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1966-09-10 第52回国会 参議院 商工委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年九月十日(土曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員の異動  八月十五日     辞任         補欠選任      郡  祐一君     上原 正吉君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 宮崎 正雄君                 吉武 恵市君                 小柳  勇君                 椿  繁夫君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        通商産業政務次        官        金丸 冨夫君        通商産業省通商        局長       山崎 隆造君        通商産業省重工        業局次長     赤澤 璋一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (電気製品輸出価格に関する件) ○派遣委員報告     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  初めに、理事会において協議いたしました協議事項について報告いたします。  本日の委員会においては、金丸政務次官あいさつと、電気製品輸出価格に関する件、それから派遣委員報告を行なうことにいたしましたので、御了承願います。     —————————————
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) まず、委員の変更について報告いたします。  去る八月十五日、郡祐一君が委員を辞任され、その補欠として上原正吉君が選任されました。     —————————————
  4. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、金丸政務次官から発言を求められております。これを許します。金丸政務次官
  5. 金丸冨夫

    説明員金丸冨夫君) 私、このたび通商産業省政務次官に任命せられました。皆さま方、特に商工委員会のメンバーを拝見いたしましても、与野党まことにりっぱな方ばかりおそろいでございますので、どうか今後何分よろしく御指導御鞭撻のほどをお願い申し上げまして、簡単でございまするがごあいさつを申し上げます。(拍手)     —————————————
  6. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、電気製品輸出価格に関する件を調査いたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 近藤信一

    近藤信一君 電気製品の問題について若干の質問をするわけでありますが、去る八月の二十四日の衆議院大蔵委員会で、わが党の平林委員が、閣議でも問題となった工業製品、特にカラーテレビ国内販売価格輸出価格相違について問題にしております。  そのときの質問中心点は、十九インチのカラーテレビがわが国の国内向け小売り価格で大体十九万八千円前後だ、メーカーからの卸売り価格にいたしましても十五万円前後でありますのにかかわらず、輸出FOB価格平均六万五千円程度というようでございます。この点の違いは一体どこにあるのか。さらに、カラーテレビだけでなく、他の電気製品自動車、たとえばブルーバードが、国内価格が六十万円であるというのに、輸出価格は三十六万円であるという点にも触れられておるわけであります。これに対しまして赤澤次長は、第一は物品税の問題、つまり国内向けのものについては物品税がかかっていることと、第二は国内ものと輸出ものとの規格が違っていること、たとえばキャビネットその他の装飾が国内向けのものがぜいたくなものになっていること、第三は、宣伝広告費アフターサービスといったような広義の販売経費国内向けのものにかかっていること、などを理由にしておられるのであります。  そこで、まずカラーテレビについてもう少し突っ込んで質問をし、さらには電気製品全般その他についても触れてみたいと思います。  まず第一番に、カラーテレビ国内価格内訳についてでございますが、すでに読まれたことと思いますが、九月五日の毎日新聞に、電子機械工業会発表したといわれるカラーテレビ国内価格内訳というものが載っているわけであります。この表を見ますると、工場出し値が六万円ということになっており、輸出FOB価格が六万五千円とこういうことであれば、いわゆる赤字輸出ではない。この六万円という工場出し値真実性のあるものであるかどうか。この記事によりますれば、ある小売り店は、工場出し値は五万円を割っているのじゃないか、こういうふうなことも言われておるわけでありますが、その辺の実情は一体どのようになっておるのか、まずこの問題から御答弁が願いたいのであります。
  8. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 一般に申しまして、製品コストというものを正確に把握するということは、私どもとしてはなかなか困難なことでございます。特に、同じような、同一の製品と申しましても、会社によりましてそれぞれ仕様が違ったりあるいは構造違い等がございますので、必ずしも前後比較してみて、どれが正確なコストであるかということはなかなか比較も困難でございまするし、また会社のいわゆる営業上の最高の秘密に属することでございまするので、なかなか調査困難なところではないかと思います。ただ、私どもがこういった問題を契機にいたしまして各社から聞き取りましたところによりますと、カラーテレビの場合におきましては、ただいま御指摘の六万円前後というのがほぼ各社平均した工場価格コストではないか、かように考えております。ただ、カラーテレビの場合には、御存じのように、年間にいたしまして現在四十万台程度生産をいたしておるわけでございまするが、メーカーによりまして、相当多数生産してい石もの、またまだこれからつくり始めておるという段階できわめて少量のもの等がございまするので、多いメーカーの場合にはもちろんコストは安い、非常に少ない生産をしておるメーカーは高いということで、いささかばらつきもあるように思いまするが、全体といたしまして六万円前後というのが大体の平均値ではないかと、かように判断をいたしております。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 量産がされていないということも、まあ言われております。しかし、私ども消費者の立場から考えました場合に、各社が一定に値段が似通っておる、十九万八千円から十九万五千円と。これは偶然にそういうふうになったのか、それとも、これは業界である程度の申し合わせというのか、販売価格についての何かの相談があったのか、こういう点はいかがですか。
  10. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 一般的に申しまして、家庭用電気製品、たとえばテレビ、あるいはラジオ電気洗たく機、あるいは冷蔵庫、こういったものでございまするが、こういったものの価格の立て方と申しますか、市中販売価格がどういうふうにきめられていくかということでございまするが、従来のこういったものをずっと見ておりますと、大体、プライスリーダーと申しますか、ある一社が、建て値といいますか、現金正価小売り価格というものをきめまして、新製品の場合は特にそうでございまするが、これを発表する。それを一ぺん発表いたしますると、ほぼ同種のものをつくっておる他のメーカーは、大体この建て値を基準にいたしまして、あるいは若干自分のところはこういう点の特色があるというので高くしたり、あるいはそれから若干下げる。しかし、いずれにいたしましても、プライスリーダー価格を定めますると、それに従って他のメーカー追随をして価格をきめていくというような形が、現状市場価格というもののきめ方の慣習であるようでございます。ただいま御指摘カラーテレビでございまするが、これは、御存じのように、売り出しましたときには非常に高いものであったわけでありまするが、三十九年にある一社が十九万八千円ということで価格をつけて売り出しをいたしました。で、他のメーカーがこれにならって、それぞれの高かった価格を引き下げまして、現在ではほぼ十九万八千円というのが、一種の通り値と申しますか、小売り現金正価の場合の価格というふうになっておるということに考えております。カラーテレビにつきましては、特に、まだ各社とも、自分会社製品特色自分のところのカラーテレビはこういうところがほかのところと違って便利がいいんだというふうに、非常にすぐれた特色を打ち出して、それを基準販売政策を行なっていくというような段階にまでまだ至っておりません。そういう意味から、三十九年に出しました一社の建て値といいますか、小売り現金正価というものに追随をして、他社がこれまで下げまして売り出しているというのが現状であろうかと思います。
