○
参考人(
小口賢三君)
繊維労連の
小口でございます。申し上げます趣旨を明確にしたいと思いまして、お手元にプリントを用意してまいりましたので、それを見ていただきながら以下説明したいと思います。
繊維産業はいま歴史的に大きな転換点にきております。石炭
産業と並んで
産業的に非常に大きな問題をかかえていると思うのですが、これらの転換期というものをどのように私たちが、これから国会でも、あるいは
政府でもいろいろな
立場で
産業政策を進めていただくわけですが、その上で転換期の
条件について私たちはやはり
事情について次のようなふうに考えておりますので、御検討願いたいと思うのですが、第一点は、
国内の経済の面から見ますと、
日本経済の重
化学工業化
政策の推進によって
輸出貿易
構造の上で綿糸・綿織物、
人絹・
スフ織物の
輸出に対する依存度が低下している。それから第二番目は、一九五五年以来
化学繊維産業が
発展して、
繊維需要の中で
天然繊維消費が停滞し、
化学繊維、
合成繊維消費が伸びてきたために、綿、絹、
人絹糸を
中心として成り立っておりましたいままでの
紡績、織
布業とその流通
構造が新たな消費
需要に即応して再編成せざるを得ないような
状況にきておることです。この点は
久村参考人が数字をあげて申し上げたとおりです。
それから第三番目としましては、農村の若年婦人
労働力の低
賃金と混綿
技術によって今日まで
発展してまいりました綿
スフ紡績業が、後に述べます国際的
条件の変化に加えて若年婦人
労働力が不足してきたこととコストの低下と
国際競争力強化のために、資本集約的な方向による高速化、連続化、
自動化装置の開発、工業化に追られているということです。
それから四番目としましては、国際的、
国内的
企業競争の中で、独占的
企業は
輸出の比重が
日本の経済で総体的に縮ったために、全体としての経営の
基盤というものが
国内に依存するという度合いが非常に高まってまいりました。そうして経営の収益性を高めるために、いままでの糸売り、賃織りという過程から、
付加価値生産性の向上を求めて、二次加工
製品のチョップ販売に乗り出してまいりました。その結果、戦前からの大手と
中小企業の間において大手は
輸出、
中小企業は内需、それから大手は原糸に多く、加工が
中小企業、こういうような生産分野がそれぞれあって、それぞれの位置というものが、国民経済全体の諸
条件の中ではある適応性を持っておったのです。ところが、これがチョップ販売によって全体的にこれらの地図が塗りかえられて、系列的な生産と販売が体系化してまいりました。これが早いものが一九五五年ごろから、おそいものでも一九六〇年ごろ完成してまいりました。ところが一方において綿
スフ紡あるいは
合繊糸におけるところの高度成長による投資というものが原糸の過剰生産力を産み出してまいりまして、そのことの売りさばき
競争及び
天然繊維資本対化学
合成繊維資本の
競争というものが圧力になって、これが全加工生産と商社機構を巻き込んで、
繊維産業企業の
構造的
不況というものを実は体系化しておるのが
実情でございます。それからまた
化学繊維産業自身にとってみましても、資本の自由化を迎えまして、先ほど
杉村参考人のほうからお話ありましたように、一社だけで見た場合に、今後の
国際競争について、生産プラントの
単位として問題が出てくる。これらのことがいま
国内的な
条件ではないかと思うのです。
それから国際的な血から見ますと、新興独立国の
綿紡績が
発展して自給度が高まってまいりました。一部の国では
輸出市場に低
賃金による低コストで強い
競争相手となって現われてきています。特に中国、韓国、香港との間に問題が多いのであります。戦後
日本の
繊維の
輸出構造が特に市場の点で変わってまいりまして、
アメリカ、ヨーロッパに片寄ってまいったのですが、いずれもこれらの国々においては、
繊維産業はどちらかというと国際
産業の
性格を持っておるために、
国内産業の保護の
立場から関税と輸入規制を設けております。これらのことによって、
日本の
繊維輸出市場はますます狭くなっておるのです。これらのことが一そう
企業間
競争を激化しております。それからそういう中で、今後
日本の
繊維産業の方向として、
新興国との市場
競争を避けつつ
繊維の
