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1966-10-19 第52回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十九日(水曜日)    午後一時三十七分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 仮谷 忠男君 理事 田口長治郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       小枝 一雄君    坂村 吉正君       笹山茂太郎君    綱島 正興君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       野呂 恭一君    藤田 義光君       森田重次郎君    千葉 七郎君       西宮  弘君    松浦 定義君       玉置 一徳君    林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 松野 頼三君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房長) 檜垣徳太郎君         農 林 技 官         (大臣官房技術         審議官)    原  政司君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      石田  茂君         農林事務官         (農林経済局         長)     大和田 啓気君         農林事務官         (農政局長)  森本  修君         農林事務官         (農地局長)  和田 正明君         食糧庁長官   大口 駿一君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    荒勝  巖君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 十月十四日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として桜  井茂尚君が議長指名委員に選任された。 同日  委員桜井茂尚君辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和四十一年産カンショ及びバレイショ原料基準価格並びにでん粉及びカンショなま切り干し政府買い入れ価格等に関する件について、いもでん粉等価格対策に関する小委員長から報告を求めます。本名小委員長
  3. 本名武

    本名委員 いもでん粉等価格対策に関する小委員会報告。  いもでん粉等価格対策に関する小委員会は、九月十日の農林水産委員会でその設置決定され、九月十九日委員長が小委員長及び小委員指名をいたしました。小委員会は十月五日、六日及び十四日の三日間にわたり開会し、政府からイモでん粉事情価格算定の経緯を聴取し、質疑を行ないました。  以下、審査の過程を通じ問題となりました事項といたしまして、  一、価格決定の時期を早めること。  二、価格算定にあたり、農安法改正趣旨を十分考慮し、基準歩どまりについて実態を反映した適正歩どまりとすること。原料運賃算定にあたっては、実態を反映したものとするとともに、原料運賃加算周知徹底方をはかること。でん粉加工経費について、人件費、諸資材値上がり等を考慮し、適正経費を織り込むこと。  三、でん粉需給の逼迫とコーンスターチ生産調整にあたっては、国内でん粉の圧迫とならないよう慎重に配慮すること。  四、イモでん粉需給長期見通しを策定し、畑作振興をはかるべきこと。  五 でん粉工場合理化をはかるととも一に、でん粉工場廃液処理施設について国の助成等措置を検討すべきこと。等であります。  なお、これらの質疑の詳細は会議録に譲ることとしますが、小委員会の結論として、次の諸事項につき決定をいたした次第であります。     昭和四十一年産しょ及び馬鈴しょ原料基準価格並びにでん粉及び甘しょ生切干の政府買価格等に関する件  一、いもでん粉等価格を速やかに決定すると共に、甘味資源自給度向上畑作地域農業振興の立場から再生産確保されるよう生産農家要望に応えて妥当な価格水準設定すること。  二、右の価格算定に当っては、改正農安法完全実施に留意し、適正歩留り設定完全スライド制の採用により原料基準価格を定めると共に、実際支出される原料運賃でん粉工場経費が適正に織込まれるよう留意すること。  三、本年度でん粉類不足対策として、専らコーンスターチ増産にたよることは長期的に見て畑作振興上悪影響があるのでコーンスターチ工場能力設備拡大抑制措置及び関税割当制度は継続すること。  四、でん粉工場合理化を更に推進し、工場廃液処理施設に対する費用負担については国庫補助等措置を検討すること。  なお、この小委員会決定に対し、大口食糧庁長官より、本趣旨に沿い善処するよう努力する旨の発言がありましたことを申し添え、小委員会報告を終わります。
  4. 中川俊思

    中川委員長 以上で小委員長報告は終わりました。     —————————————
  5. 中川俊思

    中川委員長 この際、松野農林大臣から発言を求められておりますので、これを許可いたします。松野農林大臣
  6. 松野頼三

    松野国務大臣 農林大臣就任以来、委員各位にごあいさつ申し上げる機会に恵まれず、二カ月余を経過いたしましたが、農業をめぐる内外の諸情勢がまことに容易ならざるときにその職責のきわめて重大なることを痛感いたしている次第でございます。かかる時期に、農林行政のある部面及び私のことに関連して種々話題となっておりますことは、ひとえに私の配慮の至らなさによるものでありまして、まことに遺憾に存じております。この際、職務の重大さをあらためて強く認識し、決意を新たに農政を推進してまいる所存であります。当委員会の御審議に際しましても、委員各位の御協力を得ましてこの重責を果たしてまいりたいと存じておりますので、何とぞよろしくお願い申しあげますとともに、本日この機会をかりまして、農政基本的方向について私の所信の一端を申し述べたいと存じます。  最近の農業動向を見ますと、農業生産選択的拡大が進展いたしますとともに、農業労働力の流出に対処して機械化等による労働生産性向上への努力が進められ、さらには、農業に専念し、生産性の高い農業を営みつつ、農業によって他産業従事者とほぼ同程度所得をあげている農家が徐々に形成されつつある等、農業の発展が力強く続けられていることが見られるのであります。  しかしながら、同時に、農産物需給並びに価格の面において、また農業構造の面においても、解決を要する幾つかの重要な問題を生じつつあるのであります。このような情勢のもとで、農業生産性向上をはかりつつ、需要に即応した農業生産増大確保し、農業従事者所得向上させるという農政の課題にこたえるためには、生産構造価格に関する各般の施策を総合的に強く推進する必要があると考えるのでありますが、この場合、特に内外食料需給動向から見て、主要農産物について長期的視点に立ってその生産振興すること、生鮮食料品価格の安定のため生産体制整備と流通の改善合理化を行なうこと、また、農業構造改善を進めるとともに、優秀な農業経営担当者の養成と農村の社会、生活環境整備を行なうこと等に留意してまいる考えであります。  また、林業及び水産業につきましても、生産性向上と総生産増大をはかるとともに、従事者に対して福祉の向上をはかるため、積極的に諸施策を推進してまいる所存であります。  このような観点から、昭和四十二年度予算編成にあたりましても、所要の経費を重点的に確保してまいる所存であります。  なお、本年の米の作柄概況について申し上げますと、水稲北海道冷害のため不良であるほかは、全国的に良好であり、中でも西日本においてはきわめて良好であります。また、陸稲は干ばつのためやや不良であります。今後の気象が順調に推移すれば水陸稲合計収穫量は千三百万トン程度期待し得る状況であります。  こうした中で、不幸にして北海道における三年連続の冷害をはじめ諸災害に見舞われた地域に対しましては、政府といたしましても、被害農家の再生産確保し、経営の維持安定をはかるために、強力に各種対策を講じてまいる所存であります。  最後に、本委員会及び委員各位の御支援、御協力をお願い申し上げて私のあいさつといたします。     —————————————
  7. 中川俊思

    中川委員長 次に、去る十七日告示されました昭和四十一年産カンショ及びバレイショ原料基準価格並びにでん粉及びカンショなま切り干し政府買い入れ価格について、政府より説明を求めます。荒勝業務第二部長
  8. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま長官がほかのほうの委員会出席を求められておりますので、私からかわりまして御説明いたします。  先週の終わりに、当委員会の十分な御意見を拝聴いたしまして、政府農林省といたしましては、ただいまお手元に配付いたしておりますような数字決定いたしましたので、その経過について御報告いたします。  お手元に配付してあります数字のように、イモ基準価格につきましては、カンショにつきましては三七・五キログラム当たり三百四十円、昨年の三百二十円に対比いたしまして二十円の価格増でございます。歩どまりは二四%、同様でございます。  バレイショにつきましては、やはり一六・五%を基準にいたしまして、三七・五キログラム当たり二百五十五円と決定いたしまして、昨年の二百四十円に対しまして十五円の値上がりでございます。  これを基礎にいたしまして、次のカンショ切り干しにつきましては、三七・五キログラム当たり包装込みで千二百五十五円、前年の千百七十円に対しまして七十五円の値上がりでございます。  次に、カンショでん粉につきましては、三七・五キログラム当たり千八百七十円と決定いたしました。  バレイショでん粉につきましては、精粉は同様に二千五十五円、未粉につきましては二千二十円という形で決定いたしました。  以上、簡単でありますが、御報告をいたします。     —————————————
  9. 中川俊思

    中川委員長 北海道における異常低温による農作物等減収状況について説明を求めます。石田大臣官房参事官
  10. 石田茂

    石田説明員 去る十月の十二日から十四日までの三日間にわたりまして、温水政務次官団長といたしまして、以下農林省関係係官よりなる調査団が、北海道冷害事情調査するため派遣されましたので、その調査概要につきまして、団長にかわりまして説明申し上げたいと思います。  まず、調査団編成でございますが、団長のほか、石田官房参事官小川農地局建設部長松永農林経済局保険業務課長田中農政局普及教育課長南日食糧庁買課長長友農林経済局金融課課長補佐であります。  今回、調査団が派遣されました趣旨といたしましては、本年六月以来の異常気象によりまして、北海道及び東北地方稲作その他の農作物生育のおくれが非常に目立っておりまして、幸い八月の半ばに多少天候の回復したこともありましたけれども、気象庁長期予報は必ずしも楽観を許しませんでしたので、農林省といたしましては、現地事情に即しました技術対策調査指導するため、八月の下旬から九月の上旬にかけまして指導班を派遣しまして、冷害に対する営農指導の万全を期してまいったわけでありますが、このような努力にもかかわらず、水稲をはじめ畑作物につきまして、一般的に不作の状況にあります。  九月二十日現在におきます道庁の調査の結果によりますと、全道の被害面積は約六十四万二千ヘクタール、被害戸数は十四万三千戸、被害見込み額は実に四百二十二億円に達しているのであります。  しかも北海道は、昭和三十九年の全道的な冷害、それからそれに引き続きます昭和四十年の道東道北地域等における水稲冷害、さらにそれに続きまして本年の三年目の冷害でございまして、農林省といたしましても、その経済的打撃はまことに憂慮にたえないところでありまして、冷害を受けられました農家生活の安定並びに再生産確保をはかるために、諸般の対策を早急に講ずることが必要であるという考えのもとに、現地実情調査した上でさしあたりの応急対策中心にして、なおこれに関連いたしまして、恒久対策をも含めまして、今後における冷害対策に遺憾なきを期することとした次第でございます。  次に、調査の日程並びに経路について簡単に申し上げますが、調査団は十月十二日の午前に羽田を立ちまして、当初帯広に直行する予定でございましたけれども、天候事情上やむなく札幌に一応着きまして、そこから日勝道路を経て帯広に参りました。帯広で、十勝市町村冷害対策本部会長等から被害実情並びに冷害対策につきましていろいろ陳情等聞いたわけでございます。  翌十三日の早朝に、調査団は二班に分かれまして、第一班は温水政務次官小川建設部長、第二班は石田官房参事官外五名といたしまして、第一班のほうは西帯広地帯水稲作状況、それから芽室町では畑作状況中心に視察いたしました。それから富良野盆地の水田地帯を視察いたしまして、上富良野におきまして地元代表から陳情を受け、旭川に出まして、上川地方冷害対策推進協議会長のほうから上川管内におきます冷害概況説明あるいは陳情等を受けたのであります。  第二班といたしましては、帯広から音更、士幌、上士幌、足寄、陸別と、十勝管内畑作物中心として、特に豆作中心として視察をいたしました。それから北見に出まして、美幌から網走付近稲作並びに一部畑作物状況調査し、それから北見市におきましては、北見管内農業団体冷害対策本部長等から管内における冷害概況あるいは冷害対策について陳情を受けたわけであります。  それから翌十四日に旭川を出まして、永山の上川農業試験場におきまして、上川管内冷害状況あるいは今後における稲作指導あるいは試験研究実情などを視察いたしました。続きまして、士別風蓮多寄地区等稲作状況を視察いたしまして、士別におきまして上川地方冷害対策推進協議会長等から説明並びに陳情を受けまして、帰ってきたわけでございます。  このように短時日ではございましたけれども、調査団といたしましては、でき得る限り能率的に、またでき得る限り地方実情にも触れるように努力した次第でございまして、調査団としてはおおむね所期の目的を達したものと考えております。  次に、冷害概況について説明申し上げたいと思います。  北海道におきましては、本年春以来融雪が著しくおくれまして、その後の気象状況一般に不順に推移し、特に六月下旬から七月中旬にかけましてと、七月下旬の後半から八月中旬にかけましての連続的な低温がありましたほかに、六月には台風四号、八月には集中豪雨等災害が加わりまして、農作物生育状況春耕期以来おくれを示し、八月下旬におきましてやや高温による回復の期待が持たれたわけでございますけれども、水稲はもとより、畑作物につきましても一般的にかなり作柄が不良な状況にございます。この間、さきに述べましたように、農林省調査指導をはじめとして、関係各方面におきます営農指導体制の強化によりまして、冷害を最小限に食いとめるような努力が真剣に払われたわけでございますけれども、九月二十日現在におきます被害額は、先ほど申し上げましたように四百二十二億円にのぼっているのでございます。作物別には、水稲豆類被害が特に著しく、地域別には、十勝網走上川北部留萌北部地域等被害が目立っているのであります。  まず、水稲につきましては、融雪期遅延のため、苗代の播種や本田の耕起のおくれとともに、その後の低温日照不足のため、出穂期が比較的条件のいいところでも四日ないし七日、遅延の大きい地帯では五日ないし十日のおくれがありました。特に七月下旬から八月上旬の低温日照不足のために、不稔粒が多発いたしまして、その後八月下旬から九月上旬にかけましてやや高温多湿の状態で経過しましたけれども、その後また低温が襲ってまいりまして、さらに十月上旬には霜の害がありまして、被害はさらに大きくなっておる状況でございます。九月二十日現在の水稲被害面積は約十九万三千ヘクタール、そのうち、被害率三〇%以上の面積が約六万四千ヘクタール、三〇%以下が約十二万九千ヘクタール、被害金額は総額で約二百二十四億円となっております。  それから畑作物状況でございますが、水稲の場合と同様に、融雪期遅延から、各作物とも五日ないし八日程度播種がおくれまして、その後の天候不順日照不足のため、生育が進まず、特に七月下旬から八月上旬にかけまして曇天と霧雨が続きまして、道東畑作地帯では豆類開花期が十日ないし十八日おくれとなっており、土壌の排水不良地帯では各作物に湿害が発生している状況でございます。畑作物の場合も、十月上旬の霜の害によりまして、刈り取りのおくれている地方ではさらに被害が大きくなっているだろうと思われます。  畑作物全体では、被害面積は約四十四万九千ヘクタール、被害金額は約百九十七億六千万円となっております。  そのうち、豆類被害は、面積が約十四万一千ヘクタール、金額にしまして百二十二億四千万円となっております。  そのほかに、麦類は八月中旬の降雨のために倒伏いたしまして、穂発芽がありまして、そのために品質の低下も目立っている状況でございます。約一万一千ヘクタールの被害面積でありまして、約三億二千万円の被害金額となっております。  その他、飼料作物につきましても、一般的に作柄が不良でございますが、てん菜、バレイショ等も一部湿害による被害が著しい状況でございます。  調査団といたしましては、これらの被害地域をできるだけ視察するように努力したわけでございますが、視察いたしました範囲から推測いたしましても、本年の冷害昭和三十九年の冷害に肩を並べることができるようなものであるということは、十分認められたのでございます。  なお、最終的な被害状況につきましては、現地統計調査事務所等を通じまして、農林省統計調査部におきまして調査を取りまとめておりますので、これにまちたいと存ずる次第でございます。  最後に、これからの冷害対策につきまして、現地におきましていろいろ要望がございましたので、それについて簡単に御紹介いたしたいと思います。  まず、本冷害に対する応急対策といたしまして、各地で普遍的に御要望のありました点で、農林省関係の分から申し上げますと、まず第一に、被害農家経営資金確保するための天災融資法早期発動激甚法の適用、並びに融資ワクの増加あるいは融資条件緩和等でございます。また、これに関連しまして、被害農家の再生産及び生活維持をはかるため、自作農資金災害特別ワクについて貸し付け限度を引き上げて増額配分をされたいということ。さらには、特に被害の著しい開拓農家に対して開拓者資金による資金の融通をはかること等でございます。それから、これら一連の金融措置に対する要望と並行いたしまして、各種制度融資金に対して償還猶予等貸し付け条件緩和措置を講ずること。またさらには、たび重なる災害によりまして農家の負債が増加している現状にかんがみまして、これに対しまして政府援助措置等要望が提起されておるのでございます。  それから次は、被害農家に対します農業共済金早期支払い措置でございます。  また、特に減収の著しい農家に対しまして、生活資金を得さしめることが当面の緊要事であるということで、道や市町村の行なう救農土木事業に対しまして国庫助成、あるいは国等において行ないます各種事業被害農家を優先的に雇用し、就労機会増大をはかること等が強く要望されておった状況であります。  その次は、当面差し迫った問題といたしまして、本年産米の時期別格差、特に北海道につきましては第三期の期日を大幅に延長する措置、あるいは今次の冷害によりまして農産物品質一般に低下している実情にかんがみまして、特に本年産米につきましては、水分または青未熟粒混入等下位等級設定、あるいはこれに対する政府買い入れ、さらには本年産米予約概算金の返納に関し利子の減免等措置、あるいは被害農家飯米確保要望等が提起されております。  それから、被害農家の再生産用資材確保とそれに対する助成につきまして、特に再生産用の種子の確保とその購入費に対する補助、あるいは越冬用飼料確保とその補助、その他病害虫防除農薬購入費あるいは燻煙資材に対する助成措置等要望が提起されております。  以上が農林省関係の分でございますけれども、その他農林省関係以外の分といたしましては、被害農家に対する国税並びに地方税減免、あるいは冷害被災地方公共団体に対する特別交付税起債措置等財源措置、あるいは国民健康保険料減免のための特別調整交付金交付被災農家にかかる一級河川土地使用料に対する減免等要望が提起されております。  以上は当面の応急対策のおもなるものでございますが、北海道における冷害が歴史的に見ましてもたびたび発生している現象であるだけに、北海道農業に対する恒久対策を講ずることによりまして冷害を克服すべきであるという要望が強く提起されているのでございます。特にその中で強く主張されている問題といたしましては、農業基盤整備事業実施でありまして、稲作地帯はいうまでもありませんが、特におくれております畑作地帯土地改良事業、あるいは酪農地帯における草地の造成改良等事業でございます。さらに寒地農業として、北海道における畑作振興に対する調査研究とその方策確立であります。また、これに伴いまして、畑作共済制度早期確立と同時に、北方農業に適した長期低利金融制度確立要望等が提起されておるのでございます。  それからまた、冷害克服の手段といたしましての酪農振興の諸方策確立、あるいは今次の冷害の教訓を今後に生かし、さらにその結果を指導するための水稲耐冷品種の育成、あるいは豆類品種改良等のための試験研究機関整備拡充等であります。  さらには、基本的には農畜産物価格支持安定制度確立等でございます。  その他、気象庁に対するものとして、測候所の設置あるいは通信連絡施設設置要望等がございました。  以上、今回の調査団調査概要について説明申し上げたわけでございますが、調査団といたしましては、今回の調査結果はもちろんでございますが、従来のいろいろ調査の貴重なデータもございますので、それらを参考にいたしまして今後の対策並びに施策に十分生かし、当面の対策につきましては極力早期に手を打つように努力することは言うまでもありませんが、恒久対策につきましても逐次検討を進めなければならないと考えている次第でございます。  以上をもちまして報告を終わります。     —————————————
  11. 中川俊思

