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1966-07-15 第52回国会 衆議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十一年七月十一日)(月曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りであ る。    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 長谷川四郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 大出  俊君 理事 田口 誠治君    理事 山内  広君       岩動 道行君    臼井 莊一君       小川 半次君    大高  康君       加藤 高藏君    賀屋 興宣君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    堀内 一雄君       前田 正男君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       中村 高一君    村山 喜一君       楢崎弥之助君   米内山義一郎君       伊藤卯四郎君    受田 新吉————————————————————— 昭和四十一年七月十五日(金曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       岩動 道行君    臼井 莊一君       加藤 高藏君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    保科善四郎君       堀内 一雄君   茜ケ久保重光君       川崎 寛治君    中村 高一君       村山 喜一君    楢崎弥之助君      米内山義一郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     山野 幸吉君  委員外出席者         参  考  人         (沖繩県祖国復         帰協議会会長) 喜屋武眞榮君         参  考  人         (沖繩市町村会         会長)     仲村 榮春君         参  考  人         (沖繩県労働組         合協議会議長) 亀甲 康吉君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 七月十五日  委員稻村隆一君辞任につき、その補欠として川  崎寛治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川崎寛治辞任につき、その補欠として稻  村隆一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月十一日  連合国占領軍等行為等による被害者等に対す  る給付金の支給に関する法律の一部を改正する  法律案伊能繁次郎君外二十九名提出、第五十  一回国会衆法第五九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  行政機構並びにその運営に関する件(沖繩に関  する問題)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国の行政の改善をはかり、公務員制度及び給与の適正を期するなどのため  一、行政機構並びにその運営に関する事項  二、恩給及び法制一般に関する事項  三、国の防衛に関する事項  四、公務員制度及び給与に関する事項  五、栄典に関する事項以上の各事項において国政調査を行なうこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 木村武雄

    木村委員長 これより、先ほどの理事会で御協議願いましたとおり、沖繩に関する問題について参考人から御意見を承ることにいたしたいと思います。     —————————————
  5. 木村武雄

    木村委員長 つきましては、あらかじめここにおいでを願っております沖繩県祖国復帰協議会会長喜屋武眞榮君、沖繩市町村会会長仲村榮春君、沖繩県労働組合協議会議長亀甲康吉君、以上三名の方を参考人とし、御意見を承ることにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  7. 木村武雄

    木村委員長 この際、参考人各位にごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙の中を当委員会に御出席をいただき、ありがとうございました。常日ごろから沖繩のため尽力されておる各位から、親しく御意見なり現状なりを承ることができますことは、沖繩問題調査のため、きわめて有意義なことと存ずる次第であります。  参考人各位におかれましては、それぞれの立場から、最初に一人十五分程度御意見をお述べいただき、次に委員から質疑がありますので、これに対して忌憚なくお答えを願いたいと存じます。  なお、発言の際は、委員長の許可を得ていただくことになっております。また、参考人委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承ください。  かってながら、発言の順序は委員長におまかせ願いたいと思います。それでは、まず喜屋武眞榮君にお願いいたします。
  8. 喜屋武眞榮

    喜屋武参考人 私、ただいま御紹介いただきました沖繩県祖国復帰協議会会長をいたしております喜屋武眞榮でございます。なお、明らかにしておきたいと思いますことは、私の本務は、沖繩教育者で組織しております沖繩教職員会事務局長をいたしております。なお、今回懸案の裁判移送問題で、沖繩はいま島ぐるみの盛り上がりの中でこの撤回運動が続けられておるのでありますが、その民間団体を結集して組織されました撤回共闘会議議長をいたしております。今回、このようなありがたい、そうして私たちにとりましてはまことに絶好機会をお与えくださいましたことを、心からまずまず感謝申し上げます。  自治と自由と民主主義を求める人間にとりまして、孤独と分離は人間不幸の中の最大の不幸であるといわれておりますが、私たち沖繩九十六万県民は、私たち意思に反しまして祖国から分断されて、すでに二十一年目になります。その間、私たちは一日たりとも祖国へ帰ることを忘れたことはございません。忘れないどころか、年とともにわれわれの復帰への願いはますます熾烈になってくるばかりでございます。そのことは、復帰協会長といたしまして、その意識行動、その事実を通して私がはっきりここに申し上げる次第でございます。施政権者である、統治者である米国経済援助に関係なく、沖繩県民復帰への願いは年とともに熾烈になっていくばかりであるということを、御理解願いたいと思います。二十一年にわたる異民族支配のもとにあっても、絶えず私たち日本国民としての誇りを失うことなく——いや失わないばかりでなく、ますます日本国民としての誇りを堅持して今日までがんばってまいっております。おとなもさることながら、特に若い世代の魂が、特殊事情下における環境から、そして固定環境行動環境に支配されて隷属化していくことを私たちは憂いながら、祖国を忘れることのない青少年に育成しなければいかぬ、年とともに祖国に対して不信、疑惑を持つような、忘れ去るような青少年に育てては、まことに皆さまに申しわけがない、このような気持ち沖繩における日本国民教育に専念いたしておるわけであります。そこで、終戦直後、布令によって教育がなされておったのでありますが、まずまず何はさておいても、国民教育のよりどころである教育法が他の手によって、異国によって、そして支配者によって、沖繩日本国民教育布令によってなされるようなことがあってはいけないと思い詰めまして、この教育布令を撤廃させることに立ち上がりまして、幾たびか苦難の道をたどりながら民立法を制定さして、ここに日本国民としての教育のよりどころを打ち立てた次第でございます。  さらに、地域的にも、祖国は近くにありて遠きもの、また一面祖国は遠きにありて近きもの、こういった背反する矛盾の中で私たちは年とともにたどってまいりましたが、その間、祖国シンボルでありますところの日の丸、この日の丸に魂のとりでを求めて、過去、現在、そして将来も、これにひたむきな郷愁を寄せながら日本国民教育に専念いたすわけでありますが、その日の丸につきましては、私たち沖繩九十六万県民にとりましては、わけても二十数万の若い世代にとりましては、一つに、復帰シンボルとして、二つに、異民族支配下にありましても、日本国民ここにあり、こういう国民的な、民族的な誇りをこの日の丸に求めて、誇りシンボルであると同時に、ときに抵抗のシンボルとして日の丸にあこがれております。三つには、沖繩における日本国民教育は、日本政府義務と責任によって、そして憲法の保障する、義務教育国庫負担法の保障する一切の権利は、沖繩県民並びに児童生徒にも及ばさるべきであると確信いたしておるのでございますが、残念にしていまの立場は、その親の手が十分に差し延べられておらないところに、沖繩における日本国民教育の空白があるわけでございますが、そういう中で日本国民教育シンボルとして日の丸とりでを求めておる次第でございます。四つに、自由のシンボルとして、自分の国の旗を自分の手によって上げようが、おろそうが、掲げようが、全くわれわれ自体の自由の意思によってなさるべきであるのに残念なことに、何月何日は掲げてよろしい、何月何日は揚げてはいかぬ、こういう拘束を国のきまりによって受けるとするならばともかくといたしまして、他国の規制によって自分の国の旗さえも自由に掲げることができない、こういうことに対して、私たちは非常に情けなさを感じております。このように、一つ復帰シンボルとして、二つ日本国民誇りシンボルとして、三つ日本国民教育シンボルとして、四つに自由のシンボルとして、朝な夕な、そして機会あるごとに幅広く、数多くのこの日の丸にあこがれ求めてるのは、そのような心情からでございます。  次に、私たちは、沖繩九十六万県民日本国民であるということを何人もこれを疑い、また否定する根拠もなければ、また意識も持っておりません。ところが、いまだに九十六万県民代表して議政壇上において国政に参加できず、沖繩県民の真実の率直の声を国会に反映させることができない。このたびの裁判移送問題につきましても、もし県民代表が直接に国会に参加いたしておるといたしますならば、もっとこの問題が切実、主体的に取り上げられまして、スムーズに、そしてスピーディーに解決されていくのではないかとも、こう思い詰めておる次第でございますが、そのようなことのできないいまの立場を情けなく思うと同時に、私たち民間団体代表といたしまして、このようにかけ回り、訴えなければいかぬかということについて、しみじみ情けなさと、そして晴れて一日も早く私たち代表皆さんと同じ立場のこの議席を占めて、沖繩の問題を自体の問題として皆さんの前に何のこだわりもなく提案し、みんなで検討していただく、この日がいつの日かと、こう思う次第でございます。奪いにしてきょうの内閣委員会でのこの訴えは、まさに私たちにとりましては絶好機会を与えていただきましたことで、これに対し心から深甚の敬意と感謝を表する次第でございます。  さて、御承知のことと思いますが、この今回の裁判移送問題は、民主主義を根本から否定し、そして沖繩県民人権を侵害するものであり、さらに人権を守るとりでといわれております司法権の侵害をなすものである、このように思いまして、この移送をめぐって、為政者もその道の専門家沖繩におきましては総立ち上がりをしておる次第でございます。そういう中で、先日、沖繩立法院において、満場一致この撤回決議がなされまして、院代表が先日参りましてお訴え申し上げたのでありますが、さらにあの代表の三名を送りまして、日一日と沖繩におけるこの問題に対する世論の盛り上がりが熾烈をきわめまして、その中で各種民間団体二十五団体が結集をいたしまして、この裁判移送撤回共闘会議を結成されまして、私たち三名が議長、副議長の、荷に負えない大役を仰せつかっておる次第でございます。それで、去る七月八日に県民大会を持ちまして、その大会で決議いたしました要請書を携えまして、追っかけるようにして院代表のあとをバトンタッチいたしまして、去る十一日から今日まで昼夜兼行政府、政党、各機関、団体を足を棒にしてかけ回っておる次第でございます。このように予期しない問題がこうして飛び出しますのも、せんじ詰めて考えてみますと、いわゆる軍事優先政策を遂行していくための大統領行政命令布令布告によって沖繩県民が統治され、当然私たち日本国憲法によって守らるべきだと信じておりますが、そういったギャップからこのようなことも派生しておるわけでございますので、私たちは一日も早く大統領行政命令布告布令から脱却いたしまして、私たちの国の憲法である日本国憲法によって守られていきたいというのが、切なる願いでございます。ところで、今度のこの問題をめぐって、法的に私はしろうとでございまして、専門的な立場はよくは存じませんけれども、しろうとながらも今度の特に問題となっておりますあの友利裁判とかサンマ裁判が、どうして米国の安全と利益に直接つながるものであるか、こういうことにも疑問を持つものでございます。また、何ゆえに日本国民である沖繩人間同士の問題でありますのに、そのことが米国の手によって裁かれなければいけないだろうか、こういうことに大きな疑問を持つものでございます。そこで、次のことを訴えまして、皆さんの心からなる御審議、そしてわれわれの切なる要望にこたえていただき、取り上げていただくよう、お願いを申し上げる次第でございます。  まず一つは、今国会におきまして、すみやかにこの裁判移送撤回をぜひ決議していただきたい。  二つには、今後の推移によっては日米協議会でぜひ取り上げていただきたい。そして二十一年の今時点では、もう沖繩の問題は沖繩県民だけの問題としては荷に負えない。もちろん、私たち祖国皆さんにげたを預けるという気持ちは毛頭ございませんが、やれるだけのことはしっかりがんばっていたしたい決意を持っておる次第でありますが、あまりにも荷に負えない重大な問題、それは国の問題として、国民の問題として取り上げていただかなければどうにもならない、こういうところまで進展してまいっております。したがいまして、沖繩の問題が沖繩だけの問題でなく、国の問題としてこれを取り上げていただくという愛情は、当然国会沖繩問題対策特別委員会が設置されてしかるべきだと思います。どうかそのような角度からすみやかに特別対策委員会を設置していただくよう、心からお願いを申し上げまして、私の訴えを終わらしていただきたいと思います。  なお、たいへん時間の制限がございまして、まことに御迷惑かと思いますが、市町村会会長仲村榮春氏、また県労協議会議長亀甲康吉氏の時間もお与えくださっているわけでございますが、あるいは私がその時間をオーバーして、まことに申しわけございませんが、できるだけの時間をお与えくださいますよう心からお願いを申し上げまして、私の御要望を終わらしていただきたいと思います。まことにありがとうございました。(拍手
  9. 木村武雄

