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1966-11-24 第52回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月二十四日(木曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 小笠 公韶君    理事 鴨田 宗一君 理事 山本 勝市君    理事 井岡 大治君       安藤  覺君    伊能繁次郎君       岩動 道行君    鯨岡 兵輔君       坂村 吉正君    床次 徳二君       山村新治郎君    伊藤よし子君       玉置 一徳君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局参事         官)      矢野 智雄君     ————————————— 八月一日  委員木村俊夫辞任につき、その補欠として鴨  田宗一君が議長指名委員に選任された。 十一月二十四日  委員小渕恵三君及び竹内黎一君辞任につき、そ  の補欠として安藤覺君及び伊能繁次郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員安藤覺君及び伊能繁次郎辞任につき、そ  の補欠として小渕恵三君及び竹内黎一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  理事木村俊夫君八月一日委員辞任につき、その  補欠として鴨田宗一君が理事に当選した。     ————————————— 七月二十九日  一、消費者基本法案春日一幸君外一名提出、   第五十一回国会衆法第一六号)  二、物価安定緊急措置法案堀昌雄君外二十四   名提出、第五十一回国会衆法第四四号)  三、物価問題等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 小笠公韶

    小笠委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  理事木村俊夫君が去る八月一日委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっておりますから、その補欠選任を行なうのでありますが、委員長において指名するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小笠公韶

    小笠委員長 御異議なしと認めます。よって、鴨田宗一君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 小笠公韶

    小笠委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、去る九月、物価問題等に関する実情調査のため、兵庫県及び大阪府に派遣されました委員報告を聴取することといたします。  便宜この席から私が報告を申し上げます。    派遣委員調査報告書  物価問題等実情調査のため、議長の承認を得て、去る九月二十六日から三十日までの三日間、兵庫県、大阪府に派遣せられました派遣委員として、調査の概要を御報告いたします。  派遣委員は、不肖小笠及び兒玉末男君の二名であり、他に地元選出議員の御参加を得まして、兵庫県及び大阪府の物価問題等の実情についてつぶさに調査をいたしてまいったのであります。  二十八日午後神戸市の施設である相楽園に到着、直ちに兵庫県並びに神戸市の物価対策の実情について、県並びに市当局から説明を聴取いたしました。  以下その概要を述べますと、神戸市の消費者物価の情勢は、消費者物価総合指数で見ると、昭和三十五年までの上昇傾向はわりあいゆるやかでありましたが、昭和三十五年を境に上昇割合は大きくなり、特に昭和四十年の指数では、昭和三十五年を一〇〇とし、総合で一三五・一と大幅な上昇となっております。対前年比では、野菜二一・一%高、魚介一七・六%、肉類は一一・五%高となっておりまして、野菜、魚介、肉等の生鮮食料品消費者物価上昇の主原因となっておりますことは、他の大都市と同様であります。  このような情勢に対処するため、県では、昭和三十九年四月に全国に先がけて企画部生活課を設置し、生活行政の推進、消費者教育の充実、消費者保護の強化、消費者自主活動促進等の諸施策を進めるとともに、昭和四十年十一月には生活課の中に神戸生活科学センターを設置し、映画、展示、学習、実習等の活動を通じて消費者生活科学化合理化の普及、啓発運動を活発に行なっております。  また市においても、県の施策と並行して、昭和四十年五月経済局消費者経済担当主幹の制度を設けるとともに、生鮮食料品流通問題協議会消費者生活安定協議会と改組し、豊かな出荷、明るい取引、じょうず消費のスローガンのもとに野菜の安定増産対策中央卸売市場卸売り業務機械化標準小売り価格制度の充実及び広報活動の強化、消費生活モニター制度の設置、消費者教育消費者苦情処理制度新設等消費生活に密着した施策を進めております。  これら施策、特に消費者教育を進めていくためには、理想的な消費者像を定めて、消費者行政の上で国と地方公共団体の行なう行政分野を明確にする等の点について、立法措置と国の消費者行政に対する積極的施策について強い要望がありました。  