  11. 近藤信一

    近藤信一君 いろいろとこまかいことについては、また追って御質疑いたしますが、この工場出し値卸売り価格との差は、物品税を差し引いても七万円以上で、二倍以上であります。そのうち大口経費を見ますると、キャビネットスピーカーなどの追加改装費が一万五千円、それから金利負担分が五千七百円、それから技術販売経費が一万九千円、広告宣伝費が六千五百円、メーカーの利益と卸、小売りへのリベートが二万一千円と、こうなっております。これが一台分の経費になるわけで、全部メーカーサイドのものですが、こんなに多額経費がかかるものかと私は実際に驚いているわけなんです。このうち、金利技術販売経費広告宣伝費は、カラーテレビ生産だけにかかってくるのか疑わしいのであります。たまたまカラーテレビについての価格構成を求められたので、このような項目と費用をはじき出したのではないか、ほんとうは他の電気製品の分も含んではいないのかどうか、この点、政府の見解をお伺いします。また、追加改装費は全部下請業者にやらせていると思いますが、ほんとうにこれだけの費用分を遅滞なく支払っているのかどうか、この点もあわせてお伺いいたします。
  12. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 工業会でつくりました資料が新聞発表といいますか出ておりまして、ただいま先生が御指摘になりましたような数字も、それをもとにして御質問いただいているかと思います。で、実は私どもこの詳細な内容については、確かにこのとおりであるかどうかという点は、一々のメーカーに当たったわけでもございませんし、正確な原価計算というものが出にくいわけでございまするので、各社からの聞き取り調査もとにいたしまして大体の感じをつかんでみるということでしか、実態の調査というものはなかなかむずかしいかと思うわけでございまするが、ただいまお示しの中で、特にこの輸出品国内品の違いでありまするキャビネットとかあるいはスピーカー、こういった点は事実このとおりであろうかと思います。アメリカ向けのもので申しますると、たとえばスピーカーは一個しかついておりませんが、国内にいま売り出しておりまするものは三個これがついている。あるいはキャビネット等につきましても、向こうのものはいわゆる卓上型でございまして、キャビネット金属製のものであるのに対しまして、国内向けのものはこれがベニヤのきれいな形のものであるといったような、各種の付属品あるいは内部の構造の違いといったことがありまするので、この点の違いというものは、まあ私ども常識的に考えまして、この程度ではないか、かように考えております。  で、特にこの一番大口と思われます技術教育費あるいは販売経費の問題でございまするが、カラーテレビは、御存じのように、まだ新製品と申しましてもいいような段階でございまして、その調整あるいは取り扱い等につきましては、小売り店その他のいわゆるセールスマンと申しまするか、技術関係人たちについて十分なる教育をいたしませんと、実際家庭にこれを販売いたしまして、取り扱い指導をするというようなことで、こういった点は、やはり一般テレビであるとかあるいは電気洗たく機その他と非常に違った特色のある段階——まだそういった段階製品であるというふうに私ども了解をいたしております。また、宣伝広告等につきましても、いま申し上げましたようなことでございまするので、たとえば宣伝広告費が高いか安いかというような点でございまするが、このカラーというものだけで宣伝しているわけではなくて、カラーその他合わしていろいろ宣伝もいたしておりまするが、同時にこのカラーテレビというもので広告もし、PRもしている、こういった経費全体をあたってみますると、まずこの程度宣伝費が一台当たりかかるのじゃないか、かようなこともほぼ感じておるわけでございます。総じて新製品がまだ量産に至らない段階家庭に十分普及しない段階、この段階においては、やはりこれを売り込む場合、販売いたしまする場合には、従来の一般家庭電気製品に比べまして相当多額のこういった経費がかかるということは了解ができるものと思います。  また第二の御質問でございまするが、中小メーカー支払い関係がどうなっているかということでございまするが、私どもこの電気関係メーカーについて調べましたところでは、大体現金支払いが約二、三割程度、残りはいまのところ平均いたしまして九十日の手形で払っておるというのが、大体一般的な状態のようでございます。
  13. 近藤信一

    近藤信一君 この毎日新聞のこれを見ましても、非常に広告費とかなんとかこういうところ、金利だとかいうものがあげられておるわけでございますが、このカラーテレビだけつくるために金融を受けているわけじゃないし、いわゆる金融の面になりますると、メーカーがその会社全体の上に立ってこの金融措置をされるわけなんです。それが今度たまたま衆議院で問題になりましたので、いろいろとカラーテレビの分に対してだけ金利がこれだけあるのだとかなんとか、こう出ておるのです。それからまた広告費の問題にいたしましても、それじゃなぜ広告費をそんなにかけなければならぬか、いわゆる高いのを売りつけようとするから、どうしても広告宣伝しなければならぬということになるわけです。安ければ、何も広告しなくても、幾らでも需要者は買うと思うのです。高い金をかけて無理して広告をやり広告費に加算してくる、こういう点、そんなことは理由にならないと思うんです。営業をやる以上は、広告もするだろうし、金融することも当然でありましよう。こういうことがたまたまいろいろと経費や何か区分されましたものが発表されておりますけれども、私ども消費者はそういうこまかいことまで頭に入れていろいろと買うわけじゃないわけなんです。たまたまこういう新聞発表されて、消費者はそうかなと見るかもしれません。また赤津次長も御承知のように、テレビにいたしましてもラジオにしても、自動車にいたしましても、ともにこれは部品工場下請にやらせるわけですね。そうして下請から集めた部品メーカーで組み立てて、そうして販売するわけなんです。下請部品をやらせるというのは、われわれもよく中小企業下請工場に視察に行きまして、メーカーで引き合わない安いのを、みんな下請部品を請け負わす。そうすると、実際は下請に対しては安くたたいて、そうしてこれを組み立てていざ販売するということになると、国内向けには十九万八千円から十九万五千円、安いところで十九万五千円。さらにこれが輸出になりますと、何か赤澤次長衆議院答弁しておられて、ストック品の古いのを売るから安いというが、そんな安いものがあれば、何もわざわざ外国へ持っていかなくても、国内販売すればいいと思う。国内販売するということになると、いわゆる現在の価格というものはくずれるわけでございまするから、これを国内販売しない、こういうことにもなるんじゃないかと思うんです。まことにこの電気メーカーがやっておることは、私ども消費者としてはどうも了解しがたい点が多々ある。何も安く売れるものだったら、外国へ持っていかなくても、国内で安くどんどんと販売すれば、それだけ普及率もまた高くなってくるだろうし、その点、赤澤次長衆議院答弁されておられますけれども、ぼくはどうもその点納得いかないんですが、赤津次長、あのときは何か急の用があったということで十分用意もされておらなかったようでございますが、その後だいぶ日にちもたっておりますから、次長もだいぶいろいろと研究されただろうと思いますが、その点いかがですか。
  14. 金丸冨夫

    説明員金丸冨夫君) 実はこの問題につきましては、私もしろうとながら九月五日の毎日新聞発表の際には全く同感でございまして、こういうべらぼうなことが行なわれているのかということで疑問を持った一人でございます。こちらにごやっかいなるようになりましてから、この件を、さっそく検討させていただいたわけでありまするが、いまの御説のとおり、広告費あるいはまたアフターサービス金利——まあ金利はほとんど変わりませんが、そういう点につきましては、いまの御指摘のとおりでございまするが、ただここで考えていただきたいと思いますが、私の考えとしましては、カラーテレビは何ぶんにもまだ十分に普及されていないというようなことから、安ければ何ぼでも売れるということには実はなっていないようであります。と申しまするのは、カラー放送自体アメリカとは格段の相違があるというこの事実、これはすでに御了承のとおりだと思いまするが、こういう観点から自然宣伝費等においても、あるいはまたアフターサービス等につきましてもこれを大いにやり、また技術教育とかあるいは販売に対する宣伝とか、こういう点につきましては、やはりどうしても手数がかかる。まあそのかかることを含んでカラーテレビに関しましては業界においても努力している。まあ、自然そういうものの経費が上がる、この表にありますとおりにきちんとなるかということは、私わかりませんけれども、そういう点もあわせて御考察をいただきたい、かように存ずる次第であります。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 関連して質問いたしますが、いままでの答弁では、まあ新聞週刊誌に書いてあるとおりであります。カラーテレビ白黒テレビと、どういうところが違うのですか、構造上。
