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説明員(高島節男君) ただいま御
質問の第一点の品目の問題につきまして私から御
答弁申し上げます。輸出規制をやっておりますそもそものたてまえというものは、日本としては輸出はできるだけこれが促進されたほうがよろしゅうございます。輸出振興という大きな角度からチェックをいたしておりますことの中心は、これが韓国に限らず、各国に輸出されまして、あるいは過当競争等で値下がり等を起こして市場を失うようなことがないかどうか、その
意味のチェックあるいは日本としまして、非常に需給逼迫しておるようなものが出ておって、日本の国内の需給
関係に著しい悪影響を及ぼさないものかどうか、その他あるいは国際条約上のココムとか、あるいは世界各国共通の禁制品であるとか、アヘンとか、そういうものについての輸出が行なわれないかどうかと、こういうことを厳重にチェックしてまいるというのが、輸出制度の根本になっておりまして、したがって、輸出業務の神経といいますか、中心がここに向いておるという実態にあることは、争えない事実でございます。ただ本件は、韓国のほうでプラントを建設いたしまして、それに伴いまして、まず機械類等の建設資材が出てまいるのが中心でございますが、それと付帯をいたしまして、初度の運転資材とか、あるいは非常に野っ原に工場をつくってまいりますので、蔚山というのが全くの漁港のようでありますが、そこの周囲に何もないところに建設をやってまいりますので、これに伴っていろいろな初度施設的なものが出てまいる、こという特色をもったケースでございます。日本としては、プラント輸出の中の一部付帯としてやってまいりましたので、本来ならば、オルソ・トルエン・スルファミド等は輸出承認品目ではございませんが、たまたまその一環であったので、輸出承認になったという経緯でいっているわけでございます。一番問題でございますオルソ・トルエン・スルファミド、これを輸出しましたときの状況の御指摘につきまして、私
ども詳細に
調査いたしてまいりました。当時の担当官の心境といいますか、判断の中身といたしましては、これは肥料の製造工程、アンモニアの製造工程において、いろいろアミン類が脱硫用として使用されております。OTSはそれらのアミン類の誘導体でございますので、それと相互転換の可能な一極のアミド類というものでございますから、三井物産側の
説明の脱硫用ということを聞きまして、工程のこまかいところまで煮詰めることなく、これは肥料の脱硫用かという気持ちで承認を通してまいった、こういう経緯に相なっております。その後、御指摘後、
専門的にこの点
検討いたしてみますと、今回のこのプラントは、脱硫工程が
一つございますが、ここでOTSを使うということは、そう
考えるのは無理がある、そう私
どもも判断いたします。続いて、脱炭酸工程というのが
一つございますが、そこのアンモニア製造の場合に、アミン系のものを使うということは、これは使い得るということで、物理的な問題では使い得るということのようでございますが、しかし、この点を特に意識してやったわけでもなく、また、これがこのための所要資材であるというほどのこまかいトレースもなく、これが現実に多く使われるということでもないように判断できます。したがって、この点は、前回の
委員会で御指摘に基づいて
調査いたしてみますと、当時の心境は、冒頭に申し上げましたような輸出の禁制品でもございませんし、普通なら標準決済で出てしまうようなものである。したがって、化学薬品の初度運転資材か、それはアンモニア製造工程の脱硫用であろう、こういう軽い常識で問題を通してしまった、こういう感じのことでございまして、したがって、私
どもの反省といたしましては、輸出承認に際して、非常に多数の案件を持っております。その案件の多数を処理いたしてまいりますときに、禁輸品とか過当物資とかいうものと違いまして、こういったものであまりこまかにつついていくというだけの立場でいくべきものかどうか、ここには若干いろいろと議論の在するところでございますが、いずれにいたしましても、標準決済
手続を経ていることでもございますし、元来ならば、韓国側で輸入管理上、あるいは通関上厳重にやっていくことがほんとうの関所でございますが、日本側の輸出承認に際して、いま一息
