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1966-10-17 第52回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十七日(月曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員異動  十月十七日     辞任         補欠選任      鬼木 勝利君     黒柳  明君      中沢伊登子君     片山 武夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 鶴園 哲夫君                 山本伊三郎君                 多田 省吾君                 片山 武夫君    国務大臣        国 務 大 臣  森   清君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        防衛政務次官   長谷川 仁君        防衛庁長官官房        長        海原  治君        大蔵政務次官   小沢 辰男君        大蔵省主計局給        与課長      津吉 伊定君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (防衛庁に関する件) ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (公務員の給与に関する件)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、鬼木勝利君が辞任せられ、黒柳明君が選任されました。     —————————————
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。質疑の通告がございます。  なお関係当局からの御出席は、長谷川防衛政務次官海原防衛庁官房長、國井同装備局長、以上の方々でございますが、間もなく大村同経理局長、宍戸同人事局長も御出席の予定でございます。それでは御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。伊藤君。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、以下、上林防衛庁長官のお国入りに際しての一連行動について若干お伺いしたいと思います。もちろん御本人はいまアメリカに行っておるようでありますので、本日で終わるわけでありません。本格的には長官帰国の上、即刻追及したいと思いますが、そこできょうは、政務次官並びに官房長に二、三お伺いしておきたいと思います。  まず順序としてお伺いしたいのは、上林長官はいまアメリカに行っておりますが、このアメリカに行っておること自体にもいろいろ問題があるようでありますけれども、これは別問題として、アメリカからいつ日本に帰られるか、まずそのことからお伺いしたい。
  5. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 長官は二十五日の十七時二十五分に帰国いたします。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、お伺いしたいのは、上林長官就任以来初めてのお国入りに際して、以下後ほどお伺いいたしますが、天野統幕議長以下防衛庁最高幹部を含む約二十名ほどの部下を引き具して、選挙区である鹿児島市内軍楽隊つきで大パレードを展開した、こういう問題があるのですが、これはきわめて遺憾なことであって、公私混同もはなはだしいと言わなければならない。まず、このことについて政務次官としては一体どういうふうにお考えですか、率直にお答えいただきたい。
  7. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) ただいまの御質問につきまして、御案内のとおりに、さきの運輸委員会におきまして吉田委員にもお答え申し上げたんでございますけれども、ただいま伊藤委員お話の中にも軍楽隊を引き連れて大パレード云々というおことばがございました。私どもといたしましては、この長官のお国入りの問題が起きて以来、世論を代表いたしますところのマスコミがどういうふうな扱いをしているかということを鹿児島地元新聞あるいはいろいろな問題につきまして検討したわけでございます。私どもといたしましては、まずこまかい御質問お答えいたします前に、マスコミがどう扱ってきたかという点につきまして御参考に申し上げたいと思います。まず地元新聞におきましては比較的にじみという表現が当たるかどうか存じませんが、客観的に一番大きく扱いましたのが四段抜きあるいは三段、二段、一段というようなものでございまして、本数にいたしますと約八本、また全国紙はほとんどこれを取り上げておりません。しかし、地元紙の中にも多少これを批判的に、あるいは風刺的に、あるいはユーモアな扱いをしたことは、これは事実でございます。しかし、全般的にはこのお国入りにつきまして、さほどに各新聞が、いわゆるはでであったというふうな報道は行なわれておらなかったのでございます。たまたま一部の週刊誌がわざわざ軍楽隊を引き連れて云々とか、あるいは「上林山元帥のお国入り凱旋行進」という見出しのもとに扱われまして以来、これがまた非常に大きくクローズ・アップされてきた。したがって、私といたしましては、たとえばただいま御質問のございました点の統幕議長以下各三幕長も含む二十数名も引き連れて云々というお話がございましたけれども、実は鹿児島に参ります前に、長官就任以来まず最初に参りましたのが八月六日の練馬でございます。次いで九日の横須賀の基地、そして十三日の入間基地、この三基地視察には、従来は統幕議長はついて参りませんでしたけれども、今回は特に統幕議長も同行し、かつまた、三幕長も随行しておりますので、鹿児島の両基地視察にも統幕議長以下三幕長も随行したという経過になっているわけでございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その御答弁まことに的はずれの御答弁であって、私はそういうことを伺っておるわけではないわけであります。いま申し上げたお国入りの際の一連行動について、特に二日の日の大パレードについて、防衛庁政務次官としてはどのようにお考えになるかということをお伺いしたわけであって、報道——当時の世論がどうであったか、新聞にはどのようにどの程度に掲載されたか、そういうことを伺っておるわけではないわけです。あなたは防衛庁政務次官であるわけですから、政務次官としてはこの事実をどういうふうにお考えになっているか、このことを端的にお答えいただきたい。
  9. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 政務次官としてこのお国入りをどう思うかという御質問につきましては、一部においてははでであったと、一部ではそうではなかったという声もございます。じゃ私個人としてはどうかと申しますならば、私は補佐役といたしまして、このお国入りの中に、一部には御批判をいただくような点がございましたかもしれませんが、全体的にお国入りのこお日程におきまして、誤っていたというふうに私は考えておらないわけであります。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 以下順を追うてお伺いして全貌はわかるわけですが、じみであったか、はでであったか、そういう部類のものではないわけです、この問題は。いま申し上げたように、一つの例をとっても、たとえば軍楽隊パレード随行さしたということを一つ取り上げてみても、あのパレードは一体何を意味するかという問題を掘り下げてみればわかると思うのです。これは防衛庁の公式の行事において軍楽隊を使ったとか、これは当然常識で考えられる、問題外である。そうでない。あのパレード自体は、選挙区での大パレードであることを考えたとき、これはまさしくどなたがどう考えようと、これはもうりっぱな選挙運動だ。その選挙運動にこういう最高幹部を含む大ぜいの部下を引き具したとか、軍楽隊をわざわざ西部方面隊熊本から呼び寄せて行進を盛んにさしたとか、こういうことを考えた場合、これははでとかじみとかそういう部類のものじゃないわけです。あなた個人考えでなく、政務次官としてはどうこのことを考えられるか、ひとつこの質問に的をはずさんでお答えいただきたい。
  11. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 政務次官としてこのパレード問題をどう思うか、いま先生から御指摘がございましたように、自衛隊の公的な行事パレードがあるということは、これは当然であることを御指摘なさいましたのですけれども、このパレードには、公式のパレードとそれから地方のお祭り行事パレードが出るという二種類ございます。従来パレードを派遣する基準及び手続をちょっと御説明いたしたいと思うのでございます。自衛隊音楽隊を部外に派遣する場合には、広報活動といたしまして公共性のある団体の主催する行事で、国民との親睦をはかるために特に効果があると認められる場合あるいはそれに関連いたしまして手続といたしましては、各部隊の長がそれぞれ広報担当官としていわゆる要請に応ずることになっておるわけであります。今回のパレード長官が命令したパレードではございません。これは地元父兄会要請によりまして、広報活動の一環として行なわれたものでございます。
  12. 北村暢

    北村暢君 父兄会か。
  13. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 訂正いたします。地元地連を通じまして、県市の自衛隊協力会連合会要請によって出たものでございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題が起きたのは九月二日で、それで新聞週刊誌などで次第に批判が強まってきた、何とかひとつつじつまを合わせようと、その後防衛庁としては寧日なかったと思う。したがって、いまのような結論が出てくるのであって、非公式のパレード、そういうこともそこから生まれてきたと思うんです。これは、何といっても、いま、いつ解散になるか、政局はなはだ風雲急であるとき、まず公式の行事において防衛庁長官が行かれたのなら話は別になってきますけれども歴代長官もお国入りしているわけです。しかし、それはまず、公務を済ましたあとで、その余暇で、しかも、軍楽隊を率いてパレードをやったというようなことは前例がないと思う。そういう軍楽隊云々の問題だけではなくして、選挙区だけを回っているわけですね。九月二日の一日のことをさして私は言っているわけじゃないのです。たとえばそれを一つ取り上げてみても、わざわざ統幕議長などの二十名にも及ぶ幹部を引き具して、軍楽隊をわざわざ熊本部隊から呼び寄せて、数十台を連ねて……、これは公式とか非公式のパレードだということではなくして、まさしく選挙運動につながる——というよりは選挙運動そのものだ、そういう意識に立たないとこれは考えられないわけです。しかも、たとえば軍楽隊一つを取り上げても、相当費用がかかるわけですね、交通費もかかるし。これはそういう国民血税を使って大パレードをやったということにも通ずるわけです。こういう点から言うと、国民血税を使って選挙運動をやったということになると、ただいま問題になった前荒舩運輸大臣政治停車という問題よりははるかに悪質であろうと思う。この点を政務次官としてはどうお考えですか。
  15. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) お国入りのこの日程、あるいは私の答弁が苦しい釈明だとおとりになられる節もなきにしもあらずと思いまするけれども、実は選挙とからんでいるんだと、お国入り選挙運動だというふうな御質問にうかがわれるのでございまするけれども鹿屋国分基地は、実は選挙区じゃないのでございます。したがって、第一日のこの行事というものは公式である。二日目の薩摩半島視察ということは、これはいわゆるお国入りでございました。この点は、私、公私混同になったというふうには考えられないのでございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それは先ほども申し上げたように、こういう質問があったらこういう答えを、こういう質問があったらこういう答えをと、それはきわめてそういうにおいがふんぷんとしているわけです。人為的にあとからつくった答弁です、これは何と言おうと。それは幾つかの問題を具体的にただすことによって、これはやっぱりりっぱな選挙運動であったということがあなたにもわかると思う。もちろんあなた自体も、腹の中ではこれは選挙運動に違いないと思っているのだけれども、そうも政務次官としてはお答えになれない、それはわかる、その気持ちはわかるけれども、是々非々でいくべきであろうと思う。是は是、非は非、そういう御答弁をしないとあなたも公私混同になりますよ。そうでしょう。腹の中選挙運動だと思っておっても、口でこれは選挙運動じゃ毛頭ないということを言うと、これも公私混同になるので、ひとつ公私混同にならないように御答弁いただきたい。  そこで、こういうことをひとつお願いしたいと思いますが、以下お答えいただくことと、資料として提出願いたいことの二つに分けて。まずお答えいただきたいことは、随行者のメンバーは何名であったか、一人漏らさずひとつ御答弁いただきたい。それから各随行者官職氏名、それと、長官はじめ随行者全部の連日の日程について、これは大要でけっこうです。これもお答えいただきたい。  さらに、資料としては、日程の詳細について、それから日程に伴う旅費、それから随行者全員官職氏名の詳細について。ここで随行者というのは随行したあらゆる人を意味しておりますから、一人でも漏れないようにひとつ全部資料として御提出いただきたいことと、それから、上林長官就任以来今日までの行動の全日程表を至急御提出いただきたい。そこで、大要についてはいまここでお答えいただきたい。
  17. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 官房長が参っておりますので官房長から詳細に御答弁いたさせます。
  18. 海原治

    説明員海原治君) ただいま伊藤先生から御質問のございました長官に対する随行者でございますが、これは先ほど政務次官から御説明いたしましたように、大臣鹿屋部隊及び国分部隊視察随行者でございまして、総計十八名でございます。統幕議長、陸海空の幕僚長、私のほかそれぞれの副官的な方が秘書官とともに参りまして十八名という人員になっております。で、このうち海幕長陸幕長は土曜日すなわち九月三日の部隊視察が終わりましてから私どもと離れまして、最後まで長官と行をともにいたしましたのは統幕議長空幕長と私でございます。以上が概要でございます。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それといまお願いした資料の提出はいいですか。
  20. 海原治

    説明員海原治君) 後刻資料として提出いたしますが、長官就任以来の全日程ということになりますと、いままでにそういう例はございませんので、ひとつ御相談の上御指示に従いまして提出することに……。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それはもちろん日程ですからね、公務行動というふうに解していただいてけっこうです。それならここでお約束できると思いますが、いいですね。  次にお伺いしたいのは、九月二日の当日のパレード実況は、一体どういうものであったか。先日、テレビでも大要報道されておりましたけれども、特に官房長随行されておるので詳細に把握されておると思いますが、一体どういうものであったか、この際明らかにしておきたいと思います。
  22. 海原治

    説明員海原治君) パレード性質でございますが、実施いたしましたのは、先ほど政務次官お答えの中にございました西部方面隊音楽隊でございます。それで、パレードが出ておりますことをまず御説明申し上げたいと思いますが、先ほど政務次官から申しましたように、いわゆる公の色彩を持ちましたようなお祭りといった行事にも従来出ております。今回の場合も、あるいはそういう性質のものかという解釈も成り立つわけでございますが、例を申しますと、京都市内京都保護司連盟からの要請によりまして愛のパレードというものをやっております。あるいは熊本市民のお祭りであるとか福岡市民祭、愛媛県の北条市では鹿島祭りと、こういうように地元の市町村その他公の性質を持っておりますものの要請がございました場合には、先ほど政務次官からも御説明いたしましたように、広報的な意味を兼ねまして私ども音楽隊はそれぞれ出てまいっております。音楽隊と一口に申しますと、往々東京にあります中央音楽隊のことをお考えでございますが、各方面にもそれぞれ方面隊音楽隊がございます。師団には師団音楽隊がございます。最近は各部隊、これは陸上自衛隊が主でございますが、部隊におきましても音楽隊がございます。こういうものはそれぞれの機会におきまして、先ほど申しましたような際には出てまいりまして、いろいろと地元行事に参加をいたしておるというのが実態でございます。今回の鹿児島の、いわゆるパレードにつきましては地元から要請がございまして、自衛隊父兄会鹿児島連合会、あるいは自衛隊協力会鹿児島連合会、こういうところから先ほど政務次官が御説明しましたように、地連を通じて要請があったものでございます。これが、九月二日の晩に鹿児島県、鹿児島市、あるいは鹿児島商工会議所、この三団体の主催での大臣就任祝賀パーティーに行かれる道筋で、鹿児島市内を一部大臣の車の前を市中行進をしたというのが実態でございます。私自身はほかに用もございましたので、この随行の車からははずれております。以上が概要でございます。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは数歩譲って、いま官房長の言われたように、地元要請であったとしても、こういう行動を起こされたのは長官なんです。したがって、長官が九月二日、まず鹿児島空港に着いてかくかくの日程パレードをやりたいと、ひとつよろしく頼むと言えば、地元からあらためてまた要請もあろうし、こういう点は発議したのは当然長官でなければ、そういうことはわからぬわけです、日程はですね。したがって、事前に連絡要請をしておけば地元からはどういう要請でもあるわけです。そういうことは理由にならないと思います。私はここでお伺いしておるのは、パレードそのもの実況はどうであったかということをお伺いしておるわけです。この実況は、いかに大げさであるかということをひとつ正確にしかも明確にしておく必要がある。そういう点からお伺いしておる。ここで時間の関係もありますから、私の知り得た範囲でこちらから申し上げてみますが、間違いがあったら御訂正いただきたい。  まず、先頭には広報車が出て、ジャンジャン、マイクを通じて上林榮吉先生がお帰りになりましたというようなことを連呼して歩いた。選挙のときに使うように、祝国務大臣防衛庁長官上林榮吉先生という幕を張りめぐらしたのをはじめ、そういう自衛隊パレードがいままであったかどうか、これは、このこと一つ取り上げても、これは上林長官そのものの名を風雲急なときに、しかも選挙区で宣伝する。これはりっぱな選挙運動になるわけです。次に白バイが通る。次はパトカー、それから自衛隊警務隊ジープがそのあとへ続いて、それから西部方面隊軍楽隊、これも軍楽隊だから相当の員数になろうかと思う、その次にオープンカーで長官一人、これはテレビにもはっきり出ているわけです。このあと統幕議長以下の防衛庁最高幹部を含む約二十名。それから、その次に上林後援会随行者がバスで、というふうに車が三十数台、こういう一連実況をまのあたりに浮かべてみたとき、これが単なるるパレードで済むかどうか、これはあくまでも選挙運動と断ぜざるを得ないわけです。自衛隊の宣伝であるなんと、こういうばかなことをする必要はないと思う。こういう点については、いま私が指摘した点については間違いがあるといかぬが、官房長随行されておるので間違いがあるかどうか、そうして、このことをどう一体考えておるのか。
  24. 海原治

