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1966-10-31 第52回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月三十一日(月曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      加瀬  完君     中村 英男君  十月二十九日     辞任         補欠選任      中村 英男君     加瀬  完君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岸田 幸雄君     理 事                 沢田 一精君                 占部 秀男君                 原田  立君     委 員                 小柳 牧衞君                 津島 文治君                 天坊 裕彦君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 市川 房枝君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        警察庁警備局長  高橋 幹夫君        大蔵政務次官   丸茂 重貞君        大蔵省主計局主        計官       秋吉 良雄君        文部省初等中等        教育局財務課長  岩田 俊一君        文部省大学学術        局大学課長    説田 三郎君        文部省管理局教        育施設部長    中尾 龍彦君        文部省管理局助        成課長      宮地 貫一君        厚生大臣官房会        計課長      高木  玄君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        農林省農政局農        政課長      松元 威雄君        労働省職業安定        局失業対策部長  岡部 実夫君        労働省職業訓練        局管理課長    中田 定士君        建設省住宅局住        宅総務課長    角田 正経君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省財政局長  細郷 道一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○地方行政の改革に関する調査  (地方財政における超過負担解消に関する件)  (地方公務員給与に関する件)  (一〇、二一統一行動に関する件)     —————————————
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  初めに、理事補欠互選についておはかりいたします。  去る九月九日の委員異動に伴い、理事に欠員を生じておりますので、この際その補欠互選を行ないたいと存じます。先例により互選の方法を省略して、委員長の指名に御一任を願いたいと存じますが、さよう取りはからうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認めます。  それでは委員長から、沢田一精君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 地方財政における超過負担解消に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 地方財政における超過負担の問題は、かなり前から一つの大きな問題として、地方団体もとより、われわれも放置できない一つの問題として、この委員会で取り上げたり、あるいは予算委員会等で取り上げてまいりましたが、なかなか地方財政における超過負担の問題、その解消という点については、どうもまだるっこいような感じを持っておるわけなんであります。昭和四十一年度予算で、政府では、この超過負担解消ということに大きな前進を示したと、こうは言っておりますけれども、われわれはあまり大きな期待を持てないと思っておるわけなんでありますが、そこで、きょうは、この超過負担解消について一体政府は、政府というよりも自治省あるいは大蔵省、また関係する各省では、どのような考え方を持ち、どういう態度でこれから進んでいかれるのかということを中心にしながら、若干お尋ねをいたしたいのであります。  まず最初に自治省にひとつ、ことし行なわれました超過負担調査、これについて概要を説明していただく。超過負担実態がどうであるか、実情がどういうふうになっているのかということを、ひとつその調査に基づいて御説明を願いたいと思います。
  6. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) お手元に超過負担資料をお配りしてございますので、便宜これによって御説明させていただきたいと思います。  四十年度超過負担状況調査いたしまして、それの内容を、そこの1にございますように、あるいは単価の差によるもの、あるいは職員数補助基準実態に合わないことによるもの、あるいは対象範囲等につきまして、それぞれ府県並びに市町村の一部につきまして、標準的な姿におきます超過負担状況調べたのでございますが、その結果、補助単価が低いことによる額が九百二十七億、それから設置職員数建物面積等補助基準実態に合わないことによるものが百九十五億、補助対象とされるべきものがはずされていることによるものが九十七億、合計四十年度におきまして千二百十九億という超過負担があるということが調査の結果明らかになったわけでございます。  そこで、四十一年度はこれをもとにいたしましてどれくらいになっているだろうか、具体的にはそれぞれの費目によります超過負担の率を新しい四十一年度事業費に乗じて推定をいたしましたところ、千四百四十三億円という見込み額が出たのでございます。ただ、本年度におきましては、当初の予算におきまして三百三十一億の解消措置がとられておりますので、その分を差し引きますと、おおむね千百十二億円程度超過負担がなお残っているというふうに推定されるのでございます。で、その内容等につきましては、それぞれ、そのお配りをいたしております資料の別紙としてついておりますので、一つ一つ説明は省略をさしていただきますが、幾つかの事例につきましては、その一ページの半ば以下にございますように、警察署建築費の問題であるとか、あるいは林業改良指導員の俸給の問題であるとか、あるいは公営住宅、あるいは小中学校の建築費保育所建築費、こういったものがそこに幾つか例示してあるわけでございますが、それぞれこういう調査の結果、実際と補助基本額とに開きがあるということを示すものでございます。  自治省といたしましては、こういったようなデータに基づきまして、明年度国庫予算編成あたりましては、超過負担解消をさらに進めるよう関係各省に、まず予算要求段階において超過負担が生じないような要求をしていただくということをお願いをいたし、次いで、今後予算編成過程におきましても、大蔵省はじめ関係当局十分折衝をして、この解消をはかるようつとめてまいりたいと、かように考えておるものでございます。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまこのプリントに基づいて、あらましの御説明があったわけでありますが、去年、四十年の春も、三十九年度分についての調査をなさっておりますね。これと比べて、四十年度の分のことしの調査ですね、どういうお感じを持っておられますか。たとえば超過負担の、これはたくさんの項目がありますから、なかなか全部というわけにもいかぬけれども負担の額なり、あるいは率なりですね、こういうものについて、端的に言えば解消是正という面で前進をしておるのか、あるいはそうでないのか、そこら辺についてどのように考えておられますか。
  8. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 前年度も、三十九年の実績もとにしてこの状況調べたわけであります。当時は千百四十三億という超過負担があるであろう、こういうふうに見込まれたものでございます。で、この超過負担の問題につきましては、御承知のように負担区分の適正な執行という面において、まず政府においてこれを取り上げるべきであるということから、本年度もその解消について政府部内でいろいろ折衝が行なわれたわけであります。その結果、先ほど申し上げましたように、四十一年度のベースで見てまいりますと、三百三十一億という負担解消ということになったわけでございます。  で、ただその間、個々の費目につきましては、超過負担の率が減ったものもございますし、また昨年と本年度の間に、たとえば給与費のベースアップがあったといったようなことから、結果の数字としては十分なものが出なかったといったようなものもございまして、そういう意味合いにおきまして、私どもとしましては、政府全体いろいろと努力をしているけれども、なお超過負担の問題については積極的に改善すべきものが数多くあると、こういうふうに考えておるのでございます。
  9. 鈴木壽

    鈴木壽君 前にも聞いておりましたし、またいま、きょうの御説明の中にもありましたが、四十一年度予算において三百三十一億円の負担解消措置がとられたこと、これは私、端的に言って一歩の前進だろうと思うのです。そこで、四十一年度は一体具体的にどうなっているのか、これはまだ調査もわかりませんし、年度半ばでございますから、これはあとの問題にしたいと思いますが、少なくとも一三十九年度の分についての調べ、それから四十年度分についての調べからしますと、むしろ超過負担の問題が解消という点で、あるいは是正という点で前進しないで、かえって超過負担額が総体でもふえておるというような結果に見られるんですね。四十一年度で、いま言いましたようにどういう結果になるか、これはわかりませんか、かりに三百三十一億円の解消——自治省では実質二百五十億円と、こう言っておられるようでありますが、それを見込んでも、なお昨年度とあまり変わらないくらいの超過負担額が出ておるんですね。これはまあ事業がふえたというようなこともあるでしょう、いろいろ単価是正等が行なわれても、事業がふえたためにというようなこともあるかと思いますが、ともかく傾向としては、われわれが期待したように、あるいは地方自治団体が期待しておるような減り方ではないんです。  これは私、自治省だけにどうのこうのと言っても始まらぬと思いますが、自治省としては、ここ二、三年相当強い態度で、熱心にこの解消の問題について取り組んでおられるようでありますが、具体的に各省なり、あるいは大蔵なり、こういうものに対してどういう態度なり、あなた方の考え方を示して、この超過負担解消の問題で折衝しておられるのか、そこら辺ひとつ端的にお聞きしたいと思うのです。
  10. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、去る七月、明年度予算を、各省において予算要求案を作成するに先立ちまして、私のほうから各省に、超過負担解消依頼をいたしたのであります。各省ごとに、それぞれそこの各省の所管しております費目の例示を掲げながら、具体的に依頼をいたしておるのでございます。それが各省それぞれ、それについて御協力をいただいておるものと思いますが、これからいわゆる予算編成段階に入るわけであります。大蔵省に対しましても、こういった調査実績に基づく問題の所在を明らかにいたしまして、たとえば補助職員費につきましては、補助職員単価の問題あるいは昇給の問題あるいはその手当の範囲の問題、また補助対象につきましては、用地費の十分なる加算といったように、具体的なものを掲げ、かつ費目も示しながら折衝いたしておるということでございます。
  11. 鈴木壽

    鈴木壽君 四十一年度予算——年度ですね、予算編成にあたっていろいろ努力をなされた、その結果が三百三十一億円という解消額として見られておるのでありますが、いまの局長お話を聞いておりまして、私は、なおこの問題の解消についての積極的な姿勢ということについては心配な点があるのです。というのは四十二年度予算ですね、予算要求をすでにしておりますが、はたして各省から出ておる——あとでこれはいろいろ私、文部、建設、厚生、それぞれお聞きしたいと思いますが、私のつかんだところでは、四十二年度予算要求にこの超過負担解消という問題について、あまりわれわれからすると積極的でないような数字が出ておることを私は残念に思うのです。中には相当単価等において引き上げをしようとして要求をしておるところがありますが、一体これではたして超過負担解消というものをどの程度に考えておるのかということに疑問を持たざるを得ないところがあるのですよね。  いま、来年度、四十二年度予算編成過程で、局長はこれから大いに努力をするのだと、こう言っても、要求そのものが、この負担解消についてのそれの目的からするとずっと低いものであるために、大蔵省だってその要求を上回ったほどの予算をつけるなんということはこれは考えられませんね。この点あれですか、あとで具体的には、たとえば住宅関係なり、あるいは農林省関係の問題についてちょっと私お聞きしたいと思いますが、全体として自治省のほうではどういうふうに見ておられるのですか。私の言ったように、ほんとうに各省がこの負担解消の問題について積極的に取り組んでいると——これはこういう問題ですから、一挙に来年度だけで解消できるとは私も実際問題としては考えておりませんけれども、しかし、少なくとも四十一年度に芽を出し、四十二年度、四十三年度あたりでは解消できるような、そういうふうに持っていってもらいたいと思うが、そういう点からすると、私はいま申しましたように、予算要求の点、その他を考えてみますと、なかなかそれとははるかに遠いというふうに考えざるを得ないと思うのですが、そういう点についてどうです、自治省のほうではどう考えておられるのですか。
  12. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 先ほども申しましたように、やはり予算要求が出てもらうということがまず第一段階であろうと思います。ただ予算要求の実体を全部まだ掌握を実はいたしておりませんけれども要求が出ました後の段階におきましても、なお各省依頼をするほか、国庫当局に対して超過負担の不合理なことを説いて、そうして国庫当局のその超過負担解消への努力を大いに要請したい、かように考えておるのでございまして、現に私ども国庫当局に対しましても、具体的な事例をあげて、この超過負担の存在する費目是正をいま折衝をいたしておる、こういう態度でございます。
  13. 鈴木壽

    鈴木壽君 大蔵省の方おいでになっていますか。——去年の四十一年度予算を審議する際の当院の予算委員会で、これは去年の三月でございますが、総理、それから当時の大蔵大臣の田中さん、自治大臣の吉武さん、この三人に私は超過負担解消についての政府考え方なり態度なりというものをただした際に、総理は、この負担解消に向かって進んでいくのだ、大蔵大臣は、この問題についてのいろいろな答申も出ておることであるから、それを尊重して解消につとめていきたい、こういうふうに答弁なさっておるのですが、四十二年度予算編成にあたって大蔵省としては、これは一つ地方財政にとって大きな問題であるから、ぜひとも解消をしていきたいという、そういう態度で臨んでおられるのかどうかですね。いまの段階ではあるいは少し早いということもあるかもしれませんが、考え方としてはいかがなものであるか、もしできたらひとつ答弁していただきたいと思います。
  14. 丸茂重貞

    説明員丸茂重貞君) この超過負担の問題については、いま先生が御指摘のとおり、予算委員会等におきまして総理大蔵大臣等がいろいろこの解消努力するということを言うております。したがいまして、大蔵省としても、できるだけそういう方向努力するという方針は変わらないのでありまするが、ただいまの段階では、四十二年度のことをいまお尋ねあったのですが、来年度の税収の見通しもはっきりつかめない、かてて加えまして、公共事業裏費裏費用、すなわち公債発行額等も不確定だということになりますると、地方財政そのもののつかみ方も不確定ということになりまして、そういう方針に変わりありませんが、具体的にそういう不確定要素が非常に多いものでございまするから、こういうことが固まり次第、できる限りそういう方向に沿って自治省とも相談をいたしまして、何とかできる限り超過負担分をなくするような努力を払いたい、こういう方針でただいまやっております。
  15. 鈴木壽

    鈴木壽君 自治省にお聞きしますが、去年、おととしあたり、この超過負担解消について、せめて三年間ぐらいで解消するようにしたいと、こういうことを言っておったと私記憶しますが、いまもそのように考えておられるんですか。
  16. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 何ぶんにも相当大きな額の超過負担でございますから、私ども負担区分制度のたてまえからいって、本来は一挙に解決すべき問題だと実は思っております。しかし、相当多額なものであり、かつ沿革も結果的に生じておるといったような事態もございますので、できるだけこれを短い期間に解決をしていきたい、こう思っておるのでございます。  ただ超過負担の中にもいろいろな費目のものがございます。全国的に各団体に共通的な経費のものもございますし、あるいは部分的な経費のものもございますので、その間やはり緩急を得つつ、順次これを解消していきたい、こういうふうに思っておるのでございます。年数その他について、何年計画といった確実な数字を実は持っておるわけではございませんが、どちらかといえば、いまの額からいたしまして、せめて三年ぐらいでこの問題を片づけていきたい、こういうふうな気持ちを持っておるのでございます。
  17. 鈴木壽

    鈴木壽君 自治省のほうは腰砕けのようなかっこうになってきましたね。前に、私いま言ったのはでたらめに三年とか言ったことではなく、あなた方が言いだしたことなんです、それはね。特に四十一年度で三百三十億、あなた方の計算で実質二百五十億という、これを第一歩として三年間くらいでやりたいということを言っておったのですが、いまのお話を聞くと、どうもこれはそこまでもいきそうにもないという感じを受けるお話でございますが、やっぱりこういう問題はあれじゃないでしょうか、できるだけやるとか、漸次やっていくとかいう、こういう態度よりも、最終的にはたしてそれが一〇〇%できるかできないか、あるいは問題があるかもしれませんけれども、やっぱりひとつの計画的なめどをつけてやることが、私は、この問題の解決のための前進になるのではないかと思うのですが、どうなんです、それは。
  18. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 本来なら一ぺんにやるべきだと私は思います。ただ、現実問題として相当な広範にわたっておるものでございますし、それから、いま申し上げましたように、その間に緩急の順序をつけるといたしますれば、やはり非常に普遍的なもの、そうして著しい超過負担の生ずるもの、そういったようなものから順次手をつけていくのが現実的な行き方ではなかろうか、かように考えておるのでございまして、私どもがなかなか、一年で解決をしたいと言ってもすぐ一年ではいかない。しかし、それだからといって、ぐずぐずいつまでもするのでもいけない。まあ今度の予算編成過程等を通じながら、やはり私どもは将来の見通しを得ながら、昭和四十二年度予算編成をやってもらわなければならない、まあこういうふうに考えておるのでございます。誤解のないように御了承いただきたいと思います。
  19. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっき御説明を聞いたこの四十年度分についての調査でございますが、調査項目は、これは限られたもののようです。そこで出てくる数字が、たとえば地方財政法の第十条関係仕事、これの全部のそれを見ておられるのか、あるいはそのうち漏れておるものがあるのか、そこらはどうです。  たとえば、もっと具体的にお聞きしますが、補助職員関係として、保健所職員とか、農業改良普及職員とか、ずっとここに並べてありますね。それから、そのほか最後に「その他の職員」と、こうありますね。この「その他の職員」で、先にあげた保健所農業改良普及員林業改良普及員云々と、こうあります。それ以外のものを全部、いわゆる補助職員関係の全部のものをここで拾ってあるのか。あるいは一般行政費の中でも地方財政法第十条の二、三、四こう拾っていきますと、あなた方がお調べになったもの以外にたくさんの事業といいますか、仕事があるわけなんですね。実際、それが地方団体において行なわれておるわけなんです。これを全部拾って、超過負担の額千二百億とか千百億とかというこの数字に含まれておると、こういうふうに見ていいですか。そこら辺どうです。
  20. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 全部を網羅してはおりません。主要なものでございます。しかし、額的に見れば、これがほとんどの部分を占めておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  21. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、全部これになかなか調査としてもたいへんだと思いますが、しかし、あなた方のこの調査のやり方からしますと、超過負担率というものを出して、事業費にかけて超過負担額を出しておりますから、これはやってやれないことはありませんね。そういう方式をとっていけば、まあ、今回はやらなかったわけですから、どうのこうのと言ってもしようがありませんが、やってやれないことはないと思うが、やった場合に、局長さんはいま、額ではあまりたいしたことじゃないと、こういうふうにおっしゃったけれども、私は相当あると思う。そこら辺の見解どうですか。私は全部を拾っていった場合、厳密にそれが言うところの超過負担であるかどうかということについては多少問題がある、検討すべき問題があるものが幾つかありますけれども、ともかく、はじき出される超過負担としては、千二百億とか千三百億とかじゃなくて、私は二千億近くになるのじゃないかと思うのですよ。これは地方財政法の十条関係だけではありません。その他の公共事業関係にもいろいろありますから、私はそう見ておるのですが、そこら辺どうです。
  22. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) おっしゃるとおり、全部について一々調べることは時間と手間をかければ可能であろうと思いますが、しかし、私どもいろいろ地方団体のものにも絶えず接することでもございますし、われわれ自身もそういう見解も持っております関係もございまして、そういう点から判断いたしまして、非常に額的にも大きく、かつ主要なものに限定をして調べたものでございます。したがいまして、私どもは、これらのものにつきまして悉皆にいたしましても、そう大きな額の開きは出てこないのじゃなかろうかという見当をつけておるのでございます。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは調査しないものについていま的確な、どのくらいの数字になるとか、ならぬとかというようなことは言いませんが、私も数字的なことは、これ以上述べることは避けたいと思いますが、これは一つの県の例であります。自治省では三十九年度、四十年度の二回にわたって大体同じような項目を、多少の項目の差しかえはありますけれども項目について調べておられるのでありますが、そういうものは、いまも明らかになったように全部じゃありませんから、ある県で、県の仕事全般からいわゆる超過負担といわれるようなものについて洗ってみたところが、昭和四十年度分について自治省調査項目、これで三億九千五百五千六万円という数字が出ている。これははっきり私は言いましょう、秋田県です。地元のところだから、調べたのを資料をもらってきましたが、ところが、全体として調べてみましたら、六億一千万円という数字が出ている。これは、この中にはいわゆる投資的な経費、それから人件費等の消費的な経費、全部含めてですね。三十九年度では三十九年度の分として出ておるのが五億一千万円、県として拾うことのできるものを全部拾った。そうすると大体、自治省調査項目調べたものよりも倍近くの額が出ていますね。  そこで問題になるのは、さっきもちょっと言ったように、全部が全部六億一千万なり六億五千万なり、全部がいわゆる超過負担として、厳密に言ってそうなのかどうかについては、これは若干私も問題があると思う。しかし、補助事業をやって、補助や国の負担の伴う仕事をやって、それであればこれだけの負担をしていいと思うのに、いま言ったような大きな額の負担を背負ってやっている。こういう点については、多少の数字はあるいは違うかもしれないが、超過負担の額と見て私は差しつかえないと思う。とすれば、これは一つの県のものでございますけれども、これは四十六都道府県あるいは市町村、これを拾っていったら、さっき言ったように大体二千億近くになるのじゃないですか、これは。その数字はまあともかく、そこで、こんなにいま超過負担の問題が、われわれがここでいろいろなことを言っておる、あるいはあなた方がいろいろなことをおっしゃっておりますが、それ以上に地方団体にとっては非常な大きな問題なんですよね。  地方財政の窮迫とか困窮とか、弾力性があるとかないとかいうので、いろいろと言われております。しかし、その中の一つはこの超過負担の問題だと、私ははっきり言っていいと思う。これはあなた方、お調べになっているから、私より以上に詳しい数字を持っておると思いますが、いま申し上げたのは、これは秋田県のやつをちょっと申し上げた。  せんだって四国の四県について私どもが実地調査をしたんでありますが、香川、愛媛、高知、徳島、この四県についていろいろ数字を拾ってみたんです。これは自治省調査で、香川県が三億七千四百万円、ちっちゃな県ですよ。愛媛県が大きいです、四億五千九百万円。高知県が三億一千六百万円、徳島県が二億五千三百万円。調査項目ごとについても私、数字を拾っておりますけれども、これはまあ省略しましょう。あなた方が調査を命じて調査したものだけでこれなんです。さっきのようにこれの何十%かというものが、もっと実際には県で全体としては持ち出している。  まあ言っちゃ悪いけれども、四国の高知とか徳島なんか豊かな県じゃないですね、御承知のように。こういう県ですら三億一千万とか一億五千万とかというものを、はっきりあらわれた、今回の調査だけに示された額だけでもそういうふうに負担をしているのです。これは私は、地方財政にとって、さっき言ったようにたいへんな問題なんですよ。給与改定のための財源があるとかないとか、公共事業をやる金があるとかないとか、県単事業はやれないとかといって非常にやっているときに、これだけの金があったら相当な仕事ができますよ。当然負担しなくともよいものをこれだけ負担しているんだと、こいいうことになるんでありますから、私はこの問題について先ほどもちょっとお尋ねしましたけれども、まあ自治省はもちろんでありますし、政府全体として、もっと本格的に腰をすえた是正対策、解消対策というものを立てないと、とんでもないことになっていくと思う。そういう点からいって私は、さっきの局長は、何か若干前とは弱腰になっているのじゃないかというふうに思う。まあ局長はかわっておりますから、あるいわおっしゃり方のニュアンスがちょっと違うかもしれませんが、何かそんな感じがするんですがね。  大蔵省のほうにお尋ねをしたいのですが、さっきまあ政務次官から態度についてのお話がございました。いまの段階としてはそれ以上おっしゃれないというようなこともわかりますけれども、いま私いろいろ申し上げておるその中に、この問題がいかに地方財政にとって重要な問題であるかとの認識は、もうとうについていらっしゃると思いますが、どうでしょう。この問題の解決のための大蔵省態度、これが私はかぎになると思うのですね。各省でいろいろ住宅関係なり学校関係なり要求しても、予算編成段階大蔵省態度というものが、もしそれに対して消極的な態度であるとするならば、この問題は、これはいつまでたっても解決されないままに残されていくわけですから、そういう意味でひとつ大蔵省としての考え方なり、あるいはまた現になさっておるこういうことに対する努力なりというものを、まあ主計官からでもけっこうでございますが……。
  24. 丸茂重貞

