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1966-11-08 第52回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月八日(火曜日)    午前十一時三十七分開会     —————————————    委員異動  十一月四日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     和田 鶴一君      石原幹市郎君     山内 一郎君      佐藤 芳男君     藤田 正明君      吉武 恵市君     高橋雄之助君  十一月七日     辞任         補欠選任      戸田 菊雄君     鈴木  力君      鈴木  強君     大倉 精一君      藤原 道子君     武内 五郎君  十一月八日     辞任         補欠選任      山内 一郎君     小山邦太郎君      武内 五郎君     小林  武君      高山 恒雄君     瓜生  清君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 幡治君     理 事                 青田源太郎君                 稲浦 鹿藏君                 永岡 光治君                 浅井  亨君     委 員                 小山邦太郎君                 近藤英一郎君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 森 八三一君                 吉江 勝保君                 大倉 精一君                 鈴木  力君                 吉田忠三郎君                 瓜生  清君    国務大臣        運 輸 大 臣  藤枝 泉介君        建 設 大 臣 橋本登美三郎君        国 務 大 臣  田中 茂穂君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        総理府総務副長        官        上村千一郎君        内閣総理大臣官        房参事官     上田 伯雄君        北海道開発庁総        務監理官     小熊  清君        大蔵省主計局主        計官       荒巻与四郎君        文部省体育局審        議官       河上 邦治君        文部省管理局指        導課長      大串不二雄君        農林政務次官   温水 三郎君        農林大臣官房参        事官       石田  茂君        水産庁漁港部長  瀬尾 五一君        気象庁長官    柴田 淑次君        建設省河川局長  古賀雷四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告災害対策樹立に関する調査  (台風二十四号及び二十六号による災害対策に  関する件)  (北海道冷害対策に関する件)  (十月の集中豪雨による災害対策に関する件)     —————————————
  2. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから、災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  本月四日、土屋義彦君、石原幹市郎君、佐藤芳男君及び吉武恵市君が委員辞任され、その補欠として和田鶴一君、山内一郎君、藤田正明君及び高橋雄之助君が選任され、昨七日、戸田菊雄君、鈴木強君及び藤原道子君が委員辞任され、その補欠として鈴木力君、大倉精一君及び武内五郎君が選任されました。  また本日山内一郎君、高山恒雄君及び武内五郎君が委員辞任され、その補欠として小山邦太郎君、瓜生清君及び小林武君が選任されました。     —————————————
  3. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、本日の理事会の結果につきまして御報告いたします。  本日の議事につきましては、派遣委員報告を聴取した後、前回に引き続き、台風二十四号、二十六号の災害北海道冷害及び松代地震について質疑を行なうことになりましたので御了承を願います。  災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般台風二十六号による被害調査のため、埼玉群馬栃木の各県に派遣を行ないました際の報告お願いをいたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  4. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記をつけて。
  5. 永岡光治

    永岡光治君 御報告申し上げます。  派遣委員浅井亨君、近藤英一郎君、土屋義彦君、高山恒雄君と私の五名で、ほかに田村賢作君、船田譲君、瀬谷英行等地元選出議員の御参加を得て、十月十三日より十五日までの三日間、二十六号台風による埼玉群馬栃木の三県下における被害状況調査するとともに、被災者方々にお見舞いを申し上げ、かつ激励してまいりました。  まず、調査団日程を申し上げますと、十三日朝埼玉県庁知事以下から県下の総合的な被害状況説明陳情等を聴取した後、足立町、狭山市、坂戸町、本庄市の順に視察を行ない、足立町以外の市町庁舎において関係被害市町村長等説明陳情を聴取して前橋市に入りました。十四日は朝、群馬県庁にて同様知事等より状況を聴取し、箕郷町、城南村、赤堀村、笠懸村、藪塚本町の各町村被害状況を視察し、同様関係町村説明陳情を聴取して宇都宮市に入りました。十五日は朝、栃木県庁にて知事以下の状況説明を聴取し、宇都宮市、壬生町、上三州町、小山市において各中小河川堤防決壊現場知事とともに視察して夕刻帰京しました。  気象状況の全般については、すでに委員会報告がありましたのでこれを略し、被害状況を申し上げますと、まず、埼玉県においては、九月二十五日未明台風二十六号が県を縦断し強風と大雨を伴い、特に各地で家屋倒壊、山津波、土砂くずれなどを中心に人的、物的に大きな被害をもたらしました。一般被害としては、死者二十八名、重傷者百二十三名、軽傷者五百七十一名の犠牲者を出し、家屋全壊千二百三十五棟、半壊六千六百七十九棟等でその被害額は九十三億円にのぼります。また、農林畜産物被害は二十八億円、農林業施設関係では十三億円、公共土木事業関係は三億円であります。また五十二市町村に対し災害救助法発動されました。埼玉県はすでに去る六月二十八日の台風四号の記録的な豪雨と、六月七日の戦後最大降ひょうに襲われており、これで三度目の災害であります。  次に群馬県におきましては、台風は二十五日午前二時県境に達し、最大瞬間風速四十二メートルで県下全域に猛威をふるい、県の中心部を縦断して三時半東北方面に抜けました。このため、死者十五名、重傷者五十四名、軽傷者二百十六名を出し、家屋全壊九百四十九棟、半壊四千五百二十一棟、等でその被害額は七十八億円にのぼります。また農林業関係の産物及び施設は七十六億円、商工業関係は三億円、公共土木関係十億円等で八十九億円にのぼり、住家等と合わせた被害総額は百六十七億円にのぼりました。災害救助法は二十三市町村に対して発動されました。これまで群馬県も六月の降ひょう台風号等によって痛められておりますが、特に九月十一日には榛名山麓一帯集中豪雨があり、死者四名、道路橋梁農地山林等に二十一億円の災害を受け、二十六号台風と相前後してその被害総額百九十億円に達します。  栃木県においては、二十四日夜半から二十五日未明にかけて県全域台風二十六号の暴風圏内に入ったので、宇都宮の瞬間最大風速四十三メートル、降水量は、山間部三百ミリ(二日間の雨量)、平野百五十ミリで各河川が増水はんらんしました。このため、死者十二名、死傷者五十一名、住家全壊百六十七棟、半壊五百八十八棟等の被害を生じ、損害額公共土木施設関係十五億円、農作物十七億円、農業用施設等五億円、林業関係十五億円等被害総額は五十五億円(住家損害を含まず)に達しております。  次に、罹災地調査団が聴取した陳情要望のおもなもの及びこれが対策について申し上げますと、第一に個人災害に対する救済措置要望であります。台風二十六号は最大風速四十メートルの風台風であったので、住居、農舎、畜舎、店舗、倉庫工場等家屋倒壊及びこれに伴う死亡者負傷者多発並びに果樹、蔬菜、農作物及びビニールハウス被害等個人災害が多大であるので、これらに対する救済措置を求めるものであります。第二は、中小企業者被害に対し、農家並み救済措置要望するものであります。第三は、経営資金その他融資利率は少なくとも五分以下、三分程度にせよとの要望であります。とのほか、今次災害にかんがみ、予防治山、治水に重点をおき、中小河川早期改修治山事業拡大公共土木施設農林業用施設等災害について、初年度事業費大幅増額並びに災害復旧事業完了年限の短縮をはかること、また近時がけくずれ、山くずれ等による災害多発にかんがみ、これら災害発生が予測される危険個所において公衆の用に供する建物の建築制限の強化、また個人住宅の建設についても行政指導を強化すること、台風その他気象状況の迅速な通報と地域ごとの適切な災害予防措置を強化すること、激甚災害指定天災融資法指定特別交付税の配分について特別の考慮をする等の要望であります。  以上の要望に対して、従来の災害対策公共施設中心であって、個人災害に対する救済措置災害救助法応急措置天災融資法等措置を除いて、ほとんど見るべきものがない現状であり、また個人災害救済自己責任の原則からして問題の波及するところ大であるとはしても、新たなる立法、これら既存法適用範囲拡大措置限度の引き上げ、住宅復旧助成等措置に進むべきであると思うのであります。また、被災中小企業者に対する救済対策農林業者に対するそれと比較して薄いことは、個人的色彩が一そう強い商工業性質からも由来するものであるが、被災中小企業者に対する経営資金利子補給措置施設復旧資金に対する同様の措置、三公庫等貸し付け利率の引き下げ、貸し付け条件の緩和が必要であると思います。さらに災害融資については、事の性質上、事業拡張資金とは異なるものであり、少なくともすべて五分あるいはそれ以下の利率三分等を考うべきものでありましょう。群馬県の特に要望する九・一一災と二十六号台風との関連も十分考慮に値するものと思うのであります。  以上をもって報告を終わります。
  6. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御苦労さまでした。  現在の報告に引き続いて、台風二十四号及び二十六号に関する台風災害北海道等冷害に関する件について便宜一括して質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 永岡光治

    永岡光治君 対策本部のほうにこれはむしろお伺いしたほうがいいかと思うのでありますが、その前にこれはちょっと政府に特に反省を求めておきたいと思うのでありますが、きょうの各関係大臣出席についてでありますが、これは特に総理府のほうからもお願いしておかなければならぬと思うのでありますが、すでに今日この時間において開会されるということは、ずっと前から通知がしてあったはずでありますが、残念ながら関係大臣が出て見えておりません。そのために議事の進行が非常に支障を来たしているわけでございますが、どうぞ前からわかっておることでありますから、それぞれの大臣の行動につきましても日程をあけていただくように、特段に私は反省を求める意味で喚起してお願いを申し上げたいと思うのであります。  これを冒頭お願いしておきまして、次に質問に入りたいと思うのでありますが、いま私報告申し上げましたように、今度の二十四号、六号あるいは北海道冷害一連災害について特に激甚災害法適用をしてもらいたい、こういう要望も強いところでありますが、おれらく政府のほうでもその問題についてすでに措置をされたかの報告は、報道は聞いておりますが、正規にはまだ私どもこの委員会では承っておりませんが、一連災害について政府のとりました適用法律、あるいはその後の措置模様、具体的に簡単でけっこうですから御説明を願いたいと思います。
  8. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 詳細な点につきましては、上田参事官から御報告をいたすことにいたしますが、二十四号、二十六号関係につきましては激甚災害指定その他の処置を講じたわけでございます。なお、北海道冷害につきましては同じくこれが対策処置は講じてございまするが、被害農家方々助成につきまして非常に重要になっておる、この点につきましては天災融資法発動がまだ行なわれておりません。ただいま天災融資法発動と相待ちまして、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律適用する方向でただいま準備をしておる、こういうわけでございます。詳細な点につきましては、上田参事官から報告をいたさせます。
  9. 上田伯雄

    説明員上田伯雄君) 二十四号と二十六号の災害につきまして、激甚法適用状況につきまして御報告申し上げます。  まず、相当大きい災害でございましたので、調査とにわかにいきがたい節もございましたので、調査の終わりましたものから二回に分けて指定したわけでございます。その第一回目といたしましては、政令三百五十三号をもちまして十月の二十日に指定したわけでございます。指定内容は、その第一次分につきましては、激甚法の俗に二章グループといわれておるものでございまして、その筆頭は公共土木施設災害復旧事業でございます。そのほかこの二章グループには公立学校施設災害復旧とか、公営住宅の問題とか、あるいは生活保護施設あるいは児童福祉施設、こういう種類のものがざっと十あまりあるわけでございます。それからその次に第五条の農地農業用施設、林道に関します特例措置でございます。それからその次が六条の農林水産業共同利用施設、たとえば農協で使っております倉庫とかいうような種類のものでございます。それから十六条の公立社会教育施設についての特例でございます。さらに十七条と十八条の私立学校等に関する特例措置、それから二十二条に罹災者向け公営住宅に関する財政特例措置、それから二十四条というのが公共土木施設、それから農地等に関します小災害につきましての地方債に関します特例でございます。これをいたしました。これが第一次分でございます。  引き続きまして、さらに調査を進めまして、十一月の一日でございますが、政令三百五十九号をもちまして第二次分の指定をいたしました。これは内容は八条の農作物に関しますところの天災融資法特例措置でございます。それからそのとき同時に、二十条の母子福祉法によります国の貸し付けの制度がございまして、これの特例、これだけの措置を今回の災害に関しまして激甚法適用として行なったわけでございます。終わります。
  10. 永岡光治

    永岡光治君 私の聞き違いといいますか、少しよくわからなかったのでありますが、もう一度防災本部のほうから御答弁いただきたいと思いますが、北海道冷害については激甚災害法発動したのですか、どうですか。また、天災融資法等もまだ発動していないということ、このように承りましたが、この点についてはどういうことになっておるか、もう一度御説明いただきたいと思います。
  11. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 実は北海道につきましては、激甚災害法指定はされておらないのでございます。それはどういう関係になっておるかと申しますというと、この天災融資法発動と相待ちまして、これを前提としまして適用する関係になっておりますので、ただいま天災融資法発動と相待ちまして激甚災害に対処する、そうして特別の財政援助等に関する法律適用する方向でいまやっておる、こういうわけでございますので、天災融資法発動になりますれば、直ちにそれに対応する準備をいたしておる、こういうわけでございます。
  12. 永岡光治

    永岡光治君 それではただいま北海道の問題について、後ほど今度同僚の委員のほうから質問があろうかと思いますから、一応いまの答弁を聞きおくことにいたしまして、次にこの激甚災害地指定をいたしますこの地ですね、何々町村、何々ということになるだろうと思いますが、それはいつごろ指定をすることになりますか。
  13. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) その点につきましては、天災融資法発動の時期とからんでくるわけでございますので、いまいつということはちょっと申し上げかねておりますが、詳細の点につきましては、上田参事官のほうでいま調査しておりますから、そのほうから報告をさせます。
  14. 上田伯雄

    説明員上田伯雄君) 激甚災害法につきましての地域指定の御質問と思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、適用になります個々の条項がいろいろございまして、それぞれの条項ごとに、地域指定のやり方がいろいろ違うわけでございます。一般的に言いまして、激甚災害法と同時に地域指定をされることは八条の農作物関係だけでございまして、先ほど申しました、たとえば先ほどの二十四号、二十六号の問題で申し上げますと、これまた後ほど調べます。そういうように八条の問題につきましては何々県、何々県というように指定をするのでございますが、一般的にそういうのはきわめて例外でございまして、たとえば公共土木施設等に対しますところの第二章のグループというもの、これが一番財政援助としましては大きいわけでございますが、これはある一つの県なり町なりに激甚災害指定されるようなものがあった、たとえば河川とか道路とかがやられてこの町で幾ら幾らのものが今回の災害でやられた、その町が一ぺんきりですとそれで終わりですが、三べんも五へんもきますと、だんだん公共土木施設の額が大きくなってくるわけであります。そうしますと、一年間の額を足し合わせまして、その額とその町なりその県なりの標準税収入との割合で地域指定されるわけでございます。したがいまして、ある年の一月一日から十二月三十一日までの分を全部足していきまして、それで初めてこの町につきましては適用になるということでありますので、正月あけまして、何々県、何々町というような指定があるわけであります。  その次に大きい、大口になりますところの農地農業用施設等につきましても、やはり一年間分足し合わせまして、ある一定の基準と照らし合わせて、財政援助をする、こういうようになっておりまして、個々条文一つ一つ非常にそういう違いがありまして、その基準等にも違いがありますので、詳細は省略させていただきたいと思いますが、そういうようなことでございますので、そういう指定は正月を越えるものが多いわけでございます。たとえば、ただ二十二条関係でございますと、こういうように待つのではなくて、別に大臣が告示するというような規定もございまして、その条文々々に従って各省でやってくださっております。たまたまいま申し上げておりました途中になりましたけれども、二十四条と二十六条の関係天災融資法特例措置というものについては、今回の場合、岩手県、宮城県、福島県、群馬県、山梨県、静岡県とこれだけになっております。以上でございます。
  15. 永岡光治

    永岡光治君 積算の金額でこれはまたきめられる問題でありますから、基準がありますから、そういうことになろうかと思いますが、早急にそういうものが年があける早々、長くならぬ時期で、最善のひとつ努力をしていただきたいことを要望しておきます。  もう一つ個人災害の問題であります。これも非常にこの委員会では何回か問題になりまして、そのつど総務長官その他関係者の方から誠意をもって善処する旨の答弁があったわけでありますが、これはどのような方向で今日進んでいるのか具体的に、ばく然としたものでなくて、もう臨時国会も開かれようという時期、しかも相当、冬を迎えまして個人災害のひどいところはたいへん御苦労なさっておるのでありますが、救助の手を差し伸べてあげなければなりませんし、当委員会における政府当局答弁が、新聞その他を通じまして、被害者その他には非常に好感をもって期待を持ってこれは迎えられているわけでありますから、もうやがてくるだろうという期待も持っておるだろうと思うのでありますが、その点についてどこまで進んでおるのか、この際あわせてひとつ政府のほうから御答弁いただきたいと思います。
  16. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 先生のおっしゃるとおりだと思います。私も過般松代群発地震につきまして調査団の団長としましておもむきまして現地をよく見ましても、個人被害というものをどうするかという問題が現在の非常な問題であろうというふうに思っております。ただ、これをどう取り扱うかということで、いまの実情各省に向けまして、個人災害に対して対処する場合におのおのの案を出してほしいというようにいたして、各省の係官の方々にお話ししておるという段階でございます。それでいろいろな、先生も御案内のように個人災害ということになりますれば、要するにそこに、個人の責任問題ということもいろいろ出てまいりまして、先ほど先生が御報告になられておる中にもちょっと入っておるように、必要でありながらもこの立法措置をどうするかという場合に、非常にむずかしい問題があるわけであります。それで、どの範囲でいくのか、どういう形態でいくのかという問題につきまして苦慮いたしておるというのが実情でございます。一番早く考えられますのは、個人災害に対しまして、いま手当てができておりまする場合は、もちろん税制面とかあるいは融資の面、これはもちろんできるといたしましても、そうでない形といたしましては、農地の問題がございます。そういう点から考えますというと、自然災害であって、不動産関係、要するに国土が決壊されてしまったというような場合は、個人災害としましても相当煮詰まる可能性がありはせぬかというような考えも出ておるわけでございまするが、端的に申し上げまして、いま各省からできるだけ早く案を出してほしいということを督促しておるというのが、現状でございます。何とかしなければならぬじゃないかという空気はあるわけでございますが、しからばどういうふうな立法措置をしていくのが妥当であるかというような点につきまして苦慮いたしておるというのが、実情でございます。
  17. 永岡光治

    永岡光治君 この問題は、先ほど私が申し上げましたように、もう被災者は当然これは政府のほうで近いうちに支給してくれるであろうという期待を持っておることは間違いないのであります。地方に参りましても、そういう期待を持っておりますので、今日ある法律を運用の面で拡張解釈をするというか、適当な方法でこれを運用していくということも一つ方法でありましょうし、新しい立法をするということも一つ方法でありましょうが、いずれにしても非常にそういう期待が強いわけでありますし、すでに冬という寒さを控えておる時期でもありますので、ひとつ鞭撻をして、早急に政府の案をまとめて実行できるように、現実にこれが実施できるように特に要望しておきたいと思います。要望を申し上げて、私のこの問題についての質問を終わりたいと思います。
  18. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  19. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こして。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 それじゃあまり時間がありませんから端的な問題についてお伺い申し上げますけれども、まず冒頭に、永岡君もさっき言っておりましたけれども、きょうの委員会は、前からわかっておることであるから、省内のいろいろな行事のスケジュールもあるでしょうが、やはりこういう国会スケジュール考えに入れてもらわぬと困ると思うのですね。それだけ冒頭に言っておきますけれども、特に災害というものがシーズンオフになるというと、だんだんぼやけてくるのですね。この場合の災害もあの最中には、があがあ言っておりますけれども、ちょっといまも災害シーズンを離れてまいりましたので、少しぼやけてきておるのではなかろうかと思っておりますが、この際、大臣は新任早々でありますけれども、災害に対してあなたの所管事項であります気象業務ですね、これに対するひとつあなたの災害予防関係からするあなたの考え方ですね。前の大臣は就任早々こういうことを言われた。気象予報までおれの仕事だったんかいなということを言われましたけれども、それほどさようにこの気象関係というものは、運輸行政の中の重点からはずされている。災害が来るというと、総理大臣も壇上において災害対策政府の重点施策として行なうと、こう言われております。今度の運輸省の予算要求の内容を見ましても、重点になっていないのですね。こういう点から、ひとつ災害に対するあなたの関係業務である気象関係に対するあなたの所信をひとつお伺いしたいと思います。
  21. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 災害予防の中で、気象関係が重要な役割りを占めておりますることは、御指摘のとおりでございます。従来の気象庁の内容等が必ずしも十分でなかったことも、御指摘のとおりでございますが、しかし、あらゆる面におきまして、これらの従来の欠陥等を是正しながら、災害予防のための気象観測の十分なそれにこたえられるような方向で、今後も考えてまいりたいと思っております。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 大体それで総括的なことはいいと思うのです。それで、何を是正しようと思うのか。いま予算編成期でありますから、一体来年度においては、この欠陥のどこをどういうぐあいに是正しようとするのか。それをひとつ聞かしてもらいたい。
  23. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 一つは、従来のいろいろな施設で非常に古くなっておるもの、通信施設その他御承知だと思いますが、そういうものがございますから、それの近代化をはかるということは、全般的な問題として申し上げられると思います。  なお本年の予算におきましても、御決議いただきました海上保安庁の巡視船を使っての定点観測というような問題につきまして、来年度も引き続きこれを充実するようにいたしてまいりたい。  もう一つは今後気象観測につきまして新しい技術がどんどん開発されておりますので、そうした新しい技術による気象観測の正確を期するための開発に重点を置きたいと考えております。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 それでは時間がありませんから、問題をしぼってお尋ねしますけれども、第一点は気象観測飛行機ですね、飛行機、これは十年前から問題になっているのですよ。そこでこの前の委員会におきまして、この際これの決着をつけたい、こう考えて、総理の出席を要求したのですけれども、休会中でありますので、ちょっとむずかしいだろうと思います。そこで、大臣にこの気象用観測機に関する大臣のお考えと御認識をお伺いしたい。確かに観測用のいろいろな近代的な機械ができております、開発されております。開発されておりますけれども、災害は待ってくれません。ですから、その開発されれば、できれば、もう不要になれば、観測機も定点観測もやめればいいのですけれども、それまでの期間において観測用飛行機も定点観測も要ると私は思うのです。それに対する大臣のお考えを伺いたいと思います。
  25. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 気象観測の中で飛行機による観測、特に台風等について確かに御指摘のとおり必要であり、またこの問題は十年以来御論議のあったことは承知をいたしております。ただ何ぶんにもこの飛行機による観測については、相当の多額な費用も要するし、さらにこれを観測する要員等の養成も相当長きにわたってやらなければ、ほんとうにこの飛行機による観測ができるような要員を養成することもなかなかむずかしいというようなことで、実は飛行機による観測については現在運輸省としては考えておりません。ただ、ただいま時間がないではないかという御指摘でございますが、それにかわる気象衛星その他による観測についての開発を急ぎたいというふうに考えておる次第でございます。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 それではあなた初めあなたの言われたことと違うじゃありませんか。なるほど飛行機観測は金は要りますよ。要りますけれども、台風被害による金額と比べたらどうですか、一体。しかもその要員等の養成には日時がかかる、こうおっしゃるから、だからいまのうちからその養成を準備してかからないといけないと思うのですね。そういう費用がかかるから飛行機観測は考えていないとこう言う。しからば台風はいま飛行機観測をやっていないのですよ。それで飛行機観測の役割りはそんなに重要じゃないのですかいまどうですか。
  27. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 現在御承知のように台風の飛行機観測、米空軍の通報を受けております。もちろん台風の観測として飛行機の重要性は考えておるわけでございますが、先ほど申したような関係でございまして、定点観測の充実等をもって、ぜひ台風の予報の正確を期したいというのが現在の考え方でございます。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 まあ定点観測はあとから聞こうと思っておったのですけれども、これを充実するというならば、北方定点は復活するのですか。
  29. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 現在は御承知のとおり四国沖と、それから鳥島の観測中止により用船によって定点観測をいたしておりますことは、御承知のとおりでございます。さらに昨年のマリアナ海難と関連いたしまして海上保安庁の巡視船、二千トン級の巡視船に気象レーダーを載せて観測を始めるという決定を見ております。しかし一隻では十分でございませんので、来年度にも第二船と、それに載せる気象レーダー等の予算要求をしているわけでございます。さらに今後の問題としては、いま御指摘のような北方定点の問題等も十分に考慮をしてまいりたいと考えております。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 まあ北方定点は十分に考慮すると言われてからもう十年ぐらいたちますよ。おそらくあなたの任期もまあそんなに長くないだろうと思う。それならば十分に考慮すると言っても、またいつになるかわからぬというのが、実態であろうと思います。特にアメリカの飛行機による観測ですね、これはあくまでも外国の軍隊による観測であって、本質的には外国の軍隊、アメリカの軍隊の必要上から行動しておるのですね。これが必要なくなって行っちゃったら、飛行機観測どうしますか、日本は。世界の情勢はだんだん流動しております。でありますから、アメリカの飛行機によるところの軍事上のいろいろな必要性といいますか、これもだんだん変化してくるでしょう。それが証拠に、北方定点観測は、アメリカ軍のそういう軍事上の要請がなくなったので、あれは引き揚げてなくなったのですね、北方定点は。同じようなことが将来起こらないとも限らない。しかも台風は毎年やってくる。そうしたら一体日本の手によって飛行機観測ができないといったら、何によって観測するのか。そういう点について大臣はひとつ真剣に考えてもらいたいと思うがどうでしょうかね。あなたはいま運輸省では飛行機観測を考えていないとおっしゃったが、たいへんなことだと思います。
  31. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 御指摘のように、米空軍による台風観測は、いわば何と申しますか、日本としては借りものみたいなものでございまして、いま御指摘のようなことも将来考えられると思います。したがいまして、全然飛行機観測というものを私ども無視をいたしておるわけではございませんけれども、何ぶんにも非常な多額の金がかかり、要員の養成にも長期間を要するというようなことでございますので、むしろ現在開発中の気象衛星等による飛行機にかわる観測の開発を急ぐ、そしてその穴を埋めていくということが必要ではないかという現在の考え方でございます。基本的に日本が独自で飛行機の観測をするということは好ましい姿であるということについては、私は別段異存を持ってるわけではございません。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 私は飛行機による観測ということを言いましたけれども、正確には、いま米軍飛行機による観測はやっておりませんね。これは一九五〇年前後までは米軍の飛行機が毎日飛行機観測をやっておったのですけれども、いまそれはやっていないのです。米軍はやっていないから、気象庁においては、天気図にたよってやるよりしかたがないという状況ではないかと思うのです。気圧はどうなったとかこうなったとか、そこで、どうも台風が発生したらしい、そういうことになれば米軍に要請して飛行機で飛んでいってもらう、こういうことだろうと思うのですね。長官も見えておりますから、違っておったら直してもらいたいと思う。ですから、前にはやっておったのですよ。これが米軍の都合によってやらなくなっちゃった。しかも人工衛星なんて言いますけれども、これはいろいろ——だから地上観測が重点になっておりますけれども、地上観測にしても、米軍もオーストラリアも日本も、戦時中は非常に充実したものを持っておったのですね、各島、各場所に。戦後はだんだんこれが薄らいでしまって、現在ではどうも戦前と同じ程度だと、こういうぐあいになっておるように聞いております。そのまばらになったものを埋めているのが、飛行機観測です。そういう飛行機観測の重要性というものを大臣はもっと認識してもらわないというと、やはり依然として運輸省における行政の盲点は気象観測ですよ。金は要りますけれども、災害によるところの損害と比べたらたいしたことはない。この大事な飛行機観測というものを日本の手によってやるという、ここに日本の政治があるのじゃないですか。伊勢湾台風のときには、確かに岸さんも飛行機は必要だと、こうおっしゃったと記憶しております。しかし、赤城さんがどうも興味が薄かったようです、防衛庁長官が。総理大臣大臣も観測用の飛行機は必要だとおっしゃっている。運輸省のあなたのほうでは飛行機観測を考えていない、人工衛星でやっていこうと言われる。そういうものも必要なんだけれども、やはり開発には時間がかかりますよ。時間がかかる間にも、飛行機も必要であり、定点観測も必要である。さらに優秀な機械を開発されてそういうものが要らなくなったら、今度はそれを廃止していけばいい。どうでしょう、これは飛行機観測の準備をしませんか、いまからさっそく。一ぺんに買えとは言いませんよ。
  33. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 飛行機観測の重要なことは、大倉先生御指摘のとおりでございまして、私たちも前から申し上げたとおりでございます。がしかし、この飛行機観測を運輸省でやる、あるいはどこでやるとかということになりますと、やはりその飛行機観測の維持運営という面におきまして、はたして運輸省が適当であるかどうかというような問題も検討しなければならない。飛行機観測というものを日本の国としてやるということについては、私たちのほうでは異存はございません、そういうことでございます。
  34. 大倉精一