    説明員海原治君) 当時の模様は、ただいま先生のおっしゃいましたようなものでございます。ただ先頭広報車ということでございますが、これは地元の方が用意されたものでございまして、私どものほうとしましては、先ほどお話のございました警務隊ジープ音楽隊以下でございます。音楽隊西部音楽隊が米山一尉以下三十二名のほか第八師団音楽隊国分音楽隊の合計八十二名が参加しております。したがいまして、八十二名の市中行進でございますので、それほど大パレードというおことばではございますが、そういう感じになるかどうか、これはごらんになった方のお感じと思いますが、車の編成、その他はいま先生のおっしゃいましたようなものでございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここで問題として指摘せざるを得ないのは、歴代長官はやはりいままでおくに入りしているわけですけれども、まず公式な行事に、ちゃんとして、そうして余暇で郷里に帰る。これは人として問題ないわけですが、ただここで長官先ほど日程についての御説明が詳しくなかったわけです。それで九月二日に鹿児島空港に午後四時ごろ着かれて、空港自体でも、いまだかつて空港創設以来の多くの歓迎陣を集めておるということから始まって、いまのパレードになるわけです。そうして、九月三日の午前に鹿屋基地国分駐とん部隊、これは陸上です。海上、陸上基地視察しておる。これは九月三日の午前だけです。そうでしょう。そうして、午後はもう祝賀式とかそういうものに参加しておる。そうして、四日の日は指宿、これは長官出身地で、そこで講演をやったり、祝宴をやったり、またそこでパレードもやる。そこで、五日は選挙区である鹿児島市内、役所回り、あいさつ回りをしている。こういうことが、こういう国事多難なときに役所回り、長官がわざわざ役所回り、しかも、選挙区のあいさつ回りをしておる。選挙を近く控えてのあいさつ回りは、これは選挙運動と断じていいわけです。だれがどうおっしゃろうと、これはりっぱな選挙運動です。そうして、九月六日には閣議があるために一たん東京に帰られると、六日の閣議東京へ帰られ、七日に再び熊本へ飛んでおる。そうして、西部方面隊のヘリコプターで、また鹿児島県の串木野市へ行っておる。この串木野市の問題についても後ほど問題があることを指摘申し上げるわけです。  こういう一連日程、これを当たってみると、大部分選挙区を回ってあいさつあるいはパレードあるいは講演、こういうことをやっておるのですね。これは四日間、第一次は四日間ですね。二日から五日までですから四日間。六日は一たん東京へ帰られたわけですけれども。この日程のうちでも公式行事というのは三日目の午前海軍基地陸上駐とん地を視察しただけです。これはほんに基地視察に名をかりた選挙運動でこの四日間は終始しておったというようなことは、結果からも出ておるのじゃないですか。これでもなおかつ、これは自衛隊行事だということがどういう点から言えるのか、まさしくこれは選挙運動に限られたということ以外にない。鹿児島にそういう鹿屋基地国分の駐とん地があったということで、それを視察するのは当然なわけですが、それだけじゃないですか、公式な行事というのは。この第一次の四日間だけを検討してみますと、半日だけです。四日間、半日だけが公式行事あとは全部選挙運動だ。これが問題にならぬでどういうものが問題になるのか。これは、長官をかばう気持ちはわかりますよ、部下として長官かばうその気持ちはわかりますけれども公私を混同したらいかぬ。是は是、非は非と、混合……。  われわれは防衛力については賛成しておりませんけれども、そういう論議は別として、やはり防衛庁当局としては、やはり長官が非行があったら、どうも行き過ぎがあると思ったら、特に官房長随行されておるのだから、実際になぜ苦言を呈しなかったのか。問題はそこにもあろうかと思うのですね。それは政務次官はこちらにおられてよく様子がわからなかったとかいう言いわけもできましょうけれども官房長はやはり事務系統責任者として随行されておるわけですね。これはちょっと行き過ぎじゃないかというふうにお考えにならなかったですか。もしお考えになったら、なぜ勇気を出して苦言を呈しなかったか。そうしたらこういう四日間の行動は生まれてこなかったと思うのですね。こういう点をどういうふうに考えておられるか。
  26. 海原治

    説明員海原治君) 私ただいま先生おっしゃいましたように、大臣の御出張に随行してまいりましたのみならず、今回のこの部隊視察鹿児島県への出張につきましては事務的にいろいろと連絡役をいたしました。そういうことでお答えするわけでございますが、先ほどことばの中に、四日間のうちの半日だということがございましたが、この四日間も、実はお着きになりましたのが二日 金晦日の五時十五分——五時過ぎでございます。実際にはそれから大臣鹿児島におきます行動が始まっております。部隊の御視察は土曜日の午前中でございますが、あと地元行事は土曜日の午後と日曜日に行なわれまして、お帰りになりましたのは月曜日でございます。先ほどことばがございました月曜日に各官長へあいさつに行かれましたときには、制服の幕僚は一人もついておりません。私がお供しましたのも県と市役所と県警本部と私ども関係のあるところだけを私どもがお供してまいりました。それ以後は私どもはお供しておりません。したがいまして、四日のうちの半日しか自衛隊のためのものでなかったというような御批判は実は非常に私どもにとりましてはつらいわけでございまして、部隊視察をいただきましたのが土曜日の午前中であります。あとは土曜日の午後と日曜日だけという点をひとつ御了解いただきたいと思います。いままでもいろいろいわゆる大臣のお国入りということがございました。前回の大臣につきましても私ども熊本へお供いたしましたが、過去のいろいろの例を知っております私といたしましては、ただいま先生のおっしゃいましたような行き過ぎであるからこれをとどめるというような感じは実は持たなかったわけでございます。大臣の御出身によりましてその土地その土地のいろいろなしきたりと申しますか、郷土の風習もございます。たまたま自衛隊部隊視察というものといわゆる大臣就任後の初のお国入りというもの、この二つの行事が一諸に行なわれましたためにいろいろと誤解を招いてはいけないということで、先ほど申しましたように、特に随行その他のことにつきましても気を配ったわけであります。先ほども申しましたように、陸幕長海幕長、この二人は土曜日の午前の部隊視察が終わりまして直後用がございますので、私ども一行から離れております。残りましたのは統幕議長空幕長と私ということであります。どうも一般の報道を見ておりますと、終始統幕議長以下いわゆる最高幹部大臣のお供をしたようになっておりますが、これは事実と違っております。この辺のところをひとつ御了承願いたいと思います。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どういう言いわけをなさろうともこの四日間私の指摘したそういう行動であって、公式行事鹿屋国分とを三日の午前に視察したそういうことは動かないわけです。そういう前提に立って、たとえ土曜であろうと日曜であろうと、とにかく私の指摘した行動があったことは間違いないわけです。詳細についてはいま資料要請をしたわけですから、そこで細大漏らさず資料を出していただくことになっておりますから、それによってまたお尋ねをすることにして、日程のことについては打ち切っておきますが、ただ九月七日再び熊本へ行かれたわけですが、ここに問題があることを指摘申し上げなければならないわけです。長官先ほど私が申し上げたように、九月の六日に閣議出席のために一応帰られて、翌七日再び熊本へ飛んでおるわけです。そして朝、西部方面隊のヘリコプターで鹿児島県の串木野市にある串木野高等学校のしかも校庭へ着陸しておるわけですね。このことに対して鹿児島県議会でも非常に問題を重大視して、これは授業の妨害、ときあたかも授業中です。当然授業中は校庭にヘリコプターが爆音立てておりれば授業妨害となる、これは常識で判断できるわけです。しかも、きわめて事故発生のおそれがある。こういうことから鹿児島県議会でも問題を重大視して相当問題が提起されておるわけです。私がここで申し上げるまでもなく、航空法を見ますと七十九条に、航空機は運輸大臣の許可を得なければ飛行場以外の場所にかってにおりてはいけない、こういう意味のことばがあるわけです。これは一般の民間の航空機の場合でここでは問題ないわけです。ただ自衛隊機の場合はここに法規がございますが、自衛隊法の百七条、同施行令の百二十八条の特例によって防衛庁長官が危険でないと認めれば例外規定、特例規定があるわけですね。しかし、この特例はあくまでも防衛上の必要からであること、それから先般の災害、台風などの災害時であること、こういうことが前提になるわけですね。こういうことがあくまでも前提で、防衛庁長官が危険でないと認めれば飛行場以外の場所でもおりてよろしい、こういう特例が設けられておる。こういうことを考えた場合に、防衛庁長官ともあろうものが、ときあたかもホームルームの時間中です、その時刻に爆音立てて校庭におりたり、しかもそれだけ生徒が、密集している中に航空機を、たとえ、ヘリコプターといえども、過去の例から言うと、相当な危険があると見なければならないこういうことをあえておかしてまで校庭におりている。これはもう答弁はいろいろうまく検討されてきたとは思いますけれども、法規は曲げられぬわけですね、この点はどういうふうに考えておられるか。
  28. 海原治

    説明員海原治君) ただいま先生が御指摘になりました航空法の特例の運用でございますが、これはいまおっしゃいました災害派遣とか行動とかいうための目的だけのものではございません。本来この規定の解釈でございますが、これは航空機の安全運航のための規定でございますので、いまお読みになりましたような特例ができております。これは防衛庁長官が安全上差しつかえないという判断をしました場合には自衛隊のヘリコプターはそれぞれの飛行場以外のところにもおりられるわけでございます。どういう場合におりられるかということにつきましては、これは過去におきますいろいろな例がございます。学校の校庭におりたということも別に今回初めてではございません。  なお、おりますにつきましては、あらかじめ学校のほうと地元のほうが打ち合わせをいたしまして、予定の時間にこのようなヘリコプターが来る、差しつかえないかということにつきましては関係のところの御了解を得ました上で、正式に定められました飛行場外の着陸の申請、これに対する許可ということが先行いたしております。まあ鹿児島県議会におきましてこのことが問題になったことも私ども承知いたしておりますが、一応手続的に申しまして決して違法なことをしたわけではないということを御了承願いたいと思います。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは自衛隊法の精神からいって、官房長のほうはどういうふうに考えられるかひとつ以下お答えいただきたいわけですが、これはやはり民間機と違って防衛庁関係のいわゆる軍用機、そういうものの特例があるのはわれわれも理解できぬでもないけれども、それはまあいいとして、これはあくまでも特例であるから防衛上とか災害時であるということは法の精神からいって当然かくあってしかるべきだと思うのですね。しかもこれは災害対策のために、先般の台風のためにやむなく飛行場以外のところにおりたというのであれば何ら問題ないわけです。ところが、これは閣議を終えて、翌七日に熊本へ飛び、熊本のヘリコプターを利用して鹿児島に飛んだということは、自後どういう行動をとったかということに関連がある。それは選挙運動に行かれた。地元選挙運動に以下終始されておる。そういうことを考えたときにここに問題が当然出てくるわけです。しかも地元並びに学校とは連絡をとったとおっしゃいますけれども長官が何日何時ごろヘリコプターを校庭におろしたいから了解してもらいたいと言えば、それは校長の立場で、できませんとは言わぬでしょう。危険であろうとなかろうと、これはもう長いものには巻かれろで、決して反対はしない。防衛庁長官ともあろうものが頼めば、いやとは言えない。だからそういうことでなくして、防衛庁長官のほうで、そういう人間の密集しておる学校でしょう、そういうところでは、えて問題があるわけですね。しかもそれを選挙運動に使っておる。災害地じゃない。救援のために校庭におりたというのとはわけが違う。法の精神から言ってどうですか。防衛上とかあるいは災害救援とか、こういうこと以外に、随意にそういう私用のために人間のたくさん集まっている校庭にそういうものをおろしてもいいのかどうか。法の精神から言って。いままでそういう前例があるとかないとか言っていますけれども、この自衛隊法の百七条、同施行例の百二十八の精神はそういうこととじゃないと思う。
  30. 海原治

