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1966-07-26 第52回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

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  1. 当面の石炭対策樹立に関する調査(石炭鉱業審 (会議録情報)

    昭和四十一年七月二十六日(火曜日)    午前十一時九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大矢  正君     理 事                 剱木 亨弘君                 小林 篤一君                 小野  明君                 鬼木 勝利君     委 員                 石原幹市郎君                 豊田 雅孝君                 吉武 恵市君                 阿部 竹松君                 大河原一次君                 小柳  勇君                 藤田  進君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査石炭鉱業審  議会答申に関する件) ○参考人出席要求に関する件 ○石炭政策確立並びに産炭地域振興に関する請  願(第六号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  当面の石炭対策樹立に関する調査、を議題といたします。  この際、石炭鉱業審議会答申に関する件について政府から説明を求めます。三木通産大臣
  3. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣三木武夫君) 昨日午後二時、石炭鉱業審議会植村会長が、通産省に、石炭鉱業審議会石炭安定策に関する答申を持って役所に参りまして、答申を受け取ったわけでございます。  この答申内容については、石炭局長から私のあとで御報告をいたしますが、その答申を提出いたされますと同時に、炭労、全炭労、全炭鉱炭職協石炭協会及び中小団体からの意見を口頭でもって、こういう意見があったということの意見をつけ加えて述べられたわけでございます。これは石炭鉱業に対する根本的な安定策でもあり、きわめて重要な問題でありますので、今後この答申中心に、各方面意見を私が聴する予定でございます。各方面意見を聞く。そうして、できるだけすみやかに政府としての態度を決定をして実施に移したいと考えておる次第でございます。  内容については石炭局長から御報告をいたさせることにいたします。
  4. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) それでは、ただいまから、通商産業大臣からお話のありました、石炭鉱業安定対策についての答申石炭鉱業審議会から昨日提出されましたので、その内容につきまして御報告を申し上げます。お手元に答申案がございますが、これに沿いまして御説明を申し上げます。  この答申は総論と各論からなっておりまして、総論には大体の骨格をうたっておりまして、各論でわりあいにこまかい内容を記述いたしております。  最初に総論から御説明を申し上げます。  総論の、まず第一ページでございますが、第一ページにおきましては、まず、石炭位置づけについての考え方を明らかにいたしてあります。で、この石炭位置づけにつきましては、先般、石炭鉱業審議会の意見をもとにいたしまして、エネルギー調査会におきまして五千万トン程度の出炭が今後の石炭位置づけとして妥当であるというような答申が出されておるわけでございますが、これをも受けまして、この位置づけではその考え方を述べております。で、特にこの石炭鉱業審議会とされましては、エネルギー調査会と違いまして、まず第一は、石炭供給力が今後どの程度と見るのが妥当であるかという考え方。それから第二の点は、需要確保見通しが確実にどの程度まで政策上は確保できるであろうかというような観点。それから、第三点といたしましては、石炭鉱業は、御承知のように、地域社会ときわめて密接不可分な関係にございますので、石炭鉱業の消長が地域社会に及ぼす影響が非常に甚大でございますので、そういった点も配慮したというような角度からいろいろ検討されまして、御承知のように、需要の確保につきましては、電力、鉄鋼等の政策上の見通しもほぼつきましたので、そういった意味合いからあれこれ総合勘案しまして、今後とも五千万トン程度石炭位置づけが妥当ではないかというような結論に相なっております。これは石炭鉱業審議会だけではありませんで、先ほど申しましたようなエネルギー調査会におきましても、同じくエネルギー安定供給、それからエネルギー低廉性の原則、あるいは資源的な配慮と、いろいろな角度から同じような結論が出ておるわけでございまして、ただ、この石炭鉱業審議会は、この答申の表現は「程度」と書いてございますが、この趣旨は、何も五千万トン以上はいかぬという趣旨ではありませんで、やはり百万トン、二百万トン程度前後のアローアンスはあってもやむを得ないというような考え方でございます。ただ、しかしながら、できるだけこの程度のものは今後とも確保すべきであるというような考え方でございます。  それから、次に、三ページから四ページにかけまして、また、四ページ、五ページ、六ページ、七ページ、ここで今後の石炭鉱業安定対策の基調が述べられておるわけでございますが、この基調につきましては諸先生御承知のことでございますので、簡単に申し上げますが、御承知のように、今日の石炭鉱業の現状は、エネルギー革命の影響を受けまして、いわゆるこれに対抗するための三割値引き政策とか、あるいは大規模な閉山合理化政策をとってきましたために相当負債が増大いたしまして、したがいまして、それをこのままにして将来安定的な生産を続け、あるいは経営として安定していくことはなかなかむずかしい。したがいまして、今後の安定を期しますためには、やはり過去の異常な負債を何らかの手段によりまして肩がわりすることが、まず今後のスタートラインとして大事ではないかというような考え方に立ちまして、まず、対策の第一としましては、この経営基盤を確立いたしますために、約千億円程度の救済を元利均等償還によりまして措置されたいという考え方を述べております。なお、この千億円の中には、中小炭鉱の救済、これも当然含めて考えております。ただ、この中小炭鉱は、あとで各論のところにやや詳しく書いてございますが、いわゆる閉山合理化費用とか実質累積赤字というような観点からとらえますと、なかなか中小炭鉱が恩恵に浴し得ない面がございますので、中小炭鉱につきましては、この肩がわりに際しまして、やや条件を緩和して、できるだけ中小炭鉱もこの肩かわりの恩典に浴し得るようにというような配慮を加えるべきだということが、あとの各論のほうで述べられております。いずれにしましても、大手、中小合わせまして約千億円程度の債務を元利均等償還によりまして肩がわりをする。それから、第二の政策としましては、これは従来ともやっておりましたが、近代化合理化のためのこれは前向きの助成策を、これはいろいろありましょうけれども、それを拡充強化してまいりたい。それをもってしてもなお経営の安定を期せられない企業も相当ありますので、それらの企業に対しましては一定額安定補給金——一定額トン当たり約百円程度と書いてありますが、その補給金を交付する必要があるという考え方に相なっております。しかし、これらの諸助成策をもってしましても、一応収支の面におきましては大体とんとん程度にいく企業が大部分を占めますけれども、しかし、なお金繰りの面におきまして今後相当苦難が予想されますので、この金融の問題につきましては、政府は早急にその対策を検討すべきであるということが、五ページの初めのほうに述べられております。それから、五ページの半ばごろから「体制の整備」という問題が触れられておりますが、これは仁炭鉱業は、ただいま述べましたような画期的な助成策を国から受けるわけでございますので、みずからのやはり努力が前提になることはやむを得ないわけでございまして、そのために、従来各方面から御指摘のありました鉱区の再編、調整というふうな問題とか、あるいは流通体制共同化とか、あるいは非能率炭鉱整備、これはビルドの造成というような体質改善に今後とも努力していく必要があるということを強調いたしております。  それから、経営基盤の確立の第三点としましては雇用の安定の問題がございますが、以上申しましたような諸施策は石炭鉱業の崩壊の危機を救うための措置でございますが、これは言うまでもなく、雇用の安定を念願としてやられたのでございますが、特に雇用安定につきましては、今後安定した労働条件の確保、あるいは近代的な環境、こういうものをつくることが特に必要である。特に、言うまでもなく、年々老齢化している炭鉱労務者でございます。炭鉱に魅力がない形では石炭の安定にこたえ得ないわけでございますので、こういった点に努力すべきである。特に今回この答申では、雇用安定の見地から、特別年金制度、この創設を特に政府に要請しております。あとで各論に書いてございますが、四十二年度中には現実すべきであるということが述べられております・  それから、次が保安の確保でございますが、これは申すまでもなく、石炭鉱業にとって過去累次の大災害というようなこともございまして、今後再びこのようなことのないように万全の措置をとるべきだということを申し述べております。  それから、七ページは、鉱害対策の強化、産炭地域振興対策の推進という基本的な考え方が述べられておりますが、特に鉱害対策につきましては、これは別に詳しく別途の答申もございますが、ここでは総論でございますから簡潔に書いてございますが、今日六百七十億という残存鉱害をかかえておりますので、この残存鉱害のうち、安定しました鉱害につきましては、これを五カ年計画、長期計画によりましてこれの処理を完了するようにというような施策が各論で述べられております。そういう趣旨で書かれております。  次が産炭地域振興でございますが、これはなお今日の現状は産炭地の疲弊が非常に著しいわけでございますし、今後も閉山の規模は従来ほどの規模ではありませんけれども、やはりこれは石炭鉱業の常として、資源産業の常として、スクラップ・アンド・ビルド政策という問題がありますので、従来の疲弊に加えて、そういった閉山が起こる可能性がありますので、これについても実情に即したしっかりした対策を練り直すべきであるということを申しております。  それから、なお、以上のような対策をやるに際しまして、かつてない国の助成策でございますので、特に石炭鉱業に対しましては経理規制を強化して、国民の金を使うにふさわしいような姿勢を正させる必要があるということを八ページの前段で述べております。  それから、なお、八ページの最後に、このような石炭対策をやりますに際しまして特別会計を新設する必要がある。この特別会計は現行原重油関税を財源としましてつくる必要がある。大体大蔵省あたり考え方によりますと、年間来年度五百億程度のものがこの特別会計の財源になろうというふうに考えられます。  それから、総論の最後の「むすび」でございますが、「むすび」は、これは石炭鉱業の努力はもとよりでございますけれども、関連産業関連金融機関等の協力を要請いたしますとともに、努力していけば、これらの一連の措置によりまして、九ページのまん中から下に書いてありますが、石炭鉱業の経理は四十五年度までには大部分は赤字状態を脱却し、これにより年五千万トンの生産は一応可能となる見通しであるということが書かれております。  それから、さらに十ページで、特に(2)におきまして、「この答申に基づく安定対策のもとで、企業は、その死活を賭して経営建直しに努めるべきである。この安定対策をもってしても、その存立が困難な企業は、いたずらに赤字経営を続けるという態度を捨て、その進退を決する必要がある。」、このくだりは非常に冷たいようでございまして、いろいろ昨日の審議会でも意見がございましたが、私どものそれに対する考え方は、ここに書かれているほど冷たい気持ちは毛頭ございません。