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1966-10-31 第52回国会 参議院 商工委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月三十一日(月曜日)    午前十時十七分開会     —————————————     委員の異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      小柳  勇君     野々山一三君  十月二十九日     辞任         補欠選任      野々山一三君     小柳  勇君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 井川 伊平君                 上原 正吉君                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 宮崎 正雄君                 吉武 恵市君                 阿部 竹松君                 小柳  勇君                 椿  繁夫君                 藤田  進君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        厚生省環境衛生        局水道課長    大橋 文雄君        農林政務次官   温水 三郎君        農林省農地局参        事官       佐々木四郎君        通商産業政務次        官        金丸 冨夫君        通商産業省貿易        振興局長     今村のぼる君        通商産業省重工        業局長      高島 節男君        通商産業省鉱山        保安局長     森  五郎君        中小企業庁長官  影山 衛司君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局審議官     住  栄作君        建設省河川局河        川計画課長    望月 邦夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (米の流通機構に関する件)  (鉱毒問題に関する件)  (日韓経済協力に関する件)  (中小企業に関する件)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会において協議いたしました事項について御報告いたします。  本日は、米の流通機構及び鉱毒問題に関する両件の調査を行なうことにいたしましたので、御了承願いたいと存じます。     —————————————
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、米の流通機構及び鉱毒問題に関する両件の調査を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 阿部竹松

    阿部竹松君 経企庁長官にお尋ねいたしますが、私がこれから長官にお尋ねする米に関しての問題は二点ございます。一点ずつ切り離してお尋ねしますが、長官、お時間がないために途中退席されるそうなんで、きわめて理解しにくいような質問になるかもしれませんが、御理解いただきたいと思います。  第一点の問題は、実は大蔵大臣福田さんが、ときどき明年の一月からお米の消費価格を上げなければならぬとおっしゃっているようです。したがって、まあいま解散とかいろいろな風評が飛んでおりますから、当時のようなおことば福田さんおっしゃっておらぬわけですが、どうも一月になるとお米の消費価格が上がるような気がする。したがって、農家生産者もたいへんなことでありましょうし、それを扱うところのそれぞれ関係者もたいへんなことであって、国の一般会計からどんどん赤字補てんするというわけにもいかぬだろうというようなことも、私どもは私どもなりに考えてみました。ところが、流通機構を調べていく過程において問題がある。一例をあげてみますと、あらゆる価格運輸大臣がそれぞれあらゆる物資にわたって認可制をしておって、これはこれ、これはこれという指定をしてございます。ところがお米の問題に関しては、食糧庁とそれから日本通運株式会社、ここの間の協定というものがあって、私どもが知っておる運輸大臣認可と違う。これがやはり米を高くしなければならぬ、あるいは赤字になる原因の一つでもある。こういうことが——数字的のことについては大臣が退席されてから、事務当局の方もおいでになっておると思いますので、その方々から数字についてはお伺いいたします。ただそういうことが許されておるかどうか、許されてしかるべきかどうかという点についてお尋ねいたします。
  5. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 米の配給機構と申しますか、配給合理化していくということは、私は非常に重要な問題でありまして、食管会計の中においても会計自身合理化しなければならぬ。またいまお話しのような流通過程における合理化、あるいはいわゆる流通生産性向上と申しますか、ことばは適当であるかどうかしりませんが、そういう面をもっとわれわれも検討していかなければならぬと、こう思います。したがいまして、いま米のお尋ねの一点であるその点だけ言えば、私どもとしても、そういうことが今日まで行なわれておりますが、それがいいかどうかということの問題については、さらに検討をする必要があろうと思います。  したがいまして、運賃はまあ一応国鉄自身運賃というものをきめていけるわけですから、その中においてどの程度の所要経費を要してやっていくかということだけのことになろうかと思うのでありまして、そういう問題について検討をすべきものは検討していかなければならない、こう考えております。
  6. 阿部竹松

    阿部竹松君 検討とかあるいは調査、そういう問題でなくて、大臣ね、もうすでに今日までやられておる。運輸大臣があらゆる物にわたって認可をしておるわけです。ところが、その認可はたな上げになっておって、食糧庁日本通運株式会社と協約を結んで、それによって支払われ、それが米のコストに換算されておる。ですから高い安い、こういう問題よりもまず以前の問題として、こういうことがなされて法的に違法でないかどうか。食糧庁に聞いたら違法でないとおっしゃるでしょう。しかし違法であるかないかということは、これは今度微細にわたって会計法から何かに関連してまいりますから、それは最前申し上げましたとおり、あと事務当局の御意見を聞きますが、そういうことを大臣決定を仰がなければならぬものが仰いでおらぬ。その金が合計して相当金額になる。もし私の数字が誤っておれば指摘をしていただきたい。しかし誤っておらなければ、これはもう是正してもらわなければならぬ大問題です。
  7. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この輸送に関することを日通に委託してやらしておるわけで、その契約がどういうふうに取り行なわれているかと、それが合法的であるのかどうかという御質問じゃないかと思います。したがいまして、その辺のこまかい問題については、ひとつ事務当局から説明をさせることにいたしたいと思います。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 一時間ですからね。それから私のほかに各委員大臣にお尋ねしたい項目がたくさんあるようで、事務当局あとでお伺いします。  そこで大臣、一例をあげてみますと、私の持っておるこの文献、誤っておればこれは是正しますが、お米一つまあ米からあらゆる貨物にわたって大臣が認定しておるようですが、まあ一例をあげると、米をとってみても、大臣許可料金というのは、大体その発地諸掛りに五百二十九円、ところが、いま協定しているのは六百二十三円十五銭、この一事をみても、これはもちろん米だけでないですよ、麦から何から一切そういうシステムでやっておるわけですが、これが是か非か、こういうことだけお尋ねしておきます。
  9. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 詳しい手続の問題について、私十分存じておりませんから、あるいはお答えが的を得ないことになるかもしれませんが、輸送運賃そのものはかりに国鉄がきめておりましても、輸送契約をする場合には、積みおろしの費用とかいろいろなものが加算されて、それを適当なものとして契約をされていくのじゃないかと私常識的に思います。そうして、それが食糧庁長官だけの決裁でやられるのか、農林大臣がそれを決裁でするのかについては、実は農林省の係の問題でございまして、実は私いま直ちにわかりませんが、しかしこれは非常に重大な問題でございますから、おそらく私はやっぱり農林大臣がそれは輸送契約というものを結ぶ場合には十分農林大臣としての御意見を述べておられるのではないかと、単純な事務的手続とは考えません。
  10. 阿部竹松

    阿部竹松君 なるほど農林大臣もまあ関知しておるかもしれません。しかし、実際問題として輸送の最高の権限運輸大臣にあるわけですから、その運輸大臣許可認可料として決定したもののワク内でやっておれば、私はそのことを申し上げない。しかし、ワク内をはるかにこえてはみ出しておるわけです。ですから、もう運輸大臣決定というものは、表現が悪いわけですが、端的に申し上げれば、これはもう無視されておる。そういうことを無視してですね、食糧庁日本通運株式会社マル通ですね、これと協定を結ぶことができるかどうか、まあ是非ですから、それができるかどうかということを聞いておるわけです。
  11. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日通運輸大臣監督下にあると思いますが、日通輸送契約を結ぶ場合に、運賃の問題、ほかに諸掛りその他でもってこれだけ百五十キロ当たりかかるのだというような点については、運輸大臣もこれは当然私は監督権があると思います。ですから、日通が不当に何か積みおろしその他に要求をしているかどうかという問題だと思うのでございますが、私は今日までのところ、やはり日通としてもそんな不当なものを考えて行なわれてないし、また農林省荷主側としてそういう問題について精細な調査をされた上でやっておられるので、農林大臣運輸大臣とがその点について合議されておるかどうかということ、それは私存じておりませんけれども、そういう運営の形からいえば、当然問題が起こるような問題についてはやはり合議されておるのではないかとこう思います。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 私はその日通を云々言うておるのではありません。やがては日通が法的な対象となる資格ありやなしやというようなことですと、日通が問題になるでしょうけれども、まあその以前の問題としてお尋ねしておるわけですから、また日通契約した相手が食糧庁であり、政府機関であるから申し上げておるのだ。もう一つ農林省にお尋ねすると、やった当事者ですから、それは右顧左べんする答弁するでしょう。しかし、農林省だけでお米の値段をきめたり、あるいは運輸省と農林省だけでお米の値段きめぬで、これから出てくる水の問題のように、藤山大臣のところでやはり国の経済全般の中から論議し決定するわけですから、したがって、その当事者、同じ当事者であっても経企庁長官のほうが最も公正妥当な意見を聞かしてくれるということで私は発言するわけです。やがて農林大臣から、食糧庁長官から、これは運輸大臣にも聞かなければなりませんけれども、いずれにいたしましても、さいぜん申し上げましたように、差額が、認可料金よりも高いということが根本的にこれはいかぬのではないか、こういうことなんです。大臣権限を逸脱している。それについてあなたに明確にお尋ねしておる。
  13. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 米の輸送配給というものを合理化していって、今日のように消費者米価の問題が物価問題でも国民経済のほうでも問題になってまいりますれば、われわれとしてもむろん、経済企画庁としても食管の問題については十分検討もする、あるいは食管運営についても検討する、そして意見を述べることは、私は当然だと思います。ただ、今日までまだ法的にはそういう問題について企画庁が特段の相談を受けるようなならわしにはなっておりません。しかし、われわれとしては消費者米価の問題、あるいは生産者米価問題等をきめる場合に、輸送関係というような問題を十分考慮してまいらなければなりませんから、そういう見地に立ってわれわれがそれらのものに対して意見を言う。そして改善すべきものは改善してもらいたいということは、これは当然経済企画庁として私はやらなければならぬ任務だと、こう思います。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 その他のことについてはあと関係政府委員の方にお尋ねします。  その次に、渡良瀬川前回近藤委員あるいは鈴木委員から発言されておった問題についてお尋ねしますが、一番最初に申し上げたいことは、明治十年から話が起き始めておるわけです。西南戦争のころですね。そこから問題が起きて今日になっておるわけですが、今日まで相当紆余曲折を経て、農家の人もたいへん御苦労なさったでしょうし、会社側のいかぬ点もたくさんあった。しかし、その間、そのつどそのつど解決して、根本的の解決は何一つやっておらぬ。しかし、最終的に幾つかのせきをつくって、群馬県側と、あるいは栃木県側に水を取り入れて稲作をなさっている。これから問題が膨大になるので、大臣おられるうちにとても答弁していただけませんけれども、一番聞いておきたいことは、いままで相当金額古河からその土地の組合なり、町なり、村なりが寄付行為を受けて、いろいろな設備をやっておる。特に今度大きな問題になった待矢場堰という取り入れ口等は、昭和二十六年から三十四年まで八年間かかった。それで古河鉱業からも金を出し、群馬県側も協力して八年かかって、これで一切終わりでございますといって、ときの知事から何からみな集まって、花火まであげて、これで万事終われりということになっておる。ところが次から次と問題が起きておる。こういう事実を大臣知っておられますか。
  15. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 過去の経緯については、非常に詳しいことを知っているわけではございませんけれども渡良瀬川鉱毒問題は、この前も本委員会においても申し上げましたように、私の若い時分からの世間の大きな問題であることは、私は当然承知いたしております。いまお話しのような経過もあったことは、その点存じております。問題は、今回水質基準をきめますについて、さらに科学的な最終的終止符を打つということでございますから、各方面からそれぞれの御意見もさらに出ておると、こう思います。で、これらの問題を慎重に、学問的見地の上に立って決定をいたして、そうして、それに対する善後策を講じていくということが私はこの問題における最終的な、科学的な意味における終止符を打つことになるのじゃないかと思います。したがって、経済企画庁として、やはり水質基準決定というものに対しては非常に慎重に、良心的にやってまいらなければならぬということは、これは当然でございます。そういう面について、ただいま専門の学者の方々に熱心に御検討いただいておりますから、その結論が一日も早く出まして、そしてこうした問題に最終的な終止符を打ち、それに応じてとらるべき対策、その水質を維持していくという問題について、どういうふうに鉱山側においても、あるいは府県側においても、政府においても対処するかという、水質維持という問題について考えていかなければならぬ、こういうふうに私考えております。
  16. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 関連。この前長官水質基準の設定について御質問を申し上げておりました。そこでそのときの答弁をみますと、水質基準決定がおくれている。ほかの調査指定河川はすでにきまっているけれども渡良瀬川については七年間もかかっている。そこで水質基準をいつきめるのか、こういう点について御質問いたしましたら、長官のほうから、できるだけ年内には、多少おくれるかもしれないけれどもきめたいという答弁があったわけであります。ところが、その後われわれもいろいろ各機関調査してみますと、話は進んでいないように承っております。それから水質審議会自体が動いていないような気配が見えるわけです。そこで、年内も余すところあと二カ月ぐらいでありますし、これから予算編成の時期に入るのですけれども、来年度たとえば水質基準がきまる、水質基準がきまっただけでは意味がないので、それに対して、通産大臣もやはり山元対策も並行してやらなければならぬということを言っているわけです。そうしますと、あと二カ月足らずしかありませんし、来年度の予算についてどう考えているのか、水質基準決定はこの前の長官答弁のように、年内決定されるということを言っておられるけれども、その後どうなっているのか、この点について承りたいと思います。  それからもう一つは、特に銅山以外の汚濁源、それは自然とか、認定不能というような部分があるわけです。まだ基準がきまらないから、企業者側責任、あるいはそれ以外の責任がだれにあるかという点については、この前も通産大臣答弁では、当然これは企業者だけの責任ではないということを一応触れておりますけれども、認定不能についての分の責任はだれが負うのか、それに対する措置はどうなっているのか、それについて承りたい。
  17. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 渡良瀬川水質基準をきめるための委員方々は、非常に熱心に今日まででもやっていただいているのでありまして、たとえば非常な大水が出たというときには、急遽現場に行かれまして検討する、平水のときばかりでなく、そういうようなこともやっておられますが、なかなか問題がむずかしいから、だんだんおくれているのだと思います。そこで私どもとしても、できるだけ早く、この前申し上げましたように、水質基準をきめてもらいたいということで、みんなを督励し、また水質委員方々にもお願いをして、今日まできているわけでございまして、まだ最終的に年内にはきまらないぞというお話も承っておりませんから、いろいろ御検討をいただいているものだと思いますが、御趣旨に沿いまして、われわれもできるだけ早く決定をしていただくように、さらに委員方々にもお願いをいたしてみたいと思います。  それから基準がきまった上で、鉱山側だけに責任を負わせるのか、その他の責任水質基準決定に伴って、どこが負うのかということでございますけれども、御承知のとおり水の利用というのは各方面にわたっておりますし、各地域にもわたっておりますから、国も当然施策の上で考えていかなければならぬ問題もございまするし、あるいはそれが農林行政のほうから考え、あるいは通産行政のほうから考えるという問題もあろうかと思います。また関係府県においても、それらの問題について適当な措置をとらなければならぬという場合もあろうかと思います。ですから、どこか単一だけの責任というのでは問題は解決しない。みんな総合的にこれらのもしそういうものを改善する責任があるとすれば、みんなが一緒になって総合的にこれを考えていかなければならぬ、こう私は考えております。
  18. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 私が承りたいのは、そうすると水質基準はおくれておるけれども、まだ年内きめないとも言ってないんだ、だからできるだけ急がして年内にきめたい、こういうことで解釈してよろしゅうございますか、きめることで。そういうふうにとってよろしゅうございますか。
  19. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私としては、きめるように委員方々にもお願いを申し上げます。
  20. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 そこで、その勧告によって結局経企庁長官水質基準をきめる。結局関係各省に対しても勧告権限を持っておる。そうしますと、勢いわれわれ地元民は、もうすでにこの前の長官答弁以来、来年度の予算に、たとえば農林省通産省関係方面予算の計上をすすめてくれるものと期待をしておるわけです。それに間に合うようにやっていただきたいと思いますが、この点はどうでしょう。
  21. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん長年の問題でございますから、水質基準がきまりますと、それに何らかの対策を講じていかなければならぬということで予算を必要とする場合には、間に合いますれば、むろん予算編成前にきまってそれが予算編成に組み込まれることが望ましいことでございます。しかし、かりに年末における予算編成に間に合わなくても、将来さらに補正するような機会もありましょうから、できるだけ早い時期にそれらの対策というものも各省それぞれやはり慎重に御検討になることと思いますので、また慎重を期していただいて万全を期することが私はいいと思いますから、若干そういう意味においておくれても、こういうような問題に対する御要望については、長年の問題をこの際解決して、そして関係をしておられる各方面方々が、やはりそれで終止符を打ったと、こういう対策もできたんだ、水質もこうきまったんだ、がまんするものはがまんするし、やるものはこうやるんだということになりますことが一番望ましいことでございまして、そういうことに努力をいたします。
  22. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 もう一点だけ。あとでいろいろ通産、厚生それから建設省に承りたいのですが、長官の時間があるようでございますが、もう一点だけ承っておきたいと思いますのは、あすこに御承知のように神戸ダムというダムが建設される。もうすでに予算が計上されて進んでおるわけです。そこで、これはもちろんその基本計画経済企画庁でありますが、実施方針はこれは建設省がやるわけです。そこで経企長官のお考えを聞いておきたいと思いますのは、鉱毒除去対策をそのダムをつくるときにおいて、これから実施方針をつくるんですから、そのときにおいて、経企長官考えとしては、あすこであわせて鉱毒対策の施設をやられるほうがいいと思うのですが、その点についてのお考えはどうでしょう。
  23. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 神戸ダムをつくりますときに、すでにこの問題も念頭に置いて建設省でも調査をされておるわけであります。それがどういうことが一番適切な方法かということを考えてまいらなければならぬと思います。いろいろそういう科学的な問題でございますから、いろいろ技術的な見地からも十分調査をしていかなければならない。それを念頭に置いて現在建設省で御調査中であることは私申し上げて差しつかえないと思いますが、なおそれらのことにつきまして建設省に対してもわれわれ十分注意をいたします。
  24. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 そこで、経企長官のお考えを聞きたいのです。というのは、通産省農林省、それから経企長官のお考えは、建設省実施方針をつくる段階において非常に大きなウェートを占めると思う。そこで神戸ダムが幸いできるんだから、あそこで六千万トン水を貯水するんだから、あそこで何らかの手を打ったほうがいいんじゃないかと私は考えるのですが、また地元民もそういうことを考えておる。そこで経企長官発言あるいは通産省発言が、非常にやっぱりこれからつくる建設省実施方針の中に入れるか入れないかということが大きな問題になってくると思うのです。この点についてのお考えをもう一点だけ伺いたい。
  25. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 神戸ダムをつくります以上は、お話のように私はそれを入れて建設計画を立てるべきだと、ただ建設省としても非常に——調査中と申し上げましたのは、これはダムをつくった場合に、そういう鉱毒をどういう方法で、これはやっぱり科学技術の問題にも関連してきます。ただダムをつくっただけでそのままというわけにいかぬと思いますから、いろいろ付帯的な設備とか、あるいは方法とか、いろいろあるのだろうと思いますが、そういうものを十分調査しないと、ただダムをつくって、沈でんさえすればいいんだというだけではいかぬと思いますから、そういう点について調査をしていただいておるわけであります。建設省としても十分それは念頭に置きながら実施計画の中に織り込まれるものと思います。
  26. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 それは長官、私の聞きたいのは、いわゆる経企庁が基本計画を立てているわけです。そのときにはこういう問題が出ておらなかったから、実施方針はこれから建設省が出すわけです。実施方針の中に入ってくれば、今度はダム建設の実施計画は水資源がやるわけです。その実施方針をつくる大事なときなんです。だから、鉱毒問題をここで何とか、企業者だけの責任でない、いまの長官答弁を聞いておれば、やはり企業者だけにその責任があるのじゃない、やはり国にも地方公共団体にもその責任があるというふうに私はいま長官答弁を解釈しているんですが、その点について、お答えがそういうような考え方でいけば、これは実施方針の中に考慮されるべきだと思います。その点で長官のお考えをもう一点そこを聞いておきたい。
  27. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お説と変わらないので、考慮されるべきだと思います。したがって、どういう方法でやるかということについて一番有効適切な方法は、建設省として調査しておられる段階だと、こういうことでございます。
  28. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 それじゃこういうように解釈していいですか、長官は、それはやっぱりもちろん建設省がやるんだけれども、その調査をされるべきだという考え方は持っているんだと、そういう点については建設省に対しては話し合いをやってもいいというお考えはありますか。
  29. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろんわれわれのほうから、御承知のような問題が起きておりますので、先ほど申したように最終的に水質基準をきめてですね、それを維持していくために適切な方法を各方面でやらなければなりませんから、神戸ダムにおいても、そのとる方法があり得るとすれば当然これはやらなきゃならぬ問題だと私は思います。したがって、その有効な方法調査していただきたいと思います。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 続けてお尋ねいたしますが、水の基準を諸先生方、権威あられる方々が集まっておきめになるのは、これは一日も早くお願いしなければなりませんが、水俣の下流ですね、水俣の工場の工場汚水事件でもこれはえらい問題になった。なかなか学者の諸先生方の意見も食い違って、あるいは工場側と食い違ったりして、なかなか結論が出ない。あるいはまた江戸川にいたしましても、千葉県でもときどき問題が起きる。そのつどですね、これは経企長官責任でないかもしれませんが、経企長官のような御答弁をいつも商工委員会で承って今日に至っている、きわめて遺憾であります。ですから、今度はそういうことでなしに、明確にきめていただきたいのですが、ただ、しからば水質だけの問題であるかどうかということですね。一方では何ともなくて、同じ地点で同じ水を便っても一方では何ともない、しかし一方が影響があるという場合には、そのよって来たる原因をそこだけ究明しなきゃならぬ。農家の人もこれはえらい迷惑な話で、PPM〇・〇四というようなお話をなさっているけれども農家の人はやっぱり昔からの足尾の鉱毒の流れた事件のイメージがあるものですから、これは足尾けしからぬというのは、農家の人にすれば当然なことです。しかし、いまは百年前と違いますからね、相当科学的な設備もし、やっぱり保安法にしたがって監督のもとにやっているわけですから、はたしてあの地域が鉱毒によって明治の初年のような状態かどうかということを調査せにゃならぬ。たまたま私が所用があって行って現地を見たんです。昔以来の農村の苦しみですから。ところが群馬県の農事試験場たるや、三坪ばかりの土地に一寸四角ぐらいの、黒くて見えないのに、これは試験場用地ということで試験なさっている。古河鉱業もこのぐらい毎年々々金を取られてやってるのだったら、土地の三反歩も買いまして、古河鉱業みずから試験するぐらいの努力が必要だったと思います。しかし、群馬県にいたしましても農林省にいたしましてもこれは全く冷たい、何ら処置を講じておらない。足尾の銅によって今日の稲作が何割か何パーセントか減収になるのだったら、もう少し真剣にこれはやるべきなんです。水の問題以前の問題がたくさんある。さいぜんも申し上げましたとおり、その群馬県でどういう話をしたか知りませんけれども、ほとんど隔年ぐらいに番付をもらってしかるべき処置を講じておる。それがにっちもさっちもいかなくなって、国が出してくれとか、古河けしからぬとか言う、これは政治でも何でもないのです。これは大臣に言ってもつまりませんが。これは農林省関係ですし、農林水産委員会予算委員会お話申し上げようと思っておりますが、実にこれはでたらめきわまる。したがって、そういう点については、いよいよ農林省においても御相談をし、御意見を聞くでしょう。あるいは通産省、厚生省とも関係があるでしょう。しかし、それだけに経済企画庁のき然たる方針を打ち出していただきたい。どうでしょう。
  31. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) いま阿部委員の御指摘になりましたように、たとえば同じ渡良瀬川の水を使ってる農地でも、被害が激しいところと被害が少ないところとある。これはやっぱり私のしろうと考えですけれども、流域の関係その他もございましょうし、あるいは受けます土壌の関係等もあって、その影響力が同じ水を使いながら若干違ってきているのだという点もあるのじゃないかと思います。したがって、むろん水質をきめまして、根源を十分に調査すると同時に、やはりそういう面から見て、たとえば沿岸流域においてこの水を使うとか、特に影響の甚大なのは土壌の関係かどうかという点も私は今後調べて、そしてその解決策を講ずることが一番大切だと、こう考えております。しかし、まず水質基準をきめなければなりませんから、われわれとしてはそういうことをやりますし、そういう意味においてこの問題を総括的に扱います場合に、やはりそういう観点に立ちまして、農林行政なり何なりの上でそういう問題も御検討いただくように私どもはしてまいりたい、こう考えております。
  32. 阿部竹松

