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1966-10-14 第52回国会 衆議院 農林水産委員会いも・でん粉等価格対策に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十四日(金曜日)    午前十時三十八分開議  出席小委員    小委員長 本名  武君       池田 清志君    仮谷 忠男君       白浜 仁吉君    田口長治郎君       中川 一郎君    赤路 友藏君       芳賀  貢君    兒玉 末男君  小委員外出席者         農林水産委員  倉成  正君         農林水産委員  丹羽 兵助君         農林水産委員  松田 鐵藏君         農林水産委員  桜井 茂尚君         農林政務次官  草野一郎平君         農 林 技 官         (農林経済局統         計調査部経済調         査課長)    堀江 亮次君         食糧庁長官   大口 駿一君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    荒勝  巖君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部砂糖類課         長)      石田  徳君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  いも、でん紛等価格対策に関する件  昭和四十一年産しょ及び馬鈴しょ原料基準  価格並びにでん粉及び甘しょ生切干の政府買入  価格等に関する件      ————◇—————
  2. 本名武

    本名小委員長 これよりいもでん粉等価格対策に関する小委員会を開きます。  いもでん粉等価格対策に関する件について調査を進めます。  昭和四十一年度産春植えバレイショ実収量及び昭和四十一年度産カンショバレイショ原料基準価格並びにでん粉及びカンショなま切り干しの政府買い入れ価格について、政府から説明を聴取いたします。大口食糧庁長官
  3. 大口駿一

    大口説明員 先般の小委員会におきまして、十月十一日に北海道についてのバレイショ実収高発表になる予定でございますということを申し上げておいたわけでございますが、その数字発表になりましたので、便宜私から申し上げさせていただきたいと思います。  北海道の十月十一日の実収高作付面積が八万四百ヘクタール、これは前回と同様でございます。それから十アール当たり収量が千八百六十キログラム、これは前回の八月三十日の予想収穫高の際の十アール当たりの総収量は二千キログラムでございましたので、若干減少をいたしております。したがいまして、総収穫量は百四十九万四千トン、前回収量が百六十一万一千トンでございましたので、差し引きいたしまして、約十一万トンの減でございます。  御参考までに作況指数を申し上げますと、八月三十日の際の指数は九七でございましたのに対しまして、今回の発表は九〇でございます。  以上が十月十一日の北海道の春植えバレイショ収穫量発表数字でございまして、先般の小委員会でも申し上げましたとおり、私どもといたしましては、今回のカンショバレイショ基準価格並びにでん粉基準価格算定にあたりまして、改正をされました農産物価格安定法附録算式に従って算定をすべき基礎材料はこれで全部そろったわけでございます。ただいまの春植えバレイショ収穫量発表を待っておりましたのは、附録算式の第二で、需給事情を勘案いたしまする際のバレイショ供給見込み量というものを算定いたしまする基礎数字として、この北海道の反収の実収高数字の確定を待った上で算定をいたすつもりでございましたので、この発表を待っておったことは前回申し上げたとおりでございます。この数字を持ちまして、現在、附録算式一及び附録算式二の数字、その他の数字をにらみ合わせまして、一両日前から大蔵省との折衝に入っております。現在、最終的な政府原案をまとめるべく、鋭意折衝をいたしておりますが、今日の段階で、まだ政府原案がはっきりとした数字の形で申し上げる段階にはなっておりませんけれども、至急に折衝をまとめまして、なるべく早く最終的な段階にこぎつけたいというふうに努力中でございますので、そのことをあわせて御報告いたしたいと思います。
  4. 本名武

    本名小委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 いま長官から春植えバレイショ収穫並びに基準価格策定の報告がございましたが、すでに法律で定められました二十日という期限まであと一週間でございますが、農林大臣も昨日帰ってこられたし、作業も鋭意努力中ということでございますが、大体公表できる期日というのは、最大限どの程度までに作業ができるのか、その辺の見通しについて御見解を承りたいと思います。
  6. 大口駿一

    大口説明員 今年の価格決定の時期につきましては、前回の小委員会におきましても、なぜ早く決定できないのかという趣旨の御質疑が非常にたくさんなされまして、私どもも、十一日のバレイショ実収高が出ますまでは具体的な折衝に入れませんという理由を申し上げておったわけでありますが、ただいま御報告申し上げましたように、この数字もすでにつかむことができましたし、大臣も昨晩帰ってまいりましたから、私どもといたしましても、なるべく早く政府原案をきめるように努力をいたしますが、いま具体的に期日がいつまでということは若干申し上げにくいのでございますけれども、おそくとも来週早々までには、つまり、二十日を待たずとも最終段階にこぎつけ得るのではないかという見当はつけておりますが、何日ということまで確定的に申し上げかねる事情を御了解いただきたいと思います。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 そこで、金額の面もいまは明確に御答弁はできないと思うのですけれども、特に今回の農安法改正最大の眼目は、何といいましても再生産確保するというところに非常に重点が置かれていると思うのであります。そうしますと、統計調査部がこの前八月三十日に資料として発表しました「昭和四〇年産かんしょ・ばれいしょ・だいず生産費」、この資料によりますと、カンショの場合におきましても、特に生産に必要な農具なりあるいは労働費肥料費、こういうもの等を項目別に見てまいりましても、たとえば農具費が一四・四%増、それから特に農機具の償却費上昇というのが一六・二%増、次いで労働費が七・七%、肥料費が四・八%、諸材料費九・五%と、生産費の一番基礎になる関係費というものが相当上昇しております。また、バレイショの場合にいたしましても、同じように、この農具費なりあるいは種苗費労働費、こういうものを平均いたしましても大体八%平均上昇をいたしておるわけであります。こういう点から考え、さらに先般、イモ主産県の農業協同組合代表者会議のいわゆるカンショバレイショ価格等に関する要請決議の中におきましても、特にこの生産費関係上昇ということで、基準価格については再生産確保をはかることを旨として大幅に引き上げるということと同時に、原料基準価格歩どまりに応じたスライド制を実施する、こういうことで、特に再生産確保ということから、農林省資料にもありますとおり、非常に生産費が高騰している、こういう点から考えますならば、少なくとも昨年の二四%歩どまり三十二円の線よりも相当基準価格の引き上げということに生産農民は非常に期待をかけているわけですが、その辺はどの程度の分析と、特に生産費上昇に対してどのような見解を持っているのか、まず第一点としてお伺いしたいと思います。
  8. 大口駿一

    大口説明員 カンショバレイショ生産費につきましては、前回の小委員会でも種々の御指摘があり、また私どものほうもお答えをいたしたわけでありますが、すでに統計調査部から発表になっておりまする昭和四十年産カンショ並びにバレイショ生産費調査の各項目ごとに、一定方法によりまして、四十年の数字から四十一年の数字を推計いたしまして、四十一年度の推定生産費というものを出しまして計算いたすわけでございますが、今回の農産物価格安定法改正のいろいろな重要なポイントの一つといたしまして、基準価格決定いたしまする際に再生産確保を旨としてきめるという字句が入りましたことも十分承知をいたしておりますので、私どもといたしましては、本年の価格決定にあたっていろいろな勘案事項を勘案したのでありますが、この生産費につきましても、きわめて重要な要素として、この再生産確保を旨とするような適正な価格決定をいたすべく考えておる次第でございます。  ただいま最後に御質問の、生産費相当高騰しておるので、昨年の価格と比較してどういうふうに考えるかというお話でございましたが、生産費はもちろん、昨年の生産費と今年の生産費を比較いたしますと、客観的に見まして、今年の生産費のほうが上昇をいたしておるわけでございますし、またパリティ価格基準として計算をいたしまする数値も、昨年よりは数字的に高い数字が出るわけでありますので、本年の最終的に到達をいたしまする数字が、昨年きめられました価格よりも上にきめられるということはほぼ間違いないところではなかろうかと思っております。現在のところは、すべての要素を総合的に勘案して最終的な政府原案をきめるところまで到達をいたしておりませんので、具体的な数字をここで申し上げることはできないことは御了解いただきたいと思いますけれども、現在の段階で申し上げられるおおよその見当というのは、ただいま申し上げたようなことでございまするので、御承知いただきたいと思います。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 先ほどバレイショ実収収穫量発表がありましたが、この資料によりますと、主生産地である北海道の場合におきましても、大体作付面積というのが昨年より相当減少しておるわけです。しかし、でん粉需要というのは漸増の傾向にあるわけでありますけれども、やはりこれは北海道がこのような作付面積が減ったという理由と、それから実収が昨年の九〇%そこそこ、こういう実情は、いま長官答弁されましたとおり、価格政策の面において非常に影響があったものと見るわけですが、特にバレイショに関しましても、相当の減反、減収であるが、その辺はどういうふうな理解をされておるのか、特にこの際、価格策定と密接な関係にあろうかと思いますので、この辺の事情について御所見を承りたいと思います。
  10. 大口駿一

    大口説明員 本年のイモ生産見込み数量は、ただいま御指摘がありましたバレイショは、もちろん昨年と比較をいたしまして相当大幅な収穫量の減になっておりまするし、またカンショにつきましても、昨年よりは少ない数量がすでに予想されておるわけでありますので、これらの数量減というのは、少なくとも需給事情を勘案いたしまする際には、供給の減という形で数字の上で織り込まれ、結果においては最終価格決定の際に重要なる勘案事項になるというふうに考えております。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 そこで、多少具体的な点を御質問したいと思うのですけれども、社会党としましては、いままで各生産者代表なり各団体等からいろいろと要請も受け、現実に鹿児島県等におきましては、先般の農協中央大会のある前に、貫当たり少なくとも五十円にはすべきであるというふうなことで、農協指導のもとに署名運動等も展開をいたしておりまするし、また先般、九州四国地区の主産県のカンショ対策会議におきましても、少なくとも歩どまり二四%、四百二十円を最低として、ひとつ基準価格策定をしていただきたい、こういう強い要望が出されております。現実にまた、歩どまりの点についてはあとでも質問いたしますけれども、やはり先ほどの長官答弁にもありましたとおりに、再生産確保ということを重点に考えますならば、三十七・五キロ当たりの四百二十円というこの線は、最低の線としてどうしても確保すべき金額じゃないか、またバレイショの場合におきましても、このように作付が減少した最大理由は、やはり価格政策の面における生産農民意欲減退ということに最大の比重があるのじゃないかと私は判断するわけですが、私たちが要求しておるところのこの四百二十円なり、あるいはバレイショの三百二十円という価格は、決して過当なものではないと思うのですが、この辺の点について長官の御所見を承りたいと思います。
  12. 大口駿一

    大口説明員 本年の価格算定作業に入ります前、また入りましたあとでも、各方面からいろいろの御要望なり御意見が寄せられておりまして、私どもは、そのすべてについていろいろその内容を詳しく伺っておるわけでありますが、ただいま具体的な数字をあげて、これについてどう思うかというお尋ねでございますが、政府算定作業はいま一応算定作業中で、かつまた財政当局折衝いたしておる最中でありますので、政府原案とこれとを対比して具体的な意見を申し上げる段階にはないことを御理解いただきたいと思います。ただ、今回の算定作業は、従来と同様に農産物価格安定法規定に基づいて算定をいたすわけでありまして、この法律には、価格算定にあたって、農業団体意見を聞いてこれを尊重しなければならないという趣旨が盛り込まれておりますので、私どもといたしましては、従来の例と同様に、ある程度政府原案が固まった段階で、農業団体の御意見も聞く手はずを整えておりますので、そこでいろいろ御意見を聞いた上で、その上で最終決定をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの長官の御説明によりますと、大体政府の態度をきめた上で、農業団体等生産者団体意見を聞くということでありますが、むしろ私は、生産者団体意見というのは、そのような作業が固まる以前にその意見を聞くのが至当であると考えるわけですが、いまのは長官、私はちょっと順序が間違っておるのじゃないかと思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  14. 大口駿一

    大口説明員 私は、決して政府の最終的な考えをきめた上で意見を聞くというふうに申し上げなかったつもりでございますが、現に算定作業に入ります前にも、算定作業を始めました後でも、各方面農業団体を含めましていろいろの御意見が寄せられまして、十分拝承をいたしておるわけでございます。それから正式には、ある程度財政当局との折衝でめどがついたところで正式な意見を聞きまして、その意見を聞いたあと政府の最終的な価格決定いたすということを申し上げたわけでございます。決して御指摘のような順序を逆転するような手続は考えておりませんので、御了承願います。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 特にでん粉需要が増大になりながら、実際の収穫は減少していく、こういう実情でありますので、一番この点が大事なポイントであり、特にカンショバレイショ生産農民意欲を与える、こういう点からも、この際、農業団体等意見は十分にこれを尊重して、その意見価格の面に反映されるように最善の努力をしていただきたいことを私は特に要望したいと思うのであります。次に問題となりますのは、価格算定に必要な歩どまりの点でございますが、少なくとも九州なり四国地区における歩どまりというものは、どんなに低目に見ましても最低二六%を下ることはないと思うのでありますが、やはりこの農業団体要請にもありますとおりに、歩どまりに応じたスライド制を実施されたいということが、いままでに例を見ないほどすべての団体がこの点を強く要望いたしておるわけでございますが、この完全スライドということについて長官としてはどういうふうな御所見をお持ちか、お伺いしたいのであります。
  16. 大口駿一

