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1966-11-07 第52回国会 参議院 石炭対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月七日(月曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員異動  十月二十六日     辞任         補欠選任      北條 雋八君     宮崎 正義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大矢  正君     理 事                 剱木 亨弘君                 小野  明君     委 員                 石原幹市郎君                 高橋雄之助君                 徳永 正利君                 豊田 雅孝君                 吉武 恵市君                 阿部 竹松君                 大河原一次君                 藤田  進君                 宮崎 正義君                 片山 武夫君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君        労 働 大 臣  山手 滿男君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        通商産業政務次        官        宇野 宗佑君        通商産業省鉱山        保安局長     森  五郎君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君    参考人        住友石炭鉱業株        式会社取締役副        社長       村木 武夫君        住友石炭鉱業株        式会社常務取締        役        川副 官次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (住友石炭砿業株式会社奔別砿業所爆発事故に  関する件)     —————————————
  2. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  去る十月二十六日、北條雋八君委員を辞任され、その補欠として宮崎正義君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 大矢正

    委員長大矢正君) 次に、参考人出席要求に関する件をおはかりいたします。  住友石炭鉱業株式会社奔別砿業所爆発事故に関する件について、本日、住友鉱業株式会社取締役社長村木武夫君及び常務取締役川副官次君の両名を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢正

    委員長大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 大矢正

    委員長大矢正君) 当面の石炭対策樹立に関する調査一環として、住友石炭鉱業株式会社奔別砿業所爆発事故に関する件を議題といたします。  住友鉱業株式会社社長村木武夫君から発言を求められておりますので、この際これを許します。村木参考人
  6. 村木武夫

    参考人村木武夫君) 私は、御指名を受けました住友石炭鉱業株式会社社長村木武夫でございます。  まず最初にお断わり申し上げる次第でございますが、本日、この委員会には、当然社長石松出席いたし、おわび並びに御説明を申し上ぐべきところでございますが、たまたま本日、現地の山元におきまして、殉職者合同葬をとり行なうことになりまして、これに参列いたしておりますので、私がかわって出席いたしました次第、御了承くださいますようお願いをいたします。  さて、去る十一月の一日午前二時三十分ごろ、当社奔別砿業所坑内において発生いたしました事故によりまして、十六名のとうとい人命を失い、五名の負傷者を出すに至りましたことは、国会政府関係官庁並びに関係先皆さま方に多大の御心痛と御迷惑をおかけいたし、ただただ恐懼の至りでございまして、衷心から深く深くおわび申し上げる次第でございます。  時あたかも、参議院及び衆議院をはじめ、政府当局関係先におかれましては、石炭鉱業の自立安定のために特段の御苦心をいただいておりますさなかに、かかる事故を惹起いたしまして、炭鉱保安について世論に動揺を与えました責任の重大さを痛感しておる次第でございます。  いまさら弁解がましくはございますが、当社は、つとに社是として保安第一主義に徹し、坑内における保安構造の確立、ガス炭じん対策等施設面の改善、従業員保安訓練及び保安のダブル・チェック・システム等に力を注ぎまして、また本社の保安部札幌に移しまして、現場に即応した保安監督の体制を確立する等、保安の確保に最大の努力を傾注してまいりました。しかも、なおかかる事故発生を見るに至りましたことは、まことに残念な次第でございますとともに、重ねて申しわけなく存ずる次第でございます。  今後は、今回の事故の轍を二度と踏まないよう、徹底的な保安施策と教育に万全の対策をいたす覚悟と決意でございますので、関係各位の御指導を伏してお願い申し上げる次第でございます。  なお、今般とうとい犠牲者になられました十六名の方々及び負傷者並びに御遺族に対しましては、会社といたしまして誠意をもって対処し、できるだけのことはいたす所存でございます。  以上をもちまして、一言おわびのごあいさつといたします。  なお、技術並びに保安担当重役川副常務が私のほかに参考人として出席いたしておりますので、技術面につきましての御説明川副常務にいたさせるつもりでございますので、御了承願いたいと思います。
  7. 大矢正

    委員長大矢正君) それでは、政府側から報告を求めます。宇野通商産業政務次官
  8. 宇野宗佑

    説明員宇野宗佑君) まず最初に、ごあいさつを申し上げたいと思います。  先般の改造におきまして、通産政務次官に就任いたしました宇野宗佑でございます。今後よろしくお願いを申し上げます。  先般、奔別炭鉱災害調査団長として参りましたので、その御報告を申し上げます。  災害発生日時昭和四十一年十一月一日二時三十分ごろであります。発生個所奔別砿マイナス六百二十五レベル第一東九番層坑道引き立て付近であります。罹災者死亡者十六名、重傷三名、軽傷二名、計二十一名でございます。ただし、調査団が参りました一日現在におきましては、死亡者十六名のうち、九名は行くえ不明でございました。  次に、当砿の操業概況を申し上げます。当砿は幾春別夾炭層を稼行し、坑内奔別区域及び弥生区域に大別され、奔別区域立て坑によりマイナス五百五十レベルに至り、さらに中央斜坑によりマイナス六百二十五レベルマイナス八百五十レベルに展開し、現在はマイナス六百二十五レベル地並み主要稼行区域になっております。奔別区域は緩傾斜弥生区域は急傾斜炭層の採掘であり、炭質は一般炭であります。出炭量は、昭和四十年度百十万七千トン、昭和四十一年度百二十万トンであります。  次に 災害状況を申し述べます。マイナス六百二十五レベル旧九番層払いは、断層のため第一立ち入り付近で中止し、該払い風道昇りより約二百メートル奥部において、マイナス五百五十レベルないしマイナス六百二十五レベル間に九番層卸を設け、払い準備中でありまして、マイナス六百二十五レベル第一東九番層坑道は、九番層卸分岐より約百八十二メートル進行して掘進中であったのであります。  災害当時、災害発生した奔別区域三区内において作業に従事しておりました者は八十二名でありますが、そのうち六十二名は無事脱出いたしましたが、三名が重傷、一名が軽傷を負い、残り十六名が行くえ不明となられたのであります。  災害発生後、鉱山救護隊等によりまして救出に全力を傾注いたしました結果、二日二十二時五分を最後に全員の遺体を収容いたしました。なお、救出作業中、一名が軽傷を負われました。  崩落状況であります。お手元の資料にも添付いたしておりまするし、あそこにも張ってありまするが、災害説明図に示すように、約四百四十メートルの坑道にわたり、ワク上約一メートルないし一メートル二十センチの崩落が認められております。なお、崩落個所における倒ワクの方向は、ほぼ奥部より坑口側に向かっております。  次に、火炎範囲でありますが、マイナス六百二十五レベル第一東九番層坑道におきましては、旧九番層払い風道昇り口より人気坑口側百五十三メートルまでの間に焼痕が認められました。なお、第一東九番層坑道の旧九番層払い風道口より奥部につきましては、崩落等のためいまなお未確認でございます。マイナス五百五十レベル第一東九番層卸においては、マイナス五百五十レベル坑道卸口より六十メートルの範囲は顕著な焼痕は認めれておりません。また、それ以上深いところは崩落のために未確認でございます。  次に、災害原因について御報告申し上げます。災害原因は、鉱務監督官によりただいま調査中でございますが、災害後の状況火炎範囲罹災者状況崩落状況マイナス六百二十五レベル東九番層坑道引き立て付近状況等よりいたしまして、ガス爆発と推定されておりますが、濃厚な可燃性ガスが存在した理由及び火源等につきましては、今後の調査をまたなければ断定できないと存じます。  災害に対しとった処置は、災害の急報を受けました札幌鉱山保安監督局におきましては、直ちに石炭課長以下十二名の鉱務監督官現地に急行いたしまして、罹災者救出作業の指揮に当たり、現在、原因を究明いたしております。  政府は、十一月一日、災害勃発当日に私を団長といたしまして、通産労働両省担当官よりなる奔別炭鉱災害調査団現地派遣いたしました。そして災害調査並びに対策推進をはかったのであります。  われわれの調査団調査終了後には、札幌市におきましては現地関係各官公庁よりなる奔別炭鉱災害対策連絡会議を設け、主として今後の医療対策遺家族対策に関する連絡推進に当たりました。  なお、医療関係でございますが、一酸化炭素中毒患者発生が当日予想されておりましたので、高圧酸素治療器出動方につきまして、労働省北海道衛生部及び札幌医大連絡し、高圧酸素治療器は一日午前十一時に現地に到着、負傷者治療に使用されまして所期の目的を達しつつあるわけでございます。  なお、通産大臣は十一月四日に現地を視察なさいました。  以上をもちまして、政府調査団長といたしましての報告を終了いたします。
  9. 大矢正

