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1967-05-30 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 進藤 一馬君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 河村  勝君       大竹 太郎君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    徳安 實藏君       中川 一郎君    長谷川 峻君       原 健三郎君    福家 俊一君       山村新治郎君    板川 正吾君       小川 三男君    神門至馬夫君       内藤 良平君    野間千代三君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       山下 榮二君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省船舶局長 芥川 輝孝君  委員外出席者         運輸省海運局次         長       高林 康一君         運輸省海運局参         事官      野村 一彦君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月二十七日  船舶積量測度法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇〇号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶積量測度法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇〇号)(参議院送付)  船舶整備公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第三一号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  船舶積量測度法の一部を改正する法律案参議院送付)を議題とし、提案理由説明を聴取いたします。大橋運輸大臣
  3. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま議題となりました船舶積量測度法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  現在、船舶の上甲板上などにある貨物倉その他特定の場所常設閉鎖装置を備えない開口を設けました場合には、その場所総トン数に算入しないことになっておりますが、このような開口を設けますことは、船舶の防火、防水の見地より好ましいものとは申しがたい実情であります。  また、政府間海事協議機関におきましても、このような事情を考慮いたしまして開口を設けることにより総トン数に算入されない場所につきまして、開口を閉鎖しても総トン数に算入しない取り扱いをするよう関係各国勧告をしております。主要海運国の中にはこの勧告を受け入れまして、すでに国内法改正を行なった国もありますし、現に改正の準備を進めてる国力少なくない現状であります。  船舶トン数は、国際的に同じような原則によりまして測度されることが望ましいものであり、また、開口を閉鎖しても総トン数に算入しないトン数測度方式を取り入れますことは、船舶安全性の向上に資するものでありますので、次の二点につきまして船舶積量測度法規定を改めようとするものであります。  第一に、現在開口を設けることによりトン数に算入されないような上甲板上の場所は、開口が設けられていなくともこれを総トン数に算入しないこととずることであります。  第二に、現在開口を設けることによりトン数に算入されないような上甲板と第二甲板との間の場所につきましては、船舶安全法による満載喫水線位置が所定の位置にある場合に限りまして総トン数に算入しないこととすることであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 これにて提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 内藤隆

    内藤委員長 次に、船舶整備公団法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを辞します。河村勝君。
  6. 河村勝

    河村委員 船舶整備公団法改正に関連いたしまして、内航海運対策のことについてお尋ねを申し上げますが、先週のこの委員会久保委員が詳細な質問をされましたので、重複を避けて要点だけを御質問いたします。でありますから、御答弁になった数字をそのまま使いますから、それでお答えを願いたいと思います。  解撤締め切りが五月三十一日になってますね。そこで当初の解撤量目標が五十八万五千トンであったわけです。それが現在の実績見込みでは三十六万七千トンだということでありますけれども、あす締め切りを控えておるわけですが、この実績はこのとおりになっておりますかどうか、それを先に伺います。
  7. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 現在のところ、そのとおりでございます。
  8. 河村勝

    河村委員 この三十六万七千トンのうちには輸出船売船が九万トン入っているはずでありますが、その実績は九万トンにいっておるのですか、どうですか。
  9. 野村一彦

    野村説明員 九万トンは、輸出がすでに済みましたものと、それからまだ現在の時点まで済んだという証拠書類提出していないものと、両方合わさった数字です。
  10. 河村勝

    河村委員 済んだものは幾らあるのですか。
  11. 野村一彦

    野村説明員 ちょっとただいま正確な数字がわかりませんので、後ほどお答えいたします。
  12. 河村勝

    河村委員 たしか先月くらいの時期には実績はまだ一万トンくらいしがなかったはずでありますが、それが今日九万トンの実績が確保できるのですか。
  13. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 すぐに公団と連絡しまして、調べた上でお答えをいたします。
  14. 河村勝

    河村委員 もしこの輸出船実績が低下すれば、それだけ解撤量が下がるわけですね。そうなりますと、代替建造量もまたそれに伴って、その比率で減るわけですか。
  15. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 四十一年度の分、すなわち一番先にやる分につきましては、解撤比率も一対一・五で全国そろっております。これには支障はないと思います。
  16. 河村勝

    河村委員 私が伺っているのはそういうことでなしに、もしこの売船目標に達しない場合には、これからのものを融資比率をまた下げて量だけ同じにしようということですか。
  17. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 お説のとおり、その場合は建造量が下がります。失格になりますので、建造分が下がるわけでございます。
  18. 河村勝

    河村委員 私が伺っているのは、ただ失格するというだけではなしに、まだこれから、その比率の問題はあと質問いたしますけれども、いまきめられておる融資比率を維持してそれだけ下げるということですね。
  19. 野村一彦

    野村説明員 解撤比率は現在のままの比率にいたしまして建造量だけ縮小する、こういうことでございます。
  20. 河村勝

    河村委員 この三十六万七千トンのうちには沈没船が入っているわけですね。この問題ははなはだけしからぬと思うのであと質問いたしますけれども、しかしこの前の久保委員に対する答弁では沈没船が七千トンだというお話でありましたが、政府側の前々の説明からいきますと、三十六万七千トンのうちには一万五千トンの沈没船が含まれておるというふうに記憶しておりますが、その点はどうなっておりますか。
  21. 野村一彦

    野村説明員 一番最近の五月二十四日でもちまして、最終的にと申しますか、その時点におきまして調査したのでは、沈没船は七千三百トンでございます。
  22. 河村勝

    河村委員 そうすると、その七千トンを含んで三十六万七千トンということですね。
  23. 野村一彦

    野村説明員 そのとおりでございます。
  24. 河村勝

    河村委員 この前久保委員の、輸出船の場合に輸出の延べ払いに対する融資、それと解撤融資とがダブりはしないかという質問に対して、政府側の御答弁では、輸出をする人間とそれから代替建造する人間とは必ずしも一致しないからダブりはしないんだという御答弁がありましたが、ちょっとあいまいだったんで、もう一ぺんその辺を明確にお答え願いたい。
  25. 野村一彦

    野村説明員 前回御説明申し上げました説明があるいは十分意を尽くさなかったと思いますのでここで申し上げますと、中古船輸出につきまして現在特別の輸出奨励制度というものはございません。私が前回申し上げましたのは、そういう一、二の例があるということでありまして、政府としてそういう輸出助成といいますか、奨励のための特別の制度というものは中古船についてはございません。
  26. 河村勝

    河村委員 そうすると、輸出に対する融資は別にやっておらないということですね。
  27. 野村一彦

    野村説明員 これはそういうワクもございませんし、ただ、個々の業者がそういう融資を受けておることはありますけれども、助成策としてはやっておりません。
  28. 河村勝

    河村委員 そうすると、その問題は別にしまして、実際の船を輸出する人間代替建造をする人間とが別の人格である場合があるということは事実ですね。
  29. 野村一彦

    野村説明員 輸出した人と建造する人が別の場合は、相当ケースがございます。
  30. 河村勝

    河村委員 それは、公団法公団業務の範囲に関する法律に対して違反だと思いませんか。
  31. 野村一彦

    野村説明員 普通の解撤建造の場合と同様でございますけれども、解撤をする人と建造をする人が同一でないことを禁ずるという規定はございませんので、それと同様に考えまして、特に違法とは考えられません。
  32. 河村勝

    河村委員 解撤の場合は解撤船を買い取るわけでしょう。ところが輸出船の場合は、輸出するのはしつばなしで、それで登録船権利を買ってやるわけでしょう。代替建造は全然状況が違うのじゃありませんか。
  33. 野村一彦

    野村説明員 解撤の場合も輸出の場合も、たとえば解撤の場合は、いまおっしゃいましたように、ある人が解撤をいたします、そして解撤したという証明をもらいまして、そしてそれを、ほかの人が建造する場合は建造する人に譲渡するわけであります。輸出の場合も、輸出した人が建造をしない場合は、輸出したという証明をもらいまして、これを別人建造する場合には、建造するという人に譲渡するわけでありまして、形としては同じでございます。
  34. 河村勝

    河村委員 解撤の場合は、ほんとうは正しくないと思うけれども一応認められると思うが、輸出船の場合には、解撤融資を見ましても、貨物船輸出を行なった海上貨物運送事業者または貨物船貸し渡し業者に対して、その間におけるそれらの者の当該事業の継続に必要な資金を貸し付けるというふうに書いてあるわけですね。だから輸出した人間そのものでなければおかしいじゃありませんか。
  35. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 この解撤融資あるいは輸出船融資に対する趣旨は、船腹調整という目的があるわけでございます。したがってとにかく稼働船腹あるいは稼働し得る可能性のある船腹、そういうものを建造量よりもよけい市場より姿を消さすというところに目的があるのでございまして、そういう趣旨から、輸出船についてはその引き当て権別人になる場合も認めておるというのが最近の傾向でございます。
  36. 河村勝

    河村委員 運輸大臣法制局長官もおやりになったことがおありになるのですけれども、一体この条文を読んでどうお考えになりますか。これは明確に、輸出をした人間に対してつなぎ融資をするというふうに法律に書いてある。これはどう拡大解釈してもちょっと、輸出した人間とは別の人間が、その権利だけを買って代替建造してもいいということにはならないように思いますけれども、その点はどうですか。
  37. 野村一彦

