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1966-10-18 第52回国会 衆議院 地方行政委員会交通安全対策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十一年十月十一日(火曜日)委 員会において、設置することに決した。 十月十一日  本小委員委員会において、次の通り選任され  た。       大石 八治君    大西 正男君       亀山 孝一君    登坂重次郎君       森下 元晴君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    門司  亮君 十月十一日  亀山孝一君が委員会において、小委員長に選任  された。 ————————————————————— 昭和四十一年十月十八日(火曜日)    午後三時十六分開議  出席小委員    小委員長 亀山 孝一君       大石 八治君    大西 正男君       登坂重次郎君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    門司  亮君  小委員外出席者         地方行政委員  渡海元三郎君         地方行政委員  華山 親義君         地方行政委員  細谷 治嘉君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房陸上交通安         全調査室長)  宮崎 清文君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      内海  倫君         検     事         (刑事局総務課         長)      伊藤 栄樹君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより地方行政委員会交通安全対策に関する小委員会を開会いたします。  今日、交通事故激増ぶりは全く目をおおわしめるものがあります。交通事故死者は、先月の二十五日、ついに一万人を突破いたしました。この記録は、昨年よりも一ヵ月、一昨年よりも半月早いのでございまして、このままで進めば、今年の犠牲者は三十九年の一万三千三百十八人を上回り、一万四千人台の史上最高を記録するものと思われます。同様に、負傷者の数も六十万人をこえるものと予想されております。  こういうように、交通事故史上最高の死傷を記録するということは、とりもなおさず史上最悪交通禍意味するわけであります。これが解決は、現下最大の政治的、社会的並びに人道上の問題でありますことは申すまでもございません。  本小委員会は、事態のきわめて重大かつ遷延を許さざる実情にかんがみまして、交通安全諸施設整備促進悪質違反者取り締まり運転免許制度大型車対策安全運転のための構造装置改善被害者対策の早急な促進等につきまして、強力に諸施策推進し、交通円滑化並びに事故防止に対する国民の熾烈なる要望にこたえたいと存ずる次第でございます。  時あたかも昭和四十二年度予算編成の時期でもございますし、委員各位の格別な御協力を得まして、早急に結論を出し、実行に移したいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、警察庁から交通安全上の諸問題、総理府から交通事故防止徹底をはかるための緊急対策並びに重点施策について資料がそれぞれ提出されております。説明を求めます。宮崎陸上交通安全調査室長
  3. 宮崎清文

    宮崎説明員 総理府陸上交通安全調査室宮崎でございます。  最近の政府の全般的な交通安全施策の概要につきまして御説明申し上げます。  最近におきます政府交通安全施策の根本をなしておりますものは、昭和三十七年に内閣総理大臣諮問機関として総理府に設置されました交通基本問題調査会というのがございまして、これが昭和三十九年の三月二十七日に答申を出しております。この交通基本問題調査会は当時といたしましては、交通に関する第一流の学識経験者の方々を委員にお願いしまして、非常に熱心に討議された次第でございます。  この答申は、三部門に分かれておりまして、第一が交通体系全般に関するもの、第二が都市交通に関するもの、第三が交通安全に関するものでございます。この交通安全に関する部分答申が現在私たちがいろいろ考えております、また推進しております政府交通安全施策基本となっておるわけでございます。これは政府諮問機関答申でございますから、政府といたしましては、これを尊重する当然の義務がある、こういうことでございます。  内容はいろいろございますが、非常に簡単に申し上げますと、まず第一が、道路交通環境整備に関することでございます。第二が、交通安全教育あるいは交通安全思想普及徹底ということでございます。第三が、交通取り締まりの問題それから第四が、救急医療とかあるいは損害賠償を含めました被害者救済の問題でございます。したがいまして、自来私たちといたしましては、以上申し上げました四つ交通安全施策の大きな柱といたしまして、その後対策を進めているわけでございます。  ところで、先ほど委員長からもお話がございましたように、昭和三十九年におきます交通事故死者は一万三千三百十八名という、史上最高の悲しむべき数字を出したわけでございます。これに対応いたしまして、昭和四十年の一月十三日、お手元にお配りしてございます交通事故防止徹底をはかるための緊急対策というものを交通対策本部で決定いたしました。これは翌日の閣議で、臨時交通関係閣僚懇談会の了解を得ておりますが、これを決定いたしております。これはここにも書いてございますように、先ほど申し上げました交通基本問題調査会答申でうたわれておりますいろいろの事柄のうち、特に緊急かつ重点的に推進を要するものを取り上げまして決定いたしたわけでございます。  内容をごく簡単に御説明申し上げますと、第一が、道路及び交通環境整備拡充ということでございまして、これにはまず何よりも交通安全施設整備拡充ということを第一にやらなければならない。御承知と思いますが、わが国におきます交通事故の一つの特色は、歩行者事故が非常に多いということでございます。これは諸外国に比べましても明らかにパーセントは上回っております。したがいまして、何よりも人命尊重歩行者優先という見地から、交通安全施策を考えなければならないわけでございますが、そのためにはこの交通安全施設、たとえば歩道整備するとか、ガードレールをつくるとか、信号機をつくるとか、横断歩道橋をつくるとか、あるいは街路照明灯をふやすということが何よりも大切であるということから、交通安全施設整備拡充重点を置いたわけでございます。  その他、これは主として警察のやることになると思われますが、交通規制合理化であるとか、道路不正使用排除であるとか、屋外広告物規制強化であるとか、あるいは子供の遊び場がないために子供道路上で遊んでけがをするということを防ぐために、児童遊園地児童公園等整備するということが含まれております。  第二が、交通安全活動推進でございまして、これは学校における交通安全教育をいまよりさらに推進していく、あるいは都道府県であるとか市町村であるとか、いわゆる地域社会における交通安全思想普及徹底をはかる、その他いろいろな民間団体による交通安全運動を積極的に推進するというのが第一の中身でございます。  第二は、運行管理体制強化でございまして、これは自動車を多数使用しております運輸事業等におきましては、運行管理体制というものがうまくいっているかいないかによりまして、非常に事故の消長がございますので、これらの運行管理体制を的確に行なっていく。さらには自家用自動車運行管理体制につきましても強力に推進していく、こういうことでございます。  それから第三は、これは主として警察でおやりになることでございますが、運転者改善対策、つまりよく事故を起こしたり、違反をする運転者に対しましては、これは徹底的に検査いたしまして矯正していく、あるいはどうしても矯正できない者は、運転免許制度から排除する、こういうようなことを的確に行なっていくこういうことでございます。  それから第三が、交通秩序確立、これは一番問題になっております無免許運転酔っぱらい運転等交通暴力徹底的に取り締まる、あるいはこの交通暴力排除するために国民協力体制をつくり上げていく、さらには交通違反に対する罰則、これは実は道路交通法におきます交通違反罰則につきましては、先生方十分御承知のように、昭和三十九年に道路交通法の一部改正をお願いいたしまして、これを相当引き上げております。残ります問題は、いわゆるひき逃げ等に始まります自動車運転者が人をひいた場合の処罰の規定でございます。刑法の業務上過失傷害罪、これの罰則強化という問題でございまして、これは法務省の所管でございますが、すでに国会にもこの刑法改正案が上程されております。しかしながら、現在までその成立に至っておりません。  それから第四が、被害者救済対策確立でございまして、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、まず第一の問題は、救急医療対策をすみやかに確立する。そのためには、先ほどお話がございましたように、救急医療センターというのを急速に整備する、あるいは救急搬送、つまり救急車整備いたしまして、事故現場からけが人をすみやかに病院に運ぶ、こういうようなこともいろいろ立ちおくれておりますので、これらの点を推進する。  第二は、損害賠償の問題でございますが、わが国はよくいわれておりますように人の命が不当に安過ぎる。したがいまして、交通事故による被害者の方も必ずしも満足な損害賠償を受けておられないという状態にございますので、これらの点をすみやかに向上をしていかなければならない、こういう点でございます。  それから第五が、交通事故防止に関する総合的研究推進、これは主として交通事故防止に関しますいろいろ科学的、技術的研究推進でございます。これもいろいろ御意見がございますので、今後重点的にやっていきたい。  それから最後に、交通安全施策につきましては、もう何よりも国民皆さますべての英知を集めることが大切であるというところから、これは実はアメリカ合衆国におきます大統領の交通安全会議というものにならったわけでございますが、交通安全国民会議というものを開催いたしまして、政府交通安全施策民間皆さま方に御理解いただくとともに、適切なる御協力を得たいということでございまして、こういう緊急対策を決定したわけでございます。繰り返しますように、この緊急対策は、先ほどから申しております基本問題調査会答申に盛られております内容のうち、特に緊急かつ重点的なものを選びまして早急に実施するということを考えておるわけでございます。  その結果といたしまして、いろいろございますが、まず第一には、昨年警察庁建設省が一体となりまして交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法を本年の国会で成立させていただきまして、それに基づきまして現在三年計画をもちまして、主として既存道路における交通安全施設緊急整備をはかっておるわけでございます。その他、たとえば運転者管理の問題につきましても、これも同じく警察庁でやっておられますが、三年計画電子計算機を導入いたしまして不適格者を確実にチェックしていく方法を目下推進中でございます。  それから交通安全国民会議につきましては、すでに御承知と思いますが昨年の三月第一回の会議を開きまして、自後昨年の九月に第二回、本年の五月に第三川の会議を開き、それぞれかなりの成果をおさめているわけでございます。  なお、この交通基本問題調査会答申におきましては、当時におきます交通安全施策は、政府の各省庁がいろいろ一生懸命やっているが、どうもこれを取りまとめるといいますか、総合調整的な機能が欠けている、したがって、すみやかに内閣または総理府交通安全行政に関する総合調整機関を設けるべきであるということが答申にうたわれております。  また、先生方も御存じのように、昨年道路交通法の一部改正がこの国会で成立いたしました際に、衆参両院地方行政委員会におきましてそれぞれ附帯決議がつけられたわけでございます。その附帯決議の中におきましても、すみやかに交通安全行政に関する総合調整機関を設けるべきであるということがそれぞれ両院におきまして決議されております。そのような点にかんがみまして、政府におきましては昨年の五月に総理府に、現在私が所属いたしております陸上交通安全調査室を設置いたしまして、以来交通安全行政に関します各省庁間の連絡、総合調整に当たらせているわけであります。したがいまして、私どものところもできてからまだ一年ちょっとしかたっておりませんが、精一ぱい努力いたしまして、今後は交通安全に関するいろいろな取りまとめをやっていきたいと思っております。  なお、昨年の交通事故は、幸いにいたしまして死者にいたしまして一万二千四百八十四名という数字で、一昨年の史上最高の一万三千三百十八名から八百名程度減少したわけでございます。私たちも非常に喜んでいたわけでございますが、本年に至りますと、また再びこの事故激増の傾向になりました。そこで本年の五月の十九日でございますが、再び関係者が集まりまして、お手元にお配りしております資料の第二でございますが、交通事故防止に関する当面の重点施策というものを交通対策本部で決定いたしたわけでございます。これの基盤になりますものは、繰り返し申しますように交通基本問題調査会答申でございますが、さらに先ほども御説明申し上げました、昨年決定されました緊急対策のうち、さらに本年の交通事故激増に対処して当面最も重点的に行なうべきものという意味で、これを決定いたしたわけでございまして、内容はすべて緊急対策に盛られている事柄だけでございます。  一番問題になりましたのは、先ほどもちょっとお話し申し上げましたように、交通安全施設整備事業、これの三ヵ年計画が策定されましたので、この予算を早期執行いたしまして、一日も早く交通安全施設整備していく、ここに最重点を置きまして、自来その方針に従いまして各省庁一生懸命やっておるわけでございます。特にこの交通安全施設整備事業につきましては、後ほど交通局長から御説明があろうかと思われますが、警察庁建設省との間に、これはごく最近でございますが、推進本部を設けまして、さらに一そう強力に推進していくということになっております。  このようなわけでございまして、交通安全施策といたしましては、まあいろいろ立ちおくれはごさいますが、いまのところ私たちとしてはできるだけのことを努力しているつもりでございます。  なお、来年度の施策につきましては、もし御質問がありましたらお答えさせていただきますが、目下のところ私たちといたしましては、先ほどから申し上げております四つの柱がそれぞれバランスがとれてこれが推進されていくことが望ましいわけでございまして、そういう意味におきまして、若干立ちおくれております被害者救済の問題、救急医療でございますとか、交通事故相談の問題でございますとか、そういう点に来年は重点を置いて予算折衝その他を進めていきたい、かように思っております。  たいへん簡単でございますが、総理府といたしましてここ最近交通安全施策につきましてとりました内容の御説明でございます。
  4. 亀山孝一

