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1966-07-21 第52回国会 参議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月二十一日(木曜日)    午後一時九分開会     —————————————    委員異動  七月二十一日     辞任         補欠選任      栗原 祐幸君     山本茂一郎君      瓜生  清君     片山 武夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 青柳 秀夫君                 日高 広為君                 藤田 正明君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 伊藤 五郎君                 植木 光教君                 大竹平八郎君                 近藤英一郎君                 西郷吉之助君                 田村 賢作君                 任田 新治君                 西田 信一君                 山本茂一郎君                 木村禧八郎君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 成瀬 幡治君                 北條  浩君                 片山 武夫君                 須藤 五郎君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        外務政務次官   正示啓次郎君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省経済協力        局長事務代理   吉野 文六君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長事務代理   滝川 正久君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局次        長        岩尾  一君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        大蔵省国際金融        局長       鈴木 秀雄君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        総理府特別地域        連絡局援助業務        課長       降矢 時雄君     —————————————   本日の会議に付した案件アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律案(第五十一回国会内閣提出衆議院送付)  (継続案件) ○外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(第五十一回国会内閣提出衆議院送付)(  継続案件)     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、瓜生清君が委員を辞任され、その補欠として片山武夫君が選任されました。以上でございます。     —————————————
  3. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それでは、前回に引き続き、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案の以上両案を議題とし、質疑を続けます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 総務長官に伺いますが、その前提アジア開銀になりますが、もう一つ前提として、低開発国に対して一%援助してしかるべきだろうというようなことがいわれておりますが、まあそういうようなことがいわれることを受けまして、日本国の方針も、何年か先には大体一%援助に踏み切られると思います。そうなってまいりますと、諸外国と申しますか、いわゆる後進国家に対する一%というものはそれでいいとして、国内はどうなるかという問題があると思います。いわゆる国内の低開発国に対してどうするかという問題が出てくると思いますが、そのときに、沖繩の問題も当然考えなければならない問題だと思います。沖繩日本人——国衛日本人といえると思うのです。琉球人といったものがパスポートに書かれるのが、何かこのごろ日本人というふうになったというふうにも聞いておりますが、一体沖繩に対して、日本日本人としていろいろなことを取り扱っておるのか、純然たる外国として取り扱っておるのか。いやいや、そうじゃなくて、日本なんだ、こういうかっこうになっておると思います。  そこで、一体日本人として取り扱う場合でも、しかし、アメリカとの間に援助総額等の問題があり、あるいは援助をどういうようにするかというようなことは一切相談をしてやらなければならぬという実情に置かれておると思いますが、そういうことについて、まず大略、いま沖繩に対する地位と申しますか、沖繩の位置づけと申しますか、日本との関係はどういうふうに政府は見てこれに取り組んでおるかということを、最初に伺いたいと思います。
  5. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 沖繩につきましては、御承知と思いますが、平和条約の三条によりまして、沖繩地位全体についての施政権は全部アメリカ側に一任をするという取りきめに相なっておるわけであります。それじゃ、沖繩という国は一体日本国籍なのか、日本領土じゃないのかということになりますと、これは潜在的には日本の憲法の及ぶべき筋合いのものである。それから、日本領土であることは間違いない。日本人であることも間違いない。そういう意味から、いま対外的には日本人としての国籍旅券等では扱っておるというふうに相なっております。しかし、施政権全部について、これはアメリカ側が全部一括して持っておるわけでありまするから、それに対しては沖繩のいまの施政そのものについて、日本が直接ストレートで把握をするということはできない。しかし、同時に、日本領土であり、日本人であるということは確認されておるわけですから、そういう意味で、日本側は何らかの形で常に沖繩に重大な関心を持ち、また沖繩住民社会経済機構日本並みに発展をしていき、そういう組織になるように努力を側面から続けていく、そういうかっこうで、日米協議委員会というものが、これは正式の機関として設置されておりまして、この沖繩に関する日本援助その他の問題については日米協議委員会協議をしてきめる。したがって、施政権そのものを持っておりますために、たとえば日本側沖繩経済援助をやるという場合にも、あらかじめアメリカ側との協定日米協議委員会協定によって、その合意に達するということが前提条件に相なっておるわけでございます。
  6. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ケネディ書簡によって、私も、日米協議委員会なり、あるいは日米琉技術委員会等が設けられたことも承知しておるわけですが、一体この日米協議委員会長官出席をされる。これは定期的になっておると思いますが、定期的ではないわけですか。
  7. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これはおととしからこういう会議が持たれるようになりまして、定期的じゃございません。会議の議長は事実上日本外務大臣、それからアメリカ側アメリカ大使、それから日本側総務長官、こういう三者で会議は運営される。しかし、これは定期的なものじゃございませんで、たとえば、沖繩に対する財政援助日本側がこうきめたいというような問題はあらかじめ提案しておきまして、その会議両者合意に達する、あるいはまたその他の問題についても必要があればこれは協議をする、こういうような仕組みでございます。
  8. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 日米琉技術委員会はどうなりますか。
  9. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 日米琉につきましては、これは現地琉球政府、これは琉球日本人のつくっておる政府、それから民政府アメリカ側政府、それから日本南方連絡事務所、このそれぞれの代表が集まりまして、日米協議会できまったこと、あるいはその他アメリカ施政権下で行なわれまするいろいろな技術的な問題について、技術段階でのいろいろな協議をやる、こういう機関でございます。
  10. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、これは問題があったときにどちらかが会合を開こうじゃないかということを提唱して、それに応じて開かれるものなんですか。
  11. 安井謙

    国務大臣安井謙君) そういう性質でございます。
  12. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そういうふうなことはわかりましたが、何か九回開かれたという話も聞いておるわけですが、そこで、三十七年にケネディ声明があり、佐藤総理等も渡米されたときにこうした問題を話し合われて、そうして三十九年からこうした会議が発足して、そうして日本援助総額も昨年に比較して今年度は大体倍に増額されておる。その間、アメリカはあまり快しとしなかったというような話も実は聞いております。まあしかし、そのことがどうなったかということはあまり私は、大臣として答弁もしにくかろうから、そういうことだけ申し上げておきます。  アメリカのほうには例のプライス法があって、千二百万ドルですかを限度として、そこら辺ぐらいまではやろうという——実はアメリカのほうの動きとして、これを二千四百万ドルにふやせとか、あるいはジョンソンが千二百万ドルのときに二千五百万ドル要求したとか、いろいろなことがございますが、アメリカのほうが沖繩援助に対して取り組んでおる姿勢、あるいは増額をしようとするのか、そんなようなアメリカ動きはどんなふうに把握しておりますか。
  13. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 琉球に対しましての日本経済援助が本格的になりましたのは昭和三十七年からでございます。最初十億ぐらいでスタートしております。ことに四十一年度におきましては、お隣におられる大蔵大臣の英断によりまして二倍強という非常な大幅な増額が行なわれたわけでございます。それに伴いまして、いまお話しアメリカ側も、これは軍事的な目的その他で直接向こうで消費する金額は別にいたしまして、沖繩民生あるいは経済関係に対しての援助、これはいまお話しの千二百万ドルということを限度として行なわれる。四十三億ぐらいのものが限度ということは、ことしまではそうなっておったわけであります四十一会計年度が、あそこは御承知のように七月から始まるわけでありますが、四十一年度につきましては、日本側大幅援助をやっておることだから、ひとつ倍額の二千五百万ドルぐらいなものに幅を広げようという提案がアメリカでされておりまして、下院は通っておるようでありますが、上院はまだ通過に至らないそういうような過程にあるようであります。
  14. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 解釈として、自治権関係の問題は日米協議委員会で取り扱ってよろしい、施政権の返還問題は、これはもう少し高いレベルになるだろうという解釈で大体日本は臨んでおられると了解をしてよろしゅうございましょうか。
  15. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 日米協議委員会の題目は、最初スタートするときには援助額協議するというような趣旨でスタートしたようでありますが、最近の佐藤ジョンソン会談、その後の意向によりまして、必ずしもこれに限定しない、両国協議して適当だと思われる問題についてはひとつ両国協議をしよう、こういうようなことで、最近では、せんだっての協議委員会では、例の外国へ出かけていく沖繩の船の日の丸の問題、こういうものも正式の議題として協議をされるというふうになっております。
  16. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そこで、アメリカ側はそういうふうに二千五百万ドルにふやそうということで、これは下院は通っておる、しかし上院のほうは通っていないということになれば、当然アメリカもふくらんでまいります。そうすると、日本もこれに合わせて相当大幅になおふくらんでいくのだという見通しでよろしゅうございましょうか。これは大蔵大臣もおいでになりますが、総予算との関係があるからここで増額を、倍にしますよというふうなことは断言はできないかもしれないけれども、何割かというものはふえるのだ、来年度はまたふえるのだ、こういう見通しでよろしゅうございましょうか。
  17. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 沖繩問題は、先ほど御指摘のように、日本領土であり、日本住民が住んでおるが、施政権アメリカである、こういう特殊な状況にありますので、でき得る限り日本政府としては沖繩社会組織、あるいは政府予算、また民生、そういうものが日本都道府県——まあ君の沖繩県でありますから、日本都道府県と同じような内谷を盛るようにという方向で、ことに昨年以来佐藤内閣ができましてから、特に前向きにそういうものに努力をしておるようなわけでございます、しかし、まだまだ日本施設から比べますと、社会保障にしろ、学校校舎等施設にしろ、非常に懸隔があることも事実でございます。これを一ぺんに変えるといっても、これはなかなかたいへんなことで、いまのように逐次レベルアップをやっていく、そういうような面からいきますと、どうしても日本からの琉球に対する援助費というものは相当にふえていかなければならぬ傾向にある、これははっきり言えるものだと思います。
  18. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大蔵大臣、どうですか。
  19. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 総務長官からお答えのとおりに考えます。
  20. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 アメリカ上院でペンディングになっているが、これがもしアメリカで通ったとすれば、アメリカのほうの二千五百万ドルそのものが来るかどうか、私もちょっとわかりかねますよ。かりにそうなるとすれば、これは相当な額になってくるわけです、千二百万ドルが倍になるのですから。そうすると、日本のほうもそれにあわせて大体目標として倍ぐらいになる、こういうふうに理解していいものなのか、それとも逐次レベルアップですよと、だから三、三割方しかふえませんよと、こういうふうな形になるのか。大体逐次ということは、とりようによっては、さっぱりということもありますから。
  21. 安井謙

