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1966-09-26 第52回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年九月二十六日(月曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  九月十二日     辞任         補欠選任      伊藤 顕道君     竹田 現照君  九月二十四日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     伊藤 顕道君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 船田  譲君                 鶴園 哲夫君                 鬼木 勝利君                 中沢伊登子君    国務大臣        自 治 大 臣  塩見 俊二君        国 務 大 臣  田中 茂穂君        国 務 大 臣  森   清君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        総理府人事局長  増子 正宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査   (公務員給与に関する件)   (行政機構に関する件)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日伊藤顕道君が辞任ぜられ、その補欠として竹田現照君が選任されました。また、去る二十四日、竹田現照君が辞任せられ、その補欠として伊藤顕道君が選任されました。     —————————————
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) この際、委員異動に伴い理事が一名欠けましたので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは理事伊藤顕道君を指名いたします。     —————————————
  5. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、公務員給与に関する件を議題といたします。  本件につきましての関係当局の御出席は、森総理府総務長官増子総理府人事局長小沢大蔵政務次官津吉大蔵省主計局給与課長、以上の方々でございます。なお、塩見自治大臣は、後刻御出席されることになっております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 北村暢

    北村暢君 私は、給与問題に入る前に、災害の問題について政府の取り組み方について簡単に一問だけ質問をいたしたいと思いますが、今度の台風二十六号による東日本における被害は、予想以上に、三百名以上の死者を出すというたいへんな被害を出したのでありますけれども、きのう、おととい、台風の時期から私は注意して見ておったのですが、どうもニュースその他に政府としての対策なり何なりというものは、ちょうど日曜であったせいもあろうかと思いますけれども、何ら報道されておりません。この点は非常に異様に感じておったのでありますが、これらに対する政府の取り組み方について、姿勢の問題ですが、まあ外遊、内遊なかなか政府としてもいろいろ計画があるようでございますが、この緊急災害に対する政府態度、対処する点について何かこうもの足りないものを感じておるわけでございます。この点について、ひとつ政府の取り組み方についていかように対処されたのか、またこれからされるのか、この点についてひとつ政府態度を表明していただきたいと思うわけです。
  7. 森清

    国務大臣森清君) 今度の災害は非常に突然にきたという感じが強いものでございますから、予報等についても従来の災害と比較して、万全を期せられなかった面が多少私どもあるのじゃないかと思いまして、しかし、きのうの日曜日、私ども役所はもちろんのこと、防衛庁におきましても建設省におきましても、緊急に関係者集合いたしまして、時々適切な措置は講じてまいったつもりであります。特にきょうは、朝から関係各省局長会議を囲いたり、さらに十一時からは私ども関係閣僚が集まりまして、この対策に万全を期したいとこう思っている次第でありまして、決してこの災害に対して、われわれが姿勢が乱れていたとか、あるいは真剣味が足りなかったというふうなことは、私は絶対にないと信じております。
  8. 北村暢

    北村暢君 そうおっしゃいますけれども建設大臣をはじめ天草の五橋のほうへ開通式等に行かれておったようですし、そういうようなことで、それぞれの計画があったのでしょうけれども、それぞれの役所担当としては、これは当然、土曜、日曜にかかわらずやられるのは当然のことでありますけれども、今度の災害予報その他においてはわりあい的確であったと思うのでありますが、これだけの死者等相当伊勢湾台風に次ぐ被害になっているわけです。これはちょっと予想できなかったのではないかと思います。したがって、これらに対する、被災者に対する措置というものは、これは非常に緊急を要する問題でありますから、それぞれの処置はなされたようでありますけれども、どうも新聞その他テレビを私も注意しておりましたが、政府措置というのは、自衛隊の出動程度で、その後適切な措置をしたということまでは出ておらないように私は率直に書って、そういうふうに感じております。したがって、これはそういうことを論じている場合ではございませんので、緊急にひとつ政府のいま会議を開いてやられるそうでありますが、適切にすみやかに処置されるように要望をしておきたい。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 給与の問題で二、三お伺いしたいと思いますが、その前、いま北村委員台風対策に対する政府姿勢の問題について一書お伺いしたいと思いますが、いまお聞きしていると、総務長官対策について真剣味が足りないことはない、真剣にやっているのだ、そういうことですけれども、あの台風は大体一番中心は夜半であったわけです。したがって、日曜の朝方には大体おさまっているわけです。そこでほんとう真剣味があるなら緊急に、日曜も土曜もないと思うわけです、緊急性には。したがって、ほんとう政府にこの台風に対する真剣味があったならば、即日、さっそく緊急に閣議を開いて、そうしてこの緊急性のある台風対策を昨日早朝に持ってしかるべきだと思う。きょうおめおめといまごろになって、しかも十一時半から閣議を開いて台風対策関係閣僚だけで会議を開く、これは非常にのんびりとしておる。こういう辺にも政治姿勢がたるんでおるというふうにしか見られぬわけです。田中問題とか、あるいは荒舩運輸大臣の問題、それからきょうお聞きしたいと思っておる防衛庁長官政治姿勢の問題、いろいろあるわけでありますね。きょうは給与主体であるので、総務長官にこれはお伺いするよりはむしろ佐藤総理とかあるいは愛知官房長官にお伺いする問題であると思うので、このことはこれ以上追及いたしませんけれども、ひとつ閣議に出られたら佐藤総理に、またその面を担当する愛知官房長官に、内閣委員会でこういう強い要請があったと、非常にたるんでおるという発言があったことを確実にお伝えいただきたい、そういうことも、お伝えいただけるかどうかということも含めて、ひとつ政治姿勢についていま一度御答弁をいただきたい。
  10. 森清

    国務大臣森清君) たまたまきのう日曜であったということ、そのことが即日関係閣僚会議を開いて防災対策についての協議をしなかった、これはおしかりを受けてもしかたがないことだと思います。しかし、東京におりました関係閣僚の間におきまして、いろいろと電話その他によりまして十分な連絡をとって、とりあえずの措置は講じてきたつもりでございます。ただ、全員で集まるにはいかにも、予定に基づきましてたとえば建設大臣天草に行かれるとかいろいろの行事に妨げられまして、その意を尽くさなかったことは、これは何といっても残念なことではないかと思います。そこでおくればせながら、ともかくきょうは、大体の私どもが立てましたスケジュールに従いまして、きょうじゅうには調査団を出発させると同時に、これは数班に分けなければならないと思っておりますが、そういうことをこの十一時半からの関係閣僚会議においてきめまして、敏速果敢な処置をいたしたいと思います。  なお、いまお話のありました政治姿勢の問題につきましては、十分御趣旨を体しまして、われわれも注意いたしますと同時に、総理にもお伝え申し上げます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係ございますので、まだ不十分と思いますけれども給与の問題に入りたいと思います。さっそくお伺いいたしますが、八月の二十六日の当委員会で、人事院勧告について給与担当大臣としての責任において森総務長官はこういう意味発言をされておる、完全実施のために最善努力を尽くしたい、こういう趣旨の御答弁をなさっておるわけです。その際いわゆる六人委員会を九月中旬に予定しておるので、その際具体的に内容のある答弁ができる、そういう意味の言明をなさっておるわけであります。そこで先般、前は五人委員会でしたが、ことしは経済企画庁長官も入れて六人委員会になっておると思いますが、その会合が持たれておるので、そのいわゆる協議内容とかその結論について、ひとつ具体的にかつ詳細に承りたいと思うわけです。さらにあわせてその際、いま御指摘申し上げたように、先般の委員会完全実施のためにどのように最善努力を尽くされてきたのか、その六人委員会においてどのように最善努力をなされたかということは、具体的に言うとどのように発言なさってきたか、こういうことも含めてひとつ御答弁いただきたい。
  12. 森清

    国務大臣森清君) 八月の幾日でしたか、この前の委員会で、私が出席いたしましたときに、確かに九月の末になれば一応のある程度の概括的にも結論が出る、こう予想した発言を申し上げました。残念ながらいまだに最終的な結論が出ておりませんが、その間にあって私どもは、二度、三度関係閣僚会議を開きまして、この取り扱い等につきまして慎重な審議を重ねておる次第でございます。私といたしましては、人事院勧告がその内容あるいは時期を完全実施をすることがたてまえであって、そうすることが望ましいという、こういう点から関係閣僚にはそういう発言をしながら今日に至っておるわけであります。ただし、大蔵省から財源見通しというものが全くつかないからということで、いつも議論そのものは核心に触れずに今日まで来ておりますことはまことに残念なことであります。なお、大蔵大臣が十月の十日ころまで外国へ行っておりますので、その間にもともかく財源があるかどうか見通しがつきますれば、それを狙上にあげまして慎重審議をし、一刻も早くこれが結論を出し、しかも給与担当大臣といたしましては、これが完全な実施方向結論が出るような努力をし続けるつもりであります。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この給与改定に関する人事院勧告については、昭和二十三年十一月九日のいわゆる六千三百七円ベース、この勧告以来中間で保留された場合が一回ございました。それは二十九年だと思いますが、いわゆる経済情勢が悪化しておるということの表面的な理由で勧告を保留したことが一年あったと思います。これを除いては毎年行なわれてきておるわけです。その所要財源については、年によって多少の差異はあっても、結局既定経費としての性格を持っていることはもう明確な事実であるわけです。しかも、改定を必要とする根をたどれば、結局財源がないとかいうことは、政府経済政策の不手ぎわに原因しておる、そう見ざるを得ないわけです。ところが、実際には三十五年から三十八年までは十月一日実施として五カ月分、それから三十九年から九月一日実施として四カ月分を、それぞれ容赦なく一方的に切り捨ててきたわけです。その累計は二十八カ月に及ぶわけです。しかも、公務員一人当たりの損失は十一万九千八百五円という計算が出ておる。公務員全体では二千五百億、こういう数字になるわけです。こういう実態であるにもかかわらず、政府は口を開けば人事院勧告尊重すると言い続けてきておる。ここで問題になるのは、こういうふうに実施の時期を値切ればいわゆる改善率そのものが低下して全く意味がなくなってくるわけですね。何%改定されるといっても、実施の時期を値切ってしまえば、その改善率ははるかに低下してしまうわけですね。それでもなおかつ口を開けば人事院勧告尊重すると言い続けてきておる。口ぐせのように尊重します、尊重しますといって、少しも尊重してないわけです。無視してきておる。このことはきわめて遺憾千万。もうこの辺でひとつ完全実施に踏み切るべき時期にきておると思うんです。この点いかがですか。
  14. 森清

    国務大臣森清君) 政府公務員給与考える場合に、当然人事院勧告というものが出されたなら、それが完全実施するのが私はたてまえだと思っております。したがって、いままで九月実施とか、あるいは十月実施とかいったことは、これは公務員給与考える場合は、これはむしろまともな方向じゃない。あくまでも完全実施が望ましいことであって、私はその方向に向かって努力をしてまいりたい、こう考えております。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たとえば昨年度の場合は、勧告は七・二%あったわけです。ところが、四カ月値切られてしまったので、実質は四・五%ということになる。本年、もしかりにも完全実施をしないという場合、いわゆる昨年度どおり、かりに九月ということになれば、結局六・九%に対して四・三%とはるかに低下してしまうわけですね。これじゃ勧告しても意味がないということになるわけです。そこで、問題は完全実施以外にはないということになる、尊重するんならば。こういうふうに、実はいま数字をあげたように、実質ははるかに低下してしまうわけですね。これならば尊重ということばは使えないわけなんです。総務長官も、先回冒頭、まず人事院勧告尊重するということをおっしゃっておる。どの大臣に聞いても人事院勧告尊重する、無視しておるということは決して言わない。実質は無視しておるわけです。これは一体どういうわけですか。そういうやはり質が低下するわけですね。いまたとえば数字をあげたように、はるかに質が低下しちゃって、それで人事院勧告尊重するなんて、もうどの大臣でも、必ず、人事院勧告をどうするのだ、尊重します。少しも尊重してない。もう無視そのものだ。こういうことをいつまでも言い続けるつもりなんですか。もうことしこそひとつそういう問題を抜本的に改めて、いわゆる政治姿勢が正されれば、こういう問題もおのずから解決すると思う。この問題はひとつ明確にお答えいただきたい。
  16. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいま塩見自治大臣がお見えになりましたので、大臣への質疑もあわせてお願いいたします。また、鎌田自治大臣官房参事官志村自治大臣官房参事官も御出席されております。
  17. 森清