    説明員海原治君) 先生のお尋ねが、特に選挙運動との関連で出ておりますので、非常に私としましてはお答えしにくいわけでございますが、私どもといたしましては、事務当局の立場では、いわゆる選挙の事前運動ということは全然考えておりませんし、そういう考慮は私どもの権限外のことかと存じますが、私の申し上げたいのは、法の精神はどうかということになりますと、これまた私がお答えする立場ではないと存じますが、過去におきまして防衛庁長官行動されます場合の実例は多々あるわけでございます。そういうような実例を私ども承知いたしますので、今回の非常に御多忙な中を郷里に帰られました際のいわゆる行動のための手段といたしまして——自衛隊が御存じのようなヘリコプターを持っておりまして、たとえば自動車で移動する場合と、まあ方法としてはそれほど変わらないという感覚も、これは出てくるわけでございます。その点につきまして、ただいまのような御質問あるいは、御批判をいただきますと、今後私どもとしても考えなければならぬことだと存じますが、少なくとも過去において何回かの長官方が大臣というお資格で行動されます場合のヘリコプターの使用というものにつきましては実は問題が出ておりませんので、私どもの判断が一応客観的にも受けとられると、こういうふうな考えでおったことは事実でございます。法の精神から見てどうかということになりますと、これはさっき申しましたように、私がとやかく申し上げる資格がこざいませんことは、これは先生の御存じのとおりであります。私は過去におきます実例から申し上げまして、今回のことがそういう御批判を受けるようなことではないと、こういう感じでおります。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはたまたま事故がなかったから、過去においてもわれわれから見るとまさしく違法だ、これは法の精神はあくまでも防衛上とかあるいは災害救援のためと、そういう前提が明確になっておるわけですね。いままでも歴代長官はそういうことをやっておる、だからいいということは言えないと思う。いままでが間違って、おった。たまたま事故が起きなかったから問題にならなかったことだけであって。そこで私がお伺いするわけですが、過去はともかく、過去はみんな間違っておったと思うのです。たまたま事故がなかったから、それで問題が問題にならなかったわけですね。当然問題になる問題が問題になっていない、事故がなかったから。もしちょっとでも事故があればこれは当然問題になるわけです。今回もたまたま問題が起きていない。事故がなかったからそのまま済まされるということは、そういう考え方はよくないと思う。やはり十分検討して、明確になっておるのだから。この百七条と施行令百二十八条にそういう特例を設けた法の立法精神はそういうことじゃないと思うのです。やはり防衛上あるいは災害救援のため、そういう前提が明確になっておるわけです。たまたま長官が自分が乗っていって自分がおりる。長官は、わしが安全だと思ったと言えば、それで済んでしまうのですね。しかもそれが救援のための行動ではないわけですね。事後私のほうで問題にするのは、それから選挙運動が展開されている、そういうところに問題がある。たまたまここで子供が一人でも傷ついたということになると、これは全国的な大きな問題になる。たまたま事故がなかったから……。それは子供が授業中で教室にみんなおった。それで爆音だけでも相当授業妨害になるということはいなめない。大臣だから授業妨害してもいいということは言えないわけです。こういう私が指摘しているようなことが当然考えられるから、鹿児島県議会でも問題を重大視して議会でも問題になっているわけです。いま官房長官の言われるように、たんたんとして事が済むならば、地元鹿児島県議会では問題にならぬわけです。それが相当鹿児島県議会では問題になっている、現在。そうしてこれは授業妨害である、しかも危険である、こういうことも指摘しているわけです。  そこで法を調べてみますと、そういう特例があったので一応了解できたわけですけれども、ただこれは長官が災害のために出かけた場合と違うわけです。防衛上何ら関係がない、そういうことを見ると。官房長の言うように、過去においてそういうことがあったから今度もいいじゃないかと、そういうような論理になるのかどうか、たとえ過去にそういうことが積み重ねられてきておっても、やはり法の精神に反するようなことは、これは断固としてこの機会に改めるべきだと思う。過去においてあったから今回もいいじゃないか、そういう官房長長官としての答えではわれわれ理解できない。この点いま一度お答えいただきたい。やはりあなたは長官ではないのだから、これ以上追及することは過酷であろうと思うので、ただ考え方について、いま私の言ったことが間違いであるかどうか、もし正しいとすれば今後十分その点を検討してしかるべきだと思う。そういう点についてのお答えをいただきたいと思う。
  32. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) ただいまの伊藤委員の御見解はまさしくそのとおりでございまして、過去においていま官房長説明がございましたように、過去において学校の校庭に着陸した前例があるから云々ということは弁解にならない。それ自体が誤っておった。今後は十分これを注意せよという御注意もございまして、私どもといたしましては、これは慎重に今後検討いたしたい、こう考えております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間があまりございませんので続いてあと二、三質問いたします。次にお伺いしたいのは、先ほどのことを要約すると、防衛庁長官最高幹部を含む約二十名の部下を引き連れて日本の最南端の鹿児島へ飛んでいるから、それは結論としては、地元要請があろうとなかろうと、そういうことは別として、まさしく現実に自衛隊を利用されたことは事実です。そうして選挙運動であるパレードを展開したこと、そうして長官は引き続いてアメリカに行っておられる。このことについてはまた後日問題にする予定にしておりますが、こういうことをあわせ考えると、防衛庁の業務というのはことほどさように閑散であるのか、もしさように閑散であるならば機構を縮小してもいいし、人員を削減してもいい。そうして防衛力漸減の方向に努力すべきであろう。そうすると、毎国会出されている、自衛官であるとか、予備自衛官の増員を含む防衛二法が出されているが、こういうことの改正の提出は今後中止してしかるべきだと、こういう問題にも通ずると思う。防衛庁長官は忙しかったら就任早々そうあちこち飛び回っておられる余裕はないわけですね。しかも国内で一応選挙運動が済んだら今度はアメリカへ飛んじゃった。私が思うのに、長官就任早々でしょう。それはいかに防衛行政について精通しているかその程度については存じませんけれども防衛上の——就任早々では日本の防衛についての認識は、そう学習を積んでいるとは思われない。だからまず日本の防衛について、日本の自衛隊について十分検討されて、そうして、さて世論上十分学習されてそうして余裕があったら現地視察もけっこうでしょう。そういう大事な時点に選挙運動に明け暮れして、選挙運動が一通り済んだと思ったら今度はアメリカに飛んじゃった、こういうことになると、ここに大きな問題が次々出てくると思うのです。そういう点についてはどういうふうにお考えですか。そんなに防衛庁はひまなんですか、幹部は。
  34. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) まことにお手きびしい御質問でございまして、防衛庁は閑散であるか、こういうお話でありますが、その前に御説明申し上げたいことは、私が長官と話し合ったときの一つことばといたしまして、ぼくは大臣としては最後のお国入りをするのだ、それまでは非常に忙しかったことは事実でございます。しかし、最後におれは大臣としてお国入りする、こういうおことばがございました。したがって、私といたしまして就任三ヵ月でございまして、防衛庁全体の問題を完全に把握をしておりませんけれども、少なくとも政務次官として三カ月間あの次官室におりまして、長官は非常にひまであったかいということになりますると、ほとんど朝から晩まで第三次防の問題、あるいはいろいろな問題につきまして、私的な日程というものはほとんどないくらいに多忙をきわめております。また、防衛庁全体の空気にいたしましても、いろいろ御批判もございましょう。制服の論議もございましたけれども、しかし、今日、私が一例として申し上げたいことは、各局長クラス、参事官に至るまで八時半にはきちっと全員出勤いたしまして、そうして長官ことばで言いますと、誇りある自衛隊員としての範をとれという状態でございまして、現在、防衛庁が閑散なのかという御質問に対しましては、私は決してそうではないというふうにお答えを申し上げたいと思います。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私がお伺いしたことについては、御本人がいないからこれ以上追及しても意味ないと思いますから、次回に譲りたいと思います。  次に、いま一つの別途の資料の提出をお願いしたいと思います。  それで、長官先ほど来繰り返し申し上げているように、九月二日に鹿児島に飛んで、六日の閣議出席、そうして七日、再び熊本から鹿児島に飛んでおられる。その間に九月二日の大パレードをはじめ、各種の行事が展開されているわけです。その支出の総額は一体どのくらいか、項目別にはどういうことか。また、地元の負担もあろうし、防衛庁として負担したものもありましょう。そういう負担はどういうふうになっているか。その詳細な資料をひとつ当委員会に至急提出していただきたいと思います。  資料の提出をお願いして、なお一点お伺いしたいのは、私どもとしては自衛隊を認めていないのですが、その賛否の問題は別として、やはり自衛官は現在、日夜訓練に精励これつとめているところですね。ところが、最高責任者である防衛庁長官が繰り返し申し上げているように、自衛隊を悪用して——利用というよりむしろ悪用ですね——選挙運動をやったり、自衛隊法やあるいは施行令を乱用して選挙運動をやったりしている。こういうことでは自衛官の士気高揚になるのかならないのかという問題が出てくるわけですね。自衛官の諸君は長官のこの一連行動をどういうふうに受けとめておるか。こういうことを考えてきた場合、防衛庁長官としては、こういう一連行動をあげた場合、きわめて不適格であるのではないかと指摘せざるを得ないわけです。こういう点はいかがですか。
  36. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 今回のこの問題に関しまして、防衛庁長官自身がどういうふうに考えているのかということを私ども代弁するわけにはまいらないわけです。いずれ長官帰国後に当然発言があると思いますけれども、御参考までに申し上げますると、去る十三日のワシントンにおきまするところの某通信社の特派員との一問一答の中で、私がふなれなことから云々というおことばと、私がお国入り鹿児島熊本の郷土部隊巡視とを一緒にやったので混同して受け、取られる点があったとしたら、いま考えてみて私としては少し配慮が足りなかったように思うというような談話が、これは私、非常に縮小されたニュースでございまするから、このニュアンスがどういうものであるかということに私もこうであったということは申し上げられませんが、この記事のニュアンスからいたしまして、私は上林長官が現在アメリカにおりましても、今回のこのお国入りにつきまして反省すべき点は反省されているのじゃないかというふうに考えるということを申し上げたいと思います。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間もございませんから、最後に一点だけお伺いしておきますが、いまの答弁で、アメリカにある長官の心境はこうであると、もうそういうことは問題外です。もう反省とかなんとかいう問題ではないと思うのです。前には小林章の問題があり、引き続いて田中彰治の問題、次いでは荒舩運輸大臣のいわゆる政治停車の問題、こういう一連の問題が引き続いて、これはもう一括するとみんな政治姿勢の問題だと思うのです。それぞれ問題によってみな国民から痛烈な批判、攻撃を受けてきたところです。いま国民の政治不信の念は非常に高まっておる、こういうことから。そこで、私どもは期待したわけですが、この辺で佐藤総理もこの点勇断をもって整風運動を起こすべきである。あるいは具体的には総辞職するとか、あるいは国会を解散する、そういう方策をもって整風に勇断をもって臨むべきであったと思う。そういう勇断もなかった。こういう中で上林長官一連のこういう問題を起こしておるわけですね。何ら反省もなし自粛もなし、もし反省し自粛があったなら、そういう情勢の中で一連の反省があったら、こういう問題起きていないわけです。結局、自衛隊を利用したり、自衛隊法に違反したり、精神に違反したりして公私混同選挙運動をやっておるということは、まさしく、あなたは弁解されておるけれども、全国的には国民のひんしゅくを買っておるということは事実。もう全く弁解の余地はさらさらないと思う。これはもちろんあなたの心境を聞いておるわけじゃなくて、長官に言いたいところでありますけれども、はいまアメリカにあるので、結局問題が深められぬわけですけれども、こういう一連の以上お伺いしてきた問題について、政務次官としては、最後に今後防衛庁の姿勢をどうしようと、そういう何かお考えがございますか。ただ、たんたんとして何も考えていないのか。こういう一連の問題についてひとつ佐藤総理自体も整風運動をやらにゃいかぬというように、おそまきながら少しは考えてきたようです。勇断をもって解散とか総辞職、そういう勇気はないようですが、そういう動きはあるようです。こういう中で防衛庁このままでいいのかどうか。
  38. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 政局全体の問題に関しましては、一政務次官である私としてお答えできませんけれども防衛庁の問題につきましては、ただいまの伊藤先生の御見解を私長官帰りましたら詳細に伝えまして、今後防衛庁はどうあるべきかということにつきまして長官とともに私はよく検討してみたい、こう考えます。
  39. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間はないのですね、あまり。  それではいろいろ伺いたい点があるわけですが、長官はいらっしゃらないわけですしね。ですから、これから長官がおいでになったときにいろいろ伺うという前提に立ちまして若干伺っておきたいのですが、二日午後四時から音楽隊が来ているわけですね、第八師団の三十何名の。これはあとどうなったのですか。三日はどこへ行っておるのですか。それから四日はまた指宿市に行っているわけですね。四日の日は日曜日ですが、指宿市の小学校に行っているわけですね。それからまた七日に串木野に来ているわけですね。串木野にヘリコプターでおりたときには音楽隊がきているわけですね。この間この音楽隊はどうしておったのか。  それからもう一つ、この四日間のうちの三日の土曜日の午前中だけが公式の鹿屋国分の駐とん隊の視察になっていますね。これは音楽隊はついていったのですか。立田楽隊は串木野へ行ったのですか。国分というのは第二区なんです。鹿屋というのは第三区なんです。長官は第一区ですね。これには自衛隊何もないのです。どこにもないのですね。ただ鹿児島市に連絡部というのがありますね。自衛隊というのは一区には何もない。四日ですね、日曜日——ぼくは鹿児島ですから、よう知っているのですが、鹿児島から谷山を通って、喜入を通って指宿市には行くわけです。この写真を見ますと、指宿市に音楽隊が出ている。その指宿市から今度は山川町、開聞町、頴娃町と、こうパレードをやっていますね。そうしますと、七日の日は串木野におりて、軍楽隊が待っているのですね。その軍楽隊は一緒に薩摩に回っている。串木野から先の行動はどうなっているのか、そういう点を伺っておきたい。
  40. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 詳細につきましては、官房長から説明いたします。
  41. 海原治

    説明員海原治君) こまかいお尋ねでございますので、先ほど伊藤先生の御質問と同じく資料で提出いたしたいと思いますが、その前に先ほど私から御説明いたしましたように、西方音楽隊、八師団音楽隊国分音楽隊と三つございます。それぞれ違った場合に出ておりますので、一つ音楽隊があっちこっち移動したのではございません。たとえば四日の日曜日のお尋ねでございましたが、これは国分駐とん地の音楽隊でございまして、中村一曹——昔で申しますと曹長でございますが、一曹以下十八名の音楽隊、こういうのが出ているわけでございます。いわゆる音楽隊があちらこちらで演奏し、市中行進をいたします詳細につきましては、資料で提出することをお許し願いたいと思います。
  42. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それはおかしいじゃないですか。あなた、これは公式のものでしょう、軍楽隊行動というのは。その軍楽隊行動というのがわからないはずないでしょう。鹿屋はどうだったのですか。これは行かれたのでしょう。鹿屋海原さんもついていったから知っているでしょうが、軍楽隊はどうなっているのですか。
  43. 海原治

    説明員海原治君) 先ほどの私のお答えで、先生からあとはどうなったか、こういうお尋ねでございましたので、あとどうなったかということにつきましては、手元に資料がございませんので、その点をひとつ調べた上でお答えいたしたい、こういう意味でございます。鹿屋には音楽隊は参っておりません。
  44. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この指宿市に音楽隊が待っておって、この長官出身地である指宿市で一緒になったということですね。指宿市から今度は柳田、山川町、開聞町、頴娃町と、こうやっているわけですが、そうしてまた指宿市に帰っているわけです。この三町はどうなんですか。音楽隊ついていったのですか、それをはっきりしてもらいたい。  それからもう一点。先ほど言っているように、串木野市にヘリコプターでおりて、そこには音楽隊が待っておった。それからまたパレードが始まった。串木野市だけではなくて、ずっと回っている。どこを回ったのか。
  45. 海原治

    説明員海原治君) 日曜日の指宿につきましては、先生御指摘のとおりのことでございますが、ついて回ったということではございませんで、音楽隊音楽隊としての移動をしております。大臣行動と常に行をともにしておるということではございません。これはそれぞれの地元からの、先ほどから申しましたような要請に基づいて出ております。第二回目の、いわゆる何と申しますか、おくに入りの際に出ておりますのも、地元父兄会からの要請によりまして地連を通じましての措置を終わっております。
  46. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 官房長ね、はっきりしてもらいたいのは、指宿に軍楽隊が待っておった、それは父兄会の要望だ——しかし、それは同時に山川町、開聞町、頴娃町と歩いておるわけです。一緒じゃないとおっしゃるが、事実ですか。  それからもう一つ串木野市にヘリコプターでおりた、七日、水曜日ですね。高等学校の校庭におりたときに音楽隊が待っておるわけですね。それで、これがずっと歩いておるわけでしょう、串木野市をはじめとして。
  47. 海原治