  16. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 技術専門家でございませんので、構造の詳細なことは私も承知しないのでありますが、やはり何色かの色が鮮明に出るか出ないかということが、カラーテレビの一番のポイントだと思います。それで現在のカラーテレビ、ごらんになっていると思いますが、非常に近距離のもの、それから屋外のものは比較的明確に映りますが、そうでないものは一代前の安物の絵はがきのような形で、少し色の間がぶれたりして、必ずしもいい形ではございませんので、こういつたものは、もちろん放送技術と両方相まって改善されていかなければならぬものでございますけれども、やはりテレビ放送自体にもそういった色彩の度合いの鮮明さ、それから色の複合、こういった問題について、なお研究の余地が今後とも十分あるようでありまして、現在その点について一番ポイントを置いた技術開発研究をやっているというのが、カラーテレビの製造の現状ではないかと思います。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 そういうような監督官庁なり、あるいは指導官庁技術的に無知といいますか、研究不足が、メーカー価格を独占的にきめてまいるという弊害をつくっておるのではないか。さっき次長答弁を聞いておりますと、カラーテレビについてはアフターサービスあるいは機械のことなどが非常にめんどうであるから、技術屋の養成などについてもたいへんでありますので、値段が高くなりますよというような、そういうふうな印象答弁です。私も電気しろうとですけれども白黒カラーテレビブラウン管が違うだけだ、大体おもなものは。そうしますと、ブラウン管構造というものは、これは下請会社——さっき近藤さんも言っておるように、下請会社のほうの技術者研究しておられることであって、そういうことが一つ値段が高くなることで十九万円になっておるわけじゃないわけですね。原価としては六万円です。そうしますと、あとは珍しいから、あるいはまだ好む者が少ないから、十九万円でも売れるから、その程度値段がつけられておるものと考えられる。六万円なり七万円になりましたら、やっぱりこれは広がるでしょう。もう白黒は一台あるけれどもあと一つカラーを買おうかという人が相当あると思う。ただ、十九万八千円ないし、十九万円だから買わないわけでしょう。そういうことは業者は敏感ですから、シェアを広げるためにはあるいは十万円にするかもしれない。しかし、それは私どものいま希望としては、なるべく、野球放送カラーテレビでやっていることだから、買いたいわけですね。そういうところに、そういう独占価格を許容しておるところに技術的にも研究不足がありはせんか。いまおたくのほうを見てみますと、技術屋さんが少ない。ただ、ブラウン管が違うだけぐらいとするならば、その研究はもっとやりますけれども、そのことによって、なるほどカラーテレビはよくわからぬから十九万八千円しかたがなかろう、いまちょっと次官もそういうような印象発言をされましたけれども、それでは少し通産省としては、研究不足なり指導不足がありはせんかというような印象もいたしますが、次長さんからひとつ御答弁を願いたい。
  18. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 先ほど政務次官から御答弁申し上げましたが、こういったような電気製品に限りませんが、特に家庭用電気製品販売動向と申しますか、政策と申しますか、もちろん安ければたくさん売れる、これは当然だと思います。現在のこういったようなカラーテレビといったような新製品について、どこまで値段を下げればどれだけの需要者が出てきて、そしてその量産効果と相まって価格が引き下げられ、きめられていくかという市場弾性値、それからコストの引き下げの限界、こういったものがまあ消費者価格を決定する非常に大きな要素だと思います。現状で見てまいりますると、ただいま政務次官からも申し上げましたように、アメリカの場合にも、やはりこの二年ないし三年間で急激にカラーテレビ普及率が高まってきております。と申しますのは、現在アメリカの、御承知のようにゴールデンアワーテレビを見る一番視聴率の高い時間といいますのは九五%、ほとんど全部といっていいものが、いわゆるカラー放送でございます。これに対しまして、日本の場合にはゴールデンアワーといったような時間帯には、まだカラーが出ておりません。野球相撲等カラーになっておりまするが、いわゆる劇映画と申しますか、そういったようなものは実はカラーになっていないわけであります。したがいまして、いま程度カラーテレビ受像機でもってかりに白黒比較をしてみて、どの程度なら一体需要者が買うであろうか、こういうことが一つの、逆にコスト等関係なく考えられる一つ需要とからんだ価格の問題であろうと思います。そういった点で私ども電機メーカーからいろいろ聞いておりまするが、これは現在の程度カラー放送現状でどうかといいますと、やはり十万円を割るという段階ぐらいでないと、実際は一般の何といいますか、中級所得者と申しまするか、そういった人たち需要にはミートしない。どうせいま程度カラー放送ならば、むしろ鮮明に映る、操作の簡単な、故障の少ない白黒テレビを買うというのが、一般需要動向だというふうに一般的に見られております。しからば逆に今度は、いまの十九万八千円と申しまするものがどの程度それじゃ下げられるかと、こういうことでコストの面から逆に計算をしてまいりますと、現状ではどう考えても十万円かかるあるいはその前後に価格を押えることは、現実の問題からして非常に困難だというふうな判断でございまして、そういたしますると、まあかりに十一万八千円が二万円なり一万五千円なり下げられる、あるいはアメリカ向け程度の普及型というものを、それじゃ出してみて、それがどの程度売れるか、こういうマーケットリサーチもメーカーのほうではやっておるようであります。こういった結果も参考にして考えてみますると、やはりテレビ放送カラー化と、カラーテレビの普及というものが非常に密接な相互関連を持っておりまするので、両々相まったテンポに応じて量産体制を整え、そうしてコストの引き下げをし、また、そういう方法、量産ができる体制で思い切った普及をするという段階になれば、いろんな経費も、むしろかかる経費も切り詰めて出していくというような政策に転換をしていく時期が参るわけでございます。現状ではまだ残念ながらそこまでいっておらないわけであります。で、生産の状況で見ますると、現在、先ほども申しましたように年間のカラーテレビ生産量は四十万台前後でございまするが、その半分が輸出でございまして、国内向けのものは二十万台弱というふうになっております。これをこの四十万台をいま各社とも将来の日本におきますところのテレビ放送カラー化とテンポを合わせまして、大体来年の三月末ごろまでには百万台ベースの能力にこれを持ち上げるべく、いま設備投資、技術者の養成をいたしております。こういったような百万台単位の設備ができてまいりますると、もちろんコストも下がってまいりまするし、またメーカーとしても、当無各種の経費を切り詰めても国内に売らなきゃならぬという事態になってまいりますので、そういった点から販売政策の転換時点が出てくるのではないか。また、私どもそういったときにうまくこれを指導いたしまして、カラーテレビ国内価格を引き下げるようにしてまいりたい。かように考えておるわけでございます。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 抽象的な推測論議では無意味ですから、基本的なものを二つ聞いておきたいのです。大臣に答弁願いたいけれども、きょうは次官にお願いしておきたいのです。いまの話聞いておりましても、メーカーの利潤、メーカーが成り立つ、メーカーが経営できるかできないかのことが主体となって答弁されているような気がいたします。もちろんそれはメーカーを倒しちゃなりませんから、この商工委員会の任務もメーカーを保護しなきゃいかぬ、その点わかりますが、国民の側に立って考えますと、四十万台できて、二十万台は外国に売っている、二十万台しか日本に置いていないのだ、あまりにも日本国民が留守になっていはしないかという気がするわけです。それはやはり値段が十九万もするからだ。しかも、原価としては六万か七万で、まあもう少し手を加えてもあるいは八万でできるかもわからぬ。そうするならば、それまでに値段を下げて、なるべく国民が買いやすいようにすることも商工委員会の任務であるし、通産省の任務でなければならぬと思うが、これからの指導をどういうふうにされるか、通産省の態度をひとつ聞いておきたい。第二問は、それに関連してまた聞きます。
  20. 金丸冨夫

