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1966-11-10 第52回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月十日(木曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員異動  十月十三日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     中村 順造君  十一月九日     辞任         補欠選任      岩間 正男君     野坂 参三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 谷口 慶吉君                 岡  三郎君                 吉田忠三郎君     委 員                 井野 碩哉君                 金丸 冨夫君                 木村 睦男君                 津島 文治君                 平島 敏夫君                 森田 タマ君                 相澤 重明君                 木村美智男君    国務大臣        運 輸 大 臣  藤枝 泉介君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        公正取引委員会        事務局審査部長  曽我 正雄君        通商産業省鉱山        局長       両角 良彦君        運輸政務次官   金丸  信君        運輸大臣官房長  沢  雄次君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君        運輸省航空局長  堀  武夫君        日本国有鉄道常        務理事      遠藤 鉄二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道運営に関する件)  (自動車行政に関する件)  (航空に関する件)     —————————————
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る十月十三日、瀬谷英行君が委員辞任され、その補欠として中村順造君が選任されました。また、昨日、岩間正男君が委員辞任され、その補欠として野坂参三君が選任されました。     —————————————
  3. 江藤智

    委員長江藤智君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  運輸大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。藤枝運輸大臣
  4. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私、去る十月十四日に運輸大臣を拝命いたしまして、まことに未熟な者でございますが、全力をあげてこの重責を果たしたいと存じますので、委員皆さま方の御指導お願いいたす次第でございます。  特に、現在、私ども政治態度につきまして国民の各位から注目を浴びている現在でございます。私自身、十分に厳正な態度をもちまして仕事に当たってまいりたいと思います。また、運輸行政国民の利害に重大な関係を持ちますのでございますので、私をはじめ職員一同、綱紀を厳正にいたしまして国民に奉仕する運輸行政推進いたしたいと存ずる次第でございます。  運輸行政の当面の問題といたしましては、鉄道あるいは港湾、究港等の、こうした基本的な問題が非常な立ちおくれをいたしまして、国民経済国民生活にいろいろな支障を与えている現状にかんがみまして、これら社会資本の立ちおくれを回復いたすことに全力をあげることはもちろんでございます。また、海運あるいは観光等において国際収支の悪化の傾向にありますもの、この改善につとめるために、これらの問題につきまして従来の施策をさらに強化いたして推進いたしますことは当然でございますが、なお、一、二、当面する問題として申し上げてみたいと考えます。  第一には、航空政策基本的な確立でございまして、長期にわたる航空政策基本確立いたしまして、航空行政の万全を期したいと思います。特に新東京空港をはじめといたしまして、空港の整備、あるいは乗員の養成の制度の確立、あるいは保安要員訓練等をはかりまして、航空安全確保につとめてまいりたいと存じております。  第二には、大都市交通問題でございまして、これは申し上げるまでもなく最大の緊急を要することでございまして、そのためには従来の施策推進するばかりでなくて、思い切った抜本的な対策を講じなければならぬと思います。特に地下鉄あるいは国鉄、さらには私鉄都心乗り入れ等に関しまして、資金確保あるいは税制面その他におきまして思い切った施策をとりまして、この当面する大都市交通難緩和のために全力をあげてまいりたいと思います。  第三には、国鉄の第三次計画推進確保でございまして、そのためにはやはり国鉄の現在の財政状態等を考えまして、十分資金確保等につとめまして、この三次計画の完成を期してまいりたいと存じております。  その次には、いわば輸送経済合理化とでも申しますか、物価の安定その他にかんがみまして、輸送の合理的な、しかも経費の節減をはかるための各種の問題に当面いたしております。コンテナ輸送パレット輸送等の問題をはじめといたしまして、あるいはまたわが国の海運事情から考えまして、輸送革命とも言うべき海上コンテナ輸送確保のための各種施策を考えてまいらなければならぬと思います。  最後に、交通の安全と申しますか、人命の尊重と申しますか、そうした面におきまして運輸行政が担当する面においての、これらの問題の解決に当たりたいと存じております。特に台風や集中豪雨等による国内の災害、あるいは海難の続発等にかんがみまして、気象業務の充実の問題等は、強力に推進しなければならない一つであると存じます。あるいはまた排気ガス、あるいは船による油の投棄等による海面の汚濁等の、こうした公害防止等の問題も今後重点的に解決をしてまいりたいと思う次第でございます。  当面いたします私の考え方を申し述べ、皆さま方の御指導のものにこの重責を果たしてまいりたいと思います。今後の御指導を心からお願いをする次第でございます。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 いま藤枝運輸大臣就任のごあいさつがあったわけですが、いろいろと最近の情勢の中において、新運輸大臣としての政治に対する姿勢等について簡潔に、要を得て所見を発表されたわけですが、今後とも運輸行政全般について、ひとつ積極的に施策推進すると同時に、一点の疑義もはさむ余地のないほどの推進と言いますか、そういう点をわれわれとしても強く要望しておきたいと思うのです。その中で端的にいまいろいろ所見が述べられたわけですが、具体的に言って、いまの都市輸送力増強、こういう問題について国鉄当局ないし私鉄当局にもかなりすみやかなる施策というものを要請されてきたことはわかるわけですが、現時点において考えた場合に、第三次長期計画に伴う国鉄財政、あるいは資金計画、こういうものを考えたときに、国鉄自体といたしましても、先に国としての援助と言いますか、こういうものがなければいまの国鉄財政は立ち行かぬ。これは先に運賃値上げの際においても膨大なる借金をしよって、国としてのいままでのこれに対する援助というものが非常に、非常にというよりもほとんどされておらぬ。そういうふうなところで最近における国鉄収支状況は、国鉄監査報告によっても明らかでありますが、そういう中で国鉄としては当面する政府援助というものを、財政投融資の形ででも、あるいは端的に言うて、政府出資の形で九百億程度必要とする、こういうふうに言われているわけです。これに対してときたまたま予算編成の時期にきておりますし、前の荒舩運輸大臣もいろいろの問題があったといたしましても、この問題については自分の全精力を傾けて実現に邁進したいということを言っておったのですが、この点について、藤枝運輸大臣のひとつ見解というよりも実現に対する具体的な考え方をお伺いしておきたいと思うのです。
  6. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 国鉄財政が非常に困難でありますことは御指摘のとおりでございまして、特に、国鉄の果たしておる役割りのうちに、都市交通緩和、その他国家的な要請に基づくものが相当に多いわけでございまして、ただいまお話のございましたような何らかの国の援助と申しますか、そういう面におきまして、来年の概算要求におきましても国の出資要求をいたしておるわけでございます。これはただいま申しましたような理由からどうしても実現をしていかなければならないものじゃないかというふうに考えまして、私といたしましても今後この実現努力をいたしたいと考えております。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 大体、この方向はわかるわけですが、しかし、これは前の運賃値上げにおいても、ずいぶん佐藤総理をはじめとして多くの関係者に当運輸委員会質問をしてきたわけです。明治以来、国鉄と称し、鉄道省と称しておっても、ほとんどまあ国鉄資金援助というものはない、これはもう国という名前がここについているのが恥ずかしいようなものだというようなことになってきたわけです。しかし、そのときに、佐藤総理もそれから中村運輸大臣も、ひとつ実態をよく見きわめて、そうして国鉄経理内容というものをよく検討して、そうして近い将来何らかの対策を講じなくてはならぬのじゃないかというふうなことを言われておるわけですが、しかし、その裏面としては、なかなか財政需要が多くて、しかもいまのような税金の状態ではわれわれの印象としてはなかなか踏み切れないというふうな印象があったわけです。しかし、その後、国鉄自体としても、焦眉の急の問題をやるためにはどうしてもこの際積極的に国の財政援助というものを、できるならば国の出資として国鉄に対して九百億やってもらいたい、ですから、この具体的な進行がはかれないというとかなり計画のそごがくるのではないかというふうなことも心配されるわけです。そこで、実態として、ほんとうに取れますか。
  8. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 取れますかという御質問でございまして、お答えしにくいのですが、まあ、なるほど国の一般会計財政の問題もございますし、本年から踏み切りましたいわゆる建設公債政策というようなものを彼此勘案いたしますならば、単に国の財政全体が苦しいからといってこの出資はできないということではないのではないかというふうに私考えますので、いわゆる建設公債限度、来年度の限度というようなものもまだきまっていない現状でございますが、そういう面ともにらみ合わせまして実現努力をいたしたいと考えております。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 一説には、まあできても、その十分の一か十分の二かしらぬが、二、三百億がせいぜいじゃないかというふうにも言われているわけですが、しかし、国鉄がいま出している数字というのは、これははったりの数字ではないと思う。そういう点で、いま予算要求というさなかでありまするから、これ以上数字を具体的に言えといっても、それは事情がまだそこまでいっておりませんから、困難と思いまするが、ひとついろいろの施策がありますが、当面するやはり国鉄の第三次長期計画を完遂する、こういうことが当面の問題としてわれわれも一番重要じゃないかというふうなことでいろいろの問題は問題として並行的に処理されておると思いますけれども、ひとつ最重点的に財政支出といいますか、国が財政投融資でももちろんけっこうですが、積極的に政府出資する、出資するという形でひとつ積極推進をしてもらいたいと、こういうふうに考えるのです。この点は御答弁要りませんが、特に重点的にこの問題の推進を要望しておきます。
  10. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめて   〔速記中止
  11. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記を始めて。
  12. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 岡理事のただいまの、今後の国鉄の第三次長期計画を中心とした基本の問題に関連して一つ二つ、せっかく大臣就任早々でございますし、所信表明もございましたので、お伺いしておきたいと思います。  第三次長期計画を遂行しなければならぬということは、私は一面においては国策としてやらなければならぬたてまえのものだと思うわけです。そうした中で、長期計画国鉄は最近手直しをせなければならぬという客観情勢に迫られておる。こういう点が部分的にあると報道もされたり、あるいは、われわれは具体的に体験しておりますが、たとえば大都市における通勤輸送の問題などがその点一番大きく取り上げられておる。ここで私考えるのは、確かに通勤輸送の問題は輸送部門を担当する国鉄に大きくしわ寄せ等があろうと思うけれども、これらの問題は、私は、佐藤内閣、つまりいまの自民党政府全般政策の問題じゃないか。具体的に言えば、都市改造の問題あるいはまた国土開発の問題と非常にこれは関係しておる。こういう根本の問題を解決せずにして、起きてきた現象だけ国鉄がその責任を負わなければならぬ、こういうばかげた話は私は大臣ないと思う。かりに、つまり国鉄側にそうした一切の財政的な負担等にあらゆる諸般の計画手直しをしていかなければならぬというものを押しつけるとするならば、やっぱりいま岡先生も申されたように、これは国の責任において、いま申し上げたような事柄を踏まえて政府出資をするなり、あるいは財政的な措置をとる、あるいは、たとえば国土総合開発等々の政策面から見るとするならば建設省との関係が出てまいりますから、経費の分担をするとか、あるいは都市改造の場合におきましてもそういうことが言えると思います。そういう根本の問題を、一体担当運輸大臣佐藤内閣の一閣僚としてこれからどうやるのかということが先ほどの所信表明では明らかになっていないようですが、この際ひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  13. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 確かに大都市への人口集中等につきまして、その基本的な都市開発と申しますか、都市分散と申しますか、そういった点が十分でなかったという過去のことは十分私も認めるものでございまして、したがいまして、今後は、単に現在起こっている現象を追いかけるだけでなくて、根本的に、たとえば周辺都市開発その他につきまして十分力を入れて、そして大都市への人口集中の速度を鈍らせる、あるいはそれをなくするというようなことを一方において行なわなければならないということは、御指摘のとおりだと思います。私は、そういう意味におきましては、閣僚の一人といたしまして、今後も十分努力をしてまいりたいと思います。
  14. 江藤智

    委員長江藤智君) 日本国有鉄道運営に関する件について質疑を行ないます。
  15. 岡三郎

    岡三郎君 大臣にはまだまだいろいろとお伺いしたいことがあるんですが、時間が制約されておりまするから、国鉄に伺いますが、きょうの新聞等においても、第三次長期計画手直しということで、時代の要請に沿う改正案というものを出されておるわけですが、   〔委員長退席理事谷口慶吉君着席〕 この問題についても、さきの運賃値上げの問題のときに、第三次長期計画をつくる場合において、最近における急激な人口都市集中というものが依然としてテンポがゆるんでおらぬということから、われわれ自体としても、計画そのものがやや手おくれで、第三次長期計画が完成したときにはすでに追いつかない、もうそのときには、また新しく追っかけていかなきゃならぬというふうな状況になるんではないかということを指摘してきたわけです。しかし、資金上の問題その他の観点から、なかなかそういう方向への施策というものが進んでおらなかったわけですが、いよいよ手直しをして、輸送力増強について拍車をかけなきゃならぬということになってきたときに、国鉄の現在の経営実態というものですね、これが一体今後どういうふうに見通されておるのか。ますます借入金がふえて、運賃値上げ収入増というものも水のあわになるんではないか。しかも、最近における運賃収入というのは、特に貨物部門等においては、運賃改正後はかなり増収がはかられるという予想のもとに行なわれてきたにもかかわらず、運賃収入というものは、増加してないばかりか前よりも減少しているような部面がある点にはある。こういうふうなことも指摘されてきておるわけですが、そういうふうな見通し等から考えて、九百億の政府財政援助というものを考えられておるが、いまの状況でいけば、雪だるま式借入金がふえて、工事がスピードアップされればされるほど借入金もスピードアップしていって、結局は運賃値上げその他ももう何にもならぬというふうな形に追い込まれる。そういうふうなことで、第三次長期計画が繰り上げられてくるということについて、国鉄赤字そのものになって動きがとれないという状況になるんではないかということを心配するわけです。そういう点について、監査報告との関連の中で、ひとつ見通しについて国鉄から所見を聞きたいと思う。
  16. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) お答えいたします。最初、第二次長期計画手直しというお話でございましたけれでも、きょう新聞に出ております、通勤に対する投資を、現在やっております工事も幾らかずつ繰り上げ、現在の長期計画に入っておらない、その次の段階でやろうと思っていた工事を第三次長期計画中にやるということで、繰り上げということでございますが、まあ手直しというふうにおっしゃられればそのとおりなんでございますけれども、私ども、いま新聞に出ましたあれは、第三次長期計画の全体の修正とは考えていないのでございまして、通勤部分だけの繰り上げをお願いしたいと、こういうふうにいっておるのでございます。まあ実質上はある程度の手直しでございます。なぜそういうことを申し上げるかといいますと、現在の政府の、経済企画庁に置かれています経済審議会で、四十六年度までの国全体の投資計画公共投資を、社会資本をいかに充実していくかというようなことが議論されておりますので、あの意見書が出ますれば、国鉄にも場合によっては第三次長期計画全般的に修正するという機会があるかもしれません。そういうようなことで、今回は通勤部分のみの繰り上げということをお願い申し上げている、こういうことでございます。  それから、当初の計算が過小であったということを先生に御指摘いただいたということで、私もそういうことは記憶しておりますけれども、実は、当初の計画というのは、数字的には昭和三十八年に計算をいたしました数字でありまして、その計算は、先の見通し相当むずかしい問題でございますので、大体従来の実績を積み重ねるといいますか、そういう従来の実績で伸ばしていくという計算方式をとっておったのでございます。その後、御承知のように各線とも、近距離のほうはもうあき地があまりございませんので人口がふえない、三十キロとか、それ以上のところが急激に人口がふえてまいりましたので、どうしてもこの二、三年の実績を見れば、修正——計画数字を変更せざるを得ない、こういうふうに考えたのでございます。  それから、経営の問題でございますが、御指摘のありましたように、本年になりましてから運賃値上げをいたしまして、運賃値上げの、そのもの増収は十分あがっておるのでございますけれども、毎年相当運輸量の増があるということで、増も見込んでおりましたが、その増のほうが実は本年になりましてからあまりよくございませんで、収入は目下のところ相当予算より減るように考えておりまして、まだこれは事務的に大蔵省等数字の打ち合わせをお願いしておる段階でございまして、幾らということを決定的には申し上げることはちょっとできませんけれども相当減収になるのじゃないかと思っております。しかし、これは長期に見てどういうふうになるだろうかという想定はなかなか困難でございまして、旅客、貨物減収理由が、一時的な要素もあるわけでございまして、景気の悪いということ、あるいは旅行意欲が年を経るに従って減っておるんじゃないかということもございまして、長期に見てどうなるかという計算は、まだこの段階では困難でございます。しかしながら、いずれにいたしましても、運賃増収が今後はそれほどは期待できない。それから、利子が非常な勢いでふえていく。それから、人件費増加をいたすと思います。毎年のベースアップがございますので、これも先のことはわかりませんけれども相当ふえるのじゃないか。といいますと、結局経営としてはだんだんに苦しくなる。で、いずれの時期にかまた経営根本的な解剖をいたしまして、直す点は直すということでお願いしなきゃならぬ時期がくるかと思いますけれども、いま政府お願いしております九百億の出資という問題は、特に経営をよくするためということでお願いしているのでは実はないのでございまして、来年の、私どもの必要とする資金量を見ますと、従来の財政投融資でいただいております——大体、財政投融資の総額の一割見当実はいただいておるのでございますが、それはまあいただくとして、それから、もちろん自己資金から繰り入れられるものは当然これはあるわけでございますが、いままでやっております資金入手方法をすべて十分やってみても、この通勤輸送増強を含めました総資金量をどうしても調達するあてがないんでございます。それで、従来からも、経営論として、政府出資は当然やっていただいていいんじゃないかということはお願いしておりましたが、今回、特に差し迫りましたこの目前の資金をどうするかということで、ぜひ、公債政策もございましょうけれども国鉄に対して政府資金を入れていただきたい、増資というかっこうでお願いを申し上げたいと、かように申しておるわけでございます。以上でございます。
  17. 岡三郎

    岡三郎君 その中で、結局、国鉄財政内容改善というところから、やはり赤字に対して一体どういうふうに手を打っていくのか。この前もわれわれが中国のほうへ調査に行った場合に、たとえば貨物の例をとってみると、非常に固定しておって、貨物を集めてくる現場のほうからいうと、非常に臨機の措置がとれない仕組みになっている。ほかの業者との競合の関係から、とれる貨物もとれない。まあ貨車が余っている場合において、その局なら局の一つ判断のもとに値引きなら値引きしていけば、かなり貨物もとれる問題もあるけれども、しかし、一地方局でそういう判断をするということができない。それはやはり、支社のほうへ行くなり、本社のほうへ行って、いろいろ協議をするというふうな形がとられているわけですが、そういう点については、地方管理局に、ある程度権限の大幅な委譲の中から、ひとつ即応の手が打てるような、そういう方法も必要なんではないかというふうなこともいわれているわけです。  特に末端では、貨物取り扱い量というか、そういう問題についてかなり苦慮をしているような点が、岡山管理局あたりからも出てきているわけです。いろいろとそういう面で、本社自体としても各局を督励して、運賃収入増加をはかるというふうな面についてやられておるわけです。これは一つ事柄ですけれども赤字をできるだけ解消していくための具体的な手というのは、どういうふうに打っているわけですか、いま。
  18. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 貨物の面につきましては、実は国鉄は非常に立ちおくれてしまいまして——それは相当前からいま着手いたしております近代化をやればよかったのでございますけれども資金的な関係もありまして、非常に立ちおくれまして、つまりサービスが悪いということで、ほかの輸送機関相当勢いで転移をいたしております。で、われわれはようやくこの第三次の長期計画に入りまして、近代化に着手したのでありまして、方向といたしましては、輸送方式を全く変えていこうという大きな考えのもとにやっておるのでございます。  ところが、何ぶんこういうものは、きょう出してすぐできるというものではございませんので、いま着手いたしました近代化の効果があがるには数年かかるのじゃないかと思っております。その方法は、大量の物資につきましては、物資別のそれに適応した輸送形態をつくり出していく、こういうことでありまして、最近は新規に始めましたのは、たとえば乗用車の輸送。乗用車を外国式に二段に積みまして、専用の貨車でもって工場から消費地へ持っていくという方法、あるいは、この間新しい会社もできましたけれども、石油の輸送形態を改善する。国鉄は明治以来、石炭につきましてかなり合理的な輸送をやっておったのでありますけれども、燃料が石炭から石油に変わりましたこの新時代に、その新しい燃料である石油というものに対する輸送形態を何ら改善していなかったのでありまして、今回やっとそれに着手した、かようなことでいま始まっておりまして、しかし、これが効果をあげまして、収入になってはね返ってまいりますのは、やはり数年後ではないかと思っております。  しかしまあ、何とか早く改善ができますように、物資別輸送、あるいは自動車との結合輸送でありますとか、あるいは混載制度の強化でありますとか、そういうそれぞれその貨物に向きました方法を考えて努力をいたしております。  それから、旅客につきましても、これは一般的な旅行気分の高い低いということのほかに、やはり他の運輸機関、特にバスなどの問題があるのでありまして——まあ通勤輸送は、これはお客が固定しておりまして、景気、不景気に全く関係がありませんけれども、一般の団体客、観光客、これは他の運輸機関の関係、あるいはむしろ国鉄が積極的にそういう旅客を誘致するという努力をしなきゃならないというふうに考えまして、本社ももちろんでありますけれども、まあ現業のほうも非常に努力をいたしておると思ってはおりますけれども、遺憾ながら目下のところはそれほど成績が上がっておらない、こういう状態でありまして、本社、現場を通じまして何とか営業収入を上げますようにあらゆる手を尽くしておるつもりでございます。御了承を願いたいと思います。
  19. 岡三郎

    岡三郎君 まあ、いま言われた中で、九百億の出資の問題については、来年度の資金量確保という点でこれは不可欠な要件であると、こう言われておるわけでありますが、問題は非常な借金に伴うところの利子の支払いというものがだんだんかさんできておる。こういうことで、造船等においては外貨の収入という、いわゆる国策という問題が全面に出て、かなり大幅に利子の補給とかいろいろな面における施策が第一に行なわれてきておるわけです。国鉄自体については、そういうめんどうは、国鉄の独立採算制というワクを固くして、そうして事故が起こるたびごとに何とかしなけりゃならぬと言っておるが、のどもとを過ぎるとまたそれがもとに返ってしまう。こういうふうな中から輸送力の安全という問題で、踏切の改善とか、そういう問題については、その事故を経てある程度政府が積極的に推進したこともあるわけですけれども、端的に言って、この借入金増加に伴う利子の額というものが急速にふえていくんじゃないか、これからますます。ということになるというと、少なくともそれが全面的にしわ寄せされて思うようにいかぬ、こういうふうな形が強く指摘されてきておるし、現状において私はやはり国鉄をある程度計画に沿った力強い推進をさしていくという立場に立てば、少なくとも財政全体の中から利子だけでも何とかしてやらなけりゃいかぬというふうな観点にも立つわけであります。端的に言って、いまの国鉄財政の一番苦労な点はそこではないか。だから運賃値上げしてもそのほとんどが利子に実際は取られていってしまうというこの現状の中で、まあ大国鉄だから借金をすればできるわけだ。それをいいことにして、ということばが過ぎるかもわからぬけれども、借金ができるから何でもかんでも借金によってやれということでは、これは国鉄がパンクする時期は早まるという以外にないと思うのですね。まあそういう点で、これは運輸大臣にもう一ぺんひとつ、いまもうすでに勉強されていると思うのですが、この次に運賃値上げをするといっても、実際問題としては、これは当分不可能ですよ、したばかりですから。そうなるというと、これから国鉄債券とかいろいろなかっこうをして資金確保につとめる、しかし、それにも限度があってどうしようもない。その中にあって、結局、政府出資がなければやがて第三次長期計画というものが手直しされて、またその途中で第四次計画などということになるおそれがあるんじゃないかというふうなことから、やりくり会社の倒産を防ぐためにあの手この手でやっていくような形へ追い込まれていくんじゃないか。大国鉄だから倒産はないけれども、内容的に見るというとまことに危機感といいますか、財政上における危険感というものを強くわれわれは感ずるわけなんですが、そういう点でいま言ったように、国鉄財政の健全化のためにいろいろと施策をわれわれとしても要求し、国鉄当局も全国鉄をあげてかなり真剣に取り組んでおる点がよく見られておるわけですが、何といってもその点に問題点がある。借入金増加に伴う利子の膨大化、こういう問題について運輸大臣はどういうふうに考えておられますか。
  20. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 確かに御指摘のように、従来まあ国鉄は金が借りられるからいいではないかというような問題があったと思います。その結果が、現在概算要求をしておるのでも、国鉄の支払う利子が一千億なんというようなことはまさに経営としては非常に不健全な状態であることはそのとおりだと思います。したがいまして、来年度要求をいたしておりまする九百億というものは、もちろんただいま国鉄側からお答え申し上げましたように、来年度の資金量確保ということもございますけれども、しかし、一面においてはこういう形において、少なくとも借金の利子を払うためにまた借金をするというような不健全な状態を少しでも改善するという方向にもこの出資というものは役立つものと考えております。そういう点を勘案いたしまして、今後の国鉄経営を十分改善する方向努力をしてまいりたいと考えております。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 だから、運輸大臣所見の中にも書いてありますが、大臣は、財政投融資のワクを大幅に拡大をすると、積極的に本計画達成につとめると言っておりますが、これも借金なんですよね、言いかえてみれば。そうでしょう。財政投融資計画、融資というやつは利子を払わなくてもよければこれはいいわけだが、これはやっぱり低利融資とかなんとか言ったって相当まとまった利子を取るわけです。ということになるというと、ますますこれが増加していくということで、われわれが強く言っているのは、利子を払わなくていい金を政府から国鉄に入れるべきであると、そういう点でやっぱり出資ということを強く言っているわけです。財政投融資計画でいくということで、これは当面資金量確保するためにはありがたいわけですがね。しかし、これは抜本的な解決の一歩にもならぬわけですね、われわれ考えてみますと。しかし、何と言っても焦眉の急だから資金計画は立てなきゃならぬ。そうしてこれは国鉄のためというよりも国の要請、いまの大都市交通の立体化、通勤増加の急速な伸長というふうなところからいってほっておくわけにはいかぬ。そういうことからわれわれが出資ということを言っているんですがね、大臣。これはどうなんですか。そこに踏み切ってもらわなければ意味がない。
  22. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいまお答え申しましたように、来年度要求をいたしております九百億の出資というものは、来年度の財政計画そのものでそういう資金量が要るというだけでなくて、将来の何と申しますか、累増していく利子、国鉄が支払わなければならない利子のその累増の程度を少しでも少なく軽減する。いま御指摘のように利子を払わない資金をもって軽減していくというような作用も考えてこのような要求をいたしておるわけでございます。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 まあ現状においては一千億余りの利子だと言われているけれども、これが第三次長期計画が完了するころにはどのくらいになりますか。大体借金の量と、これに伴う利子の量をお答え願いたい。
  24. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) この春、運賃問題を御審議願いました際に提出をいたしました当時の資料でいきますと、四十六年度の支払い利子が二千二十三億円ということになります。それから借金の返済、その当時の計画で二千百三十二億でございます。元利合わせまして、四十六年度一年でもって四千二百億ばかりの元利の負担になるわけでありますが、この数字はまあ現在、先ほどお尋ねがございました収入もよくない状態でございまして、おそらくこの計画よりも借金をよけいしなきゃならぬのじゃないかと思うのでございまして、これ、いま読みました数字は最低でございまして、ほっておけばこれよりふくれることは間違いないと思います。
  25. 岡三郎

