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1966-10-26 第52回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月二十六日(水曜日)    午前十一時三十九分開会     —————————————   委員異動  十月二十六日     辞任         補欠選任      前川  旦君     鶴園 哲夫君      北條 雋八君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 園田 清充君                 野知 浩之君                 武内 五郎君                 渡辺 勘吉君                 宮崎 正義君     委 員                 梶原 茂嘉君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 堀本 宜実君                 森部 隆輔君                 川村 清一君                 鶴園 哲夫君                 中村 波男君                 村田 秀三君                 森中 守義君                 黒柳  明君    国務大臣        農 林 大 臣  松野 頼三君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        外務大臣官房長  高野 藤吉君        大蔵政務次官   丸茂 重貞君        大蔵大臣官房財        務調査官     細見  卓君        大蔵省銀行局長  澄田  智君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省園芸局長  八塚 陽介君        食糧庁業務第二        部長       荒勝  巖君        通商産業省通商        局次長      原田  明君    参考人        日本開発銀行副        総裁       石原 周夫君        農林漁業金融公        庫総裁      大沢  融君        農林中央金庫理        事長       楠見 義男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産基本政策に関する件)  (宮崎細島甘味コンビナートに対する融資に  関する件)  (バナナ等輸入果実その他に関する件)     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、前川旦君、北條雋八君委員を辞任され、その補欠として鶴園哲夫君、黒柳明君が選任されました。     —————————————
  3. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  農林水産政策に関する調査のうち、宮崎細島コンビナートに対する融資に関する調査のため、日本開発銀行総裁石原周夫君、農林漁業金融公庫総裁大沢融君及び農林中央金庫理事長楠見義男君を本日参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農林水産政策に関する調査として、昨日に引き続き、農林水産基本政策に関する件及び宮崎細島甘味コンビナートに対する融資に関する件を一括して議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 昨日、私は農林大臣に対して二点をお尋ねをいたしましたが、いずれも答弁は私の質問に対しては体をなさぬわけです。すなわち、第一点は、細島甘味コンビナート総合施設のうち果糖製造部門に対して、農林省融資機関である農林中央金庫に対して何らかの融資依頼をいたしておるはずでありますが、その間の明確なる答弁をきょう約束をいたしたはずであります。  なお、第二点といたしましては、農林中央金庫中心としてかなり多額のこの共和グループに対する運転資金融資をされておるのでありますが、共和グループの中でブドウ糖を製造する製品を仕上げるまでの一貫の運転資金が適正に運営されるならばどれだけの運転資金が要るかというお尋ねに対しても、政府間に統一した見解がないままに、きょう農林大臣がそれを総括して答弁を願うことになっておりますので、私の質問は、きのうの約束どおり大臣の御答弁をいただいてから順次いたしたいと思いますので、大臣の昨日の私の質問に基づいた御答弁を願います。
  7. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 昨日問題になりました農林中央金庫から共和グループに対する十億円のつなぎ融資について、食糧庁ないし農林省はそのあっせんを行なった事実はないかという御質問にお答えします。  昨夜以来、農林中央金庫関係者食糧庁の当時の関係者について徹底的に調査しました。この結果、農林省ないし食糧庁当局から農林中央金庫に対し融資あっせんを行なった事実について確認することはできません。関係者につきましては、当時の関係者四名について昨夜来個々調査をいたしました結果、そういう事実は確認することはできませんでした。  なお、第二の、公庫ブドウ糖融資というものの標準はどうかというお尋ねですが、これにつきましては、計数上のことがありますから、二部長からお答えいたします。
  8. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えいたします。  きのうのことで計算いたしましたのでございますが、いろいろな仮定を置いて計算してみたのでございますが、共和グループというのが三万五、六千トンぐらい年間つくっているということを前提にいたしまして、ブドウ糖のいわゆるノーマルな運転状況といいますか、回転状況等からいたしますと、まあ普通二カ月ないし三カ月、こういうふうにいわれておるのでございますが、それだと、六億円から七億円前後。それが三カ月から四カ月に延びますと、さらに金額がふえていく。企業によって、ケース・バイ・ケース、実際の売り買いのしかたも相当変わっておりますので、当該共和グループとしてどのくらいがノーマルかと言われても、計算がちょっとわからないのでございますが、普遍のいまの過程で二、三カ月あるいはもうちょっと延びて三、四カ月、こういうふうにすれば、六、七億ぐらい、場合によっては十億ぐらいになるという感じでございます。
  9. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうも、どれを聞いてもヌカにくきというか、明確な答弁が得られない。ますますこれはあらぬ疑いを抱かせることに役立つだけであります。  第二点は、これは計数にわたることでありますから、いずれ私は後ほど私の計算した基礎を中心として申し上げることにいたしますが、何としても了解ができないのは、政府がその施策の一端として考えられた細島甘味総合コンビナートというものを推進する最高責任であったわけであります。その一環として、ブドウ糖部門なりあるいは精製糖部門なりあるいは果糖部門なりという三部門が総合された企画が出ておる。しかも、この総合された三部門の中で、きのうも取り上げたのでありますが、精製糖は、これは公庫をもってしても金庫をもってしても融資対象に絶対できない。したがって、融資対象ブドウ糖部門だけである。果糖については、金庫法等を運用すればできないわけはない。したがって、政府施策現実に推進するためには、何としても政府の息のかかった金融機関が率先して融資に乗り出さなければ、この建設はできない前提に立っておる。したがって、まず第一点に、ブドウ糖については、当時の食糧長官から公庫総裁公文書を出して、明らかに融資の具体的な推薦をしておる。現実には推薦という表現であるが、もう融資命令のような現実になっておる。  これはまあ別といたしまして、それではあと液状ブドウ糖とデーツをシロップ化したもので製造する果糖に対して、公庫はこれは最初から融資はできない。農林中央金庫法律の運用によってできることでありますから、当然、政府としても、公文書をもって示さぬといたしましても、口頭によってこれは金融機関融資を依頼すべきたてまえでなければならぬのであります。もしもそういう態度がないとするならば、政府は、この総合コンビナート自体に対して無責任きわまる態度であると言わなければならない。ゆうべからけさにかけてこの事実について調べたけれども事実確認ができないという答弁ゆうべからけさにかけて、担当者関係機関、口うらを合わして、この程度の答弁一体共和グループ融資をめぐる不正に対する政府態度と言えますか。ますますもって疑惑疑惑を生む。この資金が何に使われたか、後ほど私は具体的に取り上げるわけでありますけれども、まず第一に、政府はこの融資に対して責任があるはずであります。事実確認ができないという答弁では、私の質問はこれでは進みません。もっと政府のき然とした態度というものがあったはずでありますから、融資あっせん経過について責任ある答弁を求めます。
  10. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 昨日以来、事柄事柄として私のほうも責任をもって徹底的に個々に当たって調査をいたしました。その当時の状況本人記憶本人の当時の概況、その結果、融資あっせんをしたという事実は、この関係者には一人も記憶もなければ、行動が明確に融資あっせんをしたということはない。したがって、徹底的に調査した結果、一番正確に申してその事実を確認することができない。これはいたずらに皆さん方審議をとやかく言う意味ではありません。これが一番正しい姿をそのまま御報告申し上げるのです。私のほうとしては、いたずらにこの事柄をとやかく遅延させるとか、調査協力をしないというのじゃありません。その事実のとおり本日は御報告をしております。したがって、これ以上に私が申すならば、それは今日の状況ではもう不可能であります。  また、なお、これは中金とも打ち合わせをいたしまして、中金のほうにおいてそういう事実があるなら私のほうにもお示し願いたい、私のほうの調査もそれによってなお進展いたしますと。中金のほうにおいても、現実において、ただいま申しましたように、その事実確認はできないということです。これはもちろん一方的調査ではいけませんので、中金のほうの記憶あるいは記録も御調査の上、両方で突き合わせようというのでやったわけであります。結論において、融資あっせんをしたという事実を確認することはどちらにおいてもできなかったということが今日の状況であります。
  11. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私はこの問題をきのう提起したのでありますけれども、こういうことはいわゆる黒い霧といいますか、疑惑を生む一連の問題であります。したがって、担当大臣として、こういう世論の注目する大きな問題の扱いについて、私がきのう質問をしたから急遽関係者にいろいろ照合したというような、そういう問題が出たからそれを明らかにするという態度——あなたはかつて九月三十日の閣議で、閣僚に積極的にこの黒い霧を払拭するために十分な協力を求めるという発言をしておられる。そうして、このことに率先して当たるべき責任をみずから言明したと思うのです。であるとすれば、こういう問題の経過等事前十分承知をして、質問が出なければ答弁はしないでしょうが、質問が出たらその点を明らかにするということは、あなたの言う責任をもって対処する一つの正しいあり方ではないですか。きのう出たから、いたずらにこの委員会審議を引き延ばすことも本意ではないから、十一時の約束に出てきたということは、それはそれなりに物理的にはわかりますけれども、こういうことは、その融資がいかに乱用されているかということにつながる重大な責任の所属に関する問題でありますので、あなたもこの融資の事実を確認はできないというふうに逃げを打とうとしておる。これじゃ、この問題に対する大臣の正しい姿勢だとは言えない。どうです、一体
  12. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 昨日、渡辺委員から御質問のときにも、私の答弁は、そういう事実の確認はないと思いますという答弁をいたしました。ただいままでの私の自分自身なりの、この問題に対しては確認はできないのじゃないかという、昨日もその念頭調査の結果おりました。なお、問題が問題ですから、さらにもう一度私はみずからの答弁を再確認したいというので、一日実は御猶予願ったわけであります。さらに関係者をもう一度個々調査をし、また、関係中金とも、ものも何らかの事実があるならそちらからも御提出願いたいと、さらに実はもう一日再確認しただけで、昨日突然この問題でちゅうちょしたわけではありません。私の記憶は、昨日の答弁で、そういうものは文書ではないと思います、また、そういう事実の確認はないと思いますという答弁を繰り返しましたが、事柄事柄疑惑を招いてはいけないので、もう一度私のことばを再調査をするので一日御猶予を願ったんです。それで、昨日以来本日までその調査の結果、ただいま読み上げましたような事実、これが一番正確なそのもののそのままの姿であります。
  13. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 事実を確認できないなんという行政責任がありますか。それで、一体責任あるあなたは最高責任者態度と言えるでしょうか。そう思いますか。
  14. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 渡辺委員の御質問は、必ずそういう融資あっせんをしたのだと、また、したにきまっておると、また、したであろうと状況から判断される。私も、同じような気持ちで、昨日以来この問題で、融資あっせんをしたのではなかろうか、したことがあるのか、口頭でだれが言ったのかということを実は調査したわけであります。また、私のほうばかりではいけませんから、中金のほうにもそういう実証があるならひとつお知らせ願いたい。この両方の実は調査をしたのです。しかし、だれがどうしてどうしたというあっせんの事実が残念ながら確認はできません。そのままの姿で本日申し上げているのであります。これが私の私が全力を尽くした結果であります。  なお、御承知のごとく、中金公庫と違いますので、中金という立場から言うならば、公庫と取り扱いが違ったことだけは、これは御了承いただけると思います。そこで、その問題の調査をしたわけであります。私のほうも、一方的に言うわけではありません。中金のほうからも御報告をいただいて、それでそのまま御報告を申し上げているのであります。これ以上の確認人的報告というものは、いまのところ、あっせんをしたというその者、また、それを知っておるという者も、残念ながら関係者四名の一人もその事実について確認をすることはできませんでした。中金も、同じようにそういうあっせんを受けたという確証的なものは私のほうには出てまいりません。
  15. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、大臣に伺いますが、政府がこういう一つの大きな構想を打ち出した、この事実は認めますか。
  16. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 甘味コンビナート構想というものをつくったということはございます。
  17. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そういう政府がみずからの農政一環として甘味コンビナートというものの構想を立てた、これは大臣確認をしておる。これを進めるにあたって、当時の経過は、私はこれ以上ナマズ問答はいたしませんが、現職の大臣としてみずからが行政立場構想した甘味コンビナートというものを立てた限りは、ただ立てたのでありますか、これを実現するという意思をもって進められたのですか。
  18. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 甘味コンビナート計画といのものをつくって、その一部として甘味コービナート融資あっせん開銀にいたした、また、でん粉ブドウ糖として公庫融資あっせんをした、この二つは事実であります。
  19. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうしますと、これは公文書でも明らかなように、公庫あるいは開銀に対しては正式に融資依頼をしている。しかし、残余の果糖部門については事実は確認できない。確認はできないが、このうちの一つ部門でも欠除いたしますならば、総合コンビナートは機能が喪失する。いいですか。そういう認識をこれはあなたも確認されると思うが、その点はどうですか。
  20. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) そのような計画がやはり総合的に行なわれるべきものであるという思想でこれは出発したであろうと思います。
  21. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これは当然の常識で、そうあらねばならぬわけであります。であるとすれば、これは法律で規制されている融資なわけです。少なくとも十五条なり十五条ノ二によって農林中央金庫融資をしなければならぬ。特に十五条ノ二に至っては、これは主務大臣認可を得なければならぬ、そういう一つ前提がある、政策金融であった場合に。申請書が出るまではあるいは申請書が出ないでつなぎ資金が出るまでは政府はあずかり知らぬのだということにこれはならぬわけです。事前政府も総合的なコンビナートを並行的に進めるための当然の行政指導があるべきものであります。私は経過はこれ以上聞きませんが、そうお思いになりますかどうですか。
  22. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 概論的には、私も渡辺委員と同じように考えます。ただ、そこで事実問題となりますと、その次の認可農林省がしていないという事実があるのであります。もしも融資あっせんを厳格にしたならば、次の場合の認可事項というものは自動的に認可をしたというのがまあ一般的にいま考えられる進行状況です。現実には認可をしていないということを考えますと、前の融資あっせんということばのほうが弱くなってくるのじゃなかろうか。そこに私は疑問を持ちまして昨夜来調査したところ、渡辺委員と同じような考えのもとに調査したところが、事実はそういうものが出てこなかった。したがって、もしも融資あっせんをしたというならば、次の認可というものが自動的に出てこなければ融資あっせんという事が出てこない。こちらは明らかに拒否しております。認可しておりません。したがって、融資あっせんというほうは、政府あっせんしたということは弱くなるのじゃなかろうか。その辺の事実が、さきに第一点に読み上げましたように、あっせんした事実がなかった。したがって、その次の認可をしなかったのじゃなかろうか。傍証といいますか、外側から外形的な説明は別ですが、事実はそういう事実なんです。この二点が私が再調査した一つ問題点であります。第一点は、明快にただいまお答えしましたとおり。第二点は、すでに渡辺委員承知のとおりな結果です。そういうことを私は念頭に置いて御答弁いたしました。
  23. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 だから、あと申請があったのを却下したというその既成事実にとらわれて融資あっせんをしたことについて事実確認がないと逃げるわけです。あなたのいまの答弁の冒頭が一番すなおな態度で、総合的な細島コンビナートというものを推進するためにはどの部門が欠けてもいかぬものである。そのうちの二部門についてはそれぞれの公文書によって政府責任金融機関融資をさせるような強力な行政指導をしておる。他の部門については事実確認ができない。事実確認のことはこれ以上取り上げませんけれども、当然他の部門についても政府はこれを並行的に推進するための行政指導をしなければならない責任があると思うのであります。どうですか、その点は。
  24. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 総体的には、中金に対しましても農林省は総体的な責任はあります。ただ、渡辺委員も御承知のように、中金融資について一項目別融資あっせんをするという慣例は、御承知のごとく中金独立性から必ずしもありません。ただ、この問題はコンビナートという総合的なものであるから、おそらく二つ公庫には融資あっせんをしたのだから中金にも何らかの形で融資あっせんがされたのではなかろうか、これは常識的に考えられます。じゃ、その事実があったかどうかということを私も焦点に調べました。ところが、残念ながら確証はありません。これは、私が言うばかりじゃなく、中金も同じであります。しかし、概括的に、そういう一つ計画に入っておったのだから、やはりこれは三つそろって一つコンビナート計画である、これは私もここに認めます。本日は事実確認としてはそれはなかったということを正直に申し上げて、今後のまたいろいろな御審議のときに——この事実だけは申し上げておきます。
  25. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 事実確認でこの問題をずらさないでください。私の聞いているのは、総合的にやるためには、経過は別としてですよ、当然政府は総合的な建設に対する行政指導責任があるんじゃないかということをお尋ねしておる。
  26. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 総合的な政府計画というものは、そのウエートはおのずから違いますが、一つ食品工業、あるいはでん粉工業果糖工業、そのウエートは違います。まあ何と申しましてもでん粉というのが、これは公庫の中ででん粉融資という毎年の四十九億ぐらいの融資金額がありますから、これは公庫という性質からそのウエートはあります。したがって、そのウエートはありますけれども、総合的にやはり食品コンビナートにはそれは農林省としてある程度の推進計画があったであろう。また、あったと私は思います。
  27. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 当然これはそうあるべきであって、それについてもしも事実確認ができないということを前提として考えたら、私はこれほど無責任政府態度はないと思うんです。いいですか。事実確認ができない、勝手に融資したんだ——これは金融機関責任はまた別途に私は問いただしますが、基本的に政府が企画立案したものに対して、総合的なコンビナートを並行的に建設するためには、金融機関の自主的な判断にはまかせるが、政府としてはやはり並行的に果糖部門に対しても、公庫開銀では融資ができないのでありますから、金庫によってこれをやらせる一つ行政指導責任があるのに、もしもそれを何らやらなかったとすれば、これはまた政府のやらないなりの大きな責任がある。そう思いませんか。
  28. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) まあこの問題は、この三つを競合して一つ計画を立てた。そうして、その受け持ちを、公庫開銀には政府あっせんをやった。中金については、政府が監督、融資までの具体的権限がありませんので、したがって、あっせんということまでは現実にはやらなかったと思いますが、しかし、農政一つ方向としてこういうコンビナートをつくるのだということは、これは中金もおそらく計画を御存じだったろうと思います。そこで、融資するほう、これを監督するほうというものが、そこでどういういきさつか明確じゃありませんが、一つ方向として同じ方向をとったのじゃなかろうか。そこに命令をしたのか、あっせん依頼をしたのかしないのか、これは確認ができませんが、一つ政策方向としては同じ方向をとったのであろうということは結果としては私は認めますが、そこで何も責任をのがれやしません。しかし、今日は事実の上において申し上げただけであります。私も、渡辺委員と同じように、一つの常識的な方向というものはそうであろうと思います。しかし、そこにあったかないかと言われれば、確認した結果、今日はありませんでした。疑問が残るかもしれませんけれども、残っても、事実のままを申し上げるのが今日の立場であります。
  29. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 したがって、このことについては、何らかの行政指導といいますか、そういう事実があった場合、なかった場合、この二つの場合にしぼられるのでありますが、あった場合は、あった場合のやはり責任がある。なければ、なお無責任という一つの大きな事態がある。こういうことだけは、大臣の常識的な判断による答弁によってもはっきり言えると思います。したがって、事実が確認ができないという現段階でさらにその事実を追及しても、きょうの段階では始まりませんから、この程度にいたしますが、いずれにしても農林中央金庫がこれに対してつなぎを出した。しかも、これが三回に分けて出しておる。第一回三億五千万、第二回が三億五千万、第三回が三億というつなぎ融資を出しておる。これは金庫法によって短期資金は半期ごとの包括認証を受けておりますから、この限りでは違法ではない。そのあとに、きのうの説明によりますと、三十九年の十月に十五条ノ二の申請をした、この申請を却下した理由というものをこの際明確にひとつ答弁してもらいたい。
  30. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 農林経済局長から…。
  31. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 昨日も申し上げたわけですが、中央金庫から十五条ノ二の認可申請が参りましたのは、三十九年の八月でございます。それで、私どもとしては鋭意検討をいたしておったわけでございますけれども、当時、食糧庁において、まだ具体的に細島のブドウ糖工場——これは七十トンのプラントで当初始まりましたものが、その後いろいろな変転があったようでございますけれども、その点に対する見通しが現時点では明確に立っておらないから、昭和四十年後においてブドウ糖合理化工場建設に対する融資問題とあわせて措置したいという趣旨の話がございまして、一応中金からの融資申請を返却いたした次第でございます。
  32. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうしますと、三十九年の八月の十五条ノ二の申請は、いろいろな情勢の検討等によって却下をした、四十年度にこれはあらためて取り上げるということになったわけですね。そう理解していいですか。
  33. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) ただいま申し上げましたように、四十年度において食糧庁において検討をいたしますから、それとあわせて本件の再検討をいたしたいということでお返ししたわけであります。
  34. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 融資あっせんの当面の責任者は食糧庁長官でありますから、食糧庁長官に伺いますが、その四十年ということに一つの問題を投げかけて、それについて一体いかなる検討をし、いかなる結論が出たのですか。
  35. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 当時、共和製糖からもそのような申請が、いわゆる七十トンでございますか、申請も出ておりましたが、小さなブドウ糖工場が日本じゅうに多数乱立しておったんではなかなかいわゆる合理化がねずかしい、ねしろ近代的な合理的な大型の合理化工場にある程度集中したほうがいいのではないかという考え方が当時一部出てまいりまして、これは三十九年の半ばころからだったと思いますが、それで、そういう形でむしろこの際少し整理したら——整理というか、集中して大きなものをつくったらどうかということで話を進めてまいりましたが、そのうちに、三十九年度ころから、御存知のようにでん粉が、でん粉と申しますか、南九州のサツマイモがあまり増産されずに、ねしろ減産ぎみの傾向が表立ってきましたし、したがって、ダブついておったでん粉も市場からだんだん少なくなってまいりますし、あわせてでん粉のいわゆるブドウ糖の市況も芳しくないというふうなこともありまして、積極的に進めることについての多少是非が出てきたことが一つ。それと、なお、集中的に大型のブドウ糖工場をつくることについて業界のほうの反対も逐次強くなってきたので、まあ検討は慎重になってきた。こういうかっこうでございます。
  36. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 検討が慎重になったとか、そんな抽象的なことを聞いておるんではなくて、農林中央金庫法律の定めるところによって貸し出しの申請をしたと、設備資金に対して。それに対して、四十年度にひとつ回答するということで一応却下した、こういう一応の経済局長答弁でありますから、四十年度になって一体この措置をどうしたかということですよ。
  37. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) そういうことで、当初の三十九年度の半ばころまでは、農林漁業金融公庫のほうに大規模な予算を計上して、そして四十年度からこういった細島のみならずほかのいわゆるブドウ糖の近代的な大型工場をつくることについて積極的に政府として融資したらどうかということで、それを四十年から始めようということで、予算等の措置も検討したのでございますが、四十年度に入ってそういうことを結局しないことになった、こういうことでございます。
  38. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 しないことになったとかなんとか、全く私とすれば納得のできない政府態度なんでありますが、主務大臣の一人である大蔵大臣代理の政務次官、この申請に対して主務大臣はいかなる判断をもって合議しましたか。
  39. 丸茂重貞