  10. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 住友石炭鉱業奔別砿業所における爆発事故に対しまして、労働省のとりました措置につきまして御報告申し上げます。  労働省といたしましては、災害発生後直ちに被災者医療対策補償災害原因調査などの措置に当たらせるため、北海道労働基準局及び岩見沢労働基準監督署の係官を現地に急行させるとともに、高圧酸素治療器等医療器械現地搬入について手配するよう指示した結果、ただいま調査団長から御報告がありましたように、災害発生当日十一時には高圧酸素治療器の搬送が完了したという経過をたどっております。  なお、万一の場合に備えまして九州小倉労災病院にございます高圧酸素タンク空輸方につきましても手配いたし、待機を命じたのでありますが、患者発生数が少なかったために、これは待機にとどまったわけであります。  次に、政府派遣する奔別炭鉱災害調査団員といたしまして、労働省労働基準局労災補償部補償課長及び同局労災防止対策部中央産業安全専門官現地派遣いたした次第であります。  次に、医師等派遣及びその活動について申し上げますと、災害発生後、直ちに美唄労災病院より若松院長及び古屋神経科部長岩見沢労災病院より児玉医師等現地に急行せしめました。また先ほど申し上げました高圧酸素治療器による治療に当たらせるため、札幌医大に対しまして、専門医師派遣を要請した結果、同大学より医師二名の派遣を受けたわけであります。  次に、救急医療対策一環といたしまして、災害発生後、直ちに救急医療品の配付の手配を行なった次第であります。  次に、被災者治療についてでありますが、被災者のうち、入院療養を要する者五名につきましては、奔別砿業所付属病院に収容し、一酸化炭素中毒疑いのある者につきましては、高圧酸素治療器による治療を行ない、現に行なっておるような次第でございます。  次に、入院患者以外の関係者健康診断についてでありますが、自力脱出者及び救護隊員八十二名につきまして、十一月二日、精神科医師三名及び内科の医師三名、計六名による医師団によりまして、健康管理の万全を期するために、一酸化炭素中毒を中心とした健康診断を実施した次第でございます。  今後の医療措置として考えておりますのは、健康診断の結果、異常のある者につきましては、奔別砿業所付属病院において治療いたすわけでありますが、同病院において医療措置の困難な者については、美唄労災病院に移すこととし、治療の万全を期しておる次第でございます。  最後に、遺族補償について申し上げますると、不幸、死亡されました十六名の方々遺族に対しましては、できるだけすみやかに遺族補償措置を講じますために、所要の予算措置をすでに講じておりまして、十一月十日支払いを目途として、岩見沢労働基準監督署において支払い準備を進めておる次第でございます。  簡単でございますが、以上をもって御報告といたします。
  11. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいまの報告に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいま、通産政務次官宇野さんから、今回の奔別災害について報告をいただいたわけですが、次官は、御多忙中に現地に直ちに出かけられて、その後の対策調査あるいはお見舞い、こういうことをなさっておいでになったわけですから、ほんとうに御苦労さまでしたが、私はいやみでなしに、いまの御報告を聞いて、新聞報道以外に一つもないですね。もう少し懇切な説明をいただきたい。たとえば奔別炭鉱災害説明図という、略図でしょうが、図面が掲載されておる。いろいろラインが明示されておりますが、私は最下部ラインの一番右翼の地点爆発地点だというように、専門家でありませんけれども、こう思うのです。あなたはどう見られたかわかりませんが、そう思う。その原因が、ガスか何かということは、これはわからぬはずがないわけです。自動車事故と同じ程度の今度の災害原因ですよ、自動車交通事故と。あるいは三池とか、あるいは山野とか、北炭夕張とか、空知とか、伊王島、たくさん爆発ございます。しかし、そこへ行くと、なかなか一日や二日調べても一結論が出ないということはわかりますが、これはきわめて単純災害ですよ。炭じんでなくて、単純な事故なんです。犠牲者は多いわけですが、きわめて原因は明瞭だと思う。ですから、ガスがどのくらいあって、その当時どうやったかというような御説明がなくては、私ども一質問したり、意見を申し上げることができない。もう少し詳しく御説明願いたい。
  13. 宇野宗佑

    説明員宇野宗佑君) 専門的なことに関しましては、局長より図面によりまして御説明をいたさせたいと思います。
  14. 森五郎

    説明員森五郎君) それでは、図面によりまして、災害当時の状況を御説明さしていただきます。  事故の起きましたレベルは、先ほど御説明申し上げました六百二十五メーターレベルでございますが、これに参りますには、ここにちょっと略してございますが、こちらのほうに立て坑があります。立て坑マイナス五百メーターまで下がります。それから斜坑マイナス六百二十五まで降りますが、このずっと先のほうに斜坑で上がって、立て坑で地上に出る。こういう坑内構造であるわけでございます。  それで、ここはちょっとややこしいのですが、層が二枚ございます。下のほうに十一番層払いというのがあり、その上に九番層払い、これはいま休掘をしておりますが、先ほど政務次官が御説明になりました断層にぶつかってやめたというのがこの払い、この十一番層払いの上にあるわけでございます。そこで、こういうふうにずっと坑道を堀ってきまして、ここで九番層をこう堀ったんですが、断層のために、今度はもう少し進んだここで払い準備をしておったと、こういう状況でございます。その状況は、こういうふうに坑道沿層で掘ってまいりまして、同時に排気側沿層で掘ってまいります。これを上から下へ下がって、ちょうどこの払い、ちょうど将来払いの面になるこれができ上がっておったという状況でございます。したがって、まだこの坑道は普通の払いよりも若干狭いような払いになっておる。したがって、この沿層坑道はずっとこう延びておりまして、百八十二メーターから延びておった。したがって、この排気はすぐ風道につながりまして、これから専用風道を通りましてこの風井に抜ける、こういう坑内構造であったわけです。  そこで、災害当時の状況でございますが、この赤じるしにバツバツと書いてございますのがここでなくなられた方、死体を確認された場所でございます。したがいまして、若干違いますが、当時の配番状況は、罹災状況とほとんど同じ、たとえばこの引き立てにおきましては鉱員三名と係員一名が、ここにはステーブル座鉱員玉名が入るわけでございます。それからこの払い準備に至るこの坑道に仕繰りの鉱員が二名というような状況であった。  そこで、いま阿部先生から非常に単純な事故ではないかというお話がございましたが、この前の事故が起きましたのは三番方でございますが、二番方では、大体この辺のガス状況はコンマ七%程度であったということでございます。ここに局扇——局部扇風機がございますが、これがずっとこの引き立てまで延びておりまして、ここで風を吹かして、ここへ出てくるガスを排除するというやり方でこの掘進を行なっておったわけでございます。これは十馬力局扇でございますから、おおむね一分間二百立方程度の風が出ておったものと解釈されるわけでございますが、そういう状況から見まして、要するにガス爆発であるという推定をいたしたのですが、ガス爆発のためには、ガスが五%以上濃厚にたまらなければならないという一つの条件がございます。  なお、それに何かの火源があるかということでございますが、目下調査中でございますけれども、いま私が申し上げましたような状況で、なぜ三番方において爆発するような五%以上の濃厚なガスがたまったかということについて——事実爆発しているわけですから、その辺が目下調査中であり、現在のところまだわかっておりません。もう一つ火源のほうですが、これも現在まだ引き立て附近を全部取り明けいたしておりませんが、ハッパが行なわれておるようでございます。これは一部か全部かまだ判明いたしませんが……。と申しますのは、ハッパやり方は、前面にハッパをかける場合もあります。あるいは二段にハッパをかけるという場合もある。なお、ちなみにこの坑道の大きさは、十平米でございますので、そういう大きな坑道ですから、二段でかけるという場合も考えられるわけであります。その辺は、この引き立て附近を全部取り明けまして調査をいたしますれば、どういうことか判明いたすわけでありますが、いずれにしても、そういうことで、ハッパ火源としては一番疑いが濃厚であるというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、それ以外電気は、ここに局扇があるだけでありまして、あとは何も電源は——電気は入っておりませんから、電気の必要がある所とは非常に考えにくいわけでありまして、目下のところハッパが一番疑いが濃厚であるということでございますが、これの断定は、先ほど政務次官から御説明ございましたように、現在のところ断定するのはちょっと差し控えたい、こういう状況でございます。
  15. 阿部竹松