    国務大臣安井謙君) その点はなかなかむずかしい問題で、国の財政でもありますので、大蔵大臣ともよく御相談し、総理の御意向も伺わなければ具体的にきめにくい問題ですが、四十一年度に倍ちょっとの額になったわけです。その四十一年度のアメリカ援助額が千二百万ドルであったのを、天井は二千五百万ドル。まあ二千五百万ドルそのまま出すとも思えませんが、それまでワクを広げるということは、日本倍額援助に対して向こうがあとを追っかけてそういうことをいまやっておるという状況でございますので、しかし、方向としては、いまのようにまだまだレベルが非常に低いわけでありますから、これに対しましては相当日米とも強力な経済援助が必要になってくるというふうに思われる。これ、ことし倍になったから、すぐ倍になるのだというような見方もここで軽率にいたしかねると思いますが、気持ちはやはり日本府県、ことに類似県に近いものへ順次引き上げていくという方向でなきゃなるまいというふうに考えております。
  22. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 長官、しばしばレベル標準として員のことを言われますが、県も私はいろいろな県があると思うのです。たとえばアメリカのほうの指摘しているのは鳥取県なんかで、あまり鳥取県なんというと非常にしかられるかもしれませんが、そこまで、あるいは島根並みというようなことをアメリカは言っておるようですね。一体大臣がいまここで言われるのは、行政水準と申しますか、あるいは県民の生活水準といいますか、沖繩生活水準と違っておるのだ、いまあなたおっしゃるように学校施設も悪いじゃないか、社会保障制度も悪いじゃないかというのは、普通県並みのことを言われるのか、日本国で大体行なわれておる普通の、たとえば義務教育なら義務教育水準はこんな水準なんだからこうなんだ、社会保障制度水準のほうでいうとこうなんだからこうなんだというふうに、日本の何というのですか、現行法律のほうにウエートがあるのか、それともどっかの県を大体水準にしておられるのか、どの辺でしょうか。
  23. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 日本現行法律でいきますと、社会保障制度にしましても、交付税制度にしましても、これは一律的に一つ評価水準でやっておるわけであります。したがって、そういった、基本的には日本府県に対して行なっておる、あるいは府県が行なっておるようなものを水準と考えるわけですが、大体類似県、人口あるいは広さからいって、佐賀県であるとかあるいはいまの島根県であるとかいうようなものを標準に考えていくのが筋であろうと思うのですね。校舎等につきましては、残念ながら、何ぶんまだ琉球沖繩というものに対してほんとう政府が本格的に関心を持ち出したというのは、最近、総理が八月に行かれまして以来といってもいいんではないかと思えるのでありまして、これをなかなか一足飛びに水準まで持っていくことはかえって混乱をさせることになろうかと思います。そこはほどほどといいますか、できるだけ前向きで、しかも実情に合うように段階的に考えていきたいと考えております。
  24. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 交付税関係の問題でいうなら、私も非常に低いところだからうんとたくさん出してもらいたいが、沖繩人たち生活水準というものは、日本で適用されている現行法のたとえば社会保障医療保険の問題、あるいは健康保険の問題、そういうようなものはないのですから、それが完全に実施されるようにしてもらいたいと、これは要望しておきます。  少なくとも日米協議委員会の中で、先ほどあなたは船のときに日の丸を掲げるというようなことは議題にしたとか、その裁判権の問題が若干問題になっていますね、物品税の問題や選挙法の問題もからんでくるのですが、こういうような問題について日米協議委員会日本政府として要求をして開かせるような意図はございませんか。
  25. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いま裁判権移管の問題をお話しになりましたが、これは御承知かと思いますが、サンマの課税問題、それからせんだって行なわれました立法院の当選無効の問題、この二つの裁判が提訴されまして、沖繩巡回裁判におきましてはこれが原告側の勝利ということになったわけであります。それで、その理由一つにというか、大きなものの理由一つに、アメリカがいま平和条約で結んだ施政権を持っているというたてまえのもとに、あすこ施政権大統領行政命令というものが出ておりまして、これに基づいて布令布告というものをアメリカ民政府が出しておるのであります。これとそれから琉球立法院でつくっておりますところの法律間に、こういうものとの競合がありまして、アメリカ布令そのものに問題があるというふうな判決が第一審でされた。これについてはアメリカ側としては、アメリカ布令あすこで有効か無効かについて議論するのはやはりこれは沖繩裁判所でなければおかしい、これを琉球政府裁判所にまかすわけにはいかないというような問題で取り上げている問題でありまして、これは実際は現地で非常にいま接触をしておりまして、現地高等弁務官、あるいはこちら側といいますか、琉球政府の主席、そういった関係者がいま非常に接触をしているし、この解決には苦心をしておるわけでありまするので、問題はやはり筋として現地解決さるべき問題で、あるいはワシントン高等弁務官琉球民政府琉球政府という形でされるべきものである。しかし、日本は、それだからといって、これはよそのことだから知らないというような性質のものではない。この問題の中身についていまあれこれ日本側が言うつもりはない。しかし、こういう問題が起こっておるということは非常に遺憾だと思う、早急に解決してもらいたい、またアメリカ政府努力をしてもらいたいという点につきましては、先般の経済合同委員会の際も総理から国務長官にも話をされ、実はきょうも私、アメリカ大使と思いましたが、大使はいま帰国して留守なものですから、エマーソン公使とも会いまして、早急な解決方を要請をしてさっき帰ってきたばかりでございます。日本政府としてはそういうのは政治的に見て好ましいことでないから解決をしてほしいという要望をやりますが、問題の具体的解決はやはり現地でやってもらいたい。またアメリカもそういうふうに考えているし、現地政府もそういうふうに考えておるというふうに思っておりますので、いますぐこれを日米協議委員会で取り上げるという性格のものではなかろうと思います。
  26. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 長官答弁が非常に慎重で、聞いておって、現地解決すればいいじゃないかというが、どういう姿で解決されることが好ましいかというのがあると思うのです。解決は、これはもう大統領行政命令によって行なうところの布告関係なんだから、これはもう当然アメリカへ持っていくのがあたりまえなんだという解決のしかたもあると思うのです。そういう考え方もあると思うのです。いや、そうじゃなくて、自治権拡大等の問題もあることだから、この際いろいろなこともあるけれども、琉球政府のきめた国内法に基づくというのですか、国内というのですか、そういうものに準じてひとつ判決はやってもらいたいという、そういうのが琉球人たちの願望だと思うのです。大臣はそのうちのどっちをとるか、中間のものは許されぬと思うのですよ、私は。中間はないと思うのです。どちらを——現地解決してほしいのだという要望をされることは、これはわかります。しかし、それには日本政府としてはこういう姿が望ましいじゃないかということは大臣として言えるでしょう。
  27. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 一般の問題といたしましては、内政関係、ことに軍活動等に直接関係のない布令布告というようなものは極力廃止をする、そういうことによって琉球自治権をだんだんと伸ばしてもらいたい、こういう一般的な交渉はいままでやっておるわけですし、現在でもその主張はやっております。また、その線に沿いまして、ここ一年間の間に相当数布令布告廃止になっておる、だんだん廃止方向に向かっておるということも事実なわけです。  ただ、今度のサンマと当選無効の問題につきましては、問題がすでに判決が出て、しかも執行されておるという問題ですから、これにいまストレート日本政府が具体的な意見を差しはさむのは、この段階ではどうか、将来の問題としてはまた考えるような場合がないとは言えませんが、現段階ではこれは現地解決方向に向かってもらいたい。したがって、それには日本政府自身がいまこの問題をどうしようとか、こうこうやったらいいじゃないかという積極的な内容の発言は差し控えておくという状況であります。
  28. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 沖繩立法院人たちも上京され、長官等もお会いになっておると思うのですが、非常に何と申しますか、沖繩人たちには重大な関心事なんです。日本政府も非常に関心の多いことだと思います。これは私は一歩誤ると、せっかく育ちかけたと申しましょうか、いろいろな自治権拡大方向にこれは大きく水をさすようなことになってしまうから、大臣も慎重なことを言っておみえになって、ほんとうの腹はこうなんだよと、ここら辺ぐらいは折衝してやっておるよということはあると思うのです。そういうことを私もここで聞く必要はないと思いますけれども、少なくとも取り組む姿勢としては自治権拡大方向にあると思う。サンマの関税の問題で、そうアメリカが、大統領布告の中で重大な影響があるからというようなことでこれまで持っていくなんていうことは、ちょっといかがなものかと、私もしろうとですから法律論的なことはよくわかりませんけれども、とにかく何かおかしい感じがしますから、せっかく自治権拡大方向にある中ですから、私はこれが取り返しのつかないような解決をしていただくと、これにはいろいろなこともあると思いますから、この国会で、いまここで御答弁どうこうなんていうふうに私も考えておりません。とにかく大臣としては私と大体同じ、あるいは皆さんの考え方と同じような形で取り組んでおみえになるというふうに理解をしまして、この問題についてはこれ以上私も質問はいたしません。  そこで、次に、御案内のように、初めB円だった、それが全部今度はドルになっちゃったのですね。こういうようなことはどうも逆に日本から離れていくような形になってしまうのですが、こういうようなことについては日米協議委員会なりあるいは日米琉技術委員会等で取り上げられたことがないのでしょうか。通貨の問題。
  29. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 通貨の問題につきましては、どうもこれはいま完全に施政権アメリカ自身が持って、その施政権下で行なわれておる経済であり行政であるものですから、これがどうもドルをいま急に円貨に変えろという議論は、いままでのところされておらぬようであります。
  30. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 わかりました。  ちょっとこまかいことになりますが、沖繩財政援助金というのが約四十八億計上されておりますね。
  31. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 五十八億。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 沖繩援助その他諸費を含むと五十九億になりますですね。それをこの予算書によって、これは事務のほうにひとつ伺っておきますが、一般会計予算のこの大きいのでやりますと、項目の番号でいいますと、十六番に沖繩財政援助金は四十八億ですね。これをいろいろと、たとえば社会保障関係は幾らとか、あるいは文教関係は幾らと、こういうふうに積算をされて出てきているものと思うのですね。そう理解していいですね。
  33. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これの援助額の計算の基礎は主として項目についてやりまして、結果として文教関係が幾ら、社会福祉が幾らという分類もできないではございませんが、問題は一般に援助する項目、それから日本が物をつくって向こうに直接現物で渡す、たとえば今度の先島といいますか、向こうの島でのテレビの施設、そういうものは日本側で品物をつくって向こうに引き渡す、あるいは南方援農会といったようなものの費用は直接日本で処理される、というような費用を含めて五十八億。ですから、直接援助金としてストレートにいくのはいま言われるような額になろうかと思います。
  34. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、沖繩財政援助資金ですね、この予算書を見れば、この予算書の百九十二ページにあります十六番の番号が打ってあります四十八億三千百十七万ですか、この金はこれはどこから、大蔵省から出るのか。総務長官が、一応総理府が一ぺん受け取って沖繩民政府に渡されるのか。民政府というか立法院に渡されるのですか。これは一括して渡されるのですか。
  35. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 渡し方につきまして事務当局から。
  36. 降矢時雄

    説明員(降矢時雄君) ただいまお話ありました四十八億の金は、入る先は琉球政府の一般会計予算に入るようになっております。予算的には、したがいまして、琉球政府の一般会計に計上されて受け入れられることになりますが、現実の支払いはここの項目の援助事業が完成したときに払うことを原則といたしております。ただし、特定の項目につきましては、たとえば事業関係で長期にわたるようなものは部分払いをやらせていただいて、部分的な金額として支払いをやっていく、こういうような形で支払いをいたしております。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ沖繩のほうの事業がなかなか進まなくて、たとえば一昨年ですか、何かこう金が予算に計上されておっても全然使われなかったというような話も承っておりますが、こういうことは非常に好ましいことじゃなくて、せっかく日米琉の技術委員会で何に幾らぐらいしてどうだというこまかいことがきまって、そして計画が立って予算要求になる。そしてそれに予算がついて、そして今度は使おうという段階になって、それがネックになってしまっておるということですが、これはどこにほんとうのそういうネックがあるのか。琉球政府のほうの能率の悪いところにネックがあるのか、あるいはアメリカのほうから、いやいや、あすこのときはそういうふうに話をしたのだけれども、今度の計画はこうだったから、ここら辺のところをもう一ぺん再検討しなければいかぬということが出てきて、事業がおくれているのか、どういうところにいままでのネックがあったのか。
  38. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは一つは、御承知のように、日本会計年度は四月から始まります。向こうは七月一日から始まる。それだけ、三カ月間おくれるわけなんです。それによって日本会計年度で計上しておるものと、それから向こうが実際に発動できるのには、もう三月のおくれがある。これは何といいましても、まだ技術的にもいろいろなもので未熟な点もありましょうし、それからアメリカ側のチェックということも事実上ありましょうから、そういう点で若干おくれるものもあって、したがって、なかなか決算期に全部援助額を使い切るというようにいかないで、翌年度まで残すというような問題もいままであったわけであります。最近、相談しまして、三月のギャップを実際上埋めるようにしようじゃないか、たとえばいまの日本会計年度で使えるものはどんどん、先島のテレビというような施設は、予算が通れば日本側で用意する。でありますから、四月からかかれるというようなこと、それから会計年度が七月からになっておっても、もう明らかにわかっておるようなものについては十分な用意をして、そして効率よく使えるような方法を考えようじゃないか。これは日米協議委員会でも議題にし、技術委員会等でも議題にして、この効率化というようなことに最近ではつとめているようなわけであります。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 努力されているという点は私もストレートに受け取りまして、これは三月くらいの会計年度のズレじゃなくて、実はそうじゃないところにネックの主点がある。そういうものの解決の方法は、日米協議委員会なり、あるいは日米琉技術委員会等でいろいろ研究して、ギャップを埋めるようにしておるのだ、そういう努力をしておる、そういうことで了承しまして、なるたけひとつ会計年度の金を残さないように、繰り越さないように、早急にスピードアップでそれが使われていくようにお願いをしておきたいと思うのです。  ちょっとわからないのがあるから、事務のほうに伺っておきますが、六番目に出ております結核患者等給与金というもの、それから九番目に出ておる沖繩在住結核患者医療費、これはどういうのか、ちょっと説明していただけませんか。
  40. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ちょっと、事務当局から説明する前に、つなぎですが、大体、結核患者あるいは原爆被害者につきましては、相当の部分を日本に送ってきて、日本で治療するというものと、現地日本の治療にふさわしいような治療をするようなのと分けてありまして、おそらくそれを区分けして書いてあるのじゃないか。日本限りで使われるものというふうなものじゃないかと思っております。
  41. 降矢時雄

