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1967-05-19 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十九日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 進藤 一馬君 理事 福井  勇君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 井岡 大治君 理事 河村  勝君       大竹 太郎君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    徳安 實藏君       長谷川 峻君    堀川 恭平君       水野  清君    山村新治郎君       小川 三男君    神門至馬夫君       内藤 良平君    野間千代三君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       山下 榮二君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         運輸政務次官  金丸  信君         運輸省海運局長 堀  武夫君         気象庁長官   柴田 淑次君  委員外出席者         運輸省海運局参         事官      野村 一彦君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月十八日  委員小川三男辞任につき、その補欠として美  濃政市君が議長指名委員に選任された。 同日  委員美濃政市辞任につき、その補欠として小  川三男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十九日  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障  害の防止等に関する法律案内閣提出第一二三  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  船舶整備公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第三一号)  気象に関する件(観測施設整備に関する問  題)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  船舶整備公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。神門至馬夫君
  3. 神門至馬夫

    神門委員 質問をするに先立ちまして、法律の一部改正というふうに提案されるのですが、私たちが本委員会に所属しまして、関係法令集が全然ないのです。運輸省当局のほうとして、運輸委員会任務委員等が完全に遂行する、こういうような目的から、なるだけ多くの法令集委員に配付する考えはないか。他の委員会を聞いてみますと、非常に親切に配付をされておるようです。その点についてまずお答えを願いたい。
  4. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 運輸関係法令集というのを全部集めますと、相当な量になります。そこで鉄道関係鉄道六法、自動車関係自動車六法というふうに、別冊で非常にハンディな小さなものをつくってお配りをいたしております。海運関係法令集もそういうハンディなものをつくろう、つくろうといままで思っておったのですが、あることはあるのです。それがまたみんなまとまってないで、内航なら内航とか非常に各部門に分かれておりまして、これを海運だけ一本にまとまった法令集をつくるとなると、やはり金の問題になってきましてなかなかやりにくい面もあります。実は今度、内航海運業法も十二月に改正になったばかりで、改正になった新しいものが私の手元にも実はなかったので、これはまだ表書きもありませんが、きのうやっと私のもとに届いたという程度でございまして、なるべく早くそういうまとまった便利なものにしたいという気持ちでおりますから、できるだけ先生の御期待に沿うようにやってみたいと思います。
  5. 大橋武夫

    大橋国務大臣 神門委員の御要望まことにごもっともでございまするので、運輸省関係法令全体につきましてはいま政府委員から申し上げたような次第でございますが、私のほうで関係各局を督励いたしまして、そろうものからひとつ配付させていただくように計らいたいと存じます。
  6. 神門至馬夫

    神門委員 なるべく早く、長年の懸案のようですから、前からの委員の方に聞いてみますと、これまでも配付されてないようでありますので、ひとつ早急な御努力をお願いしたいと思います。  船舶整備公団法の一部を改正する法律案提案理由説明の中に、船舶整備公団昭和三十四年に、国内旅客船公団として国内旅客船建造、改造を目的として設立された、それから四十一年の十二月に内航海運対策推進のため新たに融資等業務が追加されて、名称が変わって今日に来たり、わが国海運業発展のために重要な使命を果たしてきた、こういうようにまず説明をされております。このような船舶整備公団変遷と申しますか、三十四年に設立されて今日に至りました。若干その任務業務内容が違ってきておると思います。そのようなアウトラインについてひとつ説明してもらいたいと思います。
  7. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ただいま神門先生のおっしゃいましたように、国内旅客船公団法昭和三十四年にできた法律でございますが、その法律によりまして、三十四年の六月十六日に公団発足をいたしておるわけでございます。それで、ずっと時日を追って沿革を申し述べますと、発足当時の資本金政府出資が二億でございまして、これは産投会計から出資をされております。公団の設立が三十四年六月十六日でございまして、目的国内旅客船整備ということに限定をされておった次第でございます。そしてこの初年度の事業計画といたしましては、客船につきまして五億という予算事業をスタートしたわけでございます。このときの役員理事長が一人、理事が二人、監事が一人、そして課が四つという構成発足をいたしました。次の年の三十五年の四月に、この旅客船公団法の一部改正が行なわれまして、二億の政府出資がさらに二億ふえまして四億ということになりました。このときの事業計画が、客船につきまして七億という計画でございます。さらに翌年の三十六年の四月二十八日に旅客船公団法改正が行なわれまして、この名称特定船舶整備公団法という法律名前も変わりました。この改正趣旨は、旅客船のみを対象とするところからさらに業務拡大をいたしまして、戦標船代替貨物船整備、そういうものをやることになりました。このときに理事が一名増員になりまして、貨物課が新たに新設されております。この年の事業計画は十七億でございます。さらに翌年の三十七年の四月一日に、この特定船舶整備公団法の一部が改正をされました。これは貨物船建造石炭専用船を加えるということと、港湾運送用船舶、すなわちはしけ整備ということもこの業務対象にするということでございます。さらに政府出資が一億追加されまして、ここで合計五億になったわけであります。この年の事業計画が三十三億でございます。それから三十八年には事業量がさらにふえまして、この年の事業計画額は七十億というふうに発展をいたしております。さらに翌年の三十九年の四月一日に、特定船舶整備公団法の一部改正が再び行なわれまして、これは戦標船にかわるべき老朽貨物船代替建造及び港湾荷役機械化整備業務範囲の中に入れるという趣旨改正でありました。この年の業務計画額は四十九億でございます。四十年におきましては、この事業計画額は八十八億というふうに拡大をいたします。さらに業務といたしましては、旅客船離島航路船舶整備ということを開始いたしております。それから四十一年に入りまして、この年の事業計画額は七十三億、当初計画は七十三億でありましたが、特定船舶整備公団法の一部改正によりまして——いわゆる内航海運対策というものが、この四十一年の中ごろから始まったわけでございます。そしてこの特定船舶整備公団法改正いたしまして、船舶整備公団法というふうに名前が変わったわけでございます。そして追加予算がさらに取れまして、当初計画の七十三億に加えて五十一億というものが追加されたのであります。そしてこの公団法改正は、昨年の十二月二十六日に成立をいたしております。このときの改正によりまして、公団理事が一名ふえ、事務当局の部も一部二課がふえてきておる一こういう経緯になっております。
  8. 神門至馬夫