  5. 内海倫

    内海説明員 先にちょっとお断わりを申し上げたいと思うのですが、実は本日提出いたしました「交通安全上の問題点について」、これは当小委員会が設置されまして資料を提出申し上げますために作成いたしたものでございますが、たまたま昨日、年に二回しか行なわれない全国本部長会議がございまして、その席上、私からこの問題につきまして本部長諸君説明をいたしました。その関係上、資料本部長会議資料として新聞社皆さん方にも提供いたしました。そういうことで、きょう提出いたします資料内容が事前に新聞にも出た結果になりましたが、この点は私の責任においてきのう本部長会議説明をいたしました点でございますので、どうかあしからずお許しをいただきたいと存じます。  さて、この資料性質でございますが、政府全体といたしましての、総合的に決定して行なっておる施策内容及びその施策方針というものは、ただいま総理府のほうから御説明のあったとおりでございまして、私どももその線に沿って現在仕事を進めておるわけでございますが、ここに「交通安全上の問題点について」ということで相当項目のものを掲げましたのは、全国一線警察本部からいろいろ考えておる、あるいはこうあってもらいたいと思うような点を全部とりまして、それらを総合して、いわば事故防止を担当いたしております第一線仕事に当たっておる警察という立場から、こういうことをやってほしい、あるいはもし国会論議いただくのであればぜひ国会論議をしていただきたいというふうな形でまとめたものでございまして、したがいまして事柄関係の各省にわたっておることもございますが、いずれも私どもの所掌の分を含めまして問題として出しておるものでございますので、どうかその点は御了承を願いたいと存じます。したがいまして、私どもはもっぱら事故防止の観点から問題を掲げておりまして、あるいは国民経済とか生産性というふうな点からまたいろいろ御論議があろうと存じますので、そういう点も十分この委員会で御審議をいただくことを期待いたしまして出しておるものでございます。はなはだ僭越でございますが、この性質だけを御説明申し上げておいて、若干内容につきまして御説明をさせていただきます。  大体の組み方は、いま総理府宮崎室長から御説明になりましたような項目を大きなワクにして組んでございます。  1は「道路交通環境整備」の問題でございますが、大部分は本来建設省所管となっておる仕事でございますし、また現に交通安全施設緊急整備ということで私ども建設省仕事を進めておる問題でございますが、それらのうち特に歩行者の保護ということで大事な点を(1)に掲げまして、歩道整備あるいは横断歩道施設の充実というふうな点を掲げ、さらに信号機整備というふうなものを私ども仕事としてここに掲げておきました。  それから(2)の「運転者のための安全施設整備」、これは自動車運転をしておる人たちの安全をはかるために、こういうふうなことがぜひ望ましい、あるいはこういう点が問題だということで掲げました。アの「信号機機能高度化」と申しておりますのは、最近信号機は相当ふえてまいりましたけれども、 いろいろまたそれなりに意見、批判が出ております。信号のサイクルの調整が悪いとか、いろいろございますので、これを系統化する、あるいは自動的に調整できるような感応化をはかる、こういうふうなことをいっておるものでございますし、建設省では道路の上のいろいろな境界線その他の問題を掲げております。  それから、特に私どもが強く要望いたしたいのは、踏切事故が依然として走こっておりますが、  その設備の改良あるいは踏切道そのもの整備統合というふうなことがさらに推進されることが望ましいというふうなことでこれを掲げました。  (4)の「道路構造令の再検討」は、現に建設省で行なわれておるところであります。私どもも期待をいたしておるところでございます。  「交通安全教育徹底」の問題につきましては、これも先ほど安全調査室長から言われましたような基本的な政府の総合的な考え方で現に推進をしておるものでございまして、特にここで取り上げて私から御説明を申し上げるものではございませんが、ただ、安全運動というものがやはり徹底して行なわれないと、現在の交通事故はなかなか減らないということを、一線の体験からみな痛感した意見として言ってよこしておりますので、あらためてここに一線の声を反映して掲げたわけでございます。とりわけ一線から強く要望いたしておりますのは、最近自家用自動車運転するいわゆるマイカー族といいますか、そういう者が非常にふえてまいりましたが、これらがなかなか教育しにくい、あるいはいろいろな資料を配りにくいというふうなことで、民間団体組織化というふうなことを強く要望いたしてきております。  それから(4)の「交通指導員制度の採用の検討」ということでございますが、先ほど交通警察官増員ということの要望があったようでございます。私どもは当委員会のたいへんな御協力を得ましてさきに一万人増員をしていただいておるわけでございますが、やはりなかなか現状から考えまして十分と申せませんので、何とか交通警察の補助に当たるような人々を期待するような、しかもそれがある程度責任と最小限必要な権限を持った指導員制度というふうなことで警察の力を補うような制度が採用されないものかどうか。これも利害得失がございますので、私どもはこれを検討材料として実は持っておる次第でございます。  3の「運転免許行政強化」の問題につきましてもかなりたくさんの問題を掲げておりますが、いずれも私どもが前から問題にしており、また現在もいろいろ検討を加えており、できますならば当小委員会におきましていろいろ御意見をいただきたい、あるいは御指導をいただきたいという意味で掲げておるものでございます。  運転免許資格などにつきましても、大型トラックあるいはマイクロバスなどの最近の事故を見、あるいはいろいろ統計化してみますと、やはり若い人が経験一年足らずで運転しておるときに非常に多くの事故が起こっておるというふうな実情から、さらに昭和三十七年のときでございますか、道交法一部改正の際の当委員会附帯決議などにも資格年齢の再検討をするようにというふうな御意見もいただいておりまして、こういうふうな点をここに掲げました。  精神病者排除対策の問題は最も大事であり、真剣に考えなければならない問題として掲げておりますが、これを行なうにつきましては、いかなる具体策をとるべきか、いろいろ方法その他を考えておりますが、問題の多いものでございますので、ここに掲げました。  この前の、委員会阪上先生からも、性格粗暴のような者をチェックする方法はないかという御意見をいただきました。私どももそういう研究はいたしておりますが、さらにそういうことの推進をはかりたい。その他いろいろ行政処分等の問題についても現在検討しておる点を掲げております。  (6)のところで「重大な人身事故を起こした運転者に対する運転免許の仮停止の制度検討」ということも、この前の阪上先生の御質問の中にも関連しておったわけでございますが、実を申しますと、これも数年前から何とかならないかということで検討を続けておるところでございましたが、もう一度この委員会においても検討御をいただきたいということで出した次第でございます。  無免許運転防止方法等につきましてもいろいろ具体的に考えたいと思っておりますが、これを掲げました。  4は、主として「事故防止を図るための自動車構造装置改善等」の問題でございまして、これもいずれも運輸省あるいは私どものところ、さらに総理府などにおきましていろいろ検討し、意見の出ておるものばかりでございますが、同時に(2)、(3)などの問題、要するに事故があった場合に運転者や乗客の被害を軽減するためにハンドルが衝撃を吸収できるような装置になっておるものをつけると事故が減るのだがとか、あるいはヘルメットをぜひ広範にかぶせてくれ、安全ベルトをぜひつけるようにしてくれというふうな要望が強く出ておりますので、これをここに掲げました。  また(1)のタコグラフの問題、速度警報装置問題等もあわせて掲げた次第でございます。  悪質な交通法令違反者に対する取り締まり強化でございますが、これは私どもが当然毎日行なわなければならない問題でございますが特に私どもが重視しておる問題をここに掲げました。  (1)はもっぱら歩行者を保護するための取り締まり。  (2)は、この自動車交通の流れの中で非常に悪質な暴走をする車が目立ちますので、こういうものに対しては特に覆面パトカー等によって取り締まり強化したい、かように考えて掲げました。  (3)は、先ほど安全調査室長から話のありましたような問題でございます。  それから(5)の「交通反則行為に対する通告制度  の創設」という問題は、いわゆる新聞などでチケット制というふうに報ぜられておる制度であります。現在道交法の一部改正として私ども検討を続けておるところでございます。  6の雇用者対策も、いままでたびたび言われておる問題を、やはり一線から強く雇用者に対する監督などを関係省できびしくやってもらいたいというふうな要望がありましたので、これを掲げました。  (2)の「安全運転管理者の設置要件である使用自動車台数の引下げ」を、前に道交法の一部改正として定めていただきました十台というのをさらに五台くらいにしたらどうかというふうに私ども意見をここに出しておるわけであります。  「大型車による事故の防止の徹底」につきましては、すでに前に閣議において国家公安委員長からも発言がございまして、閣議の御了解を得ていまその推進をしておるところでございますが、とりわけ住宅街あるいは非常に狭い道路、本来すでに建設省所管の車両制限令で制限を受けておるはずのような道路に大型車が入り込んでいろいろ事故を起こしたり交通妨害を生じておりますので、こういうものに対する諸般の措置を考え、われわれの考え方をこの間の本部長会議におきましても指示をいたしたところでございます。  なお、大型車の運転資格につきましては、私どもはできるならば経験年数というふうなものをできるだけ重視していくことが必要ではないか、さらに大型車の車両構造改善する道がないかということを考えております。  それから砂利とかあるいは砕石などを運送するトラックの問題がございます。これは非常にむずかしい問題でございますが、一応根本的に問題を究明していく必要があるのではなかろうかということで掲げました。  8の「交通安全のための科学研究推進」につきましては、ただいまの安全室長のおっしゃった点と何ら異なるものではございません。  9の「被害者救済対策推進」につきましても、一線から強く要望してきております点をあわせて検討してここに掲げたものでございまして、いずれも調査室長から御説明申し上げたと同様のところでございます。  以上、非常に簡単でございましたが、資料について御説明をいたした次第でございます。     —————————————
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 以上の説明に対しまして、質疑の通告がありますのでこれを許します。阪上君。
  7. 阪上安太郎