    中川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。芳賀貢君。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま農林大臣から就任あいさつがありましたが、就任以来二カ月を経過しておるわけでありますが、その間、国会は閉会中ではありますけれども、当面する農林漁業関係の重要な問題の審議あるいは国内における国政調査災害調査等を数次にわたって行なっておるわけです。その間、農林大臣が現存しておりながら、一度も当委員会出席したことがない、あるいはまた委員会農政調査活動に対しても全然連絡も接触も持たないということは、これは大臣あいさつにもあったとおり、まことに農政担当国務大臣として遺憾な態度であると思うわけであります。むしろ、農林大臣ではあるけれども、農政を怠っているということをいわれても、これは国民に対して弁明の余地がないのではないかとわれわれは考えておるわけです。今日政府全体がいわゆる黒い霧に包まれておる。そういう様相が深い時期でありますからして、せっかく所信表明を行なわれたわけでありますが、われわれとしては、この際大臣農政上に対する所信の内容についてただす必要というものは、実は認めていないわけです。しかし、せっかくの就任のごあいさつでありますからして、そのあいさつの点に関連して、若干の質問をまずいたしたいと思います。  そこで、第一の点は、現在のいわゆる佐藤内閣の行政の姿勢、責任政治の路線というものを一体どこに置いているかという点と、もう一つは、行政府の職員である、いわゆる国の公僕である政府の高級官僚の諸君の行政の姿勢というものはどうあるべきかという点についても、お聞かせ願いたいわけであります。  たとえば、今日各関係委員会において問題となり、あるいは内容を究明、追及されておる問題の中には、農林省関係の問題が非常に多いわけであります。たとえば松野農林大臣の問題にいたしましても、日本とカナダの経済会議農林大臣が公務として外国出張をやることは、これは必要においては当然のことでありますが、この国務大臣の公務出張の日程表なるものが二通りある。しかも帰ってきてから、あれは間違いであって、本ものは秘書官の机の中にしまってあったというようなことは、いかなる弁明をされても、これは国民としてそうでございますかといって納得のできないことであります。したがって、国民が信用しない、納得できないようなことをことさらに仕組むというような態度というものは、これは結局責任回避、責任のがれに終わってしまうとしかわれわれは考えられないわけです。そういう点を農林省の官房長檜垣君が苦心して創作しなければならぬという点は、一体どこに必要があるかということをわれわれは率直にお尋ねしておきたいのです。この点ですね。  あるいはまた、日加の経済会議に出張する場合に、農林省内部の担当者というものを連れていけば、これは事が足りると思うわけです。それをわざわざ関係の薄い、いわゆる銀行マンである民間人を食糧事情調査員として食糧庁長官が委嘱して連れていかなければならぬというような点に対しても、われわれは、それほどいまの農林省の陣容が弱体化し、貧弱なものであるかどうかという点についても、その弱体ぶりをこの際明らかにしてもらいたいわけです。どうしても必要があって民間人を調査員として連れていく場合においては、何も帰ってきてからその旅費を返すなんという必要はないと思うのです。一体、こういう点については、それで国民が納得できると思っておるかどうかという点であります。あるいはまた大臣会議出張中に、政府の次官会議において、農林省が国有農地の返還を行なう、買収した時点における旧価格でこれを返還するというような問題についても、これは事務次官である武田君一個の責任で判断して、そういうものを政府の次官会議に持ち出しておるとはわれわれは絶対考えられないわけです。当然農林省の意思を代表して、そして次官会議にかけてこれを決定したというような点に対して、農林大臣が関知しないとか、出かける前に十分気をつけよと言っておいたはずだというような、そういう責任のがれの態度というものは、一体何を目的にして行動されておるかという点であります。われわれは、こういう点については、本日は一々内容をつまびらかにするという予定を持っていないわけです。しかし、これは将来国会の問題として、当委員会の問題として、内容が解明されるまでは、あくまでも機会を得てわれわれとしては追及しなければならぬ諸点であるというふうに考えているわけです。  この際、これに類似な例を申し上げますと、いまから十年前に、時の農林大臣河野一郎君がアメリカから競走馬を輸入したことがあるわけです。当時、われわれは、農林委員会において、これは明らかに外国為替管理法違反である、国務大臣が恣意的な意欲を満足させるために、国法を犯してアメリカから競走馬を輸入するというようなことは、これは明らかに国法の違反であるとして、徹底的にこれを追及したわけでありますが、当時畜産局長であった渡部伍良君、現在は森永乳業の副社長におさまっておりますが、渡部君が国会においてこれに対してどういう防御工作をしたかというと、これは皆さんも御承知だと思うわけであります。雌の競馬馬ではあるが、家畜改良増殖法からいえばこれは種畜である、雌の種馬としてこれは輸入することにしましたということで、全く茶番劇のような形で、ついに雌の馬を種馬であると称して、合法的であるということで、外国為替管理法違反をのがれた前例があるわけであります。農林省長官であるとか局長が法律を知らぬわけはないと思います。今回の檜垣官房長あるいは大口食糧庁長官あるいは武田事務次官、これらの一連の特権官僚の行なった行為は、当時の渡部畜産局長が河野大臣をかばう一心で事を曲げて、理非をたださないで何とかこれをのがれたということと、全く同一の内容であるとわれわれは判断しておるわけであります。これをわれわれが客観的に見ると、農林省長官あるいは官房長、次官の諸君がお茶坊主的なふるまいをしておるとしか考えられないわけであります。日本の農政を進めるために真剣にやっておるというのでなくて、いまの自民党佐藤内閣の一国務大臣である松野頼三君の公私混同の旅行とかいろいろな行為をかばうために、責任回避のためにいろいろな問題をつくり上げて、弁明あるいは責任のがれにきゅうきゅうとしておるような態度は、お茶坊主的な態度であると言われてもこれは弁解の余地がないと思うわけであります。   〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕  一体、国の公僕として農林省指導的な立場にある特権官僚といわれる諸君の行政の姿勢というものは、そういうことでいいかどうか。時の天下に追随しておれば、長官や局長をやめても、関係の公団とか公社とかあるいは外郭団体の総裁とか理事長におさまることができればたいへんしあわせであるというような、現職期間における自己保身、あるいは退官した場合の自己の栄達とか保身のためにきゅうきゅうとして、そして自民党に対しては常に迎合の態度をしておる。こういう点は、国民大衆は決して無知ではありません。このことが、結局いまの議会政治に対する国民の信用を大きく失墜することになると思うわけであります。農政が大きく後退する、そういう現実を直視した場合において、はたしていまの内閣の行政の基本的な姿勢、あるいは高級官僚といわれる皆さん方の行政に対する正義感の上に立った態度というものは、一体これでいいかどうかということについて、この際、農林大臣及び各関係長官あるいは官房長から率直な発言を願いたいわけであります。
  13. 松野頼三

    松野国務大臣 当委員会に二カ月余り出席できなかったのは、私が出席をしなかったということではございません。たまたま日にちが食い違っただけで、現実には農政は一日といえどもおろそかにできず、当委員会と相あわせて私の農林省は日々行政を進めておるつもりであります。ただ、われわれの真意が必ずしも御満足をいただけなかった点は、連絡不十分であって、私自身、それは深く反省しております。  私の姿勢は、就任当時申しましたように、農政に厳正と清潔さを求めたい。その意味で、就任以来起こりました事件は、すでに御承知のごとく、一部の融資の問題、あるいは国有林の問題あるいは農地の問題、いろいろな問題がございました。私は、それについては、微力ながら全力をあげてその方向に努力しつつあり、また今日やっておることには、私はみずから少しも恥じるところはありません。ただしかし、力が足りなかったことは、私の能力によって差があると思います。なお、今日、事務当局のほうも私と一体になっておりますので、事務当局の責任は私の責任であるし、私の責任は事務当局も一緒に責任を負うべきものである、私はかく考えて、個々の点について至らなかったことは、深く反省しております。基本は、農政が大事な時期にきておる。この農業というものに対する情熱だけは皆さんと同様な——私も同じように長年当委員会におりまして、ただいま言われました事件も、私も、その当時はこの委員会であなたと御一緒に、ある意味において質疑をした一員でございます。その身を顧みながら、私の不徳の点は十分反省して、今後は進めてまいりたいと思います。  なお、農地法に関する政令について御疑問がございます。確かに、私の命じましたこと、あるいは農地局長のとりましたことと、多少のニュアンスの相違はございました。しかし、私は、手直しをするとか取りつくろうということをしないで、ある場合には不手ぎわであり、あるいはぶざまであるかもしれません。しかし、真実のまま改善の道を求めたいというので、事務次官会議決定いたしました政令を実はそのまま停止したわけです。無理押しをするとか、あるいは行政のメンツを考えるということよりも、現実に国民、農民に映る姿、その結果が重大であるというので、実は事務次官会議決定したあとで保留するということは、いい行政の姿ではありません。しかし、一部多少調整不十分であった点は認めて、直ちに反省して、これは保留したわけであります。その辺をおしかりいただくことはけっこうでありますが、だからといって、私は、取りつくろうとか、それを無理に推し進めるということよりも、真実の姿で自分の非は非として直していく、これを私は今日の自分の政治の姿勢としております。私も多くの失敗をし、あるいは注意の足らなかったことも多々あります。しかし、それを無理につくろうよりも、ぶざまなまま、みずからの手直しできる点、反省できる点、あるいは修正できる点は改善をするという姿をどうぞ善意にとっていただきたいと私は思うのです。しかし、私も神ならぬ身、不肖の身でありますから、いうなれば多々ありますが、だからといって、それをみずから隠そうとかとりつくろうということにきゅうきゅうとしてはおりません。その姿のままで私はやりたい。そしてその上に御協力を得たい。そのために、ただいま御指摘になった点は、みな御指摘のとおりであると私は思います。また、私のほうもそれについてこういう姿でやったということをひとつお聞きいただきたい。したがって、農地法の政令については、必ずしも私は十分であったと思っておりません。しかし、まだそれを無理に押さないうちにみずから考え直す、あるいはこれは一つの考えとして、今後基本的な問題として改善するまでこの問題は保留するということのほうがよかろうと私は思っております。現在の法律から見るならば、御承知のごとく、農地法、憲法の問題からいうと、あの政令は、政令の能力としてはあれ以外の方向は今日できません。しかし、だからといって、これをやったならば他に影響が逆に出てくると考えて、そうなると、御相談をしながら、憲法、農地法と総体的な検討をして、この政令の将来の改善考えるという姿は御理解いただけるのじゃないかと思います。私の政治の姿勢はこういう姿であります。なお、事務当局を代表してと申しますが、私もひとつ事務当局を合わせてこれを代表した姿でおとりいただければ幸いかと思います。
  14. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 私が代表する資格があるかどうか存じませんが、一応農林省の職員としての心がまえをかわりまして申し述べさせていただきたいと思います。  御指摘のように、私ども公務員は、国民全体の奉仕者として、法規の命ずるところに従い、予算のワク内において、また行政慣行を尊重しつつ、上司の命を受けてその職務を果たしていくことは、いずれの部署におきましても当然あるべき姿でございます。私どももそういう公務員としてのあるべき姿を求めつつ、誠心誠意努力をいたしておるつもりでございますが、なお至らない点につきましては、今後とも姿勢を正し、誠意を尽くして事務の処理に当たりたい、かように考えておるのでございます。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうは議論する考えはありませんが、たとえば最近のテレビ等で、檜垣官房長が、日程表のすりかえの問題にしても非常に苦心をしておる。あなたは元来小手先が器用なほうじゃないですよね。不器用な者が器用に立ち回って、あの日程表は間違っていましたなんということは、これはたいへんな苦心の演技だと思うわけなんですよ。そういうことは農政の進展のために一体どれだけプラスになるか。国民がそれをながめておった場合、なるほどこれは間違いであったというような納得ができるならばいいが、ますます疑惑を深めるようなことをあなたが真剣にやっておるわけなんですよ。ですから、われわれとしても、官房長のあの演技に対しては、真剣さは認めるが、気の毒でかなわないですよ。あんなことをやるために役人になったり、官房長二度目のつとめをやるということは、あなたの本意でもないでしょう。ですから、そういう茶坊主的なしぐさはやめたほうがいいと思うのですよ。無理に大臣とか総理大臣から命ぜられた場合、そんなことはできません、じゃ私はやめますくらいの決意がなければ、まじめな行政はできないのじゃないですか。これは委員会の同僚委員全部がそう思っておるのですよ。不器用なあなたが何もああいう器用なしぐさをする必要はないじゃないですか。その点をわれわれは言っておるわけなんですよ。そう思わぬですか。
  16. 松野頼三

    松野国務大臣 檜垣官房長は不器用です。不器用な者に私は器用なことを命じてはおりません。不器用は不器用のままで実はおるわけです。不器用な者に器用を命じた覚えはありません。私も委員として檜垣君をよく知っておりますから、不器用な者に器用なまねは命じておりません。おそらく檜垣君本人ですから、したがって不器用なままであるいはテレビに映ったかもしれません。私も同様に器用なことをやろうとは思っておりません。不器用なところはそのまま不器用で、器用なことをやりたいと考えてはおりません。どうぞ御理解いただきたい。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 犯罪にたとえれば——あなたが罪を犯したとは言いませんし、運輸大臣をやめた荒船君の場合も犯罪とは考えておらぬが、そういう判断からいえば、単純犯といってもいいと思うのです。あなたの場合、それは官房長、食糧庁長官とか事務次官が配慮したかもしれないが、これはやはり知能的なやり方というふうにどうしても見えるわけですね。単純犯と知能犯ということになれば、器用、不器用ということでは、御本人は不器用と思っておるかもしれないが、われわれが客観的に見れば、これはなかなか器用に今度の責任のがれをみなでやっておるとしか思えぬわけです。これはきょうはこの程度にとどめておきます。  それからもう一つの問題は、これは今年の災害にしても、九月には御承知の全国的な集中豪雨による被害が各地に発生して、これは昨日の閣議において激甚地域の指定を行なったことを承知しておるわけであります。月末には御存じの二十四号、二十六号台風が襲来いたしまして、二百名以上のとうとい人命がこの台風被害によって失われておるわけです。あるいは北海道地域においては三年連続の、しかもことしは三年で一番深刻な冷害に見舞われておる。この冷害あるいは台風災害、集中豪雨の一番大きな被害を受けた部面は農業関係ということが言えるわけですね。これらの連続的な災害に対して、一体農林大臣として、直接災害地の視察をしたり、農林大臣が指示をして明快な災害対策を立てたということは、何もやっていないわけですね。たとえば三十九年の北海道冷害等については、時の赤城農林大臣はわざわざ現地に出向いて各地を回って、そうして大臣が先頭に立って災害対策を講じた。昨年の各災害にしても、坂田農林大臣は年配的にいえば、あなたから見れば二十くらい上でしょう。しかし、それでも一生懸命で、熱意をもって問題に取り組んでおる。最近の農林大臣災害に対する態度を比較しても、あなたの場合には、ほとんど韓国に行ったりあるいはカナダに行ったり、ひまがあれば観光旅行をやりたいとか、来月また東南アジアに行く予定があるわけですよ。一体、国内における農業問題や災害問題に対して、どの程度熱意を持って陣頭に立ってこれを処理するという考えを持っておられるのですか、こういう点も聞いておきたいと思う。
  18. 松野頼三

    松野国務大臣 就任して一番最初に大きな問題に遭遇いたしましたのが新潟で、現地に参りまして、その新潟の湛水地域の現場を拝見して対策を立てました。これが私の就任の最初の事柄だったのです。その後、北海道冷害、私が視察に行くつもりでおりましたときに、たまたま政務次官がすでに出発しておりましたから、その報告を土曜日、金曜日に私は聴取いたしております。私も台風常襲地帯の出身者であります。もちろん、台風及び災害に対しては体験も経験も皆さんと同様にあり、同じ程度に苦労しておる一員であります。したがって、災害地というものが、農業の場合は、ややもすると災害後においてその悲惨な状況があらわれるので、冷害対策は農林だけでは将来に根を引く問題がありはせぬかというので、昨日の閣議では、北海道長官に、北海道災害の総合対策北海道長官が音頭をとってもらいたい。と申しますのは、この問題は農地あるいは建設あるいは将来において社会問題地方財政に響く傾向がありはしないかと私は想定いたします。そこで、北海道長官に総合的な対策調整をお願いしたいと、私から昨日の閣議で希望しておきました。災害は、ことに農業の場合の災害は、橋の場合は完成すればその災害は復旧しますが、農民の場合は、来年の耕作という長期的な観点が私は一番問題じゃないかと思っております。ことに今回の北海道は、豊作の中における冷害だけに、災害だけに、非常に深刻というか、感じが逆比例して私は実は気にしておるわけであります。どうぞ私の足らないところはありますが、気持ちだけは御理解いただきたいと思います。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、昨日の決算委員会においても、特に農林金融関係として、たとえば共和製糖であるとか、横浜精糖に対する過剰融資の問題が現在追及中であります。そこで、私は、その内容についてきょうは究明しようとはいたしませんが、これは後日農林委員会としてはどうしても明らかにしてもらわなければならぬ点ですが、たとえば農林漁業金融公庫にしても、これは一昨年の法律改正の際に、この公庫の監事の権限というものが強化されたわけです。したがって、業務の執行の中で、監事が、公庫の貸し出しとかあるいは運営上に問題があって必要な場合には、総裁あるいは主務大臣に対して意見を述べることができるというふうに、これは各政府機関の法律の改正が行なわれておるわけです。  そこで、きょうお尋ねしたい点は、この公庫、あるいは中金等においてもそうですが、農林関係の金融機関の監事が、この問題について総裁あるいは主務大臣——主務大臣といえば、これは農林大臣、大蔵大臣ということになっておるが、監事からそういう意見の報告とか提起があったかどうか、その点はどうなっていますか。
  20. 大和田啓気

    ○大和田説明員 ただいまお尋ねの共和関係の融資の問題につきまして、私ども監事から直接意見を聞いておりません。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 これは法律上、監事が業務の運営を精査して必要な場合には、総裁はもちろんでありますが、主務大臣に対してその問題について意見を述べることができる、むしろ必要な権限事項として、一昨年当委員会で公庫法改正の中でこれを強化しておるわけです。したがって、監事というものが現存しておる場合、昨今問題になっておるような過剰融資というよりも、具体的に融資した金額が目的外に使用されておるかどうかというような点については、これは内部的には監事としても十分検討をしておく必要があると思うのです。あるいは主務大臣の立場から常に監督しなければならぬことは当然でありますが、そういうことは監事は何もやっていないのですか。
  22. 大和田啓気

    ○大和田説明員 御指摘の問題でございますが、公庫の監事からは私ども聞いておりませんけれども、共和製糖あるいは共和糖化に対するブドウ糖関係の融資につきましては、いろいろ御批判もあることでございますから、十月の四日でございますか、農林省から正式に詳細な調査を公庫及び中金に命じまして、現在せっかく調査中でございます。調査の全貌は、まだ中間でございますからお話し申し上げることははばかりますけれども、調査の過程におきまして、細島のいわゆるコンビナート工場におきまして、従来ブドウ糖の工場としてくい打ちが行なわれておりましたところに製糖工場関係のくい打ちが新しく行なわれて、ブドウ糖の工場の建設計画がすでに御破算になっておる事実を確かめましたので、おとといでございますか、十七日に公庫のほうから、正式に会社に対して細島関係の融資四億円の全額繰り上げ償還の指令をいたしたわけでございます。この融資の調査につきましては、農林省あるいは大蔵省もともども近く現地に参って厳重に精査をいたしまして、おそくも十一月の初旬までには詳細御報告申し上げて、事実が明らかになりますに従いまして、適宜な措置を講ずるというつもりでおるわけでございます。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 農林漁業金融公庫法の中においても、たとえば農安法に基づくイモ類、でん粉、大豆、なたね、これを原料として加工製造をする事業については、これは民間の会社の場合においてもその目的を達成するということを条件にして判断された場合においては公庫融資ができるということに、これは明確に法律上の規定があるわけです。農安法による指定品目ということになれば、カンショバレイショ、それによって製造されたカンショでん粉バレイショでん粉あるいは国産のなたね、大豆、これを原料にした製造加工事業だけに限って公庫融資が民間に対してできるという規定があるわけです。ですから、最初から公庫が農安法関係の企業に対して融資する場合は限定をされておるわけですね。貸してしまってから何に使ったかわからぬなんというものじゃないんですよ。そういうことになっておるわけだから、たとえば甘味類にしても、国産のてん菜糖であっても、農業協同組合や連合会が経営する場合には、これは共同利用施設で明らかに融資ができるが、そうでない民間の企業、法人については、これは国産のてん菜糖、甘蔗糖についても公庫融資はできないことになっておるわけです。ましてや、輸入粗糖を原料にした精製糖の製造施設に対しては絶対に融資ができないということが明らかになっておるわけです。ですから、公庫が貸す場合も会社が借りる場合も、公庫法に基づいた公庫の資金運用ということになっておるので、何年もたってから目的外に使用されておるとかどうだとかいうのはおかしいじゃないですか。そこに問題の黒い霧の本質があると思うわけです。あるいは農林中金の場合も、これは中金法という法律があって、政府機関ではないが、しかし、中金の所属団体以外に融資をする場合は、これもやはり中金法の規定によって、その場合は余裕金の運用の範囲内でなければならぬという点と、それから主務大臣の承認がなければ短期融資あるいは十カ年以内の年賦償還の融資もしてはいけないということになっておるわけですね。ですから、公庫の場合であっても、あるいは中金の場合であっても、これらの事業に融資をする場合においては、必ず法律の規定、主務大臣の特別の認可というものがなければそういう融資は絶対に行なわれないことになっておるわけです。それを監督の立場にある農林大臣、大蔵大臣も監督を怠っておる。事務当局も監督を怠っておる。実際の金融機関自身もそれらの法律に基づく運用を知らないでやっておるのか、わかって融資をやっておるか、そういう点は一体どうなっておるわけですか。これは政府機関の金融政策上の基本的な問題だと思うのですよ。どのくらい余計貸したとか、けしからぬとか、どうとかいう問題よりも、一体金融行政の基本的な方針というものは、そういう部面には非常に弾力的な態度で貸し付けを行なって、実際必要な農業関係の農協を中心とした団体とか、あるいは構造改善をやる場合の公庫の融資であるとか、土地改良事業をやる場合の公庫融資等の場合においては、厳重な審査を行なって、そうして貸し出し金額に対しても非常な制限を加えるような貸し出し方針というものが今日までとられておるわけです。この点は、農林大臣及び事務上の監督者の大和田局長としてはどう考えておられますか。
  24. 大和田啓気

    ○大和田説明員 御指摘のように、公庫のブドウ糖関係の融資あるいは農中の関連企業に対する融資は、いわば民間の銀行等の融資とやや違って、政府の監督のもとにあるわけでございます。公庫につきましては、ブドウ糖の融資をいたします場合には、食糧庁長官が一々推薦をして融資に入るというたてまえになっています。農中につきましては、これも御承知でございますが、短期資金につきましては包括承認、長期資金につきましては個別に農林大臣の認可ということになっておるわけです。これはそういう金融機関でございますから、一々農林大臣がこまかい監督をするということは、かえって融資の円滑を阻害することになるわけでございますから、一々にわたってそうこまかい指導はいたしておりませんけれども、たてまえといたしましては、一般の銀行融資とは違うものがあろうと思います。  ブドウ糖の融資につきましても、これは私から申し上げるまでもございませんけれども、昭和三十三年でございますか、でん粉が三十万トン程度も滞貨をいたしまして、その処理につきまして関係者が頭を悩まして、その結果一つの活路として、ブドウ糖工業の育成ということで融資を進めたものでございますし、また、細島のコンビナートの建設の前後から、砂糖の自由化その他を通じまして業界の様相が一変をして、いろいろむずかしい問題が起きましたことは御承知のとおりでございます。したがいまして、今回の細島のコンビナートのブドウ糖の製造工場の場合も、実は一般の場合とは違って、そういう非常にむずかしい事態を迎えて、また、共和関係の会社では、ブドウ糖工場の建設計画を放棄するということはいままで決して申しておりませんで、多少時期をずらしてなお完成の意図を捨てないということを言ってきました関係上、今回実地に詳しく精査をいたしまして、すでにブドウ糖工場としてくい打ちが行なわれたところに新しく製糖工場建設の計画があるということを確認いたしまして、公庫が全額償還を命ずるという事態に至ったわけでございます。私は、この問題につきましては、きわめて特殊な、そういうブドウ糖あるいは果糖等の事情がごく最近において一変しましたことから、工場建設等についてなかなかむずかしい見通しが、むずかしい問題が加わったという事情があろうかと思います。  私ども、ブドウ糖の工業も含めて関連企業に対する監督については、今後とも公庫あるいは中金に十分の監督をいたすつもりでおる次第でございます。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 われわれ農林委員会としてどうしてこの点に関心があるかというと、実はいま大和田局長が言ったとおり、昭和三十二、三年ごろ、農安法によって政府カンショでん粉バレイショでん粉を合わせて二十数万トンの買い入れ手持ちをやっておった時代があるわけです。その当時、政府の手持ちでん粉というものを有効に活用することによって、関連産業というものをブドウ糖企業の育成と開発という形でやってみる必要があるじゃないかということで、特にブドウ糖原料としての政府手持ちでん粉の安売り、特売、あるいはまたこの企業に対する融資というものを公庫法の中に特例を設けるというようなことで、これは農林委員会が公庫法の改正等も行なった経過があるわけです。そういう点から見て、ブドウ糖にしか融資ができないものが、いまになって、目的通り使用されていなかったとか、建設が進んでおりませんということを農林省がいまごろびっくりして言うのはおかしいじゃないかと思うのですね。そう思わぬですか、大臣
  26. 松野頼三

