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1967-06-02 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二日(金曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 進藤 一馬君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 河村  勝君       大竹 太郎君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    徳安 實藏君       中川 一郎君    長谷川 峻君       福家 俊一君    堀川 恭平君       水野  清君    山村新治郎君       板川 正吾君    小川 三男君       神門至馬夫君    内藤 良平君       野間千代三君    渡辺 芳男君       山下 榮二君    石田幸四郎君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君  委員外出席者         運輸省海運局参         事官      野村 一彦君         参  考  人         (船舶整備公団         理事長)    林   坦君         参  考  人         (船舶整備公団         理事)     山田 泰造君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 六月一日  委員小川三男辞任につき、その補欠として栗  林三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として小  川三男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶整備公団法の一部を改正する法律案(内閣  提出第三一号)  陸運に関する件(自動車行政に関する問題)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  船舶整備公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案審査のため、参考人として船舶整備公団理事長林坦君、理事住田泰造君の両君が御出席されております。  参考人からの意見聴取質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 先日に引き続いてお尋ねをするわけでありますが、その前に一応この前の委員会での御回答をいただくことになっておる事項がありますので、私のほうから言うよりは、御説明というか、お話しいただいたほうがいいだろうと思うのです。もしそういうことでよろしければ、まず船舶というか、そういうものの定義——定義といってはたいへんなんですが、解釈の置き方についてお願いしたいと思うのです。
  4. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 前回船舶とは何ぞやという宿題が出されておりますが、船舶というものの定義につきましては、いろいろの法律に、それぞれの法律目的から見ていろいろの定義をいたしております。たとえば商法におきましては、前回久保先生が御指摘になりましたように、商行為をなす目的を持って航海の用に供するものというふうに、商行為を行なうものというところに重点があるわけであります。これは商法という法律の性格上、そういうところに着目して船舶というものを定義しておるということでございます。その他、船舶という定義をしておる法律には、船舶法だとか、あるいは船舶積量測度法とか、あるいは海上衝突予防法とか、あるいは船舶安全法とかいろいろな法律船舶というものの概念が出ております。これは、おのおのその法律規制目的と申しますか、そういうものから船舶をどういうふうにとらえるかということで規定をいたしておるわけでございまして、たとえば海上衝突予防法とか安全法というようなものにつきましては、商行為を営む営まないとにかかわらず、それを船舶ということでとらえておるわけであります。これは法律目的からして当然なことであるわけでございます。そういう法律に出てくる船舶という場合は、いま申しましたように、法律目的に従っていろいろ規定されておりますが、われわれが内航対策において船舶と言っておりますのは、むしろそういうことから離れまして、内航市場と申しますか、そういうところに重点を置きまして、いわゆる内航海運に従事しておる船、それの船腹調整のためでございますので、当然内航輸送に従事しておる船というふうに考えるわけでございます。  それで、その場合の船というのは、社会通念と申しますか、そういうものから考えまして、浮かんでいるもの、そして輸送に従事するもの、そして内航の場合は、内航輸送に従事する、こういうふうなものが、ここにわれわれが言っている船である、いわゆる簡単に申しますれば、浮かぶ、運ぶといいますか、そういうものが船である、このように考えている次第であります。  そして沈船というものは、一体船であるかないか、これはすでにいま申しましたように、社会通念上、船というものは浮かんでおらなければ船ではないという通念から見ますと、沈船という状態はすでに船という機能を失っておる。この沈船沈没という状態をわれわれは解撤と同じに見なしているというところに意義があるわけでありまして、沈没という事実を解撤とみなすかどうかというのが一番根本の焦点になるのではないかと思います。これが第一の問題でございます。  次に第二の問題といたしまして、許可基準というものをどういうふうに設定するのか、そしてその許可制をしいたあと、その内航運送業者の将来図と申しますか、その集約後の体制がどういう姿になるのかという御質問でございます。  第一の許可基準をどのようにしてきめたかということでございますが、まず考え方としては、港湾事情とか積み荷ロットという観点から、基幹航路というものにおきましては、特殊な専用船を除きまして、将来は千トンないし二千トンの大きさの型の船が標準的なものとなるのではないか。そして基幹航路以外の地方航路におきましては、やはり港湾事情とか積み荷ロット状況から見まして、五百総トン程度船型が標準的なものと予想されるということを、将来の予想としてまず頭に置いたわけでございます。  さらに、次に考慮しなければならないことは、輸送につきましては、正確、迅速であるということが一番大事なことでありまして、主要航路地点に自己の営業店舗を設けて、いろいろの輸送業務に万遺憾なきを期して、正確、迅速な輸送に当たる体制でなければならない。そしてその場合に、船の隻数の規模と申しますか、そういうものにつきましては、やはり少なくとも四、五はい程度以上の船を持って運航するのでなければ、正確で迅速な輸送がなかなかできないのではないか、そういうような考え方をとっております。  三番目には、われわれといたしましては、いまの内航海運業界状況から見まして、一番安定したサービスをしておる中堅企業というものの程度まで引き上げたい。そういうものはどういう形になっておるかといいますと、これはやはり一応主要航路地点店舗を設けて、そして船舶の全体の規模船腹規模から見まして一万トン程度の船を動かしておる事業が、一番安定した経営を行なっている状況にかんがみまして、そのようなところまで引き上げて将来行きたい。しかし、これはなかなか一挙には非常にむずかしいと思われますので、段階的にこの拡大をはかりたいというような考え方から配慮をいたしたつもりでございます。  それで、このような考え方をいたしながら、四つ段階基準をきめたのであります。  まず第一の範疇に入るものといたしましては、五百総トン以上の鋼船を使用する、これは主として基幹航路でございますが、これがまあ一番上位のクラスでございます。  次の範疇は、三百総トン以上五百トン未満鋼船を使用するもの。これは何と申しますか、主要ローカル線とでも申しますか、そういう航路に従事するもの。  第三の類型といたしましては、三百トン未満鋼船を使用するもの。これはローカル線でございます。  それから第四の類型といたしましては平水資格船あるいは木船、はしけのみを使用して輸送業務に従事する、これは局地航路とでも申しますか、そういうものに従事するもの。  こういうような四つ段階に区分をいたしまして、それぞれ少なくとも四隻ないし五隻の規模を持たすようにという考えで規定を設けた次第でございます。そうしていま申しました第一の類型は全部のトン数が五千総トン以上になることを条件とし、それから次の二番目の類型につきましては二千総トン、三番目につきましては千総トン、第四番目の局地航路に従事するものにつきましては二百総トン基準船腹量と定めることといたしたのであります。  このような基準によって許可制に切りかえた後はどのような姿になるかと申しますと、現在登録内航業者が全部で九千七百ぐらいあります。そのうちで、たとえば第一の類型に予定されるものととして考えられるものは百七十六業者。これには貸し渡し業者に切りかえるというものはありません。すでにいま申しましたような基準に適合するものと考えられるものは九十四ございます。それから、この基準のほぼ六〇%程度に達しておるというものが三十。六〇%未満のものが五十二あります。これが、いま申しました許可制を実施した後には、この第一の類型に属するものは、内航運送業者が百三十。そして、貸し渡し業者、いわゆる基準にどうしても達する見込みのないものにつきましては、一方は集約のほうに持っていって、できるだけ集約を行なわせる、それが不可能な約半分につきましては貸し渡し業者に転換する、こういうような措置をいたしまして貸し渡し業者となるものが、そのうちの三十。  それから第二の類型に属するものにつきましては、内航運送業者が八十で、貸し渡し業者に転換させるものは二百八十。  第三の類型に属するものは、内航運送業者が百十、貸し渡し業者、これは一ばい船主でございますが、これに転換せざるを得ないと思われるものが千四百八十。  第四の類型に属するものは、内航運送業者が千三百十、貸し渡し業者となるものが四千八百六十。  そのほかに、離島航路、それから単一荷主に専属する輸送業者、それから河川、湖沼のみを航行するもの、こういうものが千。  大体こういうような姿になるというふうに思われます。  以上、概略申し上げます。
  5. 久保三郎