特にこの答申に基づく安定対策と申しますのは、社会全体を貫く安定対策でございまして、私どもといたしましては、あとにも各論にも出てまいりますけれども、以上いろいろな国の諸助成策、これをもってしてもなお苦しい企業につきましては、特に石炭対策上つぶすわけにまいらない企業につきましては特別の保護助成をやはり講じたい。しかし、特別のやはり保護助成を加えます場合にも、やはりそれは程度がございますので、どうにもならぬというものにつきましてはこれは別でございまするけれども、やはりさらに国が通常の、ここに述べております助成策以外に、てこ入れをしていきますならば、いわゆる立ち上がりについての助成を加えてやりますならば、再び再建の可能性が見込まれるというようなものにつきましては、特に個別対策をもってお世話申し上げるというようなことも、この答申に基づく安定対策の中に含まれておりますので、そういう対策をもってしてもなお存立が困難だというものにつきましては、これはここに書いてありますように、経営者としては、遺憾ではありますけれども、進退を決さなければいかぬでしょうという趣旨でございます。ただ、討論の途中で、一定の助成策をやって、あとこれに合わないものはもうやめてしまえという意見がありましたものですから、だいぶあれしてそういうふうになりましたが、この趣旨はそういう趣旨でございます。  なお、「むすび」の末尾で、これだけの画期的な助成策をもってしましてもやはり石炭鉱業は収支がほぼ見合うという程度でございまして、決して楽な事態ではございません。特に金融方面においては今後相当な苦労をすると思いますので、これにつきましては、やはり何か融資懇談会というようなものを設けて、市中銀行の融資はもとより政府金融等についても特段の努力をする必要があるということを述べております。  次に、各論でございますが、各論の第一は、位置づけに対応いたしまして需要の確保でございますが、これは、まず政策上の大宗であります電力用炭原料炭について述べられておりますが、電力用炭につきましては、九電力につきまして昭和四十五年度までに二千三百万トンの引き取りをお願いしまして、これは一応御了承をいただきました。さらに電発の石炭専焼火力発電所の建設、現在三基建設中でございますが、引き続いて二基新設いたしたい。この二基につきましては可及的すみやかに着工しなければならぬ一つでございますが、できますれば本年内からでも着工できるように、今後関係当局といろいろ打ち合わせたいというふうに考えております。原料炭につきましては、由来、原料炭は優先的に国内炭を使用するというような原則と申しましょうか、鉄鋼業界等の了解をいただいておったわけでございますが、今後ともこの方針を堅持してまいりたい。そういった意味で四十五年度には千百万トン程度引き取りをお願いし、了承いただいております。なお、これらの引き取りに伴いまして、やはり妥当なる負担増対策は講ずる必要があろうということを十二ページの一番末尾にうたっております。十三ページ以降は、先ほどの総論で申しましたとおり、経営基盤の確立の点を詳細に論じております。まず第一点は、肩がわりの問題でございますが、肩がわりは、先ほど申しましたように、元利均等償還方式、ここでちょっと御注意いただきたいと思いますのは、十三ページの(イ)の対象企業の三行ですが、「肩代わり措置対象企業は、炭量からみて原則として十年以上安定出炭が可能であり、かつ、適切な再建整備計画を有する企業」、これ一般的にはそうでございますが、「(中小炭鉱については、若干の条件緩和を図る。)」、十年以上の安定出炭ということでは中小炭鉱なかなか入りにくいというような問題もありますし、それから、私どもが大手企業に期待しておりますような再建整備計画、これは中小の炭鉱にはちょっと無理ではないかと思いますので、中小に対しましては、どちらかというと、経営改善計画というようなものをお願いしたいというふうに考えております。そういうことで、できるだけ千億円の肩がわりにつきまして、中小が私どもに要望しておりました程度の金額は何とか肩がわりの対象になるようにという配慮が審議会でもなされております。それから、その次の(ロ)に、肩がわりの総額は、三十四年度から四十年度にかけ、石炭鉱業閉山合理化費用負担額実質累積赤字額等に見合う千億程度相当が妥当だということが述べられておりますが、この「等」というのは、やはり閉山合理化費用負担額実質累積赤字額では中小炭鉱はちょっと対象外になるおそれがある、なかなかむずかしい問題があるわけでして、今後私ども政府部内でこの「等」の解釈をどうするかという問題があるわけですが、審議会とされましては、できるだけ見れるように努力してやれよというのが、この「等」が入ったり条件緩和が入ったゆえんでございます。それからあと、この肩がわり問題につきましては、十四ページの中ほどに、肩がわりは、市中銀行につきましては十年間、政府関係の機関は十二年間それぞれ元利たな上げしまして、それを市中十年、政府十二年ということに元利均等に償還するという考え方でございます。なお、市中銀行につきましては、この肩がわりします金利は年利五%というふうに考えておりますので、市中銀行が八分五厘で貸しております場合には、三分五厘は企業に対して免除する、金融機関が泣く、こういう姿になろうかと思います。  それから、十五ページに入りまして、この半ばごろでございますが、5と書いてありますが、「肩代わりを受けた企業が将来一定基準以上の利益の計上を行なう場合には、その額に応じて国庫に納付させる。」、くれっきりではない、やはり出世払いであるという趣旨を明らかにいたしております。この一定基準とは何ぞやということは、今後いろいろ関係方面と十分打ち合わせをしてきめてまいりたいというふうに考えておりますが、なかなか石炭鉱業は、御承知のように、過小資本の状態でございますので、海運等の例はございますけれども、どのように考えてよろしいか、まだ審議会とされましては意見を留保しておられます。  それから、この肩がわりについての条件でございますが、無条件で肩がわりはいたしません。やはり肩がわりいたしますときは、十五ページの下から五、六行に書いてありますが、企業再建整備計画というものをやはりつくりまして、これを適当な機関で審査いたしまして、通産大臣が適当と認める場合に肩がわりを行なう。で、この再建整備計画におきましては、資産処分計画とか自己資本の充実とか、鉱区の調整とか市中銀行の協力とか、こういった諸問題を再建整備計画の中にうたいたい。したがいまして、こういう措置をやりますために、やはり国といたしましては、石炭鉱業再建整備法というような法体系整備が必要ではなかろうかというふうにされております。  それから、十六ページに安定補給金のことが書いてありますが、安定補給金は、当分の間、一定額百円程度安定補給金を交付したいということをうたっております。  それから、十七ページでは、先ほど申しました十七ページのまん中から下のほうに、「石炭政策の見地から将来とも存続をとくに必要と認める企業については、現行の再建資金融資制度を適用するとともに、その無利子化を図る。」、それから一番最後に、中小炭鉱金融措置につきましては、中小企業金融公庫資金につきまして、融資限度をもうちょっと引き上げてもらうとかいうようなことにつきまして特別の配慮を加える必要があるということを述べられております。  それから、十八ページから、先ほど申しました体制整備の問題に触れられ、ビルド対策、この中で、中小炭鉱につきましては、炭鉱機械貸与制度拡充強化をはかる必要があるということを述べられております。  なお、炭層探査とか坑道掘進の拡充強化も今後の重点になろうかと思います。  それから、技術開発の問題、新鉱開発、この新鉱開発は二十ページにうたわれております。これは御指摘がありましたように、なかなか審議会の内部でいろいろな意見がございましたが、いずれにいたしましても、「老朽化した炭鉱整備し、新鉱を開発することは、資源産業の常道」でもございますし、こういった角度に立ちまして、この炭量、炭質とも特に優秀な鉱区にこの新鉱開発を重点的に促進するという考え方を明らかにしていただいております。  それから、非能率炭鉱整備につきましては、これは従来終閉山に伴って、なかなか交付金が少ないためにやめていかれる労働者、あるいは地元の中小企業に御迷惑をかけた点があるわけでございますが、従来の買い上げ炭価トン当たり千二百円程度を二千円程度に引き上げたい。引き上げますときには、これは国会の決議にもありましたように、炭鉱離職者退職金とか未払い賃金とか社内預金というような点に重点を置いて、引き上げ分についてはそれに重点を置いて配分いたしたい、そのような交付金配分比率について今後検討してまいりたいということをうたっております。  なお、二千円のほかに、閉山処理費用が相当かかりますので、処理費用としまして特別加算交付金というようなことも交付する必要があるのではないかということを二十一ページの上のほうで提案されております。  なお、従来、炭鉱が閉山いたしますときに、退職金の金融といたしまして整備資金の金融があったわけですが、これは従来なかなか政府部内の折衝で骨を折ったわけですが、この融資制度はやはり今後とも継続してもらいたいということで、特にそういう趣旨がうたわれております。  それから、次に、流通体制整備、先ほど総論で申しましたとおり。  それから、雇用対策につきましては、総論でも申しましたが、具体的には炭鉱住宅整備とか、医療体制の充実とか、生活環境改善等に特につとめる必要がある。  それから、特にここにわりあいに詳しく、一定年限以上坑内作業に従事した者を対象にした事業者負担年金制度を、これを四十二年度中に実施するよう検討を進めなさいということが言われております。  それから、保安対策は、先ほど申し上げましたように、これはどれだけ重点を置いても行き過ぎることはないわけでございますが、いろいろ保安協議会で結論を出しました内容をこの調査団におかれましても採択されまして、監督指導体制の強化、保安教育及び救護体制の充実とか、保安施設整備保安技術開発普及等の問題について具体的な施策が述べられております。  鉱害につきましては、鉱害部会で別途これは検討されて、専門的に検討を加えておったわけですが、鉱害復旧長期計画をつくって、五年間程度残存鉱害約五百億のうちの復旧に適する安定鉱害分——金銭賠償を除きまして、これの処理をおおむね五カ年程度で完了をするというような意見が出されております。  それから、特に鉱害復旧について促進地域制度を拡充する。従来、この鉱害復旧促進地域制度は無資力の終閉山炭鉱が中心であったわけでございますが、ここに終閉山の有資力鉱害地域を加えるというような考え方をいたしております。これによりまして、できるだけ鉱害復旧総合性を確保してまいりたい。なお、鉱害につきましてはいろいろな紛争も多く、特に計画的復旧ということになりますといろいろなトラブルも起こりますので、この同意のあっせんとか紛争につきまして裁定を行なう機関をつくりたいと、これは鉱害審査会の設置ということでうたわれております。なお、鉱害復旧事業団につきましては、ただいま全国に四つありますが、これをやはり全国統一したらどうかという意見が出されております。  それから、二十六ページのまん中から下にある地方公共団体の財政負担対策、これは、非常に地方公共団体財政が窮迫しておりますので、この軽減に努力せよということがうたわれております。  それから、最後に産炭地域振興でございますが、産炭地域振興につきましては、やはり今後、産炭地域振興臨時措置法が五年延長になりました機会に、産炭地につきましては、鉱害と同じような第二次五カ年計画、これを早急に全面的に再検討して、地域の実情に合いました産業基盤の整備を行なうべきである、そういった基盤整備の一還といたしまして、やはり中核企業の誘致と産炭地振興に努力すべきだというようなことを述べ、最後に、地方財政の窮状に対する対策と、特に国会におかれましても絶えず問題になっております文教対策の充実等についても積極的に推進する必要があるというようなことが述べられております。  以上、簡単でございますが、答申の内容を御説明申し上げましに。
  5. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) これより本件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 小野明君(小野明)

