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国務大臣(
佐藤榮作君) ことしの米価の
決定につきまして、いろいろ考えさせられているわけであります。その第一点として、ただいま梶原
議員から
お尋ねがありました米価審議会のあり方、これでよろしいのか、こういうようなお話でありますが、米価審議会が答申することができなかった、これはまことに残念なことであります。しかし、米価審議会の各
委員の方々がたいへん熱心であって、そうして
農林大臣も終始席をともにいたしまして各
委員の方々の
意見を十二分に聞くことができたから、私は、米価
決定に際しまして
農林大臣なりあるいは米価審議会の
委員の方々が努力されたこと、それは十分に実を結んだと思います。しかし、いかにもその運営の方法として好ましくない形であった、かように思います。したがいまして、私は、米価審議会においてもっと皆が納得するようないい方法はないだろうか、こういうことはこれから先の研究課題だ、かように実は思っているのでございます。第一点はさように考えますので、またひとつ知恵をしぼって、納得のいくような方法にしたいと、かように存じます。
第二の問題は、団体あるいは各種組合
関係等々の運動が非常に熾烈であった、こういう御指摘であります。米価は、私が申し上げるまでもなく、農家収入の基幹をなすものである。同時にまた、
国民全般に対しましても諸物価に及ぼす影響な
ども心理的にありますので、たいへん重要な問題でございます。そういう意味から、この米価
決定は農民の方々が最大の関心を寄せられること、これもよくわかります。わかりますが、まあ年を追うに従ってこの運動が激化している、こういうことは、われわれが米価
決定に際しまして生産者あるいはまた生産者でない
国民の理解を得るような点においてまだ欠くるところはないのか、こういうことで実は
反省しているような次第であります。ことに、この米価
決定に際しましては、あるいは団体交渉したらどうか、こういうような提案すらあるほど、たいへん生産者としても利害
関係のからむ問題でございますから、熱が上がってくると思います。しかし、先ほ
どもお話がありましたが、米作の実情から見まして、農家そのものの実際の経営規模等から見まして、農家の三分の一程度が非常に深刻にこの影響を受けるものだと、かように私は思うのであります。そういう点をもっと
説明するならば、いわゆる団体その他の運動な
どももっと平静に帰するんじゃないだろうか。ことに、これが勤労階級の春闘の最後の詰めだと、かような意味で米価
決定がいままで取り扱われていた、そういうような点にもこの運動を激化しているそういうものがあるのじゃなかろうか。もう
一つは、これが非常に
政治的な活動をする、
政治的な影響を受ける、そういうところにも
国民がなかなか納得しないものがあるようであります。衆議院段階におきましても、特に
政府と与党との
関係においても
批判が寄せられました。しかし、私は、この米価
決定というような重要問題について、
政府とその与党が十分連絡を緊密にすること、これは私別に恥ずかしいことではないと思いますし、また、政党
政治のあり方としてそれは当然のことだと、かように思いますが、それにいたしましても、目に余るものがあるというような
批判を受けるようでは、これは申しわけないと思います。そういう意味で、今回の生産者米価
決定に際して私
どもが
反省を求められておる点は非常に多いと思います。今後の米価
決定にあたりましては、ただいまの米価審議会のあり方、同時にまた、各種団体等とも十分連絡を緊密にすることによりまして、いわゆる運動がましい形において米価が
決定されないような、そういう
措置をとるべきじゃないかと、かように思います。
もう
一つ最後につけ加えさしていただきますが、こういう米価を
決定するということ、これは、私が申し上げるまでもなく、食管制度のもとにおいて当然
政府がするのだと、いわゆる
政治米価というものがそこから出ている。もう基本的に
政治米価であることには
説明を要しない、かように私は思っております。これはもう管理制度そのものからでございます。しかし、それにいたしましても、あまりにも
政治米価だということで理屈抜きにやられることは困るのですが、とにかく満足するか一応納得のできるような理論的根拠がほしいと、これはよくわかるのであります。
政治米価でないならば、これはもう競争できまる。これは自然に価格が
決定されるということでございますから、管理制度をやっておる限りにおいては
政治米価である。競争ではきめ得ない。そこで、その点も、ただいま申すように、できるだけ理論のつく方法でこれをきめる。それが生産費並びに所得補償方式を基礎にして、物価や賃金の動向等を勘案して
決定される。それがただいまのところいわゆる指数化方式というような形できまるのが納得がいきやすい、かように実は考えておるのでありますけれど、過去の実例等から見まして、それだけでもなかなかきまらない。今回の
決定に際しましても、どうも三百九十円という理屈のつかないものがあるじゃないかと、こういうおしかりを受けますが、ただいま申し上げるような諸種の点を勘案して適当なものがきまった。これが、私が申し上げたいのは、こういう食糧管理制度、そういう制度のもとにおいてはやむを得ない仕儀ではないか、かように私は思うのであります。そこで、それならば弊害があるから食糧管理制度を変えるのか、こういうような疑問が出てくると思いますが、ただいま食糧管理制度そのものは、
国民の食糧を確保する唯一の方法だと、かように思いますし、また、生産者をして引き続き安定して生産に従事していただく、こういう目的を持つ基本の制度だと、かように考えます。ただいまの
状況のもとにおきましては、私は現行の制度を変えていくような考え方は持っておりません。このことだけははっきり申し上げておきます。ただ、現行の制度のもとにおいて、各界各層の
国民全般が納得のいくような価格
決定、それはどうしたらいいか、さらに今後とも検討したいと、かように思うのでございますので、梶原君などは特にそのほうの先輩でもありますから、特にこういう点についてはひとつお知恵も拝借したいと、かように思いますので、遠慮なしに
政府を御鞭撻願いたいと思います。