以上、兵庫県及び神戸市当局報告に基づいて概略説明を申し述べたのでありますが、次に、われわれ調査団調査日程に従って、現地の実情及び要望事項について申し述べたいと存じます。  まず灘神戸生活協同組合でありますが、組合員数は約九万八千世帯、約四十万人を数え、出資金は、昭和四十年度において十四億三千余万円に達し、従業員数二千八百人を数え、マーケットの総数十七、支部総数二十四、合計四十一の事業所と中央倉庫、とうふ製造工場等を有し、取り扱い商品は、生鮮食料品を中心として年間取り扱い高は百十六億円に達し、全国生協中第一位を占めております。しかしながら、全県下の販売高から見れば一〇%程度で、今後まだ伸びる可能性があると思われます。  このように生活協同組合の活動が著しいのは、京阪神地区消費者意識の高いことに加え、配達制及び商品に対する品質の保証等によって消費者の信頼を得たこと、理事者経営方針が既存の小売り業者と競合しないよう配慮する等適切であったことが、今日の発展を得たものと思われるのであります。  組合当事者からは、コールドチェーンシステム導入にあたって、国の近代化設備資金の導入と租税特別措置法適用の要望がありました。  次に、神戸生活科学センターでありますが、兵庫県民生活科学化に寄与するため、市内生田区三宮町の神戸交通センタービル内に昭和四十年県条例をもって設置されたものでありまして、市民生活科学化に資するため専用の映写室を設け、科学映画産業映画等の上映で商品知識の普及、啓発活動を行なう、生鮮食料品及び物価情報提供、グループによる生活科学研究会を開催し、商品のじょうずな選び方、扱い方等を研究し、その他専用の電話を設け、消費者から照会された商品の試験を行なうなどの消費生活の各般にわたって活発な活動を展開しております。消費者行政の一つのあり方として、県当局の着想に感心してまいったような次第であります。  次に、板宿小売市場についてでありますが、神戸市には公設小売り市場五、私設小売り市場九十五、合計百の小売り市場があり、店舗数は三千二百二十店あります。このうち九十七市場神戸小売市場連合会を組織しております。板宿小売市場は、東、西、南、北各部小売市場と、板宿公認小売市場の五小売り市場が中心となって形成されており、店舗数百四を数え、うち八〇%以上個人の店舗でありますが、これら名店舗は、道路整備、冷房、輸送、宣伝等共同事業として行ない、経営の合理化を進めております。  次は大阪府でありますが、まず、消費者物価指数の働きから見ますと、昭和四十年の指数では、昭和三十五年を一〇〇として全都市総合をやや上回り、総合で一三五・八%と上昇しております。中でも野菜、魚介、肉類の騰勢が著しく、消費者物価上昇の主原因が生鮮食料品にあることは、他の都市と同様であります。  消費者行政については、府の企画部総務課消費者問題懇談会が設けられ、本四十一年度には消費者行政実施計画として消費生活合理化普及資料の作成、苦情相談消費表相談等を進めるとともに、民生、衛生、商工、農林、建築の各部が消費対策の調整を行ない、消費者行政強化充実を期しております。  一方、市では、昭和四十年七月に消費経済課が設けられ、消費者商品知識の普及のための買物研究会を開催する等、消費者教育を推進しております。  以上、大阪府及び大阪市当局報告に基づいて概略説明を申し述べたのでありますが、調査日程に従って実情及び要望事項について申し上げます。  まず、千里丘ショッピングセンターでありますが、ここは千里丘陵住宅地区開発計画に基づき、将来十五万人を収容する大住宅地区として開発を予定されておりまして、居住者日常生活の便利をはかり、各戸からほど近いところに近隣センターが置かれており、この近隣センターは千戸から千五百戸に一カ所の割合で建設され、その中にマーケット独立店舗などの店舗群が設けられております。しかし、その建設はまだその緒についたままであり、これらマーケット店舗がそれぞれの特質をどのように発揮していくか、競争原理がどこまで働くか等、今後の課題であろうと思われます。  次に、銘木団地協同組合であります。この団地は、昭和四十年五月に大阪銘木協同組合員八十一業者が参加、国より中小企業高度化資金の助成を受け、工費五億円で建設されたものであります。  銘木については、大阪集散地として古い歴史を持ち、業者も仕入れの便宜から市場に集団化する傾向がありましたが、これらの条件が横堀川の埋め立てに伴う立地条件の悪化、銘木取り扱い量の増大などの環境変化と相まって、昭和三十八年大阪銘木協同組合市場移転を決定してからわずか二年余で団地が建設され得たものと考えられます。  現在の地は、鉄道、トラック輸送等交通面に至便の地であるとともに、団地化により仕入れ、販売、運搬、宣伝等の協業化が促進され、合理化が進められております。いま、二次計画として隣接地三万三千平方メートルを入手、規模の拡大と事業の成長を期しているところであります。  なお、団地育成補助金の、増額要求がありました。  次は、大阪既製服縫製近代化組合枚方工場団地であります。この団地は、昭和四十年五月に中小企業高度化資金の助成を受け、四十二業者が参加、設立されたものであります。  