを聞いておりますが、具体的に三十九年に陸上関係防止協会設立されて、ずっと経過を見てまいりますと、発足をする当初に当たって予算規模が非常に少ないのですね。端的にいえば半分以下。事業規模の拡大もあるでしょうし、会員の増加もあるでしょうが、これから具体的にどういう活動を活発にやって、活動内容も充実をしていこうかという計画、将来の見通しといいますか、この点について、ありましたら御説明を願いたいと思います。
  58. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 さしあたりて協会が特に重点を置いてなさなければならないことといたしましては、まず船員災害防止規程、先ほどから陸上関係でも問題になっておりますが、これをやはり来年度の上半期くらいまでの間にはつくっていくということが、一番大切な仕事に相なると思います。そこでこの協会が災防活動を行ないます場合の基本的な規程ができますので、その規程あるいはまた、この法律による実施計画等に即応いたしまして、先ほど先生からのお話もございました、災害防止に関する講習等の教育事業、それからまた衛生管理士、安全管理士を通じましての技術指導ということに最重点を置いてまいりたいと考えておる次第でございますが、同時にまた、従来から行なっております船員労働安全衛生運動につきましても、新しい協会中心にいたしまして、活発な活動を行なっていくことを私どもは期待しておるわけでございます。
  59. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 就業中の死傷事故なり、そのほかに船員の特殊性として、死傷病の場合が非常に多いのですが、この災害発生の率を見ますと、減少するどころか若干でも増加をするような傾向のように見受けられますが、一番災防活動中心的なものをどこに置くか、この点をひとつ具体的に説明を願いたいと思います。
  60. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話ございましたように、船員の災害発生率経過をたどってまいりますと、まことに残念なことではございますが、発生率はある程度増加してまいっております。そこで、船員災害につきましては、陸上の場合と異りまして、職務上の災害のみに限定いたしませんで、船内生活に伴う死傷あるいは疾病というものをも対象にして、今後私どもといたしましては考えてまいりたい、こう考えておる次第でございますが、特に全体の率から見ますと、いわゆる負傷死亡と申しますものよりも、船内生活に伴います疾病というものが非常に大きなウエートを占めておるわけでございます。したがいまして、船員の災害防止活動を推進いたします場合に、特に疾病関係ある、は衛生関係の対策というものに一つの大きな重点が払われなければならないということがきわめて特徴的なことであろうかと存じております。  さらにまた、いわゆる負傷、死亡関係でございますが、この関係につきましては、いろいろな原因がございますけれども、やはり行動災害と申しておりますが、これは具体的な例といたしましては、機械器具の取り扱いなり、あるいは転倒、墜落あるいは海中転落、こういった原因による災害が非常に大きなウエートを占めておるわけでございますので、この辺に重点を置いてまいりたいと考えております。  それからまた、もう一つ死亡関係でございますが、これは特に船員災害死亡発生率陸上鉱業あたりに匹敵する非常に高い率を示しております。したがいまして、そういった死亡事故の防止ということも、今後の事業の非常に大きな目標になってまいる、こういうふうに考える次第でございます。
  61. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 疾病の中では船内生活が非常に影響をしている。これは聞くところによると、水の問題などもあるようでありますが、そうしますと、食料の問題、いろいろ食生活の関係が非常に影響してくると思うのです。これは船の構造なり、ないしは食料自身にもいろいろ考えなければならぬことがあると思います。これらの対策というものはいままで考えられてまいりましたか。
  62. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 御承知のとおり、船員法の規定によりますと、これもやはり海上労働の特殊性にかんがみまして、船舶所有者は航海中は食料を支給する義務がございます。またその食料の支給の中身といたしましては、いろいろなもののカロリーその他を詳細に規定した食料表があるわけでございまして、これによりまして、食料そのものはある程度科学的な根拠に基づいて支給せられておるということが実態でございます。ただ、長い船内生活におきまして、一般の陸上の場合におきます業態と比べますと、やはり相当特殊な、運動不足その他の問題が出てくるということでございまして、この食生活の改善ということにつきましては、広く海上労働科学研究所その他で具体的な調査研究を行なっておりますと同時に、今後全然別の見地から、特に調理人の教育の強化、その他の点についても同時にあわせて考えるということが別途考えられておる次第でございます。
  63. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 船員災害防止協会法案によりますと、これ自身災防運動中心に行なわれておりますが、船員労働安全衛生規則に定められている第八条の衛生担当者の関係、それからずっと衛生関係に関する問題は、この防止協会の中では具体的に取り上げるということにはなっておりませんね。これは陸上関係防止協会の焼き直しのような傾向になっておるのではないですか。
  64. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 この件につきましては、この法律の第二条の(定義)で「船員災害」が定義づけられておるわけでございますが、その中に「船内生活によって、船員が負傷し、疾病にかかり、」ということばがございます。これによりましていわゆるただいまの疾病関係がこの法律災害の範囲に入るということが明確にされておりまして、この辺が陸上法律と一番顕著に違う点でございます。  それから具体的な問題といたしましては、さらに協会災害防止のために、会員のために技術指導なり援助を行なうということがその任務の一つになっておるわけでございますけれども、その具体的な措置といたしましては、安全管理士と並びまして衛生管理士を置くということになっておりまして、その辺によって、陸上とは違いまして特に衛生、疾病関係について特段の配慮を払っておる、こういうことでございまして、したがって災害防止規程の中身につきましても、こういった衛生、疾病関係の守るべき事項というものが相当盛り込まれる必要がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