    大倉精一君 その点になりますと、災害防災に関する関係省庁がないのですよ、責任省庁が。いまあなたがおっしゃったように、飛行機観測が必要だと思うけれども、それを運輸省でやるのはいかがかと思うと、じゃどこでやるのか。やるところがないでしょう。ないからほったらかしになっておるのですね。これは必要なんですよ。いま大臣はいろんな観測機を開発しようとおっしゃる。たとえばいつか大蔵省の主計官を呼んでいろいろ言ったところが、いやレーダーがあります、レーダーでやれます、こう言っておるのです。やれるでしょう、富士山頂のレーダーもやれる。これは確かに八百キロまでいくのですから、確かに南方定点付近に起こった台風はキャッチできるのですね。ですけれども、専門家に聞きますというと、八百キロでは二十キロ以上の上空の気流しか観測できない。ですから、実際に冨士山頂のレーダーが働くのは四国沖ぐらいにきてから富士山頂のレーダーがキャッチして働く番になる。それまでは働かない。やはりそこに定点観測が要るわけですね。大蔵省の連中はそんなことは知らないですよ。そんな連中が予算を査定するのだから、しまいには定点観測でいいじゃないか、あるいは向こうにもあるからもう定点観測は要らぬじゃないかと、そういうことを言ってるわけです。そういうぐあいでありますから、この際、大臣はひとつ、総理がよく使われる、真剣にこの問題に取り組んで実現をしてもらいたいと思う。すぐに飛行機を買え、人間をつくれと言ったって無理だから、いまから逐次準備をして、何かのときに、いま、はやりの何年計画——それをおやりにならなければ、日本は自分でもってこの気象観測の活動のできない情けない国になってしまう。この点いかがですか。
  35. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) いま御指摘のように、飛行機観測によるものを将来にわたって準備をしておいたらどうだというお話でございました。そういう点については、私どもも十分研究をいたしてまいりたいと考えております。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 そういう点については研究をしたいというのだが、やる気があるのかないのか、問題は。ですから、これは飛行機のことは、いまさっき言ったように、いまこう言ったから、来年度の予算のときから飛行機を持て、人間を持てといっても無理だから、このためには、人員を、まず人間の養成をこういうぐあいにやりますというような一つの構想がなければならない。もう研究する段階ではなくして、何年間には必ず持つのだということ、それをいま決定して、それがために第一段階にはどうするか、こういうことなんですよ。だんだんと大臣はいま研究するということをおっしゃったけれども、いま一番初めの答弁は、人工衛星観測もできるし、なにもできるから、米軍がやっているから運輸省は考えていない、これはさらに研究をするとおっしゃった。研究しているうちに大臣はかわってしまうから、この際、あなたの在任中に方針を確立して、少なくとも何年後には、日本の手によって飛行機観測ができる、この体制をつくる、こういうぐあいに決意を願えませんか。
  37. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 飛行機の観測ばかりでなくて、気象観測の全面的にわたって穴をなくするように考えなければならないわけでございます。その一つとして、わが国の手によって飛行機による観測をするという問題についても、十分それの運営の方法あるいは実行の方法等は、これから研究をしなければならぬわけでございまして、そういう方向考えていきたいと私は考えているわけです。
  38. 大倉精一

    大倉精一君 冒頭に申したように、もう時間がありませんから、この問題に限って私は言っているのですけれども、気象観測のあらゆる面についてはおっしゃったけれども、確かにあらゆる面がありますけれども、きょうは飛行機観測をどうするか、これにしぼっているのですよ。それで、いま運営の方法について考えるというお話でありましたけれども、運輸大臣としては、運営方法その他については関係省庁なり、対策本部なり、いろいろその他にも関係があると思いますが、運輸大臣としては、この際将来に向かって、日本の手による飛行機観測を実現させる、こういうひとつ決意を表明してもらいたいと思うのですがいかがですか。
  39. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) わが国の手によって、飛行機による気象観測をするという問題につきましては、繰り返すようでございますが、十分前向きと申しますか、そういう方向でいろいろ——ただし御承知のように機種をどういうものをやったらいいのかあるいは運営等がどうなるのがいいのか、そういう問題もございますので、十分な研究をいたしてまいりたいと考えているわけでございます。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 これは何べん聞いても同じだろうと思うが、こういうところが、外国の人が日本の国会を見ると、まことに大臣答弁はわからないということをおっしゃるけれども、そりゃわからぬだろうと思う。それで、そういう、いま、おっしゃったようなことがこれから研究されるとして、まず何年間先に飛行機観測をするのだ、こういう決意を、もう一ぺん聞いたって同じだろうと思いますから言いませんけれども、これはまた別の機会に総理に質問していきたいと思うのです。運輸委員会でも聞いていきたいと思う。この際、私はどうしてもやはりその決意を引っぱり出さなければ承知できぬ、十年来ですから。ですから、これはひとつ、私はこれで質問を打ち切るわけじゃない。きょうは時間がありませんし、また吉田君も待っていますから、飛行機の問題はこれで一応保留いたしますけれども、一ぺんようく考えて、よし、これはおれの在任中にひとつ足場をつくっていこう、こういう決意をされるように、ひとつうんと考えて、専門家にも聞いてもらいたいと思うのです。この台風の常襲日本が、自分の国の飛行機によって観測ができないという情けないことでは、全くお話にならぬですよ。これは大臣ひとつ十分に考えてもらいたい。  それからもう一点は、定点観測です。定点観測をずっとふやすと、いまおっしゃいましたけれども、この前の委員会でも聞きましたけれども、なお八カ所要るそうですね。八カ所要る、定点観測が。大臣御存じですか、八カ所要るということは。それで幾らぐらい要りますか、予算は、八カ所で。
  41. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 定点観測の理想的な、技術的に理想的なものとすれば、日本周辺に八カ所、八カ所を入れまして約百七十六億ぐらいの費用になると思います。
  42. 大倉精一

    大倉精一君 まことに安いものだと思うのです。安いものですよ。ですから、そういうものを具体的に何年後にはここにこうなるのだという、こういう計画を示してもらわぬと、検討する、検討する、強化するだけでは、どうも安心できないわけですね。ですから、まあ私もしろうとでわかりませんけれども、島における固定的な観測資料あるいは商船、定期船、不定期船による気象通報の資料、あるいはそういうものが航路がきまっておるので、台風の場所によってはどうもあまり参考にならぬから、そういうものをはずれて行動しておる漁船からの気象観測資料というのですか、これもそれはそれなりに有効である。それだけではいかぬから、やはり一点にどんととまっておる定点観測、島があればいいが島がないところ、南のほうは、あすこは盲点ですね。船があまり出入りしない、島もない。そこで盲点だから定点観測をするということになり、あれもやいやい言って、昭和二十八年ですか、やいやい言ってやっと、じゃ南方だけ台風時だけやりましょう、こうなったのですね。そういう程度の認識であるのです。気象庁の長官はおとなしいものだから、必要であるけれどもと言って遠慮してみえますけれども、そういうところを大臣はかばってやらなきゃしようがない。だから八カ所要るのだけれども一ぺんにはできないでしょう。できないでしょうけれども、百八十億というのは安いのだから、できれば一ぺんにやれればいいけれども、できなければ、これは何年後にはこうなるのだという、こういう一つのビジョン——ビジョンというのがはやりますね。そういうものを一ぺんつくって、気象庁はそういうものがありますか、何年後に、こういうものをどこでつくるというものが。
  43. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 定点観測についての今後の計画でございますが、今後の計画としては、気象庁としては素案をいま持っております。理想的には八隻でございますが、とても一ぺんに八隻できないことは御承知のとおりでございます。ほかの必要なものとのつり合いを考えまして、今後少しずつでも定点観測船を増強していきたいというように、年次計画の素案を持っております。
  44. 大倉精一

    大倉精一君 気象庁の持っておいでになる腹案というものはそれはいいですけれども、問題は金がつかぬわけだ。金がつかない。だから結局ペーパープランみたいなものになってしまう。それを生かすのが、今度は大臣、あなたのひとつ行政手腕というと変ですけれども、あなたの任務だろうと思うのですよ。特にきょうは大蔵省の人が見えていますのでお伺いしますけれども、大蔵省のほうもあまりぴんときていないのじゃないかと私は思うのです。ですから、そういう点について、そういう青写真があるならば、それを一体どういうふうにして実現をするかというそこに問題があるわけです。だから気象庁のほうでは学者がそろっていますから、あそこは政治家がいないですよ。学者が書いてひょっとやるだけであって、それを裏づけしてやるのが運輸大臣だろうと思うのです。そういうことで、大臣、これはもう一回新任早々ですけれども、今度の組閣方針といいますか、総理の方針を見ておりまするというと経験者を充てる、こういうお話がありまするので、大臣もおそらく運輸行政には経験がおありになるだろうと思うので、この点について、一ぺん気象関係に意を新たにしてこの際御検討を願って、そうして自分の在任中にこういうところだけきめていくのだという、こういうことをひとつこの災害対策委員会か運輸委員会でお示し願いたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  45. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 定点観測につきましては、現在気象庁の持っておりまする計画をできるだけ早く実現するような方向で、私も考えております。  気象関係全体についての今後のお前が何かちゃんとした計画をつくれというお話でございますが、私と申しますか運輸省といたしまして、気象関係の充実には、十分意を用いたいと考えております。
  46. 大倉精一

    大倉精一君 大蔵省はおりますか。
  47. 荒巻与四郎

    説明員荒巻与四郎君) 大蔵省の気象庁担当主計官の荒巻でございます。
  48. 大倉精一

    大倉精一君 大蔵省に気象関係をお伺いするのは久しぶりなんですけれども、どうでしょうか、これはやはりあなたのほうからお金をもらわぬというとぐあいが悪いのだ。それで気象関係についてはよく専門家に聞いてもらって、しかも日本の災害の実際の現実というものを大蔵省のほうでつかまえてもらいたいと思う。いまの話をずっと聞いておられるから、よくわかると思うのですけれども、そのほかにもいま大臣がおっしゃったようなたくさんの問題があります。たとえばいま一点だけ例を引いてみまするというと、今度の運輸省の予算要求に、ロケットの打ち上げ予算の要求があるのですね。これはいわゆる国際高速機の日本への寄港、これに伴って一万七千メートルから二万メートルの高層気流を観測しなければならぬ。それにはラジオゾンデと同じようにロケット発射によって観測しないと、少なくとも高層気流におけるところの航空気象の観測がおぼつかない、こういう予算もあるのですね、これはわずか二億円というのだ、こういうものをおそらくほうっておくというと、あなたのほうでちょん切ってしまうかもしれないので——国際空港ができる、飛行機が来る、来るのだけれども、これを高層におけるところの航空気象、この観測も十分しなければ完全と言えない。これは一例ですけれども、どうでしょう、ひとつ大蔵省のほうで、よろしい、今度こそはひとつ気象関係について要求予算について思い切ったひとつ予算をつけてもらうように御助力を願えませんか、どうですか。あなたにこれを注文するのは無理ですか。
  49. 荒巻与四郎

    説明員荒巻与四郎君) 気象関係につきましては、非常に最近いろいろの災害に関連しまして御要望も強く出てきておりまして、大蔵省のほうでもいろいろのレーダーの設置とか船舶、これは観測船でございますが、気象観測船の整備等にも力を尽くしております。四十年度からつくりました新凌風丸、これは四十一年度に完成をいたします。それから昨年のマリアナ海難に関連いたしまして出ました海上保安庁の二千トン級の大型巡視船、これにも気象観測の任務を持っていただいて、海洋面から気象観測の充実をはかっていくというような点も配慮いたしました。そのほか、国内におきましても、いろいろの通信回線の整備とか各方面にいろいろ資金が必要なわけでございまして、今回またいろいろ気象庁のほうから御要望が出ておりますので、現在、慎重に検討中でございます。財源事情にも非常に来年度苦しい状況でございますが、その範囲内でできる限り努力いたします。
  50. 大倉精一

    大倉精一君 そういう答弁は聞いたってしようがない。そこで、やっぱり実質的にはあんたのほうで査定したりなんかするのは、きまっていくわけなんでしょう、実際は。たとえばいまそんなことをおっしゃるけれども、北方定点の問題さっきから問題になっておりますけれども、一番初めは気象庁のほうから三十八億円予算要求やったはずなんです。それがゼロ。その次には十八億円の予算要求やったはずです、遠慮して。これもゼロ。そのときに主計官に聞いたら、いや島のほうにレーダーがありますから、海の定点は要りませんと、こう言われた。そんなことをしろうとの大蔵省わかるかと、要らぬものならばなぜ昭和二十八年まで北方定点があったんだと、こう言わなければなりませんけれども、まあ今日のような災害で毎年毎年被害をこおむる。そのこおむるのは気象観測あるいは予報設備の不備であるとするならば、気象関係に予算をつけないこの災害は大蔵省の責任だ。気象庁のほうではちゃんとつけておる。しかしながら、遠慮して北方定点は何べんやっても大蔵省のほうでけっちゃうから、もうつけてもしようがないだろうと思って何も要求してこない。これはしかし実際は必要がある。だから大蔵省のほうでも金はたくさん要るかもしれないけれども、災害被害の金額に比べたら微々たるものです。ですから、私が冒頭申し上げたように、災害が発生したまっ最中はやんやんやんやん言う。言うけれどもすでに終わりになってこうなってまいりまするというと、人のうわさも四十五日、のど元過ぎれば何とかとございますように、そういうことだっておそらく予算要求だって、折衝する時分に気象関係は話題になっておらぬだろうと思う。だから私はこんなに言うんですけれども、私は一言だけあんたから、ほんとに気象関係については心を新たにして、そうして御要望にこたえたいと思いますじゃなく、こたえると言ってもらいたい。
  51. 荒巻与四郎

