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1966-07-21 第52回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月二十一日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君     委 員                 源田  実君                 船田  譲君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 鶴園 哲夫君                 山本伊三郎君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    政府委員        建設大臣官房長  鶴海良一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        警察庁警備局警        備課長      後藤 信義君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家公務員に関する件)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは、ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。  国家公務員に関する件につきまして質疑通告がございます。  関係当局からの御出席は、後藤警察庁警備課長鶴海建設省官房長、以上の方々であります。  それでは質疑を願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、いまから若干の時間、建設省官下にありました組合員に対する不当労働行為関係して、二、三お伺いしておきます。  私が申し上げるまでもなく、建設省は約三万五千七百名をかかえた大世帯でありますが、このうち約九二%の三万二千五百名は地方建設局関係職員となっておるようです。この三万有余名地建関係課長補佐以下の職員人事権、任免とかあるいは配属、昇任、昇給等、このような人事権は便宜上地方建設局長にゆだねられておるようであります。しかし、ゆだねてはおっても、本省としては当然最終的には責任があるわけです。それでお伺いするわけですが、人事管理上どのような基本方針地方に示しておられるのか、順序としてまずこのことからお伺いしたいと思います。
  4. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 人事管理の問題につきましては、国家公務員法の規定及びその精神に従いまして適正に運用していくよう指導いたしております。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいまもちょっと指摘申し上げましたが、地方建設局長人事権を委任しておるわけですけれども、結局、人事権本省にあることは言うまでもない、したがって、常にこの実態を掌握していなければならないと思うわけです。したがって、適宜適切な指導が必要だと思われるわけですが、建設本省としては、地建人事実態をどのように把握され、また、どのように考えておられるか、このこともお伺いしておきたいと思います。
  6. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 御指摘のように、地方建設局上級幹部職員を除く、それ以外の職員人事権につきましては地方建設局長にゆだねております。ゆだねております以上、地建局長のみずからの判断において最も適当と考えられるところを実行していただいておるわけであります。特に、特殊な事件があるというふうな場合等におきましては、地建局長のほか、建設本省に対しましていろいろ相談を持ちかけられております。なお、定期的な報告等によりまして、人事実態はこれは把握いたしております。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 便宜上、地建局長人事権を委任しておることはいろいろこのほうが都合がよろしいということで理解できますけれども、ただ、しかし、人事権は本来本省にあるべきものであって、便宜上ただゆだねておる、そういうことであろうと思うんです。したがって、最終的には本省に、人事権に関する限り責任はある、こういうふうに解釈されるわけですが、かような理解でよろしいかどうか。
  8. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 委任はいたしておりますけれども、これはあくまでも建設大臣任命権人事権を委任いたしておるわけでございまして、最終的な責任建設大臣にある、かようにお考えになってけっこうであります。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでお伺いするわけですが、関東地建高崎工事事務所ではもうあまりにも有名になっておりますが、たとえば工事事務所当局組合に対して、官舎に入れてやるからひとつ組合脱退しないかとか、あるいは転勤を希望どおりかなえてやるから、この際組合脱退したらどうかとか、あるいはひとつ係長にしてやるから、この際どうだ組合脱退しないか、あるいはまた、昇格させてやろうじゃないか、だからひとつこの際組合脱退したらどうかというような数々の条件を提示して、いわゆる脱退勧奨しておる事実。あるいはなお、悪質な面になると、すでに非組合員になっておる者を動かして、脱退工作させるとか、こういう事実。たくさんの事例がここへ陳述書という形で集まっておるわけですが、こういうことはきわめて遺憾な問題であって、三十九年の十月から本年の四月までの数を見ると、大体かような工作脱退した者が六十名ほどおるわけです。高崎工事事務所に限定して考えて、これはもう確実な例証が本人から出ておるわけですけれども、ひとつこういう事実を一体何と見るのか、どういう目的でこういうことをやったのか、われわれとしては理解に苦しむわけです。どういう目的でやったかということと、また、職員全体を対象としたのか、それとも特定組合員対象としてやったのか、こういうこともあわせてひとつこの際明らかにしておきたいと思う。
  10. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 高崎工事事務所は、関東地方建設局の中の工事事務所のうちでも特に従来から労使間の関係にいろいろ緊張状態が続いておったような関係がございまして、双方の間にいろいろ不信感が高まっておるように見受けておりまして、前々から建設省本省といたしましても特に注意をいたしておった工事事務所でございます。関東地方建設局におきましても、この工事事務所につきましては注意をいたしておったわけでございます。現在直ちにこの相互不信感をなくする、相互信頼状態に持っていくということはなかなか困難でございますけれども、少なくとも着実にその不信感を薄らげていくという努力が必要であろうと思っておりますと同時に、そういう状況でございますから、相互に行き過ぎのないことを期待しながら注意しておったわけであります。そういう工事事務所でございますが、ただいま御指摘のように、組合員脱退数、これは一昨年あたりから逐次ふえてまいっておりまして、六十になるかどうか、私のほうも的確に把握する資料がございませんが、相当数脱退が出たというのが事実のように聞いております。ただこの脱退につきまして建設省職員団体でございます全建労のほうから、官側のほうで脱退を強要しておるのではないかということを言ってまいっておりまして、特にことしの四月ごろに事例を五つほどあげまして、調査をしてくれと言ってまいりました。この事例としてあげられた中に、たとえばただいま御指摘の、官舎に入れてやるから脱退しろ、あるいは転勤させてやるから脱退しろ、そういうことの事実があるんじゃないかという指摘があったわけでございます。そこで建設省といたしましては、関東地方建設局総務部長に命じまして、事実の有無を調査させたわけでございますが、官舎に入れてやるから脱退しろというふうに、官舎とかあるいは転勤とかということを理由にいたしまして、脱退を強要したという事実はないという調査報告が参っております。