    説明員海原治君) 日曜日の国分音楽隊につきましては、たとえば私の手元の資料によりますと、柳田小学校では、十二時から十二時四十分まで四十分間、これは地元の方を含めまして音楽演奏をしております。  それから指宿では市中の小学校の演奏と同時に、その後市中のパレードと申しますか、行進をしております。これは十三時から十三時二十五分まで。次いで頴娃町におきましては十六時十分から十六時三十分までの間、約二十分間音楽の演奏と若干の行進をしたというのが事実でございます。  それから山川につきましては、実は手元に資料がございませんので、先ほど申しましたように、なお一度調べた上でということを実はお答えしたわけでございます。  で、頴娃町におきましては、先ほど申しました十六時十分から十六時三十分まで約二十分間の演奏をしております。  それから七日水曜日の高校には、私の手元の資料では音楽隊は出ておりません。
  48. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 出ていない……。
  49. 海原治

    説明員海原治君) はい。
  50. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 串木野に着いたときには音楽隊は  出迎えたことになっておるのですがね。
  51. 海原治

    説明員海原治君) この辺のお尊ねがあるということで、私どもとしましては、詳細に現地とも話し合って調べたわけでございますが、なおあやまりがあるといけませんので、先ほど来のようなお答えになっているわけであります。  手元の資料によりますと、七日、すなわち水曜日の、これは八師団関係音楽隊でございますが、これが実施しましたのは、伊集院町におきまして十三時三十分から十三時四十五分までの十五分間、次いで加世田市におきまして十七時から十七時十分までの十分間市中行進あと二十時から二十一時十分まで公民館において演奏を行なっております。これが一応私ども調査した現在の資料に基づいての実績でございまして、したがいまして、先生のおっしゃった高校で待っておったという事実は承知いたしておりません。
  52. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いずれにしましても、串木野市では音楽隊とともにパレードしている。加世田市でもやはり音楽隊と一緒にパレードしているわけですね。それから、指宿、山川、開聞、頴娃町というところには軍楽隊がついていっていない——まあこういうことですがね。いまのお話を聞きますと、私は大体そういうことだろうというふうに推定はつきますがね。ですから、いま伊藤さんがいろいろ聞いたのですが、もっと大切なのは鹿屋ですよ。これは大きな基地です。たいへんに大きくてりっぱな基地です。戦争前から、戦争中、いまでも有名な基地なんです。そこには音楽隊なんというものはついていっていない。これは鹿屋市ですよ。自分の選挙区だけとにかく全部回っちゃった。全部ですよ。これはよう回ったもんですね、これ。そういうことを海原さんね、いいかげんに取り扱っちゃいけないと思うのですよ、ぼくは。自衛隊の本来のたてまえから言ってですよ、だれが長官になろうと、第一だらしがないですよ、これ。どうもだらしのないのが長官になっちゃってですね、というふうに見るですよね。そうしてまた内部もだらしがない、言うなりになっているという感じを受けますよ。それから指宿のパレードですね、これは音楽隊だけじゃないようですね、制服もついていっていますね、音楽隊について。制服が写真に出ておりますよ、だれかついていったのですか。
  53. 海原治

    説明員海原治君) 鹿屋についてのお尋ねがございましたので、これも御説明いたしますと、鹿屋とか、国分とか、これにはそれぞれ栄誉礼を行ないますところのいわゆる音楽隊と申しますか、バンドはおります。で、御存じのような日程でございますから、当然部隊の栄誉礼を吹奏しますところの音楽隊が列の近くにおるわけでございます。そのほかにさらに音楽隊を連れていくことはございません。なお、指宿につきましては制服の幹部がついていったんではないかということにつきましては、先ほど説明いたしました統幕議長空幕長が乗っておりまして、私と、これが長官車に随行いたしました。その距離は約三、四百メートルじゃなかったかと思います。  なお、あちらこちらへ音楽隊が出たんではないかという趣旨の御質問でございますが、ところによりましては、たとえば鹿児島実業という学校がございますが、これのブラスバンドが演奏を行なっている例もございますので、そういうのも全部自衛隊音楽隊ということになってお手元に行っているのではないかと思いますが、なお、先ほど申しましたように、念を入れましてもう一度音楽隊につきましては調査の上、資料として提出することをお許しいただきたいと思います。
  54. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 指摘までは谷山を通っていくわけですから車で行かれたんだろうと思いますが、谷山経由で、これはたいへん長い町ですが、ずっと海原さんもついていかれたのですか、そうして車をおりて歩いているのじゃないですか。そうじゃないですか。いずれにいたしましても指宿までついていく、だらしのない話だなあ。これは何の用事ですか、指宿に行ったのは。
  55. 海原治

    説明員海原治君) 指宿は御承知のように大臣の御出身地でございまして、地元の市の主催の祝賀パーティーがあるということで、当日は日曜日でございましたので、用のない統幕議長空幕長、私ども大臣のお伴をしてこの会に出たということでございます。車をおりて歩いたではないかということでございますが、そういう事実はございません。私どもが先行いたしまして、小学校で大臣をお迎えして午後の市の主催のパーティーに顔を出した。それからあとは別れております。夕刻は同じホテルで泊っております。以上が私ども行動内容でございます。
  56. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 要するに今度の行事というのは、結局六日間ぐらいの行事なんですね、二回に分けまして六日間なんですが、自分の選挙区のところだけとにかく御丁寧に軍楽隊まで一緒に歩いたというわけです。公式の場である鹿屋というようなところ——鹿屋はりっぱな市ですよ、鹿児島第二の市です、鹿屋というのは、そこは何もない、おかしいですね、選挙運動そのものですよ、選挙区というのは間違いないです。これはどうかあとでひとつ長官来たときに追い打ちをかけようじゃないですか。選挙運動そのものだ、話にならないです。以上で私のやつは終わります。
  57. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を始めて。
  59. 多田省吾

    ○多田省吾君 防衛庁長官のお国入り問題につきましては、時間の制約がございますので簡単にお尋ねいたしますが、まず政務次官にお尋ねしますけれども、今回の鹿児島空港からのパレード事件、あるいは串木野高校グラウンドに授業中、八時五十分、ころ着陸した等一連の問題につきまして、政務次官は一体この事件が好ましいと考えられるのか、それとも好ましくないと考えられるのか、そのどちらか御答弁願いたいと思います。
  60. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 政務次官として今回のこのお国入りの問題が好ましいと思うが、好ましくないと思うかということにつきましてどっちかという御質問でございますが、私は好ましくなかったとは申せないと思います。
  61. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは好ましくなかったとは申せないということは、好ましいということですか。
  62. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) なぜ私がそう申したかと申しますと、長官がお帰りになりまして、そうして長官の御意向も伺った上でもって判断しなければならない、こういう観点からそうお答えを申し上げた次第であります。
  63. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は政務次官としてどう考えるのかとお尋ねしているので、長官とは無関係です。防衛庁の問題でしょう、この問題は。長官がいらっしゃらないなら政務次官が当然お答えすべき問題だ。私がお聞きしているのは好ましいと考えられるのですか、好ましくないと思われるのか、そのいずれかお答え願いたい。
  64. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 私は、政務次官長官補佐役でございますから、長官の意向を無視して私が独断に判断するということはできない、そういう見解から私がお答えしたわけであります。
  65. 多田省吾

    ○多田省吾君 この問題につきましては、国民全般から大きな批判があるのです。今回の毎日新聞世論調査においても、佐藤内閣の支持率は二八・八%から二六・二%に落ちたという報道がなされております。どの新聞社でやっても同じだと思うのです。こういった佐藤内閣不信の声は、荒松元大臣問題、あるいは今度の上林防衛庁長官のお国入り問題、そういった問題が当然からんでいる、私はそう確信しております。先ほど政務次官答弁を聞いておりますと、今度の問題は誤っていたとは考えていない、全然防衛庁としての責任を感じていない。あるいは一部の週刊誌が取り上げて騒ぎ出したからマスコミ全般がはでに騒ぎ出して、そのために問題になったので、地元新聞においてはユーモアをたたえて書いていた新聞もあるというような、そういう次官の答弁でありますから、私たち聞いてみますと、防衛庁としてあるいは政務次官としてこの問題に対して道義的な責任、政治姿勢の責任というものを感じていないように思うのです。その点はどうですか。
  66. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 私のことばの足りないところ、説明不足のために多田委員から誤解を受けた点も多少あるのじゃないかと思うのですが、私は今回のお国入りの問題全部が、どんな点から、どんな角度から見てもこれは間違っていないというふうに私は考えておりません。あるいは局部的に反省しなければならない点もございましょう、あるいは今後またこういったことは二度と起きてはならないような面もあるかもしれません。しかし、先ほど私が御質問の中でお答え申しましたとおりに、長官自身ワシントンにおきまして配慮が足りなかった面があったというふうに言っておりますので、私といたしましては、御本人が帰ってまいりましてからよく相談してお答えいたしたいと、こういうふうな考え方なんです。マスコミ云云ということを申しましたけれども、私はやはり一つの多角的なこの問題の検討という意味におきまして、世論を代表する今日の新聞なりあるいは雑誌なりがどのような報道をしているかということを参考の資料として、私どもとして分析した、それを御参考までに申し上げたわけでございます。
  67. 多田省吾

    ○多田省吾君 二つに問題をしぼりましてお尋ねしますけれども、九月二日の夕べの鹿児島空港からのパレード問題、四部方面隊音楽隊地元要請で出たのだ、それが偶然合流したのだというような答弁がございましたけれども先ほど伊藤委員の御質問のように、それは地元要請なんていうのは幾らでもつじつまは合わせられるもので、問題は、それを自衛隊防衛庁として許可をしている、また偶然であろうと何であろうと、とにかくパレードの際に、祝上林先生防衛庁長官就任という大きなたれ幕を下げた。その前を音楽隊パレードするということは、当然客観的に見て、防衛庁自体の姿勢の問題として見られるわけです。そういった自衛隊法にかなっていたか、かなっていないか、そういった問題ではなしに、偶然であろうと、地元要請であろうと、とにかく防衛庁そのものが、国民の疑惑を招くようなことをしないという姿勢があったならば、そういった事件は当然起こらないのです。その問題に対して政務次官としてどう考えられるか。
  68. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) この問題が発生して以来、防衛庁として政治姿勢というものはどうあるべきかという御質問でございますが、私どもといたしましては、この問題をやはり先ほどから申し上げておりますとおり、長官がお帰りになりましてから、長官の御意向もよく伺いまして、そして私どもが改むべき点は大いに改めるという気持ちで、私どもはいま現在いるわけでございます。
  69. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほどから問題になっておりますが、とにかく串木野高校のグラウンドにヘリコプターに塔乗しておりた問題でございますが、八時五十分といえば、八時半から九時ころまではホームルームをやっている、そういった授業中の時間に、選挙区を回るような行動をとって、あと行動でございますが、そしてそういう純真な高校生が勉強している高校に着陸するというようなことは、だれが考えても、これは道義的に不法なことであり、防衛庁長官としての役職を利用した、国民を愚弄した行動と言われてもやむを得ないと思うのです。それに対して政務次官はどう考えられますか。
  70. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) この串木野高校のヘリコプター着陸の問題につきましては、私同行しておりませんので、そのときの状況あるいは判断というものにつきましては、同行いたしました官房長からお答えいたしたいと思います。
  71. 海原治

    説明員海原治君) 串木野のほうに私同行いたしておりませんが、先ほど来この問題がいろいろの立場での御批判があることは十分承知いたしました。ホームルームの時間でありましても、学校におりるということ自体、それ自体に問題があろうかと存じます。今後は、きょういろいろと御批判を受けました次第でございますので、十分に慎重にこういう問題については事務的にも検討してまいりたい、このように考えております。
  72. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間の関係上これで終わりますけれども、この問題に関しては時間をたくさんとってまた追及をしたいと思いますけれども、本日の政務次官の態度というものは、ほんとうに防衛庁自体として反省の色が少しもないし、長官が帰ってから、長官の意向を伺ってから答弁するというような、はなはだ自主性のない姿であって、私は非常に遺憾に感じております。今後防衛庁は三次防をめぐる問題、バッジシステムの問題にからむ黒い霧の問題、そういったうわさがとかくありますときに、こういった国民から多くの疑惑を招くような今度のお国入りの問題が生じたわけでございます。その点に関しても防衛庁自体として、また政務次官としても十分な検討をして反省をしていただきたい、このように希望しまして、質問を終わりたいと思います。
  73. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御発言もないようでございますから、本件はこの程度にいたします。  速記とめて。   〔速記中止〕
  74. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記つけて。     —————————————
  75. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、公務員の給与に関する件を議題といたします。  本件につきまして関係当局からの御出席は、ただいまのところ森総理府総務長官、増子総理府人事局長、小沢大蔵政務次官、以上の方々でございます。  それでは、本件につきまして御質疑のおありになる方は順次御発言を願います。
  76. 北村暢

    北村暢君 私は、この前からの委員会で森給与担当大臣が、人事院の勧告を尊重するというたてまえで努力をする、こういうことをしばしば申してまいりましたが、十四日の閣議において、この人事院の勧告によるベースの改定は九月実施ということで、昨年と同様のようになったように聞いておりますが、まず、どういう理由でそういうことになったのか、この点について森長官からお伺いいたします。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
  77. 森清

    国務大臣(森清君) いま北村さんがおっしゃいましたように、私は給与担当の国務大臣といたしまして、この決定を見ました前々日まで委員会等に出まして、人事院の勧告を尊重するように努力をする、そうすることが当然な措置である、こういうふうなことを言い続けてまいりましたが、しかし、結果は昨年と同様九月一日になってしまった。これはまことに私自身としては力足らざることを嘆かざるを得ないのでありますが、実は十三日から十四日にかけまして六人委員会、さらには与党からも三役が出席いたしまして慎重審議を重ねたのでございますが、いかんせん、それぞれが人事院勧告を尊重するという線で討議は重ねたのでございますけれども、財源の見通しがきわめて困難であるとの大蔵大臣の主張もわからぬわけではございませんし、特に今回は緊急な重要な施策等に相当の財源を食われることも明白でございますし、かてて加えて、非常に景気はよろしい、上昇しているんだと、こういうふうなかけ声は非常に強うございますけれども、九月決算に、はね返りがほとんど最近見られない状況であるし、しかもその数字というものが完全につかみ得ない現況におきましては、これらの結果が財政経済に及ぼす重大な影響等も考えまして、まことにわれわれといたしましては身を切られる思いをしながらも九月一日実施ということに妥協せざるを得なかった事情でございます。そういうことでございまして、私自身といたしましても担当の大臣といたしましてこの点はまことに遺憾としているところでございます。     —————————————
  78. 柴田栄

    ○理事(柴田栄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、中沢伊登子君が辞任せられ、その補欠として片山武夫君が選任せられました。     —————————————
  79. 北村暢

    北村暢君 まあ力足らずしてということでございますが、大体人事院の勧告というものに対する政府の考え方、これに対して人事院総裁は、人事院勧告というのは三公社五現業の仲裁裁定と同じ性格のものであるということを答弁しているのであります。法の精神においては何ら変わらないのだ。したがって、公労協関係の仲裁裁定は、いわゆる五現業の国家公務員、これは法律が違うというだけでありましょうけれども、とにかくこれは五月からじゃない、四月から実施されているわけです。その法の精神において変わらない人事院勧告が常にじゅうりんされている、こういう点について人事院総裁もはっきり答弁している。一体人事院勧告というものは、そういう財政の都合その他において、いま九月決算その他についてのやむを得ないというようなことがありましたけれども、この点についてはあとからお尋ねいたしますが、そういうことで簡単に人事院勧告というものが実施されない。政府は、常に尊重はいたします、人事院の勧告の内容はそのとおり実施いたします、しかし、実施の時期は九月からだ。これでは尊重したわけでもないし、内容的に完全実施したわけでもないです、これは。したがって、私どもは人事院勧告というものを政府みずからが実施しないということについては、そして反面において十月二十一日に行なわれる実力行使というもの等に対しては、しばしば政府はこれに対して警告を発している。まことに片手落ちだと思うのですね。一体人事院総裁の、国会で答弁している人事院勧告と仲裁との関係において、法の精神においてどのように政府は判断しているか。
  80. 森清