    野村説明員 先ほどの御質問に対してお答えいたします。  船舶整備公団法の第十九条の八項でございますが、ここに書いてございますのは、一定運輸省令で定める日までに解撤または輸出を行ない、その日から起算して運輸省令で定める期間を経過した日以後竣工するこれこれを建造する海運業者ということでございます。したがいまして、特にこの点につきまして、自分の船を解撤した、あるいは自分の船を輸出したということが必ずしも条件ではございません。そういう輸出した船を引き当てにするという証拠書類が確実でありますれば、それをもって、その証拠書類を具備して新たに建造をしようという者に対して融資をするということは不当ではないと考えます。
  38. 河村勝

    河村委員 あなた、どうしてそういう読み方ができるのですか。これは貨物船輸出運輸省令で定める日までに行ない、そして一定期間を経過した後に貨物船建造する海上貨物運送事業者でしょう。これは当然同一人格であるのがたてまえなんで、特に同一人格でないということが書いてない限りは、同一人格であるのは当然でしょう。
  39. 野村一彦

    野村説明員 この点につきまして期日が書いてございますが、この期日は、だれかがまず解撤または貨物船輸出をこれこれまでに行ないと、その日にちを書いてございまして、その日にちから一定期間経過した後に竣工する船を建造する者ということでございまして、先生の御指摘のような御疑問もあるかと思いますけれども、私ども法制審議過程におきまして、その点はいろいろ関係当局と検討いたしまして、輸出または解撤する人、建造する人は同一でなければならないという解釈はしておらないわけです。
  40. 河村勝

    河村委員 ずいぶん無理な法律解釈ができるものだと思って私は驚くのですけれども、特にこれは別の人間でいいと書いてなければ——これは文章がつながっているんですよ。別段、運輸省令で定める日までにというところだけに条件がついているわけじゃないんですよ。一体それはどこの法律解釈なんですか。
  41. 大橋武夫

    大橋国務大臣 河村委員の御質問はまことにごもっともに拝聴いたしておったわけでございます。ただ、政府法制局解釈をいたしておりますのは、解撤者という法律上の地位に着眼いたしまして、この地位解撤を実行した人の固有のものではなく、その地位が移転し得るもの、こういうふうな解釈法制局ともいたしておるわけでございまして、その解釈のもとに今日まで実務の取り扱いをいたしておる次第でございまして、文理的には必ずしもその点は明瞭ではございませんが、いま申し上げましたように、解撤者というものの持つ法律上の地位、したがってその人の持つ権利義務というものが他の海運業者に移転する場合もあり得る、こういう前提で解釈を下しておるわけでございます。どうぞさよう御承知を願います。
  42. 河村勝

    河村委員 私は解撤船については一歩譲りまして、この条文このままでも、解撤船を買って解撤をしたのだということにすれば、そういう擬制が可能だと思うのです。ところが、輸出船についてはそういう擬制をすることもむずかしいのですね。大体、輸出船をこの公団法業務の中に入れるということは、昨年の五月の閣議決定に入っていないのですよ。それをあとから、かってに入れたわけでもないでしょうが、いつの間にか単独審議過程で入ったらしいのですけれども、しかし、ほんとうにそれが有用なことなら、私も法匪ではありませんから、拡大解釈することにあえてそうこだわりませんけれども、船を輸出して適正な対価をとって、しかもその権利代替建造する人間に売って二重にもうけている人間に、一体なぜつなぎ融資をしなければならないのか。これはただ、解撤とみなしてなくなった船の員数に算入する、そのくらいだったら私は許せると思うのですけれども、わざわざ拡大解釈してつなぎ融資までやらなければならぬという、その理屈がちっともわからない。その点一体どうお考えになりますか。
  43. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御意見はよく承りましたが、政府といたしましても、その場合にも法律上の地位が移転し得るものという統一解釈をとっております。
  44. 河村勝

    河村委員 そういう解釈をおとりになったかもしれませんが、いま私が申し上げたように、非常にむだな金を——これは利子補給までやっているわけですから、国民税金を使っているわけですね。国民税金を使ってこういう融資をやりながら、輸出する人間に二重にもうかるようなことをなぜ無理に解釈してやらなければならないか、その辺の自主的な判断をお願いいたします。
  45. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 二重にというお話でございますが、輸出した人は輸出代金を受け取るわけでございます。そうして、その引き当て権利と申しますか、それを建造者に売るわけでございますが、解撤融資をするのは、売った人に融資をするのではなしに、買った人にするのです。だから、輸出した人に対しては政府が二重にやっているわけではございません。買って建造をする人に融資をするわけでございますから、その点少し誤解があるのではないでしょうか。
  46. 河村勝

    河村委員 私は誤解をしているわけではないのです。解撤融資をそういう場合に認めるから、だから、権利金を高く売って売り逃げができるのですね。結果的には二重に利得をさせることになるのです。その点が一体いいかどうか、その点の行政的な価値判断をお伺いしているわけです。
  47. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ほかの解撤の場合と比較しまして、多少の有利不利というものはあるかと思いますが、輸出の場合は、輸出しまして外貨を獲得するということと同時に、船腹調整に役立つという、われわれの立場から見ますと、一番いい形であるわけです。一石二鳥と申しますか、そういうケースでございますので、多少解撤の場合に比較して有利になるということは事実でございますけれども、これはこれを促進する意味からいってやむを得ないということで認めているわけでございます。
  48. 河村勝

    河村委員 海運局長がお考えになれば一石二鳥かもしれませんけれども、そんなところに利子補給のために税金を払う者はたまらぬのですね。これは押し問答してもしようがありませんから、またあとから質問者もあるから、おいておきます。  次に質問しますが、この前久保委員質問に対して、一・五の解撤比率が一・三六に下がったことに対して、海運局長は二つの理由を述べましたね。一つは、解撤船が非常に高くなってしまった。だから、この比率をそのまま押しつけると船主に過重な負担をかけるから、それで緩和をした。いま一つ市況がだんだんよくなって、それで景気が上向いてきたから、そう極端に硬直した姿勢をとらなくてもよろしい、だから緩和したのだ、こういう返事をなさいましたね。それは速記録を見ればわかるはずですから、間違いないですね。  そこで、解撤船値上がりということは、去年のいまごろの国会でもうすでにそういうことは心配されておったのですね。ですから、そのときからそういうことは考慮に置いて、この計画は進めなければならぬはずです。そういう質問が現にあって、私もここに速記録を持ってきておりますけれども、そのときり海運局長、これは亀山さんですが、人間がかわったからといって安心しては困るので、これは機関としては一緒ですから。こういうことを言っているのです。今後三十年間の解撤船の量を想定いたしまして、各海員組合においてリストアップさせる。つまり解撤船というものがある程度確定をしてしまいますれば、その間にブローカーの暗躍の余地はきわめて少なくなる、それによって、その解撤船値上がりというものは防止できるから心配ないのだ、こういう答弁をしているのです。一体こういう作業はおやりになったのですか。
  49. 高林康一

    高林説明員 亀山海運局長が申しましたように、各海運組合におきまして、それぞれ解撤船の適正なもの、つまり大体船齢が超過しておるという船のリストアップをそれぞれやるようにやったわけでございます。その場合に、解撤船の希望というものが、現実リストアップいたします過程におきましては、想定いたしました五十数万トンより相当下がっておったということは、結果としてあらわれたわけでございますけれども、そういう作業は進めていったわけでございます。ただ、そういうようなことで、一般的に一挙に解撤ということをいたします関係上、やはり解撤船市場が非常に窮屈になった、ある程度の想定はわれわれもしておりましたけれども、ややその想定以上に窮屈になったということは事実でございます。
  50. 河村勝

    河村委員 あまりいいかげんな返事をしてもらっては困るのですが、海運組合にちょっと聞いてみたら、共同係船については自分たち責任を持ったけれども、解撤船のことに関しては全然タッチをしておりません、こう言っているのですよ。リストアップさせるような仕事をさせるというのは——一体どっちの言うことがほんとうなんですか。
  51. 高林康一

    高林説明員 当時の海運局参事官、私でございますけれども、私の名におきまして各海運組合及び地方海運局通牒を出したわけでございます。
  52. 河村勝

    河村委員 通牒を出した、紙に書いて出すだけで、一体責任が果たせるとお思いですか。実際にやったかどうか確認していないのですか。
  53. 高林康一

    高林説明員 そのとおりやりました。やって相当程度リストアップというものは出てきたわけでございます。ただその場合に、係船解撤というものとの関係につきまして、それぞれ係船または解撤を希望するというように必ずしもはっきりしないものが相当あったことは事実でございます。
  54. 河村勝

    河村委員 これだけ確信を持って解撤船値上がりは防止できると言ったからには、もしその手段が思うようにいかないならば、他に何らかの対策は講じておらるべきはずだと思うのですけれども、何か手をお打ちになったのですか。
  55. 高林康一

    高林説明員 残念ながらその点については、いま考えてみまして相当不十分であったと思います。通牒を出しまして、ある程度のリストアップをいたしましたが、その後そのリフトアップ過程において非常に上がってくるということは、いろいろの情報で聞きましたのでございますけれども、確かにいま御指摘のように、十分にそれを阻止する対策というものをとれませんで、そして今日にきたというような結果になっておるのでございます。
  56. 河村勝