    国務大臣森清君) どの大臣に聞いても尊重すると言う。私はそのとおりだと、尊重するのがたてまえでございますから、したがって、私はことしの人事院勧告につきましても、われわれは尊重するたてまえでともかく努力すると、こう言うよりいまの段階では御返事のしかたがないわけであります。われわれはともかく人事院勧告尊重する方向に向かって努力を続けたいと思います。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうもそういう御答弁ではさっぱり一歩の前進もないわけですが、大体公務員というのはスト権がないわけですね。そのために、その代替として人事院ができて、公務員の利益を守る、そういう人事院勧告なら、もう当然そのまま尊重されなきゃいかぬ。こういうことで毎年値切られてきておって、それを総計すると二十八カ月分開いて、一人平均約十二万も値切られ続けてきておるわけです。そういうことで、公務員は大きな不満を抱いておるわけです。ところが、政府は、公務員にそういうスト権がないので、たいしたこともできないという安易な気持ちから、毎年繰り返し申し上げるように、完全実施をしてきてない。これはもう何ら政治前進がないわけですね。もうまことに能のない話そのものだと言わざるを得ないわけで、これはもう政府の威信にもかかわるという問題だと思う。もちろん憲法の趣旨にも反するおそれが多分にあるわけです。道義的に見ても、絶対こういう問題は許されない。たとえば人間の個人関係貸借関係を見ても、相当の額をAからBが借りた、Bはいま金がないのでひとつ一部まけてくれぬか。そういう個人貸借関係が一応考えられるわけですけれども、それにも似ておるわけですね。金がないから、ひとつ一部まけてくれ。借りたときは平身低頭して借りておりながら、返すとき金がないからまけてくれというような問題が考えられるわけですね。それにも似ておるわけで、したがって、こういうふうに尊重はするけれども、毎年実施されていないというのは、結局完全実施しようとする考え方政府にないわけだ。ほんとう完全実施しようとする考え方がもし政府にあるならば、それが確立するならば、必ず財源についての道も開けるわけだ。これは以下具体的に例をあげてお伺いするわけですが、まずこのことについてお伺いしたいと思うのです。問題は姿勢の問題ですけれどもほんとう完全実施させなきゃならぬというそういうことがまず確認されれば、さて財源をどうするか。政府のいままでやってきたのは、まず財源なんだ。財源がないからということで簡単に放棄してしまっておる。そうでなくして、これはもう筋からいって、人事院存在趣旨からいって、当然に完全実施でなきやならぬ。これを完全実施するためには財源をどうするか、そういう順序でなければならぬ。ところが、いままで何年問も、まず財源がないからというので、あとはもうそのまま龍頭蛇尾に終わっておるわけです。こういうことではいかぬと思うのです。まず完全に実施する腹がないかどうかという問題に要約できると思う、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  19. 森清

    国務大臣森清君) 考え方の基本的なものは私も賛成でございます。しかし、やはり国といたしましては、政府といたしましては財源というものをもこれは無視するわけにはいきませんし、どのくらい金があるか、どういう形でその金が出てくるかということは十分考えた上でなければ最終的な結論が出てこないのが現状でございます。この点は人事院勧告の時期等にも非常に大きな問題があると思いますから、現状におきましては私は財源とにらみながらこの結論を出さなければいけない、こういう考えでおります。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年は五人委員会で何回か討議したわけですけれども、結局結論が出ないで総理の裁断によって結論を出したということ、その際、五人委員会で話し合いをまとめた中で、給与改善をいつから実施するかは財源及び社会的状況より判断し決定するものと考える、こういう取りきめがあるわけですね、この社会的状況より判断して云々というのはどういうことなのか、財源のほかに種々の要素を含めて実施の時期をきめるというのはまことにおかしなことで、人事院では、繰り返し申し上げるように、五月一日実施という旨を勧告しておるわけですから、それなのに、やれ財源がないのとか社会的状況がどうの、こういうことで過ごしてきておることは、結局政府自体経済政策失敗を認めたことになるわけです。こういうことになろうかと思うのですね。結局先ほど申し上げましたように、政府のなすべきことはまず人事院勧告を完全に実施——五月一日実施時期を含めて完全実施ということをまず確認して、その次に財源の問題を考える、こういう順序が結局筋であろうと思うのですね、もし財源の問題に入ればいろいろ方法はあろうと思う。これは大蔵大臣主体にお聞きすることで、総務長官に伺うことは直接には当たらぬわけですけれども、たとえば予備費を組むとか、あるいは給与費として大体半額相当する五%ぐらい組むとか、こういう問題は当然考えられるわけですね。まあ一〇%も組んでしまうと人車院勧告の率を制約するという問題が出てくるから問題があろうと思うが、だから大体半額に近い五%ぐらい、しかも毎年給与改定が行なわれるのはここ数年引き続いて恒常的な事実になっておるわけだから、結局給与費として組んで一向差しつかえない、それが差しつかえあるなら今度の台風対策費のように予備費からも考えられる、ほんとうに出す気があればそういう財源をいろいろと考えられるわけですね、そういう専門家が集まっておられるわけですから。こういう問題で財源がないから云々ということは政府自体がその無能を暴露しておることだと思う。経済政策失敗からそういうことになる。どうしても財源が出ないということならもういさぎよく総辞職すべきだ、そうでしょう、人事院勧告尊重するのだということは完全実施ということになりましょう。完全実施しなければならぬということで、さてそれでは財源をどうするか、その財源がどうにもやりくりできないということでもしあるならば、そういう内閣はもう総辞職をしてしかるべきだ、これはきわめて筋の通った話だと思うのですね。しかも三公社現業方々は、ここ数年ずっと四月一日完全実施、しかも公社現業一般職公務員もこれはひとしく公務員なんです。そうであるならば公社現業と同じく公務員公平の原則から見ても一般職給与を九月だ、十月だなんておくらせることは、しかも長い問、三十五年以来こういうことを続けてきている、こういうことなので、結局政府完全実施しようとする腹のないことだ。財源がどうしてもないからだということなら、これは政府経済政策の不手ぎわからきている問題です。いずれからしてもその責めは免かれぬと思うのですね、こういう点はいかがですか。
  21. 森清

    国務大臣森清君) 私は給与担当大臣といたしまして、おざなりでこういうことを申し上げておるのではありません。あくまでも原則には人事院勧告完全実施するというたてまえでいくべきだ、ただし、いまおくれておりますのも、これは財源がどういうことになっているのかということ、数字とにらみ合わしてその方向にいかなければならない、各大臣がそれぞれ完全実施をするたてまえでおりますということを申し上げるのも、私は姿勢としては明らかにこれは完全実施をしたいという願望のもとにわれわれはこの作業にかかっているのだというふうにお考え願いたいと思います。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 長官は十一時半から災害関係閣僚会議でもう時間がないということで、私一人でやるわけにいかない、あと二人お待ちしておりますから。  最後に一点だけお伺いしておきますが、先ほど来からお伺いしているように、結局公務員はきわめて大きな不満を持ち続けておるわけですね。これをたいした騒ぎもやれぬので、そういう安易な考えで毎年完全実施をしておられない、完全実施はするのがたてまえだと長官もおっしゃっているのだから、そうであるならば問題は財源でしょう、ところが、公社現業の場合は、財源はいろいろ苦慮はしながらも結局財源を捻出しておるわけですね。こういう具体的なことは大蔵大臣にお伺いする問題ですが、筋はそういうことであろうと思う。公社現業の場合はいろいろ苦慮はしたけれども財源を捻出して四月一日実施ということをここ数年続けてきておるのです。同じ公務員である一般職公務員については財源問題でおかしいじゃないですか、一般職公務員給与財源についてはどうしても捻出できない、公社現業についてはいままでやってきているわけですね。こういう点から考えても、このまま一般職公務員の皆さんに大きな不満を持たせるということは、国家全体から考えても行政の効率化、能率化という観点から、不平を持ちながら仕事をしても能率はあがらぬと思う。そうであるといたしますならば、これは国家の一大損失ではないですか、目に見えない損失を招いている。大きな不満を持ちながらでは大きな効率を期待することができない、こういう観点に立つならば、これは繰り返し繰り返し申し上げたように、結局完全実施ということをまずしっかりと踏まえて、そういう前提に立って財源をどうするかということで、財源公社現業でもいろいろ苦慮して出しているのだから、公務員公平の原則からいっても当然一般職公務員給与財源についても措置できるわけです。先ほど言った予備費とか、あるいは給与費の一部を計上するとか、その他たくさんあります。これは大蔵大臣にお伺いしますが、こういうことでひとっことしこそ給与担当大臣という栄誉ある地位を得られておるわけだから、ひとっことしこそ完全実施に踏み切ってもらいたいということを強く要望しながら、最後に長官の御決意のほどをお伺いして、きょうの私の質問を終わります。
  23. 森清

    国務大臣森清君) 質疑の間に私何べんもお答え申し上げましたように、私は原則人事院勧告完全実施することにあるのだ、こういう考え方のもとにこれからの作業を続けたい、こう思います。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それで今後の見通しですが、この前の八月二十六日の当委員会では、九月中旬には具体的な御答弁ができると思う、ところが、さっぱり具体的な御答弁できないわけですね。一体いつになってしまうのですか。
  25. 森清

    国務大臣森清君) そのおことばは私がいつも大蔵大臣に善っていることばでありまして、ともかく財源というものを一応見なければ、われわれとしても自由な意見が言えないということで今日まで長引いておりますが、大体関係閣僚会議、いわゆる六人会議でもってきめましたことは、十月の初旬から中旬にかけて、おそくもこれらの結論を得たい、こういう考え方でいま作業を続けてもらっております。
  26. 北村暢

    北村暢君 私は、いま実施の時期の問題について、前回も今回も伊藤委員からいろいろただして、何回も勧告を弾車する、こういうことで終始一貫して押し問答のような形になっているのですけれども給与担当大臣としては、そういう決意でやっていただくのは当然のことだろうと思うのです。しかしながら、そういうことでありながら、歴代の給与担当大臣が全部、労働大臣というのはそういう態度でやられておるのですが、結果的には完全実施、特に実施の時期について四十年ですか、三十九年に九月実施ということになった以外前進しておらないのであります。したがって、私は前回は人事院総裁に対して、勧告そのものについての不当性について、不当性ということは、民間においても三公社現業においても今年度は昨年度より上回っている。ところが、人事院勧告は下回っておる。こういう面において非常に公務員不満を持っておるわけですね。そういう点について、一体給与担当大臣はどのように把握されているか。  それから私はもう一つ物価との関係の問題について、給与担当大臣の見解を聞いておきたいのですけれども、今度の給与の基本給並びに諸手当を含めて六・九%、二千八百二十円の引き上げ、こういう内容になっておるのでありますが、それに対して、物価との関係では、人事院勧告は四月、その月の物価について、昨年度よりも物価の上界傾向が下回っておるからというようなことで言っておりますけれども、一体この四月だけの物価をとって、昨年が非常に四月が高かった、それよりも低かったということで比較しているようでありますが、これは私は民間給与調査するなら四月でいいのですけれども、物価の問題を取り上げるときには、四月だけの物価を取り上げてもこれは意味がない。年間を通じて、やはり物価等はどういうふうに動いてきたかということをとらなければならない。したがって、昨年の四月から本年の四月まで、一体年間物価は幾ら上がったのか、幾ら上がったかという点をどういうふうに把握されているか、お伺いしたいのですけれども、そういう観点からすると、今後人事院勧告というものは、物価の値上がりを私は下回るものであって、決してこの人事院勧告が、かりに完全実施をされたとしても生活の内容というものはよくならない、このように感じている。実質的な生活の内容というものは、逆に生活内容が低下する結果になるんじゃないか、このように判断しております。これに対する見解をひとつお伺いしておきたい。  それから時間がございませんから、まとめて質問いたしますが、それから給与担当大臣公務員給与というものについてどのような認識を持っているか、特に公務員の生活の実態についてどのような調査なり何なり、たとえば公務員の内職というものはどの程度なされているか、内職による収入というものは、どの程度やっておって、どの程度の内職の収入というものを得ておるか、これを一体把握されておるかどうか。  それから夫婦共かせぎというような形をとっているのが最近非常に若い人に多いわけでありますが、公務員の場合そういうような点について、一体給与担当大臣は、公務員の生活内容について、そういうような点について調べたことがあるのかないのか。こういう点を、生活の実態というものを私はやはり抑えておく必要があると思うのです。人事院はまさしく科学的な勧告調査によってする、こう言っておりますけれども、しかしながら、これは完全実施をなされた場合に民間との均衡がとれるのであって、何も人事院勧告された俸給表で公務員は生活しているわけではない。実際の手取りが幾らになるかということが問題なんです。そうすれば必らず六%の賃上げを勧告しても実施は常に半分であるから三%しか上がらないという結果になる。これは明らかに均衡はとれてない。こういう問題が過去六、七年にわたってずっと続いてきている。公務員だけそのような差のままほうっておいても何となくこれはやっているのだろう、こういうふうな感覚でいるのじゃないかということを疑わざるを得ない。伊藤委員はいま財源財源ということを言われたけれども、四千億から五千億の自然増収があった際にも実施がされてない、完全実施というものが。財源の問題じゃない、これは。現在は公債発行しているというけれども財源が苦しいでしょう。しかし、公債は今後ずっと続くでしょう。公債にたよらないで今後歳入やっていけるという見通しはいつ立つのか。それまで公務員勧告半分ずつ値切られなければならないのですか。この見通しをはっきりしていただきたい。したがって、財源財源というけれども財源の問題じゃないと思うのだ、私は。そういう点について以上五、六点について質問いたしましたけれども給与担当大臣の御答弁をひとつお願いしたい。
  27. 森清