    大口説明員 基準価格におきまして、歩どまり価格スライドさせる考え方につきましては、たしか前回の小委員会でもお答えを申し上げたと思いますが、私ども理解といたしましては、この農産物価格安定法イモ並びにイモでん粉価格支持仕組みは、自由にでん粉イモが流通する姿というのを前提といたしまして、でん粉市場価格が下落をいたしました際に、一定価格に達しましたときには、政府買い入れによってでん粉価格支持し、しかもそのでん粉は、生産農民から一定基準価格以上の価格イモ買い入れでん粉業者のみを対象としてでん粉買い入れを行なうということを通じまして、最終的にはイモ価格支持をするという仕組みと私ども理解をいたしておるのでございます。そこで、ただいま御指摘のように、イモにはいろいろ歩どまりのいいもの、悪いもの、品質に応じてあるわけでありまして、実際の取引は、この品質に応じた価格が形成されて取引をされるのが自然の姿であり、また当然そうあるべきではなかろうかというふうに考えておるわけでありますが、特に基準歩どまり以下の、平均以下の品質の悪いイモにつきましては、取引の間において実品質以下に不当に買いたたかれる危険があることが予想されますので、この点を制度的に裏打ちをするという趣旨で、基準歩どまり以下の価格について、歩どまり価格スライドさせた制度を導入いたしておるわけであります。平均以上の品質について、つまり高い歩どまりのものについてスライド制を導入した価格を採用いたしておらない理由は、私がいま申し上げましたようなことが、現在の農産物価格安定法で考えておりまする仕組みに合致をするゆえんではなかろうかという判断に基づいて、かような仕組みをとっているわけでありますので、私どもといたしましては、今年もこの同様な判断に基づきまして、歩どまり価格関係につきましては、昨年と同様の考え方を今年も採用いたすつもりで現在のところはおるわけでございます。
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 この点、非常に理論的にも私は矛盾していると思うわけですが、特に農林省出先機関なり県の特産課等は、この品質改良ということを相当積極的に指導して、生産農民もこれに取り組んで努力をしているわけです。ところが、いまのような考え方でありますと、どんなに品質改良してでん粉歩どまりを高くしても、やはりいまの長官のような御見解でありますと、せっかくの品種改良の目的というものも全然意味をなさない。実質的に二八%の歩どまりがあっても、二四%の基準価格取引をされるということは、だれが実際もうかっているのか、これはいわずもがなでありますが、こういうふうな非常に品質のいいイモをつくっている農民が、やはり二四%の下ざさえの基準でこれが売買されるということは、どうしてもこれは公平な取引ではない。長官は先般の答弁でも、自由流通過程においてはこれはまあ下ざさえという制度以外にはやむを得ないという御答弁をされましたが、私は、法的にもこのスライド制ということを織り込むことは決して不可能ではないと思うのであります。まあ、いままで検討するということでずっとそのままになっているわけですけれども、この際をひとつ転機として、どうしてもこのスライド制ということをやはり法文化して、イモ作農民意欲というものをこの際失わないような積極的な取り組みが必要ではなかろうかと存じますが、このスライド制を織り込むことが不可能なのかどうなのか、この点ひとつ長官の御所見を承りたいと思います。
  18. 大口駿一

    大口説明員 ただいま御指摘のようなスライド制を導入しないで、平均以下の歩どまりについてスライド価格を採用いたしておりまする理由は、先ほどお答えをいたしましたような政策的な判断から行なっておるわけでございますので、法律的に現在の制度のままで可能か不可能かということに限局して議論をいたしますならば、私は、法律的にただいま御指摘のような制度を導入することを妨げておるような条文は現在はないと思っております。したがいまして、私が申し上げておりますることは、法律的にそれを禁じておるからやらないのだという趣旨お答えをしているつもりはございません。私は、ただいま御指摘のように、基準歩どまり以上のものが実際に取引をされておりまする際には、その品質に応じた、歩どまりに応じた価格取引をされることが自然の姿であり、またその歩どまりどおり価格が形成された自由取引が実現をするようにする努力というものは、私は、この法律規定によってそういうことを実現するのではなくて、やはり別個の指導なり農業団体努力なりという道を通じて、そのような健全な取引の姿が実現さるべきものと考えておりますので、私どもの現在とっておりまする方法は、この法律で意図しておりまする範囲においては、現在のような形が適当であろうという判断に基づいてやっておるということを、ここに特につけ加えさせていただきたいと思います。
  19. 兒玉末男

    兒玉委員 ほかにも質問の方がありますので、あと二点ほどしぼって御質問したいと思うのですが、少なくとも、長官もいま答弁されましたが、イモ品質というものは相当改良されておるわけでありまして、本年度の基準価格策定にあたりましても、この二四%という歩どまりは、少なくとも二ないし三%の歩どまりのアップというものは当然考慮されるべきものだと思うのですが、歩どまりの点については、いまどういうふうな作業過程にあるのか、またその辺についての御見解を承りたいと存じます。
  20. 大口駿一

    大口説明員 歩どまりにつきましては、毎年の価格算定にあたりまして、十分調査をいたしました結果等もにらみ合わせまして決定いたすわけでございまして、全国の主たるカンショ生産地帯につきまして調査をいたしました結果を総合的ににらみ合わせた上で最終歩どまり決定いたし、かつ、その歩どまりに応じた価格決定いたすのが作業順序でございますので、現在政府原案策定いたしまする過程において、その調査の結果をも織り込んで、歩どまりの問題もひいては価格に直接関連のある重要な事項でございますので、目下慎重に検討いたしておる最中でございます。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 最後に、先ほどのスライド制の問題については、法的にこれを法制化することに別に支障はない、そういうような見解でありますが、この際、やはりこのスライド制の問題は、今度すべての団体が統一して要求している問題であり、先ほどの長官答弁は非常に消極的な答弁であるように聞こえますので、この際、完全スライド制の実施ということについて、私は積極的な取り組みを特に要望申し上げたいと思うのであります。  次に、ことし五十万トン前後のでん粉が不足することは、もうはっきり指摘されておるわけであります。これらの措置については、また来年度以降のバレイショなりカンショ生産との関係もございますけれども、これらの取り扱いについては、どういうふうな措置をとるようにされておるのか、その辺もし意見がまとまっておりますならば、長官の御見解を一応承りたいと存じます。
  22. 大口駿一

    大口説明員 ただいまの御質問お答えいたします前に、先ほど私がスライドの問題で御答弁を申し上げました趣旨にもし誤解があるといけませんから……。ただいまの御要望のときに、若干誤解があるのではないかという気もいたしましたので、念のためにつけ加えさせていただきたいと思いますが、スライド制を導入する上に法制上支障はないということを私は申し上げたつもりはないのでございまして、スライド制の導入を禁止する条文はいまのところない。したがって、現在政府が採用しておりますような方法政策判断に基づいてやっておるわけでございます。現在の農安法のねらっておりまする趣旨からすれば、現時点においては、現在採用しておるような仕組みで、それ以上のことは農安法法域外の問題ではなかろうかというような趣旨を申し上げたつもりでございます。ただ、ここではっきり申し上げたいことは、この基礎が、現在与えられておるすべての条件をもとにした政策判断基礎にいたしておるということでございますので、私は、未来永劫この判断は変わらないのだということは申し上げなかったつもりでございます。その点をちょっと念のために補足をさせていただきたいと思います。  それからでん粉需給事情は、前回の小委員会でも申し上げましたが、今年はカンショでん粉バレイショでん粉合わせまして七十万トンを下回った供給数量になるのではなかろうかというふうに考えられます。需要の面は、昨年の需要量から若干伸びを考えますと、百二十万ないし百二十五万くらいの数量でございますので、差し引き、ただいま御指摘になりましたような数量の不足が予想されます。  この不足を今年の需給でどのようにして措置するかという問題につきましては、もちろん小麦でん粉等も一部充当いたしまするが、コーンスターチとかあるいはでん粉を輸入するとか、いろいろな方法があろうかと思います。いずれにいたしましても、でん粉の需給は、長期的に安定した見通しを非常に立てにくいものでございまして、ここ一両年は不足ぎみに推移しておるわけでございますが、これがいつ何どき再びまた需給事情に変化があるかも予測しがたいわけでございます。ただいまの御質問趣旨が、将来需給が変動しても生産農民に不測の圧迫にならないような方向で本年を処置すべきであるという御意見の御開陳であると了解いたしまするので、私どもその点を十分念頭に置きまして、今後の需給の操作につきましては慎重にやってまいりたい、かように考えております。
  23. 本名武

    本名小委員長 おはかりいたします。  農林水産委員桜井茂尚君から小委員外の発言の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 本名武

    本名小委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。桜井茂尚君。
  25. 桜井茂尚

    ○桜井委員 ただいまのスライド制の問題につきまして、ちょっと御質問いたしたいのでございますが、この前も私当委員会で御質問したときに、やはり御答弁におきまして、イモ価格が暴落したときに、でん粉歩どまり率の悪いものが一番影響を受けるので、したがって、その一番下のものを救済する意味において、二四%ということで一応上限をそこにきめたのだ、こういうような御答弁があったのでございますが、そのとおりでございますか。いまのお話を聞いていても、ちょっとそんな感じがするのですが……。
  26. 大口駿一

    大口説明員 私が先ほど兒玉先生の御質問お答えをいたしましたのは、こういうふうに申し上げたつもりでございます。基準価格決定の前提になっておりまする歩どまり平均的な歩どまりでございまして、平均以下の歩どまりを持っておりまする、いわゆる品質平均以下のものは、実際の取引においてとかく実品質以下に買いたたかれる危険がありますので、この平均以下の歩どまりに対しては価格スライドさせる制度を採用いたしておる、かようにお答えをしたのでございます。
  27. 桜井茂尚

    ○桜井委員 そこで、その平均以下ということ、でございますが、それがたとえば鹿児島の場合には、二四%以下の歩どまりものが非常に多量にあるわけですか、その点をちょっとお聞きしたい。
  28. 大口駿一

    大口説明員 御指摘の鹿児島におきましての一般的傾向といたしましては、いまの平均以下に該当するものは非常に少ないとは思いますけれども、私は皆無だとは思っておりません。
  29. 桜井茂尚

    ○桜井委員 皆無に近いほどそれほどないのです。それですから、鹿児島だけの例でいきますと、二四%以下は該当するものなし、皆無に近い。その反面に、千葉とか茨城とかいうようなところは、今度はそれ以上のものが皆無に近いわけです。ですから、その結果といたしまして、鹿児島において農民が実際は二八%のものが二四%で安く買われるという結果が、めぐりめぐって今度は関東の農民が安く買われるという結果が出ているわけであります。そこで、農民だけかといいますと、それ以外にでん粉工場もまた同様であります。非常な被害を受けております。と申しますのは、私のいまちょっと申しますのは関東地区カンショ対策委員会調査でございますけれどもでん粉の製品三十七・五キロの計算上の加工費はどうなるかといいますと、農安法基準である二四%では四百二十一円六十七銭、二七%のものでは四百五十八円七十銭、二〇%のものでは三百五十五円、こうなるのであります。これはいま申しました団体調査でございますので、農林省とは違いますから、どの程度権威あるものかは存じませんが、これによりますと、少なくとも百円以上関東のでん粉業者は不利を来たすという結果が出ているのであります。そういうようなぐあいでございますので、これはもう考えてもすぐかかることで、高でん粉イモを集めてする場合と、非常にでん粉価の低いものを大量に集めなければ同様のでん粉量は出ないわけですから、したがって、労賃にしましてもあるいは面積にいたしましても、いろいろな点から違いが出てくるのは当然であります。こういう当然の違いというものを農林省はどのように考えておるのでございますか。
  30. 大口駿一

