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1966-07-18 第52回国会 参議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月十八日(月曜日)    午前十一時四分開会     —————————————   委員氏名     委員長         鶴園 哲夫君     理 事         佐藤 芳男君     理 事         仲原 善一君     理 事         八木 一郎君     理 事         相澤 重明君     理 事         竹田 現照君     理 事         二宮 文造君                 稲浦 鹿藏君                 川野 三暁君                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 楠  正俊君                 熊谷太三郎君                 黒木 利克君                 高橋文五郎君                 内藤誉三郎君                 野知 浩之君                 山崎  斉君                 山本茂一郎君                 稲葉 誠一君                 大森 創造君                 岡  三郎君                 小柳  勇君                 柴谷  要君                 中村 波男君                 藤原 道子君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君                 山高しげり君     —————————————    委員異動  七月十一日     辞任         補欠選任      山高しげり君     石本  茂君  七月十二日     辞任         補欠選任      楠  正俊君     内田 芳郎君      稲葉 誠一君     達田 龍彦君      小柳  勇君     佐野 芳雄君  七月十六日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     小平 芳平君  七月十八日     辞任         補欠選任      中村 波男君     北村  暢君      小平 芳平君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴園 哲夫君     理 事                 佐藤 芳男君                 仲原 善一君                 八木 一郎君                 竹田 現照君                 二宮 文造君     委 員                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 熊谷太三郎君                 黒木 利克君                 高橋文五郎君                 山本茂一郎君                 大森 創造君                 北村  暢君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 藤原 道子君                 石本  茂君    国務大臣        国 務 大 臣  福田 篤泰君    政府委員        人事院事務総局        任用局長     岡田 勝二君        人事院事務総局        給与局長     瀧本 忠男君        人事院事務総局        職員局長     大塚 基弘君        宮内庁次長    瓜生 順良君        北海道開発庁総        務監理官     小熊  清君        大蔵省主計局次        長        岩尾  一君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        運輸省航空局長  堀  武夫君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        宮内庁長官    宇佐美 毅君        皇室経済主管   並木 四郎君        宮内庁長官官房        秘書課長     野本 松彦君        宮内庁管理部長  西原 英次君        大蔵省主計局主        計官       小口 芳彦君        自治大臣官房参        事官       鎌田 要人君        会計検査院事務        総局第一局長   斉藤  実君        会計検査院事務        総局第三局長   佐藤 三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件調査承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九  年度政府関係機関決算書(第五十一回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十一回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る七月十一日、山高しげり君が委員辞任され、その補欠として石本茂君が選任されました。  また、七月十二日、稲葉誠一君、小柳勇君、楠正俊君が委員辞任され、その補欠として達田龍彦君、佐野芳雄君、内田芳郎君が選任されました。  本日、中村波男君が委員辞任され、その補欠として北村暢君が選任されました。     —————————————
  3. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) まず、調査承認要求に関する件を議題といたします。  本委員会といたしましては、今期国会開会中、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を行なうこととし、その旨の調査承認要求書を本院規則第七十四条の三により議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  昭和三十九年度決算外二件の審査に資するため、必要に応じ政府関係機関等役職員参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより昭和三十九年度決算外二件を議題といたし、宮内庁決算について審査を行ないます。  まず、宮内庁決算について説明を聴取いたします。宇佐美宮内庁長官
  10. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 昭和三十九年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和三十九年度歳出予算現額は二十四億四千七百八十九万四千円でありまして、支出済み歳出額は二十一億六千八百十三万円であります。この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと、二億七千九百七十六万四千円の差額を生じます。右差額のうち翌年度繰り越した額は二億七千八百八万八千円であり、不用となった額は百六十七万六千円であります。  以上申し上げました皇室費は、内廷費宮廷費及び皇族費に関するものであります。  次に、翌年度繰り越し額は、宮殿新営、皇后陛下還暦記念ホール新営等に必要な経費における二億七千八百八万八千円でありまして、宮殿新営の実施設計において不測の日数を要したこと等のため年度内に支出を終わらなかったものの繰り越しであります。  また、不用額のおもなものは、宮廷費に必要な経費における百六十七万六千円でありまして、これは光熱水料を当初の予定より要することが少なかったこと等のため不用額となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  11. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。  斉藤会計検査院第一局長
  12. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 昭和三十九年度皇室費決算につきまして検査の結果は、特に違法または不当と認められた事項はございません。
  13. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 北村暢

    北村暢君 ただいまの報告に基づきまして、若干御質問申し上げますが、その第一点は、予備費使用に関する事項でございますが、予備費使用額のうち、報償費並びに庁費相当額予備費から使用されております。特に報償費につきましては、予算額七百二十七万九千円に対しまして、予備費からの使用が二千六百二十六万八千円と、大体予算額の三倍以上になっているようでございます。これは一体いかなる理由によって予算額の三倍以上にも及ぶ予備費が必要になったのか、庁費においても一億八百九十六万六千円に対して六千二百三万円の予備費でございます。いずれも相当多額にのぼっておりまするので、その理由をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  15. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 昭和三十九年度におきまして予備費使用多額にのぼるという点についての御質問でございますが、その内容は、皇太子、同妃両殿下メキシコ大統領わが国訪問に対する御答礼として陛下の御名代として五月にメキシコに御訪問になりましたこと、それから十二月に同じくタイ国王皇后わが国訪問せられましたに対する御答訪ということで十二月にお出かけになりましたこと、それから常陸宮様の御結婚がその年に行なわれておりまして、この御結婚に伴う必要経費、御独立に伴う法律上のきめられた経費というものがございましたために、急激にふえたわけでございます。常陸宮様の御結婚のことは別といたしまして、三十九年度におきまして当初予算にもそういった外国から見えた場合の国際親善費というようなものは千二百万ばかり載っておりましたが、これはイランのシャムス殿下とマレーシアの元首国賓として見えました場合にこれを使用いたしました。したがって、その他予算計上当時はっきりと予測できなかったメキシコタイの御訪問等につきまして予備費をいただいた次第でございます。正仁親王殿下——常陸宮様の御結婚につきましても、御独立があらかじめ予測できませんためにこういうような予備金でお願いしなければならない状態になったわけでございます  そういうわけで、われわれとしては予測できないための事情でございますが、最近——ここ一両年は、大蔵省にもお願いいたしまして、予算上ある程度の金額を当初から計上していただきまして、もしそういうような外国お出かけとかあるいは国賓が見えた場合にはこれを大蔵省とも協議の上使用いたしまして、もし不用ならそのまま国庫に返すというような考え方でいたしております。以前は、全部はっきりしない場合には予備金措置をいたしましたために、そういうような多額事情になったわけでございます。
  16. 北村暢

    北村暢君 ただいまの予備費流用理由等についてはお伺いしましたが、この費目が、報償費というのは一体どういう性格のものなのか、それからまた庁費というのが相当額にふえているわけでありますが、その庁費というのは皇太子の御名代のためのメキシコ訪問タイ訪問ということでございますが、庁費というのは、一体御名代として行かれたときの経費として庁費がふくれる、この理由ですね、これをひとつ報償費庁費についての内容的な問題について御説明いただきたいと思います。
  17. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 先ほどの御質問ございましたのを落としまして申しわけございませんが、報償費というのは、大体外国お出かけになりましたときに向こう元首その他に対する贈答品を買いますとか、それから一部儀礼上必要な服装あるいは向こうにおいてお返しの宴会をなさる経費、そういうようなものが主として入っているわけでございます。  庁費のほうの大きなものは、これは航空賃でございまして、チャーター機で行かれます際の航空機が非常に多額でございますが、それが大部分でございます。
  18. 北村暢

    北村暢君 そこで若干つけ加えてお伺いいたしますが、庁費の大部分航空機チャーターによるものであるという御説明でございますが、一体この御名代で行かれるときの随行者規模人数というのは一体どのような規模になっているのでしょうか、しかもその場合における宮内庁だけでなしに関係各省等の派遣というようなものについてもどのような規模随行者という範囲の中に入られて行かれるのか、それが他国の例と比較してどういうことになっておるのか、私ども聞くところによるというと相当多数の、数十名の随行員が行かれるということをお伺いしたのですが、そういう規模のものが普通なのかどうなのか、各国の例等比較等におきまして若干明らかにしていただきたい、このように思います。
  19. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 皇太子殿下が御名代として外国お出かけになりますときに、期間の長短によっても人数は若干の違いがございますが、現状においては随員及び随行員合わせまして大体十六人から十八人——大体十六、七人が普通でございます。たとえば具体的に申し上げますと、両殿下メキシコに約一週間おいでになりましたときに、随員は十一名で、随行員は八名でございます。それから先ほど申し上げましたタイお出かけになりましたときに、約十二週間ちょっとでございますが、そのときに、随員が十名の、随行員が八名でございます。そういうようなことで、大体十六、七名というようなことでございますが、他省との関係は、首席随員に、大体いままでの実際の例といたしましては、その訪問国関係の深いようなわが国大使をされた方、それから陛下の御名代として行かれまして、単に宮内庁ばかりでなく、政府関係も若干ございますので、外務省書記官級の方が一人、それからしかも随行員の中に経理——外国における経費関係外務省会計関係の方をお願いするというようなことがございますが、その他の場合というものはほとんど宮内庁職員でございます。まあときに首席随員宮内庁職員がつとめたこともございます。その人数につきましては、なるべく効率的に、大げさにならないように配慮をいたしているわけでございますが、外国元首が日本に来られたときの例と比較いたしますと、たとえばメキシコ大統領は、随員が十一名で、随行員が二十二名、その他報道とか事務関係十三人とかその他が三十四名くらいございます。それからタイ国王は、随員が十六名で、随行員が二十一名、その他警衛あるいは報道関係として九名ついてきておられます。それからベルギーの国王は、随員十二名の随行員七名、その他十四名ということでございまして、大体総計的に申しますとわが国のほうがわりあい少ないという状況でございます。  それから、御名代外皇族の場合におきましては、少ないときは四名、多くて七名ぐらいで実際行なわれております。
  20. 北村暢

    北村暢君 ただいまのそういうものの考え方で処理されていることについてはけっこうだと思いますが、たとえばメキシコへ行かれましたときに、随員随行員は十七、八名程度でございますけれども、そのほかに各省で行く、あるいは宮内庁職員で行かれる。私ども聞いておるところによると、数十名の方が行かれるというのですが、それは何かの間違いでしょうか。
  21. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 宮内庁外務省の者、先ほど申し上げました以外の者が行った例は一つもないと思います。ただ国内の通信社人たちが十名とか十五名とか別に参りますこともございますが、これはこちらが聘するわけでもございません。
  22. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、先ほど説明のありました外務省その他の古い大使をされた方、まあそういう方々を含めて十七、八名、こういうことですね。  そこで私は、先ほど長官から御説明がありましたように、予備費流用について御説明がありましたけれども、大体皇太子が御名代で行かれるようなときには、あらかじめ予測できる場合が多いのではないか、突如として行かれるというようなことにはならないのじゃないかと思うのです。したがって、予算額の三倍も四倍もなるような予備費流用というものについては、予算編成のあり方からしてどうもぐあい悪いのじゃないかというふうに感ずるわけです。まあ三十九年度は特に先ほど説明のあったようなことで予測できなかった経費が要ったということでありますけれども、この点はなるべくやはり予算において明らかにしておく必要があるのじゃないかというふうに思われます。その改善の意思、考え方もおありのようでございますから、これは要望だけ申し上げておきます。  次に、予算流用等の問題についてお尋ねしますが、皇室費のほうで各所修繕というのがございます。この修繕費が一億六千七百万余が減額になって、土地購入費予算額ゼロで流用額が一億六千六百万余でございます。これがおそらくこの各所修繕費から土地購入費流用している、こういうことだろうと思うのでありますが、予算額ゼロに対して相当額の、修繕費の約半分近いものが流用されている、これは一体いかなる理由によるのか、この点についてお伺いいたしたい。
  23. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 三十九年度修繕費流用につきましてでございますが、御不審はごもっともだと存じます。これはまあ三十九年度の特殊な事情があったわけでございますが、これの使途と申しますのは、京都の修学院離宮並びに桂離宮周辺土地買収の問題のためでございます。この修学院離宮桂離宮周辺につきましては、終戦当時皇室用財産でございました土地を開放いたしまして、農地となっておったわけでございます。しかるに、だんだん時勢の変化とともに、その辺にいろいろな建築物が出てまいります。特に修学院のほうは、だんだん住宅も建ち始めますし、それからあるいはゴルフ用地買収しょうという人も出てきますとか、そこいら辺にいろいろなそういう施設ができますことは、修学院景観保持の上から申しましても非常に困ることでございます。農地のままであればよろしいのでございますが、いつまでもそのままにはしない情勢になってまいったのでございます。  桂離宮もまた同様でございます。桂離宮の天下の名園も、周辺農地を借景といたしまして成り立っておる点が多いわけでございます。  そういうような点から、ある程度の——昔のとおりということはできないにいたしましても、ごく近辺の問題は、防火上の問題その他から見ましてもぜひこれを保持しておきたいということで、いろいろそういった建築があらわれるたびに新聞紙にも報道されまして、この解決について頭を悩ましていたわけでございますが、文化財の関係でございますとか、農林省の関係とか、都市計画関係でございますとか、いろいろな面から、何かこれを農地のままに置いておくような規制ができないか、ここは風致地区でもあり、緑地帯でもございますので、そういう点についても各省といろいろ検討いたしまして、ちょうど予算の時期におきましてどういう形になるかというのはなかなか見当がつきかねます。  もう一つは、現実に買収費と最終的に書きますといろいろな思惑が入る点もございます。研究の十分済まないうち予算上にはっきり出ることも多少問題もございまして、大蔵省といろいろ御協議いたしました結果、どうしてもやむを得ない場合には買収をするということで、他の方法についてあらゆる検討をいたしましたが、結論において買収のほか解決方法がないということで、買収費の項を置きましてそこに流用いたしたのでございます。  そういうような特殊な事情がございまして、御不審はもっともでございます。われわれとしては円満にこれを解決いたすためにそういうような手続を各方面とお打ち合わをしていたしたわけでございまして、これを今後の例にしようとも考えません。特殊な問題として御了承をいただきたいと思う次第でございます。
  24. 北村暢

    北村暢君 大蔵省にお伺いいたしますが、土地購入というのは、宮内庁に限らず、建設省関係の道路その他、運輸省関係鉄道建設まあ土地購入の問題は相当予算としてもあるわけですね。したがって、お伺いしたいのは、宮内庁の場合はごく特殊な例だと思うのでありますけれども、おそらくこの修繕費の中に、土地購入費というものをあらかじめ予想して、大蔵省了解をして、土地購入費を振りかえる、流用するということが了解の上でこれ予算を組んであったのじゃないかと、私はそう思うのですけれども、そういう面からして、一般土地購入費というものが、こういうちょっと見るというとわからないわけですね。わからないわけです。そういうようなことでこの予算編成をするということについて、私は若干疑問を持っている。一般土地購入の場合の予算編成のしかたが、やはりこういうようなほかの費目に隠れたような形で予算編成一般でもやっているのですか、どうですか。
  25. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 土地購入費予算計上の問題でございますが、いま宮内庁のほうでお話がございましたように、一般的に土地購入というのは、具体的に土地の名前がわかり、かつその予算額がわかるということは、これは買収の金がはっきりしてしまうということで、かえって紛議を巻き起こしやすいわけでございます。そこで、普通の予算でございますと、いろんな土地購入が全部混在をいたしまして予算を計上いたしますので、したがって、どこがどれくらいで、自分の買いたいと思っている、売ろうと思っているところがどれくらいかというのはわからないわけですが、非常にそれが具体的に個別の土地購入費になりますとはっきりしてくるわけでございます。普通の予算では土地購入費という目に計上いたしましても、実際に買収が幾らになるかということははっきりいたしませんので、それで十分処理ができるわけであります。しかし、非常に具体的にはっきりしておるところでは、土地購入費という目にはっきりと計上していくことは、予算執行上かえって弊害があるのではないかという点もございます。そこで、宮内庁の場合には、私ちょっと記憶をしておりませんけれども、この予算の数字で見てまいりますと、各所修繕から、大体一億六千万でございますか——くらいの流用があるわけで、これはまあ非常に大きなものでございます。そこで、まず各所修繕にそういうものを見込んでおったのかということになるわけでございますが、宮内庁のほうの各所修繕と申しますのはかなり範囲が広うございまして、一般各所新営と言っておるようなものも各所修繕の中に入っておるような形で、普通の各所でございますと、ほんとうに経常的に行なわれる修繕だけを各所修繕という目に計上するわけでございますが、宮内庁の場合にはその辺がかなり、相当新営に近いような修繕も計上しておるというような従来の例がございますので、したがって、本件の場合には、各所修繕というところで相当の額が計上されましても、それは土地購入に振りかわるということを前提として組んだということではなくて、やはりある程度予算の執行がうまくいくならば、実際上の新営的なものにも回せるけれども、もし買収をどうしてもしなくちゃならぬという状況になれば、それをそっちのほうへ振り向けて、そうして一般の新営のほうは翌年のほうへ少しずらそうじゃないかという程度の心づもりはあったのではないかというふうに考えるわけであります。  まあその当時担当いたしておりませんでしたので、はっきりそうであったかどうかはわかりませんが、この数字から見ますと大体そういうことではないか、こういうふうに考えております。
  26. 北村暢

    北村暢君 私は、いまの主計局次長ですか、主計局の方の説明では納得しかねるのでありますが、まあ修繕費が新しいものまで含んでいるということは、それは宮内庁の場合特殊な場合だと、こうおっしゃられることは、それはそれでいいと思うのですが、この決算で明らかに出ているように、土地購入費としてゼロだったものが、流用されて決算として出ている、それだったら何も決算土地購入費としてやる必要ない、ゼロのところを一億六千万決算としてやる必要ないと思うのですね。経理上こういうふうに決算の場合はっきりさしているということは、何かこれは修繕費の中に入れておいて、先ほどの土地の価格の問題があって、しかも特殊な桂離宮とかなんとかいう固定したところがはっきりしているようだから、それで組んでおくのはまずいというならば、大体わかるのですけれどもね。ばく然とその修繕費の中に土地購入費が入っておったのだということであれば、何も土地購入費として決算であらためて出す必要がないというふうに思うのです。ですから、主計局次長の説明になったようなことではなしに、やはりあらかじめこの予測はしておったのじゃないか、こう思うのですね。それは長官説明に若干ありましたから、私は了承しますけれどもね。一般の問題としては、やはりぐあい悪いのじゃないか、このように思うのであります。これは決算のやり方の問題でありますから、会計検査院の決算のやり方についての見解をひとつ承っておきたいと思います。
  27. 斉藤実

    説明員斉藤実君) あらかじめ使途がはっきりわかっておりますれば、原則としましては、やはり目を設けて、不動産購入費として計上すべきであったと思います。しかし、具体的なこの例につきましては、いま宇佐美長官あるいは岩尾主計局次長のお話のように、あまりはっきりとわからなかったということが一つ。それから、具体的な土地についてのことでございますので、取引上のいろいろ思惑が入らないほうがよろしいというようなことがあったということでございますので、やむを得ない事態として検査院としては考える次第でございます。
  28. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) ただいまのお話でございますが、予算は目的別に項に分類をいたしまして、どういうふうに使われるかということで国会の御審議を願うわけであります。実際上予算支出いたしますと、使途によりまして、たとえば旅費でございますとか、あるいは庁費でございますとか、人件費というふうに、その結果としていろいろな形に金が使われるわけであります。しかし、国会の御審議の対象といたしましては、どういう目的にこれを使うかというところで、その使途を誤らなければもういいのではないかというのが、予算の審議上の問題でございます。決算の問題といたしましては、いま申されましたように、あるいは修繕費土地購入費というふうに変わったわけでございますけれども、全体の予算の目的は決して変わっておりませんので、そういう意味で、決算上の処理としてこういうことになったのは非常に申しわけないと思いますけれども、一般的なやり方といたしましては、はっきりしているものは、そういう使途まで規制をいたしまして、目にはっきりと分類をいたすべきでございますけれども、そういう点がなかなかやりにくいものについては、こういう結果になるのもやむを得なかった、こういうふうに考えます。
  29. 柴谷要

    柴谷要君 会計検査院の答弁がふに落ちない。違ったから悪いというのじゃないですよ。その流用したことが明白になって、しかも決算上出てるんだから、これはいいんだ。いいんだけれども、こういうことを会計検査院が十分指摘をして、そうしてこういう結果が二度と起こらないように、次の年度における予算編成に資するためには、決算委員会はこういう問題についてはどういう結論を出しておくのがいいか、それに対してあなたは明確に出しておらぬ。やむを得なかったからと、こういうことになっている。そうでなく、会計検査院なるものは、費目のないものに支出された場合には——これは理由はわかるんだ、当然使ってもいいんだ、いいけれども、こういうのは次年度予算においては明確に組むべきだと、こういうふうに指摘をして、そうして予算というものを健全なものにしていく、こういう役目を会計検査院というものは持つ、持たなきゃならぬ、こう思う。それには、あなたの答弁は不足しておる。どうだ、ぼくの言うこととあなたの言うことと違うか。違ったら答弁してみろ。
  30. 斉藤実

    説明員斉藤実君) あらかじめ明確にわかっており、かつ思惑等についての問題がなければ、原則としてわかっておるものは当然目として各省に大蔵大臣が予算を配賦するというのはあたりまえだと思います。
  31. 北村暢

