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1966-07-26 第52回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月二十六日(火曜日)    午前十時四十四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  七月十三日     辞任         補欠選任      山崎  昇君     小林  武君  七月十四日     辞任         補欠選任      小林  武君     山崎  昇君  七月十九日     辞任         補欠選任      高山 恒雄君     向井 長年君  七月二十二日     辞任         補欠選任      向井 長年君     高山 恒雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     理 事                 鹿島 俊雄君                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 土屋 義彦君                 山下 春江君                 山本  杉君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 森  勝治君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        労 働 大 臣  小平 久雄君    政府委員        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        農林省農地局長  大和田啓気君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業訓練        局長       和田 勝美君        建設大臣官房長  鶴海良一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        建設省住宅局住        宅建設課長    沢田 光英君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (厚生行政に関する件) ○労働問題に関する調査  (港湾労働に関する件)(黒磯町のガス中毒事  故及び一酸化炭素中毒症対策に関する件)(不  当労働行為に関する件) ○全国盲人会復生病院を含む)に対し高級録音  機十二台支給等に関する請願(第二号) ○母子保健法内容充実並びに促進に関する請願  (第三一号) ○環境衛生関係営業運営適正化に関する法律  の一部改正に関する請願(第四〇号)(第四一  号)(第五九号)(第九二号)(第一二八号) ○戦没者遺骨収集促進に関する請願(第四二号)  (第一五二号)(第一六六号)(第一六七号)  (第一六八号)(第一六九号)(第一九一号) ○老後の生活安定のため老齢福祉年金増額に関す  る請願(第六九号)(第一六五号) ○療術業務医業類似行為)の新規開業制度化  に関する請願(第一〇四号) ○一酸化炭素中毒法制定に関する請願(第一一六  号)(第一一七号)(第一一八号)(第一一九  号)(第一二〇号)(第一二一号)(第一二二  号)(第一二三号)(第一二四号)(第一二五  号)(第一二六号)(第一二七号) ○環境衛生金融公庫設立に関する請願(第一二九  号) ○国民健康保険国庫負担金増額等に関する請願  (第一三七号) ○老齢福祉年金支給に関する諸制限撤廃等に関す  る請願(第一三八号) ○同和対策審議会答申完全実施に関する請願  (第一四二号)(第一四三号) ○離島における医療施設整備医療従事者確保  の立法化に関する請願(第一五〇号) ○栄養士法第五条の二の第二号改正に関する請願  (第一五一号) ○ソ連長期抑留者国家補償に関する請願(第一  六四号) ○少年非行対策に関する請願(第一七三号) ○国立水戸病院がん研究所設置に関する請  願(第一九四号) ○継続審査承認要求に関する件 ○継続調査承認要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     ―――――――――――――   〔理事佐野芳雄委員長席に着く〕
  2. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) それでは、ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査を議題とし、厚生行政に関する件について調査を行ないます。  本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 来年度の予算の準備の段階に入っていると思うわけでありますが、本国会で十分に一般行政について議論がされておりませんし、また、あったとしても、来年度の問題について一、二見解を伺いたいし、努力をしていただきたい、この点について御質問申し上げたいと思います。  一つは、施設職員給与の問題であります。これはいままで努力をしていただいたのでありますけれども、いまだ三〇%という――さきに灘尾大臣のときに本会議で、公務員給与と同じにするということを約束になっているのでありますけれども、これがおくれている。これはひとつ来年度の予算でぜひ厚生省努力をしていただきたいということが第一点であります。いずれあとから見解をお聞きします。  第二番目は、年金がどんどん所得保障として進んでまいりましたから、これは私は、やはり年金の中には法律関係、いまだいぶ問題になりつつありますのは、任意で届け出なかった方々を、それじゃ年が経るに応じてどうするかという問題が出てきます。明治四十三年から大正、振り返って三十九年ぐらいですか、それまでの人の処置がありましょうし、それから一般年金をかけていない、強制適用でありますけれども、かけていない方々の問題の処置をできるだけやっぱり強制適用をやって処置しなければならない問題も一つあるでしょう。それから、その三十九年以前に生まれた方々が六十五歳から、いずれ年金自身改善されていこうと思いますけれども年金所得保障という概念でその以前の方々処置考えていかなければならぬ重大な問題があります。年金全体を上げなければならぬこととあわせて、非常にきめのこまかい問題があるわけですから、これなんかもひとつぜひ検討をしていただきたいということです。  三番目は、外国資料が非常に緩慢である、日本に入って来るのが。五年も八年も前の資料厚生省は時によってはお使いになるわけですけれども、今日の経済の伸展のテンポというのは非常に早いわけでありますから、だから私は、労働省が置いているように、主要国主要地域厚生省派遣をして、そうして敏速に、われわれは何も外国のことをまねするというわけじゃありませんけれども、そういうやっぱし必要があるのではないかということが三点です。  四点目は、国保の問題であります。国保ができたときには、これは私はやっぱし均等割り所得割り資産割りという、このバランスの上に立って皆保険をやっていこうということになっていたと思うのであります。法律や、あるいは実際の作用については三つほど分けられておりますけれども、私は、国保の皆保をやっていく趣旨というものは、均等割りが五十、それから所得割りが三十、資産割りが二十というような概念で皆保険が出発したと思うのでありますけれども、大都会においてはそれがくずれてしまっている。ですから、そこに問題が起きているわけであります。これはもう御存じと思いますから、私は説明しません。この点は、私は、これに加えて、株主配当とか、預金の利子十何万も所得があって、均等割りだけ払って国保に対処しているうといような悪例と言っていいようなものが今日やっぱし存在しているということは、私は許せない。そのために組合会計が赤字になる、やりにくいというようなことは、これは私は許せないことだから、一応その法律三つの型がありますけれども、私は本元に返って国保の問題と取り組んでいただかなければ問題が残る、これはひとつ検討をして、来年度に、できればそういう意向がにじみ出るようにしていただきたい。私は京都なんかを見ていると、あんまりひどいのが多過ぎる気がせぬかという感じがするわけですから、これはひとつ考えてもらいたいし、標準保険料の問題も積極的にひとつ取り組んでもらわなければ、片一方は十万円だと、十何万とこれからなっていくということでは、私はどうにもならぬのではないか、こう思うわけでございますから、標準保険料の問題も直剣に取り組んでもらいたいということを国保の問題についてはお願いしたいわけであります。  五点目は、し尿、ごみ等補助金の問題が三分の一とか四分の一という予算上の常識があるわけですけれども、実際はつかみ金、どんぶり勘定で分けているという状態なんであります。これはひとつ今度の予算では直してもらいたい。そうでないと、これはどうも総経費の何分の一もらえると思ったら、二百万か何ぼの握り金補助金が出ているようではこれは困る。これが五番目であります。  それから、言いにくいことを言いますけれども、六番目は、厚生白書というものを客観的に書いてもらいたいということです。これは私は特に強調したいところであります。いつも白書というのは客観的に書くのだ、公的な立場から主観をまじえないということを立言はされるのでありますけれども白書というものは、やはり行政を客観的に集約してもらいたい、意図的に白書を書いてもらっては困るということ、これは大臣特にお考えを願っておきたいと思います。  それから、七番目は、簡易水道補助金がありますけれども上水道補助金がないわけでありますから、この上水道全部やれとは私は言いませんが、特に人口だけふえて、そうして財政の困難なところに何かみてやる。この前、簡易水道ができるときに、人口五千単位をつながして、町が合併して一万になったときには、五千、五千の簡易水道補助金をもらってやるということが明らかになっているわけでありますけれども、実際はそれができていない。簡易水道補助金がもらえるわけだけれども、これも不自然なんです。一つの町が人口が一万で、五千、五千を簡易水道補助金をもらって一緒にするということも不自然なことですから、むしろ私は、要するにそういうものを、今度は経済自力のない市町村は、上水道であっても何とかめんどうをみてやるという考えを私はやはり立てていただかなければならぬのじゃないか。大都市については地方公営企業法改正その他の問題について関連が出てきておりますけれども、そこまでいかない小市町村については上水道もやはり何かめんどうをみてやる、こういうことをいまの事態では必要としているのではないか、こう思うわけであります。  気のついたところ、われわれの考えていること、数がちょっと七点くらいになりましたけれども、ひとつ大臣の所見を承りたいし、各局長も見えておりますから、どうなっておるということを聞かしていただければけっこうだと思います。私はこういうことをほんとうに真剣に取り組んで実現してもらいたいという意味で質問したわけであります。
  4. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま、来年度予算編成にあたりまして、特に厚生省として重点を置き、また、配慮すべきであるという点につきまして数点にわたって御提案があったのでありますが、まず、第一点の、施設職員待遇改善の問題についてであります。厚生省といたしましては、御承知のように、公務員並み給与確保する、こういう目標のもとに努力をいたしてまいったところであります。ただ、方向としてはそれが確立されたのでありますけれども昇給原資の面におきまして十分な裏づけがなされていない、こういうような面がございまして、今年度の予算編成にあたりまして、施設運営費といいますか、若干施設長が弾力的に使い得る金を補助をする、こういうことが三%でありますか、実現をいたしたのであります。この三%によりまして昇給原資の一部に充ててほしいという指導をいたしておるのでありますが、今後この面につきましては、特に引き続いて努力をしたい、このように考えておるわけであります。重症心身障害児施設等で働く職員につきましては、今回国立施設ができ、その職員に対する給与の問題につきまして、特に人事院総裁にも特別な御考慮を要望してあるところでありますが、この国の施設職員に対する給与がきまりますれば、それに準じて民間の重症心身障害施設で働く職員等に対する運営費、あるいは手当等も十分配慮いたしていきたい、このように考えておるわけであります。  第二点の、年金制度に対する問題でありますが、この点につきましては、先般の国会国民年金の御審議を願いました際に当委員会からも附帯決議がなされており、この附帯決議の御趣旨に沿うように、来年度の予算編成にあたりましては、特に努力をいたす考えでございます。妻の座の確保の問題、あるいは福祉年金の引き続いての改善の問題、あるいは高齢者取り扱い等年金制度の中における問題点につきましては、十分当委員会の御意見等を参考にいたしまして改善を加えたい、このように考えておるわけであります。  第三点の、社会保障その他の問題についての先進諸国制度の実態の調査、その他資料等を収集してわが国の社会保障制度の前進に役立てるように、そのために荘外公館厚生省関係職員を駐在させる。この問題につきましては、御指摘のとおり、私もその必要性を痛感しておるところでございまして、一ぺんにたくさんふやすわけにはまいらぬと思いますけれども、三カ国なり五カ国に対しまして、ぜひ駐在員を配置できまするように来年度の予算折衝努力をいたしたい、このように考えておるわけであります。  第四点の、国保におけるところの保険料のあり方、また、標準保険料の設定、この問題につきましては医療保険制度の抜本的な改正の問題もございますし、また、さらに標準保険料の問題につきましては、ただいま推進いたしておりまする家族七割給付が昭和四十二年度には全部達成をされるわけでありますが、そういう条件のもとに、保険料という問題につきましても、政府として真剣に検討を加えべき段階にくるのではないか、かように考えておりますので、これらの点につきましても十分研究を進めたい、こう考えております。  第五点の、環境衛生施設に対する補助金、特にごみ処理施設に対しましては従来補助金がなかったわけでありますが、こういう面に対する国庫補助を定率的に考えたらどうかという御提案でございますが、この環境衛生施設につきましては、第一次の整備五カ年計画が完了いたしましたので、来年度から新たなる五カ年計画長期計画を立てましてこの整備をさらに一そう進めたい、こう考えておるわけでありますが、その際におきまして、いまの国庫補助の問題につきましても十分あわせて研究をいたしたい、また、大蔵当局と折衝いたしたい、このように考えております。  厚生白書の問題につきまして、厚生白書はあくまで客観的にこれを編集すべきである、こういう御指摘でございますが、これはまことにごもっともな御意見でございます。大体今週の金曜日の閣議にはかりまして、そして閣議決定を経て発表をいたしたい、このように考えておりますが、厚生白書内容につきましては、いま藤田理事から御指摘のありましたように、あくまで厚生白書は、今後の施策をこれによっていつでも検討する資料になるわけでありますので、客観的に、正確にこの白書が書かれるようにということで厚生当局指導してまいりましたので、御趣旨に沿うものと考えておるわけであります。  第六点は、上水道に対する国庫補助の問題でございますが、この点につきましては、ただいま公害対策審議会におきまして、水道部会でせっかく御審議を願っておるところであります。大体の方向といたしましては、広域的な水道行政というものを中心に考えまして、そうして水源、あるいは幹線水路というような、最も公共的な部門に対しましては、私は、上水道の際におきましては国庫補助等をやるべきものだという基本的な考えを持っておるのでありますが、ただいま水道部会でせっかく御審議を願っておりますので、その答申を待ちまして政府としての最終的な方針をきめたい、このように考えておるのでありますが、藤田さん御指摘のように、私どもも必要な面に対する国としての所要の補助はこれをぜひ実現をしたい、このような考え方で進んでおるわけであります。
  5. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は三つ、四つの問題についてちょっと御質問したいと思うのでありますが、その中で、一番目には、いま国立身障者センター、ここで百何名かのあの非常に痛々しい、からだの動けないような、足の曲がったような人たちがすわり込みをしているという現状を見まして、私は、国立のこうした一つしかないところのモデルケースといわれるような身障者センターでこういうことが行なわれておるということは、私は非常に意外に感じたわけです。特にそういう観点から、私はその身障者センターに参っていろいろ話を聞き、話を聞けば聞くほど、私は非常に不可解なものを感ずるわけです。この国立の模範的なセンターがこういうようなことであっていいのか、私は非常に疑問点を持ち、自分自身非常に了解に苦しむ点がたくさんある。そういう観点から、この身障者センターに対して、どういうふうなことで運営をなされておるのか、問題点はどこにあるのか、どういうふうな指導方針でやっておられるかということについて、ひとつ大臣から御説明を願いたい。特に大臣お話申し上げる前に、その衝に当たっておられる社会局長から、もっと微に入り細をうがった説明をしていただいた上で私の質問をさせていただきたいと思います。
  6. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国立身障センター入所者が、ただいま御指摘のありましたように、先日来すわり込みをしておるのでありますが、これはだいぶ前からいろいろないきさつがあるようでありまして、まず、その経過につきまして社会局長から御報告を申し上げ、全体の輪郭委員各位に御理解を願った上で、これに対する私の考え方響お話を申し上げたい、こう存ずるわけであります。
  7. 今村譲

    政府委員今村譲君) それでは、いま大田がお話になりましたように、その前に、この問題全体の輪郭、全般の機能ですか、任務というのですか、問題の起こりましたまでの経過を御説明申し上げたいと思います。  身体障害者国立センターは、仰せのとおり、ただ一つだけでございます。で、身障センター設置法によりますと、身体障害者のいわゆる自立更生を求めて――まあ県の小さい施設はたくさんございますけれども国立施設一つで、これについては、その医学的な相談、心理的な相談、職能的な相談、あるいはそれの収智者に対する訓練というような三本柱というふうなものを総合的に、しかも、全国にモデル的にこれを実施したい、こういうことで、昭和二十五、六年だったと思いますが、から出発した施設でございます。  この問題につきましては実はこういうことでございます。センター医療面だけの問題でございますけれども昭和二十八年、九年ごろからそこに医務課長和田先生がおられました。この方は十三、四年間、今日に至るまで医務深長として非常に努力をなさってこられたということでございますが、いろいろの事情がありまして、東京第一病院に昨年の六月に転勤になった。ただし、その当時身障センターにおきまして二十八名の入所生が現に手術あるいは治療中であり、あるいは今後近いうちに和田先生にやってもらうということになっておりましたので、東一本務ということでございますけれども、非常に忙しい中を、従前の身障者手術、あるいは今後手術をするときまった者についてはそれをやっていただくということで、東一本務で、身障兼務ということで今日まできたわけであります。二十名の人方につきましては、大体もう一、二カ月、あるいは二、三カ月すれば大体手術が完了して、必要に応じて心理訓練とか機能訓練職業訓練というふうなものができる状況になりつつあるということでございますが、まあ三名ほどは相当まだ長期手術を要するというふうな事態にあるわけでございます。ただ、問題は、それ以外の、当時二十八人いられたそれ以外の人方がやはり和田先生にやっていただきたい、こういうふうな希望が非常に強くなってきておるわけです。その辺につきましては、和田先生東一本務センター兼務というふうなものをいつまでするかというふうなかっこうでありましたが、それは二十八名の者が終了すれば本来的に東京第一病院のほうに帰って、そっちのほうで本来的な業務に従事していただくというふうにわれわれ考えておるわけでありますけれども新規のそれ以外の人方も何とかみてもらいたいということでございます。ただ、それにつきまして、私ども和田先生の個人的なことは申し上げたくございませんけれども、ほかの所長、これは東京第一病院外科医長から見えた先生で、非常に有能な先生でございますし、それから、和田さんの後任となった西先生という人も、これは同じ和田さんの一年後輩で、九大から人がきてもらう、その辺の受け継ぎが同じ九大ならいいじゃないかということでありますが、どうも医師の、たとえば身体障害者手術をやるというふうな場合には、関係のお医者さんが全部集まってディスカッションをやって、誤謬のないように、いわゆるコンファレンスといっておりますが、診断判定会議というふうなものをやるわけでありますが、その辺に関する和田先生の御意見というものがなかなか強硬である。これは私が判断し、私が手術したというふうなかっこうでないと、まあ判定会議でごたごたやってもしようがないというふうな基本問題になりまして、それで現にこの入所生のほうから出てまいりました要求の中でも、和田先生診察日を別に設けろ、それから、和田先生診断によって手術が必要だと認められるものは、それは所長とか医務課長とかの判断でなしに、独自に要手術者としてセンターとしてきめてしまえということ。それから、和田医師診断に基づき、和田医師指導に基づいて手術を行なうという、いわゆる和田方式というものを確立せよ。それから、センターにまだ三人ほどお医者さんがおられますが、その先生和田先生に協力しろ。それから、診断手術は、ゆくゆくは生徒の意思によるという、非常に従来運営方針できめております診断の過誤をなからしめるための診療方針決定会議というふうなディスカッションの場を認めないというふうな要求、別にセンターの内部で一つ和田さんのいわゆる診療組織というものを別につくれ、こういうふうなしかけで要求が出てまいりましたので、私どもは、これは根本的にはまあ先生方診断決定というふうなものがございますので、これは医学のひとつのお医者さんの問題であるというので、和田先生並びに橋倉所長、それに私も入りまして、数回にわたってその辺の根本問題を話をしたわけであります。ところが、結局におきまして、和田先生は、私は十数年その施設において入所者を手がけてきたので、相当の自信がある。したがって、皆さん方のようなお医者さんと一緒コンファレンスというか、診断会議をやって、それをルール化してワクをはめられるのは非常に困るから、それは断わると、そういうまあしかけになりましたので、そうなりますと、私どもとしては、どうしても診療所内の統一上、この先生がどう言った、この先生がどう言ったと、全然ばらばらになったのでは困るものですから、それではセンター内部の医療組織体系というふうなもの、運営のしかたというふうなものの統一性を認めていただけないということならば、これは非常にむずかしいのじゃないか。しかし、そうはおっしゃらぬで、とにかく中に入ってもらわぬと実際困るんじゃないか。たとえばほかの先生診断の患者に対していろいろ和田先生自身も御意見があるだろう。それをやはり医療――お医者さんのひとつのルールみたいなもので、それをあまりあからさまに表面化するのでは困るのじゃないかということで、目下話し中でございます。それがつきましたならば、私どものほうとしてはセンターの医療の統一性というふうなものはつくと思うのでございますけれども、現実はなかなかそうはいかない。その基本問題がきまりませんと、たとえば和田先生が独自に診察日を持ち、独自に要手術者決定したら、それはほかの先生方はどうあろうと、国費でそれは手術をしてやる、こういうふうな体制をきめなければならぬ、こういうふうなかっこうには、これは役所仕事といわれるかもしれませんが、役所の統一性を保つための基本問題だ、こういうふうに考えますので、せっかく、しかも、事は診断の相違、ある人はこれは何とかなると言うし、医学的にはなかなかむずかしいという意見ありますし、その辺の診断の相違というものはなかなかむずかしいデリケートな問題もからんでおりますので、それで先生が集まって、私も入れてもらいまして具体的に話し合いをしておる、こういうふうな段階でございます。
  8. 大橋和孝

    大橋和孝君 大臣からの所信はまた最後にまとめていただくことにして、私ちょっと質問を続けさしていただきます。  いま局長からの説を聞きますと、ただ何とかという、前におられた和田という医師か何かの間でうまくいかなかったからこうなったということでありますが、これはこの身障者センターに対する厚生省考え方が、私はそこに問題があるのじゃないかと思うのであります。特に私は、いまのようなお話であれば、私は具体的な例をあげますが、京都府においてこの身障者センターというものをこしらえたけれども、事実上患者が集まってこなくなっちゃった。これは事実上りっぱなセンターをこしらえながら遊んでおるわけです。これは局長も御存じだと思います。それは何でそういうことが起こったかと考えると、そこにおる医師がほんとうに何といいますか、身障者の気持ちになってやらない。そうしてただ入ってきた人を診断をして事務的に処理するだけであるというからそういうことになってくると私は思うのであります。そうしたあたたかい気持ちを持って、非常に大きなハンディキャップを持った身障者がどうしたら少しでも前進するか、どうしたら少しでもよくなるかという点で取り組んでやらないと、私は入ってくる人は遠方から入ってこないと、こういうことになると思うのであります。私は見に行きまして、国立身障者センターがああいうふうにしてたくさんの人が集まってくる。まあ定員には満ちておらないようでありますけれども、集まってくるということは、やはりいままでの実績として、足が曲った人が手術を受けてある程度伸びるようになったという実績のもとに、そうしてもらいたいということで集まってくると思うのであります。いま局長の話を聞いてみると、いままでおった和田という医師は、なかなかカウンセリングにも出てこない、判定会議も十分やらないでこういうことになって、役所としては統制がまかないからいけないということであります。私はあそこに入りまして第一番に感じたことは、その統制をきかしているから問題があると思う。実際、身障者センターというものを国が経営していくならば、そこに入ってくる身障者の気持ちになって運営しなければでき得ないと思う。特に精薄児童とか、あるいは、からだに非常に欠点を持った人たちは、やはり何といいますか、そういう点に対してはデリケートな気持ちを持っているのに、それを一つ一つルールにはめてこれを処理していこうと、ただ机上処理というような形でいってはならぬものだと思う。私が一審受けたのはこういう感じであります。これはかくかく、かくかくのことをやっておるがどこが悪いんですか、――言うことをきかないから悪いのだというような形でセンター運営されていったならば、これはセンターに入った人たちほどかわいそうである。これは真剣にすわり込んでまでそれに対して反抗しようという気持ちはわかるような気がする。そういう点を考えると、私は運営の問題について大きな問題があると思う。  それから、もう一つ私はここで申し上げておきたいことは、ここらに入ってくる手術というものは、いわゆるいままで医務課のほうで、医療機関のほうで取り扱っておるところの早期治療もございましょうし、あるいはそれに対する機能訓練もあるわけでありますが、ここらに入ってくるのは、むしろ社会局で取り扱われるものはもっと緊急なものであって、もっと切な観点から社会のボーダーライン層に放置されておる人を救い上げていこうというのが更生医療であり、あるいは、また、こういう施設であるわけでありますから、こういう形で非常に世の中で困っておる人たちは、いわゆる福祉事秘所ですか、こういうところからやるわけでありますから、いま予算期でありますが、先ほど藤田委員から予算の問題もありましたが、私は非常に予算的にも考えていただきたいと思う。いま調べてみますと一億何ぼありますですね。更生医療もこれが全国に千くらいあるのじゃないですか、福祉事務所というのが。ここらに分けてやられたら一カ所十万円くらいで医療もほんとうにできるということを私は思うわけでありますが、また、同時に、それを調べてみますと、まだそれがたくさん使われないで残っておるという状態でありますが、私は、こういうことになったら、いわゆる世の中で非常にハンディキャップを受けておるこういう身障者とかそういう人たちに対しての手厚い指導がされておらないということが結論づけられていいのじゃないかということを思うわけであります。ことにわずかな予算しかないものが、しかも未実行に終わっているようなことがあってはぼくは嘆かわしい状態だ、調べてみて私はほんとうにそう思うわけであります。そういう観点から、国立身障者センター一つあってぼくは模範的にやるべきだと思うわけであります。その中でこういうことが起こっているということは、第一点に私が申し上げたいと思うことは、やはりこの運営をしておる人たちの気持です。もう所長もりっぱな方であるし、私も名前をよく存じております。また、いまおいでになっておるお医者さんもりっぱな方々運営の中に入っておるのだが、いわゆるかくかくであるという規則画で押えていくというような、下のほうで困っておるという人たちの気持ちを吸い上げていこうというような立場でないわけですから、ここに大きな問題があると思うわけであります。こんな官僚的といいますか、上から押えつけるようなことでは満足なことはできないと思います。  また、私は、もう一つここでお話を申しておきたいのは、前に一回すわり込みもあったらしい、厚生省へ来られてすわり込んだというときに牛丸前次官といろいろ申し合わせもあったらしい。先ほど局長からいろいろ説明ありましたから、こまかしいことは触れないつもりであったのですけれども、一応ちょっとだけかいつまんで触れておきますと、その中ではいわゆる和田という医師センター兼務ということやら、あるいは、また、手術センター東一と両方でやるということやら、あるいは、また、それを和田という医師が執刀する、それは二十八名に区切るとかいう、いろいろ問題があったのですが、その後いま局長の言われたいわゆる医師が集まっていろいろの話し合いをする場において、実際話を聞いてみると、この和田という医師にはあまり通知していないということなんです。通知せずに来ないということでは運営はできないわけであって、それを一方的にあるいは逃げ回っているのだとか来ないということでそれを処理しているということにやはり私は間違いもあるのじゃないかと思うわけです。それはカウンセリングという問題でいろいろ問題に、患者患者についていろいろ病状の判定をして、どうすればいいかということをやるのは非常に流行として行なわれているわけでありますが、そういうところに呼びもしないでおいて出てこないというようなことを言っておること、あるいは、また、手術をするにも手術のできないような条件をつくりながら、あれは手術をしないのだ、こういうようなことをやっておったのでは、やはり行政上非常に私は間違いが起こるもとがそこにあると思うわけであります。それから、やはり私は、こういうようなセンターというものは何ごともセンターに入っている入所者を主体に考える、そうしてそれをどうしたら一歩でもその人たちがしあわせになるかということを考えて進むことが根本的な問題じゃないかと思うわけです。この根本的な問題に対して私は非常に間違っておると思いますので、特に私はそれを追及しておきたいと思います。これについては、あとから局長のその後の調査状況についても御説明を願いたいと思うわけでありますが、ことにこの中では和田の技術を十分に反映せしめられたという、そういう人物、第二の和田という医師ができるまで継続するのだと書いてあるのです。そういうことに対して、いまおるお医者さんの中でも、和田さんと一緒に同じような方式でやろうという人がおるけれども、実際話を聞いてみれば、その人たちが処方することも許されていない、それから、また、そういう人の意思はほとんど封殺されておるということも私は仄聞しているわけであります。この事実の真偽のほどは知りませんけれども、そういうふうに仄聞しておるわけであって、結局はやらせないような仕組みにしておいて、やらないやらないと圧迫しておるということは、非常に内紛的なまずいものがある。ここで私が言いたいのは、そういう何と申しますか、機構の中の矛盾をその入っている入所者に対してそれをしわ寄せしていく。特にこの暑いときに、私は現地へ行ってみましたけれども、非常にむしむしとした中で、ああした非常に病弱なからだに大きなハンディキャップを持った人たちが、長い間、聞いてみましたら、あれは十九日くらいじゃなかったかと思うわけでありますが、現在に至っては八日間、もうじき十日になろうとするわけであります。こういうようなことをやらせながら、非常に私は機構いじりの中の問題でこういうところにしわ奇せをしているというところが非常に解せないことだと思うのです。  それから、もう一点は、この身障者センターというのは、私は所長なんかの話を聞きますと、大体職能訓練が主であって、医療はもう手を離れたやつが来ておるのだ、こういうことなんでありますが、そこに私は大きな問題があるのじゃないかと思います。そういうことが言えるほど、いますべての機関において満足な運営がされておるならば理論的にそういうことが言えると思いますが、実際問題として、まだそうした診断のもとにこのセンターに入ってくる人の中で、やはりいろいろ診断をすれば、そこで手術をしてもっと機能が回復する患者がたくさんおるということであります。なお聞きますと、この人所者の中で、去年の六月現在で、百十二名の患者の中で、五十七名を手術したらいい。これがやはり厚生省のほうでは六名くらいが対象庁であるといわれておるらしいのですが、やはりいままでの検査では五十七名が対象者になる。それから、また、三十年の十月から三十三年の一月までの間に二百四十一名の患者を診断して、これに手術適応と認めたのが二百四十一名の中で百二十八名くらい手術をすればよくなると診断がされておる。こういうことから考えてみますと、いま局長が言われたように、二十八名と申しますか、去年だったか、その和田という医師東一兼務になったときの二十八名かなんかについて、あと二名くらい残っておるだけで、それであと一、二カ月で処理がつくという話でありますけれども、まだほかの患者にはそういう人が入っているわけであります。それから、センターに入ってくる者は頭から手術しなくてもいいという考え方じゃなしに、手術をしてよくなればそれをやればいいじゃないか、私はここに問題があるのじゃないか。更生医療に対する隘路がありまして、それから、なお一部負担金もあるわけでございますから、あそこで一番理想は、国のセンターであるから、お金がなくて、しかも、何回も手術をしてもらってそれで機能が回復される、これはやはり私たちは身障者方々には非常な魅力であり、これはほんとうに何と申しますか、暗いところにあかりを得たような気持ちになると思うわけであります。そういうことをやってこそ、初めて私は国としてのセンターとしての値打ちもあるし、それがただ機能訓練の場所として考えるのではなくして、その中で医療が併施されれば私はよりいいのじゃないかと考えるわけであります。京都でも何とかカトリックのほうでそうしたセンターをこしらえられて京大の近藤名誉教授あたりがそこに入られて手術をどんどんしておられます。やはりこの手術というものはそう特別な手術ではなかろうけれども、これをうまく適応していくことによって機能が少しでも回復するということは、私は身障者にしてみれば非常に大きな魅力であるから、こういうことは国は考えなければならぬことであります。特に私がいろいろ話を聞いてみると、これからいろいろ遠大な計画をもってこれから改築もされるそうでありますけれども、私は、改築されるまで待つのではなくて、現在の施設の中で生かせるものは生かしていったらいい、こういう考え方がなかったら根本的な問題は解決しないと思うのでありますが、そのほうの御意見はいかがでありましょうか。
  9. 今村譲