    河村委員 結果的には何もしなかったということになるのだと思いますが、いま一つ市況変化のほうですね。これは、この前の海運局長説明では、三十九年にはマイナス七%くらいであったのが、四十年度には九%くらい、それから四十一年度末ごろになったら二〇%くらい値上がりするものができた。非常に市況が変わってきた、だから、あまり一生懸命やらぬでいい、とは言いませんでしたが、厳格に解撤比率もやらぬでよろしいし、係船も一生懸命やらぬでいいというような意味のことを御返事になりましたが、一体四十年度に九%上がったとすれば——この内航海運対策閣議決定が行なわれたのは四十一年五月ですね。ですから、そのころには、もうすでに市況が回復して状況変化したというふうにあなた方が判断されたならば、そのときにもうすでにその事実は発生しているわけですね。  それからいま一つ、四十一年の末ごろには二〇%くらい上がってきたとおっしゃいますが、これだって、あなた方がいまきめておられる、運輸省告示海運造船審議会の答申を基礎にしてやっておられる最高船腹量、これをおきめになったのは、四十一年の十二月の十五日ですよ。年末でしょう。もうその事実はすでに発生しておるのです。公団法改正単独審議で可決されたのが、十二月二十日でしょう。ですから、あなたがおっしゃった市況変化というものは、全部もう織り込み済みですね。その上に立ってあなた方はこの調査をおやりになったわけです。それで、いまごろになって市況変化したから、そうむずかしく言わぬで、実情に合うようにやればいいのだというふうに判断されるのは、どういうことですか。
  57. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 お説のとおり、確かに見通しとしては甘い点があったかと思います。最高限度量をきめたのは、昨年の末でございますが、これはこの解撤相当進めば、そこまで落ちつき得るという見通しもあったわけでございます。それから景気の上向きというものは、なかなかそのままずっといくかどうか、あるいは途中で下降するかもしれないし、その見通しができなかったという点もあるかと思います。しかし四十一年の十一月、十二月が二〇数%というふうに上がっております。この実績がはっきり出るのは、やはり何カ月かずれてまいりますので、その四十一年の十二月という時点でそれほどまでに輸送需要が伸びるということが予想できなかったわけでございまして、確かに見通しとしては十分でなかったということは言えるかと思います。
  58. 河村勝

    河村委員 私は見通しなんていうむずかしいことを言っているのじゃないですよ。現実に事実が発生しているんですね、もうそのときに判断の材料になる。十二月になって突如として上がったわけではないでしょう。何かそのときには上がったけれども、事実をつかむのがずれてなんておっしゃいますけれども、やはり十二月に二〇数%上がるからには、そのカーブは十月ごろから上がっているわけです。十二月にずっと上がったわけではないでしょう。そのことは一応別にしましても、一体適正船腹量というものをはじく場合には、一応政府の中期経済計画なんかの数字を基礎にしてやったわけでしょう。現在中期経済計画というものは御破算になって、経済社会発展計画に変わったかもしれないけれども、しかしそれの経済成長率を見たって、中期経済計画の設備投資の伸びというものは八・一%、経済成長率が、今度の計画だって八・二%、そう違わないですね。政府の計画というものは、しばしば狂うのが常識だけれども、狂うにしても、大体同じように狂っていくから、そう違いはないわけです。そういう前提に立って考えれば、こういう船の場合なんか、特にこういう市況というものはマクロで見るものでミクロで見るべき性質のものじゃない。こういう長期計画をやっているのですから、目先のことをいまやっているわけじゃない。それならそういう点、目先の市況変化にとらわれずに、海運造船合理化審議会を開いて答申をもらって、それから閣議に持ち込んで閣議決定をしてもらって、そうしてそれをもとにして法律をこしらえてまでしたものでしょう。こういうものが、そういう短期間のちょっととした波動のために簡単に動かされる。政府の五カ年計画なんか、しばしば三年目くらいから狂うのは多いけれども、こうしょっぱなから狂うというのは非常に珍しいですよ。一体なぜこれをほんとうにやり抜こうという精神を持って取り組んでいかなかったのですか。その辺の覚悟をひとつお聞きしたいと思います。
  59. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 先般久保先生の御質問に答えた私の答弁が、非常にこの政策遂行の熱意に欠けておるかのごとく御理解いただいたということは、私の説明が十分でなかったのじゃないかと思います。まことに申しわけございません。とにかく、見通しなりそのやり方にいろいろ問題はあったかと思いますけれども、現実的に輸送需要というものがほんとうに締まってまいりまして、そこで解撤船をもっと持ってこい、あるいは係船をもう少しやれということを、われわれとしてもできるだけ号令をかけたつもりなのでございます。ところが実情は、どうしても目の前に荷物がある、契約がすでに済んでおる、オペレーターとオーナーとの間で、オーナーが係船に回したいといっても、オペレーターはなかなか許してくれない。やはりそういう輸送需要の目の前の現実というものが、われわれが幾らしりをたたいても思うようにいかなかったという点にあらわれてきたのではないかと思うのです。  そこで私が申し上げましたのは、要するに船腹調整というのは不況対策、いわば操短のような性質のものでございます。そういう不況対策を需要が上向いてきた、いわゆる好況に向かってやるということは非常にむずかしいことである。それで、やはり必要な輸送需要というものを満足させるのが輸送を担当する者の一つの任務でもございますので、輸送需要があるにかかわらず、それを振り切って係船をするというわけにもまいりません。そういうような意味で、私が先般、内航問題については量の問題とともに質の問題がある、もう一つ企業体制の問題がある、そうして、量の問題はそのときそのときの輸送需要というものを無視できない、それに応じて流動的に対処しなければならないと申しましたのはそういう意味でございまして、せっかく政策を立てておりながら、それはどうでもいいんだという趣旨で申し上げたのでは決してございませんで、われわれとしてもできるだけの努力をしましたけれども、ちょうどそういうような、一こまずれたようなことになりまして、それが政策どおり、きまったとおりに、予想したとおりになかなかできなかった、こういうことでございますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  60. 河村勝

    河村委員 私はそういう一般論を言っておるのじゃなしに、いま実際具体的に一・五対一という解撤比率をつくって三分五厘、八年、九年という長期の融資をやって、しかも利子補給をやるんでしょう。ですから、そうあだやおろそかに変えたら、私は国民に対して申しわけないと思うのですね。どうしても壁にぶつかってできないというならば、そのときに初めてできない理由を明らかにして、もう一ぺん、ほんとうにできませんからこういたしますという相談をやるべき性質のものですね。一体閣議決定が、いつどこでどう曲がったのか、かってに変えられたのか。私は運輸大臣に伺ってみたいと思うのですが、閣議決定というのは、中には閣議決定したらそれで終わりだというものもありますけれども、しかし本件についてはなかなか閣議決定は権威あるものですね。これに基づいて法律改正までやっているのですからね。これは一体いつの時期にこの一・五対一という解撤比率が変えられ、それがどういう手続によってなされているのか。それをひとつ伺いたいと思います。
  61. 大橋武夫

    大橋国務大臣 解撤比率は、理想としてはあくまでも一・五対一ということで進みたいと思うのでございます。また今後といえども、状況変化すればそういうふうに進みたいと思いますが、現実の情勢がただいま局長からるる申し上げたとおりでございまして、そういうふうにまいらない実情があった次第でございます。
  62. 河村勝

    河村委員 大臣にお伺いしたいのですが、その閣議決定されたものがどういうふうにして運輸省内で変えられたのか。かってに事務当局が変えてしまったのか。これは大臣は御存じなのでしょうか。
  63. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 四十二年度の予算編成の際に若干このような気配が見えておりましたので、大蔵事務当局には、少し予想したとおりにはいかないかもしれないということを話しまして、そしてできればはっきりと閣議決定の変更という手続をとらなければならぬかもしれないということは申しておったわけであります。それで年度末に至りまして具体的にいろいろな処置をして——契約なりあるいは法律に基づく大蔵大臣の承認なりという手続が要るものがございますけれども、その際にはっきりと、こういう結果になってしまったということを、大蔵事務当局と話したわけです。われわれとしては、これは閣議できまったものであるから、これはやはりもう一度閣議で実施状況を報告しまして了承を得るという手続をとるべきではないか。これは私が海運局長にかわったとたんに、私がいろいろ説明を聞きまして、これは正式にそういう閣議報告ということをして、そして了承を得る手続をやるべきではないかということで大蔵省に持ち込んだのであります。それで大蔵省といろいろ議論をいたしました結果、これは基本方針というものに全然変更というか、それほどのことではないから、まあそこまでいかぬでもいいだろうというようなことでそのままになった。しかし大蔵当局とは非常にいろいろ議論をしまして、大臣にも報告し、少なくとも両大臣は了承をしておるということになっております。  経緯といたしましては、そういうような経緯でございます。
  64. 河村勝

    河村委員 どうも、極端に言いますと、いまやっておられるやり方でいきますと、もうけるのは、解撤船のブローカーが一番もうけるというようなかっこうなんですね。いわば国民税金でダフヤを養成しているようなものですね。ですから、こういう事態が発生する可能性があるならば、私はほかに方法がないわけじゃないと思うのです。いま運輸省では、内航海運の企業整備をやっておられるわけでしょう。いま八五%が一ぱい船主だというような状態をだんだん集約をして、百五十か二百か知りませんけれども、集約過程にあるわけですね。それならば法律に書いてあるそのとおりに、解撤船権利の売買なんというようなことは度外視して、自己保有船だけを対象にすることは可能でしょう。集約の目的に向かって、お互いに船を出し合って、そういう条件でもって解撤をやらせ、それで新造をやっていけば、単なる解撤建造以上に海運業の再編成を促進しながらできるはずですね。私はそう思うのですが、一体どうしてそういうことをお考えになる余地がなかったのか、その点を伺いたいのです。
  65. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 お説のとおり、自己の保有船に限って解撤引き当てを認めるという方法が、一番堅実な方法であります。ところが、政策の目的一つといたしましては、早く過剰船腹を整理したいということもございまして、自己の保有船であるなしにかかわらず解撤量を維持していこう、そして船腹調整を早く達成する、こういう趣旨からそういうものを認めてきたということではないかと思います。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  66. 河村勝