    北村暢君 次にお伺いしますが、宮内庁費のほうでございますが、宮内庁費のほうの退官退職手当の項でございますが、これについて、予算額四千四百九十九万六千円に対して、流用額が六千八十七万九千円、これまた予算額より上回った退官退職手当を流用しているわけです。しかも、これは宮内庁のほかの費目ではなくして、公取、行政管理庁から移流用しておるわけです。退官退職手当なんというのは年度ごとに大体の目安というものがついているというのがあたりまえじゃないかと思うんですね。ところが、予算現額よりも移流用額が上回っていて、しかもほかの官庁から持ってこなきやならぬというようなことは、これは非常に不適当だと思うんですけどね。この理由についてひとつ御説明願いたい。
  32. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) お答えいたします。大体毎年、内部的にきめました不文律ながら定年というのがございまして、他官庁より宮内庁は多少長引いておりますが、その目安のもとに予算要求はするわけでございますが、やはり突然に高額所得者がやめることが毎年ありますので、そういう場合は総理府内の管下の他庁の予算流用していただきまして処理しておるというのが実情でございます。大体秘書課で、ことしは何人でこういうグレードの人がやめるということは、一応のめどはついているわけでございますが、やはり宮内庁相当長く、勤続年数の長い人が相当ございます。幹部クラスのやめないと思ってた人がやはりやめていくという事態が起こりますと、相当の金額になります。これははなはだ申しわけないわけでございますが、そうした場合に他庁の金を流用していただいて処理しているということは、この三十九年度だけでございませんで、そういう例がやはり過去にも多少ございます。
  33. 岩尾一

    政府委員岩尾一君) 退官退職のお話でございますが、全体の省庁にも関連すると思いますので、ちょっと御説明をいたしたいと思いますが、退官退職は、これも非常に具体的に幾らになるかということはなかなか予算編成のときにははっきりいたさない問題でございます。そこで大数観察をいたしまして、全体としては、国全体が、あるいは省なら省全体の退官退職というのはそう大きく狂わないというところで、大体各省ごとに人員ごとにはじきました単価を基礎に、この省庁では大体これくらいということで退官退職自体をある程度の予算積算によってその省ごとに計上しているわけでございます。一つにはそういうことで、あまり退官をどんどんふやすとかいう意味で、予算もある程度の制約にはなるわけでございますから、退官退職費が少なければなかなかやめさせられないという点もございますし、あるいは多ければどんどんやめさせるということにもなりますので、そういう意味では予算上も各省庁ごとにある程度つり合いのとれたものでなければいけない。そういう意味で、ある段階で人員を見ながら組んでいるわけでございます。しかし、それで言いますと、いま申されましたように、数の少ない省庁におきましては非常に狂ってくることがあるわけでございます。そこで、いまの宮内庁のお話のように、毎年毎年その積算で組んでいるものよりもたくさん出ているというような事例がはっきりした場合、こういうような場合にはできるだけ、現在の予算編成といたしましては、その省庁の実態に応じて、それに見合うような組み方を次の年からしていくということで予算編成をしているのが実情でございます。
  34. 北村暢

    北村暢君 あとで総括的に宮内庁予算決算のあり方の問題について私の意見も述べたいと思いますが、次に翌年度繰り越し額についてでありますが、宮殿の新営費の約二割に該当する二億一千二百五十五万四千円の翌年度繰り越しになっているわけであります。この原因が一体何であるか。それから宮殿新営について、特に繰り越しの問題の理由だけでなしに、宮殿の新営のための当初の計画並びに予算額、工期ともに大幅な変更がなされているようでありますが、まずその経過について御説明いただきたい。
  35. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 宮殿の造営でございますが、昭和三十九年度予算決定の際には、三カ年計画、総額八十八億円と見込んでおったのでございますが、昭和四十年度の九月現在再計算の結果、計画総額が百十八億円と改定をいたしているのでございます。  ただいま御質問の三十九年度におきまするいわゆる繰り越しの多いという点でございますが、この三十九年度予算の翌年度繰り越しは、明許繰り越しによる約二億三千万円でございます。これは宮殿新営費歳出予算の十一億円のうちの約二億一千万円、それから皇居造営関連施設の整備費の予算の四億のうちの二千万円でございます。これは宮殿新営につきましては繰り越しが約一億九千万円でございますが、これはいろいろ宮殿を基本設計をいたしまして、これを実際の工事に移しますにあたりまして、いろいろ試作しますとか研究ということを慎重にいたしましたために、仕上げ設計の外注までにだいぶ日時を要しましたことでございます。もう一つは、大食堂の基礎が——宮殿のいま工事いたしています基礎は、関東の一番固い地盤の一番最後に当たっておりまして、大体いいつもりでございましたけれども、大食堂のピアの基礎くい打ち工事におきまして、実際の問題について非常に積載試験の結果不適当な部分が出てまいりました。そのために工事がだいぶおくれてまいったのでございます。この大食堂の鉄骨工事のおくれに伴いまする基礎工事、鉄骨工事、鉄筋コンクリート工事等が漸次おくれてまいったわけでございます。  次に、機械工事につきましては約二千万円でございますけれども、これも宮殿の基礎工事に関するおくれに伴いまして、終了することができなかったわけでございます。その他、機械室でございますとか、あるいは案外古い宮殿の基礎が非常に堅固なために基礎工事に日数をとったというような点がいろいろ重なりまして、ついに総額二億三千万円を繰り越さざるを得なくなった次第でございます。で、三十九年の繰り越しの問題はそういうことでございますが、全体的に一年工期を延ばし、しかも総額約三十億円の不足を生じておるのでございまして、これはまことに申しわけないことでございますが、実際問題といたしまして、まず工事のおくれましたのは、先ほど申し上げましたようないろいろな試験研究でございますとか、あるいは当初設計の設計者による変更等が重なりましたことでございますとか、あるいは資材の面につきまして、銅でございますとか大きな材木に対する手当てが実際問題として非常に困難な事情が出てまいりまして、こういう事態に立ち至っておるのでございます。  また同時に、いわゆる東側地区の整備につきましても、これが予定がだいぶおくれておるのでございますが、これらも、たとえば新宮殿の工事の材料置場というものに窮しまして、東側地区の造園のところを一時使用しなければならないというような不測の事態が生じましたのと、立ちのきをお願いしておりました代官町の建物が予定どおり移っていかないというような事情が出ておるのでございます。  たとえば皇宮警察関係の建物の予算化でございますとか、賞勲局とか、恩給局、それから内閣文庫というような問題につきまして、それぞれ手配されておりまして、近く解決するものもございますが、まだ一両年かかる見込みのところもございまして、そういうようなわけで、東側の整備計画も宮殿新営の一部でございますが、これらも予定よりもおくれてまいっているわけでございます。そういうような事情でございますが、さらに三十億円というものが大体不足される見通しでございますが、その内容から申し上げますと、大体設計変更に伴いますものが約二十二億、全体の不足額の七三%を占めております。こういう問題はやはり、たとえば二十メートルに及ぶような新宮殿の柱を巻く資材の問題でございますが、当初の予算設計上の場合におきましては、設計者の意図によりまして、コンクリートの柱にウルシを巻くということでございましたが、これがいろいろ研究の結果、非常に変色その他のむずかしい問題がございまして、その後二回ぐらいいろいろの計画が変更になり、最後にブロンズを巻くということになりました。これらの遅延という問題と、経費がよけいにかかるという問題が出たのでございます。それから屋根を銅でふくというような場合におきましても、銅の厚みというものについても、いろいろ研究の結果、少しふやさなければならないというような事情が出てまいっておるのでございます。  それから木材の内装等につきましても、当初の設計当時におきましては、あまりこまかい点まではとうてい計算ができなかったわけでございます。たとえば、いま申し上げましたのを金額的に申し上げますと、屋根の問題とか、あるいは柱を巻く金属の問題とか、内装の問題、大体これで十五億ばかりの変更を要することとなってまいったわけでございます。このほか、設計変更のほかには、物価増を約六億ばかり見ております。これは過去三十九年以降の予算編成当時、三十八年に編成した以後における物価の値上がりについて、建設省の物価値上がり、予算的に見ました比率をかけますと、大体六億の不足を生じます。それからなお、計画進行に伴いまして、未確定の要素が設計にございました。こういうものがだんだん確定をいたしまして、やはり金額に影響いたしましたものが二億ばかりございます。結局、設計変更に対して二十二億、物価増が六億、未確定要素がきまってまいりましたものが二億ということで、約三十億の不足を生じてまいったわけでございます。この不足額が、私どもとしましては、決して少ない額でございませんで、まことに申しわけないことでございますが、設計者の、新聞等で御承知でございますけれども、計画はもっと大きな幅の要求でございました。われわれといたしましては、できるだけ節約し得るものはいたしまして現在進めているわけで、そういうようなわけで、設計者ともたもとを分かたざるを得ないようなこともございました。しかし、その後なお顧問といたしまして、内田博士ほか数名の方がおられまして、いろいろ重要な点は御協議いたしますとともに、万全の措置を講じたいと考えておるわけでございます。あるいは落ちた点があるかと存じますが、一応以上お答え申し上げます。
  36. 北村暢

    北村暢君 大体予算の増額変更等について御説明がありましたが、これは四十一年度、現在の予算で変更されたものが、四十一年度予算に組まれて、そうして実行中なのか、どうなのか。それから、工期が、完成が、過日——二日の末だったと思いますが、内閣委員会から視察に行った際に、四十二年度に完成するということで資料をいただいたのでございますが、その後新聞等によりますというと、四十三年秋でなければ完成しない、こういうようなことが報道されておるようでございます。いまの計画変更なり何なりでいけば、完成するのは一体いつなのか。当初は、三十九年度から三カ年計画、四十一年度で、本年度で完成予定でございます。ところが二年間も延びるということになりますと、先ほどの工期の延びた理由もお伺いしましたけれども、大体この設計変更ももうすでにできておるということになれば、三カ年計画だったのが二年延びるということになると、これはやり直したって二年間くらいでできちまうことになるんじゃないかというふうに思われる。したがって、工期の問題について、一体どのような見通しでおられるのか、予算の執行の面と工期の問題について、重ねてお尋ねいたします。
  37. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) ただいま申し上げました不足額につきましては、現状におきまして、当初からいままで設計変更し、物価が上がりましたものを、四十二年度一ぱいまでで全体的な計算をいたして、そういう状態になるわけでございます。で、四十二年度は大体いまのところ審議中でございますが、いわゆる増加額の問題もございまして、われわれの四十二年度の竣工ということは四十三年の三月でございますが、それがやっぱり若干——その予算が現在から考えると約七十億くらいになります、これを来年度で全部やり上げるということはなかなかむずかしい点がある。できるだけ急ぎたいと思いますが、仕上げ段階において将来に悔いのないものにいたしたいと思います。また、いろいろ、もっと早くというもちろん希望もございますし、秋までにはぜひやってほしいという希望もございまして、われわれといたしましては、できるだけ手順をそろえまして——いま仰せのとおり、大体の大きな点はもうきまっておるわけでございます。ですから、その線によって進むわけでございますが、まだこまかい仕上げの問題等も若干、何とかやり上げるつもりでございますが、四十三年度に若干入ることはぜひひとつお許しをいただきたいというふうに考えております。
  38. 北村暢

    北村暢君 いまの予算の問題については、まあ設計変更その他で、これは大蔵省がその設計変更を認め、予算編成について大体了解づくで設計変更がなされている、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  39. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) ただいままでのところは、昨年の審議の際に大蔵省にもこまかに内容お話しいたしまして、大体その線を御了承願っているつもりでございます。
  40. 北村暢

    北村暢君 そこで私は、宮内庁予算全般について、運用について、どうもこの予算なり決算なりの状況を見ているというと、まあ宮内庁という特殊な役所のせいもあるかもしれませんけれども、予算編成にしても、何かこうルーズなところがあるんじゃないかというような感じがいたします。宮殿新営の問題についても、どうも当初の計画から相当工期等おくれ、予算の変更等も行なわれる。これは国鉄の新幹線並みの予算の変更が行なわれるということですね。こういうのについて、どうもルーズじゃないかという感じがいたします。したがって、今後における予算編成等においても、私はもう少し厳格に予算というものを見るべきじゃないかというふうな感じが非常に強くいたします。したがって、こういう点については、今後一そう改善すべき点があるんじゃないか、このように思いますので、この点について長官の御意見を、ひとつ腹がまえをお伺いしておきたいと思います。
  41. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 皇室関係予算は、いまさら申し上げるまでもございませんで、終戦までは国会の関係が四百五十万以外はございませんでしたが、ただいまは新憲法によって全部歳入歳出が国会の御審議をいただくというたてまえになっております。ただ、宮内庁の現在の予算も、三十億円以上のものが宮殿新営の臨時的なものでございまして、それ以外の経費というものは非常に少ないものでございます。これは非常に事務的な毎年既定的なような経費でございまして、これは宮内庁の要求は、もうほんとうに正直な要求でございまして、かつては、査定増になった予算さえあったくらいでございます。そういうわけで、私どももきわめて水増しとか不要なものを要求するということは極力押えまして御審議を願うようにいたしておるわけで、ただ先ほど申しました外国お出かけになるというようなことは、なかなか相手国の関係がございまして、すっかり日程ができるまでは発表しては困るとか、いろいろむずかしい条件がございまして、大体の日数でございますとか経費計算して載せることがなかなかむずかしい。それから、外国から国賓に見えることも、何カ月か前ではございますけれでも、これも必ず前年度のうちにわかるわけでございません。そういうものは、いままで予備金でお願いをして、そのつど閣議決定になって、接待費が新聞にもはつきり出ている。これはまあほかの国は、接待費を幾ら皇室が出すというようなことが世間に公開されるということはあまりないことだと、ぐあいが悪い点も出てまいると私は思います。そういうことでございますから、昨年度から国際親善費ということである程度の額をあげていただきまして、それを使用する場合にはまた大蔵省とも十分協議の上で使っていくということになりまして、いままでのようなすべて予備金ということもなくなったわけでございます。われわれといたしまして、御指摘もございますので、この上とも予算全体にわたりまして慎重な態度で計上して御審議を願うようにいたしてまいりたいと存じます。
  42. 柴谷要

    柴谷要君 関連して。長官お忙しいからだで、お帰りになられる時刻が来たようでございますので、二問ばかり関連して質問してまいりたいと思います。  新宮殿造営にあたって、私どもは大蔵委員会の場でいろいろと御説明を聞いて、そのとおり進行するものと期待をいたしておった。しかし、その審議をする当時は、オリンピックという大きな仕事もあり、斯界における業界の方々が多忙のためになかなか準備ができない。それが終われば、新宮殿であるから一挙にかかって完成をする、こういう態勢だということを聞かされたわけです。ところが、御承知のとおり、オリンピックはみごと世界に名を成すほどのりっぱなオリンピックができた。その後業界運営の実態はどうかというと、仕事がなくて困っておるというような状態です。そうなってくれば、当然新宮殿あたりに全力をあげて業者なるものが仕事をしなければならぬと思う。一体この請け負っておる業者は何組と何組ですか。都合によってはこれらの人たち参考人として意見を聞きたいと思う。請け負っている業者を紹介願いたいという点が一つ。  それから、これは別な問題になりますけれども、皇居に対しては、国民が、特に地方の人たちは非常に皇室を敬慕しておるわけです。団体をつくって勤労奉仕を年々やっておるところがある。この数が最近はまた特にふえてきておる。これに対して、私は大蔵委員会で要望したことがあるわけです。これらの人たちは、何も物がほしいから来るのではなくして、皇室に対する尊敬の念から、ひとつ皇居の中を清掃しようという気持ちでしているわけです。ことにりっぱな心がけで来ると思う。陛下に最後にお会いになる。両陛下にお会いになって、感激をもって地方に帰られると思う。そのときに宮内庁からこれらの人たちに渡しているものが何かたばこ一箱という話です。その一箱というのは、何か普通の常識でいうと十本入りのやつが一箱なんですけれども、何かもっと数の少ない一箱だと、こういう話を聞いている。五本ぐらいらしい話でなかったかと思います。そういうことで、たばこをいただいて帰って地方の皆さんに、皇居に奉仕をしてきたらこういうものをもらってきたということで、親族、縁者が集まってたいへん喜びを分かち合っている。こういうけなげな話を聞いた。いかにしても、園遊会に行っても、あるいは皇居の祭典に行っても、与えられる一箱というのは、十本入りのたばこが支給されているのじゃないか。そのくらいは出せないのか、私がこういう質問をしたら、予算がなくてできない、こういう話であった。当時この予算の増加ができないかということを大蔵省に問いただしたら、年間にしてわずかな金額であるから考慮しましょうという答弁であった。これらの問題が今日予算化しておられるか、実行しておられるか、この点を含めて御答弁をいただきたい、こう思うわけです。特に私は、新宮殿の造営が一日も早く完成することを熱望するがゆえにかく申し上げる。それで、やはり延期されればされるほど経費がかさんでくるのは当然なんです。国会図書館が、最初計画されたときに、計画どおりいかないで相当延びた。そのために不必要な経費をたくさん使っておる。こういう事例があります。ですから、ましてや新宮殿の建造にあたって、私はやはり半年でも一年でも延びることによって、余分な経費が加算をされてくるのではないか。できることならば一挙に解決する、こういう態勢を確立してもらうほうがよろしい。そのためには、国としても損失が少ないように、多少の予算、四十二年度予算に多少の額がふえても一挙にやるべきだ、こう私は考えますが、長官のお考えをひとつお聞かせいただきたい。
  43. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 重ねて新宮殿関係の工事の促進についての御要望で、まことにわれわれといたしましても恐縮する次第でございます。一日も早くやりたいという念願につきましては、その衝に当たりますわれわれにおきましても、何とか早く進めたいということでございますが、先ほど来申し上げましたとおりに、なかなか新宮殿関係につきまして、基本設計から実施設計に移すにつきまして、先ほど申し上げましたようないろいろな問題が起こってまいります。不測の問題が重なりましておくれてまいったわけでございます。ただいまこの工事に従事をされておりまする建設業者は大手五社でございまして、鹿島、清水、大林、大成、竹中の五社が共同で請け負って進めておるわけでございます。この五社の人たちは、持っておりまする最高の機械を持ち込みまして、優秀なスタッフを出してくれまして、われわれの援助をしてもらっておるわけでございますが、正直に申し上げまして、先ほど申し上げましたいろいろな支障のために設計がちょっとおくれてまいった、実施設計がおくれてまいったというところが大きな理由であるように思います。もちろん、資材の入手難とかいろいろ問題があって請負に出せない。あるいは、物価が上がりましたために、単年度予算でございますから、そういう問題の解決等に難点がございます。しかし、そういう言いわけでなく、われわれといたしましては、何とか四十二年度に大体仕上がるようにつとめ、あとやはりどうしても、工事が落ちつくとか、あるいは若干の手直しとか出てまいりますので、秋くらいまでは若干の日時を要するのではないか。しかし、これもできるだけ早くやるように全力をあげて進めたいと考えておるわけでございます。  それから、もう一つの勤労奉仕に対する問題でございますが、これもかつて国会で御指摘がございました。その後大蔵省にもお願いして、ただいまでは予算を増額していただいておりまして、たばこもお話のとおり前は五本でございますが、いわゆるたばこというものは一箱十本、最低十本なんで、十本ということでいま出ておりますし、そのほかにお菓子をつけて賜っております。大蔵省からたいへん予算をいただきまして進めておりますので、御了承願いたいと思います。
  44. 竹田現照

    竹田現照君 長官の時間の関係で、私先にいろいろ伺いますが、皇室財産の中で沼津の御用邸がほとんど遊休の状態になっておりますけれども、この現状について、どうなっているのか、御説明いただきたい。
  45. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 皇室関係のいろいろな地方にある御用邸、離宮その他は、御承知のとおり、だんだん整理されまして、現在は、地方にございます御用邸は、那須と葉山と沼津の三カ所になっているわけでございます。そのうち那須と葉山は相当程度御使用になっているのでございますが、沼津は、御指摘のとおりに、終戦後におきましては、卸使用回数が非常に成っております。ことに、戦争のときには、本邸が全部焼けまして、いま西邸、付属邸だけでございます。そういうようなことで、だいぶ古い建物になっておりますのと、御使用回数が非常に少のうございますので、その手入れにつきましてもあるいは十分でないというところもございます。なお、最近の問題といたしまして、静岡県で、あの地方に工業地帯ができることになり、石油コンビナートを置くという問題が三年ぐらい前から起こって、県のほうは、突堤をあそこの御用邸の前につけるということで、沼津御用邸を、何と申しますか、御不要ならばいただきたい、あるいはかえ地を差し上げるというような問題が起こってまいりました。地方の開発のために必要であればしかたがないということでいたのでございますが、その後、石油コンビナートにつきましては、よく存じませんが、いろいろ関係方面の論議がありまして、だいぶ長い間不確定でございましたが、最近その港は大体つくらないことにきまったようでございます。今後そういう関係で、県のほうからも御用邸をいただくというようなことは取り下げるといって、ごく最近に参ったわけでございます。そういうような事情がございますので、これを修理いたしましてやることには事実ならなかったわけでございます。御指摘の点もございますし、われわれといたしましても、この御用邸の将来につきましては慎重に考慮いたしたい、かように考えております。
  46. 竹田現照