    阿部竹松君 断定はできぬとおっしゃるけれどもハッパ以外に何かあるのですか。ハッパ以外に想定される火源がないわけです。それと同時に、たばこを吸っても安全なように坑内はやっているわけです。しかし、現実としてたばこを吸ったり、マッチをすることは許されない。しかし、火気があっても爆発する所でない所に爆発しているわけですから、その火の原因ハッパしかないわけです。  それともうひとつ、これは夕張爆発のときの論争だったと思いますが、当時の保安局長さんは、風管ビニールなんですから、二百立方程度出ていたといっても、ハッパをかけると、右か左十センチぐらいで、二百立方の風力の効果をなさぬわけです。そういう夕張爆発のときに、直接ビニール管関係はなかったということですが、作業現場では風管ビニール管を使いませんと、法律的にきめたわけではありませんから、これは責め立てることはできぬかもしらぬが、そういうふうに私どもに約束しているわけです。法の改正とか何かやっていれば、問題なくこれはけしからぬということになるが、しかし、これは国会論争の中でそういうことをしているのです。ビニール管ですから、やっぱり鉄と違います。ずっと二百立方以上でも右左ちょっと傾いただけでも、百になり百五十になるわけですから、こういうことは、単に二百立方ということでは私は了承できません。
  16. 森五郎

    説明員森五郎君) ハッパ以外にいかなる火源が考えられるかということでございますが、これは理論的な背後はないのですが、いま先生が御指摘になったたばこの火もございます。これはまあ、しかし爆発状況を考えまして、これはおそらく考えられないことであります、あとはキャップ・ランプの火花とかあるいは迷走電流というようなものも考えられますが、いずれもどれは今度の爆発火源としては非常に可能性の薄いものではないかというふうに判断を現在いたしておるわけでございます。  それから、ビニール風管が非常に云々と先生から御指摘がありましたが、これは私ども調査をいたしたいと思いますが、前保安局長が使わないというようなことを申し上げたのは、これは私の現在の想像でございますが、ビニール圧気管ではなかろうか。非常に高圧空気を送る管に使用いたしますと、かりに漏れたりいたしますと、そこで静電気が起こります。したがいまして、静電気のために火源になるということで、圧気管には、そういう高圧空気を扱うようなものには、ビニールを使わないほうがいいことになっておるわけでございます。なお、この風管は、先ほど申しました十馬力程度でございまして、二百立方メートル程度のものでございますから、ビニールは非常にこわれやすいという阿部先生の御指摘でございましたが、普通、炭鉱で使っております局部扇風機風管はほとんど現在ビニール風管で、ビニールと申しましても、その中にナイロンで補強もいたしておりますし、中に鉄のリングも入っておるわけでありますから、そうそう常時使っておるときにこわれやすいというものではございません。非常な爆発が起きますと、これはもちろん焼けたりあるいは吹っ飛んだりすることは、爆発でございますから、いたし方ないと考えております。
  17. 阿部竹松

    阿部竹松君 恐縮ですが、先ほどの住友村木さんにお尋ねいたします。  正確な数字はわかりませんけれども通産当局へお伺いしたところが、先々月の奔別、砿業所出炭量は七万五千トン、その次は九万五千トン、毎回毎回災害が起きるたびに、生産第一主義というような論争をやっておりますが、これを繰り返したいと思いませんけれども、とにかく一つの山で一カ月に二万トンも増産されたということについては、これはたいへんなことなんです、一般レベルから見まして。  それから、いまの劈頭のおことばのあげ足をとるわけではありませんけれども住友社是として、保安第一主義であるとおっしゃった。かつて数年前、赤平で大事故が起きたり、また今度の事故が起きたり、そういうことを考えて、生産と関連して、全然関係ないもあかどうか。まさか石松社長の命令で、生産第一主義で、保安をさぼれと命令したかどうか知りませんが、次から次と災害が起きますと、やはりあとから、わが社の社是保安重点主義であると言っても了解できない。ですから、なぜ二万トンもできたかということを、大ざっぱでけっこうですから、御説明いただきたい、
  18. 村木武夫

    参考人村木武夫君) 奔別砿業所の奔別坑は断層が非常に多くて、それでお話のように、断層にぶつかって出炭が非常に落ちたことは事実でございます。しかし、だんだん断層も少なくなってまいりまして、断層の少ない個所のほうに移動していきましたので、生産がふえたというふうに私は了解いたしております。  それから、生産第一主義で、保安あと回しじゃないかというようなお話がございましたが、私どもは、生産保安というものは、二律相反するという考えは全然持っておりません。生産保安というものは一緒のものであるというふうに考えております。そういう関係もございまして、石炭の経営状態は必ずしも楽ではございませんが、昭和三十八年に比べまして、昭和三十八年を一〇〇といたしますと、昭和三十九年が一四七%、四十年には一三三%、昭和四十一年には一六三%というふうに保安に対する直接の投資を苦しい中からいたしております。そういうことで、どうも生産第一主義なるがために保安が無視されるというような御懸念のようでございますが、私どもは、生産保安というものは、二律相反するものではない、保安がなくして生産はないというふうに固く信じております。そういう点では生産に拍車をかけたために保安が留守になったというふうには考えておりません。
  19. 阿部竹松

    阿部竹松君 どなたにお尋ねしても、生産保安とは全然別個で、生産重点主義ではございません、こういう御答弁なんですが、私どもが乏しい資料でわずかな時間に調べるわけですから、はっきりわからぬまでも、いつも災害が起きた個所の生産量、生産高個人能率、これを調べてみると、ずっと上がっている。そうすると、事故の率、災害の率、即生産高になっているわけです。したがって、科学的に研究したわけじゃございませんけれども、私どもはどうも、生産保安とは違いますよということをここで何十回聞いたかわからないが、しかし現実の問題として、数字が示すわけでございますが、これは何とも明確にならぬかもしれませんが、これはもう一度保安局長にお尋ねしたいし、それから住友さんは住友さんなりに別個な立場で、統括者から保安掛がいるわけですから、別個な立場で事故調査をやっていると思います。まだわかりませんという答弁をするかもしれないが、住友さんが技術を総動員して調べた結果は、その結論出ておりませんか、現地災害原因ですね。
  20. 川副官次