    ○小野明君 最初に、大臣の説明ですと、今後いろいろ各方面とも折衝をしながら実施段階に移していくと、こういう御意見でありますけれども、まず、さらに詳しくこのスケジュールですね、たとえばこれに盛られている内容、法案あるいは予算の概算等を含めて、いつごろ国会に提出するのか、そういった問題も含めて、あわせて説明をお願いしたいと思います。
  7. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、佐藤内閣の内閣改造も近くやろうというので、これは新しくやる通産大臣が手がける問題です。だから、改造後ということになると思います。そうして、これはとにかく石炭鉱業安定に関する根本問題に触れておりますから、いろいろな意見を聞きたい、労働組合、あるいは経営者、そういう意見も徴しまして、そうして、むろんこの答申は尊重いたしたいと思っておりますが、これに対して各方面意見も参考にしながら政府としての態度をきめるということで、まず八月の中旬、あるいは下旬という程度の時期には大体政府の方針をきめたいと考えております。
  8. 小野明君(小野明)

    ○小野明君 いま説明をお聞きいたしますと、抜本策と、こういうふうに言われますけれども、どうも抜本策ではなくて、当面の石炭企業の収拾策と、こういう受け取り方を私はしておるわけです。答申を受けての大臣の所見といいますか、そういうものをお尋ねしたいと思います。
  9. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣三木武夫君) こういういろいろの経済、産業の状態というものが非常に変化するときでありますから、絶対にこれで永久にいけるのだというようなことは言えないにしても、これは当面の石炭鉱業に対する収拾策だとは思っていないのです。これはかなり長期にわたって石炭鉱業の安定奇態——この答申もそういうことをねらってはおりますが、さらに不備な点についてはそういう点も検討を加えて、ただ当面の間に合わせというふうには考えていない。政府態度をきめるときには、相当長期にわたる石炭安定策ということにいたしたいと考えております。
  10. 小野明君(小野明)

    ○小野明君 次に、五千万トン程度と、こういうふうに目標をきめられておるのですけれどもエネルギー調査会ですか、この結論なりそれを参酌されたと思うのですが、それを受けて五千万トン程度ときめられた理由ですね、それについてさらにひとつ詳しく説明を願いたいと思います。
  11. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) 石炭鉱業審議会におきましても、あるいはエネルギー調査会におきましても、双方、石炭の今後の位置づけといたしましては五千万トン程度が妥当であろうと、同じ結論に相なっておりますが、石炭鉱業審議会のほうは、その審議の経過からそれを見てみますと、まず石炭鉱業審議会とされましては、個別企業の今後の供給力といいますか、出炭力、この長期の見通しをまずお考えになりまして、この長期の供給力出炭力を見ますときに、単に資源的、技術的角度だけで見ますれば、まだ埋蔵炭量が二十億トン以上あるわけですから、五千万トンどころか、五千五百万トンでもやりようによっては確保できる、それだけの供給力があるわけでございます。しかし、供給力を問題にいたしますときに、単に資源的、技術的だけの見地で見ていくというような角度も加味されまして、しかし、だからといって、純然たる経済合理主義に立ちますれば、かつて新聞にいろいろとそういう議論が流れて私は非常に迷惑をし、かつ、産炭地も非常にショックを受けられたと思いますけれども、一説には三千五百万トンとか、あるいは四千万トンとかというような議論も行なわれました。しかし、石炭鉱業審議会とされましては、そういった経済合理主義からだけ石炭鉱業を見るべきではないという立場から、同じく経済性を加味する場合でも、ある程度許される範囲の助成策をやはり前提にして考えるべきじゃないかというような立場をとられて、資源的、技術的な供給力の面、そういった立場をまず加味していきたいというのが第一点でございます。同じ供給力の見方の中でも、第二の問題は、供給力が一応五千万トン以上あるといいます場合に、次に問題になりますのは、やはり需要確保見通しでございます。これはエネルギー革命の渦中にある産業でございますので、特に一般炭につきましては重油と価格の差が、揚げ地電力について見ますとトン当たり千円程度の開きがあるというような点も一つ考慮いたしますと、これも、たとえば主たる需要先である電力業界において、だから石炭は困るといわれても困るわけでありまして、やはり各国ともに、公益企業である電力事業に主としてとってもらっております。西独あたりでは法律によってある程度とってもらっておる。そのかわり出炭量対策をやるというような考え方もあるわけでございます。したがいまして、これも完全な経済合理主義ではなしに、しかし、だからといって、おのずから限度がありましょう。そういったぎりぎりまでの点で、いろいろ審議会とされましても、植村会長みずから電力業界の首脳とも会われて、長期引き取りについてのお話をされました。これは通産大臣も御努力されたわけでございますが、そういった意味から、需要確保見通し、これもあまり無理があるとやはり将来負担があるというような点も考慮されたわけでございます。  それから、第三点は、先ほど申しましたように、完全な経済合理主義といいますか、価格だけで比較して、一銭たりとも高いものは買わないなどということでいきますと、これは一般炭につきましては需要がなくなりますので、原料炭は別でございますが、したがってそういう考え方はとれない。特に石炭につきましては地域社会と密接不可分の関係があります。産炭地の住民だけでも二百数十万の住民がこの石炭産業を取り巻いて生活しておるのでございますので、そういった配慮もやはりあわせてするべきではないかというようないろいろな角度から検討されまして、石炭鉱業審議会とされましては一応五千万程度が適当ではないか。だからといって、これは一トンたりともふえてはならぬというのではなくて、五千百万トンでもいいし、五千二百万トンでもけっこうだということです。しかし、時にいろいろな事故その他が不幸にしてあった場合には五千万トンを割ることもあるかもしれない、それもやむを得ない。しかし、五千万トン程度確保というものがエネルギー安定供給というような見地からも必要であろうというふうに考えられている——わけであります。  なお、総合エネルギー調査会のほうにおかれましては、同じく今後の総合エネルギーの動向を見られまして、やはり今後の長期のエネルギー需給の動向を見ますと、やはり一次エネルギー需要といたしましては、何といいましても、今後は石油及び原子力が一次エネルギーの大宗となる中核的役割りをになうことになろうというような認識、それから、やはりエネルギー政策を考えます基調は、第一にはエネルギーを低廉に供給すること、第二にはエネルギーを安定的に供給すること、第三に国際収支の改善、国内資源の有効活用、あるいは社会的摩擦の排除というような配慮をすべきであるというような基調を述べられまして、しかし、ひるがえって石炭産業を見ましたときに、やはり石炭を維持しますことは多額の国民経済的費用を必要として、必ずしもエネルギー低廉性の要請にこたえるものではないけれども、しかし、石炭は国内の最大の国産エネルギーであるし、あるいは国際収支観点もあり、また、地域社会観点もあるし、安定供給という見地もありまして、やはりこれにつきましては五千万トン程度を今後とも維持することが必要であろうというような見地エネルギー調査会は述べられております。  以上簡単でございますが、一応石炭鉱業審議会並びに総合エネルギー調査会意見を述べたわけでございます。
  12. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 石炭局長は、あなた何の立場で答弁なさっておるんですか。いま通産大臣のお話を承ると、答申は尊重いたしますが、労働組合とか経営者の意向を聞いて政府の決定をいたします、こう言っておる。あなたはその政府の一局長でしょう。聞くところによれば、きのうもあなたが審議会へ出て説明したという。あなたは審議会へ出るのは、政府委員として資料の提出とか、何とか参考意見を出すために出ておる。いま聞くと、あなたは一体何です。政府は必ずこの答申どおりやるかもしれないし、やらぬかもしれない。それをあなたは得々として説明するなんて大体おかしい。  それから、もう一つ、小野委員の質問に対する答弁に関連して、石油が安くて石炭が高い、需要供給の見通し等もおっしゃったですが、石油が安くて石炭が高いなんて五年前からわかっている。にもかかわらず、なくなった池田さんが総理大臣、いまの総理大臣の佐藤さんが通産大臣、その当時五千五百万トンと明確にここでも約束し、本会議でも答弁なさっておる。しかし、この五千万トンというのは審議会だからいいんですよ。しかし、あなたがそれほど審議会に足を深く入れておるならば、この際、何で五百万トンの差ができたか、具体的に説明してください。現状とそのときとどれだけ違う。エネルギーの消費量はふえておるんですよ。当時の石炭と油の価格に差があった、抜本策なんといっても、何も抜本策ではない。百円の補給金をたいしたものだとおっしゃられるけれども、鉄道運賃が百円くらい上がっておるんだから、これは運賃の負担分くらいにしか考えられない。あなたは何の立場で御答弁なさっているのかわからない。
  13. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) 私が答弁いたしましたのは、小野先生から、一応答申で五千万トンときめられたそれのいきさつ、考え方を述べよというふうに承ったわけでございます。私の立場は石炭鉱業審議会のやはり事務局である立場もあります。同時に、この答申を受けて、三木大臣の御方針のもとで考える政府の立場もございます。ただいま答弁いたしましたのは、石炭鉱業審議会の事務局としてこれのお世話をしておったという立場から審議会の見解を申し上げたわけでございます。  なお、政府がこの答申を受けてどう考えるかにつきましては、さらに大臣のおっしゃいましたように、各方面意見もさらに聞きまして、大臣の意向も承って善処したいというふうに考えております。
  14. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 そうしますとあれですね、ただ石炭局長のお立場で御答弁なさる、したがって、その事務局の役目も果たしておったからその分もというお話でしたが、いまお尋ねした五千五百万トンというものを明確に確約しておったにもかかわらず、五千万トンという数字を出してきた。お話によると、百万トンや二百万トン上がろうが下がろうが幅はあります、こういうお話ですが、この前の五千五百万トンのときといまと情勢が変わっておらぬ、かえって逆にエネルギーの消費量が伸びておるわけです。消費量が下がっておるということであれば数字が下がってもやむを得ない、われわれとして了承せざるを得ない。しかし、総体的にエネルギーが伸びておって、逆に石炭だけ下がるのはどういうことですか。当時石炭が安くて石油が高かったというのでありませんよ。カロリー当たりの何銭何厘かの差はありましょう。にもかかわらず、こういう答申にしたということはどうも納得できない。具体的にひとつ答弁してください。
  15. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) 先ほど阿部さんがおっしゃいましたような意味では、正確には審議会答申をその会長から御答弁するのが適当かと思いますが、これは私やはりこの審議会の審議に一応事務当局として参加するという立場から御答弁申し上げたいと思いますが、やはりかつて池田内閣当時、五千五百トンの出炭目標ということが閣議決定されたわけでございますが、その当時と今日との違いを申し上げますと、やはりその後この五カ年程度の間に、やはり各企業の持っておる経営力、これはやはり相当な違いが出てきております。特に今回ここで約千億円にものぼる異常債務を政府の手によりまして肩がわりしようというようなことも、この五カ年間にできました異常債務でございます。なお、山の実際の出炭力等を見ましても、その後相当ビルドも進んでおります、いい山は相当ビルドも進んでおりますが、しかし、その間に閉山も相当行なわれております。しかし、ビルドされました山を見ましても、相当能率もあがっておりますが、やはりこの能率も、そう急激に今後これをあげるということは、なかなか一挙にはいかない。私どもは、やはり今後とも能率は上昇するであろう、また、機械化すべきであろうというふうに考えておりますけれども、そういうような点から、急に五千五百万トンの体制に持っていけといわれましても、供給力の面から見てそう簡単にはいかないというふうに私は現状を見ております。しかし、やってできないことはない。しかし、それにはやはり相当今回石炭鉱業審議会がいろいろな助長政策を出しておられますが、この程度内容ではなしに、やはり相当な、何といいますか、さらにばく大な国の助成と援助をするようなことをしませんと簡単にできない。つまり限界企業も国がかかえていくというような相当ドラスティックな方策をとりませんと、五千五百万トン生産の維持は供給力の面からも問題があるのではないかというふうに私は考えております。そうすると、ドラスティックに限界企業もかかえるには、やはり国民世論の納得も受け得る限界というものはやっぱりあり得るのじゃないかというふうに一つ考えております。それから、需要確保の面におきましても、今日五千万トンの確保ということだけでも、相当無理押しといいますか、エネルギー政策の立場から、特に政策に対して協力を願うように相当な要請をいたしましてここまできておりますので、この点についても相当の困難があるのではないかというふうに考えております。
  16. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 まあ審議会の諸先生方が一年間も熱心に論議し、結論を出されたことですから、私どももあまりとやかく言おうと思っておりませんが、まあ期待が大きかっただけに、若干これはということで憤りを感ずるわけです。しかし、審議会は、これは大臣に対する答申をもって事足れりとするわけですから、私どもは、政府がこれを立法措置を講ずるものは立法措置を講じ、予算化するものは予算化して出してきたときに大臣に対して発言すればいいことですから、あまりこれをめくって大臣あるいは石炭局長にものを申そうとは思っておりません。ただ、ここで一つ言い得ることは、確かに一千億の融資肩がわり、これは明確にわかるのだが、開発銀行、あるいは合理化事業団等の借金が、大蔵省の資金運用部の融資が出て、仁炭産業を素通りしていって、片っ方の赤字がなくなった、一千億なくなったということで、これは石炭産業のてこ入れにならぬのですね、現実の問題として。そういうことになりゃせぬですか。確かに一千億の融資をしてくれるのは、これは国民の税金ですからたいへんでしょう。しかし、石炭産業という一つの企業を通じて政府機関に入ってしまう。もちろん市中銀行もありますよ、しかし、市中銀行は微々たるものであって、ほとんどそちらへ入ってしまう。これでもって、一千億の金を融資したからということで抜本対策になったということはどうしても理解できないんですね。それから、百円の補給金等についても、これはいま申し上げましたとおり、国鉄運賃がもうすでに上がって、これはもう九十円近いコスト。そうすると、あまりありがたくない、現在のコストで計算しますと。そうすると、どうもこれは抜本対策にならぬ。熱心に一年もかかって論議してくれた先生方にたいへん恐縮ですが、私はそう思う。そこで、通産大臣がいままで抜本対策抜本対策といって、声を大にして私どもに答弁する。阿部君、いま聞くのは無理だ、抜本対策が出てからということで、これは三回も四回も大臣の答弁をいただいておりますが、まあこれが出た次の日ですから、明確に論議しておらぬかもしれませんが、ここでしからば通産大臣は何をなさろうとするか、これをうのみにしてお出しになるとも考えられない。ひとつ通産大臣の抜本対策を今後は明確に聞きましょう。
  17. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣三木武夫君) 私は審議会努力に非常に敬意を表しておるわけであります。この答申というものは、抜本策——まあ抜本策ということについてのいろいろ人によっての評価のしかたはありますが、これは抜本にメスを入れておる点が多いのでございます。したがって、政府としてはこの答申というものは十分尊重いたしたいと思っておりますが、これだけで十分だとは思わない。その点でいろいろ各方面意見も聞いたり、政府自身もいろいろ検討を加えて、これが短期間の収拾策に終わらないようにいたしたいと思っておりますが、この基本的な考え方というものは、私はこれは尊重してまいりたいという考えでございます。この上に各方面意見も聞いて最終的な態度をきめたいと思っております。
  18. 小野明君(小野明)