    国務大臣森清君) いま御質問のありました公務員の生活の実態、あるいは内容についておまえは調べているかというお尋ねでありますが、私は率直に申し上げまして詳細調べておりません。調べておりませんけれども、いままで私は公務員給与担当大臣となりましてから多く耳学問的に、たとえば総評、同盟の方々にも何べんかお会いし、何べんか時間をさいてそうした実態についてこの人事院勧告完全実施するかしないかの問題でお会いしております。お会いしているその途上におきまして、私は十分現在の公務員方々の生活内容あるいは態度等については一応お聞きしたつもりでございます。そこで最初の質問にございました人事院勧告内容がいわゆる物価騰貴というものには全然触れてないし、また、非常に過小に盛り込まれているじゃないかというお話、これは私は人事院総裁である佐藤さんにそうした問題を加味されたものであるかということは十分お聞きしてございます。当然人事院といたしましては、そうしたものを加味してこういう六・九というものを出したのだ、こういうお話でありましたので、私は現況においては公務員給与改定にあたって人事院勧告は名実ともにこれを完全実施しなければならないのだという決意を非常に新たに強く持っているものでございます。ただ、公債発行の時期その他とにらみ合わしても、これはこの際は完全に実施しなきゃならない、これは当然だと思います。そこで、しかしながら、いま人事院勧告の時期が現在でございますので、八月でございますので、そこで、この予算の財源というものは、これは非常にわれわれがいよいよ最後の結論を出すにあたりましては、きわめて重要なファクターになるものでございますので、そうした問題については、とりあえず大蔵省がいかなる財源を捻出するかということによって本格的な論議を戦わし、そしてこの問題を可及的に完全実施方向に私は作業しなきゃならぬと、こういう決意を持っているものでございます。
  28. 北村暢

    北村暢君 私、何点か質問しているんですが、そういうことになると一つずつ質問しなきやならなくなっちゃうので、時間が十分しかないんですから、そう質疑応答の形できないから、まとめて質問しているんですから、ひとっていねいにお答え願いたいんですがね。  まず、事務当局にお伺いしますが、人事院勧告はまさしく物価の値上がりというものを、民間もそれを加味して引き上げが行なわれて、そういうものと比較しているんだから、もうすでに物価値上がりというものは勧告の中では織り込まれているんだ、こういう説明を人事院は確かにしている。その説明の中に、物価については四月の時点をとらえて、昨年より物価の値上がりというのは傾向としては低いんだということを言っておるんです。これは私はいかぬと言っているので、事務当局は一体昨年の四月からことしの四月まで消費者物価幾ら上がっているのですか。これをまずお伺いします。
  29. 増子正宏

    ○説明貴(増子正宏君) ただいま御質問の点でございますが、実は私どもいま御指摘の資料を手元に持っておりませんので、後刻申し上げたいと思います。
  30. 北村暢

    北村暢君 こういう問題は、給与担当の局長には物価と給与の問題、これは重大な問題でしょう。論争起こることわかっているのですよ、これは。こういうことは手元に資料ないとかなんとかではなくて、これはもう政府の統計でいつでも出ている厳然たるもんでしょう。そういうこと、資料あるなしにかかわらずわかっていなきやならない問題じゃないですか。
  31. 増子正宏

    説明員増子正宏君) ただいま私のところにございます資料は、対前年同月でございましたので、いまのように申し上げたのでございますが、いま調べました結果、昨年の四月から今年の四月まで年間では七・四、それから一月から十二月までという暦年の一年では七・六という数字がございます。
  32. 北村暢

    北村暢君 そこで、年間はっきりいま七・六とか四というけれども、これは八%以上上がっている。そうすれば今度の給与勧告は手当全部入れて六・九%ですよ。引き上げしてみたところで、年間の物価の値上がりに対して率については追いつかないという結果はもう歴然としているのですよ、これは。そういう意味ではそういう点であるから、この点については、国民所得の面においても、実質国民所得は昨年初めて低下しているでしょう。エンゲル係数も上がったでしょう。こういう実態からいって、生活内容というものは実際苦しくなっているということははっきりしているのです、これは。そういう点をひとつ認識してもらうと同時に、公務員が五年も六年もずっと六%勧告したから、一般では何か公務員はべらぼうに上がっちゃって六%上がっているのだろうと思っている。実際には実施の時期で三%しか上がらないでしょう。六%六%と新聞に出ますから、勧告があるから、出るから、公務員は六%上がったような感じを受け取られている。実際には三%しか上がっていないでしょう。実質手取りで生活しているのですよ。しかも手に入るのは、五月から上げろというものが九月実施になったとしても、手に入るのは十月、十一月でしょう。その間どうやって公務員は赤字をしのいでいるかという問題です。おそらく下級公務員において生活を切り詰めるか借金政策をやっているか、十分な生活内容になっていないですよ、これは。そういうことで給与行政を行なうものが毎年毎年半年後か何カ月後の追給をもらうようなかっこうであっていいのかどうか。六年も、七年もほっぽらかされていて、これに対してやはり給与政策上として、人事院勧告の時期が悪いなら悪いように何とかいままでにしなければならない問題でしょう、これは。そこのところが、私は毎回給与担当大臣なり、労働大臣なり、政府というものは無責任きわまりないものだと思う。民間であるならばこういう半年もおくれて給与実施するなんていうことは——まあ団体交渉その他でいろいろあるでしょうけれども、こういうことはほっておいていいものでしょうか。私は人事院勧告そのものがいかに科学性があったって何だって、理屈に合ったって実施されないのだったならば私は何の役にも立たないと思うのですよ。そういう意味において、やはり給与政策上として、この点はやはり検討されるべきじゃないですか。どういうふうに感じておられるのですか。ただ人事院勧告をうのみにして完全実施をすればいいという歴代の長官のオウムの口の——テープ・レコーダーのから回りみたいな答弁をしていて、そういうことでは、私はもう処理できない段階に来ているのじゃないかと思っておるのですよ。そういう意味において、私は何らかの具体策なり、方向というものが出されなければならないと、こう思う。どうなんですか。その財源だけにネックがあるのですか、どういうことなんですか。
  33. 森清

    国務大臣森清君) 財源だけにネックがあるとは思いません。  そこで、先ほどからオウムのオウム返しというふうな御表現をなさいましたけれども、私どもといたしましては、仰せ全くごもっともだと思うのです。そこで、何とかしてこれは人事院勧告どおりに実施するようにすることがたてまえでございますから、そういうことで、ことしは特に一段と努力をしたい、こう御返事を申し上げておるわけでございます。
  34. 北村暢

    北村暢君 時間がございませんから……。
  35. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間の関係がありますから二つくらいお伺いをしたいのですが、いま長官は、六人の閣僚会議が二、三回開かれたというお話なんですね。それで口をすっぱくして、これは完全実施するのがたてまえだというお話なんですが、これは六人の閣僚完全に実施すべきだという点については、長官と同じように一致しておりますか。
  36. 森清

    国務大臣森清君) 完全実施するかしないかということの論議は正直いままで行なっておりません。ただし、いままでわれわれが審議いたしましたのは、人事院勧告について六・九という内容、これについては完全にこれは尊重すべきである。実施すべきである。時期についてはいまのところ財源見通しが立ちませんので、したがって、まだ完全な意見の統一は見ておりません。
  37. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 自治大臣いかがですか。五月一日実施すべきだ、いま森長官のおっしゃるように、そういうお考えですか。
  38. 塩見俊二

    国務大臣塩見俊二君) 人事院勧告につきましては、実施時期を含めまして、これを尊重するということは、これは森長官と私同感でございます。ただ、先ほどからお話がありましたとおり、いまちょうど、九月決算の時期等でもございますし、そういった財源見通し等も漸次明確になるだろうといったようなことで、まあ財源の関係で実施の期日を明確にするということにつきましては、さらに検討しようというような段階にあるわけであります。まあ私、自治大臣といたしましては、問題は地方公務員給与の問題でございまするが、これはもう鶴園さんもよく御承知のとおり、国家公務員に準じて地方公務員給与を取り扱うということになっておりますし、また、財源の関係いかんによりましては、国のほうからも特別の措置をいただかなくちゃならぬというようなことになっておりますので、こういった完全実施をもちろん望ましいと考えておるわけでありますが、そういった財源関係等もございまして、先ほど長官からお話がありましたとおり、来月の初旬あるいは中旬を目途に、この財源関係等調整をして時期をきめたい、こういうふうな状況でございますので、御了承いただきたいのであります。
  39. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは長官、先ほど長官は初旬か中旬にきめるというお話だったのですが、初旬といいますと、これは大蔵大臣、まだ帰ってきてないのですが、中旬といいますと大蔵大臣帰ってくるわけですね。ですから、一体財源見通しが立たなければきまらないというようなお話のようですけれども、どうも、そうしますと、財源見通しがつくのはいつなんですか。なお、財源見通しがっかなくとも、明確につかなくとも、初旬、中旬にきめるというのですか。これは初旬というのはおかしいように思うのですが、大蔵大臣いないのだから。五人にまかしてあるのですか。
  40. 森清

    国務大臣森清君) 多少私のことばの足りなかったところがございますが、大蔵大臣は、先ほど十日に帰ってくる予定だと申し上げました。しかし、十日に帰ってくるまで、便々と待つわけにいかぬ。そこで、かりにお帰りにならなくても、少し見通しがつけば、それを爼上に乗せてこれの審議を重ねていこう。そうして、大蔵大臣の帰られた直後にこれを決定しよう。こういうふうに申し合わせているわけであります。一応、大蔵大臣と私との間でお話が出ておりますのは、おそくも二十日をめどに最終的な結論が出るようにしようじゃないか、こういうつもりになっております。そういう気がまえでございます。
  41. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 せっかく自治大臣お見えになっているから、まず所信の表明があってしかるべきだが、時間がございませんから次回に譲ることにして、時間の関係でほんの簡単に一、二お伺いしたいと思います。  まず、地方公務員給与改定について、自治大臣にお伺いしたい問題が二つあると思う。一つは、公務員公平の原則で、国家公務員同様完全実施の問題と、いま一つは、給与改善財源ですね、財源についての国の財政措置、この二つが、地方公務員に対する給与問題の二つの大きな柱だと思うのです。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 そこでお伺いいたしますが、先般六人委員会が開かれているわけであります。そこで、地方公務員に関係したいまの二つの大きな問題ですね、このことに関連して話し合われた内容について、まずお伺いしたいわけです。
  44. 塩見俊二

    国務大臣塩見俊二君) 地方公務員の引き上げの問題、また、財源措置の問題につきましては、六人委員会では具体的にまだ話し合うというようなことは、特になかったわけであります。ただ、これは伊藤委員もよく御承知のとおり、地方公務員につきましては、国家公務員に準じて給与改定を行なうということになっておりますので、今回の引き上げにつきましても同様に、国の公務員と同様の措置をいたしたいと考えているわけであります。  それから財源措置の問題につきましては、御承知のとおり、いまの地方財政も相当に窮迫をしている状況でございまして、公務員給与引き上げによる措置を、地方の一般財政で処理をするということになりますと、当然地方の行政水準の低下を来たすというような、いろいろな問題を生じてくると思いますので、これがそういったような悪い影響を地方に与えないというような前提で国の財源措置をお願いしなければならぬと思っておるわけであります。ただ、この財源措置につきましても、ことしの自然増収は一体どうなるか、また、それが地方交付税にどういうふうなはねかえりをするかというような点もまだ十分明確でない状況でございますし、したがって、具体的にどういうふうな財源措置をするかということは、この公務員給与決定とあわして今後検討してまいりたいと思っております。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その地方公務員給与改善に要する新規財政需要額は大体どのくらいになるかということと、それからいま問題になっておる財源措置についての見通しは一体どうなのか、この二つのことを重ねてお伺いしたいと思います。
  46. 塩見俊二

    国務大臣塩見俊二君) 今回の給与改定に伴いまして、かりに五月から実施をするということになりますると、地方公務員給与改定所要額は七百三十億円と見込んでおります。また、昨年同様九月に実施をするといった場合は、おおむね四百六十五億円、こういうふうな財源が要るものと計算をいたしておるわけであります。それで、これを一体どういうふうな措置をするかというお尋ねでございまするが、先ほども申し上げましたとおり、この自然増収等の計算がまだできていないというような点がございますので、はっきり申し上げるわけにはまいらぬわけであります。しかし、先ほど申し上げましたとおり、地方財政をさらに圧迫をする、一般の行政水準の低下を来たすというような、一般財源に食い込んでいくといったようなことや、あるいは節約等につきましても、無理な節約、それがかえって地方財政を圧迫するといったようなことのないように、これは十分にひとつ大蔵省とも折衝いたしまして、この給与引き上げによって地方の行政が停滞を来たすということのないように努力をいたしたいと思っております。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 新聞などの報道によりますと、自治大臣としては、地方公務員財源については昨年同様な方法で措置したいというような意思表示をされておるようですが、もしそうだとすると、昨年同様ということになると、地方交付税の先食いというようなことになるわけですね。この点はどうなんですか。
  48. 塩見俊二