    阿部竹松君 大臣近藤委員の御質問その他に簡単に御答弁なさっておるが、そう簡単にいかぬというような私の必配か杞憂かわかりませんけれども、問題がある。ということは、人間が飲料水として使う場合に、PPM一%でよろしゅうございますといって厚生省の省令にある。ところが、前回の委員会において、これはだれが言ったと言わぬようですが、速記録を見ても、農民側とか農村側とかいって、当時の政府説明員が明確にしておりませんが、PPM〇・〇四でなければならぬ。そうすると、百万単位の水は人間が飲んでもいいけれども、稲は一億単位でなければならぬ、これは一と四と数字が違いますが、そういうことなんです。そうすると、その川へいってみると、ハヤが生きてピンピンしているということですから、はたして銅分であるか、ほかのものによって影響されているか、ただ単に私どもがしろうと考えで、常識論でいけば、稲はしょせんは野性のものであるから、人間の飲む水が百万単位で稲が一億単位だというようなことでなくていいじゃないかと思いますが、人間と稲とは細胞が違いますからそういうことになるのかもしれません。しかし、そちらのほうは一度も調べておきもしない。これはばく然としておいて、これぐらいはいいだろうという——水の基準はわかるでしょう。しかしそういう細胞の範囲まで経企庁長官お調べにならなければこれは結論が出ないでしょう。そうなりませんか。
  33. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話のように、水の水質をきめるということは、まず根本的な問題で一番大事だと思います。しかし、同時に同じ水を使っている土地において影響が非常に違うというような場合におけるその原因の究明というのは、やはり農業対策の上でこれは当然とられなければならないことでありまして、そういうことによって、つまり農業の構造改革というものはそういう基礎の上に立って行なわれるのが当然だと思う。したがって、水質をきめることと直接の関連もいまのお話ではございますけれども、しかし、別個の問題としてもこれは私は重要な問題だと思います。ですから、われわれとしてもそういう点については、十分な農業政策の上で配慮が加えられなければならないということを考えておるのでございます。
  34. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 経企長官は十一時までということだそうですから……。いま水質基準の問題がだいぶ出てきたわけでありますけれども、問題は前回の御答弁等を承っておりますと、いわゆる〇・〇四にしたい、話に聞くと、農林省側では、農民側のほうとして〇・〇一を望んでいるけれども、しかし、それは水に溶けているものであるということになると、粒子できたものは困まってしまう。全体においてはいわゆる銅の濃度ということで答弁があったわけでありますけれども、もし、ここで水質基準が〇・〇三であるとか、〇・〇四になるかわかりません。わかりませんけれども、それにきまったときに、これは水溶性の部分はこのくらいであるとか、あるいは全体の銅分を全部塩酸に溶かして云々という御答弁がありましたから、塩酸で溶かして銅の部分がこれだけ入っているとか、そういうことがはっきりと明示されないと、はっきりと水質基準は〇・〇四になっている、これは水に溶けている部分のことであるという言いのがれを言うことは鉱山側においてもどこでもできるわけです。そこで、一体明示をされる場合に、水質基準をきめる場合に、どういうような表示のしかたをされるのか。非常に重要な問題になると思うのでありますが、その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
  35. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) その点は従来の例から申しましても、水質審議会で十分な検討をされました上で、その明示方法をきめられることになっておりますので、私どももそういう技術的な問題については、審議会の委員方々の御意見を待つよりほかないと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、これがいろいろなそれをきめても、農業にある程度影響するということになれば、これは別個に農業の方面としてそういう土地の改良事業とかいうものを考えていかないと、すべてが満足する基準というものは、実はおそらく委員の方がどんなにやられても不可能じゃないかと思います。そういう施策が並行していかなければ、最終的に農業の問題も解決しないということが言われると思います。
  36. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの長官答弁だと、良識ある委員によってその内容がきまるというのですが、はっきり言って、ただ〇・〇四ということになりますと、水に溶けている銅のイオン分だけになるということが考えられる。そうすると銅の粒子としてそれが流れて入ってきた場合は、農民はお手あげになる。しかも、そういうようなたとえ基準がきまっても、全体を含めた基準がきまったとしても、長年にわたって蓄積されるということを考えてもらいたい。企画庁はどういうように考えておられるのか。非常に問題がある。あらためて前の問題をはっきり——イオン分とはっきりあわせてこうであり、片方にはこういうような蓄積結果というものがあって被害を与えている。銅が稲に被害を与えているというような証明は、明治から有名な足尾の問題で何度も何度も東大等で試験をされている。実際にこういう場合には被害があるということを著名な博士によって公表されている。累積された事実がありますから、できるだけ排除していく方法考えなければならない。といって鉱山側の場合でありますから、基準のきめ方が非常に問題があると思います。いまのような御答弁では私は非常に不満でございます。
  37. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 銅のイオン分以外に粒子として放出された場合にどうするかということ、おそらく水質基準としてはイオン分を主としてやられると思いますが、それは粒子として常時流れておるのかどうか、私はその辺はわかりません。大水のときは流れ出る。ですから、これはやはり粒子として流れるについては、非常に困難な問題でございましょうけれども、やはり鉱山側あるいはそれを国がどういうふうにして助成して、そういうものをなるべく大水のときに流れ出ないようにするかということでありましょう。それから田畑に対して過去数十年の問題ですから累積しているものがあれば、土地改良ということによってこれは解決するということで、それらのものがないと、ただ水質をきめたからといって、なかなかこの問題は沿岸受益者あるいはその地元において処置が十分でなければ、問題はやはり解決しない、こう思います。
  38. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 やはりきちっときめておいて、それを順守させるということでなければ、水質基準をきめてもしようがない。いまの御答弁のような、基準をきめても守らなきゃしようがないという御答弁ではならないと思うのです。それは政府のほうでも厳重に監督してもらいたいと思う。それについてですが、この前のときに水質汚濁の原因は、経企庁のほうは鉱山側は四割しかない、洪水時においては一八%しか原因がないという話だったのですが、実際に坑内水を流していないと言いながら現実には流している。そういう点で、認定不能の部分を第六部のほうでは積極的に進めている、鉱山側なのかどうなのだろうかということを、ということでありますけれども、その作業というのはいまどのくらいのところへ片づいておりますか。私どもが見ると八、九割は鉱山側だということははっきりしているのですが、その点いかがですか。
  39. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 水質基準がきまりますれば、その水質基準はぜひとも守らなきゃならない、これは当然のことであります。ただお話のように、大水その他で粒子が流れ出るというような問題については別個の処置をとらなければならぬのであって、そのために水質基準の設定されたものをゆるめるという考えは毛頭それはございません。そこでそういう問題についてはやはり鉱山側なり、あるいは農地に累積されたものから起こるのか、そういう問題についてはさらに検討を要し、それぞれのあれは取り行なわなければならないと思うのでございます。
  40. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの汚濁の原因の問題。
  41. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 汚濁の原因については、この前も申し上げたように、なかなか認定がむずかしいというので認定不能のものも相当あるということでございますが、これらについては十一月中になるべく最終的結論を出したいというのが委員方々のいまの御意向でございます。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 水の基準の問題が取り上げられておりますが、それと同時に明治時代の原始的な足尾の採掘法の暗いイメージをいまのに当てはめて論議しているわけです。しかし私は私なりにたとえば足尾の鉱毒によって下流の飲料水に使う皆さんとか、あるいは農村の皆さん方がそれによってどうしてもやっていけぬというのだったら、足尾銅山、これは国の命令でストップさせたほうがよい。しかし明治時代の採掘方法と違って今日は相当近代化しているわけですから、私などは水をはかってみるのも重大な問題であるけれども、しかし、あの土壌というものは、一方にはやはり相当豊作な稲も同じ水を使ってとれるところがあるわけですから、その究明もあわせてやっていただきたいと思うのです。前回の委員会では、足尾ははげ山なものですから、植林したか、いや、それは林野庁の問題ですから林野庁に交渉中だという御答弁の速記録もありますが、あれは明治二十年に、全部一万ヘクタールくらい焼けてしまって、そこは木がはえぬわけです。鉱石のある山というのは比較的地質がやわいのです。頁岩土とかサンド岩のようなかたさを持っていないのです。ですから、はげ山に木を植えようといっても、これから一千万年、二千万年たたぬとだめなんです。何ぼ日本の林野庁の林野行政が発達しても、そういうことを国会で論議してもつまらない。そういう絶対はげたところに植えても育たぬし、もうさいの川原なんです。ですから、究明は土質も全部調べて、そうしてやはりいまは被害をこうむっているところの土質を、あんな水ばかりで、群馬県農林部の試験場だなんということでなしに、国も金を出してとにかくやるべきなんです。農家の人を安心させるべきなんです。農家の人に濃度をはかるPPMとか〇・〇四とかいっても、何かわからない人が多いわけです。ただ足尾はけしからぬ、銅分が雨が降ったらたくさん流れてきた、それが川へ入るのではないか、こういうことなんで、農家の人を安心させるためにもこの土壌が何か、端的な例で恐縮ですが、ちょうど火山灰の上に土壌があって、あたたかい水が入ってきても下へ抜けてしまうということになりますと、銅分も含んでいて影響があるかもしれないけれども、土質によっても影響がある。これは農林省のお仕事ですからこれ以上申し上げませんが、水を総合的に調査して結論を出される——藤山さん、これは農林省に厳重に申し入れをして、その土壌が適か否か、そういうことも調査していただきたいと思うのですが、この点はいかがですか。
  43. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほど申し上げましたように、水質基準がきまればそれを守っていく、なおきめられた水質基準の範囲内においても、ある部分にいろいろな問題が起こってくるとすれば、それはいまお話のような点から解決していかなければならぬ、鉱山側においても、お説のようにすでに相当過去と違って近代化をしているようだけれども、さらに新しいとられる方法はないか、これは考えていく必要があると思います。さらにそういう状況のもとにおける農地の土壌の客土その他の問題も考えていくということでなければ、この問題に最終的な終止符を打つわけにはいかぬだろうと思います。そういう点について、企画庁としては当然各省に対してそういう意見を申し、あるいは勧告をする、こういうことに相なろうと思います。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 これは長官に対しては最後になりますが、あの渡良瀬川のあの水位から、取り入れ口についてたくさん水を利用しているわけです。そのうち私は五カ所ほど見ましたが、一番問題になっているところが一番たくさん金をかけておるし、さいぜん申し上げたとおり古河からも金をとって、ドイツの科学的知識も導入して、群馬県のえらい人が全部集まって花火まであげた、そうして一番喜ばれるところが一番だめなんです。しかし私は相当調べましたが、まだ正確な根拠はありませんからこれ以上言いませんけれども、それと同時に私は知識がないものですから、こうこうこういうようになっておりますよという常識論としては見ましたのでわかりましたが、しかし科学的には私はよくわかりません。ですから、でき得ることならば、長官のところの水資源局あたりであの堰を調査していただきたい。これはもう御答弁でなくて、調査できるかどうか、ひとつ要請です。
  45. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 水質に関する調査はむろんわれわれのほうでやるべきものでございます。ただ、その対策等になりますと、農林省のほうの問題になると思います。
  46. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記をつけて。
  48. 阿部竹松

    阿部竹松君 私の質問というよりもこれは要請になると思いますが、幾つかの渡良瀬川からの取り入れ口、堰堤を、私しろうとですからはっきり申し上げることができませんけれども、見た結果、一番膨大な金をかけて、一番群馬県の喜んだその築堤が、せきが、そこから取り入れるところが一番いかぬという問題になってきている。いずこも迷惑をこおむっておるでしょうが、特に迷惑をこおむっておる堰堤があるんです、科学的なドイツのそのお知恵まで借りたそのせきなんですが。ところが、そのせきが機能が完全でない。なるほどしろうと目で見てみると、いろいろな施設が何段階かに分かれてあるわけですから、しろうとが見てもこれはいかぬなと、こういうことがわかる。しかし、学問的な裏づけが私ないものですから、いま目下勉強中ですからわからぬ。したがって、あなたのほうですと、それぞれ水資源局があって、これは専門家がおられることですから、機関もあることですから——農林省もやることかもしれません。しかし、別に農林省経済企画庁と競争してやりなさいとか、農林省をはねのけてやりなさいと言うておるのではなくて、将来あそこの農民の人を安心させるために、調査なさったらどうか、取り入れ口だけを。こういうことを要請申し上げておきます。
  49. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 取り入れ口における水質がどういう状況にあるか。また、それが将来の基準に合ったような水であるかということについては、これは当然企画庁として渡良瀬川指定をするときに調査をしてあれいたします。それに対してどういう対策をとったら、その堰堤構造が悪いのか、あるいは堰堤について何らかのあれがあるのか、あるいは技術の問題か等の問題について現実に処置をするというような場合には、これは農林省等でひとつ実施していただかなければならぬと、こういうことでございます。
  50. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 速記をつけて。
  52. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 初めに通産大臣にお伺いしたいのですが、前回の委員会保安局長答弁では、昔は確かに硫酸銅をじかに川に流しておった、しかし現在は一向ございませんというようなことをはっきり言われておる。坑内で、すべて足尾銅山の中で処理されていると言うのですけれども、これに一向変わりがないかどうか。というのは、私が調べてまいりましたところでは、その足尾鉱山のいわゆる硫酸銅の水ですね、その入っている坑内水を、第一番目には通洞坑というところから出している。通洞坑から出して中才浄水場でろ過してやることになっているんですが、実際には、その中才浄水場のすぐそばに飛島組という社宅がある。その社宅の裏側のがけのところにバルブが置いてある。とうてい処理し切れないと見ると、そのバルブをあけてじかに渡良瀬川へ流している、こういう事実が一つ。  それからいま一つは、小滝という立て坑があるそうでありますけれども、そこの立て坑のところからずっといろいろ防毒水というもの、いわゆる硫酸銅の水を処理する箱が置いてある。ところが、雨が降るというと硫酸銅が出てきて坑内にしみ込むことが多い。それを置いておくと坑内のいわゆる車が全部腐ってしまうものですから、やむを得ずこれを逆に庚申川のほうへ浄水場を通さないで流している。通産省のほうに聞くと、坑内には流れておりませんと言うのですが、三日前に私が調べたところでは、確かに流れている。庚申川の上流には全部魚がすんでいるんですが、その下はすんでいない。特に洪水時に汚濁の状況を見ましても、庚申川は雨のときにものすごく銅の分量がふえております。鉱山保安局のほうでは、通産局では絶対に流しておりませんと言うし、また向こうの工場長も、坑内からはひとつも有害な水は流しておりませんと、はっきり言っている。ところが、鉱山につとめている人に聞くと、バルブをあける係がある。その係までいて流している。そういうことになると、こういう事実は会社側が秘密にしているのでしょうか。こういう点は通産省は御存じなのかどうか、今後またそれに対してどういう処置をするのか、伺っておきたい。
  53. 森五郎