  10. 仲村榮春

    仲村参考人 ただいま御指名をいただきました沖繩市町村会会長仲村でございます。このたびは、裁判移送命令撤回共闘会議の副議長という立場で上京いたして、諸先生方に御協力並びにこの善処お願いするために参ったわけでございます。諸先先方には、国会のさなか御多忙のところおさきいただきまして、われわれのこの要望を聞いていただく機会を与えていただきましたことを、心から感謝を申し上げます。  問題の総括につきましては喜屋武君が述べたわけでございますが、私は補足を申し上げるという立場から、裁判移送の問題と市町村口治というふうな観点から問題をとらまえまして、先生方善処に対するお願いを申し上げさしていただきます。  その前に、昨年総理大臣沖繩に御来訪になりましたときに、私は市町村団体代表いたしましてお願いを申し上げたのでありますが、その最初のことばとして、戦争中われわれ六十万の県民は、海行かば水づくかばねの至誠をささげて奉公した。しかしながら、二十年、いまだわれわれの至誠に対するこたえは十分に国はなされていない。また、昭和三十九年の全国町村長大会におきましても、沖繩には二十万に近い英霊が眠っており、各府県も競うてりっぱな慰霊塔をおつくりになって英霊を慰めておられるのであるが、彼ら英霊法手続をみずからなすことができないので、いまだ靖国のお宮に帰れない。この現実をすみやかに解消していただくようにというあいさつをしたことがございます。これが沖繩現実でございます。これまで名代の総理大臣及びアメリカ大統領との会談におきまして、漸次沖繩の状況も前進しつつございます。特に昨年二月、佐藤総理大臣ジョンソン大統領との会談によりまして、日米両国は協力して沖繩住民福祉自治拡大をなさなければならないという声明をしていただきまして、その後、結果におきまして前進しつつあるわけでございます。しかしながら、このたび起こりましたところの裁判権移送の問題は、住民福祉以前の、生まれながらにしてわれわれに与えられました人権を根底からくつがえすような結果になっておることを心配いたしておるわけでございます。従来、われわれは、米人と沖繩人の間にいろいろと起こるところの問題が、民の裁判所から切り離されてアメリカ裁判において裁断されることに対しても、非常な不満を持っておったわけでございます。しかしながら、今度の二つ裁判は、われわれ沖繩住民だけの問題でございまして、何らアメリカとの係争のない問題であるのにかかわらず、この問題がなぜ民政府裁判所において裁判をやり直しせなければならないかということに、市町村自治を担当する者としてまことに嘆かわしく、また将来を案じておるわけでございます。  問題の一つ友利裁判といいますのは、立法院選挙以前われわれと同じように城辺の町長をいたしておったわけでございますが、町長時代選挙違反で五十ドルの罰金刑に処せられ、その判決の中で立法院議員選挙法における被選挙権を剥奪するものではないという明記された判決が下されておったわけでございます。しかるに、立法院議員選挙に立候補し、最高得票を得ながら、琉球政府設立布令によるところの、重罪に処せられた者は立法院議員被選挙権を有しないという条項によって被選挙権が剥奪されたために、当選が取り消しとなっておるわけでございます。そのような立場で、われわれ住民にとって選挙する権利、また生命、財産を守る権利、正当な裁判を受ける権利が剥奪されるようなことであっては、この問題は住民福祉以前の問題として善処されなければならないと考えております。また、この問題がいま御交渉のところと思うわけでございますが、沖繩で三町村にわたりまして土地強制接収予告をされておるわけでございます。具志川村、知念村、浦添村、この三カ村に対する軍用地接収電力公社の敷地のための強制接収予告、されておるわけでございます。この市町村においては、村当局をはじめ、村議会、村の全有力者、村民あげて反対意思表示を決定をいたしまして、不幸な場合にはすわり込みをもってしてもこれを阻止しなければならぬという態勢にあるわけでございます。特に浦添村の場合には、売却はする——これは村有地でございますので、村の議会においても、売却はするのであるが、賃貸はせないと、浦添村の議会ははっきりした意思表示をいたしておりますが、買い取りはしない、賃借をするのみだ。これは村財政に大きく影響するものでございまして、公社でありますので、村の税収にならないわけでございます。他の団体、商社がこれを賃借あるいは買収した場合には、その施設並びに利益に対しては租税の対象になりますので、村の税収として大きに利するところがあるわけでありますが、公社の場合には、固定資産税事業税市町村民税も課税になりませんので、村としては非常な財政上の圧迫を受けますので、売却はするが、賃貸はせない、このような場合に、さきに嘉手納村においては、生活を守る会として、当局の全員、村の議会議員教育委員会、すべての人々がハンストをやって軍に抗議をいたした事例がございます。そのような態勢から、このたびの具志川村、知念村、浦添村における土地接収に対しても、村当局をはじめ、村のすべての人々がすわり込みをして土地接収に対する反対意思表示をすることが、もはやわずかな時日を残しておる景況にございます。その場合に、この二つ裁判以上に、アメリカの安全と利益に関連する問題はきわめて多うございまして、このような観点から、もしこれが業務妨害という立場で処理されるようなことになりはしないかということをおそれておるわけでございます。さらに現行の市町村長市町村議会議員選挙法は、布令のままでございまして、われわれ市町村会あるいは市町村議会議長会といたしましては、機会あるごとに民立法による選挙法立法を要請いたし続けておりますが、琉球行政府もこの立法院会期において民立法をすべく予定をされておったわけでございます。われわれの意見も、新しい民立法による選挙法の準備がなされておった、わけでございますが、民政府との調整がつかないままに、今度の立法院においては民立法をせないという方向に動きつつあるわけでございます。この中でもわれわれの意見といたしましては、立法院議員選挙法と同じように、被選挙権制限は本上における公職選挙法のそれと同じようにやるべきで、重罪に処せられたという簡単な文句でやってもらいたくないという意見を取り上げておるわけでございますが、いまだにやはり布令による選挙でわれわれは選ばれなければならないわけでございます。それから自治法も、当初本土の自治法に準じたそのままの自治法沖繩において立法されておったわけでございますが、これも布令によりまして、一部市町村長解職決議——第一回目の解職決議は、ここと同じように三分の二の議決によって市町村長は解散を命ずる。解散した直後における市町村長解職につきましては、過半数議員の賛成によって成立する。三分の二議決によるところの市町村長解職が、過半数議決によって市町村長解職されなければならないというふうに、布令で改悪をされておるわけでございます。このような現状を見ましたときに、われわれは生まれながらにわれわれに与えられておりますところの裁判権を、ぜひともわれわれ沖繩努力をさらに政府及び国会の力添えによりまして、前進をさしていただくように取り計らいをしていただきたいと思います。民主主義社会において、人権を保障するものは裁判だといわれております。この裁判がいまだにわれわれの手につながらない。高等弁務官の任命または承認によって裁判官が命ぜられるということが、二十世紀後半の文化社会においてはたして許されていいかどうかという問題、裁判所の独立、さらに沖繩における自治拡大につきまして、これまでも政府国会におきましては非常な努力を尽くしていらっしゃることはよく承知をいたしておりますが、今後ともなお一段と、九十万同胞の困っておる沖繩現実打開のために御配慮いただきますよう、お願いを申し上げます。(拍手
  11. 木村武雄