    国務大臣塩見俊二君) 昨年同様という私表現で話をしたことはないわけでありまして、もしそういうことであればこれは誤りであろうと思います。ただ、私は、給与財源というものは、たとえば、給与の引き上げというものはこれはことし限りの問題でなくて、明年もその引き上げの効果というものは明年以降にも継続してこの引き上げが行なわれた状況のままで進んでまいるわけでありまして、したがって、これに対する財源というものをことし限りといったような財源というようなことでなく、やはり恒久的な財政措置というものが必要だと、こういうような意味で申したわけでありますので、この点はひとつ御了解をいただきたいと思います。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 地方公務員給与については、私が申し上げるまでもなく、条例で定めることになっておるのであります。そこで、その条例制定に際しては、国は当然公務員公平の原則で国家公務員給与に準ずるように行政指導しておると思うのですね。もちろんことしもそうであろうと思う。ただ、県、市、町村の中で、特に町村については全国的に見て国家公務員より相当低いところが多いわけです。で、昨年来少し景気が上昇してきたとはいうものの、波及度がおそいわけですね。したがって、町村の財政については依然として苦しい。まあ県、市もそうですが、特に町村の財政は相当逼迫しておる。こういう情勢の中であるわけです。そこで、町村の職員については現在相当給与が低い。低い上にさらに低い改善率ということになると、特に、県、市もさることながら、町村については特に意欲に影響すると思う、職員の意欲。こういうことになると、これは大きな問題であると思うのです。もちろんこの点については行政指導しておると思いますけれども、現実はそういう姿ですね。したがって、公務員公平の原則を貫くならば、県も市も、特に町村については現実に相当いま低いわけだから、この機会に相当配慮してしかるべきだと思う。こういうことをも含めて自治大臣としてのお考えをひとつこの際お伺いしておきたいと思います。
  50. 塩見俊二

    国務大臣塩見俊二君) 御指摘のように、この地方公共団体、これは確かにさようでございまして、一般の水準より若干低いところあるいは水準よりも高い市町村、こういったものも現実にはあるようでございます。私ども自治省といたしましては、そういったような不公平な点があるようでありまするが、しかしながら、この財源考える場合等にあたりましては、地方財政計画によりまして、この一般公務員の水準に引き直したような給与というものも算定をいたしておるわけでありまして、したがって、財源措置をする場合におきましても、現実と若干違うかもわかりませんが、しかしながら、そういったような公務員に準ずる職種その他につきましては、そういったような基準的な数字計画の中に入れまして、これに応じて特別措置をするというような措置をいまとっておるわけでございます。御了承を願います。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう時間がありませんから、最後に一つだけお伺いしておきますが、国政調査で地方を回って、特に全国的な、各県について共通的に出される意見は、財政が非常に苦しいので、公務員改定財源がなかなか捻出されない、こういうことで、苦しまぎれにいま盛んに勧奨による退職が相当大幅に行なわれておるわけです。これは人事院の見解といっても勧奨というものは統制できないわけです。にもかかわらず、各都県には行き過ぎた勧奨も見受けられるわけですが、こういう問題につながってくるわけです。財源の問題によってはそういう県が相当出ておる。富裕県ならそういう問題は比較的ゆるやかなわけですけれども、財政が特に窮迫しておる県については、そういう問題が大きな問題となっておるわけです。これはこのままに放置できないと思うわけですが、この点については大臣としてはどういうようにお考えですか。
  52. 塩見俊二

    国務大臣塩見俊二君) 確かに私、御指摘のように、地方公務員給与の問題が地方財政にとりましては非常に大きな問題だと考えておるわけであります。どうしてもこの問題に対しまして取り組んでいかなければならぬと思うわけでありまして、いろいろ定員法の問題でありますとか、いろいろな問題もいま検討されておるわけでありまするが、何かこの人件費につきまして抜本的といいますか、基本的な対策を講じなければならぬじゃないかと考えておるわけであります。御承知のとおり、地方制度調査会におきましても、ことしから来年、ことし一年で済むかどうかわかりませんが、まあ一、二年かかってもこの財源の分配でありますとか、あるいは事務の再配分であるとか、そういったような御審議を願っておるわけでありまして、これは非常に基本的な問題だと考えますので、地方財政全体がとにかく健全になっていくということがこういった問題を解決する道だと思いますので、そういった方向でひとつ真剣に取り組んで努力をしていきたいと思います。
  53. 北村暢

    北村暢君 財源の問題で一点だけお伺いいたしますがね。昨年は、給与改定の増額分四百九十億のうち三百億を地方交付税特別会計から自治体へ貸し付ける方式をとっておるようですがね、自治体としては、これを借りたんでありますから、返済ということが将来起こってくるわけであります。で今年度の場合も、地方自治体において、中央からの財源措置がなくして給与改定実施ができるという、自主財源によってできるというところは非常に少ないのじゃないかと思うのですね。そういう点からいって、この自治体へ特別会計から貸し付けるという制度ですね、これは毎年毎年この貸し付けるというような制度でいったんでは、将来長続きしないのではないか。そこで先ほど自治大臣、恒久的な措置が必要だというのはそういう点じゃないかとこう拝聴したのですけれどもね。私はやはり、貸し付ける制度、借金政策では、給与改定ずっとやっていくということは、せっかく財源措置してもらっても、貸し付けの形態でいくということになれば、これは早晩行き詰まってしまうのじゃないかというふうに思うのです。したがって、この恒久的な措置というものの内容ですね。どういうものを考えておられるのか。しかもいま大臣のおっしゃるところによると、給与改定のために一般の行政面における渋滞その他が起こらないように、支障がないようにしたいというのでありますから、そうなれば、しかもそういうものを含めて恒久的措置考えるということになれば、一体この地方財政制度においてどういうような内容のものなのか。また、どういうことを政府はやろうと考えておるのか。この点をお伺いしておきたいと思うのです。
  54. 塩見俊二

    国務大臣塩見俊二君) 具体的にどういう措置をとるかということにつきましては、まだここで申し上げるまでの時期になっていないと思うわけであります。御指摘のとおり、昨年は約、相当の金額を特別会計から借り入れるというような処理をいたしておるわけでありますが、私の考え方といたしましては、また、自治省の考え方といたしましては、まあできるだけとにかく地方団体も安心をして将来の見通しのつく形で財源の処理をしたいと、こう考えておりますので、具体的に一体しからばどういう措置を講じていくかということについてはいま申し上げかねるわけでありますが、できるだけそういう方向努力をいたしてまいりたいと思います。非常にはっきりしなくて恐縮でございまするが、北村委員の御質問のような方向努力していきたいと思います。
  55. 北村暢

    北村暢君 そうすると、この借金政策では長続きしないということはお認めになって、何らかの方法による自主財源によって処理をするような方向で検討をしたい、こういうふうに理解して差しつかえございませんか。
  56. 塩見俊二

    国務大臣塩見俊二君) 仰せのような方向努力をいたしたいと思います。
  57. 柴田栄

    理事(柴田栄君) ただいま田中行政管理庁長官がお見えになりましたので、御質疑のある方は御発言を願います。  また、行政管理局から岡内審議官、小林管理官、行政監察局から諸永審議官、河野審議官が出席されておられます。  それでは、田中長官から発言を求められております。これを許します。
  58. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) このたび微力ではございますが、行政管理庁長官のいすを汚すことになりました田中でございます。  当内閣委員会に今後いろいろお世話になろうかと思うのでありますが、皆さま方の御協力を得まして、この大任を全ういたしたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。  以上申し上げまして、就任にあたりましてのごあいさつにかえる次第であります。(拍手)
  59. 北村暢

    北村暢君 大臣は一時までということのようでございますから、ごく簡潔に質問いたしますが、まず第一点は、臨調の答申の取り扱いの問題でありますが、これは歴代内閣の課題になって、それなりにできるところから実施しているようでありますけれども、まだその緒についたような状況で、この臨調の答申には相当重要な問題を数多く含んでいるわけでありますが、しかも相当政治力がなければこれは実施がなかなかできない、こういう問題であります。しかも最近におけるこの解散空気のうわついた状態の中で、この答申に基づく多くの改革というものが簡単にいくというふうには、私どもはなかなか受け取れないわけでありますけれども、しかし、もう答申がなされて二年以上たっているわけであります。そういう時期において、一体新しい長官はどういう心がまえでこの答申を処理されようとされるのか、まずこの点についてお伺いしておきたいと思います。
  60. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) いま新長官として、行政改革に対する所信と申しますか、   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 心がまえにつきましてお尋ねがあったわけでありますが、ただいまおことばにありましたように、臨時行政調査会が答申を出されましたのが三十九年の九月でございました。ちょうど二カ年たったわけであります。新しい改造内閣といたしましては、行政機構の改革を改造内閣の六つの柱の中に入れられておるのでありまして、重点施策の中に行政機構改革が入ったというふうに御解釈を願って差しつかえないと思います。そういう意味合いから、私といたしましては、政府の重点施策の一つの柱としての行政機構改革に取り組む決意を持っております。  その根本的な考え方は、臨時行政調査会の答申を尊重してまいりたい。しかし、あの答申は非常に膨大なものでございまして、その中から当面取り組むべき事項、それと今後引き続き検討する事項、これに仕分けをいたしまして、当面取り組むべき事項の中には、もうすでに御承知かと思いますが、各省庁の機構の再編成と人員の再配置。それと二番目といたしましては、審議会制度の再検討と既存審議会の整理統合の促進。それから三番目が既存の公社、公団等特殊法人の再検討。それから四番目が、科学技術行政に関する根本的な再検討。その次の五番目が許認可等の整理、簡素化の促進。それと六番目に、報告書類の整理統合。以上申し上げました六つの事項を当面着手すべき事項としてこの問題と取り組むことにいたしておりまして、ただいま検討をいたしておるわけでございます。  今後引き続き検討すべき事項は、一応五項目考えまして、その第一は、臨調の最も重点的な問題として指摘されておりまする総理の指導力と内閣機能の強化、これを第一番目にあげております。それから次に行政事務の再配分。それから三番目に、総合開発庁及び首都圏庁構想の推進。それと四番目に、現実に即する予算関係のあり方の検討。最後に、これは行管の所管ではございませんけれども総理府の所管でございますが、定年制を含む公務員制度に関する改革。以上を今後引き続き検討すべき事項として一応の計画を立てたわけでございます。  その中で、特に臨調の答申を作成されました佐藤喜一郎会長、あるいは毎週ただいま木曜日に行なっております監理委員会、いわゆる六人委員会、この監理委員会の御意向が今後引き続いて検討すべき事項の第一の総理の指導力の強化と内閣機能の強化、この問題を早急に取り上げるべきであるというような御意見等も強いわけでございますので、これを当面取り組むべき事項としてただいま検討をいたしておるような次第でございます。
  61. 北村暢

    北村暢君 ただいま臨調の答申に取り組む態度について御説明がありましたが、休会中の委員会でもありますから、これらの具体的なこまかい問題については後の機会にまたそれぞれお伺いすることにしますが、そのうちで二、三点の問題についてとりあえずお伺いしておきますが、いま内閣の機能の強化の問題について重点事項として取り上げるということのようでありますが、これはまあ総理の権限の強化というような点でありましたけれども内閣機能の強化のうちの一つの大きな問題として予算編成権の問題があると思うのですが、これらを含めて一体着手をしたんだが、内閣機能の強化について大体行管長官一年間の任期のようでございますが、歴代そのようですが、一年間の任期の中で内閣の機能強化ということが実際に着手しただけで実を結ぶかどうかということに私どもは関心を持っているわけなんです。そういう点について見通しを一つお伺いいたしたい。  それからもう一つは、首都圏行政の強化は、委員会ではどうも首都圏行政の点からいって、どうもさっぱり仕事が進まないという問題で、首都圏庁というものを設けなきゃいかぬ、こういう考え方のようでありますけれども、これはもう首都圏行政は完全に行き詰まっていると私もそう思います。したがって、何とかしなけりゃならない段階にきていると思うのですが、一体、この首都圏庁の問題については、これは法案に関係してくる問題であり、来年度予算にも関係してくる問題だと思うのですが、一体、次期国会等においてその提案する準備があるのかないのか。この二点についてまずお伺いいたしたいと思います。
  62. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) まず第一点の内閣機能の強化の問題につきまして、任期中にやれるのかどうかというお話でございますが、私は任期が何年になるか、いつまでになるか、これはわかりませんけれども、この内閣機能の強化という問題が臨調の答申の一番大きなポイントであると思います。大きな行政機構の改革をやるとすれば、やはり先立つと申しますか、最初にこういった内閣機能の強化、総理の指導力を強める、こういった問題、それと、各行政府の機能の総合調整、これらを含めた一つの内閣機能の強化をまずやらなければ、大きな行政機構の改革はやれない、こういうふうに私は判断をいたしまして、この問題と目下取り組む準備をただいまいたしておるわけでございます。  予算編成権の問題をやはりこの中に入れるのかどうかという問題でございますが、これは非常に大きな問題でございまして、短い期間にこの予算編成権まで分離するいわゆる臨調の答申にありますような内閣ということはいまのところ考えておりません。しかしながら、各行政庁の行政機能の総合調整をやるということは、これは当然必要なことでございまするので、いま大蔵省が持っておりまする予算編成権を分離して、そして内閣機能の強化をやるということは、当面の問題としては私は考えておりません。しかし、この内閣機能の強化という問題は、これは相当期間もかかるわけでございまして、かりに私が任期が参りましても、その方向に進むようなレールだけは敷いてまいりたい、かように考えているわけでございます。  それから第二点の首都圏行政の問題でございますが、これは北村委員も御承知のように、臨調の答申が出される前の昭和三十八年に答申として出されたわけであります。この首都圏庁の問題がはたして現在の行政需要の実態からして急ぐべきであるかどうか。それよりもむしろ総理がたびたび申しておりまするように、社会開発という面から申し上げますと、総合開発、いわゆる首都圏以外の、この前の通常国会で成立をいたしました中部圏開発整備法、あるいは近畿圏の開発促進法あるいは近くは東北、九州、中国、こういったそれぞれ地域の格差をなくするための、開発するための構想が考えられておるようでございますので、そういった首都圏の問題だけに限定しないで、総合開発庁的なものをこの際取り上げるほうが、地域開発のためにも、地域と首都との格差をなくするためにも、そのほうが現在の時点においては首都圏もひっくるめた総合開発庁的なものを考えるべきじゃないか、ただいま北村委員から次期通常国会に首都圏整備の法案を出すのかというようなお話でございましたが、いまのところそういった首都圏だけを切り離して次期通常国会に提出しようということにはまだ考えておりません。
  63. 北村暢

