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国務大臣(
佐藤榮作君) ただいま具体的にあげられました問題、これらの問題について私もたいへん、どこかに忘れられたものがある、かように申しました。そういうことを痛感せざるを得ないと思います。
で、ただいままず第一に、税の問題を言われました。これは別に大蔵当局が行き過ぎるような激励のお
ことばだとは思いませんが、とにかく税の申告について——いまは申告制度をとっておりますが、この申告がいわゆる良心に基づいての申告がはたしてなされておるかどうか、これは十分私
ども考えなければならないと思います。これはやはり良心を取り返すこと、ここがいまの申告制度が生きるかどうかの問題だと思いますので、そういう
意味で、さらに注意をしたいと思います。
また、第二の、税金でいわゆる国費がむだに使われていないか、こういう御指摘であります。いわゆる公私混淆の問題がここにあるわけであります。いわゆる李下に冠を正さずという、そういう気持ちで、今日党紀
委員会な
ども結論を出しておるようであります。自民党におきましては、特にその点を注意するつもりでございます。いわゆる税金のむだづかい、公私混淆をしないということを十分気をつけてまいるつもでおります。ただ、弁解するわけじゃありませんが、どこからどこまでが公であり、どこからどこまでが私的か、たいへん実は困る問題もあるのでございますので、観念的には非常にわかりいい公私混同はいかぬということでありますけれ
ども、これは実態について私
どもがこれから判断していかなきゃならない問題だと思います。
第三の問題の、補助金等の使い方、一部官界についての御注意でございますが、私はただいまも
綱紀の問題は、公務員あるいは官界におきましても、これを厳正にしなきゃならないということ、ただいま何といいましても
政党政治家、これがまず
綱紀、みずからの身を正していく、それによって初めて官界も引き締まってくるのだ、かような
考え方をいたしております。しかし、行政の面、とうとい税の結集であるもの、財政が、これが官僚の一部の
考え方で使われることのないよう、ここでは
綱紀を正していくということをいたしたいと思いまます。
また、零細な資金、いわゆる郵便貯金その他のものが特別一部の業界に使われておりはしないか、こういう
お話でありますが、この点では
皆さま方からかねてからしばしば注意されておるのでありますので、私は漸次、この零細な
国民の資金が、本来の目的に使われつつある、そういう方向に向かいつつある、かようにお答えすることができると思います。
最後に、国有財産の処分についての
お話でございます。国有財産は
国民のためにはこれは適正に管理され、適正な価格で処分されてこそ初めて
国民の利益と合致するのであります。しかし、私は最近国有林野その他の処分について非常な問題が起こっておりますので、この
内閣では、この払い下げについては、ひとつ万やむを得ないものと、こういうものに限ることにして、この払い下げはしばらく見合わしたらどうか、こういうことを実は事務当局に指示しておるのであります。ことに、国有林野の場合におきまして、どうしても払い下げをしなきゃならないというものは別でありますけれ
ども、民有に移して、そうして国有林野が本来の目的以外に使われる、たいへん乱れたような感がいたすということは、これはたいへんなことだと思いますので、国有の所有権を移すことについてはこれはしない。これは移するようなことのないように、むしろ使用権で問題が処理できるような処置を
考えたらどうか、こういうことを国有林野については特に指図しておるような次第であります。私は、いずれにいたしましても、国有財産の処理、これについては、適正な管理がされ、適正な価格で処理されることは言うまでもないのでありまして、そのための各種強力な機関、
審議会等もあるのでありますが、大体、いま譲渡しなきゃならないというような場合は非常に少ないと思いますので、この国有財産の処分はひとつ厳正に取り締まっていく、かような
考え方でございます。
お尋ねになりました
事柄について私の所感を交えて申し上げたのでありますが、私は、これ以外にも幾つもあるのであります。そういう
事柄をとにかく正していかなければならない、かように申しておるのであります。