    国務大臣(森清君) 人事院の勧告は、いわゆる法の拘束力はないことではございますけれども、しかし、私はその精神というものはやはりこれは尊重するという行き方が当然だと思います。しかし、われわれがそれを人事院勧告どおりに完全に実施しなかったからといって、やはり公務員たる立場においてストライキをやるということは、私は私自身の口からも二度ほど警告はしておりますけれども、これは避けるべきだという考えを持っております。
  81. 北村暢

    北村暢君 あなた職務上警告を発するけれども、その警告の響きというものは一体、一般の国民が警告を発したというにすぎないのであって、何らこの警告というものは警告に聞こえないですよ。これは重みもなければ何もない。やるというから警告するだけの話だ、そういうふうにしか−政府みずからが実施すべきものをしないで、警告だけ発するということ、その警告も私は国民世論の支持を得るような警告ではないと思うのです。政府みずからがやるべきことをやらない。やらないで警告だけ発しても私は警告が生きてこないと思う。そういう点について、勧告は実施しないけれども、しかし、公務員は法に禁じられた実力行使をやってはいけない、これでは一方的ではないですか。確かに仲裁裁定も、これも精神からいえば仲裁裁定は実施するのだという政府の認識でしょう。しかしながら、法律的にいえば、予算上資金上できないものはやらなくてもいいことになっておるのですよ、仲裁裁定。しからば三公社五現業が全部それじゃ四月から実施できるような財政状態であったかどうか、決してそうじゃない。既定予算を節約をし、あるいは赤平であってもなおかつ仲裁裁定の場合は実施しておるのですよ、これは。そうでないですか。財源のことを言うのだったならば仲裁裁定の場合だって同じですよ。公労法の十六条によって、予算上質金上できないものはやらなくてもいいということになっておる。したがって、三公社五現業の場合も、この人事院勧告による一般国家公務員の場合も財源の問題については同じ条件ですよ。そういう中で片一方が実施され、片一方が実施されないということは、これは何としても不公平じゃないですか。そういう不公平なことを政府みずからが実施しておいて、ストライキにだけ警告を発したところでその警告たるものは私は権威というものは全然ないと思うのです。どういうつもりで警告出しておるのですか。あなたみずからが、給与担当大臣が勧告を、完全実施して十月二十一日の反戦のストライキは政治的ストライキだからこれはけしからぬというならまだ話はわかる。十月二十一日は反戦のストライキだけじゃないですよ。公務員から言わせれば、みずからの生活を守るためのささやかなる抵抗ですよ。そういうものまで違法である、処罰はどんどんやる、これでは公務員はどこに取りすがったらいいかわからないじゃないですか。これはもう完全に団結権すら否定する立場に政府は立っておる、こう言わざるを得ない。あなたはどういう気持ちで警告を出すのですか。警告をするその資格はないと私は思うのですがね。どう考えておるのですか。
  82. 森清

    国務大臣(森清君) 私は、公務員のストライキというものは法律で完全に規制されておることでございますし、特に公務員というのは公僕の立場において多くの国民に御迷惑をかけるということは道義的に見ましても、これは非常に注意を要することだと、こう私は考えまして、二度にわたる警告を発したのでございます。しかし、問題は、いま北村委員の申されましたように、仲裁裁定の問題といわゆる人事院勧告の問題、これは人事院勧告の問題には法律的な拘束力はないといっても、しかし、私はどう考えてみても人事院勧告を尊重する方向に政府としても実施しなければならないこと、これまた道義的な意味を込めましても、私は法律にそれが規定されてなくても実施するべきだと、こう考えておりますし、また、それがたてまえだと信じておるわけでありますが、ただきわめて遺憾なことは、ことしの財源の見通し等につきまして非常に困難を生じましたためにやむを得ず、これはまことに遺憾なことではございますが、九月実施ということにきめざるを得なかったわけでございます。したがって、そういう立場に立って公務員ストの禁止等につきまして警告を発した私の気持ちも正直なところじくじたるところもございますが、それによって多くの国民に迷惑がかかるのだということを考えますときに、あえて法律で定められたとおりに私はそうするのが当然だと思う。そうせざるを得ないという考え方のもとに、私はこれについては信念を持ってお願いをしたのでございます。
  83. 北村暢

    北村暢君 多くの国民に迷惑をかけるとか、かからないとかの点については、これは国家公務員の場合、国鉄の汽車をとめるのと違って、一般国民にそれほど迷惑がかかるか、かからないかという問題は、たいしたことはない、直接迷惑がかかるなんということはないと思う。  その論議はさておくとして、とにかく九月決算の段階でその決算の見通し等についてもつかみ得ない状況である、こうおっしゃっておるんですね。それだったら、なぜ九月実施をいまの段階できめなければならないんですか。もっとあとでもいいんじゃないですか。もっとあとで補正予算を組む段階でじっくり決定してもいいんじゃないですか。  何あわてて十月十四日に、九月決算の状況のまだわからないうちに、できないということで断定をして決定しなければならないのか。もう少し慎重に時間をかけて検討していいんじゃないですか。私は明らかにこれは佐藤総理の政治的判断によって、十月二十一日の計画のあることを知って、それに対処するために、九月決算の状況もつかみ得ないままで十四日に決定をしたというのは、これは慎重を欠いているのではないか。もう一回この閣議決定というものを撤回して検討し直すということでやってはいかがですか。
  84. 森清

    国務大臣(森清君) もっとゆっくり財源の見通しが確実につかめるまで待ったらどうかという意見も確かにございました。私ども人事院の勧告を受けまして以来、鋭意何べんとなく関係閣僚が集まりまして、その結論を出すように相談をしておりましたときに、総評にいたしましてもあるいは同盟にいたしましても、早くしろ早くしろという声もきわめて強いものがございました。財源の見通しがつかないということから多少時期がずれてみたり、あるいは大蔵大臣が外遊というふうなことにはばまれまして、非常におくれたわけでございますが、私どもといたしましても勧告が出た以上はすみやかな時期においてこれは結論を出さなければならぬということで、あらかじめ立てられましたスケジュール——これは公表してございました、このスケジュールに従って、ともかく早く結論を出すことを急いだわけでございまして、さらに急いだからといって、財源の見通しのつかぬままで出したものなら、もう一ぺん閣議決定をやり直してはどうかということですが、閣議決定をした以上はこの線でお願いをする以外しかたのないことだと思っております。
  85. 北村暢

    北村暢君 財源の問題については、けさの新聞でもおわかりのように、自然増収というものが相当来年度においては出てくる、したがって、公債発行は額において昨年と同様程度にする、したがって、財政規模が拡大しますから、公債発行の率においては低下する、そういうことで公債発行の限度額については昨年と同様程度にするということを大蔵省でもうすでに言っているんじゃないですか。したがって、財源においては自然増収も来年は出てくるだろうということを予定しているようですよ。しかも財源が苦しいから、苦しいからというんなら、それが理由であるとするならば、おそらく来年だって公債発行はいたしますよ、来年度でも。そういうことははっきりしているでしょう。しかも、これは財源の問題じゃないんですよ。かつてもう昭和三十五年から四千億もの自然増収があって、財源には何ら苦しくなかった時代においても完全実施はやってないでしょう。先ほど言ったように、公労協関係だってこれは財源の点から言えば苦しいのですよ、現在。公労協関係、三公社五現業は楽ではないのです。それでも実施しているでしょう。したがって、これは、いま総務長官が言われるように、財源の問題じやないのですよ、これは。財源の問題が全然ないとは言わないけれども、財源の問題、財源の問題ということになると、永久にこれは完全実施はここ三、四年はどんなに努力したってできないという結果になる。そういうことで一体いいんですか。これは金がないからやれないという問題ではないと思うのです。特に、国家公務員の場合は相当な欠員もおりますよ、大蔵省がこれは絶対埋めさせないのですから。行政管理庁が定員というものは業務に応じてこれはきめているものなんです。それを大蔵省は財源の、給与の予算の運用上からいって絶対埋めさせないのですよ、これは一が数千名の欠員も。それから国家公務員のこの九月実施の場合に相当な予算が要ると言っているけれども、これはあなたこれから税金引かれて、予算は予算で出るけれども直ちに税金引いて国庫へ入ってくるのです。そういうものから全部合わせるというと、それはもう頭のいい財政当局がこんなやりくりできないはずがない。こんなやりくりできないような能力のない財政当局ならこれは私は能なしだと思います。これは政治の問題ですよ。財政当局の数字の問題じゃない。したがって、私は、これは政府としては金がないからできないということでは了承できないのです、これは。閣議で一度決定したからということで、その線でやるよりしようありませんと言われても納得いきませんよ、これは。毎年それでごまかされておる。昨年もあれでしょう、やり方について、人事院の勧告が中途に出るからいかぬというので、検討するという期間を持ってもそれでもだめだったですね。ことしも去年と何にも変わらないじゃありませんか。これであなた、政府が国家公務員に勤勉に仕事をせいということを要請できるのですか、これは。政治の姿勢の問題ですよ、これは。どう考えるのです、これは。
  86. 森清

    国務大臣(森清君) 北村さんからこれでいいと思うのかどうかという——決して私はいいとは思っておりません。何とかしてせめて人事院が勧告したことを完全実施の方向に私どもは一歩でも二歩でも前進しなければならない、この考え方は私はいまでも変えておりません。しかし、何べんも申し上げますとおりに、ことしの財源につきましては、まことに緊急を要する問題等が山積しておりますし、財源の見通しは、その立場に立つ大蔵省の見方によりましての非常に苦しい事情をるる聞きますと、私どもとしても、ことしは去年と同じように、それは何らかの方法でもってともかく来年度はこれが完全に実施できるような方向にそれこそ知恵をしぼり合う必要があるのじゃないかということをしみじみ痛感しているわけでございます。これらの方法は、従来ともにいろいろと関係者におきまして熟慮した結果も、なおかつ今日のように、四月現在の実施を八月中に勧告するということはこの線がなかなか動き得ない実情を私は知っておりますけれども、しかし、その冷たい風の中でありながら、それを突き破って完全実施の方向に事務的にもそれがスムーズにいくような方向に私は努力しなければならぬのじゃないかという気持ちでいるわけであります。
  87. 北村暢

    北村暢君 人事院の勧告に対する考え方については、どう弁明されようと私どもは了承できませんが、かりに九月実施ということになれば、国家公務員法の二十八条の関係から言ってこれは情勢適応の原則というのがきめてあるわけです。それから国家公務員法の六十四条、これは生計費への民間賃金との関係ですね、これから言っても均衡がとれるというのは五月実施をして初めて均衡がとれるのであって、これは明らかに国家公務員法の法律の精神に私は違反をしておる。しかも、これは過去ずっと長い期間にわたって違反してきておると言っても差しつかえないと思う。こういう点に対する考え方はどういうふうにとっているのですか。政府は国家公務員法の精神に逸脱していないとこう考えておるのでしょうか、どうでしょうか。
  88. 森清

    国務大臣(森清君) 二十四条に規定しておりますように、民間との差、これを人事院は勧告してくださっているのでございまして、しかもそれは五月実施ということでバランスをとっておることは私は承知しております。なお、二十八条によって国会でこれを決定しなければならぬとも私は承知しておる。その意味におきまして、先ほど来私はるる申し上げておりますとおりに、人事院勧告というものは完全実施、これを尊重して完全実施の方向にいかなければならないことはよくわかっておりますが、また、そうしなければならぬことも私は承知をしておりますけれども先ほど来申し上げておりますとおりに、財源等の問題が非常に大きなファクターとなっております関係から、そうしたことは国会におきまして政府と与党、野党との間で十分な御審議を重ねて結論が出るべきだと、こう考えております。
  89. 北村暢

    北村暢君 ですから、私は政府は公務員に法律を守ってストライキをやるなという前に、勧告を完全実施することも、国家公務員法による給与の条項も十分理解しながら、それはやることは正しいのであるが実施できなかったと言っているわけでしょう。そのできなかった理由については、財源等の理由もこれありと言うのだけれども、財源等の理由じゃないのですよ、これは。問題は、やる気になっていない。私は森長官なり労働大臣閣議において公務員の立場に立って主張したということを新聞でも見ております。しかしながら、これは私は見方によっては八百長だと思う。労働大臣や給与担当大臣は、まあまあ国会に出たときには−現に大蔵大臣はこのとおり出てこない。それじゃあ、あなた方は、委員会でも努力します努力しますの一点張り、尊重いたします尊重しますの一点張り、閣議においてもそういう主張をしても、初めから九月実施ということにあらかたなるようなことを予定しながらそういう主張をしているというふうにしか受け取れないですよ。三年間続いているでしょう、この九月実施になってから。一ヵ月も二ヵ月も前進できないほど財政事情が苦しくてどうにもならなかったということには私は理解できませんよ、それは。それほど手を尽くしても、あらゆる手を尽くしても一ヵ月も前進できなかった。そういうことは私は初めから八百長をやっていて誠意がないんだと、ここでなんぼおこられてもおこられっぱなしで、帰っていけばそれでいいというしかたですね、それでは私は政治じゃないと思う。公務員を納得させるわけにはいかないと思うのです、これは。あなた方は、こういうようなことを繰り返しておって公務員に納得させられるのですか、一体。九月実施ということを各大臣が職員を集めて、こういう事情だったということを言えるですか、これは。閣議で決定すれば、閣議で決定しましたからしかたありませんで突っぱねているじゃありませんか。誠意の問題ですよ。閣議できまったからそういうふうに実施するで済むと思っているんですか。それですから、この前の委員会においても、九月実施というのはあらゆる新聞にもうすでに出ているのですから、非常に困難な状態だと思う。にもかかわらず、前の委員会においては、森さん、あなたは尊重するのがたてまえなのでその線で努力するんですと言ったのですけれども、六人の閣僚会議で集まってその事情を聞けば、まことにやむを得ない事情もあるのでと一ぺんであなたは了承しちまうじゃないですか、これは八百長と言わざるを得ないですね、いかぬですよ、これは。こういうことでは私はいかに綱紀粛正を主張しようといえどもできないと思う。最近における新聞でも、公務員関係の犯罪が非常に多くなってきているでしょう。それは何に原因するのですか。これはもう大臣はじめ、先ほどからのあれで言っている大臣を頂点として綱紀粛正を叫ばれるような形になってないですね。もう少し公務員がまじめに働けるように、上みずからがえりを正すべきですよ。払うべきものは払うべきですよ。労使関係だなんという感覚は一つもない、政府には。そうでないですか。命令さえすれば何でも守られると、こういうふうに思っているのでしょう、あなた方は。まことに時代感覚も何もないと言わざるを得ないですね、私から言わせると。労使関係というものに立ってまじめにものごとを解決しようだなんという考え方は政府にはさらさらないのじゃないですか。どうですか、一体。
  90. 森清