    政府委員今村譲君) お答え申し上げます。  センターのそもそもの性格と医療とはどうなんだという松本的な問題を一つ御提示になりましたが、これは国立身障者更生指導設置法昭和二十四年五月にできました。私事でございますが、その当時私は事務官で下の手伝いをしておったわけで、その前後の経過がありますが、あの当時は終戦直後で、傷痍軍人が非常に多くて、手を切ったり足を切ったりというのがありまして、大体症状の固定した者を入れて心理的な訓練、あるいは機能的な訓練、あるいは職能的訓練、そこまで持っていくのが中心であって、医療そのものは、たとえば入所中にいろいろけがをしたとかという程度、あるいはごく軽微のものにすぎないということで出発をしておったわけであります。ところがその後に逐次、先生がおっしゃいますように、CPとか、いろいろ出てくるわけです。したがって、その部門を強化しなければならぬというので医療課を強化し、先生方をふやすということで努力してまいったわけでございます。たとえば一番最初の所長というのは心理学者で、お医者さんではございません。その次の方はお医者さんではありますが、みずから執刀はなさらないような方でございます。たとえば今度は六月に橋倉所長東一の整形外科医長でございますが、その方を迎えたということは、やはり医療問題を非常に重視して本格的に取り組もうじゃないか、こういうふうな問題もございまして、そういう配慮をいたしたわけでございます。決して医療面を軽視しているということではないというふうに考えておる次第でございます。  それから、ただ、非常にいまおっしゃいましたように、四十年六月五十七名要手術者であったということとか、あるいは過去において二百四十一名の百三十八名というのがございますが、ここのところは非常につらい問題がございまして、お医者さんのいわゆる診断が、その人が将来更生して一体どんな職業につき、どんな機能要求されるかということを念頭に置きまして、どこまでの手術をするかということは、これは実は私は担当しておりますけれども、私にはわかりません。やはり先生方の衆知を集めたディスカッションをやって、最後的にはこれでいこうじゃないかということできめるわけでございます。そういう意味では、医療関係のカンファレンス、診療会議、それから、その上に一番上の判定会議というふうなものにつきましては、職能課長とか医療課長とかいろいろ入りまして、いろいろなデータから最後的に判定をして手術をするとかせぬとか、どこまでの手術をするということをきめるわけでございます。ただ、そこの場合に、入所生の方にしてみれば、ある先生からこれはいける、これはいけるというような話を聞きますと、どうしてももっとよくなる、もっとよくなるという御希望と現実の医学的な限界というものとのぶつかり合いというものがそこに起きるわけであります。若干その辺に不満が起こるかもしれない。したがって、その辺は医学理論をよく説明をして、これはここまでやれるということで納得してもらわなければいかぬというふうなことは、私どもはしょっちゅう所長にも申し上げましたし、担当者にも申し上げました。ただし、医学診断内容までわれわれが中に入り込んで、これはいいとか悪いとかいうことは言いにくいわけでございます。こういうふうな御不満がちらちらといろいろ出ますけれども、そこは所長さん、医学の専門家の方のディスカッションできめていただきたい、こういう気持ち。しかも、できる限り将来のその人の職業というものを考えて、最高のディスカッションをやっていただかなければいかぬ、そういうふうな気持ちでおるわけであります。  それから、事務次官の去年の問題、これはちょうどいまごろ、もうちょっと前でございましたか、本省にすわり込むというような事態もありまして、結局、東一本部というものをさらに手がけておる人方兼務ということになったわけですが、その当時牛丸社会局長は、たとえば西さんは、前の先生は十数年もおられた。それで非常に経験も豊富である。したがって、あとから来られる方は東一の医長、教授クラスの方なんでございますが、そうそうたる人でありますけれども、初めての施設でありますし、その辺はいろいろ知恵を貸してもらいたい。それで一日も早くいままでの医療に関する伝統とか、しきたりとか、考え方というものをいろいろお教え願いたい。ことに医務課長というものは和田先生の後輩にも当たる、そういう配慮をして準備をしたわけでございます。その辺もございますので、教えてもらいたい、こういうふうなことを話をされました。それで、第二、第三の和田医師ができるまでという意味もそういう意味で、できればやはりいまの新しく発令になった方々がそういうふうな気持ちで早くなれて、センターにはセンターの家風というものもございますので、そういうかっこうになるようにという抽象的な話であったと私どもは了解しております。さような事情でございます。  それから、これは非常に官僚的にものをきめるじゃないかということでございますが、これは先生いろいろお感じになったこともあると思いますが、私どももウェルフェア関係でありますだけに、できるだけさようなことがないようにということで常々やっておりますが、こういうふうな事態で、不眠不休みたいなかっこうになるものですから、ついいろいろ申し上げたこともあると思いますが、私どもの真意は、できる限り入所生について円満に、できるだけ効率を上げていくというようなかっこうでやっていくというつもりでございますので、御了承いただきたいと思います。
  10. 大橋和孝

    大橋和孝君 たいへん時間を制約されておりますので、もっとたくさん具体的に話したいと思う点がたくさんありますが、それはまた後の機会に譲ります。特に私は、ここで先ほどちょっと触れましたのですが、この問題は、センターという問題の取り組み方が、もっと私は予算的にいろいろな隘路があると思うわけです。そうしたことで、もっと、たとえば医療の面におきましても非常に予算的な裏づけがあって、もう少しこういう身障者のほんとうの気持ちになって、具体的にそれが取り組んでいけるようなシステムが取り入れられていないという欠点が非常に多いと思います。そういうふうなことで、ことに予算の時期でもありますから、計画がどういうふうになっているか、私は知りませんけれども、その計画計画として大いに進めてもらう。少なくとも、日本の厚生省が持つところの唯一のセンターとしては実にお粗末だと思うわけでありますので、厚く完備したものにしてもらいたいと思います。それまでの間におきましてももう少し措置を考えて、そうしてもっと徹底した、何と申しますか、指導もされて、あるいは、また、ほんとうに身障者の気持ちに立ち返って指導ができたり、あるいはいろいろな措置ができるような機構にしていただきたい、この点が先決問題じゃないかと感じたわけであります。特に予算請求期であるので、そうした意味で、ひとつ私はそこに従事している人たちすべての人がそうした気持ちで動けるようにやってもらいたいと思うわけであります。私は特にそこの看護婦さんにしたところで、あるいは、また、保母さんにしたところで、健全な人たちに接するよりよけい手間がかかると思います。そういう人たちに対してそれだけの手厚いあれがされてなかったならば、私はやはりここらの人に矛盾が出てくるのではなかろうかというふうに思うわけであります。そういう点で、非常に私は根本的にはそういうふうな方向に第一番目にやっていただきたい。  それから、もう一つは、この問題はもう指折り数えてみますと、ああいう気の毒な人たちが八日間すわり込んでいるという以上は、その身になって考えれば、もっと積極的な取り組み方をしてもらいたい。私は、そういう気持ちでやって、二、三日前にそういうすわり込みなんかは解かれているという話を聞いておったからのんきにかまえておったのであります。きょうまだだという話を聞いてみて問い合わせてみますと、まだやっているという話であります。それは私はあまりにも、何と申しますか、行政官としては、ああいう人たち、健全な人でもこの暑いときにはたいへんだと思うのでありますが、特にああいう大きなハンディキャップのある人たちが八日も十日もすわり込んでむし暑い状態でやっているということは、所長はそれなりの管理をしているといっておりますけれども、私は管理どころの問題じゃないと思う。もっと私は人情的にも、あるいは、また、行政的な面からいってもゆるがせにできないような状態ではなかろうか、それを私はもっと積極的に処理をしてもらいたい。それには、いろいろ私が聞いているのは、いろいろな要求も出ているようであります。私はそのときにも所長にお願いしておいたいろいろな問題はあるのです。そこまで私は深く入らないけれども、それが身障者に対してしあわせにいかないようなことではいけない。だから、身障者の言っていることも、ある程度理論的にだとか、あるいは、また、何かで無理があるかもしれないけれども、それを吸い上げてやりなさい、そうすることが身障者の気持ちを理解する前提だ、それからあとはゆっくりともっとどうあるべきかということをただしてもらっていいのじゃないかということを端的に申し上げてきたわけですが、しかし、それをいままでほうっているということは、私は非常にけしからぬと思う。それはやっている、おやりになっているのでありましょうけれども、現実にすわり込んでいるじゃありませんか。そういうかわいそうな子供たちがおるじゃないですか。それをそのままにしておいて、理論はこうだとか、あるいは、また、医者がどうだとかこうだとかいうことは第二の問題でいいと思う。非常にその点は私は考え方が間違っている、やはり子供をないがしろにした考え方からそういうことが起こってくると思う、こう言わざるを得ないと思います。こういう点について、もっと責任を持ってこの問題を処理していただきたい。先ほどの局長のことばを返すわけじゃありませんが、私はその問題にまで深入りしたくないと思うのでありますが、医者の優秀な人を連れてきて所長にしたからして医療の面が大きくなっているというふうな、そういう考え方自身にも、一つの、何といいますか、机上的なものがある。何ぼりっぱな人であっても、その気持ちにならなかったらだめなわけですから、そういうことを考えずに、こういう人を連れてきたからりっぱだ、こういうふうにやってきているからりっぱだ、だからおまえ引けということに考え方の間違いがある。もう少しこういう困った人たちに対しては困った人たちのようにやっていく、これを根本的にやらない限り、センターは円満にいくとは思えないから、そういう観点で今度の問題はすみやかにひとつ解決してもらうと同時に、やはり子供たちがセンターに集まってくる原因、特に私はいま例をあげて申しましたが、京都のセンターでは行き悩んでいるわけであります。集まってこないわけです。設備して、来てくれといってもその入所生がない。なぜないかといえば、やっぱりそういうことに取り組んでいないからであります。だから、幸いにしていままで取り組んでこられた和田さんはどんな人か知らないけれども、やっぱりそこにはそれだけ全国から集まってくるのも、そこにいい点があるのじゃなかろうかと私は概念的に思うだけであります。だから、そういうことからして考えたら、これに対して真剣に取り組んで、ほんとうに少しでもプラスになって、歩くことが少しでも歩けるような状態になって、機能訓練でどの職業につけるからおまえ訓練しておけというような考え方でなしに、また動けるようになったら職業も変えられるでしょう、おそらく。だからして、そういう根本的な問題に方向を持っていかずして、そんないかに会議を持ってみても私はむだだと思うのです。だから、すべての拠点がそこから出発してやれば、その入所生を根本におくのか、あるいは、また、理堀をもってそれだけで処理していくのか、この点が大いに間違いだと思うわけであります。ですから、この問題についてはほんとうに根本的にこれをやってもらいたい、こういうふうに思います。  それから、また、いま入所生のほうからもいろいろそういう観点からの要望が出ていると思うのです。ですから、私は先ほども申したように、もう一ぺん繰り返しますけれども入所生たちの言っていることは、ある程度のものは一〇〇%も聞いてやる、そうしてその上に立ってまたいろいろ方策を抜本的に考えて、近いうちにりっぱなセンターができるでしょう。そうなれば、それまでの間どうしてやろうとか、いろいろな方向が私は立つと思うわけでありますが、具体的なことには私は入りませんけれども、根本的にもう少し考えなければいけない。局長のことばを返すようだけれども、いまの局長の答弁の中には、やはりそうしたこういう混乱を起こす根本的な原因があると私は思うわけでありますので、それをすっかり百八十度変えてもらって、やっぱりこの子供たちのために主体を置いて、そうしてこれを考えていく、そうして困っている人たちの、このふしあわせな人たちをしあわせにするという観点をもっと貫いてもらわなければこのセンターは目的をなさぬわけであります。その点についてお二人の御所見を伺いたい。
  11. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国立身体障害者センターはただ一つセンターでございますので、この運営が適正にいくように、特にここに集まってまいりますところの気の毒な身障者方々のできるだけ希望に沿うように運営がなされていくように、こういうような気持ちで私は社会局長にも話し合いをいたしておるのでありますが、そこで、まず第一は、この機能訓練だけでなしに、医療の面にも力を入れて、そしてこういう面につきましては入所者の諸君の希望に沿うように、医療、手術という面につきましても力を入れてまいる考えでございます。ただ、これをやります場合に、所長医務課長、その他の医師等で診療判定会議というものを持ちまして、そして衆知を集めていろいろな角度から慎重に検討して、そして判定を下す、こういう仕組みをとっておるわけでありますが、これは入所者の諸君のためを考えましての運営のあり方であるわけであります。私は、基本的にはこれに和田医師も積極的に参加せしめて、そうして、長年の経験のあるところの和田医師意見というものが判定会議を通じて、そうしてみんなの協力関係の上にこれが実施されるようになることが一番望ましい形ではないか、こういうことで和田医師にも話し合いを現在いたしておるところでございます。ただ、この診療判定会議とは別に、和田医師の個人的な一つ診断の組織というものができて、そうして二元的な形でこれが行なわれるというようなことは、今後の運営の面からいっても私は適当でない。やはり和田医師も参加された形の診療判定会議というものが中心になって運営されていかなければいけない、こう考えておるのでありまして、どうかひとつ和田医師にも、国のただ一つ施設でございますから、また、身障者の諸君のことを考え、謙虚に、そうして協力的に、このせっかくの施設がうまくいくように協力を願いたいというような私の気持ちであるわけでございます。また、今日まで入所者の諸君の希望に沿うようにということで、和田君の転勤にあたりましても、十分併任等の特別の配慮をいたしまして、このセンター入所者の諸君の希望もできるだけ入れられるようにということでやってまいったところでございます。また、今後におきまして、どうしても和田君単独の診療なり、あるいは手術なりを希望するという者に対しましては、東一病院にそのベッドを特設をいたしまして、そこで更生医療によりましてその希望に沿うようにしていきたい。これは国が八割、都道府県が二割負担をいたしまして、全額公費で実施をするのでありますから、こういう身障センターの組織の混乱、そういうものを避けつつ、しかも、入所者の諸君の和田君の手による手術を希望するという者に対しましては、そういう特別の配慮も実は考えておるところであります。  もう一つ予算編成の時期にあたりまして、更生医療の予算の増額の問題につきましては、子供の育成医療の予算の問題とともに、来年度は特に私も力を入れるようにということで事務当局に指示をいたしておるところでございますが、問題は、国だけでなしに、都道府県におきましてもこれに対する理解というものが私はなくてはいけない。国が八割、都道府県が二割でござ・いますから、その二割負担に対するところの都道府県の理解と協力ということが私は必要な点ではなかろうか。わずか一億足らずの更生医療の予算が十分消化されないということは、この隘路が府県の段階にもあるのではないかということでございますので、十分都道府県につきましてこの面について指導を加えていきたい。また、身障センター予算、特に医療や手術の面の予算が足らないために、入所者が希望をしながら十分な手術等ができないというようなことがあれば、これは私は遺憾なことでございますので、十分その点につきましては、この身障センター予算をもう一ぺん再検討を加えまして、遺憾のないようにいたしたいと、かように考えております。
  12. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう少しちょっとお願いしたい点があるのでありますが、一点だけ最後にお願いしておきたいと思います。  先ほども繰り返して申したように、非常に身体的にハンディキャップがある人たちが、このむし暑い中にすわり込んで行動をやっておるわけでありますから、これに対しては、ほんとうにもっと徹底して早く解決するように努力をしてもらいたい。同時に、また、先ほどのお答えの中に、一、二の点はまだいろいろ問題点があると思います。特にやはりこの和田医師がやっているようなやり方でもってひとつ評価することが、一つはこのセンターに対してのいままでのマイナス面をプラス化するところの一つの行き方であるという考え方もとっていいと思うわけでありますが、私はそういうふうなことも後の機会に詳しく質問をしたり、あるいは、また、御意見を申し上げたりしたいと思います。  続きまして、私は次にお尋ねしたいことは、らいの盲者のことについてであります。これらの人たちに対して、いままで何ぼか、非常にらいの患者でありますので、手なんかも十分に動かせられない、やはり耳から通じての――だれもいないんですか。担当官おられないですね。大臣、聞いておいていただきたい。  テープコーダがいっているわけでありますが、何でも話を聞きますと、だいぶ前のもので、何と申しますか、もうほとんど用をなさないような状態になったままになっておる。ですからして、私はそういうことを何とかしてもらいたいという請願が出ておるということを聞いたのでありますが、この点でやはり全国には十一カ所、また、私立のらい療養所一カ所を入れると十二カ所、これはいままでこれに対して一台ずついっていたらしいのでありますが、ところが、それが用をなさないで非常に困っておるというような話を聞きました。これも先ほどの身体障害者センターとあわせまして、こういう点に対しても、もっとひとつそれぐらいのことはやってもらったらどうだろうかということで、非常に同じような感に打たれたのであります。特にわずか十万円見当のものだということでありますから、私はこの療養所、らいの盲者に対する療養所、あるいは点字の図書館がありますけれども、わずかに運営費も十万円そこそこということを聞いておりますが、これでは非常に何にもできないということじゃなかろうか。文芸春秋や何かをテープに一つずつ吹き込んで十二カ所に持っていくと、それが百十三万何ぼかかかるという形でもって、テープコーダーの経費だけでもその予算に満たないわけでありますから、今度は少なくとも百万とか二百万とか、そういう点字図書館におろしてあげて、そういう人たちのしあわせのための施設を何かしてもらうということをこの予算時期において特に考えてもらいたいと、こういうふうに思うわけであります。ことにこういう人たち施設に対するいろいろ手厚い予算的な配慮もひとつあわせてお願いできたらと、こう思うわけであります。
  13. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまお話がございました、らい病院における目の見えない患者の諸君のためにテープコーダーの設備をするという問題につきましては、先般余生園の視察をいたしました。直接に患者の諸君から切々たる実は訴えを聞いてまいっておるのでありまして、私も痛切にその必要性を感じ、また、要求がもっともなことである、こういうぐあいに考えておりまして、来年度の予算編成にあたりましては、各施設に新しいテープコーダーがぜひ置かれるように、ただいま事勝当局におきましても、そういう方向予算要求をする所存でございます。  なお、点字のための点字の研究所ですか、そこの問題につきまして、なおよく私ども研究をいたしまして、必要な改善を加えるように努力いたしたい、かように思います。
  14. 大橋和孝

    大橋和孝君 えらい時間があれでございますが、もう一つだけ申し上げます。  最近むち打ち病と申しまして、交通の自動車に従事している人たちが首を打つことによって非常な障害を訴えている。これはあちらこちらにそういう人たちが集まって、いろいろ協会なり、あるいはいろいろ持たれているようでありますが、この問題に対しましてもいろいろありましょうし、非常に症状が大きくて生業につけない、身体障害者と同じようなことで非常に困る人たちがおるわけであります。こういうことの問題に対しましても、ひとつこの予算時期にどういうふうに処理するかということを、ひとつその病気の面で、いろいろいわゆる厚生省の何と申しますか、障害病院、あすこらに収容されている人たちの取り扱いにつきましても、特にひとつ配慮していただきたい。  それから、もう一つは、特にこの看護婦とか、あるいは、また、保育所の保母さん、あるいはそういう重度の身体障害者、あるいは、また、精薄者の施設に従事している人たち給与の問題でありますが、私は、特に保育所の中で、乳児保育所なんかが非常に要望されております。これを拡大するための措置をいまの間に大きく来年度の予算の中では取り上げていただきたい。同時に、そこにまた従事しておられるところの人たち、特に私は、乳児のような場合には非常に手がかかっている。それに特別な給与をするところの手厚い措置がされない限り、やはりそういうところに働く人たちがなかなか集まらないというのが現状だろうと思います。非常にそういうような点で要望があるにかかわらず、これが充実されないという状況にありますので、こういう点も十分勘案していただいて、そういう施設の充実、あるいは、また、運営費の充実、あるいは、また、そこに働いているところの医療従事員の待遇ということに対して、すべて抜本的にひとつお考えを直していただいて、そうしてこういう人たちの現在の要求に対してこたえることのできるような姿勢を示していただきたい、こういう点をお願い申し上げます。
  15. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 保育所の整備の問題につきましては、最近における社会経済的諸事情が急速にこの保育所、乳児保育所等の必要性を増してきておる、こう思うわけでありまして、今後おかあさん方が安心して外へ出て働けるように、その子供の保育の施設整備につきましては特に力を入れていきたいと考えておるわけであります。少なくとも五千カ所ぐらいの保育所の増強をこの二、三年の間に私ども力を入れて整備をはかる必要があるのではないか、こう考えておるわけであります。また、そういう保育所等の施設で働きます職員確保の問題、これが重要でございますので、待遇の改善につきましては特に力を入れる必要があると考えております。先ほど藤田さんの御質問、御要望にもお話がございましたが、この昇給原資の面につきまして三%の一つの柱が立ちましたので、今後これをさらに充実をいたしまして、そして施設で働きます保母さん等の待遇が改善され、前進をされるように特に力を入れたいと考えております。
  16. 小平芳平

    小平芳平君 私がお尋ねしたい点は、赤痢やチフスの集団発生についてお尋ねしたいのであります。  最近は、今年に入ってから特に赤痢、チフス等が集団発生して、その発生の状況についてもしばしば報告されております。特に私は、ここでは時間も限られておりますので、私はいまここで一つ観点からお尋ねしたいのですが、それはこのような集団発生の状況についてまずお尋ねしたい点と、それから、特にきょう重点的にお聞きしたい点は、原因を追及していくということが非常に大事ではないかという点を取り上げていきたいと思うのです。たいてい、集団赤痢が発生、そうすると、その原因としては、新聞には、おそらく簡易水道が原因ではなかろうか、あるいは学校の場合でしたら、たいてい学校給食が原因ではなかろうかというような、そういう記事が新聞には出ます。出ますが、結局原因の追及というものがはたして徹底的になされたかどうのか、その結論を国民は知らないでいる。ほんとうに原因を究明して、それが簡易水道が原因だったならば、対策としてどのような手が打たれたか、学校給食が原因だったならば、対策としてどういう手が打たれて、そのためにどのようにそういうような集団発生を防止できるようになっていくかどうか、そういう点についてお尋ねをしたいのです。したがいまして、最近の発生状況と、この集団発生の原因と、それに対する処置についてお尋ねをしたい。
  17. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) 赤痢の発生につきましては、ここ数年来発生数が下降の一途をたどってまいりましたのですけれども、ことしに入りましてから増加をいたしているわけでございます。大体現在七月上旬までの成績を調べてみますと、ことしを一〇〇といたしますと、三十五年が一〇七、三十八年が一〇二、三十九年が七三、四十年が六一というふうに、ことしはちょっとふえておる形になっております。で、集団発生の件数につきましては、全体の件数としては、これは大きいのも小さいのもございますけれども、取りまぜますと、件数そのものとしては、やはり急激に増加ということでもございませんのですけれども、大体のいままでの集団発生の原因別に調べてみますと、私ども集団発生につきましては従来とも力を入れてやっておったのでありますが、大体水系と、それから食品系と、それから接触、不明というふうに分けますと、ここしばらくはいわゆる接触のほうがふえていまして、水系、食品系は減ってきておるというような傾向になってきておるのであります。ことしの集団発生につきまして、まだこれを全部取りまとめて集計をしてやっておりませんので、その原因別につきましては、ただいま申し上げたような数字がまだ出ておりません。全般的に見まして、私ども伝染病予防の上から見まして、まず患者の発生いたしました場合、どういう理由でこの患者が発生したかということをつきとめていくことが、これは伝染病予防の今後の防止という点から非常に重要なことでございますので、その点につきましては鋭意力を用いているところでございます。しかしながら、従来とも、全部が大体の流行の形式というものにつきまして、どれだけどのようにして患者が発生してきたか、あるいは、また、この発生の原因がいわゆるどういうものである、たとえば食品によるものであるか、あるいは水道によるものであるか、あるいはその他いわゆるほかの原因によるものであるか、いわゆる個々の接触によるものであるかというような区分のしかたにつきまして、大体従来ともきめられておりますといいますか、従来とも、長年の経験によりまして、大体どこをどのようにして調べていくかということがわかっておりますので、指示されておりますその指示に従いまして大体現場では動いているわけです。しかしながら、中には原因がはっきり疫学上におきましては、たとえばこれは食品であろうということも学問的には推定はできますけれども、さて、それをはっきりと、それではどこから菌が出たかというほどまでにはなかなかいかないケースも多いのでございます。しかし、従来の経験からいたしまして、学問的に流行の様式を見ますと、どこにあるだろうかという推定ができますので、今回の推定は大体ここら辺にあるだろうというところで、その辺のいわゆる勘どころを押えまして防疫に万全の措置をとっていくというような体制のとり方をいたしておるわけでございます。
  18. 小平芳平

    小平芳平君 その辺が非常に問題だと思うのでして、結局いまの局長の御説明だと、水系、食品系は減っている、接触がふえているというように言っておられますが、実際上わからないままに終わっているのじゃないか。それで、はっきりこれが原因だとわかれば、まさか集団赤痢が発生した、そうすると、それこそ百人、二百人、三百人もの人が病院に入院して隔離される。どんな災害にしても交通事故にしても、そういう何百人の人が集団で入院しなければならない大事件になるわけです、普通だったら。ところが、赤痢のような場合には、案外それが、ああまたあそこに起きた、気をつけなければいけないという程度に終わっているケースが多いのじゃなかろうか。私たちしろうとですから、的確にこの原因はどうこうと、しろうと考えのようにはいかないかもしれませんが、もっと当局者というものが積極的に真剣に原因を究明していかなくちゃならない。実際上、保健所からの報告は、公式には原因は不明というようなものが多いのじゃないですか実際は。それで、新聞ではそういうようなうわさがあったというふうに書かれたり、世間では、この原因は給食の中のあれが悪かったのじゃなかろうか、あるいはあの簡易水道が悪かったのじゃなかろうかというようなうわさに出た程度で、結局保健所なり、あるいは最終的な報告には、原因はよくわからないというようなケースが多いのじゃないですか。
  19. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) たいていわからないケースと申しますと、確かに学問的には、一つの流行の形式として、たとえばこのような患者の発生の状態というものは、たとえば食品によるほか大体説明がつかないというような形で一つの推定がなされていくわけであります。それをほんとうにいわゆる証拠立てるといいますか、そういうことになりますと、その食品からいわゆる菌を発見をしなければ、ちょっとほんとうの意味の証拠にはならないのです。しかし、大体のそういう学問的にいままでの推定の上に立ちまして、こういうことであるというような方向でいままで報告がなされておるわけでございます。そういうことになりまして、大体いままでの原因別の傾向を見てみますと、そういうことから見ると、いわゆる接触というものがふえている、それから不明というものは漸次統計の上では減ってきております。ただ、これをもう少し詳細に見ますと、それでは接触というのはどういうものであるかということになりますと、この接触というものがなかなかわかりかねる問題です。人から人に逐次移っていくというような形でありますので、それが何を媒介にして人から人に逐次移っていくかということになりますと、なかなか最後にいきますとめんどうな問題で、判定がつかない面がございますので、それで、いわゆるこの中で統計的に見ますと接触が多いということが、接触そのもののわからないというケースが一つあるという面もあるのじゃないだろうかというふうに考えております。
  20. 小平芳平