  12. 亀甲康吉

    亀甲参考人 御指名を受けました県労協亀甲でございます。本日はまことにありがとうございました。さきの二人の代表からるるお話がございましたので、私は簡単に一言だけ申し上げたいと思います。  さきに佐藤総理を沖繩にお迎えする機会を得ました。そのときに、沖繩祖国日本に帰ってこない限り日本の終戦は終わらないという、県民に対する激励と同情のことばを現地沖繩でちょうだいいたしました。沖繩の問題を考えます場合に、国の政治の方向と国民の世論のあり方というものを、総理がおっしゃったような方向でぜひ統一していただいて、一日も早く祖国に帰れるように、皆さんのなお一そうの御協力をお願い申し上げたい、冒頭にそう申し上げておきます。  第二点目としましては、沖繩が異民族の支配下に入りましてからもう二十一年になります。しかもベトナム戦争の激化等を考えます場合、軍事優先の政策というものをまのあたりに見せつけられてきております。そういう状態にありましても、私たち県民は正しい裁判を受ける権利ということと、立法院議員を人民の意思によって選ぶ、この二つ権利だけは、いかなる強いアメリカの強制がありましても守っていきたい、そう考えております。先ほどのお話にありましたように、友利裁判にしましても、選挙の開票直前に被選挙権剥奪を宣言されて、人民の意思による議員を選出することができませんでした。しかも、上訴裁判所判決が下る直前に、アメリカ民政府裁判所にこれを移送するということから、この問題が起こっております。大統領行政命令の最も基本的な条項の中の、民主国家において受けている諸権利を保障するというアメリカ大統領行政命令の基本理念から申し上げますならば、それこそ、アメリカ自体が、この問題に関する限り、被告の立場に立つべきじゃないか。しかも、それが逆に民政府裁判所で裁く。しかも裁判官もいません。新しくそのつど任命される。裁判所も設置されていない。そういった中で裁判を受けるということに対しましては、非常な不安を感じます。私も裁判の係争中の身でございますが、アメリカ民政府法務部長から、裁判がまだ結論が出ない中で、明らかにこれらのやった行為は有罪である。しかし、その行為が琉球政府の敷地内だから沖繩裁判所で審理しなさいという証拠を、検事を通じて出された経験を持っております。アメリカによって任命される裁判官がそのような形で裁判を審理する場合、それこそ勇気の要ることかと私たちは考えますし、そういった中ではたして正しい裁判をしてくれるかどうか、ある疑問を持たざるを得ません。  さらに選挙の問題になりますが、最高得票で当選した友利議員が、しかも裁判所の決定として、被選挙権を剥奪しない、そういう状態にありながら、一片の布令の解釈でこれをはぎ取ってしまう。しかも与党から一人の議員が出るか、野党から一人ふえるかどうかというようなこの争いが、アメリカの安全と利益にそんなに重大な影響を持つとは、私たちはどうしても考えられません。もしそういったことが許されるとするならば、沖繩におけるあらゆる問題が、統治権者であるアメリカと何らかの関係があるものと理解しなければならないと思うのです。そういうことを考えてまいります場合、これはただ単に友利裁判という内容だけでとらえるのじゃなしに、九十六万県民の基本的な権利というものでとらえていかなければならないと思います。こういう問題が起こってまいりますゆえんも、何といってもアメリカに施政権があり、アメリカの統治しておるそのことからよって起こってくる問題でございますので、先ほど佐藤総理のことばを引用しましたが、一日も早く九十六万の県民祖国に帰って、ほんとうに日本国民として憲法の保護のもとに生活していける、その日が一日も早く来るように、先ほど言いましたように、国民世論の統一ということと政治の方向というものを推し進めていただきたい、そのことをお願い申し上げまして、私は終わります。(拍手)     —————————————
  13. 木村武雄

    木村委員長 引き続いて質疑を行ないます。大出俊君。
  14. 大出俊

    大出委員 ごく簡単に御質問を申し上げておきたいと思うのですが、総務長官の時間は十一時半ぐらいまでですか。——それでは順序が逆になってたいへん恐縮ですが、時間の関係がありますので、総務長官にひとつ先に質問をさしていただきます。  いま三人の方からお話がありました件、もうちょっと正確に確かめておきたいのでありますが、二つの事件、つまり裁判権移送事件の二つの中身なんでありますが、一つは宮古島城辺町というのですか、ここで立候補されて最高点で当選された友利隆彪氏、こういう方が、中央選挙管理委員会アメリカ布令の琉球政府章典第二十二条の一、重罪または破廉恥罪を犯した者は、特赦がない限り被選挙権がない、これに該当するとして失格を宣告した。これが一つの事件。この中身をさらに調べますと、一九六二年の立法院議員選挙の際に五十ドルの罰金というのは、ある種の選挙妨害、こういう中身なんですね。これが失格条項に該当する、こういうことなんですが、中央巡回裁判所——地裁に該当するものですが、ここで二月に罰金刑立法院選挙規定によると重罪でない、こういう規定があるから、当然向こうは逆に違法だ、こういう結論が出た。つまり友利隆彪さんが勝訴をした。そこで、琉球政府がこれを不服だということで、上訴裁判所に上告をした。その審理中に移送命令が出た、こういう経過だと考えるわけですが、これが一つ。  それからもう一つのほうは、例のサンマ——大衆魚、食べる魚のサンマでありますが、サンマ輸入に対する例の物品税、これは関税だと思いますけれども、琉球政府が五七年に物品税法を制定をした。課税表というのは別にアメリカ民政府布令で定めたという経緯でございます。ところが、このアメリカ民政府が定めた課税表の中に、サンマが落っこちていて入っていない。したがって、これは払う必要がない。ところが、この税表に記載してないサンマの課税を行なったということに対して、ないのだから不法だということで訴訟が起こされて、これまた中央巡回裁判所がこれを認めて税金をとったことに対する払い戻しの判決を出した。さらにこれまた上訴をしたところが、六〇年五月にまたこれを支持する勝訴の判決になった。例の民政府が上訴裁の判決が出ると同時に改正布令を出して、サンマ課税については、この判決だけは例外として、今後同様の訴訟を起こすことを禁じた。したがって、ほかの業者はこれはおさまりませんから、改正布令は、法律の平等の原則に反するということで、逆にまた訴訟を起こした、こういう経緯ですね。これが例の第二のサンマ課税事件、こういわれているわけでありますが、これに対して、中央巡回裁判所は、輸入業者の主張を認めて、昨年の十月に改正布令無効の判決を下した。これを琉球行政府が不服だということで、上訴裁に上告申請をした。この時点で移送命令が出た、こういう二つの事件ということになると思います。こういうことになりますと、これは総務長官にずばっとお聞きしたいのですが、例のキャラウェーさんがワトソンにかわる、ワトソン氏の時代にずいぶんこれは私どもとしては当時憤慨をしたのでありますけれども、例の「自由世界に脅威と緊張の状態が存続するかぎり琉球諸島に軍隊を維持し同諸島の施設を保持していくことは合衆国の国家政策である。……合衆国が琉球諸島を保有する期間は無期限であり……行政立法及び司法上の一部及び全部の権力を行使する権利を有している」という証言をキャラウェー氏がアメリカ下院の歳出委員会の聴聞会で一九六四年に行なっているわけですが、これは当時日本でもだいぶ問題になったわけであります。これがワトソン高等弁務官にかわった。その経過からいたしまして、例の昨年の佐藤さんとジョンソン大統領との会談によりまして、自治権の拡大の後、布令、あるいは布告、あるいは書簡、その他一ぱい、こう出ておりますけれども、つまり基地を維持するという面に必要なもの以外はできるだけ自治権を拡大をして、アメリカと日本と両方が相互協力をして沖繩自治というものをできるだけ認めていこうじゃないか、こういうふうに明確に態度が変わったわけですね。私どもはこのたてまえからすれば、ようやくワトソン氏にかわってから沖繩自治権というものは拡大の方向をとっていくだろう、日本政府も全力をあげてその協力をするだろう、こういうふうに大きな前進的意味を認めたわけなんです。ところが、今回こういうかっこうになったということについて、私は、日本政府アメリカとの間のいま申し上げた経緯から見ると、どうも少しそのものずばり伝えられていない面等がありはせぬかという心配さえ実は禁じ得ない段階なんでありますけれども、総務長官が沖繩代表の方々に会ってものを言っておられる新聞記事を見ますけれども、私がいま申しました経緯に立って、この二つの事件、裁判移送事件といわれるものについて、総務長官のお考えをこの際、いままで新聞等に出ているのは非公式な形でございますので、一ぺんひとつ明らかにしていただきたい、こういうふうに思うのであります。
  15. 安井謙

