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1966-10-11 第52回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十一日(火曜日)    午前十時三十分開会     —————————————    委員の異動  九月二十四日     辞任         補欠選任      中村喜四郎君     沢田 一精君  十月七日     辞任         補欠選任      高橋文五郎君     中村喜四郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岸田 幸雄君     理 事                 小林 武治君                 占部 秀男君                 原田  立君     委 員                 小柳 牧衞君                 津島 文治君                 天坊 裕彦君                 中村喜四郎君                 林田悠紀夫君                 加瀬  完君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 市川 房枝君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        建設省道路局路        政課長      国塚 武平君        自治政務次官   伊東 隆治君        自治大臣官房参        事官       鎌田 要人君        自治省行政局長  長野 士郎君        消防庁長官    佐久間 彊君        日本国有鉄道常        務理事      仁杉  巌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査  (総武線の複々化に伴う地方財政に関する件)  (消防に関する件)  (ILO八十七号条約に関する件)  (茨城県結城市における住民監査請求等に関す  る件) ○派遣委員の報告に関する件     —————————————
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  伊東自治政務次官
  3. 伊東隆治

    説明員伊東隆治君) 伊東隆治でございます。このたび、はからずも自治政務次官仰せつかりました。まことにふなれなものでございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
  4. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 総武線の複々化に伴う地方財政に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 加瀬完

    加瀬完君 最近、東京ばかりではございませんが、大都市の近郊の人口の社会増がおびただしいものがございまして、したがいまして地、方団体がこのために投入する社会資本もまた多額にのぼりまして、地方は奔命に疲れておるという状態でございます。特に、交通対策あるいは教育対策というものにたくさんの金がかけられておるわけでございますが、一例を申し上げますと、単にこれはただいまお願いをいたしました総武線ばかりではございませんで、国鉄高架化について要望のある線区というものを国鉄が発表をいたしております。それによりますと、全工事費が四千十一億でございまして、地方負担が二千五億となっております。こういう膨大なものを地方が五年間に納付しろといったって、なかなか困難でございまして、これらの問題に伴いまして、当然自治体負担限界というものが生じてくるわけであります。  自治体負担限界というものについて、自治省はどのようにお考えになっておられますか、まずその点を承りたいと思います。
  6. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 国鉄高架化等によりまする地方団体負担の問題についてでございますが、その負担限界ということに相なりますというと、それぞれの団体財政事情によって違ってくると思います。  なお、それよりさきに、国鉄高架化に伴う地方負担につきまして、特に県道でございますとか、あるいは市町村道といったような地方道につきましての負担についての考え方というものにつきましては、一応建設省運輸省との間に結ばれておりますところの、俗に申します建国協定というもので負担率をはじいての額が、おそらくいま御指摘になりました二千億という数字であろうと思うわけでございますが、地方道につきまして、この建国協定と同じ考え方でいいのかどうかという問題がまず基本的にあろうかと思います。  それから次に私どもは、そういう場合におきましてやはりケース・バイ・ケースで、団体財政力財政事情ともにらみ合わせて考えてまいらなければならない、こういう気持ちを持っておるわけでございまして、その団体のやはり建設事業に投入できる財源というものとのにらみ合いでこの限界というものは考えてまいらなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  7. 加瀬完

    加瀬完君 地方財政再建特別措置法の二十四条の二項は、地方公共団体は、当分の間、国またはただいま申し上げました日本国有鉄道等に対しましては、法律または政令規定に基づかない負担金寄付金をしてはならないということが規定されておりますね。これは明らかに一つ負担限界を示しておるとは読み取れませんか。
  8. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) おっしやるとおりでございます。ただそこで、この場合の国鉄高架化等の場合でございますというと、やはり他方団体におきましても、その場合に受益というものは認められる、その受益の限度において負担をするということについては一般的に首肯できるかと、こういうふうに考える次第でございます。
  9. 加瀬完

    加瀬完君 千葉県は総武線複々線化のために、市川市においては二十九億、船橋市においては二十億と言っていますが、工事計画が変更されますから三十億、千葉県全体でありますと常磐線までを含めますと百五億という負担になります。一例をあげますと、我孫子町では五年年賦といたしましても、一年に一億五千万円を負担をすることになります。予算規模が相当膨張したといたしましても、予算規模の三〇%から四〇%ということになります。こういう負担が可能とお認めになりますか。
  10. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) いまの我孫子町の場合の例でございますが、我孫子町の財政事情を私手元に詳細な資料を持っておりませんので、確たることは申し上げられませんけれども、少なくとも年間にあの町で一億五千万円という負担ということになりますというと、やはり負担限界を越えるのではないかという感じがいたします。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 負担の根拠は建国協定によることにされておりますけれども建国協定法律的に自治体を縛ることができますか。
  12. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) 法律的には拘束することはございません。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 建設省いらっしゃっておりますか——。これは建設省に聞くべきでございますが、国鉄関係の方がいらっしゃっておるようでございますから、道路鉄道との交差協議というものが、道路法の三十一条に基づきございまして、これに基づいて建国協定というものが行なわれておるようでございますが、建国協定というものは三十一条に基づいて協定されたものと考えてよろしゅうございますか。
  14. 仁杉巌

    説明員仁杉巌君) そのようにお考えくだすってけっこうでございます。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 これは、費用負担原因者負担ということが原則でございますね。
  16. 仁杉巌

    説明員仁杉巌君) 原因を新しく生じた場合には、原因者負担ということでございます。たとえば、くだいて申し上げますと、新しく鉄道のありますところに道路をかける、あるいは道路のあるところに鉄道が新設されるという場合には、その原因者全額負担という原則でございます。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 道路法三十一条によりますと、建設大臣または道路管理者がみずからその新築もしくは改築を行なうときが負担協議をする要件のように読み取れますが、そういうふうに読み取ってよろしゅうございますか。
  18. 仁杉巌

    説明員仁杉巌君) ちょっといま御質問趣旨を、もう一度まことに申しわけございませんが。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 立体交差に伴う負担をする場合に、建設大臣が、あるいは道路管理者がみずからその新築もしくは改築を行なうときということが三十一条には書かれているわけです。こういう状態というものが前提の条件になりまして協議が行なわれ、負担が契約されるということになりますか。
  20. 仁杉巌

    説明員仁杉巌君) お説のとおりでございます。
  21. 加瀬完

    加瀬完君 建国協定の第四条の前提要件は、すると、道路側平面交差除却原因があることということにたりますね。建設省路政課長さんでもけっこうです。
  22. 国塚武平

    説明員国塚武平君) 建国協定の第四条には、「既設平面交差立体交差とし、又は道路鉄道交差しないように改築することにより既設平面交差除却する場合においては、」云々とございますので、既設平面交差除却する場合に適用される規定でございます。
  23. 加瀬完

    加瀬完君 その除却になる原因は二つありますね。道路側除却をしようという目的で工事を進める場合と、鉄道側工事をすることによつて平面交差除却される場合と、二つありますね。
  24. 国塚武平

    説明員国塚武平君) さようでございます。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 で、建国協定道路側負担しなければならない義務は、その前のほうでしょう、道路側責任によって行なった場合でしょう。
  26. 国塚武平

    説明員国塚武平君) 「既設平面交差立体交差とし、又は道路鉄道交差しないように改築することにより」ということでございますので、道路側がその必要を生じまして立体交差とする場合もございますし、それから鉄道側がその必要によりまして道路交差しないようにする場合もございますが、両方の場合につきまして、建国協定の第四条は適用があるわけでございます。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 どうもこの協定は舌足らずなんです。そういう御説明でございますと、じゃ、いかなる場合でも道路側が三分の二を負担し、国鉄側が三分の一を負担するということはおかしいじゃないですか。鉄道原因道路交差が立体化される場合も、道路側が三分の二も負担しなければならないという理屈はおかしいじゃありませんか。
  28. 国塚武平

    説明員国塚武平君) 鉄道道路との費用負担原則につきましては、まず道路鉄道側のいずれの側において計画をすると申しますか、原因がどちらにあるかということによりまして、まず道路側に必要があれば道路側原因者として費用負担する、鉄道側原因者となる場合には鉄道側費用負担するというのが原則でございますが、必ずしもその原因等が明らかでない場合がございます。そのような場合につきまして、ただいま申し上げましたような三分の一と三分の二の費用負担原則がある、こういうことでございます。
  29. 加瀬完

    加瀬完君 国鉄に伺いますがね。総武線高架工事計画者国鉄でございますね。
  30. 仁杉巌

    説明員仁杉巌君) 御承知のとおり、総武線通勤輸送が非常に混雑いたしますので、現在複線でございますが、それを複々線にする、もう二線、合計四線の線路市川付近で敷設をするということでございます。これに伴いまして、現在新しくするほうの線路平面でそのままつくるという考え方、それから千葉の県あるいは地元の各市と御相談いたしまして、それを高架にするということのただいま協議をしているわけでございます。その間におきまして、新しい新線を高架にすることになりますと、現在ございます複線部分、この部分平面に残しておくわけにいかないということになりますと、両方とも高架にしなければならない、現在の線に並行して平面で通る場合には現在線のほうには問題は起こらない、こういうかっこうになるわけであります。現在はそういう段階で立体化すべきであろうというふうなことで、地元協議をしておるということでございます。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、平面にするにしても、高架にするにしても、いずれも複々線にいたしますその工事計画者というものは、あるいは責任者というものは国鉄でございますね。
  32. 仁杉巌