    北村暢君 この論議は避けたいと思いますが、首都圏を含めて総合開発の観点から、社会開発の観点も含めてやりたいということのようですが、そういうものであれば従来も総合開発というのはあったのであって、いまあらためて取り上げる目新しいものではないと思うのですね。だが、先ほどあなたの六項目の重点項目の中に首都圏の問題に触れられておるから何か目新しい対策でやられるのかどうかと、そのような点については従来首都圏庁というもので行政強化をしなければ、いまの首都圏整備委員会では不十分であるということはもう指摘されておるわけです。したがって、それについて何らかの行管として処置があるのかないのかということをお伺いしたのであって、総合開発でやっていくとかなんとかいうことは行政管理庁でやるのでなくて、ほかでやるので、企画庁なりなんなり担当するところがあるわけです。したがって、首都圏の行政強化の面について具体的な案があるのかどうか、一例をあげれば首都圏庁というものが話題になっておる、それで次期国会に出すのかとお伺いしたわけです。それ必要ないとお考えになるのか、それとも何かほかにいい方油があるのか、そこを……。
  64. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 誤解があってはいけないと思いますが、何も私は首都圏庁の首都圏開発整備の問題をやらないのだということじゃないのです。首都圏庁の問題はやはり長年の問題でございまするし、また、臨調の答申の中にもある問題でございまするから、これを全然無視してこれをやらないということを申し上げたんじゃない、やはり首都圏庁というものは一都七県でございますが、いわゆる関東一帯の広域行政のための首都圏庁的なものは一応考えております。考えておりますが、それと並行してやはり地域開発のための総合開発庁的なものもあわして考えてまいるのだと、これは北村さんは総合開発庁は何も行管の所管じゃないじゃないかとおっしゃいますけれども、これはやはり機構の改革の問題につながる問題ですから、やはり総合開発庁を設けるということになればやはり行管の主管になるわけでございます。その点は誤解のないように、いわゆる首都圏庁だけを切り離して単独立法でいくか、あるいはそれと並行して総合開発庁的なものをあわして考えていくか、この面につきましてはただいま検討をいたしておるという状況でございます。
  65. 北村暢

    北村暢君 新しい構想で総合開発庁というものを考えておる、こういうことのようですが、そうすると首都圏庁にかかわらず、総合開発庁というのはたとえば関西においても全国的な規模における地方の総合開発というものも含めた総合開発庁、こういうものを考えておられる、こういうふうに理解していいんですか、それとも、現在総合開発の行政を担当しているのは企画庁だと思うのですが、その企画庁の機構等も改編した上で、総合開発庁という新たなものを構想しておるのか、こういうふうに理解してさしつかえございませんか。
  66. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) それはちょっと北村委員考え方は、私の申し上げたのと違います。私の申し上げておるのは、首都圏庁の構想というものはただいま持っておりますとは別に総合開発庁という構想は、中部圏なり、近畿圏がいま建設省の所管になっておるわけでございます。そういった地域開発のための一つの機構を別に考えるか、あるいは首都圏庁も含めた総合開発庁的なものにするか、まあその辺をただいま検討中であるということを申し上げたのでございまして、経済企画庁をどうこうする、中には経済企画庁の中の一部をあるいは総合開発庁の中に入れるということもあり得るわけでございます。そういった多角的な面からただいま検討をいたしておるということを申し上げたわけでございます。
  67. 北村暢

    北村暢君 次に、大臣新任でいろいろ張り切って仕事をやられるのはけっこうなんですが、下水道行政の問題についてだいぶ新聞をにぎわしているようでございますが、下水道行政一元化の問題について、厚生省はこの一元化の案に反対をしている、その反対の度が過ぎて、ある局長がどうしたこうしたという話が出ておるようでございますが、その問題について勧告が行なわれておるわけでありますけれども、今後この下水道行政の一元化の勧告に基づいてどのように取り扱っていくのか、厚生省の反対にもかかわらず、それを押し切って一元化していく自信がおありになるのかどうなのか、この点お伺いをいたしたいと思います。
  68. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 下水道行政の一元化の問題につきましては、すでに北村委員も御承知かと思いますが、昭和三十三年に下水道法が制定されまして、そのときに建設省に一元化するべきであるという意見と、やはりし尿処理、いわゆる環境衛生的な面のし尿処理だけはやはり厚生省に所管させてもらいたいという意見が分かれまして、これは十年前の話でございますが、いろいろそのときに検討した結果、本来であれば建設省に一元化するべきであるけれども、そのときの話し合いによってカッコ書きでし尿処理だけは厚生省所管というふうに法律でうたわれておるわけでございます。その間十年間たったわけでございますが、やはりこういうふうに都市が開発してまいりますと、下水道の布設、それから終末処理というものは建設省が所管しておるわけでございます、ただその最後の終末処理の中の雨水、それから汚水、濁水、こういったものと一緒にし尿の処理もその終末処理場に布設を一緒にするということでございまするから、これは私どもといたしましては、当然これは都市開発のためにも下水道行政というものが一元化すべきである、しかも地方自治体においては、従来二元行政であったために、補助金の申請にしても、あるいは起債の申請にしても、両方に、建設省と厚生省に申請をする、認可もまちまちにおりてくる。結局その地方自治体では計画を立てたけれども、一方のほうは補助も出た、起債も認められたけれども、一方のほうはその補助、起債がおくれておる、こういうような実際的な面が出てきたために、その当該自治体においてせっかく計画したけれども、その計画どおりにまいらない、こういう自治体自体において非常な不便が招来しておることは事実でございます。でございまするから、これは私は就任しまして、この問題を事務当局から十分聴取いたしたわけでございますが、約一カ月間の間自治体の実態を調査し、また、あらゆる角度から検討いたしました結果、これは当然建設省に一元化して、そして自治体の便宜のために、また、そういった下水道行政を、下水道の事業を完備するという点においても一元化するほうが、これが適当であるという判断を持ったわけでございまして、そういう面で勧告をいたしたわけでございます。ところが、やはり官僚のなわ張り意識というものは非常にこれは根強いものがあるわけであります。かりに厚生省のし尿処理の分を建設省に取られますと、大体四十億から五十億の予算というものが建設省のほうに取られてしまう、それだけ仕事がなくなる、まあそういった役所のなわ張り争いの典型的なものであるというふうに私は断じておるわけでございます。そういうことで一局長が変なことを言いましたけれども、ああいうことは私は問題にいたしておりません。もちろん、あの勧告を出すまでには厚生大臣の一応の、やむを得ないという言質も取っております。それにもかかわらず、一局長がああいう反対をするということはまことに官僚として姿勢を正すべき一つの事例であるというふうに考えております。で、その後、建設省、厚生省の両次官の間で話し合いがいま進んでおりますが、これは私どもといたしましては、どうしても一元化を実現するようにさらに両省に強く勧告をいたしたい。いま話し合いの最中でございまするから、いずれまた行管として出る幕があるかと思っております。まあそういうことで、現在日本の下水道の普及率が大体二七%程度しか普及してない。他の文化国家においてはほとんど六〇%以上の普及率を示しておる。そういう点から考えましても、下水道事業の整備促進を促す意味においても、これは建設省に一元化するべきであるという私は考え方を持っておるわけであります。
  69. 北村暢

    北村暢君 そういう一元化に対して強い意思を持っておられることはわかりましたが、まあ来年度の——これは先ほど言った官僚のなわ張りによる予算の奪い合いの問題が出てくるわけですが、来年度の予算の編成において、もう編成期に入って、各省から予算要求が出ておりますから、そういうようなことで、この問題は予算と十分関係もありまするので、四十二年度予算においてその実現の可能性というものはあるのか、ないのか。また、いま各省の予算要求の段階でありますから、この勧告が調整をとって四十二年度の予算編成に間に合うように結論を出されるのか、どうか、この点お伺いしておきたいと思います。
  70. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) いま北村君が言われましたように、四十二年度の予算編成に間に合うようにただいま両省で話し合いをされておりまするし、行管としてもぜひ四十二年度から一元化をいたしたいというつもりで両省に強く要請をいたしておりまするし、大蔵省とも十分行管としてもそういう趣旨でもって話し合いをいたすつもりでおります。
  71. 北村暢

    北村暢君 次に、定員の再配分の問題についてお伺いしますが、定員の再配分については、まず各省間の定員の再配分、いわゆる省間において行政需要の増減というものを勘案をして各省間の定員の再配分ということをやろうというような構想があるように聞いておるのだけれども、一体そのようなことはなされるのかどうか。また、するとすればどんなような調整方法をやられるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  72. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) いまのところ段階を追って配置転換をやってまいりたい。まず当面の問題といたしましては、各省ごとに各行政庁ごとの配置転換を促しておるわけでございまして、あるいは関連いたしまして各省間の配置転換ということも一部あるかもわかりませんが、これは非常に機構の再編成と関連してまいりまするので、今後の問題として各省間の人事交流、配置転換ということも当然起こってまいろうと思います。目下のところは一省の内部においての配置転換を促したい。と申しますのは、昭和三十九年度から、北村委員も御承知かと思いますが、閣議決定で欠員の不補充方針を貫いております。これは当初二年間の計画でこの凍結方針を閣議で決定いたしたのでございますが、四十一年度も引き続いてこの不補充方針を貫いております。私が就任いたしまして、なお現状の行政需要の実態からいたしまして引き続き四十二年度も不補充方針を貫いてまいりたい。そういたしますと、各省間において行政需要の現状の実態からいたしまして非常に不均衡が出てまいるおそれがあるわけでございます。でございまするから、との不均衡を是正するための定員の再検討と申しますか、定員をあらためて検討いたしまして、新しい定員をつくることもあわせてただいま検討をいたしておる。これはあくまでも現状の行政需要の動向の実態を見きわめた上で定員の是正をいたしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  73. 北村暢

    北村暢君 いま欠員不補充の方針ですね、これについてさらに引き続き欠員不補充の方針でいきたい、こういうことのようでございますが、ところが、いま御答弁にありましたように、各省間の凍結欠員率ですね、これが非常に差があるわけです。特に農林省、建設省というのは凍結欠員の平均が一・三%であるのに対して農林省が二・一%でございまして、建設省が三・六%、しかもここは非常に数も多いのでありますが、こういうアンバランスのあるということは、私は何か意図があるのかどうなのか、ふしぎに思っておるのですが、そういう点から凍結欠員というものは、欠員というのはやめた者を一般行政職なら五〇%しか補充しちゃいかぬ、こういうことで規制しておるものですから、行政需要の云々ということでは科学的ではないわけですね。でありますから、年齢の非常に高い役所がやめていく者が多いということで欠員が多くなる。そういうことだけであって、行政需要の多寡によって欠員が出てくる、こういうふうには理解できないのですよ。したがって、いま新しい定員について検討するということのようでありますから、この凍結欠員の実態からいって、先ほど申したように、農林省とか建設省というのは平均よりは非常に高い、数も非常に多いという点について、何か意図があるかということです。ということは、先ほどお伺いしたように、各省間の定員の再配分の際に、欠員を持っておるというところはこれは実際の犠牲者を出さないで移すことができるわけですね。そういうような下心があってやっているのじゃないかというふうに受け取れる節もあるのでありますが、この点についてはどういう御見解であるのか、ひとつこの際お伺いをしておきたい。
  74. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 何か意図があるのではないかというようなお話でございますが、別に変な意図は全然ございません。ただ私が考えておりまするのは、ある省におきまして比較的現状において、十年前あるいはもっと前、二十年前と現状において非常に行政需要が変わっておる。現状において行政需要が低いところに職員の数が多いという実情もありまするし、また、最近の経済情勢の変化によりまして、行政需要が非常に高くなっておる、そういうところに人が少ない。そういった点を欠員不補充の方針を貫きながら、その各省ごとで配置転換をして、行政需要の低いところに人間が多ければ、それを行政需要の高いところにその省内で配置転換をしてもらう、こういう方針でおるわけでございますが、おっしゃるように、やはり現在凍結をいたしましてから各省ごとの不均衡というものは、いま御指摘のようにございます。でございまするから、そういった各省ごとの欠員の不均衡をやはり是正しなければならない。そのためには定員の再検討もあわせてただいまやっておるという現状であるわけでございまして、別に北村委員が御指摘になるような、何か意図があるのじゃないか——そういう意図は毛頭ございません。ただ国民に信頼される、いわゆる国民に奉仕する役所づくりのためにはこれはやむを得ない措置である、かように考えております。
  75. 北村暢