    竹田現照君 戦後ほとんどお使いになっておらないわけですけれども、いまのお話がございまして、聞くところによると、これをめぐっていろいろな暗躍等もあったようでございますが、一応立ち消えになった、そういうことですが、あれですか、この御用邸は、事実上現在の段階では那須、葉山を除いては不必要だと考えてよろしいですか。
  47. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 葉山、那須のことは先ほど申したとおりでございますが、実は葉山のほうも、最近は非常に開けまして、実際問題でいろいろ問題も周辺関係で起きようとしております。海も非常によごれてまいっております。そういうような関係で、どこか海のほうにほしいという気持ちは、私ども頭にあるわけでございます。沼津もなかなか西風が多いところで、昔は浜がございましたが、いまは御用邸のかきのところまで波が寄せているというような状況で、なかなか海水浴も困難な状態にございます。まあ、そういうようなことで、皇太子殿下のところにも浩宮様、礼宮様、将来の海のこともございまして、どういうふうに考えていいか、われわれとしてもいま慎重に検討しようとしているところでございます。それ以上ちょっといま具体的な考えはございません。
  48. 竹田現照

    竹田現照君 それで、これはほとんど荒れているということでありますが、何かあそこがあまり風紀上思わしくないような状態に使われておるやに聞くわけです。これは事実上使ってないわけですから、いろいろな者が入り込んだりして、とかくのうわさが立つわけですけれども、これは皇室の体面上からいっても、これは何とかしたほうがいいんじゃないか。約二十年間、ほとんど資料によりますと一回しか使われておりませんね。貞明皇后がなくなられてその後三十七年、そうすると、事実なくなられる前はどうか知りませんけれども、最近十五年間にわずか一回しか、しかも短時日しか使われておらない。こういうようなところは、むしろ全般的に公共の福祉のために、いろいろな青年の家だとか、あるいはそういうようなものに転用するほうが、むしろ皇室と国民との緊密感というか、そういうものを役立てる上にも必要じゃないか、そういうふうに思うわけですけれども、しかも、管理の中にもかなりの金がかかっているわけですけれども、大体こういう十五年も二十年も使わないというような国有財産管理のあり方というものは、当を得ているのかどうか。これは宮内庁長官ばかりでなくて、会計検査院も、大蔵省あたりも、皇室財産だからわれわれは使おうと使うまいとしょうがない、こういうようなことではなくて、この利活用というようなことについて、どういうふうに考えておられるのか、あわせてお答えをいただきたい。
  49. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) この重ねての御質問でございますが、戦後両陛下がお使いになりましたことも一、二度ございますし、皇太子殿下もおいでになりましたし、あるいは高松宮妃殿下がちょっと御病気のあと御静養においでになりましたが、仰せのとおり利用回数は非常に少のうございます。したがって、先ほど来申し上げますとおりに、その維持につきましても、十分でない点も正直ございます。そういうことで、長くそのままにしているということも、われわれ問題として考えており、今後につきまして十分検討いたしたいと存じます。
  50. 大森創造

    大森創造君 宮内庁のほうに私は資料を要求したのが先週の月曜日であって、私のところに御提出願ったのが、おとといの土曜日の午前中でございまして、私は土曜日でございますので、国会もなかったから帰郷しておりましたので、まだ詳細にこの資料を拝見しておりません。しかしまあ、この資料を拝見した限りにおいて疑問に思うところを二、三お尋ねいたしたいと思います。  まず資料、宮内庁は特殊なお役所であるということは、私も十分了承しておりますが、こういう簡単な資料を一週間もかかるということは、どういうことなんでございましようか。もう少しスピーディーにできませんか。
  51. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 御指摘のとおり、たいへん資料の提出がおくれまして申しわけございません。今後におきまして十分注意をいたすようにいたしたいと思います。
  52. 大森創造

    大森創造君 ところで、下総御料牧場、これは三里塚の牧場でございますけれども、これを国際空港にしようという話がいまありますけれども、運輸省なり、あるいは佐藤総理のほうから、宇佐美長官のほうにどういう程度の話があったのか、それからそういう問題についてのいままでの交渉の経過、経緯、それから移転することになっていると書いてあります。私のほうに宮内庁のほうで御提出願いましたこの資料によるというと、新国際空港予定地となり移転することになるということに書いてございますので、どこに移転するのか、その場合の補償金とか代替地というものは、どういうふうになっているのか、こういうことをひとつお答えをいただきたいと思います。
  53. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 新空港問題につきましては、この問題の起こりますころから、いろいろ千葉県下でも牧場を農家の立ちのき用地に充てるとか、いろいろと伝えられていたわけでございます。しかし実際問題、こういう問題について具体的に御連絡なり説明のありましたことは、わりあい最近でございます。われわれといたしましては、日本の現状からいたしまして、新しい飛行場が必要であるということは、われわれもよく理解できるわけであります。まあ、わが国といたしましても、将来の発展上重要な問題であるということは、よくわかるのでございます。そういう点からお進めになるのは、それでけっこうでございますが、われわれといたしましても御料牧場ということが飛行場を建設するにあたりまして、いろいろな反対も盛んにございまして、そういうときに何か皇室がまっ先に飛び出して、それを理由に反対運動を起こすような気配があっては、非常に政治問題の中に入るようなことになりますので、われわれとしてはそういうことは極力気をつけてもらうということについて、関係方面に要望をいたしておりましたし、そういう点は十分検討、注意をしていくということでございます。ときどき御連絡があったわけでございますが、最近三里塚でなくて、三里塚牧場を中心とする飛行場という案にだんだん変わってまいりまして、そういうことについての一応の構想というものの御説明はございました。そのときにも私どもは、政府がそういう飛行場を建設されるにあたって、先ほど申しましたような点を十分考えてもらうということは、強く要望していたわけでございます。しかし政府が地元の知事と相談されまして、この案でいくというふうにされました場合に、しかも、適当な土地に代替の牧場を考えるということになりますと、われわれといたしまして、明治以来の古い歴史を持った牧場でございますけれども、あすこでなければ立ちいかないという問題でもないことになってまいります。政府部内としてわれわれは、そういうような内閣において決意をされますならば、そういう条件で代替のもの、それからそこの職員が約百三十名おりますが、その家族を込めて、職を失うようなことのないように配慮してもらうということであれば、やむを得ないことであろうというふうに考えております。ただ、これは将来どういうふうに進みますか、新公団等が直接に考えていかれることと存じます。われわれはそれらの出発を待ちまして、かわるものをどういうふうに考えてもらうということは、それからの問題として考えておるわけでございます。
  54. 大森創造

    大森創造君 大体わかりましたけれども、そうしますというと、政府の方針や地元の意向もしっかり固まらない以上は、この三里塚の御料牧場についてはイエスともノーとも言うてないと、固まった場合に考えようということでございますか。
  55. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 先ほど申したとおりに、反対をされるために、宮内庁が承知したとかしないとか、そういうものを利用されるのははなはだ困る。そういった賛成のほうにも反対のほうにも利用されることは、われわれとしては避けていきたいというふうに思います。ただ、政府が決意をされて、しかも地元の知事も、従来と違って、時間かけても納得させるというような場合に、われわれ政府機関の内部の者として、これは政府がそこまで覚悟してやられれば、特に非常に困難な問題が控えていれば別でございますが、政府としても同じように別のものを考える、職員の就職その他についても考えるという場合におきましては、われわれはそれに協力せざるを得ないであろうと私は考えております。
  56. 大森創造

    大森創造君 その点は了解いたしましたけれども、それではこの三里塚牧場、正式には下総御料牧場というそうですが、この内容について御質問いたします。  実は一昨日の土曜日の日に、私の留守中に持ってきた資料がこれでございます。宮内庁という、こういう紙に宮内庁の紙に書かれた、こういう宮内庁の紙を持ってこられた。それでこれは一べつしかできなかったのですが、同じような、似たようなもので、同じ三里塚下総御料牧場について先ほど持ってこられた。これは宮内庁という文字はないのでございます。これはどっちがほんとうなんですかね。片方の資料はおとといの午前十一時に持ってこられたそうです、私の留守中に。そこでこれは宮内庁という文字が入っていないものでございますが、これは資料、どっちを信用したらいいのでしょうか。
  57. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 二通の資料を差し上げたこと、実は私も存じませんでございましたが、申し上げますと、あとで差し上げたものが一番正確なものであるというふうに考えております。実は私も、内輪を申し上げて申しわけございませんが、土曜日に資料を見まして、どうもわからない点もございましたので、さらに日曜日かけて調査してもらったものが、きょう差し上げたものじゃないだろうか。たいへん申しわけないことをいたしましたが、さように御了承いただきたいと思います。
  58. 大森創造

    大森創造君 私はね、先ほど北村委員やその他の皆さんからお話ございましたけれども、これは単なる間違いじゃないですよ、これ。たとえば茶わんを落として割ったとか、百万円の金を落としたというような間違いじゃありませんよ、これは。これは、間違いとすればね、宮内庁よっぽど経理にずさんな方が多いですね。いやしくも、決算委員会の私のほうにこの資料をお出しになったもの、これは最初のものがほんとうであろうか、きょう出したものがほんとうであろうかとお聞きしますと、きょうのやつがほんとうであるということでございますが、なぜしからばね、私さっき発見したのですよ、この委員会の始まる直前に。で、私は土曜日に持って来たこの資料を拝見しますというと、何としてもわからぬのです、これは。これはもう簿記や経理の問題についてまるっきり知識のない人がやっておるのじゃなかろうか。いささか心もとない感じがいたしました。このバランスシートでこの右と左のやつがまるっきり取っ違えてこっちのほうに書いてございますが、これは一体ね、会計検査院にお聞きいたしますが、どっちがほんとうなんですか。収入が幾らか、支出が幾らか、これは数字だけおっしゃってください。収入は五千三百九十六万何がしで、支出は八千八百七十五万何がしとは違いますか。——これは私個人が要求した資料だそうだから、会計検査院の方はお知りにならないかもしれませんが、私はね、宮内庁でございますから何ですけれども、これは土曜日に出された資料については、いまお答えになった人のところにまでこれがいっているということなんだが、真相はこうなんですよ。私の留守中に、あなたのほうの若い方が来られて、そうして御注意を申し上げたんですよ、こういうことでいいんですかということで。それでね、きっとその方がお帰りになって、これは確かにおかしいということでお直しになって、こういう資料を出されたのだと思うのです。私はどっちの資料も当てにできません、これ見るというと。こういう間違いというても、間違いと思えませんので、いまから二、三お尋ねいたしますが、それではね、どっちがほんとうなんですか。この動物ということがありますが、牧場生産品として動物という項があって、乗馬一頭本庁へ供出。それから乗馬一頭本庁へ供出。競走馬五頭売り払いと、こうなっておりますが、きょうくれた資料ではこういうことも違っているのですよ、これ。どうして違うのでしょう。これ、今度の資料によるというと、こうですね。これはね、馬匹十三頭になっているのです。土曜日にくれた資料ではね、これは七頭なんですよ。七頭。どうして違うのでしょうか。それからもう一つ。こっちの題目は、きょうくれた資料は、家畜及び生産品売り払い代ですよ。土曜日にちょうだいした資料では牧場生産品となっているから、これはね、常識的に考えてみるというと、家畜及び生産品等売り払い代というきょうくれた表題のある資料に出ている頭数のほうが少なくていいのですよ。私の感じからすれば。片方の資料はこれは生産品そのものですから、こっちのほうが多くていいのですよ。ところが、多くていいほうの資料を拝見しまするというと、動物として馬が七頭。ところが、少ない感じのする、表題の書いてあるきょうの資料によるというと、馬が十三頭ですよ。馬匹十三頭。しかも、乳牛が、こっちが全然書いてないのに十六頭というふうに書いてある。これは単なる事務的の間違いとすれば、何をやってるんだかわからないと思う、私は。どういう理由で間違いましたか。
  59. 西原英次

    説明員(西原英次君) ただいまの御質問はごもっともだと存じます。実は土曜日にこっちへお届けしました資料は、非常に粗雑であって簡単過ぎるということは、御指摘のとおりでありまして、われわれも検討しまして、まさにそのとおりでございましたので、さらにその後におきましてより詳しいものを調製しかえたのでございます。で、いまお話しになりました点について動物の欄で、本庁へ供出いたしましたのが乗輓馬二頭、それに売り払いましたのが競争馬の五頭ということになっておりまして、これはおもなるものをここへ掲げましたので、これも正確に申し上げますならば、事業用品のその他という欄を設けまして、残余の頭数を一応あげておくべきだったと存ずるのでございます。それで本日お届けしました動物の欄の、別表の(1)の動物の欄で二十九頭になっております。この馬匹十三頭の中五頭が軽種馬、土曜日に御提出いたしました競走馬の五頭というものがこの十三頭の中に含まれております。それ以外は使役馬等の老廃馬を処分した、それから乳牛の十六頭、このうち大部分のものは、生まれまして直後に、乳牛は雄はすぐその場で処分することにいたしますので、それか大部分入っておりまして、それ以外の二頭ほど老朽しました乳牛が入っておるということでございまして、提出いたしました資料は、本日お届けしましたものがより正確に表現されておると存じます。まことに申しわけないことだと存じております。
  60. 大森創造

    大森創造君 私は正しく調査をして、そうしてわからないところはお尋ねしようと思っていたのでございますが、いまのようなことで、いろいろ御事情はありましょうが、この資料では、とても決算委員会ではなかなか的確な御質問を申し上げかねるわけでございますが、一応了承いたします。御注意をひとつお願いしたいと思います。  そこで、この両方の資料の中で、供出品とございますが、四百十二万一千八百八十円というところでございますが、これは皇室用として下総御料牧場からできた生産物をこれを供出するということは、皇室用として一応出されることで、そうして独立採算の立場からこれは皇室から、何というのですか、宮廷費ですか、そこから今度は御料牧場のほうに入金する金額だと思うので、これは収入の項に入るのが至当ではございませんか。
  61. 西原英次

    説明員(西原英次君) 供出品につきましては、宮廷費並びに内廷のほうへ納まる金額でございますが、しかし現実の問題といたしましては、現在これを購入するということになっておらないのでございまして、これは一応の、四百十二万というのは見積もりの推定価格でございます。
  62. 大森創造

    大森創造君 そうしますと、見積もりの推定価格であって、内廷費からは四百十二万というお金は、下総御料牧場会計のほうには入っていないお金なんでございますね。
  63. 西原英次

    説明員(西原英次君) お話のとおりでございます。
  64. 大森創造

    大森創造君 今後も入らないんですか。これは予定だけで、単なる見積もりだけでございますか。
  65. 西原英次

    説明員(西原英次君) この問題につきましては、かつては内廷費につきましては、売却という形で金をいただいておったのでございます。しかし現在におきましては、いま申し上げましたように無料で供出しておるということでございますが、この問題につきましては、やはり今後の問題として御指摘のように有料にするか無料にするかというような問題につきましては、さらに検討を要するのではないかと存じております。
  66. 大森創造

    大森創造君 それでは、その点もそういうことで御研究いただきたいと思いますけれども、もう一つお伺いしますが、この事業用生産品というものは、一番初めの資料によるというと、家畜及び生産品等売り払い代二千三十二万六千百三円、こういう、家畜及び生産品売り払い代のもとをなすといいますか、その中に含まれるいわゆるえさ代だとか、そういうものなんでしょうね、これは。そういう二千三十二万何がしかの収入の原料といいますか、これだけの収入をあげるために消費したえさだとか、その他のもろもろのものなんでしょうね。御説明をいただきます。
  67. 西原英次

    説明員(西原英次君) 御指摘のとおりでございます。したがって、これまではいろいろ資料といたしまして今年度以前におきまして、最初御要求になりましたときのような資料を御提出いたしておったんでございますが、われわれのほうでもこれはおかしいのじゃないか。たとえば供出品並びにそういう事業用生産品というものを、収入の見込み推定価格を収入の項に列記するのはおかしいのではないか。ことにいまの御指摘の事業用生産品というものは、これは完全に収入欄からいずれにしても落とすべきであるということにいたしまして、本日お届けしましたように、収入欄では売り払い代金だけしか計上いたさなかったのでございます。
  68. 大森創造

    大森創造君 そうしますと、会計検査院にお尋ねしますが、いまの御答弁によりますというと、事業用生産品、これは明らかにいままでの経理のしかたでは、下総御料牧場では事業用生産品というものは、いままでは収入の部にあげていたわけなんですから、これを含めたものが収入として会計検査院の報告なり会計検査院のほうではお調べになった数字になっていると思うのですが、会計検査院のほうでお調べになった収入は、総額幾らになっておりますか。
  69. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 収入にあがっておりますのは、家畜及び生産品等売り払い代二千三十二万六千円だけがあがっておることになっております。
  70. 西原英次

    説明員(西原英次君) 会計検査決算上の収入といたしましては二千三十二万でございまして、これは私のほうで土曜日に差し上げました資料につきましては、大体よそから買えばこれくらいのものが入るというものを場内で生産している、あるいは本庁方面に乗輓馬あるいは供出品として食料品等を出しておる、これはこれくらいの推定の価格のものになる。これだけのものを牧場で収入しておるのだという、大体の牧場経営での実態の収入支出関係を資料にいたしたわけでございます。これまではそういうふうなやり方でやっておりましたが、いま御指摘のような、ことに牧場事業用生産品等をこれに入れるということは、まことにおかしいのでございまして、したがって純粋の収入だけを本日お届けした資料にはあげたのでございます。
  71. 大森創造

    大森創造君 私は決算の立場からわからないところをお尋ねしてるんですが、はなはだ疑問のところが多いので、午後からにいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  72. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言がなければ、午前中の審査は、この程度にとどめたいと存じます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会
  73. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和三十九年度決算外二件を議題といたし、宮内庁決算について審査を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  74. 大森創造

    大森創造君 午前中に引き続き、ちょっとわからないところを簡単に御質問申し上げます。  この事業用生産品というものは、これは先ほどの御答弁によって従来は収入の部に入れていたということですね。いかがですか。確認いたします。
  75. 西原英次

    説明員(西原英次君) 国の決算としてはこれは入れておりません。ただ、牧場ではこういうふうな生産をしておるという見積もり価格として計上しまして、実際上これだけの金額が収入になっておるのだという意味で計上してあげておったわけでございます。
  76. 大森創造

    大森創造君 午前中の御答弁では、従来は収入の部に入れていたというお答えだと私は理解していたけれども、事実はどうなんですか。入れてなかったのですか。入れておいたのですか。
  77. 西原英次

    説明員(西原英次君) 私の説明が非常に不十分で申しわけございませんが、午前中に申し上げましたのは、いろいろこれまで牧場ではこういうものを、この程度のものを生産しておったのだ、その収入見積もりからしますと、これくらいの生産をあげておったのだということを、実際上の数字としてあげておっただけでございまして、従前から決算面上の数字としてはあがっておりません。
  78. 大森創造

    大森創造君 それではその点は了承いたしますけれども、この二つの資料ですね、おとといの資料ときょうの資料と、こう二つの資料の食い違いというのは、午前中にお答えになった牛馬の頭数ばかりでないのですね。全部食い違っているわけですよ、私がこうしさいに検討しますというと。間違いとは思えないのです。これは真実はどこにあるのか、わからないのです。私は、こいつは金額だけは合っておりますけれども、その金額以外の説明のほうが私の見たところによるというと、牛馬の頭数ばかりじゃなくて、全部食い違っているというふうに思うのですよ。これは同一の原簿に対してこういう二つの答えが出るということは、どういうことなのか。
  79. 西原英次

    説明員(西原英次君) 土曜日にお届けしました資料と本日お届けしました資料との組み方といいますか、やり方が違っておるわけでございます。たとえば「牧場生産品」の「食品」の欄で申し上げますと、「生乳」という欄がございますが、これで総生産量は九万三千キロだと、そのうちに皇室用として供出いたしましたのが三万五千キロだ、で、もちろんこれは生乳に換算しておりますから、バターとかクリームの調製に使っております牛乳がございますし、そのほか動物の哺乳用として使っておるようなものも含まれておる、こういう表になっておりまして、本日お届けしましたものにつきましては、まず別表の(1)で、生産品等の売り払い代のところでは、「牛乳及び乳製品」として売り払ったものが備考欄に生乳といたしまして一万一千キロ売り払っておる。そのほかこれは乳製品については換算いたしておりませんで、牛乳だけの点をあげております。それは表といたしまして統一する意味で、その次の次の欄に「生肉及び肉製品」という欄がございまして、それに生肉二千百十キロというのをあげておりますが、そのほか乳製品——この八十三万円の売り払い代金の中には、生肉が二千百十キロ及び肉製品が入っておるわけでございます。備考欄の生肉二千キロでもって八十三万あがっておるわけではないんでございますが、ハムだとかソーセージだとか、その他かん詰め類だとか、こういうものは生肉のキロに換算できにくいので、備考欄には生肉だけを一応内訳としてあげたわけでございます。したがって売り払い代はそうでございます。それから別表の第二にいきまして、皇室の用として供出いたしました中にも「牛乳及び乳製品」がございまして、これが三万五千キロ——これは土曜日にお届けしました表の中で三万五千キロというのがあがっております。それから「生肉及び肉製品」は、いま申し上げましたように、肉製品のほうはキロに換算することが非常に正確を欠きますので、ここをブランクにいたしまして、ただ備考欄に生肉はこの中にこれだけ入っておるというふうにいたしたわけでございます。そういうことでもってそれらの一表、二表の数字を足し、また減耗率を足した場合に、牛乳でいいますと、九万三千キロの生産があった、こういう計算になるわけでございます。
  80. 大森創造