輸出を伸ばすためには、どうしても
合成繊維製品の
輸出の増大と、高度の加工、デザインによる高級二次加工
製品の
輸出に力をいたさなければならないという
情勢が、
繊維産業全体の諸問題として与えられてきておるわけです。
こういう
情勢を受けて、通産省
繊維雑貨局は、大臣の諮問に応じて、
体制小委員会が持たれているわけです。私は、ごく最近の動きをとらえながら、これらの
体制小委員会の経過について、とりわけ私は
中小企業の労働組合の
立場で、以下次に申し上げますような疑問点を持っておりますので、この点を
一つお聞きとりを願いたいと思うのですが、第一点は、国民経済全体の上から見て
繊維産業は確かに
構造改善と
近代化政策の推進が必要であるということは私たちも認めます。しかし、その論理を独占的な
繊維資本の
国際競争力の強化という論理に実はすりかえて、その結果、解決の方向が、経営
規模の拡大によるコスト低下と独占の寡占化による市場安定という方向に流れております。そして過剰生産力は
中小企業のスクラップ化によって排除しつつ大
企業のビルド策に
近代化をになわせようと、こういう傾向が強く出ているのではないかということを危惧しております。
例をあげますと、たとえば綿糸の二〇番手、三〇番手、四〇番手等の
量産品種は、一
工場当たり五万錘以上の
規模にして従来
紡績もしくは商社系列による賃織りをやっておったものを、今度は身分たちのほうに、
紡績のチョップの一貫生産をする、そして五万錘と千五百台というものを生産
単位として想定する、それから
企業規模においても、単一番手として六万錘を基準とし、さらに、それだけではいけないので、グループの対象としては十五万錘ないし二十万錘を
単位として生産と市場の安定化を目ざすこと、こういうふうに動いておるのであります。ところが、これはたいへん問題がございまして、
現状での
企業規模を見ますと、先ほど
田和参考人がるる
実情を申し上げましたように、この基準は、
綿紡では実は百三十二社中百五社、
スフ紡でいいますと九十五社中七十八社、
合繊紡では百四十七社中百四十一社が、この基準からスクラップの対象になるといいますか、そのライン以下になる。それからカナキン、ポプリン等のものは、戦後
企業別の
賃金差で、従来は
紡績自身の中で自家織機があったものが、自分の
工場を閉鎖して中小の機屋、
繊維業者にまかせておったのが
実情です。ところがぐあいが悪くなったら、おまえたちの仕事をわれわれのほうがやったほうが人も集まるし、コストも安くなるというので、実は専
業者の仕事を今度は大手の
紡績が自分のところでやろうということです。これでは綿
スフ専業織
布業者の五十台未満の
業者一万四千五百八十社、織機の十八万一千六百台がスクラップの対象になってまいりまして、専
業者の九一・四%、織機の四六%が実はこれによってオフリミットされてしまうということになってまいります。これは全然自動織機による労働生産性の向上部分を考慮しておりません。こういう状態でいきますと、原産地として特にカナキン、ポプリンの
生産品種のウエートの高い知多、泉州の機
業者は壊滅するという状態を含んでおります。また、
繊維雑貨局の試算によりますと、
紡績設備の過剰は
現状で三百万錘、日勤連続操業装置と三交代制度によりますと二百九十万錘、一九七〇年末までには現在の
設備の五〇%をスクラップもしくはそれに伴う更新をしなくてはならぬ、こう予想しておるのでございます。
これは最初に申し上げましたように、独占資本の
立場からの
国際競争力という論理から見ればたいへん都合のいい点でございます。必ずしもこれは国民経済全体の諸
条件から見て適切であるかどうか疑問に思うのです。特にこのような分析が
繊維品
需要の動向について配慮に欠けておるのではないか。特に原糸、布地生産でのコスト分析にのみ重点が傾いて、その結果、
量産品種の大
企業への集中、特殊番手糸の
中小企業による小
規模生産という図式で、以下全体を押し流しておる傾向があるのではないかと思うのです。ところが、現在においても実は
日本は国際的に見まして、原糸と布地コストは必ずしも高くはないのです。たとえば、それを綿のバーバリコートに例をとってみますと、
日本ではこれが大体三千二百円から三千四、五百円ですが、これに対して
