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1966-10-05 第52回国会 衆議院 農林水産委員会いも・でん粉等価格対策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十一年九月十日(土曜日)委 員会において、設置することに決した。 九月十九日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       池田 清志君    仮谷 忠男君       白浜 仁吉君    田口長治郎君       舘林三喜男君    中川 一郎君       本名  武君    赤路 友藏君       兒玉 末男君    芳賀  貢君       松浦 定義君    中村 時雄君 九月十九日  本名武君が委員長指名で、小委員長に選任さ  れた。     ————————————— 昭和四十一年十月五日(水曜日)    午後一時四十八分開議  出席小委員    小委員長 本名  武君       池田 清志君    中川 一郎君       赤路 友藏君    兒玉 末男君       芳賀  貢君    松浦 定義君  小委員外出席者         農林水産委員  倉成  正君         農林水産委員  小枝 一雄君         農林水産委員  川崎 寛治君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  松田 寿郎君         食糧庁長官   大口 駿一君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    荒勝  巖君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部砂糖類課         長)      石田  徳君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  いもでん粉等価格対策に関する件(昭和四十  一年産しょ及び馬鈴しょ原料基準価格並び  にでん粉等政府買価格に関する問題)      ————◇—————
  2. 本名武

    本名小委員長 これよりいもでん粉等価格対策に関する小委員会を開きます。  このたび私が小委員長指名されましたので、よろしくお願いいたします。  いもでん粉等価格対策に関する件について調査を進めます。  この際、昭和四十一年度産カンショバレイショ収穫予想高及び政府買い入れ価格等について、政府から説明を聴取いたします。松田統計調査部長
  3. 松田寿郎

    松田説明員 それでは、まず本年産カンショ予想収穫量から御説明を申し上げます。  お手元に十月三日公表の九月二十日現在の予想収穫量に関する資料がお届けをしてあると思いますので、その資料に基づきまして御説明いたします。  第一ページに、カンショの第一表に、収穫量を前年と対照いたしましてまとめた数字が載っております。御承知のように、カンショは毎年作付面積が減ってまいっておるのでございますが、本年も昨年に比べて一万三千ヘクタール減っておりますけれども、多少減少程度はとどまってきた、小さくなってきたということがいえるかと思います。  それから収量でございますが、収量はここ数年多少頭打ちでございまして、生産性の伸びが頭打ちになっております。これは昨年に比べまして本年の収量が約一%増、十アール当たりで十キロの増、こういう予想でございまして、作況指数といたしましては平均反収の九七%ということでございます。これの作柄の模様でございますが、二ページへまいりますと、それが大体書いてございます。これの大どころの産地でございます関東東山でございますが、関東におきましては日照が御存じのとおり不足いたしまして、そのために生育が多少阻害された。それから西のほう、特に四国九州でございますが、これは七月中旬以降九月の上旬まで、降水量の不足のために干ばつぎみでございまして、そのために多少生育が阻害されたということでございます。被害原因は、ただいま申し上げましたようなことでございまして、それの地域別の表が三ページに掲げてございます。ごらん願いますと、関東東山作況指数で九四%、それから四国九州、ことに九州が九六%、一番大きな、全国の約六割程度九州干ばつぎみで九六%の作況指数、こういう状況でございます。県別数字はその裏側の四ページにあげてございますので、ごらんをいただければけっこうかと思います。  続きまして、春植えのバレイショ予想でございますが、これも八月三十日公表資料をお手元に差し上げてございます。これはちょっと御注意を申し上げておきますが、北海道を除きます都府県収量決定した数字でございます。北海道のみが収穫期がまだおくれておりますので、予想収穫量、こういうふうに御理解を願いたいと思います。  これは八月十五日現在の調査公表いたしたものでございますが、正式ではございませんが、本年の状況にかんがみまして、われわれのほうで特に臨時に九月一日現在で調べております。これは正式の手続を経たものではございませんので、そういう意味でお聞き取りを願いたいと思いますが、九月一日のわれわれの見ておりますところもつけ加えまして御説明を進めていきたいと思います。大要は二ページの第一表にまとめて掲載をいたしておりますので、それを御説明いたします。  まず、作付面積でございますが、バレイショ作付面積は、全国的に見ますと、ここ十年ばかり大体一定をいたしておるのでございますが、本年につきまして特に変わったところは、北海道が著しく作付面積減少いたしております。そこへありますように、面積にいたしまして一万二千四百ヘクタールの減少を見せております。それから作況指数でございますが、これはこの八月十五日では九七%、昨年が十アール当たり北海道では二千三百八十キロでございましたが、本年は九七%といたしますと二千キロ、これは非常に違っておりますのは、御承知のように、昨年の二千三百八十キロは作況指数にしまして二八%、非常な豊作でございまして、予想外に昨年はとれたということで、本年が九七%といいますと、われわれでやや不良という程度でありますが、二千キロと非常に差がついております。これが九月一日でわれわれの見るところでは約九二%くらいの作況ではなかろうかというふうに、これは公式ではございませんけれども、見ております。その八月十五日の北海道を少し内訳を見ますと、函館札幌、これは統計調査事務所の管轄で分けておりますが、函館札幌は大体平年並みあるいはやや良というところでございましたが、北見帯広が悪い、こういうことでございます。ところが九月一日になりますと札幌函館は、札幌が多少悪くなっておりますが、函館はほとんど変わっておりません。北見帯広管内が非常に悪くなっておるのではないだろうかというふうに見ております。その結果、北海道全体としては、九月一日現在では約九二%程度考えております。  この作柄状況でございますが、作柄状況につきましては、その二ページの下のほうから書いてございます。御承知のように、北海道では雪解けがおくれておりますし、それから萌芽もおくれておる。生育軟弱徒長ぎみであって、開花期も十日ほどおくれておる。ところが、この八月十五日ごろでございますと、まだ地上部茎葉の枯れ上がりがおそいので、今後イモの肥大がかなり進むのではなかろうかということを見込みまして、九七%という作況指数をはじき出したのでございますが、その後の状況を見ますと、御承知のように、八月の下旬はわりあいに温度は高かったから、そのために地上部茎葉が枯れて生育がとまっております。それからなお、疫病北見帯広管内では相当に広がりまして、被害概況の一番最後のところに「今後さらに疫病の発生が懸念される。」ということを申しておりますが、この懸念がちょうど残念ながら的中のような状況でございまして、そのために九二%、こういう数字が九月一日現在で考えられております。  なお、詳細は、そのあとに各県別でございますとか地域別数字がございますから、資料をごらんいただきたいと思います。  以上でございます。
  4. 本名武

  5. 大口駿一

    大口説明員 本年産イモ基準価格並びにカンショバレイショでん粉基準価格決定についての現在の作業状況について御報告申し上げたいと思います。  先国会におきまして農産物価格安定法の一部を改正する法律議員提案によって御制定になりまして、本年の価格決定は、食糧庁といたしましては、この改正法律趣旨にのっとりまして決定をいたすことは申すまでもないわけでございますが、この新しい改正法律に基づきまして価格決定をいたします際に、従来の規定によりますれば、原料基準価格パリティ価格生産費需給事情その他の経済事情を参酌をしてきめるということに相なっておったわけでございますが、今度新たに改正をせられました法律に基づきまする価格決定は、パリティ価格基準といたしまして、物価需給事情等勘案をして決定をするということに相なったのでありますが、いずれにいたしましても、カンショバレイショ需給事情というものを勘案事項の中に入れまして価格決定をしなければならないことにつきましては、昨年と同様であるわけでございます。価格決定いたします期限は、従来十月の末までに決定をするということに相なっておりましたのが、改正法律に基づきまして十月の二十日までに決定をするということになったわけでございます。もちろん、各方面から、カンショバレイショの取引の時期等の関係で、できるだけ早くこれを決定をするようにという御要望を私ども承っておるわけでございまするが、先ほど申しました価格決定いたします際に一つ勘案事項になります需給事情につきましては、ただいま統計調査部長からカンショにつきまして十月三日公表予想収穫高について御説明があったわけでありますが、これはすでに公表されておりますので、私ども需給事情勘案をいたします際には、カンショにつきましては、この予想収穫高数字を使いましていろいろな作業をいたすわけでございます。しかしながら、バレイショにつきましては、ただいまの統計調査部長の御説明にもございましたように、北海道につきましてはまだ収穫高最終的に発表になっておりませんで、これは十月の十一日に最終的な収穫高発表になることになっておるわけでございます。北海道を除く都府県につきましては先ほどの御説明数字最終数字でございますが、バレイショでん粉並びにバレイショ価格につきまして最も重要な要素でありますところの北海道につきまして、来週になりまして最終数字発表になります関係上、私どもといたしましては、その数字に基づきまして需給事情勘案事項等計算をし、そのほかの事項総合勘案をいたしまして、最終的に政府原案を作成するというような段取り考えておる次第でございます。したがいまして、ただいま申しました北海道収穫高発表を待ちました上で、すべての計算に使用いたしまする諸数字を取りそろえました上で総合的な計算をし、政府としての原案作業に入り、また折衝いたすべき方面との折衝も開始する、かように考えておる次第でございますが、いずれにいたしましても、本年の価格算定にあたりましては、改正農産物価格安定法趣旨を十分体しました上で本年の作業を行なってまいりたい、かように考えておりますので、御審議に入ります前に、一言現在の食糧庁の仕事の段取りにつきまして御報告を申し上げた次第でございます。
  6. 本名武

    本名小委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  7. 本名武

    本名小委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。松浦定義君。
  8. 松浦定義

    松浦(定)小委員 昨年もこのカンショバレイショ価格決定については非常に重大な段階に入っておったのでありまして、その原因は、今日まで行なっておる基礎になる諸問題が生産者から見れば非常に不当である、こういう立場から問題になりまして、それではそれを是正するということで、いまお話がありましたように、本年の通常国会終末に至って内容を一部変えたわけであります。ところで、いま説明を聞きますと、それによって何ら作業が進んでいないのではないか。特にきょうは千葉あるいは九州カンショの主産地委員質問に立ちますから、私は北海道バレイショに限って質問をいたしたいと思います。  そこで、まず第一にお聞きいたしたいことは、いま申し上げましたように、法律改正されまして、それに沿った決定をしようと思いますれば、従来のような調査のあり方ではいけないのではないか。いまお話しになっておりますように、カンショの場合は、すでに作況指数がきまっておるから、これでまず作業が進められる。しかし、バレイショの場合は、十月十一日の収量決定を見て、その数字によって進める、こういうお考えであります。そこで、お伺いいたしますが、従来は、たとえば昨年は、幾日の最終期日によってこれを算定されたか、それをまず聞きたい。
  9. 大口駿一

    大口説明員 お答えいたします。  統計調査部からバレイショ収穫高につきまして昨年発表になりました期日は十月の十日でございまして、本年は十日が祭日の関係で十一日になっただけでございまして、発表期日は同じ期日でございます。したがいまして、昨年の価格決定も、バレイショ収穫高発表を待ちました上で、需給関係数字作業に取りかかった上で、最終的な価格決定作業に入ったということでございます。
  10. 松浦定義

    松浦(定)小委員 それで、今年は十日間その発表が引き上げられたわけですね。十月の二十日となっておるわけです。そうしますと、昨年は三十日ですから、昨年と同じ数字、むしろ一日延びたその報告によって、やはり十月二十日に発表できるのですか。
  11. 大口駿一

    大口説明員 ただいまの御指摘期日は、価格決定すべき最終期日でございまして、改正前の法律によりますれば十月三十一日まで。昨年実際に決定をいたしましたのは、十月二十五日に決定をいたしております。私ども作業についてのいろいろな準備はもちろん現在着々と進めておりますので、十一日に数字発表になりますれば、価格決定すべき時期までに作業のために価格決定が著しくおくれるというようなことは全く考えておりません。
  12. 松浦定義

    松浦(定)小委員 それではその点は了解いたしたいと思います。  それでまず、先ほどからお話にありますように、農林省が現地農家圃場調査される、そういう場合に統計調査部からどんどん上がってくると思うのですが、その場合には、やはり特定の農家を指定して、それによって作業が行なわれておるのか、ただ全体を見てそういうまとめをされておるのか、その点はどうなんですか。
  13. 松田寿郎

    松田説明員 これは例年のことでございますが、イモにつきましては、ためし掘りを何ヵ所かやりまして、それによってその他の一般の作柄を判定いたしまして収量をきめておる、こういうことでございます。
  14. 松浦定義

    松浦(定)小委員 その場合には、圃場対象になる農家というものはどの範囲のものであるかということを聞いておるわけです。
  15. 松田寿郎

    松田説明員 その対象になる農家は全農家でございますけれどもためし掘りは、私も確かではございませんが、全部で大体一千ヵ所くらいのためし掘りをやっております。
  16. 松浦定義

    松浦(定)小委員 対象になるのは全農家で、ためし掘りは一千農家くらいだ、そうしますと、やはりそれは、北海道の場合は函館あるいは帯広札幌という形で行なわれると思うのですが、その一千農家決定したものを全体に加算する、こういうわけですね。それは従来と本年も変わりはないわけですか。私のいまお尋ねしたいのは、先ほど報告のありましたように、本年は北海道は非常に冷害だ、こういう予想を立てておるわけです。昨年の数字というものは、むしろ史上最高数字であった、こういうふうに私は見ておるわけですが、いまの発表でありますと、現在ではまだ最終的な決定ではないけれども、昨年よりやや不良だという程度発表なんです。私どもが見た場合に、昨年の数字から見て、本年の数字が九二ですか——九二でしょう。今度は大体九七を見込める、こういうわけですか。
  17. 松田寿郎

    松田説明員 御承知のように、八月の十五日に九七、それからだんだんと状況が悪くなりまして、九月一日で九二でございますから、実際の収穫はあるいはそれを多少下回るのではないか、こういうふうに考えております。   〔小委員長退席池田(清)小委員長代理着席
  18. 松浦定義

    松浦(定)小委員 われわれ現地で、すでに北海道の場合はどんどんと工場へ搬出して、全農家がほとんど掘り終わっておる、こういう状態なんです。そういう実態から見ましても、当然、昨年から見たら、しろうと目に見ても大体七分作だ、こういう算定をしておるわけですが、いまの調査でありますと、それとはだいぶ食い違いがあるのではないか、私はこう思うのです。そういう点の調査は、いまお話のありましたように、昨年から見たら相当減収、だといいながら、その間の事情がまだ相当食い違いがあるかのように私どもは見るわけですが、最終決定が十月十日ということになりましても、現地調査というのは、もっと前に調査をされると私は思うのです。その現地調査最終の時期というものは、大体いつごろを見ておるわけですか。
  19. 松田寿郎

    松田説明員 現地お話のとおり大体先月末で終わっておるのではないか。現在われわれのほうへ続々と電信が入っております。これをわれわれのほうで整理、取りまとめをいたしております。  それからもう一つお話の、昨年から見て七分作くらいというお話は、われわれの見方と大体合っておりまして、先ほどあるいは御説明が足らなかったかもしれませんが、昨年が平年作に比べて一一八%でございまして、それが九二%ということになりますと、大体昨年基準でいくと七分作に近い、お話のとおりくらいじゃないかとわれわれも考えております。
  20. 松浦定義

    松浦(定)小委員 それは、私は昨年と言ったのは平年作です。昨年は特にいいわけですから、昨年から見たらとても七分どころじゃないわけですからね。平年作から見たら七分作だ、こういうふうに私は言っておるわけであります。
  21. 松田寿郎

    松田説明員 われわれのほうでは、平年作に比べてはやはり九〇を下回らないくらいのできではないか、こういうふうに思います。
  22. 松浦定義

    松浦(定)小委員 私どもはそういう点が相当従来からも違っておりますけれども、昨年どちらかというと、あまりよかった関係から、そういうものを基準にして、今年もそれは入るわけでしょう。三年間の中に四十年度は入るわけでしょう。三年間のあれといいますと、そういう点で、私はいま言ったように、統調数字というのは相当多く見ている、こういうふうなことを申し上げているわけです。もしこれが現にすでに終わっておるということになりますと、実態はもう私はわかっていると思うのです。それがいまここで発表の場合に、まだそれが明らかでない、こういう点でいま作業が進まないという点については、非常に私どもとしては不満なわけでありますが、そういう点ではどういうふうに思っておられますか。
  23. 松田寿郎

    松田説明員 御承知のように、大体収穫が先月末から、あるいはよほどおくれて今月の初めにかかっておるというのが実情でございますので、われわれとしても、大至急にその調査の結果を集めておりますけれども、やはり十一日の発表というのが、この実収高といたしましては最も早い時期ではないか、こう思います。
  24. 松浦定義

    松浦(定)小委員 それから昨年の歩どまりですが、昨年は一六・五という算定をしておるようですが、今年の場合は現在ではどの程度歩どまりを見込まれて、調査としてあがってきておるかをお聞かせ願いたいと思う。
  25. 石田徳

    石田説明員 ちょっと食糧庁のほうで算定いたしました場合の歩どまりは一六・五でございましたが、歩どまりというのは、まだあとでなければわかりませんので、予想してきめたのがそうでございます。実績といたしましては、昨年は食糧庁の調べでは一八・一%が出ております。
  26. 松浦定義

    松浦(定)小委員 それは今年ですか。
  27. 石田徳

    石田説明員 先生が昨年は一六・五%だとおっしゃいましたが、実績は一八・一%でございます。
  28. 松浦定義

    松浦(定)小委員 そうしますと、今年の現在のあれはどの程度のものを見込まれておりますか。
  29. 松田寿郎

    松田説明員 歩どまりのほうは私のほうではやっておりません。
  30. 松浦定義

    松浦(定)小委員 したがって、十月十一日の調査の結果によってこれからの価格決定に入るわけですが、先ほどお話がありましたように、私ども去年の実態からことしを見まして、御承知のように、法律改正されまして、そしてその結果がどのような状態になるかという概括的な考え方を私は聞かせていただきたいと思う。実は先般も農林委員会でちょっとお聞きしたのですが、それはまだいまのところ言えない、こういうお話でしたが、いますでにそういう数字が出てきておるわけですし、いまお話しになりましたように、すでに法律改正されて、基準価格のきめ方についてもいろいろ考えなければならぬ、こういうお話ですが、そういう場合に、どの程度金額というわけにはまいりませんけれども相当金額がこれによって昨年よりは高くなる、あるいは高くならないとかなんとかいう点については、いま御調査の結果はどういうふうにお考えになっておるかをお聞きしたい。
  31. 大口駿一

    大口説明員 先ほど冒頭に申し上げましたように、価格作業そのものは、すべてのデータを取りそろえて総合的に判断をした上で作業をするということを申し上げたわけでございますので、いろいろ準備をいたしておることは事実でありますが、いまここで数字についてある程度のことを申し上げる段階ではないことは御了承いただきたいと思いますが、今回の農産物価格安定法改正に基づきまして、従来パリティ価格というものは一つ勘案事項であったわけでありますが、これが本年の改正の結果、パリティ価格基準とするということに一本はっきりと筋がきめられたわけでありますので、私どもの現在の推測といたしましては、パリティが若干なりとも昨年から上昇いたしておりますことも勘案いたしますと、本年の最終的な結論の価格は、昨年より上がるのと、同じと、下がるのとを申し上げれば、もちろん若干の引き上げの結果に相なるのではなかろうかというふうに存じておりますが、詳細の数字等につきましては、現在まだ十分な確信を持って申し上げられる段階でございませんことを御了承いただきたいと思います。
  32. 松浦定義