    岡三郎君 まあ利子が二千億をこえるというけれども、私は三千億に近くなるのではないかということを聞くわけです、いまのままでいくというと。というのは、どんどん工事の繰り上げをやりますね。それに資金量が伴わなければどうしても借金でいかなければならぬ。借金のワクを無理してつくればつくるほど、やっぱり利子が増加しなければならぬ。借入金がふえるわけですね。そういうふうな点で、先ほど言われたように、第三次長期計画に入っていないものも、それから終わった先のものについても繰り上げてやらにゃならぬ。たとえば横浜線の八王子までの複線化の問題についても、だいぶやかましくわれわれも言ってきたんだが、ようやく今回の繰り上げで二年ほど早めるということになってくるというと、それは一つの例ですが、そういう点で非常に資金量がますます増加する、そうしてそれに伴うところの借入金がふえる。利子を払う。ますます何というか、縮小した形で資金量が困難になってくる、そういうふうな中で、もちろん自己資金というものをできるだけ出していかなきゃならぬといっても、利息に取られて、追われてしまうという形が目に見えているんですね。だからそういう点で、実態がそこまで詰まってから大騒ぎするということではなくて、何とかこの点は運輸大臣としても、国鉄財政の健全化という面からいうて、政府出資をひとつ力強くやってもらうとともに、それは工事量の確保というよりも、利子を何とかしてやるという形の積極施策をもって、国鉄自体もそういう点が、身が軽くなればまた勤労意欲というものもさらに増大するし、国としてもかなり積極的にやっていくという姿勢の中から相対的に明るさというものをもって展望していくということになれば、非常に総合的な何というか、励みになるというふうに思うわけですよ。われわれはいまの状況の中でいくというと、好むと好まざるとにかかわらずまた運賃値上げで、値上げしてみても、その間の借金で大半は取られてしまう。そうしてその負担は国民に全部いくということになれば、これは利用者負担というても限度があるのではないかということを考えるわけです。だからこの点一つ、利子の点にしぼっても、運輸大臣はやっぱり何とかひとつ曙光をここに見出していくという形の力強い施策がほしいんですがね、この点は。
  26. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) まさにただいまお話のありましたような趣旨をもちまして、この政府出資確保に最善を尽くしたいと存じております。
  27. 岡本悟

    ○岡本悟君 関連。この問題に関連しまして、別の角度から大臣にちょっと申し上げてみたいと思うのですよ。実は与党におきましても、政府出資を強く来年度予算要求しようというふうになっておりますことは御承知のとおりでございますが、先ほど遠藤務理事お話によりますと、経営の問題に関連して、必ずしも出資要求してないというふうなお話でございますけれども、それはそういう考え方もございましょうけれども、別に私が申し上げたいことは、国鉄の第一線の職員に対する影響の問題なんですけれども、現在国鉄は独立採算制ということで徹底的に現場を指導しているわけであります。これは御承知のとおりであります。したがいまして、経費の節減を中心とする経営合理化ということについてもずいぶん努力しておるわけであります。また反面、増収の点について努力している。一例を申し上げますと、この間、千葉県の成田線の沿線からかつぎ屋というのが毎日、毎朝出ておりまして、これは出荷組合と言っておりますけれども、この組合長さんがこの間私のところに陳情の件がございまして見えたのですが、いろいろ雑談しておりますと、この間、日暮里の駅長さんが見えまして、何とかひとつ団体を募集しておるのだが、これに応募してくれんかというふうなおすすめがあって、一つ小さいけれども勧誘に応じて団体をつくった、こういう話を聞いたんです。まあ成田の駅長さんが出荷組合の方々を加入させるというならばわかるんですが、日暮里ですからちょっと私も首をかしげた。そうしたら組合長さんのいわく、やっぱり日暮里で相当乗りかえるというのです。朝晩ごやっかいになっておるのでおつきあいをいたしました、こういう話なんですね。なるほどそうですかという話だったんですが、それほどまでして増収にも努力をしておるわけです。ところが、財政事情がこういうふうになっていきますと、そういった経営に対する意欲を失なっていくのじゃないかということを、私は非常に心配いたしております。つまりもとの鉄道省なり運輸省時代の親方日の丸とか、あるいは不沈艦とか、そういった考え方がまたぞろ出てくるのじゃないか。まあたとえば人員にいたしましても、不減不増と申しますか、絶対業務量がふえてもふやさないという固い方針でいっておるわけでございまして、そういう点からいいまして、経営努力に対する意欲を減殺するという心配を非常に私は多く持っておる。そこで、そういう観点からいいましても、政府から、あるいは政府出資あるいは先ほど岡委員のおっしゃったような利子補給であるとか、そういう何らかの具体的な施策で強く支援するという形を示していただくことが必要ではないかと思います。そういう観点からの考え方ということを申し上げて、御参考に供したいと思います。別に御答弁は要りません。
  28. 相澤重明

    ○相澤重明君 国鉄当局に最初答えてもらいたいが、九月十二日の本委員会で、私から九月期の仮決算の報告をしてもらいたい、こういう話をしておいたのだが、九月期の決算で、大体どのくらいの、経常収支の予定と現実の収入との差がありましたか。
  29. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 国鉄は九月期は決算はいたしておりませんので、御承知かと思いますが、そういうことでございます。ただ、まあ先ほど数字をあまり申し上げませんでしたけれども、現在の状態で収支のバランスが本年度収入減と給与の増と合わせまして、その他実は災害もあるのでありますけれども収入減のほうが大体四百五十億見当ではないかと思います。それから給与のほうでいえば二百五十億くらいの開きが出てくるのじゃないかというような、この程度の推測をいたしております。
  30. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや、そんなことを私は聞いておるのじゃない。この前言ったのを具体的に聞いておる。貨物収入はどのくらい減っておるか、旅客の収入はどうなのか。そういうものは九月一ぱいたてば大体国鉄の上半期の収入というものは見込みができる。私の思うのは、貨物はだいぶ予定収入が減っているのではないか、旅客もそうではないかという話をした。九月十二日だから、まだ早いけれども、この次にやるときには一応そういうものを大ざっぱでもいいから、ひとつ資料を提出してみろ。そういうことをやらないから年度末になってからあわててくるということになってくる。だから、少なくとも半年を経過をした中で、収入というものの見込みというものが、当初策定したものと比較してみていいのか悪いのかということをはっきりしなければ、後半期の問題が実際に議論できないじゃないか。だから、いまのいう四百五十億ならば四百五十億のうち、貨物は幾ら、旅客は幾らということと、いま一つは、企業努力というものがそういう中に入ってこなきゃならぬわけだ。だから、その点、貨物と旅客に分けて幾ら幾らと、そういう答弁をしなさい。もう十一月の半ばだ。そのくらいのことができなくてどうするのだ。
  31. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 九月期の模様を見まして年度内では先ほど申し上げましたぐらいの……。
  32. 相澤重明

    ○相澤重明君 九月期で計算してみたのか。この前の委員会でそう言っておいたじゃないか。年度末のいまのは計算か、推定か。
  33. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) これはお答えいたしますと、実は相当大きな収支の差が出るのじゃないかという推定をいたしておりまして、できれば補正予算お願いしなきゃならないのじゃないかということが、もうすでに事務的には話にのぼっておりますので、やはり年度一ぱいの、たぶんこうなるのじゃないかという推定数字をつくりませんとお願いもできませんので、そういうことでいま作業いたしております。大体の見込みは先ほど申し上げたとおりであります。
  34. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣は、就任早々まあ国鉄の問題でだいぶ検討願ったようだけれども、いまの事務当局の言った国鉄四十一年度の収支というものを報告を受けたことと私は思うのですよ、見通しというもの……。それが結局はこの大臣所信表明ということになったと思う。だから、いま常務がいうように、この形のままではもうやっていかれない。したがって、補正予算を提出しなきゃならぬと私は思うのですよ。だから、その基礎を私は実は具体的に数字で出せというのが九月十二日の本委員会で言ったことなんです。先にいってばたばたしてもしょうがない。中間でそういうものをひとつ見通しをつけて補正予算を組む、あるいは企業努力というものをさらにやらなきゃならぬ、こういうことを九月一ぱいたったらひとり計算してみろよというのが私の言ったことなんです。それは大臣、そういう具体的な報告を受けているのでしょう。受けていないのか、どっちなのか。
  35. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 国鉄から受けている報告は、現在国鉄当局からお答えいたしましたように、従来の実績を見て年度一ぱいを推定するとその程度の見込み違いと申しますか、が出てくるということの報告を受けております。一方において、その減少を企業努力によってできるだけ埋めることも必要でございますし、あるいは場合によっては資金確保の手段を講じなければならないかというふうに考えております。私が受けている報告は、ただいま申しましたような従来の実績からして年度末にはこれぐらいになるのではないかということの報告を受けておるわけでございます。
  36. 相澤重明

    ○相澤重明君 関連ですから簡単に終わりますが、もし、大臣がそういう事務当局から報告を受けたとするならば、推定六百億からのとにかく減収なり支出増ということが見込まれるわけですね。そういうことになれば、いまの岡委員が最初から質問しておったように、この国鉄に対する大臣表明というものは、単に財政投融資計画実現するというだけでは、私は国鉄はやっていかれないと思う。したがって、岡本君もいうように、やはり出資をして、利子の要らない金を当然国として国鉄に出していくと、こういう努力がなければ、これは文章で書いただけで空念仏に終わってしまう、私はそう思うのですよ。だから、私はもうすでに九月のときに、これじゃ国鉄は当初予算を組んでみたけれども、これはことしはたいへんだと、したがって、従来からもいろいろ言ってきたけれども、特にことしはそれをやらなければいけないのじゃないか、こういうことでたまたま大臣の所言表明を見さしていただいて、これは非常に努力していることはわかるが、その努力をいま一歩前に進めないと、私は実際に仏つくって魂を入れることはできないと、こう思うのですよ。そういう意味でひとつ、まだおそくはないわけですから、四十二年度の本予算も見当つけているだろうし、補正予算も当然他省との関係もありますからね、運輸省だけが補正予算を組まなくたっていいということじゃないのだから、そういう意味でこの補正予算考え方もその中へ入れて私はやはりやってもらいたいと思う。大臣、どうですか。
  37. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま御指摘のような方向で私も最善の努力をいたします。
  38. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いろいろいまの問題で大臣からそれぞれ答弁がありまして、そういう方向でと言っておりますがね、方向といっても具体的にそういう方向というのはどういう方向かわからぬのですが、いろいろな方向がありますからね。そこで大臣ね、今年の三月に運賃法をやったときの委員会の記録がございますから、この方向だけ間違えないようにしてもらうためにぼくは言っておきます。これは最後に理不尽にも私の発言中質疑打ち切りを、いま委員長の席にいる谷口理事がやりました。それはそれとして論外だから申し上げませんが、岡理事質問に対して当時の中村運輸大臣が明確に答えている。この内容はここにおいでの与党の岡本理事、それから岡理事、さらには江藤委員長、それから私も立ち会っております。で、この委員会の取り扱い上、このときの運輸大臣に答弁をさせているわけですけれども、これには佐藤総理大臣も十分承知しております。いま申し上げたこの立ち会った中には現職のいまの福田大蔵大臣も入っています。これは明確に言っておきます。その答えはこうなっている。時間がありませんから前のくだりは言いませんけれども、「次に、岡委員質問に対し補足いたします。国鉄に対する利子補給、政府出資をはじめとし、国鉄経営基本問題については、すみやかに検討善処します。」こう答えています。このうらはらのやりとりの、つまりニュアンスというのは、昭和四十一年度においてはそれぞれの措置は具体的にとれないから利用者負担の運賃にその財源を求めた。しかし、昭和四十二年度の予算編成については、いまここで読み上げたように、利子補給、特に政府出資によって善処する、こう答弁してその当時の委員会が終わっているのです。ですからこの方向だけを今後の大臣も間違いのないように踏まえてもらわなければ、せっかくの三月のときのこの委員会の答弁というのはまるきりでたらめな答弁だということにならざるを得ませんから、そういうことは決して佐藤内閣にあるはずがないわけですから、この点を誤らないようにしていただきたいと思います。
  39. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 当時の中村運輸大臣のお答えになりました、ただいまお読み上げになりましたように、研究をいたしたその結論といたしまして、来年度予算においては政府出資九百億を要求をいたしておるわけでございます。その当時の中村運輸大臣の答弁の方向でわれわれはいま努力をいたしておる、こういうことでございます。
  40. 岡三郎

    岡三郎君 大体結論が出たようですがね。このことはいま吉田さんから言われたように、佐藤総理も異例といってもいいほど当時の運輸委員会には三回、前後出ているわけです。そして福田大蔵大臣も、これも三回ほど出ております。そして国鉄現状運賃値上げの及ぼす影響等をつまびらかにした結果として、実態としてはいま言ったような利子補給ということが焦眉の急であるし、政府出資がそうなっている。いままでのところはなかなかワクが出なかったけれども、十分検討して善処していかなければならぬということが言われておるわけですけれども鉄道建設公団ができてからかなり地方の線がいま工事が進められております。しかし、つくられる線はみんな赤字ですな、赤字でない線があったら国鉄で幾つくらいできているか聞きたいと思うのですが、まあほとんど大都市周辺の線にしてもまだまだ黒字になるというほどにはなかなかいかぬ、そういう問題をかかえておりますが、そのときにいまの幹事長の田中大蔵大臣は、とにかくそういう点についても配慮すると、いろいろなことを言いながらやってしまったが、その結論はみんな独立採算というワクは固くしておいて、そうして赤字のやつはつぎ込んでいく、そうして結局、将来の展望として先ほど遠藤常務が言ったように、収入増加によって国鉄が健全になるという見通しなしですね。だから運賃値上げをしてもそれはその後の乗客なり貨物運賃収入というのはなかなか思ったようにはいっていない、こういうふうな形の中で赤字はふえる、線路はつくらにゃいかぬ、都市の改造に伴って都市周辺の輸送力増強はせにゃならぬ、だから、政府がもしも決断力を持ってやらないならば、国鉄は不動産会社部門をつくるべきだ、線路を引っ張ったらそのまわりの土地を国鉄が買って、そうしてその赤字の穴埋めに使わなければ。私鉄では全部それをやっているのですよみんな。笑いごとじゃないですよ、これは。何とか独立採算なら独立採算でできるような、運賃収入だけではなくして総合的に国鉄財政が健全になっていくようにすることが、利用者負担、利用者負担で国民の足を運賃値上げでかっぱらっていくような形ではこれは困る。だから私鉄はデパートなり何なり……、国鉄も民衆駅というようなカムフラージュをした形で一応やりくりやっておりまするけれども、しかし、実態としてはとにかく苦しくなる一方だ。そういう点で赤字がふえていく要素というものを切っていかにゃならぬが、われわれはいままで調べても、ここのところ数年国鉄は人員は、仕事はふえてもふやしていないのですね。だから末端のほうではもうきゅうきゅうの目にあわされておる。こういうふうな形でかなり国鉄全体として上から下まで、ほんとうに合理化しようという面についてはかなり合理化もしているし、そういうふうな労働力の強化というものが非常に下のほうへいっている、そういうふうなことを考えた場合に、もうここら辺でひとつ基本的な抜本的な対策というものを講じていく必要がこれは国全体としてあるということなんです。たいへんここで幾たびか同じことを言いましたが、それほどわれわれとしては重く見ておるということに十分とってもらいたいと思う。それで、まあ新国際空港の建設も非常に重要な問題ですけれども、国際空港の問題についてもまた追って質問いたしまするが、緊急の問題が運輸省として幾つかあるけれども、せっかく収入があったものをまるで金融機関に国鉄は奉仕しておるように払っていって、国民運賃に払っておる金がみんなそのまま直通で銀行に入っていってしまって、足の改善に回っていないんじゃないかというのがわれわれの不満ですからね、この点は藤枝運輸大臣も同じだと思うのです。だから、ぜひとも利子の補給なり政府出資という点で利息の要らない金をひとつとってもらいたい。そのとり方によってわれわれは運輸大臣の、今後の運輸大臣に対する態度をきめていかなければならぬというふうにも考えておるわけです。口先だけで何とかいたします、うまくいたしますということではないと思います、私は。そういう点で大臣の御答弁を了として、ここで私は打ち切ります、一応。今後また推移を見てやらなきゃいけないと思いますが、ほかの質問がありまするので打ち切りますが、ひとつその点は運輸大臣、腹をきめてこの問題について実績を上げてもらいたい。それによって運輸大臣の私は政治力を評価するのではなくして、運輸行政に対する取り組み方についての評価としたいと考えます。
  41. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは運輸大臣も新任だからいろいろ考えを持っているだろうと思うが、国鉄当局に……。これからだんだん寒さに向かうとオーバーを着るようになるわけです。国鉄は時差出勤というものを大都市周辺で進めておるが、この通勤、通学者に対するサービスの点において、こういう点を考えておるかどうか。第一は、時差出勤というのは会社の善意による協力なくしてはできないわけですね。前の荒舩運輸大臣は、通勤のときは汽車賃をただにしますという話もあったけど、そうもなかなかいかぬだろうと思うけれども、せめて大都市通勤地帯だけは改札口が一カ所きりないような駅というものはなくす。パスを持っておる者はどんどんこれを通れるようにしてやったら通勤の、まず駅の混雑、ホームの混雑というものも改善できるのじゃないか。  それからオーバー等を着た場合に、一車でもってどのくらいの人員の、いわゆる余裕というものが少なくなるか、つまりオーバー着るだけでもって人の乗るのは少なくなっていくということは、これはいままでいろいろ研究したから出ていると思う。そうした場合に、冬に向かう場合のそういう通勤、通学対策というものをやらなきゃ私はとてもサービスになっていないと思う。それこそは通勤、通学のためにうしろからおしりを押されてぎゅうぎゅうに詰められるだけじゃ、これは意味ないと思う。そういう問題を運輸省なり、運輸大臣なり、あるいは国鉄当局は具体的にどう考えているのか、それをひとつ、差し迫った問題だから、そろそろ出してもらいたいと思う、答えを。ただ、いつまでたっても、三年でも五年でも一つのことしか言ってない、時差出勤をやってくれればもっといいんだというだけでは私は能がないと思う。そういう点をどういうふうに通勤、通学の緩和をはかっていくのか、そういう点もひとつ説明をしてもらいたい。
  42. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) お答えいたします。改札が少ないというお話でございましたけれども、私ども人をできるだけ活用しまして、口はなるべくよけいにするように、もちろん営業的には努力いたしております。ただ、むしろ逆に最近は改札どめなんということもやらざるを得ないような状態になってきております。ホームにあまりあふれますと危険でございますので、むしろ改札をとめてホームの模様を見ながら、入るお客を制限せざるを得ないような状態になってきております。  それから通勤輸送対策といたしまして、冬の問題でございます。御指摘のように、冬は服装がふくれますので、混雑がはなはだしくなる。これに対しまする対策といたしまして、特にいま目新しく申し上げることはないと思います。いまお願いして実施いたしておりますところの第三次長期計画そのもの通勤対策をやっておるのでございまして、その結果といたしまして、たとえば中央線は五号線との直通ができましたし、その結果、最近の中央線はだいぶ楽になったんではないかと、かように思っております。つまり国鉄の快速線のお客が五号線のほうにも移りましたし、それから緩行線のほうにもある程度移りましたので、それでありますから、快速線がある程度楽になっておる。私は自分で通勤は中央線ではいたしておりませんけれども、そういうように通勤者から聞いておるわけでありまして、その他の線区も線増ができないところは車両の増をやっておりまするし、まあまあ計画は着々進行いたしておる、こう思っております。特に目新しいといううまい手は別にないのでございます。したがいまして、この冬も政府その他にお願いいたしまして、例の時差出勤をぜひお願いをいたしたいということで、前年よりもっと大量にお願いを申し上げたいということで、政府のほうにお願いをいたしておるわけでございます。
  43. 相澤重明