    久保委員 いまの御答弁で、この船舶という定義というか解釈については、結論的に、浮かんで、物を載せて運べるというものが、内航海運法というか内航の関係法律船舶であるというような解釈であるようでありますが、それだけで実態を把握することは非常に無理な面もあるように考えるわけであります。もちろん私もかかるものの定義をどうすべきかというふうなことで特殊な勉強をしているわけじゃございませんので、断定的なことは申し上げかねますが、ただ問題は大半が、商法、いわゆる海商法にいうところの船舶、こういうものに一応現実としてはとらざるを街ないのではないだろうか。なるほど船そのものには認可許可というものはないようでありますが、海運事業海運業というものに対する認可であり許可であり、その中には当然事業計画の大きな柱として具体的な船舶というものがあるわけでありますから、船そのもの事業権というか営業権というか、そういうものはもちろんないと思うのでありますが、しかしながら現実には、そういうものに営業権というか何らかの権利がつきまとうというのが現実だと思う。その辺のことを、つきまとっていくことが正しいのか、あるいはこれを遮断することが正しく運営する上において非常に必要であるか、そういう検討を今後続けて、早い時期にもう一ぺん、これは統一的な解釈というかそういうものを出したらどうか、こういうふうにも思うし、それから問題は、先般来問題になりました、いうならば解撤船買い入れというようなことが、いま浮かんで載せて運べるものというものが船舶だということでありますが、そうしますと、解撤船買い入れるということがそういう定義に合致するだろうかどうか。あるいは水船というか沈船についても同様にいわれるわけでありまして、そういうことも関連してひとつ考えていかねばならぬ問題だと思うのです。  それはさておきまして、いままでの実際行為というか、そういうものが、特に水船などには拡大というか、便宜的に解釈した面が私はあると思う。これはやはり今後きちんと整理をして、誤解のないように、あるいは混乱を来たさないように法の運用をはかってもらいたい、かように思う次第であります。  それから解撤船買い入れというか、値段でありますが、これは当初これを計画したときには、いわゆる去年の五月の閣議了解事項をまとめる時期においては、解撤船値段——いや、そのころもかなり現実には解撤船権利トン当たり非常に上がってきたと思うのです。その後もちろんのごとく今日に至るまでかなりの解撤船値段になってきている、こういうふうに思うわけであります。これはどういうふうになっているのですか。
  6. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 昨年内航対策が樹立されたころにわれわれが想定いたしましたのは、一万二千円くらいという値段を想定をしておったのでありますが、その後一括解撤ということの影響も一つあったかと思いますし、もう一つは、いわゆる輸送需要の伸びと申しますか、そういうことが原因ではないかと思われますが、そういうところから解撤価格がどんどん上がってまいりまして、現在三万円前後というものもあるやに聞いております。
  7. 久保三郎

    久保委員 この三万円もする解撤船スクラップを買ってきて、それで今度は新しい船をつくるというのであります。それに対して国家助成するというのでありますが、今後これは事情によっては上がるかもしれない。もっともこの辺が天井かもしれません。いずれにしても、当初計画した当時に比べれば船価はかなり高いものにつく。そういう高い船をつくって、ともすれば運賃低迷ということがつきまとう内航の中で、はたしてかせいでいけるかどうかというふうに心配するのは当然だと思うのです。  そこで公団の林さんにお伺いするのでありますが、いま海運局長の言うように、スクラップトン当たり三万円、あるいはそれ以上するかもしれないが、まあ三万円として、いまからつくろうとする  去年もつくっていますね、そういう船の船価というか、そういうものはどの程度になるのでしょうか。
  8. 林坦

    林参考人 お答え申し上げます。大体公団でつくります船は、予算単価は約十一万七千円というのでやっております。もちろん船型により、小さい船は高いし、大きい船は比較的安いということにはなっております。しかしいま言われましたように、解撤船が入りますと、それが相当程度船価に響いてまいることは事実でございます。ただ自分の船を解撤する場合もあるし、また買ってきてそれを解撤に充てるというものもあるしいたしますので、その三万円が全部三万円で響いてくる、こういうわけではないわけであります。したがってその個々の船主によりまして、事情はかなり違ってくると思います。
  9. 久保三郎

    久保委員 そうですね、あなたがおっしゃるとおりなんだが、ぼくが聞いているのは、自分の船をスクラップしてつくるというものについて聞いているわけじゃないのです。それは解撤の金は幾らかと聞いているから、そこまで説明をせぬでもおわかりと思った。三万円するというのは、よそから買ってくる船が三万円でありますから、よそから買ってきて、そしておたくのほうに頼んで建造する船は、大体においてトン当たり幾らになるだろうかということを聞いているのであります。
  10. 林坦

    林参考人 お答え申し上げます。一万二千円の場合には、船価としてこれに影響するものが一二%、それからかりに二万円と見ますと二〇%、二万七千円見当値段で二七%、こういうふうなおよその見当でございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 ちょっと話がよくわからぬので恐縮でありますが、私はしろうとでありますので、やや専門的なことはよくわかりません。船価は幾らかと聞いているのは——それでは申し上げましょう、七百総トンの船は三万円のスクラップトン当たり幾らぐらいになるだろうか、これは専用船じゃなくて普通の貨物船です。都合のいいのがあれば、都合のいいのでいいのですよ、別に七百総トンに私はこだわっていませんから。
  12. 林坦

    林参考人 一例を申し上げますと、大体十一万七千円というのは予算単価でございますが、それらを、実際に応募する船主造船所と相談してまいっております。まず申し込みのときの船価は大体十四万円見当で申し込んでまいっております。先ほど申し上げましたように、一二%高であるとか、あるいは二〇%高であるとかいうのは、それが一二%高になって実際には響いてくる、こういう意味でございます。御了承願いたいと思います。
  13. 久保三郎

    久保委員 最初予想は大体トン一万二千円ぐらい、もっと低かったのじゃなかろうかと思うのですが、一万二千円。さっき海運局長がおっしゃるように、解撤船価というか、そういうもので予想してきた。ところがいまお話しのように、今度は三万円になる。これは見ようによっていろいろあると思うのでありますが、てまえどものような立場にある者から考えれば、一万二千円のスクラップがまあまあ公平な値段であるということに考えておったところが、倍以上にはね上がる。はね上がるのはやむを得ないとしまして、はね上がった分に対してまで国家なりなんなりの助成というか、そういうものをいたさねばならぬだろうと思うのでありますが、一万二千円でこれは利子補給その他も、融資もやるのですか。三万円は三万円でおやりになるのですか。
  14. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 最初予定の一万二千円で利子補給をやります。
  15. 久保三郎