    松浦(定)小委員 それは確かに数字が出てこないところでいまからどうこうという金額が出ないことは、これは私どもも知っているわけですが、少なくとも昨年いろいろ問題になりまして、今年それが改正になったわけですから、私は、相当額がこれは上がらなければならぬというふうに実は考えているわけなんです。法案審議の場合におきましても、どちらかといえば、この改正によって相当他の物価にも影響するといったような政府筋の意見もあったわけでありますから、そういう点から考えますと、これは相当量金額が上がるのだ、こういうふうに考えておりますから、お尋ねしたわけなんです。  それからその法律改正の場合に、特に重点的に問題になりました運賃問題等が議題になったわけです。これは従来は生産者負担になっておったのを、今度は庭先渡しでいいということになるわけですから、この運賃加算の場合は、やはりこれもまた他の物価勘案した料金がそれに加算されると思うのですが、そういうふうに出たものはそのまま金額として加算されるのかどうか、こういう点はどういう見解を持っておられるか、お聞きしたい。
  33. 大口駿一

    大口説明員 今回の改正の中の一つのポイントといたしまして、でん粉基準価格決定する際に、従来加工に要する費用だけを加算をいたしておりましたのに加えまして、原料運賃加算が新たに入りましたことは御指摘のとおりでありまして、私ども、この新たに加えられました原料運賃加算額を幾らにするかという問題につきましては、十分調査をいたしました結果、適正なる数字を織り込みたいと思っておりますが、詳細につきましては担当の課長から御説明をいたします。
  34. 石田徳

    石田説明員 まだ調査が何もない段階法律改正になりましたので、十分な調査は今年度はできていないわけでございますが、幸い北海道の場合は合理化工場が徐々にウエートを増しておりまして、最近では七〇%以上を占めるくらいに来ていると思います。この合理化工場につきまして調査をいたしましたものをできるだけほとんどそのままをとっていきたいと考えておりますが、まだほかの資料等も出ておりませんので、そこまでの積み上げました計算をしておりませんが、運賃につきましては調査の結果を採用していきたいと考えております。
  35. 松浦定義

    松浦(定)小委員 そうしますと、いまお話のように、合理化工場等がやっておる問題は、他の小さい工場とはむろん金額にしても多少合理化されるというのか、適正なものが出ておる、こういうふうに見て、それをそのままひとつ実行したい、こういう考えですか。
  36. 石田徳

    石田説明員 合理化工場は集荷する範囲が大きゅうございますので、したがって、運賃も大きく出ておると思います。そういう点から申しますと、小さい工場に運ぶのに要しております運賃はそれよりも少ないというわけでございますから、当然そういうところで不都合はないのじゃないかと考えております。
  37. 松浦定義

    松浦(定)小委員 そうしますと、かりに小さい工場の場合は、やはり小範囲であっても相当施設その他によって違う面があるわけですね。そういう点について、むしろ多少高くなるのではないかという、私ども心配する点が出てくると思うのですが、そういう場合には、たとえ小さい工場が高くなっても合理化工場が出したもので一律にする、こういう考え方ですか。
  38. 大口駿一

    大口説明員 基本的な考え方といたしまして、合理化工場をできるだけ育成をしたいという一つの政策的な目標があるわけでありますので、この大型合理化工場について調査をした結果の数字をつかんで、それを採用したいということを考えておるのでございます。もちろん、原料運賃は個々の工場ごとにケース・バイ・ケースでいろいろ違うと思いますけれども考え方としては、大型合理化工場の運賃を採用してまいりたい。なお、補足的に申し上げましたのは、大型合理化工場のほうが集荷範囲も広いので、すべてのそれよりも小さな工場の運賃が全部これよりも高いということはまずなかろうということを補足的に申し上げたのだと思います。
  39. 松浦定義

    松浦(定)小委員 生産者について見ますと、法律改正されて物価等の問題を勘案すると、あるいはそれに原料運賃がそのまま加算されるということになれば、相当まあ昨年から見れば幅が大きくなる、こういうことは期待しておるわけなんです。そういう問題を期待しておるにかかわらず、やはり収量の問題に対する誤差とかあるいはまた歩どまりの点についての考え方等がやはり適正を欠くということになれば、それらの期待はそういう中で相殺されてしまう、こういう点が心配なんです。明らかになっておるものについては、やはり明らかに他のものにこだわらないでひとつやっていただかなければならぬ。でありますから、原料運賃というようなものは、やはり実際かかったものをそのまま見る、こういうことでなければならぬと私は思う。したがって、いまお話しになりましたように、合理化工場が一番範囲も広いから相当運賃もかかるであろうというところで、それを中心としてかかったものをそのまま加算をしたい、こういう考えでおるというふうな長官の御答弁のようですが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  40. 大口駿一

    大口説明員 きわめて端的に申し上げますれば、原料運賃については、きわめてすなおに計算をいたしたいと思っております。ほかがすなおでないという意味じゃございません。
  41. 松浦定義

    松浦(定)小委員 きょうは初めての委員会で、各委員相当発言等もあろうと思いますし、私は、特に北海道バレイショの問題に限られますと、いまお話しのようにまだ数字相当あとでなければわからないということで検討中だというお話もございますから、私の質問はこれで一応打ち切りますが、少なくともいま申し上げましたように、昨年度から見たら相当の冷害を受けておるわけですから、平年反収から見たら七割以下でなかろうか、私はこういう考え方をしておるわけです。調査の結果というものが、もうずいぶんいままででも農業団体その他が調査したものは統調調査にどちらかというと左右されてしまう、こういう点が多いわけであります。特に本年度は法律改正時における基準のものをきめるわけですから、こういう点につきましては十分ひとつ配慮されまして、適正な反収、適正な歩どまり、そういう中から出てきた適正な価格というものを設定されるべきである、私はこういうふうに考えておりますから、こういう点についての長官の御所見を承りまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  42. 大口駿一

    大口説明員 ただいま先生が御指摘になりました本年の価格決定については、本年の作況等にかんがみて、法律改正したのだから、法律改正しただけの成果を見せてもらいたいという趣旨の御指摘であろうと思うのでございます。いまの御意見に私あえていろいろ意見がましく申し上げる気はございませんが、私は、先般の農産物価格安定法改正の内容からくる効果というものはいろいろあると思いますが、一番大きな問題は、やはりパリティ価格基準とするということ、それから再生産の確保を旨とするということは、かりに非常に作況がよくて過剰な状態になった場合に、従来は需給事情というものに非常に大きなウエートを置いて、ややもすれば非常に大きく価格が引き下げられるような可能性を含んでおったのが、そこの点がまずふたをされたということが非常に大きな効果ではなかろうかと私は考えておるのでございます。もちろん、本年の北海道バレイショのごとく、昨年と比較をいたしまして非常に作況が悪いというときの価格について、現在の農産物価格安定法価格算定をいたしまする諸要素が全くそれを勘案しないという趣旨で申し上げておるわけではございませんけれども改正の農安法の発足の第一年目として、もしかりに本年非常に過剰状態になっても、イモ生産者並びにでん粉価格というものは一定のパリティ数字等でもって保護されておるということが、私は端的に申しまして、一番大きな効果ではなかろうかというふうに考えておるわけでありますが、しかし、いずれにいたしましても、本年改正されました改正法律に基づいて制定をされておりまする諸算式を忠実に踏襲をして、私どもいずれ基礎資料が全部そろいました段階で適正な算定に入ってまいりたい、かように考えておりますことを特につけ加えさせていただきたいと思います。
  43. 池田清志

    池田(清)小委員長代理 中川一郎君。
  44. 中川一郎

    中川(一)小委員 少々意地の悪い質問になるかもしれませんが、この点はお許しをいただいて、率直にこの際長官の御意見を承っておきたいと思います。  ことし農安法を改正したのでありますが、その前に、昨年でん粉価格決定するときに大騒ぎをいたしました。しかも昨年は九月末かに第一次の案を農林省は示したわけなんです。その案というものが、増産であったということから、鬼の首でも取ったかのように、でん粉二十五キログラムは千百九十二円しておったのを九百十七円に下げるのだ、法律の精神からいけばこう下げるのだ、ジャガイモの値段は十九円くらいになるのだ、十貫目にすると百九十円なんだということを、早々に発表というか、一応の試算としてという前提はついておりますけれども、出したわけです。そこで、われわれはそんなことではとても許されないということで、ああいった騒ぎを起こしました。そのときに、昨年きめました最終的なでん粉一袋については千二百二十円でありましたか、あるいはジャガイモ十貫目にして二百四十円という値段をきめたときには、農林省は、これはたいへんなことをしてしまった、こんなことをしたら政府手持ちはたいへんなことになってしまって、もう農安法ではとても背負い切れないくらいの事態が起きるということで、職を賭してでも反対をしなければいけない、農安法を忠実に守り、また需給事情からいくならば、そうせざるを得ないというぐらいに、農林省は非常に強い抵抗をいたしたのですが、結果はどうであったかというと、手持ちのでん粉はどんどんはけていく、しかも値段は、農林省が心配したような値段よりもずっと上回っておった。ということは、農林省があのときにああいったわれわれに示した態度というものは根本的に間違っておったのではないか。いま一年を顧みて、昨年のわれわれに示した態度と、そして出た結果とを思いあわせて、どこにそのズレがあったのか、この機会にひとつお聞きをいたしておきたいと思います。
  45. 大口駿一

    大口説明員 昨年の九月の末に農林省の試算の数字を示したというお話でございますが、私も実は新任でございますので、本年のこの重要な問題をいろいろ研究もいたしましたし、また勉強もいたしまする過程において、やはり昨年の記録等も全部私の及ぶ限り一応読んでおるのでございますが、少なくとも昨年の九月末の時点、ただいま御指摘になりましたような時点で、農林省の試算の数字を外に発表をしたということは、私の調べました記録ではございません。これは担当の課といたしましては、相当前からいろいろな基礎資料に基づいて作業はいたしておりまするが、外に発表するような形のものは、ことしについて私が先ほど来お答えいたしておりますように、すべての数字が整った上で総合的に判断をしてから、試算をし、折衝すべきところは折衝を開始すべきものというふうに思っておりますので、昨年のその時点において試算の結果を、かりにその内容がどういうものであろうと発表をしたということにつきましては、若干私、理解に苦しむ点があるわけでございます。  それからただいまの御質問は、昨年の、つまり改正前の農安法の規定に基づいて、当時のでん粉の生産状況なり需給事情からいたしまして、価格を大幅に引き上げることがどのような事態を引き起こすだろうかという点で、いろいろ事務的に当時食糧庁としてはいろいろな判断をいたしたと思うのでございまするが、今日の時点でこれを振り返ってみますと、きわめて幸いなことに、当初非常に過剰になるであろう、その処理に困るであろうと思われましたバレイショでん粉につきましても、カンショバレイショとを合わせました総合的なでん粉全体の需給事情というものがやや堅調であったということにも助けられまして、政府の手持ちがえらくふえるという形でなく、順調に全部の処理が終わったということは、私ども食糧庁といたしましても、またこの問題に多大の関心を持っておられる各方面のひとしく御同慶にたえないことであったのではないかと思うのでございまして、当時の時点で、非常に北海道バレイショが豊作であり、かつでん粉の生産量が多かったという時点において食糧庁としていろいろ思い悩んだ点は、当時の時点で食糧庁としては無理からぬことがあったのではなかろうかと思いますので、私、いまの時点で、当時の考え方についてどう思うかというせっかくの御指摘でございますが、これ以上の答弁は御容赦いただきたいと思います。
  46. 中川一郎

    中川(一)小委員 農林省というところは非常に都合のいいところで、半年か一年か二年かたつと大体長官がかわってしまって、前の当時のことはわかりませんでという逃げ手があることに、一番問題が私はあるように思うのです。  そこで、当時課長をしておられた、うしろにりっぱな、私の尊敬をする課長さんがおられますから、その当時われわれを非常に不安におとしいれたあのいろいろな論理が、結果として変わった点について、その見通しが誤っておったのか、またその後において新たなる事態が出たのか、それではひとつ課長さんから伺っておきたいと思います。
  47. 大口駿一

    大口説明員 私が先ほどお答えをいたしましたのは、去年私がやっていなかったので存じませんという趣旨を、つめから先も申し上げる気は毛頭ございません。役所としては、人が変わりましても、方針が変わったり、また考え方を基本的に変えたり、また前のことについて後任者が責任は持たないということは一切ございませんので、この点ははっきり申し上げておきたいと思います。  それから、ただいま課長にお尋ねがございましたが、当時のいろいろな予想で心配をしておったこと、並びに当時の与えられた諸条件で役所としては当然いろいろの問題を心配したことは、当時の時点でも正しかったと思いまするし、いまの私どもが当時の環境に置かれてもやはり同じような心配をしただろうと思いますが、その後、それらの心配をしておりました条件が結果的には非常に幸いに変わったために、大事に至らずに済んだということで、判断そのものが違っておったというふうには私は考えたくないのでございます。
  48. 中川一郎

    中川(一)小委員 長官がそうおっしゃるなら、それではしつこく伺います。  その当時、どういう事情を考慮されたから心配をしたんだ、ところが、その後、こういう不測というか、幸いする条件がこう出たから、結果はこうなったんだという、当初の空気とその後にできた情勢とを、じゃ、長官が責任を持って私は逃げないと言うならば、ひとつ、そう時間は要しませんから説明を願いたい。その当時は、でん粉の値段を前年度に据え置いたならば政府手持ちがべらぼうに多くなって、三越の、丸ビルの、そこのところがたいへんなことになるというくらい、農林省の非常な数字調査に基づいて、われわれをおどかした。ところが、たまるどころか、手持ちのものまで出てしまった。そういうふうにその当時の見通しと結果とが違ったその原因をお聞きしておきたいということであります。
  49. 石田徳

    石田説明員 昨年作業をしておりました当時のことをちょっと申し上げますと、先生先ほど安い価格をおあげになりましたが、われわれとしては、当時、外に対しまして、先ほど長官が申し上げましたように、公式に出したことはございません。ただ、数字を検討する際に、昨年はかなり多くの手持ちでん粉を持っておりましたので、しかも四十年度は史上最高の豊作でございまして、出回りもかなり多くなるということで、需給を見込む際に手持ちのものを入れるかどうかという議論がございました。結果的に申し上げますと、実は昨年度は、豊作でございましたから、それを入れるべきでないという判断に立って入れなかったわけでございます。それで、かりにそれを入れてみるとどうなるかというある人からの質問がありまして、そういう数字を与えられてわれわれは機械になりまして計算したものが、先ほど先生がおあげになったよりももっと低い数字だったと思いますが、食糧庁としては、われわれの段階に至るまで、そういう価格決定しようという意思は全然ございませんでした。ただ、そういう数字を用いて計算すればどうなるかというお尋ねでございましたからやったわけでございまして、そういう意思は毛頭ございませんでしたし、それから、長官やそれ以上の方も全然持っていなかったわけでございます。それがどこかに誤り伝えられて、かなり誤解を招いて御迷惑をかけたということが一点でございまして、理屈から言いましても、豊作の年に手持ちのものをぶち込んで計算するということは筋としてあまり通らないということで、入れなかったわけでございます。もし不作であれば、政府の手持ちのものも放出しなければ需給のつじつまが合いませんので、これは入れるべきだという理屈も出てくると思いますが、そういう関係があったということが一点でございます。  それから、全体の量といたしましては、バレイショでん粉は戦後最高といいますか、史上最高でございまして、この処理をどうしたらいいかということはたいへん頭を悩ましていたわけでございます。これをきめます直前に、一万三千トンの買い上げを前年度のものを行なってもおりましたし、われわれは事実心配いたしました。しかし、その後一般的にでん粉価格水準が上がりまして、カン・バ一体と申しますか、バレイショでん粉がふだんでありますとカンショでん粉よりも割り高で、これはまあ用途が違いますので当然でございますが、流通していたものがほぼ価格水準が同一レベルになったということで、これが糖化用に回ったわけでございます。現実には七、八万トンのバレイショでん粉が糖化用に回りました。これは、回ったというだけでなく、私どももその点は農業団体と相談をいたしまして、このままほうっておきますと、またゆゆしい事態が生ずるかもわからないということで、そちらのほうに向けるべく努力をいたしたわけでございます。その努力が実ったと申しますか、幸いにして、約七、八万トンふだんの年でありますと超過いたしますバレイショでん粉が糖化用に回って、結局全部はけてしまったということでございます。  それから、もう一つ、万一の場合には政府買い上げをしなければならない事態も起きるであろうということで、実はカン・バでん合わせまして十万トンのでん粉を買い上げるだけの予算を、これは大蔵省はこれまでになくそれに協力をしまして、実はことしの予算には組んでございますが、一銭も使わずに新しいイモ年度のでん粉に備えておける状態になっておるわけでございまして、結果的には、関係者の努力もありまして、史上最高の大豊作の結果できましたバレイショでん粉も、政府の買い上げはもちろんのこと、調整団体で滞貨するということもなく終わってしまったわけでございます。
  50. 中川一郎

    中川(一)小委員 その次に、この法律の目的は、適当な値段ででん粉を買い上げてやって、そうして生産なり農家経済を安定していこうということでこの法律ができておることは御承知のとおりであります。ところが、北海道で一番安定作物といわれるジャガイモ作付面積が、ことしも一万二千町歩も減ってしまった、四十一年産が。これは何を意味しておるかということ。われわれから見るならば、農安法の政策よろしきを得なかったことがこういう結果を招いたものであると私は思っておるのですが、農林省としては、この一番冷害に強い、ビートあるいは酪農に次ぐ強い農産物であるジャガイモ面積が減っておるということについて、大いに頭を痛めていただいておるであろうと思いますが、この点についてどういうふうに考えておられるか、この機会にひとつ承っておきたい。
  51. 大口駿一

    大口説明員 農安法の目的、ただいま先生が御指摘になりましたが、でん粉価格が下落をしたときに一定の価格でもって政府でん粉を買い入れるという手段を通じまして、イモ農家のつくりますイモ価格安定に資するという仕組みが農安法の仕組みであり、かつまた目的であろうかと思います。したがいまして、イモ並びにでん粉の流通そのものは本来自由に流通をし、もしかりに下落をするような事態になった場合に、政府がそれをでん粉で買いささえるということによって価格安定をはかるということで、いまさら御存じの方に申し上げるまでもないことでございますが、そういうことであります。したがいまして、通常の状態でありますれば、イモ並びにでん粉はそれぞれの需給事情に応じまして価格が形成され、自由に取引されるということが、一つ法律のたてまえになっておるのではなかろうかと思うのでございます。ただいま御指摘北海道バレイショ作付面積は、確かに本年の作付面積は昨年に比べまして約一割減っておりまして、その前の年はむしろ増加をいたしたのにかかわりませず、減ったのでありますが、私はやはり、昨年の異常なる豊作のあとを受けまして、いろいろな要素が働いてこのようなことになったのではなかろうかと思うのでございます。決して農林省がバレイショの生産についてこれを逆に抑制をするような政策をとっており、また農安法の運用についてこのようなことをやっておるからこのような作付面積の変化になってあらわれたのだというふうには私は考えておりませんのでございますが、そのことを特に申し上げさせていただきたいと思います。
  52. 中川一郎