    大森創造君 一応打ち切りますけれども、それでは次にお尋ねをいたしますが、供出品ですね、これは皇室用としてこの牧場で生産されたものを皇室のほうに出しているんですが、この供出品のうち、宮廷費というものは、これは当然経理上私は振りかえ勘定でいいだろうと思うんですよ、そういうアカウントでいいから、それはともかくとして、これはいいとして、内廷費、すなわち内廷費というのは、平たくいえば、天皇に関するいろいろな御費用だと思うので、この分については、内廷費のものについては当然内廷費の項目から支出すべきものだろうと思う。これはいかがお考えです。
  81. 西原英次

    説明員(西原英次君) 私のこれはまた午前中の説明が不十分だったかと存じますが、供出品につきましては、全部皇室の公の饗宴等に使います。宮廷費に属するものも内廷費に属するものも無料にしております。それで宮廷費に属する饗宴その他に使いまするものにつきましては、これは皇室の用に供するという目的が御料牧場の性格でございますので、これは無料で差しつかえないんじゃなかろうかと存じますが、内廷費のものにつきましては、午前中にこれは検討する余地があるのではないだろうかということを私申し上げたつもりでございまして、そういうことで午前中にも申し上げましたように、一時は、かつては内廷費につきましても、経費支出した例もございますけれども、広い意味においてこれは皇室の用に供するのではないかというような見解をとりまして、現在では無料にいたしておるというようなことでございます。なお研究はいたしたいとは存じておるのでございます。
  82. 大森創造

    大森創造君 そういう見解もあるでしょうが、私は会計検査院いかがです、大蔵省いかがです。やはり内廷費とか宮廷費というものはちゃんとあるんですから、これは御料牧場の生産物であろうと、きっちりと会計はいたすべきものだろうと思うのですよ。そうでなければこれはおかしいですよ、経理上。いかがお考えですか。私はこういうことをないがしろにしているようではいかぬと思うのです。会計検査院、大蔵省いかがですか。
  83. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 皇室に差し上げる品物につきましては、たとえば民間から牛肉であるとか牛乳であるとか購入する経費を、一応御料牧場で生産して購入するというような形でございますから、歳出としては別途に出まして、購入のほうはそれでもって購入された、こういうふうに考えればいいのじゃないか、私はそう思っております。
  84. 大森創造

    大森創造君 ということはどうなんですか。やはり内廷費であろうと宮廷費であろうと、そのアカウントの中に入れるべきであるという私は考えを持っておるのだが、そのことを肯定なさいますか。
  85. 斉藤実

    説明員斉藤実君) ちょっと御質問の意味がよくわかりませんが……。
  86. 大森創造

    大森創造君 ではもう一回申し上げますが、供出品というものは、おわかりだろうと思うのですが、四百十二万何がしで、これはこの下総御料牧場の生産品でもって皇室に供出をしておるものである。それでこの四百十二万円というものは、過去は代金をちょうだいしたこともあるが、御料牧場だからこれを現在取っていないというお答えである、宮内庁のほうは。しかし私をして言わせれば、どんぶり勘定でないのですから、これは経理上当然内廷費なり宮廷費というものが、大蔵省や会計検査院のほうでもちゃんと査定をして、そしてこの数字をお認めになるのだから、そういうものからやはり支出する形をとらないというと経理上まずいのじゃなかろうか、そのほうが適当であろう、そういう意見なんですが、いかがですか。
  87. 斉藤実

    説明員斉藤実君) いまの御質問は、要するにこの供出品について買上げるという形にせよということだと思うわけですけれども、下総の御料牧場それ自体が独立採算制の企業体であるとか、あるいは特別会計ということになっておりませんで、一般会計になっておりまして、たとえば職員経費というようなものは宮内庁経費から出るし、あるいは各所修繕費というようなものは宮廷費から出ていると、こういうような一般会計でございますので、その経費でもって牛乳なりあるいは牛肉というものを購入したという考え方に立っても私はよろしいのじゃないかというように考えます。
  88. 大森創造

    大森創造君 そうですが、それではまあその次に移りますけれども、これを見ますと、供出品というものを収入のほうに入れないで数えてみるとこういうことになりますね。支出が八千八百七十五万八千九百四円ですね。八千八百七十万円の費用を払ってそれで収入は二千千万円、いまの供出品というものを勘定に入れても二千四百万円ということになりますね。営業としてとてもこれはもう考えられないことなんですがね、私どもは。人件費が六千五百九十三万円、トータルするというと、支出の合計が八千八百七十五万八千九百四円。そこでいまの供出品というものを収入の部に入れたとしても二千四百万円か五百万円ですね。こういう経営はどういうものなんでしょうか、宮内庁の方にお答えをいただきます。
  89. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この御料牧場の関係は、長い伝統があってずっとこうやっておられるわけでありますが、この牧場は独立採算的な、営業的なそういう見地には立っていない点があると思います。そこからできます生産品による収入の点もありますが、その生産品によって得る利益の関係は、この金額だけではまたはかれないものがあるのでありまして、供出品のほうの関係ですけれども、宮中に見えます各国のいろいろなお客さんなんかをもてなす場合に、牧場でつくったすぐれた製品で御接待をした場合に、こういうようなものが日本にもできるんですかというような、そういうようにほめられる場合もあるのでありまして、計算しますと金額が普通の市価でやるものですから、そう高くありませんが、実際そういう意味で相当いいものを生産されて、そういう接伴の場合には、大いにそういう面の功績があがっておる点があると思います。  それからそのほかにこの牧場につきましては、毎年春、外国の大公使とかその他大使館のおもな人を招きまして、大体三日間でありますけれども接伴をいたします。そうするとこの牧場に来て馬に乗れる方は馬に乗って楽しむ、あるいは馬に乗らない方は馬車でその中を回られるとか、なおそこで生産したもので食事を接伴する、そういう場合に非常にいい印象を持たれる、そのことがまあ国交の親善にも寄与しているように私たちは思います。  それからなお、この牧場へは毎年多数の方が見学に見えております。年によって違いますが数万人の人、特に大都市で勉強している学生生徒の人が非常に多いようでありますが、こうした総合牧場は東京の付近にはほかにないのでありまして、そういう意味で、そこでいろいろ見学をされていろいろの勉強にもなる。なおそのほか、あの中の通行は、道路のところは自由でありますが、気候のいいときには、レクリエーションをいろいろあすこでされて楽しまれる方も相当あります。そういうような意味の効果もありまして、普通の営業でありますと、何かこんなふうな決算ではおかしいというふうに感ぜられますが、普通の営業では考えられない別途のそういうような意味のいろいろの効果をあげているわけでありまして、そういうようなことを考えますと、こういうふうに収支のバランスが合っていないのも、合っていない部分でそうした別の効果をあげているものというふうに考えておる次第です。
  90. 大森創造

    大森創造君 瓜生次長のお話私はとくと了承いたしますが、それと金額とどういう関係ありますか。見学者が多いとか外国使臣の方がお楽しみになるということ、またなかなかよそではとれないようなものもとれるというようなことはよくわかります。存在理由もよくわかりますけれども、私は先ほどどなたかお話がありましたように、これは供出品のほうで御質問申し上げましたように独立会については地元の非常に強い反対もございますし、移転を要する戸数も非常に多うございます。そういうようないろいろ困難な条件を勘案して、国有地なり県有地なりをできるだけ活用して、地元の方々に御迷惑をかけることを最小限度にとどめる方法はないかということでいろいろ検討した結果、このたびのような決定がなされたのであります。そういう点から地質その他については、富里地区とあまり変わりがない。それからいま申しました空域の観点からしても、ほとんど変わりがないというようなことで、いま申しましたような事情とあわせまして、急遽三里塚のほうが地元の方々に与える迷惑の度合いが少なくて済むというような観点から、そういうふうにおきめになったわけでございます。  それから宮内庁とどれだけ折衝したか、あるいは了承を得たのかという観点でございますが、宮内庁とは前から接触をしておりまして、このたびの三里塚空港ということが決定いたすまでには、どうしてもほかにないということであれば、これは国策として協力をしなければならないだろうということで、了承を得ておるわけでございます。
  91. 北村暢

    北村暢君 かりに三里塚に決定したとして、工事その他の関係上立ちのきをしなければならないのはいつごろですか。
  92. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 今度の新空港につきましては、われわれといたしましては、大体最初の三年間ぐらいは、用地買収等にほとんど全勢力を注ぎ込むと思われるわけであります。大体あとの二年ぐらいで工事を進めるということでございますので、御料牧場に事実上立ちのいていただく時期というものは三年先でも間に合うと考えております。したがって、御料牧場の代替地はできるだけ早く決定していただいて、三年後にはそちらにお移りいただくような態勢をつくらなければならないと考えております。
  93. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、宮内庁にお伺いしますが、いまお聞きのとおりで、もう三年間でかりに代替地を求めて移転するということになれば、現在の規模——まあ現在の規模の程度のものが必要かどうかはわかりませんけれども、とにかく、従来三里塚の牧場というのは、開放その他の問題がありながら、現在程度のものは必要だということで残されたはずですね。したがって、必要性についてはいまだに変わっていないと思うのです。でありますから、当然これは代替地というものを物色しなければならない。しかも、現在の牧場のような形態ばかりでなしに、ハム、ソーセージに至るまで、バターとか、チーズとか全部生産されておりますね。そういうような点から言って、まあ皇室のお台所をあずかっている状態ですから、ああいうものを完成するためには、いま三年ぐらい先にはのいてもらわなければならぬということですから、新しくつくる牧場でも、おそらく三年ぐらいはかかるのではないか。あとの土地を三年かかって探していたんでは、皇室がひぼしになってしまうという問題が起こってくるわけです。これではたいへんなことなんで、一体、宮内庁ではこれに対処するのに急遽対策を講じなければならないと思うのであります。まあ三百名近くの人員もおることでもありましょうし、これを直ちにどうするというわけにもいかない、全部収容できるようなものをやはり考えなければならぬ、こういうことだろうと思うのですが、これについてどういう見通しを持っておられるのか。周章ろうばいしてどうにもならぬというのか、ある程度見通しというものを持っておられるのか、ここら辺の今後の考え方ですね、これをお伺いしたい。特に牧場を簡単に移すといっても、相当多数の関係者がおるわけでありますから、この身分なり何なりというものは、当然継続して考えなけりゃならない。そういう面についての考え方もこの際お伺いしておきたいと思う。
  94. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 新しい空港の建設のためには、三里塚の御料牧場はいずれ廃止して他に移らなければならないと思っておりますが、いま問題の一番主眼点は、東京からあまり遠くないところにかわるべき牧場用地がないかどうかということで、いろいろ調査をいたしております。それで、数カ所、どうかなというところが浮かび上がっております。まだ現地についての調査とまではいっておりませんけれども、そういうところがございまして、そのうちに現地についていろいろ調査をいたしまして、そのうちで最も適当なところを新しい御料牧場の敷地ということに内定をする必要があります。で、その新しい御料牧場の建設はといいますと、手続からいきますると、新空港公団がこれを買収するなら買収をし、整備するなら整備をしてつくられるということになるようであります。したがって、新空港公団ともいろいろ話をしながら準備を進めていく必要があろうと思います。で、現在の見通しとしては、まあ三年以内ぐらいにはできるんじゃないか。ある場所がきまりますと、それを整地をしたり、いろいろ施設をつくったり、まあ二年ぐらいかかるんじゃないかと思いますけれども、ですから、あまり場所をきめるまでに長い時間をとらなければ、まあ三年後には完成をするということは、そうむずかしくもないんじゃないかと思っております。  それから、あそこに現在従業員は百三十名——正確に申し上げますと百二十八名ですけれども、いるわけでありまして、で、新しい牧場としていま考えておりますのは、現在の下総御料牧場と大体似た仕事をする大体似た規模の牧場をと考えておりますので、おおむね、そうした人はそこへ移ればまた仕事はあるわけでありますが、しかしながら、この百二十八名の中には、やはりずっと千葉県のあの付近に住んでいる方が大部分でありまして、ほかへは移りにくいというような事情の方も幾らかある模様であります。そういう人のためには仕事を考えてやらなきゃいけないので、そうした人についての職業のあっせん、たとえば新空港公団へ移るとか、あるいは、あそこの県庁関係のどこかへつとめるとか、そういうようなことなどを考えなければいけないと思っておりますが、大部分の人は新しい牧場へできれば移っていこうという意向を持っているようでありまして、その点は、そういう職業をあっせんする人の数はそう多くはなくて済むんじゃないかと、いまのところはそういうふうに考えておりますが、しかしながら、生活の十分立つように、十分にわれわれも関係の当局とも折衝しながら努力したいと思っております。
  95. 北村暢

    北村暢君 時間がございませんので、これから職員の待遇問題について主としてお伺いいたしたいと思います。私のほうもなるべく簡単にお伺いいたしまするので、簡単に御答弁願いたいと思います。非常に数が多いので、時間が制約されておりますから、そのようにひとつお願いいたします。  まず、任官の問題についてお伺いいたしますが、学歴別に、任官に要する年数というのは一体どのようになっておりますか。
  96. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 現在のところは、新中卒ですと五年、旧中卒で三年、新高校卒が二年、それから短大の卒業が半年、新しい大学の卒業者はゼロ年、直ちにというような一応基準になっております。
  97. 北村暢

    北村暢君 高校卒の三年というのは、ほかの官庁に比較しておそすぎないかと思いますが、その点はどのように考えておりますか。
  98. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) こまかい点はあとから秘書課長から申してもいいですが、新高卒は二年でありまして、以前はもっと長かったのでありますが、内閣委員会でかつて、当時委員長であった鶴園先生あたりのいろいろ御指摘があったりして、その年数を改善して二年というのにしまして、当時は、まあほかの官庁に比較しても早いほうでありました。現在は大体普通の程度になっていると心得ております。
  99. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) ただいまの次長の答弁を補足説明いたしますが、いま新高卒二年といいますのは、国家公務員試験の初級に通らない者について二年でございまして、国家公務員試験の初級合格者は一年ということになっております。の機会には、陛下は御用邸内並びにその周辺のいわゆる山林で植物の採集をしたりなさいます。なお、他の皇族の方、特に皇太子殿下とか、常陸宮殿下あたりも、長い期間ではありませんが、ちょっとお見えになって御滞在になるというふうなこともございまして、これは有効にいろいろ御利用になっております。
  100. 大森創造

    大森創造君 これ一つで終わりますけれども、私、いままで決算委員会審査の対象にならなかったから、主として内閣委員会質疑がなされておりましたから、本委員会の始まる前に衆参両院の内閣委員会の議事録をここ五、六年読んでみました。そうすると、昭和三十六年度当時しきりに問答が行なわれたことはどういうことかというと、交通緩和のために宮城の中を一部開放して、道路にしたらどうかという議論などがずいぶんあって、そういう国会の要望や国民の要望に沿って若干開放されたんだろうと思います。それはそうだろうと思うのですが、いかがでしょう、若干あったでしょう、そういうことが。
  101. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) ちょうど三十六年ごろでありますと、皇居造営審議会の答申が三十四年の暮れごろですから、それを受けて新しい皇居の造営の仕事にかかっていくというときで、いろいろの審議の際に、皇居造営審議会が開かれたころいまおっしゃるように、あの周辺の交通が非常に混雑しているから、それを緩和するために、皇居の下を地下道でも通したらどうかというのが、外部で御意見がございました。そういうようなことで御質問ございましたのですが、しかしまあ、皇居造営審議会の際にいろいろ研究をしました結果は、あの下を地下道を通しましても、結局前後の交通のふくそうは同じことで、その緩和にならない。結局もっと全体広い範囲でこの道路計画を整備しなければ、あの下を通すだけでは決して、緩和にならない。しかも相当多額経費も要るし、あの下を通しますと、場合によりますとあそこのお堀の水の地下水にぶつかって水が出なくなるような危険もあるという専門家のほうでお話があった、そういうことは避けるべきであるということで、これは取り上げられないことになりました。  なお、あのころに皇居開放論というのが、ちょっとその当時ありました。そういうようなことで、皇居造営審議会の際にいろいろ検討されて、皇居のうちで約三分の一に当たる東側地区、ちょうどもとの旧江戸城の本丸、二の丸、三の丸のある大手門から入ったあの地、その地域については以前は皇族様で内親王様のお住みになっていた呉竹寮がございましたが、その後皆さん大きくなられて、皇族の方もお住みになっていないのだから、ここについて開放を考えないかというようなお話がありました。結局、いろいろ審議の結果、この東側地区約十万坪は皇居付属の庭園として整備をする、現在までは、そこにいろいろな役所の建物があったり、それから中もあまりきれいではないのだけれども、これをきれいに整備をして皇居付属の庭園として、皇室で園遊会などでお使いになるとき以外のときは、一般に公開をするようにしたほうがいいという皆さんの御意見がきまりました。で、東側地区については皇居付属の庭園として、いまあまりきれいでないのを整備をして、皇室でお使いにならない時期においては一般に公開する、公開するのが大部分です。お使いになる期間は短いですから、そういうふうにしようということになりまして、そういうような御答申の精神に沿って、現在仕事を進めておる次第でございます。
  102. 大森創造

    大森創造君 昭和三十六年当時と現在の状況はまるっきり違うと思うのです、交通事情等は。そこで、審議会の答申は、当時はそうでございましょうけれども、技術は非常に進んでいるのですから、ここであらためて再検討したらいかがかと思うのです。新しい技術をもってするというと、私は地下道ができるような、これは全然地上のほうには影響がないことができるのだから、過密都市といいますか、昨今の交通事情は御承知のとおりでございますから、そういう点建設省等で御検討になる御意思はございませんか。
  103. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 先ほども申し上げましたが、この交通の、たとえば祝田橋のところとかいろいろ込んでいるところでありますと、あの下をもし地下道を通すとしても、祝田橋を出ますと同じで、その先は緩和にならないのです。もっと広い意味の高速道路とか、そういうような計画を建設省のほうで——皇居周辺にも高速道路はできておりますけれども、そういうようなことによって、交通のふくそうを緩和するほうが合理的だというように、その当時も言われ、それがある程度できても、現在考えましてやはりふくそうするその弔問だけがちょっと楽でも、そのふくそうする場所が同じでは、効果があまりないということは同じではないかと一応考えております。
  104. 大森創造

    大森創造君 これで終わります。
  105. 北村暢

    北村暢君 先ほどの大森委員質問に関連して、最初に、三里塚の新国際空港について別な角度から若干質問いたしますが、大森委員質問に対する収入支出関係については一般会計でやっておりますから、しかも、特殊な皇室のお台所をまかなっているような性格からいって、収支の均衡をとったような形で運営する、これは無理だろうと思う。しかしながら、牧場そのものの経営については、収入は収入、生産したものは生産したものとして明らかにする必要があるというふうに思うのです。支出の面は、一般会計でやはり税金でまかなわれておるのでありますから、この牧場の収入については、収入というものはやはり明らかにする必要がある、そういう面で、先ほど来の説明を聞いておりましても、非常にずさんな点があるのではないかと思います。したがって、今後における会計検査院の牧場の経理に対する検査というものを、もう少し角度を変えてやる必要がある。これは御料牧場だけに限らない、農林省の一般会計の牧場もたくさんあるわけでありますから、そういうところであっても、やはり収支というものは明らかになっているはずです。この供出の無料なら無料でいくにしても、無料のものをここで現金に換算しているようでございますから、無料は無料でいっていいわけですから、その内容というものは、やはり明確になってなければならぬ、こういう点をひとつ注意されたらいいのではないか、このように思います。  それから、御料牧場が三里塚の国際新空港になる問題でありますが、ここには先ほど来の説明で、まだなるかならぬかはっきりしておらない、しかし閣議決定もされ、相当の反対もありながらあそこに——私とも反対でございますけれども、新国際空港が設置せられる、建設せられるということが相当確実になっているようであります。したがって、私はこの際に航空局の関係者にお伺いておきますが、一体この富里か急遽三里塚に変更されたということについてどれだけの調査をされたのか。この空港のためにはいろいろ条件もあり、何もあるわけですが、ほんとうに一週間か、十日の間に急遽変わってしまうということについて、私ども納得がいかない。特に関係農民なり宮内庁、そういうところとどれだけ連絡をされてあそこに決定をしたのか。空港設定にあたって、運輸省当局は宮内庁了解を得られたのかどうなのか、この点をまずお伺いしておきたいと思います。
  106. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 富里地区を予定地と考えておったわけでありますが、急遽変わったのはどういう事情かという御質問でございますが、当初われわれが七百万坪の規模で新国際空港を考えておったわけであります。いろいろの調査の結果は、あの地区が、富里地区が一番適しておる。これは一番重要な問題は、航空技術上の問題でございまして、特に航空管制上、ほかの飛行場との空域がダブらない等、そういう安全上の問題で一番適したところはどこであるかということを重点にして候補地を選んでおった、それがあの地区ということであったわけですが、このたびの三里塚地区というは、多少東のほうにずれてはおりますけれども、そういうような安全上の観点からする問題については、全く同様でございます。したがいまして、そういう空港に対する条件というものは、前の富里と同様に適しておるのであります。富里計ではない、人件費なども今度別途持っているということになるというと、さらにこのバランスはおかしくなるんですよ。いま申し上げたように大体八千八百万の費用を払って二千四百万円の生産物しかあげていないということは、あるいはただいまのお話によるというと、一億の費用を払ってそうして二千四百万円しかこれは生産物をあげていないということにもなると思う。これはどっかがおかしいんじゃありませんか。いま幾つかの事項をあげて説明されましたけれども、これはたいして金額に私は影響はないと思うんです。そういうことがあるから、こういう経理でもよろしいという説明にはならぬと思うのです。そういうことは数字に、金額にあらわれないものなんでしょうか。私はそうなるというと、これはこの牧場の経理というものは、わかったがごときわからないがごときものだろうと思うのです。数字に出てこなければいかぬと思うのですよ。外国使臣が来てお遊びになるということ、あるいは接待するということ、それは存在の理由はわかりますけれども、どうも私の質問に対するお答えにならないと思うのですよ。結局わからぬということじゃないでしょうか、この経理は。  それからついでにもう一つお伺いしますが、この二千四百万の生産物に対して事業用生産品ですか、これはいわば牛馬のえさ代とかその他鶏のえさ代であると思うのですよ、二千四百万の生産物に対して。この私がちょうだいした二つの資料によるというと、二千九百万のいわばえさ代を費やしていることになるのですね。二千四百万の生産物に対してこれはどういうふうに御説明いただけるか。
  107. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 先ほど触れなかった点でありますが、——ちょっと触れたかと思いますが、この製品の価格は普通の市価で計算してありますが、あそこの製品については、えさなども特に十分に考えた合理的ないいえさをやるということでやっておりますので、たとえば牛乳の質でありますとかあるいはあそこの羊の肉の質でありますとか、そういうような点は他から見ますと、ずっとすぐれたものでございます。その牛乳なり、羊の肉の質をじゃどういうふうに評価をするかと、普通の市価じゃなくてぐっと高値で評価したほうがいいかどうかという問題もありますが、これは基準がはっきりしないので一応市価でやっておりますから低くなっております。そういうような点がある点を、御了承願いたいと思います。
  108. 大森創造