    ○相澤重明君 だから、そういうことだけ言っているようだから能がないというのだよ。だから私の言うのは、これは運輸大臣ひとつどうですか、朝七時から八時ごろまで運輸大臣を先頭にして、われわれ議員も一緒に歩きますよ、ひとつどうですか、都内の周辺だけでも歩いてみたらどういう知恵が出てくるか、私は机の上で幾ら考えたって、机の上の考えと現実とは違うということなんだ。だから国鉄も総裁はじめ常務が一週間なら一週間でいいわ、全部の駅を視察してみると、そうしたらどういうふうにやったらこれからの通勤、通学対策というものができるかという頭が、いい考えが出てきますよ。私のいま言ったのは、なるほど常務の言うとおり、ただ普通の駅の改集札の扱いだけでは乗り切れない時間帯では、いわゆる改札どめしなければならぬ場合も出てくると思う。ところが、それは駅によっては必ずしも改集札が本屋側と裏側にあるというところばかりではないわけです。このいまの通勤の時間帯から考えて、通勤の距離から考えて、そういうことを考えていくと、臨時に改札口をあけて早く整理すれば、実は混む電車と混まない電車というものが平均化する場合もあるのだ。その時間帯の研究というものが私はまだ十分とは言えないと、こう思うんだよ。だから非常に通勤、通学者から苦情が出ている、国鉄はいつまでたったって実際にやってくれないじゃないか、これはいわば国会議員もやはり国会で議論しているだけじゃだめじゃないか、現場を見ろ、こういう意見も出ておるわけですよ。私はこの十二月前に、実際にこの運輸委員会が現地を見るというのもいいと思う。それから運輸大臣も、大臣になったから忙しいだろうけれども、やっぱりそういうところを見ておくのも適切な指示ができると思うわけなんです。国鉄の常務もやってもらいたい。みんなして一週間なら一週間やってみて、これで一体いいか、いま常務の言うように、まあまあとにかくよくできているという答弁です。私はまあまあよくできていない、こういう質問をしている。だから、そこをやはりみんなして知恵を出し合って、そして具体的な改善策というものを取り上げる努力をしなければ私はいかぬと思う。それがこの国鉄が大衆に奉仕する最もよき方法だと私は思う。そういう意味で一度ひとつ計画してみませんか、私ども議員も出られるときには出ますよ。そのくらいな私は意欲があってしかるべきだと思うが、これは運輸大臣からひとつ所信を聞かしていただきましょう。
  44. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 現場を見ることも私決していとわないというか、積極的に拝見もいたしたいと思います。ただ私自身いい知恵が浮かぶかどうかわかりませんけれども、しかし、こういう交通難緩和対策というものは万能膏があるわけではないと思います。いろいろな知恵を出して、一つ一つじみちに改善すべきものは改善していくということであろうかと存じますので、そういう意味で現場の視察もいたしますし、ない知恵をしぼりまして、さらに改善を重ねてまいりたいと思います。     —————————————
  45. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 次に、自動車行政に関する件等について質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  46. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私の質問は前回から保留になっておった関係に限って、できるだけ——きょうはたくさんの質疑者の通告がございますから、簡潔に伺っておきたいと思います。  その第一は、最近社会問題になっております運転手採用の業者間協定の問題であります。  それから第二は、貨物自動車の名義貸しの問題です。この二つの問題についての運輸省の行政上の見解をただしたいと、こう思うのであります。タクシー運転手採用の業者協定については、御承知のように、人権侵害のおそれがある。こういうことで日本弁護士連合会から警告をされておりまして、第一には、廃止すべきものだ、ないしは人権侵害のおそれのないように改正をすべきだ。こういうことが指摘をされているわけであります。そこで、直接の動機はいま申し上げたような事柄が取り上げられて、兵庫県で起きた問題ですから、そのことの起こりというのは、大阪の陸運局に勧告を行なっておるわけです。これは原山局長も承知だと思うのです。時間がありませんからそういう勧告の内容はいま読み上げませんけれども、その発端は何といたしましても大阪陸運局の引き抜き禁止の通達である。陸運局からそういう通達が出ている。  それから、これと同じように、四十年ですから去年です。北海道の旭川市においてもほとんど同じ文書の協定書がございます。  それから、こういう事柄はやはり運輸省として何か指示しなければできないことですから、各陸運局の指導があると考えていいんじゃないかと、こう私は思います。それと同じ時期に全乗協、つまり全国乗用車協会、この協会がいま問題になっているような協定書のサンプルを全国のタクシー協会に流しております。この事実もございます。この段階運輸省自動車局指導があったことは私はいなめないのじゃないかと想像しております。問題になっているのは、運輸省なり降運局が引き抜き禁止の通達を出すという行政の姿勢に第一番先に問題がある。こう思うのです。なぜ私はこういうことをはっきり申し上げるかというと、運転者の移動の原因について、運輸省並びに末端の陸運局の、つまり行政官の諸君は全く解していない。こういうところに私は問題がある、こう思うのです。この委員会でも前に相澤委員、あるいは木村委員からもたびたび指摘されましたけれども、三十三年に参議院運輸委員会で、神風運転などのタクシー交通事故防止のために、自動車事故防止に関する決議をしています。三十三年四月十八日です。その中において、雇用条件、労働条件に関する完全実施の施策が出されました。その目的は、タクシー事故防止には運転者の生活を安定させることが第一である。これが、この決議の基本の思想であることは、当時の関係者、さらには現局長も十分承知していると思うのです。十六の決議の項目になっているが、その中の八項以降において、給与その他労働条件の改善については労使の正常な団体交渉によらしめ、給与制度についても運転者の生活安定をはかるために、固定給を主体とする給与体系を確立し刺激的給与を廃止すること、こう具体的にその旋策をこの決議案では提示しているのであります。しかるに、これに対して一体当時の運輸省は何をやったかというと、自動車局長名で通達七千四百九十号を出しています、三十三年四月の十五日。しかも、その内容は三十三年四月一日に内閣の交通事故防止対策本部の、タクシー事故防止対策要綱を添付しておりまするけれども、その内容はまことに抽象的なお粗末なものだと私から見れば言わなければならないものであります。その陸運局長名で出したものは、第一に、基本給の額は一万円程度を基準として、これに適切な額の固定的諸手当を加えた額を固定給とする。二つ目に、固定給に歩合給を加算した最低保障給制度を確立すること。三つ目には、歩合率は、可及的に定率によることとして、やむを得ず累進制を採用する場合にも、累進率を低率にすること。この三つだけ、こう出されている。この当時は、これでよかったのかもしれませんけれども、その後急激に営業車におきましても一般車と同じように増車がされ、あるいはこのタクシー、ハイヤーの事業者もふえている。それと物価指数等々を見てまいりますと、経済動向の変更に伴いまして、一体この一万円というのははたして妥当であるかどうかということについても、これははっきり言えると思うのです。これはもうさっぱりその当時からほったらかしにしているところに、いろんな冒頭申し上げたような問題が出てきているのじゃないか、こう私は思うのであります。しかも、この内容だけでは私は参議院運輸委員会の決議の趣旨を十分踏まえているというふには思いません。当時私は、その決議に参画は、議員でなかったですから、していませんけれども、相澤先生などは、もうその当時からいらっしゃったと思いますから、参画しているのだと思うが、私はこの当時の決議をいろいろ検討してみると、第一に、やはり運転者の生活の安定をさせるのだということがこの基調になっているのじゃないか、こう思っています。したがって、そのことに中心を置きますれば、いま三つに分けて読み上げた内容、運輸省の対策というものは、ただ通達を出したというだけにすぎていない。ですから、こういう行政の貧困が、今日のハイヤー部門では、二三%の高い離職者、運転者の移動というものが、私の統計上そろえたものでははっきり出ている。これをバス部門に比較をしますと、バス部門の関係は一〇%程度になっています。このバス部門の資料は、名古屋の自運協の資料から私はとったものです。こういうものを防止するためには、陸運局は引き抜き防止の通達を出して、それに基づいてタクシー協会は協定を結んでいるわけですから、そうした事柄が今日社会的な大きな問題になっている、法律を無視したり、労働者を踏みにじるようなことになっているのじゃないか、こう思うのですが、一体、自動車局長はこの問題をどうながめているかということを第一にひとつ聞かしていただきたいと思います。
  47. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) タクシーの事業の労働条件等につきましては、確かにいま先生の御指摘のとおり、バスなり私鉄に比べまして非常に悪いということは言えるかと思いますので、われわれのほうといたしましては、機会あるごとにそういうものの是正について指導いたしておるわけでございますが、なかなか一挙によくならないということは、最近の東京陸運局のタクシー監査におきましてもその事実が明らかになっておりまして、その点についてはまことに申しわけない、かように考えておる次第でございます。  先生指摘の第一点の、タクシー運転手の引き抜きの問題でございますが、運輸省としまして、タクシー運転手を引き抜きしてはいけないというふうな通達なり指導は別にいたしておりません。ただタクシーの事業について、その事業者がその事業の計画を遂行するについて十分な運転手を確保する、運転手を確保せよという指導なり通達はいたしております。したがいまして、タクシー運転手の引き抜き防止につきましては、各業者間がその引き抜き防止協定を結んでおるのじゃないかというふうなことを一部聞いておりますかれども、これは各事業者が運転手を相当長い期間にわたって養成した、その養成が終わったら、とたんにほかの会社から相当な支度金をつけて引き抜きをするというふうなことは、お互いに好ましくないからやめようじゃないかというふうな業者間の協定があるのではないか、こういうふうに考えられる次第でございます。それでこういう引き抜き禁止協定というものを結んでおるかもしれませんけれども、実際上運転手が現在非常に不足しておる状況でございまして、この協定で本人が縛られたと、この協定をたてにとって、運転手が移動することができなかったというような事例は、いままであまりわれわれのほうとして聞いておらないような状況でございます。  それからタクシー関係の給与の問題でございますが、確かに固定給と能率給との比率の問題で、できるだけ固定給をふやして刺激的な給与にならないようにということについては、陸運局でもその点を指導いたしておるわけでございますが、何と申しましてもこの給与の問題というのは労働条件の問題でございますし、労使間で基本的には話し合って、そうしてそれを正常なものにしていくということがまず第一でなかろうか、かように考えておるわけでございますが、現在タクシーの関係で労働協約をそういう面で結んでおるようなところもほとんどございませんので、そういう原則的な姿勢というものをつくっていく必要があるのじゃないだろうか、かように考えております。
  48. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 第一の、この引き抜きの禁止の通達は出していない。極論するとそういう答えですね。二番目の、給与の問題はあとにしますが、出していなければこういう問題にならないわけです。これは新聞紙上に明らかになっております、そういうような問題は。だからそこにやはり私は運輸省の自動車局の行政の貧困さがあるんじゃないかというふうに指摘したいのです。それから、かりに百歩譲って、あなたがいま答えられたようなことがあったとしても、現に業者間協定が結ばれている事実は知っているわけでしょう。知っているわけですね。しかも社会的に人権侵害などというものは、これは廃止すべきである——これは憲法の生活権の問題から来ている。あるいはそうした人権を侵害する条項は廃止すべきだと、改正すべきだと、こう指摘されていることをあなたは知っているわけですね。そういうことがないようだと、あなたはいま答えられておりますけれども、現にあるからこういう問題が起きている。私の旭川でもそういう協定が結ばれているのです。こういうことは、先ほど言ったように、参議院の運輸委員会の決議にもとるのです。憲法の生活権の問題とからんで当然これは政治的にも社会的にも問題があることは明らかです。ほとんど全国的にこれは結んでおります、このものは。私の手元にもございますが、これは参考までに申し上げますと、兵庫県の問題になった乗用自動車協会のこの協定書というのがございますが、これは三十九年十一月六日にやっている。運転者の公正な移動を確保するための協定書、これは「神戸市、阪神間(芦屋市、西宮市、尼崎市、伊丹市、宝塚市、川西市、及び川辺郡)に本社又は営業所を有する全会員は、運転者の公正な移動を確保して、協会の円満と発展を期するためこの協定を行う。」こういうことでずっと書いておりまして、協会に誓約書を取っている、全会員というものにですね。そうして額面三十万円のこの協定書では、期日、昭和四十年五月三十一日の約束手形を協会に提出させるようになっている。  ところで問題になるのは、この中に、全部問題になるわけではないけれども、第一に、憲法のつまり生活権の問題、職業の選択権の問題等々を侵すようなものを第一条に規定している。「全会員は他社に所属している運転者並に離職した運転者は離職の日から六ケ月間はこれを使用しない」と、こうなっている。職業の選択、職業は何をやっても自由ですから、破廉恥罪でも犯さない限りこれは。労働条件のあるいは過酷な、たとえばその会社におけるそれぞれの諸規定があると思う。そういうものにたえられないでやめる。で、さあ、やめたで、この協定に縛られて、次の職場——職を求めることができないというのは、明らかにこれは憲法違反です、こういうものは。これは時間がありませんから、読み上げませんけれども、第十条まであります。幾つかこの中に、運転手を、憲法違反あるいは人権を侵害するような内容のもので拘束しております。これをあなたは知らないとか何とか言っても、冒頭申し上げたように、そこらあたりに今日の自動車局の行政の弱点がある、貧困さがあると私は言いたい。知らないことはないわけです、たぶん自動車局長は。私は百歩譲っているのです。あなたはそういう通達を出さないと言うが、出されております、出ております。旭川の場合は、これは札幌陸運局ですから、札幌陸運局長通達を出したかどうか、そこまでは知りません。しかし、こういう協定をもってやっている。札幌でもやっていますよ。そういうことを私は知りませんでしたなどということで、こういう重大な問題をあなた、この行政の最高責任者たる局長は一体済まされますかね。しかも、この問題を取り上げたときの新聞は、かなり前ですよ、これは。先々月の二十七日に札幌で開かれた第九回日弁連の人権擁護大会でこの調査が明らかにされた。それでこういうふうに新聞にこれは出た。全国紙にこれは出た。それで特に兵庫県の場合は、ある運転手から——岸政歳という人から提訴をされて、神戸弁護士会長の難波さんという方と、それから人権擁護委員長の北山六郎さんというのが大阪陸運局長、陸運局自動部ですか、それから兵庫県の乗用車協会に対して、いま言ったような勧告をしているのですね。勧告の内容もここにいろいろありますが、時間がありませんから、その問題等はここで言いませんけれども、これはどうなんですか。  それから給与の関係も、あなたのほうで当時出した一万円固定給というのはこれでいいんですかね。いまの経済事情の中でですよ。
  49. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) タクシー運転手の引き抜きの問題でございますが、われわれのほうといたしましては、タクシーの運転手につきましては、タクシーの事業者がその事業計画を十分に的確に遂行するために必要な運転手を確保するという意味の指導をいたしておりまして、引き抜き防止については、いま大阪の問題について通達があるやに先生からお話でございますが、われわれの知っている範囲では、各陸運局からはそういうふうな通達は出したことがないというふうに理解いたしておる次第でございます。  それから給与の問題でございますが、確かに固定給一万円というのはその当時の額でございましたので、固定給対能率給の問題はその比率の関係になってまいりまして、われわれのほうとしてあまり刺激的でない固定給と能率給との比率というものは、できるだけ六〇%程度の固定給を確保すべきであるというふうな考え方で各陸運局は指導いたしておると思っております。
  50. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 その通達をあなたのほうは出していないという理解だと、こういうことですが、これは、当時問題になった新聞の内容ではそうなっていない。だから、いまここであなた、知っているじゃないか、私は新聞紙上の内容を見て知っているんじゃないかということでは水かけ論ですから、これはこれ以上言いませんがね。どうですか、原山さん。しかし現実、そういう具体的に協定書があるわけですから、そのことはあなた知っているわけでしょう。知っているんでしょう。
  51. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 一部にそういうふうな協定が行なわれているのではないかというふうに聞いております。
  52. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ないかというふうに聞いているなんという、そういうのんびりしたことを言って、あなたこの問題はおさまりますか。あなた、ふざけた答弁するんじゃないよ。具体的にぼくは証拠を持って言っている、具体的に証拠を持って。知っているんだ、君たちは。一体この協定をあなたいいと思いますか。悪いと思いますか。
  53. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) まあ事業者間で、その各事業者が費用をかけて養成をした運転手を支度金をえさにして引き抜くということはいけないというふうな、各事業者がそういうふうな自粛をしたいというふうな協定を結んでおるというふうに聞いておるのでございますが、こういうふうな協定が非常に悪影響を及ぼすというふうなことでございますれば、それを取りやめるように指導いたしたいと考えております。
  54. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 取りやめるように指導するという考えだということですから、当然これはもう人権擁護委員会なり、そういうところで問題になって、しかも具体的に兵庫県では該当した岸政歳という人から提訴されているのですからね、具体的な問題として。ですから、そういう面はもうすみやかにこれは業者に対してあなた方は——やはりこれはよくないことをやっているのですから、よくないことをやっているのですからね、これはもう場合によっては、そういうよくないことをやっているのは免許を取り消すというくらいの強い態度がなければ、これは先ほど来言っているように、どうもやはり陸運局というのは、あるいは自動車局というのは、タクシー協会を通して業界といまだにくされ縁が切れないと言われるようなことになりかねない。なりかねないのです。で、われわれも一部そういう者から聞いているのだけれども、これだけのものをつくるためにはやはり陸運局の自動車部の直接、間接の指導を受けてこういうものをつくっているのだから、こう言っているのがいますよ。ですから、各自動車会社みな持っているのだ、この協定を。私ここに持ってきたのは二、三部でありますけれども、これを取るためにはどれほど苦労したかわからない。なかなか出さない。なぜ出さないかというと、いま言ったように、いわゆる陸運局、あるいは陸運局の自動車部が内面的に指導されてこういうものができているために、それを表面に出したら逆に今度は行政的におしかりをこうむるなどなど考えて出さない。ようやくここに私この証拠書類というものを三部くらいコピーとってきてある。あるのです。これを十分そういう点を国民の前に、そうではないのだといまあなた答えられるなら、それを明らかにするように具体的な私は措置をとってもらいたいと思う。これが一つ。  それから三十三年の運輸委員会の決議について、いかにあなた方のほうは、いま申し上げた、先ほど言った三つの抽象的なことではなくて、具体的に対処しているか。そうしてそれがいかに実効が上がっているかということをこの委員会でひとつ示してください。
  55. 木村美智男

    木村美智男君 関連。いまの先輩の吉田委員指摘をした問題に関連をして、この三十三年の四月の要するに事故防止対策に関する本委員会の決議、それからこれと相前後して出されたタクシー事故防止対策要綱というのがあるわけでありますが、要するに神風タクシーとして騒がれたあの当時の混乱をしたああいう状態を、事態を収拾するというか、打開するためにとられた措置が、最近は制度的にも当時非常に画期的なことをやられたということがここ数年来のうちにまた逆戻りをしてきているということで、実は去る五月の二十六日の委員会で詳細にわたって私のほうからこの点を八項目にわたって指摘をしたわけであります。で、そのことと同じように関連をするので、いまの問題は、要するにあの際最終的にどういうことを言ったかというと、すみやかにこれらの問題が実態としてどうなっているのか、これについて監査をしなさいということを強く要請をしておいたわけであります。したがって、この監査についてはいわゆる通常の一般監査だけではいかぬ。特別監査という、通常抜き打ち監査というやつですが、これを含めて、その後の実態がどうなっているかを明らかにしてほしいということを要望しておいたのです。その点をつけ加えて、いまの状態の報告をしてほしい。
  56. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 引き抜き防止協定の問題でございますが、何度も申し上げて恐縮でございますが、陸運局のほうでそういう協定を指導して結ばしたというふうなことはないように思っております。  それから、ただいまの木村先生の御質問でございますが、去る五月に、木村先生のほうから詳しくタクシー事業の労務管理の問題についてのお尋ねがございまして、それに関連しまして、東京の特別区内のハイタク事業社につきまして特別監査を実施いたしました。特別監査は全部で十四事業者実施いたしました。それ以外に一般会社というものを現在やっておりますが、すでに終了いたしましたのが三十三事業者ございまして、合わせて四十七事業者につきまして監査をいたしました結果、去る五月に、先生の御指摘のような、過労を誘発するような乗務距離の超過なり、あるいは帰庫時間の超過等々がございまして非常に監査結果の内容が悪うございまして、陸運局長のほうから、その結果に基づきまして、全事業者に対しまして全面的にこういう過労防止対策あるいは事故防止対策を徹底的に研究して、その対策を樹立するような通達を出したような次第でございまして、それを受けまして、東京のほうのタクシーの協会のほうでそれの対策の特別委員会を設けて、その対策を実施してまいるというふうに聞いております。
  57. 木村美智男

    木村美智男君 その監査をされたということでありますが、これは委員会として監査をやれということを言ったわけですから、この監査内容について、これは委員会に正式に文書で報告することがあたりまえだと思うのです。したがって、これは委員長、まず先に監査報告の内容を資料として本委員会に提示をしてもらうということを先に要求をします、その返事を聞きたい。
  58. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この決議に対して具体的にどう対処して、それが一体効果がどのように上がったかということを……。
  59. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 自動車事故の防止に関する要望決議に対しまする措置につきましては、関係各省でもって打ち合わせた結果、ここにございますような措置状況というのがございますのですが、先生、これを全部読み上げることにいたしましょうか、それとも前回この資料を御提出申し上げたのでございますが……。
  60. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  61. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 速記をつけて。
  62. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 その前に提出したのは百も承知で聞いているのですよ、そんなことで、この国会決議というものをあなた方が尊重するたてまえからやっているということにはなっていませんよ。まだまだ未解決の問題がたくさんあるのです。その問題をどうやっているかということを聞いているのだ。
  63. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) その要望決議に対する措置状況に基づきまして、タクシー関係については各陸運局でこの固定給を主体とする給与体系を確立するように指導いたしてきたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、最近東京都内で特別監査及び一般監査を実施しました結果、非常にその内容が悪いということで、あらためて陸運局長からそれを是正するための強い措置を講ずるように通達を出したような次第でございます。
  64. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この通達を出した、業務監査したら非常によくない、だからあらためて出した——通達出しただけじゃだめなんです、そんなものは通り一ぺんのものですから。そこへ通達が具体的に行政施策として生きてこなければ意味ないですからね、せっかく通達出したのですから、十分それが生きてくるように指導をしてもらわなければいかぬ、それはひとつ要望しておきますがね。  そこで、それはそれとして、このハイヤー業あるいはタクシー業において、先ほど申し上げたように非常に運転者の移動が激しい、離職していくという率は三九%、二三%にもなっている、ものすごい高い率を示している。これは原因があるわけですね、幾つかの原因がありますよ、この原因に対してどうあなた方は調査をして、しかもこの率をできるだけ定着させる意味からも、低くしていくための対策ですね、どうとられているかという、それがなければ勢い先ほど言ったような人権を侵害したり、憲法上の生活権を脅かしたり、あるいは職業の選択権を脅かしたりするような行為が行われるということになるのですからね、これはどうなっておるか。  それから木村委員からも何かだいぶあるようですから、次の問題をひとつ聞いておきますがね。労働条件、雇用条件の劣悪さ、これが非常に私は大きな原因だと、こう見ているのです。ですから、あなた方どういう通達出したか、内容は私まだ見ておりませんけれども、もうこの時期にくれば、業界として統一的な労働条件、それから労働者の福利厚生施設に対する企業間の、先ほど言ったようにこういう引き抜きの禁止の協定やるくらいの協会であるなら、私は企業間の自主的な共同事業というような形でこれを進めていくということをやる時期にきているのじゃないかという気がするのだけれども、これに対して自動車局長の見解はどうか。  それから、いまも木村委員からも指摘されたが、ハイヤー、タクシー事業の実態を、この段階でやはり明らかにすべきだと思う、洗いざらい。その問題点を逐一やっぱり行政で手直ししていくというようなことをやる時期にきているのじゃないか、こう思うのですがね、これはひとつどう考えているか。一つの例を申し上げますけれども、私は札幌ですから札幌のことを言いますが、札幌の自動車会社かなりございますけれどもね、その勤務の状態というのはたいへんですよ、二十四時間制とっているものが二十一社、それから二時上がりのものが二十四社、こうした中で、勤務体系等はいろいろ各社によって違いますけれども、北都という会社が最近労働基準法完全実施ということで、八時間勤務を実施しまして、三交代で、これは一社だけ、それ以外はほとんどの会社が一車二人制をとっていますが、   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕  一車二人制の中でも、勤務の体系、それから勤務時間、たいへんな深夜業をやるようなかっこうになっていて、しかも稼働も大体十四回稼働がほとんどの会社、この北都の場合に例をとってみますと、三交代やった結果、かえって非常に能率も上がるし、それから十分休養をとっていますから、積極的な勤務意欲といいますか、そういう関係のものがおそらくはかなりウエートを占めて、営業収益もかなり伸びてきている、運輸収入も伸びてきている、一面これにかかわらず、当然経費も伴ってまいりますけれども、今日的な段階では、きわめて過酷の勤務体系、勤務時間を押しつけているところ、こういう会社よりも成績が上がっているという陸運当局の実績が出ている、こういう例があるのです。いま三つ申し上げたけれども、これに対する見解を示していただきたい。
  65. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 労働者が定着しないというような問題でございますが、確かにこの問題の原因は、労働条件が原因していると、かように考えるわけでございます。それでその労働条件の問題について、非常に過酷な労働条件が多いというふうな問題につきましては、われわれも監査の結果そういうようなことを十分承知いたしているわけでございますが、しかし、運輸省限りでこの問題をどうこうするというわけにもまいりませんで、やはり根本的には労働者、経営者の間で自主的にこういう問題をよい方向に定めていくのが根本ではなかろうかと考えております。それに基づいて労働省のほうでも、労働基準法に違反しているかどうかというふうな問題をよく調べていただくということで、われわれとしては、全般的にその事業者に対する監督という面から、もちろんそれをよく労働省とも連絡をとりつつ指導してまいりたいと考えておりますが、根本的には労使間の自主的な解決というふうな方向が、姿勢が望ましいということでございまして、現在タクシー業者でそういうふうな労使間で労働協約を結んで、労働条件を定めるというふうな空気すらまだ芽ばえておらないというようなことで、そういうふうな方向にわれわれとしては指導してまいりたい、かように考えております。
  66. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 当然その原則は、いまあなたが事務屋として答えられたようなことになるのだけれども、それで済むと思っていますか、あなた方は、少なくとも認可をするときには、仮眠所をどうするか、勤務時間をどうするとか、給与についても幾ら幾ら払いますというような認可申請の場合の書類を審査するんですな、そうでしょう、そうしてそれが、つまりあなた方の行政指導要綱に照らし合わせて、合致するから認可しましょうということに表向きはなるでしょう、いろいろなその間における関係はここでは私は申し上げませんが、形式的にはそうでしょう。そのとおりになっていると思いますか。仮眠所の設備にしても、福利厚生施設にしても、あるいは宿舎の問題にしても、あるいは賃金の問題にしても、あるいは決議に基づいてあなた方勧告をした三つの、たとえば基本給はこの程度で、歩合給はこの程度などなどのことを含めて、現実にやられていると思いますか、なっていませんよ、なってませんから、いま私がそういう関係についても、認可をしたそのときの書類上からいってもやっていない、やっていないから、この段階であなた方はその認可申請に基づいて、特に引き抜きのような、そういう問題についても、業者間協定をやるのですから、そうした労働条件とか、あるいは雇用条件などなどの劣悪な状態、あるいは労働者の福利厚生施設等に対しても、企業間の自主的な協定を結んで、自主的な共同事業等々によってこれらの問題を解決していくという前向きのやはり積極的な運輸省の自動車局の指導がなければ、いつまでたっても解決しないです。完全に申請のときに対して違反をやっている、自分みずから出した申請書に対して違反をやっている、本来ならば十分臨時監査をして、あなたもさっき認めたように、状態はよくないと言っているのですから、よくない者は免許を取り消せばいいです。そういうやはりきつい態度で臨まなければいかぬです、きつい態度で。
  67. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 免許の際に、仮眠所なり、厚生施設等があるかどうかということは、現地調査で調べることはただいま御指摘のとおりでございまして、認可の条件が完全に守られておらないということにつきましては、これまた監査の結果大部分の会社がそういうような事情でございますので、これは全面的に現在のタクシー事業者のレベルというものは低いという状況でございました。これを全般的に事業者の反省を促すということで、東京関係では東京陸運局長が、最近そのタクシー協会に対しまして、全事業者すべてこういうような劣悪な条件下にある、したがって、これを是正するために、根本的な対策を早急にする必要があるという通達を出しまして、タクシー協会のほうでもそれを受けて、真剣に特別委員会を設置の上検討したいと、こういうふうに申しておりますので、その間の検討内容等についてわかりましたら、また、われわれのほうからそれに対する指導をやってまいりたい、かように考えております。
  68. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あなたの答えでは、通達を出したことは、これは何だか特別委員会か何かつくりまして、そこで出てきた答えによって何かするという話ですけれども、それはそれとして、具体的に私ども指摘しているのですから、こういう問題がある、こういう問題がある、いま始まったことではないですから、この前も長時間にわたって同僚の木村委員もこの問題を指摘しているわけでしょう。ですから、そんなあなたのようななまぬるいことを聞いておって、この問題は解決しないですよ、しないですから、もうそろそろここらあたりで一斉に臨時の業務監査をやりなさいよ、何回も注意されている会社があると思う、中には。そういうのは免許取り消しなさい、そうでなくても、やりたい人はたくさんいるんだから、質的によくない者にやらしておくことはよくない、しかも自分で申請して認可をとったのですから、申請書類に偽りがあるのですから、やってないのですから、そういうことをやる段階にきているのではないですか。
  69. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 確かに地方の場合においては、厳重な処分を行なうことは必要だと思います。ただ現在の、最近東京陸運局で監査した結果を見ますと、ほとんど全部の会社がこういうふうな悪い条件にございますので、全般的に各事業者が反省して、どういうふうに現在の悪い状況を是正していくのかという状況をにらみつつ、処分のほうも考えていくべきではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  70. 木村美智男

    木村美智男君 委員長留守だったので、あとで質問が二時間分くらいあるのですが、それを続けてやるいまの状況じゃないと思うので、さっき関連質問で出した監査状況の報告というやつ、これについてさっきから言われているように、全面的にこれは事故防止対策要綱に、いってみれば違反をしている。それがもう全企業にわたっているといったような問題になっているから、別なことばで言えば、本委員会で決議をしたことはさっぱり今日タクシー業界については守られてない。こういうことになるので、これはきわめて重要な問題であるから、監査結果について文書をもって本委員会に提示をしてほしいというふうに私申し上げているわけです。その点がいいのか悪いのか、これは私はどうしても出してもらいたい、その点を聞けば、あとはいま関連の問題終わって、議事進行のぐあいに応じて、質問を続けるか休憩にするか、時間のつごうもありますので、とにかくその問題をひとつけりをつけてもらいたい。
  71. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 監査の結果につきまして資料を提出いたします。
  72. 相澤重明

    ○相澤重明君 資料要求。自動車局長、個人タクシーの申請がだいぶあると思うのです。それでどうも長くかかって困るというのが、ずいぶんわれわれに陳情がある。そこで、たとえば東京陸運局の場合は、いま審査を進めているのは三十九年度の問題だといっているんです。四十年度のは全然手がついてない。これはやはり人が少ないのでしょう。実際に仕事が進まぬということは、仕事の数が多いことと、職員の数が少ないから進まないのじゃないか、お役所仕事でいいかもしらぬけれども、申請をしているほうは、金のくめんやら、あるいは土地のくめんやら、ずいぶん無理をしてやっていると思うのです。二年も三年もほうられておったらずんぶんたいへんだと思うのです。そういう意味で個人の生活権にも影響することですから、私は、いけないものはいけない、いいものはいいという業務を早く進められるようにひとつやってもらいたいと思うが、たとえは東京、大阪等の大都市の陸運局でどのくらいの個人タクシーの申請があるのか、審理状況はどうなっておるのか、それをひとつ見通しを含んで資料を提出してもらいたい、これがひとつ。  その次に、いわゆる法律並びに規則の改正で、運転者の運転免許証、この切りかえが、従来は警察署単位であったのが、今度は都道府県のいわゆる警察において試験場等でこれは交付するわけですね。そうすると、遠いところのものは二日ないし三日、免許証の切りかえのために日をつぶしてしまう。これは運転者にとってはきわめて生活権に大きな影響を与えるわけです。これは、きょうは大臣がおるときに、ひとつ警察庁長官に言って、もっと実際の運転者にサービスのできるような行政というものはできないものかという点をひとつ研究をしてもらいたいし、そのことをひとつ資料として私は提出をしてもらいたいと思った。これは局長も、運転免許証の切りかえは警察がやるに違いないけれども、やはり自動車関係として重要な問題ですから、これをひとつ事実を調査をして、そして報告してもらいたい。私どもが聞いているところでは、運転免許証を持っているものは、きわめて現在のように生活に追われているときに、二日も三日もひまをつぶして免許証をもらいに行かなければならぬということは困る。お役所仕事はいいけれども、仕事をしておるものは困る、こういうことであるから、これについてはひとつぜひ調査をして報告をしてもらいたいと思う。  それから自動車関係の問題では、これはおそらく局長ははっきり筋は知っておると思うのですが、やはり行政管理庁の勧告等から考えて、地方の陸運事務所の職員の身分というものをどう考えておるか。これはやはり現在は都道府県に吸収すべきではないか、地方事務官として仕事をさせるべきではないかというような意見が、やはりかなり都道府県知事会議等で議論をされておるわけです。私どもが見ると、自動車行政の一元化ということから考えると、別になわ張り根性ではないけれども、やはり自動車のことは自動車の専門家にまかせる、こういうのが自動車行政のあり方としてはいいと思う。いいと思うのだが、行政管理庁の勧告等の問題や、都道府県知事会議の意見等について運輸省としては一体どう考えるのか。大臣いなくなっちゃったから、あとで大臣と相談してその答弁をひとつこの委員会にしてもらいたい。これを要求しておきます。以上、三つの資料要求
  73. 江藤智

    委員長江藤智君) 原山自動車局長いいですか。この次に資料を出していただきたい。
  74. 岡三郎

    岡三郎君 時間がないからひとつ私のほうは少し別問題になりますけれども、最近、プロパンの燃料をめぐって通産省と公取との関係、これはどうして私がこれから質問するかというと、価格が非常に変動が多くて、最近において小売り業者自体がタクシー業者から料金の不払い等があって非常に迷惑しておる。特に七月以降、価格を維持するために、いろいろと価格を回復するためにか手を打ったでしょう。急激にまた値上がりしている、そういうふうな波を受けて、かなり末端においては混乱が起こっておる、そういうときに、たまたま七月以降の価格の状況から見て、卸価格の協定なり出荷制限というものが業界の中において取りかわされたのじゃないか、こういうことから公取のほうとして調査をする、立ち入り検査をしなければならぬ、これは立ち入り検査があった前に、私たちも地域において、これは価格の取りきめがあったのだというふうな陳情を受けておったのですが、公取のほうの立ち入り検査があったということで、この間の経緯を明確にして、末端のいわゆる自動車燃料問題のプロパンの状況なり、家庭燃料としていま都市ガスよりも非常に利用が多くなっている、こういうような大きな燃料の問題として質問をするわけですが、まず最初に公取に伺いたいのですが、公取の言っておるように、かりにもし通産省が行政指導においてやっているのだ、だから公取のやっておることは迷惑だというふうに受け取れるあれがあるのですが、そういうふうな発言が、これは公取のほうとしては当然、不況ならば不況カルテルの協定を組んで正々堂々とやるべきだ、消費者に対してもそういう点が明らかになっていかなければならぬし、通産省のやっておること自体は、消費者のほうからいうと、保安に名をかりた業者のこれは保護策であるというふうな声もある。そういうふうな背景を土台にして、どういう角度から公取が立ち入り検査をするに至ったのか。その間の経緯を説明してもらいたい。
  75. 曽我正雄