    大口説明員 ただいまの御指摘の論旨を私誤解をしていないつもりでございますが、たとえば歩どまりの悪いイモを集荷するでん粉工場は非常にコストが高い。それから歩どまりのいいイモを集荷するでん粉工場はコストが低い。したがって、歩どまりの悪い地帯のイモを集荷するでん粉工場のコストはどういうふうに考えるか、こういう趣旨の御質問だと思いまして、お答えをいたしたいと思っておりますが、やはり歩どまりのいい悪いに応じた価格が形成されることを期待しておるのがこの現在の制度の前提でございますので、私は、原料イモ歩どまりが悪い地帯においては、不当な低い価格ではなくて、その歩どまりに応じた適正な価格が現出されることをこの制度としては期待いたしておるわけであります。もちろん、全国のすべての工場に別々にいろいろな価格なり加工費等をマッチさせた制度を運用するということは不可能でございますので、歩どまりの悪いところのものについては、現在の制度である程度カバーできるのじゃないかというふうに私は理解をいたしておるのでございます。
  31. 桜井茂尚

    ○桜井委員 その点、お伺いをしてもおかしいのでして、まずこまかく申し上げますならば、大体農林省でん粉に対する政策をきめるにあたって、統計をとるときからそもそもおかしいのであります。それはほとんどでん粉イモをつくっていない、食用イモばかりつくっておるところの統計まで入れて平均してみたり、ほとんどつくっていないようなところのものまで考慮して、統計が集まらぬから集まらぬから、こう言っておる。バレイショでん粉なら北海道しかやっていないじゃないか。ことに農林省が主産地形成ということを言っておる段階でございますから、もっとその特産品というものが、このイモにつきましては集中的にできておるわけでありますから、それに即応したところの政策が立てられるはずだ。それを全国十把一からげなそういう政策を立てていらっしゃるわけです。  戦争中あるいは前におきましては、たしか政府買い上げのでん粉の場合に、工場のコストにつきましては、これは計算が地帯地帯で違っていたはずであります。かえって戦争中あるいはその前のときのほうが合理的だったのです。今日の場合のほうがかえって不合理になっております。  しかも長官の御答弁からいきますと、自由価格による価格形成が基本であるからと申されておりますけれども、この農安法が適用されるのは、すでに自由価格による限界を突破して低落して、そうして自由価格ではどうにもならないという状態のときに適用される法律だろうと私は思っております。ですから、自由価格の形成に放任できないときの法律であるにかかわらず、いつも自由価格ということを前提にして御答弁なすっている。何かその点が矛盾しているように思うのであります。  しかもきのう、きょうの新聞を見ますと、世界の食糧危機というものは、それこそ戦後初めてといわれるほど重大な事態に到達してきている。いままでみたいな、簡単に外国から輸入すれば済むじゃなかろうかというような状態ではないわけであります。したがって、いまの段階におきまして、来年あるいは再来年、そのときにおける日本の食糧というものに対して、これをどういうぐあいにやっていくかということは、いまここで本格的な政策をきちんと立ててまいりませんと、この世界的な食糧危機の中で日本国民はどうするのだということで、しょっちゅう農政が行ったり来たりして、方向がちっともわからぬために、農民はそのたびごとに犠牲になるというかっこうが出ているのであります。ですから、今度こそ農林省のほうで本格的な農政というものをこの際立てていただきたい。そういう意味でも、私は、現在のような不合理なスライド制というものはこの際やめていただきたい。やめるということは、もっと完全なスライド制にしたほうがいい、あるいはまたでん粉価格にしましても、それに即応する形でもってつくってもらいたい、こう思うのであります。しかも、いま長官が児玉さんに御答弁なすったとおりに、法律改正をしなくてもできるのですから、この際やっていただきたいと思うのでありますが、いかがなものでございますか。
  32. 大口駿一

    大口説明員 イモが全量買い上げになっておった時代の地帯別の価格については、後ほど十分私自身も勉強いたしたいと思いますが、全量収買制度のもとにおける農産物の価格に対する考え方と、価格が低落をいたした際にその下ささえをする制度の適用を受けている農産物の価格考え方とは、そこに一線を画するものがあるのじゃなかろうかというのが私の考え方でございます。その点は、私ども全量収買のときと比べて、現在のやり方が、価格考え方においてただいま御指摘のような面で逆に不合理性を増しておるという指御摘は、せっかくのおことばでございますが、私は若干違う考え方を持っておるのでございます。ただ、スライド制の問題につきましては、先ほど来繰り返して申し上げているような判断を現在はいたしておるわけでございますが、なお、実取引における実態が、はたして現在とっておる考え方を一部なりとも改めたほうがいいというような実態でありますれば、これを十分に研究をするにはやぶさかではないわけでありますので、ただいまの御意見十分拝承いたしまして、今後の研究に待ちたい、かように考えている次第であります。
  33. 桜井茂尚

    ○桜井委員 最後に一言申し上げておきますが、私はこの前も当委員会で申し上げたつもりでございますが、長官のおっしゃっているのは、とにかく自由取引ということを前提にして、最悪の場合における保障であるということでございますが、最悪の場合における保障でも、その保障のあり方は国民全部に対して公平でなければならぬ、このように私は考えております。したがって、いまの農林省のやり方はどう考えても憲法違反じゃないか。少なくとも憲法の精神に反するのじゃなかろうか。国民に対して政府の手によって不平等な取り扱いをするということは憲法の精神に反するのじゃないか、このように私は考えるのでございます。そうしてまた同時に、先ほども児玉さんから指摘しましたとおり、農林省が一方で品種改良を一生懸命助長しておきながら、他方においてそれに反するようなイモ買い入れ制度をとっているということは、農林政策そのものが自己矛盾をしているのじゃなかろうか、このように考えるのですが、この点をお伺いしたいと思います。
  34. 大口駿一

    大口説明員 すべての農民、国民に平等であるべき憲法に照らして、現在の制度が憲法違反ではないかという御意見でありますが、私も厳密なる意味の法律論をここで十分申し上げるだけの知識を持っておりませんが、およそ全国的な農政を展開をいたします場合に、一人一人を対象にしてやっておる制度ではありましても、ある価格なり制度をつくります場合に、やはり全国に最大公約数的な価格なり方向を持って行政をやっておるのが実態でございますので、厳密な意味で個々人が若干の全く平等な取り扱いでない姿というのは、行政技術の限界を越した場合に起こり得ることはあり得るのではなかろうか。これがあって差しつかえないという趣旨で申し上げているわけではございませんが、要は、その不公平の程度が行政技術の限界を越しておるかどうかということが、そこに最終的なものを決定する判断の尺度ではなかろうかと思っておりますので、私は、少しでも厳密な意味での公平が破られた場合には、直ちにそれが憲法違反であるという御議論には、若干私も勉強さしていただきたいと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、私どもが一つの政策判断として現在の歩どまり価格関係をこの農安法制度のもとにおいては採用いたしておるわけでありますが、これがやはりただいま御指摘のような地域的なアンバランスというものが行政の技術の限界を越さない範囲で解決ができるような場合には、そのような判断を取り込んで制度を運用すべきであるという一般的な考え方になると思いますので、私はただいまの御指摘も十分今後の研究に待つと申し上げたわけでありますが、その研究の際にもただいまの御注意を頭に置きまして研究をいたしたいと思います。
  35. 桜井茂尚

    ○桜井委員 もう一つ、農林省の方針が矛盾していないか。
  36. 大口駿一

    大口説明員 これは、私は確かに農産物の価格政策が果たすべき役割りがどこまでかという基本的な問題に関連をする問題ではなかろうかと思うのでございますが、純理論的に申しますれば、農産物の価格政策の果たすべき分野は、生産政策なり構造政策なり、つまり農家の経営なり所得を向上する政策を講じたその補完的な役割りを果たすのが価格政策ではなかろうか、純理論的に申せばそう思っているわけでありますが、農業の特質なりわが国の農業の特徴から、生産政策ならびに構造政策の効果があらわれますのがきわめて時間がかかります関係上、現時点においては、すべての農産物に対する価格政策が、相当大きなと申しますか、ほとんど主要な役割りを演じておるのが現在の姿ではなかろうかと思っておるのでございます。この農政の中での生産政策なり構造政策なり価格政策というものが、やはり一貫した関連性を持つべきであろうと思いますので、その意味で、先生が申された前後矛盾をしておるのではないかという御指摘でございますが、私は、生産政策で及ばないことを価格政策でやるという本来の考え方もありますので、イモにつきましては、高でん粉品質イモを奨励するという、一方において生産政策的な施策を講じております他方で、実際の価格支持政策をこの食糧庁所管の農産物価格安定法でやっているわけでありまして、私は、この両方が相補いつつ耕作農民並びにでん粉加工業者の経営の安定をはかっているのではなかろうかと考えておりますので、私はここで申し上げられますことは、両者が相矛盾なく運用されるべきであり、また現在それほど矛盾した運用ではないと私自身は思っております。
  37. 桜井茂尚

    ○桜井委員 私、やめようと思ったのですが、ずいぶんおっしゃることは長いのですけれども、どうも中身がさっぱりよくわかりませんでして、生産政策と価格政策が矛盾していないかいるか、それだけなんです。高でん粉価のものをつくれつくれといって、しかも高でん粉価のものを安く買っておいて、そうして矛盾していないか、こう聞いているのです。それだけ答弁願います。
  38. 大口駿一

    大口説明員 高でん粉価のイモが高く売れるように、売れることが当然でありますので、それを通じて農家の所得の向上に役立つということで、高でん粉価のイモ生産政策として奨励をいたしておるというふうに考えております。
  39. 桜井茂尚

    ○桜井委員 矛盾しているかいないか……。
  40. 大口駿一

    大口説明員 この制度は、何度も申し上げますとおり、高でん粉価のイモが高く売れる場合には直接発動しないわけでありますので、下がったときに支持をするという制度と、いまの高でん粉価のイモ生産奨励をするということとが直に矛盾をするということは、私はせっかくの御指摘でございますが、考えておりません。
  41. 桜井茂尚

    ○桜井委員 どうも私によく——頭が私のほうが悪いのですか、どうなんですか。ひとつ教えてもらいいたのですが、私にはよくわからないのです。  先ほどの憲法の問題についても、技術的にできないことはある、こうおっしゃいましたが、そのとおりだろうと思います。ですから、技術的に全部の人を平等にできないということがあり得るということでございますから、それはそうだろうと思うが、いまやっておることは、技術的にできないのじゃなくて、技術的にできることをやらぬわけです。やらぬという方針が公平の原則に反しないか、こう聞いたわけなんです。  それからまた、いまの価格支持の問題が、高品種のものの奨励と矛盾するかしないかとお伺いしたら、下がったときでも高品種のものがよかったということでなければ、高品種をせっかくつくったかいがないのじゃないですか。高いときにはそれは確かに高品質のものが売れます。しかし、下がったときでも高品質のものがやはりよかったということでなければ、農家は安心して生産できないのじゃないですか。この二つの点はどうしても私に理解できないのです。もう一度わかるように教えてもらいたい。
  42. 大口駿一

    大口説明員 私は、先生のおっしゃっておることをことさらにわからないような顔をしてお答えをする気は毛頭持っていないわけでございます。おそらく先生の御指摘になっておりまする点は、もし価格が下落をして、農安法規定が発動になってでん粉買い入れが始まったときに、でん粉工場が基準歩どまり以上の良質のイモ基準歩どまり相当の低い価格で買い込んでおることを放任しておることがけしからぬ、こういうことではなかろうかと私は思います。御指摘の点があることは私も理解をいたします。私は、先ほど来、完全スライドの問題と、それから各地域に住む国民の平等性の問題につきましては、現在の段階では現在の制度がいいとは思っておりますけれども、ただ、公平の原則に照らして、いろいろな実情が技術的な限界の範囲内で処置し得るようなことがあれば、今後の研究に待ちたいということを申し上げたわけでございますので、私この問題を研究いたします際に、ただいまの桜井先生の御指摘の点は十分念頭に置いて研究をいたしたい、かように考えております。現時点ではそれだけお答えいたしたいと思います。
  43. 桜井茂尚

    ○桜井委員 もう一つ最後に、先ほど申しましたとおり、でん粉工場の計算などにつきましては、どうも農林省のほうで十分おやりになっていないのじゃなかろうか。先ほど申しましたように、関東と九州の場合非常に違う。この点につきましては、おそらく芳賀先生がもっと突っ込んで御質問なさると思いますので、私はやめますが、その点、どうもこの制度の上で非常にいいかげんな点がありはしないかという点を指摘いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  44. 本名武