そういうふうに疑われるような行為があったかもしれませんけれども、事実はさような脱退条件にしまして、官舎に入れるとか、転勤をさせてやるとかいうふうなことはございません、そういう報告を受けておりますので、特定目的を持って組織的に脱退を推し進めていったというふうなことはございませんので、したがいまして、その目的が何であるかと申されましてもここでお答えいたすわけにまいらぬような次第であります。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それはまことに理解しがたいことで、これはもう県下各労働組合で有名な事実になっておるわけです。調査させた結果そういう事実はございません——事実あるのにございませんということとなると、これは論議が進んでいかぬと思うのです。ここにある数々の陳述書を見れば、事実そういう勧奨を受けた組合員はありのままに陳述しておる。これに目を通しますと、明らかに先ほど指摘したような、官舎に入れてやるからとか、転勤を希望どおりさせてやるからという、そういう事実が現存しておるわけです。その事実を調査の結果はございませんということになると、これは論議にならぬと思うのですね。これは確信持って言えますか。こういう事実をあげてまた本人に承っても、こういう事実のあることを陳述しておるわけです。そういう事実はございませんということになると、これは何をか言わぬということになって、そのことからもっと掘り下げなければならぬことになるわけです。これはもう過ぎたことだから、われわれはそれをあくまで追及するのが目的でなく、そういう不当労働行為は今後あっちゃいかぬ、絶対そういうことはやめてもらいたい、そういう角度からお願いしておるのであるから、やはり事実は事実として率直に認めてしかるべきだと思うのです。
  12. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 関東地方建設局におきまして調査させたことを申し上げたわけでございますが、労働組合であります全建労から出てきました事例につきまして御説明申し上げますと、ただいまお話ししました官舎の入居につきましては、たとえば結婚したので、官舎に入りたいという希望を出しておった、ところが、やっと官舎があいて入居できることになったので掃除をしていたら、庶務課長経理係長が来て、紙と鉛筆を用意して脱退届にサインするようにと言われたというようなことを言ってまいっております。結婚に伴って官舎に入った事例はこれはございます。ございますが、全建労のほうは何のだれがしという人の指摘はいたしておりませんが、その結婚に伴って官舎に入った事例につきまして調査をいたしました結果、この事例につきましては、正式に官舎に入るという手続が終わる前に、すでに荷物を運び込み、水道、電気等使用手続を進めておったというふうな事実がございましたので、庶務係長本人に会って注意をしたということでございまして、紙と鉛筆を用意して脱退届にサインをさせたという事実はございません。それからまた、たとえば係長にしてやるから組合脱退しろと言われたというのは、これは言われたほうの人の名前をあげまして、塚本という人の名前をあげまして、全建労から調査をしてくれと言ってまいっておりますが、この名前をあげております者につきましては、本人にも確かめておりますが、現に脱退はいたしておりますが、係長にいたしておるわけでございませんし、また、本人もそういうことを言われた覚えはないということを言っております。そういうふうに建設省としましては、できる限りの手を尽くしまして、事実を調査いたしたような次第であります。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではお伺いしますが、省としても手を尽くして調査をやったというのは、それは高崎工事事務所当局だけについて調査したのか、やはり組合側とも会って調査されたのか。えてやはり一方的になると、正確な判断はしがたいと思うのですね。両者の言い分を十分聞いて、しかし、こうやって数々の陳述書がまとまっておるわけで、固有名詞まで入れて一々名前を申し上げませんけれども、こういう事例がたくさんあるわけです。しかし、現実に、先ほど申し上げたように、一昨年の十月から本年の四月までに六十名も現実の姿として脱退しておる。もちろんその六十名の中には、いわゆる当局脱退勧奨によらない者も何名かあるかもしれません。だがしかし、大部分はこうやって条件を提示して勧奨によって脱退した、そういう本人からの陳述書がある以上、これはそういう事実はございませんとここでりっぱに言い切っても、それは当然正確な判断とは受け取りがたいわけです。歴然としてこういう事実があるわけです。それは一つ、二つの特例をもって調査した結果、脱退勧奨によるものでなかったというのも一部にはあるやもしれません。それはそこまでは断定できませんけれども、大部分脱退勧奨されたことによって、あるいはまた、非組合員を動かして脱退工作をすることによって脱退した、そういう事実が歴然としてあるわけですね。こういうのは、やはり事実は事実としてこの際認めて、こういう不当労働行為は今後根絶すべきである、そういう前向きの姿勢で今後の対策を講じてしかるべきである、そうして、労使はいわゆる善良なる労働慣行によってお互いに信頼し合う、そういうことによって初めて事務所能率があがっていく、こういうことになろうかと思うのです。いまのような、お互いに敵視しておる中からは決して善良なる労使慣行も生まれてきませんし、ということになれば、結局能率もだんだん低下していく。これはゆゆしい問題だと思うのです。そういうことで、やはり事実は事実として認定して今後に対策の重点を置いてしかるべきだと思う。そういう観点からお伺いしておるわけです。事実があったからといって、それをあくまでも追及するだけが決して目的じゃないわけです。今後に備えるための指摘をしておるわけです。このところを誤解のないように。
  14. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 高崎工事事務所事例につきまして調べたのは、全建労から特に提示されました五件につきまして調査したわけでございますが、その五件につきまして調査いたしました結果を関東地方建設局から報告を受けておりますので、それを申し上げたわけであります。その他脱退された方が相当あるように伺っておりますが、その人方脱退動機等につきましては調査いたしておりません。  なお、先ほど申されましたように、労使の間の善良な慣行を打ち立てていかなければ職場がうまく運営できないじゃないかというお話、ごもっともであります。われわれもよい慣行の確立に努力しておるわけでありまして、その趣旨におきましては全く同感であります。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 やはりこういう事実は事実として正確に確認して、そこから出発して対策を打ち出す、こういうことが順序だと思うのです。したがって、まだ調査不十分であるならば、大事なことだからひとつ十分早急に調査してしかるべきだと思うのです。  なお、いわゆる事件の発端になりましたのは、高崎工事事務所長の、いま幾つ指摘した不当な人事権行使に対して、所長面会を求めた者が拒否されたということから問題が起きておるようです。これは五月十四日に、幾つか具体的に申し上げたことは、抽象的に申し上げると、組織破壊になるということと、それを脱退工作実情をこの際正確に調査をする必要があるということで、参議院大森創造君をはじめとして調査団が五月十四日に高崎に参りまして、ここで事務所長不当人事権行使に対して話し合いを持ちたい、こういうことから始まったと思うのです。したがって、もし工事事務所当局に、いや不当労働行為などは絶対にないのだという確信がもしあるならば、重々と会って、そして事実をそこで解明すれば問題ないわけです。すなおに面会して率直に話し合おう、こういうことがもしなされたならば、何ら問題は起きてないわけです。にもかかわらず、管理者として、高崎工事事務所のとった態度が、管理者としてあるまじき態度管理者として当然持つべき態度に欠けておったために、こういう事件にまで発展したということになると、その責任はあげて管理者にあるということが断定できるわけです。このことについて本省としてはいかようにお考えになるか、この際伺っておきたいと思うのです。