    説明員荒巻与四郎君) 従来から気象関係については相当の配慮を加えてありますが、今後とも十分気象庁の要求に対しては検討を加えたいと思います。
  52. 大倉精一

    大倉精一君 それで、まあこれでやめますが、この前要求しておりますが、総理をぜひ呼んでもらいたい。総理も災害対策佐藤内閣の重点施策としますと本会議で言っておりますから、重点施策としている災害対策委員会に一ぺんも出たことがない。ですから、一ぺん呼んでもらって、ぜひそういう問題についてこの際決着をつけたいと思うのですが、まあ大蔵省のほうもそういう点でほんとに気象関係については政治力はないんですから、それにいい気になって、これは政治力がないのでうるさくないからいいだろうと、そんなことでなしにやってもらいたい。しかも気象関係はお金にもならぬ、これはやっても票にもならぬのですよ。山の中へロケット一つつくったって票にもならぬ。ならぬからやらぬ、やらぬからこんなことになるのですから……。これ以上言いませんけれども、委員長、この次の会あるいはしかる機会にぜひとも総理に出席してもらうように要求しておきますので、取りはからうようにお願いします。
  53. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 承知しました。
  54. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 せっかく大臣来ておりますから、いまの大倉委員の気象観測体制についての具体的な事例をとらまえて大臣に政策として善処してもらいたい、こう思う点があるわけです。あなたは荒舩大臣とつい最近交代をしたわけです。してみれば佐藤内閣の野球でピッチャーの交代でリリーフの大臣だと、こう新聞その他で書かれていますが、それは余談として、私はあなたはその前にも閣僚の経験ありますから、こういう機会にいま大倉委員が触れられたような問題などなどを含めて、運輸のつまり政策なり施策というものを踏まえてもらいたい。これは明後日の運輸委員会で私があなたに基本的に質問いたしますから、きょうはその点は委員会が違いますから、その基本は触れませんけれども、端的に言って先月の二十八日と二十九日の北海道の漁船の海難事故を知っているかどうかということを一つ聞きたいのです。知っておりますか。
  55. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 知っております。
  56. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 知っておりますということでありますれば、いまの問題に関連して私は三つほど聞いておきます。その一つはやはり観測体制の問題が一つ、それから第二番目には、気象予報の問題、これと関連いたしまして伝達の問題でございます。それともう一つには、救難体制の問題にも私は問題がある、こう思いますので、簡潔に質問をするから、要領よく私は答弁をしてもらいたいと思います。  第一番目に聞くのは、今度の海難事故で比較的気象の予報がすみやかになされておった。ですからある意味においては、これが漁民の諸君に伝達を通して周知徹底をしておりさえすれば、かような大きな海難を惹起しないで済んだのではないか、こういうことが言われているわけであります。しかし現在の、この気象庁の長官もおりますが、漁民に対するその予報の伝達の一体体制、これがどうなっているか、組織的にどうなっているのか、この問題があるのです。いま海上保安庁が中心的な役割りを果たしているようでありますけれども、漁業協同組合あるいは関係市町村の機関ですね、等々がその伝達の業務というものを扱っておりますけれど、私は非常にこの実効について疑問を持っておる一人であります。こんなことをやっておりますから、ただ北海道のみならず日本全海域における海難は減っていない、むしろ増大する傾向にありますね、これは大臣。そこで、私はこの際末端の関係者に伝達をする体制、組織というものを早急に再点検をする必要があるのではないか、こう思うのですが、これは一体どうお考えになっているか、具体的にあなたがこういう海難を発生するたびにわれわれが何年間、しかも毎回のようにこの委員会で議論をしていることなんですが、どういう取り組み方をしているか、この際聞かしていただきたい。これが一つですね。  それから時間の関係で立ったついでに全部言います。それから第二の問題は、いま大倉委員が触れられた観測体制の問題、定点の観測の問題は、いま答えられたからやや理解をいたしますけれども、これは大臣、ややですよ、これはやや。これも長年の問題ですから理解しますけれども、いまの答弁を聞いておりますと、従前と何ら変わらないような官僚的な答弁よりしかしていない。たまたま大臣冒頭に申し上げましたように交代したばかりですから、事情を全体把握しておらぬ、そういう答弁になったかもわからぬが、私はどうもいまの答弁を聞いておりますと、あなたは官僚出身だから、さっきのように官僚的な答弁をして、こういうことを言わざるを得ない、いまの答弁を聞いていると。ですから私はこの問題については具体的に申し上げますから、いまの観測船の問題は別として、かなりこれも北方オホーツク海の海域の海難の予防体制の一つとして観測体制の問題が言われておった。特に御承知のように、これは一つへだてますとソ連領になるわけですから、目先にソ連領があるわけですから、こういうことが力説されていたので、そうして具体的には稚内にレーダーを設置する、こういうこと等も前々から問題にしておった。いまだに稚内にレーダーがついていますか、ついていないじゃないですか。いかにあなた方が調査するとか何とか前向きに検討すると言っても、具体的にやっていない。そうして気象庁の何か新聞か、何か気象庁の新聞であるかどうか、そういう関係のものを見ると、この稚内のレーダーを実現をして、さらに北海道の屋根といわれる羊蹄山に気象レーダーを設けさえすれば、つまりこの富士山頂上のレーダーと協力し合って、日本の、つまりこの日本海のほとんどの全域というものが、その空の模様というものを掌握できるのである、こういうこと等もやはりいろいろな面でいわれたり書かれたりしているのです。それが一体どうなっているかというと、いま大介委員からも指摘されたように、何ら手は打っていない、こういうことなんですね。これはえらい金がかかる、こういう面もいま大臣みずからも言われましたけれども、確かに金がかかるかもしれぬけれども、今日幾つかのこの海難、これに伴う国民的な損失というものは、これは金に計算したらどういうことでしょうか。特にあなたの佐藤内閣の総理大臣みずからが、人命尊重ということを言っているのだ。今度だって一挙に三十数名も北海道のあの寒い冬の海で死んでいるのですよ。一体われわれが計算してみたって、たいした金じゃないと思うのだ。こういう金は、この金と一体どういう関係になりますか、大臣、私は非常に心に憤りを込めてあなたに聞いているのですが、こういう体制を確立することによって、この海難の予防に役立つことはもとより、国民生活に大きな利益をもたらすということは、われわれが言うまでもなく、あなたは何回か大臣やっているのですから、より以上わかっていると思う。一体こういう関係についてどうお考えになるかということが二つ目なんです。これはいま大倉委員も言ったように、予算編成期でもあるので、こういう関係のこの資料というものは内閣として私は惜しむべきものじゃないと思う、これは。この点をひとつ聞いておきたいと思う。  それから、それと同時に、救難体制の問題があるのです。これにはちょうどこの間の事故でいろいろな体制の問題に幾つかの問題がありました。私はそういう問題はここでこまかく申し上げようとは思いません。それはそれとして、論外だとしても、いまの北海道の広範なあの海域に対して、その救難体制として、わずか巡視船を含めまして十隻足らずじゃないですか。十隻足らず、これで一体あなたがたが日々われわれに問題指摘されて、答えられているような体制になっていると思いますか。しかもその船は、われわれ決してひがんでものを言うわけじゃありませんけれども、最もいま海難事故の多いのは、北海道と九州海域なんです。こうしたところには比較的老朽船を配置しているのです。船足見てごらんなさい、全くこれは救助体制の面から見ますれば、ゼロといっても言い過ぎじゃないと私は思う。なぜかなれば、千島に参りまする場合、これはもう御承知のように、一昼夜ないし二昼夜もかかる。いまのようなあんな船で一体どうしますか。これは明らかに救助のために出動するという体制じゃないのですよ。ここに海上保安庁の長官もおりまするけれども、これはもう海難の場所を確認に行く程度の船よりないのだ、いまはないのだ。私は非常に口が悪いようだけれども、率直に言っておきますけれども、そういう状態なんです。これではぼくがいま言うたような悪口をたたかれても、弁解の余地はないと思う。大臣、弁解の余地はないと思う。もし弁解ができるというのなら、この委員会を通して、毎回のように国民の前に弁解してもらいたい、こう思うのです。ですから、私は、明後日の運輸委員会でも、基本的な問題を取り上げてあなたに言いますから、きょうはそういう場所でもありませんので、たまたま大倉委員から気象観測の問題に触れられましたから、関連して申し上げるわけですけれども、ぜひともこうした問題に関して、関係者、為政者、特に政府が私は大反省してもらいたい。このことをつけ加えて、三つにしぼってあなたに質問をしておきたいというふうに思うのです。
  57. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 第一の予報の体制でございまして、従来とも海上保安官署を中心にいたしまして、あるいは漁船については漁業協同組合等を通じてやっております。今回の海難につきまして、わりあいに気象の関係は早くキャッチができておったにもかかわらず、こういうことになりましたことについては、ただいま御指摘のような、あるいは予報を末端まで伝達する組織につきまして、あるいは欠陥があるのではないかということも考えられます。この点についてはさらに予報体制、そうして、そうした気象観測等が末端に正確に、迅速に伝わるようなことにつきまして、一段と研究をしてまいりたいと考えております。  観測体制の問題、先ほど大倉先生にお答えいたしましたが、気象庁といたしましても、ここ五カ年程度の間に、少なくとも十分な観測ができるという体制をつくるべく計画をいたしておりますので、その計画の推進に最善を尽くしたいと考えております。  また、海上保安庁の巡視船艇等数は相当ございますが、ただいま御指摘もありましたように、相当の老朽船がありますので、これらについては年次的に新鋭の船に代替をいたし、そうして海難の多い地域について重点的にこれを配船をいたしまして、万全を期したいと考えております。
  58. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも大臣ね、そこにおる長官のメモを読み上げるような答弁をやったって問題解決しないのだ。こういう問題が起きるたびに、これは大臣、あなたのほうから見えるでしょう、「気象条件に注意せよ」「一管本部無謀な操業に警告」などと、こういうことはやるんだよ。こういうことはやる。しかしだ、天候を甘く見たとか、あるいは零細漁民が稼ぎたい一心のあまり無謀な操業をして、それが遭難の原因になった、私はこれは全く否定はできないと思う。できないと思う。しかし、今日の段階では危険を承知して漁に出なければならないというほどの、あらゆる面から見て劣悪な労働環境にあるのです。ああした諸君はそういう中で、そういう中でですよ、いま申し上げたように、気象観測の関係であるとか、伝達の関係であるとかあるいは救助の体制などなど、この幾つかとらえてみますと、いま申し上げるまでもなく、毎国会でああいうことは言われている。そのつど、いまあなたの答えられたような、メモを読んだような答弁をしているのですよ。これでは、私は幾らこの声を大にしてこういう会議で、国会で問題を指摘して、その改善を迫っても、その改善というものは一体どうなされているかということについて、非常に私は憤りを感ずる、憤る。やっていないのだ。やっていないのですよ。だから、そういうメモを読んだような答弁になる。私は、こうした事柄というものは、どこに責任があるとかないとか、責任いかんはさておいて、この際やっぱり、ただ単に無謀な出漁であるということを戒めただけでは、一向に問題というものは解決しないのです。しないのです。むしろこの際は、その環境を改善してやったり、あるいはいま言ったような体制をつくり上げてやったりなどなどをすることが、私は、あなた方に課せられた使命でもあり、任務ではないか、こう思うのであります。私は、いまあとの質問者もおりまするから、関連質問ですから、これ以上言いませんけれども、このことをよく肝に銘じて、あなたは運輸大臣になったのであるから、明後日のあなたの所信表明の席で、十分これらを踏まえた、やはりあいさつの中に含めたものがなければならないとこう思うのであります。当然もとよりそれに関連して、われわれはいままでいろいろ取り組んできた問題点についても質問はいたしまするけれども、いまのような答弁では私納得しませんよ。もう一回答えてください。
  59. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 要は、御指摘のありましたような各面にわたって予算その他の処置を現実にとりまして、そうして体制を整えることであろうと存じます。そういう意味で、私はこれから先、いま御指摘の三点についても十分に実効をあげるようにいたしてまいりたいと考えております。
  60. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 関連。大臣いらっしゃる間にひとつ気象のことについて、気象の、やはりこれも情報伝達、こういう点についてお尋ねしてみたいと思うのであります。先ほど来飛行機の観測また定点観測の問題について、非常に熱心に大倉委員から要望されておりまして、これは今度二十六号災害を非常に受けまして、私どもとしまして、もぜひとも実現をしていただきたいと願っておるところなんでありまして、どうか研究するという程度でなしに、可能なものからひとつ四十二年度予算に組んでいただきたいということを、私のほうからもひとつ要望をいたしたいと思います。  そこで遠隔の地の気象情報をキャッチされまして、それが先ほど吉田委員からも質問がありましたように、伝達の経路において不十分さが残されておるのじゃないだろうかと感じられることについて申したいと思うのであります。このたびの二十六号台風につきまして、これはこの席で私は申したのでありますが、大臣は御不在でありましたので、繰り返すようで恐縮でありますが、二十五日の午前零時何分かに、台風があの根場から西湖のほうを襲っておるのでありまして、部落の大半の人が死亡するというような惨事を起こしておるのであります。ところが、この台風情報が出ておりますのが、前の二十四日の午後の十一時なんでありまして、この午後の十一時の情報によりまするというと、御前崎に上がりまする二十六号台風は、富士山の東のほうを北上するという情報が出されておったのであります。この甲府地方気象台が出しました情報は、その一時間前に気象庁からたぶん流しましたその気象情報に基づいて出しておるのじゃないかと思うのであります。こういうように風速七十メーターというような速い台風が襲っておりますときに、二時間も前の情報で地元の者に情報を流さなければならぬというような、今日こんな状態でおいておきまして、たとえ遠隔の地の気象情報がキャッチされましても、気象庁に入ったものが地方気象台に流れます間の時間のかかりますこと、またその情報の内容が非常に何と申しますか、専門的でないので批判するのもどうかと思いますが、不十分性を十分持ったような情報が流されてくる。これは全国一様に流されるのでありますから、特に甲府の地方気象台に詳細にというわけにいかないのかもしれませんが、こういうようなところに欠陥が残されているのじゃないか。富士の観測所ですでにキャッチしておりますところの画像を、そのまま地方気象台で受波することができますれば、こんな不十分さと時間のかかる情報を流さなくても済むのじゃないか。すでに人工衛星が出ております今日、富士の観測所がキャッチしておりますところのこの気象情報を、なぜ東京管区の地方気象台に受波させないのか。そうすれば無電で混雑して、台風が来る前は、たぶん気象庁の無電はふくそうしておりまして、甲府から入れましてもなかなか通じないのじゃないかと思うのであります。この前柴田長官は、緊密に連絡をとってというような答弁がありましたので、私は立ちまして、その緊密というのは、どういう程度に地方気象台ととっておられますか。具体的に流されました情報をお示し願いたいということを、資料要求いたしたのであります。そういたしますと、それはやはり一時間ごとに流しておられて、一時間前の情報なんでありまして、これがすでに冨士観測所で受波しましたものが、レーダーでキャッチしましたものが、もう機械のことでありますから、予算を幾らかつければ、地方気象台が受波できるのでありますから、関東の管区あるいは九州の管区、先ほど話が出ておりまする北海道にしましても、こういう重要なところには気象庁だけが受波されるのではなしに、関係地方気象台にも一様に受波さす。あるいは話は少しそれますが、羽田の空港あたりにも受波さすというようにすれば、富士観測所の効果が非常に大になるんじゃないか。それが気象庁だけが受波されて、無電で通知されておるというところに、非常な後進性が残されておるんじゃないかと思うのであります。どうか定点観測あるいは飛行機観測を整備されるとともに、キャッチしました気象庁のこの情報が直ちに台風襲来を受けまするところの地点に、同時にこれが受けられるような施設を講じますることが、今後の台風対策としまして、一番肝要ではないかと思うのでありまして、総務長官おられましたならば、防災会議というようなものがありまして、ここで詳細にいろいろな計画を立てておられまするが、それに先行しましてこの気象情報の早期キャッチと、さらにこれを伝達をしますることが、防災会議におきましても十分にひとつ検討していただきたいと思うのでありまして、運輸大臣と上村副長官の御答弁をいただきます。
  61. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 気象情報の早期伝達ということを、これはどうしてもやらなければならんわけでございまして、気象庁のほうでもいろいろな計画もあるようでございますが、具体的な専門的なことは、長官からお答えさせたいと思います。
  62. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 先に吉江先生の御指摘の点の情報の伝達の問題でございます。情報の伝達の中には、気象庁の部内の伝達、たとえば東京から札幌へ行って、札幌から網走へ行くというような、気象庁の専用線と申しますか、気象庁の部内の伝達と、それから今度は網走の気象台で出しました注意報、警報を、実際のたとえば漁民のほうに伝達する。その二つに伝達の方法が分かれるんじゃないかと思います。部内の伝達につきましては、鋭意数年来改善しているところでございまして、まだ実のところ、御承知のように北海道はトンツー式の通信線にたよっている現状でございます。これを来年にはいわゆるテレタイプ式に改善するというようにして、部内の伝達を早くしたいというように来年度の予算要求中でございます。それから問題は、その地方気象台から出ました注意報、警報なりを末端の漁民の方々に伝達することにあるんじゃないかと思うのです。これにつきましては、非常に気象庁のほうでも種々考えておるところでございまして、現在どういうようにやっておるかと申しますと、注意報、警報を出しますと、あるいは御承知かと思いますが、それをNHK、電電公社それから北海道でいえば支庁長にすぐに伝達いたします。これの伝達の時間は五分とはかかりません。それを今度は支庁長のほうから関係下部機構の市町村長、あるいはそのほかのところへ支庁のほうから伝達される。一方また地方気象台からは、漁業組合その他の関係の方面にも伝達いたします。ところが地方気象台から伝達する個所が非常に多い場合には、たとえば二十カ所も三十カ所もある場合には、その注意報なり警報なりの内容を、一つ一つ二本か三本かの電話で連絡するのに非常に時間がかかるわけであります。これを同時送話装置と申しまして、一ぺんにぱっと関係の方面に三十カ所、五十カ所に連絡できる装置がございます。それを逐次全国に設置したいという計画で進んでおる次第でございます。そのほかに、海上保安庁のほうにももちろん連絡いたしますし、海上保安庁からは漁業無線局その他に連絡されておるようでございますけれども、海上保安庁長官がおられますので、そのほうは海上保安庁のほうでお話があろうかと思います。  それから、次の吉江先生の御質問でございますが、先生のおっしゃるとおりでございまして、レーダーの映像を、たとえば富士山のレーダーの映像を東京の気象庁だけでいまとっている状態であります。この状態は、決して十分ではございません。これを関係地方気象台あるいは管区気象台を含めて地方気象台まで伝達する、そのまま電送するというようなことに対して、われわれのほうでは実はいま年次計画を立てまして、全国的に逐次これを電送したい。それは富士山のレーダーのみならず、名古屋、東京あるいは大阪その他のレーダーの像を必要なところの気象管署に伝達する計画を立てておりまして、年次計画でこれを進めております。そして現在一部はそれが可能に実施されております。そういうような現状でございますので、御了承願います。
  63. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 上村副長官の前に、いまその年次計画を立てておられるというのは、先ほどもお話がありましたが、たいへんけっこうだと思うのです。何年間の間に地方気象台に大体それが整備されるのか。もっと具体的に言うなら、関東関係の県は富士の観測所のレーダーが何年にはもう全部完備するのか、もうちょっと具体的にお話しいただきたい。
  64. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 実はちょっと関東のことにつきましてここに資料を持っておりませんので、詳しいことをお答え申し上げることはできませんが、少なくとも今後五年間においては大体必要なところについてはできるだけ——予算がとれればの話でございますが、計画を持っておる次第でございます。
  65. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 大体予算の総額はどのくらいなものですか。一地方気象台に受波装置をつくるのにそんなにたいした予算じゃないんでしょう。
  66. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 電送の受画装置につきましては、大体四、五百万円程度と聞いております。しかし、電送の受画装置があるところまで線を持っていくということにまた大体そのぐらいの程度要るのではないか、これはまあ大ざっぱな数字でございますので、あるいは間違っておるかもしれませんが、大体の見当はそのくらいのところでございます。
  67. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 先ほど来話がたびたび出ておりますが、これはやはり運輸大臣の決意だろうと思うのでありまして、一カ所に四、五百万円くらいで台風の予報が——あとから運輸省のみならず建設省も農林省も災害について、ことに今度の二十六号では、もう人がたくさん死んでおるのでありますから、委員長とも一緒に根場を視察したのでありますが、ああいう災害がもしこういう四、五百万のものでできておったらば避けられたのではないか。そういえば今度の災害は、言うたらまあ人災といいますか、怠慢の結果じゃないだろうかとも言えるのでありまして、ぜひ来年またこういうことで災害が起こったときには、私は政府としての責任問題にもなろうかと思うので、このくらいの予算はぜひとも四十二年度で早期に整備をしていただきたいと思いますが、運輸大臣のもう一度御答弁をいただきたいと思います。
  68. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま御指摘のようなことでございます。私といたしましては、こうした気象通報の近代化と申しますか、そういうものについては十分な努力をしてまいりたいと考えております。
  69. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 吉江先生がおっしゃった御趣旨は、私も全く同感に存じておりまして、なお防災会議を所管いたしております総理府としまして十分配慮するとともに、総理並びに森総務長官に御趣旨をよくお話しいたしておきたい、こう思います。
  70. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 森総務長官がいらっしゃいましたら、現場も見ておられるので、非常に実感が強いだろうと思うのであります。私がいま気象庁の長官や運輸大臣質問しましたように、こういうことを進めることが防災会議の第一番じゃないか。あとで起こりましたあと始末をやるよりも、こういうようなところにうんと前向きに予算を組んで、早く整備をしてもらいたいと思いますので、強く要望いたしておきます。
  71. 浅井亨

    浅井亨君 先ほどから各委員から気象のことについて非常に熱心な御質問がありまして、私も非常にこの点に対しては、るる今日まで申し上げてまいりました。そこで人命尊重ということをいわゆる標榜している政府であり、また人命尊重というのはこれは国民の大義名分であります。さればこれを根幹にしてものを行なうのであるならば、いま聞いておりますと、定点観測にしても百六十億とかまたいまの話によりますと何だか何百万円、四百万円とかそこらの話で済む、こういうような話があるのですが、こういうことをもし国民に知らしたならば、これはたいへんだと思うのです。人命の尊重を叫びながら金がないから、予算がないから、そういうことで片づけるということは、これは全くもって言語道断だと私は思います。こういう点からひとつよく考えていかなければならぬと思います。そこで、「災害は忘れた時分にくる」、こういうようなことをわれわれは口に叫んでおりますけれども、日本の国は災害の国ということは、これは昔からきまっておる。忘れた時分にくるのではない、毎年やってくる。そこでそれについて私が申し上げたいのは、いわゆる現在の北海道の農民の方々が、三年間の冷害によって非常に困難されておるということは、まことに同情にたえない次第でございます。それに対していまの現政府は、北海道の農政に対してどのような考え方を持っているかということについて私は質問いたしたいと思うのであります。  それは、第一番目に申し上げたいのは、北海道は農作はいわゆる水稲でありますが、これをやっておりますが、これができなくっても共済金をいただくと、こういうところに非常に魅力があるんじゃないか。これは米だけじゃなくして、すべての、北海道のいわゆる豆とかビートとかそういうものに対しても、共済金を支給すべきものじゃないかと、こういうふうに私は考えるわけです。そういうところから考えて、いまの北海道に対するところの政府の農政のあり方、それに対してひとつ説明していただきたいと思います。
  72. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 共済金があるから冷害にかかることがわかっておっても水稲をやると、いわゆる湿原地改良の問題だと思うのであります。私も視察いたしましてその感を深くいたしました。しかし、本稿以外の農作物に対して共済金をやるということになりますと、これは単に北海道だけではございません。台風銀座でございます南九州あるいは四国、すなわち全国にわたる問題でございますから、これはやはり重大なる問題であろうかと思うわけであります。したがいまして、北海道に限らず、他の地帯におきましても、ことに北海道はそうでございますが、そういう水稲にだけ固執しなければならないようなことでなしに、そういうところに適地適作と申しますか、そういうようなことで成り立つような農業形態というものを指導してまいらなければならない、かように思いますので、端的に共済金制度を考えるということでなしに、やはり恒久的で湿原地帯においては、水稲以外の作物でりっぱに農業が成り立っていくというような方向に指導してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  73. 浅井亨

    浅井亨君 ちょっと考え方があべこべのように私は思うんです。それは共済金があるから米をつくると、こういうようにおとりになったのじゃないか、そうじゃないんです。それと同じように豆とかビートとかいろいろな耕作物にも共済金をやったらいいじゃないかと、こういうことなんです。この点はどうなんです。適地適作というのは、これはもうきまった話なんです。そういうことに対して、それじゃ政府は今日までどのような方法を講じておられたか、それをひとつ説明していただきたい。
  74. 石田茂

    説明員(石田茂君) いまの浅井先生の御質問は、畑作共済の制度化はどうなっているかという御質問だと思います。私どもとしましても、畑作につきましては北海道の適地適作だと考えております。同じ畑作と申しましても、種類が非常に多いわけでございますが、北海道のほうからも、ぜひ共済制度の確立を早急にやってもらいたいという要望もございますので、私どもその御要望はごもっともだと思っております。そこで、共済制度というものを導入いたします場合にも、これはいろいろ付言すると、こまかい技術的な問題もございますし、そこで、水稲のように全国的な規模におきまして危険分散をする共済制度につきましては、すでに確立されておるわけでございますが、畑作制度につきましては、もともとの畑作物そのものの収量に非常に変動がございます。それからまた、今日畑作のおもな生産地といたしましては、北海道はもちろんでございますが、南のほうで考えますと、九州であるとか——九州も南九州ということになると思います——そういった畑作物そのものの収量の問題、それから地域的な広がりの問題、そういった問題につきましての資料を整備いたしまして、これを導入するという方向で研究しておるわけでありますが、その研究の過程は、すでに昭和三十六年から三十八年につきまして、三カ年にわたりまして、豆、バレイショ、なたね等を調査してきたわけでございますが、その調査の結果、直ちにこの制度を実施するかどうかという問題でございましたけれども、やはりまだその調査では、いま現在すぐに制度化するにつきましてはまだ時期尚早である、まだいろいろ調べなければならぬ問題もあるということでありまして、その時点におきまして専門家の御検討も一応願っていたわけでありますが、まだ専門家の御意見も、私申しましたような状況でありますので、さらに昭和四十一年、すなわち今年度から、内地も含めまして約二カ年で、ひとつもう少し精査をしたい、その結果をもちまして畑作共済の可能性、それからまた先ほども陳情もありましたように、北海道におきましては実験的にやっておられる——まあ、これは具体的に申しますと、掛け金の問題もございまして、幾ら掛け金が高くてもやれということなら、それは問題ございませんが、やはり掛け金を低くしなければならぬ、危険を相当分散しなければならぬという技術的な問題もありますので、私どもとしましては、なるべくこれを実施するという方向でなお研究調査している、こういう状況になっております。
  75. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの答弁聞いておりますと、これはてんでもう話にならぬと思います。これは午後に、委員長議事進行に協力するために質問を控えているわけでありますけれどもね、ですから午後からぼくは基本的にやりますが、次官、どうなんですか。こういう答弁さしておいて、前の委員会では、この畑作共済については実施をする方向でやりますとあなたは答弁してるんです、あなたはね。役人が答弁したら、こういう答弁になるのだ。これが今日まで幾つか問題になっている遅遅としてこういう問題が解決できない原因になっているのじゃないか。しかも農林大臣も、先般北海道に来ましたよ、あの一日内閣なんか、ぼくの目から見ればいいかげんな、その一日内閣かなんかやりましたがね。そのとき来た。短時間であったけれども、現地を視察してるんです。特にこの委員会で取り上げて——次官、よく聞いてください、この委員会で取り上げて、あなたも現地視察団長で行ってきたわけでしょう。それで現地で談話を発表していますよ。あえて言いませんがね。特に松野農林大臣が、この問題を取り上げていますよ。さて、前回の委員会でも、あなた明確に答弁していますよ、この問題については。それが、役人が答弁すると、こういう答弁になる。一体これは何ですか。これはもう一回答弁し直しなさい、政務次官。ふざけた答弁するな。
  76. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) おことばを返すようでおそれ入りますが、畑作共済を直ちに実施すると言った覚えはございません。畑作共済につきましては、鋭意前向きの姿勢で検討するということを申し上げたつもりであります。
  77. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 午後からこっぴどくやりますから、そういう言い方をするなら。
  78. 浅井亨

    浅井亨君 いま吉田委員からの関連で、後ほど吉田委員からまたいろいろとお話があるそうでございますが、私も時間の関係で急いでおりますので、それはまた後ほどにお願いすることにいたしまして、北海道の開発審議会の黒沢会長が、開発庁長官にこのように言われているのですが、それは、一つ、いわゆる道内全農地について、おもな作物の適作地域をきめる。それから二番目には、その作物の災害には米のような共済制度を設ける。適地適作経営に切りかえる場合には、思い切った長期低利の融資をするなど、こういうような案が出てあるわけなんです。そこで、北海道の寒地農業法の制定を要請、こういうふうにしておるのですが、それに対して長官もこれに賛成していられるように思うのですが、これに対しては、具体的な案は持っておられるのですかどうですか。これはわれ関せずえんと、知らないとおっしゃるのですか、どっちですか、それひとつ御答弁してください。
  79. 石田茂

    説明員(石田茂君) 先般、実は私も農林大臣のお供をしまして旭川のほうまで参ったわけでございますが、その際にも黒沢先生のほうから農業地図のようなものをかいて、そしてある程度作物別の適地と申しますか、そういうものを当てはめまして、それから、ひいてはそういった現在のいろいろな制度が寒冷地向けに行なわれておるわけでありますが、それを集大成したような形で寒冷地農業基本法あるいは振興法と、名前はいろいろあると思いますが、そういうものを設けたらどうかというようなお話がございました。そこで私どもとしましては、事務当局はまだ現在具体的にどの法律をどうするという検討はいたしておりませんが、その際に一応いろいろな先ほど申しましたような施策が講じられておりますので、たとえば金融制度につきましても、いろいろな近代化資金から、災害につきますと天災融資法から公庫資金あるいは制度資金その他のいろいろな制度がありますので、寒冷地の金融制度の一本化という問題の検討の過程におきましても、やはり地域的になるかもしれませんけれども、こういった寒冷地農業基本法、振興法というようなものを設けたらどうかという御要望もありまして、なるほど私どももこれは検討に値するというように考えております。実は、その際にも話が出たわけでありますけれども、御承知のように寒冷地と申しますと、現在は北海道冷害が非常に問題になっておりますけれども、これは東北のほうにも若干冷害があった。そこで、東北から北陸あるいは山陰と広がってまいりますと、現在の積寒法といった問題もございます。そういった法律との調整もございますので、私どもは現在先生の御指摘になりましたような立法律案というものは考えておりませんけれども、やはりせっかくのお話でございますので、事務的には他の法律との関係もありまして検討をしたい、こう考えているのが現状の段階でございます。
  80. 浅井亨

    浅井亨君 検討している段階だと、こう言ってしまえばおしまいですけれども、常に私なんかが質問しましても、検討検討と……。だけれども、毎年続いて起ることであり、現地の農民が切なる生活の上から考えられたいわゆる要望であるならば、検討検討ではそう長くはもたないと思う。現地の農民はそれで困ってしまう。さっそくそれを救っていくという方法を具体的に検討してもらう、具体策をこのようにということを打ち出してもらいたいと思う。打ち出すことができないならば、このように考えているということを理事者のほうからわれわれのほうにときに触れおりに触れて説明してもらいたい。ただ検討しているというのじゃ、われわれはたまったものじゃない、現地の農民はたまったものじゃない。そういうところ、あまりにもずさんな考え方を持っているのじゃないか。ほんとうに農民のためを思っているのだと、いうそういう姿勢がわれわれに感じられない。だから、こういうような案がありましても、ただ検討の域を脱していないというようなことにおちいっているのではないかと思うのであります。そこで、その十勝なんぞに参りますと、豆作一辺倒だそうでございます。こういうことになりますと、この営農者に対して営農指導員というのが行っておりますが、営農指導力がないということですね。指導員は行っているのだけれども、その力がないというのですね。だからもっと説得をして、こうだということを説明するような、納得のいく指導員の養成というものは、どうなっているのですか、納得していないというのです、現地の人に聞くと。わしらあんな指導員の言うことわからぬ、こういうような声を聞くのですがね、こういう点はどうですかな。具体的な対策を示さないのじゃないですか。
  81. 石田茂

    説明員(石田茂君) 先生の先ほどのおことばでございますけれども、実は先般も温水政務次官のお供をしまして、政府調査団として参りまして、十勝、帯広から陸別、それから北見、網走をずっと見てまいりまして、その途中おりおり営農指導員から直接お話を聞いたわけでございますが、特に十勝の豆につきましては、豆作自体そのものが非常に不安定な作物ではございますけれども、つくること自体はわりあいに手がかからないということでございます。それで今度の冷害でも、一番問題がありましたのは十勝の豆作であります。根釧のほうに参りますと、これは酪農が非常に苦心の結果相当根をおろしておりますので、ほとんど冷害ということはない、飼料作物に若干の被害はございましたけれども、ほとんどそういうことはない。したがいまして、十勝の付近におきましても、これは酪農がある程度根をおろしておったならば、冷害ということもなかったのではないか。しからば酪農が簡単に入るかということになりますと、いろいろこれは豆作のような、ただいま申し上げましたふうなようにはまいりませんので、酪農ということになると、非常にむずかしい面もある。それで手っとり早く豆作ということになると思いますが、私ども現地の指導員に聞きますと、いろいろ条件がございますが、何と申しましても一番おくれておりますのは、畑作地帯の土地改良という問題があります。ずっと見てまいりましても、土地改良が非常に行なわれておりますところでは、若干の湿害などはありましても、割合に救われている。それから今年の特異な状況といたしまして、霜が割合におそかった。それで指導員のことばを借りて申しますと、霜がわりあいにおそいわけでございますが、いつ霜が来るかもしれない。そこでなるべく早く刈ったらいいじゃないかというようなお話もありまして、早刈りを奨励したけれども聞いていただけなかったという面もあるのではないか、そういう面で私ども実際に現地を調査いたしました面からいたしますと、営農指導員の口を借りて申しますと、実は私、営農指導員の立場から見れば、いろいろ指導しておっても、やはり聞いていただけない。特に豆の中でも小豆のようなものは、やはりことばは悪いわけですが、一発的な面もございます。これは非常に豊作になれば、反当収入が非常に高いわけでございます。指導といたしましては、なるべく小豆のようなものは避けるようにいたす、あるいは酪農を入れるようにする、また比較的寒地に強いビートなどを入れるように指導をしているけれども、なかなか聞いていただけないという現地の指導員の立場も聞きました。そういった点から見ますと、必ずしも先生の御指摘のような営農指導員の力が足りないとか、あるいは養成が不足しているのではないかということではないのじゃないかと思います。しかし全く、じゃあ営農指導員が完備しているかと申しますと、必ずしも実情そうではないと思いますけれども、そういったものにつきましては、やはり私どもとしましても、優秀な指導員の養成には努力しなければならぬということを痛感しているわけでございます。
  82. 浅井亨