    本名小委員長 芳賀貢君。
  45. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 先ほど食糧庁長官から経過の説明がありましたが、われわれとしては、これはまことに不本意であります。それは十月五日の小委員会並びに十月六日の小委員会、懇談会の機会においても、政府としては鋭意作業を進めるということを繰り返して言明しておるわけですが、きょうの報告からいうと、全然作業が進んでいない。これは明らかに怠慢だと思うわけです。そこで、いままで作業を遅延さした政府側の理由としては、北海道バレイショ実収高の公表がおくれておって、十月十一日しか公表ができない、その公表を待たなければ全然作業が進まぬということでありましたが、十一日には予定どおり公表されておるわけです。したがって、その後今日までの間相当の時間的な余裕があるのにもかかわらず、全然作業が前進してないということは、過去の実績から見ても、今回の場合非常に熱意を持っておらぬというふうに断ぜざるを得ないわけです。  そこで、質問を具体的にいたしますが、今回のバレイショ実収高の公表によって、当然これは政府としてそれが発表にならなければ作業ができないといっておるほど重要な問題であったと考えられるわけでありますが、最終的な実収の公表に基づいて、四十一年のでん粉の需給見通しに当然変化がくると思うわけでありますが、この点についてどういうような需給上の変化というものがあらわれたか、その点を明確にしてもらいたいわけです。しかも今回の実収高によると、北海道バレイショは百四十九万四千トンの実収ということになっておるわけですから、この数字に基づいて用途別にどういうような変化が起きるかということもあわせて説明してもらいたいわけです。
  46. 大口駿一

    大口説明員 政府部内の結論の出方がおそい点についての御指摘を受け、おしかりを受けまして、たいへん恐縮に存じますが、私ども算定作業としてはそうそう時間がかかるものではないわけでありますが、総合的な判断をいたします際には、財政当局との折衝もございますので、一応の算定は終わった段階で、目下鋭意折衝をいたしておる段階でありますことを特に申し上げさしていただきたいと思います。  ただいま御質問数字的な問題は、担当部長からお答えさせます。
  47. 荒勝巖

    荒勝説明員 先日のこの席では、北海道のいわゆるバでんの生産数量を十五万トンないし十八万トンくらい、低目に見て十五万トン、こういうふうに私から御説明いたしたと思いますが、ただいまのところ、多少この間よりも生産数量が下回っておりますので、弱気というふうな感じで、しいて申し上げるならば、十五万トンか十四万トン前後かな、現在の段階ではこういうふうに推測をいたしております。以上でございます。  それから用途別の点でございますが、用途別については、このでん粉生産数量全体——この間申し上げましたのと比較しまして一万トン前後の弱気といいますか、そういうかっこうでございますから、需要量としては百二十二万トンから百二十五万トンで、大体同じように見ておりますので、その内訳につきましては、大体従来と同様ぐらいなもので、さしたる変化はないのじゃないか、こう見ております。
  48. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 八月十五日の予想収穫が百六十一万一千トン、十月十一日公表の実収高が百四十九万四千トン、したがって、予想と実収では十一万七千トンの差が出たわけですね。これは相当の差だと思うわけです。したがって、農林省として実収高がわからなければ作業ができないということは、今度は実収が百四十九万四千トンということが明らかになったわけですからして、農安法との関係のある数字というものは、この百四十九万四千トンを分析しなければならぬわけですね。これを全部でん粉の原料に落とすわけにはいかぬわけでしょう。したがって、私の聞いているのは、百四十九万トンの用途の内訳というものをどういうふうに判断したかということを聞いておるわけです。
  49. 石田徳

    ○石田説明員 先生いま御指摘になりましたように、二回の発表の差は、イモにして十一万トンでございます。これがかりに全部でん粉になるといたしますと、昨年は歩どまりが一八%ぐらいでございましたが、ことしはそれ以下だといたしましても、約二万トンに近いでん粉になるわけでございますけれども、全体の量が動きます際に、商品化率なりでん粉向け率がどうなるかという、もう一つの要素がございます。これを見きわめました上でなければでん粉が最終的に幾らできるかという見通しも立たないわけでございますが、いままでの例からいたしますと、北海道の場合、必ずしも全体の量とでん粉向け率なり商品化率が一致しておりません。昨年は非常に豊作でございましたから、商品化率なりでん粉向け率が非常に高うございました。ことしは逆でございまして、それがどうなるかということを見きわめるべく目下作業しておるわけでございます。  それからもう一つ、需要関係はどうなるかということでございますが、バでんでなければ困るという分野は、これは水産練り製品等でございまして、そのほか加工でん粉等にいたしました場合には、コーンスターチなりほかのもので代替ができるわけでございますから、最大限二万トンあるいは一万トンバでんが減少いたしましても、需要関係といたしましては、目下のところ心配することはないのじゃないか。それよりも、全体のバレイショでん粉の量が固有の用途に満たないときには、あるいは外国からバレイショでん粉そのものを入れなければ、ほかのもので代替できないという事態が起きるかと思いますが、いまの段階では、必ずしもそういう事態は起きないのではないかと考えております。
  50. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 きょうは順序を追って質問する予定ですから、まず、百四十九万四千トンの用途というものをどういうふうに判断されておるか、もちろん、明年度の種子用、それから販売の用途については、生食用、それから内地府県に向けておるところの種バレイショ、それからでん粉の原料というふうに区分されるわけですからして、結局農安法関係ということになれば、保有すべき極子、それから販売する食糧、種子、それを除いた残りがでん粉の原料ということになるわけですから、この区分ができてこないと作業は進まぬと思うのです。
  51. 石田徳

    ○石田説明員 イモ価格算定いたします場合は、でん粉の量が幾らであるかということでなくて、商品化されるイモの量が幾らであるかということを推定いたしまして計算するわけでございます。先ほどの需給の場合はでん粉が幾らできるかということでございますが、したがいまして、いま先生の御指摘のように、自家消費のもの、それからいわゆる商品化されるものが幾らになるか、全体の量がわかっておりまして、その商品化率がわかれば、この式の中に持ち込めるわけでございます。私たちといたしましては、過去の趨勢なり実績等を勘案して一応の計算はしておりますが、これはわれわれ事務的に作業いたします場合にも、なかなか一定した数字といいますか、一定の傾向というものがつかみがたいわけであります。一つの大きな傾向といたしましては、最近は、バレイショにしましてもカンショにしましても、減少傾向にございますが、全体の量が減少いたします割合よりも、商品化される率のほうが大きいといいますか、全体の量の減少ほど商品化は下がっていないということは言えると思うのでございます。そういう方向で、目下どの数字がいいかということを検討中でございます。それほど大きな差はございませんが、確定的といいますか、実は苦慮しておるところでございます。
  52. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 この点をもう少し明らかにしておいてもらわぬと、質問も先に進まぬし、それから農林省が一応の案を策定して大蔵省と事務的折衝をする場合においても、やはり数字的な納得をさせ得る根拠というものがなければできないと思うのです。特にことしは政治価格というものをまっこうから打ち出すということでなくて、農安法改正に基づいて、その趣旨が生きるように、ことしの原料基準価格あるいは政府でん粉買い入れ価格というものを決定すべきであるということで、むしろ小委員会としては政府を鞭撻して協力していろという部分本若干あるではないかと思っておるわけです。ですから、いままで全然遊んでおったわけでもないでしょうから、委員会質疑を通じて数字上明らかにできる点は明確にしておいてもらいたい。
  53. 石田徳

    ○石田説明員 数字を隠しておるわけではございませんで、昨年の実績を申し上げますと、商品化率は七五%でございまして、非常に高いわけでございます。私たちはこのような昨年の実績を直ちに信用いたしますと、でん粉の量もかなりたくさんできるわけでございますが、それは実情に合わないのじゃなかろうかということで、過去の数字を見ながら、実はどこに落ちつけたらいいかとうことを具体的にいま検討中でございまして、全くその数字がないというわけではございません。いろいろな数字をやってはみておるわけでございますが、ことしの推定でございますから、それを適切にやりたいということで検討している、率直に申し上げますと、そういう段階でございます。
  54. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 しかし、商品化率等を求めるために、一番確実な実収高の公表を待っておったわけじゃないのですか。それが十一日に公表されてもう三日以上たっておるわけだから、それがわからぬというのはおかしいじゃないですか。わからぬということになれば、ことさらに商品化率を求めることを怠っておるということにもなるわけですね。その点はどうですか。
  55. 大口駿一

    大口説明員 十一日の公表を待ちましたのは、この前の小委員会で私ども統計調査部長が申しましたように、おそらく八月三十日の実収高より十月十一日の発表実収高のほうが下がるであろうということは、われわれ予想いたしておったわけでございます。下がるのであれば、その下がった数字に商品化率をかけた数字供給量を推定いたしたということで、数字々待っておったわけでございます。商品化率は、ただいま課長がお答えいたしましたように、あくまで本年の商品化率を一定判断のもとに推定をいたすわけでございまして、昨年の実績をそのまま採用することは必ずしも適当ではなかろうということで、どのような方法で本年の商品化率を推定するかということで、いま苦癒しておるわけでございまして、商品化率そのものの推定はかける数字でございまして、かけられる数字実収高は十一日の公表の数字が出るまで待っておった、こういう関係になろうかと思います。
  56. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それはちょっとあなた詭弁じゃないですか。商品化率というのはどこから出てくるのか、知っていますか。これは固定したものじゃないでしょう。政治的な判断できめるものじゃないでしょう。生産バレイショの総数量から、いわゆる明年度の保有種子とか生産農家の自家食糧とか、これは市場に出回らぬのですからね。これは大きな面積上の変動とか食糧政策上の変化がなければ大きく変わらないのですよ。問題は、総生産数量から市場へ出回る割合というのは一体どの程度数字であるかということが商品化率じゃないですか。収量と別だというのはおかしいじゃないですか。
  57. 大口駿一

    大口説明員 私は、ことばが足りなかったかもしれませんが、収量と全然無関係に商品化率というものがあらかじめきまっておって、それを掛け算するというふうに申し上げなかったつもりでございますが、もちろん、先生のおっしゃるとおりに収量と重大な関係がございますが、ただ、これは政治的判断ということではございませんが、少なくとも過去の数字基礎にしたり本年の収量基礎にしたりして、一定判断をいたして推定をいたすわけでございますので、その推定に苦慮しておるということを申し上げた次第でございます。   〔小委員長退席、仮谷小委員長代理着席〕
  58. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 昨年の実績に比べると、北海道バレイショは七十一万七千トン収量が減少しておるわけですからね。そういう大きな数字の変化に対して商品化率というのは別だというようなばかなことを言うと、これは子供にも笑われますよ。石田課長から説明してください。
  59. 石田徳

    ○石田説明員 御説明しておりますのは、総収量を待たなければなりませんが、その総収量が出た場合に、その総収量に対してどの程度商品化されるであろうか。その商品化率というのがあらかじめありますと、都合がいいわけでございますが、総収量の変化に応じて商品化率もまた変わる。また最低限自家消費するものが幾らであるか、極バレイショ等は、来年幾らつくるかということでこれは絶対に必要な量でございますが、そういうこともいろいろ中身等も勘案して、ことしは全体の量の中で幾ら商品化されるかということを的確に把握したいということで苦慮しておるわけでございまして、過去の非常にたくさんできましたときには、一定の量といいますか、昨年みたいに非常に豊作になりますと、これは商品化率が非常に上がります。それから普通の状態といいますか、平均的な出来高の場合でも、その年の事情によりまして、これは若干商品化率も変わります。それから価格によっても過去変わってきたのではなかろうかと思われまして、なかなか一定したものがつかめないわけでございます。特に今年は先生御指摘のように減少しておりますので、過去にそういう例がないといいますか、こういう場合に一体どのくらい商品化されるであろうかということは、慎重に検討せざるを得ないということで苦慮しておるわけでございまして、昨年との差がかなり多うございます。しかし、それだけが全部商品化されないというふうにも考えられませんので、正直なところ、いま適正な数字を出すべく検討しているわけでございます。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 そういうすなおな答弁であればわかりますよ。ただ、商品化率がつかみづらいというのは、たとえば昨年と本年で一万二千四百町歩バレイショ作付が減少しておるわけですね。ですから、自家保有すべき種子についても、明年どの程度作付するかということで、耕作者の意思によっても自家保有の数量というものは違うわけですね。だからそういう点は、なかなか確実な商品化率というものを把握できない点はわかるが、しかし、食糧庁長官のような答弁だとこれは全く常識はずれですから、こういう点は、事前に課長なり部長がよく指導——と言っては上役に対して語弊があるかもしれぬが、国会へ出てまともな説明をする場合には、それができるだけの基礎条件だけはやはり協力して頭に入れておいたらいいじゃないかと思うのですね。こういう大事な委員会で商品化率の定義を論ずるというのは、これはわれわれとして実際ばかばかしいですから、その点だけ指摘しておきます。  次に、作業上の問題でございますが、附録第一の算式による基準になる価格というのは、これは政令を読めばわかるわけですが、あの中にも問題点があるわけです。きょうはその点を明らかにして質問をしたいと思いますが、政府が閣議決定した政令というものは、これは明らかに国会はおいて改正した農安法の精神とは相当大きな食い違いがあるわけです。それは、前年度の基準価格に対して一年間のパリティの変化を反映させるということになれば、少なくとも前年に対してパリティ指数がどういうような変化を示しておるかということをまず明らかにしなければならぬわけですが、政府の政令の算式は、一年間にパリティの変化がどうなったということは、これは明らかにすることができないわけです。この点はどう考えておられますか。政令できめたんだからあくまでもやるということで、どこまでも計算をするか。毎年の平均的なパリティの数値に対して昨年のバレイショ基準価格決定した、それに属するパリティの平均値と、一年たって新しくことし原料基準価格をきめなければならぬ、いわゆる今年度の原料に所属するパリティの差というものは、一年間の差が出てこなければならぬと思うわけです。この点がいままでの委員会直間等においても明らかにされておらないわけですからして、この際、過去一年間におけるパリティの変化率というものがはたして五%であるか、六%であるか、あるいは過去三年あるいは五年間にどういうような年率の変化を示しておるかということをこの際明確にしてもらって、これを基礎にして、やはりパリティを用いて基準になる附録第一の価格をきめるということが大事だと思う。この点を明確にしていただきたい。
  61. 大口駿一

