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伊藤顕道君 いろいろ御多忙の
日程があろうかと思います。その点は了承できますけれ
ども、何といっても、国会で大蔵
大臣所管の財源問題が中心になる給与問題ですね、大蔵
大臣がいなければ話にならぬわけです。総務
長官は六人
委員会で、少しでも前向きの姿勢でということ
——先ほど北村委員の御指摘によれば、これはもうまさしく八百長であった、私
どももそう解釈せざるを得ないような、そういう事態であるわけです。したがって、今日のこの時点で、大蔵
大臣が来なきゃ問題でないわけですね。財源じゃないわけです。それを政府は財源だと言っているのだから、その所管の大蔵
大臣を
出席させなきゃ意味がないわけですね。こうやって時間かけて審議しても骨抜きになってしまうわけです。したがって、国会をもし重視するなら、何をさておいても
出席してしかるべきだ。これはあなたに言っているのじゃない。大蔵
大臣自身に申し上げる
ことばで、これは次回にその点を私からも強く追及したいと思っておりますから、きょうはこの程度にとどめておきますが、帰られたら、
内閣委員会で非常に遺憾の意を表しておったということを忠実にお伝えいただきたい。
そこで、もう時間もございませんから問題をしぼって、一、二の問題点としてお伺いいたしますが、六人
委員の閣僚は、国会で、口を開けば人事院の勧告は尊重するのだ、ただし、財源がないから実施の時期をおくらせる、こういうことを繰り返し繰り返し言っておるわけですね。これはもうごまかしだ。たとえば数字をあげて申し上げると、本年の勧告は六・九で、これは五月実施した場合に六・九になるわけです。これが九月実施になれば四・三に低下してしまうわけだ。それでも、その内容そのものは尊重するなんてことがどこから言えるわけですか。六・九が四・三に低下してしまうわけですね。したがって、実施の時期をおくらせるけれ
ども、内容そのものはそのまま忠実に尊重して行なうのだ、こういう表現を使っているわけです。そんなことはないわけです。五月に実施して初めて六・九が六・九として生きる。これが九月実施なら四・三にはるかに質は低下してしまう。人事院勧告はきわめて不満で、不当なものであると私
どもは見ている。その不満なものがさらに輪をかけて不満なものになってしまう。ここに
一つの政府のごまかしがある。これはごまかしじゃないとは言わせない。現に閣僚は必ず勧告は尊重すると言っておるのだが、少しも尊重し七いない。何を尊重しているか。ここに
一つのごまかしがある。それから、財源、財源と、
〔理事柴田栄君退席、
委員長着席〕
先ほどから
北村委員から追及があったわけですけれ
ども、これは決して財源でないことは明確だ。池田内閣の際に、特に三十七年、三十八年、この両年度、特に三十八年度においては、税の自然増等が予想外に多くして、財源には相当の余裕があったわけです。にもかかわらず、例年の例によって、財源がないという理由で十月実施にしておるわけですね。という点もまことに不可解だ。財源じゃない。財源前の問題だ。また、
北村委員が指摘したように、給与を総括しておる人事院総裁も、人事院勧告と仲裁裁定は全く同じ性格のものであるということを指摘しておるわけです。こういう観点に立てば、三公社五現業の場合も財源は相当苦しいわけです。例年相当無理をしておるわけです。たとえば例年、ここ数年多くやっている問題は、これは
大蔵政務次官にも
お答えいただきたいわけですが、建設事業費の繰り延べや、経費の移用、流用をやって四月完全実施をあえてしておるわけですね。これは問題は、財源を
云々する前に、政府が追い詰められて、結局仲裁裁定の裁定を完全実施せざるを得ないところまで追い詰められて、そこで公社現業に対する仲裁裁定を完全実施しようという方針がきまったわけだ。その方針に沿うて、いまのように建設事業費の繰り延べ、経費の移用、流用をはかって、毎年無理をしながら完全実施をしておるわけですけれ
ども、こちらは四月一日実施です。人事院がごまかして、五月一日になったので、それはしばらくおいて、その点も不公平がありますけれ
ども、それは別問題として、なぜ、同じ
公務員公平の原則に沿うたら、こういうことができないのか。この点でも、財源でないということができるわけです。
そこで、やはり一般職の
公務員についても、人事院勧告を仲裁裁定どおり完全実施しようという大方針をまず打ち出すべきだ。財源はおのずから出てくるわけです。たとえば私