    松野国務大臣 ブドウ糖の申請を受けてブドウ糖に融資をして、そうしてブドウ糖工場が建設されておれば、私は問題はなかったと思います。ブドウ糖の申請にブドウ糖の融資をして、途中でそれが必ずしも完全ではない。そこで、返納命令を一昨日ですか出したわけでございます。もちろん、これは調査をしてみなければわかりません。しかし、そういう感じと疑いがあることだけは——いま公庫法の発動、融資返還というのは相当な強権ですが、とにかく強権をやって、そして実態を調べるというのがいまの段階です。したがって、結論を得るには少し早いかもしれません。しかし、いわゆる国民すべての疑惑を解くにはこの方法をとる以外にはなかったであろう。結論は調査の結果出てまいります。そこまでは私もまだ明言できません。しかし、融資返還をするという要素だけはあったから、返還命令を公庫が一昨日出したのです。その段階で、いま実は、芳賀さん、これから先の話は憶測を——ただ見通しだけじゃいけませんので、しばらく経過を見てからにして、そのやったことだけは、問題点解決の足がかりは、これが一つの問題だと私は思うのです。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題は、政府調査の結果を待つことにして、きょうはこの点で保留しておくが、ただ、今後の農林金融のあり方、しかも民間のそういう企業団体に対して特別規定によって貸し付ける業務に対して反省を加えて、今後どのように改善すべきかという点については、これは政府の責任において明らかにすべきことだと思うのです。当然貸し出ししなければならぬ対象者に対しては非常に厳密な調査とか制限を加えて、なかなか希望者の目的が達成できないようにしておる。一方には全く無法に、無審査のような形でどんどん貸し出しをしておる。これはちょっとおかしいと思うのですね。それは、政府の方針として今後これらの政府機関の運用についてはどうすべきかという点は、政府もてんやわんやしておるようですから、なかなかそんな方針は出せないと思いますが、せっかく質問をした機会ですから、これを聞かないでおくわけにもいかぬですから、お考えがあれば明らかにしてもらいたい。
  28. 松野頼三

    松野国務大臣 私は、農林金融全般について再検討する時期だと思います。ただいまの中金の例をとりますと、正確な数字はあるいは少し違うかもしれませんが、四十年三月末で大体預貯金が二兆、その中の一兆が大体単協を通じての貸し出し、あとの約一兆が県段階で利用されております。そのうち五千億が実は中金に参ります。したがって、二兆の中で、一兆が県段階、そうしてそのうちの半分の五千億は大体中金に参ります。したがって、中金だけが全部その資金を運営しているわけじゃありません。しかし、その中の大部分の、大きなウエートを占める五千億というのが、大体中金の運営の資金に今日なっております。これが要するに預金利息が高いという一つの問題点、あるいは農民の金が農民以外に流れているんじゃないかという非難の問題——以外ではありませんが、関連ということばになっておりますが、そういうことが長い間の問題で、中金法の一部改正をやりましたが、基本的改正が農林金融にはありませんので、基本的に農林金融の改善をすべきであると私は思いまして、農林金融制度の研究会がただいま発足しておるようでありますが、制度をつくって、農林金融全般における改正委員会を近く発足をさせて、候補者も一応念頭に置いてやりたいと思っております。  おっしゃるように、この問題は、農林委員会におきましても十数年来、縦割りだ横割りだといろいろ議論があります。ただ、いずれにいたしましても、今日の金融情勢から見ると、改善をしなければ、農業そのものがある意味においてはもう変わってきております。それに合わせる金融制度というのが古くてはいけないという感じを私は持っておりますので、今回のことは別でありますけれども、金融全般として基本的な問題は、私は、農業の前進に合わせるべき金融制度の改正の時期ではないかと実は考えております。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、先ほど報告のありましたイモ類、でん粉価格並びに北海道冷害調査報告に関連して、若干の質問をいたしたいと思います。  先ほど業務第二部長から説明がありましたが、この際、われわれとして明らかにしておいてもらいたい点は、小委員長報告の中にもありましたとおり、カンショバレイショ価格決定を行なったわけでありますが、いわゆるカンショについてはでん粉歩どまりが二四%のものに対して、バレイショについてはでん粉歩どまりが一六・五%のものに対して、それぞれ基準価格設定されておるわけです。そこで、小委員会においては、この基準歩どまりを上回る含有量のイモに対しては、当然、下回る分には格下げを行なっておるわけでありますから、上に対しても下に対しても完全スライドを適用すべきであるということは、これはもう数年来議論した点であるし、先般の小委員会の結論においても、この点を明らかにしておるわけです。それが今回の告示の内容においても実現されておらない。これは一体どういうことかという点と、もう一つは、ことしの春の国会において農安法の改正を行なった際に、でん粉価格決定する場合においては、その要素として原料代のほかに原料の運賃、加工経費等を加算して適正価格をきめるべきであるという点について、その中で原料運賃の問題については、これは十月五日の小委員会においても、私の質問に答えて大口食糧庁長官は、これは告示という形式はとれないかもしれぬが、それにかわる方法によって原料運賃の内容というものを明らかにして、これがカンショ地帯においてもバレイショ地帯においても公正に運用されるようにしたいということを述べておるわけでありますので、今回のカンショでん粉バレイショでん粉の中におけるそれぞれ原料の運賃というものはどういうふうに決定されておるかという点を、まず明らかにしてもらいたいと思います。
  30. 大口駿一

    大口説明員 まず御質問の第一点のスライド制の問題でございますが、これは小委員会におきましても御質問にお答えいたしましたが、私どものスライド制に対する考え方は、繰り返して申し上げますると、この農産物価格安定法の考え方が、一応でん粉が市場価格で取引をされるというたてまえを前提といたしまして、価格が低落をいたしました際に、一定の価格以下に低落することを防止するために、政府でん粉買い入れ制度を設けることによって、でん粉並びにひいてはイモ生産者の保護をはかるという制度になっておることは、私から御説明をするまでもないことでございますが、一応でん粉の市価による流通ということを前提といたしておりますので、私どもの考え方は、でん粉歩どまりのいいものと悪いものとは、それぞれ取引の際に、いいものは高く、悪いものは安く、品質が市価に反映して取引をされるであろう、しかしながら、品質が悪いものにつきましては、すなわち、基準歩どまり以下の歩どまりイモについては、取引に際して不当に買いたたかれるおそれがあるので、これを防止するという考え方から、基準歩どまり以下のものについては、それぞれ価格のスライド制を設けまして、このような事態の起こることを防ぐという考え方をとっておるわけでありますが、基準歩どまり以上の品質のものにつきましては、それぞれ取引にあたってそのような品質が市価に反映をされるものということで、従来ともそのような判断から、基準歩どまり以下のものについてスライド価格制度を採用いたしておるということでございます。  本年の価格決定にあたりましても、引き続き同じような判断から、従来と同じ考え方で価格決定をいたしたわけでございますが、この問題は、取引の実態から見て、いま私がお答えしているような判断を若干修正を要するという事態になりますれば、これは制度上このたてまえを変更することは可能でございますので、将来そのような事態、すなわち、上のほうにおいてもスライド制を採用するほうがよろしいというような判断が生じました場合には、その時点において検討いたしたいと思っておりますが、本年の価格決定にあたりましては、従来と同様な考え方で基準歩どまり以下の品質のものについてスライド制を採用いたしておる次第でございます。  それから、御質問の第二点の、今回の農産物価格安定法の改正によりまして、でん粉価格に新たに引き取り運賃を加算するということが法律上明らかになりましたので、すなわち、農家からでん粉工場までの運賃はでん粉価格に算入をいたしておるわけでありますから、したがってこの運賃の負担は当然でん粉工場が負担をするということに相なるわけでございます。従来の価格の告示にあたりましては、その点が必ずしも明確ではなくて、同一市町村内ということに解釈をされておったわけでございますが、今回の告示にあたりましては、その点を明らかにいたしますために、告示の中に「この表の価格は、その甘しょ又は馬鈴しょ生産されたほ場又は当然ほ場に最も近接した集荷場所において受渡しが行なわれる場合の価格である。」ということをはっきり特に書き加えまして、それ以降の運賃は、当然生産者ではなくして、でん粉工場が負担するのであるということを告示の上でもはっきりいたした次第でございます。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことは質問に対する答弁ではないですよ。それは先ほどの説明で終わっておるのです。あなたはそのときいなかったんですが、業務第二部長から明快に決定の経過は聞いているわけです。  私の質問の第一は、完全スライド制をとらなかった理由です。もう一つは、あなたが小委員会において明らかにすると言ったカンショ及びバレイショの運賃というものは、でん粉価格の中でどういうふうに計算されているかという点を聞いているのです。
  32. 大口駿一

    大口説明員 完全スライド制につきましては、先ほど、今回の価格決定にあたりましても、従来と同様な考え方が妥当であるという判断に基づいて今年の価格決定をいたしたという趣旨でお答えをいたしたつもりであったのでございます。カンショでん粉価格の中に算入をいたしております運賃は十一円六十五銭、バレイショでん粉については二十二円六十三銭でございます。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 この運賃は、十月五日の小委員会長官が言明されたとおり、今後適切な方法でこれは周知できるようにするわけですね。
  34. 大口駿一

    大口説明員 これはただいまの私の答弁でも明らかになると思いますが、なお、こういう金額が算入されておるという趣旨が広くわかるような方法を研究して講じたいと思っております。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 これはもう研究の時点じゃないでしょう。前回の小委員会の場合は、まだ決定以前ですから、決定についてどうするかということを審議したわけですが、でん粉価格というのはすでに告示したわけでしょう、政府の責任において。ですから、告示された政府買い入れでん粉の中には、いま長官が言われたとおり、カンショの運賃については三十七・五キロで十一円六十五銭、バレイショの工場までの運賃については三十七・五キロで二十二円六十三銭というものが算入されておるわけですからね。しかも、これは法律に基づいて明らかに算入したわけですからして、これを告示の中に出せない場合であっても、行政的な要綱とかあるいは通達によって周知させますということは、これは小委員会であなたが数日前言明しておるじゃないですか。われわれあくまで告示せいとは言わぬが、これはせっかく政府の責任で改正した農安法に基づいてこういう価格というものを明確に算定したわけだから、これこれでありますということは、早期にこれは周知するような方途を講じないと、原料生産者は一体どうなっているかわからぬじゃないですか。この点を明確にしてもらいたい。
  36. 大口駿一

    大口説明員 小委員会においても現在においても、御質問になっております趣旨は、私も十分わかっております。さっそくそのような周知をする方法をとります。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、このスライド制の問題ですが、これは毎年毎年同じことを繰り返しているんですが、今回の長官の答弁でも少しも前進がないので、この際、農林大臣がお答えになれれば尋ねておきたいと思う。一体、スライド制というものは、基準価格より下のほうばかり用いるのがスライド制であるのかどうか。むしろ上のほうへ一定の区分によって上げていくのがスライド制であると思うのです。これは、でん粉歩どまりが〇・五%について五円ずつ政府の方針は下げるということしかきめていないのです。カンショの場合は二四%以上のものがあるのです。なければ何も適用ないが、それ以上高でん粉価のカンショがある場合には、それ以上の歩どまりの分についても同じように〇.五%ごとに五円上げるということは、何もこれはさしつかえないと思うのです。でん粉工場が原料買い入れする場合も、その含有量によって買うというのがいまの制度になっておるわけだから、含有率の悪いものだけ安く買うということも一つの方法だが、それ以上に含有量のいいものについては、やはり同じようにスライドして買い入れするというのは、これは当然の取引行為だと思うのです。これが松野さんも御存じのとおり、いままで解決できないでおるわけです。それで、今回の場合には、小委員会の決議の形式で、先ほど小委員長本名君が読み上げたような形で、これはぜひ実現すべきであるということで、本委員会にきょう報告になっておると同時に、政府に対しても直ちにそれは十分認識すべきであるということで、しかも、この決定の日は、わざわざ大口君が政府を代表して、ただいまの小委員会決定事項については十分御趣旨を尊重して善処しますということを言っておるのですよ。だから、今度はまさか口先だけで善処すると言ったのじゃないだろうとみんな考えておったところが、告示の内容は、去年、おととしと同じなんですよ。ですから、この程度の問題は農林大臣においても善処できると思うのですが、どうですか。
  38. 松野頼三

    松野国務大臣 非常な専門的な話で、ただ、私が感じますのは、これは最低価格の支持が基本である。したがって、基準から下回るものは買いたたかれる、これが問題である。かりに言うならば、鹿児島、宮崎のでん粉歩どまりは、常に全国でも基準をこえておる形のものであると思うのです。これは当然でん粉の取引価格において高値というものが設けられ、取引をされておる。私のところが大体基準価格すれすれです。関東では茨城、埼玉がたしか一番よかったのではないか。これはいまは変わっておるかどうか知りませんが、立法当時の感じでは、要するに、下回る場合が非常に困るから、下回るほうに重点を置いてこれを決定する。上のほうの歩どまりのいいのは、その地方においてその歩どまりによって取引がされておるわけです。したがって、特に政府がてこ入れしなくても、その取引の価格は一応基準より上回っておるはずであります。政府基準よりも上回ったところは、上回った価格で取引が行なわれておる。下回ったところがいつも問題だというので、下のスライドを厳重にする。これが支持価格制ではないか。要するに、米のような政府の統制価格ならば、これは価格のパーセンテージでやらなければいかないのじゃないか。これは支持価格ですから、したがって、基準より下回った場合に重点を置く。上回った場合には、みずから自由取引における能力があるから、その能力で取引がされておる、こういう私はいままでの印象があります。特に今日変わっておれば別ですが。したがって、おっしゃる趣旨はわかりますけれども、それでやらなければ基本精神にはずれておるじゃないかと言われるものとは違う。あったほうがいいじゃないかという議論はあります。しかし、重点は、下回った低質なものに対する保護、これがこの法案の重点である、こう私は考えておるのでございますが、少し違えば、また違った意見は私のほうも考えます。私は、そんな考えで今回はやったのだと思っております。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣の認識は、昔農安法ができたときの理解に立っておるわけです。ことしの春、農林委員会提案で抜本的な改正をしたということは、あなたはまだわかっていない。だから、認識のない大臣といまここで時間をつぶして議論してもしようがないから、大体これは、長官考えもあなたの考えも同じ水準と認めて、きょうこれ以上議論したって、告示しちゃったわけですからね。これはあらためて十分議論しますが、しかし、かりそめにも、小委員会であっても、政府事務当局を代表して、十分趣旨を尊重して善処しますなんということは、今後軽々しく言わぬほうがいいと思うのです。実行する意思がなければ、この第二項のスライド制の完全実施は反対でございますということを表明したほうが、むしろよかったと思う。口先だけでうまいことを言って、あとでやらぬというのは一番悪質ですから、やる自信がないとか、やる気がなければ、それはせっかくですができませんと言ったほうがいいと思うのです。それがやはり責任ある行政の態度だと思うのです。  それから最後に、この件については、加工経費の内訳については資料として委員会にお出し願えますね。この際、資料の提出を委員長を通じて要求したいのですが、今回決定したでん粉の加工経費の内容について、委員会に資料としてすみやかに出してもらいたいと思います。
  40. 大口駿一

    大口説明員 加工経費の詳細について芳賀先生に御説明をする機会をつくらせていただきたいと思います。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 芳賀先生じゃなく、私も要るが、農林委員会に対して農林省から加工経費の内容を資料として出すべきだと思うのです。
  42. 松野頼三

    松野国務大臣 いずれ農林委員会で、公の席以外で、これは加工経費——御承知のごとく、いろいろな工場施設がありますので、一律にただ資料として出すにはいろいろな影響がありますから、御説明申し上げて、その上でさらに御協議を願うという機会を私はつくりたい思います。加工場、いろいろ大から小からありますので、一々どれをとったかということで、なかなか議論が出ると思います。よくお話をして、その上で……。いきなり資料要求には多少——芳賀さん御承知のような立場ですから、説明をいたし、その上でさらにまた御審議をいただくという、もう一度その段階を経ていただきたいと思っております。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 これは農林大臣の外遊日程表のすりかえみたいなわけにいかぬですよ。法律に基づいてでん粉価格をきめたわけですからね。いままでは政治的な配慮で、つかみ金のような形で、でん粉一袋幾らというふうにきめたわけです、去年までは。しかし、今回の農安法の根本改正に基づいて、あくまでも根拠のある試算を行なって、まず原料代をきめる、それに原料の運賃とか公正な加工経費というものを加えて、政府買い入れ価格というものをでん粉においてはきめるということになっておるので、特に当委員会においては、ことしはつかみできめるのはうまくない、何か自民党さんのおかげでこれだけにしてもらってありがたかったというような、そういうごまかしの価格決定のやり方というのは、これは弊害を生むわけなんだから、理論的にガラス張りの中で積み上げた結果こうなりましたということ、その結果が生産者から見て不満足であっても、やはり政府の責任で内容を明らかにすべきであるということで、われわれとしては審議を進めておるわけですから、これは委員長から、次の機会までに委員会に加工経費の内訳資料というものを提出すべきであるということを政府に指示してもらいたいと思います。
  44. 松野頼三

    松野国務大臣 せっかくの御要求ですが、これは芳賀さん御承知のように、長年、加工経費の資料というのは、策定、決定がいままでも一ぺんもできてないのです。しかし、過去の各種状況を見て把握しながら今日やっておる。今回特に法律ができました初年度でございますから、一ぺんにこの資料を公開するということはなかなかむずかしい場面があります。したがって、御要求の趣旨に沿って、ひとつ委員会政府との打ち合わせをその前にしていただきたい。いままで一ぺんもできたものじゃないのです。数十年これはできておりません。ということは、でん粉の企業内容が非常に零細である、種々雑多である、地方的に違う、それは御承知のとおりの状況です。といって、御趣旨、あえて私のほうではどうこう逃げる意味じゃありませんが、そういう一段の慎重さもとっていただきたいと思いますので、いきなり資料要求にいくより、もう一ぺん懇談の機会を、あるいはその事前の調査という程度でお願いするならば、今後円満にいくんじゃないか。私はそう希望と運営をお願いしたいと思います。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 これは農林省がいつもへっぴり腰でいるから、そういうことになる。この点は委員長に御一任いたしますから、善処してもらいたい。  次に、先ほど石田参事官から北海道冷害調査の結果の報告がありましたので、主要な点だけについて農林大臣に若干の対策上の質問をしておきたいと思います。  第一の点は、今回農林省温水政務次官団長にして、十月十二日から十四日まで、短期間ではありますけれども、北海道の主要なる冷害地域調査を行なって帰ってきた。これは正式な政府調査であります。従来は必ず、その調査の結果というものは、閣議が開かれる場合は閣議において責任者から報告をすることになっておるわけですが、たまたま昨日閣議があったわけですが、この北海道冷害調査報告というものは閣議において行なわれたわけですか。
  46. 松野頼三

    松野国務大臣 昨日の閣議で、冷害の今日の状況について報告をして、北海道長官の今後の冷害対策に対する総合対策を希望いたしました。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 それで、第一の点は、大臣あいさつの中にも、北海道については非常な冷害で、水稲の損害が多いということを述べてあったわけです。しかし、収穫したものは政府に全面的に買い上げられるということになっておるわけですが、そういう被害を受けた場合の産米は、検査等級の上から言っても、全く低位なものが非常に多いわけです。しかし、食管法において全面的に国が買い入れをするということになっておるので、食糧に供せられるものについては、規格外の等級とか等外等についても、当然それぞれ適切な規格あるいは等級というものを設定して、そしてこれが食糧に有効に使われると同時に、そういう被害を受けた米であっても、やはり農家の一年間の苦労の結晶でありますから、これが政府売り渡しの形で、販売代金というものが確保されるということにするのは当然なことであると思うわけであります。そこで、まず冷害対策の一環として、規格外のそれぞれの等級の設定等については、事務的にどういうような決定を行なって、それを官報等を通じて告示するのか、細部にわたっては事務当局でも差しつかえないが、その点を明らかにしてもらいたいと思う。
  48. 大口駿一

    大口説明員 北海道冷害の結果、政府の買い上げ対象を特に広げまして、主食用として配給可能なもの、すなわち、水分過多丙規格外玄米並びに青未熟粒混入甲規格外玄米につきましては、本日中に大臣までの御決裁をいただいて、明日付の官報で告示をすべく、いま事務的に準備を取り進め中でございますので、そのように御承知いただきたいと思います。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は、食糧庁においては専門的にわかっておるはずですが、低品位米に対する規格をきめる場合は、全体の幅というものを見て同時的に発表しないと、だんだんあとで規格を下げるということは、米の出荷作業をやる場合においてそういうことはできないわけです。同じ規格外でも、甲の規格外までということになれば、その規格に当てはまったものだけを選別して、これを出荷しなければならぬ。規格にはまらない分は除外されるわけですね。これは買い入れ対象にならぬ場合に、さらに今度はその規格外の乙とか丙というものを設定する場合には、それは混合率の関係とかいろいろの点から言ってだめだということになるわけですね。ですから、一昨年の場合には、丙規格まで下げてやっておるわけですから、この点は、食糧庁の検査課においても買入課においても、十分前例があるわけですからして、せっかく告示する場合においては、ぎりぎりいってこの程度までは主食として買い入れできる、あるいはこれ以外のものについては直接主食には向かないが、いわゆる加工用の外米輸入さえ政府がやっておる事実からして、そういうものに対しては、また菓子等加工原料等についても、くず米と称せられるようなものについては買い入れの特例の道を開くとか、ここまで対策というものを、配慮をことしはいままでよりも広げておくべきだと思うのです。どうです、これは特に農林大臣の配慮としては、その辺まで徹底的にやってもらいたいと思うのです。
  50. 大口駿一