  16. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 労働組合交渉要求を受けました場合に、場所、日時、人員等、あらかじめ届け出まして会うという正規の手続であれば、これは何ら問題なかったと思います。ところが、ただいま御指摘の五月十四日のことにつきましては事前に何も通告がなかった。もっともその直前に全建労代表の者三名はかりが工事事務所に参りまして、これから面会をしてほしいという要求があったそうでございますが、一たん帰りまして、その後引き続きまして五十名ばかり、これは全建労組合員ばかりではなくて、そのほかの人も入っておったそうでございますが、五十名ばかりの人が事務所に参られたわけであります。その中に参議院大森創造先生がおられたのでございますが、急に大ぜい面会を求められましても直ちに応ずることはできませんので、大森先生だけお入り願いまして、事務所長と会談いたしております。そういう状況でございます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは、ものごとはやはり形式にとらわれぬで、いま申し上げたように、工事事務所当局に全く不当労働行為がないのだという確信がもしあるならば、何ら面会を拒否するとか、形式的にその直前にしか通告がなかったとか、数が五十名おったとか、あるいは他労組の方もおったとか、結局結論としては大森創造参議院議員だけに会って他の労組代表は全然入れてない。そこのところに問題があるわけです。で、国家公務員法の百八条の五にもありますように、組合代表者は結局みずから選んだ代表当局交渉することができるということが明確に組合に与えられておるわけですね。したがって、いま官房長指摘されたように、あらかじめ通告がなかったとか、そういう形式にとらわれないで、事を話し合いの中で解決していく、そういう基本的な姿勢がもしあるならば喜んでお会いして、もしほんとうに不当労働行為がないというならば、むしろ当局が進んで実はこういう誤解があるようだがかくかくしかじかだと解明する絶好の機会でもあるわけですね。それを多くの人々の礼儀上正しく名刺を出して、私はこういう者だということでお会いしたいというのに、その名刺も受けなかったというに至ってはきわめて非民主的な運営であると指摘せざるを得ないわけですね。こういうことから問題は起きておろうかと思うのです。そこで問題は、やはり面会を求められたときには、気持ちよくお会いして、話し合いで事を解決する、その姿勢が事を解決し、あるいは混乱におとし入れるということになかろうかと思うのです。問題は姿勢の問題だと思うのですね。当局にそういう姿勢が持たれておったならばこういう問題は絶対に起きていないわけです。なぜそういう話し合い機会をみずから放てきして事態を混乱におとしいれたか。そういう点から言うと、工事事務所に当然の責任があると指摘せざるを得ないわけですね。この点はどうなんですか、本省としては。
  18. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 建設省側労働組合との交渉につきましては、たとえば本省交渉いたします場合には全建労本部交渉に当たる。あるいは地方建設局長交渉いたします場合は、その全建労地方本部の役員と交渉する。工事事務所なんかにおきましてはそこの支部のしかるべき人と交渉するという慣行をもって進んできておりますし、これが交渉段階としましては、適当な慣行ではなかろうかとわれわれ考えておる次第でございます。したがいまして、高崎工事事務所事件につきまして、高崎工事事務所にあります支部、全建労支部から正式の手続によりまして交渉要求されますれば、もちろん工事事務所としても交渉に応ずるわけでございますけれども、この五月十四日の事件につきましては、これはまあ建設省の全建労職員以外の方も多数入っておったようでございますし、また、関東地建地方本部の方が交渉工事事務所長に求めておられたというようなことで、従来の慣例とも非常に違う行き方でございます。さようなことでこの面会に応じ得なかったという事情もあったろうと思います。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは先ほども申し上げたように、そういう不当なる脱退勧奨するような、あるいは非組合員をして脱退工作をさせるような、そういう組織破壊とも言うべき脱退工作実情は一体どうであろうと、まあ大森君は国会の立場で実情調査に行ったわけですね。何もなぐり込みをかけに行ったわけではないのですね。静かに話し合いをしたいということで、しかも礼儀正しく、それぞれ組合方々名刺まで出して私はこういう者です、こういう調査に参りましたと、所長さんに会わしてくださいと、礼儀正しくやっているのに、長田課長は最初の段階から、名刺——せっかく人が名刺を出しておるのに、名刺も受け取らなかった。小さなことを言うようですが、ことほどさように、そこにも当局の間違った姿勢がうかがえるわけです。なぜ会わないのか。それはもちろん五十名ももしかりに行ったとすれば、五十名の方全部とお会いすることもなかなか困難でありましょう。だから代表の方十名とか十五名に限定して、そういう方法もあるわけですね。そうして若干の時間話し合って、これはこうだ、これはこういうふうに誤解があるけれども、これはこうなんだということをなぜそこで解明しないか。それはやはり不当労働行為があったればこそ、会いたくなかったのでしょうが、会えばいろいろ追及を受ける羽目になるから、そういうことが当然考えられるわけですね。そういうことからもやはりそこに不当労働行為が現存しておったということをみずから裏書きしておることに終っているわけです。そうして事を混乱におとしいれた。その責任は全く工事事務所当局にありと断定せざるを得ないわけです。これらは、やはり監督の責任のある本省としてこういう状態のままで高崎工事事務所を置く限りは、高崎工事事務所成果はあがらぬと思うのです。こういうことでは、お互い労使がにらみ合っていたのではどうにもならない。成果があがらない。非常に不明朗、灰色の職場ということになる。これを間近にある本省が手をこまねいているということはないと思う。なぜ人事を刷新して民主的な方向に指導しないのか。これは本省責任の問題につながると思うのです。そういう角度からお伺いしている。この点はいかがですか。
  20. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 冒頭にも申し上げましたように、高崎工事事務所労使間におきまして不信感が非常に高まっておるという現状でございますことは先生御承知と思います。そういう状況を幾らかでも改善していきたいということは本省としても念願いたしておるところでございますし、気分一新というふうな意味で、五月の初めに実は首脳部人事の異動もやったわけでございます。その直後、新しい工事事務所長が着任して間もなくこういう事件が起こりまして、まことに残念に思っておるわけでございますが、新しい事務所長が五十名ほどの方々とお会いしなかったから不当労働行為があったのだろうというわけでも私はないと思いますが、まあ新しい工事事務所長のもとで、新しい気分でよい労働慣行が確立されていくことをわれわれは期待いたしているわけであります。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 国家公務員法百八条の七に明確に出ておりますように、「職員は、職員団体構成員であること、これを結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと、又はその職員団体における正当な行為をしたことのために不利益な取扱いを受けない。」ここに明確に国公法に出ておるわけですね。そこでこの運営については官房長は、冒頭国家公務員法に準じて取り扱いたい。そういう基本的態度の開陳があったわけですね。そうだとすると、この国公法は全く無視されておるということになるわけです。さきに述べましたような不当労働行為があったとすれば、これはただ単に不当労働行為であるばかりでなく、これは人事権乱用もはなはだしいと指摘せざるを得ないわけです。そういうことが公然と行なわれておるということは、当然に不当労働行為であると同時に、人事権乱用である。これはまさに国公法違反と言わざるを得ないわけです。こういうことになると、これは当面は高崎工事事務所のやったことではありますけれども、繰り返し御指摘申し上げておるように、これは本省としても当然責任がある。本省としては、大体高崎工事事務所が明朗に運営されてない。非常にお互いに敵視し合っているという事態を憂えておったということは官房長も認められておるわけですが、ただ憂えておっただけではどうにもならない。やはりとるべき措置を適切にやって、はじめてこれを解決し得ると思うのです。