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1966-07-15 第52回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十一年七月十一日)(月曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りであ る。    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    谷川 和穗君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       羽田武嗣郎君    福田 繁芳君       村山 達雄君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    有馬 輝武君       小林  進君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    野口 忠夫君       日野 吉夫君    平岡忠次郎君       藤田 高敏君    山田 耻目君       横山 利秋君    春日 一幸君       永末 英一君 ————————————————————— 昭和四十一年七月十五日(金曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       砂田 重民君    谷川 和穗君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       羽田武嗣郎君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    有馬 輝武君       小林  進君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    平岡忠次郎君       藤田 高敏君    山田 耻目君       横山 利秋君    春日 一幸君       永末 英一君  出席国務大臣        国 務 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主税局長)  塩崎  潤君         国税庁長官   泉 美之松君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      半田  剛君         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      松本  茂君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    馬場 二葉君         日本専売公社総         裁       東海林武雄君         日本専売公社副         総裁      佐々木庸一君         日本専売公社販         売部長     服部誠太郎君         日本専売公社理         事         (生産部長)  黒田  実君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 七月十五日  委員野口忠夫君、日野吉夫君及び横山利秋君辞  任につき、その補欠として中澤茂一君、西宮弘  君及び川俣清音君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員川俣清音君、中澤茂一君及び西宮弘辞任  につき、その補欠として横山利秋君、野口忠夫  君及び日野吉夫君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 七月十一日  国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共  済組合法の一部を改正する法律案有馬輝武君  外十二名提出、第五十一回国会衆法第六号)  勧業基金法案綱島正興君外四十名提出、第五  十一回国会衆法第四七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  税制及び専売事業に関する件      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  国の会計に関する事項税制に関する事項、関税に関する事項金融に関する事項証券取引に関する事項外国為替に関する事項国有財産に関する事項専売事業に関する事項印刷事業に関する事項及び造幣事業に関する事項の各事項につきまして、今会期中、国政に関する調査を行なうため、議長に対し、国政調査承認要求を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  直ちに委員長において所要の手続をとります。      ————◇—————
  4. 三池信

    三池委員長 小委員会設置の件についておはかりいたします。  税制及び税の執行に関する調査金融及び証券に関する調査並びに農林漁業用揮発油税に関する調査のため、それぞれ小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう設置することに決しました。  なお、各小委員の員数は、税制及び税の執行に関する小委員並びに金融及び証券に関する小委員につきましてはそれぞれ十三名とし、また、農林漁業用揮発油税に関する小委員につきましては十五名とし、小委員及び小委員長選任並びにその辞任補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  では、後刻、委員長において小委員及び小委員長指名し、公報をもって御通知いたします。      ————◇—————
  7. 三池信

    三池委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  税制に関する件について、来たる十九日、税制調査会会長東畑精一君及び税制調査会会長代理松隈秀雄君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 三池信

    三池委員長 引き続きおはかりいたします。  金融及び証券に関する小委員会において、金融に関する件について、来たる二十一日、全国銀行協会連合会会長田中久兵衛君、全国地方銀行協会会長平野繁太郎君、全国相互銀行協会会長尾川武夫君及び全国信用金庫協会会長小原鉄五郎君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  11. 三池信

    三池委員長 税制及び専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
  12. 武藤山治

    武藤委員 きょうは、専売公社の新総裁に御出席いただきまして、就任して初めての大蔵委員会でありますから、私は東海林総裁にたいへん期待をかけておるものでありますので、民間企業から公社に移られた総裁の、公社に対する次点や長所や、改善しなければならぬという点なども、いろいろな抱負をお持ちだろうと私は思いますので、まず冒頭に、公社運営についての総裁抱負をお尋ねいたしたいと思います。
  13. 東海林武雄

    東海林説明員 ただいま御質問がございましたように、私が民間から専売公社に参りましてから半年余りたっております。現在、全国工場の中で二十八工場回っておりますが、まだ十二ばかり残っておりますので全体のあれはつかむことができませんけれども、民間の場合と違いまして、いまお尋ねのように、いろいろ企業の形態からいたしますと違っていることは申すまでもないのでありますが、私のいままでの経験からいたしますと、近年のたばこ伸びというものは非常に急速に伸びております。  ちょっと数字を申し上げますと、昭和二十七年に二千億円、三十五年に三千億円、になりまして、三十八年に四千億円、四十年に至りまして五千億円を突破しておりますが、こういうような急激な伸びに対しまして、公社のとった態度というものは、これは専売事業でございますから、需給の円滑をはかるということが当然でございます。  この長期計画を立てまして需給の均衡をとるということをまず第一義的に取り上げたのでありますが、さてそうなりますと、いま回りました工場の中を見ましても、まだまだ公社の中の整備というものが完全にできておりません。  片一方に一分間に九百本の機械があるといたしますと、最新鋭機械で一分間に二千本の機械ができておるというようなぐあいで、各地区によりまして非常にまちまちの成績が出ておるのであります。こういうものを整備いたしまして、独占企業でありますから、そういう面の需給の安全をはかるのは当然でございます。そこで、いま申し上げましたような数字のように急速に伸びてまいりましたけれども、これには国内の耕作者あるいは塩田業者あるいは小売り店、そういうものの全部の協力がなければこの仕事ができないわけであります。  そこで、よくいわれますけれども、専売一家といっておりますが、私は、公社の中だけが専売一家なんだという考えは持っておりません。耕作者団体もそうだ、小売り業者もそうなんだ、塩をつくる者も一家なんだ、これが完全にいまの仕事というものの本来の姿を理解してもらわなければほんとう協力体制ができないのじゃないか、かように考えておるのであります。  私、昨年就任早々に、農民団体の御連中とお会いしまして、公社に約三百人全国からおいでになりました。その耕作者方々とお会いしたときの話はどういうことかということなんです。たばこをつくっている者と売っている者と対立するということはおかしいじゃないか、どうしてこれは一緒にやっていけないのだという話をしたのでありますが、そういうようなほんとう協力体制をとっていかなければならない、かように思うのであります。  先ほど質問がございましたように、民間企業と違いまして  それは企業でありますから、本来の姿からいきますと、利潤というものを考えない企業というものはあり得ないわけであります。ただ、公社の場合は、その企業というものが、企業利潤というものが国家財政につながるのだ、しかも専売事業である、独占事業である、そういうところに非常に形が変わってまいります。したがって、これをどういうような形に持っていくかということ、つまり、私が民間から入りましたという一つの意義というものは、民間のその企業の中のそういうものをどの程度公社、つまり公共企業の中に取り入れられるかどうかということに問題があるのじゃなかろうかと考えておるのであります。しかし、これはなかなか言うようにたやすい問題ではないと思いますけれども、その精神をくみ入れまして、一つの私の理想像から言いますと、この公共企業あり方というものが今後の日本企業あり方に大きな示唆を与えるのじゃないかという希望を持つておりますし、またそういうような方向に持っていきたい、かように考えておるわけであります。  簡単でございますが……。
  14. 武藤山治

    武藤委員 新総裁がこれから専売事業をどういう方向に指導なされるかということは、みなが非常な関心を持っておるところであります。いまのお話の中では、機械を合理化する、あるいはあらゆる専売事業に関係しておる者が一体となって、それぞれの与えられた任務を完遂するような姿勢をつくっていく、こういう大まかな見解はわかったのでありますが、具体的に少しお尋ねいたしますと、公社専売益金を確保して、とにかく政府納付金を納めなければならない。さらに、地方自治体の財政に非常に寄与するたばこ消費税の確保もしなければならない。さらに、農民所得を保障してやるだけの収納価格も維持しなければならない。あるいは、小売り商店小売りマージンが確保されて、専売公社に大いに貢献をしながら自分たち利益もほしい。さらに、そこに勤務する従業員は、給与ベースを他の企業並みに常に確保し、生活を保障してもらいたい。大きく分けてこういう五つの相反する問題が専売公社運営の中にはあるわけでありまして、これの相関関係をうまく調和をはかるということは、私は非常にむずかしい問題であろうと思うのであります。  そこで、新総裁はその五つ問題点を今後どういうめどで、どういう点を改善をして、あるいはどういうところへ目標を置いてそれぞれの分野の人たち満足感を与えようとするのか。  まず冒頭専売益金の問題から尋ねてみたいのでございますが、専売益金のここ四、五年間の推移を見ますと、一般会計歳入総額に対する専売益金の率というものは、三十六年から三十九年は八%という同じ数字を示しておる。その前の三十五、三十四、三十三年は一二%、一一%、一〇%、それ以後は八%という形で幾らか低下している。この傾向は四十年、四十一年を通じてどう変わっていくのか。また、その率については一定のめどというものを大蔵省はいつも公社に指示するのかしないのか。この辺はどういうことになっておりますか。
  15. 東海林武雄

    東海林説明員 いま五つの問題をあげられまして御質問がございましたが、最初に専売納付金の問題、これは御質問にありましたような率の指示はございません。大体予算に組んでおるとおりでありまして、四十年度におきましては約千六百四十億円になっておりますが、四十一年度の予算におきましては千八百一億円、こういうようにたっております。四十一年度は予算どおりにまいるというつもりでおります。
  16. 武藤山治

    武藤委員 四十一年度は納付金が百六十億円ばかり前年比増になっておるわけでありますが、これはいまの総裁お話では、確保できる、その確保できるという百六十億円は、内部の節約で生み出すのか、それとも需要の伸びで百六十億円は確保できるのか、その辺の原因はどっちにありますか。
  17. 東海林武雄

    東海林説明員 先ほどもちょっと触れましたように、たばこの売り上げから見ますと、四十年度は五千百億円をこしておりますが、四十一年度の予算になりますと五千七百億円というように見ております。それからたばこの十本当たり単価を見ますと、三十円十八銭が四十年度では三十円三十六銭、こういうように単価が上がってまいりますので、そういうような事業伸びと、それからつけ加えて申しますならば、企業努力、こういうことによりまして確保できる、かように申し上げた次第でございます。
  18. 武藤山治

    武藤委員 次に収納価格の問題でありますが、御存じのように、農民の納める葉たばこは、前年の十二月にこれから納める葉たばこ価格がきめられております。しかも、去年の五−七月までの物価労賃などを織り込んで公社価格決定する。七月以降、本年一月からの物価変動というものはたいへんなものであります。そういうようなものを考えてみますと、どうもいまの農民葉たばこ収納価格というものは安過ぎるのではないか。労働力投下日数や一日当たり労働賃金など、他の農産物と比較した場合に、どうも葉たばこ値段はまだまだ低いのではないか、こういう感じを持つのであります。また、耕作しておる農民自体からもそういう不満をかなりわれわれ聞かされるのであります。  総裁は、葉たばこの今日の収納価格は適正な値段である、あるいはもう少しこれは上げてやらなければいかぬと思うか、その辺あなたはどういうお感じを持っておるかをお尋ねしたいと思います。
  19. 東海林武雄

    東海林説明員 感じということになりますと、たいへんむずかしいのでありますが、現在の葉たばこ収納価格決定のいたし方については従前どおりにやっております。しかし、先ほども申し上げましたように、私は農民皆さんが非常に苦労しておられるという点はよくわかっております。  先般来地方へ参りましても、耕作地帯を回っておりますのは、一体たばこ耕作はどうしてやられるかという認識を深めるために回っておるのでありまして、申し上げるまでもなく、皆さんの苦労というものは十分にわかっております。この点はわれわれがきめるのじゃなく、たばこ耕作審議会の議を経まして、その上で決定を見ているわけでありますが、できるならば、できるだけ農民の収穫を多くしよう、またふところぐあいをよくしようということの努力、骨折ることには私はちっともやぶさかではないのでありまして、農民方々が喜んで葉たばこをつくるのだ、つくる意欲に燃えていただくのだということになれば非常にしあわせだと考えております。  なお、いま他の農作物に比較してということがございましたが、これは参考の表かございますので、もしお入り用ならば差し上げたいと思いますが、必ずしも葉たばこが悪いというような数字は出ておりません。(小林委員労力が違うよ」と呼ぶ)労力の点ももちろんわかりますけれども、そういう点は必ずしもそうは考えられないと思うのであります。しかし、私たちとしましては、できるだけ農民皆さんが喜んでつくるのだということにいたしたい、かように考えております。
  20. 武藤山治

    武藤委員 いま、うしろのほうで小林進議員が盛んに安い安いと言っております。特に総裁の頭の中に入れていただきたいことは、たばこ耕作投下労働時間というものは、他の農産物と比較して時間数が非常に多いのであります。  公社で出しておる数字を見ましても、たばこの場合には九十八日の日数がかかるといたしますと、水稲については十六・二、あるいは養蚕にしても五十四・一、他のそれぞれの農産物と比較しても、たばこに対する投下労働力というのは非常に多い。それだけ労力を必要とするもでのあります。利益というものを計算をしてみますと、たばこ利潤というのはほとんどない、ほとんどは労賃として支払われる部分であって、正式の企業でいう意味のような利潤というものは確保されていない、これが現状であります。これは公社数字から見てそういう数字が出てきておるのでありますから、たぶん十アール当たり七千円か八千円の利潤という計算昭和三十九年までの数字の中には出ておる。  そういう状態でありますから、収納価格はまだまだ低過ぎるんではないだろうか。平均一反歩当たり九万円あるいは八万円、この程度を上下しておる。私たち葉たばこ共闘会議を組織して、最低十五、六万円は確保できるようにしてやりたい、こういう運動をずっと続けてきたわけでありますが、この運動が行なわれて以来、収納価格昭和三十五年から徐々に引き上げられてきたことは成果として認めるのであります。この点は農民も非常に喜んでおるのでありますが、それにしてもまだ少々低いような気がいたすわけでございます。私たち所得補償方式を完全に実行せよということを強く迫ってきたのでありますが、臨時葉たばこ調査会は、とうとう農民の要望をいれずに従来どおり生産費方式による公社計算で、所得補償方式商品性の高い葉たばこについてはなかなか無理である、こういう見解を示されて一とんざを来たしておるのであります。それにしても、労働時間の投下の状況から見て、葉たばこはまだ低い、こうわれわれは考える。  そこで、当面、九月のたばこ耕作審議会において、物価変動が著しかったときには当然手直しをするという慣例になっておる。したがって、本年の九月の耕作審議会においては昨年十二月決定された価格手直しをするかどうか、そういう見通しについては、総裁としてどうお考えになりますか。
  21. 東海林武雄

