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委員長(
大矢正君) この際、私からも
事故の
原因につきまして、
保安局長に一、二点質問いたしたいと思いますが、
事故が
発生をいたしました際に、推測をしたり推理によってこの
事故原因というものを示すことは、将来の石炭産業にとりまして私は非常に問題があろうかと思います。でありますけれ
ども、
住友奔別
炭鉱におきまして
事故が
発生をいたしたとしても、日本全国の
炭鉱の中では岩石
坑道の掘進その他
ハッパをかけて
作業をしなければならぬような状態があるわけであります。そこで、大事なことは、なるほど
事故が
発生をいたしました際に、ここにこういう欠陥があり、こういう不備な点があったから
事故が起きたのだというきめつけ方は、十分の
調査を行なった上においてなされなければならぬことは当然でありますけれ
ども、しかし、私
どもも考えなければならぬことは、いま申し上げたとおり、全国各地では毎日
作業しているわけでありますから、その
作業している人々に対して一種の警告が必要であろうと、こう私は思うのであります。ですから、私も三日の日に
現地を訪問いたしまして、内容も若干知ることもできました。ただその際に、私が三日の夜
現地から東京に帰ります際のテレビでは、この
爆発の
原因となるべきものは、
引き立てにおける
ハッパ、この
ハッパが
火源となって
爆発事故が起きたのではないかということをテレビで盛んに報道しておったのであります。そうなってまいりますると、われわれこの
国会の場に籍を置く者が、何ら表明をすることができなくて、テレビ、
新聞報道等がこの
事故原因なるべきものを報道するというような結果になってしまいまして、非常に国民から疑惑を招く問題でもあろうかと私は思います。
したがって、私か申し上げる
——これはあくまでも私は自分でその
現場に入って
調査したわけではありませんが、考えてみましたところによりますると、電源その他の火原と思われるものがないとすれば、やはり
引き立てにおける
ハッパが
火源となり、適量の
ガスがあったために
爆発事故を起こしたのではないかという判断を持たざるを得ない。しかし、今日職員がついており、
作業をしておるのでありますから、
ハッパをかける際に、事前に
ガスの測定をしないということはまず考えられない。したがって、
ハッパをかける前に
ガスは測定をされ、そして
ガスか少ないから、
ハッパはまあだいじょうぶであろうということでかけたには違いないと思うのでありまするが、しかし、先ほど
保安局長の
説明のとおり、
ハッパのかけ方も一発で全部完了するわけではない。二段、三段の
ハッパがあるわけでして、そういう点から想像されることは、第一回目の
ハッパをかける際に、なるほどこれは
ガスの測定をしたかもしれない。しかし、二発目の
ハッパをかける際に、
ガスの測定をしないで、そのまま第二発日の
ハッパをかけたために、
ガスが若干突出して、それに引火をして
爆発を起こしたという、そういう推理が成り立つわけであります。しかし、これはあくまで私の
調査をした内容ではありませんが、いずれにしても、万一そういうことも考えられるとすれば、
坑内の係員たるべきものは、十分
ガスの測定をしない限り、こういう
事故が突発的に起こり得るということが想像されるのでありますから、やはりこの際、私の申し上げるようなことも
一つの理由として考えられるとすれば、そういうことをこの席上で示すことによって、全国に働いている多くの人々の生命を守る上から、やはり
保安職員その他に対して徹底的に
保安確保に対する認識を高める必要性があるのじゃないかと、こう思うのであります。
従来の
爆発事故というのは、たとえて申しますれば、
坑道の掘進が、言ってみますれば、切り羽の
準備よりもおくれるために通気が悪くなり、
ガスがたまる、あるいは
ガス抜き、
ガス排除が行なわれていない、こういうようなことが比較的
ガス爆発の
原因となって、非常に複雑な要素によって
爆発事故というものが起こっておるのだが、今度の場合には零コンマ台の
ガスしかない。
ガスがないということは
爆発する理由がない。やはりそうすると、あくまでも
引き立てにおける掘進の結果によって若干
ガスが停滞をした、その停滞をした
ガスにたまたま
ハッパの火が引火をしたということが想像されるわけでして、そういう点について先ほど
阿部委員からの質問がいろいろありましたが、私は当
委員会が若干なりともそういう議論を進めて、そういうことも今日の
炭鉱災害の中で、従来は
ガスのないところでもこのようにして
ガス爆発が起こり得るのだという危険性を
指摘して、全国の
炭鉱に働く人々に対して私は警告的な意味において申し上げる必要性があるのじゃないかと思うので、この際
保安局長の御答弁を
お願いしたいと、こう思うのであります。