そこで先ほども申し上げたように、この不当労働行為をとにかく追及するだけの目的で私はここでお伺いしておるのではなくて、今後こういう事態を全くなくして、いわゆるよき労使慣行をつくり上げない限り、そうすることによって、明るい職場づくりをすることによってはじめて能率はあがってくる。これはいわゆる国家行政の大綱でなければならぬと思います。いわゆるそういう明朗な、明るい職場になってはじめて能率も向上していく。これをこのままほっておくということは、これは本省の怠慢ということにもなろうかと思うのです。そこで今後の問題を重視して、そういうことをお伺いしておるということをよくお考えいただいて、早急に、やはりこのままでいかぬと思うのです、明るい職場をつくるためには。これはやむを得ない、やむを得ないでほうっておけば、ますます不明朗になるわけですから、何らかの抜本的な手を講じて、明るい職場づくりに、災いを転じてしあわせの方向に持っていく。それがもって本省としてのとるべき当然の態度であろうかと思うのです。そういう点に重点を置いてお伺いしておるわけですが、一体どういう手を打とうとなさっておるのか。そういうお考えがもうすでに日が経過して長いわけですから、十分対策が立てられておると思いますが、明るい職場づくりのためには、いかにすべきかという具体的な方策ですね、この点についてお伺いしたい。
  22. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 先ほども申し上げましたように、高崎工事事務所につきましては、去る五月の初めに、工事事務所長も更迭いたしたりいたしまして、まあ気分の一新をはかったわけであります。その後、ただいま御指摘のような事件が起こったんでございますが、何ぶんまあ所長着任早々でございますので、これからの努力にかかっておると思いますが、先ほど御指摘のような不当労働行為、われわれはないものと信じておりますが、しかし、労使関係、往々にして行き過ぎもあり得ないわけではございませんので、そういうことも常に注意いたしておる次第でございます。  つい最近も、人事課長会議を開きまして、行き過ぎのないよう、特に私からも訓示をいたしておる。そういうふうに平素の努力は必要である、何かあってすぐ大改革をやるというふうな問題ではなくて、毎日毎日の努力の積み重ねによりまして、明朗な職場をつくり上げてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで時間の制約もございますので、最後に強く当局に御要望申し上げておきたいと思うのですが、先ほど御指摘したように国家公務員法第百八条の五にもありますように、やはり当局としては組合話し合いに応ずる、ただ形式にとらわれないで、繰り返し申し上げたように、やはりおおらかな気持ちで、組合から話し合いの申し入れがあった、それはあまり突然であった、形式が欠けておるからだめだと、そういうことでなく、そういう姿勢でなく、あくまでも民主的に政治を運営するという立場に立って、いわゆる労使話し合いによって、よき慣行をつくっていこうと、そういうことであるならばですね、本省といい、また地方工事事務所といい、国の出先機関であろうと本省であろうと、やはりおおらかな気持ちで組合代表と会って話し合いを進めていく、話し合いによって事を処理していく。これはきわめて大事なことであろうかと思うのですね。そういう基本的な姿勢のあるところ、こういう混乱は起きないと思うのです。やはりこういう非民主的な姿勢が持たれる限りですね、事は明るい方向には進展しないと思うのですね。そういう立場からですね、やはり機会あるごとに進んで誤解を受けるような場合には、当局のほうがむしろ組合代表と会って、よく話し合いでこういうことはこのような考え方からこうやったと、すべて話し合いのうちに事を取り運ぶ、そういう基本的な姿勢がきわめて必要であろうかと思うのです。高崎工事事務所のこういう点よく反省して、今後そういう姿勢で対処してもらいたいと強く要望したいと思うのです。この点に対する建設省としてのお考えはどうですか。
  24. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) よく話し合いをやって事を進めていくという御趣旨、まことに賛成でございます。ただその話し合いが明朗であり、かつ秩序立ったものであることをわれわれは願っておるわけでございまして、混乱の場において話し合うということは、必ずしも適当な話し合いのしかたではなかろうと思います。したがいまして、今後ともわれわれはできるだけ組合員の諸君とも明朗にかつ秩序をもって話し合いを進めていく機会をできるだけ多く持ちたいというふうに考えております。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、次に警察庁側に、いわゆる高崎警察のとりました組合役員の不当逮捕の問題について二、三お伺いしておきたいと思うわけです。  まずお伺いしたいのは、高崎警察はいわゆる問題発生の五月十四日から相当期間が経過した六月四日に、全建労関東地本の大河原委員長を不当逮捕している。それから三日置いて六月七日には、同じく全建労関東地本の茂木青年婦人部長をそれぞれ逮捕しておるわけです。そこでお伺いするわけですが、どうもこれはあらゆる事実から判定して、どうにも納得できないわけですが、逮捕するに踏み切ったその経緯、それと逮捕の理由は那辺にあったのか、まず順序としてこのことからお伺いしたいと思います。
  26. 後藤信義

    説明員後藤信義君) まず五月十四日に、高崎工事事務所で起こりました事案でございますが、これはいま先生お話しになりました二名の逮捕者を出した事件になるわけでございますが、概略申し上げますと、五月十四日午前でございますが、先どほお話の中にもちょっと出ておりましたが、四名ばかりの人が事務所にやってこられて、そして、きょうは国会議員の先生が来られるから所長に取り次いでもらいたいというようなことを申し入れておるようでございます。そして、一たん引き揚げた後に、十二時近くになりましてから約五十名ばかりの労組員が参りまして、そして、国会議員が調査に来たので所長に取り次いでもらいたい、と。そして、みんな所長に会いたいというような申し入れがあったようでございます。それに対しまして所長のほうから、先生一人だけに限ってお会いしましょうということで、ほかの人々と会うことは承諾しなかったのでございます。これに対しまして、所長の部屋は三階にあるようでございますが、この三階のほうに国会議員の先生と御一諸に約二十名ばかりの人々が一緒になって上がってまいりまして、所長室の前の廊下のところで、中に入れろというようなことで、これに対しまして三名ばかりの当局側が、所長はお会いにならぬということで断わっておるというような状況であったようでございます。で、その過程におきまして、庶務課長に向かいまして、おまえのような話のわからぬやつはない、というようなことを言って、この被疑者の一人がつばを吐きかけたというのが第一点。  それから、この状況を写真にとっておりました者を追いかけまして、そして三階から二階に向かって、二階の部屋で今度は、何のために写真をとったのだ、フィルムをよこせというようなことで五、六名の者が今度は庶務課長と、それから写真をとった者を取りかこんで詰め寄ったようでごいざます。で、その過程で、外に出て話をつけようというようなことで、写真をとった者及びこの庶務課長に対して外に出るようにということを言い、そこでこの厚真をとった者を洋服をつかんで、そして引っぱり出そうとしたというようなことをやったようでございます。そこで、庶務課長がこの写真をとった者をかばいながら廊下のほうに出ようとした。そのときに、はずみでこの被疑者の一人がしりもちをついたようでございますが、そのとたんにもう一名の被疑者がこの写真をとった者のももをけ飛ばしておるのでございます。そして、しりもちをついた他方の被疑者のほうは、立ち上がるやいなや庶務課長を三回ばかり顔面を殴打しておるというのでございます。そういたしまして、結局傷といたしましては、写真をとりました者に対しましては全治八日間、それから課長のほうに対しましては、三べん殴打しましたことによりまして全治一週間ばかりの傷害をした、こういう状況でございます。さらにこの課長をなぐるその段階で写真をとった者がけられた、そのときに、暴力をふるうなということを長田課長が、これは課長のほうでございます。