    大森創造君 もう一つ別なことをお伺いしますけれども、三里塚の空港の問題にからんでひとつお伺いします。  この牧場内に職員でない農家の人が家を持っている。——よろしゅうございますか。その百三十人の職員でない人が三十七年前から家を持っているし、それから一町なら一町、一町五反なら一町五反というのを耕作している。そこへ戦後宮内庁から大蔵省のほうに国有財産として移管されたについていつか問題が起きやしないかと思うわけです。先ほどの宮内庁の御答弁によると、地元のほうで賛成、政府のほうも国策的な立場からあそこに空港をつくるということならば、これは協力するにやぶさかでない。反対者にも賛成にも巻き込まれたくないということを言われておりますが、しかし大方針は三里塚ということを政府は打ち出しておりますけれども、その場合に、私はいま申し上げたような農家、これは瓜生次長やその他の関係の皆さんおわかりにならないかもしれないが、やがて大問題になるんじゃないかと思うのです。何戸ぐらいありますか、そういう牧場の敷地内に、大蔵省所管の国有財産の中に居住するなりあるいは耕作している者。三十七年前はその農家と、小作契約がちゃんとあって、そしてずっとやってきたんですね、その農家のほうには所有権はない。今度牧場が飛行場になるとすれば、この農家の処遇をどうするのか、これはぼくは大きな問題になると思うのです。こういう問題についてわかっていたら、ひとつお答えいただきたい。
  109. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 現在下総御料牧場の地域内に農家の方が住んで、また農業をしておられるというような事実はないのであります。終戦のころは、この下総御料牧場と申します区域は千四百四十四町歩ぐらいございました。現在四百三十町歩ですから、千町歩以上は戦後に開放になっております。その開放になったその地域にいまおっしゃるような方がおられると思いますけれども、現在の御料牧場は御料牧場そのもので、一般の農家の方が居住し、耕作しておられるということはないのであります。
  110. 大森創造

    大森創造君 これは宮内庁と小作契約を結んでいて、そうして戦後−時期ははっきりいたしませんが、大蔵省のほうに所管がえになった。そこで、そういう牧場であったその土地に大部分の耕作をしている農家があるはずですよ。あるはずです。私は現地に行って見てきたんですから。そこで今度空港ができるということになれば、われわれはどうすればいいんだ、所得税だけは、農産物の所得について所得税だけは納めていた。しかし、所有権はない、三十七年間耕作した、私のところは全部御料牧場の敷地内で耕作している、こういう農家が現にあるんですよ。私は行って見てきたんです。座談会をやって現状聞いている。瓜生次長はお知りにならないかもしれぬが、こういうものをどうするんです。これは現にあるんですよ。  もう一つ、小作料収入というものは収入に計上されていないんですが、この点はどうなんでしょう。
  111. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 現在の御料牧場の地域にはないのでありますけれども、戦後約千町歩ばかり開放いたしまして、実は大蔵省のほうの所管に移りました。なお、ちょっと聞いてみますと、その方の中で所有権の移転登記をしていない方があるそうであります。そのことじゃないかと思いますが、主としてこれは大蔵省との関係になるわけでございます。
  112. 大森創造

    大森創造君 わかりましたけれども、大蔵省の所有になって、そうして前は宮内庁と小作契約をしていたものが、今度は大蔵省のほうに所管がえになった場合に、その小作契約というものを確認しないままに現在に及んでいる。これを飛行場ができるから将来どうするかということで、宮内庁へは行かないでしょうが、大蔵省のほうには行っているはすですよ、陳情に。これはどういう措置になるんでしょうか。したがって、一町五反なら一町五反全部そういう土地でもって耕作している農家は、これはどうにも空港ができるというと食うに困るわけです。そういうものについて大蔵省御存じでしょうか。
  113. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) 私は帝室林野におりまして、その間の事情を多少知っているわけでありますが、戦争のずっと前でございます。旧御料地というものが、御料林もございましたが、宮内省で今後林野を経営していく上において不要存、要存する必要がないという土地がありまして、それを逐次千葉県なり、山梨県なりでそれを民間に払い下げてきている。従来下総御料牧場は、いま次長がお話になりました現在の牧場の以前は三倍あったわけです。これのさらに周辺に昔の宮内省の時代にたんぼをつくらしていた事実があるかと思います。小作料をとっていたかもしれません。だけれども、それは売り払い、不要存でございますから、要存する必要がないのだから、代金を分納にして、もうその小作人の所有物になってしまっているんです。ただ所有権が、現権利者が申請しないものだから、所有権だけが移転していないという事実があるのじゃないかと思います。所有権はもう宮内庁にはなくて、その小作人が土地代金を払ってしまっている、分納して。当然所有権の移転登記しなければならないんですけれども、現権利者が登記の申請をしてこないという問題ではないかと思います。
  114. 大森創造

    大森創造君 次の問題に移ります。那須の御用邸ですね。これの現状はどういうふうでございますか。
  115. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 那須の御用邸は面積からいっても三百万坪くらい、坪にすればそのくらいになります。このほうは、現在主として夏のころに両陛下がこのところで御静養になり、なおそ
  116. 北村暢

    北村暢君 次に、宿日直の勤務について、手当についてお伺いいたしますが、宿日直の人員は、宮内庁は、宮内庁の総人員に比較し、また、他官庁から比較して、非常に宿日直の勤務者が多いようでございます。しかも、いただいた資料によりますというと、他の官庁の、庁舎、備品等の保全、外部との連絡に従事する、いわゆる一般の宿日直という方が、三十八人ですか、その他の宿日直者を合わせて九十六人、こういうふうに出ているようで、これについては資料をいただいておりますが、これによりますというと、一般の宿日直に該当しないような職員が、宿日直ということで取り扱われている面が非常に多いようでございます。この実態については、これはいただきましたが、これは宿日直手当を支給されているんじゃないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  117. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) ただいま御質問の宿日直につきまして、また超過勤務等にも関連いたしましてお答え申し上げます。  御承知のように、宮内庁には非常に特殊な職種が多うございます。それから職場が、建物が方々に分散されておりますし、同一建物内でも職種が違った職場が各所にあるというようなことで、他官庁に比しまして宿直勤務が多くなっておりますが、これも大別しまして、純粋の、他官庁におけるような、庁舎の保全とか、勤務時間外の受付連絡とか、不時の用に備えるための待機という本来の宿直的なものと、そういった本来の宿直の用務もございますが、あわせて、勤務時間内と同じようなその人その職種本来の職務を断続的に遂行するというものとがあるわけでございます。いずれも午後五時からあくる朝の八時半まで泊まり込みで勤務をしておるものでございまして、いわば宿日直と超勤とが混合したような状態の職務状態になっておるわけでございます。
  118. 北村暢

    北村暢君 それは宮内庁の都合でそういうことになっているのでしょうけれども、人事院規則の十五—九によって、宿日直の勤務というのは明らかになっておるわけですね。したがって、私は、いま、その職員の本来の勤務内容のことで勤務時間外に勤務をした場合には、当然これは宿日直ではなしに、超過勤務手当を支給すべきだ、こう思うのですがね、これについて何か検討する用意があるのかどうか、私は明らかにしてもらったらいいと思うのです。たとえば車馬課の馬の飼育をする関係の人、この人を例にとりますというと、宿日直の者は、馬の運動を朝五時から起きてやるという、これは軍隊のときと同じようですね、五時か六時に起きて早くから馬の運動をさせて、馬小屋を掃除し、飼いつけをしておるわけです。これはこの人本来の仕事ですね。したがって、これを宿日直という四百何十円かの宿日直を払えばそれでいいんだということでは不合理ではないか、そうして断続的に本来の業務と言うけれども、それじゃ、昼の間休んでいるのかどうなのか、勤務の実態ですがね、おそらく、この方々は相当やはり昼間のときにおいても、断続的でなしに、継続的にやはり本来の業務をやっているのじゃないか、実態はですね、というふうに思うのです。したがって、これは超過勤務で支払って、その馬の宿日直の人も全然寝ないわけでないでしょうから、その寝ている間の四時間なり五時間は宿日直で払うべきだと、それ以外は超過勤務手当で払うべきだと、こういうふうに思うのですけれどもね、この点の検討をされたことがあるのかどうなのか、しきたりを非常に重んずるところのようでございますから、しきたりでそういうふうになっているのだから、それでよかろうということくらいにしか考えておられないのじゃないか、このように思うのです。これの検討をいかにしているかということ。  それからもう一つ、人事院の給与局長見えておりますから——この宿日直手当というものは廃止をするお考えはないか。そういういま申したような庁舎の、一般的にいまの人事院規則の十五—九に該当するようなものは、守衛であるとかなんとか、そういう専門の者にやらせて、宿日直というものを廃止する、こういう官庁がいま非常にたくさん出てきておりますが、この宿日直というものを廃止する御意思はないかどうか、この点、両者から御答弁願いたい。
  119. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この宿日直の関係では、宮内庁の勤務のこれは特殊の体系上御批判を受ける余地はあると私も思っております。だいぶ前にもそういう御指摘を受けたことがございまして、いろいろ検討いたしまして、この超過勤務手当の予算をふやしてもらうなどのことによりまして、ある程度は改善をしてきたわけでありますが、しかしながら、まだ全般的にというわけにはいっていないわけであります。なお、この車馬の関係ですとか、大膳の関係なんかの宿直員は、夕方残ってその仕事もやるとか、朝早く起きてその本来の業務をやるという点は確かにありまして、その点は普通のところと違うのでありますが、ただ、いろいろ折衝していると、むずかしく言う人は、それじゃ夕方帰って朝早く出てくれば、そうすれば起過勤務手当も出してもいいのだ、しかしながら、朝五時か六時に、そう早く出てくるのはたいへんでございますから、やはり本人も泊まったほうが仕事がやりやすいわけです。しかし、そういうようなことで、結局、いま先生おっしゃるように、短い時間は宿日直、前後のところは超勤というふうにうまくいけば非常にいいのですが、そういうような点、われわれもある程度改善をしてきたつもりですが、従来のしきたりだから、そのままにしておくということではなくて、さらに改善の面について、関係のところともいろいろ協議しながら努力をいたしたいと思っております。
  120. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 宿日直の問題でございますが、これは御指摘のように、そういう業務に従事いたしまする守衛というようなものが十分に配置されますれば、これは当然必要のない問題でございます。そこで、そういう状況になることは好ましいことでございまするが、現在の状況におきましては、必ずしもそうではない、そういう勤務が現にあるということでありますれば、これはやはり宿日直に対して手当を出す必要があろう、このように考えております。  もう一つは、先ほどもお話がございましたが、勤務によりましては、断続的に勤務が行なわれ、そうして長時間拘束されておるというような勤務が、現在相当ございます。こういう勤務に対しましては、また現在の宿日直手当を支給する対象となるような業務であるとも、一がいに言うのがむずかしいでありましょうし、また、それが本来の勤務の延長である超過勤務であるというふうに考えてしまうのもむずかしい点があろうかと思うのであります。現在人事院におきましては、そういう業務につきましていろいろ調査研究を進めております。その結果につきまして、必要がある場合には、勤務の規制をいたすというような措置をとらなければならないかもしれません。とる必要がある場合が起こることも考えられますし、また、それに伴いまして適切な給与の措置を行ないまするよう研究をしてまいりたい、このように考えております。
  121. 北村暢

    北村暢君 先ほど超勤手当についてもだいぶ改善されたようなふうに言われておりますけれども、大蔵省にお伺いしますが、宮内庁の宿日直というものは非常に独特です。非常に数にしても多いわけですがね、そういうことで、一般官庁の超勤予算の組む基準というものは、中央官庁、ブロックの出先、県の出先、市町村と大体きめておるわけですね、したがって、私のお伺いしたいのは、どういうふうに宮内庁では、いま改善しておると言うのですが、この基準よりもそれじゃ多く予算を見積もって宮内庁に特別見ているのですが、どうなんですか。
  122. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 宿日直手当につきましては、ただいまもお話ございましたが、九十六人ということで、その分の手当を予算に計上しております。超過勤務手当につきましては、三十九年度までは本庁で八時間、地方で八時間という超勤がついておりましたけれども、四十年度から本庁で十五時間、地方で八時間ということに増額をいたしまして、これが各官庁を通じましての一般的な基準ということになっております。で、いろいろ宮内庁の実態もございますけれども、大蔵省のほうといたしましては、宿日直手当も標準予算というようなことで扱っておりますし、超勤も三十九年度までは少なかったのでありますけれども、四十年度以降はふやしているということで、これでまかなっていっていただきたいというふうに考えております。
  123. 北村暢

    北村暢君 いまの説明でお聞きのとおり、三十九年までは非常に悪かったけれども、四十年度以降はほかの官庁並みになった、こういうことですね。それじゃ、何も宮内庁だけ特別に要求したって、いま宮内庁次長の答弁されたような形、普通になったということですね、予算の組み方が。そういうことだから困るのですよ。私の質問しているのは——実は、大蔵省の、本庁十五時間というのは、本庁十八時間ではございませんか。それから出先のブロックというのが十五時間で、県段階は十二時間というふうに私聞いておるのですが、この県段階は市町村段階全部ひっくるめて地方は八時間ということなんですか、どうなんですか、この基準については。
  124. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) 基準はただいま申し上げたとおり、地方の出先機関で八時間、中央では十五時間ということでございます。
  125. 北村暢

    北村暢君 そうすると、地方の出先は、県段階と、それよりかまだ末端の段階と差別はない、こういうことですか。
  126. 小口芳彦

    説明員(小口芳彦君) これにつきましては、主計局の予算の積算の基準を申し上げておりますので、実行上は各官庁いろいろそれはやり方があると思っておりますけれども、予算の積算の基準としては、ただいま申し上げたようになっております。
  127. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、先ほどの給与局長の御説明にもありましたように、断続勤務その他の問題について、宮内庁の宿日直については、他官庁の宿日直に該当するものと、それ以外の三分の二くらいの人は他官庁の宿日直とは変わった勤務内容になるということは、はっきりしているようです。したがって、この人事院の今後の調査研究によって、勤務の実態に応じた給与というものが考えられなければならないということのようでありますから、それは早急にひとつ研究され、宿日直と超過勤務との関係、あるいは給与の問題、断続勤務の給与の問題、こういう面と関連して結論を出していただきたいと思いますが、そういう点について研究せられる意思がおありになるかどうか、ひとつ確かめておきたいと思う。両者から答弁してください。
  128. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) いま問題になっておりますのは、宮内庁関係の勤務のことでございますが、われわれの立場といたしましては、あらゆる官庁におきまするいろいろな勤務を問題にいたしておるわけでございます。そこで、ちょっと話は古くなりますが、昨年の人事院の勧告におきまして、看護婦の深夜勤務につきまして特別の措置を講ずる勧告をいたした次第でございます。まあ、その当時、われわれといたしましては、深夜にわたる勤務というものは看護婦だけではない、いろんな勤務があるわけでございますから、できれば総合的にそういうものを全部調べ上げました上でこれを措置するのが適当じゃなかろうかというように思ったのではありますが、少なくも看護婦につきましては、もう事情が明らかになっておりましたので、とりあえず、この問題は勧告いたした次第でございます。  その他の問題につきましても、その当時から懸案になっておりまして、もう人事院の職員局におきまして、そういう勤務の実態等について調査研究を進めておるのでございます。現在そういうことを続行中でございます。今後新しく始めるという問題ではございません。で、これはできるだけ早い機会に、そういうことに対して措置ができるように努力いたしたいと思っております。
  129. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮内庁といたしましても、こういう特殊の勤務形態の人についての宿日直的な勤務の手当について、特別に人事院のほうでいろいろ考えていただくようにさらに努力いたしたいと思います。
  130. 北村暢

    北村暢君 そこで御要望しておきますが、私はやはりその人事院の結論が出るまで、相当なやはり超過勤務手当というものは——この宿日直のことを別にしても、実際に超過勤務をやりながら支給されていないという面がある。これは古い慣習で、御奉公という形でやっているんだろうと思うけれども、そういう面が確かにあるわけです。したがって、この点については、私は要望として、宮内庁はこのいまの給与局長のおっしゃられる問題が解決するまで、超過勤務の予算の獲得にひとつ努力されると同時に、大蔵省も、これはやはり一般の基準ではどうにも処理がつかないんです。こういうべらぼうに宿日直の多い、しかも、超過勤務の非常に多いというところはあまり——まあ本省の予算編成するところなんかはたいへんでしょうけれども、常時の勤務ですよ、そういう中で勤務に拘束されているというのは特殊だろうと思うのです。そういう面でひとつこれは、大蔵省宮内庁と協議されまして、適切な処置を講じられるように、これは要望しておきます。  それから次に、旅費の問題についてお伺いいたしますけれども、旅費については非常に不十分なようです。旅費の不十分なのはほかの官庁でも同じことでありましょうけれども、特に事務関係あるいは技術関係、たとえて例をあげますというと、営繕のための監督旅費、こういうようなものは年度当初から不足しておる。事業に見合った旅費というものは大体わかるはずなんでありますけれども、それが極端に押えられておる。で、普通旅費で、まあほかの官庁でもあるかと思いますけれども、宮内庁の場合、実費支給で、しかも、その実費の証明書を持ってこなければ旅費は払わないというような、非常にきびしいやり方をやらないというと運用のつかないような状況にあるようです。こういうことの原因は一体どこにあるのかということ、それからもう一つは、特別旅費というんですか、供奉旅費というのがあるようですが、これについても相当切り詰められておる。その前後については普通旅費を支給すべきじゃないか、特別旅費で供奉旅費なんかは相当切り詰めておるようでございますが、そういう点についてどのようになっているのか、どのようなやり方をやっているのか、これをまずお伺いいたしたいと思うんです。
  131. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮内庁の旅費の予算が他官庁に比較して窮屈だという点は確かにありますが、そのおもな点は、宮内庁は地方に出先の機関は京都事務所があるだけで、各地に出先機関があるというわけでありませんので、それに対して監督指導というような関係の仕事があまり多くはない、いろいろな地方でいろいろ事業をするというようなことも比較的少ないというようなことから来ていると思うのでありまして、結局、両陛下なりお出かけの際の供奉の旅費、お供をする旅費、そういったような関係は、これは必要なだけ見ていただいておりますが、それ以外の関係で、いま申したような点がほかの役所と違って、地方のほうでの仕事が少ないものですから、旅費が少ないというのが現実でありまして、しかし、これもそう言いながら、何とかやはりしていただかないと、いろいろ関西とか九州方面で陵墓とか、そういう関係のことで調べに行きたくても、旅費が不十分なために手控えるということがときによって出ますので、そういうことのないように、今後は旅費はふやしていただけるように努力はしたいと思うわけでございます。  それから、いわゆる特別旅費でありますが、これは葉山、那須の御用邸にお供をしていく人の出張旅費でありますが、これは昨年の四月までは比較的少ない金額でありまして、これは何とかしなければいけないというので、昨年の四月一日以降は、この総理府のほうの旅費取り扱い規則と同じようにその規則を適用して支払うというように改善をいたしましたので、その前と比較いたしますると、人によっては倍くらいになっております。こういう点の改善は、総理府の一般のところと同じように改善は一応いたした次第であります。
  132. 北村暢