    東海林説明員 ことしの収納価格の訂正をするかどうかというお話でございますが、いまの価格の形成のあれからいたしますと、大体ことしの見込み数を織り込んでございます。したがって、ことしの九月に今年度のそういうような修正を行なうという考えはございません。これは、まあ非常な特別な例外が出てまいりますと別でございますけれども、いまのところではそういうような修正考えはございません。これはいずれまた来年度のあれに織り込まれるということになろうかと思います。
  22. 武藤山治

    武藤委員 生産部長黒田さん、ちょっとお尋ねしますが、従来収納時までの間に、あれは四%でしたか五%でしたか、物価変動があった場合には九月の作付面積決定する審議会において手直しをすることが望ましいということがかつて答申をされて、それが自来二、三年間守られてきたわけです。本年はそういう物価変動が、私らの判断ではすでにその基準を突破している気がするのですが、公社としてはそういう変動というものについて本年は手直しする意思はない、こう考えておられますか、それとも、やはり前回きめたような、物価変動かあったときには手直しするんだという姿勢は従来と変わらぬ、こう判断されておるのか、この辺をひとつ事務当局から伺いたい。
  23. 黒田実

    黒田説明員 ただいまの九月手直しの問題でございますけれども、実は、算定方式を四十年産以降変えておるわけでございます。御承知のように、三十六年以来生産費を補償するという方式をとりまして、過去三年間の生産費算出根拠にしまして、数値を出しているわけであります。これが三十九年産事価格計算の場合には、前年十二月に値段をきめるわけでございますが、その時点に至るまでの物価労賃変動を織り込みましてきめていたわけでございます。したがいまして、前年十二月から翌年九月の収納時点までの九カ月というのが全然白紙になっているわけでございます。したがいまして、この間に非常に大きな物価労賃変動がありましたら困るわけでありますので、収納直前にもう一回件計算しまして、その結果、五%以上の差が認められた場合には収納価格をまた変える、こういうことを検討することになりまして、二カ年ほど九月に引き上げたことがございます。そういうことは非常に困りますので、四十年産から算定方式を変えまして、同じく過去の生産費算出根拠にはしておりますが、これに修正を加えまして、過去の生産費を使いながら、その適用年生産費にできるだけ近づけるような修正努力をする、こういうことで四十年産からやっているわけでございます。  その修正の中身といたしましては、たとえば、最近耕作者個人当たり面積がどんどん大きくなってまいります。大きくなりますと生産費も変わる、したがいまして、過去の生産費を使いながら、その適用年耕作者面積階層別のウェートを使うというようなこととか、あるいは生産性がどういうふうに変わってくるというような数字を織り込むということ、それから、物価労賃につきましても、前年十二月から収納直前の九月に至りますまでの間におそらく変動するであろう、その変動はすでに織り込んで計算しているわけでございます。  その物価労賃変動の織り込み方と申しますのは、あと九カ月でどれくらい変動するであろうということは予測がつきませんので、たとえて申しますと、四十一年産収納価格は四十年の十二月にきめたわけでございますけれども、三十九年の七−九月に対しまして四十年五−七月の物価労賃がどう動いたかという数字をさらに織り込むわけでございます。したがいまして、本年産、四十一年産価格は昨年十二月にきめたわけでございますが、その際、昨年十二月時点におきます物価労賃変動にスライドしたほかに、さらに過去一年の物価労賃変動率を織り込んであるわけでございますので、結局これは収納直前手直しをしないというたてまえでつくった方式でございます。そういう点で、いまの方式としましては九月の時点には手直しをしないというようなことになっております。
  24. 武藤山治

    武藤委員 その計算の方法を変えたということは私も知っております。それから、諮問をしたときに、四月かう六月までの物価労賃変動を基準に入れたのを手直しをされて、答申をする際には、去年の五月から七月までの指数を十二月決定の際に勘案したことも承知をいたしております。  そこで問題は、前年の一カ年間の物価変動率をすでに加味して昨年の十二月にきめたというけれども、その前年の一カ年間の変動率よりも、決定収納時までの変動率のほうがかなり大きいという場合が起こり得るわけであります。特に本年の趨勢はそうだと思うのであります。元旦早々から消費者米価が上がり、国鉄運賃が上がり、あらゆる公共料金、私鉄運賃、バスからみな上がり、おまけに卸売り物価も四・四%上がるというような情勢ですから、昨年の十二月十六日に決定されたそのときの一年前の物価変動数値よりも、今度の収納時までの数値のほうが変動が著しく多いという場合はどうしますか。その場合も、すでに価格の中に織り込み済みであるから本年は手直しせぬ、こういう態度で終始するのか、それとも、そういう数値をきちっと出してみて、なるほどこれは一年前の実績を基礎にしてやった——その好意はわかるのですよ。従来よりも一歩前進したという計算のしかたであるということは、私もほめてしかるべきであると思うのであります。しかし、その数値か実際の変動よりも低かったときには、農民にはその恩恵はいかぬわけでありますから、やはり物価変動の犠牲を農民はこうむることになる。  そこで、本年もそういう一年前見込んだ数値よりも変動が激しかったときにはどうするか。これをひとつ総裁にはっきりお答えを願いたいと思いますが、いかがでございますか。もしあまりこまかい問題で総裁では無理ならば、事務当局から御答弁願います。
  25. 黒田実

    黒田説明員 ただいまの御質問でございますが、もちろん過去の物価労賃の一年分を先に織り込むわけでございますので、これが一致するということは、これは実際一致するほうがおかしいのじゃないか、若干のプラス・マイナスが出るのはやむを得ないのじゃないかと私ども考えておるわけでございます。で、この前の四十年産の場合も同じやり方をやったわけでございますが、これは非常に差が少なくて、ほとんどぴたりというところできまったわけでございます。しかし、将来、毎年過去一年分を織り込んだ場合どうなるかということは、物価労賃の曲線がどうなるかということで、ずっと従来よりも急角度に上がっていきますと上げ足りないということになりますし、また、だんだん曲線が寝てまいりますとよけい見過ぎた、こういう結果になると思います。それは年々の物価労賃変動によるものでございますので、私どもとしては何とも予測できぬことであります。しかし、言えますことは、毎年毎年はある程度差が出ますけれども、それは一年ごとに帳消しされていく、たとえば、ことし上げ足りなかったら、その分は今度は来年それをよけい上げ足す、したがって、一年おくれで完全に精算していく、こういうような形に理屈としてはなっていくわけであります。  したがいまして、今回のような算定方式に四十年産価格算定から変えたということは、前に、御承知のように、再計算をしまして五%以上のとき改定を検討する、それ以下のときはしないということできたわけでございますが、その辺、五%にならぬでも非常にいろいろ問題があって困りましたために、いまのような方式に変えて、見直しはいたしません、そのかわり、その年々できちんとは乗りませんけれども、必ず一年おくれには精算されていきますという方法に変えたわけでございます。そういう意味で、非常に大きな物価変動がございましたら別でございますけれども、そうでない限り多少の差はこれはやむを得ないのじゃないか、かように考えております。
  26. 武藤山治

    武藤委員 しからば、その内容をお尋ねいたしますが、四十一年の葉たばこ収納価格の一年前の変動率というものは、具体的にどういう数字を当てはめておりますか。それをちょっとお尋ねいたします。
  27. 黒田実

    黒田説明員 六・九九%でございます。
  28. 武藤山治

    武藤委員 そういたしますと、その後の一年間の物価変動というものが一応この数値でおさまりがつく情勢にあるかどうか。その後の内閣統計局の発表や、あるいは農林省の生産費調査の発表や、そういう各般の資料に基づいて検討した場合に、この六・九九%というのは今日の変動から見て低過ぎるという数字が出るのか、まあまあという実際の数字と合う情勢にあるのか、今日までわかっておるところではどうですか。
  29. 黒田実

    黒田説明員 六・九九%の物価変動を見込んだわけでございますが、この内訳は、パリティの変動が四・五四%、それから農業労賃変動が八・八一%でございます。これは生産費の構成を物財費と労働分とに分けまして、そのウエートで案分しまして物価変動を出しました数字が六・九九%になるわけでございます。  それから現在わかっておる数字でございますが、四十一年五月までのいろんな数字がわかっおります。したがいまして、四十年の七月−九月分に対しまして四十一年の三月−五月までの数字を一応とりますと、パリティがプラス七・〇九%、それから労賃がプラス四・八七%ということになっておりまして、総合いたしますと物価変動がプラス五・八一%ということになっております。したがいまして、五月までの時点におきましては物価変動はまだ六・九九%に至っていないという数字になっておるわけでございますけれども、通常年間のパリティ、労賃の動きを見ますと、やはり五月以降は上がりますので、九月時点におきましてはこれよりも上がるものというふうに私ども考えておりますが、これは具体的には数字がございませんので、どの程度になるかということは申し上げられないわけでございます。
  30. 武藤山治

    武藤委員 いま生産部長数字を明らかにしたように、前の年の一カ年間の変動率を数値の中に入れて収納価格決定するという方法でいった場合には、上昇率と変動率がぴたりと一致するときは問題はないけれども、本年のようにかなりの変動が激しいときには農民にしわがいく、どっちみち一年後には収納価格の中にそれが織り込まれるのだから同じじゃないか、こういうけれども、現実に農民は日々生活をしていくその時点で、その貨幣の購買力で物を買うのでありますから、変動率の激しいときには損をしたという感じを持つのであります。したがって、できるならば九月時点でその数字というものをきちっと反省をしてみ、再検討をしてみて、なるほど本年の変動はちょっとひどい、これはひとつ手直しをしようという方法のほうが、耕作者の生産意欲を一そう旺盛にするのではないだろうか。一年前にきめた価格収納時に押しつけるということは、かえって農民には非常な疑問を抱かしている。われわれは、そういう点について、本年もまた公社側に九月の審議会に際しては十分ひとつ数字を出してもらって、農民の納得のいくような収納価格の改定を強く要求をいたしたいとは考えておりますが、いまの時点ではまだ五・八一%の上昇率であるから当初見込みよりは下回っている、しかし、九月の時点になったときには、あるいはこれが上回るかもしれない、そういう際にどうするか、こういう問題についても、総裁、いまから、それが上回った場合には公社としてはこういう方針でいきたい、そういう点の腹固めを九月の審議会に向けてしておいていただきたい、これを強く要望をしておきます。
  31. 平林剛

    平林委員 いまのお話に関連をいたしましてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。それは、葉たばこ収納価格は、御承知のようにたばこ専売法できめられておるわけでございまして、この規定によると、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して収納価格をきめなければならない、こう書いてあるわけでございます。物価問題や経済上の変動に伴う措置についてはただいまお尋ねがありましたが、肝心の生産費との関係ですね。これは最近はたばこ耕作組合のほうも大騒ぎをしなくなりましたけれども、しかし、過去三カ年間の実績にいろいろな修正を加えるということは、実際の生産費から比較をいたしまして十分補っているものであるかどうか、こういう点は依然として疑問が残るわけであります。そこで、専売公社としても葉たばこの生産に伴う緒経費の調査を進めておりまして、これとの関係において収納価格はいかにあるべきかということは絶えず検討しなければならぬ、これは法律の定めでありますから検討しなければならぬ。  そこで、私お尋ねしたいのですけれども、この最近時における専売公社調査による生産費調査と、それから一番新しい収納時の、まあ昨年の実績になりますが、その収納代金との差は大体どんなようなぐあいになっているんでしょうか。これをひとつわかりやすく御説明をいただきたいと思うのです。
  32. 黒田実

    黒田説明員 四十年産数字をちょっと持っておりませんので、三十九年産数字につきまして御報告申し上げます。  これは公社生産費調査をしました結果でございますが、各種類の合計で申し上げますと、調査農家が千百七十九戸になっております。十アール当たりの収量が二百七十一・三キロ、それから十アール当たり収納代金でございますが、これが十一万二千百七十八円でございます。それから十アール当たり生産費でございますが、この生産費は資本利子と地代を含んでおりますが、これが九万三千三百十二円、こういうことになります。したがいまして、十アールあたりの利潤が一万八千八百六十六円、このうち、十アール当たりの家族労賃でございますが、家族労働費が五万二千二百九十円、家族労働以外の生産費が四万一千二十二円ということになっております。したがいまして結果的に十アール当たりの家族労働報酬と申しますのが七万一千百五十六円ということになっております。それから一日当たりの家族労働報酬の実数が八百七十八円、これが昭和三十九年産の全種類総合しました結果でございます。実は、三十九年は比較的量がとれまして豊作の年でございましたので、収支関係はよくなっております。
  33. 平林剛

    平林委員 ただいまお話しになったのは十アールあたりの平均の数字ですね。
  34. 黒田実

    黒田説明員 はい。
  35. 平林剛

    平林委員 いまの三十九年度はたまたま専売公社が調べた生産費調査よりも収納代金のほうが上回っておる。その差の一万八千円というのが、いわゆる適当な報酬を与えなければならないというこの報酬に入るのだというようなお答えになっておるわけですけれども、種目別に生産費と実際の収納代金と違うものはございませんか。
  36. 黒田実

    黒田説明員 種類別にいろいろ格差が出ております。具体的に御説明申し上げますか。
  37. 平林剛

    平林委員 下がっているものはありますか。
  38. 黒田実

    黒田説明員 下がっているものは、三十九年度におきましては第四在来種、それからバーレー種、この二つが下がっております。
  39. 平林剛

    平林委員 どのくらい下がっていますか。
  40. 黒田実

    黒田説明員 いずれも大体二千円前後でございます。
  41. 平林剛

    平林委員 第四在来種、バーレー種では生産費のほうが収納代金より下回っておる。  それから一日当たり労賃ですけれども、このたばこの場合には八百七十八円でございますが、米だとか、その他の農産物との対比においては葉たばこの一日当たり労賃はどういう地位を占めておるか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  42. 黒田実