庶務課長が言いますと、何を言ってやがるんだというのでつばを吐きかけた、こういう事柄、こういう事件があったのでございます。でこれらはいずれも傷害ないし集団による暴行ということでございますので、「暴力行為等処罰ニ関スル法律」の第一条に該当するわけでございます。そういうことであったのでございますが、これは翌々日庶務課長のほうから警察のほうに届けがありまして、そうして事件が発覚したのでございます。直ちに警察としましては、これに捜査を開始したわけでございますが、まず順序といたしまして、それぞれの関係者から状況を聞いていかなければなりませんので、この被疑者あるいはその他現場におりました者からできるだけ状況を聴取いたしまして、そうして犯罪容疑か明らかになりましたので、これにつきまして逮捕状をとって調べをすることにしたのであります。そうしてただいま先生お話のように、翌六月の四日に一名、それから六月の七日に一名を逮捕しておるのでございます。逮捕した理由は、集団でその威力を背景にした暴力事犯でございますので、やはり証拠を保存するという必要がございます。端的に申しますと、証拠隠滅のおそれがあるということで、これは任意の捜査ではその目的を達することができないということで、強制捜査に踏み切ったものでございます。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう大体警察の職権行使というのは強権であるわけです。したがって、民主的な理念を基調とする運営があってしかるべきだと思うのですね。慎重を期すべきことは当然であるわけです。そこで不偏不党かつ公平中正でなければならぬということで服務の宣誓が行なわれておるわけです。これは私が指摘するまでもないわけです。そこで問題は、労使の問題でありますが、特に労使の問題については一そう慎重さが必要であるということはもう言うまでもないわけです。でこの十四日のいわゆる先ほども申し上げた脱退工作実情調査団が、大森参議院議員をはじめとして各労組代表の支援を得て、ぜひ長田庶務課長を通して所長に会いたいと、こういう要請から来ておるのですね。先ほども申し上げたように、決してなぐり込みをかけるとか、暴力をふるうとか、そういうことはいささか、毛頭もない。ちゃんと礼儀をわきまえてそれぞれ名刺を出して、礼儀正しく面会を求めた。そこで会っておれば、何らこういう問題は起きていないわけです。百歩譲ってもし集団で威力を発揮したということが、もしかりにあったとしても、それだけを責めて、そういった当然国会法にも認められておる、こういう交渉受け入れを不当に拒否した者をそのまま放置するという点はないと思う。いわんや何ら集団で威力を発揮したということもない。特に私の調査によると、この陳述書もございますが、大体初めに長田課長が体当たりをして大河原委員長を転倒さしておる。これは万人が認めておるわけです。管理者にあるまじき非常識な逸脱した行為をとっておるのはむしろ長田課長だ。その長田課長は何ら逮捕されないで、何ら暴力をふるっていない大河原委員長が逮捕されておる。これは全く了解に苦しむわけです。で、長田課長の発言によると、大河原委員長は頭を三回なぐったとかそういうことを言うておるわけでしょう。これはそこに居合わせた特定多数の方々がみんな事実無根であるということを確認しておるわけですね。こういうふうに警察が、特に高崎警察が一方的に工事事務所例の言い分だけを聞いて、特に長田課長は体当たりをして委員長を転倒させたという、そういう管理者にあるまじき行為をやっておるのを不問に付して、そしてむしろ事実無根の、頭をなぐったというようなことを根拠にして不当逮捕するということは、全くこれは片手落ちの非難は免かれぬと思うのです。こういうことでは民主警察の運営は成り立たぬと思うわけです。この点をどういうふうに把握をしておるのか。高崎警察の代表の方に来ていただけば事は明確になるわけですが、警察庁としてもこの点を把握しておると思いますので、この点についてひとつ警察庁の正当なお考えを先ほども言った不偏不党、公平中正な立場に立ったひとつ考え方をお述べいただきたいと思います。
  28. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 先生いまお話しになりましたように、労働問題につきましては、原則として警察の関与する問題ではございません。ただ、しかしながら、労働運動に随伴しまして往々にして不法行為が行なわれるというのは、残念ながら事実でございます。そういたしますと、おおよそ人の身体、生命、財産を保護し、公共の秩序を維持することを責務といたします警察といたしましては、当然その方々に対して、職責上その不法行為に対しまして捜査を開始するのが当然の義務でございます。そういうことでございまして、今回もどちらか一方の側に特に味方をするとか、あるいは不利な扱いをするとかいうことは全然私ども考えてもおりませんし、さような指導もいたしておりません。また、高崎警察署並びに群馬県警におきましても、さような考えをもってこの事案の処理に当たっておるのではございません。やはり不偏不党、ただいま先生がおっしゃいましたとおりの態度で、この事案の処理に当たっておるのでございます。で、こまかいことでございますが、これは本件に関係は必ずしもないと思いますが、いま先生おっしゃいました中に名刺を出しておるといったお話があったようでございますが、私ども群馬県警から受けております報告では、冒頭に私も申し上げました四名ばかりの者が参りまして、きょうは国会議員の先生が見えるから所長に取り次いでくれということを言われたときに、被疑者の一名は、その身分を明らかにしたようでございますが、一緒に参りました三名の方々は、これはどなたですかということを庶務課長が聞いたのに対して、名前を言う必要はないということで、これは拒否しておるようでございます。  それから次は、会うことでございます。これは先生いままでにも御指摘になりました国家公務員法の百八条の五、これには交渉のやり方がそれぞれ書いてございます。やはり交渉をやります場合には、それぞれの手続を経てそうして交渉を求めるべきものでございます。したがいまして、突然一方的に交渉を求め、あるいは交渉の事項を明示せずに、あるいは人数、日時、場所等を明示しないで、直ちに交渉に応じろと言ってきたことは、これは必ずしも法の保障するところではないと私どもは考えております。  それから問題は本論に入るわけでございますが、この庶務課長のほうがむしろ体当たりをしたということでございます。これは当然そのような事実と申しますか、そういう疑わしい事実が中に出てまいりましたので、この点につきましては、十分にできるだけの捜査の手は尽くしたのでございます。しかしながら、遺憾ながらいわゆる組合側の人たち、これは何べんもひとつ参考人として供述をしてもらいたいというような意味で出頭を求めたのでありますけれども、これは全然拒否されております。いまだに一名も組合員は取り調べに応じておりません。ただ被疑者だけであります。そういたしますと、心ならずもこれは組合側の供述はどうしても得られないということで、当日現場におります管理者側と申しますか、その他の組合側の人々の中に入っていないそういった人々の供述に応じる人、これら以外に手がないわけであります。そういうことでそれらの人を調べた結果、この課長が故意に突き飛ばして、被疑者の一人をしりもちをつかしたというようなことは出てこなかったのでございます。それでございますので、その点につきましては、十分にできるだけの調査を尽くして、ただいままで捜査をしたのでございますが、これを立件するまでには立ち至っておらぬのでございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは警察庁の立場で、高崎警察のとった措置を有利に庇護しようということからの発言、この気持ちはわからぬでもないわけです。だがしかし、事この刑事問題に関します限り繰り返し申し上げておりますように、あくまでも警察官としてのとるべき態度は不偏不党でなければならぬ、公平中正でなければならぬ、こういうことが前提でなければならぬ。そこで服務の宣誓までが現実の問題として行なわれておるわけです。ことほどさように警察官のとるべき措置としては、公平厳正に当然やられておろうと思うのですね。いろいろ課長の説明を聞いておりますと、たとえば長田課長が体当たりして大河原委員長を転倒させたというようなことについては、なかなか立証が得られないほどこれは不問に付されてしまって、大河原委員長は、私は本人にも聞きましたが、また回りの方についても十分調査をいたしましたが、頭をなぐったという問題も事実無根なんであります。