    説明員(曽我正雄君) ただいまの件についてお答えいたしますが、私どものほうといたしましては、今回のプロパンガスの業界に対する一斉臨検ということにつきましては、通産省との話し合いということはございません。それで私ども——、これは私事になりますが、私は五月からこちらに参りまして審査部長をつとめておるものでございますが、すでにそのころからプロパンガスに、これは今回はオート関係のものでございますが、プロパンガスについて値上がりがするんじゃないかといううわさを聞いておりましたので、従来私どもが取り扱っておりましたプロパンガスの事件と申しますと、たとえて申しますと、東京とか千葉の卸売り業者——卸売りの協議会でございます。元売りの協議会あるいは三重県とか山口県の小売りの団体のプロパンガスの協定という事件がこれまで取り扱ってきたものでございます。これは一般家庭用のプロパンガスでございますが、プロパンガスについてそういう面でわれわれは従来から非常に関心を持っておったのでございますが、われわれがとらえていたものは小売りの段階あるいは卸の段階、こういった面で、その上の、いわゆるメーカー段階についてはまだ取り上げられなかったという状態でございました。そこでわれわれは、今回のプロパンガスの値上げにつきまして、本年度大体五月ごろから業界紙あるいは一般紙等の記事をいろいろ収集いたしまして情報を集めていたものでございます。今回のプロパンガスの価格は、御存じのとおり七月以降値上げということでございましたので、特に七月以降の業界紙あるいは一般紙についてわれわれは非常に関心を持って収集していたものでございます。七月以降になりまして、値上げという問題に関連しまして、続いて各地でいわゆる卸の団体がいろいろこの値上げについて協定しているというような情報がやはり日刊紙あたりに非常に出てまいったものでございます。たとえて申しますと、青森、千葉、高知、兵庫、九州、広島、茨城、大阪、愛知、こういったところで卸売りが値上げについて協定しているらしいということが業界紙その他に掲載されておりましたし、また値上げしたということは、その後一般需要者の方、あるいは小売り業者の方、また卸売り業者の方からもわれわれのほうに申告と申しますか報告が参っておりまして、で、私どもといたしまして、やはり従来そういった元売りとか、あるいは小売りについての事件はあげておりましたが、今回の問題につきましては、私も来て間もないことでございましたが、結局、こういった価格というものはメーカーの操作なくては行なえないものではないかと、こういうように私ども考えまして、この十月までわれわれは情報を収集していたものでございます。今回審査を立件いたしまして開始いたしましたその違反被疑の事実の概要と申しますと、LPガス生産輸入懇話会あるいは石油連盟及び石油化学工業協会またはこれらの団体の会員の間でこの七月以降プロパンガスのメーカー販売価格をキログラム当たり九円、いままで九円——いままでと申しますが、これは御存じのとおり値が下がってきておった当時でございますが、その九円程度のものを十六円ないし十八円に引き上げると、こういうような協定があるんではないかという疑いとともに、出荷を制限しておる面もいろいろ情報でキャッチいたしましたので、この点でメーカー側の協定があるのではないかというのがまず第一点でございます。続いて、全国LPガス元売り協議会及び各地区のLP卸売り業者の団体またはこれらの団体の会員の間でやはり七月以降LPガスの卸売り価格をキログラム当たり従来二十円前後であったものを三十円から三十五円ぐらいに引き上げを協定している、こういう申告ないしは日刊紙あるいは一般紙等のほうから情報を集めました結果、私どもといたしましては、今回のこのLPガス業界全般にわたる審査を立件いたしまして、審査開始に踏み切ったものでございます。臨検いたしました日は、御存じと思いますが、十月三十一日及び十一月の一日、この二日にわたりまして私——本局はもちろん六地方事務所を含めまして十二社、七団体、計二十一カ所を臨検捜査したものでございます。  その十二社と申しまするのは、北海酸素株式会社、出光興産株式会社、ブリジストン液化ガスあるいは続いてゼネラルガス、日本石油ガス、東京液化ガスその他日通商事、東京液化燃料、岩谷産業、広島ガス、三菱液化ガス、丸善石油、これらの十二社と、団体といたしましてLPガス生産輸入懇話会、愛知県LPガス卸売り協議会、大阪府プロパンガス協会、石油連盟、石油化学工業協会、全国LPガス元売り協議会、九州プロパンガス元売り会、以上の十二社、七団体、二十一カ所——この個所は、会社によりまして支店を調べておりますので、ふえておるものでございます。  以上の二十一カ所を臨検いたしまして、現在、事務局担当課におきまして臨検の際留置いたしました書類を検討、整理中でございます。まあこの業務を早く終えたいという考えは持っております。が、引き続いて関係者の出頭を求めまして実情を聴取する予定になっております。なお、その留置した資料の中からさらに臨検を必要とするものが出るかもわかりませんので、その点につきましてはこの審査がいつ終わるかというはっきりしたことは申し上げられませんが、早い機会にこの問題を処理したいというふうに考えている次第でございます。
  76. 岡三郎

    岡三郎君 経過の概要はわかったわけですが、通産省に伺いますがね。まあ山本次官の名で、独禁法の検査は事前に連絡をしてくれとか、行政指導を重点的にやはり尊重してもらいたいとか、いろいろなことが言われておるわけですが、通産省としていままでこういうような価格の激しい変動というものを行政指導で一体どうしてきたのか、結局何かあるというと行政指導、行政指導といっているが、末端のほうは混乱して収拾がつかぬ。そうしてもうからぬからある程度まで値を上げてそれでやるのだ、しかし、一ぺん安いのが入っちゃってまた急に値が上がるというと、末端のほうでは、その事情がわからないから、おかしいと、だから買ったものについて金を払わぬということがいま起こってきておるわけですよ。そうするというと、この卸売り業者のほうは今度は出荷は停止——品物はやらぬと。まるで何というか、これはガス類というやつは公共物ですからね、われわれからいえば生活必需品ですよ。タクシーでいえば、これは人間でいうと食べ物と同じなのです。いまそういうふうなものを何かあめ細工のようにいびって、そのたびごとに末端のほうでは飛んだりはねたり、そしてしまいには一体どうなってくるのかということで、混乱が起こっているやさきに、価格協定があるのではないかというふうなことが出てきて、だから行政指導を重んずるというならば、一体いままで何をしてきたかという問題になるのですが、一体これをどういうふうに通産省は指導してきたのですか。
  77. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) ただいま公正取引委員会のほうから御説明がございましたように、LPGの価格の問題につきましては本年の二月ぐらいからきわめて生産過剰の影響がございまして下落をいたしてまいりました。特にこの六月に至りまして、大体自動車用で申しますと、メーカーの仕切り価格が六円ないし七円という事態に立ち至ったわけでございます。で、その前のいわゆるわれわれが正常と考えられる仕切り価格は二十円ないし二十二円というのが従来の相場であったわけでございますが、ただいま申しました六円ないし七円という異常な低落を示すに至りまして、これはメーカーのみならず御指摘のございましたように販売団体におきましても、著しい混乱を来たす事態になったわけでございます。そこで当省といたしましては、何分LPGはすでに家庭用、自動車用含めまして、まさに生活必需品でございますので、かような混乱した事態を是正するために、まず第一に生産の自粛の要望をいたした次第でございます。メーカー及び輸入業者に対しまして適正な需要見通しとそれに対応するような生産というものを各社が自己の責任において、良識ある判断をもって、生産の自粛を行なってもらいたいということを本年の六月の半ばに要請をいたした次第でございます。これを受けまして業界におきましては、それぞれ石油化学業界、石油精製業界及びLPG輸入業界はそれぞれの独自の判断をもちまして生産の計画の変更をいたしまして、その結果、需給はおおむね適合する見通しを得た次第でございます。ところが、市況のほうにつきましては依然として問題が残されておりましたために、七月から従来の異常な低価格を是正をしてもらいたいということがメーカー・サイドの要望として出てまいりました。この是正につきまして需要業界との一般的な話し合いに入ったわけでございます。その間、当省といたしましては、これが、価格協定というようなことにおちいらないように、いわゆる自動車業界と石油業界、その他のメーカー業界との団体交渉というような性格ではなくして、お互いにどの辺のところでそれぞれの業者が手が打てるかというめどをつけようじゃないかという意味での相互の相談をはかっていった次第でございます。しかるところ、石油側の要請と需要業界側の要請とが話しがつきませんで、結局全体としての話し合いをつけるということが不成功に終わったわけでございます。そこで当省といたしましては、事態を放置することも適当でございませんので、別途あっせん案等を提示いたした次第でございますが、これまた業界側の受け入れるところとならず、その結果、それではひとつ、個々の取引系列ごとに需要業界と生産業界とが話しをつけていくのが実際的ではないかということにいたしまして、さような交渉への切りかえを要望いたした次第でございます。で、これによりましてメーカーと需要業界とは一部系列別の交渉に入りまして、価格の妥結を見た面もあるわけでございますが、なお多くの場合につきましては依然として需要業界側とメーカー側との話し合いがつかない。これは主として七月分の値上げをいかに取り扱うかという点が論点でございます。これを一挙にある程度上げたいというメーカー側の希望と、そんなに上げられては困るという需要業界側との意見の調整がなかなかつきにくいというところに事情が現在あるわけでございます。そのようなやさきに実は公正取引委員会の強制処分が行なわれたわけであります。このことから、さらにメーカー・サイドとしては事態の収拾に一そうの困難な状況になりまして、現在のところメーカー側と需要業界との価格交渉は一時とんざをいたしております。なお、われわれとしましては公正取引委員会側の事実の確認を待ちまして今後とも価格の妥結を早急にはかるように系列別の交渉を促進いたしたいと思っておりますが、それにつきましては、特に需要業界側の十分な御理解と協力をもあわせてお願いをいたしたいと思っております。以上でございます。
  78. 岡三郎

    岡三郎君 いまの話を聞いていると、自分のことはたなに上げて、公取がやったことによってまたうまくなくなった、こういうふうな答弁は聞きたくないのですよ、正直に言って。一体何を通産省は行政的にもたもたしていたのか。というのは、私はバナナの例をとりたくもないけれども、もうかるというとやたらそれを取りたがるわけだ。だからこれは結局値下がりがあろうがなかろうが、二十円、二十二円が適正価格というなら、それほどうまみがないならば、やたら輸入してみたり、プロパンばかりつくっていくということはないと思うのですよ。ところが、やはりあなた方が適正と言っている値段がかなりうまみがあるから、みんな始めてしまう。だから結局供給過多になって値が下がるのですよ、需要と供給の関係で。私はしろうとながらそう思うのです。ところが、そのあおりを食らって安くなったら、高くなったやつについて払いたくないというふうな事態が起こっている。そうすると今度は、善良なる者に対してそういうことでは報復手段として出荷停止だ、品物をやらぬと、これは全く何というか、昔の代官みたいなもので、なければ困るものにしておきながら、なければ困るようにしておきながら、糧道を断つというのだから、そうして値を上げちゃおうというのですからね、そうして払わぬ人には、払わなければ供給せぬ、これでは踏んだりけったりだと思うのです。そこで、私は一価格を、いま言ったような場合には、がんがんがんがんみんな始めちゃって、こういう形になったあげくの果てに、それじゃあ大体そこら辺の値に話をきめようじゃないか、こういうふうな形になってきて、今度は消費者が、業者が赤字であろうが何であろうが、一ぺん安くしたものを今度はつり上げる、おかしい、こういうふうな感覚で混乱が起こっている。だから、私は抜本的に、行政指導も重要であって、ほんとうにこういう公共的な燃料は、公共物は、石油の価格も大体きめている。ある程度これは値くずれもありますよ。しかし、最近はよく統一しているような形の中で、これはまあ生産のほうはある程度規制しているが、今度は業者の中で独自の商売をやっているものもあるので、なかなかうまくいかぬが、都市ガスというやつは一体どうなっているのかということを考えたときに、値段というものは大体行政指導できめてきている。しかし、この前に通産省がLPGの需給安定法案をつくったときにも、だいぶ消費者のほうからあおられて、これは業者保護じゃないか、業者をまるまると、ぬくぬくともうからせていって、消費者を考えない法案だというので、これはつぶれちゃったのです。そうしたらいままた一般消費者向けの液化石油ガスの保安確保と取引適正化法案とか何とかいうのはいまつくっていますか。——あとで答えていいけれども、そういうことで何とかしようと思ったやさきに、公取からガサが入っちゃったのでうまくなくなっちゃった、こういうことになっているようですがね。いまあなたが言ったけれども、一体末端価格というのは暴落したときにも安くなっていないのですね。家庭用のやつはなかなか簡単に安くならないんです、一ぺん上がっちゃったやつは。こういう傾向が物価の中にはずいぶんあるんですが、良心的なものはかなり下げているところもあります。しかし、そういうふうな観点からいって、一体通産省は、行政、行政といっているが、業者に振り回されて、行政をやったことがあるのか。あったならば、おれのほうに行政指導をやらせろと、のこのこ公取が出てくることはじゃまだといってもいいが、われわれがいま見ているところでいうと、公取もっとやれと、通産省の行政はなっとらんということに尽きると思うんですよ。そういうことについて、これまで言われて、あなた、何か言うことあるかね。ちょっと言ってもらいたい。行政的によくやってきたのか。
  79. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) 最初に、ちょっと御質問ございました法案の点でございますが、これは、現在LPGの末端販売段階におきまする保安の確保が、特に事故の多発等からかんがみましてきわめて必要ではないかという要請が各方面から強うございますので、主として小売り段階及び消費者段階における、LPGの使用上の、及び販売上の保安体制を整備するための立法措置を現在検討中でございます。  それから、ただいまの行政指導公正取引委員会の仕事との関係はどうかという御質問でございますが、実は私ども公正取引委員会に非公式ながらお願いをいたしておる点は、行政上是正の可能な問題につきましてはわれわれのほうで処置をさしていただきたいということをお願い申し上げているわけでございまして、独占禁止法上問題となる案件につきまして通産省が行政指導解決するということを申し上げているわけではございません。しかしながら、御指摘のございましたように、今日までのLPG業界の、何といいますか、動向というものは、必ずしも秩序立ったものではないという点は仰せのとおりでございまして、われわれとしても、特にこの生産過剰傾向というような点については、業界自身も十分に反省をしていただく面があろうかと思っております。ただ、御指摘の値段の問題に関連して申さしていただきますならば、LPGは、大体百万トン、総需要の約三割以上を輸入に依存をいたしておるわけでございます。で、今日、冬場のLPGの供給、需要におきまする供給確保のためには、この輸入量というものをやはりコマーシャルベースで確保をするような手だてを講じておきませんと、冬場に問題が起きる。ところが、この輸入価格というのは、適正価格かどうかは別といたしまして、一応採算点とされる最低限度は、十七円ないし十九円ないしは二十円といわれておるわけでございます。したがいまして、われわれとしては、市況の回復ということは、やはり冬場における安定供給を確保できる程度の価格水準というものが国内マーケットにおいてある程度形成されておりませんと、なかなか供給確保の点で問題があろう、そういう意味からも、適正な水準までの市況回復ということは、ぜひともこの際考えていく必要はあろうかと思っております。以上でございます。
  80. 岡三郎

    岡三郎君 そこで、私は、これはまた今度公取のほうに問題があるかもわからぬけれども、もう家庭のいわゆる燃料としても、自動車の燃料としても、これはもう、いまみなプロパンやめてガソリンにしなさいといったって、全部LPGに改装していますからそういうわけにいかぬ。そういうことを考えていった場合に、やっぱり末端においては、それは商売をするからにはある程度設備投資もしなきゃならぬ、そういう点で、めしを食っていく場合においてやっぱりもうけなきゃならぬかもしれぬ。しかし、メーカーなり輸入業者の思惑によって、四六時中浮動した中において商売やっていくということになると、中小、特に小の零細業者は参っちゃうんですよ、もう余裕がないから。だから、そういう点で、いま行政的にいって、冬場のプロパンの需給を確保するという点もこれはもう重要なんだと。だから、ほんとうの意味における業者の立場と、それから消費者の立場、これを双方かね合わして、ある程度幅はあるにしても、そうして、輸入価格が下がってきたならばそれに伴って措置をするというふうな——やっぱり従来あった糖価安定法案なんていうものを出しても、これはまるで砂糖業者を保護するなんて言われて、通産省というところはどうも消費者に背中を向けて業者のほうばかりかわいがっているという印象が強いんだな、印象が。だから、そういう点で、非常に法案を出した場合においても白眼視されるわけなんだ。しかし、私は、その根拠というものはあると思う。そういう点で、輸入するほうも、それから生産するほうも、それから元売りも——しかし、この流通機構もだいぶ私は問題があると思うんですよ。それは、供給するメーカーと、それからずっといって千五百の卸売り業者があるといわれておるが、その末端に六万の小売り業者があるなんて新聞に書いてありますが、いずれにしても、流通機構に問題があるにはあるとしても、現状において、それぞれが生きていき、やっぱり消費者があおられて、昨年の春のように、プロパンを設備したけれどもなかなか持ってきてくれない、家庭の奥さんたちやタクシー業者がお百度参りして、何とかひとつ頼むよと、それで足元につけ込んでばんばん上げる、こういうふうな乱世みたいな情勢の中において、まあ公取はよくやったぞというふうな気持が強いのですよ、正直に言って。だから、値を下げた責任を需要者やみんなに、ほかのほうへ転嫁して、自分たちのほうの責任はどこかへやっちゃって、そうして、これではもうけがない、うまくないから何とか適正の価格まで持っていかなきゃならぬと、こういう操作のあることもわれわれとしては常識的にわかるわけですが、公取が言うように、それならば、もうからないしうまくないならば、不況カルテルを組んで堂々とひとつ対処していったらいいじゃないか、これは私は筋が通っていると思うんだが、それはどうなんですか、通産省は。
  81. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) ただいま御指摘いただきました点は、一々私どもまことに同感でございますが、不況カルテルにつきましては、これは御承知のとおり、当該企業が事業の継続が困難であると認められる要件がございまして、ところが、LPGと申しますのは、たとえば石油化学におきましてはこれは副産物でございます。石油化学の経営自体は黒字であっても、LPGの価格は値下がりをする、LPG価格としての採算はとれないということはあるわけです。また、石油につきましても同じでございまして、石油精製の中におけるLPGのウエートというものは、石油精製会社の経営赤字にするほどの問題ではないわけです。しかしながら、だからといって輸入がとまる程度のそういう低価格水準はまた困るわけです。その辺のバランスをとる意味での市況の回復対策ということは必要ではないかと、かように考えておりますので、私は、かりに独禁法上の不況カルテルの申請をいたしたと仮定いたしますと、さようなカルテルは、おそらく要件を完備しないと考えております。
  82. 岡三郎

    岡三郎君 その点について公取の意見をちょっと聞きたい。
  83. 曽我正雄

    説明員(曽我正雄君) ただいまのおことばでございますけれども、不況要件を備えているかどうかということは、ちょっといまの段階では、私としては、それを備えているか備えていないかということは申し上げられません。ですから、そういう面で、まあメーカーでなくても、下の段階で、あるいは団体をつくって調整規定を設けるとか、そういう面もあるんじゃないか——かりに価格をやる場合に——そういう面もあるんじゃないかと思いますが、いまの不況カルテルの点については、ここで申し上げるということは、私としてはできません。
  84. 岡三郎

    岡三郎君 で、通産省が言ったように、プロパンはときどき爆発するから、保安については適正な指導をして、それで危険を除去することはこれは当然だし、通産大臣がその命令権を持っているわけですが、私の言わんとするところは、この段階にきたときに、通産省と公取とがけんかをするんではなくて、やっぱり末端の需給者ですね、需給者を中心に置いて、そして生産者のほうも、いま言った輸入業者のほうも、連続赤字では商売成り立たないんだから、だから、それについての指導というものも出てくると思うんです。そこで、私冒頭に言ったように、末端の消費者が浮動する中で困難をするということではなくて、そういう点を総合的にまとめたものをひとつ法案として出してくれば、これが全面的に消費者に受け入れられるかどうかわからぬとしても、それは通産省の立場として、供給業者が倒れてもいいんだというのじゃ、これは元も子もない。これは国民の立場としてもわかるわけですよ。だから、そこのかげんをもうちょっと厳正に立てて、これは輸入物だから価格の変動がありますね。それはいろいろと需要供給の関係の中ばかりじゃなくして、生産することについてもいろいろ人件費の値上がりとか、さらに問題があるかもわからない。しかし、そういうふうな点で価格をひとつ安定してもらいたい。そうして需給も確保してもらいたい。そういう角度において積極的に保安確保をするためにこれこれの指導をするということとあわして、それを端的にひとつ、片っ方のほうで公取がやってることはやってることとして、それはそれとして、それを待たないで、積極的にひとつ通産行政として、プロパンの円滑なる需給の確保と価格の、ある程度大衆とメーカー、生産者と勘案して納得いくような一つの法案というものをつくって業界の安定をしてもらいたい、これは私の注文なんです。それをいま聞いているというと、公取が入っちゃったから何かおくれているというふうな御答弁のように伺ったわけですがね。そういうことがあってはならぬと思うんだが、どうして公取が入ったためにそこでおくれるということになるのかね。
  85. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) ただいま御指摘のございました価格安定の点でございますが、私どももさように考えております。通産省がとかく消費者の利益を無視するという誤解を与えておりますのは非常に遺憾でございますが、私どもとしましては、やはりLPGの使用者に対しまして、消費者に対しまして、何が消費者利益であるかといえば、やはり安定した価格で十分な量の供給と、それから保安の確保ということをはかっていくことが必要である。ところが、さような需給を安定させ、価格を安定させるためには、やはり適正な水準の価格でなければならない。その適正水準の価格というものまで現在の市況というものが回復していくというような方向で、需要業界と生産業界とが個々に話し合って妥結することが好ましい、さような方向で私ども努力をさしてもらいたいと、こういう趣旨でございます。  それから、法律案の中では、しかし、さような意味で価格の問題等まで含めることが適当であるかどうかは、なお検討さしていただきたいと存じますが、ただいまの先生の御指摘のございました法案の考え方と、現在通産省の内部で保安を中心にして検討しておりまする法案の考え方と、ある程度また今後の問題として調整を検討さしていただきたいと考えます。
  86. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は通産省のいままでの答弁を聞いておって、やはり納得を十分できない。全く公取はよくやったと、公取をほめておきます。  そこで、通産省が需給のバランスを考えていく、価格安定をはかる、あるいは危険を防止するということは、それは全くいいことだ。いいことだけれども、いま一つ聞いておきたいのは、適正な価格が十七円なり二十円であるものが、六円なり七円に価格が低落をした、これを回復をさせる、こういう話をしてますね、あなたは。そうすると、六円なり七円に価格が暴落をしたということによって業界は非常な赤字になったと、こういうことが収支計算で出てきたんですか。それをちょっと聞いておきたい。
  87. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) もちろん六、七円まで下がりましたときには、企業の経理に対しましてきわめて大きなマイナスの影響があったことは事実でございます。しかしながら、特に重大な影響を受けますのは輸入業界でございまして、さような市況では輸入ができないという点が一番大きな問題になってございます。
  88. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや私は、だからそういう資料出せますか、いま。先ほど岡委員質問に公取は、この二十一個所ですか、この捜索をしたようでありますが、通産省は業界を監督する立場にある。したがって、需給安定ということは大事な問題——業界の育成も含んでね。しかし、われわれの立場でいけば、消費者という立場をやはり守ってもらうことが、これは行政ではきわめて大事なことです。しかも内閣にもそういう物価対策について閣僚懇談会もあるし、あるいは対策委員会もつくっておるわけですから、それがいまの通産省の説明を聞いておると、暴落した、暴落したと言うけれども、事実は消費者に、岡委員の言うとおり背を向けているのじゃないか。安く売れるものならけっこうなことじゃないか。なぜそれを値を上げてやらなければならないのか、こういうことがやはり疑問に出てくるですよ。だから、それならば、実際にこの生産をしております業界あるいはこれを元売りをしておる業界が、それだけの会社経営なり、その事業経営というものが実際にできなかったという理由が私は出てこなきゃ、数字上出てこなきゃいかんと思うのですよ。そういうことが、通産省が報告を受けて、それを国会なら国会に資料提出できますか。私は、できるのならぜひこれはやってもらいたいと思う。いかがです。
  89. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) 先ほどちょっと申し上げましたように、石油及び石油化学業界におきまして出てまいりまするLPGの適正な原価計算というものは、きわめて困難でございます。これは総合的に価格の振り分けをいたしておるわけでございますので、さような意味での詳細な資料を提供いたすことは困難でございます。
  90. 相澤重明

    ○相澤重明君 だから、そうすると内閣の中におけるいわゆるこの物価対策なんというものは、全くもうなっていない。ましてや通産省は、値上げの通産省である、こういう、国民の立場からいけば全く消費者に背を向けた行政というものを行なっているのだという印象をこれはもう拭い去ることできないですよ。だからやはり石油業法十七条の発動も含めながら、実際にLPGの今後のあり方というものをどうするのだというなら、そういうやはり計数上の問題から言っても明らかにしなければ、国民は納得しないです、それは。それは行き当たりばったりの行政で、どこかから火がつけば、これはあわてふためいていわゆる火事場の火消し役を政府がやる。そういうことでは、これは一貫性がないと私は思うのですよ。だからこそ、公取にも、先ほど言ったように、私は国民の側からいけば拍手かっさいですよ。よくやったぞ、公取は近ごろたいへん点数をあげている、あの不動産業者の全く誇大広告をも含んで公取はほんとうにしっかりしている、やはりこれは公取にうんとやらさなきゃいかぬというような、拍手かっさいが、国民の側から出ているのですよ。だから、それだけでは私はやはり能がないと思うのですけれども、だからやはり計数整理ができて、実際に、なるほどこのくらいの価格がなければ業界もやっていかれない。それからまた、時期によって不安定な状況では困るという、消費者の側の立場を十分踏んまえて私は行政を指導していくべきじゃないか、こう思うのですけれども、そういう点、少しこの資料は出せませんかね。私はその資料をほしいのですが、いかがですか。
  91. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) ただいま申しましたように、輸入の場合の原価計算というものは、はっきり私は出ると思います。たとえば石油の場合でございますと、石油から出てまいりまするLPGの価格を——価格というか、原価ですね、コストをどう考えるかということは、実は石油の製品の価格体系の全体の問題でございまして、つまり原油の値段、それに対する精製コストその他の諸がかりで、原油一キロリッターに対して、総製品、出てくる製品全体は幾らでなきゃならぬという計算が基礎にあるわけです。その場合に、揮発油の歩どまり、重油の歩どまり、灯軽油の歩どまりということで、それぞれ歩どまりがございまして、それに対して歩どまり幾らという割りかけをしていくとかという、技術上の幾多のこまかい問題は多多あるわけでございます。かような面から考えまして、一体石油精製業、石油化学工業におけるLPG自体、それだけの適正なるコストをいかに考えるべきかということはなかなかむずかしい問題があるわけなんです。したがいまして、われわれとしては、一応のメルクマールは、諸外国におきますLPGの販売あるいは輸入価格というものと、日本における精製業及び石油化学業界の提供する価格とのかね合いで考えてまいっておる次第でございます。
  92. 岡三郎

    岡三郎君 先ほどちょっと触れたのですが、いわゆる末端の、家庭で使用している人々、それからもう一つはいま言った、自動車の末端で使っている人々、こういう人たちが、価格の不安定にもうあきれているということと同時に、末端の消費者価格ですね、これが下がらないのですね。結局、メーカーなり輸入業者が損しておるかどうか知らぬけれども、卸売り業者、小売り業者の段階を通して、特に小売り業者のほうでいうと、末端価格というものが、卸売り価格が下がっても下げない。こういうふうなことがいわれておるんですが、末端価格がどのくらいになっているか、鉱山局長は御存じですか、一キログラム。
  93. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) 小売り業者の販売価格、家庭用の場合でございますが、一番高い時点ないし時期におきましては、約百円、安い時期には七十円くらいであったわけでございます。それが、先ほど申したように、市況の低落を反映いたしまして、六十円ないし八十五円というところまで、末端で下がってきております。
  94. 岡三郎