どもしろうとが検討しても、いろいろ方策はあるわけです。たとえば、年度当初に給与改善費を組む。これは大体、昇給費に該当する予算、五%程度でいいと思うんです。あまり、一〇%、人事院勧告に近い数字を組んでおくと、これは人事院勧告を制約するなんという愚論が出てくるから、数歩譲って、昇給程度の五%でいいと思います。で、足らざるを予備費で出すとか、方法はいろいろあるわけです。方策はそこから生まれてくるわけです。
こういう給与改善費を年度当初に組むとか、あるいは次年度の当初予算に不足分を計上するところの、いわゆる
あと払い形式をとるとか、また、災害対策費のごとく
——災害対策費も、大体どのくらいしか不確定である。そういうことで予備から出しておるわけです。その災害対策費に比べれば、給与改善費というのは例年、いわゆるもう年中
行事として、ここ何年も行なわれてきておる。もう確率は、災害対策費の比ではない。したがって、これは給与対策費分として予備費にも組めるわけです。こういう、いわゆる完全実施しようとする良心があるならば、この完全実施ということは、さまで困難ではない。政府は毎年毎年ごまかしをやっておる。にもかかわらず、
公務員もたいしたストもやっていない。去年は特に、ああいう事情で中止になった。それに勢いを得て、ことしも財源で、表面ごまかしておるわけです。ごまかしの連続です。にもかかわらず、そういう義務を果たさないで、憲法の精神にも違反すると思われる人事院勧告を無視しておきながら、一方ぬけぬけと、
公務員を処罰するということは、とんでもない。
公務員を処罰する前に、
公務員のストを弾圧する前に、まず政府
自体が厳罰に処せられてしかるべきだと思う。義務を果たさない。したがって、結論は、
閣議をいま一回開き直して、そして完全実施の線を打ち出す。それまでは、
公務員に対する警告などは取り消すべきです。そしてまた、二十一日ストをやってもこれはやむを得ない。政府にその責任があるのであるから、これは処罰などはとんでもない。政府
自体に、完全実施する以前においては、警告を発したり処罰する資格は、もう全然ないと思う。ことしの二十一日のストは、相当、
公務員もこの点を十分に頭に置いて、真剣に取り組んでおりますから、相当強い態度のストが強行されると思うんです。その責めは一にかかって政府にあろうと思うんです。こういう混乱を予想するとき、まず政府は、果たすべきを果たすべきだ。完全実施して、なおそれでも不満で
公務員がストをやる、そういうときに初めて警告を発し、そのとき初めて弾圧
——いい悪いは別として、弾圧、これなら、いい悪いは別として一応筋は通る。したがって、そういう誠意を示さぬ限りにおいては、警告を取り消すべきだ。また、弾圧などはとんでもない。そうやって
公務員を窮地に追い込み、それで一方、政府はやれ政治の効率化とか民衆化とか、そういうことを盛んに叫んでおりますけれ
ども、笛吹け
ども踊らずで、なかなか
公務員はそういう点は納得しない。不平不満を持ったそういう中では、いい政治は生まれてこない。公社、現業も同じ国家
公務員じゃないですか。一般職とどういう違いがある。同じ
公務員という観点において、
公務員公平の原則をまず政府が果たすべきだ。何ら果たしていない。処罰だけを
考える。政治の要諦は、乏しきを憂えずひとしからざるを憂うる。これが政治の要諦であろうと思う。政治家たる者、その点をかみしめて、もっと為政に当たるべきである。これは当然のことなんです。問題はこういう点に要約できると思う。したがって結論は、そういう点をほんとうに理解するならば、そういう点が
考えられるならば、
閣議も、一度さめたことをやり直した前例は幾らでもあるわけです。決して前例のないことではない。また、非を改めることに勇敢でなければならぬ。一たん
閣議できめたから体面が悪いとか、そういう問題じゃないと思う。政治の姿勢を正す意味からも、また、
先ほど来の
防衛庁長官の問題とか運輸
大臣の問題、いろいろな問題が山積している。こういうときに、勇断をもって、まずこの時点で
閣議をやり直して、
公務員に対する完全実施を敢行してしかるべきだと思うわけです。万が一そういうことができないならば、警告を取り消してもらいたい。そうして二十一日のストは弾圧する資格のないということを自覚して、これは手をこまねく以外にはないと思う。政府にその資格はないわけです。こういう点について総務
長官のお
考え、そうして大蔵省については、
大臣がおりませんので、
大臣にかわって
政務次官から
お答えいただきたい。