    説明員(降矢時雄君) 結核患者等給与金というのは、沖繩の結核患者を本土の国立療養所に収容いたしまして、そこで治療をやっておりますが、その患者の方々に日用品として渡すものだと思います。  それから、結核患者の措置費だったでしょうか。
  42. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 九番目にありましょう、沖繩在住結核患者医療費。
  43. 降矢時雄

    説明員(降矢時雄君) これは沖繩の結核患者の措置費は全額、沖繩では琉球政府予算でやっております。その政府予算の治療費の援助として送っておるものであります。
  44. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほどの長官からの説明あるいは降矢君からの説明で、大体わかったのですが、結核患者等給与金というのは、日本でいえば、国内でいまの日本人たちを対象とするときには、大体生活保護の対象になっているような人が多いのですね。だから、大体結核患者に対して生活保護を適用されている人たちは、日用品を受け取るわけですね。そういうのが大体結核患者等給与金。国内と合わせれば大体そういうことになる。それから、沖繩在住結核患者医療費というのは、沖繩政府自身が結核患者に対するいろいろな医療費等を出しているから、保護費として出しているから、それをまた援助というのですかのものだ、それでいいわけですか。
  45. 降矢時雄

    説明員(降矢時雄君) はい。
  46. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それから、原爆の話が出ましたが、この中には原爆も入っているのですか。
  47. 降矢時雄

    説明員(降矢時雄君) 原爆は入っておりません。四十一年度の予算の中に、原爆関係は別に項目を入れております。この趣旨は、沖繩の原爆患者に対して、本土でやっていると全く同じような措置をとってやるために、その人員に相当する積算をした金額であります。
  48. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最近新聞で見まして、文教関係のことで特に今度、来年度の問題にからみますけれども、力を入れようじゃないかというふうに受け取ったのですが、もしあなたのお考えになっていることが実現をするためには、どのくらい予算関係、文教関係だけで増にならなければいけませんか。
  49. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 計算のしかたはいろいろあろうと思いますが、いま現地で計算を立てておりますのは、三カ年計画で毎年百億ぐらいのものが要るのじゃないか、理想的に見ますならば。
  50. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、幾らになるのですか、額にすると。
  51. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 大体三百億ぐらいじゃなかろうかということですが、これは非常に理想的な形を考えた場合でございますので、そのとおりというわけにもいくまいと思います。
  52. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、三百億というと、三カ年間でやるということは年百億ということになりますよ。それじゃあまりにもぼくも絵にかいたもちに終わりはしないかと思って、心配するわけですが、しかし、長官としては、どんなことがあっても三年間でやってしまおう、こういう決意としていま受け取ってよろしゅうございますか。
  53. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 現地で、理想的といいますか、希望的な計算をした場合にはそうなるということでありまして、学校施設が非常におくれていることだけは事実でございます。たとえば雨天体操場であるとか、教室があっても教員室がない、特別教室は全然ないというふうな片寄った施設になっていることだけは事実です。これは相当力を入れてこれから直していかなければならないということは言えると思います。これは従来アメリカにまかせっ切りだというふうな傾向であったのが、昨年、四十一年度から特にそういう問題もあわせて考えなければいかぬということで、教員費の負担等につきましても、日本並みに四十一年からは画期的に直したといったようなことでございます。
  54. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  55. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を始めて。
  56. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最後に、何としても、長官も認められているように、沖繩生活水準というものは、抽象的にいえば日本よりもうんと低いということが言えると思います。うんと低いということが言える。そういうことに対して、そういう低いのだから、これをうんとレベルアップしなければならぬ。ところが、いままではいろいろな関係があって、ということは、特にアメリカとの関係があって、そう思うにまかせなかった、意にまかせなかった。それがですね、佐藤総理の渡米後、日米協議委員会なり、あるいは日米琉技術委員会等が持たれて、日本政府としても本格的に取り組むようになった。しかし、その額は、いまここで指摘されておるように、ふえたと言っても、去年よりもことしは倍になった、倍になったんだからうんとふえたと言われても、総額で見れば五十九億で、六十億足らずです。で、文教関係だけで見ても、三年間に日本水準に持っていくには、三カ年間についてやっても三百億かかるから、毎年百億というものを必要とするということならば、私はたいへんなことだと思う。倍ぐらいでなくて、今度は三倍にも四倍にも増額をしていただかないと、そこまで来ないと思う。そういう努力をうんと長官にしてもらわなくちゃならぬと思います。大蔵大臣は帰っちゃったですけれども、ほんとうにぼくは、アメリカプライス法があんなことがあって今度二千五百万ドルに引き上げるようになったから、日本もやはりそれとあわせて引き上げるくらいの決意で大蔵省と折衝してもらって、予算化を実行してもらわなければならない。  沖繩の人は、戦争中のときにはあそこで戦えというので、実際沖繩の人はほんとうによく一生懸命だった。いわゆる成年に達しない人たちも、師範学校なり、あるいは中学校なり、あるいは女子師範学校の生徒なりが、ああいう形でやってきて、敗戦になったらこういう形。そうして講和条約第三条ではあんなふうになっちまったことに、沖繩の人としてみれば耐えられぬものがある。日本のわれわれとしても、われわれのかわりにあそこで戦ってくれたのですから、(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういう人たちに対して何らかの形で報いるということを示さなくちゃならぬと思います。ですから、大臣の最後に決意を伺っておきたいと思います。
  57. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 御趣旨は非常によくわかります。また、私どももそういうことでやりたいという方向で進めようと思います。いまの教育施設三百億というのは、現地が理想的な形でつくった場合の一番末端の要望でございますから、常に予算がそういうふうな形で使われるというものじゃないと思います。しかし、いま言われますように、まだまだはるかにいろいろな施設関係あるいは社会保障などもおくれておるわけですから、これを一挙にというわけには、かえって混乱を起こしていけませんので、方向は御趣旨の線に沿って、今後できるだけ強力にやっていきたいというふうに考えておる次第であります。
  58. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  59. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記かかれ。
  60. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 鈴木金融局長に聞きますが、エカフェで議決をしておりますね、アジ銀の設立のことについて。そうしてエカフェで、そのときに出席して、これは満場一致できまっておるわけですから、これはそうでなかったなら、反対した国があるなら、教えてもらわなくちゃならぬですが、賛成をしておると申しますか、エカフェ出席国で、今度のアジ銀関係で参加をしておらない国はどことどこか、ちょっと教えてもらえますか。
  61. 鈴木秀雄

    政府委員(鈴木秀雄君) エカフェでやりました会議と申しますのは、おそらく昨年の十一月の末、エカフェの総会でございますか。
  62. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一九四七年のエカフェ発足のとき、エカフェが発足し、そしてそのときにアジア開銀の設立が議題になっておるのか。ですから、そのときに、六三年十二月の第一回会議で決定をしておるのか、エカフェの四七年の発足のときにアジ銀をきめたのか、その辺のところがぼくもわかりかねるのですが、それと、一緒に出席してといいますか、賛成をしておる国が、今度不参加になっておる、アジ銀に不参加になっておる国はどことどこですか。
  63. 鈴木秀雄

    政府委員(鈴木秀雄君) ただいま成瀬先生のおっしゃいましたのは、まあいわば決議みたいなもので、エカフェでアジア開銀を設立するということをきめたわけではございませんで、設立するように準備をしようとか、諮問委員会をつくろうとか、こういう目的で何かをやろうということで、正式にきまりましたのは昨年の十二月のアジア開銀の署名に関する各国会議でございまして、そういう段階からエカフェのメンバーでアジア開銀に参加しなかったという意味でございましたならば、ソビエトとフランス、それから域内ではビルマ、モンゴル、そういったところが参加しなかった国でございます。しかも、ソビエトは昨年の十一月のいわゆるアジア開銀の最終的な政府代表者会議というものに出席しておりまして、そしてしかも参加しなかった、こういうのが事実でございます。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今後のアジ銀の運用に関連しまして、ちょっと伺っておきたいのですがね。その資金援助する場合に、小国というのがありますね、小さい国、それから低開発国、レスデベロプト・カントリーというのですか、それと、それからその他の国と、その場合どういう程度に開発の進んでいる国にその援助をやるのか。  どうしてこういう質問をするかといいますと、ぼくはアジ銀を調べておる過程におきまして、台湾ですね、台湾をアメリカは大体テークオフしたという規定をしまして、そして従来のような援助は行なわなくなったと、こういう記録を見たんですよ。そうなりますと、今後その援助のしかたも違ってくるんじゃないかと思うのです、その開発の程度によりまして。まあロストウ流にいうと、五段階ありますね。そうすると、かなり工業的な何というか、全体に高い水準になってくれば、アジ銀は貸さない。たとえば日本は出資国ですけれども、日本は借りられないと思うのですね。その程度ですよ、どの程度をレスデベロプト・カントリーというのか、その標準がどうもよくわからぬのです。それから、事実台湾はテークオフしたとして、アメリカ援助が打ち切られているのかどうか。その結果として、今度は日本が肩がわりしなければならなくなってくるのじゃないかと。それで日本に、アメリカはまあドルを防衛しなければならないので、台湾の援助を、台湾をテークオフしたということで、アメリカ援助しないで日本援助させるようにしているのだと、こういう論評もあるのですね。そういう論評もあるのですよ。その間の事情がよくわからないものですから、わかりましたら、アメリカが台湾に対してテークオフしたということで援助を打ち切っているのかどうか。そういう点、ひとつわからぬものですから、教えてもらいたいのですよ。
  65. 鈴木秀雄