    河村委員 どうもおっしゃっていることがあちこちはなはだつじつまが合わないのですね。過剰船腹を急いで処理したいというなら、なおさらのこと一・五対一の比率というのは守るべき筋合いのものでしょう。今度はこっちから尋ねれば、そういう船腹は依然として過剰だ、さっきの市況の話とはまるっきり反対のことを言い出した。だから、こういういいかげんなブローカーをもうけさせるような結果におちいるくらいならば、多少テンポは落ちても業界の集約を進めながら、一方で約束どおり一・五対一でもって解撤が進められる方法があるならば、それを選んだほうがはるかに国民に対して忠実なゆえんだろうと私は考えるのですが、その点どうお考えですか。
  67. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 矛盾したことを言うではないかというおしかりを受けましたが、船腹の量をできることなら早く減らす、これの意味において他人の所有船でも認めた、私はこういうことを申しましたのですが、それにも限度がございまして、やはり輸送需要の目の前にあって、そしてその荷主の輸送の申し込みを振り切ってまでは解撤をやらぬ、こういうことを申し上げたわけであります。私としては矛盾をしていないつもりでございますが、ひとつ御了承願います。
  68. 河村勝

    河村委員 これを矛盾と感じないのは少しどうかしていると思うのです。それは最終的には三十六万五千トンなら三十六万五千トンでもよろしいのです。だけれども、それならほんとうに自己保有船をつぶすのであっても、解撤船を買ってくるのであっても、船腹の需給は同じでしょう。同じなんですから、それならば自己保有船をお互いに出させ合って、業界の再編成を進めながらやっていったらいいじゃありませんかという意見を持っているので、それに対する御答弁をいただきたい。
  69. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御意見はよくわかりましたが、当局といたしましては解撤量をできるだけ増大することを考えまして、またそれが内航海運対策として重要であると考えまして、先ほど来申し上げたような線に沿うて考慮をいたした次第でございます。
  70. 河村勝

    河村委員 いま一方でもって、市況が緩和したからそうあわてなくともいいと言いながら、片一方で過剰船腹は一ぺんに整理しなければ困るのだと、かってなことを言っているのですが、おそらく大臣はよく御存じないかもしれないけれども、どうも私はいままでのお話を伺っていると、結局は公団に船をつくらせないと商売にならない、だからしゃにむにやっているという感じしか受けないのですけれども、そういう点はどうなんですか。そういう気持ちが働いてきたのじゃないかという印象を受けますが、いかがですか。
  71. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そういうわけではございませんので、海運対策遂行上の見地から考えてやった次第でございまして、それが公団の商売あさりでやむを得ずやったのだというふうに見られることは、まことに心外でございます。
  72. 河村勝

    河村委員 今後、一体どうされるつもりですか。いま私はここでもって妥協したわけではないけれども、一体今後、解撤建造についての方針はどうお考えになっていますか。
  73. 大橋武夫

    大橋国務大臣 解撤比率につきましては、先ほど来申し上げましたごとく閣議で標準をきめておりまして、一・五対一というのが依然として閣議決定に残っております。これが理想でございましたが、周囲の情勢上やむを得ず閣議決定の限度内において手心を加えた次第でございますが、今後といえどもやはり一・五対一というのが目標でございますので、できるだけそれに近づけるべく努力をいたしてまいりたい、こういう考えは捨てておるわけでございません。
  74. 河村勝

    河村委員 私の持ち時間も減ってきましたから、係船のほうを一言だけ伺いますが、現在の実績が二万七千トンでしたか。五万トン目標ですね。これは六月末締め切りですか、これは一体どうされるつもりですか。五万トン何とかおやりになるつもりですか、もうやめるつもりですか。
  75. 野村一彦

    野村説明員 係船につきましては、一応いろいろな計算上のために、四月十五日で第一次と申しますか打ち切っておりますけれども、なお六月末日までは係船の希望を調査して、希望があればそれを審査して係船に加えるということで、ただいませっかく努力中でございます。
  76. 河村勝

    河村委員 希望があれば加えるというだけであって、積極的に五万トンだけ係船させようという意思はない、そういうことですね。
  77. 野村一彦

    野村説明員 この点につきましては、先般の久保先生の御質問海運局長お答えいたしましたように、中核六社の社長等に局長が会いまして、その傘下の子会社と申しますか系列会社を含めて、できるだけこの閣議決定の線に沿った係船の実施に協力するように呼びかけ、また私どももそれぞれの担当の部門にいろいろ呼びかけをし会合も重ねまして、鋭意係船量を目標の五万重量トンに達するように努力したつもりでございますけれども、先ほど来局長のほうから申し上げましたような輸送需要の伸びということがございまして、現在までのところそこまで達していないという事情になっておるということでございます。
  78. 河村勝

    河村委員 その程度の御答弁ではたいへんおぼつかない。私は共同係船もできないで終わるだろうと思うのですが、結局解撤建造のほうも共同係船のほうも、ふたをあけてみたらまるっきり看板に偽りありの結果になってしまう。内航海運の問題といたしましてはずいぶん大きな問題なんです。しかも非常な長期、低利の融資利子補給まで法律できめておいて、それが初めからこういうひどいかっこうになってしまったという状況で、しかもそれを何とかして打破して成果をあげようという意図もないように思われるのです。これでは、おそらく今後あなた方のおやりになる政策というものは、だれにも信用されなくなってしまうと思うのです。だから、今後もう一ぺんやろうったってだめです。海運市況というものは、非常に波があるものです。いま多少好況かもしれないけれども、しかしいま好況だといったって、標準運賃に比べて、一体どれだけのところまで運賃の実績が到達しているのですか。
  79. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 実勢運賃は、調整運賃というのがございますが、——まず標準運賃というものを告示で運輸大臣が示しております。それを標準にしまして、各海運組合が調整運賃というものをつくっております。それよりも実勢運賃が四、五%低いというのが大体の情勢でございます。
  80. 河村勝

    河村委員 平均四、五%かもしれませんけれども、私の見るところでは、おそらく一〇%以上下回るような気がします。船によっては、中には品物別に需給の逼迫しているものもあるかもしれませんけれども、一般貨物船については、決してこれでもう船は足りないくらいなんだという話ではないはずなんですね。ですから、ここで多少好況かもしれないけれども、こういう時期に解撤も予定どおりやり、共同係船も予定どおりやらせる。そうでなければ、目先のミクロの問題にとらわれて政策の実行能力を欠いていったならば、もう一ぺん今度不況の時期がきて、こういう政策をやろうといったってもうできませんよ。それは国会だって信用しないし、国民も信用しません。そういう意味で、私は時間がないからこれでやめますけれども、よくもう一ぺん反省をされて、この対策自身も修正する可能性があればどんな修正でもやって、少しでも目標に近づけるように、そういう努力を続けるべきだと思うのです。そういう決意をぜひとも要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  81. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま河村委員のお述べになりましたことにつきましては、まことにごもっともでございます。今後当局といたしましては、十分そうした点に注意をして進みたいと存じますので、どうぞ御了承賜わりたいと存じます。
  82. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 久保三郎君。
  83. 久保三郎

    久保委員 この間の質問の引き続きでありますし、なおただいま河村委員からも幾つか重要な点でお尋ねがあったと思うのでありますが、そのうち一、二、引き続いて、よくわかりませんので、御説明をいただきたい、こういうように思うのであります。  一つは、今度の輸出船ですね。この前私から質問した、たとえば水船、沈没した船ですね。こういうものがいわゆる許可というか、一つ権利として売買というか、権利が売買の対象になるようにいままで御説明が実際はあったのであります。そこで教えていただきたいのだが、局限して、この水船というのは法律上船であるのかどうか。船でなければ、この間御答弁がありましたように解撤、スクラップということやその他の問題にはならぬのではないかと思っているわけです。だから、この水路というのは船であるのかどうか。
  84. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 船というのは法律的に何であるかいろいろ問題がございますが、船の登記、登録というのがございます。船にはいわゆる私法上の登記というもの、これは第三者の対抗要件でございますが、そのほかに船舶法による登録というのがございます。これは行政登録でございます。そしてもう一つ内航海運業法による登録というのがございます。これは事業登録でございまして、その事業登録の中に、どういう船を持っているということが書いてあります。ですから、事業の中の一つのファクターとして登録をされるわけでございます。常識的に言って、登録されておるものを一応船というふうに観念する方法もあるのではないか。それで、その物理的性能によりまして可航能力もないしあるいは浮いてもいない、そういうのが船か、そういう議論もございましょう。それで法律的な意味における船というものを、そういう登録されておるものというふうに一応観念をしておるわけでございます。水船の場合に引き当てに充てておるのは、その内航登録のまだ抹消してない船という意味に理解しております。
  85. 久保三郎

