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高島政府委員 問題の方向を出しますむしろ
基礎の点につきまして、いろいろな先生の御
意見、また私
どもの
立場、そこに若干食い違いもあるように思いますので、やや先ほどの繰り返しになりますが、現在の
鉄鋼業をどう見ているかというところをひとつお聞き取りいただきたいと思います。
それは、確かにおっしゃるように、自由競争というものを
業界の将来の体制の中の大事なポイントとして生かしていかなければならないということは、私もそう
感じます。自由競争がすべての
経済の進歩の
一つの動機でありますから、これを全く抹殺するというような方向には行き得ないと思いますが、
鉄鋼業について現在あれだけの議論が出ておるのは、日本だけの問題でもございません。
世界各国相通じて悩んでいる
一つの問題でございます。これは、
鉄鋼需給の将来というものが、日本に限らず各国とも
相当不安を持っておるというところにあるかと思います。これは
経済成長全体からつながってくる線でございますが、それで西欧、特にドイツあたりでは、あるいは
企業相互間の合併、提携等が力強く推進されており、またドイツあたりでは、ある
程度の協定が販売面ではできるそうでありまして、がっちりした販売の体制、また
生産の体制というものをこしらえ上げて、自山競争の
基礎はありつつも、制限された形で、制約された形で自山競争のメリットがそこにこそ出てくる、こういった姿で、過当競争を防止した形で西欧諸国の動きというものは出てまいっております。これが、ひいては西欧自身の巨大製鉄所の建設等が
生産コストのダウンと相結びつきまして、将来における日本の大きな脅威になるという時期にまさに差しかかっておるのではないかと思います。アメリカにおいても同様の動きがあること、また
企業の形態自身が
相当に大きいものであることは、あらためて触れるまでもない
状態かと思います。そういう海外の
状況、特に日本もこれから新しく
設備投資をやっていこうとするものは、メリットとして非常に大きなものでないと将来の競争に立ちおくれる、これはまさに先生の御指摘のとおりで、だから、それで自由にすべてやっていけるのか、あるいはそこに摘当な規制方法をとらなければいかぬのかというところに、直面している一番大きな悩みがあるのではないかと思います。
現在、
鉄鋼業界の
意見は、御承知のように、めいめいそれぞれ違ったニュアンスを持った
立場をとっておられます。一部には、確かにこの体制ではだめなんで、極力少数の
企業になれ、あるいは
生産その他の面でも
鉄鋼業として長期にわたって安定することが大事なんだから
調整をしていけ、こういった
意見も出てまいっております。また一部には、いま、思い切って自由競争でいけ、こういう
意見も出ております。したがって、
通産省といたしまして、将来の方向がどれでなければならぬということはまだ決意をすべき時期でもないし、
鉄鋼基本問題小
委員会、お触れになりました九月末を目途に勉強いたしておる
委員会でございますが、そこに諮問をいたしておるという段階でもございまして、これだけ議論が活発になれば何らかの方向は打ち出されてくる、こういう期待を持って見守っている
現状なのでございます。
その際、第三・
四半期以降の体制といたしまして、完全な野放しということはなかなかむずかしい点ではないかというように私は
考えております。
中小平
電炉業者の問題もございますし、あるいは今後国内の
価格がある
程度のところに安定いたしてまいりました場合、さらに輸出についての体制等は、輸出
価格がはたして外国の非難を受けないような
値段で安定してくれるかどうか等の問題もございます。また、
需要者自身も、
鉄鋼の
価格というものがしょっちゅう上がったり下がったり、特に安いところで事業の採算をとって計画を立て、見込み違いになるというようなことが起こりますし、また、下がった場合には、機械等の弱い
分野では、とかく買った鉄の原価よりも先に安いところに自分の製品のほうを先たたかれをするというような
現象等もいろいろ起こりまして、
需要者自身もある線に安定してほしいという要望もございます。そのあたりを総合勘案してまいりますると、いたずらに突っ込んで安い
価格になってしまうということでいいのだとは言い切れないところにわれわれの悩みもございますので、したがって、今後の
価格の
推移というものが、いま、まだ
増産を命じました効果というものが出ていない現在の段階でもございますし、今後の
相場の
推移等も十分に見ていかねばならぬ段階であろうかと思います。ただ、
粗鋼の
生産調整というものを始めまして今日まで一年有余の間でございます。この期間は、大いに
鉄鋼業界自身がある自覚を持つための大事な期間であったと私は思いますし、そういう意味において、最後の仕上げ段階にかかってきておりますので、全体の体制を小
委員会の中で方向を出してもらって、その一環で将来の
生産というものも、ある線を出していただくことを強く期待をいたしております。ただ、こういった経緯でまいりました制度でもございますし、現在のところでは、
状況をよく見てみないとわかりませんが、私としては、このままの姿ですらっと続けていくというようなことは、これは
大臣も申しておりますとおり、安易な延長ということになるので、そういう気持ちはございません。しかし、具体的にどうするかということは、きわめてむずかしい課題を背負っております際だけに、目下のところ、こういうものであるということは申し上げかねる次第でございます。