    中川(一)小委員 長官も御承知だと思いますが、この農安法ができた最初のときには、昭和二十九年でありましたか、支持価格が、でん粉一袋にして言うと、たしか千三百五円だった。それから下回ったら政府が買い上げましょうということだった。それがいつの間にかどんどん下がって、いろいろの紆余曲折はあったが、昨年の場合は千百九十二円に下がっておった。これをもし農林省があたたかい目で、もう少し支持価格を、物価の上がった分、あるいはパリティの上がった分程度毎年上げておったならば、相当でん粉の値段が確保されて、したがって、所得がいいからジャガイモをつくるという結果になったであろうと私は見ておるわけです。それが、農林省では、ほかの物価がどんどん上がるのに、ジャガイモでん粉の支持価格だけはまずほかの農産物に比べても例外と言ってもいいくらい下げておった。これはなぜ下げなければいけなかったのか。その辺、大口長官は非常に鋭敏な人ですからそういうことはなさらなかったであろうと思うけれども、歴代長官というか、食糧庁のお役人さんの責任であったのではないかと私は思っておるのですが、下がってきたことに対して、長官は、あれでもいたし方なかったと思われるかどうか、その点この機会に承っておきたい。
  53. 大口駿一

    大口説明員 イモ並びにバレイショ基準価格決定の方法につきましては、先般の改正によりまして従来の考え方が変えられたわけでございまして、私は、本年以降、この改正されました農安法の規定に基づいてイモ並びにバレイショ価格算定に当たってまいりたい、かように考えております。私どもが現在の時点でこのイモの問題並びにでん粉の問題を考えまする場合に、確かに、先生のいまの御指摘のような基準価格の動向を将来どういうふうに描いていくべきであるかという問題は、やはり改正をされました農安法の規定にのっとって考えていくことは当然でございますが、昨今の情勢は、でん粉の全体の需要に対しまして、でん粉の供給量というものは、この二、三年きわめて堅調な推移をいたしておる。その結果、政府の定めました基準価格の水準にもかかわりませず、実際の取引価格相当高いところで推移をいたしておるのでございまするが、食糧庁といたしましては、もちろん、イモの生産農家並びにでん粉生産者について、当然私どものほうとしては行政的にいろいろなお世話をしなければならぬ立場にあるわけでありますが、やはり、でん粉というのは、何らかの品物の原料として使われなければならない運命を持っておる品物でございますので、このでん粉が使われまする用途についても、ひとしくわれわれとしてはその健全なる発達をはかっていく必要があるわけでありまして、このことは、ひいては将来のでん粉の供給に対して十分これを消化をしていくということの保証になるわけでありますので、その両方の問題もひとしくにらみ合わせて、総合的な行政を進めていくべきではなかろうかというふうにひそかに考えておるのでございます。  最近のでん粉の市況と糖価全体の水準が低迷をいたしておることとの関連におきまして、でん粉価格並びに需給関係でん粉を実際使用いたしまする産業との関連は、やはり今後のバレイショカンショの生産、でん粉の生産並びにでん粉全体の需給、並びにでん粉を使用して製品をつくる産業の将来の姿というものを、総合的に、私どもとしてはきわめて大きな今後解決をしなければならない宿題として理解をいたしております。   〔池田(清)小委員長代理退席、小委員長着席〕 そのような理解のもとに、改正されました農安法の規定につとめて忠実に、価格算定にあたってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  54. 松田寿郎

    松田説明員 私のほうから別に意見を申し上げるわけではございませんが、ただいまバレイショの非常に大幅な減反についてのお話がございましたので、御参考までに申し上げますと、この八月一日の北海道の夏作、大体畑が七十万ヘクタール程度ございますが、その中の変化のおもだったものを申し上げますと、バレイショがいま申し上げましたように一万二千ヘクタールという減少でございます。減少したものは、そのほかに、燕麦の八千ヘクタール、四麦計で四千ヘクタール、あるいは大豆が五千八百ヘクタールという減少で、増加いたしておりますのが、アズキが一万四千八百ヘクタールの増加、それから牧草が一万五千ヘクタールの増加、こういう状況になっております。御参考までに。
  55. 中川一郎

    中川(一)小委員 関連して立ちましたので、いろいろたくさんありますけれども、これで最後にいたしたいと思います。二つ三つまとめて申しますので、一括してお答えしていただきたいと思います。  一つは、運賃調査をやっております、すなおに実態に合わせてやりたい、こういう先ほどの御答弁でありましたが、その運賃調査は一体どこでどういう方法でやっておるのか、まず聞いておきたいということが一つ。  それから、価格決定するにあたって、需給事情と、もう一つ経済事情ということばが中へ入っておりますが、経済事情の中には、農家経済を考えて、ことしは冷害の年だから何とかひとつ考慮してやろうという、冷害の問題が経済事情の中に入るかどうかということが一つ。  それから、最後には、コーンスターチの問題なんですが、でん粉は、御承知のように貿易の自由化がされておりません。それなのに、トウモロコシの形で入ってくる。いわゆるわれわれから言うならば、やみでん粉、これがやはりバでん、カンでんともに大きな影響を与えておると思います。われわれはやみでん粉と思っておりますが、食糧庁ではこれはやみだとは思わないかどうか。やみだとするならば、もう少しこれに規制を加えてもいいし、やみでないとしても、正規のものであっても、もう少しコーンスターチには強い規制を加えるべきだというふうに思うわけですが、この点が第三点。  最後に、農安法改正にあたりましては、農林省が非常な強い反対の意向を示しました。御承知のように、議員立法というか、委員長発議による特殊な形で農安法が改正になった。われわれ国会の者あるいは農民もそうでありましょうけれども、あれほどいやだったのが強姦というようなかっこうで改正をされた農安法であるから、それを扱う農林省は、おそらくそのかたきを実質値段決定の際に発揮するのではなかろうかという非常な不信感を持っておるわけです、そういう点について、新長官は、まさかそんなことは考えておらないとおっしゃるでありましょうけれども、その点納得のいくようにひとつこの機会にあわせてお考えを聞いておきたいと思います。  以上、最後にまとめて四点御質問申し上げます。
  56. 大口駿一

    大口説明員 御質問の第一点の運賃調査の方法でございますが、私ども、食糧事務所を通じまして、先ほどお答えをいたしましたように、合理化工場を対象として、運賃調査を行なっております。  次に、勘案事項経済事情でございますが、これは、たとえばでん粉原料といたしまして生産をいたしまする水あめ並びにブドウ糖の市況から逆算をいたしまして、どの程度でん粉価格考えられるかというような数字計算をして、これを勘案をする、参酌をするということが従来やっておる方法でございまして、本年もそのような方法でやってまいりたい、かように考えております。  それから、えさ用に輸入をしたトウモロコシがコーンスターチの原料として使用されるのがやみと思うが、おまえはどう思うかという御指摘でありますが、これは、私どもといたしましては、そのような形で流れることは、やはり関税の区別をいたしておりますたてまえからいたしましても望ましくないというふうに考えて、監督を厳にすべく考えておりますので、やみということばがそれに当てはまるかどうかわかりませんけれども、少なくともそれに類する考え方を持っております。  それから、農安法の改正について食糧庁が非常に抵抗したので、かたき討ちをするのではないかという御指摘、はなはだおそれ入る御指摘でございますが、私は、農安法の改正について、中身について食糧庁が非常に抵抗したり反対をしたということには理解をいたしておらないのでございます。私ごとで恐縮でございますが、私、たまたま当時官房長をいたしておりまして、農林省の提案いたしております法律が、はたしてできるだけ多くたくさんの歩どまりで国会を通過するかどうかということが最大の関心事でございました。その段階でまた一つ会期の終わるまぎわに別な法律が出たのでは、一生懸命にやっておる法律がそれによって影響を受けてはたいへんだという気持ちを個人的に持っておったことは事実でございます。いずれにいたしましても、経過はともあれ、改正されました法律の運用実施につきまして、私どもが何らかの意図をもって事に当たるというようなことは全くございません。
  57. 中川一郎

    中川(一)小委員 もう一つ最後に、いま法律は反対しなかったということについては、少々意見を異にするところもありますが、その当時を思い起こしますと、反対の理由に、この農安法は抜本的に改正するんだから、今回は待ってもらいたいということを聞いたように思うのであります。やはりその当時と同じように、農安法を今後抜本的に改正をすると言ったあの当時の意見はいまも変わっておらないかどうか、この点もこの機会にひとつ承っておきたいと思います。
  58. 大口駿一

    大口説明員 その当時どのようなことばをもって御説明をしたかわかりませんが、また人がかわったらと言われそうなので、私は申し上げますけれども、やはり非常に時間的に短い間に——十分な検討をさしていただきたいというのが私どものほんとうの気持ちではなかったかというふうに思います。そのような立場で申しておったということで御了解をいただきたいと思います。
  59. 本名武

  60. 兒玉末男

    兒玉委員 まず、統計調査部長にお伺いしたいのでありますが、先ほど説明をいただきました九月二十日現在のカンショ予想収穫量というのが発表されまして、全国的な県別予想収量が昨年比で出されておりますが、これによりますと、大体収穫総数量において二十三万六千トンの減となっておりますが、この数字は、毎年の傾向から見て大体どの程度の誤差が収量との間にあろうと推定されるのか、この点まずお伺いしたいと思います。
  61. 松田寿郎

    松田説明員 われわれとしては、現在の段階ではほとんど誤差がないのではないだろうか、ことに天候が非常に激変しつつあるというようなときは別でございますが、本年のような場合には、ほとんど誤差がないものと考えております。
  62. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは長官にお伺いしたいのでありますが、当面のカンショバレイショでん粉にいたしましても、やはり基準価格の早期決定ということと、今回の農安法の改正によりまして、基準価格は再生産の確保というところに生産農民なり関係団体の要望が非常に強いわけでございますが、いま統計調査部長が言われましたとおりに、収穫数量についてはほとんど誤差がない、こういう御答弁があったわけでありますけれども、それならば、大体本年度のカンショでん粉の供給量というのは、昨年五十五万六千トンであったわけですが、いまの統計調査部長発表によりますと、二十三万六千トンの減収でありますから、やはり供給量においてはかなり私は変動が起きるのじゃないかと思うのですが、この辺はどのように把握をされておるのか、まず第一点としてお伺いしたいと思います。
  63. 大口駿一

    大口説明員 昨年と本年とのカンショの減産の比率をかりに昨年のカンショでん粉の生産量に乗じてみますと、カンショでん粉の供給量としては五十二万トン程度になるのではなかろうかというふうに考えております。
  64. 兒玉末男

    兒玉委員 そこで、お伺いしたいのでありますけれども、過去四、五年間のカンでんの供給量の推移というものを見ておりますと、昭和三十九年を最高といたしまして、四十年が五十五万六千トン、さらにいまの御答弁によりますと、本年度は五十二万そこそこ、さらに一方でん粉の需要の推移というものを見てまいりますと、そういうふうな作付反別なりカンショでん粉の供給量の減少にもかかわらず、三十八年が百五万一千、三十九年が百十四万、四十年が百十九万、おそらく本年度は百二十二万トンをこすのではないかということが予想されるわけですが、この需給の関係から見ます場合に、どうして特にカンでんの供給量がこのように減っているのか、いわゆるイモ作の生産量がなぜ減少するのか、この辺の関連をどのように御理解をされておるのか、お伺いしたいのであります。
  65. 大口駿一

    大口説明員 カンショの生産量並びに作付面積が近年減少をいたしておりますことは、統計数字の上で明らかでございますが、これを全国的なベースで見ないで、若干地方別に分解をしてみますと、主として作付面積が減っております地帯は、いわゆる人口の都市集中と申しますか、都市近郊の諸県において、いろいろな事情で農業人口が急激に減っている地帯において特に顕著にあらわれておりまして、ただいま全国の数字が落ちておりまするような程度には主産地においてそのような傾向があらわれておらないと私は思うのでございまして、そのような地方においてカンショ作付面積が減っておりまするのは、いまの日本の農業が、経済の高度成長に伴いまして、農業人口の減少、特に都市近郊の農村における農業構造の面で起きておりますいろいろな現象の一つのあらわれとして、そのような地帯におけるカンショ作付面積、ひいては生産量が減っているのでありまして、そのような地帯におきましては、むしろ現金収入度の高い他の作物、すなわち野菜とかあるいはくだものとかいうものに転換をいたした結果、そのような結果に相なったのではなかろうかというふうに考えております。
  66. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、特にこのでん粉の需給の関係から推測するならば、やはり基本的な点は、とにかくイモ価格が非常に安い、このことに私は最大の原因があるのではないかと考えるわけであります。もしこれが需給関係においてでん粉の需要というものが減少の方向にあるならばやむを得ないといたしましても、やはり需要の傾向というものは、先ほど数字をあげましたように非常に増大の方向にあったとするならば、いま少し基準価格の作定にあたりましても、イモを作ってもやはりそれを作っただけの報酬が得られ、いわゆる再生産を確保するというその基本的な点に対して、少し私は長官の認識に不足があるのではないかと思うのですが、この辺は、今後基準価格を作定するにあたってどのような基本的な考えをお持ちであるのか、まず、この点お伺いしたいと思うのであります。
  67. 大口駿一

    大口説明員 でん粉全体の需給の現状並びに将来の見通しにつきましては、先生も先ほど指摘になりましたように、需要そのものは比較的順調に伸びておりまして、四十一、二年度におきましては百二十万トンをこす数量の需要が見込まれるのではなかろうかというふうに考えております。そこで、それに対しまする供給は、最終的な数字はわからないとは申しまするものの、カンショバレイショともに昨年の数字よりも減少するということが明らかでありまして、でん粉全体の需給が引き続き堅調に推移するであろうという見通しを持っておるのでございます。  そこで、でん粉は、先ほど中川先生の御質問に対してお答えをいたしたとおりでございますが、やはりこれはそれぞれの用途に使用されるべくでん粉というものがあるのでございまして、でん粉の需給を考えます場合には、でん粉価格でん粉の使われる用途との関連、並びにこれと競合いたします、基本的には糖価との関係をにらみ合わせていく必要があろうかと思いますが、現在の需給事情のもとにおきましては、昨年もそうでございますが、イモ並びにでん粉価格が総体として堅調に推移をいたしたというふうに考えられ、また、この傾向はことしも少なくとも継続をするのではなかろうかと考えております。  そこで、ただいま申し上げましたことは、でん粉そのものの消費の問題を考慮すべきであるという趣旨で申し上げたのでございますが、しかし、先ほど申し上げました、カンショ作付面積の減っておる地帯が、他のより有利な作物に転換してこれが減っておるという傾向は、農家経済の問題としてこれをとらえるならば、決して望ましくない方向ではなかろう、むしろ、その地帯の農家としては他に有利な作物があり、これに転換をし得る地帯において転換をした結果農家経済が向上するという姿は、私は決して望ましくないかっこうではないと思います。ただ、でん粉イモの主産地において容易に他に転換すべき作物のない地帯におけるイモ価格の問題につきましては、御指摘のように再生産の確保が非常に大きな要素になってまいることは、私も決して否定をするものではございませんので、今回の農産物価格安定法基準価格算定にあたりまして、再生産の確保を旨とするという字句が入りましたことも、この間の事情から特にそのような字句の御修正になられたのだろうというふうに理解をいたしておるのであります。ただ、イモ価格並びにでん粉価格というものは、あくまでこれが最終的に消費をされる用途との関連が常にあるわけでございまして、これと無関係価格が推移するということは、ひいてはでん粉の需要そのものをまた将来に向かって破壊をすることにもなるわけでございますから、再生産の確保とでん粉の消費を両方勘案をしつつ、でん粉の全体の需給構造をにらみつつ、イモの生産の振興をはかっていくことに相なるのではなかろうかというふうに考えております。
  68. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の制約もありますので、問題の焦点だけをしぼってやりたいと思います。  長官の言われた答弁で私も十分納得できないわけでありますが、問題は、特に統計調査部収穫予想量から見ましても、特に九州でも南九州なり佐賀、長崎、熊本におきましては、宿命的といいますか、気象条件といいますか、イモを生産する以外に何らつくるものがないという、きわめて深刻な状況のもとに置かれている。この辺の事情は十分長官も御理解をいただいておるものと考えますので、特にその辺のことにも十分ウエートを置いて価格算定等には御配慮いただきたい。  次に、いままで再三問題の重点でありました基準価格の作定の時期でありますけれども、常に需給の関係統計調査部予想収穫量が正確に把握できないことをいままで基準価格の作定がおくれておることの理由としてあげられましたが、本日出されましたこの数字というものは、すでに調査部がいま答弁されましたとおり、ほとんどこの数量に相違ない、あるいは誤差はない、こういう点から勘案していきますならば、需給関係もほとんど確定をされておるわけでございますが、長官としては、この基準価格決定は一体いつごろまでにやるお気持ちなのか、この点お答えいただきたいと思います。
  69. 大口駿一

    大口説明員 基準価格決定に必要な資料につきましては、先生もただいま御指摘になりましたように、カンショにつきましては、すでに十月三日に予想収穫高発表になっております。例年ともこの数字を基礎に作業をいたしておるわけでありまして、決して十二月の最終実収高数字まで待った上で作業をいたしておらないことは御存じのとおりであります。  ただ、バレイショにつきましては、カンショ相当いたします程度の確実さを持ちました実収高というものが、北海道につきましてだけ十月十一日にならなければ公表にならないという事情にございますので、この公表を待ちまして、ようやく基準価格を試算いたしますためのすべての数字的な基礎資料が整いますことになりますので、その上で総合的な判断を下すべく計算をいたしました上で、折衝すべきところと折衝いたしまして、政府原案の確定をいたしたい、かように考えております。したがいまして、法律できめられております基準価格設定の期限の十月二十日をおくれないことはもちろんでございますが、その範囲内におきましていろいろな情勢を判断いたしまして、できるだけ生産者その他の早期決定という御希望に沿うような形で作業をし、最終的な段階にこぎつけてまいりたい、かように考えております。
  70. 兒玉末男

    兒玉委員 それから価格決定の問題と、その時期と勧告の関係についてお尋ねしたいと思います。  まず第一は、昨年が二四%の歩どまりで三十二円ということになったわけですが、今回私たち社会党といたしましても、また農林水産委員会といたしましても、主としてカンショ生産県を調査してまいりましたが、最低の場合でも歩どまりは二六%から二八%というのが、農協なり各でん粉業者の一致した見解でございます。そういう点から考えますと、現在の農安法のたてまえは、その基準である二四%から下がる場合は、〇・五%ごとに五円を下げる。ところが、それ以上に歩どまりがスライドするものについては全然これの考慮がないということは、きわめて不合理であり、生産農民あるいは農協関係等におきましても、特に歩どまりのスライド制ということが強く要望され、しかも生産農民等においては、やはりでん粉歩どまりの質が向上するように、品質の改良等にも積極的に努力をいたしておるわけであります。そういう点から考えますならば、当然歩どまりのスライド制ということは、この際、食糧庁としても真剣に取り組んでいく性格のものではなかろうかと考えますが、これに対してまずどのような見解をお持ちか、お伺いをいたしたいのであります。
  71. 大口駿一