    ○小野明君 いま阿部先生のほうから指摘がありましたように、この答申を見まして、やっぱり産炭地域の住民とか、あるいは炭鉱労働者、あるいは関連産業というものが非常に失望をしておるということは事実だと思うのです。抜本策といいますけれども、一千億の異常債務をどう処理するか、これだけに重点を置いておる。メスを入れたと大臣は言われますけれども、メスが非常に浅い、上つらだけであって、ほんとうに石炭鉱業の安定と、こういうところまでいっておらない。エネルギー調査会結論あたりもこれに出ておりますが、エネルギー需要というのは、それぞれ三十九年度に比して五十年度で一・六倍、あるいは二・三倍等に伸びるのだ。こういうふうに結論を出しておる。ところが、それを受けて局長の言われるのは事務担当者だと言われますけれども、言われるからお尋ねするのですけれども助成策、あるいは需要確保の面で努力したと、社会的な摩擦というものが非常に大きいと、こういうふうに言われるのですけれども、やっぱりいま一歩の努力というものが足りない。それが五千万トンという数字にあらわれておるのです。その上限が百万トンであるか、あるいは二百万トンであるか、それはわかりませんけれども、これは第一次答申以来、五千五百万トン答申が出て、その目標が二年間で達成された。こういう事実を見ても、今度のこの答申を受けると、さらに閉山、あるいは労働者の離山というものが、そういうムードができるということがはっきりしておる。で、この出炭目標に対してさらに上積みするような、そして産炭地の住民なり中小に希望を与えるようなことをお考えになっておるかどうか、この辺を確かめておきたい。
  19. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) ただいま小野先生のおっしゃいましたような趣旨で、私どもさらにこの答申を受けまして肉づけをしてまいりたいと思います。特にこの答申は、大臣がおっしゃいましたように、やはり一つの大きな骨格を示しておるものでございます。こまかい点につきましてはさらに政府検討にゆだねておる点も多々あるわけでございまして、この答申を受けまして、政府としましては、できるだけ石炭鉱業が安定しますように努力してまいりたいというふうに考えております。
  20. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 私もさっきの大臣の抜本策についてひとつ基本的にお尋ねしておかなければならぬ点がありますが、私ども石炭委員会でも予算委員会でも論議しておりますのは、日本の総合エネルギーの中で石炭産業をどう位置づけるかということを質問いたしましたとき、大臣は、石炭鉱業審議会でいま審議中であるから、これを持って抜本的に検討したいとおっしゃいました。ところが、この答申では、この十ページの上からいみじくも書いておりますように、「今回の答申は、昭和四十五年度までの対策の基本骨格を設定するものである。」、これが一つ。それから、「国が私企業に与える援助の限界を示すものであり、われわれが、今回の答申をもって抜本的措置と考えるゆえんである。」と書いてある。この答申による抜本策というのは、大臣がわれわれにいままで答弁されてこられた抜本策とは違うわけです。基本的に違うわけです。私どもは、現在の石炭産業をただ五年に限ってないわけです。将来日本の総合エネルギーの中でどういうふうに位置づけるか、そういうものを質問したときに、大臣は、いや、それは答申を待って抜本対策を立てますからとおっしゃった。そこで、われわれとしては、現在の石炭産業は私企業では成り立たぬのではないか、いわゆる国有国管など、あるいは国営など、あるいは公社など、国が管理しなければやれぬのではないかという、それがわれわれは抜本策だと言ったわけです。いや、そうじゃないのだ、私企業でやっていける、そういう方策を生み出すと言っておられるが、この答申では、まず昭和四十五年度まで、数字も全部そういうことなんです。四十五年度までしか詳しい数字というものは大体はじいてないわけです。これから先はどうなるかということ、それを抜きにして抜本策はあり得ないと思う。その中に労働者の切り捨てがある。あるいは地方地域住民の生活の見放しがある。地方財政も、ここに数字におりますと、どんどん衰微してまいる。そういうものを考えるならば、この答申というものは、とにかく一千億を私企業に出してやるのだから、これが特に当面の対策だということしか受け取れぬわけです。これをもって石炭産業の抜本策などと大臣が受け取られるのならば、これはわれわれは問うことはできぬのです。もう一回石炭鉱業審議会政府は返してもらって、われわれがこういうような総合エネルギーの中でどうするかということを、もう一ぺん答申してくださいということを言わなければ、われわれはこれを持って帰れぬわけです。きのうの新聞を見ますと、炭労の代表が退席したという、そういう非常に重大なニュースさえ出ているわけです。したがって、その問題をどう考えられるか、これが一つ。  もう一つは、六月二十七日に終わりました通常国会でわれわれは特別決議をいたしました。そのときにいろいろ論議がありましたけれども、五千二百万トンというものを決議の中に入れている。それからまだ一カ月たつかたたぬのです。それがこの五千万トンのこの答申が出て、それを大臣はまことに金科玉条として尊重いたしますと言って、これを基礎に政府のこれからの対策を立てようとしておられるように私は考えるのですが、それではこの間来て、わざわざ大臣が立って、この決議によって慎重にうやうやしく答弁されたのはうそだという、この二点について御答弁願いたい。
  21. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣三木武夫君) 第一点の、これは五年の対策ではないかということですが、この骨格の中でも五年ではないので、たとえば異常債務の肩がわりにしても、みな十年も十二年もかかるようになっているわけでありますから、五カ年というのは、たとえば電力、鉄鋼にしても、五カ年先の需用に対して確約を取りつけたとか、五カ年間の需給関係というものは厳密に計画を立てたということで、エネルギー調査会答申ども、五年だけは五千万トン程度で、それから五年をこえた場合幾らになるかわからぬというのでなしに、一応五千万トンというものを確保していくことがいろいろに総合的に考えてみて適当であるということで、五年を限った五千万トンだとはわれわれは受け取っていないのでございます。そういうことで、とにかくこういう変遷の激しいときですから、電力会社も十年先まで幾ら使うか、それはやはり無理があって、やはり厳密な計画というものは五年くらいの期間を限って需給関係などを立てるのがほんとうである。これは五年間の石炭鉱業安定策だと受け取らないようにお願いをいたしたい。われわれも政府態度をきめるときには、そういう五年間だけで、しりの割れるようなことはやらないような考え方政府態度をきめたいと思っております。この答申もまたそういうものだと受け取っておるのでございます。  それから、第二の五千二百万トンの決議であります。これはむろんその決議も、政府態度をきめる場合にはそういう決議ということもできるだけ頭に入れてこれは態度をきめなければなりませんが、しかし、「程度」ということの中に相当のやはり含みもあって、こういうものに対しても、一体幾らと、きちんときめるきめ方等もありましょうが、なかなか「程度」ということばの中に非常にやはり意味の深いものがあって、なかなかやはり一つの答申としては、一つのこういう形の「程度」という中には相当な意味が含んでいるとわれわれは受け取っているのでございます。多少の弾力性を持っておりますから、これはなかなかやはり意味の深い答申だと受け取っておるわけでございます。
  22. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 大臣がこの答申を受けて、総合エネルギーの中における石炭産業の位置づけというような意味の抜本策だととっておられるならば、私どもこれはもう重大な問題として今後これを追及していかなければならぬのです。いま各新聞などの論説を見ましても、あるいは学者などの意見を聞いてみましても、一千億をたな上げしても、石炭産業は掘れば掘るだけ、これから五年掘れば五年また一千億の赤字が出るのではないかと、これはコストを計算すればわかるわけですから、五千万トン掘れば、またすぐ一千億の赤字になるのではないか。したがって、いまここで一千億をたな上げしても、これが将来ずっとこのことによって石炭産業というものは永久に安定するという取り方はしていないのです。  識者はやっていないでしょう。それを通産大臣並びに通産省も、このことによって石炭産業というものは安定である。もちろんその安定という意味は、三万人も首切るということを書いてありますから、そういうものは除外しても、それをやったらまあ先は安定である、あるいは五年ではなく、それじゃ十年と言いましょうか。期限を切りましょうか。そうは受け取っていないのです、みな。私どもこれをもって受け取れないのです。通産省並びに通産大臣が、これをもって今後これからのことは、当分といいますか、もうこれ以上に審議会答申を求めないでも石炭産業は安定すると、そういう意味の抜本策と思っておられますか。もう一ぺん聞いておきたい。
  23. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣三木武夫君) これはいろいろの見方があり得ると思いますが、われわれとしては、国民経済といいますか、全体の立場から石炭対策というものを考えざるを得ない。だから、必ずしも全部が全部みながこれはまことにけっこうでございますという答申は私はなかなかむずかしかろうと思う。石炭問題については、組合も経営者も、まことに今度の答申はごもっともであるというようなことはなかなかむずかしいと思います。そういう点で審議会努力というものに私は敬意を払っておるわけでありますが、これが実際にこう永久ということばはなかなかエネルギーの場合には私はむずかしかろうと思う。これは、しかし、五年というくらいの短期間でこれは考えてはないので、少なくとも十年くらいの間は一応安定していけるのだというくらいのことでないと、五年たったらあとはわからぬというようなことでは、これは非常なやはり不安を与えると考えております。永久というような口はばったいことは申しませんが、もう少しやはり長期に安定していけるような見通しを立てなければならぬ。  そこで、また、この補給金答申については百円以上、債務一千億の肩がわり、これだけではまた五年もたてば千億も累積するんじゃないか。私はそういうふうには思っていない。やはり企業も相当の努力をしなければならぬ。理由はともかくとして、一千億の肩がわりをしようということですから、これを安易に考えてもらっては困る。やはり石炭企業自体も、これだけの犠牲を国民が払うわけでありますから、それにこたえて思い切った合理化をやらなければならぬ。そういうことで、単に政府施策だけでじっとしておってもできるかということは、いろいろ問題があると思いますよ。それに呼応して企業、労働組合、みながこれはやはりとにかくエネルギー革命石炭が斜陽産業になりつつあることは、これはだれも否定できないですから、それをいろいろな総合的な見地から、少なくとも五千万トンくらいの出炭は長期にわたって維持していこうというのでありますから、これを安易に考えないで、経営者も労働組合も、みながやはりこの政府施策をささえ補っていくという、その努力というものもこれはプラスして考えなければならぬという私は考えで、この案そのものが政府態度になるかどうかは今後の検討にまたなければなりませんが、基本的には私はさように考えておるのでございます。
  24. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) この際、先ほどの石炭局長答申に関する報告について私からお願いをしたいと思いますが、阿部委員からの御発言もあって、昨日の審議会では、石炭局長答申案説明をされた。その理由は、事務局を担当する立場からその説明をされたと、こういう話でありますから、そういたしますと、この答申の中に書かれていることだけではなしに、この答申の背景というか、また、審議の経過というものも当然御理解になっておられると思うので、先ほどの報告につけ加えて、私のほうから二点ひとつ説明をしてもらいたいと思うのです。  その一つは、この答申に盛られた五千万トンというものが前提となって、かりに政策を立案された際に、昭和四十五年度には炭鉱の数はどのくらいに減るか。そして炭鉱に働く従業員の数はどの程度になるのか、四十五年度には。そして、それが地域社会にどういう影響を与え、具体的にはこの答申の中に、たとえば離職者対策をどうするなんということは一行も書かれていない。従来あるそのままでいいと考えておられるかどうかという問題が一つ。その数字的な裏づけ。  それから、もう一点は、今度のこの答申をそのまま実施をする場合に、コストに対してどの程度の効果があがるのか。補給金の百円という問題でありますが、それ以外にコストをどの程度ささえていく意味における効果があらわれるのか。その点をつけ加えて御報告していただきたい。
  25. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) ただいま御質問の点につきまして、審議会とされましては、この答申を作成するにあたりまして、いろいろ個別企業の実態を調査いたしまして、今後会社の各山一体どういう生産状況になるか、あるいはコストの状況がどうなるであろうかというような、いろいろな角度検討をされました。しかし、何と申しますか、いまお話の、四十五年度には山の数が幾つになるかというようなお尋ねがありましたが、そういうような計画閉山のような考え方は今回の答申をするにあたってはとられなかったわけでございまして、そういうことではなしに、各山がそれぞれ出されました計画に従っていろいろそれを内容を客観的に吟味いたしまして、どの程度能率があがるのが妥当であろうか、そのときのコストの条件はどのような姿であろうというような検討をしたわけでございまして、したがいまして、山の数がどの程度になるという点については、審議会としては何と申しますか、検討を加えていないような次第でございます。  それから、なお、従業員の数の問題ですが、これはただいま申しましたように、各会社の出しました今後の長期の計画、これに基づいていろいろ検討したわけでございます。一応審議会とされましては、御承知のように、昭和四十年度、昨年の能率は全国平均で、三十八トンでございます。それから常用雇用の労務者数が約十一万人でございます。これに対しまして、昭和四十五年度は生産量が五千六十万トンと一応前提いたしまして、能率は五十三トン、全国平均で。それから炭鉱常用雇用の労務者は約八万人というふうに考えられております。なお、コスト効果につきましては、能率をこれだけあげることに伴って、それ相応のそれぞれのコスト効果がある。しかし、今後のコストの推移を見てみますと、大体四百五、六十円程度の赤字が五年間、四十五年まで大体継続する、若干四十五年度になりますと能率の向上に伴って少しよくなっていく、悪化はいたしません。少しよくなっていくという姿でございます。それに対しまして、今回の肩がわり措置、あるいは安定補給金、あるいは今後の近代化に対する国の補助、助成というようなことを加えまして、大体この赤字は多数の企業において消していく、ただ、しかし、金融問題が残るというような考え方をとるわけでございます。
  26. 大河原一次君(大河原一次)