    説明員(丸茂重貞君) この問題は農林省のほうからいろいろ話を聞きまして、かって衆議院でもお答え申し上げておるように、ただいま鋭意調査中であります。できるだけ早くお答えできるように目下全力をあげておる状況であります。
  40. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 鋭意調査中というのは、この申請がまだ生きているということですか。
  41. 澄田智

    説明員(澄田智君) 私からかわってお答え申し上げます。申請は、農林省からの答弁にありますように、一応却下されたと聞いております。私が調べたところでは、当時、大蔵省としては、事柄の性質上、主として農林省側の意見に従ってこの申請を受理してからそれを検計しておったわけでありますが、先ほど答弁にもありましたように、四十年度においてブドウ糖全体の問題として再検討する、こういうことでありまして、一応却下をいたしました。その後、四十年になってからは申請は出しておりませんので、前の申請は却下されたままになっている、こういうふうに承知しております。
  42. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私の聞いたところによれば、農林大臣がこの申請を受理して大蔵大臣に合議をして、大蔵大臣の段階でこれは却下になったと聞いておるのですが、その経過はどうですか。
  43. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 両大臣に対する申請でございますから、当然大蔵省に合議いたしたわけでございますけれども、この申請書を却下いたしますことは、先ほど申し上げましたように、ブドウ糖工場の建設をどういうふうに考えるかということから発したことでございますから、大蔵省の意見によってこれを却下したということではなくて、あくまでも農林省の意見によってといいますか、農林省の考え方によって却下いたしたわけでございます。却下というよりも、正確に申し上げますと、時期を見てまた出してくれというわけでお返ししたわけでございますけれども、お返しするについては当然大蔵省と十分に協議をいたしておりますけれども、お返しするについての経過農林省立場から発したということでございます。
  44. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私はいままでの一連の答弁を聞いて感じますのは、いかにもこの細島の総合コンビナートに対する政府の基本的な態度が自信がなさ過ぎるということです。自信がないということは、裏を返して言えば、無責任きわまる一つのビジョンを描いたに過ぎない、そういう一つのすきがあるものだから、融資を受けるほうとすれば、もっぱらこの資金を流用して精製糖工場につぎ込む。こういう方向を誘致する大きな要因というものが私は政府計画のずさんさ、また、大臣間の理解の相違というものにあらわれておると思う。その結果、いろいろなしわ寄せが出てきているわけであります。そういう大きな責任ある問題にこれは発展せざるを得ないのですが、松野大臣、どう考えます。
  45. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 甘味資源の方向として非常にこの時期には変化がありまして、第一に砂糖の自由化によるもの。そのために新たに精糖工場というものが建設される。その反面、ブドウ糖工業というものの圧迫をいかにして防ぐか。この非常な大きな政策的に変化のある場面にこの問題が実は惹起したわけであります。したがって、私が調べましても、その間において大きな変化があったことは事実であります。もう一つは、新たにここに生まれました果糖及びブドウ糖を加味する果糖という新製品というものがここに出てきた。果糖そのものはもうすでに市販されて経験がありますが、ブドウ糖を加味するという新たな工業化というものがここに申請された。その現実の進行を見るうちに、いろいろなそれは変化があったように私にも見受けられます。そういうところに、この計画の出発と現実と結果というものが三段階が必ずしも一連の成功を得なかったのではないだろうか。これは政策的に私はそう判断できる考えで今日おります。
  46. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私はこのコンビナートの企画の果糖部門というものだけにしぼって申し上げますならば、これは明らかに一つの企業として成り立たないものであった、最初から。これは業界の指摘するところであります。そういうものをあたかもできるものとして総合的な部門計画し、これを進めようとしたところに、私は政府責任というものの免れることのできない大きな立場というものを指摘せざるを得ないわけです。もしもこれが十分企業として成り立つものであれば、何もいまのようなもたもたしたそういう状態が出ないで済むはずであります。イラクから輸入する原料にもその品質の度合いにいろいろな相違もありますが、これを企業化する、市販に出すというためには、非常にこれは経済採算に合わないということは天下周知の事実であるのに、これを大きな総合部門の一翼に入れて推進したところに私は政府の免るべからざる責任があると指摘するのです。  そこで、こういうもたもたした経過申請書を却下した。その間包括で認証を受けたにしても、農林中央金庫としては系統外の融資である。系統外の融資に対しては系統組織を当然に重点に考えて融資する。それらが申請が出されたという裏には、つなぎ資金が出ているという事実も政府確認しておると思うのでありますが、その点はどうですか。
  47. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 三十九年の八月に十五条ノ二の申請がありましたときは、当然中金から前もってつなぎ融資は出されているという事実は農林省として聞いておるわけでございます。
  48. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 確認をしておるということでありますから、あるとすれば、三十八年の十二月から三十九年の九月にわたって三回にわたって合計十億の金が共和に出されておる。それを本資金につなぐことを却下した。その後の資金のあり方について、主管大臣としてどういう行政的な責任をもって指導に当たられました。一年以内の短期融資を出しておる事実がある。
  49. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 私の承知している範囲では、短期融資は総体的な認証というものを農林省はするわけで、個々のものについていままでやった前例はありません。ただ、この問題については、おそらく申請が出たのですから、一項目としてこれには注意したであろうと思います。詳細なことは局長から補足説明いたします。
  50. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いや、局長答弁はいいです。それは、私は大臣から何も聞くまでもなく、全体の員外貸し付けのワクはもらっておるわけです。そのワクの中で勝手にやるわけですよ、自主的な団体ですから。それはいい。しかし、それが設備に出した金でありますから、当然長期の十五条ノ二でこれが融資が切りかえられなければならない性質のものである。そういうつなぎが出ていることを申請の際に農林省確認をしておる。申請を却下した。その資金あとの管理を一体どうしたかということを聞いておる。
  51. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) まあ十五条のいわゆる後段につきましては、非常なたくさんの会社に対して中金は約四千億の融資をいたしておるわけでございますから、私ども包括認可で一定の金額の中で中金が自分の信ずるままに融資をすることを認めておるわけでございます。そうしてまあこの十億の設備のつなぎ資金は、形は短期でございますけれども、将来は設備資金にかわって十五条ノ二になるわけでございますから、私どもも本件については当然十分の関心を持っておるわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、ブドウ糖工場の合理化といいますか、ブドウ糖工場がどういう形で細島に定着するかということがまず第一の問題で、それを食糧庁に対していろいろ話し合いをしておったわけであります。
  52. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そんな答弁じゃ納得できませんよ。私は、これは金融機関法律を乱用している、その事実を農林省確認しているかということを尋ねるのですが、十五条でうたっている短期資金は一年以内の短期資金ですよ。それが現在になってもこげついているでしょう。そういう場合に、単に手形の切りかえで一年以内の融資というものを二年、三年にわたって融資するという事態を認めるのですか。
  53. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) もちろん実質的に設備資金に使われておるようなものは、十五条ノ二によって認可を受けることが至当でございます。私どもも中金にそういうことを期待をいたすわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような事情でこれを返却いたした経過がございますから、しばらく細島におけるブドウ糖工場の設立の状況を見守るという以外に当面の方法はなかったということであります。
  54. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そういういいかげんな態度だから、金融機関もふんどしがゆるんでいる。そういう目的が第一政府がぐらついているということであれば、それだけにこの融資の償還を命ずるところの行政指導がなされなければならぬと思う。設備が当然必要だということを確認して出したでありましょう、融資機関は。しかし、政府がこの当初の計画を御破算にしたというそういう態度であれば、なおさらこの設備に出した金は、十億という巨大な金は、即時これは返還をさせる行政指導があるべきものだ。そういう指導を加えましたか。
  55. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) その問題は、細島に対する融資状況を綿密に調査をして御報告するときにも触れるわけでございますが、私ども、たてまえとしては、実質的に設備資金の形で貸されたものがそういうものとして活用されていない場合は、たてまえとしては償還をさせるべき筋合いだと思います。ただ、たてまえとしては私もそのとおりだと思いますけれども、現実に企業の維持の問題もございましょうし、債権の保全ということもございましょうから、いつどういう形でそれをやるかということは、現実の企業のこれからの動き、あるいは経営の維持、そういうものとも関連して考えるべき筋合いだと思います。ただ、たてまえの問題として、設備に使うとして貸されたものが設備に使われなかった場合は、たてまえとしてはやはり償還をさせるべき性質のものであるということはそのとおりであろうと思います。
  56. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もうこの問題で私はこれ以上時間をとりませんのですが、設備として出したものが、政府のそういう基本的な構想がくずれて、設備じゃないと、もう少し待ってくれというようなことであれば、金融機関の誤りはそのときでもいいから償還をすることを強く監督官庁として指導すべきものだ。したかどうかということを聞いている。
  57. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私は思いますのに、中金としては債権確保に十分努力をいたしたというふうに思います。また、事実、中金といたしましても、食糧庁ブドウ糖工場に対する態度の決定を待つ以外は、私どもといたしましてもまた中金といたしましても、この問題に対して直接なかなか措置がとれないということだろうと思います。
  58. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 だんだん明らかになってきましたが、政府もぐらぐらして、出した基本がくずれておる。それを金融機関立場から融資をさせた。しかし、それが目的外に流用した結果になっておる。それも、内容としては、しろうとでなければわかるはずだ。まだ総合的なコンビナートもぐらぐらしている間は、返還をせよという行政指導もできない。そういう中にこの資金の内容というものが深い疑惑方向に流用されておる。何のための一体監督官庁ですか。自分で立てたプランを自分で否定し、そのかつて立てた案を一応まともに受けて金融機関融資をする、あっせんの依頼があったかなかったかは別として。なければないなりにまた行政機関の責任がある。あればあったでまた責任がある。その事実確認は別として、それが計画が御破算になるということで目的外に出した結果になった事実の上に立って、なおかつ資金の流用というものを無視したという事実を確認しながら、それを放置しているということは、監督官庁として責任は非常に重大ですよ。大臣、どう思いますか。
  59. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 中金報告というものがいずれ詳細に出ますから、その際に監督官庁における責任問題というものが明確に出ると思います。しかし、渡辺委員のおっしゃるように、そのときにどうして却下した、却下したら直ちに返還をなぜ命じない、これは私も同じようにその事実については考えさせられます。また、それを一年繰り延べた。いま一年繰り延べたのですから、一年繰り延べた結果、じゃどうなったのだ。今日は公庫から返納命令が出ましたから、それに合わせて当然この問題も処理されるべきである、私も同じような疑問は持ちます。だからといって、まだ事実調査が終らないうちにその考えだけで私は今日どうこうというわけにはまいりません。本日の御指摘の点は重要な問題と思って、私自身報告のときによく私自身が省内を取り調べる一つの項目として昨日以来注目しているところであります。
  60. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 報告を待たなければ何ともならぬというきょうのそういう答弁は、私は絶対に許されぬと思うのです。もうすでに二年も前に目的外に資金が流用されておる。しかも、きのうの公庫を代表した参考人の意見としては、すべてが精製糖部門に使われておる。これはもう法律違反を犯しているわけです、資金の運用の面で。そういうことがあって、なおかつき然たる態度をとれないということは、これは事実をもっと確認してからどうしようなんというそういうなまぬるい段階じゃない。すでにきょうの段階ではそれについておそきに失するが、適切なやはり措置を講じなければならぬ。そういう責任にある大臣が、いまの答弁は何ですか。
  61. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この内容は、御承知のように、設備に対するつなぎ融資、それが結局設備資金にかわるべき期間のつなぎ融資であります。したがって、その一年間のうちに処理できなかったから、これを二年に繰り延べた。二年たって、どうもこれは返納させるべき、あるいはそういう命令を出すべき時期である。しかし、この問題そのものが、やはり中金の行為であり、債権者の意向も十分聞かなければならない。それは、事務的に言えば、直ちに監督としてこうしろと指示したほうがよかったかもしれません。しかし、事柄がすでに進んでおるならば、その再建あるいは事業の円満な遂行というので今日まで延び延びにしたのじゃなかろうかと思います。御承知のように、この問題は、政府自身が監督する公庫とは多少性質が違いますので、中金の意向を受けながらわれわれが監督するという立場ですから、したがって、全然これが不可能だ、つなぎ融資をしていけないのだというワクの外ではなかったと思います。総ワク的なワクの中でのものであったと思います。これが固定化する段階になったというのが今日の段階であります。それは重々注意すべきものがあったと私は思いますが、現実はそういう意味で今日まで処理されておったと私は思います。
  62. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、この点は、やはりいまの答弁では全然納得ができないですね。第一、十五条の一項と十五条ノ二とを乱用しているんですよ。短期融資というものを非常に延ばしに延ばしていけば、これは長期資金になるでしょう。十五条ノ二の十年の定期割賦あるいはその他の長期融資になる、ずるずるにやれば。そういう資金管理というものに対する大臣の包括承認であっても責任と、それが明らかに乱用されているという事実を確認しながらこれを放置しておった責任と、この二つ責任は私は政府として当然負わなければならない問題だと思う。大臣はどう思いますか。
  63. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) その認定の当時は、この事業がもう全然やめるというのでなしに、継続して進めるという時期であります、三十九年、四十年は。農林省で包括承認のその際は、その事業がもう閉鎖するのだとかあるいは危険であるということが事実として把握されていなかった時期じゃなかろうかと私は思います。したがって、今日になれば十分その認証というものはある程度明快さを進めてまいりますが、その当時はまだこの事業というのはできるのだという前提のもとに監督官庁としては見守っておったと私は思います。もちろん、その結果において、農林省としてあるいは所管の大臣として責任がないと私は言っておりません。それは、いずれこの結果が出て、どの程度の責任があり、どういうところに問題があったかということは明確にいたします。その当時の状況としては、この事業でやらないのだというのになぜ貸しておったのだ。この事業を継続して、ある意味ではまだ続けられるのだという段階において一年の繰り延べというものが認められたと私は思います。
  64. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすれば、政府も、とにかくこの融資については責任を感じておるわけですね。
  65. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 包括承認というものの中においては、当然農林大臣あるいは農林省でこれは承認したことであります。
  66. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 楠見参考人に伺いますが、これはあくまでも大蔵委員会でも証言されたように設備に対するつなぎ資金だという説明でありますから、それは設備の支出を確認して融資をされたのだろうと思うのですが、そうなんですね。
  67. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 私どものほうが金を出します場合は、政府機関の開発銀行とかあるいは公庫とは違いまして、事業計画を承認いたしますと、その計画に基づいて所要の資金を出す、こういうことになっておりまして、したがって、設備ができるに従って金を貸すというのではなしに、設備に先行をいたしまして資金が流れていく、こういうかっこうになっております。
  68. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これはまたはなはだ理解できない御答弁でありますが、設備資金として出したと言いながら、その出し方は計画を尊重して出したと。そうすれば、計画が変わった場合は、金融機関としてはどういう処置をとられるのですか、結果的には。
  69. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 計画を承認しまして、それに基づいて出すわけでありますけれども、しかし、それはあくまでその計画の中にある設備に要する資金として出すわけであります。ただ、御承知のとおり、設備をいたします場合に、たとえばこれは一般の事例として申し上げるわけでありますけれども、契約をする、そうすると手付金が要るとか、そういうことで現実に設備ができます前にそれに先行して企業体としては金が要るわけでありますから、したがって、いま申し上げましたようなたてまえで融資をいたしております。  ただ、いまお述べになりました設備として出したものが設備に回らないということが確定的になりますれば、これはそのときにはそれに応じた処置を講じなければいかぬ。たとえば期限前償還の問題もございましょうし、そういった処置は当然考えられることでございます。それで、先ほど来お話を承っておりまして、私どもの現在の立場と申しますと、つなぎ資金が出まして、そのつなぎ資金について、これは先ほどの質疑応答の中にもあらわれておりましたように、そのことは官庁のほうも御承知でございます。追っかけて第一回分として十五条ノ二の申請をいたしました。十五条ノ二の申請で第一回分といたしましたのは、全体の計画として計画の中に計上されておりました金額の半分が公庫から出ることが実現をいたしておりますので、私どももそれに合わして半分といたしたわけであります。追っかけて公庫と歩調を合わして第二回分を申請するつもりでおったのであります。ところが、先ほど来お話がございましたように、昨年の五月に、四十年度のブドウ糖対策を考えておるから——考えておると申しますか、そのことを考えるので、その考えの一環としてこれを取り扱いたい、したがって、書類は一応返戻するということで、先ほど来却下というお話もございましたが、私どもはその計画は役所のほうとしては認めないという積極的なそういう意思表示とは承知をいたしておりません。とりあえず四十年度のブドウ糖の合理化計画と申しますか、そういうものを計画するのだから、その際の一環としてこれも考えるから、それまで待て、こういうふうに理解をいたしております。したがって、先ほど来お話がございましたように、短期資金としては一年以内でありますけれども、そういった事情でございますので、現在繰り延べておる、繰り延べておるといいますか、繰り延ばしておると申しますか、そういうような状態になっておると御承知いただきたいと思います。
  70. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの御答弁にはいろいろなまた問題があるわけでありますが、たとえばいろいろ政府の方針がはっきりしないから、政府と話し合って一年以内で完全に現金で決済さすべき短期資金を繰り延べもできる、こういう一体法律の運用が可能かどうかという問題です。私はそんなものじゃないと思う。短期資金でも政府の都合によってこれは二年でも三年でも貸せるものだと理解したならば、私は立法府の責任としてこれはあくまでもその乱用を追及しなきゃならぬ。それはどうですか、大臣。とにかく、農林省計画がずさんだった、だからこれは結論がまだ出ない、一年以内で返すべき金を延ばしていい、そういう自由濶達なものですか、十五条の第一項は。
  71. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 基本的に農林省政策として長期資金が必要であるというので十五条でいまやっておりますのが三百億以上、主として肥料、酪農、えさ、そういう政策に実は長期資金が出ております。しかし、その金額は、金融資額から見るとわずかなものです。そこで、そういう基本的なブドウ糖育成というものが農政上においてもっと中金の金まで使う必要があるのか、あるいは中金の金を使わなければ政策的にならないのか、その辺がまだ明確にならないために十五条の認可を渋ったんじゃないかと思います。また、政策的に見ると、その推進時におきまして、その中間における結果とはだいぶ変化が来ております。そういうことからこの問題の保留あるいは却下という時点になった。しかし、事業そのものが推進されておるのですから、直ちにこれを停止しろ、どうしろという命令は出さなかったんじゃなかろうか。そこで、一年間繰り延べてそのまま次の政策を考慮中という感じ、今日私の調べた範囲ではそういうふうに考えます。それから、いい悪いということよりも——もちろん繰り延べが絶対悪いとは言いません。繰り延べした例もほかにもないとは私は思いません。しかし、一応この問題は、そういう時期であった。また、そういう政策一つ問題点であった。そのためにこれを却下し、また一年間中金は繰り延べられた、そういう結果だと私は考えます。
  72. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、これは固定設備の資金である限りは、計画によって公庫等のかね合いもにらんで融資をしたということでありますけれども、その出来形調書等を確認してその実態に基づいて融資をすべきものだと思う。その間は、当然、貸し付けはいたしましても、別段でこれは管理をしておかなきゃならぬと思うのです。そういう管理を中金はやっておるんですか。
  73. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 先ほど申し上げましたように、設備の施行に先行しまして、たとえば契約手付金とかそういったものが要るわけでありますから、したがって、私どものほうの設備資金といえども、それは設備に後行せずに、むしろ先行して出しておるわけであります。  それから私どものほうの資金の出し方は、十億なら十億を出すということが決定をいたしますと、一応金庫のほうでその企業の預金口座に入れまして、その預金口座から企業が逐次出していくと、こういうような資金の動かし方になっております。
  74. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 現実にこの設備のつなぎというのは、果糖部分の設備でしょう。
  75. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 資金計画におきましては、果糖部門ブドウ糖部門とあわせまして昨日申し上げましたように計画が二十九億という計画になっておりまして、資金は、その二十九億のうちで金庫が十億と、こういうことで、したがって、果糖またブドウ糖、いずれにもいいようになっております。
  76. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 大体、この中金の貸し出しというものはもうずさんきわまる。事業計画に基いて手付金を出す。手付金を出せば、これは悪女の深情けで、何に使われようとずるずると出す。結局は、これは用途外に流用する。その内容は、政府にも大きな責任があるし、金庫にも責任がある。その資金の使途について私はこれから伺うのでありますが、結局、金庫はこれを設備のつなぎとして出したが、その設備する基本的な計画自体は政府は指針はない。四十年ということでありますが、この段階でこの点についてはどういう一つの結論を持っておりますか。総合コンビナート計画ブドウ糖部門精製糖部門果糖部門、当初あったこの計画をいかに政府施策として確認をされましたか。
  77. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 甘味コンビナート推進案というものが昭和三十八年ごろに省内において一つの案ができまして、それに対応してこの計画というものが推進をされる。その一つ公庫であり、開銀であった。もちろんこれに中金がおそらく同じ意味において協力された。その案が一次コンビナート案であります。これは、その後順調に行かずに、大きな変転があった。当時は、御承知のごとく一つの甘味資源の大きな変転時期でありました。その時期に、たまたま地方においては新産の計画農林省としては生産地育成というふうな方向政策として立てられた。そうして、その融資あっせん公庫開銀に出された。そういうふうな一つ計画であったことは私は想像いたします。その後において、これは農林省行政の限界というのがありますから、これに補助金を出すとかあるいは予算を組むとかいう限界がこれは少し違いますので、企業の育成あるいは企業の一つ政策方向として出したので、企業そのものにこれに触れたとは私たちは考えません。しかし、一つ政策としてそこに一つ共和グループというものがこれを担当して今日まで来ているというのが共和製糖と政府との一つ政策上の結びつきじゃないかと私は思います。今日、結果から見れば、非常な大きな変動があって、必ずしも最初の計画どおりはもちろん結果においてはいかなかったように私は思います。
  78. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もう全く無責任きわまる態度である。あなたとこれ以上このことを質疑をかわしたって、無責任を明らかにするだけでありますから、具体的な内容に入ってそれではお尋ねをいたします。  この共和製糖グループ全体に対して、運転資金というものは一体どれだけ流れていますか。政府はどう確認していますか。
  79. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 農林公庫のほうは、これは設備資金でございますから、運転資金はございません。で、農中のブドウ糖融資は全体で九十九億四千万円ほどでございますが、共和関係会社の融資残高は三十億七千万円でございます。三十億七千万のうち、長期資金が一億五千五百万ほどでございます。形式的な短期資金が二十九億一千五百万でございますが、この二十九億一千五百万のうち十億は、先ほどから申し上げております設備のつなぎ資金でございます。
  80. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いま明らかになったことは農林中央金庫がもっぱら運転資金を出しておる。その短期資金運転資金であります。二十九億、こういうものが出ておる。全体で共和グループに対しては七十二億出ておる。固定設備あるいは担保の問題、それはきのう矢山委員がある程度取り上げましたので、その点は後ほど締めくくりで取り上げますけれども、短期資金に私は焦点をしぼって若干お尋ねをしたい。  二十九億一千五百万は、これは明らかに農林中央金庫から出ている短期運転資金であります。つなぎ資金といえども、これは短期運転資金に流用されておる。しかも、これはブドウ糖部門にのみしぼって運用されなければならない。赤字補てんでも、共和グループでは砂糖部門ブドウ糖部門部門別独立採算経理をやっておるはずであります。したがって、この融資が、国民の血税をもって蓄積された資金が、かりに赤字に転化されるとしても、それは砂糖部門に一文たりとも使われてはならないきびしい規制がある資金であります。しかも、その二十九億のほかに、東食から出しておる資金が、私の調査では明らかな数字は出ませんが、一応クレジットとしては十五億を設定しておる。大体十五億と見れば、これがまた運転資金に加算されておる。こういうふうに確認して間違いありませんか。
  81. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 農中からの融資は私が申し上げたとおりでございますけれども、東食からの融資十五億というのは、私のほうは確認はいたしておりません。
  82. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 楠見参考人に伺いますが、東食が共和グループに出した、四十一年の二月と同じく七月にそれぞれ出しておるはずでありますが、その金額は、金融機関立場として、自分の融資だけを確認していればいいという段階ではないはずであります。この金額は幾らであると確認されておられますか。
  83. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) これは答弁を拒否する意味ではありませんが、各私企業間の取引でありますから、できますれば速記をとめて申し上げさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。委員長山崎斉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。  これにて暫時休憩いたします。    午後一時六分休憩      —————・—————    午後二時三十六分開会
  85. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  86. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 先ほど東食に対する融資の実態の報告がありましたが、これはどういう資金内容で出しておるか、それから東食が共和製糖にどういう条件で出しているか、こういう点を楠見参考人お尋ねいたします。
  87. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) その点は、先ほど申し上げましたように、共和製糖の生産をいたしました砂糖の六割余のものを東食が取り扱っておりますので、したがって、輸入した原糖に対する関税の立てかえ、そういった一連の取引上のものを東食が融通いたしておりまして、それを逐次また次の製品から落としていく、こういうことを循環いたして、取引上における融資関係、こういうふうに理解をいたしております。
  88. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私はきわめて不本意な時間的制約を受けているわけであります。深刻です。したがって、答弁をひとつ簡潔に願いたいんです。  農林中金が東食にことしの一月以降融資したというその資金の内容と、東食が共和製糖へ出した資金の内容というものを具体的に資金の使途と金額をお示し願いたい。
  89. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) この点につきましても、先般、参議院の法算委員会におきまして、個人企業といいますか、私企業に対する私どものほうの取引関係は、金融機関としては機微に属することであるから、したがって、速記をとめて申し上げたいということで、速記をとめていただきまして申し上げたのであります。東食に対してましては、御承知のとおり、東食は年間千五百億程度の取り扱いをいたしておりますが、そのうちの七割程度が農林水産物資でございますので、それに対する運転資金ということで出しておりまして、常時それは動いております。そういう関係で東食には金を出しております。  それから東食の共和製糖に対する関係は、先ほど申し上げたとおりのことでございます。
  90. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 中央金庫は、この共和グループに対しての融資はいつの段階でストップしておりますか。——おおよそでけっこうです。
  91. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) この春ごろからはいたしておらないと承知しております。
  92. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 大ざっぱに言って、四十年の十二月までは融資した、今年からは融資していない、こういうふうに理解していいですか。
  93. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 正確には私承知いたしておりませんが、少なくとも今年に入っては融資はしておらないのではないか、かように存じております。
  94. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 去年の十月に、細島コンビナート中心とする手形の決済分として、共和製糖から十五億の借り入れ申し込みがあったと聞いておりますが、どうですか。
  95. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) それは私承知いたしておりません。
  96. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いずれその時点での融資はどの機関からもなされなかったことは事実であります。非常にまあ金繰りに困って、共和製糖は元利のたな上げの申し出をしておる。それに対して、公庫金庫がそれぞれ何らかの意思表示をしたはずでありますが、どういう意思表示をされて、その結果、当時意思表示をした点で変わっている点があればこれを加えて御答弁を願います。公庫総裁から。
  97. 大沢融

