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1966-07-15 第52回国会 参議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月十五日(金曜日)    午後二時三十四分開会     —————————————    委員異動  七月十五日     辞任         補欠選任      鹿島守之助君     平泉  渉君      草葉 隆圓君     内藤誉三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木内 四郎君     理 事                 長谷川 仁君                 増原 恵吉君                 森 元治郎君     委 員                 笹森 順造君                 杉原 荒太君                 高橋  衛君                 内藤誉三郎君                 林田悠紀夫君                 平泉  渉君                 廣瀬 久忠君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君                 黒柳  明君                 曾祢  益君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        農 林 大 臣  坂田 英一君        通商産業大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君    政府委員        経済企画庁調整        局局長      宮沢 鉄蔵君        外務政務次官   正示啓次郎君        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省経済協力        局長       西山  昭君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長事務代理   滝川 正久君        大蔵省国際金融        局長       鈴木 秀雄君        通商産業省通商        局長       山崎 隆造君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省経済局次        長        鶴見 清彦君        外務省国際連合        局外務参事官   松井佐七郎君        大蔵大臣官房財        務調査官     堀込 聰夫君     —————————————   本日の会議に付した案件アジア開発銀行を設立する協定締結について  承認を求めるの件(第五十一回国会内閣提出、  衆議院送付)(継続案件)     —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、鹿島守之助君、草葉隆圓君が委員を辞任され、その補欠として平泉渉君、内藤誉三郎君が選任されました。
  3. 木内四郎

    委員長木内四郎君) アジア開発銀行を設立する協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件は、前国会において本委員会に付託され、その提案理由及び補足説明を聴取し、質疑を行ないましたが、結論を得ず、継続審査の議決を経て今日に至っておるわけであります。  それでは、これより質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 岡田宗司

    岡田宗司君 藤山経済企画庁長官にお伺いをいたします。  日本OECDに入りまして、そこでいわゆる低開発国援助の問題が大きく取り上げられるようになったわけでありますが、OECDに入った際に、日本といたしましても国国所得の一%を経済援助に回すという約束をしておるわけであります。ところが、いままでの例を見ておりますというと、賠償等もひっくるめまして、なおかつ一%に達しておりません。大体、まあ去年あたりで〇・六%ぐらいですが、今後さらに日本としては一%に達するように要求されるだろうと思うのであります。本年度は一体どれくらいの見込みになるのか、あるいは、今後日本経済発展して国民所得がふえていきます場合に、一%とするとすると、毎年その経済援助に回す金が増加していくわけでありますが、それがここ五年くらいの間に一体どのくらいの額と計算されるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  5. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話しのように、日本国際会議あるいはOECDの会合などに出ますというと、一%の援助をするというようなことに向かって努力すると約束——と申しますか、ある程度言明をいたしております。ですから、できるだけ早くそれに到達していかなければならぬ。現状は〇・六%ぐらいのことであるわけです。したがって、今後できるだけ早い時期にそういうことをやっていかなければならぬ、こういうことだと思います。  そこでいま、将来の問題につきましては経済審議会でもって御審議を願うことにして、新しくつくります計画の中の一つとして、そういう目標を追っていきたいと考えておりますが、たとえば、ごく大ざっぱに試算してみますと、四十年の実績が——これは実は新推計でやっておりますけれども、国民所得二十四兆というような数字になるわけでありまして、たとえば四十年を基準にして、三年後になるとどのくらいの金額になるか。たとえば経済成長七%として見ましたときに約二千九百八億というようなのが大体の見当、それから成長率が一〇%とすると、三十二兆ぐらいが国民所得になるわけです。そうすると、三千二百億ぐらいの、一応のごく荒っぽいめどですけれども、そのような見当でございます。そこで、そういうことに到達していくということについて、われわれとしては、これからの経済の中で三年後にそれに到達できるものか、あるいは五年後に到達できるものか。少なくもいままでは、そういう国際会議に出まして一%と言っております。しかし、いつまでにそこまで大体行けるだろうというようないわゆる努力目標はあまり示しておりません。ですから、今後の経済計画立てますような場合には、若干そういうものについてのめどをつけてやってみることが必要じゃないだろうかというふうに考えているし、審議会にもそういう意味でお願いをいたしておるわけです。それですから、そういう意味において、どういうふうにこれを三年で追い込んでいくか、五年で追い込んでいくかということについては、若干私どももまだ申し上げる限界にないと思うのでございまして、そういう意味で御了承願いたいと思います。  それからなお、かつては御承知のとおりソフトローンがございまして、それもあわせて考慮してまいらぬと、一%だけ実額がのぼっていくというのがあれなのか、あるいは、だんだんのぼっていく過程において、ソフトローンのほうをむしろある程度割合が達成の過程においてふえていくのか、その辺のところがやはりこれは相当考究の値打ちがあるんじゃないか、こういうことでいま考えておるわけであります。  なお、今後の数字につきましては、事務当局から御説明申し上げます。
  6. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  7. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記を始めて。
  8. 宮沢鉄蔵

    政府委員宮沢鉄蔵君) 昨年の経済協力の額が四億一千四百万ドルでございまして、この場合の国民所得に対するパーセンテージが〇・六二%でございます。ことし具体的にどのくらいの数字になるかというのはわからないのでございますが、大体同じくらいの比率で伸びるというふうに考えますと、やはり四億数千万ドルというくらいな程度になろうかと思います。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 四億数千万ドルになり、来年さらにふえていく。そして日本国民経済発展国民所得の増とともに、大体一九七〇年あるいは七一年ごろに、先ほどの藤山長官お話ですと千億ドルに近くなる、こういうことになる。まあ十億ドルということは、これはたとえ国民所得の一%といたしましても、非常に大きな額になります。そこで、この経済開発の結果が一体日本の今後の経済発展にどういう寄与をするかということもわれわれは考えてみなければならぬわけであります。日本経済の今後の発展にとってプラスにならないのではこれはむだ金なんですが、今後の経済開発にこれらの経済援助がどういうふうにはね返ってくるかということも、おそらく日本としては計算に入れておかなければならぬことであろうと思うが、経済企画庁において常に考えておられる長期経済計画のうちには、この経済開発がなされることによって生ずる日本へのはね返り、つまり、それがプラスになるはね返りであるか、それをどういうふうにお考えになっておるか、それをお伺いいたします。
  10. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この低開発国に対する援助が、お話しのようにプラスになって返ってくる、その国もよくなる、その結果として日本プラスになる、こういう両方のプラスがなければ相ならぬと思うのです。そこで私は、政策的に考えれば、やはり低開発国経済的な安定を得て、そうして生産活動も、農業、第一次産品あるいは第二次産品等輸出をしていく、充実していくということになりまして、その結果として日本からの輸出も私は相当増大するものだと思います。低開発国でございますから、将来ある程度基礎ができてくれば、どんどん開発を進めていかなければなりませんから、それに対する所要資材、あるいは経済活動に伴う、国民生活向上に伴う物資輸入というものが相当ふえてこなければならぬ。まあ、日本もそれに対して相当輸出してまいらなければならぬと思います。むろんその際に、ただ考慮してみますことは、低開発国経済開発してまいります段階を想定してまいれば、日本がやはり日本自体工業を新しい近代工業に転移をしていかなきゃならぬ。ですから、いわゆる紡績が人絹になり化繊になるというふうな産業構造改革というものが、日本の技術と学問とによって前進していっておらなければ私は相ならぬと思います。そうして日本として、当然日本輸出するものが、安かろう悪かろうものじゃなくて、いいもので、将来これがプラント輸出的な形を続けていく、あるいは機械輸出的な形を続けていく、あるいは高度の消費物資をつくっていくという形になってまいらなければならぬと思います。ですから、そういうことが伴ってまいりますれば、私ども非常に大きなプラスになると思うのでありまして、したがって、そういう考え方のもとに低開発国援助というものを進めていかなきゃならぬ。それは政治的な安定ということを除いて考えてみてもそうです。その上に政治的安定ということが興ってくる、組み立てられるのですから、そのプラスもあろうと思います。ただ、いまお話しのような点で、それはたとえば十億ドル近い援助をした場合に、金額的にどの程度日本貿易の上その他ではね返ってくるかということになりますと、まだ十分な実は計算をしておらぬ。今後はしかしこれを進めていく上において、そういう計算も、試算もやってみて、実は十億ドルを出すんだけれども、貿易の上で何億ドル伸びていくんだと、あるいはその他の面でもって何億ドル伸びていって、国際収支の上でも、日本は十億ドル投資するけれども、しかし、日本はこれこれのリターンがあるのだというようなことは、ある種の想定を置いて、お説のようにやってみなければならぬと私は思っております。そういうことによってわれわれは考えていく、こういうつもりでおります。
  11. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連して。  先ほどの最初の岡田委員の質問の際に、成長率の問題出ましたが、たとえば七%の場合もあるし、一〇%の場合もあると、それから四十年度に二・七%というひどい落ち込みの場合もある。そうすると、コンスタント成長率が維持できないと、総所得の一%ということを言った場合に、相手国に対して一応の計画が立たぬのじゃありませんか。それは日本経済成長は一応かなり長期にわたってコンスタントに安定的な成長が可能だという前提でないと、しょっちゅうでこぼこがあった場合には、非常に計画立案そのものが困難になると思われますが、その辺はどうでありますか。
  12. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話しのとおりだと思います。われわれとしては、経済成長というものをなだらかな成長、均衡あるなだらかな成長に持っていきたいというのが将来に対する経済計画の基本的な問題でございまして、したがって、これからつくります経済計画というものは経済審議会等で十分な御審議をいただくわけでありますけれども、どうしたらそういうなだらかな成長に持っていけるかというための政策、施策というものをひとつ中心にしてやはり問題を考えていただきたいということでやっておるわけで、ただ、どんどんやっていって、高ければいいのだ、それが行き詰まったという点が出てきてもやむを得ぬという形では、経済成長見通しその他をやっていくわけにはまいらぬと思います。
  13. 羽生三七