    説明員仁杉巌君) お説のとおりでございます。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 路政課長に伺いますがね、建国協定前提というものは、主として道路国鉄あるいは私鉄をオーバーする場合、あるいはくぐる場合ということが前提でございますね、主として。国鉄がですよ、道路をくぐったり、またいだりする場合も含まれておりますけれども、その場合、三分の二道路側負担をしなければならないという、そういう原則ではございませんね、建国協定というものは。いかなる場合にも道路側負担しなければならないという原則ではないでしょう。
  34. 国塚武平

    説明員国塚武平君) 建国協定考え方といたしましては、鉄道道路が相互に交差をいたします場合の関係を定めたものでございまして、ただいまおっしゃいましたように、道路側計画をいたしまして、鉄道をクロスするという場合もございますが、鉄道側道路平面交差を避けるという意味交差をする場合もございます。道路側原因になった場合だけこの三分の二の原則が当てはまるという御趣旨にただいまの御質問を解するならば、さようではございませんで、鉄道側が、鉄道側計画に基づきまして鉄道を引き上げるという場合につきましても、建国協定適用があるわけでございます。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 それならば、建国協定は暫定的なものということでありましたね、あの協定をするときに。それから国鉄がはなはだしく利益を受ける場合、それから地方負担がはなはだその能力を欠く場合は変更するのだ、別途協議するのだという申し合わせもございましたね。いまの建国協定によりますと、たとえばここに四メートル五十の高架をかけると、この四メートル五十の下の道路と、それからそれに関係する上の国鉄の部面だけを負担をするわけではありませんね。四メートル五十に上がってくる八百メートルの両翼ののりまで全部これは建国協定によって地元負担ということになるわけですね。鉄道側原因があって高架という一つの大工事が行なわれる場合、その道路だけではなくて、その道路左右障壁まで全部、建国協定によりますと道路側負担するということが、これが合理的だと言われますか。当然これは地方はその負担にもたえられないし、行政的にも、建設的にも事情が違っている場合には、この建国協定協定をし直すということになっているのですから、協定をし直すべきではないですか、そんなべらぼうな話がありますか。道路左右八百メートルを負担するという負担がありますか。
  36. 国塚武平

    説明員国塚武平君) 現行建国協定は、道路法に基づきまして、道路法では道路鉄道交差いたします場合の交差の方法、交差の場合の費用負担等道路管理者日本国有鉄道とが協議をして定める、そのような原則になっておりまして、これに基づきまして、昭和三十一年に締結されたものでございます。この協定の附則には、「この協定は、新たに道路鉄道との交差に関する立法措置が行われるまでの間における暫定の協定とする。」ということが書いてございまして、その意味におきましては、いま加瀬委員仰せになったとおりだと思います。鉄道道路交差いたします場合の費用負担の詳細につきましては、別途細目協定等で定めておるわけでございまして、鉄道側道路側負担が適切でない、この協定を結びましたときには、おおむねこういう負担関係が適当であろうということで結ばれておるわけでございまして、さらに検討すべき必要があれば、協定の性質上改定してしかるべきものであろうと、かように考えております。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 いま一例を申したとおり四メーター五十の高さの高架にする場合、その道路の垂直上の線路工事負担するだけにはとどまらないわけです。四メーター五十のきまった勾配で上がってくる、その左右八百メートルくらいの積み上げ障壁費用というのは、全部これは道路側負担にたるわけです。それから駅は、御存じのように信号から信号までですね。その間に道路が二本でも三本でもありますと、駅全体の改築に伴う負担も同様に建国協定によって負担をするわけです。これは法律的には、地方はあなた方の指導を受けることはあり得ますけれども、あなた方のきめられた建国協定を守らなきゃならないという法律的義務はないわけですからけり飛ばせるんですよ。しかしそうしたら実際に地方要望している複線なり複々線というのはできないです。まことに建国協定というのは、どういう観点からおやりになったか知りませんけれども、前に内鉄協定というのがございますね。内鉄協定というものから見ると、地方負担ははるかに倍加していますね。鉄道とか、幅員十一メーター以上とか、あるいは指定道路とかというものだけがそのワクで、三メーター道路があっても、踏切道があっても、それが高架になれば、その左右何百メーターというものを負担しなきゃならないでしょう。これは検討していただかなければならないと思います。  そこで自治省に伺いますがね。地方財政法の二十二条には、各大臣は、その所掌事務のうち地方団体負担を伴う部分見積もり書について自治大臣の意見を求めなければならないと、こういう規定がございますね。自治大臣は各省が事業を施行するにあたって、地方団体過酷血負担にならないよう当然要望する必要があるわけですね。  で、ただいま申しましたとおり、総武線複々線化ということに伴う高架費用は、二十五億の予算しか持っておらない地方が二十九億という負担をしなけりゃならないということなんですよ。四億そこそこの予算のところが七億五千万の負担をしなけりゃならないということになるわけです。これは過酷な負担ということに、そのように受け取ってよろしいと思う。こういう負担がかけられるという話が、国鉄なり運輸省なりから自治省にはございましたか。あるいは自治省は、いま私が申し述べたような問題を、今後どう処理をなさるお見込みでございますか。
  38. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) この問題につきまして、建設省なり運輸省なり国鉄なりから私どものほうへ正式な話はまだ伺っておりません。市のほうから負担にたえかねるというお話を伺っておるわけであります。事実また話を伺いますというと、二十五億の財政規模市川市でございますので、負担といたしましては、これはかなりきびしいものになるということは、私ども客観的に見て言えると思うわけであります。ただこの費用負担関係につきましては、県関係、市と国鉄が別途協議をせられる予定のようであります。県なり市なりが要望しておられまする点は、たとえばこの新幹線方式といったようなやり方で地方負担を軽減してもらいたい。あるいは道路負担部分については、例の道路整備五ヵ年計画の中に入れて財源措置をしてほしい。あるいは起債その他で便宜を見てほしい。こういったようなことで要望を各方面に行なっておられるようであります。  まあ自治省といたしましては、やはり地方団体財政健全化ということは、これは常にわれわれの仕事として考えてまいらなければならないわけであります。他方におきまして、やはりこういった国鉄高架化ということに伴いまして、いまの市川の場合でございますと、市内の県道都市計画道路あるいは市道というようなものを高架化しよう、こういう御計画があるわけでございますので、その間にどのような負担関係が合理的であるとするかということにつきましては、もちろん第一次的には県、市と国鉄との間で話し合いがつけられるだろうと思うわけでありますが、実情に応じまして、私どものほうで御援助と申しますか、御協力と申しますか、国鉄さんとの間で話を、さらに県、市の話の上に立って申し上げるという用意はいたしておるつもりでございます。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 路政課長に伺いますが、この平面増設の場合は除きますよ。国鉄の出された資料は、国鉄高架化だけでも、現在要望されている工事費の概算をすると、先ほど申し上げましたとおり四千十一億、このうち建国協定による分担費というのは二千五億、二分の一ですよ。線は五十六線、五十六線で二千五億という負担地方が背負い切れますか。背負わしている原因建国協定建国協定法律的には地方を縛ることはできない。けっ飛ばされたらそれきりの話です。そんな不確かなものを地方に押しつけるというようなことをしないで、建国協定は、行政的、建設的事情が変わり、あるいは地方負担能力が不十分な場合は別に協議をするということになっているんだから、ここいらで協議をしていただかたければならない時期に遭遇していると思う。これはお認めになりますか。
  40. 国塚武平

    説明員国塚武平君) 鉄道道路との立体交差につきまして、現行協定によります場合には、たとえば先ほど御説明がありましたように、立体交差をいたします場合には、その原則では道路が三分の二、鉄道が三分の一、取りつける部分を含めましてそういう費用負担になるということでございます。国鉄側のほうから提案されております全国、立体交差に要する経費がおおむね四千億程度になるという話も私ども伺っておりますが、ただいま仰せになりました四千億の中には、必ずしも道路が二分の一、すぐ二千億というわけではございませんで、鉄道側停車場改良あるいは増線計画部分も含まれておりますので、ただいま仰せになりました数字そのもの道路側負担となるとは考えておりませんが、それにいたしましても相当程度負担になるということは私ども承知をいたしております。  実は道路鉄道費用負担につきましては、できるだけ地方公共団体負担を軽減するという趣旨の申し入れ、陳情等も受けておりますけれども、一方鉄道側との関係におきましては、鉄道が受ける受益等を頭に置きまして建国協定ができておる関係からいたしまして、にわかにこの協定を改変する、負担率を変えるということはなかなかむずかしいのではなかろうか、かように考えております。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 これは自治省側お答えをいただきたいわけでございますが、いまお聞きのとおり建国協定というものは、これは法律的には何も縛られるものではございません。一応準用されておりますので、それによりますと、原因者国鉄であっても、国鉄道路交差をしている限りは、高架のような場合その二分の一近いものをこれは当然道路側負担をしなければならないという状態になっている、これは不合理ではないかというのが一点。  で、法律政令に基づかないで、具体的に次のような負担が行なわれるということをお認めになりますか。市川市の例でございますが、高架橋に七億負担をする。駅の構内の工事費に対して十五億を負担いたします。それから付帯工事というものに三億四千万円を負担をいたします。四億か五億の負担というなら、これは考えられないことはございませんが、法律にも政令にも基づかないで、建設省国鉄協定というもののためにざっと見ても二十四、五億の負担をしなければならない。しかもそれがいま五十六線で二千億にものぼっておるわけでございますから、これは十二分に自治省において国鉄あるいは建設省、その他関係官で、地元負担でき得る限界でその問題の処理をひとつ御相談をいただきたい。  私は、いずれ日をあらためまして、いろいろ詳しい資料もございますからお尋ねをしてみたいと思います。法律的にも非常に疑義がある問題でございますので、一応本日の質問は、自治省にいまの点をお答えをいただきますとともに、ひとつ将来の研究をして善処をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
  42. 鎌田要人