    大口説明員 現在の農安法の政令の規定によりますれば、最も最近時におけるパリティ指数を分子といたしまして、最近時のパリティを採用した月を終期とする過去一ヵ年間のパリティの平均額を分母として算定をするように規定を定めておりまするので、その算式に従って私どもは計算をいたしてまいりたいと思っております。
  62. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 その算式が農安法改正趣旨に反しておるのです。一年間のパリティの変化というのはどうなっておるかという点ですね。四十年、四十一年だけではわかりがたいとすれば、たとえば過去三ヵ年、年率がどういうふうに変化しておるか、あるいは過去五ヵ年間年率がどうなっておるかという点を、これは資料があると思いますので、この点を述べてもらいたい。
  63. 石田徳

    ○石田説明員 ちょっと変化率は計算してございませんが、平均数字は手元に持っておりますので、計算すればすぐ出ますが、平均数字を逆に申し上げますと、四十年は一六六・九七、年間平均でございます。三十九年が一五六・〇九、三十八年が一五〇・二三、三十七年は一四二・九一というふうになっております。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 ですから、これがたとえば過去五年間の変化というものを年率にしたら何%ということはわかるじゃないですか。
  65. 石田徳

    ○石田説明員 計算すればわかりますが、ちょっと端数がついておりますので、正確にやらないと間違いますので……。やればできます。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 そのようなことがわからなくてはしようがないじゃないですか。毎年のはわかるのです。ですから、ことしのから去年のを引けば、その差が出てくる。ことしの指数からたとえば五年前の指数を引けば、五年間の差が出てくるわけだから、それを年率に直すということはできると思うのです。  たとえば、こちらから参考までに申すと、麦の政府買い入れ価格というものは、これは完全にパリティ方式でやっておるわけですね。純粋なパリティ方式でやっておる。しかも二十五年、六年の政府買い入れ平均価格基礎にして、その後のパリティの変化を与えて麦価というものがきまっておるわけです。これは政府資料によるものですが、麦関係のパリティは、これは月の押え方がイモでん粉と違いますが、これによりますと、三十五年の麦の価格決定したいわゆる平均パリティが一二六・六二、それから四十年が一五九・五一になっておる。これでいくと、この五年間にちょうど年率五・二%ずつパリティが上昇しておるわけですね。麦価というものは、法律に基づいてパリティで計算するわけだから、その基礎というものは明らかにされておるわけですね。ですから、少なくともここ三年間、五年間は、大体五%ないし六%パリティが年間上昇しておるわけです。ですから、農安法によって原料基準価格をきめるという場合も、前年度の基準価格というものを基礎にして一年間のパリティの変化というものを反映させるということになれば、当然年間のパリティの平均的な上昇というものは、これは基準価格基礎に正しく反映されなければならないわけですが、それが政府の政令による算式でいくと、そうできないことになっておるわけです。   〔仮谷小委員長代理退席、小委員長着席〕 ここに大きな矛盾があるわけですよ。この点をどういうふうに解明するかですね。
  67. 大口駿一

    大口説明員 先ほどもお答えいたしましたとおり、現在定められておりまする政令の規定によりますれば、最近時のパリティの数字と過去一年間の平均数字との伸びをもって算定することになっておるわけでありまして、結局、本年の場合でありますれば、本年の八月のパリティー七一・五九という数字算定基礎にいたしておるわけでありまして、それが過去一年間のパリティの平均値に比べてどれだけ上昇しておるかということを織り込むようにこの政令では規定されておりますので、その趣旨で私ども算定いたしておる次第であります。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 ですから、一年前と比べてどうなっておるかということをまず明らかにしてもらいたい。一年間にどれだけ上昇したか。
  69. 大口駿一

    大口説明員 ここに過去のパリティ数字は全部私は持っておりますから、一年間にということは、結局三十九年のパリティの数字とその以前の年間パリティ数字、先ほど石田課長が申しましたその数字のように比率を計算すれば出ると思いますが、繰り返して申し上げるようで恐縮でございますけれども、本年のイモ基準価格決定いたしまする算式といたしましては、現在の政令できまっておりまする算式に基づいて私どもとしては計算いたしてまいる次第でございます。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 私の聞いておるのは、そうじゃないんですよ。どうも長官は先ほどの桜井委員質問のときもそうですけれども質問者の質問趣旨を十分聞いて理解して答弁するのか、そういうことを全然聞かないでおって、自分かっての答弁をするのか、その点を少し注意してやってもらいたい。先ほど石田課長が言ったのは、昭和三十九年の農業パリティ指数は、これは一五六・〇九ということを言っておるわけです。いいですか。それから四十年は平均が一六六・九七ということも言っておるわけだから、それは一年間のパリティの動向ということになれば、三十九年と三十八年ということではなくて、三十九年と四十年の平均パリティの差がどうなっているかということのほうが説明としては当を得るじゃないですか。
  71. 大口駿一

    大口説明員 私はただいまおしかりを受けたわけでございすまが、別に御質問趣旨を聞かずにお答えしているつもりはないのでございますが、先ほどの三十九年の平均というところで申しました一五六・〇九という数字は、三十九年の八月に終わります一年間の数字平均した数字を申し上げておるわけでございます。三十九年の平均、つまり、暦年の平均とは若干違う数字でございますから、そこで、四十年の平均というのがまだ八月まででございまして比較できないので、私はこの一年前の平均で計算すべきだというふうに申し上けたのでございまして、ともに八月で終わる数字を両者平均して比較をするということでありますれば、計算して後ほどお答えをいたします。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 四十年の九月から四十一年の八月までの平均パリティについては、これは前回石田課長から説明があったわけです。それは一六六・九七ということで、これははっきり答えが出ているのですよ。知らないのはあなただけなんですよ。だから、食糧庁が委員会で明らかにしたわけだから、四十年と三十九年のその一年間の平均パリティの差というものは、これは出るじゃないですか。
  73. 大口駿一

    大口説明員 繰り返して申して恐縮でございますが、現在の政令できまっております算式は、四十一年のこれから先のパリティ数字がわかりませんので、結局現在わかっております一番新しいパリティの数字を分子として、この一番新しい数字を終わりとする一年間のパリティ数字平均を分母として計算するように制定されたのだろうというふうに私は考えておる次第でございまして、その式に当てはまるべき、つまり本年の八月に終わります過去一年間のパリティ数字平均値が、前回委員会で課長からお答えをいたしました数字でございまして、その数字を分母といたしまして、現在の八月に発表になっておりますパリティ数字であります一七一・五九というものを分子として算定をいたして、私どもはその算式の一の計算をいたしておる次第でございます。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 いま聞いておるのは、イモ年度といわれるたとえば九月から翌年の八月までのこの一年間の平均パリティ指数というものは、これが農安法上から見て必要なパリティということになるわけです。麦価をきめる場合には、またその時点が違うわけですね。しかし、いずれにしても、毎年毎年九月から翌年八月までの平均ということになれば、年度によってどれだけの変化があらわれたかということは、これによって明らかになるわけですね。ですから、いま聞いているのは、昭和三十九年の平均パリティと四十年の平均パリティの一年間の差というものはどういうことになっておるかということを尋ねておるわけです。そこで、四十年の平均パリティ指数は一六六・九七、三十九年の平均パリティは一五六・〇九ということも明らかになっておるわけだから、この一年間におけるパリティの変化はどうなっておるかということを政府のほうから明らかにしてもらいたい。
  75. 大口駿一

    大口説明員 いまの御質問の、分子を一六九・九七、分母を一五六・〇九で割り算をいたしました数字は一〇六・九一でございます。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 私の聞いているのは、昭和三十九年の平均パリティが一五六・〇九、四十年の九月から四十一年の八月までの平均パリティは一六六・九七であるから、この一年間における平均パリティの差、いわゆる上昇率というものはどうなっているかということを聞いておるわけです。分母とか分子とかということを聞いているのじゃないのですよ。一年間にどういう動向の変化があるか。
  77. 大口駿一

    大口説明員 ですから、私は、結局一六六・九七が一五六・〇九に対する比率で一年間の比率を見るべきだろうと思いましたので、その計算の結果をいまお答えしたのでございます。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 パリティの差というものはどうなっておるわけですか。年率どうなっておるかということはわかるでしょう。
  79. 大口駿一

    大口説明員 引き算をすれば……。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それをはっきりしてください。
  81. 大口駿一

    大口説明員 引き算は一〇・八八でございます。
  82. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 だから、その三十九、四十年度においては、平均パリティはそれだけ上がっておるわけでしょう。そうじゃないですか。
  83. 大口駿一

    大口説明員 どうもおことばを返すようで恐縮でございますが、いまの引き算をした数字でありますれば、農業パリティ指数基準の一〇〇の年でありますその年の数字に対して、いまの数字を比率として理解をすべきもので、いまの昨イモ年度と今イモ年度のパリティの両者の一年間だけの比較をする場合には、私が割って先ほど申し上げた数字ではなかろうかと思います。
  84. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 このパリティの一二〇とか一五〇というのは、三十五年、三十六年の平均パリティを一〇〇にしてやっているわけなんですよ。そんなことはあたりまえじゃないですか。何のために一五六・〇九とか一六六・九七というものが指数で出たかということになれば、それの基礎になるのは一〇〇を基礎にしているのでしょう。そんなことはあたりまえじゃないですか。だからもう少し簡明に——パリティの一〇〇の年度に対して三十九年と四十年で一年間にどれだけ上がったかというような簡単な質問に、どうして手間をかけているのですか。
  85. 大口駿一

    大口説明員 先ほどの御質問が、両方の年の指数を引き算すれば、これは基準年次に比較しての伸びの数字でございまして、一年間だけの比較をすれば、両者の割り算をした比率が一年間の伸びの傾向ではないかというふうにお答えをしたつもりでございます。
  86. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 そうじゃないですよ。毎年度平均パリティ価における差というものは引き算でできるのですよ。いいですか。基準年に対して百何十%になっているということは、国会議員は一年生からみんなわかっていますよ、そんなことは。どうもあなたの説明とか答弁は余分なところにひまをかけているわけですね。毎年のパリティの変化を前年の基準価格にかけるというのはどういう趣旨か、わかっていますか。
  87. 大口駿一

    大口説明員 前年の基準価格にパリティの変化をかけますのは、パリティの変化を基準価格に掛け算をして、本年のパリティの変化率から見た本年の基準価格算定する方法を算式上そういうふうに表現したものであると思います。
  88. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それは去年のイモ原料基準価格ですからね。前年度をとるということになれば、当然パリティの基礎も前年度の平均パリティということになるわけでしょう。そうでなければ合わないわけですからね。去年の原料イモ価格が属しておるその年度の平均パリティ指数、これが大味対応できるわけだから、ですから、一年たったことしのイモの値段をきめる場合には 一年たった時点における一年間のパリティの変化率というものがそれに反映されなければだめでしょう。単年度内の平均的な変化というものじゃだめなんですよ。これは政令の間違いに触れておる問題ですから、長官は閣議に出る資格はないわけだから、ここですぐ直すということをあなたの権限ではできないと思いますが、政令自身に最初から誤りがあるわけなんですよ。いよいよ価格をきめるということになれば、改正した農安法の精神というものは、少なくとも基準はパリティの動向というものを正しく反映させなければいけないということになっておるにもかかわらず、政府のつくった政令というものは、それが反映できないということにしかなっていないわけです。この点を明らかにしてもらわぬと、作業を先に進めるというわけには当然いかないわけです。だから、われわれとしては、松野農林大臣が観光旅行を途中でやめたと思うのですが、昨夕帰ってきたので、きょうの小委員会には農林大臣みずから出席すべきであるということを前から要求しておったが、閣議の都合かどうかでまだ出席されませんが、この点は、農安法改正した当委員会としては、政令が改正した趣旨と違っておるという点だけを明らかにしておきたいと思うのですよ。これに対して何か意見がありますか。
  89. 大口駿一