    浅井亨君 時間の関係がありまして、まことに残念だと思うのですが、もう一点だけ、たくさんあるのですが、もう一点だけそれなら御質問申し上げます。この北海道の農家の方々は、非常にそのいろいろな面から借財がかさみまして、一戸当たり大体百十六万円ぐらいがあるんじゃないか、これがちょうど前年比で見ますと二四%ふえているということなんでございます。これに対する救援対策というものは考えられているんでしょうか。それについて離農しようにもすることができない。ほんとうに農協のほうでもそういう借金を残して出ていくようなことでは困るから、もっとここにおれ、それじゃそこにおってやればまた借金がかさむ、こういうことであの北海道冷害ということに対して、もっと根本的な基本的な考え方を持っていかなければ、現地の農民は私はたいへんだと思うのです。だから適地適作と、こういうような問題は、これは特に考えなきゃなりませんが、いまちょっと酪農という問題もありました。それについても触れたいと思っておりましたが、これはほんとうに適地適作、いろいろの問題がありましょうが、いわゆる本省としては真剣に取っ組んだ農政を考えていかなければ、毎年毎年冷害、こういうことになったんではたいへんだと思う。これに対する救援体制、並びに今後どういうような措置をとられるのか、それを具体的にひとつお話し願って、私はきょうはこれで、たくさんあるのですが、質問を終わりたいと思うのです。
  83. 石田茂

    説明員(石田茂君) 先生のお話は、固定化負債の問題がおもなる点だと思います。実はこの点につきましては、三十九年度の冷害のときにも、まあすでに借金が相当いろいろ制度資金もありまして、かさんでおった。それを機会に、実は自作農資金の融資限度を三十万円から五十万円に上げたという問題もございます。ただ今度の場合は、三十九年度の場合と違いまして、三十九年、四十年、四十一年と三年連続ということでございます。したがって、いま先生の御指摘になりましたような、まあ一戸当たりの平均からいたしますと、借財がかさんでおる。これにつきましても、先般の農林大臣のお話にもございましたように、特にこれは北海道が顕著でございますけれども、これは北海道以外に内地の問題もあると思いますが、この際冷害の応急対策といたしましても、この三年連続、三十九年度借りました金もすでに今年から償還期に入るという特殊事情もございますので、これにつきましては、何か早急に整備しなければならぬ。いろいろな形で固定化していると思いますが、政府の資金の借金の固定化の場合には、政府のほうでいろいろ償還条件を緩和するということで措置することで、ある程度可能かと思いますけれども、問題は、組合あたりの制度金融のほうの固定化している場合には、その組合の資金繰りの問題がございます。そういったものは、ある程度国の資金で肩がわりする方法もある。こういうような問題につきまして、いませっかく道庁と私どものほうで、特に優先的に取り上げて何とかしようじゃないかということを検討しているわけでございます。
  84. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  85. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こしてください。  それでは二時半まで休憩いたします。    午後一時四十五分休憩      —————・—————    午後二時五十二分開会
  86. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
  87. 瓜生清

    瓜生清君 北海道冷害の問題につきまして、一点だけ文部省に質問します。  きょうの午前中のこの委員会の始まります前に、北海道冷害対策について陳情を受けたのですが、その中に生活対策一つとして、冷害によって今後給食費の支払いが困難となる児童生徒については、学校給食法による準要保護の適用を可能ならしめるよう配分額の増額をはかってほしい、こういう要望があったわけでありますけれども、それに対しまして、文部省としてすでに具体的な措置をとられておるのか。おるとすればその大まかな内容について御説明願いたい。もしとられておらぬとするならば、今後どのような対策を講ぜられるのか。その二つの問題について御答弁を願います。
  88. 河上邦治

    説明員(河上邦治君) 北海道冷害対策に関連いたしまして、特に学校給食の面でございますが、ただいままで、現在のところ私のほうで調べました増加する該当者の数が、小中学校合わせまして七千八百九十人と承知いたしております。これに要する経費は、十月一日からさかのぼりまして来年の三月末日まで、およそ二千一百三十六万二千円と積算をいたしておるわけでございますが、これの二分の一を国が負担するといたしまして、一千六十八万一千円の経費を要するわけでございます。そこでさっそく私のほうもこれを精査いたしましたところ、現在の既定予算が約二十億計上されております。この予算のワク内で操作できるという見通しを持ちましたので、北海道教育委員会の正式な申請書を待って、できるだけすみやかに早く措置をしてやらなければいかぬと思って、心がまえをいたしておるような次第でございます。
  89. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 冒頭に副長官に一つ簡潔に伺っておきます。  これは午前中の永岡理事の質問に対する答えで、多少私が誤解しているのかわかりませんが、北海道のこの激甚地指定の問題で、さきの委員会で森長官が私の質問に答えている関係があるのです。そのくだりをちょっと読みますので、そこのところが狂いがあるかどうか。この前の私の質問に対して、森長官は、「まず一番最初の問題である激甚地に指定しろという問題につきましては、これは私が申し上げるまでもなく、災害のあったつどこれを検討し、激甚地の指定をするかしないかをきめるわけであります。北海道の場合は相当気象状況によって時間的に私はそれが少し長い——と言っては語弊がありますが、気象状況がそういうようなことでございますから、それを一括して激甚地にしたらどうかということで、いま検討しております。」、こういう答弁があったのです。その後私どもが伺うところによれば、この激甚地指定をする、こういうようになっているということを伺っているのだけれども、この委員会では具体的なその後の措置について伺っていないものですから、あわせてここのところを明確にしていただきたいというふうに思うわけであります。
  90. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) ごもっともなお尋ねと存じます。で、私が冒頭においてお答え申し上げたことと少しもそごをいたしておりません。ただ天災融資法発動と相まちまして、急速に検討して指定をいたしたい、こういうわけであります。その検討してといいますのは、御案内のように、激甚指定の場合は、基準がございまして、その基準を計算しまして、それに当てはまりますれば直ちに指定をする、こういう意味だけでございまして、長官が言われた点と少しもそごをいたしておりませんことを申し上げたいと思います。
  91. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 森長官の申されたことと全くそごしていないと、こういうことですから、理解をします。ただ、そこで問題はその時期の問題。で、指定されるかされないかによって、被災農民に与える影響はこれは膨大なものであることは、副長官も存じ上げているところだと思うわけです。ですから、その時期がおおむねいつごろになるかということが、やはりわれわれ知らなければならぬことですね。この点、もしここでお答えできる範囲であるとするならば、私はしていただきたいと思うのであります。
  92. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) ごもっともと思います。この計数的なものが出ますれば、できるだけ早くやるという態勢でございまして、先ほど上田参事官が詳細な点は申し上げたところでございます。
  93. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 天災融資法発動は、順調にまいりまするならば、今月中にも発動があるはずと、かように考えるわけであります。  なお、特例法激甚地指定等はそれ以後になりますが、そう長い時間はかからないと、かように考えております。
  94. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 わかりました。大体政務次官と副長官の御答弁で了解をいたします、この問題は。  そこでもう一つ、午前の質疑応答の中でたいへん私気になる点が石田参事官と政務次官から話されましたので、若干この関係冒頭伺っておきます。  一つは、石田君は、北海道の酪農業基盤が確立をしているために、今度の冷害についてはあまり影響なかったと、こういう答えを午前中にしております。しからば一体、北海道の酪農業が基盤が確立をされて、これがためにつまり今度の被害の影響はなかったとあなた言っているわけですから、どのようなものであるか具体的にここで答えてもらいたい。なぜ私はこういうことを言うかというと、この委員会で私も北海道冷害調査に行ってまいりました。あなたも御承知のように前の委員会で具体的に報告しております。北海道の酪農業といえども、それは確かに畑作あるいは水稲関係から比較をするとやや被害は少ないけれども、たとえば飼料であるとか牧草の関係であるとか、などなど相当の被害を受けているという報告をしているわけです。ところがあなたの先ほどの答えでは、政務次官を団長とする政府の、農林省の調査団に私はお供をしてまいりました、その結果見た目でかくかくしかじか、こういう答弁していますから、かなり私どもの調査とあなた方の調査では食い違いが出てくるので、ここのところを確かめておかなければならぬというところで私は聞いているわけです。  それから政務次官にちょっと、これは次官も農業団体のかつては幹部をやり農政通だと自他ともに認めているわけでございますが、そういう意味で聞くわけですけれども、北海道における、先ほどの浅井さんかだれかの質問に対して、米作は適地適作の関係で適当ではない、そう思いますと、こう言い切った答弁をしているわけですよ。これはまことに私は認識不足もはなはだしいんじゃないかというふうに思うのですね。ですから、との関係についてあまり長いこと申し上げますと委員長のほうからおしかりをこうむりますから、私は前の委員会で取り上げたそのときの記録を、これも明確に、大事な会議ですから読んでおきたいと思う。十月十一日のとの委員会で、私は北海道開発との関連でこの問題を取り上げております。そこのくだりを申し上げますと、先ほど来の質疑応答のようなやり方をして、特にこの関係では「北海道農業の本来のあり方の問題を農林省としてもそれぞれ御研究なさっておると思いますけれども、より抜本的に私は酪農業の振興、それとやはりこの寒地農業に適しているところの根菜類に私はやはり力を入れてまいらなければならぬ。そうなればビートのようなものになりますけれども、そういうものとあわせて、やはり価格の安定政策というものがなければ幾ら酪農業をやりなさい、あるいはビートをやりなさいといっても、今日のような乳価の状態、あるいはビートの価格の状態であれば農業耕作者は転換しないのであります。ですからこういう点に力点を置いて、本来の北方農業、北限地帯における畑作農業は一体どうあるべきかという一つの国の方針を私は明確にする段階ではないかと、こう思いますので、この点をあわせて今回の冷害を通して強く申し上げておきたいというふうに思います。」というところで答えられているものがある。これは先ほど温水政務次官が申されたこととはニュアンスにかなり違いがある。時間がありませんから言いませんよ。その前に私は、今度の冷害北海道がなったのはたいへん不幸だと、しかし、新潟県をはるかにオーバーする米の生産量が北海道にある、いまや日本の食糧基地として北海道農業をどう見るかという、その位置づけの問題をずっと冒頭に言ってある。これに対して答えられたものとちょっとニュアンスが違うので、あわせて答えていただきたいというふうに思うわけです。
  95. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 私は、北海道において米作が不適当だと申し上げたのではありません。北海道において北限地帯なるものがある、だから、米作が不適当であるにかかわらず、共済があるからやるというようなこともあり得るかもしれないが、そういう北限地帯については、安定した農業をもっと指導して進めてまいりたい、かように言っておるのであります。決して米作が北海道が不適当だとは考えてもおりませんし、また、言ってもおりません。ただ、北限地帯というところで冷害がきても災害融資等が受けられるんだから米のほうがましだということでは、農民があまりにもかわいそうである、こういう意味で申し上げているわけであります。
  96. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 後段のくだりはそれで答弁としてはけっこうですが、北海道の米作が適当ではあなたはないと言ったんだね。そうではないんだ、これは。
  97. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) いや、言っていませんよ。
  98. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 午前の答弁ではそう言っている。質問者がそういう質問をしておったんだね。これは午前中の速記録を調べなければ水かけ論になりますから、あとでそれは調べることにいたしますけれども、ぼくの言っている十一日の委員会では、その北限地帯というそうしたところでは、必ずしも適地適作という面から見て米をつくることについては妥当ではないであろうが、しかし、北海道の、日本の食糧基地として展望するこの位置づけの問題からすれば、やはり土地改良も含めて寒地農業振興基盤というものを整備するように、国が農業基本という政策からあらゆる諸般の施策を踏まえなければならぬじゃないか、こういうものの言い方をしているんです。その中につまりこの共済制度の問題も出てくるし、それから、午前中の答弁に、また質疑の中にありましたが、しからば、農民がなぜ冷害を——この間歴史的に私が言いましたが、大体三年に一ぺんぐらい冷害を受けていますが、だから、そういうことを覚悟しながらも米作を北限地帯においてもやらなければならぬゆえんのものは何であるかというと、つまりある程度法によって擁護されておる、あるいは制度的にもまた水稲の共済制度というものがある。だから、いまのような酪農業のような、たとえば乳価のやり方、あるいはビート価格の問題等々、こういうやり方では必然的に、いやおうなしに、その共済制度はもとよりであるけれども、諸般の法によって保護されている米作をせざるを得ないところにあるんじゃないか。だからこれを転換するためには、国は一体どうしなければならぬかということを言っているんですよ。ですから、そこのところはどうもあなたと私はちょっと——いまの後段ではやや一致するようだけれども、午前中の答弁では、私はかなり認識に欠ける面があるんじゃないかということであなたに質問をしているわけなんです。これはいま言ったような角度のものがあなた一致するというならけっこうです。
  99. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 私が午前中に言ったのはことばが短いから誤解されているのかもしれませんが、決してあなたの御指摘になるような発言をしているわけではないのであります。ものの考え方としては、吉田委員考え方と同感であります。ただ、畑作共済制度の問題については、これはことしからやるとは申しておりません。調査が完了次第これをやるということを申しております。これはどういうことかと申しますというと、畑作共済制度というものは非常にむずかしいのであります。そこで、北海道だけやるというわけにはまいらない、全国的規模においてこれをやらなければならないので、鋭意研究、検討をいたしておるのでございます。決して委員会あるいは国会において、お茶をにごすという意味で検討という文句を使っているわけではありません。でありますから、もし御希望があるとすれば、調査検討の中間報告をさせてもけっこうでございます。
  100. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 畑作農業のことを何もまだ聞いていないのにそこらあたりを答弁されましたが、それは速記録を読みながらそこらを整理しようと思いますが、前段の関係北海道の米作の問題については、意見が一致したということですから、それで了解をしておきます。  そこで、いろいろ具体的な問題を質問する前に、ここのところだけはあなたと私と思想的にある程度統一しておかなければならないというふうに思いますから伺っておきます。それは、十一日に私がこういうことを言っているのです。毎々たくさんこれは長時間にわたってやりましたから、逐一申し上げたら時間がかかりますから、関係の部分だけ申し上げておきたいと思いますが、いま先に言ったようなことをずっとあわせて申し上げてまいりまして、「そのためには毎度この委員会でも議論になりますけれども、この北限地帯における畑作農業に対して、やはり共済制度というものをつくってやる必要があるんじゃないか。いま農林省は試験的にやっておる、これはもう三年ぐらい前からやかましく言われてやっておる。ところが、北海道の諸君はそうした農林省のやり方を待ち切れませんから、市町村自治体が補助金を出す、あるいは農業団体等が協力し合って、つまり試験的に共済制度をやっているところがあるんです。その結果ほぼ具体的に成果が出ております。私は二十九日の委員会でもそのことを農林省の関係の諸君に申し上げて、この委員会にそうした試験の過程におけるところの実績を出してくれと言ったけれども、依然として私のところに来ておりませんから、委員長、」——これは委員長に言ったのですが、「委員長、これはサボタージュしていると思います。ここで私は文句を言う気持ちはありませんけれども、その経過を出してもらわなければならぬ。こうした問題が森長官、欠けている。」——当時森長官が出ておりましたから、「欠けている。そこでいろいろ作物等が問題になるということがある。たとえばアズキ等については、そのときの相場によって変動がありますから、なかなか私どもがやかましいことを言っても、農林省が直ちにそれに手をかけるということができない面もないではない。」、こういう私はものの言い方をしております。しかし、「そういう点は十分承知している。しかし実際問題としてビートであるとか、あるいは大豆であるとか、バレイショのごとき等々は明らかに共済制度をつくっていい作物なんです。だから、こういう点はいまごろまだ試験だとか研究だとかいう時期ではないと思うんです。三年間連続冷害を受けている段階ですからね。だから私はこれ以上多くは語りませんけれども、ぜひ北海道——少なくとも日本農業のやはりこれは何といっても食糧政策として、食糧基地として北海道農業を考えなければならぬと思うんです。米でも新潟よりもはるかに多くとれて、日本一米がとれるわけですから、北海道というところは。ですから、そういう意味でも北海道の農業というのはわが国の食糧基地として考えなくちゃいけないと私は思う、国策としてはね。ですから、そういう大きな立場から北海道農業の振興対策一つの策であるけれども、畑作農業共済制度というものをすみやかにやはり確立する必要を今回の冷害を通じて痛感せざるを得ない。これに対する長官の考え方を私は答えてもらいたいと思う。」、こういうことで切っている。これに対して森長官は、これは農林省の問題ですから、先ほどの答えのほかに、この関係のものは、「農林大臣もしくは北海道開発庁長官等々とよく御趣旨を体して相談をして、結論を出したい。」、こういう答弁をしているのです、こういう問題についてですね。そこであなたは今度ここで答弁をしたわけです。「救農土木事業の問題」——いまあなたの答えられたような畑作共済の問題、ここをちょっと読みますから。あなたは、「畑作の共済制度の問題でございますが、これも両三年調査をしてまいっておりまして、大体その調査が完了次第、内地」——内地というのはあるかないか知らぬが、内地ということばを使っている。われわれは本州と言っております。「内地も含めまして、こういう共済制度をつくりたい、かように考えておる次第でございます。その他細部の問題につきましては、局長等から御答弁を申し上げたい、かように思います。」、こう速記録に出ております。そこで私はあなたにだめ押し、念押しをしたのです。「森長官の答えは、十分関係大臣と御連絡をされ、あるいは協議をするということですから、それでけっこうです。」、そうしてあなたに、「農林省の政務次官からは、本州も含めて、畑作農業共済制度については実施をするかまえで検討されているわけですね。」ということを言っているのです。そうしたらあなたは、「そのとおりです。」と、こう答えているのです、一言。ですから私は、そのことと関連をさして、この間松野農林大臣が一日内閣で札幌に来たときに、周辺市街地を視察をして、やはりこの問題が北海道開発審議会の黒沢会長、あるいは北海道知事等々から問題を提起されて、ややあなたが答えられたようなことを言っているのです、現地で。これは新聞紙上ですから、新聞記者がかってに書いたというかもしれませんが、もっとあなたの答えられたより具体的に言っているのです。こうしたときに、先ほどの石田君の答弁では、まるきり誠意もあじけもそっけもないような答え方をしているので、私は聞いている。この関係をもう少し明らかにしてください、これは前の委員会速記録を読んでいるわけですから。
  101. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 米につきましては、御承知のとおり、直接統制がございますから安定しておりますが、畑作につきましては安定してない。だから畑作共済制度といったようなものでもあればこれはもう少し安定するのではないか、こういう考え方は、吉田委員と全く同感でございます。だから、この問題について、私もできるだけ調査を急ぐように命令をいたしておりますが、なかなか非常にむずかしい問題が多いということでございまして、思想的には吉田委員と全く同じでございますが、調査が完了していると、だから直ちにやれる、こういう段階ではないということを答弁いたしたい、かように思います。
  102. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの次官の答弁は、前段では私と意見が全く一致する、こういうことなんです。ところが、最後のほうになってくると、なかなか困難な問題があるので、直ちにやれるとは言えませんと、こう言ってるんですね。そうすると、あなたが十一日の日にこの同じ委員会で答えたことと、およそ変わった答えになるんですよ、今度は。それから、あなたの所管大臣である松野さんが——これは私は直接聞いておりませんけれども、新聞紙上で拝見した限りでは、この一日内閣でどういう意味で言ったかは別として、北海道の畑作農家の人々としてみれば熾烈な要求であるわけです。ですから、そういう問題が取り上げられたときに、いま読み上げた十一日の質疑のやりとりの内容よりもさらに前進した積極的な発言をしているんですよ。ところが、いまあなたは、それはできないと言い直しましたね。この関係をわれわれ一体どういうふうに理解すればいいんですか。しかも、十一日に私がこれを取り上げて、十二日に、そこに課長おりますけれども、課長と農林省の役人が私の部屋に来ましたよ。つまり、次官なんかは十一日にこういう答弁をしたけれども、おそらくは事務当局としてみれば、いまあなたが言われたようなことを言ったんだ。だけれども、私はそのときに、それは全般的な作目の関係でいったらそういうことになるかもしれぬけれども、これは何年来研究している段階なんだ、だから、ビートであるとか、あるいはバレイショであるとか大豆に限って作目をきめて、実施の段階に移すということは、さしてむずかしい問題じゃないのじゃないかとざっくばらんにやってみました。その結果、やはり問題になるのは、せんじ詰めていくと大蔵省なんだ、ここに大蔵省の役人が来てるかどうかようわかりませんがね、そういうことなんです。で、そういう面からいろいろ、端的に私言いますが、きっと圧力がかかったと思うんだ。ということになると、あなたが十一日に答えられたことと、いま、それ以降ですよ、一日内閣というのは今月に入ってからですから、札幌で大々的にやったでしょう。そのときに、現地における農林大臣の発言というものを否定するがごとき答えになってきたときに——普通廊下なんかで雑談したとか、あるいはあなたの部屋でいろいろ話したということではないんですよ。十一日の委員会であなたそういう答えをしていたわけです。私はとてもじゃないが理解もできませんし納得もできません。もう少し、あなたの言われるむずかしい問題というものを具体的にここにさらけ出して、私がそのむずかしい問題を理解したら、やむを得ぬということになるでしょう。そういう問題は一切伏せておいて、むずかしい問題だからそれはできないと思いますと、こういうことでは、少なくとも農林政務次官として前に答えられた——私も一国会議員として聞いてるわけですから、これは、北海道の道民、畑作農業の農民に私はこの場を通して具体的に政府のかまえというものを知らしてやらなけりゃならぬ責任があるわけですからね。はっきりしてくださいよ。
  103. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) どうも何か変なふうに曲解されているようで、はなはだ遺憾に思います。私はやらないと言った覚えはありません。いま直ちにはやれないということを申し上げておる。できるだけ早く調査を完了して、できるだけ早くやりたいと。ただし、問題は非常にむずかしい問題が多いので、いま直ちにこれをやる段階ではないと、こういうことを申し上げたわけです。決してやらないと申し上げているわけではない。できるだけ早くやりたいと思っています。ですから、御希望であれば中間的な御報告をいたします。決して国会答弁によって切り抜ければいいというふまじめな態度で私は行政に携わっておりません。ですから、保険課長から調査段階の中間報告をいたさせます。
  104. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 政務次官、あなたは遺憾であるとか、ふまじめに行政に携わっておりませんと、たしかこういうことを言っていますね。私はふまじめだとか、あなたに遺憾だと言われるようなことを言っていますか。いまも言ったように、私はあなたが答えられていると、読んだのだ。
  105. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 委員長……。
  106. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ちょっと待ってください、発言中だ。しかもだね、保険課長をして答弁させるとは何だ、そんなことを私は聞こうとしているわけじゃないんだよ。前の委員会でも、私はそういう関係の資料を出しなさいということを言ったんだ。出さなかったじゃないか。その結果、委員長にそのことを迫って、その後に資料というものは出てこないけれども、この問題を取り上げた翌日に保険課長と農林省の役人が来たじゃないか。何だその態度は。ふざけちゃいけませんよ。私は決してあなたにけんかを売ろうと思っちゃいない。この問題をまじめに真剣に、国政に参画する者と行政に参画する者と、お互いに同じような立場に立って、少しでも前に向けて改善しなければならぬという立場で私は質問しているんだ。そういう私が何もあなたをふまじめだと言うたわけでも何でもない。しかし、現実の問題として、あなたの先ほどの答えは、できないと言ったじゃないか。だから前の関連とどうなるのかと、あるいは農林大臣が現地で発言したこととどうなるのかと、こういうことを私が理解できるようにここで答えなさいと、こう言っているんだ。それを抽象的に、むずかしい問題があるからできませんと、こう言っているわけだから、しからば、そのむずかしい問題というのは、どこにどういう問題があるかということを具体的に出しなさい。その上に立って私は理解するならば、それでわかりましたということになるでしょう。ただ単に、前々からの関連でむずかしい問題がありますからできませんでは、はいそうですかということになりますか、立場を変えて考えてごらんなさい。
  107. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 大体、吉田委員の言われるところ及び考え方はわかりました。わかりましたが、私が遺憾であると申し上げたのは、いま直ちにできないということを申し上げたのに対して、私がこれはむずかしいからできないと言ったというふうにおっしゃるから、そらではございませんと、まだ十分な成案ができておりませんからいま直ちにはやれませんということを申し上げておるのであって、決してやれないということではないという意味のことを申し上げたわけであります。で、むずかしい問題がどこにあるかという御質問でございますけれども、それは、私は専門家ではございませんから、それならば保険課長から中間報告をさせますと、こう申し上げております。
  108. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 再三、この問題であなたとやりとりするわけですがね。決して、政務次官、あなたを窮地に追い込めるなどという気は、ぼくはどこかに意識してやっているんじゃないですからね、この点ひとつ誤解のないようにして答えてくださいよ。で、いまあなたは、実施の可能性があるという意味のことを言っていますがね、だけれどもいま直ちにはと、こういうことなんです。しかし、むずかしい問題とは言っていないと言うけれども、いまその速記録を調べてみなさいよ。あなたはいま、困難な問題があるからできないと、こう先ほど発言したから私は言っているわけですから、言った、言わないということはそこに書かれるわけですから、記録されるわけです。ですからあえて言いませんけれども、後段のあなたの答弁を私は了解しますよ。とにかくそういう方向で努力してください。いまさらこの段階に来て一事務屋の中間的な報告というものをもはや聞く必要はない。そういうことでは私は了解しませんから、次官なり大臣考えておる方向で、あなたは行政官だからそれを踏まえて、最小限度でもけっこうだから、作目をきめて答えられたように前向きの施策として対処しなさいということを言ってやっているわけですからね。だからこの段階に来て、保険課長を決して役不足だって私は言いませんよ。言いませんけれども、一事務屋の問題じゃないわけです、この問題は。すでに何年来の問題ですから、要は政治的にこの問題をやるかやらないか、あるいは今日の政府の農業政策として踏まえて、そして施策でやるかやらないかということだけにかかっている。それは幾つかの問題はあるでしょう。それは多少なりとも私は知っておるわけだ。大蔵省ではこう言っておるとか、あるいは農林省にも各課がありますから、関係のところがありますから、そういうところでこういうことを言っておるぐらいのことは知っておるわけだ。知っておるわけだが、そういうことよりもあなたが現実に視察団長として行ってみて、確かにこの問題は大きな問題として要請受けてきたのじゃないかと思うのです。ですからその必要性について、これからの可能性の問題については全く私が言っておることと一致するような答えになってきたわけだと私は理解しますから、その点では了解をしておきたいというふうに思うけれども、ぜひともこれは積極的に前向きで、しかも、そのあなた方がいままで取り組んできたものより前に進める、どうしても困難どというならば最小限度の作目をきめてやっていく、こういう方向で対処していただきたい、このことを申し上げておきます。
  109. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 最後の吉田委員のことばには同感であります。私もやりたいと思います。やりたいと思いますが、何も私一人でやれるわけのものでもない。事務屋を督励して前向きの姿勢で取り組みたいということを答弁しておきます。
  110. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも温水さんは非常に責任感の旺盛な人ですからそれでけっこうなんですけれども、決してあなたに個人でやれと言っておるのじゃない。あなたはやせてもかれても佐藤内閣の政務次官なんです。本来ならばここに農林大臣が来るべきだが、それが沖縄にいま行っておるということから、いまあなたがかわって来ておるのでしょう。だから個人温水三郎じゃないのだ、いまそこにおるということは。佐藤内閣の閣僚を代表してあなたは来ておるのだ。だから国の、佐藤内閣の農業政策を通してこういう問題はやりなさいということですから、ぜひひとつあなたはそういうことを十分にお考えになって、確かにそれは行政官のスタッフがそう言うのだから、これは督励しなきゃならぬ、叱咤しなきゃならぬ点もあるでしょう。ですからそういう点でやりなさいということを言っておるのですから、個人温水三郎にやりなさいと私は一言も言っていないのだから、この点は十分にひとつ考えてもらわなければならない。だからこういう問題でやりとりしておりますと、せっかく大事な問題をやる時間がありませんから、この問題はこの程度にしておきますが、時間の関係、あとの質問者の関係がありますから、簡潔に問題点を一問一答の形でこれから関係者にしたいと思うわけです。  その一つは金融の対策なんです。この金融の対策は、もとより再生産の資金を確保するということにその前提があると思うのだ。ところが、いろいろこのことについてもいままでずいぶん問題があるのです。たとえば貸し付けの限度額についても問題があるし、毎回言われる率の問題でも問題があるのであります。ことしの場合は、当初四百二十億ぐらいの北海道被害額だと言われておりますけれども、きのう私は北海道庁からちょうだいをした資料によりますれば、六百十一億という膨大な被害額になってきている。金額的に見ると、昭和三十九年の大冷害だと称されたときでたしか五百七十四億、その程度だと記憶しておりますが、被害額だけで見るとそれをはるかにオーバーをしておる大冷害、大体北海道庁のけさほど来この席で要望された資料を見てまいりますと、少なくとも当面天災融資にかかわる資金の融通については、約百三十億くらい融通をしてもらわなければならない、こういうことが書かれているんです。そこで、私は金額のことは別として、次官も御承知おきのとおり、たとえば償還年限についても六年とか七年とか、こういうものがございまするけれども、先ほど午前中にもだれか質問しておりましたが、北海道の農家負債というのは百十億とか言っておりましたが、そんなものじゃない。これは前の委員会でも私が具体的に指摘しておりますけれども、一戸当たり百五十万くらい持っております。これは具体的に計数を申せと言えば申し上げますが、あえて申し上げなくても、再三これは申し上げておりますから十分御承知おきだと思うから言わないんだが、負債額が固定化をしておるわけです。いままたこの冷害でざっと百三十億くらいを願いたいと、こう言っておる。融資内容だって、これはいわば借金ですからその上に負債が積み重なる、こういうものだと私は思う。そこで、これを一体どう償還するかというところに問題がある。いま言ったように六年とか七年とか言ってみても、これはなかなか償還し切れないから負債が固定化をするということになるわけですから、この際は思い切って十年くらいに償還期限を延長する、こういうことを考えなければいかない状態になってきておるんじゃないか、こう私は思うんですが、一体これはどのようにお考えになっているかということですね。  それから利子の関係も従前は、先ほど副長官にぼくは、なぜ激甚地の指定にするかしないかということを尋ねたかというと、そのことによって利子が違いますね。激甚地にかりに指定されたとしても、従前は三分です。ところが、これも先ほどの償還期限と同じように、この利子では償還し切れないんです。この目的は再生産のために貸すんだけれども、とてもじゃないけれども利子の負担が大きくなって、再生産どころか、それが原因でやっぱり離農しなければならない。前から言っておるようなたいへん悲惨な一家心中しなければならぬなどなどのまことに気の毒な状態が出てきておる実態は、ことし始まったことじゃないじゃないですか。これもほんのわずかではあるかもしれませんが、これは北海道庁の要望もそうであるし、北海道の農業団体の要望もそうである、あるいは働く農家の人々がつくっている農業連盟ですか、こういう人々もそうだ。北海道の開発特別審議会の会長である黒沢さんという方も農業の大家でございますが、この方々要望にもそうなっていると思うが、もう少し率を下げたらどうか、下げる必要があるんじゃないか、ここまできておる。だから具体的に私が言えば、もうこの点についても、激甚地の指定を受けた特殊な悪条件によるものですから、二分五厘くらいまでにこれは下げたらどうか、こう思うんですが、その関係ひとつお聞かせを願いたいと思う。
  111. 石田茂