    説明員丸茂重貞君) 基本的な方針につきましては、先ほど私のほうから申しましたが、なお細部につきまして主計官のほうから御説明申し上げます。
  25. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 基本的な問題につきましては、政務次官から御答弁がございましたように、方針といたしましては、超過負担問題の改善、合理化については、今後とも私ども引き続き取り組んでまいりたいという姿勢は変わっておりません。ただ具体的にどうのこうのという御質問がございました場合の具体的な数字段階まで、まだ私ども詰めておりませんし、その辺の事情はひとつ御賢察いただきたいと思います。  ただ、先ほどいろいろ数字がございましたが、あるいは先生のほうから二千億とか、自治省のほうから千億というような数字がいろいろ出ておるようでございます。もちろん超過負担の問題については、標準単価がいかにあるべきかというのが一番のかなめではないかと思います。このように常識的に見て、標準単価はいかにあるべきかという問題が一番むずかしい問題であるかと思います。私どもそういう問題については、それぞれの実情、個々の補助金に即しまして、また国の財政事情等も勘案しつつ検討を続けてまいりたいのでございますが、これはあるいはおしかりを受けるかもしれませんけれども超過負担の問題については、国の補助単価が不当に低いというだけがすべての原因でもないように私どもは思う。まあこれは多少大蔵省サイドのかってな意見かもしれませんが、そういう気もいたしております。たとえば薄まきが原因であるとか、いろいろなよって来たる原因はあろうかと思いますが、そういった問題もあわせ検討しつつ、超過負担解消については、それぞれの実情に即しまして、今後とも引き続き検討さしていただきたい。はなはだ要領得ませんが、この程度でごかんべんいただきたいと思います。
  26. 鈴木壽

    鈴木壽君 主計官お話しのように、単価の問題がこれは一番大きな問題だと思いますが、しかしその単価といっても、必ずしも予算単価そのもので、いわゆる予算配分なり、補助の配分というものが行なわれないで、まんべんなく薄めてやるとかというようなことがあります。あるいは地域によっていろいろ差をつけたりなんかすることがあります。そういうことはわかっておりますし、全体として、何といったって単価の問題が、単価そのものがやっぱり実情から見て著しく低いということ、著しくということばはあるいは悪いかもしれません、低いということだけは、これはいなめない。もちろんそのほかに、何といいますか、たとえば建築の場合の面積の対象のしぼり方、あるいは職員数の問題、こういう問題ももちろんあります。それから私ども一つ問題にしたいのは、当然補助の対象にすべきものであって、除外されておるものがかなりある。たとえば補助職員給与に関してだけをとってみましても、当然給与関係の諸手当なり、いろいろな問題を見てやらなければいけないというのに、全然そういうものについては見ていないと、したがってそこに大きな額の超過負担が出てくると、こういう問題も実はあるのですよ。  ですから簡単に単価を直せば済むとか、あるいは坪数——いまは坪数と言いませんか、平米で言いますかね。いずれもそういうものを直せばすぐなくなるという簡単なものじゃないことは私は承知しておりますが、しかし、どの点から見ても実情と著しくかけ離れているというところが目につくものですから、結果として集計してみると膨大な額になると、こういうことになるわけですから、ぜひこれは四十二年度予算編成にあたっては、こういう点をひとつ是正してもらうように、私強く要望しておきたいと思います。そこで、実は各省に、簡単に各省所管の仕事についての実情なり、あるいはこの超過負担解消のために、どうこれからやっていかれるのかということをお聞きしたいのでありますが、最初に文部省のほうからお聞きしたいと思います。  義務教育学校の建築でだいぶ超過負担が、これは主として市町村関係ですけれども、あるのです。自治省のこの調べによりますと百八十億円という数字が出ております。これは文部省としては、どういうふうにお考えになりますか。こんなにあるのかということでしょうか。それとも文部省としては、何かこういうことについてお調べになったことございますか。もしそういうものがありましたら、そういうものをもとにして、文部省のこの件についての考え方をひとつお聞きしたいと思う。
  27. 中尾龍彦

    説明員(中尾龍彦君) 自治省のほうから、学校建築につきまして、地方の超過負担分として百八十億円という数字は一応出ております。この数字は、一県当たり小中学校、それぞれ六校ずつを抽出して調査された数字でありまして、この数字でございますと、大体百八十億円というような推定数字が出てまいりますが、この場合抽出のため、現実の結果とは若干食い違いがあると思われます。この補助金関係で見ますと、私どものほうの計算では約七十一億円の超過負担額という数字をとっております。それでこの数字の相違は、いろいろなケース、いろいろな種類がございまして、百八十億円という数字は、私ども考え方からいたしますと、やや現実より多いのじゃないかと思われますが、なおこの超過負担があることは、私どもとしても現実に率直にこれは認めなくちゃならぬと思います。これにつきましては年々一歩ずつであっても、大いに改善につとめておるつもりでございます。
  28. 鈴木壽

    鈴木壽君 文部省のほうではあれですか、補助金等に伴う何といいますか、地方の持ち出し額、超過負担というものを七十一億円程度だと見る、これは学校建築なり、その他いろいろこうあれですか。全部を含めての話なんですか。その点、どうでしょう。
  29. 中尾龍彦

    説明員(中尾龍彦君) これは学校建築につきましての数字でございます。なお詳しいことにつきまして、担当の助成課長から御説明申し上げます。
  30. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) ただいま部長から七十億程度と申し上げましたのは、事業費全体で、自治省調査で申し上げますと百八十億ということでございますので、それに三分の一ないし二分の一の補助率をもって換算すれば、補助金の所要額としては七十億程度ということを御説明申し上げたものでございます。  私どもとしては、百八十億という数字は、先ほど申し上げましたように、一県六校の抽出調査ということで、また、たとえば、個々の学校について申し上げますと、それぞれ補助の資格面積が計算されますので、その資格面積を上回って実際学校では建築する場合も中にはございます。それらも含めまして、この百八十億の中にはすべてが入っておりますので、私どもとしては、補助資格面積までのものを補助金の交付の対象といたしてございます。したがって、それから見れば、若干上回るのではなかろうかというぐあいに私どもは考えておる次第でございます。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 私もね、この百八十億円という自治省のお調べ数字そのものが、一〇〇%いわゆる超過負担額として動かないのだというようなつもりはありません。お話しのように、これは抽出調査をやったそのある数字をもって、いわば推定した推計の数字でございますし、さらに学校建築等の場合には資格坪数の問題もある。市町村によってはそういうものからかなり上回った仕事をしておって、その全部を持ち出し分だ、超過負担だというふうに考えているところもあると思いますから、必ずしも私は百八十億ぴしゃり動かない数字として考えていたんじゃありません。しかし、大体三四・六%という超過負担率、この程度の率そのものは、大体三〇%以上になっているということだけはお認めにならざるを得ないと思うのですが、どうです、その点は。  私一、二調べまして、たとえば、四十年度の小中学校の建築の単価、木造、鉄筋、こういうものの単価の実際にかかったそれを見ますと、私の二、三調べたのは、三四%をはるかにこしておるのです、実は。しかし、これは地域によってもいろいろ価格の点においては違いがあると思いますから、一がいには言えないけれども、大体やっぱりこの程度超過負担率だということは、これはお認めにならざるを得ないと思うのですが、もし、あなたのほうで実地について調べたのがありましたら、ひとつお示しいただきたいと思います。
  32. 中尾龍彦

    説明員(中尾龍彦君) この国庫補助資格面積以上に建築しているものも含めますと、三十九年度、四十年度におきます超過負担分は、三十九年度において三一%、四十年度におきまして二七%となっております。これは資格面積以上に建築しているものを含んでおりますので、資格面積をとって調べますと、超過負担分は三十九年度において一八%、それから四十年度におきまして一四%、こういう数字になっております。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなたのほうのお調べだとだいぶ、超過負担率というものは自治省調べの約半分ですわね。単価だけについてお調べになったものはございませんか、単価だけ、建築単価で……。
  34. 中尾龍彦

    説明員(中尾龍彦君) 建築単価について調べ数字を申し上げますと、四十年度におきまして、予算単価七月八千九百円、これは坪当たりでございます。それから実績は八万二千十円、こういう数字でありまして、予算単価を若干上回っております。四十一年度、現在実施をやっております単価は、これは全国平均でございますが、四十年度実績単価八万二千十円、これに対しまして八万二千百円、四十年度実績単価をごく少量ではありますが上回っておりまして、これはほぼ現実にひとしい単価であろうと考えております。これは鉄筋でございます。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 私もいまのおっしゃった鉄筋の四十年度七万八千九百円、四十一年度八万二千百円、これは私もそう調べておりますが、四十年度では七万八千九百円のものが八万二千十円、パーセンテージにするとあまり大きくないですね。そうすると、自治省調べでは二八・一%という数字が出ておりますね、単価査定では。これの違いはあれですか、あなた方としてはどうお考えになりますか。これはまあいまのは鉄筋だけですが、それから鉄骨、木造、全部含めたあれですからね、そこら辺……。
  36. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) 私どもといたしましては、予算単価としては、いま御説明申し上げたとおり、相当年々引き上げに努力をしてまいったつもりでございますが、しかしながら、実際に建築される建物といたしましては、予算単価を相当上回って建てられるということもございます。しかしながら、それは全国平均から申し上げれば、いま申し上げましたように、四十年度では八万二千十円、坪当たりでございます。しかしながら、個々の学校について申し上げますと、今日では相当建物としても十万円を上回るというような建物を建てる場合も実際には出てまいります。また地域差がございまして、相当労賃やその他の面で、実際個々につかまえた場合に高い単価が出てくるということが想像されるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、自治省から出されておりますこの資料を参考にいたしまして、来年度予算要求あたりましても、単価の改善についてはさらに一段と努力いたしたいと考えております。  従来の実績から申し上げますと、鉄筋の単価については、ここ二、三年来私どもいろいろ関係省、大蔵省とも折衝いたしまして、相当の改善がなされてきておりますが、なお、たとえば木造の単価については相当低いということは、私ども予算の面でなお今後とも十分努力しなければならぬ点ではないかと考えております。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 四十二年度予算要求にですね、小中学校の校舎の場合のR、S、W、この三つの種類についてどういう要求額をしておられますか、単価について、坪当たりでいいです。
  38. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) 小中学校校舎の坪当たりの四十二年度要求単価でございますが、鉄筋造では八万八千五百円でございます。これは前年度予算単価に対しまして七・九%のアップということでございます。鉄骨造では六万八千二百円でございます。これは前年度、つまり四十一年度予算単価に対しまして九%のアップ率でございます。最後に木造の単価でございますが、四十二年度要求単価は五万三千九百円でございまして、これは四十一年度予算に対しまして一四%のアップということで、私どもとしては特に木造の単価が低いという現実の姿でございますので、特に木造の単価の改善を中心に、さらに年間の物理上昇率や、そのほか建物自体の質的改善要素を含めまして、いま申し上げましたような予算要求をいたしているような次第でございます。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはあれですね、いまのお話の四十二年度予算要求単価がかなり四十一年度よりはよい単価要求をしておられますが、これでもまだまだあれですね、実はいま鉄筋で今度八万八千五百円、今年度は八万二千百円ですね、四十二年度で八万八千五百円といっても、鉄筋でやっぱりいま八万円台でできるとはこれは言えませんよ。これは、ぜいたくなことをすればいろいろまだありますけれども、それにしても普通にいってこれは九万円台にならなければこれはなかなか——いろいろ土地の事情によって違いますがね、これは不十分じゃないだろうかと思うんですね。木造五万三千九百円という率ですね、これで何とか単価差はあまりなくなるというふうにお考えなんですか。
  40. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) 私ども全国平均でございますが、実績単価としましては四十年度実績が出ておりまして、四十年度実績単価が坪当たり五万一千七百七十六円という数字を持っております。四十一年度年度途中でございまして、まだ数字を持っておりません。したがいまして、来年度要求五万三千九百円の数字でございますが、私どもとしては従来とも木造単価予算面では低かったということは率直に認めなければならぬ点じゃないかと思っておりまして、相当前年度比にいたしましても、先ほど申し上げましたように一四%のアップということで要求をいたしておるわけでございまして、これによりまして、相当内容的には質の改善もはかれるものと考えております。  なお、実際の単価がそれではとても無理ではないかという御指摘でございますが、まあ私どもとしては、木造の単価の改善についてはさらに今後とも、単に来年度のみでなくて、今後年を重ねてさらに改善に努力をしてまいりたいと、かように考えております。  なお、先ほど鉄筋についてお話のございました点でちょっと補足して申し上げますと、実際個々の建物につきましては、実は私ども四十年度からでございますけれども、個々の実績単価に非常に大きな差の出てくる一つの要因といたしまして、くい打ちの単価というものがございます。これは建物の上部についての単価以外に、実際にくい打ちを実施する場合には、そのくい打ちの単価分を個々の建物について認めるということにいたしまして、くい打ちをいたしました場合にはそれを上積みをするわけでございますが、そのくい打ち分だけの上積みが、全国平均で申しますと坪当たり千六百円ということでございます。したがいまして、四十一年度予算執行の面におきましても、地域別に単価を実施する場合に、くい打ち単価をつけたものについては実際の例としては坪当たり十万円の補助金になっておる場合もございます。一応補足して御説明を申し上げておきます。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは私は四十二年度要求なさっておる単価でもなお低いと思っているんですが、まあ、しかし低くても、これだけはひとつ確保してもらうようにしてもらわないとですね、さっきからいろいろ申し上げておりますけれども、いけないと思うんです。ひとつ努力してもらいたいと思うんです。  それからお話の中にありました資格坪数のことですがね、これが問題になるわけなんです。よけいな仕事をしているのじゃないかとね。むしろ、いまのあなた方がやっている資格坪数のきめ方、算定の基準といいますかね、それが私は実情に合わないものになっているのじゃないかと思うのですが、どうでしょう、その点は。
  42. 中尾龍彦

    説明員(中尾龍彦君) 現在学校施設にとっております基準は、学校教育として最小限度の機能を果たすという施設を目標としておりまして、私どもは一般に最低基準と呼んでおる数字でございまして、望ましい基準ということにはある程度距離のある数字でございます。  現在全国の学校施設につきましてその最低基準まで、三十九年度を初年度として五カ年計画で一応その線まで持ってきて、最小限度の施設を整備し、学校教育の目的を果たす最小限度の施設をつくるというところに目標を置いております。その教育の目標を高いところに置いておられる部分では、あるいはその数字がきびし過ぎるかもしれません。しかし、五カ年計画の実現というのを当面の問題としておりますので、そういう御不自由を願っている向きがあるかと存じます。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 計画の中にあることは私も承知しております。私の言いたいことは、しかしその計画といっても、いま言ったように、私は実情からしますと、いわゆる最低を保つという、それすらいっていない段階にきているのじゃないかと思うのですよね。もっと引き上げるべきだと思うわけですよ。そういう意味での考え方はないかと、こういうことなんですが、いまのところは計画どおりで、これは窮屈だろう、苦しいだろうけれども、がまんせいと、こういうことなんですね。もっと前向きに検討、是正するというようなことはございませんか。  それからもう一つ、補助は全部、ある学校に対して資格坪数としてこれだけの坪数が出た、それの一〇〇%補助をつけているんですか、つけていないのですか、その点どうですか。
  44. 中尾龍彦

    説明員(中尾龍彦君) 基準の引き上げにつきまして、私どもお説のとおりでき得る限り早急にそれを引き上げたいと存じております。その一つとしまして、これまでしばしば御指摘を受けました屋内体育館、これの基準を四十一年度から引き上げました。なおその他実施面におきまして、御要望の線に極力沿うべく、対策でき得る範囲におきまして御要望に沿うように努力をいたしております。  なお資格坪数に対する補助の充足率問題につきましても、実施の上におきまして本年度あたりは一〇〇%に近く——なお一〇〇%には至っておりませんけれども、現在九五%というような数字で実施をいたしております。
  45. 鈴木壽