    説明員金丸冨夫君) ただいま次長がお答えいたしましたので要約されておると思いまするが、通産省といたしましても、国民の要望であるテレビカラーという問題につきましては、これは当然努力をいたしてまいらなければならぬのでございます。ただ今日の状況で、技術方面におきましても、まだカラーの鮮明度というようなものが十分理想的にいっていないという問題が一つと、それから普及の問題につきましても、決してメーカーあるいはまた卸売り小売りが努力していないわけではないと私はにらんでおるわけでございます。ただこの放送自体というものが、ただいま申し上げましたように、いわゆるゴールデンアワーというような、まあ「源義経」とかあるいは「おはなはん」とかいうものがどんどんカラー化されるということになりますると、どうしてもこれは買いたいというようなことにもなるかと存じまするが、ただいまの状況では非常に少ないということから、その程度ならば鮮明な白黒でしばらくがまんしておったらいいのじゃないかというようなことが、価格の点とにらみ合わせて消費者の偽らざる気持ちじゃないか、かように存じますので、通産省といたしましても、先ほど御報告申し上げましたように、百万台目標の増産計画もできておりますし、また技術カラー鮮明という点につきましても相当に研究を重ねておりますので、これを指導いたしまして、そうしてできるだけ早くいわゆるカラー聴視者というかそういう方面の増加をはかっていき、そうして自然またそれをやりまするというと、増産に基づいての値段の低下、製作費の低下、あるいはまたその他一般の定価というものが目に見えて改善されると思いますので、この線に沿って業界指導改善し、一日も早くただいまのお説のごとくこれを徹底させるように指導してまいりたい、かように存じております。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 さっき次長の言われた、いま次官も言われたが、値段を安くするように指導するということですね、指導すると言われましたが、何かそういう特別に、ほかの値段の決定もありますけれども、もちろん政府としてこれに圧力かけてというわけにいかぬでしょうが、そういうものはどういう仕組みになっているか、それだけ簡単に答弁願いたいと思います。
  22. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) ただいまの御質問でございまするが、価格のきめ方というものについては、もちろん営業の自由と申しますか、現在の状況ではそれぞれ各社が競争しながら価格をきめ、そして需要動向に応じて価格の上下を考えているという状況でございまするので、通産省として、この経費をこれだけ下げたらいいじゃないか、あるいはコストは高過ぎる、こういつたような強制的な指導をするような仕組は、現在のところ通産省としてはないと思います。ただ、私どもといたしましては、常時業界の実態と申しますか、こういったものを把握し、そして一方で消費者の声というものも聞くような仕組みがございます。これは企業局に消費経済課というものがございますので、そういったところが始終いわゆる消費団体と定期的な会合を持っておりますので、その面からも、もちろん消費者のなまの声を十分聞いております。また、産業構造審議会の流通部会、この中に特に電気関係製品の卸小売りの問題につきまして小委員会ができております。ここで電気関係製品の卸小売り関係の流通機構というものをどうすればいいかという議論も現在進行しております。そういったような各方面の審議会あるいは消費者団体との定期的な協議等を通じまして、消費者の声を聞き、かつまた流通段階についての適正なあり方といったものも出てまいりますから、そういったものを基準にいたしまして、メーカー団体あるいは個々のメーカーとの話し合いでこれを指導していくというたてまえであろうかと思います。
  23. 近藤信一

    近藤信一君 いま小柳委員からいろいろと御質問がございましたが、特に家庭用電気製品はその普及率が六〇%をこえますと需要の伸び率が低下する、こういうように言われておるようでございますが、話はちょっと古いんですが、昭和三十九年の秋ごろ、夏ものの商品の異常な売れ残りということとそれから白無のテレビの在庫が多かった、そうしたときに、これらの過剰生産によるところの不況対策をどうやるかということで日立、東芝、三菱電気、松下、三洋、早川、富士、この大手のメーカー七社が社長会議、社長懇談会といいますか、こういうものを結成して、そうして四十年度のテレビ一〇%、扇風機四〇%、冷蔵庫二〇%ないし三〇%減産をきめた、こういう事実もあったようでございます。先ほど次長はなかなかいまカラーテレビとしては量産ができないと、こう言っておられる、ところが量産すると、こういうふうに大手メーカーはこれは過剰生産で困るということで、すぐ会議を持って生産の申し合わせなんかをやる。ところが、白川のテレビ次長も御承知のように、量産ができてストックして困っておっても一向に値段、いわゆる正価ですね、これは下がらない。これは広告にはたくさん出ておるんですが、その当時出た値段といまほとんど変わらないんです、白黒テレビにしても。量産すると安くなるのは原則だけれども、これはちっとも安くならぬ。カラーテレビでも量産できれば安くなるだろうという、五千円や一万円安くなっても問題にならぬですよ。量産すればでき過ぎだといって生産制限する申し合をせをする、そんなことでございまするならば、いつまでたっても国内向けば安くならぬということになる。そうして輸出はどんどん安い値段て売り飛ばす、物価対策上から言ったって、これははなはだおもしろくない現象だと私は思う。幸い通商局長もおられるんですが、先ほど来質問してお尋ねしておるんですが、国内価格の三分の一で輸出がなされておる。いろいろそれの理由は先ほど来、次長も述べられておりますけれども、これはどういう結果でそういう結果になっておるんですか。たとえば、トランジスタラジオなんかでも、輸出に対しましてはいろいろと五ドル切れたらいかぬとか、七ドル切れたらいかぬとかいうようなことが言われておったと私は記憶しておるんですが、ところがテレビの場合には、またほかの電気洗たく機にいたしましても、いろいろと輸出されておるのが日本の国内価格の三分の一、こういうことでは私ははなはだ不可解だと思うんですが、この点通商局は通商問題についてどう判断しておられますか。
  24. 山崎隆造

    説明員(山崎隆造君) カラーテレビが三倍という数字も承知しておりますが、しかし全部が三倍でございませんで、先ほども次長から御説明あったと思いますが、大体二倍から三倍というのが物によりますですが、これは要するに輸出の場合におきましては、国内コストを割らぬ範囲で先方に売れる値段ということがどうしてもあります。大体自動車等にいたしましても、輸出いたしますときには、やはり先方のマーケットでその気筒、容積、その他の能力、あるいは内部デコレーション、その他相当する車種と比較して、それからやはり、そこで売れる市場価格から逆算した値段輸出しなければどうしても合わない。その値段が工場の実際の原価を割りましたときには、輸出は長く続かないという状態でありますが、通商局といたしましては、原価を割らぬ範囲で先方の市場価格に合わして出すというのはもうまことにやむを得ない。高く売ればこれに越したことはございませんが、何しろ競争の激しいものでございます。それから、特に目立ちますのは、やはり先方におけるマージンというものは非常に高いものでして、輸入税その他マージン等を計算しますと非常に差額があるようでございますが、これが売れるぎりぎりの値段であると私は了解しております。また、これが工場コストを割っておりますればダンピングにかかりますし、そういうことではないか。ただ、内地価格輸出価格との差が非常に大きいということ、カラーテレビについて特に大きいということは、これは技術上の問題その他の要素が非常はからんでいて、新規製品であるということ等、いろいろな事情があると思いますし、これは各国におきましても同様の現象が起きているわけでして、日本の国内カラーテレビ価格が、特にほかの国におきましてよりは高いとは私は了承しておりませんし、また、ヨーロッパにおきましては、技術的にも違った組織をとっております関係上もございますが、まだ試験的段階ではございますが、とうてい庶民の手の届かぬ価格で現在も販売されております。私、ちょっと所見を申し述べさせていただいた次第でございます。
