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国務大臣(鈴木善幸君) ただいま
藤田委員より、
昭和四十二年度の厚生省の
予算について、その
重点施策があればそれについて
説明をせよ、こういう御質問かございました、私は、まず四十二年度の
重点施策について御
説明を申し上げる前に、四十二年度の
予算編成に
あたりまして、事務当局に対して私から竹に指示をし、私自身もその心がまえで
予算編成に当ったのでございますが、それは過去一年二カ月、
国会におきまして私か当
委員会をはじめ、衆議院、参議院の
予算委員会、社労
委員会等を通じて
委員各位の御質問に答えてお
約束を申し上げたところの事項については、速記録を
調査をして、全部お
約束を申し上げた事項を私の手元に提出をしてほしい、そのお
約束を申し上げた事項は、四十二年度
予算の
編成に当たっては特に配慮をするということ、こういうことを事務当局に指示いたしまして、
国会の御意向をできるだけ尊重して今後の
厚生行政を進めたい、こういう心がまえで
予算編成に当たっているわけでございます。したがいまして、ただいまから御報告申し上げる厚生省の四十二年度の
重点施策は、おおむね当
委員会等におきまして
委員各位からもいろいろ御要望なり、あるいは御意見があったところであり、また、私自身からもそれらの点を特に重視をして
努力をすることをお誓い申し上げた点にあるわけであります。
そこで、まず第一点は、従来から
昭和四十一年度におきまして
重点施策として取り上げましたところのガン
対策、あるいは重症心身障害児
対策、あるいは性病
対策、そういうような
政策を
昭和四十二年度におきましても引き続きこれを強化充実をしてまいる、そういうことはお
約束を申し上げた。今後こういう
政策は
重点的に年次
計画をもって
推進をする、こう申し上げたとおりであります。それから、さらに新しい情勢に対応いたしまして数項目の
重点政策を取り上げた次第であります。
まず、第一は生活環境施設の整備でございます。最近における
経済成長の結果、都市に人口が過度に集中する
傾向も出てまいっておりますし、農村からの人口の移動、その他
経済社会情勢が大きく変わっておりますること等からいたしまして、われわれの日常の生活炭境、これをその新しい情勢に即して、できるだけこれを早く整備する必要がある。特に上下水道の整備、あるいは、し尿処理、じんあい処理、あるいは公害の発生に備えての環境の整備、こういうようなことを考慮いたしまして、
昭和四十二年度を出発点とするところの新しい生活環境施設の整備五カ年
計画を立案をいたしまして、われわれの日常の生活をできるだけ住みよい健康な環境をつくるように政府として
努力したい、このように
考えておるところであります。
第二の点は公害
対策の
推進でございます。公害問題につきましては、最近深刻な
社会問題にもこれが
発展をしておるということで、一日も放置を許さない情勢に相なっております。そこで、政府といたしましても、ただいま公害
審議会に
基本的な問題につきまして格間をいたしておるとこでございますが、どうしても次の通常
国会には公害
対策を抜本的に行ないますために公害
基本法を制定をしたい、こういう
考えで、
関係各省庁とも連係をとりながらいろいろ具体的な
検討を進めておるところでございます。また、現在規制しておりまするばい煙規制法、あるいは水質汚濁
防止法等々の、すでに規制をしておりまする公害につきましても、現状から見て不十分な点が多々ございまして、これを新しい情勢に即応するように、さらに適切な
措置を講ずる必要があると
考えておりますし、さらに、また、騒音でありますとか、あるいは振動であるとか臭気であるとか、あるいは自動車の排気ガス等のごとく、いまだ規制しておりません公害に対しましても適切な規制の
措置を講じ、公告の防除について強力な
対策を講ずる必要がある、このように
考えておるわけでありまして、公害
防止事業団の機構並びに
事業面の強化をはかると同町に、大気汚染等に対するところの全国的な
調査網の整備等、必要なる
措置を四十二年度において講じてまいりたい、このように
考えておるのであります。
第三の点は救急医療体制の整備でございます。最近交通事情が相当激化いたしまして、交通
災害が激増をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。また、その他の
産業災害等、救急医療を必要とする諸事情が顕著になってきておるわけでありまして、救急医療体制を整備することは、この深刻な
社会情勢になっておりまする交通
災害等に
対処するためにもぜひ急がなければならない
施策である、かように
考えるわけでありまして、国立の病院、国立療養所、さらに都道府県立その他の医療機関に対しまして専門の脳外科医を
配置をして、そうして救急医療センターをつくり、また、それを中心としたところの全国に救急医療網を整備いたしたい。医師会その他の民間医療機関の積極的な御協力を得る面につきましても、十分