    参考人川副官次君) いまの質問に対してお答えいたしますが、現在災害個所は立ち入り禁止になっておりまして、そういうことで具体的な調査をすることはできないのでございます。したがって、さっき保安局長から申されたとおり、いろいろな組み合わせによって災害が起こりますので、いまの段階は、こういう原因災害が起こりましたというような段階ではございません。
  21. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産大臣にお尋ねいたしますが、通産大臣におなりになってからまだ一年しかならないわけですが、過去何度もこういう災害がありまして、保安監督官を増員する、あるいは待遇も悪いということで、何度か論争をいたしました。しかし、なかなか保安監督官はふえませんけれども、九州、北海道、あるいは常磐、山口等を含めて、山の数が減る、それと同時に坑道が短くなる。したがって、山が半分になり、坑道が半分になれば、保安監督官は現状どおりであっても、倍監督できるということになりますね。人間はふえないけれども、山が半分になり、坑道が半分になれば、倍監督できるということになる。去年二十名ふやし、またことし五十名要求されているようで、相当現地の指導なり監督ができるはずですが、さっぱりよくならぬ。ことしも大きな事故は北炭の空知とこれが二度目ですが、正月から小さい災害は枚挙にいとまがない。これが現実ですよ。ですから、そういう点について通産大臣が直接にお聞きになっているかどうかわからないが、保安行政をどういうふうにお考えになっているか。現地に行っていろいろな方にお会いしたと思いますから、大臣の所信を伺ってから、それから質問を続けたいと思います。
  22. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私も現地で奔別の炭鉱に参りまして、病院ども見舞ったのであります。こういう災害が繰り返されるということに対して、非常に責任を感じた一人でございますが、しかし、この石炭保安の問題というものは、いま御指摘のような保安監督官という問題もありますが、これは保安監督も強化しなければならぬことは御指摘のとおりでありますが、こればかりでもいけない。私は夕張へ行って非常に感銘を受けた。阿部さんはそこでやはり保安の係をやっておられた。阿部さん、あなた自身、そのときには事故は何も起こらなかったということを話されておりました。現地の監督官ということもありますけれども、やはりどうしても経営者あるいは組合、現場を守っておる人たちが保安というものに対して、非常な用意周到な考え方を持って、できるだけの対策を講じていくということが私は出発点だと思う。これに対して、保安監督あるいはまた保安教育の面もありましょう。あるいは保安の機具に対して、政府は助成ということによって、そういう機具というものをみな所持することを義務づけるとか、いろいろ問題があると思いますので、保安監督官を増員するということだけで問題が解決できるほど単純なものではない。だから、経営者も組合も政府も一体になって、やはり保安というものに対する体制を強化する必要がある。政府も来年度の予算には、保安のために三十一億円の予算要求をいたしておりますが、できるだけ政府もいろいろな面で、これは助成をしなければならぬ点がある。こういう点でいろいろと反省をさせられたのでありますけれども、いま阿部さんから保安監督官の問題を御指摘になりましたので、それだけではない、これはもうみな一体となって解決をしなければ、なかなかこの問題は解決できぬ困難な課題であるということを、私は非常に考えさせられたという率直な自分の意見を申し述べておきたいと思います。
  23. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は通産大臣に、保安監督員を増加せいと言うのではございません。いままで何万キロ、何十万キロあったかわかりませんけれども、休山、廃山、閉山によって、山が半数以上減ったわけですから、いままで監督官が監督しなければならない、指導しなければならぬキロ数が半分、三分の一に減ったわけです。だから、山の数が三分の一に減ってしまったのですから、いままでは御苦労なさったわけですが、しかし、それほど減っているが、監督官が減らぬから、今度はいままでの倍以上監督なりあるいは現地指導ができるのではないか、こういうことなんです。  それから、あの坑道を見ましても、〇・七%しかガスがなかったと、こう言う。そうすれば絶対爆発せぬわけですよ。なぜ二時間か三時間のうちに、急激にガスが出てきたかということを、一つ一つ調べていけば、おのずとわかるような気がするのです。保安局長は、目下調査中で、疑われる節があるというあれですが、そういうあいまいもこなことじゃないのです。ガスはとにかく三%から一三%ぐらいまであれば爆発するわけですが、六%−九%の間が一番威力を発揮するわけです。ですから、あれを見ても、明確な、何の何兵衛がやったかということはわからぬでも、何が原因で、何があって、何が火源になったくらいはもうわかるはずです。わかってしかるべきです。それが、今日になってもわからぬということになると、あと永久にわからぬわけです。永久にわからぬ。ただそうであろうなんというインタロゲーションマークをとるかとらぬかということで、そこを私が言うておるわけですが、そこあたりが明確でない限りは、幾ら論議しても何にもならない。これは保安局長、いかがですか。
  24. 森五郎

    説明員森五郎君) 事故原因につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、われわれも阿部先生と同じように、前の方で〇・七%だったということ、それが急に三番方で爆発限界以上のガスになった。そこは先生がおわかりにならぬとおっしゃっておりますと同様に、われわれもそこは最もわからない点であろう。ここは状況を申しますと、炭層はずっと、あの図面によりますと、右のほうへ行くに従って若干立っている。それで変転をするという地質状況になっておるのです。なお、申しますれば、若干炭層の変位点に近くなってきておるというふうな状況でございます。そういう状況ですと、常識的に、先生御存じのように、いわゆるもめている地帯に入っているわけです。したがって、ガスが突然湧出する、ガス突出といわれるごく異常のガス湧出というようなこともわれわれは頭に入れておるわけでございます。したがいまして、そういった点につきましては、いま監督官が鋭意調査中でございますので、その調査を待って解明をしたい、こう考えておるわけでございます。
  25. 阿部竹松

    阿部竹松君 いま局長のおっしゃったガス突出であるか、ハッパ爆発が出たのかぐらいは、監督官が一週間もかかって鋭意調査せぬでもわかるわけです。しからば、あの現場は先進ボーリングをやっておったわけですか。
  26. 森五郎

    説明員森五郎君) 先進ボーリングは当時やっておらなかったようでございます。
  27. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういうことがすでに問題になるのであって、監督官が、あなたのおっしゃるような状況のところを先進掘進させる場合に、先進ボーリング何メートルやってはハッパをかけなさいという許可をしているはずです。全然住友のミスであるか、監督局のミスであるか、どちらかのミスである。先進ボーリング——段が入っておって、石があって断層がある。これは危険があるということはしろうとでもわかる。先進ボーリングをやっておらなかったということになれば、一軒の家に錠をかけておらぬと同じことだ。
  28. 森五郎

    説明員森五郎君) 結果から見ますと、先進ボーリングをやって、ガスの有無を確かめるという必要があったというふうに、これは結果論では考えられますが、まあ当時の状況から申しまして、そういうガスが従来からいってないところだから、先進ボーリングの必要はないという判断で、先進ボーリングはしなかったものと考えております。
  29. 阿部竹松

    阿部竹松君 ところが、職場におる大多数の人、その人たちは、四、五日前からそこが非常にやわらかくなったと。これは科学的証明はできませんね。ただ、一般に山に働いた、長年坑内に働く人のやっぱり経験ですからね。しかし、その経験も、やはりこれは坑内の場合は無視できないわけです。したがって、その人たちはそう言っておる。それから、ガスにしても、これはあやしいと言っておる。坑内ガスをはかる干渉計なり、あの計量器を持っているのは保安係員だけですから、ほかの人は、どうもいつもと空気の状態が違うとか、こういうことで経験でものを言っておるのであって、これは重要な証拠物件にはならぬけれども、そういうような現実がずっと前から来ておったわけですから、ですから、たまりにたまったしわ寄せが起きたんであって、一回にガスがどっと出てドンとやったのじゃない。しかし、あなた方の見解はそれと全然違うわけですか。
  30. 森五郎

    説明員森五郎君) ただいまお話しの、爆発の前における鉱員等の、たとえば山が少しやわらかくなったとか、ガスが出てきたんじゃないかというふうなことにつきましては、供述調書を目下聴取中でございます。そういったことも判定材料の中に加えまして判定をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  31. 阿部竹松