    鈴木壽君 資格坪数の基準の引き上げといいますか、もう少し上げてやらなきゃいけないということについては考え方はわかりました。  それからもう一つの問題、補助のつけ方ですがね。従来は八割だとか八割五分という——七割五分あたりからあったような感じがするんだが、四十一年度で九五%になったという。ある意味ではできるんでしょう。しかしこれはやはり一〇〇%やるべきですね。これはいろいろ要望もあって、限られた予算の中で配分をしなきゃいけないという問題もあると思います。しかし、だからといって、せっかく低い資格坪数に見て、しかもそれの何%かははねてしまうというようなことでは、私はおかしいと思うのですよね。これはひとつ四十二年度では資格坪数一〇〇%に補助金を出す、負担をする、こういうことでやってもらいたいと思うのですがね。これはひとつこれからのことですから、そういうふうな態度でやってもらいたいと思います。  それからまあ関連をして二、三まだあるのですがね、時間もありませんから簡単にします。同じような、義務教育諸学校の建築、その中に一つ——いまの制度ではないのですから、制度的な問題だけでも、私は超過負担という意味で言うのじゃありませんけれども、学校用地に対する国の補助負担というものがやはりあるべきだと思う。これはいまなされておりませんね。住宅関係では、公営住宅の場合には、これもその単価が非常に安いという大きな問題を巻き起こしておりますけれども、ともかく用地費の分には何分の一というふうに見ておる。学校用地については全然見ておらぬというのは、私は少しおかしいと思う。どこへ学校建てればいいのか、そういう点についてどうです。何か四十二年度予算要求にあたって考えておるところありますか。
  46. 中尾龍彦

    説明員(中尾龍彦君) 学校用地の取得に関しまして国が補助すべきであるという御指摘はかねて受けておるところでございます。御指摘のとおりでございますが、土地問題というものは非常に種々雑多なケースがございますために、その実施上の困難な問題等もございまして、現在のところ起債によってこれを処置していきたいと考えております。起債につきましても、十分な充足率をもって実施できるように関係官庁にも御要望申し上げておる次第でございます。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 私お聞きしたいのは、義務教育学校の施設に当然含まれるべき一環としての用地の取得についての費用というものを、私は当然国庫負担対象にすべきじゃないかと、こういうことなんですよ。だから何も全部国が負担するということじゃないのですから、それは地価の問題とか、いろいろとアンバランスがあって、高いところ、安いところ、いろいろあってなかなか——たとえば率を三分の一の補助をするとか、二分の一の補助をするとかいってもなかなかむずかしい問題出てきますけれどもね。いずれにしても、しかし全然それに対する国庫負担がなされておらないという現状を、私はこの義務教育施設の整備なり、それについての国が負担をするという、こういう法の精神、そういうたてまえからして私は手抜かりじゃないか、こういうことで、それについての考え方を聞いたのですが、いまのところはやはり起債でやっていくと、起債の充当率を多くするということだけ、おしまいだということですね。
  48. 中尾龍彦

    説明員(中尾龍彦君) 御指摘のとおりでございまして、校地の取得につきまして国庫補助を行なうという問題は、文部省におきましても、司令部時代から非常に問題になりまして、その実現をするように検討を続けてまいっておる問題でございます。いろいろ問題がございますけれども、本質論として、まず建物の問題より、それ以前にやはり校地は確保さるべきものとわれわれも考えておりまして、ぜひ何らかの国庫の助成方法を考えて、その手段をとりたいと検討しておりますが、まずその内容においてむずかしさがあるとともに、財政面においてまた問題があるということから、今日まで遺憾ながら実行できない次第でございます。そのために現段階では、やむを得ず起債措置でこれをやっておるということでございます。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 不満だけれども、何かあるそうですから……。
  50. 沢田一精

    沢田一精君 ちょっといままでの質疑に関連して簡単にお伺いしますが、先ほどの御答弁で、屋内体育館の建築についての資格面積の基準を四十一年度から引き上げたという御説明がございましたが、具体的にどういうふうに引き上げられたわけですか。
  51. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) ただいま御質問の屋内体育館の基準の引き上げでございますが、四十一年度から実施されまして、全国平均で申し上げますと、小学校では三八%の引き上げ率、三割八分の引き上げ率でございます。中学校で申しますと四一%の引き上げ率ということで、大体従来の基準に対しましてほぼ四割見当基準を引き上げたというのがその中身の概要でございます。  それで、したがいまして、従来補助申請がございましても、生徒の数によりましてそれぞれ資格面積がきめられおりまして、それが相当低かったわけでございます。したがいまして、設置者のほうで相当持ち出したといいますか、上積みをして体育館を建てておったというのが現状でございましたが、それを四十一年度から屋内運動場の場合も学級当たりの基準に改正をいたしまして、個々の学級ごとに、小学校で申し上げますと、たとえば十四学級から二十四学級までの場合でございますと、新しい基準では六百一平米が資格面積になるわけでございます。ところが従来の基準で申し上げますと、その場合は四百七十三平米しか補助資格は出なかった。したがいまして、この場合で申し上げますと、約三割程度基準が引き上がった。具体的に申し上げますと、そういうことでございます。
  52. 沢田一精

    沢田一精君 それでは小さな規模の小中学校でせっかく屋内体育館をつくるけれども、バスケットボール・コートの一面もとれないというふうな事態は全く解消されたと、こう見ていいわけですね。
  53. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) 具体的な新しい基準の内容についてちょっと考え方を、それじゃ御説明申し上げたいと思います。  基本的にはやはり学級段階に応じまして基準がつくられておるわけでございますが、標準規模の学校においては大体球技のできる広さを基本といたしてございます。標準規模と申しますと、小学校でいいますと、まあ八学級ないし十三学級ということでございます。
  54. 沢田一精

    沢田一精君 ことし、つい最近なんですが、私の地元の中学校で屋内体育館をつくった。たしか国からの補助が約四百万円ぐらい、何もかもひっくるめまして、あったと思いますが、父兄負担が八百万円、まあ大騒ぎをして寄付を集めて、やっと最近でき上がりました。そういう事態というものを皆さん方はどういうふうにごらんになっておるか。簡単でけっこうですから、お伺いしたいと思います。不必要な施設をつくったと思っておられるのか、好ましいことではないと思っておられるのか、簡単に御答弁願います。
  55. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) 施設につきまして、ただいま御指摘のような父兄負担という問題が現実に起こっておるということについては、私どもかねがねたいへん遺憾に存じておるわけでございます。お話の件が具体的にどういう建物であるか、ちょっとつまびらかでございませんので、具体的に申し上げかねるわけでございますが、建物といたしまして、私どもとしては、今回の基準では、いま申し上げましたような標準学級では球技のできる程度の広さをとれるということにいたしたわけでございますが、なお小規模学校であって面積が十分でないというようなことで、お話の継ぎ足し工事が行なわれたものであるか、あるいはそれとも単価の面で必ずしも国の単価が十分でないということで、いろいろ施設面で付属した施設をつくったものであるか、ちょっと申し上げかねるわけでございますが、それらの点については、今後とも、先ほど来御説明いたしておりますとおり、資格面積の改善、また単価の引き上げ、それらの面で父兄負担解消されますように、私どもとしては今後とも十分努力したいと、かように感じております。
  56. 沢田一精

    沢田一精君 私はそういう御答弁は必ずしも求めておらないわけなんですが、結局全国的な見地から文部行政全般を、皆さん方は施設の面で主として見ておられると思うのですが、全国各地で中小学校の体育館の建設というのがだんだん進んでおると思うのですが、それらの実績ですね、大体どういう実績になっておるか、父兄負担がおおよそどのくらいである、国の補助がどれだけであるか、あるいは地方公共団体負担がどうであるという全体の実績というものは、全部おたくのほうで掌握しておられますか。
  57. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) ただいまちょっと手元に資料を持っておりませんが、私ども、体育館の建築が各設置者において非常に熱心に進められておるということは十分承知しております。たとえば、記憶しておりますところでは、私どもの補助面積に対しまして、実績から申しますと、ほぼ二倍に当たるもの、つまり体育館を建てようと思いましても補助金がもらえなくて、結局各設置者で単独と申しますか、補助金なしに体育館を建てるケースが、大体補助金をもらって建てるものの約倍程度でございます。したがいまして、現在の補助金というものが、実際の要望にはまず半分程度しか満たしていないということが言えるのじゃなかろうかと思います。これは何と申しましても、私ども小中学校の校舎については、校舎と屋内運動場、それぞれ建築を進めておるわけでございますが、一つには小学校の屋内運動場に対する補助制度というものが三十九年度から実施されてきた関係もございまして、補助金の金額がほかの校舎の場合に比べまして、非常にまだ少ないというようなことがございます。また、危険校舎の改築とか、そのほか全体的な事業を進めていくという面で、まだ体育館のほうに十分な補助金が回っていないというのが現実ではなかろうかと思っております。
  58. 沢田一精

    沢田一精君 私がお尋ねしたいことは、そういった全国的な風潮というものに対して文部省御当局は全く放任をしておられるのか、あるいは何らかの行政的な指導をしておられるのか、あるいは体育館の建設はもう少し待ちなさいということで指導しておられるなら、それも一つ方針だと思うのですが、その辺をお聞きしておるわけなんです。
  59. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) 私どもといたしましては、なるたけ補助金が充当できますように、たとえば来年度予算要求におきましても、体育館関係の補助金については大幅な引き上げを大蔵当局にも要求いたしておるような次第でございます。そういう地元の要望にこたえられるように、補助金をなるたけ御要望に沿えるように、つけられるようにいたしたいと、かように考えております。
  60. 沢田一精

    沢田一精君 関連ですから、最後に大蔵省にお尋ねいたしますが、いま私からお尋ねをし、文部省からお答えになったような状況で、全国的に見まして、小中学校の体育館の建設というのが相当国民的な要望と申しますか、そういうことで進んでおると思うのです。ところが、いま文部省からお答えがございましたように、実際の実情というものは半分にも満たないような補助金で、非常に大きな父兄負担でこの仕事が行なわれておるというのが実情ではなかろうかと思うのです。屋内体育館などというものは、これは五年や十年でつくりかえなければならぬという性質のものではございませんし、全国的に見まして、あちこちでできておりますけれども、そう不必要あるいはぜいたくと思われるような施設は必ずしもないと思うのですが、やはり必要に迫られて、子供の体育の向上という見地からなされておると思うのですが、これをいまのままで放任して、つくりたければどんどん自分たちで金を出してつくりなさいという態度で、放任をしていいものかどうかということを私は考えるわけなんですが、ひとつ来年度予算編成あたりに際しまして、少しでも父兄負担を軽減するように御配慮いただけないか、ひとつ最後にお答えを願いたい。
  61. 丸茂重貞

    説明員丸茂重貞君) ただいまの沢田委員お話は、まことにごもっともだと思われる面もありまするが、何ぶん現段階では、来年度の国税や地方税の増収について確たる見通しがついておりません。したがいまして、ただいまはっきりしたことを申し上げる段階にはないのでありますが、御趣旨のことは、これはもうわれわれの立場といたしましても、わからないじゃございませんので、個々の実情に即しまして、文部省といずれ連絡をいたしまして、適切な処置をとってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  62. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間がないので、その他の項目については簡単にお聞きします。  いろいろ文部省にいまお聞きする中には、いわゆる超過負担という問題でない問題もあります。しかし、地方財政の立場から私どもこれはほうっておけない問題だと思いますので、そういうものも含まれておりまするから、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。  なお、校舎あるいはその他の施設関係では、いまの事業費の小中学校の問題、そのほかに学校給食施設、高校の危険校舎の問題、産業教育施設費として高校あるいは中学に出ているこういう問題についても、単価あるいは数量の上であるいは対象が当然加えられてもいいと思われるものが除外されているというようなことで、地方団体ではだいぶん持ち出しをしておるというようなことがずいぶんあるのであります。これについて四十二年度予算で改善、是正のために要求しておられる、そういう何かありましたら、ひとつお尋ねをしたい。
  63. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 公立文教施設費以外の事項につきましてお尋ねでありますので、私からお答え申し上げます。  まず第一に、高等学校の産業教育施設費の点でございまするが、予算の額から申し上げますと、本年度関係十八億となっておりますが、来年度これを三十四億という大きな数字を出しておりまして約十六億の増、その内訳は、まず第一に単価の引き上げであります。単価につきましては、これも公立文教施設同様な問題がございますので、この改善をはかりたい。具体的に鉄筋で申し上げますと、平米当たりで恐縮でございますが、本年度一平米当たり建築単価が二万五千七百七十三円ということになっておりますが、来年度これをぜひ二万七千八百円に引き上げていただきたいという要求をいたしておるところでございます。  それからもう一点は、構造比率の改善でありまして、いわゆる鉄骨の割合を、全体の建築数量の中において増加するということで、本年度よりも、鉄骨の割合でありますが、木造から鉄骨のほうへ五%増加するということ等の増加をいたしております。  それから特に高等学校の産業教育施設で超過負担の問題を引き起こす一番の要因は、単価と並びまして付帯施設の問題がございます。現在は補助対象といたしましては、産業教育施設につきましては、いわゆるその室内面積を対象にいたしておるわけでございますが、それに付帯いたしますところの廊下、階段等につきましても、これを助成の対象といたしたいと考えまして、その点につきましてもあわせて要求いたしているわけでございます。  それからもう一点、学校給食施設費についてのお尋ねがございましたが、これは私所管でございませんので、的確にお答えできないのでございまするが、承知いたしておるところを申し上げますると、来年度約十三億要求いたしております。これは本年度に比べまして約七億円の増加であります。この内容は、やはり公立文教施設と同様でございまして、補助基準の引き上げを考えております。補助対象面積を増加するということでございます。たとえば、給食施設の小中学校の単独校について申し上げますと、今年度補助対象面積が五十四平米になっておりますが、それを七十平米に引き上げたい、共同調理場を二百一平米を二百三十平米に引き上げたい。それから一般の学校施設と同様に、建築単価を公立文教施設に準じまして引き上げるということ等をいたしております。以上のとおりであります。
  64. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間があれば具体的に少しお聞きしたいと思っておりましたけれども、省略します。  いろいろ学校給食の施設あるいは高校危険校舎、高校産業教育施設等、是正を考えられておるようであります。けっこうですが、四十年度調査にも、かなりの額がやっぱり超過負担として地方が背負っておるというようなことが出ております。一つ要望したいんですが、自治大臣いないんですが、予算をとって仕事をふやす、個所をふやす、あるいは坪数をふやすという、こういうこと、もちろんこれはいろいろな地方の要請もありますから必要ですが、その際に、それだけに追われて、超過負担の問題、これをないがしろにしてもらいたくないのです。むしろ、いまの段階では、これはものによってそうも言い切れませんけれども超過負担問題をまず解決するのだというぐらいのかまえでないと、さっきから何べんも申し上げているように、なかなかこれらの問題の解決前進というものはできませんから、ひとつそういうことでぜひ来年度予算編成にあたって努力してもらいたいと思います。  それからいま一つ、さっきも言ったように、この問題は全然超過負担の問題とは別ですが、地方財政の立場から問題になっておりますのは、公立の大学に対して、いまのところ一部の設備とか研究とかに対するもの以外にはほとんど助成がなされておりません。あるいは国からの負担というものは行なわれておらない。これはたてまえからいってそうなっていますが、しかしこれでいいのかどうかということ、これについて何か文部省として考えておりませんか。
  65. 説田三郎

    説明員(説田三郎君) ただいま御指摘をいただきました公立大学等についての助成の問題でございますが、現在対象とされておりますのは、御指摘のとおり、設備費についてでございまして、これが二種類ございます。一つは、理科教育設備の問題と、それから教官の研究用設備、この問題があるわけでございますが、現在は設備費についてのみ補助対象というかっこうになっておりまして、施設につきましては、特に補助というかっこうはとっておりません。この施設につきましては、自治省とも相談をいたしまして、起債でお願いをするというかっこうで今日まできておるわけでございまして、設備につきまして、文部省といたしましては、現在の補助率が御承知のように三分の一、交付税の不交付団体におきましては四分の一というような補助率になっておりますが、この補助率を早急に引き上げるということでこれまでも要求をいたしておるわけでございますが、遺憾ながら今日までこの補助率の引き上げについては実現をしておりません。来年度要求といたしましては、この補助率を二分の一に引き上げたい、それから不交付団体については三分の一に上げたいということで要求いたしております。そのほか設備充実の目標額を現在の三八・五%から五〇%に上げるというようなこと、それからさらに現在補助の対象になっていない学科、たとえば家政関係の被服というような学科がございます。それから衛生看護学科とかあるいは看護科というような、そういう学科の対象範囲をふやすというような面についても要求をしておる段階でございまして、できるだけこれらの要求が実現するようにただいま大蔵省折衝をしたいというふうに考えております。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 理工系の設備あるいは研究設備等についての補助助成、これの率の引き上げについて来年度から実現したいというお考えのようですが、これはぜひやってもらいたいと思うんです。そのほかの補助の対象をもっと広げろということ、これもやってほしい。と同時に、私は基本的に、一体公立大学というものの設備、施設あるいは校舎の新増改築、こういうこと、いまの法のたてまえからすれば、これは別に補助するたてまえではない、しかしそれでいいのかどうかということですね、一つは。地方団体に、かってにおまえたち大学をつくったんだ、かってに持っているじゃないか、これでは、いまのいろいろな学校の制度、大学のあり方、あるいは高等学校との関連、こういう問題からして、私はそうでないと思うのですよ。この点は、何かあれですか、考えていることありませんか。
  67. 説田三郎

    説明員(説田三郎君) 公立大学の設置、運営に関しましては、これは公立大学に限らないわけでございますが、設置者として当然経営するという原則はこれは変わらないのでございまして、私立におきましても同じことが言えるわけでございますが、財政事情等非常に苦しいというような面もあり、補助金としてはスズメの涙ほどかわかりませんが、とにかく現在私立大学等において行なわれております助成措置といたしましても、この公立大学に現在行なっておりますところの設備の助成に一応限定されているというようなかっこうにもなっておりますが、それと同じような考え方で現在のところは理科教育設備及び研究設備についての助成をしておるということで、できるだけこれらの面に補助金等も増額いたしまして強化していきたい、かように考えておる次第でございます。
  68. 鈴木壽

    鈴木壽君 そのお答えは私は不満ですが、私はいまあなたといろいろやっても、一つの制度なりそれについての考え方の問題になって、大きな問題ですから、これはやめましょう。ですが、ただいまのお答えに関連して、設備に対する助成ですが、これは私立学校は四分の三いっていますね。そうして公立が三分の一、不交付団体のものは四分の一と、こういうふうな差等がありますね。私立学校に四分の三いって、公立は三分の一だと、あるいは不交付団体は四分の一だと、何かこうちょっとバランスの上からいっておかしいものがあるんじゃないかと思うんですがね。どうです、私立に四分の三出したら、公立だって四分の三、不交付団体だからといってさらにこれを下回るというようなこともこれはやめるべきだと思うんですが、公私立のバランスの問題、どうです。
  69. 説田三郎

    説明員(説田三郎君) ただいまお話がございました点でございますが、私立大学の理科特別助成につきましては、現在は補助率は二分の一が原則でございまして、特に新しい理工系の新設をするという場合に三分の二の補助になっているわけでございます。四十二年度から全部三分の二にしたいということで要求中でございます。  それから研究設備につきましては、現在三分の二になっているのでございます。御指摘のとおり、公立大学につきまして、この補助率についても差等があるわけでございますが、公立大学の補助金が発足をいたしましたのが三十八年度で、当初三分の一ということで発足したわけでございまして、まだ年数が非常に浅いということもございますし、そうかといって、公私全部共通の見地から教育は考える必要もあるわけでございますから、私どもといたしましては、当然これらの補助率が同じようになるような方向で考えなければならぬということでございますけれども、一ぺんに二分の一あるいは新設の場合に三分の二というようなかっこうにいたしますと、要求の額といたしましても非常な金額になりますので、来年度はそこまでは一挙にはいかないのですが、漸次それに近づけるという意味合いをもちまして二分の一という要求に現行の補助率を合わせるように努力をいたしているところでございます。
  70. 鈴木壽