    羽生三七君 相手国も困るでしょう。
  14. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) そこで七%という——いま申し上げたのは七%とか八%とか申し上げたわけですが、一体日本経済成長というものが過去のように高度の成長をある程度抑制しながら均衡ある成長をとっていくという場合に七%前後と、私ども一応の推定をいたしております。日本経済が、ある意味で言えば若いから、成長力がちょっとゆるめばすぐに一〇%、一二%になるじゃないか、また、ある場合にそういうことで行き詰まってしまいますと、日本国民性からいって、悲観するときにはばかに悲観しますから、がたっと落ちてくるというようなこともある。しかし、すべてがここまで成長してくると、七%でも若干高いのじゃないかという議論もこれはございます。その辺は十分検討してみないと、外国ではもう四%、五%が相当高いのですから、ただ、日本経済がまだアメリカとかヨーロッパの経済ほど成長をいたしておるとも思いませんし、やらなければならぬ仕事がたくさんございますから、ですから、外国のような、四%が相当な成長だ、あるいは五%は高いというわけにはやはりまいらぬのじゃないか。同じ安定成長ということを考えてみましても、その辺の問題については、これは今後の私は経済政策をきめる上において十分検討しまして、そうしてどの程度の標準を置いていくのがいいのかということを考えてまいらなければなりませんし、お話しのように、ここ数年——三、四年は七%で行くけれども、その後はやはりもう設備投資もある程度まで行った、あるいは近代化合理化もある程度進んだということになれば、やはり経済成長というものが三、四年後には六%になり五%半になるというようなことになってくるかもしれぬと思います。ですから、その辺はやはり十分今後の問題として考えていかなければならぬので、いままではむしろどちらかというと、そういう問題があまり考えられておらぬようなことがございます。そういう意味で、私もいますぐにどの程度パーセンテージがいいかということもこれは非常にむずかしいのです。一応今日の不況期から脱却をする意味においてかなりな刺激を与える、したがって、そういう意味で言えば、七%半前後のところで一応目標をつけてやりますけれども、今後の問題については、それらの問題を十分検討した上でやってまいりたい、こう思っております。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの藤山長官お話ですと、まあ、日本経済援助によりまして援助を受けた国の経済発展、そして、それに伴って日本輸出の増大が起こるであろう、そういうことを今後十分に計算をしてそして日本計画立てていくのだ、こういうことを言われましたが、それと同時にもう一つ日本原料の乏しい国でありますから、おそらく、今後日本としては、経済援助によりましてそれらの国々における資源開発ということにも重点を置くであろう。その結果、日本長期にわたって日本の必要とする資源を確保していくということが必要になろうと思うし、これもまた日本経済発展にとって重大問題であり、また、われわれはそれを計算に入れていかなければならぬ。このほうが私は計画的に計画立てやすいことでございますし、また、今後日本経済発展考える場合に、原料の確保という点で計画的に推し進めていく必要があろうと思うのであります。これは経済企画庁でそういう計画を総合的にお立てになるのか、通産省でお立てになるのか、それは私知りませんけれども、そういう必要があるということをお考えになるかどうか、また、そういう用意があるかどうかお伺いしたいと思います。
  16. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話しのように、経済援助してまいります場合に、お話しの点はいわゆる開発輸入関係にやはり援助を相当重く見てやったらどうか、この点は農業の場合でもそういうことが考えられる。たとえば、飼料のようなものはすでにタイから輸入物資関係でやっておるわけでございまして、そういう面で、日本農業にそう摩擦をしない限りにおいてはある程度輸入もできる。その他、木材でございますとか鉱物資源地下資源等開発の問題、ことに石油等の問題がございますが、そういうものに対して力を入れていくということは非常に重要なことでございますので、そういうことが結局日本つまり金額的計算としてもプラスになるかならぬかという形であらわれて貿易勘定の上で出てくると思いますし、また、日本自身経済運営の上においてプラスが出てくるということに相なろうと思います。ですから、その点は十分これからの経済開発について現地の方々の生活向上をはかるために仕事ができると同時に、その仕事日本に必要な仕事原料を供給する仕事であるというようなことは援助の非常に重要な重点になってくる、こう私は思っております。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、今後政府は、日本経済援助が増大するにつれて、その経済援助についてもある種の計画性を持ってこれを進めていく、そういうつもりである、こういうふうに理解してよろしいですか。
  18. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん日本が、たとえばエネルギーの問題を考えてみましても、エネルギーとしての日本石炭資源あるいは水力あるいは原子力というようなもの、場合によっては油の問題もございます。ですから、そういう問題を総括的にどう経済の中にエネルギーを位置づけていくかという問題になってくれば、当然やっぱしそういう計画的なものになってくると思います。たとえば、あるいは木材のようなものに対しても、南方材北方材との関係、そうして日本の国内の資源をできるだけ温存するというような形においてどの程度将来の日本木材需給関係があるのか、それに対して南方材としてどの程度、あるいは北方材としてどの程度が組み合わされることが望ましいか、こういうようなことは当然考えてまいらなければならぬことでございまして、われわれとしてはそういう大きな筋における計画を一応立てまして、そうして各省とも連絡をとり、また各省がそれぞれ農林行政なり水産行政の中でその問題を取り扱っていく、こういうふうに考えております。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 この経済援助計画的に行なう、こういうことになってまいりますというと、これはやはりそれをやる機関が必要になってくるだろうと思うのです。いまのところ、この経済援助の問題については実際これをまとまって扱うところの機関がない。外務省あるいは大蔵省農林省通産省、それぞれ別々にやっておって、計画性があるとは考えられない。で、もし今後そういうものを計画的に遂行するとするならば、これらのいままでばらばらにそれぞれの所管においてやっていることを統合して行なうようにならなければならぬが、そういう機関というものは一体これはどこに置くべきか。長期計画という立場から見れば、経済企画庁にそれが置かれなければならぬだろうし、そして各省がそれに協力しなければならぬわけでしょうけれども、これもなかなかなわ張り争いからむずかしい問題だろうと思うのですが、今後そういうものを置く必要があるとしたならば、これはどこが所管すべきものとお考えでしょうか、これをお伺いしたい。
  20. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 将来そういうふうなやり方をしていく場合に何かまとまった官庁がなければいかぬじゃないか。私は必ずしも違った官庁がすぐ必要かどうか。日本行政機構も相当複雑でございますし、新たにそういうものをつくるのが適当だとは必ずしもいま実は考えておりません。やはり各省それぞれ分担をして、そして各省が緊密な連絡をとって、そして大きな方向が一つ打ち出されれば、私はその中で話し合いがついていかなければならず、また、いくべきものだと思います。しかし、非常にそれがかりに困難であれば、何らかの形のものを考えなければならぬかもしれませんけれども、どうもいたずらに行政機構をいろいろいじりましても、それじゃそういうものができたからといって外務省の窓口が要らなくなるというわけでもございませんし、そういうものができたからといってその役所通産省とまた話し合いをしなければならぬ、あるいはまた、その役所農林省がまた話し合いをするというような、かなり複雑な形にかえってなるのじゃないかという懸念もございます。ですから、お話しのような点につきましては、いま私そういう考えは持っておりませんが、しかし、なお今後とも十分そういう問題については検討をして進めていきたいと思います。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連して。いまの藤山長官の答弁もわからぬわけじゃありませんが、岡田委員の指摘されたように、たとえばこの間の日米経済合同委員会あるいはその前の日本で開いたアジア開発経済閣僚会議、そういう場合の中心議題になった農業開発会議構想があるわけですね。それから、いま当面われわれが審議しているアジア開発銀行構想もあるし、それからきょうの一部新聞の報道によれば、外務省では東南アジア開発特別援助費というものも創設するようです。ですから、それと一体どういう関連性を持って、総額がさっき言った国民所得の一%ということをめどにしてこれら総体計算されるのか。それから、あるいは今度のアジア開銀とその他とは一体どういう関係に立つのか、その辺が非常に不明確だと思うのですね。ですから、機構いじりはとにかくとして、どっかでこれらを総体としてはこうなるのだというものがないと、それぞれのものを計算して総体でほぼ国民所得の一%ということなのか。また、金額はとにかくとして、そういう農業開発会議構想アジア開銀問題あるいは外務省のいまの東南アジア開発特別援助費等々、まだこれは通産省民間ベースのやつもたくさんあると思うのです。ですから、機構いじりはとにかくとして、どっかでまとまった何らかのお考えがなかったら、これはまことにばらばらな妙なことになると思うのですが、その辺は、これは企画庁長官でも外務大臣でも、どういうふうにお考えになっておるか。
  22. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 当面、私はやはりたとえば低開発国援助に関する関係閣僚会議というようなもので、現在の閣僚が絶えず寄って緊密な連絡をとって話し合いをしながらいくのが適当だと思います。そうして、その基礎になるあるいはたとえば国民所得の一%をどの程度につまり達成していくか、それの計画自体というものはある程度企画庁なりなんなりの経済見通しの中で、財政の事情あるいは外貨の事情あるいは日本産業の発達の傾向を考慮して一応の方針立てまして、その方針の内容をどういうふうに具現化していくかという問題については、当面は、私はやはり各省の責任を持っておる関係大臣が緊密な連絡をとって、そうしてお互いに話し合いながらまとめていくのが適当じゃないかと思います。いま直ちに新しい役所をつくって、そうしてその権限をつくっても、私はそのままではうまくいかないのじゃないかというような考え方をいたすのでございます。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 外務大臣にお伺いしたいのですが、けさ新聞、テレビ等によって東南アジア開発援助基金ですか、あれを設けることを要求するようなことが伝えられておるわけです。で、まあこの間の東南アジア開発閣僚会議等がありましたので、それの実現のためにやはり手段が必要であるのでそういうことになったと思うのです。既存の海外経済協力基金、これもやはり海外経済協力のために資金を用意しておって、それを通じて支出されることになっております。一体これとの関係をどういうふうにお考えになっておるか。それこそ、まあ私ども考えると、屋上屋を重ねるような気がするわけですが、あれによりますというと、外務大臣が自由裁量で出せるような基金だというふうに読み取れるのですけれども、その点はどういう目的を持ってこれをつくられるのか、またその規模、構想はどういうことになっておるのか、お伺いしたい。
  24. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まだ固まった構想でございません。研究最中に新聞のほうに漏れたのだろうと思うのですが、いきさつを当該局長から聞いていただきます。
  25. 西山昭

    政府委員(西山昭君) 私どもは東南アジア会議のいろいろの議論されました点に重点を置きまして、それから今後の東南アジアの開発経済交流、経済協力というものの重点の置き方、そういうような点を考えまして、いろいろのプロジェクトと申しますか、こういうところにはこういう要望があってそれをどの程度取り上げて考慮するというような具体的なプロジェクトを基礎といたしまして検討はいたしております。それから来年度の予算の要求の関係もございまして、検討いたしておることは事実でございますが、東南アジア開発基金といいましてつかみ金でそれが何にでも使えるというような構想は持っておらないのでございます。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 その外務省考えております構想をもう少し詳しく説明していただけませんか。
  27. 西山昭

    政府委員(西山昭君) 農業開発関係あるいは医療協力の関係、その他いろいろ東南アジア地域におきまして、私どもが日ごろ考えております、また各国からもいろいろの具体的な要請がございます、そういうものを基礎にしまして、大体の資金の需要あるいはその他を考えまして検討しておるわけでございまして、たとえば橋梁に対する架設のためにどれくらいの調査費用が要るか、あるいは医療協力に対しまして、どういう規模のところへどういうような協力の規模のものをつくるかとか、それには人員がどれくらい要るとか、そういう形の検討はいたしておりますけれども、全体といたしまして、東南アジア開発基金がつかみ金で幾らと、それは内訳のものを、プロジェクトについて、将来次から次に渡すというようなことを考えているのじゃないわけでございまして、非常にもろもろの各国からの要請等を基礎にして考えます。たとえば、タイあたりから、この前の会議の結果、海洋水産資源の調査に対しましてセンターをつくる要望がございましたが、こういうものも経済協力に関連して、私どもは有意義だろうと思っておりまして、それの具体的な計画等は、タイの政府と打ち合わせをしまして、いま検討の段階でございまして、それに大体要ります予算がどれくらいかというようなことを見積もるというような形で検討しておるわけでございます。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 東南アジアの開発の基金という特別の地域に限ったものをつくる、そうすると、今度は中近東の開発基金、あるいは日本の移民のたくさん行っておる中南米、この中南米の開発基金、こういうような地域的な開発基金をつくらなければならぬ必要もできてくるんじゃないか。で、これはたいへんわずらわしいことであるし、計画的に進めていく場合には、やはり全体が統一的に行なわれる必要があるので、そこらの点は私ども少しふに落ちない点が多いんですけれども、なぜ東南アジアだけ特別にそういう基金を外務省につくらなければならぬのか、その点は外務大臣どうお考えになってますか。
  29. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いま西山担当局長からお話しを申し上げたとおりで、別に東南アジアに限定した開発基金を外務省に設けるという考え方は持っていないのであります。研究途中でいろいろ取材の材料になって、そういう構想が途中で生まれたのではないかと、こう考えます。外務省としては、そういう基金を設けるという考えは持っておりません。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 稲田大蔵大臣にお伺いします。  今後の経済開発をやる上に、やはり日本は相当な経済負担をしなければならぬ、効率的にこれが行なわれなければならぬわけですけれども、いまのお話のように、いろいろな特別の基金ができると。で、てんでんばらばらにそれが使われるということになると、あまり効率的でないように考えられるんですが、大蔵大臣はその点どうお考えになりますか。
  31. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま日本の財政の事情考えますと、なかなか対外援助も容易なことじゃないのです。最近は南米からもアフリカからも、アジアはもとより、大蔵省へじきじきに代表の人がずいぶんやってまいります。私はそういうような人に会いまして、実はほんとうは威勢のいい返事ができれば、これはもう日本の国際的地位には非常に有効だろうと思いますが、なかなかそういうわけにまいりません。いまお尋ねの機構をどうするかというようなお話でありますが、まず機構よりも先に、どうやってそういう要請に応ずる金をつくるかということのほうが先決のように思います。ただいまのところは、国内に新しい機構を設けるというようなことは私は考えておりません。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 大蔵大臣にお伺いしますが、先ほどの藤山長官お話ですと、だんだんふえていって一九七〇年、七一年ごろになりますというと、とにかく十億ドル近くなるように推定されるわけです。で、この十億ドルぐらいになった場合に、この経済援助がどういう形で行なわれるかということもまた重大な問題であろう。たとえば政府借款あるいは政府が無償でもって供与する、こういうことになってくるというと、これは国の財政に及ぼす影響というものは非常に大きいわけです。あるいはまた、長期低利の融資、こういうことになるというと、政府機関銀行にとっても、かなり大きな問題だろうと思う。その資金の調達あるいはその条件、いろいろ問題がある。それからまた、民間の投資ということも、これはまあ、財政のほうには影響を及ぼさないけれども、やはり日本の今後の資本形成の上にかなり影響を持ってくる。大蔵大臣としては、これからのだんだんふえていく低開発国に対する援助に対して、どういう形が一番望ましいと考えるか。もちろん、どれ一つに限るというわけにはまいらぬでしょうけれども、どれが主になることを望ましいとお考えになりますか。それをお伺いします。
  33. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まず援助の形の問題があると思うのですが、いま行なわれている援助は、多角的援助とそれから二国間の援助、こういう二つの形があるわけであります。あるいはアフリカあるいは南米に開発銀行ができております。これは国際社会の先進国が協力して発展途上の国を助けよう、こういう仕組みですが、今度はアジアにもそういうような仕組みができる、こういうことは私は今後の経済協力のしかたの主軸にだんだんとなっていく傾向を持つであろう、こういうふうに考えます。アジア一つとってみましても、あるいはインド、ああいう大国があります。これをいまある一国か二国かでやっていけるかというと、私はこれはなかなかむずかしいと思います。どうしてもこれは政治が介入するとか、あるいはアメリカもイギリスも援助すると言って、力のある国が参加して、相協力してこれを援助する、こういう形でもとらなければできないと思います。インドネシアもまたしかり、パキスタンもそうだろう、それぞれの国の援助のしかたというものは、ある一国じゃ片づかぬ、多角的な、そういう国際機構を通じて援助をするという傾向を持つ、私はそれが主軸になるのが日本のとるべき道としてもよろしいと、こういうふうに考えます。  それから、流す金の性格の問題ですが、日本はいまわりあいに——世界諸国が高金利時代に入っておりますが——長期資金をとってみますると、日本長期資金金利が高い。どうしても対外援助というものは長期資金になる。そこで民間の長期資金だけで対外経済協力を行なうということは非常にむずかしいのではないか、そういうふうに思います。日本の国内において長期資金の低金利化という長い努力を続けていかなければならぬけれども、当分の間は、民間資金だけじゃなくて、政府資金の介入ということが必要になってくるだろうと思います。民間資金でやっていける、政府はこれに何か保証とか援助とか介添え役をするというようなたてまえであれば非常にいいのですが、そういうわけには、現実の問題としてまいりませんので、まあ、当分政府が最終の責任は持っていくと、こういうことであろう、こういうふうに存ずる次第でございます。
  34. 岡田宗司