    説明員鎌田要人君) お尋ねの第一点でございますが、原因者国鉄にあった場合でも、この道路工事費というものを地方負担をさせるということの可否という点につきましては、これは率直に申しまして、私、建国協定の作成の当時に立ち会った関係もございませんので、その当時の話のやりとりという点につきましては、私立ち帰りましてよく建設省の方にも伺いながらもう一ぺん考えさしていただきたいと思うわけでございますが、一般的に言えますことは、やはりその結果、道路それ自身としても価値を増してまいるという場合でありますれば、やはり地方負担することを一律にだめだということは言えないのじゃないかという感じがするわけでございます。  それから市川市の場合の総武線費用負担は、私どもが聞いております範囲では、まだ費用負担はきまっておらない、これから国鉄と県、市とで協議をされるということのように伺っております。したがいまして、先ほども申しましたように、私どもといたしましては、県、市の協議の推移を見ながら、先ほどお話になりましたような全国的に四千億、二千五億という話、実は私いま初めて伺って内心びっくりいたしておるわけでございますけれども、そういった関係もございますので、今後地方負担にたえ得るような形でこの問題を解決してまいりたいものだという考え方から、御要望のとおり検討させていただきたいと思う次第でございます。
  43. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本件に関する本日の調査は、この程度にいたします。
  44. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 消防に関する件を議題といたします。  御質疑の方の発言の前に、佐久間消防庁長官の報告のための発言を許します。佐久間消防庁長官
  45. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 去る七月二十一日、当委員会におきまして松本委員から御質問がございました火災時における避難の問題につきまして、その後当庁におきまして検討をいたしてまいりましたが、このほど一応の成案を得ましたので、この機会に御報告申し上げ、なお御意見がございますれば伺わしていただきたいと存じます。  消防法施行令の一部改正になりますが、改正の内容として考えておりますのは、第一点は、病院、養護施設、旅館、寄宿舎、共同住宅等の用途に供する部分が二階以上の階にありまして、かつ、それらの下階に映画館、キャバレー、遊技場、倉庫等の用途に供する部分のありまする防火対象物につきましては、最近の事例を見ますというと、特に火災時における人命の危険性が高くなっておりまする実情にかんがみまして、基準を強化をいたしたい。病院等につきましては、現行政令によりますると、二階以上の階で収容人員が三十人以上のものが避難器具を設置する義務を負うものとされておりますが、いま申しましたような場合におきましては、収容人員が十人以上のものから設置義務を課してはどうかということでございます。  さらに旅館、寄宿舎等につきましては、現在二階以上の階の収容人員が五十人以上のものが避難器具の設置義務を課せられておりまするが、これも実情にかんがみまして、五十人を三十人に引き下げるということにいたしたいと考えております。  なお、最近、神社、寺院等におきまして多数の人員を宿泊せしめているような場合がございまするので、そういうものにつきましても新たに避難器具の設置義務者に加えたらどうかということでございます。  次に第四点でございますが、現行の法令によりますると、同一の階に二つ以上の防火対象物の用途に供される部分がございます場合には、各用途ごとに収容人員を算定をし、用途ごとに設置義務を課し、また用途ごとに避難器具の個数を定めておりますが、これを当該階の収容人員の合計によって行なうということに改めたいと考えております。  次に、第五点といたしまして、現在避難器具の設置個数でございますが、一律に収容人員が三百人以下の場合は一個、三百人をこえる場合には一個を増すというふうに規定されておりまするけれども、これを実情に即しますように、たとえば病院、診療所等におきましては六十人ごとに一個を加える、それから旅館、寄宿舎等におきましては六十人ごとに一個を加えるというふうに、もう少し実情に即して区分を改めたらどうだろうかと思っておるわけでございます。  大体以上申し上げましたような内容で政令の改正をいたしたいと存じております。なお、さらに慎重を期しますために、近く全国消防庁の会の役員会もございまするので、そこでこの案について実際の関係者の意見も参考に徴したい。それから本月末か来月早々消防審議会を開くことにいたしておりまするので、消防審議会に御報告をして、格別の御意見があれば、伺った上で来月中ごろに政令として公布をいたすという段取りに考えておる次第であります。  御報告申し上げます。
  46. 松本賢一

    ○松本賢一君 いま報告を聞きまして、相当前進するように考えておられることを感ずるわけですが、中で、いま病院等を三十人から十人、寄宿舎等を五十人から三十人というふうにレベル・アップをされるということ、それは一応納得がいくわけですが、一方、これは建築基準法の問題になると思うのですが、有効面積三十坪以上のものについては階段を二つつくるといったような規定があったと思う。その質問もこの前やったと思うのですが、こういう点についてやっぱりもう少しレベル・アップを考えなければならぬのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  47. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 御指摘の点は、私どももそのとおりと考えております。で、前回にも申し上げたかと存じますが、金井ビルの火災がございました後に、その実情にかんがみまして、建設省のほうに建築基準法関係の改正を必要とする事項につきましては、私どものほうから要望を申し入れをいたしたのでございます。その中にただいま先生のおっしゃいました、面積の制限をはずして、規模のいかんを問わず二以上の直通階段を設けるように建築基準法施行令の百二十一条の改正を検討してほしいということを申したのでございます。  そのほか、今回の避難器具の問題を検討をいたしました際にも、やはり消防法施行令の改正と並行いたしまして建築幕準法施行令の改正をいたしませんと、何と申しますか、片手落ちの感のすることもございまするので、それらの点につきましてはあらためて建設省のほうに改正方検討を申し入れております。建設省当局のほうも、それらの点につきましては誠意を持って検討をされておる状況でございまするので、私どももできれば、私ども関係政令改正となるべく歩調を合わせて、早急に建設省関係のほうも措置がとられますように、今後ともひとつ連絡をとり、努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  48. 松本賢一

    ○松本賢一君 それでは、一応とにかくそういうつもりでかかっておられるわけですから、なお私としては、さっき申し上げた人数の点等ももう少しレベル・アップをする。これなんかも人数の基準等を、やっぱり病院だ寄宿舎だというものについては、人数が多いとか少ないとかいうことじゃなく、一応そういうものには必ず備えつけるという原則を打ち立てていただきたいということが一つと、それからいまこの点はあなたもおっしゃったように、建築基準法の面からいって、そういった旅館とかアパートとかいうようなものについては必ず階段を二つつけるという、そういう原則をやっぱり打ち立てていくべきじゃないかと思うのです。そういう点、ひとつもっと御研究をいただきたい。そして、その結果をもう少し待ってみたいと思うわけです。  それからもう一つは、この前の水上ですか、あそこのたくさんの人が死んだことに関連したことなんですが、あのときに避難階段がせっかくあるのに、ドアがあかなくてたくさん人が死んだということがあったわけですが、この点についてある専門家といいますか、その方面の人と一ぺん話をしたことがあるんですがね。旅館がですね、火事のときはあけておいたほうがいいにきまっているけれども、その他のときには締まっていないと困る場合がある。つまり、内部で犯罪が行なわれて、外へ犯人がすぐ抜け出せるようなことじゃ困るというようなことで、なかなか旅館がかぎをあけておかないと、夜中に。そういうことを消防の方が一応警告をして、したときには、はい、よろしゅうございますと言っても、なかなか旅館自体はかぎをあけておかないというようなことが、そういうむずかしい面があるそうです。  そこで、こういうことを考えたらどうかと思うんです。これは構造上の問題になると思うんですが、必ずだれにでもあけられるようにしておいてですね、しかも、あけたらすぐベルが鳴るとか何とかというような装置をしておいて、そうしてそこに掲示をしておいて、お客さまにこれはすぐにあきますけれども、おあけになるとベルが鳴りますからそのおつもりでという警告を、まあ張り紙をしておいて、そうしてかけ金は外からあかないような簡単なかけ金をして、そのかけ金は子供でも、何でも人間であれば必ずあけられる、常識的にあけられるという、特殊な装置でないものにして、そうしてやっておけば、しかも、ドアをあければ番人のところヘベルが鳴るとかといったような装置を別につけておけば、これは解決できる問題だろうと思う。私なんかでもあれを宿屋に泊まって避難階段のところをあけようと思うと、あかないんですよ。これは火事にあったことはないけれども、現実に私自身が火事に出会ったことはないけれども、ときどきこうためして見てるんですが、あかない場合が多いんですよ、かぎがかかっていてね。そういうことがありますですよ。そういうことはやっぱりこれは強制しなきゃやらないと思うんですよ、ですからそういう装置を、もし盗難のおそれだとか何だとか、いろんなことがあるとすれば、内側からあければベルが鳴ると、外側からはあかないというようなものを、もうこれはできるわけなんですから、むずかしいことでなく、単純な装置でもってそれができるようなことを考えてやるべきじゃないかと思うんですがね。  そういう点ひとつ、これは質問にすれば必ず考えましょうとおっしゃるにきまっているから、もう答弁は要りませんけれども、ぜひそういうことを考えていただきたい。それで、きょうはこれで質問は打ち切りますから。
  49. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本件に関する本日の調査は、この程度にいたします。     —————————————
  50. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ではILO八十七号条約に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。占部君。
  51. 占部秀男