    鈴木壽君 一つ、いまの公立の大学に対しての助成、理科系の設備に対する助成のうちでちょっと言いたいのは、富裕団体といいますか、不交付団体に対する——これはどなたからお答えいただけるか、あるいは担当の方がいらっしゃっておらないかもしれないが、不交付団体に対する扱いとして、一つ私ここで考え方をお聞きしておきたいんですが、義務教育費の国庫負担の中で不交付団体に対して別に政令で単価をきめて、実際の他の都道府県に出る金よりははるかに少ない金を東京、大阪、神奈川、愛知、その四県に交付しておりますね。かつては、富裕団体とか不交付団体というものはお金があって、義教育費二分の一国庫負担、こんなものはそのまま出す必要はない、これはいろいろ論議がありました。しかし、いまの不交付団体といっても、東京をはじめ、大阪であれ、どこであれ、それこそ富裕じゃないんです。たまたま交付税の算定の上で不交付になったというだけで、かえって財政事情といいますか、そういうことからしますと、交付団体よりも苦しいというところもあるのですよ。見たところは金がよけい入るように見えるけれども、必ずしもそれが実質的に富裕団体でもない、こういう段階ですから、私は、これはまあ一つの制度としていまあるんですけれども、これについてやはり検討を加えて、交付団体、不交付団体によるそういう差別というものを将来取っばらってしまわなければいけないと思うんですが、まあしかしそれも一挙にはなかなかいかないと思う。  そこで問題なのは、いわゆる政令単価ですよね。これ調べてみると、著しく私は低いと思う。できれば私は、どこからこういうものが出てきたのか、法律もありますから、いろいろお聞きしたいんですが、まあこれはそこまできょう言っていられませんけれど、いずれも単価が低い。四十年度単価は、一般の府県の小中学校では四万一千二百三十三円、中学校では三万九千七十七円、これなのに、単価は三万六千八百六十九円といって、非常に低いところに押えられている。四十年度の国立学校の小中学校の平均ですら四万円をこしているんですよ。四万九百五十一円という単価になっていますね。そうすると、政令単価はいま言ったように三万六千八百六十九円です。この結果、不交付団体では、何といいますか、制限といいますか、抑制されている額が非常な大きな額になっているんですね。四十年度では、この四県で百十四億円という数字が出ている。不交付団体四つでですね。これはばかにならない数字だと思うんです。さっきも言ったように、いくら不交付団体であるとはいいながら、いまのそういう団体の財政事情からいって、これの是正について考えていませんか。
  71. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 政令府県の給与の国庫負担金の制限についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、いま御指摘のございましたように、義務教育費国庫負担法の規定によりまして、一般の府県にありましては小中学校教員の給与につきまして実績単価をもって負担いたしておるわけでございますが、不交付団体につきましては、その法律の規定に基づきまして、特別の事情が存するときは政令でその最高限度を別に単価を定めるということになっておることに基づくものでございまして、これをいまにわかに全部取っぱらうということにつきましては、これは制度のそもそもの基本にさかのぼって論ずることになりますので、いまにわかにこれをお答えすることはむずかしい。非常にいろんな議論があるわけでございます。  それで問題は、後段のお尋ねでございました単価の引き上げの問題でございますが、国の基準よりも相当、現在の段階では、数次のベースアップ等のズレによりまして、引っ込んでおるという実情にあるわけでございますので、これを来年度以降ぜひ改善いたしたいと考えております。で、予算要求もその趣旨をあらわしてございますが、しかし、これを一挙にやりますことは、非常に多額の財政需要を来たしまするので、とても一挙には不可能であろう。それでまあ二年計画でもって国の基準までの単価に改善いたしたいということで、目下大蔵省のほうへお願いをしておるという状況でございます。
  72. 鈴木壽

    鈴木壽君 私いま四十年度単価のことを申し上げましたが、四十一年度の政令単価幾らです。それから四十二年度予算要求単価どうなんです。
  73. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 四十一年度四万四百五十三円でございます。それを来年度四万三千七百七円という単価でお願いたしたいということで目下進めております。
  74. 鈴木壽

    鈴木壽君 この場合ですね、四十一年度単価は四万四百五十三円ですが、国立学校の平均単価は幾らになっておりますか。
  75. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 四万四千円弱でございます。
  76. 鈴木壽

    鈴木壽君 四万四千円ちょっと切れるというのですね。そうしますとね、四十二年度予算要求で四万三千円とやっても、現在で四万四千円ちょっと切れる——大体まあ四万四千円だとしますと、四十二年度になってもまだ四十一年度分に達しないということになりますわね。四十三年度でこれは国立学校のそれとならしたいと、こういうことなんですか。
  77. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) そういうことでございます。
  78. 鈴木壽

    鈴木壽君 四十一年度でね。この四万四百五十三円という単価でやったために、不交付団体としてどのくらい抑制されているというふうなこと、あなた方計算したことございますか。
  79. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 大体四県につきまして計算いたしたのですが、大体総額、給与費だけで四十億この国の基準まで引き上げるのに必要である、大体国の基準、いわゆる国立学校の分より一〇%程度引っ込んでおるという推算をいたしております。その金額は四十億円でありまして、これを先ほど申し上げましたように両方に割りまして、二カ年計画で二十億ずつ、つまり逆に言えば五%ということになるわけであります。それがいま申し上げた数字であります。
  80. 鈴木壽

    鈴木壽君 小中学校の、たとえば神奈川なら神奈川、愛知なら愛知、東京、大阪ね、実態のものとでどのくらいの差が出るとあなた方見ておる。いまおっしゃったのは、国の基準のそれと比較しての場合ですね。そこまでお調べになっていませんか。四十年度でもいいし、三十九年度でもいい。
  81. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 大体国の基準まで引き上げるのがいま申し上げた四十億でございまするが、国の基準をこえる分を入れますと七十一億ということになります。かりにこれを国庫負担した場合にそういう数字になる。
  82. 鈴木壽

    鈴木壽君 四十一年度の東京、大阪、愛知、神奈川、ちょっと数字を言っていただけませんか。
  83. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) ちょっとただいまその点は、資料の準備がございませんので……。
  84. 鈴木壽

    鈴木壽君 簡単にひとつ文部省のほうに。共済組合の長期給付金に要する経費は国庫負担対象にいまなっていますね。短期はそうでない。短期給付に要する経費も当然その国庫負担対象に引っぱるべきだと思うが、いま制度的にはそうなっていませんからね。しかし、それをそのままにして、現状のままにして、これでいいというふうにお考えになっているのかどうか。将来これを、短期も対象にするのだ、しなきゃならぬというふうに考えておられるのか、するように努力しておられるのかどうか、その点ひとつ。  もう一つ、義教費関係で、教材費の単価も、これは年々少しずつこう上げておりますが、なかなかどうもこれは安過ぎますね。この二点についてひとつ。
  85. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) ただいま御質疑ございましたように、共済組合の短期給付に要する費用につきましては、現行負担法のたてまえではこれを負担対象から除外いたしております。と申しますのは、これは義務教育の妥当な……。
  86. 鈴木壽

    鈴木壽君 いいです。それは私は法的ないまの制度はあなたのおっしゃるようにそうなっていることを承知の上で、しかしこれをこのままでいいのかどうかということなんです。
  87. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) その点につきましては、このままでいいかという御質疑につきましては、なおいろいろ今後研究をしなければならないとは思いまするが、当面これにつきましては、この制度の沿革からいたしまして、共済組合の長期給付につきましては、従前、恩給費がいわゆる給与の一部とみなされまして、負担対象にしてあったわけでございまするが、いわゆる共済組合の長期年金制度の実施に伴いまして、恩給費にならいまして負担対象になったわけでございますが、そういう沿革的な理由もございまするので、また一面、短期給付を国庫負担対象にするということになりますと、財政的な面からも検討を要する大問題でございますので、にわかにその方向で実施するということにつきましては考えていないわけであります。  なお、現在、短期給付につきましては、御承知のように、交付税制度のもとにおきまして財源措置がされることになっておりますので、現行の方法が必ずしも適当でないということもございませんので、ごく近い将来においてこれをどうこうするということはほとんど考えていないわけであります。  それから教材費についてでございますが、これも御指摘にありましたように、国の負担単価が実際よりも低いというような状況がございまして、地方の超過負担、それから父兄の負担という問題を起こす一つの大きな項目になっておるわけでございまして、ぜひともこれの改善をはからなければならぬと考えておるわけでございますが、ただ教材費につきましては、この基準の問題がございまするので、基準を検討しなければならない——どこからどこまでか国の公費の対象として負担制度のもとに取り入れるべきものかどうかということにつきまして検討の問題があるわけでございまするが、一応それを私どものほうで検討いたしまして、来年度以降これを改善していきたいということで、当面、明年度予算要求としましては、大体現行の単価よりも二倍以上に引き上げる必要があるということで、その線に沿って計数をはじきまして要求をいたしております。
  88. 鈴木壽

    鈴木壽君 後段の教材費のやつは、現在の単価の倍ぐらいにしたいということで要求しているということですね。これはいまのお話のように、基準をどこに置くか、対象をどういうものにしぼるか、いろいろ問題がありますね。ですから、これはただ単価だけを見ていいとか悪いとかいうことは一がいに言えないことは、お話のとおりです。私もそれはそうだと思うのですが、それにしても、いわゆる教材費としてぜひとも必要なものとしてのそれを二分の一国庫で負担をするという法のたてまえですから、やはり早く基準なり対象なり数量なりというものの押え方を事情に合うようにしないといけませんね。地方団体で、これに国から半分くるから半分出していいかというと、そうでないんですよね。どうしても必要なもの、なければならぬもの、そういうものがたくさんあるものですから、私がいま言ったように、それではせっかく二分の一出してくれるのにこういう単価ではどうもまずいんじゃないかということになるわけですから、この点ひとつさらに努力をしてもらいたいと思います。  それから、短期給付に対するそれですね、これは、いまの制度というものも、何べんも言うように、私わかっておって、しかし、私は制度の改善までこれはいかなければいけない問題だと思っておりますが、それについてのあなた方の考え方としてどうなのかということをお聞きしたがったんですが、いまのところ考えていないというんですね。単にこれは、地方公務員の共済組合、教職員の共済組合という、いわゆる共済制度というものの中での一つの問題と、それからもう一つは、義教費のいわゆる職員給与等に対する国の負担というこういう面と、これは両方からみ合ってこなければ、ただ制度の点から言えば、そんなものに出す必要があるのかというふうなことにも言われるんですけれども、そういう問題が私はあると思うんですよね。長期のものは見るんだと、それじゃなぜ短期のものは見れないのか、こういうことに私はなると思うんですね。まあこれはしかし、一つの大事な基本的な問題ですから、あなたといまここでいいとか悪いとかやっておってもしようがない問題ですから、いずれあとの機会にお聞きすることにして、まあひとつ自治省や文部省当局に対して、私は、超過負担、あるいはそれに関連するような地方財政の問題、幾つかあげましたが、そうしてお尋ねをしたわけなんでありますが、ぜひともこういう超過負担対象については、積極的な前向きの姿勢でひとつほんとうの解消のためにやっていくんだということでやってほしいということを申し上げて、要望をして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。  それから、厚生省の方にちょっと……。時間がありませんから簡単にします。  国民健康保険の事務費の問題ですが、これはもう何年も何年も全額国庫とかなんとかということで問題になっているんだが、四十一年度予算単価は一人二百五十円になっていますね。四十二年度ではどういう要求をなさっておりますか。
  89. 高木玄

    説明員(高木玄君) 四十二年度要求といたしましては、四十一年度の被保険者一人当たりの単価の二百五十円の三割増しの三百二十五円で要求いたしております。
  90. 鈴木壽

    鈴木壽君 これで健康保険がやっていく、事務費のそれで足りるんだというお考え方なんですか、どうですか。
  91. 高木玄

    説明員(高木玄君) 一応、この三百二十五円の積算につきましては、全国の市町村の実態調査をいたしまして、それに基づいて計数をはじきましたので、超過負担解消の問題を実現し得るものと考えて要求をいたしたわけでございます。
  92. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方、四十一年度予算要求で二百八十何円か要求なさいましたね。そうして結局査定の段階で二百五十円になった、こういういきさつがありますが、今度の四十二年度要求三百二十五円、これがそのまま認められたにしても、実際に必要な額、単価からしますと、なお私は大きな隔たりがあると思うんですが、この点あなたがおっしゃったように心配ないでしょうか。
  93. 高木玄

    説明員(高木玄君) 先ほど申し上げましたとおり、この三百二十五円の単価につきましては、全国の保険者であります市町村の実態につきまして調査した結果の積算でございますので、一応これでだいじょうぶだと思います。なお、この予算の確保につきましては、最大限の努力をいたしたいと、かように考えております。
  94. 鈴木壽

    鈴木壽君 この事務費の問題は、いまに始まった問題じゃないから、あなた方も十分に考えておられると思いますし、それぞれの手を打ってきたことも、多少でありますけれども私認めますが、しかし、あなたのいまおっしゃるように、三百二十五円、それがまるまる認められても、私は相当な足を出すんじゃないかと思うんですよ。四十一年度の二百五十円の三割増しと、こうおっしゃいましたね。四十年度の事務費のそれを見ますと、超過負担率が八〇%をこしているんですよ。四十一年度のは、もちろんこれはそこまでいっておりませんが、はたしてそれが三割——三〇%程度でいいのかどうかこれは問題ですよ。と同時に、さらにまたいろいろな面で事務費が多くかかっていくと、物価高なり給与関係とかいろいろのことからかかってくることは、これははっきりしていますわな。それですから、三割増しの三百二十五円というものをやっても、実態——私はこれは実態といってもなかなかきちっと押えられないところもありますけれども、少なくともやっぱり私は四百円近いそういうものが実際に必要として出てくるんじゃないだろうか。四十年度実績単価というのをとってみますと、四百十六円ですわな。これはいま言ったように、私一〇〇%いわゆる超過負担というかっこうであると思わないけれども、しかし、四百円ぐらい、それに近い額はどうしてもやっぱり必要なんじゃないだろうか。それを三百二十五円で間に合うんだというような御認識だとすれば、これはどうも私はちょっと解せないと思うんですが、どうですか、心配ありませんか。
  95. 高木玄

    説明員(高木玄君) この予算要求を積算いたします段階におきましては、一応実態調査に基づいて行なったものでございますので、その段階におきましては平均的な意味での超過負担解消をなし得るというふうに考えておりますが、先生おっしゃるように、給与の引き上げでございますとか、あるいは物価の値上がりとか、そういったいろんな要素を考えまして、これで不十分でありますれば、さらに引き続きステップ・バイ・ステップに超過負担解消のために努力をいたしていきたいと考えております。
  96. 鈴木壽

    鈴木壽君 念のためにお聞きいたしますが、あなた方がお調べになったいわゆる実態ですね、私さっき四十年度四百十六円と言ったのは、各団体が上げてきたやつをみなやったやつですが、あなた方がお調べになった四十年度実態単価はどの程度と押えられておられますか、四十一年度と両方。
  97. 高木玄

    説明員(高木玄君) これは私案は手元に資料を持っておりませんが、この予算の積算は、各保険者につきまして現実に国民健康保険の業務に携わっておる者の実態調べまして、それに国民健康保険の個々の業務を処理するに必要な事務量というものをはじき出しまして、それに地方交付税の標準団体単価を掛けたわけでございまして、この積算はその意味では理論的な積算になっております。具体的な、実績単価につきましては、いまちょっと手元に資料がございませんので……。
  98. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあこれはひとつ課長さん、四十一年度でどのくらいのいわば超過負担が出るか、四十二年度でどのくらい——かりに三百二十五円となった場合に。——これはではひとつこれからの問題として、実態が明らかになったときの問題にしたいと思いますが、やはりこれは、ことしの四十年度調べのように、こんな大きな数字は出てこないだろうと思いますけれども、四十一年度でも、四十二年度でも、なお相当な額がいわゆる超過負担として出てくるんじゃないかと思うんですよ。四十年度調べでは六十七億円となっていますね。だから私、これがまるまる——理論的に言っても、いろいろな点から言っても、超過負担だというふうには言えない部面もあると思いますが、それに近い数字というものはやっぱり実際に市町村で負担をしている、こういうかっこうになっておると思うんですよ。まあいずれこの点はあとで、四十一年度あるいは四十二年度——あとの問題にいたしますが、ともかくあなた方としてもこの問題の解消のためにはなお御努力なさると、こういうことだけは、そういうふうに承っていいわけですね。
  99. 高木玄

    説明員(高木玄君) はい。
  100. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから国民年金の事務費も、十割負担ということになっておるけれども、非常に単価が低いために持ち出しが多くなっているということ、これはお認めになりましょうね。
  101. 高木玄

    説明員(高木玄君) そういうように聞いております。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 実際にあなた方あれですか、実態がどうなっているかということを、国保の場合でも、国民年金の場合でも、お調べになっているんですか。
  103. 高木玄

    説明員(高木玄君) 調べております。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 調べておられるとすれば、では国民年金の場合、三十九年度あたりからの予算単価、それから実際にどのくらいかかっているのか、こういう数字がありますか。
  105. 高木玄

    説明員(高木玄君) 昭和四十年度実績単価、これは見込みでございますが、国民年金の場合には被保険者一人当たり三百十五円というふうに数字が出ております。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 その三百十五円——実際の見込みとしても三百十五円ぐらいだと言うんだが、予算単価は幾らです。
  107. 高木玄

    説明員(高木玄君) 昭和四十年度におきまして、拠出年金におきまして被保険者一人当たり百六十五円、福祉年金におきまして五十九円、昭和四十一年度予算におきましては、拠出年金が被保険者一人当たり二百円、福祉年金が一件当たり七十四円、こういうことになっております。
  108. 鈴木壽

    鈴木壽君 この四十年度の三百十五円というものと比べまして、あなた方どういうふうにお感じになりますか。
  109. 高木玄

    説明員(高木玄君) 四十一年度予算単価をもってしますと三百十五円を下回りますが、この四十年度実績単価は見込みでございますので、その点どの程度開きがございますか、なお本年度実態について当たってみたいと考えております。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 各市町村とも、国民年金、決算済んでおりますから、もしお調べになるんだったら、とうに七月、八月あたりからかかって、いまの段階ではまとまっていなければいけないと思うんですよ。これからお調べになるというんですが、いずれにしても相当な差があるということだけはお認めになると思いますし、したがってこのままにしておいていいということじゃないと思いますが、やっぱり法のたてまえからしても、これらの仕事に必要な事務費は、これは全部国が持つということになっていますから、それは各団体において多少の違いは出てくることもあると思いますけれども、全体としてこんなに開きのあるような、そういういわゆる国の負担のしかたというものは、これはおかしいと思う。この国民健康保険、それから国民年金等の事務費の問題、これは改善のためにひとつほんとうに真剣に私取り組んでいただきたいと思うんです。これは大蔵省に対するいろいろ、要求ももちろん出てくると思いますけれども、省自体として解消のためにやっぱり努力していただかなければいけないと思いますから。  それから次の問題は、これは厳密な意味での超過負担の問題ということはあるいは当たらないかもしれませんが、保育所の施設費に対して補助しておりますね。いま基本額百四十万円ですか。ところが、実際はとてもじゃないがこの基本額ではやっていけないというのが実情であることは、これは御承知だと思います。それで、基本額についてもう少しこれはあなた方はやっぱり考える必要があるのじゃないかと思うのですが、その点どうでしょう。
  111. 高木玄