    国務大臣(森清君) 私は六人委員会あるいは与党の幹部を入れての会議に出まして、自分はどういう態度をとった、どういう主張をしたと、だから自分だけは公務員に対して顔向けができるんだという気持ちは毛頭持っておりません。あくまでも佐藤内閣の閣僚の一員といたしまして、結果がこう出たことに対しましては十分なる私は反省もし遺憾にも思っておりますが、ただ、北村さんのおっしゃるように、これが八百長だったということは、そして私なり山手労働大臣なりが発言したこと、これは、そういうふうなことが八百長で成り立っておったということを言われても、いささか心外でございます。先ほど来、私は誠心誠意御答弁しておるつもりでございますが、ただ、結果的に一歩でも二歩でも前進できなかったことに対してまことに遺憾に思うと同時に、やはり人事院勧告の取り扱いというものに対してはあくまでも、いかなる政府においても、これを十分尊重していく行き方が正しいのではないか、こう思うのあまりに私は最後までそれは主張し続けましたけれども、ただ、私も多少は、かつて財界にあってそういう関係が多少でもわかればわかるだけに、ことしの複雑な経済界の様相というものは、大蔵大臣の言われることが了解できない立場ではないために、九月実施ということに最後は納得せざるを得なかった、こういうことでございます。決して八百長でもなければ、私自身が主張したからといってそれをひけらかしたというような気持ちは毛頭ございません。むしろ謙虚にこの事態を見守っておるようなわけであります。
  91. 北村暢

    北村暢君 それはね、森長官は、まれに見る財界の毛並みのいい大臣ですからね、あっちこっちの事情等考えられて総務長官としての大臣の立場に立って真摯に努力したけれどもできなかった。それはそれなりに私は聞いていいと思うのですけれども、結果的にいって、これはもう去年もおととしも、労働大臣、給与担当大臣閣議でやっぱり努力することはやってきたのですよ。ただ、労働組合に対しての1私ども、総務長官、給与担当大臣あるいは労働大臣、昨年は私もそのお世話しておったものですから、よく会う。会って陳情もする。事情も説明をする。それはまさしくことし森長官が言われたと同じように言われているのですよ。歴代の労働大臣なり給与担当大臣はまあ同じようなことを言っている。ですから、私は結果的に見て八百長をやっているというふうにしか受け取れないと、八百長をやったと言っているのじゃない。結果的に見てそういうふうになだめておいて、閣議に出たときには新聞報道のように九月実施になってしまった、努力はしたけれどもできませんでしたということでは、そういうことを毎年繰り返しているということは、労働大臣なり給与担当大臣がいかにりっぱなことを言っても、これは八百長をやっているようにしか受け取れないのだと、こういうことを言っているのです。八百長をやってそういうことをやったということを言っているのじゃなくしてね。私にもそういうふうにしか受け取れない、こう言っている。そうでしょう。毎年これを繰り返して、来年もまた繰り返す可能性があるですよ、財源の関係からいくというと。それじゃ来年はどういうふうになるという見通しでもあるならですけれども、来年は公債を発行しなくても自然増収でどんどんやっていけるという見通しでもあるならあれですけれども、公債を発行することはもう既定の事実でしょう。そういう点からいけば私は来年だって同じことを繰り返すのじゃないかと思う。今度の九月実施の最大の原因はやはり財源の問題でしょう。大蔵省は一体これはどう考えているのですか。財源の問題でということになれば、いま言ったように、来年だってだめですよ、これは。大蔵政務次官おられるけれども政務次官じゃもうとても、それは一年間やれば終わっちゃうのだから、来年は政務次官じゃないということになれば、どうも聞いてもたよりなくてどうにもならないのですがね。全く私どもが前々から言っていることと同じことが、結果的に財源でだめだという。これは何回繰り返しても同じです。とにかく財源の問題が九月実施の最大の原因のようであるから、一体これを何らか、財政当局としてこういうことを毎回繰り返しておっていいのかどうなのか、ひとつ財政当局の立場からひとつお伺いしましょう。
  92. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 大胆が所用のため出られませんでまことに申しわけございませんでした。ただいま御質問にございますように、今度の公務員の給与ベースの改定にあたりまして、今年度の補正財源が非常に窮屈でございますために、給与担当大臣あるいは労働大臣等いろいろ御審議をいただきましたのですが、たいへん財源の窮屈な現状からいたしまして、私どもとしてはなかなか九月実施も実際問題としてできるかどうかだいぶ心配いたしました。しかしながら、せめて前年のいままで、従来の実績のように九月実施は何とかしてこぎつけなければいかぬだろうということで、現在先ほどお話がありましたように、また、森長官からも御答弁がありましたように、九月決算というものの見通しもまだはっきりつきませんし、いろいろ他の追加財政需要等もたくさんございますけれども、いつまでも未決定にしておくのもどうかと思いまして、過般の先週の閣議におきまして九月実施を了承したという事情でごごいます。来年につきましては来年の財政の見通し、まだ私ども予算編成に関連しまして正確にはつけてございませんので、いまから何とも申し上げるわけにいかないのでございますけれども、ただこの年度途中で公務員の給与改定が行なわれるような姿が、何らか当初予算で見当がつくようなことになっていけば非常に財政上もやりやすくなるのではないかというように思いますことは、私ども財政当局の予算編成の点から言いますと、希望を持っているわけでございます。しかしながら、これは制度全般の問題でもございますので、おそらく今度の閣議におきましてもそういうお話が出まして、なおよく政府内で検討すると、こういうことになっていることを承っておるわけでございまして、私どもはできるだけ財源調達に努力いたしまして、あらゆる財政需要にこたえていくように努力を今後ともいたしたい、こう思っております。
  93. 北村暢

    北村暢君 九月実施の場合の財源というのはどのくらい必要なのですか、それは。公務員と地方公務員に分けて説明してください。
  94. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 九月実施の場合は、私ども一般会計分の公務員と特別会計分の公務員、合わせまして国のほうでは四百二十五億円、地方公共団体の分を合わせますと約八百八十五、六億と、こういうふうに踏んでおります。なお詳しいことについては数字の点でございますので、担当官のほうからお答えいたさせます。
  95. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) お答えいたします。ただいま政務次官が申し上げました数字と同様でございますが、九月実施の場合の財源、一般会計は三百五十五億円、特別会計は七十億円、合計四百二十五億円。地方団体でございますが、四百六十億円、合計いたしまして八百八十五億円ということでございます。
  96. 北村暢

    北村暢君 そのうち、これは税金分として直ちに戻る分はそのうちどのくらいになるのですか。
  97. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) これは主税の担当でございまして、正確に内訳は存じておりませんけれども、国と地方公務員を合わせまして約八十億円ということでございます。
  98. 北村暢

    北村暢君 これはそうすると八百八十六億というのは約八百億ということになるのですね、結果的に。  それから予算のたてまえは定員で、予算定員ではじいているはずですね。予算定員じゃないですか。その関係説明してください。
  99. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 四月の現員現給ではじいていると思いますが、詳しいことは給与課長から……。
  100. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) 予算定員から先ほど先生御指摘ございました欠員分を引きまして、それの本年の七月一日現在を見まして今後のアップの所要額を出してございます。
  101. 北村暢

    北村暢君 そうしますというと、欠員分は初めから予算には盛らないということになるのですね、そう理解していいですか。
  102. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) そうでございます。
  103. 北村暢

    北村暢君 欠員分というのはまあ閣議決定による凍結定員、欠員というものがありますけれども、それ以外の欠員分というのはやはり予算に盛るべきでないかと思うのですね。そうして予算の運用というものがなされていいのじゃないか。初めから欠員分は予算に組まないというのだったならばこれは問題があると思うのです。ということは、かってに大蔵当局は欠員分を予算に組まないでおくということになれば、そのことによって給与の運営ができなくなっちゃうですね。できなくなっているのですね、これは。一万数千名というのはあらかじめ昇給財源にしても何にしても欠員を置かないというと給与の運営ができないように大蔵省締めているのですね。これは政行管理庁のほうからの定員管理からいえば、これだけの定員というのは、業務の実態に応じてこれだけ必要だということで定員というものがきまっているのでしょう。それを大蔵当局は初めから欠員というものは不補充の方針ですから、そういうようなことでこの予算を組まないということは私は非常に大きな問題が出てくると思う。私は予算定員で予算は組むべきだと思うのですね。この点はどうですか。
  104. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) ちょっと説明が不足でございましたので補足をさせていただきますと、欠員不補充といいます場合に、その内容は昭和三十七年、三十八年、三十九年度の過去三年の平均離職人員から、行(一)の適用職員につきましては五割を補充する、その他の俸給表の適用職員につきましては九割を補充するということで算出をいたしました欠員の数字でございます。
  105. 北村暢

    北村暢君 そういうことを聞いているのではなくて、予算定員で、定員に基づいて予算は組むべきでないかと言っているのです。現在欠員でおるものはあれして、予算定員そのものでもって予算は組むべきじゃないかと言っているんですよ。
  106. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 北村先生、いまたいへん事務的に御説明申し上げたので誤解があると思いますが、七月一日なりある時点をとらえまして、もう現員をきちんと確定して、それで予算を組みまして融通がつかないようなふうには私どもいたさないつもりでございます。その点は昨年、一昨年も、従来とも、ただ、いままでのもう技術的な慣例でちゃんときまっておりますので、ことしが特に変わったやり方をするわけではございません。御了承願いたいと思います。
  107. 北村暢

    北村暢君 だから、従来のやっていることから言えば、私は、欠員の財源というものは浮いてくるというんですよ、予算定員でやれば。現在欠員を多く持っているんですからね。だから、実際に、八百八十六億、そのうち税金としてもう公務員の手に入らないものが八十億あるというんですから、八百億何がしになるでしょう。それに欠員というものが現実に現在おるんですから、そうすれば、欠員のものには給与は払わないんですから、予算定員で予算を組んでいれば、欠員の分だけ財源は浮いてくる。だから、払わないんだからこれからは減ってくるんじゃないかと言っているんですよ。でありますから、表面には八百八十六億、こういう数字で要るんだということを言いながら、実際には八百八十億どころでない、七百五十億か七百八十億か知らないけれども、そういうものでもって実際には運用されているというふうに思う。そういうものを勘案するというと、私は、九月実施と言わなくたって、八百八十六億の中でも1実際に政府は八百八十六億要ると言って表に出しているんですから、それの中でも、八月や七月にさかのぼって、一ヵ月や、二ヵ月やるくらいできるんじゃないかと言っているんです。
  108. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 実は、ここで給与財源だけが追加の財政需要というふうに考えますと、いまここで八百八十五億用意したから、それが欠員があったりいろいろあれしてきて、あるいは税金で入ってくる、八十億見当、そうすればその分だけ一ヵ月早めたらどうかという議論でございますが、私ども、追加財政需要は、御承知のとおり、食管会計の繰り入れやら、あるいはまた、米作の増産対策の五十億やら、いろいろな他の財政需要がございます。その一環として、給与ベースアップの財源がどれぐらいと見まして、一方その需要に応ずる財源として、一体これから見込み得るものが、自然増収で大体どれぐらい入るだろうか、あるいはその他いろいろな、いまの、逆に給与が出ていきます見返りの税収が八十億見当ある、そういうものもいろいろ含めまして財源の見通しをつけ、それでもなおかつどうも足らないようだから、各省にこの前の六人委員会でお願いをして、今後ひとつ相当の節約をやっていただこうというようなことで、そういうものを全体的に、実は財政需要とそれに対する財源ということで考えておりますものですから、どうも八百八十五億の数字だけで、一部はまた逆に税収入があがるじゃないか、その分だけでも一カ月早めろと言われましても、ちょっと私どもとしてお答えするわけにいかないわけでございます。
  109. 北村暢