    大口説明員 このスライド制の問題は、実は私ども現在の時点で考えております基本的なものの考え方は、本来農安法に基づいてのでん粉価格支持の仕組みが自由流通を前提としておりますが、価格が下落をいたしますことを一定の水準で防ぐことが基本的な仕組みであるというふうに考えておるのでありまして、したがって、ただいま御指摘のように歩どまりの非常にいいものと悪いものとは、自由流通においては当然価格の面で差がついて流通をするというふうに考えまして、本来そのような自由な価格形成のもとに歩どまり差が当然反映をされるということを前提といたしまして、ただ、基準価格以下に下落する際にこれを防止をするという意味で、基準価格が設定をされるというふうにものごとを理解をいたしておるのでございます。しかし、とは申しましても、歩どまりの標準以下のものにつきましては、とかく商取引におきまして買いたたかれるおそれがあるという傾向にあることをおもんばかりまして、特に基準以下の歩どまりについてスライド制に基づいて段差をつけた価格を設定をいたしておるのは、かような基本的な理解に基づいてやっておるわけでございまして、基準歩どまり以上のものは、当然自由流通においてそのような品質が反映をされた価格で流通をするであろうという基本的な理解のもとに、ただいまのような制度といたしておりまする点を御了解いただきたいと思います。
  72. 兒玉末男

    兒玉委員 どうもこの点は、昨年の委員会でも合点のいかないところでありましたけれども、それではこの歩どまりの二四%というのは、一体どこの工場を対象として出したのか、また本年はすでに歩どまり決定しなければいけない段階にありますが、カンショ生産県のどの機関を聞きましても、おそらく最低二六%以下の歩どまりのものは、特に南九州における工場においてはないと思うのですが、歩どまりの策定は、一体どういう地区を対象にして決定されてきたのか、また本年度はどういうところを対象として決定されようとするのか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  73. 石田徳

    石田説明員 歩どまり調査は、食糧庁と園芸局と二本立てで調査をいたしております。園芸局のほうの調査と申しますのは、これは県庁を通じてやるわけでございますが、カンショにつきましては、両者の調査はほとんど差がございません。これは全国段階における調査でございますが、それをもとにいたしまして、年々これは上昇いたしておりますので、その上昇率というのを加味してきめてきたわけでございます。
  74. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの答弁はどうも納得できないのでありますが、とにかく現実にでん粉を製造している各機関の意見を聞いても、一致して二六%以上ということを明確に言われているわけですから、その辺もう少し現実の状況というものを十分把握した上で、これの歩どまり算定には慎重な配慮をしていただきたいことを私はこの際特に要望申し上げまして、次に移ります。  これは長官にお伺いしたいのでありますが、今回の農安法の改正によりまして、いわゆる基準価格以下における取引等については、その業者等に対して都道府県知事または大臣が勧告をするというたてまえに相なっております。しかしながら、これはあくまでも基準価格が作定されなければ、この勧告の意味というもの、その適用というものは困難であろうかと思いますが、基準価格作定前に売買の行なわれた行為については、一体どういうような措置を適用されようとするのか、もうすでに早掘りカンショは出されまして、取引がなされておる現地もあるわけですが、その辺どういうふうな取り扱いをされようとするのか、お伺いしたいのであります。
  75. 大口駿一

    大口説明員 基準価格設定前に取引をされますイモにつきましては、内払いをしたあとで、基準価格設定後の追加払いをするというような形で指導をいたしてまいりたいと思っております。
  76. 兒玉末男

    兒玉委員 いままでの基準価格なり、あるいは価格が暴落した場合、三十九年度の実情から申しましても、なかなか食糧事務所等における行政指導というものが下部、末端まで徹底しないで、結局は農民が泣き寝入りした、あるいはその証拠の確認がなかなか困難である、こういう苦々しい経験もありますので、この辺の指導については、ひとつ的確な御指導を特に要望を申し上げたいと存じます。  次に、コーンスターチの関係でそれぞれ御意見がありましたが、問題は、やはり先ほどの長官の答弁にありますとおりに、カンショでん粉の供給量が昨年よりもさらに減る、こうなりますと、どうしてもやはりコンスの製造量というのが増大する危険性といいますか、非常に私たちは心配をするわけでありますけれども、この際においても、大体従来やはりコーンスターチにはそれぞれ固有の用途といいますか、製造したものを使うところの範囲というものが無制限で、しかもこれがカンショでん粉等の範囲を無限大に侵食するようでは非常に困るわけでありまして、問題は、このコーンスターチによるでん粉のいわゆる用途の範囲を規制していく必要があろうかと思うのですが、この辺について、ひとつ長官としての御見解を承りたいと存じます。なお、この点については、先般の質問の際にも、そういうことは十分慎重に対処する旨の答弁がなされておりますが、本年は特にその懸念が強いので、ここにあらためて長官の見解を承りたいところであります。
  77. 大口駿一

    大口説明員 コーンスターチの輸入につきましては、現在関税割り当て制度が実施されておりまして、第一次税率及び第二次税率の二段階になつて運用されていることは御承知のとおりでありますが、従来とも、また今後とも、第一次税率を適用されるものにつきましては十分な指導を加えてまいりたい、かように考えております。  それから、来年の三月でこの関税割り当て制の期限が切れることになるわけでありますが、その後この制度をいかように取り扱うかという問題につきましては、この制度ができました経緯にもかんがみまして、それぞれ必要な諸先生並びに方々の御意見を十分拝聴しつつ、今後この問題の取り扱い方について検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  78. 兒玉末男

    兒玉委員 ちょっといまの私が言った、コーンスターチの固有の用途の範囲を無制限にやっては困るということについてどういうふうにお考えか、この点、ひとつ再度御答弁願います。
  79. 大口駿一

    大口説明員 コーンスターチの用途そのものをかっちりと限定をしていくということは、技術的になかなかむずかしい問題を含んでおりますが、いずれにいたしましても、コーンスターチ業界の輸入量等につきましては、従来とも制度のもとで指導を続けておりましたし、また、今年のでん粉全体の需給等を勘案いたしまして、トーモロコシの輸入量をいかにするか、またそれによってコーンスターチの製造量をどの程度にしていくかという問題は、ただいま先生の御指摘になりましたような問題を常に念頭に置きつつ指導してまいりたい、かように考えております。
  80. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは最後に、これも今回の現地調査の結果非常に問題を提起しておるわけですけれども、特に農協等の合理化工場におきまして一番問題となりますのは、でん粉製造過程における廃液処理について相当神経も使うし、昨年私の宮崎県等におきましてもかなり問題が提起され、淡水魚等に相当な影響を与えるということで、でん粉製造過程において加工経費というものが相当比重を占めている現実は見のがし得ないと思うのですが、これは大多数の地域住民に与える公害としての影響が大きいので、特に合理化工場をはじめこのような加工関係の経費ということも、その際、やはりでん粉価格算定にあたっては慎重な配慮が必要ではなかろうかと思うのでありますが、最後にこの点をお聞きしまして、私の質問を終わります。
  81. 大口駿一

    大口説明員 でん粉工場の汚水の問題は、いろいろの観点から見て、今後非常に真剣に考えなければならない問題であろうと思っております。現在各でん粉工場においてこの汚水処理施設がどの程度に行なわれておるかということになりますと、遺憾ながらまだ十分な域に達しておらないというように私は報告を受けておるわけでありますが、今後汚水処理問題にどのような形で取り組んでいき、かつまた、でん粉工場でどの程度汚水処理に真剣に取り組んでいくかの問題の推移と考え合わせまして、この問題を加工賃の面でどういうふうに取り組んでいくかの問題は、将来に向かって研究すべき問題だと思います。現時点においては、でん粉の汚水処理施設がでん粉工場においてはまださほどにまで普及をしておらない段階ではなかろうかと思いますが、これはいずれにしましても、公害問題が非常に大きな問題になっておることでもありますし、この汚水処理問題については、やはり食糧庁としても、でん粉工場の指導にあたって今後大きな問題として十分配慮すべき問題であるというふうに考えております。
  82. 赤路友藏

    赤路委員 関連してちょっとお尋ねしますが、先ほどの長官の答弁では、北海道バレイショについて十月十一日に最終発表をする、それを待って総合判断した上できめたい、こういうことなんだが、これは十月十一日をもっと早めるということはありませんか。
  83. 大口駿一

    大口説明員 ここに統計調査部部長さんもおられますが、バレイショ収穫高発表は現在取りまとめ中というふうに聞き及んでおりますので、これはやはり十一日に公表ということになるようでございます。したがいまして、私どもとしましては、その数字をいただくのを待ちました上で、最終的な作業に入りたいというふうに考えております。
  84. 赤路友藏

    赤路委員 いま兒玉君から質問をしました減反問題について、長官のほうから答弁があったのですが、農業人口の非常に減じておる地帯であるとか、あるいは主産地以外のところでは、野菜等に転換したとかいう減反の理由を述べられておったのだが、それだけではないと思うのです。たとえば主産地においても、減反していることは事実なんです。この減反の事実を、なぜ減反するのかということを農林省はやはり相当検討してもらわなければ困ると思う。これは価格決定の場合においても非常に重要な一つの要素になると思うのだが、そう思いませんか。検討しますか、しませんか。
  85. 大口駿一

    大口説明員 せっかくの御指摘でありますから、検討いたします。
  86. 赤路友藏

    赤路委員 もう一点だけ。実はここへ、あなたの手元へも行っておると思うのだが、農協関係のほうの陳情書のようなもの、説明資料が出ていますね。これによると、四十一年度の需給見込みが出ているわけです。先ほどからの答弁でいくと、おそらくでん粉の需給についてはまだ結論は出ていない。押えていない。ただしかしながら、ほぼわかると思うのですが、この農協から出たのを見てみますと、需要のほうが百二十二万五千トンになっておる。カンでんとバでんが四十一年八十二万五千トン、こう出ておるのだが、こんなべらぼうな数字は出てこないと思います。そこで、ちょっとこれは仮定になるのだが、答弁できたらしてもらいたいのです。われわれの見る仮定ですが、カンでんのほうは、よくできていっても昨年よりは相当減産になると思うので、五十三万トン程度、バでんは十五万トン程度と見て、両方合わせて六十八万トン。それにコーンスターチは二十七万トンですね。十八万トンで制限しておいて、九万トンふやしておりますから二十七万トン。そうすると、これを両方合わせて、かりにでん粉の需要量が百二十二万五千トンだとすると、二十七万五千トンという不足ができるわけですね。これが正しいかどうか別として、仮定の問題として二十七万五千トンというでん粉の不足が出るが、こういうものが出たときにどうします。何かありますか。
  87. 大口駿一

    大口説明員 ただいま赤路先生、仮定の問題としてとおっしゃいましたから、私もあまり数字を申し上げると、それだけわかっているなら作業ができるはずだとおっしゃられるといけませんので、私のほうも仮定の数字でお答えするということを御理解いただきたいと思います。  私ども、やりは従来の需要の伸びの傾向から申しまして、百二十万トンから百二十五万トンくらい、百二十万トン以上の需要が見込まれるのではなかろうかと思います。それからでん粉の供給量は、カンショで大体昨年の五十五万トンに対して五十二、三万トン、バレイショはいま最後の数字がわかりませんので、若干動くかもわかりませんが、昨年の二十五万トンから比べますと、少なくとも七、八万トンから十万トン近い減産になるのではなかろうか。ただいま仮定の数字として申されました五十三万トンと十五万トンというふうにかりにおきますと、両者合わせて六十八万トンでございます。それからコーンスターチを二十七万トンといたしますると、両者合わせて九十五万トン、差し引き二十七万トンからそれ以上くらいの不足になるという計算に相なるわけでございます。私どもこの需給を考えまする場合に、まず小麦でん粉の生産見込みは当然算入をいたさなければならないと思いますので、これをかりに八万トンくらいとおきますと、残りの需給の穴を埋める手段といたしましては、あるいはコーンスターチを若干数量ふやすとか、あるいはでん粉の輸入を行なうとか、そういう問題を需給の推移を的確に把握した上ではかってまいることによって、でん粉全体の需給というものを円滑に運用してまいる必要があるのではなかろうか、現時点ではさように考えております。
  88. 赤路友藏

    赤路委員 よくわかりましたが、先ほど来各委員からの質問がありましたが、それにはある程度希望意見も述べられておったし、それから各団体からの陳情もあってお聞きのことだと思います。ただいま当面片づければいい、あとはどうでもいいというものではないので、やはり来年のこと、再来年のこと、一応先を見通して、生産農民の立場等を十分考慮してやっていただきませんと、これはあとでたいへんな問題が出てくると思うのです。その点ひとつ考慮おきを願いたい、これは答弁は求めません。  私は関連ですから、もう一つだけ伺って終わりますが、これもやはり農協から出ておるのですが、四十一年度のイモ生産費計算、これは十アール当たりの労働賃金が出ているのですが、この資料自体がちっとおかしいのですが、家族労働賃金が一万五千三百十三円になっていますね。これを十アール当たり八四・七時間で計算しますと、千四百四十円になる。昨年の四十年度の農協が出しておりますものは千四百四円ですから、三十六円しか上がっていない。こんなばかな計算は私はないと思います。ただ、これをいまの統計のほうの生産費計算でいきますと、労働時間が百十一・七時間になりますから、千九十六円という数字になる。これを百十一・七にしますと、四十年のこの前のものは家族労働賃金が七百十二円ですか、この家族労働賃金の見方というものが非常に大きく価格に影響してくる。この点十分ひとつ検討してもらいたいと思うわけなんです。先ほど児玉君が言っておりましたが、その減反の理由というものはやはり価格にある。価格決定をする場合の一番重要な要素は、やはり労働賃金だと思うのです。これがいままであまりにも低過ぎる。今度は十分ひとつ検討していただきたいと思います。検討してくれますか。イエスかノーか。
  89. 大口駿一

    大口説明員 イエスかノーかだけ申し上げて差しつかえない場合は、もちろんイエスかノーかだけ申し上げますけれども、全く前提を置かずにイエスかノーかだけ言って、イエスと申し上げれば、あとでいろいろまた先生の受け取られ方と私のほうのお答えをしたつもりの理解とが食い違うことがございますので、この件につきましては、きわめて重要な問題でありますということを念頭に置いて従来とも検討いたしております。
  90. 本名武

  91. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほどカンショ並びにバレイショに関する統計調査部予想収穫高説明がありましたが、ここで明らかにしてもらいたいのは、カンショの場合は九月二十日現在の予想収穫高をもってきめるわけですね。バレイショの場合にはなぜ実収高を待たなければきめられぬのか、その点が不明確だと思います。
  92. 大口駿一

    大口説明員 これは従来も実はそういたしておるわけでございまして、カンショの場合の実収高発表まで待ちますると大体十二月になります。あまりにもおそくなりますので、カンショの場合には便宜予想収穫高数字を使って、なるべく最近の一番正確に近い数字でもって算定をするということをたてまえとする結果、そのようなことに相なっているのではなかろうかというふうに考えております。
  93. 芳賀貢

    芳賀委員 これは統計の仕事ですから、この点明確にしてもらいたいと思うのです。カンショの場合には九月二十日現在の予想収穫高をもってイモでん粉価格決定資料にするわけでしょう。バレイショの場合には予想収穫高では資料にならぬという、その点を明確にしてもらいたいと思います。どういうわけでバレイショ実収高を見なければできないのか。どういうわけでカンショ予想収穫高計算ができるのか。
  94. 大口駿一

    大口説明員 これは統計調査部長にお尋ねではなくて、私のほうにお尋ねだというふうにに理解をしてお答えをいたすわけでございまするが、私どもの理解は、できるだけ最近の数字をつとめて採用した上でいろいろな作業に入りたいという気持ちでおります。ただ、正確を期するためにカンショ数字を年末まで待つわけにまいりませんので、カンショの場合だけは予想収穫高を使ってやっておるということで、絶対的にこれはこれ以外にその前でやったのではだめなんだということでそのようなことをやっておるのではなくて、やはりいまの時点のころにイモ並びにでん粉価格決定する際に利用し得る資料としては、現在われわれが過去数年そのように使っておりますような資料の使い方が一番正確に近い数字であるということが主たる意味ではなかろうかというふうに私は考えております。
  95. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、カンショは不正確な数字でもできる、バレイショについては正確な数字でなければできない、その理由がどうも納得できないのですよ。
  96. 大口駿一

    大口説明員 いままでやっておりますのを、ただいま先生の御指摘のように、カンショはいいかげんでもいいのだ、バレイショは正確を要するのだというふうにおっしゃられますと、決してそのようなことではなくて、ただ、十月の初めごろ、この取引を始めるころに価格決定することが必要でありますので、その時点で一番正確たり得る数字を使うと、いま使っておるようなことに相なるということだけしかお答えできないわけであります。
  97. 芳賀貢

    芳賀委員 バレイショの場合には、第一次予想収穫高が八月十五日現在、これは前回の九月十日の委員会において説明を聴取したわけであります。その後、これは公表になっておらぬが、九月一日現在の北海道における第二次予想収穫高は出ておるわけですね。先ほど北海道全体で指数が九二%になったというのは、これは九月一日現在の第二次予想収穫高の指数がそうなっておる。第一次は九七%、第二次が九二%ですね。ですから、九月一日となれば、第二次は相当修正されておると思うのですよ。早い地帯は掘り取りを開始しておるわけでしょう。第二次が大体適正であるということであれば、それを基礎にして、その後現在までの経過において修正すべき点があれば、修正はできると思うのですよ。でん粉原料ということになれば、全国にまたがるわけでないですから、北海道だけに限ってのバレイショ作況状態というものを把握すれば、確実に調査できるわけですね。カンショとなると、もう関東から九州に及ぶわけだから、それは一回の予想収穫高でいいというわけにはいかぬじゃないですか。しかし、十二月まで待てというのではないのですよ。決定を延ばす一つの理由として、北海道の場合には実収高発表が十一日しかできないからだめなんだということですか。
  98. 松田寿郎