  25. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) ただいまの御質問に関連をいたしまして、私からちょっと一、二御答弁申し上げておきたいと思いますが、カラーテレビの場合に六万五千円というのが大体平均FOB価格だといわれておりますが、アメリカ国内で、じゃこれが幾らで売られているかということでございますが、私ども調査いたしたところでは、ものによって違いますが、平均してほぼ十四万四千円前後というのが、日本から輸出いたしましたカラーテレビアメリカ国内販売価格でございます。で、国内の場合十九万八千円ということでございまするが、もちろん、先ほどもちょっと御質問ごさいましたように、販売正価はそうなっておりまするが、実際問題としては、小売り店その他ではこれは相当値引きして売るのが、いま私ども電気製品を貰う場合の常識でございます。たとえば、普通のテレビにいたしましても電気冷蔵庫にいたしましても、現金正価というのがちゃんと書いてございまするが、電気屋さんへ行って買いまする場合には、五千円引きとか一万円引きというようなのが普通であろうかと思うわけです。私ども承知いたしておりますところでは、卸売りのマージンが大体一割前後、それから小売りのマージン、かこういったものにつきましては二割ないし二割五分程度というのが普通でございます。したがいまして、昨年のように電気製品が非常に余るというような供給過剰の状態では、もちろんメーカーのほうも蔵出し価格に操作を加えていると思われますが、店ではこれを安く、いわゆる現金正価より相当値引きをして売っておるというのが、実際の私どものこういったもの々買います場合の実情であろうかと思います。で、カラーテレビで申しますと、十九万八千円というのがいわゆる現金正価でございます。私、買ったことはございませんので、幾ら引いてくれるのかわかりませんが、ある程度の値引きはして売っておるだろうと思います。で、先ほどお示しの物品税、それからいわゆる構造等の違いといったようなものが約三万円ございまするから、十九万八千円から三万円かりに引いてみまして、十六、七万円になりますが、これと比べてアメリカ国内価格十四万四、五千円、これはそう大きな開きはないような感じもいたします。特に日本の場合には、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、まだ新製品といったような感じで、販売するほうも買うほうも考えておりまするので、そういった面での余分の経費が、現に白黒並みに普及しておるアメリカよりもある面ではかかる面もあるのじゃないか、かような点も考えられまするので、あながち海外には非常に安売りをし、国内には非常に高い値でこれを売って、何かその間操作をしておるというような感じではないんじゃないか。もちろん、今後この価格がどんどん量産に伴い、また普及に伴って引き下げられていくことは当然であり、私どもその方向に従いまして指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 暑いときだから、もう簡単に質問をしていきたいと思うのですが、カラーテレビ価格引き下げについての行政指導ということで次に御質問しますが、昨年で家庭電気ブームは一応終わりを告げた。メーカーはその起死回生策として、アメリカでブームを続けておりまするところのカラーテレビをわが国でも普及させ、そうして夢よもう二度を期待していると思うのであります。一方消費者としても、カラーテレビが安く手に入るということになりますれば、だれでもこれは飛びついて買うであろうと私は思うのですが、いまのところ、カラーテレビの購買層といいますか、購入する階層というものは、比較的所得に余裕のある人、調度品としてのねらいもあって、若干値段は張っても豪華なものを選ぶと、こういうふうな人たちがおもにカラーテレビを購入しておると思うのですが、カラーテレビをもっと普及させるためには、もっと大衆的といいますか、大衆向けの低廉な価格のもの、こういうものをつくるように指導すべきじゃないかと私は思うのです。通産省としては、過日、八月だったと思うのですが、三木通産大臣が、このカラーテレビ国内販売価格輸出価格のことを聞いてびっくりしておったというふうなことも新聞に出ておったのでございまするから、やはりこの点は、いまの政府の価格対策上からいっても、もっと安くできるような行政指導、こういうことに努力すべきじゃないかと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  27. 金丸冨夫

    説明員金丸冨夫君) ただいま御指摘になりましたとおりでございまして、特にこのカラーテレビの普及ということが今回の問題の解決の一番大きいことになりはしないかと私は考えるわけであります。結局、六万五千円というこの輸出価格を、即消費者価格の十九万八千円と比べるところにちょっと考え方の飛躍があるということが一つと、そういうことでないといたしますれば、十五万円程度でやはり普及版の販売というものは実際可能であって、現に一、二の会社はこれを試みたのでありまするが、ただいまの段階では、近藤委員の御指摘のように、上層階級というか、デラックス型にほとんど終始されておるというようなことで、あまり振り向いてもらえないというように現状では伺っております。ただここで、それではカラーテレビの今後の行政指導ということになりますれば、六万五千円で輸出せられておりまするこの普及版というものを、できるだけひとつ国内に安くこれを普及させるということに対する努力が十分になされるならば、カラーテレビは安くなったというようなことで、やはり自然に増加してまいるかと存じます。したがって、増産計画等につきましては、先ほどお話しのとおりでありまするが、それと相まって、この普及版についての販売のいわゆる流通機構の問題、あるいはまた販売制度に対する月賦——いわゆる割賦問題、かような点につきましてやはり考えていかなければならないというようなことで、現在割賦審議会、あるいはまた産業構造審議会の流通部門におきましては、これを取り上げて、おのおのの問題をただいま検討いたしておりますので、かようなことによりまして、この普及版をまず国内にできるだけ販路を広げるということについて業界でも特に努力をしてもらうということで、ただいま御指摘のように、八月下旬でございましたか、三木通産大臣から有力メーカーの社長に対しまして、大衆向きのカラーテレビをひとつつとめて生産をするように努力せいということの御指導もなされた次第でございますし、通産省といたしましては、こういう点と相まってカラーテレビ化ということに努力もし、またこれについての指導を誤らないようにしたいと、かように存じておる次第でございます。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 日本から輸出されますところの工業製品は、先ほど来言われておりますように、アメリカで例にとりますと、おおよそ二・五倍から三倍くらいで販売されているわけでございますが、そういう点から見ますると、やはりこれは外国のバイヤーが相当安い値段で仕入れていかなければ自国で販売競争に勝てない、こういうことで、日本に参りますと、バイヤーは相当たたいて仕入れ取引をするわけであります。たとえば、先ほど来も言われておりますように、日本から輸出されたカラーテレビが、何かアメリカでは四百ドル程度で売られているそうですね。こうなりますと、輸出価格の約二・二倍、こういうことにもなるわけですが、これを逆に申しますと、たとえば今度は日本から輸出したのを逆にまた向こうで買えは安くなる——逆輸入すれば安くなるというような現象も起こるのじゃいかというふうに私思うのですが、たとえば洋服の生地なんかよく言われますね。日本から香港に出ていって、香港からまた日本に来て、日本で売っているより安いのだという話をちょいちょい聞くのですが、そういうふうなことが起こってくるのじゃいかと考えられるのですが、こういうことは一体、輸出政策全体についてどこか狂ったようなところがあるのじゃないかと私は思うのですが、この点どうですか。
  29. 山崎隆造

    説明員(山崎隆造君) まことに御指摘のとおりでございますが、いずれも各国の輸出価格が、アメリカにおきましても、ヨーロッパにおきましても、大体二倍ないし、はなはだしい場合には、特にヨーロッパのほうがはなはだしいのですが、これはやはり商売の競争がにぶいのでありますが、はなはだしいのは五倍ないし六倍で日本製品が売られている場合がございます。しかしながら、こちらからコストを低く出すという場合は、それはままないとは言えないと思いますが、ほとんどコスト割れば長くは続きませんし、いろいろ先方でも防衛措置を講じておりますので、その点についてはほとんどないかと思いますし、アメリカにせよ、カナダにせよ、一々関税調査官というのがこちらに来ておりまして、その疑いがある場合には調査もいたしております。ですからそういった点はございませんが、それにしても安過ぎる。先方で二倍ないし三倍で売れているのだから安く売れないかという御指摘だと思いますが、もちろん原材料とか部品の場合にはそういう現象はございません。これはそういう取引が外国に行ってもございませんが、製品につきましては、やはりディーラーの扱いのマージンというものが比較的日本よりやや高いアメリカにおきましては、大体五割ないし六割マージンを取っておりまするが、これはその生活程度の差からくる、いろいろ人件費その他からきますところの諸経費の高いという点も十分ございますので、高く売れております。それだからといって、こちらから輸出価格を引き上げる、これに対して猛烈に抵抗がございまして、たとえば小売り商に直結して流すということをやりますると、最近でも問題が起きましたように、鉄綱の場合でございますが、そういう方式をとりますると、やはり必ず抵抗がある。ですから、現地での商組織あるいは販売組織、流通経路というものを尊重して拡張しなければならぬという点からいきますると、人為的に輸出価格をつり上げるという操作はなかなか困難でございます。われわれといたしましては高く売りたいけれども、そこに限界があるということと、コストを割っては売りたくない、ただ過当的な競争のためにコスト割れの現象があるような場合には、取引量その他で防ぐ方法は講ずる。しかし、コスト割れしないで、ある程度フェアに競争していく場合は、この現状をやはり尊重するという態度で見ております。