    阿部竹松君 何回やっても水かけ論争ですから、その原因が明確になった場合にあらためて委員長の取り計らいによって、もう一回委員会で論議させていただくことにして、小さい点を二、三点お尋ねして終わらせていただきます。  第一番目に、さいぜん三木通産大臣のことばの中にもございましたが、私も確かに保安掛で救護隊員だったのです。これは二十五年ぐらい前の話ですが、その救命器と称するものは、救護隊員の持っている酸素の入ったボンベをかついで坑内に入るわけですが、二十五年たった今日まで昔と全然変わらぬ。同じですよ。ハッパをかける発火器にいたしましても何にいたしましても、とにかく三十年近く昔のままのものを使っておる。これはもうからぬから一商社しかやらぬために、そういう結果もあるかもしれませんが、石炭経営者の諸君も、もう少し金を出して、そうしてそういうものを総合的に御研究なすったらどうかと思うのです。いま通産大臣のおことばによると、来年は数十億の金を取って保安対策をなさるとおっしゃるから、これは川口の試験所あたりで国の機関としておやりになってはどうか。坑内で使っているものは、確かに石炭を掘って外に出す機械は相当発展しているけれども、人間を守るほうは二十年間、三十年間少しも進展しておらぬとは言いませんけれども、ほとんど当時やっておったような機械で作業が行なわれている。こういう点について通産大臣の御見解と、それから通産省その他の省でいろいろ問題が起きる、そうすると、労働大臣のほうから勧告することができますね、基準局長あるいは保安局長から。こういう労働省の立場でこれは困るよと、厳重に注意する項目がある。法的にそういうことを労働大臣やっておりますか、通産省に対し。
  32. 森五郎

    説明員森五郎君) ただいま救護隊が使います酸素呼吸器の活がございましたが、先生が昔救護隊で活動をせられた時代の救命器と現在の救命器とは、大体かっこうその他似ているわけでございますが、基本的に現在の救命器は、本人の各人の補給量に従って酸素が調節できるという点で非常に違っておるわけでございます。  なお、これのメーカーであります川崎航空機械株式会社は、先生御存じのように非常に技術レベルの高い会社でございまして、その七号型という新しい型の救命器につきましては、これは世界水準とほぼ同等であるというふうに判断できるわけでございます。  なお、そういった救命器の研究について、今後国立の試験所等でやったらどうかという御意見でございますが、私もまことに先生と同じ考えでございますので、そういった点も将来十分検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長はそうおっしゃるけれども、私どものやった三十年前のものも、その各人の使用量によって酸素が変わるわけですよね。ですから、同じ量のボンベの酸素を持っておると、肺活量の多い人は早くなくなるし、作業がきついところは早くなくなるのは、これは今日も昔も変わりがない。局長ですから、そういうささいな点を御勉強なさっているとは思いませんけれども、そういう認識であるから困る。三十年前と変わらない。ベルが鳴ることも昔と今日でも変わりがない。ですから、そういう点が欠けておると思うのです。  次に、先刻の、大臣の御答弁になるか局長の答弁になるかわかりませんが、事故が起きてからここで幾ら論争してもしようがないから、この際、気候の変わり目が坑内空気にどのような作用をするかわかりませんけれども、これは私見ですが、二、三度申したことがありますが、春の気候の変わり目、秋の気候の変わり目に全国一斉に点検をなさったらどうですか。
  34. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) お話のとおりだと思います。こういう事故の起こったこういった機会に、この保安というものに対して皆が点検をするということで、全国一斉の点検を指示したいと思っております。
  35. 阿部竹松

    阿部竹松君 労働省は……。
  36. 山手滿男

    ○国務大臣(山手滿男君) ただいま御指摘の点につきましては、そういう問題がありましたときに、労働省の基準局長名をもちまして通産省のほうに勧告をいたしております。また、最近は、労働大臣名をもって通産大臣のほうに勧告をいたしたこともございます。
  37. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後に、これもささやかな問題ですが、さいぜんの住友村木社長さんからの話では、遺族に対する万全の対策を立てます、こういうお話でしたので、聞く必要がないかもしれませんけれども村上基準局長に一言お尋ねしておきます。  住友奔別炭鉱のそばに泉炭鉱という小さな炭鉱がありますが、つぶれてしまった。そのつぶれた中の何人かの労働者が、今回災害が起きた住友奔別炭鉱従業員になって災害を受けている。その間、泉炭鉱から奔別炭鉱に移動して若干の時日しかないものだから、補償について問題が起きてくるのじゃないかという懸念がある。したがって、これはどういうことになるかということをお尋ねするのと、労働省としては、こういう際の格段の措置を講じていただけるのかどうかということを最後にお尋ねいたします。
  38. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 御指摘の点につきましては、私どもも事情を承知いたしております。災害補償の趣旨からいたしまして、災害発生時における所得というものをできるだけ正確につかみまして判断する、その手がかりとして平均賃金の制度に基礎を置きます基礎日額制度を採用しているわけでございますけれども、御指摘のように住友石炭鉱業に勤務してからの日数がわずかでございますので、それと以前の泉炭鉱における勤務との関係をどうするか。いろいろございますが、ただいま申しましたように、災害発生時における賃金を中心として判断するという観点に立ちまして、できるだけ実情に合うと申しますか、労働者に不利にならぬような額でこの基礎日額を算定したいという立場で、いま鋭意検討いたしている次第でございます。
  39. 阿部竹松

    阿部竹松君 労働者に不利にならぬようにと、こういうことですから、安心をしましたが、皆さん方の見解は、常に労働者の不利にならぬように、不利にならぬようにといって、法的規制もあるからでしょうけれども、どうも納得せぬようなことになってはこれはたいへんで、これは重ねてお願いいたしますが、膨大な人数でもありませんので、国の石炭政策の一環として、住友奔別炭鉱で採用したとたん犠牲者になったものですから、法的見解を曲げてくれ、こういうことは申し上げませんけれども、格段の措置をひとつ、大臣にしかるべき配慮方をお願いいたします。答弁は要りません、大臣に対する要請ですから。
  40. 大矢正