にもかかわらず、この点をいわゆる刑事事件としてでっち上げられておるというわけで、きわめて悪質なものである、こういうところに問題があろうと思う。また、百八条の五の問題にしても、いま課長はかくかくしかじかの形式を踏まなければならぬ、それは常態の場合ですよ。しかも、なぐり込みをかけるということでなくて、いわゆる組織破壊実情調査団として所長面会を求めたいということであるので、そこで合っておればこういう問題は当然に起きていない。それから実際問題として、たとえば五十人とすれば五十人全部に面会を求めるということも、事実問題としてむずかしい、そういう事態もあろうかと思います。そういう場合には、代表何名かに制約する、そういう手もあるわけです。ただ大森君は議員だからというので一人だけ入れて、あとの代表の方は全部無視されてしまう、そういうところに一方的な判断があるわけです。そういうことから問題は、やはり労使の問題については、双方の言い分を十分確かめて、それに基づいていわゆる慎重な態度で処してしかるべきです。しかも逮捕は六月四日、また六月七日というのは、事件のあった五月十四日からだいぶ経過しておるわけですね。このこと自体もまことに了解に苦しむわけで、結局労組側の言い分は、あまり聞いていないのではないか。一応聞くとしても取り上げられていないのではないかということになると、これはきめて不公平、妥当を欠く取り扱いだと断定せざるを得ないわけです。こういうところに大きな問題があるわけで、結果とすると、遺憾ながら結局高崎警察は、工事事務所側の言い分だけを取り上げて、労組側の言い分は何ら取り上げていないという結論になるわけです。こういうところに問題があるということをいま指摘してお伺いしておるわけなんです。やはり公平妥当だとはどうしても納得しがたい。私も責任はございますから、県の問題として十分この問題についても取り組んで、真相をあらゆる角度からぶつかって、関係者に会って確信を持っていまお伺いをしておるわけです。こういう点について、やはり遺憾の点は遺憾であったと——これもやったことについて、もちろんそのまま不問に付すということは許されない。それを徹底的に追及しなければなりませんが、しかし、この、問題は今後にあるわけです。こういうような不当逮捕とか不当弾圧は許されていいものでは絶対にないわけです。今後こういうことが再び繰り返されぬように警察官としてのとるべき不偏不党、公平中正な態度であってしかるべきだ、こういう点に、むしろ将来に重点を置いてお伺いしておるわけですから、やはり間違いのあった点は率直にこれを認めて、今後こういうことを二度繰り返さない、こういう態度が望ましいと思うのです。もちろん警察庁として、高崎警察のとった態度について庇護しようという気持ちは先ほども言ったようにわからぬわけではないのです。だが、しかし、事が事であるので、忠実に率直な開陳があってしかるべきだと思うのです。そこで、今後に対する問題をも含めてひとつ警察庁のお考えをお伺いして、時間もだいぶお約束の時間を過ぎておりますから、この辺で私の質問を終わりたいと思いますが、まずそれに対するお考え後藤君から。
  30. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 繰り返し先生からのおことばでございますが、私どももそのとおり考えておりまして、いやしくも警察が一方に偏するような取り扱いをやるということは厳に慎しむべきことであり、あってはならぬことだと存じております。そのようなことで今後とも十分に注意していきたいと存じております。  ただ本件につきましては、先生、群馬県警の処置をかばっておるというお話でございますが、私どもがもし警察のほうで非難を受けるべき点があるとしますならば、私自身も十分反省いたしますとともに、県警に対して的確なる是正方の指示、指導もしたいと考えておるわけでございますが、ただいままで私どもの手元に入りました資料によりました限りにおきましては、群馬県警並びに高崎署のとりました処置につきまして不当であった、ないしは先生おっしゃいますように不当逮捕である、弾圧であるというような点はごうも見られない。おそらく面会を求めたということに対して、面会をしておればあるいはなかったかもしれません。これは仮定の問題でございます。ただ、しかしながら、面会を受ける側が拒否しておるのにかかわらず、なおあえてこれを要求する、さらにその過程において暴力事犯が起こるということは、これはどう考えても不法でございます。あるいは状況によりましてその行為に至るべき情状として考慮せらるべき問題であるかもしれませんけれども、あらわれた限りにおいては、これはあくまでもやはり一つの犯罪でございますが、警察が何ら不当に一方をかばい、一方を攻撃すると申しますか、そういう考えでないことは、これは私は決して責任をほかに転嫁するという意思はもちろんございません。しかしながら、逮捕状を発付するのはこれは裁判所の権限でございます。裁判官が逮捕状を発付するに足るというやはり疎明資料というものは、警察のほうの捜査の段階で明らかになったといいますか、その限りにおいては私ども警察だけの独善的な考え方で逮捕したものではない。少なくとも公平な立場にある裁判官が発付の要ありと、こういうことで警察の欲する逮捕状を発付されたのでございますから、私どもは決して何ら理由なしに不当であるとか、あるいはなぐっておらぬのになぐっておるというのはでっち上げであるとか、そういう非難は当たらないと、こういうふうに考えておるのでございます。本件は検察庁に送致をいたしましたので、いずれその処分がきまると思いますが、これがかりに起訴されまして裁判にかかりました場合におきましては、それは犯罪事実の内容として十分に審理せられることかと考えております。
  31. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 関連して。  私は、いま伊藤委員からいろいろお尋ねがあって、それに対しまして官房長並びに警察庁からの説明、答弁を伺っておって、それでどうもふに落ちない点がありますので、それぞれにお尋ねをしたいわけなんですが、官房長の説を聞いていますと、どうもふに落ちない、何か職場の中の労使関係というものが非常に異常な状態にあるような感じがしますですね。たとえば私も国家公務員の出身ですから、機会がありますといろいろな職場にもお伺いすることはあるのです。もちろん工事事務所も何回か伺っておりますし、最近も伺っておりますが、そういう中でたとえば河川工事をやる、あるいは道路工事をやる、そういうことに対して反対の抗議というようなものもたびたびあるわけですね。あるいは陳情、こういうのが一ぱいあるわけですね。そういう際に、いろいろ会って説明されている——抗議に対して、あるいはその陳情に対していろいろ話をされる、組合側がどうも不当労働行為があったという非常な不信感を持っている。それに対しまして、ほかの組合の人たちが一緒になってそれじゃ聞こうかというようなことで抗議に行く、あるいは実情を聞きに行くというようなことは、これは間々あることなんですね。そういうものを初めから会わないとけ飛ばせば、それで所長なりあるいは庶務課長の任務が足りるような考え方ですね。それは五十名というのは、いま伊藤委員も言っておられるように、これは部屋に入れぬということもありましょうし、あるいは喧騒にわたってどうも説明もできないということもあるでしょう。そういう場合には、これはやはり十人なら十人なりの人間にしてもらってそうして会う、そういうようなことはやっていいのじゃないかと私は思うのですよ。また、どういう事態にあろうとも、その程度の考え方がなければ、私はこれは当事者側として、使用者側としてその任を果たしていないように思うのですね。そういうような指導をしておられるのでしょうか。け飛ばせばそれで任務が足りる、強く出ればそれで任務が足りるのだ、会わしてやらぬのだ、そして議員の人には会うのだ、これはけったいな話です。おそらく外から来た人もあったでしょうね、官房長からの話を聞きますと。それぞれの時間をさいて来ておられるわけですから、その中の職員ならいつでも会えるから、いまは都合が悪いからどうだこうだということがあるでようけれども、外からわざわざ時間をさいてそうして来ているわけですから、これはやはり会ってしかるべきだと思うのですよ。庶務課長が出てきて元気のいいところを見せればそれで事が足りるというような、非常に単純なといいますか、能力のない管理者側の態勢というものを私は鋭く感ずるのですが、それはどうなんですか。  