    大河原一次君 関連。通産大臣にお伺いしたいと思うのですが、先ほど小柳委員からも言われました、いわゆる総合エネルギーの中における石炭位置づけということ、いま五千万トンというのを出されましたが、これがいわゆる総合エネルギーの中における石炭の明確な位置づけだと、こうおっしゃっておられるようですが、私はそう考えてはいない。先ほど大臣は五カ年程度で云々といわれましたけれども、やはりこれはイギリスにおいてもフランスにおいてもドイツにおいても、総合エネルギー位置づけというものを、たとえば五〇%、三〇%というものを明確に、しかも、恒久的な長期にわたる位置づけがなされているわけです。五年間程度は云々とか、五年間程度はまあまあ、それ以上の長期にわたるものはなかなか容易ではない。なるほど国際的な情勢の変化もあるでしょうし、いわゆる激変する情勢の中でありますから、そういう点は明確には言えないにしても、明確な位置づけというものをやるならば、総合エネルギー対策の中の位置づけということになれば、相当長期な位置づけというものが行なわれてしかるべきだと思う。今回は五千万トンであるが、やがては、四十五年まではそうであっても、その先は、現在は二〇%を割っておる。今後は一五%になるだろうということを早くも取りざたされておる。五十年度においては一〇%になるだろう、こういうことがいまのうちからすでに予想されている。これでは私は総合エネルギーの中における石炭の明確な位置づけにはならぬ、こういうふうに思うのでありますが、その点いかがでありますか。
  27. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣三木武夫君) 私も、エネルギーの、たとえば原子力発電、これは一体世界的にはキロ二円を割るというようなことになるのではないかともいわれている。そういうことになってくると、非常なやっぱりこれは重油よりももっと大きな影響も受けて、エネルギー政策というものは、日本ばかりでなしに、どこの国でも、なかなかやはり非常な長期にわたってエネルギー政策確立するということは、私はなかなかむずかしい。しかし、総合エネルギー調査会で、これは石炭をいつまでも置いておけない。ですから、石炭だけ切り離して意見を求めたわけで、総合的なエネルギー政策というものは全般的にもっと時間をかけて検討をされることになるわけです。調査会も。これは急ぐものですから、石炭だけはとりあえずエネルギー調査会意見を求めたわけです。そういうところで十分に検討されなきゃなりませんが、この石炭の問題に関して、エネルギーの合理主義ばかりでもいけない。各国においてやはりいろいろな事情も私は違っておる。そういうことからして、五千万トン程度に一つの出炭というものを相当長期にわたって維持していく必要があるのではないかと私は思っておるのです。それはコスト計算からいけば、これはなかなか実際からいけば、石炭というものがもっとやはり重油とか原子力とかにかわったほうが非常なコストの上からは安いことは明らかですけれども、しかし、コストだけではいけやせぬじゃないか。それは世界情勢が一体どうなるのかという、こういう問題にも触れてくる。国内のやはりエネルギー源というものをある程度確保していくことは、やはりいつどういうことに世界情勢がなるとも限らないし、突き詰めてみれば、ただコストだけでいけなくて、やはりエネルギー源に対する供給の安全というような見地も要るし、地域社会、あるいは雇用問題、こういうことを考えてみると、コストだけでいけば不安ですよ。コストからいけばこんなのは維持できるのか、やがて五年たったらがた落ちになるんじゃないかというふうに、コストから考えればそうですが、やはり政府の意思として、ある程度やはり出炭確保していく必要があるという見解でございますから、そういうことで五千万トン程度というのが五年間だけのものだというふうには、われわれは、五千万トン程度政府出炭目標をきめる場合においても、五年間だけで、五年先はまた別だというふうな態度政府の方針をきめたくないと考えておるのでございます。
  28. 大河原一次君(大河原一次)