    北村暢君 そこでいまの御答弁ですというと、一省内における定員の再配置というものはいま直ちにでもやりたい。それから各省間に凍結定員の不均衡があることは認めるが、それについては定員の再検討はしない。が、いま直ちにそれをやるようでもあるし、やらないようでもあるし、最初の御答弁では、各省間の定員の再配分というものは新しい定員というものをこれから検討すると、こういうふうに理解して直ちに実施するというふうには受け取れなかったのでありますが、それでよろしいのかどうか、この点をもう少しはっきりしていただきたい。
  76. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 重ねてのお尋ねでございますが、当面の問題といたしましては、各省内の配置転換に重点を置いてまいる、それと並行をいたしまして、現在の各省ごとの不均衡を是正するための定員の再検討を合わせてやっておるということでございますので、誤解のないようにお願いいたします。
  77. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、検討する段階ということでありますが、特別な各省の凍結欠員の率について不均衡がある。あるということは認めたようでございますが、それについて検討されるということなんでありますが、特別の意図がないと、こういうことのようでございますが、まあ六千五百名余の凍結欠員、これは四月一日現在のようでございますが、そのうち、防衛庁と農林省と建設省で、そのうちの半分以上を……、半分以上どころじゃないですね、これは占めているわけです。六割から七割占めるのじゃないでしょうか。そういうことで特別の意図はないとおっしゃったのだけれども、実際問題として処理する場合に、行政需要による長い間の変化、行政需要の変化、これに伴う合理的な新しい定員の配置ということを考える場合に、実際問題としてなま首を切るということはなかなかやろうとしてできないので、したがって、結果的には欠員の多く持っておるところが定員を出すという結果にならないのかと、こう思うのでありますが、この点はどうでございましょう。
  78. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) いまのお尋ねでございますが、欠員の多いところが犠牲が多いのじゃないかというような意味のことをおっしゃったと思います。
  79. 北村暢

    北村暢君 それはそうじやない。
  80. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) そうじやないですか。私が申しますのは、ある二、三の者を御指摘になりましたけれども、各省について私としましては欠員の不補充方針でまいりたいと、それで当面の問題としては、各省ごとでその行政需要の動向に対応する配置転換をいたしたい。なお、首切りは絶対にやりませんということを申し上げておるのでございまして、行政事務に支障のないように現状に即する人員の再配置と申しますか、配置転換を考えておるのだというふうに御解釈を願います。
  81. 北村暢

    北村暢君 そこでいま聞いているのは、首切りはやらない、各省内で定員の再配分をやる。これは後ほど私はその問題を質問するわけでありますけれども、いまお伺いしているのは、欠員を多く持っておるところはそれなりに行政需要というものは少なくて済んでいるのだと、人員が少なくて済んでいるのだということで、その欠員を多く持っているところは実際に首切りはやらないで、各省へ定員を持っていって簡単にできるのじゃないか、そういう意味で、実際にはそういうことになるのじゃないかということをお伺いしているので、各省間の行政需要に応じて検討するとおっしゃるから、実際にはもうはっきり申し上げれば、農林省なり、建設省というのは非常に欠員が多いですから、たとえば社会開発ということで厚生省の人員をふやす、あるいは通産省ではふやさなければならないということになれば、この欠員の多いところはなま首を切らないで、この欠員の分をそちらのほうに回せばなま首を切らないでひとりでにできるという結果になるので、そういうようなことにはならないんですかと、こういうことをお伺いしているわけです。
  82. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 御心配のないように十分配慮してやりたいと思いまするから、決して行政事務に支障のないように、いま北村委員が御心配になるようなことのないような配慮をしながらやってまいりたいと思います。
  83. 北村暢

    北村暢君 それじゃこの点については、私はまあ先ほど言ったように、この行政事務の再配分なり定員の再配置の問題は御存じのように、官僚のなわ張り争いとか、そういうものは必らずつきまとってくる問題でありますから、そう簡単に行政管理庁が新しい構想で検討してもなかなかそういうふうにうまくいくかどうかということについては問題があるだろうと思うのです。あるだろうと思うのですが、これらの点については私はやはりこの欠員というものの出てくる要素というものが、科学的に、合理的に出ているものじゃなくて、あくまでもやはり定員の再配分を考える場合には行政需要という理論的な根拠に基づいたものでなければならないと思うのですよ。したがって、まあそういう点については慎重に便宜主義に欠員の多いところから持っていくというようなやりやすいような方法でやってしまうというと、欠員をよけい持っていたところが損してしまう結果になってしまう。そういう点で慎重に検討していただきたいということでございます。  それから次にお伺いいたしたいのは、各省間の定員の再配分について、とりあえずやりたいという熱意を示しておるようでございますが、そこで具体的に農林省の関係についてお伺いいたしますが、農林省の関係につきましては、臨調の答申にも機構の統廃合の問題、すでに答申が出ているのでありますけれども、その場合に蚕糸局、あるいは食糧事務所、統計調査事務所、こういうところは整理縮小をして新たな行政需要である流通改善、価格調整等の行政分野に転換をしろということが答申に出ているわけです。そういうような臨調の答申等もありまするので、この点については先ほどの大臣答弁にありまするように、省内の定員の再配置についてまずやりたいということでありますが、そのような点についてお伺いしたいのですが、まず統計、食糧を整理縮小するというのでありますけれども、その理由でありますね、理由はいかなる理由に基づいて整理縮小をしようとしているのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  84. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) まず、最初におっしゃいました慎重にやってもらいたいという点につきましては、現在の行政事務の合理化、能率化のためにあくまでも国民のための行政事務という見地から慎重にやってもらいたいということを重ねて申し上げます。  次に、臨調答申にお触れになりまして、蚕糸局、食糧事務所、統計調査事務所のお話が出たのでございますが、臨調答申は北村委員も御承知のように、党派を超越いたしまして、そして出された答申でございます。なお、現在臨調答申を受けまして行管といたしましては、毎週木曜日に六人から成る監理委員会をもっております。その監理委員の中には、党派を超越した方々で構成されております。その監理委員会の御意見も臨調の答申をあくまでも尊重すべきであるという御意見がほとんどの、六人の委員が打ち出されているわけでございます。名前は申し上げませんが、その点につきましては、北村委員あたりにも御連絡があったと私は存じております。  そこで、蚕糸局あるいは食糧事務所、統計調査事務所の問題にお触れになりましたけれども、蚕糸局がいま局として十年前、十五年前のままでいいかどうかということは率直に私はお互い議員同士も考えなければならない問題ではなかろうかと思います。昔のように輸出万能の、盛んなときの蚕糸行政と、現在相当かなり実情が違っております。そういった現在の環境の中で、昔のままの機構でいいかどうかという問題、激しい、極端な監理委員会の御議論を御紹介申し上げますと、蚕糸局を局として——もう他の局に統合すべきであるという御意見が監理委員会でも出されております。なおまた、統計事務所の職員の数は、現在一万三千名おられるようであります。食糧事務所の数は二万八千名おられるようであります。統計調査事務所の仕事は、昔は、まあ従来はそうでございましたが、米麦中心の統計の仕事をやっておられた、最近はかなり変わってまいりまして、成長部門である畜産あるいは流通問題、あるいは果樹園芸、そういった面の統計もおやりになっておる。これは非常にけっこうなことだと思うのです。しかしながら、はたして、現在この一万三千人という膨大な職員が現在統計事務の上から必要であるかどうかということもただいま検討をいたしておる状況でございます。また、食糧事務所の職員は二万八千人おるわけでございますが、非常に忙しいときには、これはよくわかります。まあ年間三カ月ないし四カ月というものは非常に忙しい、米の検査あるいは麦の検査あるいはでん粉あるいはなたね、そういった検査をやっておられる忙しい時期のことはわかりまするけれども、そうでもない時期、一年の半分以上というものは、そう忙しくないという実態も私は十分承知いたしております。そういうものをどういうふうに考えればいいか、もう少し減らして食糧事務所の職員あるいは統計調査事務所の職員が一万三千人が多いとすれば、それらの職員を、省内で、同じ農林省の役人でございまするから、若干の研修期間を与えれば、他の需要部門の高いところの仕事もできる素養を持っておられる。そういう点から考えて、多いとすればそういった面の配置転換ということは必要じゃなかろうかと、かように私は考えておるわけでございます。
  85. 北村暢