    岡三郎君 それで、自動車のほうは……。
  95. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) 自動車用の場合は、スタンドでの販売価格で、一番高い時期におきましては、三十円ないし三十九円という価格でございましたが、一番安い時点におきまして十八円ないし二十七円というところまで下落をいたしてきております。
  96. 岡三郎

    岡三郎君 それで、通産省としては、メーカー——輸入業者ですね、メーカーから卸、小売り、それをどういうふうに数字を考えているのか。大体適正値段というのは、一応通産省のほうとしていろいろ計算方法がある。まあ、資料が出ないというけれども、一体どういうふうに考えていらっしゃるか、価格を、一応のめどとして。まあ、地域によって違うけれども……。
  97. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) これはたいへんむずかしい問題でございますけれども、一応、先ほど来申し上げておりますように、メーカー仕切り価格としては、輸入が可能な限度における仕切り価格が、ほかの国内製品の場合におきましても行なえる程度が正しいのではあるまいか。したがって、末端価格は、中間におけるマージン・コストを加えてまいった集積としてそれからおのずから出てくる。ただいま申し上げたような水準、たとえば家庭用につきましては八十円なら八十円前後、あるいは自動車につきましては二十五、六円前後というようなところが、私は実際的な価格になるのではあるまいかと想像いたしております。推定をいたしております。
  98. 岡三郎

    岡三郎君 推定でけっこうだが、そうするというと、流通機構の段階でどのくらいのマージンになるのですか。
  99. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) 正確なマージンは何でございますが、末端の小売り段階におきまする、スタンド段階におきまするマージンは、大体十二円前後ではないかと思っております。
  100. 岡三郎

    岡三郎君 一キログラム……。
  101. 両角良彦

    説明員(両角良彦君) はい。
  102. 岡三郎

    岡三郎君 いずれにしても、先ほど言いましたように、価格の浮動性というか不安定、そういうふうな問題がいろいろな問題を惹起してきておりますね。それで結局、これは先ほど言いましたけれども、これはもう都市ガスと匹敵する燃料である、都市ガスを上回っている需要者を持っている。それから車のほうも、業界自体としては背に腹はかえられないというので、みんな、全部といっていいくらいもう一気かせいにプロパンになってきている。これは採算上プロパンを使わなければ、ガソリンではタクシー業界やっていけないという現状になってきている。必需物資ですね、生活のもう必需物資ということから、急速にその点が——専門家から見ても、なるほど通産省は総体的に国民生活についてよく考えておる。業界の問題もやはり適正に考えておる。輸入価格と言ったって、これは輸入する方法自体も野放しでは問題にならぬと思うのですよ。専用船をつくって、プロパンの専用船をどうだこうだと言っておりますけれども、輸入についてもやっぱり国民生活の必需物資ならば、これはいままでは石油精製の過程でとれた捨てるものだという感覚でいたけれども、いまは違うんですね。ということになれば、輸入確保の場合における価格の安定といいますか、長期にわたるところのいわゆる取引、こういうものを考えていった場合、そのときそのときの世界のいわゆる需給状況があるにしても、長期における大量な購入という面で取引をするということになれば、ある程度価格の安定というものは私は出てくるのじゃないかと思う。その場合場合に振り回されないで、そういうような総合的な計画の中における、冒頭言ったように、国民生活の必需品であるから、これをひとつ安定して、安定価格で供給する。業者もある程度やっていけるというふうな法案で、ひとつあなたのほうでも従来のいろいろな問題にとらわれずに、積極的にひとつ出してもらいたい。そういうことになれば、この前のLPGの需給安定法案みたいにやみに消えていかないと思うのです。あれを出してくれるというと、どうもあれた業界のためにできている法案だ、こう言われても、あなた方のほうでそうじゃないのだと言ってみても、疑問が払拭できないわけですから、今回は公取が手入れをしたということで、ひとつ姿勢を正してこの問題について真剣に取り組んで、ひとつ一般的な混乱を防止してもらいたい。これが私の最後の注文です。緊急にこれはひとつやってもらいたい。そうしてもうじき冬場を迎えるわけですから、そういう点で、十六、七円がいいだろうというようなことを言っていないで、もうちょっと責任を持ってそろばんをはじいてひとつやってもらいたいと思う。十六、七円でいいのかどうかということについても、これはいろいろと末端における業者の間においてはいろいろな問題点がある。というのは、あんまり高くなったり安くなったり、苦しんだり、ひん曲がったりしているから、一体どこに根拠があるのかわからないと言っているわけで、こんなものなら何ぼでも安くなるのじゃないかという印象を持ったり、いま言ったようにみんなが備えつけちゃって、設備をしちゃっていると、都市ガスを引くにしてもこれは金がかかるということになれば、なかなか切りかえがつかぬわけですね。そういう点で、ひとつ物価安定という立場に立って、通産省のほうとしてもこの問題についての早期の解決をわれわれとしては強く要望として終わります。
  103. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をとめて。    〔速記中止
  104. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。二時二十分まで休憩します。    午後一時五十分休憩      —————・—————    午後二時三十五分開会
  105. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  106. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この問題も前回保留した問題でございますが、営業用トラックについて若干自動車局長の見解をただしておきたいと、こう思います。  そのことは、最近全国的な傾向でございますが、営業用トラックが次々と増車になっております。そのことは私は貨物輸送の需要と供給のバランスをとることですから、さして問題はないと思うのですけれども局長も御存じのように、非常にこの貨物自動車行政が混乱している。ある意味においては、私は紊乱ということばを使いたい。それはなぜかというと、既存業者を含めて、法に違反する名義貸しをやっておる、こういう事実がございます。言いかえれば、このもぐり業者にトラック営業の認可をとって他人に名義貸しをしておる。こういうことが全国的にある。その一つのいい例は、神奈川県でその社長が二人も逮捕されておる、こういう問題がありますから、その事実はないとは自動車局長言えないと思う。そこで、一体名義貸しというものに対してどう考えているかということ、それからいま初めて名義貸しをやったわけではないのですから、それに対してどう一体自動車局長は取り組んできたか、こういうことです。これはあなた方は法律を専門に行政官として執行しなければならぬ責任者ですから、法律のことはよく知っていると思うが、この名儀貸しについては道路運送法の三十六条に明らかになっている。三十六条は「自動車運送事業者は、その名義を他人に自動車運送事業のため利用させてはならない。」、同時に二つ目に「自動車運送事業者は、事業の貸渡その他いかなる方法をもってするかを問わず、自動車運送事業を他人にその名において経営させてはならない。」、こうなっている。第三十七条にも同種のことをさらにきめつけられて、特にそうしたことの問題を扱う場合には運輸大臣はかくかくしかじかと、こう書いてある。同時にこういうことをやった者については、百二十八条、これは罰則です。いま申し上げたようなことをやった者については「一年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」、こう法律に書かれています。ですから私はこういういろいろな全国的な傾向、特に最近そういう風潮が多いのですが、これに対してこの罰則を受けたという、処分を受けたという者はあまり聞いてない。見ていない。自動車局長はこれに対していかなる行政指導をしたり行政措置をしたりしているか、このことをひとつ聞かせてもらいたい。
  107. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) ただいまお話の名義貸しの問題につきましては、先生指摘のとおり道路運送法第三十六条に規定いたしておりまして、それに違反した者につきましては、やはりお話のとおり同法百二十八条の規定に基づいて処罰規定がございます。それでこういうふうな名義貸しの取り締まりについてはどういうふうにしているかということでございますが、トラック事業者に対する監査を定期的に実施いたしておりまして、その監査に基づきまして、そういうふうな違法行為のあるものにつきましては、その違反の度合いに応じまして行政処分を行なうなり、あるいは悪質なものについては、警察のほうに告発または通報するなりしてその取り締まりに当たっているような次第でございます。
  108. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 行政監査をして悪質なものについてはかくかくしかじかといま答えられましたね。行政監査は、もとよりこれは午前中の一般乗用車についても同じようなことで答えられた。悪質であるかないかということは、これは局長どうなんですかな。名義貸し自体法律に違反しているわけですから、これは悪質じゃないですか。悪質であるとか悪質でないという定義は一体どこにあるか、ひとつ聞かしてください。
  109. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 名義貸しの行為それ自身は、御指摘のとおり三十六条の違反でございますので、すぐその違反事実に基づいて百二十八条の懲役または罰金という方向へいくのか、あるいは行政処分だけで終わるかということにつきましては、その事実が初犯であるとか何度もやっておるとかというふうなことも情状の中に入りましょうし、その名義貸しをした動機とか、そういうようなものによって情状の軽重が出てくるんじゃなかろうかと考えております。
  110. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あなたの話を聞いておると、一回なら——つまり初犯ということは一回だ、一回なら情状酌量の問題等考えましていいとか、二回ならどう、三回ならどうということで、これを酌量して悪質であるとかないとかということをきめるという意味のことでしょう。普通刑事事件ならある程度そういうことになるかもしれぬけれども、明らかにこの法律には、それに違反した者は——違反した者というのは名義貸しした者はということだ、他人に名義を貸しちゃいかぬとこの法律は言っておるわけですから、この法律に反する者は直ちにこの百二十八条を適用しますと、それからもう一つ、あなたが後段申された悪質とみなされる二回、三回、四回、こういうものについては両方の罰則を併科すると、こうなってますからね。どうですか、これは一回だって、二回だって、三回だってそういう差はないはずだ、名義貸しについては。そういういいかげんなことをやっておるから、今日目に余る——どものことばでいえば紊乱してますよ、あなたは混乱していると言うかしらぬがね。これは全国的なものですよ。今日運転手を過酷な扱いをしておって、現実に事故の問題になってるんじゃないですか。これは一回なら許されるのですか。
  111. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) もちろん一回といえども、こういうふうな行為については法律違反でございます。したがいまして、許されるべきか許されるべきでないかということにつきましては、それは許されるべきではないと考えております。
  112. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで大体あなたの見解はわかってきましたが、では、いままでに監査を行なった結果、全国でどのような状態が出てきたか、おそらく監査するには実態調査しているはずですから、そういうものを出してもらいたい。で、いま直ちにここでできないとするならば、次回の委員会までに北は北海道から南は九州に至る各陸運局ごとに監査をしたその監査の実績をここに報告してもらいたい。これは委員長要求しておきます。
  113. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 監査の実績につきましては、後刻資料をもって提出させていただきます。
  114. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あとで資料をいただくことになりましたから、それはそれでいいが、今日までどの程度の監査をやったかということについては、その資料を見なければわからぬから、その点については私は言いませんけれども、最近における名義貸しですね、これを一体どう把握していますか。そういう実情あるいは状況というものを運輸省の自動車局ではどう把握していますか。
  115. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) ただいま名義貸し違反の件数等につきましては、資料をちょっと持ち合わせておりませんので、後日資料を調べまして報告さしていただきたいと思います。
  116. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま言っているのは、前に監査の実績は資料で出しなさいと——監査したことだけじゃないんだから、現状幾つか、たくさんあるんですから、そういうものをあなた各陸運局長を通してどのように把握をしているかということなんだ。あなたが知らないと言うのなら、私は具体的に言いますよ。どこどこの人間の何株式会社、経営者何の太郎兵衛、これまではぼくは言いたくないから言ってるんですよ。
  117. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 最近の名義貸しの違反につきましては、横浜におきまして悪質な名義貸しの行為がございましたので、これにつきましては警察のほうと協力いたしまして、それの処罰方針につきまして相談いたしているような次第でございます。
  118. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 最近の例はきのうの新聞に出ているから、そんなのはわかっているんだ。それは社長が二名逮捕されて司直の手にかかっているんだ。そんなものはわかっているんですよ。ぼくが言っているのは、全国的に各陸運局長を通してあなたはどう把握しているのか、これは横浜でたまたま逮捕されたからこう言っているのだけれども、ないわけじゃない、あるんですよ。それをあなたはどう把握しているか。それに対する対策を一体どう自動車局は持っているか、これを聞きたい。たとえばこういう問題が起きている。これは加藤徹というんですかな、神奈川県の陸運事務所長の話がここに載っていますよ。「全県で運輸業者は千を越えており、その増車申請などは二、三人の係員が担当しているだけで、とても現地に行って営業状態を調べることなどできなかった。」と、こういうことを言っているんだね。「しかし、この事件が明るみに出た六月ごろからは」、六月ごろからですよ、これは。これはぼくが言っているんじゃないですよ。あなたの末端の機関の事務所長が言っているんだ。「業者を利用する荷主の年間輸送量などを詳しく調べ、業者の需要に応じた増車を認めるようにしたほか、審査基準をかなり厳しくしたので、今後……」たとえばこういう問題をチェックするには、いまここにも本人が言っているように、三人じゃとても手が回らないと言っている。手が回らないからと言って、法律に違反するつまりどろぼう、かっぱらいのようなことをやっているのを見のがしているというのは、自動車行政のあり方としていいことですか。具体的に今度起きた神奈川の問題を一つとらえてみても、六月ごろそういうことをやっているんだ。これは前々からなんだ、こういう問題は。いまあなた方はこの問題に対してどう一体処置しようとしているのか。こういうことを含めて考え方を聞かしてください。
  119. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 監査を定期的にやっておることは、先ほど申し上げたとおりでございまして、その監査対象業者というのが、陸運局なり陸運事務所の輸送関係の人員が非常に少のうございますので、五年に一回とか六年に一回とか非常に少ない割合でしか監査ができない。したがいまして、そういうふうな監査結果に基づくいろんな違反事実につきましては、それ相当の処分をいたしておるわけでございますが、名義貸しの問題につきまして、多くの名義貸し違反の事実があるということについては、現在私どものほうにまとまった数字を持ち合わせておりませんので、これからも各陸運局に督励いたしまして、そういうふうな事実を調査させたいと考えております。
  120. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 局長、ぼくはあとあとの質問者がありますから、あまり時間かけたくないんですが、そういうあなたのような抽象的なことをぼくは聞いておったんじゃ話にならぬですから、これも資料要求しておきますがね、まさかきょう現在というわけにいかぬが、十月末現在で過去五年間でけっこうだ、貨物自動車の増加の傾向率というものをグラフで出してみてください。それとこれをあらゆる面で行政指導、監査、監督をしてチェックしていくような要員の配置、人間の関係、この傾向もひとつ出してください。なぜこういうことを私が言うかというと、毎回私はこの委員会において、最近とみに増加してきておる自動車、これの検査登録、いま言ったような監査、行政上の事務あるいは技術の要員を含めて非常に要員が不足しておるのじゃないか。だから予算編成時にはそうしたものを満たすように、あなた方にも要求をしているし、私どもも側面的にはかなり積極的に、当然の仕事かもしらぬけれども仕事をしてきたつもりだ。それがいまトラックの増車の問題と名義貸しの問題をとらえて、何が一番欠けておると思いますか。ですからそういう点をひとつあなたから直接担当しておるのですから指摘をしてもらい、前段申し上げたこの資料、その傾向というものを出してもらわなければ困る。
  121. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 自動車の関係の定員につきましては、検査登録の特別会計のほうは毎年百名前後の人員がふえておるのでございますが、輸送関係の管理要員と申しますか、そういう人員につきましては、大蔵省に対して要求はいたしておりますが、その面ではあまり実績が上がっておらないというようなことで、一方、反面営業用のトラックの車両というものも御指摘のとおりだんだんとふえておりますので、そういう面で免許はしておる、しかしその後のチェックがなかなか行き届かないというふうなことで、われわれの登録自動車関係の行政で一地欠陥と考えておりますのは、免許のしっぱなしでございまして、あとの監査なりあるいはそれを助長育成するというふうな措置等についてこれの施策が非常に不足しておるのじゃないか、こういうふうに痛感しておる次第でございます。
  122. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あとの措置について遺憾であることを痛感しておるということですから、まあそれはそれであなた方も反省しておるわけだからこれ以上私は申し上げませんけれども、ぼくはやはり運輸省の自動車局としての姿勢の問題に一番大きな問題があるような気がするのです。確かにいまあなたも認め、ぼくが言ったように、人手の関係もあります。しかし、あなたも認めておるように、人手の関係については閣議の決定であるとか次官通達とかいうものがじゃまになりまして、なかなか一挙に要員増ができないということで、特別会計の何とか何とかで人間をふやすんだということを、いまいなくなった木村自動車局長のときだったかな、そういうことを言うので、特別会計を認めるようにして、その当時の現職の次官はここにおられる岡本さんですが、やったんだ。それが全く——全くというわけじゃないんだが、当時われわれに答えたようなあまりうまみのあるようなことになっていませんよ。ですから、それはそれとして予算編成期ですから、そういう不足している要員については満たすようにあらゆる角度から努力してもらう。それが一つと、そのことはそのこととして、姿勢の問題として、き然たる姿勢がないじゃないか。まだ資料が出てこないですからわからないけれども、業務監査をやって、おそらく乗用車と同じように満足にやっているものは私はないんじゃないかと思う。そのときに、先ほどあなた答えられたように、一回目ならば情状酌量とか何とか、二回目は悪質なものはなどという法律のたてまえを無視をして、ゆがめたような今日の運輸省の自動車局のつまり行政監督の態度に私は問題があると思う。ですから、この態度さえきちっと改め、そうして自動車局の姿勢をきちっとすることによってある程度のものは、人手もさることながら、ある程度というものは解消されるものだと思うんですがね。こんなものを野放しにしておったらほんとうにあれですよ、昭和の街道の無法者を野放しに認可することになる、こういうものはどろぼう、かっぱらい、詐欺のたぐいじゃないですか。どうですかね。
  123. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 人員の増加につきましては、今後予算折衝で十分努力いたしまして増加をはかりたいと考えております。  それから行政の姿勢の問題でございますが、確かに御指摘のとおり名義貸しという行為は法律違反でございますので、今後そういうような点につきましては厳格な態度をもって臨んでまいりたいと考えております。
  124. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これも関連するわけですが、非常に最近貨物自動車の事故が多い。だんだんこれを調査をしてまいりますと、経営者のこれは利益追求が先行するんだと思うんですが、運転者が一人だ、この関係で非常に事故が多い、特に東海道のトラックの主要幹線とでもいいますか、この中における事故というものは非常に増大の傾向をたどっていることもあなた方十分知っていると思う。そこで一人乗りの長距離運行というものは一体働いている運転者の、つまり肉体的な疲労の度合いとか何とかどういうふうになっているかということをひとつあなた方おそらく調査していると思うから、これをここで明らかに私はしてもらいたいと思う。特にハンドル時間が非常に長い、それから交代の場合などについても全く表現のでき得ない状態と条件に置かれている、こういう実態を私どもは把握しておる。ですから、私はこの際現行運送法というものに照らして、いま客観的に見ていまの実情というものはマッチしていない面があるんじゃないか、ある意味においては現行法に不備がありやせぬか、こう思うんですが、こういうことから調査なり研究したりして、いま申し上げたように現行法がもしそぐわないものであるとするならば、直していかなければならぬと思うんですが、そういう検討をしてみたかどうか。この点をひとつこの際聞いておきたいと思う。  それからもう一つは、これは東海道の例を申し上げたんだが、全国的にもそういう傾向があるわけですから、全国の主要路線トラックの長距離の運行の実態などというものも、これまた人手がないということになるかもしれない、まさにいまや先ほど言った監査どころか、最も悪質な名義貸しなどやっている者もチェックできないことなんだから無理かもしらぬけれども、こういうやっぱり実態調査をして、かけ声だけではだめです、事故防止というやつは。ですから事故防止の一環の施策樹立の一つの資料にするということにしなければならぬ段階にきているんじゃないか、こう私は思いますよ。  それからもう一つ、これはちょっと具体的にあなたに言っておきますがね、最近トラック事業者がみずからの責任を負わなければならぬ交通事故を起こしておるのだけれども、あまり責任を感じないような業者がたくさんいる。これはあなたにそういう問題についてああだこうだというのは——大臣か政務次官を呼んでから再度やりますがね、こういう関係指導など、これは具体的に三番目の問題はどこの県の何会社の何のたれべえまで指摘して、行政の最高責任者から聞くつもりでおりますが、とにかくどう一体あなた方はこの問題を把握しておるのか、これを承っておきたいと思います。
  125. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 交通事故の原因の中でトラックが非常に多いということについては確かにそのとおりでございまして、われわれとしてもトラックの事故防止についていろいろと対策を検討いたしておりますが、現在研究いたしておりますのは、路線トラック以外の区域トラック等にもタコグラフなりあるいは速度警報装置の設置を義務づけるという考え方一つの方策として考えております。  それから事故防止でございますが、長距離の路線トラックにつきましては、かって非常に神風タクシーと同様に、夜間非常なハイスピードで東海道筋を走るというふうなことで問題になったことがございまして、それについてもその当時タコグラフの設置を義務づけまして、運行管理の適正を期したような次第でございまして、事故防止のまず第一にはやはり交通法規を順守する、あるいはまた過労防止のためには労働基準法をよく守ってもらうというようなことでございまして、道路運送の関係では、運輸規則の四十四条の二に路線トラックの運行系統ごとに乗務基準の作成を義務づけるというふうな規定もございまして、各陸運局におきまして、その乗務基準の基礎となるようなものについて各陸運局ごとにそれを設定しておりまして、そういうふうな基準に基づいて適正な運行ができるように、過労を防止するような運行ができるように指導いたしておるような次第でございます。
  126. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 指導のほうはあなたの言われたのは、おそらくそこの課長あたりが書いたものを頭に入れていると思うのだけれども局長、現行のあなた方がそれぞれきめておる基準だとか指導要綱だとかいうものと照らして、実際にトラック輸送に従事する従業員の現在の実態、ハンドル時間あるいは乗務キロ、それからもう一つは交代の問題、つまり交代要員の問題を含めてだな、それから交代するときの実態、あるいは休養施設なども入ります。これは一般乗用車と同じように、こういう実態をいままでの指導でそれでいいとあなた思っていますか。そしてまた現行法と照らしてこれは合致しておるとあなたは判断しているわけですか。
  127. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 交代運転手の配置の問題でございますが、これにつきましては画一的な基準というものは、道路のふくそう事情等も加味する必要がありますので、できないかと思いますけれども、現在おおむね各陸運局でつくっております基準は、乗務キロ数が三百キロというふうなことでもってその基準をつくっておるようでございます。それから深夜の乗務時間が四時間をこえるという場合を標準として指導をいたしておるような次第であります。
  128. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 だから、その標準はぼくは知っているんだよ。だけど、いまハンドル時間をあれですか、乗務キロが三百キロでおさまっているとあなた思っているんですか。三百キロ、そんなものじゃから、ぼくは言っているんですよ。実態は三百キロなんというものじゃないですよ。一睡もせずに二十四時間トラック走ってごらんなさい、それぞれの諸規定の六十キロで走ってみてもどれくらい行きますか、ばかだってこんなものは計算できるじゃないですか。そうなっていないんですよ、これは。それからハンドル時間だって、深夜四時間をこえるものについてはなんとかかんとか言っていますが、二十四時間ぶっ通し走ってなおかつスペアなし、交代要員はない。連日やっているんですよ、こんなことは。最近の自動車のふくそうと道路事情にもよるでしょう、あなたも申されるように。しかしほとんどトラック輸送は深夜だけじゃないんですか、どうなんですか。
  129. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 路線トラックの実情につきましても、後日実態の資料をまとめまして御報告さしていただきたいと思います。
  130. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あのね、こまかな実態はそれでいいがね、あなた全くこういう点について無関心でおられるのかね。あなたの感じ方だよ。各陸運局がいっている三百キロなり、あるいは深夜の四時間については云々というような状態であるかどうか。そんな程度の認識しかないんですか。あなたの認識の問題ですよ。こまかなことはあとでいいですよ、あなたの答えられたように、よく調べて大いに報告していいがね。
  131. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) こまかい数字等は現在手元に持ち合わせておりませんが、私の感じておる感じとしましては、現在の基準を守っておるというふうには考えられないと思います。
  132. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうすると、あなた方が指導しておる基準というものは守られていないと思うというんでしょう。思うということは、実態がそうなんだから、これは直さなければならぬ。調査をした結果それが全くの今日的な実態であるならば、現行法あるいは現基準に合わせないわけだから、合うように現行法を直すなり、あるいは指導要綱というものを改定するならしなければならぬでしょう。だからむしろぼくは建設的な意見を出している。ここでそういう必要の段階に来ているんじゃないか。いまあなたは認められている、守られていないようだと。いないんだ、これは。どうですか、今後いますぐというわけにはいきませんがね、これは臨時国会なり通常国会において法の改正をすべきものはすべきだし、あるいはそうでなくて、あなた方のつまり内部諸規定の中で、あるいは基準の中でやれるものはやるということを検討する時期じゃないの。
  133. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 御指摘の点につきましては、今後検討いたしまして、もしも規則なりを改正する必要があります場合は改正する方向で進みたいと考えます。
  134. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、今度はそれを前提として申し上げるのですがね、二番目のそれをやるためにはやっぱり実態調査をやらなければならぬでしょう。ですから、ただ単に東海道だけやるのじゃなくて、これは全国的に、たとえば北海道では札幌陸運局——まあ陸運局の所在しているところは大体主要都市ですから、主要都市における全国の、しかも主要な幹線輸送、トラック輸送をやっている、特に長距離の輸送をやっているのは陸運局で一見してわかりますから、ですから、長距離輸送の運行の実態調査というものをやはりやらなければ、いま言ったように、あんた簡単に出てきませんよ。どこを改正する、どこがふつり合いで、どこが不適当であって、どこの部分が現行法に反しているとか、あるいは現行法がそれに伴っていないとかいうふうなものは出てこない、実態調査をやらないこと。だから、ぼくは建設的に実態調査やったらどうかと、こう言っているのです。それをやる気があるか。
  135. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 予算、人員等の関係がございますが現在の予算、現在の人員でできる範囲内で極力実態を見きわめていきたい、かように考えております。
  136. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 またまたそこへいくと、今度はそれがしりつぼみになってしまって予算のほうにいく。一体この調査に幾ら金がかかるのですか。一カ所の陸運局で百万ずつやってどのくらいになるのですか。何億とかかるわけじゃないのだよ。一カ所の陸運局に百万ずつ金やったらどのくらいかかるのか。この問題をもっと真剣に解決する、対処するという考え方があったら、あなた方はさか立ちしても大蔵省から予算をとってくるはずだ。特に政務次官そこにおりますが、これは予算編成期ですから、たいへんな問題なんです、名義貸しの問題、いま言ったような問題は。どうですか、政務次官。予算関係になると、原山局長弱いから、あんたひとつ大蔵官僚と折衝して、このくらいのことをやるためにやりますくらいなことは言えませんか。
  137. 金丸信