    政府委員(鈴木秀雄君) 木村先生のおっしゃいましたのは、第二条の「任務」で、「地域内の小加盟国及び低開発加盟国が必要とするところに特別の考慮を払うものとする。」と、この規定のまあデフィニションはどうかということでございますが、昨日お答えいたしましたように、これはまあ法律的には、理事会が、何が小加盟国であるか、何が低開発国であるかということをきめるわけです。これは同様な問題は、第三条の「加盟国の地位」というところに「域外先進国」ということばがございます。この域外先進国が何であるかということは、やはり理事会なり総務会がきめるということになるわけでございまして、ある国が、たとえばノルウェーが先進国であるのか、デンマークが先進国であるかということはきめる。まあ法律的にはそういうことでございます。  ただ、ただいまおっしゃいました台湾がアメリカからまあテークオフしたという議論、これは私正確には存じませんが、AIDの資金を貸さなくなったということだと思います。まあそういった国はアジアの中にもほかにも若干あるのではないかと思いますが、しかし、これは別にアメリカ機関でございませんから、そのAIDで出さないということ自身が、アジア開銀が出さないという意味には決してならないというふうに私は理解しております。問題は、まあそのアジア開銀の今後の運営方針としてどういった措置をとるであろうかということを想像します場合に、たとえば台湾に対してはあまりソフトローンを出さないというような決定はあるいはあるかもしれません。通常の世界銀行並みのようなことで出すということはあり得ると思います。ということは、台湾に対し、現在世界銀行からの融資は受けているわけですが、たとえば世界銀行の付属機関であります第二世銀等はもう台湾には貸さないというふうに私どもは見ております。それが実情でございます。
  66. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 政府委員の皆さん、どうぞ上着をおとりください。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外務省のほう、そこのところ、さっきのところ、いまの鈴木さんの言われたこと、外務省のほうの方で、もう少し詳しく、アメリカのサイドのほうから説明してくれませんか。それは、どういうわけで台湾がテークオフしてAID資金を貸さないようになったのか。それで、今後アメリカはどういう程度になったらそれをテークオフしたと規定するのか。  それから、このアジ銀にも信託基金があるのですよね。それはアメリカの出資でしょう。ですから、アメリカが指定できるわけですよね。指定できるのですよね、信託基金は。そうでしょう。たとえば東南アジアだけに貸さなければいけないという指定もできるのでしょう、信託基金は。それから、テークオフした国には貸さない、低開発国だけに貸すと、そういうあれもできるのですよ、信託基金は。そういうことから、そのアメリカが、どういう状態になったときにそれをテークオフしたと規定するのか。これは参考のために聞いておきたいのです。
  68. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) いまの先生の御質問に対しましては、先ほどの鈴木国際金融局長の答え以上に特に技術的にはつけ加えるところはないと思いますが、要するに、そのテークオフということば自体が非常にあいまいなことばでありまして、飛行機のようにやはり滑走路から飛び立つまで相当時間がかかるわけです。ですから、途中にある段階では、援助を要するのかあるいは援助が要らなくなるのかという判断は、その個々の状況で判断すべきでありまして、一国をテークオフしてしまったとか、テークオフはまだしていないのだということは、なかなかけじめがつかないわけです。単に低開発国ということになりますと、その意味で非常に定義がむずかしいわけでありまして、一般には個々の国をあげまして、これらの国が低開発国であり、これらの国は低開発国でないと、たとえばOECDのDACは考えておる、こういうような定義があるわけでございます。  具体的に台湾の問題につきましてですが、この点につきましては、先ほど鈴木局長が答えられましたように、われわれとしては、台湾を開発途上国にあるのか、あるいはすでにテークオフした国であるのかということは、われわれ自体が判断すべき問題であり、あるいはアジア開発銀行が金を貸す場合には、この低開発国加盟国に該当するかどうか、こういうように判断すべき問題でありまして、AIDはAIDで自分の判断で、台湾にはAIDの金はもはや貸さない、こういうふうに決定したものとわれわれは理解しております。  それから、信託基金の問題につきましてでございますが、これはまだ実は条文があるだけでございまして、つまり授権条項があるだけでございまして、まだ実現しておるわけではございません。どの国も信託基金として出資している国はいまだないわけでございます。かりにある国が信託基金として出資することになる場合には、その信託条項の中にこういうような国に金を貸したらどうかというような授権規定を加えることができるかと思います。その場合にはむしろアジア開発銀行がそのような授権のついた資金を全面的にのむかどうかという問題も起こるだろうと思いますので、いずれにせよ、金を貸すことが条件をつけることになるということになります。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますとね、そのAIDならAID、あるいはアジ銀ならアジ銀、あるいは第二世銀なら第二世銀、そういうところで大体個々に判定する。個々に判定するといったって、さっきのお話ですと、一体このテークオフというのは、具体的にどこまで工業化されたらテークオフになるのか、どこまで何というのですか、伝統的社会というのですか、ロストウが言う未発達の社会経済状態ですね、それがどの程度まで脱出して工業化されたらテークオフというのか。これもずいぶんまあロストウの五段階のあれは、数字も何も使わないのです。抽象的にただ言っているだけですね。政治的にきめようと思えばきまると思うのですよ。ただ、私はふしぎに思うのは、そういうあいまいであるにかかわらず、台湾についてテークオフして、そしてアメリカがAIDの援助をやめたと、そういうことがどうもわれわれ理解いかないのですよ。  それで、ちょっと論評では、それはアメリカがドル防備のことから台湾の援助をいま節約するためにそういう理堀をつけて、そして日本援助の肩がわりをさせると、そういう口実ではないか、日本の金融筋では、日本の銀行界ではそういうふうに解釈している向きもある、こういう私は何か論評をアジ銀を調べている間に読んだのですよ。それで、私はね、こういうものかなあ、台湾もテークオフした、それじゃ朝鮮はどうなんだろう、朝鮮と台湾とどう迷うのだろう、朝鮮のほうがまだ台湾よりは開発状態はおくれているように、私も具体的によく調べておりませんが、思うのですが、その点はっきりしないのですがね。
  70. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 先ほども申しましたように、テークオフということば自体も、実は経済学的に必ずしも全学者が承認していることばでもございませんし、要するに、低開発国と開発された国との区別というものは、一般的な種々の標準はありますが、これが絶対にそうだというような条件はないわけでございます。そこで、台湾につきましては、先ほど先生のおっしゃったような、日本に肩がわりさせるためにアメリカが台湾をテークオフしたとみなしたというような事実は、われわれは一切聞いておりませんし、またわれわれもそのようには考えておりません。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いまじゃなくていいですが、どういうわけで台湾がテークオフしたというアメリカ側の資料か何かありましたら、今後調べて、参考のために出してくれませんか。
  72. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) わかりました。
  73. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣、何か半までだそうですから、予算委員会のほうの関係で。取り急いでお尋ねするわけですが、第一点は、国連貿易開発会議で国民所得の一%の援助というものを決定しておりますが、もう一つの重大な決定は、後進国は援助よりも貿易のほうが大事なんだ。これはいわゆる新植民地主義との関連もあるわけですが、とにかく援助よりも貿易ということにウエートを置いておる、そういう決議もしておるのですが、大臣はこの後進国家と称する国々の動きと申しますか、こういう決議にあらわれたものを大臣はどんなふうに評価しておみえになるか。これは食い違っておるといえば食い違っておることになりますが、私たちが考えても、援助よりも貿易をうんとやってもらいたいという希望が強いと思います。そういうことに対して大臣はどういうふうに評価しておられるか。
  74. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは同じ低開発国でもいろいろ主張が違うようでございます。一々の国は私覚えておりませんが、相当国際市場に出す物を持っておる国で、ただ多少一、二の欠点があるためになかなか貿易的に先進国に太刀打ちができないというような国が、もう一息というところで、援助よりもまず貿易の市場を開拓することに非常な熱心な国もある。それで、それらの国との特殊の関係があるといわれておるフランスなんかは、援助よりも貿易の障害をなるべく排除して、そうして低開発国の産品が広く市場に進出ができるようにすべきであるというようなことを言っておる国もある。しかし、そういう国にとりましても、やはり新しくいろいろな資源を開発するとか、そういったような問題をやはりかかえておりますので、援助よりも貿易か、貿易よりも援助かという択一的な問題じゃなくて、やはりこれは両方やるべきじゃないかと私は考えております。
  75. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 アジアの指導的な役割りを果たす日本として、アジアのいわゆる南北問題に取り組んで、南のほうの国、いわゆる低開発国と称する国々に対して、国の指針として取り組む今後の姿勢として、いや、両方なんだ、貿易と援助と両方あるのだ、どっちも両方がウエートなんだ、こういう割り切り方でいかれようとするのか。たとえば、援助のしかたが貿易再開というような方向にウエートがあるとするならば、私は援助の計画なりいろいろなものがあると思う。だから、どちらが基本的な姿勢であるのか、日本のまず姿勢を伺いたいと思います。
  76. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) よく開発貿易ということばがありますが、たとえばタイの飼料なんかが、日本としては多ければ多いほど、こっちのほうで引き受けてもいいと、こういう勢いでございまして、それにはどうも輸送機関が整備していないとか、あるいは少しいろいろな來雑物がまじり過ぎておる。すなわち調製の方法が悪いとか、あるいは保管の点がぐあいが悪いというようなことがございます。これは開発をして、しかも開発に力を入れて、しかる後に今度はその一次産品を日本が輸入する。これは一つの品物に両方が働く場合。そういうわけでございまして、その品物が分かれておる場合ももちろんございます。日本といたしましては、東南アジアにはこれはもうやはり両方の方法で臨むべきじゃないか、こう考えておるわけであります。
  77. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ国によってとか、あるいはその品物によっていろいろと差があるのだ、だからそれは一律のことは言えませんよと、両方なんだと。まことにわかり切った話でございまして、私はそういうことを実は聞こうとしておるんじゃなくて、日本は今後第一次産品を買うということになればですよ、東南アジア貿易というものをうんと進めることになるわけだ。ですから、そういう姿勢でこれから第一次産品は買いましょうと。しかし、二次産品を今度は逆に買ってくれるかどうかということはちょっと問題があるのですね。ですけれども、取り組む姿勢として、うんと買いましょうと、こういう姿勢になってくるとですね、今後の日本の対米関係のいろいろな輸入の問題、いままでは輸入のあれが相当原材料を買っておるわけですね。それを今度はアメリカから原材料を買うのを切りかえて、東南アジアから買う、そういうふうになって、アメリカとの関係はやっていけるのかどうか、そこら辺が非常に問題なんですから、どういう方向で進まれようとしておるのか、その辺についてはアメリカとの関係がある程度調整ができておるというふうに了解していいものか、その辺のところをお尋ねしておる。
  78. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 実はこの東南アジアの農産品はもっと日本でも買うべきだと思うのであります。いま申し上げたように、調製が悪いとか、あるいは運搬が非常に不便である、あるいは物が大量にまとまらない、まとまってもどうも甲乙丙丁いろいろ等級がごたごたになっておるというように、最後の仕上げがうまくできておらないというような点が多々ございますので、そういうものはやはり一次産品を輸入するというところまで、終局的な目標のもとにですね、まだ足りない部分を援助して、そうして調整してやるというふうにいくべきであると私は考えております。
  79. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣の御答弁聞いておって、わかったようなわからないようなことですから、私の質問はこの辺のところにしておきますが、  次に、大臣も、植民地廃止宣言を反対——反対じゃなくて棄権をした国が九カ国ほどある、それがアジ銀関係でいうと、アメリカ、イギリス、ベルギー、オーストラリア、四カ国今度アジ銀に参加しておる、何かアジ銀の性格をここでひとつあらわしているような気がしてならぬわけです。先ほど鈴木国際金融局長にお尋ねしたのですが、エカフェでアジ銀の設立が決定を見ておって、そうして今度いよいよアジ銀が出発するということになると、不参加の国が出てきた。不参加の国の理由のその一つは、過日ここで木村委員がソ連の問題として取り上げられて、なぜソ連は不参加だというような話をされたわけですが、これも何かアジ銀の将来のと申しますか、持っている性格として何かこういやな感じがするわけです。そこで、少なくともエカフェに参加している国々は、これは域外域内を問わず、ぜひアジ銀に参加してもらうということが非常に大事なことだと思うのです。そこで、大臣は、不参加の国々の理由は何であるか、そうしてその障害を除いたら参加してくれるのだ、こういう努力を今後とも続けられる私は義務があると思う。責任があると思う。それから、ある程度また見通しが立たなければならぬと思います。そうでないと、アジ銀の性格というものが何か新植民地主義といったようなにおいがなきにしもあらずと思いますから、その辺のところを大臣はどういうふうにお考えになっているか、承っておきたいと思います。
  80. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 第一の、植民地廃止の宣言に棄権をした国が今度アジア開銀に賛成をしておる、こういう問題でございますが、結局、その当時植民地廃止には原則的に賛成であるけれども、その方法等をできるだけ段階的に持っていったほうがいい、とうふを切ったようにすぱっとやってしまうということはかえって混乱を生ずるというような意味から、これに積極的に参加をしなかったようでございますけれども、その後情勢も変わって、そうしてこの植民地廃止の問題に賛成する側にも立っておる、こういうまあ状況でございまして、これはまあ時間的にだんだんそういうほうに変わっていったということでございますから、いま植民地廃止に反対であるとかあるいは疑念を持って棄権とかというようなそういう態度をとっているのではない、過去においてそういうことがあったけれどもいまは変わっておる、こういうことであろうかと思います。  それから、賛成であって、しかも今度参加しないというのでありますが、私、昨年定期協議関係でフランスを訪問いたしまして、フランス外相といろいろな問題について会談をいたしましたが、アジア開発銀行の問題についても言及したわけであります。フランスはとてもアフリカで手一ぱいであって、アジアのほうまではどうもフランスの実勢がそこまで手が及ばない、こういうことを弁明しておりました。これはどうもその後非常にフランスの財政力が一段と伸びたというようなこともございませんし、やはりいまのところはどうもフランスを勧誘してもなかなか実現は困難ではないかと思います。  ソ連は、アジア開発銀行の設立の諸手続を進める過程において、エカフェ中心のこの会議にも参加しておるようでございます。ただ、原則的に域内の低開発国以外はこれは出資は望ましくない、出資以外の方法でこれに賛意を表し若干の力をかすことは、それはよかろうというような意見を述べておるようでございますので、適当な機会を見てソ連にも働きかけてみようと、こう考えておるような次第でございます。
  81. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあソ連に働きかけようじゃないか、フランスは云々と、こう言われたわけでありますが、何にいたしましても、NEATO構想なりあるいはSEATO構想等があって、まあそこに入っておったような国、そこの中心になっておるようなところが、あるいはそれに非常に好意を寄せておるようなところが、アジ銀の参加者と申しますか、そういうことになっておる。そして貸し付け条件等いろいろなことになっておりますけれども、最終的には一番いやなのは、いわゆる米州開発銀行のような貸し方というものがありゃしないだろうか、たとえばキューバ事件にからんで、他の方にすぱっと貸してみたりというようなことがあったのですから、何かこう政策的に行なわれるのじゃないかという点をわれわれ非常に心配しておるのです。また、あなたのほうの出された「経済協力に関する基本的政策及び具体的政策」というので、これは外務省が出したのですけれども、その中にも日本の何かこう好ましい方向にやっていくといいじゃないかというようなことが出ておるのですが、好ましいということになると、好ましい方向でアジアの政治的安定と経済の発展を云々と、こうあります。これは当然平和だと、こういうふうにすぐおっしゃると思いますけれども、どうもそうじゃなくて、ことばは都合がよく、そういうことばでどうだと聞くと、すぐ平和だと、こういうことになると思いますが、やられることがどうも米州開発銀行のそういう苦い経験と申しますか、われわれはいやな感じを持っておるわけですから、そういうような形におちいらない何か保証というようなものがございましょうか。そうじゃないのだという説明を、私たちもわかりますが、そうじゃなくして、こういうことがあるからそういったようなことにはなりませんよという保証がございましょうか。
  82. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ金融機関がそう政治的に動くというようなことが大体おかしいのであって、そういうことができないようになっておるのではないかと、米州開発の場合はどういう——キューバの問題でのいきさつはまあ大体私も聞いたことはありますが、まあいずれにしましても、今度のアジア開銀はもちろん頭取をはじめ執行機関、それから資本金の構成等々、域内の加盟国を中心に運営されるということになっており、それからまた、米州開発の場合はアメリカが何か四七、八%資本参加しておりますね。今度はそういうことはございません。まあ資本出したから発言権がもうほとんど独裁的な発言権を認めるという、そういうもちろんたてまえもないと思いますが、とにかく資本金も米州開銀の場合とは非常に違う、執行機関アメリカが入ることはできないというようなことでございまして、そうわがまましようと思っても、それはさせないようにちゃんとできておるのでございます。これは御心配に及ばないと思います。
  83. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 米州開銀のあなたは金の貸し方、たとえばキューバ事件直後の貸し方について、金を大体貸すのに政治的なことがあったのはおかしいじゃないかと。原則は私もそのとおりだと思いますが、国内的にとってみて、政治的にやはり体制金融はどうしなければならぬとか、あるいは帝業の基盤がどうだとかいうことで、非常に政治的な関係日本国内においても貸されておるということは御案内のとおりだと思うのです。そういう原則の話も私もわかりますし、それから大臣からなお確認していただいているようなものだと思いますが、そうばかりはいきませんよ。  そこで、米州開銀のキューバ事件後の貸し方は、あなたは政治的じゃない、こういうふうに判断されるのか、いや、これはアメリカが四十何%——二十カ国実は参加、加盟をしておるわけですけれども、資金の関係ではあなたがおっしゃるように多いようですね。しかし、一指多いのは出資じゃなくて、信託基金が多いのですね。いわゆる信託しておる金が多いのです。だから、アメリカのひもつきでアメリカが自由にいろいろなことをやるわけです。ですから、その辺のところをあなた問題をずらされたり、またあまり言わぬから、私はあなたにずばり答えてもらいたい点は、キューバ事件後の米州開銀の金の貸し方というものはおかしくござ一いませんかというのが一つです。  二つ目は、お話を聞いてみると、どうも出資が多い、あるいは信託基金が多いのだから、かってにアメリカがやってもやむを得ないのだ、金をたくさん出しておるものが思うようにやってもやむを得ないのだ、しかしアジ銀はそうなっておらぬのだと、こういうふうに割り切ったようにあなたは説明されたと受け取っているのですが、あなたの考えはそういう考えですか。
  84. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 事実関係を、まず大蔵省から説明させます。
  85. 鈴木秀雄

