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小柳牧衞君 私は、ただいま
報告のありました
新潟県の
水害につきまして、
政府の所信並びに見解を伺いたいと存ずるものでございます。
まず先に、今回の
水害は実に未
曽有なことでございまして、このために犠牲になられたところの方々に対して、心から弔意を表するとともに、また、
罹災者に対しまして心から
同情を申し上げ、また、日夜を分かたず
水防に挺身せられたところの
関係者に敬意を表する次第でございます。
私はまず、この問題について、第一に、
加治川の
改修工事の現況についてお尋ねいたしたいと思います。
今度の
水害の
中心であり、はんらんのもとであった
加治川は、実に
明治末期におきまして
改修を行ないまして、直線に
日本海に
流れが注ぐようになったのでありますが、自来、ほとんど
水害というものは見ることなく、きわめて平穏な状態であったのでありまするが、しかし、
当局におきましては見るところありまして、その
改修計画を立てて今日に至っております。しかし、その
改修計画が完備せざるうちに今日の
災害に至ったのであります。また、その
決壊個所等について考えてみまするというと、せっかく
改修したところのものも決壊しておるということを考えまするというと、あるいは、長きにわたる平和なる
流れに対しまして心がゆるみ、そうして
楽観的気分にあり、
工事も思うようにいかず、また
工事も不十分であったのではないかという疑念があるのでございます。この点につきまして
責任者の御
答弁をわずらわしたいと思うのでございます。
第二は、
交通確保の問題でございます。
水防に挺身することがきわめて大切なことは申すまでもありませんが、それと同時に、
水害地との
交通を
確保することがともに必要であります。
新発田市の例を申しまするならば、
新潟と
新発田のいわゆる国道第七号線は非常に重要な幹線でございます。しかるに、
水害のために、ついにその用をなすことなく、
交通途絶することが長きにわたったのでございまして、せっかく水どめのために要する
資材を運ぶにしても、あるいは
救助の
資材を運ぶにしても、できなかったのでありまして、はなはだしきに至っては、水どめのために来たところの
自衛隊がなすところなく待っておったということは、決してこれは喜ぶべきことでは断じてないのでございます。
伊勢湾台風のときにおきましては、
交通確保のために、路上に
ドラムカンを敷き、さらに鉄板を敷いて
確保したと聞いております。そういうような
措置がとられなかったということは遺憾ではありますが、これは将来の問題として、どうしても
水防とともに
交通の
確保に最善の
努力をしなければ、実に
目的を失することとなると思うのでありますが、これに対しまして
建設大臣の御
所見を承りたいと思うのでございます。
第三に、私は、いわゆる
激甚法及び
天災融資法の
早期適用をして、そうして
民生の安定を期したいと思うのでございます。この
地方は、御承知のように、
穀倉中のまた
穀倉でありまして、今度の
災害では実に甚大なる
経済的の打撃を受けたわけでございます。一日も早くこれを
復旧して、そうして
民生の安定をはからなければならないと思うのであります。そのためには、できるだけ早く
激甚法の
指定をし、その
適用について配慮しなければならないと思います。また、
天災融資法の
早期適用と、
特別被害地域の
指定及び
資金使途の拡大をはかりまして、さらに、各種の
資金の
貸し付け及び
償還の
緩和等、特別の
措置をやらなければならないと思うのでございます。要するに、これらの
措置は、
復旧計画の策定の指標となり、また
罹災民の
負担を
軽減して
復旧意欲を振作するものでありまして、きわめて重要な
措置と思うわけでございます。しかし、
激甚法にもいろいろの重大な
条件がありまして、これに適応するようにしなければなりませんが、これらにつきましては、できるだけ広い解釈をとっていただいて、そうしてこの法の
適用を受けるように、さらにまた、この法は
災害につきましてはきわめて重要なるものであると思うのでありまするから、場合によっては、ことに
広域災害に対しましては、この
法律をあるいは改正するというようなことも考えなければならないと思うのでございます。
要するに、
天災融資法なりあるいは
激甚法なりを
早期に
適用いたしまして、そうして
民生の安定をはかり、一日も早く
復旧の実のあがるようにしたいと思うのでありますが、これにつきましては、
総理、
農林及び
大蔵大臣の御
所見を承りたいと思うのでございます。
新潟県は、
震災の
あとを受けまして、
県市町村の
財政は相当苦しい
立場に置かれてございます。幸い、
震災は、県民の
努力と、また
当局の
努力によりまして、完全に復興したと言ってよろしい程度にはなったのでありまするが、
地方団体の
財政面においては非常な苦しい
立場に置かれておるのでございます。したがって、今次の
災害復旧事業の
地方負担につきまして、たとえば、起債であるとか、あるいはまた、その
償還条件というようなものについては、
財政措置を十分に考慮していただきたいと思うのでございます。さらにまた、当面の