それから警察庁のほうにお尋ねしたいのですが、聞いていまして、写真をとった者がおる、とった者がおるというのがさんざん出ましたが、これは一体だれなんですか、写真をとった者というのは。それからしりもちをついたという話があったですね、大河原委員長ですか、いまの話だと何かの拍子にしりもちをついたという、課長が読み上げをされておる。あとからちょっとこっちから言ったところが、どうもはっきりしないというが、しりもちをついたということは認めておられる。それで何でしりもちをついたかということなんですね。それがどうも庶務課長が体当たりを食らわしたと、こういうことを言っているのですね。それから大河原委員長庶務課長をなぐったことはないと、こう言っている。しかし、どうもなぐったという。事の起こりは会わないとけ飛ばしてしまった。ことさらにけ飛ばしてしまって、何か元気一ぱいなところを見せたようですね。それで、その間にだれか知らぬが写真をとっている。その写真に対して抗議する、それは当然の成り行きになってしまって——挑発するような感じを受ける。それで委員長が何かしりもちをついた、そのしりもちをついた理由はわからない、どうも私は解せないですね。何か、だから伊藤委員は一方的だということを言われる。私もそう思わざるを得ない。しかも、調べてみたら、組合側が請査に協力してくれないからわからないという。組合側の意見というのは全然入ってない。そういうような話なんですけれども、もう少し事態の全体の流れの中からつかんでいくという必要があるのじゃないでしょうか。現場はややもいたしますと、起こったそこの事象だけをとらえてしまうというような感じが私はするのですが、もう少し全体の流れの中で事をとらまえて処理していただけばこんなことにならなくて済むんじゃないか。そういういわばいまたいへん忙しいときに、これは裁判所だって検察庁だってたいへん忙しくてえらいですよ、御承知のとおり。そこでつまらぬことをする必要がないのじゃないかと思うのですが、建設省側としましても、こういう問題が起きますというと、決してそれで全体がおさまっていくとか、期待されるような形、あるいは期待と言うと恐縮かもしれませんですが、何か建設省側考えておられるような方向に何かおとなしくなっていくんじゃないかということではなくて、むしろ挑発していくというような感じがあるのです。もっとこれは賢明に処理していくべきだと思う。官房長だって国家公務員法の典型的な著述をなさっておられる。ぼくは三拝九拝して十年ぐらい前に読んだものです。その官房長をもってつまらぬですよ。これはもっと賢明なことをしなさい。建設省はもうちょっと配慮が足りないと思う。ちょっと聞きたいですね。どうでしょう。
  32. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 組合との会見を一方的に拒否するのがいいというふうに申し上げたわけではございませんので、むしろ正常なる状態における交渉は、これは要望があればやらなければならぬことであろうと思っております。ただ、この五月十四日の高崎で起きました一件につきましては、これは正常なる状態ではなかったという事実がございますので、これを事務所長面会を断わったということは、これはこの一件について申し上げますと、それは最も的確な判断であったかどうかは別といたしまして、やむを得なかったんじゃないだろうかというふうに考えております。
  33. 後藤信義

    説明員後藤信義君) お尋ねの点を順次申し上げます。  まず状況の撮影をいたしましたのは、この高崎工事事務所の庶務課経理係長の高野という人でございます。それから、しりもちをつくといった、この問題でございますが、これは、先ほど伊藤先生のほうから、むしろ庶務課長のほうが故意にやったのではないかというふうなお話がございましたので、その点につきまして申し上げたわけでございますが、私の御説明が足りなかったと思います。これは、そのときにちょっと申し上げましたように、写真をとったものを追いかけてまいりまして、三階から二階に来て、そうして数名の者が一人を取り囲んだ。そうして廊下のほうに逃げたことになったわけであります。その前に先生おっしゃいました大河原委員長が立ちはだかって、これは当然その過程においてこれは接触しますし、そういうふうに報告が来ておりますし、また捜査の過程において明らかになった限りにおいては、その接触したそのときにしりもちをついたと、こういうことでございますので、その接触がこれは想像でございますけれども、出るというものを待ったとかけたものですから当然どこかに接触することは当然だと思います。そこで、それは一体どこに突き飛ばすというようなかっこうで刑事責任を追及すべきものであるかどうかは、多少その関係はやはり追及しておく必要がある。それがはたして正当防衛ないし緊急避難というようなことで違法性が阻却されるかどうかは別といたしまして、犯罪構成要件に該当するものであるかどうか、これはやはり検討する必要がございますので、十分捜査を進めておる、こういうことを申し上げたのでございます。ただ、しかしながら、遺憾なことに現場におりましたもので証言をしました者は、これは組合側の人々は、証言はおろか警察に出頭することさえ拒否されておる。むしろこれは組合として、そういうものを出頭させないからさよう心得てくれということを幹部の方から警察のほうに言ってきておるという段階でございまして、そういうことがございますので、これはどうも組合の人の反論というものは聞くことができなかったのでございます。私どもむしろこの場合には、堂々と被害者であると主張されるならば、自分はこういう状態でもって突き飛ばされてしりもちをついた、何とかしてくれというようなことであったならば、あるいはまたそういう状況を見ておったというような、これは証言されるならば、これはそれなりに考慮すべき状況が出てきたかと思うのでございますけれども、そういうふうに組合の人は証言しておられぬのでございます。なぜ出頭を拒否しておられるのかよくわからないのでございますが、しかし、非常にうがった考え方をしますと、この五十名ないしは二階から三階に上がってまいりました二十名というものは、これは場合によりますと単純なる参考人ではなくて、犯罪容疑がないとは言えない、状況によりまして。だから自分たちも場合によってはこれは取り調べられて被疑者になるのではなかろうかといったことであるいは出頭を拒否されたんではないかということも考えておりますが、警察のほうといたしましては、被疑者として問擬する者は、ただいまのところではこの二名だけでございまして、その人々の犯罪事実についてどういう目撃があったかということを調べたかったんですけれども、これは遺憾ながら協力が得られなかったわけでございまして、突き飛ばしたというようなことについての証言は得られないのでございます。また、なぐっておらないということ、これは自白でない限り本人がそういうことを言うことは通常ないのでございますけれども、これはやはり諸般の状況から、なぐったという事実は十分に推定できるということで、逮捕状の発付も得ておるわけでございます。いずれもこれらは、先ほど申し上げましたように、裁判にかかるといたしますならば、その段階においてその内容が明らかにさるべきことであって、ただいま捜査中の問題につきましてあまり立ち入った話をすることはいかがかと考えるのでございますが、概略以上のようなことで捜査を進めておったわけでございます。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 官房長、何か交渉だというふうにとっておられるようですね。そうではなくて、会見を求めたんでしょう、おそらく。ほかの組合の人も、ほかの人も入っておる、議員も入っておるということになりますれば、会見を求めたんだろうと思うのです。だからそれは直接であろうと、所長が時間さえあけば、あるいは庶務課長も時間さえあけばこれは断わらないで、所長が人に会う時間がないとかあるいは拒否しなければならぬのだという事態はそうあるものではないのですよ。いま忙しければ三十分後とかあるいは四十分後とかいうこともありましょうし、それから来た者に対して、せっかく時間をやりくって来ておる者に対して会ってやろうという考え方はないのですかね。それが私はわからぬわけですよ。交渉だ、そういうふうにとっておられるのですね。私が聞きますと、交渉には該当しない、おそらく抗議なりあるいは事情を聞こうという立場から来ておるだろうと思うのです。