    ○安井国務大臣 いま大出さんのお話しのとおり、この一両年琉球、沖繩内部の自治権の拡充につきましては、ある程度進んできておるということは言えると思うのでございます。したがいまして、これは佐藤・ジョンソン会談等の影響もあって、できるだけ内政方面については自治権を拡充していこう。しかし、拡充していくという場合に、ものの見方がいろいろございまして、急激なことをやってかえって混乱をさせてもいかぬし、あるいはそれが事実上運営が不円滑になってもいかぬから、これは逐次やっていこうというような、アメリカ側はそういう考え方をとっているように思います。ですから、全体としてはいまお話しのような方向へことに一両年の経過として進んでおると思います。ただ、今度の二つの事件というのは、これは内容のよしあし、あるいは議論になってきますと法律論にもなりますので、それはしばらくおくとしましても、決していいことではありません。こういう問題のために沖繩住民がいろいろと困惑をされるし、また感情的にもこういうものでは困る、こういう強い主張をされる、その気持ちは非常によくわかるわけでありまして、そういう意味におきまして、これはせんだってラスク長官がこちらへ寄りました際にも、佐藤総理からも、ひとつこの問題は善処してほしい、こういう要望をされるし、またラスク長官も、ひとつ善処するように考えたい、こういうふうな返事をされたようでございます。その問題の内答については、これは法律論になりますので、いろいろ議論もあろうかと思いますから、一応これは日本政府側がいまここで正式の見解を、あれはいい、あれは悪いということは避けたほうがいいと思いますが、たとえばいまの選挙無効の場合でも、下級裁判所、巡回裁判所におきましても、重罪に値するということ自体は認めておるようであります。しかし、あの布令布告なるものがどうも穏当でないという批判をして、その結果これはむしろ原告側の勝訴であるというふうに言っているのですが、逆にアメリカ側にいわせれば、大統領行政命令、施政権というものを、平和条約三条でアメリカ側がいまでも条約上持っておる。完全なオールマイティーを持っておる。そうしてそれの実際の行使も、大統領行政命令に基づいて布令布告が出されている。しかし、できるだけ自治権を認めているという意味で、逐次この立法院でできた法律関係は尊重していこうというたてまえはとっておるが、今度の二つ裁判の結果は、大統領行政命令に基づいて出ている布令布告が無効であるとか、有効であるとか、正しいとか、正しくないとかいう問題に触れることになる。これはアメリカ当局としてははなはだ困る。そういう意味で、これを根本的に向こうへ取り上げて議論をしたいという趣旨のように思います。そういうようなことでありますので、それの可否の議論は別として、問題の解決はやはりこれは行政命令から布令布告、そうして琉球政府立法院における法律とのかね合いの問題になってきますので、問題の解決自体は、やはり現地でやってもらうべき筋のものである。しかし、日本側としてはそういう状態を政治的に見ても決して好ましくないと思うから、ひとつ前向きにできるだけ早く解決をするようにしてほしい、この要請を日本側としてはやっておる、こういうふうなことでございまして、一日も早くこれが結論を出して解決をしてほしいというふうに政府としては念願しておる、こういうことであります。
  16. 大出俊

    大出委員 委員長、時間ぎりぎりでたいへん恐縮なんですが、もう一つお伺いしておきたいのです。  私も、ここで法律論のやりとりをしようという気はないのです。いまの御説明の大統領行政命令の第十節b項の(1)、これは高等弁務官が合衆国の安全、財産または利害に影響を及ぼすと認めた事件または民事裁判権は、これを適当な米側裁判所移送できる。これですね、根拠になっているのは、御説明くださっているのは。ところでこれと、長官がどなたにお話しになったか、私は直接おりませんから存じませんけれども、おそらくジョンソン・佐藤会談の中身等を言われているのだと思うのでありますが、この基地の安全と直接関係のない司法権裁判については、順次琉球政府に権限を委譲することが望ましい。これが沖繩住民の米側に対する協力をより高めると考えれる。こういう長官の御発言が新聞に載っておるのです。これは佐藤・ジョンソン会談当時の合意に達したといわれた中身とそう変わっていないことを言われているので、その意味では筋が通っていることだと私は思っております。そうなりますと、いま私が例にあげました二つ移送事件の核心は、一つは、やはりいまおっしゃられたとおり、布令布告なる大統領行政命令に端を発している。そのことが、現地のアメリカ側ではない、つまり米民政府裁判所という形でなくて、琉球政府裁判所の中で否定された形になるということがどうしても困るというところに、おそらく移送という手続がとられた、やむを得ずとったという形だろうと善意に解釈するわけです。サンマのほうも特にそうですか、ただここで問題になるのは、沖繩におられる国民皆さんのやはり常識があると私は思うのです。この課税対象表からサンマの場合はぼっと落ちていた。それをあとからとった。だから、それはないのだから、だれが考えてもおかしいじゃないか。大衆魚と名がついているサンマなんですから、そうなればおかしいじゃないかということになる。それをひとつ布令布告の面から押えようとする。こんなようになった。そんなばかな話があるか、こうなる。これはあたりまえのことですね。この意味では、最高点で当選したのだけれども、選挙法のたてまえからいけば、罰金なんだから被選挙権はあるのだ、こういう巡回裁判所一つの結論を出した。出したら、それに対して上訴をした。琉球政府裁判所は、上訴段階でまた同じ結論が出そうである。そこで移送と、こうなると、やはり沖繩におられる皆さんの一般常識からいって、そんなばかげた話があるか、まして自治権の拡大の方向を漸進方向として向いていっている世の中に、こうなるのは私は当然だと思うのです。そうなると、日本政府の責任において、アメリカとの間におけるやりとりの中で、この移送命令というものについては、いま沖繩でたくさん問題になっております与野党その他政治色抜きで、自治権という問題と対比をさせて、こういう問題は撤回をしてもらいたいといっているその筋は、何らかの形でやはり通していただかないと、おそらく沖繩皆さんの常識からは、反発というものは協力という形ではない方向にいってしまう。このことは政府の意とするところではないのだと思うので、その意味で長官、これは結論ですけれども、その意味で私は、長官が言っておられるので、この筋をこれからどういう筋道で——新聞報道によりますと、この秋の合同委員会云々と言っておりますね。日米協議委員会なんて言っておりますけれども、それでは沖繩皆さんにいまのような状態でこれから秋まで続けていけということになるので、そこらの問題を含めて、考え方はわかりましたけれども、もう少し突っ込んで、どういうふうに進めていかれようと考えておられるかという点をお聞かせいただきたい、こう思うのです。
  17. 安井謙

    ○安井国務大臣 政府としましても、お話のように、この自治権の拡充の方向で今後も努力をするという線は変わりはございません。ただ、この問題の解決の方法をどういうふうにいま具体的にやるかということになりますと、日米間の意思の十分な疎通といいますか、具体的な解決策そのものがまだつきかねておるという状況でございます。また、現地自身でも、それぞれの機関を通じていまそれぞれに折衝中でもありますので、もうしばらく様子を見ました上で、また考えるべきものがあれば考えていく、こういうふうに考えております。
  18. 大出俊

    大出委員 長官、もうしばらくということなんですが、いま相談中だという意味のことを言われているのですけれども、差しつかえがなければ、どういう手続で相談をされているかくらいのことは、お話しいただいてもいいのじゃないかと思うのですがね。
  19. 安井謙