    松田説明員 御参考までにわれわれのやっておりますことをつけ加えたいと思いますが、九月一日でやりましたものは、実は例年正規にきまっております全部の手続をもってやっておるわけではございませんので、御承知のように、本年は天候が異常の徴候を示しましたので、例年の各十五日ごとの例の水稲の作柄予想ともからみ合わせまして、臨時に九月一日に作柄をやりまして、バレイショのほうも気づかわれますので、水稲の作柄と同時にやったということでございまして、九月一日のこの数字は、先ほども繰り返してお断わり申し上げましたように、われわれとしては正式のものと考えていただくのは多少困りますので、そういう意味のことでございますから、お断わり申し上げておきます。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 それは権威のないものではないのですよ。これは、たまたま九月十二日から九月十六日までの問、当委員会北海道調査を行なっておるわけであります。その途中で十勝管内に入って、帯広市で十五日に試験場等を調査して、それから次に清水町のホクレンのてん菜工場の調査に立ち寄ったときに、北海道の大豆、アズキ、インゲン豆、バレイショ、水稲、てん菜のそれぞれの九月一日の現況というものを指数によって説明を受けておるわけです。これによると、札幌統計調査事務所——北海道北海道全体としてまとめたものを出すが、必ず統計調査事務所ごとに内容を聞かなければならないということは、十年も前からきまっておることです。これでやっておるわけです。これによると、九月一日現在の札幌調査事務所管内は、八月十五日現在の九九の指数が九五に下がっておる。北見管内は九五のものが八三に下がっておる。函館管内は一〇四が同様一〇四%。帯広管内は当初の九二が九〇に低下しておる。したがって、八月十五日現在の指数九七%が九月一日現在においては九二%になるという、こういう結果が出ておるわけですね。ですからこれを使ってもいいわけですね。もう一つは、カンショの場合には九月二十日現在のものが十月三日に公表されておるわけですね。バレイショの場合は九月十五日現在のものがいまだに発表されておらぬというのは、これはどういうわけですか。九月二十日のものがもうすでに十月三日公表になって、九月十五日の時点の実収高調査の結果が北海道はまだ公表になっておらぬというのは、これはおかしいじゃないか。
  100. 松田寿郎

    松田説明員 バレイショ北海道実収高調査でございますが、御承知のように実収の掘り取りが大体わかりますのは九月の末、十月にかかることはほとんどございません。大体九月一ぱい、こういうことでございますから、十一日の公表ということになりますと、その間大体十日くらいをわれわれは予定しております。ほかの発表と比べでおくれておるようには思いません。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 おくれておるじゃありませんか。予想収穫高ではあるが、九月二十日現在のカンショが十月三日に公表されておるわけですからね。実収高にしても一定の調査の時点というものはあるでしょう。そうでなければ、全部掘り取りが完了してしまってから、むしろ農家報告を総計して発表するということになるわけですから、実収高調査の時点を九月二十日とか九月十五日ということにすれば、その時点にやはり調査しなければならぬわけでしょう。その場合には、もう半分くらい収穫が終わっておる、あと半分はまだ残っておるということであっても、これはやむを得ないと思うのです。そうでしょう。掘り取りが終わらなければわからぬというものではないでしょう。終わってからしかわからぬということであれば——まだ掘り取りが終わっていないのですからね。その後にしか正確なものが出ないということになれば、農家収穫が済んでおらぬのに、たとえば十月十一日に公表するということになれば、これはやはり抽出してやる以外にないわけでしょう。そういう場合に、やはり一定の時点において実収高調査というものはやるということに当然なると思うのですよ。だらだらのべつまくなしに、いつまでやってもかまわぬというものではないでしょう。その辺は一体どうなっておるのですか。
  102. 松田寿郎

    松田説明員 私、先生のおっしゃることが理解できていないかもしれませんが、カンショお話し予想収穫量は、九月二十日のものが十月三日でございますから、大体十三日目に公表されているわけでございます。それで、このバレイショ北海道の実収は大体九月一ぱいに見当がつく、こう考えておりますので、やはりこの十一日に公表ということになりますと、大体同じくらいのスピードではなかろうか、かように考えております。
  103. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは九月末の時点で実収を調査するというのですか。それはおそ過ぎるじゃないですか。これは早めるわけでしょう。一体北海道バレイショ生育のとまる時期というのはいつごろと考えておりますか。
  104. 松田寿郎

    松田説明員 非常に専門的で、私がお答えするのはあるいは適当でないかもしれませんが、大体九月二十日前後ではないかというふうに思います。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員 あなた、それは認識不足ですよ。そんなに生育しますか。九月二十日といったら、それまでに生育すると思って調査を延ばしておるわけですか。統計調査なんていうものは、作物の生育が、水稲は北海道ではいつごろ生育がとまって収穫に入るとか、バレイショはいつごろとか、豆類はいつごろということがわからぬで仕事をやっておるのですか。わからぬというなら、これは問題ですよ。そういうしろうとがいいかげんの調査をやっておるということなら、これは重大問題ですよ。それではどこでわかるのですか。
  106. 松田寿郎

    松田説明員 この時期の決定は、私は実はしろうとでございますけれども、もちろん専門家が作況試験の結果もあわせまして決定いたしておりますので、何なら専門家に説明させてもいいと思いますが、ただ、私からお答えできますのは、実収高発表といいますのは、これは最終のものでございますから、やはり最終あとまで残るこの数字というものは、十分確実になったという時期を選んでおる、こう考えてよろしいのではないかと考えております。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 だから先ほど言った、北海道におけるバレイショ生育のとまる時期を明確にしてください。生育がとまる時期から実収の調査を開始していいわけですね。それ以後まで置けばもうふえないですからね。生育がとまれば、収量はふえないから、災害が起きたとか腐敗したとかいうことで、今度は損害が出てくるわけでしょう。
  108. 松田寿郎

    松田説明員 資料によりますと、たとえば札幌管内の農林一号のような品種でございますと、大体九月の二十日まで成長がある、こういうことになっております。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは九月二十日から調査してもいいわけですね。一体どういう調査方法をしているのですか。聞き取り調査でやるのであれば、農家収穫した分から聞き取って、そうして一定の収穫量を出す方法もある。統計調査部のはそういうやり方じゃないのでしょう、調査員が直接圃場に行って抽出して調査するわけだから。
  110. 松田寿郎

    松田説明員 これは先生のほうが私よりも御承知だと思いますけれども、大体生長が終わった時期、したがって、ただいまの例で言いますと、九月の下旬にためし掘りをいたしまして、そのためし掘り収量基準にいたしまして全体の収穫量を推定する、こういうことになっております。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、実収高報告も、もう農林省に来ているのじゃないですか。
  112. 松田寿郎

    松田説明員 先ほどもちょっと申し上げましたが、実収高報告については、現在だんだんと入電中でございます。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 だんだんというのは、幾つくらいですか。
  114. 松田寿郎

    松田説明員 数は私もまだよく聞いておりませんが、幾つか入っております。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 もう少しまじめな答弁をしてもらわぬといかぬですよ。いいですか、ぼつぼつ入電といったって、北海道は四ヵ所しかないのですよ。しかも、札幌事務所が四つの事務所を統括して、そうして本省に報告することになっているわけですから、これは個別にぼつぼつなんというわけじゃないのですよ。
  116. 松田寿郎

    松田説明員 札幌函館が入っておるそうです。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 統計の結果は公表を待たなければ正確な論議はできませんが、しかし、農安法に基づいてできるだけ確実に対象作物の収穫を把握するということになれば、それはまた別な意味において政府内部においてそれを使用できるのです。ですから、たとえば札幌統計調査事務所の場合、実収高の場合にはこれは指数からいくと大体九三に下がるわけですね。第一次が九九で、第二次の九月一日、これが九五、実収が九三、これは本省で調整して、これをどう扱うかは別にして、公表されたものではないが、実収ということになれば、九月一日現在よりもことしは結果が低下することは、これは明らかなわけですから、いまの時点でも実収の報告がなければできないというものじゃないと思うのです。九月一日から事務所別には二%、三%低下するとしても、大体の傾向はわかるわけですね。これをもってしても、カンショの九月二十日現在の予想収穫高よりも、バレイショのほうが確実性はあると思うのです。それから、決定を延ばすということであれば、実収高発表が十月十一日にならなきゃできない、できないのではなくて、結局しないのでしょう。  これは九月十日の委員会においても、荒勝第二部長は、十月三日にカンショ予想収穫が出るから、バレイショはもうすでに出ておるし、食糧庁としての作業は、このカンショ予想収穫を待って作業開始できるということを明らかにしておるわけです。これをとらえてとやかく言うわけではないが、バレイショだけはどうしても実収高が出なければできないという食糧庁の態度ですね、この点がわれわれとしては絶対納得できないのですよ。なぜバレイショは確実なものでなければいけないのか、なぜカンショは不確実な要素を持っておるものでもやらなければいかぬのか。これは将来にも関することですから、ことしだけであれば別ですが、来年、再来年もこういう方式でやるとすれば、これはこの際今後の改善方針というものを明確にしておいてもらいたい。
  118. 大口駿一

    大口説明員 先ほどバレイショ数字をまとめる時期についていろいろおしかりをこうむっているわけでございますが、私どものほうで考えておりますのは、法律で十月二十日までに決定をすべしということになっておりますので、この十月二十日に間に合う範囲内で一番正確な数字を使いたいという気持ちから申し上げておるわけでございまして、特に理由なく数字の確定をおくらしておるということでは決してないわけでございます。カンショの場合は、先ほど来繰り返しておりますように、十月二十日までに決定をしなければならない要請が一方においてありますのにかかわりませず、実収高は十二月にしかわかりませんので、やむを得ず、その十月二十日に間に合うための一番おそい資料と申しますると、十月三日に公表になりました第二回の予想収穫高をもって作業をせざるを得ないわけでございますが、バレイショの場合は、幸いに十月十一日に最終実収高公表になりますので、法律にきめられておりまする価格決定の期限との関連で、この数字を基礎に作業をいたしまするのが最も正確を期し得るのではなかろうかというふうに考えまして、従来ともそのようにやっておるわけでございまして、それ以外の他意は決してございませんので、御了承いただきたいと思います。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 今後の実収高公表の問題ですが、これは絶対毎年十月十日ころしかできないというものじゃないと思うのです。たとえば九月十五日から調査を開始するということになれば、これは九月一ぱいに実収高調査は終わるわけです。から、そうなれば、バレイショカンショと同様に、十月三日にバレイショ実収高公表ができる、カンショ予想収穫高公表をやるということにこれはそろえられると思うのですよ。実収と予想の差はあるが、北海道の場合に、九月十五日の時点で実収の把握ができないなんというばかなことはないのですよ。そういうことは現地を知らぬ者の意見ですからね。ことしは十月十一日しか発表しないつもりでやっておるのだから、これはやむを得ぬとしても、来年度以降はやはり十月早々に北海道の春まきバレイショの場合においては実収の公表ができるという態勢をいまから進めれば、これは実行できると思うのですが、いかがですか。
  120. 松田寿郎

    松田説明員 これは先ほどもお答えいたしましたように、やはり実収高ということになりますと、最終数字でございます。一度発表された実収高をその後また変更するということは決して望ましくございませんので、先生のおっしゃるような御意図でございましたならば、あるいは仕事のやりくりによって、たとえば八月十五日以降において、もっと確実な予想収穫高をもう一度出すとかいうような方法も考えられる、やはり実収高は、最終の、間違いのないという数字で専門家が計算いたしました時点でやっているのが現状である、こういうふうに考えます。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 その点を食糧庁のほうではどうしますか。第二次の確実性のある予想収穫高統計調査部調査して公表する。それは実収よりも確実性が若干劣るかもしれぬが、作業上からいうと、ちょうどカンショの第一次の収穫予想と同時にこれは公表できるわけですね。カンショの第一回よりは、第二回のバレイショのほうが、これは確実でしょう。とにかく九月の十日ごろになって予想をたてれば、目のきく者が調査すればそう狂わぬものですよ。これは政府部内の相談でできるじゃないですか。農安法にも、必ずバレイショ実収高公表を待ってきめるということは書いてないわけですからね。政省令にも書いてないわけだから……。その辺をきょう明らかにしてください。
  122. 大口駿一

    大口説明員 ただいまの問題は、統計調査部長も、ただいまの先生の御指摘によって、今後の研究問題ということで答えられたと思います。私も、いまいきなりこの時点でどうかと申されても、確定的なことは申し上げられませんが、もし明年度、統計調査部が若干本年と作業の手順を変えるということでありますれば、その変えたことに基づいて、食糧庁作業のやり方について研究をいたしてみたいと思っております。
  123. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、原料基準価格あるいはでん粉の買い入れ価格についてどの程度作業をされておるか。需給関係等については、実収高発表にならなければできないですから、これは除くとしても、作業の進んだものがあるわけでしょう。その点をできるだけ詳細に、これは中間報告ということになると思うが、してもらいたいと思います。
  124. 大口駿一

    大口説明員 率直に申し上げまして、いまの時点で作業を何にもやってない、手がつかないということは一切申し上げません。もちろん、私どものほうは責任を持ってこの算定作業をいたす責任を持っておりますので、相当以前からいろいろな資料に基づいて、あらゆる角度からの作業は現在実施をいたしております。この点は、率直に申し上げてそのとおりでございます。  ただ、先ほど冒頭に申し上げましたように、政府部内におきましては、少なくとも全部の資料がそろったところで、全体の角度から、農安法にきめられました方法で、いわゆる食糧庁原案と申しますか、農林省原案というものを作成をいたしました上で、それぞれ財政当局その他と折衝を開始いたしまして、その結果、いろいろな御意見を勘案して最終的な結論を出すわけでございまするので、現在進んでおりまする作業と申しますのは、あくまで部内で作業をいたしておる段階でございますので、まだ数字の形で一部分だけについて御説明をする段階に立ち至っておらないことは御理解をいただきたいと思いますが、作業といたしましては、すでにできるものから少しずつ作業を進めておることは事実でございます。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、当小委員会の検討の素材的な意味で、こちらから項目をあげて質問をいたしますから、わかっておる範囲内のことは率直に説明してもらいたいと思います。  第一に、四十一年度のでん粉の需給見通しについてですが、これは九月十日の委員会において第二部長からおおよそその説明は聞いたわけです。  四十年度との比較によると、バレイショでん粉の場合には、昭和四十年度の出回り数量が二十五万トン、四十一年は八月十五日現在の予想収穫高に基づく作況指数九七、平均反収二千キロと推定した場合は、バレイショでん粉は大体十八万トンということであったわけです。カンショでん粉については、当時の説明によると、四十年の出回り数量が五十五万トン、四十一年の見通しとしては約六十万トン、国産でん粉の手持ちが三万一千トン、こういうような供給の見通しであります。需要の見通しについては、四十年の実績、需要数量が約百二十万トン、年率五%の消費増というものを見込んで、四十一年は大体百二十五万トン程度、こういうことであります。先ほどカンショ予想収穫に基づくでん粉の出回り見通しについては、長官から五十二万トン程度という説明があったわけですからして、これは前回の委員会の六十万トンと比べると、非常に大幅な供給見込みの減少ということになるわけですね。それからバレイショの場合においても、九月一日の指数が今度は九二、実収を把握してからということになれば、おそらく九〇あるいはそれを若干下回る指数が出るということが予想されるわけでありますから、そういう実態の上に立った場合に、先般の需給見通しというものは供給面でどの程度減少するかということについて、おおよその説明をしてもらいたいわけであります。そういたしますと、この供給不足数量というものは膨大な数字に実はなるわけであります。前回の場合においても、大体国産のことしの生産と政府手持ちを合算して、これが約八十八万トンでありますからして、百二十五万トンの需要見込みから見ると、約四十万トン以上の不足ということになるが、今回の場合は大体五十万トン以上の不足数量ということになると思うわけですから、これはあくまでも見通しですけれども、この点を前回の説明に比してもう一度現況に立った説明をしてもらいたいと思います。
  126. 荒勝巖

    荒勝説明員 前回私が答弁いたしましたので、前回に引き続きまして、先生の御質問に関連させながら説明をいたしたいと思います。  先ほど大口長官から御説明いたしましたように、四十一年産のカンでん、バでん、それぞれにつきまして、当初の予想よりも大幅に減りまして、もう一ぺん確認的に申し上げますと、大体カンでんが五十二万トン前後、それからバでんが十五万トン前後、こういうふうに読んでおります。これは前回私が御説明いたしましたのに対しますと、いま御指摘がありましたように相当減っているわけでございます。それで、さらに需要面からいきますと、この間私は百二十五万トンと申し上げましたが、百二十ないし百二十五万トンという全体的な数字は、いまのところ需要面については変えておりません。そういたしますと、国内産のでん粉は、先ほどの五十二万トンと十五万トン、さらに政府が約三万一千トン持っておりますので、大体国内の供給でん粉は七十万トン前後、そうなりますと、供給不足が大体五十数万トン、五十万トン強の供給不足、こういうふうになるわけでございます。それに対しまして、さらに追加で供給できるものは何かということになりますと、小麦粉でん粉が大体八万トンぐらいは見込まれるのではないか。そこで、先ほど長官が説明されましたように、残りをいわゆるコンスで多少補うのか、また、どうしてもバでんでないといかぬのかというふうな事情等もあろうかと思いまして、輸入でん粉ということも考えてみたいとは思っておりますが、いずれにいたしましても、いま十分需給のファイナルのものがきまらない段階で、あまり軽々しく穴のあいたものをどうするんだということは、もうしばらく推移を待って検討いたしたい、こういうふうに思っております。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 これはでん粉価格決定上重大な要素になるわけですから、そうしますと、バでんについては、出回り見込みが十五万トン、カンでんについては五十二万トン、現在政府手持ちが三万一千トンですから、これを合わして七十万トンというのが四十一年の国産でん粉の供給量ということになるわけですね。そうですね。四十年度の正確な需要数量は百十九万七千トンですから、大体百二十万トンに間違いはないわけです。昨年に比べて需要が伸びないということは絶対に言えないと思うのですね。ですから、四、五%伸びるということになれば、やはり百二十五万トンの需要見込みということはそう狂いのない点だと思うわけです。そういたしますと、大体五十五万トン程度は、これは国産でん粉をもってしては不足するということになるわけです。いま小麦粉でん粉の話が出た。これは去年、四十年は大体六万トンですからね。これが八万トンに伸びる要素があるかどうかは、しさいに検討しなければわからぬが、いずれにしても膨大な数量が足りないということだけは、これは明らかであります。ですから、こういうような現実というものは、今度の農安法改正による附録第二についても、需給の動向というものは、それぞれ需要、供給に分けてどういうふうな動向になるかということは、それぞれ変化率を出して示してもらわなければいかぬことになるわけです。それらに対する作業はある程度進んでおるわけですか。
  128. 大口駿一