またそういう方向で考えております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 いま政府が物価対策ということを相当いろいろと苦労しておられることも私よく承知しておるわけでございますが、そのためにもやはり私は特に電気製品等についてはもっと努力すれば安くなるのじゃないかと思われる節が多々あるわけなんです。カラーテレビ問題をきっかけといたしまして、国内販売価格とそれから輸出価格の差がはっきりしてまいりましたが、メーカー輸出による利益減というものを国内消費者にしわ寄せするという考え方がもしあるとするならば、これは大きな問題であろうかと思います。カラーテレビのほかの電気製品をはじめ、生活必需品でございまするところの耐久消費財は極力価格を低くするようにしなければ、この物価高を解消することはできないのじゃないかというふうに思います。そういう意味から、国内価格輸出価格を大きく上回る製品については、できるだけ国内価格輸出価格に近づけていく、こういうことで企業努力というものをしていかなければならぬのじゃないか。また、相手国との関係で無理とは思いまするけれども輸出価格をなるべく高目にして、その利幅を国内価格を低くするために使っていく、こういうふうなことも考えられないとは言えないと思います。さらに私どもが聞いておるところによりまして申し上げまするならば、いろいろと宣伝費が要ると言っておる。ところが、電機メーカーはこれが特に激しいと思うのですが、小売り業者を大名旅行に連れていく、国内——北海道へ飛行機で連れていく、九州観光も行く、また外国旅行までその売り上げの高によって招待する、こういうことが言われておるわけですね。こういうふうなことをやられたら、安くなる製品も安くならない。旅行代まで全部消費者が負担しなければならぬという結果にまでなってくる。また、平林君が言っておりまするように、ブルーバードが三十六万円で輸出されておる。こういう大きなメーカー生産するものは一向に値段が下がってこない、量産しても国内販売価格は下がってこない。これは私はいろいろと考えて、どこに一体こういう矛盾があるのだろう、その裏ではそういうメーカーのわれわれよく聞いておりますような政治献金が大きく動いているのじゃないかというふうなことも疑われるわけなんです。過日私のところへ八月二十七日付で人物粛正シリーズナンバー8昭和四十一年八月二十五日号、こういうので送られてきた書類によると、業界が大蔵大臣にいろいろと大きい献金をした、その中で赤澤次長がお使いにあがったというようなことが述べられているわけですね。これは私は怪文書だと思いますけれども、やはりそういうふうなことが一般的に言われていると、なるほど政治献金が大きく業界で動いているなあ、こういうふうなことをわれわれも疑わざるを得ないわけなんです。それがまた消費者にみんなかぶさってくる、負担されてくる、こういうふうなことでは、私は日本の工業製品というものがもっと安くなるはずであるのにもかかわらず、それが一向に安くならない。先ほど私がこの広告を示したように、十年前の値段といまの値段とちっとも変わっていない。内容的にはよくなったかもしれません、それは技術の進歩によって。価格の点を見ますとむしろ高くなったような点もあるわけなんです。一向にそういう点で消費者に対しては安くないように私は思うのです。こういう点で、やはり通産省として今後十分これは検討して、いま物価対策で非常にやかましいおりでございますから、なるべく消費者には低廉なものを供給させる、こういうような方向に私は持っていってこそ初めて物価対策の一環になるのじゃないかというふうに思うわけなんで、こういう点やはり、将来通産省はもっと積極的にこういう問題に取り組んでもらいたい、このことを重ねてあわせて要望しながら私は最後の御質問を終わるわけであります。
  31. 金丸冨夫

    説明員金丸冨夫君) ただいま物価対策に関連いたしまして通産省の行政態度ということについて御指摘がございました。まことにそのとおりでございまして、政府におけるただいまの重要課題は物価対策ということに相なるのでございます。通産省におきましても、この点は御案内のとおりにすべての行政につきまして強くこれを織り込んでその成果を得るようにただいませっかく各方面にわたりまして努力を払っているわけでございます。たとえば自由競争というものとそれから物価というものに対する関係、また生産者と物価との関係、こういうものを両方かね合わして考えますというと、なかなか通産行政は困難なところに立っているものと存じます。幸い景気等も相当持ち直してまいりましたので、この次には物価対策という点について御説の趣旨を十分各行政に浸透さしたい。各方面に熱心に努力を重ね、また構造審議会等につきましてもおもにこの点がただいま討議せられているわけでございます。国内小売り価格輸出価格との間に対するこの格差をなるべく縮めるという問題、これはもちろん理想とするところでございまして、ただ正確には、小売り価格輸出価格というものは本質上違いまするから、これは何でありまするが、理想といたしましては、かようなことで業界が努力をする、またそれを減価するということは当然のことであろうと存じます。政府といたしましては、国内メーカーの過当競争等によりまして不当に安い価格輸出が行なわれるような場合には輸出入取引法等によりまして所要の措置を講ずることとしており、現在でもテレビ、トランジスターラジオ等につきましては同法によりまして輸出秩序の維持をはかっておるところでございます。また、国内価格の引き下げにつきましては、各事業者の競争を通じて適正な価格水準の実施がはかられることが最も望ましいと考えられます。政府といたしましても、生産や流通の合理化を推進するとともに、各製品価格動向を注視いたしましてその実態の把握につとめ、必要があれば所要の指導を行なってまいりたいと存じます。  なお、ただいま御指摘になりました宣伝等の過剰宣伝というようなものの費用等につきましては、できるだけ指導面におきましてただいまこれを是正してまいっておりますし、また政治献金等につきましては、おそらく私はこれは事実無根である、かように存じておる次第でございます。
  32. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) ただいま私のことにつきまして一言御質問がございましたので、私からこの際明らかにしておきたいと思います。  この文書は、私のうちにも送ってまいりましたので、内容を承知いたしておりまするが、ただいま近藤先生が、赤津次長が献金の取り次ぎをしたと言われたのは、ちょっとそうではなくて、文書の内容は、某自動車メーカーが献金をしたという事実と、それと全然別に七月の下旬にありました自動車工業会理事会で、私がその際出席をしたわけでございまするが、資本の自由化については今後慎重にやりたい、こういう発言をしたのをとらえまして、それは前日某大臣の指示によって行なった発言であるということが書いてございます。事実私は、この理事会には自動車課長並びに自動車課の担当官を伴いまして出席をいたし、かつ、自由化につきましては、今後自動車は成長産業であり、日本の重要な産業であるから、自動車産業に関する資本の自由化については慎重にやりたい、こういう通産省としての統一見解をその席上で申し述べたのは事実でございます。ただ、その前日某大臣の指示を受けた云々の項につきましては、全くそういう事実はございませんので、この際明らかにさしておいていただきたいと存じます。
  33. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 ちょっといまの問題と関係がないのですが、お許しをいただきまして、特にまたこれは商工委員会所管の問題ではないのですけれども、急を要しますので、一言政務次官にお願いをしておきたいと存じます。  それは、実は石炭対策の問題でございますが、私ども先般石炭対策で北海道に二日間現地視察をいたしました。その問題につきましては、石炭対策委員会で特にまたいろいろ報告いたしますなり審議をいただかなければならぬことがあると存じますが、その際に、具体的な一つの問題でございますが、実は北海道におきまして合同庁舎を、第一次合同庁舎が完了しまして、第二次合同庁舎がいま建設されつつございます。第一次合同庁舎は、これは通産局も入っておりますし、大体石炭を暖房用に使用するとしてきておりますが、第二次合同庁舎は石油を使うような暖房装置をいま設計の中に入れておるようでございます。御承知のように、通産省としては、石炭の需要確保ということが重大な問題でございますし、特に北海道においての石炭はできるだけやはり現地において需要確保するということが非常に重大な問題でございますし、この前中小企業に関しまして官公需の受注確保に関する法律が成立したのでございますが、やっぱり同じ精神だと存じます。できるだけこの現地で暖房用に北海道炭を使っていただきたい。そういうときに第二次合同庁舎が、国の庁舎が石油を暖房装置に使うということは、現地といたしましては、非常に政府に全体として石炭に誠意ありやいなやということを疑っておるような声が非常に強いんでありますが、いまから申し出て間に合うかどうかは、設計その他の都合でわかりませんけれども、できたらひとつ官公の、政府全体として石炭産業に対しまして、現地産の石炭をできるだけ現地において使うと、これは量は少なくてもやはり政府の誠意に関する問題でございますので、通産省として、通産省直接には関係がないかもしれませんが、しかし、石炭の需要確保については通産省の責任でございますので、政府部内において、もしできますならば、これは間に合うようにして石炭を暖房用に使いますように、何とか計画を変更願いたいと、これは私ども現地視察をいたしました者が、もうひとしくみんな深く感じたところでございます。この点は非常に急を要しますので、この委員会でひとつ御要望を申し上げておきます。どうぞひとつよろしくこの点お願いいたします。