    説明員(森五郎君) ただいま先生が坑内水でなおかつ硫酸銅を含んだ水を直接川に流しているのではないか、こういうお話がございましたのですが、およそわれわれの常識、鉱山をやっております常識からいったら、そういうことは考えられないということです。そこで処理し切れなくなったからバルブをあけて硫酸銅を含有した水を川に流す等については、ちょっとわれわれの常識としては考えられません。ただ非常に古い山でございますから、ほうぼうに旧坑がありまして、雨が降ったときに、そこにたまったものが流れ出したということは考えられますが、いま先生から御指摘がございましたが、もう一ぺん調べまして厳重に処置いたしたいと思います。
  54. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この問題は、私は、小滝の場合は、普通ならば通洞坑を通して中才に入れている。だけど実際はそうじゃなくて、いざというときには流しておりますよ。ということは、前もって、質問に十分答えられないといけないので調査してもらおうと通産省に言ったわけです。ところが、行ってみたところが、絶対にそういう事実はないと、通産省側は言っているが、小滝から庚申川へ流している証拠がある。だから一体どういう調査をしたのか。鉱山側に言いくるめられて帰って来たという感じがするのです。ただ調査するだけじゃなくて、あったらどうしますか。これは現実にバルブの係を足尾銅山側で置いているものです。そういうことがはっきりしているので、私どもは問題と思いますが、その点についてどういうふうに指導していくか、御答弁願いたいと思います。
  55. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いま具体的に係までいるというお話でありますが、そういうことがあれば、これは問題でありますから、調査をしてといいますか、さらにそういうことも頭に入れて調査をさせて、そうしてそういうことがあれば、そういうことをやらないように厳重に注意をするようにいたします。
  56. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 先ほど経済企画庁長官に御質問した、水質基準決定についてはおくれているけれども年内にやろうという答弁があった。これに関連してこの間質問した関連事項の中ではっきりした答弁を得られなかったので、ひとつ御質問をしたい。  それは、いま質問の出ました原堆積場に関連したことですが、堆積場で長い間操業して、排せつ物がある。それはどこに、どの程度、どの時期に捨てられておるか、これを答弁してもらいたいということでお願いしたのですが、はっきりした答弁をいただいていないのです。これをひとつ承りたい。  それから、当然それに対して鉱害防止の施設を保安局あるいは監督部でやっておると思うのですが、これについても、保安上からそれは完全であるかどうか、そういう点についての御答弁を願いたい。  それから、大臣のほうへひとつ伺いたいのは、先ほど水質基準決定と同時に、これはまあ並行して山元対策をやらなければならぬだろうという私の質問に対して、それと同時に、たまたまあそこへ神戸ダムができるということは、御承知のとおりなんです。これはあと建設省のほうにも承りたいのですが、実施方針をいまきめる段階で、各県、群馬県なら群馬県に対して答申を求めてきておる。実施方針をこれは建設大臣がきめるのですが、通産省としてのお考えは、そのダムは幸いに六千万トンの水をあそこにためるのですから、そこで鉱毒を除去する施設がやられるならば、非常にプラスになると思うのです。何か考えられないかどうか。その考え方は、結局経済企画庁長官通産大臣の御意見が非常に大きく私は反映すると思うのです。そこで、神戸ダムをつくる場合に、その鉱毒対策の施設をやるようなお考えをお持ちであるかどうか、この点について大臣にひとつ承りたい。
  57. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私はできればそういう対策をしたほうが好ましいと思っております。そういう点について、そういう装置がどういう効果があるか、いろんな点で建設省といま打ち合わせをしております。できればそういう万全の処置を講ずることが好ましいことだと私は考えています。
  58. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 先ほどの質問に対して……。
  59. 森五郎

    説明員(森五郎君) この前、近藤先生のおっしゃいました足尾鉱山の堆積場がどのくらいあるかという御質問がございました。これに対しまして、一々名前をあげずに、われわれのほうで調査したところによりますと、十四の堆積場があるということは御答弁申し上げてございます。
  60. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 ただ十四あるだけではわからないので、いずれ明細な資料をひとつ次回までに出してもらいたい。というのは、堆積場の数が幾つあるか、堆積されておる排せつ物がどのくらいの数量になっておるか、この点の資料をひとつ要求をしておきます。
  61. 森五郎

    説明員(森五郎君) 資料を提出いたします。
  62. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この堆積場の問題でございますが、この前のときに、これについては十分に調査されておいでのはずだと思います。ところが、私があそこの水を持ってまいりまして東京都の衛生試験所で分析してもらったのです。そうしたらば、銅分については五・八八PPMというような、そういう状態なんです。浄水をして出てくる水についての指導とか、あるいは基準というものについてはどういうふうに考えているのか。  それから、前回御答弁がなかったのでありますが、原堆積場を現在採掘をしておる。もう一ぺん今度は採石しておりますが、ある人に言わせれば、何年間に終わるのか。これを終わり次第木を植えて——これにどろをかぶせて木を植えてということを言われるのですが、一体何年かかるのか、この二つの点について。
  63. 森五郎

    説明員(森五郎君) 原堆積場の堆積物でございますが、その中で、あれは昔に処理したものですから、銅が若干残っております。現在の新しい技術をもってすれば、それから再び銅が回収できるということでございまして、その堆積物を水に溶かしまして、もう一ぺんどろ状にいたしましてそれをポンプで選鉱場に送る、それで選鉱場で処理をする、大体現在五千トン・パー・マンス——一カ月五千トンの割りで処理をいたしておるわけでございます。したがいまして、約三十万トン程度でございますから、数年間でこれが完了するということでございます。われわれのほうといたしましては、そういう現在の進んだ技術にすればそれが回収ができるということでございますし、なおかつ、それがなくなることがかえって水質問題から考えましても好ましいと。したがいまして、これをもう少し早くスピードアップするということを会社に検討をさしておるのでございますが、何ぶんこの処理は、全然別系統でやらなければならないということの関係で、目下会社にもうちょっとスピードアップができないかということを検討をしておるわけでございます。  それから、ただいま水が、この原堆積場の水が銅を含んでいてそれが流れているのじゃないかというお話でございましたが、現在この処理の方法としましては、一ぺん大きなピットと申しますか、穴に全部水を入れまして、そこにどろを一緒にまぜて、それでポンプで選鉱場に運ぶというような方法をとっておるわけでございますが、若干管理の面で、あるいは大雨が降った場合、現在七十ミリ程度の雨が降ることを予想いたしまして、そのピット、いわゆる集水池——水を集める池でございますが、集水池の容量を二千五百立米というような大きさにしておるわけでございますが、若干のかさ上げも可能でございますし、そういうことで雨が降ったときにその水が、その堆積場の表面を洗った水が渡良瀬川に流れないようなことも同時に管理を厳重にいたしまして、そういった疑いを生じないようなことに厳重に監督をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  64. 阿部竹松

    阿部竹松君 いろいろ論議されておりますが、最終的にこういうことに三木通産大臣なると思いますが、いまも質問あるいは答弁の中に出てくるように、昔の鉱山の名前ですから原とか天狗とか、たくさん出てくるのです。しかし、雨が降ったからといって、足尾の鉱山の坑内水がふえたり、採鉱量がふえたりするわけでないわけです。にもかかわらず、雨が降ったら、きれいな水が降るわけですからね、雨は。銅分を含んだ雨なんか降ってくるわけがない。そうすると、雨が降ることによって銅の含有量が渡良瀬川にふえるということは、その足尾の採鉱関係でなくて、その付近、足尾全体の山々に銅分を含んだ鉱石があるということですよ。あるいは二代将軍秀忠公の時代からやっている山ですから、その当時からの堆積を洗ったりするために、雨が降ったら逆に銅の含有量がふえるという現象なんです。かてて加えて、渡良瀬川の川底ですね、川床には露頭の銅脈があるわけです。それを今度洗うわけですよ。したがって、大体そういうような要素なもんですから、通産省の保安局は、何%以内であれば絶対稲もだいじょうぶ、人間もだいじょうぶですよ、という確信を持って答弁すれば、あとの問題は農林省なり厚生省なりで解決するわけです。ですから大体何%あれば責任持って、あとは君らの責任である、通産省当局の監督の範囲外であると、こう言えば問題解決するわけです。あとは農林当局側で何%までの含有であれば私のほうはだいじょうぶである、厚生省だけ、省令によってPPM一%まではだいじょうぶであるというのは厚生省だけです。あとの省は全然何%でよろしゅうございますとおっしゃらぬものですから、あれだけ水が出て銅が出たとか、あのとき大水が出てどうしたとかいうて、談合金か取引金か話し合い金かわからぬけれども、そういうことで問題が解決してきている。ですから、そういうことは一切やめて、何%の含有量までは通産省責任を持って、それ以上は君らの責任だ、農林省責任だ、あるいは農林省のほうは、政務次官、何%まではあなたのほうはだいじょうぶか、それさえ答弁していただけば、これは明確になるわけです。あれは足尾から全部出てくるわけですから、そこらの人全部総引き揚げしても、山の鉱石は未来永劫なくすことはできないわけです。そういうシステムになる。
  65. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの質問関係して、まださっきの答弁が終わってないのだよ。
  66. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) この点については、いま藤山経済企画庁長官、できるだけ早く水質基準をきめたい。これは学者などもいろいろ寄って、通産省としてもそういう基準は、通産省の、大雨の降ったようなときは別として、平水時における基準というものはむろん考えられますが、今回はせっかく経済企画庁でそういうことをやられて、いまも聞けば、できるだけ早くやろうとしておるというわけですから、そういう基準ができて、その基準を守るために可能な範囲内でいろいろな施設も拡充するような必要も起こってくると思うので、したがって、現在のところは、すみやかにそういう科学的な基準を設置して、その基準に従っていろいろな鉱害防止の施設を拡充していくということが実際的ではないかと、私考えておるわけでございます。
  67. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどの答弁がちょっと違っておったのですが、現在とっておる、例の五千トン毎月とっておるこれは急がせるという話だったのですが、そこのところのいわゆる水についての浄化のことについてはお答えになったのですが、いま堆積されておる原堆積場の下に浄水場があります、この水については、はたして浄化されておるのか、されてないのかということについては、通産省側としてつかんでおられるのですか、おられないのですか、局長どうですか。
  68. 森五郎

    説明員(森五郎君) 原堆積場で雨が降ったときに、表面洗った水が出てくるわけですが、これは山復水路というか、水路でもってずっと下流のほうに導きまして、沈澱池に入れる、入れた浄水はろ過器に入れまして、この清澄水を渡良瀬川に放流するということになっておるわけでございますが、先ほど申しましたように、少々の雨ですとこれがうまく働くのでございますが、非常に大きな雨が降ったときに、しばしば問題が起きるということも聞いております。また県道がすぐそばを通っておりまして、この県道から見えるのは、最終のろ過器が県道から見えるわけでございます。そのろ過器の上にはいつもこまかいサイズのスライムが入っております。あるいは沈澱池から直接何か水が流れているのじゃないかということをわれわれよく聞くわけでございますが、そういう意味におきまして、われわれといたしましても、十分その管理を厳重にするように鉱山側に命令をしておるわけでございますが、今後もそういった点で、足尾の、どうも水を悪いまま放流しているのじゃないかというような疑いも相当ございますわけですから、そういった点に関しまして厳重に管理をするように今後も監督をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  69. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) ただいま御質問の問題につきましては、大臣とも相談いたしまして、十分調査させるつもりでございます。
  70. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどの堆積場を数年かかるところをなるべく早くやらしたいということでございますけれども、どのくらいを目途にいま話を進めておられますか。
  71. 森五郎

    説明員(森五郎君) 先ほど、現在のペースでいったら数年かかる、これを早めたいということを申し上げましたが、先ほどお答え申し上げましたとおりにこの処理は単独で処理しなければならぬ、そういたしますと、この処理のために新たに施設をつくるということになりますと、それが数年で終わるとなると償却等の問題もございます。したがいまして、採算という問題もございますので、これにつきましては、会社側にいまの設備あるいは若干の設備の増強をしてどのくらいまで早められるかということで、会社側から計画を出していただきまして、それを検討いたしまして、もっと早められるものなら早めさすという処置をやろうと思うのでありますが、若干、先ほど申し上げましたように、その時期等については限度があるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  72. 阿部竹松

    阿部竹松君 関連して。保安局長ことばじりを取り上げて申し上げるわけではありませんけれども、会社がどうだとか、経済状態がどうだという話はこの際これは問題外です。実際影響したものであれば古河全社あげてやるとか、古河が全部出してだめであったら国でやるとか、あるいはそれが影響ないのだというならば一銭も出さなければいいわけです。人命に関する問題とか一般の農家の問題を、金利補給とかということで解決しようとしたことが、今日しわ寄せされてここに来たわけです。ですからあなたのほうは、何%にしなさい、それまではこれは一切だいじょうぶですよ、これがなければいかぬし、それからもう一つ農林政務次官大臣に何を相談するのですか。あなたのほうではこれこれによってお米がとれませんよ、減収ですよ、こういうことなんでしょう。ですから大臣に相談するまでもなく、どろをかぶって何%銅分を含んだ水が何%入っているがゆえに減収が何%だというような科学的とまではいわぬまでも根拠のある資料があるはずです。ぼくはそれを聞いているのだ。むろん、これからおやりなさいということになれば、それはもちろん松野農林大臣と相談しなければならぬということはわかりますけれども、少なくとも鉱山側がやった行為によって、あなたのほうの管轄である農家の人が御迷惑をこうむっているのだから、何のために御迷惑をこうむっているのかということを明確にして、通産大臣三木さんに、ここを直しなさいと言うべきだ。それは大臣に相談しなければ三木さんにものを言えぬのですか。あなた、根拠があるはずです、根拠が。
  73. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 農業側の被害につきましては、大体いままで調査をやってきておりまして、約七千ヘクタールに及びます広大な農地が非常に長い間、銅の蓄積によりまして被害をこうむったのであります。この状態は長年の累積によって起こっております関係から、入ってまいります水の銅の含有量そのものがいろいろ変化いたしまして、多い場合もありますし少ない場合もありますが、大体私ども考えでは、この前もお話し申し上げたと思いますが、平均いたしまして〇・〇四PPM水に入りますというとそういう被害が起こる、こういう実態が明らかにされております。私どもは、この被害の原因が先ほどのお話のようにどこに何%あるかというようなことにつきましては、立場上私ども直接やるわけではありませんで、現在ございます水質審議会の部会のほうで検討されていることと思います。その結果が明らかになりますれば、おそらくいまのお話のようなことがどういう次第であるかということはこれがわかってくるのではないか。要は、私どもといたしましては、農業被害がなるべく少なくなるように、今後どのようにしたらこれが除去できるか、そういうことに調査の重点を置いている次第でございます。
  74. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に、例の待矢場両堰の契約書の問題でございますが、これをちょっとお伺いしたいのですが、昭和二十七年に古河鉱業とここの待矢場両堰の土地改良区の間で契約書ができております。これは待矢場両堰ができたときはこうしようということらしいのですけれども、それがはたして現実に効果があった場合とかなかった場合ということはなしに、この中に特に第二のほうを見ますと、「この契約締結後は、待矢場両堰土地改良区は、古河鉱業株式会社に対し鉱毒又は農業水利に関する補償要求又は之に類する一切の要償行為を絶対に行わない。」、絶対に今後鉱毒事件が起きても補償はしないという、そういう一札が、この契約書ができておるわけです。ところが実際を見ますと、そのせきは伏流水が予定より取れなかった。そういうようなことから、また、たとえ、田植えのときであれば、濁流が流れてきたからといってそれをとめおけばいいじゃないかといっても、農民のほうは水がなければ稲は植えられない、どうしても引き入れなければならないということになってきます。そういたしますと、この契約があるために非常に、この昭和二十八年に八百万円出したことでもって古河は終わりということになっている。ところが、この土地改良区の人々というのは、あそこのいわゆる旧毛里田村の人々で、そうなりますと、この契約書が、たとえそういうのができた場合とか、できない場合などということは書いてない。書いてないけれども、効果があった場合には無効でないということは書いていない。ところが、こういうふうに「絶対に行わない。」という契約書がある。実際問題として、契約書は現在の時点で実際効果がなかったわけですから、これが有効なのか無効なのかということは非常に問題があるだろうと思う。これについて農林省側の見解と、それから通産省側の見解を伺っておきたい。
  75. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) かつて二十八年にそういう契約が行なわれたということは、私ども聞いております。それは待矢場両堰の理事長と足尾鉱業側の代表者との契約でございまして、もしこれを法律的に言うならば、その契約そのものが法律的にはっきり効果があるのかどうかいろいろ問題がございまして、問題が多いのであります。というのは、土地改良区理事長という資格でもってそういう契約をした場合、それはその権限の中に入っておるのかどうかというようなこともいわれますので、そういう契約がございましても、かりにそういう契約をなさいましても、二十八年以降待矢場両堰の改修等が行なわれまして、一応こういうふうにすれば、その時点では銅の流入が防止されると考えられたのでございましょうけれども、今日に至るまでなお銅の被害が起こっておる。だとするならば、相手方、いわゆる鉱山側との話し合いもございましょうけれども、現実に残されておる被害があるとするならば、かつてのそういう契約があるなしにかかわらず、お互いに協力してその被害をなくする努力を双方でやるべきではないかと考えております。
  76. 森五郎

    説明員(森五郎君) 農民側と鉱山側で過去においてそういう契約があるということを私承知いたしておりますが、その当時は、そういう施設をつくれば永久に被害はなくなるだろうという見通しのもとにつくったものと考えられます。したがいまして、現在なお被害があるということでありますれば、やはり現実に即して問題を解決していかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  77. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この契約書にかかわらず、被害が現在も出ているというときには、新規に考えを改めなければならない。ところが、鉱山側では、これについて、これをたてにして、かなり強力な抵抗をするわけです。同じような事件がやはり山元にもある。亜硫酸ガスを全然流していない、こう言っていながら現在放出されている。亜硫酸ガスを完全に除去するという答弁がございました。その前、その当時施設はできたらしいけれども、ときおり流すらしい、そのために地元にもかなりぜんそくが出ております、山元にも。それだけでなく栃木県側の山の中の農民のほうにも被害がある、その場合も、今後要償は行なわないといって一切を拒絶している。そういう事件で、同じようにそのようなことをたとえ会社側が言っても、実際は亜硫酸ガスを放出して被害が出ておるわけでありますから、それについてはやはり補償の必要がある、責任がある、こういうようにとってよろしいですか。
  78. 森五郎