    大河原一次君 私は関連だから、あまり長く言いませんが、石炭局長にお尋ねしますが、先ほど小野委員からも質問があったと思いますが、いわゆる今日立てられた五千万トンというのは、安定供給の面からいって、現状からいってそうであるというふうに言われておるようですけれども、本院における決議の中にも五千二百万トン、衆議院においてもそのとおりの決議が出されたようですが、五千二百万トン——われわれは五千五百万トンを主張してまいりましたが、今日でも生きておるいわゆる有澤答申というものを尊重してきたわけですけれども、五千二百万トン、あるいは五千三百万トンということになれば安定供給にはならぬという根拠をもう少し明確に示してもらいたいと思うのです。
  29. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣三木武夫君) 私はこういう点だと思うのです。実際二百万トンふやすなら、五千万トン程度ということで五千二百万トン、やはりその二百万トンのおまえの考えの差を示せということは、これはなかなかむずかしい問題だと思うのです。ただ、しかし、いま言ったように、一つには需要確保という面もあるわけですし、これはコストは高いことは事実なんですから、電力あるいは鉄鋼も、植村さんも努力されたけれども、私自身も通産省のほうへ来てもらって、協力してもらいたいといって電力会社にも要請したわけです。そうして長期のやはり需要に対する協力電力会社は約束したわけであります。それは喜び勇んでやっておるわけではないわけであります。いろいろな日本のエネルギー状態、ことにその中における石炭というものの現在の状態ども入れて協力をしておるわけですから、そこにやはり需要確保という面もありますし、その他いろいろな面からもこれは幾らにするかということで、二百万トン下りた答申とは違うので、それはどうだということはなかなかむずかしいものがありますが、とにかく、これにはやはりそういうことも頭に入れながら、どこかでやはり調和をはかっていくよりほかにはない。どうしても石炭自体のことを考えればまた違ってくるでしょうし、一方、需要者の立場もある、そういうところで一体どの点で出炭目標というものをきめていくかということは、この答申も尊重するつもりでありますから、十分に頭に入れていかなければならぬが、政府がそういうこともいろいろ頭に入れて、政府態度をきめるときにはこの答申そのままということにもいきますまいから、いろいろ検討を加えていきたいと考えております。
  30. 大河原一次君(大河原一次)

    大河原一次君 石炭局長現状において、いまこの答申にも出されておるように、今後新鉱開発であるとか、あるいは、また、鉱区調整の問題が出ております。鉱区統合の問題、こういう面から検討すると、供給の面は五千二百万トン、あるいは五千五百万トンも可能であるが、需要の面がこれに伴わないから、したがって、安定供給にはならぬというお考えですか、その点をひとつ具体的に。
  31. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) 先ほどもちょっと触れさしていただきましたが、位置づけを考えるにあたりまして、まず供給力の点から検討した。供給力検討に際しましては、単に資源的、技術的な観点だけでなしに、資源的、技術的な観点でいけば、私は、御指摘のように、五千二百万トンでなくて、五千五百万トンでもやり得るというふうに考えるわけですが、ただ、やはり今日並びに今後の情勢におきまして、単に資源的、技術的な観点だけから供給力を考えるわけにはいきません。やはり山の継続維持の問題がございますので、やはり自然条件のいいところもあるし、自然条件がきわめて悪くなっているところもある、いろいろ山によって違うわけでございますが、したがいまして、それは限界企業まで全部かかえるという姿勢になれば、それは五千五百万トン程度供給力はあるというふうに見れますが、その限界企業をどの程度まで、雇用安定の問題とか、地域社会影響とかいうような角度から、あわせて、また、石炭供給の安定性という角度から、どの辺まで限界企業をかかえるかということになるだろうと思うのであります。やはりそういう観点も考慮されて供給力検討されたのではないかと考えております。
  32. 大河原一次君(大河原一次)

    大河原一次君 だいぶ長くなりましたが、私はその点がちょっと納得のいかぬ点ですよ。石炭局長が言われましたように、確かにそれはいろいろ山の経営の問題とか、あるいは自然条件の問題もありましょう。しかしながら、いま言ったように、新鉱開発なり鉱区調整ということになると、あるいは、また、機械の貸与制度を拡充さしていくということになれば、五千五百万トン程度もこれは可能であるということを局長も言われましたが、私もそのとおりだと思うのです。しからば、そのような需要確保の問題も大事でありましょう。いま、もっぱら政府は、ただ単に電力、鉄鋼というものだけに重点を置いて、今回の答申案の中にいわゆる官庁に対して義務づけを行なおう、日本はまだ自由で、国管なりをやっておりませんから、イギリスのように、電力会社、あるいは鉄鋼会社に義務づけを行なっておりませんが、私はそういう需要開拓の面でもっと広範な線で考える必要があるのではないか。  それから、一千億の肩がわり融資ということも出されましたけれども、私から言わせるならば、いわゆる大企業に対する優先策だと思うのです。個々の炭鉱に対する施策であって、日本における石炭産業として、しかも、今後の総合エネルギーの中の石炭産業に対する対策にはなっていないのではないか、このように私は考えるのでありますが、そういう点はいま少し丁寧に説明してもらいたいし、考えるべきじゃないかと思うのですよ。私は、かつて、やはり昭和二十七年ごろでありますが、第二次の石炭危機の問題で、いろいろあの当時メリット制度がしかれて、配炭公団がなくなって、四千五百カロリー以下は切り捨てという、石炭問題に重大な危機が到来したわけであります。私はそのときに県内にあって、県内における石炭は県内でできる限り多くを消費させるための策をとれということで県庁に申し入れをして、そして民間産業その他の産業に、いわゆる石炭をもっと多くたかせるというような、こまかい話ですから、県内の話ですからそういうことをやりましたけれども政府は、もっと電力、鉄鋼という、これはもう大口需要者でありますけれども、ただ、今回は官庁云々といいますけれども、病院であるとか、その他に対して石炭需要確保の制度を相当考えてもいいのではないか。一千億の肩がわり融資という、そういう問題以外に、そういう問題に金を使うよりか、むしろ需要拡大のためにもっと政府の資金を投入して需要拡大の方向を考えてもいいのではないか、私は、いまエネルギー産業の義務づけということはもうできない状態にあるのですから申し上げませんが、そういう方策を私は考えていくべきである。だとすれば、供給面においては五千三百万トン、あるいは五千五百万トンも可能であるという線も出ておるわけですから、これは非常に何かりっぱな質問ではないかと思うのですが、私はそういう点も広範に配慮すべきだと思うのです。どうですか、この点は。
  33. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) 御説、非常にごもっともな点が多いのですが、たとえばただいま御指摘の中で、新鉱を開発すればもうちょっと供給力出炭力がふえるのではないかという御指摘があるわけでございます。私どももそのように考えまして、新鉱開発につきまして、特にこの炭量、炭質ともに特にすぐれた山につきまして、これを開発すれば相当程度やはり何といいますか、良質の供給力がふえるというふうに考えまして、審議会の諸先生方にもそういうデータも差しあげて御検討をいただいたわけでございますが、ただ、遺憾ながら、ここで問題になっております炭量、炭質ともに優秀な鉱区の開発計画等を検討いたしてみますと、現在程度助成案、つまり新鉱開発については五〇%程度の例の無利子融資、この制度がございます。この程度の制度では、やはり将来ともに現行原料炭価を前提にいたしますとなかなか採算がとり得ない、これは思い切った近代化、何といいますか、モデル炭鉱的な設計をいたしましてもなり得ない。そのために、この委員会におきましても阿部先生から、私いろいろ御激励やら御叱責をいただいたこともあるわけですが、私も阿部先生の御意見と全く同じ意見でございますけれども、そういうことのためになかなか難航した。しかし、やはり将来の日本の原料炭確保というような点からしますれば、やはりビルド炭鉱といいましても年々老朽化していくわけでございます。やはり新鉱開発をする必要がある。総体的に見て非常に有利であるというような意味合いから、この原料炭の開発に踏み切るべきだ、これはまた国としてもその助成強化すべきだというような方針をいたしておるわけでございまして、なかなかこの新鉱開発につきましても困難な問題もあるわけでございます。したがいまして、いろいろな角度検討いたしましたが、やはり繰り返すようですけれども、およそ資源のある限り、これをまるがかえしていくような姿勢の保護策、助成策をとりますれば、それはおよそ五千五百万トン程度の維持は今後とも長きにわたって可能だと思いますが、その辺のところが国民経済的利益との調和をどうはかるかというような議論も一面においてございますので、まあ審議会とされましては先ほど申しましたような結論になっておるわけでございます。
  34. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  35. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) それでは、速記を起こしてください。
  36. 大河原一次君(大河原一次)

    大河原一次君 最後に、通産大臣に一つ御要請申し上げたいと思うのです。先ほど井上局長が、これは相当国民経済の立場に立って考えられた答申案であるということを言われましたけれども、私は一応目を通しましたけれども、それは確かに炭鉱労務者に対する年金制度をつくったことや、産炭地に対するてこ入れをやった、そういう点は考えられますけれども、そうして論ずるならば、あくまでも私は経済合理性の上に立って考えられた線ではないか、そういうように考えて私は遺憾に思っております。  そこで、先般の当委員会において、同僚藤田委員だと思いますけれども通産大臣に対する質問がありまして、そのときに、この答申は尊重する、尊重するたてまえであるが、問題は非常に重大な問題である。石炭の危機に関する重大な問題であるから、単なる経済合理性だけでは考えられないところは相当思い切った政策を内閣は出さなくちゃならぬだろう、こういうことを言っておられました。その点にお考えが変わりがないとすれば、近いうちに閣議決定されるでありましょうが、先ほど言ったような通産大臣石炭産業に対する決意のほどを十分に考えて、閣議決定の際には十分にこの点を取り上げてもらいたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  37. 藤田進君(藤田進)