    神門委員 経過、変遷等についてはわかりましたが、その間昭和三十四年以来、公団が直接手がけた新造船建造あるいは改造した船舶数及びトン数、それらは現有船舶の何パーセント程度になるのか、この点を説明願いたい。
  9. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 この船舶公団ができましてから今日に至るまでに建造いたしました船舶について申し上げますと、まず旅客船につきましては、昭和三十四年から四十年の間に二百九隻の三万一千九百五十九トン、四十一年には二十隻の四千七百二十七トン、それから四十二年、これは計画でございますが、六千トンをつくる計画であります。貨物船につきましては、三十六年から三十八年の間に五十四隻の十二万一千四百三十七トン、これには戦標船代替建造、また石炭専用船を含めてございます。それから三十九年から四十年にかけて九十九隻の十四万トン、これは老朽船代替建造ということでつくっております。それから港湾運送用施設につきましては、はしけが三十七年から四十年にかけて三百三十一隻、六万七千九百二十トン、引き船は三十三隻、荷役機械は三十三台ということになっております。四十一年にはしけが四十七はい、引き船が五はい、荷役機械が五十七台、こういう業務実績になっております。そこでこの船舶トン数を全部合計いたしますと、四十一年度の分はまだ集計してございませんが、四十年までのものを集計いたしますと、旅客船につきましては二百六十八隻の船をつぶしまして、二百七隻の三万七百三十八トンをつくっております。それから貨物船につきましては、三十七万トンの解撤をいたしまして二十六万四千トンの貨物船をつくっております。それで貨物船のこの二十六万四千トンというものは日本の内航貨物船のうちの何%を占めておるかと申しますと、内航貨物船は現在二百九十万トンでございますので、一割弱に当たると思います。旅客船は、これはまた別のグループでございますから、計算は別でございます。
  10. 神門至馬夫

    神門委員 そのように公団事業内容としても、資金量としてもずっと拡大されてきておりますが、この公団職員数ですね。さっきは部課あるいは理事の数の説明がありましたが、職員数については、発足当時からどのような変遷か。あるいは内航対策が加えられた現在において逼迫しておるのか、まかなえておるのか、そういう点をひとつ。
  11. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 船舶整備公団職員の数でございますが、三十四年に発足いたしました当時はわずかに二十名でございました。もちろんそのときの業務旅客船に限定されておったわけでございます。その後、三十五年に二十六人、三十六年に三十三人、三十七年に四十五人、三十八年に五十七人、三十九年に六十六人、四十年に七十七人、そして現在が九十七人という数になっております。これは役員の数も含めた数でございます。  それで、現在九十七人でやっておりますが、これで十分かという御趣旨かと思いますが、まあわれわれの見たところ、何とかやっておるということで、人員が足りないで業務が非常に渋滞した、そこまでは聞いておりません。
  12. 神門至馬夫

    神門委員 ちょっと最後のほうがわからなかったのですが、現在人員でどうですか。
  13. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 現在九十七名でやっておるわけでございます。先ほど申しましたように、いろいろ発足以来業務がだんだんつけ加わりまして業務拡大をしたことは事実でございまして、最初の二十名から、そのために九十七名にふえてきておるわけです。それで、現在これで十分かという先生の御質問の御趣旨かと思いましたので、人数が足りないために、非常に事務が渋滞をしておるということは、公団のほうからは聞いておりません。そういうことを申し上げたわけであります。
  14. 神門至馬夫

    神門委員 公団職員数なりがずっとふえてきたわけですが、そういう人件費等中心とする管理費はどういう原資によって、と申しますか、経費によってまかなわれているか、この点をひとつ説明してもらいたいと思います。
  15. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 一般管理費は月額にいたしまして、現在のところ千五百万円あれば何とかやっていけるというふうに聞いております。これは何でまかなっておるかということでございます。御承知のとおり、船舶公団出資金が五億、これは利子のかからない金でございますが、そのほかに、財政投融資資金運用部資金でございますが、これは六分五厘の金を借りておるわけでございます。これを内航海運業者と共同で船をつくるというかっこうで、共有船を持つわけでございます。そして共有持ち分使用料という形で、内航海運業者から毎年還流してくるわけでございます。いわば船の月賦販売、実質的には部分的な月賦販売というようなかっこうになるわけであります。その使用料計算する際に、その金利を、最初たとえば資金運用部資金の六分五厘で借りてきた金を、八分七厘で貸したようになるように計算をいたしまして、使用料計算をいたすわけでございます。したがいまして、要するに安い金利の金を借りてきて少し高く運航業者に貸したというかっこうで、それを使用料の形でだんだん返していく、そのいわゆる利ざやと申しますか、そういうものがこの公団のこういう管理費を生み出す財源になっておるわけでございます。
  16. 神門至馬夫

    神門委員 運用部資金借り入れ利子共有船貸し付け利ざやによって管理費を生み出している、こういうことですが、今度の改正提案説明によりますと、全事業費百五億のうち八十八億円を船舶整備債券によってまかないたい、こういうようなことになってきますと、その辺が、いわゆる利ざや管理費をかせぐという、管理費の生み出し財源が変わってくるのではないかというふうに思うのですが、その辺はどうです。
  17. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、いままでの利ざやよりもその利ざやの幅が縮まってまいります。したがいまして、今後は従来よりも苦しくなるということになろうかと思います。
  18. 神門至馬夫

    神門委員 きつくなるというのはどういうことなんですか。現在の九十七名の人件費等中心として、いままでよりか事業拡大に見合った割合には管理費はふえないという意味なのか、現在の管理費よりかまだきびしくなる、むずかしくなる、こういう意味なんですか。
  19. 野村一彦

    野村説明員 お答えいたします。  いま局長がお答えいたしましたように、従来は利ざやと申しますか、使用料公団借り入れ金利との差額でもって管理費をまかなって、なお若干、業務規程に基づきますところの損失引き当て金を積み立てるということができたわけでございます。しかし今後船舶整備債券を発行して約七分三厘強の借り入れということになりますと、その利ざやが減ってまいりますので、いま直ちに公団の経理が悪化するということはございませんけれども、こういう状態が長く続きますと、引き当て金を取りくずすとかいうことで、管理費が窮屈になる。ここ当分はそういう状態ではないと思いますけれども、数年先には、このままの情勢では、そういうことが予見される、こういうことでございます。
  20. 神門至馬夫