    説明員金丸信君) 吉田先生お話承っておりまして、私もただいま政務次官をいたしておるわけでありますが、自動車の運転手の相当な超過労働というような時間的な問題もわからぬわけではないわけであります。そこで、実態調査という問題につきましては、現在大蔵省へ概算要求をいたしておるわけでありますが、その面でできるだけ予算を獲得いたしまして御期待に沿うように努力したいと思います。
  138. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 せっかくいま政務次官から答弁ありましたが、そのことは、政務次官、けさほど来所信表明のようなこういうことで新しい運輸大臣が申された内容を充実させ、実現させることでもあろうから、ぜひひとつ運輸省の自動車局を叱咤激励、鞭撻をして期待に沿うようにやってもらいたい、このことを要望しておきます。  それから、第三番目に、現在の貨物自動車の企業者が、いま申し上げたように非常に事故が多いのだけれども、みずからの責任の事故でありながらあまり責任を感じていないという傾向、風潮が非常に多い。このために訴訟問題など起こしたりなんかしているんですがね、こういう関係はただ自賠責の法律を改正したからといって、これで自動車局は責任のがれすることはできないと思うのですがね、ここらあたりどうですか。
  139. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) トラック事業者の事故防止につきましては、運行管理なり車両管理、そういう面で指導いたしておりまして、個々の事故の問題について役所のほうがどうこうというような問題ではございませんけれども、そこにトラック事業者のほうの責任がある事故の場合においては、その事故の内容に応じてそれぞれその行政処分を行なっておるような次第でございます。
  140. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 行政処分のことはこれは法規慣例に照らしてやることはいいんですが、いま言ったように、それに端を発して刑事訴訟などなどに発展している問題があるのです。で、問題はやっぱりその企業体の内容を十分監査する必要があるとぼくは思うのですがね。はっきり言っておきますが、札幌に松岡滿という通運事業を経営しているトラック会社があります。これは某代議士も関係しているわけだが、こういう名前はあえてきょうのところは言いませんがね、これは最近——最近でなくても、前々から一般的傾向として非常に事故が多い。これは自賠責からいったって、損害賠償などというものは保険加入者がそういう手続をするわけでしょう。原山さん、そうでしょう。ところが、そういうものをみんなほったらかしだ。そうして、人身事故を起こしてとうとい人命を失っておきながら何ら具体的にそういう措置をとっていない。これは松岡滿という会社ですとはっきり具体的にぼくは言っておきますから、これは札幌陸運局を通して調査してください。そうして、被害者側はそういう諸般の相談所に参りまして手続をして、どうやら今度改正した百五十万円の損害補償というものは受理しておりますけれども、それで事が済むという問題ではないでしょう、人身事故の問題は。そうですね。ですから、勢いそういう問題が発展していって訴訟を起こされても、会社には負担能力もありませんからけっ飛ばしてしまう。これは松岡滿については、一件でぼくは言っているのじゃなくて、そういう問題が何件もあるから言っているのです。もしそうだとすれば、やっぱりぼくは、この監督官庁として、補償の問題は別として、この会社の内容、特になぜこの会社がひんぱんに事故を起こすか、同じような種類の事故を起こすか。それはとりもなおさず運転手を過酷に酷使をして、先ほど言ったように、あなたが考えているような三百キロ、そうして深夜わずか四時間なんとかかんとかいうような勤務時間ではないですね。年から年じゅう休憩時間も与えないで、安月給で追いまくっているところに大きな原因があるんですからね。こういう点はやはり臨時に強い監査をして、もし会社が払えないというなら、会社の経営基盤を強化させてやるような政策があなた方の政策じゃないですか。これは政務次官どうですかな。こういう問題がありますから、それは具体的なことで会社の名前をぼくは言ったのですがね。会社の調査は陸運局長の仕事でしょうが、いま言ったような問題は社会的な問題として政務次官どう考えますか。しかも、これは某代議士がからんでいる。名前は言わない。言えと言われれば言いますが、そういう政治的なことを言う段階ではないと思うから言わないけれどもね。
  141. 金丸信

    説明員金丸信君) ただいまのお話を承りまして、人命というものはまことにこれはかけがえのない尊重しなければならないものである。賠償保険の問題につきましていまお話が出たわけでありますが、その賠償保険の問題は別問題といたしまして、あるいは代議士が関係しておるとか、いないとかという問題は別として、免許を与え、会社が運営しているということについては、指導、監督、育成をしてやるという、裏に義務があると思います。そういう意味で、そういう事故がたびたびあるとするならば、育成していくという観点から会社を調査するということも必要じゃないかと、こう考えます。
  142. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) ただいま御指摘の会社の内容につきましては、札幌陸運局をして早急に監査せしめたいと考えます。
  143. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 監督はけっこうだけどね、ぼくがいま言った事柄はたった一つですが、たくさんありますからね、漏れなく十分調査をして、適切な監督、指導——これは代議士が関係しているとかしていないなんという問題、いま政務次官が言ったようにちゅうちょなく、ぼくは法規に照らしてある意味においては処分をしなきゃならぬことが必ず出てくると思いますから、この点を含めてやってもらうことをあなたに申し上げておきます。いいですか、そういうことを。はっきりとして答えてくださいよ、大事なことですからね。
  144. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 仰せのような線で監査をいたしたいと考えております。
  145. 木村美智男

    木村美智男君 自動車局のほうに最初に聞きたいと思いますが、この前の五月の二十六日の委員会で大体、無慮三時間ぐらいにわたって今日のハイタクの問題で、いわゆるタクシー事故防止対策要綱の筋に沿って全般的な質問をしたわけでありますが、きょうは、その答弁をいただいたもののその後の状態がどうなっているかということを中心に、この前の続きのような関係で少し伺いたいと思います。で、午前中の関連質問の中で、監査の結果についてあとで資料を提示をしていただくということをお約束いただいたわけですから、こまかい問題はこの監査の結果報告を待っていたしたいと思うのでありますが、午前中からの答弁の中から二、三、それまでちょっと待てないようなものが一つ二つ出てきておりますから、それをあらかじめお伺いをしたいと思います。  その前に注文をしておきますが、私が、大体監査の結果どういうことになっているかということを、今日までの中間の形でお伺いしたときに、ごく最近の機会にメモ程度のものをいただいておるわけですが、もし監査報告として提示を願う資料という午前中の請求した内容は、そういった大ざっぱなものではこれは請求したものとは全く趣旨が違うので、そのときになってまた皆からしかられるというようなことがあってはいけませんから、きょうのうちに申し上げておきますが、もっと具体的に今日のハイヤー、タクシーの実態ということをこの際あからさまにする。どうせ私は質問の中で全部具体例をあげてやってあるわけですから、いまさら隠すことはないんで、とにかくガラス張りにひとつしてもらいたい、こういう趣旨でこの監査結果について報告をしてもらう、これをひとつ注文をしておく。そうでないと、私の握っているものとの関係からこの次は多少ややこしくなりますから、そういうことのないように、いまの監査結果については、とにかく監査をした実態をありのまま——それが監督官庁が悪いのか、あるいは業者の責任なのか、場合によっては労働者の考えなければならぬ点もあるだろうと思う。そういう点を、実態をそのままひとつ出していただき、そうして全体としてこれを集約をすればこういうことになるという、そういうものにしていただきたい。これはもうある程度本委員会では、まあ次くらいになったら当面一応この問題については落ちつけるというくらいの気持ちを私は持っているので、そういう意味で申し上げておく。これは委員長にも要望をして、この前委員会で満場一致できまっていることですが、この点は監査の結果どうも思わしくないということになれば、これは具体的に実行に移してもらいたい。それは何かというと、交通事故防止、人命尊重の観点から、この前の前の委員会ですが、ハイタク事情について問題点も多く、答弁と実情が違う点が多いので、適当な機会を見てハイタク事情についてこの関係者を喚問して事情聴取をする、現場の視察をやる、それから場合によっては小委員会を持つことについて委員長並びに理事の間で検討をするということで動議を提起をして委員会できまっているわけです。それをあまり早く発動をしたのでは、これは行政官庁何をやっているのだということになるから、この点私も強く要求はしませんが、これはいずれこの監査の結果、その後のやった状況いかんによっては委員会が直接乗り出さなければならぬ、こういう性格のものだということをまず前提に、もう一回本問題の重要性を認識をしてもらって、そうしてひとつそういう立場から、以下知らぬものは知らぬ、それからこれはこういう障害があるからそう言われたってできないものはできない、こう言ってもらいたい。何もかもごもっとも、ごもっともでその場の委員会で終わりというのでは、いつまでたったって問題は解決しないので、少しこれは冒頭に、原山局長非常に善意なところは認めるけれども、あまりイエスマン的な答弁ばかりしてもこれは意味がないから、その点をひとつ前提としてこれは申し上げておきます。  そこで、監査の結果、夜にわたり、朝早くやったり担当者は非常に御苦労だったと思います。それでもなおかつ非常にむずかしい点があったと思うので、たぶんそういう点の事情があるだろうと思いますけれども、先ほど自動車局長は、労働協約が結ばれていない企業が非常に多い、こういうことを言われた。この点について、監査の結果概略でいいですよ、さっき言われた十四業者ですな、この結果幾つくらいが労働協約が結ばれていなかったか、こういうことだけまず第一にお伺いします。
  146. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 今回東京陸運局で特別監査いたしました十四社全部労働協約が結ばれておりません。
  147. 木村美智男

    木村美智男君 それはまた具体的にあとでどうするかという問題についてお伺いもするし、たとえば委員会の委員としての意見も述べることにしまして、この監査の中ではこの前私が指摘をしておきました、さっき吉田委員が一車二人制度ということを言いましたが、通常二人一車請負制度という通称があるのですけれども、この問題について、今回の監査では実態調査をやられたかどうかということ……。
  148. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 今回監査した十四社の中にただいま御指摘の、いわゆる二人一車制をとっている会社が一社ございました。
  149. 木村美智男

    木村美智男君 これは前の委員会のときに、黒住さんが——業務部長だったと思いますが、黒住さんのほうから、調査をしているということで、局長は、もしそういう事態があれば是正をさせたいという答弁をしているわけですが、この問題は監査をするまでは一つも取り組んでなかったのか、監査前にそういうものを目当てにして調査したのがあったかどうか。あったとすれば何らか是正の措置を講じたか、それまではやってなかったらなかったで、それでいいからその点答えてください。
  150. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) いわゆる二人一車制をとっている会社につきまして、労働組合のほうから、こういう制度についてはおかしいじゃないかというふうな陳情が東京陸運局のほうにいっておったというふうに聞いております。
  151. 木村美智男

    木村美智男君 調査の結果、そういう監督署に対して陳情がいっているということを聞いただけですか。それに対して何か是正の措置をとったかと言っているわけですから、とったらとった、とってなければとってない、どっちでもいいですから正確に答えてください。
  152. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 監査の前にそういうふうな話が出ておりましたが、特にそういう二人一車制度を監査する必要があるというので、監査対象の十四社の中にその会社を入れて監査をいたしたような次第でございます。
  153. 木村美智男

    木村美智男君 それではいまの二人一車制度の問題は、今度の監査報告の中に詳しく報告をされる、こういうふうに受け取っていいですか。もし報告をされないというのなら、いまここで聞かなければならない。どういう状態になっておって、どうなのかということと、私がこの前質問したこととのその後の変化を含めて、対照的にその点を明らかにしなければならない。
  154. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 監査結果の資料の中に、二人一車制の会社の内容について詳細に御報告したいと思っております。
  155. 木村美智男

    木村美智男君 二人一車請負制度の問題については、監査の報告の中でもひとつ明らかにしてもらうことにして、きょうは、詳しい中身のことを時間的な都合もありますからやめておきます。ただ自動車局に十分知っておいてもらいたいことは、これが単なる二人一車制度といったようなものではなしに、最近は非常に巧妙になりまして、表向きはあたりまえの賃金制度をとっており実質は二人一車請負制度、こういうやり方をやっておって、そこから出てくる両方の計算をしてみた結果、出てきた余剰金に対しては業者と労働者とが折半をしてこれを分けておる、こういう実態になっておることも十分頭に含んだ上で、その対策はこの次聞きますから、これをひとつ準備しておいてもらう、いいですか。これはいまのは注文ですから。そこで監査結果の問題については、監査の結果が出てから十分伺って、そしてどうするかについて私も十分協力をしたいと思う。そこで問題は、この監査をやったのは自動車局でなくておそらく陸運局だろうと思うのですけれども、この監査結果に基づいて通達を出したということを先ほど言われました。現にその通達の資料も提示をされておるわけですが、多少気持ちの上ではこれはあまりおもしろくない、この通達は。なぜかというと、きょう委員会でこの問題についてやるということを五日ばかり前に通告したら、これはあわててつくったのだというふうに受け取れる、きょうのきのうなんです。それはまあいいですよ。それはいいですが、一応こういうようなことはあとで——労働省来ておりますか、労働大臣要請しているわけですが、これは通達のときも言いますけれども、とにかくお座なりで、一定の機会をつかまえてその期間にぽっとおこられない程度に、チャンスを逸しない程度で通達を出して、それで事なれりという傾向が見えるから、そういう意味で私自身は気持ちの上で別にどうということはないけれども、それではほんとうは行政指導ということについてはやはり問題があるのではないか、こういう意味で、これはこの前の私が質問をした、要求した委員会だったらしこたまおこられるやつが、きょうは、たまたまきのう通達を出しておるからその意味でおこられないというのではなかなかうまい。ほんとうはほめてやりたいのですけれども、まあこれはあまりほめられない、このことは。そこで、この通達について少し事情を実は聞いてみたいと思うのですが、この終わりのほうの、いわゆる指導上の問題です。これは通達の作文としていえば、従来の作文からいけば私はだいぶん充実をしておると思う、これは率直に言って。二枚目の上から四行目「事業者団体においても、この際、タクシー業界全般の問題として、都内タクシー需要に即応したタクシー事業の適正運営のために速やかに適切な過労防止対策を制度的に樹立し、これが対策の実行を強力に推進するよう重ねて要望するとともに、その樹立した対策を当局あて早急に報告するよう措置されたい。」——これは一歩前進、この点はひとつ前進をしているのだけれども、これもしかしいわゆる一片の文書通達に終わりはせぬかという実は気持ちを持つものですから、そこで、この前質問の際に要望しておいたように、東乗協であるとか、いわゆる経営者の団体を呼んで、そうしてこういう監査をやった結果こういうふうな結果になっておるが、これはかつての三十三年当時の事故防止対策要綱の趣旨からいっても、今日の人命尊重の趣旨からいっても、うまくないということで、具体的に個々の業者を呼ぶという方法もあるだろうし、そういう形を通してまず経営者側の団体に一応集まってもらって、そうして運輸省が意図するところを、やはりもっと血の通ったひとつ指導をするということもどうしても必要だと思う。そこら辺について、やったかやらないか、やってないとすればいつごろやるのか、そういうことをひとつ答えていただきたい。
  156. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 東京陸運局長の通達につきましては、東旅協の会長を呼びましてこの内容を詳細に説明し、先ほど先生のお読みになった過労防止対策を制度的に樹立するというふうな問題は、勤務体系を変えるという問題を含めて検討して、早急にその報告をまとめたというふうなことでございまして、すでにそういう経営者の団体を呼んで直接話をいたしております。
  157. 木村美智男

    木村美智男君 いま私が申し上げたのは、少なくとも経営者団体の親方だけじゃいかぬ。要するに経営者をとにかく呼んできて、その会議に集まらぬようなのは実は行政処分をするくらいのきびしい態度で全体の経営者を呼んで、そういうことをやる意思はないかと、こう言っておる。なぜかというと、今日までの、いままでの措置を聞いてみると、どうしても通達なりあるいは東乗協なら東乗協の頭株にものを言っただけで終わっておるから、実は下のほうはしり切れトンボで、ちっとも実効があがっていない。こういう結果になっておるのです。全体、いまの全体というと同じ系列のものもあるだろうから、そういうものはある程度考慮するにしても、とにかくいま言ったようなことを具体的に推進をしていく考えがないかどうか。それは単にこの問題だけのことを私は言おうとしておるのじゃなしに、今日における政府政策根本的な基調である人間尊重の問題、交通事故防止、絶滅の問題、こういう問題も含めて、そうしてこの事故対策要綱全体を言ってみれば、まあ経営者教育ですよ、こういうことをやっていないから、さっき言ったように、十四社も調査して、その結果労働協約を結ばれているのが一つもない、こういう状態が出てきておるわけです。だから、私はこの際、まあそれは自動車局長にだけということは言っていませんが、必要によっては政務次官、大臣ももちろん出て基本方針を述べると、政務次官は少なくとも全会につき合うというくらいのやはり力の入れかたで、自動車局長主体になってそういうことをやる考えはないか。いまだかつてやったことないんだから、ちょっと何と言うか、めだたしめでたしぐらいで集まったことはあるかもしれないけれども、事故防止を真剣になって相談をするような会議を持ったためしはないと思う。だから、そういう点でいま申し上げたような会合を持つ意思があるかどうか、これをひとつ聞いておきたい。
  158. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 今回の東京のタクシーの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、会長を呼んでこの趣旨を伝達しましたところ、すぐ業者団体におきまして特別対策委員会を設置するというようなことをきめたというようなことで、この趣旨は十分業界側で受け入れて進めておりますので、特にこのためだけに全事業者を集めるということについては、現在のところは考えておらないのでございますが、タクシー関係の問題につきましては、機会あるごとにそういう業界の幹部を呼んで事故防止対策なり運行管理等についての役所側の考え方等は十分意思を伝えておるような状況でございます。
  159. 木村美智男

    木村美智男君 だから、このことだけと私は言ってないでしょう。わざわざ、むしろ大臣も出て、あるいは政府責任者も出て、そして人命尊重、事故防止という基本方針を述べろとまで言っているわけですから、そういう意味で、単にこれを業者の関係にまかしておくということでは、私はやっぱりこれはいままでと同じだと思う。したがって、そういうことをやっておったのでは、これはもうやらぬでもいい労力をたくさん使うことになるから、だからこの際、試みも含めて一つのやっぱり自動車局が指導方針を持って、そして業者を積極的に、この際事故防止のところに重点を置いて、そしていろいろの問題があるだろうと思うから、逆に言えば業者のほうからの苦情もあると思うんだよね。だから、それを聞いたっていいじゃないか。いろいろその中でやることはあっていいから、とにかくこれだけの大問題で長いことやってきている問題なので、締めくくりをしたいという気持ちを冒頭に述べたわけですけれども、いつまでも、毎回委員会やるたびにハイタク問題ばかり実はやっていくことについて、運輸委員たるものの任務からはたしていいのかという気持ちを私は持っているからこれは言っているわけなんだけれども、そういう意味から、この際、少し従来と変わった、いま言ったようなことをやってみる意思がないか。ないと言うならもうやる気ないと認めざるを得ないから……。
  160. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) この業界を集めるということは、タクシーだけじゃございませんので、トラックの関係もございますし、通運整備、いろいろな事業者が自動車関係でございますが、そういうふうなわれわれのほうの方針につきましては、各団体を集めていろいろとわれわれのほうの考え方を伝えるということは、もちろんやっておりますので、タクシー関係の事業者を全員本省に集めるという事例はいままでにございませんし、そういう点については、現在東京陸運局長もこの場に出席しておりますので、東京関係のタクシー事業者につきまして事故防止等の役所の考え方についてどういうふうな方法でそれを徹底するかということについては、よく担当の部長とも相談いたしましてその方法を考えてまいりたいと考えております。
  161. 木村美智男

    木村美智男君 まあ範囲の関係やら、いろいろ招集のしかたもあるでしょうからね。ですから、ここでいつ幾日こういうことでやるというふうな答弁を求めようとはしていませんが、先ほど私の述べたような趣旨でほんとうに地に着いた血の通った指導をする立場で一回とにかくそういう会合を持って、こちらからものを言う、それから苦情も承るという、そういう意味でけっこうだと思う。そういうことをひとつ本腰を入れてやってみてほしい。そうでないと、何回文書を出してもさっぱり効果があがってないように実はとれるものだから、単に通牒を出して、やらなかったらあとは行政処分だというだけで、それなら行政処分は、ほんとうに免許を取り上げて全然タクシー業をやれないと、そういうようなきびしいやり方をやっているなら、これもある一定の段階では私は一つ方法だと思うけれども、それをやる前にまずそれだけのきちっとした血の通った指導をしてなおかつ聞かなければやむを得ないからこれはやるということにひとつこの際指導方針を持ってほしい、こういう意味ですから、その点はいま答えられたようなことで善処してもらってけっこうだと思います。  で、次の問題ですが、この四、五日前に、実は銀座の例の乗車拒否の問題が新聞にだいぶ書き立てられました。まあ銀座という場所が場所だけど、私はむしろあの新聞に出た乗車拒否そのものについていま何か言おうとは思っていない。あの乗車拒否というのは、生産的な立場から見て、国全体の立場から見て、まあ好ましからぬことではあるけれども、そういう意味でしゃっちょこ立ちして騒がなければならぬような性質のものだとは私は考えておらぬわけです。   〔委員長退席理事谷口慶吉君着席〕 しかし、あまり芳しいことではないので、あそこ以外にもだいぶ乗車拒否という問題はいろいろあります。そこで、たとえば交代時間なんかの場合には、実はとめても、車はからっぽだから乗せてくれるかと思うと、すっと走っていっちゃうね。そういうようなことについてもう少しああいう面だって指導方法があるのじゃないか。たとえば、回送というやつをちゃんと表示しておけば、この車は帰っていく車だから断わられてもしょうがないということになるけれども、何にもしないで百円の札をかけておいて、そうしてだまっていっちゃうと、これは見ようによっては乗車拒否にとられる、こういうことの扱いを含めて、実は乗車拒否というのはむしろそういう問題のほうが私は重要だと思っているのですよ。で、あまり夜おそくなって、酒飲んで話し込んでおそくなっちゃったから帰れる自動車がないからというのでこれが非常な苦情になって出てきているというようなことを乗車拒否の最も大事な問題のようにして取り上げると、これは酔っぱらいをふやすために運輸委員会一生懸命やっているようなことになるから、だから、そういう乗車拒否というのは、あまり乗車拒否とかなんとかいうことでなしに、その視線の向けどころをもう少しかえてもらって、やっぱり一般世論としてはあまりよくないから、そういうところの場所の乗車拒否の問題についても多少はこれは手を打たなければならぬだろうと、そういう立場からいけば、あの銀座の問題はついこの間出た問題だから、運輸省のほうはどういうふうに処置をして、現在のところはどうなっておるのかということをちょっと聞きたい。
  162. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 乗車拒否の問題につきましては、まあ銀座とか特定の場所に、特定の時間、特に夜おそくそういうふうな場合に非常に需要が集中しまして、そういう乗車拒否が起こっておることは事実でございますので、警察と一緒になりましてその取り締まりに当たっておるような次第でございますが、乗車拒否の起こります原因は、まず最近道路の事情が非常に悪くなりまして、非常に道路が混雑する、したがって思ったほど収入が上がらないというようなことから、収入が低下したというふうなこと、あるいはまた最近運転手が不足いたしておりまして、悪質な運転手が相当ふえておるというふうなことが第二点。それからもう一点は、先ほどちょっと先生お話になりましたが、特に銀座なんかの夜おそくには、酒を飲んで相当よっぱらった人が、帰りを急ぐために酒の勢い相当大きな額でも指を出しまして、そこでチップを出すから先に乗せろとかいうふうなお話がありまして、そういうふうな三つの理由で乗車拒否が行なわれているんじゃなかろうかというふうなことでございますので、運賃制度を適切にするということを含めまして、運転者のもちろん再教育も必要でございましょうし、その他タクシーベーというようなものをつくりまして、ああいう並木通りのようなものにつきましては、流しをやめて、タクシーベーで列をつくって、お客さんにその順番に、列をつくった方から順番にそのタクシーベーで乗っていただくというふうな方法も考えまして、今後そういうふうなことによって乗車拒否がふえるようなことのないように考えてまいりたいと思います。
  163. 木村美智男

    木村美智男君 まあ、銀座の問題はタクシーベーぐらいでけっこうだと思うんですよ。それ以上そう力を入れてやるべき性質のものじゃない。それでおこられたら私が弁明に立ってもいいと思っております。やはり局長も言われたように、問題は水揚げが思ったほどいかぬとか、客からチップがという、ここんところをもう少し突っ込んで考えてみてほしい。局長はその程度のことを言ってますが、業者のほうはどうするかといったら、あそこは大体夜四百五十台ぐらいしか持っていってないから、まず台数を八百なり九百くらいに、倍ぐらいにふやして、そして客をさばくことを考えたらいいじゃないかと、こういうことが大体業者側の対策一つにもなっているようです。ここら辺に、実は私は乗車拒否の問題については問題があるという点も、ここに実は見えているんです。つまり、酒飲みのほうに、倍、自動車をふやすということにすれば、都内のうちのまじめに動いているやつは五百ばかり自動車が減ることになって、不便をもたらすことになるんですからね。一体どちらが重要なのかということを考えれば、まあせいぜい楽しんで、うたでも歌いながら酒でも飲んでおそくなったというものは、これは十分や二十分がまんしてもらわなければならぬですよ。ほんとうにまじめにタクシーを使わなければ動けない方を、優先的に乗車拒否問題を扱っていかなきゃならない。これは基本精神ですよ。そこで、局長の言われた、思ったほど水揚げがあがらぬというけれども、それは思ったほど水揚げがあがらぬじゃないんです。これだけの水揚げをあげなければ給料下げるぞという仕組みに賃金体系がなっているところに問題がある。ここを見ないで、思ったほど水揚げができぬものだから、ひとつチップをもらえるところに運転手がかたまって行っておるという、出てきた結果のところを先に見ておったのでは、これはほんとうの対策はできない。ここのところが実はそういう意味で今度の監査結果というものを私はきわめて重要視しているわけだ。今日の賃金体系を、この前の委員会で述べたように、大体ああいう乗車拒否問題が起こるような、そういう労働条件なり、賃金体系になっているという点を、実は自動車局なり陸運局のほうは十分ひとつ知ってもらってから、業者に対するその行政指導というものをきちっとやってもらわなければ、そのつど警察か何かを動員をしてやっておるというようなことではいかぬ。私もだいぶこの問題について常に接触をしている。たとえば、御存じだと思いますが、関東交通運輸労働組合協議会の幹部の諸君に多少苦労をしてもらって、あの実態調査をやってもらった。彼らは警察権を持っていないから、一々警察みたいな取り調べはできぬけれども、その近くにおって、そして警察の調べたのを一々聞いておったそうですが、大体労働組合の組合員というのは、二百八十人のうちに、正式に組合組織されている中で、三人だけが——これは答えたものが三人ということだから、必ずしも三だというふうには私は申し上げませんけれども、あとはみんな労働組合のないところ、それから、あっても、労働協約なんてものは全然ないといったような人たちのところに、この乗車拒否の大部分があるという新しい事実を実は発見をしておる。これは警察権を行使してやったわけじゃないから、厳密な意味での資料ということにはならぬけれども一つの傾向としてこれはお話を申し上げるわけですけれども、そういう意味で、いまの乗車拒否問題というものの根本的な解決は、実は給与体系の問題、もう一つはその帰庫時間なり、あるいは就寝、仮眠の設備がどうなっているかといったような、実はそういう問題のところに十分この根本の原因があるということを、これをひとつ知りながら、監査の問題についてのこれはひとつ対策に、次の問題として打ち出していただきたい。これはひとつ要望しておきます。  そこで、なるたけこの前やったことは省きますからね。ひとつ、これ見ておられると思うのですけれども、労働省が、先月の七日の日に実は労働省通達ということで、交通事故防止のための自動車運転者の労働条件改善対策についての通達を出しておるのですが、これは御存じですか。
  164. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 労働省からそのような通達が出ておることは存じております。
  165. 木村美智男

    木村美智男君 これはどうも労働大臣か、労政局長がおらぬとうまくないのだが、ちょっと要求をしておいてください、こっちは続けますけれども要求はしておるのですけれどもね。実はこの通達というやつは、この十月の十一日から、これは御承知のように、全国安全運動がやられたわけです。それが、この七日の日に通達が出された。したがってそれを……。まあその前に、じゃ局長もこの通達は承知しているという意味は、いま承知しているという意味なのか、この通達が出る前に労働省からの御相談を受けて、それで知っているという意味なのか、そこをはっきりさせていただきたい。
  166. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 現在承知いたしておるという意味でございまして、この通達が出されるときにおいては存じなかったのでございます。
  167. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  168. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 速記をつけて。
  169. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、これは運輸省には事前に相談なしに出された通達だと、こういうふうに理解をしていいですな。
  170. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) はい、そのとおりでございます。
  171. 木村美智男

    木村美智男君 じゃこれは、そういうことであればこの通達を、これは中身については労働省が来てから質問をします。
  172. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  173. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 速記つけて。
  174. 木村美智男