    説明員(森五郎君) 足尾の銅の製錬に伴いまして、亜硫酸ガスが出て被害が出ているではないかというお話でございますが、これは現在足尾の操業で、コンバーターの処理のときに若干このガスがコンバーターから出るということのようでございます。したがいまして、それによって被害がある、鈴木先生御指摘のように確かに被害があるのだということでございますれば、その被害が起きないような処置をわれわれは考えなければならぬわけであります。また、それに対する補償については、十分被害者と加害者の間で協議すべきものというふうに考えておるわけでございます。
  79. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 実際には、農民側のほうがいっても栃木県の側でも取り上げない、そういうような状態らしい。その点は十分指導をお願いしたいと思うのです。  農林省のほうに伺いたいのですが、七千二百ヘクタールで約三億円くらいの損害というふうに言われているのですが、一体どういうようにこれからする、先ほどはできる限り農作物に被害がないようにしよう、で、年間三億円でいままで九十年間続いてきているわけですから、膨大なものだと思いますが、一体土壌を入れるとか、あるいはそうでなければ現在ある群馬用水、さらに水利権の問題等ございましょうが、延ばしていって何とかいわゆるせきの水を薄めて、そうして害毒のないようにしていこうとするのか、その点の考えをちょっと伺っておきたい。
  80. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 純粋に技術的な解決方法といたしましては、私どもは、ああいうふうに長年非常に銅で荒されておる土壌の対策というものは、やはり客土事業が一番いいと考えております。この客土は、いま入っております銅の分布状態からいたしまして非常に悪いところ、そうでもないところ、いろいろございますので、極端に悪いところはそれを置きかえまして、悪い土壌は付近の農道等に使うとか、そうして新しいいい土壌を入れるとかいうことが最も効果があるわけであります。それからなお、今後そういう伏流水が入らないようにするためには、やはり取り入れ設備をある程度改造しなければならぬ、現在の段階ではどういう方法にすれば一番効果がはっきりあるかということはまだ結論を得ておりませんけれども、やはりろ過した水あるいは伏流した水等をとることが一番効果があるのではないか、こういうふうに考えております。ただこれらの施設を、仕事をやっていきますためにはかなりのお金がかかりますので、これがどういう方法で出されるのか、これらについてはまだ何らの結論を得ておりません。
  81. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 関連。たいへんいろいろあるようですから簡単にやりますが、いまの問題に関連して農林省が客土事業ですか、土壌改良をやろうということで、つい四日くらい前にNHKか何かで十数億、今度も来年度予算の中に予算要求やるというようなことが放送されたということを聞いておる。そういうことがあるのかないのか。その場合に一つ聞いておきたいのは、土壌改良をやる場合に、土地改良をやる場合には、いまの法律でいくと地元の負担があるわけですね。これは鉱害ですから、公の公害でありまた鉱毒の鉱害なんで、長い間の鉱毒を食っておるのだから、ちょうど戦争中に石炭対策か何かで乱掘をして、そして戦争に協力するためにやって、そしてそのあと始末をやるために特別鉱害という形で負担なしでやったということがあるように聞いておるのですが、おそらく農民は、土壌改良で十何億予算要求をしてくれて、それが通っても地元負担をやる意思は私はないと思う。この点は、農林省はその点についてはどうお考えになっておるか、その点聞いておきたい。
  82. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 客土事業と、それから先ほどの取り入れ設備に対しまして、はっきり幾らかかるというこまかい計算まではやっておりませんが、おおよその数字はただいまのお話ぐらいのところであろうかと思います。ただ、これはいま農林省が現在持っております現行制度でいきますならば、農村負担がかかることは明らかでございますが、これらの対策事業は、おそらく近くきめられるのであろう水質基準、これがきめられますというと、その基準に対しまして、その基準を守るためにいろいろな対策をやるべきであるということもいわれるかと思います。そういうものの結論に待たないで、私どもだけで普通の土地改良事業だけでこれをやるというふうな態度はとれませんし、そういう関係もありまして、来年度予算にこれを要求しておるという段階であります。
  83. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは大臣にちょっとお願いしたいんですが、農民側のほうは、いままでも、この間お話ししたように肥料をたくさん入れなければならない、また、いわゆる中和のための石灰もうんと入れなければならない、実際行ってみますと、一年間でわずか三カ月です、七、八、九の三カ月で五センチもいわゆる鉱毒を含んでいるといわれるどろが入っているわけです。それだけ片方のほうは収穫が皆無みたいな状態になっている。そういうことについて、当然山元のほうで被害防止の対策も必要ですが、会社側では百億までは出したいと、それ以上は国のほうでいろいろ援助してもらいたいという話があり、この前のときにも、国が考えてもよろしいという話があったわけですが、具体的にそういう問題が出てきております。それについても、いまどうお考えになっているか。  それからいま一つは、これは大臣のほうには関係ないかもしれませんけれども、関連していることですから自治大臣のほうに言っていただきたいと思うんですけれども、例の毛里田村の農民の土地でありますけれども、地租、いわゆる固定資産税については、わりと評価が高くなってついている。当然被害を受けているのですから、そういう点の減免も考えなければならぬと思うのですが、その点の推進はなさるかどうか、この二つの点をお伺いしておきたい。
  84. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 鉱害一般については、やはり会社側が第一の責任を負わなければならぬわけでありますが、ものによれば、やはり限度があるし、その原因というものが自然的な条件の場合もあるわけですから、そういうことでやはり国の援助もなければその鉱害を防止するということは困難な場合が実際に多いと思いますので、いろいろ今回水質基準どもきめられることは一つの機会だと思う。この問題についてそういうもののきめられた場合において、一体どういうふうな施設をしていくかということについては、いまの点も、企業と国という関係も十分に考えていきたいと思っております。  固定資産税の点は、私も初めて承ったので検討をいたすことにいたします。
  85. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま一つは、過去十五年間に国と県が主体になっていろいろ対策をやってきたわけでありますけれども、そういう事業費に対して、地元が約四割くらい負担している。そういうような状態では、農民としてはこれは非常にこたえられない問題になってくると思うんです。その点で対策考えるときには、できる限り国のほうにウエートを置いていくと、こういうようにしてほしいと思うのですが、その点のお考えを伺っておきたい。
  86. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) ただいまの御質問は、主として農林省のほうで行ないますいろいろな土地改良事業のことだと思いますが、先ほども申し上げましたように、鉱毒という特殊な事情がございますために、一般の現行の土地改良制度の補助金地元負担の率そのままをこれに適用するかどうかにつきましては、たいへん問題が多いかと思います。いずれにいたしましても、水質基準決定ということがこの問題の大きな一つのきめ手になるわけでございまして、その水質基準決定のいかんによりまして、農林省としましても考えていきたいと思っております。
  87. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 じゃ、きょうはこれで。また次、伺います。
  88. 向井長年

    ○向井長年君 大臣にお聞きしますが、鉱毒問題がいろいろと質問されておりますが、実は私は奈良県宇陀郡菟田野町で、野村鉱業所の大和水銀鉱業所というのがございますが、ここの水銀等の被害でございます。これについてまずお聞きしたいことは、鉱害の定義、と同時に、その責任の帰属はどこにあるのか、まず第一にお聞きしたい。鉱害の定義、鉱害というか鉱毒の定義。なお、責任の帰属。
  89. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) どういう学問的な御質問なのか知りませんが、まあ、私は常識的に、そのことによって住民の生活に非常に悪影響を与えるということを鉱害なりと考えているわけですが、もっと学問的に気のきいた言い方があると思いますが、常識的には、そう考えます。したがって、責任はやはり第一番には、企業に私はあると思っている、第一番に。しかし、企業の責任にすることのできないような、あるいはいろいろな自然的な条件——いま問題になっている足尾の場合でも、非常にやはり自然的な条件ということもあって、全部がその会社の責任であるということになれば、これはもう負担に耐えられないわけでありますから、したがって、これに対しては、あるいは国、地方公共団体が、やはり協力する必要がある。しかし、少なくとも今後新たなるやはり企業を興す場合には、鉱害というものに対しても、これを防止するだけの施設をして、それがやはりコストの中に入る、それをコストの中に入れたならばその企業が成り立たぬならば、立地的に適当でないものだと私は思うのです。それだけの社会的な責任がある。自分はいろいろ鉱害を出しておいて、これは鉱害全部社会の責任だということは許されない。企業自身がそういうことはコストの中に入れるべきだ、これからは。しかし、いままでの経過は、そういうことも考えないで工場をやったわけですから、これに対しては全部企業の責任だというふうにすることはやはり無理がありますので、これについては、鉱害復旧事業団もありますし、その他一応、あるいは国のこれに対する助成の道も講じなければならぬというふうに、二段がまえに私は考えているわけでございます。
  90. 向井長年

    ○向井長年君 しからば、鉱毒の発するような設備、この設備の改善と申しますか、こういう問題については、少なくとも監督官庁というか、これが責任があると思うのですね。で、この問題について、ちょうど具体的な問題を申し上げますと、奈良県の宇陀郡の菟田野町の水銀鉱山は、もう長年の鉱山だ。ところで、原料がなくなってきているから、昭和三十九年にチェコスロバキアから原鉱を輸入しているのですね。これは日本にはまれなようですが、私の調査によると、北海道とここと二つしかないということを聞いているのですが、三十九年にその原鉱をチェコから輸入をして、ここで製錬をする。ここで水銀を取って銅は足尾に送るようですが、三十九年以来、かかる被害が出ているわけです、鉱毒が。これについて、監督官庁として何らかの示唆をし、指導をし、あるいは改善命令を出し、やってきているかどうかということをまずお聞きしたい。
  91. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これはやはりこれらの報告を受けているのでありますが、昭和四十年から操業、輸入、鉱石によって製錬を始め、亜硫酸ガスの問題であるとか、砒素の問題であるとか、いろいろ問題を起こしておる鉱山であります。したがって鉱山の保安の上からいっても、まあときどきに設備改善の命令を出しておるのでありますが、その経過については、保安局長から御説明申し上げます。
  92. 森五郎

    説明員(森五郎君) 奈良県の大和水銀鉱山の鉱害につきましては、先ほど先生御指摘のように、チェコの輸入鉱石の処理に伴いまして、まあ主として発生してまいったものであります。いま大臣から御答弁申し上げましたように、昭和四十年に輸入鉱石の製錬を始めたころ、鉱石の中に若干の砒素が入っておるということがわかったわけです。そのために本年になりまして砒素による被害があった、こういうことでございます。これはそもそも初めに、製錬を始めたころ砒素が若干入っておるとわかっておったのですが、当時はむしろそれを鉱石を焼いて水銀をとるわけですが、同時に硫黄が入っておる。硫黄のいわゆる亜硫酸ガスが出て被害が与えられる。これに対しまして、いろいろ農民その他と問題がございましたものですから、その亜硫酸ガス対策を一生懸命やった。それはまあ若干このいろんな装置を改善いたしまして、これはまあ被害がないようにできるようになったのですが、ところが砒素が、初めは問題はなかったと思ったところが、その後分析をしなかったというようなことで、急に率の高い鉱石が入っておって、それが被害を及ぼした、こういうことであります。したがいまして、今後はそういう砒素が入っておるということで、これはまあ技術的に砒素を除去することは可能でございますから、そういった施設を至急につくらせるということにしたいと考えております。したがいまして、現在その排水は循環して使用して河川に放流するということをやめさしまして、その間に砒素の除去施設を至急つくって今後は心配ないようにさしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  93. 向井長年

    ○向井長年君 いま、これによって被害がただ農作物だけではなくて、人畜の被害もあわせて出ておるわけですね。この点どういうようにつかんでおられるのか。あるいはまた完全にそういう施設改善の中から、そういう人畜あるいは農作物の被害がなくなる施設を、いま指示したのか、あるいはまたそれは可能であるのか、この点はどうですか、技術的に。
  94. 森五郎

    説明員(森五郎君) この大和水銀の問題の鉱害というのは、いろいろ種類がございます。最初はいま申し上げましたように亜硫酸ガスによる被害、次には砒素によるということでございますが、最近はこの大和鉱山の付近の産米に水銀が検出されたという新聞報道があるわけでございます。この亜硫酸ガスと砒素につきましては、先ほど答弁申し上げましたように、技術的にこれは、この被害が与えられないような方法を講ずるということは可能であると私考えております。ただし産米について水銀が検出されたということにつきましては、これはその産米の中に水銀がどういう経路で入ったのか、われわれ常識的に考えますと、鉱石から出るものは有機水銀ではございません。無機の形の水銀でございますから、それが農作物に吸収されて水銀が多くなるということはちょっと考えられませんし、これにつきましては、非常に分析等むずかしい問題もございますものですから、公正な第三者をして十分調査をしていただいて、その結果について処置をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  95. 向井長年

    ○向井長年君 それはいま考えておることでしょう。実は昨年もこの被害が出て、しかも、たばこですね、農作物のたばこが専売局で全部焼却しなきゃならぬと、こういう状態があったわけですよ。したがって、これはいまに始まったものじゃなくて、昨年から農作物なり人畜被害があったわけなんですよ。それに対して、なぜ通産省としてその施設改善を早くやらしめなかったのか。まず第一に、そういういわゆる亜硫酸ガス、煙害等もあるわけです。毎月六百トン、これの精錬をやっておるでしょう、現状。したがってそういうことになると、毎日のようにそういう被害が続発しておる。これは本年じゃなくて昨年にあったやつを、それをなぜそれに対する施設改善命令なり、それに対する手当てをしなかったのか。本年の農作物の問題も出ておりますけれども、その点についてぼくは怠慢じゃないかと思いますが、その点いかがですか。
  96. 森五郎

    説明員(森五郎君) 当初のチェコからの操業、四十年と申しましたが、大去去年は試験操業でやっておりまして、フラスコ処理が可能になったために、本年から操業を始めたものでございます。したがいまして私どもといたしましては、そういう被害が起きたということにつきましては十分調査もし、あるいはそれに対して原因を追及して、それの原因を除去するということにつとめておるわけでございまして、今後もこういった問題が起きないように十分監督を厳にしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  97. 向井長年

    ○向井長年君 冒頭に大臣が、その責任の帰属はもちろん企業者にまずあると、しかしいろいろな形から、行政庁としても十分指導監督をしなければならぬ、こういう責任を持っておると、あるいはまた、大きくは自然的な問題については政府自体も考えなければならぬ、こういう答弁ですが、そもそも昨年にも被害が出ておることがわかっておれば、本年はこの被害を僅少にし、なくするための努力がなされてしかるべきだと思う。それがなされないで本年に及んで、昨年以上のいわゆる農作物の被害、人畜の被害が出ておるわけです。人畜の被害は、これは亜硫酸ガスのようですが、これははっきり調査していただきたい。何だか六、七人がえたいの知れない病気になって、いまなおこれがはっきりしない、こういう事態が、医者の判断ではおそらく亜硫酸ガスの中毒であろう、こう言われておるわけですね。それと同時に、砒素のいわゆる含有というか、砒素の流出によって農作物が非常に大きな被害をこうむり、なおまた水銀の含有という問題が試験上出てきたというわけです。ちょうどこれは、神戸大学喜田村教授の研究発表によると、本年度の米に対して水銀の被害が、〇・一七PPMという水銀が含んでおる、こういうことが言われておる。これは過去の水俣被害の例を見ると、六十倍以上を上回る産米に対する水銀含有の被害であると、こう言われておる。したがって、これは農林省の問題になると思いますけれども、そういう年々被害が拡大するにもかかわらず、昨年それに対するところの監督庁として何ら指導あるいはまた施設改善の方途を講じなかったという責任は、これは免れ得ないと思うのですが、いかがですか。これは大臣どうですか。
  98. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 水銀の問題は、これはやはりそういうことが言われて、重大な問題でありますから、これは調査をいまいたしておるわけでございます。これは農薬による場合もありますから、その原因というものは、やはり調査する必要がありますので、この点は調査をいたしておるわけでございます。その他いろいろな問題があるならば、われわれとしては重大な問題でありますから、ことに農林省とも関係のあることで、一応はそういう鉱山から出るわけでありますから、今後いろいろな被害に対しては、水銀の問題に限らず、十分調査をいたすことにしたいと思います。
  99. 向井長年

    ○向井長年君 そこで、保安局長としては、これは施設改善を直ちに命令し指導し、こういう鉱毒対策に対して最善の努力をする、こういうことが考えられるわけですが、大体この地元におきましては非常に問題になっておるわけですね。県自体も、公共団体自体もこの問題に神経をとがらして、いろいろと試験あるいは調査をいたしておりますが、特に地元の農業会では水銀の含有、あるいはまたいま大臣言われた農薬の問題もあるかもしらぬが、少なくともたんぼが三百ヘクタール、あるいは畑においては百五十ヘクタール、これが非常に被害甚大である。したがって供出しても受け取れないだろう、あるいはまたこれは売ることもできない、こういうことで非常に地元においては問題化しておるわけです。それと同時に、今後もこういう鉱毒が続くということになれば、これはもう直ちに操業停止してもらわなければならぬ、こういう形で強く農業会が企業なり県に申し入れておるわけです。そうなってくると、企業にいたしましても、その中で働く労働者にいたしましても直ちに困るわけですから、これに対して少なくとも政府としても何らかの措置をとらなければならぬ、こういうことで、いま地元においては非常に問題化されておりますが、それに対して今後どう対処されるか、まず第一に操業中止という申し入れが出ているが、そういう問題について改善すればこれはやれるのだということで指導されるのか、その点はいかがでしょう。
  100. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いま操業停止ということは重大な問題ですから、まず原因を徹底的に究明する、そうすれば対策は私はあり得ると思います。そういうことで、原因の究明と、これに対して対策を講ずる、こういうことで農家の被害をなくしていくような努力をするというたてまえで、今後対処してまいりたいと思っております。
  101. 向井長年

    ○向井長年君 農林省のほうにお聞きしますが、こういう水銀含有、これは完全に調査しなければならぬが、神戸大学の喜田村教授の調査によりますと、〇・一七PPMですか、こういう形で含んでおる、こういう一つの資料が出ておるわけです。こういう問題について地元農業会では供出には該当しないというか、そういうものは困るということと、また一般にも売却できない、こういう状態になっておるわけですが、この問題について、農林省としてはどう対処されますか。
  102. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 有毒なものは買い入れるわけにはまいらない。なお、食糧庁がこの被害につきまして知りましたのは、ごく最近のことでございまして、詳細については目下鋭意検討中でございまして、具体的にどうするかという問題は、まだ答えを出しておりませんが、至急答えを出したい、かように考えております。
  103. 向井長年

    ○向井長年君 せっかく農家がつくった米が、そういう鉱毒によって供出もできない状態になるかもしれないし、売れない状態になるかもしれない。そうなってくると、自然それに対するところの被害というものは非常に大きいわけですね。これに対する補償という問題についてはどこがやるのですか、その補償はどこがやるわけですか。そういう鉱毒を流した企業者がやるのですか、それとも政府自体がやむを得ない事態としてみるのですか、この点どうですか。
  104. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 企業に責任があれば、企業が補償すべきであると思いますが、しかし企業に全責任があるかどうか、その点は調査しないとわかりませんので、通産大臣がお答えになりましたように、通産省と協力しまして、企業が責任を全部持つべきか、あるいはどの度程持つべきか、こういう点をまず明確にして、そのあとは国がどう救済措置を講ずるかということになろうかと思います。
  105. 向井長年

    ○向井長年君 責任があるとかどうとかでなくて、現在これは一つの資料ですけれども、神戸大学の教授が出した資料によって水銀が含有されている。したがって、これは受け取れない、あるいはこの米は害がある、こういう判断のもとにこれがしかも売ることができないということになれば、当然これに対しての補償という問題が出てくると思うのですよ。その補償というのは、そういう水銀を流したところの企業自体が全責任を持つのか、あるいはそれに対しては、政府なり農業団体が対処するものであるのか、この点まず明らかにしてほしい。
  106. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 被害が出ていることははっきりいたしておりますが、前に申し上げましたとおり、その被害が企業が全責任持つものであるかどうかは、食糧庁としてはごく最近のことでございますので結論を得ておりませんので、鋭意至急調査いたしまして、その責任がどこにあるかを明らかにしたい、その上で対処したい、かように考えているわけでございます。
  107. 向井長年

    ○向井長年君 政務次官あるいは三木通産大臣、最近出たことだ——最近に思うからおかしい、去年にこれは出ている。去年もこの問題が出て、これは当事者同士が地元の町長なりが仲裁に入って一応のあっせんをして解決をしているわけですね。したがって、いま出た問題じゃなくて昨年からもうこういう被害が出ている。それに対しては一応の解決は見ているわけです、当事者同士で。ところが、今度大きくなったために、特に操業中止まで出たために、当事者もしぶるし、あるいはまた地元民もどうしていいかわからぬという非常に困ったことになっているらしいのです。それをいやそれは最近出た問題だからいろいろ調査してと言うけれども調査じゃなくして、昨年から起きた問題、こういう問題について私は通産省も非常に何といいますか、昨年以来の鉱毒に対する措置というものが足らないのじゃないか、あるいは指導が、あるいは改善に対するところのいろいろな指導、命令というものがなされておらなかったという問題については、大きな責任を痛感すべきだと思う。それと同時に、この解決にあたっては、いま申しましたように地元の住民の意見の上に立って、政府あるいは地方公共団体等がやはり中に入って、地元の要望をいれるように努力をすべきじゃないかと思いますが、この点いかがですか。
  108. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 私が最近わかったと申しましたのは、米の中に水銀が含有しているという事実が最近食糧庁にわかった、かように申し上げているのでございまして、これは操業の方法が違ったからだ、こういうふうに承知いたしております。
  109. 向井長年