    政府委員(鈴木秀雄君) キューバ断交以前とあとでどういったことがあるかということを第三者的に批判するのは、私どもの権限ではございませんものですから、実際の数字だけを申し上げてみます。アルゼンチンは一九六二年二月二十日にキューバと断交いたしましたが、各基金の合計で断交前に千五百万ドル、断交後千三百万ドル出しております。そのうち社会進歩信託基金は五百万ドル、断交後出しております。それから、ベネズエラは一九六一年の十一月十一日に断交いたしましたが、断交前に三下百万ドル、断交後三千万ドル、非常に時間がかかりますので、信託基金の数字を省きますが、その次、エクアドルは六二年の四月十四日の断交前に千四百万ドル、断交後はゼロでございます。コロンビアは一九六一年十二月九日に断交いたしましたが、それ以前に二千九百万ドル、断交後に二百万ドル、それからボリビアは一九六四年八月二十一日に断交いたしましたが、断交前に四百万ドル、断交後ゼロでございます。コスタリカは六一年の十二月十四日に断交いたしまして、断交前六百万ドル、断交後三百万ドル、パナマは一九六一年十二月十四日に断交いたしましたが、断交以前が千百万ドル、断交後は三百万ドルでございます。ホンジュラスは断交が一九六三年四月二十四日、断交前が三百万ドル、断交後はゼロでございます。ウルグアイは一九六四年九月八日に断交いたしましたが、断交前はゼロで、断交後に四百万ドル逆に出しております。それから、ブラジルも一九六四年五月十三日にキューバに断交いたしましたが、断交前に二千九百万ドル、断交後に三千八百万ドルとふえておるわけでございます。チリは一九六四年八月十一日に断交いたしましたが、断交前に千九百万ドル、断交後八百万ドル、これで以上合計いたしますと、断交前に一億五千百万ドル、断交後一億飛んで百万ドルでございます。申し忘れましたが、いまの数字はキューバ断交六カ月前と六カ月後の比較の数字でございます。したがいまして、この数字から見ますと、断交前と断交後においてたいして差がなかったというふうに私どもは見ております。ただ、これをどういうふうに評価するかということは、歴史家なりそういった方がごらんになることだと思います。ただ数字だけを私は申し上げました。
  86. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これはそういうこともあろうかと思っておったわけですが、たとえばアルゼンチンですね、アルゼンチンは米州外相会議でキューバの集団制裁に反対をしたわけです。そうしたら、アメリカはそのことに対して非常に冷淡で、非常に憤慨をしておる。ところが、アルゼンチンがキューバとの断交に踏み切ったその翌月には、もう一億左千万ドルの融資を与えておるというようないきさつから見ると、何と言ったって、アジア開銀がそうだと、すぐそうなるとは私も断言はいたしませんけれども、米州開発銀行の貸し方というものが、ベネズエラあるいはコロンビアがキューバと断交したらどういうふうに扱っているか、あるいはアルゼンチンがキューバとの関係を断ったらどういうふうに動いたかということは、あなたの読み上げられた数字ではなくて、もっといろいろな形からわれわれは受け取っておるのですが、無関係とは言い切れないものがたくさんあるわけですよ。ですから、米州開発銀行の貸し方というものは、政治的に相当支配されて動いておると私たちは評価しておるわけです。そういうことは全然ないのだ、こういうふうに逆にいえば断言できますかと、こうお尋ねしておるわけです。大臣、どうですか。時間がなくて、もうこれで四十分近くになりましたが。
  87. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私もどうも、そういう点を十分に研究しておりませんから、わかりませんが、とにかく貸すべからざるところに金が貸されておるというようなことは私はないのではないかと想像しております。それはそれとして、アジア開銀においては、断じてさようなことは日本政府としても許さない、そういう気持ちを持ってこれに臨むつもりでおります。
  88. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も、米州開発銀行がやるときには、出資しておる各国のお金が貸されておるというのじゃなくて、アメリカの信託による信託基金、どういう基金があるかといいますと、社会進歩信託基金というものがあるのです。その基金の貸し方が非常におかしいということを言っているわけです。ですから、今度のアジア開銀でも、アメリカの出資する二億ですね、しかしそのほかに信託基金があるのは確実なんですね。だから、それがそういうふうに政治的に融資されるのじゃないかという点を心配してお尋ねをしておるわけです。ですから、そういう信託基金でありはしませんかと。その信託基金を貸し付ける場合にはアメリカの意思が非常に尊重されるのだというようなことになると、重大な問題になってまいります。大臣は前の質問のときに、御答弁をしておられるときに、それはアメリカが四八%もやっておるのだからやむを得ぬわいというようなふうにもとれる答弁をされておりますから、この際重ねてお尋ねをしておきます。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 成瀬さんにお答えする場合に、関連してお答えしていただきたい。もう最後ですから、一つだけ。それは、これまで何回もここで質問したんですが信託基金、アジ銀の信託基金についてはとうとう非常なあいまいな答弁になってしまって、ただ規約の中に信託基金というものがあるんだと、特別基金のほかにですね。それで、アメリカが出資するかどうかわからないんだと、こういうようなことを言っているんですよ。ところがですね、ところが、このアジ銀の総裁になる予定の渡辺武君が日本のエカフェの委員会で講演をして、はっきりとアメリカ側と、前のブラックさんと話し合っているんですよ。ジョンソンの十億ドルの東南アジア開発、あれを一部信託基金に繰り入れるという話し合いをやっているんですよ。それをちゃんと渡辺さんが報告しているんですよ。それは私は速記を読んで質問した。ちゃんとありますよ。これから総裁になる予定の渡辺さんがはっきり言っているじゃないですか。それをジョンソン構想と関係がないとか、あるいは信託基金はただ制度だけであってアメリカが支出するかどうかわからない、こんなふうなことを言っているんですよ。これは私はけしからぬと思う。事実をもっとはっきりさせるべきですよ。渡辺さんがアメリカと話し合っている、ちゃんと。それで、エカフェの日本委員会で、あれは霞山会館でやったんですよ。ちゃんと話しています。詳しく話していますよ。その速記は詳しくありますよ。だから、ジョンソン構想とアジ銀がはっきり具体的に関係があるということですよ。それから、信託基金はアメリカは一億ドル出すということをはっきりそこでそう言っているんですよ。それだのに、あいまいに、いいかげんにここで信託基金をごまかしてこの法案を通してしまうということには私は反対ですよ。賛成、反対の立場はとにかく、事実は事実として明らかにすべきですよ。必ずアメリカがあとで信託基金一億ドル出しますよ。そういうことに話し合いできているんじゃないですか。そういうできていることをここであいまいにして、それで通すということは、これは私は許されないと思うんですよ。これは党派は別として、この委員会についてそういうことが、事実あることをあいまいにしておくことは私はけしからぬと思う。はっきりさしてください。
  90. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 少しどうもいまの話、先へ先へと飛躍されていると思うんですが、いまアジア開発銀行協定ですね、この中に信託基金の規定があるわけです。これは規定があるというだけなんです。まだ現実にアメリカが立法その他の措置を、予算などの措置をいたしまして、幾ら出そうという段階までまだ来ておらない。昨年の四月でありましたか、大統領が十億ドル構想ということを示し、次いで、まあこれは官辺から流れたという情報で、一億ドルアジア開発銀行ができれば信託するんだというようなことが伝えられましたが、これはそういう話があったというだけでありまして、まだこれはちっとも具体化されていないんです。何らの話をまだ受けておならいわけです。  まあいずれ私は、想像といたしましては、アメリカも、そういうアジアに盛り上がる響きのもとにアジア開発銀行というものができるということになれば、じゃ幾らか信託しようかという態度に出るんじゃないかと思います。思いますが、だからといって、この信託基金を通じてアメリカがこの銀行を支配するかというと、そうはならない。第十九条におきまして、この銀行は政治的支配を受けちゃならぬと、こういうふうに固く規定をされておりまするし、特に信託基金につきましては、これは銀行の業務を逸脱してはならぬ、こういう規定まで置いておるわけでありまして、ただいま外務大臣からお話し申し上げたように、銀行全体としてこれが政治的に左右されるというようなことのないように、日本政府としても善処していきたい、かようにはっきり申し上げます。
  91. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣、あなたの答弁を承っていますと、米州開発銀行関係でいうと四八%も金出しているんだから、アメリカが独善的に貸すこともやむを得ぬじゃないか、しかしアジ銀ではそう思うようにさせませんよというようなことの答弁に受け取れる。ですから、そうなると、アジ銀の将来も、出資金は十億ですけれも、実際は五億ですね。どうしたってこれだけじゃ金が足りません。そこで、どうやっても、いま福田大蔵大臣のお話を聞きますと、まだきまってはいないけれども、規定のみだと言うけれども、信託基金制度というものが出てきます。その金は、出資国のある程度の意向といいますか、その国の金で信託しておりますから、その国の意図で貸されるということもやむを得ぬじゃないかというようなふうに、ずっと続いてくると受け取れば、それであなたはよろしいじゃないかというような解釈をされておりますと、たいへんなことになりますから、どうなんですかと、このことを伺っている。
  92. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 米州銀行についての知識がどうもないものですから、それで少し大ざっぱなことを申し上げましたが、とにかくこれは域内の国です、米国は。そうして四八%も出資しておる。まあそういったようないろいろな関係から、少しはわがままができるようなことにあるいはなっておるのかもしらぬし、またそういうたてまえになっていなくとも、実際問題としてそういうことがあるのかもしらぬと。しかし、いずれにしても、そういうこととは関係なしに、このアジア開銀については域外の国であって執行部には入っておらないし、この銀行の中心部がすべてアジア的に構成されて、アジア的に運営されるということになっておるものであって、日本もそのアジアの一員でございますから、わがままなことは絶対させないと。のみならず、この三十六条に政治活動の禁止というものをうたっておるわけでざいごまして、そんなことが簡単にアジア開銀に関する限り——ほかは知りません。ほかは知りませんが、とにかくそういうことは絶対許さない、こういうわれわれは考え方であるということを申し上げたわけでございまして、米州銀行においてはどういうことになっておるか知らぬけれども、私は資本力というものによってどうにでもなる機構であるというようなことを申し上げるつもりはなかったのでありますから、ひとつその点は誤解のないようにお願いいたします。
  93. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  94. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記起こして。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣ね、私は渡辺武さんを知っておりますし、あの人は有能なりっぱな人なんですよ。ですけれども、渡辺さんがはっきりとこのエカフェの日本委員会で、このアジ銀について詳しい話をしておる、その中に——ブランクさんは大蔵大臣承知のとおりジョンソンのアジア構想を出したときの特別顧問なんですよ。そうでしょう。そのブラックさんと会っておるんですよ。会って話し合いをして、それで十億ドル東南アジア開発に出すんならば、それを信託基金としてアジア開銀に出されたらどうかという話し合いをしたところが、意見が一致したと。手紙を出していろいろ交渉して、その後、何か日本の外債の問題でアメリカに渡ったときに、渡辺さんが会っていろいろ話し合ったときに意見が一致したということをはっきり述べておるんですよ。そうすると、さっき大蔵大臣はそれは想像と言うけれども、想像じゃなくて、また信託基金という制度ができただけでまだ何にも話し合いはしていないと、こうおっしゃるんですよ。そうだったら、渡辺さんの行き過ぎですよ、それは。そうでしょう。まだ何もはっきり、創立もきまっていないうちにそういう交渉をすることは行き過ぎでありますよ。しかし、そういう機関をつくるときには、いわゆる出資につきましてもやはり何か地固めというのですか、一応根回しをしてからつくるのが、これはあたりまえだと思うのですよ。ですから、渡辺さんがブラックさんと下話をして、信託基金一億ドルを出すというようなお話し合いをしたことは、何か地ならしとかそういう意味では私は不当ではないと思うのですよ。それを責めているわけではないのです。しかし、そういうことになっているのに、そうじゃないと言うから、これは信託というただ制度だけであって、アメリカが出資するのだかしないのだかわからない、こういうようなあいまいなことを言われているから、私は承知できないのですよ。このことはもう渡辺さんはちゃんと話し合って、大蔵大臣知っているはずですよ。ざっくばらんな話をされたらいいんであって、それがアメリカが信託基金に出資して、その信託基金の性格が一般の出資と違うのでありまして、やはり米州銀行と似たような形になる危険性がある、日本政府としては断固としてそんなことはしないと言ったって、そんな仕組みでそうなっておるのを、断固と言ったってだめですよ。信託基金というものは、その国が出せばその国の意思によって貸し出しの地域なり範囲なりについて指定できるのですから。もちろん、それはアジ銀を通じてやるのでありますけれども、運営を通じてやることになっておるのでありますけれども、だから、問題にするのですよ。だから、ジョンソン構想とやはり具体的にそこでつながっているのですよ、信託基金。つながっているということをはっきり認められればいいんですよ。ただそれがアジア支配になるとかならないとか、それは政府はなるとは言えないでしょう。われわれはなる危険があるから反対をし、そして米州銀行のいろいろな過去の例を研究し、検討して、それでほんとう日本がアジアの低開発国に、平和でそこの住民ほんとうにしあわせになるような開発でなければいけないという立場でわれわれは審議しているわけなんですが、事実は事実として、ざっくばらんに言われたならいい。私は速記があるのですよ。この間速記を読んで質問しているのです。きょうは持ってきていない。質問するつもりじゃなかったのですが、どうも一番重要な信託基金のところで、最後にあいまいになってしまっておるのです。そこで、この点は事実関係は事実関係として、はっきりさせていただきたいと思うのです。
  96. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) はっきり申し上げますが、アメリカから日本に対して正式に信託基金一億ドルを出そうという話はないのです。ただいまあなたも御指摘のように、渡辺君なんかとの間に大統領顧問ブラックさんなんかが、お茶飲み話といったらあるいは経過ぎるかもしれませんが、一億ドルぐらい信託基金を出そうかというような話があったことは、私は事実だと思います。しかし、それまでの話なのです。まだアメリカがそれに基づいて国会に対して行動を起こすとか、政府部内において何か手続をとるとか、そういう段階まで来ておらないのです。いま御審議をお願いしておるのは、そういうこともあり得ることだということを予定いたしまして、信託基金の受け入れができる旨を規定いたしておるわけでございまして、決して包み隠ししておるわけじゃございませんことを御了承願いたいのでございます。
  97. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣、そうすると、信託基金の規定はある、それがまああなたが指摘された訓示規定ですけれども、十九条あるいは三十六条も当然支配するものだ、こういうふうに承ってよろしゅうございますか。外務大臣は三十六条だと、こう言った。
  98. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御説のとおりに理解しております。
  99. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そういうことと関連して、実は外務大臣がお見えになりましたら、まあいろいろな国際的な関係の、たとえば世銀なりあるいは第二世銀でも、あるいは国際開発銀行なりあるいは国際金融公社とか、いろいろなものがたくさんあるわけですね。そういうものとの関連でいえば、アジ銀はどういう関係になるのですか、こういうものとの関係でいえば。たとえばアジ銀で金を借りたら、世銀からも第二世銀からも借りれるし、あるいは国際金融公社でも金を借れるのだというふうに、借りるほうの国々はいろいろなところから金が借りれる。こういうことになるのですか。
  100. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま国際金融機関といたしまして、世界銀行その他いろいろな機関があるわけであります。これが包括的な開発融資、これをまあ世界各国に対してやっておるわけであります。それに対して地域銀行というものが米州に、アフリカに、また今度アジアにできる、こういうことになる。これはやはり世界銀行の融資をアジア開発銀行が肩がわりすると、こういうようなことじゃ意味はないのでありまして、どうしても相補完をする性格を持っておる。世界銀行の働きがりっぱでありますれば、これが主であるべきである、それをアジア開発銀行は補なう、こういう性格のものだと、かように御理解願いたいのであります。
  101. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ金を借りますと、必ず今度は返すときにいろいろな紛争などが起きてくるだろうと予測されるわけですが、紛争処理の問題についてはどうなっておるのですか。
  102. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 世界銀行につきましては、紛争処理センターというものをつくろう、つまり債権の取り立て等に関する紛争を処理する機関、機構であります、それができまして、わが国もこれに調印をいたしております。いずれこれはしかるべき機会に批准をしなければならぬわけで、御審議をいただかなければならぬが、アジア開発銀行につきましても、いずれはそういう機構が必要になるのじゃあるまいか、こういうふうな気がいたします。しかし、まだ銀行自体はできておらぬという段階でありますので、そこまで手が及ばぬ、こういうような状態であります。
  103. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次に、インドネシア関係ですけれども、まあ債権国会議が近々開かれるそうなんですが、大体いつごろになりそうですか。準備も終わっていると想像されるわけですが、どうですか。
  104. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大体、債権国が非常な積極的な姿勢でございます。そうして一刻も早くやろうじゃないか、しかし、おくれても九月末のIMFの会議前に開きたい、こういうことを大体申しておりますので、おそらくそのように取り運ぶのじゃないかと、かように考えております。
  105. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、債権国会議は九月末までに開かれる。場所はどこになりましょうか。
  106. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは東京というような空気もあるのでありまするが、まだ最終的な意見を述べない国もありまして、正確にいうと、どこになるか未定であると、こういう状態であります。
  107. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何かヨーロッパでというような声も非常に強いようですが、それはそれとして、例のインドネシアがああいう形になったらさっそく緊急援助が行なわれ、そうして今度三千万ドルの借款等も出てきた。そうして、何か聞いておりますと、二十品目ですか、二十九品目ですかというようなものをもう話し合いが進み、大手商社には内示されたようでございますが、これは過去にあのインドネシアのああいう暴動といいますか、ああいうものの起こらない前に、若干インドネシアとの関係にはいろいろな問題があったと思う。そういう問題とこの三千万ドルは関係はございますか、無関係ですか。
  108. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 九月三十日の政変の前に、川島特使が参りましていろいろ約束をしてきたことはあります。ありますが、それとこれとは全然別個のものであります。新しい角度から見たものであります。
  109. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、川島特使のときには百五十万ドルですか、非常に少なかったと思いますけれども、ちょっと記憶がございませんので、数字は別として、インドネシアに対して九月三十日以前にあるインドネシアのみに向けられるもの、国内でつくって、それがメーカーなりあるいは商社の手持ちになっている、そういうようなものは優先的にというのですか、全然考えに入っておりませんですか、入っておりますか。これはインドネシアがほしいといえば、その前に事は解決すると思いますけれども、その辺はどうでしょう。
  110. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回インドネシア側から相当品目のリストを出してもらいまして、それを当方で多少ピックアップいたしまして、三千万ドルの内訳をきめたわけであります。きめるにあたりましては、全く新たなる角度からやったわけでございまするが、しかし、結果において、前に約束をしたと、船積みができないのでおるというものも、自然入ってくるということにはなっております。
  111. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いや、大臣ね、ものも入っておるのですか。大体のものは全部入って、大体メーカーなりあるいは商社がこれがために非常な損害を受けるというようなことはございませんか。
  112. 鈴木秀雄

