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芳賀委員 ただいま
農林大臣から
就任の
あいさつがありましたが、
就任以来二カ月を経過しておるわけでありますが、その間、国会は閉会中ではありますけれども、当面する
農林漁業関係の重要な問題の
審議あるいは
国内における
国政調査、
災害の
調査等を数次にわたって行なっておるわけです。その間、
農林大臣が現存しておりながら、一度も当
委員会に
出席したことがない、あるいはまた
委員会の
農政調査活動に対しても全然
連絡も接触も持たないということは、これは
大臣の
あいさつにもあったとおり、まことに
農政担当の
国務大臣として遺憾な態度であると思うわけであります。むしろ、
農林大臣ではあるけれども、
農政を怠っているということをいわれても、これは
国民に対して弁明の余地がないのではないかとわれわれは
考えておるわけです。今日
政府全体がいわゆる黒い霧に包まれておる。そういう様相が深い時期でありますからして、せっかく
所信表明を行なわれたわけでありますが、われわれとしては、この際
大臣の
農政上に対する
所信の内容についてただす必要というものは、実は認めていないわけです。しかし、せっかくの
就任のご
あいさつでありますからして、その
あいさつの点に関連して、若干の質問をまずいたしたいと思います。
そこで、第一の点は、現在のいわゆる佐藤内閣の行政の姿勢、責任政治の路線というものを一体どこに置いているかという点と、もう一つは、行
政府の職員である、いわゆる国の公僕である
政府の高級官僚の諸君の行政の姿勢というものはどうあるべきかという点についても、お聞かせ願いたいわけであります。
たとえば、今日各
関係委員会において問題となり、あるいは内容を究明、追及されておる問題の中には、
農林省関係の問題が非常に多いわけであります。たとえば
松野農林大臣の問題にいたしましても、日本とカナダの経済
会議に
農林大臣が公務として外国出張をやることは、これは必要においては当然のことでありますが、この
国務大臣の公務出張の日程表なるものが二通りある。しかも帰ってきてから、あれは間違いであって、本ものは秘書官の机の中にしまってあったというようなことは、いかなる弁明をされても、これは
国民としてそうでございますかといって納得のできないことであります。したがって、
国民が信用しない、納得できないようなことをことさらに仕組むというような態度というものは、これは結局責任回避、責任のがれに終わってしまうとしかわれわれは
考えられないわけです。そういう点を
農林省の官房長檜垣君が苦心して創作しなければならぬという点は、一体どこに必要があるかということをわれわれは率直にお尋ねしておきたいのです。この点ですね。
あるいはまた、日加の経済
会議に出張する場合に、
農林省内部の担当者というものを連れていけば、これは事が足りると思うわけです。それをわざわざ
関係の薄い、いわゆる銀行マンである民間人を食糧
事情調査員として
食糧庁長官が委嘱して連れていかなければならぬというような点に対しても、われわれは、それほどいまの
農林省の陣容が弱体化し、貧弱なものであるかどうかという点についても、その弱体ぶりをこの際明らかにしてもらいたいわけです。どうしても必要があって民間人を
調査員として連れていく場合においては、何も帰ってきてからその旅費を返すなんという必要はないと思うのです。一体、こういう点については、それで
国民が納得できると思っておるかどうかという点であります。あるいはまた
大臣が
会議出張中に、
政府の次官
会議において、
農林省が国有農地の返還を行なう、買収した時点における旧
価格でこれを返還するというような問題についても、これは事務次官である武田君一個の責任で判断して、そういうものを
政府の次官
会議に持ち出しておるとはわれわれは絶対
考えられないわけです。当然
農林省の意思を代表して、そして次官
会議にかけてこれを
決定したというような点に対して、
農林大臣が関知しないとか、出かける前に十分気をつけよと言っておいたはずだというような、そういう責任のがれの態度というものは、一体何を目的にして行動されておるかという点であります。われわれは、こういう点については、本日は一々内容をつまびらかにするという予定を持っていないわけです。しかし、これは将来国会の問題として、当
委員会の問題として、内容が解明されるまでは、あくまでも
機会を得てわれわれとしては追及しなければならぬ諸点であるというふうに
考えているわけです。
この際、これに類似な例を申し上げますと、いまから十年前に、時の
農林大臣河野一郎君がアメリカから競走馬を輸入したことがあるわけです。当時、われわれは、農林
委員会において、これは明らかに外国為替管理法違反である、
国務大臣が恣意的な意欲を満足させるために、国法を犯してアメリカから競走馬を輸入するというようなことは、これは明らかに国法の違反であるとして、徹底的にこれを追及したわけでありますが、当時畜産局長であった渡部伍良君、現在は森永乳業の副社長におさまっておりますが、渡部君が国会においてこれに対してどういう防御工作をしたかというと、これは皆さんも御承知だと思うわけであります。雌の競馬馬ではあるが、家畜改良増殖法からいえばこれは種畜である、雌の種馬としてこれは輸入することにしましたということで、全く茶番劇のような形で、ついに雌の馬を種馬であると称して、合法的であるということで、外国為替管理法違反をのがれた前例があるわけであります。
農林省の
長官であるとか局長が法律を知らぬわけはないと思います。今回の檜垣官房長あるいは
大口食糧庁長官あるいは武田事務次官、これらの一連の特権官僚の行なった行為は、当時の渡部畜産局長が河野
大臣をかばう一心で事を曲げて、理非をたださないで何とかこれをのがれたということと、全く同一の内容であるとわれわれは判断しておるわけであります。これをわれわれが客観的に見ると、
農林省の
長官あるいは官房長、次官の諸君がお茶坊主的なふるまいをしておるとしか
考えられないわけであります。日本の
農政を進めるために真剣にやっておるというのでなくて、いまの自民党佐藤内閣の一
国務大臣である
松野頼三君の公私混同の旅行とかいろいろな行為をかばうために、責任回避のためにいろいろな問題をつくり上げて、弁明あるいは責任のがれにきゅうきゅうとしておるような態度は、お茶坊主的な態度であると言われてもこれは弁解の余地がないと思うわけであります。
〔
委員長退席、仮谷
委員長代理着席〕
一体、国の公僕として
農林省の
指導的な立場にある特権官僚といわれる諸君の行政の姿勢というものは、そういうことでいいかどうか。時の天下に追随しておれば、
長官や局長をやめても、
関係の公団とか公社とかあるいは外郭団体の総裁とか
理事長におさまることができればたいへんしあわせであるというような、現職期間における自己保身、あるいは退官した場合の自己の栄達とか保身のためにきゅうきゅうとして、そして自民党に対しては常に迎合の態度をしておる。こういう点は、
国民大衆は決して無知ではありません。このことが、結局いまの議会政治に対する
国民の信用を大きく失墜することになると思うわけであります。
農政が大きく後退する、そういう現実を直視した場合において、はたしていまの内閣の行政の基本的な姿勢、あるいは高級官僚といわれる皆さん方の行政に対する正義感の上に立った態度というものは、一体これでいいかどうかということについて、この際、
農林大臣及び各
関係の
長官あるいは官房長から率直な
発言を願いたいわけであります。