    参考人大沢融君) これも、この前の、昨日でしたか、お話し申し上げましたが、来年の三月の末まで利払い等につきまして支払い猶予をするという措置をいたしております。
  98. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いや、私の聞いておるのは、その後の措置について変わっている点があればというのだが、あなたは期限につき償還をするよう要求をしているじゃないですか。その点はきのうの証言は違うのですか。
  99. 大沢融

    参考人大沢融君) 先週の月曜日に、東洋果糖に貸し付けを決定いたしております五億、払い出しをすでに終わっておる金が四億ですが、その五億について、今月の末までに全額償還するようにということを言っております。
  100. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 私のほうは、細島関係につきまして、利息あと取りということで、本年の十二月の下旬だと承知いたしておりますが、そのときに利息をもらうというふうにして、利息あと取りのことをいたしておりますが、これも正確には日時を記憶いたしておりませんが、担保に入っておりました物件のうちで一部処分されたものの代金六千五百万円と記憶いたしておりますが、その六千五百万円を本年に入りまして償還をいただいております。
  101. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いずれこのそれぞれの元利たな上げという措置、これによって、もう身動きもできないような事態になっておる。これはまあ私企業として当然予想される事態になっておるわけです。しかし、現在とにかく動いているということは、その後何らかの形で資金が導入されているというふうにこれは解釈せざるを得ない。そこで、クッション融資というものが一つの問題になっておるわけであります。これについては、決算委員会で、クッション融資という事実があれば、これはきわめて好ましくないという政府答弁がある。したがって、この点に関しては、私の調べた限りにおいては、東食も最近は非常に箝口令を総体的にしいて、その内容を最近の事態をつまびらかにすることはできない。しかし、何らかの形で農林中金を通じ東食を通じて共和に融資がなされているということは、計数整理の上からこれは出てくる事態であります。これはいずれもっと客観的な立場から事態をあくまで究明してその真相を明らかにする責任政府にある。いずれ松野大臣報告をするという事態には、この詳細な経過も具体的に納得のできる資料を整備して出されるものと思うので、その点、大臣確認いたしたい。
  102. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 中金からどういう報告が来るか、まだ受け取っておりませんが、中金からの報告を受け取った上で、さらに疑義があれば、それについて再調査を命ずることもあると私は思います。
  103. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 中金から申し出があればじゃなくて、客観的にといいますからには、そういう一つの大きなよりどころというものが伝えられているわけですが、このことがやはり疑惑を生んでいる一つの要素でありますから、中金から申し出があろうはずがないじゃないですか。もっと行政責任立場から、そういううわさが、うわさにして事実でなければないように、疑惑を晴らす意味からいっても、政府がみずからその真相を究明して国民の前に明らかにする責任があるのじゃないですか。前提を取り消してください。
  104. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 中金から報告があると思います。その報告の中において疑義があれば、さらに再調査を命じます。先ほどの答弁も、中金から報告があるでありましょうから、その報告を受けて見て、その中において疑義があるならば再調査を命じます、先ほどもそう申しました。
  105. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 公庫総裁に伺いますが、やっと国会の取り上げ方に応じて公庫も現地調査をした。きのうの証言によると、ブドウ糖敷地内に砂糖工場をつくっていることを確認して、その結果、融資全額の期限前償還を命じた、こういう証言でありますが、この現地調査でいかなる内容によってその事実を確認されたのか、その点をお伺いします。
  106. 大沢融

    参考人大沢融君) これは昨日も申し上げた点でございますが、精糖工場を現在操業しております隣の土地に、ブドウ糖の工場、あるいはブドウ糖用の糖化槽ですとか、脱色、脱脂施設とかいうようなものをつくる土地の整備をしているわけです。それを、ブドウ糖工場というところを新たに精糖本館をつくるということで、ブドウ糖設備よりは何といいますか土地の補強工作をしなければならぬわけです。その補強工作にすでにかかっているというようなこと、あるいはまた、脱色、脱脂、脱塩施設をつくろうという予定地に精糖の廃蜜タンク等の施設をするための基礎工事にかかるとかいうようなことで、ブドウ糖の工場をつくるというところに明らかに精糖工場をつくることに着手をしております。これは、資金の面から言うならば、ブドウ糖をつくろうとして基礎工事をしたところを精糖工場をつくるということに変えたのですから、ブドウ糖資金を精糖のほうに流用したということになりますので、資金の流用ということで償還を命じたわけでございます。
  107. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それは第二期工事として確認したわけですか。
  108. 大沢融

    参考人大沢融君) 第二期と申しますと、どういう意味でございますか。
  109. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 既存の工事を第一期として、新たにブドウ糖工場の敷地に精製糖の第二期工事に入っている……。
  110. 大沢融

    参考人大沢融君) 第二期か第三期か、その辺はわかりませんけれども、ブドウ糖工場を建てようということでいろいろやっておった。ところが、精糖工場をつくるという準備といいますか、工事にすでに着手をしておるということでございます。
  111. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それは図面なりあるいは機械設備の実態がまたあるわけですね。
  112. 大沢融

    参考人大沢融君) これは現地について目で見ればよくわかることでなんでございます。
  113. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうわかったのですか。たとえば機械はどこのメーカーの機械を入れておりますか。
  114. 大沢融

    参考人大沢融君) 精糖工場の機械はどこかに発注しているというようなことは、私のほうでは必ずしも確認はしておりません。しかし、現地についてすでに精糖工場をつくる基礎工事をしている。くい打ちその他でございますが。それと、現地での責任者も、これは精糖工場をつくっているのだ、精糖工場をつくる基礎工事なんだということをはっきり申しております。そういう事実をとらまえて資金流用ということで償還を命ずる、こういうことでございます。
  115. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私の質問にもっとすなおに答えてもらいたいのですが、たとえば基礎工事というのは、整地じゃないでしょう。工場の基礎工事でしょう。そこにはすでに基礎的な機械が備えつけてあるでしょう、私は見ないけれども。
  116. 大沢融