    ○占部秀男君 この前の委員会でも、前国会でもILOの八十七号条約の批准に伴うところの六月十四日の政令の問題については、いろいろと質問をしたところですが、その際に、政府の行政指導のいかんによっては地方の都道府県、市町村で相当問題が起こるだろうと、こういう点について、私は二、三警告的に指摘をしておいたことがあるわけでありますが、相当問題点が全国的に起こっておるようであります。つまり、条例化の問題をめぐってです。そこでこうした問題についてはあとで、次の委員会あたりに総体的に質問をしたいと思うんですが、きょうは時間の関係もありますから、簡潔に、最近自治体がILO条約に基づく法律改正による各登録、あるいは給与を受けながらやる労働組合運動のできる条例、こういうようないろいろな条例化の問題で相当干渉がましいことがあるように考えられますので、その点ひとつ具体的に一、二お伺いをしたいと思うのであります。  その前に行政局長にお伺いしておきたいことは、この政令の発効といいますか、政令を出したときに政令の扱い方について、六月二十一日に行政局長名で各地方団体に、地方公務員法の一部を改正する法律の施行についての、まあいわば内翰といいますか、通達を出しておるわけです。その中に登録についてはどうする、あるいは職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例案についてはどうするとか、こういう点についてはこまかい行政指導が行なわれておるわけでありますが、その一つに、職員団体のための職員の行為の制限については、当時その行政指導の中で、「改正法においては、職員は、条例で定める場合を除き、給与を受けながら職員団体のため、その業務を行ない、または活動してはならないものとされたが、この特例を定める条例については、別紙を参照されてこの条例をつくるようにしてもらいたい。」、こういうことがあるわけでありまして、そして、その別紙にはこの条例案というものが、一応自治省の考えの条例案というものが出されておる。その内容は言うまでもなく、適法な交渉を行なう場合や、そして休日あるいは有給休暇、あるいは休職の期間、こういう場合以外には給与を出してはならない、こういうようなまあ条例案をあなたのほうで出したわけです。しかし、これはあくまで行政指導であって、これをこのままぴったり書かないから違法であるというふうには私は考えられないと思うのですが、まずその点を局長にお伺いをいたしたいと思います。
  52. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) お話のありました六月二十一日に施行通達を出しておりますことは、お話のとおりでございます。改正公務員法施行に伴います問題といたしまして、特に管理職の範囲を定める規則あるいは職員団体の登録に関する条例、それから職員団体のための職員の行為の制限に関する問題、特にその一番最後の問題につきましては、条例の定める場合を除きましては、団体の業務につくことにつきまして有給ということが認められないということでございます。  それで、まあそのときに、別紙というか、条例案というようなものを示しておることもお話のとおりでございますが、これはやはり、事柄の性質上、改正公務員法の施行に伴いますところの条例で定め得る場合というものはどういうものが考え得るかということにつきましての一つの解釈を含めました基準と申しますか、そういうものをお示しをしておるわけでございまして、自治省として考えました場合には、この範囲であれば、これは条例で定めるということも、公務員法の趣旨に照らして可能ではないだろうかというところをお示しをしておるということでございます。
  53. 占部秀男

    ○占部秀男君 結局自治省としてのいわば解釈を明らかにして行政指導をした。こういうことに私はなるのじゃないかと思うのですが、最近この問題であちらこちら問題が起こっておるのですけれども、具体的には秋田の市で、いま言われたこの組合活動の特例に関する条例を議会で、市議会で可決をしたわけです。それで、その内容は、私がさっき言った自治省の準則というか、条例案のこの二つの適法な交渉の場合、そうして、もう一つは休日、休暇あるいは専従期間というか、休職の場合、こういう場合のほかに、福利厚生の業務に従事する場合で、市長が必要と認めたもの、この場合には許そうではないか、こういうような条項を付した条例を、これは市議会で可決をしたわけです。それでもちろん条例できめた以外のことはこれはもうもちろん違法になるわけですけれども、少なくとも条例で、いま言った準則に付け加えた形の条例をきめたということ自体は、これは法律的にはもちろん違法であるとは考えないし、また有効であると私は考えるのですが、その点は行政局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  54. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 私どもがいまお話のごさいました秋田市の場合につきまして聞いておりますことは、秋田市におきまして、お話の条例案を議会に提案をいたしました場合は、適法な交渉を行なう場合のほかに、職員団体が行なう福利厚生活動等を行なう場合というような案文があったように聞いておるのです。これに対しまして、福利厚生活動等という等というのは類似のものをさす場合もありますけれども法律的には必ずしも類似の場合をさす場合ばかりでもないというようなこともあったかと思いますが、そこでいろいろ議論がありました。そうして、その結果、等という字は削除するというようなことで、実質的には修正して可決ということ、そういうことが行なわれたようでございます。  そこで問題が非常に簡単になってきたわけでございますが、この職員団体の行ないますところの福利厚生活動というもの自身をどう考えるかというような問題にもなるということにも相なるわけでございます。しかし、元来から申しますと、勤務時間中でございますので、勤務時間中に職員団体が行ないますところの福利厚生活動を認めるということが一般に考えられるかどうか、それが適当であるというふうに一般的に申せるかどうかということについては、これはやはり検討を要する問題があるということに相なるわけでございまして、その点では従来からそういうことは一般的に適当でないということを申しておりますところでございますし、またそういう指導をいたしておるのでございます。   それで、この点に関しまして児のほうでもいろいろ照会連絡があったようでございます。自治省といたしましては、そういう意味で適当でないということの見解を県に連絡をいたしたというような状況でございます。
  55. 占部秀男

    ○占部秀男君 この福利厚生活動の内容の面については、これはまたあとでお聞きしたいと思うんですが、いずれにしても、準則をそのまま、自治省の示された案のそのままではありませんけれども、少なくとも福利厚生の業務に従事する場合という、非常に限定された形で、しかも市長が必要があると認めた場合と、こういう条件をつけて条例案を可決したわけでおりますが、いずれにしても、この条例案は法律的には私は有効である、かように思うんですが、その点はいかがですか。内容の面についてはあとでまたお伺いいたします。
  56. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) これはひとつの、ものの考え方と申しますか、私どもがいままで伺っておりますところでは、職員団体の活動というものと地方公共団体との関係、及び公務員としての勤務時間中におけるところの執務の業務に専念する義務がある、そういう姿勢といいますか、基本の考え方原則の問題、こういうものとの間におけるところの考え方そのものの問題でもあろうかと思うのでありますけれども、要するに、そういう意味では組合の職員団体の活動というものが地方公共団体の業務の中にあるということは言えないわけであります。これはやはり外にあるというふうに考えられるわけでございます。   そこでお話がございましたように、それはそうなんだけれども、当局におきまして、その活動の内容と申しますか、ある場合におけるところの活動については、これはやはり地方団体の業務と決して無関係ではない。ある場合にはむしろ業務の一つをあらわすような実質を備えておるというような考え方がとれる場合があるのじゃないかというようなことが一つ問題として出てきているのじゃないだろうかということでございます。で、そういう場合を考えますと、私ども全くそういう場合がないともそれは言い切れないというふうにも思います。しかしながら、事柄のあり方というものから考えますというと、そういう方法をとらなければ両者の関係を結びつけるということは、それはできるとかできないとかいう議論ではなくて、それはもし、地方団体の業務として考える場合に、地方団体の業務として、業務自身身、地方団体責任において行なうということが行なわれてちっとも差しつかえないものがたくさんあるわけでございます。したがいまして、そういうけじめというものを考えます場合には、やはり職員団体の業務を勤務時間中に行なうという場合をたてまえとしては、そういう混同するようなかっこうでのたてまえというのはとるのは適当ではなくて、やはり両者は切り離して考えるべきだというふうに相なるだろうと思うのでありますが、お示しのような場合に、全くそれじゃそういうことを考えたら違法であるかということに相なりますというと、それは必ずしも違法だとは申し切れないということははっきりしております。しかし、適当かどうかということになれば、元来からのたてまえなり原則なりというものに即して考えて、なるべくそうしていくということが適当ではないだろうかというふうに考えておるのであります。
  57. 占部秀男

    ○占部秀男君 違法でないということは明らかである、適当であるかどうかということには問題があるというんですが、その適当であるかどうかということには問題があるということは、結局福利厚生活動がどんな内容を持っておるかということに関連をしてくると私は思うんです。そこでこの問題に入る前に私は、いま適当ではないが違法ではないと局長が言われた問題で、実は自治省の公務員課の鹿児島課長補佐という方が十月五日付の秋田魁新聞に談話をこの問題で発表しておるわけですね。その談話の内容は、いま局長が言われたような考え方をはるかにこえた、まあ私から言わせれば、これはもう自治省としてこんな談話を発表すべきではないような談話を発表しておるわけです。  そこで私はその問題に関連をして、もう少し明確にしておきたいと思うんですが、それは、この談話は短いから、ちょっと読みますけれども、この問題については、「自治省としては違法ではないにしても著しく改正法の条例に反すると考えており、秋田市当局、県にもその旨を伝えた福利厚生活動とは組合の文化祭や運動会のことをさすと解されるが、この条例の趣旨からみて秋田市の場合は市長が認めさえすれば勤務時間中にこれらの催しをしてもよいということになろう。またこれらの催しを土曜日や市が定める祭日などに行なうにしても私的な運動である組合の活動に市民が納めた税金を使うことは妥当とは考えられない。この問題は法律論ではなくあくまでも常識的な市民としての立ち場から考えるべきだ。」ということで、監査請求しろとか、納税者訴訟を起こしたらどうか、あるいは市会で条例を改正させる方法が考えられるとか、いろいろこうした点を、何か市民にサジェスチョンを與えるようなことを言って、談話を発表しておるわけですがね。  そこで私はいま秋田市当局や県に、この「違法ではないにしても」云々という、いわゆる局長が妥当でないと言われたものを伝えたというんですが、一体どういう伝え方をしたのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  58. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 秋川市におきまして条例案が市会で審議される、そういう状況であるということの連絡を、県の地方裸から照会がございました。自治省の意見を求められたのでありまして、それに対しまして、いま私が申し上げたような趣旨で連絡をした、こういうことでございます。
  59. 占部秀男