    大口説明員 ただいま二部長から御説明いたしましたのは、先般の委員会において先生の御質問に対してお答えをいたしました当時の事情と、その後需給の見通しにどのような変化があったかという御質問でありましたので、現在の時点で、一応こまかい問題を除いて、カンショでん粉の供給量なり、バレイショでん粉の供給量なりを申し上げたのでございますが、でん粉の供給量を価格決定の算式に当てはめるために確定をいたしますには、先生も十分御承知でございますとおり、商品化率でありますとか、あるいはでん粉向けの比率でありますとか、あるいは歩どまりというものを最終的に固めた上で当てはめる手順になろうかと思いますので、もしその作業が進んでおるのでありますれば、先ほどのような、大体五十二万トンと十五万トンということでなくて、もっと端数のついた数字で申し上げられるわけであります。そのような作業をいませっかく努力中でございます。もちろん、全く糸口すらつかめない状態であるというふうには申し上げませんが、ここで数字をあげて御説明するような段階にまだ立ち至っておりませんことを御理解願いたいと思います。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま数字をどうせいということを聞いていないのですよ。たとえば、附録第二の中で、あるいは改正された農安法の中で、需給事情というのが明らかになっておるのです。需給となると、あくまでも需要と供給の区分をして見ないといかないが、従来の場合は供給関係だけしか扱っていないのですね。扱うというのはおかしいが、供給の動向というものは、一定の変化率を採用して、これを価格算定に用いておるが、今度の場合は、これは委員会法律改正したわけだから、われわれのほうがあなた方よりよく知っておるわけです。それで、特にことしは、たとえば年率五%の需要の伸びというものが現実にあるとすれば、それはやはり需要の伸びというものを一定の数字で明らかにしてもらわぬといかないということになるわけです。供給の減少というのは、もういままでもやっておるわけだから、これは出てくるが、この大事な需要の上昇指数というものは、やはり算定の要素にどうしても必要になるのだから、この点は前回も一応指摘しておきましたが、失念しないようにしておいてもらいたいという点であります。  次に、算定上、附録第一の場合はこれはわかっておるでしょう。どうですか。
  130. 大口駿一

    大口説明員 パリティ指数はすでに発表になっておるわけでありますから、わかっておらないと言うとうそになりますので、わかっておると申し上げざるを得ないわけであります。私ども八月のパリティに基づいて計算した結果はすでにわかっております。
  131. 芳賀貢

    芳賀委員 政令によっても、パリティの取り方は、前年の九月から決定年のパリティは農林大臣がきめる月ですから、これは一年ということになれば九月−八月ということになるわけです。そうじゃないですか。九月は政令にも出ておるからわかるが、じゃ、七月でいくのか、八月でいくのか、これはどうきめたのですか。
  132. 大口駿一

    大口説明員 できるだけ入手のできる一番新しい資料という意味で、私どもは八月のパリティ数字を使って計算しております。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ、それが明確になったら、これは石田課長でもいいですが、だれがやっても出てくる数字ですから、この点は、この際、附録第一によった部分についてはこういう金額になる、これを説明してもらいたいと思います。
  134. 大口駿一

    大口説明員 石田課長を指名されたのに、出しゃばって私が立ちましてまことに申しわけございませんが、もちろん、計算は課員が計算をして、課長が報告を受けて、私が報告を受けるわけでございますから、課長に聞いたほうが一段早いことは御承知のとおりであります。  先ほど来申し上げておりますように、政令の算式の一と二、両方に基づいた計算をした上で最終的な結論を出すということをたてまえにいたしております。一だけはここでもって小数点以下まで申し上げて、二についてはさっぱりわからぬというのはいかにもあれでございますから、正確な数字を申し上げることだけは御容赦をいただきたいと思いますが、ただ、これはだれがやっても計算ができるわけでございまして、パリティの上昇によって、それぞれカンショバレイショも、片方は八、九十銭ぐらい、片方が六、七十銭ぐらいの値上がりの数字計算値としては出ておることだけを申し上げておきます。
  135. 芳賀貢

    芳賀委員 私が石田君と言ったのは、長官から発言があれば、そんなものは子供でもわかっておることを知らぬかということになるから、それに作業の中途だから、これは担当課長からこの分はどうなるということで、老婆心で言ったわけですけれども金額ができなければ——それは九月—八月のトータルはわかるのです、それから月の平均もわかるわけですから、指数だけでこの点を明確にしておいてもらいたい。
  136. 石田徳

    石田説明員 指数は一七一・五九でございます。
  137. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、農林大臣の行なう生産費調査ですが、これはどの程度調査を進めておりますか。
  138. 大口駿一

    大口説明員 農林省がやっておりまする生産費調査は、もちろん昭和四十年産のものについての生産費調査はすでに公表になっております。今回の価格算定にあたりましては、すでに得られております生産費調査から、四十一年の生産費を一定の方法に基づいて推定をいたす手順になっておることは御承知のとおりでございまして、その作業を目下着々とやっております。
  139. 芳賀貢

    芳賀委員 それは違うのじゃないですか。附録第一の算定は、前年度の原料イモ基準価格に一年間のパリティの動向ということになっておりますが、生産費の場合は、前年度一年ということになれば、これは基準価格ではないので、やはり安定性を求めるために、少なくとも過去三年間の平均的な生産費をとらえて、そうして四十一年の作況事情とかそういうものを勘案してやりますということを、これは政府説明しておるのですよ。いま長官の話だと、四十年の大豊作の一番コストの低い年次だけをとらえてやるということになると、これは非常に危険ですよ。基準価格ということになれば、これは毎年据え置き据え置きでやっておるから変化はないが、しかし、生産費ということになれば、これは非常に問題がありますからね。四十年の生産費を当てはめるなんというばかなことはない。問題は、生産費の動向というものは上昇傾向にあるか、下降しておるかということの趨勢が大事なんですね。勘案事項ということになれば、この点は四十年の統計調査事務所発表によると、三十九年の生産費に対して大体六%生産費は上昇しておるというが、これはもう公表されているから明らかになっているわけです。ですから、傾向値というものは、確実に一年限りでわかるかどうかということは問題ですからね。
  140. 大口駿一

    大口説明員 私の先ほどのお答えは若干ことばが足らなかったと思いますが、私が申し上げましたのは、四十一年の生産費を推定するための基礎資料として一番新しい資料は、四十年産イモ数字までわかっておりますということ申し上げたつもりでございまして、これだけから計算するというつもりで申し上げたのではないわけでございます。
  141. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、四十年の農林省の生産費調査そのものだけを使うのか、三十八、三十九、四十年の平均的なものをつかんで、そして一定の趨勢値を求めてプラス要素にするのか、その点が方針としてきまっておるでしょう。
  142. 大口駿一

    大口説明員 四十一年の生産費を推定する方法は、正直に申しましていろいろな方法があると思います。ただいま先生が仰せられましたように、過去何年間かの生産費の答え——答えと申しますか、最終金額だけをにらみまして、その金額だけの傾向値を見て、その結果最終の答えだけの数字で四十一年度の生産費を推定する方法も一つの方法だと思いまするし、また、生産費の中の各項目について、変化の程度を若干織り込んだ形で推定をする方法もあると思いますが、いろいろある方法での作業は、これはわりあいに時間のかかることではございますが、いま並行して検討いたしておりまして、先ほど申しましたように、先生仰せになりましたように四十年だけからやるということで申し上げておるわけではございませんし、せっかくいま検討いたしておる最中でございます。
  143. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ農林大臣の行なう生産費調査というものは、方針がまだ固まっていないのですね。
  144. 大口駿一

    大口説明員 私が申し上げておりますることは、基礎数字として使う材料は、統計調査部の実施をいたしました生産費調査、これを材料にして使うことは、これははっきりいたしております。ただ、四十一年の数字調査がまだございませんので、これを過去に実施をいたしました生産費調査数字を使って、どのような方法で推定をしていくかということについて、いまいろいろな方法でせっかく検討いたしておるというふうに申し上げたわけでございます。
  145. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、実際に生産費調査の結果が、これは主要な役割りは果たさないが、問題は、反当生産費あるいは単位生産費の場合、収量というものは影響しますから、農林省の場合には、毎年度の生産費調査は、約千戸程度の一定の選定した対象農家に対しての調査を行なっておるわけですね。ですから、調査対象農家ということになれば、収量調査対象農家の平均収量ということに当然なるわけですね。それから農安法に基づいて、イモでん粉の値段を全国的に基準価格を設定するということになれば、一定の小範囲の調査農家の反当収量なんというものは、これは採用すべきでないことは明らかですね。米と同じように、過去三年なら三年の実収、平均反収というものを、これは明らかになっているわけですし、さらに配慮するということになれば、実収の平均反収から一定の標準偏差というものを引いて、そしてできるだけ妥当な、適応できる収量というものを把握しなければならぬと思うわけです。この点は、先ほどの農協の資料を見ても、われわれとしては変だと思うのですよ。農林省の毎年の対象農家生産費調査というものを基礎にしてやっておるわけです。したがって、農協にしても団体にしても、そういう点はまだわからないんですよ、未熟なわけですから。農林省の方針という場合には、過去の反収ということになれば、調査農家だけの平均反収なんというものは、これは理論的な根拠がないわけですから、毎年次の実収の平均反収というものを基礎にして、当然これは生産費の要素に使うべきである。この点はいかがですか。
  146. 大口駿一

    大口説明員 私ども作業といたしましては、生産費調査におきます費用と、それからその結果出ました調査対象農家であげました反収というものは関連があるという考え方のもとに、面積当たり生産費を重量当たり生産費に直します場合には、同じ調査に使っております反収を使って計算をすべきではないかという考え方で、従来ともそのような反収を使ってやっておる次第でございます。
  147. 芳賀貢

    芳賀委員 長官、これは問題ですよ。それでは三十八、三十九、四十年のバレイショカンショの毎年度の実収反収と、それから農林省が毎年発表した三十八、三十九、四十年の調査農家の反収をこの際明らかにしてもらいたいと思います、相当大きな懸隔がありますから。  もう一つは、毎年同じ肥料とか経費を投入しても、農作物というものは気象条件に大きく左右されるわけです。たとえば去年が二千三百キロあっても、ことしは同一の条件で栽培しても千八百キロしかとれないという場合もあり得るわけだから、両様の数字を、反収だけでもいいですからあげてください。
  148. 松田寿郎

    松田説明員 ただいまの御質問の、われわれのほうでやっております調査農家平均反収は、バレイショについては四十年が二千六百十五キロ。これに対しまして北海道農家——この調査農家は実は北海道しかやっておりませんで、北海道農家平均反収は二千三百八十キロ、これが四十年でございます。それから三十九年の調査農家が二千二百二十一キロ。それに対しまして北海道平均反収は二千二十キロ。それから三十八年が、二千三百二十三キロが調査農家でございますが、北海道平均が二千六十八キロでございます。
  149. 芳賀貢

    芳賀委員 大口さん、これだけの開きがあるわけですからね。いいですか、農協の陳情は、調査農家の多いものでやってくれということが先ほどの陳情資料にあるが、こういうことは農林省として良心的にやってもらわなければいかぬと思うのです。ですから、先ほど実収高調査が出てみなければ正確な計算ができないというのは、このことでしょう。この実収ですね。そうじゃないですか。先ほど調査農家の実収のことじゃないのでしょう。念のためにここを明らかにしてください。
  150. 大口駿一

    大口説明員 まず整理をしてお答えをいたしますが、先ほど実収高を待った上でと申し上げましたのは、需給事情勘案いたします際の供給量を確定するために実収高が必要であるということを申し上げたわけでございます。  それから、生産費反収と実収高反収の開きの問題は、従来、過去の生産費調査数字から当年度の生産費の推定をいたします際に、その間の食い違いを一定の係数によりまして修正をいたして作業いたしておるそうでございまして、そのような形でこの両者の差異を調整いたしておるのが従来の作業のやり方だそうでございますので、今年もそのような形で作業をした結果、私ども最終的に数字を固めてまいりたい、かように考えます。
  151. 芳賀貢

    芳賀委員 生産費は、きょうはこの程度にしておきます。  もう一つは、自家労賃を取り入れて生産費資料にするかしないか、これはどう考えておりますか。自家労賃を除いた経費部分だけで検討するか、自家労賃を加えたもので検討するかという点も大事な点ですが、この点はどうですか。
  152. 大口駿一

    大口説明員 ただいま自家労賃ということばを使って御質問になりましたが、これは家族労働報酬のことだと思いますが、生産費調査の中には、この家族労働報酬というのは入っておらないわけでございます。
  153. 芳賀貢

    芳賀委員 入っていないですか。入っていなければいいのですよ。いないということは、今回の場合はそれは使わないわけですね。
  154. 石田徳

    石田説明員 私のほうは、統計調査部でやりました調査を、いただいたものをそのまま使っておりますので、かかった費用ということで、家族労働報酬は、これは結果的に出るものでございますから、一応入っておりません。
  155. 芳賀貢

    芳賀委員 入っていないですね。
  156. 石田徳

    石田説明員 はい。——ちょっと。家族労働報酬というお問いでございましたら入っておりません。自家労賃は当然入っております。
  157. 本名武

    本名小委員長 石田課長、もう一度あらためて答弁し直してください。
  158. 石田徳

    石田説明員 自家労賃としては入っておるわけでございます。家族労働報酬というのは結果的に出るわけで、売りましたものの代金から割り出してくるわけでございますから、それは入っておりません。
  159. 芳賀貢

    芳賀委員 では、自家労賃は入っている……。
  160. 石田徳

    石田説明員 入っております。
  161. 芳賀貢

    芳賀委員 仮定して入れるわけですね。
  162. 石田徳

    石田説明員 はい。
  163. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなるとまた問題になるでしょう。それではどういう自家労賃の算定をやるのか。米価で用いている都市均衡労賃によるのか、農村の臨時雇用労賃、農業のニコヨン労賃でやるのか、これは常に議論の分かれているところです。ですから、米価の算式の方法でやるなら、これは米よりよくしろと言えぬから、まあやむを得ぬかもしれないけれども、日雇い労賃ということになりますと問題がありますからね。これは牛乳の場合でもそうです。この点は、改正のときでもはっきりしておるわけなんです。そういうことは絶対この法律ではやらぬということになっていますから、生産費の場合でも、家族労働の報酬というものを一応切り離して、いわゆる生産費の動向というものはどうなっているかということを勘案要素に使うということは、ぜひやってもらわなければならぬ。固定した考え方の上に立って、原料バレイショの場合とかあるいはカンショ岩の場合は、あくまでも一時間百円、一日八百円の自家労賃でなければならぬというようなことをやるとすれば、これはこの際、最初からもう一回議論をしなければならぬ。そういうことをやるのは今度の法律の精神に反するわけだし、法律違反にもなりますから……。
  164. 松田寿郎

    松田説明員 これもお手元に差し上げてございますが、われわれの八月三十日に公表しました昭和四十年度の生産費調査の家族労働費、バレイショで見ますと、十アール当たり三千二百十一円という数字が出ておりますが、これは近傍の同時期の農業労賃をベースにした従来の方法の計算でやっております。
  165. 芳賀貢

    芳賀委員 それはわかっているのですよ。それが間違いだということは常に議論しているからいいが、それはなま乳の価格とか、あるいはイモ基準価格とか、てん菜の最低価格にそれを使えということにはなっていないのですね。農林省が一定の方針によって自家労賃というものを計算して、その結果生産費がこうなったということを従来公表しておりますが、それは、農産物の他の法律に基づいて政府決定する場合の要素に、そういう不当な日雇い労賃を使わなければならぬということにはならないわけでしょう。歴代の調査部長は、その点は明確にしておるのですよ。ただ、食糧庁や畜産局が悪用するから困るということは、たまたま委員会においても聞いておりますが、松田君の話を聞くと、いかにもそれが当然のような説明になるので、歴代の調査部長は、そういう不都合な言辞は一回も委員会で明らかにしたことはないのですよ。そういう考えは統計調査の業務の本旨に反するじゃありませんか。一日八百円の日雇い労賃で、農産物の価格算定はそれを使わなければならぬというような思想を持って統計調査の事業をやるとすれば、これはたいへんなことになりますよ。もう一度その点を明らかにしてもらいたい。
  166. 松田寿郎

    松田説明員 私がいま御説明いたしましたのは、われわれがやっております内容を御説明したわけであります。
  167. 芳賀貢

    芳賀委員 その農産物の価格決定の重要な資料に、自家労賃は日雇い労賃でなければならないという考えは持っているのですか、持っていないのですか。その点が不明だったので、もう一度明確にしていただきたい。
  168. 松田寿郎

    松田説明員 これをどうするかということまで私から申し上げるのは、どうも少し筋違いではないかと思います。御遠慮申し上げます。
  169. 芳賀貢

    芳賀委員 遠慮しなくても、筋違いだと言えばいいですよ。そうなんでしょう。この点は長官から、ニコヨン労賃を使うか使わぬか。
  170. 大口駿一

    大口説明員 統計調査部長がどの労賃で評価をすべきかと言うことは、確かに統計調査部長の所管外でございまして、本件でありますれば、価格を担当する食糧庁でお答えすべき事項だと思います。ただいま先生がニコヨンということばをお使いになったので、どうもことばが非常によくないのでございますけれども、ことばは臨時農業日雇い労賃という正式な名前になっておるわけでありますが、私どもは、近隣の農業労賃というふうに理解をしてこの数字を使っております。
  171. 芳賀貢

    芳賀委員 それが間違いなんですよ。米価の場合には都市均衡労賃でしょう。なま乳の場合は、ことしは坂田さんの決断がなかなか出なくて、なまぬるい価格をきめておりますね。しかし、不足払いの法律の本旨は、加工原料乳の主要な生産地域における他産業の労賃ということになっておるわけです。私の聞いておるのは、統計調査部が毎年行なっておる生産費というものを勘案要素に使う場合、使い方というものは、いわゆる生産費というものはどういうように毎年変化があるかということを勘案するという方法もあるし、あるいは自家労賃ということになれば、あくまでも仮説の上に立たなければならぬでしょう。結果的に家族労働報酬が幾らになったかということは、イモあるいはでん粉を販売した後にしか帰属はわからないわけですからね。これは石田課長の言うとおりでいいのですよ。しかし、仮定の上に立って自家労賃を計算するということになれば、あくまでも日雇い労賃でなければならぬという、そういう理論的な根拠というのはないのですよ。それは現在においても、統計調査部調査とかあるいは勤労統計によっても、平均的には一時間およそ百円ですからね。一日八百円ですよ。そういう不当な労働報酬というのは他にないでしょう。民間産業のいわゆる日雇い労賃はこれと大体同額ですよ。しかし、一般の都市の勤労者の平均労賃ということになれば、これはことしの米価決定と同じように一時間二百円、一日千六百円になるわけですからね。どうして米つくりの場合には一時間二百円で、イモつくりの場合には一時間百円でなければならぬか、そういう理由づけはできないでしょう。しかし、今回の法律も、あくまでも農林省がそういう不当な生産費によって原料基準価格をきめるということにはなっていないのですよ。ただ、第二条の参酌要素の一つに、毎年農林大臣の行なう生産費調査というものはあげられておるわけですから、やはり生産費の動向というものは、最近の労賃の値上がりとか物価の値上がりとか、そういう傾向から見た場合においては、生産費というものは、農林省が先般発表した三十九年度と四十年度を比較すると、六%上昇傾向にあることは明らかになっておる。それだからして、そういう傾向というものをこの原料基準価格決定の場合の参酌要素として正しく採用するということであれば、われわれは了解できるが、その場合に、自家労賃というものを、名前は日雇いであってもニコヨンであっても、何も悪意でわれわれは言っておるのじゃないのですよ、その中身をニコヨン扱いの八百円にするか、都市均衡労賃の千六百円にするかというところに問題があるのですよ。やはり改正した法律の本旨に基づいて作業というものはぜひやるべきだと思うわけですね。その点を聞いておるわけです。いわゆる態度ですね。姿勢の問題ですよ。
  172. 大口駿一