    黒田説明員 いまのたばこの八百七十八円というのは公社の調べでございますが、ほかの作物は全部農林省の調べになっておりますので、たばこも農林省調べの数字を申し上げますと、農林省調べは八百六十四円、わずかに違っております。  農林省調べのほかの作物の数字でございますが、水稲が千四百九円、大麦が、田で三百八十二円、畑で四百五十七円、小麦が、田で二百四十二円、畑で六百四十九円、繭が五百二十二円、カンショが四百二十三円、バレイショが千二百十円、それから大根が千五百七十一円、リンゴが千三百四十六円、ミカンが二千六百七十五円、そのほか、なたねは非常にこの年は減っておりますが、イグサが七百五十八円、お茶が千百四十円、ホップが九百六十円、大体主要なものはこのようになっております。
  43. 平林剛

    平林委員 結局、他の農産物との比較において——それは単純比較というのはなかなかむずかしいかもしれませんけれども、われわれが見ているところ、たばこの生産というものは他の農産物と比較いたしまして比較的労働力が必要である、こういう点は今日まで常識的に言われておるところであります。  そこで、われわれといたしましては、この葉たばこ収納価格算定方式については、従来のように過去三カ年間の平均にいろいろな係数をかけてはじき出すのでなくて、根本的には、生産費とそれから物価変動その他経済事情を参酌して適正な収益を得せしめるような取りきめをしなければならぬ、それには現在の算定方式は必ずしも法律の含意に合っているかどうかということについては疑問がある、そこで生産費所得補償方式についてしかるべき結論を出すようにしてもらいたい、またそういうことをすべきである、こういうことで従来これに関する審議会が開かれたのでございますけれども、今日までの段階ではまだはっきりした結論は出ていないように承知しておるのですが、これは一体今後はどういうふうにするつもりでしょうか。
  44. 黒田実

    黒田説明員 三十六年十二月の耕作審議会におきまして、特に生産者代表の委員からたばこ価格算定につきまして生産費所得補償方式をとることの可否についての建議があったわけでございますが、その際、この生産費所得補償方式というような方式をとることは、国の基本的な農業政策と非常に密着しておりますので、そういう問題はやはりそういう国のしかるべき機関で審議してもらうことが望ましい、こういうような建議があったわけでございます。公社といたしましては、その建議を受けまして、望ましい国の機関といたしまして、いわゆる内閣の諮問機関でございます農政審議会がそれに該当するものということで、農政審議会のほうにその審議をお願いするよういろいろやったわけでございますけれども、農政審議会としましては、固有の仕事がございますし、そういうような個々のものについての審議をするのはあまり適当じゃないというような御意向のようでございまして、一応、拒否されたわけではございませんけれども、いつまで待ってもなかなか審議していただけるというようなことが予想されなかった、そこで、いつまでも待つわけにいきませんので、御承知のように、昭和三十八年の六月に公社独自で臨時葉たばこ調査会というものを総裁の諮問機関として設置いたしまして、その場で生産費所得補償方式の採否を含めまして葉たばこ価格形成の基本問題の審議をお願いしたわけでございます。その結論といたしまして三十九年の十一月に総裁あての答申が出ておるわけでございますが、その答申におきましても一応生産費所得補償方式の問題にも触れた点がございまして、財政専売をたてまえとする以上、そういうような条件下では特定のそういうような政策的なものを入れることに積極的な理由は見出しがたいのじゃないか、このような御意見がついておりますので、私どもとしましては、現在その御意見を一応結論と申しますか、そういうふうに考えております。
  45. 平林剛

    平林委員 その結論については、私この委員会でいろいろと理由をあげて反駁をしたはずなんです。つまり、そのときの結論というのは、結論を出された方も問題はあるけれども、しかし、今日その葉たばこ収納代金と他の農産物あるいは現状等から比較いたしまして、この結論は適当でない。特にあのときの答申の内容は、私もはっきりは覚えていませんけれども、確かに財政専売というようなにおいが強く打ち出されている。それからもう一つは、生産量のストック、需要と供給とのバランスを見てきめるというような考え方がある、外国葉の輸入というようなことを頭に入れてものを考えている、こういうようなことで、生産費所得補償方式を採用するかしないかというのは、どっちかというと、耕作者農民一つの生活問題として出発をしていったのにかかわらず、それと逆な方向の材料をそろえて、これをあいまいな形にしたことはまことにけしからぬじゃないかということで、私は当時の総裁であった阪田さんに、こうした意見もあるのだから、ひとつ十分検討して、それを入れた形で次の収納価格の算定をきめてもらいたいということを注文をしておいたはずなんです。そういう意味では、現在とられている制度というものは、そのときの私どもの注文に対して十分こたえていない。こういう意味で今後検討してもらわなければならぬ問題だろうと私は思うのであります。先ほど武藤さんが言われましたように、私は、やはり適当な時期にこうした問題もひとつ頭に入れて、あらためて検討してもらいたい。そうでなければ、たばこ耕作者の今日の努力に報いることはできないし、それから、長い間積み重なっておる不満というものの根本的解決にはならぬ。私は、絶えずそういうことを頭に入れながら、算定方式はこれでいいんだという考え方でなく、ぜひひとつ法律の線に近いものに持っていく努力をしてもらいたいということをきょうもひとつ希望しておきたいと思うのです。  関連質問ですから、あとでまたお尋ねすることにいたしまして、注文だけ申し上げておきます。
  46. 武藤山治

    武藤委員 黒田さん、いま平林さんに答えた、三十九年は特に豊作であったから、農民利潤になるものが十アール当たり一万八千八百六十六円出た、しかし、その前の年からずっと調べてみますと、利潤の出ている品種というのはほとんどないですよ。ちょっと読んでみましょうか。昭和三十八年のを見ると、第一在来種は利潤が八千九十八円、第二在来種はマイナス四百十六円、第三在来種はマイナス八百七十八円、第四在来種はマイナス一万三百四十七円、第五在来種はマイナス八千百三十七円、黄色種の第一がプラス四千九百三十六円、第二黄色種はマイナス五千七十二円、バーレー種はマイナス七十五円、利潤は一銭も出てない品種のほうが圧倒的で、利潤が出てきているのは二種類だけですよ。それが三十九年は非常に収量が多かったからというので一万八千八百六十六円出ました、こういう報告でありますが、三十九年は、これはおそらく異例ですね。四十年も三十九年の状態で推移するかどうかというのは非常な疑問であります。したがって、新総裁生産部長がいまのような数字を認識させると、いや、もう一反歩一万八千円のもうけがあるんだ、だから収納価格はこれでいいんだという感じ総裁は持ちますよ。だから、この三十九年のは異例な、収量が多かった年である。したがって単位当たりのいまのような数字が変化してきている。たとえば一日当たり労働賃金にいたしましても、いま部長の報告では三十九年は八百七十八円になった。しかしその前の年、各五、六年をずっと調べてみます、と御承知のように四百五十九円、五百五十六円、五百七円、三百四十円、五百七十円、それが三十九年だけ一挙に三百円も多いという理由は、決して公社収納価格に対して思いやりのある、思い切った措置をとったということではない。たまたま豊作で収量が多かったから単位当たりなり単位労働時間当たりなりの賃金が多くなった、こういうことなんでありまして、偶然なんであります。したがって、この数字がそのままずっと推移するという感覚で、収納価格はもう手をつけぬでもいいのだ、こういう考えにならぬようにひとつ総裁に十分認識をしてもらいたいと思います。  さらに、次に第四点になりますか、輸入葉たばこや輸入製造たばこの問題についても日本耕作農民はかなり不安を抱いております。もちろん、公社はそうみだりにたばこの葉を輸入するわけではなくて、特に香料的なもの、日本でちょっとできないような味のいいもの、そういう日本産にまぜるためのいい葉だけを買っておるのだ、こういう説明を再三聞いておるわけでありますが、最近の輸入の計画、今後の見通し、さらに輸入葉たばこ単価、それと国内産の単価との開き、そういうようなものを少しく明らかにしていただきたいと思います。
  47. 東海林武雄

    東海林説明員 外国の葉たばこの問題につきましては再々問題になっておりまして、最近外国の葉たばこの輸入が多いじゃないかというお話でありますが、四十年度の実績から申しますと全体の一三%に当たっております。これは大体計画数量でございまして、今後この数量が非常にふえていくというようなことには考えておりません。  それから、輸入葉たばこ値段につきましては若干上がっておりますけれども、全体としましては大体横ばいの線をとっております。
  48. 武藤山治

    武藤委員 日本農民の製造する品質のいいものの単価と輸入価格単価の開きはどうなりますか。
  49. 黒田実

    黒田説明員 数字がちょっと古いのでございますが、三十九年度の実績でございますけれども、三十九年度の実績で、アメリカから輸入いたしました黄色種の平均価格が七百四十四円でございます。それに対しまして、当時の三十九年産の国内産の第一黄色種の優等、これは最高等級でございますが、優等の価格が七百五十四円、これは収納価格ではなくて、収納したものを再乾いたしましてたる詰めいたしましたいろいろな付帯経費がついた整理価格でございますが、七百五十四円ということで、三十九年におきましては、アメリカ産葉の輸入したものとそれから国産葉の優等整理価格は大体とんとんくらいでございます。こういうような程度でございます。
  50. 武藤山治

    武藤委員 いまの数字のように、国内産の最もいい高い葉の値段とアメリカからの輸入の優秀葉たばこ価格がやや同じである。したがって、日本の在来種の中等級以上あるいは中等級のものはまだ国際価格から比較しても安いのだ。もっと農民のものを補償してやってもいいのだ。それがもっと、補償してやれないという原因は、さっき平林委員も指摘したように、専売収益あるいは財政専売、こういう一つのワクがあって、国家的あるいは地方自治体に対する税の形で入れるものを確保しなければならない、こういう至上命令が上にあるためにあまり原価を引き上げるわけにいかぬのだ、原材料費を上げるわけにいかぬのだ、こういう議論が出てくると思うのであります。  そこで、生産部長どうですか、原価の中に占める材料費というものは、一体最近上がっておるのか、横ばいなのか、この辺の点はどう認識されておりますか。
  51. 黒田実

    黒田説明員 付帯経費が若干上がっておると思います。
  52. 武藤山治

    武藤委員 どうもその点、公社の発表した数字を基礎にして昭和二十九年ごろからずっとながめてみますと、総原価に占める原料費の割合というものは過去二、三年は下がる傾向になっておる。比率が若干下がっておる。  具体的に申しますと、あまり古いのはあれですが、昭和三十二年あたりは六七・四%占めていた。三十三年も六七・四%、三十四年が六七、七%、三十五年が六七・二%、それが三十八年は六五・六%、三十九年、四十年というのは一体どのくらいの数字になりますか。それを比較して見ると、総原価に占める原料費の割合というのは横ばいになっている。すなわち、農民の得るところの収納価格というものに対しては、そう思い切った引き上げ措置はなされていない、こういう判断がこの数字ではできるのでございますが、どうでございますか。三十九年、四十年はどうですか。
  53. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 たばこ製造原価における原料費の構成割合を最近のものについて見ると、三十九年は六五・三%でございます。四十年の決算では六二・九%ということになっておるわけでございます。これは先生御承知のように、材料費のウエートが上がってまいりまして、原料費のウエートが下がっておりますけれども、フィルターたばこの売れ行きがふえまして、その売れ行きがふえていったという事情が影響しておるものと考える次第でございます。
  54. 武藤山治

    武藤委員 それは、フィルターつきがふえたために中身のたばこの葉っぱの量が減ったから、結局原料費というもののウエートが低くなった、こう考えていいのですか。しかし、フィルターつきがふえても本数がさらにずっとふえれば、中へ入る量というのはそう減らぬですね。どうなんです。それで間違いないですか。
  55. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 価格構成要素のうちで、フィルターのようなプラスアルファの要素が入ってまいりましたので、そのものがふえております結果、材料費のウエートが上がってまいったということでございます。一本当たりの詰められております量目等は、技術の改善等で歩どまりは上がっておりますけれども、量そのものについては、非常な変化があるわけではないわけでございます。
  56. 武藤山治

    武藤委員 時間がなくなりますから次に移りますが、今度の第四号台風、その他異常な雨によるたばこの被害というものは相当出ておるのじゃないかと思います。  私どもの栃木県においても、全滅地域というのがございます。過般、宇都宮支局長のところへ農民代表が陳情に行って、全滅の場合にどうしてくれるかというようなことにもかなり関心を持って地方紙は報道いたしております。  全国的に被害の状況はどうであり、それに対して公社は今日どういう手だてをしているか、この辺をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  57. 黒田実

    黒田説明員 今年の災害でございますが、特に大きかったのは六月七日の関東のひょう害でございます。あの場合かなり被害を受けたわけでございますが、集中しまして被害を受けましたのは茨城県の海岸地帯でございまして、ここは約五十数町歩廃作が出たわけでございます。  その後、四号台風の影響でございますが、御承知のようなことで、本土をそれまして中心が通りましたために、風による被害は比較的軽微でなかったかと思います。しかし、あれに伴いました雨のために非常に田畑の冠水ということがございまして、私どものところに入っております報告によりますと、関東から福島県、宮城県、あの付近を中心にしまして、大体三千ヘクタールくらいが大なり小なり被害をこうむっております。そのうちには局地的水害のために廃作のやむなきに至った部分もございますが、大部分は倒伏したとか、水が引いたあとのその後の天候の状況で立ち直ったとかということになるわけでございまして、非常にひどい被害というのは、今回は規模の割りに比較的少なかったのじゃないか、かように考えております。  対策といたしましては、御承知のように、災害補償制度を四十一年度から変えまして、特にああいう災害を受けまして一筆廃作されるような場合は、一筆を分離して補償する、こういうような制度をことしから適用することになり、すぐそれを適用いたしております。それから、特に局地的にある地域が相当被害を受けました場合には、収納代金の概算払い額を一割ほど増額してお払いして、応急の処置にしていただくとかいうようなことで、地方局の申請をまちまして、二、三の地域を措置指定をいたしております。そのほかにもちろん通常の災害補償も十分やるつもりでございます。
  58. 武藤山治

    武藤委員 廃作の場合には、具体的に金額にしてどのくらい出るのですか。
  59. 黒田実

    黒田説明員 昨年まではその方の平年度収納代金の四割をお払いしておったのでありますが、本年度からは補償率を上げて、五割をお払いすることになっております。したがって、全国的な平均で申しますと、黄色種の場合は大体平均十一万円から十二万円の間と思いますので、廃作されますと、十アール当たり五万五千円程度のものはすぐお払いをすることになります。
  60. 武藤山治