    神門委員 公団法の二十五条の一項に、「政令で定める基準により計算した額を積立金として」云々という積み立て制度があるのですが、これは現在公団のほうに積み立て金があるのか。あれば、その総額はどのようなものか。またこの三項にいろいろ書いてあって、「その残余の額を国庫に納付しなければならない。」という、国庫に納付したような事実が過去にあるのか、この辺を御説明願いたい。
  21. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 この積立金でございますが、言うなれば当公団の純益と申しますか、そういうようなものに当たるものは業務用資産損失引当金という形でこれは積み立てられております。これは現在累積で六億ということでございます。  第二の質問の、それを国庫に納付したことはあるかということでございますが、まだ納付したことはございません。
  22. 神門至馬夫

    神門委員 それは、先ほど説明があったように、管理費等の不足になった場合にはその引当金を充当していくという、その引当金ですか。
  23. 野村一彦

    野村説明員 御説明いたします。  現在公団でやっておりますのは業務用資産損失引当金でございまして、これはバランスシートの構成上の引当金でござます。したがいまして、現金化といいますか、そういうものではございませんので、その点ちょっと——法律二十五条で言います積立金ではないわけでございます。
  24. 神門至馬夫

    神門委員 内航海運対策の問題でちょっと尋ねたいのですが、去年の五月四日に出されました「今後の内航海運対策について」、海運造船合理化審議会答申を行なっております。この中で、「多数の小規模企業が乱立し、」云々とありますが、現在内航海運企業所有船舶企業別ですね、これがわかれば説明してもらいたいと思うのです。
  25. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 所有隻数別に申し上げますと、鋼造船木造船と合わせまして、業者の数が全体で一万四千九百六十五ございますが、その中でいわゆる一ぱい船主と申しますか、一隻しか持っていないという業者は、登録業者で八五・五%、正確に申しますと八五・四八%。ですから、大部分が一ぱい船主のところに集まっておるということでございます。二隻の船主になりますとぐんと減りまして九%くらい、それから三ばいしか持っていない船主の数は二・六%、それ以上の隻数を持っている船主というと〇・以下になってしまう、こういうような状況でございます。
  26. 神門至馬夫

    神門委員 現在四十一年度から一挙に解撤を行なって内航対策整備していく、こういう方向が答申でも、閣議決定もなされておるのですが、まだ始まったばかりであって、乱立傾向は現在もやはり続いていのるかどうか。
  27. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ただいま申し上げましたように、非常に小さな業者がたくさんある。そして運賃もそういい市況にはなっていないということは、やはり乱立状態が続いておって、何というか、過当競争的な状態がまだ存在するというふうに思われます。しかし、この答申が出されたころは、輸送需要不況のために非常に下降いたしておりましたので、一そうそういうような感が深かったのでありますが、昨年の秋ごろからこの輸送需要好況に向かったためか上向いてまいっておりますので、その最悪の場合よりも不況感と申しますか、そういうものは緩和されておるようでございます。
  28. 神門至馬夫

    神門委員 そういう海運業界不況下に出されましたこの答申なり閣議決定要綱というものによって、この三カ年解撤計画建造計画というものが決定をされておりますが、解撤建造——建造も含めてその実績はどうなのか。そうして、その解撤建造という計画が、海運業界が低迷しているときに出されたものであるが、現在のような好況下においてはすでに適応しなくなっているものかどうか、計画を変更する必要があるものか、この辺について伺いたい。
  29. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 この内航海運対策が立案されました当初の計画は、三年間で自立体制を確立しよう、それで船のだぶつきを早急に解消するために、建造は三年間でやるけれども、解撤最初の一年間でやっていく、こういう構想であったわけです。そして四十一年度に一ぺんにその解撤を行なうわけですが、その当初の計画は五十八万五千トンを一挙に解撤する予定でございました。ところがその後、先ほど申しましたように、昨年暮れから好況に向かったためか、輸送需要がだいぶ上向いてきまして、それともう一つは、解撤船スクラップ船の価格が、当初予想しておりましたより非常に高くなった。当初トン一万二千円ぐらいに考えておったのですが、それが二万七千円、三万円というふうに上がってきたような事情もございまして、この解撤予定どおり進まないということがだんだんはっきりいたしてきました。そして、いま建造計画を進めておるわけでございますが、これだけスクラップをいたしますといって各業者が出してきたものを集計してみますと、三十六万七千トンしか解撤できない。ですから当初計画よりも二十一万八千トンばかりズレができた、少なくなったわけでございます。当初一対一・五という解撤比率、一・五トンをつぶして一トンを建造するという解撤比率でございましたが、いま申し上げましたようなズレがありましたので、これは一対一・三六というような解撤比率にならざるを得なくなりました。もしこの一対一・五をどうしても維持しようといたしますと、非常に高い解撤船船主が購入してこなければならぬ。そうしますと、建造船価にそれが上に加わるわけでありますから、非常に高い船価になるわけであります。そういう高いものを無理やりにつくらすというようなことにいたしますと、かえって内航海運業者経営を圧迫するというようなことになりますので、最初解撤比率は多少くずれますけれども、やむを得ないという考えでおります。  なお、建造のほうは三年間でやるわけでございます。それで、四十一年は十三万トンの計画でございましたが九万二千トン、四十二年度も十三万トンやるつもりでありましたが八万四千トン、四十三年度は、これも十三万トンやる予定でございましたが九万二千トン、おのおのこの建造のほうも、解撤量が少なくなりましたので、できるだけ押えざるを得なくなったものですから、当初計画三年間で三十九万トンの新造を行なう予定でありましたが、いま申しましたように三年間合計いたしまして二十六万九千トンということで、当初計画よりも十二万一千トン縮小せざるを得なくなったような次第でございます。
  30. 神門至馬夫

    神門委員 そうしますと、この解撤建造の三カ年計画というものに大きな食い違いが来たしたわけですが、今度の法案の一部改正の中に提案理由としてある四十二年度予算の百五億というものは、すでにそういうふうな計画を変更した事業費なのか。あるいはそういうふうに計画実績とが食い違いになった場合に、浮いた予算というものは、今度提案されているような債券発行量を調整してその実行予算に合わしていくのか、その辺はどうなっているのか、ひとつ説明してもらいたい。
  31. 野村一彦

    野村説明員 お答えいたします。  貨物船建造につきましては、四十二年度以降は船舶整備債券ということで、内航貨物船につきましては八十二億円のワクが設けられておるわけでございます。そのワク内において建造のために必要な船舶債券を数回に分けまして発行して所要資金を調達する、こういう計画でございますけれども、ただいま局長説明いたしましたように、当初予定しておりましたのより解撤量も減り、したがって建造量も減るという見通しになりましたので、その発行額を手控えるということによって所要資金の調達を調整する、こういうことになります。
  32. 神門至馬夫