    説明員(石田茂君) いまお話しありました固定化負債の問題につきましては、先ほどもお話し申し上げたわけでございますが、一つには、先ほども申しましたように、借金の相手でございますが、国の資金の問題とそれから組合の資金と二つに分かれておりますが、国の資金を使う場合は、現行制度の範囲内で整理するという場合には、一つ方法といたしましては、自作農資金、これは先生はいま十年とおっしゃいましたが、五分、二十年、非常に長期の資金です。こういったような現在の制度を使うという方法もございます。それからまた組合の資金の場合には、いまの資金を使いまして、国が肩がわりすることによりまして、なお資金の円滑化をはかることができます。それからまた国の資金の固定化にいたしましても、これは償還条件の緩和、これはひとつ被害状況によりまして具体的に相談するように私ども金融機関に指示しておるわけです。そういったようなことでございまして、新しく制度を開くということも大切ではあると思いますけれども、応急の対策といたしましては、現在の制度で、範囲内で、できるだけのことをする。そこで問題は期限の問題でございますが、これは三十九−四十年、特に北海道につきましては、先般来から御指摘がありましたように、冷害が続けてきております。その関係ばかりではありませんけれども、そういうこともありまして、償還期限あるいは融資の限度、利率なども順次緩和をはかってまいったわけでございます。これは御承知のように、一応法律できまっておる内容がほとんど大部分でございます。法律の改正ということになりますと、やはり事務的にいますぐには間に合いませんけれども、私どもでこういった三年続きという事情も踏まえまして検討しなければならない、こういうふうに考えております。
  112. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 できるだけ政府のほうから貸したものについては、趣旨に沿うように検討、努力するということでありますが、この問題は毎回オウム返しに役人が答えられるが、現行の二十年であるというのは、これは自作農維持資金でしょう。ぼくがいま言っているのは、いろいろ農林漁業資金であるとか、自作農維持資金であるとか、近代化資金であるとか、改良資金とかたくさんあるんです。その中でいま最初に言ったやつは、これは農林漁業資金の関係を言っておる。これは二十年になっておりませんよ。だからそれはあなた後段のほうの現行二十年の自作農維持資金のことについて言ったのだからこれは間違いではないけれども、よくぼくの言っている意味を聞いて答えてもらわなければ困るな、これは。とにかくそういうあなたの答えであるが、実情現状はそうなっていないわけです。だからこれも努力していくとか、研究調査をしていくなどということでは、ぼくら毎度のことだから、これはただ抜本的に、たとえば北欧三国のように思い切った、日本農業の基盤の強化をするという立場と、特に先ほどから言っているように、北海道の農業というのは、国策としてやはり食糧基地という使命を持っておると思うんですよ、私は。そういう前提に立って行政というものを私は踏まえてまいらなければならぬのではないかと思うんです。たとえば一つの例をとってみますると、午前中にも答えられておったけれども、例の八条の償還期限の延長の問題であるとか、あるいは貸し付けの限度額の問題にしても、これは将来法改正をしたり、あるいは諸規定あるいは基準というものを変えてまいらなければならぬということの一つの問題が起きるかもしれない。起きるかもしれないけれども、貸し付け限度額もいまごろ五十万というのはナンセンスじゃないかと思う。たとえば自動車損害賠償保障法のような法律でもやはり被害者擁護、被害者を保護するということで、ついこの間百万のものを五十万上げて百五十万にしましたね、法律改正しましたね。そういうものと同じように、もうそろそろ中身を変えていかなければならない時期に来ているんじゃないか、どうですかこれは。だから、私は具体的にあなた方に申し上げておりますけれども、一挙に三倍とか四倍というわけにはまいらないけれども、せめて百万くらいに限度額を引き上げてやる、こういう措置をとらなければ、やはり八条の関係でも、あるいは償還期限の延長にしても、つまり累積の固定化負債の整理は、抜本的にはたな上げするとか、利子補給をするとかいうことをやらなければならぬと思いますけれども、そこまで一挙にいけないとすれば、やはり償還期限を延長するとか、法律の八条にあるんですから。限度額を拡大してやる。それはいまの現行ではなかなかいかぬから、そこを、ただ単に努力するとか研究するとかいうことでなくて、少なくともこういう機会をとらえて、これはただ単に冷害だけじゃないですよ、全般的に災害にも影響することですが、少なくとも四十二年の予算では、これは大蔵省等がネックになりますけれども、こういう方向で計画をし、具体的にやりたいというような答えにならなければ、これはなかなか毎回こういうところで取り上げられるけれども、被災農民などなどは、はい、そうですか、ということにならぬような気がするんです。ですから具体的に百万という問題も提起しておる。限度額を百万円に引き上げたらどうかと提起しておる。それからこちらの関係の農漁業者に対する資金の関係についても、償還期限を十年ぐらいにしたらどうだ、こう具体的に言っているんですから、あなたのほうもそれについて、これはぼくも全くのしろうとで、きのうきょう来たというんならこれはどうか知らぬけれども、いま直ちに、先ほどの温水政務次官じゃないけれども、いますぐにやれということは言いませんよ。しかし、いまたまたま予算編成期で、しかもこういう問題が編成期に不幸にして発生しているわけです。しかも、いま始まったことじゃない。年々歳々こういう問題が起きているわけですからね。ですから、これに対処する農林省のかまえ方というのは、一体どういうものなのかということを、やや中身のある将来に向けての展望などを申してもらわなければ、なかなかわれわれは、はい、そうですかというわけにまいらぬ。そういう意味で石田君、答えてくれぬかなあ。
  113. 石田茂

    説明員(石田茂君) 先ほどお答え申し上げましたのは、固定化負債の整理の方向といたしまして一般的なお話を申し上げたわけでございますが、その方法といたしまして、その中の一つの自作農資金という問題になりますと、これは固定化負債とは一応関係なく、いわゆる災害対策としての自作農資金のほうの問題でございます。これはいま御指摘のとおり、現在では五十万円ということになっております。これは先般の新潟の災害におきましても、一応まあ前の新潟の地震との関連もございまして、七十万円に限度を引き上げたということもございます。今度の北海道につきましては、三十九年度と違いまして、いわゆる三年続きの冷害という実情がございますので、いま道庁からの詳細な各戸ごとの積み上げの資料をいただきまして、これを引き上げる方向で検討しておる、こういう状況でございます。  それから、いま決定された融資の現行の制度におきます償還期限あるいは利率の問題につきましては、先生の御指摘もございましたように、法改正の問題もございますので、これはなるべく御趣旨に沿うように検討したいと思います。これは来年度の予算との関係あるいは今後の法改正との問題において検討したい。
  114. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうすると、石田君、こういうことか。予算との関係がありますから、前向きにぼくが言っているような趣旨で検討しましょうと、それはそういう考えでいい。しかし、新潟の場合七十万円に限度額を引き上げた例があるからということと、あわせて北海道の場合は連年災害であるから、そういうことを勘案して、少なくとも七十万以下でないということだけはぼくは言えると思いますが、そういう理解でいいですかな。
  115. 石田茂

    説明員(石田茂君) いま私は具体的に何十万円ということを申し上げられないのは残念ですが、できれば幾らということをこの席で申し上げたいと思いますが、まあこれは相手のあることでございますので、もう少し各戸の負債の状況も資料を積み上げまして具体的な数字をひとつ出したいと、こう考えます。
  116. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこまで今度詰めればまた抽象的になってしまう。相手ということは大蔵省だろう。大蔵省の官僚といえども北海道の連年災害というものはわからぬわけじゃないのです。三十九年はより深刻なんだ、これは。確かに新潟の災害も深刻な災害災害に深刻でないというものはないけれども、より深刻なんだな。そういう諸般の状況というものを少なくともあなた方のみならず、これは大蔵省といえども防災会議に出ていますから、十分把握し承知していると思う。大蔵省の役人来ていますかね、ここにおりますか。——いませんか、委員長呼んでくださいよ。毎回大蔵省の役人は逃げてしまう、これではだめなんだ。それから、いまいませんけれども、あなたはできればということばを使っていますが、できればなどということでなくて、でかせなくちゃだめなんです。政務次官、いいですか。防災会議などなどについてこういう議論があった、これは具体的な議論ですからね。このことを十分に言って、特段の私はこの問題については処置をとってもらうように要望しておきます。  それからもう一つは、いま申し上げたような関係のことを含めて、前の救済についての償還期限を延長してくれという問題が起きてくるわけです、償還期限をね。償還期限じゃなくて償還を猶予してもらいたいというものが出てきますね。そこでこれは北海道庁の今度の資料を見ますと、その猶予額が出ていますけれども、昭和三十九年度に猶予した金額はどのくらいですか。
  117. 石田茂

    説明員(石田茂君) ちょっといま手元に資料がございませんので、後ほど報告さしていただきたいと思います。
  118. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 なければ、ぼくのほうでやむを得ぬから北海道庁の資料で申し上げますが、北海道庁の資料によりますれば、今度の償還猶予を要望しているものは十億二千六百万円です。それから三十九年の場合は十一億一千万、こうなっているのです。私はこの三十九年の十一億一千万の猶予をしたものが、四十年の冷害、それで今年の四十一年の冷害と続いていますから、私はこの北海道庁の十億二千六百万などという今度の要求というのは当てはまらぬのじゃないかという気がするんだな、これは直感的にね。これはさらに金額は償還できないものが出てきますよ、これはそういうことになりますね。三十九年に十一億幾ら猶予したけれども、その翌年が豊作であればいいがね、その翌年も冷害でやられた、今年もやられているということになりますと、言ってみれば、三十九年の猶予した額というのはこげつきになりますよ。だから、計数をはじく場合に、今年の分だけ総体的に計算して、何かの計数を使って十億何ぼとか要求が出てきているのですがね、これでは当てはまっていないのじゃないか。どこかにファクターのとり方が違っていやせぬかという気がするので、あなたにこれはいまあえて聞いている。ここのところ考え方だけでけいこうですから聞かせてください。
  119. 石田茂

    説明員(石田茂君) いま先生御指摘の十億あるいは十一億という金額の詳細については、私もいま承知いたしておりませんけれども、この償還期限を猶予するということは、頭から幾ら猶予するということじゃなくて、一戸一戸具体的な貸し付け金額の状況あるいはその被害状況などを聞きまして、金融機関がこの農家にはこれだけくらい待ってやったらいいだろう、そういうものを積み上げた結果のものがおそらく十一億一千万円ではなかったかと思います。したがいまして、私どもも今回の四十一年度の冷害につきましても、そういった頭から幾らではなくて、やはり農家の一戸一戸の借金の状況被害状況をよく十分考慮して、金融機関がいわば否定すると申しますか、これだけ待ってやったほうがいいだろうということを指示したわけでございます。その積み上げの結果が、あるいは北海道庁の要求よりもずっと上回るかもしれません、まさかそれを下回ることはないと思いますが。ですから結果によってこれはひとつ判断をしたい、こういうことをお願いしたい。
  120. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これはなかなか計数の問題はあんたとのやりとりの中で幾ら幾らというものは出てこないと思うから、あえてそれ以上のことは申し上げませんけれども、十分この関係は三十九年災、四十年、そうしてことしの関係を総合的に精査をして、この償還猶予関係の金額というものを的確にはじいてもらいたいということを、この際申し上げておきたいと思います。  それとあわせて政務次官に伺っておきますが、どうも災害関係いたすこうした資金の種類が私は非常に多過ぎるような気がするのだね、資金の種類が。ないよりましではないかということを言うかもしれぬが、しかし、このためにどれほど事務的な時間の浪費、それに要する事務屋等々を含めた経費は、国民の税金からむだに使われているかということをしみじみぼくは思うのですが、大ざっぱに言って、いま言ったように漁業資金関係、自作農資金の関係、近代化資金、改良資金、こういうものなどがございますね。それが全部何といいますかね、異質のもののようなものであって、災害関係はやや同質のものですよ。ところが、利子の関係も違っているし、償還期限の関係も違っているし、ばらばらであって、言ってみればばらばら行政というのはここからきたと思う。これはみんなそれぞれの役人のなわ張り根性で、そうしてこういうものをたくさんつくり上げておいて、高級官僚の何か、口は悪いけれどもポストの具にしているようなきらいないと私は言い切れないような、私からすれば感じがするのだね。だからこういう点は思い切って、この各種の制度資金というものについてはこれは整理統合して一つのものにして、事務の面から、具体的な行政の面から、すべてこれを一貫した流れのような方向で処理をしてまいらなければならない段階に私はきているのじゃないか。それとあわせて、そういう方向の中からこの年利を二分五厘にするとか、二分にするとか、あるいは従前五分のものを三分五厘にしてもらいたいなどという要望がございます、各町村から、あるいは県知事から。そういうものをこれまた含めて、この利子などについても年二分五厘なら二分五厘、あるいは三分なら三分、こういうことにしたほうがいいのじゃないか。これは名前はいろいろつけ方があると思いますけれども、こういう関係のものを、けさほどの何か北海道の開発審議会の会長がこの問題に触れられて、農業振興資金というようなもので整理統合したらいいんじゃないかという意見が出されたとか出されないとかいう質問があったようでございますが、そこまで私はやはりきているような気がするんですがどうですか、政務次官、これは。
  121. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 吉田委員質問の件に関しましては、私も多少複雑な制度になっているように考えますが、なぜそういうことになっているかという原因を究明いたしまして、できるだけ簡素化したいと、かように考えております。
  122. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 できるだけ簡素にするということね、ここもまたお互いに立ってものを言っておれば長くなるから、先ほど来のやりとりを、私は温水さんを信頼しますからね、政務次官、ぜひいま言ったような思想を貫いて、あなたのほうでやれるかやれないかわからないですがね、しかし一貫していまあなたのおっしゃられた角度でぜひこの実現に努力してもらいたいと思う。あわせてその場合、政務次官、あなたもヨーロッパへ行ったと思いますがね、先ほど申し上げたような、現行たとえば二十年の償還期限になっておる自作農維持資金ですね、これなど二十年といったら長いようだけれども、この趣旨というのは趣旨には合致していないと思うんですよ。ヨーロッパあたりでは五十年あるいは七十年という、こういう貸し付け制度の資金というものがありますね。だから今度のような、特に日本のような災害の多い国であったら、思い切って百年ぐらいまでに償還をさしたらどうか。とてもじゃないけどいま農家の人たちは一代で償還できないですよ、これは。だから親の借金を二代目が背負うなどということはどうかと思うかもしれないけれども、このような借金はもう二代ないし三代かかって償還するような制度にしなければ、ここまで疲弊した農家の人々というのは立ち上がることができないような気がする。こういうものもあわせてお考えになる気があるかどうか、これはひとつお聞かせを願いたいと思うわけです。  それが一つと、それから、それと関連するのは、固定化負債の問題。農林省で北海道の今日の固定化負債がどのくらいあるか調べておりますか、どのくらいあると思いますか。——ただ単に一戸当たり百十万とか——ぼくは百五十万以上あると言っているんだけれども、どのくらいあるか調査しておりますか。そういうものがなければ問題にならぬのだ、この問題議論しても。
  123. 石田茂

    説明員(石田茂君) 私ども、固定化負債につきましては、現地へ参りましたときにも、あるいは東京におきましても、たびたびこの整理につきましては陳情を受けておりますけれども、まだ一体どのくらいの負債額になっているかということにつきましては、いずれ資料を持ってくるということで、私どもまだその資料をいただいておりません。そういう意味におきましてまだ把握しておりません。
  124. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 把握してないからしようがないんだけど、どこで持ってくると言っているの、それは。そういう資料を持ってくるのは、どこで持ってくるということを言ってるの。
  125. 石田茂

    説明員(石田茂君) 道庁のほうからです。
  126. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それならそれでけっこうだがね。そうしますと、それはそれとして政府のいままでに貸し付けた金額はどのくらいになっているのですか、北海道全体で。
  127. 石田茂

    説明員(石田茂君) 貸し付けた金額ということでございますが、いま私の手元にあります資料は、北海道におきます制度資金の貸し付け残高がわかっております。それは天災資金あるいは公庫、近代化、全部合わせまし約九百六十億になっております。
  128. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それは数字のことですから、なかなか合うようで合わぬがね。あなたが理解するために言っておきますが、ぼくの調査では貸し付けた金額が、ラウンドナンバーで、切り捨てます。一千八百七十億ある。そして農家の人々がいろいろ機械化、近代化、あなた方ここで答弁されるこの関係で、先行投資をしていますが、これが大体北海道の場合、おおむね五百八十億というふうに推定することができると思う。今度はそれから推定してみると、北海道の動かざる固定化負債というのは七百億くらい、その他が大体五百億、こういうふうに分類されると思うのですがね。貸し付けた金額と比較をしてみて、いかに膨大な固定化負債があるかということは、この計数で立証できると思うのです。だからぼくの言っているのは大ざっぱに言っていますから、より一そう、道庁から資料を持ってくるということですから、道庁だけでもいけませんから、北海道の農業団体、あるいは農民連盟、こういう関係のところと十分あなた方はこういう計数をまとめる場合に相談をしたり、あるいは意見を聴取してやってみてください。それはそれとして、いま言ったように、あなた方資料を持っていないのだから、ぼくの言っている大体七百億くらいの固定化負債というのは間違いないです。間違いないからそれを前提にして私はあなた方に申し上げておくのですがね。この固定化負債をどうするつもりですか、農林省としては。
  129. 石田茂