    武藤委員 ここで廃作の場合に一応五、六万円出るいとうことになれば、肥料代やいままでの手間というものもかなり埋め合わせがつく、ただ一番の問題は、たばこの場合は、すぐあとにあと作を考えることが時期的にできないのです。これが農民にとっては非常な苦悩であります。それともう一つ問題点は、被害率によって補償するけれども、被害率が、たとえば六割とか七割とかいう被害の場合は、補償費が非常に少ないから、概算払いで先に借りておると、大体それと収納した価格がとんとんになってしまう、結局収納時に一銭も入らないということになるわけであります。  そこで、私はこの間耕作地帯を歩いて農民からいろいろ聞かされた要望は、そういう場合に、こういう特別な災害であるから、概算払いから引かずに、もっと長期間でめんどうを見てくれる方法はないものか、すなわち、災害時の場合には五年間収納代金の中から少しずつ災害時の借り金を出していくというような方法は講ぜられないのか、そういう点について公社として検討したことがございますか、いかがでありますか。
  61. 黒田実

    黒田説明員 公社会計制度からいたしまして、一年一年で大体切りをつけるということが原則でございますので、そのようなことを実際に検討したことはございません。
  62. 武藤山治

    武藤委員 総裁、どうですか。庶民の中から出た総裁というので非常に期待されておる。あたたかい温情ある施策をやるだろうと農民は期待しておるのでありますが、そいうう被害を受けたほんとうに気の毒な、しかも何十年と公社に貢献をした——最近でこそ農民も権利意識に目ざめて、公社収納代金を上げろと押しかけるようになりましたが、明治時代から昨今までとにかく言うなりになって公社に貢献をし、たばこをつくってきたのであります。そういう農民に対する思いやりというものは、昔のような専売公社の感覚で農民を見ないで、やはり災害にあったときには、特別のそういう方法を検討してしかるべきだと私は思うが、そういうお気持ちに新総裁はおなりになれませんか、どうですか。やるということはいま言えぬでしょうが、そういう検討をしてみたいというお気持ちになれないものかどうか。
  63. 東海林武雄

    東海林説明員 この農民の災害の問題については、ただいま生産部長から申し上げましたように、従来の制度を変えておりますけれども、もちろんそれで十分だとは私は考えておりません。今後の問題として御趣旨の点をよく検討してみたいと思います。
  64. 武藤山治

    武藤委員 次に、あなたが総裁に就任する前に、私は昭和三十七年ごろから公社の経理面について幾つか要望し、指摘をしてきたのであります。  それは、公社はかなり多くの下請業者にいろいろ納品をさせておる。一軒で一年間に三億円、四億円あるいは五億円というような金額をほとんど随意契約で従来やっておった。かりに具体的に昭和三十七年の例を申し上げますと、随意契約の金額が百四十三億五千九百万円に対して、競争入札はわずか六億円であります。こういう点は、たばこの紙とかあるいは口とか箱とかいう特殊なものをつくるのであるから、競争入札はなかなか無理だという理由もわからないではないのです。しかし、比率が百四十三億円対六億円ということはあまりにもべらぼうな数字ではないだろうか、どうも公社の契約にはずさんな点があるのではないだろうか、いろいろ収賄や贈賄を生んだり、あるいは公社のむだな支出をこういう点でしておるのではないだろうか、競争にするならもっと安く済むものが、随契によって高く納入されている点もあるのではないだろうか、こういう点で、私は前の阪田総裁に二度ばかりこういう点はできるだけ改善をしてほしいと要望いたしたのでありますが、新総裁になってから、こういう問題についても十分今後前向きで検討し、改善すべきものは直す、こういう方向であなたはいらっしゃるかどうか、そこらの点をひとつ明らかにしていただきたい。
  65. 東海林武雄

    東海林説明員 ただいまの問題は、いまの私どもの考えとしましては、特殊なものを除きましては大体そういうような方針で進めるべきだと考えております。今後その点もひとつ十分検討していきたいと考えております。
  66. 武藤山治

    武藤委員 これからの随契、競争入札の問題については、その後の実績をまたあとで、三十八年から三十九年、四十年と三カ年間にわたる傾向がどう変わったかを数字をもって明らかにしていただきたい。ひとつ資料として大蔵委員会提出を願いたいと思います。  最後に、あとの質問者がおりますから、塩の問題でお尋ねをいたします。  総裁は、総裁に就任されるや間もなくだと思いますが、あれは関西に行ったときに、新聞記者会見か何かで、塩の小売り値段を上げなければならぬだろうという意味のことを新聞が報道いたしております。誤報であるかどうかわかりませんよ。しかし、東海林専売公社総裁がそういうことを言ったということを、日本経済も、あと二社ばかりが出したわけであります。記事を張ったスクラップもあるのでありますが、塩の小売り値段を上げなければならないのかどうか、そこらのところをお聞きしたい。
  67. 東海林武雄

    東海林説明員 関西に参りましたときの新聞記事をいま手元に持っておりませんけれども、これは非常に説明が足りなかったのじゃないかと思いますが、上げなければならないということは言った覚えはございません。それは現在の段階では上げない、こういうことは、逆に——上げないということは言っております。しかし、将来ともいついつまでも上げないんだという意味のことを言っているのじゃありませんので、あるいはそういう点が、逆に、将来は上げるのじゃないか、こういう意味で書かれたのじゃないかと思いますが、上げるということは言ってございません。
  68. 武藤山治

    武藤委員 いまは上げないが、いついつまでも上げないというわけではない、そういう意味をほのめかせるからには、何かいまの塩の取り扱いについて、総裁として、これは独立採算で考えた場合にはこういう赤字になるとか、あるいは、機械とか設備が非近代化のために、こういうロスがあって単価がとてももういまのままではやっていけぬとか、やはり何か障害を感じたのでしょうね。そういうことがちらっと新聞に出るからには、いまの専売で取り扱っておる塩の機構の中で、何か総裁としてここを直さなければならぬという感じがあったのじゃないのでしょうか。それはいかがでしょう。
  69. 東海林武雄

    東海林説明員 塩の値段の問題は、現在、昨年の暮れにトン千五十円上げておりますけれども、公社のほうの塩のあれからいきますと約十三億円の赤字になっておるのであります。でありますが、消費者価格はそのまま据え置いておるということからいたしますと、今後、いままでのいきさつからいって、またその塩の価格を上げなくちゃならないという事態になれば消費者価格考えなくちゃならない、こういうことになるわけであります。ただ、これは物価の政策と関連いたしますから、公社だけの判断ではこれはまいりませんので、そういう意味では、私どもとしては、上げないでいければ上げないでいきたい、こういうことなんであります。ただ、いまも御質問がありましたように、どうも生産費は上がる。ちょっとよくわからないのでございますけれども、塩のいまの価格からいきますと、外国塩との開きというものは依然として大幅になっております。われわれはこれをどうして下げるかということが問題なんでありまして、これを機械製塩のほうに切りかえたらはたしてそれができるかどうか、こういうことを非常に苦慮しております。こういう点で、今度、塩に従事しておる方々のためにある程度これは保護していかなければならぬ仕事なんだというたてまえからいけば、業者と一体になってこの打開策を講ずる、こういうことを懸命にやるべきだと私は考えております。
  70. 武藤山治

    武藤委員 最後に、たばこの現在の小売り値段というものをもいじらずにこのままずっと推移する、こう判断してよろしゅうございますか。
  71. 東海林武雄

    東海林説明員 公社の立場からいたしますと、なるべくならば上げないでいきたい、かように考えておりますが、それも、いついつまでどうということはお約束できないと思うのであります。
  72. 武藤山治

    武藤委員 一応時間の配分上、質問はこれで終わります。  資料要求だけはひとつ間違いなくお願いいたしたいと思います。
  73. 三池信

    三池委員長 只松祐治君。
  74. 只松祐治

    ○只松委員 質問に入る前に、新総裁に御感想を承りたい。  新総裁におなりになった。すなわち、前総裁がおやめになったのは、小林章参議院議員の選挙違反にからんでいろいろな問題が専売内部に発生いたしました。その責任をとっておやめになった。一応そういうことで、この問題は一段落ついたと申しますか、専売公社内部あるいは表面においては一応おさまった事件として、本来ならば私たちもこの委員会でさらに皆さん方の古傷にさわるような意味でのことをたびたび質問するのはいかがかと思います。しかし、前国会直後に、二日あとでしたか、自民党に復党ということが行なわれた。私たち野党としてこういうことを黙って見のがすわけにはまいりません。官房長官もお呼びいたしておりますので、官房長官にあとでお聞きをしたいと思いますが、ああいう事件後におなりになった総裁として、そういう点についていかなる御心境であるか。特に問題なのは、まだ多くの人々が公判中でございます。事件係属中でございます。にもかかわらずこういうことが平然と行なわれる。その小林何がしの心臓もさることながら、こういう全般の事態に関しましてどういうふうにれ考えになるか。これは前総裁がいかなる責任をとったか、新総裁が、したがってその責任のもとに今後どういう専売行政を行なわれようとしておるか、こういうことにもその総裁の心境というものがつながってくるわけでありますので、ひとつお聞かせをいただきたい。
  75. 東海林武雄

    東海林説明員 ただいまのお尋ねでございますが、これは専売公社総裁としての私の立場からは申し上げる筋ではございません。これは自民党のほうのことだろうと思いますので、お答えは差控えさせていただきたいと思います。
  76. 只松祐治

    ○只松委員 復党それ自体、これは自民党内部の問題なり政治の問題だ、こういうふうなことになるのでしょう。したがって、この質問は大蔵大臣にするのか、官房長官にするのか。官房長官としても必ずしも適役ではない。それは自民党総裁であり、政治の責任者である佐藤さんにお聞きするのが一番確かなことですね。しかし、佐藤さんはなかなかこっちへ来られない、こういう情勢のもとで官房長官をお呼びしておるわけです。それとは別個に——自民党といえば、自民党復党問題だけはそうですよ。しかし、復党問題だけではなくて、こういう一連の問題についてどういう御感想をお持ちですか、私はこういうことをお聞きしておるのです。
  77. 東海林武雄

    東海林説明員 こういうところで私の御回答を申し上げるのは非常に苦しいのでありますが、この問題は、私のいまの立場といたしましてはここで申し上げる筋じゃなかろうと思いますので、お断わり申し上げたいと思います。
  78. 只松祐治

    ○只松委員 だから私は復党のことは聞いていない。復党の問題は、私はいまから官房長官に聞きますよ。そうじゃなくて、この問題についてどう考えるか。遺憾であるなら、たいへん遺憾で、おかげで私が新総裁になりましたというようなこととか、いや、そういうことは当然なことで、私がなったのは不本意であるとか、あなたはいろいろ心境があるでしょう。その心境をお聞かせいただきたいということです。——委員長、心境を聞いておるのです。答弁を……。
  79. 東海林武雄

    東海林説明員 私の心境、こう申されますけれども、私のいまの立場からいたしますと、その点は御回答申し上げるわけにはいきませんから御了承願います。
  80. 只松祐治

    ○只松委員 私もこういう問題をしつこく聞こうと思っているのじゃないのですよ。だけれども、要するに、前総裁がおやめになったのは、この責任をおとりになっておやめになったのでしょう。そのことは明らかでしょう、大蔵委員会でいろいろ問題にしたわけですから。ほかのことでおやめになったのですか。この問題でしょう。そうすると、私ちょっとおそく来ましたが、この前あいさつしたいということで大蔵委員会に申し出られたけれどもいろいろなことでできなかったということですから、やはり前回のこういうこと専売公社としては遺憾でございました、心機一転、私が乗り込みまして云々というあいさつがあってしかるべきだと思うのです。そういうことも私たちはまだ聞いていないわけですよ。したがって、私が質問する前にあなたのほうからいままでのいきさつを話して、新総裁としての抱負をお述べになるというのが本来でしょう。だから、私が来る前にお述べになったかどうか、それは知りません。それはあとで議事録を調べます。したがって、私が聞かなかったので、質問に入る前にそのことをお聞かせ願いたい、こう言っておるわけです。復党になったことは、官房長官がお見えになっていますからそちらのほうから聞きますのでけっこうですから、そういうことに対する心境をお聞きしたい、こう言っておるわけです。それもないわけですか。
  81. 東海林武雄

    東海林説明員 いま最初に小林議員の問題が出ましたけれども、その問題に関しましては、私再々申し上げておるとおり、個人的な心境と申しますか、そういうものは申し上げられないと申し上げたのでありますが、関連いたします選挙の違反問題につきまして、公社の中で起こった問題につきましては、私はたいへん遺徳だと思っております。これを二度と繰り返さないようにということは公社の職員全部に通達してございますし、それに対する処置も十分に考えております。
  82. 只松祐治

    ○只松委員 だから、それはいかなる答弁でもけっこうで、そういうお話があったのですが、ひとつそのことはあっさりしていただきたいと思います。  次に、官房長官にお尋ねしますが、これもちょっと前置きは言ったわけでございますが、私たちはまあ一段落した事件と見て、本委員会等でことさらに取り上げる必要もそう感じてはおらなかった。ところが、前国会が終わりまして一日、二日後に復党を自民党としてはお認めになった。本来ならば、官房長官というよりも、総裁であり、総理である佐藤さんにおいでいただいていろいろな問題をただすべきだと思うのですが、総理は御多用でございます。ひとつ、官房長官にかわってお答えをいただきたいと思う。  こういうふうに国会直後に、いかにも国民を欺くと言っては言い過ぎかもしれませんけれども、何かぺてんにかけたような感じ、あるいは私たちが国会でそういう問題の冷蔵の場をなくしていく、こういう形の中でこの問題を御発表になりました。党の近代化なり——これは保守党のですよ、保守党の近代化なり、あるいは政治姿勢を正す、こういうことをうたい文句としておられる佐藤内閣といたしまして、その大番頭の官房長官といたしまして、こういうことをいかようにお考えになりますか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  83. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ときには総理の代理をやらされ、ときには総裁の代理をやらされる——これは一昨日でしたか、山本幸一君が本会議の質疑でこの問題に触れられましたので、総理が、ある意味においては総裁という意味も含めて答弁されたものと考えておりますが、こうして大蔵委員会お話がありますとそれだけじゃ済まぬようでありますけれども、ただ、この問題はもちろん小林章君の復党にも関連をいたしておりますが、広く考えれば、いま保守党の近代化というお話もありましたが、やはり政党全体の近代化の問題といいますか、国民の信頼の問題、特に国会が国民の代表である以上は、常に国民の良識に報いられるような政党でなければならぬし、また国会でなければならぬことは、お互い当然良識の判断するところであります。ただ、党の問題で、私が直接関知いたしておりませんけれども、一応あの問題に対する善後処理が大体において終了いたした。  いま、御承知のように、実際的にも政治の運びは政党政治の運びになっております。そういう形から、実際上無所属の存在というものがなかなかむずかしいのも近代政党の——これは法律論ではありませんけれども、政治論としてそういうことが言われておる。それだけに、各政党の持つ良識、また国民の負託にこたえる考え方というものは、お互いに厳粛でなければならぬように考えております。そのことにつきましては、もちろん国会も皆さんの負託にもこたえ、また国民のいわゆる政治的な良識にもこたえ得るだけの体制をもっていかなければならぬ、御質問の趣旨はここにあると思います。ただ、これを具体的に、しからばこうである、どうであるというような答えのしにくい点は、これまた御理解が願えると思いますので、その点ひとつ御了承の上、これからともにこの政治の近代化のためにお互いに努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  84. 堀昌雄