    説明員(高木玄君) 保育所につきましては、非常に保育所の設置につきまして要望が強うございますので、結果において予算が薄められて使われているということで、国の補助額が七十万円、全体で百四十万円と、こういうような形になっておるわけでございます。この点が保育所の実際の建てる場合の額に比べまして実情にそぐわない点は重々承知いたしております。明年度におきましてはこの七十万円をせめて二百万円程度に引き上げたいということで増額の要求をいたしておるような次第でございまして、こういった実情に沿うような補助のやり方をしてまいりたいということについて努力を今後も続けていきたいと思います。
  112. 鈴木壽

    鈴木壽君 保育所の設置については、各市町村とも非常に要望が多いし熱心ですね。しかし、この基本額百四十万円による補助だけではとてもじゃないがたいへんだと。まあ市町村によっては五百万円出しても六百万円出してもつくっているところはありますね、御承知のように。だから、すぐそれがそのまま超過負担とは私は言わないのですけれども、著しくやっぱり必要経費といいますか実情と離れたそういうことではやっぱりうまくないと思うので、これはさっきもちょっと言いましたが、仕事の量といいますか、個所とか施設の数とかそういうものをふやすこともけっこうですが、と同時にこういうものをなおざりにされてはいけないと思うものです。これでは、せっかくのあなた方の保育所の設備、整備等についての熱意というものも、こういうようなことで実情は薄められて考えられてしまいますわな。国、何してくれた、五百万円かかったのに七十万円しかくれないのか、こういうことになるわけなんでして、その点ひとつ今後の改善のために努力してもらいたいと思うのです。それから運営費なんかでもそうですよ。これは運営の点になると、なかなか押えどころもむずかしいのですけれどもね。しかし、運営費なんかでも相当の持ち出しをしておるというような実情です。私まあ端的に、設置、建設、それについていまはっきりしている問題がありますから、要望を兼ねたようなお尋ねをしているわけなんでございますけれどもね。四十二年度要求では二百万円ということにしてやっている。基本額を二百万円ということにして、その半分百万円を国が出すということですか、それとも二百万円そのまま出してやるということですか。
  113. 高木玄

    説明員(高木玄君) 要求といたしましては、基本額を四百万円にして、国から出すのは二百万円にしたい、こういう気持ちで、こういうことで要求いたしております。
  114. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、補助の基本額というものを四百万円にして、二分の一ということで二百万円と、こういうことで理解していいですね。  政務次官ね、これ農村地帯に行きますと、この問題が非常に大きい問題ですよね。ぜひとも保育所がほしい、しかしその場合に、半分の国庫補助があるとはいいながら、いままでは七十万円だとかなんとかいうことで押えられてきていますわね。例外的にはもっと出ているところもあるようですけれども、大体七十万円ぐらい。四百万円、四百五十万円かかった、こういうところがある。それが必ずしもぜいたくなものではなくてやっぱり必要だと。そういう仕事をしておって、そういうふうな問題が出ておりますから、これひとつ、厚生のほうで、基本額のいわば引き上げ、したがって補助の引き上げということを予算要求しておられるようでございますから、ぜひそれはひとつ考えてやっていただきたい、こう思いますが、いかがでございましょう。
  115. 丸茂重貞

    説明員丸茂重貞君) いまのお話、実情はわからないではございません。先ほどのばかの一つ覚えみたいに繰り返すわけでございまするが、これは十分慎重に検討をいたしましてできるだけ善処したい、かように考えております。
  116. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、厚生省で一番金高で超過負担の多いのが保健所関係職員費ですわね。四十年度調べでは、超過負担率が一一九%、超過負担額が百十億と、こうなっております。これもいま起こった問題ではありませんが、これは何といったって医師なり職員単価が低いということ、これはもうはっきりしておるのですが、四十二年度で一体どういう要求をなさっておるのか、予算要求で。できれば四十年度の医師給の単価職員給の単価、四十一年度単価、四十二年度要求単価、これひとつほしいのですが、どうでしょう。
  117. 中原龍之助

    説明員中原龍之助君) 保健所職員給与の問題でございますけれども、この補助単価につきましては、四十一年度——年度でございます——予算におきましては、四十年度に比しまして、前年度に比しまして医師については七五%のアップでございます。それからその他の職員については三六%の増額をいたしております。それで、私どもこの保健所の問題につきましては、いわゆる職員給与ばかりでなくて、ほかのほうのいわゆる運営の経費というものにつきましても非常に少ないというふうに考えておりますので、来年度要求といたしましては、ひとまずこのその他の運営費のほうに重点を置きまして、いろいろの諸費用の単価アップ、あるいは建設費のアップ、そういうものについて考えております。
  118. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、医師給とか職員給については四十一年度単価同様、ただ運営費についてはいま少しアップするように考えていると、こういうふうなことでよろしゅうございますか。
  119. 中原龍之助

    説明員中原龍之助君) このいわゆる医師その他の職員給与でございますが、その給与のいわゆるこの基本額につきましてのアップといいますか、補助基本額のアップというようなものは、来年度要求としては、ひとまず今回のいわゆる今年度のアップによりまして、実際問題としてどの程度になるかということを今後——本年調査していくということで、相当今年度は大幅にアップになっておりますので、そのままにいたしました。ただ問題は、医師あるいはその他の職員につきましても、たとえば医師ならば、この給与のほかにいろいろの研究のための経費とかあるいは調査のための経費とかというものがやはり必要でございまして、そういう面の単価のいわゆるアップとか、あるいは保健婦等外勤をする者の手当のいわゆる増額をはかるとかいうような面について考えております。
  120. 鈴木壽

    鈴木壽君 これね、あなた方少し甘く考えていますね。四十一年度で四十年度に比較して、たとえば医師等の給与が七五%アップしたんだ、その他の職員は三六%アップしたんだ、こう言って、それで足りるようなことをおっしゃっておりますが、四十年度のやつでは平均して約一二〇%くらいの超過率なんですよ。それに七五%とか三六%アップしたって知れたものです。だから、四十一年度でも相当な——率の上においても、もちろん額の上においても、相当な超過負担がその面に出ているんだ、こういうふうに私は見るべきだと思うのですね。それをほおかぶりして、七五%、三六%のアップをしたんだから、四十二年度ではそのままでやっておる。単なる研究費とかなんとか、その他のためにやりましょう、こう言っても、本俸のほうで非常に妙にいじめられているものだから、研究費とかなんとかといういろいろな名目をつけて出してもらわざるを得ないというようないまの現状なんですよ、医師等の手当については。もっとこれはあなた方考えてみないといけないと思いますがね。これは保健婦の給与等についても同じです。率は違いますけれども、四十年度調査では七三%くらいの超過負担率。そうすると、四十一年度予算単価のまま四十二年度もそういうふうにやっていくとすれば、これは保健婦はそうじゃないかもしれませんが、そうかといってこれは何といったって超過負担解消というようなことはできませんぞ。これは県の実態について、さっき私はちょっと四、五県の調べのことを言ったのですが、各県について調べてみますと、やっぱり医師給については大体二〇%から一二〇%の超過負担率、それから職員給は七〇%ないし八〇%の超過負担率なんですよ、四十年度のやつが。それが四十一年度で七五%、三六%アップされたにしても、とても一二〇あるいは八〇という超過負担率をカバーできませんね。これでいいんですか。——ちょっと待ってください。保健所職員関係で、四十年度超過負担の二、三の府県の超過負担率を言ってみますと、さっき言いました四国でわれわれが調べたのでは、徳島県では、七千六百万円、高知県では一億二百九十万円、愛媛県では一億三千百三十六万円、香川県では八千九百万円、秋田では一億一千万円、四十年度でこれくらいの超過負担が、各府県で保健所職員関係だけでこういうふうに一億とか九千万とかという、こういう額を負担をしているのですよ。だから、これは何べんも言いますが、一〇〇%超過負担ということにするには、あるいはいろいろもっと検討すべき問題があるかと思いますが、いずれにしてもこういう近い額というものがあなた方の補助単価が低いために出ているのですよ。それを四十二年度では何ら改善を考えないというような予算要求のしかたというものは、私はおかしいと思うのですが、いかがです。
  121. 中原龍之助

    説明員中原龍之助君) 本年度のアップの問題は、三十九年度の結果といいますか、そういうものに見合いますところのアップがはかられたわけでございまして、その点につきましては、相当大幅なそういう超過負担の問題、給与の面につきましては解消されつつあるというふうに考えるのでありますが、その後の問題もございます。しかしまた、職員のいろいろ給与の面につきましては、いろいろの基本的な給与のほかに、そのいわゆる実態といいますか、年齢の問題とかその他いろいろな問題がございます。そういう問題をもう少し詰めました上で、次のいわゆる単価要求というふうにしたしたいと考えたのでございます。それよりも、実際に保健所の運営にいわゆること欠くということもございますので、来年度——四十二年度保健所のいわゆる運営という面の超過負担解消というものに重点を置いてひとつ予算要求いたそうということになったわけでございます。
  122. 鈴木壽

    鈴木壽君 私はまだ運営のことについて触れておりませんが、考え方としては運営のほうに今度重点を置くということ——しかし、職員費についてもほっておけないと思うのですよ。これ各都道府県を調べてみますと、超過負担の額のうち——いろいろな項目によって超過負担のそれが出ているわけですが、おたくのほうの保健所関係超過負担の額、それから農林省のほうの農業改良普及員職員関係、これが一番大きいですよ。ただ建築関係では、公営住宅とか、それから文教施設、こういうのもありますが、これはまたもっと大きな額になっております、市町村段階としては。いずれもその県の段階ではこういうのが一番大きいのですよ。保健所職員給与関係だけで一億も持ち出さなければいかぬ、こういう実態というものは——これは四十年度ですから、四十一年度で若干是正されると思いますが、それにしても多額の持ち出しをしている。こういうものを、それはいいから運営のほうだという考え方というのは、私は納得できませんけれども、しかしここで議論しても始まりませんけれども、これからたとえば年齢構成なり給与の状態なりを調べるのだと、それで単価をきめると——これはいまに始まった問題じゃないですよ、ほんとうを言えば。これは数年前から私も、あなた方に来てもらわなかったが、この委員会だけでも私は何べんも前からこういう問題を取り上げております。数年前からこれは問題になっておるのですよ。これから年齢構成がどうだとかそういったところで、これはもうとうに手を打っておかなければならなかったと思うのです。せっかく四十一年度で七五%のアップとか三六%のアップということがはかられたら、それを一つのステップにして、四十二年度あるいは四十三、四年度でこういう問題の解消のために手を打ってしかるべきだと思うのですね。まあ少し意見めいたことになってしまったから、やめましょう。  厚生省では、そのほかいろいろ環境施設の整備関係、こういうものも相当地方では大きな持ち出しをせざるを得ない。特に単価と、もう一つこの場合に対象範囲が非常に狭められておりますので、どうしてもぜひとも必要な施設をつくるためにはある程度仕事をしなければいけない、そのために多額の持ち出しをせざるを得ない、こういう問題も実はあるのですよ。ひとつまあ、きょうまとめに取り上げた問題は、国民健康保険の事務費の問題とそれから保健所職員給与の問題ですが、まだまだ問題が実はあるのです。しかし、時間の関係もありますから、ひとつ所管のいろいろなこういう仕事、事務についての超過負担の問題の解消のために私は最大限の努力をしていただきたい、こういうことを申し添えて、まあきょうはやめます。厚生関係はきょうはそれでよろしゅうございます。どうも。  農林省の方、いらっしゃっていますか。——じゃ、農林省のほうに。時間もずっと経過しておりますから。  農業委員会職員給与関係、それから農業改良普及員、林業改良普及員、これらの給与関係ですね。これで相当大きな地方の持ち出しになっていることは御承知のとおりだと思います。特に私は問題なのは、額の点は別として、農業委員会給与関係、これは全額国庫負担をするというたてまえになっているにかかわらず、それが非常に小さい額であるために、こんなものはごめんこうむりたいというのが市町村の言い分ですわね。県の段階では、農業改良普及員、それから林業改良普及員の給与関係で非常な大きな持ち出しをしておるのです。特に農業県といわれるようなところでは、やっぱり仕事はしてもらわなければいけませんし、しなければならぬというので、まあ、いわば泣く泣く大きな持ち出しをしなければならぬというような事情になっているのですね。さっきもちょっと触れましたが、農業改良普及員関係で四十年度超過負担の額が五十八億、林業改良普及員関係で十二億という、こういうものが出ておるのです。これは、二、三の県の実態を見ますと、非常に大きな、その県にとっては——特にさっき言ったように、農業県にとっては大きな額になっているのですね。徳島県では五千七百万円、高知県では一億二千万円、愛媛県では一億四千万円、香川県で七千九百万円、秋田で一億一千八百万円、これは貧乏な——貧乏なと言うとしかられますが、あまり財政事情のよくない徳島とか高知とか秋田とかというようなところになってくると、この額というものはこれは相当きついですよ。林業関係でもやっぱり二千万円、三千万円、四千万円という程度の持ち出しをしておる。こういうことについて何か是正のために対策を考えられておるんだろうと思うんですが、ひとつその点を明らかにしてほしいと思うのですがね。
  123. 松元威雄

    説明員(松元威雄君) ただいま御指摘のございました農業改良普及員、林業改良普及員、それから農業委員会等につきまして相当額の超過負担があるということは先生の御指摘にございましたけれども、これに対しまして、昨年度におきまして農業改良普及員、林業改良普及員の給与単価につきまして若干の是正を行なったわけでございます。これは従来、農業改良普及員の例をとって申し上げますと、いわば職務に相当します号俸を想定いたしまして、それの給与額で予算を計上していったわけでございますが、当初想定いたしました号俸よりも、その後給与改定に伴いましていろいろ是正すべき点が出てまいった。その結果、政府の当初の想定の金額すら下回るということになったものですから、それをまず是正するということを第一目標といたしまして、昨年度では農業改良普及員等を中心といたしまして約十二億円の超過負担是正を行なったわけでございます。しかしながら、もとよりこの金額だけをもちまして、いわゆる超過負担を全部解消するという結果になっておりませんものでございますから、さらに四十二年度におきましても、何らかのかっこうでこれを是正しなければならぬ、ただし、いろいろ県によりまして、農業委員会の場合でございますと、市町村によりまして実態もさまざまでございますし、かなり超過負担と称せられる金額が大きいわけでございますので、一挙にこれを全部解消するということはかなり困難な個所もいろいろございますものですから、四十二年度におきましては、給与単価の引き上げということで、従来政府が想定しておりましたそれぞれ職務に見合いました号俸よりも、一号アップをするという要求をいたしておる次第でございます。
  124. 鈴木壽

    鈴木壽君 一号アップというのですか。それで一挙にはもちろんできないにしても、相当な前進だというふうにお考えなんですか。
  125. 松元威雄

    説明員(松元威雄君) 昨年度のいわゆる公称号俸とのギャップを是正いたします場合の金額といたしまして、農業改良普及員等その他合わせまして十二億円という超過分是正をいたしたわけでございますが、本年度、ただいま申し上げましたそれぞれの公称号俸を一号引き上げるということをいたしますと、ほぼ十二億円という金頭になるわけでございます。もちろん、これでここに掲げておりまする超過負担といわれる数字から見ますと、まだまだそれでは十分でないかと存じますが、なかなか一挙ということはやりかねますし、県と町村の実態、いろいろ違う点もございますから、まずできます範囲から順次解消につとめてまいりたいということで、四十二年度はそのような  要求をいたしておるわけでございます。
  126. 鈴木壽

    鈴木壽君 四十年度農林省関係のいまの農業改良普及員、これは生活改良普及員も含めますよ。それから林業改良普及員、それと農業委員会があって、これに百二十億円ぐらいの超過負担というものが出ておりますね。これは単価差による場合と、それから当然負担すべきものを負担しない、いわゆる対象外にしておるもの、しかし、これは府県なり市町村の段階では負担をしなければいけませんから、こういうものも含めてですが、いずれにしても、さっきちょっと二、三の県を申し上げたように、相当の額なんですね。一号とかあるいは全体について十二億円程度じゃ何ともこれは——四十二年度で十二億円程度解消できるようだと、こうおっしゃるのですけれども、一〇%しかできませんな。それですと百二十億円ぐらい、四十年度でありますから、これはあなた方の基準の取り方といいますかね、基本単価、それが、どう考えてみても実際やっていけないところにこれでやれというような形でやっていますね。号俸でも年齢関係なんか見ても、それではとてもやっていけないというところに基準を置いてやっているものですから、この線でやったらいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、とてもじゃないができないから、どこの県でもいまのようになっているんですね。それの実情というものをあなた方認めなければいけない。認めた上で、人数の上なり単価の上での行き過ぎがあれば別ですけれども、しかし、どこを調べても、みな著しくそういう実情とかけ離れた低いところにあなた方の単価というものを押えておるところに問題があるので、三分の二補助するといっても実際は二分の一以下だ、こういうのがいまの状態だと思うのですね。あわせて一つ私は、農業委員会のいまの制度そのものも実は考えてもらわなければいけないと思うのですが、一町村一委員会、一書記というようなものも、とてもじゃないが、一人の書記でどうやっていくのか。地方でのそういう問題も実はあるのですが、いずれにしても、いま私は農林省関係では三つの問題についてのそれに関係する超過負担の問題を取り上げましたが、時間があれば、もう少し、単価の問題も実際どうなっているかということを、私も多少調べておりますけれども、それは省きましょう。ひとつ改善のために四十二年度を第一年度として真剣に取り組んでほしいと思うのですが、いかがでございますか。
  127. 松元威雄

    説明員(松元威雄君) ただいま先生の御質問でございますし、私も答弁申し上げたことでございますが、超過負担の市町村の実態につきましては、かなり長い年月の経過をもってこういう結果になっておる次第でございます。先ほど申し上げましたいわゆる農業改良普及員の例をとりますと、それに見合います普及職員の資格と申しますか、当てはめるべき号俸と申しますか、それにつきましても長い経過をもってきめられた事情がございまして、その後、実態といろいろギャップを生じている点もございますけれども、なかなか実際問題といたしまして一挙に解消するということは非常にむずかしい問題があるわけでございます。そこで、私たちといたしましても、そういった普及員制度の進め方、合理的なあり方と申しますか、そういったものを、実態を考慮しながら、漸次解消をする努力をしてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  128. 鈴木壽

    鈴木壽君 たとえば農業委員会職員給与費が全額国庫負担だというたてまえ、農業改良普及員給与関係のそれが三分の二、あるいは林業のものが二分の一、多少率は違いますが、単なる数字で二分の一、三分の二でなしに、それにふさわしいような、そういうものをやはり私はいま考えて、もし足らなかったら是正するということじゃないといけないと思いますけれども、これはひとつ繰り返しますけれども、来年度予算においてうんと前進した形を示してもらうように特に要請しておきたいと思います。  じゃ、労働省にお聞きしますが、一つは失業対策事業費ですね。このうちの資材費の単価、これが、地方団体では実際やっておることと著しく違っておるものですから、相当ないわゆる超過負担という形でやっておる。事務費でも若干あります。ほかの省の仕事と比べるとあまり額は多くないが、ひとつこの解消のために私は努力してもらいたいと思うのです。もう一つは、職業訓練の施設関係給与関係、運営関係で、それぞれやはり地方の持ち出しということが出ております。でありますが、職員関係では超過負担率として七〇%くらいで額はそんなに大きくありませんが、これは、施設が全国至るところにあるというわけじゃありませんから、額としてはそんなに大きくなっておりませんが、超過負担率給与関係のやつを見ますと七〇%くらいになっておる。こういうことから、地方団体としては困る問題だし、何とか一日も早く解消してもらうようにしてほしいという強い要望があるのですが、また、われわれの立場からいっても、地方財政の現状からいって、やはり必要な経費というのは見てやる。それに基づいた補助なり負担なりというものが前提にならなければならぬと思うのでありますが、それを含めまして、今後の考え方解消のためにどうやっていかれるか。たとえば、四十二年度予算要求にあたってはどういうことを要求しておられるのか、こういうことについてお答えをいただきたいと思うわけです。
  129. 岡部実夫