専門的な知識を働かしたならば、未然に問題に気がつくということもあるかもしれません。そういう
意味において、まことにこの点は私
ども御指摘のとおり、申しわけない次第であると存じております。
あとの諸般の物資につきまして、若干御
説明いたしますが、蔚山プラントの計画それ自身が野っ原に町づくりをするというような感触が非常に強うございますので、その結果、いろいろな資材が関連いたして出ているという経緯に相なっております。先般御指摘のテレタイプの件のほうは、これはたまたま十三台出たということでございまして、農業中央会に譲渡されたという事実はないかという点の調べをするように御指摘をいただきましたが、実は、二月に二台、八月に七台、それと、本件の対象になっております四台のほうと、二つのルートで出ておりまして、二月二台、八月七台というほうは、当該三井物産の取り扱いのものではなく、韓国の農協が八月分の七台は最終需要者にはなっておりますが、おそらくこれが向こうで荷揚げされたときに、ちょうど同じ時期でもございましたので、混同されたのではなかろうかという推測でございます。御
承知のように、テレタイプも標準決済物資でございますので、輸出承認を特別に求めるという形ではございません。プラントの輸出に関連した資材として出ました分は四台でございます。
それから水洗便所の件でございますが、これはまだちょっと
調査十分に行き届いていないところがあるかと思いますが、千二百個程度のものを承認いたしております。これも承認いたします場合の心境といたしましては、こういった建設があれば各種の工場だけでなく、事務所、病院等のそれぞれの付属の施設にも要りますし、社宅あるいは独身寮等々に
相当の人員を収容いたしますので、この程度のところは要るんではないかということを判断いたしたわけであります。全般にこういった直接工場と、工場からいえば付帯施設という感じのところの資材の買い方、取り方はかなり余裕を持って蔚山の地域に町づくりをするというような感触でやってまいっておるようでございまして、その一環としてこの点はおそらく微に入り細をうがって
検討するという姿勢でなく、同時に承認をいたしてまいったものと感じられます。
次に、電話機の件でございますが、電話機が
相当たくさん出ておりまして、工場内だけでなく、これはおそらくいろいろ営業所等を韓国全体について持って、この肥料の生産体制が整ったら売り込んでいく、こういった感触の施設といたしまして、多量の電話機を入れて販売網の充実というほうにこのプラントをつくったことの実りとして
考えていく。まあ一般に後進国、後進地域に対してやっていきます場合に、先方からは
一つ工場をつくりますと、日本の国内でつくるときと違いまして、いろんな関連の施設の購入をプラントの一環としてあわせ求めてまいっております。
経済協力全体の姿勢としては極力こういうものも要望に沿い得るようにしていきたい、こういう感触で認めたものであると感ぜられます。
それから工場、社宅等の用水に使います漂白剤の点は、やはり殺菌用でございまして、上水用及びあるいは洗たく漂白用あるいはそれに対する若干の予備というもので、それぞれ六十トン、三十五トン、五トンといったような内訳で百トンほどの漂白剤を輸出した。これはこういった物資の使い方としては合理的であり、
考えられ得るところだと思いますが、全般にこの点に限りませず、いままでありましたような物資につきましては、日本側のほうは輸出をしていく、これが輸出になっていくということは、あるメリットはございますが、韓国側では国内でこれが横流れをしていろいろな財源になっていくということは、これは向こう側の制度としてはまことに困ったことであり、われわれとしても本旨に沿わないことになってまいりますので、先方の管理体制を十分にきっしりと締めていただく。そうしてわれわれのほうも御注意に従いまして、極力こちらの、審査の段階でも、あまり著しくおかしいと思えるものには気がつくような体制にしていって、未然にそういう向こうの
過程で問題になる前に防げるだけ防いでいくべきものではないか、こういう感じがいたしております。特にOTSの
関係につきまして、用途、工程等の詰め方等が不十分であったことは、まことに申しわけない次第であります。