    北村暢君 実際には、ほかの事業に金使ったり何だりするというと政府には戻ってこないですね。ところが、公務員の場合は、必らず給与の税金として入ってくるのです、これは。ですから、私どもは、実際に金のかかるのは八百八十六億じゃないんだと、九月実施の場合。欠員もあり、税金ではね返って政府に戻ってくるものもあるんだから、したがって、実際の公務員にかかる財源といいますか——それは公務員からあがってきた税金の八十億分はほかに使うというならばまた別ですけれども——そういうふうに、私は、公務員の場合は財源についてもそういうところまでやはりこまかく検討して——八百八十六億要るんだなんといって発表しておきながら、実際には政府へ八十億というものは入ってくる。もうこれは俸給袋に入ってこないんだから、八十億というものは。天引きで引かれっちまうんですから。そういうことを勘案して一まあ次官の言われることもわかるんですよ、私は。わかるんです。出ていくものは出ていくもの、入るものは入るものでやるんだからということは、それはそれなりにわかるわけです。わかるけれども公務員の、閣議に出た場合でも何でも、実際に検討する場合に、八百八十六億ということでやられるというと、私は感覚として非常にまずいんじゃないか、こう思うんですよ。いかにも金がかかるように見えるんです。したがって、決算してみなければわからないけれども、八百八十六億というものの使い方が欠員その他でもってどういうふうになるかということについては、結果を見なければわからないわけですけれども、そういうものを含めて、私はもう少し親切な検討をしてもらいたい、こう思うんですよ。したがって、そういうこまかいことは私はあまり重点にはならないと思う。ただ、先ほどの、来年度の財源の見通しなり何なりから言って、いまの勧告は来年の四月までですから、あとは来年度予算ですから、したがって、私はそういう点からいくというと、もう少し検討をされて、全然九月を動かすことができなかったという点について、先ほどの欠員の問題やらあるいは税金ではね返る問題やら、いろいろ勘案してみるというと、一ヵ月も二ヵ月も前進させることができなかった一わずか、これは半年分であれですから、一ヵ月分だというと百何十億でしょう。そういうものが何としてもひねり出せなかったということには私は理解できない。これはやっぱり政府に誠意というもの、熱意というものが私は足りなかったんではないかと、こう思うんですね。したがって、そういう面において、完全実施というものについての考え方についても、私は政府に誠意というものは全然認められない。したがって、九月実施の決定というものは戻してもう一ぺん検討してもらう必要がある。実はこの委員会も、決定する以前に開いてもらいたいということで十七日にしたんです。二十日ごろこの結論が出るだろう、その以前に政府を鞭撻する意味でこの委員会を予定しておったんですけれども、結局十四日に結論を出したから、私どもの意見を言う場がなくて九月実施というものが決定になってしまった、こういう結果になっておりますから、私どもは決定される以前に実はこの委員会を持って要望したかったわけなんです。いまとなってはそれもどうもできないわけなんです。したがって、これはもう一ぺん再検討してもらうということで強く要望しておきたいと思います。
  110. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう時間もあまりありませんから、総務長官大蔵政務次官を中心に二、三お伺いします。  その前に大蔵大臣はなぜ出席されなかったか、ひとつその理由を明確にしていただきたいと思う。実は前回の当委員会は九月二十六日に持たれた。そのときの委員長・理事打ち合わせで、給与問題、防衛庁長官問題ということで正式に決定して、その時点で大蔵大臣そして官房長官、これはまあ繰り返し要請してきたわけです。ところが、そのときはまあ外遊の予定であったわけです。外遊中とか病気中という理由であるならば、これはやむを得ないと思うんですけれどもね。先月二十六日から要請し続けてきて、しかも政府は財源がないということを表面に打ち出して、完全実施を破ってきておるわけです。したがって、六人委員会の会議においても、大蔵大臣はまっこうから反対しておるわけです。しかも、非常にうまいせりふを使っておる。九月ですらむずかしいんだという表現をしておる。とんでもないわけです。軽視もはなはだしいと思うんですね。いかような理由で出席されなかったのか。今後、その理由によってはこのままほうっておけないと思う。まずその理由から明らかにしていただきたい。
  111. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 私からおわびを申し上げるわけでございますが、御承知のとおり、大蔵大臣は十月の十日までIMF並びに日加閣僚会議出席のため外国に出張中でございました。十一日にお帰りになりましたのでございますが、ちょうど総理が御病気で十分な打ち合わせをする時間が先週はとれませんでした。御承知のとおり、いま補正予算につきましてもいろいろと財源その他の関係上、ことに食管会計の繰り入れをめぐりまして、消費者米価の問題その人いろいろな緊急を要する問題がたくさんございます。なお、IMFの会議の結果に基づきましてまた手配を要する点もございます。また、来月の下旬にはアジア開発銀行の総会を日本で開かなきゃいかぬというような事情もございまして、主としては、総理とお話が、病後の静養等もございまして、ようやく本格的にいろいろ御検討願う、御相談願うという時間をきょうから初めてとれるというような調子でございましたので、たいへん恐縮でございますが、午前中はもう少し、ちょっといま一時的でございますけれども、もうちょっとしませんと時間がとれないので、私とりあえずかわってこちらへ参ったような次第でございますので、御了承いただきたいと思います。
  112. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いろいろ御多忙の日程があろうかと思います。その点は了承できますけれども、何といっても、国会で大蔵大臣所管の財源問題が中心になる給与問題ですね、大蔵大臣がいなければ話にならぬわけです。総務長官は六人委員会で、少しでも前向きの姿勢でということ——先ほど北村委員の御指摘によれば、これはもうまさしく八百長であった、私どももそう解釈せざるを得ないような、そういう事態であるわけです。したがって、今日のこの時点で、大蔵大臣が来なきゃ問題でないわけですね。財源じゃないわけです。それを政府は財源だと言っているのだから、その所管の大蔵大臣出席させなきゃ意味がないわけですね。こうやって時間かけて審議しても骨抜きになってしまうわけです。したがって、国会をもし重視するなら、何をさておいても出席してしかるべきだ。これはあなたに言っているのじゃない。大蔵大臣自身に申し上げることばで、これは次回にその点を私からも強く追及したいと思っておりますから、きょうはこの程度にとどめておきますが、帰られたら、内閣委員会で非常に遺憾の意を表しておったということを忠実にお伝えいただきたい。  そこで、もう時間もございませんから問題をしぼって、一、二の問題点としてお伺いいたしますが、六人委員の閣僚は、国会で、口を開けば人事院の勧告は尊重するのだ、ただし、財源がないから実施の時期をおくらせる、こういうことを繰り返し繰り返し言っておるわけですね。これはもうごまかしだ。たとえば数字をあげて申し上げると、本年の勧告は六・九で、これは五月実施した場合に六・九になるわけです。これが九月実施になれば四・三に低下してしまうわけだ。それでも、その内容そのものは尊重するなんてことがどこから言えるわけですか。六・九が四・三に低下してしまうわけですね。したがって、実施の時期をおくらせるけれども、内容そのものはそのまま忠実に尊重して行なうのだ、こういう表現を使っているわけです。そんなことはないわけです。五月に実施して初めて六・九が六・九として生きる。これが九月実施なら四・三にはるかに質は低下してしまう。人事院勧告はきわめて不満で、不当なものであると私どもは見ている。その不満なものがさらに輪をかけて不満なものになってしまう。ここに一つの政府のごまかしがある。これはごまかしじゃないとは言わせない。現に閣僚は必ず勧告は尊重すると言っておるのだが、少しも尊重し七いない。何を尊重しているか。ここに一つのごまかしがある。それから、財源、財源と、   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 先ほどから北村委員から追及があったわけですけれども、これは決して財源でないことは明確だ。池田内閣の際に、特に三十七年、三十八年、この両年度、特に三十八年度においては、税の自然増等が予想外に多くして、財源には相当の余裕があったわけです。にもかかわらず、例年の例によって、財源がないという理由で十月実施にしておるわけですね。という点もまことに不可解だ。財源じゃない。財源前の問題だ。また、北村委員が指摘したように、給与を総括しておる人事院総裁も、人事院勧告と仲裁裁定は全く同じ性格のものであるということを指摘しておるわけです。こういう観点に立てば、三公社五現業の場合も財源は相当苦しいわけです。例年相当無理をしておるわけです。たとえば例年、ここ数年多くやっている問題は、これは大蔵政務次官にもお答えいただきたいわけですが、建設事業費の繰り延べや、経費の移用、流用をやって四月完全実施をあえてしておるわけですね。これは問題は、財源を云々する前に、政府が追い詰められて、結局仲裁裁定の裁定を完全実施せざるを得ないところまで追い詰められて、そこで公社現業に対する仲裁裁定を完全実施しようという方針がきまったわけだ。その方針に沿うて、いまのように建設事業費の繰り延べ、経費の移用、流用をはかって、毎年無理をしながら完全実施をしておるわけですけれども、こちらは四月一日実施です。人事院がごまかして、五月一日になったので、それはしばらくおいて、その点も不公平がありますけれども、それは別問題として、なぜ、同じ公務員公平の原則に沿うたら、こういうことができないのか。この点でも、財源でないということができるわけです。  そこで、やはり一般職の公務員についても、人事院勧告を仲裁裁定どおり完全実施しようという大方針をまず打ち出すべきだ。財源はおのずから出てくるわけです。たとえば私どもしろうとが検討しても、いろいろ方策はあるわけです。たとえば、年度当初に給与改善費を組む。これは大体、昇給費に該当する予算、五%程度でいいと思うんです。あまり、一〇%、人事院勧告に近い数字を組んでおくと、これは人事院勧告を制約するなんという愚論が出てくるから、数歩譲って、昇給程度の五%でいいと思います。で、足らざるを予備費で出すとか、方法はいろいろあるわけです。方策はそこから生まれてくるわけです。  こういう給与改善費を年度当初に組むとか、あるいは次年度の当初予算に不足分を計上するところの、いわゆるあと払い形式をとるとか、また、災害対策費のごとく——災害対策費も、大体どのくらいしか不確定である。そういうことで予備から出しておるわけです。その災害対策費に比べれば、給与改善費というのは例年、いわゆるもう年中行事として、ここ何年も行なわれてきておる。もう確率は、災害対策費の比ではない。したがって、これは給与対策費分として予備費にも組めるわけです。こういう、いわゆる完全実施しようとする良心があるならば、この完全実施ということは、さまで困難ではない。政府は毎年毎年ごまかしをやっておる。にもかかわらず、公務員もたいしたストもやっていない。去年は特に、ああいう事情で中止になった。それに勢いを得て、ことしも財源で、表面ごまかしておるわけです。ごまかしの連続です。にもかかわらず、そういう義務を果たさないで、憲法の精神にも違反すると思われる人事院勧告を無視しておきながら、一方ぬけぬけと、公務員を処罰するということは、とんでもない。公務員を処罰する前に、公務員のストを弾圧する前に、まず政府自体が厳罰に処せられてしかるべきだと思う。義務を果たさない。したがって、結論は、閣議をいま一回開き直して、そして完全実施の線を打ち出す。それまでは、公務員に対する警告などは取り消すべきです。そしてまた、二十一日ストをやってもこれはやむを得ない。政府にその責任があるのであるから、これは処罰などはとんでもない。政府自体に、完全実施する以前においては、警告を発したり処罰する資格は、もう全然ないと思う。ことしの二十一日のストは、相当、公務員もこの点を十分に頭に置いて、真剣に取り組んでおりますから、相当強い態度のストが強行されると思うんです。その責めは一にかかって政府にあろうと思うんです。こういう混乱を予想するとき、まず政府は、果たすべきを果たすべきだ。完全実施して、なおそれでも不満で公務員がストをやる、そういうときに初めて警告を発し、そのとき初めて弾圧——いい悪いは別として、弾圧、これなら、いい悪いは別として一応筋は通る。したがって、そういう誠意を示さぬ限りにおいては、警告を取り消すべきだ。また、弾圧などはとんでもない。そうやって公務員を窮地に追い込み、それで一方、政府はやれ政治の効率化とか民衆化とか、そういうことを盛んに叫んでおりますけれども、笛吹けども踊らずで、なかなか公務員はそういう点は納得しない。不平不満を持ったそういう中では、いい政治は生まれてこない。公社、現業も同じ国家公務員じゃないですか。一般職とどういう違いがある。同じ公務員という観点において、公務員公平の原則をまず政府が果たすべきだ。何ら果たしていない。処罰だけを考える。政治の要諦は、乏しきを憂えずひとしからざるを憂うる。これが政治の要諦であろうと思う。政治家たる者、その点をかみしめて、もっと為政に当たるべきである。これは当然のことなんです。問題はこういう点に要約できると思う。したがって結論は、そういう点をほんとうに理解するならば、そういう点が考えられるならば、閣議も、一度さめたことをやり直した前例は幾らでもあるわけです。決して前例のないことではない。また、非を改めることに勇敢でなければならぬ。一たん閣議できめたから体面が悪いとか、そういう問題じゃないと思う。政治の姿勢を正す意味からも、また、先ほど来の防衛庁長官の問題とか運輸大臣の問題、いろいろな問題が山積している。こういうときに、勇断をもって、まずこの時点で閣議をやり直して、公務員に対する完全実施を敢行してしかるべきだと思うわけです。万が一そういうことができないならば、警告を取り消してもらいたい。そうして二十一日のストは弾圧する資格のないということを自覚して、これは手をこまねく以外にはないと思う。政府にその資格はないわけです。こういう点について総務長官のお考え、そうして大蔵省については、大臣がおりませんので、大臣にかわって政務次官からお答えいただきたい。
  113. 森清

    国務大臣(森清君) 私、率直に申し上げまして、きょうこうしてこの委員会でいろいろ御答弁申し上げていること、このこと自体が非常にほぞをかむような、そういう思いにかられているわけでありますが、御質問の第一である、内容については完全実施するが、時期についてはと、こういう表現は確かにいままでしてまいりました。また、その内容が、内容の中には実施時期も含まれるということも、私はわかっております。しかし、往々にしてこの問題は、この表現は誤解されやすくて、したがって、時期は時期として別に取り扱っておりました。その時期が御期待に沿わないような結果になりましたことは、先ほど北村先生の御質問に対して私がるる申し上げておりますように、まことに遺憾なことでございますが、第二の御質問であるところの財源の問題で、先ほど来小沢大蔵政務次官が述べておりますような、そういう事情を大蔵省当局からるる聞きますにつけても、さらにそれだけでは足りなくて、これから経費の節減も徹底的にするのだ、こういうことを聞くに至りましては、私どもの掲げているその方針も、財源の問題でとんざせざるを得なかった。こういうことであります、そのことは、決して私はいい結果だとは思っておりません。何としても人事院勧告というものを、一歩でも二歩でも前進させる形において、やがては完全実施という方向にいくのが私は当然だと思っているだけに、むしろ内心じくじたるものがあるわけです。さらに加えまして、こうした人事院勧告をめぐりまして、この十月の二十一日にはストライキをやるという話も聞いております。ベトナム反戦等が掲げられておりますけれども、その中にひそむものは、やはり人事院勧告の完全実施だということも聞いておりますし、それだけに私はこうした労使関係がこういう形のままに推移していくということは非常に嘆かわしいことである。同時に、何とかしてこれが正常な形に移って、政府としても人事院勧告は可及的にこれを前向きで解決し、要すれば完全実施の方向に行くし、組合としても、公務員といたしましても法律で規制されておりますように、ストライキ等の戦術は使わずにやることが私はいいことだ、そういうふうなことになるべき時代を夢見ながら私はああした勧告、スト中止に対する私の所見を述べて御注意を喚起したようなわけであります。先ほども申し上げましたように、厳密に言えば、道義的に見て、あるいは法律で規制されたことと同じようなことになるかもしれませんが、とにかく人事院勧告にはいわゆる法律的な規制もないことでもありますし、公務員のストライキというものは、これは明らかに規制されておることでございますので、私はこうした手段に訴えずに、何とかして平穏のうちにというふうなことを念じながら、今日もなおストはやめてもらいたいという強い気持ちを持つものでございます。
  114. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) まことに遺憾ではありますけれども、ただいまの私ども追加財政需要、いろいろな各方面要請考えてみますと、全く税収に、国民の税金に依存する国家公務員の給与改善につきましては、一方において既定経費の節約などを徹底的に各省とも相談をいたしまして、最大限の財源確保、捻出につきまして努力を払っているわけでございますから、この昨年並みの九月実施ということについて、今後これが改定をするなり、あるいは再検討するなりということはとうていできない事情にございます。この点は御了承いただきたいと思うわけでございます。  いま申し上げましたように、公務員の給与改善費の全部が税収というものに依存をしておるわけでございますから、一方、三公社五現業の、企業努力によりましてある程度の増収をはかっていく、あるいはまた、経費のいろいろな節減の余地のある三公社五現業につきましての給与改定というものとは少しやはり私は性格が違うんじゃないか、そういうような意味におきまして、税収に依存をせなければいけない公務員の場合におきましては、やはり見込み得る財源のワク内で、他の補正要因と申しますか、財政需要要因というものをよく勘案しながら、できるだけ私ども公務員の希望にこたえる、これしか方法はないんじゃないか、こういうふうに考えておるものでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  115. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いずれもきわめて不満、不当な答弁であって、そんなことではとうてい納得できない。で、いろいろ問題点はあるわけですけれども、総務長官が人事院の勧告は法的な規制はない、そういうことをもしかりにたてにとって、だから公社現業については仲裁裁定を完全実施するけれども、もしそういう考え方だったらとんでもないことになろうかと思う。もう時間の関係で詳しくは言いませんけれども、人事院がいかなる経緯から生まれてきたか、そういう点を考えあわせたとき、人事院の勧告というものは、公務員に対する唯一の救済機関である。それだけをかみしめていただくならば、法的制約はないとかなんとか、そんなことはもう全く論外の話だと思う。唯一の救済手段だ。しかも、公務員給与に関する限り人事院が総元締めである。人事院の最高責任者である総裁は、仲裁裁定も人事院勧告も全く同格のものである、こういう確認の上に立っているわけである。何らそれは言いわけであって理由にはならぬわけです。しかも、公務員公平の原則に反することはなはだしい。大蔵政務次官は、公社現業とはいささか性格が違う、とんでもない。公社現業といえども相当例年苦しい。もういままでの例年の例を詳細に私は数字をあげてここで申し上げる時間的余裕がきょうはないわけです。しかし、これを要約すれば、最近の公社現業に対する完全実施の経緯は、ほとんど建設事業費の繰り延べあるいは先ほども言った経費の移用、流用によって、苦しい中でもまかなっておる。これは公社現業に対して仲裁裁定を完全実施するんだという政府の方針が先にきまったわけです。そのきめざるを得ないところまで追い詰められてきた。そこで完全実施したわけです。それから例年型のごとく四月一日実施、仲裁裁定完全実施の年を繰り返しておる。これも国家公務員。なぜ一般職の公務員だけにそういう不均衡な扱いをするか。決して無理なことを言っておるわけではない。公社現業よりも何割かよけい出してやれと言うならばいささか無理もあるでしょうけれども、同じ性格の、人事院勧告をそのまま完全実施しなさいといっておる当然の要求であって、また、公務員が二十一日にストを強行しようとするのもこの当然の要求を掲げておるわけです。ぜひ勧告どおり完全実施してもらいたいと思う。公務員自体は、立ち上がらなければだれもやってくれないと公務員自体が見ておるのです。だからストなどを好む者は一人もいない。心ならずもほかに方法がないから政府を反省させる意味で二十一日のストです。昨年度とはまたことしは考え方が違う。この際やらなければ、政府はもう今後永続して完全実施はしないであろう、そういうふうに見ておるわけです。そういう観点に立った場合に、人事院の勧告はいささか違うとか、法的制約がないとか、また、大蔵政務次官の言われるように、公社現業と公務員とは少し事情が違うとか言われるが、何も違いはない。苦しい点については同じであろうと思う。先ほども申し上、げたように、やはり公平に政治を行なうというところに政治のさらに大事な点があろうと思う。こういう立場からいま一度その点についての納得のいくお答えをいただきたい。
  116. 森清