    久保委員 それはいかなる船についても一万二千円を限度にして助成をする、それ以上にはしない、そういう意味ですね。
  16. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 さようでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 それでは、助成のほうとしては一応理屈が合っている。ただし、さっきもちょっと申し上げたように、三万円もするスクラップを買って、そうして新造して採算に合うのかどうかという計算は、監督官庁というか、いわゆる助成をする政府当局としてはどう見ているのですか。三万円のスクラップを買って、なおかつ新造船によってやればペイするというふうに計算をしているのかどうか、この点はどうでしょう。
  18. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 実際問題としては運賃の動きやいろいろな関係がありまして、一がいには申しにくいかと思いますが、われわれとしては予想していなかったことでございます。したがって、だんだん内航業者としてはスクラップ値段の高いものを買うに従って、非常に苦しくなってくるだろうと思います。われわれとしても当初一・五の解撤船を要望しておったのでありますが、そういうような船主経済の非常に苦しい点も考慮いたしまして、多少一・五をくずしましたけれども、最近の実績では一・三八に後退をしたというのも、そういう船主経済の苦しい点を配慮した次第でございます。それで実際採算に合うか合わないかという点になりますと、業者自身自分でそろばんをとりまして、合わないということになればこれはもう当然あきらめて出してこない、あるいは採算の立つ限度においてスクラップを求めて出してくる、こういうことではないかと思います。先生の御質問に対してまともにイエス、ノーという答え方ができませんが、業者自体が真剣にそろばんをとっておると思われますので、建造希望申し込みをしている以上は、やはり少なくともとんとんにいくという見込みで出しておるものとわれわれとしては思わざるを得ないわけでございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 スクラップが高くなって船主の負担も容易でないから一・五の解撤比率を一・三八、こういうふうにもしたんだという御説明でありまますが、それはわれわれとしては聞くわけにはまいりません。というのは、出発の点はいかがかというと、いわゆる船腹過剰ということを押える、それから、かたがた老朽船、不経済船を一掃して近代的な能率のいい船に置きかえていく、いわゆる船賃を改善していくという二つ目的でこれをおやりになっているのであります。だから、そこまで考えると、どうもゆがみにゆがんでくるのではなかろうか。そうしますと、スクラップの上がってくることについて、さっきは一万二千円で遮断はしたというが、実際は遮断していない。一・三六のほうで今度は加減していく、こういうやり方でいいのかどうか。それから三万円もするスクラップを買ってどうだろうかというと、これは船主経済としてそろばんをはじいて採算ベースに乗るというので、それぞれの船主は三万円出して買いながら新造を申し込みしているのでありましょう、こういう答弁であります。いわゆる船腹過剰で内航市況低迷、これから好転する見込みはないのだ、だから内航二法を改正して船腹量を押える、こういうことの話があって、この法案が法律として成立するまでの間に、あなたも御存じだと思うのですが、かけ込み建造というのが大量に行なわれてきているのです。そのときのいわゆる内航の船腹から見れば、はるかに多い現実になってきておる。これはまだ記憶に新しいところなんですね。だから、そういうかけ込み建造までやろうという業界実態、そういうものを考えなければ船主経済をきちっと船主が考えてそろばんを置いて、三万円のスクラップを買っても、十分ペイする、やっていけるというふうな自信があったとばかりは私は思えない。むしろそれは政府としても助成して、先ほど来申し上げたような二つ目的を達成するのでありますから、スクラップ値段が三万円になって、なおかつ建造をしてくれというなら、しさいにその実態を調査して、これはほんとうに船主経済を考えてやってきたものであるかどうか、これはやはりチェックする必要があろうかと思う。そういうのは差し出がましいことであって、スクラップを正当に持ってきて、正当な手続で新船建造申し込みがあればこれを許すのだということでやっておるとすれば、いままでの御答弁は少しおかしい。どうなんですか。
  20. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ただいまの先生の御意見、ごもっともな御意見だと思いますが、一方で船腹調整をし、一方でスクラップ値段の上がったことによる船主経済影響をいかにして防ぐかというジレンマにわれわれとしてはおちいっておりまして、非常に苦しい施策になってくるわけであります。三万円もするスクラップを買って、それで採算が合うのか合わないのか検討しないでやっておるのではないかという御質問でありますが、これには各船主から採算見込みというものを申し込みの際に出させておりまして、それを公団審査の対象にいたしておりまして、これを審査した上で船主の内定を行なっていくということでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 それぞれのケース・バイ・ケースで検討して、妥当であると思うから許可した。これはまさに運輸省の責任を明確にしたものだと思う。私が立場をかえてあなた方と同じ地位におるとするならば、私はひきょうというか気が弱いから、そんな保証はしません。二年、三年先のことはわかりません。それは十分ペイするから許可してくれ。ペイしなかったらどうするだろうか。局長はまだ若いから、あなたが政府のどこかにおるときに、そういう変化がありはしないかと思って私は心配している。たとえばあなたが事務次官になったころとか、そういうときに私にここに呼ばれてきて、速記録を突きつけられたときに答弁できないだろうと思う。それほど内航というものは不安だと思う。いずれにしても、さっきの答弁とも違うんだね。一・三八に解撤比率をしたのは、高いスクラップを買うようになったからめんどうを見たのだ、こういう御答弁だ。今度は、そろばんをはじいても心配ないからこれはよろしい、こういうことなんだ。いずれにしても、そういうやり方については私は同意しない。本来ならば、三万円というスクラップ値段を打破するところに問題があるんですね。問題の本質は、三万円になった内航海運実態に問題がある。だからその問題の中心にメスを入れなければ何にもならぬのではなかろうかという気がしておる。助成があるといえば三万円にも四万円にもなっても建造して、あとのことは海運局長まかせというか、そういう気分が私には見えてならないのであります。本来ならば、当時一万二千とふんだら、一万二千以上のいわゆるスクラップしたものを買ってきた船主に対しては、それは協力しないくらいの話があってしかるべきなんです。スクラップ値段が上がって海運市況がよくなったというためしはないのですよ。これはもう気息えんえんであったものが、ぼろ船を三万円で売れたから多少息がつけたということであります。これは海運界のためには何にも貢献してない。国民経済的にも何にもしてないのです。そうでしょう。スクラップして売ってしまうんですから。それは個人のいわゆる生活というか行動というか知りませんが、そういうものにはプラスになっている。一万二千円より三万円のほうがいいのでありますから。しかし個人の救済やなんかというのはこの問題の課題ではない。だとするならば、三万円というもののスクラップ値段が出てきたところに問題がある、そういうふうに私は思うわけです。時間もありませんからあまりくどいことを言いませんけれども、私は、いまさらとやかく申し上げても手おくれかもしれませんが、単独審議でなければ機会もあったものをと、いまさらながらにくやむわけです。本来ならば一万二千円で押える、三万円で買ったものには国は申し込みさせない、そういうことがちっとも、どこにもない。一万二千円、はい、君は幾らで買った、私は二万五千円で安く買いました、ああそうか、けっこうだったというくらいの話でいたのでは困るんですね。公団は林さん、共有船でありますから、政府の責任もさりながら、公団規定どおり金が回収されなかったり、あなたのところを通した助成が生きてこなければ、あなたのほうの責任も当然あるわけですね。だから今度は高い船を実際につくらせて、大体払い込みというか償還はうまくいくだろうかどうか私は心配している。特に大きい内航海運というか、その中でも大手というか、そういうものの自己資本は非常に少ないという話を聞いている。そういうのがおそらく三万円のスクラップを買って無理して建造しているんじゃなかろうかと私は思う。自己資本がほとんどない、他人資本のそういうのが、もしもそういう高い船を買ってやっているならば、これはこの次にまたそういう船会社の救済も考えるようにならざるを得ないと思う。これはどうでしょう。
  22. 林坦

    林参考人 全くお説のとおりでございまして、私どものほうは、このスクラップ値段が非常に高くなってまいった場合に、はたしてこれによってその船を回して償還がうまくいくであろうかという点は、私どもの最も懸念するところでございます。それで実は財産のほうも出させましていろいろと検討をいたしておったわけでございます。ただ、いま三万円というお話でございましたが、もちろん三万円のスクラップも限界点においては出てまいっておるのでありまして、いろいろの解撤船その他をあわせてやっておりますので、必ずしも平均が三万円になっておるわけではございません。それによって新しい船ができ、回転率がこういうふうになり、荷主はこういうふうに荷物をくれるという保証もある程度とりまして、そうして大体回転できるという見通しをつけて、一応われわれのほうは内定いたしておる次第であります。
  23. 久保三郎