    ○向井長年君 ちょっと通産大臣もそれから農林政務次官も、あえてこの問題については、今後施設の改善等で鉱毒を発しないような施設の改善を厳重に行なうということで私は了解いたしまして、同時にあとの補償問題については、やはり施設の不備の点、あるいはそういうような状態からそういう被害が出ているので、その責任は、やはり行政監督のある通産省としても、あるいは農林省としても、これに対するところの解決の問題についてはやはり地元住民の意見を十分尊重して企業者と解決するなら、それに対するところの努力をみずからすべきじゃないか、こう思うのですが、この点いかがですか。
  110. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは第一番に原因の究明ということ、これがやはりいまこれは至急にこの原因の究明を、結論を出すことにいたしたい。原因の究明がないと、いろいろな補償といっても、その根拠がなかなかやはり、会社側責任があるといっても、その原因というものがはっきりしないと、それはなかなか合理性を持ちませんから、原因を徹底的に究明して、そうして実際にそういう水銀を含有しているような米は売れないのですから、その損害に対してはいろいろ方法考えてみたいと思っております。
  111. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 農林省といたしましても、通産省と協力いたしまして鋭意努力して問題の解決に当たりたい、かように考えております。
  112. 藤田進

    ○藤田進君 通産大臣に主としてお伺いいたしますが、前十月二十日木曜日の委員会におきまして、日韓輸出入貿易に関する、特に蔚山尿素プラント輸出にまつわる問題についてお伺いをし、かつ資料の要求をいたしましたが、資料につきましては、ある程度部分的なものが出てまいっております。そこで世上いろいろ問題とされておりますが、私どもとしては調査をいたしますにつれて、三木通産大臣承知でかあるいは不承知でか、とにかく重大な内容を持っていると思うのであります。先般事務当局が書きましたものを当初読み上げられましたが、その後直接お調べになっているとは思いますが、なかなかそう大臣の御説明のように実態はなっておりません。ことに私どもが重視いたしますのは、この影響が韓国におきましては日本商社並びに日本国に対する不信感で出てきている。またこれに関連して出てくるのは、約一千万ドル、三十億をこえる金が韓国並びに日本の政界にばらまかれている。こういうことを伝えているのであります。逐次私どもはこの事態を明らかにしたいと思っているところです。  そこで第一にお伺いいたしたいのは、先般脱硫用としてサッカリンを——OTSと略称しますが、輸出したのだ、これが明らかに脱硫用に使用できるものだから、日本では使っていないが、したがって六十トン何がしというものを何ら不審を持たないで送った、こういわれております。しかし、その後専門家等によっていろいろ調査を進められました結果では、韓国の今度の輸出プラントでもその必要を認めない、こういう科学者のほうではっきりした結論が出ているのであります。かるがゆえに、韓国では使わないで、サッカリンとして錦北化学に渡してこれが出てしまっているという事実は、結果から見ても、いかにこの六十トンというものが、当初から言われた脱硫用に使うのだという大臣の言明とは、結果的に見ても明らかだということはいえると思います。さらに、時間がありませんので、若干類似のものについて申し上げてみますが、自動水洗便器といっているようですが、いわゆる日本でいう水洗便所用の便器ですね、これが向こうでは当初約八千セットを輸入したといわれておりますが、その後通産省その他の調べで見ますと、約千二百セット、こういうのであります。ところが日本の場合に、それは韓国のほうが生活レベルその他、ずっと高いと思っている人もあるかもしれませんが、いずれにしても日本のプラントにおける社宅、これが約五百世帯、時間がないからこちらで言いますが、違えば指摘してもらいたい。所帯持ちのを五百、これは日本の指導員その他もいるでしょう、それからやはり独身が五百、こういう規模のものですね。これはいま日本では人間以外に使うわけないが、そこで通産省のいう契約の確定が一体千二百セットかどうか、これを見てもこれはどういうことになっているかといえば、私ども調査ではたいへんな値段がしているんですね、韓国の市中では。ソウルその他では漸次浄化槽その他水洗化されつつあるという、需要もかなりあるようです。ところが通産省は千二百セットという。世上じゃ八千セットだともいわれているんですね。これは一体どういうことなのか。これはもう先ほど公明党の鈴木君がテレタイプのことを言っておりましたが、これは一々言う時間がありませんが調べてまいりますと、そのほかにもたとえば資料をいただいたものの中にも明らかですが、テレフォンセットこれが一万六千セットでしょう。幾ら隣から隣に電話をつけるとしても、この一万六千セットというものの説明がほしいのです。これはやはり相当な値開きがあります。こちらから一々並べてみますと、先ほど言った水洗便器セットは日本では約五十ドルの輸出原価ですね。約二万円ですか。向こうではそれが約三倍、六万二千四百円くらいしている。これが大量にいく。それから次の電話機、これが一万六千セットすでにいった。これはどう考えても蔚山のプラントで一万六千の電話機を必要とするということは、どう抗弁されても、日本の各ブラントも調べてみましたが、これはあり得ない、それからここにあります漂白済もそうですね。漂白済につきましてはこれは百トンいっております。これは一体何に使うんだろうか。肥料をまつ白くするために漂白するというような説明をされるかもしれませんが、私もずいぶん国内の肥料工場も調査に回っておりますし、粒子その他いろいろ品質についての基準の足がかりには、いろいろなことが入るということはわかっております。しかし、漂白するということ自体が、私にはよくわかりません。これら一連のものを見ますときに、三十数億円の政界にばらまかれたその一環として出たかどうかはいま即断いたしません。通産省がことに向こうの禁輸品、あるいはいまのようなプラントは初めてではない、日本でも数多くつくっているんです。こういうものについて目こぼしだと見るほかありません。その目こぼしが、表をいただいてありますが、事務機構あるいは配置する人員ですね、そういうものについて問題があったのか、意識的にやったのか、ここらは問題だと思うのです。それから続いて指摘いたしますが、韓国から、十月一日から各品目について査証を求めてきたということが伝えられております。これはすでに九月二十六日でしたか、これは私の見るところ、韓国としてはかような問題が提起され、国会で問題になり、さらに内閣総辞職というような事態になったので、日本政府に厳重に全品目について、日本は信用ならないから、国際機関による査証をつけてくれ、こういうことであったのか、政治配慮でね、韓国は。あるいはそうではない、真剣に信用ならないからそうなったのか。これに対する日本の態度は、いまだ明確でないように思う。それはいまそういうことは、どうもそれらしいように思うのですね。そうだとすれば、先般の三木通産大臣が徹底的にこれは吟味する必要があるとの言明とは違うわけです。要するに、韓国は厳重に日本に国際機関で——ああいう輸出は困る、こう言う。日本はそんなことできないと言う。キャッチボールで、これは大体事が、次第が推移してしまって済んでしまう。ところが、蔚山の輸出貿易のみならず、調べるほど奇怪で、何か他の輸出入貿易についても同様のことが言える。ですから、どうも便乗輸出、便乗輸入という形で、そこに大きなさやが出てくる。これがうわさされる三十数億といわれる、政界へばらまいたというようなうわさが、当然出てくるように思われる。その裏づけとしていろいろ人の動きもある等を思うときに、われわれ日本人、国民としてもこれは重大なる問題として扱わざるを得ないのであります。そこで、第一のいま例示いたしました諸般の輸出品目、数量等について、どういう説明になるのか。あるいは品目——一万品目等々あるので、機構、人的配置上、手が回らなかったのか。その辺を具体的にお伺いしたいのと、これに関連する第二の点は、韓国からの申し込み、抗議的な要求、つまり全品目に対する国際調査機関の査証をつけろと言う、その経過並びに通産省としての態度、政府としての態度、これらをまずとりあえずお伺いして、次に移りたいと思います。
  113. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 専門的な御質問が多いので、政府委員からお答えいたします。
  114. 高島節男

    説明員(高島節男君) ただいま御質問の第一点の品目の問題につきまして私から御答弁申し上げます。輸出規制をやっておりますそもそものたてまえというものは、日本としては輸出はできるだけこれが促進されたほうがよろしゅうございます。輸出振興という大きな角度からチェックをいたしておりますことの中心は、これが韓国に限らず、各国に輸出されまして、あるいは過当競争等で値下がり等を起こして市場を失うようなことがないかどうか、その意味のチェックあるいは日本としまして、非常に需給逼迫しておるようなものが出ておって、日本の国内の需給関係に著しい悪影響を及ぼさないものかどうか、その他あるいは国際条約上のココムとか、あるいは世界各国共通の禁制品であるとか、アヘンとか、そういうものについての輸出が行なわれないかどうかと、こういうことを厳重にチェックしてまいるというのが、輸出制度の根本になっておりまして、したがって、輸出業務の神経といいますか、中心がここに向いておるという実態にあることは、争えない事実でございます。ただ本件は、韓国のほうでプラントを建設いたしまして、それに伴いまして、まず機械類等の建設資材が出てまいるのが中心でございますが、それと付帯をいたしまして、初度の運転資材とか、あるいは非常に野っ原に工場をつくってまいりますので、蔚山というのが全くの漁港のようでありますが、そこの周囲に何もないところに建設をやってまいりますので、これに伴っていろいろな初度施設的なものが出てまいる、こという特色をもったケースでございます。日本としては、プラント輸出の中の一部付帯としてやってまいりましたので、本来ならば、オルソ・トルエン・スルファミド等は輸出承認品目ではございませんが、たまたまその一環であったので、輸出承認になったという経緯でいっているわけでございます。一番問題でございますオルソ・トルエン・スルファミド、これを輸出しましたときの状況の御指摘につきまして、私ども詳細に調査いたしてまいりました。当時の担当官の心境といいますか、判断の中身といたしましては、これは肥料の製造工程、アンモニアの製造工程において、いろいろアミン類が脱硫用として使用されております。OTSはそれらのアミン類の誘導体でございますので、それと相互転換の可能な一極のアミド類というものでございますから、三井物産側の説明の脱硫用ということを聞きまして、工程のこまかいところまで煮詰めることなく、これは肥料の脱硫用かという気持ちで承認を通してまいった、こういう経緯に相なっております。その後、御指摘後、専門的にこの点検討いたしてみますと、今回のこのプラントは、脱硫工程が一つございますが、ここでOTSを使うということは、そう考えるのは無理がある、そう私どもも判断いたします。続いて、脱炭酸工程というのが一つございますが、そこのアンモニア製造の場合に、アミン系のものを使うということは、これは使い得るということで、物理的な問題では使い得るということのようでございますが、しかし、この点を特に意識してやったわけでもなく、また、これがこのための所要資材であるというほどのこまかいトレースもなく、これが現実に多く使われるということでもないように判断できます。したがって、この点は、前回の委員会で御指摘に基づいて調査いたしてみますと、当時の心境は、冒頭に申し上げましたような輸出の禁制品でもございませんし、普通なら標準決済で出てしまうようなものである。したがって、化学薬品の初度運転資材か、それはアンモニア製造工程の脱硫用であろう、こういう軽い常識で問題を通してしまった、こういう感じのことでございまして、したがって、私どもの反省といたしましては、輸出承認に際して、非常に多数の案件を持っております。その案件の多数を処理いたしてまいりますときに、禁輸品とか過当物資とかいうものと違いまして、こういったものであまりこまかにつついていくというだけの立場でいくべきものかどうか、ここには若干いろいろと議論の在するところでございますが、いずれにいたしましても、標準決済手続を経ていることでもございますし、元来ならば、韓国側で輸入管理上、あるいは通関上厳重にやっていくことがほんとうの関所でございますが、日本側の輸出承認に際して、いま一息専門的な知識を働かしたならば、未然に問題に気がつくということもあるかもしれません。そういう意味において、まことにこの点は私ども御指摘のとおり、申しわけない次第であると存じております。  あとの諸般の物資につきまして、若干御説明いたしますが、蔚山プラントの計画それ自身が野っ原に町づくりをするというような感触が非常に強うございますので、その結果、いろいろな資材が関連いたして出ているという経緯に相なっております。先般御指摘のテレタイプの件のほうは、これはたまたま十三台出たということでございまして、農業中央会に譲渡されたという事実はないかという点の調べをするように御指摘をいただきましたが、実は、二月に二台、八月に七台、それと、本件の対象になっております四台のほうと、二つのルートで出ておりまして、二月二台、八月七台というほうは、当該三井物産の取り扱いのものではなく、韓国の農協が八月分の七台は最終需要者にはなっておりますが、おそらくこれが向こうで荷揚げされたときに、ちょうど同じ時期でもございましたので、混同されたのではなかろうかという推測でございます。御承知のように、テレタイプも標準決済物資でございますので、輸出承認を特別に求めるという形ではございません。プラントの輸出に関連した資材として出ました分は四台でございます。  それから水洗便所の件でございますが、これはまだちょっと調査十分に行き届いていないところがあるかと思いますが、千二百個程度のものを承認いたしております。これも承認いたします場合の心境といたしましては、こういった建設があれば各種の工場だけでなく、事務所、病院等のそれぞれの付属の施設にも要りますし、社宅あるいは独身寮等々に相当の人員を収容いたしますので、この程度のところは要るんではないかということを判断いたしたわけであります。全般にこういった直接工場と、工場からいえば付帯施設という感じのところの資材の買い方、取り方はかなり余裕を持って蔚山の地域に町づくりをするというような感触でやってまいっておるようでございまして、その一環としてこの点はおそらく微に入り細をうがって検討するという姿勢でなく、同時に承認をいたしてまいったものと感じられます。  次に、電話機の件でございますが、電話機が相当たくさん出ておりまして、工場内だけでなく、これはおそらくいろいろ営業所等を韓国全体について持って、この肥料の生産体制が整ったら売り込んでいく、こういった感触の施設といたしまして、多量の電話機を入れて販売網の充実というほうにこのプラントをつくったことの実りとして考えていく。まあ一般に後進国、後進地域に対してやっていきます場合に、先方からは一つ工場をつくりますと、日本の国内でつくるときと違いまして、いろんな関連の施設の購入をプラントの一環としてあわせ求めてまいっております。経済協力全体の姿勢としては極力こういうものも要望に沿い得るようにしていきたい、こういう感触で認めたものであると感ぜられます。  それから工場、社宅等の用水に使います漂白剤の点は、やはり殺菌用でございまして、上水用及びあるいは洗たく漂白用あるいはそれに対する若干の予備というもので、それぞれ六十トン、三十五トン、五トンといったような内訳で百トンほどの漂白剤を輸出した。これはこういった物資の使い方としては合理的であり、考えられ得るところだと思いますが、全般にこの点に限りませず、いままでありましたような物資につきましては、日本側のほうは輸出をしていく、これが輸出になっていくということは、あるメリットはございますが、韓国側では国内でこれが横流れをしていろいろな財源になっていくということは、これは向こう側の制度としてはまことに困ったことであり、われわれとしても本旨に沿わないことになってまいりますので、先方の管理体制を十分にきっしりと締めていただく。そうしてわれわれのほうも御注意に従いまして、極力こちらの、審査の段階でも、あまり著しくおかしいと思えるものには気がつくような体制にしていって、未然にそういう向こうの過程で問題になる前に防げるだけ防いでいくべきものではないか、こういう感じがいたしております。特にOTSの関係につきまして、用途、工程等の詰め方等が不十分であったことは、まことに申しわけない次第であります。
  115. 今村のぼる

    説明員今村のぼる君) ただいま御指摘の第二点の検査の問題につきましてお答えを申し上げます。  最近日本から韓国へ輸出します品物につきまして韓国の領事査証を受けます際に、検査証明書の添付を要求されておりますことは、私ども承知をいたしております。そのやり方は、日本の輸出品検査法の指定品目になっております品物については、日本の指定検査機関の証明書、それからそれ以外の品物につきましては、国際的に名の通った信用のある検査機関の証明書を添付すべしと、こういうことに最近なったのでございます。その真意なり、その目的が那辺にありますか、今回の密輸事件を契機としてそういうことをやりましたものかどうかということにつきましては、まだ的確にわかっておりません。領事査証の制度なり、あるいは査証に際しまして検査の証明書でございますとか、あるいは原産地の証明でございますとか、そういうものを要求されることは間々ありますことで、それ自体は国際的にどうこうという問題はないと思いますが、問題はこれが対日差別的に行なわれているかどうかというところに問題があろうかと思います。そこで私どもといたしましては、現在どの程度の厳密さでこれが行なわれておるか、そうしてその真意がどこにあるか、そうして一番問題の対日差別的になっておるかどうかという点につきまして、ただいま在京の韓国の当局とも折衝いたしまして事情を究明中でございます。その結果、これが差別待遇的な措置であるとすれば、その是正方を韓国に求めるべきものであるというふうな所存でございます。
  116. 藤田進

    ○藤田進君 質疑いたしました中心がぼけているというのです。私はこの際率直なやはり答弁をされないと、だんだんあなた方の答弁合理化するために——私がこれから続けてまいりますが、きょう終わらなければ次回——最後の果てには説明つかなくなりますよ、私は先に注意しておきます。  まず第一に、三木通産大臣が先般お答えになりました速記録をここで読めばいいんですが、大臣は御記憶と思いますから読むことを省略します。事務当局がおそらく書いたのでしょうが、お読みになりましたものは脱硫用に使うのだと、これは言明されたわけですね。通産大臣、いまお聞きになるとわかるように、それは間違っていたということなんです、簡単に言えば。これは大臣がここまで技術的に御承知になるということは、それはもう私ども聞く人はそれは理解を持ちます。かといって、事務当局が書けば何でも大臣の言明としてあなたが読むようでは、これは何というのでしょうか、ロボットというのか、でくの坊というのか、そうでない大臣であればあるほど——しかし失敗というものはあるでしょう人間。そういう、あなたいまお聞きになってばかにするなと、おれは信頼して答弁したのだと、それが間違いだったのかというので、あなた顔色に出なきゃならぬはずですね、これは困りますよ、これじゃ、どう思いますか。これからの答弁が、事務当局は自分たちがやってきたことを合理化しようと努力するでしょう。これは本来間違っている。大臣は部下のやったことをかばおうとして、書いたものをうのみにして議会に対して御答弁なさる。どっこいそれは違うと言えば、間違っている、ああそうか、これでは審議の体をなしません。また同時に、政府と議会の間においてもそういうことは厳に慎まなければならぬ。これは明らかにOTSというものがこれは使われていないのです。使う予定はなかったということがはっきりするのです。で、通産省からどんなものか見せてくれた。なるほど、これが袋だそうです。セメントとして扱われていました。これが普通見れば、セメントだといえばセメントに思うんですよ。韓国や日本字で書いてないんです。セメントの意匠みたいに思うんですね、これはなかなか知能犯ですよ、私に言わせれば。これはこう中に入れるのでしょうから、縫うのでしょうから、ちょうどセメント袋のサイズでしょう。意匠もよく似ている。こちらには何にもない。これで、実際に一年間の使うスペアとしてだということで六十トンと言ってるでしょう。さっきお答えがありましたが、便器を千二百個程度——程度と言ってぼかす必要がないので、契約ですから、ぴちっと言ったらいいので、それがだれがどう考えたか、これは今度視察にいってみたいと思いますが、はたして千二百個というものが、どういう社宅でどういう規模のものだということはわかってるはずなんです。これはいまの説明はなってないから、大臣、これは気をつけなければだめです。電話機のごときは全南朝鮮の営業所その他につければ、それは一万六千も二万も必要でしょう。韓国の通信業務というものは会社がばらばらに勝手に電話線を引っぱってつけるのか。それならば電話線のプラントも入ってこなければだめですよ。通信機材一切が入ってこなければ。韓国の制度その他がそういうふうになってると、あなた御存じですか。そういう答弁でこの場をのがれようとしても、私どもずいぶん詳しく調べているのですから……。漂白剤、これは水洗便所で日本でそんなに漂白剤使いますか、皆さんの家庭でも。しかもこれは一年間の予備機材のうちに入ってるのでしょう。一年間ですよ。これが百トン、一つのプラントが。これは問題です。  同時に、そういうことで大臣質問したこの国際的な機関で調べてくれ、品目別に査証を取りたいといって事実きているのでしょう、これが。いまいろいろ答弁されたけれども、的確な答弁じゃないのです。なぜならば、それに対する政府の態度はあいまいで、しかもいまのような——これはあわせて約四千億円からですか、今度の日韓条約にまつわるものが。無償が三億、それから有償が二億ですか、それに民間べースが三億ドル以上ですから。これは審議の過程でも私ども日韓条約審議しましたが、これは十年分が一年かそこらで皆いってしまう。繰り上げてくれとか、問題が出ている場合に、第二次五カ年計画に——これは長くなるからやめますが、これらの展望は、三木さんがソウルに行かれて、いろいろとステートメントを発表され、合意された中にもいろいろ書いてある。これらを貫く精神としても、日本のだらしない輸出には困ると、むしろ日本に働きかけているのでしょう。それが国際機関による品目別の査証だと、こう言ってきている。これをそれじゃやりましょうとなぜ言えないのですか。信用だなんだ言われるけれども、これにかわるべき日本としては対案をどうするか、これはこれからの大きな各般にわたる、輸出に関連することですから、通産省としての機構、人的充実をはかるなり、何か改善策を示されない限り、これは国民は納得しませんよ。  それじゃさらに聞きますが便器の千二百個の使用、具体的な明細をひとつ説明してもらいたい。社宅が幾らで事務所内にはどの程度、およそでいいです。それから電話機が営業所までとおっしゃるが、そういう証拠があれば、営業所はどういうところに設けられて、その電話というものは国内処理はどうなるのですか。韓国の中の通信その他の機材はどうなるのです。電線とか交換機、その他一切です。漂白剤も、そのぐらいいいだろうとおっしゃいますが、日本より幾ら生活レベルが高くても、これが一年間に百トンという漂白剤がどうして使われるのか、もっとはっきりしてもらいたい。それからひとつ先に進みます。いまの韓国が申し入れてきている国際的機関で査証する云々、これはいつ言ってきて、正式にはいつどのような回答を現在してあるのか、具体的に御答弁いただきたい。
  117. 高島節男