    ○占部秀男君 この条例が可決された、条例が発動した後に、その条例のあとで添えられた、いわゆる自治省の準則以外の条項が、妥当であるか、妥当でないかということは、具体的に問題が起こらなければわからぬ問題だと私は思うわけです。つまり課長補佐の人が、福利厚生活動という問題について、市民が納めた税金のむだ使いを許すようになるから不当だというような内容の談話を発表したということは、これはもう非常に問題じゃないかと私は思う。というのは、いま地方公務員はいわゆる地方公務員法における組合をつくっておるわけですが、しかしそれはILOの八十七号条約の批准の趣旨からいって、一般労働関係における問題であるということは、これはもう明らかにたっておるわけです。御存じのように、労働組合法では、第二条で、こういう場合には労働組合とはいえないという規定をしておるわけですが、その中に福利厚生活動について使用者側の支援あるいは救済とか、あるいはいろいろな形の支援、これを受けることは、これはもう労働組合として別に差しつかえないんだという点を明確にしておるわけです。それと、この福利厚生活動というのは、今日近代的な労務管理の上においては当然のことになっておるわけです。事実各府県や市町村を見でも、職員の組合だけでこの運動会をしたり、あるいは職員の組合だけで、何というんですか、課長補佐が言うように、文化祭をしたりするような場合はほとんどないのであって、全部はこの県、市町村、それと地方共済あるいは市町村共済、それと労働組合、これが共催で行なわれておるのがほとんど、福利厚生面における大衆的なといいますか、組合員が相当大多数に参加して行なわれる姿なんです。この組合員が参加しない福利厚生活動、いわゆる現実に参加しないような福利厚生活動の面については、たとえば病気のとぎに金を追加給付的によけい出すとか、あるいは死んだときの見舞にみんなで行くとか、そういうようなほんとうの少数の人の福利厚生についての活動面では、少数の役員その他の者の活動になっておるわけです。  したがって、こういうような福利厚生活動というのは、これはもう民間産業の場合でもそうでありますが、官庁の、あるいは地方団体の場合でも労務管理の一つとして従来からこのことが結局労務管理をスムーズにさせる一つの方法としてとられておるわけですね。こういうような福利厚生面というものを機械的に、何か妥当でない、こういうような、言い方をすること自体が私はおかしいんじゃないか。最後に今度のILO八十七号条約でも批准をする場合に、あの条約の明文にも明らかなように、この条約を批准した後において従来の既得権、あるいは従来の実績等については、これを下げてはならないということを条約で批准しておるわけです。いまの福利厚生活動が従来府県や市町村の内部で行なわれていなかったならば、これは私はまた問題が別であると思うのですが、従来ともそういう形で幾分か金をもらうとか、あるいは時間的にもそういう点についての共催的な関係でやるとか、こういうようにやられておる問題まで、しかもそれが市長なら市長、知事なら知事が自分の責任においてやらしておる問題にまで一々機械的に、これがいいとか悪いとかいうことは、これは非常に問題があると思う。特にILO八十七号条約批准の結果法律が改正され、その法律改正に基づいてこの間の六月十四日の政令が出されておる。そのことはILO八十七号条約の批准なんです。その批准の中に、既得権や従来の実績については下げてはならないということで国会として批准しておきながら、そういうような点にまで、こまかく機械的にやるということは、これはぼくは自治省としてとるべき態度ではないと私は考えるのですが、その点はいかがですか。
  60. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) お話のように、福利厚生活動そのものが人事管理上も非常に重要な役割りを果たすというような点については、私どもも全くそのとおりに考えるのでありますが、特に職員団体の業務、しかもそれを勤務時間中に有給で行なうかどうか、行なうことを認める場合の中に加えることがいいかどうかというような点になりますというと、これは確かにお話のとおり、具体の運用の結果を待たなければ、はっきりしない面があるではないか。もちろん私どもその御趣旨はよくわかります。ただし、元来のたてまえが先ほど申し上げますとおり、両者を一応切り離しで、考えて、そうしてそういう意味ですっきりした形をとっていこうという考え方一つあると思うのです。ところが、これはざっくばらんに申し上げまして、多少ことばが過ぎるかもしれませんが、何とかしてこれを結びつけて、わけのわからぬものになるべく持っていこうというような、それは従来のよき慣例であるからというようなことになるのかもしれませんが、しかし、まあ、何かそういう、市長、おまえがいいと言いさえすればすべていいんだぞと、こういう形に持っていく、あるいは福利厚生活動といえども、範囲が実はある意味では狭いようで実はまたきわめて広いものであります。したがいまして、そういう意味で、これも福利厚生活動、あれも福利厚生活動、こういうことになっていくという一つの傾向というものが、将来はそんなこと言ったってわからぬじゃないかという御趣旨もございましょうが、従来ややもすればあったこともこれは考えられることでございます。  したがいまして、なるほど、この条文のたてまえだけをまともに受け取ります場合には、私どもさいぜんから申し上げますとおり、決して直ちにそれを持っていこうというわけにいかぬだろうと思います。ただいま申し上げますとおり、運用いかんによってはそういう問題が必ず起きてくることもございますので、やはり法律のたてまえから申しますと、非常に限定的に両者の関係を分けて、分別して考えていくというたてまえをとっておりますところから見ますというと、非常にそういう運用が行なわれるようなおそれのあるようなやり方そのものが、いいかどうかということになりますというと、これはどうも適当であるということはなかなか言いかねるということにも相なるわけでございます。また、お話ございましたが、私どもも当局と共催と申しますか、そういうふうな形で行なわれるというような福利厚生活動が相当あることもよくわかります。現に私どもも府県におりましたころにそういうことを行なったこともございます。そういう意味で、そういう場合については私どもとしてはこの条例によってどうこうするということよりは、むしろやはり職務専念義務に対する免除といいますか、そういうような形で、共催の場合には十分に目的が達せられるという道もあるわけであって、そう解すべきものではないかというふうにも考えておりますので、そういう趣旨から申しますというと、やはり広い運用が行なわれて、労使の関係が非常にそこで分明でなくなるようなそういうおそれ——と申しては語弊があるかもしれないが、そういうきらいのありますような条例制定のしかたというものが適当であるというふうには、私どもは言いかねるわけでございます。やはりそういうことは、全体の制度のたてまえから、言いまして、適当でないというふうに言わざるを得ないというように考えている次第でございます。
  61. 占部秀男

    ○占部秀男君 この適当であるかどうかということになると、これは一つの価値基準といいますか、これはやはり使う者と使われる者との立場ですから、したがって違法であるかないかという二とになれば、これは明らかですけれども、妥当であるかないかとか、あるいはこれがまあいいとか悪いかというような程度の問題ですと立場が違う。この両方考え方ですから、したがって、いろいろ問題はあると思うのですけれども、少なくとも具体的に、それじゃこの条例に従ってどういうような福利厚生の業務が行なわれるのかという内容をまず見てからでなければ、妥当であるかどうかということは、私は言えないと思うのですよ、それを何か前に網を打った形で自治省がそういう点について言う。しかも新聞発表を堂々とするなんということは、これは一つの労働組合に対して不当な干渉をする、それこそ一つじゃないかと思うのですけれども、これはいま局長が違法ではないかということを明らかにしたので、これ以上は申し上げませんが、その中でわれわれがこの談話なんかを見て非常に不愉快といいますか、問題と思うのは、この中で福利厚生活動については、いま局長の言われたようなことばが、いろいろ具体的内容があるから、私もある程度は了解し得るところがあるのですが、この課長補佐の新聞発表によると、この組合の文化祭や運動会のことなど、これらの催しを土曜日や祭日等に行うとしても、私的な運動である組合の活動で、市民の納めた税金を使うということは妥当でないと考えられる、こういうことを言っているのですね。一体、土曜日や祭日まで、何も幾ら地方公務員だからといって制約される必要がないのであって、そういうことを言うということは、これはいまの公務員の生活というものを、昔の封建的な一方的に任命されるという形の、しかも民主的な形でない背の公務員と私は取り違えておるのじゃないかと、こういうように思うのですが、土曜日の終わった後、あるいは祭日、日曜なんていうものは、これは公務員であろうが何であろうが個人であって、それらがどういうふうな文化祭をしようと、あるいは運動会をしようと、これは差しつかえないことだと私は思うのですが、こういうふうな言い方をするということは、これはけしからぬと私は思うのです。こういうことは取り消すべきであるというふうに私は考えるのですが、局長のお考えはいかがですか。
  62. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 具体のこの問題につきまして、御指摘がありまして、おしかりをいただいているわけでありますが、まあ私どもがいろいろ関係者について聞きただしましたところでは、まあ筆をすべらせますほうと、しゃべるほうとではだいぶ違っているようでありますが、記事は多少センセーショナルにすることは、そういう傾向もあるようでありまして、多少表現としてあらわれたものは行き過ぎがあることが多いわけであります。もちろん御指摘のような土曜日の午後でありますとか、日曜日とかに職員団体としていろいろな行事を行なわれるということはちっとも差しつかえないのでございます。この点について、何人がとやかく言う筋合いのものではないことは、これは先生が御指摘になるまでもないことで、私どもとやかくそういうことを申し上げるわけではない。   先ほどから申し上げましたとおり、たてまえは地方団体の勤務時間、地方団体の職員として当然勤務すべき時間中の問題をどのようにして考える一のが妥当であるかということが問題になるわけで、それ以外のことを申そうとしているわけではないのであります。   私どもより組合法については先生のほうが大先輩でございますが、組合法におきましても、さいぜんの福利厚生とか、そういう問題についての援助のしかたというのがありますけれども、これはどうも見よう聞きよう、解釈の取りようということになりますが、これは基金とか、そういうものに対して、援助するということを、どうも少し限定的に書いているようである。多少いろいろあるかと思いますが、だからその点でもやはり両者がそれそれ別個のものとしての業務を営むということをたてまえを貰いているのは、組合法でもむしろ多少きびしく貰いているのじゃないだろうかと考えております。しかし、さいぜんから申し上げますとおり、当局と共催であるというようなことにつきましては、私ども当然、地方団体の業務としても関係をしている共同主催でございますから、そういうようなものまでが、しかもまたそういうものについても土曜日の午後、日曜でもおかしいということを言う筋のものでは一つもございません。また職員団体自体の行為として行ないます場合には、土曜日の午後とか日曜、祭日までいいとか悪いとかいうことは問題外でございます。新聞にそういうふうな趣旨にあらわれているということでございますというと、これはどっちがどうということをいまさら申し上げることもあれかと思いますけれども、これは非常に間違いと申しますか、誤解を生ずると思いますので、訂正さしていただきたい。
  63. 占部秀男