    説明員(岡部実夫君) ただいま先生の御質問にございましたような失業対策事業は、御案内のように、都道府県及び市町村に対します補助事業として実施いたしておりまして、補助率は資材費が二分の一、その他が三分の二ということで実施してまいっております。ただ、御存じと思いますが、失対事業自体の運営につきましては、実は各市町村におきましては、一部は市町村の単独の土木事業等と一緒に合わせてやっているような実情もございまして、的確に実はどの程度超過負担がございますか、把握するのに困難な面もございます。ただ、私たち自治省等の調査を通じまして、また、私どもが現実にいろいろな調べを通じまして相当程度超過負担をお願いしていることも偽らざるところであります。そこで、私どもは来年の予算編成あたりましては、まず第一に、事務費の中で、いわゆる指導監督事務費と申しまして、失対事業を運営してまいりますにあたって、いわゆる管理監督要員を置いて実施していただいておるわけであります。これらの経費につきましては、できるだけほとんど実額をまかない得るような方向を目途に来年度予算編成にあたって努力してまいりたいと思っております。資材費等につきましては、実は相当超過負担がありますが、これらについては、実は事業の運営をどの程度機械化し、あるいは資材費を投入していくかということにつきまして、事業主体側のいろいろ自主的な御判断もございますので、的確に全部資材費をまかなうということもできかねる状態でございます。したがいまして、まず事務費等、特に管理監督に要する経費は、ただいま申し上げましたような方向超過負担解消努力してまいりたい、資材費等につきましては、実情に応じまして、できるだけ改善に努力をする、こういうことで、来年度予算編成にあたっては大蔵省十分折衝をして、改善に努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  130. 鈴木壽

    鈴木壽君 職業訓練費の中で、さっきもちょっと触れましたが、職員給与関係超過負担率が非常に高くなっていまして、七割くらいの、オーバーしておるということなんですがね。これについては、来年度予算要求にはこういうものがもっと率が低くなるような措置ができるようにという、そういう要求をなさっておりますか。
  131. 中田定士

    説明員(中田定士君) 職業訓練所の指導員、それから管理職員等に対する人件費の問題でございますが、御指摘ございましたのですが、これは毎年いろいろ努力をしてまいっておりまするけれども昭和四十年度予算単価といたしましては、四十二万八千円でございましたが、四十一年度に四一・九%引き上げの措置がなされまして六十万八千円に相なっております。四十一年度の決算がまだなおしばらく先になるわけでございますが、四十年度時点におきましては、御指摘のように、超過負担が相当あったかと思いますけれども、四十一年度改善されておりますので、その結果も十分検討して四十二年度措置を講じたいと思っております。人件費につきましては、私ども事務的にいろいろ精査いたしてみましてそれほどの超過はないような感じを持っております。ただ、御指摘がありましたのは、おそらくある府県におきましては、管理要員が非常にたくさんの人員が確保されておる。これは一定の基準を設けまして、そうして訓練所の規模、定員等に即応いたしまして一定の基準を設けておるわけでありますが、おそらくはみ出しておる管理要員に対する人件費をまかなう、こういう問題があるのじゃないかと思います。この点につきましてはいろいろな見方もあると思いますけれども、私ども、標準的な必要な管理要員は補助の対象にいたす、こういう考え方措置をいたしております。
  132. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの課長さんのお話ですがね、あとで触れられた管理職員——管理要員といいますか、これの人数なんかはオーバーしてやっておるのじゃないかというようなお話、これはないことはないと思います。ないことはないと思いますがね、各県のやつを見ますと、人員のオーバー、ほとんどないのですよ、私の調べ幾つかは。管理職員、たとえば定員が十五人あれば、やっぱり実質人員も十五、指導員が五十九人あれば、実際の人員も五十九人。これは幾つかの県で私が調べたところではそうですよ。ですから、私がいま言った超過負担の額がどのくらいになるかということの中にはあまりありません。中にはあると思いますが、しかし、私はそういうことを問題にしておるのじゃなくて、全体として給与単価が低いということだけはこれははっきりしていると思うのですがね。ですから、四十一年度で、かなり四十年度と比べればアップされております。したがって、四十一年度ではこのような調査数字にはならぬと思いますが、それにしても、じゃ、超過負担解消されたかといえば、私はそうじゃないと思うのです、まだまだ。  それからもう一つはね、これはあなたのほうだけではありませんが、補助職員についての国庫補助の対象に当然すべきものであって、いろんな手当とか共済組合の何とかという、いろんなそういう諸手当が当然対象にすべきものであって、対象からはずされておるために、しかし、これは地方団体としては負担をしなければいけませんから、そういう形のものがかなりあるのですね。時間がないから、私各県の数字をあげませんけれども、相当の額にのぼっておることは、これはあなた方もお認めになると思います。こういうものもひとつ含めまして、これはいま言ったように、あなた方だけの問題じゃありません。他の省の補助職員関係もそうですから、政府全体としての問題としてそうでありますけれども、こういう問題も含めてひとつ超過負担解消ということについて真剣に取り組んでほしいと思う。  労働省関係でいま一つ。失対事業で部長さん、これは超過負担の問題じゃないが、この際時間もないけれども、簡単にお聞きしたい。期末手当の問題で、地方団体で非常に頭にあげている問題ですね、御承知のように。そうして何がしかのそれを出すと。これはしかし、地方団体、まるまるの形で出さざるを得ないわけですね。しかも、それは一つや二つの地方団体でなくて、全国的にそういうふうになってきて、一つの制度的なものになってきていますね。何日分にするかということについては多少の違いはあってもですね。こういうことについては、やはりおたくのほうで考えていくべきものではないだろうかと思うのですがね。もっと実質的に言えば、労力費、当然の一つの労力費の中で負担対象にしてもいいんじゃないだろうか、すべきじゃないだろうかというふうにも考えられるのですが、こういうことについて何か御検討なさっておりますか。
  133. 岡部実夫

    説明員(岡部実夫君) ただいま御指摘の失業対策事業就労者に対しまする夏期、年末の手当でございますが、これにつきましては、ただいま失対法のたてまえ上は、先生御指摘のように、一応臨時の賃金ということで、臨時の賃金は労働大臣が賃金審議会の意見を聞いてきめるというたてまえをとっておるわけでございます。したがいまして、私ども期末の手当について賃金審議会の意見を聞いてきめまして、現在のところ、夏期、年末を合わせまして二十九・五日分ということで国は予算措置をして、市町村を通じて就労者に支給しております。そのほかに、ただいま先生御指摘のように、非常に多額にのぼりまする手当が都道府県あるいは市町村から現実に支給されておる実態でございます。そこで実はこの問題について、これを国といたしまして正式ないわゆる賃金として処理すべきではなかろうかという御意見もまことにごもっともでございますが、実はその審議会で期末手当をきめる場合には、賃金そのものが民間の同種の労働者の賃金を基礎にしてきめるというたてまえをとっております。その場合に、いわゆる民間の日雇い労働者に対しまして一般民間で払われておりまする夏期、年末等の賃金は非常に少ない。また、出さないというか、ごく、ほんとうにモチ代程度のものにすぎないような例が非常に多いものでございますので、審議会としては、いまもう民間との実態に照らして、日雇い労働者に対しまする国から支給する夏期、年末の手当については、現在よりもそう多額に出すことは民間との均衡を失するのではなかろうかというような議論もございまして、現在のところ、実は国といたしましては、先ほど申しましたような線で支給をしております。ただ、各市町村長さんの御意見等もいろいろございまして、何らかの形で国が責任を持ってこの問題を処理すべきではないかという御意見もございます。が、現在のところ、実はもし何らかの形で法制化してふやしましても、実は私どものこれは見方でございますが、さらに事業主体との間に就労者団体がいろいろな形で働きかけまして、それを一つの基礎として、さらにその上に上積みということになるということも懸念いたせられますので、今後さらにその辺を慎重に審議会ともいろいろ相談をしてまいりたいと思います。実は名案がなくて困っておるところでございます。以上、実情と私どものいま考えておりますことを率直に申し上げて、お答えになるかどうかわかりませんが、そのような問題がございますので、御了解をいただきたいと思っております。
  134. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ、この問題は、はなはだむずかしいところがあるのはお話しのとおりで、私も多少その間の事情も聞いておりますけれども、ただ、いまはどこへ行っても、国できめたそれのいわゆるプラス・アルファを出さないところはない、それは出し方にはいろいろ差異はあっても。そうなっていますから、しかも、要求する側も、これは全国的な統一の規模でいろいろやっておるものですから、一地方団体、一市町村だけで、何のかんのとこうやってもなかなか解決しないで、やはりある程度出す。こういうことになっているわけですからね。その出すことについて、やはりこれは一つの、ことばは少しおかしいが、制度的なものとしてやはり考えていくべき段階じゃなかろうか。その場合どの程度国が見るのか、地方団体がどうなのか、これはまだいろいろ問題があろうと思いますけれども方向としてはそういうようなことでいかないと、地方団体は非常に財政的に苦しいことになっておるんでありますし、また、うるさいことにもなっているわけですよ、うるさいと言っちゃ悪いですけれども、ですから、そこをひとつ、私は今後の問題としていま少しく私が申し上げたような方向で御検討なさることを私は期待をしたいのですが、なかなかむずかしい。それを出すとすれば、またそれの上積みというかっこうになりはしないかという心配も私はあると思いますけれども、しかし、ある程度国が見てやるということにすれば、その上積みについては、これはいろいろ地方団体で処理すべきこととして考えていっていいと思うのでありますから、ひとつこれは私の意見で、要望めいたことになりますが、ぜひひとつ御検討いただきたいと、こう思いまして、で、労働省のほうどうもありがとうございました。  建設省に最後の住宅関係でひとつ。公営住宅の建設関係超過負担が、四十年度自治省調査のそれでは、一番額が大きい。百八十一億円という超過負担の額を示しておるのですが、実情について建設省としてはいろいろお調べになっていらっしゃると思うのですが、この調査結果と、あなた方のほうでもしお調べになっているとすればそういうものとの差をちょっと述べていただきたいと思うのですがね。
  135. 角田正経

    説明員(角田正経君) 先生の御指摘の超過負担につきましては、私ども毎年解消いたすように努力しておりまして、実態につきましては、毎年建てましたものをその年度の終わりに実績を全部とりまして、承知しております、いまの御指摘の昭和四十年度の分でございますが、私どものほうの資料によりますと、超過負担は百五十四億でございまして、そのうち単価が不足の分、予算単価の基準が合わない分が百二十億、それから、これは地方公共団体によっていろいろ特殊事情がございまして、私ども予算できめております以上の規模のものを使いましたり、あるいは、構造その他も少しいいものを使われるというふうな場合がございまして、それが三十四億、総合計で百五十四億ということでございます。  自治省のほうのお調べと違います点は、私どものほうは全国の全事業主体からとっておりますので間違いないと思いますが、自治省のほうは、都道府県、それからおもな市その他をおとりになりますので、どうしてもサンプルとして単価の高いところが出るのでそういう結果になったのではないかと承知いたしております。
  136. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方の実態をお調べになったのでも、自治省の四十年度の百八十一億よりか少し少ないのです。いずれにしても百五十四億円、そのうち単価の差によるものが百二十億円ということになっておりますね。どうです。単価の引き上げといいますか、そういうことについて、お話しの中にも、四十年度から四十一年度と年々単価の引き上げをやっておられますが、四十二年度ではどの程度のやつを要求しておられますか、予算要求として。
  137. 角田正経

    説明員(角田正経君) 四十二年度は、四十年度実績単価に四十一年度の現在の予算要求ベースの時点におきますまでの時点修正をいたしました実績単価要求しております。したがいまして、まあ、その後の物価変動その他がございますれば多少問題ございますが、一応それで単価是正はできるということで、工事費が一一%、用地費で二四%——これは平均でございます−そういう引き上げの実績に基づきます予算要求をいたしております。
  138. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は二、三の団体について、たとえば東京都とかその他二、三の団体について実績と国の補助の単価、そういうものを調べたものがありますが、これはまあいわば個々の具体のやつですから、これでもって全国一律ということはこれはできないと思いますからここではやめますがね、いずれにしても、しかし相当な単価差あるいは数量の上では、こういうものだというたとえば面積とかなんとか、こういうことの一応基準があるから、それ以上にやったものについてはあまりここでそれも超過負担だ、こうは言えない部面もありますから、主として単価の問題だと思いますがね、これはやはり単価の問題は一応あなた方の努力は認めますが、さらに前進できるようにやってもらいたいと思う。  それからもう一つは、建築関係のそれだけでなしに、用地費関係で特に東京都あたりは非常な大きな問題になっております。東京は別だといえばそれまでですけれども、これは地方団体においても大体似たような傾向として、用地費のあなた方の見方が、非常に実績からすると低く見ているために、持ち出しをせざるを得ない、こういうことがあるわけなんですね。ですから、これらの問題について、ひとつ先ほど言いましたように、今後さらに積極的に御努力をいただきたいと思います。一生懸命おやりになっていただけるのでしょうね。どうです。
  139. 角田正経

    説明員(角田正経君) 先ほど来申し上げましたように、解消のために私ども積極的に努力をいたしたいと思っております。
  140. 鈴木壽

    鈴木壽君 ことしからのいわゆる新住宅建設五カ年計画ですか、四十一年度からでしたね、たしか。これで地方団体の、何といいますか、持つべきものというものは相当大きな事業量ですわね。仕事はどんどんふえてくる、一方においては二戸建てるとこのくらいの超過負担ができる、こういうことでは地方団体はたまったものではないですよね。あなた方の計画はあるいは進むかもしれないけれども超過負担でさなきだに苦しい地方財政が、その金でひどく苦しめられている、こういうことになっておったのではたいへんですから、ぜひひとつこれは解消のためにより一そうの御努力をお願いして、きょうは時間もありませんからやめます。
  141. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本件に関する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  142. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 沢田君から、各派共同提出にかかる地方公共団体超過負担解消のための緊急措置に関する決議案が提出せられております。  本決議案を議題といたします。趣旨説明を願います。沢田君。
  143. 沢田一精

    沢田一精君 地方公共団体超過負担解消のために、ただいままで熱心な質疑が行なわれたわけでございますが、事は重大でございますので、私はこの際、各派共同による次の決議案を提出いたしたいと存じます。  なお、お手元にお配りいたしております案文でございますが、若干ミスプリントがございますが、御了承いただきたいと思います。ただいまから案文を朗読いたします。    地方公共団体超過負担解消のための緊急措置に関する決議案   地方公共団体の財政窮迫は近年とみに激化の一途を辿り、その原因は複雑多岐である。なかでも国の補助対象事業にかかる補助金は著しく低く、現実に即していないために地方公共団体のいわゆる超過負担が多額となり地方公共団体の健全な行政運営を害していることは重大である。政府はこの際各省間の意見を調整して緊急にこの解消を図るために努力すべきである。  右決議する。  以上でございますが、何とぞ各位の御賛同をお願いいたしたいと存じます。  なお、この決議案が可決されますれば、当然自治大臣から所信の表明があるべきでございますけれども、本日は病気のため御欠席のようでございますので、大臣のこれに対する所信の表明は次回にお願いいたしたいと存じます。  なお、つけ加えて申し上げますが、私の気持ちといたしましては、本日いろいろと論議がなされたわけでございますが、今後も引き続きこの問題につきましては重大な関心を持って私どもは審議を継続してまいりたいと存じます。具体的に計画的な解決策を各省におかれましてお立てになりまして、そうしてこの問題がすみやかに解消されますように特に要望をいたしておく次第でございます。以上でございます。
  144. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) これより採決を行ないます。  地方公共団体超過負担解消のための緊急措置に関する決議案を問題に供します。本決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  145. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 全会一致であります。よって本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。     —————————————
  146. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、地方公務員給与に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  147. 占部秀男

    ○占部秀男君 時間が相当経過していますから、私は簡単に急所の点だけ簡潔に質問いたしますから、大蔵省及び自治省のほうも簡潔に答えていただきたいと思うのです。  地方公務員給与の財源については、大きく分けて一般会計分と地方公営企業分とに分けられると思うのですが、まず一般会計分についてお尋ねしたいと思うのですが、前の委員会で、御存じのように、地方公務員一般分についてはどのくらいの財源が必要であるかということを質問したときに、自治省の答弁として、九月実施ということになると約四百六十五億円、交付団体分が三百四十七億円という数字をあげているのですが、この数字は今日まで変わりはないと思うのですが、その点まずお聞きしたいと思います。
  148. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 九月実施いたしますと、地方の一般財政所要額は普通会計で四百六十一億、うち交付団体分が三百四十三億、不交付団体分が百十一億でございます。なお、前回申し上げました数字と多少違っておりますのは、その後の精査の結果でございます。
  149. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで前回の委員会では、特に財源問題について、地方財政の今日の現状からして塩見自治大臣に二つ、三つの点を確認しておるわけです。基準財政需要額の単位費用を再計算して、交付団体に不足のないようにすることと、もう一つは、本年は地方財政計画のすでに百五十億の節約をしておるのですから、これ以上節約して給与財源を浮かせるという余裕はない、したがって、そういうようなやり方はとらない、こういうような点についての確認を求めたわけでありますが、この方法でいくと、結局、交付税と地方税収の伸びの程度がポイントになるわけであります。したがって、前回の委員会でこの点について明らかにしてもらいたいということを言ったわけですが、いわゆる九月決算がはっきりしない、そこでいまは言えないというような状態で、私も計数上の問題ですから、その当時はそのまま了解したわけです。しかし、九月決算の大勢の見通しもついたことだと思いますので、計数的にひとつ詳しく明らかにしていただきたいと思うのですが、まず地方税収の伸びをどのくらいに見ておられるのか、この点をひとつお伺いをします。そうして、その伸びのうち、交付団体分と不交付団体分がどんな割合になっているか、その点をお願いいたします。
  150. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 地方税の伸びにつきましては、都道府県分におきまして、法人関係で八月末で調整額が対前年一〇%ほどの伸びになっております。ただし、対前年と申しましても前年が御承知のように落ち込んでおりましたので、そのままの額で今後推移するというふうに見ることは危険だと思っております。それから、その数字は八月末でございますので、なお九月決算が入っておりません。九月決算については鋭意その捕捉につとめておりますが、何ぶんにも申告が十一月末でございますので、まだその全貌をつかんでおりません。ただ、昨年に比しまして、昨年のいまごろとは状況が違って、昨年は非常に落ち込むので非常に心配をされたわけでありますが、そういうような心配はない、多少の自然増が出るもの、こういうふうに見込んでおります。なお、交付団体と不交付団体の区分につきましては、法人関係でありますとおおむね半々くらいの見通し、こう考えております。
  151. 占部秀男