    大口説明員 現在定められております政令は、先ほど来繰り返して申し上げておりますとおり、過去一年間のパリティの平均とごく最近時のパリティ数字との変化率を使って、附録算式第一のパリティ価格というものを算定するようになっておりますので、これはやはり過去一年間の動向と現時点の、価格を定めようとする時点のパリティとの変化率を表現いたしておると思いますが、その算式に従って私ども算定をいたすつもりでございます。
  90. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 どういう意味ですか、それは。去年の原料基準価格というのは、カンショは三七・五キロで三百二十円でしょう。バレイショは二百四十円でしょう。これがことしの算定の附録第一のもとになる数字ですからね。この三百二十円ないし二百四十円の所属するパリティの年度というのは、三十九年の九月から四十年の八月までのこの中にこれは対応できることになるわけです。その平均ということになれば、これは石田課長が言ったとおり一五六・〇九ということになるわけですよ。一年ごとのイモの値段をきめる場合のこの三十九年の平均パリティに対応できる数字ということになれば、当然これは最も近い時点、といっても、去年の九月からことしの八月までの平均パリティというものを求めて、これを対応させる以外に方法がないじゃないですか。ところが、政府のいまやっておるのは、去年の九月からことしの八月までの平均パリティは求めるが、しかし、それは前年度の一五六・〇九とは何も関係がないという方式の上に立っておるからして、ここに問題があるわけです。それが誤りだ。そういうやり方もあるが、改正した農安法趣旨からいうと、そのやり方というものは間違いであるということを、私は一個人の農林委員ということではなく、これは法の改正を行なった当委員会全体がこれを間違いであるということを指摘しておるわけですよ。これは直ちに農林大臣に伝えて——何も国会の開会中でなくとも誤りは直せるわけだから、この次の閣議にでも政令の改正をやれば簡単に手直しができるわけですからして、この点は草野政務次官もよく聞いておいてもらいたいと思うのです。政令上にこういう問題がある、誤りがあるという点ですね。突然きょう出席されたので、いままでの経過はわからぬと思うが、しかし、かりそめにも政務次官になった以上は、この間の小委員会に出ないからわからぬというわけにはいかぬでしょう。
  91. 本名武

    本名小委員長 芳賀君、だれに答弁を求めますか。
  92. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 食糧庁長官並びに草野政務次官二人に。
  93. 大口駿一

    大口説明員 私からお答えをいたしたいと思います。  私どもといたしましては、ただいま先生が御指摘になりましたような方法で一年間のパリティの伸びを見る方法も一つの方法であるということは考えておりますが、しかし、現在の政令の方式が、先生の御指摘のように全く間違いであるというふうにおっしゃられる理由に、私あえて異を唱えるようなかっこうで申しわけございませんが、私どもといたしましては、価格決定しようとする最近時点のパリティ数字を過去一年間のパリティと比較をいたす方法も一つの方法であり、これが正しいと思って政令が制定をされたのだろうというふうに私は考えておりますので、私は、この政令にきめられておりまする算式に従って算定をいたすことが適当であるというふうに考えております。
  94. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは資料を要求しますが、私の当然であると指摘した三十九、四十両年の平均パリティ指数を用いて、当然これは三十九年を分母にして、四十年が分子になるわけですが、その方式、それによって前年の基準価格カンショ三百二十円、バレイショ二百四十円にかけて出た答えと、それからいま政府が行なおうとしておる去年の九月からことしの八月までの平均パリティ指数を分母にして、ことしの八月のパリティ指数を分子にして、前年の基準価格にかけた場合と、当然二様の答えが出るわけですが、どういうことになるのですか。これはすぐできることですから……。
  95. 大口駿一

    大口説明員 ただいまの御要求のような算定は至急いたしまして、後ほど提出いたします。
  96. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 いますぐやってください、これは簡単にできることですから。われわれがやってもすぐですけれども、せっかく政府委員とか各担当者が来ているわけだから、少し休んでもいいですよ。
  97. 本名武

    本名小委員長 芳賀君、政府で準備する間ほかの質問を続けてください。
  98. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは次にお尋ねしたいのは、価格算定上の参考資料になる生産費ですね。生産費についても、農林大臣が行なう調査に基づいてということになっておるわけですから、全然政府調査した生産費というものをことしの価格決定の参酌事項にしないというわけにもいかぬと思うのです。それから改正した農安法においても、生産費、物価事情というものは、正しく動向を反映させなければならぬということにしてあるわけですから、それではこの参酌すべき生産費というものについては、どういう作業が行なわれたか、これをお尋ねします。
  99. 荒勝巖

    荒勝説明員 私からかわりましてお答えいたします。  カンショバレイショそれぞれについてでございますが、四十年の統計調査部生産費調査というものがございますが、四十一年産バレイショあるいはカンショにつきましては、まだ生産費が全然出ておりませんので、一応四十年に農林省統計調査部でとりました生産費調査というものを基準にいたしまして、それにそれぞれの資材費の系統につきましては、この一年間の経営パリティで補正を行ない、それから飼料の系統については、えさのほうのパリティ変化で修正を行なうというかっこうで算出いたしまして、それにさらに統計調査部でこの間公表になりました本年の作況の収穫予想高で修正いたしまして、一応結論を出す、こういうかっこうでございます。
  100. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは四十年一年だけの生産費調査というものを基礎として作業をされたわけですね。
  101. 荒勝巖

    荒勝説明員 大体基準となりましたのは、四十年の生産費を中心として出しまして、一番最後のいわゆることしのキログラム当たり生産費という段階になりますときには、ことしの予想収穫高で修正を行なった、こういうことでございます。
  102. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは大体どういう数字になっておりますか。四十年の生産費は公表になっておるから、われわれはみんな資料を持っておるわけですね。それを勘案した結果が百キロ当たり幾らになったかということです。
  103. 荒勝巖

    荒勝説明員 検討はいたしておりますが、まだ検討中でございまして、結論を出しておりませんので、当委員会で私からお答えするというわけにはいかないのじゃないかと思います。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは世間に発表してはばからない点からお尋ねしますが、農林省が公表されたカンショバレイショの四十年の十アール当たりあるいは百キログラム当たり生産費はどうなっているのですか。
  105. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  四十年のバレイショカンショそれぞれにつきましてお答えいたしますと、四十年の百キログラム当たりカンショにつきましては七百六十一円、バレイショにつきましては五百三十二円、こういうふうになっております。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 これをわかりやすく三・七五キロにすればいいと思うのですが……。
  107. 荒勝巖

    荒勝説明員 三・七五キログラム当たり、いわゆる一貫当たりに換算いたしますと、カンショが四十年度で二十八円五十銭、それからバレイショは二十円三銭、こういうふうになっております。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 これは収量調査農家のそれぞれ平均反収ということになっておるわけですから、昨年の平均実収とは相当大きな差があることはおわかりですね。たとえば四十年度のバレイショ実収反収は二千三百八十キロ、この調査に用いた調査農家の平均反収が二千六百十五キロですから、反収におきまして二百三十五キロ違うわけです。ですから、収穫量が多ければ多いほど生産費は逓減するというのは、これは原理的なことだから言うまでもないと思うわけです。そこで、先ほど第二部長から、この生産費基礎にしたが、収量の面については、今年度のカンショについては予想収穫高バレイショに対しては実収高というものの反収を置きかえて勘案してあるということを言われたわけですが、ことしの場合にはバレイショ実収反収は千八百六十キロ、カンショの場合には九月二十日現在で反収千九百四十キロですね。ですから、このそれぞれのことしの反収で計算した場合にはどうなりますか。これは仮定のものとしてもいいですよ、そういうふうにきめろというわけじゃないですから。
  109. 荒勝巖

    荒勝説明員 それは、昨年のものは結論が出ておりますので、政府も公表しておりますから、お答えいたしましたが、ことしのものは非常にまだ慎重を期したいと思いますので、公表いたしておりませんので、この席ではごかんべん願いたいと思います。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 これは、こういう数字になったからこういう数字はけしからぬというのじゃないのですよ。算術上の問題ですからね。ですから、バレイショの場合は、調査農家の反収を二千六百十五キロとしたから、それが結局二百三円ということになっておるわけですね。三十七・五キロにすれば、基準価格の二百四十円よりは、三十七円生産費は安くなったということになるわけです。これをことしの実収の千八百六十キロに置きかえた場合には幾らになるかということを聞いておるわけです。あまり気にしなくてもいいですよ、計算上の問題ですからね。
  111. 荒勝巖

    荒勝説明員 せっかくのお話でございますが、れはり政府としましては、一度この席で申し上げると、確定したようなかっこうになりますので、やはり御遠慮申し上げたいと思います。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 そう心配ないですよ。それじゃこれは統計調査部でもいいですよ。計算ですからね。反収が二千六百キロの場合と千八百キロの場合で生産費が違うことは明らかですからね。だから、算術上の問題として、二千六百十五キロというものは、経費は同じに投下したのであるが、たまたまことしのように千八百六十キロしか実収がなかったという場合は、それを使う以外にないでしょう。物財を同じように投下しても、収穫量は必ずしも期待に沿わぬですからね。そうじゃないですか。昨年と同様あるいは昨年以上に物財を投下しても、今年のような非常に条件の悪い年になれば、反収は激減するわけで、農産物の場合にはあり得ることなんですよ。だから、けしからぬというわけにはいかぬわけです。反収が変わった場合にコストが変わることは当然ですからして、私の言ったのは、ことしのバレイショ実収反収あるいはカンショ収穫予想の平均反収と置きかえた場合には、一体三十七・五キロ当たりどうなりますかということを聞いておるわけだから、これはすなおに計算して示してもらいたいと思います。
  113. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいまの芳賀先生の御質問のとおり、ことしは、北海道バレイショも内地のカンショ生産があまりよくありません。北海道は非常に悪かった関係もありまして、反当生産費あるいはキログラム当たり生産費は、修正いたしますと当然に相当上がることになるとは私自身予想しておりますが、しかし、数字的にぴしゃりというわけにはまいりませんので、ごかんべん願いたいと思います。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それじゃ統計のほうでお願いします。計算を依頼するわけですからね。
  115. 堀江亮次