    ○占部秀男君 いまの局長のお話の中の共催の場合に、あるいは職務専念から解放される問題等も一あるからというのですが、これはこまかくきょう言いませんけれども、それだけではどうしてもこの行事の場合でも、組合の行事として何かこうなじまない問題点が具体的にあるのですよ。それでこういうような条例になったのだと思うのですが、時間の関係もあるから、私はその点申し上げません。  機会を見て一ぺんやりたいと思いますが、最後に、同じ談話の中で、この問題は法律論ではなく、あくまで常識的な問題で、市民の間から批判が生まれるのは当然だと思う。自治省としては県や市に助言することしかできないから、今後は世論の高まりによってやってもらいたい。そのためには監査委員に適当な措置を講じてもらうとか、納税者訴訟を起こすとか、市会で条例改正をさせるとか、いろいろな方法があるとか、あたかも自治省が平地に波乱を巻き起こすような、市民を挑発しておるような、こういうようなことを言っておる。これはあとで私は、きちっと調べてもらいたいと思うのですけれども、言ってないならけっこうですが、言っておるならば、こういうようなことは、これはもう公務員——自治省の役人は公務員ですね。公務員がこういうことを、しかもあなた、平地に波乱を起こすようなことを言うべきではないですよ。…問題によっていろいろと条件があると思うのですけれども、特にこういう問題のときにこういうような言い方をすると、これこそ私は常識をはずれているというふうに考えざるを得ないので、いまの談話の点はひとつ正確にこれを調査して、次の委員会でこれをひとつ明らかにしていただきたい。かように思うのです。私のこの問題の質問は、きょうはそれじゃここで終わります。
  64. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連。私もいつかこの問題について自治省のほうの見解をお聞きしたいと思っておったのですが、いま占部さんからいろいろお尋ねがありまして、大体結論めいたものがでたと思いますね。秋田市の条例についての自治省の見解、違法ではないが、はなはだしく好ましくないとか、適当でないということがしばしば言われておったのですね。しかもそのあとに、いま占部さんが指摘して、あとではっきりさしてもらいたいと言った公務員課の課長補佐の鹿児島さんですか、この方の談話みたいなものが新聞に載っておるのですが、ちょっと行き過ぎだと思う。私もそういうふうに見た一人なんですけれども、確かに運用の面で、局長長が言われるように運用の面で気をつけなければいけない点がこれはあると思う。しかし、それをもって直ちに著しく不適当だとか、著しく何といいますか、好ましくないというふうな見解、しかも、それを条例をやめさせるというような市民運動でも起こしたらいいじゃないかという、それほどのこと。でもあるのか、これはひとつもう一度お考えを聞きたいと思います。
  65. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 先ほどから申し上げておりますように、職員団体の業務に勤務時間中に従事して、そうしてそれを有給で従事し得るというようなことは、たてまえとしてはきわめて例外的な一つの事例として、法律も予想しないというのではございません、予想しておるところでございます。そこでそういう例外的な、きわめて例外的な措置というものについての、条例で制定し得る範囲というものは、立法論から言いましても、これはもう疑いのないような具体的的なケースというもので規定をするというのがこれはたてまえだろうと思うのでございます。ただ、それがお話のとおり、なかなかやりにくいという面もあるかもしれませんが、そういう意味ではきわめて限定された具体のケースというもので規定をすべきものであるし、また、そういう限定的な具体のケースとしてはどういうことが考えられるかということになりますというと、どうしても必要だというような場合を考えれば、通達でお示ししたような条例案のようなケースだろうと思うのでございます。  で、現行、厚生活動等につきましては、先ほどもお話しいたしましたが、ある面、たとえば地方団体と共催というようなことになれば、これはまた別の措置いうものを考えられないわけではないのでありますから、基本的には、やはりそういう意味で、非常に広い範囲での条例制定というものは、確かに運用の問題でもありますけれども、そういうある意味で明確でない規定のしかたそのものについても、そういう意味で必ずしも適当であるとは言いにくいのであります。さらに、たてまえといたしまして、先ほど申し上げますように、地方公共団体というものと職員団体というものとは、はっきりと区別してものを考えていくべきだということであります場合には、一そうそのことが言えるかと思うのであります。そういう意味で、市長が適当と認めるような職員団体の福利厚生活動というものも、すべての場合がいけないと申すことは、これは私どもとしてもできないと思いますが、しかしながら、当局が適当と認める場合というものは、すべての場合によろしいということは、これまた少しそういう意味で幅が広くなり過ぎるというふうにも考えられるわけでございまして、そういう意味で、やはり違法ではないかもしれないけれども、そういう規定そのものは非常に適当な規定のしかたとは思えないということになると思うのであります。  それとあわせまして、いまの秋田市の関係につきましての自治省関係者の談話というものが、それほど、その程度のことに対して非常に大きな——大きなと申しますか、非常に強い是正の意向を、表現としては行き過ぎた表現をとっておるのはおかしいじゃないかというような御趣旨のように伺いますが、これは、取材をしましたり、表現をしましたり、いろいろな場合のとり方によりましてずいぶん違ったものもあらわれるのでありまして、お話がございましたとおり、なお十分調査をいたしまして、その結果については御報告を申し上げますけれども、まあ私どもといたしましては、やはりそういう問題のけじめを明らかにすることは、やはり改正公務員法施行の際の一つの出発でもあるし、慎重に扱って考えてもらいたいということを申す気持ちがあらわれ過ぎたと申しますか、そういう点もあるかと思います。実質は一いろいろな行き過ぎた感じになっておるということがあるようでございますが、趣旨は私がいま申し上げているようなところで考えております。行政指導といいましても、これは技術的な助言とか指導とかいうような範囲にとどめるべきじゃないか、いまのような問題は、非常に、ある意味で、何と申しますか、一つの干渉がましいかっこうではないかというようなこともうかがわれるように思いますけれども、私どもとしては、この技術的な助言なり援助なりという範囲にとどめて従来から連絡をし、意見を表明しているつもりでございます。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ課長補佐が語ったというその新聞記事のことは、これはあとでもう少し、はたしてそういうふうにおっしゃったのかどうか、記事の書き方もあると思いますから、私すぐそれをどうのこうのというのではございません。ただ、自治省の立場として、準則に示した二つの項目ですね、交渉の場合と休日とかなにかの場合の、これ以外は一切だめだと、こういうのが強く私働いているんじゃないかと思うんですがね。福利厚生の問題等、組合の、職員団体が行なうところのそういうものは一切だめなんだということが根底にあるんじゃないかと思うんですがね。この点はどうなんです。いかなるものもだめなんだと、こういうことなんですか。
  67. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 先ほど来申し上げましたとおり、法律的に不可能か可能かというようなぎりぎりの御議論になりますというと、私ども本質的にだめだというふうには考えておりません。ただし、何もそこの条例に規定をしなくとも、扱う方法というものはほかにも手段方法はあるわけなんであります。その条例はそういう意味で非常に限定的にものを考える場合の条例として考えておるのだから、そこへ無理やりにもぐり込ませることがいいとは思えない。無理やりというのは少しことばが過ぎるかもしれませんが、どうもそういうところがひとつ、私どもがそういう条例をつくるということについて適当でないと申し上げておる理由でございます。
  68. 鈴木壽