    神門委員 先ほどの説明によりますと、いわゆる一ぱい船主というのが全体の八六%、八五・四八ですか、ということですが、答申要綱全体を見まして、スクラップ化するための助成措置、そういう中に、たとえば一ぱい船主というような貧弱な経営企業において解撤して建造をする、それには何らかの助成措置補助措置というものがないわけです。あるいは四十二年度、四十三年度にいたしましても、解撤費の四〇%、六〇%の助成をするというような内容はございますが、そういうふうな零細企業に対する助成措置のないのが解撤計画をおくらしている一つ原因ではないか。それがこの内航海運対策全体のそごを来たす一つ原因ではないか。この辺についてはどういうように考えておられるか。
  33. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 一ぱい船主であるから新船の建造はやらせないということではございませんで、希望があれば一ぱい船主でも建造させるわけでございます。その際に解撤をしなければならぬ義務がございますので、一ぱいだとその一ぱい解撤するか、ほかからスクラップ船を買ってきてつくるか、どちらかになるわけでございます。そういうことのために解撤融資ということを行なうことになっております。それで一ぱい船主でも、申し込みさえあればそれを審査いたしましてやらすということにはなっておるわけでございます。
  34. 神門至馬夫

    神門委員 もちろん、一ぱい船主においても建造できるような仕組みになっているのはわかります。しかしそれは、たとえば今度は変更になって一・三六に対して一の新造船建造、こういう割合になるわけですね。すると、その年度内にそれをスクラップにして建造する場合には、いまおっしゃるような措置はないはずなんです。スクラップを四十一年度に一挙にいたしまして、二年、三年にする場合にそういう措置がある。年内にやる場合はない。また一ぱい船主ですから、つぶした船にかわる新造船を早く手にしないと生活手段がないので、やはりそういうものは年度内にスクラップにして、なるべく短期間に早く新造船を入手したい、こういうことになると思うのです。それに対する助成的な制度というものは何らないじゃないか、こういうことなんです。
  35. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ただいま先生の御指摘になりました点は、実はわれわれも非常に頭が痛いわけでございます。当初は、建造解撤とがあまり違わない時期にできる予定で進めておったわけですが、この船舶整備公団法改正がおくれてきたわけです。通常国会からずっと審議未了になりまして、そして昨年の十二月にやっと通ったという関係で、公団業務が融資業務をやるところまで拡張できないということで、そのズレのために建造のほうがおくれざるを得なかった。解撤のほうもそれじゃおくらせばいいじゃないかということになりますが、これは三月末日で解撤を打ち切ることになっておったのでありますが、われわれとしても、これはやはり延ばすべきだということで二カ月は延ばしたわけです。そして、これ以上延ばすということも考えられるわけでございますけれども、同じ四十一年度につくる船主の中でも、早い人とおそい人とありまして、それらの均衡等も考え、また予算成立のいきさつもございまして、これ以上ちょっと事務的には延ばしがたいということで、まことに心配な点がございますが、このズレは現状ではどうにもならないということでございます。現在そういうことで非常に困っておるという船主の話が公団にいろいろ来ておるかどうかということを伺ってみたのですが、大体船主も覚悟をしておるということで、それほど苦情はいまのところないということでございます。まことに先生の御指摘の点は、われわれも非常に心配な点でございます。しかしここまで進めてきて、これ以上解撤時期を延ばすということはちょっとむずかしいと思います。
  36. 神門至馬夫

    神門委員 方法がないということと、解撤時期の限度を四十一年度、ことしの三月以降に延ばす意思というものはない、こういうようなことなんですが、そういうようなことと、この要綱なり答申の中にある第二の、企業規模の適正をはかっていく、適正規模化のための事業の許可制の問題ですね。この辺の問題との一連の思想というものは、むしろ一ぱい船主的な零細企業をつぶしていくというような、いわゆる内航海運対策全体にあるのじゃないかと思うのだが、この辺についてはどうです。
  37. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 零細企業をつぶしていこうという考えじゃございませんで、生かしていくためにはどうすべきかという、むしろそういう考え方でございまして、どうしてもこれから良質なサービス、それから健全な企業でしっかりした輸送サービスを提供していくというためには、やはり零細な企業じゃなしに、経営基盤のしっかりした、ある程度の規模を持った事業にしていきたいということで、許可制をしくことによりまして、その許可の基準を、一定の規模というものを四つの段階に区切りまして——幹線航路なりローカル航路なり別にいままでの船の所有の規模、そういうものを勘案いたしまして四つのクラスに分けまして、できるだけ集約なり協業化と申しますか、そういうことによって零細企業をなるべくまとめるような形で育てていく。そして先ほどもありましたような、一ぱい船主が新しい船をつくろうと思ってもなかなかできない、そういうものが寄り集まって協業化と申しますか、そういうことによって大きな船がつくれるというふうにしていきたいというのが、われわれの考え方でございます。
  38. 神門至馬夫

    神門委員 規模の許可制と協業化によって、いわゆる内航海運全体の規模の適正化なり、整理をしていきたいというお考えの答えでしたが、協業化と許可制なり解撤と一連したようなものが何か制度として生まれないと、いまおっしゃったような理想的な状態にならぬのじゃないかと思うのですが、その点についてはどうですか。行政指導としては何かそのほかにあるのか。
  39. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 先ほど申しましたように、許可制になるわけでございますが、これを四つに分けまして、許可基準をつくっております。総トン数五百トン以上の鋼船を使用するものにつきましては、五千総トン以上の規模を持たす。あるいは五百トン未満の鋼船を使用するものは、二千総トン以上持たす。あるいは総トン数三百トン未満の小さな鋼船を使用するものについては、千トン以上の船を持たす。また平水資格船あるいは木造船及びはしけだけを使用していままでやっていたものは、二百総トン以上持たせる。こういうふうに許可基準をきめまして、なるべくこれだけの支配船腹を持つように、自分だけで足りなければ何人か集まって新しい会社をつくる、あるいは合併しなくても、協業化と申しますか、そういうことによりまして、そういう規模を持つということにまとめていきたい。そうしていきますと、いまの実情を調べてみますと、ほとんど大体片づいていくのです。現状を見ますと、荷主と運送業者の間に配送業者とかいろいろなものが入って、直接運送の請負をやってないという零細な業者が非常に多いのであります。そういうものは本質的には貸し船業者でございまして、自己の責任で、自己の名において運送をやっておるということではなしに、船をただ貸しておるという、いわゆる貸し船業者でありますので、そういうものは貸し船業者として免許を切りかえる。そのほうが、いわゆる運送契約などが非常にはっきりしてきまして、いままでのようにうやむやなことで輸送をやっておって、どれだけ運賃収入があって、どれだけが回送業者の手に入るかわからぬような状態じゃなしに、貸し船料が何ぼだということで、はっきり契約をしていけるような体制にしたほうがいいということで処理をいたします。そういうことでやれるものは、大体六二%がそういう貸し船業の許可に切りかえるということで、運送契約を、荷主との関係あるいはオペレーターとの関係をはっきりするということにしてまいりたいと思います。その他の分は三八%の業者が残るわけでございますが、そのうちの四%強の人は、先ほど申しました四つの段階の許可基準の中に大体当てはまるのでございます。それからさらに、もうちょっと努力をして若干支配船腹をふやせばこの基準に当てはまるというものが、一〇%ぐらいございます。そうしますと最後に残るものは、二三%ぐらいのものがこの許可基準に照らしてはまらぬというものが出てきます。しかしそのうちの約半分は単一の荷主に専属しておる業者、あるいは離島航路に従事しておる業者でございまして、こういうものはこの許可の基準からはずすことにいたしておりますので、最後に残るのは一〇%ぐらいの業者が許可も得られないというものが出てくるわけでありますが、これらの人は、先ほど申しましたように、協業化あるいは集約ということによって育てていきたい、こういうように思っております。
  40. 神門至馬夫