それに対して何か交渉だというふうにとって、事前に通告もない、議案の提案もない、予備交渉もない、だからけ飛ばしたと、こういうような言い方ですね。これはしかし官房長少しおかしいですよ、そんなものは。そんな処理のしかたをするからますます悪くなるのであって、これはそういうことのないようにしてもらいたい。  それからいまの警察庁のほうの説明なんですがね、これは問題の発端は、いま言った建設省事務所がそういう形で会わなかったということですね。それは私は不当だと思うのです。賢明な措置でないと思うのです。言うならば、所長なり庶務課長が健全なる判断力を持っていないというふうに言わなければならぬと思うのです。そこからごたごたが起こっておる。しりもちをついたと言うのですが、これは緊急避難と——大げさな話なんですが、とてもちょっと考えられない。緊急避難。前にはだかったというんですが、状況からそういうことがあったんでしょう。それからひっくり返るという事態ですね。これは単なる接触という事態ではないのです。それはやはり向こうから逃げてくるという、よくわからぬのですけれども、避難ということばを使われたんだから、逃げてくるというのですが、狭い廊下から百メートルを走るみたいに走ってこないでしょう。急ぎ足で行くということでしょう。立ちはだかった。立ちはだかるから相当な力をもって立ちはだかったと思う。ただぼやっとして立っておるというわけじゃない。おそらく相当力をもって立っておると思う。それが、しりもちをつくというのは単なる接触というようなことはで表現される——こういうのは一方的ですね。どう見ても、接触してしりもちついたというのですが、何か触れたみたいな形ですね——そういう事態じゃない。そういう事態じゃなくて、やっぱり相当な力でぶつからなければ、これはひっくり返るというようなことは考えられないのですね。しかも、そのひっくり返ったことが、また次の問題の発生になるわけでしょう。けったというようなことになってくるわけでしょう。そこら辺が、そしてまた、来なかったというお話なんですが、いま、極言すればという、あるいはまあ悪く察すればというお話がありましたが、被疑者ということに網をかけられるのじゃないかという、それはそういう感じもあるかもしれません。しかし、やっぱり職場に行きますと、警察に対する不信感というものですね、従来労働組合に起こったいろいろな事態の中から、どうも一方的だというそういう不信感というものは、相当やっぱりあるというふうに見なければならないですね。ですから、私は、この際警察庁に申し上げたいのは、そういう不信感というものを、公正妥当という立場にある警察当局というものが、何か不信感を負っている。長い間の中でですね、みんな不信感を持っておる。どうせいいことはしやせぬのだ、当局の言い方しか取り上げないのだというような不信感というものがあるのじゃないですか。今度の結論はどうもそういうことになっているのですね。しりもちついたのは完全にオミットされている。単なる接触でとられている。そうして二名逮捕ということになれば、ますます不信感というものを招く。まあ、結果、そういうことになっていくのじゃないでしょうか。そういう意味で、労働組合の運動に対して原則として警察は介入しないというその立場をあくまでも堅持されて、よっぽどでない限りは出ていかない。出ていく限にりおいては、公正妥当なことをやる。いままで、そうではない面が、あるいはそういうふうに認識されている面が相当あるのじゃないですか。だから、出てこない。不信感だということじゃないでしょうかね。  それと、いま私が申し上げたいのは、いま説明の中に、先ほど答弁の中に省略されましたが、一つの経緯の中で問題をとらえていただきたい。その一つだけ、なぐっただけとってしまうと、これはなぐったということになってしまうけれども、経過があるわけですよ。その中の一つの問題として取り上げていただけば、そんな問題じゃないと私は思うわけですよ。官房長は、もう少し気のきいた答弁をしなさいよ。だめですよ、そんなことでは。名誉一ぺんに失墜ですよ、この問題で。
  35. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 通常の場合におきまして、面会を求められた場合に、こういうケースとしてどうすべきかという問題、いろいろ解答あろうかと思うのですけれども、先ほども伊藤委員に御説明申し上げたのでありますけれども、まあ突然に五十人の人がお越しになって、それほど広いところでもございませんし、入れるか入れないかという問答をやっております状況で、お会いするのもやはりいろいろ問題があろうかと思いますので、この場合、当時の事情としてやむを得なかったものと私は判断いたします。
  36. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 全体の流れの中でこの事態をとらえるべきであるとおっしゃいましたそのことも、私ももっともだと存じます。ただ、むしろ私どもから判断をさせていただきますならば、全体の流れを見まして、面会を拒否されたということの腹いせにやった行為として、これらは当然許されるべき行為だと考えるべきものかどうか、これは非常に私は問題だと思うのでございます。やはりその事件の発端は、面会を求めたのに対して拒否された。むしろ拒否されることが不当ではないかということでございます。その点は私どもは何とも申し上げる立場ではございません。しかしながら、これが捜査の立場から申しますと、その事件の情状として、十分にその点は考えられるべき事柄でございます。裁判にかりにかかったといたしますならば、その点も十分に糾明されて、そして最終的な判断が下されるものと考えております。やはり全体の流れを見ましても、私ども、面会を拒否されたからといってやった行為考えても、それがかりに不当な面会の拒否であったと仮定いたしましても、この二人の被疑者のとりました行為は、それは明らかに犯罪であって、情状としてはあるいは面会拒否という問題が出てくるかもわかりませんけれども、やはりそれぞれの罰条に該当する行為である、こういうふうに考えざるを得ないのでございます。  それから体当たりの問題でございます。これは面会拒否をされたから乱暴なことをやった。つまり乱暴なことをやったということは、一応犯罪を構成するようであるが、しかし、実はやむを得なかったのだという御主張であるとするならば、これは体当たりをかりにしたと仮定いたします場合と同じ次元ではないと私どもは考えます。と申しますのは、やはり数名の者で取り囲んでわめきたてる、そのことから脱出しようとするその行為は、むしろ取り囲んでわめくほうが不当でございます。その場合に難を避けるということは、これはその場合において正当防衛になり、あるいは緊急避難ということになるのでありまして、かりに犯罪の構成要件に該当いたしましても、違法性がない。そういう意味においては、面会を拒否されたからといって、とるべき行為はあの当時の状況上、ああいう行為に出る以外に被疑者二名にとっては他に方法がなかったかどうか、この点は私どもはさようには考えないのでございます。やはり両者が同日の談ではない、同じ次元で論ずることはできないと考えるのであります。しかし、先生からたってのお話でございますので、私どもさらに念を入れてこの点はさらに長田課長のほうに何らかの故意過失がありやいなや、十分に捜査を進めるように、県警と連絡をとりたいと思います。  それから警察の不信感のお話でございます。私どもそのような不信感があるということ、もしかりにあるとするならば非常に残念なことと考えております。やはり不信感かりにあるとしまして、その払拭する手段は、やはり警察が具体的に生じますもろもろの事件を処理するにあたりまして、不偏不党、事実をもってこたえていく以外に手はなかろうと思います。ただ、つけ加えて申し上げたいのは、決して労働争議の場合にいわゆる被使用者、つまり端的に申しますと、労働組合側の者ばかりが捜査の対象になるのではございませんで、いままで過去にも何べんもいわゆる使用者側の犯罪というものの検挙をやった例がかなりございます。したがいまして、その具体的な事件発生しました場合には、やはり十分に慎重に検討いたしまして捜査を進めてきたのでありますが、さらに今後もその厳正公平な態度を堅持していくようにやってまいりたいと存ずるのであります。
  37. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御発言もないようでございますから、本件につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会