    説明員(石田茂君) いまお答えいたしましたように、近く道庁のほうからこの固定化負債の金額、あるいは道庁としての処理方針なども持ってくる予定でございます。それを待ちまして具体的な相談あるいは検討に入りたい、こういう段階でございます。
  130. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この具体的なことから検討に入りたいということなんですがね、かりに具体的な検討をしてみたって、この負債が半減するなどということは夢にだってできないことだと思うのです。だからこれは政務次官、抜本的にこの負債を整理するというような、やはり法律的な措置をとらなければ、この問題は解決しない段階に私はきていると断言します。そこで法律をつくったり、あるいは改正するということになると、かなり時間がかかりますから、この間はやはり負債をどう整理をするかという具体策、具体案を農林省がやはりこの際立てるべきだと思う。たいへん政策のことを申し上げて失礼でございますけれども、私は少なくともこの固定化した負債については、これまた先ほどちょっと触れたように、もういまや二十年や三十年で返せと言ったって返すことはできない。だから抜本的な措置をとる、このために法律が必要ですから、法律改正の具体的な検討もしてみなければならぬだろうし、その間やはり利子をたな上げするとか何かいろいろやらなければだめですよ、これは。現実にたとえば大蔵省所管の例の山一証券などというやつもやっておるわけですれ、一千億の融資をして無利子、無担保、無期限。これはどうでしょうか、日本語に直すとただということになりますね、一千億というやつですから。これは七百億ですから、ややそれに匹敵する負債額ですから、しかも国民生活に最も関係のある食糧を生産している部門なんですから、これは、一次産業だけれども日本の産業としては大事な産業です、農業という産業は。だから、私は、その間はたな上げする、そうして今度は法律的に抜本的にこれを解決していくという負債整理の方向などというのは、やはり少なくとも百年くらいの償還期限にして、利子も思い切って二分くらいに下げてしまう、そういうやり方をやらなければ、この問題はもうさいの川原の何とかやらで、毎回同じことを繰り返しておるのです。今度あなた方が、先ほど来私がいろんなことを質問して、かりに百四十億とか百三十億の政府融資が可能になった、大蔵省が了解をして。しかし、それもこの借金に上積みになってくるのですからね、そうでしょう。だから、こういう抜本的なやはり農林省がこの負債整理についてかまえを示す時期に来ているのです。そうしなければ解決しない、こう私は思うのですが、政務次官、どうですか。
  131. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 私も野におるときは全く同じ意見でございますが、農林省としては、現行法律範囲内でまず応急対策をしなければならない。それから、外国へ行ったことありませんが、外国の六十年、七十年の長期の金融ということは承知いたしておりますが、そういうようなことは日本の経済力でできるかどうか、これは疑問がありますけれども、財政当局ともよく相談をいたして、できるだけそういう長期の制度金融の道を開きたいと考えておりますし、固定化負債の問題につきましても、何らか抜本的な方法を講じなければならないと思いますが、これは法律の制定を必要とする場合もありましょうし、あるいは法律の制定を必要としなくても財政当局との歩みが加わらなければできないことでございますので、御承知のとおり、やりたいとは思っておりますが、国会の皆さま方の御協力も得て方向づけを行なってまいりたい、かように考えております。
  132. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まあ次官も将来そういう方向づけで努力をしたい、やってみたいと、こういうことですからあまり言いませんけれども、これは政務次官、外国の話はまあ外国でございますが、わが国はわが国の国家財政規模の中にいろいろそれぞれの施策を踏まえて財政措置をしなければならぬ、こういうことですから、この点は、あなたの考え方は決して否定しません。しませんが、やろうと思えばできないわけじゃないのです、これは。たとえば先ほど触れたように、山一証券の問題、あれはどうですか、一千億という金をいま言ったように無利子、無担保、償還期限は無期限だ、これやったんでしょう。その大義名分は日本の産業経済に影響を及ぼすから、こういうことなんです、大義名分は。なぜ、日本の農業は日本経済に影響がないと言い切れますか。たいへんなこれは日本の産業経済に影響のある産業なんです、農業というのは。一次産業であるけれども大切な産業なんです。やろうと思えばこれはできるのです。ですから、いまこれまた直ちにやれということを言いませんが。ですからものの考え方、見方としていまあなたのおっしゃったようなそういう方向でやりたい、努力したいということですから、それ以上の私はあなたから答弁をとろうとしませんが、とにかくやらなければならないのです、いまやるかいつやるかは別として。ですからそういう関係でぜひ最大限の努力を私はしてもらいたい、こう思います。どうですか。
  133. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) やりたいと思いますが、一口に申し上げると財政当局との歩みをいたさなければなりませんから、自信があるとは言えない、ただし、努力はいたします、かように申し上げたいと思います。
  134. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それから次に救農土木事業について伺っておきたいと思います。  前の委員会でもこれは取り上げておりますから、この段階では多く語りません。ただこれは、次官も調査団の団長として調査をしておわかりのように、北海道ではあまり公共事業についてはこれからないのです、特殊な地帯ですから、公共土木事業というのはこれからあまりない。それともう一つは、民間でこれにかわるような産業というのはあまりないのです。ですから、勢い救農土木というものを国の力でやらなければならないのです。これは前の委員会でも申し上げておりますから、これ以上のことを言いませんが、そこで具体的に申し上げたいのは、北海道庁のこの資料では、大体七億くらいの救農土木事業を起こさなければならないと、こう言ってますよ、この資料を見ますと。しかし、これは大体当初四百二十二億くらいの被害額でこのくらいのことをやらなければならないというものなんです。このものの考え方は、大体一千五百戸くらいの諸君はこれでどうしても救ってやる以外にないという立論になっているように私は見受けているのです。七億何がしというものを大体千五百戸くらいで割ってみると、来年の再生産の資金、これからの生活資金等全部含めて一戸当たり六万三千円くらいになると、ところが残念なことには、けさほど来報告したように、先ほど私が申し上げたように、今度は被害総額というものははるかに上回って六百十一億、こういう膨大なものになったのですな。との数字はややもするとほかの調査機関、つまり道庁であるとか、あるいは農業団体の調査ですな、そういう機関と農林省の当庁ですね、この機関との食い違いはいままでずいぶんありましたが、今度の場合は、多少ラウンドナンバーは違っておるかもしれませんけれども、大まかに六百十一億というのは全く一致しておる。まれに見ることです、これは。したがって、そういう一致した数字が出てきて、今度は、先ほどの千五百戸というのは、いま言ったように四百二十二億のときですから、さらに二百億くらいふえた中でかなりのものがふえるのじゃないか、こう思うのです。これは私は専門家じゃないのですけれども、年々歳々北海道冷害の問題を取り上げてきた者として非常に関心を持っていますから、私は私なりに調べてみると、すでに二千数百戸になっているんじゃないか、計数的にですね。そうしますと、七億幾らという救農土木事業費用を起こしても、一戸当たりのこれからの収入というのはもうぐんと下がってまいります、四万円台にも下がる。そうすると、そんな額で、これから来年の四月ごろまでに、生活費と、さらに来年の四月以降の再生産に結びつくような資金の確保になるかならないかということになると、これはもう言をまたないと思うんですね。したがって、これからの増大をいたすであろうその費用については、もう疲弊し切った市町村財政ではやっていけない、もうあくまでもこれは国の力にたよる以外ないと私は思うが、こういう関係、政務次官、どうお考えになりますか。
  135. 石田茂

    説明員(石田茂君) 今度の冷害に対します応急対策といたしましては、いわゆる救農土木事業という問題が非常に強く要望されております。それで、この点につきましては、先ほどの固定化負債と違いまして、これから冬に向かいましてなるべく早く実施しなければならないということで、先ほど先生が御指摘になりましたけれども、この点につきましては、具体的な数字を私どもでいただいております。それによりますと、就労対策を必要とする農家戸数が約二万二千戸、これに必要といたします全体の事業の所要額は、約十二億七千万ということになっております。で、これをどういうふうにして当てはめていくかということでございますが、さしあたり、新しく救農土木制度ということを起こしますにつきましては時間もかかることでございますので、応急といたしましては、現行の対策の中からやる。で、いま一つ一つシラミつぶしに当たっておるわけでございます。その中には、たとえば農林省の中でやれますことは、たとえば営林局の仕事に出てもらう、これはもう地元があります。それから国鉄の関係の仕事にも出てもらう、それからまた開発局の仕事にも出てもらう。で、現在あります事業費を全部つぎ込みまして、そのほかに一体どれだけ国として手当てしなきゃならぬか。また、農林省のほうといたしましても、せっかく救農土木事業をやるんだといたしますれば、なるべく来年の生産の基盤に役立つような事業をやる。で、これにつきましては、具体的に申しますと、客土とか、あるいは農道、それから明渠、暗渠排水、こういうようなものがございますので、こういったものを現在の予算の中でどれだけつぎ込むか、あるいは適債事業の関係もあると思いますが、そういった全般につきまして、いま目下関係各省とも一つ一つ詰めておりまして、なるべく早く結論を出すというふうに努力している状況でございます。これには道庁のほうも入れまして、十分意見を聞いて、早く結論を出すように努力したい、こういう段階にございます。
  136. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、当初の七億三千万要求をしたものが、被害総額の増大とともに被災農家が増大した、ために、いまあなたが答えられたように、大体十一億くらいのものが見込まれて要求されておる、こう理解していいですか。
  137. 石田茂

    説明員(石田茂君) 私どものほうにいただいております七億三千万円というのは、前の数字でございまして、いま私が申しました十二億というのは、六百十億にふえましたあとからの数字でございます。   〔委員長退席、理事永岡光治君着席〕
  138. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ですから、七億幾らというのは消えたわけですな。いまの段階であなた方が検討されているものは、もう七億幾らという当初のものは消えて、約十二億か、あるいは十一億幾らか知らぬが、そのふえた救農土木事業費の中で、あなた方が各省庁と、あなたが先ほど答えられた内容で検討されている、こういう理解でいいんですか。
  139. 石田茂

    説明員(石田茂君) そのとおりでございます。
  140. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで明確になりましたが、それはそれとして、問題は、事業を起こす時期の問題、場所の問題。場所の問題等は前の委員会でも触れて、できるだけ再生産に結びつくようにやる、こういうことですから、それはいいですが、時期の問題です。これ、きょうはもう十一月の八日でございますけれども、北海道というのはこの辺と違いますから、私もきのう来たのですが、もうほとんど奥地のほうは雪でしょう。もうあと幾らも、土木事業を起こしてみたって、なかなか、寒冷地でありますことと、寒さ、凍結等々で満足な事業というのは起きないのです、毎年の例ですがね。だから私は、九月の段階で、少なくとも冷害は決定的なんだから、救農土木事業については早期に、早目に手を打って実施をしてもらたい、しなさい。同時に、たとえば事業を起こす場合の分類、場所等々は、具体的にいって市町村長がだれよりも承知しているわけだから、ある意味においては市町村に対して委任事務でやったらどうか。   〔理事永岡光治君退席、委員長着席〕 それができないとするならば、少なくとも北海道知事に、委任事務といいますか、委任行政といいますか、そういうことでやったらどうかということを言っている意味もここらあたりにある。ぜひそういう方向をとってもらいたい。ところが、つい最近になって、せっかく国会答弁をしたり、われわれがものを言って、そういう方向が、農林省と、いわゆる北海道の場合は北海道知事と意見が一致をして、そういう方向がとられつつある。ところがまた、ここに大蔵省いないのだけれども、大蔵省がなかなかうんと言わぬ、たいへんだと、これは。その間に今度は農林省が何か後退しちゃって、こそく的になっちゃって、一歩も二歩も後退したというのがでかでか北海道の新聞に出ておるのを私は見てきましたが、この間の事情はどうなっているんですか。
  141. 石田茂

    説明員(石田茂君) そういうことが新聞に出たかどうかは私は承知いたしておりませんけれども、大蔵省に持っていきますにつきましても、何と申しましても、私のほうで適切な資料を整えていく必要があります。で、いま御指摘のような事情はございません。
  142. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま指摘したような事情はないということですから、これはたいへんよいことで、これはおそらく、いまのあなたの答弁をこの場を通して北海道の農民が聞いたらたいへん喜ぶことだと思うんだが、それが失望にならないように、最善の努力を私はしてもらいたいと思います。  それからあと、これは前の委員会でも私触れておりますし、それから同僚の高橋委員もそこで質問したそうに待っておられますから、ぼく一人でやりますとたいへん他の質問者に迷惑をかけますから言いませんけれども、生活の対策であるとか、あるいは再生産の資材の対策であるとか、あるいは、恒久的なものですけれども、けさほど来何回もやりとりした北海道農業の基本的な対策の問題等、こういう問題、それから寒地農業の試験研究機関の問題などなど、幾つかございますけれども、これはもう前に私は総括的にやりまして、温水政務次官からこういう答弁をいただいておりますから、この答弁を読み上げますから、忘れないようにして実施をしてもらいたい。もう一回答弁を思い出してもらう意味で読み上げます。「簡潔に答弁しろということでございますから、御要望のとおりに簡潔に答弁いたしますが、本年度の冷害は、三十九年の冷害とほぼ同様なことが想定されますので、三十九年度に行ないました対策と同様の対策は積極的にこれを講ずるつもりでございます。」、こういう答弁をしているんですから、私は項目だけ申し上げただけで、あとあと言いませんけれども、すべて三十九年の冷害のときに、不幸なことだけれども、各省庁、これは全部体験していることです。この答弁に間違いのないように、私は善処していただきたいことを要望して、私の質問を終わります。
  143. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) ただいまの、私が去る委員会答弁をいたしましたときと現在の考え方と全然相違ありません。
  144. 大倉精一

    大倉精一君 関連。これはだれに聞いたらいいかわからぬですけれども、北海道の場合は本州の場合とだいぶ違うと思うのですね、特殊事情が、いまお話を聞いておりまして。それで、北海道開発庁長官という役目があるはずですけれども、北海道開発庁長官は、こういう問題にはタッチしておられませんか。
  145. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  146. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記をつけて。
  147. 大倉精一

    大倉精一君 だれもおられないのですけれども、これは出席要求をされなくても、北海道災害に対する重要問題をいまやるのですから、北海道開発庁長官が出られなければ、北海道開発庁の役人が出てこなければうそですよ、これは。そうでしょう。これはだれも答弁する人がおりませんから、委員長、こういう時期に北海道開発庁の連中が来ないということはふまじめじゃないですか。特に長官がおるでしょう。長官は一体何をやっているのですか。これはふまじめですから、委員長、ひとつ注意しておいてください。
  148. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 善処いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  149. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記をつけて。
  150. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 あまり時間もないようでございますので、また、かなり時間をかけて同僚の吉田委員からも重要な項についてのいろいろなお尋ねもあり、答弁もありましたので、多少その中に触れる点もございますけれども、要約していろいろお尋ねを申し上げたり、さらにまた強く要望を申し上げたいと思います。  先刻、北海道の三年続きの災害については、すでに御承知のとおりでございまして、非常なお互い負債を背負っておりまして、今後の営農生活におののいておるような現状でございます。したがいまして、先ほど天災融資法発動についてのお尋ねがあり、副長官、さらにまた政務次官から、その見通しについて御答弁があったわけでございますが、政務次官が、今月中には激甚被災の地域指定を行なう予定である、こういうことでございます。私は、やはり一日も早くこれを指定していただきたいし、また、それに伴ういろいろな処置が行なわれるわけでございますが、それを急速に行なっていただきたいということでございますが、それはいませっかく北海道はいわゆる地域農業ということで、ここ十数年来の間に非常に根釧あるいは天北、あるいはその他においても、いわゆる畜産を主体とした農業に切りかえていこう、こういうことで非常に苦心惨たんして今日に至ったような次第でございます。あるいはまた畑作地帯においても、いまだかつてない災害を受けておるわけでございますが、その畑作においても、あるいは豆作においても、酪農を入れた豆作農業、こういうようなことを実は進めておるわけでございます。ところが、このいわゆる政府当局における処置がおくれてまいりますると、一体どうなるであろうかという不安が非常に大きくなってまいりまして、問題は、結局、家畜を入れてこれからいわゆる安定農業に入ろうとして努力している中において、その家畜を手放そうとする機運が非常に旺盛になってきているわけでございまして、何とか現金をどこかでもって求めて、そうして切り抜けていこうと、いわゆる一時的な考え方に立とうとしておる現状でございますので、そこでやはり政府の行なういろいろな手厚い処置については、一日も早くその方針をきめていただきますれば、農家もそのことを期待しながら、せっかく今日まで育てた家畜を手放さないで、それを基礎として今後も農業を行なっていこうという意欲に燃えてくるわけでございますから、非常にいまが大事なところなんでございます。そこはひとつ、いろいろお話がありましたので了解しますけれども、今月中といっても、二十日も今月中あるいは今月の末も今月中でございますので、これはいろいろな事務的な積み上げもあると思います。あると思いますが、すでに道庁からは六百十何億という数字が出ておりますし、先ほど吉田委員も申されたとおり、道庁で調査されたこれは、ほとんど従来とあまり変わりがないということを私も承っておるわけでございますので、そういうことになりますれば、この数字が上がってくるのと同時に上がってこなければならない、かように考えます。そうしますると、こちらのほうでこれを基礎として災害指定、激甚被災の地域指定及びそれに伴うところの天災融資法発動というようなものをあわせて行なうことでございましょうから、これを一日も早くひとつ指定してもらいたい。今月中ということでなく、これはもう私は二十日ごろまでの間にきめていただきたい、こういうふうに思うのでありますが、どうでございましょうか、もう一回確認しておきたいと思います。
  151. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 天災融資法特例法の関係は、順調に資料が出そろってまいりまするならば、今月中には発動ができると思います。激甚法の問題は多少おくれるかと思いますが、来月の上旬くらいまでには指定されるだろう、であるに違いない、かように考えております。しかし、せっかくのお話でございますので、できるだけ、特例処置として一日も早く発動ができるように努力いたしますが、なお、詳細は石田参事官からお答えいたさせます。
  152. 石田茂

    説明員(石田茂君) 私ども、今回の冷害は深刻でございますので、そういう意味におきましても天災融資法発動する条件であります農作物被害の全量の把握を非常に急いだわけでございます。それで北海道庁のほうからは六百十一億というような発表もございましたけれども、私どものほうの統計調査部の調査が最終的な資料になるわけでございますので、それを非常に急がせまして、十月十五日現在のを十月中にまとめさせまして、そういうその資料を早くまとめまして天災融資法発動を一日も早くしたい、こういう趣旨で急いだのでございます。現在のスケジュールが非常にうまくまいりますれば今月中、——一日も早くということでございます。そういうことで私どももせっかく努力中でございますので、そのことを御了承願いたいと思います。
  153. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 誠意ある努力を続けるということでございますので、それを了承して、特に強くお願い申し上げておきいたと思います。  次に、何と申しましても、資金対策が重要でございます。それにはきょういろいろ先刻からお話がありましたが、いまの農業金融の中で一番有利になっておるのは自創資金しかないのであります。おそらく、これは三年据え置きの二十年ということで、これ以上のものは近代化資金がありますけれども、これ以外にはこの制度が一番有利でございます。ところが、これもすでにいろいろ災害地については特別な処置をとっておられますが、北海道の場合は三十九年、四十年、今年ということでございまして、もうすでに五十万円といういわゆる限度額はすでに昨年に、あるいは一昨年において使用されておる。したがって、今年災害を受けた者がこの非常に有利な自創資金で生活営農資金として今後使うためには——最もこれは強く要望しておるわけでございますが、ところがいまのような限度額は、せっかく要望しましてもその金がその本人に流れていかない、こういうようなことになっておるわけでございます。先刻、吉田委員質問に対しましても、新潟における特別な措置七十万円、あるいは開拓者に対して七十万というようなことをいま進めておるし、また現に行なっておるということでございますが、これは先ほども御意見がありましたが、この有利な資金にたよることが一番これは適切な融資でございますので、私どもはやはり百万円が最も望ましいところだと、こう思うわけでございますが、しかしながら、いま道庁から要望してきております中では八十万ということになっておるわけでございます。これもやはりいろいろ事情を聞きますると、いろいろの論議が相当あったそうでございますが、やはり五十万を一挙に百万ということにしましても、いわゆる実現可能かどうかという問題もいろいろ考慮されて、とりあえず八十万だけはぜがひでもひとつ認めてもらいたい、こういうことの強い要望であるそうでございますが、われわれは百万ということを言いたいのでございますが、そういうような強い要望でございますので、このいわゆる限度額の引き上げをぜひともひとつ八十万というようなことで作業を進め、大蔵当局とも十分なひとつ打ち合わせをしていただきたいと思いますが、これに対する再度その考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  154. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 現行法では自創資金が一番有利であるということは御承知のとおりでございます。これを、限度を百万、少なくとも八十万円以上に引き上げろという御要望でございますが、御要望の線に沿いまして財政当局をはじめ関係機関と鋭意折衝をいたしまして、できるだけ御希望に沿うように最大の努力をいたしたいと思います。
  155. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 先ほども吉田委員からもそれぞれ触れておったようでございますが、私どもやはり北海道に住む、しかも農業をやっておる者といたしまして、いま痛切に感じ、またこうしてもらいたいという非常に根強い要望が実はあるわけでございまして、先般農林大臣がわざわざ旭川まで現地調査においでになり、さらにまた一日内閣にもおいでになって、その一日内閣の答弁の中でもおっしゃっておったわけでございますが、これは非常に重要なことでございます。こういうように北海道は年々災害の連続でございます。私どもは三年ないし五年には災害があるというようなことを感じておりましたが、こういうような事態を考えますると、年々災害がある、あるいはまた全面でなくても部分的にも災害がある、こういう事態でございます。そうしますると、いやがおうにも一つのいわゆる安定農業を確立しようとする農民みずからの努力は続けておりますし、また、私どももその指導の任に当たって努力をしておりますが、とうていそのことでは解決できない現況でございます。したがいまして、昭和三十九年、あるいは四十年、四十一年、こういうような災害で、その前にもいわゆる負債整理ということで道をあげて国にお願いして、いわゆる負債整理のいろいろな助成をいただき、何とかして全体が北海道農業の確立のために一つの軌道に乗せようという情熱で実は進めて、ようやく何か目安がつきつつあるさなかに三十九年を迎えてしまったわけです。したがって、先ほどお話がありましたとおり、ばく大なまた負債、ことにその中で一番問題になるのは固定化負債の問題でございます。そういうような問題がありまして、もう借金の上に借金が重なって、にっちもさっちもいかない。しかも農業に対する情熱がわかない。いわゆる農業後継者対策も一面に強く打ち出しておりますけれども、この実態の中ではとうてい有能な農村青年が農村にとどまらないという実は現状でございます。そういう意味から、先ほどの御意見があったように、いままでのいわゆるいろいろな制度資金、あるいはその他いろいろな形の中で借金をしょっておるわけですが、これをひとつ一本にして取りまとめて、その人にはいろいろな資金が入っていますが、それを一本化して長期の低利に切りかえてやる、そうしてこれからの行なう農業については、いわゆる指導機関は、道も市町村も一体になって強力な指導体制を整える、本人は情熱をわかして農業を行なう、こういう筋道の通った農業の指導体制を確立しませんと、どうしてもこれは何年たっても、毎年こんな泣き言をいって国のお世話になり、お互いに意欲を失ってしまって、ほとんど農村の安定、営農確立ということはできないということになりますので、私はやはりいままでの借金はやむを得ないものとして、これはひとつ一本のものにして、長期低利に切りかえてしまう、これからもひとつこういう形でいこう、それに対してはまた別な方策によって営農の確立ができるような道を開いていく、こういうようにしなければ、とても北海道農業は安定しない。また、農家も農村に落ちついて情熱をわかして営農ができ得ない、こういうことがございますので、これは大臣もちょっとそのことを申されておりますので、私は大いに期待し、一日内閣でもそのことに対しては、おられたいわゆる聴衆は、万雷の拍手をしてそのことに期待をかけたのでございますから、この点についてひとつ農林省、特に北海道開発庁においても、これは北海道の開発の農業安定という問題がやはり大きな柱になるわけでございますから、これは両省庁でこの問題を具体的に取り上げて進めるという一つの気がまえを持っていただきたい、かように思いますが、幸い農村に理解ある政務次官でございますし、また、みずからそのことを取り扱っている政務次官でございますので、いわゆる御所信と、さらに開発庁がどのようにこの点を取り上げていこうかという心がまえをこの機会にお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  156. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) 制度金融の複雑なものを一本化しろということと、それから固定化負債の解消について、抜本的な方策を講じろという御要望だと存じますが、これは吉田委員質問でございましたかお答えを申し上げましたとおり、御要望の線に沿って努力をいたしますが、固定化負債の解消の問題は、これは非常に重大な、ぜひともやらなければならない問題でございますが、同時にまた財政当局その他関係各省と連絡をとらなければならない問題でございますので、早急に実現をすることは自信があるとは申せませんけれども、あるいは立法を必要とするかもしれませんが、最大の努力をいたしまして、北海道の農民諸君に対して自力更生の意欲を失わないようなことをぜひともやりたい、かように考えております。
  157. 小熊清

    説明員(小熊清君) 開発庁でございます。  北海道の農業が、三十九年に大きな冷害がございまして、また四十年、四十一年も冷害ということでございます。北海道の開発を所管いたしております開発庁といたしましても、非常に遺憾に存じ、また憂慮しておるわけでございます。先生よく御承知のように、開発庁の権限といたしましては、いわゆる応急的な諸対策、たとえば天災融資法ないしは激甚災の指定あるいは各種の資金の融資関係というものは、直接の権限の実は外でございます。開発庁といたしましては、むしろ北海道の農業が冷害に見舞われない、冷害を根絶するという立場から、いわゆる寒地農業を確立していくために、土地基盤整備を今後ともさらに積極的に推進していくという立場にあるわけでございますが、ただいま御議論になっております農家の固定負債、これを何らかの方途で解消するということが北海道の農業経営を安定させるということの一番の根本ではないかという御指摘がございました。実は開発庁に付置されております北海道開発審議会という審議会がございます。その審議会のほうで、ただいま北海道の農業を長期的に見てどういうふうにしたらいいかということについて審議会の委員方々が御検討されておるわけでございますが、その中に、やはり北海道実情に即した長期的な、また低利の資金を創設することが必要ではないか、かような議論も出ておるわけでございます。また審議会の審議の経過等を勘案いたしまして、もちろん所管の農林省のほうとも十分お打ち合わせをいたしまして、北海道の農業経営の安定ということについて、開発庁としてできます限りのことは今後やってまいる所存でございます。  以上簡単でございますが、お答え申し上げます。
  158. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 ただいまの御答弁でございますが、当然こういうような御措置を開発庁自身がやるということではないことは重々承知いたしております。しかしながら、北海道開発庁としてやはりいかにして北海道農業の振興をはかり、確立をはかるかということになれば、根本になる問題は、やはり基底として、その上にそういうふうな対策が講じられなければ、おそらく北海道農業の開発というものはできていかない。そういう点についてはやはりこれは宿命であろうが何であろうが、あるいはまた審議会を通してもそういう問題の実現に熱意を示し、そうしていわゆる所管省のほうでこれを強力にとりあげるようなことに進めていくということが大事な役割りではなかろうか。私はそう思うのでございまして、そのことを申し上げておるわけで、みずからが法律を出すという、そういう出せるような力を発揮してもらいたい、こういうことでございます。その点をひとつ十分承知の上でやっていただきたい、かように思います。  それから政務次官に特にお願いしますが、これは当面の問題でございますが、先ほどからいろいろ申しましたとおり、本年からいわゆる天災資金、公庫資金をどんどん償還しなければならないという問題が実はあるわけでございます。そういうことからずっと前から重なったいわゆる借金がたくさんあるので、本年その償還をしなければならないということで非常に心配しておるわけでございます。われわれ系統といたしましても、その面について行ない得るものは十分これは系統として行なわなければならない。しかし政府として、そういう点についての猶予、これはいろいろな立法措置の問題がある。私はさっき申しましたが、それはきょうあすにできるものではない。やはり通常国会を通し、また来年度にわたっての強力な処置を特に要求するわけでございますが、当面の問題は目の前に迫っている問題でございまして、こういう償還に対する猶予措置というものを具体的にひとつとりあげて、これを猶予して、またそれを猶予したから明年二年分を一緒に払うというようなことでは、これはまたたいへんなことになるわけでございますので、猶予されるものは向こうに延ばしていくことにならなければ猶予されてもしかたがない。非常な困難をまた来年来たすわけでございますので、そういう点についての御処置に対するお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  159. 石田茂

