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稲葉誠一君 あなたが知っていても、まさか
取り調べを受けたとは言えないでしょう。それじゃ、三十一年にきまりきった
事件がなぜ決算
委員会で取り上げられたかということですよ。ここに大きな問題があるわけです。
いまのは
昭和三十六年の一月二十五日の手紙ですよ。これは決算
委員会が始まってからです。その前にあるんですよ、今度また。その前に、すでに天満の
土地は
交換をされて、
法務省が持っておったのだけれども、
延原さんの
土地になっていたわけだ。その
土地を譲ってくれといって活躍している人が一ぱいいるんじゃないですか。その中の一人が荒舩清十郎氏でしょうが。牧野寛索という人がいるでしょう。これは元政務次官をやって、この当時は
国会議員ではなかった、弁護士だったのですが、この人が三十五年二月二十八日に
延原に速達を出しているじゃないですか。
拝啓 其後御無沙汰いたしましたがお変りありませんか
就いては天満の
土地の件につきいつぞやお手紙差上げましたが此度荒舩代議士から証しがあり是非御貴殿にもお目に懸ってお話しいたし硬いと云う事でしたが此度は小生のみ参上して御意向伺った上でしょうと云う事になり小生三月一日の午前中の飛行機で出発しますので午後お目に懸り度く存じます小生は決っして無理なことは申しませんから直接お会い下さるようお順い致します
買手は大正製薬株式会社で社長は上原正吉(参議院
議員)三菱銀行の三億五千万円の預金証明計小生持参します
売買価額はお話し合いできめること
登記価額もお互納得づくできめること上野浩
関係は買人で解決し貴殿には一切迷惑をかけぬこと等の申入れもありますが何れ御会いの上万々お話しいたし度く存じます
先づ要々まで 草々
二月二十八日
牧野寛索拝
延原観太郎様
これは二月二十八日の速達です。いいですか。そうすると、決算
委員会で取り上げる前に、すでに荒舩代議士が、この天満の
土地を、自分が買うのかだれが買うのか知りませんよ、そういうようなことで介在していることははっきりしているじゃないですか。そうして、牧野寛索という人は政務次官をやった人だと聞いていますが、その人が小生のみ今度は参上するということで行っているわけです。いいですか。そして、上野浩
関係は買人で解決する。自分たちが中に立って、天満の
土地、元
法務省の
土地で
交換をされて
延原の
土地になったものを、いいですか、それを荒舩清十郎代議士から話があったので買って、上原氏が買うのかだれが買うのか買って、その結果として上野浩のことは自分たちのほうで責任をもって解決します、こういうふうな手紙がちゃんと行っているんですよ。
この一連の書類というものは、衆議院議長あてに出ていますから、これははっきりしているわけです。この
経過からいって一体何がわかってくるかということですよ。最初にこの
事件に取り組んでいったのは荒舩清十郎氏でしょう、事実の
経過からみて。そして、その人がこれを買おうといって、確かにこの人が買ったかどうかは別として、中に入ろうとした。そこで、上野は、荒舩氏のところに、決算
委員長、だから、陳情したわけですよ。そうでしょう。そこで、小
委員会をつくったわけです。小
委員長に
田中彰治を指名して、
国会の正式な
調査権の発動でも何でもないのに、
委員会の始まる前に二人して大阪に行ったわけですよ。決算
委員長が、小
委員会をつくったときに、小
委員長の下に一
委員として入るなんということは、ぼくは例がないと思うんですよ、普通の場合に。それまでして行っているわけですからね。そして呼びつけているわけだ。荒舩清十郎と
田中彰治と二人で呼びつけているわけです。この
関係が
大阪拘置所の
事件が
国会で取り上げられるようになった発端なんですよ。これはぼくは事実の証拠をもとにして説明しているのですから。それで、その
関係で荒舩清十郎氏が大阪地検で
取り調べられたことは絶対に間違いありませんよ。ぼくはこれはだれから聞いたかということは言えないけれども、これは間違いない。
法務省も知っているわけですよ。この人が
田中彰治と組んでいわゆる刑事
事件を起こしたということを決して言うのじゃない。ぼくは決してそんなことは言いません。だけれども、とにかくこの
経過から見ると、この二人がとにかく非常に仲がよく、密接な
関係というか、それをとって、そしてとにかく
本件について決算
委員会に持ち込んで、あわよくば何かの形で利益を得ようとした疑いがこれはあると見るのが常識じゃないか、妥当じゃないか、こう思うわけです。ところが、まあ率直な話は、ある人の推測によれば、荒舩清十郎というのは人がいいから、そういうもうけ話があったのだけれども、途中でおっぽり出されて、
田中彰治だけが自分でもうけるようになっちゃったんだと。まあこれ以上言いませんけどね。これ以上言うと悪いから言いませんけれども、そういうことなんですよね。だから、ぼくは、現職の代議士、しかも今の
自民党の
国会議員ともあろう者が、そんな不動産
売買のブローカー的なことをやって、そこのところに首を突っ込んで利権争いをしているというところに
政治の根本的な問題があると言うんですよ。荒舩さんと田中が組んで何かをやっているということを言っているのじゃないですよ。そういう点があるから、これは究明しなければならぬ。荒舩さん自身も身の潔白を立てるためにもここに出てきてもらってその剛の
事情を説明してもらったほうがいいと思って、それで荒舩さんの
出席を要求したのですけれども、韓国に行っているから出てもらえないのですが、この次には出てきてもらったほうが荒舩さん自身のためにもなるとぼくは思うんです。
法務省としては、この決算
委員会で取り上げられるに至った
大阪拘置所事件のその
経過が、
田中彰治の
偽証事件、いまは
偽証になっていますね、
偽証事件の
一つの大きなポイントであるということは、これは間違いないでしょう。この点はどうでしょう。