    小平芳平君 どうも非常に抽象的で、話がよくわかりませんので、いま私のほうから具体的に申し上げます。  それは静岡県の清水市の集団赤痢のときの例を取り上げて申し上げますが、四月上旬に但沼地区というところで集団赤痢百十二人というものが発生した。そのとき新聞には、これは簡易水道が原因だろうというふうに報道されした。けれども、じゃあ県なり市なりで聞いてみると、いや、それはそういううわさがあっただけで、公式には不明なんだというふうに言っておられました。ところが、引き続いてこの七月には旭ケ丘、梅ケ枝ですか、こういうところで二百六十九人ですか、もっとふえているかもしれませんが、こういうように大量の赤痢患者が発生している。その新聞報道を見ても、やはり簡易水道、あるいは井戸が原因ではなかろうかというように新聞には報道されているのです。ところで、ほんとうにその簡易水道がそういう集団発生の原因だということがはっきりするならば、保健所としても厚生省としても県としても、これはほうっておけない問題だと思うのです。その簡易水道によって四月には百何十人、また七月には二百何十人、三百人近い赤痢患者が出ているのだということになれば、だれが考えても、これはほうっておける問題じゃないと思うのです。ところが、的確にその簡易水道が原因だというものがないからといって、その対策がいつまでもずるずる手ぬるい対策しかなされていない。だからいままでのはこういう発生状況だったが、今後どれだけ発生するかまだわからない、そういうような現状にあるのじゃないですか。
  21. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 一応小平先生は清水市の事例をあげて、一般的に簡易水道、その他環境衛生施設を通じての赤痢防止について触れられたと思うのですが、とりあえず清水市の事例についてお答え申し上げますと、この清水市の簡易水道は、昭和三十五年に旭ケ丘という団地に専用水道ができております。この団地の水道に対しまして、清水市の保健所は、昨年の六月二十八日、八月二日、九月七日と、三回にわたりまして特別に検査をいたしました。その結果、適当でないということで改善方の指示をいたしておったわけでありまして、保健所の指示に基づきまして滅菌機をつけまして、殺菌をして水を供給いたしておったという状態であったわけでありますが、先般の多発の際に調査をいたしてみますと、たまたまこの滅菌機が働いていなかった、こういう事例であったわけでありまして、的確に水道水の中から赤痢菌を発見したというわけではありませんけれども、この場合の流行形式から、赤痢によって水が汚染されたということはかなり濃厚に推計せられる、かように私ども考えておるわけでございます。このような水道を介して、水道がかえってガンとなって、せっかくの衛生措置をはかったつもりでおりましても、これが原因となって集団発生を来たすという事例がところどころに最近見られるわけでありまして、私どもとしましても、先般の東京都下の水道を契機としまして、特段の指導監督の努力をするように指示はいたしたわけでございますが、一片の通牒だけで必ずしもその徹底を期せられるというわけにまいらない現状でございます。それはなぜかと申しますと、全国簡易水道、あるいは専用水道というものは何万という数でございますし、また、それ以下の小型の、水道といえないような、あるいは個人の家庭の井戸というものの中に、調査した結果では、今日の状態では必ずしも飲料として適当でない状態のものがかなりあるわけであります。これらに対して今後どうしていくかということは当面重要な課題でございまして、私どもとしても、水道の施設改善普及をはかるばかりでなくて、管理をもう少しよくする措置を講ずる必要があるということで検討中でございましてそうしてこれは簡易水道を設けるような部落自体に管理をさせるという方式ではあるいはだめかもしれませんが、今日では水道の設置者が管理責任者でございますけれども、小さな部落が専任の技術者を設けて管理するということはなかなかむずかしいことであるということで、何かこの管理にあたり、特殊な管理体というようなものも考えていく必要がある、こういうような法律を離れた措置を考えておるところでございます。
  22. 小平芳平

    小平芳平君 管理に対する御意見は非常に私も同感の面があるのですが、そこへいく前に、もう少し問題があるわけですが、第一に、非常に多いという飲料として不適格ですか、あるいは不合格という、保健所が検査した結果、そういう不適格、不合格というのが非常に多いという、それはどのくらいあるのですか。
  23. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 簡易水道を例にとってみますと、昨年全国簡易水道の事業体の数は一万三千九百七十八カ所ございます。これに対しまして、保健所が検査をいたしました数は九万八千九十三回いたしております。その結果、飲料としてやや問題があるとされたものが一万五千三百三十七回、一五・七%の多きにのぼっておる現状でございます。
  24. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、問題があるという一五・七%の内容は、全部これを言っていただくわけにはもちろんいかないと思うのですが、で、私が、やはりいま持っておりますのは、さっき申し上げました清水市の例でありますが、これは清水市の市営住宅があるわけです。百七十戸の市営住宅が使っている簡易水道を保健所が検査した結果、どういう結果を出しているか。まず、去年の七月二日には、局長がおっしゃいましたように、三回にわたって検査をしておりますが、去年の七月二日の保健所の水質試験の結果は不合格。化学試験の結果、外観上、大小の有機性と推定される浮遊物を多数認められ、アンモニア性窒素、硝酸性窒素が多量に検出され、同時に多くの塩酸イオンが多く検出され、し尿等の汚染が認められるので不合格、こういうのですね。保健所では、浮遊物もたくさんあるぞ、化学的にはアンモニア性窒素その他があるぞ、し尿の汚染があるぞといっているわけですね。また、同じように八月十四日の検査の結果も不合格で、内容もほとんど同じで、外観上浮遊物がある。臭気や味にも異状を認める。またまた細菌検査の結果、大腸菌群その他が検出され、一般細菌群が許容限度以上に検出されており、し尿等の汚染が顕著に認められる。また、九月十六日にも同じように化学試験の結果、これこれと硝酸性窒素も顕著に検出され、し尿等による汚染が認められるので不合格。しまいには保健所から、どうせ不合格なんだから検査をしなくてもいいと言っている。しかも、それをどうですか、いま局長説明の三十五年以来とおっしゃいますと、六年間その水を飲んでいるわけですね、その水を。それは去年から殺菌を始めたかもしれませんが、とにかくもう水を出して、一晩で水受けにつけておる白い布が茶褐色になる。その布を見るとぞっとするようなどろどろのものがついていて、確かにこれは試験の結果どおりだと思うのですよ。しかも、そういうし尿等による汚染が顕著であるとか、そういう水を、保健所は保健所で、こういうふうに試験の結果なりましたよという通知だけで済むかどうかですね、それ々私はお尋ねしたいのです。それから、また、家主も、市営住宅だから市だからね。市に対しては保健所の検査の結果をつけて陳情に行っているわけです。何年も陳情に行っているが、いまだに上水道が引かれていない。そういう状態で、こういうように何十人――この団地で発生患者九十人でしたか、市営住宅の一角だけで赤痢患者が出たわけです。その責任は一体だけが負うべきものか、もう少し原因究明ということに熱意があればこんな状態でほうっておけるものでないと思うのですが、いかがですか。
  25. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この水道は、先ほど私は簡易水道と申し上げたかもしれませんが、無届けの専用水道でございまして、先般東京都下の赤痢集団発生を起こした場合と同じような種類のものでございます。一定の団地にだけ給水するために、その団地をつくる際に団地供給用としてつくった水道でございまして、しかも、正式の確認行為、届け出に該当するそういうことが行なわれていなかった。したがいまして、水道監督庁としての内容の監督が行なわれていなかったという実態があるわけでございまして、井戸そのものも非常な浅井戸でございまして、構造上も問題があるものでございます。したがいまして、当初から水道の構造上の不備の問題があったわけでございまして、先般来ひんぴんとして各地にございます無届けの水道という問題があるわけでございまして、これを何とかしてシラミつぶしに摘発して、法規に基づいた措置を講ずる必要があるわけでございますが、問題は、水道でございますので、もうもとからつくり直さなければ飲めないという事態が起こるわけでございます。そこに住民が住みついてしまった以後におきましては、どうしてもその水を飲まなければ生活ができていかないということから、応急措置として消毒をして飲むようにというような指示をする場合が多いわけでございまして、この事例もそういう措置をしたわけでございますが、たまたま消毒の継続を怠った場合に今回のような流行が発生するという事例を起こしたわけでございますが、すでに先生指摘のとおり、この水道に対して飲料不適当として摘発してから一年経過しているわけでございますので、当然に改修その他の措置を講ずべきでございまして、そのようなことの徹底を欠いたことは、私どもとしてもきわめて遺憾だと思っているわけでございまして、飲料用のものでございますので、急激な措置はできないにいたしましても、赤痢発生の非常な危険の源泉となる施設でございますので、厳正な取り扱いをすべきものでございまして、私どもとしても十分今後その趣旨の徹底に努力をしてまいりたい、かように思っている次第でございます。
  26. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、私も簡易水道だと言っているのではないのですよ。無届けの専用水道だと。ところで、私が言っていることは、保健所は、これは不合格ですよときめて、局長はいまずいぶん厳正とか、はなはだ遺憾であるというようにおっしゃるけれども、それは一体だれに対して言っているかを聞きたいわけです。一体局長が、遺憾である、厳正にせよということをだれに言うべきか、私に言われても困るわけです。実際問題として、そこの百七十戸に人が住んでいる。その住宅は市営住宅で、そこに住んでいる人たちも、そんなまあ化学的分析がそれはしろうとにはよくわからないにしても、現にどろんこのものが出てくるのですから、消毒したかどうか知りませんけれども、現にそういうまあ茶褐色のどろどろとしたものが一緒に出てくるのです。しかも、し尿による汚染がはなはだしいといっているのですから、そんなものをだれが好きこのんで飲みますか。だれもそんな水を好きこのんで飲んでいるわけじゃないです。だから、もちろん局長のおっしゃるように、厳正にやってもらわなくちゃならないです。はなはだ遺憾なんです。だれがそれをやるべきかということをお尋ねしているのです。
  27. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この場合の事例で申しますれば、清水市はことしの九月に水道をこの地区に引く、それまでは毎日六トンの給水車で給水を継続いたしております。それによりまして飲料、炊事用はその水で使ってもらう、その他の雑用水は現在の専用水道を塩素消毒をして使うという応急の切り抜けをやっておるわけでございますが、ただいま御指摘のありましたように、不適当であるということがわかった場合の措置が迅速を欠いておる、その間にこのような集団発生が起こるという事例があるわけでございますので、今回のような、直ちに一般水道をここまで延ばすというようなことを昨年のうちにやっておけば今回のような事例は避けられたということでございまして、もちろん水道布設の義務は、今日、その水道地域でなくても、当然このような地域に対しては市町村の責任としてやるべきことでございますけれども、それを監督する立場で各都道府県が監督の徹底を期するという扱いをしていく必要がある、かように思うわけでございます。
  28. 小平芳平

    小平芳平君 それじゃあ大臣にお尋ねしますが、いま局長が結論として、各市町村ですか府県ですか、あまりはっきりしませんでしたけれども、この文化村の集団赤痢の場合は、これはまあ新聞ですが、業者を書類送検、水道の管理に過失、集団赤痢で水道管理者が刑事責任を問われたのは、昨年五月、愛媛県で一件あったが、今度のような大規模なものは初めてというような新聞報道がありますが、この場合は久米川文化村ですね、この集団赤痢が水道管理者に過失があったと断定してこのような書類送検ということになったということのようであります。したがって、先ほどの清水の場合ですね、これはいろいろな事例が全国にあると思うのですが、先ほど来私が説明しているような現状にあって、しかも、上水道を引けばいいことはもう初めからわかっている。そんな遠いところじゃないのですから、それこそ市の中心からそんなにとんでもない離れている山の中ではないのです。ですから、今度の赤痢発生に驚いて、さあ引こうとすれば、いま局長説明だと九月ですか、そんなに早く引けるかどうか、ちょっと私わかりませんけれども、そのくらいにまあ引こうと思えば引けるという現状にあるのに、市では金がないというか、水源をもっと確保しなくちゃだめだとか、いろいろ事情があったからと思うのですが、今日まで延び延びになっている。現状は、先ほど申し上げたような、そういうどろ水みたいなものを、し尿による汚染のような水を飲んでいる、そういうときに発生した赤痢の責任は一体だれが負うべきものか、そこに何ら政治の責任体制がないというのは非常におかしいと思うのです。みんな市へ行けば市で、それは厳正にやるべきだ、県へ行けば県で、厳正にやるべきだ、厚生省へ行けば厚生省で、厳正にやるべきだ、それだけじゃ解決できないわけです。どうしたらこういうような、ほかにもあるこういう無届けの専用水道にしろ簡易水道にしろ、そういう問題でいまのような非常に住民が不愉快な思いをするこれを防ぐことができるかということについてお尋ねしたい。
  29. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今年に入りまして、特に赤痢の集団発生が各地に続発をいたしております。いろいろ調べてみてまいりますと、接触によるものが一番原因が多いということでございますが、しかし、水による集団発生というものも相当見受けられるのであります。特に部市周辺におきまして団地がたくさん民間の手その他で造成をされておる。市町村の地方団体とは直接関係なしに、手当たり次第団地の造成がなされていく。市町村におきましては、財政上の面からいたしまして、一定の計画によらないで、そういう民間が独自の計画でやっておりますところに市町村が追っかけて水道を布設をしていくというようなことが、非常にそこに諸般の事情からいって困難があるのであります。そこで、専用水道ということで、保健所等におきましては十分な指導及び監督をしなければいけないわけでありますが、無届けのものも、先ほど局長が御説明申し上げたように、現実にあると、こういうようなことで、それが原因になりまして赤痢の集団発生等が見られましたことはまことに遺憾なことであるわけで、そこで、私は、閣議におきましても、このことにつきまして関係各省の御協力をお願いを申し上げると同時に、環境衛生局長、公衆衛生局長のほうから、局長名で、四月の七日でございましたか、全国の都道府県知事に対しまして、この監督指導を強化するようにということで通牒を出し、また、厚生省も直接間接に指導をいたしてまいったところであります。ただいま小平さんから具体的な事例として取り上げられましたところの清水市の場合におきましては、これは実に残念なことでありますが、市営の住宅団地であります。でありますから、これは民間のものがかってに団地を造成をして建て売り住宅をつくるというような場合と違いまして、市の責任、市の計画によってつくられた団地でございますから、これに対する水の供給ということにつきましても、十分な一定のやはり市に計画がなくちゃいけない。私は全面的にこれは清水市の責任によってなされなければいかぬことができなかったということでございまして、私はこの点については何とも弁明の余地がないのではないか。こういう点につきまして、今後私どもも、市の財政が困難でありますれば、その水道の起債その他の面等についてできるだけの協力もやり、一日も早くそういう水の問題が解決ができまするように努力をいたしたい、かように考えております。
  30. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、大臣から御答弁いただきましたので、総括的に私は最後にお尋ねしておきたいと思いますが、まあそれは市の責任であると、弁明の余地はないということで責任ははっきりいたしますが、今後そういうことを起こさないために、今後そういうことが起きないためには、そういう住宅団地をつくる場合には、たとえば共同浄化槽を必ずつくるとか、下水道、上水道を必ずしくとか、そういう行政上の措置が必要だと思うのです。で、まあこれに対して一般的に厚生省としてそういうことを主張なさるかどうかです。  それから、また、建設省から見えている方に、建設省としてこうした公営住宅を許可する場合ですか認可する場合ですか、どちらかだと思うのですが、その基準としてやはり上下水道を完備させるということをはっきりしていったほうがいいと思うのです。あるいは補助、あるいは起債の対象にするとか、そういう財政的な措置も国が講じていくというふうにして、将来そういうようなことが起きないように、あるいは、また、現に先ほどの局長の御説明でも、届け出のある簡易水道でありますか、あるいは個人の井戸でありますか、とにかく十何%の不合格があるんだ、不適格があるんだというのですから、早急にそれを改善しなくちゃならない。改善するためには、やはり国が補助なり起債なり、何らかの財政上のめんどうをみていく、そのためには、やはり設備の義務化と、また、国がそういう金を出すということを考えなくちゃならないと思いますが、いかがですか。
  31. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 団地をつくる場合に、あらかじめ水道あるいは下水道のようなものがなければ団地造成を許さないということは、わが国の従来の都市づくりといいますか、町づくりといいますか、この頃向から考えて非常に望ましいことでございまして、外国では都市をつくる場合には、必ず水道なり下水道なりをつくった上で家が建っていくということを聞いておるわけでありまして、わが国の今日の欠けておる点はその点でございまして、これを法制的に行なうか、あるいは実際上の措置として行なうかは別といたしまして、そのような方向こそ必要であると思うわけでございます。ただ、その場合、下水道が完全下水道を今日要求できるかどうかには、くみ取り便所のほうが今日日本に多い現状から問題点はあろうかと、かように思う次第でございます。  それから、必要な水道の改善、これも飲料不適のような場合に、水道の改善、政策の必要があります場合には、それに対する起債措置は必ず私どもとしてもみてまいりたい、かように思っております。
  32. 沢田光英

    説明員(沢田光英君) 公営住宅の立地の選定に際しましては、まず水の問題、これは公営住宅に限らず、住宅の非常に基本問題でございますので、建設基準、これは省令でございますが、こういうもので給水施設を設けなければいかぬと申しております。それを受けまして水質の検査を十分にするということが設計の段階要求されております。したがいまして、手続上はさようなことで十分指導はしておるわけでございますが、先ほど来お話に出ておりますように、なかなか一番よろしいと考えられます上水道をつけるわけにいかない。と申しますのは、公営住宅は全国的に市部にもございますし、そのほかにも分布しておりますので、そういう意味からいきまして、できるだけいい施設をつくる、しかも、飲料水の適否を十分検討して立地せよというふうなことで指導をしておるわけでございます。まあ現在の都市施設整備の状況等から、この上水道に限るというふうなことはなかなか困難でございますが、さようなことで現在までは十分努力してきたわけでございますが、清水市のさような例が出てまいったことはたいへん残念なことだと思っております。公営住宅法におきましては、管理主体といたしましての清水市は、公営住宅の建物に限らず、すべてを良好な状態で管理する義務がございます。したがいまして、管理の指導の面から私どもも十分にこれを指導していきたいと考えております。  それから、今後の問題でございますが、ただいまお話のように、上下水道は、非常に都市施設といたしましてたいへん費用の負担の大きな問題でございます。そこで、公営住宅では、逐年建物の設備、そういう質の向上を目ざしまして、補助単価の質の向上ということに努力してまいっておりますけれども、公営住宅の団地は比較的そう大きな団地はございません。そこで、団地だけでなかなかそれを設置するということが困難でございまして、どうしても都市単位に都市施設整備ということにまたなければならぬということになるのではないかと思います。しかし、そういうつなぎといたしましては、私ども指導方針といたしまして、できるだけ大きな規模の戸数の団地にする、そういうことにして、小さければ貧弱な施設しかできませんけれども、大きくいたしますとそれだけ金を集めていい施設ができる、こういうことで、給配水施設につきましては、できるだけ大団地にして良好な状態のものを設備するというふうに指導を現在もしておりますし、今後ともしていきたいと思っております。  それから、下水道に関しましては、現在建設省といたしましては、新しく市街地になるところにおきます下水道に関しましては、これを義務づけて、しかも、助成していこうというふうな制度も現在検討中でございまして、私の担当ではございませんけれども、そのような現在検討をしております。このような御報告を申し上げておきます。
  33. 小平芳平