    参考人大沢融君) その土地にはまだ機械なんか据えつけていないわけです。くい打ちをいたしまして、その上に工場をつくるという準備をしておる、ブドウ糖工場を。しかし、ブドウ糖工場をつくる、ブドウ糖の機械を据えつけるというための基礎工事では、精糖工場としては不十分だ。そこで、精糖工場を建てるための基礎工事の補強をやっている、こういうことでございます。機械がそこに据えつけられておるというようなことじゃないのです。
  117. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、三人の参考人に共通して伺いますが、共通しては、四十年末までの融資で、あとはストップをしておる。その金額がきのうから明らかにされた総額で、他の関係機関を入れて七十二億になっておる。それ以後信用を供与しておるということはありましょうか、ないのでしょうか。
  118. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 私のほうはございません。
  119. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、そういう一つ現実の前に立って具体的に伺いますが、東食から出しておる金額まで入れまして運転資金を計算していいのかと思うのですが、その点は、精製糖部門運転資金なのか、あるいはブドウ糖部門運転資金なのか、どう理解してこれから私質問していいかわからぬのですが、どうなんでしょう。東食から共和製糖へ出しておるその資金は、精製糖部門運転資金と見るべきか、ブドウ糖部門運転資金と見るべきか、この点はどうなんです。
  120. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) それは精製糖部門運転資金として見るべきものだと思います。
  121. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それであれば、なおさら、私は前段に農林大臣に強く要請をしておりましたように、これがクッション融資であれば、なおさらそのクッションした最後の転貸の資金の使途は明らかに目的外資金である。金庫資金はいささかたりとも精製糖部門融資してはならないというきびしい規律があるわけでありますから、したがって、ますます政府としてはこのクッション融資といわれるものの真相を究明して国民の前に明らかにすべき責任が一そう存したことをここでつけ加えておきます。  そこで、これを除きまして、運転資金全体の中で共和グループ融資をいたしております資金の総量というものを大きくまとめてみますと、これは約三十億ということになるわけであります。およそ三十億と見て間違いがない。そこで、三十億というものが、共和製糖グループのブドウ糖原料を購入し、ストックをし、これを製造し、製品にし、売り掛けをし、代金決済をするという一連の操作に必要な一つの基準というものがあってしかるべきなのでありますが、それについて昨日私は質問いたしましたが、何ら答弁ができない。きょう伺いますと、六億ないし七億という非常に大ざっぱな御答弁をいただいておるわけであります。私は、時間の都合上、この点の詳細をここで述べることは省略をいたします。しかしながら、現実に共和製糖グループが生産をしている実態をもとにして、購入サイト、原料購入の条件としては平均六十日、甘蔗でん粉キログラム当たり購入単価が四十四円ないし五十六円、十貫当たり千六百八十円ないし二千百円というもので購入をしておる。この歩どまりは、結晶ブドウ糖が七五%で、精製ブドウ糖が九〇%という原料購入条件になっております。また、製品の販売条件というものを実態において調べてみますと、販売サイトが平均して六十日。販売価格が、結晶が八十八円、精製が八十五円、これは十月現在の相場であります。所要資金の計算が、これらの原料持ち込みのサイトあるいは売り渡しのサイトと、持ち込みから原料在庫、製造期間を一週間と見て、その製品の在庫から製品の蔵出し、販売代金の回収まで、これが平均して二カ月を要しておる。したがって、これらの点を計算をいたしまして、日産一トン当たりの結晶ブドウ糖製造に要する運転資金は八百四十二万六千円になります。これを共和製糖グループの実態で見ますと、二万三千百三十三トン、これは工場が三工場であります。これを年二百五十日稼働として、日産百トンになりますので、これを年間平均で出しますと、運転資金が八億五千万要するのであります。したがって、農林省が六億ないし七億と言ったのは私以上の腹勘定であって、行政官庁として資金の適正な運用を監督する座にある者としてはいささかラフ過ぎる計算である。もっとこういう基本的な一つのデーターをもとにして、運転資金が三十億も使われている。実際どれだけ要るか。六、七億なんというそういう大ざっぱなことでは金融は許されない。少なくとも私の計算によれば、八億五千万は要る。そういう中で三十億という金がつぎ込まれている、運転資金として。八億五千万が所要資金である。残りの二十一億五千万というものは何に使われておりますか。
  122. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 先ほど食糧庁から六、七億というのは、一つの仮定を置いて運転資金を見たわけでございますから、たとえば九十日ベースで考えれば十億を少しこえる金になるだろうと思います。六、七億というふうに断定的に答えたわけではございません。  ただ、いずれにいたしましても、運転資金的なものとして貸されたものが、全部そのままブドウ糖運転資金に使われたかどうかということについては、私どもといたしましても疑問に感じておるわけでございます。これは、たびたび申しておりますように、私ども現在精査中でございますので、その結果を待ってひとつお聞き取りいただきたいと思います。
  123. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ただいま、現在精査中なんて、精査の精は精密の精で、その成果を期待しますが、いまそんなゆうちょうなことを言うている段階じゃないでしょう。もう国民の中に共和製糖をめぐるいわゆる黒い霧というものが吹きすさんでおる。これは政情不安の一つの大きな要素をなしているんですよ。また、このことが政治不信にもつながっておる。そういう大きな疑惑を抱くこの資金の使途を、ただいまこれから精査中ですとか、精査しますとかいうようなそういう官僚の場当たり的な態度だから、使うものは勝手に使う、こういう事態を許して今日に至っているのではないですか。大臣は、一体、こういう事態をどういうふうに理解して、どういう指示を与え、どういう精査の実態の作業を進ましておりますか。
  124. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 個々の金融の毎月の融資状況は、総合的には農林省で監督しておりません。所管の金融機関が半期ごとに総合認証を農林省がやるという手だてですから、農林省でこの融資の一項目一項目の監督は実際にはやっておりません。ただ、今日考えますと、その結果において直ちに調査を命じたということが、行政上としては一番強い態度として出たわけであります。したがって、今日その一項目一項目については農林省としても農林大臣としても内容について検討する、それを実は命じたわけでありますが、その報告がまだ出ておりませんので、一項目一項目については責任ある私のほうの答弁はできません。
  125. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いつ命じましたか。
  126. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 十月の初旬に大蔵大臣農林大臣両方で三機関に命じました。
  127. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 十月初旬といえば、カナダへ行っているころですね。事務的に担当者が実際命じたわけですか。あなたがじかじか最高責任者を呼んで、事態の深刻かつ憂慮すべきその段階において、その調査の内容、具体的な点に触れて指示しましたか。
  128. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 就任いたしましてから、九月中旬ごろ、公庫総裁中金の理事長からこの問題についての概略的報告を受け、その後この調査を命じております。正式に文書をもって命じたのが十月の上旬でありまして、私があるいは閣議で発言したのも、その経過を見ながら、私のほうではこれは厳正な態度ですなおにこれを調査をするという意味をあるいは閣議で私が発表した時期をお考えいただくと、九月下旬じゃなかったかと思います。したがって、その前に事前調査口頭調査は各機関から一応の報告を求めております。そこで、正式に大蔵大臣と協議をした結果、十月初旬に命令を出したのであります。
  129. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は短期資金というそのフィールドで伺っておるのでありますが、いわゆる長期資金についても過剰融資の問題がすでに出ておる。担保の問題も出ておる。いろいろな疑惑を生んでいるわけであります。そこで、参考人に伺いますが、これは日常融資立場で腐心をしておられる重大な案件の一つでありますから、農林省や大蔵省からとやかく言われなくても、あなた方の金融マンの責任感から、当然、その資金の流用、流用された先の具体的な使途、いつそれがどういうふうに使われたかということは調べ上げれば調べ上げれるし、調べる責任があるはずです。きのうきょうに始まった問題じゃない。実際は、政府のそういう干渉を待たずしておやりになっていると思うのです。いま申しましたように、ブドウ糖の共和製糖グループの既存の施設をもっていたしますと、実績から換算いたしますと、年間平均所要資金は八億五千万であります。これは取引の実態、製造の実態、そういう中から私は具体的なデータでかなり精密に計数を出しております。これに間違いがあれば具体的に伺って、私が間違っておればこれは訂正をいたしますが、六、七億なんという大ざっぱな話ではこれはとうてい話にならぬ。そこで、私の計算したスタンダードの所要資金というものを御確認を願うよりほかはないでしょう。それが八億五千万であります。既存の施設、既存の製造、既存の取引条件等々からいたしますと、これに投下する運転資金は八億五千万。しかるに、中央金庫中心としてブドウ糖運転資金として出している金額は約三十億。実際の必要資金の三倍に達する金額運転資金として出されておる。その流用された資金の内容は、私がここでお尋ねをして、これから調べるなんというふうなそんな無責任なものじゃないでしょうから、さだめし期待のできるその資金の流用の内容を伺えるものと期待いたしますが、この大半を融資している中央金庫の楠見参考人は、この三十億にのぼる運転資金融資した当事者であります。それが、八億五千万の正常な運転資金以外に、私の計算で間違いがなければ二十億をこえる他の用途に流用された。その流用先は一体どういうことを今日までの間に御確認をされておられますか。その点を詳細にひとつ御答弁を願います。
  130. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 共和糖化に対しまする貸し付け金は、ただいまお話しになりましたように約三十億でございますが、そのうち長期資金として一億五千五百万を出しておりますから、短期資金としては二十七億八千万になります。その二十七億八千万のうちで、十億が細島の設備資金つなぎ資金ということで、午前中に話がございましたようなことで、そちらのほうに十億が投じられております。したがって、このほうは、細島関係においてあるいは一部砂糖のほうに流用されておるかどうかということが問題になるわけでありますが、その残りの、十七億八千万円というものが残りますが、そのうちで、ただいま渡辺さんからお話しになりました八億五千万というものが実際の運転資金かどうかということになりますと、これは具体的に取引条件について精査をしなければならぬわけでありますけれども、大体十億前後が普通の状態でございますれば通常の運転資金と見られるのではないか。私どもは、企業に対しまして出します場合に、資金繰り融資のようなこともいたしておりますが、その残りの七億ないし八億というものが一体どう使われておるか。あるいは、実際の取引がこういうような不況時でございますから、あるいは、ただいま正常の二カ月で八億五千万というお話がございましたが、それが三カ月ということになりますと、ただいま経済局長からお話がございましたように、十一億あるいは十二億というものが正常な——正常と申しますか、現在の経済のもとにおける運転資金と見ることができるかとも思うのであります。したがって、そういう点は、現在私どものほうにおきましても十分に精査をいたしておる段階でございますので、御了承をいただきたいと思います。
  131. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 八億五千万について多少御意見がありますから私が申し上げますが、仕入れに対しては二カ月のサイトでやっておるのですね。それから代金のサイトもやはり二カ月です、それは実績からいって。したがって、これは買い入れ、売り掛けとも資金は要しないことになるわけです。あとは、製造期間、あるいは製品のストック期間、そういうものを実績に基づいて計算をし、実績の生産量によって出したのが八億五千万。だから、これには、たとえば仕入れの場合は、全販連に決済するという条件、それらを全部内容として私は出しているわけでありますから、その点で私が聞いたことに違いがあれば、これは金額が多少は変わる。しかし、そう変わるものじゃないということであります。  それからいま資金の使途についてもるる御説明がありましたが、まず一番私奇異に感じますのは、政府は農林中金が短期運転資金として出している金額が二十九億一千五百万と局長答弁しておる。理事長は、違うんだ、二十七億八千万だ。この出だしから違うのは一体どうなんです。
  132. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私が申し上げました数字は、共和糖化と共栄糖化の合計額でございます。共栄糖化が一億三千五百万円でございます。中金の理事長は、細島の問題に焦点を置かれて御説明をされておりますから、共和糖化分だけをあげてお話しになりました。私は、共和グループということで、共栄糖化の一億三千五百万円を入れてお話しをしただけの食い違いでございます。
  133. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 わかりました。したがって、理事長、お聞きのとおりですから、私が伺っているのは、共和グループ全体で言うているわけです。共和グループ全体で運転資金が八億五千万円であればいいという計算をしておるわけですから、あなたの二十七億八千万は、私の前提からいえば二十九億一千五百万に訂正してひとつ考えていただきまして、そのうちつなぎが十億であるということでありますが、これは、現実には、大沢庫総裁が証言しているように、事実この細島コンビナートは総あげで精製糖資金が集中しておる、こういうことでありますが、このうちでブドウ糖施設に使われている金額中金は幾らと掌握しておられますか。
  134. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) この点は、午前中にも申し上げましたように、共用部門というものがございまして、したがって、細島でブドウ糖なりあるいは果糖建設というものを従来はその施設をやっておって、それはむだになっても、これは放棄するということに政府の方針といいますか、あるいはまた、企業の方針もそういうふうになれば別でありますけれども、現在は、午前中にも申し上げましたように、私どものほうは、政府の方針を待っている、こういう状態でございます。したがって、そういう立場で申し上げますと、結局共用部門というものがございまして、その共用部門ブドウ糖と精糖との部分につきましてどう配分するかということが問題になるわけでありまして、したがって、その点を現在関係機関の間でさらに打ち合わせをいたして、そして最終的に政府に御報告を申し上げる、こういう段階になるわけでありますから、かねて農林大臣からも御答弁がございましたように、それを待っていただきたいと、かように考えます。
  135. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうもまた話が逆に戻りますが、ブドウ糖部門としては十三億四千七百九十五万というものが確認をされております。果糖部分というものは十五億八千八百二十四万、こういうものが確認をされております。したがって、果糖というものはもう採算に合わない、これは計画以前からの一つの業界の判定でありまして、それで政府の既存の計画もやられている。したがって、共用部門ということでここは解釈をすべきじゃなくて、明らかにこれは精製糖専用の工場に性格が転化している、資金の流用等によって。そういうふうにこれはすなおに見るべきものだと思うのです。その中で、しかしながら、ブドウ糖部門として見得る施設が私の調査によれば一億七千万ないし一億八千万しかありません。この点はどうですか。
  136. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) ただいま渡辺さんからお述べになりましたのは、当初の計画の数字でございます。そういう計画によって私どもも担当すべき部門に対する融資を決定したわけであります。そして、現実に工事が進められて、かねて申しておりますように、ブドウ糖関係のたとえば基礎工事ができたとか、あるいはそのほかの施設が一部できているわけであります。そこで、ただいま申し上げましたように、現在のわれわれの考え方は、ブドウ糖果糖計画は放棄されたものではない、かように理解をいたしておりますからしたがって、現在できている全体の施設でブドウ糖部門と精糖部門との間における共用部門の割り振りという問題が起こってくるわけであります。重ねて申し上げて恐縮でありますけれども、もしブドウ糖果糖部門というものがここではもう断念されたということになれば、おのずからまた問題は変わってくる。そして、その結論としては、ただいま渡辺さんからお話しになりましたような結論になると、かように承知をいたしております。
  137. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 この点は、かなり認識の相違があるようであります。というのは、農林漁業金融公庫の実態調査によりますと、ブドウ糖工場として一つの基盤整備をやっている。精製糖工場敷地ではない。新たに総合コンビナート一環としてブドウ糖工場を建設する目的で土地基盤の整備をやっている。その上に進められている一つの工作というものが、これは精製糖部門である。そういう現地の調査の実態によって——経過はありますが、経過的には一部流用ということを公庫が認めておって、きのうの段階では全額償還ということに踏み切った。実態の調査は、明らかにこれは精製糖部門オンリーであったという確認の上になされておるのでありますから、将来ブドウ糖を併置するかどうかということは別として、現段階では、私が確認いたしておりまするように、一億七千万ないし一億八千万はブドウ糖部門の固定設備として確認はいたしますが、その他の部分については、これはブドウ糖としてさらに大きな計画を立てるかどうかは別であります。しかし、現時点においては、その他は全部精製糖部門資金が流用され、工事が進捗をしておるということからいえば、私はこれは明らかに資金の流用であるというふうに理解せざるを得ないわけであります。  それで、これは私繰り返し言うのでありますが、こういう事態の混乱というものは、政府のこの施策に対する混迷に起因している。当初は計画どおり金融機関が出した。出したときには、その目的に従って善意をもって融資をする。しかし、金を使う業者は、これを勝手に政府をたぶらかして精製糖部門に転用しておる、こういうこれは大きな情勢の中に置かれておるわけであります。したがって、これらのつなぎ資金も、現実にはつなぎ資金ではなくして運転資金に使われておる。その大部分は、ブドウ糖部門ではなしに、他の部門に使われておる。あるいはブドウ糖部門に使われておるとしても、共和グループブドウ糖の赤字部門に使われておればまだ問題はいいのでありますが、精製糖部門の赤字に使われている疑いがきわめて濃い。共和グループでは、この資金の運用を精製糖部門ブドウ糖部門に分離して管理をしておりますから、これらの資金一体ブドウ糖にどれだけ運転資金として使われ、どれだけ赤字部門として使われ、どれだけが他と全く類を異にする異質な資金に使われておるか。具体的に言えば、社長の渋谷における私宅の建設資金に使われておるかもしれない。あるいは、巷間伝えられるように、それぞれの国会議員にこれがばらまかれているかもしれない。そういう内容を金融機関としてまず明らかにする責任があるはずであります。その点を具体的にはどう調査をされ、どういう現実を押えておられるかを伺います。
  138. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) それは、会社の全貌につきまして、十分に帳簿その他の書類証憑等を精査いたしまして、その基礎の上に立って正確な結論を導き出したいと、かように考えております。
  139. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 きのうの何か新聞報道等によれば、共和製糖の菅社長が辞任をしたと伝えられておりますが、その真相はどうですか。
  140. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 共和製糖の菅社長が共和製糖及び共和糖化の社長の辞意を重役会において表明されたということを聞いております。
  141. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 辞意を表明したので、それが聞き届けられたんですか、どうなんです。
  142. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) これは私どものほうで聞き届けるとか何とかいう……
  143. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いや、役員会で。
  144. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 役員会は、おそらく一般の会社と同様に、取締役が社長等を互選するということになっておるんじゃないかと思いますが、したがって、その点は重役会において聞き届けられた、かように承知をいたしております。
  145. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 重役会でこれを認められたとなれば、すでに社長の責任のある座からこれは追放されたことになるわけであります。この菅社長が在職中に、その疑惑を招く資金の使途については第三者をして調査せしめてその全貌を明らかにするということが伝えられておりますが、会社自体にそういう調査をしておる事実がありますか。また、そういうことは金融機関立場からそういう調査をさせておるのか。その点はどうですか。
  146. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 私どものほうからは、実はことしの七月に職員を向こうに入り込ませまして、そしてそれによって全貌をつかむということの手配をとっております。さらに、事務当局におきまして常にその報告を徴してやっておる、こういうことでございます。
  147. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 一々どうもとらわれるわけではありませんが、農林中央金庫から職員を出して資金管理の部門に当たらしておることも私は承知をしておりますが、しかしながら、何せ社長の前には社長の考え方一色にこれはまるめられておる、なかなか金融機関立場からの十分なるそういう管理の機能を発揮することができないというふうに聞いておるんですが、どうですか。
  148. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 七月に参りまして、まだ時日が十分ではございませんから、したがって、全体を正確につかむというところまではいっておらぬと思いますけれども、できるだけそれをつかむように現在努力をいたしておる次第でございます。
  149. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 話がどうも横道に入りましたが、これは大事なやはり問題の一つでありますから、この機会に重ねてお尋ねをいたしますが、七十数億のうちで最も多額の貸し付けをしておる農林中央金庫、組合金融の立場からいえば員外貸し付けでありまして、特に系統金融以上にこの資金管理はきびしく適正を期する金融指導をなさなければならないということは、私が釈迦に説法のようなことをいまさら理事長に申し上げる必要もないことであります。したがって、この赤字に赤字を重ね、決算委員会等でもありますように所得税も納められないようなこういう倒産寸前の会社に対して、これを資金管理をするというからには、よほど最高首脳部以下陣容を刷新して当たらなければ、この会社の内容というものを明らかにし、その病根を輸血して取り出してそれに適応する施策というものが生まれてこないと思うのでありますが、これに対する融資立場からの、今後の共和製糖運営に対する中央金庫のまず御所見を伺っておきたいと思います。   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕
  150. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 渡辺さんから仰せになりましたとおり、実態を正確につかみ、そしてこれを再建といいますか、ということになりますと、必ずしも容易とは言えないと思います。したがって、相当私どももこれには精力を注入する必要があろうかと思いますが、金融機関といたしましては、私どもが大口ではありますけれども、他の金融機関も御承知のとおりあるわけでありますから、他の金融機関の方々等とも十分にお打ち合わせをいたしまして、そして他の金融機関の債権もそうでございますけれども、私どもの債権の確保については十分に努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  151. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私、農林大臣にお伺いいたしたのでありますが、共和グループに対する開銀あるいは公庫金庫融資というものを通じて非常にどうもわからなくなるのは、一体、この三つの機関のそれぞれの金融機関としての役割りの重点がどこにあって、相互に補完し合う機能がどう果たされているかということについて素朴な疑問を持つのであります。申し上げるまでもなく、農林漁業金融公庫法の第一条には、「農林漁業金融公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期且つ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」とあります。金庫その他でも出せないようなリスクの高い金融を担当するのが農林漁業金融公庫法の目的にうたっておるわけであります。しかし、現実は、きのうからの本委員会の質疑を通じて明らかなように、まず第一に、公庫融資をした四億の繰り上げ償還を命じておる。私から言えば、悪女の深情けに入っておる農林中央金庫がすっきりした姿勢をとれない。一そうそのしわ寄せが公庫法の目的と反対の方向にいっておる。農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを担当すべき公庫が、上積み部分を早く回収することに専念する。その底に沈でんした赤字融資、あるいは政治資金、個人の財産を太らせるものに利用された悪質きわまる使途、そういうものは一切あげて農林中央金庫にしわ寄せになるようなことでは、これは客観的に許されない問題である。この法律を忠実に実行するその最高責任者である農林大臣は、農林中央金庫日本開発銀行公庫、この三つを踏まえて、この共和製糖の不正融資——過剰融資であり不正融資である。そのことは、限られた時間で私は一、二の実例を述べたのでありますが、この法律を踏まえて客観的に主管大臣はどう対処しようとしますか。三つの、公庫金庫開銀を踏まえて、大臣の明確な答弁を求めます。
  152. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この問題の全貌については、いずれ詳細な報告があると思いますが、この経過と過程をごらんいただけばわかりますように、そのおのおのの機関は、おのおのの担保、おのおのの融資条件を異にしてこれは融資いたしております。もちろん基本的にはコンビナートという一つ構想のもとにこれが出発したことは、これは間遠いありません。しかし、一つ一つ融資対象条件というのは異なっております。また、時期も異なっておるために、担保物件もみな異っております。したがって、その中で最高に債権を保全をする必要がある、また、そういう時期ではなかろうかというので——まず公庫の担保というのが一番担保物件の設定はおくれておると私は思います。公庫の性質から申しまして、一番その担保物件のほうはおくれておるのじゃなかろうかと思います。それはおのずから中金公庫開銀の性質によって異なってくる。そこで、その公庫の問題においてまず繰り上げ償還という、どちらかといえば一番大きな問題についての流用時点というのが明らかになった。その時点において公庫が繰り上げ償還をいたしました。その内容は、先ほど申しましたように、ブドウ糖工場を建設すべき場所に精糖工場が明らかなる建設工事を始めた。これは明らかなる流用であります。その時点において繰り上げ償還の手続をとったわけであります。もちろん、それにあわせて、中金中金の対策、その対策を立てて今日並行してこの問題の処理に当たっているわけでございます。思想からいうならば、公庫中金とは性質が違いますので、その内容も違っておる。したがって、私のほうは、総体的な監督の立場から、総合的におのおの違う条件、違う担保に応じて最高の債権の保全ということを考えながらこの問題を処理してまいりたいと、こう考えております。
  153. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 公庫総裁に伺いますが、期限前償還の期限はいつですか。償還期限を命じたのは、いつまでに償還を命じたのか。
  154. 大沢融