    鈴木壽君 局長、考え方によってはいまの条例の中に含めたいで、それこそ適当な取り扱いでやれるのだ、こういう考え方であるようでありますが、それも確かにそうでしょう。しかし考え方によっては、そういうあいまいな形にしておくよりも、はっきりこういう機会に限定されたものとしての取り扱いをここでしておくということも、これはあってもいいのじゃないかと思います。むしろそのほうがはっきりするのじゃないかと思うのですが、何が何やらわからない形で、職員団体なり当局との間に、共催だか、あるいはどうだかわからぬけれどもというよりは、はっきり市長が認める場合という、何もかも認めるわけではないでしょうけれども、何もかにも認めろというような要求を出すわけでもないだろうから、はっきり福利厚生の——職員団体も福利厚生のそういう本質的な立場に立って何が必要であるのか、そういう判断のもとに市長がこれは許すものだと思うから、そういう場合のやつは私ははっきりしておいたほうが、ある意味においては私はいいのじゃないだろうかと思う。  心配されるのは、やはり運用の点でいろいろこれは問題があると思いますから、そこはあなた方の立場から言っても、運用については十分注意しなければならぬとかいうようなことをおっしやるのは、これはいいと思いますけれども、初めからこれはだめなんだ、違法ではないけれども適当ではない。それほど違法ではないものを、適当でないとか、けしからぬとか、そういう条例なんか廃止するような市民運動を起こすというようことを、もしかりに言ったとしたら、これはまた少しおかしいのじゃないかと思うのですがね。それは私は、場合によっては市長が認める、これは何もかも福利厚生を全部やれというのじゃない。市長が認めた場合ですから、これはやっぱり市長としての良識といいますか、そういうことを信頼しながら、また組合なり職員団体のそういうものを信頼しながら、それこそのりを越えない中でやらしていいものではないだろうか、そういう意味での条例というふうに考えるべきではないかと思うのですがね、いかがですか。
  69. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) もちろんお話のございますように、市長が適当と認めた場合ということで、すべての福利厚生活動じゃない、これはもうお話のとおりであります。しかし、福利厚生活動については、もう一つ、先ほども申し上げました職務専念義務の免除という場合もあるわけです。これも市長が適当と認める場合でございますが、当局が適当と認めた場合に職務専念義務免除を行なうという場合があるわけです。そういう意味で、元来からいいますと、福利厚生活動でございましても、必ず有給でこれを行なうことを認めるかどうかという問題でございまして、まず第一に、職務専念義務の免除をするというような段階、さらにごく限定された範囲での問題、いろいろケースによって出てくるわけでございまして、むしろどちらかといいますと、この福利厚生活動の場合の問題は、職務専念義務の免除の問題、そのケースとして考えるのが筋道だというのが従来からの考え方でございます。  したがいまして、とりようによっては、それと同じような幅を当然に有給で考えるというようなことができるような条例の定め方というものについては、どうもそれについてのおまえのところの見解はどうだということに相なりますというと、どうもそれ自体がきわめて適当であるというふうには申せないのでございまして、やはりそういう幅の広い規定のしかたというものは、あの条例を定める場合としてはどうも適当ではない。全体として運用をすることを考えますと、まあそういう考え方をとるべきではないだろうかというふうに思うのでございます。  確かにお話のございますように、したがってそういう趣旨で十分に厳重に、限定的に運用すれば問題ないじゃないか、だから相互に信頼をしてそれをやればいいじゃないかということ、それもよくわかるわけでございますが、条例の立て方としましては、やはりそれがよろしいのだということにはどうもなかなか決心がつかぬと申しますか、私どもとしては踏み切りがたいと思っておるのでございます。
  70. 鈴木壽

    鈴木壽君 これで終わりますが、この問題の起こったのは、実は自治省が準則みたいなものをずっと流しておる。それについて、これは自民党のこちらの本部から各都道府県なり市町村の支部に対して、これ以外は絶対だめだと、こういうものが流れてきて、自民党の議員さん方が、何だ、よけいなことをするじゃないかというのが、そもそもの発端なんですが、あとで事情といいますか、その条例のこの項をつけ加えることのいろいろな考え方なり、それがまあわかって、最後には一応福利厚生等の筆を取って、さっきあなたのお話がありました等を取って、狭い限定したような形で議会を出席者の満場一致で通っているのですが——共産党は反対したとかいっておりましたが、まあいずれそういうような形で通っているのです。一応落ちついた形なんですね、これは。  それを私これからの問題としてお聞きしたいのですが、やはりこれはだめだとか、著しく不適当だとか、好ましくないとかいうようなことで、市民運動なり何かの力でこれの改廃なり廃止なりというものをやれというような態度であなた方が臨むかどうかということ、それをひとつお聞きします。
  71. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 実はその談話そのものにつきましてのいきさつは、私も最初からのいきさつというものを十分承知しておりませんのであれでございますが、私どもといたしまして、市民運動を起こして、現在行なわれている条例を何が何でも修正をしてもらえというようなことを申しておることはないと思います。この条例が一体適当であるか、この条例についての見解を求められれば、私どもとして、それが適当で、十分満足すべきものだということは、さいぜんから申し上げておりますとおり申し上げにくいわけでございますが、私どもとしましては、今後の運用、その他実際というものも十分見てまいりたいというふうに考えております。
  72. 鈴木壽

    鈴木壽君 これであとやめます。  私、いま新聞の鹿児島さんという力の談話という、それをそのままを私問題にしているのじゃないのですが、そこにあるのをたまたま引用したのですが、今後この問題についての何といいますか、自治省の態度として、これはあくまでもやはり望ましいことじゃないから、あるいは適当と思われたいから、こういうものをやめろとか、改廃をせいとかいうような立場でなく、今後の何といいますか、運用のしかた、そういうものをなお少し見ていきたいと、こういうことだというふうに理解していいですね。どうです。その点は。
  73. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 現在の状態でございますと、いま仰せになったとおりであります。
  74. 市川房枝

    市川房枝君 ちょっと委員長にお願いがあるのですが、五十一国会で成立しました風俗営業等取締法の一部改正に従って、この九月から十月にかけて全国の各都道府県会で、いわゆるトルコぶろに関する規制の条例をつくったはずですが、それに関連して相当地方で問題が起こっております。警察庁から、どういうふうにその条例ができておるかという全国的な調査をひとつもらいたいと思うのですが、その上で適当な機会に質問をしたいと思います。
  75. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまの市川君の御要求の資料は、次回の委員会までに提出されるよう取り計らいます。  本件に関する本日の調査は、この程度にいたします。     —————————————
  76. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、茨城県結城市における住民監査請求等に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  77. 占部秀男

    ○占部秀男君 予定されておる時間もありますから、私は簡潔にひつと急所の点だけ質問いたしますから、ひとつ簡潔に御答弁願いたいと思いますが、行政局長は御案内かどうか知りませんが、茨城県の結城市で、これは一部事実かどうかわかりませんけれども、たとえば不正工事があるとか、あるいは旅費の二重取りがあるとか、いろいろな問題が市民の中の一部にあるようでありまして、それが一つの高まりというか、具体的な現象となって、事務監査の請求が、直接請求が行なわれたわけであります。  それは七月の九日の日に、これは有効に市民七百九十三名の連署で、市の監査委員がこれを受理しておるのですね。その項目は、市長、市の交際費の使途を明確にしろ、こういう問題をはじめ、十一項目について監査請求の対象がつくられているわけですが、ところがこの七月の九日にこれを受理して以来もう三ヵ月になるわけでありますが、この問題については何ら進展をしていない。こういう問題があって、住民の中では住民の直接参政制度の問題というこの問題について、監査委員会として非常に無責任ではないかという声が起こっておるわけなんですが、そういう点について自治省のほうで何か調査あるいは連絡があったことはございませんか。
  78. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) お話のございました結城市の監査請求については、私どもとしてこれまでに調査をいたしました点について、まず初めに概略を申し上げたいと思います。  お話のございましたように、本年の七月九日に監査委員に対しまして監査請求が行なわれておるのでございます。監査委員はその請求を受理いたしましてから、確かに七月九日に受理をいたしまして、相当長期にわたりまして監査に着手するということがなかったようであります。と申しますのは、監査委員の立場を弁護するわけではございませんけれども、この監査請求の中身が非常に膨大な内容を要求しておりまして、昭和三十四年から三十九年までといいますか、三十四年度から以後今日までといいますか、四十年度までと申しますか、それまでにおけるところの交際費の明確な使途というもの、それを項目別に各年度ごとに全部出せ、これが第一項であります。それからあとは全部決算内容を、特別会計を含めて、各年度の款項目節別に数字をあげて説明を求めるとか、予算の運営とか執行状況あるいは特別会計の運営、執行状況、借入金の状況とか財産の取得とか処分の状況というようなことで非常にばく然とした、と言っては語弊がありますけれども、非常に膨大な監査請求に実はなっておりまして、そこで監査委員といたしましては取り扱いに非常に苦慮したような状況であったようでございます。  しかしながら、これはともあれといたしまして、要するに、この監査請求というものが成立しておるということは確かでございますし、その点につきまして監査委員としての監査を精力的に始めるということは、与えられた職務でございますので、児にその事情をただしましたところが、最近に至りまして、最近と申しますのは九月の下旬でございますけれども、監査委員として監査の方法、その他いろいろなやり方をいろいろ協議をいたしました末、監査に着手したというような状況であったように聞いております。  そしてこれを全部監査が結了したところで公表するということになりますと、相当時間的にもまた経過しなければならないということにもなるようでございますので、県のほうの指導も行なわれまして、項目別に監査の完了したものから逐次公表をしていくような取り扱いをしようというようなことで現在監査を実施中というふうに聞いております。
  79. 占部秀男