    ○藤田進君 三点、私、時間の都合で要約しまして、この答申が出されました際の四十二名の委員のように見受けますが、それから、各部会が九つに分かれている。どういう出席なり、皆さんの答申の最終的幕切れのときの態度等について、賛否もあったように聞きますし、あるいは退場された人もあるやに聞きますので、この辺のことをまず第一に。  それから、第二の点は、幾多の立法が予想されているようですが、今後のプロセス、たとえばどういう立法を用意されようとするか。  それから、第三の点は、ちょうど通産大臣がDACの会議に行かれた留守にもなったわけですが、現内閣としては、池田内閣の当初諸般の政策を踏襲するということで発足せられ、その後、経済中期計画は、予算委員会その他で追及いたしました結果、これはもう実施不可能、よって経済審議会木川田会長のもとで鋭意検討中であり、これを待って策定するということになり、したがって、長期経済計画については、たとえば防衛、三次防の問題を含め、この基本的経済計画が確定しない前は不可能だ、困難だという答弁になったわけです、この国会で。ところで、八月中旬にこの答申を尊重しながらきめるということなんですが、経過を私ども仄聞いたしますと、大蔵省、あるいは通産省の間にあって、財政措置中心にいろいろとりなしがなされて、あるいはこれに大手炭鉱も加わったかもしれませんが、要するに私どもこれを見るときに、石炭鉱業審議会のいわゆる審議会答申というよりも、これは石炭鉱業審議会のあっせん案みたいな感じがするのです。大蔵、通産の間で、これはまともな答申案じゃなく、抜本的な自主的な立場で答申を策定しているとは思えない。論争になっている五千万トンについても、まあ三つのエレメントを考えたと言われるが、通産大臣として、これに加えて安定供給性の問題をいま言われております。局長が言ったのは三つの要点だと思います。これは書いてあるのも三つあるわけですね。要するに非常に腰だめで五千万トンと、こう書いてあって、そこで追及されると、その前後があるのだと、いやしくもこのエネルギー政策の中で、その位置づけといえば五千万トンだということなんです。これは一つの表現でしょうけれども、しかし、エネルギーの全体の中で石炭位置づけということになれば、単に五千万トンでいいというものではなくて、それにはそれ相当の付属資料というものがなければならぬと思うのですが、これはありません。あるいはお出しにならないのかもしらぬが、そこで、最終的に結論的に聞きますと、このような日本の非常に重要であり、影響の広範、深刻であるエネルギー、なかんずく、石炭政策というものが、一連の佐藤内閣の経済長期計画が策定されないうちに、これだけこま切れにされるということはいかがなものだろうか。今後の経済成長なり、それは安定成長といわれて策定するのだとおっしゃるわけですが、一連の基幹産業について、重要産業についてはどうあるかということは、これは長期経済計画の中で当然その所産として出てくるものである。こま切れにこれだけ取り出して八月中旬におきめになるということになれば、今国会の総理の答弁とはかなり——石炭部門というエネルギー中心をなすものについてはいかがなものだろうか。通産大臣はお留守でしたが、これとの関連ですね、長期経済計画、いまの佐藤内閣にはまだないという点の御説明をお願いをして、以上三点について。
  38. 国務大臣(三木武夫君)(三木武夫)

    国務大臣三木武夫君) 最初の二点については石炭局長が申し上げます。  三点目の点については、これは閣議において政府態度をきめるわけでありますから、そういう場合に長期経済計画との、何と申しますか、動勢等、この問題も一つの基礎エネルギーの問題が基礎になると思いますが、そういうことも頭に入れまして、そうして経済計画政府が策定いたします場合においては、このことも頭に入れて政府の長期経済政策に織り込んでいくというような手続にならざるを得ない。実際にさっきも言われるように、みな長期計画ができて、それからということもいいでしょうが、私どもとしては、石炭鉱業現状からして、できるだけ早く実施したいという気があるわけでありますから、一応こういう政府態度がきまる前に長期経済計画というものをにらみ合わせてきめるということでこの問題を処理していきたいと考えております。非常に合理的に考えれば言われるようなことがあるほうがいいのでありますが、そうなってくるとこれは相当に延びてしまうわけでありますから、石炭現状からして、できるだけ早く実施に移したいということで、長期経済計画のかね合いもそういうふうに考えざるを得ないのじゃないか、実際問題としてそういうふうに思っております。
  39. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) ただいまのお尋ねの、審議会における賛否その他の意見でございますが、昨日の審議会でございますね、答申作成の過程でなくて。
  40. 藤田進君(藤田進)

    ○藤田進君 最終末だ。
  41. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) 昨日の審議会におきましてはこの答申をつくりましたので、その経緯を簡単に申し上げますと、昨年三木通産大臣から諮問がありまして、石炭鉱業審議会としまして、一応植村会長に審議の委員を一任されまして、その委任されました委員が政策懇談会というものをつくりまして、政策懇談会のメンバーが主として答申作成に当たったわけでありますが、昨日この答申案審議会にはかったわけでありますが、審議会におきましては、各労働組合——炭労、全炭鉱炭職協、それから石炭協会中小の委員から主として御質問がありました。大体その意見の要旨を簡単に申し上げますと、まず、結論的に申し上げますと、炭労の御意見でございますが、炭労とされましては……。
  42. 藤田進君(藤田進)

    ○藤田進君 そうでなくて、四十二名で、出席がどのくらいで、満場一致だったのかどうか、その辺をはっきり聞いてみたい。
  43. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) ああそうですか。いま正確に調べておりますが、簡単に申し上げますと、炭労委員長、副委員長、これが本案には賛成しかねるということで退席をされました。それから、全炭鉱の松葉委員が、同じく本案には賛成しかねるという御意見の開陳がありました。あとは全員出席の方々は、一応植村会長のこの答申の案につきまして了承されたということでございます。
  44. 藤田進君(藤田進)

    ○藤田進君 立法は。
  45. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) なお今後この答申を受けまして、政府は、大臣もおっしゃいましたように、国会の御意見、の他各方面意見を聞かれまして政府としての態度を近くきめるわけでございますが、まあ予想されます立法措置といたしましては、まず、本年度の措置といたしまして、これは補正予算の問題になろうかと思いますが、同時に、それは立法事項もありまして、例の閉山交付金、これの単価が現在千二百円でございますが、この答申によりますと二千円程度ということに相なっております。これは二千円程度ということになりますと、特に引き上げました分につきましては離職者に対する退職金社内預金とかにできるだけ優先的に配分に当たって配慮するようにというような趣旨で、これは国会の決議もそうなっておりますが、答申趣旨もそうなっておりますので、こういった配分をそういうふうにしたい。こういったことは、一応、石炭鉱業合理化臨時措置法の改正ということがあります。あわせて、これは予算措置も必要になるのではないか。それから、なお、法律といたしましては、年内におきましてはその程度でございますが、あと再建整備法、例の肩がわりいたします際に、やはり海運にありますような再建整備法、やはり再建整備計画をつくって、通産大臣がそれを認可したものについて肩がわりするというような海運方式、ああいった再建整備法が必要になるのではないか。それから、もう一つの法案といたしましては、経理規制法の強化、この問題があろうかと思います。たとえばこれだけの国の恩典を受けますときには、やはり資産処分とかというようなものはかってだというようなことは、これは許されませんので、従来、経理規制法がございますけれども、さらにそれにつけ加えまして、そういった点についての改正が必要になってくるのじゃないかと思います。それから、なお、産炭地域振興等につきましては、明日以降、産炭地域振興審議会を開いてまいりますので、この審議会の模様によりまして、また所要の改正が必要なような結論でも出ればこれも追加される。それから、鉱害につきましてやはり相当な施策が並べられております。たとえば鉱害復旧事業団の全国統一というような問題もありますし、あるいは長期計画をつくって計画的に処理していくその過程のいろいろな手続的な面についての改善等もございますので、臨時石炭鉱害復旧法の改正というような問題も出てまいると思います。いずれも、この鉱害措置法以外のものにつきましては通常国会の問題になるのではないかと思うのであります。それから、なお、申し落としましたが、特別会計法、これは大蔵省がやると思いますが、特別会計法の新設という問題も立法事項だと思います。以上でございます。
  46. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 これは石炭局長個人の問題ですから、たいへん発言しにくいわけですが、これは御了承いただきたいのですがね。この審議会のメンバーではないわけですね局長は。
  47. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) はい。
  48. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 ところが、終始一貫、審議会に参画しておって、まとめるのは植村さんがまとめたわけですが、やっぱりあなた責任ある立場でお仕事をなさっておる、現実面で。一課長、一係長が資料をそろえるために審議会に入ったのであれば、これは問題ないと思う。あなたが、少なくとも答申案をつくる重要な役割りをメンバーでなくても果たしておるわけです。それが通産省当局で、三木さんの発言によると、これは大方の意見を聞いて、案は尊重するが、閣議で決定すると、こうおっしゃっておるわけです。たいへんあなたはやりにくかろうと思うのですがね。あなた御自身の問題だから、どうもぼくも発言しにくいわけですが、そっちへ行って得心さしてきて、得々としてここで納得せしめるような発言をする。それが今度は閣議でどういう結論を出すかわからぬけれども、今度はこれはいけませんとわれわれに説明したように——大臣もこれは知らぬだろうね。あなたが重要な役割りを果たす、そのあなたが向こうへ行ってまとめてきて、法律的には全然関係がない、厳然たる態度をとることになっておるが、向こうに行ってまとめて、こっちに持ってきてこれはいけないと言われる。そうすると、どうも私は発言しにくいけれども、これは困難な問題にぶつかってくるのではないかという心配がある。たいへんあなたにお尋ねするのはぐあい悪いですがね。  それから、この答申案を読んでみると、初めて石炭委員になった人は別として、従来からやっておる者は、あらゆる石炭関係の法律の中に全部出ておりますよ。「近代化」と「合理化」と、こう出ておるが、「近代化」と「合理化」とどれだけ違うかわからぬけれども、全部出ておるわけです。いまさら「保安確保」、「人命尊重」なんて書くこと自体が時代おくれで、審議会の頭脳程度を疑うわけだが、ただ、変わっておるのは千億の肩がわりと百円の補給金を出しますと、二条項しかないわけですよ。あとの年金の問題にしてもこの前の答申に出ておるわけですから、この案をどういうふうに具体化するかわからぬけれども、千億融資して、どうせ融資しなくてもつぶれていく、やむを得ないと言ってしまえばそれまでだけれども、これを頭に描いて、どこが助かるかなと考えた場合に、相当現実問題としていかれてしまうわけですね。大手の一部が残るでしょうが、あるいは中小の強力なるものは残るかもしらぬけれども、中間のボーダーラインにあるものがばったばったといかれますよ。これはそういう心配があった問題、こういうものを私は心配しておる。ですから、委員会で論議するのはいいか悪いかわかりませんけれども、実際問題としてこれを抜本策といって出されたのでは抜本策にはならないわけです。ですから、その点局長の見解を承っておきたい。
  49. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) 私がきょう答弁している立場も、まあ審議会の審議の経過に事務局として参画したその立場でいろいろ審議会の諸先生の意見を集約して申し上げているわけですが、昨日の審議会におきましても、会長から命ぜられまして、事務局として会長にかわりましてこの内容を御説明したいというわけでございますが、だからといいまして、これは私どもの立場からしますと、そういう場合というのは間々あるわけでございまして、やはり立場立場からものを言う、それから、また、立場からまたさらに判断するということはやはり切りかえなければならないことだと私は考えております。  そこで、いま先生御指摘がありましたが、この答申内容は、肩がわり安定補給金だけ程度だというようなお話がありましたが、私はそう考えておりません。それは新しい施策を明確に打ち出されたのはその点と、特別会計の新設と、それから、さらに言えば閉山交付金、これはやや事務的でございますが、この交付金の単価がいかにも低過ぎるから、これを引き上げるというようなこと、それから、さらに言えば、この年金の問題は前にも書いてあったとおっしゃるが、前はどっちかといいますと、率直に言って及び腰の書き方になっております。政府においてとにかく検討しなさいと、方向も何にも触れていない、検討しなさい、これだけ出ておったわけであります。これに対しまして、今回の答申では、ある程度具体的な基本的な考え方を述べて、四十二年度中に実現しなさいというような書き方になっております。ですから、そういうような点が先生御指摘の目立った点だと思います。で、実は、おそらくこれは今後私は労働組合の諸君とも、あるいは同じくこの答申を不満としております経営者とも、あるいは中小炭鉱の代表者とも、私は今後はやはり石炭局長——政府の立場でいろいろ話を聞きたい、それから、同時に、また、ほんとうの今後の考え方をやはり打ち合わしたいというふうに考えておりますので、この内容は、そういういま御指摘があったような内容だけではございません。大臣はこれを尊重すると、こうおっしゃいましたが、尊重する立場からいっても、この内容につきましては、なお相当やはり深く今後検討して政府としての態度をきめなければいかぬ問題がたくさんあります。審議会のこの答申は、お読みになっておわかりになりますように、骨組みだけを一応出しております。骨組みだけを。ですから、ビルド対策等についても、単にこの前とあまり変わらないような表現になっておりまして、この内容をどういうふうに実際にこの助成策政府施策としてやっていくかというような問題は、今後の私どもに負わされた課題でございます。ですから、この全体の体系につきまして、今後その肉づけについては、政府がやはり責任を持って、これ法律の問題でなく、予算の問題であるわけです。これにつきましては、今度は政府の立場から、政府が責任を持ってこの肉づけをしていく、こういうことになりますので、私は、この答申がこの程度まで書いておいて、これを大臣がおっしゃいますように、尊重する立場でやっても相当のことができるのではないかというふうに、これは私個人として考えます。
  50. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 幾つかの対策の中に、千二百円が二千円になった、だからこれ抜本対策の一つだとあなたはおっしゃるけれども、歴代の石炭局長は、いままでの金額は安くてどうにもならぬと、これを何とかしなければならぬというのが新井さんなり中野さんの石炭局長の時代の話だった。だから、抜本対策が出ようが出まいが、これは当然そうすべき筋合いのもの。それから、あなたのことばじりをとるわけじゃありませんけれども、これからいって労使双方に納得させるなんとおっしゃるが、納得するなら、なぜきのう納得させぬのか。別にきのう出さなくてもよかったわけです。通産大臣は八月中旬とおっしゃっていたけれども、八月中旬なんかに出っこないわけです。そうすると、もう少し審議会内部で、あなたがそのくらい自信があったら労使双方を納得させてよかった。ぽんと出てしまってから、ここで国会答弁用語としては成り立つかもしらぬけれども、現実上、私はそういうことは不可能だと思います。  それから、堀本政務次官にひとつお願いしたいのですけれども、これは答弁要りませんが、実は私ある機会に有澤廣巳さんにお会いしたときに、阿部君、石炭の問題なんかを産炭地振興まで含めて石炭局へ持ち込んだって、あんなちっぽけなところへ行ったってだめだよ、こう言われたことがある。なるほどそうかいなと、こう考えました。ということは、石炭局自体が動くとか動かぬの問題でなくして、イギリスのような一つの機構をつくって、イギリスには動力省があって、その下に石炭庁や何かあるわけですから、ですから、たまたま特別会計という、これはどこでやるかわかりませんけれども、こういうシステムがおそらくでき上がるでしょう。一千億の金が石炭産業へ銀行を通じてそっちへ行ってしまうのでしょうけれども、そういういろいろな制度ができ上がったので、これは動力省をいまつくれと言ったってなかなかたいへんなことでしょうから、せめて石炭庁ぐらいつくって、もう少し強力にやることこそが、やはり機構の上でも抜本的対策になると私は考えるわけです。いまの井上局長のもとに二十人、三十人の職員を置いて、つぶれる山から、ビルドから産炭地振興までやると言ったって、これは無理だと思う。ぼくはそういうものつくれと言いたいけれども、いまそこまで言ったって、花が咲いても実がならぬので、石炭庁ぐらいつくって、もう少し機構を拡大して、ひとつきめのこまかいお世話を願えぬものかということを、大臣がおられれば大臣に言おうと思って考えておったのです、最後に。しかし、大臣が欠席されておりますので、これは堀本政務次官に、どうせあなたは今度留任なさるでしょうから、格段のひとつお力添えを願います。
  51. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 速記をつけてください。
  53. 小野明君(小野明)