    ○阪上小委員 きょうから小委員会でありますので、したがって微に入り細にわたりお互いに研究をしなければならぬ、 このように考えております。きょうは一応説明を聞いた程度でありますけれども、なおその中で若干質問をいたしておきたい、このように考えております。  緊急対策を特に私が取り上げたいと考えておるのでありますが、その中で取り締まり行政に偏向するわけではないのであります。それだけではとても事故防止はできないと考えております。遺憾ながら当面緊急対策ということになれば取り締まり行政ということが先に出てくる問題であろう、このように私は理解しております。  そこでいま御説明を受けました中で、警察庁の本日出されました「交通安全上の問題点について」、この中で若干拾ってみたい、かように考えております。なお、何回か重ねているうちに、さらにこまかい質問になってくるかと思います。  そこでまず最初に、「道路交通環境整備」の中の横断歩道橋なんであります。こんなことを諸外国でやっておりますか。私はあちらこちら見ておりますけれども、やはりそこにカッコの中に入っておる横断地下道、これに諸外国は重点を置いているように私は考えております。歩道橋、あれは一体何メートルの高さになっておるか。あんなものをこの忙しいときに渡って歩く人は——よほどのことでなければ渡らないのであります。たとえば環状七号線あたりを見ておりましても、歩道橋を渡っている人はほとんどないのであります。ないのに、あんなものをつくっておる。ここに私は問題点があるし、いままでの交通安全対策施設に対する考え方が、根本的に誤っているのじゃないか。人間の習性というものをよく考えていかなければいけない。で、オーリストア等でも私は見たのでありますが、これはもうほとんど地下道であります。地下道でありますと、きわめて低い地下道でこの役を果たすことができる。したがって、階段も数段上がりおりすればそれでいいようになっている。ところが、道路の上に渡しますと、ある一定の高さというものを保っておきませんと、トラックや何か通れない、大型車も通れないということになる。したがって、渡る者の側から考えたら、あれはたいへんな労力を要する、こういうことになるわけであります。金はかかるでありましょう。金はかかるでありましょうけれども、今後ともあの方式でやっていくのかどうか。これはきょうは建設省の方はお見えになっておりませんが、総理府からは見えておりますが、ああいうものの考え方では、これは施設の面において道路交通事故を防止することはできないのじゃないか。この点でひとつ見解を伺っておきたい、このように思います。
  8. 内海倫

    内海説明員 本来建設省からお答えするのが適当と思いますが、横断歩道橋は確かに阪上先生の御意見の点が欠点であると私どもも思っておりますが、同時にいまの交通実情を見ておりますと、とにかく路面を横切るということの危険から、何とかこういうふうなものをという強い要望もございますし、また地下道ということになりますと、できればそれがいいのでございますが、経費その他の関係もあって、安全が第一ということで、いろいろなそれによる不便は考えられながら、私どもはこれをいまは推進しておるわけでごさいますが、でき得るならば渡る人にもっと都合のいいものがということを願ってはおります。  ただもう一つ、地下道の問題での問題は、在来の経験から、地下道が、人がうんと通っておるときは問題ないのでございますが、夜など非常にいかがわしい行為の場所になったり、そういうふうなことが他の面からいろいろいわれておりまして、そういうことも地下道の場合には考慮を要する問題だという点で私どもは考えておるところであります。
  9. 阪上安太郎

    ○阪上小委員 そういう問題も派生するでありましょうけれども、しかし、それだけの理由で地下道をやらないということであってはいけないのではないかと思います。たとえば現に宮城前など、こんなぶざまなことをやっておるところはないですよ、世界各国公園の中で。それはロンドンのあのビクトリア公園の付近におきましても、ほとんど地下道でこれをこなしておる。私はそうすべきではないかと思うのです。大体けちくさくて、いままでの日本の地下道なんというものをつくります、と金をかけていないものですから、電灯も十分についてないし、いろいろな設備の不完全さがそこにあらわれてきておると私は思います。  それからいま一つ、総理府あたりで考えてもらいたいのですが、道路整備五ヵ年計画などつくっておりまして、どんどん新しいハイウェーがこれからできていくわけなんです。それらについても、最近事故が郊外にあるいは地方都市に非常にふえてきております。そういう関係からも、ああいった整備計画の中で十分に横断地下道なんかを考えておく必要がある。一たんつくっておいて、交通事故がどんどんふえてくるとあわてて歩道橋をつくっていくというようなものの考え方ではいけないと思うのでありますが、これは緊急の間に合わぬ問題でありますけれども、一つでも二つでもいいからやはり地下道に考え方を改めていくということが、本来ではないかと思います。これも大いにこの委員会検討すべきだと私は思っております。  次に、信号機整備でありますけれども、これは歩行者側から見ても、運転者の側から見ても、やはりもう少し親切な信号機をつける必要があるのではないか。ここで私が強調したいのは、諸外国がことさらに歩く人々の多いところで画然と人と車とのそれぞれの信号機をつけておる。私はここのところじゃないかと思うのであります。日本でもやっているところもあると思いますけれども、やはり黄色の段階においてあるいはもっと時間を延ばして、あそこでもって人が歩くという信号機を、なかなか——日本は諸外国と違って交通の発達の程度がひどいですから、やはり人と車と分けるという一歩進んだ考え方をとることが必要だと思うのです。この点について内海さん、あなたの考え方はどうですか。
  10. 内海倫

    内海説明員 信号機につきましては、私どもも、長年これが使われながらそれのほんとうの研究というものが行なわれず、ようやくここ三、四年、やっと信号機機能というものを考え始めておるようなことで、そういう点ではわれわれもざんきにたえないところでございますが、やはり信号機機能につきましては、車に対するもの、歩行者に対するもの、それぞれ合理的な能率的な機能が発揮いたしますように、現在もその施設においていろいろ考えておるところでございます。御意見につきましては、十分私どもも盛り込んで検討し、実施していきたいと考えております。
  11. 阪上安太郎

    ○阪上小委員 いまの問題は、例の歩行者がただ単に青信号歩行者だけが通るというあの行き方じゃなくして、人と車との信号が画然と違うのだ、明確に区別してしまう、そういうものをひとつ検討してもらいたいと思います。  それから交通安全教育の問題ですが、皆さんも小学校に行かれればよくおわかりだと思うのですが、歩いている人自身、歩行者の不注意によって事故を起こしておる場合が非常に多いわけですが、諸外国ではこれが少ないというふうに承知しております。日本ではことさらにこれが多いということでありますけれども、なるほどそれは歩行者優先の大原則、これはあくまでも守らなければなりませんが、それだからといって歩く人が交通法規も何もわからぬ、突然飛び出してくるという例が非常に多いわけであります。諸外国、ことにヨーロッパあたりの大都市あたりで見ましても、どうして少ないかということを見ておりますと、あの交通状態を見ておりますと、人の歩いておる姿を見ておりますと、やはり自動車というものをよく知っておるわけなんです。  自分で免許証を持っておるのじゃないかと私は思うのであります。そういう関係から非常に事故が少ない。非常に混雑しておりながらも整斉と動いておるという場面が、非常に見られるわけであります。そこで三つ子の魂百までというようなこともありますので、これは幼稚園のころから交通規則を皮膚で感じるようにしておかなければいけない。こんなややこしい道交法を読めといったって、なかなか読めるものじゃない。ですから、そのためには、前々からやかましく言っておりますが、交通児童公園ですか、何と名前をつけますか、これがもっとあってしかるべきじゃないか、こういうふうに思うわけであります。これについて、警察庁では研究所に一つつくっておるということだと私思うのであります。ほかにもこういったものを各県であるいは大都市でもってつくっておるかどうか。学校の校庭で線を引っぱってやっておるようなことでは、だめだと私は思うのであります。実際に子供用の車に乗せてみなければいかぬ、オートバイに乗せてみなければいかぬ。いま研究所でやっておられるような、ああいうものがもっとたくさんあってしかるべきじゃないか。総理府計画によりますと、児童公園をつくるとか何とか、これは消極的な面ではないかと思います。これも必要ですけれども、もっとそういったほうに頭を使ってみたらどうですか。その辺の見解はどうでしょうか。
  12. 宮崎清文

    宮崎説明員 交通公園の問題は、実は建設省、厚生省等の担当者がおりませんので的確なことは申し上げかねますが、私の承知しております限り、先ほど先生が御指摘になりましたような、積極的に子供交通教育を行なうという交通公園の必要性は十分承知いたしております。ただ、これを実際につくりますと、なかなか用地の問題でございますとかその他いろいろございまして、現在のところは、私の承知しております限りにおきましては、全国で二、三ヵ所だと思います。こういうことにもちろん満足はいたしておりませんので、将来そういう意味の積極的な交通教育をはかるための公園の増設を考えていきたいと思っております。  なお、当面の問題といたしましては、子供の遊び場をつくるという意味の児童公園、これは本年度も五百ヵ所につきまして補助金を出しておりますし、来年度もさらに五百ヵ所以上の個所に設置する計画を立てております。
  13. 阪上安太郎

    ○阪上小委員 そこでいまの問題ですが、前向きに——きょうは午前中前向きがえらく問題になっておったようでありますけれども、前向きに考えて、たとえば東京都内でもその他の場所でも、大きな団地があるわけなんですね。こういうところには、ちょうど手ごろの子供がおるわけなんです。この子供たちに遊びながらそういう交通規則のわかるようなことをさせるのは、それほど大したことじゃないと思う。しかもあの団地の中にはとほうもない緑地なり何かを持っておるのであります。ですから、もう少し積極的に、前向きにこの問題を取り上げていくべきじゃないか。これは私の意見をちょっとつけ加えておきたいと思います。  それから次に、先ほど前議員の高田さんから陳情がございましたが、交通警察官増員という問題であります。それと関連して、交通指導員制度というようなものがここに出てきております。これはもういつもこの交通委員会で問題になるのですが——問題にしておるのは私でありますけれども、例の機動隊ですね。いろいろ機動隊の任務というのも、われわれわからぬことありません。ありませんが、あれはときどき道路交通法違反か何かでもって大いにデモ隊なんかを規制しておるのです。それもけっこうですけれども、あれをもう少し交通関係に使うわけにいかぬですか。交通規則を知らなくて、機動隊は交通取り締まりなんかできっこないのですから。こういうものをもう少し使う方法が、私はあるのじゃないかと思う。これをひとつ私は主張しておきたいと思います。  それから、いわゆる交通指導員制度ですが、私非常にこれは疑問を持つ。大阪で黄色いママさんがそれをやっている。東京で緑のおばさんがやって、大いに活躍してくれております。そのほかに道路工事等において臨時に赤旗を振っている人がおります。踏切なんかのところでも、これは自分のところの自家用の運搬車等を通すために監視をしておるのだと思うのですが、この程度ならいいと私は思いますけれども、それにしても警察権限を持たないこれらの人々が、これは前々からの問題なんですが、旗を出したらトラックがとまってくれるかというと、これはそれに従わなければならぬということにはなっていないように私は思うのであります。したがって、あの旗を出す人は、子供が通るからちょっと運転者さんとまってください、こうお願いしているんだということを、この委員会でも言っているわけなんであります。私はそういう権限のない人——またこれに警察権を持たすということもたいへんでありましょう。が、そういうやり方をいつまでも続けておるということは、私は適当じゃないと思う。指導員なんかにつきましても、私はかなり問題点があると思います。もしこれが旗の振りそこないをやったときに、一体だれがその責任を持つのかという問題も出てくるわけなんであります。この問題も長い間の問題でありますので、もうこの辺でああいう制度はむしろ逆にやめて、そうして交通警察官増員なり、そういった権限を持った者をして車の停止を要求するとか指導するとかという形に持っていってもらうことが必要じゃなかろうか。ことにあの機動隊なんかにおきましては、常時これを使う、併用するということは、また困難な向きもありましょうけれども、児童の登下校のときだとか何とかのときに、警察官を一人ずつ要所要所につけておくということを私はやらしたらいいじゃないかと思う。そういう点について見解を伺っておきたい。  交通指導員につきましては、もっと検討する必要が私はあろうと思います。全然なくていいとは私は言いませんけれども、非常にあぶないぞということであります。  なお、ついでにいま一つこの問題について。道路をやっておりますときに、ただこれは機械に権限を持たすというわけなんですね。交通信号灯というものをつければ何でもないことだと思うのです。人をつけないほうがもちろんいいのである。これは諸外国では、道路工事なんかをやっておりましても、臨時のゴーストップをつけて、それに従って車は自然に動くのであります。それを交通規則も何もわからぬのがおって、向こうのほうとこっちのほうと旗持って、それで通過する一番最後の車に旗を渡して、そして一方交通でこっちへやってくる。あんな間抜けたことをいつまでやらしておっては、私はいけないのではないかと思うのです。交通信号機などはこれは警察権を持っておりますから、何かそういったものにもつと積極的なくふうというものをやっていく必要があるのではないか、こういうふうに思っております。これはどうでしょうか。
  14. 内海倫