    大口説明員 私が先ほどお答えをいたしました水分過多丙規格外玄米並びに青未熟粒混入甲規格外玄米につきましては、今年の冷害実態等もかんがみまして、現地の食糧事務所並びに道庁、農業団体あるいは米の配給の担当の関係とも十分お打ち合わせをした上で、一昨年の例にならって今年も告示をしていただくつもりで事務的に取りきめておる次第でございます。  なお、この主食用として配給可能なもの以外の米につきましては、現在私どもがやっております制度は、食糧事務所長が仲立ちをいたしまして、政府の手を通さずに、直接需要者と生産者団体との間の販売をいたしておる中で、その際に食糧事務所長もしくは支所長がごあっせんなりあるいは仲立ちをするという方法で従来も処理をいたしておりますので、今年もそれと同様な処理をするつもりでおります。  なお、明日政府が告示をします規格の内容等につきましては、すでに現地の食糧事務所並びに農業団体は事前にその内容については十分承知をいたしており、しかもその承知をした上で申請が出てきて、それに基づいてこちらは告示をするわけでございますので、その点は実際の集荷の面で円滑さを欠くようなことにはならないというふうに考えております。
  51. 芳賀貢

    芳賀委員 ことしの災害の様相というのは、石田参事官の報告の中にはなかったが、十月五日、六日、七日の三日間にわたって、気温がマイナス五度、六度、七度というような極端な現象が続いたわけです。マイナス五度とか六度ということになれば、これは降霜という程度じゃないですよ。これは完全に凍結してしまうわけですからね。北海道のことばではしばれるというわけだが、凍結してしまうわけだから、それならば青米なんというのはできないのですよ。未熟粒ですからして、そういう極度な打撃を受けた場合には、これは死に米のような形になって、白く変色するわけですね。そういうものが、一昨年の冷害よりも度合いが非常に多いじゃないかということをわれわれは憂慮しておるわけです。そこまで考慮して北海道庁とかあるいは生産者団体と称するものが、長官が言われたように、これでよろしゅうございます、この程度で、あとはそれ以外の規格外も要りませんとか、特別措置は要りませんということを言っておるわけですか。先日の委員会においても、たとえば水分規格の問題について一六%を一六・五%に戻せという問題にしても、入れ目の問題にしても、あなたは、何かというと、道庁が了承していますとか、生産者団体の首脳部が了承していますと言うが、それは、極端な被害を受けた生産者が、政府の行政方針、配慮というものを進んで理解してそれでけっこうでございますと言っておるのとズレがあるんじゃないですか。この点はどう考えておるのですか。何かといえば、北海道が了承したとか、生産者団体が了承したと言うが、これはけしからぬ発言だと思うのですよ。被害を受けた生産者が、ほんとうにそれでいいと言って了承してあきらめているのかどうか、その点はどうですか。これは現地調査した石田君からも明確にしてもらいたいと思うのですよ。
  52. 大口駿一

    大口説明員 私は、道庁なり生産者団体の意見等も十分徴した上で慎重に結論を出すという趣旨で申し上げたのでございまして、生産者団体がいいと言えばあとの意見は聞かなくてもいいというふうにお取りいただいたということは、私の申し上げ方が悪かったと思っておりますが、食糧庁といたしましては、予約の制度の中でどの程度の米を買い入れるかということは、やはり主食としての配給可能という一つの線がございますので、そこで、認め得る範囲と、それから、実際に生産者が主食に充当できないような米を手持ちしております場合に、これを売買をする際できるだけ有利に食糧事務所としてはお世話をいたしますというものと、二通りの方法で、本年の北海道冷害を受けられた生産者に対する対策として遺憾のない措置を講じてまいりたい、かように考えております。道庁の意見、生産者団体の意見等について私が申し上げましたことばが足りなかった点は、はなはだ私の足りなかったところでございますので、決してそういうふうな意図はなかったことを特に申し上げたいと思います。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、第三期の時期別の延期についてはどうお考えですか。これは普通正常で言えばあすが第三期の終わりですね。
  54. 大口駿一

    大口説明員 時期別格差の適用の第三期は、明日が期限でございますので、一番最近の数字をもとにして本日現在大蔵当局と折衝いたしておりまして、やはりぎりぎりの数字をつかまなければということもございますが、明日になってからきめるのではやはり現地でもいろいろ問題が起きようと思いますので、できれば今日中に最終的な大臣の御決裁をいただく方向でいま折衝いたしております。ただ、北海道につきましては、冷害程度、作おくれ等の程度から申しまして、幾日延ばすかということを現在折衝いたしておるわけで、延ばすことについては、すでに私ども腹はきまっております。したがって、本日、北海道については幾日にするかという内容の折衝をいたしておりますので、現地でも、北海道については少なくとも延びることだけは一〇〇%間違いないというつもりで、生産者の方は大体御存じではなかろうかと思っております。私どものところへここ数日来北海道の方が多数見えておりますが、いま申し上げたような趣旨北海道についてはお答えいたしております。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 延ばすことは、これはみなわかって質問もしているのですよ。延ばさない場合があり得るということはだれも考えていないですからね。問題は、何日延ばすことが最も有効かということを尋ねておるわけですから。  それでは、三十九年、四十年に三期の時期を北海道においては何日ずつ延ばしたか、延ばしたことによって三期米の買い入れというものはどういうふうになったかということ、これは長官から説明をしてもらいたい。
  56. 大口駿一

    大口説明員 三十九年は、北海道につきましては、最初に十日延期をいたしました。さらにあとで五日間、合計十五日間延長いたしております。昨年は七日間延期をいたしております。延ばした結果の数字はいまちょっと手元に持っておりませんから、取り寄せまして後刻答えさせていただきますが、私ども、今年は幾日延ばすかという最終的な判断をいたします際には、最近における二カ年の実績を当然参考にして日数をきめたい、かように考えております。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 三十八年は、これは平年作でありますが、この場合においても一日間延長して十月二十三日まで三期米の買い入れをやって、その結果が三十一万九千六百四十二トン、三十九年は、大体ことしと同じような冷害の内容でありますから、十五日間期限を延長して十一月四日まで第三期の買い入れをやったわけです。その結果が十七万六千四百二十六トン、昨年は、これは北海道地域的な冷害というような特徴もありましたので、一週間の延期を行なって十月二十七日まで第三期の買い入れを行ない、その結果が二十一万三千百トンということになっておるわけです。ですから、先ほどの石田君の報告にもあったとおり、三年連続の冷害であるということは言うまでもないが、この水稲についても、冷害による被害実態というものは、これは今月の下旬に当然政府統計調査部からも被害報告というものが出ると思いますが、水稲においても、これは一昨年よりもむしろ被害率が高いとわれわれは考えておるわけです。ですから、延ばすか延ばさぬかなんということをだれも聞いておるのではなくて、過去二カ年の実例から見た場合において、少なくとも十五日程度延ばすことは当然必要なことになるわけです。ですから、そこにめどを置いて、食糧庁としても当然これは大蔵と折衝する必要があると思うのですが、まず農林省として、この北海道冷害地域に対して三期の延長をどのくらいやらなければならぬかということは、あしたが最終日ですから、いまの時点で長官の頭の中にそれはもうまとまっていなければならぬと思うのですよ。そうではないですか。ですから、委員会として尋ねておるのは、この前例等によっても明らかなとおり、今年の場合には一体三期米をおよそ何日くらい延期する必要があると考えておるかという点をもう少し明快に答えてもらいたい。
  58. 大口駿一

    大口説明員 一昨年の実情は、まず十日延期をいたしたのでございますが、延期をいたしました間に雪が降りまして、非常に集荷等が混乱をいたしました点を配慮して、さらに五日間延ばして計十五日になったのでございます。私、現時点で申し上げられますことは、少なくとも昨年よりは長く延ばす必要があるだろう、それから、一昨年の再度延ばしたような実情が生ずれば、また一昨年のようなことに結果的にはせざるを得ないかと思いますが、私は、少なくとも一昨年の最初に延ばしたくらいの日数は当然今年も考えるべきではなかろうかと思っておりますが、目下折衝いたしている最中でございますので、私のほうが幾日でもって大蔵省と折衝を始めておるということをここではっきりと具体的に申し上げることはひとつ御容赦いただきたいと思いますけれども、頭の中にあります考えは、昨年よりは少なくとも長い期間を延ばすべきであるということと、それから、一昨年最初に延ばした日数というものを頭に置きつつ考えていくべき問題ではなかろうか、かように考えておることだけお答えさせていただきます。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 大体わかりました。それでは、とりあえず第一回目として、今月一ぱいですね、十月三十一日まで延ばしてみて、その時点でさらに天候のぐあいとか出荷の状態等を見て、一昨年の実例等もあるので、その時点で十分検討を加えて善処したい、こういうことですね。
  60. 大口駿一

    大口説明員 大体そういうことでございます。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう点が生産者にも伝われば、みんなそれに期待して、元気を出して収穫作業に努力すると思います。  次に、冷害対策として講ずべき重要な問題はいろいろあるが、資金関係の問題については、前回の委員会においても私から質問をした経過があるが、そのときの政府の答弁というのは、まだ準備不十分のような点もあって、全く抽象的な答弁に終わっておるわけですが、あの際問題点を明らかにして質問をしてありますので、ここでそれぞれの担当局長から、天災資金関係とか、自作農資金関係とか、あるいは償還延期の問題であるとか、それから特に、連続災害のために北海道においては固定した負債が一般農家においても相当増大しておるわけで、この固定負債というものを別途に法的な措置を講じて解決すべきであるというふうな点についても、この際内容を明らかにしてもらいたいと思います。
  62. 大和田啓気

    ○大和田説明員 二、三私のほうからお答えを申し上げます。  天災関係その他の資金については、必要に応じて十分手当てをいたすつもりでおります。二番目の問題といたしまして、償還期限の延長等につきましても、許す限りの措置を講ずるつもりでございます。それから、連年災害に伴いまして負債整理の問題がいろいろあるようでございますが、これは現在北海道庁においていろいろ調査をいたしておるようでございますから、北海道庁の調査も十分検討の上、私ども態度をきめたいというふうに考えております。
  63. 石田茂

    石田説明員 農地局長にかわりまして、自作農資金についてお答えいたします。  私どもの今回の調査によりましても、行く先々で自作農資金につきまして御要望がありました。これにつきましては、昭和三十九年に三十万円から五十万円に引き上げたという経緯がございましたけれども、今回の北海道冷害が三年続きということの実態もありまして、私どもそれを十分認識しておりますので、ひとつ個々の農家の貸し付けの状況を十分精査いたしまして検討いたしたいと思います。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 それではこの間より何も前進していないではないですか。  区分して、天災資金関係ですが、もちろん、北海道全域に対する天災法によるところの指定、あわせて激甚災の指定というものが行なわれると思いますが、この指定の時期というものをどの程度考えておるか。指定されないと、天災資金北海道に幾ら流すという総体の金額が出てこないわけですね。ですから、天災法によるところの指定、あわせて激甚災の指定というものをおおよそいつごろに考えておるか、この点はどうですか。
  65. 大和田啓気

    ○大和田説明員 統計調査部調査が十一月一日ごろにわかる予定でございますが、調査の結果がわかり次第、できるだけすみやかに指定をいたしたいと考えております。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 天災法の運営についても、前回の委員会で質問をしたわけですが、三年連続というのは、いままで北海道においても例がないわけです。こういう特殊な事情災害に対応して、現在の天災融資法というものは十分な運用ができるかどうかという疑点が一つあるわけです。この点については経済局においても十分検討を加えて、すみやかに結論を出すというような前回の答えもあったわけですが、この点は局長としてどう考えていますか。いまの法律の内容とか政令の内容等で何とかやっていけると考えておるか、事態が非常に異なっておるので、これに適応できるように制度そのものも改正する必要があると考えておるか、その点はいかがですか。
  67. 大和田啓気

    ○大和田説明員 天災法は、実は最近二回にわたって改正をいたしております関係で、いまこれを直ちに改正することはどうだろうかというふうに考えておりますが、政令関係で、借りかえの場合の加算額につきましては、三年連続の冷害というものもこれもまた珍しいのでありますから、五万円を引き上げることについて、私どもはいま詳細に検討中でございます。もう少し時間をおかしいただきたいと思います。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは次回に保留します。  それから、自創法の関係については、現在の五十万円では、これはどうしようもないですね。特に、現在の自創法の運用というのは、農地取得の場合にこれを用いることは当然であるが、たびたびの災害の場合にも、災害対策用で自創資金を出しておるわけですね。これも連年ということになれば、毎年政府が小刻みに出しておるが、しかし、たまれば相当の金額になっておるわけですね。だから、五十万円の限度内では、ことしの対策には全然用をなさないというか、これは石田参事官も現地調査して認識してきたと思うのですよ。前回の農地局長説明からいうと、この点は実情をすみやかに調査検討して、限度の引き上げについては最善を尽くすというような答弁を委員会においてしておるわけですが、これは間違いないですか。間違いないというより、まじめに検討を進めておるかどうかですね。
  69. 和田正明

    ○和田説明員 いまお尋ねの点につきましては、前回も申し上げましたように、個別の農家で五十万円では間に合わない農家が相当あろうと思います。まだ道庁側と具体的に幾らでなければいかぬというふうな最終的な詰めができておりませんのですが、前例もございますので、できるだけ実態に合うような点で善処いたしたいと思います。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 その実態というのはどれくらいを考えておりますか。そういう何か政治的な答弁というのは必ずしも高尚だとは言えないですよ。
  71. 和田正明

    ○和田説明員 幾らに上げるならば大部分の被害農家をカバーし得るかという個別の数字が実は道庁からまだ参っておりませんので、この点は、はっきり幾らとは申し上げられないのですが、ごく最近の例で申しますと、新潟の御承知の水害がございました。あのときは七十万円ということで処理をいたした前例もございます。その場合も、七十万円にすれば被災農家のほぼ全体がカバーできるというような計算のもとに処理をいたしましたので、今回の北海道冷害につきましても、実態把握等につきまして、なるべく早く道庁と詰めまして、必要な数字を頭に置きながら大蔵省と話し合いをしてまいりたいと考えております。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 これは、方法論としては、たとえば農地の取得の場合には八十万円ですね、普通の取得資金が。ですから、そういうことになったので、農地取得の関係災害関係というのを明らかに区分して、農地については最高幾ら、それと別途に、災害対策については百万円なら百万円ということでいけば、これは相当弾力的な運営が法律改正をしなくてもできると思うのです。それが不十分な場合には、別途の法律をつくって、農家の負債整理法なら整理法というものをつくって、そして、災害によって農家の負債が累増して、国の努力でこれを解決しなければならぬというような場合には、やはり固定化した負債整理というものをやる立法措置が必要だと思うのです。これができれば一番抜本的な解決ができるわけですが、こういう点に対しても速急に内容の検討を行なって、政府としての方針を早期に出すべきだと思うのですが、これはどうですか。
  73. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私、前にお答えいたしましたけれども、負債関係のデータを現在北海道庁で詳細に調査しておるようでございますから、その調査の結果も見て、私ども関係局とも相談して、至急に明確にきめたいと思います。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、救農工事の問題について、政府のまとまった考えを明らかにしておいてもらいたいと思います。
  75. 和田正明

    ○和田説明員 前回もお答え申し上げましたが、とりあえずの措置としては、今年度の団体営の土地改良事業で、客土で四億円、暗渠排水で十三億円、それから圃場整備事業で十三億円、いずれも事業費ベースでございますが、それだけのものを本年度の刈り取り後北海道の団体営の土地改良事業について実施をいたすことにして、北海道に割り当てがしてございますが、道庁とも話し合いをして、いろいろ設計を組んだり、その他技術的な問題がございますけれども、できるだけ冷害のひどい地帯にその事業実施することによって、なるべく人夫賃という形で落としたいということで、道庁に指示をして、現在道庁で検討いたしております。それがとりあえずの措置でございます。  それ以外に、この前の先生の御質問にも救農土木事業をやるべきじゃないかというお話がございまして、その後、道庁とも打ち合わせをしておりますが、現段階では、道庁の事務当局の考え方としては、三十九年度の冷害の際もそうでございましたけれども、単に農地とかなんとかいうことでなしに、道路の補修でございますとか、そういう一般的な公共事業を少しずつ地元でやることによって、人夫賃という形での収入を落としたいということを考えておりまして、たしか三十九年のときには、特別交付金かあるいは起債で、そういう財源措置を道庁が処理いたしたのでありますが、今回も同じような方法をやりたいというようなことを事務的には現段階では申しておりますが、もしそういうことであれば、特別交付金の交付なりあるいは起債のことなりについて、私どもとしてもできるだけの応援をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 その中で、前回指摘しました小規模土地改良ですね、二十町歩をさらに下げて五町歩以上ぐらいの採択基準にすれば、何も道路工事にわざわざ出なくても、土地改良事業等を行なって、そして来年生産を復活させるということのほうが、これは農政上から見ても効果的だと思うのですけれども、この点を明確にしておいてもらいたい。
  77. 和田正明

    ○和田説明員 現在の団体営の客土その他は受益面積二十町歩以上ということで処理はいたしておるわけでございますが、それ以下のものをいま申しました特別交付金なりあるいは起債のワクの中の事業として具体的に取り上げていくかどうかという点につきまして、細部まではまだ道庁との最終的な詰めが済んでおりませんが、御趣旨のようなことを含めて道庁と打ち合わせをしたいと思います。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、共済金の早期支払いの問題ですが、毎年年内に昨年も一昨年も支払いされておることは、われわれとしても認めておるわけですが、それが毎年被害農家に共済金が渡る場合には十二月二十八日とか九日とかいうことになるわけです。これでも年内ということにはなりますが、実際大きな災害によって現金収入がない、天災資金にしても、これは来年の経営資金だから使うわけにはいかぬ、自作農資金が流れていても、これは借金の肩がわりに使って、これを現金化できないということになれば、問題は、不十分であっても共済金を年内といってもできるだけ早期に支払いできるような措置農林省においても十分講じて、そしてその年内における共済金の使用ができるようにすべきだと思うわけなんです。毎年おくれておるが、この際、十二月末ぎりぎりというのを、それを相当程度繰り上げて、確実に支給できるようなことについてはどうお考えですか。
  79. 大和田啓気

    ○大和田説明員 北海道冷害その他の被害に対しまして、共済金を年内に支払うように努力をいたしまして支払っておりますけれども、それでも御指摘のように年末ぎりぎりになっておるわけでございます。これは、農林省といたしまして精一ぱいの努力をいままでもやっておるわけでございますけれども、関係団体の仕事の段取りがございますので、そういうことに結果として相なっておるわけでございます。ことしも私ども、年内にということですが、できるだけ早い機会に、一日でも二日でもできるだけ早い機会に支払いができますように、関係団体も督促して事業を進めたいというふうに考えております。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 その他、災害対策問題についてはまだ具体的に政府考えを明らかにしてもらう点がありますが、これはこの次の委員会においてさらに明確にしてもらいたいと思うのです。  そこで、最後に、この点は農林大臣から責任を持って明らかにしてもらいたいが、本年度の生産者米価を決定した際、決定と同時に、政府は方針として五十億円を支出する、そこまではきまっているのですよ。ところが、その使用の方法についてはいまだに不明確になっておるわけです。ですから、この点はいつまでもお預けのような形で、わずか五十億円ぐらいの金をかかえておく必要はないと思うのです。農林大臣として、責任を持って使用方法について明確にできる力があるとすれば、この際、五十億円についてはこういうふうに使いたいということを明確にしてもらいたい。  もう一つは、国民の最大の関心は、一体いまの政府は消費者米価についてどういう考えを持っておるか。最近の政府考えからそんたくすると、昭和四十一年度中は上げない、あるいは上げたくないというような意向のようですが、しかし、必ずしも政府の統一した方針というところまではいっていないと思うのです。生産者米価の問題にしても、あるいは消費者米価の問題にしても、食管法の規定からいうと、あるいは食管特別会計法の規定からいうと、これは主管大臣農林大臣ということになっておるわけです。閣内の力関係によって、農林大臣がそれを決定する力がない場合もあるが、しかし、この際、この五十億の使用方法と消費者米価に対する政府の方針を明確にしてもらいたい。
  81. 松野頼三

    松野国務大臣 五十億の問題は、御承知のように、米価決定の際に閣議においてそれをはかっております。ということは、御承知のごとく、当初予算にない新議題でありますので、したがって、年度内における次の予算編成の際にこれを決定するということで、内容は米作増産対策費ということで、おそらくこれは農政費の中に組まれるであろうと私は思います。  その内容が決定していないじゃないかと言われるが、その内容の決定はおそらくその予算の決定の際においてなされるものであるということで、今日までいろいろな点で検討はしております。全然無形ではありません。したがって、私の考えは、全国における米作増産になるべく均てんするような方向でこの問題を処理したい。  そこで、内容は、実はいろいろな案が検討されております。ある場合には増産のための奨励的なものをすればいいじゃないか、あるいは増産的な施設に使えばいいじゃないか、あるいは講習会、研究をこれによってやればいいじゃないか、あるいは苗代等における助成にすれば稲作の強化になるじゃないか、ある場合にはもう少し広範囲な検討をすべきじゃないか、要するに、ある意味においてはもう少し田畑に広範囲にすればいいじゃないか、こういうふうな意見が実はいろいろ出ておりまして、与党、政府及び関係者の方からいろいろ意見がただいま出ております。その意見の調整もまだ最終的にきまっておりません。しかし、要するに、米作の奨励、増産になるようにこれを使うべきだろうというのがいまの段階で、明快な決定がまだなされておりません。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 とにかく農林大臣になってから二カ月たっておるわけですから、しかも、米価決定の場合に、閣議で五十億円は出すということをきめて、わずか五十億円の金をどう使ったらいいかということを松野さんはほんとうにまじめに研究してみたのですか。あまり金額が少な過ぎるから、こんなのはどうでもいいということで放任しておるのか。生産者としては非常に迷惑な話なんですよ。それは生産者の一戸二戸に分けるとか、政府に売り渡した数量に配分するということになれば、幾らの金でもないですが、しかし、生産者米価の決定と同時に、五十億円というものを別途支出する、しかも、それは生産者に均てんする形で、米価に上積みはしないが使用するということまでは明らかになっておるわけですからして、それが就任二カ月後何も案がないというのはおかしいじゃないですか。
  83. 松野頼三