    ○小野明君 それじゃ、最後に資料要求をしたいと思うのですが、大体閉山規模が一千万トンだといわれておりますね。で、これとまあ五千万程度というこの関係ですね、この一千万トンという閉山炭鉱数、労働者数、この労働者数は出たようですけれども閉山数量ですね、それから能率、これもまあ三十八年と四十五年のは出たのですけれども、これについては、やはり年次計画でおやりになるのだろうと思う。その問題。それから、閉山に要する費用、これはまあ実績でですね、どれくらい要っているのか、千二百円が二千円になるというのですけれども、その閉山費用ですね、その問題を出していただきたい。  資料は以上です。
  54. 小柳勇君(小柳勇)

    ○小柳勇君 それから、ほかに産炭地域の経済に影響する資料で、地域経済がどういうふうに変動していくか、失業者の状態、あるいは関連企業の衰微などによる地域経済の問題などについて石炭鉱業審議会で論議されたデータがあるわけですから、そういうものを同時に出していただきたい。きょうのこの答申では資料が全然ないものですから、抽象論になりますから、具体的に論議したいから、失業者の発生や、あるいは炭鉱労働者の失業、関連産業の衰微による失業者の発生地域、地方自治体の減収などによる地方自治体の財源の問題など、この審議会で論議された資料を御提出願います。できますか。
  55. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 私のほうからもちょっとお願いしたい。それは各社のこの一千億の異常債務を解消するというその前提に立って、各社別の債務ですね、これを資料として出してもらいたい。それから、先ほども説明をしてくれと私、申し上げたのだが、それは今度の答申をかりにこのまま実施した際に、この答申によって新たに生じてくるコストに対しての効果というものはどの程度になるのか、こまかく分析をして、それを出してもらいたい。
  56. 鬼木勝利君(鬼木勝利)

    ○鬼木勝利君 いまの小柳先生の資料に付け加えて、生活保護者の数がどれだけふえたか、その実態。それから、地方財政のは先生がおっしゃったから、それと関連産業の数字。
  57. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) ただいまの資料要求でございますが、大体において用意いたすつもりでございますが、中に二点ほどちょっと問題な点がありますので、御了解得たいと思いますが、第一点は、一千万トンの閉山炭鉱数というお話がありましたが、今後の閉山規模は一千万トンかどうかということはまだ全く未定でございます。と申しますのは、御承知のように、これは具体的に炭鉱数、閉山数と、こうおっしゃいますけれども、具体的には、おそらくまあ大手のほうは比較的何といいますか、計画的に考えておりますから、この閉山の今後の五カ年間の姿というのはわかりやすい。ところが、中小炭鉱になりますと、まだ自分は閉山するという意思表示はないわけです。今度の答申を見て、助成策を見ておそらく御判断される面が多いのじゃないか。と申しますのは、ことしに入りまして中小炭鉱閉山の申し込みはほとんどないのです。これはまあ閉山交付金が上がるとかいうようなこともあるかもわかりませんけれども閉山の申し込みは、ほとんど一、二件の例外を除いて、全然ありません。したがいまして、まあこの一千万トンの閉山が必至であるかどうかということも、そういった意味からすれば不正確な、不明確な点がありますので、いわんや、閉山の山の数ということになりますと、いまのような事情でございますので、これはひとつごかんべんいただきたい。ただ、そうではなくて、そのあとでおっしゃいました、一応大手中心にいたしまして今後五カ年間にわたって一体どういう生産見通し、あるいはそのほかコストの条件がそれによってどういうような条件になるかというような点、そういった点は個別企業の点といたしましてあるわけでございますが、ですから、そういった意味で、能率ですね、能率は年次別にたしかあると思いますが、年次別の能率と炭鉱労務者数、数の推移ですね、そういった点は御提出できるかと思います。  それから、閉山費用は一体どの程度かかるだろうという点も、モデルの試算で用意をさしていただきたいというふうに考えております。  それから……。
  58. 小野明君(小野明)

    ○小野明君 ちょっといまのはおかしいよ。その五千万程度と、こういうわけでしょう。そうすると、それとの関連においてその一千万トンも動くわけですがね。あるいは、またそれよりか上にいくか、あるいはその目標というものが立てられるわけでしょう。
  59. 政府委員(井上亮君)(井上亮)

    政府委員井上亮君) ですから、それは抽象的、観念的にはまあ一千万トン近い——つまり生産制限というようなこととか出炭調整ということでなく、出炭調整的なものはこれは閉山だと、こういうふうに割り切ってしまえば、それはまあ大体一千万トン近いわけですが、ということが必要だと、計画上は。ということは言えますけれども、具体的に私ども指名閉山ということを考えておりませんから、従来もいわゆる指名閉山なんという考え方は一つもなかったわけであります。いままでは閉山の申し込みを受けて、それに政府交付金を差し上げて、円滑に閉山処理せしめようという政策をやってきたわけですから、ですから、その意味では今後の閉山、特にことしに入りまして中小炭鉱閉山申し込みはございませんから、今後まあ安定補給金をもらい、中小炭鉱にも特別配慮をされて異常債務の肩がわりを行なうというふうになりましたときに、どの程度の、あるいは流動その他の助成策、これをやりましたときにどの程度閉山申し込みがあるかということは、今日の状況においてはさっぱりわからぬ。そこで、私どもとしましては、先ほど言われました大臣の意思決定をできるだけ早くしていただいて、大筋においては、たとえば閉山交付金等につきましても、加算交付金についてはまだ最終的に政府態度をきめておりません。したがいまして、こういう問題は早くきめて方針の決定をしたい。そうして、その前提のもとで一体どの程度中小炭鉱あたりは、大手はわりあいにわかりやすい。しかし、中小炭鉱あたりがどの程度閉山希望があるかというような実態調査を私ども早急にやりたいと思います、八月に入りまして。それをやりませんと、今後来年度の予算がどの程度必要かということも正確にはわからぬ。大蔵省は補正予算は要らぬと言っておるのは、閉山の申し込みが一つもないじゃないかというようなことから補正予算は要らぬと、こう言っておりますが、そういうような実情でございますので……。
  60. 小野明君(小野明)

    ○小野明君 それはおかしいじゃないか。
  61. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  62. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) それじゃ速記を起こして。本件については、本日はこの程度といたします。     —————————————
  63. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。石炭鉱業審議会答申について参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 御異議ないと認めます。それでは、日時は二十九日とし、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  66. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 請願第六号を議題といたします。  本請願は、便宜、委員長及び理事打合会においてあらかじめ慎重に検討いたしました結果、議院の会議に付することを要するものにして内閣に送付することを要するものと協議決定いたしました。  この際、おはかりいたします。ただいまの請願第六号は採択することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  69. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 継続調査要求についておはかりいたします。  当面の石炭対策の樹立に関する調査につきましては、なお閉会中も調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  72. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  閉会中、当面の石炭対策樹立に関する調査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 御異議ないと認めます。  つきましては、委員派遣の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 委員長(大矢正君)(大矢正)

    委員長大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会