    ○堀委員 関連して。  この間の総理の答弁を私聞いていて、何をお答えいただいたのか、実はよくわからなかったのです。  私は、前段の、小林議員が一体なぜ離党したのか、それについてちょいと先に答えていただきたいと思います。というのは、離党という問題と復党という問題は表と裏ですから、離党するにはするだけの何らかの理由がなければ離党するはずがないのですから、なぜ離党したのか、それをちょっと先に答えていただきたい。
  85. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 問題は、小林章君の心境が中心になりますので、その際小林君がいかなる考え方で離党されたかを、私が第三者としてこれを推測することは非常にむずかしいと思います。しかし、一応われわれ政党人として、また政治家として考えられる点は、当時、御承知のように関係者から多数の違反者が出た。それはまた一方においては、公社の業務にもある程度の影響を与えた。それよりはまずもって自分の関係者から多数の違反者が出た。それがどういうところまで及ぶか、事態がわからない。そういう事態においては、まずみずからの立場を離れて、そうして事態の終結を見きわめる。事前にそういう意味において措置をとった。これは小林君じゃなくても、そういうような事態に入った場合においては、良識の点においてはそれぐらいの——起訴になるならないは別にして、相当多数の者が関係者から起訴を見た、あるいは起訴を見つつある、こういう状態であった場合に、直接その人たちが、世間に対して大きな影響も与えたし、またその及ぶところ、自分にくる危険もないとは言えない、こういう状態のもとにおいて、おそらく小林君の心境としては、そういう事態で自分の立場を明らかにしておきたい、こういう点があったのではないかということは、これは第三者の推測であります。それが今度は、それらが捜査上においては大体一段落を告げた。そうして、自分のところには直接くることがないことも明らかになってまいったということからして、やはり小林君としては政治を行なう以上は、先ほど申しましたような政党政治の原則からいっても、能力ある政治家としての活動もいたしたいし、かように謹慎の実もあがったとお考えになったものではなかろうか、かようにも考えられるわけであります。
  86. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお話の中で、別にことばじりをとらえて申すのではないのですが、自分のところまでこなかったからというおことばがちょっと一つあったわけですね。私はその問題は別として考えても、おやめになった理由は、非常にたくさんの職員に起訴をされる者が出てきた、これは党に迷惑をかけてはなるまいということで一応離党されたんでしょうし、党の側もそれを認めて離党を認められたのだと思うのですがね。そうすると、筋道としては、現在裁判の最中だろうと思うのです。せめて一審でこれらの職員が全部無罪であったということなら、これはもう堂々と復党なすって私はけっこうだと思うのですが、おやめになった時点と復党されたいまとの間には実際は差はないのです。あるとすれば、いまちょっとお触れになった、自分にまで及ぶかと思ったのがそこまでこなかったということで、これがあるいはその時点と今日の時点の相違かもしれません。しかし、厳密に見ると、客観的には相違がないのにそういうことが行なわれておる点が、私は世論一般としてかなり批判を浴びておられることだろうと思うのです。  私は大蔵委員でありますとともに、公職選挙の特別委員を長くしておりますから、選挙の問題については特に私は厳正、公平であるべきだ、こう考えておるわけですが、確かに私はそれは自由民主党の良識の問題小林さんの良識の問題だろうと思いますけれども、いま裁判をやっている専売公社職員の身になってみたら、いまの小林さんのあり方はいかがなものであろうかという感じがしてならないわけです。総裁がこの問題について触れたくないとおっしゃる気持ちはよくわかります。しかし私は、少なくとも総裁の気持ちとしても、職員たちは自分のためにやったことではないわけです。いろいろな機構の関係の中で、これまでの親しいということの中で起こったことの責めをその職員側だけが責められて、それを受けた者が何ら責められるところなく、のうのうと自由民主党に復党しておるなどというようなことは、これは徳義上の問題から見ても適当でないし、私が専売公社総裁であるならば、そのような復党していただくということについては、私は、自分の部下の職員の身になって考えると、賛成できないという答弁をいただいてもしかるべきではないのか、こういう感じがするわけです。問題は、やはり私ども政治家というものは、少なくとも世間一般の人間の徳義心と同じ程度のものを持ち合わせていないならば、国民の批判を買うのは私は当然だと思う。そういう人がおることは、私は自由民主党としても決してプラスではない、こう考えますので、ちょっと関連して申し上げたわけでありますが、これは橋本官房長官がおきめになる問題でもないが、ただ、議論としてここに出ましたから申し上げただけですが、やはりあなたも自由民主党の党員の一人として、政党の幹部として、ひとつ十分こういう点については国民の立場に立って、そうしていま責められておる専売公社の職員の立場に立ってもう少し考えてやってもらいたいということをちょっと申し上げておきたいと思います。
  87. 只松祐治

    ○只松委員 大体私が言わんとした結論を堀さんがおっしゃったような形でございまして、それ以上申す必要もないかと思いますが、私が本日時間をいただいてお伺いしようとしたことは大体そういうことに尽きるのです。  直接には自民党でございまして、野党の立場に立つ社会党からは、そういう悪いことを大いにしてください、けっこうです、社会党の人気のほうが上がります、こういうことになります。しかし、お互いに政治をやっている人間として、特に良識の府といわれておる参議院において、週刊誌等いろいろ書いてあります。鉄面皮小林章、ちょっとひどいですよ。子供の探偵小説か何かに出てくるみたいなことばがほとんどのあれに使われております。恥知らず小林章、鉄面皮小林章——自民党が復党させるのが正しいと思われるならば、こういうことはむかっ腹立ってしようがないと思うのですが、それはいわく言いがたし、党内事情もあるでしょうから、そういう点、私はわからぬわけではないから申し上げませんけれども、少なくとも、やはり国会直後に行なったという、こういう小細工というものはやめていただきたい。それから、いま堀さんがおっしゃいましたことは、もししいて復党の気があるとするならば、少なくとも現在進行中の裁判が一段落をして、その後に復党ならばわからぬことはない。  私がきょうあえて大蔵委員会で持ち出したのは、堀さんも語気を強めておっしゃいましたように、公判審理中の多くの職員があるということなんです。これがなければ、そう言ってはなんだけれども、いろいろな方面から御要望がありましたから、それほど私はする意思はなかった。しかし、なお多くの公判審理中の、しかも実刑を科されて、そうして専売公社を去っていかなければならない有能な職員がたくさんこの事件で巻き込まれておるわけです。今後も裁判の結果実刑を科されると専売公社を去っていかなければならぬ人がたくさんあると思うのです。そういうさなかに、本人はのうのうとして、もう何にもなかった、こういうことならば、自民党もさることながら、小林章氏そのものも鉄面皮と言われてもしかたがない。だから、ひとつそういう点に関しては、総裁が答弁できないとおっしゃったのだけれども、最後に遺憾であるとおっしゃいましたけれども、そういういろいろな複雑な心境で答弁ができなかったのじゃないかと思います。良心的に私はそう解釈をいたしております。官房長官のほうでも、またほかの段階でほかの部署でも質問があるかと思いますので、私は委員会でこれ以上申し上げませんが、ひとつ政治姿勢を正すために、この機をとらえて御反省になって、さらにこういうことのないようにしていただきたいと思います。  それから、小林さん自体がこれで完全に終わった、こういうことをお考えになったり、政府がお考えになっておるのであれば、あとに残った、このために巻き込まれました役職員という者は寝ても寝れない、泣いても泣き切れない心境があろうかと思います。そういう人に、逆にあたたかい善後措置、事後措置というものを政府当局においても——やったことは私はいいとは申しませんよ。しかし、やはり小林さんだけが無罪になって自民党に復党をした、あとの者は、裁判になって首になる、退職金ももらえない、年金その他もパーになる、その人は一生を棒に振る、こういうことでは私は困る。したがって、現時点において政治姿勢を正すのみではなくて、あとの連座したそういう役職員に対してもぜひあたたかい施策をやってもらいたいと思う。その点に対する御答弁を承りたいと思います。
  88. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 皆さんからよき御忠告をちょうだいして、十分その心持ちを持って今後ともに対処していきたい、かように考えております。
  89. 只松祐治

    ○只松委員 まず最初に、この数年間におけるたばこの総収入、総支出、それに対する納付金の金額等をひとつお答えいただきたい。
  90. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 最近数年間の収入、支出、専売納付金等の推移を申し上げますと、おおむね次のとおりでございます。  収入額は、三十五年は三千百七十五億円でございます。それに対しまして、支出は千七百四億円、いろいろな計算が行なわれました結果としての専売納付金は千四百六十四億円というのが三十五年の数字でございまして、このほかにたばこ消費税が五百十一億円あるわけでございます。三十六年、この数字は三千五百五十四億円、千九百六十億円、千六百三十九億円、六百六十八億円というふうに変わってまいっております。飛ばしまして四十年になりますと、収入額は五千九十七億円、支出額は三千八百八十七億円、専売納付金は千六百七十二億円でございます。たばこ消費税は千百七十五億円でございます。億以下の単位は切り捨てて申し上げました。
  91. 只松祐治

    ○只松委員 いまのお答えからも大体明らかなように、総収入は三千百億円から五千億円に伸びております。支出も一千七百億円から三千八百億円にこの五年間に伸びておる。ところが納付金、いわゆる国の収入は依然として一千六百億円の線をほとんど動いておりませんね。納付金一つもふえておらないわけであります。金を使ったり何かするのはどらむすこですが、どらむすこまでいかないけれども、あまりかせぎのいいむすこではない。収入がこれだけふえ、これだけ物価が上がり、これだけインフレが進んでおるのに、国庫納付金はほとんどふえておらないということは一体どういうことでございますか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  92. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 先生ひとつ御理解願いたいのは、たばこ消費税の関係をごらん願いたいということでございます。  たばこ消費税の税率が年々高くなっておりまして、納付金と消費税を合わせましたところで申し上げますると、三十五年は二千五十六億円でございます。四十年は二千八百四十八億円になるということでございますが、益金率が若干は下がっておる。われわれもそれはよく注意しなければならぬと思うわけでございますけれども、これは御承知のたばこの葉っぱの収納価格、給与の問題その他がからみついておるものと考えておるのであります。
  93. 只松祐治

    ○只松委員 次にその問題をお聞きしようと思ったのですが、先にお答えになりました。  私は先に納付金のことを聞いておったのですが、確かに消費税と合わせますと伸びてきております。にかかわらず伸び率というのは、総売り上げからすればそう伸びておらない。葉たばこ値段や買い入れ価格あるいは人件費が上がっておる云々等の理由はあると思いますけれども、しかし事業として行なっていく限り、やはり収益を伸ばしていくということが一つ事業の目的であろうが、それが下がってきておるということは問題であろうと私は思うのであります。  そこで、本来ならば当然にそういうものにかかってくる総支出の内訳あるいはいろいろな諸費用についてお伺いしなければならぬわけですが、時間がございませんので、私はこの問題は他日に譲りたいと思うのです。  したがって、きょうは、逆に売り上げをいかに伸ばすかという問題についてだけお尋ねをしておきたいと思うのですが、何か価格の引き上げ等が考慮されておるやに仄聞するわけです。このところほとんど専売関係の議案が本委員会で行なわれておりませんでしたので、あるいはその風のたよりが強過ぎるのかどうかわかりません。そういう計画があるのかないのか、あるいは販売数量の増大あるいは品種の開発、低級なのをできるだけやめて高級なのをふやそうという、いろいろな計画があるやに聞いておりますが、そういう点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 東海林武雄

    東海林説明員 たばこ値段を上げるという問題につきましては、これは私のほうから上げるということは一ぺんも言ったことはございませんので、現在のところは上げるという——公社といたしましてはできるだけ上げないでいきたい、こういう考えでおります。ただ、御承知のように、もう十数年来たばこ値段を上げておりません。ところが原材料のほうでは非常な騰貴を来たしておりますから、そういうような企業の採算面からいきますと非常に窮屈になっておることは事実であります。ことしは四十一年度の予算といたしまして、たばことして千八百億本を予定しております。金額にいたしまして五千七百億円ということをめどにしておりますが、昨年度から見ますと、これらは相当の努力をいたしませんとなかなか達成は容易ではないということは覚悟しておりますが、あらゆる企業努力を払って、いまお話のありましたような新種のものを出していくとかというようなことは考えておりまして、この秋から新種のものが少し出ていくというふうに考えております。そういうような販売促進等にも努力いたしまして、ぜひともこれは達成したい、かように考えております。
  95. 只松祐治

    ○只松委員 当面値上げはないということですが、絶対にないということですか。何かいまなかなか含みのある御発言ですが……。
  96. 東海林武雄

    東海林説明員 どうもこの値段につきましては、実はこれは公社だけで考えることができない問題もあるものでございますから、私としては、いまの時点では上げないということは申し上げておるのですが、将来に対していついつまで上げないとか、いつから上げるということははっきり申し上げられないという意味において申し上げた次第でございます。
  97. 只松祐治