    内海説明員 交通警察にできるだけ機動隊員等を使用してはという御意見でございますが、全国的に見ますと、機動隊員は十分交通警察にも活用しておるわけでございます。東京などのように非常に示威行進とかその他問題の多いところにおきましては、なかなかそれを交通にまで常に使用するということは困難でございますが、それでも安全運動とか、特に交通取り締まり強化するような場合には、機動隊の諸君も活動しておるところでございます。東京以外の府県におきましては、機動隊もずいぶん交通指導あるいは取り締まりなどにも協力をさせておるわけでございます。  それから指導員制度の問題は、確かに御意見のような問題もございますので、私どもむしろいまのように非常にあいまいな形のものを何か整理して、少なくとも最小限の交通整理の資格と最小限の権限を持つような指導員制度というものができるものかできないものかというふうなことも、実は考えての問題を出しておるわけです。とりわけ中年で会社なり役所をやめたような人で、まだ体力的にもしっかりしておるような人、たとえば警察官の退職者、あるいは会社をやめた人でも、そういうことで非常にしっかりしたような人をうまく訓練していけば、というふうなことも考えの一つに持っております。もとよりこれらは十分検討をする必要があるので、もちろん結論を出すに至ってはおりません。道路工事の問題につきましては、確かに御意見のような点がございますので、私ども道路管理者には、できるだけ、あるいは信号機による措置、あるいはもしやむを得ず人を使う場合も、交通の流れにさからうことのないようにスムーズにできるような訓練をした人でやってもらいたいということを言っておるわけです。今後も建設省とよく相談をしていきたいと思います。
  15. 阪上安太郎

    ○阪上小委員 それも研究事項で、ひとつ大いに研究してもらいたいと思います。それから運転免許資格年齢等の再検討、それから仮処分ですか仮停止、こういった問題、これは非常に私たちけっこうだと思います。大いに検討してもらいたい。この間京都かどこかで医学者のシンポジウムか何かありまして、そこで交通事故を起こした者の、いま刑務所におる人でありますが、それの脳波を調べた結果、一つのデータを得ているということを私新聞で見たのでありますが、非常におもしろいと思います。いまここであなたのほうではずいぶん苦慮しておられると思うのです。粗暴者の早期発見、事前発見というものは、たいへんむずかしい問題だと思います。そういう科学をひとつ取り入れて検討されたらおもしろいと思いますが、これは参考までに私は申しておきたいと思います。  それから免許証のフロントガラス掲示というものがだいぶいろいろと問題になってきたのですが、この間私の手元に陳情がありまして、もうすでにやっているのですね。愛知県の瀬戸では全面的にこれをやっている。これはよほど交通安全協議会か何かしっかりしているのだと私は思うのですが、お医者さんが先頭に立ってやっております。しかもこれはもう完全に実施されているということを実は報告してきております。ここにあります。  それから七色のにじの免許証というもの、これはなかなか問題点があると私は思いますが、これについても、ここでは四つの色でやっているのですね。しかし、これは実施できないです、法改正でもしなければ。しかしながら、七つがいいのか四つがいいのか、そういった色で区別することがいいのかということについては、かなりぼくは問題がある、かように思います。しかしながら急を要する問題ですから、運転免許証をフロントガラスヘつけるくらいのことは、行政指導で、あるいはせっかく行なっている国民交通安全運動の中で取り上げたらいいのじゃないか、悪いことじゃないのですから。そして法律改正をして強制するまでに、もうすでに大いに手をつけていい問題だと私は思うのですよ。この点についてはどうです、行政指導でどんどんやってしまったらどうだ。別に悪いことじゃないでしょう、もうすでにいまあちこちでやっているのですから。
  16. 内海倫

    内海説明員 フロントガラスに免許証を提示する問題は、この前も総理府の副長官からも御答弁がありましたが、私ども前向きで検討をいたしておりますが、できるならば当委員会でも討論していただきまして、そういうふうな御助言を得、あるいは御協力を得て、もしいいものなら行政指導等によってでもと考えておるのでございます。できましたら当委員会で十分御教示をいただきたい、かように考えております。
  17. 亀山孝一

    亀山委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。登坂君。
  18. 登坂重次郎

    ○登坂小委員 ただいまの免許証に関しまして、免許を与える自動車の教習所の監督指導でございますが、これはいわゆる県でやっている県の学校と、それから民間が行なっている民間学校と二つあるように聞いております。そしていま何でも九百か千かそのくらいあるそうですが、その自動車の免許を許可する基準は、学校によって非常に差があるのではないか。特にいま自動車学校の内容が、いいのもあれば悪いのもある。農閑期を利用して、あるいは忙しいときは東京のほうまで集めにくるとか、あるいは近在近郷を集めて歩いて、うちの学校は早く免許証を出すとか、免許に対しては特別なつながりがあるのだとかいうふうな声を、われわれはちらほら耳にするのであります。いま免許証で、何十時間という単位は正しく行なって、ある一定の資格のもとにくれていることはわれわれも認めるのでありますが、どうも免許証をもらったからすぐ車を動かされたのでは、皆さんが指導監督行政をいかにうまくやっても、もとが不安定なのだから、そういうものに対する教習所の育成指導強化、それから免許証をもらった者が、あるいはその中で何時間かもう少し時間数を得てから運転をするようにしたらどうか、かように思うのですが、こういう方面に対する御意見をちょっと承りたい。
  19. 内海倫

    内海説明員 お答え申し上げますが、いま御指摘の自動車教習所は、各都道府県公安委員会で指定いたしておるものが全国で約千百程度ございます。これらは道路交通法に基づきまして、この練習場の試験にパスして無事に卒業した者については、運転免許試験の一部を免除するという形でこの指定練習所が存在しているわけでございますが、結果的には、ここの練習所を卒業するということが特に技能試験におきましての免除になる関係で、事実上練習所が試験をしたような結果になりますので、私どもも、まず千百の教習所のレベルが均一になること、そして私どもが行なう試験と同じレベルの試験がここで厳重に行なわれるようになること、それから練習所が、そういう、直ちに街頭に出ても支障のない運転をする人をつくり上げるだけの教習内容になること、これらをきびしく要望いたしておりますし、そのための基準を設定して指導もいたしておりますが、なお一そう完全を期するためにいろいろ対策検討いたしており、当委員会のこの資料にも、教習所の問題を提案しておるところでございます。今後も努力をいたしたいと考えております。
  20. 亀山孝一

    亀山委員長 関連質問の申し出があります。大石君。
  21. 大石八治

    大石(八)小委員 阪上委員からちょっとお話のありましたフロントガラスに免許証を張るという問題なんですが、総務長官の森さんもそのことを非常に言っておられる。実は多少疑問があって、私先般ある警察署へ行って、交通取り締まりの人、署長等から聞きますと、警察の立場では、フロントガラスに免許証を張ることは困る。これは簡単にいえば、みんな免許証を持って走っておるんだということを証明立てておるような形になって、無免許の人の摘発といいますか、その観点からいって、私どもとしては非常に疑問なんだ。それだから、私どもはこれはもう少し慎重に考えてもらわなければ困る。というのは、大臣が言うものですから、そういうふうに実現してしまうと、あと警察が非常に困っちゃう。そういう意見を、私は実は前々からそのことを気にしておったものですから、あるところへ行って調べたのですが、そういう見解でございます。その他ありますけれども、そのフロントガラスだけについて、専門のほうのお立場ではどうなのか、ちょっとお伺いしたい。何かあなたは賛成のようなお答えでしたから。
  22. 内海倫

    内海説明員 いまおっしゃいましたような意見は、一線のほうの意見として言っている事実もございますし、私どもも、まだこういうことの是非については検討中でございますが、ただ、最近といいますよりも、無免許運転が非常に多いものですから、もしその防止に役立つ施策であれば、ある程度取り込みたいということで、前向きでの検討はいたしておりますが、先ほども申しましたようにまだ結論を得ておるものではございませんし、その検討の中には、いまおっしゃいましたような意見を含め、さらに、たとえばドアをあけた拍子に免許証が飛んだとか、あるいは盗まれたとか、駐車しておいて、置き忘れて盗まれてしまったということで、免許証紛失の度合いもふえたり、あるいはそれを理由に新しい免許証の交付を受けるというふうなことも考えられますし、あるいは人の免許証を借りて無免許運転するという者も出てくるというふうな、いろいろ欠点も私どもはあげつらっておるわけでございます。それらをいずれも十分討議して最終の結論にいたしたいと考えております。
  23. 亀山孝一

    亀山委員長 この際申し上げますが、小委員外地方行政委員から発言の申し出がありました場合には、小委員長において適宜これを許すことにいたしますので、御了承願います。  関連質問として、細谷君。
  24. 細谷治嘉

    ○細谷委員 運転免許の問題について、ちょっとしろうとの質問ですが、三ページの(4)に、「指定自動車教習所における教習内容の再検討(とくに路上教習の制度化等)」こういうことがあるわけです。実は、いま仮免なんかで指定教習所の生徒たちが、十台ぐらい車を連ねて路上の教習をやっておるわけですね。私もそれにばったりと会ったこともありますし、はたからながめておって、まことに危険なような感じがするわけです。飛行機の練習場がなくて羽田とか板付を使っておるので、これまたお客さんにご迷惑でしょうがない。路上の教習を受けるということは、必修のこととして必要だろうと思うのですが、必要だからという形でこれを制度化されて、何らこういうやるところの施設も持たぬで、町のまん中へ出てこられて教習をやられたら、これまた危険性が出るんじゃないかと私は思うのですが、この点についてどうお考えか。  もう一つ。端的にいいますと、いまは大型のトラックとか、それからダンプ、これはわが世の春なんですね。ともかく陸上では、汽車にぶつかる以外は自分が一番強いわけですから。乗用車など、ぶつかったって自分はけがしないわけですから、横行闊歩しているというのが実態だろうと思うのですね。その事故はたいへん大きい。ですから、酔っぱらって運転したって、家にぶつかろうが、ほかの自動車にぶつかろうが、大体自分は死なぬと思っていますよ。しかも、大体それに乗っているのは年齢が非常に若くて、元気盛んで精力のやり場がなくて、そして大体給料が悪くて、免許のとりたてというのが多いわけです。これについてけさの新聞を見ますと、年齢なり条件なりを考える。私は端的にいいますと、乗用車というのは、三年以上の実務経験とか五年以上の実務経験という形が採用条件になっているわけです。ほんとうの安全を守るという意味からいくと、ダンプとかトラックに乗るのが一番経験年数を積んだ熟練工ということでなくちゃ大きな事故は防げないのじゃないかと、こう思うのですが、この辺について、若干年齢とか条件とか考えておるように新聞に出ておりますが、どうお考えなのか。
  25. 内海倫