    説明員(石田茂君) いろいろ農家には借り入れをしているものがあると思います。その中には天災資金あるいは公庫資金それぞれいろいろございますが、私のほうからそれぞれの金融機関に対しまして農家の実際の被害状況を勘案して、償還期限の猶予あるいは据え置き期間を途中に置くようなこと、あるいは据え置き期間を延ばす、償還期限を延ばすというような具体的な指示をして先生の御要望に沿うようにしたいと思います。
  160. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 ぜひそのことを強くお願い申し上げておきます。  それから先ほどもちょっと全体的な問題で、北海道は何と申しましても寒地農業を確立する意味から、いわゆる畜産に非常な重きをおいて今日進めております。しかしながら、これは今日までかなり進んでまいりましたが、今後もまだまだ道遠い問題もございますので、また今日までいわゆる酪農地帯と称せられる地方におきましてもずいぶん努力いたしてきておりますが、まだまだ完全とは言えない実情にあるわけであります。したがって、畑作地帯においても、あるいはまたそういう酪農地帯においても、ことしから明年にかけての飼料が非常に問題になっているわけであります。ことに私は十勝の者でございますが、実は十勝においては、例年でございますれば、夏作が悪ければ秋作がよろしい、秋作が悪ければ夏作がよろしいというのが、大体天候の事情から考えてそういうことになるわけでありますが、ことしは全くビートを除くほか壊滅という状況であります。したがって、豆類のからをもって飼料に充てているわけでありますが、もしこれを飼料にして与えたら家畜は直ちにきちがいになる、また特別な病気を起こす、こういったようなことでございます。したがって飼料対策には非常に心配をしているのであります。また酪農地帯としても先ほどお話がございましたように、かなり牧草をていねいに管理育成しておりますが、これまた長雨等において非常にあれがあるわけであります。したがって、道からも強く要請しているわけでありますが、いわゆる北海道では特にビートパルプが飼料になるわけでありますが、これをそういう農家に渡す場合において、これはかなり価格が高いわけでありますから、ある程度の助成をしながら、そういう飼料対策の問題もお考え願い、それからふすま——飼料ですね、これの大量放出、こういう問題について特にお考え願いたいと思います。昨年あるいは一昨年もその点については強い要望がございましたが、なかなか実現に至っておらない。ことしはきわめてそういう飼料に対しては憂慮すべき事態にあります。そうかといって、家畜を手放すということも将来の営農に非常に問題がありますので、その点を特にお考え願いたいと思います。ひとつこれに対するお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  161. 石田茂

    説明員(石田茂君) 先ほど吉田先生からの御質問がありましたときにお答えを忘れましたのですが、私も先ほど酪農のしっかり入っているところには冷害がないと言いましたが、それは主として根釧地方のことを申したのでありまして、それ以外の地域につきましては、なるほど飼料作物にかなりの被害がございまして、私どものつかんでいる数字だけでも十億をこえている。したがって、問題の応急対策としても飼料対策についていろいろ要望が出ておりますが、その中でビートパルプにつきまして、先ほど先生御指摘のように、これにつきまして購入費の補助等の御要望もございます。しかしこれはただ単に飼料の問題ばかりでなくて、実は生産資材その他いろいろな問題がございまして、農家個々のいわばこれは問題になってきます。個人災害の補助というようなことにもなりますので、現在の制度といたしましては補助事業として取り上げるのは非常に困難であります。そのかわりといっては何でございますが、天災融資法が近く発動されます。これはまあそういった経営資金を融通するわけでありますので、そういった経営資金をもってビートパルプの融資をしてもらう、そのかわりということではございませんが、さしあたって必要なふすま、これはえさの種類が違いますが、ふすまにつきましては、幸い北海道については輸入在庫もだいぶございますので、ただいま千トン程度のふすまを売り渡してほしいという御要望がございますが、これは私どものほうで売り渡す用意がございます。その他来年の飼料作物につきまして、種子対策の問題もございますが、これはひとつ先ほどの飼料作物の被害状況、あるいは明年度の飼料作物の手当ての状況等も考えて種子対策考えたい。こういった全般の対策を通じまして、不十分ではございますが、ひとつ飼料の手当てをしたいと、こう考えております。     —————————————
  162. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、十月の集中豪雨による災害についての質疑を行ないます。鈴木君。
  163. 鈴木力

    鈴木力君 時間がだいぶなくなりましたので、簡単にお伺いしたいと思いますが、十月の十三、十四日、主として十三日に集中豪雨があったわけでございますが、各地に相当の被害がありました。特に岩手県の県北地方、久慈市を中心とする県北地方では十一人の死者ですか、そのほか負傷者も出るというような、ちょっと変わった大きな被害があったわけでございます。まず、共通的なといいますか、この災害対策の応急処置等については御報告はまだいただいておりませんけれども、それぞれなさっていらっしゃると思いますので、この点についてはあとでお伺いいたしたいと思います。時間がありませんので、項目的にお伺いいたしたいので、お答えいただきたいと思いますが、この久慈市の災害について、実はこういう話があるのでございます。警報が解除になったあとに集中豪雨があった。この辺は巷間だいぶいろいろ伝わっておるところでありますが、特にこの久慈市というのは、予測といいますか、気象観測ではポケット地帯と従来とも言われておりまして、天気予報等も当たらないところでは有名なところなわけであります。前々からあそこに測候所をほしいという要望はだいぶ前からあったようでありますが、今回の集中豪雨も十三日の夕刻からものすごく量がふえてきておる。ところが、実はその前に警報が解除になったという話等もありますので、そういうことが事実なのかどうか、あるいはまた気象観測上あそこがほんとうにポケット地帯になっておって、気象庁としてもその対策を講じておられるとすれば、その実情等もお伺いいたしたいし、なお、地元あたりでは今回の災害にかんがみ、ぜひ測候所をつくってほしい、そういう要望等もあるわけでありますが、そういう要望についてのお考え等もあわせて気象庁の長官にお伺いいたしたいと思います。
  164. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 最初の御質疑の点の警報解除をやったあとに集中豪雨があったという事実があったかどうかということでございます。これは御指摘のとおり実は十三日の十六時三十分に雨が小降りになりまして、かつ仙台のレーダーで見ておりましたところ、豪雨をもたらすような雲がすっかり解消と申しますとちょっと語弊がございますけれども、なくなってしまったので、注意報を一時十六時三十分に解除したのでございます。ところが、御指摘のようにその後晩の八時ごろから、あるいは八時前からですか、雨が降ってきたようでございまして、そういったまた雨が降ってきたというような通報が久慈のほうからございまして、また仙台のレーダーにもその観測を依頼しましたところ、また新たに集中豪雨の雲があらわれたというようなことになっておりまして、二十一時五十分に大雨注意報を出しております。こういうような状態でございますので、先生御指摘のように、解除してまた雨が降り出してきて、そこでまた注意報を出し直したということには間違いございません。  それからこの岩手県という県は私も回りましたが、非常に広い県でございます。その県の中に測候所に類するものは三つしかございません。特にその県北のほうにつきましては何も測候所は現在のところございません。しかし、この岩手県というところにつきましては、早くから雨のための——雨のためと申しますか、川の洪水のために雨の観測点を展開いたしまして、またその後農業気象のために農業気象観測所というものをいち早く全国的でもトップに展開したところの県でございまして、あるいは御承知と思いますが、久慈には農業気象観測所がございます。そういうようなことになっておりますので、ポケット地帯というような意味につきましては、県北地帯は測候所がないということにおきましてポケットというようなことはいえるかもしれませんけれども、雨の観測そのものにつきましては、相当たくさんの観測点は岩手県にはあるはずでございます。なお、この機会に測候所を設置するというようなお話があるということにつきましては私のほうも聞いております。  一体この集中豪雨というような現象は、先生も御承知のように、非常に狭い範囲内に非常に多量の雨が降るという現象なのでございまして、この集中豪雨というような現象を事前に予報するということは非常にむずかしいのでございまして、どちらかといえば現在のこの予報技術を上回っているのでございまして、現在の予報技術水準からはほとんどこういうような現象を事前に予報することは残念ながらできないのでございます。この集中豪雨の予報をするときには、この集中豪雨という現象がどうして起こるかという集中豪雨の機構の解明と、それから非常に狭い地域の気象現象に対する予報技術の開発というものをもっと開発と申ますか、研究というものをもっと推し進めないと、この集中豪雨に対する予報というものが完全にできないというような状態と私は解釈しております。したがいまして、測候所を久慈に設置したがために今後久慈地方集中豪雨がそれによりまして解消するというようなわけにはまいるまいというように考えているのでございます。
  165. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、こうお伺いしてよろしゅうございますか。十一人も死んだあの大災害が、これは気象庁としては十三日の十六時三十分に一たん解除をした。そして実際に午後七時ごろなんですね、一番降っているのは。午後七時二十分ごろに土砂くずれが始まっている。それから夜中まで続いておりますけれども、そして二十一時五十分から大雨注意報を再び出した。そのときにはすでに土砂くずれが始まって豪雨が降っておる。そのときには大雨が降っておる。しかし、これは気象庁としては技術的にむずかしいのであって、施設、設備あるいは気象庁の観測としては手落ちがないと、そういうことをおっしゃるわけですか。
  166. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 現在の施設とそれから予報の技術をもちましては最大限の努力をいたしましたけれども、久慈地方集中豪雨を、十三日の夕方前にもう一度予報することができなかったという点は、まことに私たちとして残念に存じまして、それに対しては十分な反省をしているつもりでございます。したがいまして、今後こういうようなことにならないようにするにはどうすればいいかということについてもいろいろな方法考えているのでございますけれども、現在のところといたしましては、もう少しレーダーの運用面、あるいはその通報のやり方、その他の点について種々反省し、改善しなければならない点があると考えております。そういう点につきましては、今後一そう努力してこういうようなことにならないようにしたいと、こう考えております。
  167. 鈴木力

    鈴木力君 いまの問題は、さっきも私が申し上げたのですが、前からあの地域は、天気予報が当たらないということで有名な地域になっておるわけです。そういうことが何べんか繰り返されておって、しかも今度警報解除という問題と、災害と、しかも十一人が死ぬというような大事故があったわけです。ですから、これは気象庁の担当者が怠慢とかどうとかという意味じゃなしに、やはり施設、そういう面からの不十分なものがあったのじゃないのかということが、これは地元民の率直なものの言い方です。まあしろうとでありますから、施設がもう少し完備しておればもっと的確な予報もあるだろうし、もっと的確な警報等の伝達もあるだろう。そういう考え方があるのです。ですから、時間がありませんからあまり申し上げませんが、午前中も気象観測の問題についてはずいぶん議論のあったところでございますから、しかも、この町一つであれば大したことないと思いますけれども、全国的にやはり気象観測と災害という問題は、いまのような観点から、未然に災害を防止するという立場から、相当やはり御検討なさっていただきたいし、なお午前中も議論なさっておりますけれども、予算がない、計画は立てておるけれども、金がつけばという前提の計画ではどうも心細い話なんですが、そういうものの一環として十分に御検討いただきたいという御要望を申し上げておきたいと思います。次に災害の復旧のあり方について若干お伺いいたしたいと思いますが、その前に同じ今度の集中豪雨で、青森県の上北郡ですか、七戸町の西野中学校という中学校があるのです。これは文部省のほうにまずお伺いしたいのですが、この学校が今度災害を受けましたけれども、どういう事情かよくわかりませんですが、あの学校は前に川が流れておる、川底に建っておるのですね、西野という中学校は。川底といいますか、川のあと地に建っておって、川があそこで迂回しておるのです。学校の前に橋がかかっておって、橋の下流は護岸工事がされておるけれども、上流二百メートルほどは護岸工事がないわけです。ですから増水すると水が橋にぶつかって、まっ正面に学校に水が流れてくる。これは当然な話なんですけれども、ああいう形に放置されておったということは、これはどうも不思議な現象なんですが、文部省として、学校の位置あるいは学校の安全性という立場から、そういう施設については御検討なさったことがありましょうかどうか、まず伺いたい。
  168. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) お答えいたします。学校の立地条件につきましては、日ごろから文部省といたしましては、なるべく災害にあわないような敷地を選ぶように、種々な方法で指導を行なっておるわけでございます。  それから小学校、中学校の直接の監督庁は都道府県でございますので、設置にあたりましては、届け出によりまして都道府県がその立地条件等につきまして検討し指導するというたてまえになっておるわけでございます。で今回の西野中学校の件につきましては、御指摘のような条件もございまして、たまたま災害にあったわけでございますけれども、まあこれはかなり以前からここに学校が設けられておりまして、教育を続けておるわけでございますけれども、そのそばを流れております河川の堤防、橋梁の状況につきまして、的確に把握しておりませんので何でございますけれども、おそらく御指摘のような堤防等の条件もございまして、豪雨によって川がはんらんしまして、校舎が被害を受けたというようなことがございますので、これはおそらく堤防がもっとしっかり築造されておりましたならば、こういう災害から免れたのではないかというように考えられるわけでございます。
  169. 鈴木力

    鈴木力君 私が伺っておるのは、堤防がしっかりしておればということじゃなくて、堤防がないのです。二百メートルほどない。しかもそれが橋がありましてね、橋は学校の正面に橋があるわけです。校庭の向こうに。上流から橋にぶつかる、その間の橋から上流二百メートルが堤防がないわけです。だから当然橋に水が当たると、学校にまっ正面に水が来るようになっている。しかもここが今回災害にあいましたけれども、昭和三十三年かに同じ水害を受けておる。たぶん三十三年だと記憶しておりますけれども、年は若干違うかもしれません。そのときも災害を受けておって、そのあとの復旧に、この橋から下流は堤防ができておるけれども、上流に堤防がない。これをそのまま放置しておくということが、これは災害があったあとにどうするということからいえば、起こってみてから始末すればいいけれども、二度も三度も同じことを繰り返しておるということは、これはどうも私どもにはよくわからないわけなんでありますけれどもね。そういう学校が一つであればいいけれども、まだありはしないかという気持ちがするもんですから、ちょっと聞いてみた。あとは例はありませんか。
  170. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) そのような例につきましては、まだはっきりほかの例は把握しておりませんけれども、まあできるだけそういう災害が今後二度と起こらないように、堤防等もしっかりつくるようにしなければならぬと思っておるわけでございますが。
  171. 鈴木力

    鈴木力君 それでは文部省にひとつ検討を願いたいのですが、それはたとえばいまの久慈市の場合を申し上げますと、久慈小学校が山くずれにあって、うしろから土砂が流れ込んで音楽室が土砂がいっぱいになりました。学校を突き抜けて校庭まで土砂がずっと出てきておる。あれはまあ幸いにしてというとことばが悪いですが、久慈小学校の場合は統合校舎の建築が計画がありますから、そちらのほうに切りかえればまあ何とかいける。もし久慈小学校の場合に統合校舎の計画がなければ、おそらく文部省はというか、政府災害復旧法律に従って、土砂の入ったところ、あるいは使用不可能なところを原形復旧をしてあるいは使わせるということになるかもしれない。そういうことを私は心配をしたんです。しかしあすこは放っておきますと、また土砂くずれがないという保証は全然ないし、そういたしますと、またこのまま放置しておけば同じ災害があり得ると見る場合には、まだ災害にあわない校舎があったにしても、全部校舎を移転して新しい場所で教育を開始できるような、そういう積極的な復旧方法ということが考えられないのかどうか。おそらく私どもの知っている限りでは、いまの法規に立つとなかなかむずかしそうだ。しかしその法規にしばられておりますと、災害というのは同じことを何べんも繰り返すのじゃないか。特に久慈小学校の場合でも、それからいまの青森県の七戸町の小学校の場合でも、どちらも夜であったので子供がいなかったために、子供に対する災害が、死傷がなくて済んだものの、ああいうことを何べんも何べんも繰り返させるようなことになってはたいへんだと思う。ですから学校災害というのは、これはもう災害防止というほうがもっと重要だと思いますから、そういう観点でひとついまの法規なりあり方というものを検討すべきじゃないか、こう考えるのですけれども、ひとつよく検討願いたいと思います。  それで、なお建設省の方にお伺いをするのですが、いまこれは現地の地図がないものですから申し上げてもぐあいが悪いのですけれども、いまの青森の七戸町の西野小学校の場合、おそらく堤防が上流二百メートルほどなかったというのは、前の災害のときもなかったらしい、聞いてみますと。下流には何らかの形の堤防がある、したがってこの前の災害復旧のときに原形復旧ということで堤防のなかったところにはおそらくまた堤防をつくるということがなされなかったのじゃないかというふうに見受けられますのですけれども、私はそうだと言い切るものはないのでありますが、その辺の事情はおわかりですか。
  172. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 今回青森、岩手各地でたいへんな災害を生じた。西野小学校の問題につきましては、いろいろ調べましたけれども、ちょっとまだ従来の災害復旧で原形復旧だけでとどめて、堤防があったのかどうか、あるいは自衛的な堤防があったのかどうか、その辺まだ詳しく承知いたしておりません。後日報告させていただきたいと思っております。
  173. 鈴木力

    鈴木力君 具体的にそこはどうということはお調べ願っていただきたいと思います。いまの原形復旧ということが、どうもよくはわかりませんけれども、少し窮屈すぎるといいますのか、災害復旧のあり方に原形復旧が非常に強すぎるような気がするのです。これの全体の率からいえばどうかわかりませんけれども、今度の集中豪雨で私が見た限りにおきましては、たとえば久慈市の長内町という町があります。ここに小屋畑川という川があって、決壊をして橋梁が破壊をしております。ところがこの道路、これは国道ですが、これがやはり三十三年の二十二号台風でやはり同じ場所が同じように橋がこわれておる、これは聞いてみたらやはり原形復旧をやったという話です。そういたしますと、原形復旧ということがあまりにも強く出されるといいますか、大事にされることによって国道でさえもが同じ場所が同じ災害で同じこわれ方をする、こういう例を、私はさっきの西野小学校もそうじゃなかろうかと思うのですけれども、そういう形に出てまいりますと、災害復旧という考え方を変えるべきじゃないかという感じがするのです。  で、時間がありませんから、続けてもう一つだけ一緒にお伺いいたしますが、あるいはこれは河川関係ですか、道路関係の方か、どちらに伺えばいいのかわかりませんけれども、同じ久慈市の特に死傷者の多く出た小袖という部落がありますが、この小袖の小袖川というこの川がはんらんをいたしまして、しかも小袖川の上流からの土砂くずれがあって、あすこでも漁民がだいぶ死んでおる。それを見ますと、小袖川という川も、やはり前にはまっすぐに流れておった川が迂回をしておるのですね。迂回をしたものがそのままになっておって、今度の大きな災害が出ておるわけです。もっともこれは迂回したから災害が出たということにはならないだろうと思いますけれども、災害復旧をいたします場合に、原形復旧といういままでのあり方から、迂回した河川状況はそのままにして道路を通しますと、同じ災害がまた起こるのじゃないか、これはわれわれしろうとが見ても、水が出れば、また同じようになるぞというふうに見えるのです。こういうようなことをあわせ考えますと、どうしても災害復旧というのは、原形復旧といういままでの考え方ではなしに、やはりその災害一つの契機にして、今後の災害を防止するという立場からの復旧工事が原則になるべきではないのか、こういう感じを非常に強く持ったので、建設省の基本的な態度といいますか、あり方についてお伺いをしたいと思います。
  174. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 災害復旧にあたりましては、私らはつとめて現地の状況に合うような形で、たとえ原形がそうでなくても、そういうものを加味して現地に合う復旧を行なうようにいたしております。特に非常に大きい範囲にわたりまして大きく災害を受けた場合には、一定災と言っておりますが、一定計画に基づいて被災箇所を含めた一定区間にわたって改良復旧をやっております。これは災害費のみでやれる方法であります。それから災害が非常に小さい場合は災害関連事業というものを加えまして、一定の計画に基づく改良復旧をやる。それからさらに大規模の地区にわたる場合には災害助成事業というものを用いまして、これまた一定計画に基づいてやるようにいたしまして、つとめて再度の災害の防止のために努力いたしておるつもりでございます。なお、現地にはただいま査定官が入りましていろいろ調査中でございまして、先ほどの小袖川のはんらんの問題は、橋梁等につきましては相当拡幅を考えなくちゃいかぬじゃないかということも検討いたしております。  それから川が迂回したために災害の問題もある場合もわけでございまして、それらの河川の勾配とか、あるいは土質とか、いろいろな問題を検討いたしまして、具体的な対策を練っていくようにいたしたいと思っております。
  175. 鈴木力

    鈴木力君 私が申し上げておる意図は、検討をして現地に合うようにやりますという、これはいままでの方針もそうだったと思うのですね、今後もそうだと思います。そういうことでやってこられて、たとえば国道が三十三年の二十二号台風で破壊されておる、今度の集中豪雨でまた同じ場所が同じ破壊のしかたに破壊されておる。そういたしますと、決して建設省といえども、現地に合った将来有効な方法で復旧したと言い切れないだろうと思う。だから、そういうミスはやはりミスとして認めてもらって、そうして基本的にはやはり災害が二度と起こらないように防止する、そういう態度からの検討をするということがどうしても原則になってもらわぬと、各地で同じ現象が起こるんじゃないかと思うのです。特に久慈市という限られた場所で言えば、地元でもそういう意味かり改良復旧といいますか、それの要望が非常に強いのでありますから、査定官が行っておるとすれば、その査定官を通じてそういう要望が出ると思いますけれども、私はこの一つの川や一つの場所ということで言っているのじゃなしに、あの事実から原則として一つの復旧の方針をやはりきめるべきだ、確立すべきだ、そういうつもりでものを言っておるわけですから、御検討をいただきたいと思います。  なお久慈市の場合でいいますと、あそこは今度の災害というのは山くずれが主要なる原因です。山くずれにつきましても、あれをまた原形復旧ということはこれはとてもあり得ないだろうと思いますし、しかも、市町村にまかしておいたのでは、とてもあの山くずれに対する対策というものはできまいと思います。私どもも行って見てまいりましたけれども、今度は大雨でなしに小雨でももう一ぺんくずれるんじゃないかという状態にいまあるわけでして、こういう点についても現地からおそらく連絡があると思いますけれども、建設省としてどういう計画がおありなのかどうか、そういう点をちょっとふれていただきたいというふうに思います。
  176. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) ただいまのお話の地点では、久慈市の久喜という漁港に関連したところの問題だと思いますが……。
  177. 鈴木力

    鈴木力君 いや、久慈という町から久喜までずっと全部ですよ、あそこは。
  178. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) まあ今回も非常に災害が多うございまして、多数の死傷者が生じております。災害状況によりましては、われわれとしましては現地を調査いたしまして、将来の計画に基づいてできるだけやっていきたいというふうに考えております。それには、先ほど申し上げましたような災害関連の事業を入れるとか、いろいろな方法がございますので、その現地の災害状況によって、将来再度災害が出ないような方向で検討してまいりたいというふうに考えております。なお、がけくずれ等のような場合には、ただいまのところ法制的にそういった問題を処理する道が開かれていないわけでございまして、この問題につきましては、ただいま鋭意検討中でございまして、今後の処置考えていきたいと思っております。  なお、死者が出ました久喜のところにつきましては、町村河川になっておりますが、町村だけにはなかなかまかせきれない点もあると思いますので、県とよく連絡をとりまして指導をいたしたい。さらに、これは砂防との関係もございますので、その辺を十分検討した上、再度の災害を防止するように検討してまいりたいと思っております。
  179. 鈴木力

    鈴木力君 もう一言だけ申し上げますが、久喜、久喜とおっしゃいますけれども、久喜は確かにそういう災害があったわけですね。ところが久慈の町の中心部から久喜にいく間、あそこの距離は大体十キロくらいあると思います。その海岸がほとんどがけくずれといいますか山くずれといいますか、くずれて、道路もふさがっており、その間に建っておる家がつぶされて流されているわけですから、だからある場所に限られた所だけを手直しするぐらいではあの部落が孤立するという状態なわけです。それでいま現地を調査していなさるということですし、もう一つ私は、ああいう地域については道は開かれていないといまおっしゃったのですけれども、これがもしほんとうだとするとたいへんなことなんですが、救う道が開かれていないということなのですか。
  180. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) ちょっといま間違いましたけれども、いま先生の御指摘のがけくずれは道路に沿ったがけくずれだと、いわゆる小袖、久喜線と申しますか、そういう道路に沿ったがけくずれだと思います。したがいまして、それにつきましては、小袖、久喜線の道路災害復旧として当然考えられます。いま申し上げましたのは、単なるがけくずれの場合、そういう場合には、現在の段階では法制的に整備されておらないということを申し上げたわけでございます。
  181. 鈴木力

    鈴木力君 単なるがけくずれと言いますけれども、久喜も小袖も谷一つのがけくずれで、その下にある数戸がつぶれて、何人か人が死んでるという例がありますから、さっき申しました久慈市の町のまん中にある商店が土砂で埋まってしまったという例もあるわけでして、これが道がないということになりますと、たいへんな問題だと思います。したがって、これはもしほんとうに現在の法規に道がないということであれば、できるだけ早急にその道を開くということが重要だと思いますから、その点の、ひとつ御配慮をお願いいたしたいと思います。  どうも時間がなくなって恐縮なんですけれども、もう一つだけお伺いいたしたいと思います。これはどなたに伺えばいいのか、ちょっと的確にわからぬのですが、漁港建設といいますか、これはたとえば岩手県の東海岸のように山が非常に切り立った地域の漁港について、今回の災害でほぼはっきりしておるのでありますけれども、何か漁港施設あるいは漁港を建設するという考え方に、海に向かってはだいぶいろいろ配慮をされておる。しかし海に向かっては配慮をされておるけれども、うしろのほうが間が抜けておるという感じが相当するんです。でありますから、今度の災害に出あったのも、うしろを全然警戒しなかったからうしろから土砂がやってきて、漁港の破壊あるいは漁民の集落の破壊ということが行なわれておるわけでして、したがってこれも、現在までのあり方をどうこうと私は文句を言うのではありませんけれども、ああいう特にけわしい三陸のリアス式海岸といいますか、ああいう地形のところに漁港をつくるという場合には、やはりちょっと目のつけどころを変えて見なければならぬのじゃないかと思います。海に対しての施設ということは配慮されておるわけですが、そのうしろに漁民の集落がどう配置をされなければならないのか、あるいは切り立った背後の山との地形の間にどういう集落づくりあるいは漁港づくりをしなければならぬのか、その辺が、どちらが担当でどちらがどうなのか、一向私のほうではわからないわけです。漁港の施設のほうはある。しかし今度は住宅なりそちらのほうはまた別の担当、だが、しかし実際は住民に言わせますと、それが一緒になって漁村という形が成り立つわけですから、災害という面から見ると、それらの総合的といいますか、統合的な一つの施策というものが必要じゃないかと見られるわけなのです。そこでどなたに聞けばいいのか、漁港部長さんに聞けばいいのか、よくわかりませんけれども、ああいう特殊な地形の漁村づくりというようなことについてのお考えをひとつお伺いいたしたいと思う。
  182. 瀬尾五一