    久保委員 いまのお話は、水船は内航登録というものがしてある船ですね。それは海商法にいうところの船ではない。海商法には、御存じでしょうが、私初めて見たのでありますが、商法の六百八十四条、船舶の定義というのがございます。その一項に「本法ニ於テ船舶トハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テ」、商行為をなすということは、内航の登録がなければ商行為ができない。そういう目的をもって航海の用に供するものをいう。水船は航海の用には供し得られない。だから商法六百八十四条にいうところの船舶ではない。内航の登録を受けた船ということは、商法なり民法上どういう地位にあるのかということを実は聞きたいのであります。というのは、運輸省で扱っているいろいろな免許や認可というものが、たとえばハイタクにしてもナンバー一枚で何百万円というようなことで、実は権利としての売買があるやに聞いておるわけです。しかしナンバープレートなり内航登録証そのものが、抵当の対象には私はならぬと思うのです。抵当の対象になるものはそれじゃ船という物体、しかしその船という物体でも、そこに認可というかそういうものの権利、こういうものがくっつかないと登録にならないのかどうか、そういうようないろいろな解釈がたくさんありますが、私は政策上の問題としてこの間もお伺いしたのですが、さっきの河村委員質問からいっても、その解釈が、いいかげんではないのだろうけれども、どうも何かぐらぐらしてきちっとしないということでは、問題の一つだろうと私は思うのです。だからそういう問題は、あまりたいした問題ではないといえばそれまでですが、私はやはりそういうものはひとつきちんと整理をしてほしいと思うのです。この次でいいですから内閣として、政府としてはそういうものはどういうふうに考えておるのか、これはひとつ私も勉強しますけれども、皆さんのほうでもきちんとしてきていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  それからもう一つは、河村委員質問の中で、解撤比率は一対一・五というのが去年の五月の閣議決定事項でありました。ところが去年は一・五でやったのだが、四十二年はたしか一・三六ということで予算をとっておるというふうに思うのです。いわゆる予算の計算か知りませんが、四十一年が一・五の比率解撤が十三万八千二百五十三総トンですね。これはおたくから出た資料のようです。それで四十二年度のほうは十一万三千六百十九総トンの解撤、これに対して建造が八万四千三百七十九総トンで一・三五の比率である。こういうことがいわゆる年度別予算実行計画として計算されているわけであります。そうしますと、さっき河村委員が言うように、閣議決定事項の重要な事項である一対一・五という比率を変更することは手続上もこれはおかしいじゃないかと私も思うのでありますが、そういうところに何か政策自体がどうもぐらぐらしている、後手後手に回っている。後手後手に回るのはどういうわけか、反省する必要があると私は思うのです。大体内航二法というか、内航の始末をつけなければならぬというのは今日までかなりの時間がかかっています。当初考えられたのは業法の改正だったと思います。あるいは組合法の改正がされました。それからその次にやりましたのはいわゆる船腹量の策定を中心とする法律改正、その次に初めていま論議されている解撤係船というか、そういうものによるところの率の改正というふうに、実は何段がまえかになってきているのでありますが、言うならばすべての——すべてと言ってはおかしいが、内航対策が後手後手に回る、後手というよりは全体において、政府自体が内航の実態を正確に把握していなかったところに決定的なダメージがあるわけです。いまでもそうだろうと、私は失礼だが思っている。そうだとするならば、いまはいわゆる内航市況は上向きである、目の前に荷物があって船が足りないくらいであるというふうに直線的にこう考えているようでありますが、もちろんそうでない方もいるかもしれませんが、大体そういう感じが非常にに濃厚であります。だから一・五の比率はやめて一・三五というか一・三六というか、そういうものでもやむを得ない。ところが、話は横道にそれますが、言うならばこの際なぜ四十三年まで解撤建造を延ばしたのか、上向きないわゆる海運市況であり、ぼろ船はあまりないのだということならば、老朽船はあんまりないのだというならば、ないから、いわゆるスクラップ建造というふうに持ってこない、一つ理由としてはそうなりますよ。だから、四十一年では当初だからなかなか軌道に乗らなかったというのなら、それはそれでいい。しかし解撤建造というのは四十二年度、本年度で終わりなんです。なお四十三年までいくのは船主は、いわゆるこれは言うならば不利ですよ。だから結局、解撤は一挙に四十一年でばさっとやるわけだった。ところがばさっとやっていないんでしょう。建造のほうは二年、三年、三カ年間でやるが、解撤のほうは、スクラップのほうは四十一年度ばっさりやる、こういう約束でしたね。実際はやっていないのでしょう。また、やれない状況にあるのでしょう。だから何か作文的にと言っては語弊があるが、ことしは一・三六くらいの比率になるのじゃないか。これが一つ。だから私の言いたいことは、もしもばっさりやっていないとするならば、いままでやれなかったことなんですから、四十三年まで延ばすことはない。希望のないものにはもはやこの制度は終わりだ。希望のないものをいつまでも制度をぶら下げておいて、来ませんか来ませんかと言って安売りする必要は、さっきの税金の話ではありませんが、毛頭ない。だから今年度ですべて解撤建造は終わりである、以後そういう特権というかいわゆる特例は考えない。というのは、内航市況がよくなってきているのだから、そこに何ら手当てをする必要がない、こういうふうに思うので、もし解撤の必要があるならば本年度で終わりというふうにしたほうがより妥当ではないだろうかというふうに考える。いかがでしょう。
  86. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 建造は三年間でやりますけれども、解撤は四十一年度、初年度で一度にやるわけでございます。そのやる率が一対一・五の予定が、一対一・三六というふうに若干後退をいたしたことは事実でございます。それで、これは四十一年度末までに解撤したものということで縛っておったのでございますが、いろいろ解撤状況を見ますと、なかなか年度末までにはやりにくいというので、二カ月延ばしまして今月末までに解撤を行なったものも今後三年間で建造を認めるということにいたした次第でございます。そして最後の結末が今月末にはっきりするのでありますが、今月末までに解撤が終わらないものにつきましては、これは失格としまして、一応建造を認めないことになっております。
  87. 久保三郎

    久保委員 解撤が終わらぬというが、これこれを解撤するという申し込みによって建造を許可するのでしょう。建造を許可する直前か知りませんが、そのときにスクラップにするのでしょう。そうでしょう。それはそれでいいとして、大体今月末といったって、もう末です。あした一日しかないのですね。大体これはどの程度かおわかりですか。
  88. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 まだ最後の整理ができてないようでございまして、公団から最後の様子がわかり次第御報告いたしたいと思います。
  89. 久保三郎

    久保委員 そうしますと局長、これはやはり四十三年度までかかるのですか。四十三年度に延ばす理由は何ですか。いや、そういう質問のしかたはおかしいかもしれませんが、当初三年間に建造するということ、四十一年度中に全部スクラップする、そういうことをおきめになった理由は、何で三年間に分けて建造するのですか。それはどういう理由です。いや、おわかりにならないかな、参事官首をかしげている。何で三年に分けて建造する、無理でしょう、スクラップは一年でぱっとやるのだから、ばっとやるときにばりとつくればいいんだから、それをしないで三年にした理由は何でしょうかと聞いておる。
  90. 野村一彦

    野村説明員 先生御承知のように、閣議決定当時の計算によりまして、当時約五十八万トンの余剰船腹があるわけであります。これは老朽船でございますので、これはできるだけ早い機会に一挙に解撤をして船腹量を調整したいということで、一挙解撤をきめたわけでございます。なお建造のほうにつきましては、一挙に解撤をしてそれを一挙に建造をするということになりますと、質的な改良にはなりますけれども、量的には早く船腹が就航するということがございまして、当時策定いたしました適正船腹量とのバランスを考えながら三カ年に分けて建造するという当初からの計画に基づいてやっておるわけでございまして、現在の段階におきまして、いま申し上げましたように一挙解撤のほうは、二カ月ほど事務の手続上の関係で時日を延ばした。建造のほうは三年間に分けてやるという当初の方針は、そのまま踏襲しておるわけでございますが、量的にはスクラップとの見合いで減っておる、こういう状況でございまして、三年間段階的に建造するというのは適正船腹量とのバランスが主因でございます。なお、そのほか副次的な原因としては、造船所の船台の関係、そういうこともあるわけでございます。
  91. 久保三郎

    久保委員 大体そうでしょうね。船腹が過剰であるから、老朽船だけはスクラップするものは一挙にしてしまう。そこで減していく。それで逐次建造していくということは、船腹を急激にふやさぬ。それから、一・五にした理由は、言うならば船腹量をある一定限度に押えてふやさないというような計算。ところが、この間も言ったように、一・五にしたって生産性というようなものは大体対々ぐらいにいくような近代船ができてきている。そういうことからいえば、もはや解撤建造によって船腹の調整をはかるというのは、これは意味のない話である。むしろこれは内航の船質を改善するというところにメリットを置いていくようになってきたというような考えでこの間は質問をしたところが、あまり抵抗はないから、そのとおりというふうに私は考えておった。そうだとするならば、無理して一・三五とか何かにしないで、この際もう老朽船はあしたで締め切りなんだから、それでもう締め切ってしまって、そして建造できるものはもう単年度、ことしだけで建造していく、何も四十三年まで延ばすことはないではないか。海運市況はいいというのだから、いいならば、船は多少ふえたって——ふえるというか、減っているんですから、まあいいではないか。ただし一・五にしたらどうか。一・三五とか、それから、何も当初どおり来年までかかって建造するというふうな、そういうふうなものは適切な措置ではないだろうというふうに、てまえどもはここだけでは思うわけなんであります。しかし問題は、しかく簡単なものではなさそうだ。というのは、これから御質問申し上げる、いわゆる集約の問題が一つあるわけなんです。集約についても、これは解撤建造を渋る、あるいは、係船が計算どおりいかないというようなことも、全部が全部じゃないだろうと思うが、ほかから見ていると、どうもスムーズにいかない原因の一半は、一つはこの集約の問題にありそうだ。これも権利化するんじゃないか。すでに権利化しているんでしょう。そう思うんですね。これはそうではないですか。私の言っていることわかりましょうか。おわかりになる。それでは、そういうことに見ておられるかいないか、それを一ぺん聞きたいのです。
  92. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 御趣旨はこういうことじゃないか、私の理解が間違っているかもしれませんが……。集約ということは、適正規模にするわけでございまして、一定船腹量を持たないと許可が受けられない。したがって、ここで自分の持っている船をスクラップに回してしまう。一・五をつぶして一しかできないんですから、その基準より減るわけです。それで解撤を渋っているんではないか、こういう御趣旨かと思いますが、さようでございますか。
  93. 久保三郎