    北村暢君 この面の論議は、私、また別の機会にいたしたいと思いますから、もう一つだけお伺いしておきますが、地方農政局が発足しまして三年ぐらいになるわけでありますが、地方農政局については発足当初のことでありますし、いろいろ問題があるだろうと思うのでありますが、現在のような地方農政局の実態では、結局は農林省の出先として小型農林省的なものであり、あまり地方農政局として地域農政の実態に即した行政という機能にはなっていない。これはしばしば行政事務の内容についてのいろいろな行管の監察等においても出ているところです。まあ、そう思うのです。したがって、私はそういう意味からするというと、どうも地方農政局というものは必要ないんじゃないかというような意見も出てくるのもやむを得ないと思います。したがって、これは、やはりできたからには強化して、この農政局の置かれた趣旨というものが生かされるような形でなけりゃならぬ。そのためには人員の強化もしなければならぬ。人員の不足も訴えておりますし、総合調整の機能が十分に発揮されてないので、そのための行政需要もやっていきたい、まあ仕事もふえてくるわけですね。そういうようないろいろな面、ほかにもありますが、この前も地方視察に行った際に農政局からいろいろな要望が出ております。それは、すべて与えられた任務を果たすためには現在の機能では不十分である、これを強化をしたいという意見が圧倒的に出ている。したがって、省内の定員配置という問題をいまうたっている中で、この地方農政局の問題をどういうふうに強化していくのか、それとも今後あまり二重行政ということで強化をしない方向でいくのか、こういうふうに大きな再配分の問題で問題が出てくると思うのです。一体、行政管理庁長官としては、この地方農政同についてどのような見解を持っておられるか、この点だけをお伺いして、きょうのところ時間がございませんので、この点だけひとつお伺いしておきます。
  86. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) ただいまの地方農政局の問題につきましては、私も北村委員と全く同じ意見を持っております。もう御承知のように、河野農林大臣時代に設置されました局でございまして、あの当時、もうすでに北村委員も御承知のように、水産あるいは林野も含めたいわゆる小型農林省的なものをブロックに置くという構想がああいう、まあ何といいますか、権限のない従来の農地局に農政を加えたような形の農政局になっておりまして、これは実際に権限もあまり与えられてない、ただ地方自治体と農林省とのつなぎ的な、かえって仕事が能率化しないような向きもあることは私も承知いたしております。でございまするから、この地方農政局を強化するのか、あるいはもっと縮小して、従来のようなやり方であれば地方農政局では解決しないので、ほとんど地方自治体の農政担当の県庁の連中あるいは陳情者は東京まで出てこなければ解決しない、こういう実態は私も十分承知をいたしております。でございまするから、存置するとすればうんと強化して、そしてむしろ水産、林野も含めた小型農林省にしてある程度の権限を、もう地方農政局で解決できるようなことであれば、私は非常に意義があると思うのでありますが、まあその辺につきましては、まだ農林大臣の意向等も十分聞きながら、行管といたしましてはこの問題について監察をいたしました結果を持っております。でございまするから、この監察結果を基礎にしまして、今後この地方農政局問題と取り組んでまいりたい、これは当面の問題として取り組みたいとかように考えております。
  87. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私はせっかく大臣出席いただいたから、基本的な問題で一つ二つお伺いしたいと思いますが、行管長官であり、行政監理委員会委員長である方にまずお伺いしたいのは、先ほども一部北村委員から御指摘があった行政改革の問題ですが、これは臨調の答申の中でも非常に重要な部門であり、また、現政府の重要な課題の一つだと思うのですね。ところが、これは先ほど大臣もはっきりと認められておるように、各省庁間のなわ張り争いが相当あって、なかなか行政改革はできない、そういう情勢の中に置かれて従来きたわけですね。これは各省庁間のなわ張り根性を根本的に是正しない限り行政改革などというものは言うべくしてなかなか実現しないと思うのですね。こういう問題が一つあるわけです。そこで、よほど腹を据えてかからないと、行政改革などは期待できないと思うのですが、そこでお伺いするわけですが、今度こそ政府は腹を据えてほんとうに行政改革をやるつもりなのかどうかという点。たとえば行管に関係の分野でいいますと、行管と総理府を統合して総務庁ということで機構を強化する、たとえばこういうような一つの問題もあるのですね。ところが、従来の行管長官にお伺いすると、行管長官になる前は賛成したかもしれぬが、現行管長官になると、従来なかなかうんと言わぬわけです。けっこうだとはなかなか結論出さぬわけです。田中さんは、その点は特に選ばれて行管長官になったので、自分は行管長官になっておって、その行管が統合されることにも何ら考慮することはなく、ほんとうに行政改革のためにこれは必要だという観点に立てば思い切って職を辞してでも統合に賛成なさると思うのです。こういう基本的なかまえは一体どうなのか、この際お伺いしておきたいと思う。
  88. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 伊藤委員のお尋ね並びに御意見でございますが、先ほども北村委員にお答えいたしましたように、今度の改造内閣の重点施策の一つに、行政機構の改革を取り上げておるわけでございます。これはどうしても現在国民が行政に求めているものは、簡素化、合理化、能率化、それと役人の姿勢の問題——親切に国民に接するということは、私はやっぱり行政機構改革の基本的な考え方でなければならないと思うのであります。そういう意味で、今後は皆さん方の御協力も得なければこの行政機構改革というものはやれません。これは臨調の答申というものは党派を超越して出された答申でございまするから、この答申に沿って勇敢に腹を据えてかかれとおっしゃいましたが、私はかかります、かかりますが、皆さん方のやはり御協力を得なければこれは法律改正も成立しないわけでございまするので、その点まず皆さん方にこの機会にお願いを申し上げたいと思うわけでございます。と同時に、いま具体的な例をおあげになりましたが、いわゆる総務長官——いわゆる総理府の総務庁と総理府の行管を一緒にしたものを考えたらとうか——またそういう話も前に出たのでございます。ところが、前の長官は実際なってみるとなかなかできがたいというようなお話でございましたが、これは一つの考え方である。これだけ大きな行政機構の改革をやりますためには、やはり人事局も一緒になったなわ張り根性というものは、結局各省バラバラに採用するから高級官僚はなわ張り意識が強くなるのでございますから、やはり各省の役人の登用という問題を、一括してそういった大きな機関でやることによって、なわ張り根性というものはだんだん薄らいでいくんじゃないか、また、各省間の人事交流というものも円滑にいくんじゃないか、かような考え方を私は持っておるわけでございます。でございまするから、いま御指摘のような行政管理庁と総理府の総務庁を一緒にした、まあ大きな総務庁というものも、一応の考え方としては、一応私もそういったこともあるいは取り組んでもよろしいのじゃないか。いまのところまだこれは私なりの私見でございますけれども、そういったことも考えてもいいのじゃないか。先ほど申しました今後引き続き検討すべき事項として、内閣の機能強化を当面の問題として取り組むということを私は先ほどお答えいたしましたが、そういった意味で、大きな行政機構の改革をやる上は、ひとつこの各省のなわ張りをなくするための一つの大きな役所というものをつくらなければ、その行政機構の改革ということは、これはやり得ないという考え方を持っておるわけでございますので、そういった意味で、内閣の機能強化という問題に、当面の問題として取り組むという決意をいたしておるわけでございまして、これは十分与党野党を問わず、党の皆さん方の御意見も聞きながら、せっかく出した法案が成立しないようなことでは、これはもう行政機構の改革もやれませんので、臨調の答申に沿ってあくまでもそういったことも合わせ考えながら、私は腹を据えて取り組みたい、かように考えております。
  89. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで行管長官としては腹を据えてこういう各省庁間のなわ張り根性を是正しながら臨調の線に沿って改革は断行をしたいと、まことにけっこうです。そこで特に野党であるわれわれに御要望があったわけですが、しかし、野党の御協力がなければなかなか実現できぬ。そこで私ども臨調の答申に対しては大綱的に賛成しておるわけです。ただ不満とさえ思っている個所が相当あるわけです。不満はありますけれども、大体臨調の答申に対しては党として賛意を表しておるわけですから、そういう筋を通して臨調の精神に沿った改革であるならば協力するに決してやぶさかでないということを御要望に対してまずお答えしておきたいと思うのです。  そういうことでさらにお伺いしたい点は、政府は行政監理委員会とともに、昭和四十一年度ですから、本年度までは原則として機構の新設とか定員の新規増は行なわない、そういうかたい御方針の御答弁が、先ほど北村委員にあったわけですね。そこでお伺いするわけですが、これは八月十四日の毎日新聞その他の都下の大新聞の報道を見ますると、佐藤総理愛知官房長官等の方々は、行革の目的は機構縮小による安上がり行政ではない。現在ある機構を能率化することにあるのだから、必要なものは思い切って機構も定員もふやすべきだ、こういう態度をとっておるということの報道を見たわけです。これは正しい報道であるとすると、政府並びに行政監理委員会の立てた四十一年度は改革しない、そういう方針とまっこうから相矛盾すると思うのですね。そこで同じ政府でそういう方針が出ておるとすると、どうも了解しがたいわけです。そこでお伺いするわけですが、結局行政監理委員会では従来どおりの方針を堅持するということだが、そうなると、特に閣僚でもあり、行政監理委員会委員長でもあるあなたにお飼いすれば、一体どちらの方針が正しいのかということがはっきりすると思うのですが、これも基本的な問題ですからこの際お伺いしておきたいと思います。
  90. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 愛知官房長官と私の間にはいささかも違いはございません。全く同じ考え方で進んでおります。いま八月十四日の新聞の記事を取り上げられまして、何か行管長官の申し上げたこととニュアンスが違うというようなことをおっしゃいましたけれども、それは伊藤委員の何か誤解じゃないかと思います。いわゆる行政改革を進めるための政府与党連絡会議というものをつくっておりまして、これには官房長官出席いたしております。その席で確認をしたことは、新設の部局は一切認めない、また定員増も認めないということははっきりいたしております。ただ行政需要の動向の実態に即して必要な部門にはこれは必要な措置をとる、だからといってそれをふやすということではなくして、既存のものを、もうさほど行政需要の高くない、現在低いものを統合整理して、そうして新しい行政需要の高い面に振り向けるということは、これは考えられることでございます。何も現在の部局をこれ以上ふやすいうことではなくして、必要に応じてふやすのであれば現存の機構を縮小する。こういう考え方でございますので、別にそういう官房長官と私の間にいささかも食い違いはないということをはっきり申し上げておきます。
  91. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは佐藤総理と官房長官に直接私が会って確認した事項でないので、さらに課題として今後確かめた上で御質問いたしたいと思いますので、これは保留にいたしておきます。  それと最後に、時間もございませんので、一点だけお伺いいたしますが、先ほども配転の問題が中心になって御質問があったわけですが、まず順序として、同一省庁内の配置転換を考える、また必要に応じては省庁間の配転も今後考える。そういうことですが、ここでただ基本的な態度としてお伺いしたいのは、同一省庁内の配転であれ、省庁間の配転であれ、配転は配転ですから、そこでその職員によっては、職務によっては配転のために相当支障を来たす場合もあり縛るし、また、私生活にも重大な影響をする場合も従来はあったわけです。で配転については十分に本人の意向を確かめ、本人の不利益処分にならないようにするということが基本的なきわめて大事な問題であろうかと思うわけです。しかし、この点について従来伺ってくると、政府は、配転については十分本人の不利益にならないように本人の立場を尊重するということは、口では言っているわけです。ところが、内閣委員会に提出される各省庁の設置法などの内容の一部を見ますと、定員、特に配転の問題等は従来検討してまいりますと、必ずしもそうでなくして、ずいぶん本人の不利益になるような配転というものは相当法案の中にも出てきているわけです、現実に。そのためにその法案は、ついに真にやむを得ずして、われわれも先ほど言った筋が通らないから不利益処分になるという立場から、これは成立しないで廃案になってきたという例も相当あるわけですが、したがって、ここでお伺いしたいのは、今後配転についてはそういう基本的な問題として十分な配慮があってしかるべきであって、本人を無視したような配転については、これは絶対にとらざるところである。そういう態度が望ましいと思うわけですが、そのことについては行管長官としては、これは各省庁の大臣の責任ではありますけれども、特にそれを総括しておる行管長官としては特段の責任があろうかと思う。そういう意味でここではっきりと配転の際は本人の意思を十分尊重して、いやしくも不利益にならないように、このところが一番肝心な問題であるように思うんです。真にやむを得ずして配転をやる場合にはそういう配慮があってしかるべきである。そういうことに対しての大臣の基本的なお考えをひとつ明確にお答え願いたいと思います。
  92. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) ただいまの配置転換に関連しまして、本人の不利益処分にならないように十分の配慮をしてもらいたい、これは伊藤委員のおっしゃることはよくわかります。また、北村委員の慎重にやってもらいたいという御意見でございましたけれども、慎重にやるということを申し上げたのであります。また、本人の不利益にならないように特段の配慮をいたしますけれども、問題は不利益の解釈だろうと思うんです。やはり役人みずからが国家的な要請に基づいて、自分はいまの仕事からこっちのほうにいくんだという個人的なことだけにとらわれないで、国家的な役人としての、その奉仕する精神にかんがみて、大局的な面からのやはり考え方というものも持ってもらわなければいけないと思うんです。そういう意味でいま伊藤委員のおっしゃいました点につきましては、十分慎重に配慮しながら、また、配置転換される要員も、ただ自己のことだけ考えないで、やはり国民に奉仕する役人であるという大局的な考え方に立ってその不利益という解釈をひとつもってもらいたい、かように考えております。
  93. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大体十二分に配慮するという点はよくわかりますがね。ただ、当該本人も国家に奉仕するという、そういう点を考えてもらわないと困る、それもわかりますが、ただ、そこに重点を置いて、これは真に不利益になるようなことでも、国家に奉仕するんだからがまんしろというような点で、それが一つの口実になると、結局実質的な本人の利益は阻害されるという結果になるわけですね。いま長官のおっしゃったことは筋は通っているようですが、そこに一つの問題点が伏在していると思うんです。今後国家的な立場に立って各個人も了解してもらわなければ困るというようなことに重点を置かれると、えてまた不利益処分という結論になってしまうんです。したがって、要はそういう点を十分話し合って行なう——こういうことならよろしかろうというところで十分話し合った上で、納得の上でということが最終的に大事な問題だと思うが、この点どうですか。
  94. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) いま私が申し上げましたことで十分ひとつ理解していただきまして、また伊藤委員のおっしゃいましたことも十分私はわかるのでございまするから、両々相まちまして、そうして慎重にこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