    北村暢君 旅費の不足な点については、まあ人員の少ないところで一定の旅費ですから、やりくりに非常に苦労せられると思うのですが、とにかく良心的な仕事ができないくらいの旅費であるという悩みを持っているようですね。こういう点はひとつ、仕事のできない旅費じゃこれではどうにもしようがないと思うので、私は、これはやはり仕事ができる程度の旅費は払われるべきだと、このように思いますし、この支給方法として、実費の証明書、たとえば旅館に泊まったら旅館の領収書でも持ってこなければ支給しないというようなことはあるのですか。
  133. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) いまの証明書がないと出ないという場合はどういう場合か、ちょっと聞いているのですが見当つきにくいのですが、ただ、こういう場合はあるようです。お供をして旅行をする場合、その場合には普通の宿泊料では足らない、特にお供の場合、いいところへ泊まりますから、そういう場合に超過をするというようなときに、前にそういう例があったように、それをまた別途何か考えるというようなことで、そういうことがちょっとあったように聞いておりますが、いまのところ、先生のおっしゃる、どういう場合ですか、ちょっとわかりかねます。
  134. 北村暢

    北村暢君 それはそういう場合ばかりじゃなしに、普通の場合でもそうらしいですね。普通の業務で出張をされる、お供の場合じゃない場合、これは調査して、そういうことがもしかりにあるとすれば——私はあるように欄いておるわけなんてすけれども、あるとすれば、それはあまり過酷過ぎるのじゃないかというふうに思いますから、これは改めるようにしていただきたい。  それから陵墓の巡回旅費というのはどういうふうにやっておられますか。
  135. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) ただいま、それも特別旅費に入っておったわけで、総理府の取り扱い規則に同調する以前は、陵墓守長の巡回旅費は日額旅費でありまして、五十円——これは昭和三十七年ごろでございますが、そのときに総理府の取り扱い規則では、キロ数によって段階がございますが、八キロから十六キロまでは七十円、十六キロ以上が百円というふうに段階がありましたが、その当時、宮内庁は五十円で、非常に少ないということでございまして、昨年の四月一日からは、総理府と同じようにいたしまして、やはりキロ数に応じて段階を設けて、これと同じであります。
  136. 北村暢

    北村暢君 昨年から改めて総理府のほかのところと一緒ということのようですけれども、陵墓の巡回する範囲というのは、ところによってだいぶん違うようでありますが、五十円が改善されて百何十円になりましたかわかりませんが、とにかく、そういう程度のものでは、とても巡回旅費として不十分であるということのようですね。しかも、この旅費の問題が出ましたから特に申し上げますが、陵墓そのものが非常に管理上、先ほどありましたように、桂離宮の問題がありましたように、陵墓についても、境界その他の管理維持が、非常に荒廃をしておるというようなことで、陵墓の関係者が、修繕その他等の経費が不足しておるために、境界の標柱その他について個人で負担をして歩かなければならない、監視する責任上、予算がないために個人負担になるというようなことすら起こっておる。それで、巡回にも旅費がわずかばかりの旅費で、監視の責任だけは負わされる、こういうような実態にあるようですね。こういう点、どうも末端の職員の苦労というようなことがあまりわかっておられないのじゃないかという感じがする、こういう点についてはどうですか。
  137. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) 陵墓は全国一都二府三十県に散在しておりますが、それを五つに分けまして、五監区と言っております。五監区の下に、下部機構としまして部というものがありまして、たとえば桃山なら桃山監区の下に、わりあい近接した陵墓を一団として部というものができておりまして、その部に陵墓守長がおるわけでありまして、そう遠いところまで巡回に行くということはないわけでございます。大体日帰りできる程度の道のりでございますので、それは、陵墓監区事務所の会議をやるということで呼び寄せる場合は、もちろん日額ではございませんで、宿泊料を払っておりますが、受け持ちの担当の墓を回る場合には、これは日額で足りる。なお、一応御質問がございましたので、それで不合理はないかどうか、さらに検討いたしますけれども、部組織で部の守長が回るには、そう遠距離にはないはずでございます。
  138. 北村暢

    北村暢君 次に、お伺いいたしたいのは、等級別定数、級別定数の問題についてお伺いいたしますが、いただいた資料によりますというと、行政職(一)の場合、この級別の定数に対して現員数が出されておりますが、しかも、この五等級、六等級のところは十一号俸以上の人が非常に多いのでありますが、特に五等級の場合は、現員二百三十三名に対して十一号俸以上の人は百三十七名、半数以上の人がこの十一号俸以上なわけです。ここのところは非常な頭打ちになっているのじゃないかと思うのです。したがって、この点についての特別な措置によってこれは改善する必要があると思うのでありますが、御意見を承りたい。  それから、この等級別の平均の年齢でありますけれども、これは非常に高いようです。大体五等級のところで、平均年齢が四十八・九歳ですから約四十九歳であります。全体の平均年齢が四十三・六でありますが、この点について給与局長にお伺いいたしますけれども、大体この行政職(一)の等級別の平均年齢というのは、一体、全公務員についてどんな傾向にあるのか。私は宮内庁の場合、非常に年齢が高いのではないかというふうに思うのでありますが、この点について給与局長からひとつお伺いし、それから宮内庁については、この五等級、六等級のところの十一号俸以上の人が非常に多いわけですが、ここら辺のところについて、級別定数について検討する必要がある。これは級別定数については、人事院とも協議しなければならない問題でありますが、人事院においても、ひとつ、どのようにいままで宮内庁の場合、細別定数について協議されてきたか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  139. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) ただいま御質問の、五等級、六等級について上位号俸者が多い、どういうふうにするつもりかというお話でございますが、確かに宮内庁は非常に勤続年数が多い人が多く、したがって、高年齢者が多いという状態になっております。それから職種についても、あらゆる職種がある。一般の行政事務とは違ったような内容の仕事を国家公務員としてやっておるということで、たとえば厨房の調理の職員、音楽をやります楽士といったようなものも、総理府技官ということで、行(一)の俸給表の適用を受けておるというようなことになっております。それで、原則としては、五等級というのは、係長でなければ五等級になれないということでございますが、宮内庁においては、そういった特殊性を勘案して、係長以外でも特殊な職員については、ある一定の資格を持っていれば五等級になれるというようなことで、定数はいただいておるわけでございます。したがいまして、人数の点からのみ申しますれば、五等級以上の上位の等級については、人数だけの観点からは一般の官庁よりはいいというような状態になっておりますが、同じ年齢とか経験年数に比較しますと、非常に等級の昇進がおそいということは言われます。従来も宮内庁としては、極力、上位号俸の頭打ちを解消するために、上位の級別定数の増加をお願いしておりまして、逐次、逐年改善はされておりますけれども、まだ十分とは言えないということで、今後もその努力はいたしていきたいというふうに考えております。
  140. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま宮内庁から御説明がございましたように、宮内庁につきましては、従来宮内庁職員の方が勤続が非常に長いという特徴を持っておられるというような事情も十分考慮いたしまして、従前から等級別定数の問題を御相談してまいったのでございます。ただいまのお話に尽きるのでございますが、たとえて申しますると、役付職員、まあ五等級以上、あるいは宮内庁の場合におきましては特に専門職というようなことで、特に役付でない場合におきましても五等級になり得るような、そういう専門の職名を設けまして、そういうことで五等級を出すというようなことをいたしておるのでございます。五等級以上というようなところ、つまり、役付か専門職というようなものの割合を、全職員に対する割合で見てみますと、七割七分くらいになっておる。全省庁を通じてみますと、四五%くらいというようなことで、これは宮内庁事情に対しまして特段の考慮を払ったということでございます。  また、行(一)の五等級、六等級の数が行(一)全数に対してどれくらいになっておるか——これはまた六〇%くらいになっておるというようなことでございます。今後、もちろんわれわれは、これは宮内庁だけの問題ではございませんが、やはり一つの等級の上位号俸あたりを、五等級、六等級別につきまして十分厚く考えていく。これは二、三年そういうことでやってまいったつもりでございますけれども、今後さらにそういうことを進めるということを一般的にやらなければならないと思っておりまするが、なお、宮内庁の特殊事情に対しましては、十分実情に即して運営をわれわれのほうでも考えてまいりたいと、このように考えております。  なお、行(一)につきまして、特に六等級だけの数字を持っておらないのでありますが、全省庁を通じますと、行(一)の平均年齢三十五、八歳ということになっておりますが、それに比べまして、宮内庁は行(一)の平均年齢が四十三・六歳ということで、相当高い平均年齢ということになっております。
  141. 北村暢

    北村暢君 ただいまの説明にありましたように、宮内庁の場合、平均年齢が大体七、八歳くらい上なんですね。したがって、この五等級のところでも、普通のところであれば四十歳前後という平均年齢が、五十歳近い四十九歳であるということですね。それで、この五等級が頭打ちになっておるという実情だと思うのです。したがって、こういう点からいくと、給与の面においても、年齢が高いだけに他官庁との給与の差というものが私は出てきて、実際的には非常に生活が苦しいのじゃないかと、こう思うのですがね。したがって、私は、この点をいままでもだいぶ努力されてきたようでございますが、今後一そうこの部分については特に配慮をして、改善の方策をひとつ講じていただきたいというふうに思います。  それから次に、行政職の(二)でありますが、行政職(一)の総人員が定数において六百七十九名、それに対して行政職(二)が四百四十一名であります。これは他官庁に比して非常に行政職(二)の職員が多いわけですね。行政職(一)の職員に近いくらいの行政職(二)の職員がおる。これは全公務員から見れば、行(一)が四に対して行(二)が一くらいの割りになっているが、これだというと、ほぼ同じくらいだ。これは私はたいへんな問題だと思うのです。したがって、これは当然ほかの官庁でいえば行政職(一)になっているべき人が行政職(二)でもって押えられておるのじゃないか。これも長いしきたり、非常に宮内庁というところはしきたりを重んずるところですから、身分差においても、しきたりそのままを維持してきておる。これが私はあらわれてきておるのじゃないかというふうに思うのです。この点については改善の必要があると思うのでありますが、いかがでしょう。
  142. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 御指摘のように、宮内庁におきましては、行政(一)に対して行政(二)が三対二くらいな割合であります、数としては。これはいろいろ宮内庁の行なっておられます業務の関係から、こういう実情になっておることであろうと、大局的には存じます。そこで、人事院といたしましては、これは宮内庁だけの問題でございませんが、各省庁を通じましてその職務に適合した俸給表が適用されておるかどうか、こういうような問題について、かつていろいろ苦情を受けたことがございまして、まあ、そのつど振り返ってみて、そういう事情があれば正していくという措置をやってまいったのでございます。しかし、実情として、現在全部それが完結しておるとも考えておりません。こういう問題につきましては、われわれ今後とも努力いたしまして、やはりその業務に適した俸給表が適用されておるかどうかという問題は十分検討してまいりたい。場合によりましては、個々の問題としてケースバイ・ケースで処理をしてまいりたい、このように考えております。
  143. 北村暢

    北村暢君 たとえばですね、もう時間がないですからあれですが、たとえば自動車の関係でお伺いいたしますが、自動車の関係で行(一)と行(二)とどういうふうになっておりますか。
  144. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 自動車の関係について申しますと、自動車の運転員でも、自動車班の係長になっておる者がございます。これは行(一)になっております。それ以外は行(二)というふうになっております。
  145. 北村暢

    北村暢君 他の官庁はどうなっておりますか。
  146. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 自動車の運転手は、われわれのほうの取り扱いといたしましては、いわゆる技能乙ということで、これは行(二)俸給表を適用するということが原則になっております。ただ、車庫長という場合におきましては、まあ車庫長というより、やはり自動車関係の業務をいたしておりましても、それが一般行政事務であるというような場合には行(一)が適用されますが、一般の場合におきましては、自動車運転手は技能乙ということで行(二)俸給表の適用、こういうことになっております。
  147. 北村暢

    北村暢君 これは一般の官庁並みから見れば、比率において、私が先ほど申しましたように、非常にこれは行(二)の職員が多過ぎるような感じがいたします。したがって、これは改善する必要があるならば、そういう点でひとつこれは今後の問題として検討していただきたいと思いますが、御意見をひとつ伺っておきたい。
  148. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮内庁職員の勤務の内容が普通の他の官庁と違って、その運転している人とか、あるいは馬のほうの世話をする関係とか、庭園を整備するとか、あるいは御料牧場の関係のいろいろその動物の世話あるいは耕作に従事するとか、他の官庁に比較すると、そういうような種類の技能的な仕事をしている人の数が多いもんだから、こういうパーセンテージになっておると思いますが、しかしながら、待遇の改善ということにつきましては、今後も人事院ともよく協議しまして、できるだけ努力したいと思っております。
  149. 北村暢

    北村暢君 これで私の質問時間が来ましたから終わりますが、この宿舎の充足率、資料いただきましたが、不足戸数八十三戸ということで、充足率からいくというと、六九・二五%ということで、この点は他の官庁と比較してどうかということについてははっきりいたしませんけれども、この点、他の官庁と比較してどうなっておるか、それからまた、非常に特殊な職場でございますから、先ほど申しましたように、この通うにいたしましても、馬関係だの自動車だのというと、朝早く夜おそくということでは困るというような点もあったようですが、そういうような点からいって、宿舎の不足分というものはどういうふうに充足するおつもりであるのか、こういう点についてひとつお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この宿舎の不足戸数、まだありますが、これにつきましては、結局、予算を伴うわけでして、大蔵省のほうともよく折衝しながら、この不足数をできるだけ少なくするように努力をいたしていきたいということであります。  なお、他の官庁との比較は、これは、他の官庁のことでよくわかりませんが、感じで申しますと、充足率としては宮内庁は高いほうのようであります。
  151. 北村暢

    北村暢君 最後に私は宮内庁に要望しておきますが、宮内庁というのは、どうも他の官庁との接触その他というものがあまりないので、内輪でやっていることが一番いいというふうに思われる節がないとは言えない。先ほど来私が申し上げているように、どうも古いしきたりなり何なりというものを非常に重んずるところでありますから、他の官庁でどんどん改革されていることがですね、おくれおくれで宮内庁が実施する、まあ、こういう傾向なしとしないわけであります。したがって、宮内庁という特殊な役所につとめている職員は泣き寝入りのような状況がないとは言えない。そういう点ひとつ十分配慮されて、今後に対処していただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  152. 二宮文造

    二宮文造君 私、宮内庁に資料提出をお願いしたいと思っておるわけですが、八項目ほどありますので、ひとつお願いします。  その一つは、高輪南町にあります通称高輪御殿と言われておるあの土地についてでございます。第一に、東久邇家がこの高輪御殿に居住されましたその事情、及び、もし賃借り料を取っているのであれば、その有無、私は特にこの中でお伺いしたいことは、東久邇家のほうから申請をされて、そうして、そこに居住されたのか、あるいは宮内庁のほうの意図によって東久邇家がそこに居住されたのか、その辺を知りたいわけです。もしも東久邇家からの申請によるものであれば、その申請願いの写しを御提出いただきたい。  第二番目は、この件に関しまして所有権確認等の訴訟が東久邇家から出されました。後日それが取り下げられております。したがって、その経緯と、それから裁判における主要な論点、これは宮内庁側で理解している程度でけっこうでございます。  第三番目には、この土地大蔵省の普通財産に移管されました年月日及び移管に至ったその経緯。  第四番目には、大蔵省の普通財産に移管されますまでに、この土地に関して払い下げの申請がありましたならば、その申請者、申請年月日、その理由。  それから第五番目に、下田方面に新たに御用邸を取得したいというような意向も伺っておるわけですが、それにつきましての宮内庁の見解。  第六番目に、これは一と関連をいたしますが、東久邇家が確かに居住されたことは事実でございますので、宮内庁としては、東久邇家がこの土地に対して地上権かあるいは借家権か、そういうふうな権利を国に主張する立場にあるかどうかということの宮内庁の見解をお伺いしたいと思います。  第七番目に、京浜急行が、宮内庁ないしは旧皇族で組織をしております会、たしかこれは任意団体だろうと思いますが、それらに対しまして寄付をしたことがあるかどうか。また、宮内庁あるいはそれらの団体が寄付を受納したことがあるかどうか。  第八番目には、東久邇家が現住所に移転した年月日、これはたしか宮内庁でも御存じだろうと思いますので……。  以上八点につきまして資料をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょう。
  153. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) いまの御要望の資料については、作成をいたしまして提出いたします。
  154. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言がなければ、宮内庁決算審査は、本日はこの程度にとどめたいと存じます。     —————————————
  155. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより昭和三十九年度決算外二件を議題といたし、北海道開発庁の決算について審査を行ないます。  まず、北海道開発庁の決算について説明を聴取いたします。福田国務大臣。
  156. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 昭和三十九年度の北海道開発庁経費決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁に計上されている予算は、治山治水対策、道路整備、農業基盤整備等の開発に必要な事業費のほか、これらの事業を実施するため必要な工事事務費及び付帯事務費並びに開発計画の調査に必要な開発計画費及び一般行政に必要な経費であります。  昭和三十九年度の当初歳出予算額は八百九億八千五百三十五万九千円でありましたが、昭和三十九年九月以降政府職員の給与を改善するため、四億三千百六十七万八千円の予算補正追加額及び七億三千百八十七万七千円の予算補正修正減少額があり、また、国立機関原子力試験研究費として科学技術庁から百八十六万千円の移しかえを受けまして、これに、総理本府から移用した額二百五十四万五千円、予備費使用額千八百八十三万八千円を加えますと、総額は八百七億八百四十万四千円となります。この額から、関係各省へ移しかえた額二百二十五億六千五百八十三万五千円を差し引きますと、昭和三十九年度歳出予算現額は五百八十一億四千二百五十六万九千円となったのであります。  これに対し、支出済み歳出額は五百八十一億三千八百六十六万四千円でありまして、この差額三百九十万五千円は不用額であります。  北海道開発庁の予算のうち、主要なものは、北海道開発計画に伴う開発事業費でありますが、開発の総合的かつ効果的推進を期するため、その予算を一括して当庁に計上し、使用にあたっては、関係各省所管の一般会計へ移しかえまたは特別会計へ繰り入れの措置を講じ、直轄事業については北海道開発局が、補助事業については、道、市町村等が実施に当たっているものでありまして、各省所管別に移しかえ及び繰り入れの状況を申し上げますと、移しかえでは、厚生省所管の厚生本省へ移しかえた額一億千八百三十万円、農林省所管の農林本省へ移しかえた額百五十九億百九十三万七千円、農林省所管の林野庁へ移しかえた額十億七千六十万円、農林省所管の水産庁へ移しかえた額二十三億八千百十九万千円、運輸省所管の運輸本省へ移しかえた額五億千六百十万円、建設省所管の建設本省へ移しかえた額二十五億七千七百七十万七千円、合計二百二十五億六千五百八十三万五千円であります。また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、建設省所管の治水特別会計へ九十二億七千五万八千円、建設省所管の道路整備特別会計へ三百五十六億七千八百七十二万六千円、農林省所管の国有林野事業特別会計へ八億三千二百二十八万千円、運輸省所管の港湾整備特別会計へ三十八億二千八百八十五万円、合計四百九十六億九首九十一万五千円であります。  次に、その他の経費予算に定める項別の支出につきましては、北海道開発事業工事事務費で六十一億九千八百四十七万七千円、北海道開発事業付帯事務費で二億三千五百七十七万八千円、北海道開発計画費で一億二千七百七十八万七千円、北海道開発庁で十九億六千四百八十四万五千円、国立機関原子力試験研究費で百八十六万千円であります。  最後に、不用額につきまして、その主要な項と理由を申し上げます。  北海道開発事業工事事務費で百六十九万六千円、北海道開発庁で二百九万千円でありますが、この不用額を生じました理由は、職員俸給等の人件費を要することが少なかったためであります。  以上、昭和三十九年度北海道開発庁の決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  157. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。佐藤会計検査院第三局長
  158. 佐藤三郎

    説明員佐藤三郎君) 昭和三十九年度北海道開発庁決算検査の結果、特に違法、不当として申し上げる事態はございませんでした。  なお、北海道開発局に関連するものといたしまして、検査報告の一三九ページ以下に、国道と国鉄との立体交差化工事の実施につきまして、立体交差する個所の国道のほうはできておるのにもかかわらず、国鉄のほうの工事がおくれているために使いものにならぬというようなものがございまして、立体交差化工事の促進についての改善意見を述べたものは記載してございます。  以上でございます。
  159. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
  160. 竹田現照