    久保委員 まあお話は、心配ないからやっているんだということでありますが、心配なくても、われわれの立場からすれば、そういう何というかうしろ向きの金がどんどん上がっていくことについては反対であります。だからこれを押えるというのもまた、任務でなくてはならないと思うのですよ。これは何か知らないが内航二法が通ったらがっとスクラップが上がったといって、だから沈没している船だけれども引き揚げてきて、船のどろを落として、これも船だというようなことになってくるわけです。まさに亡霊が生き返ってきたような話になっている。そういうのはこの際は、もはややめてほしいと私は思うわけです。  次は木船の問題でありますが、御案内のとおり、木船は五トン以上のもので、聞くところによれば三万隻、トン数にして約百十万トンあろう、これはほとんどが一ばい船主であります。ところがそういうものにはこの内航二法は恩恵がないというか、立ち直りの機会が与えられていないわけでありますが、これはどういうふうに処理されようとしているのか。これは海運局長にお伺いしたい。
  24. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 木造船につきましても、解撤建造を認めております。そして最近は、木造船スクラップして小型鋼船をつくるというのがほとんどの状況になっております。もちろん航路により、あるいは港により、木船でなければならぬ場所もございます。それは木造船をつぶして、また木造船をつくるということになろうかと思います。その場合は、公団鋼船だけを今度の場合取り扱っておりますので、木船につきましてはこのたびの内航対策のいわゆる助成ということからはずれておるということであります。
  25. 久保三郎

    久保委員 助成からはずれて、これからどうするのかと聞いておる。実際には救済というか、海運の市況も安定させる、もちろん経営も安定ということでありますが、そういう場合に大半が一ばい船主であり、その中でも木船を運航している——特に機帆船、そういうものもあるわけであります。今回そういうものがスクラップの対象になっているものもあるだろう、しかしまだ、いまお話のように、木船でなければならぬものもあるわけでありますから、そういうものの体質改善についても考えてやるべきじゃなかろうかというふうにわれわれは思っているわけであります。五百総トンまでというか、それ以上の代替建造というか、そういうものをせめて二百総トンくらいまで引き下げてやっていったらどうか、こういうふうにも考えるわけです。この点はどうなんです。さっきの話と同じだと思うのですが、そういうものについていかに考えておられるか。
  26. 野村一彦

    ○野村説明員 お答えいたします。  従来船舶整備公団建造いたします船は、大体五百トン以上の鋼船ということを原則としてやっておりまして、それに多少の例外もございましたが、今回はただいま先生のお話のように、木船等の業者集約をする、あるいは集約しないまでも小型鋼船をつくりたいという希望が相当ございますし、また、そういう輸送需要もございますので、その辺の事情を勘案いたしまして、五百トン未満鋼船であっても、その申請の計画内容が適当であれば認めるということで、二百トン前後あるいは三百トン前後の船もかなり応募してまいっておりますので、それも審査の結果よければ認める、こういう方針にいたしております。
  27. 久保三郎

    久保委員 それは、それでいいでしょう。  次に、係船の問題でありますが、係船の問題は、これは特に戦後ドッジラインのあおりというか、その当時あおりがありまして、一様に生産が減退した時期がある。そのときに船舶運営会というもので、言うならば長期的な係船の制度をやろうということで始まろうとしたときに、御承知のように、これは民営移管ということになった。いずれにしても、係船を何とかやろうとして船腹調整をはかろうとしたんだが、なかなかうまくいっていない。今度は御承知のように、この法律によって係船をやろうということでございますが、ただそこで一つ考えてみなければならぬのは、言うならば係船というのは、内航全体というか——トンにつき最初はこの計画では三十円くらい、いまは十何円だそうでありますが、それを取って、いわゆる係船したのに払っていくというような制度でありますが、たとえば内航の業者の数の大体八割五分、九〇%ぐらいまでは一ばい船主といわれるもの、自営業者ですね、こういうものが多いのであります。ところがこれは、それを係船に出せばもう商売あがったりでありますから、多少能率が悪くても、安全性を多少欠いても、親子でその船に乗って運航している。しかし係船のこともあれば、これも人並みにやはりトン当たり十何円か拠出せにゃならぬということでしょう。それはいいのですか。
  28. 野村一彦

    ○野村説明員 係船に対する納付金についてお答えいたします。  現在船舶係船規程、これは内航海運組合総連合会の調整規程でございますが、これによりまして、トン当たり大体平均十円程度の納付金を納めるようになっておりますが、その納付金を納めるべき対象から二百トン未満船舶につきましては除外をいたしておりますので、そういう零細な業者は係船の納付金は納める必要はない。船を動かしておっても納める必要はない、こういう規定になっております。
  29. 久保三郎

    久保委員 一ばい船主の多いのはもっと小さい船だろうと思うんだが、これまたどうもしろうとでよくわからぬのだが、二百トンぐらいの船というのは、企業の体質として、大体中ぐらいですか。船の大きさじゃなくて。
  30. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいまの私の説明が不十分でございましたが、二百トン未満のものは納める必要がございませんので、四、五十トンの船の船主はもちろん納める必要はございません。二百トン程度の船は木船でございますが、木船の二百トン鋼船の二百トン——木船はもちろん納める必要はございませんので、先生のおっしゃる零細企業は納める必要がない範疇に入っております。
  31. 久保三郎

    久保委員 そうすると、ぼくの言うような一ばい船主がやむを得ず係船料を払わなければならぬというようなことはほとんどない、こういうふうに理解してよろしいですな。
  32. 野村一彦

    ○野村説明員 そのとおりでございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 それでは係船は、参事官、すべてうまくいくわけですな。そういうことになりますか。
  34. 野村一彦

    ○野村説明員 うまくいくというお尋ねでございますけれども、当初の計画、予算編成時の計画から申しますと、五万重量トンの係船をやるという計画でございましたので、その計画どおりいっておりませんことは、残念ながらうまくいったとは申しかねると思います。しかしながら、その間、先般大臣あるいは局長が御説明いたしましたように、相当輸送需要が伸びておりまして、船の荷動きが活発だということから、係船が現在二万六千重量トン程度しかできないということでございまして、換言すれば、いまの二万六千重量トン程度は係船による過剰船腹の処理ということはありますが、それ以外は動いている。もちろんスクラップの船もございますけれども、スクラップ以外の船は動いておるということでございますので、一つの不況対策といいますか、企業防衛という意味の係船の目的はある程度達せられた。それから、内航総連合会におきまして係船規程をつくり、そうしていろいろ論議はございましたけれども、一応係船の体制ができたというようなことは、今後自主係船を行なう上の一つの基盤ができたというふうに見れば、ある程度目的は達したのではないか、かように考えております。
  35. 久保三郎

    久保委員 この二万六千トンばかりで、解撤も大した量でないそうしますと、参事官の言うようにほめた話とばかりはとれないと思うのですね。問題は、これは今回限りでございますから、係船に対しても融資するとか利子補給するとかいうのは、この三年間くらいで一応終わるわけですから、その機会に、将来の業界において輸送力の調整を自主的にできるようにする。それば係船以外に方法はないだろう。ところが、さっき申し上げたように、係船というのは戦後やろうとしてもできなかったし、今回やっても、二万六千トン程度ならば、けちをつけるのじゃありませんが、そう大なる成功とは言えないし、係船されたものの内容についても、しさいにこれを調べてみなければわからぬと思うのですね。水船一歩手前の係船なんていうのは、おそらくないだろうと期待していますが、もしそういうことだとするならば、これはほんとうに稼働している船じゃなかったんだから、係船しても何の意味もないというふうになるわけです。だから、そういうことは今回の係船の経験によって、点検することによってわかると思いますが、この三年間の中で恒久的に業界に残さるべきものは、係船によるところのいわゆる内航海運市況の調整、そういうものだと思う。ところが、これが、これに関してはいまだ何もやっておらないようであります。そのたびに政府助成するとかめんどうを見るとかいうことじゃなくて、むしろやる気があるんならこの際は現在の係船、引き続いてそういう制度を確立するために、業界運輸省もこれは施策を練るべきだと思うのです。あなたに言われなくともその程度のことはいまやっていますよということでしょうか、いかがですか。
  36. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 最初先生がお話しになった、水船同然のものが係船されておるんじゃないかという御心配が出ましたけれども、各海運組合におきまして船腹調整規程というものをつくっておりまして、その実施細則の一番最初にはっきりと書いてありまして、「係船実施一年前より引続き稼働していた船舶とする。」というふうに書いてありますので、いま先生がおっしゃったようなものは入ってないと私どもは期待をいたしております。  今後のことにつきましては、まず船腹需給の調整というのは、非常に刻々に輸送状況というのは変わってきまするので、やはり自主調整によって機動的に、最もタイムリーにやるということが一番大事なことでございますので、やはり自主調整という体制がそういう面から見ますと一番いいのではないか。そういうことでせっかく海運組合法ができまして、これによって組合自身の業務として、そういう船腹調整というのは一つの大きな業務の柱になっておりますので、今度の経験をもとにしまして、各海運組合で自主調整を今後引き続きやっていく体制をとれるように指導してまいりたいと考えております。
  37. 久保三郎