    岡田宗司君 大蔵大臣にお伺いしますが、今度のアジア開銀で総裁は日本から出せるであろうと、こういうふうにいわれておるんです。すでに大蔵大臣もこのことは言明されておるわけでありますが、御承知のように、開銀の本店の争いにおいてはマニラに敗北をしております。今後大蔵省からそれを出されるとしても、これはやはり日本として総裁を取るというのは相当な下工作を必要としておる。今度の総会にそれを実現するためにいろいろ骨を折られておるだろうと思うんですが、総裁を日本から出したとしました場合に、その理事その他において総裁がほんとうに総裁としての働きができるような仕組みになっているとお考えになっておるか。と申しますのは、アジアの諸国においては、相当官吏の腐敗とかあるいは銀行家の腐敗とかということが伝えられておって、また、そういう事実がひんぱんに起こっているわけです。アジア開銀ができましてから、もしそういうことになりますというと、いろいろなつまらない事件も起こってまいりましょうし、また、そのためにせっかくできたアジア開銀が何だかどうもおかしなことになってしまうということも起こってくるわけですが、そういうことに対する配慮というものは、総裁を推薦する場合に、十分考慮しておかなきゃならないんじゃないかと思うんで、その点に対して御用意があるかどうかということをお伺いたしたい。
  35. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まことにもっともな御意見と存じます。つまり、総裁がかりに渡辺武君にきまるとなりましても、大体副総裁というのが、まだ一人であるか、あるいは複数であるか、これがきまらないんですが、その副総裁がどなたになるかということ、これは今度の銀行の運営上非常に大きな関係があると思うんです。なお、理事ですね、これがどういう人によって構成されるか、これもまた重大な関係があるだろうと思うんです。で、そういう点については、アジア銀行の設立に関与している心ある人は、非常に大きな関心を寄せておるわけです、どうやってうまくやっていこうか。ところが、参加しておる国々からいろいろ候補者が出てきておるのでありまして、総裁のほうはいま渡辺武者が統一候補みたいな形になっておりますが、副総裁以下になりますると、利害関係なかなかふくそうして、容易ならざる状況でございます。関係者は非常に骨を折っている最中です。万全を期していきたい、かように考えております。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 大蔵大臣と外務大臣にお伺いしたいんですが、今度できるアジア開発銀行は、日本外務省かあるいは大蔵省か、どちらの管轄事項なんですか。まだ調整できてないんですか。
  37. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 形式上は大蔵大臣主管ということになっておりますが、実際上は関係省がたくさんありますので、相談してまいります。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 形式上は大蔵省主管である。大蔵省のほうから総裁、あるいはまた、その他職員もかなり出ることになるだろうと思うのですが、そのあとの関係各省との、何と言いますか、ということですが、はたしてこれはいままでの例からいってうまく行なわれるかどうか、私危ぶむのですがね。ことに、これが外務に関するところが非常に多いと思うのですが、その点についての大蔵大臣の所見をお伺いしたいですね。
  39. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今度できます銀行は、これは国際的性格のものであって、日本政府とは全く別なものなんです。渡辺総裁が実現するといたしましても、渡辺総裁は日本人であるけれども、もうその地位につけば国際人でございます。そういうようなことで、日本の内地の銀行とわが日本政府との関係と、日本政府アジア開発銀行との関係、これはまるきり違う性格のものになるわけであります。したがって、関係する事項というものはそうはないと思いまするが、大蔵省連絡調整の窓口となりました以上は、関係省と十分連絡をとって遺憾なきを期していく、こういうことにいたしたいと存じます。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは国際機関であります。各国から出資もされるし、人も出る。そうして、アジアの各国に金の貸し付けが行なわれることになると思うが、トラブルの起こることは予想されるわけですね、国際間にトラブルが。そうすると、それを片づける仕事、あるいはそれに関与していろいろやることは、これは外務省の出先機関がかなりタッチしなければならぬことになるわけですが、そこいらのところの分担というか、あるいは協力というか、そういう点は今後の運営の上でもってやはり十分に考えていただかないと、外務省がやることに対して、つまり外務省の出先機関がやることに対して、大蔵省側がそれは干渉だと言ったり、あるいはそういうようなトラブルが起こることが予想されながら、出先機関のほうに——外務省側のほうには何ら知らされてないというために、事が早く片づくものが片づかなくなるというようなことも、いままでのいろいろの例からすると、起こらないわけはないと思う。そういうことが起こると、これは最大の投資国であり、そしてまた指導的な役割りを演ずるであろう日本にとっても、マイナスになると思う。そこらの点は、もし成立したら十分に各省で協力をして、そして円滑にやっていただきたい、私どもはこう思っております。
  41. 森元治郎

    ○森元治郎君 関連して。いま岡田委員が申した点で、こういうふうな十億ドルに達するような大きな金を出すのだから、一つの調整機関をつくることも一つ。あるいはこの前も外務委員会でお尋ねをした、例の対外経済協力に関する審議会、政令で出ておりますが、これを改組してやっていくということも一法だと思うのです。この点大蔵大臣はどんなお考えですか。調整機関をつくる、審議会を改組、活用していく…………。
  42. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今度できるアジア開発銀行は、これは純粋に経済的な機関でありまして、政治的な紛争が起こるような余地は私はない、こういうふうに思います。でありまするから、所管も大蔵省所管、こういうふうにしているわけです。紛争が起こるという場合を考えますと、債権の取り立てだとか、そういうようなことについてのことが考えられますが、これにつきましては世界銀行に紛争処理センターというようなものをつくる計画も進められておるようなわけであります。まあ、そういう機関がこれを処理するというようなことにしたらどうかと、こういうふうに思いますが、特にアジア開発銀行に関連して紛争処理機関を設ける、こういうような考え構想はただいまはないのでございます。
  43. 森元治郎

    ○森元治郎君 大蔵大臣はやっぱり総理大臣候補だなんていわれておるが、答弁は事務的だね。私が伺ったのは、あんたは将来ホープだからこの構想を聞いたわけなんです。対外援助という、大きな十億ドルというような金を動かして低開発国援助をしていく、しかも、それがアメリカの肩がわりだのなんだのと勘ぐられていろいろな問題を含んでいるときに、この大きな問題を考える調整機関があったほうがいいんじゃないか、大臣はそれはそのほうがいいというお答えがあるだろうと思ったのです。  もう一つは、対外経済協力に関する審議会というのがあるんです。この前外務委員会で伺ったらば、通産大臣は、それについてはただいま申し上げたような審議会がございますから、これでやっていくと言うんだが、三十六年に政令が出てから一回も総会をやっていないんです、一回も、今日まで。しかも、委員は二名欠員になっている。だから、こういうものをこの際改組活用して、漸進的にやっていくのがいいんじゃないか、学識経験者というのは一人も入ってないんです。開発銀行総裁とか、日銀とか三大銀行、海外経済協力基金総裁とか、小林中さんとか、梶井さんとか、あるいは経団連の親玉、外務省のお役人でいえば那須晧さんと奥村勝蔵君、こんなんでは対外経済協力、ほんとの衆知を集められないのですよ。経験者は単に専門員として置いてるだけなんです。だから、これをもっと改組してやっていく。活用して、いい人を入れる、目の大きい、広い人を。形式の話をしてるんじゃない。そういうふうにしたらよかろうと思うんだが、将来あるあんたはどう考えるか。
  44. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 質問の御趣旨を取り違えて恐縮でございます。ただいまのお話というか、御意見ですね、私も同感であります。これからアジアに対する経済上の諸問題がずいぶんたくさん起こってくるだろうと思います。そういうものに備えて、現在ある対外経済協力審議会、これを大いに活用すべきである、そういうふうに考えております。
  45. 森元治郎

    ○森元治郎君 それじゃ、まだたくさん皆さんがおありになりますから、簡単に伺います。日本はなぜこの低開発国援助を迫られておるのか、なぜこれしなければならないんだか、外務大臣考えになったか。
  46. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 低開発国を大いに開発を助長するという必要性は、私は、いまあなたから新しい疑問が起こるとは予期しなかったわけであります。これはほとんど定説ではないかと思います。
  47. 森元治郎

    ○森元治郎君 応援するという以上は、金と力がなければ、これは握り何とかじゃできないわけですね。そうすると、日本はお金と力がある国、まあ、お金持ちという国、というか、金があるんだ、力があるんだと、こういうことであるから、おくれた国々には、日本はもうけてばかりいないで大いにひとつ応援してくれと、こういうわけですね。
  48. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) お説のとおりでございます。
  49. 森元治郎

    ○森元治郎君 何か、アメリカのマクナマラ国防長官が、先々月あたりモントリオールで演説をした。アメリカの見るところでは、世界の国々は四つのカテゴリーに分けられる。リッチ—金持、ドル・インカム—中ぐらいの所得、プアー貧乏、ペリー・プア、四つあるのですね。日本はどこに入るのですか。
  50. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 中進国というようなことをいわれておりますが、第二くらいのところじゃないかと思います。
  51. 森元治郎

    ○森元治郎君 アメリカのほうのものさしでは、一人あたりの所得が七百五十ドル以上が富める国だ。その富める国というのは二十七ある。それが世界を支配しておるわけですね、お金出して。一体日本はこれに入るんですか。日本所得は中ぐらいだから七百ドルぐらいなんでしょう二十七の富めるカテゴリーに入りますか。
  52. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私の記憶では、七百に達しないと思いますから、第二だと思います。
  53. 森元治郎

    ○森元治郎君 そうすると、その二十七の国々に入らない国がどうして後進国援助なんという大それたことをやらなければならないんだか、そのことを説明してください。国民所得は低い。二十七にも入らない。二十八番目ぐらいでしょう、きっとね。何でこれやらなければならぬのですか。むしろ、もらうほうですよ。どうですか。
  54. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) やはりアジアにおいては富めるほうに入っておる、アジアにおいては。そこで、日本のアジアにおける地位は、やはり南北問題で言えば北のほうに属するということになると思います。
  55. 森元治郎

    ○森元治郎君 これは国内政治のほうが悪いからこんなことになっているので、金がちゃんと国民のほうに渡ってこない。これはきょうは時間がないから責めませんが、どうもその辺を考えて、内政を考えつつ対外援助をやってもらいたと思うのです。  それから、援助とか金を貸すとか融通をするってたいへんいいことなんですが、ときに金貸して憎まれる場合があるんですね。アメリカなんてあれほど応援してやってあまり好かれない。藤山大臣、一体貸すほうの心理、あなたはどっちも知っていますから、融通するほうの心理というものは一体どういう心理か、インタレストがなければ困るのか、確実に返らなければ困るのか、あなたも最近は苦しいから借りるほうも知っているだろうが、融通するほうは一体どういう感じを持つだろう。この間の心理がはっきりわからぬと、低開発国援助というのは逆になるんですよ、とんだことに。貸して憎まれる。大東亜共栄圏だとか、経済侵略とか、経済的アニマルとか、ろくでもないことを言われるから、その心がまえを、ひとつあなた商売人として伺います。
  56. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) あまり金を貸した経験もございませんけれども、やはりお話しのように、金を貸してそうしてかえって不評を起こすという事例が非常にあるわけです。これは、やはり借りるほうの人の心持ちというものをやはりある程度貸すほうの立場でも考えていかなければならぬ。それは低開発国の方、つまり金を借りるほうからいえば、借りるということは非常にいやなことなのです。できるだけ人間としたって、国としたって、よその国に頭を下げて金を借りたかございません。ですから、そういう意味からいえば、ひがみが借りるほうの立場にはどうしたってある、弱みがある、こういうことだと思います。その弱みに同情を持つならいいんですけれども、弱みに触れて、そして何と申しますか、同情ないような立場でそれを無視していくということが、私はやはりこれは人間の場合でも国の場合でも同じだと思います。ことに国の場合になりますれば、その国の置かれていた過去のいろいろな歴史的な、あるいは民族的な感情の所産もございます。そういうものについての十分な私は理解がなければならぬ。そうして、それがほんとうにやはり役立っていくという形において貸されなければならぬと思います。ですから、持っている人同士の貸し借りであれば問題にならぬ点が、やはり持っている人と持っていない人の貸し借りの間には問題が非常に多いと思います。ですから、そういう点を私はやはり考えながらやっていくということが原則論として一番大事なことでありまして、そういうことを、金を貸す場合の基本的な態度というものにしていかなければならぬと思います。低開発国は、御承知のとおり、自分自身が必ずしも先進国と同じような事務処理の能力もございませんし、ある場合には組織も持っていない場合がありますから、いきなり先進国の貸借と同じような形でそれを処理しようということも無理な点がございます。そうかといって、貸すほうからいえば、ある程度そういうことははっきりしておかなければやれないということで、微に入り細にわたりそれを整えるというような問題を強圧する場合もあると思います。それは、むろん金を貸す、ことに国民の税金からの金を貸す場合もあるのですから、貸すほうからいえば、厳重にそれをやっていかなければなりませんけれども、しかし、やはり大きな筋において将来それが生かされていって、そして、それが貸すほうのマイナスにならぬという立場で考えて問題の扱い方を私は考えていかなければならぬ。ことに、低開発国は政情が安定しておりませんし、したがって、そのときの政情のいかんというものも十分考えてまいりませんと、政情的な混乱の中に、そのこと自体が貸すほうの立場を、考える以上に大きな混乱を起こす場合があるし、それが何らかの形で、いわゆるひもつきといわれるような形になってくるわけでもございます。そういう点については非常な慎重な態度で私はいかなければならぬと思うのでございまして、借りる人の国民感情というものは相当に尊重していかなければならぬ。あるいは過去の慣習その他歴史的な所産というものも十分な理解を持って接触をしていかなければならぬところだと思います。
  57. 森元治郎

