○布施
説明員 私
どもといたしましては、御
承知のように、現場の者といたしましては、去る六月二十三日、二十四日の両日にわたる全国刑務所長の会同におきまして、
法務大臣からきびしく訓辞されたわけでございますが、それに対しまして、管区長、それから刑務所長全員が一つの申し合わせ
事項をいたしまして、今後絶対かかることのないようにということをいたしておりますが、その申し合わせ
事項は、一々もっともでもございますし、私
どもといたしましても、今回の
事件にかんがみましてずいぶん反省すべき点が網羅されておるわけでございます。私
どもといたしましては、それらを具体化していくにつきまして、私
どもの
検討した結果も盛り込んで、その具体化を推進していくという方向で今後立て直しをはかりたいと考えておるのでございます。
矯正当局といたしまして今後かような
事件を起こさないように
努力いたす方向といたしましては、第一には、検察庁、警察庁等との緊密な連絡を保って、情報を収集して、暴力団
関係収容者についての処理方針をはっきりと定める。暴力団
関係者が刑務所あるいは拘置所に入ってまいりました場合に、特に拘置所に入ってまいりました場合には、それが暴力団の中でどういう地位を占めるか、あるいは他の暴力団とどういうつながりがあるのかといったような
関係について、刑務所側といたしましては必ずしも十分な資料を持ち合わせないわけでございます。さようなことからこういう間違いが起こるのだと考えられますので、今後は検察庁あるいは警察庁にお願いし、連絡を緊密に保って、できるだけそういう処遇に必要な情報を提供していただく、これが一つでございます。
次は、暴力団収容者に対しては、厳正な職務執行をなし得る適格者を担当職員として厳選するということでございます。これは、規律を一つ乱しますと、アリの一穴からというたとえもございますように、そこから乱れていく。たとえば、点検の際正座させるというようなことを一つ乱しましても、そこからすべての規律が乱れていくというようなことがございまして、そういう規律を厳正に執行し得る担当の職員を選んでこれに充てるということが重要なことであると考えておるのであります。従来、収容者が入ってまいりますと、刑務所あるいは拘置所では、その収容者と何らかの
関係で知り合いの
関係にある者は、どういう知り合い
関係にあるかという届けを出すということをやっておるわけであります。知己届けと称しておりますが、今度の場合には、それが必ずしも十分に行なわれておらなかったという反省があるわけでございますけれ
ども、これを励行いたしまして、
関係のない職員、しかも執行力の十分な職員、こういう職員を選んで、暴力団
関係者には接遇をさせるというようなことが非常に重要なことであろうと考えておるのでございまして、この問題を具体化して推進していきたい、かように考えるわけでございます。
第三には、必要のある場合には、管区機動警備隊
——各矯正管区で機動警備隊というものを持っておるわけでございますが、その機動警備隊、あるいは近隣の施設の職員の応援を適切に行なうということ、従来もやっておることではございますけれ
ども、今後時期を失せず、施設側と管区の連絡を緊密にしながら、それを励行していくということを推進したいと考えております。
第四には、必要に応じて収容者を他の施設へ分散するということでございます。受刑者の場合には、従来から保安移送ということで全国に分散移送を実施しておるのでございます。たとえば、大阪の暴力団に属する者でございますと、大阪に置いておきますといろいろ問題が起こるというようなことで、特にその幹部でございますけれ
ども、こういうような者は北海道へ移送するというような、全国的な規模における移送を実施しているわけでございますが、未決につきましてはさような広域的な分散は不可能でございます。しかしながら、検察庁とも十分連絡を緊密にいたしまして、実情を認識していただいて、もよりの施設へ移す、あるいは、ある場合には、その拘置区でなくて、刑務所の中の一郭を拘置区にして、そこへ分散するといったようなことをなお活発に実施する必要があろうかと存じますので、この点も今後大事なこととしてさらに
検討を重ね、推進いたしたいと考えております。
次は、上級の幹部職員による巡回を励行するということでございます。保安課長、その上は管理部長でございますが、保安課長、管理部長、それから刑務所長、それから拘置所長、施設の長に至るまで常に巡回を厳密にやるということが必要でございまして、もしこのことが十分に行なわれておったならば、今回の松山におけるような不祥事もあるいはもう少し早く発見できたのではないかという反省があるわけでございます。したがいまして、保安課長あるいは管理部長、これが毎日施設の中を巡回して見回るということは当然なことではございますけれ
ども、今後は所長に至るまでその巡回を励行してもらうという方法を推進いたしたいと考えておるわけでございます。
次は、居房の補強とかあるいは警備器具の充実等でございます。これは、ただいままで申しましたような、職員側の心がまえと一体とならなければ、幾ら補強いたしましても、あるいは警備器具を充実いたしましても、役に立たないことにな出る、かような点もあわせて、従来もやっておりますけれ
ども、今後もこれを充実していきたい、かように考えておるわけでございます。
第七には、暴力団
関係者による誘惑、威嚇等から職員及びその家族を保護するということでございます。今回の
事件にも見られますように、おどかされますと、 ついそれを上に言いそびれてしまって、それで孤立してしまう。そのうちに脅迫あるいは誘惑に負けて、かような結果を招来するということになるのでありまして、何か事があったらすぐにそれを上司に伝える。上司もそれと真剣に取り組むということでもって、その職員あるいはその職員の家族を保護して、そういう、面からは安心して職務の執行ができるような方法を推進して、これを具体化していきたいということが一つでございます。
最後に、職員の訓練に留意して、職責の自覚を強めますとともに、信賞必罰を明確にしていきたいということでございます。
かような諸対策を考えまして、これを具体化し、そうしてこれが実際に行なわれているかどうかということを確かめる方法、あるいは管区の監察、それから本省の巡閲、その他の巡視等によりまして、効果を確認しながら、これを強力に推進していきたいというのが私
どもの考えている今後の対策でございます。