    松野国務大臣 だたいま言いましたようなことが案であり、私の今後の検討課題なんです。もっとも、これだけの大人数の米作農民から見るならば、五十億というのはなかなか分けにくい金であります。といって、これを有効に使うなら、この金額は少額ではありません。そこに、芳賀さん御承知のように非常にむずかしいところがあるのです。しかし、これはやはり米作ですから、ある意味において、米をたくさんつくっておる県あるいは少ない県には、おのずからその対策の勘案をしなければならぬ。そこが非常にむずかしいところなんです。しかも、ことしが初年度で、最初のことですから、それだけに新機軸としては非常にむずかしいのです。私の苦衷も御想像いただきたいと思います。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ支出の対象はどこへ置くつもりですか。全国個々の、政府に米を売り渡した農家を対象にして均てんさせるのか、あるいは生産者団体、農業協同組合を対象にして渡すのか、あるいは都道府県単位にそれを支出しようとするのか、対象をどこへ考えていますか。
  85. 松野頼三

    松野国務大臣 米作農民になるべく均てんをするという思想のもとにやりますと、個々の農家という考えよりも、県を単位にするか、町村を単位にするか、組合を単位にするかということが、第一義的に増産対策というものの趣旨ではないか、私はこういう考えでおります。   〔仮谷委員長代理退席、田口(長)委員長代理着席〕  なお、もちろん最終的には個々の農家に利益、その方向というのが間接的に影響がなければいけないと私は考えます。そういう考えで、実は最初の予算なんですから、しかも五十億をなるべく均てんするように考えると、それはなかなかむずかしいものなんです。米価の上積みというわけではございませんので、将来への増産対策ということを念頭に置いて、目下検討中であります。いずれ案が出ましたときに、十分御批判をいただきたいと思っております。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 あれはわれわれとしては批判の余地も何もないのです。むしろ、あの際五十億を当然米価の中に加算して使用するのが筋であったのが、それを来年また米価問題の追及をおそれて、別個に五十億を農政費として出そうかということで、それが一番困難になった原因だと思うのです。  次に、消費者米価を一体どう考えているのですか。総理大臣は病気と称して自宅にこもってなかなか国会へ出てこない。国会へ出てくれば黒い霧の本体の中心をなす総理ですからして、これはたいへんだということで、ちょうどいい機会だというので自宅静養でまだこもっておるが、しかし、消費者米価については、四十一年度中は総理としては上げないというふうな発言もしているわけですね。藤山企画庁長官も、年度内は上げない。大蔵大臣は、やはり今度の補正の場合に財源上の関係で来年一月から上げなければならぬということも言っておるが、肝心な農林大臣は何も言ってないのですよ。だから、消費者米価問題に対して担当の農林大臣として何も考えがないのか、大蔵大臣や経済企画庁長官がきめたとおりに追随する気持ちでおるのか、その点はどうですか。
  87. 松野頼三

    松野国務大臣 生産者米価と消費者米価というのは、無関係というものでももちろんありません。ということは、いままで過去の例を見ていただけばわかります。食管という一つの会計の中では、消費、生産という会計は同じ項目になっております。しかし、米価を決定するときには、消費者米価は経済、家計及び物価を参考としてという一つの規定があります。その趣旨によってやるということになると、必ずしも直ちに消費者米価と生産者米価がスライドするというものでもない。かといって、これは同じ米価の中で、食管における会計としては同一のものである、こういうところに一つの問題があります。したがって、消費者米価をきめるときにはその趣旨をまず体してみるということは、物価、家計、経済というものがまず第一議題になる。第二議題において今度は食管の合理性という問題が出てくる。  もう一つは、配給過程というものも改善すべきものがあるかもしれません。ただ消費者米価、消費者米価という前に、消費者の配給ルート、配給過程というものも研究課題になっていいのじゃないだろうか。したがって、消費者米価を私は議論しておりませんが、消費流通過程において改善がないかということは、就任当時から検討しております。そういうものも今後の問題として出てくるのじゃないかと私は思います。  消費者米価を私が全然考えていないということではありません。しかし、今日結論を出すとか、私が自分で発言をする段階にはまだ至っていないという状況であります。いろいろ考えております。しかし、まだどれがいいという決定をするまで私どもの思想が固まっていない。まだ状況が固まっていないので、いたずらに波紋を投げることは私はしたくないわけです。無言でおるだけで、頭の中も全然からっぽというわけではありません。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたが最終決定の権限者であるならそういう答弁でもいいと思います。しかし、きめるときはあなたの力できまるわけじゃないでしょう。そこで、佐藤総理大臣は、四十一年度一ぱい上げたくないということを終始言っています。それは来年の三月一ぱいは上げないと言っている。藤山経済企画庁長官は、四十一年度一ぱい上げるべきでないということをはっきり言っておる。ところが大蔵大臣は、やはり来年一月から上げなければならぬということを言っておるのですよ。政府部内においてもそれぞれ意見が違っておるわけですね。それでは主管の農林大臣は一体何を考えているかということが何も明らかにされていない。ですから、松野農林大臣として、一体年度内は上げるべきでないと思っておるのか、あるいは一月から上げるべきであると思っておるのか、何も考えがないので、大蔵大臣のきめたとおりにするのか、総理の裁断に待つというのか、そのうちのどのような考えですか。
  89. 松野頼三

    松野国務大臣 新聞紙上で言われております大蔵大臣考えも、そんな明快な確定したものではない。また紙上で言われる総理大臣の記事も、必ずしもそんな明快なものではありません。したがって、私も、そのどちらをとるというその前の前提が明確ではありません。ただいま大蔵委員会に一緒に出ておりましたが、企画庁長官、私、それから大蔵大臣、三人で消費者米価の質問を受けて答えましたが、御両者とも、そんなに明快に自分は何月何日に上げたいのだと大蔵大臣が言ったわけではない。時期はまだ自分も考えていない、しかし、このままではいけないのだということを自分は言ったのだというのが大蔵大臣の答弁であります。企画庁長官は、なるべく物価問題については安定したものを望む。といって、財政を考えないわけじゃない、これが企画庁長官です。私は、自分が主管大臣として、目下諸般の状況考えております、これが私の答弁です。この三つが実はきょうの午前中の大蔵委員会の態度でした。したがって、私は何も、二つの意見が確定したのにおまえなぜ黙っているのだということとは少し違うようで、御両者ともまだそんなに確定したものじゃないようです、企画庁長官も大蔵大臣も。これは芳賀さん、もう少し時間に状況を見させていただきたい。しかし、やはりいずれこれは食管会計には関係がありますから、食管会計を組むときには、当然ある意味においては相当明確にしなければならないということはわかっております。しかし、時間ももうぼつぼつきまっているのですから、いまの時期じゃなくても、いずれお示しする時期があろうと私は思います。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、いまあなたが言われたような事情が、いまの佐藤内閣の内部事情というふうに判断していいわけですね。
  91. 松野頼三

    松野国務大臣 委員会に出ての三人の話はいま申しましたような話です。
  92. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 松浦定義君。
  93. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 北海道中心とした災害の問題で、先ほど、温水政務次官政府を代表して調査され、その経過報告を聞きましたが、それは、いままであらゆる団体あるいは農林水産あるいは災害対策特別委員会、衆参両院にわたる調査の結果と私は何も変わっていないと思うのです。ただ、見るところが同じであるから変わらないのだと言いますけれども、政府の機関として見る立場と、それから一般の見る立場とは、ある程度表現のしかただってやはり多少変わると思います。私が聞いておりますと、その経過報告を聞いておっても、何か責任を持たなければならぬかのようなふうになった場合のことを考えて、相当遠慮しておるようなところがあると私は思うのです。したがって、そういうことは、私はいま芳賀委員から御質問がありましたから、詳細な点についてはこれからまだ問題がたくさんありますが、触れようと思いません。ただ一点だけ私がお聞きしたいのは、先ほどお話がちょっとありましたが、農林大臣調査に行く意思がおありになるのかないのか、そういう点をひとつ簡単にお聞きしたいと思います。
  94. 松野頼三

    松野国務大臣 先般の政務次官の調査で、今日の段階では十分だと思います。しかし、今後の推移は、農業ですから推移が変わります。変わるような場合には、実は私は調査の心づもりを持って自分でもまいりたいと思っております。いまの段階では、どう変わるかまだ実は今後の問題の変化を見て私は自分の考えをきめたいと思っております。
  95. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そこで、私どもがいま考えておりますのは、先ほどお話のありましたように、現地の一番強い要請は、多くありますけれども、やはり激甚災害の指定がいつ受けられるか。受けることは間違いないとして、いつ受けるかということです。先ほどの答弁ですと、十一月一日の作報の調査の結果早急にこれを決定したい、こういうことです。そうしますと、おそらく私の推定では、十一月の五、六日ごろにはそれがある程度見通しがつくのではないか、こう思うのです。そこで、私の聞きたいのは、十一月五日に政府が札幌で行なわれる一日内閣、これには農林大臣出席されますか。
  96. 松野頼三

    松野国務大臣 特別な用務がない限り出席いたしますが、東南アジアの農業問題の日程がきまればあるいは出席できないかもしれませんが、しかし、私自身はこの問題までにはなるべくすべての問題の解決をしたいというつもりで、十一月一日の統計、その後において支障がないようには十分いたします。
  97. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そこで、その十一月五日に行なわれる一日内閣、これは本委員会の質問とはちょっとかけ離れるようでありますけれども、この主催はやはり政府の主催であろうと思うのですが、どういう目的をもって行なわれるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  98. 松野頼三

    松野国務大臣 いままで地方に一日内閣を各所において実施をいたしました。なるべく内閣を国民の身近に感ずるという意味で各所でやりまして、たまたま北海道というのをことしの当初にきめてありますので、それが十一月の五日の一日内閣の北海道内閣であります。
  99. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 その主催は政府ですね。
  100. 松野頼三

    松野国務大臣 そうであると私は思います。
  101. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 その点明らかにしていただきたいと思います。その点を明らかにしてください。
  102. 松野頼三

    松野国務大臣 内閣が主催であります、と思います。
  103. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そうしますと、北海道に対する準備は北海道知事が全部やっているわけですね。
  104. 松野頼三

    松野国務大臣 準備は内閣のほうの所管で、私のほうの所管じゃありません。ただ、一日内閣というので、私ももちろん、各大臣出席をするということだけは私は承知しておりまして、主催がどうであるか、そこまでは内閣のほうで正確にはやっておるのじゃないかと思います。私のほうは、そういう意味で、農林大臣ももちろん重要問題として出席をするということだけは承知しております。
  105. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 いま大臣は、重ねて内閣が主催だ、こうおっしゃったでしょう。そうしますと、内閣の主催であり、政府の主催であれば、これは下部機構である北海道なら北海道知事、新潟なら新潟県知事がこれをやるわけですね。そうすると、いままでの準備はどういうふうにしているか。大臣がわからなかったら、おわかりになる人でけっこうですし、もしおわかりにならなかったら、関連する問題ですから、ちょっと電話でもしてすぐ聞いていただきたい。
  106. 松野頼三

    松野国務大臣 先般九州でやりましたそのときの模様を私は承知しております。もちろん内閣が主催で、各九州全部の知事がこれに出席して協力して、行政として内閣、市町村、県、それから一般の学識経験者、それから一般国民の方というものがまじって一日内閣が実施されました。形式的には私は正確ではありません。その状況は、九州の例を私は念頭に置いてお答えしているわけです。
  107. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 どうもその点明らかにならぬですから、押し問答になりますけれども、私どもの見方は、九州の場合は、どうせ行ったついでに各県共催でやりましょうということがあるかもしれないけれども、北海道の場合は九州より大きいですから、そうやるわけにはいかない。北海道知事だけでやっているわけですね。そうしますと、準備その他についてはおそらく知事が−九州式にやれば、十四支庁があるから、各支庁長がその役目を果たさなければならないと思うわけです。あるいは相談に乗っている点があろうと思います。そこで、与党である自由民主党が何らかのてこ入れといいますか、その意向を受けていろいろの準備をやっておるのでないか、こう思うわけです。もしそうでないなら、いまおっしゃったように、政府の機関でやるのであるならば、やはりその一日内閣というものは、現在国民事情調査する国の責任がある、こういうことであるから、お出かけになってやることは非常にけっこうであると思う。国会の延長であるというふうに見ているわけです。そうした場合に、たとえば発言者、質問者、そうした者が自由民主党の系統の人ばかりで選ばれてやっておる、そうなれば、八百長的なことになるわけですね。そうすると、極端に言いますと、選挙対策だと言っても私は過言ではないと思うのです。その点、私はきょうは時間がないから、それでおわかりになると思います。そこで、私がいま一番聞きたいことは、これはもう相当金がかかりますから、北海道においでになって、各地区から質問者を出す場合に、おそらく支庁長が出張旅費その他を出すわけに私はいかぬと思うのです。あるいは政党に対して出せと言えば、それは喜んで出してくる。質問の状態を見て、もうどんなことを言われても手をたたいて終わってしまう、こういう結果になるのが私は通例だと思うのです。そこで、一番問題になるのは、北海道に行ったら冷害問題です。そのときに、いま私どもが質問したような問題以上に深刻な意見が出てくるわけですね。それに対する大臣の答弁は、おそらくここでお話しになったよりももっともっと私は親切丁寧な意見が出てくると思うのです。一番問題になるのは、私は、一日に調査が出て、五日ごろに腹がきまるのではないかということについては、激甚災害の指定地域にそれまで北海道はきまると思うのです。そんなことはいまでもきまっておると思うのです。ただ手続上やれないだけですから。その質問に対して大臣が答弁したら、それは、質問した人はもう全く自由民主党から選ばれた人であって、その点私はどうも遺憾だと思うから、率直に申し上げますが、一日に調査が始まる、五日までにきまる場合には、少なくとも二日前の三日に私はきまると思うのです。二日ぐらい前に、大臣がそういう質問が出たときにはこういう答弁をいたしますというぐらいは、当農林委員会委員長あてに書類を出してもらいたいと思うのですが、いかがですか。たとえば、その激甚災害の指定は北海道はするということがきまった、おそらく議題が出たら、それに対してはきまりました、やります、そう答える前に、当農林委員会があれば私は委員会でやってもらいたいと思いますけれども、おそらくそういうことにはならないと思いますから、その場合には、札幌で発言される前に、文書でもって農林委員長に対してその内容−それだけじゃありませんよ。われわれが質問していることの回答については保留してあるのですよ。いまおっしゃったように、それがきまらないからできないというのですから。一日内閣は国会の延長ですから、私は申し上げる。これが自由民主党の主催でやるなら、そんなおこがましいことは言いませんよ。国のお金を使って、相当金がかかります。何百万と金がかかるでしょう。そういうことでやる一日内閣であれば、北海道に一足おろしたら、これは冷害問題ばかりですよ。それに関係する問題ばかりですから、そのときの答弁は、私は文書でもって出してもらうことを要求したいと思うのですが、それに対して大臣はどういうお考えですか。
  108. 松野頼三

    松野国務大臣 まだ質問がどんなものであるか届いておりません。まだいつ届くか私はわかりません。しかし、そういうことは別にして、激甚災の指定をいたしましたならば、当農林委員長あてに直ちにそれはお知らせいたします。五日までにそれが決定されるかどうか、これもまだわかりませんことですから、決定し次第それは農林委員長あてにもちろん御通知します。五日までにきまるかどうか、それはまだわかりません。もしきまるようなことがあれば御通知します。あるいはおくれるようなことがあれば、きまった場合にもちろん御通知します。まだ質問の内容がきまっていないものですから、どんな質問が出るか、私もまだ予想しておりません。
  109. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 質問の内容について、私は、向こうで自発的に新しい質問が出ることに対して文句をつけるわけじゃない。われわれの質問した問題が重ねて出るし、出た場合の答弁については、私は重要な問題についてはそういう取り計らいをしてもらいたい。やはり農林委員会をひとつ優先して持ってもらわぬと、たとえば答弁のときにも、農林委員会でかくかくかようの意見もあるし、私としてはまだそれまで今日はきまっておりませんから申し上げられませんとおっしゃるのが当然だと思いますので、そういう点はひとつ、私どもそれは新聞やテレビですぐわかるわけですから、御承知おき願いたいと思います。  それから次に、もう一点、これは大臣が知っておられるかどうかわかりませんが、きわめて新しい問題ですから、ちょっとお伺いしておきたいと思います。  本年の通常国会が延長されまして、幕切れにアジ銀の問題が廃案になって、審議未了になって、数日おいてすぐ臨時国会、そこでは何もやらないで、そしてそれだけを参議院でもって強行成立させた、こういう経過があるわけです。その経過に基づいて、今度通産省で開発輸入促進事業団というものを構想をして、四十二年度に予算要求をしておる、あるいはしようとしておるようなわけですが、それは大臣御存じですか、どうなんですか。この点明らかにしていただきたい。
  110. 松野頼三

    松野国務大臣 そういう予算を通産省で要求するとかしたとかいうことは、私承知しておりません。内容については、全然私は承知しておりません。
  111. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 私ども社会党がなぜこのアジ銀に反対したかということは、賛成した人も今度の開発輸入促進事業団構想の内容を見て明らかになったと思うのです。いま農林大臣が全然それをお知りにならないということは、これは上は総理大臣から各省の関係機関の横のつながりが全然なかったと言っても私は過言ではないと思うのです。アジ銀の予算は総額で十億ドルでしょう。そしてアメリカと日本とが二億ドルずつ出すわけですから、しかも開発輸入促進事業団構想は、事業団をつくるわけで、また事業団だとかなんとか好きな政府ですから、これまたおつくりになると思うのですが、この内容につきましても、やはり事業団の出資が五億で、補助金が九億三百万円、それから財政投融資の融資が大きいのですね。出資は十二億で、融資が六十七億二千万、これは相当な事業がやれるわけです。そういうことをすでにもう通産省では考えておるわけですね。その前提として農林大臣に一つも相談をしないでこういう問題をやるということは、これは農業関係関係のないものなら私はいいと思うのですよ。重要な関係があるわけでしょう。発展途上国の低開発に対してそれだけ融資をして、そこに機械とか技術を導入して、それでその代償にとれた農産物を日本に輸入してくるわけですから、そのために金をかけて一生懸命にやろうというのは、これはまあ構想ですから、それは知らないし、そんなことがあればつぶしてしまうという農林省農林大臣のお考えならば別でありますけれども、おそらくいまのアジ銀を強行採決までやった経過からすれば、これは当然の結果として出てくる構想だと思うのですよ。これを農林大臣が全然御承知にならないということは、私は非常にどうも遺憾です。いつかも私が申し上げましたように、最近の農林行政は大蔵省か通産省にやられておるのじゃないか。予算の面では大蔵省、あるいは貿易の自由化その他については通産省、率直に言って、私は、大蔵省、通産省の農林部だ、農林局だと言って、実は痛烈なる批判を申し上げたことがあるわけです。こういうことがあるから、またさらにこれはどうしてもその裏づけになるわけです。いま全然御承知にならないものを私は承知せよと言ったってしかたがないわけですが、もしこれが事実であって出てきた場合には、私ども北海道におる者は、北海道の農民はみんな知っているのです。ことしは冷害で苦しんでおる。来年から何とかしてやると言っても、この構想が成り立つと、来年からやってもいろいろな食糧が入ってくるじゃないですか、米は入ってこないが、米以外のものは入ってくる。それから政府の要路の人は米はもうあまりつくってはいかぬと言っている。そうしたら、それは酪農に切りかえるしかない。酪農あるいはほかの豆類に切りかえたら、それがどんどんその代償として圧迫してくるわけですから、農林省は何ぼうまいことを言ったって、私はだめだと思う。
  112. 大和田啓気

    ○大和田説明員 ただいまの問題につきましては、通産省から事務的に多少の連絡は私どもにございました。まだ大臣に申し上げるほど具体化した話ではございません。また私ども、この問題に関しましては、農産物の開発輸入については、農林省としてしばしば主張しておりますように、独自の考え方を持っております。すなわち、開発輸入で農産物を輸入する場合も、日本の農業にマイナスにならないような、全く日本の農業と競合しないようなものでなければならないということを強く主張しておるわけであります。通産省でも一種のアドバルーンの形で概略の構想を発表しただけでありますから、そう詳しい調整には入っておりませんけれども、そういう日本の農業と競合することのないようにという点は、まず強く通産省に言っておるわけであります。
  113. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 時間がありませんから言いませんが、この内容を言いましたら、いまお話しになりましたようなものじゃないのです。通産省なんというのは業者の関係の人が多いわけですから——何も私は農林省を追及しているわけじゃないですよ。応援しているのですから、そういうのを何とかして未然に防止してもらいたい。どうしても力関係でできないとすれば、いまやはり局長がお話しになったように、何とかその点を緩和するということも必要だろうと思う。それで、私は、結局農民というものは非常にばかをみると思うのです。実はこの間、冷害対策北海道帯広で全道の農民大会をやりました。全道から二千五百名くらい集まった。そこでこの問題が議題になったわけです。そうしたら、ある与党の議員も言っておりましたよ。うまいことを言っているけれども、アジア開発銀行の設置のときには野党は全力をあげてこれに対して対抗したじゃないか、それはやはりこういうことがあるから対抗したのだ、しかし、そのときに賛成した議員はこれに対してどう考えるかと言ったら、それに対して何も言うことがないんですよ。そういう問題がありまして、これは重大な問題となるわけですから、いままだはっきりしたものでない、単なる構想だ、こうおっしゃるけれども、そう思わせておいて、相手のほうはどんどんやっていく通産行政があるわけです。農林省はあまりまじめ過ぎて、表のことだけ考えているからいかぬと思うんですよ。そういう点ではもう少し腹の中は悪くなっていいと思うのです。ほかのことで悪くなってはいかぬですがね。そういう点で十分この点に気をつけていただいて、こういう構想が出る前に粉砕してもらわないと、出てから粉砕ということは、これは社会党だけにどろをかぶせるというような、そういうようなことでは、ほんとうに農林省としても社会党からも見放されると思いますから、そういう意味では、社会党は農林省に対しては好意的な態度を持っているということを御了解いただいて、この問題は、そういう構想が出てこないようにぜひひとつ御考慮を願いたいと思います。その点大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わります。
  114. 松野頼三