    ○森元治郎君 そういうつもりでやってください。  そこでもう一つ伺いますが、今度のアジア開発銀行に参加している国々は、全部自由主義の自由陣営だということを一口に言いますが、一つ一つ当たってみると、われわれが理解するいわゆる近代的な民主主我というものが育っている国は非常に少ないのですね。戒厳令をしきっぱなしの国もあるし、サルタンががんばっているようなところもあるし、国の名前は失礼ですからあげませんが、ひどいおくれているのですが、ファッショの国もある。反ファッショもある。権力者がかってなことをやっているところもある。ですから、お金を融通したりなんかしたりするときには、十分その間のことを考えてみて、それが逆にはね返らないように昭意をしてもらいたい。  時間かないから飛ばします。  そこで、外務大臣、この間、東南アジア開発閣僚会議のと雪に、コミュニケが出た。そのコミュニケの中で、新聞の報道によれば、日本が原案を書いたのですか、「その政治的な立場の相違にかかわらず、経済開発に対して協力し得ることが少なくない」というくだりで、何か「政治的な立場の相違にかかわらず」というところは、フィリピンと南ベトナムの反対で削除せざるを得なくなった。こういうことで削除されるようになったのか。たいへんいいことを入れたのだと私は思いますが、どうして削除したか、削除させたフィリピン、南ベトナムの主張というのはどういうところにあったのか、伺いたいと思います。
  58. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 経済開発閣僚会議を提唱した当時は、これは自由陣営の国ばかりであって、会議の内容は、多分に反共的な政治的な国際会議になるのではないかというような疑いを、少なくとも一部から持たれておったわけであります。そういうことのために、非同盟の国は初めからこれに対して入ろうというような気勢を見せておらなかったわけであります。しかし、純粋に東南アジアの連帯性を強めて、お互いに開発に協力し合うということのためには、少なくともそういう片寄った失態では、十分に効果を達成しないのでありまして、それでしきりに、これは政治的な立場を超越して、純粋に経済的な国際会議にするのだということをその当時は言う必要があったわけであります。ところが、いよいよ集まることになりましたところが、ビルマは、特に鎖国主義と言っていいぐらいに、多数国間の国際会議には、もうほとんど入らない、参加しないという鉄則を守っている国でありますから、これはしばらくおいて、ラオスが当初から参加いたしましたが、インドネシア、カンボジアがオブザーバーを派遣するということになったわけであります。それは、これらの国が、これは看板どおり受け取ってよろしい、これは純粋の経済開発のための国際会議であるという心証を得たからでございます。そういうわけで、この会議が開会以来、もう終始、純粋な経済開発会議であるということを実際において示したわけであります。そうして、おしまいになって、コミュニケを書く段になったのであります。ところが、前に宣伝したというか、この会議の性格というものはどういうものであるのだということを知らせるために、当初用いた文句がそのまま入っているわけであります。そこでこれはもう実際問題として、われわれはこの会議を純粋の経済会議としてやって結論に達したわけではないか、いまさらこんなことを書く必要はない。じゃまであるのみならず、かえって、これを残しておくことによって誤解を生ずるというので、なるほどそうだということになりまして、これは削除した次第でございます。
  59. 羽生三七

    羽生三七君 二、三お尋ねをいたしますが、農業問題を中心に少しお尋ねします。それより前に、一言お聞きしておきたいことがあるのですが、それは、三十一カ国が、域内、域外参加して結成、創立をするアジア開銀が、授権資本が十億ドル、とりあえず五億ドルで発足する。それも五カ年、ところが、日本の低開発国援助計画は、国民所得の一%にしても、これは七、八億ドル、当面でそういうことになる。そうすると、実際問題としては、将来これは増資をするとか、何か特別の基金を別に設けるとかなにかすれば格別、そうでなければ、これは東南アジア全体に対する援助計画としてはまことにウエートの低いもので、そうたいしたことじゃないことになるんじゃないですか。何かこれ、アジア開銀をやれば策南アジア開発に重大な寄与ができるように伝えられておるけれども、実際問題としては、日本単独でやるよりもはるかに少ない。それが三十一カ国り総力をあげてもそのとおりだと。将来はどういうことになるか知りませんが、その意義というものはあまりたいしたことがないような気がするんですが、その辺は、このウエートの問題ですね、どういうふうにお考えになりますか。
  60. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先般、マニラの会議に参りましたときに、その問題が——やはり十億ドルじゃ足りないというような考え方を各国みんな持っております。そこで、将来の増資というものもむろん考えられましょうしいたしますが、同時に、やはり債券を発行するというような考え方も持っております。したがって、あの過程におきまして、イギリスが千万ドルぐらいしか出さないというようなことですが、そんなことじゃしようがない、そんなことでは将来ロンドンでもって債券発行しないぞというふうなことを言った代表もございます。そういうようなことで、やはり資金の面については現状も十億ドルで足りるとはだれも思っておりません。十億ドルというのはすぐ二、三年でなくなるんじゃないか。だから、やはり広くヨーロッパその他でも債券等を発行して資金の充実をはかり、将来はやはり増資をするというような考え方で、当時話しました各国の間では、おったようでございます。
  61. 羽生三七

    羽生三七君 それで、これは単に自由陣営だけ云々という、そういう原則的な議論は別としても、ソ連とかフランスとか、そういう先進国も、未加盟国も入って、もっと資本そのものが大きくならなければ、これはたいした効用は発揮できないと私は考えておりますが、しかし、時間の関係がありますから、ほかの質問に入ります。  農林大臣にお伺いしたいんですが、さきの日米経済合同委員会で東南アジア経済協力を討議した際に、農業開発ということが非常に中心になったようですね。その際に、東南アジア開発農業開発の基金制度を設けるということが検討されたらしいです。その構想もあるやに伝えられております。それで、先ほど問題になったんですが、いまのアジア開銀の問題、あるいは外務省が具体的にどこまでいっているか知らぬけれども、東南アジア開発の特別援助費の創設なども一応考え、また従来の機関もある、そこへ新たに——つくることに私は必ずしも反対するわけじゃありませんが—この東南アジア開発農業開発の基金構想、基金制度をつくるという、これが討議されたと思いますが、それはどういうことなのか、具体的にひとつお聞かせいただきたい。
  62. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、この前の日米懇談会におきましては、農業関係の問題につきましての基金制度のようなものも必要であるという意見が出た程度でございまして、それについて深く論議はされなかったのでございます。もちろん、この農業の機構の問題の開発をいたします際には、そういったような問題等も重要になってくるとは思いますが、その当時は、においては、そういう意見もあるという程度で、それ以上論議はいたされなかったのでございます。
  63. 羽生三七

    羽生三七君 日米経済合同委員会ではその程度としても、その前の四月のアジア開発閣僚会議でも、その討議の中の一つの重要な要素がこの農業開発にあったと思うんです。今度の議題でもこれが問題になったと思うんです。しかし、そのつど議題になるだけで、考えが何もないんじゃちょっとおかしいと思うんですね。ですから、これほど中心議題として扱われた問題が、まだ何も考えがないというのはおかしいし、かつ、四月に開かれてからすでに数カ月たっております。   〔委員長退席、理事長谷川仁君着席〕 その間何も案がないというのもこれはどうか。たとえばインドネシアに対する三千万ドル供与等、これは農業とは直接関係ございませんけれども、一応そういうものがあった。それじゃ、その後どうなっているかという問題もあるし、それから、特にいまの農業問題一つ中心を置いてみても、一体具体的にどういうことを考えようとしているのか、その考え方によって、実は私、農林大臣に二、三お伺いしたいことがあるので、何もこれは案がないということになると、これはお尋ねしても始まらないことになるのですが、しかし、それにしても、さきの会議といい、今度の日米会議といい、相当問題の中心議題であったはずなのに、何もないというのはおかしいし、東南アジア諸国に対しても、ちょっといささか愚弄した話じゃないかと思いますが、考えがあればお聞かせを願いたい。
  64. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 先ほど申しましたが、基金制度についてはそういうふうに申し上げたのでありますが、農業の方面の問題につきましては、やはり一つは技術援助の問題でございますることは言うまでもございません。そこで、アジア農業、特に熱帯農業に関する技術の研究、開発を促進することが第一である。第二には、各種専門家の派遣により、アジア諸国の農業開発の基盤の整備と農業技術の改善、向上をはかる。第三には、研修員の受け入れと海外技術協力センターの設置等を通じてアジア諸国の農業技術者の養成、訓練に資すること。第四には、モデル農場の設置等を通じて農民への技術の普及への協力の拡充をはかる等、その他の分野について既存の国際機関及びそれとの協調も考慮しながら、相手国の輿望に応じて、その農業の実態に即した協力態勢をとり得るように具体的な検討を進めていくことにしているという程度を申し上げている。  次に、その資金協力につきましては、アジアの農業は土地基盤の整備をはじめとして、生産の改善、流通の合理化等、多額の資金を必要としている現状はよくわかるのでございます。わが国といたしましても、世銀、アジア開銀等の国際的金融機関との協調につとめますとともに、技術協力の裏づけとしてアジアの農業開発に寄与し得るような効果的なプロジェクトに対して、できる限り有効な資金を供与することも検討する必要がある、かように存じておるわけでございます。なお、このアジアの農業開発の問題につきましては、斉一的なことではかるわけにいきません。各国とも非常な事情の違いがございまするので、また、その援助につきましても、わがほうから強制的にあるいは指導を進めていくというよりも、やはりアジア人自身の自助的な精神、いわゆるこういうことをしてもらいたいといった願望が中心になって行なわないと、かえって効果がないということがありますので、少なくとも今年中にできればいわゆるアジア会議日本でやりまして、各国の事情を、そのときによく御相談をするということで進んでいかなければならぬというのが、四月の当時において、日本から要求したのではなしに、この前集まりました各国からぜひともそういう農業会議日本でやってもらいたいという非常な要求に基づきまして、   〔理事長谷川仁君退席、委員長着席〕 それで、その要求によりまして近いうちにアジアの農業開発会議をやろうということに——要求に応じて日本もそういう決意をいたしました。そして、でき得る限り今年内にアジア会議を開き、そして、そのときにいろいろ話し合いを進めるということでいきたいと、かようにまあ考えておるわけでございます。
  65. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、今年中、たぶん秋だろうと思いますが、アジア農業開発会議——仮称でしょうが、それを開いて、それまでに各国と打ち合せをして成案を取りまとめる、こういうことでございますね、よろしいですね、それで。  そこで、いま確かに農林大臣お話しのように、これは一律に律するわけにいきません。国によってみな事情が違います。たとえば飼料作物中心のところもあるし、米作のところもある。その他の作物のところもある。各国別にそれぞれ異なった要求もあるだろうし、対策の内容そのものもみな違っておると思います。そういう場合、いま案全体が必ずしも決定的な結論を出していないときに質問するのもどうかと思いますけれども、ただ、いま問題になっておるのは、そういうアジアの農業開発をやった場合に日本農業にどういう影響があるだろうかという、この問題があります。しかし、何でもかんでも日本農業に影響があるからアジアの農業開発をやってはいかぬという議論には、私は必ずしもくみしません。しかし、そうであっても、その場合にどういうものが日本に現実に影響を与えると考えられるのか、これはわかっておると思います、私は。たとえば、米については主産地はビルマとかタイ——タイはもうすでにトウモロコシに相当転換をしております。しかし、具体的言って、それはどういう影響があるのか、ある意味で言えば、東南アジア自体が全体としてむしろ食糧不足なんで、東南アジア全体の食糧生産を高めることがいま緊急の課題となっておる。であるが、それがすぐ日本農業にはね返ってくるというわけでもないけれども、国内にもそういう懸念があって、そういう議論があるわけです。もしそれがないというならば、具体的に最終的な段階にはなっておらないけれども、当面日本がアジアに与える農業開発計画——与えると言うと語弊がありますか——日本考えておるこういう計画は、アジア全体として、こういうプラス要因があり、日本農業については、そうたいした危険がないならば危険がないと、そういうあらましの考え方を一応示す必要があるのではないかと、実はわれわれの間ではずいぶんそういう議論がありますので、この機会に一応農林大臣の見解を承りたいと思います。
  66. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) ただいまの点でございますが、この前やはり集まりました国においては、まあ、タイの国以外は大体食糧が非常に窮乏いたしております。それからなお、人口の増加と食糧の増加の比率が、御存じのとおり、非常に人口の増加のほうが大きいという関係がございまして、将来の十年間あるいは二十年というものを見ますというと、これは計算どおりにはそれは進まんでしょうけれども、東南アジア全体として現在でも不足でございまするが、さらにその不足、人口の増加に比較して食糧の増加が少ないのでございますから、さらにその増加が開きが大きくなると、かように思いまするわけで、したがいまして、日本としては、その食糧の増強という問題について全力応援してまいる必要があろうかと、そのことは日本経済にも非常に影響があると思います。ただ、この際において、特に日本が畜産を奨励してまいらなければならない。そのときに国内における畜産のえさとしてのたとえば草資源のごときは、国内でこれは自給すべきことは御存じのとおりでございまするが、そうでないものについては、やはり畜産がこれ以上に発展するということになりますと、日本のような小さな地面ではえさの自給というものが非常に困難なことは、これは御推察のとおりでございます。したがいまして、その分については、たとえば現在でも、マイロとかそういうものは東南アジア、特にタイの国等から輸入しておるのでありますが、そういうことに適したもので、相当増産の進み得るものでありまするならば、そういうものを日本輸入することも彼我相通じて非常な効果を持ってくるのではないかと、かようなことも考えられるのでございますが、とにかく、いずれにしても、現在多少そういうことはございまするが、目下のところは、やはり食糧の輸入をしておる。その輸入量は相当多いのでございますから、輸入量を減らすということによって相当やはり収支のバランスをつけてやることができるわけでございます。相当の効果がやはりあると、かように存じておるわけでございます。
  67. 羽生三七