    大口説明員 米価の決定に際しまして、自家労賃の評価がえを、いわゆる都市均衡労賃で評価がえをいたしておるわけでありまするが、これは、私どもの理解といたしましては、現在の米は、食糧管理法の規定に基づきまして、生産したものを全部一定の価格政府が買い上げるという制度に直接の関連を持った一つ考え方として、今日採用されておる方法であろうかと思うのでございます。イモ価格につきましては、本来生産者の生産いたしましたイモが、加工原料用その他のルートを通じまして自由に形成をされまする市場価格で流通をするということを前提といたしまして、価格が下落をいたしました際に一定の水準以下に下がらないように、でん粉価格を通じて支持をいたしておる価格でありまして、そのような性格の基準価格でありますので、せっかくの先生の御指摘でございますが、米についての価格決定いたしまする際の自家労賃の評価の方法と、ただいま御審議を願っておりまするイモ基準価格決定いたしまする場合の自家労賃の評価方法とは、そのような基本的な考え方に差異があるので、さようなことに相なっておるのではなかろうかというふうに私は考えておる次第でございます。
  173. 芳賀貢

    芳賀委員 これは、あなたがいま言ったのは、さようなことに相なっておるのはけしからぬということで法律を直したわけですからね。改正前はそういうことだったですよ。そういうことでは相ならぬから、委員会改正案を出してこれが通ったわけだから、そうなると、過去のさようなことというのは、今度は全く根本的に改まるわけですからね。古い法律だけながめて、新しい法律を全然農林省は勉強していないのですか。委員会改正だからそういうものはながめる必要がないと考えておるのですか。どうなんです。内閣提出のものは間違っても無理やりやるが、国会で改正した法律というものは、それは役人は忠実にやる必要はないという考えですか。
  174. 大口駿一

    大口説明員 今回の農産物価格安定法改正議員提案であるからということで、私どもがいまのような御答弁を申し上げているわけでは決してございません。私どもの行政のやり方は、その基準となるべき法律議員提案であろうと政府提案であろうと、常に全く区別なしの態度でやっておるつもりでございますし、また、そのようにいたしております。今回の農産物価格安定法改正によりまして、新たに勘案要素として生産費勘案するということになりまして、それを受けまして、農林大臣が行なう生産費調査というものを政令で指定いたしておりまするが、私どもはその生産費調査に基づいて生産費勘案をいたしておるわけでございまして、私が申し上げていることが、今回の改正法律に著しく間違った読み方をしているというふうにいまさっき御指摘でございますが、私は、さようなことではなく実施をしてまいりたい、かように考えております。
  175. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、従来のような日雇い労賃方式というものは、これは採用しないということでしょう、そのことは。
  176. 大口駿一

    大口説明員 私どもは、今回の改正になりました価格決定の方法といたしまして、算式を二つに分けまして、一つの算式といたしましては、パリティ価格基準とする。したがって、このパリティ価格を下回らないということは、重要なる改正点の一つであることは疑いのないところでありますが、その他の事項は、それぞれきめられた方法によって計算をいたした数値を勘案をいたしました上で、最終的な価格決定をすべきものというふうに理解をいたしております。
  177. 芳賀貢

    芳賀委員 じゃ、ちょっと問題を変えて言うが、国家公務員の人事院勧告というのは、これは百人以上の規模の民間産業の平均賃金ということになっておるでしょう。それとほかに、勤労統計によると、民間産業の日雇い労賃というのは別に毎月発表になっておりますね。それからもう一つは、これは大口さんは官房長もやったから、農林省全般のこともわかるが、たとえば林野庁の国有林事業に従事している職員の場合、日給制と月給制と賃金の構成が違うんですよ。月給制の定員内職員の場合は、これはいわゆる国家公務員と同様の地位にあるわけだからして、これは民間の百人以上の規模の平均賃金で給与是正が行なわれておる。日給制の場合は、これは地場賃金制といって、やはり農林漁業の日雇い労賃というのは非常に賃金が安いわけですね。こういうような矛盾が同じ国有林の中にも残っておるわけです。ですから、皆さんの場合には百人以上の規模の民間の平均賃金より下回ってはならぬということが当然であるが、自営農家の自家労賃というのはその半分の日雇い労賃で十分だというような思想が、いまの自民党政府や農林省の中に、それが当然であるということで行政が行なわれておれば、これはたいへんですよ。その結果というものは、いまの日本の農業や農村の状態がどうなっているかということになってくるわけです。そうじゃないですか。一体八百円で、いまの農業者が人間並みの水準の生活ができるか、再生産ができると思っているのですか。最返のバレイショでん粉の販売価格からの家族労働報酬は、イモの場合には、これは食糧イモ原料イモも通ずると、大体男女込みで八時間労働で約千三百円ぐらいの労働報酬ということは、これは明らかになっておるわけです。いまのような安い価格でも、そういう賃金が配分されるわけですね。それが、生産費ということになれば八百円でたくさんだというのは、これは一体どういう考えなんですか。国会というところは、まさか農民を殺すように法律改正するわけじゃないですからね。これは、皆さん役人がそういう考えであれば、これ以上議論を進める必要はないですよ。農林大臣か総理大臣に出席を求めて聞くほかない。総理は救急車で入院中だからすぐ出てこれぬかもしれぬ。しかし、農林大臣は、松野君が外遊中であっても、これは臨時代理というものは選任されておるわけですからね。役人でわからなければ、あした臨時農林大臣に出席を求めてこの点は議論してもいいですよ。これは委員長の賢明な取り計らいをお願いします。
  178. 本名武

    本名小委員長 後刻お打ち合わせいたします。
  179. 芳賀貢

    芳賀委員 では、この問題は大臣の出席まで保留することにして、あと委員長と相談するわけですが、あす午後に小委員会を開くことにおそらくなるからして、その際は——だれですか臨時は。田中君ですね。  次にお尋ねしたいのは、でん粉価格算定の場合は、原料運賃基準価格に加える、それに従来の加工経費を加えるということになっておるが、先ほども、原料運賃については、調査の結果によってすなおにこれを実行するという答弁がありましたが、その点は間違いないですね。
  180. 大口駿一

    大口説明員 そのとおりでございます。
  181. 芳賀貢

    芳賀委員 これはいま調査をしておりますか、これからですか。
  182. 大口駿一

    大口説明員 これから調査をするのではございません。ほぼ調査の結果がまとまりつつございます。
  183. 芳賀貢

    芳賀委員 これは当然、カンショバレイショ、それぞれ工場までの運賃事情というのは非常に違うと思うわけですから、別個にバレイショカンショ運賃計算するということになりますか。
  184. 大口駿一

    大口説明員 別々でございます。
  185. 芳賀貢

    芳賀委員 調査機関は、前回の委員会の場合には、食糧事務所の出先にこれは調査を命ずるということでしたね。それはもう現地調査結果というものは食糧庁へ上がってきておるのですか。
  186. 荒勝巖

    荒勝説明員 先日私が御説明いたしましたように、現地の食糧事務所の職員を使って集めておりまして、現在ほぼ集まっておる、こういうことでございます。
  187. 芳賀貢

    芳賀委員 では当然原料運賃はことしは明らかにしなければならぬわけですね。法律にも、原料基準価格原料運賃、加工経費を加えてということになっておるのですからして、この点は、農林省がでん粉買い入れ価格決定して公表する場合には、運賃については幾らということは明らかにするわけでしょう。
  188. 石田徳

    石田説明員 大臣の名前で告示を出しますのは、イモ基準価格でん粉の買い入れ価格でございますが、その中には出てまいりません。しかし、計算の過程では、その中の積算の基礎としてははっきりいたします。
  189. 芳賀貢

    芳賀委員 それは当然であって、原料運賃ということになれば、結局生産者が工場まで運搬した場合は、当然その運賃部分というものは運送した者に支払わなければならぬということになるわけですね。生産者自身が原料を運送した場合、それからそれを業とする運送業者が運送した場合にはその業者に支払わなければならぬ、あるいはまた、でん粉工場自身が運送設備を持って運送した場合には、それは別に支払う必要はないということになるので、それは結局、ことし決定したでん粉価格の中に原料運賃というものは幾ら妥当な価格加算されておるかということがわからないと、運賃の支払いとか、あるいは協定というものの基礎が見失われるということになると思うのです。告示にはそれは記載できないとしても、やはり行政的に通達か何かの形で、ことしの原料運賃基準は、もちろんこれは平均的なものですから、それを基準にして取り扱うべきであるという行政指導はなされると思うのです。その点をお尋ねしておるわけです。
  190. 大口駿一

    大口説明員 私は、この原料運賃加算をするという制度は今回の改正一つの大きなポイントであろうかと思います。先ほど課長がお答えいたしましたのは、昨年まではそのような形になっておらなかったために、最終でん粉価格だけを告示いたしておったわけでございます。今後その運賃をおそらくでん粉価格に込めて算出をするということになれば、今後のでん粉工場と生産者との間の運賃の負担区分が、大体でん粉工場が負担をするということに今後の形としてはなるのではなかろうか、その際には、やはり指導をいたしまする場合にも、また指導を受けて運賃お話し合いをされる場合においても、やはりどの金額加算をされたかということがはっきりしたほうがいいだろうということで、先生の御指摘を待つまでもなく、私どものほうとしては研究すべき問題と思いますので、告示をいたしまするまでの間に、告示の形でそれをはっきりさせるのか、あるいはその後の通達にするのか、研究さしていただきたいと思いまするが、いずれにしても、御質問趣旨には十分おこたえをいたしたいと思います。
  191. 芳賀貢

    芳賀委員 それは発表の方法について検討するということですね。いずれにしても周知できるようにするわけですね。
  192. 大口駿一

    大口説明員 先ほど来の御質問趣旨を十分体して、実施をいたしたいと思います。
  193. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、従来は、原料基準価格に加工経費を加えるということにはなっておったが、この加工経費の内容というものは非常に不明確で終わっておるわけです。政府決定したでん粉の買い上げ価格から原料イモ代を引いた残りが、結局加工経費とかあるいは若干の利潤部分というふうにしか理解できなかったわけですから、今回は区分して原料運賃とか加工経費ということになれば、加工経費の計算にしても、従来よりも改善を加えて、加工経費に費目別の分類を設けて、この分はこれこれの金額というようなことで積算して、そうして加工経費は全体で幾らになる、運賃が幾らになるということで、でん粉価格というものを公正な立場で決定さるべきだと思います。したがって、今年のこの加工経費の計算内容について、一歩前進した合理的な方法をとるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  194. 大口駿一

    大口説明員 加工経費を幾らに見るかという計算をいたしまする場合には、でん粉工場からのいろいろな報告なり、調査をいたしました結果、それをにらんで標準的な加工経費というものを算出をして、それを最終的にはでん粉価格計算いたします際の積算の基礎にいたしておるわけでありますので、ただいまの先生の御指摘が、運賃と同じように中味を全部はっきりさせるかという御指摘でありますとすれば、加工経費につきましては、従来とも十分調査の上、適正なる標準コストを算出してやっておるつもりでございますが、本年度もそのような方法とやり方でやってまいりたいと考えております。
  195. 芳賀貢

    芳賀委員 従来は加工経費の内容というのは明確でないのですよ。結局、半ば政治的にきめたでん粉価格から原料イモの代金を引いた残りが加工経費、そういうことで残った分だけというやり方なんですよ。だから、ことしはあくまでも正々堂々と経費はこれだけということで、その内容を外部に全部公表せよなんということは言っていないのですよ。少なくとも加工経費の内容的な費目というものは分類して、そうして計算して加工経費全体で幾らということででん粉価格決定すべきであって、残った分だけというのはおかしいでしょう。でん粉価格から原料代金と運賃を引いた残りが加工経費というそういうやり方だと、全然説明も何もつかぬわけですね。だから、この点は改善して、やはり積み上げ方式で経費というものを加算して、そうしてでん粉価格というものを、だれに聞かれても、どこからでもやってこいというくらいの自信を持った価格できめたらいいじゃないですか。そうでないと、みんなにつつかれてひょろひょろしておって、われわれ見ておっても気の毒ですからね。
  196. 大口駿一

    大口説明員 先ほど来の先生の御激励のとおりやってまいりたいと思います。
  197. 芳賀貢

    芳賀委員 あと一、二点で終わりますが、次はことしのでん粉歩どまりという問題、これは冷害等によっても異例な年なわけですね。だから、この歩どまりの把握ということについては慎重を期してやるべきだと思うわけです。この点は、私どもは九月十二日から十六日まで北海道調査を行なった場合も、たとえば富良野で合理化工場等にも立ち寄りましたが、ライマンの計算から見ても、少なくとも昨年度の含有率に比べると一%ないし一・五%程度は低下しているわけですね。こういう実情というものは当然勘案しないといけないと思うのです。毎年同じ歩どまりというわけにはこれはいかないと思うのです。もちろん、歩どまりの非常に優秀な年は、それはこちらで指摘しなくても勘案しておるわけですが、悪いときは言わないと勘案しないでしょうからね。これは現地の食糧事務所が大体掌握していますから、そういう点もことしは考慮に入れてもらいたいと思います。この点はいかがですか。
  198. 石田徳

    石田説明員 技術的なことになりますので、私からお答えいたしますが、バレイショ歩どまりは、実績で見ますと一八%をこえておるわけでございます。それから昨年きめました基準価格歩どまりは一・五でございます。先生が御指摘のように、ことしはライマン価が非常に下がっておるということの報告を受けておりますが、例年でありますと、高でん粉品種の普及というような点もございまして、実績が上がれば、これは上がった点をとっていきたいわけでございますが、ことしはそういう実情もございますので、それは計算の際大いに考慮していきたいと考えております。
  199. 芳賀貢

    芳賀委員 最後にもう一点ですが、原料基準価格をきめる場合、歩どまりが、たとえばバレイショの場合は去年は一・五ですが、それはあくまでも生産者が販売する原料バレイショをライマンの比重計によって算定した、その含有率によるわけですから、これは毎年〇・五ずつ上がっておるのですね。これは見せかけであって、原料価格を上げるために歩どまり率を上げてスライド制でやるわけですが、実際は前年度一六%とか一五・五%に直した場合には、同一歩どまりでいけば何も上がっていないのですよ。それを擬装して〇・五%上げて、今度は一六・五%で二百四十円とかやるが、実際は、その歩どまり計算でいけば前年同様で、上がっていないということにいままではなっておるわけです。しかし、ことしの場合には、いま言ったとおり歩どまりが非常に低いですから、大体一四・五%とか一五・〇あたりが平均的なライマン歩どまりということになって、それが基準価格の中心をなしていくわけです。ことしの場合は、また一六・五%を一七%に上げるなんということは考えていないかもしれないが、大体中庸的な歩どまりというものをその年度の事情等も考慮して押えて、そうして全体に適用される基準価格あるいは歩どまり基準というものを設定すべきだと思うわけです。この点を長官から明確にしてもらいたい。
  200. 大口駿一

    大口説明員 歩どまり調査は、ぽつぽつと申しますか、ほとんど集まりかかっておりますので、従来の実績並びに本年の実情等を十分勘案いたしまして、最終的に決定をいたしたい、かように考えております。
  201. 芳賀貢

    芳賀委員 本日はこの程度にとどめて、次回に継続したいと思います。
  202. 本名武

    本名小委員長 おはかりいたします。  農林水産委員川崎寛治君から小委員外の発言の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 本名武

    本名小委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  川崎寛治君。
  204. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 小委員外の発言ですので、ダブらないようにやりたいと思います。  まず第一に、農安法の第五条に基づいて生産者団体にはかる、こういうことになっておりますが、具体的にどのようにはかったか、それからどういう要望が出てきておるか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。
  205. 大口駿一

    大口説明員 本年の基準価格算定作業は、先ほど来申し上げておりますように、資料の整い次第さっそく作業に入りたいと思っておりますので、その作業に入りましてある程度の成案を得ました段階で、意見を徴したいと思います。
  206. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これは昨年も農林水産委員会でたいへん問題になった点でありますが、十分にはかり、尊重する、こういうことになっておりますし、またわれわれのところにはそれぞれの資料が主産県会議の決議として参っておるわけでありますから、当然にそれらのものが農林省に対しては要望としてあがってくるものだと思いますので、尊重される、こういうふうに理解をしてよろしいですね。
  207. 大口駿一

    大口説明員 法律の規定に従いまして尊重してまいりたいと思います。
  208. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 物価事情を参酌することになっておりますが、今回の政令による算式によれば、日銀の卸売り物価、こういうことになっております。これが、所得の安定と再生産の確保ということについて、日銀の卸売り物価指数を採用して具体的にどのように機能するか、お尋ねしたいと思います。
  209. 大口駿一

    大口説明員 新しい改正の政令の付録第二式に基づきまして、日銀の卸売り物価指数の変化の程度を織り込んで計算をすることによって物価の動向を反映させるという趣旨算定をいたしたいと思っております。
  210. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 物価事情勘案するということは、農家所得の安定なりあるいは再生産の確保というものに役立たせる価格決定に持っていくためであるわけですね。そこで、先ほどいただいた資料によれば、四十年産生産費調査、これを見れば、農具費の増加が一四・四%増、それから農具の償却費は一六・二%増、あるいは労働費、肥料費、それから諸材料費も九・五%上がっておるわけです。農家が卸売り価格でこれらのものが保証されるということであれば、日銀の卸売り物価指数というもので判定をするということもよろしいと思う。しかし、実際に農家が生産をやるそのものは卸売り物価ではないのです。しかも、昨今の物価事情というのは、消費者物価の増勢というものと卸売り物価の動向というのは違いがあるわけです。去年からことしにかけては卸売り物価が急激に上昇しつつあるわけでありますけれども、しかし、実際の生産というものに卸売り物価指数で判定をしていくということは、現実からあまりにも離れておると思う。いかがですか。
  211. 大口駿一

    大口説明員 いまの先生の御指摘の卸売り物価の変化の動向をここで織り込んでおりますのは、日本経済全体の物価の動向をここで反映をさせるということでございまして、農家生産費の中に占めますいろいろな資材その他の値上がりは、御指摘のように、卸売り物価の変化率とは若干違う様相になっておるわけでありまして、私ども先ほど来他の諸先生にお答えをいたしておりますとおり、生産費計算をいたします場合には、過去の生産費調査数字を基礎といたしまして、四十一年の生産費を一定の方法に基づいて推定をいたすわけでございますので、この推定の過程におきましては、日銀の卸売り物価指数の変化だけを見て推定をするという手順ではございませんので、その点は、私どもとしては、先生の御指摘のような問題は念頭に置いて従来も作業をいたしておったつもりでございます。
  212. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そこはたいへんに矛盾があるわけですね。日本の経済の動向、物価の情勢というものを判断する基礎だ、こういうわけです。ところが、具体的に労賃の問題になれば主産県の近郊の労賃だ、こういうことになるわけですね。非常に大きな矛盾がありませんか。
  213. 大口駿一