    ○占部秀男君 局長のお話しの内容は、一応ある程度筋の通った形ですが、実態はなかなかそうではないように私たちは調査しておるのです。というのは、監査の請求が出てから三ヵ月間着手せずに、少なくとも七月九日から九月の下旬までにやったとしても、ほとんどまる三ヵ月問ですね、それだけでああいうふうにごたごた着手がされないということは、これはあり得ないわけであって、しかも監査をした人のほうの話を聞いてみると、これは膨大なことは確かに膨大ですから、したがって、一つ一つでいいから順次監査をして、それを発表してもらいたい、通知してもらいたい、こういうように事をわけたやり方をいっているのです。それにもかかわらず、三ヵ月もほうっておいたということ、これ自体がぼくは非常に将来監査請求の問題について悪例を残すのじゃないかというふうに見ているわけです。  これはぼくが局長に言うのは釈迦に説法ですから言う必要はないのですが、今日の地方自治の制度と戦前の制度との違いは、いろいろな問題があるが、そのうちの一つの柱は、何といっても住民の直接参政制度を認めたというところに大きな民主的な地方自治のあり方があると思います。その直接参政制度の中でも、あるいはリコールの問題や住民投票の問題もありますが、事務監査の直接請求の問題は非常に大きな柱です。しかもそういうような問題が一時的にでもほうっておかれるということは、これは非常に地方自治のあり方から見て重大な問題じゃないかと思うのです。一説によると、何か来年は選挙なんで、その市長選挙まではほうっておくというような形をとっているということ、これはそういうことでないでしょうけれども、そういうようなうわささえ実は結城の場合には流れているわけです。  そこで時間もありませんから簡潔に申しますが、順次に監査をして、その結果を明瞭にする、そういう方向はけっこうなんですが、いずれにしても、三ヵ月、こういうことがおくれているということが問題なので、自治省としては、どういうところからやっていくのか知りませんけれども、十一項目の中のどれからやっていくのか知りませんが、少なくも早急のうちに一つや二つは明確にできて、監査請求をした住民の要望に、内容がどういうふうになるかわかりませんが、こたえるだけのことをしろというような積極的な指導を私はしてもらいたいと思うが、この点はいかがですか。
  80. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) いろいろ事情を伺っておりまして、そういうことの結果も多少あるかと思いますが、監査に着手するという方向に向いてきて、現在監査に着手中であります。私どもといたしましても、できるだけくその結果が公表されますように、今後とも引き続いて県を通じまして十分指導いたしたいと思っております。
  81. 占部秀男

    ○占部秀男君 私は念のために聞いておきたいのですが、たとえば条例制定の直接請求の場合には、たしか十九日か三十日以内に地方議会のほうに問題点を出さなければいかぬというふうに日にちが限られておったわけですが、この事務監査の問題については、率直にいって法律には日にちが限られていない、それは事務監査の性格からしてやむを得ないと私は思うのです。どんな監査が行なわれるかわからないので。したがって、やむを得ないと思うのですが、従来事務監査の問題についてこんなに日にちをとるのですか、いままでの経験から見て。
  82. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) もっぱら日にちをとるかとらないかというのは、お話がございましたように監査する内容、対象、それからその監査の意図というものに非常に影響されるわけでございまして、この具体の問題の背景につきましてはいろいろと言われておるようでございますが、これはまあ別にいたしまして、このような実は広範な監査請求というものを一度にぶつけられたという例はこれはあまり聞いておりません。したがいまして、おそらく、これを受理いたしました監査当局というものは、監査委員のみならず、事務当局あげましてこの取り扱いにはたいへん苦慮したろうと思います。このままにいたしますと、これはたいへん時間がかかるものになるであろうと思います。  そこで、そういう意味でまあ三ヶ月そのままじんぜん徒過していることが問題だというお話もよくわかりますけれども、これは相当な時間がやっぱりかかるだろうという気もいたします。もしかけないやり方というなら、幾らでもやろうと思えばできると思います。しかし、それはたとえば、極端なことを言いますと、決算内容だけを明らかにするようなやり方、数字を羅列してそれで済んだというようなやり方をすれば、それは機械的にできるはずでございます。しかし問題は、監査請求の監査の内容を明らかにするということは、ただまあ計数を整理して、項目別に分類をして発表してまあ事が終わるわけではございません。その事務処理の内容そのものの当否、適否というものにまである程度は立ち至った監査をできるということにならなければ意味をなしませんから、そういう意味で考えますと、やはり相当時間がかかるということは、これはある程度認めざるを得ないだろうというふうに思います。
  83. 占部秀男

    ○占部秀男君 希望だけ申し上げておきますが、いま局長のお話で、まあ九月下旬から着手したと、こういうようなお話なんで、それを私は信頼して、この問題についてはその着手したという現実に立って、まあ早く一つでも二つでもいいから、この監査の項目の中のどれでもいいからひとつ明確にして、市民の満足を得るようにですね、地方課というか、地方課を通じて自治省としてもひとつ促進をしてもらいたいと思うんです。それでないと無用なトラブルが起こるんで、この点をひとつお願いをしておきたいと思います。  きょうは時間がありませんから、監査問題はこれだけにして、もう一つ私はお聞きしたいのは、同じ結城市だけじゃないんですが、ここに結城の市を含めて五市町村で、これはお聞きになったかもしれませんが、終末処理の問題で、し尿処理場とごみの焼却場、これをまあ一つにしてやっておるわけです。これは一部事務組合でやっておるということを聞いておるんですが、ここの場長に、選挙違反にかかっておる人を場長にしておるということで、結城市で相当市民の間で問題が起こっておるということを聞いておるんですが、そういう点について何か行政局として話を聞いたことはございませんですか。
  84. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) お話の点につきまして調査をいたしました結果を簡単に申し上げますと、茨城県下の二市四町村で結成されている筑西衛生組合、組合の管理者は下館の市長ですが、し尿処理場長に四十年の七月ごろに任命されました人が、市長選挙におきまして公職選挙法違反ということで罪に問われまして確定をいたしました人が場長になっておるというふうに聞いております。
  85. 占部秀男

    ○占部秀男君 この場長は元市会議員で市議会の副議長だったそうです。その人が結城の市長選挙で選挙違反に問われて、四十年の四月十五日の判決で公民権停止三ヵ年の有罪判決を受けて、市議会議員を失格して、現在公民権が停止中の者、処分中の省であることは、これはもう明確になっておるんです。それをですよ、その後、いわゆる公民権が停止されておる、いわゆる判決が下った後の昭和四十一年の二月……三月ですか、筑西衛生組合のこの開場にあたって場長にこれを起用したと、こういう経過になっておるんですね。  で、これは私、少なくとも人事関係としては、さっき局長の言われたように妥当な人事ではないんじゃないかということを私は考えるんです。で、一体、一部事務組合であったとしても、これは自治法のいわゆる特別公共団体だろうと思うんですが、特別公共団体の職員ということになれば、これはいろいろな面で地方公務員に準じて扱われてきているのが現在の実情であると思うんです。かりに県や市町村のほうで選挙違反の問題を職員が起こした、これについてはどうするかという問題があったとしても、全然公民権が停止されている人を新しく雇い入れるなんということは、これはほとんどあり得ないことなんであって、どうも扱い方が私は妥当ではないんじゃないかというふうに考えるんですが、この点局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  86. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 選挙違反によりまして、まあ、公民権が停止されて、罰金刑を受けたのではないかと思いますが、罰金刑に処せられまして、公民権の停止を受けているというような者を一体一部事務組合 ——もちろん一部事務組合といっても地方公共団体であります。地方公共団体の職員に採用することがいいか悪いか、妥当かどうか。もちろん法律的に申しますと、職員の欠格条項に必ずしもぴったりとはまるというわけではございません。したがいまして、任用可能だといえば任用可能でございます。しかしながら、いやしくもそういう人を採用するということは、通常の常識の範囲で考えた場合でも、一体どうであるかということになれば、これはもうお答えするまでもなく、きわめて妥当を欠くといいますか、適当でないことではないだろうかというふうに考えております。
  87. 占部秀男

    ○占部秀男君 適当でないことが行なわれておって、しかもその一部事務組合であるとはいいながら、その職員の間、あるいは市民の間で非常ないま批判を受けているんですね。それは批判を受けるのがあたりまえなんです。というのは、この公民権の停止にたったそもそもの原因が、結城の市長さんの市長選挙に関連をして受けた。いわばここに市民の側から見れば、そのために市議会議員を欠格したのだから、それを拾ってやったんだという感覚に市民はなりがちになるのはありたまえなんだ。こういうことでは正しい自治体行政というものはこれは行なうことができないのであって、少なくとも妥当でない。こういうような問題については善処をすべきであるということぐらいの私は行政指導をすべきじゃないかと思うんですがね。これはまあ勧告とか、いろいろ問題点があると思うんですけれども、何らかの形でこういう点についてはもつと公正な人事が行なわれるように、公正なというか、まあこれ不公正と言えないか私にはわかりませんけれども、適当な妥当な人事が行なわれるように、何らかやっぱり行政指導的な面を発動すべきではないかと私は思うんですが、この点はいかがですか。
  88. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) お話のとおりでございまして、私どももそういう事態になっておることを実は最近知ったわけでございます。そこで、そういう話を聞きましたので、いろいろと調べてみますというと、全くどうもそのとおりのようでございます。もしそうであるといたしますと、これはきわめて適当でない処理のしかたといいますか、職員の任用のやり方であると思っておりますので、県を通じまして十分適切な指導をしてまいりたいと考えております。
  89. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本件に関する本日の調査は、この程度にいたします。
  90. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 最後に、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。  先般行なわれました地方財政、地域開発諸法律の施行状況及び地方公営企業の実情調査につきましての派遣委員の報告につきましては、口頭報告を省略し、報告書を議事録に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認め、さよう決します。  次回の委員会は、公報をもってお知らせをいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十一分散会      —————・—————