    久保委員 そうです。
  94. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 それで、その権利の売買が、そのために船腹量としてのワクですか、おまえのほうの千トンと私のほうの千トンを集めればこれは許可を受けられるんだ、おまえのほうの千トンの権利自分のほうに譲ってくれないか、そういう意味権利の売買かと思います。この集約の最後の許可は四十四年の九月でございますので、まだ時間的にも相当余裕がございます。そこでまず、先生のほうが早耳かと思うのですが、われわれのほうにはまだそこまで、そういう権利の売買がだいぶ行なわれてきたというような話はまだ私は聞いていません。よく調べてみたいと思います。
  95. 久保三郎

    久保委員 まだ時間的には余裕がありますから、お話のように、そこまでは発展しないだろうという見通しのようでありますが、私は決してどこからか聞いてきたわけじゃなくて、大体そういうことじゃなかろうかなあというふうに最近は思うようになってきたのです。私もしろうとでありますから、だいぶここ三年ぐらいの間政府にだまされ続けてきたものですから、ものごとは一ぺん裏返してみてからじゃないとどうもうまくなさそうだと思って質問しているわけです。  それはいいとして、一挙に今年度で解撤新造は終わりにしたらどうですか。やらぬですか。来年までやりますか。やっぱりやるのですか。そうしてやったほうがいいのじゃないですか。
  96. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ことしで終わりにしたほうがいいんじゃないかという御趣旨が、解撤代替建造という方式をことしで終わりにしたらどうかという御趣旨でもしありますと、三年間で代替建造をやるという閣議決定もございますし、そこまでの目標でもって各船主が申し込んでおりますし、いろいろな手配もいたしておりますので、このたびの三カ年計画だけはこのまま進めたい、かように考えております。
  97. 久保三郎

    久保委員 閣議決定もございますからといって、変なところでは閣議決定が出てきたり、そうでないときには閣議決定なんか吹っ飛ばしちゃって歩いているようなものだ。まあそれは政府内部のことでありますから、お考えどおりにおやりになるのもけっこうだと思うのでありますが、来年になったらまたうんとこれが変わるんじゃないですか。変わったときにまた同じ質問をここで河村先生らにされても、ちょっと困るのじゃないかと私は心配しているのです。なければいいですよ。いいですが、そういうふうに一つ考えているわけです。  それから、さっきの河村先生の質問で、やはりどうも脇にいて聞いていておかしいのは、「貨物船輸出する海上貨物運送事業者又は貨物船貸渡業者と費用を分担して、」老朽船を解撤建造するんだというようにこれは書いてあるのですね。ところが、何回かの質問で、それは権利を譲ってもらったものと解釈しているんだ、輸出した人と建造する人は別であってもいいんだという解釈でしたね。そうですね。ところが、これは私は河村さんと違うところを見ているのかな。これは公団法第十九条の第一項第五号なんです。第一項第五号で、完全に読むと「五 老朽貨物船等を解撤し、又は貨物船輸出する海上貨物運送事業者又は貨物船貸渡業者と費用を分担して、運輸省令で定める総トン数未満の鋼製の貨物船船舶安全法(昭和八年法律第十一号)にいう遠洋区域を航行区域とするものを除く。)を建造すること。」これが公団目的達成というか、業務になっているのです。これでできることになっているのでしょう。そうでしょう。
  98. 野村一彦

    野村説明員 いまの先生の御質問は、一般的な解撤建造公団に認める、公団業務についての基本規定でございますね、それは、おっしゃるとおり、貨物船につきましてはこの十九条の第五号のいま先生のお読みになった条文によって解撤建造をやっております。
  99. 久保三郎

    久保委員 今回のもこれでやるのですね。さっき河村委員質問はこれと関係ありますか、ないですか。
  100. 野村一彦

    野村説明員 解撤建造業務はいま申しましたように、この五号でやっております。先ほどの河村先生の御質問は、八号にございます解撤融資の件についての御質問でございましたので、八号によってお答えいたしました。その八号は、今回新たにきめられました解撤融資をやる根拠規定でございます。
  101. 久保三郎

    久保委員 それで、これからいうと、さっきの河村委員質問になるわけなんだが、貨物船輸出するいわゆるオペレーターなりオーナーと費用を分担してというのだね。それで解撤建造をしていくのだというのだね。ところが、さっきは船を輸出するものは、ここに書いてあるオペレーターなりオーナーかもしれないのだ。ところが他のオペレーターあるいはオーナーが、今度その権利を買って——権利を買うんでしょうね。そういうことになっているかどうかわからぬが、実際は権利を買う。そうしてそれを輸出しましたから何トンの船をつくってください、そういうことになればつくるということでしょう。だからこの法律の文言からいけば、たとえば河村さんという海上貨物運送事業者、いわゆるオペレーターが船を持っていて、これがインドネシアかどっかへ売船した。久保というオーナーがいて、それで川村オペレーターから紙っぺらをもらってきて、これは輸出しました。ついてはスクラップはこれです。ひとつ新造してください。さっきは、それは可能だという答弁なんですね。そうですね。日本文で書いてある限りは、これはどう解釈しても、違う人格の者がいいなんて書いてないですね。
  102. 野村一彦

    野村説明員 一般的に申し上げますと、公団解撤建造業務をやっておりますのは先生の御指摘のとおりでございますが、その形態を分類いたしますと、Aという人が自分の所有船を解撤をして、そしてA自身が建造をするという場合が一つございます。それから今度はBという人がおりまして、Bという人の解撤した船をAが買い取りまして、そしてAが建造をする、こういう場合がございます。それが解撤の場合でございます。  それから輸出の場合について言いますと、Cが自分の船を輸出してC自身が建造する場合がございます。それから、DがCに船を売って、その船を買ったCが輸出をして、C自身が建造をするという場合がございます。もう一つは、EがEの船を輸出をいたしまして、そのあとでCが船を輸出した権利を買って、そしてCが建造する。こういう場合がございまして、私どものこの公団の第十九条の第五の基本的な規定は、いま申し上げました五つの人がそれぞれある一定の船を解撤または輸出をして、船を建造しようということを公団に申し出た場合に、公団は審査をして建造を認めるという規定だと解しておりますし、第八の河村先生の先ほどのお尋ねの場合は、やはり解撤融資の対象といたしましては、自分自身あるいは他人の船を輸出または解撤して建造をしようという建造希望者に対して融資をする、こういう規定でございます。この点につきましては、いま申し上げましたようないろいろの形態がございますので、その形態を従来認めておったわけでございます。
  103. 久保三郎

    久保委員 参事官、ぼくが聞いているのは、いろいろな形態を取り扱っているということは間違いではないのかという意味で聞いているのですよ。ここに書いてあるとおり、「貨物船輸出する海上貨物運送事業者又は貨物船貸渡業者と費用を分担して」云々と、こうなっているのだから、どうしてここに関係のない人が費用を分担して船ができるのかということを私は質問しているのですよ。しかもこの次までに解釈してくださいというのは、いわゆる許可認可、そういうものはどういうふうに法律上見ることが正しいのか、あなたのお話の中に売買という話がいまも出てきているのですね。そうだとするなら、これはやはり法律的に何かどこかでコンクリートされていなければならぬはずだと私は思うのです。もともとからいうと、船腹過剰だの、国家の助成を待つというような業種は、そういう権利が売買の対象になることは、国民としては迷惑なんです。そういう権利が売買のできるところへ国家の税金をつぎ込まなければならない、こんなばかばかしい話はないですよ。これは理屈じゃなくて、国民的な感情ですよ。それは権利でも何でもないというなら多少はいいけれども、紙っぺらを移動すれば銭になるんだ、そこへまた助成金を出さなければならぬというようなこと、証明書や認可書をやるだけで、国家の庇護のもとにというか何というか、そこへ助成をやるなんということは、これはたいへんなことですよ。一般国民には何もないですよ。まあ理屈におちいりましたが、そういう意味でも、この文書からいくと、さっき河村委員質問したとおり、法でいった場合には第三者がその権利を買って云々なんというのは、どこをつっついたって出てこないのですよ。だからほんとうならば、これはいわゆる許可の権利のあるものが分担して建造ができるというふうにでも改めるならば、まだはっきりしますね。これはこれでやはり違うと思うのです。これもさっきの権利の問題となりますから……。私はこれはいまの場合は、どうもこの法律の文言では、あなたの答弁は少し違う。少し違うというよりも、だいぶ違うというふうに思うのですよ。だから、いい悪いは別にして、法律的な解釈の知恵というか、そういうものを確立する必要がこの際ある。そうでなければ、この法案を通しても意味がないというふうにさえ私は感じているのです。  それから時間もありませんから何ですが、標準運賃について先般質問すると言っておきましたから、若干お尋ねしたい。ここに資料をいただきましたが、この場合いわゆる三品目で。七航路についてでありますが、そのほかにもあるようであります。この石炭、あるいは鉄鋼、この二つは実勢運賃とそうたいして変わりはないということでありますから、多少これは実効性がある。ところが重油については、残念ながらどうも実勢運賃との間にはかなりの隔たりができてきている。これはいかなる原因であるか。その原因はいろいろあるかもしれませんが、荷主との関係、あるいは船腹との関係というか、そういったいずれにこの原因があるのか、ひとつお聞かせをいただきたい。こういう場合には運輸省はいかなる指導をするのか。標準運賃より実勢運賃がかなり落ちているという場合には、運輸省はいかなる対策があるのか、あるいは海運組合そのものがどういうふうにすべきなのか、ひとつお答えをいただきたい。
  104. 野村一彦