    小平芳平君 大臣に、最後にお願いと、また、お尋ねをしたい点は、やはりいま申し上げるような問題を、確かに建設省は建設省として、あるいはこういった地方公共団体に対して、自治省は自治省として、いろいろな立場で行政指導しますということを言いますけれども、実際上、たとえば公営住宅にしても、三十八年に建てたもの、三十九年に建てたもの、四十年に建てたものというくらいに、もう大体建設戸数を合わせるのが精一ぱいのようなそういう面もあるわけですね、現実には。現に行って見ると、一目で、ああこれは古いほうだろう、ああこれは新しいほうだろう、年度によって建てたものが違うわけであります。それで、いま建設省の課長さんが説明してくださったように、これこそもう大きな集団の団地を建てて、下水道、上水道を完備してというふうにできればいいわけですが、実際上、資金の関係、用地の関係等で、あるいは地方都市では特になかなかそう大きな団地までいかない。したがって、やはりこれは厚生省のほうで厳格にそういうようなとんでもない水を飲まなくちゃならないとか、あるいはおそらく下水道を一ぺんに完備することは無理にしても、何らかそこに厚生省のほうで神経質過ぎるくらいに、この際、監督なり指導なり発言なりを強化していただかなくちゃならないと思うのです。特に来年度予算に対しても、そういう面で、もういままでにない大きな力を入れていかなければそういう問題がなかなか解決できない、このように思いますが、いかがでしょうか。
  34. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま小平さんからお話になりました点は全く同感でございます。私も先ほど申し上げましたように、議閣におきまして、この点、建設大臣、自治大臣等の特に御協力を得、緊密に行政事務の連携をとってやれるように、こういう点を閣議でも強調いたし、また、そういう観点で都道府県に対しましても局長通牒を出しまして、指導に当たっておるわけであります。来年度の予算編成にあたりましても、十分上下水道等の整備につきましては特段の配慮をいたしたいと考えます。
  35. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 速記を始めて。  午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十九分開会   〔理事藤田藤太郎委員長席につく〕
  37. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  労働問題に関する調査を議題といたします。  まず、港湾労働に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  38. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私のいただいておる質問時間は、おおむね往復で一時間ということでありますので、きわめてはしょって、急行列車で走らざるを得ない宿命に置かれておる、こういうわけであります。  最初、労働大臣に、たとえば先月の二十三日の時点だと思いますけれども、七月の一日から港湾労働法が動き始めるという展望の上に立って、でき得べくんばうまく一人歩きができる、そういうことを願いつつも、しかし非常に心配があったわけでありますので、あの時点で若干の質問をいたしたわけでありますが、どうも杞憂が当たりまして、たとえばお気づきの点であるかどうかは別として、たとえば労働大臣は、これは二十一日の、今月の二十一日ですが、朝日テレビが、港湾労働法は泣いているというタイトルで、一応それなりにテレビに大写しに出ているわけです。また、二十四日の朝日の社説で、港湾労働法を軌道にと、こういうわけでとらえておるわけでございまして、いまのうちはこれでいいのでありまするけれども、よほど発想の時点において、たとえば先回、六月の二十三日の時点で、若干の質問に対して、労働大臣はそれなりにこの港湾労働の問題についてやはり相当な理解と感覚を持った答弁を、私、議事録を見て、これならばだいじょうぶと、そういうふうに受けとめておったわけでありますけれども、いま申し上げたような杞憂があるのだということで、きょうはかれこれ港湾労働法が発足して一カ月という時間が経過しておるわけでありますので、そういう関連の中で、きわめて具体的な問題を提起しながら若干の質問をすると、こういうわけでありまするので、お聞きいただきながら、主として職安局長なり、関連の労働基準局長からいろいろアドバイスをして、ひとつはしょって質問をしますから、勘で受けとめていただいて、十分お答えを親切に答えてもらいたい。そういうような注文をつけているわけであります。  最初は、御承知のように、七月の一日から港湾労働法が実施されておるわけでありまするから、六大港における具体的な登録の状況というものを港湾別にかいつまんでひとつお聞かせいただきたい、そういうふうに考えておるわけであります。これは職安局長から。
  39. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 七月の二十三日現在で、六大港の、最初合計で申し上げますが、日雇いの港湾労働者の登録数は一万八千七人、それから常用の分は四万九千九百五十八人、合計いたしまして六万七千九百六十五人、これは調整計画に定められました定数に対しまして約八四%になっております。そこで、港ごとの内訳でございますが、よろしゅうございますか。
  40. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ええ、言ってください。それが基礎ですから。
  41. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 東京港は、定数が、日雇いは定数が三千二百五十名に対しまして千八百三十名、横浜は六千三百八十名に対しまして四千四百三十六名、それから名古屋が二千七百七十名に対しまして千五百四名、大阪は五千六百八十名の定数に対しまして四千四百四十一名、それから神戸港が七千七百五十名の定数に対しまして二千七百二十一名、それから関門が、下関と両方合計いたしまして、定数が四千八百八十名に対しまして三千七十五名、この合計が先ほど申しました三万七百十名の定数に対しまして一万八千七名、以上が日雇いでございますが、常用のほうは、東京が七千三百九十名に対しまして六千百六十四名、それから横浜が二万一千百七十名に対しまして一万五百五十四名、名古屋が五千九百六十名に対しまして五千七百九十名、大阪が一万九十名に対しまして八千六百九十六名、神戸が、これは非常に定数を上回っているわけですが、定数は九千六百六十名に対しまして一万二千六百九十一名、関門が六千二百名に対しまして六千六十三名、合計いたしまして五万四百七十名の定数に対しまして四万九千九百五十八名、要するに、常用のほうは大体定数どおりになっておりますが、日雇いのほうが三万名の定数に対して一万八千、約六割の状態で、全体を平均いたしますと、先ほど申しましたように八四%が登録を完了しておる。以上のような登録数で、港湾の荷役の状況がどうなっておるかという問題でございますが、今日の荷役の状況を見ますと、いま申しましたような港別の常用、日雇いの登録数でもって、大体まあ普通の荷役は処理をしておると、こういう状態でございます。なお、定数と登録数の間に若干の開きがございますが、これは先生も御承知かと思いますが、いままでの港運統計の数字がなかなか実態を反映しておらなかった。むしろ実際よりも上回った数字が港運統計の数字になってあらわれておる。これらの既存の数字を基礎にいたしまして、荷役料その他から定数をはじいた関係で、初年度におきましてはズレが出てきておる、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。  もう一点は、倉庫業の適用の問題がまだ懸案になっておりまして、近く倉庫業につきましても港湾労働法の適用をしていこうと、こういうことでいま調査を進めておりますが、これが適用になれば約七千名程度の登録労働者が日雇いの形でふえてまいります。そうしますと、大体まあ私どもが想定をいたしました定数にほぼ近い数字になりますので、これで登録数としては大体まあ目的を達するんじゃないか、かように考えております。
  42. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 その関連で一つ確認しておきますけれどもね。その港湾労働者の定数というのは、中央港湾調整審議会の答申に基づいて労働省がやはりおきめになっておると、こういう確認でその定数はよろしゅうございますね。
  43. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) そのとおりでございます。
  44. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それで具体的な問題で、たとえば国営港である神戸をとらまえてひとつお聞きしますが、神戸の場合は常用登録港湾労働者が定数よりも多い。それから日雇い登録労働者が定数よりもはるかに少ない。これは常用化するという法の精神からいけば、その現象面だけは平面的には喜ばしいことであるが、その裏の事情からいきますと、たとえば事業主が、どうも港湾労働法というものを発想の時点から、自由な意思によって自分のものを自分で雇うというような従来のわがままといいますか、自由主義的な一つの変則的な考え方の中で、まあしちめんどうくさいものが出てきたんだというわけで、たとえば新常用というような字句が使われておりますけれども、実は臨時雇いであるとか、試用期間であるとかいう、そういう形で、われわれのほうでは、私ども考えではこれを擬装常用と言っておりますが、こういう疑いが多分にある、したがって、そういったような問題について労働省はやはり出先の職安なりその他を通して実態を把握しておられるかどうか。なければいいんですが、それが杞憂であればいいのですが、あるとすれば、これをどういうようなふうに行政指導をしていかれるかどうか。この辺は私どものうかがい知る限りでは、六大港の中で比較的予期したような形で順調なすべり出しをしておるというのは門司港だけで、あとは非常に困難性が内在しておると、こういうふうに聞いておるわけですが、その神戸の場合、その辺のことについてひとつ具体的に調査しておられるか、それとも、今後これはどういうふうに指導していくか、その辺のところをとらえていただきたいと、こう思うのです。
  45. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 神戸港につきましては、杉山先生指摘のように、常用が定数よりも約三千名上回っております。これは、船内荷役の期間労働者、これがおおむね常用に切りかえられておる、こういう状況でございますが、私どもも予想に反して常用化が非常にまあ進み過ぎておるという感じすらいたしますので、御指摘のように擬装常用ではないかというふうな懸念もございまするが、私ども現在のところ港湾労働法の施行事務に忙殺いたされまして、この一万二千六百九十一名の常用労働者の雇用関係が擬装であるかどうかというような実態調査までまだ手が回っておりませんが、近いうちに、擬装常用の御非難もあるようでございますので、実態を調査いたしました上で業界を積極的に指導してまいりたい、かように考えております。
  46. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これはね、非常にまあ通念上、神戸だとか、国営港の定期船の集中の港だという関係で、いろいろと例を、データを私持っておりますけれどもはしょって申し上げますが、こうなんですよ、実情は。私どもの把握している実情はですね、七月一日以前に新常用と名のつく社内臨時をふやして登録を拒否しようと。このことをおそらく表面的に押えられれば、そんなことはないのだ、うそだ、それは痛くない腹を探られるのだと言われるのでしょうけれども、実際はおかしいというとらえ方をして、われわれのほうがいろいろ調べたり聞いたりしておる。また、私のほうへ出てきているデータでは、たとえばこういうわけなんです。神戸の船内業に例をとれば、毎日、二百三十九口かける二十人イコール四千七百八十人を必要とするが、現在は四千五百九十人、このうち二千人近くは新常用と思われる。言うならば擬装雇用だと思われると、こういうわけです。こういう各社で雇い入れておる状態というものは、ワンギャングですね、一ハッチでやはり大体十九人とすれば、実際は二十人以下の場合が多いわけでありまするけれども、トータルの数字は、二百三十九口で四千五百九十人でも余るのです。したがって、神戸では船内の求人は申しわけ程度である。船内荷役の場合の求人は非常に少ない。これは、七月一日以前の登録から逃げるためにそれぞれ新常用にしたものであって、その意図はまことに法に対して反抗的であり、非協力的であるのだ。そういうふうにとらえておるわけであります。この新常用がほんとうに調査検討した結果、真の常用であるとするならば、これは法のたてまえからいって臨時工やあるいは試用工が常用化されるのですから、これはまことに喜ばしいことであるけれども、事実はそうでないと思われるふしがあるので、厳重な調査をしてほしいのだということを言ってきているわけですよ。その結果、真にその常用でないというならば、いわば擬装常用であるとするならば、十分行政指導でその職安登録に戻してもらいたい。真に常用ならば定数の改定が問題になるじゃないか。むろん定数は、やはりこれは中央の港湾調整審議会で、労働省答申を受けられて、いろいろな経験やデータが出た上というふうにきめられているわけでありますから、その辺のところを考えて、また求人制限というような問題に関連しても、大体四千五百九十人でやっていくならば、オールナイトであるとか、現場交代であるという長時間労働というものや、それからその関連の中でやはり労働の強要というものが起きてくるわけであるから、したがって、かりに八時間労働だという形で行政指導しても、その辺のところから、非常に過酷な労働ですから、労働者の疲労度が非常に多くなってくるから、この辺も十分労働基準の面その他で、これはたとえば出先の関係機関の職安もあるし、労働基準局もあるし、海運局もあるという形で、十分意見を総合してこれを改善してもらいたいのだということをまあ言っておるわけでありますが、実際に真の常用であって擬装じゃないのだという場合の材料があれば、これはまた何をかいわんやでありますが、そういう例もあるわけですから、その辺の点について局長お話によれば、大体まだ具体的に立ち入って実態把握の調査はしていないのだというようなことを言っておられますが、そういうことを言ってきておるので、私の申し上げたようなデータもあるのでありますから、ひとつこの問題に関連して、職安局長や基準局長からお答えいただければけっこうだと思います。
  47. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 神戸の常用の問題は、御指摘のような懸念も若干ございますので、私どもとしましても擬装常用ではないかという観点から、今後引き続き実情を調査してまいりたいと思います。ただ、まあ港湾労働法のねらいからしますと、常用の促進という大きなねらいがございますので、ほんとうの意味の常用雇用であるならばきわめて好ましい傾向だと思います。その際、雇用関係の継続性、あるいは従来、切りかえ以前の賃金条件との比較、そういった点を中心に、まあ私どもも実情を調査した上で、この傾向がほんとうに好ましいものであるかどうかということを判断して、所要の指導が必要であればそれを行なうというふうにしてまいりたいと思います。
  48. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 何か関連して基準局長のほうから、神戸の港湾労働の実情について、非常にまあ擬装雇用と関連して、やはり労働基準の問題に関連して、いろいろ問題があるのだと言ってきておるわけですが、その点は全然御懸念はありませんか。
  49. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 港湾労働法の施行以来、現地の労働基準監督署といたしましても、職業安定所とタイアップいたしまして、労働基準法の観点から、いろいろな指導監督を加えております。御指摘の神戸におきましては、いわゆる免許を受けておる事業場数三百六十一社というふうに私どもは押えておるのでありますが、それらの会社の労働条件等につきましては、監督指導という形で調査もし、実態把握につとめておるところでございます。労働時間についてもいろいろ問題がございます。ただ、先生いま御指摘の擬装雇用であるかどうかという点につきましては、常用か日雇いかの区別の問題はございまするが、労働基準法上はいわゆる常用といったような考え方とやや趣を異にいたしまして、御承知のように、労働基準法二十条の解雇の予告の問題に関連して問題が出てくるわけでございます。そこで労働基準監督署といたしましては、港湾労働法適用上の常用雇用の問題とは別に、労働時間、賃金その他の労働条件につきまして、監督指導の面を通じまして、いろいろ実態把握しておりますが、たとえば労働時間について申し上げますと、船内荷役と沿岸荷役につきましては、その状態が非常に異なっておりまして、沿岸荷役でございますと、たとえば労働時間が午前八時から午後五時といったような形態が多くなって、残業も月平均一人当たり時間に直しますと約二十時間といったような結果が出ておりますが、船内荷役につきましては、いわゆるワンデー計算によるもの、あるいはオールナイトといったような通称で言われております徹夜作業といったような場合にはかなりの長時間労働が存在するわけでございまして、しかもその労働時間が、実働時間であるか、待ち時間、休憩時間はどうなっておるかといったような組み合わせが非常に不明確でございまして、今後、監督指導上特にこの点は明らかにしなければならないと存じております。そしてそのことが、ひいては賃金計算の際に割り増し賃金をどうするかといったような場合におきまして、実働時間が何時間で、休憩時間が何時間であるといったような関係が非常に不明確でございまするがゆえに、割り増し賃金の算定なども非常に困難を感じておるような次第でございます。これらの問題についても、労働時間管理の基本を正す必要があるというふうな観点から、さらに一そうの指導監督を進めてまいりたい、かように存じております。
  50. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大阪の場合について若干お尋ねしておきますが、大阪の場合は、従来の手配師が配下の労働者を特定の会社に送り込み、臨時とか、試用期間中とかいう名目で、その会社から日雇い登録として登録させているのが多いと聞いておるのですが、そんな実情が実際にあるかどうか、その辺についても一応お答えいただきたいと思うのですが、その辺の事情はどうでしょう。
  51. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御指摘のような日雇い登録労働者として登録されておる者が、さらに手配師の手を通じて紹介といいますか、就労しておるという事実は私まだ報告を受けてないのでございますが、手配師が介入しておるとすれば、登録以外の、いわゆる大阪であれが釜ケ崎地区から募集をしてくるというような場合ではないかというふうに想像いたしますが、御指摘のようなケースはちょっと私まだ報告を受けておりませんです。
  52. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まあ偽装常用だとか、偽りの登録は、いうならば港湾労働法の精神を無視、じゅうりんをする、それだけではなくて法律の目を破ろうとする悪意に満ちた非常に不徳な行為だと、こういうふうに判断せざるを得ないのでありますが、この問題に関連をいたしまして、具体的に、まあ雇用調整課長もそこにおられますけれども、去る七月七日に全港湾の代表や、さらに全港湾の系列下の六大港の代表者が集まって、それなりに雇用調整課を窓口にして、いろいろと実情を訴えたり、意見を言ったり、大所高所からこの問題を配慮してくれ、こういうふうに言っておるわけですが、その後どのようにこれを受けとめ、また消化しておられるか、大体そういったような問題についてひとつお答えを、どなたからでもいいのですが、職安局長から、できるならひとつお答えをいただきたい、こう思うわけです。
  53. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 港湾労働法の全面適用をめぐって、いろいろな現地的な問題がございますが、これらにつきまして全港湾とも絶えず接触をいたしておりますし、組合からの御指摘につきましては、そのつど第一線の安定機関を督励して所要の指示をいたしております。問題は、御指摘のように港湾労働法を骨抜きにしようという考えが一部の業者にあるように見受けられるふしがございますので、これらにつきましては、徹底的に指導を加えますと同時に、どうしても改まらないという場合には十分調査の上で厳重な取り締まりを行なってまいりたい、かように考えております。
  54. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 神戸、大阪、次は名古屋というような形ではしょって、問題点を提起しながらいくわけでありますが、職安の行なう紹介業務というのは、いうならば中央職業安定審議会の答申に基づいて、労働省は、あるいは職安局は、しかるべく実施されておると思うのでありますが、たとえば紹介は、日々輪番紹介が原則であると思うのです。で、職安の行なう指名紹介は特別の場合に限ることにするよう答申されておるわけでありますが、名古屋では、従来の手配師であるとかあるいは港湾事業者から下請的な慣行で請け負っておるところの組のボスが、日雇い港湾労働者の登録手帳、いうならば青手帳を一括まとめて、そうして職安の窓口に届け、ボス連中は職安構内で大手を振って、やっぱり何かあたかも職安公認の連絡員であるかのごとき顔をして横行している。こういう実態があるわけでありまして、したがって、現実の問題として、六大港のうちでも国営港の最右翼であるとか、あるいは地方港の典型的な港であるとかいうところに、いまなおやはり手配師やあるいはボスというものが横行している。しかも具体的には職安の事務室に入って、そのうしろで手配師が、職安でいろいろと仕事を、登録で呼び出されてくる連中に対して、いろいろ手まね、足まねで合い図しているのだ。それで実際は職安の七月一日以降の窓口賃金は、大なり小なり賃金ダウンされておる。それはいろいろな事情もありましょうけれども。ところが、窓口ではそうであっても、それらの手配師が、それからボスが、若干、おれのところにこいという形で、いうならば門前雇用であるとか、あるいは未登録者も連れていくのだというような事実が、これは具体的に名古屋にそういう問題が非常にあるといったようなことになっておるわけでありますが、その点はひとつ真実を、なければない、あればあるということで、これは調整課長でもけっこうですし、その実態があるかないか、その点についてお答えいただきたいということを一つ。この問題は、あるなしのせんさくではなくて、この辺が、実はきょうはできる限り、運輸大臣も所管の運輸関係局長も来てもらって、大体手配師が横行するとか、連の事業ボスがいろいろ一括して青手帳なるものをもってやるということについては、その背景をなすものは要するに事業主です。そういったような点であるから、これは港湾運送事業に対して許認可を持つ元締めは運輸省であるし、さらについこの間、先国会では、例の港湾運送事業法の近代化がなされておるわけだけれども、それが仏つくって魂が入らず、そういうような点について、これは非常に問題がある。だからやはりマスコミュニケーションは、港湾労働法は泣いているとか、あるいは軌道に乗っていないから軌道に乗せるということは、大臣もおられるわけでありますけれども、要するに、港湾産業の振興とか近代化というものは、煮詰めて言うならば、やはり港湾の施設や、それから技術面における荷役機械の近代化も必要でありましょうけれども、港湾運送事業の近代化というものと港湾労働の近代化というものが、両々相まってバランスの上に立ってこれがうまくいかなければ、港湾産業の振興ができるはずがないし、近代化はできないのだ、こういうわけですから、きょうは港湾局長理事者や委員長代理の心配によってこられることになっておったんだそうだけれども、逃げられたわけじゃないだろうけれども、他に先約があってこられないから、他日問題をえぐり出すということにしますけれども、そういうことに関連して重大なところですから、ひとつ。
  55. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御指摘のような手配師の横行の場面が、私は聞いておりませんけれども、現場においてあるいはあり得るんじゃないかというふうな予想もできますので、かつての手配師が、会社側の立場においてでも従来の顔によりまして港の安定所の庁舎の内部のほうに入って、そして窓口で各種のサインをしていろいろと工作をするというようなことが、あるいは起こり得ることだと思いますので、これは厳に第一線を指導して、そういうことのないようにいたしたいと思います。また安定所の構内におきましても、そういう手配師の活動の余地があり得るわけでございまして、切りかえ当初におきまして、大阪等においても手配師の暗躍が一部あった、そして賃金をいままでよりも低めておいて手配師の裏金操作によって誘導されるというふうな場面が二、三報告されておりますので、この点は十分第一線を督励して、そういう横行の余地のないようにいたしたいと思います。なお、港湾運送事業法の話がございましたけれども、この近代化によりまして、運輸省との関係もきわめて円滑に、まあ先生方、去年あたりは非常に運輸省が協力しないというふうなおしかりがございましたが、私どもの目から見ますと、非常に積極的に運輸省も港湾労働法の施行については協力をいただいておりますので、その点は私から最近の事情を申し上げて御了解をいただきたいと思います。
  56. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 どうも職安局長は言い回しが上手なんだけれども、ぼくは言うには、大体、日本の海運の実態であるところの船主協会だとか、港湾事業者というものがほんとうに、たとえば総理府に港湾産業の近代化というものの答申が、そういうスタッフができて、そして港湾労働法等ができた時点からいくならば、ほんとうは船主なり荷役作業をもっぱら請負っているところの海運運送事業者が、ほんとうに港湾労働の近代化や施設の近代化というものを身につけて姿勢を正すならば、大体問題の根源は、やはり手配師にしても、ボスにしても、それらが横行の余地はなくなってくるはずなんですよ。したがって、この前もこの法律ができるときに、運輸と社労の連合審査会でいみじくも言っておいたわけですけれども、たとえば神戸あたりの組織暴力につながる、つまり大きなボスは、おれたちは何だかんだといっても運輸省から天下のお墨付きを持っているんじゃないかといったような、いわゆる漫画時評も出ているのです。したがって、そういうものはかりに認可してあったって、お上をおそれず、いろいろな違法行為をやるなら、免許を規制してどんどん取り上げていくのだ、一々運輸省がそれを番人しているわけじゃないのですから、港湾労働法ができた限りにおいては、職安なり労働基準局なりが、たとえば職業紹介停止に値するとか、労働基準法で違反であるとかいうことを摘発された場合には、間髪を入れず免許規制をやるとか、免許停止をするとかといったような歯車がかみ合ってこなければ協力じゃないでしょう、実際問題は。ぼくは率直に、歯に衣着せず、ずばり申し上げますが、いまなお運輸省においても業者においても、だからやはりテレビや朝日の社説あたりがいろいろと言っているが、言っているうちはいいのですけれども港湾労働はあきまへんというような形になってくれば、これは幾らかみしもを着た国の法律であり、権力の背景にあると言ったって、実際うまくいかぬということをわれわれは杞憂するから、運輸省と表面的にはどうもうまくいっていないなんということは言えもしまいでしょうけれども、実際はそういう点を真剣に、大臣よくこの辺のところをひとつ聞いておいてください。  それから、これはなお重要なことだから申し上げますけれども、こういうふうな港湾調整審議会で答申があって、それに基づいて港湾の定数というものを登録されるということは、裏を返せば、いわゆる港湾労働者の就労権を保障するということに値するわけですよ。港湾労働者の就労権を保障する限りにおいては、たとえば七月一日からどういう理由があろうとも、どういう言いわけがあろうとも、七月一日以降に、七月一日以前のような賃金ダウンをするということが、社会通念から言って、その地域の労働者の利害をまじめになって求めるところの労働組合があろうとなかろうと、労働条件が維持され改善方向に動かなければならぬものが、そういう労働条件が、たとえば賃金面でダウンするということは、はなはだそういうことを黙認しちゃいかぬですよ。実際問題から、現実にそういうことがあるとすれば、その辺のところから、一体どういうふうに行政指導をしておられるか、また行政指導をしようとしておられるか、これはひとつ私は時間もありませんので、いろいろたくさんこの問題については一ぱい言いたいことがあるわけでありますけれども、その辺の問題について、たとえば、今日最低賃金法に関連してあるところの業者間協定でも、ILOの賃金条項に関連して問題が出てきて、全国一律という問題、もちろん陸上の問題と海上労働、あるいは沖仲仕の問題の特殊性がありますけれども、それにしても、こういう就労権の保障と、その中身であるところの労働条件の問題、賃金の問題などは、これは職安の窓口に、事業主が求人を申し込んできた、それが一方交通で、それが一つの窓口賃金でというようなことははなはだ問題があるのだというふうに考えるわけでありますので、職安局長と、それから基準局長はその辺のところを、就労権の保障の問題と、それから賃金が実際下がっているんですよ。そういう問題は非常に問題があるので、その辺をひとつとらえて見解を表明していただきたいと思います。
  57. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 港湾労働法の施行に伴って賃金が下がるということになれば、これは非常にゆゆしい問題でございますので、七月一日以降、各港の賃金については十分調査をしてまいっておりますが、二、三何といいますか、ダウンをしたような事例がございます。神戸港と大阪港についてその例がございますので、私どもとしましては、さっそく事業主に対して積極的な指導を行ないまして、大阪においても、これは主として沿岸の有技能労働者についてそういう傾向があったわけでありますが、業者間において協定を結ばせまして従来の賃金水準まで回復をさせる、こういう積極的な指導をいたしました結果、今日においてはそういった現象はなくなってきております。今後においても、登録制によって供給源はこの登録労働者だけに限られるわけでございますので、賃金条件等については十分指導も加えながら切り下げられることのないように監視をしてまいりたい、かように考えております。
  58. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御指摘の中で賃金が従来よりむしろダウンしたのじゃないかという点につきまして、私どもそのような情報を耳にいたしました。その間の実態につきましていろいろ調べてもらったのでありますが、いま職業安定局長から答弁いたしましたとおりでありますが、ただ、私ども問題にいたしておりますのは、労働時間と賃金との関係がどうも不明確である。先ほども申し上げましたように、船内荷役と沿岸荷役ではその態様が違うのでありますけれども、賃金がたとえば手取り千三百円というように手取りの額をまず先に置きまして、それから所要経費の控除を行なって、そして基本賃金幾らといったような、手取り賃金を先にきめまして逆算するといったような形におきまして労働時間を考えざるを得ないという、賃金と労働時間との結びつきが明確でないところから、時間外労働分を除いたとすれば幾らになるかという問題がございまして、単純に労働時間を抜きにいたしまして、賃金の多い少ないを直ちに判定できないといったような問題があるところに、私どもは十分注意いたしまして、こういった問題についても適正な指導を加えなければならぬ、こういうように考えておる次第でございます。
  59. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間もどんどんと流れておりますので、はしょって質問をいたしますが、今後のこともありまするので、一応質問の柱を申し上げておきますが、たとえば業者が七月の一日を期してほとんど一斉という形を、期せずして一斉であるかどうかは、また意識して申し合わせしたかどうかは別として、とにかく結果から見た現象では、七月一日以前と七月以降というものになると、現象面で賃金ダウンされているということは、客観的な事実として、私はそれに対して多くのデータを持っているわけですが、一応そういうことがあるということ、それから業者が求人申し込みを極力制限しておるのだ。しかし、実際はその偽装常用とか、あるいは臨時試用のいわゆる試用期間であるとかという形で、いろいろとこれが非協力な面という、そこでそういう事実があるのだということ、もちろんこれに対してはいろいろなデータを持っているわけですが、これを柱として前に進んでいきます。それから、依然として門前雇用や未登録労働者の雇用が行なわれているのだ。したがって、この限りにおいては、港湾労働法の十六条の、これは常時に実際はこれを利用してはいけないものがやっぱり恒常化しようとしている。尻抜けになろうとする憂いがあるのだということを、現象面としてとらえるのだというようなことまで含めておるんですが、そういうことがあり得るのだということについて、われわれのほうも一生懸命、これはいいことじゃないのですから、十分これも調査もし、そういうようなふうに努力をするように、われわれはわれわれの系列のわれわれの仲間といいますか、ひとつ政府当局においても十分これはやはり運輸省と労働省とが話し合いが噛み合った形の中で、あるいは手広く意識的に悪意みたいなものはその証拠を提示するとか、あるいはいろいろな方法で運輸省と連絡して免許を規制するとかいったような、前向きで弾力的に前進するような配慮を、そういう法律には条文がないから、それはだめだとか何とかというかっこうで、今後そういうことを必要とするならば、できたばっかりでありますから、修正ということもありますけれども、今日的な段階ではどうしてもこの港湾労働法の近代化であるとか、あるいは港湾労働者の生活とか、福祉とかという問題に関連して、なかったときよりもあっていいのだということと、その関連の中で港湾登録労働者が手配師から水をさされて、いわゆる事業ボスにいろいろと誘惑をされてもやっぱり登録してみてうま味があるのだ、どうもやはりそれが常用工でないにしても、登録労働者はどうも先が明かるい。だから類が類、仲間が仲間をもって人を集めるようにしないと、幾ら職安でうまいこと言っても、幾ら行政指導したって、本人がそっぽを向いてしまうというようなことじゃ、やはり実際において――やっぱり、だから私は港湾労働のような行動性の多い労働の需給関係については、せっかくできた限りにおいてはこれをうまく活用して、善用してもらうようにひとつやってもらわなければ困るのだということを申し上げておきますが、これはもう一つ現実の問題として、これは現実の矛盾であり、いずれ近い将来には解決しなきゃならぬ問題だと思いますけれども、現在の雇用の立場、冬なら冬、正月なら正月、ほとんど一年というものを見越して考えてみた場合に、たとえば港湾、もちろんこれは日雇い港湾登録労働者が職安に申し込んだんだ、申し込んだんだけれども、労働条件の問題だとか何かについて、自分がかりに前に働いておった賃金より安い場合には、自分はこれはどうもいかぬのだ、断わるといったような場合、ずっと番がかわってきますというと、自然に職安はやはり背に腹はかえられないから、失対労働者、港湾労働法に基づく登録労働者ではないけれども、失業対策の登録している労働者がそこに配転をされていくという現象面が、好むと好まざるとにかかわらず起きてくることが現実にあるわけですが、しかし、いずれにしてもこれは港湾登録労働者にはアプレ賃はそれなりにあったにしても、なかなかそれらを求めて、自分が、生活が物価などの関連において豊かであるとか、幸いであるというわけにはいかぬので生活が苦しい。ところが、一応、政府の直轄の職安の門を通して同じ現場で仕事をしても、一方のほうは、港湾登録労働者のほうは就労権もあるし、非常に港湾労働であたたかく迎え入れられなければならぬ。年末や越年については、失対労働者の登録のほうは同じ登録網を通っておっても、一方は自治体なり国から一応の一時金だとか越年資金というものが配慮される。こういう点において、やはり相当うま味が欠けてくる。これはやはり筋論から言えばいろいろな一理一害があるでしょうけれども、現実の問題として、一体この辺をどう調整し、どう配慮していかれようとしているかという問題についてひとつお答えを願いたいということと、もう一つは、これに関連をして、港湾労働者の、先ほども申し上げたように登録ということは、就労権の保障でなければならぬし、就労権の保障である限りはその労働と質に見合った、密度と質に見合った賃金が保障されなければならぬ。そういう限りにおいては、やはり港湾において、中央、地方で一貫した姿の中で、たとえば事業者の団体であるとか、港湾労働の労働者の団体とか、とにかく原則的には公正なる労使関係の上に立って、やはりこれらの労働条件というものを十分配慮して、これを一つの定着した軌道の上に乗せていくような、やはりもう諸外国であるわけでありますから、そういう面についてこれが軌道に乗ってうまみが出てくる、そういう状態で、いま労働省の中にあるいは考えがあるのかないのか、全然そういうことは考えていないのだ。やっぱり需給関係は雇う者の意思によってきめた賃金で紹介して、場合によっては労働条件が依存率が下がってもやむを得ないとか、あるいは勤務の状態によってはどうも労働時間が、就労の配慮しがたい特殊性があるだけに、その特殊性というものを配慮した上で、いま申し上げたような具体的な問題として、法律の全体としては円滑な実施は港湾ごとに労使団体の対等の立場で、たとえば労働条件の決定機関であるとか、協力関係機関というものが必要だと思う。そういう面について、政府はしかるべき創意性とくふう性をこらして、近い将来に外国その他の例を収集しながら、これを検討、配慮していく見解があるのかどうかといったような点にも、ひとつ今日的な時点で見解をお答えいただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  60. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 第一点の夏期、年末のボーナスの問題でございますが、これは非常に主張はよくわかるのでございますけれども、国がこれらのボーナスを支給するということになりますと、これは筋論として雇用関係に立たない状態でございますので、そういう支給は国としてはできない、こう言わざるを得ないんでございます。ただ、港によっては日雇いの港湾労働者についても、夏期、年末のボーナスが支払われておるという過去の実績もございますし、今後この種の登録労働者に対して夏期、年末のボーナスは使用者側の荷役業者において何がしか出していこうという空気が漸次出てくると思います。私どもとしては、そういった労使間の交渉でもってこのボーナス問題を解決していただきたいというふうに考えておるのでございます。なお、第二点の問題といたしまして、賃金の今後のきめ方の問題でございますが、これは昨年港湾労働法を御審議いただきました機会にも、こういった登録制がとられて日雇い労働者が集団化するということになれば、今後の賃金のきめ方としては、やはり港ごとに労使の統一交渉的な方向で賃金がきまっていくんではないかというふうな予測を申し上げたと思いますが、私は今後そういった形で賃金がきまっていく、そして、いままでのようなばらつきといいますか、大きな幅はなくなってくる、平準化していくという傾向が出てまいると思います。その際、役所としてどういう立場で賃金のあり方に臨むか。これは原則としては介入しないたてまえでございまするけれども、私どもの職安機関としては、荷役に必要な労働力をたえず確保しなければならないという使命が一方においてあるわけでございますので、やはり賃金条件はたえず改善をしていかなければ港湾労働者の確保はおぼつかない、こういう状態でありますので、賃金条件の改善等については十分関心を払ってまいりたいと思いますが、積極的な介入は避けてまいりたい、かような基本的な態度で臨んでまいりたいと思うわけでございます。
  61. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは港湾労働や港湾産業の波動性というものと関連をして、なかなかほかの労働基準法に基づいて賃金制の問題を処理することはむずかしいと思いますけれども行政指導の限界からいけば、所管はやっぱり、この問題がいまは即、板についていなくても、これはもちろん港湾労働法そのものは賃金不介入の原則で大体たてまえが立案されていることはわれわれも了承しておりまするけれども、発想の時点においてそうであっても、これが定着して、ほんとうに有終の成果をなすためには、やっぱり物と人と財力との相関関係で、人間が気力を持って労働に取り組むという態勢が整備されなけりゃ、それはやっぱり賃金なり諸手当だと、こういう問題になるわけですから、ひとつ基準局長から何かそれに関連して御意見があれば、あるいは所信があればお聞かせいただきたい。なければいいわけですが、ひとつ。
  62. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 労働条件一般の問題につきましては、基準法で定めております労働時間、休日あるいは休業手当の支給といったような問題につきまして、かなりの問題があることは先生御承知のとおりであります。労働基準局署におきましては、このような法違反につきましては、単に労働基準法の面からする監督のみならず、これらの違反は今後港湾労働法によります紹介停止という行政処分にもつらなるわけでありまするから、そういった基準法違反の効果が、基準法上の罰則の適用と、他面におきまして紹介停止という、営業の運営そのものに影響をもたらすような行政処分も伴うということからいたしまして、法順守の意識をさらに高める非常な適切な機会であるというふうに存じておるようなわけでありまして、今後こういった法定基準の順守につきましては、さらに一そう監督指導を強化してまいりたいと考えております。ただ、賃金の額そのものの決定機能は法的にございませんので、法的には、いわゆる最低賃金という手段によらざるを得ないのであります。現在、日雇い労働者で平均賃金の算定が困難であると認められる場合につきまして、労働省告示で平均賃金の額を示しておる例がございます。これとても国内労働者の職種別賃金の実態調査の結果に基づきまして算定いたしましたものでございまして、一般的な賃金上昇を背景としなければ、港湾労働者だけにつきまして特別な賃金額を設定するということは、現実にも、また法的な画から見ましても困難があるわけであります。しかし、さればといって、現実に低賃金でよいかどうかという点につきましては、先ほど職業安定局長から答弁がございましたように、今後、港湾労働者の需給関係等から見ましても、適正な賃金でなければ容易に港湾労働者を募集しがたいという面もあるわけでございますので、そういった労務需給の関係等を勘案し、また、一般の賃金の上昇といったような背景を見つつ、できる限りの指導を加えてまいりたいと考えております。
  63. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 今度はひとつ大臣から御答弁をいただいて、私の質問はこれで終わりますが、何回も言うようでありますけれども、マスコミュニケーションあるいはテレビのタイトルなり、あるいは新聞は社説なりで、せっかく日の目を見た港湾労働がひとり歩きをするわけであるから、そういう形で、私どもはこれは政府提案でもあるし、別にわれわれは政府にちょうちんを持たなきやならぬ因果も何もないわけでありますけれども、これは実は港湾産業や、それからそれを振興するとか、近代化するとかという面から言っても、やはり非常に重要な法律であるというふうなとらえ方をしておるわけであります。で、実はこの法律が、法案として第一草案というものが労働省でできた時分には、この手配師が、組織暴力というものが幡踞して、そしてこの法の精神が無視じゅうりんされるようなことが具体的にあれば、労働大臣はその実態をとらまえて、そしてそのあれを、紹介を停止もするとか、あるいは基準法違反で摘発するとか、さらに運輸大臣にそれを進達すれば、運輸大臣はそれをそのまま踏んまえて、そして事業免許を規制するとか、停止をするとかということが第一草案であったわけでありますけれども、われわれは強くそれをそうしないと、せっかくつけてもざる法になるとか、しり抜けになるのだということを危惧に感じたけれども、紆余曲折があって今日の状態になってきておるわけでありますから、先般、六月の二十三日に私はいろいろな杞憂を感じつついろいろなことを質問した場合に、議事録によれば、大臣はこういう答弁をしておられます。「せっかくできた港湾労働法でありますから、これが円満に施行されて、いわゆる港湾労働の近代化ということの目的が達せられることはもちろんでありますが、同時に、それがやはり私はそこで働かれる労働者諸君の雇用の安定なり、あるいは生活の改善なり、そういう点に積極的にやはり資していく、こういう成果をぜひあげたいと考えておるわけでございます。」と、全く大臣答弁は満点だと思っているわけで、これがうまくいかぬので、いずれ時日はたつのでありましょうけれども、やはりでき得べくんば私どもは社会党の所属の態勢の中では、もう一度この問題の体制を整理するために振り出しに戻って、社労と運輸が連合審査の中で、両大臣を前に置いて十分これをきちんと整理していこうということが論議の君上に乗っておるわけでございます。十分これらの問題を踏んまえて、大臣からどういう経過があろうと、ひとつ今後の問題についても十分関心を持って善処をしていただきたい、重大な配慮をしていただきたいということを申し添えて私の質問を終わります。大臣見解と所信を伺っておきたい、こう思います。
  64. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先ほど来、先生から港湾労働法の施行の状況につきまして、るる御質疑がございました。その間、全く私どもが同感を禁じ得ないもろもろの点の御指摘を受けたわけでございます。この港湾労働法の施行についての私の所信は、ただいま先生から御指摘をちょうだいしましたように、さきの委員会で申し上げたところと全く異なっておりません。私は港湾労働法が七月一日に施行されまして以来、あるいはテレビ、あるいは新聞紙上等におきまして、いろいろの点が指摘され、報道されておること、あるいはまた、その他の方面からもこの施行の状況が必ずしも万全ではない、そういう結果に遺憾ながらなっておるということを承知をいたしまして、また、そういうことを聞けば聞くほど、私は本法の施行の万全を期して、労働省は当然努力をいたさなければなりませんし、また、運輸省をはじめとする関係当局にも御協力を願う点は願わなければならない、そういう考えのもとに実は今朝の閣議におきましても、港湾労働法の施行の状況につきましてその概略を報告をいたし、かくかくの点が現実の問題としてどうもうまくいかぬ点もある。その中にはいま申しましたとおり、労働省自体が紹介業務その他において、もっと工夫をこらさなければならぬ面もあるし、また関係業者の指導にもっとやはり力を尽くさなければならぬ面もあるようでありまするし、さらに率直に申しますならば、先生からも御指摘のございましたように、まだ手配師等の手による人集めというものが現実に若干あるやに伝えられる。こういう点についても、私どもはどうしてもこれはそれを解消する方向において最善の努力をいたさなければならぬ。こういう点で、今後さらに関係当局の協力もぜひ仰ぎたい。労働省労働省でさらにベストを尽くしますが、関係当局においても協力をしてほしい、こういうことを実は今朝の閣議においても報告をいたし、かつまた協力を要望いたしておいたようなわけでございます。長年の慣習をいわば破って、このような法律をつくることによって港湾労働法の近代化、さらには労働者諸君の福祉の向上、こういうことをねらって、せっかくこれが発足したのでありますから、労働省としてはもちろん不退転の決意を持ってこの法律の目ざすところが実現できますように、しこうして関係の労働者はもちろんのこと、業者も進んで協力をするように私は今後も引き続いて努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  65. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一点だけ忘れておった重要なことですが、いよいよ概算要求の時期になってきますが、中央職業安定審議会の答申に基づいて、労働省で幾ら誠意をもってされても、職安のスタッフ、人員が現状では足りないという、そういう面もあるし、またニューフェースも、港湾労働という波動性という特殊性もあるわけでありますから、スタッフを整備するとか、人員をふやすという問題についても、限られた人員で新しい仕事を紹介して、あそこは悪いこれは悪いといって指摘をする。その背景では十分やってみて、そういう点についても一応考えて十分予算についても配慮してもらいたいという点を希望申し上げておきますが、同時に、あぶれ賃、港湾調整手当の問題についても、七月は一回低下しますけれども、八月はその他いろいろあるけれども、結局背景をなすものは、もとの予算というものが細いか太いかによって影響してくる問題でありますから、これは十分そういう点についてもやはり配慮をしておいていただきたいということをひとつ強く希望申し上げて一応私の質問はこれで終わるわけであります。
  66. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 最後に御指摘いただきました職安の陣容強化の件でございますが、これも実は安定局長ともよりより協議をいたしておるのでありまして、短時間に数千名の紹介をするといったような、きわめて困難な仕事をやっておるわけでございますので、できるだけ強化をしたいということで、よりより協議をいたしておるわけであります。さらにまた手当の問題でございますが、これにつきましても、明年度においてできるだけ善処いたす所存であります。
  67. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 他に本件に関する発言がなければ、本件に関する質疑は本日はこの程度にとどめておきます。     ―――――――――――――
  68. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 次に、黒磯町のガス中澁事故及び一酸化炭素中毒症対策に関する件について調査を行ないます。  まず、黒磯町のガス中毒事故に関し、政府より報告を聴取いたします。村上政府委員
  69. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 去る七月八日午後三時ごろ、栃木県黒磯町木野俣農業用水路ガス中毒災害の概要について御報告申し上げます。  この報告の概要はお手元に印刷物として差し上げてございますが、この事故が発生いたしましたのは黒磯町大字百村字木野俣の農業用水隧道内でございまして、この隧道の長き約七百メートルの隧道の下口から四百九十一・五メートル付近の落盤した土砂を、谷黒組の労働者四名と土地改良区組合員五十七名が土砂を除去しておりましたところ、照明のため坑内に持ち込んだ、運搬ができる可搬性発電機のガソリンエンジンの排気ガス中の一酸化炭素によりまして、入坑中の人々が中毒にかかり、次々に倒れた。その結果、二十五名という多くの死亡者を出し、いまなお入院中の患者が十五名というまれに見る大規模な事故となったのであります。労働省といたしましては、災害発生後直ちに、災害原因の調査、被害者の医療対策に当たらせるために、本省から労災防止対策部長ほか専門官三名を派遣し、栃木労働基準局長以下担当課長を現地に派遣いたしまして、調査及び医療対策に当たらしめたわけであります。さらに七月十日には労働大臣が災害現場を視察され、かつ被災者を見舞われたのであります。  労働省が講じました医療対策といたしましては、この事故の発生につきまして報告を受けましたので、直ちに専門医を派遣すると同時に、一酸化炭素中毒に効果があります高圧酸素治療移動式タンクを急送したことでございます。専門医の派遣につきましては、関東労災病院、栃木硅肺労災病院及び福島労災病院から三班、十五名の医療団を派遣した次第であります。治療機械の運搬につきましては、何ぶんにも非常に大きな高圧酸素治療移動式タンクでありますし、輸送にも種々困難がございますので、航空自衛隊の応援を求めまして、輸送機でこの移動式タンクと医師五名、看護婦三名、オペレーター二君をこれに同乗せしめまして現地に送らせ、治療に当たった次第でございます。なお、災害直後、救急薬品約十万円相当分を送付した次第であります。この派遣した医療班及び高圧酸素治療移動式タンク等の使用につきましては、新聞紙上等にも報道せられておりましたので、省略させていただきたいと思います。  労働省といたしましては、一酸化炭素中毒にかかりました患者の治療に当たると同時に、さらに健康診断を行なう必要があるのではないかという観点から、黒磯町長に勧告をいたし、黒磯町当局は九州労災病院等の応援を得まして、入坑者につきまして健康診断を行なった次第であります。  なお、本災害の原因となりましたガソリンエンジンの排気ガスによる中毒につきましては、労働省といたしましても、この極災害が発生することが予想されましたので、栃木関係におきましては、大田原労働基準監督署におきましては、去る二月十五日に、井戸に設けたガソリンエンジンの排気ガスによる中毒について講習会を行なった次第でありますが、本件に関係あります谷黒組の担当者諏訪但もこれに出席聴講したという事実がございます。  この災害発生後、二十五名にのぼる多数の犠牲者の遺族に対しまして見舞いないし補償といった問題がございます。労働省といたしましては、一方、労働基準法及び安全衛生規則違反等の問題がございまするので、労働関係の存否を中心にいたしましていろいろ調査を進めてまいったところであります。しかるところ、本工事を施行いたしました谷黒組と死亡されました農民の方々との労働関係の存否につきましては、なお不明確な点が多く、目下調査を続行中であります。本件につきましては、労災保険法を適用し、労災保険法による労災補償を行なうべきであるという意見あるいは要望もございました。しかし、労災保険法の適用の基礎となる労働関係の存否につきまして、ただいま申し上げましたように不明確な点が多く、なお調査中でございますが、かなりの困難が予想される現状でございます。労働省といたしましては、そのような点につきまして鋭意調査を進めておりますが、一方この被災遺家族に対しまして何らかの措置が講じられないかという要望がございますし、本件のような多くの犠牲者を出した問題につきまして、適切な措置を講ずる必要ありという大方の意見もございまするので、目下関係省と連絡をいたしまして、どのような形になるにせよ、何らかの措置を講じたい、こういう観点から鋭意検討をいたしておるような次第でございます。
  70. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 本件に関し質疑のある方は順次御発言を願います。
  71. 森勝治