    政府委員(鈴木秀雄君) まあパーセンテージとかなんとかというものにつきましては、私どもここで数字を持っておりませんが、今回インドネシアが要求しましたものは、文字どおり緊急のものでございます。したがいまして、従来未船積みのプラントものとか、そういったものは入っていないわけでございますが、たとえば綿布とかそういったものにつきましては、若干従来契約したものも含まれていると、こういうふうに御了解願いたいと思います。それは結果としてそういう、向こう要望もそういうことであったし、こちらとしてもそういうものがあったということでございます。したがいまして、全部それが一掃されたというふうに御理解願うことは無理かと思います。
  113. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 リストアップの主専権はインドネシアにあったと、日本はただそれに対して口をはさまなかったのかはさんだのか、そこら辺のところはわかりかねますけれども、まあ過去のいきさつ等が、大体あまり大きなトラブルがあとに残らないようなふうに三千万ドルで処理がされたのだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  114. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回の三千万ドルは、考え方としては、インドネシアの経済再建等ということを考えまして、インドネシア側の要望する品物にしたわけです。  三千万ドルというワクはどうしてきまったか、こういうことでございますが、これはインドネシア側からことしじゅうに二億ドルの外貨を必要とする、こういう話があり、で、わが日本に対しましては五千万ドルぐらい援助願えぬかという話があったのです。それに対しまして、わが国のインドネシアに対する輸出が、インドネシア全体の輸入総額ですね、それに対するウエート、これは三割ぐらいになるのです。そういうようなことを考えまして、それから日本が大口の債権国であるというようなことも考慮いたしまして、三千万ドル、こういうふうにきめておるわけであります。
  115. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最後に、大蔵大臣にお伺いしておきたい点は、一%の援助というものをやろうじゃないかと、こういうふうに大臣もしばしば言明されておる。しかし、来年すぐやるというわけじゃない。非常にそういうことは、国際環境の中で私たちもやむを得ないことであるし、またそういうことはいいと思う。国内のいわゆる今後の景気やなんか、いろんな問題があって、いや構造的な問題とかなんとかいうものもある。しかし、農業所得なり、あるいは中小企業は今日でも倒産が、前年に比べて若干減ったとはいうけれども、まだたくさんな倒産が出ている。こういう国外の後進国に目を向けて努力されるということもいいが、国内を忘れてもらっちゃたいへんなことになる。大臣は、財政がそう豊かじゃないと、国債等の中でたいへんなことだということは、私たちにもわかるけれども、しかし、これをおろそかにされては、いつまでたっても日本の二重構造というものは解消されないわけです。ですから、そういうことに対してはどういうふうに基本的に取り組まれようとしているのか。去年の予算よりも何%増にしたらいいと、中小企業関係は去年よりもこれだけパーセントを伸ばしたからいいのだという、そういうやり方もあろうかと思います。あろうかと思いますが、しかし、一体予算のうちのどれだけを農業関係のほうに振り向けて、二重構造を解消しようじゃないか、中小企業に思い切って金を出してやってやろうじゃないか、こういう考え方一つ。その逆にめどを、水準をきめてやるのも、一つの方法だと思うのです。しかし、その計算の方法でいうと、いや、社会保障制度のほうでどうなっているとか、入り組んでいるからどうだとかいうような意見もあると思いますけれども、少なくとも農林予算にはどのくらい計上するか、通産省の予算はどうだ、そのうちの中小企業はどうだということを、われわれもすぐ計算して出るわけであります。そういうところを何%増ということじゃなくて、めどをどこかに置いて、思い切ってやったらどうかというやり方もあると思いますが、大臣はどういうふうにお考えになっているのか、お伺いします。
  116. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、経済政策をやっていく場合において、これはあらゆる意味においての均衡ということが必要であろうと思うのです。いま海外にもやっている、国内にもやっていると、こういうお話でございますが、国内の開発と国外の開発との均衡ですね、これは非常に大事なことだと思うのです。いままではどちらかというと、私は国外のことは多少おろそかになっておったのじゃないかというふうにさえ思うのでありますが、国内で均衡をはかると、こういうためには、やはり経済全体がまず伸びなければならぬ。伸びる主体は何かというと、これは輸出貿易なんです。そういうことを考えますると、国内の開発、これは緊要な問題であり重要視しなければならぬが、同時に、その均衡、発展をせしめるための国民経済力を養うためには、海外に対しても伸びなければならぬ、こういうことがありますので、まあ両々相まって考えなければならぬと思うのです。  しかも、国内、国外ともに帰するところは、その手段としては租税ですから、国民の負担になるのですから、国民の負担を国内に振り向けるか国外に振り向けるかということで、農業の問題、中小企業の問題、これは大企業も、あるいは農村でいえば都市との間の格差問題、あるいは地域的にもやはり格差問題というものが大きな問題になっている、それらの問題の解消に向かって進まなければならぬ、そういうことを考えまして、新しい立場からいま新長期計画を策定する準備に取りかかっているわけでありまして、これでまあ日本の総知識を結集して、さような計画を策定する、策定いたしました以上は、これを着実に実行する、これが私はこれから取り組むべき経済政策の中心課題である、こういうふうに考えているわけであります。
  117. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣、ぼくは出発点が非常に大事だと思います。いままでの政治の主点と申しますか、いままでこれだけ日本の経済成長なったのだが、これはどちらかというと、産業資本の大きいところを中心として、大体方向としてやってきた。今度はそうじゃなくて、均衡で、バランスで、皆が公平にいろいろなことをやらなくちゃならぬという考え方でものを見ていくのと、非常に違うと思うのですよ。そのことが予算の上にもいろいろとあらわれてくると思います。あるいは税制の上にもいろいろな点で違ってくると思いますよ。ですから、あなたが今度長期計画をつくられるというその出発点と申しますかね、それはいろいろな、反省というとちょっといままでのことについてなかなか言いにくいかもしれませんけれども、平たいことばでいえば、反省に立ってそういうものをおつくりになっているかどうか、というふうにわれわれは受け取っていいのか悪いのかということが一つですね。  それから、二つ目は、この間まあ税金でたいへん所得税をまけてやろうなんてありがたい話が新聞に出ました。何かこう上がらぬ佐藤内閣のたこを上げるような、それも三年先だという話になっちゃったんですが、何かこういう長期手形はとかく不渡りになりがちなんですが、一体ここら辺のところもどうなのか、ほんとうにやろうとしているのかどうかということについて、お聞かせ願いたい。
  118. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 第一点でございます。いままでの経済政策の反省の上に立って考え方を変えていくのかという話でございますが、そのとおりであります。今後は均衡ということを中心としてやっていきたいと、かように考えます。  それから、第二の税制の問題です。まあ経済につきましても長期計画を立てる、財政におきましてもなるべく長期の見通しを立てたい、こういうふうに考えているのですが、特に税制が、毎年毎年のそこばくの減税が行なわれまするが、単年度でやっていきますると、どうも場当たりになる傾向がある。やはりこれは税制はかくあるべきものであるという目標を立てて、そうしてその年々の実行はその年々における財政事情に応じてこれを実施していくというやり方のほうがいいんじゃないか、こういう考え方のもとにおいて、まあ長期税制ということを考えておるわけでございます。いま御指摘のように、長期税制構想でございますので、これを直ちに来年度実施するという性格のものじゃない。来年度はその長期構想の一環を取り上げて、そうして財政の許す限りにおいてこれを実現する、こういう性格のものでございます。
  119. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あのね、やめようと思ったら、単年度主義に対して、財政法は単年度主義ということですが、この前に大臣は、発表はそうじゃないような発表があって、非常にその点心配しているわけですが、いま大臣のお話があって、そういうようなところも、財政法の改正も長期計画構想の中には入っておるのですか。
  120. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま申し上げましたのは税の話なんです。財政の支出面については、私は一言も触れなかったつもりでありますけれども、私は支出面につきましても、これは厳格な単年度主義ではやっていけない、こういうふうに思うのです。それで、年度相互間、前後間の流動性というものにつきましては、何らかのくふうをしてみたい、かように考えます。
  121. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、今度は何かの委員会に諮問される用意があるわけですか、大蔵省としては。
  122. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまそういう支出面は財政制度審議会のほうで御懇談を願っておるのですが、これは諮問形式をとりません。いろいろ御検討していただいて、御献策を願う、こういう形になっておるのですが、そういう御議論の中で、私どもはこういうことも考えているんだということを申し上げ、そうすると、そういうことについてどうだという意見はまあお聞かせ願えると思うのでありまするが、諮問形式はとっておりません。
  123. 田中寿美子