    木村美智男君 それでは、いまの通達の問題は、労働大臣並びに関係者が来ないので、向こうの委員会との都合で出席できないので次に移りますが、しかし、事前に相談を受けなかったというだけじゃ済まされない。なぜかというと、これは交通事故防止のための自動車運転者の労働条件改善対策について、これこそまさに三十三年以来本委員会が取り上げて、これは自動車局としてもそれなりに関係のある問題としてやってきたことであるから、私が言うのは労働省から通知がなかった、これはまさに労働省のほうの問題だから、これはあとに譲りますが、自動車局としてもさっそく、やっぱりこういうものが出てあとで気がついたとすれば、これについて文句の一つ二つは、これは言ってもらわなければならぬ。それから同時に、この通達の中には自動車局に関係する問題がたくさんあるので、そのことについてやはり労働省との調整をはかってもらわなければならぬ。こういうことが全然されぬものだから、労働条件は労働省だ、あとその行政指導は運輸省だ、こういうようなてんでんばらばらな状態だから、なかなか施策の実効が上がらない、こういうことになっておるわけですから、その意味でこれが出たことについてのよくなかったというのは、——労働省はあとで十分聞きますけれども、運輸省といえどもそれはおれのほうが知らないうちに労働省が勝手に出したのだというだけでは済まされない。むしろ積極的にこれはこういうことについて連絡をとって行政指導の遺憾なきを期してもらう、こういう立場に今後は立ってもらいたい。いいですかね。
  175. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) 労働省のほうからそのような通達が出ましたことを知りましたのでさっそく労働省のほうにその内容につきまして説明を求めまして、われわれのほうからもその内容についての意見を申し述べております。したがいまして、今後こういうふうな問題につきましては、労働基準法の問題につきましてわれわれのほうにも十分今後連絡をしていただくとともに、こちらのほうからも積極的によく連絡いたしまして、こういう自動車の従業員の労働問題については、両省で協力して問題の解決に当たりたいと考えております。
  176. 木村美智男

    木村美智男君 監査報告が詳しく出されるという前でダブルということはちょっと考えものですから、予定をしておったその種の関係質問は実は次回に回します。  そこで、大臣がおらぬものだから次官にひとつ聞きたいのですが、現在豊島園で平和のための防衛博覧会というものをやっている。これの主催は産経新聞社で、これを後援をしているのは豊島園と防衛庁なんです。ですから、本来内閣委員会等でやるほうが適当かと思うのです、この問題のその本論は。しかし、これに一枚加わって協賛というところに四つばかり名前が載っている中に運輸省というのがある。運輸省の協賛というものは、一体この平和のための博覧会という名目について運輸省がどういう関係があってそういう協賛団体になって、世の中にはっきりわかるようにポスターにきちっと印刷をされてそれが出ているのか、ひとつそこら辺のことを伺います。
  177. 金丸信

    説明員金丸信君) まことに答弁にならない答弁で申しわけないのですが、豊島園に防衛博覧会が開かれておるということを私はまだ存じません。詳細に調べまして、次回の委員会で御報告申し上げます。
  178. 木村美智男

    木村美智男君 官房長いないのですか。鉄監局長は……。とにかく次官が知らぬのなら局長クラスでこれを知っておる者が答えてください。
  179. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) いま御質問の事実をよく調査しまして、後ほどお答え申し上げます。
  180. 木村美智男

    木村美智男君 いま出席をしておる局長級の中ではだれも知らないのですか。
  181. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  182. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 速記をつけて。
  183. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 時間もかなり経過しておりますから、これはよく調べて、質問を保留するということですからすみやかに調査してください。その間、時間はだんだん進みますから議事進行上ぼくのほうで……。
  184. 木村美智男

    木村美智男君 いまのようなことで……。
  185. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 航空局長に伺っておきます。これも前々からの委員会の懸案、保留事項でありますので伺っておきます。いま申し上げたように、木村委員質問続行中でありますから、簡潔に要点だけ申し上げますから、答えのほうも、その聞いておる方向に合わして答えてもらいたい、こう思います。  問題は、国内航空の再建に関係する問題なんです。通称まあ再編成といっておる問題ですが、政府のほうはあの再編成の問題が出て、諮問して、答申も出ましたですね。出て、いろいろ紆余曲折があって、閣議の了解事項なるものが、私どもこれは内容を十分知っていませんが、新聞紙上で拝見しただけですが、そういうものが出て、着々この再建をするたてまえで作業が進められているんじゃないかと思うのだが、最近出てきたこの現象を私ども側面から見ていると、どうも政府のほうに、はたしてこの国内航空というものを再建していくという意欲なり具体的な取り組み方というものは端的にはないんじゃないか、欠けているんじゃないかというような気がするので、この点をひとつ明らかにしてもらいたい。  それから二つ目は、あの閣議了解事項から見ますれば、つまり幹線が日本航空委託経営ということになりましたから、   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕 言ってみれば、もうこれからの国内航空というのは、ローカルだけで再建をせねばならない、こういうことになると思うのですね。そこで、ローカルならローカル路線だけの線を持続をして、再建にあらゆる面から努力を、もとより企業家ですから、してもらわなければならぬことはもう言を待ちませんけれどもね、私は、今日の日本の国内航空事業のあり方の問題点として、一つああいう問題が出てきたわけでございますが、ほんとうに再建をしてまいらなければならないという前提に立つとするならば、現状の全日本の国内の航空路線の再配分を断行しなければ、口先だけの再建案、再建議論によりすぎないのじゃないかとこう考えますので、航空局長も幸いかわりまして、非常に勇断のある方だと私はまあ方々から聞いていますので、そうした再配分についての断行する意思があるかないかですね。これはそういうことです、端的に言えば。  それから三つ目は、この問題をとらえていろいろな動きがあるわけでございますが、このいまの国内航空実態は、これは航空局長御存じのように、去るも地獄残るも地獄の国内航空の私は現状だと言っても過言ではないのじゃないかと、こう思うのです。なぜかならば、政府航空局の方針に従って、時の綾部運輸大臣のときに、再編成、基盤強化、こういう名のもとに、北日本航空、富士航空、日東航空、これら三社合併をして、路線のつまり再配分をやりつつ航空事業の地盤強化をやるのだ、こういうことで、それに従って、不満ながらもこの三社が合併した経緯がございます。私は、今日あることは当初から問題があった、こう思っている。しょせんは、借金しょった者ばっかり集まるわけですからね。言ってみれば、ぼくのような貧乏者が結婚したようなものだ。満足な家庭などというものは、これは築き上げることはできない。しょせんはわかっておった。ですから、当然運輸省の航空局としては、そうした方向を踏まえた限りにおいては、その借金整理としてはもとより、でき上がった航空会社が基盤強化になるような具体的な政策がなければならないはずなんだ。それが何にもなかった。ために、去る者も地獄残るも地獄という状態がいま露呈してきている。具体的には、現に、幹線運送をやるために要員配置をしたものが開業即ああした事態になりまして、日本航空に委託経営ということになりましたから、当然要員がそこで余ってくるという現象が起きてきている。このことについても、鋭意関係者はそれぞれいま努力をしている段階じゃないかと思うのだが、具体的にいま国内航空の中には人員整理という問題が出てきて、労使関係がきわめて険悪な状態になってきている、私の察知しているところではですよ。さて、こうした状況を、航空局は、国内航空の再建策というものとからめてどう見ているのか。少なくとも私は、今日的な段階では、労使双方を安定な方向にひとつ導いていきながら、幾つかの再建策を具体的に授けてやって、閣議了解事項というものの線を満たすようにしなければならぬのが、当面急務なやり方ではないかというふうに思うゆえに、こうした労使関係の安定をはかるようなことではない逆の方向に行きつつあることを私は憂えるあまり聞くわけでございますが、この関係について航空局長はどうお考えになっているかということなのであります。  それから次の第四番目の問題は、政府として航空政策基本を去年の末に、先ほども申し上げたように、審議会に諮問して答申案が出されて、国際線一社、国内線二社、こうした基本一つの案というものが出てまいりまして、その線に沿うて実は行政を私は進めているものだと考えているのであります。それが多少ゆがまってきたわけでございますけれども、閣議の了解事項、こういうことになったんだが、一体こうして一連のいままでの動向を私どもは見ておる場合に、この審議会の答申というものと閣議の了解事項というものの関連性はどうなっているのか、どう理解したらいいのか、どう解釈したらいいのか、この点われわれにはちっともわかっていませんから、この際航空局長から明らかにしてもらいたい。こう思うのです。とりあえずこの四点ですが、細分すると五点について質問いたします。
  186. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 第一には、国内再編成の進行状況はどうなっているかということでございますが、昨年の十二月に航空審議会の答申がございまして、大体今後の国内航空のあり方というものの方向が示されたわけであります。明けまして二月以降に大きな航空事故が三つ続きまして、早急に企業基盤の強化ということをはからなければならないということで、再編成を促進するため、石坂、植村両氏にその再編成の促進についての意見を求められたわけであります。この答申もこの五月に出ておりまして、その方向に従って閣議了解というものが五月の二十日に行なわれたわけであります。それが先ほど先生のおっしゃった閣議了解案なるものでございまして、その閣議了解は三点をうたっております。  一つは、非常に幹線におきましては需給のバランスがとれてないで過当競争のきらいがある、だから保有機数というものの増加を抑制して需給の調整を行なうということが一つと、それから日本航空と国内航空とは将来合併することを前提として運営を一体化するということが第二でございます。  それから第三は、日本航空と全日空とは営業、技術両面において協調せいということがうたってございます。さらにこれが幹線についての三つのまあ原則と申しますか、が示されておるわけでありまして、ローカル線につきましては、ローカル線運営企業の幹線企業への統合促進ということで、たとえば東亜航空、長崎航空を全日空に合併するようにそれを促進するということの意味でございます。こういうことが閣議決定をされたわけであります。これに従ってことしの七月一日に国内航空の幹線の運営が日航に委託されたわけでございます。したがって国内航空は現在ローカル線だけを運航しておるというかっこうでございます。そしてこの閣議了解の線に沿いまして、日航と国内航空がいろいろ協議いたしまして、昭和四十六年四月を目途にいたしまして、合併をするということをきめております。それでその第一段階として、この幹線運営の委託ということが七月一日に行なわれた。ですから、すでに閣議了解の線に沿って進んでおるわけでございまして、ローカル線の再建策につきましては、いま国内航空の新しいメンバーが九月に全員役員がかわりまして、これが再建方策、再建計画というものを具体的に作成をいたしておりまして、それを金融当局に示しましてその金融上の援助を仰ぐとか、着々具体的な方策を進めておるわけでございます。  進行状況がそのような状況になっておりますが、国内航空はローカル線だけでこれが再建できるのかという御心配、先ほどあったわけでございます。それで幹線の運営は日航に委託をいたしました。ですから日航の看板でもって客を集められるわけでございます。これはいま日航で立てております見通しによりますと、四十三年から黒字に転ずるという見通しを持っております。それからローカル線につきましても合理化、それからどうしても採算がとれない、将来ずっととれないというところは、それを一時休止するとかそういう合理化、それから先ほど先生のおっしゃいましたような人員の整理ということも、一つ合理化の一環となっておりますが、そういうようなことによりまして、合理化をしていけば、これも四十三年ごろから漸次黒字の方向に向かっていくだろうといういま再建計画を立てております。もちろん、この再建計画が甘いか、あるいはほんとうにきびしい考えでできておるか、いろいろ議論があるかと思います。われわれとしてもこれはイバラの道である、決してそう簡単にはなかなか再建もむずかしいだろうとは思いますけれども、しかし、いろいろな努力をいたしましていく間に——いまちょうど航空にとっては非常に一番つらい時期になっております。一つは不況、一つは事故、それから鉄道——新幹線の影響と、いろいろそういう条件が重なりまして非常に苦しい環境になっておりますが、将来必ずや般空事業というものはまだまだ伸びる、そういうことを考え合わせますと、必ずしも悲観ばかりする必要もなかろうということで、この再建計画というものを、これから着実に進めていくようにということをわれわれは願っておるわけでございます。ここで最近必ず再建できますということを確言することは、これも私自身としてもむずかしいと思いますけれども、何とかせにゃいかぬという気持ちを持っておることを、お答えをいたしたいと思います。  第二の御質問の、路線の再配分をする気持ちはないかということでございます。路線の再配分ということは、まことにこれはできれば、私はこれにこしたことはないと思います。しかし、これは実際問題として、一つの私企業が今日まで営々として路線の開発をしてきております。いろいろな施設もし、支店も設け、いろいろな販路を開拓しておるわけでございまして、そういうものを取り上げて他に渡すということは、非常に実際問題として非常にむずかしい問題が伴うと思うのです。したがいまして、後発会社であるところの国内航空にとってはいろいろハンデキャップはございますけれども、新たにこの後発会社に、新たな路線を開拓することによって、何とか再配分をすることと同じような効果をもたらしていくようにこれは努力をいたしたい、かように存じております。これは思い切って再配分ということも、なかなかここで明言するのはむずかしいかと思います。  三番目の、赤字会社ばかり集めて合併させて、再建が非常にむずかしいことは初めからわかっておる。それで、いまその人員整理ということをやっているがうまくやれるか、労使関係の安定は可能かという御質問でございますが、再編成合理化ということで、いま人員の合理化で考えておりますのは、現在九百三名という者が路線部門で人間がおります。これを四十一年度六百七十八名まで人員を整理をいたしたいと、こういうふうに会社では再建方策の一つとして考えておるようでございます。しかし、この差額の二百二十五名というものを一ぺんに整理をするということではなしに、できるだけこの中で日航への出向とか、その他いろいろ行き先を世話をしておるようでございます。どうしても世話し切れない者が百二十名だけ残ったわけでございます。したがって、この百二十名をどうするかということが、いま国内航空にとっての頭の痛い問題として残っておるわけでございます。これは希望退職ということでいま組合と話をしておるようでございますが、この百二十名についても、どうしてもこの希望者がない場合には、できるだけ会社の幹部が走り回って、就職のあっせんに努力をいたしたいということを言っております。これも、今後この国内航空の幹部の努力次第で何とか円滑にまとまるのではなかろうか、われわれもできるだけの努力をして、たとえば空港公団も来年度定員をふやすということを考えております。同じく航空関係に従事しておった方ですから、空港公団のいろんな職も当然その人たちの働く職場も見つけ得ると思います。そういう意味でわれわれも努力し、会社の幹部もできるだけの努力をしていただく、こういうことで進んでおるわけでございます。  第四番目の御質問の、審議会の答申と閣議了解との関係はどうなのかということでございますが、航空審議会の答申には、いろいろなことが書いてございます。将来の国内航空のあり方という諮問に対する答えでありますので、いろいろのことが書いてありまして、将来、国内航空としては二社が適当であろうということが言われておりまして、それから国際線については一社、そのおのおのについて、国際線、国内線における今後とり得る方策というものが書いてあるわけであります。ところが、閣議了解というものに盛り込みましたのは、そのうちの国内線の関係だけについて、先ほど申しました三項目、それからローカル線についての一項目、これだけを閣議了解として了解されておるわけでございまして、答申に書いてあることが、全部閣議了解されておるわけではございません。しかしながら、これは航空審議会の答申でございますので、当然政府としてはその全部を尊重しなければならぬということはもちろんでございます。その答申と閣議了解の関係は、そのような関係になっております。
  187. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 局長から、再建させなければならない、またどうしても実現をしたい決意が述べられましたがね。その限りでは私ば了としなければならぬと思います。思いますけれども、だんだんの、幾つかのこの点を聞いてみると、その決意がかなりどっかぼやけてしまうような私は印象を受けるのですよ。なぜかというと、たとえば今日的な事情から言えば、不況であるとか、例の事故の問題、新幹線のつまり影響を受けて、非常にいま航空事業が収支の面で経営状態が必ずしもよいことは言えない、こういう実情だと思う。しかし、将来はかなりこれは成長株として見ていいんじゃないか、だからと、こういう言い方をしましたね。不況の関係は、何か政府の宣伝では、これは上昇ムードで、景気がよくなってきたと言っていますな。なったかならぬか、ようわかりませんがね。それから事故の関係は、これは現実事故があったわけですから、その影響を私はないとは言えないと思う。これはいってみれば飛行機に対する国民の不信感がぬぐい去られない限りは、この問題の影響というのはそう簡単になくならぬと思うから、これは言いたくない。しかし、新幹線の影響を受けたと言っていますが、こんなものは前から言っているように、輸送分野というものを明確にしない今日の政府の運輸交通政策だから、本来、いわゆる航空輸送分野というものはどうあるべきか、それから海の関係輸送分野というものはどうあるべきか、それから陸においても、鉄道輸送分野はどうあるべきか、一面今度は路面交通、自動車の輸送分野はどうあるべきかということをきちんと整理をして踏まえて政策を施せば、こんな影響などというものはありっこない。もともとここに問題がある。大体、東京から大阪など、膨大もない、日本の外貨等々の関係から見たって、不経済きわまりないジェットを飛ばす必要がありますか、局長。空の分野としてそれをあえてあなた方認めたんだ——あなたの以前ですけれどもね。そういう無計画な、しかも無反省な中から航空局がそれを認めているところに、こういう問題が起きてきている。現にたとえば、これは直接の旅客航空事業じゃないけれども、前にもこの委員会で私が指摘をしてある。今後航空に関する限りは認可しない方針だという、当時の運輸大臣が答えていますよ。時の航空局長もそう答えている。どうですか、今日、確かに遊覧飛行であるとか、あるいはその事業の目的は航空観測、写真事業等々の事業内容になっているけれども、北海道航空というのは認めたじゃないですか。だれが関係しておると思いますか。代議士の壽原正一じゃないですか。しかも、僕はこんなものをあまりとりたくはないけれども、北海道に「財界さっぽろ」という月刊経済雑誌がございます。この中に自動車局長の原山君、それから鉄監局長の増川君にも僕は直接個人的に言ったんだが、例のこの間の衆議院運輸委員会の北海道の調査の問題にからめて、僕は注意をしておいたのですが、その雑誌を見ると、運輸省の役人は壽原正一の言うことは何でも聞く、そういう態勢になっておる、こう書かれています。うそかほんとうか、かりにうそだとしても、そういう目のうつり方をされているじゃないですか。これは現に認めているじゃないですか。現に北海道航空というものを認めている。片や、いま、去るも地獄だ、残るも地獄だといわれる現象が起きておる。その再建のために横浜航空と提携した。いまあなたが答えられた、どうしても飛べば赤字になるようなところはやはり切っていかなければならぬという、たいへんな問題があるわけです。一面、その事業を興こして、どこにやらすかということで、横浜航空と、私は直接は聞いておりませんが、何かいろいろと努力をされておるが、業務提携で、当然運輸省の皆さんも関係しておるはずだ。それがどうですか、一面北海道航空というのは壽原正一君のものだと認めておるじゃありませんか。こういうばかげた、片ちんばな、片や一面、行政をやりつつ、不況であるとか、事故であるとか、新幹線の影響を受けますといっても、他の委員会ではどうか知りませんが、この委員会では、堀局長、通りませんよ。多少北海道航空をめぐりまして論議が横道にそれましたけれども、私はやはりこの段階では、政務次官もおりますけれども輸送の分野をやはり政府として確立をしなければいかぬですよ。これが一つです。  それからもう一つは、航空審議会の関係で、幹線が日本航空に委託経営になっておる。これはこれなりの意義があります。具体的に内容は私知っていますが、意義はあります。ですからこれは申し上げませんけれども、さて残った部面で、あなたはここで言を濁しておりますけれども、このままで再建できるなどということは言い切れないのです、できないのです、だれがやっても。なぜかというと、関東以北と関西以北の、つまり経済性の問題とからめて考えてみたら、それはもう経営が成り立たない。全部赤字になるところより残らない。かてて加えて、ほんとうにあなた方がこの会社を再建して閣議了解事項の第二項の昭和四十六年四月一日、つまり向こう五年間にかなりの再建努力をされて、よちよちながらも一人前になって日本航空と合併するためにこの方向に近づけなければならぬし、あなたもそういう意欲を持っておるようだが、そういうことであるとするならば、せめて東京−札幌間のYS11のこの路線に対して、どうですか。いまあなたが答えられたのは、いわゆる民営として営々として開拓したものであるから、なかなかこの際この配分については、必ずしもそうはいかないと言っておる。それだったら、丘珠の札幌航空路をだれが一体開拓したか。これには全日空を認めたじゃないですか。どうなんだ、これは。その認めた時期はいつだと思いますか。認めたのは、ことしの七月一日から丘珠に全日空を認めたじゃないですか。全日空というのは、あれだけのでかい事故を起こしたけれども、どうやらこうやら日本の航空事業の発展期における二期的な施策をしてどうやら利益配当をしておる段階まで持ってきておるじゃありませんか。後発会社でいま申しておるように、よたよたして、あらゆる角度からてこ入れをして五年後に日本航空と合併しなければならぬ。しかもその間、再建せねばならぬという、いわゆる幹線を委託経営した中における唯一のたよりになる航空路に、七月一日に認めておるじゃないですか。これは一体どういうことなんですか。真剣に再建していくという気がまえがあるのか、これで。こういう事例がある。  それからもう一つは、今日の国内における幹線の再配分の問題は困難だ、一企業の、つまり民営であるがゆえに、ここで開拓することはかなり困難である、こう答えられた。しかるにそれは佐藤内閣みずから言っておる、歴代の運輸大臣もこの席上で言っておる。それはどういうことを言っておるかというと、認可の問題も含めて、残念ながらあなたの立場と違うが、いま日本の国の経済の形態は資本主義経済をたどっておる。だから資本主義の形態の中における経済行為というものは、明らかにその行為における競争が正しいのだということで競合させて幾つかの問題を許可してきている、そういう方針をとってきている。ほんとうにあなた方いま答えられたような内容では、そういう意欲があるというのであれば、当然片や七月一日から全日空——最も弱い後発会社の中心的な幹線と称される丘珠−東京間に乗り入れさした限りにおいては、全部とは言わぬでも、経済性の高まっている、つまりこの関東以南における路線の再配分というものは可能であるということを私は言いたいんだ。やる気があるかないかという問題ですよ、これは。これはどうなんですか。いままで一貫してこの委員会で答えられてきたことと、たいへん私は矛盾があるという気がする。
  188. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 東京−丘珠線という路線をこの七月一日に全日空に認めたというお話でございましたが、それは全日空は東京−千歳を前から飛んでおるので、東京−丘珠というものは七月一日に免許はいたしておりません。
  189. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これはあなた、七月一日ころは航空局長だったかどうかぼくはあまり承知していませんが、とぼけちゃいけませんよ。現に営業所を持って開通して飛んでいるじゃないか。それでぼくに指摘をされて——よく聞きなさい、ぼくに指摘をされて定期便じゃなくて季節的に最も客の多い七月、八月、九月、十月と、この間を認可したじゃないか。何言っているんだ。
  190. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 定期路線としてはそういうものはないはずでございます。不定期かどうかいま調べてみます。
  191. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ですからね、その間ぼくに、この委員会じゃないが、間接的にそういうことをやることはどうかという注意を受けて、いまあなたの言う、定期じゃない、不定期ですよ。その間の臨時便として不定期で飛んでおったんだから、つまり観光シーズンだ、この時期というのは、北海道は。そこに飛ばしておる。ために、片や国内の航空が大体九〇%から約七〇%、最低悪いときでも五〇%くらい乗っておった。それがやはり乗り入れてからがた落ちになっている。片やバイカウント、片やYS11で競争さした、こういう事実があるのですよ、これは。ほんとうにいまの国内航空を少しでも再建さして、五年後の閣議了解事項の線に到達させるということであったならば、あなたのお説のとおり、全日空があの事故を起こして、この路線についてのとやかくの問題をあなた方もしんしゃくされたわけじゃないんだから、千歳−東京間当然所定の便数の確保で幹線運行しておったわけですから、何でこの時期に、これは国内航空の根拠地である丘珠−東京間を、こういう形であろうと認めたかということなんだ。認めるなら認めてもいいんだ。しかし、いまあなたの答えられる経済効率の高い、いわゆる関東以遠においても多少そういう幹線再配分をして、すみやかに再建するような方向をとって、閣議了解事項に近ずけるようにあなた方がやるということであれば、それは佐藤内閣が言っているように、その内閣の政策を踏まえて、歴代大臣が言っているように、経済競争は自由である、その原則に立って再配分できないということがないじゃないかという理論が成り立つじゃないですか。どうなんですか、それは。
  192. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 東京−丘珠の路線が不定期か臨時便かちょっといま調べておりますのでお待ち願いたいと思いますが、路線の再配分ということをなぜやらないのかという御質問でございますが、非常に後発会社と先にやっておる会社と——端的に言えば全日空と国内航空、その路線につきましては、やはり先にやっておるもののほうが大体いい路線をやっておるということは事実でございます。国内航空もその前にやっておりました北日本とかあるいは日東とか富士とかいうのは後発会社といたしまして、あとから免許をもらった路線、若干はいいものがあるかもしれませんが、非常にいい路線は少ない、これは事実でございます。それでわれわれとしてもこの新しい国内航空を合併を認めるにあたって、何とかいい路線というものを与えたい、この合併に際して政府のなし得ることといえば、いい路線を与えること、それから融資ということをある程度めんどうを見るというこの二つのことしか、政府としてやるとすれば、そういう手段しかないわけでございまして、この点につきまして国内航空の発足にあたっていろいろ考えたわけでございます。できるだけ有利な線ということで考えたのでありますけれども、やはりいま全日空に与えておる線をとっぱずして、これを与えるというのは、まことにドラスティックに過ぎるということで、そのときもやはりこれはまだやるべきではない、こういうことであったのです。その後、国内航空のためにさらに何がしかやってやれないかということで、幹線に乗り入れを認めるということをやったのです。この幹線の乗り入れを認めるときは、全日空から非常な不満がありました、非常に反対もありました。しかしそれにもかかわらず、とにかくこの会社を生かすために幹線に乗り入れさせなければならないのだということで、これは思い切ってやったわけです。ところが、国内航空はその後の経営状況が先ほど私が申しましたように、ちょうど航空受難の時期と申しますか、航空にとっては非常に不幸な時期に当たっていたわけでございまして、幹線に乗り入れたその効果というものは、なかなか容易にあらわれなかった。そのためにだんだん経営が困難になって今日の状態にきたというわけで、それで、閣議了解にもありますように、やはり国内線会社が三つあるということに少し無理があるのじゃなかろうか、あるいは厳密に言えば東亜、長崎を入れますとさらに二つで五社ということで、やはりこれは多過ぎるのじゃないかということで、国内線二社ということに、そういう方針を打ち出したわけでございます。日航と国内航空、これが将来条件が整えば合併する、そういうことによってこの再建というものをはかっていくということでございます。それで先ほどの路線を、先発会社に新たに路線を与えないで——国内航空になぜ与えなかったかということでございますが、われわれは定期路線というものを主体にしてこの路線というものを考えておるし、季節的に客の動きというものに応じまして、若干の不定期路線とかあるいは臨時便とかを許可する場合がございますが、それはごく短期間でございますので、その後、その場合も、ほかの会社に対する影響というものを見ながらやるべきことは当然でございます。それで七月一日ということでございましたが、私、記憶がないものですから、これは、私、七月四日にたしか発令になりまして——いま調べております。もしそういうことが路線免許ということがあったとすれば、どういう事情であったかということを調べてから報告いたします。
  193. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あなたは七月四日で、一日に認可されておりますからね。前局長いま海上保安庁長官をされておりますから、前局長の時代ですよ。いまの日付で明らかになった。だから、ぼくは、だれが認可したとかなんとかいうことであなた方にその責任を追及するということではないですよ。それは、ただしかし、現局長考えてもらいたいのは、季節的にそれは認めた、こういうことになったとしても、一面きびしい再建計画、あなたそこで読み上げたものは、そういう再建計画を持たなきゃならない状態に来ておる国内航空、しかも、閣議了解事項を、できるだけすみやかに達成できるような方向でやらねばならぬということが、あなた方の使命、任務じゃないですか。しかも、丘珠と東京、YS11を利用する客層というのは、国鉄でたとえていえば二等客ですよ。それから千歳と東京は、料金はたしかジエットを含めて三千円ぐらい高くなるでしょう。これを利用する層というのは、いま言ったように、国鉄でいえば一等客なんだ。客層が違いますよ。一等客を運んでいるのです。すでに全日空というものは、いいですか、千歳−東京と、そうして二等客を運んで、しかも、千歳−東京間の幹線を再建のために日航に委託経営さした現状の中では、企業努力といっても、なかなかそうはいきませんね。全生命を丘珠、札幌にかけ、YS11に託して輸送をやっていたことは事実ですよ。その中に全日空、いまあなた観光シーズンの特定な季節だけに限定して認めたなどということを言っても詭弁ですよ、これは。だから、そういう点での意欲は確かにぼくは欠けているのじゃないかという気がするのですよ。  それから、ローカル線の再配分については、かりにその既存の線を削減するということは不可能だとするならば、季節的に、つまり、需給のバランスをとるという理屈をつけて、ということが認められて、可能であれば、コンスタントに東京から以遠のローカルに飛ばしているものと、東京から南、大阪を含めて福岡、あらゆる観光地に飛ばしていますけれども、これは時期的な問題も含めて、経済のバックグラウンド等々を考えて、また、立地該件が一体同じに考えられますか。考えられないでしょう。だから、七月一日からこういうことが可能であるというのならば、早く再建しなければならぬというものがあるとすれば、そのものに対しても、そういう処置をとるべきじゃないですか。そういうことをとらないで、危篤状態にあるものに対して、もうおまえ早くあの世にいっちゃえというようなやり方をやっているのですね。ために、今日二百二十五名のうち百二十人ぐらいがどうしても余るというところまでしわ寄せいっているのですよ。私は、そういう合理化も必要だし、それから企業の、人だけじゃなくて、あらゆる面の合理化も確かに必要だと思うのですよ。そういうことを前提にして、なお、こうした事柄の起きないようにするためにはどうするかということを航空局はやはり考えるべきだ。日本航空は、たとえば、これは国際線がどんどん伸びておりますね。もう明後日にはニューヨーク乗り入れができまして、国際線さらに拡充するわけでしょう。さらにまた、日ソ航空協定ができて、ソビエトのほうにも飛ぶ、どんどんどんどん、やっぱり政府の国策会社ですから、基盤強化をさして、国際競争力をつけるというのが政府の方針ですから、私のほう、そりゃ賛成していますよ、そういう方向については。目先どんどん拡大されていくのだ。五年後に合併するということであるならば、これは企業が拡大して、伸びていったら、これは当然人という問題が付随してきますよ。飛行機という機材だけで飛べるものじゃないですからね。そうでしょう。それであったら、目先、そういう方向のものがついているとすれば、こういうものについてだって、ある程度営業マンを含めて、かなりのものはぼくは吸収できるだろうし、いま百五名吸収することになっているようだが、そういうつまり先行的なものを考えて、人というものを吸収する策だってあるし、一面においては、いま言ったように、箱根の山から南に対して、つまり、路線というものがどうしても再配分できないというならば、とにかく、この自由主義経済競争の原則に立って、七月一日以降に丘珠、札幌でやったような措置はとれないということはない。そのことによって、とることによって、こうした一人の人間も、いやな首切りをされていって、それが問題になって、いまよたよたしているものが、たいへんな状態まで来ている、こういうことが防げるのじゃないですか。  私の言いたいことは、できるだけこういう人の問題などというものは、いま言ったようなこととあわせて、どうしても今度それ以上余剰が出る。そういうものを、国内航空株式会社といえども、確かに北海道庁並びに地方自治団体の出資もありますよ。ですけど、あくまでも株式会社ですから、天下の私鉄王の東急がその最大なる株主でしょう。近鉄がそうでしょう。私の調査では、阪急そうじゃないですか、日通もそうでしょう、日通も。だとすれば、これらの関連企業に対して、あなた方もそういうふうに最初から、あなた方の方針で、これ、できたのですから、合併したのだから——かってに合併したのじゃない、運輸省の方策によって合併したのですから、さて、こういう状態になったから、あとはわれ関せずだというようなことではいけないですよ。だから、いま言ったように、路線の配分にしても、あるいは、どうしても百二十人余るというならば、関連事業にできるだけ吸収するような方策というものを、側面的に運輸省航空局は積極的に取り組んで、一人の首切りも出すことのないように、首切りということは即、失業に値するわけですから、一人の失業者も出さないようにやるということが、いまの航空局の姿勢であらねばならぬと思うのですが、航空局長
  194. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) ただいま先生のおっしゃったような、そういう考えでもって日航自身も自分の関連会社——この幹線を引き受けることによって必要な人間、これは当然出てきます。その他関連会社にもできるだけあっせんをするようにやっておるというふうに聞いております。それで、国内航空の現在の幹部も日航から来ております。その人たちも、そういういま先生のおっしゃったことと同じ考え方で一生懸命努力しておるというふうに私は報告を聞いております。われわれとしても、先ほどちょっと申しましたように、空港公団も将来これから定員もふえていく場合に、そういうことも当然考えなければならぬ。そういうことで、先生のお考えと全く同じ考えで努力をしておるわけでございます。
  195. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 全くぼくと同じ考えで努力しているということですが、しかし、現実の問題として、いまあなた答えられた百二十名はどうしても行き場がない、こういうことになるわけですから、非常に企業内には不安動揺があるし、それに該当しそうな人々はたいへんな問題になるわけでしょう。だから、いま労使双方が険悪な状態になって、この上、これがかりに団体交渉ででも話がまとまったというならいいとしても、まとまらなかったらどういうことになるか。ストライキということになるのでしょう、民営企業ですからな。どういうことになりますかな。非常に私はこのことが心配なんです。ですから、ぼくのような心配事を、あなた同じように考えているということであれば——われわれとあなた方は違うわけですからね、立場が。いま積極的に、たとえば国際空港公団のほうにどの程度のものが吸収できるとか、あるいは、いまぼくが申し上げた関連の、株主の関連企業にどの程度のものが吸収できるのか。日航に対して、いまとりあえずパイロット、航空機関士、あるいは整備士、スチュアーデス、直接必要なものは持っていくのですよ。そうして沖縄の何とかというのもやるのだから、その分の何名かということで、合計百五名です、ぼくの知っておる限りでは。しかし、いま言ったように、それだけではなくて、営業マンだって必要でしょう。残るのはほとんど営業マンなんですよ。ところが、この営業マンといえども、確かに日本航空と国内航空ではやり方も違うのかもしれぬけれども、ぼくらが言っている営業するところとはおよそ違うのです。同じ航空営業ですから、かなり訓練もされているし、熟達もされている。だから、国際線はどんどん伸ばしておるし、伸ばさなければならぬし、伸ばすような政策になるわけですからね。そこのところを先行的に見れば、これはこんなに人間が余るわけはない。余るわけはないでしょう。それに加えて、政策的に、つまり、閣議了解事項を踏まえてあなた方はそれを進めるとするならば、先ほど言ったように、路線の配分ということは原則としてできないとしても、できなければできないように、残された幹線である、つまり、丘珠−東京間に全日空をして七月一日に入れたわけですから、その程度のことは、箱根の山から南に下がった経済性の高いこの地方に、そういうものを若干認めたっていいじゃないか。そういう努力をしたっていいじゃないか。そのことによってまた人間が必要になってくるわけだから、こんなに痛ましい犠牲を出すことはないのじゃないか。この問題は今日的な段階で、やがて五年後には、そうしたお互いのみんなの努力で日本航空に合併するということになりますね。そういう日本航空に合併するということは、いますぐでもやったらいいと思うのですよ、極端な意見を言えば。しかし、日本航空としても、五十数億の赤字をしょっておるものを持ってくることについてはたいへんだといういろいろな事情があると思う。だから、この閣議了解事項の第二項の、昭和四十六年の四月一日を目途として、それぞれの関係の協力し合う中から、赤字をできるだけ解消して、堂々と、つまり、この対等合併をするような再建の方策というものを考えるべきだということで閣議が了解しているのじゃないかと思う。そうして、その中で日本航空は、積極的に再建の方策に力をかしてやりなさいということもつけ加えられているんでしょう、航空局長。しかし、そういっても、日本航空というのは国策会社ですから、会計監査の制約事項があります。限度はあるでしょう。ですから、その限度を越えてやるとすればあとは今度は航空行政の中であなた方の持てる力を広範にやはり施策としてやる以外にないんじゃないか。これはぼくはそういう意味で言っているのです。
  196. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 先ほどの丘珠線の件ですが、七月一日に仙台——丘珠線を免許したそうです。これは定期路線だそうです。そうして、ただし観光シーズンだけということでございます。それで、これは東京——仙台という線は従来からあったわけですが、それをその先を延ばしたということでございます。それで、これはシーズンだけでございますから、こういうあるシーズンだけ動かすのには、相当ある程度の機材を持っておりまして、余裕がないとできないわけでございます。それで、少ない機材でやっておりますと——大体夏場がシーズンでございまして、夏場がピークになるけれども、冬場はまるきりあいてしまうということになりますと、何といいますか、少ない機材でもってやっている会社では、シーズンだけやるという、そういう季節的な路線をやる力がないということになる。そういう点から国内航空自身にこれをやらせようと思っても、これは国内航空自身に無理があったんじゃなかろうか、こういうふうに私はいまこれを、これだけの報告を聞いて考えているわけでございます。
  197. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これはあなたは認可したときにいないから、その間の事情は知らないのです。それは下の役人の言うことを聞いてぼくの言っていることに対して詭弁を弄しようという役人根性から来ている。書きものだよ、それは、そんなものは。いまあなたはぼくにどういう答え方をしたかというと、これからの再建については、つまり、国内航空が今日持っている不採算路線についてはやめていく中から再建の方途の一つにしたい、こういう答え方をしている、あなたは。国内航空といえども赤字になるものを持っております。そういうものはやめていく。しかも、観光シーズンのときには全部そこに機材を集中したっていいと思う。そうでしょう。札幌、稚内とか、あるいは中標津とか、紋別とか、あなたは地域開発とかなんとか言っているが、これは名前はあえて言いませんけれども、つまり、政治家に圧力をかけられて飛行場をつくっているじゃないか。地域開発という美名のもとに飛行場ができたり、三宅島、佐渡ケ島、松本空港もそうだ。住民は飛行機が飛んでもらいたい。で、経済のバックグラウンドのない、客のない、なくても飛ばなければならない。しかし、赤字になるそういうところはやめたい。そうして今日幹線がなくなった段階では、丘珠——仙台あるいは東京、こういったところに集中的に力点を置いて努力して閣議了解事項を達成したい、こういうものを持っていると思う。機材の余裕かないから、機材の余裕のある全日空にやったということは、それはここで答弁する資格がないから、そんなものは当然再建方策というものを立てられて、あなた方もそれに参画しているのだから、航空局は。それであったならば、そういう余力があるならば、稚内線とか、あるいは、その他の段階で、函館——秋田間などやめて、その余剰機材を全日空にやった路線にやらせればいいじゃないですか。やらしてできるだけ赤字を解消して閣議了解事項を達成するようにやればいいじゃないですか、どうなんですか、そういうことは。しかも、ふかしぎでならないのは、これはあなたがそういうものの言い方で言ったから、理屈を私は言うのじゃない。いまあなたのほうが不採算路線を整理して、できるだけ既存の機材をフル活用させて、再建策に沿うようなことをしたいという中には、この函館——秋田間をやめるという話もある、釧路線も二便だけ減らす、札幌——函館も一便か何か減らすというようなことが含まれているようでありますよ。さてどうか。不採算路線だというそのものを、別な航空会社が今度は逆に函館——秋田間をやりたいなんて言ってきたのはどういうわけなんだ、まことに私はふかしぎでならない。一体航空局というのは、これは何をやっているのだ、こういう関係では。だから、あなた方のやっていることは——局長、いいですか、仮死状態になった人間をさかさまにしてバットでなぐっているようなものですよ、これは。
  198. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 秋田——函館を国内航空がやめる、そのあとはどうする、全日空か——全日空かどっか、ほかの会社がやりたいというのがあるというがおかしいじゃないかという話だったのですが、東京——函館というのを全日空がいまやっております。それを途中秋田に寄せるという話が全日空からちょっとあったそうですけれども、いまはもうそういう話は消えております。
  199. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 時間が経過していますから、あまり議論しておってもあれですが、大体航空局長の決意は冒頭に言われたからわかっています。したがって、その線に沿うてこういうもろもろの問題については十分精査をして、部下の諸君がやっていることをチェックして、せめて閣議了解事項を踏みはずさないように私はやってもらいたいということが一つですよ。  それから、路線再配分ができないとすれば、これは飛べば赤字になる線が全部です、国内航空の受け持っている線は。ですから、これはあなたも言っておりましたけれども、再建なんていうのは名前だけの話で、五十数億の赤字を埋めるとすれば、幹線委託をした日本航空に対するチャーター料、日本航空の看板による営業収入の利益配分くらいよりないです。ぼくは断言しておきますよ。これでは五年後になって閣議了解事項の方針に従った合併——むしろ吸収だと思いますが、そういうことにはならないと私は確信していますので、地域開発という名においてあなた方は飛行場をつくったわけですから、そのこととかねあわせて、飛んだら赤字になるというところについては、前々から言っていますけれども、助成の措置をやらなければ、この問題のスムースな解決にならない、私はこう思うのです。その上で、たとえば中標津の飛行場——これは飛行機飛んでいませんな。紋別の飛行場、これも飛行機飛んでいないでしょう、いませんね。旭川の飛行場においては——今度は稚内線もそういうことになります。そういうもの、それから稚内から礼文島に行っているものもそうだ。そういうもの等についても、横浜航空何とかいう会社と業務提携をして、漸次路線の整理と合理化をやっていくということにして、いま着々再建に燃えてやっていますね。承知でしょう。そのときにそれをねらうがごとく北海道航空を認可しているのはどういうことですか。ぼくはこのことだけはっきりしてもらいたい。私は決して横浜航空の肩を持って言うわけではない。
  200. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 北海道航空という会社に定期路線を認可したことはございません。
  201. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 定期路線ではないということを冒頭に言っている。遊覧飛行と冒頭に言ってあるのだからね。事業目的は遊覧飛行と航空写真です。これは横浜航空だってそういうことですよ、認可した事業内容は。
  202. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 使用事業とか遊覧事業とかというものをやっている会社はまだこのほかに幾つかあるわけでございますが、そういうものについては、そういう特定のところでそういう需要があれば、これは許していいのではないかというふうに考えておるのでございまして、定期路線というようなものはこの再編成の方針から今後絶対に免許しない、こういう考え方を持っております。
  203. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まあそれならそれでいいわ。だけれども堀さん、いまの定期路線は別として、たとえば航空写真をとることの事業内容にしても、あるいは遊覧飛行の事業内容にしても、北海道で一体あなたの言うような、つまり、それだけの需要があると運輸省は見たのですか、どうですか。横浜航空があの事故を起こした、弟子屈に来てやっておりますね。それから、どうしてもあなた方は地域開発の名においてつくった、たとえば中標津の飛行場、紋別飛行場など等においても、その事業を営んでおる。とてもじゃないけれども需要がないわけでしょう。一体北海道で航空写真をとることが何か必要だというような事業体というものは幾つあると思うのですか。札幌市役所と北海道庁がせいぜい使うくらいじゃないですか。たとえば林野庁が山林の調査をするくらいじゃありませんか。商売になんてなりませんよ。そこで、再編成の問題をめぐって——あなた方これは認可しているわけでございますけれども、その認可はぼくはたいへんけっこうだと思う、地域開発のために。つまり、紋別から旭川間、紋別——札幌、丘珠から東京につなぐわずかの客をセスナ機で横浜航空輸送しているのじゃないですか。稚内−礼文島、利尻島もそうじゃないですか。それで一体企業の内容はどうかというと、赤字赤字でどうにもならない。それを補助しているのは紋別市ですよ。わずか認可してから二カ月で百六十万の補助金を出したと言っている、紋別市では。一市町村自治体が百六十万の補助金を出すということはたいへんなことです、財政的に見て。先般私は災害調査に行ったときに、道庁でとっつかまって紋別市から陳情を受けましたよ。年間三百万の予算を組んだけれども、とても年間三百万ではあがらないのじゃないか、何か国で補助金制度というものをつくってやってもらわなければならぬというのが、紋別市の自治体の理事者のせつない陳情なんですよ。そういう状態のときに、丘珠の飛行場を基地として——ぼくは壽原君がやっているからどうこう言うわけではないけれども、どう需要と供給のバランスを見たかということが一番問題だと思うんだがね。北海道航空というのを認可したのじゃないですか。何かどうもちぐはぐなんだね。せっかくの国内航空を再建するために、かなり横浜航空も犠牲になって、そのあとの残滓を、業務提携、そして地方自治体の名において、ささやかな補助金を当てにして、閣議了解事項を何とかしていきたいという各般の関係者努力中であって、なおかつ、なかなかたいへんだというときに、いま言ったようなことで、定期航空路でないから認めたなどという、そんなことで、はいそうですかと言うわけにまいらぬ、これは局長
  204. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 北海道航空に使用事業、遊覧事業を認めたわけですが、これを認めることが国内航空に打撃を与えることはあまりないのじゃないか、それで、そういう使用事業、遊覧事業というものにどれぐらいの需要があるかという、これは非常にむずかしい問題ですが、北海道は夏場は非常に観光客が多い、少なくとも、こういう事業を始めるにあたっては、事業者もみすみす損をしてもつまらぬから、自分でそういうマーケットリサーチというものは本気になっておそらくやって、その上で、採算がとれるということで商売を始めるのだろうと思うわけです。そういう意味から、ほんの最盛期だけのことじゃないかと思います。それで、やはりそろばんが合うといって申請書を出されれば、それはそろばんが合わぬからやめろということもできないわけでございまして、これを認めることによって国内航空に打撃を与えるということはまずないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  205. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこのところは、ここであなたまだ十分内容を熟知していませんから、この次、そこのところは保留しても、もっと具体的にやりますが、認可されてから、何カ月もたっていない、内容は空中分解寸前になっているんですよ。この会社は、北海道航空というのは、あなたの言っているような、そんな安易な状態じゃないですよ。国内航空に確かに影響はありませんよ。だけど間接的には北海道開発、地域開発という名のもとに、あなた方が航空政策の一環として飛行場をつくったわけでしょう、方々に。それを何とかやはり地域住民、地域開発と結びつけてやらなければならぬというので、これも決してもうかってもうかってしようがなということを横浜航空が言ったわけではないので、かなり出血はするけれども、つまり、国内航空の将来、日本の航空事業の再編成という大方針に、ある意味においては協力して、飛べない飛行場がないように、小さなおもちゃのようなセスナ機を飛ばして、業務提携をしてやるということなんですから、それにいま言ったようなものができてくれば、当然需要がないですから、一つの過当競争が出るんですよ。多くを言いたくないけれども、運輸省の役人は何でもおれの言うことを聞くと書いてあるから、こういう人ですから、道庁もおれの言うことを聞くだろう、市役所も言うことを聞くだろう、横浜航空がいまやっておられるそういう仕事が、完全に過当競争のかっこうになっていかないという保証ができますか。しかも、経営内容というものは、ぼくの知っている範囲では、おたおたしておる、空中分解一歩寸前に来ているように、私は私なりに側面からいろいろ調査もしているし、聞いてもいるし、ながめてもいるのですがね。そういうきわめて不安定な状態のものに、ぼくは認可するといったって、運輸省の、何といいますか、根性の問題だな、気が知れないです。これはあとで納得の——保留しておいて次の委員会にやります。  それから最後に、これは政務次官に、私は政治の姿勢を正すという立場で一言申し上げておきますから、大臣を通して閣議等々で十分こういう問題を検討してもらいたいという問題が一つあります。それは、先般私この委員会で、丘珠飛行場に関連をいたして、民有地が八年間もほったらかしにされておったという問題を取り上げました。この問題は、堀局長と、それから所管防衛庁の関係では寄り寄り話が進められて、大体四十二年度中に、つまり、用地の買収をするようにというようなことが相談されているということを聞きました。これはたいへんけっこなことだと、こう実は思っている一人です。そのことは何かというと、昭和四十二年度の計画で、防衛庁はGCAをあそこに設備することになっております。それから航空局のほうでは、北海道のローカル航空のセンター的な役割りを果たしている丘珠空港ですから、滑走路を延長して、かなり大型の飛行機が発着できるような体制になり、夜間飛行のできるような設備も着々、まだおそまきながらでありますけれどもやっておりますという、非常に整備拡充については力を入れている模様です。かてて加えて、冬季オリンピックが札幌で行なわれますから、当然千歳の国際空港の昇格の問題もさることながら、丘珠空港はかなり整備拡充されていかなければならぬという、私は国の政策、あるいは施策の立場でもそうあるのではないか、また、地域住民も望んでいる、私どももそう積極的にやらなければならぬ、微力でありますけれども協力したい、こういう気持ちがあるのです。そこの代表的な仕事をやっている宮口義博という人がおりますけれども、私も取り上げた関係上、いろいろやはり具体的な内容、住民の感情というものを把握しなければならぬということで、いろいろ調査をしてみました。してみたところが、驚いたわけでありますけれども、あの飛行場はどっか、なくしちゃって、民有地にみんな返した、こういう話を聞かされてがく然としたんです。そうして飛行場拡張反対期成同盟なるものをつくって、この宮口という人は会長をやっておりましたが、署名運動を全部やっておりまして、その署名運動の指導をしているのは壽原正一君です。これはまぎれもない与党の代議士で、まぎれもない衆議院の運輸委員会の理事をつとめている代議士であります。何を意図してこういうことをやっているか、私には理解できません。一体政府の方針は、そうした反対同盟をつくって土地の値上がりを一面においてはあおるようなことを指導しているのかどうか、たいへんな問題だと私は思うのですが、これは現地に出先機関が皆さんありますから、飛行場の南側に、そう遠くありません、宮口という方は。十分聞いて調査してもらいたい。  それから政治の姿勢のあり方として、いやしくも与党の議員が、こうした問題に積極的に政府施策を推し進めるという方向に私は指導協力するということであれば大賛成しますけれども、それが逆行するような、しかも、私の考えでは、あの場合、あの丘珠飛行場をつぶして民有地に払い下げて、どこか代がえの飛行場をつくるということは、いまの国の財政事情あるいは北海道内における飛行場の実態からいって、絶対あり得ないという確信をぼくは持っているのですが、そうすると、この種行動というのは大衆を欺瞞する、国民を欺瞞する誤った方向に引きずっていく、こういうことになりかねないので、この実態というものを十分調査をして、そのようなことのないように、私は閣議で運輸大臣を通して取りきめてほしい、こうい気持ちを実はいまこの問題取り扱って持っているわけです。政務次官としてどうお考えになっておるか、所信を承っておきたいと思います。
  206. 金丸信