アメリカは一万円、ヨーロッパでは八千五百円から一万円、綿のワイシャツにしましても、
日本では一着七百円から七百五十円、 これが
アメリカでは千七百円、ヨーロッパでは二千二百円、婦人のスリーマーにしましても、
日本では二百四十円のものが
アメリカでは九百四十円、ヨーロッパでは五百円、このように
日本の
繊維製品及び原糸のコストは、国際的に価格自体としては安いのです。価格は安いけれ
どもなおかつもうからないで、全体的に過剰になって
繊維産業はたいへんなところにきている、これが
実情であります。そういう点で、私
どもは米国、
英国、
フランス等について、先ほど
田和参考人あるいは
杉村参考人からお話がありましたけれ
ども、確かに
現状の
段階を考えますと、高度成長
政策と
近代化政策に取り組むという点については、私も賛成でございますけれ
ども、他の国について見ますと、やはり
過剰設備の廃棄、それに伴う
設備更新、
近代化というものを進めますが、非常に特徴的なのは、どの
製品をつくるのに使用する糸かということで、実は消費血から原糸の生産等について体系化しておるというのが
実情ではないかと思うのです。
日本では原糸の品質はよいし、価格も相対的に安いのにもかかわらず——そういう
製品が安いのです。ですから、確かに原糸と布地コストの低下によってのみ、
繊維産業の
政策の主力をそういうところに置くというのではなくて、むしろ加工とかデザインの高級化、その結果
製品の
付加価値による収益性を高めるとか、また、
久村参考人からお話がございましたように、
工場の生産原価に対してたいへんに流通コストが高くなっておるのでございます。これらの問題についても考えなければ、原糸と布
段階で何ぼコストを下げても、必ずしもそれが消費者の益になっておらないのです。それからまた
輸出競争力から見ても、とても売れないほど商いものではないのです。ここらの点ももちろん十分考えてもらいたいと思うのです。
そういう点で
日本の
繊維産業は実はたいへんに
産業構造としてかたわに育っているのではないか。これを例をあげますと、たとえば
日本と
アメリカについて通産省から出されました資料を例にとりますと、大手の八社による実は生産力の集中度を見た統計がございますけれ
ども、
アメリカの例については一九五八年、ちょっと古いですが、
日本では六二年をとっておりますが、
綿紡八社につきますと、
アメリカの場合では集中度が三六に対して
日本は四四、毛紡は、
アメリカが三四%に対して
日本は三八・五%、この数字を見ますと、むしろ
日本のほうが原糸
段階における生産の集中度は高いのです。ところが、それと反比例しまして、たとえば綿広幅織物に例をとりますと、
アメリカの八社については生産集中度が四八%に対して
日本はわずかに五・六%毛織物にしましても、
アメリカが四〇%に対して
日本は一三・九%、
人絹織物では
アメリカが四四に対して
日本は五・二%という数字になっております。それから一九六三年の事業所統計
一つとってみましても、
繊維工業の一万八千百四十九社の総資本金が二千百十八億円で、その有形固定資産が五千七百二億になっております。このうち資本金が十億以上の会社というものは三十二社です。三十二社の資本金が一万八千百四十九社の総資本金に対し何と五八・九%を占めている。それから有形固定資産が三十二社で四六・九%を占めている。加工
段階におきまして、衣服身の回り品製造業になりますと、七千二百三社のうち総資本が百六十七億、有形固定資産が三百三十八億しかありません。それで
企業の資本
規模をとりましても、五千万円以上の会社というのは三十社しかありません。それで有形固定資産が三百三十八億のうちの一二%、従業員
規模で見た場合に、実は衣服身の回り品製造業になりますと、三百人以上のものは七千二百三社のうち五十九社しかありません。会社の七四%というのが、実は三十人以下の零細な
企業で働いているわけです。先ほど
野沢参考人は、労働生産性ということをいろいろ具体的に御説明になりましたけれ
ども、この系列生産と系列販売、こういうような体系化した
日本の
繊維産業の
構造の中では機屋さんは実際に労働生産性を高める場合の物的基礎になる
設備投資自体が、自分たち自身の経営の中では拡大生産できない
体質におかれておるわけです。こういう問題を抜きにして、これは