    参考人大沢融君) 今月の末まででございます。
  155. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 今月末までに繰り上げ償還ができると思っておりますかどうですか。
  156. 大沢融

    参考人大沢融君) なかなかむずかしいことだと思いますけれども、この前も申し上げましたように、今月末までに繰り上げ償還が行なわれないという事態が来ますならば、最も厳格に——しかし、昨日来楠見理事長からもお話がございますように、事は債権の回収ということでございますから、慎重な態度で事後処理をやりたいと、こう思っております。
  157. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 慎重な態度で事後処理をするということは、今月末というのはどうせとれないが、事務的にそういう手続をしたというだけの見せかけですね、実際は。
  158. 大沢融

    参考人大沢融君) 事務的な手続をした、見せかけということではございませんで、この期間に償還をできるものは最高限にやってもらうという態度でやりまして、あと担保その他があるわけでございますから、この期間が過ぎれば担保差し押えというようなこともあるいはやるほうがいいか悪いか、そういうことはほかの金融機関にもこれに対する債権がございますから、いきなり会社がつぶれてしまうようなことではいかがかということもございます。そういうような点を他の金融機関とも御相談申し上げ、他の金融機関の債権も私のほうも最高限に保全されるようにということで慎重にやってまいりたい、こう思っております。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
  159. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私がそこでお尋ねをいたしますのは、楠見参考人は、政府の出方待ちである、ブドウ糖工場について、まだペンディングである、したがって、それに期待をかけておる、そういう受け取り方をしておられる。公庫のほうは、流用は明らかである。まあ金庫だってこれは流用は明らかであります。ただ、ブドウ糖というものに政府がかねて約束した政策をそこの細島に現実約束を果たすことを期待しておるということで、この債権の回収についてはきわめて逡巡の態度である。一方、公庫は、公庫立場で期限前償還を命じ、事と次第では担保の差し押えその他の強制手続に突入する姿勢もちらちら示しておられる。こういうことで、一体、総合的なコンビナートというものを今後期待していいかどうかということであります。これは債権回収の態度にも現われているように、各機関が、私から言えば、それぞれの機関の立場に立ったセクショナリズムである。政府の総合政策なんかはもう御破算にして、勢い取るものは取るという立場に狂奔しようとする機れ関があり、一方は、あくまでも従来の政府の方針に期待をしているというてずるずると深みに落ち込んでいっているという実態がある、私からいえば。私は、細島の大きな問題が間隙を縫うていろいろあらぬ疑惑をあらゆる要素においてまき散らす病原菌が、政府の姿勢の不明確さにも基本的にあると思うのであります。  そこで、繰り返し尋ねますが、公庫がこういう十月までに全額の期限前償還を求めた。農林中央金庫は、これに対しては、まだ政府総合コンビナート構想に期待をかけておる。それぞれの債権者の態度がまちまちであってどうして再建が可能でありましょうか。片方はすでに両手をもごうとしておる。片っ方はその手を補強して何とか立ち上がらせようとしておる。こういう点を、一体農林大臣は、農林漁業金融公庫の法律行政立場で正しく守っていく責任者として、あるいは農林中央金庫の健全な運営を行政指導する最高責任者として一また、精製糖部門融資に対して食糧庁長官がみずからの責任融資あっせんをした開発銀行も、これはなかなか態度が微妙である。こういうところに私はまた政策の混迷のもたらした結果があると思うのでありますが、少なくとも各機関が共通した意思で債権者として臨まなければ、債務者は周章ろうばいするだけであります。その点について、農林大臣は、どういう立場で債権の保全なり回収なりあるいは今後の育成なり、あるいはこれを閉鎖し完全に回収する方法なりという線を打ち出そうとするのか。これはデータが出る出ないの問題ではない。基本的な農林行政の姿勢につながる問題であります。大臣、どうですか。
  160. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 債権確保あるいはこの再建問題は、それは当然考えなければならない一つ問題点であります。しかし、その前に、最初の構想コンビナート構想が必ずしもその計画どおりに実行されていない。この事実を承知した以上は、それは流用に対するきびしい態度というものはとるべきものである。私は、公庫のとった態度は、その意味でとったことであると思います。もちろん、債権保全、総合的なものもこれはございます。しかし、それをいつまでも考えておるならば、一つ一つの時点というものが手おくれになる傾向があります。少なくとも一つ明らかなものが出たならば、その明らかなものをまず正していく。それにあわせて二つ金融機関もこれに対処してもらう。ひとつどこから手をつけるかということであります。三公庫が同じように同じ立場でおるなら別ですが、融資条件、融資対象というものが個々に違っておって、それが組み合わされたコンビナートであります。共同融資ならば、おっしゃるように、共同的な行為を一緒にとらなければならないかもしれません。組み合わせはあるけれども、個々対象物が違っておるというならば、その一つの時点をとらえてその姿勢を正す、一つ問題点とするのが公庫の繰り上げ償還というのが第一の出発点になった。これは明らかに公庫法における一つの違反であります。したがって、あとにおいて中金はじゃ債権確保はできなくていいか、開銀はどうするのだ、これはあります。ありますが、おのおのその融資条件と対象は別々に違っておる。共同担保もない。あるかもしれません。しかし、一応担保というものはその個々融資に合わせて担保を設定しておりますから、債権保全には、中金中金として完全に行なうであろうし、開銀開銀で行なうであろうし、公庫公庫で行なうであろう。その一つ公庫の実は繰り上げ償還という事態になったと思う。ほかのほうはいい、公庫のほうだけやればいいという、そんな意味ではございません。これをいつまでも放置するということであるならば、かえってこの問題の解決が、結果においてより以上に悪化するのじゃなかろうかという感じ——構想は私は必ずしも間違っていたと思いません。現実に行なっていることがある意味においては違反が出た、あるいは流用が出たという、また、必ずしも現実がそのとおりいっていなかった、この時点でこれを正すというつもりで私は対処してまいりたいと思います。
  161. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、そういう抽象的な——抽象的というより、むしろ大臣答弁現実を踏まえた答弁でありますけれども、もっと高い次元でこの共和グループに対する融資態度、そういうものをここで確立をしなければならない時期がすでにおそ過ぎたと思うのであります。公庫だけが資金流用を確認しているのじゃない。私の調査によると、農林中央金庫融資も相当額が目的外に流用されておる。そういう事実がもう明々白々たるこれは、内容によって明らかにされておる。そういうときに、目的外に流用されて、一切があげて精製糖部門に集中して流用されている現段階において、ある公庫は、これに対して直ちに期限前償還を命じ、期限が経過したならば抵当権執行に至る手続を踏もうという構想もある。一方は、まだ既存の当初計画政府政策に期待をつないでおる。ここに大きな金融の当面する混乱が惹起しておるわけです。そういう場合に、ケース・バイ・ケースで、まず流用と認めた公庫には期限前償還をさせることは当然である。金庫金庫で、ブドウ糖に期待をしておるから、まだ再建計画も出てくるようだから、それを待ってやろうという、時期的にタイミングがずれているわけであります。そういう点を総合的に判断して、最高責任者として誤りなき態度をここに明確に打ち出さなければ、これは大きなまた問題が次々とこれを契機にして出てくるわけでありますので、もっと客観的な立場から、一体農林大臣は、この総合コンビナートに対して当初の計画を放棄するのか、当初の計画を再び思いを新たにしてこれをスタートをさせるのか、そういう二者択一に迫られるという緊急の問題だと思う。その点について、いろいろなデータ等は事務的には出てくるでありましょうが、一体どういう方向——あなたは多くの抱負を持って農林大臣にかねての宿願を果たして赴任されたと聞いておりますが、この困難な問題を明快にまず手がけなければならない責任があるわけであります。その客観的な新大臣の抱負を聞きましょう。
  162. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この問題は、ただいま申すことがはたして妥当かどうかと私も実は思います。しかし、せっかくのお尋ねですから、少し長期的観点の上に立ってお聞き願いたいと思います。と申しますのは、ただいま調査報告を求めてその事実関係というものを把握していない今日であります。しかし、一応私も基本的には最初の計画どおり行なわれていなかったという事実は把握いたします。しかし、どこまでが事実と違っておるか、どういう資金流用かということは、ただいま調査中であります。いずれにしましても、それではこの問題は将来どうするのだと言われるならば、基本的に計画を再検討して今後再建できるものについては再建をしたい。ただし、いままでのいきさつを考えますと、その経営能力、経営者、あるいは経済ベースというものも再検討しなければ、ただいたずらにこの上に積み重ねて再建するという考えは毛頭持っておりません。したがって、事実関係を把握して、適切でないならばその適切でない部分を計画から除き、あるいはすべての対象を除外してそうして将来ともに健全にこれが育成できる、あるいはだれが見てもこれならば必要であるという計画を再検討させたいと実は思っております。まだ多少今日より話は進むかもしれませんけれども。と申しますのは、でん粉の消費合理化、あるいは生産地域ということを考えますと、必ずしもあの工場は必要でないと断言するわけではございません。しかし今日はまだ再建を前提にしてただいま調査をしておるわけではありませんので、調査結果を見て、そうして、将来農政上必要なもの、また再建が必要なもの、また経済ベースに合うものを検討し直して、計画を検討し直してこの問題の処理に当たりたい、私は基本的にはこう考えておりますが、まだ具体的に報告が出ませんので、どこをどうするのだ、何をどうするのだ、資金をどうるすのだまでは今日の段階ではまだ整理ができておりません。
  163. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、公庫は、期限前償還を要求し、今月末までである、その後の態度政府態度と理解していいですか。
  164. 大沢融