  95. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 三点か四点だけ簡単にお伺いします。  いま、北村委員が質問されまして、さらに伊藤委員も質問されたわけですが、したがって、私は追加しまして若干お伺いいたしますが、一つは四人委員会——いまは五人委員会になっておりますね、党と政府との五人委員会、この中には政府のほうは行政管理庁長官と官房長官の二人が入っておりますね。これは機構の問題といたしましても、定員の問題といたしましても、行管が最も衝突するのは大蔵省なんです。これは御承知のとおりなんですよ。最も激しく衝突するというんですか、意見が合わないというのか、行管が鼻であしらわれるというのか、まあ口が悪いですが、実際、問題があるわけですよ、大蔵省と。ところが、大蔵大臣が入っていないというのは解せないわけですね。どういうわけで大蔵大臣を入れなかったかというのが一つですが、もう直ちに食い違いができてしまっておる。先ほどの田中長官のお話と、それから大蔵大臣が現在の定員をできるだけ圧縮したいというところから定員調査を指示したということが出ておるわけです。蔵相が指示した。もうこういう食い違いが出てきています。だから、どうも大蔵大臣を入れなかったのはどういう理由なのか。それからいま言ったような、もうすでにこういう大蔵大臣と五人委員会との間にははっきり定員の問題についてはもう食い違ってきておるという点ですね、その二つ。  ついでにもう一つお伺いをしておきますが、財界四団体、経団連、日経連、経済同友会、それに日本商工会議所、この経済四団体、これはもう日本の経済、財界のほんとうの団体ですね。ここと、それから五人委員会ですね、政府と党との五人委員会が九月になってからたしかすでに二回会合を持っておられるわけですね、これはどういう理由なのか。これからも続々やっていかれるわけなのかという点ですね。もう二回やっておると思うんですね、九月になってから。この間私は九月十四日の日にちょっと行政管理庁のほうに用事があって電話してみたら、首脳部はみんないないと、どこへ行ったと言うと、ホテル・オークラに行ったと、ホテル・オークラで何をやっているのかと言うと、四団体との会合があって、行管の人がみんな行っておると。その前に私が一回やっておるわけですからね、非常なピッチでやっておるわけですね。これはどういう理由で、今後も続々やっていかれるのか、その点についてひとつお伺いいたしたい。
  96. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 大蔵大臣をなぜ入れなかったかという第一のお尋ねでございますが、閣議で、大蔵省の査定にあたりましては、行管の了解を得なければ機構、定員に対する予算はつけないということを先般の閣議でも確認いたしております。でございまするから、しいて大蔵大臣が入らなくても、政府与党連絡会議には政府側からは官房長官と私が入っておりまして、そうして結局私がその責任者として案をつくるわけでございます。それには行管が了承しない定員、機構につきましては、大蔵省は予算をつけないということははっきり閣議で再確認をいたしておりますので、この点大蔵大臣が入らなくても別に差しつかえない、かように第一点についてはお答えいたします。  それから、第二点の、大蔵大臣が定員を圧縮しろという指示があったということでございますが、それは先ほど私が申し上げましたのと何ら食い違いはございません。といいますのは、大蔵大臣が定員を圧縮しろということじゃなくして、不均衡を是正しろという意味でございまするので、現在の定員を全面的に減らせというんじゃないということだけははっきり私から申し上げることができるんでございまして、現在凍結欠員の関係上、各省間に非常な不均衡ができておることは先ほど申し上げたとおりでございます。その不均衡を是正するための定員の再配置を検討しろ、こういう意味でございますので、この点私から鶴園委員の誤解を解かしていただきたいと思います。  それから、最後の財界四団体との会合でございますが、これは別に意味はございません。と申しますのは、臨調の会長が佐藤喜一郎さんです。これは御承知のとおりでございます。財界が前々からこの行政機構の改革につきましては非常な関心があることも事実でございまして、佐藤喜一郎さんがたまたまやはり財界の代表的な立場にあられる。で、臨調の答申をすみやかに実現しろという趣旨で、財界四団体から私ども五人の、政府与党連絡会議の五人委員会が呼ばれたわけでございます。その臨調の答申をあくまでも尊重して、そして早くこの問題と取り組んでもらいたいというだけのことでございます。たった一回しかこの会合は持っておりません。今後引き続きそういったことは、私はそうないと思いますが、ただ誤解のないように申し上げますが、行政機構改革につきましては財界と一緒になってやるという気持ちは毛頭ございません。これはあくまでも政府考え方によってやるわけでございまするので、ただ財界が私どもにハッパをかけましたのは、臨調の答申を早くひとつ実現しろということでございまするので、これだけはひとつ誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
  97. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま田中長官の御答弁されましたように、六人委員会、行政監理委員会というのが法律によって設けられているわけですから、何かそれ以外に特にこういう団体としばしば会合をしていくということになるというと、これはいろいろ問題も出てくるし、六人委員会そのものもこれはもう軽いものになってしまうというおそれがありますから、おっしゃるとおりに運んでいただきたいと思っております。  それからもう一つは欠員の不補充ですね、凍結。これは私これを初めて出されましたときに、非常に不見識だ、欠員の不補充というやり方ははなはだ不見識だという主張をいろいろの角度から論じたことがあるんです。しかし、あのときの実情、つまり三十九年の九月ですね。三十九年の九月にあれは凍結を出したんですが、あのときの実情においてはまずまずという考え方もあったんです。それからちょうど二年たったわけですね、ことしの九月で。二年たつわけですよ。そしてまた無方針のままこれから欠員の不補充だという考え方は、これはもう不見識のそしりを免れないと私は思うのです。というのは、いまの定員そのものが、行政管理庁がと言ってもいいんですが、科学的に行政需要というものを考えて、そして定員というものはきまっているんではないのであって、非常に言うならば、大正以来、昭和以来変わらないようなやり方で定員というのはさまっているわけです。ですから、行政管理庁というのは、少なくとも早い機会に科学的に行政需要というもの、それに対する人員の配置というもの、あるいはこれだけの事業をやるのにはどれだけの人員が要るんだというような、そういうようなやはり検討なり、研究を行なわなければならない。ですが、遺憾ながら行政管理庁というのは九割は行政監察に人員をさいておる。千六百か千七百でしょうね、行政管理庁の定員というものは。その中の千何百というものは行政監察なんです。行政管理という面についてはほんの数人しかいない。そういう陣容でいま私が申し上げたことはなかなかできぬだろう。ですが、それは任務だ。だから凍結すると同時に、やはりそういうようなことをやっていかないと、ただ凍結だというようなやり方ではいけないという論議をやったんですが、ちょうど満二年たつわけですから、さらにこれからも不補充だというのは不見識過ぎると私は思うのですね。その点について長官のお考え方をひとつ伺って、それからもう一つは、先ほど長官がお話しになりました、具体的な例として出ました農林省の蚕糸局あるいは食糧事務所、統計調査事務所、それから地方農政局、こういうものの人員配置、つまり省内の人員配置というものについていろいろお考えが出されたわけですね。それ以外に七月に行政監理委員会のほうから地方に定員を委譲すべきものとして陸運事務所あるいは労働省の職安、厚生省の社会保険事務所、こういうようなものは地方の機関に移すべきだというような意見が出ているわけですね。こういうようなものは四十二年度の予算でおやりになるということですね。あとのことは別ですが、四十二年度でおやりになるかかどうかという点ですね。その二点をお尋ねいたします。
  98. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 欠員の不補充方針を引き続き四十二年度もとるということは不見識じゃないかという御意見でございますが、一面そういうそしりがあることも私は率直に認めます。しかしながら、現状においては、それをやらざるを得ない現状であることは事実でございまして、しかしながら、これは不見識であるという面もわかりまするから、先ほどからお答えいたしておりまするように、各省の定員の再検討をただいまいたしておりまして、できますれば四十二年度に間に会うようにこの定員の再配置を考えたい、こういうことで作業を進めているわけでございまして、そう五年も、六年も不補充方針でまいるという考え方は持っておりません。できるだけすみやかに現状の行政需要の実態を科学的に分析して、そうして定員の再配置、再検討というものを早急に進めてまいりたい、かように考えております。  それから行管の仕事はほとんど監察面に食われているじゃないか、こういう御意見でございますが、現在行管関係の職員は約千六百——行政相談委員の問題もちょっとありますが、千六百おりまして、そうしてそのうち監察に九割もおりませんが、まあ大体管理局のほうは少ないということは率直に認めますけれども、それは地方の監察管区あるいは都道府県にある監察局を含めますと、監察の面が多いという向きもありまするから、管理のほうはもっと強化しなければならない、かように考えております。でございまするから、今後管理の面も強化しながらいま申し上げましたような定員、機構の問題を早急にひとつ検討をすべく作業をいたしているような次第でございます。  それから最後におっしゃいましたこの地方事務官の問題でございますが、これは前長官時代からの引き継ぎ事項になっております。労働省関係の職業安定課の職員、それと、いわゆる厚生省関係の社会保険課の職員、これは国の職員である。それから運輸省の陸運事務所の職員、これは国の職員でありながら都道府県知事の監督下にある。したがって、仕事も全部地方に委譲すればいいじゃないかという御意見もあるわけでございますが、これはただいま自治省と各省との間で話し合いをさしておりまして、できるものは全部委譲していいかどうかということにつましては、必ずしも、これはたとえば厚生省のいわゆる社会保険の問題は国が行なうべき保険事業でございまするから、国の行なう保険事業を出先に委譲するということにつきましてはやや問題がある。そういった具体的な問題もございまして、できるだけ四十二年度に間に合うように、この地方事務官制度の問題を解決したいとは考えておりますけれども、自治省と三省との間でただいま事務を詰めておりまするので、できるだけ早く詰めさせまして、その上で行管としてこの問題に対する態度をきめたい、かように考えております。
  99. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 長官、何ですよ、行政監察と、行政管理局との人員配置というのは、長官考えておられるような数字じゃない。九割ぐらいは行政監察でしょう。千五百近くおるですよ。ちょびっとですよ、行政管理局は。これはもう行政管理庁の成り立ちからがそういう面がありまして。ですからやはり行政管理庁というのが現代的な行政管理庁になるには、これは管理局というものをもっと大幅に充実しないと、定員の科学的な数とかいうようなものはできないですよ。戦後、遺憾ながら全然前進していない。ですから、凍結はしてみたが、満二年たっても、あと一年たっても二年たっても三年たっても、とても各省を納得させるような合理的な人員配置という、そういうものはできないわけですよ。数字が狂っておったら事務当局のほうから説明をしていただきたいと思いますが、九割近いと思っていますよ、行政監察のほうですね。もちろん設置法改正いたしまして、行政監察局の人も管理局として使えるようになっております、幾らかですね。これはまあ名目的な面が強いんですね。圧倒的に、九割でしょう、おそらく行政監察局というのは。  それから、私がお尋ねしました地方農政局、食糧事務所、蚕糸局、統計調査事務所、これは四十二年度におやりになるつもりなのか、四十二年度から始められるつもりなのか、その点が抜けたわけですね。  それからもう一つ、先ほど長官の説明があったんですが、大蔵大臣が定員の調査を指示したという点ですね。これは長官大蔵大臣との間には食い違いが明らかにあるようです、新聞の模様を見ますと。ですから、これをひとつ長官、よく考えておいていただきたいと思いますよ。違っておるです、行政管理庁と大蔵大臣のやつは。やはりこの際税収の伸びが悪いしいろいろするから、ひとつこの際、できれば現在の定員を圧縮したいというところから定員の調査を指示したと。で、大蔵省の調べによると、国家公務員は戦前はこれだけおった、いまはこれだけおるというようなものも出ておるわけですね。ですから食い違っているというように思うんですよ。その三点についてお尋ねしておきます。
  100. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 第一のお尋ねの行政管理庁の組織の人員でございますが、これは全部で千六百六十七名おります。このうち、詳しく申し上げますと、官房が七十名、行政管理局が三十四名、統計基準局が四十四名、行政監察局が再五十名おります。で、地方の管区、地方行政監察局でございますが、管区行政監察局は五百一名、地方行政監察局は八百六十八名おります。ところが、この地方の管区行政監察局と地方行政監察局は管理の面も兼ねておるわけでございまして、おっしゃるような九割も監察のほうだけに片寄っておるということではないわけでございまして、その点誤解のないようにお願い申し上げますが、いま御意見がありましたように、行政管理局の人員が三十四名というのは、若干やはり弱体のそしりを免れませんので、この面につきましては、御意見のような方向で私もこの行政管理局の充実をはかってまいりたい、かように考えております。  それから、蚕糸局、食糧事務所、統計調査事務所、地方農政局の問題は四十二年度からということを目標にしておるのかというお話でございますが、地方農政局の問題もからみまして、これは非常になかなか複雑な要素がございまするので、できれば配置転換は四十二年度から行ないたい。あわせて地方農政局の問題も考えながら、必ずしも四十二年度に全部間に合うということはいまのところ自信がございません。しかし、四十三年度あたりには何とかこういう面を解決いたしたいと、かように考えております。  それから、大蔵大臣の、何か定員を縮小しろという問題でございますが、これは特殊法人も含めた考え方じゃないかと思うのでございますが、それは何の新聞か私よくわかりませんけれども、私の承知いたしておりますることでは何ら食い違いはないのでございまして、不均衡を是正するということは、大蔵大臣と私とは意見が一致いたしておるわけでございまするから、その辺は新聞記事にあまりおこだわりにならないように、私の申し上げることをひとつ御信用いただきたいと思います。
  101. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それではこれで終わりますが、先ほど長官がお話しになりました千六百六十七人の定員の中で、行政監察局というのが千五百何人いるわけですよ、行政監察局というのが。
  102. 田中茂穂

    国務大臣(田中茂穂君) 百五十ですよ。
  103. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは本局ですよ。地方も入れて。そして、三年ぐらい前に設置法を改正いたしまして、行政管理局、三十何人おりますね、三十四人おる、この行政管理局の調査もできるようになっておる。調査ですよ、ちょびっと。名前くっつけただけの話ですな。あくまでもこれは監察なんですから。その点は、三十四人で政府全体の合理的な人員配置とか各省が納得できるようなものというのはとてもたいへんだという点を申し上げて、なお、大蔵大臣との違いは、これは新聞による限りにおいては、公団とか公社とかというものではないんです。定員を減らす、できれば定員を減らしたいということで定員の調査をしたい——。いつもこれは、大蔵省と行政管理庁というのは定員の問題でごたごたするんですよ。ですから、あなたは非常に勉強しておられるし、私も六年も内閣委員会におったんですが、こういう行政管理庁長官というのは初めてですよ。たいしたものだ。大いにひとつ活躍を期待いたしまして、終わります。
  104. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  105. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記起こして。  それでは、ほかに御発言もないようでございまするから、本件につきましては、本日はこの程度にいたします。  これをもって散会いたします。    午後一時四十一分散会