    説明員(高島節男君) 水洗便所の内容の計数を申し上げます。  全体で千二百十六個の申し入れで六万五千ドルでございます。これは社宅が当時の説明によりますと一千戸、管理事務所、それからショッピング・センター、体育館等のいろいろな付属的な施設を含んでおります。それから寮が別にございまして、三階建てで三百人程度の収容力をはかっていくということでございまして、その点から概数的に判断いたしまして、千二百十六個というところは、大体そう大台違いということでもないと思います。相当余裕をみて判断をいたしているという感じは私も率直に言ってございます。  それから電話の点は、現在向こうの電話の体制というものがどういうふうになっているか、ちょっと手元に私も資料を持ちませず、当時の判断を聞いておりませんので、この点はちょっと後刻の調査とさせていただきたいと思います。  漂白剤につきましては、これは若干私も大目であるという感じがいたしますが、一けた違うとか、そういう数字ではないという常識的な判断を現在持つわけでございます。
  118. 藤田進

    ○藤田進君 使用目的は便所だけの漂白剤ですか。
  119. 高島節男

    説明員(高島節男君) 使用目的としておりますのは用水の殺菌、それから上水関係のまた殺菌、それからそのほか工場のいろいろ洗たくの漂白ということになっております。えらいこまかい話であって、どういう工程であるということは十分確かめてないわけでございますが、若干の予備ということで内訳として当時輸出承認となっておるわけでございます。
  120. 今村のぼる

    説明員今村のぼる君) 査証問題につきましては、十月初旬ごろに、韓国の東京におります領事から領事査証をもらいにきました。日本の業者に対してそういう検査証の要求が初めてございました。
  121. 藤田進

    ○藤田進君 いつあったの。
  122. 今村のぼる

    説明員今村のぼる君) 十月初旬でございます。
  123. 藤田進

    ○藤田進君 初旬なんというのはない。
  124. 今村のぼる

    説明員今村のぼる君) これは通産省その他日本政府に対して何の通告もございません。業者がそういう要求を受けたということでございます。そこで通産省といたしましては、先ほど申し上げましたように、どういうことをやっているか、どういう目的でやっているか、それが日本だけでなく、グローバルに全貿易相手国にそういうことが行なわれているのかということについて、さっそくその事実を問いただしているのでございます。東京にあります韓国の当局でも、説明のむずかしい点もあるようでございます。別途、日本のソウルにございます大使館に対しまして連絡いたしまして、ただいま申し上げましたような点をはっきりするようにいま督促中でございます。もし、先ほど申し上げましたように、これが国際の商習慣に反するような過酷な負担を日本の業者だけに与えておるというようなことがはっきりいたしました場合には、これに対するしかるべき措置をとりたい、こういうふうに考えております。したがいまして、いつ何日付で向こうから通告があったというような事実はございません。
  125. 藤田進

    ○藤田進君 大臣にはこの辺でお伺いをし、言明を聞きたいと思うのですが、いま聞かれたように、しかし、下僚を信頼されればそれが正しいと思われるかもしれないが、たとえば便器一つ取り上げても、この程度の尿素プラントで、社宅を千戸建てる、家族持ちのもの、別に独身寮、三百人といわれておりますが、というようなことが信頼ができるとすれば、通産行政というものを知らないにもほどがある。全く知らない。自動車工場なんかは、トヨタは一万をこえる、従業員は。これは化学肥料工場その他石油精製工場というものは、いかに今日人手が要らないかというのは韓国に行ったって同じです。それから電話機のごときは調べてみたい、調査したいということなんで、調査もしないで答弁ができるというのがこれまたおかしな話だ、これは。これは例示しているにすぎないのです、時間がないものですから。これは一々調べているとふかしぎ千万です。しかも向こうへ行けば日本より市場価格は安いというものならばこれは別ですが、何倍かしているのですね、向こうでは。いかに言っても便乗しているし、そうしてある面では韓国の経済を撹乱することになります、これは。そこで口どめに政界に金を流すというようなことが実は問題になっているのです、現実に韓国で。だから国際間でひとつ日本の品物については一々検査した査証を張らなければ、こういうことを向こうの政府は言っておりますよ。あなたのほうではそうばかりいかないというようなことでは、この黒い霧というか、どこで断ち切ることができるか。まず韓国のことは韓国に要求したらよろしい。日本は日本の国内における体制というものをはっきりと整えるなり、何かこのような事態が明らかになった以上、これはサッカリンにおいて最も顕著な事実でしょう。以下同じことなんです。  そこで、調査そのものは後ほどの委員会で明らかにしたいと思いますが、大臣としてはどうしますか。こんなことでこれは蔚山の今度の化学肥料プラントだけのことを申し上げておりますが、もう同様なことが言えるのです。調べればきりがないです、これは。一応契約書も手にされておりますが、これだけじゃなく、ほかのプラントなり輸出についても同様のことが言えます。今度の日韓条約にまつわる一連のものは、通産省の機構を見ましても、課長の下に係長がいて、係長の下に人がいない。窓口だけに一人いる。これが何万件あるからやれないのだということではことが済まないのです。どうしますか、これは。このままで適当にやっているうちに日がたつだろうというようなことになりますと、私は承知できません、これでは。尿素プラントに関連するいまのサッカリン、脱硫に使うのだとあなたは言明しっぱなしで、これはまだ速記録は直っておりませんよ。以下、ひとつ過去並びに今後に対する御所信を伺いたい。
  126. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私にも藤田君と同様に、こういう韓国のようなこれから経済も安定し、向上していこうという、こういう国々でありますから、日本の経済協力というものが真に韓国の健全な経済の発展をこいねがうということから経済協力をやるわけですから、したがって、これはやはり厳重に、今後不祥事件が起こらないように、注意を私はやはり韓国側もしてもらわなきゃ困る、これは。そうでなければ、いろいろなことによってこれが、保税倉庫で関税がかからないのですからね、プラントには。それが一般に持ち出されて、そしてそれがやみ取引のような形になるということは韓国の経済のためにもそれはよくない。そういう形で韓国の経済というものが一部の私利をこやすようなことになってしまっても、韓国全体の経済にとっては非常に悪いことですから、そういうことが繰り返して行なわれれば、日韓経済協力といったところで、非常に国民の一つの感じから見れば、日本の善意というのは伝わるわけはない、こういう点で。したがって、まず韓国側においてもこれは政界で問題になって、そうして何か肥料工場はこれを国営に移管するというような新聞記事を私は新聞で見たのですが、これは大問題になっておる。韓国側も今後厳重に、日本の経済協力の意図というものは、個人のふところをこやすものではないのだ、やはり韓国経済の健全な発展をこいねがうのだという、この日本の善意に対して韓国はこたえる責任がある。これはひとつわれわれも外交チャンネルを通じて、この点は先月二十九日でしたか、韓国政府にも注意を喚起いたしました。それから日本の商社、これもやはり商売といっても、やはり韓国の健全な経済の発展を願うという立場でなければ、大商社というものがやはり今後ただ商売ができたらいいということじゃいけぬ。やはり秩序のある、しかもそれが韓国の健全な発展に寄与するという、そういう点で私は商社も注意してもらわなければならぬ。これは三井物産にも厳重な注意をいたしたのであります。それともう一つは、これは御承知のように、脱硫装置ということを私は申し上げたのですが、そういう申請が出されておる。そういう申請で出されたわけでありますから、したがって、これは通産省としてもつくろう必要がないのですよ。何も通産省がそれをつくろって言う必要はないわけです。そういう申請が出ておったので、事務当局としてもそういうふうなことを疑わずにやったのでしょう。しかし、いろいろ検討すれば、実際にそういう設備に使うかどうかということは注意の足らない点もあります。しかし、申請が出たので、通産省とすればこれはそういうことで、脱硫に使うのだということで、これは善意に、みなが善意の間に行なわれれば問題にならぬわけでありますから、それを事務当局考え、私のところへもそういうふうな報告があって、私は申し上げたのであります。しかし、こういう事件が、いろいろな韓国側においても問題が起こってくることを考えてみますると、これはやはり通産省としても、こまかい問題ですね、大きいプラント類というよりも、こういうちょっとした小さい問題が、案外にやはりそのことが日韓経済協力を阻害するような原因になる場合がある、小さなものが。本体よりも付属するもののいろいろ問題を起こすものがありますから、今後はやはり、いま九人くらいですか、九人くらいでやっておる。これはやはり配置転換なんかによってもう少し人数を充実せなければならぬ。そうして大きなものよりもこまかい、どうしてもやはりプラント輸出類はプラント輸出の全体の金額であるとか支払い条件とか、そういう大きなところへ一番注意が集中して、案外こういうふうな付属したようなもので、考えてみれば、よく検討すればなかなかつじつまの合わぬようなことが起こる場合があり得ると私は思います。したがって、今後はそういう点から、ただ大体ばかりでなしに、こうやってちょっとお添えもので行くようなものにも厳重に今後は検討を加えて、そのことがいやしくも日韓両国の経済協力に非常な悪い影響を国民の気持ちの上に残したり、ましてやこのことがいま御指摘になった三十億とか何とかいう、これは私は不愉快な話だ。この政界において——これはどういうことで、韓国でそういうふうな問題にもなっておりますが、こういうふうなことが事実だとすれば、いま考えはおりませんが、そういううわさが出ることだけでも不愉快なことである。ことにこういう日韓経済協力などを通じていろいろな黒い霧のうわさがされるというのは、不愉快千万な話であります。できる限りそういううわさなども、事実はもちろんのこと、うわさなどもできる余地のないものにせなければ、せっかくわれわれが努力しても日韓の永久的な友好関係というものは樹立できるものじゃない。いろいろな黒い霧とかうわさされて、何で日韓の両国が友好関係ができるでありましょうか。これはよほど注意せなければならぬ。われわれもいままでは少し何と申しますか、そういうこまかい点までも注意の足らなかったことがあることは私は率直に認めます。これは今後機構を充実してこまかい面までもできるだけそういううわさなどの起こる余地のないような努力はいたしますが、要はいま言ったように、これは韓国側にも注意してもらう。日本の商社も十分な注意をする。通産省もできるだけのことをいたす考えでございます。それから韓国側に対してまた韓国の政府に現実にこの注意を喚起するということが届いてはいないようでございますが、これはすみやかに行ないたいと思っております。
  127. 藤田進

    ○藤田進君 小柳委員から緊急の質疑があるようで、時間がないのでまことに残念ですが、私、多くを使いましたのでこれ以上続けることが困難ですが、いま御答弁になりました部分については、すみやかに実行に移していただきたいものも多くございます。ただ三井物産と韓国朴政権との関係はまた後日指摘をいたしますが、これは特別な関係にある。先般も各社長がソウルに勢ぞろいされたようなこともあり、いわば三井物産に注意する。これが成果を期待されることがはたして期待どおりいくかどうか私は疑問に思っております。内容を申し上げないで申し上げておりますので、まあおわかりにならないかもわかりませんが、したがって、通産大臣自体としても再びかかる事態が起きないようにするという具体方策を期待したいと思います。  本日はその意味でこれで一応止めて他の委員に譲りたいと思います。
  128. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまお話で、韓国政府に対しては注意を喚起するというお答えですが、正式な抗議というような形でおやりになるわけですか。その辺のところをひとつ伺っておきたいと思うのです。
  129. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは御承知のように、われわれここで申し上げておるように、それが一般のこの保税倉庫から三井が輸出するという形になるわけです。そういう点に遺憾の意を表して、今後やはりそういう点を、日韓両国のためにそういうことのないように注意を喚起しておくということで、これはまあ内容は、外交上のいろんなこの文書も形式上の場合にはいろいろありましょうが、私の方針は再びこういうことのないように韓国側に十分な注意を求めると、こういうものでございます。
  130. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それから大臣に伺いたいのですが、今回の蔚山に対する尿素の肥料工場というのは百三十億程度。ところが私が調べてみたところ、やはり工場のいわゆる付帯施設である宿舎とか厚生設備とかアパートとか、あるいはそのほかの金利まで計算したいわゆる同じ工場でありますけれども、東洋高圧で出しているアンモニア尿素の新設計画がある。それの計画の見積りを見てみると七十二億円でできている。幾ら輸出をするんであるからもうければいいということになるかもわかりませんが、どう見積もっても研究所そのほかの付帯設備をつけても百億前後ではないかと考えられるわけです。その算定が百三十億円という金額になってきている。その点で正当な評価をした場合、一体どの程度がほんとうなのか。たとえば宿舎を見てみますと、片方に二億ついておって片方では三億五千万程度ついておる。その点は留意をなさっていただきたいのは、ここに私が持っているのは七十二億円、これ以上かかるというのはわかりますけれども、それにしても百億前後じゃないか。それが百三十億円ということになり、向こうのうわさを肯定すようなへんなことになってくるので、この点正式な評価について大臣のほうから督励してやらしてほしいと思うんです。これがはたしてこれだけ必要なものか、いまも御指摘もありましたが、だいぶ必要でないものがある。その点についてもう一ぺん……。
  131. 高島節男

    説明員(高島節男君) 尿素のプラントの値段というものは、これは鈴木委員承知のとおり、プラントというものは非常に千差万別でございまして、一般の商品の値段等と違いまして、単体の機械あたりは別にいたしまして、全体でどれくらいかかってでき上がるかということは千差万別のようでございます。外国の資料その他の雑誌を見てみますと、五千五百万ドルから六千万ドルぐらいかかっている程度である。付帯設備、予備施設のしかた、その国の経済状態、周囲がどういうところに工場をつくろうとしているのか等で非常に異ってまいるのでありまして、一がいにその相場の立て方は困難でございます。ただ、われわれのほうで概観いたしてみますと、今回の分のプラントの、さっき御指摘のように、二千四百万ドルという本体と、その他の付帯設備を入れてFOBべースに直しまして四千万ドル程度のものになっております。これと、東洋高圧の日本国内における工場と概念的に比べてみますと、非常に条件も違う点があるのではないかと考えます。堺でございますから、すでにここでは東洋高圧の化学品をある程度生産をしているように聞いております。その横に大きな肥料プラントをつくった、それからこういう町中でございますので、当然倉庫だとかいろいろな付帯施設は充実いたしております。蔚山のほうは野っ原の中につくるということでございます。修理工場、研究所といったようなものは、全然これは新しく追加であります。そういう建設用機械等につきましても、こちらから持っていきます。あるいは製袋設備等もここでつくっていくという形で、いろいろなものがついていくことになりますので、現在私どももその点御指摘の機会に勉強してまいりたいと思います。こういった蔚山の施設あるいは国内の施設等は相当の値がかかっておりますから、それとの間に正確にいかなくとも、概念的にどういう注意をすれば、その格差を見ることができるか勉強をしたいと思いますが、そう大きな動きはないと考えております。
  132. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大臣、いまの点ですね、そういう疑惑が出てくるといけないからやらしていただきたいと思います。大臣答弁をしていただきたいと思います。  先日、パラヒンワックスについては、これをいわゆる袋に封をして使う、どうも通産省から出た製袋工場を見ると、ポリエチレンの袋の工場が入っていれば、当然パラヒンワックスを使って封をする必要はないわけです。それが二重になっているのは一体どういうわけですか。ただ紙袋であればワックスを使うわけです。そうすれば大体見当がつくと思いますが、その点で私は疑問がある。その二つについてお聞きします。  大臣、最初のことについてお聞きします。
  133. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは韓国に対してやはりプラント輸出で日本がもうかればいいではないか、そういうことをすれば、これは日韓関係がうまくいくわけがない。むろんある程度の利潤は当然に必要でありましょうけれども、国際的に競争ができるような値段でなくちゃいけない、こういう点では十分に、鈴木さんのお話もあって、われわれのほうでも調査をいたすことにいたします。
  134. 高島節男

    説明員(高島節男君) いま鈴木委員の御指摘の点は、韓国側のほうではPVCを使っての紙袋の製袋をしまして、これでその紙袋の用意をするについてのいろいろな計画を持っておることは事実でございます。ただそれが原料の関係で、ああいう外貨難の国でございますから、いきなりそういう化学品を確保して操業してやっていけるかどうか、そこがあぶないと、こう見ておるわけであります。したがって、その紙袋をその場合には臨時に使いまして、そうしてワックスする用意もしておく、非常に至れり尽せりの感の計画でございますが、そういう施設のもとにやっておるということでございます。
  135. 小柳勇

    小柳勇君 予算編成も最終段階でありますし、来月の当委員会の開催もまだ見込みがつかぬようでありますから、中小企業問題の当面する重要問題を大臣質問いたします。  何といいましても、いま一番政治の谷間であるし、中小企業問題が一番いま重要な問題、取り残されておりますので、まず第一はやはり金の問題です。第二の問題は人の問題。で、第三の問題に、とりあえず具体的な対策としてとられた先般の官公需を中小企業に発注する問題、この三つの問題で重要な問題を大臣質問いたしまして、あと中小企業庁長官質問いたします。  まずこの金の問題でありますが、設備近代化資金の融資などにいたしましても、財政資金、原資が足りない。したがって、地方などでも原資の問題で困りますし、金融機関も困っておりますが、現在予算編成の中で長期の財政資金の投入、貸し出し資金の確保について、どのような配慮をなしておるか、また金利の引き下げに対して、どういうような対策をとっておられるか、質問いたします。
  136. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 政府系の中小企業関係金融機関に対しまして、長期の財政資金を投入いたしまして貸し出しの資金源を確保するという点につきましては、昭和四十二年度の財政投融資の要求につきましては、貸し付け規模を八千五百億円、これを四十一年度が五千五百億円でございますので、対前年度比一五四%ということになるわけでございますが、そういう貸し付け規模に拡大することを前提といたしまして、財政資金の投入を四十一年度が約二千五百億でございましたけれども、約五千億近くの財政投融資を投入するという方向で四十一年度の予算要求をいたしておるわけでございます。
  137. 小柳勇