    ○安井国務大臣 初めに申し上げましたように、総理から直接ラスク長官に話をされて善処要望され、ラスクもできるだけ善処をする線で考えたい、こういうふうな話で帰っておるわけであります。また、その前後を通じまして、外務省から大使館へも事情はよく話をしてやっておる、こういうふうなことであります。したがって、いまのところ、ラスクが帰って今後どういうふうな出方をしてくるか、それを若干見ました上で、また具体的には政府も考えたい。
  20. 大出俊

    大出委員 そうすると、向こうから回答が来ると理解していいですか。その善処をしたいというのは、ラスクさんお帰りになったら、相談の結果こうだったというようなことを言ってくる、こういう手続になりますか。
  21. 安井謙

    ○安井国務大臣 回答がどういう形で——回答という形式で来ますか、どうですか。アメリカ自身がこの問題に対してはおそらくこれは現地へストレートにいく問題だと思いますが、その結果の連絡はおそらくあるであろう、そういうふうに考えます。
  22. 大出俊

    大出委員 そう長い期間でなくて……。
  23. 安井謙

    ○安井国務大臣 この点は、ちょっといま時間的にいつごろまでということは見当つきかねますが、これはなるべく早いことを私ども期待しております。
  24. 木村武雄

  25. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いまの大出委員の質問をもう少し端的にお尋ねしたいと思うのです。これは現地の県民もいまの総務長官の答弁の内容というものについての方向を非常に知りたがっている点だと思うのですが、それはラスク国務長官に総理が善処要望をしたということですね。あとのプロセスについては、いまのとおり答弁が不明確なんです。そこで、本土の政府として、この現地の基本的人権を侵害されておる、守られていないということについて、現地の皆さん方があげて本土政府にすがりついておる。そこで、今回のこの問題は、外交交渉の対象として進められておると理解していいのかどうか。あるいは総務長官が、この問題があがってまいりましたとき、立法院議会で全員一致で決議をされたときに総務長官が談話等で出された内容からいくと、現地での解決を要望しておる、こういう言い方、これは非常に大きな分かれ道だと思うのです。ですから、外交交渉の——つまりラスク国務長官に対して要望したというそのことは、外交交渉の対象として本土政府が取り上げ、取り組んでいると理解してよろしいのかどうか。あるいは依然として現地での解決を要望をしておるということにとどまるのかどうか。
  26. 安井謙

    ○安井国務大臣 外交交渉という意味は、どういう程度に相なりますか、これはいろいろあろうかと思いますが、いまの総理がラスク長官にも要請をし、さらに椎名外務大臣もやはりその前後に同じようなことをやっておられる、そういう意味で、そのこと自体が一種の外交交渉だと言われるならば、そういう意味に当たるかと思いますが、事柄の性質上、解決の具体的な方途は、やはりワシントンから高等弁務官を通じて、その現地で解決されるという筋に相なろうかと思います。これをいま日本がその当事者としてアメリカと直接の取引ですべてをきめる、こういうふうにはなるまい、こう思っております。
  27. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これは非常に問題になるのです。ということは、平和条約三条で施政権を放棄した。しかし、現地の沖繩の領土は日本の領土の一部である。国民は日本の国民である。こういう中で、本土政府として交渉できない、善処要望するというだけでは、交渉に入っておらぬわけです。その姿勢を政府は明確にしてもらいたい。
  28. 安井謙

    ○安井国務大臣 いま申し上げますように、そういう要請をいまやっておるわけでありまするが、今後のアメリカ側の状況によりまして、さらに具体的な方途は講じたい、こういうようなことでひとつごかんべん願います。
  29. 大出俊

    大出委員 喜屋武さんにちょっと承りたいのですが、沖繩教育問題について先ほどお話がございましたけれども、私がいまここに持っておりますのによりますと、教育施設における国旗掲揚の制限の問題、さらにオリンピックの聖火が沖繩を走るときに起こった問題等が例にあげられております。さらに基地による騒音、犯罪、つまり教育環境が本土に比べて非常に悪過ぎる。特に問題は教育費という面で、あるいは半分以下ぐらいなんではないかと思いますけれども、その意味でのすし詰め教育のような形のものが、北のほうに当地が非常に多いから特にそちらのほうはひどい、こういうふうなことがあり、かつアメリカの生活環境が入ってきているという関係がありまして、その面の相当な御苦労が多いのだろうと思うのでありますが、その教育費という面での予算的な面ですね、ここらのところをちょっとお知らせいただきたいと思います。
  30. 喜屋武眞榮

    喜屋武参考人 お答えいたします。沖繩教育費は、いまは七月になりましたので新年度ですが、前年度でいたしますと、教育予算は全予算の三二%程度でございました。ところが、その中で、日本政府の援助は教育予算の二%、アメリカの援助が二二%、合わせて一五%でございました。そうすると、八五%はわれわれの血税を中心とする民負担でやったわけであります。だから、このような状態で沖繩教育が復興するはずはございません。一例としてお隣の鹿児島と比較をしますと、鹿児島県は、全教育予算の七五%が国庫だったと記憶いたしております。鹿児島は、戦前戦後、何を比較いたしましても沖繩よりは有利であったわけでありますが、そのような鹿児島県でさえも、八〇%近くは国庫が負担し、二〇%そこそこが県負担であるわけであります。ところが、戦争で痛めつけられ、破壊し尽くされた沖繩が、そのような状態で復興ができるはずはございません。遅々として進まないのは当然でございます。ところで、思い余って、われわれには祖国がある、従来のワク内的なものの考え方を脱却してひとつ訴えようじゃないかということで、去年の五月に義務教育費獲得期成会を教職員会が中心になりまして関係十二団体で結成いたしまして、本土政府に運動を展開いたしたわけであります。そのおかげで義務教育費国庫負担法の中の一つであります義務教育教職員の給与半額が本土から及ぶようになりまして、たいへん喜んでおります。これは財政的な援助もさることながら、沖繩の教員が名実ともに日本の教師としての底辺を獲得したというところに、大きな質的な前進をわれわれは見出しておるわけであります。そうして沖繩教育復興を三カ年計画で本土他県の教育水準に引き上げるという一目標が打ち出されまして、これも大きな希望と喜びを抱いておるわけでありますが、そうして三カ年計画の第一年次が今度出発いたしました。ところが、その三カ年計画の具体的なあらわれとして、教員の定員増、それから学級在籍の引き下げ、校舎不足によるこの二つの谷間、これは去年までの特別教室を抜きにして、本土基準に比較しますと、五〇%程度しか二十年後の今日できておりません。沖繩の最低基準というのがございますが、それに比較しても八割以下しかまだできておりません。それが今度定員増と在籍引き下げによってますます大混乱をいたしまして、間仕切り教室が四、五百教室もふえたわけであります。それで、本年度第二年次の本土政府への要望としまして、実はきょうの飛行機で十三名が大挙して教育費獲得要請に見えるわけであります。これは校舎改築優先という目標をもって運動を展開しているわけでございます。  そこで、この三カ年計画に対するわれわれの心配は、一応教育予算を通じて沖繩に援助がきたわけですが、われわれとしては完全受け入れ、完全消化という形でないと沖繩教育格差は解消しないという考えで要望しておるわけでありますが、その力が他にもそがれまして、いわゆる経済復興、福祉面にもこれが流れたために、教育の復興へ浸透していかぬということをわれわれ教育界としては非常に不満を持っておるわけであります。これも第一年次はやむを得ない結果になったわけでありますが、第二年次、第三年次とあと二カ年しかないわけでありますので、それで三カ年計画を実現していくためには、どうしてもそれがほかに流れないように食いとめなければいかぬということで、実は心配をしながら、またそのように強い訴えをしておるわけであります。ひとつよろしくお願いいたします。
  31. 大出俊