紡績及び加工を何ぼコストを下げてもこれはいけないのだ。
そういう点で、また欧米の
繊維製品の
需要等から見ましても、今後布地を裁断して縫製するという
方法から、順次メリヤス編み機による
製品化の傾向が強くなっておるのではないかというふうに感じておるのであります。そういう点で自動織機の導入に関しても、織機と編みもの機械の
設備比の検討をいまから始めないと、自動織機に
政府から金を出して、国として全体の
設備投資をしてみたけれ
ども、全体として時代おくれになるという可能性もないではありません。
それから
繊維産業の
構造改善と
近代化政策というものは、いま申しましたように、国際的な内外の諸
条件から見て進めること自身については、国会でも抜本的な取り組みをお願いしたいと思いますが、どうも従来の
繊維政策というのは、あるいは
政府の
政策というのは、原糸の
段階のみに傾いておる傾向がございます。それから現在取り上げられておりますものも、原糸と織物過程からの
構造政策あるいは
近代化政策が議論されておりますが、私は視角を変えて、むしろメリヤス、縫製、染色加工の
立場から再編成していくという視点も重要ではないか。それは国際的に見ても、高級二次加工
製品の生産と
輸出が、
新興国との競合、収益性の向上の上で要請されておるときに、なおさらその
必要性を痛感するのでございます。これら全体的に、どうも現在の
体制小委員会の
一つの流れ、ムード、こういう点について、何としましても私たち
中小企業労働者及び
中小企業の経営の実態について接触しておりますものから見ますと、これは国民経済全体の諸
条件から見て必要だということと、それが資本の論理に変わってまいりますと、どうもまたぞろ
繊維産業の一そうかたわの生産
構造にさらに傾斜していく危険があるのではないかという感じも実は率直に持っておるものでございます。その辺については、国会のお
立場で十分御検討を願いたい。
それで、私たちは今後どういう方向に持っていったらいいかということについて、以下多少考えているところを項
目的に述べますのでお聞き取り願いたいと思いますが、
繊維産業の転換期を国民経済的な
立場から見て、また
中小企業労働者の雇用と生活
条件の安定的向上という
立場から見て、効率的な
政策によって乗り切っていくということについては、
繊維労働者の一人として賛成でございます。しかし、それには次のような十分な配慮が払われることを希望します。
第一点は、
綿紡績、綿、
スフ織機の
過剰設備の廃棄については、
政府は
近代化の目標を示し
企業が適用しやすいよう誘導するにとどめ、立法もしくは行政指導によってスクラップ、ビルドを強制するようなことがないようにお願いしたいと思います。そのことについて、私たちは石炭
政策についての
現状について危惧を持っています。もちろん
現状の石炭
政策の動きになりますと、一体責任はだれなのか、私は国民として見てもわからなくなっております。もちろん今日、
繊維産業が当面した諸問題については、いろいろ経営の責任もありましょうし、
政府の
政策の転換のまずさもあると思いますが、私は単に
政府が悪いということだけで片づけないで、これらの転換については、ある面で
企業の自己責任制というものについても明確にしていただきたいと思うのでございます。その
立場から見まして、国民としまして、
国家予算による補償は転廃業による部分のみに限定して、ただ登録
設備に対するプレミヤムを与えるようなことに対しては慎重に御検討を願いたいと思うのでございます。
それからまた、先ほ
ども理由の中で述べましたように、
構造対策につきましても、
綿紡績五万錘、織機一万五千台の一貫生産がよろしいというだけで、以下全体を押し切ってもらいたくないのでございます。そういう点では、原糸、織り布コストだけの問題ではなくして、染色加工、縫製、メリヤスなど、
製品化全体の過程を通じた
製品コストの
国際競争力の強化という点について、もっと口を向けていただきたいと思うのでございます。
それから二番目としましては、日韓保税加工貿易による現在中小
繊維加工
業者が深刻な問題をかかえておる。一方においてはスクラップ・ビルドをして、国がいろいろな財政投融資その他の点について
対策を立てようというときに、一方においてこれらの問題が野方図にされますと問題があります。たとえば、スクラップにした織機あるいは