    羽生三七君 その問題はプラス、マイナスの食糧要因を各国別に検討してもらわんならんが、それをきょうここで、私、最終的な答えを求めようとは思いません。しかし、これは時間をかけて、この日本経済、特に農村との関係を、重要ですから、時間をかけて十分明らかにする方向で進んでいただきたいと思います。  それから、いまお話しの、たとえば技術援助中心とするような場合に、人材、技術者、そういうものは十分それぞれの国の特殊事情に、要請に応じてこたえられるかどうか、そういうことも、どういうところからどういう技術者をということも考えにやならぬと思います。それから、それに必要な資金づけというものは、一体農林省はそう考えても、はたして大蔵省が出すのか出さぬのかという問題がある。そういう問題についても、もう検討を始めておりますか。
  68. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、この東南アジアの熱帯農業については、日本でも相当研究しておる人も多いのでございまするけれども、さらにそれらの点について検討を加わえることは、日本農業技術の発展の上においても、また、東南アジアの問題を検討する上においても重要でございまするので、今年度の予算において熱帯農業研究所というような意味合いから、この予算を一部これは獲得いたし——獲得と言うのはおかしいのですが、計上いたしておるわけでございまして、来年もこの問題については、さらにそれらをふやしていく考えで進んでおるわけでございます。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 関連。ただいまの農林大臣のお答えのうちで、タイにおけるトウモロコシの栽培のことを言っておられました。もちろん、この経済援助の場合は、私たちは東南アジアにおける各国の食糧不足、その問題を解決するための援助ということが非常に重大な問題であると思いますが、それと同時に、日本の食糧あるいは原料の問題についてのいろいろ配慮もすべきだと思います。まあ、タイにおける例は積極的一つの例だと思う。他にどういうことをお考えになっているか。たとえば米の問題についてはどうお考えになっているか。あるいは他の日本の必要とする農産原料についてどうお考えになっておられるか。それらの点をひとつ明らかにしていただきたい。
  70. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、たとえば、現在日本で、米の点で申しますと、年によって違いますけれども、やはり九六%自給しておる。四%日本で不足でございます。そういう点については主として準内地米を、御存じのとおり、輸入しておる。東南アジアにはそれは非常に少ないわけです。しかし、さればといって、原料関係もあります。そういう点から、純外米もそういう不足の年には輸入をいたしておるというのが現状でございます。それから、国内において、いま畜産が、先ほど申しましたように、畜産が非常に相当の勢いでこれは増進をしております。その勢いと比較して、日本国内で飼料の増産ということはなかなか困難な情勢にあることは、これは御存じのとおりでございます。したがいまして、各国から総合的にこれらのものの輸入を、不足分の輸入というものをいたしておるわけでございまするが、その一部はやはり東南アジアからも輸入しておる、こういう情勢でございます。で、将来の問題としても、そういう面について、火南アジアとしてのその職責を果たし得ることが考えられるわけでございます。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまの私の質問は、そういう一般的なことをお伺いしているのじゃなくて、将来、たとえばタイではトウモロコシを栽培さすことによって非常に成功した。じゃ今度はインドネシアでは何、フィリピンでは何、どこでは何という大体のめどというものをおつけになっているかどうかという具体的なことを——国と関連さして、どこにはどういうものを日本としてはやってもらいたいと考えているのかということをお聞きしているのです。
  72. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) つまり、いま二部飼料の問題をお話しいたしたわけでございます。その他のいろいろの面は、もちろんいまこういうものがどこにといったような点については、やはりアジア会議の際に、個別的にあるいは全体的に、よくそれらの問題をも検討いたしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだきまっていないわけですね。
  74. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) ええ。
  75. 森元治郎

    ○森元治郎君 農林大臣の御説明は、大体四十一年度予算の審議過程で伺った対策であって、格別、いま問題になっている東南アジア開発に対する農林省の大構想というのは伺えない。これからおつくりになるのでしょう。要するに、知恵は貸す。金がかからないことはやる。こちらからはやらないが、向こうから言ってきたら、そのときケース・バイ・ケースで考えていこうという消極論。  ところで、外務大臣農業関係はあなたのほうの所管じゃないのだけれども、これは新聞などを見ていると、トウモロコシだ、落花生だ、米だといったようなものを長期的に購入していこうじゃないかというようなことが、経済局あたりの若手の頭かどうか知らぬが、たいへん農林省になったような勇ましいことを言っているが、向こうは開発輸入はいやだ。米の値段であんな騒ぎをやるくらいですから、そんなこと言ったらたいへんですから消極的ですが、外務省のその積極的な理由を御説明願いたい。
  76. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 外務省が積極的に出るということにつきまして、私はまだよく承知しておりません。私の承知しているのは、南方でつくっている米は内地では喜ばれない、それから、日本のような米は南方では喜ばれない。そこで、日本は年々米を外国から買っておりますが、それはいわゆる準内地米——日本米に近い、あるいは同じような種類のもの、そういうものを買って間に合わせている。だから、むずかしいものをわざわざつくりたがらない。南方に日本米あるいは準内地米というものをつくらせるということは、実際問題として非常にロスが大きいというようなことが予想されるから適当でないというのが農林省の意見でございまして、なるほどそうかというように私は承知しております。
  77. 森元治郎

    ○森元治郎君 輸入長期構想はないのですか、長期にわたって継続的に第一次産品の買いつけをしたいというふうな。
  78. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そういう長期構想としては、さっき農林大臣が言われたように、日本の酪農、将来の飼料の点から考えると、多々ますます弁ずで、幾らつくってもよろしい、それはみんな引き受けてやるというくらいの勢いであるようですが、これは長期計画はもちろん立っておる。その他の点についてはまだよく承知しておりませんが、油脂原料のようなものはこれは有望である、それは日本としては必要であるという程度のことは私は承知しております。
  79. 羽生三七

    羽生三七君 先ほどの農業開発の基金構想は、まだ構想が固まっておらないというお話でしたが、新聞報道等によると、その際、もしそういうものができれば、アメリカあるいはその他先進国からの基金援助を要請しなければならないということを三木通産大臣が語っているといわれておりますが、三木さんその点いかがですか。
  80. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) そういうことは、できれば遠慮なしに各国の援助を受けるべきである。これは日本だけでそういうこともできないし、これはやはり先進諸国も共産圏も入る。そうして各国が東南アジアにおける農業、これは基礎的なものですから、これの開発のために協力するということは必要である。だから、農業開発会議でこういう案がまとまって、やろうということになれば、先進諸国に呼びかけて、そうして協力を得るということは必要だと私は思っております。
  81. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、まだ固まっておらないようですが、大体コンクリートなものになっていないにしても、外務省通産省農林省——経済企画庁もそうでしょうが、大体この秋には会議を開くということは、さっき大臣からはっきり答弁がありましたが、そういうものを効果的に推進するための基金構想というものも大体進められる方向にあるのですか、どうですか。そのほうは、これは外務大臣ですか、農林大臣ですか、どちらからでも。
  82. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) わりあいに農業開発ということになると、かんがい施設その他いろいろな点をきわめて広く考えていかなければならない。したがって、資金としては相当なものが要るだろう。わりあいに資金の需要の方向というものは農業中心というふうに固まってまいりますわけです。私は資金の専門家じゃありませんけれども、農業開発資金というようなものがわりあいに考えやすくなるのではないかというふうに考えておりますが、まだ農業開発会議を開いてどういう仕事をするかということもきまらぬのに、資金のほうだけは基金でやるんだというようなことは、少し先走ったことでございまして、やはりこれはどうしても当事国の会合、会議というものを待って、そうして資金の量、それからその性質、性格というようなものを見きわめて、この問題が一体どういう方法でまかなうのが最も適当であるかというようなことが自然きまってくるのではないか。そのきまりぐあいが、どうも基金なんというものにあるいはなるかもしらんというような考え方は、政府関係者の間にそういう傾向は見られますけれども、それをいまきちっと打ち出すという段階ではない、こう考えております。
  83. 羽生三七

    羽生三七君 それで、さきの日米経済合同委員会では、それは中国問題とかベトナム問題とか、あるいはそういう一般的な国際情勢の問題も論議されたと思うのですが、なかんずく、やはり経済問題ではこの問題が相当に論議されたと思うのですね。そうする場合に、金の点はとにかくとして、もう少し何か論議したのならしたらしく、何らかの考えがあってしかるべきなんじゃないですか。どうもその辺がみな中途半端でおかしいような感じがするのですが、意見の交換をしただけなのか。新聞報道等では、かなり積極的にこの問題で——農業開発についてはかなり意見の一致を見たとして強く打ち出しているようですが、その辺はどうなんですか。全くあいまいなものなんですか。
  84. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) この農業会議の問題は、先ほども申しましたように、四月のあの来由アジアの会議におきましても、農業開発の問題についていろいろ各国の情勢も話をし、特に食糧の増強について援助を願いたいということが非常に強くこれがあらわれておったことは、大体その当時の報道によっても御了承であろうと思います。今度の日米懇談会においては、具体的にこういうことは申しませんのでありますが、これは東南アジア諸国の要求に応じて——大洋諸国の問題でありまするから、これはやはり押しつけがましくいくべきものではない。したがって、今度のこの農業会議につきましても、この前参集いたしました国々から、ぜひとも日本でひとつ開いてほしいということが強く要請されましたので、それに即応してそのアジア農業会議を開くことにいたしましたようなわけでございます。これらの問題は、やはり日本から強制的にかようにすると言う問題ではなしに、各国がそれぞれの情勢に応じて、こういうことはぜひやってもらいたいということの、いわゆる自発的な要請というものと相まってやらなければ効果がないということもありまするので、したがって、なるべく早くこのアジア会議を開いてもらいたい、また開こうということに相なって、できれば今年の秋にやりたいと、こう考えておるわけです。  それから資金の面につきましては、いろいろの資金計画がありまするけれども、農業につきましては、いわゆる土地改良、用水の問題あるいは排水の問題その他については、やはり特殊の小さな金融というものが、末端に参りまするそういうものについてのものがこれは私は必要だと、こう存じております、自分の見解でございまするが。したがって、そういう問題等が熟してまいりまするならば、やはり私はそういう農業基金というものが非常に効果を発するものであろうと自分は考えておりまするが、これらをどうするかという点については、もちろん、何らきまっておらないわけでございまして、これらについても、今年中に行なわれまする農業会議を通じて各国のいろいろの意見が出まするので、それに即応していろいろ考えられ、そうして初めていろいろの面ができ上がってまいるものであろうと、自分はそういうふうに考えておるわけでございます。
  85. 羽生三七

    羽生三七君 もう一点だけ。  その場合、アジア開発銀行は、これが正式にでき上がった場合に、その場合に、アジア開銀農業関係部面についても資金を利用できるのかどうか。その性質にもよるだろうが、その辺はどうなっておるのでしょうか。大体運輸交通とか、そういうことが中心らしいですが、農業関係はどうなのか。
  86. 西山昭