予算的にも配慮をする必要があると、こう
考えまして、所要の
予算措置も講じようと、かように
考えておる次第でございます。
第四は、これは古い問題であって、なお新しい問題であると私は
考えるのでありますが、僻地医療
対策の強化でございます。皆
保険下におきまして被
保険者である国民全部に適正な医療の
給付を行なうということは、これは政府の責任であると、このように
考えておるのでありますが、そのためには僻地、離島に対するところの医療機関の
配置を適正なものにする、また、避地、離島の医師、診療
担当者の確保をはかるということが私はきわめて大切な、また、急がなければならない
対策であると
考えておるのであります。そのためには、僻地医療の問題は、これは私的医療機関に依存をしておりましても、本来が採算に合わない医療でございますので、どうしてもこれは国公立、あるいは特殊法人等の医療機関がこのような採算のとれない医療の面につきましては中心的に責任を持って当たるという体制をつくる必要がある、このように
考えるわけでございますので、国立あるいは県立の病院等を親元病院として、これの医師の定員をふやしまして、その余力をもって僻地、離島の診療医療機関に医師を派遣をする。また、各府県にそれぞれ僻地医療
対策連絡協議会のようなものを持ちまして、必要なる僻地に対しまして適切な
対策を講ずるようにいたしたい。それに必要な
予算その他を来年度において十分裏づけいたしたいと
考えておるわけであります。
第五の点は、保育所の整備を
計画的にこれをはかってまいりたい、このように
考えておるわけでございます。現在保育を必要とする子供さん方は相当の数に上るわけでございますが、そのうち、三十万人程度の児童につきましては、早急に保育所をつくってこれを収容し、保育いたしたいと、このように
考えまして、今後五カ年間に四千カ所の保育所を整備をするということを目途にいたしまして五カ年
計画を作成いたしました。
昭和四十二年度を出発点として、
計画的に保育所の全国的な整備をはかりたいと
考えておるわけであります。また、従来ありましたところの規格に合致しないということで認可されなかった未認可の保育所がたくさんございますが、これに対しましては補助あるいは融資等の面を通じまして、認可保育所に昇格せしむるような
措置を講じますと同時に、あるいは
事業所、あるいは団地、そういう方面に対しましても積極的に保育所を設置するような指導と必要な
措置を講じたい、このように
考えておるわけであります。と同時に、農山村に対しまして僻地保育所、あるいは季節保育所というような面も今後力を入れてまいりたいと
考えておるわけであります。
第六の点は老人
福祉対策の
推進でございますが、老人
福祉の問題が
社会問題としてもきわめて重視しなければならない情勢になっておりますことは御承知のとおりでございます。そこで、従来からやってきておりまする老人ホーム、あるいは養護老人ホーム、特別養護老人ホーム等の増設をはかりますと同町に、四十一年度におきまして五万ヵ所の老人クラブをつくったのでありますが、さらに一万五千カ所を四十二年度におきまして増設をいたしまして、六万五千カ所の老人クラブを全国的につくり、これに対する助成の
措置を講じたい、こう
考えております。また、従来は六十五歳以上の御老人に対しまして、一年おきに公費による健康診断を実施いたしておったのでありますが、これを全部の老人に毎年公費で健康診断をする、お年滞りの健康管理を十分やってまいりたい、このように
考えておるわけであります。また、老齢
福祉年金の充実等につきましても特に力を入れていきたいと
考えております。また、各方面から要望がありますところの老人世帯に対するホーム・ヘルパーの増員、そういう面につきましても考慮を払っておる次第でございます。
第七の問題は、これは一番最後に申し上げるのでありますけれ
ども、医療
保険制度の抜本的な改正でございます。私は、就任以来、国民健康
保険なり、あるいは組合
健保なり、その他の医療
保険制度につきまして当面応急の
措置を講じてきたところでありますが、診療報酬体系の適正化とあわせて、各種の医療
保険制度の
アンバランスの是正、被
保険者の負担なり、あるいは
給付の格差の是正なり、あるいは財政の問題なり、そういう医療
保険制度の抜本的な改正は、
昭和四十二年度の
予算の
編成に
あたりましては、特に私はこれを解決をし、四十二年度からこれを実施いたしたい。これは非常にむずかしい問題でございますけれ
ども、
皆さん方の御協力、御援助を得ましてぜひこれを
実現いたしたい、かように
考えておる次第でございます。
以上、その他いろいろございますが、数点にわたりまして来年度ぜひこれだけは
重点的に行ないたいという問題につきまして大筋を御報告申し上げた次第でございます。
なお、御質問によりまして、細部にわたりましては、名
局長も見えておりますので、御
説明申し上げたいと存じます。