紡績機械を韓国に売って、一方では補償金をもらっておいて一方では織機を売ってもうけるというようなことは、これは
業者としても御検討願いたいと思うのですが、それらのことが絶対ないという保証はないわけです。そういう点で、この日韓保税加工貿易による契約の規制措置についても、あわせて御検討願いたいと思うのでございます。
それから三番目としましては、先ほど申しましたように、
繊維産業が
輸出産業で伸びていくという場合のその
輸出は、従来のような生地とか布地でそれが綿織物あるいは絹、
人絹、
スフ織物という布地ではなくて、今後は
製品の
輸出にするというのが、
構造改善の大きなねらいではないか。そのことは先ほ
ども繰り返しましたように、新興独立国との競合の問題、
付加価値生産性の問題、これらの点から見ましても、その点は必要ではないかと思うのですが、そういう点から見まして、
日本の
繊維産業が、有形固定資産の投資の
状況から見ましても、
企業規模から見ましても、いろいろの点から見まして加工
段階においてたいへんな立ちおくれをしているという点について、もう少し高所から目を向けていただきたいと思うのでございます。そういう点で、私は、染色整理業、織
布業、縫製業、メリヤス業について、その資本装備と
技術を飛躍的に高めるような
近代化投資について、大幅な
体制金融措置をお願いしたいと思うのでございます。
このために、実はそれにつけ加えてほしいと思うのは、
繊維工業審議会に染色加工、メリヤス、縫製部会をあわせて併置して御検討を願いたいと思うのです。先ほど
久村さんが
紡績及び織物に限らず編みものをつけ加えろという御
意見がありましたが、賛成でございますが、それに染色、加工、縫製もあわせて全体的な
製品加工というものについて目を向けるようにお願いしたいと思うのでございます。
それから四番目は、流通コストの切り下げについても御検討を願いたい。
それから五番目は、
企業間の公正
競争と
労働力確保の
立場から、全
産業全国一律の法定最低
賃金制をお願いしたいと同時に、また使用者の
方々において、
産業別最低
賃金についての労働協約の締結についても現形を示してほしいと思うのでございます。
また
政府は、家内労働法の制定をお願いしたいと思います。
それから六番目としましては、
過剰設備処理と並行して、労働時間の短縮についても、私たちは
意見を持っておるのでございます。当面、週四十四時間、これは国際的に見ましても、
日本の
繊維産業の
競争力から見まして不当なことではないと思うのです。一九七〇年に五〇%スクラップするということであれば、並行して四十時間制の問題についてもあわせて御検討をお願いしたいと思うのでございます。
三交代制については私たちは賛成できません。
七番目につきまして、
繊維工業審議会は、年一回、
繊維産業の
現状報告、長・短期の需給予想、
設備能力と投資資金配分計画案を策定して国会に拠出していただきたいということでございます。その点は、実は
企業の自己責任制の点について、私は
意見として申し上げましたけれ
ども、実は
企業の自己責任制は、一たんそれが
政策として法律もしくは国会から離れますと、銀行の信用という形で問題が流れていきますと、結果的にはまたそれ目打が独占化につながってくるわけです。ところが、私は国民として見まして、現在、
企業は御
承知のように、自己資本はいいところで三〇%、平均して大体二二%前後です。このことは
産業政策と並行して、
産業への資金の投入について国会が高い
立場から監視について方向づけをお願いしたいということを意味しています。
御
承知のように、八〇%の資金というものは、それが何らかの形で財政投融資あるいは市中銀行を通して流れておるのでございますけれ
ども、
現状、
産業政策が実際に推進されておるのは銀行でございます。ところが、それがまた系列銀行等による投資の集中化ということの現象を生じまして、国民経済の全体的なバランスのある成長をはばんでおるのでございます。これらの問題を規制しますのが国会の
立場で、
産業政策についての御討議にあわせて資金計画についても、私は、監視あるいは誘導、御指導等が必要ではないか、こう考えるのでございます。そのような意味において七番目のことについて考えました。
以上でございます。