    ○森勝治君 ただいま黒磯事件について御説明があったわけでありますが、この事件はまことにお気の毒と申し上げるよりほか言いようがないわけであります。  大臣も現地をつぶさに視察されたそうでありますから、もうすでに当該事件については熟知されておるだろうと思うのであります。私も現地に参り関係者から事情をお伺いし、さらにはこれらなくなられた方々の自宅へ参りまして御焼香をしてきたものの一人でございますが、いまの説明にもありましたように、これは明らかに私は労働災害ではなかろうかと思うのであります。もちろん、雇用形態についてもろもろの論議がかもし出されるところであろうと思うのであります。それは雇用形態において明確性をやや欠いている、こういうお話でありますけれども、いずれといたしましても、この工事を施行いたしましたのは谷黒組という土建業者でありますから、これは土建業者でありますならば、五人以上は強制適用事業でございますから、当然この関係法律というものは熟知しておらなければならぬわけであります。ところが、不注意と申しましょうか、私はこの前の当委員会でも三池炭鉱事件についても、一酸化炭素中毒事件についても指摘をしたところでありまするが、いずれの工場事業場の使用者といえども法を守らなければならないことを十分承知しておりますけれども、その対策はややもすればなおざりにしがちであります。特にいま局長が後段でお話がありましたように、この手元に参りました概要説明書を見てもわかりますように、すでにこの危険物の講習ですね、災害防止の講習会を行なったときには当然この会社から担当者が出てこれを受講しておったということでありますならば、明らかにこれは工事会社の怠慢と言わざるを得ないのであります。  したがって、こういう問題について、これはこのことばかりでなくして、いま申し上げたように、三池炭鉱の場合においても十分いわゆる安全衛生の面については留意したと会社側は言っているけれども、当時は組合側から明らかにその粗漏ぶりを指摘し、改善方を要求しておるやさきに、ああした痛ましい事故が起こったという現実から徴しましても、さらにまた本件の具体的な事例を見ましても、当然ここの工事を施行するにあたっては、そうした災害防止の万全を期して工事にかからなければならなかったと私は思うのでありまするが、どうもこの経営主の事業のこうした配意というものが、ややもすれば、労働省指導の立場からいうと、私どもはあえて手ぬるいという表現は用いませんけれども、どうも労働者のいろいろの責任追及については非常にきびし過ぎはせぬかというふうに私ども考えるような措置を労働省はとろうとしておる。ところが、一方経営者側がこうした全く労働者の責めに帰すべからざる、経営者がほんとうに労働災害に対する法の知識を十分活用し、法を守っておれば、こういう災害は起こらぬにもかかわらず、経営者の一方的な職務怠慢によって二十五名という労働者がとうとい生命を失ったという現実の姿を見るならば、これからも、これは起こらないことを私は念願とするのでありますが、これからもこういう問題が当然波及せざるを得ない、起こってくるような疑念を持つわけであります。いわゆるおそれを抱くものの一人として、私は大臣に、この際基本的な問題についてお伺いしたいのは、一体労働災害の問題について、所管省でありまする労働省、さらにこれを主宰いたしまする大臣として、従来のように、せっかく御努力願っているだろうというふうには理解をしたいのでありますが、現実に次から次とこういう問題が、労働者の責任にない、経営者の全く一方的な職務怠慢というふうな形で労働災害が起こるということは非常に嘆かわしいので、こういう問題について今後どう措置をされるのか。さらに、本件について気の毒だ気の毒だと言われても、それだけではやはりなくなった方は浮かばれないし、遺族は救済されないことは当然でありますので、そういう問題についても当然今後の措置があってしかるべきだと私は思うのでありますが、ひとつ大臣から御見解を承りたい。
  72. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) まずもって、今回このような痛ましい事故が発生いたしましたことは、まことに残念しごくのことでございます。私どもといたしましては、今後かかる事故が起きないように、行政指導面においてももちろん万全を期さなければならないと思います。  ただ、一般的に、今後どうするかという、まず第一問でございますが、私はいつも申しておりますように、事故の発生についての第一次の責任者は、これはあくまでも使用者、業者であると、こういう考えを業者の方々に強く認識をしていただかなければならない。もちろん、行政官庁として、政府がその間指導監督に万全を期さなければならぬことはもちろんでありまするが、いかにその万全を期しましても、業者自身がみずからの責任というものをほんとうに認識し、またその認識に立った実践というものをしてもらわなければ、私はとうてい指導監督だけではこれはできない、人さまに頼まれたからやるのだ、監督されたからやるのだというような、やむを得ずやるのだというような考え方はぜひ払拭をしてもらいたい、かように私は考えておるのであります。  今回の事故について見ましても、先生からいまお話がございましたとおり、この種の災害の防止のための講習会等も所轄の大田原基準監督署において二月にやっておりまして、この工事の監督者であった者もこれに現に出席をし、受講をいたしておる。のみならず、事故の原因となりました発電機につきましては、その使用上の注意なども、ちゃんと発電機に使用注意書きが取りつけてあった、こういうことでありまするから、これら講習から得たところ、あるいは発電機自体に書いてあった注意、こういうものを当然守らなければならないにもかかわらず、それを守らずにこの種の事故を起こしたということは、私はほんとうに返す返すも残念でたまらないのであります。私も現地に参りましたが、とにかく発電機を持ち込まないにしても、あの全く狭い隧道に六十数名の者が入って作業をしたというようなことは、第一印象として私はよくこんなことをしたものだと、実に率直に申して私はそういう印象を受けたのであります。  したがって、そうは申しながら、事故は現に起きたのでありますから、それを繰り返しておってもしかたがございませんが、いずれにいたしましても、行政指導の面では、今回は幸いこの講習会のところへ幹部、監督が出てきておったのですから、今回の事故に関する限り少なくも労働省のこの指導なりが至らなかったと言われるこの筋はないと、かように私は思いますが、しかし、今後どこでどういう事故が起こるかわかりませんから、これはあらゆる方途を講じて、十分指導なり監督なりには努力をいたす所存でございます。  それと同時に、今度の問題から直接考えられますことは、とにかく労働関係というものが不分明である、なかなか明確になりにくい、こういうことに問題が特に補償との関連においてもあるわけですが、私はこれもざっくばらんに申しますが、従来のこの種の作業についてのいわば義務人夫と申しますか、そういう方法でのやり方、これは農村等にはずいぶん慣習的にもこれはあることに違いございません。また、それはそれなりにいいところがございまするが、むしろ事故というものは、考えますと、こういった労務の提供のしかたというものについても、どうしてもこれは再検討を要するのではなかろうか。このことについては、農林当局からもあるのですが、事件後いち早く労働省と農林省で、ぜひひとつ研究してもらいたい、こういうことで実は申しておるのであります。逆にまた、現在のようないわゆる義務人夫式なやり方で存置いたしまするならば、私はそういう部面についての明確な補償制度というものを新たに法的な措置を講ずるとかいずれかをしないと、今後この種の災害が起きた場合に、どうもまた同じような問題を繰り返すことになるのではなかろうか、この点を心配をいたし、またそれについての研究を事務当局にも指示しておるところでございます。  それから、補償の問題でございまするが、これにつきましては、ただいま局長から、労働関係の有無についてどうも不明確な点が多い、これを立証することが至難の状況であるということを申し上げました。そこで、先生は、これはもっぱら労災保険でいくべきである、労働関係はあったものと見るべきである、こういう御主張かと思いますが、私どもも、できるだけそういう立場で問題が処理できますならば、一番これはよろしいし、御遺族の方々の意なりあるいは各方面の御要望にも沿い得るわけでございますが、しかしながら、やはり私は、現在の労災補償法、いやしくも法によってこの補償をするという立場をとっている以上は、いかに私どもが運用についてできるだけの考慮をいたすといたしましても、そこにはやはり一定の限度が起こらざるを得ない。そういう点からいたしまして、実はまだ保険でいけないという結論に達したわけではございませんが、どうもこの点は至難である。しからば、最終的にもどうしても保険でいくことは法のたてまえ上無理だという結論に達したときにどうするか、こういう点を考えて、私はやはりこれにかわるべき方法というものを何かあわせて当然くふうしなければならぬ。これは先般来の衆参両院における総理の答弁からしても当然でございますが、私は特に事務当局に指示をいたしまして、また、特にこれは労働大臣、自治大臣とも相談をいたしまして、何らか、保険でいけないという結論になったときには、しからばこれでいくということが考えられぬだろうか、ぜひそれにひとつ協力をしてやってほしい、こういうことで、農林当局でも鋭意その線に沿うて御検討をいまいただいておるところでございまするし、また自治省においても、これまたその線においてともどもいま検討を願っておるところでございまして、労働省調査の結果が、どうしてもこれは保険でいくのは幾ら考えても無理なんだ、こうなる以上は、私はやはりその際は、しからばこれで、少なくとも基準法で定められておるこの一時補償金の程度のものは、何らかの形において国あるいは県等の力を合わせてでもこれはぜひやることにしたい、こういうことで、いませっかく鋭意検討をしておるところでございます。遠からず、というよりもむしろ私は、ぜひこの一両日のうちに結論を何とか出したい、こういう考え方で臨んでおるわけであります。
  73. 森勝治

    ○森勝治君 疑問だとおっしゃるけれども、疑問だというのは、雇用関係が成立されているかどうかということが疑問だと大臣局長もおっしゃったが、私はそれは精査された上での御発言だとは思っておらぬのです。なぜかと申しますと、七月の一日に谷黒組から人夫を出してくれるようにという要請があり、当該木野俣用水改良区で理事会を開きこの申し出を受け、そしてその後この事件のようなことがあったのですが、その際人夫の雇い入れについては口頭で監督署へ届け出したという申し出があり、当該県の局長も、私どもも当時黒磯に参りましてお伺いいたしましたところ、谷黒組の常用職員についての届け出は事前に受けておりました、こういう御回答をいただいておるわけであります。そうなれば、過去の実態からおしはかってもわかりますように、当然当該改良区内の農家の方々が人夫として雇用されることは、もう過去の実態からも明らかであります。当然これは事前に、それならば、農家の方も臨時人夫で入っていくのだから、そういう事態がもうかねてからこれは心配されたところでありますから、したがって、そういう点についても、基準局あるいは出先の監督署で事前に十分注意がなされるのが私は正しいあり方だと思うのであります。もちろん、雇用形態の点はつまびらかでないと言われるのだけれども、現実にそういうふうに届け出が口頭であり、これを了承しているのだから、その時点で、もう少し一歩進んで積極的な安全衛生の面の、工事災害を未然に防ぐという積極性がいま一歩もしあったとするならば、そういう点にも監督署から、準備体制万怠らないよう、こういう指導がなされただろうと思うのでありまするが、その辺のところは、出先の方がおいでになっていないからわからぬでしょうけれども、とにかく当該の係官はそうおっしゃっておられるので、この点、本省ではどういうふうに受け取っておられるのか、ひとつ局長からお答え願いたい。
  74. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 監督害に届け出がありましたというのは、次のような関係であります。それは基準法の適用関係というよりも、労災保険の適用関係の問題であります。いわゆる小工事につきましては、そのつど労災保険関係、適用関係を成立させるというのが手続上非常に煩瑣でございますから、一括加入方式という方式によりまして適用関係を成立させております。そうして小工事、たとえば都内でもあの舗装をひっくり返して簡単な工事をしております。その工事ごとに保険関係を成立させる手続をするのはたいへんでございますので、一括、年間これこれという規模で一括加入しておきまして、工事を始めますときに、どこそこで工事を始めますよという通知をするということになっております。その通知が口頭でやり、そうして事故発生当日に書類で届いたというのでありますが、その通知というのは、どこどこで工事するという通知であり、しかも提出された書類の内容も、労働者を何人使い、あるいは請負工事の金額は幾らであるといったようなことは記載されておらず、いわば工事開始の通知といったごく簡単なものであったわけであります。したがって、当該事業場と労働関係が成立しておったかどうかということは、その通知だけからは判断できないわけでありまして、個別に判断せざるを得ないということになります。
  75. 森勝治

    ○森勝治君 それでは、さらに進んだ御質問をしたいのですが、この事件の起こった二、三年前、すなわち昭和三十八年だと思うのですが、同じように当該用水が故障を起こした事件がございます。そのときには、雇用形態はちょうどこの事件が起こったような形態で、事後の承認ということで事態を処理し、人夫賃を払ったという記録がございます。これは県でも認めているわけだが、そのときも工事を処理したあとで人夫賃を支払い、諸般の法的手続を完了したわけです、工事終了後に。そうなりますと、農村の慣行として、これは農林省も来ておりますから、その辺のことは農林省の方にあとで聞きたいと思いますが、農村の慣行として、手続をあとにして、まず仕事を完了する。その着手時点で事故が起こったわけでありますから、なるほどその時点から見るならば、法的な措置は未了でありましょう。しかし、昭和三十八年のこの同一場所における同種事業、同じ種類の災害復旧の問題については、先に仕事をやって、後日人夫賃をということで払っておる。これが明らかになっておる。そうなれば、この事件が途中で不幸にも惹起されましたが、これが無事完了の暁には前例に従って当然これは人夫賃も支払われてしかるべきだ、こういうごく素朴な常識論が出てまいるわけであります。ですから、全然この雇用関係が成立しないのじゃなくて、過去の、特に国会は何とか先例とか典例とかということを重んずるところでありまするから、私もそういう立場で発言したいと思うのでありますが、過去にそういう実態があるならば、この事件が無事解着の暁には、そういう法的な事後の措置がとられるであろう、こういう推定が成り立つわけであります。これを善意なものとして理解をいただくとするならば、当然これは、実態上における雇用契約というのは、すでに前例にならってこれはでき上がっておるんではないか、こういう広義な解釈もまた成り立つわけであります。その辺のところは出先からどういう報告を受けておられるか知りませんが、その点についてひとつもう一度局長からお答えをいただきたいと思います。
  76. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) はなはだ残念ですが、御指摘のケースは別な結論が調査の結果出ておるのであります。それは、三十八年の工事におきまして、土地改良区から農民六名に対して賃金を支払ったという、土地改良区の常設委員からの供述を得ております。しかし、三十八年の工事におきましては、工事の内容を二つに分けまして、坑木用木材の伐採と運搬は土地改良区が担当する、それから坑木の組み立てば建設業者である臼井組が担当する、こういうふうに分けまして、賃金が支払われた云々という問題は、その土地改良区の坑木用木材の伐採及び運搬をしましたその者に対しまして、この場合は土地改良区のいわゆる義務人夫としてではなく、土地改良区の労働者として農民に仕事をさしたという立場から賃金を支払ったものである。そしてそのことにつきましては、当時の理事会において賛金支払いについての決議をいたしておるという事実をつかんでおるのでございます。  で、この場合、労働関係があるかないかという問題につきまして、谷黒組とこの農民との間に労働関係があったかどうかという問題につきましては、ただいまの昭和三十八年の工事の例からは直ちに判断することは困難であろうと思います。むしろ、今回の場合においては、土地改良区と谷黒組との担当分野などというものはすこぶるあいまいでございまして、この区別が三十八年の場合のようにはなされておらない。それから、賃金支払いの決議もなされていない。しかも、いろいろな慣行や関係者の供述等をもとにして判断いたしますと、むしろ従来の義務人夫の場合と同様な方法手続によって招集されたといったようないろいろな関係が出てまいりまして、前例云々という点につきましても、私どもは、先ほど大臣が仰せられましたように、できるものなら適用関係ありという判断をしたいのが気持ちなんでございまして、いろいろそういった点を調べましたが、一方におきましては、補償問題だけじゃなくて、労働基準法違反という刑事事件にもつながる裏表の関係がございますもので、労働関係の存否につきましては法的な観点から明らかにせざるを得ないという観点で調べておるような次第でありまして、以上の関係、三十八年の関係は以上申しましたとおりであります。
  77. 森勝治

    ○森勝治君 私どもは、いま委員長席にすわっておられます藤田さんと私と、その点についてはこの耳で聞いてきたわけであります。当時栃木県の農地部長ですか、農林部長も立ち会い、労働省の出先では栃木の局長、所轄の大田原署長がその席上で私にそういうことを説明されておるわけであります。ところが、今度ここに来てから、そういう関係は全くないと言われたのでは、一体どなたの発言を信用するか。私どもは役場で聞いたのです、当該県の農林担当の部長その他の方、役場の方、また労働省がいま申し上げたように基準局長、監督管長、その立ち合いで。いま臼井純というお話が出ましたが、そういうお話は私どもは聞いておりません。谷黒組とそういう雇用形態を結んで出しましたと。これが男八百円、女五百円という数字の説明が当時なされたわけであります。そこで、私どもは、そういうことであるならば、もしこの賃金が当時と同じ、変わらないものと仮定いたしましても、男八百円、女五百円という数字が出るならば、労災法を適用するならば、すなわち千日分ですから、男性において八十万、女性において五十万という数字が出るのではないか、前例に照らして。今度のことは事後措置ということでありますけれども、前も事後措置であるならば今度もで奉るのではないかと質問しましたら、もう少しよく調べて検討しましょう、こういうお答えであったわけであります。ところが、いまのお話ですと、だいぶん隔たりがあるので、私のほうの不勉強なのかどうなのか、おそらく私たちの言うのも労働省の言うのも同じだろうと思うのですが、労働省の出先の権威である局長が列席の席上でわれわれに説明されたことがこの席上で全く違ったお答えになると、私はどうも全く合点がいかないので、私の不勉強のなせるしわざなのか、何か報告の行き違いなのか、その点をひとつ教えていただきたい。
  78. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 私が御答弁申し上げておりますのは、現地の労働基準監督署、栃木労働基準局などで調査いたしました最近のものを基礎にしておるわけであります。事故の発生当時、いろいろのお話があろうかと思いますが、労働関係の存否につきましては、現地の労働基準局なりあるいは労働基準監督署での発言はかなり慎重になされたものと存じておりますし、一応私ども先生方が現地で取りかわされたお話内容もあらましでございますが承っておるような次第でございます。で、ただいまお答えしました三十八年の工事のように賃金支払いが決議されておるとか、あるいは男七百円、女五百円というふうに支払われまして、決算も明らかであり、受け取り書も明らかであるといったような証拠なりあるいはそういった慣行を裏づけるようなものがありますれば、これは私ども初めから労災保険法の適用なしという判断よりもむしろ何とかして適用ないかといったような気持ちで調べておるのでありまするから、事柄をしいて曲げて労働関係なしというような判断はまあ実はいたしたくないわけでありますが、遺憾ながら、判断をいたしますためには、関係者のこう思うとか、こうであろうとか、思う、であろうという話だけでは供述としても証拠になりませんので、従来どうしたか、どういう決定があったか、理事会の決議はどうであったか、通知はどうなされたかといった、思うとか、であろうでなしに、判断の材料として信憑性のありますものを中心にして実は判断を加えておるような次第でございます。  したがって、同一人についても供述が変わってくる場合があります。たとえば谷黒組の責任者の供述が、労災保険法の適用があるようにするといったような供述をするかと思いますと、今度は、たとえば坑内労働については労働基準法の違反の問題があるといったようなことに思いをいたしますと、いや、女が来るとは思っていなかったんだが、しかし義務人夫で出されたものだから、会社としては選択権がないので義務人夫だから使ったといったような、いわゆる供述にいたしましても、事柄が違いますと、かなりニュアンスの違った発言があるということで、いろいろな角度から私ども尋ねまして、いわゆる事実確認、証拠調べの正確を期しておるような次第であります。
  79. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 一言だけ言っておきますがね、あの隧道工事は、ほかに業者がたくさんあるけれども、谷黒組以外に請負業者がないので、自然的に谷黒組に全部工事をやらしてきたというような、町議会、農林省の出先、皆さん一致しての意見だったけれども、いま、ほかの業者が何かやったというような話がある。だから、そこのところはちょっと違うのじゃないですか。お調べになったというのだからお調べになったことがあると思いますが、私どもに口をそろえて言っていたことはそういうことでしたけれどもね。
  80. 森勝治