    大口説明員 ちょっと先生のおっしゃられておることが、理解があるいは違っておるかとも思いますが、私がいまお答えをいたしましたのは、生産費計算いたします場合に、生産費を構成いたしまする農家のいろいろな購入物品とか資材費、こういうものは、それぞれの変化の程度を織り込んで四十一年産生産費の推定の際に勘案をして作業をいたします。しかし、この附録算式の二にございますところの日銀の卸売り物価指数をここで算式の中に挿入いたしております趣旨は、そのようにして勘案をいたします生産費とは別に、物価全体の動向を反映させるためにこの算式が組み立てられておるという趣旨で御説明申し上げたわけであります。
  214. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 、だから、そこがわからぬというわけです。結局、労働費の計算は主産県の近郊のものでやるわけでしょう。ところが、物価事情を参酌するという場合には、日銀の卸売り物価で全体の動向を反映させるのだという、そこは矛盾があるのじゃないですか。
  215. 大口駿一

    大口説明員 ちょっとどうも先生の御指摘の意味がつかめないわけでございますが、私のほうでお答えをしておるのが、もしかりに農業の物価、たとえば農家の購入物品の変化というものを一切織り込まないで、単に日銀の卸売り物価指数の変動だけを勘案しているにとどまっておれば、あるいは先生の御指摘のような立論に相なろうかと思いますけれども、私ども申し上げておりますのは、農家の購入物品の変化率というのは、第一義的に附録算式の第一の農業パリティの変化率に十分反映をしてくると存じますので、まず、そこで十分に反映をしてまいることが第一点でございます。  第二番目には、生産費勘案いたします場合の四十一年産生産費を推定する作業の過程において、農業事情に含まれまする物価の変動は織り込んで推定をいたしますので、その上にさらに一般の物価の動向ということを勘案する意味で、日銀の卸売り物価指数の変化率を織り込んであるわけでございまするので、片方をやめて日銀の卸売り物価指数だけを勘案しているという趣旨ではないというふうに私はお答えをいたしておるつもりでございますが、そのように御理解をいただきたいと思います。
  216. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 労働費については、労働省の毎月勤労統計じゃないんですね。その点どうですか。
  217. 大口駿一

    大口説明員 生産費の中に見ます自家労賃につきましては、農村における労賃というものを織り込んで私ども計算をいたしております。
  218. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 だから、理屈としてパリティ指数で云々ということを言っておられますけれども、しかし一方、労賃の場合には農村の労賃で算定をされてくるわけでしょう。だから、全体的に日銀の卸売り物価指数というもので一方では物価事情を入れているのだ、こういうことになれば、その点はやはり非常に矛盾が大きい。
  219. 大口駿一

    大口説明員 どうも私のお答えしている点を御理解いただけないので、私の説明のしかたがあるいは悪いのかもしれませんが、物価の動向をどういうふうに織り込むのかという当初の御質問でございましたので、物価はまず第一義的にはこの附録算式第一の農業パリティ指数の変化率によって、農家の購入物品等の物価の値上がりはこれによって反映されるでございましょうということを申し上げたわけでございます。それからさらに、日本経済の物価の動向を若干なりとも反映をさせるという趣旨で、そのほかに、附録算式第二で日銀の卸売り物価指数の動向を織り込むような算式になっておるわけでありまして、そのほかの参酌事項といたしまして、生産費勘案をいたします際に、生産費を構成いたしますもろもろの費目の変化を推定して、四十一年の生産費を推定いたしておるわけで、その両者を勘案いたすわけでございますので、両者が相矛盾しておるという御指摘でございますれば、その点はまことに申しわけございませんが、ちょっとどういう趣旨で御指摘になっておるのか、十分に私理解できないのでありますが……。
  220. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 この問題は、また次の機会に譲ります。  次に、コンスの問題をお尋ねいたしますが、先ほどの答弁は、割り当て制度の問題については、意見を聞きながら将来きめたいということですが、将来というのは、価格決定の際にはきめるということですか、それともそれ以後になるということになりますか。
  221. 大口駿一

    大口説明員 現在のコンスターチの関税割り当て制度が明年の三月に期限が切れますので、これの事後の取り扱いについて意見を伺ってきめると申し上げましたのは、議員立法で現在の制度ができ上がっておりまするので、その立法をされました諸先生の御意見もその期限が切れる前に伺った上で、方針を決定するという趣旨で、先ほど申し上げたつもりでございます。
  222. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 先ほど中川委員なりあるいは児玉委員質問については、関税法違反の点については事実をお認めになっておるように受け取るのです。といたしますと、つまり、指摘されております第一次割り当てなり第二次割り当てなりの分以外の関税法違反の分があるということについては、お認めになりますね。
  223. 荒勝巖

    荒勝説明員 いま御指摘の点でございますが、一次割り当てというか、いわゆる一〇%の関税の分は、食糧庁で指導して、割り当てして許可をして輸入をさしております。それから二次の分につきましては、二五%の関税がついて、いわゆる表向きには自由に輸入してもよろしい。実質的にはいろいろな指導をいたしておりますけれども。そのほか、いまの先生の御指摘では、何か別のものがあるのではないか、こういうふうな御指摘のようでございますが、一、二私たちのほうに、多少関税法違反という形で税関にいろいろ注意を受けた企業があるということについては、非公式ながら連絡を受けておりますので、その点は確認したいと思います。そういう点がないように自今大いに指導並びに注意を喚起したい、こういうふうに思っております。
  224. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それは、一次割り当て、二次割り当て、それ以外というものについて、制度的に明確になりますか。それともそこの点は非常にむずかしいですか。
  225. 荒勝巖

    荒勝説明員 制度的に一次、二次、それからその他というふうに三つの制度が……。
  226. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 いや、制度というんじゃない。それを判定をすることが……。
  227. 荒勝巖

    荒勝説明員 制度的には、いわゆる一次といいますか、食糧庁が一〇%の関税クォーターをやっているものと、それからあとは二五%で自由に入ってくるもの、それ以外のものは、極端なことをはっきり申し上げると、いわゆる犯罪事実になる。しいて麦をどこからか無理に入れれば、これはちゃんとした公式のルートで入れば二五%の関税で、制度としてはその他のものはないというふうに申し上げたいと思います。
  228. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 事実はどこの企業がどうということについては明確でありませんが、そういうことがあった場合に、その企業に対してどれだけの制裁措置をとられますか。つまり、あと減らすとか、そういう点の制裁措置についてはどうですか。
  229. 荒勝巖

    荒勝説明員 はっきり結論から申し上げますと、一次割り当てを受けておる、いわゆる一〇%の安い関税で入っておりますコンス・メーカーには、そういった不正なトウモロコシを入手したという事実はございません。ただ、全然食糧庁とは関係のない、一次割り当てを全然受けていないコンス・メーカーといわれるものが若干町にあるようでございまして、その方々の中でトウモロコシを入手したいあまりに、多少無理をして何かはかから入手されておるようでございます。したがいまして、それについては、われわれのほうとしては、別にこの安い一次割り当てのコンスを従来割り当てしてきたいきさつもございませんし、今後も割り当てする気はございませんので、そういうことのないように大いに行政的な監視、監督の目は光らせたいと思いますが、かりにそういう犯罪事実が発生した場合は、行政措置の対象ではなくして、あくまで関税法違反として別途の処分があるのではないか、こういうふうに思っております。
  230. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 いずれにいたしましても、今後の問題としては、カンショでん粉が足りない、バでんも非常に減る、こういうことで、何で埋めるかということについては、先ほど今後の問題というふうに言われておるわけであります。しかし、一たん陣地を確保されれば、つまり、コンスがそれだけの分野を確保すれば、そこに対してカンでんなりバでんなりが取り戻していくということは、これはもう事実上ほとんど不可能だと思うのです。そういう点からいきますと、今後の不足をどう補うかということについては、今後数年間の動向を左右していくきわめて重要な問題じゃないかと思うわけです。  そこで、二点にわたってお尋ねしたいと思いますが、一次割り当ての十八万トンをこえる分については、甘味資源の実需者にひもつきで渡すというふうにすべきだと思うのです。その点が一つ。それからもう一つは、国内のコンスの生産力が現在四十万トンともいわれるし、三十五万トンともいわれておるわけであります。現に、カンショでん粉が足りない、そういう動向の中から、新しい設備をさらに新設しつつある、あるいはしようとしておるというふうなことも聞くわけです。そういたしますと、これは非常に大きな問題になってまいるわけでありますが、それらの点についてコンスを規制していくという昨年の春決定をした方針からして、また、この農林水産委員会においても、前に岡田第二部長がその点答弁をし直して、規制の点については一応明確な方向でいく、こういうことを答弁しておるわけでありますが、この二点をひとつお尋ねしたいと思います。
  231. 荒勝巖

    荒勝説明員 先ほど長官並びに私から答弁をいたしましたように、ことしのでん粉需給事情は、五十万トン前後の需給逼迫と申しますか、非常に穴があくということは、もうおおむね推定されるのでありますが、じゃその穴をどうやって埋めるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、まだ十分現在の段階でこうするのだという明確な方針は実は持ち合わしていない。ただ、ここである程度申し上げられることは、従来国内産のいわゆるカンでん、バでん両方でやってきた。あと足りないのを、いわゆる小麦でん粉、コンスあるいは輸入でん粉、この三つで大体埋めてきた。いずれにしましても、今後ちょっと足りない五十万トンにつきましても、足りないままに置いておくわけには国民経済上われわれとしてはいきませんので、やはり何がしかの穴を埋めなければならない。穴埋めをするにしましては、大体この三つの要素をある程度勘案しつつやっていきたい。このコンスを大いに生産増強するという問題につきましては、やはり設備の増強とか、あるいは一たん開いてしまうとまた翌年から継続的にコンスを入れなければならぬとかいうふうな問題もありますので、これを強く開くということについては相当に慎重な配慮が要るのじゃないか、こういうふうに思っております。と申しましても、事実上、トウモロコシにつきましては日本はアメリカという世界的に原料供給のわりあいしっかりした国が控えておりますので、ある程度確保しやすいということは言えるのでありますが、いわゆるでん粉を輸入するということになりますと、ヨーロッパのバでんを日本が十万トンも買い付けにいくとなれば、また急速に値を上げてしまう。あるいは東南アジアの食糧不足のところのタピオカでん粉を買い出しに行くということになれば、またえらい値を上げてしまうというようなこと等もありまして、その辺は国際的にはそう簡単にでん粉というものは手に入るものじゃないということも、われわれは十分頭に入れて実行いたしたいと思っておりますので、いまここですぐにどうするかということはまことに申し上げにくいのですが、いずれにしても、いま申し上げました三つのでん粉の供給確保方法をめぐって検討してまいりたい。そうしないと、いわゆるでん粉の実需者というものが非常に迷惑し、ひいては国民生活上たいへんな悪影響が出てくるということだけは、きょうこの席で申し上げられるのじゃないか、こう思っております。
  232. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 十八万トンをこえる分については、つまり二次割り当ての分については、甘味資源実需者にひもつきで入れるという方向に持っていく考えがあるかないかということをもう一つ
  233. 荒勝巖

    荒勝説明員 いまのところ、われわれといたしましては、ストレートにそういう甘味資源の実需者に渡すということをいまここで明確に申し上げることは考えていない、こういうことでございます。
  234. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 再生産の確保、こういうことになっておりますが、この足りないという傾向、生産額が減少していくという傾向は、法律がうたっておる再生産の確保と逆行する方向ですね。これのここ数年の見通しはどういうふうに見られますか。
  235. 荒勝巖

    荒勝説明員 私たち食糧庁におる者といたしましても、でん粉の需給というものが、戦後、あらゆる食糧並びにほかの農産物の中でも、一番多岐にわたる変化をいたしまして、掌握のしにくい食糧の一つというふうに思っております。つい二、三年前までは、要するに、去年でさえも、ひょっとしたら非常な大増産で、過剰生産になって大暴落して、食糧庁相当なものを買い入れなければならなくなるんじゃなかろうかという心配が非常に強かったわけでございますが、あけてみますれば、何かみなの御努力によって、何となくイモでん粉産業としては比較的よい一年間を送ったわけでございますが、それで一年たって今日になれば、来年はたいへんな不足だ、たった一年の間に話が全然逆転してしまうということで、これがはたして長い傾向として、でん粉がそのように今後恒常的に供給不足といいますか、需給逼迫の事情が十年も続くのかということになりますと、食糧庁当局といたしましても、そこまで十分な資料並びに見通しは持ち合わせていないというのが実情でございます。そういうふうに今後長く続くということになれば、また腰を入れた別の検討もいたさなければならぬかと思いますけれども、いまのところ、まださしあたり短期の問題として一応現状を把握していただいたらいかがか、こういう形でおる次第であります。
  236. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 イモ作付面積はまだ減ると見ますか。
  237. 荒勝巖

    荒勝説明員 その辺になりますと、私も農政担当のほうでございませんのでわかりませんが、最近、人間がストレートでイモをあまり食べないし、また聞くところによりますと、いわゆるえさとしてでも家畜もあまり食べなくなった。やはりイモというものは、多少加工してそのでん粉を何か人間が利用するというふうな消費傾向が強まっているのではないかという感じもいたしますので、イモの生産が即直ちにでん粉の増減に響くかについては、また別の検討が要るのではなかろうか、こういうふうに思っております。
  238. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これは石炭と石油の関係とも似ておるわけですけれどもでん粉がとにかく足らない、トウモロコシを入れて国内でコンスをつくって、それで補っていく、こういうことになれば、先ほども触れたように、この点はたいへんにむずかしい問題が既成事実として出てくるわけです。そこで、いま見通しについてもきわめて困難だ、こういう見通しを言っておられる。それは要するに、所得の安定なり生産の確保なりということがなかなか法律どおりいかない、これが現実であるわけです。そこで、非常に短い問題をとって考える場合に、そういうことであるから、なお一そう、先ほど児玉委員も特に力説をされたように、南九州なり北海道なりというきわめて特殊な地域の問題として考えるならば、ここでコンスの国内生産の能力がふえるということはたいへん大きな問題になるわけです。だから、今後の問題としては、コンスで埋める、あるいはタピオカなりキャッサバなり、そういう東南アジアのものはなかなか困難だ、こういうことがあったわけでありますが、次にお尋ねしたいことは、トウモロコシを入れて国内でコンスをつくるということではなくて、足りなければコーンスターチそのものを入れるべきだ、国内の生産についてはやはりあくまでも生産規制をしていかなければいかぬ、こう思うわけです。それは鹿児島県の代表がここで陳情されたときにも、その点については触れられておるわけです。だから、これは将来の問題としてこれから検討するのだということでは済まない問題である。もう昨年もことしもコーンスターチの問題は繰り返し繰り返し議論をされてきておる問題でありますから、将来どうしよう、こういうことではなくて、五%程度ずつでん粉の需要がふえるという状況にありながら、カンショでん粉は足りない、あるいはバレイショでん粉にしても急激に生産が減っていく、そういうふうな状態にあるわけですので、そういう関連からするならば、どうしてもでん粉そのものを入れるということで当面の不足を補う、このことが基本方針として確立されなければならない、こう思うわけです。長官、いかがですか。
  239. 大口駿一

    大口説明員 ただいまの先生の御意見は、せんじ詰めますと、でん粉の需給の逼迫を埋める方法を研究する場合には長期的な視野に立った上でやるべきであるということが基本的なお考えにあって申されておるのではないかと思います。入れる手段として、でん粉を入れる場合の技術的な困難とか、あるいはコーンスターチの規制に手をつけた場合には、あとあとまた再び需給が回復をしたときに、いろいろな問題が残るとかいう点を頭に置かれて、いろいろ御指摘になっておるのだろうと思います。私どもも、この需給の問題は、単に今年の需給逼迫をどうするかという問題だけではなくて、将来のでん粉全体の問題、あるいはでん粉原料として使っております実需産業をどうするかという問題で、非常に大きな問題を解決しなければならないわけでございまするが、これらの問題の解決をはかります場合に、その場その場の措置ではなくて、長期的な観点に立ってものごとをやっていくべきだという心がまえを持っていろいろのことに処してまいりたいというふうに基本的な考え方を申し上げて、お答えにかえさせていただきます。
  240. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 どうもさっぱりわからぬですがね。もう少し何とかはっきりできないですか。
  241. 大口駿一

    大口説明員 ことしのでん粉の需給を埋める方法をどういうふうにするかという問題は、今後の研究問題であるということを実は申し上げたいわけでございます。そうしますと、そんなことではなくて、いますぐもっと研究しなければいかぬというふうに仰せられると思いましたので、実は若干先回りをいたしまして、今後研究をいたすことによって、いまここで的確なお答えはできませんが、しかし、先生の御指摘になっております趣旨を十分に念頭に置きまして、その場その場のことではなくて、長期的に通用するようなことで措置を研究いたしたい、かように申し上げた次第でございます。
  242. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 研究すると言われたら、それ以上わからぬわけですが、とにかく私の申し上げたような方向ということは、これは南九州なり北海道なりの農民にとっては非常に切実な問題ですから、十分に研究を願いたい。  次には、まだ幾つかありますが、ひとつはしょって最後に、再生産を確保するということ、これは食糧庁だけではなくて、園芸局等も当然に関連をする問題ではありますが、基本方針というものですね。現実には去年、ことしと減っている、こういう中で再生産を確保していくためにどうすればいいのか。この農安法なり政令なりに基づいて再生産が確保できると見ておられるのかどうか。
  243. 大口駿一

    大口説明員 農林省の所管のいろいろな法律の中で、「再生産の確保を旨として」という字句が規定の中に含まれている法律が幾つかございます。食糧管理法しかり、いろいろございます。この「再生産の確保を旨として」という規定についての私どもの理解は、ことしつくられた数量と全く同じ数量が来年つくられなければならないという狭い意味ではこの「再生産の確保を旨として」という字句を必ずしも読んでいないわけであります。また、そのようなことでは、もし少しでも違えばもう直ちに法律違反ということになりますので、そうではなくて、やはり次の年の生産をする際に十分その費用を償うということを頭に置いてやるべきだというふうに私は読んで、数量と数量がイコールであるというふうには読んでいないわけであります。しかし、究極的にはそれは両者は同じことになるわけでしょうけれども、今回の改正の規定の本年の価格決定をする際の読み方といたしましては、いま私が後段に申し上げたようなことを配慮してやるべきものというふうに私どもは理解をいたしております。
  244. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 最後に一点。必要のとき必要の数量を買い入れる、こういうことになっておりますが、この予算措置については十分になし得るのかどうか、この点ひとつ明確に……。
  245. 大口駿一

    大口説明員 食糧管理特別会計の農安勘定におきまして、四十一会計年度におきましては、でん粉十万トン、金額にいたしまして五十八億の予算を計上いたしておるわけでありますが、先ほど来御説明いたしておりますようなでん粉需給事情を反映をいたしまして、今会計年度に入りましてから政府の買い入れが行なわれておらないわけでありますが、今回の改正の御趣旨も十分体しまして、昭和四十二会計年度予算編成にあたりましても、でん粉の市況の変化に応じてでん粉の買い入れに支障のないような予算編成をしてまいりたい、かように考えております。
  246. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 終わります。
  247. 本名武

    本名小委員長 次会は明六日午後一時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会