    神門委員 その一〇%のものが問題になると思うのですが、これは許可制度が全体に行きわたるのが四十四年度だったですか、それまでに、ことしから許可は出発したのですね。それからずっと、いま答弁をされたような問題を出さないように行政指導をやっていく、こういうことでございますか。
  41. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 この許可制の法律の施行は四月一日でございますが、附則によりまして二年間の猶予期間がございます。四十四年の十月一日からぴしっと法律どおりやる、それでその半年前までに申請をしてもらい、半年の間に審査をいたしまして許可をして、四十四年の十月から法律どおりの施行をする、それまでにいま申し上げましたようないろいろな体制を整えるということになります。
  42. 神門至馬夫

    神門委員 その点、行政指導にたよる面が非常に大きいようですから、十分、矛盾を起こさないように、許可制度の適正なり零細企業のためにひとつ尽くしてもらいたいと思います。  それからこの要綱なり答申にあります内航海運対策を行なう、特にスクラップを行なって、これはそのときの計画では一・五のスクラップに対して一を建造する、いわゆる三分の二に絶対量を減らしていくわけですね。こういうふうな中から生じてくる「船員の需給事情の変動に対しては、完全雇用の達成に努めるため所要の措置を講ずる」と、こういうふうにあるが、もちろんことしの三月でこのスクラップは一応あれですから、直ちに船員の過剰とかなんとかいうはね返りはないかもわからないし、海運市況がよくなったようですから、心配の点も極度にはまだ出ていないかもわからないが、この辺の実態と、行なわれた行政措置について伺いたい。
  43. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 この点につきましては船員局のほうでいろいろ手当てをしてもらっておりますが、この三十六万七千トンのスクラップによりましてどれくらいの船員が下船しなければならぬかと申しますと、約八千名の船員が下船をしなければならぬと思われるのであります。一方内航船員の四十二年度の需要というものは、別に新しいものがあるわけでございます。これの需要が約三千名、だからこの中から三千名は新造船のほうに移る、それからそのほかに内航船員としまして、減耗補充というのがコンスタントにある。廃業とかあるいは陸上転出という減耗補充が、約一万名という見積もりだそうです。そうしますと、一万三千名という需要が別途あるわけでございますから、この八千名の下船船員を吸収するということは問題はないというふうに船員局では見ておるようでございます。
  44. 神門至馬夫

    神門委員 数字的には一万三千名の需要に対して、スクラップによって影響を受ける者が八千名出てくる、こういうことなんですが、それで需給関係はむしろ不足するというような説明で、数字の上では確かにそうなると思うのだけれども、いろいろ労働条件あるいは待遇の面で、ただ単純なる数字の対比ということでは解決できないものがある。そういうような実態はどうなのか。問題は起きていないのか。
  45. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ただいま御指摘のとおり、受益的な問題、それから人によっては、どこの会社へでも行けるという事情にない人もありますので、それらの点、確かに問題はあると思います。内航海運組合法という法律によりまして、海運組合が幾つかできておる。そして地区的にも百幾つかの組合がございまして、大体同じような航路、同じような、荷物の似たような業者、そういうものが集まって海運組合というものをつくっております。そこでしょっちゅう寄って、そういう船員の相互融通とか、あるいは施設の共同利用とかいうことについて常に話し合っておりますので、そういう間から大体適当なところに船を乗り移るという、そういう話し合いが業者間でもできますし、大体似たような地区、似たような航路、そういうものの集まりの組合でございますから、そういうことは割りとスムーズにできるのではないかと思われます。したがって、給与条件、勤務条件ということにつきましても、日ごろそういう業者間において相互連絡があるので、そう懸隔があるということは考えられないのであります。それに、非常にむずかしいという話はいままで聞いておりません。
  46. 神門至馬夫

    神門委員 それじゃ、先ほどの特徴的にあらわれた許可制の問題、これによって起こる零細企業の対策に関する行政的な、協業的なものを含めての援助、助成、それからまた、いまのような解撤によって生ずる労働者の移動、こういうようなところに、労働条件等あるいは生活環境等が激変していろいろな問題が起きないように十分措置をしていただくようにお願いして、質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  47. 内藤隆

    内藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、ただいま審議中の船舶整備公団法の一部を改正する法律案について、参考人から意見を聴取することとし、参考人の人選、日時等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 内藤隆