    ○森勝治君 時間がございませんから、その問題も私どもはもっと質問したいところでありますが、まああとの問題に譲って、たとえば、いま局長が後段でいみじくも言われた女性の問題ですね。女性の問題は、これはもうちゃんと法の定めるところで、禁止でしょう。こんなことなんというのは、もう人を使う立場ではっきりわかっているわけでしょう。たとえ百歩譲って――百歩も二百歩も譲って、義務人夫にもせよ、労働者として、行政適用事業ではそういう当該の場合でも女性は使えないようになっている。と同時に、義務人夫でも使えないことになっている。それを、一片の疑念もなく、あるいは懸念あったのかもしれぬが、使ってしまった、事故が起きたということでは、これは明らかに谷黒組の失態、法規違反は明らかでしょう。人夫だから男女の別、選択の別を与えられないなんということをもし業者が言ったとしたら、それは即刻業者としての資格はもうないもの、ましてや、二月に当該地方で安全災害ですね、そういう問題の講習会を開いた直後だということであるならば、そんな申し開きは立たないはずであります。こういう点は、一体労働省はどう考えておられるのか。それはもうお答えいただかなくても、これは明らかなところでありまするから、私は申し上げただけにして、時間がございませんので、(「ただしたほうがいいよ」と呼ぶ者あり)じゃ、ひとつその点答弁してください。
  81. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御承知のように、労働基準法は労働関係があるものについて適用されるわけであります。したがって、女子労働者を坑内に入れたかどうかという問題につきまして基準法の適用関係ということになりますと、労働関係が成立しておったということが法律判断の基礎になるわけでありまして、もちろん道義的責任その他いろいろな責任はございましょうけれども、労働基準法違反かどうかというのは、あくまでもこれは労働基準法適用事業につきまして、しかして労働者について適用されるわけであります。まあ法の形式的解釈と申しますか、そういったふうな印象を受けるかもしれませんが、かりそめにも、当該労働者につきまして労働基準法違反があったかどうかという点につきましては、労働者であったかどうかという基本的な関係をただす必要があるわけであります。そういう意味で逆に、義務人夫だからだれかれを選択する余地がないので入れたと、こういうような発言自体もあったということを一つの例として申し上げたわけでありますが、そうすると、むしろそういう発言は労働契約関係の成立というものを考えていなかったというような証拠にもなり得るわけでございます。  いずれにいたしましても、農民の割り当てにつきまして、きょうは何区、きょうは何区といったように理事会で組ごとに割り当てておった。そして出る農民も自分の働く使用者はだれで賃金は幾らでとかいったような意識がなくて、従来の義務人夫として出たといったような供述があり、かつ、断わると次の機会には優先順位、一番早く回ってくるから、どうしても出なければいけないのだといったようなことがあり、従来の夫役と解されるようなものが多いので、私どもとしては法律解釈に非常な困難を感ずるのが実情であります。
  82. 森勝治

    ○森勝治君 どうも労働省の立場を守ってくださると思っておった当該局長から、労働者の権利を狭義に解釈されたお話をいただくとは、私もまことにいまのいままで知りませんでした。まことに残念の至りであります。この点について、婦人局長が参っておりましたら、さっそく質問したいところでありますが、時間もございませんから、あとでこの点はゆっくりひとつ博識ぶりをお伺いすることにいたしましょう。時間がございませんから、したいところですが、やむを得ません。  そこで、農林省のほうにお伺いしたいのでありますが、この木野俣用水改良区というのは、いつからできたのでしょうか。農地局長、ひとつ教えていただきたい。
  83. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) この木野俣川の土地改良区でございますが、問題になりました隧道を含めました用水路の建設が非常に古くて明治三十年代でございます。したがいまして、普通水利組合も古く設立されておったわけでございますが、事故のありました隧道は、後にその用水路が改修されまして、大正七年に隧道になりましたわけでございますが、この普通水利組合も、土地改良法の設立に伴いまして、昭和二十七年の四月に土地改良区に組織が変更されたものでございます。
  84. 森勝治

    ○森勝治君 いま明治三十年というふうにお答えをいただいたのですが、明治二十六年の間違いではないでしょうか。当時、君島辰五郎という村長時代につくられたわけでありますが、だいぶ年代が違うのでありますが。
  85. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私どもが調べておりますものは、明治三十六正から三十七年にかけましてこの用水路がつくられましたけれども、問題になっております隧道は、最初は隧道ではございませんで、山のすそをめぐる開渠でございました。しかし、落ち葉がたまったりあるいは土砂がくずれたりしまして水がよく通りませんでしたので、大正七年に燧道に変わったというふうに調査の結果はなっております。
  86. 森勝治

    ○森勝治君 恐縮ですが、いま前段で言われた年度をもう一度おっしゃってください。
  87. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 明治三十六年ないし三十七年でございます。
  88. 森勝治

    ○森勝治君 そうすると、また十年の違いが出てくるのですが、こんな数字のことで恐縮でありますが、あなたのほうでこれが始まったのが明治三十年とおっしゃっているわけですね。そこで、私のほうは明治三十六年から始まったのではないかと言ったら、これは日露戦争の前ですね、前年ですね、明治三十六年というと。そのころから始まったと今度はおっしゃったのですね。その点、もう一ぺん、私が勘違いかどうか、ひとつ教えてくれませんか。
  89. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私が申し上げておりますのは、明治三十六年から三十七年にかけまして建設された水路でございます。
  90. 森勝治

    ○森勝治君 そうすると、時間がありませんから、数字でやりとりはいやですが、一米最初に三十年とおっしゃったから、三十六年ではないかと申し上げたら、三十六年から七年だとおっしゃったので、私、奇異に感じて質問したのです。
  91. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私が最初に申し上げましたのは、いかにも古い時代をこまかく申し上げるのもいかがかと思いまして、明治三十年代と申し上げたのです。それをあとで正確に三十六年から三十七年というふうにいたしたわけでございます。
  92. 森勝治

    ○森勝治君 その建設の時期はですよ、私は村に参りまして、その当時のことをよく知っている人に聞いて、いまの改良区の組合長さんに実はお伺いして、役所の記録ではそうなっているけれども、役所というのは全く困った、記録がなければ発言しないで困ったといって、阿久津さんという改良区の理事長さんが私にこぼされた。その人のお話ですと、明治二十六年が正しいと。しかし、こんなことで論争をしても事件の解決になりませんから、そのことは慎みまして、その次に移りたいと思うのであります。  ほかの問題もそうでありますが、特に農林関係の仕事は、こうして農地、農道、あるいはまたその他の事件について事故が起こる、そうすると、緊急な場合には本省に連絡せずとも、予算をとらずとも、応急措置をしてよろしい、その工事をしたという実態の証拠さえあれば、あとで補助金は出すということになっておりますね。そうですね。だから、これも七月八日に当該改良区が県に出し、九日に県の改良課から農林省に設計書とこれを持ってきて申請をしたわけですね。そうすると、農林省の解釈では、八月でなければ査定ができないということですね。八月は、もうすでに早いところでは稲の穂が出ているところもある、御承知のとおり、わせはね。そうすると、八月ということではかんがい用水の間に合いません。どうして、こういう苗しろの、こういう田植えの大切な時期なのに、八月でなければ査定ができないというような農林省の手ぬるさというものは、一体どこから来ているのですか。
  93. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども、今度の事件に関係いたしまして、いまのような御質問をよく受けるわけでございますけれども、私ども長年災害復旧の仕事をいたしておりますことですから、そう災害復旧に間に合わないような仕事は実はいたしておらないわけでございます。災害復旧関係では、農地、農業用施設につきまして、平年で二万件以上、昨年では四万五千件ぐらいの災害の事故がございます。したがいまして、査定をいたします場合にも、まず事業主体、この場合は土地改良区でございますから、事業主体が細密に計画を立てて否定をいたさないと、私ども国費のむだ使いを戒めておるわけでございますから、厳重な査定はいたしかねるわけでございます。したがいまして、災害が起こりましてから査定までは通常一月あるいは一月半かかるわけでございますが、それでは農地あるいは農業用施設の効用が十分出ない場合が当然起こりますから、いま先生が言われましたように、まず災害が起こりました場合は、査定を待たないで応急工事はおやりになってもけっこうですと、その分については適正な工事でありますれば、現場写真等をとらすように指導をいたしておりますから、あとで補助対象にいたします。それから、災害の本工事でありましても、できるだけ急がなければならないような場合、急がなければ作付に間に合わない、あるいは来年の作付に間に合わないというような場合は、査定前に本格的な着工ができるような制度をつくっております。  この木野俣川の事故につきましても、関東の農政局の査定は八月でございますけれども、県が関東農政局と相談をいたしまして、たしか七月の九日に相談をいたしまして、翌日から本格的な事業をいたすことになっておったわけでございます。したがいまして、査定は全体をにらんで厳密にやらなければなりませんから、ある程度事故が起こりましてから若干の時日が経過するわけでございますけれども、査定の前に必要な応急工事あるいは本格的な工事もいたすということで、現在災害復旧工事を円滑に進めておるわけでございます。
  94. 森勝治

    ○森勝治君 いま、九日に本件のことを許可するということを当該栃木県と農林省できめたとおっしゃるけれども、そういうことは知らないといって当時新聞に発表しておるのですよ、当該県では。いいですか。そういうことは知らないと。農林省に預けっぱなし、まだ許可がおりないと発表しているのですよ。それじゃ、責任転嫁になるんじゃないですか。
  95. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 当時の新聞の記事は詳細存じておりませんけれども、七月の九日に県の係官が関東農政局と相談するというスケジュールになっておったわけでございます。
  96. 森勝治

    ○森勝治君 じゃ、決定じゃなくて未定ですね、スケジュールになっておったそうだということでありますから。それ以上私は触れません、時間がありませんから。  そこで、はしょって質問いたしますが、農民を守る立場の農林省として、この事件をどう考えておられるか、どう救済をされようとしておるのか。聞くところによりますと、労働災害ということであるならば、それは労働省の所管であるから、労働省の結論を待って措置しようというふうに聞いておるわけであります。ところが、私どもから見ますならば、農民の立場を守る農林省が、本件については最も積極的であるべきだという理解を持つものでありますけれども、一体、農林省が労働省とどのような相談をされて、この農民の、なくなられた遺族の方の救済をどう考えておられるのか、ひとつその辺についてお伺いしたい。
  97. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども、今度の災害につきまして、はなはだなくなられた方々はお気の毒でございますので、農林省としてもできるだけのことをいたすつもりでおりますけれども、まず第一次的には、私は労災補償の適用があるかどうかということをやっぱり詰めるべきだと思います。そうしてそれを詰めた上で労災補償の対象になれば、これは御遺族に対する補償ということになるわけでございますが、不幸にしてあるいはかりに労災補償の対象になりがたい場合は、これは農林省といたしまして、各省ともよく連絡をとりまして、早急に御遺族の援護について結論を出すようにいたしたい、そういうふうに考えておる次第であります。
  98. 高山恒雄

    高山恒雄君 私も栃木県の黒磯の一酸化炭素罹災者に対する問題でお聞きしたいと思うのですが、先ほどの報告を承りまして、この被害が起こった現実に対する臨時処置と申しますか、そういうものに対してはすみやかにやっていただいて、この点は非常に手抜かりのない方法でやっておられると感謝申し上げたいと思いますが、問題はこの報告書にもございますように、六十一名というこの方は、ほとんど一家の柱になる人である。この点は非常に重要な問題だと私は考えるのであります。  そこで、いままでの森委員の質問にお答えになった経過から申し上げますと、どうも労災法の適用にならないのではないかという見解労働省としては強いようです。全くの疑義があるという点は、雇用関係がどうかということが主題になろうかと、これは私もその点はそう考えます。しかし、それで逃げる手はないと私は思うのであります。  そこで、私は労働省に聞く前に、農林省の局長に聞くのですが、一体、この土地改良区ですか、こうした改良区が、口頭であろうと文書であろうとも、契約なしに工事を始めるということはないわけです。たとえて申しますならば、谷黒組と契約があって、口頭でやったかあるいはまた書類でやったかわかりませんけれども、契約があって初めて工事をやるということになると思うんですね。したがって、その契約の点ではどうなっておるのか、この点をお聞きしたい。
  99. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども調べ得る限り調べたわけでございますけれども、土地改良区と谷燃料との間で請負契約が明確に成立していたというふうには、なかなか私ども調査では行き届かない。それで、先ほどもお話がございましたが、三十八年に同じ隧道で災害がありまして、だんだん契約の変更がございまして、実際に作業をいたしましたのは四十年でございまして、四十年のときは谷黒組に請け負わせたわけでございまして、谷黒組に請け負わせたということで農林省は補助金を出しておるわけでございます。今回は、全体の復旧事業を谷黒組に請け負わせたということはどうも明確な証拠がない。あとは、その不幸な事態が起こりました事故は、隧道の中にどろが四十メートルばかりにわたって落ちましたので、農家の人が六十名隧道の中に入りまして、じょれんで一列になってどろをかき出す作業をやっておったわけでございますが、はたして土地改良区が本格的な工事を谷黒組に請け負わすその前段階で土地改良区が夫役でやったのか、あるいは全体の事業を谷黒組に請け負わせたのか、その辺は私どもまだ明確に結諭を出しておらないわけでございます。労働省の現地の調査を待っておる次第でございます。
  100. 高山恒雄

    高山恒雄君 そうなりますと、先ほどあなたは緊急を要する場合についてはこれはやってもよろしいということを承認されておるわけです。やってもよろしいということは精算払いだということです。そうでしょう。やってもいいという先ほどのあなたの答弁を聞けば、清算払いをするということです。したがって、精算払いをするということになれば、土地改良区からあとで要求が出た場合には必ずこれは支払われるわけです。その点がつかめないというのは、労働省がつかむのじゃないでしょう、これは私は農林省がつかむべきだ、こう思うんですが、その点どうですか。
  101. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども関係者数人現地に行きましていろいろ調査いたしました結果、御承知のように責任のある理事も事故でなくなられたというようなことで、書記は警察の調査を受けておりまして、その辺のなまのところがなかなかつかみがたいというのが現状でございます。
  102. 高山恒雄

    高山恒雄君 しからば、私お聞きいたしますが、過去に土地改良区におけるいろいろな災害というものが私は数十件あるような話を聞いておるんですが、災害法を受けておる人は、そういう事態は、いままでにも何回かあったのか、統計的なものがあればひとつ発表してもらいます。
  103. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) この一、二年で農業土木関係の事業の災害が相当ございますけれども、労務者を送り迎えするバスが落ちてけがをしたというようなことが大部分でございまして、今回のような隧道内の事故といたしましては、ことし三月新潟県の県営開拓パイロット地区の、直江津でガス中毒のために労務者が何人かなくなった事故がございますが、土地改良区の人が夫役に出てそれで死んでしまったというような事件は私ども承知いたしておりません。今回のような事件は全くまれなというより、むしろ初めての事件であろうというふうに承知いたしております。
  104. 高山恒雄

    高山恒雄君 そうなりますと、たとえば洪水があって、急激な激流にのみ込まれたというようなことがなきにしもあらずです。それはそれだけで、なくなった人は泣きづらですか。土地改良区の組合の者を緊急やむを得ずそこに招集して、堤防がいまにも切れそうである、その補給作業をやらなければならぬということが起こった場合、これは組合が招集するんですからね、その場合に公用に自分たちが出て、そうして激流にのまれて、なくなったというような場合は、これはもう死んだ人の泣きづらですか。
  105. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども、土地改良事業、災害復旧事業を含めてですが、工事を的確にやるということもございますし、それから経理を明確にするという必要もございまして、土地改良区自体の仕事にしないで、できるだけ業者に請け負わして仕事をやるように、従来から指導をしておるわけです。たまたま夫役の制度、これは農村の昔からの慣行でございまして、現金を出すかわりに夫役に出るということで、なかなかなくならないものでございますが、私ども二年ほど前に全国的な調査をいたしました結果によりますと、土地改良区で夫役をとっている土地改良区が全体の約七%程度で、昔に比べればずいぶん減っております。それからも、今後も、まあ農村の労力関係もございますし、それから夫役ということがなかなか農家になじみがたくなっておるということもございまして、夫役はだんだんに減っておると思います。現在も、調査によりますれば、夫役に出ておる仕事は、今度の災害復旧事業のような危険な仕事では大体ございませんで、水路をさらったり、あるいはみぞの近くの下車を取ったりする程度で、通常の維持管理の仕事が大部分でございます。それで、私ども土地改良あるいは災害復旧につきましては、そう危険なことというのも予想はいたさないわけですが、災害が起こって農民が死傷をするということがありませんように、いままでも注意いたしておりますが、今回の事件にかんがみまして、直ちに一応、地方農政局なりあるいは都道府県知事に遁逃を出して、十分な注意を促した次第です。
  106. 高山恒雄

    高山恒雄君 いや、私はね、質問した内容についてお答え願いたいんです。過去の慣例はよろしい。つまり、いかなる作業であっても、緊急やむを得ない処置に対してこの土地改良区の夫役が使われた場合、あとで精算するんでしょう。しないんですか、するんですか、私はそれを聞きたい。あとで必ず、請求をした場合には、それは支払いをするんでしょう。政府としては補助金を出すんでしょう。
  107. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 完全な夫役を徴集をするということになりますと、これは金銭にかわる夫役でございますから、あとで金を出すということはないわけでございます。いま御質問がございましたのは、おそらく土地改良事業あるいは災害復旧事業で、最初は夫役のような形だけれども、実際は雇用関係である、あとで請負業者から賃金の支払いがあって、土地改良区としてはそれを補助対象事業として農林省に申請をする、そういう場合ではないかと思います。そういうふうに補助申請がございます場合は、これは夫役でございませんから、形式的に夫役の形を始まる瞬間においてとりましても、実体的には雇用でございます。これは賃金として農林省は当然補助対象にいたすわけでございます。
  108. 高山恒雄

    高山恒雄君 どうもあなたの答弁はおかしいんだね。緊急やむを得ない処置の場合は、事後処理するとおっしゃっているんでしょう。そうですね。今度の場合も、緊急やむを得ないからやったんでしょう。届けも来ていないし、契約も来ていないし、何も来ていないから、今度はその谷黒組が中心になって、夫役で出たか何かはそれははっきりしませんけれども、そこを私はお聞きしたいのだ。いま出ていますね、これは。たとえて申しますならば、もし土地改良区の理事会においてそれを請求した場合には出すでしょうと、私は聞いておる。そのほかにも過去にそういう実例は緊急の場合はありましょうと。あんたは、あるともないとも言わない。あるでしょう。何もこの栃木県自体の、三十八年ですか、三十八年の黒磯の問題ではなくて、一般的にそういう問題はあるでしょうと私は聞いておる。緊急の場合やれとあなたはおっしゃっておるのだから。
  109. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私が申し上げておりますのもその点に関連をいたしておるわけでございまして、応急工事をやって、それから本工事にかかって、全体を業者に請け負わすという形で補助対象事業に出てくる場合もあろうかと思います。ただ問題は、今度の事故について労働関係があるかどうかということは、全体が終わってからのことでなくて、始まった瞬間を押えるわけでございますから、そこに労働関係ありやなしやという法律上むずかしい問題が起こりますということを申し上げているわけでございます。
  110. 高山恒雄

    高山恒雄君 いや、今度の場合はそういうまだ最終までの精算払いも何もしていないのですから、いま途中なんだから、それはむずかしいことはわかっておりますよ。私は、過去の緊急措置をとった場合にそういう実例はないのですかと、こう聞いておる。あるでしょう。なければおかしいですよね。あるでしょう。その点、あるかないかを言っていただけばいい。
  111. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) そういう場合もあるということを申し上げているわけでございます。また、土地改良区自体が応急事業でやる場合に、土地改良区が組合員を雇って事業をやる場合もございますから、その場合も証拠書類が明らかでありますれば、あとになって補助対象事業にする場合もございます。
  112. 高山恒雄

    高山恒雄君 そういう場合があったということはここで確認をしておいてもらいますが、しからば、今度の場合に農林省としては、六十一名の方は単なる夫役なのか、そういう認め方をきれるのか。少なくとも谷黒組というものが請負をして、それの応援の人として賃金も支払うべき関係のものだという解釈にならないのか。当然私はすべきだと思うが、その点はどうか。
  113. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私と申しますか、農林省の立場を申し上げますと、先ほども労働省からお話がありましたように、私はできれば今度の問題は労災補償の対象にしたい事件でございます。それが一番私は筋であろうと思います。ただ、労働関係ありということになりますと、先ほどもお話がございましたように、坑内で女子を使用したという問題がございますから、谷黒組の責任もございましょうし、谷黒組に人を世話をした土地改良区の理事の刑事責任の問題も出てまいるわけでございますから、結局、労働関係ありというふうに十分の立証ができなければこの問題は処置できないという考えでございます。したがいまして、気持ちといたしましては、あくまでも労災補償の対象にいたしたい事件でございますけれども、そういういま私が申し上げました点も考えて、やはり事実に即して客観的な結論を出さざるを得ないというふうに考えます。
  114. 高山恒雄

    高山恒雄君 客観的な処置をとるということは、私があんたを追及いたしておりますように、農林省としては事後の精算払いになる。したがって、事後の精算払いということは、この土地改良区が申請をするものについては該当者として支払いすべきだと、こういうことが成立すると思うのです。そういう事実が出てくれば、労働省のほうとしては当然、雇用関係の契約が口頭であろうとあるまいと、ほんとうの書類であろうと口頭であろうと、精算払いということになれば当然この災害補償の対象になる、こういうふうに私は断定しておるのだが、その点は農林省から積極的に私は認めてやるべきた。そうしないと――せっかくの緊急の処置というものの幅を認めておられるのだ、農林省は。そうでしょう。緊急やむを得ない場合にはその申請のいかんを問わず先にやれ。先にやれということは、緊急だから先にやっておるわけなんです。その事後に概算払いかあるいは精算払いということに、農林省はそれをいままで慣例としてやっておられる。これはこの黒磯の場合は、事後にこれから起こってくる問題、その問題、その途中において災害があった。その災害に対しての好意的な解釈は農林省としては私は当然とるべきだ。  夫役なるものを、いま農林省が考えておるような、昔の慣行の夫役なるものをいつまでも使っておるというその観念は私はやめてもらいたい。夫役じゃないのだ。少なくとも土地改良区の加盟しておる人が、緊急処置やむを得ないから、それを招集したから出た。もし出ない者に対しては何ぼかの、その人はみずからのその人夫代というものを払う資格も成立しておると思うのです、私は。その日に人夫に出なかった人は何ぼかの金を出さざるを得ないのじゃないかと思う、出た人は金は出さぬでもいいが。そういういままでの慣例があるのじゃないかと思うのです。もしそうなれば、当然私は農林省としてはその夫役というような考え方じゃなくて、精算払いという形で、それで今度の災害が起こったのだ、そのことを明らかにしていけばこれはいいのではないかと、私はこう考えるのです。その点はどう考えますか。
  115. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 先ほども申し上げましたように、災害復旧事業が全体が終わってからの整理の問題と、それから応急工事にかかったときの法律関係がどうかという問題と、私はどうも多少違うのではないか。しかも、先ほど申し上げましたように、私自身といたしましても、できるだけ労災補償の対象にしてほしい事件でございますけれども、労災補償の対象になるということと労働基準法関係の刑事責任と相伴う問題でございますから、そこのところは客観的な事実に即して判断をしないとならないのではないかというふうに思うのであります。
  116. 高山恒雄

    高山恒雄君 どうもその点はあんたの見解がおかしいのじゃないかと思うのだが、たとえば、この改良区のいろいろ理事会も開かれたという話も私は聞いておる。そのときに、過去にいろいろな災害があった事実もあるから、労災の問題はどうなっておるかということで理事会で話が出たら、谷黒組は労災保険のほうはだいじょうぶだという回答をしておるということを私は聞いておるのです。そうでしょう。そうしますなら、そういう災害を免れなくちゃいかぬが、万一のことがあった場合は労災保険という問題が成立しなければいかぬと。したがって、谷黒組がそれを口頭で請負をして、後日農林省に対してこの土地改良の応急処置の請求としてそういう方向で出せばいいじゃないかということは、これはだれが考えたって出てくる問題なんです。そういう過程があるのに、それを事後の問題だと。ところが、事後の問題でありますけれども、緊急やむを得ない処置には事後に精算をするという形になっておるでしょう、政府補助金というものは。事後に精算するということになっておる、補助金は。そうするならば、途中で起こったのだから、その過程は善意な解釈で成り立つじゃないか、また当然のことじゃないか、夫役という考え方をするのがおかしいじゃないかと、私はこう考える。その点をはっきりしておいてください。
  117. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) いま問題になっております事件につきまして、これは全然夫役でないというふうに結論を下すこともいささか無理ではないかと思います。私ども補助対象にするかどうかということは査定のときに判断をいたすわけでございますから、申請書、証拠書類等々をそろえた上で判断をいたすわけでございますし、夫役であって雇用関係がないというふうに判断をいたす場合も事実ないことはございません、災害復旧事業につきまして。したがいまして、一律に、先生がおっしゃいますようなこういうケースでは夫役でなくて雇用だというふうには私は断定できない、こう思います。
  118. 高山恒雄

    高山恒雄君 それならもう一つ聞きますが、一体、農林省はこういう災害に対する補助金を出そうという場合は、まず臨時処置が先なのか、申請の前提が先で許可しなくちゃならぬという考え方のほうが先なのか、どっちですか。二つあると思うのだがね。あなたは事後処置もある、当然緊急やむを得ないときはやってもらいたい、こうおっしゃっておる。それで事後処置をします。むろん大きな補助金ということになれば、大工事ということになれば、事前でなければとうていこれは許可にならないと私は思いますよ。その二つのケースがある限りにおいては、途中で起こった災害に対してはもっと建設的な意見があってもしかるべきだと私は思うのだが、どうしてそうこだわられるのですか。
  119. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 災害復旧事業の処理といいますか、査定といたしましては、私ども二つ重要な問題があると思います。一つは、当然災害復旧事業が円滑に進むように事業をやるということでございまして、先ほど申し上げましたように、査定には若干の時間がかかりますけれども、それ以前に、必要ならば応急措置も認めるし、あるいは必要ならば査定前に本格的な着手もけっこうだ、こう申し上げておるわけであります。それと同時に、やはり国費のむだ使いを防ぐと申しますか、査定はやはり厳格でなければなりませんから、要らないものはどしどし査定で落とさざるを得ないわけであります。私ども相当な時間をかけて慎重にやっておりましても、なお会計検査院から査定が甘いという批評をよく聞くわけで、国会の決算委員会におきましても絶えず指摘を受けておるわけでございますから、この二つの前提といいますか、重要な条件は私どもくずすべきではない。災害復旧事業を円滑にやるということと国費のむだ使いを防ぐというこの二つのことは、これは至上命題であると考えております。   〔理事藤田藤太郎君退席、理事佐野芳雄着着   席〕
  120. 高山恒雄