    政府委員(西山昭君) アジア開発銀行の通常の業務から申しましてできないわけではございませんが、いろいろの条件の関係で、はたして非常に緩和された条件の農業に対する融資が相当の金額でできるかどうか、限られた資金のワク内でございますから、若干問題がありますが、制度上できないわけではないのでございます。ただし、別途資金の一割の範囲におきまして特別基金というものが設けられるたてまえになっております。その意味ではその資金はそういう面の長期の緩和された対象に適用される可能性が非常に強い、こういうぐあいに考えております。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっと関連して。  これは三木通産大臣にお伺いしたいのですが、この東南アジアの農業開発の問題ですが、先ほど坂田農林大臣のほうからいろいろ言われましたが、まあ、熱帯農業研究所の問題とか、あるいは技術者の提供とか、あるいはかんがい施設が非常に重要なことだと思うのです。しかしながら、現在農業を大規模に発展さしていくためには肥料の供給、特に現地に肥料プラントをつくって、そうして肥料を供給するということも必要でしょうし、あるいは農業機械、さらに農業土木機械、それに必要な資材、こういうものを提供して初めて大規模なものができると思うのです。だから、いままでの農業開発農林省でお考えになっていたものよりももっと規模が大きくて金がかかる、そういうふうに私は考えるのですが、その場合に通産省の所管であるそういう工業の協力ということが非常に必要になってくるが、通産省のほうでは、この東南アジアの農業開発にそういう点で調査をされ、積極的に協力して日本経済援助の成果をあげるようにする、そういう準備をしておられるかどうか、伺いたいのであります。
  88. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これはどうしても農業開発のためには肥料とか農機具、これは絶対に必要になってくるわけですから、したがって、肥料あるいは肥料工場などの現地における建設も考えられるでしょうし、あるいは、肥料の買い付け資金というもの、長期低利な資金の供給ということも考えなければならぬし、農機具についても同じように、やはり現地で農機具をやる場合、あるいはまた、先進国から農機具を供給してこれに対する非常なソフトな条件でそれの代金を貸し付けるとか、こういう問題をどうしても伴わないと、ただ農業開発というかけ声だけではだめなんです。どうしても金と技術というものが要りますから、そういう点で、どうもあまり具体的に突っ込んだ話をしなかったのは、アジアの農業開発には日米両国でいろいろ話をするということも、これは非常に何かかえってアジア諸国に対して誤解を与えるということで、これを突っ込んで話をしなかったのであります。しかし、アメリカが非常に関心を示したことは事実ですよ、この問題について。また、アジア自身においても、ほかの問題ではなかったのに、この問題だけは開発委員会で継続審議のようになったわけですから、これはやはりアジア諸国の農業開発に対する関心を示すものですから、ここで政府としてもむろん会議を開くまでに日本の案というものを当然に検討されなければならぬし、そういうことで、何か押しつけたのでなしに、アジアのイニシアチブで農業開発構想がまとまって、そうしてそこで先進諸国に資金も——どうせ相当な金が要りますから——資金というものの協力方を要請するという順序のほうが進め方として適当だというので、この間の京都の会議においても、そういう考えもあり、こういう構想も持っているんだということで突っ込んで日米間で討議ということの対象には意識的にしなかったのでございます。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 アジアの農業開発に対する援助というと、非常に金がかかると思うのです。アジア開銀の資金が限られておって、しかも、なかなか農業には貸しにくいというような事態であるとすれば、日本としては、もしこれを行なおうとするならば、相当な額をつぎ込まなければならない。それには、やはり日本側としてもそのための準備、そしてその資金をどういうふうにして捻出するか、それをどう使うかということを十分に考えて、そうして今後のアジア諸国によって行なわれる会議に臨まなければならぬ。そうでないとかけ声だけに終わると思うのですが、もし日本がアジアにおける先進国としてそれだけの覚悟を持って臨むとするならば、すみやかにその計画を立つべきである、こういうふうに考えます。
  90. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この協定には「アジア及び極東の地域」ということばが繰り返し述べられているんですが、「アジア及び極東の地域」というのは、正確に言ってどういうところですか。
  91. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) お答え申し上げます。エカフェの付託条項に極東地域の条項がありますので、それを御参考までに申し上げます。  アフガニスタン、ブルネイ、ビルマ、カンボジア、セイロン、中国、オーストラリア、香港、インド、シンガポール、イラン、日本、韓国、ラオス、マレイシア、モンゴル、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、タイ、ベトナム及び西サモア、そう規定してございます。
  92. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その「アジア及び極東」という、「及び極東」と、こうわざわざ断わっているんですが、これはアジアの中ではないんですか。あるいはアジアの中であるにかかわらず、もう一ぺん「及び極東」と言ったのは、何か意味があるんじゃないですか。
  93. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) 国連の地域を明示する場合に、用語としてこういうふうな字句を慣習上使っております。
  94. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、「極大」というのは、アジアの中にあって特に重要であるからとかなんとかいう意味で「及び極東」と繰り返しているんですか。アジア外であって、アジアと極東と、こう書いてあるんですか。そこのところがはっきりしないんですが、慣用だと言われても、慣用ができる最初のときにはもう少し正確な規定があったはずでありますが、あるべきだと思うんですが。
  95. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) 御説明申し上げます。慣習上、「極東」ということばは、アジアという概念は非常に広くて、たとえばシベリアなんかまで入るかどうかという地理的な従来の概念をもっと正確にするために、エイシア・アンド・ザ・ファー・イースト、もっと正確にしようというためにこの用語を使っているのだと思います。
  96. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、アジアの地域を極東に狭めるために「及び極東」と書いたんですか。
  97. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) 御説明申し上げます。エカフェの付託条項の中には、いま申し上げたような国が入っておりますけれども、たとえば具体的に申し上げますと、アフガニスタンとイランという国が、従来の地理的な概念に従えば、アジアに入るのかあるいは中近東に入るのか混乱が起こることも考えられたので、アジア特に極東方面というふうにはっきり、ともすれば誤解しがちな地理的な概念を、もう少し法的な定義を加えたものと考えております。
  98. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、イランは入っているんですか、入らぬのですか。
  99. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) イランは、いま申し上げたように、入っております。
  100. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 入っていますか。——どうも、そこで、この協定で「アジア及び極東」という地域を限定しているんですが、アジア開銀はこの地域の開発でどこに重点を置いてやろうとしているのか、その重点地域を明瞭にしてください。
  101. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) アジア及び極地における加盛岡、すなわち、先進国、日本、豪州、ニュージーランドを除くその他のいわゆる開発途上の加盟国の経済開発援助する、それを主たる目的にいたしております。
  102. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、どこに重点を置くとかなんとかいうことはなくて、全地域にわたってやろう、こういうことですか。
  103. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) お説のとおりでございます。
  104. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 日本はその場合に東南アジアを非常に重点的に考えておられるように思うんですが、特に東南アジアに重点を置かれる理由、根拠はどういうところにありますか。これは外務大臣にお尋ねいたしたい。
  105. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) もちろん、エカフェのように全地域ということになりますと、きわめて焦点がぼけてしまう、そこで、日本といたしましては、最も地理的に、それから経済的にも近接な地域、こういうふうにいたした次第でございます。
  106. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その場合に、台湾、韓国はその東南アジアの中に含まれますか。
  107. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それを除いたのは、経済開発という角度からながめた場合に、韓国及び台湾は日本の旧領土でございまして、そして、これらの国とはまた特殊の関係にあって、その他の東南アジア諸国とは開発段階においてだいぶ開きがある、こういうわけで、これを除外して考えるほうが適当であると、こう思ったからであります。
  108. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連して。それで、先ほど農林大臣からお答えのあった、秋開かれる農業開発会議ですか、その招請国は前回の東南アジア開発閣僚会議と同じ国なのか、新たにプラスされるところがあるのか、その辺はどうですか。
  109. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは、この間の参加国に一応限定されております。しかし、参加国の意見によって、あるいはそれを多少変更することもあるかもしれません。それは、いずれにいたしましても全体にはかってみて、そしてその意向によってきまる問題だと存じます。
  110. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、日本開発方針は東南アジアに重点を置くが、台湾並びに韓国は、歴史的に言っても地理的に言っても、より近接した地域であるので、東南アジアよりもさらに重点を置いてここの開発を推進すると、こういうお考えですか。
  111. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 結局、開発段階も違うし、これと一緒にするということはどうもあまり適切でないのではないか、やはりこれはまあ特殊扱いと、こういうわけでございます。特にどっちを重く見るとかいうようなことではございません。開発段階がもうはるかに台湾は進んでおる。韓国は韓国でまた、日本と日韓条約において特殊の関係を今度結んでおるわけでございまして、経済協力もまあ大々的にやると、こういうわけでございますから、これはまた別にのけておいて、そして、同じような段階と言っては進んだところはおこるかもしれませんけれども、とにかく、非常に連帯感を持ちやすく、そして経済協力のしやすい、気候風土も似ておる、こういうふうな関係からあの地域を限定して取り上げた、こういうわけでございます。
  112. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 アジア経済開発は、先ほどもいろいろ論議がありましたように、農業開発が非常に重要な問題になっておる。しかし、さらには地下資源開発の問題——マイニングの問題、それから工業——インダストリーの問題、そのインダストリーにも、軽工業あるいは重工業がありましょうし、さらには交通業、そして公共施設、そういうあらゆる面の開発考えられると思うのですが、アジア開銀がこれらの開発をしようとするときに、どこに重点を置き、どういう順位でこれらのものを考えるのか、御説明願います。
  113. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それはエカフェの考えておるアジア諸国の希望もございましょうし、それからまた、開銀側から言うと、その事業が開銀資金を回すのに適切であるかどうかという点、その他いろいろ考慮してきまる問題であろうかと思います。いま日本の立場からこれを言うべきでは私はないと思いますが、しかし、どうも推測するところによると、やはり開発会議に集まった国以外の国を考えてみても、やはりいろいろな意味において農業の振興が大きな問題になるのではないか。それからまた、いろいろな資源でも、その国によって違いが出てくる。その選択等につきましては、これは具体的にきまってくる問題であろうかと思いまして、一がいには言えないと思います。
  114. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 アジア開銀にはアジア的な性格を強く、付与しなければならぬということが設立の過程においていろいろ論議されたと思うのですが、この協定にあらわれたアジア的性格というのは、どういうふうに、どの点にあらわれているのですか。
  115. 滝川正久

    政府委員(滝川正久君) ただいま、アジア的性格がこの銀行の設立過程においてどういうふうにあらわれておるかという御質問だったと思いますが、いろいろとそこに顔を出しておりますが、一番重要な点は、資本の構成、総裁の選出、理事の数の構成、そういう点におきまして、アジア地域内に非常に重点を置いた配分をしております。
  116. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 理事はどういう……。
  117. 滝川正久

    政府委員(滝川正久君) 十名のうち七名を域内というふうに。
  118. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから、アジア開銀の投資の対象ですが、これは国に貸し付けるのか、あるいは地方公共団体に出すのか、あるいはその国の銀行に出すのか、または個々の企業に出すのか、その辺の融資対象の規定はどういうことになっておりますか。
  119. 滝川正久

    政府委員(滝川正久君) これは原則として国でございますが、地方公共団体、それからその他の団体も含みます団体と協定面ではなっておりますが、実際上は、たとえば世界銀行等の例をとりますとわかりやすいのでございますが、道路借款というふうに、道路公団というようなことが考えられておったのでございますが、今後の問題でございますので、どういう機関に貸し付けるかということは、いまはっきり申し上げられませんが、カテゴリーとしてはそういうものを含むというふうに御了承願います。
  120. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 銀行や個別企業にも出しますか。
  121. 滝川正久

    政府委員(滝川正久君) 一応協定上はできることになっております。
  122. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 開銀には何か僧正基金を設けるというようなことがうたわれていたと思うのですが、これはどういう性格のものですか。
  123. 滝川正久

    政府委員(滝川正久君) お説のとおりでございまして、十九条の特別基金の規定がそれに該当いたします。二種類ございまして、第一種は加盟国の払い込みました分の一〇%をこえない額を保留いたしまして、これをもって一つの特別基金をつくること。もう一つは、銀行の目的に役立つことを考えまして、銀行の任務の範囲内に入る特別基金というものをつくる。これはいわゆる出資国が条件をつけまして、こういう条件でこういうプロジェクトに金を出してくれというような場合にそれに応ずるための基金として運用管理するというものでございます。
  124. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、この特別基金はこの開発銀行に参加していないものでもそれを寄託することができるのですか。
  125. 滝川正久

    政府委員(滝川正久君) 規定上禁じられておりませんし、これはできるとわれわれ解しております。
  126. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 現実に何かそういうものが問題になっておりますか。
  127. 堀込聰夫

    説明員(堀込聰夫君) お答えいたします。ただいま準備委員会の段階におきましては、この信託基金をどこが出すといったような問題も何もございません。
  128. 羽生三七

    羽生三七君 関連。  中南米、アフリカの銀行の場合にそういう例はないか。いまの質問のやつは、今度のはまだできないのですから問題にならないのですが、いままでできておるものでそういうことはあったのかどうか。
  129. 堀込聰夫

    説明員(堀込聰夫君) 米州開発銀行の場合の信託基金の制度でございますが、アメリカは出資者でございますけれども、アメリカ——出資者以外のカナダ等もたしか信託基金を出しておる例があったと思います。
  130. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ソ連が信託基金ならば出していいという意向だということをちょっと聞いたことがあるのですが、それは事実であるかどうか。それから信託基金は、アメリカはさらに幾らかのものを信託基金に出そうとしているかどうか。
  131. 堀込聰夫

    説明員(堀込聰夫君) 前段のソ連につきましては、エカフェの事務局長がソ連の要人に会いましたときに、そういう意向を申したことがあるというふうに聞いております。アメリカにつきましては、そういう可能性はあるのではないか、しかし、まだ幾ら出すかというようなきまった話にはなっておらないと承知しております。
  132. 岡田宗司

    岡田宗司君 関連して。これは外務大臣に質問したいんですが、エカフェにはソ連もモンゴリアも参加しておる。ところが、この銀行にはソ連もモンゴリアも参加していない。そういうことから、特にアメリカのほうはこの銀行の設立に非常に熱心だということから、この銀行はつまりアメリカの意向に沿うものじゃないか、あるいはまた、将来アメリカの利用する機関になるんじゃないかということが危惧されている面もあると思います。で、この銀行の設立の過程にあたって、ソ連に対して、あるいはモンゴリアに対して積極的に参加を働きかけたことがあるかどうか。日本なんかとしてはむしろそうすべきであったと思うのですが、そういうことをしたことがあるかどうか、あるいはこれからもこの銀行をもっと広範な基礎の上に置くために、ソ連、モンゴリア等に参加を働きかけるつもりがあるかどうか、それをお伺いしたい。
  133. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) この生みの親であるエカフェとして、ソ連に加盟を働きかけた事実はございます。また、ソ連を通じてモンゴルの加盟を求めた事実もあるのであります。それは、両国がついに聞かなかった結果、両国はこれに加盟しておらない、こういう状況であります。そのことがあって、僧正基金ならばというようなことがあるソ連の関係方面からエカフェに話があった、こういう次第でございます。
  134. 岡田宗司

    岡田宗司君 政治問題として、この問題についてさらにソ連に、総裁を出す日本として、今後働きかけるつもりがあるかどうか。それから、いま言った信託基金の問題も、そういうことではなはだはっきりしていないんですが、その信託基金についても何らかの形で出すように確かめるつもりがあるかどうか、その辺はどうお考えになっておりますか。
  135. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ、これはアジア開銀が発足してから、その間銀の意思決定に基づいて行なわるべき問題ではないかと、こう考えております。日本としては、その開銀の働きかけによって、ソ連が少なくとも信花基金を拠出するというようなことが望ましいことであると、こう考えております。
  136. 岡田宗司

    岡田宗司君 グロムイコ外相が来たときに、アジアの経済開発等の問題について話し合って、その際にそういうことについて日本側からソ連側に協力を求めるつもりはありませんか。
  137. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これをここでお約束するわけにはいかぬと思います。まあ、いいきっかけがつかめれば、あるいはそういうことに言及することがあるかもしれませんが、お約束はできません。
  138. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 アジア開銀と世界銀行あるいは第二世銀、または国際金融公社等の国際的な金融機関との関連はどうなりますか。
  139. 堀込聰夫

    説明員(堀込聰夫君) 地域開発銀行は、アジア開発銀行のほかに、すでに米州開発銀行、アフリカ開発銀行があるわけでございますが、いろいろ設立の趣旨等を見ますと、やはり全世界を対象とします世銀、第二世銀等の開発資金のみをもっては開発途上国の開発に十分ではない、やはり地域的な地帯感のもとに地域的な銀行を設立して、さらに開発買血の供給をふやしたいという考え方に立ってできております。アジア開銀の場合におきましても、そういった世外全体を対象とします開発金融機関の足らざるを補うという形で相互補完の関係にあると考えております。もちろん、その両者の間にはいろいろな密接な連絡をとりつつ業務をやるということが協定上に明記してあります。
  140. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、アジア開銀ができたために、世銀なり第二世銀がアジア経済開発に力を入れる入れ方が力をそがれる。相互補完の関係でなくて、むしろそういう、そがれるというような結果になる心配はないのですか。
  141. 堀込聰夫

    説明員(堀込聰夫君) そういう事態は非常に望ましくないと思います。従来からも、わが国としましては、国際世界を対象とします世銀、第二世銀等の資金が、よりアジアに投入せらるべきであるという主張をやってきておりますし、今後ともそういう方向で続けなければならないというふうに考えます。
  142. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、両方がアジア経済開発に努力するということになるが、それで相互補完するということを言われるのですが、その相互補完というのは、どういう内容で相互補完という形になるのですか。
  143. 堀込聰夫

    説明員(堀込聰夫君) この点につきましては、まだ、具体的なあれはないわけでございますけれども、開発資金総量が、いずれにいたしましても足りないわけでございまして、世銀等の資金、地域開発銀行の資金、さらには各二国間のバイラテラルな資金援助、そういうものがいずれも伴いまして開発資金がふえていくという形になるものと思うわけでございます。世銀と地域開発銀行との関係等は、プロジェクトの選び方その他は、銀行設立後そういった問題をさらに検討されていくということになろうかと思います。
  144. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじゃ、このアジア開銀日本輸出入銀行あるいは海外経済協力基金、これの関係はどうなりますか。
  145. 堀込聰夫