    内藤委員長 異議なしと認め、さように決定いたしました。      ————◇—————
  49. 内藤隆

    内藤委員長 次に、気象に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。渡辺芳男君。
  50. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 去る一日に行政管理庁から第二次の気象行政監察の結果についての勧告がございましたが、この勧告の趣旨、大要というのは四つに分かれていると思います。この勧告の主眼とするところは、防災の立場から、特に最近頻発している集中豪雨や台風などの異常気象時における不適切な面がだいぶある、こういう関係から、中枢機能の強化だとか、あるいは通信網や観測網の整備、あるいは航空気象の拡充ないしは産業気象の関係の不備な面がたくさんあって、設備の強化、拡充、こういうふうなことがうたわれておるのでありますが、特に皮肉に新聞にも出ておるのですけれども、当たらない天気予報、こういう関係から、どこに一体一番欠陥があるのか、これをひとつお伺いしたいと思うのです。  それから最近の天気予報のいわば的中率、どのくらいの的中率があるか、こういうことを御説明願いたいと思います。
  51. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 先日行管から勧告が出まして、それに対しまして、私のほうといたしましては、総括的に申し上げますと、大体行管から受けました勧告内容はそのとおりだと考えておるわけでございますけれども、中には若干検討を要するものがございますので、詳しい点につきましていまこの席上ではお話し申し上げる段階ではございませんが、目下検討中で、大体来月一ぱいに返事を出すということになっておりますので、至急に結論を出したいと思うのでございます。  ただいまの先生のお話の、防災上不備な点があるのじゃないかという点で、どこにその欠陥があるかということでございますが、実はこれは私、気象庁としましても常々考えておるところでございまして、設備の充実あるいはそれに伴う人員の増強というようなこと、それからその業務体制の改善ということもひっくるめまして、その欠陥を補うように考えておるのでございます。その結果、設備のほうのことを申し上げますと、先生御承知のように、毎年設備のほうにつきましては増強されているのが現状でございまして、人員もそうでございます。なお、その業務の改善につきましては、目下業務の再編成を考えておりまして、鋭意それも——それは数年来考えていることでございまして、いよいよ近くその結論を出したいというように考えております。  一つ一つこまかい点につきましては、また先生の御質問に応じましてお答え申し上げたいと思いますが、まず全般的の気象庁のいまの考え方につきましてお話し申し上げた次第でございます。
  52. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 抽象的な御回答なんですが、いずれにしても、その勧告について行政管理庁に回答を出されるのでしょうね。まあ要員の問題なり、あるいは設備の問題なり、いろいろとこの数年改善されていると思いますが、特に設備の関係ですね、非常に予報には重要な問題だと思いますが、近代諸国家の中で、わが国の気象観測に必要な諸設備というものは別に遜色ありませんか。先ほど長官から的中率のことについては回答ございませんけれども、二つ、どうぞ。
  53. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 申しわけございませんでした。的中率につきましては、最近特に天気予報が当たらなくなったというような感覚を皆さま方にお与えいたしまして申しわけございませんが、大体五月、六月という春から夏にかけては、一年じゅうで最も天気予報のむずかしいとき、言いかえますと天気変化の激しいときでございまして、なかなかその予報が的中しない季節でございます。一年じゅうを通じますと、大体七五%くらいの的中率はあるのでございます。これはもちろん気象庁のほうで採点をしたので、あるいは甘いとおっしゃるかもしれませんけれども、ともかくある一つの基準をもちまして公正に採点いたしますと、七五%から八〇%というところだと思っております。もちろんいま申しましたように、それは年平均率でございまして、春先あるいは春あるいは秋のようなときには、それを下回っているということが確かにございます。  それからその設備の点でございますけれども、いろいろなところにやはり設備が不足しているということは確かでございます。言いかえますと、現状の設備ではまだまだ十分ではないということは申し上げられるのでございます。観測のネットと申しますか、網でございますが、この観測ネットにつきましても、最近の一般国民からの御要望に沿うような非常にこまかいところの天気予報を出すというだけのネットは、なかなか整備されておりません。したがいまして、そういう点になりますと、まだ相当数の観測点の整備が必要であると思います。一つの問題は海上の問題でございまして、日本は四方海にかこまれておりますので、どうしても海上の観測点の必要は申すまでもないことでございます。したがいまして、気象庁といたしましても一つのそういう手段として、いわゆる定点観測船というものがございますし、また現在実用化をされております気象衛星からの写真の受画ということも考えておりまして、気象衛星からの写真の受画につきましては、もう気象庁はそれを始めております。また定点観測船につきましては実は早急に、できるなら来年度にもひとつお願いをしたいというふうに考えておりますが、まだ来年度の予算につきましては目下検討中でございます。そういう気持ちでおる次第でございます。
  54. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 観測網の整備で、特に勧告の中の六に、非常に至近の距離にある、これは旧軍の施設などとの関係もあると思いますが、そのほかにいわば盲点になっているところ、こういうところもあると思うのですが、時間の関係がありますから御回答は要りませんけれども、こういう適正配置ですね一それから新設をする。そして国民に対する異常時における通報ですね、こういうものを早急に整備をしてもらいたいと思うのです。これは特に政府としても力を入れてもらいたいと思うのです。あとで質問をいたしますけれども、若干気象通報に欠けているという場面がありまして、台風でも非常に被害をこうむった、これが気象庁のいわば責任とは言わないけれども、そういう場面がありがちなんです。  それで特に、この勧告の中にもありますが、報の伝達が非常に不統一であるということがいわれておるわけです。これはきわめて遺憾なことだと思いますが、端的に言えば、私ども国民の立場、しろうとの立場で、注意報と警報との基準が不統一だとここに書いてありますね。もちろんそういう意味で、気象官署でそういうふうな基準が明確でないというところもあると、こう書いてありますね。これはもうもちろん地方の測候所や何やらと思いますが、われわれの立場から見て、たとえばこの注意報の基準というのは、いつもと違って、ぼんやりしているとあぶないぞ、警報の場合には、いよいよやられるから、大きな被害が出そうなので十分注意をしろ、こういう基準というものがまだよく知らされていない。六月一日は気象記念日だそうですけれども、私もよく知らなかったのですが、こういうPRと、これから台風シーズンに向かって、私は特にいままで申し上げました諸点について、十分な改善を早急にやってもらいたいと思うのですが、この点に対する計画というものはございますか。