    内海説明員 最初の路上教習の問題でございますが、やはりこれで免許をとれば、あしたからでも路上を運転するというのが相当多い現状でございますので、免許を与えます前に、路上の経験を得るための教習ということがやはり必要でございます。が、おっしゃるように、非常にあぶない点もございます。法律では、こういう仮免許による運転は、必ず正規の運転者が横について、そして公安委員会が指定する路線、閑散なところを運転するというのがたてまえになっておるわけでございます。したがって、こういう制度を本格的にとります場合は、公安委員会が路上訓練に当たる場所をある程度するか、または逆に、路上運転に当てていけない場所を指定していく、そこの場所に行くまでは、ついておる教師のほうが運転して行って、そこをのがれたところから、今度は仮免許を持っておる教習生のほうが練習をする、こういうふうな形で指導をするというつもりでおりますが、ともかく、練習所の中だけで免許の技能を受けましても、やはり現実の交通の場の体験を持たないと非常にあぶないと思いますので、私どもは、これは何とか制度化していきたいと考えるのでございます。  それから、もう一つの大型トラックあるいはダンプカー等の資格問題でございますが、これも実は、私どもは御意見と同じような見方をとっておるわけでございます。それで先ほども申し上げましたように、道交法の一部改正の際も、当委員会附帯決議として、そういうものについての資格等の再検討をすることというのがついておりまして、いろいろ検討しておるのに、いまだに結論を得ておらないわけでありますが、確かに交通事故という面だけから見ますと、大型トラックとかあるいはマイクロバスでありますとかいうふうなものは一定の年齢——私どもは、現在の十八歳を、できるならば二十歳とかあるいは二十一歳とか、あるいは経験年数を、少なくとも一年あるいは二年持つほうが望ましいということを、交通事故の面から考えて考えられるわけでございます。他方、これについていろいろ反対の見解は、現在の雇用という面あるいは十八歳の人でも決して劣るんじゃないのだ、これは個人的な問題なんだというふうな、いろいろな意見もあり、容易に結論を導き出し得ないのでございますが、参考までに申しますと、国連が一応世界国連加盟国に推薦しておるのは、こういうふうな大型車両は二十歳以上であることが望ましいというふうなことを言っておりますし、また私ども事故統計からいいますと、やはり運転免許をとった一年目というのが非常に事故率が高くなっております。そういう面からは、確かに仰せのような点で問題があるように思いますので、ここに一応検討していただくために資料として提示をいたしておるわけでございます。
  26. 阪上安太郎

    ○阪上小委員 まだあとに質問があるようでございますので、これで終わりたいと思いますが、二点だけ伺っておきます。  一つは、要望でありまして、これは通産省がきょう来ておりませんし、それから厚生省もいない、消防庁もいない、こういうことでありますが、自動車構造、これについては十二分にやはり改善をしてもらいたいということなんであります。運転台が高過ぎるという軍があるようであります。それをいいことにしてのさばり歩いている。先ほども言っているダンプとかあるいはミキサー、いろいろなものがございますがこういった点につきましても十二分に改善する必要がある。  それから、いま一つはブレーキでありますけれども、ブレーキにつきましては、最近何か非常に新しいブレーキができてきておるようであります。こういった点につきましても、やはりいち早くそういったものを取り入れていくという考え方が私は必要だと思いますが、これはいずれまた小委員会で通産省に来ていただいて問いただしたい、かように思います。  それからいま一つは救急病院の問題であります。これは総理府もだいぶ力を入れておられるようでありますけれども、とてものことに、いまのような補助金ぐらいの額でこれをやり遂げるわけにはいかないと私は思います。たいへんな問題であります。これはおそらく三交代でもって徹夜でやらなければいけない問題だと思います。ところが、救急病院の看板を掲げておってもなかなかこれが救急の間に合わないというような問題、それから、この前の委員会でも申し上げましたように、脳傷のセンターを都内につくりましても、市外地につくりましても、周囲で発生した患者を運ぶ手だてというものがない。運んでいるうちに、もう死んでしまうというような問題も起こるわけであります。救急病院の数をうんとふやすことが必要であり、そのためには、かなりな思い切った財政援助をしてやらぬと、とてもでないが、それをやっていけないという問題が一つ。  それからセンターをつくりましても、そのセンターに運ぶ手だてというものがない。たとえばヘリコプターとか、そういうものを十分に準備しなければ救急の間に合わない。そうして後遺症がどんどん残っていくという問題がある。あるいは死んでしまう。こういった点につきましても、もっと検討されなければならぬ問題だ、かように私は考えるわけであります。以上は研究課題として提起しておきたいと思います。  最後に、いろいろああもしたい、こうもしたいということでありますが、もうお気づきのように、やはり先立つものは金であります。予算であります。ことに交通安全施設三ヵ年計画、これはたしか六百四十七億の計画だというふうに承っております。そうして四十一年度は、建設関係で百億と警察関係でわずかに八億五千万でありますが、この程度のものしか実はない。ところが、この三ヵ年計画の当初の計画によりますと、非常に大きな計画を実は持っておったわけであります。初めの計画では、大体二千キロの歩道、いま歩道のない道がたくさんありますので二千キロの歩道の建設、それから千六百ヵ所の横断歩道橋、それから三万八千基の道路照明、三万八千キロのガードレールという非常にたいへんな計画です。また、これだけやらなければならぬ、最小限ここまでやらなければいかぬということだったのでありますけれども、いま言ったような予算の裏づけしかない、こういうことなのであります。一方、諸外国に比べて十倍から十五倍も自動車関係の税金が取られておる。税金はうんとこさ取っておる、こういうことになっております。そこへ持ってきて罰金がどの程度ありますか、これはひとつ法務省で御答弁願いたいと思いますが、三十八年までの私はデータを持っております。それでは、交通関係が全体の大体七〇%ないし八〇%ということであります。三十八年までは、たしか百四十億程度か百六十億程度だったと思いますが、いまは二百億を突破しているんじゃないかと私は思うのであります。こういったものを一方に持っており、税金はうんとこさ取っておる。しかも、やらなければならぬ道路交通安全施設につきましては、計画は立てたけれども、これは当初からぐっと引っ込んでしまった。こんなことでもってこれをやれるかどうかの問題なんであります。遊園地もつくる、ガードレールもつくる、歩道橋もつくる、こう言ってみたとしても、そんなことでは、とてものことにこれはやっていけないのではないか。思い切ってここに予算をつぎ込まなければならぬ。先ほどお話がありましたように、交通安全運動に対するところの費用というものを交付税でみることがはたして妥当かどうかということは別といたしまして、これなんかはある程度補助金でみていかなきゃならぬ問題かもしれませんが、いろいろな点で、これは金がなくてはできない仕事であります。そのほかに、恒久施設をやらなきゃならぬのですが、こういった緊急施設をやるだけでも相当な予算の裏づけをしなきゃいかぬ。初めは大きく打ち出したのでありますけれども、これは初年度からへこんでしまった。こういうことでは、とてものことにできないと私は思うのであります。きょうは財政当局が来ておりませんので、この問題をどこまで検討していいかわかりませんか、そこで総理府として、この交通安全施策を四十二年度以降本格的に取り上げる意向が一体あるのかどうか。これは思い切ってやらぬと、こんなことをやっておってはだめですよ。  それからいま一つは、法務省関係の二百億に近い罰金の問題でありますけれども、通常これは条例でこれをやることができるように法改正をすれば、大蔵省へ持っていかれなくても済むんじゃないか、こういうふうに私は思うのです。そういう例があるのです。地方自治体で、条例でもって罰金を取ることができるようにしておけば、その罰金は自治体で使うことができるようになっておる。そこで、そういった方法に切りかえていく。そうして、こんななけなしの、年間百億や百八億ぐらいでできないということはわかっているんだから、思い切ってそういったところへ還元してやるというくらいの考え方になってもいいと私は思うのですが、それらの見解をひとつ伺っておきたいと思います。財政関係につきましては、お答えになれない向きもありましょうから、こまかいことは別といたしまして、決意のほどだけを私は伺っておきたい、こう思うわけであります。
  27. 宮崎清文