既製服業界は、各社かなり企業規模格差があり、それぞれの経営内容は一律ではなく、利害の調整が困難視されていたのでありますが、近年、業界も問屋的性格から脱皮し、製造面を重視した企業として独立すべきであるという声が生まれ、この枚方工場団地もこのような要望によって生まれたものであります。  この団地化によって、原材料の共同仕入れ製造工程分業化労働力共同雇用共同販売、その他付帯施設共同利用等によって、従来の製品より約三〇%もの製造コストの大幅な削減が期待されているのであります。  次に、大阪中央卸売市場について申し上げますと、本市場は、福島区の本場と東住吉区にある東部市場とに分かれておりまして、本場、東部両市場とも総合市場として水産物青果物、つけもの、乾物、食鳥肉卵及びその加工品等食料品を取り扱っております。また、毎日取り引きされるこれらの数量は二千九百五十四トン、三億六百九十六万円余であります。  本場は、昭和六年十一月開場以来、取り扱い量は年々増加の一途をたどり、最近では特に衛星都市、近府県の消費が激増し、従来大阪市内を対象とした消費市場は、いわゆる集散市場の性格をもあわせ持つようになり、市場が狭隘となってきました。この打開策として、昭和三十九年十一月に東部市場が開場されたのであります。  この中央卸売市場昭和四十年の取り扱い高は、東部市場を含めて蔬菜三十二万四千百七十四トン、鮮魚二十二万八千九百九トン、果実二十四万五千七百二十九トン、その他十二万五千六百トン、総合計九十二万四千四百十二トン、九百十四億五千九百万円の巨額にのぼっております。  中央市場における主要産地別入荷量順位を見ますと、蔬菜では兵庫、長野、愛知、徳島、大阪及び和歌山の順となっており、鮮魚では長崎、福岡、南方、山口及び南氷洋の順で、果実では青森、和歌山、愛媛、長野、台湾の順となっております。  逆に、中央市場からの搬出先の割合を見ますと、平均では指定区域内、すなわち大阪市内に対して五一・六%、大阪府下二八・四%、他の都道府県二〇%となっております。  卸売り人は、本場が水産物三社、青果四社、東部市場では一業種一会社の単数制が実施されていてそれぞれ一社ずつ、仲買い人は、本場が水産物六十七社、五百五十六人、青果物四百二十五人、東部市場では水産物百十二社、青果物八十六社となっております。  本場は施設の狭隘化がはなはだしいのに対して、東部市場では卸売り人単数制仲買い人大型化小売り人市場参加機械せり装置——一台で百人の仲買人がせりに参加できる押しボタン式自動せり機械がありますが、これの設置など合理化近代化が実施されております。  なお、大阪市では市設の小売り市場が四十一市場あり、生鮮食料品をおもに販売しておりますが、大阪経済局が毎日発行する標準日報に基づく標準価格による小売りを行ない、一般市場との調整抑制効果をあげているのは注目されるところであります。  このような公設市場も、最近では附近に私設の市場が乱立、競争激化が著しく、特に大阪衛星都市において激しく、市場関係者から、市場法罰則強化等保護措置の陳情がありました。  以上視察日程に基づく実情調査の概要についての報告を申し上げたのでありますが、最後に、今回の視察を通じて感じました所見のうち、重要と思われるものを二、三御報告いたしたいと存じます。  まず第一は、消費者物価対策の重要な一つのポイントは、競争原理を経済の各部門で浸透させていかなければならないという点であります。この点から、兵庫県、神戸市などでは、古くからある公設市場標準小売り価格を掲示するとか、生協の活動を育成するといった対策を講じている一方、消費者防衛組織として、各種消費者団体の育成に力を入れております。もとより、兵庫県のように生協が十分に発達するなどの点がそのまま各県に適用できるとは思われませんが、今後物価対策を推進する上で公設市場、生協などを積極的に育成し、消費者団体の力を強めていく政策は、きわめて重要なことと思われます。  次に第二は、消費者教育の問題であります。生鮮食料品のように、商品のそのときどきの需給バランスによって価格が変動するものについては、その安定のためにとるべき対策として、一方で生産対策を進めると同時に、他方で消費者が日々の需給状況をよく知り、これに賢明に対処するように、購売態度を確立することがきわめて重要であります。そうした意味で、兵庫県の行なっている各種の消費者への教育活動は、きわめて示唆深いものと思われます。今後、物価対策の重要な一環として、消費者教育の推進を各地方で強力に展開する必要があると思われます。  第三に、以上の各点と関連いたしますが、消費者の組織を育成し、消費者に必要な情報を提供し、消費者の合理的な購買態度を確立し、あわせて業者教育にも資するような、いわゆる消費者行政を地方で推進するための行政組織の強化と、予算的な裏づけとをすみやかにはかる必要があるのではないかと思われます。  以上で報告は終わりますが、兵庫県、神戸市、大阪府及び大阪市当局からの要望事項を一括して掲げると、次のとおりであります。  一、生鮮食料品需給安定対策  一、中央卸売市場整備拡充補助率の拡大  一、流通機構の整備及び助成措置  一、消費者行政の推進  一、消費生活協同組合の育成  一、地価対策の推進  一、中小企業近代化資金付け制度及び工場店舗集団化制度拡充強化  一、標準小売り価格制度に対する助成措置  一、水道事業企業債起債利子率引き下げ等借り入れ条件の緩和 以上で、派遣委員報告は終わりました。本日は、これにて散会いたします。    午前十一時二十五分散会