  65. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 その点はわかりました。しかし、これはこの法律内容によりますと、あまり強調されておりませんな。
  66. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 これは法律の書き方の問題でございますが、私どもといたしましては、この法律の非常に大きな特徴であるというふうに考えておる次第でございます。
  67. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 それは了解しました。  それから船員局として船員労務官の関係がございますが、これは陸上の労働基準関係と同じようなものでありますけれども、船員労務官が具体的に防止協会がつくられる、この重点的な指導といいますか、これは教育関係もあるでしょうし、いろいろあると思いますが、会員にならない零細業者、こういう関係は労働基準法になる。そうすると、未加入がないようにして災防運動をやらなければなりませんが、船員労務官との関係ですね、この点はどうお考えですか。
  68. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 船員労務官でございますが、船員労務官は船員法に規定がございますように、船員法あるいは労働基準法に基づきまして、関係法令の施行の任に当たっておるわけでございます。したがいまして、船員労務官の立場は、新しく発足いたします協会事業とは直接所掌的には関係がないというふうに考えたほうがよろしいんではないかというふうに存じます。ただ、実際問題といたしまして、先ほどから陸上関係お話がございましたように、やはり民間の行ないます自主的な災害防止規程実施その他につきまして、労務官の行なっております主として労安則関係規程実施というものとは密接な関係がございまして、今後両者の間に緊密な連絡をとって、大きな災害防止計画の達成に努力してまいる必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  69. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 それから昭和四十一年の九月十六日に、船員局長名で労働条件の改善指導要綱というものが出されておりますが、いわゆる漁船なり小型船舶の労働条件がきわめて劣悪であるということを指摘されて、具体的に指導要綱が出されておる。これはきわめて私どもの歓迎すべき通達でありますけれども、今日まで改善をするための努力がどの程度成果としてあがっているか、この点がわかったらひとつ……。
  70. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 小型船並びに漁船関係の労働条件の改善指導につきましては、ただいまお話がございましたように、過去数年来労働条件改善指導要綱というものをつくりまして、現地海運局並びに労務官にその実施につきましての行政指導を行なわせておるわけでございます。具体的な成果につきましては、特に数字的に申し上げることは非常に困難なわけでございますが、たとえば漁船関係につきましては、特に賃金制度につきまして大仲制度と申します歩合賃金が非常に普及しておるわけでございますが、それらのものにつきましても、全体の歩合制度を直ちにやめるということは、漁業の特殊性もございまして非常に困難な点があるわけでございまして、ある部分を固定給にしていくというようなことで、逐次具体的な指導を行なっております。こういった点につきまして、少しずつではございますが、私どもといたしましては着実な効果をあげておるものと考えておる次第でございます。  なお小型船の労働時間につきましては、労働時間を制定する等の措置をごく最近行なっております。
  71. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 だいぶ時間もたちましたから、最後に一つお伺いします。  最近における船員の求人状況と就職状況、需給の関係は、これは大型船舶、貨物、いろいろあると思うのでありますが、あまりこまかいことはけっこうでございますから、大型と小型の程度のものをおわかりでしたら、ひとつ最後にお聞きしたいと思います。
  72. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 船員関係の最近における需給状況でございますが、一般的に若年労働者が非常に不足しておるという点は、船員につきましても同様でございます。ただ全体の船員の状況でございますが、特にわが国は現在外航船の建造を年間約二百万トンずつ行なっております。今後もこのような状況で船腹の増強というものが実施されてまいるわけでございますので、年間少なくとも外航部門だけで千数百名の船舶職員及び四千名程度の部員が必要である、こういうことでございます。そこでまず外航部門につきましては、職員不足にどのように対処するかということでございますが、これにつきましては、現在の商船大学並びに先ほど高専に昇格いたしました商船高校が主たる給源でございます。さらにまたこれだけでは足りませんので、海技大学校と申します部員から職員への昇進教育を行なっておる大学が神戸にございますが、これらの人員を強化いたしまして、その対策を立てておる次第でございます。  内航船につきましては、特に労働条件その他の関係もございまして、さらに船員不足の状況は非常に強いわけでございまして、最近におきまして内航対策といたしまして、係船その他の措置が行なわれておるわけでございますが、こういった逆に人が余ってくるという要素も入れましても、さらに非常に不足である。特に若年労働者が不足しておるということでございますので、私どもといたしましては四十二年度の予算におきまして、特に漁船及び内航船員の三カ月の補導教育を再開いたしまして、これらの需給不足に対処いたしておる、こういうことでございます。
  73. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 次会は、明後九日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会