○
説明員(
宇佐美毅君)
宮殿の造営でございますが、
昭和三十九
年度予算決定の際には、三カ年計画、総額八十八億円と見込んでおったのでございますが、
昭和四十
年度の九月現在再
計算の結果、計画総額が百十八億円と改定をいたしているのでございます。
ただいま御
質問の三十九
年度におきまするいわゆる
繰り越しの多いという点でございますが、この三十九
年度の
予算の翌
年度繰り越しは、明許
繰り越しによる約二億三千万円でございます。これは
宮殿新営費
歳出予算の十一億円のうちの約二億一千万円、それから皇居造営関連施設の整備費の
予算の四億のうちの二千万円でございます。これは
宮殿新営につきましては
繰り越しが約一億九千万円でございますが、これはいろいろ
宮殿を基本設計をいたしまして、これを実際の工事に移しますにあたりまして、いろいろ試作しますとか研究ということを慎重にいたしましたために、仕上げ設計の外注までにだいぶ日時を要しましたことでございます。もう
一つは、大食堂の基礎が
——宮殿のいま工事いたしています基礎は、関東の一番固い地盤の一番最後に当たっておりまして、大体いいつもりでございましたけれども、大食堂のピアの基礎くい打ち工事におきまして、実際の問題について非常に積載試験の結果不適当な
部分が出てまいりました。そのために工事がだいぶおくれてまいったのでございます。この大食堂の鉄骨工事のおくれに伴いまする基礎工事、鉄骨工事、鉄筋コンクリート工事等が漸次おくれてまいったわけでございます。
次に、機械工事につきましては約二千万円でございますけれども、これも
宮殿の基礎工事に関するおくれに伴いまして、終了することができなかったわけでございます。その他、機械室でございますとか、あるいは案外古い
宮殿の基礎が非常に堅固なために基礎工事に日数をとったというような点がいろいろ重なりまして、ついに総額二億三千万円を繰り越さざるを得なくなった次第でございます。で、三十九年の
繰り越しの問題はそういうことでございますが、全体的に一年工期を延ばし、しかも総額約三十億円の不足を生じておるのでございまして、これはまことに申しわけないことでございますが、実際問題といたしまして、まず工事のおくれましたのは、先ほど申し上げましたようないろいろな試験研究でございますとか、あるいは当初設計の設計者による変更等が重なりましたことでございますとか、あるいは資材の面につきまして、銅でございますとか大きな材木に対する手当てが実際問題として非常に困難な
事情が出てまいりまして、こういう事態に立ち至っておるのでございます。
また同時に、いわゆる東側地区の整備につきましても、これが予定がだいぶおくれておるのでございますが、これらも、たとえば新
宮殿の工事の材料置場というものに窮しまして、東側地区の造園のところを一時
使用しなければならないというような不測の事態が生じましたのと、立ちのきをお願いしておりました代官町の建物が予定どおり移っていかないというような
事情が出ておるのでございます。
たとえば皇宮警察
関係の建物の
予算化でございますとか、賞勲局とか、恩給局、それから内閣文庫というような問題につきまして、それぞれ手配されておりまして、近く
解決するものもございますが、まだ一両年かかる見込みのところもございまして、そういうようなわけで、東側の整備計画も
宮殿新営の一部でございますが、これらも予定よりもおくれてまいっているわけでございます。そういうような
事情でございますが、さらに三十億円というものが大体不足される見通しでございますが、その内容から申し上げますと、大体設計変更に伴いますものが約二十二億、全体の不足額の七三%を占めております。こういう問題はやはり、たとえば二十メートルに及ぶような新
宮殿の柱を巻く資材の問題でございますが、当初の
予算設計上の場合におきましては、設計者の意図によりまして、コンクリートの柱にウルシを巻くということでございましたが、これがいろいろ研究の結果、非常に変色その他のむずかしい問題がございまして、その後二回ぐらいいろいろの計画が変更になり、最後にブロンズを巻くということになりました。これらの遅延という問題と、
経費がよけいにかかるという問題が出たのでございます。それから屋根を銅でふくというような場合におきましても、銅の厚みというものについても、いろいろ研究の結果、少しふやさなければならないというような
事情が出てまいっておるのでございます。
それから木材の内装等につきましても、当初の設計当時におきましては、あまりこまかい点まではとうてい
計算ができなかったわけでございます。たとえば、いま申し上げましたのを金額的に申し上げますと、屋根の問題とか、あるいは柱を巻く金属の問題とか、内装の問題、大体これで十五億ばかりの変更を要することとなってまいったわけでございます。このほか、設計変更のほかには、物価増を約六億ばかり見ております。これは過去三十九年以降の
予算編成当時、三十八年に
編成した以後における物価の値上がりについて、建設省の物価値上がり、
予算的に見ました比率をかけますと、大体六億の不足を生じます。それからなお、計画進行に伴いまして、未確定の要素が設計にございました。こういうものがだんだん確定をいたしまして、やはり金額に影響いたしましたものが二億ばかりございます。結局、設計変更に対して二十二億、物価増が六億、未確定要素がきまってまいりましたものが二億ということで、約三十億の不足を生じてまいったわけでございます。この不足額が、私どもとしましては、決して少ない額でございませんで、まことに申しわけないことでございますが、設計者の、新聞等で御承知でございますけれども、計画はもっと大きな幅の要求でございました。われわれといたしましては、できるだけ節約し得るものはいたしまして現在進めているわけで、そういうようなわけで、設計者ともたもとを分かたざるを得ないようなこともございました。しかし、その後なお顧問といたしまして、
内田博士ほか数名の方がおられまして、いろいろ重要な点は御協議いたしますとともに、万全の措置を講じたいと考えておるわけでございます。あるいは落ちた点があるかと存じますが、一応以上お答え申し上げます。