    久保委員 どういうことになるかわかりませんが、われわれとしては自主調整の手段方法をこの際確立しておいて、そして政府助成のあるうちにそういうものに力をつけていく。たとえば積み立て金にしても、二万六千トンではちょっとどうかと私は思うであります。だから積み立て金制度を別途にそれぞれの海運組合が持つなり、係船の手段方法について決定ができるようなルールをそれぞれの海運組合が持つなりということは必要だと思うのです。それにはやはり近海海運というか、そういうものも多少含めて考えないというと、いつも単位の小さいものがうろちょろしていくということでありますから、この際はこの海運二法のようにスクラップ・アンド・ビルドというか、そういうのだけに近海海運を入れるのじゃなくて、全体の対策の中へもそういうものも考えていくべきだろうと私は思うのであります。  時間もありませんし、そういうことで話を先に移します。至って常識的なことを二、三お伺いしたいのですが、その一つは運賃認可制の問題であります。これはどういうことになっておりましたかね。
  38. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 海運造船合理化審議会の答申の中にも今後の内航海運の近代化、合理化の状況を勘案した上で運賃認可制を検討せい、こういうふうに書いてございます。われわれもその答申の趣旨を尊重いたしまして、この内航海運対策の推移、今後の内航海運の近代化、合理化の状況を見まして、この運賃認可制度を実施すべきやいなや、やるとすればどういうような方法にするかということを検討してまいりたいと思っております。
  39. 久保三郎

    久保委員 それから、この集約の方法でさっき御説明がございました。そこで一つだけお尋ねしたいのは、さっきから議論の中心に取り上げておるいわゆる一ばい船主、こういうものはさっきの説明だというと、オーナーというか、そういうものに組み込まれるようでございますが、オーナーにほとんど組み込まれる体制にあるのだろうかどうか。むしろそうじゃなくて、きょうは甲の荷主、あしたは乙の荷主ということで、船主、親方が集荷もすれば輸送もするというか、そういうのが多いのではなかろうかと思う。そういうものがあるとすれば、オーナーに組み込むといっても非常にむずかしいと思う。そういうものはどういたしますか。
  40. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 現在内航登録を受けておる業者は、先ほど申しました九千七百くらいございますが、このうちの約六二%の六千くらいの業者は荷主と直接の取引関係を実際上は持っていないで、取り扱い君菌とか大手のオペレターの下請けという形で、その取り次ぎ、媒介というような形で運送を行なっていたという実情にございます。したがって、これは従来ともオーナーという本質を備えておったものであると思われます。それでこれらのものは運送業者という免状ではなしに、貸し渡し業という本来の姿に切りかえまして、そして今度の体制の中で位置づけをしよう、こういう考えでありますが、いま先生の御心配になられますような、きょうはA業者、あすはBのオペレーターというふうに非常に不安定な状態におちいるのではないかという御心配でございますが、われわれといたしましてはいままでのような回漕業者とか大手業者の下請として非常にはっきりしない取引関係でもってやっておったのでは、いま先生御心配になりましたようなことはなりかねない。われわれといたしましては標準的な約款を設定いたしまして、そしてオペレーターとオーナーとの契約関係をはっきりさせるとともに、運賃、用船料の適正化をはかり、それが長続きするような方向に指導していきたい。このオーナーとオペレーターとの結びつきというものは、こういうふうなやり方でいけば、よほど特殊な事情がない限りこの関係というものはこのような指導によってだんだん定着していくというようにわれわれは考えております。
  41. 久保三郎

    久保委員 質問がちょっとあっちこっちいたしますが、内航海運には陸上におけるいわゆるトラックの白ナンバー、そういうものに類するものはほとんどないのですか。みんな海運局に登録というか、許可というか認可、そういうものを受けておりますか。
  42. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいまの御質問でございますが、内航海運業法に自家用船に関する規定がございまして、いわゆる営業行為でなくて自家用運送するものは所定の届け出をするようになっております。先生の御質問は、おそらくそういう自家用船と称するものの中には、実態は営業類似行為をやっておるものが相当あるのではないかという御質問だと思いますが、私どもと海運組合の会合におきまして、自家用船の中に営業類似行為をしておるものが相当あるという報告を受けております。したがいまして、地方海運局及び各地区の海運組合と連絡をとりまして、ほんとうに名実ともに自家用船であるのか、あるいは自家用船の名において実は常業行為をやっておるのか、その辺の実態把握につとめておりますが、中にはまだ十分実態のわからないものもございます。
  43. 久保三郎

    久保委員 問題は、言うならばある荷主にそっくりそのまま自家用の形でチャーターされておる、こういう船があるというと、結局それが内航海運に対して運賃のダンピングの手段にも使われる、あるいは会社に雇われた船主あるいは船員というか、そういうものが無理な運航をしいられるというようなことで、事故の原因もそういうところから出てくるということでありますので、これをどう持っていくかということについては、なかなか一筋なわではいかぬかと思うのでありますが、むしろこの際、荷主側に対して内航海運の秩序を確立するための協力というか指導というかわかりませんが、そういうものを含めてやらなければ、うまい秩序は確立されないだろうと思うのです。  それからもう一つは、荷主が思うがままに、いわゆるインダストリアルキャリア、自家用船、そういうもののを建造していくこと自体にも私は問題があると思う。内航がきちっと確立されれば、何も好きこのんで荷主そのものが船をつくって運航するというごときも、これは逆に見ればなくなるだろうと思うのです。そういう意味で、協力というか勧奨というか知りませんが、そういう方向もとるべきだと思っているわけです。  それで、もう時間がありませんから、公団に二、三お尋ねしたいのであります。  一つは、公団の役員それから職員というか、そういう方々はどの程度おられるのか。それから公団の最近の、三月期決算でありますが、決算の帳じりはどういうふうになっているか。そういうこと等を簡単でけっこうでありますから、ひとつお知らせください。
  44. 林坦

    林参考人 船舶整備公団は、創立後約八年になろうとしておりますが、現在のところ役員は、私のほかに五人、それから職員が全部で九十一人、全部で九十七人となっております。  それから決算のお話でございますが、実は四十一年度末の決算は現在数字を固めておる最中でございまして、大体の見通しといいますか、おおよその数字でよろしければ、そういう程度で申し上げさせていただきたいと思いますが、船舶整備公団は、経理状態は非常に健全に推移いたしております。ただ年度末におきましては、大体資産が三百九億九千三百万で、もちろん負債、資本の部がそれに対応しておるわけでございます。大体の帳じりといいますか、いまお尋ねの点でございますが、公団におきましては、償還等を受けました金、収入の部と、それからそれをだんだんに預金部その他にいま返しておりますが、そうした差額と申しますか、そういったものは、ほんとうに余ってくれば政府に返すものでございますが、その前に、もちろん償還に充てるほかに、若干、業務用資産損失引き当て金として積み立てをいたしております。これは大体そのときの業務用資産の千分の三十以下におきまして積み立てすることを政府から認められておりまして、その範囲内でいまやっております。現在におきまして約千分の二十程度の業務用資産損失引き当て金というものを積み立てておる、こういうことになっております。
  45. 久保三郎