    宮崎説明員 罰金の問題につきましては、法務省から来ておりますので、それ以外の問題についてまとめてお答え申し上げます。  車両の安全の問題でございますが、すでに部分的には運輸省当局においても検討中でございます。なお、御指摘の点につきましては、通産省、運輸省、警察庁とも連絡をとりまして、今後検討を進めてまいりたいと思います。  それから救急医療の問題でございますが、先ほどちょっと申し上げましたのは、救急医療センター整備だけを申し上げましたが、それ以外にも、たとえば民間の開業医の方々が共同で救急医療用機械器具を購入いたしましてそれを共同で使う、そういう場合の補助金でございますとか、あるいは救急医療の指定されました病院に対します報償金のような制度、こういうものも来年度の予算で一応考えております。これらの施策を総合的に進めていけば、相当程度救急医療につきましては効果があるのではないかと考えております。  なお、御指摘のとおり、それらをすべて含めましての予算の問題でございますが、現在交通安全施策につきましては、もうすべきことはさまっておりまして、あとはいかにしてその予算の裏づけをするかということでございます。私の調査室ができました一つの使命も、長期的な展望に立ちました交通安全施策というものを考えて、それを年次的に予算の裏づけをしていくことがその大きな使命の一つだと考えておりますので、今後できるだけの努力はいたしたい、このように考えております。
  28. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 先ほど御指摘のありました罰金等の件について御説明申し上げます。  まず、資料的な意味におきまして最近二ヵ年間、三十九年度及び四十年度におきます罰金、科料の収納額等を御説明申し上げます。実は私どもといたしまして、罪名ごとに罰金、科料を集計いたしておりませんので、全罰金、科料の決算額を申し上げることになると思います。そういたしますと、現在わが国におきまして罰金または科料を言い渡されます事件の約九割は道路交通法違反にかかるものでございます。ところが、同法違反事件の罰金の額は、私ども経験からいたしまして、他の特別法犯、たとえば関税法でありますとか、税法とか、こういうものの罰金額に比しまして一般に低額でございます。したがいまして、私どもが推算いたしますときには、一年間に裁判言い渡しによりまして収納されました罰金額の七割ないし八割が道路交通法違反にかかるそれらであろうというふうな推算をいたしておるわけであります。そういう前提で申し上げるわけでございますが、昭和三十九年度におきます——これは会計年度でございますが、昭和三十九年度におきます収納済みの罰金、科料の総金額は百八十九億七千七百八万五千円でございます。大ざっぱに申しますと約百九十億円でございます。このうち八〇%が道路交通法違反事件にかかるものであるといたしますと、約百五十億円。それから七〇%と仮定いたしますと約百三十三億円ということになるわけでございます。昭和四十年度を見ますと、収納済みの罰金、科料の総額が二百五十五億八千五百二十三万八千円、大ざっぱに申しまして二百五十五億円でございます。これの八割と押えますと約二百四億円ということになります。七〇%と押えますと約百八十億円、こういうことに相なるわけでございます。  ところで、私ども検察庁関係といたしましても、最近におきます人身事故の増加は、直ちにいわゆる業務上過失致死傷害等の膨大な増加になっておりまして、何とかして人身事故が少なくなるように毎日祈りながら仕事をしておるわけでございます。そのためには、各種の安全施設でありますとか救急施設、こういうものが整備されますことを、職務を通じまして心から念願しておるわけでございます。  ところで、ひるがえって、それでは先ほど御指摘のように、やがて二百億円になんなんとしております道路交通法違反関係の罰金、料料、これをいわゆる目的税のような意味におきましてそのままこれらの安全施設、救急施設整備に充てるということが妥当かどうかということを考えてみますのに、やはり忘れてなりませんことは、これらは国の刊罰権の実現の結果得られた歳入であるといえます。すなわち、犯罪を犯した者が犯罪を犯したことのゆえに刑罰として徴された金額であるということでございます。したがいまして、犯罪の結果課せられる刑罰というものを、何らかの国の重要施策の財源としてストレートに考えるということは、これは財政当局のお考えはわかりませんが、刑事政策的な配慮をいたしております私どもとしては、直ちに賛成はいたしかねると存ずるのでございます。  なお、これに関連しまして、ただいま御指摘がございました条例の罰則の問題でございますが、現在の法制におきましては、各地方公共団体の条例によりまして罰則を設けて罰金を取るということがあり得るわけでございますが、そのような罰金も、実は国の裁判所が裁判をいたしまして、国の法令違反と同様に国庫へ入れておるわけでございます。その意味におきまして、道路交通法違反というものと、たとえば簡易取り締まり条例というものとは現在同じ扱いになっている。したがいまして、先生御指摘のような地方自治団体の財源にストレートにするというような措置をとりますためには、刑罰からはずすということが、少なくとも私どもの観点からは必要ではなかろうかと思うのでございます。なお、その刑罰からはずれました場合には、私ども所管ではございませんが、一般的に悪質な運転者、罰金等を取られた運転者道路を走りながら、その歩道橋あるいは横断地下道は、おれが事故を、あるいは違反を犯したおかげでできたのだというような印象を持ちますことは、やはり刑事政策的にいかがかということでございまして、なお慎重に検討を要する問題が刑罰の本質という点から出てこようかと存ずるわけでございます。
  29. 亀山孝一

    亀山委員長 関連質問で細谷君。
  30. 細谷治嘉

    ○細谷委員 関連質問で、警察庁がきらう点をひとつ。  これは私は、春の交通安全施設整備事業の際にお尋ねした点なんですけれども、この諸問題は、問題点について、中でもまだ解決しておらないようですからお尋ねするのであります。イギリスあたりでは、道路施設というものと管理というものは厳格に区別しております。今度整備事業というものができましたが、建設省が百億円、警察庁が八億五千万円ということで、計百十億程度の三ヵ年計画の第一年度をやるわけですけれども、その施設の中に、信号機整備とそれから横断歩道の標示、標示はともかくとして、今日の道路というものは、信号機のない道路というものは完成した道路とはいえないと思うのです。そこで私が言いたいことは、いま道路が悪いために非常に混離するところは、信号機をつけるとかえって危険だから信号機をつけないのだということになると、ごった返しておって、車はともかく、歩行人は通れない、こういう個所がたくさんある。そういうことからいって、道路は専門家である建設省に、一切の近代的な道路施設も含めて建設を担当させたらいいじゃないか。したがって信号機などは、これは道路構造の中で、これこれには信号機をつけなくてはいかぬという基準をつくって、その基準に合致しなければ車は通さないと、管理の面を担当する警察庁で押えてしまう。道路の基準に合った施設ができたならば、それはひとつ管理してやろう、交通面から管理してやろうという形で、施設を担当するところと、その道路道路交通管理する警察庁ときちんと分けて、責任体制をはっきりすることがいいじゃないか。どうも信号機警察庁の領分だから、これは建設省にやるのはいかぬ。建設大臣は、一本でやったほうがいいと私に答えたのですけれども警察庁は依然として、なわ張り争いかどうか知りませんけれども、これは警察庁でやるのだ、こう言っている。ですかな、設備と管理というものははっきり分けて、管理体制をはっきりすべきじゃないか。これが私の意見です。  それからもう一つ、同じようなことで、これは警察庁が喜ぶことなんです。仕事がふえるので喜ぶことです。いま救急業務というのは、数年前から消防署にくっけられておるわけです。むろん整形外科等の病院でその認可を受けてやっているところはありますけれども、大体常設消防を持っておるところでは救急業務をやっておる。ところが、最近国道等もある程度整備されましたので、いまはまあ常設消防を置くべきだという形で、毎年百五十か二百くらいの常設消防が新しい市、いわゆる町村合併促進法後の市に常設消防ができてやっておる。そこはどういうところかというと、大体二十五人か三十人程度の常設消防ができているわけです。ところがそこに国道が通っておりますと、どうしてもそこへ救急業務というものが起こるわけです。そうすると、車一台国庫補助をいただいてやる、相当超過負担をしてやる。その上に救急業務をやりますと、もう六、七人の消防夫がとられてしまうわけです。ですから、三十人で常設消防体制をつくろうと思っても、夜は火事がなければひまじゃないかというけれども、そうはいかぬ。消防のほうは、それが救急業務にとられて、国道が通っておる新しい市あたりでは、常設消防をつくってたいへんだ、こういうところにきておるのです。これが管理をし、しかも一番緊急迅速に現地に達し得る警察当局が、こういう救急業務を消防署からとったほうが、やはりもちはもち屋で迅速になるし、またその責任が持てるのじゃないかと私は思うのです。プラスとマイナスはありますけれども、私はこれがいいのではないかと思うのですが、いかがですか。
  31. 内海倫

    内海説明員 最初の道路管理者と信号機関係でございますが、確かにこの前の委員会におきましてもいろいろ貴重な御意見をいただいております。私どももそのような観点で建設省といまいろいろ打ち合わせをしております。お互いに法を改正するとかあるいは財政措置を直ちに変えるというようなことに関連しますと非常に問題が多うございますので、当面いろいろな問題の解決のために、建設省の直轄道路について、道路を新設する場合あるいは路線の一部をたとえばバイパスをつくるとかというような改築をいたしますような場合におきましては、信号機の設置等は道路構造の一部分として警察側と協議して、ここにこういうふうな機能信号機をつけるようにするというふうな形で道路管理者、要するに建設省のほうでそれを実施していくというふうな考え方について、いま両者とも前向きに話し合いを進めております。ただ問題は、地方の府県道以下の場合でございますが、特に市町村道等の問題になりますと、道路管理者と公安委員会の範囲が非常に変わってきたりいたしますので、この点はやはり根本的にいろいろ考えていく必要がございますので、まだそこのところについては具体的に話し合いを進めておりませんが、いま御意見のような点も私どもは決して否定しておるわけではございませんで、そういう考え方で両者で検討をしておることは事実でございます。  それから救急対策の問題につきましては、よその権限を取ることは私どもは最も好まぬところでございます。しかし実際に命の問題でございますから、現在でも実際上の交通事故が起きた場合には、私の権限内だ、いや私の義務ではないというふうなことでなく、たとえパトカーを使ってでも何でも一刻も早く病人、負傷者を病院に届けるようにということの指導警察のほうにはきびしく行なっております。それ以上まだよく消防のほうとも相談いたしまして、またいい案が出るように期待いたします。
  32. 細谷治嘉

    ○細谷委員 建設省に譲るほうはかなり基本的に賛成したのですが、あまり謙譲の美徳を発揮してもらっても困る。現実に道路交通関係責任を持っていらっしゃる警察庁ですから、ずばりそうしてもらったほうがいいのだ、悪いのだということだけはちょっと聞かせていただけませんか。人のものをもらうのはいやだといっても、よくなることならけっこうなことであると思うのですよ。もう少し欲を出してもいいのではないでしょうか。
  33. 内海倫

    内海説明員 やはり救急業務という問題になりますと、これが実際の業務としてはかなり専門的な知識、装備というふうなものも必要と思いますので、すでに長年はわたって消防のほうではこれを研究もし、また大きなところでは人員、器材の整備もいたしておるところでありますから、やはり現状におきましてはそういうふうな実績を持ったものが行なうのがいいと思います。ただ、いまおっしゃるように、そういう救急業務を実際に行なっておらないし、またそういう設備も人員も持っておらない一定人口以下の市町村等に対する問題は、消防がやるのがいいのか、いわゆるそういういまおっしゃったような急にでき上がった常設消防で少ない人員でやるのがいいのか、あるいは警察でやるほうがいいのかということは、いま少し制度的にも研究は必要でございますが、それがいずれがいいかということの意見の表明は、本日は差し控えさせていただきたいと思います。
  34. 宮崎清文

    宮崎説明員 救急搬送の問題について補足さしていただきます。  現在救急自動車が消防の所管になっておりますのは、一つは歴史的な因縁がございまして、御承知のように警察も人命、財産を保護すべき責務を負っておりますが、これはどちらかと申しますと抽象的な責務でございまして、地震であるとか火災であるとか、そういう具体的な災害に基づく負傷者を救護するのはいわば消防のほうが第一次的な責務を負っているかっこうになっております。もちろん救急自動車はそういう天災地変以外に、急病であるとかそういう場合に必要でございますが、そういったいきさつから現在救急業務は市町村の義務になっておりまして、現実には市町村の消防機関が担当するという形になっております。御指摘の点は、一つは交通というものが非常に広域化されている場合に、こまかい市町村に与えなれた消防が救急業務をやるのが適当かどうかという点と私は理解いたしましたので、その点につきましてはむしろ消防体制の広域性と申しますか、という問題によってある程度解決ができるのではないか、そのようにも考えております。御参考までに申し上げます。
  35. 細谷治嘉

    ○細谷委員 御参考までにと、そこまで言われるとまたちょっと言わなければいわぬわけです。全国でいま常設消防を持っておるのは七百幾つしかないわけです。新しい市でも密集度が——町の形態をなしているのは一万以上とか何とかいう条件がありまして、せんだって私は高知県に行ったのですけれども、高知県では高知市ともう一つの市だけで、あと幾つかの市というのは常設消防を持たない、そういう状況なんですね。警察と消防というのは前は同じ組織であったわけですが、そのために常設消防を持ちますと、二十五人の職員を雇ったけれども、常時五、六人というのはこの救急業務に従事しなければいかぬ、こういうことになって、実質上の消防体制というのはつくれない。人を雇えばいいじゃないかといったって、これはたいへんな負担になるわけです。そこで私は、どこにもおるのが警察だし、そして事故が起こればすぐかけつけるのが警察だしするので、警察のほうが普遍的であるし、迅速にもいくし、また救急業務をやるに都合がよろしいのじゃないか、こう思っておるわけです。ですからこの辺はひとつ遠慮せぬで、よりベターなもの、過去に何年か経験したという、そんな問題じゃなくて、やはりこの問題はひとつ真剣に研究していただきたいと思います。消防関係といっても、ずばり言いますと、消防法の一条に人命の問題は書いてあるのであって、ほかには一つも、消防法の政令なり法律を見ても人命のことは書いてない、そのような状態ですから、これは警察がやるのが筋じゃないか、こう私は思っています。
  36. 宮崎清文