    委員長大矢正君) この際、私からも事故原因につきまして、保安局長に一、二点質問いたしたいと思いますが、事故発生をいたしました際に、推測をしたり推理によってこの事故原因というものを示すことは、将来の石炭産業にとりまして私は非常に問題があろうかと思います。でありますけれども住友奔別炭鉱におきまして事故発生をいたしたとしても、日本全国の炭鉱の中では岩石坑道の掘進その他ハッパをかけて作業をしなければならぬような状態があるわけであります。そこで、大事なことは、なるほど事故発生をいたしました際に、ここにこういう欠陥があり、こういう不備な点があったから事故が起きたのだというきめつけ方は、十分の調査を行なった上においてなされなければならぬことは当然でありますけれども、しかし、私どもも考えなければならぬことは、いま申し上げたとおり、全国各地では毎日作業しているわけでありますから、その作業している人々に対して一種の警告が必要であろうと、こう私は思うのであります。ですから、私も三日の日に現地を訪問いたしまして、内容も若干知ることもできました。ただその際に、私が三日の夜現地から東京に帰ります際のテレビでは、この爆発原因となるべきものは、引き立てにおけるハッパ、このハッパ火源となって爆発事故が起きたのではないかということをテレビで盛んに報道しておったのであります。そうなってまいりますると、われわれこの国会の場に籍を置く者が、何ら表明をすることができなくて、テレビ、新聞報道等がこの事故原因なるべきものを報道するというような結果になってしまいまして、非常に国民から疑惑を招く問題でもあろうかと私は思います。  したがって、私か申し上げる——これはあくまでも私は自分でその現場に入って調査したわけではありませんが、考えてみましたところによりますると、電源その他の火原と思われるものがないとすれば、やはり引き立てにおけるハッパ火源となり、適量のガスがあったために爆発事故を起こしたのではないかという判断を持たざるを得ない。しかし、今日職員がついており、作業をしておるのでありますから、ハッパをかける際に、事前にガスの測定をしないということはまず考えられない。したがって、ハッパをかける前にガスは測定をされ、そしてガスか少ないから、ハッパはまあだいじょうぶであろうということでかけたには違いないと思うのでありまするが、しかし、先ほど保安局長説明のとおり、ハッパのかけ方も一発で全部完了するわけではない。二段、三段のハッパがあるわけでして、そういう点から想像されることは、第一回目のハッパをかける際に、なるほどこれはガスの測定をしたかもしれない。しかし、二発目のハッパをかける際に、ガスの測定をしないで、そのまま第二発日のハッパをかけたために、ガスが若干突出して、それに引火をして爆発を起こしたという、そういう推理が成り立つわけであります。しかし、これはあくまで私の調査をした内容ではありませんが、いずれにしても、万一そういうことも考えられるとすれば、坑内の係員たるべきものは、十分ガスの測定をしない限り、こういう事故が突発的に起こり得るということが想像されるのでありますから、やはりこの際、私の申し上げるようなことも一つの理由として考えられるとすれば、そういうことをこの席上で示すことによって、全国に働いている多くの人々の生命を守る上から、やはり保安職員その他に対して徹底的に保安確保に対する認識を高める必要性があるのじゃないかと、こう思うのであります。  従来の爆発事故というのは、たとえて申しますれば、坑道の掘進が、言ってみますれば、切り羽の準備よりもおくれるために通気が悪くなり、ガスがたまる、あるいはガス抜き、ガス排除が行なわれていない、こういうようなことが比較的ガス爆発原因となって、非常に複雑な要素によって爆発事故というものが起こっておるのだが、今度の場合には零コンマ台のガスしかない。ガスがないということは爆発する理由がない。やはりそうすると、あくまでも引き立てにおける掘進の結果によって若干ガスが停滞をした、その停滞をしたガスにたまたまハッパの火が引火をしたということが想像されるわけでして、そういう点について先ほど阿部委員からの質問がいろいろありましたが、私は当委員会が若干なりともそういう議論を進めて、そういうことも今日の炭鉱災害の中で、従来はガスのないところでもこのようにしてガス爆発が起こり得るのだという危険性を指摘して、全国の炭鉱に働く人々に対して私は警告的な意味において申し上げる必要性があるのじゃないかと思うので、この際保安局長の御答弁をお願いしたいと、こう思うのであります。
  41. 森五郎

    説明員森五郎君) 新聞等に原因についてもいろいろ報道されておりますが、これは炭鉱災害について非常な関心が持たれておる現在、これをとどめることはできないわけであります。中には非常に、何と申しますか、新聞記者諸君の想像による記事等もありまして、われわれ若干迷惑しておる状況でございます。  それから次に、今回起きました事故につきまして、いま委員長から、二段にハッパをかけて、その前のハッパによってガスが出て、その次のハッパによる火で爆発したんじゃないかという御推定であります。われわれも、一つの推定といたしましては、いま先生と同じような方向で考えておるわけでございます。これは、それが全部ではありませんが、そういった方向も二つの推理として考えておるわけでございますが、したがいまして、いま先生が申しました教育ということについては、今後とも十分意を尽くしていきたいと、こういうふうに考えられます。また同時に、そういった科学的機器というようなもの——ガスは人間がはかるわけでございますが、どうしても人間の注意力というものには限界があるわけでございます。したがいまして、これを補うのに科学的機器をもってするという対策も同時に考究しなければならないのではないかというふうに考えておるわけで、そういった面でそういった教育の面あるいは科学的機器をそろえるというそういった面、両面に向かって今後こういった対策を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、とりあえずの問題は、確かに委員長の御指摘のとおりでございますが、ただいま大臣からのおことばもございましたように、全国の炭鉱に警告を発して、この際特に保安点検を進めるといったようなことをやりたいというふうなことを考えておりまするし、同時に、監督官の監督計画等々も繰り上げて至急に総合的な検査を実行したいというふうに、かように考えておる次第でございます。
  42. 大矢正

    委員長大矢正君) もう一点、労働大臣に要望を兼ねてお尋ねしておきたいんでありますが、私が帰りましてから、今般殉職された方々の、ことに阿部委員指摘いたしましたとおり、遺族補償、ことしから新たに変わりました年金の内容を個々に拾ってみますると、一番低いのは年間年金が十五万五千円しか支給されないという内容もあるわけであります。もとより三十六万あるいは四十万というような年金もありまするが、一番低い年金の受給者は十五万五千円でありまして、十五万五千円の年金で一年間の生活をまかなうことは不可能に近い。なるほど従来と異なって、一時金ではありませんから、年々これが支給されることについては、本質的に私はどうのこうの言うのではありませんが、ただ、その年金なるものがあまりにも低過ぎる。これが遺族の将来に対して非常に不安を与えることになるわけでありまして、小さい子供がおって実際には働けないという問題もあるでしょうし、また、かりに奥さんが働くとしても、それに適合した就職もないという場合もあり得るわけでして、私はこの十五万五千円などというような年金ではなくて、もっと年額を引き上げるような具体的な方法がないのかどうか。これはひとつ十分検討してもらいたい。要望として申し上げておきます。
  43. 山手滿男

    ○国務大臣(山手滿男君) 従来一時金でございましたのを年金に改めまして、厚くお気の毒な皆さん方に配慮をしよう、こういうことでああいう制度をとってまいりました。それだけのものを妻は一生もらえるわけではございますが、まあ今日の経済情勢でございますから、その年金が金額において妥当かどうか、いろいろ御指摘のように論議も出ようかと考えております。いろいろ御指示、御指摘もございましたし、私たちのほうにおいてもよく検討をしてみたいと考えております。
  44. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、質問をする前に、このたびの災害でなくなられた方々の霊を心から安かれと祈っております。  そこで、最初住友方々にお伺いをいたしたいと思いますが、新聞等、またいろいろな面からビルド炭鉱ともいわれて、最も保安がすぐれて、しかも優良な炭鉱であるという名前のもとに、相当な方々が移住をいたしまして仕事にかかっており、大いに今後の炭鉱の生活というものを期待しておったという現況だったということを聞いておりますが、そこで去る八月ごろから総工費二十二億円をかけて、直径七メートル、高さ千百七十メートルの中央排気立て坑建設に取りかかっておられるということなんでございますが、そしてまた昭和四十五年には日本で初めての地下千メートル以下の深部坑をおやりになるということを伺っておるのですが、その点はどういうふうになっておりましょうか、まずこの点からお伺いしてみたいと思います。
  45. 川副官次

    参考人川副官次君) 今度事故が起こりましたレベルマイナス六百二十五レベルでありまして、さらに炭鉱の賦存状況は少なくとも千百メーターまであるわけであります。それで、現在鉱区が東西にわたって七キロ、南北にわたって二・五キロということでありますが、保安局長からも説明されたとおり、東翼は緩傾斜、西翼は急傾斜で、しかし東翼の緩傾斜も逐次なくなっていく、しかし深部に行けば、さらに断層関係で緩傾斜になるというような地質構造でありますので、現在緩傾斜自体は非常に能率がいいが、急傾斜はなかなか能率があがらないという点で、やはりさっき話がありましたように、中央排気立て坑を千メーター、それから現在の主要運搬坑道−現在は五百五十レベルまで下がっておりますが、それを千メーターまでおろして、さっき申されましたように、二十数億の金をかけて開発する計画であります。大体以上であります。
  46. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで、大体その計画が実施されれば、年産四十万トンぐらいの増炭ができるだろうといわれておりますが、先ほど阿部委員のほうからもお話がありましたが、そういう工事をやることにおいて増産に無理がかかったんじゃないか。大体三〇%以上の増産をしようじゃないかというような声を聞いているわけですが、この点について無理があったように思えるのですが、この点についてはどうなんでしょう。
  47. 川副官次