    ○堀江説明員 ただいまの点でございますが、収量が変化いたしました場合、御指摘のように機械的に計算することは簡単でございますが、一般に収量が変化いたしますと、労働時間にも変化が生じますし、それからその他の資材の原単位量にも、たとえば収量が減れば収穫労働時間が減る、被害が出れば農薬の施用量が減るというように、必ず原単位量の変化を伴いますので、機械的に試算いたしました数字の実用効果は少ないものと考えております。
  116. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 いや、そういうことはわかっておるのですよ。それは、反収五十俵とれるイモが被害によって三十俵しかとれぬという場合、イモ掘り作業というものは、しかし、五十俵に対して三十俵だからそれだけの割合が減るというものではない。十アールの中のイモ数量が五十か三十かという差ですから、十アールが七アールに減ったということにはならぬですからね。そういうこまかいことはいいわけですよ。ただ、実態に合わない、実収反収と全くかけ離れた調査農家の反収というものは、適応性が薄いでしょう。反収二百五十キロも違うような、実態とかけ離れたような調査反収というものを設けて、それで生産費が低いというようなことは理論的におかしいですよ。しかし、百戸なら百戸の調査農家の反収ということになればそうできるわけですから、調査の約束としてそれを全面的に否定するわけではないが、しかし、期待に沿わないで災害等によって減少した場合、やはり収量の差というものが生産費に大きく影響すること、これは否定できないでしょう。ですから、その場合、一応の判断の材料として、千八百六十キロしか収穫がない場合にはどうなるかということをいま尋ねておるわけです。それが計算できないとか答弁できないというのはおかしいじゃないですか。国会で委員質問に正当に答えることができないという場合の理由はそんなところにはないですよ。パリティ指数による計算がどうなったとか、収量によって変化があった場合にはどうなるというようなことを答えることができないなんていうことは、拒否権の理由にならぬですからね。  その次にお尋ねしたいのは、附録第二の勘案事項についても相当作業ができておると思うのですよ。この点は、冒頭のバレイショ実収高の結果によって、需給事情にもやはり影響を来たすわけですから、特に需給関係についてはどういうような作業が進められておるか。これも毎回の委員会でわれわれ委員から指摘しておるとおり、ことしは需要の変化というものを計算上当然要素として取り入れて試算すべきである。この点と、需要に対する供給の変化率はどうなったかということは、これはバレイショのほうは十一日の公表を待って行なっておると思いますが、カンショのほうは十月三日の公表が行なわれておるわけですから、これは作業が進んでおると思うのです。ですから、その点は一体どうなっておるか、それから生産費及び物価事情ということに法律もなっておるので、この物価の動向は、今度の原料基準価格にどういうような反映をすることになるか、プラス的に反映するか、マイナスの要素で反映をするか、これも大体わかると思うわけなんです。それから再生産確保あるいは生産確保ということが法律でも明記されておるわけですが、これはある程度国内自給度の向上ということが政策的に努力しなければならぬ点ですからして、これは当然農林大臣が勘案する要素、いわゆる算式上はrの事項に入ると思いますが、こういう点についてもやはり内部検討はされておると思うのです。ですから、附録第二算式全体を通じて今日までの作業の経過——大まかに基準になる価格に対してどういうような影響を与えるかということについて、項目をあげて示してもらいたいわけなんです。これが大体バレイショ基準価格に対する事項ですね。  そのあとで、さらに前回委員会にも指摘しました買い入れ価格をきめるカンショバレイショでん粉価格算定上、運賃の試算をどういうようにされたか、加工経費の各項目別の試算は一体どうなっておるか、これは当然本日の小委員会において明らかにしてもらわなければならぬわけです。結論というものは、価格がきめられた時点でそれが結論になるわけだから、われわれの質疑の中で明らかにしてもらいたいのは、この作業の中でこれはどこまでいっているとか、大蔵省と折衝を開始したとすれば、農林省案というものをどういうふうに固めて大蔵省といま折衝しておるか、何か農林省案というものがなければ、手ぶらで大蔵省の役人と話し合うことはできないわけです。それらの事項について順を追って、説明を願いたいと思うのです。
  117. 大口駿一

    大口説明員 財政当局折衝いたします場合に、もちろん私どもはある程度数字を持って折衝いたしておるわけでございますが、折衝といいましても、いろいろ議論を戦わすわけでありますので、いろいろな数字をにらみながら折衝したり論議をいたしておりますので、いまの折衝段階で論議の対象になっております数字について、ここでこまかく御説明をするのはぜひとも御容赦いただきたいと思います。
  118. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは、先ほど申しました物価の動向とか、附録第二算式によるところの試算の方法は大体出てくると思うのです。これは上昇指数か下降指数になるかということは、明確にパーセントまで言わぬでもおおよその傾向というのはわかるのです。勘案事項というのは、傾向値を求めるわけですからね。
  119. 荒勝巖

    荒勝説明員 物価のほうにつきましては、政令にも明記されておりますように、私たちといたしましては、ただいまのところ、日本銀行の卸売り物価指数により公表されたものを使っておりまして、これは八月末までの数字が公表されておりまので、一応それをそのまま採用いたしたいというふうに思っております。  それからそのほか、どういう手順で作業を進められたかということでございますが、いわゆる附録第二の算式は、先ほどの御質問にもありましたように、われわれといたしましては、たとえばバレイショを前提に置きますと、一応本年の生産量をつかみ、商品化率というものをいろいろ勘案して——ほとんど予想になりますので、過去の傾向とか、いろいろなところから勘案して商品化率を出し、したがって、でん粉の商品化量といいますか、数量が出てくる、そのほかに、政府が幾ら買い入れあるいは売却したかというふうな、政府がこのでん粉の経済界に関与した程度のものを判断する、そういうことで、ことし市場に総供給される数量が大体どの程度、こういうことを判断して、算出のそういう作業をいたしておる次第でございます。
  120. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 いま部長から言われたそれぞれの項目について、その中で、この価格決定上マイナスの要素になる事項がありますか。
  121. 荒勝巖

    荒勝説明員 マイナスというのは、値を下げる要因になるかもしれないということに解してよろしゅうございますか。——そういたしますと、この中から申し上げますと、ことしに限って申し上げますと、生産量が落ちておるし、したがって、先ほどの御質問にもありましたが、商品化量も、供給量が減ってきておりますので、でん粉価格附録算式から計算いたしますと、値を下げるような要因というものはことしはないのではなかろうかと思っております。ただ一つ、政府が現在バレイショでん粉を三万一千トン持っておりますので、これをどのようにことしの価格決定の中にほうり込むかいなかが現在検討中でございます。
  122. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは附録第二においては、各項目中マイナスの作用をするものは全然ない、いずれもプラスの要素であるということがわかりました。  それから今後の自給度向上、再生産確保あるいは法律の第一条の目的の生産確保、これらの点について、一体どの程度政府意欲的にいわゆる価格政策を通じて——これは価格政策が全部ではないが、しかし、農安法価格をきめるわけですから、価格政策上、自給度を高め、一定量を期待して確保するということになれば、何らかの促進係数というものを使わなければいけないと思うのです。それがかかって農林大臣の勘案とか判断にまかせられているわけですからして、この点はどう考えておられますか。そういうものを使う必要がないと思っておるのか、やはり相当政策考慮というものを価格上に反映されなければならぬと考えておるのか、これはいかがですか。
  123. 大口駿一

    大口説明員 今回の農安法改正の結果、再生産確保を旨としてという字句が挿入されたわけでございます。この字句は、他の農産物の価格決定法律にもしばしばこの表現が使われておるわけでありまして、私ども価格決定いたします際に、この字句をどのように理解いたしますかということは、やはり明年度の生産支障のないように、今年かかった生産費というものをできるだけカバーするような価格をきめるということが、この再生産確保を旨としてという法文に従った価格算定作業の際の勘案事項であるというふうに考えております。
  124. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 では、ありふれたことばだから、別に考える必要はないというのですか。政府が内閣提案で出した法律の中には、たまたまこの表現が再生産確保ということばを使っておるが、その場合の意味は、いま食糧庁長官が言ったとおりだと思うのですよ。しかし、国会において法律改正して、特に再生産確保のためとか、法律の目的に生産確保を行なうということをわざわざ明定した場合は、政府がおざなりに出した法律の中にたまたまそういう同じことばがあるから変わりないというものじゃないですよ。これは立法者の意思によらなければわからぬでしょう。あなた方はそれを忠実に実行しておればいいんじゃないですか。われわれは、価格決定上、いまの需給状態を見ても、ことしはバレイショでん粉は十四万トンしか生産されぬ、カンショでん粉は五十二万トンしか生産されぬということになれば、これは合わせて六十六万トンしか国内のでん粉生産されないじゃないですか。それで、四十一年の需要見込みは百二十五万トンある。そうなれば、政府手持ちの三万トンを入れても実に五十六万トン足りないのですよ。そういうような需給のアンバランスになった状態の中で、それでは幾ら国内の原料イモが不足しても足りないものは外国から入れるから十分だというようなわけにはこれはいかぬと思うのですよ。その点をわれわれは配慮して、やはり農業の生産を通じて国内の自給度というものを——食糧全体あるいは農産物等についても、これは農民生産意欲というものを拡大の方向に刺激する生産政策あるいは構造政策や価格政策を通じてそれをやらなければ、取り返しのつかないことになるということで、再生産確保あるいは目的事項生産確保なる事項を、わざわざ法を改正して明定しておるわけですからね。だから、ことしの場合には、どうしてもその点はやはり価格決定上の要素として用いなければいけないわけです。こういう点は農林大臣が来なければ明確にならぬわけなんですよ。これは指摘にとどめておくが……。  それからもう一つ、現在政府が手持ちしている三万一千トンというものを、算定上これを用いるかどうかということで考えているというのは、これはとんでもない話ですよ。政策的にかつて需給関係の過剰分というものを政府が買い上げて、いわゆる凍結しておるわけですからね。市場から隔絶しておるわけだから、価格というのは、あくまでもその年度における生産されたイモでん粉あるいはその年度を通じての需給事情というものをにらみ合わせて、そうして需給操作の中で政府の手持ちを放出するということは、これは当然行ない得ても、価格算定する場合に、政府が凍結したものをことしの供給量の中へ入れるなんということは、これは大きな間違いですよ。過去においてもそういうことをやろうとしたことはあるが、これはわれわれ国会において指摘して、そういうことは一度もやらせていないのですよ。ですから、いまさらこれを供給の中に入れてみるなんということは、これはとんでもない間違いですから、この点は明確にしてもらいたい。そういうつまらぬことを考えたり頭を悩ましておるから、まともな作業が進まないのですよ。
  125. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘の点でございますが、計算の算出上、政府の手持ちの三万一千トンというものを放出する場合を一応入れて計算する場合もあるということを申し上げたわけでございます。どういうふうにするかは目下検討中、こういうことでございます。
  126. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 だから、そういうことはする必要がないというんですよ。そういうことをやれば、コーンスターチの供給も全部正式に入れるということになるのでしょう。それじゃコーンスターチ供給を需給関係で優先的に出せば、国内の供給量というものは結局圧迫を受けることはもちろんであるが、算定上何らの作用をしないじゃないですか。それは同じですよ。凍結しておるのを出すというのも、外国からトウモロコシを入れて四十万トンとか四十五万トンコンスをつくるから、これは明らかに供給量であるということでいけば、これは何をか言わんやですよ。そういうばかなことを何もする必要はないじゃないですか。そういうことであれば、農安法なんというものは要らぬじゃないか。
  127. 荒勝巖

    荒勝説明員 コーンスターチのほうは、いまのところ、この計算の根拠には勘案して全然入れておりませんので、御了承願いたいと思います。
  128. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 次に、生産者団体意見を徴するということになっておるが、これはことしはもう終わったのですか。
  129. 大口駿一

    大口説明員 生産者団体意見は、最終的に政府決定をいたしまする前にはもちろん徴するわけでございますが、現在大蔵省と折衝中で、ある程度のめどがついたところで意見を聞き、その上でさらに判断をして、最終決定をいたすというつもりでおりますので、まだ正式な意見を聞いておりません。ただ、われわれ算定作業を始める前からいろいろな形で御意見は述べられておりますので、そういう形での御意見の拝承はいたしておりますが、この法律できめられておりますような正式な意見を伺う機会は、なるべく早くいたしまするけれども、まだ聞いておりません。
  130. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 そうすると、まず大蔵省と折衝をして、大蔵省と話し合いがついてから、それから正式には生産者団体意見を聞くということですね、いまの説明は。
  131. 大口駿一

    大口説明員 そうでございます。大蔵省と接衝がまとまった段階というのは、必ずしも一本の価格でもう全然動かしがたい形になったものを私はさしておるわけではございませんので、一応のめどをつけたところで生産者団体意見を聞く、こういうふうに考えております。
  132. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 これは大事な点ですよ。大蔵省と折衝をまずやって、話のついた時点で生産者の意見を聞いて、それを尊重して、そうして農林大臣が当然の独自の権限できめるというわけですね。そうであれば非常にけっこうですよ。そういうことが農林省としてやれるかどうか、そこを明らかにしておいてもらいたい。
  133. 大口駿一

    大口説明員 大蔵省と話をつけてからというのは、時間の前後の問題を申し上げたわけでありますが、私は、大蔵省との話をつけるということは、あくまで事務的な段階での話をさしておるわけでございまして、最終的な政府原案を固めます前に大蔵省との折衝というのは、必ずしも一本の価格ということが折衝の結果の内容ではございませんので、そういう段階で御意見を聞くというのは、昨年もそういうふうにいたしましたし、本年もそのようにいたしたいと考えております。
  134. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 どうもあなたは大事なところがだんだんぼやけていきますね。これははっきりしてくださいよ。農林当局と大蔵省が価格決定上の折衝を行なう——一両日前からもうやっておるという話もあなたはしておったが、その事務当局間の折衝が終わってから、法律に書いてある生産者団体意見を正式に聴取する。法律では、生産者団体意見を聞いて、これを尊重して農林大臣がきめなければならぬということになっておるから、大蔵省と話のついたあと団体意見を聞いて、それを尊重した場合、今度は大蔵省と話した以上に高くきめなければならぬ事態も出てくるわけですからね。それは農林大臣の権限だからできるですよ。しかし、いままではそういうことはやれなかったわけだから、ことしからそういうことをやれる確信があるわけですか。
  135. 大口駿一