    松野国務大臣 私は、基本的に日本の農業を圧迫するような輸入は、一つといえどやる気持ちはありません。また今日もやっておりません。今日考えられることは、農産物関係として輸入品目を洗いますと、二十億ドルくらい輸入しております。これはもちろん綿もあります。ゴムもあります。もちろんえさもあります。そのほか木材、二十億ドルくらい、私は二十五億近いのではないかと概略考えますが、農産物関係として輸入しております。それを合理的に輸入する、あるいはより効果的に輸入するということならば、今日の国内農業増産とはこれは競合いたしません。  なお、米に関しましては、就任以来私は一割増産を努力したいとさえ今日思っております。幸い本年は大豊作であるということは、日本の食糧としては私は明るいことだと思います。まあ北海道だけが特にその冷害がきびしい。したがって、そういう農業に圧迫を加えるとか方向が違うようなものは、私は断じて認めるものではありません。どうぞその内容等についてはもう少し検討をさせていただきたい。また社会党でも検討をしていただきたい。私は、その内容によって大きな影響があるのではないかと思います。
  115. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 玉置一徳君。
  116. 玉置一徳

    ○玉置委員 先般来、農林大臣大臣就任につきましていろいろと新聞その他にお語りになっております問題について、この際、当委員会で内容を明らかにしていただきたいと思います。お互いにあげ足取りでもございませんので、率直な御見解をきょうはただすだけで、それについての意見その他の問題は、また後日機会があると思いますので、それに譲りたい、こう思っております。  一番初めにその姿勢でございますが、「農林大臣を拝命したが、総理からも物価問題ともからみ農林関係はとくに重大であるといわれ、その責任はきわめて大きいと考えている。私は坂田前農相とちがって農政通ではないが、私は私なりのやり方でやっていきたい。」ということから、次に「農林省は食糧増産の時代には国民の期待をになって省内は大きなエネルギーにみちていたが、今はヌルマ湯につかっている。世界の食糧情勢をみてもたいへんきびしいので、長期的な展望のもとに、きびしい態度をとって行政をやりたいと思っている。」私はこれを皮肉で言うのじゃありません。われわれも常にそういうようにきょうまで農林省を督励してきたわけでありまして、農業基本法はできましたけれども、なかなか思うようにならない。構造改善事業一本やりの表看板もどうやらあやしくなってきた。ついては、思い切ったことをやらなければますます農家は離脱していくのじゃないかというので、野党あるいは与党の委員の皆さんもまじえまして、農林委員会農林大臣とともにこれを憂えて鞭撻してきたわけでありますので、皮肉じゃなくて、率直にどういうことをお考えになって、もう少しきびしい態度でやっていきたいとおっしゃったのか、ひとつお聞かせいただきたい。
  117. 松野頼三

    松野国務大臣 食糧増産時代には、農林省というのは、非常にエネルギッシュに国民にも受け、省内も動いておりました。農業基本法制定、これも一つのエネルギーに満ちました。しかし、その後五年間の経過を見ますと、農業そのものの変化あるいは経済の状況に応じて、農業というものがややもすれば声が小さくなった、これは私が非常に残念に思ったことです。世界の情勢も変わっております。食糧不足というのがアジアの現状になっております。したがって、そういうことを考えると、日本の食糧をなお増産をして自給度を向上したいというのが私の基本的な農政における考えで、本年も一割増産をその中にうたいましたし、また、今日経済事情に応ずる日本の農業の従業者の変化あるいは従業人員の構造の変化、これを考えますと、農業というのは、いまこそもっと熱心に活を入れて、安心した希望を持たせながらいかなければならぬのじゃなかろうか、これが私のそのことばの裏であります。
  118. 玉置一徳

    ○玉置委員 私たちもそう思うのですが、農業基本法をおつくりになったときは六年ほど前、それの三年ほど前くらい、したがって九年前くらいの構想から始まったわけでありますので、当時世界の情勢は食糧の過剰生産時代であって、そういう意味からも、純粋な経済的な合理主義というもので貫いておることもよくわかるわけでありますけれども、今日、いまのお話のようにだいぶ状況も違ってきておるし、しかも高度成長政策の結果、ちょっと収拾のつかないようなあれになっておりますので、農業の近代化といえども、大土地改良を思い切ってやるとか何かをやらなければならぬと思う。考えてはおるけれども、なかなか実際にやりにくい。そういう意味で、ひとつ思い切った施策を打ち立てていただくことをお願いをしたいのです。  その次に、「農政について法制的にはほとんど整っているが、これに血が通っていない。新たに着物を仕立ておろしするような法律を作ることより、まず行政に血を通わすことが大切だ。」私も、大体どういうことをおっしゃっておるかということも想像つかぬことはないのです。あるいは構造改善事業でいろいろ指定生産地をつくりました。しかし、そこには価格政策もないとか、そういうような意味も加えての総合的な施策をやらなければならないのだというようなことだと思うのですが、これは大臣のお考えはどういう意味でおっしゃったのか。
  119. 松野頼三

    松野国務大臣 ただいま玉置委員が言われたそこが一つの問題点です。構造改善によって選択的拡大を主張しながら、選択的拡大ができた暁において、必ずしもその経済効果が逆転するという傾向と心配が私はあると思います。また、選択的拡大そのものも多種多大にわたるために、市場性がない、あるいは出荷性がない、規格性がない、商品価値がない。これは、私は、現実にいままでの中において考えなければならない改善の点ではなかろうかと思います。したがって、これはおそらく全日本では、農民の技術が非常に優秀であるだけに、多種多様にわたり過ぎる場合があります。ある場合には器用貧乏の傾向があるのじゃなかろうか。これが要するに選択的拡大における今日の改善を要すべき点で、構造改善によって増産、合理化をはかりながら、価格面におけるある程度の手当てがおくれておった点、これが、私は、言うならば、大事なところに一つの今日の問題が提起されておるのじゃなかろうか、これをおっしゃるようなところの考えで私は申しました。
  120. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、ある農業新聞社の記者会見におきまして、いまの話の構造改善事業でありますが、構造改善事業はいままであまりにもこまかいところまで規制し過ぎておったのじゃないだろうか、初めはある程度やむを得ぬとしても、将来はある程度これは自主的ななにができるような措置に改めていかなければならないのじゃないであろうかというお話が載っておるわけですが、われわれも先般来農林大臣に——最初はあれはあれなりの効果はあったと思う。しかし、主産地形成のほとんどできていないところに、いまから全国の需給バランスも何も考えずに、町村長に責任を持たしてやりなさいという形でやったのでは、必ずあとで農民の恨みを買うことになるのじゃないだろうか。先般もある農村へ行きまして、スイカの出荷をしておいでになるところに立ち寄りましたが、あなたたちがやれということをやったら必ず貧乏する、どうしてくれるのだということで、きつくしかられたのですが、私は、農家の皆さんにあやまりながら、あなたたちも頭を働かす訓練をしなければ、下を向いているだけではだめなんだということを言って、笑って帰ったのですが、構造改善事業について、農林大臣はかなり意欲的な意見を持っておっしゃっておられますが、どういうような態度で対処されますか。
  121. 松野頼三

    松野国務大臣 構造改善そのものを私は否定したり、あるいはいままでのものを責めるわけではありません。しかし、今後望むものは、構造改善の上に実るものが私はほしい。ということは、先般一部の例ですが、三百五十カ所ばかり蔬菜、野菜の五品目における指定地をいたしました。これは一つの目標ですけれども、これが各種各様な方向に前進して、いまこれは点ですけれども、これが線となり、面になれば、日本の農業の安定が期せられるのではないか。それが三百五十カ所の野菜の主産地指定、これはまだ点です。しかし、私の気持ちの上から言うならば、これは一つの大きな前進です。今日価格支持のないものが——米、麦、カンショバレイショ、生糸、こういうものは価格支持的なものがありますけれども、ないものは、しかも農家の重要な所得としては野菜が大きなものであります。そこで、これをやったことは、私の血の通った一つのテストとしても、これを私は重点としてもっと線に進めていきたい、面に結びつけていきたい、こう考えております。
  122. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、先ほどおっしゃいました農業基本法にいいます選択的拡大でありますが、選択的拡大というものは、そのもの自体は悪くはないけれども、選択的拡大をしたものについて価格の保障がないところに、血の通っていないということがあるのじゃないかという気持ちじゃないかと思うのです。それにはそれらしい機構が要るというのが、いまのお話の野菜の指定生産地の制度を拡充してまいりまして、やがてはそれが線になり、面になってまいったときに、政府価格保障をする措置のところまでいけるのじゃないだろうか、そのことを農林大臣確かにおっしゃっておるわけです。われわれも三、四年前から、野菜生産地指定方式をとっていただきたいということを予算委員会その他でずいぶんねばりまして、二年ほど前からやっていただいておるわけであります。いまのところ、主たる野菜の中央市場における出荷の五割でありまして、やがてそれを七割まで持っていくということと、いまのやつはなおまだ消費者の消費行政のほうがどうしても先に立っておるような関係もありますので、実際問題としていろいろな点を補充して、生産者のために真に役立つような価格安定の形成をしていただきたい、こういうこともお願いしておるわけでありますが、これについてどういうような姿勢でおやりになっておりますか。
  123. 松野頼三

    松野国務大臣 今日一番問題は、六大都市を中心に指定生産というものを行なっておりまして、しかし、六大都市の中でせいぜい五〇%で、七〇までは本年中にいくかもしれませんが、だんだん上げていきたい。しかし、それだけでは、六大都市における需給が可能であって、蔬菜から見ると、生産と流通の結びつきがまだわずかなものにしかなりません。何とか全国の蔬菜、野菜の生産の七、八割は安定価格と安定流通に結びつけたい、こう私は考えております。日本の国民は世界で一番に野菜を消費する国民だと私は思います。また、今後これがふえるだろう。そうなれば、なお農業の中で米に匹敵する蔬菜の生産地帯という農村はふえていくのじゃないか。こう考えますと、その問題というものは農政の中に取り入れられる、こう考えて、最終的には価格安定帯くらいまでは持っていきたい。これは政府が直接やるか、あるいは間接的にやるか、これはその実情に沿いますが、基本的に生産者が安心してやれるということ。それには、生産時期、出荷調整というものも、やはりこれは一つの規律として必要じゃないか。出荷時期をずらすだけでも価格安定ができる。あるいは生産の品目をきめるだけでも価格の基本がきまるのじゃないか。いままではその方向、規律がなかったと私は思う。したがって、そういうものが、私の言うように、せっかく体はできておったが、血管が弱かった。そこに結びつく血管がないために、せっかく優秀な農業生産に比例するだけの収入がなかったんじゃないかと私は思います。
  124. 玉置一徳

    ○玉置委員 最後は結局計画生産あるいは計画出荷までいかざるを得ないわけでありまして、そこで初めてそういう問題が片づいてくるんじゃないか、こう思いますので、ひとつせっかく馬力をかけていただくようにお願いを申し上げたいと思うのであります。  なお、お話をなすっておいでになりますときに、協業形態、これは農林大臣のお話によりますと、過去の農業の時代はすでに過ぎた、そこには農民の共通の精神基盤と団結がなければ、これからとうていやっていけない、協業を大いに進めていく、こういうようなことでいろんな施策を語っておいでになるわけですが、そうなりますと、従来農業基本法でお話のあった自民党政府の自立経営農家の育成というものとどういう関係になるのか。もう自立経営農家の育成というのは放棄したのだということになるのか。それからまた、協業形態を事実やろうといたしましても、いま航空防除その他やれるだけのことはやっております。稲作も畑作も同様に、これはどうしても大土地改良をやらない限り、これ以上の協業とか近代化、機械化ということは事実上なかなか困難であります。政府も、十カ年間二兆何千億ですか、土地改良をお考えになっておりますが、土地改良について思い切った考え方に改めなければ、このお話も実がのらないような感じがいたしますが、この間お話をなすっておいでになる限りにおきましては、どういうようにお考えになるのですか。
  125. 松野頼三

    松野国務大臣 日本の零細な所有面積だけで個々にやること自身がもう限度に来ている。しかし、個々の所有権、個々の自立ということが、これはもちろん基本的な考えですが、自立をするために協業をやることのほうが、より効果的だ、こういう考えで言ったわけで、協業をやることが主じゃなしに、自立を達成するためには協業形態というものは大幅に取り入れられるべきである。今日、生産においては、共同防除、共同田植え、共同桑園あるいは稚蚕共同飼育、各種の共同的なものがあります。さらにこれに今後は販売とか経済行為の共同化が取り入れられるべきだ。これにもう一歩私は頭を進めてまいりたい。その例として、いわゆるカントリーエレベーターという生産手段をとりますと、ある意味においては生産から供出まで協業的な立場に立っております。したがって、今日の食管法あるいは今日農業がやっておりますよりももっと前進したものが協業の中に取り入れられて、生産手段から経済行為まで協業がもう取り入れられるべきだ。一番大きなものは米作地帯、これは水田の面積でありますから、そう広いほうがいいとは申しません。しかし、少なくとも酪農、畜産は相当協業的なものにいかなければ、個々の農家だけではもう間に合わない。ということは、えさ問題というものがもうすでに限界に来ております。えさを取得するというのならば、やはり協業的な草地大規模改良、そこに国有林の利用ということを私が打ち出したのは、そういうふうなところに協業体制ができるべきだ。果樹なども協業ですでにこれは実施しているのではないか。自立を否定する協業でなしに、自立を達成するための協業というものが必要である、こういう思想から私は申しております。
  126. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、いまお話しの飼料でございますが、二毛作に飼料をつくったらいいじゃないか。私もこれを考えまして、農林省に、裏作実施可能面積が幾ら、いまやっておる面積はどうだということで、それを飼料作物にすれば日本の飼料自給にどれだけ貢献するかというものを一ぺん調べてもらったことがあるわけですが、どうしても、ドルを使うよりは日本の農家価格差補給金を出したほうがましだというところまで割り切らないと、いまの麦作よりは賃働きに行ったほうがよほど収入が多いというので、たいへん減ってしまったわけでありますので、どうしても価格差補給金の制度を考えない限り、この問題は実現がなかなかむずかしいのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  127. 松野頼三

    松野国務大臣 お考えは私の考えと同じです。ただ、そこに価格差補給金をやらなくても可能じゃなかろうか、私はこう考えております。ということは、契約栽培ならば価格補給金が私は必要だと思う。ある場合には、借り受け耕作ならば価格補給金の制度はなくて済むのではなかろうか、やり方によって……。補給金は、同一人物が耕作する場合、要するに畜産家が耕作する場合というのと、えさを頼んでこれを耕作してもらう場合とによって、その問題が私は非常に違ってくると思います。みずから耕作して自給えさを使用するならば、価格問題はある程度問題がなくなる。ただ、みずからつくらないで畜産家が耕作者に委託する場合には、そこに価格問題が出てくる。これはやり方によってその問題が違う。したがって、玉置さんの言われる方向と私も同じように考えております。裏作で最高の場合麦を百六十万町歩ぐらいつくっています。今日は七十万町歩を割ったかもしれません。約四割あるいは三割五分くらいしか今日耕作がないかもしれません。その残余の面積というものが、今日私の考えで言うえさの自給体制の一つのねらいとしては可能である。また、それをやらなければ合理的な畜産の将来はない。しかも、最近のえさは年々上がります。私は、日本のためにえさの国際相場が上がるんじゃなかろうかと思う。これはもう畜産の限界として大きい問題だ、こう考えて、その問題に本年から取り組みたい。補給金までは考えておりませんが、その方向はひとつのことしからテストしてやれるのではないか、こう考えております。
  128. 玉置一徳

    ○玉置委員 若干むずかしいところがあるかと思いますが、ぜひ踏み出していただいて、その点困難な問題はひとつ実行の上で克服していくというようなお運びをいただきたいと思うのです。  農地管理事業団ですが、お話の中に、法案を再提出してもいい、しかしながら、これだけでもって経営の拡大がはかれるとは思わないということで、これはもう当然のことであると思うのですが、お出しになる意思があるかどうか。もしもあるとするならば、この間のをどういうところを改めたいと思うか。あるいはほんとうに実効をあげようと思うと二重価格制度が必要だと思うが、どう思われるか。あるいはまた、市街地の近郊地帯で住宅もしくは工場にできるような美田のところは、これはかえって好んでおらなくて、僻村僻地である、こういうようなことも考えられるわけです。そういう問題につきまして所見を伺いたい。
  129. 松野頼三

    松野国務大臣 農地管理事業団法案は数回提案をして、実はいまだ成立を得ておりません。もちろん政府の意図は御了解のとおりです。ただ、やはりそこに成立を得なかったその問題点も、われわれは謙虚に考え合わさなければならないと思います。私は、農地問題は、この農地管理事業団もその一助でありますけれども、これがすべてだとは実は思っておりません。したがって、もう少し改善をして再提出に踏み切ろうか、こう考えて、これは私も当農林委員をしておりましたときに、信託制度というものを実は賛成をして、これをやってみたところ、その結果は必ずしも成績がほとんどあがらなかった。したがって、それにかわるべきものとして管理事業団制度が考えられたと思います。しかし、これも一助にはなるけれども、全部じゃない。農地問題の要するに規模拡大における全部じゃない。ことに、今日は、ただいたずらに農地を買って、そして希望者に売るというだけでなしに、やはり耕作者がみずからお互いの話し合いができる場合、あるいは無理にやる場合、いわゆる高圧的に上からやる場合と、下からやる場合と、いろいろな問題がありますし、私は、一助にはなるけれども、これによって規模拡大はもうだいじょうぶだというまでにはたしてこれがいくかどうか、多少疑問がありますので、もう少しそういうところを手直ししてやるならば、より以上議会の協賛を得られるのではなかろうか、こう考えて、私はこれを出さないという意味じゃありません。改善をして出したいという気持ちがいまの気持ちであります。
  130. 玉置一徳

    ○玉置委員 こういう方面の一つの取りまとめとして、立体農政です。非常に大きなゴシックで書かれております。「平面農業から立体農業に組み替えたい。ここでいう立体農業とは生産面だけを担当する農業から脱皮して、流通、販売面など農業に関連する一連の部門に手を延ばした農業という意味合いだ。なかでも流通面には生産者、消費者とも強い不満があり、物価対策の焦点になっている。流通部門に農家を進出させることによって生産部門の構造改善を進める方法があるのではないか。」、こういうようになっております。立体農業というのは、いまのお話のとおり、加工、流通部門まで、こういう話だと思うのですが、なおもう一つの面としては、先ほどの話のように、総合的なというものも含めておるのじゃないか、こう思うのです。  そこで、ひとつ立体農業というやつをわかりやすく御説明いただきたいのと、その次に、いま読みましたとおり、市場に生産者をということは、いま流通機構の改善がやかましく言われておるときであります。そこに生産者を関与さすのかどうか。もう一つは、この農協の新聞との対談のときに、大都市に農協から直接売るような機構を考えてもいいのじゃないかということも載っておったわけでありますが、市場の機構の中に生産者を関与さすのか。それから、いま言うように、直接販売も考えるのか。これも含めて立体農業の御説明をいただきたい。
  131. 松野頼三

    松野国務大臣 大体玉置さんの御理解の方向が立体農業の私の構想です。さて具体的には、価格、販売、流通まで農業部門にこれを取り入れたい。そこで、全部取り入れるということはなかなか容易じゃありません。既存の市場法というものもあります。既存の市場もあります。また、一ぺんにそれが流通革命のように急にできるものじゃありません。しかし、一つ一つその方向に進めていくことが、流通の一つの革命と明るい改正になるのじゃなかろうか、それを農業部門の所得に取り入れたいという感じを私は持っております。いま大体農産物価格の中で、農家所得は平均しますと三割くらいしかないのじゃなかろうか。そして加工と流通によってそのあとの七割の価格形成が成り立っております。諸外国の例を見ましても、四割くらいまでは生産者がその手取りを取るということは可能である。そこで何とか、三割を一割ふやしても三割三分ですから、七割のほうに一割ふやしたい。そうすると、農家所得が四割になる。この方向を、言うなうば、平面農業から経済行為を合わした農業という意味で立体農業ということばに私は結びつけたわけで、ことばが適切かどうか知りませんが、私の構想はただいま御理解のような方向でいきたいと思っております。
  132. 玉置一徳

    ○玉置委員 それから、御発言のうちで非常に新聞紙上大きく取り上げられておりますのが、お米の任意配給制度であります。配給通帳制度を改めて、現行の義務登録制度を希望登録制度に切りかえる、配給米は一定量の固定配給量はきめるが、これにこだわらず、自由に買える任意配給も認める、こういうものがあるわけでして、それについていろいろな憶測がめぐらされておるのが実情であります。はたしてこれは河野さんがおっしゃったような構想なのか、あるいはまた食管制度の不足を補うような考え方なのか、いろんな問題があるわけですが、一体ほんとうはどういうようにしようとお思いになっておるのか、ざっくばらんにひとつ。それはいまの考え方でありまして、大いにそれは練っていかなければならないということもよくわかりますけれども、いまわれわれが理解するのには、どの程度に理解したらいいか。
  133. 松野頼三

