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説明員(
乙竹虔三君) 若干前置きになって恐縮でございますけれども、いま先生のお話の中にもございましたように、過剰設備処理そのものは構造対策の大もと、本柱とは必ずしも考えない、しかし、やるためには絶対必要だろう、こういうお話が要約されてございましたけれども、若干その御趣旨をふえんいたしまして、われわれ、こういうふうに考えておるわけでございます。つまり、
構造改善の本柱は何かというと、結局、設備の近代化であり、規模の拡大であり、いわゆる
構造改善、体質改善であると。
構造改善、体質改善をやるために一番大事なものは何かというと、結局、金である、もと金である、そのもと金については、
政府はこれは援助はするけれども、一番もとになるのは、業界のみずからかせぎ出した、ためた金である、こういうことであろうと思うのであります。みずからかせぎ出し、みずからためる金をどこから生み出すかということになると、結局、これは収益が伴う
産業になりかわらなければならない。現在のような赤字
産業ではあかぬということで、過剰設備を思い切って処理をいたしまして、不況カルテルというような一時的なものではなくして、思い切って処理して、そして収益性のある
産業に生まれかわろうと、こういうメカニズムを先生はさしておられるのであり、われわれも、そういうふうに考えると思うのであります。でございますので、したがいまして、私は、問題は、この過剰設備の処理ということは、業界がまず御自分でおやりにならなきゃいかぬと思うのであります。まず御自分でもって自分の
産業をもうかるように脱皮させることだと、これが過剰設備処理の一番ポイントであると思うのであります。
それでは
政府はどういうかっこうでそれを援助するのかというと、普通であるならば、業界が一致
協力してというか、カルテルを結んで設備をつぶすというのは、独禁法上相当問題があることでございますけれども、これは構造対策上必要であるということで、それを合法化するということがまず
政府のやるべき第一の措置であると思います。第二には、この過剰設備処理がスムーズにいきますように、行政指導と申しますか、勧奨と申しますか、これをするということが第二のわれわれの仕事であるというふうに思うわけであります。
前置きが長くなりましたが、数字に入りますけれども、一応三百万錘過剰であると言われておりまして、さしあたり二百万錘を一括処理しよう、その二百万錘のうちの百万錘は、現にいま不況カルテルで眠っておるものをつぶす、こういうことをいま業界は考えておるわけであります。あとの問題は、動いている百万錘をどうつぶすかということが、先生の御心配もそこだと思うのであります。一応紡績協会の参加社中心に五十万錘つぶすということは、現に話が大体まとまっております。問題は、あとの五十万錘でございますけれども、これに対しましては、化繊協会に参加をしております人たち、これも賛意を表しておりますし、また、さらに、自主的に廃棄を進めようということで、残りの五十万錘については買いつぶしの値段を、格差をつけて高い値段でもって買いつぶすということがいいんではなかろうかという話が進んでおります。すなわち、近代化をするためには金が要るわけでありますけれども、その金を、高い値段で設備の一部を買いつぶしてもらうことによって、買いつぶしによって得た補償金と申しますか、これを近代化に向ける、こういうことが中小紡の人たちの間にも現実に話が進んでおるわけでございます。そういうことでございますので、私たちといたしましては、現に動いておる百万錘、これが動いておる紡機の中から百万錘がつぶれるということを大体期待していいんではなかろうか。しかし、これはあくまでも業界が御自分でおやりになることでございまして、先ほど別の御
答弁に申し上げましたように、法律で強制できるものではない、
政府は強制できるものではないと思っているわけでございます。しかし、ぜひこれはやっていただかないといけない問題だというふうに思っております。
次に、現に、三百万錘の残りの百万錘でございますけれども、これはいま現在の法律で格納をしている設備が百万錘ございまして、その格納をしている設備は二対一でもってスクラップ・アンド・ビルドないしオープンされるわけでございますので、われわれの計算では、大体三、四十万錘は生まれかわってくる、六、七十万錘がつぶれるという計算をしておるわけでございます。そういたしますと、生き返ってくる三、四十万錘のかわりが要るわけでございますが、この三、四十万錘は転廃業者が五年間にその
程度は出てくるのではなかろうか。現に転廃業者につきましては、
政府におきましても、本年からすでに補助金五億円、計十億円の事業資金でもって中小企業の設備買いつぶしの準備を進めておるわけでございますが、こういう制度を強化拡充していくことによりまして、五年間に三十万錘
程度の転廃業者は出るのではなかろうかというふうに期待しておるわけでございます。