    宮崎説明員 私はただ現状の御説明を申し上げただけでございまして、将来の問題としたしましては検討をいたすにやぶさかではありません。
  37. 阪上安太郎

    ○阪上小委員 これで終わりますが、きょうは警察庁が出しました問題を中心に若干質問をしたわけであります。しかしながら、この中でも法的措置をしなければならぬような問題がたくさんあります、ところがそれを待っておったのでは次々と事故がやはり発生しておる、こういう問題がありますので、即時やるべき仕事はやはり手をつけなければいかぬと思うのです。たとえばてんかんとかあるいは精神病の問題でも、やろうと思えばやれぬことはないと思うのです。法律改正をやれば完ぺきでしょう。そうではなくてやれる問題がある。それからその他これに類したような問題が私はたんさんあろうと思います。予算措置をいま直ちにやらなくてもやれる問題もたくさんある。交通規制の問題だってそうだと思うのであります。そういったことで、一刻も早くやはり結論を出していかなければいかぬとわれわれは思っておりまして、当局としてもやはり即時やれるものはやっていくという体制を整えるべきだ、こういうふうに思うわけであります。これは要望しておきます。  それから先ほどの罰金の問題ですが、法務省なかなか筋の通ったようなことを一とおり言っておりますが、これは前から問題がある問題でありますので、さらに検討していただきたい。いけなければ、罰金相当額を還元する方法、これは大蔵省と折衝しなければならぬ、こう思うのであります。そういった点も考えていただきたい。  最後に一つだけ、参考にしたいと思いますので簡単に伺っておきます。  この間草津でバスのブレーキ事故がありました。そして小学生が一人即死しておりますし、十一人が重軽傷を負っておる。この場合、これは運転手の供述でありますけれども、車庫を出るときにブレーキ事故を発見しておる。そうしたところが、向こうの終点の軽井沢に着いたときに直せばいいじゃないか、そういったことで車をやったところが、案の定事故になってしまった。これはどういう判決が下るか知りませんが、逮捕されたのは業務上過失致死で運転者が逮捕されておる。そういう指示をしたことが明確であるかどうかわからないし、手をゆるめたのかもしれませんけれども、これを命じた者もやはり同様逮捕してやるべきじゃないかと私は思うんですけれども、こんなものはどうなっていくのですか。言えぬことは言えぬでけっこうですが、これはどっちが悪いのか。この点、道交法でも無理な運転をさせたらいかぬということがはっきりしておるのでありますが、これについて、言えなければいいです。言えなければいいですが、どっちが一体悪いのかというようなことについて、あなたの見解を伺っておきたいと思います。
  38. 内海倫

    内海説明員 いまの具体的な問題がどう処理されておるかというのは、私ここに資料を持っておりませんので申し上げかねますけれども、そういうふうな事例につきましては運転者責任がございますが、同時に道路交通法は、使用者にも整備不良車を運転させるということについての責任を課しております。したがいまして、両者に責任を追及すべきもの、かように考えております。
  39. 阪上安太郎

    ○阪上小委員 終わります。
  40. 亀山孝一

    亀山委員長 重盛君。
  41. 重盛壽治

    重盛委員 ちょっと委員長にお聞きするが、妙なことであれだが、先ほどから聞いていると、この交通問題は、何といっても交通戦争といわれるくらいいまの政治の中で非常に重要な問題である。そこで小委員会をお持ちになって、いろいろここで論議をいたしましたものを集約して政府に実行せしめる、一言で結論をいうと、そういうふうのもとにおやりになっていただいておると思いますが……。
  42. 亀山孝一

    亀山委員長 そのとおりです。同時につけ加えますと、先ほど阪上委員が言われましたように、実行できるものは着々やっていきたい。いわゆる答案をまとめていくというよりも、実行できる答案をやっていきましてこの審議を進めたいこういうように思っております。
  43. 重盛壽治

    重盛委員 たいへんけっこうです。どうもしかし、先ほどからの質問、答弁の様子を聞いていると、各委員からかなり真剣な質問がなされるに関連しての御答弁のほうは、若干おざなりではないか。ということは、まずこれの説明にしても、交通事故防止対策というようなものは、検察庁と総理府だけではどうにもいかぬ。これはそのとおりだろうと思うのだが、それにしても検察庁の立場からは、あるいは総理府の担任の立場からは、こういうことだけは断じてやってもらいたいのだ、しかし国のいろいろな機構もある、ここにたくさん建設省、法務省——法務省はいま帰ったようだけれども、最後にあなた方お聞きになったでしょう。この罰金を取った金でどんどん設備をしたらどうか。そうしたら、この地下道はおれらの罰金でつくったのだというようなことを思われたらたいへんだなんて、人をばかにするにも程度があって、みんなどろぼう扱い、犯罪人扱いしているような人たちを相手にして議論したってしょうがないので、そういうけじめはあなた方ではあるいはできないかもしれない。そういうものはこの委員会で取り上げて徹底的に追及するなり直していただかなければならないのでありますから、やはりまとめていくのだ、そして重要な問題から、実施できるものからやろうじゃないかということになるわけですが、いまのような機構で私ども交通政策問題というものはいわゆる総合施策でやってくれ、これが基本であるはずであります。そういう総合施策の中でやろうという現実の中で、一体どうなっているか。先ほど来各委員が言われるように、運転者をつくるのはそこらの地方の教習所でどんどんつくって、粗製乱造ということばを言うとさっきの罰金のことばに似たようなことになって失礼になるかもしれぬが、まだまだ一人前でない運転者がどんどん無制限に出る。一方、車をつくるほうは、通産省が指導しながら、性能の問題よりもどんすかどんすかとつくりほうだいつくっている。そんな運転者をどんどんつくり出され、車をどんどんつくり出され、それが届け出によって運転ができるということになれば、どんな取り締まり方法をつくっても、処分だけではこれはできない。したがって、どうやるかということを検察庁のほうから出てきたものを見ると、やはり処分の強化をしていくというところに率直にいうと重点が置かれているのですね。私はこれではいけないと思う。先ほどから阪上委員が聞かれたのですが、一体交通道徳ということばがあるが、国民全般に対する交通教育の考え方というものは日本が一番おくれているのではないか。したがって、歩行者事故というものが一番多いのではないか。私は歩行者を責めやせぬ。責めやせぬが、政治の欠陥であろう。だれが一体これを指導しているのか、なるほど歩行者優先で通さなければいけません。いけぬが、その優先権を極端に利用しているというこの姿をごらんになったことがありますか。少しでも酔っぱらった運転者は取り締まられる。しかし酔っぱらって、自動車の来るところを、おれは歩行者だ、待てと大いばりで行く人には処分とか訓戒とかいうものはないのですね。だから、こういう部面をどのようにお考えになっているのか。まずその点を一度内海さんから明確にお聞きをしておいて、それから若干問題に入っていきたいと思います。きょうはただ、私は抜本的な問題は、たいへん失礼でありまするが、大臣の御答弁でなければ、そしてその大臣の決意によって先ほど来各省との関係調整、あるいは譲るものは譲る、譲り受けるものは譲り受けるという再調整をしなければならぬ段階にもきておる、このように存じますが、まずいまの前段に対するお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  44. 内海倫

    内海説明員 確かにいまの日本の交通問題は、自動車が非常にふえる、あるいは運転免許をとりたい人がどんどんふえていくというふうなことで、自動車交通道路の状況にかかわらずふえていくというところにもあると思います。また歩行者なりあるいは運転者なりの交通道徳という問題もあると思います。しかしながら、私ども運転免許についての試験をし、かつ免許証を交付しておる官庁の立場からは、少なくとも道路交通法に定められてある資格を満たす者については免許証を交付せざるを得ないわけでありますから、先ほどもいろいろ論議をいただいておりますように、にもかかわらず精神障害のある人が免許証を得たりしておるような点もありますので、そういうものをチェックするような措置は今後さらに進めていきたいと思っておりますが、そういう点につきまして、やはり試験に合格し、一定の身体的条件が整っておる者であれば免許証は交付せざるを得ない、こういうふうになっておるわけであります。  それから歩行者運転者関係でございますが、道路交通法歩行者にも通行方法としての義務を課しております。右側通行の義務、あるいは横断歩道のある場所においては横断歩道によって横断する義務、あるいは斜めに横断をしてはならないという禁止、あるいは信号機に従う義務等々、歩行者の義務が課されておりまして、歩行者がこの義務を的確に守っていけば、歩行者事故は相当減りますし、また運転者が妨害を受けるということも減るとは思います。しかしながら現実は、そういうことにもかかわらず、被害を受けて大きなけがをし、死ぬのは歩行者の場合でございます。この点は、私どもは法律の上でもあるいは実際の面においても、まず被害にかかる者を保護していくということは大事な問題だと考えております。ただ、安全教育あるいは歩行者の大きな自覚という面で、そういうルールを正確に守っていく、確実に守る。またどうしてもそういうものを守らない人に対しては、法に定められる違反として処置をしていく、こういうことがもとより必要でございますが、やはり道路交通の場において歩行者を保護するということだけは、運転をする人も考えていかなければならないし、また私どもも考えなければならないと思っております。しかしながら同時に私ども運転する人が、でき得るならば一番いい条件で運転できるようにということの努力も反面いたさなければならないわけでありまして、この点についても一そう細心の気を配って、いろいろな悪条件を克服しながら、両方がうまくいけるようにということで努力をしなければならないというのが私どものかたく決意をしておるところでございます。
  45. 重盛壽治

    重盛委員 妙なことを聞いて何ですが、たとえば労働組合なんかがデモをすると、道交法違反だということで大ぜい出てきて、だいぶ検挙したりいろいろなことをやるが、一般歩行者が処分されたというような例はどのくらいありますか。
  46. 内海倫

    内海説明員 いま私、正確に統計は記憶いたしておりませんが、歩行者が処罰を受けておるのは、全国で約一万幾ら、ちょっと正確な数字は記憶いたしておりませんが、何しろその程度の範囲のものでございます。
  47. 重盛壽治

    重盛委員 そうすると、事故で死ぬ人よりむしろ少ないというくらいですから、これは機会があったらそういうことも参考のため、ひとつお調べ願い、それを資料としてお出し願いたいと思います。  それから、私は運転者の立場になってのみ言うわけではありませんが、最近よく人身事故が起こるが一その人身事故に全く不可抗力なものがあるわけですね。あるいはいま言うように、当たり屋なんていうのは例外のほうだが、あれに類似したようなものすら出てくるわけですが、どういう場合だって、人身事故と名がつけばやはり運転者は厳格な処分を受けておるのですが、この点に対する処置は私の言うとおりなんですか、それとも別の方法があるのですか。
  48. 内海倫