    竹田現照君 最初に、運輸省航空局長をお待たせしてありますから、これを最初にいたしますが、最近、長官あるいは自民党の川島副総裁が北海道に行かれて、千歳空港の国際空港昇格問題について、それぞれまあ新聞の座談会や記者会見をやられているわけですけれども、これと並行して札幌郊外の石狩町親船の問題が最近提起されているようです。長官がついこの間北海道へ行かれたときの、国際空港昇格の問題の具体的な構想といいますか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  161. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 先般、北海道の札幌冬季オリンピック大会に関連する現地視察をいたしました。その際、関連事業の大きな仕事の一つとして、ただいま御質疑の国際空港の問題に触れたわけであります。  で、私は前から考えておったわけでありますが、二つ問題が空港に関してはあるのではないかと。一つは、国内空港の整備を促進すること、第二には、現在防衛庁と民間との合同使用による矛盾、不便というものをいつかは解決せんならぬではないか、この二つを考えております。幸い、札幌に冬季オリンピック招致が決定いたしました。これを機会にこの二つの問題を解決いたしたいと思ったわけであります。  第一は、丘珠の飛行場を整備いたしたい。また、第二については、この際、思い切って北海道にりっぱな国際空港を建設すべきだと私は個人の立場から考えたわけであります。党の立場、与党の立場からは、川島副総裁がお考えで、私は北海道の開発の立場から、この際、長年の懸案でありました防衛庁とも協定を結び、さらに将来も北方の国際航空路の発展を考えて、それに対処し得る国際空港をつくろう、こういう判断を持ったわけであります。そこで、オリンピックの関係事業の一つとして、いままでのような併用した弊害を矯正するとともに、国際空港をつくりたい。現在、御承知のように、東京と大阪に二つございますが、第三の国際空港をつくりたい。もとより、その場所あるいは規模等につきましては、今後とも専門家の精密な検討を待たなければなりませんが、方向としては、この際、ぜひ国際空港、地元の強い要望もありますので、国家的に見てもこの際建設すべきだという考えを持って現地で発表いたしました。  帰りましてから運輸大臣並びに防衛庁長官と折衝いたしまして、幸い、原則的な賛同を取りつけました。今週の金曜日、最後的な三省間の打ち合わせ会をやりまして、政府としての国際空港に対する基本的な考え方を決定する、内定をする考えであります。
  162. 竹田現照

    竹田現照君 運輸、防衛、開発、三省庁の原則的な一致というのは、現在地で長官が言われたように、国際空港昇格というのは、現在ある飛行場が上がることであって、新たに設置するというのとちょっと違うわけです。副総裁も長官もともに、空港昇格ということでお話しになっているのですが、この三省の、二十二日にお話し合いになるという点の原則的なお考え方というのは、現在の千歳空港を昇格させるという前提で話し合いをされるのか、新たにまた適地を設けて、そこで新しい国際空港をつくると、そういう形でお話し合いをされるのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  163. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 現在の千歳空港を昇格して国際空港という考えを持っておりません。いまの滑走路は三千メートル足らずでありまして、あれをよしんば、ある程度拡張いたしましても、というてい、先ほど申し上げた国防に専用できる、防衛庁と話し合いは無理でございます。私はまた個人の考えで、所管の運輸大臣、あるいは関係の防衛庁長官のお話を聞かなければなりませんが、私個人の立場のお尋ねに対するお答えとしましては、二つつくるべきである。一つは、国防専用の、防衛庁が専用し得るもの、もう一つは、民間用の国際空路に適切なる国際空港、この二つを考えておるわけであります。
  164. 竹田現照

    竹田現照君 その点もう少し歯切れよくお願いをしたいのですがね、たとえば丘珠を整備するといっても、これはちょっと国際空港には不向きだと思います。端的にいって、いまの千歳は防衛庁との共用ですから、いまお話あったように不適格である。あるいはまた、あの周辺に新たな滑走路をつくって、現在民間航空のターミナルのあるあたり、あの周辺を昇格せしめるとか、いま現地で十五、六日ごろから突然出てきておりますけれども——長官談話に関連して動きが出てきているわけですけれども、それが先ほどお話しした札幌の大体近郊、こういうところに適地を求めて空港を設置されようとされるのか、その点、二十二日、三省間でお話しになって、政府として内定をしたいというわけですから、ほんの二、三日しかないわけなんですが、この点は大体御構想ができておられると思いますし、さきに三省間でお話があったわけですから、その点は原則的な一致というものは、どういう方向で一致をせられ、二十二日にきめられようとするのか、いまの段階でお答えができないならできないでいいですから、していただきたい。しかし、できなければ、オリンピックに関連をするのですから、あまり三里塚のように、三年先、五年先の話じゃないわけですから、近々の問題だと思うのですが、どういう方向で政府は決定をされるのか、その点をお伺いしたい。
  165. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 御指摘のとおり、丘珠ではとうてい無理であります。あれは国内空港としての整備を要する点を改善するにとどまります。あくまで二つ必要だと思います。ただし、札幌方面の地元の御要望では、その近郊にという強い要望があるように伺っております。しかし、私は、この際、専門家の検討にまかせて、どこにするか、あるいは、どういう規模にするかは一切白紙で、二つつくるという原則で話を進めるのが適当ではないか。最近、率直に申しまして、千葉県その他の問題でも、相当政府としては苦慮をいたした例がありますので、前車の轍は踏みたくありませんので、慎重に専門家の御検討にまかし、なおかつ、地元とは十分な了解を取りつけたい、こう考えておるわけであります。
  166. 竹田現照

    竹田現照君 運輸省の航空局としては、二十二日、三省話し合いに臨むにあたっての考え方はどうですか。
  167. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) トップレベルのほうでそういう話し合いがあったことでありますが、私ごく最近航空局長を命ぜられて、まだよく事情を聴取しておりません。帰りまして大臣にそういう話し合いの内容を伺いまして、よく検討をいたしたいと思っておりますが、従来より軍と民間が共用しておる飛行場が幾つかございます。これはいろいろ危険もありますので、できるならば軍民を分けたい、こういう希望は運輸省としてもずっと前から持っておったわけでございます。したがいまして、この北海道の千歳につきましても、もし別な民間の専用飛行場ができるならば、これに越したことはない、そういう考えは従来より持っておりますので、せっかくのそういうけっこうな話でございますので、来年度予算では調査費くらいはとってぜひ慎重に検討をいたしたい、かように存じております。
  168. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、こういうふうに理解してよろしいですか。現在の段階では、政府としては国際空港をつくるという考え方にはあるけれども、白紙で検討をする、しかし、オリンピックに間に合わせるようにつくるということは、それは確認してよろしいですか。
  169. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 先般の閣議で、来年度予算要求額の問題が出まして、大蔵大臣の発言がありましたので、私は、オリンピックの関係は三割増のワクには適用されないものと思うという要望を表明いたしたわけでありますが、いまの運輸省側の答弁にありますとおり、オリンピックに関係ありますし、そう長い期間をかけてゆっくり取り組む問題ではございません。白紙でいきますが、すみやかに、やはり専門家の検討を急いでもらいまして、決定された上は、少なくとも大体四年くらいで完成することを目標にしてもらいたいと、私はそう考えております。
  170. 竹田現照

    竹田現照君 長官の構想は現地でいろいろと新聞発表されておりますからわかりますが、これをめぐって、やはりいろいろとよけいな誘致合戦、陳情合戦というものが起きてくるとかえってまずいし、長官なり、総裁、副総裁の談話に関する限り、すなおに受け取れば千歳空港の昇格、あの辺の整備拡充をしての昇格、そういうような記事として受け取っておったわけですけれども、いま私がお尋ねしたように、来年度予算調査費、四年後、オリンピックに間に合わせるようにつくるという長官の言明がまだないようですけれども、もう一度その点、確実に国際空港というものを北海道に設置する、そういうふうにあらためて念を押しますけれども、その点はよろしいですか。
  171. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 空港関係は、御案内のとおりこれは運輸省の所管でございまして、私どもはあくまで促進する立場でございます。今週中の三関係大臣——所管大臣たる運輸大臣を交えての話し合いで方向がはっきり打ち出されると、こう考えております。
  172. 竹田現照

    竹田現照君 航空局にもお伺いしますが、長官は非常に慎重なことを言っておりますけれども、この間の現地における北海道新聞の編集局長との対談の内容では、「国際空港への昇格は、オリンピックのためだけのものではない。羽田空港の予備という考えなどではなく、北の玄関口としての大国際空港にしたい。」、そういう前提の上に立っているわけですから、所管が運輸省だというだけじゃなくて、やはりとりわけこの問題に関心のあることについてお答えになっており、与党の副総裁もそういうことを言っておられるわけでありますから、しかも、三省間のお話し合いというものは一応されて、原則的な方針というものは一致をされたと、こう見られるわけです。二十二日は、しかもこれについて最終的な話し合いがあって、政府として態度を内定したいと、こういうわけですから、これはもう決定直前の問題だと理解していいと思うのですが、これはあれですか、それほどまだあいまいに答えなければならぬものなのですか。たいへんむずかしい政治的要素が動くからそういう答えになるのでしょうけれども、ある程度そのものずばりに答えられないのですが、運輸省と——三省と全然話をしてない前提でしたら——私は、開発庁長官考え方としてお聞きしておきますけれども、すでに三省との間に原則的な一致を見ている前提の上に立って、どうする、しかも、一カ月後じゃない、二十二日に最終のこの内定をしようというお話し合いをされようとしているわけですから、これはもう腹の中はわかっています。いかがですか。
  173. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) いま記事の引用がございましたが、私は、これは個人の考え方を率直に述べたのでありまして、オリンピックにももちろん関係がございます。おそらく六年後の冬季大会には、ソ連あたりは船で来るようでありますが、ほかの選手その他は、相当の数の飛行機で来る、とてもいまの飛行場ではさばき切れない、国際空港が必要になっていく。しかし、それだけではなくして、おそらく米ソの航空協定も時間の問題でありましょうし、北方における航空路は相当変更を見るような感じがいたすわけであります。その場合には、北海道が大きな拠点になるという考えを私は持っているわけでございます。それをそのまま率直に新聞社の人と話し合ったわけでございます。  最後に、はっきりものを言えないかという御質疑でございますが、先ほど申したとおり、所管はあくまで運輸大臣、内輪の話はやっておりますが、正式に三者話し合うのは今週初めて、その上でおそらく運輸大臣からまとまった考えを発表できるのじゃないかと、こう考えております。
  174. 北村暢

    北村暢君 関連して。そのいまの問題に関連してお伺いいたしますが、先ほどの御答弁の中で、千歳ば軍との、自衛隊との共用であるから、これは将来改めたい、そのためには現在の千歳の国内空港を、これを丘珠を整備することによって、千歳の民間の国内の空港は丘珠にする、それ以外に白紙の立場で国際空港というものを考えたい、こういうことに理解して差しつかえございませんか。
  175. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 丘珠は、御案内のとおり純然たる国内航空、しかもまだ整備は実に不十分でございます。この整備も促進して急ぐ必要がありますが、いまお尋ねのそれと別に、千歳以外の飛行場を国際空港として——しかし、どちらを国際空港にし、どちらを防衛庁の専用のものにするか、これはもう専門家のこれからの検討にまちたい、こう考えておるわけでございます。
  176. 竹田現照

    竹田現照君 長官、なかなかはっきりしないのですよ。千歳は防衛庁と民間といま共用ですね。これはどうもまずいという、先ほどのお答えはまずいということになれば、あれは国際空港昇格はだめだということになるわけですね。ならなければおかしいわけです。そうすると、また新たに別につくるということになるのであれば、そういうふうにお答えをいただきたい。それからまた、防衛庁に適格な飛行場をまた別につくって、千歳を防衛庁から切り離して民間専用にして国際空港に昇格させるというなら、そういう方向もあるわけです。しかしまあ、いまの防衛庁の関係からいって、それは事実上不可能だとすれば、私は、民間との共用がまずいのだという前提に立つならば、新たに設置するというふうに理解していいのじゃないか、そのほうがすなおではないかと思うのですが、そういうふうに理解をしてはいけないのですか。
  177. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 御説明が少し足りないであるいは誤解ないしは不明な点があったかもしれませんが、私の考えは、丘珠はあくまで国内用として整備したい。それからいまある千歳の空港は、防衛庁と民間の共同使用、それではいつ事故が起こるかわからない。幸いオリンピックもあることであるし、将来北方航空関係状況の面から考えましても、やはり相当規模の国際空港が必要じゃないか。そこで東京、大阪に次いでの第三国際空港を設置いたしたい。それには、いまの千歳空港をいわば防衛庁の専用にし、ほかに新たに国際空港をつくるとか、あるいは千歳を拡張して国際空港にして、防衛庁の関係はほかにつくるとか、そういう点は一切白紙でございまして、専門家の意見を十分検討して結論を得たい、こう考えております。
  178. 竹田現照

    竹田現照君 じゃ、全く白紙で、早期に検討して結論を出す、こういうふうにいまの段階では理解してよろしゅうございますね。では航空局長よろしいです。  それじゃ、あとに触れようと思いましたけれども、オリンピックに関係しましたからちょっとお聞きいたしますけれども、このオリンピックに関係をして北海道の開発予算との関係ですね、関連公共事業に、道路に三百七十億、約一千億かかる、こう言われておるわけです。これは、構想の段階でありましょうけれども、この一千億の内容というのは、大体どういうことなんですか。
  179. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) これは、前に私も組織委員を当時しておりましたが、東京大会の例を考えて一応の構想を打ち出したわけです。競技場そのものは大体六十億——競技施設は六十億、しかし、これに関連する空港、道路それから環境整備その他を合算いたしますと、大ざっぱにいって約千億ないし千二百億、詳細につきましては、今月中に発足します組織委員会でまず第一にこの問題を取り上げられ、また、施設特別分科会も設置されると思いますが、そういう、場合によっては中味がこれも専門家を動員して相当具体化するんではないか。ただ私ども急いでこれを打ち出している考え方は、どうも一部にまだ六年先だからいいんじゃないかといった安易なムードがございますので、東京大会の苦い経験を考えて、ブレ・オリンピックもありますし、少なくとも四年以内に完成しなければいけない。それには来年から一部の予算を獲得して作業を始めませんと、北海道は、あなたがよく御存じのとおり、工事期間も相当短縮されておりますし、相当急いでやらなければできませんので、はなはだ大ざっぱな計算でありますが、一応の構想を出し、正式には今月中の組織委員会でいろいろこまかく各分科会を設けられて決定されるものと、こう考えております。
  180. 竹田現照

    竹田現照君 わかりました。  それから、このオリンピックに関係をする問題に関連をして、これは国会の内部でもそういう意見がありますけれども、北海道開発予算を札幌周辺に対して集中的に使われてしまうと、結果的には。だからその北海道全般としては少し考えなければならぬという意見も聞く。これは本来オリンピックとは別のことですから、オリンピックに関係するものは全く別ワクである、そういうふうに私は理解をしているわけですけれども、この点は、政府として明確にいままでの開発計画、これからの計画に基づくひとつのかかる金、これと冬季オリンピックに伴う純然たる金というものは混合することなくはっきりと分けてこれは予算というものはつけられるものと、そういうふうに理解をいたしますが、この点、そのように理解をしてよろしいのか。それでなければ、札幌という局面に限られた問題でありますが、北海道民全体のオリンピック問題に対する協力は得られないということを心配をいたしますからお伺いいたしますが、それと、オリンピック関係の施設の実施官庁というのはあれですか、この現地の開発局が一括して当たられるようになるのか、この点もあわせてひとつ……。
  181. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) この前の非常な成功を見ました東京大会の予算措置を考えてみますと、やはり同じようないま御提示になりました問題が起こりまして、結局込みにしてやったわけでありますが、約一千億かかりました。この問題はやはり一つの参考になりますが、今度の冬季オリンピック大会でかりに一千億関連事業を含んでこれを別ワクとして開発庁関係予算と別に分けてやるべきか、あるいは東京大会のように込みでやったほうがよいか、これは今後の政府関係各省間の折衝にまつところで、まだその方向は打ち出すには早いわけであります。私たち個人の立場を言えば、いかにして有利に開発できるか、同時に、事業が完成できるかという観点からこの問題を取っ組みたいと思いますが、まだその方向は一定しておりません。  なおまた、しばしば現地も視察させていただいておりますが、常に、オリンピックが決定する前から現地の陳情は、どうも道央に偏向しているのではないか、予算の問題も恵まれ過ぎているのではないかという声を前から聞いておりまして、今度のオリンピックの決定を機として、さらにその格差の心配は、あるいは道北あるいは道南、道西の各地区の格差解消の御要望が強いようであります。先般も稚内に行きまして、そういう御意見を伺いまして、これはあくまで格差ということは、従来どおり十分配慮していくべきであろう。御心配は非常にごもっともでありますけれども、当然オリンピックは札幌でありますから、札幌は相当重点的に恵まれることは事実です。それによっていままでの整備計画を変更したり、あるいは開発途上の問題について格差が起こる、偏差が増すということはあくまで避けるべきです。この点をはっきりと現地の方々にも引き続いて御説明をしておるわけであります。この点は御心配ないと思います。
  182. 小熊清

    政府委員(小熊清君) オリンピック事業の実施官庁でありますが、事務的な観点から……。  北海道開発庁は、御承知のように建設省関係運輸省関係、農林省関係、それから官庁営繕関係、それから委託を受けて建築関係の事業をやっております。オリンピック関連の事業費はまだ具体的な確定は見ていないわけでありますが、その中には、あるいは広い意味では国鉄の複線化、化をするというようなことも入ってくると思います。従来の開発局以外の官庁で実施しているものにつきましては、やはり同じように国鉄なり他の官庁で実施することになると思います。ただ道路とか港湾あるいは空港といったようなもの、これは従来の公共事業と同様に開発局で実施することになろうかと思います。それから競技施設そのものでございますが、これはまだ文部省なり建設省と十分な打ち合わせをしておりません。組織委員会の発足後だんだん固まる過程において固めていきたいと思っておりますが、場合によりましては、現地の開発局の営繕の担当の部局がございますが、そこで施設の監督といいますか、行なうことになるかと思っております。
  183. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃ、組織委員会がいずれにしても発足しないうちは、まだ具体的にならぬわけですから、オリンピック関係に関連してひとつこれは長官に特にお願いしておきますが、これは杞憂じゃなくて、御承知のように来年地方統一選挙がありまして、とりわけ札幌市長、こういう選挙はオリンピック誘致をめぐって一つの政治的なあれもあります。決定をしましたものですから、これはいわゆる与野党ともこれについて現在協力してやるということになっておりますが、最近どうも総裁や長官として、また、九月に一日内閣があるそうでありますが、少なくとも、多分にオリンピックを利用して地方選挙に関連をさせるというような発言だけは厳に政府自体は慎んでいただかなければならない。オリンピック憲章の精神からいってもはずれることでありますから、非常に発言のしかたは微妙であると思います。政府関係者が行って、オリンピックのただいまの一番関心事を聞かれるということですから、この点は慎重の上にも慎重を期して、このオリンピックの精神をゆがめないように特にこの点要望しておきます。長官にひとつお願いします。
  184. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) もちろんこういう民族の祭典でございますので、あくまで明朗にして、そうして公正にオリンピック精神を貫くのは当然でございます。また、選挙につきましては、地元の市民の方々の御判断がこれにあらわれるわけでありまして、私どもは選挙を意識し、それに対していろいろな軽薄な言動というようなものは一切避けておりますし、今後そういうようなことは断じてやるべきでないと考えております。
  185. 竹田現照

    竹田現照君 それでは総合開発計画の中でちょっとお伺いをいたしますが、たくさんありますが時間がありませんから、要点をしぼって、この産業基盤の整備状況の中で道路の整備がかなり進んでいるということは認めるわけですけれども、きのうのNHKの何か、観光か何かのテレビ番組じゃありませんけれども、北海道の舗装はまだ一〇%だ、全般的からいけばですね。こういうようなことを考えた場合、なかなか問題があろうかと思いますが、現在の国道の改良舗装の状況というものは、旧一、二級国道込みでもよろしいですけれども、これはどういうふうに進捗をされ、これからどういうふうにこれを改良されようとしているのか、お伺いしたい。
  186. 小熊清

    政府委員(小熊清君) 北海道における国道の舗装の現状と今後の予定に対するお尋ねでございます。もとの一級国道、それからもとの二級国道、これを現在では一般国道で一本になっておりますので一本で申し上げますと、三十九年度末が、最新の確定的な数字が出ております。これは舗装率のパーセンテージで申し上げますと、一般国道全体の延長のうち、舗装済みの延長は三一%になっております。それからちなみに、同じく三十九年度末の全国の一般国道の舗装済みの延長の割合は四九%でございます。これを四十一年度——年度の事業を終わりました暁におきましては、北海道を四九%、それから全国ももちろん上がるわけでありまして、全国は六七%になります。それから、現在進行しておりまする道路整備の五カ年計画の最終年度が四十三年度になっておりますが、その最終年度末では、北海道については、四十一年度末の四九%を七六%に持っていこう、かように計画いたしまして鋭意努力をしておるわけであります。ちなみに、全国は四十三年度末では八五%、なお北海道は全国に対して一般国道においては舗装延長がおくれているという結果になります。
  187. 竹田現照

