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説明員(堀武夫君) 第一には、国内再編成の進行
状況はどうなっているかということでございますが、昨年の十二月に
航空審議会の答申がございまして、大体今後の国内
航空のあり方というものの
方向が示されたわけであります。明けまして二月以降に大きな
航空事故が三つ続きまして、早急に企業基盤の強化ということをはからなければならないということで、再編成を促進するため、石坂、植村両氏にその再編成の促進についての意見を求められたわけであります。この答申もこの五月に出ておりまして、その
方向に従って閣議了解というものが五月の二十日に行なわれたわけであります。それが先ほど
先生のおっしゃった閣議了解案なるものでございまして、その閣議了解は三点をうたっております。
一つは、非常に幹線におきましては需給のバランスがとれてないで過当競争のきらいがある、だから保有機数というものの
増加を抑制して需給の調整を行なうということが
一つと、それから日本
航空と国内
航空とは将来合併することを前提として
運営を一体化するということが第二でございます。
それから第三は、日本
航空と全日空とは営業、技術両面において協調せいということがうたってございます。さらにこれが幹線についての三つのまあ原則と申しますか、が示されておるわけでありまして、ローカル線につきましては、ローカル線
運営企業の幹線企業への統合促進ということで、たとえば東亜
航空、長崎
航空を全日空に合併するようにそれを促進するということの意味でございます。こういうことが閣議決定をされたわけであります。これに従ってことしの七月一日に国内
航空の幹線の
運営が日航に委託されたわけでございます。したがって国内
航空は現在ローカル線だけを運航しておるというかっこうでございます。そしてこの閣議了解の線に沿いまして、日航と国内
航空がいろいろ協議いたしまして、
昭和四十六年四月を目途にいたしまして、合併をするということをきめております。それでその第一
段階として、この幹線
運営の委託ということが七月一日に行なわれた。ですから、すでに閣議了解の線に沿って進んでおるわけでございまして、ローカル線の再建策につきましては、いま国内
航空の新しいメンバーが九月に全員役員がかわりまして、これが再建方策、再建
計画というものを具体的に作成をいたしておりまして、それを金融当局に示しましてその金融上の
援助を仰ぐとか、着々具体的な方策を進めておるわけでございます。
進行
状況がそのような
状況になっておりますが、国内
航空はローカル線だけでこれが再建できるのかという御心配、先ほどあったわけでございます。それで幹線の
運営は日航に委託をいたしました。ですから日航の看板でもって客を集められるわけでございます。これはいま日航で立てております
見通しによりますと、四十三年から黒字に転ずるという
見通しを持っております。それからローカル線につきましても
合理化、それからどうしても採算がとれない、将来ずっととれないというところは、それを一時休止するとかそういう
合理化、それから先ほど
先生のおっしゃいましたような人員の整理ということも、
一つの
合理化の一環となっておりますが、そういうようなことによりまして、
合理化をしていけば、これも四十三年ごろから漸次黒字の
方向に向かっていくだろうといういま再建
計画を立てております。もちろん、この再建
計画が甘いか、あるいはほんとうにきびしい考えでできておるか、いろいろ議論があるかと思います。われわれとしてもこれはイバラの道である、決してそう簡単にはなかなか再建もむずかしいだろうとは思いますけれ
ども、しかし、いろいろな
努力をいたしましていく間に
——いまちょうど
航空にとっては非常に一番つらい時期になっております。
一つは不況、
一つは事故、それから
鉄道——新幹線の影響と、いろいろそういう条件が重なりまして非常に苦しい環境になっておりますが、将来必ずや般空事業というものはまだまだ伸びる、そういうことを考え合わせますと、必ずしも悲観ばかりする必要もなかろうということで、この再建
計画というものを、これから着実に進めていくようにということをわれわれは願っておるわけでございます。ここで最近必ず再建できますということを確言することは、これも私自身としてもむずかしいと思いますけれ
ども、何とかせにゃいかぬという気持ちを持っておることを、お答えをいたしたいと思います。
第二の御
質問の、路線の再配分をする気持ちはないかということでございます。路線の再配分ということは、まことにこれはできれば、私はこれにこしたことはないと思います。しかし、これは実際問題として、
一つの私企業が今日まで営々として路線の
開発をしてきております。いろいろな施設もし、支店も設け、いろいろな販路を開拓しておるわけでございまして、そういうものを取り上げて他に渡すということは、非常に実際問題として非常にむずかしい問題が伴うと思うのです。したがいまして、後発会社であるところの国内
航空にとってはいろいろハンデキャップはございますけれ
ども、新たにこの後発会社に、新たな路線を開拓することによって、何とか再配分をすることと同じような効果をもたらしていくようにこれは
努力をいたしたい、かように存じております。これは思い切って再配分ということも、なかなかここで明言するのはむずかしいかと思います。
三番目の、
赤字会社ばかり集めて合併させて、再建が非常にむずかしいことは初めからわかっておる。それで、いまその人員整理ということをやっているがうまくやれるか、労使
関係の安定は可能かという御
質問でございますが、再編成
合理化ということで、いま人員の
合理化で考えておりますのは、現在九百三名という者が路線部門で人間がおります。これを四十一年度六百七十八名まで人員を整理をいたしたいと、こういうふうに会社では再建方策の
一つとして考えておるようでございます。しかし、この差額の二百二十五名というものを一ぺんに整理をするということではなしに、できるだけこの中で日航への出向とか、その他いろいろ行き先を世話をしておるようでございます。どうしても世話し切れない者が百二十名だけ残ったわけでございます。したがって、この百二十名をどうするかということが、いま国内
航空にとっての頭の痛い問題として残っておるわけでございます。これは希望退職ということでいま組合と話をしておるようでございますが、この百二十名についても、どうしてもこの希望者がない場合には、できるだけ会社の幹部が走り回って、就職のあっせんに
努力をいたしたいということを言っております。これも、今後この国内
航空の幹部の
努力次第で何とか円滑にまとまるのではなかろうか、われわれもできるだけの
努力をして、たとえば
空港公団も来年度定員をふやすということを考えております。同じく
航空関係に従事しておった方ですから、
空港公団のいろんな職も当然その人たちの働く職場も見つけ得ると思います。そういう意味でわれわれも
努力し、会社の幹部もできるだけの
努力をしていただく、こういうことで進んでおるわけでございます。
第四番目の御
質問の、審議会の答申と閣議了解との
関係はどうなのかということでございますが、
航空審議会の答申には、いろいろなことが書いてございます。将来の国内
航空のあり方という諮問に対する答えでありますので、いろいろのことが書いてありまして、将来、国内
航空としては二社が適当であろうということが言われておりまして、それから国際線については一社、そのおのおのについて、国際線、国内線における今後とり得る方策というものが書いてあるわけであります。ところが、閣議了解というものに盛り込みましたのは、そのうちの国内線の
関係だけについて、先ほど申しました三項目、それからローカル線についての一項目、これだけを閣議了解として了解されておるわけでございまして、答申に書いてあることが、全部閣議了解されておるわけではございません。しかしながら、これは
航空審議会の答申でございますので、当然
政府としてはその全部を尊重しなければならぬということはもちろんでございます。その答申と閣議了解の
関係は、そのような
関係になっております。