    内海説明員 最後の判断は、当然裁判によって行なわれておるわけでございますから、その点については、私どもは裁判の結果に待つ以外にありませんが、検察の段階におきましても、事故についてはできるだけ厳重に捜査をいたしまして、どういうふうな法令の違反があり、あるいは運転上のどういうふうな注意義務を怠ったかということはよく見ておるところでございます。もし全く過失がなくて向こうからぶつかってきたというふうなのがあるとするならば、私どもは検察当局の意見も十分聞きまして、事件送致などについては、あるいは送致をしない場合もございましょうし、またかりに事件を送致しましても、そういうものは裁判において法に照らしての措置ができるものと思います。いま私が答えられることはこれだけです。
  49. 重盛壽治

    重盛委員 これはあなたのほうだけの問題ではない。文部省の問題でもあろうし、その他関係があろうと思いますけれども、さっき私がお聞きした国民全体に対する交通規則を守る観念といいますか、交通道徳といいますか、こういうものの指導を将来どうしていこうという考えであるのか、ちょっとお聞きしたつもりですが、御答弁がなかったので、それを伺いたい。
  50. 内海倫

    内海説明員 一般的に安全教育ということで、小学校あるいは各段階の学校におきましても、安全教育が行なわれることを強く期待をいたしておりますし、また運転する人につきましても、あるいは地域的に、あるいは職域的に、あるいは所属しておるいろいろな団体等によって教育をし、さらに私どものほうでは、運転しておる人については、事故を起こしたような場合には、各府県にいま安全運転学校あるいは安全運転教室というふうなものを設置いたしまして、そこでいわば再教育というと非常に大げさでございますが、教育をいたしております。歩行者につきましては一般成人、学校等に関係のない向きにつきましては、やはり地域的あるいは職域的に安全教育というものがきびしく行なわれるということが必要であり、現にそういう点で総理府を中心にしてやっておるところでございます。
  51. 重盛壽治

    重盛委員 先ほど阪上委員の言われたのもそのとおりなんだが、やはりそういう国民全般の交通道徳といいますか、それがきちっと守られない——率直に言ってあなたのほうは主として運転者を取り締まるほうの立場なんだから、そっちのほうにばかり目が向けられている。たとえば陸橋です。陸橋であってもみな通らなければいかぬのですね。それを陸橋を通らずに、ちょっと車がすいたなというところで飛び出していくから大きな事故になってしまう。それがやはり運転者側の責任になってしまうのですね。もちろん地下道に直すことが抜本的にはいいが、幾ら地下道に直しても、どういうふうにしても、考え方が、みずからも交通違反はやるべきでないという考え方を持ってもらうことが何といっても抜本的な方法だ。それを幾ら運転者を締めても、どれだけ車の制限をしても、そのことがなされなければ、どんどん人口もふえていく都市のようなところにおける交通事故絶滅は期し得ない。私はこのように考える。  それはあとで一緒に御答弁をいただくが、もう一つ運転者指導をすると言うが、運転者指導は一向しない。一ぺん免許証を渡せば、かなり悪質な者でも野放しになっておる。あなたは一定の課程を終えた者に対してはと言うけれども、その一定の課程の中に——どこの教習所が悪いということは申し上げませんが、いまの教習の制度だけで実際運転が可能だという考え方は少しおかしいのではないか。教習所をやっておる方には相すまぬことであるが、たとえば東京を例にしますが、東京のどまん中で運転のできるというような形には、教習所でたとえば道路をふさげた形で練習して出てきても、実際は運転不可能であります。その者に運転させること自体がすでに誤りであります。同時にもう一つは、たとえば一つのわずかな事故、軽犯罪と言いますか、軽い、ちょっと右折、左折を間違えてハンドルを切った。それをつかまえて必ず処分の対象にするのですね。私はこれではいかぬと思うのです。こういうときには免許証にチェックしてもいい、あるいは何かつけてもいいですが、一回や二回、三回のそういう形式違反くらいは説諭をして帰すところに初めて指導がある。そういうことはめんどうくさいかどうかしらぬが、それよりあの紙をとって何か書いて渡して、免許証を取り上げるほうがよほどめんどうくさいと思う。そうした軽犯罪であるならば、気をつけなさいよという指導をしたならば、その運転者は当分の間は事故はしません。率直に言いますが、そういう指導というものが真剣な形でなされ——あなた方は指導しておると言うけれども、いわゆる下々では何か点数かせぎとかいうことばがあるが、そういうことが当てはまるかどうか知りませんが、やはり度、二度ならいいとは私は言いませんが、少なくとも交通事故を絶滅するというには、いわばそういうあたたかみというか、そういうものをやはり加えた中での交通事故絶滅をはかっていくということも私は一つのいい方法だというふうに考えますが、どのようにお考えになりますか、お答え願いた。
  52. 内海倫

    内海説明員 いわゆる運転者に対する指導の問題ですけれども、いま御意見にありますような点、私どもも考え、かつしばしば第一線に対しては言っておるところでございます。決して私ども違反を検挙して罪におとしいれるだけが能であるとは考えておりませんで、軽微な違反につきましては、いずれも現場の警告あるいは注意でとどめておるわけでございまして、これは数字の上でも出ておるのです。ただ、しかしながら取り締まられた本人になってみますと、いかにも酷に取り締まられたという感じがあろうと思いますが、全体的には私どもは現にそういうことをやっておるわけでございます。今日現在におきましても、私はいま重盛委員の御意見と全く変わらぬような気持ちで、軽微な違反については現場で指導にとどめていくようにということをしばしば言っておるところでございます。今後もさらにそういう趣旨は徹底していきたいと考えております。
  53. 重盛壽治

    重盛委員 これは局長さんぐらいになるとなかなかわからぬと思うのだが、いま東京で例にとるならば、あらゆるところが駐車してはいけないことになっている。しかしちょっとどこか親戚へ用事を足しに来て、五分ぐらいか、十分以上になると全部駐車違反で摘発してしまうのだ。もっともこれは危険なところでむちゃなとめ方をしておるのもあります。それはどんどんやってもらわなければならぬけれども、そうでないようなところに、あんなところでなあというようなところについて、十五分駐車というようなことでちゃんと赤い紙を持ってきて処分される。それでは指導にならぬし、もう一つはやはり警察官に対する反感こそ持て、親しみというものは何も持たない。やはり、おい君ここはいかぬぞというようなことの寛容な態度を持ちながら指導していくということでなければ、先ほど言うように、もう何といいますか、つかまってしまうと、ああどうせしょうがないのだというようなことで、運転者全体も、教育問題からくるかどこからくるか知らぬが、昔のような感覚は確かにない。人に譲る——もっとも冒頭言うように、人に譲っておったら通れなくなるというような条件も生まれてきている。そういう総合的なものが悪くもなっているけれども、非常に粗暴な気持ちというか、いら立った気持ちでやってきているところにもつてきて処罰、処罰とくるものですから。私はこういう面と、それから警察官や一般通行人、もう一つ、そこまで申し上げていいかどうかわからないけれども、最近たいへんよくなったが、中小企業の人やなんか困るかもしらぬけれども、無制限な道路使用をやっているということは、やはり自動車運転者歩行者を取り締まると同じように、やはり規格の中にはめて商売でもおやりになれば、みんなそういうふうになればきれいですね。ところが道路をわがもの顔にやっておるというところに、ここにまた大きな原因がある。これは一般通行人や特に自転車、自動車、そういうもので通る人にはきびしくて、こういうものには比較的寛容なんだ。私もそれは寛容にしてもらったほうがいいような個人的な関係は率直に言ってあるかもしれない。しかし、商売する者はそのほうがいいかもしれませんけれども、やはり道路取り締まり令をつくるならば運転者やデモだけを取り締まらぬで、そういう面もやはりきちっとやってもらう。最近のここ一週間ぐらいの東京の例を見ると、交通安全期間中、外へものを出させないような制度ができた。商人の人に恨まれるが、このために非常に通りよくなったのと事故が起きていない。最近の事故は局長のほうで御存じだと思いますが、その点も、それはあなたのほうの全部管轄かどうか知らないが、私は道路取り締まりに関する限りはあなたのほうだと思います。だからあらゆる部面において、取り締まりということより指導をしていただければ、交通問題は激変をすると思う。それが言うべくして行なわれていない。これはやはりもう少しきちっとやるべきではないかというふうに考えますが、どうですか。
  54. 内海倫

    内海説明員 道路不正使用につきましては私ども在来もきびしく申しておりますし、今後もきびしく取り締まりを行ないたいと思います。  なお、運転者指導というものにつきましては、先ほども申し上げたとおりでございます。
  55. 重盛壽治

    重盛委員 冒頭申しましたような抜本的な問題に対しましては次会にお聞きしたいと思いますが、この際に私は委員長あるいは警察庁交通局長にも申し上げておきたいが、何といってもこの委員会はできるだけ深く掘り下げて、そうして一日も早く実現に移せるものを、まあないであろうが、ややもすればなわ張り争いといわれるところの問題の解消につとめるのが私は主たる目的であろうと思う。そうして実際問題の運行に一日も早く当たっていく、こういう基本線をひとつ委員長は確認をしてもらいたいと思います。
  56. 亀山孝一

    亀山委員長 おっしゃるとおりです。
  57. 重盛壽治

    重盛委員 それでは次会に譲ります。
  58. 亀山孝一

    亀山委員長 秋山君。
  59. 秋山徳雄

    秋山委員 一つ委員長要望しておきますが、特に、ここでいろいろ質疑を重ねておりまして、それを聞いておりましても、ただ交通事故がたくさんあって、それについてはどういう隘路がある、こういう隘路があるという話で終わってしまうわけですが、私ども手元にいただいておるものには、かなりりっぱに問題点や何かが列挙をされておるわけです。これを見てまいりますと、たとえば歩道のない道路歩道をつけるとか、あるいはガードレールをつけるのだとか、いろいろ書いてあります。こういうことはただ羅列をしただけでは何にもならないのです。たとえばいま重盛さんのお話にもありましたように、通産省では自動車を毎月一万台あるいは一万五千台というようにどんどんつくって、それが外国へ売るよりも日本へ売るほうが多いような気もいたします。そうなってくれば、自動車はどんどんふえる一方なんだし、道路は依然として同じなんだということになれば、これはもうだれが考えたってこういうことが生まれてくるのは当然なんであって、したがって、そういうことを考えのうちに入れて、通産省の将来の計画は一体どういうことなのか、あるいは業者間の考え方はどういうことになっているのか、そういうことも知りたいと思いますし、同時にまた、新しく県道に歩道をつけるとか重要市町村道に歩道をつけるとか、それにはおよそどのくらいの経費がかかるだろう、ガードレールを全部つけるとしたならばどのくらいの経費がかかるのだろう、信号灯をつけるにはどうだろうとかいうふうなことがなければならないわけだと思います。したがって、次会におきましてはそういうことがすべてわかるように資料をつくっていただきたい。と同時に関係人たちを全部ここに来ていただいて、そういうことを中心として質疑を重ね、そうしてやれるものからやっていく、こういうことでなければならぬかと思いますので、委員長におかれましてはそういう段取りを次会までにつけていただきたい、こういうことを希望しておきます。
  60. 亀山孝一

    亀山委員長 了承いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十九分散会