    大出委員 ほかの委員の方の質問もありますので、最後にもう一点だけお許しをいただきたいのですが、先ほど仲村さんからお話がありました点で非常に気になる問題がございますので、もうちょっとはっきりお尋ねをしておきたいのであります。  私の勘ぐり過ぎであれば幸いなんですけれども、今回の裁判移送の問題は、単に裁判移送の問題ではないという危倶を感ずるわけなんであります。それはいまのお話の具志川知念浦添村等の土地収用、あるいは強制収用という形のものとの関連なんでありますけれども、先般国会の本会議における代表質問等でも出たことなんですけれども、ベトナム戦争との関係で米軍がますますふえて、二十七万が五十万にもなるんじゃないか。極東アジア全域の情勢等から見て、もう一つの面は、沖繩の軍備拡張、輸送基地あるいは軍事基地という意味の拡大、こういう形が、私どもの立場から見て当然予想されるわけであります。したがって、土地強制収用というものが、かつても出ていたわけでありますから、これから相当強く前面に出てくる。そうなりますと、それはおそらく市町村議会でも反対だということに、これは与党も野党もなしに、きまる性格のものだろうと思うわけなんであります。議会できまれば、市町村議会皆さんが前面に出て、言うならば土地を取り上げられては困るということで動かれるだろうと思う。それはいまの基地というものを対象に考えるアメリカ側からすれば、何とか押えなければならぬことになる。こういう争いが起こってくると思うのです。そういうことになりますと、先ほどちょっとお話に出ましたように、何か町議会で満場一致できめたんだからということで、前面に出て議会関係の方々が反対だという意思表示をされる、ある意味では民主的な手続に基づく大衆行動みたいなことになりかねない、ということになった場合に、これは業務妨害だなんてことになりますと、どうもそれをめぐって裁判ざたが起こる。裁判移送を今回は二つ行なわれたということになりますと、一つ間違うと、それはたいしたことではなくても、移送された結果としては、大統領行政命令等の関係もありますから、一方的な裁判が進行する、こういうことになると、心理的に、せっかく町議会は満場一致できめたのだけれども、また死活の問題なんだけれども、どうもその土地を持っていかれることはやむを得ないということになってしまうということになると、これまた基本的な人権以前の問題になりかねない心配があるわけでありますが、そういう関連は、現地でいまいろいろな各種団体の方々なり一般の方々が動いていられる中で、どういう認識をお持ちになっているかという点を、単なる裁判移送ということだけじゃなしに、そういう問題にまで発展をする危惧などがあるとすれば、それらのことについてはやはり早急な——これはいろいろものの考え方が違う政党の立場がありますから簡単にいきませんでしょうけれども、われわれとしてもわれわれなりに考えなければならぬ問題になるというふうに思いますので、差しつかえない範囲内で、ひとつもうちょっと突っ込んだところをお答えをいただきたいと思うのであります。
  32. 仲村榮春

    仲村参考人 ただいま先生が軍用地接収の問題についての突っ込んだ説明をしてくれと言われたわけでございますが、具志川村の昆布という部落でございますが、この部落は現在三分の二の土地軍用地接収されておりまして、ようやく軍の許しを受けたところの黙認耕作という、軍の慈悲によって生計を立てておるのが、現状の姿でございます。そこで、今度取られた場合には、五分の閥が軍用地接収されて、もはや農耕を続けることができないといった非常に困難な状況におちいるわけでございます。そこで部落は、全部落民をあげて反対態勢をとっております。村におきましては、三月の村議会におきまして、村の議会はこの土地収用に対して徹底的に反対をするという決議をいたしておりますが、さらに六月の定例議会におきましても、同様この決議の再確認の決議をいたしております。そこで、村当局及び議会その他の村内の各民主団体——婦人会、青年会その他の民主団体がこぞって反対、やむを得ざる場合にはすわり込みをしてもこの土地を守ろうという形勢にあるわけでございます。  それから知念村志喜屋地域は、かつて軍用地としてなされておりましたのが開放になった。開放になったときも、畑として復元されることなく、荒廃されたままに開放になったわけでございます。そこを機械力あるいは人力のすべてを尽くしてようやく耕作を始め、ようやく一回、二回の収穫しかしてないわけでございます。そこに対して新たにこの地域を軍用地接収したいというわけで、これは二部落にまたがっておりますが、二部落の部落民はもちろんのこと、村の議会及び村の中で民主団体が結集をいたしまして、志喜屋の土地を守る会というのが結成されておる現実でございます。  それから浦添村は、直接軍用地ではなくして、民政府の機関であります電力公社に対してこの土地賃貸するように、布令二十号によるところの賃貸権の要求をいたしておるわけでございます。布令二十号におきましては、一応収用告知をする。告知によって一応予告になるわけでございますが、六十日を経過しても賃貸するという地主側との契約が成り立たない場合には、収用宣告をしてそのまま要求者が使うということになっておるわけでございますが、浦添村農地の場合は、収用告知と収用宣告が同日に出されまして、われわれは非常に不可解に思っております。しかも、浦添村の場合には、先ほども申し上げましたように、売却ならやる。これだけの金をもってさらに新しい干拓事業を行ない、さらに新しい村の事業を興したい。売却はするけれども、賃貸することによって財政的に非常な苦しい状況におちいるので、賃貸はよしてくれ、買い上げてくれという折衝を進めておりますが、民政府といたしましては、買収はしない、賃貸するだけだということで、当局及び議会においても絶対に賃貸はしないという決議をいたしておりまして、それじゃ半分だけ貸してくれ、全面積じゃなくて半分だけ貸してくれ、そこで調整してほしいというのが、私たちが上京する十一日に民政府から提案になったわけでございますが、おそらく議会はその半分を賃貸することに対しても反対だと思っております。  このような状況におきまして、先ほど一言触れたのでありますが、嘉手納の基地拡張のために、滑走路の早急な整備のために、嘉手納空軍基地において作業が続けられました。その作業はアスファルト工事でございますので、砂塵がもうもうとして、嘉手納の村民の生活を脅かしたわけでございます。どのように嘉手納の当局議会が折衝を続けても、工事は中止してくれない。それでは砂塵が飛ばないように装置してくれ。飛ばないような装置はすることはできる。シャッターをつくることによって防塵の施設をすることはできるのであるが、防塵をするにはそれだけの日にちをかけなければいけないので、この工事は非常に急いでおるのでがまんをしてほしい。しかしながら、嘉手納の場合には、戸を全部締め切っても砂塵が入って、子供たちは朝の御飯も食べないで学校に行く。御飯を食べた場合には、砂塵が御飯の中に入って、のどが痛くて一日中どうにもならない。住居を引っ越した家庭が五、六軒も出る。そこで、議会は、六月の定例会といいましたが、十一日から始まりまして、月末までに次年度の予算を編成しなければならないという重大な議会でございますが、予算の審議を中止して、居すわり戦術を使ったわけでございます。居すわり戦術を使った後になってもやめてくれない。やむを得ず村の三役、議員全員、教育委員、婦人会の幹部、青年会の幹部がハンストに入ったわけでございます。ハンストに入ってようやく八時間日に、じゃ、一応中止をする。そうして残りの部分は防塵装置の施設をしたあとに工事をするという回答がきて、そのまま終わったのでございますが、この嘉手納村がとった状況は、直ちに具志川知念浦添にそれが適用されるものだと私は思っておりますし、また、私ども市町村会においても、しかるべく応援しなければならないというふうに考えております。その場合に、先ほど先生が述べられましたように、また私も先ほど申しましたように、このことこそ二つ裁判以上にアメリカ利益に反するものでございまして、もしそのような解釈のもとに、そういったアメリカ軍用地接収反対することを業務妨害という立場で裁断されるようなことがあっては、ゆゆしい問題だという危惧を抱いておるわけでございます。
  33. 大出俊

    大出委員 ありがとうございました。
  34. 木村武雄

  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、時間の関係もありますので、簡潔に二点だけ質問いたします。  第一点は特連局長に伺いますが、今回の裁判移送問題をいろいろ分析をしてまいりますと、一体この内容が、大統領行政命令の第十節b項の(1)に該当する問題であるのかどうかという問題が、一つの問題であろうと思う。それから沖繩の基本法ともいうべき大統領行政命令に反するいわゆる布令なり布告の審査権というものが、琉球政府裁判所にあるのかどうか、このいわゆる審査権をめぐる問題が一つあろうかと思います。それから、この裁判の成り行きを見ておりまして、琉球政府裁判所の上訴裁判所は、再三再四にわたって判決の延期を行なっているわけであります。そういうような点から見て、みずからの裁判権というものを放棄をしたものではないかと疑われる内容のものがあって、そういうような意味において、住民のいわゆる民主主義的な権利というものと布令との衝突が今回の現象だ、こういうようなとらえ方ができると私は思うのであります。そういうような立場から、この問題がいわゆる佐藤・ラスク会談で政治的に取り上げられて、検討を約したことは事実でありましょう。しかし、それが今後において解決の方向というものをどういうような手段としてあなた方が用いていくかということが、いわゆる沖繩十余万の県民に対する答えであり、また一億の国民に対する答えでなければならないと思う。そういうような内容の中から、私は解決の方向の一つの具体的な手段として、沖繩に関する日米協議委員会の議題としてこの問題は当然取り上げられてしかるべき問題であろうと思うのです。その中においてわれわれが主張をしなければならないのは、いわゆる琉球院立法と抵触をする高等弁務官布令なり布告というもの、これは改廃をしてもらいたいという要請をストレートにあなた方が出すということが、第一の問題点ではなかろうかと思う。第二は、やはり弁務官によるところの琉球側の裁判官の任命、承認の問題についての改廃を、この際立法行政と同じように自治権の拡大という立場から考えていくならば、当然これは要求をされなければならない内容のものだと私は思うので、そういうようなものが、やはり今後総理を中心にして、これらの琉球の裁判移送問題については処置しなければならない問題だと思うのでありますが、そういうような内容を含めて、いわゆる外交交渉の手段等は、いまの時点において考える点は、佐藤・ラスク会談は政治会談として行なわれたが、その次の段階としては、日米の協議委員会で議題として取り上げていくという方向で解決をすべき問題だと私考えるのでありますが、そういうような方向を考えておるのかどうか、この点についてお答え願いたい。
  36. 山野幸吉