    田中寿美子君 委員長、ちょっと一言、関連して大蔵大臣、長期減税計画を発表なすって、そうして課税最低限八十三万円というようなことをこのごろ言われているわけですね。この前の国会の、五十一国会大蔵委員会で、やはり課税最低限八十万円くらいまでにするというふうに発表なさった。そのときに私が大蔵大臣に質問をしましたときに、ことしの物価で八十万円課税最低限でなければあんまり意味がないのだと、何年か先の八十万円では何にもならないけれども、その辺はどうですかとお尋ねしましたら、物価の上昇に見合って、今年度のところで八十万円と考えているのであるというお答えであったのです、これは議事録にもあると思うんですけれども、ですから、八十三万円という課税最低限というのは、それはやはりいまの物価における最低限のことでしょうか、それとも何年か先の八十三万円でしょうか。それだったらほとんど意味がなくなると思います。
  124. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この前、田中さんから御質問がありまして、私はこれは物価は今日の物価を基礎にしての話なんだというお答えを申し上げたわけなんです。そのとおりに考えております。ただ、税制調査会なんかが何万円と言っておりますが、これはどういう意図か、まだ確かめておりませんけれども、私はそういうふうに理解しております。
  125. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御発言もなければ、両案につきましては質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。     —————————————
  127. 徳永正利