    高山恒雄君 この問題は、私はそれだから大臣に来てもらいたかった。きのうから要求しておる。これは大事なことですよ、この問題の解決には。それで途中で大臣が来ない、こういうことになって、あなたに来てもらったのだけれども、あなたの答弁は逃げる答弁だ。そんな答弁ではだめだ。  そこで大臣、これは先ほど森委員も非常に追及されたごとく、社会問題ですよ。私はこれは労働省と農林省が十分なる話し合いをして災害の対象になり得る方法をとっていただきたい。私が申し上げておるのは一つの例かもしれぬ。しかし、完全に農林省がそれを承認するならば、私は、労働省としてはこれは労災をやはり適用すべきだ、こう考えるのです。したがって、この問題についてはいまここで追及しても時間がないようですから、労働大臣も、法的にはなるほど局長の言われるような点もなきにしもあらずです。けれども、いま夫役を使ったということについては、わずかに一七%だと言っておられる。いまの時代に夫役というのは、ほんとうを申し上げますと、その地域において雑草があまりにも深くなって配水がうまくいかないからその地域の方で夫役的な犠牲的なものも考えて、あるいは配水状況も考えてやろうというのはこれは往々にしてあると思うのです。今度のはそういう問題じゃないでしょう。農民にとっては生きるか死ぬかの隧道の整備だ。緊急やむを得ないもの、こういう問題に対しては私は善意ある解釈のもとに何とかして災害の対象になり得る方法を、労働大臣、ひとつぜひここで確約をしておいてもらいたい。  もしこれができぬということならば、いかなる方法があるのかわかりませんけれども、何かほかに配慮をしたいという考え方があるのかもしれませんけれども、それは一時的な問題だ、それこそ暫定的な措置である。しかも一酸化炭素の犠牲者というものは、これはまことに多くの犠牲者が出ておることは、もうすでに三井三池の問題、夕張の問題、あらゆるところに被害者が出ております。これにひとしい相当の犠牲者が今度出ておるのでありますから、真剣なひとつ取り組み方をしてもらいたいと思いますが、なお、その処置の御回答を願いたいことと、さらに私は一つだけ質問申し上げておきたいと思うんですが、この一酸化炭素の犠牲者であります。私はこの三井三池の患者を現地で見舞いをして来たのでありますが、どうも三年という長い年月になりますと、かなり入院しておられる方ももう困っておられるんじゃないかと私は思うんです。単なるその補償という問題だけでなくて、むろん家庭の生活がありますから補償は当然のことでありますけれども、精神面ですね、精神面の一体見舞いをどうするかというようなことは、これこそ社会問題の一つとして大きく考えなくちゃいかぬ問題ではないか。  そこで、私は一つだけ私の考え方を申し上げておきたいんですが、この三年といいますと暑いときも寒いときもある、私は暑いときに行ったんですが、あの暑苦しい中でよくも三年間私はおられたと思う。そうして家族の方も付き添っていろいろなリハビリテーションですかこれを実施しておられる。これもできることならば一カ所に集まっていただいて、そうしてもっと基本的な訓練をしてはどうか。ところが、そのことを担当医師に聞くと、予算も十分でない、ほんとうは一週通しにやりたいんですけれども、週に二回しかできない予算だ、したがって、いま二回だけやっております。こうお医者さんは回答しておりましたが、予算さえあればそれができるのか、そういう質問をしたところが、予算があればもっとそれをやりたい、こういう回答をいたしておりました。したがって、これはほんとうに今日長い間入院しておられるその人の立場に立って、政府としては一カ所に集めて、そうして療養させるべきだ。傷の場合は別ですが、三症あるいは四症というような人もおられる、こういう人をできるだけ一カ所に集めてやるべきじゃないか、こういう感じを私は受けたんですが、これについてもひとつ政府考え方をお聞きしたいと思います。
  121. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) まず第一点の、今回の事故に対する補償の問題でございますが、これに対する私の考え方は、先ほど森先生に詳細申し上げたとおりでございます。すなわち、結論的に申しますならば、今日この場において私が労災保険で補償いたします、こういうお答えは私は残念ながらできないのであります。気持ちとしては、私は実際先生方のおっしゃるのはよくわかるんです。さらにまた、ざっくばらんに言えば、私のくにで起きた事故ですから、どこで起きた事故だからどうという取り扱いに甲乙があってはいけませんが、やはり一人の人間として考えれば、やはり自分の故郷のことですからぜひやってやりたい、こういう気持ちは当然あるんです。しかし、やはり一面において法をあずかっているという立場からいたしますならば、やはりいかにこれを最大限に運用するにしても、さき申しますとおり、おのずから一定の限度というものはどうしてもあることはやむを得ないところだと思うんですね。そういう点からずいぶん詳細に調査検討さして、これも先ほどから局長が申しましたが、あるいは農林省の希望もありまするし、ひとり農林省や、役所の希望ばかりでなく、国会においても皆さんの御意見を伺っておりますと、もうほとんど全部といっていいぐらいこれは保険でやるべきだ、こういう大体御要望でございます。それはよくわかるのでありまするが、しかし、いま言うとおり、私は法をあずかっている以上は、その間違った、少くも許すべからざる一線をこえて運用というものをやはりどうもやるということはいかがなものであろうか、こういう点であります。それはもちろん最終的な結論ではございませんが、私の心境と申しますか、方針と申しますか、以上申しましたような立場において私は十分善処し、努力いたしておるわけなんでありますから、一応、一両日中に結論を出して関係当局とも相談をして、まあこれならばという、世間でも納得いただけるようなことをぜひやってあげたいと、こういう気持ですから、ひとつしばらく御猶予を願いたい、こういうことであります。  なお、三池の関係につきましては、詳細は局長から説明いたさせますが、確かに先生指摘のとおり、事故発生以来三年も経まして、ほんとうにいまだに入院をして治療をされているというような方々については、私は非常にお気の毒にもちろん考えておるわけでありまして、従来は、この法のこれまた許す限りにおいてはできる限りのことをとにかくしてやろうじゃないか、こういうことで今日までやってまいっておるわけであります。治療につきましては、先生も御承知と思いますが、医療委員会ですか、権威あるそういう方々にお集まりいただいて委員会をつくって、その指図に従いながら治療をやっていると、こういうことでございます。施設その他についても、確かにそれはまだまだ足らぬところもございましょうが、単に予算的な措置でできないというような面がかりにありますならば、これは十分実情をもちろん調査させまして善処したいと思います。
  122. 高山恒雄

    高山恒雄君 予算が十分じゃないという点、ちょっと……。
  123. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  124. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 速記をつけて。
  125. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 黒磯の問題について、私たちも現地へ行っていろいろやってきたわけです。見てきて、大体のアウトラインは把握しているつもりです。きょうは農林大臣も来ていただいて、農林省はこういう人間の生命とか人権に対する問題が、労働問題が農林行政にあるのかどうか。非常に無関心だと私は思うので、それでその点を明らかにしてもらいたい、こう思っておったわけです。たとえば林野庁にしたって、政府がやっている事業でありながら四万人も季節労働で、あとを追っ払うというような事業をやって、これはようやく前の国会計画的に年間労働をやるということになりつつあります。しかし、たとえば出かせぎにしたって、失業保険の金さえとったらいいんだというような調子で、何ら農林省は農民に対するめんどうを見ない。これは農地局長に申すほかしかたがない。農林省に申しているんだからよく帰って伝えてもらいたいと思う。今度の問題でも、あなたの発言を聞いておると、労災保険を適用してもらったらいいんだ、労働省研究してもらったらいいんだというような発言が出てくるわけですね。私はそのことが非常に残念でしようがない。三十八年に谷黒組が雇用をやって、賃金形式をとっている。それで毎年土砂や率刈りや何かもみんな勤労奉仕でやっているわけです、あのあぶないところを。たまたま事故が起きなくて、そして平静のときには勤労奉仕というかっこうでみなやっている。たまたま今度土砂が多く出ているから、三十八年に見合って請負でやろうということになった。その事件が起きたのが七月の八日ですよ。田植えが終わったのが、私は大体あの辺では早いと思うのです。どんなおそいところでも六月中にたんぼを植えなければ、一日ごとに減収だというのは農林省の常識だと思うのです。水が来なければ稲が枯れる。そういうかっこうで、水は緊急の問題として県の農務部へどんどん申し入れて、査定をして事業をやりたいというので、ようやく報告書が八日に至ってできて、そして九日に査定ということに順序はなっておりました。しかし、その事件が起きて、人間の補償をしてあげなければいけないということになってきたら、自分の関係行政じゃなしに、労災保険でやったらいいのだという、農民の補償というものはない、作物の補償はあります。人間としての補償は農林省には行政上にはないわけです。そうして、今度は労働者災害補償法におんぶしたらいいんじゃないかという、そうは思っておられぬと思うけれども、何かそういう感じでものをおっしゃっているように私は聞えます。おっしゃっていないというならもっと積極的に、二十五人死んで二十六人入院中の患者をどう見るかということをお考えにならなければならぬと思うんです。労災病院から鉄の肺を送ってきたり、いろいろな措置は講じられております。それは一酸化炭素という災害にぶつかって、その関連の業務としてやってもらってけっこうなんでありますけれども、しかし、農林省は、農民の生命を保障するなんというようなことをどうお考えになっているか。こういう事件が起きたけれども、先日も新潟に災害が起きたというなら、農民の災害補償をどうするかということを真剣にお考えになってあたりまえだと私は思う。他の制度におんぶするというならおんぶするような、労災保険会計に農民が出せなければ、農林省が代って労災保険会計に――あれは独立会計ですよ。そこへメリット制で資金をつぎ込んで、その一応保険経済の中で、農民の災害が起きたときに処理するなら処理するというふうなぐあいにお考えになるのが私は当然だと思う。その当然なことをおやりにならないで、労災保険で結論をつけてもらったらけっこうだというような話だけでは、私はどうも納得がいかぬのです。先日も現地に行ったら、県が百万円出しましたと、こうおっしゃる。それは代表で農務部長がおいでになっているから、県の代表の御意見でありましょうけれども、けれども本質的にはそんなことじゃ私はないと思う。それで、いまの基準局長や、そこらのさっきからの質疑を聞いておって、肝心の雇った業者が基準法の違反になりそうだと思ったら、わしは知らぬという逃げ方をする、そんなことじゃ労災保険にかけた、補償をした、裁判でこれはノーだったということになったら、労災保険はどのようになってしまうか、この問題が引っかかってくるわけです。だからそんならば、私は振り返って、労災保険にかけるというなら、谷黒組が正式にその事業を請け負って、農林省が査定して、そうして事業としてやったんだということを明確にしなければ、私はなかなかむずかしいだろうと思う。しかし、あらゆるものを乗り越えて、人道の立場に立って、この皆さん方の補償をどうするかという相談でわれわれは頭を悩ましているところなんです。だから、そこらあたりを農林省も真剣に考えていただかなければ、ただ、あなたまかせでこの問題を議論するというのは…。私ども何とかして労災保険の中に将来の農民の災害補償の問題を含めて、労災保険の適用をやって、拡張しなければならぬという私たちも考え方に立っているわけであります。しかし、農林省の考え方が、何かあなたまかせのような考え方だ。将来の農民の生命というようなものにもっとこう真剣に取り組んで、ここでどうしようということなら一番先に動かれるのが農林省じゃないか。農地局長が直接の担当かどうか私は知りませんから、私の係りでないというなら失礼いたしますけれども、これは農林大臣も含めて、農林行政に私は言いたいことを言ったわけであります。先ほどからの質疑を聞いていると、どうもその辺が基本的な問題が全部はずされてしまって、どうも出かせぎの保険、失業保険があるからもらえばいいじゃないかという考え、今度も労働災害保険があるから、そこから金を何とかすればいいじゃないかという考え方では、農林行政としては少しわれわれは納得しにくいところだと思う。そこらあたりを、あなたの直接関係でなければよろしゅうございますけれども、農林行政の中で真剣に考えていただかなければ、将来このような問題が起こるのではどうにもならぬでしょう。労働省が労災保険を適用するというなら、農林省が率先して適用できるような条件をいまこそつくるべきじゃないか、私はそう思います。何の懸念もなしに労災保険を適用できるなら適用できるように、農林省は奔走してその条件をつくるということがいま大事じゃないか、しかも、それはつくるかわりに、将来の農民の生命、災害補償というものをどうしたらいいかというものとあわせていまの条件をつくるべきじゃないか、そのことが一つも先ほどから出てこないので、私も、うずうずしておったんですが、ひとつ大和田局長、直接の関係だけでけっこうです、あとは大臣に伝えていただいて、農林行政の中で真剣に考えていただきたい、そうでなければこの問題は解決しない、私はそう考えます。
  126. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農地局長だけでお答えできる問題ではございませんけれども、私からお答えできることだけを申し上げますと、私も今回の問題が労災補償だけで解決するというふうに考えておりません。ただ直接の補償としては、いまの制度で労災補償に持っていくのが一番いいという判断でございます。また今後の問題といたしましては、夫役ということはなかなか農村の慣行で急になくなるものではございませんけれども、夫役で働いた人がかりに事故を起こした場合に、そのつど労災補償の対象になるかならないか、あるいはならないということでは農家の人に非常にお気の毒でありますから、私どももつとめて雇用関係を明確にするように、少なくとも土地改良区における夫役というのはきわめて限られた日常の維持、管理の仕事だけに限って、それ以上の危険なことは決して夫役でやらないようにという指導をいたすつもりでございます。  それからもう一つは、現地の農家の人たちも、水が一日も早くほしいということで、あの無理な事業をいたしたわけでございますから、結局あの地帯における水の問題はなかなかむずかしいことでございますけれども、幸いに私どもいま国営の開拓事業で那須野ケ原の総合開発事業ということを設計中でございますので、それをできるだけ早く、またできるだけりっぱにやり遂げて、なくなった人たちの霊を慰めたいという気持ちでおります。
  127. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はいま農地局長のおっしゃった労災保険の適用が一番いいのだと、このこと自身が間違っていやせぬか、私たちが生命、生活のためにそういう議論をして、何とか適用していこうというなら、私は当然だと思いますけれども、農林省の方が、あなたが労災補償が一番いいのだというような言い方をされるというのはいかがかと私は思う。何とかそこへ適用するような条件をこの際やむを得ぬからそういうことをやっていく、その母体は農民の災害補償を今後どうやっていくかというものとの関連によっての発言なら、幾らか私はわかるけれども、そういう問題はほっといて、何も触れないで、労災補償が一番いいのじゃないかという発言はいかがかと思いますがね。これはまあいずれにしても、私は真剣に農民の生命財産、労働災害というものを真剣に考えていただきたい、あの労災補償というのは、局長さん御存じのとおり、あれは何といってもメリット制で国は金を出さない、人を使っている人が出して、特別会計にしているところなんですから、だからそういう意味からいっても、私はいまのような発言はなかなか、むしろその中へ農林省が農民の行政として入っている、将来農民の生命財産をこのベースに入れるなら入れる、別に機構をつくるならつくって、農民の生命財産を守っていくというお話があっての、それに関連してのお話ならわかりますけれども、どうもそこらあたりがもう少しひとつ考えていただきたいと私は思う。このいろいろものを話して、いまどっから補償するかというと、まあ似たような災害補償制度がありますから、この災害補償制度で農民を救ってもらうことがいい、人間としての立場を離れれば当然のことと思いますけれども、まさかそういうことを政府の方が、何ら関係なしにおっしゃると、どうも理屈が多いかもしれませんが、そういう感じがするわけで、よろしく農林大臣相談をしていただきたいと思います。
  128. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  129. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 速記起こして。  それでは本件に関し、他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめておきます。     ―――――――――――――
  130. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 次に、不当労働行為に関する件について調査を行ないます。  本件に関し御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  131. 森勝治

    ○森勝治君 建設省に質問したいのですが、きょうはどなたがおいででしょうか。
  132. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 官房長がまいっております。
  133. 森勝治

    ○森勝治君 官房長だけでしょうか。
  134. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) さようでございます。
  135. 森勝治

    ○森勝治君 私が質問をしたい内容は、建設省の高崎の事務所の労使のあつれきの問題であります。前もってお知らせをしておきましたから、現地の事情を詳しく質問したいのでございまするから、そういう面できょうおいで願った方々のお名前をお伺いしたわけであります。ですから、きょうは人事課長と官房長の二人おいでになったそうでありますので、十分現地の事情について微に入り細をうがった御答弁がいただけるものとして期待し、なおかつ正常な労使のあり方を念願するために、これから以下の質問を行ないたいと思うのであります。時間がございませんから、もし全部質問ができませんときには、後日また引き続き質問をさしていただくことをあらかじめ委員長にお願いいたしまして、以下の質問をしてみたいと思うのであります。  そこで、さっそくお伺いしますが、先々月の五月十四日、参議院から大森議員外数名が高崎の所長にお目にかかりにまいったときの御質問をしてみたいと思うのですが、官房長よろしいでしょうか。このときにいろいろ問題があったそうでありますが、前段、後段ははぶきまして、そのものずばりで質問をいたしますが、わが党の大森議員をはじめその他関係地区労、県労の関係の方が、建設省高崎の労使の問題について、その解決を念願するあまり所長にひとつ面談を要請しましたら、これを軽く拒否したそうでありますが、そういうことはなぜそんなにあっさり拒否されたのか、この点をまずお伺いをいたします。
  136. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 五月十四日の事件でございますが、この日午前十時十五分ごろに数名の方が事務所へ来て、大森委員外多数の人が来るから面会してほしいという申し入れがありました。その後、十一時四十分ごろに大森議員をはじめ約五十名の方が事務所にお見えになったのですが、突然の来訪でございましたし、それから五十名という非常に多数の方がお見えになりましたので、これだけの多数の方を一堂に集めましてお話をすることもいかがかという考えで、大森議員だけお入り願いまして、所長が面会したような次第であります。
  137. 森勝治

    ○森勝治君 大森さんがお入りになりました話はあとでお伺いすることにして、高崎においては組合関係がしばしば面会を求めると、これを拒否されておる。大森さんが同行した場合もそうでありましたね。これは本省は何かそういう方針なんですか。
  138. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 本省の方針といたしまして、別に面会を拒否しろというふうな指示はいたしておりません。
  139. 森勝治

    ○森勝治君 まことに恐縮な発言でありますが、その点重ねてひとつ御説明いただきたい。
  140. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 先ほども申し上げましたように、本省の指示といたしまして、面会をしてはならぬとか、そういうことはいたしておりません。
  141. 森勝治

    ○森勝治君 それでは、またこれもうがった質問をして恐縮でありますが、建設省には労務管理要綱というのがおありですか。
  142. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 特に要綱というふうなものをつくってはおりません。公務員法の規定及び人事院規則等によりまして労務管理をいたしておる次第であります。
  143. 森勝治

    ○森勝治君 ないわけですね。
  144. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 特に労務管理要綱というものはつくっておりません。
  145. 森勝治

    ○森勝治君 特につくっておらないけれども、それらしきものがあるというお答えでありますね。そこで、私は具体的に質問いたします。管理要綱で「応援、派遣を必要とする労務管理体制について」、こういう文書が下部機関に流されておりますね。管理要綱はないそうでありますから、管理要綱にやや似たものが流されておりますね。
  146. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 管理要綱というものを本省から流した記憶はございませんです。
  147. 森勝治

    ○森勝治君 ですから、管理要綱はないと、あんたはそれで三回おっしゃっておるのだから、管理要綱は、あなたのことばを信じて、ないことにいたします。しかし、それらしいものを流したではありませんかと申し上げておるのです。それで、私がそのタイトルをいま読み上げたのですが、「応援、派遣を必要とする労務管理体制について」、こういうのを流しておりませんかという質問なのであります。お答えいただきたい、明快に。これを見てください。
  148. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) いま担当者がお手元の書類を拝見しておりますが、さようなことを流した記憶はないそうでございます。
  149. 森勝治

    ○森勝治君 これはおたくのじゃないですね。
  150. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 担当者もいずれも記憶がないと言っておりますが、また過去においてどういう書類を流しておりますか、なお調べた上でお答え申し上げます。
  151. 森勝治

    ○森勝治君 まずその書類を返していただきたい。いま官房長のお話で、いままではないという話でありましたが、記憶がないという話でありますので、近いうちに記憶を呼び起こしていただきたい。したがって、記憶がない、出した覚えがないという現段階における官房長のことばを信用いたしまして、この問題はさておきましょう。よろしいですね、あとで調査の結果、御返事をいただけるものと思います。  そこで、五月十四日の高崎事務所の話に移りますが、労使紛争を解決するために、当該県労評、地区労その他が大森議員とともに高崎の所長を訪れましたときに、大森さんだけを入れた。議員なるがゆえでありましょうが、大森さんだけ入れて他は入れなかった。そこで、大森議員を所長室に入れて――これは所長室か、あるいは応接間か、私はそこまで申し上げませんが、大森議員を室内に入れて施錠するとはどういうことですか。かぎを施したその理由をひとつ。外部から見れば、参議院議員大森さんは建設省高崎事務所において監禁される、こういう誤解も招くおそれがある問題でありまするから、明快にお答えいただきたい。
  152. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) この問題につきましては、私も慎重に調査をするよう命じた次第でありますが、状況を申し上げますと、事務所長室で大森議員が事務所長と面会いたしております。その際、先ほど申し上げました五十人の方が所長室の前に集まっておられたわけでございますが、ドアの前でドアを開けて入ろうとすることをなさったようでございまして、ドアがぎしぎしいってしなってくるというような状況があったそうであります。したがいまして、まあ五十人からの人が中へお入りになりますと、いろいろ混乱も起ころうかということで内かぎを締めたわけであります。ただし、所長室を完全に密閉してしまったわけではございません。もう一カ所出入口がございまして、そのほうは施錠をいたしておりませんでした。したがいまして、先生を監禁するとか、軟禁するとか、そういう趣旨でやったことでないことをひとつ御了承願いたいと思います。
  153. 森勝治

    ○森勝治君 片一方開放しておくならば、大森議員が入ったとびらも開放するのが正しいじゃないですか。そこだけなぜ施錠したのですか。常識から考えてそういうことが他のいずれかの官庁にもあったでしょうか。その点どう考えておられますか。
  154. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 内かぎを締めたドアでございますが、その前に五十人からの人が集まっておられまして、そのドアを開けて多数の方が、面会しておるところにお入りになりますと、また混乱も起ころうかということで、そのほうのドアだけ内かぎを締めたような次第であります。
  155. 森勝治

    ○森勝治君 何とあなたがおっしゃろうとも、参議院議員の大森さんが入ったらかぎを締められた。大森さんと一緒に、大森さんに随行した人も大森議員と連絡がとれなかったという事実をあなた方はどういうふうに釈明されますか。参議院議員大森さんが自分と一緒に行った人と連絡をとろうとしたが、かぎを締められてとれなかった。それをあなたはどう考えられますか。それでよろしいですか。
  156. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 連絡の問題につきましては聞いておりませんが、これはドアの外に建設省の職員もおるわけでございます。したがいまして、そういう人を通じて連絡があれば、まあドアは開け得るわけでございます。そういうことでございます。
  157. 森勝治

    ○森勝治君 国会議員というものをどうお考えですか。大森さんが自分と一緒に行った諸君と連絡したければ、建設省の役人を通じなければ、大森議員は自分と一緒に来た人と話ができないんですか。そんな答弁ありますか。
  158. 鶴海良一郎

    ○府政委員鶴海良一郎君) 先ほども申し上げましたように、出入り口はまだもう一カ所あったわけでございます。したがいまして、この出入り口を通じての連絡も可能でございましょうが、のドアにつきましては、外部におきまして、ドアを押すといいますか、ドアが曲がるような状況になっておるわけでございますので、そのドアからの連絡は、その状況のもとにおきましては不可能であったろうと思います。
  159. 森勝治

    ○森勝治君 あなたが何と釈明されようとも、大森議員が部屋へ入って外界と遮断されたという事実はお認めですね。問題のとびらと、あなたがいまいみじくもおっしゃったから、問題があったんでしょう、問題のとびらなんだから。
  160. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) いや、問題のとびらというのは、問題があったという意味ではございませんで、先ほど申し上げたとびらという意味でございます。他にもう一つ出入り口がございますので、外界と完全に遮断したというわけではございません。
  161. 森勝治

    ○森勝治君 率直におっしゃったらどうです。大森議員と一緒に行った人たちだよ。大森さんは入れるけれどもほかの人たちは人れない、大森さんと一緒に行った人を隔離して、別にして、大森議員だけを中に入れてかぎを締めたという、この厳粛な事実をどう考えていますか。それが建設省のやり方ですか。国会議員が行くとすべてそうやるんですか。よその議員が建設省の出先へ行く、議員は中に入れる、秘書その他随行の諸君はかぎを締めて表に待たせる、それが建設省のやり方ですか。明快にお答え願いたい。
  162. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 建設省といたしまして、そういうふうにすることが適当とはもちろん考えておりませんが、その事件のありました状況におきましては、五十人からの人がドアの外でひしめいておられるということでございますので、やむを得ずそういう措置をとったものと、かように考えております。
  163. 森勝治

    ○森勝治君 失礼ですが、ドアの外ですか、屋外ですか。大森さんがかぎを締められたのは一階ですか、二階ですか。具体的に言ってくださらなきゃ、答弁が食い違いますよ。
  164. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 所長室は三階にございます。したがって、屋内でございます。
  165. 森勝治

    ○森勝治君 いま、ドアの外に大ぜいの方がおられたと言ったでしょう。屋外にいたんでしょう。だから、三階なら何ら憂いがないじゃないですか。
  166. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 所長室は先ほど申し上げましたように三階にございまして、その外でございます。したがいまして、屋内でございます。
  167. 森勝治

    ○森勝治君 そうすると、その所長室の、いわゆる大森さんが入った部屋の表のとびらを労働者がけ破って入るおそれがあるからかぎを締めたと、こういうんですね、はっきりしてください。
  168. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) ドアをあけて多数の人が部屋へ入られますと、混乱が起こるおそれがあるから締めたというわけでございます。
  169. 森勝治

    ○森勝治君 その人たちは大森さんと一緒に行った人ですよ。認めますね、それは。全然別個の、烏合の衆ではないでしょう。そうでしょう。大森さんと一緒に行った方々でしょう。認めますね、それは。
  170. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 大森先生一緒に見えられた方でございます。
  171. 森勝治

    ○森勝治君 それならば、他の官公庁の労使間でやっておられるように、全部じゃ部屋が狭隘だから、皆さん失礼だが代表だけ入ってくださいということでどこでもやっているんじゃないですか。建設省だけでしょう、そういう鎖国主義は。鎖国じゃない、かぎかける主義だ。国会議員が参加するのに、その部屋にかぎを締めなければ国会議員と面会できない、国会議員が自分と一緒に来た人と自由に話をしようと思っても、かぎがかかって出入りができない、これが正常な姿ですか。どう思いますか、反省したまえ。
  172. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 当時の状況及び措置が正常なものとは思っておりません。異例の措置であると考えております。
  173. 森勝治

    ○森勝治君 あげ足とって失礼だが、正常でないと思ったら、何とかもっと意思表示があるでしょう。国会議員に対して正しいのか、それが。悪かったら悪かったと率直に言ったらどうです。
  174. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 国会議員の方を閉じ込めるというふうな趣旨でやったわけではございません。先ほどもるるお話し申し上げておりますように、外部から五十名の方が部屋の中へ一挙に入られますと、混乱が起こって、事務所長と国会議員との間の会談も阻害されるおそれがあるというふうな考えで締めたことでございまして、結果といたしまして、大森先生に非常に失礼なことであったかと思いますけれども、無礼を働くという意図で締めたわけではないという点を御了承願いたいと思います。
  175. 森勝治

    ○森勝治君 まあ幾らかお認めになってこられたので、私もことばを改めて、もう少し静かな質問をしたいと思うのであります。大森さんはこう言っておられるんですよ。前段、後段は省きますが、「私があの事務所を出るときに、会場で、ばかやろう、帰れといって建設省の高崎事務所の管理者がどなっておったが、あれが国民から尊敬される建設省の役人である管理者のなせるしわざでしょうか」、――この隣の隣の部屋で特別委員会が開かれたときに、この問題について聞いた、大森さんという名前が出るから。そうしたら大森さんがそう言っておられる。あなた方はそういうのをどう思いますか。ばかやろう、帰れといってどなる、これが建設省の出先の管理者の正しいあり方ですか。どう思います。
  176. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) ばかやろう、帰れと言ったと言われますが、さような事実は、当時その場に居合わせた建設省側の職員の話ではないということでございます。
  177. 森勝治

    ○森勝治君 ちょっと官房長に失礼だが、私が冒頭に、どなたとどなたがお見えですかと言ったら、官房長と人事課長だと言う。うしろにわけのわからぬ人があなたに指示している。どこの省の何のたれべえですか。建設省の来ている人、皆発表してください。来ていないと言っておりながらおられたのでは目ざわりだ、ちゃんと言いたまえ。(「官房長に答えさせろ」と呼ぶ者あり)
  178. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 官房長、責任をもって答えなさい。もしあなたができなかったら説明員にさせなさい。  速記とめて。   〔速記中止〕
  179. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 速記を起こして。
  180. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 建設省からは、私と人事課長がこの席に着いておりますが、なお、関東地建で起こった事件でございますので、答弁の正確を期する意味におきまして、関東地建の総務部長の山岡君、人事の係長の奥君、この二人を連れてまいっております。
  181. 森勝治

    ○森勝治君 その方、どなたですか。ちょっと名乗っていただけませんか。――官房長に質問いたしますが、関東地建の係長という方は、当時あの地区にいたんですか。
  182. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 係長の奥君が当時たまたまあの事務所に居合わしております。
  183. 森勝治

    ○森勝治君 大森議員が帰るときに、そういうことを言わないと言ったが、さっき私は聞いたばかりですよ。私が言うのではないのですよ、大森議員が言ったことばですよ。官房長謙虚に聞きなさい。いいですか、大森さんが言われた。係長が言わないと言うけれども、言った。それは大森議員にあるいは言ったのじゃないかもしらぬ。その他のあるいは労働組合の幹部に投げつけたことばかもしらぬけれども、大森さんは背中にそのことばを受けて、建設省の出先の諸君のばり雑言に一言も文句をつけずに帰ってきた。いいですか、こういう事実があるのですよ。係長は、ないと言うけれども、大森さんがそういう事実を指摘しているのです。ないとあっさり言われたんじゃ、もっと具体的な問題を出すがいいですか。大森さんが言われているのだから……。どう思いますか。人に聞かないで、そういうことがあったら、官房長どう思いますか。
  184. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) ただいま現場にい合わせた人の話では、そういう事実はないということを言っておりますので、さよう答えたわけでございますが、もしさようなことがあるといたしますれば、おそらく大森議員に言ったことばではないと思いますけれども、まことに遺憾だと思います。
  185. 森勝治

    ○森勝治君 ところで、今度は全然変わった質問をして恐縮でありますが、これは労働問題の線から若干それるかと思うのでありますが、これも相対的な関係がありますから、ひとつ曲げてお答えいただきたい。  高崎の所長の官舎が現存しておるにもかかわらず、前橋のほうに新しい官舎をつくったのはどういうわけですか。宇都宮に転勤された所長の前の、この時点のときの瀬端さんの代になってから、高崎の所長官舎があるにもかかわらず入らずにそれはほっといて、前橋に新しい官舎をつくり、そこに入った、このおもなる理由は何ですか。労働問題と直接関係ないかと思うのでありますが、建設省のあり方についてこれは立証できるような気がするので、それをお伺いしたい。
  186. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 官舎の件につきましては、私まだ何も聞いておりませんが、年々官舎は増設いたしております。したがいまして、新しくできたところに入るということもあろうかと思いますが、後ほどよく調べましてまたお答えしたいと思います。
  187. 森勝治