    説明員(堀込聰夫君) わが国の経済協力のいろいろな形態としまして、民間の協力のほか、一般会計によります援助、その他の借款によります援助としましては、輸出入銀行と海外経済協力基金による借款が大宗をなすわけでございますけれども、これらの関係につきましても、現実問題として、特定の低開発国のプロジェクトの援助をどういうふうに割り振りましてやっていくか、こういったような点もはっきり線を引いて、どういう分担をするといったようなところまでまだ検討はされておりませんけれども、いずれ開銀ができましたら、十分開銀の当局と連絡をとりながらわが国の個別的な援助のやり方というものは検討していかなければならぬというふうに考えております。
  146. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじゃ、開銀との関係は今後の問題として、いままでやった日本輸出入銀行と海外経済協力基金との関連はどうなりますか。
  147. 堀込聰夫

    説明員(堀込聰夫君) 従来までの形を申し上げますと、海外経済協力基金は、より緩和された条件の借款といいますか、そういった形のものを分担をしていく。輸出入銀行はもちろん援助でございますから、緩和された条件で借款を与えるわけでありますけれども、より緩和された条件の借款で援助をしようという場合に、海外経済協力基金の資金を使うという考え方を持っているわけでございます。従来は韓国及び台湾に対します円借款が海外経済協力基金を通じて出ております。今後とも、それに類似するような緩和された条件の借款は、海外経済協力基金を通じて供与をしていくということになるわけでございます。
  148. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 通産大臣にお尋ねしますが、アジア開銀でアジアの経済開発の問題が重要な問題として浮かび上がってきておるのですが、アジアの経済開発という場合には、いま問題にされておる領域以外に、大陸中国の経済開発という問題は、アジアあるいは日本にとってもっと大きな問題じゃないかと思うのですが、アジア経済開発と関連して、中国の経済開発というようなものと日本との関係を通産大臣どういうふうにお考えになりますか。
  149. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 中国との関係は、国交も回復しておりませんし、日本が中国の開発にいろいろ関与するということのやはり自然的な条件というものがまだできていないということで、中共までアジア開発の中に含めてわれわれは考えていないということでございます。
  150. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじゃ、日中の貿易は最近の実績はどういうふうになっているのか。さらに、今後の傾向をどういうふうにごらんになっているか、通産大臣。
  151. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 昨年度が四億七千万ドル、往復で。輸出二億四千万、輸入二徳三千万、端数は取りましてそれくらいの金額。四億七千万ドル、これは一昨年から五〇%くらい伸びているわけであります。そのこと自体はどういうことかと言えば、中国と日本との間には、いろいろ原料品で日本がやはり中国から買うものが相当に現在ある。中国はまた、産業発展過程日本よりもおくれておりますから、日本工業製品で中国もこれをほしいものがやはり相当にある。こういうことで、貿易上の一つの構造といいますか、これはわりあい、原料を入れて工業製品を売るという、非常なそういう貿易が拡大していくような条件を持っておるわけであります。したがって、これはあまり力まなくても日中貿易というものは伸びていく傾向を持っておる。地理的にも近いという条件がある。そういうことで、将来やはり日中の貿易というものは、それはそのときのいろいろな条件によってそれが阻害される部分もあるでしょう。国交も回復していないのですから、いろいろスムーズにいかぬ点もあるけれども、大きく長期的に見れば、日中貿易は拡大の傾向にある、こういうふうに私は見ておるのでございます。
  152. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 LT貿易が国の政策によって非常に妨害されているにかかわらず、いまおっしゃったような発展傾向を示しているのですが、したがって、さらにその傾向を促進するためには、もっと積極的な手を打たなければならないだろうし、さらには、いろいろな障害を取り除かなければならないと思うのですが、通産大臣はどういうふうにお考えですか。特に、日米貿易経済合同委員会において通産大臣はそれをどういうふうに主張されたのか、御説明を願いたい。
  153. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 中国問題はあまりせっかちにはいかぬと私は思っております。これはやはりいろいろな問題がその中にあるわけですから、じっくり腰を落ちつけて日中の問題はやはり解決すべき問題である。方向としては日中の関係は改善されなければならぬ。これは大きな方向です。これをいませっかちにやるといっても、これを阻害するようないろいろな条件がたくさんあります。あまりせっかちにならないで、これは将来を考えて、日中関係というものは将来正常化されなければならぬことは明らかです。腰を落ちつけて、日中関係、あまりせっかちに考えないことが必要である。貿易においても、こういう地理的な条件とか貿易構造からいって、自然に伸びる条件があるのですから、これはあまり日中貿易、無理ないろいろな条件がありますから、その無理な条件をするというようなことも、実際の問題として無理はいけないですから、そういうことで少し長い目で日中関係を見ることが私は必要だ。せっかちはあまりよくない。こういうことで、日中貿易については、そういう考え方で今後対処していきたい。日米の先般の京都の閣僚会議においては、日本が中国に対しての、日中貿易などに対しての基本的な考え方を述べておる。これは国によってみな、アメリカはアメリカ、日本日本としていろいろ考え方の違いもあるでしょう。それを率直に違いは違いとして理解することが、最も友好な関係にある日米間においては必要であるということで、日本考え方を述べたわけでございます。特に新しいことを述べたわけではない。いままで日中貿易に対して考えておった日本の基本的な考え方を述べたわけでございます。
  154. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 あの合同会議では、新聞の伝えるところによると、少なくとも西欧並みの形の貿易はやりたい、やろうと思っているのだという御発言だったと伝えられておるんですが、もしそうだとすれば、プラント輸出重点が置かれ、しかも、そのプラント輸出を延べ払いで、したがってまた、開発銀行の資金を使っての貿易ということにならざるを得ないと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  155. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) あの日米会議において発言をした趣旨は、対共産圏全体に対する日本貿易の態度ということで述べたわけであります。中共だけを取り出して述べたのではない。対共産圏に対する日本の態度、それは一つには、まあ、あまり政治とからませないで、政経分離といいますか、これが一つ。それから自由世界の協調を乱さないという意味におきまして、西欧並みな条件を越えるようなことはない。ココムの約束を守る。こういうことが基本的な共産圏貿易に対しての考え方だ。個々の問題は個々の問題として、こういう原則の上に立って個々の問題は具体的な問題として処理する。こういうことが私の発言の要旨であったわけでございます。
  156. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間もおそくなりましたから、なるたけ早く終了したいと思います。  初めに外務、経企、通産の各大臣にお伺いします。このアジア開銀の問題は、まあ、アメリカの東南アジア経済援助の肩がわりであるとか、あるいは将来政治的トラブルが起こるのじゃないか、あるいは幾ら日本経済援助をしても、東南アジアの民族性から反発を食う場合もあるのじゃないか等々、不安、疑惑がございますが、ともかく、法律は人間がつくりあるいは適用し、会議も人が運営もし、あるいは国際問題というのは人がその話し合いに応ずるわけですから、そういう意味からして、非常にいま政府・与党の重要なポストにあります各大臣の人たちのこの問題に対する自覚、決意、目的観というものがこの開銀に対する将来の動向というものをきめるのじゃないか、こう思うわけですが、そういう意味から、はたしてこの開銀設立加盟問題は、わが国がアジアの先進国として、どうしても低開発後進地域に対して経済援助をしなければならないんだと、こういう大きな目的、確固たる決意のもとにおいて参加するのか、それとも、従来どおり、アメリカのうしろだてがあるからまあやるんだと、こういうような気持ちであるのか、ここらあたりによって、いまも言いましたように、大きく将来いろいろなトラブルが起こる場合もある。それに対してきちんと対処できるできないもきまりますし、また、アジアの人たちに好意を持たれて受け入れられる、あるいは反発もされる可能性も出てくるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、そこらあたりいかがでありましょうか。
  157. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 黒柳さん御承知のように、これはエカフェから始まったわけですね。アジア開銀というのはアジアのイニシアチブというものが非常に強く働いておるわけでありますから、そういう意味でアメリカのしり馬に乗ったというものでないので、種はやはりアジアから出てきた。アメリカも協力しようということで、これはけっこうなことです。そういう点で出発はアジアである。その中で日本も相当重要な役割りを果たして、何といっても、これは日本でもいろいろやりたいことはいっぱいあるし、やはり日本国内で投資したいようなものがたくさんあるわけですが、しかし、アジアの一員として、やはりこれだけの先進国ですから、アジアのためにできるだけのことをしたいという、こういうことで、おざなりということとは私は考えていない。この一つの地域的な開発銀行が中心となって、日本ができるだけの努力をして、これが地域開発のために大きな役割りを果たしていくという大きな期待のもとに日本が当然にこの中に参加したという決意は、これは間違いのないことだと存じております。
  158. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう一問ございます。通産大臣にもう一問、あと五分くらい。  どうぞ経企、外務にお願いしたい。
  159. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私も大体三木通産大臣と同じようにですね、エカフェから出ておる。これはアジア的発想だと思います。  それから同時に、私が先般フィリピンに参りまして、アジアの集まりました国の連中、アジアが一緒になってアジア的経営をするのだという感じが非常に強うございます。たとえば、先ほど申し上げましたように、イギリスの出資が少ないからけしからぬということで、相当強硬に理事が域外国から三名出ているのですが、所定の金額まで達しなければ二名に限定するというような、かなり強い態度でございますし、それから経過の過程におきましても、たとえばアジア式採決方法をとるのだというようなことでですね、たとえば投票をいたしましたけれども、その結果は最終的には満場一致の決議にするのだというようなこと等等、私は、だいぶその意味において、参加のアジア国民が、やはりアジア以外の国からあまり干渉されたり左右されたりしないで、この銀行をできるだけ運営していきたい、こういう気持ちが、私はアジアの参加国の中には、域内国の中には非常に強かったと、こう思います。
  160. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 通産大臣及び経企長官の言われたことに全幅の同意をいたします。とにかくこれができまして、お互いに共通の銀行を持つということ、そしてその銀行をお互いの知恵で有効な運営をする、こういったようなことがここにできたんでありますから、これがほんとうの連帯感の具体的な顕現ではないか、こういう点では非常に有意義であると私は考えます。
  161. 黒柳明

    ○黒柳明君 通産大臣にもう一問お伺いしますが、いま決して軽率なつもりじゃないと、こういうふうにおっしゃいましたが、先ほどお話しがありましたように、たとえ十億ドルの資金援助はございましても、ある意味においては非常に援助としては少額と考えられる。こういうこと、それに加えて、今度は日本か技術援助——技術オリンピックなんかやりますと、絶えず金メダルを持ってくるわけなんですが、その技術援助ということを今日の現状あるいは将来の構想、どのようなお考えがございますでしょうか。東南アジアを含めて、低開発国あるいは後進諸国に対する技術援助、こういう将来に対する構想です。
  162. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 東南アジアなどに対しては、欧米のような非常に高度な技術よりも、まあ日本の中小企業なんかの技術で実際に役立つことが多いのですね。むろん、そういう高度な産業も興ってはおりますけれども、まだ何としても産業発展過程がおくれておるわけですから、そういう点で、実際問題として、技術の協力の面で日本の果たす役判りが非常に多いと思います。農業などでは、いま農林省などでも各地に試験農場みたいなものをつくって、稲作なんか指導して感謝をされておる。こういう農業の面、中小企業でも、五百五十件海外に企業が出ているわけです。三百三十件は、東南アジアにこれは合弁なんかでやっておるんです。それで日本が技術を出しておるわけです。こういうすでに企業の進出とか、農業開発とか、あるいは技術研修生なども相当受け入れているわけです。これは相当大々的にやる必要があるだろうし、現在でもやっておるんですが、こういうアジアの地域的な開発の金融機関ができたということによって——何としても資金量が少ないですからね、世界銀行とか、第二世銀とかいうようなことで。これもやはり地域的な少しきめこまかくなってくるんですね、こういう開発の金融機関ができれば。こういうことで、日本の場合は技術協力という面で、東南アジアでは非常にやはり今度果たしていく役割りが多いのではないか。アジアの場合は必ずしも金を幾ら出したというだけでもなくして、アジアに対する協力のやり方という問題がやはり大きな問題で、金ばかりでもない。そういう点で、そう金額日本でもこういう状態でありますから非常な大きな金額は出せないにしても、アジアがほんとうに地元の要望するような技術協力の面で、金額の多い少ないということでなくして、効果のある協力を日本がやっていくということで、日本の役割りというものは必要である。こういうものでせっかくのこういう拠点ができたわけですから、アジア開銀のようなこういうものを通して技術協力の面は一段と、いままでやった業績などに対して検討を加えて、今後力を入れていくべきだというふうに考えておる次第でございます。
  163. 黒柳明

    ○黒柳明君 四十年に青年海外協力隊ですか、まあ、非常に活躍しておるとは思うのですが、規模も小さいですし、今後アジア開銀ができて、それに対してもっと——きのうも若干触れたのですが——違う形で、技術開発——名前はどういうふうであれ、もっと大規模な、組織立った、政府でバックアップし、あるいはその人たちに対して一つの科学技術庁のある位置を与えるとか、何か優遇措置をとった上において、政府としてバックアップして、規模、スケールの大きい技術開発協力と、こういう面はいかがでしょうか、将来の構想としまして。
  164. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私も大賛成です。やはり日本の場合は、ただ人間が、若い人が、アジアに対して何とかしようという情熱ということだけではどうにもならぬですから、やはり技術を身につけた若い人が、農業とかあるいは工業の面で行って、アジアの開発のために尽くすということになれば、青年にも一つの大きなやはり使命観といいますか、意義もできるわけです。日本の中でいろいろ取り締まりの対象だけになっておる青少年では困るのですから、何かやはり大きな役割り、外に出て人類とかアジアとか、こういうものを考えてみるということは、青年にも一つの大きな理想を与えることで、そのためには技術を身につけた若い人たちが世界に——と言いたいけれども、世界と言っても、あまりこれは守備範囲が広いですから、まあ、東南アジアなんぞは若い人たちがたくさん送れるように、ことばなどもやはり現地語が話せるようなことが私はいいと思う。そういう点で、やはりいままでもやっておりますけれども、もっと規模を大きくして考えるべきだというあなたの意見に全く私は同感でございます。そういうことで日本は今後やるべきだと思うのでございます。
  165. 黒柳明