    ○山野政府委員 ただいま総務長官のほうから、本件につきまして、佐藤・ラスク会談善処方を求めて、ラスク国務長官もこれについて検討をしておるという回答があったように申されましたが、したがいまして、米国側のほうで現地でいかなる解決策を出されるか、その具体的な措置を見た上で、今後日本政府としては処すべき方途を研究していきたい。その内容につきましては、先生ただいま御指摘のとおり、具体的には今度の移送問題をどうするかという具体的な問題があり、それからまた将来沖繩の司法制度がどうあるべきかというような前向きの対策と、二点がございまして、これにつきましては、さき立法院議員代表として来られた際にも、この二つの問題についてそれぞれ要請されてきておる。したがいまして、政府といたしましては、さきに申しましたように、米側のこの具体的な措置を見て、その後において、今後日本政府としては側面的にどういう態度をとるかをきめていきたいと思います。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 態度のきめ方はそれでいいと思うのですが、そのやり方の具体的な場は、やはり日米協議委員会あたりでやっていくという考え方をとられると思うのですが、それはそのとおりですか。
  38. 山野幸吉

    ○山野政府委員 それは、日米協議委員会で取り上げられるような問題が残された場合におきましては、そういう場合もあり得ると思います。
  39. 村山喜一

    村山(喜)委員 これはやはり行政命令の中身の解釈の問題になってくると私は思うのですが、移送命令が発せられたというその条文は、行政命令の第十節のb項の(1)に該当するわけですが、それと同時に、他方やはり命令の中には、住民の基本的自由というものは民主主義諸国家と同様に保障するという条項があるわけですから、その条項から見ていくならば、当然この民主主義を守るという立場国民による裁判権の否定ということは、これは民主主義を破壊するという原則につながる問題でありますので、そこら辺はやはり強く日本政府——向こうのほうから回答があるであろうということを期待をしておられるわけですが、模様によりましては、再度そういうような強い申し入れをするなり、具体的な外交交渉の手段を講じてもらいたいと私は思うのであります。そのことが沖繩県民の期待にこたえる最大の方法であろうと思うのでありますから、その点については、あなたを通じまして安井長官に強く要求をいたしておきたいと思う。  それから参考人の方々に一点だけお尋ねをいたします。  これは日本の国内における新聞の取り扱いに若干のニュアンスの差があるだろうと思うのでありますが、いろいろな表現で新聞は伝えておる。たとえば松岡主席は、米の布令の改廃要請をすべきであるという印象の談話を発表しておるようでありますし、長嶺立法院議長は、今回の措置は不法ではないが不当であるというような印象の発言をしておられるようであります。また、沖繩県民の世論の中には、大体、大統領行政命令の第十節のb項の(1)、これ自体、最終決定または命令が出る前であるならば、いつでも高等弁務官の命令によって適当な民政府裁判所移送することができる、こういうような基本的に反民主主義的な条項がある。これをなくさない限り、これはだめなんだという考え方もあろうと思う。そこで復帰協として、こういうような大きな一つ県民運動に発展をしてまいりましたこの運動を展開をされる場合に、どういうような立場においてこれらの運動を展開していけばいいとお考えになっていらっしゃるのか。いろいろ新聞が伝える内容等においても、間違いもありましょうし、そこにはやはり意思の統一をしていかなければならないと思うのでありまして、立法行政に比べて司法が非常に立ちおくれておる。だから、この立ちおくれておるものを立法行政と同じような次元にまで上げることを第一の目的にされるのか、裁判制度の内容に関する問題にまで発展をして、いろいろ基本的な、根本的なものまでこの際解決をすべきであるというとらえ方をするのか、そういうような方向というものは、やはり日本国民全体として取り上げなければならない問題でございますので、国会を通じて国民訴えようというものが一体何であるのかということを明確にしておいていただきますと、今後一つ国民運動が発展をしていく上において大きな役割りを果たすのではなかろうかと思いますので、この点について説明を願っておきたいと思います。
  40. 喜屋武眞榮

    喜屋武参考人 お答えいたします。復帰協といたしましては、即時祖国復期を旗じるしに掲げながらも、復帰路線といたしまして、たとえば渡航の自由とか、国政参加とか、主席公選だとか、あるいは日本国憲法を適用してもらいたいとか、布告布令を撤廃するとか、あるいは公社を民移管するとか、裁判権の民移管とか、こういったことを復帰路線と称しておるのでありますが、この路線を設定いたしまして、その実現に努力いたしておるわけであります。したがいまして、その線から当然われわれは憲法の適用を前提とし、そして布告布令の撤廃を打ち出しておるわけでありますので、その線に沿うて、復帰協といたしましては、全県民意思としてこの線に進めていきたい、かように存じておるわけであります。さらに具体的な個個のケースといたしましては、このような基本的人権の侵害、あるいは司法権の独立を侵害するような根本的な問題がこうして派生する限りにおいては、この基本線に沿うて一刻も早くこの移送問題が解決され、撤廃される方向に持っていくことはもちろんでございます。
  41. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わりますが、住民と琉球政府との間の行政訴訟の問題を、アメリカ政府アメリカの安全と利害に重大な影響を及ぼす事例としてこの問題を取り上げておるというところに、基本的な間違いが起こって、このような事態が発生したわけですが、その点については、国民はみんな、あるいは県民の方々もみんなこぞって納得をしてくれると思うのでありますが、やはり基本的には沖繩のいわゆる施政権の問題に関連をする、そういうような問題にメスを入れなければならないという立場から、それを基礎に踏まえながら、これらの問題の具体的な解決を逐次やっていくというふうに承って差しつかえないと思うのですが、それでいいですね。
  42. 喜屋武眞榮

    喜屋武参考人 さようでございます。
  43. 木村武雄

  44. 臼井莊一

    臼井委員 アメリカが司法、立法行政三権を現在持っておりますが、これを、作戦とか軍事に影響の少ない問題についてはなるたけ沖繩住民の自主的な自治にまかしてもらいたいという、そういう考えにつきましては、私どもも皆さまと同様であります。ただ、いま喜屋武さん、また亀甲議長のお話の中に、友利裁判、友利さんの公選問題でありますとか、あるいはサンマ裁判のようなものがアメリカ利益、利害に重大な影響があるとは思われないということのお話がございました。しかし、今度の裁判の移行のことについて、アメリカ高等弁務官の考えの理由の中に——先ほど総務長官もお話しになりましたが、高等弁務官布令アメリカ大統領行政命令に反するという理由でこの裁判が原告が勝ち、こういうことに決定した。いま村山さんもお話しのように、琉球の裁判所アメリカ側の布令裁判するということに異議があるので、それはそこまでの裁判する権能は琉球政府裁判所にない、こういうふうに考えて、そういう理由で移行命令を出しておるようでありますが、この点につきまして皆さんのほうでは触れておらなかったわけですが、それについてのお考えは、村山さんの言ったように、琉球政府裁判所は中央巡回裁判所みたいにそういう権限もあるんだというお考えなのか、この点、アメリカを弁護するわけでも何でもないけれども、アメリカのほうはおりませんから、皆さんの現地におけるお考えを伺っておきたい。
  45. 仲村榮春

    仲村参考人 臼井先生にはいつも沖繩問題に努力をしていただいておることを、常々感謝を申し上げております。  ただいまの友利裁判及びサンマ裁判に対して高等弁務官裁判移送を命令した理由といたしましては、先ほど述べられましたように、琉球政府裁判所には布令布告を審査する権能は与えてない。しかしながら、この両裁判ともに、中央巡回裁判所は法令に対する審査をやっておるので、適当だとは思わない。そこで琉球民政府裁判所において裁判することが適当だということを発表しておられるわけでございます。しかしながら、われわれが考えておりますことは、巡回裁判所判決の中にございますように、民の選挙に関する問題であり、琉球立法院議員選挙法を適用することが正しい。これをさっきの選挙違反の場合に対して、立法院選挙法の被選挙権を奪うものではないという判決をもとにして、これを琉球政府章典の重罪に処せられて特赦のない者は被選挙権を有しないというものの中に当てはめるべきじゃないという巡回裁判所の考え方が、われわれは正しい、いわゆる民の行政に関する問題である以上、民の立法高等弁務官も認めて公布した以上、それを該当して処断さるべきだというふうにわれわれは解釈をいたしておるわけでございます。  それからサンマ裁判判決に対しても、法は公平でなければならない。第一、サンマ裁判に対しては還付の処置がとられたにかかわらず、サンマに対しても課税すべきだという、物品税法の中の列挙規定の中にサンマを列挙したことによって、これ以前になされた行為もこの法を適用するものであるという、いわゆる税法の不遡及の原則に反するものとして、巡回裁判所は第二のサンマ事件を処断いたしましたので、われわれの立場からすれば、布令によって追加されたその追加の日からこそ課税の対象になるべきものであって、不遡及の原則を遡及さしたものに対して、高等弁務官が法令審査の権能を与えてないということに対して、われわれは不満の意思を表明いたしておるのでございます。
  46. 木村武雄