    ○森勝治君 建設省というところは予算がたくさんある役所ですね。高崎所長官舎は前橋に現存し、いまもよその人が入っておる。にもかかわらず、新しく官舎を建てるほど建設省の予算がふんだんですね。私はこういう理解を持つのですが、よろしいですね、そういう理解を持って。
  188. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) どういう事情になっておりますか、調べてみなければわかりませんが、所長が二つの官舎を持つというふうな余裕はないと思います。そういうことはまた許すべからざることです。おそらく新しく増設いたしましてそこへ所長が移れば、古いほうの官舎はまた官舎として他の人に使っていただくということであろうかと思います。
  189. 森勝治

    ○森勝治君 新しい官舎に所長が移り、古い官舎をほかに住まわせる、これが建設省の行政のあり方ですね。
  190. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) そういう方針をとっておるわけじゃございません。たまたま高崎の場合そういうことがあったかと思いますが、これも調べてみなければ何とも申し上げられませんが、現地につきまして官舎の事情がどうなっておるか調査の上お答えいたしたいと思います。
  191. 森勝治

    ○森勝治君 調査してお答えくださるそうですから、それをお待ちしましょう。  先般の内閣委員会において伊藤委員が不当労働行為の問題で質問したら、官房長は、さような事実はさらさらありませんという御答弁をいただいたそうでありますが、官房長はいまもそういうお考えですね。
  192. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 伊藤委員の御質問に対してお答え申し上げましたのは、私のほうで高崎の事務所についてのそういう事件を調査いたしましたのは五件ございますが、五件とも全建労のほうからこういう事実があるのじゃないか、調べてくれという話がありましたのにつきまして調べたわけでございます。その五件について調査した結果、そういうような事実はないということを申し上げたわけでございます。
  193. 森勝治

    ○森勝治君 それでは過った角度から質問いたしましょう。私は労使の正常な慣行が実現できるよう念願するあまりこの質問を行なっているものでありますが、さて全建労の本部と本省側は一体どのくらい交渉を重ねておられますか、どうやっておられますか、労使間のあり方は。
  194. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 本省といたしましては全建労の本部と交渉を持っているわけでございます。年に何回か忘れましたけれども、数回にわたりまして会っております。
  195. 森勝治

    ○森勝治君 それではこの一年間、大臣もしくは官房長、あなたが全健労との定期会合はどのくらいお持ちですか。お忘れになっても記録がさだかでございましょうから、記録を見ていただいてお答えくださってもけっこうです。
  196. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) ただいま記録を持ち合わせておりませんが、大臣との会見につきましては大体年に一回でございます。ことしはまだ会っておりません。会うべく準備はいたしたのでございますが、時間の都合で会えなかったという次第でございます。なお官房長と全建労との会合につきましては、これはことしも二回ぐらい会ったのじゃないかと思いますが、数回会っております。
  197. 森勝治

    ○森勝治君 大臣はことし一回も会わない、官房長は二回ぐらい、あるいは数回ぐらい、あとは忘れました。こういう御答弁でありますね。私はこの点まことに残念であります。よその官庁をごらんなさい、しょっちゅう会って話し合いを続けておるではありませんか。なぜそのような、どちらが避けておられるかしらぬけれども大臣や官房長が、正常な立場で労使間を軌道に乗せる御努力に欠けておる、こういうふうに邪推されてもしかたないのじゃないですか。もし労働組合にはね上がったことがあるとするならば、所管の長として彼らをいさめ善導する、正しい労使間のルールを敷く、これが管理者としてあるべき行為ではないですか、その御努力はされましたか。
  198. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 労使間の問題につきましては先生のおっしゃるとおりだと思います。私もつとめて会いたいと思っておりますし、現に会見の申し入れをきょうも全建労に対してやっておるような次第でございます。大臣がことしになってまだ会っていないと申し上げましたのは、実は会うべく算段いたしまして、時間を大臣にとっていただいたのでございますけれども、その後時間の都合で会えなかったような次第でございます。
  199. 森勝治

    ○森勝治君 大臣は自分の所管する建設省、すなわち全建労の本部側と一度も会っておらないそうであります。そこでお伺いいたしますが、建設業界とはことし何回大臣は会見をされましたか、お火口えいただきたい。
  200. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 建設業界の代表が正式に大臣に会いに参った回数は私存じておりません。したがいまして、何回ということはお答え申すわけにまいりません。
  201. 森勝治

    ○森勝治君 官房長という職務はどういうのでしょうか、知りませんのでひとつ教えていただきたい。大臣が業界と会うことも御存じない官房長だそうでありますから、官房長というのはそういうことかと私も思ったのでありますが、若干野人でありますから、疑問がありますので、ひとつ大臣と官房長の関係について、私知りませんからひとつ教えていただきたい。
  202. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 私が所管いたしておりますのは官房業務でございますが、中身を申し上げますと、大分けいたしまして人事関係、それから文書関係、それから会計関係でございます。それを主たる任務といたしておりまして、通常の面会につきましては、これは大臣の秘書室において直接取り扱っております。したがいまして、私の手元は通らぬのでございますが、ただ労働組合との正式会見につきましては、これは事前の打ち合わせがございますので、官房のほうで、人事課のほうでいたしております。
  203. 森勝治

    ○森勝治君 大臣は所管の業界の公式の場にはしばしば顔を見せられ、建設大臣としての所見を披露されておるではないですか、にもかかわらず自分たちの部下との会見は一つもしない、ここにも労使関係がちぐはぐになる第一歩があるじゃありませんか。官房長にしてまたしかり。正常化をお望みじゃないのですか。明快にお答えいただきたい。
  204. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 労使関係の正常化はもとより望むところでございまして、それに向かいまして努力しなければならぬことは申すまでもないことでございます。ただ会見の回数が少ないという点につきましては、私肉身といたしましてはもっとしばしば会いたい、会見いたしたいというふうに考えておる次第でございまして、先ほど申し上げましたように、本日も全建労に対しまして今週中にも会いたいということも申し入れておるような次第でございます。
  205. 森勝治

    ○森勝治君 官房長のただいまの答弁を聞いておると、官房長は労使間の正常な関係を回復するためにしばしば当該組合側に会見を申し入れられるにもかかわらず、組合側が会わない、こういうお答えですね。
  206. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) さように申しておるわけじゃございません。今週中にも会いたいという申し入れをいたしておりますが、まだいつどこで会うということの回答に接していないのでございますけれども、それは近く話がついて、どこで会おうということになろうかと思います。
  207. 森勝治

    ○森勝治君 どうも異なことばかりお答えいただいて、私もキツネに、何というのかな化かされたような気がしないでもないのです。化かされたと言ったらあなたに失礼ですから、化かされたような気がしないでもないのであります。この辺は少し意味深長でありますけれども、官房長、自分のところの組合と、あなたのほうが常に正常化を念願されるならば、進んで組合側と面会し懸案事項を解決し、正しい労使間のルールを敷くというのが管理者としての責務ではないでしょうか、そうじゃないですか。きょうは時間がございませんから私は多くを語ることはできません。できませんけれども、基本的にはそうじゃないですか。会見はしたいけれどもいつだかわからぬ、そんなばかな答弁、ここは社労委員会ですよ。
  208. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 労使間の問題につきまして、管理者側の責任は先生のおっしゃるとおりであります。私が先ほどお話をしました組合との会見の問題でございますが、いつ会うかわからぬということを申し上げておるのじゃございません。私のほうではいつ幾日、何時から会いたいということを明確に示して申し入れております。それに対してまだ組合の都合その他あるだろうと思いますが、まだ回答に接しておらぬということを申し上げたわけでございます。
  209. 森勝治

    ○森勝治君 そういたしますと、組合側の正常な労使間のルールを敷くという念願を持つ申し出ならば、率先して面会し、労使間のあつれきを排除する努力をするということですね、お約束願えますね。
  210. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 労使間の正常化につきましては努力するのが当然でございまして、私もその方向に向かって努力いたしておるわけでございますから、近く組合との会見もできるというふうに思っておる次第でございます。
  211. 森勝治

    ○森勝治君 内閣委員会では、不当労働行為、五件出されて、全部事実無根だというふうにお答え願ったそうでありますが、そのとおりでありますね。
  212. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) この問題につきましては、関東地建をして十分調査させました。その結果、組合のほうから指摘されたような事実はないという調査報告が参っております。
  213. 森勝治

    ○森勝治君 それではごく抽象的に質問をいたしましょう。女子職員を幹部室に二時間半も――さっきは大森議員を閉じ込めたが――今度は、勤務時間中女子職員を二人の管理者が二時間も閉じ込めたという事実は御存じですね。
  214. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 女子職員とある幹部が会っておるという事実はございますが、閉じ込めたという――先ほどは大森委員のかきをかけたというお話がございましたが――かぎをかけたりしたり閉じ込めたというふうな事実はございません。
  215. 森勝治

    ○森勝治君 もしあったらどういたします。あったらどういたします。
  216. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 職員を理由なくかぎをかけて閉じ込めるというふうな行為は、非常に遺憾な行為でございます。もしあったといたしますれば、それにつきましてしかるべき処分をいたさなければならぬと考えております。
  217. 森勝治

    ○森勝治君 もしあったとするならば、管理者不当労働行為として処分するというお約束でございますね。
  218. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) かぎをかけて閉じ込めるということが、もし事実と仮定いたしましても、そのこと自体はすぐ不当労働行為ということにはならぬと思います。ただ建設省の職員といたしまして、人をゆえなくかぎをかけて閉じ込めるというふうなことは、これは適当な行為でないことは当然でございます。
  219. 森勝治

    ○森勝治君 特にこの件については、労働組合法第七条第一項の不当労働行為であります。その前のお答えは、同じく同条第二項の、理由なくして組合との交渉を拒否できないということ、いままでは拒否してきたが、これからまともに交渉しますということですから、これはあなた方の良識に待ちますけれども、この第一項の問題で、現実に二時間半もかよわい女性を課長――名前は申し上げませんが、そちらで御存じだから名前は申さないけれども――とにかく組合問題について慫慂したという事実が立証されれば、その当該管理者は不当労働行為として処罰する、こういう先ほどのお答えと拝聴しましたが、よろしいですね。
  220. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 先ほどお話し申し上げましたのは、かぎをかけて監禁状態に二時間もしておくということが適当でないということを申し上げたのでございまして、その間におきましてどういう行為があったかということは、また別の行為の問題でございます。ただいまお答え申し上げましたのは、長い時間閉じ込めたことにつきましてのお答えでございます。
  221. 森勝治

    ○森勝治君 それではかぎの問題、これはあとでゆっくりお伺いすることにして、閉じ込めたという事実は、官房長、いみじくもお認めになりましたね、かぎの問題を除いては。
  222. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 閉じ込めたとすれば不適当であると申し上げたのでございまして、職員と管理職側の職員とは、まあ二時間でございますか、一時間でございますか、知りませんが話をしたというだけですぐ不当であるとか違法であるとかいう問題は起こらぬと思います。
  223. 森勝治

    ○森勝治君 話の内容は組合脱退、そうでしょう。不当労働行為でしょう。
  224. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 私のほうの関東地方建設局の本局で調べましたところによりますと、組合を脱退しろとか、そういう話ではありませんで、この職員が他の事務所に転勤になることにきまった人であったわけでございますが、新しい勤務地に行きますについてのいろいろな話をしておったという報告を受けております。
  225. 森勝治

    ○森勝治君 それではその当該職員が――場所柄でございますから個人氏名は省略いたしますけれども、二時間も二時間半も女子職員と上司が、そういう転勤について話し合ったという事実はお認めいただきましたね、いまのお話で。いいですね。その場合に第三者がおってかぎをかけたのを目撃して、立証したということになればどういうことになりますか。第三者にかぎをかけたと、もうすでに課長が言っているんですよ。官房長はどう報告を得たか知りませんが、かぎをかけたけれどもそれは中身が違うと、かぎをかけた理由が違うと言っているんですよ、いいですか。ないとおっしゃっても、かぎをかけた事実は認めている。しかし、これは本人を監禁する、そういう目的をもってしたのではないと言われているのですよ。かぎをかけたと認めた、かぎをかけるのが好きなんでしょう。国会議員にもがちゃんと――官房長がかけたのではないから別ですが、しかし、いずれにしても、同じ役所で同じようなことが、外部から行った人もかぎかけて、かわいい部下もかぎかける。これがそもそも正常の姿ということを、一般論としてもどう受けとめますか、一般論としても。
  226. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 一般論は別といたしまして、高崎工事事務所でございますが、これは三年ばかり前からいろいろ労使間の状況が円滑を欠いておる、ぎくしゃくしておるといいますか、円滑を欠いてきております。まあそういう関係もございまして、労使間に相互に不信、不信感といいますか、そういう状況が高まってきておるという状況であったわけでございます。したがいまして、関東地方建設局本局といたしましても、前々から心配もし注意もいたしておったような事務所でございますが、こういう不信感、一朝一夕にこれを相互の信頼にまで高めるということはきわめて困難でございますけれども、しかし、不断の努力によりまして、少しでも不信感を取り除いていきまして、正常な状態にしたいと、われわれも考えておりますし、また関東地方建設局におきましてもそういう考えも持っております。そういうこともございまして、去る五月の一日でございましたか、事務所長もかえまして気分の一新をはかったような次第でございますが、まあ事務所長をかえました直後にああいう事件が起こったということはまことに遺憾に思っております。しかし、まあそういう努力もいたしておりまして、新しい事務所長もこれからいろいろ本人は本人なりに努力をいたしていくだろうと思いますし、従来の高崎工事事務所とは変わった空気の工事事務所になるとわれわれは期待いたしております。
  227. 森勝治

    ○森勝治君 委員長、申しわけありませんが、あと二点だけ、残りは後日ということにお願いいたします。二点だけお伺いいたしますが、碓氷出張所に鈴木英男という人が在職しているそうですが、この人の身分はどういう身分でしょうか。労務担当係官でしょうか、管理者ですか。
  228. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 私その人の名前はいま初めてお伺いしたのですが、何を担当しておりますか存じておりません。
  229. 森勝治

    ○森勝治君 地建の英邁なる人事係長がおいでですからおわかりでしょう。
  230. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 地建の係長に聞きましたけれども、まだ、いまここに名簿を持っているわけではございませんので、後ほど調べてまたお答えいたします。
  231. 森勝治

    ○森勝治君 わかりました。それではわからぬということでありますから、きょうの段階は。ですから、先ほど十分お答えいただけますかと念を押しましたら、二名でたくさんだといって、二名で足りなくて地建の局長も呼んできているでしょう。それでも足りなくて返事ができない。それから後日資料の一部として出してもらいたいのは、碓氷出張所の鈴木英男という人の身分は何か。この人は職場内においてはあたかも人事権があるごとくにふるまっておるそうだけれども、人事権を持たした身分なのかどうか。それからさらに、同僚には、脱退すればよい車に乗せてやるがと言って、組合の脱退を強要しておるそうだが、そういう資格があるかどうか。管理者でなければこういう言動ははけません。さらにまた、もう一人の人は、脱退すれば班長にしてやるということを言って脱退を強要しておったが、これもまた管理者でなければ班長を任命する資格に欠けておるわけであります。いいですか。こういう点でどうも合点がいきません。わからないと言われるからでありますが、これもはっきり申し上げますが、そういうことで、現実に言われて圧力を加えられておる人々が私のところへ申し出してきておりますので、その人たち意見もあとでそちらで聞いていただけばけっこうであります。したがって、そのことを御報告願いたい。  それからもう一つ、どうも建設省では、労働関係法で介入を禁止しておるにもかかわらず、全建労脱退をそそのかす管理者の風潮がある、こういうことはまことにけしからぬ行為で、これは明らかに労働関係法で禁止しておることでありまするから、今後厳重に取り締まっていただきたい。よろしいですね。
  232. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 組合に加入する、しないはもっぱら当該職員の意思によってきまることでございます。それに対しまして、不当な干渉をすることは、これは適当な行為ではございません。さような考えでおりますので、御了承願いたいと思います。
  233. 森勝治

    ○森勝治君 適当な行為でございませんから、ふらちな行ないということであります。したがって、それは間違った行為であるから、そういう事実がわかったらその管理者は適当な処置をするということですね。
  234. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 建設省の職員の中でまあ幾らかは行き過ぎもあった向きもあるかもしれませんけれども、原則といたしまして、私の方針といたしましても、さような不当な介入はしないということにいたしておりますので、どうかこの点御了承願いたいと思います。
  235. 森勝治

    ○森勝治君 原則とおっしゃったが、原則もヘチマもないのです。法は厳として介入すべからずということを成文化しておるのでありますから、介入されては困ります。したがって、介入した事実があり、脱退をそそのかし、強要し、利益誘導した事実があるとするならば、そういう管理者はすみやかに処分してほしい、これはお約束いただけますね。
  236. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 不当な行為がありますれば、その行為の態様に従いましてしかるべき処置はとりたいと思います。
  237. 森勝治

    ○森勝治君 時間がございませんから急ぎます。  この事件で関東地本の大河原執行委員長は停職一年の処分に付されました。これは局側の申し出でいま地検が捜査中の問題でありますが、官公庁の例をとりますならば、刑事事件その他そういう問題が起きた場合には、法の処断をまつまで役所の処分というものは待つ、これが官庁の慣例ではないでしょうか。ところが、検事捜査の段階で停職一年にしたというその理由はどういうことなのですか。
  238. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 大河原委員長が刑事事件に関しまして捜査を受けているというのは承知いたしております。関東地建といたしましては、この大河原君の事件につきまして、刑事事件の捜査が進行中でございましても、処分いたすについての明確な証拠がございますれば、その段階におきまして判断を下しまして処分をするという態度でございまして、そういう方針に従って関東地建におきまして処分をいたしたということでございます。
  239. 森勝治

    ○森勝治君 それはそういう規定が建設省におありになるのですか。
  240. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) さような規定があるわけではございません。
  241. 森勝治

    ○森勝治君 国家公務員等を処分する場合には、当該本人が刑事事件を惹起した場合には、司直の決断をまって、それまでは保留にしておきなさい、これが国家公務員の制裁規定の一項じゃないでしょうか、項目じゃないでしょうか。
  242. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 国家公務員法にさような規定があるわけじゃございません。ただ、起訴になりますまでに、行政的な処分をいたすに十分な資料が得られない場合には、起訴と同時に、あるいは起訴の後におきまして休職処分にして刑事事件の進行を待つということもございますございますが、刑事事件の捜査が進行中に行政上の処分をしてはならぬという規定はございません。
  243. 森勝治

    ○森勝治君 規定がないからやってしまったというのですね。慣行は、いまあなたが前段で言われた休職処分その他をして、検察庁、裁判所の判決後に処分しなさい、これが各省共通の考え方でしょう、そうでしょう。それはあなた御存じですね、いまあなたがおっしゃっておられるのだから。ところが、大河原君の場合には事態が明らかだから、公務員法違反が明らかだから処分したとあなたはおっしゃっておられる。それならば、あなたのほうでこの処分の理由で、つばをはいたとか何とか言って、けがをしたとか言うけれども、右の目をひっぱたいたというのですが、官房長、あげ足取りで恐縮ですが、右の目玉をどうしてひっぱたけるか、演出してごらんなさい。それは考えなくてけっこうですから、やってごらんなさい。目玉だけひっぱたけますか。そういう処分の内容。それから、この事件のあとに当該長田課長か地区労のたぶん組織部長だと思いますが、なぐられた事実はないと言っているのですよ。なぐられた事実はないと言っている。おそらくは検察庁も御存じ、裁判官の方も御存じ、裁判官の検事勾留却下もありますから。しかし、それはいずれ明らかになるでしょう。  それから、もう一つ聞きたいのは、この処分の第一項と第二項は一体どういうふうに違うのですか。私はどう考えても、この処分の一項、二項は同内容だと思うのですが、第一項で、つばをひっかけた、そのあとでもその他と共謀してつばをひっかけた、これが処分の第一項。第二項、時間がありませんから読み上げません。第一項、と第二項の違う法的意義についてひとつ御説明を願いたい。
  244. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) これは同じ行為でありましても時点が違うわけでありまして、第一項につきましては、第二項でうたっております顔面殴打の事件よりも前の行為でございます。それから、顔面殴打のときに、同時につばをかけておりますので、つばが二へん出ておるということでございます。
  245. 森勝治

    ○森勝治君 それは間違いございませんか。これはきょうは大切な当該委員会でございますから、ひとつあなたの話は記録されるのでありますから、はっきりひとつ明快な正しい御答弁をいただきたい。
  246. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 私が先ほど申し上げましたとおりでございます。
  247. 森勝治

    ○森勝治君 時点が違うのですか。これは時点が違うと書いてありません。この一項、二項、どういうように法的にこれを解釈されますか。どこの時点が違うのです。一項と二項、内容は同じじゃありませんか。二項は右の目玉をひっぱたいた、それだけの違いじゃありませんか、中身は。失礼ですけど、第一項の詳細な説明が第二項と違いますか。
  248. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) これは行為としては別の行為でございます。
  249. 森勝治

    ○森勝治君 別の行為ですか。  時間がございませんから、この辺で私の質問は終わりますが、大河原君の処分一年――十二カ月についての処分の内容について詳細ひとつ資料をいただきたい。委員長、お願いします。
  250. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 後ほど御提出をいたします。
  251. 森勝治

    ○森勝治君 それから、伊藤委員が内閣委員会指摘いたしました五件について、ひとつ資料として、その事件の内容、組合側の申し立ての内容も出ておるわけでありますから、当局にいっておるでしょうから、それと、当局側の回答についての資料をいただきたい。
  252. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 伊藤委員の内閣委員会の質問では五件と申されましたけれども、五件の事例は御質疑なかったように思います。私が五件と申しましたのは全建労側から指摘のあった数でございます。
  253. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 森君、資料要求の点、具体的に言ってください、確認しますから。
  254. 森勝治

    ○森勝治君 私のほうは、内閣委員会において伊藤委員が五件の質問をされたとあなたが私に説明されるから、その五件とは何ぞやというので提出方をお願いしたわけでありますが、それではいま前言をひるがえされたわけでありますね、あなたは。
  255. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 私の話し方がまずかったかもしれませんが、伊藤委員から質問がございましたが、私のほうでお答え申し上げたのは、全建労から指摘のあった五件についてであるというふうに申し上げたつもりでございます。
  256. 森勝治

    ○森勝治君 それでは全建労から指摘している件数だけ言ってください。
  257. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 件数と件名だけ言ってください。
  258. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 一つは、官舎入居の件でございます。  それから、一つは、ただいま森委員から御指摘のありました、転勤に伴って女子職員と二時間にわたって部屋の中で話をしたという件でございます。この第一点、第二点につきましては、名前は不明です、きておりません。  第三点は、組合のほうから名前を言ってきております。塚本という用地課の職員であります。これは係長にしてやるからといって組合をやめたらどうかという点。  第四点は、名前を言っておりませんが、ある出張所の自動車運転手が、ライトバンに乗せてやるからといって脱退しろと出張所所長にいわれた。  第五点、これは不当労働行為そのものというのではないのでございますが、名前はいっておりませんが、用地課で一人自殺をはかった者がおる。これは不当労働行為関係があるのではないか、こういう主張でございます。
  259. 森勝治

    ○森勝治君 それじゃ、それからもう一つ。先ほどすでに御確認いただいた所長官舎の件が一点ありますね。それから、この問題を起こしました前所長の瀬端さんが三十九年の九月十七日に、私の不徳のいたすところでありますので、反省をし、今後は皆さんとよく話し合うことをいたしますと言って組合側に陳謝した実側がございます。これは御承知ですね。しかしながら、資料要求ですから、御答弁いただこうとは思いませんが、これはなぜ所長が陳謝しなければならなかったのか、この内容についての資料をいただきたい。  それから、四十年の六月に支部三役の不当処分が行なわれておりますが、この不当処分の理由を資料にしていただきたい。  それから、瀬端所長を問題が起こった五月に宇都宮に転勤させましたが、その理由はいかなる理由に基づくか、これをひとつ資料としていただきたい。  それから、瀬端さんが所長時代に、庶務課長、前橋出張所長、碓氷出張所長、こういう管理者が一般職員に対して、組合を脱退しなければならないと言って強要をしばしば繰り返して行なっているということでありますが、そういう事実があるのかないか、ないならない、あるならあると、明快にひとつ資料として出していただきたい。  それから、結婚の問題については、宇都宮転勤希望ですね、その問題は資料で出していただくということでありますから、その他たくさんありますけれども、とりあえず以上の問題を資料として出していただき、私も質問の途中でありますが、時間がだいぶ経過いたしておりますので、きょうは質問を後日に保留させていただいて、以上で終わります。  そこで、私は、この質問を中断するにあたり、建設当局に特にお願いいたしたいのは、私が先ほども申し上げましたように、私がここでこの質問を申し上げますことは、当初もお断わりいたしましたように、建設省の労使の仲が、他の官庁のように、もう少しすらすらといくように相互の信頼を取り戻していただきたい。どうも建設省というのは、土建会社を相手にしているせいか、どうも管理者が気が荒くてしようがないような気がするのです。具体的な事例にも現に私も遭遇いたしましたが、申し上げてみたいと思いますが、時間がございませんから、それは省きます。いずれといたしましても、土方を使っておるのは――土方なんというのは失礼なことばでございますが、そうした道路の工事の人々を使うごとく自分の直属の部下をしかり飛ばして、てんとして恥じざる管理者というのは必ずしもわれわれはいただけない。したがって、労使間の正常なルールをしくためにも、そういうこともぜひやめていただきたいし、私どもも二度とこういうことを質問しないように、もう少し官房長、率先してやっていただきたい。私は労使慣行がすみやかに平常に戻らんことを祈念しながらこの質問をしたわけであります。したがって、これを特に建設当局にお願いし、きょうは大臣をお願いしておったわけでありますが、大臣おいでになりませんが、いずれこの問題についてまたひとつここへ来ていただいて、労使間のあつれきが少しでも楽に解消ができるように、正常な労使慣行が持続できますように念願するあまり質問したわけでありますので、官房長もひとつ謙虚に私の話を聞いていただいて最善の努力をいただきたい。特にこの出先の労務担当については、まことに目に余るものがあります。現実に私も目撃し、耳で聞いております。しかし、これはこの席上、高崎の問題に限っての質問でございますから申しませんので、ひとつそういう問題についても、十分部下を指導していただきたい。  以上です。
  260. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) ただいまの資料の御要求につきましては、事実を調査いたしました上で、後ほど提出いたしたいと思います。
  261. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 文書でいつごろまでに出ますか、大体の予定を言ってください。
  262. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 来月中旬までに調査いたしまして提出さしていただきます。
  263. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     ―――――――――――――
  264. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 請願第二号、全国各盲人会(復生病院を含むに)対し高級録音機十二台支給等に関する請願外三十八件を議題といたします。  本委員会に付託されております三十九件の請願は、一応専門員のもとで整理してもらい、委員長及び理事打合会におきまして審査いたしました結果、請願第二号、全国各盲人会(復生病院を含む)に対し高級録音機十二台支給等に関する請願、第三一号、母子保険法の内容充実に関する請願、第四〇号、第四一号、第五九号、第九二号、第一二八号、環境衛生関係営業運営適正化に関する法律の一部改正に関する請願、第四二号、第一五二号、第一六六号、第一六七号、第一六八号、第一六九号、第一九一号、戦没者遺骨収集促進に関する請願、第六九号、第一六五号、老後の生活安定のため老齢福祉年金増額に関する請願、第一〇四号、療術業務医業類似行為)の新規開業制度化に関する請願、第一二九号、環境衛生金融公庫設立に関する請願、第一三七号、国民健康保険国庫負担金増額等に関する請願、第一三八号、老齢福祉年金支給に関する諸制限撤廃等に関する請願、第一四二号、第一四三号、同和対策審議会答申完全実施に関する請願、第一五〇号、離島における医療施設整備医療従事者確保立法化に関する請願、第一五一号、栄養士法第五条の二の第二号改正に関する請願、第一六四号、ソ連長期抑留者国家補償に関する請願、第一七三号、少年非行対策に関する請願、第一九四号、国立水戸病院がん研究所設置に関する請願、  以上二十七件の請願は、議院の会議に付することを要するものにして内閣に送付することを要するものとし、請願第一一六号、一酸化炭素中書法制定に関する請願外十一件の請願は保留とすることに意見の一致を見ました。  つきましては、委員長及び理事打合会の審査のとおり決定することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認め、きょう決定いたします。     ―――――――――――――
  267. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 継続審査要求についておはかりいたします。  診療エックス線技師法の一部を改正する法律案、一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案及び身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  268. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  270. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 継続調査要求についておはかりいたします。  社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  272. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  273. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 委員派遣要求に関する件についておはかりいたします。  社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査のため、閉会中、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  277. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) なお、閉会中の委員会は、八月二十九日午前十時に開きたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 佐野芳雄

    理事佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十七分散会。