    竹田現照君 それでは次に、冬季間の交通確保について、まあ長官が歴代長官で初めてことし冬季の交通状況を視察をされた模様でありますけれども、これが北海道としては最も関心のあることでありますし、とりわけ、先ほど話が出たオリンピック等の関係になりますと、冬季間の交通確保の問題について、具体的にどういう構想をお持ちになっておられるか、御説明をいただきたい。
  188. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 北海道の冬季における交通問題は、御指摘のように非常に大事な問題だと思います。従来ともすれば、冬は動けない、活動を休止するような印象を与えていた。これでは非常に困りますので、本年度も除雪費を相当増額しまして、除雪の問題については相当力を入れたつもりでございます。現地も視察しまして調べてみますと、大体感じられるわけですが、どうも除雪の設備機械で老朽化しておる。同時に、あそこはいつも原始的な方法でやられて、除雪問題が根本的にまだ突きとめられておらない。これは各国では世界じゅうの大きな問題だと思いますが、単に雪をある場所からある場所に移すだけという非常に原始的な考えがいまだにとられておる。  第二に問題になっておるのは、雪を溶かすという問題が、科学的な研究が非常に不足でございます。これは私は、北海道の専門の学者の方々にもお願いしておるのでありますが、何か抜本的な除雪の問題を特に考えていただきたい。わずか何億の予算を組んで機械をふやしたところで、これはしれたものでありまして、三分の一くらいが機械力ではもう解決できない段階です。それを毎年繰り返している。まことに残念ながら原始的な段階を出ておらないように思います。もっと本質的に雪害を除いて、何らか、こういう技術革新の時代でございますから、専門家に御研究を願って、抜本的な解決をしていただきたいと、実はいまいろいろとお願いをしておるわけでありますが、特にオリンピックの問題がありますので、新しい道路もできますし、この問題についても十分いまから研究をしてまいりたいと思います。  もう一つは、札幌市内だけでも、御承知のようにまことに情けない冬の交通状況でございます。これに関連した点と都市環境の整備とともに、冬季の道路交通の確保は大きな問題であります。来年度相当大幅に研究費に対して相当助成するといいますか、将来、増額と申しますか、協力もしますが、いままでのような機械をふやすとか、そういったようなものじゃなく、根本的なものにまで持っていきたいと、そういうふうにいま来年度予算に関連して考えております。
  189. 竹田現照

    竹田現照君 金はかなりかかっていると思いますが、たとえばあれですね、千歳からの弾丸道路等も、あれは冬動いておりますけれども、ああいうような年じゅう、どこかかしこかいじくり回していうという道路、北海道と同じ緯度にある欧米の道路も、走って見ればわかりますけれども、冬もどこでもなかなかりっぱなんですね。ですから北海道が北にあるから道路がどうだとかこうだとか言う理屈は、私は、欧米の事情からいってもないと思うのですね。ですから、開発局の道路整備の金が足りないのか、あるいは世上、よくいわれる砂利やセメントを食う者がおってごまかされておるのか、それはわかりませんけれども、冬季間のああいう寒いところの道路というものについて、ああしょっちゅう手入れをしなければならぬというような道路の施工のあり方、こういうような問題はやはり抜本的に考えてもらわなければいかぬだろうと思う。先ほど会計検査院は、何もないというような説明がありましたけれども、私はどうも何もないような気がしないのです、実際は。ですから、そういう点もあわせてひとつ考えていただきたいと思います。  それと、これは五十一国会を通りました国土開発縦貫自動車道路と現行道路との関係ですね、これは、この法律が通るときに、私は、建設委員会でもお尋ねをしたわけですけれども、全般的について考えるというようなことでしたけれども、北海道のように特に開発道路の整備というものがまだまだ要望されている段階におきまして、通りました新法に基づく道路計画、これがいままで進んでいる北海道の道路全般の整備計画、こういうものとの関連の中で支障なりあるいは制約というようなものを受けないのか。現にことしの予算で一応通っておっても、これは研究の段階だそうでありますけれども、なお、幹線自動車道路との関係で検討を加えているところもあるようです。そうなってくると、あの幹線道路がいつ着工されるか私はわかりませんが、すでにこの予算がきまって着工を待っているのだということすらいまちょっと瀬踏みの段階、こういうようなものができてきますと、必然的に新法による制約というものがあらわれつつあるのじゃないか、こういうような感じがいたしますけれども、これはどういうふうにお考えになっておられるのか、この点。  それから、この国道三十六号線と並行する今度の自動車道、こういうようなものは、北海道の経済基盤等からいって、いわゆる有料道路というようなものが北海道に関する限り採算がはたしてとれるのか。とれないとすれば、これは建設省は建設省なりのお答えがありましたけれども、北海道の開発全般を担当されている開発庁として、こういう問題に関してどのようにお考えになっておられるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  190. 小熊清

    政府委員(小熊清君) 北海道に関する国土幹線自動車道の計画によって一般の道路が支障を生じないかというお尋ねでございますが、先般国土幹線自動車道の法律ができまして、北海道においても御承知のように函館−札幌−稚内、それから小樽−札幌−釧路−北見というふうに横断と縦断の二つの幹線自動車道が認められたわけです。しかしながら、先生御指摘のように、幹線自動車道はもちろん必要でございまするが、北海道においては、なお一般のいわゆる無料の道路と申しますか、一般公共で実施する道路の整備というものが、道路の密度においてもまだ本州よりも相当劣っております。舗装その他の整備度についても、先ほどお答え申し上げましたように、なおこれから馬力をかけて本州の道路に追いついていかなければならぬという状況でございます。したがいまして、高速自動車道路は道路といたしまして、私どもといたしましては、明年度以降もさらに一般公共関連の道路、一般公共事業の道路についても現在以上に整備を進めていくというふうに考えておりまして、また、そのように建設省のほうにもいろいろ話を申し上げておる次第でございます。  それから具体的な例としてお出しになりました開発路線が幹線自動車道のために着工が遅延しておるというお尋ねでございます。ただいま建設省のほうと鋭意話をつけておりますので、間もなく着工の運びになろうかと思っております。一般的には幹線自動車道のために一般道路の今後の整備が阻害されるというようなことはないように、むしろ一般道路のほうもいまに倍してさらに整備を促進するというふうな心がまえでおります。
  191. 竹田現照

    竹田現照君 時間がないので簡単にちょっと項目でお尋ねしていきますが、開発局が出しておる「北海道の開発」という本にも書いてありますが、これは年々増大する開発予算に比べて定員不足に悩まされている現状だ。これの解決については、昨年暮れ私は長官にも、今年度予算の際に、ぜひ行管長官としての立場からも解決をしてもらいたいという要望をしたわけですけれども、十分に充足されておらないのであります。この事業の大型化、それから測量、設計、そういうようなものが外注でカバーをされている面がだいぶあるようです。しかし、開発局自体の事務の簡素化、合理化、そういったこともおのずから限界がありますけれども、この事業の大型化によって、必然的に地元の中小企業に対する圧迫になってあらわれているような面がないのか。私の杞憂であれば別でありますが、勢い本州の大手メーカーの進出によってそういうようなことが現にあらわれているような気がいたしますけれども、そういうようなことは現実に起きておらないのか。その点、もしあるとすれば、これらに対する解決策は、開発局が現にわれわれに配っている、皆さんに配っているこういう本の中にも、先ほど私が指摘したようなことが書いてあるわけですから、これはどうしても開発局としても解決していかなければならぬ問題だと思うのですが、こういう点についてどうお考えになっておられるか。
  192. 小熊清

    政府委員(小熊清君) 御指摘のように、開発事業費のほうは年々一割五分程度増加しております。しかしながら、これに従事いたしまする職員の定員というものは、増加いたしましてもきわめてわずかな数でございまして、とうてい事業費の増加に及ばないのは御指摘のとおりであります。  開発庁といたしましては、お話しの工事規模の大型化でありますとか、あるいは外注、さらに組織の整備、職員に対する研修、適正配置といったようないろいろとくふうを極力こらしまして、職員に無理な負担がかからないように、そして事業が消化できますようにというふうに気を配っているわけでございますが、お話しの工事規模の大型化に伴って内地業者によって地元の業者が圧迫されるのではないか、そういうお尋ねでございます。私のいま手元に三十九年度の発注金額の道内業者と道外業者の数字がございますのでちょっと申し上げてみますと、三十九年度直轄事業で二百七十四億円ばかりのうちで、道内業者は二百十七億、それから道外業者に対しては五十六億と、約八割と二割ということで、発注金額に関する限りは、道内業者のほうに非密に大きな発注がなされておるというふうに、資料を持っておるわけでございます。ただ、非常に大きな工事、多目的ダムでありまするとか、非常に大きな工事で、道内の業者にたまたま適格な業者がいないといったような場合に、中央のあるいは大手業者等が工事をとる場合もございますが、開発局のほうでも、中小の業者は、たとえばジョイントベンチャーといったような、共同体といったような方式を極力勧奨をいたしておりまして、道内の業者が道外業者に押されて思うように仕事がとれないということのないように気を配っておるつもりでございます。
  193. 竹田現照

    竹田現照君 長官にお伺いしますが、去年の八月、長官はこの北海道東北開発公庫の分離について語っておられたようです。これは一つの公庫であったのでは開発がはかどらないので、北海道開発専門の公庫を現地に置く必要があるので、大蔵省と原則的に意見の一致を見たと、八月二十七日に語っておられますけれども、これはその後立ち消えになったのかどうかさっぱりわかりませんけれども、これは北海道東北開発公庫を分離をされるというお考えはお変わりになっておらないですか。
  194. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 北海道開発の金融的にきわめて大きな使命を持っている北海道東北開発公庫は、東北方面を含みさらに新潟県も含んでおる、私は矛盾を感じておるわけであります。ただ、いろいろ経緯を見ますると、やむを得ない政治的な動向もあったわけでありまして、当初私は、北海道開発に専念している立場から申しますと、分離は好ましい。しかし、大蔵省と話し合い大蔵大臣と話し合いをしたが、その点は意見の一致を見ませんでした。やはりいままであの公庫ができまして、一年たって東北がつけ加えられたいろいろな情勢もあっておるようでありまして、いま直ちに分離ということは無理である。私個人はやはり分離論を考えておりますが、実際上、政治的な諸般の情勢から見ますると、分離はなかなか困難である。そこで、やむを得ず現地重点主義をとりまして、現地に、札幌及び仙台に現職の理事を置きまして、単独に決裁をする範囲を広げまして、東京でおもなものを取り扱うという東京中心の弊だけは改めまして、利下げでありますとか——権限拡大とか、部分的な改革をはかっております。しかし、いままでのような公庫の動きでは私ども決して満足はいたしません。まだまだくふうをし、そしてまた内容的にいわば開発という大きな国家使命の立場に立って御研究を願いたい、こう考えております。
  195. 竹田現照

    竹田現照君 最後に、長官も御存じになっておると思いますが、ことしの春以来現地で問題になっております千歳川水系開発促進期成会をめぐります、何といいますか、汚職というのですか、供応というのですか、一つの事件がありまして、いま送検になっておるようでありますけれども、これに対する開発庁としての経緯なり、現在の段階の見解についてお伺いいたします。
  196. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 新聞紙上に伝えられるような世間の疑惑を招くような事件を起こしましたことは、私はきわめて遺嘱に思っております。深く国民、特に道民におわびをしなければならぬと思います。今後はこういうようなことが起こらないように絶無を期しておるわけであります。とりあえず厳重に注意をいたしておりますが、いろいろいままで調べますと、相当数回にわたって綱紀の粛正については、従来の長官または局長、次官等いろいろ苦心はしておりますが、しかし、今般のように、少なくとも世間の疑惑を招くような——かりに本人たちの申し立てのとおり現金の授受がないとしても、疑惑を招くようなことはまことに遺憾である。ただいま司直の取り調べ中でありますので、その全貌を待っております。今後は、こういうような世間の疑惑を招くようなことの起きないように厳重に注意いたしたいと考えております。
  197. 竹田現照

    竹田現照君 公金の授受がないというのですけれども、これは送検になっておりますからこれは関係当局で調べなければわかりませんけれども、この事件が千歳の市議会で問題になりましたら、その当日でしたか、その翌日でしたか、間髪を入れず開発事務次官は、これは収賄の事実なしと、こういう新聞発表をされておるわけです。ところが、現地の千歳の市長はこれは市議会において、現金授受があったということを認めておるわけですね。こういうような食い違いというものは、これはどうして起きるのですか。しかも、市議会で問題になって、直ちに事務次官がその事実なしというような発表をせざるを得ないというような事態というのは、これは各省の中でもちょっと異例なことだと思いますけれども、これはどういうことなんですか。
  198. 小熊清

    政府委員(小熊清君) ただいま長官からお話し申し上げましたように、この事件はただいま検察庁のほうに書類送検されておりまして、まだその全貌がはっきりいたしません。したがいまして、私どもの承知しておる限りにおきまして御説明申し上げるわけでございますが、千歳川水系開発促進期成会のほうから数回懇談会を持つということで、懇談会を行なって当庁の職員出席したということはございます。ただ、新聞紙上等に一部記載されておりまするように、金品の贈与を受けたということは、私ども承知しておる限りでは、ないものというふうに存じております。開発次官が金品を受け取った事実はないということを新聞記者に話したわけでございますが、これもその前の日でございましたか、新聞紙上には金品の贈与があったというような記述がございまして、次官が非常に心配をいたしまして、さっそく新聞紙上に記されております本人にいろいろ問いただしまして、金品を受領した事実はないという心証を得ましたので、次官の気持ちとしてやむにやまれず新聞記者に話したというようなことでございます。千歳の市議会で千歳の市長が現金受領があったというふうに話しておられるということでございますが、この点については、私ども詳細は承知いたしておりませんけれども、私どもの承知いたします範囲内では、金品の贈与を受けたことはないというふうに存じております。
  199. 竹田現照

    竹田現照君 ただ、いま長官からもお話がありましたが、開発関係をめぐっていろいろな贈収賄事件というものはあるわけなんですね。検査院の指摘事項にはございませんけれども、非常に多いわけです。去年の釧路開発建設部の関係するまりも国道の問題で事業所長以下逮捕されている事件がありますが、あの中でも、開発の工事の中にそういう監督とかそういう人にお礼をするのはいままでの常識だったというような新聞記事があるわけですね。そういうようなことから、これは北海道では開発にはずいぶんいろんなものがあるのじゃないかといううわさがたくさんありますけれども、こういう具体的な事例になってあらわれたものについて、開発庁としては、これは司直の手に渡ったものは別として、開発庁内部の行政処分というのは、どういうふうに厳正に行なってきたんですか、いままで。それからこれからもどうしようというお考えなんですか。
  200. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) もし不幸にしてそういう刑法的にまた司法的にも有罪が確定したような事態が起こった場合には、当然これはいままで戒告あるいは適切な処分をしているものと考えております。  今回の問題につきましても、とりあえず当該者には厳重な注意をいたしまして、先ほど申し上げるとおり、いま取り調べ中でございまして、司直の手によって全貌がはっきりした場合、もちろん世人が納得する適切な処置をとる考えでございます。いずれにいたしましても、事の内容いかんを問わず、少なくともこういう問題で疑惑を招くようなことは断じて許せないので、今後十分注意をいたしてまいりたいと考えております。
  201. 竹田現照

    竹田現照君 これは自治省にも関連をするからお伺いをいたしますが、これは北海道に関することばかりではないと思いますけれども、陳情、請願、こういうもののために、あるいはいまの千歳川水系の問題にしてもそうでありますが、期成会なんというものは、大体地域住民が自主的につくり上げるものだと思いますし、その存在を私は否定をするものではありませんけれども、現状はこの期成会などというものは、公費をもってそのいろんなことができないので、この期成会を隠れみのにした接待団体になっているということが現実ですね。今回の千歳川水系に関係する、あるいは千歳あるいは札幌の近くの江別市これは人口五万前後のところですね、私もびっくりいたしましたけれども、実際に市そのものが金を出して市町村が関係するのは、団体は三百有余あるそうですね。こういうようなことが、しかも今度の水系をめぐるいろいろな問題について私もたくさん資料を持っていますが、これはあげて全部飲み食いですよ。はなはだしいときには毎日。こういうようなことは、私は、地方自治体の財政がいま窮迫しているというさなかでもありますから、自治省として、こういう問題に対してどういうふうに行政指導をされているのか、これははっきりしていただきたい思うのです。  それからこの陳情、請願の接待というのが、何か宴会行政があたりまえである、あるい供応があたりまえであるというようなことになっていますと、これは総理がしょっちゅう言っているように、きれいな政治とかなんとかいろいろなことを言われておりますけれども、現実は必ずしもそうではない。特にこの陳情、請願の内容というものは、ほんとうに目に余るものがあるわけです。だから千歳川の水系が出ましたけれども、これはやり玉にあがっておりますけれども、こんなものはほんとうの九牛の一毛にすぎないものだと思うのです。だからこういうことを自治省はどういうふうにお考えになっておるんですか。さらにまた検査院もおりますけれども、検査院だってこんなことわからないことはないと思うんですが、こういうことについてどういうふうに改善を指示されているのか、お答えをいただきたい。
  202. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) おしかりをいただいて非常に汗顔の至りに存じている次第でございます。自治省は御案内のとおり、地方団体の財政の面につきまして——特に財政の面につきまして必要にして十分な財源の確保をはかりますと同時に、その使途というものにつきましては、これはすべて国民の血税でございますから、その使途の的確厳正ということにつきましては、極端に申しますと常住座臥指導しておる、こういうところでございます。毎年予算編成時期になりますと、予算編成方針というものを都道府県を通じて全市町村にお示しをしておるところでございますし、また、予算が通りまして地方財政計画が確定をし、あるいは地方財政関連の法令が全部通りましたところで財政運営についての指導通達をいたしているところでございます。今年度もつい最近になりまして出した次第でございます。そのやさきにこういう不祥事件が発生をいたしておるという点につきまして、私どももさらに強い指導をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。  御指摘になりました、この期成会のたぐいというものにつきましては、私どもも率直に申しまして、地方自治法の二百三十二条の二でございますけれども、公益上必要があるときには補助または寄付ができる、こういう条文が根拠でございます。公益上必要であるかどうかということにつきましては、これは第一次的には長が発案をいたしまして、議会がこれを認定をする、こういう形に相なっているわけでございますが、御案内のとおり、この千歳川の場合の資料を、現在こまかい質料を取り寄せ中でございますが、道の東京事務所を通じて聴取いたしましたところでは、二百万のうちの百六十万円程度が事業費ということになっておりますか、実際は飲食——飲み食いの経費でございます。そういった形でこれが運営をされるということにつきましては、千歳川の河川改修を一日も早くいいものに持っていきたい、こういう何といいますか、熱誠のあらわれという面はございましても、何といたしましても苦しい地方住民の負担にかかわります税金の使い方としては、これは問題にならないところでございますので、この事件を契機といたしまして、さらに指導を強化してまいりたい。  また陳情、請願、こういったことのために地方から議員さん方が大挙して出てこられます。あるいはまた市長、村長さん方が出てこられます。これの経費というものもばかにならないわけでございます。私どもは、できるならばそういう陳情、請願ということはやらないで、その地方団体がそれぞれ所期せられるような補助金の交付なり事業の執行というものが行なわれるような、国の行政自身もひとつそういう姿勢をとってもらいたい、同時に、こういう陳情、請願をやるものが目に余ってまいります場合におきましては、やはりその団体に財源の余裕ありということで特別交付税等の際にはやはり判断の材料にさしてもらう、こういうことを考えざるを得ないのではないかという感じを持っておる次第でございます。
  203. 竹田現照

    竹田現照君 これは簡単にお答えいただきたいと思うのですが、補助金の六%というものは、この種期成団体にストレートで渡るということになっておるそうですが、これはほんとうですか。
  204. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) ちょっとその点私よくわかりません。そういう形で渡すという——自治省がそういう金を渡すと申しますのは、結局、御案内のとおり交付税でございます。交付税の基準財政需要の計算で、そういう頭から六%渡すという計算の方式をしているというのはちょっと私承知いたしておりませんが……。
  205. 竹田現照

    竹田現照君 いずれにしてもですね、この期成会がいろいろなことで金を使うということになると、補助金なりいろいろな金がきた場合に、いま私がお聞きしたようなことが何か慣行的に行なわれているような気配もあります。なお、詳細に私も調べてみますが。ただ、いまの自治省のお答えにありましたですけれども、たまたま表面に浮かんだことだけを正して、いま参事官のお答えになったように、交付金その他で査定をするということじゃなく、やっぱり全般的に、わずか五、六万の市で三百万からの金を出さなければならぬ期成会がある、あるいは期成団体があるといったようなことはこれは常道じゃないです。ですからそういう点について、いま少しく厳正にひとつ措置をしていただきたい。  もう時間になりましたから、最後に長官に特にお願いをいたしますが、これは北海道開発長官ということじゃなくて、国務大臣として、いまも自治省から答弁がありましたように、わずかこの期成会に二百万足らず、しかもそのうち百六十万は飲み食いですね、その飲み食いの大半は、全部中央、地方の役人に対するものです。一晩、十万あるいは十何万、こういうようなことというものは、これはもうたまたまここに出た問題でありますけれども、こういうようなことは、ただ単に事件が出てきたことにのみ遺憾であるとか、厳正に措置しますとかいうことじゃなくて、やはり行政の筋を正すという意味において、この点はもう少し政府としても厳正な態度で臨んでいただきたいし、しかし、そのことと同時に、この期成会その他地域住民のほんとうのいろいろな問題に対する要望、そういうものに対しては、こういうような不明朗なことじゃないようにそれが満たされる、そういうような方針というものを政府としてはとっていただかなければ、幾らきれいなことを言ったって、これはいつまでたっても直らぬ問題ではないかと思いますから、この点を特段に要望して私の質問を終わりたいと思います。
  206. 福田篤泰

    ○国務大臣(福田篤泰君) 陳情政治の弊害については、私も全く御指摘のとおりと思います。実は行政管理庁という立場から、一カ月前から零細補助金を中心に行政監察を実は実施しております。あと二、三カ月かかりますが、そういう方面からもこういう問題はやはり掘り下げていって、少しでもそういう弊害が起こらぬように側面的にも私どもは努力いたしたい、今後十分御指摘の線において私どもも努力いたしたい、かように考えます。
  207. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言がなければ、北海道開発庁の決算審査は、本日はこの程度にとどめたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会