    大口説明員 先ほどから申し上げておりますように、生産者団体意見は、いろいろな形で現在まですでに聞いておりますので、そういう形での御意見の拝承はすでに十分いたしておりますけれども、昨年も同様でございますが、最終決定をいたします前に、正式な形であらためて御意見をこちらから伺うという手続をいたします時期は、財政当局との折衝最終段階というと若干違いますが、相当程度のめどがついたところで意見を聞くというふうに考えております。
  136. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 どうしてめどがつかなければ聞けないのですか。むしろ、あらかじめ意見を聞いて農林省としても算定上配慮しなければならぬわけじゃないですか。固まってから形式的にただ意見を聞いたり、きまっちゃってから意見を聞くようでは、これは何にもならぬじゃないですか。そんなものでは聞いたということにならぬですよ。
  137. 大口駿一

    大口説明員 どうも私のことばが足らないかとも思いますが、われわれがこの算定作業に入る前からも、現在も、いろいろな形で生産者団体から御意見を聞いております。したがいまして、私どもが大蔵省と折衝いたします際の、いわゆる農林省考え方を大蔵省に説明いたします場合には、もちろんいままで伺った御意見と全然無関係なことでやっているわけではございませんが、ただ、私が申し上げましたのは、最後の直前の段階で、政府の告示をいたします前に、正式な形で御意見を聞く手続をもう一ぺん踏むという趣旨で申し上げたわけでございまして、あるいは私のことばが先ほど足らなかったかもしれませんが、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  138. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 これは従来しばしば問題になった点なんですよ。法律には、生産者団体意見を聞いて、尊重してきめなければならぬということは明記してあるが、それを行なっていない年がずっと続いておったわけです。それじゃいかぬじゃないかということで、たとえば調整保管団体や全販連や全澱連等について、最も有効な時期に必ず法律上正式に意見を聴取しますということを、これはすでに当委員会においても、当時の担当大臣も明らかにしておるわけなんですよ。それをあなたがまたここで言うことはないわけですからね。何回も同じことを聞く必要はないでしょう。あらかじめ意見を聞くというなら、公式も非公式もないじゃありませんか。法律に基づいて貴団体からこれこれ意見を徴したい、すみやかにその意見を述べてもらいたいということを手続できないことはないじゃないですか。おそくともこれは十月二十日までに告示しなければならぬわけなんですよ。それをこれから大蔵省と事務折衝をして、それが終わってから今度あらためて意見を聞いて、そうして尊重してきめるなんという、そういうあざやかなことはできないですよ。何のためにいまの時点とかいままでに正式に意見聴取ができないかということなんです。
  139. 大口駿一

    大口説明員 私先ほどから申し上げておりますことは、政府がこれから価格をきめるのだけれども意見を出してもらいたいというような意見は、現在までにすでに十分伺っておりますし、また書面で御意見を出してこられた向きもあるわけでございますから、それは当然、私ども算定をいたしたり、いろいろな事項を勘案いたします際に、十分参考にいたしておるわけでございますが、私がその正式の意見を聞くということを申し上げましたのは、政府が大体どこら辺できめておこうというある程度のめどが事務的についたときに、その内容を向こうに言って意見を聞くという手続をもう一回踏むという趣旨で申し上げたのでございまして、あるいは私の申し上げた点、ことばが足りないために、従来のやり方よりも一歩後退したようなふうにおとりになったとすれば、全くそういう意思はございません。私が先ほどから申し上げておりますのは、先方から今年の算定についての御意見というものについては、従来とも十分出ておりますが、私ども最後にもう一回書面で正式に意見を聞くというのは、政府がこういうところで価格をきめたいがという、そのこういうところでというのは、事務段階での大蔵省との折衝数字等を示して、意見を聞くということでございます。これはあくまで事務段階での折衝のめどで聞くわけでございます。大蔵大臣農林大臣とが正式に折衝して、動かしがたいものになってから意見を聞くというふうにおとりいただかないようにぜひお願いいたしたいと思います。
  140. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは、農林、大蔵当局が話し合いをして、大体話のついた案を示して、これに対して意見を述べてもらいたい、こういう意見の聴取のやり方をことしはやるというわけですか。
  141. 大口駿一

    大口説明員 そのとおりでございます。
  142. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それはいつ出すのですか。考慮の余地があるようにして出さないと……。法律はそうじゃない。あらかじめ意見を聞くということは、昭和四十一年度のイモ類の基準価格あるいはでん粉政府買い入れ基準価格決定する時期がきたが、農安法趣旨に基づいて、貴団体においてすみやかに意見を述べてもらいたい、こういうことでいままでやっておるのです、書面で。それを今度は、こういう案が農林省、大蔵省でまとまったが、これについて意見があるかどうか聞かせてもらいたい、こういうふうな聴取の方法はおかしいじゃないですか。拘束するのじゃないですか。それはだめだとか安過ぎるということを言ってきた場合にどうするわけですか。
  143. 石田徳

    ○石田説明員 私から昨年の例をちょっと御紹介申し上げますと、昨年の農林委員会で先生から、これは書面でとるべきであるという御意見がございました。その前の年までは実は書面でとっておりませんで、口頭で意見を聞いておりますが、昨年からはそれを改めまして、書面で意見を徴したわけでございます。そういうことの雰囲気は各団体ともわかっておりますので、ことしもすでに十月七日で正式の文書が出ておりますが、各団体からあらかじめ意見を文書で出されます。それを、先ほど長官が申しましたように、作業段階で尊重してやっておるわけでございますが、団体といたしましても、最後段階政府がどういう価格できめるのであろうかというおおよその数字がきまらなければ、最終的な意見も言えないということでございますので、先ほど長官が申し上げましたような段階でどうやら数字が出たところで、もう一度意見を徴しまして、これに対して正式な文書で意見が出るということでおしまいになるわけでございます。昨年はそういうふうにしたわけでございます。
  144. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは、政府決定の何日前くらいに最終的な案を示して意見を求めるわけですか。
  145. 石田徳

    ○石田説明員 昨年はちょっと時間がございました。私もはっきり覚えておりませんが、きめられましたのは二十五日でございましたが、意見を聴取したのはたしか十六日か十八日ではないかと思います。その決定までの期間によると思いますが、いずれにいたしましても、先ほど長官が申しておりますように、最終決定をするに至らない段階意見を聞いたわけでございます。
  146. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それでは、法律に基づいた意見というのは書面で提出されておるわけですね。
  147. 石田徳

    ○石田説明員 そのとおりでございます。
  148. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 委員長に申し上げますが、どうしますか。大体一時二十分になりますが。先ほどの計算だけ答えていただいて、そして休憩に入られたらどうかと思いますが、いかがですか。
  149. 本名武

    本名小委員長 開会前にお打ち合わせいたしましたように、相当具体的に検討する必要もあるが、時間の関係上懇談会に移してやろうということでありましたので、直ちに懇談会に移してまた相談したい、また質問も……。
  150. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 数字だけできておるでしょう。まだというのは、何をやっておるのですか。やればあんなものはもうできておるのですよ。拒否してやらないならやらないと言いなさい。そういうことは明らかにしませんとか、答弁できませんという態度であれば、これは発言して明らかにしてください。そういうやり方というのはいままで例がないのですよ。何のために拒否しなければならぬのです。計算の時間をわざわざ与えて、そうしてその答えが出るまで質問を先に進めておるわけでしょう。むしろこちらが協力しておるわけじゃないですか。政府の方式によるパリティの計算と、三十九年、四十年のパリティによって、昨年の基準価格にそれを乗じた場合どうなるかなんということは、三十分以上たってできないということじゃないじゃないですか。生産費の問題にしても、政府のやられた反収をことしの実収反収あるいは予想反収と数量を置きかえて計算した場合にどうなるかということを計算してくれと言っているのじゃないですか。それがまだできないというのは、一体どういうわけなんです。これは委員長明からにしてもらいたいです、委員会の権威からいっても。
  151. 大口駿一

    大口説明員 いまこの場で計算をさせました数字を申し上げます。  まず最初に、四十一年の八月パリティを分子として、昨年の九月から本年の八月までのパリティの平均を分母にいたしました数字を、昨年の決定されましたカンショバレイショ基準価格に乗じて計算いたしました数字は、カンショ三十二円八十九銭、バレィショ二十四円六十六銭でございます。  それからもら一つの、先ほど芳賀先生が御指摘方法、すなわち、四十年度の平均パリティ指数と三十九年度の平均パリティ指数との比率を昨年度のカンショバレイショ基準価格に乗じて計算をいたしました計算の結果は、カンショ三十四円二十一銭、バレィショ二十五円六十六銭でございます。  生産費のほうは計算が複雑なんで、ちょっと時間をいただきたいと思います。
  152. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 結局政府生産費として公表した、たとえばバレイショの場合には、これは百戸の調査農家の平均反収が二千六百十五キロということになっておるわけなんですよ。その結果、生算費が百キログラムで五百二円、三十七・五キログラムにした場合には、先ほど政府側から答弁のあった二百一円ということにこれはなっておるわけですね。ですから、私の尋ねたのは、この二千六百十五キロという調査農家の昨年の平均反収を、これをことしのバレイショ実収高による反収千八百六十キロで計算した場合にはどうなるかということを尋ねたわけですよ。ですから、この反収の数字だけを置きかえて、十アール当たりの一万三千九百六十九円、これを対象にして、これは反当の生産費が一万三千九百六十九円ですから、これを二千六百十五キロで割れば、百キロ当たり五百二円、三十七・五キロ当たりが二百一円ということになるわけですからね。今度は一万三千九百六十九円を千八百六十キロで割れば、これは百キロ当たりの七百五十一円という数字がすぐ出るのですよ。三十七・五キロにすれば、二百八十二円という答えができるじゃないですか。それをどうしてやらないのですか。
  153. 大口駿一

    大口説明員 私は、先ほど芳賀先生が四十一年のことを申されておりましたので、若干御要求の趣旨を取り違えておりまして、まことに申しわけございませんでした。  昨年の生産費調査の中の十アール当たり生産費をキログラム当たり生産費に直す際の反収を単純にことしの数字だけに置きかえる計算でございますれば、きわめて簡単でございまして、私思い違いをしておりましたので、たいへん失礼をいたしました。大急ぎで計算をして申し上げます。——バレィショだけ大急ぎでいま計算いたしましたが、三・七五キロで二十八円六銭。
  154. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 カンショは……。
  155. 大口駿一

    大口説明員 カンショは、同じく三・七五キロで三十八円二十五銭。
  156. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 それじゃ休憩してください。
  157. 本名武

    本名小委員長 暫時休憩いたします。    午後一時三十一分休憩      ————◇—————    午後五時十九分開議
  158. 本名武

    本名小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  いもでん粉等価格対策に関する件について調査を進めます。  いも、でん紛等価格対策に関する小委員会は、十月五日、六日及び十四日の三日間にわたり開催され、イモでん粉価格等について調査を進め、今日までの審査を通じ政府考え方もかなり明らかになってまいりましたが、政府価格決定も間近いので、当小委員会の結論として、この際、昭和四十一年産カンショ及びバレイショ原料基準価格並びにでん粉及びカンショなま切り干しの政府買い入れ価格等に関する件についておはかりいたします。   昭和四十一年産しょ及び馬鈴しょ原料基準価格並びにでん粉及び甘しょ生切干の政府買入価格等に関する件   一、いもでん粉等の価格を速やかに決定すると共に、甘味資源の自給度向上と畑作地域の農業振興の立場から再生産確保されるよう生産農家の要望に応えて妥当な価格水準を設定すること。   二、右の価格算定に当っては、改正農安法の完全実施に留意し、適正歩留りの設定と完全スライド制の採用により原料基準価格を定めると共に、実際支出される原料運賃、でん粉工場の経費が適正に織込まれるよう留意すること。   三、本年度でん粉類の不足対策として、専らコーンスターチ増産にたよることは長期的に見て畑作振興上悪影響があるのでコーンスターチ工場能力設備拡大の抑制措置及び関税割当制度は継続すること。   四、でん粉工場の合理化を更に推進し、工場廃液処理施設に対する費用負担については国庫補助等の措置を検討すること。  以上の諸事項を本小委員の結論とし、その調査経過とともにこれを本委員会に報告いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 本名武

    本名小委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、調査経過の詳細につきましては、本小委員会会議録をごらん願いたいと存じます。  この際、ただいまの本小委員会の結論について、政府から御発言があればこれを許します。大口食糧庁長官
  160. 大口駿一

    大口説明員 ただいま拝承いたしましたこの委員会の御結論並びに三日間にわたる小委員会において出されました御意見等につきましては、逐一上司に報告いたしまして、政府においてこれが善処されるよう、私としては最善の努力をいたしたいと思っております。
  161. 本名武

    本名小委員長 なお、本委員会に対する報告等につきましては、小委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 本名武

    本名小委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。   午後五時二十三分散会