    松野国務大臣 基本的に食管法は堅持していきたい。ということは、生産、集荷問題は、現在の生産者から政府が完全に買い上げたい、これが第一の基本であります。さて、流通問題は、今日の流通実態に合わせたい。流通実態は御承知のとおりです。そのために食管法をそのほうに合わせたい。逆に言うならば、今日の流通の実態に行政を合わせたいという考えなんです。流通の実態は、御承知のごとく、今日、配給基準がどうであるとか、あるいは外食券などというものはすでにもうなくなりました。あるいは登録制というものがはたして適当であるか、配給手帳というものがはたして実行されておるか。だれも御理解のとおり、そういうものがまだあることがいろいろかえってじゃまになるのではないか。そこで、米の登録制、配給手帳というものが今日実際に動いていないのですから、これをまず改善したい。しかし、政府が全量を持っておるのですから、したがって、食糧の配給基準とその価格政府がきめる。その配給ルートと配給方法をもう少し改善するなら、もう少し明るいというか、もっと国民がすなおに安心して食糧を買っていただけるのではなかろうか。こういうことが基本で、そういうことを申し上げたのです。さて、どうすればいいのだろうか。じゃ、米屋さんの配給手帳をなくしたらどうなるだろうか。もちろん米屋さんからお買いになるのでしょうが、どこの米屋さんからお買いになってもいいはずでありあす。それだけの食糧の輸入は政府が全量を持っておりますから、また集荷は全部政府が農協を通じてやっておりますから、その不安はないんじゃなかろうか。ということは、配給が現実にはなかなか変わっております。したがって、現状に合わせるような制度に直したらどうか。こういうことが別に大きな問題じゃありませんけれども、食管法としては大きな問題です。国民生活から見るならば、現在のままのルートで、おそらく全国民食管法の配給手帳をごらんになった方はないのじゃないでしょうか。ないとは言いませんが、非常に少ないと思います。それをもう少し改善すれば、あの米屋さんのはまずいとかうまいとか、いろいろ言われることはないのじゃないかと思います。それが私の基本的姿勢です。
  134. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこまでは原則としてよくわかります。それをどうやるかはなかなかむずかしい問題です。いままでなじんでまいりまして、しかも政府が百万トンに近い米の輸入に努力して、それでようやくみな安心を得ておるわけでありますが、一番問題点は、東南アジア各地の様子を見ましても、日本の米の買い付けばなかなか努力をしなければ買い付けられぬようになってきたし、日本が米を買い付ける、そのために価格が上がってきておるということも現状でありますので、農林大臣も、まず前提として米の一割増産がぜひとも必要なんだ、こういうようにおっしゃっておるわけですが、なかなかまだ米の一割増産もそう簡単にいけるわざでもないわけでありまして、それがいま世間で農林大臣のこの構想に対していろんな危惧を抱き、実現がはたして急速にいくのかどうだろうかということを心配しておるゆえんだと思うのです。  そこで、問題は、固定配給と任意配給。任意配給の価格は自由に操作できるじゃないか、その操作によっては食管会計の赤字がある程度埋まるじゃないかという構想も中に入っておるというのが一般の見方であります。したがって、その配給制度の変え方の構想とあわせて、食管赤字を考え直して、消費者米価を決定するんだというようにお話しなすっておいでになる。そうすれば、いまよりは少々高いのはしんぼうしてくれ、高給者には少々高い米を食わしてもいいじゃないかという、いつかだれか大臣から暴言があったのと同じような感じがするのですが、これはある程度米が何かの形で高くなるということが前提になるのではありませんでしょうか。
  135. 松野頼三

    松野国務大臣 なかなか専門的に御質問で、おっしゃるようなことだけをねらったわけじゃありません。もう一つは、今日の消費者価格実態もお考えいただくとよくわかると思う。政府価格はキロ百二十三円ですか、一升について百七十五円くらいになりますか、このものと実際の実効米価というものは、統計上おのずから多少差が出ておるのじゃなかろうか。したがって、実際の実効米価が食管の米価なら、私は、食管赤字というのは非常に激減されるんじゃないか、こう思います。しかし、食管制度はそこまでなかなか手が届きません。そこで、もう一つは、小口精米と大口精米を同一にやれば、相当なパーセンテージのロスが私は減ると思います。これも一つの問題です。なるべくならば大口精米のほうが合理的である。しかもロスが何%か少ない。そこをひとつ配給制度とあわせて、精米制度というものが考えられるんじゃないかなと思うのです。また、一部には、もうすでに生産者が白米供出というものを希望するところもあります。全部が全部じゃないが。  そういうことを考えますと、やっぱり配給ルートというものはおのずから変えられる時期が来る。それには生産が第一です。ことしのように千三百万トン以上の生産が安定されれば、実際に影響なしに日本の国民食糧は私は確保できると思う。そこで、まず増産。幸いことしは千三百万トンという非常な豊作が予想されますので、この機会なら消費者に不安なく消費改善が行なわれるのではなかろうか。これが前提の一つです。  あまりうがった話になり過ぎるとあれですがそんなことを、一つ問題点としての発言であったということを御了解願いたいと思います。
  136. 玉置一徳

    ○玉置委員 これはおそらく、佐藤さんから農林大臣に任命され、自分も、よし農林大臣をやろうという御意欲のあった一つの大きなあれだろうと思うのですが何やかや、食管堅持だといいましても、食管をくずしていくことは事実でありますので、へたなやられ方をされますと、これは大きな命取りになるような感じもしますので、せいぜいひとつ慎重に御勉強なすって、日本の食糧のあれがゆるぎのないような形でものをやっていただきたいと思うのです。  そこで、もう一つお話なすっていらっしゃるのが、いまのような米審は置くつもりはないということをずばっとおっしゃっていますが、どういう機関にしようとお思いになっているのですか。
  137. 松野頼三

    松野国務大臣 いまのような米審というのは、すでにもう米審が機能を停止しております。そういう米審は置く気持ちはない。機能停止の状態の米審を私は置く気持ちはないということです。何とか米審が有効的に活発に動くような米審を置きたいという裏の気持ちです。それはどうするんだといいましても、農林省設置法に米審の規定がありますから、この法律をいじらない限り、米審を移動することはできません。しかし、内容と性質は、機能停止するような米審は置きたくない。もっと有効適切に動く米審を置きたいというのが私の気持ちで、それじゃどうするんだといいましても、法律があるのですから、その法律は急速に変えることはできません。  なお、先ほど私は実効米価のことを言いましたが、これは私が議員松野頼三の印象で、言ったので、農林大臣としては必ずしも適切じゃありませんので、政府としてはそんなことを発表したことはないようですから、これは議員松野頼三の印象を親しいあまりに言ったので、これはひとつ訂正して、実効米価のところはかんべんしていただきたいと思います。
  138. 玉置一徳

    ○玉置委員 米価審議会のあれは、結局消費者と生産者の声を反映さすんだ、政府の責任できめるんだ、こうなっておるのですが、いまのようにみずからその使命を放棄したような米審を維持する気持ちはない、さりとて生産者、消費者の声、一般国民の声を反映する道は置くつもりだ、こういうことで、結局、いまのような生産者の代表あるいは国会議員、そういうものを置くつもりはないということですか。第三者に全部しようということなんですか。そこをひとつずばりと。
  139. 松野頼三

    松野国務大臣 ずばりといいましても、今日ただいま残っております米審の委員の方は任期があるので、おそらくこの委員会の方もおいでだろうと思いますが、この任期途中でどうということはいじれないので……。これは国会議員が審議会に入られることはよしあしがあります。いいところもあります。悪いところもないとは言えないのじゃないか。(「どっちが多いんですか」と呼ぶ者あり)うまくやっていければ、入られたほうがいいです。そこで政治論をしたならば、これは困る。といって、どの委員の方も、私もやったことはありますが、何も最初から政治論をぶとうと思って入っている方はないんです。やっているうちにだんだんそういう気分になってしまうということは、これも事実です。しかし、任期がまだあるんですから、いまその任期のある方と御相談をして、現在法律があるものですから、ひとつ運営についてはよく話をしながら、何とか機能が円満にいくようにしなければならぬ。あのままさらにまた補充だけやったところで、これは結局は同じわけです。したがって、補充するという機械的なことでなく、いままでの長所短所を合わせて、任期のある米審の委員の方と今後相談して、新たに補充任命する方は慎重に人選をいたしたい。私も議員で米審の委員をやったことがある男なんですから、その点はよくわかります。運営がうまくいけば、議員が入ったほうがいいと思う。それが議会と同じようなことならば、それは議会と二重審議の問題になるのではないか。もうしばらく、これは御相談しますからという考え方だけは御理解いただきたい。
  140. 玉置一徳

    ○玉置委員 時間もありませんので、簡単に質問しますから、答弁を簡潔にお願いいたします。  国有林の払い下げについてであります。国有林を思い切って払い下げるんだというようにお話しになっておりますけれども、先般来国有林の払い下げについていろいろな支障もあるから、ストップをかけまして、慎重な配慮のもとにやりたい、こういうような御意向のようでありますが、どうされますか。
  141. 松野頼三

    松野国務大臣 農業、公共用に積極的に利用したい。いたずらに払い下げはしたくない、こういう考えであります。
  142. 玉置一徳

    ○玉置委員 問題になりました国有農地の払い下げでありますが、あれはどういうふうにされますか。
  143. 松野頼三

    松野国務大臣 あのままの姿で進める気持ちはありません。農地法その他関連法を検討の上、改善をして、そうして進めたい。
  144. 玉置一徳

    ○玉置委員 最近、農林系統機関の金融のあり方について問題になっておりますが、この際、思い切ってこういう点について検討を加える用意があるか。
  145. 松野頼三

    松野国務大臣 問題の事件には、直ちにこれは改正と改善を加え、まず処断します。その上で、基本的な農林金融の検討をしたいと思います。
  146. 玉置一徳

    ○玉置委員 東南アジアの農業会議が近くございます。先ほどの質問にお答えになったので、日本の農業と競合するものは一切入れない、こういう意味はわかりますけれども、東南アジア諸国とのいろんな日本の貿易上の必要その他の関係で、向こうの農業の育成をはからなければいかぬことも事実であります。こういうものについて、たいして日本の農業に支障なしにやり得るようなお見通しをお持ちになっておるかどうか。
  147. 松野頼三

    松野国務大臣 日本農業に少しも影響なしに、逆に言うなら、かえって有効な方法がある。今回の農業会議の基本は、各国の食糧自給度の向上、それに合わせての日本の技術援助あるいは基盤整備指導、その三つが第一義であります。輸入ということばは今回の会議の議題の中には入っておりません。ただ、言うならば、国際協力という中には、木材とかあるいはえさとか、今日でも入れておるものはありますが、それは別ですが、新たに入れるという会議の議題は一つもございません。
  148. 玉置一徳

    ○玉置委員 私もこの間見てまいりまして、いまの大臣考えのとおりの感想を持ってまいりました。日本を含めまして東南アジアの食糧の問題は、将来とも、ここ十年、二十年くらいは窮屈であるという見通しもできたわけであります。  そこで、こういう台湾バナナ、コンニャクあるいはこのごろやかましいノリ、こういうものを含めまして、輸入割当制度の問題には非常に問題点が多うございます。なかなか実行その他はむずかしゅうございまして、これは通産省の問題でもありましょうけれども、これについて検討だけは加えなければいかぬじゃないかと思いますが、大臣、どう思われますか。
  149. 松野頼三

    松野国務大臣 今日の行政で不明朗な点があったら、一つ一つ遠慮なしに御指摘を願いたいと思います。  今回、ノリの問題は、新たな機構をつくりまして、今後においては個々の割当制はもう一つもありません。要するに、協会が全量を入れて、協会が値をきめて、協会が配分する。行政権は一つも及ばないようにいたしましたから、これは確かにいままでよりもこの問題については御理解をいただける、一切問題はないと思います。バナナは私のほうの所管では実はございません。コンニャクも、生産者団体というものが主体となってやっておりまして、本年度はこの問題についてとやかくの話は一切聞いておりません。どうぞひとつ、こういうものは政治の基本的問題でありますから、一つ一つ遠慮なしに御指摘いただきたい。そうして、それを改善していきたい。私は、自分の行政に関する限り責任を持って、いつでも御指摘があればこれにこたえて、その不正あるいは疑惑があるなら直ちに直す覚悟でございます。また、いろいろ世上に言われておるが、今日言われるよりも過去においてそういうものがあったというのがいまの実相じゃないか。今日あるなら、私は直ちに自分の行政の範囲内において改善をする決心であります。ノリの問題、あるいはいろんな問題、当委員会から、これがおかしいじゃないか、この割当はおかしいというものがあったらいつでも御指摘をいただけば、私の権限のことは即座に改善をいたします。私、いまのところは、御指摘のあったようなことは改善されたのじゃないかと思っております。
  150. 玉置一徳

    ○玉置委員 最後に、就任早々非常に力んでやっていただきました豚の値下げですね。なかなか思惑どおりいかなかったと思うのですが、どうなっておりますか。
  151. 松野頼三

    松野国務大臣 案外思惑どおりいったのです。一時は私も指名手配みたいな写真を張り出されましたが、それは結局撤回をされて円満にいって、価格は下がりました。ただ、問題は、この生産がややもすれば後退しつつある。逆に今後は増産をしながらいきたいのだが、事業団の買い上げも、今月はまだ買っているようですが、ただ、先見込みとしますと、事業団の買いつけも来月くらいからだんだん減っていくのじゃないか。再来月からもっと減るのじゃないか。一万トンばかり持っておって困っておりましたのが、だんだん買い上げ量が減りまして、ぼつぼつ近く放出する傾向になりました。これは成功したと私は思います。物価の問題として、数少ない中で成功したと私は思っております。
  152. 玉置一徳

    ○玉置委員 終わります。
  153. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 林百郎君。
  154. 林百郎

    ○林委員 大臣の本日の所信表明の中に、「農林行政のある部面あるいは私の日加閣僚会議への出席に関連して種々話題となっておりますことは、ひとえに私の配慮の至らなさによるものでありまして、まことに遺憾に存じております。」、こういう点を私は大臣に具体的に聞きたいと思うのです。  あなたは、きのう決算委員会に、法事があるといって休まれた。出席されませんでしたね。ところが私たちが農林省のあなたの日加閣僚会議にからんでの外遊の日程を見ますと、あなたは十七日、十八日はまだ旅行中になっているわけですね。十七日、十八日中は旅行の日程になっておるわけです。しかもそれは、バハマ諸島のナッソーあるいは有名な観光地のラスベガス、そういうようなところを経て、十八日はまだ日程の中に盛り込んでおるわけですが、それはどういうことなんですか。農林省の責任ある者から発表されたあなたの旅行日程には、まだ旅行の日程中にある。ところが、日本に帰ってきて決算委員会に呼ばれたら、その日は法事だということは、あなたの言動が非常に不明朗なんです。その辺はどういうことなんです。  時間がありませんからお聞きしますが、もし、いやそれは実は私の留守中に農林省の役人が私の意向とは別につくった日程だということなら、あなたの留守中にあなたの部下がそういうものをつくって、しかも対外的に発表するようなことがどうしてできるような機構になっているのですか。あなたの留守中にあなたが非難されるような日程をつくったいきさつと、それがどうしてあなたの意に反して発表されたか、それを国会を通じて国民にはっきりさしていただきたいと思います。
  155. 松野頼三

    松野国務大臣 きのうは私の父の命日ですから、法事の時間だけあけられるならあけていただきたい……。一日休んだわけじゃありません。きのう私はその委員会をあれしたわけじゃありません。その時間だけの問題です。したがって、閣議にももちろん出ております。委員会でも出席要求があれば出る準備をしておりました。きのうの場合はその時間だけの話です。たまたま私の父の命日ですから、そういう意味であって、きのうの問題であれば、それは林先生、基本的に、閣議にももちろん出ております。すべての問題ではありません。その時間だけあけられるならあけていただきたいという希望で、私がそれを理由に決算委員会を無理に休んだわけじゃありません。委員長がまあまあ了解というので私はやったので、むろん委員会は、出てこいというなら、きのうも出る準備はもちろんしておりました。それは優先ですから。それは何もそんな意味でないことは……。それが理由で決算委員会をやったわけじゃありません。その時間だけの問題です。  それから、日程ですから、何べんもつくりかえたように私は思います。また、私の日程も、十五日には途中で帰る準備をいたしました。それは諸般の状況から、私はなるべく……。日程はあくまで日程。しかし、結論において早く帰ってきたのですから、そのいきさつというのは、おそらく多少事務的のいきさつもあったと思います。急にどうこうというものじゃなく、そのままの姿であります。したがって、どういう仕儀で発表されたかは、官房長すでに一昨日お答えしたと私は思います。
  156. 林百郎

    ○林委員 そうすると、昨日は決算委員会から出頭の要請があれば出るつもりであったけれども、委員長は別に出頭の要請をしなかった、だから決算委員会に出なかった、こう聞いておきます。  あなたの部下があなたの日程についていろいろつくられたと言いますが、あなたも御承知のとおり、秋というときは、日本の農民にとっては一年の農業の総決算のときなんです。ことに、私の出身地の長野県などは、秋のウンカで大きな被害を受けているのです。また、北海道は例年の冷害で、きょうも陳情があったようです。それを、あなたの部下は、何で世界で有名な高級保養地のバハマ諸島のナッソー、あるいは世界で有名な賭博場のラスベガスヘ、この秋の、農民が必死になって日本農業と戦っているときに、農業の最高責任者である大臣を、そんな世界の賭博場や世界の最高の保養地へ回す日程をつくったのですか。そんな部下は、あなた、それでいいんですか。問題ですよ、そんなことは。用が済んだら一日も早く帰ってきてもらって、この秋の日本の農民にとって決定的な瞬間に、大臣農林省にいて、あらゆる措置をするということを配慮するのが農林省の高級官僚のやることじゃないですか。それを、こともあろうに農林大臣、まだ農林委員会あいさつもしないで、行くところは世界で有名な賭博場、最高の高級保養地、しかも、あなたはいろいろ言いますけれども、娘むこを連れて、あとから聞きますけれども、金融機関の責任者を食糧調査員なんかにしていって、どうしてあなた、農林行政を厳正にできますか。どうして農林省の幹部は、これはあとで聞きますけれども、そんな日程をつくったんですか。あなた、確かめてみましたか。
  157. 松野頼三

    松野国務大臣 いろいろ手落ちがありましたが、現実には早く帰ってまいりました。その姿で御理解をいただきたいと思います。
  158. 林百郎

    ○林委員 早く帰ってきたからそれで済むということでなくて、それは国会で問題になったから、あなた早く帰ってきたんで、帰ってきたから何が悪いんだ、それは開き直っておる姿ですよ。いろいろ至らなくて申しわけなかったと言うならわかるけれども、帰ってきたのに何が悪いんだというのだったら、きょうの所信表明では、はなはだ遺憾であるともっともらしいことを言っておりますけれども、それは通らないと思うのです。  時間の関係上、次の質問に移りますけれども、京都の信用金庫の榊田喜四夫君ですか、これは信用金庫のほうの議事録では、アメリカの金融事情調査のためとちゃんと、残っておるのです。それを、あなたのほうの国会の答弁では食糧調査、食糧調査で何で信用金庫の幹部を連れていくのですか。食糧調査なら、幾らでも日本に権威者がいるでしょう。京都の信用金庫の責任者を連れていかなくても。それから、この費用は官費で出ておるわけでしょう。まあ、返したからいいじゃないかとあなた言うかもしれない。ところが、信用金庫のほうからももらっている。二重にもらっているのです。これはどういうことですか。その後、あなた、何か適切な処置をとりましたか。
  159. 松野頼三

    松野国務大臣 調査員を任命するときに、事務的な手はず、手続によって、その資格審査をいたしました。これは私がいたしたわけではございません。官房長がいたしたのであります。それは経済同友会の中において農業に対する知識があるということ、それからまた語学が十分にそれにたえること、こういうことで採用をしたようであります。
  160. 林百郎

    ○林委員 京都の信用金庫の副理事長が、しかも信用金庫のほうの外遊の報告の議事録には、アメリカの金融事情調査に行きますと残っておるのだが、どうしてこういう人を選ばなければ食糧事情調査ができなかったのですか。自分の責任ある組織である京都の信用金庫のほうへは、アメリカの金融事情の請査に行くと言っておる。そんな人を何で無理に食糧調査員に任命して連れていかなければならないのですか。その人しかなかったのですか、適切な人は。それをお聞きしたいのです。これは結局個人的な関係ではないのですか。農林行政の最高責任者の農林大臣がそんなことをしていては、厳格な農林行政の監督はできませんですよ。あなた、そう考えませんか。たまたま国会で問題になったから、あなたいろいろ弁解をされておりますけれども、やはりあなた自身の綱紀が弛緩しておるのじゃないですか。そういう反省はありませんか、あなた。私は、あなたを知っておる仲ですから、率直に言いますけれども、どう思いますか。
  161. 松野頼三

    松野国務大臣 任命されたいきさつは、私が言うよりも、官房長が事務的な決定をいたしましたから、そのほうからお答えいたさせますが、私自身は、おっしゃるように林さんが幾ら知っておる仲でも、私自身がそんなにこの問題を深く意図したものではありません。しかし、結果において必ずしもそのとおりでなかったこと、これはおっしゃるとおり、私十分自分の気持ちとして大いに考えさせられております。
  162. 林百郎

    ○林委員 大臣、時間の制限があるのですか——じゃ、この件については官房長にあとであらためて聞きますから、大臣だけ先に聞いておきます。  次の質問ですが、これも例の国有農地の払い下げの問題です。これもあなたは自分の意に反して事務当局がきめてしまったのだと言うのですが、あなたの意に反してきめたというのは、どういう意に反したのですか。
  163. 松野頼三

    松野国務大臣 私の意に反してということばは、私は使った覚えはありません。私の意を十分体していなかった。ということは、各部の調整をした上でこれはきめろよと私は言ったのです。各部の調整というのを各部の部の調整、そこに私は多少自分のことばが足らなかったところがあったと思います。各部の調整をして、これをきめろよ。私はそんなに急に次官会議にすらすらいくとは思っておりませんでした、各部ですから。したがって、私は何も部下に責任を負わせません。私が責任を負います。そのことはが、私の指示が足らなかったために、各部のその各部が、各事務次官会議と限定されて行なわれたと私は思います。しかし、いまさらこれをどうこう言うのではありません。いきさつはそうだということを申し上げておるのです。私は責任がないなどと思っておりません。いきさつはそういうところだったということを私はある席で申しました。
  164. 林百郎

    ○林委員 具体的に各部というのは、どういうことをおっしゃられているのですか。一体あなたは、農林大臣になってからまだ一月もたつかたたないうちに、ことごとに、少なくとも重大な問題に対しては、農林省の官僚君は、たとえばあなたの外遊の日程についても、あなたの意に反して日程をつくって発表してしまった。それからこの重大な国有農地の払い下げ問題についても、あなたのことばが足りたか足りなかったかしらないが、とにかくあなたの意に反することをきめてしまった。こういうような重大な問題が、あなたの意に反して、農林省の高級官僚がきめていってしまう。こういうことに対して、あなたはどういう措置をとるつもりなんですか。  それからもう一つは、各部というのはどういう意味ですか。農林省の中の各部という意味ですか。それとも農林省外のそれぞれのセクションの意味ですか。
  165. 松野頼三