    小柳勇君 大臣質問いたしておりますのは、大臣のこの予算編成の中における決意、閣議などにおける決意、決意を聞いておるわけでありますから、具体的な問題はあと長官に聞きますが、大臣の決意をまず概括的に二、三聞きますから……、質問しておるわけです。  第二の問題は、関連いたしまして、商工中金の金利が他の政府関係の金融機関の金利よりも高いから、同一の点まで引き下げなさい、引き下げてもらいたいという陳情が方々からあります。これに対して、大臣はどういうような対策考えられておるか。
  138. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私も小柳さんと同じように、中小企業の金利、これはやはりほかの金利水準よりむしろ安くてもいいぐらいのものだと思うのです。でありますから、少なくとも長期の金利が引き下げられたのでありますから、来年の一月からやはり金利を引き下げたいということで、ただいま折衝いたしておる次第でございます。
  139. 小柳勇

    小柳勇君 他の中小企業関係金融機関の線までぐらいは、少なくとも商工中金の金利も引き下げる、こういうことでありますね。  次は、信用保証協会がまだ力が足らぬで、このほうにもう少し力をつけてくれという陳情が方々から出てまいっております。したがって、この金の問題、資金の大幅の投入及び限度額の引き上げ、それから信用保証協会に対する貸し付け金額増額によって保証料の引き下げなど対策を立ててほしい。この信用保証協会に対する力づけについて大臣の決意を聞いておきたいと思います。
  140. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私も同様に考えまして、今年度は七十五億の資金を来年度は百二十五億要求したい。それから、保険料率なども引き下げるべく努力をいたしておるわけでございます。信用保証に対する業務は充実していかなければならぬと考えております。
  141. 小柳勇

    小柳勇君 具体的にはまたあとで聞きますが、次は、人の問題でありますが、新しく学校を出る大学卒、高卒、中卒、中小企業になかなか入らないと、これは労働条件の問題もいろいろあります、給料の問題もありましょう、それから福祉制度の問題もありますが、一番基本的には労災保険とか、失業保険とか、健康保険とか、年金とか、こういう保険制度が五人未満の事業所に対しまして十分でない。任意加入の制度でありますから十分でない。したがいまして、労働省も強制適用の方向に検討をしておる。ただ、これはしかし、政府全体として考えませんと、労働力の移動に非常に大きな関係があるわけです。地元にはりっぱな中小企業がありますにかかわらず、大企業を求めて殺到する、あるいは地元を捨てて青少年が都会に集中するといった現象、したがって、私は、賃金の引き上げも必要であるけれども、賃金の引き上げにつきましては最低賃金の実施など必要でありますが、保険制度を強制適用にいたしまして、大企業も中小企業も同じように社会保険が適用できる体制がまず基礎ではないかと考える。これは社会労働委員会でも再三論議したのでありますが、中小企業問題を取り扱って、いま私どもが地元に行きまして一番それを痛感するわけです。したがって、労働省にはあと質問いたしますが、通産大臣としての見解を聞いておきたいと思います。
  142. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 関連をしまして、ちょっと金の問題に関連してでありますが、中小企業は年末を控えまして、この年末資金対策、これをどういうふうにお考えであろうか。特にこの年末資金の需給状況の見通しに基づいて、年末資金対策をどういうふうにお考えになっておられるか、これはもうきょう伺っておかないとちょっと間に合わぬだろうと考えますので、特に関連してその点を伺いたいと思います。
  143. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いまのいろいろな失業保険、労災保険、全面的な適用はいろいろ技術的にも検討を要する問題がありますので、昭和四十三年度から全面的に適用したい、そういうことでいま準備をいたしておるわけでございます。  それから、年末の金融は、まあ金融も多少緩慢とは申せ、年末にはやはり資金的な需要というものが中小企業相当あるでございましょうから、十一月の十日までに手当てをいたす考え方でいま折衝をいたしておる。十一月の十日ごろまでに年末の手当てをいたすべくいま折衝をいたしておる次第でございます。
  144. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 資金の点は多少緩和したかのごとく一般的には言われておりまするけれども、三木通産大臣も御承知だと思いますが、中小企業特に零細企業、これは必ずしも楽にはなっておらぬ。のみならず倒産などの件数はかえってふえてきておるというような状態であります。したがいまして、年末を控えて相当の資金対策が必要だと考えられますので、いま伺いますると、十一月十日に手を打たれるということでありますので、一面意を安んずるのでありますけれども、具体的にどういう程度のことをお考えになっておられるか。  それから、特に零細階層に対しては、かりに資金があっても窓口がやかましいとこれは資金逼迫になるのでありますから、この面に対して特別な配慮を加えるような、少なくとも政府系金融機関に対する指導が必要なんであろうと思うのでありますが、その点について具体的に、もう簡単でいいですから明白に答弁を願いたいと思います。
  145. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 年末の追加財投につきましては、先ほど大臣から御答弁ありましたように、上旬中に決定をいたしたいということで大蔵省とも協議をいたしております段階でございます。
  146. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 どのくらいな額を。
  147. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 具体的な全額は、ただいま折衝中でございますので申し上げられないのでございますが、特に先ほど先生から御指摘ございましたように、小規模事業者に対する金融を使命といたしております国民金融公庫あたりにつきましては重点を置いて配分をいたしたいということを考えておる次第でございます。
  148. 小柳勇

    小柳勇君 年末金融の問題は私も質問したかったのでありますが、いま豊田君から質問いたしましたので省略いたします。  第三点は、具体的対策としてとられた官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律の実施状況の中で、八月十六日に閣議決定がされて、国の契約の方針が関係各省に流された。その中で、資料を見ますというと、契約目標が国等において五千五十億円のうち、国が二千二百五十億円、公社、公団が二千八百億円、これが約四四%という数字大臣はここで再三答弁をされたのは、少なくとも五〇%程度の契約目標で努力したいとおっしゃっておる。四四%程度はいままでにもあったのではないか。このような法律ができませんでも四〇%程度はあったのではないか。そういたしますと、これはこの目標ではたいして実効が上がっていないのではないかと思うが、大臣いかがですか。
  149. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私も五〇%までは持っていきたいという考えで、これはしかし、多少はまあ時間的に一ぺんにということはなかなか容易でありませんので、去年は四三・八%でありました。四四・一%ということでありますので、これでまあ来年度、再来年度——来年ぐらいは五〇%ぐらいまで持っていくことにいたしたい。これは五〇%は目標であってもいますぐにとは……、多少一、二年はそういうものを目標として努力をしていくというその余裕は持たざるを得ないと考えております。しかし、少なくとも近いうちに五〇%までは持っていきたいというのが目標であることに変わりはございません。
  150. 小柳勇

    小柳勇君 そもそも法律のできました根本的な原因は、七千三百億の赤字公債発行によって公共事業を半年内にうんと繰り上げたいということから出発しておるわけでしょう。来年、再来年の話じゃなかったわけだ、この法律は。とにかく今年五〇%程度この法律で縛っていかなければ、その七千三百億の赤字公債のその金は大企業だけに流れていって、公共事業のほうにうんと大企業がなだれ込むであろう、こういうことで予算委員会質問したときに、大臣は、いやそのためには今度こういう法律をつくりますと答弁された。そういたしますと、いま答弁されたのはおかしいですよ。今年現在の七千三百億の建設公債に対応する法律としてわれわれは受けとめているわけです。しかし、いまの大臣答弁は、去年は四三%であったから一%だけふえましたと、五〇%の目標来年ぐらいにいたしますと、これでは答弁になりませんです。そういうような感覚でこういう対策を立てておられるとするならば、これは中小企業庁の長官のせっかくの努力もたいしてわれわれは高く評価するわけにまいらぬですがね。ここにいま資料もらっていますけれども、この資料も、おそらくこれはもの各官庁ともただたなの上に上げているのじゃないかと思うが、いかがですか。
  151. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 数字から見たら、これは長官から御説明申し上げますが、相当なやっぱり数字の伸びですよ。この数字あとから申し上げますが、やはり私はですね、まあこれが目標で、いま政府あるいは公社、公団、地方の公共団体あるいは通産局を通じて非常にこの法律を周知徹底せしめて——まだ地方へ行くと、こういう法律が国会を通過したのだということを知らないような人たちもたくさんいる。それでやっぱり徹底をして、いま盛んにそういう点でこの法律の精神を周知徹底せしめて、そうしてもうみんなが、いろいろな物資の購入、発注、請負の契約、こういう場合には、こういう法律の精神を体さなければいかぬのだということが国民的な常識になってほしいと思うのです。この間出たばかりで、案外に法律というものは、地方に出て行って、国民のみんなに浸透するのには多少時間がかかるんですね。ここの感覚とは違うわけですから、いま盛んにこれをPRして、これが国民の常識になってくれば相当にこの法律というものがやはりものを言うことがある。これはまあ次には五〇%に——いまできなかったじゃないかとおっしゃいますけれども金額からいうと相当なもので、長官からその金額申し上げてみたいと思います。それと、まあこういう宣伝を通じて目標を上回わるようなことがあればけっこうなことで、あんまりわれわれも期待を大きくかけてもいかぬと思って、まあ目標を掲げてあるんですが、これが、みんながこういう趣旨が徹底して目標を上回わるようなことがあれば非常にけっこうなことだと思っております。数字はちょっと申し上げます。
  152. 小柳勇

    小柳勇君 いや、数字はもうわかっているんです。わかっておりますがね、私が言っているのは、大臣が八月十六日の閣議決定の中でそのような数字をきめられたから、私はいま問題にしているわけです。あとの実施状況は、これは長官が努力をしておるわけです。大臣、聞いておってくださいよ。あなたは少なくとも国会で五〇%目標に努力すると言われたのだから、それならその閣議のときにも五〇%程度の目標を出すべきではないかというわけだ。その閣議の中でもうすでに四四%の数字しか出していないわけだ。私は、これが根性が悪い、通産大臣の根性が憎いというわけだ。そう国会をごまかすような根性ではいかぬのではないか。あなたが閣議に五〇%の数字を出しました、これはほかの大臣が反対して結局この数字になりましたというならわかりますよ。ところがそうじゃないんだから。初めから国は二千二百五十億、公社、公団は二千八百億、合計すると五千五十億であるが、これは大体昨年の発注量の四四・一%でありますと、こういう数字で閣議できめておるから、私は憎いと言うわけだ。この点大臣にひとつ御答弁願いたい。
  153. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私の根性が憎いというお話でありましたが、これはやっぱりこの法律をつくろうという決意をいたすのは通産大臣であります。これはなかなか、小柳さんお考えになってもわかるように、中小企業に発注するということはめんどうくさいんですよ、実際からいえば。大企業の信用あるものを、そういうものから買ったほうがいろいろな、やっぱりうるさくないという感じが従来からあったわけですね。これをやっぱりこういう法律をつくってその頭を切りかえてほしいということでありますから、したがって、その根性をあんまり憎まれるということは、私どうも大いにそれは承服できないところで、何とかして中小企業の受注の機会を拡大したいということで、みずから皆さんの御協力を得て推進役になったわけでありますから、これは、この法律がこの間通ったばかりですから、おまえの言う目標がすぐに達成できなかったではないかとおしかりを受けることは、このおしかりはすなおに受けますけれども、こういう立法の精神というものが国とか公社、公団に徹底をするならば、これはやはり目標を突破するようなことも可能でしょうし、あまり小柳さんせっかちにどうだと言っても、まだ通ったばかりですから、多少はやはりゆとりを持って、そういう、いまはこういう法律ができたことを徹底さすのに多少の時間はかかるんだという寛大なひとつお考えもお持ちを願って、あまり根性まで憎まないようにお願いをしたいと思います。
  154. 小柳勇

    小柳勇君 私が言っていますのは、ことしの七千三百億の公債発行によって、大企業が昨年より以上の%で中小企業に入っているんです。だから問題にしているわけです。だから、大企業もあれだけの金がたあっと入っていけば、それはうんと大企業は取りますよ。それは私いま数字をちょっとほかのノートに書いていますから、ここではっきりできませんけれども、それは統計を見ますと、昨年よりも中小企業のやれるべき事業の中に大企業がうんと入った、それはやはり建設公債が入っているからですね。出たからです。そうしますと、せっかく法律はできましたけれども、効果は逆ではないか、だから、閣議の中で、あなたは国会であれだけ、五〇%程度はとおっしゃったんだから、たたかれてもやはり五〇%程度の数字は出すべきではなかったのかと、そういうわけです。国会の答弁と、閣議の中ではまたいい子になろうとする、そういうことではなかろうかと私は思ったものだから、あなたの力は高く評価をしているけれども、そういう意味ですよ、私の言っているのは。だから、今後あとは努力でありますから、努力してもらわなければならぬ、ただ罰則がない法律でありますから、PRだけなんですね。PRの資料もここにたくさん出ています。相当の努力をしてありますが、あなたがいまおっしゃったように、めんどくさいからなかなか中小企業に官公需が発注しないというのも事実でしょう。したがって、今後の努力については、これから長官に聞きますが、大臣は公約された五〇%程度以上のものはたびたびやはり発言をして、そして官公需発注はできますように努力をしてもらわなきゃならぬと思うのです。  あと長官質問いたしますが、いまの政府の法律が通りましたあとの施策、それから各地方公共団体などの動き、そういうものを簡単に説明を願います。
  155. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 官公需の法律が公布施行されましたのが、七月十一日でございますが、その後、先生がお話しのように、国等の契約の方針につきまして、契約目標と、それから具体的な推進のための施策を閣議決定いたしましたのが八月十六日でございます。それを官報に掲載いたしますと同時に、その法律の趣旨の周知徹底をはかりますために、まず、中小企業庁長官名をもちまして、各省あるいは中小企業指導団体、それから中小企業者のその他の団体につきましても通牒を出しておるわけでございます。それから地方公共団体に対しましても、中小企業庁長官名と、それから自治省の財政局長名をもちまして通牒を出して、趣旨の徹底をはかっておりますと同時に、お手元にもお配りいたしておりますように、「官公需契約のしおり」という、非常に中小企業者に対しましてわかりやすいリーフレットをつくりまして、これを指導団体あるいは県を通じまして二十万部ほど流しておるわけでございます。それから、その他ラジオ放送あるいはテレビ放送を通じても趣旨徹底をはかっておりますが、特に地方に対する、都道府県に対する徹底につきましては、さらに官公需の確保対策の地方協議会というものをつくっておりますので、それをただいまのところ二十四都道府県において開催をいたしておりまして、そこには中小企業者も参加をしていただきまして、その趣旨の徹底をはかっておるような次第でございます。  地方公共団体の反響でございますが、非常にこの趣旨に賛同をされまして、各地方公共団体もせっかく努力をしていただいておるわけでございますが、御承知のように、各都道府県、地方自治を趣旨としておられますので、おのおのの県によりまして、その熱心さあるいは反響の違いもあるわけでございます。そういう点につきまして、さらに徹底をしなければいけないということで、明日、全国の都道府県の商工部長を招集いたして、来年度予算等についての説明をいたすことになっておりますが、さらにこの官公需の関係の徹底につきましてお話をしていきたいということを考えております。
  156. 小柳勇

    小柳勇君 罰則のない法律ですから、なかなか各省の協力がないと、この具体的な効果が出ないと思いますが、今後の努力を要請したいと思います。  次は、金の問題でありますが、大臣質問しましたあと、少し具体的に質問いたします。  中小企業設備近代化資金の貸し付け対象業種をもう少し拡大してもらいたいという要請、それから貸し付け条件の緩和で、期間延長、限度額の増額など、方々から陳情がありますが、この点についての考えをお聞きいたします。
  157. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 設備近代化資金は御承知のとおり、小規模事業者に対しまして、その必要な設備資金の半額を無利子で貸し付けるという制度でございまして、これは非常に従来の調査によりましても効果をあげておる制度だというふうに考えております。したがいまして、必要に応じまして貸し付けの対象業種あるいは施設の拡大につきましては、従来からも拡大を実施をいたしておりまして、現在のところ、三十七業種、百八十六品目に達しておりますが、まだまだ追加の要望の業種あるいは設備もございますので、その実態に応じまして、できるだけこれを追加指定をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから貸し付け条件の緩和でございますが、貸し付け限度額の増額につきましては、現在のところ、三百万円までが貸し付けが原則になっておりますが、これの実績は大体百三十万円でございます。これは四十年度の貸し付け実績でございますが、百三十万でございます。しかしながら、制度といたしましては、すでに、三百万円をこえるものにつきましても、県と通産局長との協議によりまして、できるだけこの貸し付け限度を拡大して、六百万円までは貸し付けるということにいたしておりますので、これで大体、たとえば五百万円まで増額をしてほしいというような陳情もございますけれども、この御要望は大体達せられておるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。  それから貸し付け期間の延長でございますが、この点につきましては、私どもとしまして、従来この制度が無利子の制度であるという点が非常に中小企業者の利益であるということで、その点を強調いたしておりまして、また、先ほど申し上げましたように、一企業当たり百三十万円程度ということで、設備の耐用年数等を勘案いたしましても、現行の五年程度でおおむね償還可能ではないかということで、ずっともう長年これを実施いたしてきておるわけでございます。先生御指摘のとおり、この貸し付け期間の延長についても、熱心な陳情もあるわけでございますけれども、企後これは検討させていただきたいというふうに考えております。
  158. 小柳勇

    小柳勇君 その一点の貸し付け限度額の増額ですね。現行三百万円を拡大して六百万まで貸しておりますから、その倍額の千二百万まで借りられるというような答弁のようですが、現在三百万と六百万ですね、限度額は。それを三百万を五百万にして、一千万まで借りられないであろうかと、こういう陳情です。いかがですか。  それから期間の延長は、一年据え置きで四年償還だけれども、それを三年据え置きの七年償還くらいの延長をしてもらいたいと、これは企業の堅実さ、あるいは償還能力の確実さ、そういうものを確かめた上で、そういう延長のことを考えてもらえないだろうか、こういうことです。もう一回箱弁願います。
  159. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 三百万円の貸し付け限度額につきましては、これはこの設備近代化資金から県を通じて三百万円を貸し付けることによりまして、あと自己努力によって三百万円を調達するということで、六百万円まで借りられる。さらに今度は、限度額を例外的に認めておると申しますのは、六百万円を設備近代化資金から貸し付けることによりまして、千二百万円までの設備が対象にできるということになっておるわけでございます。  それから設備の貸し付け期間の延長につきましては、先ほど申し上げましたように、今後この実際上の必要性等も検討いたしまして、できるだけその方向に向かって検討いたしたいと思います。
  160. 小柳勇

    小柳勇君 それから具体的な小さい問題、二点ですが、一つは、自動車修理事業というのが、常時十六名以上の従業員がおる企業が貸し付け対象になっておるのでありますが、現在十名程度が約八割ぐらいだという状態です。したがいまして、常時十六名以上の貸し付け条件というのを、十名以上の貸し付け条件に変更願えないだろうか、これが一つです。  それから第二は、石油販売業というのは貸し付けの対象になっておらぬ。したがって、石油販売業というのも貸し付け対象の業種に入れてもらいたい。この二点、具体的な問題でありますが、御答弁願います。
  161. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 自動車整備業につきましての貸し付け条件の改正でございますが、十六人の従業員規模にいたしましたのは四十一年度からでございまして、昭和四十一年度までは二十人であったわけでございます。で、御承知のように、整備業を中小企業近代化促進法の指定業種にいたしまして、そこで近代化計画を決定いたしましたところ、大体自動車整備業の適正規模というものは十六人程度であるということになりましたので、従来の二十人をさらに引き下げて十六人にしたような次第でございまして、さらにこれを十人に引き下げるということにつきましては、そういう近代化計画等との関係におきましても、いろいろと検討しなければいけない問題もございますが、できるだけ現在の制度におきましても、本資金の貸し付けによりまして適正規模にまで持っていけるというような見込みのあるものにつきましては、十六人以下でも貸し付けられるというふうになっておりますので、これは具体的な問題として、さしあたり県ともよく相談をいたしまして推進していけばいいというふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つ、石油販売業のスタンドの助成でございますが、これにつきましては、いろいろと流通問題につきまして複雑な問題があるようでございますが、そういう点をさらに担当局とも相談をして検討いたさなければいけませんが、ただ、この石油販売業につきましての災害防止というような見地からでございますならば、LPGの地下貯蔵タンクにつきましては、すでにことしから認めておりますので、もし災害防止ということでございますならば、さらに実現の方向で検討いたしたいと、こう思います。
  162. 小柳勇