    参考人川副官次君) 奔別砿の計画は、大体九万五千トンから十万五千トンというような幅でございます。で、御指摘があったように、七万トンという、九万五千トンからすれば二万トン以上の非常な減産でありましたが、さっき申しましたように、奔別砿業所の出炭がやはり緩傾斜層に重点を置いております。御承知のとおり、炭層の安定ということが出炭確保につながるわけでありますが、たまたま八月、九月にこの緩傾斜層に断層ができましたので、このためホーベルあるいはドラムカッターを——現在奔坑砿はホーベルあるいはドラムカッターで機械化しておりますが1平常に運用できず、十分な能率をあげられなかったのであります。大体後傾斜層では一払いから日産六百トンないし七百トン、月にすると一万八千トンくらい出る払いが三本ありましたから、月五方四千トンくらい出るべきものが、いま申し上げたそういうホーベル等は使うが、十分な能率をあげないということで、一払い一万トンくらいしか出ない。したがって、五万数十トンくらい出るものが三万トンくらいしか出ないということで、八月、九月自体が平常の出炭でなかったというようなことであります。それで、十月になってまあ平常な切り羽条件なり、平常の操業ができたというようなことでございます。
  48. 宮崎正義

    宮崎正義君 私はいま、そこにやはり問題があったのじゃないかと思うのです。その平常に立て直すという点で確かに増産がしいられているように思われるわけです。いずれにいたしましても、この奔別砿は御存じのように、歴史をたどっていけば、相当爆発事件が過去にはうんとあったわけであります。当時も、大体先ほど来ガスのあれが〇・七だからいいのだろうというような、軽いような考え方でお話が進められておられたようですが、大体ガスの自動探知機は何台設けられておられたかどうか。その点からお伺いしてみたいと思います。
  49. 川副官次

    参考人川副官次君) 奔別砿は昭和三十六年からガス自動警報機を検討しておりましたが、干渉式のものは震動、ハッパ等による故障が非常に多いということで、いかなる式のものを決定するかに関していろいろ検討しておりました。四十年度になりまして熱線式ができましたので、それを——それ自体も必ずしも十分でないが、大体異常ガスがふえたというようなことに関しては十分目的を達するという見解のもとに、四十年度に四台発注いたしましたが、検定の若干の遅延、あるいはそういういいということで大量注文というようなことから、入手は四十一年六月であります。現時点ではガス自動警報機は八台持っています。昭和四十一年の計画としては、さらに十六台ふやすと、それで十月にすでに発注いたしました。したがって、近く二十四台になる予定であります。しかし、今次の事故にかんがみまして、そういう計画にかかわらずさらに増設する考え方であります。
  50. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは私が聞いたところによるのですから真疑はわかりませんけれども、実際使用可能であるものは、先ほど八台と言われましたけれども、その八台の中の三台くらいじゃないかということも聞いているわけですが、これは事実かどうかわかりませんからお伺いするわけでありますが、しかも今度事故がありました九番層坑道のところにはこれは使用されていなかったという点に私は問題があるのだと思うのです。この点についてどうですか。
  51. 川副官次

    参考人川副官次君) 現在実際使用しておるのは六台であります。それで、固定式と移動式がありまして、移動式は、現在据えておるのは、まあ十二時間もたないくらいでありますので、新しく別なかわりを持っていかなくっちゃいかぬという考え方から、現在六台使用しております。それで、九番坑道に関しては奔別砿業所、われわれといたしましては、ガスの突出等、そういうような事態がいままでなかったし、今後に関してはさらに考えなくてはならぬと思いましたが、その当時としては、こういう事態はいままで一ぺんもなかったし、そういうことで、そういうガス突出というようなことを予想していなかったので使用しておりませんでした。
  52. 宮崎正義

    宮崎正義君 監督官がこの事故発生する前に、約十日前に調査に入っているはずです。その当時の状況判断をどういうふうに見ておったか、その点についてお伺いしてみたいと思います。
  53. 森五郎

    説明員森五郎君) 先生御承知のように、当砿は比較的可燃性ガス発生が多い甲種炭鉱でございますが、われわれのほうの監督検査も、主として通気、ガスに重点を置いて毎月実施をしておったわけでございます。こういう検査を通じまして、主として炭じんの処理であるとかあるいは測風、通気の管理、可燃性ガスに関する措置等について指示をいたしておったわけでございます。
  54. 宮崎正義

    宮崎正義君 十日前に監督官が行ったその状況を詳細知らせていただきたいと私は質問しておるわけです。
  55. 森五郎

    説明員森五郎君) 行ったことはわかっておりますが、監督票その他でいかなる指示をしたかということは、あとでこれは必ずそういうものが残っておりますから、取り寄せてお答えいたしたいと思います。
  56. 宮崎正義

    宮崎正義君 宇野政務次官団長にして調査団が行かれたのに、そういうふうに約十日前に監督官が行った状況等を私は当然掌握して、そうしてその上から今度の原因等も当然考えるべきだ、こう思うわけです。この点はいま話を伺ってみると、調べてあるものが記録されているだろうということですが、こういう点に私は問題があるのだと思うのです。この点、政務次官、どうお考えになりますか。
  57. 宇野宗佑

    説明員宇野宗佑君) 私が滞在いたしておりましたのは、発生当日の午後五時ごろ到着いたしまして十時まででございます。そのときは、先ほど御報告いたしましたとおり、まだ九名行くえ不明者がいらっしゃいましたので、監督官もすべてがこぞってその救出に当たっておったような最中でございます。したがいまして、調査団が当日行きました当時といたしましては、いま先生がおっしゃいましたような、十日前の調査の結果に関しましては、そういうような状況でございましたので、把握いたしておりません。いまおっしゃったことは当然のことでございますので、さっそく現地に申し伝えまして御報告させたいと思います。
  58. 宮崎正義

    宮崎正義君 聞くところによりますと、監督官が調査に入る場合には、抜き打ち的じゃなくて、前もってわかるような様相だということなんですが、この点、どういうふうになっているんでしょう。
  59. 森五郎

    説明員森五郎君) 先ほど十日前の監督について監督状況を示せというお尋ねがございましたが、これは私の答弁がちょっと誤解を生じたのではないかと思いますが、現在私は手元に持っておりませんので、これは至急取り寄せて御報告を申し上げたいという意味でございます。  それから、ただいまの検査は、抜き打ちであるか、事前通告するかという問題でございますが、たとえば総合検査というようなことで、監督官が相当多数山に入りまして、何日間もあらゆる面から検討するというような検査の方法もございます。そういう場合には、あらかじめ会社側から資料の提出もしていただかなければならぬというふうなこともございまして、こういう場合には、事前に通告をいたしまして、いつからいつまでということで検査をいたしておる。ところが、そこでいろいろ悪いところが見つかりまして、これを直せというような指示をいたします。それが的確に行なわれておるかどうかということを、あとの追跡検査というのでチェックするわけでございますが、追跡検査はすべて抜き打ちでやっておるわけでございます。また、一般巡回検査と申しまして、そのほかにもそういう検査の方法もございますが、これはすべて抜き打ちでやっておるわけでございます。
  60. 宮崎正義

    宮崎正義君 じゃ、十日前の検査はどういう検査だったのですか。
  61. 森五郎

    説明員森五郎君) これは一般巡回検査でございまして、抜き打ちでございます。
  62. 宮崎正義

    宮崎正義君 これも私は確認したわけじゃありませんのでどうかと思いますが、大体監督官が入る前日には岩粉をまいていくというような話も聞いておりますが、そんなことがあってはならないと思うのですが、いずれにしましても、監督行政の面に、相当の今日までの事故を防止する面において、今後はよりこの点について力を注がなければならないということを、私はこの際訴えておきたいと思います。  次に、今回の災害発生しましてから実際の救助作業が行なわれるまでにかなりの時間が経過している。この点は先ほど住友川副さんがおっしゃったように、事故はいままでにないから、そうたいしたことはないじゃないかというような考え方から、この救助作業等も相当遅延したのじゃないかということを私は思うわけですが、この点についてどういうふうなお考えでございましょうか。
  63. 川副官次