    参考人大沢融君) 私ども償還を命じてから、先ほど来楠見理事長からもお話ございましたように、あるいは大臣からもただいまお話がございましたように、現在の経営陣なりあるいはそういうことについて考え直して、別の形で何らかの仕事を中心にして話をまとめていくというような新しい事態が起きますならば、私どもも三機関あるいは政府とも御相談を申し上げて、われわれの債権が一番よく保全されるという方法でその中に組み入れて考えてもらうというようなこと等もあり得ることだとも思いますけれども、まだそこまで具体的な形が整っていない現在は、先ほど申し上げたようなことで、公庫としては考えておるということ以外にはないのじゃないかと思いますが、新しい事態が起これば別の考え方もあり得るということは申し上げていいんじゃないかと思っております。
  165. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ここは国会の中でも農林水産委員会でありますから、農業金融を政策の観点から、その立場に立っておもにこの問題を質問をしておるつもりでありますが、しかし、何としても許しがたいのは、これらの政府施策の混迷を悪用し、そしてそれをいいことにして目的外に金を使っておるという事態、その使っておる金の使い方、また、金を引き出すところの経過、これがまたいろいろな疑惑を生んでおるわけであります。その点は本院の決算委員会で大森委員がかなり精力的に調査した資料で取り上げておりますから、私はそういう重複したことは一切取り上げないでただいままで質疑をいたしてまいったのでありますが、しかし、事いやしくも農林行政関係のある金融機関融資をしているその金が、目的外の大目的外に、個人のふところを肥やすとか、個人の財産を太らせるとか、あるいはいろいろな形で、ある国会議員には自動車、運転手、油を供与して走らせておるとか、いろいろな事例があるわけであります。また、金もかなり流れておるという事態もあるし、私はそれを具体的に一々ここで取り上げるつもりはございませんが、たとえば共和グループが新友会という政治献金の団体をつくって政治献金をしておる。そういうものを従来資金管理の衝に当たっておる金融機関承知しておるかどうか。あるいはそういう届け出以外の方面に金が悪用されておるという事態が数々あるわけでありますが、そういう事態を、把握して、今後そういうことのないように警告を発したことがあるのか。その点の事実はどう確認されておられるのですか。
  166. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) そういう政治結社があったということは、私どもは全く承知いたしておりません。
  167. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 共和グループの政治献金の届け出の団体が新友会であって、これを通じて政治献金がなされているということをきょう初めて知ったということでは、私はこれ以上この資金の使途について究明する意欲をもう喪失します。
  168. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) きょう初めて知ったということは実は申し上げなかったので、そういう団体については私どもは存じませんでしたということで、いまのおあげになりました団体の名前は、たしか衆議院の決算委員会でございましたか、あるいは大蔵委員会でございましたか、正確には覚えておりませんが、そういうところでそういう話の出たことは記憶があるように思います。
  169. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 結局どうも資金管理が適正に行なわれておらないという御答弁につながると思うのであります。ですから、ますます勝手なことをやるのではないか。目的外もはなはだしいものではないですか、こういう資金の使途というものは。
  170. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 私どものほうの資金がかりにそういうようなものに流れておるということが探知できますれば、当然相応の措置をとったことは申すまでもございません。いま申し上げますように、私どものほうの金は、そういうところには流れておらないと、こういうふうに確信をしてまいってきたわけでございます。
  171. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 金に糸目はつけないで、金庫から融資した運転資金がダイレクトにそういう政治献金につながるなどという、そういう私はうぶな質問をしているのではない。共和グループの中の王座を占める債権の金融責任者として、全体の掌握なくして何で資金管理が適正にできますか。
  172. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 共和グループヘの資金繰り等は、常にそのつど報告を徴しておりまして、それに基づいて従来処置してまいったわけでございます。したがって、それに相応の資金を従来融通をしてまいったと、かように御了承いただきたいと思います。
  173. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 この点については、もうこれ以上の内容にわたって具体的なお答えは、質問をしてもできないと私は判断いたしますので、この問題の質問はもう打ち切りますけれども、私は農林大臣に強く具体的に要請しておきますのは、こういう点まで世間にいわゆる疑惑を招いておる。こういう微細な点まで重要性によっては金額の大小を問わずこの共和グループ資金の使途の明細を明らかにする、これがあなたのいわゆる国会に提出する資料というものの内容でなければならない。いま非常に問題になって世間を騒がしているだけに、農林大臣として責任をもって調査をし、その真相を明らかにするという中に、たとえば運転資金にしぼって申しますならば、この運転資金は何に流用され、どういう方面に具体的に使われておるか、そこまで内容を確認いたしませんと、この真相を知る資料にはならぬわけでありますから、その点は、政府責任において、いろいろな各般の現実調査の中にこういう項目も入れてお出し願えますね。
  174. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 監督行政官庁としての権限権能においてできる最高調査をいたしますが、ただいま御注文になったような調査がはたして可能かどうか、それは今後の調査内容によることだと私は思います。したがって、各三公庫については、細大漏らさず調査を要求するつもりでおります、したがって、さらに疑義あるならば、再調査も命ずるつもりでおります。  ただ、その限度がどこまでいけるか、これは三公庫調査の結果を待たなければならないと思います。そのとおりいたしますという答弁はいたしませんが、その方向調査を正確に精密にすることは、私は努力をいたします。
  175. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 その方向で努力をして調査をさせるということでありますから、私はたとえば——たとえば、重政代議士が決算委員会に出て弁明をする機会を与えろという申し出があるやに聞いております。しかし、これも本人の陳述を百パーセント確認できるものじゃないでしょう。あくまでもこれは客観的な資料のみがこれを正当に判断するものであります。したがって、もしもその資料にしてごまかしがあったならば、私はこれは政府の重大な責任だと思う。したがって、余すところなくこういう疑惑の種は国民の前に明らかにしなければ、いまの政治不安に対する疑念を払拭できないじゃないですか。したがって、私は何もことあらためてそういうことを注文づけなくても、九月三十日の閣議で、こういう黒い霧はおれが先頭に立って振り払ってやるという豪語をした責任からいっても、そういう点を事実明々白々に国民の前に明らかにする責任があるわけであります。そういう時局の焦点にしぼった内容もこの際提出される資料の中に含めてもらいたい、含めるべきであるということを重ねてお尋ねをいたしますが、御意見はどうですか。
  176. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 御趣旨のような気持ちで私は調査を命ずるつもりです。ただ、この問題が、ただいま私の手元に到達するであろうという報告書に入っておるかどうか、私はまだ見ておりませんもので、なければさらに詳細な調査要求をいたします。行政庁としてできる最大限のことはいたしますので、私の権限、権能、能力の範囲の最大限はいたします。
  177. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 きのうの夕刊に共和製糖に対して農中が近く再建計画を出すというようなことを内容とした農林大臣の閣議後の記者会見の発表がありましたが、本委員会でこれだけ問題を審議をいたしておる過程の中でその点についての具体的な発表のないのをきわめて遺憾とします。大臣、あらためてこの際この共和製糖に対する政府の今後の方向というものを明らかにしてほしいのであります。
  178. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 昨日、記者会見で申しましたのは、そういう意向が中金の楠見理事長から私に伝達があったという話をいたしました。たまたま、昨日の委員会において、楠見中金事長みずから、皆さん方の質疑に答えて、私に申した意向と同じような意向を実は質疑の中で答えております。その内容は、要するに、その人事を含めて刷新をして、そうしてこの問題の究明をはかる、こういう意向を昨日申しております。私の申しました新聞記者に発表しました意向と中金事長みずから当委員会で昨日質疑でお答えしている内容は同じことであります。したがって、それは、中金の理事長から、一昨昨日ですか、とにかくこの人事のままでは刷新もできなければ調査もなかなかやりにくいから、まず人事のほうにひとつ手をつけて、そうしてこの内容の究明と刷新をはかりたいという意向が実はありまして、まだ具体的な案は出ておりません。したがって、その意向だけの記者発表であります。中金事長が昨日この委員会で同じような趣旨を実は答えております。
  179. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もう一点お尋ねしますが、食糧庁お尋ねします。会社の名前は伏せますが、ある会社が、結晶ブドウ糖の一番液、第一に出る結晶ブドウ糖製造の際に出るその廃液、いわゆる液状ブドウ糖、それを原料とする製品に対して、公庫融資申請をしたが、その扱いはどうなりましたか。
  180. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいまの御質問でございますが、結晶ブドウ糖がどの程度できるかどうか、よく設計書等で確認をいたしまして、公庫のほうにごあっせんをするかどうかの結論を出したいと思います。
  181. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いや、私の聞いたのは、すでに過去の事実を確認するために伺ったのでありますが、一番廃液を原料とする製品に対して融資申請をしたが、これを申請書が却下されたという事実を確認の意味でお尋ねをしたのです。そういう事実があったわけです。
  182. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 四十年度におきまして二件ばかりそういう申請があったそうでございますが、まだ正式には拒否という形ではなしに、保留の形で検討中だということでございます。
  183. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私が聞いたのは、それは却下されたというふうに聞いておるのです。事実、これは却下しなければならないような一つ公庫法の定めになっておる。  私は、与えられた時間はすでに経過をいたしましたので、あと同僚委員質問する時間にもだいぶ迷惑をかけておりますから、私なりのこの共和製糖に対する最後の締めくくりのお尋ねをいたします。  第一点は、政府責任についてであります。昨日来いろいろ共和製糖グループ問題についてお尋ねをいたして明らかになったことによれば、三十八年ごろ構想されたこのコンビナート構想というものは非常に無定見な結果になっておる。この結果が、金融を混乱させ、また、業界に疑惑資金流用等々をさせる誘因をなしておる。この政府責任については世間ではあまり取り上げておりませんが、われわれの観点からいたしますと、政府責任はきわめて重大である。無責任行政のティピカルなものである。朝令暮改もはなはだしいものである。そういう結果が、金融機関に迷惑をかけ、あるいはその他いろいろな不正事件を誘発する根源をなしておる。政治の姿勢を正すと言うけれども、そういうことでどうして国民が政府を信頼できますか。大臣答弁も場当たりだ。一体、どういうところにコンビナートの反省があり、どういうところに食料品工業の今後あるべきビジョンがあるのか、かいもく見当がつかない。さしあたりの問題を処理することさえ何らの定見を持たない。私はそういう政府責任をこの際明らかに指摘せざるを得ないのでありますが、これに対する反論があったら十分おっしゃってください。
  184. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) コンビナート構想そのものが当初からまことに不当な計画であるとは、私自身、今日調査して、そう感じてはおりません。要するに、このコンビナート構想という一つの新たなタイトルをつかまえてやったこのことは、私は必ずしも不当なものであるとか、あるいは政策が非常に欠乏しておるとは考えておりません。ただ、その経過における変化、変化に対応する処置が必ずしも妥当じゃなかったのじゃなかろうか。かりに言いますれば、砂糖の自由化に対して、その自由化計画を拡大し過ぎた、あるいは、ブドウ糖をつくるべきものが、ある場合には砂糖の価格によってブドウ糖のほうの計画がずれた、あるものは資金の流用がされた、こういうところに計画と実行におけるそごが確かにあったと思います。したがって、この問題そのものが政策的に無意味であるとかいう感じは今日持っておりませんが、結果においてその現実の姿が必ずしも当初の計画どおりいかなかった。これが今日われわれが実は反省しなければならない問題である、また、究明しなければならない問題である、また、その後にこれに対処しなければならない問題であると、私はこう考えております。無定見のまま今日この問題を処理しようとは考えておりません。しかし、いまは、現実において、計画あるいは実行、資金の運用というものにまだ正確な把握ができておりませんので、先を急ぎ過ぎますと今日の現状把握がおくれる結果になりはせぬかと、私はそう考えて、計画、進行、結果、将来への問題、この四つは区分けして考えなきゃならない問題だと思います。もちろん、当初から政府が全然責任がないとは私は思いません。しかし、政府責任をとるべきもの、あるいは金融機関責任に帰属するもの、おのおの限界点はあるべきものだと思いまして、それはいたずらにただ全部政府責任と言うにはまだその実態把握ができておりませんので、そういうものをつかまえて、政府が負うべき責任公庫が負うべき責任中金の運営、あるいは開銀の今日までの処理というものは、その事実を把握しなければまだ私たちはどうこうとは言えないんじゃないか。といって、政府がすべての責任をのがれる気持ちはもちろんありません。政府自身がその案を当初推進したと私は考えます。しかし、推進といっても、行政的推進と側面的推進、金融的推進、やはりおのずからそこには軽重があるんじゃなかろうか。しかし、いずれにしましても、これが成功し得ない今日ですから、私はあえてこれに弁明的なことは言いませんが、私の感じはそういう気持ちでこの問題を処理していきたいと実は思っております。
  185. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 食糧庁長官に伺うのですが、第二業務部長にですが、あなたが融資推薦状を出した公庫開銀、それが資金流用された、期限前償還を命じなければならない、そういう醜態を演じておる。融資依頼をした責任は重大であると思う。単に返せばいいというものじゃない。そういう原因をつくったそこまでのさかのぼった行政責任というものをこの際きびしく反省しなければならぬと思うのでありますが、この責任一体どう感じておられるか、この際明らかにしておきたい。
  186. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 確かに、食糧庁から公庫ブドウ糖に関する融資あっせんをいたしました。その一つは、コンビナート計画におけるその部門としてブドウ糖工場の融資あっせんをした。その結果、今日は、そのとおりに実はその資金と運営がなされていなくて、その建設ができていないというのは、まことにどちらの監督も実は不十分であったと私は思います。政府の監督も公庫の監督も、ともにこれが不十分であったと思います。
  187. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 公庫開銀に対してはそのことでありますが、しかしながら、農林中金等に対しては、正式な文書をもって融資の依頼はしないけれども、当然政府の企画に基づく事業の推進のためには融資の依頼をすべき立場にあるのに、その事実確認ができない。役人は一年か二年たてばそのポストがかわる。かわることによってその事実確認ができないなどといって遁辞を弄して、国民はどうして政府を信頼できますか。そういうような無責任一つ方向というものが、またここに農林中央金庫政府責任の不分明な一つの問題を提起しておる。私は、政府みずからが農林中央金庫に対してこの甘味コンビナート計画に賛同をさせ、それに対して自主的な判断によって融資させることに、この計画を正しいものとする限りには、積極的な行政立場で接触すべきものだと思う。しかし、それをあなたがもしもきょう是認すれば、みずからそういう是認したものを否定した、融資を拒否した責任が振りかかるので、事実確認ができないということできょうは逃げを打ったと私は判断せざるを得ない。あるいは、そうでなくても、事実確認ができなかった物理的な現象があるかもしらぬが、しかし、確認する当事者がその当時おって、いまはこどに行っているかわからぬというようなことで、行政が一日として前進がありますか。それじゃ、終身的にそのポストに置けばいいじゃないですか、極端に言えば、そんなことは許されないでしょう。当然、そういう配置転換が行なわれる。そういう中で、何らの連絡もとれていない。聞かれてはじめて周章ろうばいする。こういう事態の確認ができない。こういうことでは、国民の政治に対する不信感は増すばかりじゃないですか。私は、これも些少なことではあるが、政治の無責任さの一つの具体的なあらわれであると指摘せざるを得ない。  また、私、きのう取り上げた問題の一つでありますが、公庫法の十八条の二にうたって政令を出しておることに対して、政府みずからがその規制した融資をこえたものを食糧庁長官名をもって公庫総裁融資をさせておる。こういうみずからつくった法律、政令というものをみずから踏みにじるような、そういうようなことは、私は断じて許すことのできない問題であると指摘せざるを得ないのであります。  公庫立場について申しましても、大沢総裁公庫に就任されてからまだ日が浅い。浅いにもかかわらず、予定としては政府代表としてFAOの会議に出る。なお、そのあと、日程を延長して、松野農林大臣に随行して東南アジアを旅行するスケージュールが発表された。スケジュールが発表される以前に、共和製糖のこの国民の疑惑というものが全国沸々としてたぎっておるさなかにそういうスケジュールが発表された。これに対して、当時、大沢総裁は、記者発表して、これは政府のやることであって、私のあずかり知るところじゃないという、あなたがかつて農林官僚のトップクラスにおったときのような答弁をされておる。しかし、いやしくも農林行政のトップに立つ公庫総裁たる者が、こういう国民の疑惑の目の向けられておるそういう問題の中に、国をあとにして外国を旅行するというそういう感覚を私は総裁に対してきびしく指摘せざるを得ないのであります。政府の方針であるならば、政府に対して辞退をすればいいじゃないか。官僚の人事のたらい回しである。民間人のそういうものに対する理解の浅さにつけ込んでそういう特権を振り回すようでは、私はあなたが今後公庫総裁としてその責任を全うし得るや否や、はなはだ疑問に思う。現地に行き、あるいはさらに余暇があるならば、就任間もなければ、各地を回り、末端の各所の担当者の声を聞く。さらには、その融資を受けた融資先の実態を見て、はたして制度金融としてその機能が万遺憾なきを期しておるかどうかという実態を調べることが、総裁、当初の大きな行動の中心でなければならない。何ですか、一体。自分が行くのは政府がきめることであるというようなことでは、私は農林漁業金融公庫総裁としてのとるべき態度ではないと思う。しかも、この融資たるや、非常にいま大きな問題を抱いているさなかであります。  特に公庫に対して私は指摘したいのは、融資するまでのことはかなり綿密に、複雑過ぎるほど複雑な書類を徴取します。融資後の資金管理というものはきわめてプァーである。むしろ問題は、その資金が十分に目的に沿って生かされるように使われておるかどうかのアフターケアーに重点をおくのが金融機関の重点の置きどころである。公庫がはたしてそういうことを十全にやっておるかどうか。今度の共和グループに対する融資なんかはその代表的なものではないですか。私は、この公庫の従来のあり方をこの機会に十分反省して、国民の期待にこたえるような方向に前進してもらわなければならぬと思います。  開発銀行は、これは直接いままだ問題が中心にはなっておりませんから、触れません。  最後に、農林中央金庫に対して私なりの意見を申し上げますが、確かに、農林中央金庫は、かつては政府機関の一翼を担当しておりました。しかしながら、われわれは農林中央金庫の民主化を唱え、ついに農林中央金庫法の改正をかちとりました。いま、その性格は民間金融機関であります。しかし、ややもすれば最近の農林中央金庫は債券発行に重点をおき、集めた資金を員外貸し付けに投下し、ノルマを与えてその資金の消化をはかり、目ざすところは利ざやを獲得をする、その融資先に対しては人を派遣して管理をする、人事の交流をやる、こういうことが組合金融のトップにある中金のいまの姿になりつつあるのではないかということを私は憂えるのであります。言うまでもなく、農林中央金庫は、組合金融のトップレベルに立つ機関であり、系統融資により以上の重点を注ぎ、その融資の管理適正に十全の努力をさらに払うべき任務にあることは、私が申し上げるまでもないのでありますが、ややともすれば、系統外融資に重点が置かれがちの昨今である。こういう錯誤的な現象というものは姿勢を正す大きな警告を共和製糖グループ融資に対して与えられたものだと、この点を深く反省をしてもらいたいのであります。  そこで、一体、これらの問題を踏まえて、共和製糖グループに対して政府はどういう責任をお感じになっておられますか。どういう具体的な責任を感じ、その感じられた責任に対してどういう行動をもってこたえられようとしておりますか。
  188. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 金融の内容については、総合的な監督官庁としての責任があると思います。その実態は、今日している調査結果によって明らかになると思います。  政策的には、要するに今回のコンビナート計画というものに対して、推進、その対策、その詳細な計画というものがはたして妥当であったかどうか、これは政策的にも政府の考えなければならない問題だと思います。  最後に、これを将来どう進めていくか、これも政府が総合的計画、総合的監督のもとに事後処理をしなければならない問題だと思います。したがって、われわれ政府として、これが全然関係ないというふうな、そんなことは考えておりません。当然これは総合的な大きな意味において政府自身も考えなければならない問題であった。しかし、事今日ここになった以上は、その現実を明らかにして、そうしてその上で新たなる国民の納得する対策を立てなければならない。今日は、まず第一に現実調査、現況を把握する、そうしてその上ということで、今日はその調査に全力を注いでおります。その立場に立って、今後の対策についてまた政府自身考えなければならないと思っております。     —————————————
  189. 山崎斉

    委員長山崎斉君) それでは、次に、バナナ等輸入果実その他に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  190. 宮崎正義

    宮崎正義君 質問に入る前に、私は農林水産委員会における農林大臣のあいさつの中の点につきまして、農林大臣に強く要望しておきたいと思います。  それは、昨日来論議されております共和製糖グループの事件や国有地払い下げの問題をよそに、食糧庁調査員兼通訳という名目で京都信用金庫副理事長という農相の親友といわれている人を同伴されて行かれた。また、言われているのは、観光旅行を楽しんでいるといわれるような疑問を国民の前にさらして、そして公私混合し、帰朝されたときの帰朝談には、大臣にあるまじき談話を発表しておられました。その結果、「まことに遺憾に存じております。」というような大臣が本委員会の冒頭におけるあいさつは、まことに国民大衆は義憤にたえないと思うのであります。また、憤りを感じていると思うのであります。今後このような失態を二度と繰り返さないということを、強く国民の前にはっきり言い切っていただきたいと思うのであります。今後のあり方としては、日本農政の抜本的改革の振興を考えていただきたいと思うのであります。この点について農林大臣に伺っておきます。
  191. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) まことに私自身不注意であったと深く反省をしまして、政治家である限りこのような不注意は十分反省して今後自分の教訓にしたいと深く考えております。
  192. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまの大臣のおことばをお忘れなく、日本農政の今後の姿に全幅の政策を示していただきたいことを重ねて要望しておきます。  まず、農林大臣にお伺いいたしたいことは、貿易の自由化に伴いまして、国内の産業の果樹の今後における保護政策、そういうものに対する基本的な考え方、それを伺っておきたいと思います。
  193. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 日本の農業の中で果樹というものが非常に大きなウエートを占め、その成長率は目ざましいものがあります。しかしながら、この成長率がこのまま無計画に成長すると、ややもすれば農政の中で過剰的あるいは値下がり的傾向も見受けられます。したがって、今後の果樹は、消費も非常に拡大しておりますが、生産も非常に拡大しています。したがって、果樹をなるべく均等に国民に消費してもらうような方策を考えなければならない。法律的には果樹振興法というのがございます。一番大きなのは、果樹の中でミカンとリンゴだと思います。まあ輸出もある程度できておりますけれども、大部分は国内消費。ついては、この国内消費を均等に実はやりたい。一つの時期に一つのものが集中生産され、集中消費をするために、暴落が実は生産者に影響を与えると思いますので、その意味においては、貯蔵、出荷調整、消費時期等を考えて今後果樹の振興をはからなければならない。これはあらゆる面において果樹は農産物におけるウエートは非常に大きく、まあ十倍ぐらいに私は生産がこの数年間になったんじゃないかと思う。数年というのはあれですが、戦後において十倍ぐらいの生産数量になった。消費も十倍以上伸びております。しかし、このままの計画でカーブを描くということは安定的な生産じゃない。果樹については農業の重要部門として私も非常に実は関心と重点を置きたいと思っております。
  194. 宮崎正義

    宮崎正義君 国内の生産がそのように伸びていると同じに、貿易に関する果樹の率もそれと並行して伸びている。こういう点について私は伺っているわけで、それににらみ合わせての御回答を願いたい。
  195. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今日、果樹に競合するくだものとして輸入されておりますものは、一番大きなものはバナナであります。もちろん、このバナナの輸入については、いままでいろいろ調整をして、リンゴ、バナナ、ミカンという一つの競合的なくだものの代表的なものとしてその輸入を制限してまいった時期もございます。しかし、最近は輸入が急増いたしまして、いまは自由化的な割り当て——制度はこれは通産省の制度ですけれども、おそらく自由化をしながら割り当て的なものをやっているのではないかと私は制度上思いますけれども、農林省としては輸入総数量の協議を受けます。本年の輸入総教量は八百八十万かご、これが本年から来年までの輸入総数量として協議を通産省と遂げまして、この程度のものは今日の需要からいうならば国内果実を圧迫するものでないというので、消費を勘案して、消費の範囲内において他のくだものを圧迫しないという限度をきめながら本年はやったわけであります。
  196. 宮崎正義