資金繰りのために、
地方交付税あるいは
特別交付税に格別の
措置をする、あるいはまた、繰り上げ
交付及び
短期融資措置を講ずる等、
所要の
措置を急速にやっていただきたいと思うのでありますが、これに対する
自治大臣、
大蔵大臣の
所見を承りたいと思います。
この
地方は、いわゆる
稲作の
単作地帯でございます。したがって、一たび
稲作に
災害を受けまするというと、収入の大
部分を失うということになりまして、きわめて重大なる
関係を持っておるのでございます。それでありまするからして、これらの
被害稲作に対してはどういう
措置をとるか。たとえば病虫害に対してはどういう
措置をとるか。また、収穫皆無の土地に対しましては減税その他の恩典に浴し得たいということはもちろんでございまするが、あるいは、かわった作物をつくるとか、あるいはまた、全く職を失っておる人に対して
救済の道をはかることが必要であることは当然と思うのでございます。また、
農民負担の
軽減をはかることも必要であります。ことに、この
地方は大
部分が
予約申し込みをやっておるのでございまして、収穫皆無になりますれば、この
概算予約金はこれを返納しなければならぬ。その点につきましてできるだけ寛大なる
措置をとって、あるいは利子の
減免というようなことを十分にお考え願わなければならないと思うのでありまするが、これらの
災害地の
あとの
始末について、
農林大臣及び
大蔵大臣の
所見を承りたいと思うのでございます。
最後に、私は、
水防制度につきまして御
所見を承りたいと思うのでございます。当時、私は
現地におりましたために、これらの問題に強い感じを持っておるのであります。これは、むしろ緊急時だけでなく、恒久的の重大なる
水防政策であると思うのでありまするが、
わが国の
水防法は、ずいぶんこまかにいろいろな点を規定されておりまして、相当効果をあげておると思うのでございます。しかしながら、この
法律は、
わが国の伝統に顧みまして、
水防の
責任は市長村にありとしております。これも決して悪いことではないと思うのでありまするが、しかし、
国土保全という
立場を考え、あるいはまた、重大なる
河川のあること等を考えまするというと、国の
責任としても
水防の問題を等閑に付することはできないのでございます。
さらにまた、
防災計画等を考えましても、
水防関係というものがはっきりした
立場にはないのでございます。これらはその一例でありまするが、これらの点を考えましても、どうしても、この
水防政策というものを再検討する必要があると思うのでございます。ことに、組織を考えまするというと、実際の
水防の衝にあたるのは、
地方におきましては
消防団でございます。
消防団の今日は、
要員を
確保することが非常に困難でありまするが、
水防のような、火災と異なりまして広い
地域にわたっていろいろ
影響を受けるものにおきましては、多数の
要員を集めることが困難であるのみならず、せっかく集まった
要員も、自分の家の防御のために帰らなければならぬというようなことであって、
水防のように人海戦術を要する場合には、非常にこれが支障となることはもちろんでございます。こういうようなことを考えまするというと、組織なり、あるいは
責任なり、あるいはまた、その
要員を
確保するということについて、十分考えなければならないと思うのでございます。
さらにまた、
水防の
資材等を考えてみまするというと、県には、ごくわずかばかりの
資材をたくわえておるところの倉庫がありまするが、これは非常に貧弱であります。ことに、この使い方につきましては、予算あるいは会計の取り締まりがすこぶる厳格でありまして、
激甚法の
適用等がなければ、補助なり、あるいは
援助の支援を受けることができないというような仕組みになっておるのでございます。また、用材につきましても、今日、時代の推移で、たとえば土俵のごときは、今日、米の包装においていろいろ変化をしているのでありまして、むかしのように多数の土俵を集めるということはよほど困難である。これらは十分に考えなければならぬのでありまして、要するに、
水防におけるところの
資材の
確保ということも十分考えなければならないと思います。
さらに、
水防演習等を見ますというと、その運用につきましては、実に旧態依然といってよろしいのじゃないかと思う。今日はずいぶん科学の進歩があるのでありますから、その
方法等において、少なくとも消防にやるような、非常な科学的なものを取り入れてやる必要があると思うのでありまするが、それらの点についてもあまり実際にはない。いわんや消防のように、試験所であるとか研究所というものを持っておりません。
これらのことを考え来たりますというと、どうしてもこれは
水防制度に再検討を加えまして、そうしてこの拡充強化をいたしまして、わが
日本において、まことに数多い
水害に対しまして、根本的の制度を確立し、そうしてまた、未然に
水害を防ぐような方途を講ずることがきわめて必要であると思うのでありますが、これらの点につきまして、
総理並びに
建設大臣の所信を承わりたいと思うのであります。
以上、私の質問を終わる次第であります。(
拍手)
〔
国務大臣佐藤榮作君
登壇、
拍手〕