    参考人川副官次君) 事故をキャッチしたのが二時……。
  64. 大矢正

    委員長大矢正君) 川副さん、ただいまの問題は通産当局から係官が行って指揮をとっているわけでありますから、当局側から説明をさしたほうがより具体的かつ正確じゃないか、こう思いますので……。
  65. 森五郎

    説明員森五郎君) 救護隊の活動状況でございますが、二時三十分ごろ事故発生をいたしまして、救護隊を招集されまして隊員が十九名入坑いたしておりますが、これが六時五十分でございます。若干算術的に計算いたしますと、その間に相当な時間が経過しているように思いますが、何しろ三番方というと夜中でございまして、あらかじめ救護隊員は指定されておりますが、この辺の時間はある程度やむを得ないものというふうに考えておるようなわけでございます。
  66. 大矢正

    委員長大矢正君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  67. 大矢正

    委員長大矢正君) 速記を始めて。
  68. 宮崎正義

    宮崎正義君 では、もっと私は部分的にも相当の質問をしたいことがございますのですが、時間の関係でそういうことははしょりまして、通産大臣札幌に行かれまして御答弁なさったその中に、先ほども阿部委員のほうから話がありました保安行政の強化をすると言われているその内容で、三十一億の予算要求をすると言われておりますが、高圧酸素の治療器等はとにかく各炭鉱には当然用意すべきじゃないか。その個所には必ず病院があるわけです。その病院に、事故が起きたたんびにあっちから持ってきこっちから持っていきというような行き方をするような愚は繰り返さないで、当然設けておかなければならないんじゃないか、こう思うわけでございます。この点について。
  69. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) それは労働省の予算に入っておりますので、労働省側から答弁をいたしたほうが適当かと思います。
  70. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 高圧酸素室と申しますのは幾つかの種類がございますが、固定的なもので病院に付設をして行ないます高圧酸素室と、それから運搬用の高圧酸素タンクと俗称をいたしておりますが、そういうものがあるわけでございます。昨年一億三千万の予算をもちまして、北海道は美唄の労災病院、九州では小倉にあります九州労災病院に、それぞれ固定的なかなり大がかりの高圧酸素量を設備いたしました。それ以外にいわゆるロック式のものとしては七つを整備する予定をもちまして、逐次整備をはかっておるという次第でございます。もちろん地域的な中心は、北海道、北九州等産炭地域を中心に考えておる次第でございます。
  71. 宮崎正義

    宮崎正義君 増設するあれはないのですか。
  72. 村上茂利

    説明員村上茂利君) いまのところその一億三千万円をもちまして、固定的なもの二つ、ロック式のもの七つというものの整備状況を待ちまして将来のことについて検討していきたいと思います。さしあたりのところかようなことでございます。
  73. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほど御説明の中にありましたけれども、八十何名かの健康診断をやられた、中毒患者の健康診断等もおやりになったということですが、何名ぐらい患者がいたかどうか、この点について。
  74. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 八十二名につきまして健康診断を実施いたしました。そのうち結果の判明しているものについて見ると、全く異常のない者が五十六名、今後要観察という診断をいたしております者が十名、それから要注意者という診断を区分いたしております者が八名、こういうことでございます。さらにこのような区分に従いまして今後の健康管理に万全を期したいと考えておる次第でございます。
  75. 宮崎正義

    宮崎正義君 ついでに伺っておきたいのは、三井三池の被災者に対して十一月から、八百二十二人ですかまだ中毒患者がおる、その労災補償が打ち切られたということなんですが、その後の対策をどう進めておられるか、この点を伺っておきたいと思います。
  76. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 三井三池の一酸化炭素中毒患者の問題につきましては、三池医療委員会という専門医の組織がございまして、この三池医療委員会におきまして、いろいろ医療的な面からの御判断を願っておったのでございますが、十月二十四日に意見書が提示されまして、医学的な所見に基づきまして、行政的な措置を講ずるようにという報告があったわけでございます。この医学的な見解を尊重いたしまして、措置をとったわけでありますが、一方、一酸化炭素中毒患者に対する立法措置の問題が、前の通常国会以来問題とされております。そこで、労働省といたしましては、十月七日に労災保険審議会に、この問題について諮問をいたした次第でございます。なお、参議院社会労働委員会の決議におきましては、「炭鉱労働者に限り」一酸化炭素中毒患者についてと、こうなっておりますが、労働者災害補償制度といたしまして、石炭鉱業だけでよいのかあるいは一酸化炭素だけでよいのか、つまり二硫化炭素とか、そのようなものは考慮しなくてよろしいのか、いろいろ問題があるわけでございます。したがいまして、審議会で御検討いただく場合には、そのような問題についても御考慮が払われると存じますけれども、問題は、あくまでも石炭鉱業における一酸化炭素中毒患者の問題でございます。それに中心を置きまして、審議会に、ただいま申しましたように、諮問いたしますと同時に、事務的にも検討を進めておる次第でございます。一年以内となっておりますけれども、成案を得ましたならば、できるだけ早く通常国会にでも提出できますように、鋭意準備を進めたいと考えておる次第でございます。
  77. 大矢正

    委員長大矢正君) 宮崎委員にちょっと連絡いたしますが、実はただいまの三池問題につきましては、社労委員長と相談いたしまして明日の社会労働委員会において十分議論を進めるということになりまして、本日は住友奔別炭鉱に限ってやっておりますので、御了承賜わりたいと思います。
  78. 宮崎正義

    宮崎正義君 それでは、その問題には触れませんですが、いま報告がありましたように、観察しなければならないものが十名、注意しなければならぬ者が八名という患者が出ておるわけでありますので、鋭意この労災補償に対しては、極力善処していくように要望しておきます。  最後に、大臣にお伺いをしておきますが、石炭の生産量年間五千万トンは石炭鉱業審議会の答申に基づくものであるという、そして政府は、それ以上の増産に努力しているから、斜陽産業じゃないのだから、安定した産業であるから、そういう認識の上に立ってがんばってくれというような意味のことを大臣がおっしゃられましたけれども、斜陽産業じゃない、また産炭の面におきましても希望を相当持てというようなお話でありますが、これは非常にうれしいことだと思うのですが、どういうふうな考え方をお持ちになってその石炭産業を振興させようとするか、所信のほどを伺っておきたいと思います。
  79. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私は北海道でも、斜陽産業ではないと申しております。これはエネルギー革命の中でもってほおっておけば、もう経済のコスト主義からいけば、これは非常な完全な斜陽産業になるわけであります。それを政府が原油関税を財源にして特別会計を設ける。それは一切石炭対策以外には使わないわけです。原油関税などもこれは年々ふえてくるわけであります。こういうことで、しかも石炭対策の中には安定補給金までも入っている。そして政府は、五千万トン程度という答申を尊重はしておりますが、積極的に需要を確保したい、電力、鉄鋼などに対しても合理的な負担増対策を講じつつ、ある程度の需要を確保したい、あるいは電源開発の火力発電石炭火力なども今後増設していきたい、こういうんですから、ある程度の需要は政府が確保しようという決意をあらわしておるわけであります。だから、非常に非能率な炭鉱までこれによって維持していこうということではありませんが、ある程度長期的な出炭が確保できる炭鉱はつぶれることはないと、こういう点において、斜陽という、まあ現在の推移にまかしている産業とは言えないと、ある程度やはり政府が安定を確保していこうという意図のもとに保護される産業であるという意味において、私は安定産業である、こういう表現を使って、いまもまたかく信じているわけでありますから、経営者にも、組合にも、一段と奮発を願った次第でございます。
  80. 大矢正

    委員長大矢正君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度といたします。  これにて散会いたします。    午後零時十一分散会