    説明員金丸信君) 丘珠飛行場が、民有地の問題等もあるまして、いろいろ御迷惑をかけた点もあったわけでありますが、局長からもいろいろお話があったことと思いますが、これを前向きでひとつ推進していきたい、こういうさなかに、ただいま名前をあげて与党代議士というお話が出たわけでありますが、私はそういう話はまだ聞いておりません。初めてでありますが、北海道あるいは札幌の住民のすべての人がこの飛行場に全部反対だということであれば別であります。これは絶対に必要なものであるという大衆の考えがあるとすれば、現在の政府の考えを推進することは当然だと、こう私も思うわけでありまして、この問題につきましては、なお大臣にも話しますし、また、閣議というようなものを通していくことが適当であるか、どういう方法が適当であるかということにつきましても、大臣ともよく相談いたしまして、前向きでただいまのお話大臣に伝えて検討いたしたいと思います。
  207. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これで終わります。誤解されちゃ困りますから、明確に言っておきますけれども、私も書類全部これ調査をしました。で、いま申し上げた反対同盟の会長さん、現在あそこの地主で、先般来新聞に出た方でありますけれども、この方の言質も私、文書でとっているのですが、そのときに、壽原代議士は力がある代議士だから一切まかしてあるから、ひとつこれは民有地に取り戻すのだ、こういうようなお話を聞いて実は私はがく然としているわけですね。これは札幌市民全体のそうした気持ちでもなかろうし、北海道住民としてもまたそういう気持ちでもないし、国としても国策上考えてみた場合、そういうことは絶対にあり得ない、こういうことを確信しているがゆえに心配なものでありますから、政務次官に申し上げたわけでありますから、誤解のないようにひとつしていただきたい。
  208. 金丸信

    説明員金丸信君) わかりました。
  209. 木村美智男

    木村美智男君 先ほどの答弁保留になっていたのはどうなっていますか。
  210. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) たいへんお返事がおそくなりまして申しわけありません。平和のための防衛博は、八月二十二日付で運輸省の後援名義の使用許可をいたしております。
  211. 木村美智男

    木村美智男君 そんなの、答弁にならぬよ、そんなことじゃ。平和のための防衛博覧会ということについて、運輸省が少なくとも協賛団体になっておるから、協賛団体というのは、一体どういう仕事をやるのが協賛団体なのか。仕事の内容、それから、そのいきさつ、そういうことについて、少なくとも報告を見れば、運輸省という一つの看板がぴしゃっと押されておる、判こを押しておるのと同じですよ。多分に権威を持って政府がやっているみたいにとれるものですから、どの程度そういう中身というものをわかって、こういう趣旨だから、たとえば賛成だから協賛団体になった、あるいは、多少問題があると思ったけれどもこういうことでやったという、そういういきさつを言ってもらわなければ、それは許可した許可しねえということはあとの話です。
  212. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) これは産経新聞社が主催いたしまして、防衛庁が協力して、それから通商産業省、運輸省、フジテレビ等の後援名義を求めてまいったわけでございます。その趣旨は、これは前に、昭和三十七年に同様のものを神奈川県で実施いたしまして、そのときにも同じ関係各省が後援いたしまして、防衛庁が協力したわけでございますが、これは防衛庁の仕事が運輸省に対しましては、いわゆる運輸と非常に関係があるから、これを後援してくれということでございますので、後援をいたしたわけでございます。
  213. 木村美智男

    木村美智男君 全く答弁になっておらぬと言うのだ。運輸省が判こを押して協賛団体になったのだから、運輸省の立場からどういう必要性があってこれをよろしいということにしたのか、その点が一つも明らかにされていない。従来の関係から、前にもやったことがあるから今度もやったと、そんな子供みたいなことを言っていたんでは——たとえば、これによって運輸省はプラスがあるとかマイナス——マイナスはないだろうけれども、プラスになるとか、防衛思想を普及するためにたいへんいいことだから許可したとか、ちゃんと理由があるはずだよ。ただ、前にあったから今度も慣例によってやったのだと、そんな答弁じゃだめだ、なっておらぬ。
  214. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) これは主催の新聞社が一流の新聞社でございますし、従来から新聞社等から博覧会、展示会等の開催につきまして後援の要請がありましたとき、運輸省としては、内容を審査いたしまして後援いたしているのでございまして、この場合は、防衛庁の平和のための防衛施設を一般国民に見せる、それで船とか飛行機とか、運輸関係で防衛庁の施設は非常に運輸省に関係があるしということで後援名義を求められたことでございまして、特に運輸省にこれでプラスになるかと言われますと、特にプラスになるとも思いませんが、マイナスにもなりませんし、その主催新聞が一流新聞でございますので、後援名義の使用を許可したわけでございます。
  215. 江藤智

    委員長江藤智君) 本日はこの辺で散会いたします。    午後五時三十八分散会