    野村説明員 ただいま先生の御指摘のように、標準運賃が設定されております三品目の中で、石油の運賃につきましては、特に調整運賃、実勢運賃、標準運賃と比較してずっと下回っているということは、御指摘のとおりでございます。この原因につきまして私どももいろいろと実情を調査いたしておるわけでございますが、基本的に申しますと、内航のタンカー関係の船主あるいはオペレーターというものは、そうでないものもございますけれども、相当程度いわゆる石油関係の荷主の子会社と申しますか、系列会社と申しますか、そういう系統のものが多くて、実質的には、いわばインダストリアルキャリアと申しますか、そういう形態をとっておるものが相当ございます。したがいまして、荷主との折衝の関係で、ほかの鉄鋼とかあるいは石炭の業者と比べて、きわめて弱いという基本的性格が一つございます。  それから第二の点は、石炭とか鉄鋼の場合におきましては、集団交渉と申しますか、海運業者側は海運業者側で海運組合を中心にしまして、たとえば石炭については庚申会、あるいは鋼材については大手鋼材メーカーの幹事会社等々、集団で折衝して、一挙に運賃を解決するという方策をとっておりまして、それがかなりの効果をおさめているようでございます。ところが石油業界におきましては、たとえば石油連盟とタンカーの海運組合が折衝いたしましても、石油連盟としては、運賃の問題は個別企業と個別企業が折衝してくれ、自分たちは運賃の問題を折衝する権限も、そういう職能も与えられていないということで、結局集団的な折衝というような場を獲得することができませんで、個別的な企業が個別的な石油の企業と折衝をしておるということでございます。したがいまして、非常に団結力も弱くて、また個々の運賃折衝において低位に押えられているということでございます。それで私どもとしましては、こういうことではいけないということで、せっかく内航タンカーの海運組合もできたのでございますから、海運組合としての活動力を強化するようにかねて強力に指導してまいったわけでございます。先般、今月の初めに全国の内航タンカー業者のおもな人が東京に集まりまして、ぜひ調整運賃を実行しようということで申し合わせをしました。私どももその会合の席へ出て、ぜひ調整運賃に一歩でも二歩でも近づくように努力してほしい、それにはまず交渉の場をつくるようにすべきであるというような意見交換をいたしまして、目下それの指導をいたしておるわけでございますが、現状は、いま先生の御指摘のように、鉄鋼、石炭に比べて非常に力が弱く、したがって運賃が低位に据え置かれておる、こういうふうな状態でございます。
  105. 久保三郎

    久保委員 大体お話しのとおりだろうと思うのでありますが、ただ問題は、現在の事態の解決というだけではなくて、いうなれば今後作業にかかるであろう集約について大きな関係が出てくると思うのです。集約はしてみたものの、実際は内航海運そのものに利益が与えられなくて、最近はやりのいわゆる流通機構の整備、そういうことで運賃の負担がいわゆるコストダウンできた、総資本の要求にだけこたえられたということになれば、国家の資金なりをつぎ込んだり、海運局というぼう大な組織を使って零細な企業であるべき内航海運の助成あるいは建て直しというようなものをはかってみたところで、しょせんそれは総資本の利益のためにであって一もちろん総資本も言うでありましょう。運賃なり流通機構におけるコストダウンは、結果としては国民生活に対する物価の引き下げにつながるのであるからというようなことを、たしか言うだろうと思うのです。しかし、いまだかつてそういう観点から流通機構の合理化というようなものと真剣に取り組んだものを、私は知らないのであります。またはそういうことが、いまの体制の中ではできるはずはあまりない。極端に過ぎるかもしれませんけれども、なかなかこれはできにくい。だから、そういうことを考えていわゆる内航の集約というものをやっていくのか。もちろん日本における物資輸送の機構を改善し、あるいは合理的にしていくということも、これは当然政府としては考慮に入れなければならぬことでありますが、もう一つの大きなねらいは、それを業とする者の経営の安定あるいは流通機構の安定というか物資輸送の安定ということにつながらねばならないと思うのであります。先ほど参事官から御説明のありましたような実態は、たとえばインダストリアルキャリア一つとりましても、これはいわゆる荷主の運賃引き下げの道具に今日まで使われてきたことは事実であります。これはもちろん荷主も必要上、そういう自分で、自分に必要なコネを持ったということでありますから、これは何も非難する必要はないのであります。しかしこれは全部がそういう船を自分でかかえておるかというと、一部だけかかえておいて、言うなれば運賃をダンピングというか、たたくための一つの材料にしていくというようなことも、まさに今日まで見受けているわけであります。だから、今度の集約なりこの制度によってそういうものが排除されて、公正な取引が荷主との間にできるようになるのかどうか。大体内航の指導権をとっているものは、残念ながら荷主とその上に立つ金融資本、こういうものが船の場合は特に力が強い、内航でもそのとおりでしょう。だから、そういうものに関係なくてといえば語弊がありますが、もちろん関係ないということは言えませんが、荷主なくして船ばかり走らせるわけにいきませんから、荷主が存在することは当然でありますが、少なくとも荷主と内航団体というか、海運組合が対等の立場で内航の運賃、いわゆる取引条件というものが確立される、あるいはそれに近づくための集約であるのかどうか。それはそういうふうになりますかどうかということです。こういう集約は何のためにいたすのですか。
  106. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ただいま先生がおっしゃったようなこと、そのとおりでございますが、現在の内航海運業界の状態と申しますのは、非常に零細企業が乱立しておるというのが、企業体制の問題としては一番大きな問題でございます。一ばい船主が八〇数%もあるということが一番大きな病弊でございまして、零細企業であって、しかして乱立をしておるために過当競争が行なわれておるというのが実情でございます。そこでまず、一番根本的な原因であるところの零細な企業であるという点を何とか適正な規模に集約する、それによって業界に一つの秩序を与える、その秩序を与えることによって公正な競争が行なわれるようにしようというのが、このたびの集約のねらいでございます。このようにして、ある程度の規模までに集約をいたしましたものが、内航海運組合法によりますところの海運組合に組織化されまして、そしてそれが共同して荷主とお話をするということによって、いままでの隷属的な立場、そして荷主に対し非常に弱かった立場というものを強くしていこうというのがねらいでございまして、ただいま先生のおっしゃったことと全く同じということでございます。
  107. 久保三郎

    久保委員 そこで、ちょっとしろうとらしいお尋ねで恐縮でありますが、内航海運業法施行規則で、第四条が基準船腹量ということでありますが、これは一、二、三、四とこうなっているわけなので、いまある海運組合の規模、規模というか、そういうグループの中身というか、そういうものを基準にしてこれはおきめになっているのですか。もっと申し上げますというと、たとえば海運組合の中には全国内航タンカー海運組合、それから千トン以下で全国内航輸送海運組合、それから大きい船の集まりである内航大型船輸送海運組合、大体三つくらいでありますが、そういうものを中心に考えているのですか。
  108. 野村一彦

    野村説明員 先生の御指摘のこの施行規則の第四条に関する御質問だと思いますが、基準をきめましたのは、直接は現在の、いまお話しのような海運組合を対象にして考えたものではございません。大体現在の海運組合の構成メンバーと対比してみますと、この四つの基準がございます中で、第三号の三百トン未満というものは大体全国海運組合連合会程度の業者、それから第二号は、これは一部上に上がるかと思いますけれども、大体内航輸送海運組合、それから第一号は内航輸送組合の大きなところあるいは大型組合、こういうものが事実上それとおもに符合をするというふうに考えております。
  109. 久保三郎

    久保委員 これは絵をかいて、たとえば一にしても、これは大きい船中心であります。そうですね。それから、内航大型船輸送組合という傘下に集まる組合、それは幾つぐらいのグループになるか、グループのつくり方。これは総トン数五千総トンとかあるいは二千総トン、千総トンあるいは二百総トンということで単位を区切っているのでありますが、質問があっちへ行ったりこっちへ行ったりで恐縮なのでありますが、この二千総トンあるいは二百総トンというのは、いかなる理由がこの中にはあるのでしょうか。
  110. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 この考え方はいろいろな航路あるいはいろいろの物資別に、ある規模、ある大きさの船が最も適船であるという場合が多いわけです。そういうところには同じような船がだいぶ多いので、そういうものを考えて、この四つに分けておるわけでございます。そして、特に五千トン、二千トンというふうに分けましたのは、まずその基本的な考え方といたしましては、基幹航路と申しますか、いわゆるメーン航路ですね、たとえば若阪とか北海道−京浜とか、そういうメーンルートと申しますか、そういう基幹航路につきましては、将来これからは二千トンくらいの大きさの船が、採算上も最も有利になりますし、最も適船になるのではないか。地方航路、それ以外の航路でございますが、こういうローカル航路におきましては五百総トンくらいが最も適船ではないか、いろいろその港の状況、それから、いわゆるロットの大きさというものから考えまして、いま申しましたような考え方をしたわけでございます。そして、その二千トンなり五百トンなりの船を少なくとも四、五はい持つというような形が一番いいのではないか、この四、五はいの船を単位として許可制を考える、こういうふうに考えておる次第でございます。
  111. 久保三郎