    国務大臣(森清君) 私はいま伊藤さんのおっしゃった意味はよくわかりますし、私もそういうふうに理解しておるつもりであります。ただ法律的な規制がないということは、人事院勧告を政府が完全実施しなければならないという法律がないという意味でありまして、先ほども、法律の規制がないかわりに道義的な責任があるというこういうことばを私は使ったわけであります。
  117. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 御承知のとおりだと思いますが、一般公務員と公共企業体の職員につきましては、やはり労働関係を規制する法律も違いますし、また、大体独立採算をたてまえとします企業体でございますので、あるいは予算制度につきましても給与総額制度というものがとられておりまして、その予算の範囲内におきましてある程度内部で操作ができるようになっておるわけでございます。同時に、先ほど言いましたように、企業努力によるいろいろな点、増収、経費節減あるいは移流用、先ほど先生のおっしゃいましたような建設事業費の繰り延べやその他いろいろなことで操作がしやすくたてまえ上なっておるわけであります。まあ、一方一般公務員のほう、ただいま人事院勧告の対象になる公務員のほうは、御承知のように、もっぱら税収に依存していかなければいけないたてまえでございますので、そういうわけで違いを申し上げたわけでございまして、そうなりますと、やはりどうしても税収全般の面から、私どもとしては、他の財政要因というものを、需要というものをよく考えて、それらを総合した上で実施時期その他内容をきめていかなければならぬ。こういうことになりますので、この点はひとつ毎年のことでございますが御了承いただきたいと思います。
  118. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 全く時間がなくなっちゃったのですけれどもね、いま大蔵政務次官おっしゃったのですが、そういうことを言われたんじゃこれは納得できないですね。三公社五現業は、三十二年からこれは四月一日ぴたりと仲裁裁定のとおり、実施してきておる。十年にわたってですね。公務員の場合は、三十四年までは——三十四年もそうですが、翌年四月一日ですよ。三十五年から十月一日がこれは四年続いている。今度九月一日は三年続いているのです。それでいいということなんですか。よけいな、どうだとかこうだとかよけいなことを言わなくていいのだ。いいという考え方ですね。私はいけないと思うのですよ。
  119. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 私ども申し上げましたのは、九月実施でいいと、人事院の勧告を尊重といいますか、五月実施ということにつきまして九月でいいということで申し上げているわけじゃございませんので、遺憾ながら財源その他いろいろな観点から検討いたしますと、九月実施でやむを得ず納得していただくと、こういうことでございます。
  120. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 森長官あるいは小沢政務次官ね、本年のことを言っておられるわけですがね、しかし、過去私はこの委員会に七年おるのですよ。毎年財源で財源でということなんですよ。それは承知できないわけですよ。毎年なんですよ。あなたと同じようなことを言っておられる。ことしだけじゃない。去年もそうなんです。三十五年以来ずっと財源財源ですよ。しかしあなた、ここへ、大蔵省の税収の伸びですか、出ていますけれどもね、決算で。三十五年だと二一%伸びているのですよ、税収というのはね、それから三十六年二一%伸びておる。三十七年七%伸びておるのです。そういうときだって財源だ財源だということで十月一日が四年続いたわけだ。今度のこの九月一日が三年続くわけですよ。財源ではないと言うのですよ、私どもは。そうだったら今度やったらいいのだ。どうも私は、財源だ財源だと毎年言うから納得できないというのですよ。  それともう一つ長官に伺いたいのですがね、使用者としてあなたはどう思っておるのですか。公務員の使用者としての労使対等、八七号条約発揮しておるのですよ、労使対等の立場でいって、そんなことでいいのですか。警告だけはやってしまう。いまの政府の警告というのはどんなものですか。労使対等という立場から考えた場合に、公務員使用者としてのあなたはどう考えておられるのですか。ストライキをやったってやむを得ぬでしょう、これ。本年だけの問題じゃないのですから。  もう一つ、人事院総裁は、何かこの間の参議院の社労で、国会で修正する道が残っているじゃないかという話をしたそうですね。きょうは総裁見えていませんのでね、どうだということを聞くわけにはいかないのですが、政府も、いままで閣議決定できまった——荒舩という大臣を首にしたのですね。首にしたのか退職したのかそれはわかりませんが、結局辞表を受け取ってやったのですね。これから上林大臣の問題も松野農林大臣の問題も出てくる。松野農林大臣というのも、これはおかしなことを言って農林省の課長以上全部集めて大臣になると同時に就任のあいさつをやったのですが、私の意見に合わないような者は、私に協力せぬような者は一年でも二年でも休暇をとれという話をしているのですよ。それはみんな休暇をとってしまう。大臣が見ておるのですからね、これ。しかし、公務員は常識家ですよ、休暇とらないですからね、休暇とれと言っても。ある局長は、一年でも休暇とってしまったら、われわれ二十日つぶれるから、一年休暇をとるのはいいけれどもあとが過ぎちまうから休暇とれない、休暇とれと言うならば。そういうようなことを言う農林大臣がいるのですからね。いまの政府ですよ。今度のそれは、問題は警告出すというのはどういうわけですか。やめてくれとたのむのはわかるが、私は納得できないですね。そういう点について森担当大臣の意見を聞いておきたいのですがね。
  121. 森清

    国務大臣(森清君) 最初の問題でございますが、私人事院勧告が完全に実施されなかったということ、あるいは昨年と比べてやや景気がことしは上回ってきているじゃないか、こういうふうに世間では見ております。このときに、昨年よりも一歩でも二歩でも前進できなかったということ、これは先ほど来何べんも申し上げておりますとおり、給与担当の大臣といたしましてはきわめて遺憾でございます。率直に申し上げまして、私は自分の非力がまことに反省されてなりませんけれども、そう申し上げたところで私も内閣閣僚の一員でございますし、その原因とするところのものが、先ほど来るる申し上げておりますとおりに、ことしの残された千五百億の財源ですら一、二割の節約をしなければならぬほど逼迫したものであるし、さらにかてて加えて米価、災害、そうした問題で緊急の支出もあることだからということで、大蔵当局から強くこれからの収入の歳入の事情を申されてみれば、これまたわからないではないというそういう立場に置かれまして、昨年と同じように九月一日に実施と決定したわけでありまして、これは決して私は公務員の諸君にこれで納得してくれというふうなことを言うにいたしましてはきわめてほぞをかむような思いである、こういう心境におるわけであります。しかし、だからといって私は公務員がストライキをやる等の行動に出られることは、これは決してほむべきことではないどころか、私はこれだけは厳正にやはり正々たるうちにひとつストライキ等は中止していただきたい、こういうことを切望するものでありますし、しかしそうかといって、こういう状況で毎年毎年財源財源ということで、いつでも人事院勧告の安全実施がなされない、あるいは二歩でも三歩でも前進ができない現状にかんがみましても、私は冒頭に北村さんの御質問お答えしたはずでありますが、何とかして知恵をしぼって完全実施できるような仕組みにできないものか。いままで何べんとなくそうしたことに先輩が努力をなさったことも知っています。また、その壁がどこにあるかということもわかっておりますけれども、それをそれこそ与野党の間でも、政府の立場においても、徹底的な究明をして、その壁を破って、財源の見通しその他等によってこれが左右されることのないような仕組みに直す必要があるんじゃないだろうか、こういうことを私は痛感しているわけであります。
  122. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 長官はね、去年よりも前進しなかったと言うのですが、去年より後退しているのですよ、去年よりも。
  123. 森清

    国務大臣(森清君) 九月実施。
  124. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 九月一日実施というのは、去年は一部は前にさかのぼって実施しているのですよ。諸手当等について前にさかのぼって実施していますですよ。それは去年よりも後退しているわけですよ。しかも、景気は昨年よりもいいということはね、これはおっしゃるとおりなんです。さらにこの民間の賃金の上がりぐあいも、四月以降の民間の上がりぐあいでも、おたくのほうでも検討しておられるでしょうが、去年よりもはるかに毎月上がってきている。だから人事院総裁は異例な申し入れをあなたにもやったし、官房長官にもやっている。財源が余裕がないとかなんとかというのは理由にはならないですよ。ですから私が言っているのは、荒舩さんだって首切ったじゃないか。閣議決定はしたけれども、これから使用者として見た場合は、これは二十一日の問題は困る、何らかのひとつ善処をしたいという考えがあっていいじゃないかと思うんですよ。全く政治性で、政治的にきめている。だから総裁もああ言っておられるんだから、国会で修正する道があるというところまで、これはいままで総裁は十八年そんなこと言ったことはない、初めてです。だから私が言っているのは、考え直してみたらどうかと、こういうことを言っているんです、それについて。
  125. 森清

    国務大臣(森清君) この間の内閣委員会だったと思います。私も出ておりまして、総裁は私の隣でそういうことをおっしゃっているのを私も聞きました。こうした問題につきましては総裁の意図は那辺にあるか、そういったこともよく相談をいたしまして十分な検討は加えたいと思っております。
  126. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  127. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  128. 多田省吾

    ○多田省吾君 今回は九月実施ということに閣議決定したそうで、一歩も昨年から前進しないどころか後退している。非常に遺憾なわけでございますが、八月実施の場合は、大体財源としてどの程度必要でございますか。
  129. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) ただいま八月に一カ月繰り上げた場合のお尋ねでございますが、こまかい数字、もし間違うと悪いものですから事務当局から……。
  130. 津吉伊定

    説明員(津吉伊定君) 八月実施と仮定いたしますと、約五十億ふえるわけでございます。地方のほうは約六十億でございます。
  131. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから現在補正財源確保のために既定経費の節約を強化する方針だというようなことを閣議で決定したそうですが、それはどういうことですか。
  132. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) この給与の九月実施を決定をいたしますときに、私ども大蔵省としては、既定経費の節約等によって相当の財源を見込みませんと、なかなか踏み切れないものでございますから、各省にお願いをしておるのでございます。各省とそれぞれ打ち合わせ中でございます。
  133. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ節約できるというからには相当初めから多く財源を見積もっているということもいえるし、最近の公務員の不正事件の増加等にかんがみて非常にそういう節約できる面が多いんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。それから、今回は間に合わなくても大蔵当局で検討しているそうですが、財源がない、財源がないと申しますけれども、交際費なんというのは去年一年で六千六百億使われている。それに対する特例ですね、非常に、五百億ぐらいしか税金が取られていない。特別措置によって五百億ぐらいしか税金を取られていない。もし特例を認めないで交際費全体に課税すれば、当然千五百億、二千億という財源が出てくるわけですね。それからもう一つは、大会社に対する租税特別措置によって四十六種二千二百億の税金がいわゆる免税になっているというようなこともあるわけです。そういった点について、特に配当分離課税なんていうのは、来年の四月で一応切れるわけですが、検討を始めているということも聞いております。そういった財源確保という問題を大蔵省当局は、交際費あるいは配当分離課税あるいは租税特別措置に関して財源としてどう考えておるか。
  134. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 先生おっしゃるような三点、他のもちろん税制問題も含めてでございますが、目下来年の税制として検討中でございまして、御承知と思いますけれども、政府に税制調査会がございます。これらの結論を待ちまして、来年度の予種編成の問題として検討して結論をつけたいと思っておるのでございまして、ただいまのところはまだ交際費あるいはまた配当利子の分離課税問題、あるいは臨時特別措置のいろいろな税制上の恩典につきましての整理、これは検討中で、結論はまだ出ておりません。
  135. 多田省吾

    ○多田省吾君 そのほかに人事院の勧告時期の問題とか、あるいは当初予算において予備費等を増額して、公務員給与の問題に関しては当然当初において予算措置をとっていなくちゃいけないのじゃないか、そのように思うわけです。また、先ほど質問がありましたように、来年度の予算の先食いというような点も考えられますし、そういった点に関してはいままでずいぶん検討も重ねられてきましたけれども、前向きの姿勢としてどのように考えておられますか。
  136. 小沢辰男

    説明員(小沢辰男君) 実は給与の性格上、あらかじめ来年は、途中に給与ベースアップの勧告がどの程度出るだろうという想定をいたしまして、これを予備費的な性格のもとに組んでおくということがなかなかできないのでございまして、したがいまして、毎年こういうようなことになるわけでございますが、なお、私の承っておりますところによりますと、昨年同様今年もさらにこの人事院勧告の処理方法等につきまして、一そう、六人委員会ではそれぞれ事務当局間で検討を引き続いてしようということになったように聞いております。
  137. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に大蔵省の当局にも、政府自体がこの給与問題に対して少しも前向きの姿勢を示さないで、ストライキを規制しようというような措置ばかりとっているわけでございますが、われわれとしては、はなはだ遺憾であると、かように思います。今後また、今度の九月実施の問題も、その閣議決定をくつがえして、少しでも前向きの姿勢、たとえば八月実施というような線に改正すべきである。また、来年度からにおいても、もっともっと財源措置においても、大会社の免税というような点が非常に多い、幾らでも財源は政府が前向きの姿勢で考えれば確保できる。そして公務員の給与問題に対しても、そんな言いのがれじゃなくて、当初から予算だって予備費の増額といった面で組めるわけだし、また、翌年度の予算の先食いという点も考えられるのだし、また、勧告の時期だってまだまだ考えられる余地があります。そういった点において、もっともっと前向きの姿勢でこの問題を検討するということを強く要望しまして質問を終わります。
  138. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御発言もないようでございますから、本件につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十一分散会