    久保委員 積み立て金は幾らぐらいになっておりますか。
  46. 林坦

    林参考人 六億程度でございます。
  47. 久保三郎

    久保委員 今度の内航二法によりますれば、昨年の五日の閣議了解事項の中には、公団におけるところのいわゆる手数料というものを含めて何か考えておられるようでありますが、私も、しばらく前の話でありますから、ちょっと思い違いがあるかと思いますが、公団の人件費その他は、政府の出資金の運用利子によってまかなっていくというのが一つございます。いまお話しのように、六億というのは、公団自身にとって大きな金か小さな金かちょっとわかりませんけれども、まあいうなれば、業績としては一応黒字である、こういうふうに見ていいと思うのです。ただ問題は、その黒字か赤字かの問題ではなくて、むしろいままでつくった船の償還が軌道に乗っておるかどうかが、公団としては一番大事ではないかと思います。それが軌道に乗っておるかどうか、それを伺いたい。
  48. 林坦

    林参考人 いま御指摘になりました点でございますが、その償還の関係は、私どもとしましては、まあ順調に進んでいると考えております。特に旅客船の部門におきましては、御承知のとおり離島関係のような面がございまして、そういうところでなかなか採算に乗らないということのために、償還が滞りがちであるという面が若干ございますけれども、その他貨物船にしましても、港運関係にしましても償還は順調に進んでおります。  それから旅客船の点につきましても、大体四十一年度末で二千八百万円ほど滞っております。これはそのときまでに受けるべき額に対しまして〇・五%程度でございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 終わります。
  50. 内藤隆

    内藤委員長 井岡大治君。
  51. 井岡大治

    ○井岡委員 久保さんからほとんど質問していただきましたので、私は若干補足の意味でお尋ねいたしたいと思います。  適正規模の点については三そうから四そう、五そうくらいのところにやりたい、こういうお話でございますが、現在の段階ではそれでいいかもわかりませんけれども、将来オーナーとオペレーターの関係でオペレーターの諸君が、いわゆるこの際解決する機会にオーナーの組に入りたい、こういうものが出てきやしないかと思いますが、こういう点についてはどういう指導をなさっておられますか。
  52. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 従来もこの解撤建造の際には、できるだけ集約体制に持っていくように指導してきております。すでに過去の三十九年、四十年におきましても代替建造の際に幾つかの業者が集まって申請をしておったというような実績もございますし、また今度の三カ年計画におきましても、こういう集約を前提といたしまして、会社が幾つか集まって申し込んでおるものもあり、すでに集約を終わっておるものもございます。ここでちょっと数字を申し上げますと、今度の申し込みの中に集約会社として十三社が出ておりますが、これは従来内航海運業を営んでいた二つ以上の企業がすでに集約して新しい企業体をつくっておるものでございます。それから集約予定ということで新しい法人をつくっておるものが、十九社出ております。それからいままで個人会社で大福帳でやっていたという業者が、今後ちゃんとした会社にして近代的な経営をやろうということで、法人化したものが二十三社というふうになっておりますので、漸次先生のおっしゃるような方向に向かっていくものと思います。
  53. 井岡大治

    ○井岡委員 オーナーの場合は、主として一ばい船主の場合はいまおっしゃったようにそれでいいと思うのですが、私のお尋ねしておるのは、いわゆる貸し渡し業者が耐用年数がきて解撤をする、その場合一つの会社をこしらえるように指導するのか、あるオーナーに組え入れていくのか、こういうことがあると思うのです。私はあの会社に入れてもらいたいということを希望してくるのじゃないかと思うのです。そういう場合、そういう指導ができるのかできないのか、指導すべきじゃないのか、こういうように聞いておるのです。
  54. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 それは、いま先生あげられました二つの場合のむしろ後者のほうが一番すっきりするわけでございますので、われわれとしてはその方向に慫慂していく。しかしこれは、強制はなかなかむずかしいのじゃないかと思います。できる限度でそういうことを勧奨していきたい、かように思っております。
  55. 井岡大治

    ○井岡委員 いわゆる海運業というのは景気の変動によって大きく変わってくるわけですから、いつの場合でも自主調整ということばを使われるわけです。ところが自主調整をやらしておったらできないのが今日の状態だから、こういうかっこうになってきたと思うのです。現在でも、やはり計画造船というものが依然としてもたれておるのは、そこにあると思うのです。ですから、そういうようにオペレーターの諸君がオーナーのほうに入っていくことは非常に望ましいことなんです。できるだけそういう指導をしなければ、なかなかうまく調整というものはできないのじゃないか、いわゆる規模の適正化あるいは拡大ということはできないのじゃないか、こう思うのです。ですから自主調整というだけでなくて、計画造船を今日もなお続けておる現状では、できるだけそういうように指導するようにしなければいかぬと思うのです。同時に、そうすることがオペレーターというものをできるだけ少なくするわけですからね。これはできるだけ少ないほうがいいのですよ。こんなものはたくさんあると混乱してくるわけですから、できるだけ少なくする。全然なくすわけにはいかないでしょうけれども、できるだけ少なくするというような方向に持っていくべきではないか、こういうようにお尋ねしておるわけです。この点はどうですか。
  56. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 私も先生と同じ考えを持っております。今日の内航業界の一番大きな問題は、乱立といいますか、そういうところにあると思います。そのために過当競争が起こる。そういう意味から申しますと、先生がおっしゃいましたようになるべくオペレーターの数が少なくて、そして秩序がしっかり立っておるということが必要だと思いますので、そういう方向で今後指導していきたいと思っております。
  57. 井岡大治

    ○井岡委員 もう一つ、木造船解撤の場合、できるだけ二百トン未満を前後にしてこれを鋼鉄に切りかえるようにしないと、海運界というのは船をつくることによって大きな資本に対する負担となってくるわけですから、やはり耐用年数のできるだけ長いものに変えていく。そのためには、現在の整備公団では直ちに採用できないかもわかりませんけれども、いわゆる船舶を預かっておる海運当局としてはそういう方向に指導していくべきではないか、あくまで木造船は木造船なんだというかっこうはこの際避けるべきだ、こういうように思うわけです。その点はぜひひとつお願いをいたしたいと思うのです。  それから、時間は十二時までと言われておりますからもうやめますが、一つだけ大臣にお尋ねをしたいのです。  私は、一昨々年オーストラリアに行ったときも、昨年東南アジアを歩いたときにも、同じことを現地の諸君から言われたわけです。今度の内航海運のところにも、東南アジアヘの協力のために船舶を輸出する、こう書いてあるわけです。私はこのことは非常にけっこうなことだと思うわけですが、特にこれは延べ払いの問題が問題になると思うのです。同時に、オーストラリアで言われたことは、新造船はいいというのです。新造船は日本の港に入ったときにオーバーホールをやって十分整備はできるけれども、老朽船というか、中古船というか、そういうものをやる場合に、どうもわれわれの国ではなかなかこれを修理することができない。そこで、せっかく輸出をしてもらっても、われわれとしては迷惑な話なんだ、こういう話をオーストラリアでは聞きました。東南アジアでは、ほとんどが新造船じゃございませんで、中古船が多いですから、この点をやかましく言っておりました。そこで私が考えたのは、アフターサービスのために一つの基地を設ける。たとえば東南アジアの場合、マレーシアならマレーシアに一つ基地を設ける、あるいはバンコクに基地を設ける、こういうように此較的距離の短いところにそういう基地を設けて、そこに来れば十分それらの修理ができる、こういうようようなことをやることが、国策の立場からも、あるいは外国に対する日本の商品輸出の立場からもいいのじゃないか、こういうことを考えたわけですが、そういうようにお考えになりませんか。
  58. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 全く政府も同感に存じております。輸出船舶がだんだんふえますると同時に、造船業といたしましてはアフターサービスの充実につとめまして、それぞれの造船所ごとに外国造船所と提携してアフターサービス網というものを整備することにつとめておりますが、特に日本船舶輸出組合、日本舶用機械輸出振興会などを中心にいたしまして、アフターサービスの共同施設を設置する、また巡回移動技術指導班の派遣を実施する等の方法を行なっております。特に東南アジアにつきましては、昭和三十八年以来、フィリピン、タイ、インドネシア、ビルマなどに巡回技術班を派遣いたしたのでございますが、昭和三十九年にバンコクに日本舶用機械輸出振興会と日本貿易振興会の共同施設を設けることにいたしまして、これによってアフターサービスの強化、苦情処理等に当たっておるわけであります。また四十二年度には同様の施設をシドニーに新しく設けることにいたしております。今後もこの種施設の強化につとめてまいりたいつもりでございます。
  59. 井岡大治