    久保委員 こんな質問は無理かもしれませんが、たとえばこの施行規則第四条の一項一号は大型のほうなのでありますが、その集約の単位は五千総トンということになっているわけです。これは、五千総トンならばいわゆる経済的な効率のいい経営単位であるという意味なんでしょうね。それでは、どうして五千総トンならいいのかという意地の悪い質問になるわけなのです。これはよくわかりませんので、五千総トンならばどうしていいのか。これは簡単には解明できないだろうとは思うのだけれども、いまの局長の御答弁ではちょっとわかりかねます。  それからもう一つは航路別に——もちろんこれは船の形、船の大きさ、これは大きさだけ書いてありますね。今度実際に考えなければならぬのは航路別、航路別の前に、言うならば物資別ですね、物資別、航路別というものを加えたもので総トン数幾らならば適当である、こういう計算が出なければいかぬと思う。それで、これは説明だけではわれわれもちょっとわからぬものでありますから、次の機会までに、大型は五千総トンという単位はどんな計算をしているのか。それから未来図というか、将来図としては大体どういう方面に何グループということになるのか。それを、きょうはもう時間がございませんから、次に出していただきたいと思います。  それから次には、御承知のように内航海運業者の八五%くらいまではいわゆる一ぱい船主である。一ばいというからには、そんな大きい船を持っている者はない。小さい船、極端なものは機帆船かもしらぬ。木船ですね。そういうものが、言うならば内航対策上非常に問題になってきているわけです。一つは内航海運の市況が混乱する。混乱する原因は、言うならば八五%の一ぱい船主、その政策の基本であるべきところの一ぱい船主の掌握が政府として十分にできなかった。いまはできているのかもしれませんが、できなかったというようなことがあるくらい非常にむずかしい。それでわれわれの感情からすれば・言うならば、この近海を合わせ大型のほうは企業として成り立つようなものももちろんたくさんあるわけであります。だから八五%の一ぱい船主をどうするのかというのが、われわれは内航対策の半分以上の対策だろうというふうに実は見てきたのであります。もちろんこれは一ぱい船主ばかりの問題じゃありませんが、そういうことなんです。ところが、こういう集約のしかたでいくというと、言うならば主導権をとれないままにグループに集約されていくというふうに考えるわけであります。だから一ぱい船主の処遇というか・そういう扱いというのはどういうふうにこの集約の中ではなるのだろうか、これをひとつ、この次には、絵に書いてもいいし、御説でもいいのですが、説明をしてほしいと思うのです。  それから四十四年の三月いっぱいに法律上集約はなされるというのですね。そうでしたな。四十四年の三月まででしたか。
  112. 野村一彦

    野村説明員 現在登録を受けております業者が許可業者に切りかわりますのは、四十四年の十月一日からでございます。
  113. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、まるまる二年若干の月日がこれからあるわけですね。そういう期限の長いのはいかなる理由ですか。
  114. 野村一彦

    野村説明員 仰せのとおり二年以上の歳月がございますが、四十四年の三月までの間に役所のほう、それから各海運組合、それから個々の業者というものがいろいろと実情を調査しまして、いま先生のおっしゃいましたような許可体制に入るためのいろいろ行政指導をし、また集約等につきましても指導をする、その行政指導の期間、あるいは業者相互についていろいろと協業の体制を整える期間、あるいは契約、従来不明確でありましたオペレーター、オーナー、あるいは取り扱い業者との契約関係をきちんとさせるための指導を行なう期間、そういうものを約二年ほど見積もって、その二年の間にそれぞれの立場からこの許可体制を円滑に推進するための準備をやりたい、こういうことで考えております。
  115. 久保三郎

    久保委員 参事官の言うことはわからぬわけではありませんが、常識的に政策の実行ということを考えますれば、この集約というのも実は解撤建造あるいは係船建造というか、そういう政策とうらはらにしてやっていくべき性格のものではないだろうかと思うのです。というのはスクラップ・アンド・ビルドというか、そういうものは、スクラップは四十一年にぱっとやってしまう。そしてあと建造は三年だ、あるいは係船はこういうことだ、ところがそうやっても、さらに今度は集約という大きな課題があるのだということでは、全体の体質というか、全貌がわからない。言うなれば頭を先につくって、次の年には胴っ腹、その次には足、その次は手と、やっと一人前になったかと思うと、手が少し長かったり、足が短かったり、頭でっかちであったりしやしないかという心配をするわけです。そういう心配はないとおっしゃるならけっこうなのでありますが、そういう心配もある。だからこれはさっき答弁されただけではちょっとどうも何かよくわからぬです。わからぬというか、そういうふうに日数をかけなければできないものを、何で解撤だの係船だのといってやっているのだろうという気持ちも逆にあるわけです。全体の対応する形というか、そういうものをつくりつつあるでしょう。いま、そうでしょう。ところがそれを解撤建造という船腹調整——ところが船腹調整はもうすでに意味がなくなってきている。いわゆる不経済船、老朽船の代替建造、それに今度は重点が移ってきているのです。ところが今度は経営規模の問題になると、これからなんですね。そうなると、新しく船をつくるべきか、ボロ船を持ったままで、集約でとにかく見かけだけは太ったかっこうでいって主導権をとったほうがいいのか。たとえば千トンのボロ船を一ばい持っていますね。そういうものは集約の対象からいけば千トンの船を持っているのだ。千トンでなくても、千トンの船二はい持っていても二千トンですよ。そうなれば、うまくころべば、小さな船を二、三ばい持ってくれば、これは集約の親玉になる可能性がある。ところが、その船はもう老朽船でうまくない。国家経済、国民経済からいうならば、そういうしかたの集約は困るわけですよ。能率の悪い集約です。そういうものはないですか、そんなことは考えてないですか。
  116. 野村一彦

    野村説明員 いまの先生の御質問趣旨は、一ぱい船主と零細な業者がたくさんおる、そういうものに対する対策についての御質問だと思うのでありますが、私どもが考えておりますのは、またいま先生が御指摘になりました集約ということばで考えておりますのは、内航海運業の中の、三つの業態がございます。その中の運送業者についてであります。従来、運送業者も全然規模の制限がございませんでしたのを、今度許可制にして、そうして四つの段階に分けて、その規模に達する運送業者の企業規模をつくっていこう、それを二年間でやっていこう、こういう構想でございます。したがいまして、運送業者以外の、たとえば貸し渡し業者は同じく許可制にはなりますけれども、これについては規模の制限はいたしません。したがいまして、貸し渡し業者として今後もやっていきたいという希望の人は、これは規模とは関係なく貸し渡し業者として、オペレーターとの間に適正な契約を結んで貸し渡し業務ができるように指導をしたい。それから、規模の集約を問題にしますのは、いま言いました零細業者、一ぱい船主等で何人か集まった、あるいは協同組合をつくる、あるいは企業の合併をするとか、そういうことで一定の規模に達するものは、オペレーターとしてこれは許可の対象になるということがございますので、もしオペレーターとしてどうしてもいけないものにつきましては、といいますより、私どもとしては、従来実態は貸し渡し業者でありながら、オペレーターとして実は回漕業者の下働きをしておったというものについては、この際名実ともに貸し渡し業者になって、そのかわり、貸し渡し業者とその回漕業者なり元請業者との間の契約を、従来ほとんど契約らしい契約はなかったのを、契約を結ばして適正な運賃、料金を収受するというようなことによって、その人たちの経営基盤を強化したい、こういうふうな考えでございます。企業集約、企業の規模ということを問題にしておりますのは、もっぱら運送業者についてでございます。
  117. 久保三郎

    久保委員 運送業者についてだが、結局運送業者は、自分の持ち船ばかりではなくて、チャーターしている、あるいは専属化しているオーナーの船ということが当然、中に集約化されてくるわけですね。そうなると、あなたの御答弁のようにはオーナーはいかないものが多くなってくるだろう。というのは、ある程度集約してグループ化してくれば、ほんとうのオーナーらしいオーナーというのは成り立たなくなってくるのじゃなかろうかと私は思うのです。いわゆる海運市況の谷間、波のまにまに、オーナーたるべきものは、向こうのオペレーターに行く、きょうはこちらのオペレーターに行く、あすはまた違うところに行くというような、そういう極端なものはございませんけれども、そういう感じのするものが、言うならばオーナーであるべき筋合いなんですね。ところがそうでなくなってくるし、いまの参事官の御答弁によりますれば、それはオペレーター中心に集約化されても、言うならオーナーもその傘下に系列あるいは専属化されるということでありますから、オーナーは、オーナーで十分活動の分野も残しておくのだというような意味のいまの御答弁だけでは、ちょっとどうかと私らは思っているのです。  時間も過ぎましたからこれまでにしますけれども、どうもきょうは私のほうも少し勉強が足りなかったかもしれねが、しかし河村委員質問はなかなか歯切れのいい質問でしたが、答弁のほうはちょっと歯切れがいいとは思えませんので、これはやはり整理してきて結末をつけてもらわぬと、ちょっとわれわれのほうとしても聞いていて引っ込みがつかぬことがございますので、次会までにはきちっと歯切れよく整理していただきたい、こういうように思います。
  118. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 次会は、明三十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十分散会