  34. 金丸冨夫

    説明員金丸冨夫君) 石炭問題につきましては、私も大体答申と、それから政府の今回の施策の内容等につきまして、いま勉強中でありますので、ただいまの政府の関係の暖房のところまでは実はよく存じておらないんでありますが、通産省といたしましては、立場から五千万トン・べースというものの需要につきましては、五千万トン以上になるように努力をするということが、この閣議決定にも明らかになっております。現に、確保の面に無理のないように、あかるいまた、特に大口需要でありまする火力発電等につきましても、予算措置をお願いいたしまして、二基増、ただいまの三基と合わして五基というものが差しあたりの計画でございまして、これに要する需要の確保をはかるということにいたしております。ただ、いまの暖房ということになりますれば、官庁用の建物との関係からいえば、あるいはまた建設省との関係もあるかと存じますので、帰りましてこの点は御趣旨の点をよく調査いたしまして、需要確保の点につきましては、最善の努力をはかりたいと、かように存じております。     —————————————
  35. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会の行ないました産業事情並びに電源開発等の実情調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告を願います。まず第一班、九州・山陽班の御報告を願います。
  36. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 過般当委員会から国政調査のため派遣されました第一班の九州・山陽班について申し上げます。  第一班は、産業事情並びに電源開発等の実情調査のため、去る八月九日から十二日までの四日間、大分、福岡、広島の三県下にわたって視察を行ないました。派遣委員は、村上委員長、赤間委員、藤田進委員と私の四名で、さらに劔木委員が大分で、小柳委員が八幡で、それぞれ現地参加されました。  その内容は、大分県では、大分・鶴崎地区の新産業都市の現状について、県から説明を受けた後、懇談を行なうとともに、九州石油の操業現場と九州電力の火力発電所建設予定地の実地視察を、福岡県では、八幡製鉄の戸畑製造所、三菱化成の黒崎工場と源源開発の若松火力発電所、広島県では、広島プレス工業と東洋工業を視察してまいりました。  以下、私どもの特に印象を受けました点を中心に、その概略を御報告申し上げます。  まず、大分・鶴崎地区新産都市について申し上げます。  この地区は、新産業都市建設促進法に基づいて、昭和三十九年一月に、他の地区と一緒に指定されたことは、諸君御承知のとおりであります。  この地区は、瀬戸内海の西の玄関に位置し、広大な工業用地があり、しかも、良質、低廉で豊富な工業用水に恵まれ、その他、港湾につきましても、きわめて好条件に恵まれています。すでに、一号地には、私どもが今回視察してまいりました九州石油が操業しており、九州電力の重油専焼火力発電所がその隣接地に、また、昭和電工グループの石油化学コンビナートが二号地に、それぞれ建設されることになっております。さらに、三・四号地には、富士製鉄の銑鋼一貫工場の進出も予定されております。これらの第一期計画に加わえて、第二期計画分もあわせますと、工業用地の造成は千五百万平方メートルにも及び、この地区の規模がいかに大きなものであるか、察することができます。  このように、大分地区の新産都市の建設は、全国十五ある中でも、岡山県南地区とともに一応成功の部類に属し、今後も一そうの発展を遂げるものと気を強くした次第であります。しかし、その裏には、地元関係者にとって、多くの困難も横たわり、強力な国の支援を求めておりましたが、たとえば、これは成功の大きな要因ともなっている先行投資を含め、いままでに県が支出した費用は、すでに百三十億円となり、今後の埋め立て費用もかなりの額になると思われますので、この資金調達について、国の積極的な援助を期待したいとのことでありました。  次に、八幡製鉄その他のメーカーについて申し上げます。  まず、八幡製鉄については、申し上げるまでもなく、わが国最大の銑鋼一貫メーカーであり、私どもが視察しました戸畑製造所は、開放経済に臨んで国際競争力を高める目的で、第二次合理化計画に沿って、昭和三十三年ごろから建設されたもので、ストリップ設備を中心とした一貫工場であります。  昨年七月から行なわれてきた粗鋼の勧告操短が、これを必要とする業界・通産省と、これを非とする公正取引委員会との間で活発な論議を呼び、大きな経済的、社会的関心を巻き起こした末、結局、九月から中止されたわけでありますが、今後とも、設備の能率化、大規模化の趨勢に対処して、設備調整あるいは業界体制について、困難な問題をかかえております。このようなときに、今回の実地調査によって得ました私ども印象は、今後の鉄鋼問題の検討について、少なからぬ示唆を与えられたと思っている次第であります。  次に、三菱化成は、わが国有数の総合化学工業会社で、石油化学製品、合成繊維原料、コークス等三百余種にのぼる製品をつくっております。私どもが視察しました黒崎工場は、三菱化成の主力工場で、石炭を原料とする石炭化学工業に属します。  私どもが現地で説明を聞き、実際に工場を見まして、化学工業における各製品の有機関連性の密接で、その重要なことをあらためて認識した次第であります。たとえば、当工場の主力であるコークス部門で発生したコークスガスは、硫安等化学肥料の原料であるアンモニアガスとして利用し、低コスト、高能率の総合肥料工場として操業しているほか、薬品部門、染料部門、合成部門等が相互に密接な関連を保って、総合化学工業を展開しておるのであります。通産省では、本年四月からの機構改革で新しく化学工業局を設けたことでもわかるとおり、今後のわが国産業構造の上においても、化学工業のウエートが増加する見通しにありますが、当社をはじめとして、化学工業の一そうの発展を願うものであります。なお、高熱衛生安全問題について、今後一そうの配慮を期待したいと思います。  次に、東洋工業は、申し上げるまでもなく、わが国有数の自動車メーカーで、マツダの自動車でよく知られています。私どもが視察したときは、新型乗用率マツダ・ルーチェの市販が始まる直前で、その組み立て作業も見ることができました。この車種の生産台数は、当面、月産千台で、輸出も考えられています。目下、宇品東地区にこの新型乗用車専門の工場が建設されており、近代的な車体工場はほぼでき上がり、塗装工場と組み立て工場が近く完成する予定と聞きました。  また、注目のロータリーエンジン車も明年末には、本格的な量産化が行なわれる予定で、着々とその準備が進められていました。そのほか、技術面では、常に最高水準のものを取り入れようとする積極的な精神が工場のすみずみまでに見られました。  年々飛躍的な発展を続けてきた自動車工業も、昨年十月、乗用車の自由化を迎え、また、産業界全般の不況のあおりを受けて、ようやく大きなむずかしい曲がり角に立っていると申せましょう。日産、プリンスの合併にあらわれた自動車業界の新しいあり方といわれる合併問題に対しては、東洋工業は、独自の行き方で臨もうとしているようでありました。  次に、中小企業について申し上げます。  私どもは、広島市外にある広島プレスを視察してまいりました。この会社は、東洋工業の協力工場で、昭和三十三年の創立であり、比較的新しい中小企業です。設備投資には意欲的なものがあり、目下、工場の集中化が進められておりました。また、技術の開発にも熱心で、単なる東洋工業の下請として、各種自動車車体の部品をつくるばかりでなく、独自の設計のもとに、各種プレス機械とブレス金型もつくっております。したがいまして、いままで東洋工業が名古屋、京阪地方に発注していたプレス金型等のほとんどを同社が受注できるようになったとのことでありました。もちろん親会社指導なり援助があってのことでしょうが、ここに中小企業一つの発展の方向に対して教訓を示しているのではないかと考えました。  最後に、若松火力発電所につきましては、当初、北九州地区の低品位炭の需要を確保するために建設されたものですが、最近では、その低品位炭の供給を思うように受けられず困っているとのことでありました。  なお、広島通産局長からは、中国地方における産業公害の現状中小企業現状と問題点、中小鉱山の現状と問題点、広島通産局の当面の重点施策等について説明を受けました。  終わりに、今回の実地調査にあたり御協力をいただきました関係方面に対し、厚く謝意を表して報告を終わります。