    宮崎正義君 いろいろな調査事項等によって心配されることは、そのバナナの輸入が大衆に受ける調査事項といいますか、たとえばリンゴと比較してみて、バナナの需要量が拡大されてくる。そうしますと、今日の時点から言えばリンゴが当然上回っておりますが、これが逆の結果になってくるという調査事項もあるわけであります。その調査の資料によりますと、バナナの値段が下がればバナナを現在よりもっと食べるという層は六一・三%になっております。その他の果実はそうなれば大衆は減らすと言う。それが三二・五%になっている。こういうふうな趨勢になっている。そうしたときの先ほどの大臣の回答がどういうふうになっていくのか、その点について伺っておきたい。
  197. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この十数年来、バナナの輸入とリンゴの関係、またミカンの関係というのは、常にこれは議論をされておりまして、バナナが輸入されればリンゴが下落する、それで行政上のバナナの輸入制限というものがずっと続いてまいりました。今日の消費傾向を見ますると、全然関係がないとは私も思いません。しかし、総体的なくだものの需要人口が非常にふえましたから、バナナの輸入がふえたにもかかわらず、リンゴの価格というものが暴落をしたり、あるいは消費が減ったという程度の数字はわりに出ておりません。やはり、リンゴはリンゴ、バナナはバナナ、今日の程度ならば、リンゴの消費もでき、バナナの消費もできると思います。もちろん消費者は同一層であるという場合もありますので、必ずそれが悪化はないかと、そうは申しませんが、いままでの数量程度ならばリンゴを暴圧するというところまではまだ来ていないのじゃないだろうか。それがことしきめました八百八十万程度は——昨年が七百万をこえておると思います。その傾向を見て、ことしは八百八十万くらいならばやれるんじゃなかろうか。しかし、これは無限にやって間違いないと、そうは思っておりません。そう無限にやっておりません。一般貿易の中で特に農林物資として農林、通産の協議事項になっているのはやはりその意味でありまして、この協議事項を廃止するという気持ちは私は持っておりません。そういうことは、やはり国内の果実に影響しないとは言えないという意味で、私のほうは協議事項をはずすという気持ちはございません。
  198. 宮崎正義

    宮崎正義君 輸入バナナのことにつきましては私はしろうとなものですから、これから逐次質問したしますことは順序不同になるかもわかりませんけれども、その一つの進め方といたしまして、通産省から出ております「台湾バナナ貿易の推移と現況の解説」、これを主題といたしましてこれからお尋ねしたいと思うのであります。  私はいまさら申し上げるまでもなく、バナナの輸入は昭和三十八年の四月以降自由化されて、通産省ではAIQ物資としての契約に基づいて申請どおりに自動的に全量を割り当てられていくというのが原則であると、私はこのように思うのです。ところが、昨年六月二十五日ごろに台湾バナナに限って割り当て制、たとえばIQに等しいような輸入割り当てを行なってきている。こういった根拠はどこにあるのでしょうか。
  199. 原田明

    説明員(原田明君) お答え申し上げます。  バナナは、御指摘のとおり、三十八年の四月に自由化をいたしまして、それまで割り当て制度、一般にIQ制度といわれておりますものから自動割り当て制度、現在ではAIQといわれている制度に移したわけでございます。当時の状況では、八条国に移行いたしておりませんので、通称AFAと称しておりましたが、現在ではAIQ制度に当たります。したがいまして、自動割り当て制度のもとでは、割り当てはいたしますが、割り当ての申請がございましたら、いくらでも割り当てるという制度をとったわけでございます。しかし、三十八年、三十九年の二年間の自由化時代、特に三十九年の後半から四十年の前半にかけまして、輸入の過当競争の実情が発生をいたしました。したがいまして、このような事態を是正、改善いたしますためには、当分の間、輸入秩序維持のための何らかの方策が必要であるという結論に達しまして、そのためには自主的な秩序維持策というものがよろしいと考えまして、輸入組合の育成という方策に踏み切ったわけでございますが、その輸入組合が自主的な態勢で輸入秩序が維持されるに至りますまでの間、当分ということでAIQ——自動割り当て制度のもとにおきまして割り当てをするという制度に踏み切ったわけでございます。したがいまして、この制度は、形式的には自動割り当てそのもので何ら変更はございませんが、台湾バナナにつきまして、実質上、割り当てを現在実行いたしておるという状況でございます。
  200. 宮崎正義

    宮崎正義君 その法的根拠を伺います。
  201. 原田明

    説明員(原田明君) 輸入貿易管理令の第九条によりまして割り当て制度が行なわれておりまして、自動割り当て制度は、その第九条に基づく割り当て制度のうち、申請があればいくらでも差し上げますということをたてまえとした割り当て制度であるということであります。
  202. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまの答弁と先ほどの答弁で、当然申請どおりに自由に割り当てられるというのが法のたてまえであるという見地からいいまして、これは四十一年の十月一日ですか、「昭和四十一年度下期台湾産生鮮バナナの輸入割当について」という輸入注意事項が通産省の公報に載っております。   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕  この申請期間とか、あるいは割り当て対象者、こういうものに対する御説明をお願いいたします。
  203. 原田明

    説明員(原田明君) ただいま御説明申し上げましたとおり、輸入貿易管理令の第九条に基づきまして、割り当てを行なう権限が通産大臣に与えられておりまして、その際に、その割り当てを、数量を限って行なうか、あるいは数量をある程度フリーに行なうかということは、法律では定められておりませんで、通産大臣がきめられるということになっております。この法のたてまえに基づきまして、自動割り当て制度のもとで通産大臣がフリーに数量の制限なく申請どおり割り当てをいたしておりましたものを、数量の制限を設けて割り当てをするというふうに変更をしたわけでございます。
  204. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうすると、自由化じゃないということなんですね。一面、極端に言えば、そういう形になるのじゃないですか。輸入注意事項ということについて説明を願いたいと思います。
  205. 原田明

    説明員(原田明君) 輸入注意事項は、輸入の制度に関しますことを輸入業者に一般的に公表いたします場合の方法といたしまして、輸入公表制度と輸入注意事項という制度と二つを併用いたしております。輸入公表は、告示に当たりますような事柄を公表いたします。たとえば輸入自由化の場合でございますと、ある品目を自由化するかどうかというふうなことは輸入の公表で行なうたてまえにいたしております。それからそういうたてまえに基づきまして公表されている輸入自由化品目ないしは輸入の数量割り当て品目についていからる方法ないし基準で行なうかというような細目につきましては、輸入注意事項という形で一般的方法を行なっております。
  206. 宮崎正義

    宮崎正義君 たとえば台湾バナナだけがこういうふうな対象にあげられているということは、どういうことなんでしょうか。
  207. 原田明

    説明員(原田明君) 台湾だけにつきまして、現在は、AIQ制度のもとで数量の割り当てが行なわれております。したがいまして、実質的には台湾については自由化が暫定的に停止せられておる形が生じております。ただし、形式的にはどちらも自動割り当て制度のもとにおける運用ということで実施せられておりますので、その点に関しましては、台湾と台湾以外の地域との間に全然差別はございません。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
  208. 宮崎正義

    宮崎正義君 割り当てのことにつきましては、あとで問題がありますので、そのときに触れていきますが、この「解説」に基づきまして、これは三ページの上から三行目ですか、「過当競争は刺激されオッファーの見返りにヘリコプターを寄附するなどという不公正競争まで惹起するに至り、」——このヘリコプターを寄贈するというのは、どんなふうな方法で寄贈したのか、また、こういう事実があったのかどうか、また、この会社はどんな会社であったのか、その点について。
  209. 原田明

    説明員(原田明君) 私どもが聞きましたところでは、ヘリコプターをバナナの病害虫防止のための農薬散布用に寄贈しようとしたというだけで、実際には寄贈が実現しなかったというふうに聞いております。ただ、この点はうわさでございまして、過当競争がかなりの激しい程度のものであったということを物語る一つの挿話として引用されておるにすぎないのではないかというふうに私どもは感じております。実際にはあったことではないのではないかというふうに感じます。
  210. 宮崎正義

    宮崎正義君 物語式に書いてあるとは、これはまたもってのほかだと思うのですが、そのしようとした会社名、そのうわさが出た会社名はどういう会社ですか。
  211. 原田明

    説明員(原田明君) 私、承知をいたしておりません。
  212. 宮崎正義

    宮崎正義君 少なくとも、通産省でこの経緯を解説していくのに、これは通産省の方が持ってきたのですから、間違いないですね。
  213. 原田明

    説明員(原田明君) お手元に差し上げました書類は、通産省がつくったものではございませんで、手元にございましたものの中でわりによく書けておるというものを差し上げたものでございます。
  214. 宮崎正義

    宮崎正義君 少なくとも、説明の資料として持ってくる以上は、責任があるものと私はみなしたいと思うのです。  そこで、この下に「国内違反問題すら派生することとなった。」と、この「国内違反問題すら派生することとなった。」というその問題、これはどういうふうな会社で、何の違反を起こしたのか、この点について御説明願いたい。
  215. 原田明

    説明員(原田明君) 詳細は、私のほうの所管ではございませんので、正確に申し上げることは困難でございますが、手数料、あっせん料といったような名目で、実際にインボイス価格で購入された金額よりはよけいな金額を相手方に払ったという外国為替管理法違反の容疑で調査されたもの、または、関税法に基づきます申告の価格が実際よりは低価——低い価格であったという理由で関税法違反の疑いが持たれたというものがあったように聞いておりますが、その違反の事実が確認されたかどうかということは承知いたしておりません。
  216. 宮崎正義

    宮崎正義君 確認されていないということは、ちょっと私は納得できないと思うのですが、これは私のようなしろうとでも、どういうところの会社の人がそういうふうに引っかかったかということは知っておるわけなんです。その担当省に当たっている政府の役人が知らないということは私はないと思うのですが、どうなんでしょう。
  217. 原田明

    説明員(原田明君) そういううわさを聞いておるということでございまして、実際は違反があったということを確認しない場合にその名前を申し上げるということはいかがかと存じますので、その意味で確実に承知をいたしておらないと申し上げておるわけでございます。
  218. 宮崎正義

    宮崎正義君 名前を言わなくてもけっこうですが、どれくらいあったのでしょう、何社ぐらい。
  219. 原田明

    説明員(原田明君) 私が聞いておりますのは、二件でございます。
  220. 宮崎正義

    宮崎正義君 いずれにいたしましても、私の聞いているところによりますと、四十年の二月三日に二十七条違反で起訴されているという事実を知っているわけですが、そういうところの会社には当然割り当てはしてないのでしょうね。
  221. 原田明

    説明員(原田明君) 私どものほうでは、その会社が違反をしたという事実が訴訟の結果確定をしておりませんので、基準に合致いたします場合には割り当てが行なわれていると承知いたします。
  222. 宮崎正義

    宮崎正義君 その基準ですが、やはりこういうふうな疑い等がありということがわかっている、二社あるというふうにいわれている、そのところに、道義上の立場の上からいきましても、また、取り締まるほうの行政のほうの上からいきましても、当然そういうところに割り当てということは、一応考えを改めなければならないのじゃないかと、私はこう思うのですがね。
  223. 原田明

    説明員(原田明君) 御指摘の点は、まことにむずかしい問題のように私ども存ずる次第でございます。確かに、世間で訴えが行なわれて法律違反をしているといわれておるようなところに割り当てを行なうということは、いかがかというふうに感ぜられる節もございます。しかし、また、その訴えが確定をいたしましてはっきり違反をしたということが確認をされません前に、そうでなければ当然もらえるであろう割り当てをやらないというのも、非常にいかがかというふうにも存ぜられる次第でございます。こういう法権限的な関係に基づきまして解釈が行なわれて割り当てを行なうというものにつきましては、やはり結果が確認されます前は当然もらえるものを停止するというのはいかがかという結論に達しまして、現在割り当てを行なっておるというように承知をいたしております。
  224. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま言われておる逆な立場があると思うのです。その点についての責任はどういうふうに考えますか。
  225. 原田明

    説明員(原田明君) ちょっと御質問の意味がはっきり……。
  226. 宮崎正義

    宮崎正義君 あなたの言った逆な立場ですよ。あなたは、取り調べて、それが罪がなかったというふうなときには、これは割り当てをしてあげなければいけなかったと。もし、それが罪として決定された場合にどういうふうになるか、その裁判の結果ですね。あなたの答弁の逆な立場で………。
  227. 原田明

    説明員(原田明君) 法律違反の罪が確定をいたしました場合には、それに相応する罰が科せられるものと思います。したがいまして、その罪の性質ないし罰の性格というようなものから考えまして、割り当てということの行政行為を行なうことが適当かどうかということを判断をいたすべきではないかというふうに考える次第でございます。
  228. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、当然、そういうことをやる人に対しては重大な割り当ての問題があるのじゃないかと思うのです。だから、あなたのおっしゃたことの逆のような立場になったならば、これは先ほど申し上げましたような人道上からいきましても大いに論議されていかなければならないのじゃないかと思うのです。それでお伺いをしておるわけです。
  229. 原田明

    説明員(原田明君) 人道上のといいますか、道義上、為替管理法違反ないし関税法違反を行なうような者に割り当てをするのは、確かに望ましいことでないというふうに考えております。
  230. 宮崎正義

    宮崎正義君 その割り当ての問題につきましては、まだもう少し先に譲りまして進めていきたいと思います。  この解説の資料からいきますと、これは五ページですか、だいぶはしょってまいります。そのまん中ごろに「しかし回を重ねるに従い政府側の熱心な説得により四七年七月六日、本研究会は、日本バナナ輸入組合に、設立発起人会に移行したのである。」と、この模様を御説明願いたいと思います。
  231. 原田明

    説明員(原田明君) 三十九年の後半から特に輸入秩序の混乱がはなはだしくなりまして、国会方面においても、このような輸入秩序の混乱を放置すべきではないという御討議がございました。それに基づきまして、通産省としましても、先ほど御説明申し上げましたように、一ぺん自由化いたしましたものをまたもとの割り当て制度に戻すというやり方で輸入秩序を確保するということは必ずしも好ましくないということでございます。業界の自主的な努力によって輸入秩序をはかるという方策をとりたいと考えたわけでございますが、それには輸出入取引法に基づく輸入組合を設立をして、それによって業界の秩序を維持していただくのが最適である、かように考えた次第でございます。で、その結果、業界に呼びかけをいたしましたが、バナナ業界は、自由化前、輸入業者の数は約百三十くらいしかございませんでしたものが、自由化の二年余りの間にその数は延べ七百以上心もふえてまいっております。したがいまして、業界の内部の利害の対立が非常に深刻でございまして、直ちに業界だけの自主的な統制をもっては輸入秩序維持が困難な状態にございましたしたがいまして、ここにございますような研究会ないし懇談会というような形式で、業界に対しまして輸入組合を一本で設立するということに努力いたした次第でございます。ただ、業界内部の対立が非常に深刻でございまして、六月の十五日に日本バナナ輸入組合の創立総会が行なわれました。しかし、この創立総会にあきたらない他のグループが六月の二十五日にさらに全国バナナ輸入組合という名前で創立総会を行ないました。これが通常第二組合と当時呼ばれていたもののようでございます。さらに、七月の五日に全日バナナ輸入組合創立総会というものが行なわれました。これが通常第三組合と呼ばれたようでございます。この三つの組合があまり日を離さないで続々と創立総会を行なって輸出入取引法に基づく認可申請をしたものと考えられますが、輸入秩序維持のためにはこのような三つの組合ができましたのでは目的を達することが困難でございますので、この業界に対しまして、一本化するようにという呼びかけを行ないました。結局、業界同士の話し合いがまとまりまして、九月の十五日に日本バナナ輸入組合の設立が認可されたというような事情であると私は承知いたしております。
  232. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまお話がありました六月十五日に創立総会が行なわれたこのときに、これは内容についてはちょっと触れられなかったのですが、やり直し総会になったもんじゃないですか。
  233. 原田明

    説明員(原田明君) そのような事実は存じておりません。
  234. 宮崎正義

    宮崎正義君 たしか農林省側からも通産省側のほうからも祝辞を述べに行っているようにも聞いたんですが、この点はどうなんですか。
  235. 原田明

    説明員(原田明君) たいへん申しわけございませんが、当時の責任者がおりませんので、はっきり確認はできませんが、おそらく行ったのではないかと想像されます。
  236. 宮崎正義

    宮崎正義君 そういうあいまいな答弁では、私の質問はここから端を発してくるようになるのですから、この点は明確にしておきたいと思います。
  237. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  238. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。
  239. 原田明

    説明員(原田明君) おそらく行ったものと存じますが……。
  240. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは御承知のことだと思うのですが、当時法律違反の問題が起きているわけです。中小企業の協同組合法によってこれは一応総代役員の選任に関して何かあったと思うのです。そういうようなことが取りやめになっておるところで、農林省のほうからと、それから通産省のほうから祝辞を述べに行っているという、やり直し総会のところで祝辞を述べているというおかしげな現実があるように思えるわけですけれども、これは御存じないようなことでありますので、ほかに話を進めてまいりますが、割り当てのことにつきまして、その前にその価格の問題等につきまして、またもう一つは流通機構等のことにつきましてお伺いいたしたいと思います。  これは、私が申し上げるまでもなく、輸入税率が七〇%になっております。これは暫定措置だといわれておりますが、暫定措置が何年まで暫定するのか、この点、当局のほうからひとつ御回答を願いたいと思います。
  241. 細見卓

    説明員(細見卓君) お答え申し上げます。  一応期限は今年度で切れることになっておりまして、いま、この暫定措置を続けるか続けないかについては、各方面の御意見を承って、慎重に検討しているところでございます。
  242. 宮崎正義

    宮崎正義君 資料をいただいておりますが、三十六年から四十年の資料のうち、バナナ関税収入額という面からいきますと、百五十八億円以上関税額が入っております。これはどういうふうにしようとされておりますか。
  243. 細見卓

    説明員(細見卓君) 一般会計の収入になるわけでございますから、特定の用途ということではございませんので、一般歳入として使われているわけでございます。
  244. 宮崎正義

    宮崎正義君 国内の果樹の保護政策のためにもこれは考えられているというふうにも聞いておりますが、その点はどうなんでしょうか。
  245. 細見卓

    説明員(細見卓君) 国の予算の中で相当な部分が果樹振興に用いられておるわけでありますから、その意味では使われているとも申せますし、ただ、先ほども申しましたように、一般会計の収入でございますので、ひもつきで特定の目的に使っておるというような種類の歳入でないということでございます。
  246. 宮崎正義

    宮崎正義君 このバナナから上がってくる収入は、一般会計のほうに回わしているから、全体的にあるいは果樹のほうにもあるやもわからないというお話ですが、また、今年度にそれは切れるから、いま検討中だと言われておりますが、言うならば、原田局次長も、衆議院のあれは商工委員会ですかの報道に出ておりますが、確かに普通の商売よりもうけがいいことは認める、輸入量をふやし、流通機構を改善するなどの措置をとって、このような弊害を除くようにしたいと、こう言われているように報道されておりますが、このようでいきますと、相当もうかっているというのはどこにそういうふうな問題点があるかということはずいぶん論議をされておりますが、そこで、この流通機構の面からいきまして私伺いたいのは、浜相場というのがありますが、この浜相場のことにつきまして、農林省では、また通産省では、どんなふうに今後考えていかれようとしているのか、お伺いしておきたいと思います。
  247. 原田明