    ○井岡委員 同時に、やはり私は船員の養成ということ、これはアフターサービスの中に入るかどうかはわかりませんけれども、少なくとも、やはりそういう船を売り渡す場合、かなり長期間、長期間というか、短期間というかに十分指導をする、そういうことを考えなければいけないのじゃないか。そうでないと、船だけは渡したけれどもエンジンをどう動かすのだ、こういうことになってきて、そこから思わぬ故障を起こす、こういうことがあり得ると思うのです。この点は、特にインドネシアに行ったときにやかましくこのことを言っておりました。したがってこれらの点について十分の指導をお願いいたしたい、こう思うのです。  それから最後に、これは大臣並びに公団にお尋ねをいたすわけですが、ことしは政府は公債を八千億出している。そのほかに当委員会関係においても、鉄道建設公団、あるいはいまの船舶整備公団、国鉄の特別債と、かなりの政府保証債があるわけです。一方景気過熱を心配をして金融は引き締めていく。はたしてこれだけの保証債が十分消化できるのかどうか、私は非常に心配でたまらないのです。特に、これはお客さんがみんなどこも一緒なんです。たとえば国鉄の特別債を割り当てていく、割り当てていくといったら語弊がありますが、頼みにいくところも荷主さん。あるいは整備公団のほうもそうなんです。鉄道のほうもそこなんだ、みんな同じところにやたらに持っていくわけです。そうするとかなりこれは消化がしにくいのではないか、私はこういう心配がされてならないのです。この点についてひとつお尋ねしたい。
  60. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 今年は特に国債の募集が多額になっておりますので、いろいろ募債のことにつきまして御心配になることは当然と存じておりまするが、予算編成にあたりましては、特に大蔵省の理財当局とはこの点につきましてとくと話し合いをいたしまして、大体この程度はいけるであろうという見込みを立てておるわけでございます。公団法が成立いたしましたならば、できるだけ早く募債に着手いたしまして、所要の資金は必ず確保するようにいたしたいと思います。
  61. 林坦

    林参考人 ただいま運輸大臣からお話がございましたように、私どもとしましても、現行の公団法のままですと、これは縁故債とか利用債ということになりますが、今度の改正によりまして政府保証債ということになりますので、この点につきましては消化はできるというふうに考えております。
  62. 内藤隆

    内藤委員長 本案に対する質疑はほかにございませんか。——ほかに質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  63. 内藤隆

    内藤委員長 これより討論に入りまするが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  64. 内藤隆

    内藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇————— 内藤委員長 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。石田幸四郎君。
  66. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間もありませんので、簡単に質問をしたいと思います。  鉄道運賃、バス料金等の公共料金の値上げにつきましては、生活に直結する問題でありますし、また物価に与える影響も非常に大きいので、この公共料金値上げの抑制は国民の大きな一つの念願であります。政府は、選挙の公約としましても、公共料金の値上げは極力しないとしばしば言明してきたところでございます。運輸省においてもこの基本的な態度は変わらないと思いますが、最初に運輸大臣の、鉄道運賃並びにバス料金の値上げに対する基本的な見解をお伺いしたいと思います。
  67. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 鉄道料金について申し上げますが、先般決算委員会におきまして、石田国鉄総裁が来年度の値上げの可能性について発言しておられましたが、運輸省といたしましてはまだこの話は伺っておりません。ただいまのところでは、来年度の予算の編成まで国鉄の財政状態を十分に検討して、その上で政府出資、公共負担等に対する対策を立つべきである、こういう大蔵省との了解のもとに、大蔵省といろいろ国鉄財政の現状について話を詰めておるところでございます。  次にバス料金でございますが、バス料金につきましても、物価対策という見地から値上げは避けるというのがたてまえになっておるのでございますが、最近燃料費あるいはその他の経営費等が非常に値上がりしてきておる面もございますので、中小等の業者におきましても、いろいろと経営が成り立たなくなるおそれのあるような向きもあるようでございまして、これらにつきましてはよく実情を調べ、合理化その他により極力運賃の値上げを避けて、自主的な努力によって収支を合わせるように指導はいたしておりますが、しかしどうしても経営が成り立たないというような場合におきましては、ある程度のものは中小については考えなければならぬ場合もあろうかと存じております。
  68. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私鉄等において、バス料金を改正したい、このように申請が出たときに、通常いかなる経過を経てこれが決定されるか、この点について伺いたいと思います。
  69. 原山亮三

    ○原山政府委員 バス運賃の料金改定の申請が出てまいりますと、その点につきまして、いろいろ現下の様子あるいは将来の輸送収入の見通しというふうなものを検討いたしまして、収支面から、どの程度の悪化状態にあるかという原価計算をいたしまして、その調査が済みまして、企画庁のほうと事務的にいろいろとその必要性云々について相談いたしまして、両者の意見が合致いたしました場合に関係閣僚協議会にはかりまして、それでもって決定されるという段取りになっております。
  70. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 このバス料金の値上げのことにつきましては、運輸審議会から運輸大臣の認可を得て決定になるわけでありますが、通常この審議期間というのはどのくらい日数がかかるのでしょうか。具体的な例がありましたら……。
  71. 原山亮三

    ○原山政府委員 ケース・バイ・ケースでございまして、非常にいなかの小さなバス事業者等で、どうしても赤字が非常にひどいというようなものについては、わりあい早くその辺の解決がございますけれども、大都市特に東京とか大阪とか名古屋とか、そういうふうな大都市の料金につきましては、総合的な物価政策の一環にも関係をいたしますので、そういう点につきましては、政府の一般物価政策との関連において処理されるということになりますので、一がいに期間は言えないというふうな事情でございます。
  72. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 名古屋の名鉄バスセンターのことについて伺いたいのでございますけれども、バスセンター開設にあたって運賃が改正されました。そしてその申請が十六日に出て二十日に認可された、このように聞いておりますけれども、これは十分な審議が行なわれたものかどうか、あるいはその審議過程はどうであったか、こういうことについて若干伺いたいと思います。
  73. 原山亮三

    ○原山政府委員 大都市のバスターミナルの整備というものについて、運輸省としましてはその整備促進をはかっているわけでございますが、何ぶん大都市というものの地価が非常に高うございますので、そういう点でなかなか促進をはかりがたいというふうな実情でございます。たまたま名古屋におきましては、名鉄が三十六年の一月に免許を受けまして、工事を三十七年七月から開始しまして、最近それが竣工いたしました。それでこの間の建設費が九十八億九百八十万円、これはもちろんターミナル部分以外のものもございますけれども、約百億の建設費がかかっておるわけでございまして、その建設費を償却の利子とかそういう原価計算をいたしますと、大体一発着原価というものが七百四十八円というふうな非常に高い原価になっておりますので、このとおりの使用料金を認めますと、名鉄では自分が建設主体でございますから、名鉄バスは入るかもしれませんけれども、それ以外の会社のバスなんかはとても入りがたいというふうな高い値段になりますので、使用料金の価格を原価の大体半分近くに押えまして、それでもってその穴埋めは付帯収入でもってカバーしていこうというふうな考え方になっておるわけでございますが、それで従来ですと、大体小さなバスターミナルの場合には使用料金というものは発着のお客さんからは取る必要もございませんが、有料道路なんかをつくる場合には利用者から使用料を取りますが、そういうふうに従来とは——名鉄のバスターミナルは規模が著しく大きいものでございますので、その部分について一部利用客から使用料金的なものを取るというふうな考え方でございまして、こういうふうなことをいたしませんと、今後のバスターミナルの整備というものはなかなか進みませんので、一人五円という程度の料金を取るというふうな制度をきめたような次第であります。
  74. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの質問でございますが、繰り返して申し上げますけれども、十六日に申請が出て、二十日に認可されたわけでありますから、この間において運輸審議会等において十分検討されたものかどうか、こういった点について伺ったのです。
  75. 原山亮三