  47. 受田新吉

    受田委員 一点だけ、おいでいただきました三人の方のどなたからでもけっこうですからお答え願って、特連局長から日米協議委員会のことをお伺いします。  私、お三人の方の切実な御発言に非常に責任を感じている一人でありますが、沖繩皆さんが本土の皆さんに比べて著しく劣勢な立場に政治的に取り残されている問題の一つに、健康保障の政治問題があると思うのです。沖繩の琉球大学に今度医学部を新設しようという動きが、政府部内にも生まれております。これは何でいままでこれがおくれているか、そのことにふしぎな気持ちすらするような状況でありますが、ちょっと伺いたいのですが、沖繩の終戦当時の、戦争末期のあのたいへんな犠牲を受けられた皆さんに、申しわけないあの時点におけるたくさんの戦死者の方に続いて、その後の沖繩の平均余命というものは、どういうふうに延びているのか。内地の平均余命が七十歳前後まで延びてきているわけでありますが、沖繩皆さんのそういう方向についての何か資料をお持ちでしたら、どなたかからお答え願って、内地に比べて依然として短命であるような傾向があるか。それに直接つながる医療行政という問題、健康保険制度がないという悲劇も一つ手伝っておると思いますが、よいお医者さんを得ることができなくて、助かる命を救うことができないような状況ではないか。米施政下にあるのですから、その点については相当米政府が責任をもって考えるべき問題ではありますけれども、しかし、自治権を拡大して日本に復帰する段階において、日本政府の責任がここへ当然起こってまいりますので、この点ちょっとお答え願いたいと思うのです。
  48. 喜屋武眞榮

    喜屋武参考人 いま数字的な詳しいデータは持っておりませんけれども、医療行政の面からの貧困性、あるいは設備の問題、あるいは無医村、医者の絶対数が足りませんために、現在におきましても、技術援助という形で六カ月ないし一カ年、あるいはまた高度の技術は短期間本上から御援助をいただいておる状態でありますが、平均余命は、私の記憶では男六十八、女七十だったかと思います。そういった余命のパーセントからすると、本土に遜色はない、こう数字の上からは出ておりますが、たとえば結核の患者に対して、沖繩自体でこれを処置できない状態もたくさんあるわけでございますが、そういう方々を本土の施設に送り出して収容し、あるいは手術をしてもらっておるわけでありますが、その他の病気も、最近特に高度の技術を要するものはほとんど本土に送り出して治療し、あるいは手術をしてもらっておるわけでありますが、そういう状態の中で、特に社会保障面、福祉施設の面が非常に本土と——あらゆる面も立ちおくれておりますが、特にこの社会福祉面が、またその施設面が、他県と比較いたしまして極度に落差がある、こういうことは全体的に言えます。なお、病名別のそういうものは厚生局でデータを出してありますが、ちょっと詳しい数字の記憶を持っておりませんので、後ほどもし御入り用でしたら、あとでお送りしたいと思います。
  49. 受田新吉

    受田委員 喜屋武先生は教育界の御出身であるわけですか。
  50. 喜屋武眞榮

    喜屋武参考人 はい。
  51. 受田新吉

    受田委員 それで沖繩教育が、日本の本土の教育に何年間かおくれを来たしておるという状況の中で、非常に危惧しておられる問題があると思うのですが、この本土へ留学したいという場合に、その自由が保障されているかどうかという問題と、そうして琉球政府の学校、公立の学校のほかに私学を振興して、そこに公私相まって教育の実績をあげていく方向についての本上への要望というようなものを、ちょっと伺っておきたいのです。
  52. 喜屋武眞榮

    喜屋武参考人 現地における大学は、琉球大学、沖繩大学、それから国際大学、短期大学としてのキリスト教大学がございますが、全部で約四千名、それから本土の大学に進学している方が約四千名であります。  こういう概数になっておりますが、本土に進学している、またせんとしている若い学徒の渡航の問題との関係におきましては、過去におきましてはきびしい渡航の制限がありましたために、いわゆる進学の自由、あるいは就職の自由、あるいは病気をなおしに行く自由、こういうことも過去においてははばまれた例がございまして、それが問題とされておったわけでございますが、ごく最近では、進学のための渡航についてはないものと思っております。十分調査はいたしておりませんが、最近は進学するために渡航手続をして、それが拒否されたということはなくなっていると思います。  それから私学の問題につきましては、沖繩教育全般として、施設におきましても、あるいは法的な裏づけにおきましても、まだ不備でございますが、特に沖繩の私学は、公的立場の使命も実際果たしている特殊な事情にあるわけですが、その反面、私学の育成という面からいま非常に取り残されておりまして、たとえば私学振興法というものがまだできておらない。こういった法の裏づけが十分なされておらない。だから、私学の監督面は、どちらかというと強硬にされておりますが、その裏づけの援助面、保障面がない、こういうアンバランスが現状でございます。  それで、今度の教育護符期成会の中のメンバーに私学協会の代表も実は入っているわけでありますが、その代表は、特に沖繩における私学の育成振興について日本政府の協力、援助をお願いしたい、こういう立場からの強い要望も持って去年から折衝をいたしているわけでございます。
  53. 受田新吉

    受田委員 まだ非常に差のある問題が取り残されているということですが、日米協議委員会というものが五月九日に開かれて、山野さんはそれにオブザーバーとして出席されましたね。  そこで、私この日米協議委員会のことでお聞きしたいのです。あなたの立場で御発言できる範囲内でけっこうでございますが、日米協議委員会なるものは、単なる経済援助の問題だけでなくして、政治問題としての自治権の拡大等の問題にも触れる立場に立っておると私は思います。その協議議題が拡大されておると開いておるわけですが、自治権が拡大することは、結局施政権の一部返還というところへつながってくるわけです。そういう意味で、今度の裁判移送問題などというものは、これは当然もいま村山委員が指摘されたような事情で、日米協議会の議題にしていいと私は思う。この間の会合は第九回目のようでございましたが、会合をもっとひんぱんに開いて——アメリカまで行かなくても、大使においでいただけば、こちらにおる人間でやれるのですから、直ちに協議委員会を問いて、裁判移送問題について話し合いをする。大統領行政命令の扱い方についての現地の話し合い、日米協議委という権能が高められている現時点において、これを急いでおやりになって、この問題を扱うというのはいかがなんですか。
  54. 山野幸吉

    ○山野政府委員 この裁判移送問題につきましては、ただいま総務長官からもお答えがありましたように、現地で円満に解決することを強く期待しておるわけでございますから、そういう趣旨で、総理・ラスク会談、あるいは外相とラスク会談等で善処方の要請をされた直後でございます。したがいまして、アメリカ側とされまして、この問題について、どういう具体的な方法を講ぜられるか、その措置を見た上で、政府としては対処していきたい、こういうぐあいに考えておりまして、いまの時点ですぐ日米協議委員会を招集して、これを議題にするというようなことは、まだ考えておりません。
  55. 受田新吉

    受田委員 この問題は、そう時日を遷延するような筋合いではないと思うのです。この点は、すでに事件発生後四十日近く時日を経過しておる、そういう時点でございますから、日米協議委員会という機構がせっかくあるのですから、そのある機構を生かさなければならないし、安井さんもあちらへ行って、せっかくワトソンと話をされて、直後にこういうことが起こっているということは、何のために会談をされたのかわからぬ。わざわざ沖繩へ行かれて、その直後追い打ちをぱっとやられるようなことは、日本政府としてははなはだ不愉快です。この自治権の問題は、五月九日の日米協議委でも、裁判権などを含めて十分話し合いをされたと私は思うのですが、ワトソン・安井会談の直後であっただけに——この裁判問題については全然触れていなかった。そのときはまだ事件が起きていなかったけれども、自治権の拡大という意味から、裁判権の問題なども当然私は協議されてよかったと思うのですが、それはやられたんですか、やられなかったんですか。
  56. 山野幸吉

    ○山野政府委員 前回安井長官が沖繩へ行かれましてワトソン高等弁務官とお会いになりましたときには、いま御指摘になりましたように、まだこの事件は起きていなかったのでございます。もちろん日本政府といたしましては、機会あるごとに沖繩自治の充実の点については絶えず要請を続けてまいっておりまして、そういう面については決して放任してあるわけではございません。自治の問題は、一般的にあらゆる問題を含めて、局内の一般民生の問題はできるだけ沖繩住民で自主的にやられるような体制に漸次持っていってもらいたいという要請は、絶えず続けておるわけでございます。
  57. 受田新吉

    受田委員 これでやめます。
  58. 木村武雄

    木村委員長 これにて参考人からの意見聴取を終わります。  参考人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  当委員会といたしましては、ただいま拝聴いたしました御意見などを十分勘案の上、沖繩に関する問題を真剣に検討してまいりたいと思います。  参考人各位には、御退席になってけっこうでございます。ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会