    委員長徳永正利君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま栗原祐幸君が委員を辞任され、その補欠として山本茂一郎君が選任されました。以上でございます。     —————————————
  128. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 討論の通告がございますので、これを許します。賛否を明らかにしてお述べを願います。
  129. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は、日本社会党を代表して、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案並びに外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案に対し、反対するものであります。  アジア開発銀行への加盟を通じてわが国が寄与しようとしているアジア極東地域内低開発国の経済開発の促進ということでありますが、そもそも、わが国がアジアの一員として、アジア諸国とのきずなを深め、開発途上にある国々に経済協力の手を差し伸べ、ともに繁栄と平和の喜びを分かち合うことは、まことに望ましいことであり、わが党としてもいささかも異論をはさむものではないのであります。  しかしながら、わが国情を顧みますと、アジアにおける先進国とはいえ、その飛躍的な経済成長の陰には、貧弱な社会保障制度のもとに生活の苦汁をかみしめる身寄りなき老人、身体障害者、母子家庭等があります。また、漫性的な資金不足にあえぎ、倒産常ならない数多くの中小零細企業が存在するのであります。それだけに、海外経済協力に臨む態度は、あくまでも厳粛かつ慎重でなければならないと思うのであります。万一その方途を誤り、国民の血税になる貴重な財政資金を真に生かすことができないような結果を招来するならば、せっかくの英慮も百害あって一利なしとなるのであります。  アジア開発銀行はあくまでも金融機関であって、しかもアジア的であるという基本的性格を持つものといわれております。また、関係加盟国間の政治的性格に影響されない純粋に経済ベースの活動を行なうものと説明されておりますが、その性格がゆがめられ、その運営を誤るならば、これは真にアジアの繁栄に役立たないのみか、かえって民生の安定を阻害する要因となるおそれなしとしないのでありまして、アジア開発銀行の指向する域内経済の調和ある成長や貿易の拡大は、砂上の楼閣に帰するのであります。  そこで、域外先進国の加わるこの種機関の創設に際し、最も重要なことは、アジアの自主性の確立であります。委員会における審議を通じましても、この点必ずしも明確ではなく、これが真にアジア諸国の発想に基づくアジア人のための機関として十分にその機能を発揮するものであるか、多分に疑念が残るのでありまして、自主性のないところに性格の純粋性や運営の適正を期待することは、木によって魚を求めるほど困難なことであります。  また、アジア開発銀行が、ここ数年来の懸案であったとはいえ、そのよって立つ協定は雑然としていて体系を欠き、また、審議を重ねても一向にその業務の構想に具体性が見出せないのであります。大口資本参加国として、はたまたアジアにおける先進国として重要な役割りの課せられるわが国として、これが創設、加盟に対してどれだけ慎重な態度で臨んだか、はなはだ心もとないのであります。  わが党の低開発国援助に寄せる期待が大きいだけに、このアジア開発銀行への参加には大きな不安をぬぐい去ることができないのであります。  これがアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案に反対する理由であります。  次に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案についてでありますが、そもそも、外国為替資金特別会計において、外国為替資金を構成する原資のうち一般会計からの繰り入れになるいわゆるインベントリー・ファイナンスは、過去において所要資金の調達を一般会計の租税収入に求めたものであり、超均衡財政下におけるインフレ抑制の役割りを果たしてきたものであります。いまこの資金を取りくずし、再び一般会計に戻入して使用しようとすることは、本格的な公債政策の登場によってインフレの様相を濃くしている現下のわが国財政、経済にとっては、決して好もしい措置とは考えられないのであります。すなわち、将来、外国為替資金特別会計の資金繰りの上、円資金の調達が必要となった場合、その資金は外国為替資金証券の発行という借り入れ政策に求めねばならず、これがインフレ助長の要因となっても決してその歯どめとしての役割りを果たすものではないのであります。  また、外国為替資金特別会計の昭和四十一年度予定損益計算書によると、当年度の借り入れ金利子と運用収入は逆転し、利益金の激減が見られるのであります。減益には種々の要因のからみ合いがあるとはいえ、そこに無利息資金であるインベントリー・ファイナンス取りくずしの影響を看過することはできないのであります。対外取引の不確定要因を一応考慮に入れて考えても、いやしくも会計運営上その収支採算のブレーキになるような方策はとうてい納得できないのであります。  一見、財政資金の効率使用として運用の妙を得ているかに見えるこの措置が、外国為替資金特別会計の将来に問題をはらむのみか、むしろその健全な運営にそごを来たす可能性の芽を植えつけるがごときことは、まことに場当たり的であり、安易な措置と申さねばなりません。これが本改正法案に反対する理由であります。  以上の理由によりまして、わが党はこれら二法案に反対するものであります。以上をもって討論を終わります。(拍手)
  130. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私は、自由民主党を代表いたしまして、この二つの法案に賛成をするものでございます。  第一の、アジア開発銀行でございますが、これはアジアまた極東の各国の経済の発達、貿易の拡大、また地域の開発等に資するために、アジアの自主性をもって設立される銀行でございまして、特に開発途上にある低開発国においては、非常にこの期待が大きいのでございます。  わが国といたしましては、アジアの繁栄または平和のために、これを念願してまいったのでございますが、いままでも経済協力また援助を行なってまいりましたわが国としては、この銀行の設置に加盟いたしますことは、まことに有意義のことと思うわけでございます。かようなわけでございまして、今回のこの法案は、わが国が十億ドルのうち二億ドルを出資する関係のための措置の法案でございまして、必要な処置と思うわけでございます。  次に、外務為替資金特別会計でございますが、この一つは、ただいまのアジア開発銀行に出資する資金、また四十一年度における一般会計への資金を、いわゆる外国為替関係のインベントリー・ファイナンスから、これを取りくずして一般会計に入れるという措置でございまして、現在わが国の財政は公債を発行しておるような状況でございまするので、これも適切な処置と思うわけでございます。  また、第二の、対韓特別決済勘定の貸しを、日韓協定の経済第二議定書によりまして、これを損失として措置するために、やはり外為のインベントリー・ファイナンスを減額措置するということになるわけでございまするが、これは単なる会計上の勘定整理でございまするので、これまた妥当の措置と思うわけでございます。  かようなわけで、私は、わが党を代表して、両法案に賛成をいたすものでございます。(拍手)
  131. 中尾辰義

    中尾辰義君 私は、公明党を代表して、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案に賛成をし、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案に反対をするものであります。  アジア、極東地域の経済開発がおくれ、なかんずく東南アジアにおいて食糧事情が困窮しておる今日、わが国がアジアの先進国として、アジア開銀を通じてこれらの地域の経済開発と民生安定に寄与することは、南北問題解決への一歩前進ともなり、道義的にも当然の行為であると考えられるのであります。  しかしながら、アジア開銀の業務運営にあたっては、ベトナム紛争のおりから、常に経済的平和的観点に立って参画し、いやしくも政治的、軍事的に左右されることのないよう強く希望し、アジア開銀への加盟措置法案に対して賛成をいたします。  また、外国為替資金特別会計から四十一年度の歳出財源として百六億九千二百万円を一般会計へ繰り入れることについては、新年度予算が多額の公債発行によるインフレ予算としてわが党は反対をしてきたものであります。したがって、外為会計のインベントリーを取りくずし一般会計の財源に充当しようとする措置は、この予算と一体をなす意味において反対せざるを得ないのであります。  なお、日韓経済協力協定の第二議定書に基づき、日韓オープン勘定残高の処理方法として、韓国から要請があった場合、外為資金の減額整理に関する規定を設けたことについては、それが単なる会計上の勘定整理であって特に問題はないのでありますが、わが党は同協定には時期尚早であるとして終始反対してまいった経緯にかんがみ、賛成いたしかねるのであります。  したがって、このような要素を含むこの外国為替資金特別会計の一部を改正する法案に対して、わが党は反対の意を表明するものであります。
  132. 片山武夫

    片山武夫君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題として出されましたアジア開発銀行設立に関する国内二法案に対し、賛成の立場で討論を行ないます。  まず第一に、この問題は、従来からわが国が率先して本銀行実現のために積極的な役割りを果たしてきた国際的な立場を一応是認したいと思うのであります。  第二には、アジアにおける後進諸国の経済発展は、これは一刻を急を要する問題であろうと思います。わが国の繁栄と平和はここから第一歩を踏み出すものと信じます。同時に、それらの参加国は、この銀行の発足に多大の期待を寄せており、同時に、この銀行の活動は日本の国益に合致する、かように考えるからであります。  最後に、このアジア開発銀行の運営にあたりましては、たまたま総裁がわが国から選出される可能性が強いというような現状から、協定にあるとおり、政治的中立と公正なる運営を厳に守るよう万全の配慮を強く要望したいと思います。(拍手)
  133. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、以下に述べる理由により、ただいま議題となりましたアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び外為資金特別会計法改正案の二法案に反対するものであります。  反対理由の第一は、このアジア開発銀行の真のねらいは、アメリカ帝国主義とこれに従属する日本の独占資本が進めているアジア侵略政策の重要な一環であるからであります。このことは、私が本委員会でもすでに具体的事実をあげて指摘したところであります。すなわち、このアジア開銀は、アメリカのベトナム侵略の拡大に伴い、事実上アメリカによって設立されるものであり、また、加盟国の構成や出資額の内訳などから見て、アメリカ日本が決定的発言権を持っております。また、日本をはじめ加盟国の多くがアメリカのベトナム侵略戦争に積極的に加担している現状を見るならば、アジア開発銀行が、アメリカのアジア侵略に奉仕し協力するものであり、また中国封じ込め政策の一環であることは明瞭であります。そしてこれに協力することによって、自己の対外進出を目ざす日本独占資本の要求にもこたえるものであります。  反対理由の第二は、あなた方の言ういわゆる低開発国援助なるものは、戦後帝国主義の植民地支配のくびきを断ち切って独立をかちとった諸国が、自国の経済建設を進め、真の独立を達成するために奉仕する経済援助ではないということであります。言うまでもなく、これら諸国の経済的立ちおくれの根源は、日本をはじめ帝国主義諸国の長い間の植民地支配による略奪にほかなりません。あなた方の言う経済援助とか低開発国援助というのは、これら諸国の真の独立をおそれ、その経済的自立を妨害し、これら諸国を依然として自己の植民地的支配下に縛りつけておこうとするところに真の政治的なねらいがあるのであります。このことはもはや世界の常識になっており、一月にハバナで開かれた三大陸人民連帯会議の決議においても明確にされております。アジア開発銀行はまさしくこの新植民地主義の一環をなすものであります。  現在、日本国民は低賃金と重税、とめどもない物価高騰にますます生活を脅かされ、中小企業倒産はあとを断たず、一家心中の惨事が相次ぎ起きております。こうした現状を放置しておきながら、かかるアジア開発銀行に多額の出資を行なうことをわが党は断じて許すことはできません。  また、日本の韓国に対する焦げつき債権と無償援助とを相殺するために、外為資金特別会計を利用する件についてでありますが、問題の中心は、この無償援助が韓国で一体どのように使われているかであります。昨年の日韓国会においてわが党は、アメリカのベトナム侵略と関連し、韓国に対する有償無償の援助資金、経済協力資金が必ずアメリカの軍事目的のために使われることを指摘したのでありますが、その後の事実が証明しているように、韓国は日本の提供する援助によって引き渡された原料、資材を国内で加工し、ベトナム特需として送っているのであります。このようにアメリカ帝国主義者によって殺され、血を流したベトナム人民の痛ましい犠牲の上に築かれた日・韓・ベトナムの三国貿易こそ、まさにおそるべきものであり、アジアの平和にとって断じて許すことのできないものであります。  今度の外為法の改正は、その一環としての財政措置であります。  わが党は、以上の諸点を主たる理由として、二法案に反対するものであります。
  134. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 他に御意見もなければ、両案につきましては討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより各案につきまして順次採決に入ります。  まず、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  136. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  137. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案につきまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回の委員会は、公報によって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会