    ○原山政府委員 申請を受ける前からこのターミナルの収支等につきましては十分事前に伺っておりますので、形式的にはそういうふうに短い期間でございますけれども、実質的には相当長い期間にわたって審査をいたしておる次第であります。
  76. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 全国のバスターミナルの問題でございますけれども、このバスターミナル設置について名古屋のバスセンターのように一般乗客までにその料金をはね返らせたといいますか、そういった例はございましょうか。
  77. 原山亮三

    ○原山政府委員 従来のバスターミナルは非常に規模が小さいものでございますので、利用者からそういうふうに運賃に含めて取るというようなケースは初めてでございます。
  78. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 このバスターミナル設置につきましては、非常に赤字が出る心配があるのですね。運輸省においては付帯事業拡大せしめてそういった運営にあたるように指導している、このように聞いておりますが、この点はどうでしょうか。
  79. 原山亮三

    ○原山政府委員 先ほど申し上げましたように、バスターミナル・オンリーではなかなか収支採算がとれませんので、付帯事業でもってその穴埋めをするという考え方で指導いたしております。
  80. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまお話のありましたように、付帯事業によってこういったバスセンターの運営が行なわれているわけでありますが、この名鉄バスセンターの場合は二十階建ての鉄筋コンクリートで、いろいろの付帯事業が計画されております。そういった付帯事業におけるこの百億近い償却は、どのような計画で行なわれておるでしょうか。
  81. 原山亮三

    ○原山政府委員 運輸省のほうといたしましては、バスターミナルの事業収支の約十カ年の収支予想というものを立てまして、それによりますと、バスターミナルだけでは十年間たちましても収支採算に乗りがたいというような数字になっておりまして、初年度が大体ターミナル事業だけで二億ほどの赤字でございまして、それが四十三年度でも赤字がふえまして、ずっと十カ年くらいの間は大体二億五千万から二億七、八千万までの赤字が続くであろう、こういう考えでございまして、この赤字についてはほかの事業でもってカバーせざるを得ないというふうなことだと考えております。
  82. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 このターミナル部分のみについては償却ができないわけでありますから、それで付帯事業をやっているわけです。そういう付帯事業をやってこの運営をカバーしていくわけですから、バスを運営するそれぞれの会社においては使用料を取るのは当然だと思いますが、それを一般乗客にまではね返らせるということ自体が、一つの問題点ではないかと思うのです。しかもバス運賃の算定基準というのはいろいろの基準、方法があると思いますけれども、対距離区間制あるいは特殊対距離区間制あるいは均一制等がございますけれども、こういった面からいきますと、このように名古屋の場合は百円のところを百五円、二百円の場合は二百五円、また普通の通勤定期あるいは通学定期までも使用部分を含めさせているわけですが、このバス運賃の算定基準とそれからこのターミナルに乗り降りする分についての使用料との関係は、どういう関係になっておるのでしょうか。
  83. 原山亮三

    ○原山政府委員 今度のバスターミナルの料金というのは運賃ではございませんでして、バスターミナルの利用によりまして乗りかえ等が非常に便利になるとか、あるいは雨ざらしにならないとか、いろいろと効用がございますので、そういう、有料道路を使うときに料金を利用者が払いますが、それと同じ性格の料金でございます。したがいまして、運賃とは違うのであります。
  84. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 しかしこの一般利用者については、名鉄としては何らこういったものについて公示をしていない。料金がこのように追加になるという、いままでそういうような明示がなかったように思います。これについてどうでしょう。
  85. 原山亮三

    ○原山政府委員 通常そういう運賃を改正するとか、料金を新設するような場合におきましては、一般に公示をするというふうなことをやっておりますが、今回のバスターミナルの料金を取る場合におきましても、事前に公示して利用者に明らかにするというような方法をとっております。
  86. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 事前にと言いますけれども、いつごろ行なわれたでしょうか。
  87. 原山亮三

    ○原山政府委員 五月二十五日から一週間公示いたしたそうでございます。
  88. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、これは明らかに申請の出る前じゃないでしょうか。
  89. 原山亮三

    ○原山政府委員 申請は十六日でございますので、申請よりもあとでございます。
  90. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、これは運輸大臣に伺いたいのでございますけれども、このようにしてバスセンターが非常に赤字経営である。それが直ちにこのようにして一般利用者に対する料金あるいは運賃としてはね返ってくる例がここで誕生したわけでありますが、全国的なバスターミナルに対して、将来赤字が出た場合に、政府としてはこれに対する補助金を出す考えがあるかどうか、これについて伺いたいと思います。
  91. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 工事費に多額の資金を要しますので、その利払いが非常に大きいということがかなりコストに影響し、それがためにこうした特殊な使用料を取らなければならぬような状況に相なっておるのでございますが、政府といたしましては、バスターミナル等、の事業につきましては、特に開銀に交渉いたしまして、開銀融資を仰ぐようにいたしたいと思っております。将来はこの開銀の利子を、公共事業等の例から考えまして適当なところまで下げることによって、幾ぶんでも経営者の負担を軽くするようにはかっていきたい。使用料の引き下げ、あるいは廃止に努力いたしてまいりたいと思います。
  92. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に一点だけ伺います。このバスターミナル設置につきましては、名古屋駅周辺の輸送網の整備のために行なわれたものと思いますが、現在国鉄、私鉄関係はこのバスセンターを利用しておりません。ターミナル法の二十一条によって、この混雑を緩和するために、将来国鉄、私鉄バスにこのバスセンターを利用させる、こういった方法を命ずる考えはございましょうか。
  93. 原山亮三

    ○原山政府委員 今度の名鉄バスセンターには名古屋鉄道以外のバス事業者も入っておりまして、全部で十一のバス事業者がこのセンターを利用するということでございまして、大体当該地域のバス事業者がほとんど全部入るだろう。国鉄は入らないようでございますけれども、今後ともそういうふうな総合バスセンターの効用を発揮するためには、当該地域の全事業者が利用するということが望ましいと思い、今後もそういうふうにいたしたいと考えております。
  94. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 このバスターミナルにつきましては、現在名古屋の駅周辺におきましては、市営バスが非常に大きなウエートを占めているわけですが、この混雑を緩和するためには、やはりこの市営バスもバスセンターが利用できるような、そういう状態でなければ、あそこの交通事情は緩和できないわけでありますが、名古屋市に対してそういう行政命令を出す考えがあるかどうか、これを聞きたいわけです。
  95. 原山亮三

    ○原山政府委員 こういう大規模なバスセンターターミナルは、ニューヨークにあるそうでございますが、大体郊外バスを総合的な駅に入れるというような考え方でございまして、市内交通と市外交通——都市間交通、郊外交通と申しますか、そういうものを分けて、市内交通についてはいわゆるバスベイ的なものによって処理していく、それから郊外のほうに行く中、長距離のバスについてはこういう総合的なバスターミナルによってやっていく、都市内交通と都市間交通は分けて考えていくべきだ、こういうふうに考えております。
  96. 内藤隆

    内藤委員長 次会は、六月七日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十六分散会