    松野国務大臣 そのときの念頭は、私は、各部というのは、政府・与党を含めて各部という考え方で言いました。もちろん、政策的なものは政府・与党一体の姿で党にもはかっておりますので、そういうふうな意味で私は各部ということばを使ったのでございます。といって、高級官僚がどうこうといいますが、私自身、それは私の統御の責任であると私は思っております。重大な問題が次々といいますけれども、私は私なりに、もちろん足らなかったこと、失敗したということもありますが、しかし、いろいろ私も努力はしております。足らないところは私のみずからの能力の差ですが、私が全然すべてを事務当局の責任にしているというわけではありません。まだ就任早々ですから、やはり乗り手と馬とうまく合わないところがあるのです。それは私自身がまだうまく行政に乗りなれていないということでしょう。だからといって、責任を転嫁してどうこうという、そんな気持ちは全然ありません。一つのあやまちは次の改善の指標にしたい、一つの行政の失敗は次の場合にはこれをよりよきものにしたいというのですから、もうしばらく、一つ一つ、かりに言うならば、まだ途中ででも反省をしてみずから出直しをしようという努力も認めていただきたい。私も努力しています。だから、もちろん失敗もあったでしょう。しかし、それを隠さずに、やはりすなおに直していくという姿も、林さん、見ていただきたいと私は思います。結果はもうしばらく——就任してまだわずか二ヵ月ですから、いろんなぎすぎすした枝ぶりの悪いところはあります。しかし、私自身がそれを直しながら一つ一つでも将来直していきたいと言っているのですから、そこでいきなりおまえはだめだ、こうだ、それはおしかりは御自由ですけれども、やはり一つの基本においては御理解をいただきたいと思うのです。
  166. 林百郎

    ○林委員 私は、国民にかわってあなたに率直に言っているのです。個人的な感情から言っているわけじゃありません。しかし、少なくともいま国民政府・与党に対して非常にきびしい態度で臨んでいるということを、私は国民にかわって言っているのです。
  167. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 もう大臣は時間がきましたから……。
  168. 林百郎

    ○林委員 もう二問ほどで……。  あなたは大臣になられてから——これは小さいことのようですけれども、網紀を粛正をする上には許されがたいことだと思うので、私は質問するのです。ということは、御承知のとおり、いま国会で問題になっておることだけを見ましても、あなたの官費観光旅行、国有地払い下げ事件、それからバナナ汚職事件、それから農林漁業金融公庫の共和製糖への融資というような、直接間接ほとんど農林行政関係したところから出ておるのですね。これはよほどあなたはそのことを真剣に考えてもらわなければならないということから私は質問するのですけれども、あなたは八月、大臣になってから、トヨペットクラウン・エイトという百八十一万円の大臣用の自動車がちゃんとあったのに、あなたは前、防衛庁でニッサンプレジデントに乗っていて、おれはこの自動車のほうがいいからと言って、自分の自動車を——これは三百八万円ぐらいするというふうに書いてありますけれども、ニッサンプレジデントという車、これに買い直さしたことはありませんか。
  169. 松野頼三

    松野国務大臣 多少その前提が違いますが、とにかく車が来たからそれに乗っております。どうして来たか、それは官房長が所管だと私は思いますので、官房長からお答えさせます。
  170. 林百郎

    ○林委員 官房長にはまとめて聞きますから……。  もう一つ、あなたは大臣になってから、大臣用の専用便所をいまつくっていませんか。これは変な話ですけれども、四百五十万円ぐらいかかる。これは次官やあなたの周囲の人たちが行くことのできるようなりっぱなものがあるわけです。それは私だってあなたの生理的な要求までも制限するつもりはないのですけれども、しかし、このことも農林省の職員に言わせれば、いま予算が足りなくて、人事院の勧告も五月というのが九月になるとか、あるいは紙まで倹約しろといわれているときに、四百五十万円も出して大臣専用の便所を新しくつくらしているということが、職員の間から問題になっているのですよ。小さいことのようですけれども、このように農林行政は汚職に満ちておる。いま国会で問題になっているのは、ほとんど農林行政です。いやしくもその最高の責任者であるあなたは、厳格に身を律しなければならない、そういう立場から言っているのですけれども、こういう事実はあるのですか。
  171. 松野頼三

    松野国務大臣 私が命令したことはありませんし、また予算が四百幾らとか、それも私、知りません。私が便所をつくれと命令したわけじゃありません。これもひとつ官房長からそういういきさつはお聞きいただくほうが、すなおにおとりいただけるのじゃないかと思います。
  172. 林百郎

    ○林委員 そこで私、あなたも時間ですから、結論を申しますが、いずれまた続けますけれども、あなたの答弁を聞きますと、一貫して、外遊の日程も部下の者が意に反してつくった、何か机の引き出しがら出たとか出ないとかいう話、これはあなたは帰ってきて、部下がそういうものをつくったと言っている。それから国有地の払い下げも、私は与党とも相談しろと言った、各部という部の中には与党も入っていたのだ、それを、私のことばも足りなかったが、首脳部が相談もしなくて、自分の思うところと異なった決定がされた、自動車も、私が買えと言ったわけじゃないけれども、持ってきたから乗っている、便所も、私は何も言ったわけじゃないけれども、つくっているから使う、これはあなた、行政の最高の責任者として言うべきこと、示すべき態度でないと私は思う。これは私とあなたと意見が違ったならば、それはそれでけっこうです。私はそう思う。やはりあなたが農林行政の責任を一身に負って、いやしくも部下に責任を転嫁するなんということは許さぬという態度を示さなかったら、農林省の職員の諸君は何であなたのために献身しますか。私は、あなたの大臣就任の劈頭に、このことについてあなたに苦言を呈します。それで、時間だそうですから、あとは官房長に聞きますから……。
  173. 松野頼三

    松野国務大臣 私があえて答弁しないのは、私は弁明をしたくない、いきさつの事実をお聞きいただきたいということで、官房長に答弁をさせているので、責任のがれで私が官房長を指名しているわけじゃありません。営繕の問題などは、私自身が答弁をすれば、私自身のことでいかにも弁明に聞こえます。すべて私はその意味で申し上げているので、責任を転嫁しているのじゃない、説明をお聞きいただきたい、こういう意味で私は言っているのです。私はここで、どの予算でどうしてどうだと、いかにも言いわけがましいことをしたくないから、それで官房長をして答弁させるというので、私の口から私の弁護をするようなことはしたくないから、私は言っておる。どうぞひとつ、自動車の問題、便所の問題、それをお聞きいただきたい。何も私が逃げて、事務当局に説明さしたというのじゃない。事実を事務当局からお聞きいただきたい。その上で、私が責任をのがれているかどうか御批判いただきたい。私が答弁しないで責任のがれをしている、それは少し別の問題じゃありませんか。どうぞひとつ、その意味で官房長から説明を聞いていただいた上で、さらに私が責任のがれであるかどうか、それを御判断の上、また別の日に、どうせ国会におることですからお会いいたしまして、お聞きいただきたい。お互いに結論をあまり早く出し過ぎちゃいけないのじゃないでしょうか。  きょうはこれで失礼します。
  174. 林百郎

    ○林委員 では官房長にお聞きしますが、外遊の日程の問題ですね。何か自分がカナダのほうに行っている留守に、事務当局がいろいろの計画を立てられた、そうなんですか。大臣連絡しないで、事務当局がかってにそういう日程というのはできるのですか。
  175. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 松野農林大臣の外遊の日程は、正確に申し上げれば、閣議の承認を経ました日程が正規の日程ということに相なるわけでございます。閣議の承認を経ました日程は、目的地はカナダ、メキシコ合衆国、アメリカ合衆国に出張するということで、旅行期間は十月二日から十月十八日までの十七日間であるという日程でございます。この閣議の決定の範囲内で、いわゆる経由のコースでありますとか、あるいは、宿泊地でありますとか、最後は、これは最も順調に旅行を続けることのできるコース、あるいは旅行で最も合理的と申しますか、できるだけ楽な旅行ができるように組んでいくということで、これはかなり長い旅程で外国においでになった方は必ず経験をなさっているはずだと私は思うのでございます。閣議決定の日程の範囲内で、実は私どもこまかい予定表をつくったのでございますが、その際、私どもも外国の事情にそれほど通暁をしておるわけでもございませんし、特に航空機のこと、交通の経路等については、どうしても専門家であります旅行会社の知恵をからざるを得ないということで、旅行社がその正規の日程の中で組む予定表というものをつくって提出をしてきたのでございますが、それによって実はこまかい予定表をつくって発表といいますか、閣議へ連絡をいたしたわけでございます。私ども、私のみならず事務次官も、秘書官を通じて当然大臣にその予定表について御了承を得ておるものと思っておったのでございますが、お帰りになりました際に、一部おれの意図と違う予定表になっておるということでございまして、それが私ども実は多少奇異に感じたのでございますけれども、秘書官に確かにそういうことを——自分の意思はこういう予定が望ましいということを言ったはずだ、それのメモがあるはずだということで調べましたところ、確かに秘書官のつづりの中に一まあ予定表でございますから、数度にわたって変わった予定表を用意しておったのでございますが、大臣としてはこれが好ましいという予定表があったことが事実として発見をされたわけでございます。結局、結論から申し上げれば、大臣の意図が十分に織り込まれた予定表になっていなかった。つまり、経由地の問題でありますとか宿泊地の問題とかについて、そういう御意図が十分に反映したものでないものが発表をされたということに相なった次第でございます。
  176. 林百郎

    ○林委員 その大臣のメモというのは、いつ発見されたのですか。
  177. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 十三日に大臣お帰りになりまして、農林省にその足で登庁をされたのでございますが、十三日に登庁をされて、すぐ秘書官に命じて、さがしてみろというお話がありまして、さがしましたところ、すぐに発見をされたのであります。
  178. 林百郎

    ○林委員 はなはだ奇怪だ。あなた、常識で通ると思いますか。一国の大臣が外国に行く日程をちゃんとつくってメモにして自分の机の中にあった、それは帰ってきたら発見した、そんなことを言ったら国民に笑われますぜ、あなた。  それで、あなたに聞きますが、ナッソーだとかラスベガスというところに行って、農林大臣は一体何を視察してくるのですか。賭博場に行ったり最高の保養地に行って、結局大臣は、日加閣僚会議に行くけれども、あとはそういう保養地で遊んでくるので、別に農林行政の勉強に行ったというわけじゃないということなんですか。そういうことであなた方は計画をつくったということですか。
  179. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 ただいまも申し上げましたとおり、農林大臣の外国出張の目的は、カナダのオタワ市における日加閣僚会議出席をいたしますためと、それからメキシコ合衆国における農業事情及び農産物の流通機構の調査視察のためと、アメリカ合衆国ロサンゼルス地帯における農業事情及び農産物の流通機構の調査視察をすることが目的でございます。これは閣議において了承されたものであり、また十七日間の日程を予定するということも閣議で了承されたものでございますが、その際、結局詰めて申しますと、オタワからメキシコまで行く間に、オタワ−メキシコ間の直行コースというものが、はたして相当会議等でお疲れのあと適当なコースであるかどうか。これは結局常識的には途中でどこかで一泊しなければいけない。どこかで一泊する場合には、私ども地図の上でさがしますと、ニューヨークで一泊されるか、あるいはちょうどほぼ——ほぼといいますか、ほとんど回り道にはならないバハマのナッソーというところを経由地にするか、どちらかであったと思うのでございます。その点については、オタワ−ニューヨーク間は距離が非常に短い、したがって、ニューヨーク−メキシコ間というのは非常に長いことになって、これは私どもの事務的な常識では、なるべく経由地に両分される距離が比較的平均的なほうが旅行としては合理的であるというふうに考えまして、ナッソーを予定地にいたしたのでございます。もちろん、それについては旅行社の知恵をかりております。それからラスベガスにつきましては、私もラスベガスがどういうところかということはばく然と聞いておった程度でございまして、ラスベガスへ宿泊することがそれほど社会的非難を受ける土地であるというふうには私どもは実は考えなかった。あるいはそれが間違いであったか知りませんが、考えなかったのでございます。当日は日曜日になるものですから、日曜の休養をどう使うかということを事務的に検討いたしましたが、特に、農林大臣でございますので、できればフーバーダムをごらんになった上でラスベガスにお立ち寄り、そこで一泊をされるというのも一つのコースであるというふうに考えまして、ラスベガスを予定いたしたのでございます。これはいずれにしましても、ロサンゼルスで泊まるか、あるいは……。(林委員「なるべく簡潔に。そんな大臣の泊まり先まで……。」と呼ぶ。)そういうようなことで、事務的には公表をいたしましたような日程を組んだ次第でございます。
  180. 林百郎

    ○林委員 簡潔に答弁していいですよ。そんな一々大臣の泊まり先を心配したことまでこんなところで聞いたってしようがない。  それで、榊田喜四夫氏、これは農林省のあなた方も推薦したのですか。そういうことと、それからその旅行の費用ですね。費用は信用金庫のほうからももらっておる。それから信用金庫のほうでの彼の外遊のあいさつは、アメリカへ行って金融事情調査してくるのだ。これは速記録にも残っておりますけれども、そういうことで行ったということは知っていたのですか。
  181. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 榊田喜四夫氏に食糧庁調査官の発令をいたしまして、農林大臣の外遊の間の非公式な場における通訳の役割りと兼ねて、農業事情等の調査を委嘱いたしました経緯を申し上げますと、日加閣僚会議には、それぞれ議題とされます事項について、担当部局の担当官を随行させたのでございます。ただ、カナダにおきましても、さらにそれ以後の日程につきましては、どうしても非公式な現地名士等の接受、応接というようなことになりますと通訳を必要とするわけでございますが、当初におきましては、私どもも、農林省課長級で英語のたんのうな者をつけたいと思っておったのでございます。ところが、それに予定していたかっこうの者が二名いたのでございますが、一人は本来最初の日程から申せば、農林大臣が帰国前に東南アジアの調査に出かけなければいけない、東南アジア農業開発会議の準備のために出かけなければいけないということで、これは使えない。いま一人は、ジュネーブにおきますガットの会議、ケネディラウンドの会議が急に進展をいたしました関係で、いつでもジュネーブへ出発するために待機をせざるを得ないということで、課長級で大臣に通訳を兼ねて随行させるかっこうな人間がいないということで、非常に困ったのでございます。私と事務次官とで相談しまして、大臣の存じおりの人で、相当の学識経験もあり、また語学もたんのりな人で、この外遊中通訳の任務を果たし、かつ農林省にも何らかの外国事情調査について知恵を与えてくださるような人はいないだろうかということを、事務次官が秘書官にサウンドいたしたのでございます。秘書官のところで二、三名の候補が上がったのでございますが、私どもも、どう見ましても……。
  182. 林百郎

    ○林委員 なるべく簡潔に言ってください。
  183. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 榊田氏が最も適任であろうということで、御承知のように、榊田氏を調査員に任命させ、随行させたわけでございます。
  184. 林百郎

    ○林委員 結局、どなたかいませんかといって、大臣が推薦をして、それで決定した、こう聞いておけばいいですね。秘書を通じてだけれども、大臣側の意向で、それじゃこれを連れていくという話で、ちょうど農林省のほうで考えていた人は都合が悪かったので、大臣の意見を聞いて、それで榊田君ということが出てきた、それで榊田君に決定した、こう聞いておけばいいですね。  時間の関係上、次の質問ですが、さっきのあの都市周辺の農地の払い下げの問題です。これは各部で相談をしろと大臣は言ってきた。各部の中には与党も入っていた。ところが、事務当局は与党に相談しなくて、次官会議だけできめた、これは大臣の意に反したのではないか、こう大臣は言っていましたね。あなた聞いていたでしょう。そのとおりでしょう。大臣が、与党にもよく相談しろよ、各部というのには与党も入るのだよ、こう言っていたのを、あなた方相談しないで、次官会議のほうできめた。あなたのほうの手落ちがあるのですか。手落ちがあるならあるで、どっちに手落ちがあるかはっきりさせなければ、国民は責任の追及のしようがありませんよ。
  185. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 ただいま私が申し上げましたとおりでございまして、もちろん秘書官を通じまして大臣の意向も確認の上で、事務的に取り進めたことは間違いありません。
  186. 林百郎

    ○林委員 大臣が言い出したから榊田という名前が浮き上がったのか、あなたのほうがあらかじめ榊田という名前をマークしていたのか、その点をはっきりしてくれというのです。
  187. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 榊田という人は、私どもも本来知らない人物でございますから、これは秘書官を通じて私どもに二、三の候補者の中の一人として御提示があったわけです。
  188. 林百郎

    ○林委員 わかりました。それから農地の払い下げ……。
  189. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 農地局長出席をいたしておりますので……。私、実は農地局長大臣に農地法施行令の改正を取り進めるについて御説明をいたし、御指示を受け、あるいは御了承を得た場所に居合わせませんでしたので、大臣からどういう御指示が農地局長にあったか、私は存じません。
  190. 林百郎

    ○林委員 ちょっとわからないのですが、農地局長に指示があったから、あなたにはわからぬというわけですか。そういうことですか。
  191. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 そうです。
  192. 林百郎

    ○林委員 そうすると、あなたには何の話もなかったわけですか。
  193. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 大臣から直接私には何も御指示はございませんでした。
  194. 林百郎

    ○林委員 そうすると、この問題が起きてから農地局長から——さっき農地局長出て行ったのですが、あなたに、実は自分のほうにこういう手落ちがあった、大臣からこう言われていたのに、与党に相談しなくてこういうことになったという報告がありましたか。おそらく農林省首脳部の相談やらいろいろあるでしょうから……。あなたはどう聞いておるのですか。
  195. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 農地局長からの報告では、大臣から各方面の意見を調整した上で取り進めるようにというお話はあったが、この問題は、政府内部においてはずいぶんと論議を尽くした結果、現行法律のもとではこの政令案以外に考えようがないという結論に達したのであるから、大臣の御指示のほどもほぼ充たされているとの考え方で、自分は事務次官会議への提出を考えたという報告がございました。
  196. 林百郎

    ○林委員 次官や農地局長からあなたへの報告は、都市周辺の農地を払い下げるという手続を進めるには、行政的な政令を新しくつくるとか、現政令あるいは法令の解釈もこういう解釈はできるとかいうことで、結局世間に伝えられたように、次官会議で三日の日に決定して、都市周辺の農地を買い上げ値段で払い下げるということにきまったわけですけれども、こうきめても大臣の意向に沿ったものだ、決して大臣の意向に沿わないことはないだろう、こう思ってやったという、報告があなたのほうにはあるわけですね。
  197. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 これは農地局長をお呼びになって、その際に明確にしていただいたほうがけっこうかと思いますが、農地局長の私どもへの報告から受けます私どもの判断は、農林大臣の御指示になったことを農地局長として十分そしゃくをしていなかったと申しますか、つまり、連絡調整をするという着眼の方向に考え方の違いが多少あったのではないかという感じを受けます。
  198. 林百郎

    ○林委員 これはまた農地局長にあらためて聞きます。  最後に、こまかいことのようですけれども、いろいろの問題が山積して農林行政については国民も非常な大きな疑惑を持っておるときなんで、その最高責任者である大臣や、皆さんも最高の幹部として身を持することが厳でなければならぬし、李下に冠を正してはいかぬわけですね。ですから、そういう意味で私は聞いておるので、さっきの自動車の問題も、ちゃんと大臣用の自動車があったのを、何か日産のプレジデントですか、高級車に買いかえた。四月にも大臣用のクラウンかなんか買ってあった。それを松野大臣になってから買いかえた。それから、便所のことを私言うのは——実はいま農林省の建物の外装をいろいろしておるわけですね。この請負業者との支払い金とからんで、その金の操作で、いままでなかったのをあらためてつくるというのですから、じゃいままでの大臣はどうしていたんだということになるわけでしょう。松野大臣だけどうして専用便所が要るんだ、特別な事情があるのかということになるでしょう。だから聞いておるわけなんです。これはどういう事情なんですか。
  199. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 まず自動車の件でございますが、昨日も決算委員会で御説明を申し上げたのですけれども、大臣、両政務次官の車は、一般職員の車と少し格が違いまして、従来から二千cc以上の車を使っておるのでございます。で、政務次官の車は原則的に三年の使用期間で更新をするということにいたしておりまして、ちょうど草野政務次官が以前乗っておられました車が六三年型でございまして、ことし更新の時期になる。また事実この車は相当悪くなっておったのでございます。これはどうしても新しく買うか、もしくは大臣の使っておりますものを政務次官に回して大臣用を新調するか、いずれかの方法以外にないわけでございます。で、草野政務次官の御意向は、自分は大臣のお古でいいからあれを回してもらいたいということでございましたので、大臣の車を新調するということにいたしたわけでございます。  それから便所の件でございますが、これは御承知のように、農林省の庁舎は、各省の合同庁舎等で戦後つくりました庁舎では最初のものでございまして、特に歴代の大臣、政務次官には、その後の世の中の移り変わりに比べますと、非常に貧弱な部屋でがまんを願っておったのですが、四十年度に両政務次官室、それから大臣室、事務次官室、官房長室の模様がえをいたしたのでございます。その際にも、大臣室の奥に非常に狭い物置きがあったのでございますけれども、そこに両政務次官、大臣並びに来賓用の手洗いをつくることを計画をしたようでございますが、各所新営費等予算の関係でできなかったということで、これは後年度に回すというので、私が官房長になったときに、前官房長から、あの物置きは両政務次官、大臣、来客用の便所に改装する予定であるという申し継ぎがございまして、その後事務的に進めただけの話でございます。
  200. 林百郎

    ○林委員 私が単に便所のことだけ聞いているとあなた思っているか知りませんが、しかし、いま農林省の外装工事では、稲村建設が約二億の金で工事を最近受けているという問題にからんで、いろいろうわさがあるのですよ。それはいずれまた私あなたに質問しますよ。何もそんな便所のことだけで質問しているわけじゃありませんけれども、しかし、そういううわさがもう農林省の周囲に、それこそ黒い霧となっておおっているわけです。いまの自動車だって、大臣がことしの四月買ったのでしょう。大臣用のを買ってあるのでしょう。そうしたら、次官の車が古くなったら次官用のを買えばいいんじゃないですか。ことしの四月に買ったのを下げて、三倍もする新しいのを大臣にわざわざ買ってやることはないでしょう。ほんのあとから出てきたことの言いわけだけしているように私は受け取ります。  時間が過ぎますから、委員長、私はこの問題はあらためてまた質問いたします。これは農林行政の問題で、われわれ農林水産委員も責任がありますから追及します。私は、きょう食管関係政府経費の中で運送費の問題について準備してきましたけれでも、これは時間がありませんので、きょうは割愛して次の機会にまたいたします。  きょうは私の質問はこれで終わらせていただきます。
  201. 田口長治郎

    ○田口委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会