    ○只松委員 塩の価格についてはどうですか。塩のほうの価格も同じような御意見ですか。
  98. 東海林武雄

    東海林説明員 塩の価格は、これは御承知のとおり昨年度にトンで千五十円上げておりますが、消費者価格はそのまま据え置いております。しかし、ことしの暮れに塩の価格の問題が出てまいりますが、同じ条件でこれは引き上げていくということになりますと、実際においては年間四十一年度の予算で十三億円の赤字になっておりますけれども、いまのところ、これも今年度は少なくとも上げないということは申し上げていいんじゃないかと思います。来年度の問題は、塩の価格が幾らになりますか、そういうものと勘案いたしまして、これは政府物価政策とも関連いたしますので、十分その点を考慮した上で決定いたしたい、かように考えております。
  99. 只松祐治

    ○只松委員 あるいは塩の価格は上げる可能性があるというような御発言ですが、できるだけ上げないように考えておいていただきたいと思います。  それから、いまいろいろ経費の節約もし、売るほうも売って企業利潤の増大に努力するというお話がありました。いままで販売の伸長率は大体六・五%前後でしたね。まあわりあい順調に伸びてきておるというようなことであります。しかし、このところその伸長率が大体限界に来ておるのか。まだ原因はいろいろございましょう。あるいはたばこの高級化というような問題、不景気でなかなか買えないというようなこともあるのかもしれません。とにかく、その伸長率が急に下がってきておるやに聞いておるわけです。そういうところの原因、したがって、こういうものがそう一時的な現象ではなくて、本質的にこれで大体日本におけるたばこ販売のマキシマムだ、こういうことになれば皆さん方の計画というのは相当根本的に狂ってくると思う。そういう点に対する見通し、したがって、先ほどちょっとお聞きいたしましたけれども、新規開発のそういうたばこや何かはどういう方向のもの——具体的に名前まできまっておらないかと思いますけれども、どういうものをおつくりになるか、そういう計画等が明らかでございましたら、ひとつお聞かせ願いたい。
  100. 東海林武雄

    東海林説明員 きょう最初に実は申し上げたのでありますが、たばこ伸び率というものは昭和二十七年に二千億円、三十五年に三千億円、三十八年に四千億円、四十年に至りまして五千億円をこしているわけでございます。これはその期間がいま申し上げたとおりだんだん詰まっておりまして、伸び率が非常に急激に伸びてきたということでございます。去年のいまごろの状態を聞きますと、まだ需給関係が円滑でなかったということでありますか、昨年の暮れあたりから大体需給関係はバランスをとってまいりました。今年にまいりますと、いま御指摘のように、多少いままでの伸び率と同様な伸び率ということは考えなくちゃならない時期にきているのじゃなかろうか。そこで、長期計画の策定といたしましては多少その伸び率を緩和して実は考えておるようなわけなのであります。今年度に入りまして、つまり四十一年度に入りましてからは、六月あたりは売れ行きが多少鈍化しておりますが、通算いたしますと大体計画どおりと申し上げてよかろうかと思います。あとは今後の売れ行きいかんということになります。  そこで、その次にお尋ねになりました新種のことにつきましては、現在計画しておりますのは二十五円のフィルターつきのたばこをこの秋に出そう、名前は「わかば」ということに決定いたしております。それから引き続きまして五十円のフィルターつきのたばこを出そう、それから「シガリロ」とか、そういうような特殊なものを続いて出していこう、こういう考えでおります。
  101. 只松祐治

    ○只松委員 こういうように販売全体の数量あるいは専売のいわゆる納付金の実績において非常に大幅に伸びていっているわけですが、専売公社従業員の数は、これはまたほとんど一定しているのですね。これに比例して伸びておらない。端的に見ればオーバーワークになっておらないかということが言えるわけです。まあそれには機械化なり合理化なり、いろいろなことで皆さん方は乗り切っておる、こういうお答えになるかと思うのですが、これは労働組合のほうから年じゅう労働強化じゃないか——あとで御質問いたしますが、今度は支所なんか減らしていくと、またいろいろなことでオーバーワークになっていく、こういう形になるかと思うのです。そういう点について、これは総裁になられたばかりでそこまではまだ勉強されておらないかと思いますが、私たちから見るならばこれだけの販売数量、価格や何かの伸びに比して、ほとんど従業員が一定であるということは、多少ふかしぎに感ずる。全然そういうオーバーワークになっておらない、こういうふうにお考えでございますか。そういう点、労働問題についてお聞かせをいただきたい。
  102. 東海林武雄

    東海林説明員 いま公社従業員の総数が四万三千名でございますが、これはいまのお話のとおり数量がふえてまいりましたのに比例してふえておりません。おりませんが、これは御指摘のとおり工場の面からいたしますと、製造能力というものが非常に倍加されておりまして、もっとも、現在一分間に九百本というのもございますが、最高性能の機械に至りますと二千本というような性能の機械ができております。これにつきましては、労働強化になるかならないかということは組合のほうともよく相談をいたしまして、従事員の適正な配置をしているということが申し上げられると思います。  その他の面につきましては、現在販売の面からいきますと、小売り店の数か、御承知のとおり十七万七千と非常にふえてまいりました。それらの手を借りて販売の促進のほうが行なわれておりますので、公社の直接のそういう面の人数はふえなくてもよろしかろうと考えておる次第でございます。大体いまの人数でやっていけるというように考えております。
  103. 只松祐治

    ○只松委員 次に、販売の面についてお尋ねをいたしますが、まず最初に、配送会社を東京、大阪では日通と合弁みたいな形でやっている。これを順次近郊の埼玉や何かに広げていこうというような計画もあると聞いておりますが、あるいは名古屋、福岡等にもそういう会社を新設していこう、こういうお考えのようでございます。その会社と専売公社との関係はどういう関係になっておるか。特に、資金面だけではなくて、人事についてもたくさんの人がその会社にお入りになっておるように聞いております。人事面でどういう方が、あるいは何人ぐらいその会社に入っておるか、そういう点、おわかりになりましたらひとつお答えいただきたい。
  104. 服部誠太郎

    ○服部説明員 お答えいたします。  ただいまの配送会社の点でございますが、東京、大阪、二つございます。  人事面につきましては、東京の配送会社におきまして、公社の出身者が二名でございます。その他は日通等から入っております。これは役員でございます。それから大阪のほうは、関西たばこ配送と申しますか、これは役員で、公社出身者同じく二名でございます。  資金のほうは、資本金が、東京が三千万円、関西が二千万円でございます。その出資の割合は、公社の共済組合から出しておるのが約五二%、その他は日本通運等から行っております。大阪も大体同様でございます。
  105. 只松祐治

    ○只松委員 あと、近県のことや新設について言ってください。
  106. 服部誠太郎

    ○服部説明員 ただいまの近県に拡張するという点でございますが、たばこの配達は従来公社が直営でやっておりました。これを三十八年度から、もちはもち屋にやらしたほうがいいのではないかというようなことで、専門の会社をつくりまして、公社からこういう会社に移したわけでございます。その能率等を見た上で、これを順次拡大していきたいという検討はしておりますが、まだどの範囲、いつ拡張するという決定には至っておりません。
  107. 只松祐治

    ○只松委員 東京、大阪だけではなくて、名古屋、福岡に新設するかどうか。
  108. 服部誠太郎

    ○服部説明員 名古屋と福岡につきましても、同様でございます。拡張の検討はいたしておりますが、まだ結論を得ておりません。
  109. 只松祐治

    ○只松委員 何かだいぶそういう話もあるやに聞いておりますが、一方たばこ耕作組合等でもそういうことをしたいという希望もあるわけですけれども、そういう面についてはなかなか許可をしない、こういう方針のようでございます。片一方は順次、もちはもち屋といいますか、広げていこう、こういうお話、片一方は農民のほうの要望はあまり聞かない、こういうことですが、今後は順次広げていって、葉たばこ耕作関係者にもそういうものを、あるいは葉たばこ独自のそういう運送業務というものを行なう、こういう計画なりそういうものは何かございますか。
  110. 黒田実

    黒田説明員 私、たばこ耕作組合の関係でそういう計画があることは、直接関係者から何も聞いておりません。   〔「そういうことを言うなら計画を出させるよ」と呼ぶ者あり〕
  111. 只松祐治

    ○只松委員 いま全然聞いていないというお話でございますが、委員席から声がありましたように、希望がないわけではない。ただ無条件にだめだというので、官の拒否というのはなかなか強いものだということで、民はおそれをなしてやっていない。いま申しますように、順次そういうことを民営にしていくということであればそういうものが当然出てくるわけですから、したがって、こういうふうに順次広げていくということならば、そういう面についてもあわせてひとつ御検討をお願いしておきたい。  それからさっき、この関係について法律的には全然別個でございましょうが、お聞きしたわけですが、できますれば資料として、この会社の経理内容について、専売公社がどの程度監査権等持っておるのか私は存じませんけれども、そういう点があれば、ひとつ資料をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  112. 服部誠太郎

    ○服部説明員 できるだけ御要望に沿うような資料を出します。
  113. 只松祐治

    ○只松委員 それから、そういうことと関連いたしまして、順次運送業務等を整理していくという。いま小売り店に月に何回ですか、四、五回ですか、お回りになって注文取りをされておられる。そこに結局専売公社小売り店、大衆との接点というものがあるわけですね。ほかにあまり接点というものはないわけですから、製造するだけですね。ところが、今度はその接点も断ち切って、そういう小売り店への配送、注文取りはやめよう、できるだけ配送は配送会社に、そういうふうにしていく、あるいはそこまでしなくても、配送は配送で全然別個にして、注文は電話等で受けて、定期的に行くのをやめよう、こういうお考えがあるやに聞いておりますが、そういうことですか。
  114. 服部誠太郎

    ○服部説明員 ただいまの御質問でございますが、この配達はこういう会社をつくりまして分離されるわけでございますが、注文取りは従来どおり公社のほうでやっております。  それで、この配達会社をつくりました趣旨の一つといたしまして、こういう定型的な配達というような仕事は分離するが、注文取りを含めたいわゆる販売促進活動、そちらのほうは従来より力を入れてやってまいろう、こういう考えがあったわけでございます。それでこの注文取りという行為は、一つの販売促進活動の一態様でございますが、そういうものにつきましても、これをただやめていこう、こういう考えはございません。ただ、一部には、この注文取りというのが非常に機械的なものになっている面もありますので、そういうところは別の形の販売促進活動に切りかえていったほうがいいのではないか、こういうようなことは言っております。この注文取りというのは、非常にむずかしい仕事でございまして、販売促進活動の一環としてどういうふうなことをやるかということが大事かと思いますが、注文取りということだけをとりますと、そういう現象があらわれるかもしれませんが、販売促進活動といたしましては、全体として従来より充実した援助をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  115. 只松祐治

    ○只松委員 そういうふうに全体として販売活動はやめないけれども、いままでみたいな定期的に行っているのはやめるかもしれない、こういうお答えのように聞きますが、そういうことでいいですか。
  116. 服部誠太郎

    ○服部説明員 定期的に行っているのをやめるというとちょっと語弊がございますが、機械的になっているような面は必要じゃないのじゃないか、こういうことでございます。
  117. 只松祐治

    ○只松委員 機械的か定期的か別にしまして、そういう形の面で、そこで人員の問題というのが一つ労働者側から出てまいります。それから小売り店側としては、定期的だと、こういうふうになくなったから今度はこのくらいといって、定期的ならば資金繰りその他もこれは心づもりがちゃんとできておるわけですね。ところがそうじゃなくて、注文は電話でしろというような形になってきて、販売促進活動——こういうものができたからこういうものをとってくれというような販売指導といいますか、そういう面だけ別な人間が、定期的に回わるのじゃなくてできていく、こういう形になりますと、なれてしまえば小売り店だってできるかもしれませんが、その過程では小売り店だって資金繰りその他問題がありましょうし、労働組合としてもそういう問題についてはいろいろな問題が出てくると思うのですが、そういう点について、そういうしわが起こってくるというような問題まで全部考慮した上でいまのような計画をお立てになっているのか、あるいはそういう根本的な問題まで考えておるのではなくて、単に販売促進の、さっき言った業績進展のためのいろいろなことを考えているのだ、こういうことですか。どうも御説明でははっきりしないのですが……。
  118. 服部誠太郎

    ○服部説明員 いまの小売り店の資金の点でござ いますが、小売り店の資金の点ということになりますと、これは配達の回数の問題ということになるかと思いますが、その配達の回数を特に減らそうというふうなことは考えておりません。いろいろ小売り店の資金繰りの問題というようなことは十分あるということを認識しておりまして、そういう面で新しい制度が小売り店側に対する圧迫にならないようなことをしながらやってまいるつもりでございます。
  119. 只松祐治