    小柳勇君 いまのLPGの販売業種の問題で、昨年、法改正によりまして施設を増強しなければならぬ、あるいは土地を買わなければならぬというような情勢も出てきておるようです。それで、そういうものについては、何か特別に貸し付けの対象にするという意図がございますか。
  163. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) すでに本年度からLPGの販売業種につきましては、地下貯蔵タンク等、災害防止の施設につきましては対象にいたしております。
  164. 小柳勇

    小柳勇君 それから業種の追加について、たくさん希望が出ておりますが、これは具体的な問題ですから、別途また相談をすることで、なるべくならば、こういう陳情が出たやつは苦労した上でこんなに陳情に来るのでしょうから、なるべくひとつ意向をくんでやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  165. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) できるだけ希望をかなえていくという方向で検討したいと思います。
  166. 小柳勇

    小柳勇君 それから、さっきの大臣の御答弁で、もう少し具体的なものを聞いておきたいと思うのですが、政府系の中小企業関係金融機関が金が少ないという問題、それから商工中金の金利が高いという問題、長官のほうからもう少し具体的に説明を願います。
  167. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 政府系の中小企業関係金融機関に対しましては、補完的な金融機関といたしまして、一般の民間金融機関が貸し付けられない分野につきまして、政府関係金融機関がこれを補完的に貸し付けを行なっておるというようなたてまえがあるわけでございますけれども、全体の中小企業の貸し付けの残高から見ますと、大体政府関係中小企業金融機関の貸し出し残高のシェアは八・八%ぐらいだと思います。それをさらに増加をしていく必要があるわけでございます。したがいまして、四十二年度におきましては、政府系の三金融機関に対しまして、貸し付け規模を八千五百億円に拡大するということで、四十一年度の五千五百億円に対しまして一五四%でございますので、五四%のアップというようなところで予算を要求いたしておるわけでございます。  それから、さしあたりの年末にかけての金融でございますが、これは御承知のように、一般的に金融情勢がゆるんでおります。しかしながら、よくよく調べてみますと、やはり中小企業の零細層あるいは小規模事業者につきましては、まだまだ一般の金融機関からの貸し付けというものが行きわたっていないと思いますので、これから年末にかけまして、そういう不便をなくするという見地から、先ほど御答弁申し上げましたように、この年末の追加財投というものをただいま大蔵省との間で折衝中でございます。それで、これが上旬中には決定がなされるということで、われわれも期待しております。
  168. 小柳勇

    小柳勇君 年末の金融の問題でもそうでございますが、平素の中小企業の金融問題で、たとえば五十万借りようとして申し込みますと、財源がないために、三十万なり二十万なりに削られまして、せっかくそれをその次の運転資金にたよりにしている業者が、半分ではどうもしようがないというような事態がたくさんあるわけです。したがって、財源の確保についても、格段のひとつ努力を配慮していただきたいと思います。  あとはわれわれも現地でやりますが、金がないと何ともなりませんのですから、ひとつ十分な配慮をしていただきたいと思います。  以上、中小企業庁長官に対する質問を終わりまして、労働省に移ります。  さっき通産大臣から答弁をいただいたのですが、いま零細企業、中小企業で人手不足であります。これはいろいろな条件があります。給料も安い、保険もないという条件があります。何といっても社会保険、特に失業保険、労災保険の適用がない。任意適用でありますから、めんどうくさいから入らぬのです。それで、もう若い青年諸君は将来を考えて大企業に殺到する、そういう現象であります。したがって、どうするかということでありますが、私どもが平素希望しておるように、五人未満の事業主に失保、労災、少なくともこの二つは強制適用してもらいたいということで質問いたしました。従来は、四十三年度から強制適用するように準備をしておるというお話でありますが、現状の把握と将来の対策について、労働省からひとつ説明を求めます。
  169. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 恵まれない零細事業、特に五人未満の事業場に労働する労働者に対しまして、労災保険及び失業保険を適用するという問題については、先生の御指摘のとおり、私ども、その必要性を痛感しておるものであります。しこうして、この問題は、すでに国会においてもいろいろな形で御意向が示されております。また、社会保障制度審議会におきましても、昭和三十七年八月二十二日の答申におきまして、五人未満の事業所に対する両保険の全面的適用を答申の中に示しておるところでございます。また、労災保険法におきましては、昭和四十年の労災保険法改正の際に、附則におきまして、法施行後二年以内に全面適用について成果を得るべき義務が課せられております。つまり、二年以内に全面適用についての措置検討すべしということが、法律の附則で示されておる、このような状態になっておるわけであります。したがいまして、できるだけ早期にこれを実現したいという方針でございますが、そのためには、技術的に検討すべき幾多の問題がございます。つまり、労災保険、失業保険それぞれが全面適用するという場合に、適用事業場及び労働者は同じなわけでございまするので、たとえば、そのためには、保険料徴収事務を一元化いたしまして、事業所及び労働者の側から見ますと、両方が一本になって適用及び徴収をなされるという形が望ましいわけでありまして、これを別個にやりますと、事務の手続が非常に膨大煩瑣になり、かつ、業務量が増大するといったような問題もございます。いま方針は方針として定めつつ、それを具体的に適用するにあたりまして、保険料徴収事務などをいかにするか、しかも、それを電子計算機等を使用したしまして、いかに的確に迅速にやるかという事務的な検討を進めてまいっておるところでございます。そこで、その目途といたしましては、通産大臣がすでに御答弁のように、昭和四十三年度を目標にいたしておりますが、その四十三年度実施のためには、その前にいろいろな保険事務的な処理をいたしておかなければなりません。たとえば、適用事業場の適用番号だとか、保険料の基礎になる賃金の計算方式とか、いろいろあるわけでございまして、そのような問題につきまして、ただいま労働省では、大臣官房に労働保険関係法改正準備室というのを発足させまして、両保険の調整をはかりつつ、具体案を練っておるようなところでございます。  なお、五人未満の事業所に対する適用状態はどうか、現状はどうかという御質問がございましたが、労災保険法の関係で申しますと、現在、約二十六万六千事業所、約六十三万の労働者に適用いたしております。失業保険では、現在、約十二万四千事業所、約二十四万人の労働者に適用をいたしております。これは適用事業所数にして約百万をこえ、労働者数にして二百万をこえる五人未満の事業所に対しましては、労災保険において二割強、失業保険においては一割強の事業所ないし労働者に対して適用をしておるということでございまして、未適用の部分はかなり大きいわけでございます。
  170. 小柳勇

    小柳勇君 四十三年からのものはわかりました。これからあと二カ年——四十一年、四十二年でありますが、各県そうだと思いますが、福岡の基準局などが、たとえば八幡地区にモデル地区をつくりまして、任意加入から強制加入の方向へ切りかえつつありますが、なかなか人手が足らぬために苦労しているようです。それで、この点、たとえばモデル地区などの加入の指導をどうしておられるか、具体的にわかっておれば御説明願います。
  171. 住栄作

    説明員(住栄作君) 全面適用に備えまして、現在、五人未満の事業所には任意適用方式でやっておるのでありますが、それをできるだけ幅広く適用を促進していくという観点で、いろいろな方策をやっておるわけでございますが、具体的には、まず、先ほど来基準局長から申し上げましたように、適用事業所にしましても、労災のほうは二十六万事業折、失業保険が約十三万事業所ということで非常に違うわけでございますが、私どもとしましては、両者一緒になって、労災の適用があるところは失業保険も入ってもらう、あるいは失業保険に加入していて労災に入ってないところは労災保険にも入ってもらうようにする、こういうことで、末端機関といたしまして相連絡して適用を促進していく、従来、その関係は必ずしも密接ではございませんでしたが、そういう関係を緊密にしていくということでございます。それと同時に、協同組合とか商工会等にも働きかけまして、関係傘下の事業所で未加入のものは、そういう団体を通じまして、適用がはかられるようにいろいろ御協力を願うような姿勢もとっておるわけでございます。従来まあそういう事務組合に対する報償金等につきまして、五人未満は保険料額の一〇%、五人以上は五%、まあ任意適用のほうの率を高くしておるのでございますが、今後の問題、ここ当面一、二年の問題としましても、そういうような報償金を高くするようなことで、さらに関係団体の協力を得るような方式もとってまいりたいというように考えておる次第でございます。
  172. 小柳勇

    小柳勇君 地方の役所も非常に困っておるようでありますから、予算の問題なり人の問題なり、今度の新予算でひとつうんと努力してもらって、任意加入から強制適用ではずいぶんの差がありますから、現在一〇%加入者が、四十三年からは一〇〇%加入させなければならないわけですから、たいへんな努力が必要ですから、ひとつ大いにがんばってうんと人なり予算なりをとっていただきたいと思います。  それから最後に、農業法人などの農業従事者の労災保険の適用状態はどうですか。
  173. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 農業労働に従事する者と申しました場合に、大きく分けて二つあろうかと存じます。一つは、労働者として農業を営む事業場に労働する場合、この場合は労災保険法の適用につきましては任意適用方式で加入する、したがって、任意加入の適用方式に従って加入すれば加入の道がある。ところが、労働者でない自営農民等あるいはその家族等につきましては、従来、労災保険法の場におきましては、全然扱ってなかったんでございますが、昨年の労災保険法改正におきまして、特別加入制度という制度を設けて、労働者に準ずるこれらの人々に対しても保険加入の道を講じたわけでございます。その方式には二つございまして、一つは、前に申しました雇用労働者を雇っておる農業経営者と申しますか、経営者が、その労働者について労災保険事務組合を結成し、それに、そういう方式によりまして労働者に任意加入方式を適用した、その場合に、その家族もその保険組合を利用いたしまして加入するという方式と、今度は全然別に、いわゆる労働者でない農民自身が保険事務組合をつくりまして、そして特別加入をする方式と、この二つがございます。雇用労働者を使っているか使ってないか、こういう差によりまして、二つの方式があるわけであります。  ところで、そのあとの雇用労働者でない農業従事者が特別加入をするという場合に、どのような基準で行なっておるかということでございますが、労災保険審議会の答申を受けまして、次の三つの基準をもとにして判断をいたしております。その第一は、業務の実態災害の発生状態などから見て、労働基準法適用労働者に準じて保護するにふさわしいものであるかどうかということであります。それから第二は、労働関係のもとにある労働者と異なりまして、業務の範囲について他人の指揮命令を受けないとしても、その者の業務の範囲が明確に特定し得るもので、業務上外の認定をはじめ、保険関係の適正な処理が技術的に可能かどうか、これは先生御承知のように、業務上の災害についての保険制度でありますので、それを農業従事者の場合にも準用したいという考え方、それから第三は、その者を特別加入させることが労働者についての労災保険への加入促進に資するといったような保険加入の便宜的な面もとらえまして、以上三つのような基本方針を立て、それに従って具体的な特別加入の指導をいたしておるわけでございます。現在どのような作業に従事しておる者に特別加入の方式が認められておるかと申し上げますと、一定の農業機械、すなわち、動力耕うん機、農業トラクターなどの、動力による自走型農業機械を用いて農作の作業に従事する者、これが今日自動車その他動力を使いまして労働する者について災害が多発いたしております。そういったものと比較いたしまして、このような動力耕うん機などを使って作業する者について特別加入方式を認める、こういうたてまえをとっておるわけでございます。ただ、この制度は発足してあまり時日が経過しておりませんので、現在のところ、三十九団体、約二千二百名程度でございます。しこうして、先に述べました保険事務組合をつくりまして自分の使っている労働者を加入さして、そして家族労働者もそれに加入するといった方式のものは、これは数字は明確になっておりませんが、そういった形のものが全産業で見ますと、事業主約五万、家族従業者約三万二千がそういう形の方式をとって特別加入しております。何ぶんにも、発足して間もないことでございますのでいま申し上げましたような、数字としてはまだわずかでございます。しかしながら、現在かなりPRが行なわれておりまして、関係者の理解を得るように努力いたしておりますので、今後はおそらく急速に加入者が増大するんじゃないかというふうに予想をいたしておる次第でございます。
  174. 小柳勇

    小柳勇君 農村に参りますと、いろいろ質問を受けるものですから……。  最初に私は具体的に聞いておきます。動力耕うん機の場合、馬力の制限があったように思うんだが、それはどうか。  それから保険事務組合と農業法人との関係、農業法人でなくても個人で保険事務組合をつくってよかったのかどうか。私、何か農業法人の中の働く人というように、いままで印象を持っていたわけですが、その点はどうですか。
  175. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 動力耕うん機等については、馬力の制限はいたしておりません。おそらく、それは一般のきわめて危険な業務の中で、危険業務の一つの判断基準といたしまして、二馬力以上の機械を使用する場合は、農業に限らず、一般の産業におきましても、五人未満について適用がございますが、そういう一般の機械を使用する場合の基準として、二馬力以上、こういう基準がございますが、いま申し上げましたものにつきましては、制限はないわけでございます。  それから加入につきまして、いわゆる農業法人に雇用されている労働者という面からの把握はいたしておりません。要するに、適切な団体、たとえば農業協同組合といったようなものが中心になりまして、そうして保険法の関係からは保険事務組合といったような形で加入者を明確にし届け出てくだされば適用関係が発するということでありまして、そういうものに限定しているわけではございません。御了承願います。
  176. 小柳勇

    小柳勇君 労災についてはわかりましたが、これは失保については、農業労働者についての適用はやっておらぬわけですね。
  177. 住栄作

    説明員(住栄作君) 失業保険につきましては、現在、一定の基準を設けまして適用しているわけでございますが、その基準は、従来から団体をつくりまして、その団体との間に雇用関係があるということで、年間の離職率が五〇%以上のものという基準でございましたが、四十年からは二五%以上、こういう基準で適用をいたしております。
  178. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。どうも失業保険、労災保険の適用が中小企業労働者の一つのいまの大きな希望になっているようでありますから、ひとつ御努力をお願いいたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
  179. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 たいへん時間がおそくなって申しわけありませんが、渡良瀬川の鉱害について——厚生省見えましたか、厚生省と建設省。  実は、渡良瀬川の上水道の水を飲んでいる住民が二十数万いるわけです。それで、渡良瀬川鉱毒問題がやかましくなってきてから、だいぶ、人体に有害であるのかどうか、また、それについてどういうような調査の結果が出ているのかといった不安の状態があるわけです。それについて、われわれは長い間渡良瀬川の水を水道用水、飲料水として使っていて、有害でないと思うのだけれども、そういうような、この問題がやかましくなってから不安があるんですけれども、それについて厚生省、監督の立場で、調査の結果どうなっているか、この点について一点承りたいと思います。
  180. 大橋文雄

    説明員(大橋文雄君) お答え申し上げます。  上水道によって供給されます水は、水質基準というものがございまして、その水質基準に合致していることが要求されているわけでございます。具体的に申しますと、たとえば渡良瀬川の原水でございますが、これは前回の当委員会にもお答え申しましたように、原水の中に、たとえば銅等の重金属類は定性的には認められているわけでございますけれども、上水道の水によって供給されます、たとえば相生市とか、あるいは太田市というところのものについては、前回の本委員会の御要望によりまして資料を提出してございますが、その資料によって確認することができると思いますけれども、上水道によって供給される水はすべてこの水質基準に合致した、いわゆる許容限度以内の水でございます。参考までに、たとえば銅の飲料水の、上水道の許容限度は、たとえば一・〇PPM以下でなければならないという基準になっているわけでございますが、たとえば、この基準が世界的に、他の諸外国の基準がどうなっているかというのを申し上げますと、世界保健機構、われわれがWHOと申しているわけでございますが、世界保健機構が飲料水の基準として全世界に示しております基準が、銅につきましては一・〇PPM以下、それからアメリカの基準も一・〇以下、それから西ドイツ、まあドイツの基準は三・〇以下というふうに、大体国によりまして多少の、この銅に関しての開きはございますけれども、大体わが国が基準に定めております一・〇というのは、われわれ水道の専門家から見ますと、世界に通用する基準であるというふうに考えております。
  181. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 そうすると、有害でないということははっきりしているわけですね。
  182. 大橋文雄

    説明員(大橋文雄君) そうでございます。  なお、この飲料水の水質基準というのは、われわれが毎日毎日飲んで、まあ一生これを飲んでもからだに害にならないということでこの基準が定められております。
  183. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 最後に一点、建設省に対して。  実は、先ほど通産大臣と、それから経済企画庁長官に、たまたま神戸ダムが建設されるについて、鉱害の除去の対策をこの際あわせて、いまこれから建設省実施方針の中へ調査要綱として入れて、そして調査したものを今度は実施計画を立てる公団に対して指示しなくちゃならない時期に来ている。お二人の大臣答弁では、鉱害を幾ぶんでも少なくする面から考えて、そういうことが望ましいと、だから、そういう施設をやるほうがいいと思うけれども、まあ調査しなくちゃならないというような答弁があったわけです。われわれの解釈では、通産省経済企画庁も、水資源公団が実施する段階において、その前の前提として建設省実施方針を立てるんですが、この鉱害対策を含めて設計をさるべきだと思うけれども、これに対してどうお考えか、伺いたい。
  184. 望月邦夫

    説明員(望月邦夫君) 神戸ダムにつきましては、先ほど来、水質問題とダム関係ということで、いろいろお話を承っておるわけでございますが、われわれといたしましても、鉱害の除去につきましては十分考慮する必要があるということにつきましては異存ございません。それによりまして、現在ダムにおいてなすべきことがあるならばなすという方針に基づきまして、現在実施方針の原案につきまして、関係各省とそれらの問題につきまして、特に水質等の問題につきまして協議をやっておる最中でございます。ただ、実施方針というものは、公団が事業をする、すなわち、金を出すというものの基本でございますので、一回実施方針がきまりましても、今後さらに精細な調査の結果によりまして、ダムにおいてはこういうことをやるべきであるということがございましたならば、その実施方針を変更してでもやっていくということにつきましては、われわれは十分了解しておるつもりでございます。
  185. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 結局、実施方針の中に織り込んで調査しなけりゃ公団に指示ができないと思うのですね。そうでしょう。実施方針の中へ調査しておかなければ、今後は公団に、実施計画をつくる場合に指示できないでしょう。だから、この実施方針の中に織り込まなければならぬでしょう。その点はどうですか。
  186. 望月邦夫

    説明員(望月邦夫君) 実施方針の前の基本計画につきまして、すでにその問題については配慮をするようにというふうな利根川の基本計画の変更のときに、すでにそういう精神が出ておりますので、現在われわれのところにいたしましても、こういう問題に対しましてどういうふうに対処するかという調査中でございます。それで、何ぶんにも、その水質改善事業というのは、非常に技術的にも困難な問題もございますので、現在そういうことに対してはどういうふうにやるかということも考えながら各省と相談している、そうして実施方針というものはどういうふうに出すべきかということにつきまして原案を作成して協議中であるということでございます。
  187. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 そうすると、実施方針の中に織り込んで調査を進めていくということに解釈してよろしいですか。
  188. 望月邦夫

    説明員(望月邦夫君) もうこれはそういうふうに各省ともやっております。ただ、どういうふうな形におきまして方法をとるかということが現在まだきまっておりませんけれども、そういうふうな調査を進めて、それがきまったときにそれを取り入れていくというふうに考えております。
  189. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十五分散会