    ○占部秀男君 九月決算がまだはっきりしてないから、こういうわけですが、しかし、財源措置のいわゆる算定というものはもうやっていかなくちゃならぬころであると私は思うのですが、臨時国会が開かれれば給与法の改正を出さなくちゃならぬ。補正予算を出さなくちゃならぬ。そこで、自治省としてはおそらく地方税収の伸び、特にこれは、おそらく給与改定の財源になると思うんですけれども、その伸びをどのくらいに見ておるか、その点だけお聞きしたいと思う。
  152. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) いま申し上げましたようなことで、主として地方税収の伸びのうち、法人関係がどうなるかということがこの財源措置に関連をいたすわけであります。何ぶんにもまだ九月決算をつかまえておりません。九月だけでも年間の三分の一の収入というのが大体の常識でございます。そういう点から見まして、年度末までの見込みを立てることは、ちょっといまの段階ではなお困難でございます。しかし、先ほど申し上げましたように、昨年と違った意味での自然増収の実績と申しますものが、すでに八月末でも一応出でおりますので、今後の推移によりますものが、この自然増収の伸びと国税三税の伸びに伴う地方交付税の伸びと、こういったようなもので九月実施の場合にも財源を確保できるのではないかというような見通しを持っておるのでございますが、万一それが欠けるようなことになりますれば、それにかわる措置を考えるという意味において、先般の閣議決定に際しては、適切な措置を講ずると、こういうふうな政府の意思統一をいたしております。
  153. 占部秀男

    ○占部秀男君 次に大蔵省にお伺いするんですが、国税三税の伸びの状況、結局は交付税の自然増収の見込みということになるんですが、この点についてはどういうふうな見通しを持っておられますか。
  154. 丸茂重貞

    説明員丸茂重貞君) 先ほど以来、まことに何度も同じことを繰り返して申し上げて申しわけないんですが、ただいま国税と地方税の本年度の増収の伸びを的確につかみ得る段階にございません。したがいまして、はなはだ遺憾ですが、この点に関してはっきりお答えできない状況であります。しかし、十分慎重に検討をした上で地方財政の実情に即して適切な処置をとってまいりたい、かように考えます。  なお、細部にわたりまして御質問がございましたならば、主計官のほうから補足してお答えいたします。
  155. 占部秀男

    ○占部秀男君 自治省のほうの答弁も、それから大蔵省のほうのいまの御答弁も、率直に言えば、ばくとした形になっておるわけです。ところが、給与の改正は、いずれにしても来たる臨時国会でやられると思うんですが、それに引き続いて、もう地方のほうでは給与引き上げのための補正予算をきめなくちゃならぬ、そういうような段階にいま来ているわけですが、そのままの状態では地方としては非常に不安を感じることは当然なんです。そこで、いまおよそ何%ぐらいの地方税収の伸びがあるか、また、交付税については国税三税の伸びでどの程度はね返ってくるかということがわからぬと、ただこの両方で今度は間に合うんじゃないかと、こういうことなんですが、両方で間に合うんじゃないかというだけでは、この段階ではぼくは非常に無責任じゃないかと思うんですが、しかし、いずれにしても、計数が出ないからいたしかたがないと、こういうことですから、したがって、きょうは時間もありませんし、これ以上は私は追及いたしませんけれども、いずれにしても、この二つのファクトが予想しておる金額、つまり、この給与引き上げの国の措置をすべき金額より以上出てないと、むしろ思ったよりも少なかったと、こういう場合にはどういうふうな措置をすることを考えておられるか。その点だけは明確にしておいてもらいたいと思うのです。
  156. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 具体的にどういう方法というところまで申し上げる段階でございませんが、自然増収の額が不十分なために九月実施ができないということでありますれば、従来いろいろ行なってまいりました措置等をも参考にしながら、できるだけ九月実施が可能なような財源措置を講ずる考えであります。
  157. 占部秀男

    ○占部秀男君 どうも答弁がそれ以上出ないと思うのですが、私はこの際お断りをして特に確認しておいてもらいたいことは、どうも従来二、三、この給与改定の場合に先食い的な傾向があったわけです。たとえば、臨時に交付して次の交付税で引くとか、これはもういまの地方公共事業の拡大していく傾向と地方財政の傾向からして、そういうようなあり方では地方団体は非常に迷惑すると思うのですね。そこで、地方税の自然増とそれから地方交付税の増加の問題が、どの程度かいまわからないけれども、ともかくもこれだけで間に合わないという場合には、たとえば交付税率の引き上げをするとか、はっきりした財政措置をとってもらって、将来の地方財政に影響のないようにしてもらいたい。この点はひとつ財政局長としてはっきり、毎年とは違うのですから、いろいろな事情が違ってくる、いわゆる事情も違うし、収入の事情も違うのですから、明確にひとつしておいてもらいたいと思うのです。  なお、大蔵省に対しては、そういう点で、やはり同じような私は聞き方をしておきたいと思うのですが、その点、両省で、いかがですか。
  158. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) おっしゃることはよくわかりますので、十分考慮してまいりたいと思います。
  159. 丸茂重貞

    説明員丸茂重貞君) 占部先生の御趣旨、よくわかりますので、自治省と連絡の上で、できる限り努力いたしたいと、かように思います。
  160. 占部秀男

    ○占部秀男君 この場合に、もう一つ内容の点についてひとつお願いしておきたいのは、現在町村の中では、依然として低い給与に置かれているものがある。あるいはまた、補助職員のような場合に、人件費の給与単価が低い。先ほど鈴木さんからも相当、各厚生あるいは労働、農林その他に関連をして問題点が出されていたようですが、こういうもののやはり改善ということも、給与引き上げの場合にはあわせて考えてもらわなくちゃならぬじゃないかと私は思うのです。特に町村の給与改善については、五、六年前から当委員会でこの問題は大きく取り上げて、三年か四年計画で給与是正、改善を行なったことがあるわけですけれども、その後の町村の状況が、またもとのように返っている事態が相当あるというふうに聞いているのです。これはもちろん、ここですぐやるわけじゃありません。これは機会を見て、当委員会でももう一度この問題を組織的に扱ってもらいたいと思うのですが、それは次の機会にいたしますけれども、いずれにしても、そういう点についての配慮を私は願わなければならぬじゃないかと思うのですが、そういう点はいかがなんですか。
  161. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 今回の九月実施の給与改定の地方財源につきましては、私ども、御承知のように、地方財政計画上または地方交付税の算定上、それぞれ措置をするようにするつもりで考えているわけであります。それらにつきましては、個々の団体実態にかかわらず、国家公務員のベースに置き直した標準経費をもって措置をする、そういう考えで進んでいるわけでございます。財政的な措置といたしましては、従来どおりの考えで、現実に低い団体につきましても、財源計算としては標準的なもので経費を出す、こういう考えであります。
  162. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ちょっとひとつ。特に町村の職員の低給与是正という問題が出ましたが、私どもも最近聞いたことなんですけれども、今回のベースアップでは、妻の扶養家族手当が六百円から千円に引き上げられることになっています。それはけいへんけっこうなんです。しかし、実際町村の扶養家族手当が、ある面では金額で押えられ、たとえば、二千円とか二千四百円というところで押えられたり、あるいは扶養家族の人数で押えて、五人以上は何も出さないといったようなことが各町村でとられているようです。国に準ずるということであれが、やはりそういった国の扶養家族の取り扱いをやはり町村の職員にも均等にさせてやるのが当然だと思います。こういう問題、自治省はどういうふうにつかんでいらっしゃいますか。これは行政かな。
  163. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) ちょっと御指摘のようなこと、実は私承知いたしておりません。
  164. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 では、また行政のほうの担当の方に聞きます。
  165. 占部秀男

    ○占部秀男君 次に、この不交付団体の分についてお伺いしたいんですが、現在御存じの不交付団体といっても、単年度収支は非常に悪くなっておるところがふえているわけです。先ほど鈴木委員の話の中にもその点が出ておりましたが、今日は不交付団体がいわゆる富裕団体ではない、こういう実態に置かれておるところが相当あるようです。たとえば東京都のような場合、ちょっと私調べたんですが、四十年度の決算では九千万円の黒字になっておる。ところが、その内容を洗ってみると、百四億からの事業繰り越しをして帳じりのつじつまを合わしておる。こういう実態に置かれておって、公営住宅の建設の問題や、給与費関係の一部まで繰り越しが行なわれておる。こういうふうな実態ですね。いずれにしても、本年は不交付団体も相当苦しいと思うのですが、この給与引き上げに際して、とりあえずこの不交付団体給与財源がないというような場合には、何らかの措置をしてもらわぬと、給与引き上げができないんですけれども、そういう点については何か調査をするとか、あるいは配慮する、こういうような問題点について考えておられることありますか。
  166. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) われわれのほうの財政的措置といたしましては、先ほど申し上げたような標準的経費についての所要額の措置をする、こういう考えでございます。したがいまして、個々の団体実態に応じて措置をするのでございませんので、その限りにおいて、私どもといたしましてはそこまでのことは考えておりません。ただ、現実問題といたしまして、それぞれの団体にそれぞれの事情があろうと思っております。かりに東京都なら東京都にいたしましても、給与改定ということがあるとなりますれば、それ相当の自分ながらの財源の見通しというようなものもやはり立てていかなければならないのでありまして、特に不交付団体の場合そういった事例があると思います。したがいまして、そういった実態に即した考え方は、それぞれの団体に応じてとらえることが適当である、かように考えております。
  167. 占部秀男

    ○占部秀男君 いままでのような状態ならば、局長の言われたことで私は満足するんですが、もちろん私は不交付団体に交付税を出す、こういうようなばかなことを言ってるわけじゃないのです。ただいまの不交付団体実態から見て、たとえば教職員給与費についての国庫負担額の最高限度を定める政令であるとか、さらに、特に東京都の場合には交付税の算定方式の特例の問題であるとか、地方道路譲与税の特例の問題であるとか、いろいろ問題があって、そのこと自体が東京都の財政を不能にすると言っちゃおかしいんですが、非常に苦しめておる実態で、こういうような点について、私はこの際これを検討して、撤廃するものは撤廃する、こういうはっきりした態度を打ち出すべき時期だと思うのですけれども、これはいまここですぐにはいかない。しかし、金の足りないところには、せめて金繰り的な問題でもやってやらないと、給与の引き上げというものは非常におくれてくる。こういうふうな実態が出てくる二、三の県があるわけですから、そういう点についての措置というものはやはりやってもらわぬと困ると思うのですが、そういう点はいかがですか。
  168. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 御承知のように、それぞれの団体で年間の資金見通しをつくって、金繰りのできないときには一時借り入れ金をする、あるいは支出の調整をするというようなことをやっておるわけです。したがいまして、おそらく個々の団体においてそういった措置を十分考えていくものと思うわけでございまして、私のほうで一律的に金繰りの措置をするというようなことは考えておりません。
  169. 占部秀男

    ○占部秀男君 ぼくの言うことも、もちろん一律的ということを言っているわけではないんです。そういうような個々の事態が不交付団体の場合に起きた場合には、やはり自治省としても給与の引き上げができるような措置をとってもらいたいということを希望しておるわけですから、よろしくお願いしたいと思う。  次に、公営企業会計分について私は質問したいんですが、いま公営企業の交通、水道その他の財政状態がどうであるかということは、これはいまさら言うまでもないのですが、今度の給与の引き上げというものは、少なくとも自治省としては、国家公務員に並んで地方公営企業体の職員も含んだ全地方公務員給与の引き上げが行なわれる、かように指導が行なわれなければならぬと思うのですが、そういう点はそういう形でもちろん指導するわけでありますか。
  170. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 公営企業につきましては、先生御承知のとおり、その事業の特殊性にかんがみまして、従来から財政的な財源措置というものはいたしておりません。したがいまして、今後におきましても、それぞれの公営企業体において、かりに給与改定を実施する場合には、それの所要額、財源等について長期的な見通しを持ってそれぞれ対処していただきたい、かように考えております。
  171. 占部秀男

    ○占部秀男君 問題は、独算制なんだから、支払う金が確保できるかどうかという、企業体自体に、そこに問題は決着してくると思うんですよ。いま再建計画を立てておる、そういうところが、いま自治省の発表の中でも希望団体があるわけですが、そういうところでは、そういう問題についての金の確保がなかなか困難な事情があるということも聞いておって、地方公共団体職員は、一般職員に比べて給与の引き上げがはるかにおくれるんじゃないかと、こういうような事態も出ておるということを聞いておる。これをこのままほうりっぱなしにするということは、私はこれは自治省としてとるべき態度じゃないんじゃないか。一時地方公営企業の給与の問題については、たとえば事業債をよけいつけるとかなんとかして金繰りの便宜をはかったというようなときも私はあったと思うのですが、いずれにしても、今年の地方公営企業というものは、いままでとは違ったやはり様相の中に財政的には置かれておるので、そういう点は特別の問題として扱うべきであるというふうに考えるのですが、その点はいかがですか。
  172. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 地方公営企業については非常に赤字が出ておるわけであります。それの再建計画をつくることによって赤字を解消するとともに、将来やはり公営企業として住民からも十分利用されるようにしていきたい、こういう基本的な考え方に立っておるわけでありまして、そういう意味合いにおいて、先般公営企業法の改正をお願いいたしたわけであります。したがいまして、本年は、そういった例年にない特殊な事情があるわけでありますので、それだけに、やはり個々の企業体におきましても、赤字が出ていて再建を要するような団体については、やはりその団体の赤字を解消するための歳入歳出両面にわたった合理的な考え方に立った措置を必要とするものと考えております。そういう意味合いにおきまして、その合理化をするにあたりましても、各団体にそれぞれの事情かあろうと思いますから、これも一律にどの団体も同じようなテンポでいくというようなことはないと思いますけれども、それぞれの団体に応じてその特殊事情を踏まえながら合理的な再建計画をつくってやっていただきたい、かように考えておるのであります。なお、再建計画ができますれば、御承知のような国においてのいろいろな措置も考慮してまいるわけでございます。
  173. 占部秀男

    ○占部秀男君 一般論的に言えばあなたの言われるような形になるわけですけれども、御存じのようにこれは給与の引き上げというものは現実問題であって、しかも給与の引き上げということは当然の引き上げであって、再建計画があるかないかの問題ではないわけです、もちろん長期的な見通しでは、再建計画の中で給与問題についての長期的な見通しをつけていかなくちゃならない、それはあなたのおっしゃるとおり。ところが、今度の給与の引き上げは現実にいまの問題です。再建計画があるからこれをやるんだ、ないからやるんだという問題ではないわけです。そこで、ぼくは現実の問題として、やはり金の足りないようなところには政府の低利資金の一時借り入れをさしてやるとか、何らかの方法を自治省として考えてやるべきじゃないか。そうしないと、いまの地方公営企業体の職員給与の引き上げが不十分な形で、非常に困難な状態に置かれるのじゃないかというふうに考えるので、その点を私は質問しているわけです。
  174. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) やはり再建計画を立てるにあたりましては、歳入歳出のそれぞれの項目につきまして、現状がまず妥当であるのかどうか、それから、これにはどういう手を加えて合理化をはかるべきであるかどうか、どう是正すべきであるかどうか、そういったようなことを積み上げて計画をつくっていただかざるを得ないと思っております。したがいまして、そういったいろいろな諸要素を検討した上で、たとえば給与の改定の問題に対しても、どういうふうに自分の団体としては措置をするか、こういう考え方を打ち出していただかざるを得ないのではないか、かように考えておるのでございます。したがいまして、妥当な再建計画ができますれば、その計画の執行にあたって、一時的な資金繰りの問題でありますとか、あるいはその事業を行ないますための起債でありますとか、そういったようなものにつきましては、それぞれそのワク内において措置をする必要はあろう、かように考えております。
  175. 占部秀男

    ○占部秀男君 ただ、再建計画ができ上がってということになると、そうすると今度の給与改定とは相当時間的にズレがくるわけですね。それは自治省としては、再建計画の問題があるからといって突っ放されるかもしらぬが、地方のほうでは、それでは給与引き上げが現実にできないという状態に置かれるんですよ。少なくとも再建計画が、来年の給与の引き上げの場合はこれはわかりません、わかりませんが、本年のこの給与の引き上げの場合には、再建計画が全部はっきりと自治省として承認できる、そこまでこなければ金繰り問題には入らないんだというような機械的な方法は、これは私はいまの段階としてはとるべきじゃない。少なくとも、ある程度見通しをつけた再建計画の承認というものはあろうがなかろうが、一応給与費の問題については、金繰り的な問題は援助をしてやる、手を貸してやる、こういう方向にいくべきじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  176. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 御承知のように四十年度末の赤字について再建計画をつくるということになっておりますので、四十一年度以降に発生した諸事由については、やはり計画と見合いながらこれをきめていかざるを得ないんじゃないか、かように考えております。  それからいま一つ、資金繰りの問題でございますが、やはり資金繰りのための借り入れをするといいましても、将来の償還はどういうふうにするかというようなものが適当なものでなければならないわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、先ほど申し上げましたような、総括的な立場に立っての計画をつくって執行していく、こういうふうに考えておるわけでございます。
  177. 占部秀男

    ○占部秀男君 時間がありませんから、この点はこれでとどめます。  次に、給与準則の問題で二つだけ簡単にお聞きしておきたいんですが、いま地方公営企業法の改正が起こって以来、いろいろ再建問題等が起こっておりますが、そのほかに給与準則の問題があるわけです。給与準則の問題に入る前に、これに関連して、改正法の三十八条の給与のきめ方と、それから地方公営企業労働関係法による第七条の団体交渉との関連の問題がいろいろと問題になっているわけです。そこで、この点について私はお聞きをしたいのでありますが、改正案の審議にあたって当委員会でも、特に給与のきめ方の地方公営企業法に規定されている問題と、地方公企労法の団体交渉との関連が相当将来問題が起こる、こういうふうに考えて質問したわけでありますが、その当時もはっきりしたことは、地方公営企業労働関係法七条にある「団体交渉の範囲」、つまり一から四までこまかく規定をされておりますが、この範囲給与、勤務条件については団体交渉できめるのが原則であるということと、その場合、今度の改正法ではいわゆる管理者というものの当事者能力というものがはっきりとしておって、管理者限りで協定が独立して結ぶことができる、こういうような点が確認されたわけであります。したがって、このあくまで給与の決定には団体交渉で決定することがまず基礎になる、こういう考え方は、今日も変わっていないと思うのですが、その点はいかがでありますか。
  178. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 地方公営企業労働関係法七条によって、給与につきましては団体交渉ができることになっております。したがいまして、それぞれの個々の団体におきまして、行き方にもよると思いますけれども給与の問題については団体交渉をすることができる、こういうことでございます。
  179. 占部秀男

    ○占部秀男君 いまの局長の御答弁ではどうも歯切れが悪いのですよ。というのは、最近自治省で言っているわけじゃないでしょうが、地方公営企業法の三十八条の給与の決定の条件の問題と、それから地方公営企業労働関係法の第七条の団体交渉の点については、これは矛盾したものだというような考え方で、そうしたことを言う向きも地方には相当出てきている。これは何か自治省でそういうような行政指導をしたということになると、大きな私は問題になってくると思う。というのは、第七条で団体交渉する場合に、理事者側と組合側とはいつでも地方公営企業法の三十八条の給与をきめるいろいろな条件を考えながら具体的には団体交渉している。その団体交渉できめるということですから、したがって、この二つの間には何ら矛盾がない、きめるのはやはり団体交渉できめるわけです。何か地方公営企業法の三十八条できめるというような、そういうような誤解した形がこの地方の公営企業の管理者側にあるように私は考えられる。そこで、私のいま言った点については、自治省としても明確にしてもらいたいと思うのですが、私の言ったとおりでいいのか悪いのか、この点を明確にしてもらいたい。
  180. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 労働関係法の七条で団体交渉の対象となり得るわけです。同時に公営企業法の三十八条によって給与決定の原則がうたわれている、団体交渉をなすにあたっての一つの土俵がそこへできているわけであります。土俵をはみ出すかはみ出さないか、これは個々の交渉の内容の問題だと思いますが、そういうふうに考えております。
  181. 占部秀男