    ○只松委員 それから私は、社会形態の変化に応じてこういう独占企業である専売等もひとつ販売形態をかえていただきたい、こういうことをたびたび御要望申し上げて、多少御理解をいただいております。普通の民間企業でございますと、これは新総裁はおわかりでしょうが、社会形態の変わるに従って、それに対応してすぐ、こういうところに団地ができたから売り込みに行けというようなことで、ずっと販売形態が変わってくるわけですが、独占企業というものはそういう点は柔軟にできていない。これは団地とかビルとかという問題を取り上げてお話しているわけですが、ことに新総裁でございますから、ちょっと団地新聞に投稿になっていたのを簡単でございますから要点を読み上げますが「ましてやこの団地、周辺とも併せてわずか五軒。とくにハイライトは無い 日の方が多く、加えてその殆んどが夜八時には閉店してしまう厳しさ。気が付いた時に三個、五個と買い置きしておくのがむしろ当然ではなかろうか。それからというものは、タバコは断じて都 内で買って帰ることに決心した。」ということが 書いてあります。その前に、たばこは地元でとか、税金の関係があるから地元で買えとか宣伝、広告がしてある等とか、いろいろなうたい文句があるわけですが、これは団地新聞の投稿欄に載っていたのを私が切り抜いたものです。こういうふうに、埼玉なり千葉なり神奈川なり近郊都市に居住して、生活はそこでしておる。したがって、し尿処理から始まって教育その他、そういうめんどうは全部地元市町村で見る、そういうことで消費税というような問題も出てきておる。ところが、いまこの新聞でわかりますように、地元で買わないで東京で買う、こういう事態が非常に多いわけなんです。これは団地の例でございますが、団地じゃなくても、朝大体こちらに七時半から八時の勤務が始まる労働者諸君というような人は、六時半ないし七時前に浦和、大宮等から電車に乗り込むわけです。そのころはたばこ屋さんというのはほとんどあいておりません。そこで私は、朝早く起きて開いて、夜おそくまでやりたいと言っているたばこ屋さんを許可しなさいといってお願いしたけれども、なかなか許可になりませんでした。そういう問題も出てくるわけであります。何とか駅の周辺に朝早く開くたばこ屋さんをつくってくれないか、また京浜線が複々線になりますから、もっと居住者はふえてまいります。これは埼玉なり千葉なり、神奈川もずっとそうだろうと思います。ところが、朝早くは、店員その他の関係もあってなかなかたばこ屋さんが開かれない。東京で買っている。そうして消費税というのは東京に落ちるし、たばこの本数がいろいろな交付金や何かの基準算定の基礎にもこのごろはなりつつある。たばこの売り上げ本数というものは東京が多くて近郊都市では少ない、こういう矛盾が出てきておるわけです。したがって、できるだけ私はこういうことが起こらないように、団地にもひとったばこ屋さんをできるだけ自由に開いていただきたいし、あるいは自由に開けないならば、機械等をたくさん置いていただきたい、あるいは駅の周辺に朝早くたばこ屋さんを開く、こういうことを皆さんのほうでお考えをいただきたい。あるいは、大きなビルがこのごろはたくさんできてまいりました。ビルの話まで私この前しておりませんでしたが、一階の裏口なら裏口だけにあるということで、高層になりますと、なかなか一階まで臭いにこれない、こういうことになります。あるいは、それだけ大きくはないけれども、ビルといりのは何百人か生活をしております。何百人程度ではなかなか許可にならない、こういうことなんです。したがって、地域だけではなくて、こういういわゆる近代建築の出現に対応してビルにどういうふうに許可を与えるか、あるいは市役所その他では、ビルそのものには数百人までは生活していないけれども、非常に出入りが多いというようなところは、それは地域ではございませんからなかなか許可にならない。そういう問題があります。さっきあげましたように、高層建築になってきて、十何階から一階まで買いにおりてこなければならないという問題も出てまいりましょうし、こういういわゆる社会構造の変化に対応して、サービス業であるたばこの販売というものは考えていかなければならぬと思うのです。こういう問題は私たちがこういうところで言わないと、一般の中から皆さん方のお耳にもなかなか入りづらいし、皆さん方のほうでも、いわゆる独占企業ですから、積極的にそういう面を開発しよう、こういう考えも少ないと私は見ている。ぜひ、そういう社会形態、居住形態の変化に伴って販売を対応させていくということをお考えいただきたいと思います。ひとつ総裁のほうから明確なお答えをいただきたいと思います。
  120. 東海林武雄

    東海林説明員 ただいま御指摘のありましたのは、公社の販売促進という意味から見まして当然考えなければならない問題であろうと思います。実は公団住宅に対する問題は、これは御指摘のあるまでもなく、先般来公社の販売政策の一環として取り上げております。これをどういうように解決するかということが今後残されておりますが、御趣旨の点はよくわかっておりますので、十分取り入れまして、今後販売の促進に資したい、かように考えております。
  121. 只松祐治

    ○只松委員 もう一つ販売でお聞きしておきますが、何か小売り店の指定基準をいろいろそういうことで改定したいというようなお考えがあるように聞いておりますが、それは結局いまのようなことと関連していろいろ近代的にしていく、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。何か特別に小売り店のそういう指定基準を変える、こういうお考えでもあるのですか。
  122. 東海林武雄

    東海林説明員 いま御指摘のように、経済環境が非常に変わってまいりますので、従来の基準の範囲内で規則どおりにやろうということになるとたいへん窮屈になろうかと思いますが、基準は基準といたしまして、その解釈に相当の柔軟性を持たせるというやり方で今後やっていきたい、こういうように考えております。
  123. 只松祐治

    ○只松委員 次に、そういうたばこの販売をするのに、私たちの埼玉でも、川口だとか、大宮だとか、いろいろ全国でたくさんあるわけであります。そういうものを、いろいろ皆さん方としては、こういうところは売り上げが少ないからこっちに統合したいという考えもあるでしょう。しかし、地元としては、そういうところに置いておいてくれという意見もあるわけですが、何かそういう支所の統廃合をお考えになっておるかどうか。  それから、同じようなことでございますが、葉たばこ収納する個所も、やはりそういう形で耕作面積が違ったりなにかいろいろできている、そういうことで、何か廃止したい、統廃合したい、こういうお考えがあるやに聞いております。これもいろいろ耕作農民のほうからも意見があるようでございます。耕作農民に影響したり、小売り店に影響することでございますが、したがって、あるならある、ないならないと、あらかじめそういうことも方向を明らかにされておったほうがいいのではないか。いかがでございますか。
  124. 東海林武雄

    東海林説明員 これは、収納所の問題からいきますと、収納所の数というのは、御承知のとおり非常に多いわけでございます。多いわけでございますが、その収納所がいままであったという歴史的な理由がりっぱについております。ところが、最近のように交通機関が非常に発達してまいり、道路がよくなりますと、昔のような収納ということからだんだん範囲が拡大されてまいります。ところが、収納所の実態を見ますと、その設備や建物についても非常に不完全なものが多い。これはもう少し丁寧なものをつくったらどうかという御要望もありますので、そういう場合には、支障のない限りそういうものは統合していって、設備のいいものをつくったらどうかということで検討しております。  それから、支所その他につきましては、これは検討段階でございまして、そういうものを統合したほうがいいかどうか、こういうものも十分研究した上でひとつきめたい、かように考えております。
  125. 只松祐治

    ○只松委員 検討されておることはやがて具体化することだと思いますが、そういう際には、やはり公社もサービス業務でございますから、支所の統廃合については、小売り店等に対する影響等をぜひお考えいただきたい。  それから、葉たばこ収納所等については、耕作農民だけではなくて、やはりそこで働いておる職員、労働者の皆さん方がいままで一日に一万七千キログラムぐらい検査をやっておった。それが結局二万キログラムをこえるようなことになりはしないかというようなことで、収納の場合、機械化ということは製造と違いましてなかなかできかねる面でございます。そういう数量だけを多くいたしますと、おのずから粗雑になってくる、耕作農民とのいろいろな感情問題も出てくる、こういう形にもなると思います。したがって、そういう統廃合にあたっては、ぜひそういう面までもお考えになって、労働組合あるいは耕作組合とも御協議の上決定する、一方的に皆さん方の計画だけでするということが起こらないようにお願い申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。——よろしければ、私はきょうの質問を終わります。
  126. 東海林武雄

    東海林説明員 ただいまの御意見は非常にごもっともでございます。もちろん私どもも、たとえばそういうものを統合する場合に、その従事している人方がやりいいようにしようということが眼目でございますから、そういう方々に過重な労働をしいるという考えは毛頭ございません。それから、小売り店方々に御不便をかけるような統廃合をしていくということではございませんので、その点はいまのお話をひとつ十分入れまして考えていきたい、かように考えております。
  127. 三池信

    三池委員長 小林進君。
  128. 小林進

    小林委員 私は、きょうはゆっくりと、公社姿勢の問題やら新総裁の高邁なる所見などをひとつお伺いいたしたい、できれば夜の暮るるを知らず十二時ごろまでやりたいというふうに考えたのでありますが、午後の二時から私も橋本官房長官に会見を申し込んでお話をしなければならぬ問題もあるのです。そこで、私のお伺いいたしたい最も重要な問題をひとつお尋ねするつもりでありましたが、同僚議員のほうから、小林某の問題については、目下専売公社の内部において着々と粛正中でありますから、しばらくそのやり方を見ておいてもらいたいという、またこういう勧告がございまして、一番大事な問題にいささか触れ得ないのであります。何しろ多年友情を重ねておる同僚の進言でもありますので、それではそれを避けておこうということになったのであります。それでは、そのほかの問題について御質問しようと思ったら、また同僚から背中をはたかれて、君の質問は三十分くらいに、こういうふうに押えられた。三十分では質問ができません。  そこで私は、三十分でありますから、要望だけを申し上げておきます。  第一、専売公社で一番いけないのは、先ほどからもお話がありましたけれども、百姓を少しいじめ過ぎる、これが第一いけない。私どもは、農民の問題になりますと、どうも農林省だと思って、あるいは米価闘争だ、やれ酪農だあるいは野菜だというふうに農林省中心にやっている。ともすると、大蔵省や専売はその陰に隠れているのでありますが、隠れている専売が一番いけない。われわれのことばをもってすれば、苛斂誅求あくなきだ。しかも、いじめているのでありますが、そのいじめ方が二つです。  先ほど言われたいわゆる収納代金を低価格で取り上げる、所得補償方式というようなものをなかなか採用していかない。それは武藤議員が言いましたから私は触れませんが、その問題が一つ。  いま一つは鑑定制度です。最近は少しこれが改良されたというふうに聞いておりまするけれども、まことに鑑定のやり方などというものは一方的にやってしまう。一等、二等、三等、四等級の格づけ、お前は四等、お前は三等、二等、一等、言われたらそれはもうツルの一声で終わりだ。しかも、そのときのきめ方などというものは、旅館に虫がいたか蚊がいたか、ちょっとごきげんが悪いと、ごきげんのままにもう抜き打ちに問答無用でやられてしまう。そのためにいかに多くの農民が泣いているか。勧進帳のようにずっと例を述べて、一つずつ私は具体的なことをやろうと持ってきたのでありますけれども、三十分だから言えない。言えないが、総裁が聞きたいとおっしゃれば、何県の何市の何郡の何町のだれだ、何年何月とずっと例をあげて申し上げます。しかも、そういう鑑定に来るときはただ一人で来るわけじゃない。三人も四人も来るけれども、そういう人たちの不遜なる態度、農民に臨むところの思い上がった態度、実に多くの問題がありますが、それはひとつ警告の程度にしておきます。これが一番悪いのです。私は言い出したことは何も言いっぱなしにしておかないのでありますから、それがどういうふうに改められておるか、後日また私はお尋ねいたしますけれども、こういう鑑定の態度が一番悪い。  それから第二番目は、専売の労働組合に対する態度がどうもよくないが、これは平林君がいて、大いに公社御当局に表なり裏なりその改革を論じておるようでありますから、その成果のあがらんことを私は要望いたしまして、これも具体的にはあげません。ただ、いま総裁が新しく改築あるいは改造をしている専売の支店、出張所その他をお回りになっている、まだ全部お回りになっておらないとおっしゃるが、だいぶ新機械を入れたり、能率化、合理化のために努力をされておるようでありますが、そういうことに基づいて、あるいはまた労働者が合理化の名において首切りが行なわれるのじゃないか、機械が近代化しますから、いままでは四十人も五十人もいたのが、三人か四人でその製造工程ができ上がる、そういうふうな設備の近代化が行なわれておるようであります。私も私の関係しているところを歩いてみておりますが、そういうことのためにどうも首切りが行なわれるのじゃないかというふうな心配も若干あるようであります。そういう点もひとつ労働者の身になって問題を考えられて、不安のないように、しかも能率があがって、もうけがあったら、だんだん労働者にそれを配当して、もっと厚生設備等をりっぱにしてやるようにしてもらいたい。  私はいつも申し上げるのでありますけれども、大体電電公社専売公社は、日本における二大不当利得機関です。民間会社にこの仕事をやらせたらもうかってもうかってしようがない。これくらいあくどくもうけておるところはないが、公社と銘を打って、国家機関でありますからわれわれは言えないのでありますけれども、しかし私どもは、こういうふうなもうかってもうかってもうかり抜いておるようなところにやはり欧米先進国に負けない近代的な労使の形というものを出してもらいたい。ラスクですか、何か日本に来て帰って、日本の工業力は間もなく世界の三大工業国になるだろう、アメリカに次いでソ連、次はもう日本だろうというふうな帰朝報告ですか、アメリカに帰ったのでありますから帰米報告でありますが、そういう報告をしているくらい近代化している。しかし、その中に労働者の待遇というものはまだまだ実に非近代的な残滓を残しておる。それを引き上げて労働者に対する理想的な待遇を与えるというりっぱな形のもの——もうかっている専売と電電公社と二つがモデル的な労働者の待遇のスタイルをつくり出してもらわなければいけませんから、そういう意味において、あまり労働者を圧迫せずに、くれるべきものはうんとくれて、厚生施設もりっぱにして、そうして日本におけるモデルケースをつくっていただく——私は、新総裁の就任のあいさつの中にそういう理想でも出てくるかと思って聞いたが、さっぱり出てこない。私はまことに残念しごくでございましたが、やっていただきたいということが二つであります。農民対策の問題と労働者の対策の問題、これは専売公社がいじめている側です。  それから今度は、専売公社が結びついて世間の疑惑を招いている問題がある。  第一は、いわゆる専売公社を取り巻く外郭商社との関係です。こんなことは私は山ほど言いたいのですけれども、三十分だからしょうがない。言えないのであります。専売公社と関連企業との関係の問題であります。  あなたのところの原料たばこ、製造たばこの輸送、配達等は主として日通がおやりになっておりますが、私は日通との関係についても若干調査してきましたが、この問題は別として、次に、機械の部分品の購入等はどこがやられていますか。これは特殊な部分品であるというような名目で、特殊な会社に御命令になっておる。その結びつきがどうなっていますか。私はよく知っておりますよ。先ほどもあなたは、専売公社に必要な資材等は特殊なものであるから、やはり特殊な外郭の会社等と契約を結ばなければならないとおっしゃったが、これが危険なんです。こういうものの中に百鬼夜行——これはあなたが聞くとおっしゃるならば私はいつでも申し上げます。まあ関係もありましょうから名前を言うのはがまんいたしましょうか。こういうのが何しろみんな公社につながって、そうして選挙なんかになると、言いたくないけれども、こんなのが先頭に立って小林章をやったり何かをやったり、あらゆる悪鬼跳梁のもとになってくる。これが悪い。  それから、計器類の購入はどこでおやりになっているか。これも問題がある。それからたばこの巻き紙の購入、たばこの包装紙の購入、フィルターチップの購入、私はこの関係している会社をみんな調べてみました。こういう結びつきを一々資料をあげて言えとおっしゃれば私は言いますけれども、時間もないことですから、こういうような出入りの関係商人との関係は、総裁の名において全部ひとつ御調査をいただきたい。  願わくは、私は希望として申し上げるが、いかに特殊なものをつくっていても、あまり長く一社と古い因縁を結んでいることはよくない。これは適当に変えるか、さもなければ、特殊品であろうとも、二、三社、四、五社にして競争入札をさせる、そこらへ出入りするような公社の職員自体もやはり適当に交代されたらよろしい。総裁がかわったら、下もかえたらよろしいと思うのです。その点を強く要望しておきます。私は決して根のないことを申し上げているわけじゃございませんから、この点はひとつ十分御調査いただいて、調査の結果がどうあれ、そういう会社が専売公社に出入りすることによって、どういうふうにその企業内容が変わって、どういうふうに発展していって、そしてそういう会社には専売公社の天下り式古手役人のもぐりがどんなぐあいにもぐっているのか、縦にも横にも御調査いただいて、総裁のほうから、こういうもうかるところでありまするから、李下に冠を正さずというようにちゃんと姿勢を直して、世人これを怪しまざるような正常な形にしていただくことを私は強く御希望申し上げておきます。出入りの関係の業者の問題、これが一つ。  第三番目は、先ほどもちょっと出ましたけれども、今度はたばこ耕作組合だとか、あるいはたばこ販売協同組合だとか、あるいは塩業組合等々、関連する外郭団体公社との結びつきの関係、これは商人じゃない。こちらのほうへ一体公社はどのくらいの補助金を出していますか。特に、たばこ耕作組合にどのくらいの補助金をお出しになっているか、参考までにお聞かせ願いたい。
  129. 黒田実