    説明員(瀬尾五一君) 先般の十月十三日の集中豪雨によります被害は、岩手県沿岸の北部、特に久慈市において大きかったわけでございます。久慈市の沿岸における漁港施設被害といたしましては、二子、大尻、久喜漁港につきまして四件ばかり、五百七十万円程度の被害でございますが、その報告が出されております。これにつきましては適切な復旧をはかるため、県御当局及び市の当局とも打ち合わせをいたしまして、近く現地の調査を行なうこととしております。  なおこの調査といいますのは、主たる目的は漁港施設災害復旧事業としての事業費の決定のために行なうわけでございますが、この対象となるものは、公共の用に供する漁港施設に限られているわけでございまして、ただいまお話のありました漁民の住宅の復旧につきましては、漁港関係の公共事業として復旧することができないたてまえになっております。しかしながら、漁港は漁民が利用いたしまして漁業を営む重要な生産基盤でございますので、漁民の住宅につきましても漁港として注意を払っておるわけでございまして、従来も、たとえば岩手県のようにリアス式海岸で、海岸まで山が迫っていて土地がないというようなところで、他に適当な宅地を求めることができないというような場合には、漁港関係の公共事業と従来もあわせて漁港管理者が海岸に埋め立て地を造成して、これを漁民住宅等の用地として使用してきた実例もございます。しかしこの場合は、その海岸における埋め立て地あるいは宅地の造成等には、その海岸における地形の問題とかあるいは海洋気象等の条件がございまして、そういうものが適切にそろっておるということが前提でございます。したがいまして、いまの御設問の岩手県の場合におきましても、そういうような場所がはたしてあるかどうか、また地元の意向等も十分——これは住民の住宅を移動するということにつきましてなかなかむずかしい問題もございますので、そういう意向等も十分聴取いたしたいということで、県及び久慈市にも連絡をいたしまして、近く現地調査をいたすときにもあわせてそういう問題を調査し、検討していきたいと考えている次第でございます。  なお、この漁民の住宅の復旧の問題は、他の一般の住宅の問題と同様に建設省で取り扱っておられますので、建設省の住宅当局とも密接な連絡をとりまして、県及び市に対しまして適当な指導を行なっていきたいと考えている次第でございます。
  183. 鈴木力

    鈴木力君 いまの問題をもう少し伺いたいのです。  私は確かにその住宅の復旧を漁港の中に入れるというのは非常に無理があるだろうと思います。ただし漁港という一つ考え方に、漁民が魚を取ってきて戻ってくる、そうして漁民が自分のうちに帰るという、そういう機能の中に漁港というものを考えるべきじゃないかと思うのですね。そういたしますと、たとえば林業の人は林業をやるために林道をつくらせる。これには国家の補助がある、そういう道が開かれている。農民の林業に携わる人の生活と山との結びつきというそこまでみているわけですね。ところが、漁業関係になると、漁港ということになりますと、海のほうはみてくれるわけです。船まではみてくれる。しかし、漁民の生活と船なり海なり漁業というものとの結びつきのところはだれも考えてくれないわけです。ですから漁民の人は、自分のうちというのは自分でかってにさがして、谷間みたいなところに見つけるから、一ぺん雨が降って土砂くずれになりますと、漁民が犠牲になって、船は健在であるけれども、魚をとる人が被害を受ける、こういう現象を繰り返すと思うのです。ですから、たとえばある一つの部落にまあ埋め立て地をつくって、そこに住宅をつくるようなそういう指導なり補助なりをすれば、それは一つ方法ですね。あるいはもう一つは、山の上に集落地を設けられる場合には、その集落地とそれから漁港との間の連絡路を指導と助成でつくってやる。そういう漁村全体の一つの構想といいますか、そういうイメージのもとでの指導なり行政なりというものがあるはずなんです。どうもいままでの住宅住宅で別の担当である。漁業というのは船から魚網のほう、そちらのほうの担当である。その間のつながりが、漁村なら漁村という一つのまとまったつながりがどうも少ないような気がいたします。これはもう林業関係でも農業関係でもそういうことは言えると思いますけれども、しかし、少なくともそれでも農業関係では農道というのがいまできているわけです。それから林業関係では林道というのがあって、生活と働く場所との結びつきというのが一つのまとまりとして不十分ながらもできておる。漁業という場合にはそこのところが切れておるということなんです。そういう点はやはりこの漁業の指導的立場から総合的に見るべきじゃないか、そうしてそういう指導をするべきじゃないか、そのことが漁村という一つのあり方にも結びつきますし、今回のような災害防止という面からも必要なときになってきているのじゃないか。ですから、いままでやってきた法規典礼に照らしますと、私の担当ではりっぱにやりましたとおっしゃるだろうと思いますけれども、もう一歩下がって見るといいますか、高いところに立って見るというか、そういうところから思い切って新しい考え方を入れるべきではないかというふうに考えるので、いま申し上げたわけですから、なお御検討をお願いしたいと思います。  なお、最後に建設省の方も、それからいまの水産庁の方も同じなんですけれども、近く調査をするということに御返事をいただいておりますが、現地のほうでは、やはり近く調査という形の近くが慣習上どこまでが近くかわからぬけれども、もう少し早い調査を希望しておると思います。もう十三日の災害ですから、もう少しで一カ月にもなるわけですから、少なくとも調査をするというのはできるだけ早くやって、そうして一つの復旧の工作といいますか、復旧の方策をできるだけ早くめどをつけてやるという愛情なり親切なりというものが政府としては必要じゃないかという感じがいたします。ですから、実は私はきょう調査をした結果についていろいろと伺えるのじゃないかと思っておりましたけれども、まだそこまでいっていないようでありますが、即刻に調査をされて、そうしていろいろな角度から御指導と一つの施策を実施されるようにお願いをいたしたいと思います。これは一つ災害対策の原則として政府側のほうで実施をしてもらうように要望いたしたいと思います。
  184. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) いま御指摘の点、まことにありがとうございました。実は被害発生後直ちに査定官を派遣いたしまして、応急復旧には当たらせているわけでございます。なお、本復旧の査定につきましては、十一月四日から査定に行っておりまして、現地を調査中でございますので、その調査結果がまだこちらに参っていないということを申し上げたわけでございまして、その点御了承をひとつお願いしたいと思います。
  185. 瀬尾五一

    説明員(瀬尾五一君) 漁港の関係につきましては、漁港の被害は主として海の中でございますので、測量調査等に県当局も時間を要しまして、私どもの現地調査に行く日程を地元とも打ち合わせてきめたわけでございまして、これは私どものほうでは相手方の都合がつけば、早く行けるわけであったのでございますけれども、向こうの都合でおくれておったわけでございます。一応近くと先ほど申し上げましたが、十一月の二十四日から現地調査をいたすことにしております。  それから先ほど海のほうに手厚くて、背後のほうが多少検討を要するというお話がございましたが、まことにごもっともなことでございまして、漁港のほうといたしましては、背後の漁民の住家等を海の破壊力から守るために漁港区域内には海岸堤防等をつくって、海岸の付近はそういうことで努力をしておるわけでございますが、背後につきましては、四十年度から漁港関連道という制度もできまして、漁村部落と漁港との連絡も考えております。しかしながらこの漁村部落それ自体の問題になりますと、漁港の区域からの距離等もございまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、私どもとしても今後いろいろと検討していかなければいけない問題があるわけでございまして、そのことにつきましては、今後とも十分検討していきたいと思っております。
  186. 鈴木力

    鈴木力君 くどいようですが、もう一言だけ言わせてもらいますが、これはもう水産庁にどうこうと言ってもしようがないかもしれん。どなたに言ったらいいかわからん。おそらくいままでと守備範囲の違うことを私が言っておりますから。ただし、この役所の守備範囲というのがじゃまして、いろいろできるものができないようなこともありますから、どなたに言ったらいいかわからんですが、私のほうからお願いしたいのは、いま私が申し上げているのは、私どものように岩手県のああいう狭い地域に住まって見ないとおそらく実感がわいてこないだろうと思うのです。つまり堤防を築いて海岸を守るといったって、その海岸がないところに船のターミナルがあるわけです。いわゆる漁港といえるのかどうかわからぬみたいなそういうところの漁民というのは、結局いまのままですと、谷底を見つけていって家をつくるような状態なんですけれども、一つの漁村という考え方からすれば、山の上に漁村をつくって、その間の何といいますか、道路を国の指導なり助成なりでつくってやる、これと結び付けたものが漁港という考え方にいかないと、ああいう断崖絶壁の下にある漁村というのはなり立たないと思う。それが無理しておったから今回のような災害を起こして、死ななくてもいい痛ましい事故というのも起こっているわけです。そういう面からひとつ政府全体として検討してもらいたいということなんです。
  187. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) よく御趣旨はわかりますし、今度の二十六号台風などにおきましては、その間調査団派遣した結果、報告を見ますというと、いま先生がおっしゃるようなところが多いようでございます。また山間地帯でもそういうところがございますので、各官庁とよく調整しまして、御趣旨に沿うような配慮をいたしたいと、こう思っております。
  188. 大倉精一

    大倉精一君 たいへんどうも時間がおそいようですけれども、休会中はきょうは最後で、ちょっと時間を拝借して若干のお尋ねをいたしたいと思います。  きょうは端的にお伺いしますが、お伺いしたいというのは災害関係の行政機構の問題についてお伺いしたいと思うんです。本来これは総理にお伺いするのが適当かもしれませんけれども、総理がおいでになりませんので、担当長官である田中さんにこの際お伺いするというよりも、むしろ問題を提起したい、こう思うわけです。  長官御就任になったときに、行政機構のあり方についていろいろ改革する意欲をたいへんお持ちになっておるということを承って、非常に心強く感じたんですけれども、特に、私は議員になって十二年になりますけれども、毎年同じことを繰り返しております。そうして毎年何も結論を得ずに、また来年に持ち越す、こういうことをやっておるんですけれども、これは根本的には、世界にまれなる災害国日本に災害に対する責任官庁がない、ここに原因があるんではなかろうかと思っております。昭和三十六年に公布されました災害対策基本法第三条は国の責任が明確に書いてある。「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」と書いてあるんです。こう書いてあるんですけれども、しかしこれに取り組む国の体制がない、ここに問題がある。これを私は十二年間ずっと疑問に思ってきたんですよ。一体災害日本でこれでいいのか。外国では、こういう責任官庁はないかもしれませんけれども、外国じゃ日本のようにそう毎年来るという国はあまりないと思う。ですから、この際私はこういう疑問を持っておりますので、長官にひとつお伺いしたい。責任官庁がないこれらに対する長官のお考えはいかがですか。
  189. 田中茂穂

    ○国務大臣(田中茂穂君) ただいま大倉委員から災害対策に対する主管庁がないじゃないかというような御指摘でございましたが、ただいま災害対策基本法の第三条を引用されたようでございますが、災害対策基本法におきましては御承知のように中央防災会議、これは総理が長となりまして基本的な災害の防災計画を作成することになっております。それと災害時に緊急措置を講ずることになっておりますることは大倉委員も御承知のとおり、中央防災会議というのがあります。それともう一つは非常災害対策本部を設置するという問題がございます。この非常災害対策本部は国務大臣を長といたしまして、あらかじめ指定された行政機関の職員を本部員として、各省の連絡は十分に行なわれるたてまえになっているのでございます。そこで大倉委員が御指摘になりました主管庁がないじゃないか、これはいまのところ災害対策基本法におきましては中央防災会議、それと非常災害対策本部、この両建てでもって災害に対する対策を講じているのでございます。ところが、問題はこれらの中央防災会議並びに非常災害対策本部の運用がうまくいっているかどうかというところに私は問題があるのじゃないか、そういう観点から先ほど来鈴木委員も御指摘になっておったように、どの省にたよっていいのかどうかわからないというような、各省にまたがる問題があるわけでございます。そういう観点から行政管理庁といたしましては、災害に関する行政監察をただいま実施いたしております。いま行政管理庁が監察いたしておりまする内容は、中央防災会議については各省庁の防災行政が総合的計画的に調整できる組織になっているかどうかということが第一点。それから第二点は、関係機関の防災行政は適確に効果をあげておるかどうかという問題が第二点。それから第三点は、非常災害に対する緊急措置は臨機応変にとられておるかどうかという三点を中央防災会議につきましては監察いたしております。それから非常災害対策本部につきましては、非常災害時の組織運営状況の適否がどうであるか、それと次は都道府県及び市町村における防災組織がどうなっているか、そういった点につきましてただいま監察をいたしておるような状況でございます。いずれその監察の結果をまとめまして、行政管理庁といたしましては、それぞれの観点から中央防災会議並びに非常災害対策本部の主管大臣に注意を促したい、かように考えておる次第でございます。
  190. 大倉精一

    大倉精一君 私の質問と少し違うと思うのですね。いまの長官のは中央防災会議の解説になるわけなんです。私は責任官庁がないということについてどうお考えになるかと、こう聞いておるのです。それで、まあそういう解説を聞いたのですけれども、たぶんそういう中央防災会議があるということで答弁なさるだろうと思っておりましたが、私は中央防災会議そのものに疑問を持っておるわけです。大体あれは会長が総理大臣でしょう。総理大臣の諮問に応ずるのでしょう。総理大臣が総理大臣に諮問することになるわけです。かえって私は、むしろ会長が総理大臣であるがゆえに責任の所在というものがぼやっとしておるのではないかと思うのです。これの組織機構を法律によりまするというと、会長が事故ある場合には会長代理を指名するということになっておるのだけれども、また会長代理はきまっておらぬようですけれども、そのつどおきめになるかもしれませんけれども、私はこの中央防災会議というものははたして防災に役立つ役割りをするかどうか、私は災害対策はきょうはあまり言いませんよ。もう大体日本のいままでのくせで、天災地変にこっぴどくやられて大騒ぎして、がやがややって終わるというのが落ちで、それに対する防御の方途については一向に手がかかっていないということ、これも基本法によりますというと、中央防災会議においては第何条ですか、第十一条ですか。「防災基本計画を作成し、及びその実施を推進すること。」となっておりますね。それから「内閣総理大臣の諮問に応じて防災に関する重要事項を審議する」と、こうなっておるのだが、この中央防災会議でもって基本計画はつくられておりますか、長期の基本計画は。
  191. 田中茂穂

    ○国務大臣(田中茂穂君) 中央防災会議のことにつきましてお触れになりましたが、中央防災会議の主たる具体的な事項といたしましては、防災の基本計画を作成することが一つ、それと二番目は災害時に緊急措置を講ずるということが二番目、この二つの柱をもって中央防災会議が基本的な長期計画を立てることになっているわけでございます。そこで先ほど大倉委員は、自分の質問に対する田中の答えは違っているというようなことを言われましたが、主管庁というものはこれをつくったほうがいいのかどうか、これは災害に関するそれぞれ関連する省というものは非常に多岐にまたがっている。建設省あり、農林省あり、それぞれ各省にまたがっている問題でありますから、これは主管庁を一つつくってみましても、結局またこれは中央防災会議あるいは非常災害対策本部、そういったものをつくらざるを得ない現状なんですね。そこでもって各省災害対策あるいは防災に対する総合調整をこういった会議でやらざるを得ない。いま大倉委員が指摘される主管庁を一つつくるよりも、このほうが緊急措置もとれ、また対策もとれる、かように私は考えております。
  192. 大倉精一

    大倉精一君 どうも田中さん、私の質問の外にはみ出ちゃって、いまお答えになったやつは前の質問、いまの質問は、中央防災会議で長期計画ができておりますかと、これを聞いておるわけなんです。しかも、その長期計画は、毎年毎年、科学技術の振興発達、その成果、あるいは災害の実態等を勘案して、検討を加える必要があれば毎年修正しなきゃならぬと、こうなっておるのですね。その基本計画があるかないかということですね。いつつくられたかと、こういうことを聞いておるわけです、中央防災会議で。
  193. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 基本計画は三十八年度に作成をされておるわけでございます。
  194. 大倉精一

    大倉精一君 それは一ぺん見せてもらいたいと思う。そこで、まあきょうはあまりて議論するわけじゃないんですけれども、この前の質問で、たとえば気象庁は何カ年計画があると、予算さえつけばこれは五年後にはこうなるのだというものがある。建設省もそういう計画がおありですね。それは防災基本計画、長期計画の中に入っていますか。その気象庁の計画あるいは建設省の計画は基本計画に入っていますか。それは気象庁の計画であり、建設省の計画であるのですか。これは当然防災に関することであれば基本計画の中に入ってこなければならぬですね。入っていますか。
  195. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 手元に私は準備しておりませんが、上田参事官がおりますから、でき上がっております御報告でございますが、いたさせたいと、こう思います。
  196. 上田伯雄

    説明員上田伯雄君) 法律に書いてありますところの防災基本計画、ただいま副長官から話がありましたように、三十八年につくったものでございます。この基本計画は、国全体の防災に関します基本となるべきもので、各省がつくりますところの防災のための計画の方向を示すという性質のものでございます。したがって、この防災基本計画の中に気象庁とか建設省のものが含まれておるというわけではございませんけれども、この方針に従って、各省それぞれの計画を持っておるわけでございます。
  197. 大倉精一

    大倉精一君 そこが疑問だと思うのですよ、そこが。一体具体的に防災に効果を発揮するのは、各省庁でつくる具体的な計画が防災に効果を発揮するのであって、中央でつくる作文は防災には何ら役に立たぬのですよ。ですから、かりにあなたのおっしゃるように、基本方針に従って各省庁につくらした——あるいは気象庁はそれによってつくったんじゃないと思うんですよ。気象庁は自分でつくったのだと思うんですよ。そうだとするならば、この基本法によるところの——第三十五条には、防災に関する総合的かつ長期的な計画をつくる、しかも、これを第十一条では、及びその実施を推進する、しなきゃならぬ。実施を推進する。で、各省庁でつくったものをどうやって一体推進しておりますか、中央防災会議は。だれが総括的な責任をもって推進しますか。
  198. 上田伯雄

    説明員上田伯雄君) 防災基本計画というのは、申しましたように、あるいはおっしゃられるような作文かもしれませんですが、これをつくりまして、この実施を推進するということは、各省の計画を作成させ、各省がそれに、その自分の持っておる計画に従って仕事をしていくということを推し進めるわけでございます。この防災会議というのは、防災に関係しますところの各省大臣あるいは長官の集まったものでございます。そこでこういうことをやろう、ああいうことをやろう、何省はこういうことをやろうというような話し合いが行なわれるべき筋合いのものでございます。したがって、この基本計画そのものには、具体的にどこの場所でどうということは書いてないわけでございますけれども、基本計画に沿うような各省の計画があって、それによって各省は動いているわけで、基本計画と各省災害対策はそういうところで連絡されておるわけであります。
  199. 大倉精一

    大倉精一君 そこら辺があいまいですね。文章はそれでいいかもしれぬが、ではこの第十一条の「基本計画を作成し、及びその実施を推進する」というのは何を推進するのですか。推進するというのはこれは中央防災会議の役目でしょう。各省庁にまかしちゃいけないのでしょう。中央防災会議が推進するとなっています。各省庁が連絡するとおっしゃいますけれども、たとえば山梨のある現地に行ってみますと、地方の防災会議がありますよ。すぐ横かどうかしらぬが、農林省の所管がある。建設省の所管ができたら、農林省の所管はほったらかしですよ。そうすると中央防災会議はどうなります。そういうところに、私は責任官庁がないところにこういう問題があると思う。それはあまり議論はしませんよ。きょうはしません、しませんが、私はそういう意味で中央防災会議に疑問を持っておる。これは管理庁長官、防災会議をひとつ検討してください。そうして文章の検討じゃなくて、実際にこれは山梨なら山梨に行って、そうして災害が起こった場所の工事現場に行ってその工事の状況を見てもらうということ、ここからここまでが農林省、この上が建設省、ここらは何と……。これで一体防災会議は何を推進しているかということ、これはひとつ検討してもらわなければならぬということですよ。きょうは議論するわけじゃありませんが、なるほどすでにできてしまった行政組織ですね、これを直そうと思うとべらぼうな抵抗があるだろうと思う、べらぼうな。私はべらぼうな壁にぶつかると思う。当然出てくる抵抗、壁というものは、これはぶち破らなければならぬ壁であるのか、あるいは克服しなければならぬ抵抗であるのか、そこら辺をひとつ行政管理庁長官にずっと検討してもらいたいと思う。相当の行政、政治力が要りますよ。要りますけれども、これをぶち破らなければならない抵抗であるとするならば、この際やはりぶち破って、これを突破口として日本の縦割り行政機構の欠陥というものが若干でも直っていけば、これにこしたことはないが、特に防災に関しては毎年毎年同じことをやっております。まあきょう終わって、来年災害のシーズンになってまいりますと、また同じことをやっていきますよ。また何百人か死にますよ。これは取り組む国の形ができていない、そう思うのですよ。そういう抵抗を排除しなければならぬ。宿命的な抵抗がある。これを検討しなければならぬ。排除しなければならぬということであればそれこそ全力をあげて、国会政府もみんな全力をあげて克服しなければならぬと思います。そこで防災省にするのか、庁にするのか、あるいはどういう人間を集めてくるのか、どういう運営をするのか、それから検討しなければならぬ。構想として責任官庁を持つということが、これが災害、特に防災の一つの基本的なものじゃないかと思いますね。ですからいまの説明はそれでけっこうだと思いますが、それに対して実があがっていない。各気象庁にしろ、建設省にしろ、農林省にしろ、それぞれの計画を持っておられます。しかし、中央防災基本計画の中に入っていない。基本計画は、いまおっしゃるように基本的なものをすうっと何といいますか、文章でやっていく、この方針に従って各省庁はやれと、こういうそこにやはり私はどうもふに落ちないところがある。疑問を持つわけです。ですから長官、中央防災会議について先ほど解説がありましたけれども、一ぺんこの実態をよく御検討願う、こう思うのですが、どうでしょうか。
  200. 田中茂穂

    ○国務大臣(田中茂穂君) まあおっしゃるように中央防災会議の運用といいますか、運営がどうなっておるかということを、いま先ほど申し上げましたように観察いたしておるわけでございます。その観察結果に基づきまして、この中央防災会議そのものも行政管理庁としては検討いたしたいと思っております。ただ私のいまの感触といたしましては、ここで大倉さんの言われるように防災省といわれるような一つのものをつくっても、災害対策に対する一つの役所をつくってみましても、結局現在も各省にまたがる災害というものが起こるわけでございます。結局やはり各省の連絡会議というものが必要になってくるんじゃないか、まあかような考え方をいまのところ私は私見として持っております。しかし、御意見でございまするから、中央防災会議というものを慎重にひとつ検討さしていただきたいと思っております。
  201. 大倉精一

    大倉精一君 まあきょう議論じゃないんですがね、あなた各省にまたがるから、そういうものをつくってもやっぱり各省にとおっしゃる。そこら辺だ、問題は。各省にまたがるからつくらなきゃならぬ。しかも一つの工事をするについても建設省的な見方、考え方からの工事と、防災的な見方からの考え方、工事と違うわけですよ、同じ工事でも。農林省でもそうでしょう。だから工事は建設省がやりますよ。あるいは農林省もやるでしょう。しかし建設省的な見方、立場からの設計、工事計画、あるいは防災関係からの見方、設計、工事とは違うと私は思う。ですから、これは各省庁にまたがるからむしろ責任官庁が要る。これは防災省とは私は言いませんよ、どういうものかわかりません、あれは。これは検討してもらう。これはあなたの役目だ、役目ですから。  きょうはこれでおきますけれども、問題を投げかけて、いずれの機会か私はもっと検討して、もっと本格的に取り組んでみたいと思いますから、管理庁長官も検討——検討もけっこうだが、防災会議の運営じゃなくて性格ですよ、私の言うのは。中央防災会議の性格というのはどんな性格だということが根本になるんですね。総理大臣が総理大臣に諮問するということは、これはいいか悪いか、一ぺんそういう点を十分御検討願って、私ももっと勉強しますから、いずれかの機会にひとつ取り組んでいきたい。これに取り組んで解決しなければ、この防災というもの、災害というものは解決しません。これはひとつ長官うんとひとつ取り上げて、在任中に何とか足場をつけるようにやってもらいたいと思います。
  202. 田中茂穂

    ○国務大臣(田中茂穂君) ただいまの御意見十分拝聴いたしまして、検討を進めたいと思っております。
  203. 大倉精一

    大倉精一君 頼みますよ。
  204. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。  植村副長官あるいは上田参事官お願いしておきますが、大蔵省関係出席関係でございますけれども、現時点で補正予算等の関係があって出られないことはよくわかります。しかし臨時国会の柱が、やはり災害というものが大きな柱になっているということですから、次期委員会には少なくとも主計局長あるいは政務次官、あるいは大臣等の御出席ができるようなふうに、委員部のほうからでも出席を督促したいと思いますけれども、あなたのほうからも御連絡等をいただければ非常に幸いだと思います。
  205. 上田伯雄

    説明員上田伯雄君) 承知いたしました。大蔵省のほうにもよく連絡をつけておきます。
  206. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時十八分散会