  37. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、第二班、東海班の御報告を願います。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 第二班の派遣報告を行います。  第二班は、近藤英一郎委員、阿部委員と私のほか、吉武委員が現地参加されまして、八月九日から十三日までの間に、上諏訪、天竜川水系、浜松、名古屋の順に回ってまいりました。  視察個所は、上諏訪で諏訪精工舎、オリンパス光学諏訪工場、三協精機、天竜川水系で中部電力泰阜発電所、電発佐久間発電所及び周波数変換所、浜松で日本楽器、鈴木自動車工業及び小沢渡鉄工団地、名古屋で家具団地及び既製服縫製団地、中部電力知多火力及び武豊火力発電所、三菱重工名古屋航空機製作所、大江工場及び小牧工場であります。  日数のわりに視察個所が多かったため、十分な視察ができなかったきらいもありましたが、以下おもな点だけ簡単に申し上げます。  諏訪で視察しました精工舎、オリンパス、三協精機は、いずれも精密機械工場で各社とも生産の相当量を輸出しているのであります。  諏訪精工舎は、かっての第二精工舎諏訪工場が昭和三十四年に独立したもので、紳士用セイコー腕時計の生産を担当し、年間三百二十万個をつくっております。セイコー腕時計全体としては、全国生産量一千三百六十万個のうち七百六十万個を生産し、その三一%を輸出しています。  オリンパス光学諏訪工場は、ハーフサイズ・カメラの生産を分担し、月産四万台、そのうち約二割を輸出しています。  三協精機は、オルゴールで知られ、オルゴール、タイムスイッチの生産では、業界第一位にあり、中でもオルゴールは、世界の五〇%に当たる月産百万個を数え、そのその六〇%が輸出されているのであります。それだけに各社とも輸出に力を注いでおり、精工舎では、現在、アメリカ、北ヨーロッパ、南米等が輸出の主体であるが、今後は、豪州、南ヨーロッパの市場を開拓し、生産量の四〇%を輸出に当てる体制をつくり、それも明るい見通しだとのことでありました。  オリンパス光学でも、カメラの輸出業界全体としては順調で、今後は東南アジアヘの輸出をふやす必要があるが、ただ、ハーフサイズ・カメラの輸出には、現地におけるDP屋の普及が前提で、現狂のままでは困難ではないかとのことでした。三協精機では、輸出についてではなく、メーカー各社からのタイムスイッチの注文は性能に変わりがないが、構造各社とも若干ずつ違っているので、生産の合理化に支障があり、メーカー間で規格を統一するよう通産省で指導していただけないものかと申しておりました。  また、浜松で視察しました日本楽器は、いわゆるヤマハピアノで知られ、ここを中心としたヤマハグループでは、オルガン、ハーモニカ等の楽器のほか、オートバイ、モーターボート、グラススキー、洋弓までも生産していますが、中でもピアノは年産十万台、世界最大の生産を誇り、また、国内販売では約六〇%のシェアを占めています。輸出は年間一万八千台ですが、ヤマハグループ全体の年間輸出額は百億円をこえているとのことでした。  ここでは、ピアノの輸出に関連して、ピアノの原材料は、そのほとんどが外材のため、外材の値上がりは、直接、価格にはね返り、輸出の障害となるので物価対策には特に慎重に配慮していただきたいとの要望もございました。  同じ浜松の鈴木自動車は、鈴木織機から始まり、戦後オートバイ、軽四輪車へと進出してきた会社で、現在では、月産四万台のオートバイと六千台の四輪車を生産するまでになっているのであります。輸出も年間百億円をこえ、最近では、その輸出が急速に伸び、中でも顕著なのは、アメリカへの輸出増大が目立ち、六月などは、全輸出の七三%がアメリカという、状況だということでありました。  このほか、三菱重工名古屋航空機製作所にも参り、大江工場で航空機をつくるまでの研究施設を中心に、小牧工場では、YS11の組み立てをはじめ、MU2、ヘリコプター、その他、F86F、F104ジェット戦闘機の製作及び修理などを見たのであります。中でもYS11は、日本航空機製造会社もとに、川崎航空機で主翼、富士、新明和、日本飛行機で尾翼、昭和で脚、三菱で胴体と組み立てという作業を分担して、今年六月までに二十五号機まで完成したのでありますが、今後の輸出に期待できるのではないかとのことでした。  また、三菱重工では、現在、七人乗りの小型双発機MU2の生産に力を入れ、すでにアメリカに十三機を出荷しており、月四機から八機ぐらいずつ輸出したいとのことでありました。  しかし、ここでは、日本の航空機工業の現状は防衛計画と大きな関連を持ち、三菱重工においても、防衛関係が全体の八〇%を占めているだけに、第三次防衛計画の早期決定を要望しておりました。  次に、中小企業団地について申し上げます。  視察した団地は、浜松で小沢渡鉄工団地、名古屋で三好の家具団地及び既製服縫製団地の三カ所でありますが、この三団地はそれぞれ若干の差異が見られたのであります。  小沢渡鉄工団地は、鈴木自動車下請二十工場が集まった団地ですが、その中には、資本金一億円以上、従業員も三百人以上という企業も人っていました。  ここの団地は、鈴木自動車下請とはいえ、鈴木からの受注は二〇%にすぎず、他は、日産自動車、その他からの仕事をしているそうであります。  また、団地の理事長の話によると、ここに集まっている各工場は、それぞれ独立して採算をとることが当面の目標だそうで、他の団地のような共同意識が薄いような印象を受けたのであります。  既製服縫製団地は三十七年認可、資本金六億円で四十年三月に完成、二十工場で構成されています。現在では、団地内の工場としては赤字だそうですが、団地内の工場は、それぞれに他に本工場を持ち団地のほうは分工場という形になっているのであります。食堂、宿舎等の共同施設はありますが、本工場まで団地移るのではなく、分工場の集団であります。  これと隣接している家具団地は、三十六年に協同組合をつくり、三十八年から建設、現在、十七の家具企業で構成されています。ここでは共同仕入れ、共同加工、共同販売等、団地が一体となって事業をしており、経営も一時は苦しい時期もあったが、本年春ごろから改善され、現在では、わずかながらも黒字になっているとのことでした。  また、目下、アメリカからの大口引き合いもあり、その交渉中だそうですが、団地の人たちは、輸出産業となる日も遠くないということで、団地の将来について明るい見通しと団地の発展に確信を持っているとの発言もございました。それだけに、国の団地化政策に対し、感謝の意が述べられていました。  しかし、この政策をもう一歩前進させて、協業化法人の設立までいくことを要望しておりました。  私どもは、これら三団地を視察して、団地の成否は国及び地方自治体の援助と適切な指導によるところが大きいと思われ、中小企業庁も本腰を入れて、中小企業者及び地方自治体に対し、強力な指導を進める必要があると思われたのであります。  最後に、電源開発について、佐久間の周波数変換所と知多・武豊の火力発電所に触れておきます。  周波数変換所は、本州東部の五十サイクルと西部の六十サイクルの常時連係を実施するため、電発が四十年に完成させた施設で、周波数変換装置による周波数の異なる系統の直接連係というのは世界でも例が少なく、特に三十万キロワットという大規模なものは、世界でも最初の計画であるとのことでした。  私どもも、さして広くない日本において、東西の地域で五十サイクルと六十サイクルに分かれていること自体がおかしいのではありますが、この施設によって、東西両地域間の経済的な電力融通余剰水力の消化促進、電力の緊急応援等の経済的効果が考えられ、きわめて有意義な施設であろうと感じてまいったのであります。  知多火力は本年二月から一号機が運転開始し、現在二号、三号を建設中でありました。一号機は出力三十七万五千キロワットですが、計画の六号機まで完成すると二百七十五万キロワットの出力になるという大規模な発電所であります。もちろん、この発電所は重油専焼で、私どもが参りましたときは、原油のなまだきを実施中でありました。  これに対し、武豊火力の一号機は、石炭政策への協力のため石炭専焼として建設されたもので、三十八年十二月着工、本年八月六日に営業認可を受けたばかりのところでありました。石炭の年間使用量五十万トン、出力二十二万キロワットの発電所であります。  これら両発電所は、伊勢湾あるいは衣浦臨海工業地帯などの産業の発展に伴う電力需要に対応するため建設されたもので、これらの発電所の建設が完成すれば、中部管内の電力需給は安定し、今後の産業の発展が大いに期待できるものと考えられます。  以上概略を申し上げまして、第二班の派遣報告を終わります。
  39. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 以上をもちまして派遣委員の御報告は全部終了いたしました。  他に御発言もなければ、本調査はこの程度にいたします。  次回の委員会は九月二十六日午後一時といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会