  55. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 警報の伝達の不備という点につきましては、従来から考えましてだいぶ改善されたように私は考えておるわけでございます。特に皆さんの御支援によりまして気象庁の通信網がトン・ツー式からテレタイプ式になり、また各気象官署間に超短波の無線の連絡ができるようになったので、前から考えますと、そういう点においては非常にスムーズにいっているようでございます。ただし北海道はまだ若干残っておりますので、来年整備させていただきたいと考えております。この伝達の不十分というのは、気象庁の気象官署間の伝達もさることながら、末端に対しての伝達もこの中に含まれているんじゃないかというように考えるのでございます。  ところで、先生御承知のことと思いますが、気象業務法におきましては、たとえば警報を出しました場合に、気象庁はその警報をどこどこへ伝達しなければならない、あるいは伝達することが望ましいというような表現で伝達先が気象業務法の中に書いてございます。これが義務づけられている伝達先でございます。そこはどうしても伝達しなければならない。ところが、末端の村々までの伝達を一々気象庁としてやることは現状としてとてもできませんので、それは地方公共機関あるいは団体にお願いいたしまして、たとえば気象庁から警察へ、地方気象台から警察へ連絡しますと、警察のほうからその村々の駐在所に連絡していただくというような伝達経路はできているのでございます。そういうことで現状やっておりますけれども、やはりその伝達がおくれるというようなこともあろうかと思います。  なお、それにつきましては、各県ごとに毎年一回ないし二回、そういう関係の方々にお集まり願いまして、こういうところに伝達のおくれがあったので、ここは何とかならないかということをお互いに相談いたしまして、伝達の迅速化をはかっている現状でございます。  次に警報、注意報の基準でございますけれども、この基準につきましては、風、雨、雪につきましては数値的にこの基準をきめることができるのでございます。そして、そういうものにつきましては、現在ちゃんと基準がきまっておりまして、この基準を公表しております。しかし、たとえば霜だとか、あるいは霧だとかいうようなものになってまいりますと、ちょっと数値的にはっきりと基準がきまらないというような気象要素もございますので、そういう気象要素につきましては、数値的な公表はいたしておりませんけれども、気象官署内部におきましては、大体こういうときには霜注意報を出すのだということはきめておるのであります。
  56. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 今後非常に航空関係の発達が予想されるのですが、それに関連をして、航空気象の整備を急速に附随して行なわなければならないと思うのです。特に中枢機能の整備について、ここに例をあげてありますが、羽田の東京航空気象台は六十人おるけれども、これは本庁と合併、統合をして、全国予報の中枢機能にしたらどうだということが書かれてありますが、これは各航空基地の関係などがあってどういうふうにしていいかわかりませんが、この勧告は相当長期にわたって調べたと思うのです。この点はどうなんですか。
  57. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 航空気象業務整備につきましては、気象庁としても最重点業務一つ考えておるのでございまして、特に先年大きな事故が起こったのをきっかけに、その感を深くしている次第でございます。羽田のみならず、地方のローカル空港の航空気象業務ということについても、その改善をはかっておるのでございます。ちょっと具体的に申し上げる時間がございませんけれども……。  それで、この羽田の気象業務と本庁の業務とが重複しているということが、行管の勧告の中に入っております。確かにそういう面がございますが、全面的に羽田と同じことを本庁がやっている、あるいは本庁と同じことを羽田がやっているということじゃございませんで、羽田と本庁がやっている業務の一部が重複しているということは確かでございます。これを改善しようということは、気象庁全般の業務を再編成するという業務の再編成につながる問題でもございますので、先ほども申しましたように、ただいまその業務の再編成を考えておりまして、その中にこの羽田の重複業務というものをどうするかということを考えておるのでございまして、近くその結論を出して業務の再編成をはかりたいというふうに考えております。
  58. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 気象変化の激しい日本列島のことですから、地域的な関係では当たらない場面もあると思いますが、一番重要なことは、やはり集中豪雨なり台風なりに対して的確に、相当早くから知らせて防災態勢を整えさせるということが非常に重要になってまいりましたが、四十年の十月六日から七日に台風二十九号によってマリアナ海域の漁船遭難がございましたですね。当時国会で問題になりましたけれども、あれも気象通報の関係は不備である、ああいう遠くに離れておるところであるから非常に困難であったということが言われたと存じますが、実は昨年の九月二十四日から二十五日にかけて、台風二十六号が御前崎を中心に富士山の西側を通って山梨県、栃木県、それから福島県のほうに抜けたんですね。あのときは台風が非常に数多く発生して、二十一号が途中で温帯低気圧になって消滅をした。早く発生をした二十四号がもたもたしておって、あとのカラスが先になったような形で、二十六号が突然上陸をして、しかも上陸のまぎわにたいへんな大型台風に発達をして、その当時の予報の状況、警報の状況というものは、比較的、私どもが感じた内容は、ちょっと忘れましたが、安易なものではなかったか、これはたいへんなことになるぞというおどかしがなかったような気がいたします。当時たいへんな人命と、それから家屋の災害がありまして、駿河湾では、特に吉原地域では十三名の死者を出し、そして二十数戸の全壊、まあ半壊などは数多くありますけれども、山梨県にもたいへんな災害がございました。あのときの状況から見て、私どもは何かこの予報に、いろいろと台風が幾つもございましたから困難性はあったと思うのですが、欠陥はなかったかどうかということをひとつお伺いをいたしたいのです。
  59. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 昨年の台風二十六号の件でございますが、確かにおっしゃいますとおりのコースを通りまして参っております。私もいまちょっとどういう予報文、警報文を出したという内容についてははっきり覚えておりませんが、もう少し東を通るような警報で、それが少し西へずれたというような感覚をいま持っております。その点に関しまして、何か予報に欠陥はないかというお話でございますが、結局は台風の進路の問題になりまして、進路を正確にできるだけ早いうちにきめる、あるいは進路を予報するということになろうかと思います。これは非常に実は技術的にむずかしいのでございまして、台風には御承知のように常道がございます。常道と申しますか、台風が常に通る道があります。そのとおり台風が通ってくれれば予報も楽でございますけれども、いわゆる異常台風というものがございまして、ジグザグなコース、あるいは急速に発達したり、あるいは急に曲ったりするような異常コースの台風が、年に幾つか発生しているのでございます。そういう異常コースの台風のあらかじめの予報というのは、これは非常に技術的にむずかしいのでございます。これはもっぱらその台風進路に対しての技術の向上、ことばを変えて申しますと、研究の促進ということに帰するのではないかと思います。それが私が考えまして、一番大きな現在の欠陥といえば欠陥でございます。これにつきましては、御承知のようにわれわれのほうでも気象研究所というものがございまして、そこに台風研究部というものがございまして、鋭意その研究に従事しておりますけれども、まだその台風の進路につきましてのきめ手をつかむことができないというような現状でございます。なおもっと観測点があればいいんじゃないかというようなことも考えられます。もちろんそれにつきましては、南方洋上の遠いところの観測点が緊急に必要であろうか、こう考えております。そういう意味で、観測点そのものが完全だということももちろん申し上げられないような事情でございます。