    説明員(原田明君) 私も専門家ではございませんので、承知いたしております限りで御説明申し上げたいと思いますが、バナナの浜相場と申しますのは、輸入業者と国内加工業者との取引の際の標準的な価格であるというふうにいわれております。バナナの輸入販売価格は、戦前は、各陸揚げ港——現在は、夏は、東京、横浜、神戸、博多、門司、室蘭、小樽の四地方七港——におきまして、売り手の主宰いたしますせりによって行なわれていたと承ります。  ところが、戦後昭和二十五年に民間貿易が再開をされまして、不要不急物資として非常にきびしい輸入制限をバナナは受けておりました。したがいまして、輸入量はきわめて僅少でございました。その場合には、こういうせりがございませんで、一般にいわれております売り手と買い手との相対というものによって取りきめられていたと存じます。ところが、二十七年ごろになりまして、輸入量も次第に増加をいたしまして、輸入業者の数もふえまして、また、バナナ専用船積みというものが行なわれるようになってまいりましたので、荷を受けるほうの側におきましても共同処理を行なう必要が生じまして、関西と関東の両地区で現場処理委員会と呼ばれるものが発足をいたしました。現場処理委員会は、当初は、輸入業者の荷揚げ、通関などの現場業務の共同処理機構として発足をいたしました。価格は、輸入業者が協議をいたしまして、目安価格というようなものをきめていた模様でございまして、そのころの買い手の業者の立場は非常に弱かったように聞いております。その後、この現場処理委員会の設置を契機といたしまして、加工業者の間との横の連絡が急に進みまして、加工業者の発言権も強くなってまいりましたので、昭和二十八年に輸入販売価格評価の公正を期するという意味で、現場処理委員会の中に評価委員会というものを設けまして、売り手と買い手の代表が、現物の品質や、着荷状況、市況などを勘案いたしまして、話し合いによりまして標準価格をきめることになった由でございます。この価格がいわゆる浜相場といわれているものでございます。  この標準価格を一応の標準にいたしまして、それに基づいて実際の売買が行なわれることによって、バナナの価格ができるだけ安定するように、また、消費者に対して不当に高くなったりしないようにという目的で運用されているというように聞いております。
  248. 宮崎正義

    宮崎正義君 不当に高くならないようにという最後の結びでございますが、ここにいろいろな問題が、バナナが高いという問題が起きているわけですが、ただいま、農林省のほうから、あなたのほうはまだこういうふうな機構についてどういうふうにするかと今後のことについてお話がなかったのですが、まずこれをお伺いしながら、いまの問題点はこの辺から税金を食っているのだと言われる根拠があると私は思うわけです。したがいまして、この機構を将来どういうふうに農林省側と通産省側のほうでは考えていかれようとするのか、そのこともあわせて御答弁願いたい。
  249. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) 農林省のほうといたしましても、ただいま通商局次長が経緯をお話しになりました現在の段階におきましては、やはり、現在の状況では、この浜相場という価格の建て方は、一応現在の輸入の状況あるいは加工の状況から見てこれがいいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、だんだんに輸入も多くなりまして、輸入業者なり加工業者の態様が改まってまいりますと、あるいはもう少し抜本的なせりというようなことも当然考えられるわけでございます。ただ、理論的にせりがいいというためには、それなりの条件がそろわなければならないわけでございますが、現在では、御承知のように、台湾のほうは建て値をきめていたしております。国内のほうはかなり需要が強うございますから、そういうことでございますので、現在の方法としてやむを得ないのじゃないかと思われます。  なお、もう少し流通機構を合理化するためには、競争ということが当然入ってこなければならないわけでございますが、先ほども大臣のほうからも申し上げましたとおり、バナナの輸入につきましては、やはり国内産の果実に対する影響ということも当然考慮いたさなければなりませんし、実は台湾のほうの供給力というものも相当問題であるわけでございます。私ども、別にそれをもって数学的なと申しますか、算術的な計算をしておるわけではございませんけれども、現在の輸入量はおおむね戦前の輸入量と比例いたしておりまして、国内産果実の一割程度になっておるわけでございます。なお、今後バナナの需要が国内的に強ければもう少し入れるということも考えられるわけでございますが、それはやはり台湾の供給ということも考えますと、輸入量としてはこの程度のものではないかというふうに考えておりまして、そういう条件の中での浜相場というふうに考えられるわけでございます。
  250. 宮崎正義

    宮崎正義君 園芸局長に重ねてお伺いしますが、いまお話の中で、台湾の供給量というお話もありましたし、輸入量というお話も出ましたけれども、いま、バナナの問題で相当論議をされている段階にきている。ちょうどその時期としては、これを将来の計画を立てて抜本的な改革をしていくというような行き方を私は考えなければならんと思うのであります。ですから、いま一番いい時期ではないか、私はこう思うのです。それと、これは私が調べたんですから、しろうとの私ですから、どのくらいの輸入原価が、消費者へ渡るときはどうなるかということを私は私なりに調べてみたんですが、通産省のほうからひとつお示しを願いたいと思います。
  251. 原田明

    説明員(原田明君) 台湾から輸入いたしますときのバナナの原価は、CIF、時期、原産地等によって異なりますが、八ドルないし七ドルでございます。八ドルは二千八百八十円になりますので、これに七〇%の関税並びに通関手数料、銀行手数料等々、諸経費を払いますと、ほぼ五千四百円程度になるのではないかというふうに推測をいたします。  これが加工卸売り業者に幾らで売られますかという推定は、実際は非常に困難でございますが、浜相場は五千二百円ないし六千円というように変動いたしておりますので、中をとりまして五千六百円程度というふうに見、約二百円程度の差額が出るわけでございますが、しかし、実際にはバナナの需要が強いかどうかということで、必ずしも浜相場だけで入手できないというふうにいわれておりまして、これに配荷手数料と称する手数料を払わなければならない、そういう場合が多いというふうに聞いております。この配荷手数料が幾ら払われるかということは、非常に把握が困難でございますが、もしこれが二百円程度払われているといたしますならば、五千八百円程度というものが加工卸売り業者が買います場合の原価になるのじゃないかというふうに考えます。  この加工卸売り業者が、加工といいますか、室に入れまして熟成いたしましたものを小売り業者を通して消費者に売るわけでございます。その場合にも、北海道、九州あたり遠いところへ持っていく場合もございますので、その過程の流通段階には、必ずしも小売り業者一軒だけが介在をしているというふうには考えられないと存じますが、この小売り業者、加工卸売り業者が幾らで買い、幾らで売るかという価格の把握は、私どものところでは非常に困難でございます。したがいまして、消費者がそういうバナナを幾らで入手しておるかという小売り価格によりまして判断をしなければならないと思います。小売り価格は、これも時期により、また、特にことしの六、七月以降、台湾の高雄で台風がございまして、バナナの出荷が非常に少なく、とまったというようなときには、非常に高くなっております。そういうものを省きまして、大体の変動を見ますと、キログラム当たり二百四十円ないし二百九十円ぐらいのようでございますので、これを二百六十円といたしますと、一かご四十五キロ入っておりましたバナナが通常は四十キロといわれております歩どまりでございますが、もし四十キロの歩どまりで計算いたしました場合には、約一万四百円程度という計算になるようでございます。  ただ、その流通過程におきまして、バナナは非常に腐りやすい、保存のきかない商品でございます。また、返品がきかないという特性も持っておりますし、そういうことから運送費もかなりかかるといわれておりますので、そういう実際にかかる経費を引きまして、加工、卸売り、小売り業者が幾らもうけるかということを判断することは、非常に困難かと思います。  少なくともいま申し上げましたようなところがほぼ実情に近いと推察して申し上げられるのではないかと、かように考えております。
  252. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、輸入業者の浜相場をなくせという意味で言っているわけじゃありませんのですが、こういう中間のところで利潤を相当生んでいるということがバナナをつり上げているというふうに思っているわけです。御存じのように、極端な言い方をすれば、これは組合なんかにおこられてしまうかもわかりませんけれども、青いものを家庭に持っていったってこれはできるわけです。夏場では、岡持ちの中に入れて水を入れて、バナナに霧をふっかけておいて、湿度を九〇%以上にして、そしていまごろなら一週間くらい焼酎でもかけてやればよほどうまくなるというような簡単な操作で大体はその加工はできてしまうのです。これはおこられてしまうかもわかりませんけれどもね、加工業者等に。そういうふうなことから考えていきましても、かりに中間の浜相場のやり方なんかも考えなければならないと思います。関税、諸経費等をかけたそれだけで早く市場に持いていくとか、あるいは小売りのほうへ持っていくとかいうように中間のマージンをなくす機構が改められるならば、消費者の手には安く入るのじゃないか。消費者を中心に考えていきながら、さらに、この関税からとってくるもの、果樹からとってくるものを優先的に国内の果樹生産のほうの保護政策に回していけばいいと、こういうふうに思うわけですが、こういった点について、私は、先ほど、将来の機構の問題を、通産省は通産省なりに、また農林省農林省なりに、バナナの輸入に対してどう取っ組んでいくのかということを伺っておるわけです。こういう点からひとつ御回答願いたいと思います。
  253. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) 生鮮食品の流通機構につきましては、これはいろいろな段階で合理化をはかっていくということはもう当然でございまして、事はバナナだけではないわけでございます。ただ、先ほど先生もおっしゃいましたように、バナナは、やはり加工という段階、これはどうしても簡単なことではございましても設備なりあるいは時間なり手間はかかるわけでございます。そういうことを一応前提にいたしまして、ほかのくだものと比べてみればどうなるかということでございますが、何ぶん、流通関係調査といいますのは、時期なり、場所なり、ものによりましてなかなか画一的に出てまいらないのでございますが、一例といたしまして、昭和三十九年に東京都のほうで食料品の価格形成追跡調査というのをやっております。たとえばミカンにいたしますと、生産者価格が六一%、出荷経費が二八%、それで卸の価格が七七%ということになっておりまして、小売りの経費の二三%という構成になっております。リンゴにいたしますと、生産者価格は四五%、出荷経費が二七%、卸のところで七二%、小売りが二八%ということになっておるわけでございます。  いまお断わりいたしましたように、これはどの程度一般的なものであるというふうに考えてよいか、多少疑問があるわけでありますが、一応それに対比いたしましてバナナのただいま通商局次長が言われました計算に多少私どものほうで達観で計算をいたしますと、輸入業者の売り渡し価格が、これはもちろん関税その他込みでございますが、約五〇%の原価がかかる。以後、加工等をして、いわゆる他のくだものの卸段階に対比するのは七三%くらいになるのではないだろうか。そういたしますと、小売りは二七%ということになるわけでございます。そういう計算がかりにそれほど狂ってなくて、ある程度一般化してよいという前提でございますならば、それほどバナナについてのみ中間的な経費がかかっておるというふうには必ずしも言えないのではないかとも思われるわけでございます。  ただ、確かに、バナナにつきましては、需要が強いと申しますか、もちろん品腐れとかそういういろいろなことがございますが、大体かなりよく売れるということでございますので、他のくだものに比しましてリスクというものは中間業者の段階では比較的少ないものと思います。そういう意味におきまして、決してバナナはもうかるかもうからないかわからないということを申し上げる気持ちはございませんで、確かにバナナは需要が強くてもうかる品物ではあろうと思います。それほど他のくだものの中間的な取り扱いに比べて異常な状況を示しておるというふうには必ずしも思えないというふうに考えておる次第でございます。
  254. 宮崎正義

    宮崎正義君 通産省が答える前にちょっと——。通産省はあとで答えていただきます。  この浜相場から実際のところ問題が起きて、相当のペーパー業者とかダミー業者とかいわれる人たちがここで値をつり上げている、ここで一箱幾らもうけていくということが介在をしていることは、よく聞いていることなんです。そういうようなことがバナナの値をつり上げていくというふうなそういうようなお話は触れられなかったから、事実今日行なわれているような面があるので、そういうところからもバナナが値上げをされているという観点から考えていきまして、いま局長が言われた今後に対する考え方等も、もう一歩深く掘り下げて、行政官の立場の上からいくべきじゃないか、私はこう思うわけです。
  255. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) ただいまも申し上げましたように、決してバナナがもうかっていないというふうには私どもも考えていないわけでございます。ただ、やはり八百屋の店頭から消費者の手にわたるということでございまして、そういう流通組織というものは、バナナについてだけ特別の措置を考えるということは非常に困難ではないか。大局的には、やはり需要に相当程度見合って他のくだものとのバランスがとれる程度に輸入量をきめるということになろうかと思います。その、どういうふうに輸入量をきめるかということの基本的な態度につきましては、先ほど来大臣のほうからお答え申し上げましたようなことでございますが、たとえば台湾のほうの供給量、これも外国のことでございまして、しかもこれは永年作物でもございませんので、なかなかつかみにくいのでございますが、現在私どもが情報としていままでに得た知識でございますと、昭和三十五年には、栽培面積が約一万七千ヘクタール、その生産量は六万五千トン、その面積は、順次一万八千ヘクタールあるいは二万ヘクタールというふうに伸びておりまして、四十年では約二万七千ヘクタールになっておるやに聞いております。それに対しまして、生産量は四十三万トンないし四十万トンということでございますので、私どものほうの輸入量を国内産の果実との関係できわめて慎重に考慮いたすのは当然でございますが、やはり供給量のほうも今後ある程度ふやしていけば、それに対応いたしまして漸次流通関係のいろいろのマージンというのもそれなりに圧縮されるということにもなってくるのではないかと考えておる次第でございます。
  256. 黒柳明

    黒柳明君 委員長、関連して。
  257. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  258. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。
  259. 黒柳明

    黒柳明君 もう時間もございませんので、簡単に質問さしていただきますが、私の質問はバナナの割り当ての件について要点だけ質問したいと思います。  その前に、いま、政府が黒い霧を晴らすために、総理はじめ真剣になって立ち上がっております。国民も大いにその結果を期待しております。昨日も、野党四党の国対委員長会におきまして政府にいろいろ申し入れましたが、そのことに関して、私は一点だけ本題に入る前に簡単に話します。農林大臣政府の閣僚の一員でございますから、話をちょっと聞いていただきたいと思います。  私は、本日の委員会質問の資料を集めるために、先日来いろいろ調べておりましたが、きのうの朝、外務省に対して、「三十九年の三月四日、当時の政務次官である毛利松平さんが台湾に渡ったそのときの随行員の名簿をぜひ教えていただきたい」と、こういう要望をしたわけです。それに対して、当初は、外務省の係員のほうも、「すぐお出しします」と、こういうわけだったのですが、その間何回も電話で往復しましたんですが、「あと五分」「あと十分」と、こういうわけで、とうとう午後になりました。「なぜ出てこないのか」「いや、責任者の総務参事官がいないんだ」「いつ帰るのか」「わからない」「何を言っているんだ。朝から資料要求しているのに、どうしたわけだ」と。それがさらに夕方近くになりました。ところが、官房長にもその間いろいろ御足労願ったわけですが、結論としては、どういうことで私の要望にこたえることができないかというと、自民党の国対のほうから外務省のほうに、圧力と言っていいかどうか、語弊があると思ったら私訂正したいと思うんですが、圧力がかかって、「その資料は出しちゃいけない」、こういうふうに話があった。「そんなばかなことがあるか。それじゃ外務省は自民党の国対の手先であるのか。公明党が公党として何で自民党の国対の意見を聞きながら資料要求をしなければならないのか」、そういうことを外務省当局に言いました。「そのことはわかる。わかるけれども、現時点においては、ともかく自民党の国対——これは名前もはっきり言いました。その人——の許可がなければその御要望に応じかねる」「じゃ、文書で出さないまでも、ビザのことについて係員にちょっと話を聞きたい」「話を聞きに行くこともだめだ」と、こういうことがあった。こういうことがあった結果、国対委員長会談において、「これはとんでもない話だ」ということで、資料要求について政府自民党が圧力をかけて、そして、黒い霧を晴らすと口では言いながら、その黒い霧にさらにふたをするような審議以前の問題です。「そういうことに妨害を加えるようなことがあったらとんでもない」ということになって、昨日の野党四派国対委員長の申し入れになったと、こういう事態があったわけです。まあ詳しく言いますと非常に時間が長くなりますので、大まかそういう話です。  こういうことは、佐藤総理——これは一昨日の夕刊ですが、田中幹事長の談話を通じて、総理が、あらためて粛党の実をあげる、こういうことも新聞に出ておりました。また、松野農林大臣も、何回となく、今回の共和製糖問題に対しては、黒い霧を陣頭指揮して晴らすと、こう言っていることと実際の国会で行なわれていることとはうらはらである。しかも、その国対の関係者、資料を出しちゃいけないと言った人はどこにいるのかと言ったら、外務省はぐあいが悪かったから言えなかったんでしょう。「東京にはいない」「いつ帰ってくるんだ」「五時半ごろだ」——実の話は、甲府でゴルフをしていた。そういうようなばかな事実があるか。甲府でゴルフをしている人に一々外務省がお伺いを立てる。あるいは、その人から外務省当局に、「まかりならぬ、まかりならぬ。資料を出しちゃいけない。行って話すこともいけない」、こういう圧力がかかったなんということが、かつて国会の審議にあったのか。先ほども言ったように、文書で出さぬこと自体それはいけないと思うけれども、外務省の役人が、本日の委員会を迎えるにあたって、ビザのことでなぜ話をしちゃいけないのか。それ自体、政府の黒い霧がますますベールのようにおおう事実がある感を深くするのじゃないか。こういう事実がありました。このことは、官房長がよく御存じです。ほんとうに長い間お待ちをいただいて御足労をわずらわしたことを私は非常に深く反省しているんですが、事実であること、また、このことが、くどいようですが、総理はじめ各閣僚が言っていることとまるっきり百八十度うらはらのことが現に国会において起こっている。このことが改善されない限りには、追及どころか、追及前の時点においても、政府が、野党の私たちが国会審議を通して国民に黒い霧を晴らしていくその事実を妨害することにも当たるのじゃないか、こういうことを思って、あえて冒頭にその事実を知っていただきたい。と同時に、長い間官房長に御足労をわずらわしたのですが、そのことについて事情を簡単に述べていただきたい。と同時に、また弁明もしていただきたいと思うのです。よろしくお願いします。
  260. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 外務省の官房長にお願いします。簡明にひとつお願いします。
  261. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) お答え申し上げます。先生から資料の御要求がございまして、何しろ古い二、三年前のことでございまして、それを当たっておりますと同時に、できるだけ早くやろうと思っておりましたが、内部でいろいろ連絡も不円滑にいきましておくれましたことはおわび申し上げます。  それから国対のほうから圧力がかかったということは、それは事がちょっと不正確じゃないかと思います。私どもは資料提出要求は委員会の成規の手続がなければ必ずしも出さなくていいということを国対方面からお聞きしているということをお答え申し上げた点でございまして、昨日、おとといのことでございまして、電話のやりとり、しかも私が全部出たわけでございませんから、その点は何らかの誤解があると思いますが、圧力というものはございません。その点は御了承願いたいと思います。
  262. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  263. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。  本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。
  264. 黒柳明

    黒柳明君 あと簡単に質問しますから、二、三点でいいです。まとめて個条書に言いますから。
  265. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 本件につきましては、先ほど申し上げましたとおり、本日はこの程度にとどめます。
  266. 黒柳明

    黒柳明君 あと五分下さい。
  267. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会