    ○黒柳明君 ありがとうございました。  外務大臣にお伺いします。また同じ質問で申しわけないですが、いまも言いましたように、非常に日本としての特殊技能——むしろ持たさる、日本が欠乏しておるものを出すよりも、日本の特殊技能——造船工業とか、建築工業とか、精密工業とか、そういう優秀な技術をどんどん海外に輸出していく、移住していく、こういうことが考えられなければならない段階にきておるのじゃないかと思うのです。通産大臣と同じ質問なんですけれども、外務大臣いかがでしょうか。
  166. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは海外技術協力事業団というものができておりまして、これが研修生を受け入れる。あるいはまた、海外に、その国々の希望に応じて農業技術のセンターであるとか、あるいは中小規模の工業のセンターであるとか、いろいろなセンターをつくって、そして現地指導をやって、これがまあ非常に喜ばれておるのであります。しかし、遺憾ながら、予算の制約があってなかなかどうも思うにまかせないという状況でございますが、今後これを大いに拡充し、さらにまた、海外技術協力のための青年部隊ですな、あれも去年あたりから始めておりますが、これと相まって技術の指導にぜひ努力をしたいと、こう考えております。
  167. 黒柳明

    ○黒柳明君 簡単でけっこうですが、事業団の現状はおわかりでしょうか、どこの国に何人くらいでどんな技術を教えておるという。
  168. 西山昭

    政府委員(西山昭君) 海外技術協力事業団は三百名足らずでございますが、大体三百名ばかりを年間専門家といたしまして海外に派遣いたしております。そのほかに青年協力隊で昨年は五十名、本年は百二十名派遣する予定になっております。それから研修生の受け入れば、約千名弱でございます。これは東京のセンター、それから、その他の地方に散在いたしまするセンターに収容いたしまして、約三十くらいの研修コースで受け入れいたしまして、各国からの研修生を訓練いたしております。それから、その大部分はアジア地域からでございますが、遠く中近東、アフリカ及び中南米諸国からも受け入れております。  それから、専門家の派遣は、大部分がアジア地域でございますが、そのほか少数の専門家をその他の低開発国に派遣しておる次第でございます。  それから、先ほど大臣がおっしゃられました農業のセンター、中小企業のセンター、その他のセンターがございますが、これが世界的に日本がやっております訓練センターといたしまして約十数カ所、たしか十五カ所だったと思いますが、そういうセンターを運営いたしております。
  169. 黒柳明

    ○黒柳明君 また関連してすみません、開銀のことでなくて申しわけないんですが、外務大臣お願いします。いまのお話のように、非常に、まあ予算の制約はあるにせよ、スケールとしては小さい。わずか三けたの数字ですが、もう御存じのように、私言うまでもなく、いまの若い者は——以前においては何かしらの、善悪はともかく、目的観を持って生活できたのですが、いま将来の目的観というものは非常に薄らいでいる。やたらに非行少年ばかりがふえる。この海外技術に対して、先ほどから繰り返すようですが、日本の特殊技能、それを生かし、あるいは青年に対しても海外に雄飛するという大きな夢を与えることにもなります。また、中南米、オーストラリアあたりはともかくとしても、東南アジアくらいは早くこういう目的に向かって手をつければ、地元としては、先ほども若干触れましたが、経済援助、三億ドルの援助をやるよりも、よほど役にも立つし、喜ばれるし、また、アジア世界の建設的な平和に向かってもいいんじゃないかと、こういうように思うのですが、まあ、予算の額は非常に少ないと、こう言われるのですが、何とかそこをひとつ打開をする。開銀においてもこれだけの努力をしているのです。その努力から比べれば、千か二千の数字にするには、そんな努力を重ねなくたっていいのじゃないかと、これは私の私見も含めてですが、外務大臣いかがでしょう。
  170. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 大いにいまのおことばに励まされて、来年度の予算獲得には馬力をかけるつもりでございますから、どうぞ大いに御声援をお願いいたします。
  171. 黒柳明

    ○黒柳明君 間もなく、ここで審議、採決されれば、開銀の設立、加盟ということになるのですが、まあ、たとえ額は全体的には少ないにしても、貴重なお金だと思うのです。それが長期的にどのように使われていくのか、こういうプランはどうなんでしょうか。
  172. 堀込聰夫

    説明員(堀込聰夫君) 御承知のとおり、十億ドルのうち、五億ドルが払い込み資本でございまして、これが五年間にわたりまして逐次銀行に払い込まれていくわけでございます。そういった資金の収入があるわけでございますが、それに合わせまして、どういう段階から仕事を始めてどういう規模で仕事をやっていくかということは、いま準備委員会でもいろいろ試算をしたり、いろいろ検討をやっておるわけでございますけれども、いずれにしましても、そういった資金需要が多いのでございますので、資金の収入に見合って、できる限り早く仕事をして、一刻も早く開発に役立たせたいというのが、アジア開銀ができましたあとのおそらく基本方針になろうかというふうに考えます。
  173. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣にお願いします。  やっぱりこの開銀の問題が若干の不安と疑問を残すのは、加盟国が反共産の国であると、こういうことから、私、これは飛躍した意見かもわかりませんが、そういう疑惑をなくするためにも、中共、北鮮あたりを含めて、ほんとうにアジアの再建といいますか、建設の方向に向かって、経済的にお互いに援助もし援助もされていこうじゃないか、こういう意味のアジア平和会議というような目的の会議をつくっていこう、こういうようなことはいかがでしょうか。
  174. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 全く同感でございまして、これにすべての共産圏が加盟して、真に平和共存というものを実行するということになることは、全く世界平和のために望ましいことであると、こう考えております。
  175. 黒柳明

    ○黒柳明君 そういう点からいいますと、先般の日米経済貿易会議なんか非常に疑惑が持たれるわけです。非常にいま大臣の方がりっぱなことをおっしゃいましたけれども、事実は言行不一致で、なかなかその経済貿易会議の性質なはずですけれども、今度は政治力が強くなった。また、そこで共同コミュニケは、何が行なわれたのか、アジアの問題も論じられたでしょうし、あるいは貿易の問題もあるいはいろいろな沖繩の問題もですね、そういうことはすべて共同コミュニケからはくみ取れないわけですが、何かそこに隠している問題がある。そういうことも国民の疑惑を巻き起こすのではないか、こう思うわけですが、あの共同宣言、どうしていろいろの論議の点をはっきりと国民に知っていただき、また、国会で取り上げて論争の的にし、その論議を通じて今度は国民がいろいろなことを知っていくのじゃないか、一つ一つ。何か隠し、それが一つの疑惑を巻き起こす、こういうようなことを感じるのですが、いかがでしょう。
  176. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ、共同コミュニケというものは平生あの程度のものでございまして、共産圏同士の共同コミュニケでも、まあまああんな程度のものでございます。何かこういうことを隠しているのじゃないかというようなお疑いのある点がございましたら、どうぞ御遠慮なく御質問願いたいと思います。
  177. 黒柳明

    ○黒柳明君 政策的にも非常に何も含まれていない、事務的だと、こういうふうな新聞の論評ですし、国民は非常に失望している、こういう声も聞いていますが、そういうことに対しても外務大臣はいまのような投げやりな御答弁をなされるおつもりですか。
  178. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いや、別に投げやりではございませんが、何か、こんなことを隠しているのじゃないかというようなことがございましたら、ひとつ御質問を願えれば、知っている限りのことは申し上げたい、差しつかえない限りのことは申し上げたい。
  179. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、いまの新聞の論評であり、国民の意見である、事務的であり政策的なものは何もない、お粗末だ、また非常にその結果失望しているのだ、こういう論評、国民の失望に対してどのようにお考えですか。
  180. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そういう新聞記事はまだ拝見しておりませんが、私は、やはりとにかく相当な成果を得たものと考えます。たとえば中共の問題については、アメリカのやり方と日本のやり方とは違います。違いますけれども、なぜ違わなければならぬかという点について、私は率直に申し述べたわけであります。その点は十分に日本考え方が向こうに徹底したろうと思います。そういったようなことがだんだん積み重なって、国と国との理解というものが深まっていくのじゃないか。言ったことは別に変わったことは申しません。政経分離というものは一体どういうふうにわれわれは理解しておるかというような点について、普通私が国会で申し上げたようなことを繰り返したにすぎないのでありますけれども、だんだんそういったようなことがわかれば、アメリカの中共に対する現在の考え方、あるいは将来の考え方というものに何らかプラスをもたらせばたいへんけっこうだと思うのであります。もちろん、ああいう合同会議は、ある特定の事項について結論を出すというような性質のものではない。思い切り率直に意見の交換をする。結論は必ずしも求めない。ただ、将来問題が起こった場合に、そういうふうに両者の間の理解が深まっておれば解決点に到着しやすいということに私はなろうかと思います。そういった意味で、私は、先般の合同会議は決して無意味なものではない、むしろ非常な有効な会議であったと、こう思っております。
  181. 黒柳明

    ○黒柳明君 私も決して無意味なものではないと、こういうふうには確信をいたしております。たとえば中国問題なんかも外務大臣は、多少食い違いはあっても根本的には一致しているのだ、日米の政策はと、こういうふうな発言をされましたけれども、今度の場合はそれで済まされると思うのですけれども、政経分離を主張する貿易問題にしても、あるいは重要事項指定にしても、国連加盟の問題にしても、必ずや将来はそういう言いのがれじゃ済まされなくなるのじゃないか。アメリカにこちらも積極的に説得する立場に立つか、あるいは、いまのままアメリカの言いなりになっていくか、そういうような方向にいくのじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  182. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) だんだん情勢の推移によって考えていかなければならぬと思うのでありまして、中共問題にしても、情勢が移り変わるのに考え方だけは固定しているというのでは困るのであります。情勢の推移とともに十分にこれに対処し得る準備は進めておるつもりでございますが、いずれにいたしましても、この問題はきわめて重要な問題であって、たびたび申し上げたとおり、やはり国際世論の大勢というものに即してこの問題を考えていきたい、こういうふうに考えております。
  183. 黒柳明

    ○黒柳明君 ベトナムの問題について、総理は北爆を支持しておりますが、外務大臣も同じく同じ意見ですか。外務大臣お願いします。
  184. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 総理と考えは同じでございます。結局、北からの南に対する浸透の根源をつくという趣旨であって、あくまで軍事的な対象を追っておるのにすぎない。たまたま人口稠密地帯に近いところではあるけれども、十分に気をつけて、非戦闘員に損害を与えないように、そして盲爆をして都市を破壊するというようなことのないように、軍事施設に限定してやっておるということが、アメリカの声明によっても、また事実によっても明らかである以上は、私はやむを得ざるものと、こう考えておるのであります。
  185. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  186. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記を始めて。
  187. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣にお伺いします。そういうふうにアメリカが言っておるわけなんですが、また、事実確認というのはどの程度できるか、これは非常に疑問だと思うんですが、その事実確認は、何か日本としてしてあるんですか。した上のそういう発言なんでしょうか。
  188. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはアメリカの考え方を信頼して言ってるのでありまして、現地に日本の目が届いておらないので、同盟国の声明を信頼しておるのであります。
  189. 黒柳明

    ○黒柳明君 ということになるからですね、アメリカ追従であると、こういうふうにいわれるし、今度の開銀の問題も、非常にそういう点で疑惑を投げかけているわけです。そういう外交姿勢というものを、何も全面的にアメリカ追従だと、こう言うわけじゃないんです。変えなければならない点がある。その点を変えていきませんと、東南アジアの民族というのは、長い間植民地化されてきましたから、ひねくれてるんです。そういうことから、先ほどもあったように、せっかくこちらが、いまのベトナムにおけるアメリカと同じように、好意的に援助したことがすべてあだになって返ってくる。こういう点がまた非常に開銀の問題にも考えられるのです。  もう制限時間を一分過ぎたんで、ここでやめたいと思いますが、そういう点、くれぐれも注意して、今後の外交問題に処していただきたい、こう要望して終わります。  ありがとうございました。
  190. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言も…………
  191. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと簡単なことで、一分でやりますから、外務大臣。  いまのアジア開銀とちょっと違ったことですが、もう機会がないから、ついでに伺っておきますが、ブルガリアやルーマニアでも、通商協定、これは最恵国待遇を求めてきて、それに基づいて協定を結ぶとか言っておられるようですが、その点どうなっておるのか、この点ちょっと伺っておきます。これだけです、私のほうは。
  192. 鶴見清彦

    説明員(鶴見清彦君) 簡単にお答えいたします。  御承知のように、ソ連との通商条約は、一九五七年に結びましたものにつきましては、最恵国待遇約款が入っております。それが最近になりましてルーマニア、ブルガリアが最恵国待遇約款を入れました通商航海条約を希望してまいっておりますが、現在の段階ではそこまで進め得ないということで、普通の貿易協定といったようなもので対処したいということで、現在話し合いを進めている段階でございます。
  193. 羽生三七

    羽生三七君 どうしてそれ以上進め得ないのですか。理由はどういうことですか。
  194. 鶴見清彦

    説明員(鶴見清彦君) 最恵国待遇約款も入れた通商航海条約ということになりますと、問題がさらに複雑化いたしてまいりますので、また実際上の貿易量から見ましても、ソ連の場合とはだいぶウエートが違ってまいりますので、ということも考慮して、そういう考え方になっているわけでございます。
  195. 羽生三七

    羽生三七君 まあ、よろしいです、きょうは。
  196. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたしたいと思います。  明日は、午前十時から開会いたします。  これにて散会いたします。    午後五時四十八分散会