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横山委員 法務
大臣が十二時半ごろどうして
もというお話でございますから、ちょっと時間を拝借しまして、法務
大臣と警察側に対して、先般名古屋の中国経済貿易展にあって惹起いたしました右翼の問題について、質疑をいたしたいと思います。
御存じのとおり、中国経済貿易展は、北九州に次いで名古屋で爆発的な人気で、いまや旬日の間に七、八十万を突破する入場者で、たいへんな盛況なのであります。ところが、これに対しまして、行動右翼約四百八十団体で組織いたしております全国愛国者団体
会議議長佐郷屋嘉昭が、二十二日午前十時から名古屋熱田神宮文化殿で第八回全国大会を開き、集まる者二百五十名、そこで皇国憲法の制定、核武装による再軍備、徴兵制度の確立、反共を叫びまして気勢を上げ、おりから開催中の中国展に反対し、市中パレードをすることになりました。そこで、警察がそれに接触いたしまして、そのパレードについての打ち合わせを非公式にいたした模様であります。右翼との接触の中において、私
どもが事後いろいろ
状況を聴取いたしますと、結局右翼に対する警察側の
態度は、終始一貫して、全面的にいろいろなものを禁止をする、やめさせるのではかえっていかぬというわけで、十のものなら二つ、三つは
認めよう、そうして混乱を避けよう、これは善意だと警察側は称しておるのでありますけれ
ども、結局それらが積もり積もってたいへんな問題を惹起をいたしました。
二十二日第一回は、午後二時四十分ごろでありますが、やってまいりましたパレードが貿易促進会のライトバンと衝突をする問題、午後六時五十分ごろになりますと、右翼団体の行動員が会場にあらわれまして、中国展をやめろ、共産党は帰れとスピーカーでやる。それに対しまして、中国展で来日しておりました中国人らも道路へ飛び出さざるを得ないような雰囲気になり、そうしてその接触のときに、警察側としましては、問題を解消させるためということであったでしょうか、右翼のほうを向いておったのでありますが、警備員その他が会場の前におりまして、警察側の手薄い
態度に非常に激高をいたしておったのであります。そうしたら、右翼のほうを向かずに、警備員や中国人のほうを向きまして、そうしてこれを制止するという事態となりました。そのためにますます激高いたしました。そこで、警備員や中国人と警官隊との衝突という結果に相なったわけであります。そこで、展覧会の展覧団の連絡部副主任黄さんが警察官に抗議をして押し問答しているうちに、警察官になぐられたという問題、あるいはまた東京華僑総会の張さんという人が警察に突き飛ばされたという問題が惹起をいたしました。中国側は非常に激高いたしまして、二回にわたり声明を発表し、北京と連絡をとるということと相なり、日本側におきましても、展覧会の協力会は、御存じのとおり、自由民主党から民主社会党、日本社会党等のすべての団体を網羅いたしておりますために、非常にこれを心配をいたしまして、直ちに
政府側へも与野党ともに連絡をいたしまして、警察側に対しましても厳重な抗議をするという事態と相なりました。かつて長崎の国旗事件がございまして、それがために、原因はともあれ、たいへんな影響を受けまして、日中間の貿易が一たん途絶をいたしました経緯をも考えまして、きわめて憂慮にたえないといたしまして、八方努力をいたしたところであります。
しかるに、愛知県警へ抗議に参りますと、警察官に、暴力をいたした覚えはない、あるいはまた、展覧団側が、警備員その他がやっておることは行き過ぎであるというような、目前の問題に終始いたしまして、そうして
政府の許可を得て行なわれております中国経済貿易展に対しての政治的な配慮と申しますか、歴史的な過去の事実を考えながら善処をする
態度に根本的に欠けておったわけであります。したがいまして、ますます問題は発展をいたしまして、抗議集会が行なわれ、そうして緊急
理事会が行なわれ、中国側としては三つの方針を立てました。一つはこのままやるか、一つは一たん中断するか、一つは展覧会を中止するかというような事態まで発展をいたした次第でございます。今日警察側といたしましては、諸事情を
判断をいたしまして、警備を厳重にするということを言うておりますけれ
ども、警察官と右翼とが衝突するならともかく、警察官と警備員並びに中国人が衝突してけがをしたということについての過去の問題につきましての配慮が全然ございませんために、きわめて遺憾な事態が現出をいたしておる次第でございます。この点につきましては、すでに成田書記長が官房長官と会見をいたしまして、官房長官としては、まことに結果としては遺憾なことだと思う、今後についてはひとつ十分警察側に善処をさせたいと言っておりますものの、これは公式のものではございません。したがいまして、この際、ひとつ警察側の今日に至りました諸事情につきましても十分にお考えを願う御意見をいただきたいし、
政府を代表して、法務
大臣としても御所見をいただいて、
あと十日ばかりでございますが、せっかく各方面の、中部日本におけるあらゆる地方自治団体、経済界、労働団体、あらゆる団体が全力をあげて円満な中国展の終了を熱望いたしておりますこともよく考えていただきまして、本日
政府側の真率なる御意見を伺いたいと思うのであります。
まず
最初に、
大臣時間がないようでございますので、
大臣の御返事をいただきたいのでございますが、私
どもといたしましては三つございます。一つは、警察側の考えておりますような、
現実どういうことがあったか、ああいうことがあったか、だれの
責任かということに終始をいたしております立場からもっと離れて、大局的に、
政府としてこの問題についてどう考えられるかという点でございます。
第二番目には、いまちょっと私が意見を申しましたが、警察の右翼に対する
態度というものが、現場におけるものの考え方が、どうしても、ああいう場合衝突を避けるために右翼にこれだけを
認めようとか、そういう悪い意味の弾力性が今日の結果を招きまして、みんなが見ておる前で、そこは明らかに禁止区域であるところへ右翼がやってきて、そこで
調べもせずにすぐ釈放する、何で釈放したんだと言ったら、いまつかまえれば問題があるから
あとでつかまえる、自動車番号もわかっておる、あれもわかっておる、だからいいんですよ、こういう
態度というものが、見ておる人を非常に激高させる。そういう、今日まで右翼であれ、暴力団であれ、本
委員会で私
どもがときどき指摘したこと、情報をとるために、あるいは衝突を避けるために、云々のためであるといって甘い考えを与えておるところについて
反省を願うという点が、第二番目であります。
第三番目は、今後どうするかという問題であります。現地の警察側は、この点については最善の努力をすると言っています。言っていますけれ
ども、私が本部長その他と会いましたときの雰囲気といたしましては、道交法その他をきわめて厳密な解釈をいたしまして、法律上、行政上はこれが限界ですと言うのであります。その限界の解釈を私が聞いておりましても考えられますことは、簡単に申しますと、展覧会の前の通りは禁止区域であります。向かいの通りを禁止区域にしろ、こういうのであります。駐車場になっているような場所であります。それは拡大解釈になりますと言うから、今日このような
状態があったら、前の
状況とは違うのだから、区域を広げたって何ら違法ではないというのが、私
どもの解釈であります。そういうような論争の中でも考えられるのでありますが、
ほんとうに展覧会というものが成功裏に円満裏に終わるということを、より高い次元で考えるという気持ちが足らないのではないか、こういう点を私
どもは痛感をいたすのであります。今後の警察側の
態度につきましても、
政府の所信のほどを聞きたいのであります。