  60. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 一番重要なことは観測網の整備と通信関係の整備が必要だと思いますが、ことしの予算書を見ますると、昨年の大体倍額以上になっておりますから、相当通信網の整備はできると思うのですが、いまの状態と、それから一体どういう地域が通信網としておくれているか。それから、ことしは通信網の整備についてどこを重点にしてやるか、こういうことをお伺いします。
  61. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 先に、どこを重点的に行なうかということについてお答えいたします。  来年度考えておりますのは北海道でございまして、これが全国で大きな目で見まして最もおくれている地域でございます。北海道以外のところは二、三年前から逐次整備していただきまして、気象庁の部内の気象官署間の通信網は、先ほど申しましたように、第一段階において一応整っているという状況でございます。したがいまして、来年度は北海道の通信網の拡充ということを重点に置きたいと考えます。  それからどの地域がということにつきましては、いま申しましたように、大きな目で見れば北海道全体でございますが、もう少し小さい目で見ますと、細域予報と申しますか、非常にこまかいところの地域の予報を出すために必要な通報組織というものも、漸次整備しなければならないと思います。先生御承知のことと思いますけれども、実は農業気象業務というものを現在気象庁ではやっておりまして、農業災害を起こすような地域につきましては、そういった方面については大体整備されておりますけれども、その他の地域につきましては、そういった細域の、こまかい地域の通信網については今後整備していきたいというように考えております。
  62. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 それから、産業気象関係について勧告をされておりますが、これはたくさんございますけれども、まず一つ、この勧告書の中に入っている大気汚染の関係ですね。観測施設がない地域がある。釜石ほか四つの市があげられております。これから新産都市がどういうふうに発展をするかはいずれにしても、まだそのほかにあると思いますが、こういう地域に観測施設がないというのは、これは非常にまずいと思うのですね。政府の施策としてもまずいと思うのです。言われるまでもなく気象庁として積極的に要求していく、こういうふうなことがいままでやられておるかどうか、これはいつごろこういう観測施設というものを整備をするか、こういうふうなことについてひとつ説明をしてください。
  63. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 このいわゆる大気汚染に対する気象業務につきまして、気象庁としてどういうような考え方でおるかということをかいつまんで申し上げますと、現在の考え方としては、あるいは方針といたしましては、このばい煙の排出の規制等に関する法律というものがございまして、その法律の規定に基づきまして、都道府県の知事が行なっております緊急時の処置に必要な気象観測の成果及びその予報の伝達に万全を期するという方針でやっております。そのためにこの法律の第四条の規定に基づきまして、各指定地域の地域気象特性、地域によって気象が変わりますので、地域気象特性を把握するために、特別に気象調査を実行するという方針をとっております。本年度は、全国で最も問題の多い三重県の四日市において観測調査を行なっております。今後はこれらの地域気象特性の観測の調査に基づきまして、こういった観測施設を関係地域に整備したいと考えております。と同時に、先ほど申しました気象庁の気象研究所における研究成果を利用いたしまして、近い将来において、大気汚染による災害防止に寄与するためのより高精度の気象予報が実施できるようにしたいというように考えておる次第でございます。
  64. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 いろいろ漁業気象の関係もありますが、省いて、またいずれ別途お伺いいたします。  地震の関係についてちょっと伺いますが、一昨年ころから一時、長野県の松代地帯のいわゆる松代地震というものが非常に騒がれました。地震予知の技術はその当時もわが国ではりっぱだ、こういわれて宣伝されておりましたが、いま気象庁が担当しておる地震の予知関係について、この地震地帯として注意すべき地帯ですね、たとえばこの松代の状態がその後どういうふうになっているか、それから鳥島の観測所引き揚げについてその後どうなっているか、こういうふうな注意をする地帯があると思うのですが、その状況をひとつ簡単に伺いたいのです。
  65. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 特に現在地震に対して注意をする地域というものを申し上げる前に、一言お断わりしておきたいのでございますが、地震予知というものは、現在は完全にできるものではございません。御承知のように、地震予知の方向に向かって進んでいるという段階でございます。したがいまして、今後どこに地震が起こるかということを申し上げることはできないのでございまして、ただ、先ほどのお話の松代と鳥島のように、過去に地震が起こったところの現状がどうであるかということであればお答えすることができると思います。  まず松代でございますけれども、最近の松代の事情は小康状態に入っていると申し上げてもいいと思います。一時ほど、地震ががたがたあったり、あるいはそのために地下水が吹き出たり、温泉がどうかなったりするような異常現象は、最近の状態としては小康状態にあります。しかし、気象庁といたしましては、やはりこれは小康状態であって、これで今後完全に終わってしまうということをはっきり申し上げたり、考えたりすることはできないので、現状としてわれわれのほうもやはり松代については引き続き注意を払っております。  それから鳥島の問題につきましては、鳥島は引き揚げたあと地震計を置きまして、鳥島と申しますと火山に対しての処置でありますが、この火山の爆発に関係したいわゆる火山の活動状態を知るために一番いい方法として地震計を置いておるわけでありますが、しょっちゅうは参りませんで、二月か三月に一度ですが、その地震計の用紙を取りかえに参りまして、その後の様子を見ておるのでございますけれども、なお現在爆発の危険がないということを断言するような状態にはまだなっていないのであります。
  66. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 最後に、これに関連するのでありますけれども、最近の台風の本土襲来といいますかそういう状況は、以前にはよく九州、四国方面が台風銀座といわれるような状況にありましたが、どうも東海道に上陸をする傾向が非常に強くなってまいりました。鳥島の観測所は四十一年の十一月十五日ですか、引き揚げてきた。無人島ですから、ああいうところに勤務する人たちはなかなかたいへんだと思いますけれども、台風シーズンを迎えて、もう二年になりますね。大臣おりませんから政務次官、爆発するところへ気象庁の観測職員を置くということは私ども忍びないことですが、何らかの手が打てないものだろうかどうか。定点観測船はありますけれども、いずれにいたしましても、最近の台風状況から見ますと、この定点観測船と鳥島の中間を北上してくるという傾向が非常に強いわけですね。いまの長官のお話を聞きますと、再開の見通しが当分ないように考えられますが、この点の対策というものはどうお考えになっておりますか、最後にひとつ……。
  67. 金丸信

    ○金丸政府委員 ただいま御指摘の鳥島から職員を引き揚げたという問題につきまして、爆発すれば相当な犠牲も出るということを考えれば、なかなか忍びがたいものもあるようでありますが、これで完全だとは申し上げかねるわけでありますが、チャーター船でこれを観測しておるわけでありますけれども、今後この問題につきましても、予算等から見ましてできるだけ万全の策を講じていきたい、こう考えております。
  68. 内藤隆

    内藤委員長 次会は、来たる二十四日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十七分散会