    ○占部秀男君 どうもそれじゃはっきりしないのですが、土俵か何かしらぬけれども、地方公営企業法では確かに給与決定の条件がある。しかしその条件は、交通なり水道なり、個々の企業体になれば、いろいろな条件で画一ではないわけですね。そのときのいろいろな条件の扱い方が画一ではないわけです。したがって、そういう条件を具体的に勘案しながら団体交渉できめていくわけだから、土俵か何かわからぬけれども、きめるのは団体交渉だ。給与決定の条件というのは団体交渉の行なわれる場合の一つの条件であって、それはあくまで給与決定の三十八条によって即そのままきまるものではない。もし即そのままきまるのだったら、地方公営企業労働関係法なんというものの中にうたわれている団体交渉権というものは要らないことになる。その点を私は明確にしてもらいたいと思う。
  182. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 給与について団体交渉権があることは先ほど来お答え申し上げたとおりであります。それにあたりまして、個々の企業体は、御承知の公営企業法三十八条にありますような他の公務員との給与の比較とか、あるいは生計費、それにその団体の経営の状況等を加味してきめる、こういうことになっておりますので、団体交渉を行なうにあたりましては、当然三十八条の給与決定の原則の精神をくんで団体交渉が行なわれるべきである、こういうふうに考えるわけでございます。
  183. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、決定するのは団体交渉できめるのでしょうということを私は言っておる。
  184. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) その点は団体交渉によってきまるわけでございます。ただ、それがその後にその団体として実施に移るかどうかということについては、御承知のように提案権あるいは議会の承認といったような手続が要るわけでございます。
  185. 占部秀男

    ○占部秀男君 もちろんそういうことを前提にして私は言っているわけです。そこで、そういうことになれば、今度自治省として、七月の終わりでしたか、公営企業の給与の種類及び基準に関する条例の準則というものを、これはあなたの名前で通知を出しているわけですね。この準則の性格の問題でありますが、これはいわゆる行政指導であって、法に規定された団体交渉権を拘束するものではない、労働基本権を実質的に侵す性格のものではない、かように私は考えるのですが、この点はいかがですか。
  186. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 八月の末に出ております企業職員給与条例の準則についてという通達は、私のほうのいわゆる行政指導でございます。
  187. 占部秀男

    ○占部秀男君 したがって、行政指導でありますから、労使間の交渉に基づく協定に基礎があるのであって、この給与準則はあくまでも行政指導として、自治省としてはこういうきめ方をしてもらうのが望ましいのだという考え方を各企業体に通知したものである、そういうふうに考えていいわけですね。
  188. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 自治省としては、今回の法律の改正の趣旨もこれあり、こういう方向で各企業体が給与を考え、あるいは給与決定の、給与の条例を定めるということを強く期待して行政指導しておる、そういうものでございます。
  189. 占部秀男

    ○占部秀男君 強く期待して行政指導しておるということは私もよく知っているのですよ。ぼくの言うのは、その指導は指導でいいと言うのですよ。しかし、基本は団体交渉できめて、これを議会へかけて条例化するのだから、現場における決定の基本は団体交渉にあるのだ、そこでいま行政指導を強くしようが弱くしようが、それは行政指導であって、この団体交渉をつまり押えるものではないのだ、これに影響を及ぼすものではないのだ、こういうことははっきりとしてもらわぬと困ると思うのですがね。
  190. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) この条例準則は、先ほど申し上げましたように行政指導でございますから、法律的に団体交渉し得るという権限を侵すものではございません。
  191. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、この準則が出た次に、何かモデル給与表を出すという考えがあるということを私はちょっと耳にはさんだんですが、そういう事実がありますか。少なくともこの準則には第三条で——これ読み上げませんけれども、相当詳しく給与のあり方の問題、基準の問題が出ているわけです。これ以上にモデル給与表なるものを出すということになると、これは非常にいま水道にしろ、あるいはまた交通にしろ規模が大小がある。人数が大小がある。こういう中で相当混乱してくると私は思うのですが、そういう事実があるかないか、この点を。
  192. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 具体的なそういう給与条例につきましては、私のほうでいまこれを統一的に示すということは考えておりません。
  193. 占部秀男

    ○占部秀男君 給与準則の内容の問題もお聞きしたいのですが、時間がありませんからこれはこの次のひとつあれにしたいと思います。  それから、もう一つは、これに関連して、最近地方のほうではいわゆる市労連とか、つまり交通、水道のほかに一般職員もまぜて連合体をつくっておりますね。この連合体の市に対する統一交渉というものを何らかどうもはばんでおる、押えておるというような状況があるのですが、こういう点について、自治省としては指導をしておるんでありますか、ないんでありますか。
  194. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 本来それぞれ違った性質を持った組合であるわけでありますから、当然それぞれが団体交渉をすべきであると考えております。
  195. 占部秀男

    ○占部秀男君 それぞれが団体交渉をすることは、これはもうあたりまえなんです。ただそのほかに、全体として市労連という形で市長、市長のもとには交通局長も、いろいろなものも入っておる。こういう人たちが交渉をする、これをいけないというようにはばむというような行政指導はしておるのですか。
  196. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 団体交渉としてはそういうものは認めらるべきものではない、こう考えております。
  197. 占部秀男

    ○占部秀男君 それはおかしいじゃないですか。そういうものを認めるべきでないという行政指導をするということは、これは越権ですよ。というのは、これは事実の問題として、今回の法律改正で、確かに市長の公営企業の職員に対する直接的な指揮監督権というものはなくなっておる。その意味では管理者の当事者能力というものは強化されておる。このことは事実です。また地方公営企業の職員が、管理者限りで任命されておる。任命権が完全に管理者にある。これも事実ですけれども、しかし経営自体が市の経営である以上、市の事業運営というものと全く切り離してこういうような経営関係、労働関係を考えることはできないじゃありませんか。  この前払がここでこの問題について質問したときも、実は市長は一般的な直接的な指揮監督権はないようにはなっておるけれども、管理者自体が市長の補助職員である。そうして最後の、公営企業における最終責任は、これは市長が当然持っておるんだと、こういう点を明確にし、しかも市長の指示権というものは、結局は指揮監督権の一つの様態である、こういうようにあなた方のほうは答弁をされておるわけです。ところで市長の労務管理の方針というものは、一般会計であろうと企業会計分であろうと、共通した点があるわけであって、共通した点がそれぞれの労働条件に影響がある。こういう問題は具体的にたくさんあるのですよ。そういう問題について市労連として市長と交渉することは、何らこれは差しつかえないことだ、当然やらなければならないことだ。しかも、地方公営企業体の職員について、じゃ他の一般職員といろいろ給与、勤務条件についてのあり方が全部違っておるかというと、そうではない。御存じのように地方公務員法では、任用の関係から職階関係給与、勤務条件の原則の問題、分限及び懲戒の問題、あるいは厚生福利の問題、こういう問題は、地方公務員法で規定された原則に基づいて、一般職、あるいはまた、公企体の職員、こういうものの具体的なあり方が、それぞれの条例できまってくるわけでありますから、したがって、こういう共通した問題について、基礎の問題について、市労連と市長が全体的な立場で交渉することは、これは当然である。しかも、法律上の扱い方について、私はいま細郷さんの言うことが、これは越権であろうと思う。というのは、今度の法律改正というものは、地方公務員法の場合もそうでありますが、ILO八十七号条約の批准、こういうものから発したわけですが、この条約の批准と、それからこの前の九十八号条約の関係から見て、確かに今度の地方公務員法の改正は、登録団体でないもの——いわゆる市労連は登録団体ではない。この登録団体ではないものについては、組合から団体交渉を申し入れても市長は受けて立つべき地位にはないのです。地位にないことは明らかだ。ところが、地位にあろうとなかろうと、労働基本権というものはその前にあって、これはもう憲法上の問題となっておって、市長が受けた場合には、団体交渉ができるようになっている。これはこの席で明らかになっているのです。登録団体ではないから、市長は義務的に受けて立つべき地位にはないことは、これは解釈としてできると思う。しかし、労働組合のほうで市労連という形でいまいったような事実的な問題を交渉の問題として出す、これについて、市長が受ける、これは当然団体交渉として成立する問題である。これは何ら制限されてはいないのです。この点を私は明確にしておいてもらいたいと思う。何らか地公法の改正があり、今度の地公法の改正があることについて、全然市労連と市長との間に団体交渉する権利がないという考え方はもってのほかであって、法律を悪く、故意に曲げたものである。解釈として曲げたものである。かように考えるので、その点についてひとつ明確に御答弁いただきたい。
  198. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 公営企業には御承知のように管理者があるわけでございまして、管理者を相手どって団体交渉をする。しかも、その交渉事項の中でも、給与の決定につきましては、公営企業法は地方公務員法の一般規定を排除して、別個の立場できめているわけであります。そういう法の趣旨からいたしまして、公営企業の職員給与の問題につきましては、そのそれぞれの管理者との間において団体交渉がなさるべきものだ、こう考えているのでございまして、そういった考え方によって先ほど来申し上げているのでございます。
  199. 占部秀男

    ○占部秀男君 給与の決定だけが交渉の対象ではないのですよ。給与、勤務条件、福利厚生、いろいろあるのです。七条で書かれているように、また、地方公務員法でも書かれているように、私は給与だけの問題を言っているのじゃないのです。局長が言う給与だけに限定すれば、あるいは局長の言われるような、基本的に管理者との間の団交がなければならない、これはわれわれもよく知っております。問題は、市労連と市の理事者側というか、行政局長にむしろ聞いたほうがいいのですが、交渉を機械的に押えていくというような形が最近出ているので、こういう点はけしからぬということを言ったわけです。
  200. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 先ほど申し上げたことを繰り返すことになるわけでございますが、公営企業の給与あるいは勤務条件等につきましては、管理者との関係において団体交渉をなさるべきである、かように考えておりますものですから、先ほど来と同じことを申し上げるような次第でございます。
  201. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは非常にしつこいわけですが、大事な問題ですから、私はそれだけでは納得できない。というのは、局長は、さっきそういうやり方はいけない、こう言ったのです。市労連とそれから市長との団体交渉はいけないと言ったのです。だから、私は言うのです。いけないというふうにやってしまったら、これは何もできないということになる。給与の決定については、確かにそういう点があるだろう。しかし、問題は給与だけの問題ではないわけです。つまり地方公務員法で規定されている服務あるいは福利厚生、いろいろな問題点があるわけです。そういう問題点の一つを、市の労務管理の方針について、市労連として公営企業体の人も含めて団体交渉をするのは、何ら悪いものではないのじゃないですか、法的にどこで規制しているのですか。それよりも、登録団体ではない自治団体であっても、市長が受けて立てば団体交渉できるように法律ではなっているのです。その点を私は言っているのです。いまできないというふうに機械的に言われたのでは私は納得できない。この点について行政局長はどういうふうに考えて、おりますか。
  202. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) お話の意味は、市労連という団体が市長との間で、内容にもよりますけれども、そういう交渉ができるかどうかというお話のようでございますが、市労連と申しますのは、これはいろいろな組織が場所によって違うと思いますけれども、おっしゃっておられるような意味は、あるいは公営企業のほうのいわゆる労働組合と、それから一般職員のほうのいわゆる職員団体、こういうものが一つになりまして、そうしていわゆる事実上の連合組織をつくっている、こういう場合のことではないかと思うのでありますが、そういう場合でございますと、一般の職員団体と労働組合と両方のものがその中に入っているわけでございまして、職員団体と労働組合とにおきましては、それぞれ実は交渉する当局が、私どもは、お話ではございますが、違うのだと思います。それからまた、いわゆる交渉の意味、内容も違う、こういうことでございますので、一般的にはそういう混合したような、両方一緒になったような職員団体と当局との話し合いというのは、これは事実上の話し合いということは、これはあり得ることでございますけれども、いわゆる法律上の団体交渉、法律上と申しますが、公営企業の関係でいいますような団体交渉というようなものは成り立ちにくいのではないか、こう思っているわけであります。
  203. 占部秀男

    ○占部秀男君 私も公営企業法上の団体交渉を言っているのじゃないのです。事実上の団体交渉、いま局長の言われた意味のことを言っているのです。ところが、何か財政局の指導というか、そういうもので、何でもかでも今度は地方公営企業法の改正があって、管理者が当事者能力がはっきりと確立したのだから、市労連交渉はやらなくていいのだ、こういうような行政指導といいますか、指導方向をとっているというから、これは行き過ぎじゃないか、都労連、市労連の統一交渉というものは実際問題としてあり得る、それを否定するところまでいくというのは行き過ぎではないか、こういうことを私は質問しているわけです。
  204. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 今回、改正によりまして、公営企業の管理者は御承知のようにあらゆる問題について交渉をし得る権限を持つようになったわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、公営企業に関しましては、その管理者との交渉によって、いわゆる法律上の団体交渉によって十分目的を達し得るし、また達すべきものであろうと、かように考えておるのでございます。したがいまして、そういう意味での指導は法律に基づいていたしております。先ほどお話のありましたように、事実上のということでございますと、私先ほど法律的にと申し上げた点に明らかなように、事実上の問題でありますと、これは法律上の団体交渉から離れたものになるわけでございまして、そういう意味合いにおいて事実上の交渉ということは、団体によってはあり得ると思います。あり得ると思いますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、公営企業については管理者に十分なそういう決定する能力と権限があるわけでありますので、管理者と十分法律上の団体交渉をやってこれを処置すべきであるという立場で指導をいたしております。
  205. 占部秀男

    ○占部秀男君 事実上の団体交渉として統一交渉もあり得るということを確認してもらいましたから、この点はもうここでしまっておきたいと思います。  時間もありませんから、給与準則の内容や、この負担区分の政令の問題について聞きたいのですが、御迷惑と思いますから、私はきょうはこれらの点についてはこのぐらいで、あとはひとつ次の委員会のときにそうした点についてもう少しこまかく質問をしたいと思います。
  206. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本件に関する本日の調査は、この程度にいたします。     —————————————
  207. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 最後に、一〇・二一統一行動に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  208. 占部秀男

    ○占部秀男君 この点についても時間がありませんから、次の委員会に持ち越しますが、二つだけ簡単に念のために聞いておきたいことがあります。  一つは、自治省に聞いておきたいのですが、従来地方公務員の組合で実力行使をやるという場合に、これは法律上違法になるからそういうことをしてはならなというような行政指導といいますか、通牒といいますか、そういうことをした例はありますけれども、今回の場合は、地方公共団体の組合の全国的な連合体である自治労で、大会で実力行使をすべきかどうかと、こういうことについて全員の投票でこれをきめようと、こういうことを大会が決定をしたわけです。で、投票できめようときめたこと自体が違法であるかのようなことで、自治省としては各都道府県、市町村に行政指導をされておるということを私は聞いておる。これはもし投票の結果いよいよやるということになったときに、これは違法の行動であるからこれをやってはならぬということなら、これはまだ自治省の立場として私はわかるのですが、大会で投票によってきめようということをきめたこと自体が違法であるというような指導をしたということは、とってもじゃないけれども、けしからぬと私は思うんですけれども、そういう指導をしたことがありますかないか、あったとしたならば、どういうわけでそういう指導をしたんだか、お聞きをしたいと思うんです。
  209. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 二十一日のいわゆる統一行動につきましてのお尋ねでございますが、その前に九月三十日に、政府におきましては総務長官の談話を出しております。その談話が発表された関係のことを私どもが伺っておりますところでは、いわゆるこの違法な統一行動というようなものにつきましての考え方と申しますか、いわゆる法律上の解釈、取り扱いというものが関係のところでいろいろ検討されておったようでございますが、その場合に、いわゆる争議行為というものがもちろん違法、禁止されておりますが、同時に、争議行為に至るいわゆる準備行為と申しますか、そういうものにつきましても、これはやはり違法だという考え方がはっきりいたしたように聞いておるのでございます。  したがって、そういうことになってまいりますというと、地方公共団体職員におきましても、取り扱いは同じように考えていくべきものと思うわけでございますので、そういう意味で、統一行動及びそれに対する準備行為というものについての考え方というものを、地方団体あるいは職員にも示す必要がある、それによって、知らないといいますか、そういうようなことから法律違反の状態を起こすことのないようにということで連絡をいたしたような次第でございます。
  210. 占部秀男

    ○占部秀男君 いま、投票することが準備行為の中へ入るか入らないか、これはいろいろ問題があると思うんですが、少なくともやるということをきめて、いよいよその準備に入ったという場合ならこれは知らぬこと、やるかやらぬかもわからない、やるかやらぬか、どうするんだということの意思をまとめようというときに、それはもうやることを前提としてやることの準備行為だ、こういうような考え方は、少し私は行き過ぎじゃないかと思うんですが、これは事態は自治省だけの問題でなく、官房長官の談話にもあるように政府全体の問題ですから、これはまた次の機会に大臣なり官房長官なりを呼んでお伺いをすることにして、きょうは時間がありませんので、これで打ち切ります。  それから、警察庁のほうにその問題で一つお伺いしたいんですが、この二十一日ストの問題について、東京の北区をはじめ都内でも二、三出たし、全国的にもいろいろ出ておるんですけれども、入る前に組合の幹部の人に任意出頭せよというあれを出しておるんですね。これはもちろん行った人もあるだろうし行かなかった人もあるだろう。しかし、この問題は、事実行為が行なわれていない前に、あらかじめ出頭をさせるということは、これは一つの労働運動に対する弾圧ではないかと私は思う。この争議といいますか、二十一日の実力行使が、かりに暴力的な問題に発展する可能性があるとか、大きく社会的に混乱するような可能性があるとか、こういうような場合には、また政府政府としての考えもあると思うのですが、いずれにしても公務員が正々堂々と、わずか一時間かそこらの実力行使をやると、こういう場合に、行政的な問題としてはそれは問題があるでしょう、事実上の問題としては。しかし、そのやる前に幹部を呼んで、任意出頭させるということは、これは一つのいやがらせであって、私は警察庁としてとるべき態度ではないと思うんですが、そういう点はいかがですか。
  211. 高橋幹夫

    説明員(高橋幹夫君) ただいま具体的にどういう者に出頭をかけたかということについて、私ども報告を聞いておりませんが、私ども今回の十月二十一日のストに対する態度は、御承知のとおり、地方公務員につきましては地公法の三十七条並びに六十一条の四号というものがございますので、この違反の容疑がある場合においては、残念ながら私ども捜査をしなければならない、こういう基本的な方針を持っておったわけでございます。したがいまして、私どもは、いま申し上げたような地公法違反の容疑があれば、捜査の権を発動するということで今日までやっておりました。したがいまして、事前にいたずらに不当に干渉をするというような意思は毛頭持っておりません。ただ、しかし、いろいろと御承知のとおり情報が伝わってくる場合がございます。したがいまして、私どもは当然警察法に定められましたところの、そういう情報の収集という意味におきましては、与えられた権限を使うということは御了解願いたいと思うのでございます。
  212. 占部秀男

    ○占部秀男君 この問題は、また次の委員会でじっくりひとつやりたいと思いますけれども、情報の収集は、確かに警察関係として必要だと思うのです。それにはいろいろ方法があると思うのですが、ことさら、この幹部の、ある程度の目ぼしをつけて幹部を任意出頭させる。そのことが及ぼす組合への影響をねらうと、かようにわれわれは、勘ぐりかしらぬけれども、考えざるを得ないんですよ。したがって、こういうようなやり方は、情報の収集はほかのやり方をとってもらいたい。こういうやり方は、何といっても労働運動の弾圧という疑いを持たれるやり方なんで、そういう点を私は特に希望をしておきたいと思います。  きょうは時間がありませんから、じゃあこれで私の質問を打ち切ります。
  213. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本件に関する本日の調査は、この程度にいたします。  次回の委員会は公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。   午後二時五十二分散会