    黒田説明員 こまかい数字はただいまちょっと持っておりませんが、四十一年度の予算で、大体交付金が八千万円程度と思っております。それから、そのほかに公社のいろいろの代行的なことをやってもらいますことに対しまして手数料というのを払っておりますが、これが一億六、七千万円程度になっておると思います。  なお、詳細な数字は、調べがつきましたらまた御報告申し上げます。
  130. 小林進

    小林委員 私はあとで数字を書類でちょうだいしましょう。この耕作組合等も専売公社との結びつきにおいて伏魔殿の一つです。一つ一つでないかは、総裁首をお振りになっているが、小林章の選挙の関係を調べてください。これらが何をやったか。それから、たばこ販売協同組合との関係においてもしかり。私どもは実に言語道断と思う事例が幾つもあります。これも出せと言うなら出しますが、こういう問題も、総裁、よくお調べをいただいて適正に——大体こういうころの補助金なんかも本来はもう私はやるべきものじゃないと思う。補助金でひもをつけて、そして専売公社の権力を末端まで響かせて、そしてあらゆる悪事をしておる。こういうことは、補助金が必要か必要でないのかよく調査をしていただきまして、ほんとうに必要のものなら必要な程度だけにひとつ出していただきたい。いまのはそういう外郭団体との関係であります。  それから、次に御希望申し上げたいことは、たばこ小売り販売店の問題です。これはどうです。これはどういう関係でおやりになるか知らないけれども、私どもお願いしても許可してくれない。どうも許可、認可の基準がはっきりしない。これは全部許可したらどうです。たばこを売りたいというのは全部許可をされたらいかがですか。私はそうされたほうがいいと思う。さもなければ現制度をいま少し合理的に改めるか。それともいまの制度でよろしいとおっしゃるか。販売部長、どうです。小売り販売業者に対するいままでの許可、認可の制度のあり方に対しお伺いをいたしたい。
  131. 服部誠太郎

    ○服部説明員 たばこの小売り人の指定でございますが、これは法律に基づきましていろいろと条件がきめられております。これに基づきまして、さらに公社内部で詳細に、距離の基準でありますとか、あるいは取り扱い方の基準でありますとか、そういうものを設けて運用しておるわけでございます。消費者の利便というような点からいきまずれば、もう出てきたものは全部許可してもいいじゃないか、こういうような御意見も出るかと思いますが、流通機構の安定というようなことを考えますと、一がいにそうも言えないというようなことかと思います。しかし、先生御指摘のような点、まことにごもっともな点でございますので、先ほど総裁からも御答弁申し上げましたように、より弾力的な運営ができるように今後していく体制ということについて検討中でございます。
  132. 小林進

    小林委員 これも時間がないから議論していられない。しかし、流通機構の安定というのは何です。午後から酒のほうも出るだろうけれども、酒のほうは、自由販売で価格もくずされるから、二級酒の五百十円が三百八、九十円から四百円程度までお互いに競争する、そういうようなことで流通機構の不安定というのはあるかもしれませんけれども、たばこたばこじゃないですか。値段も引き下げできるわけじゃない。あなた方のきめたままで置くのだから、何で一体流通機構の不安定なんてあるのだ。買いたい者はどこででも買えるようにしておけばいいじゃないですか。売ってくれというんだから、やりたい者にはやらしたらいいじゃないか。第一、われわれみたいに大蔵委員もやって苦労をしておるのに、われわれのほうの言うことを聞かぬじゃないですか。一体何をやっているのだ。  そういうようなことをやっているのだが、政務次官、ひとつ小売りの販売制度について、どこでも許可したらいいじゃないかと思うのですが、どうです。流通機構の安定といったって、何も価格の値を下げて割引するわけじゃないのだから、いいじゃないですか。買いたい者はどこでも買えるようにしたらいかがです。
  133. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 先刻来総裁から答弁されておりますように、社会経済構造が大きく変化し、それに対応する販売網の整備ということに対しては常時検討され実施をされておるわけでございますが、ただ、取り扱う品物が専売納付金につながるという特殊な品物でございますので、これが乱立をして取り扱い上のいろいろ混乱を起こすとか、いろんな問題点も十分考えなければならぬ、販売秩序というものを維持しながら、消費者の側に対するサービスも考える、こういう点で公社では苦労しておる。しかし、従来のような、既存のものだけで新規販売店の要求を不当に押える、こういう考え方は改められて、いわゆる弾力的な配慮がなされておる、このように承知いたしておる次第でございます。
  134. 小林進

    小林委員 ひとつ、いまの資料、一体小売り店の申請を出すのが総数幾らくらいで、そのうち許可したのがどれくらいになっておるか、これを資料にしてちょうだいしたい。  政務次官のいまの話だけれども、販売秩序を乱すとかということはよくわからぬ。専売公社の卸のほうでは手がかかるかもしれぬけれども、小売り店は、いままでは十二万円までが一割、ことしの十月から十五万円までが一割、それから八%、六%、五百万円が六%か、そういうように改めていくというのだから、その限度内において小売り屋さんが売ってくれるというのはありがたいじゃないですか。何ぼでも売らせたらいい。ただ、おろしていく配達機構に若干繁雑があるかもしれない。あと、金を徴収して歩くのに若干手数がかかるかもしれぬけれども、消費者サービスのためにそれくらいのことをやったらいいじゃないか。あとは、小売り店が一日三百円の小売りがあろう と千円の小売りがあろうと、それはその人の計算でやるのだからいいじゃないですか。薬や酒のようにそれが価格をくずして乱売をやるというなら弊害があるだろうけれども、ちゃんちゃんときめた値段で売るのだから、ありがたいようなもの じゃないですか。ここで議論したってしょうがないから、あとで資料でちょうだいしたいのですが、ちょうど三十分になりましたので、私はこれでやめます。  総裁、いま私が申し上げたように、農民をいじめ過ぎている。大蔵省が農民をいじめているのだけれども、特に私が言うのは検査の問題です。一等、二等、三等と米のようなわずかな額の等級ならまだしも、たばこの一等、二等、三等、四等というものは倍額にもなるのです。それが検査官の——私は現実に知っているから言うのだけれども、酒か何か飲んで酔っばらった勢いでやられて、言語道断の悪代官以上のそういう思い上がった態度で検査しているのがいる。そういうのがたくさんいる。そういうことをひとつやめてもらわなければいかぬ。いいですか。そして、対労働組合対策においては、ひとつ日本の模範的な労働対策をやってもらいたいと思う。あなたのところはもうかっているのですから。それから、第三番目は、いま申し上げたように、出入りのこれがよくない。これが実に伏魔殿になっています。それから、耕作組合と外郭団体の問題、小売り販売店の問題、私は項目だけ申し述べました。総裁がもしそれがふに落ちないとしたならば、私は私の集めた資料をもって総裁に事実を示しながら何時間でも質問をいたしますが、私の要望に沿うようにあなたは頭を下げておられて、御協力いただけるようなかっこうでございますので、きょうのところはこれでひとつ終わります。
  135. 武藤山治

    武藤委員 販売部長に資料をひとつ要求しておきます。  いま小林先生の質問の、一年間にたばこ小売り希望の申請者がどのくらいあるのか、過去三年間くらい年度別に、そしてそのうち許可になったパーセンテージがどのくらいになるのか、件数で明りかに実数で示して、さらに、却下になって不服たというので審査に出てくるのが大体何件くらいあって、その審査の中でも、申し立て人の希望か通った例が年間どのくらいあり、どういう状況になっているか、それらの数字を資料にして大蔵要員会に配付願いたい。よろしゅうございますか。
  136. 服部誠太郎

    ○服部説明員 承知いたしました。
  137. 黒田実

    黒田説明員 先ほど申し上げました数字の正確なところを申し上げます。  耕作団体に対します交付金でございますが、四十一年度の予算が九千百十万円になっております。手数料、これは実費弁償的なものでございますが、一億九千七百七十八万円ほどになっております。
  138. 三池信

    三池委員長 平林剛君。
  139. 平林剛

    平林委員 専売公社の全般の問題につきましては、従来は、議会に法律案提出されるたびに専売公社の責任者がおいでになっていろいろの御説明があったものですから、比較的私どももその実情を知る機会が多かったのです。しかし、最近におきましては、たばこ販売価格について包括的に公社にその権限をゆだねるということになりましてから、議会においでになってその概要をお話する機会が少なくなったので、そういう意味では、議会とまた重要な仕事をしておる専売公社との関係が薄くなり、そのために、ある場合には非常に誤解を与える場合があるし、それからまた、事情がわからないために公社総裁がお聞きになっておってもお困りになるようなことが出てくるわけであります。私は、専売公社一つ企業体として包括的な責任を持って運営するということはよいけれども、しかし、同時に、国民の代表である私どもがもっとよく実情を知って、そうして正しく公社の運営を指導していくような機会、素材、そうしたものを提供する義務が公社当局にあるのではないかと思う。きょう大蔵委員会で午前中からおいでになりましてお話を聞いており、総裁もその点をよくおわかりになったと思うのであります。この点は、冒頭私は公社に対してそういう努力を払われることを注文しておきたいと思うのであります。  特に、総裁民間からおいでになりまして半年、その間われわれは総裁抱負経綸に触れる機会がございませんでした。本来であれば、私ども十分総裁から今後の専売事業の運営についてこの機会にお聞きしたい点が多々ありますけれども、時間の制約もありますから私も簡単にお尋ねをしておきたいと思っておりますが、ただ、総裁民間からおいでになりまして、私は一つの期待を持っておるのであります。私が歴代の専売公社総裁の中でも尊敬しております秋山孝之輔さんというのが民間人の初代総裁でございます。このときに実は専売公社一つのカラーというものが生まれてきたように私はながめておるわけであります。それから久しぶりに民間総裁であります。加えて、副総裁も大蔵省から来て、いいコンビでやっておられるのですから、そういう意味では、私も今後を期待しております。そこで、きょう私どもから注文したことにつきましては、それぞれあなたのセンスでそしゃくをして、公社事業というものの運営をよい方向に持っていくようにお願いをいたしたいと思います。  そこで、私最初にお聞きしたいことは、大蔵省出身である阪田前総裁も、私はその点においては民間人に劣らない一つのセンスをひらめかした事実を知っています。それは何かというと、労働問題に対する感覚です。特にたばこ事業は、総裁もおいでになっておわかりのとおりに、他の国鉄とかその他重要な産業に比較をいたしますと、いわば葉たばこを買ったり、それを製品にして売ったりすることで、税の問題を除きましては、ほとんどその企業というものは民間産業と変わりはない。そこから、労働問題について、さきの阪田さんは、こうした企業の実態を知って、自分としては、こういう企業における職員の団体に対しては、いわゆる憲法で保障されておる諸権利、もちろん団体交渉権はありますけれども、行動権にしても、その他憲法上認められている諸権利については民間産業と同じであってもいいのじゃないかというような御見解を漏らしておりました。同時に、最近問題になっております罷業権の問題についても、別な角度から専売公社については考えていいのでないかという見解をこの大蔵委員会でお述べになったことがあるのであります。官僚出身の専売公社総裁にしてしかり。私は、民間からおいでになった現総裁としてもそうしたセンスにおいては変わりがないだろうと思うのでございますけれども、この機会に労働問題に対するお考えを簡単でよろしゅうございますからお述べになっていただきたいと思います。
  140. 東海林武雄

    東海林説明員 ただいまのお話の中で私ちょっとふに落ちない点がございましたのは、税金の問題を除いては公社仕事民間仕事と同じだ、こういうことをおっしゃいましたけれども、それは違うのじゃないでございましょうか。と申しますのは、たとえば、たばこの製造にいたしましても、耕作組合と公社との関係というものは売り手と買い手の関係だけじゃないです。これは民間だったら買い手の市場でやることはできますけれども、そういうことはできないのであって、逆に内輸の関係になっているわけですね。塩も同様だと思うのです。その点はもう少しお話を承らないとよくわからないのでございますけれども、民間企業と税金の問題だけ違ってあとは同じだということではないと私は思います。その点は、これは機会がありますればまたゆっくりお話を承りたいと思いますが、労働組合に対する考え方というのは、これはもう前総裁のお述べになっておったこともよく承っております。趣旨には私は同感でございます。私はもうしばしば機会あるごとに組合にも言っていることは、労働組合の協力なくしてはこの企業は成り立たないのだということを言っておるわけであります。ですから、労働組合の連中に負担になるようなことを公社がしていこうという考えはございませんということなんですね。同時に、耕作組合の方々にも申し上げたことは、一体耕作組合の——先ほどだいぶ小林さんからいろいろ農民を痛めつけているというお話がございましたけれども、私はそういう考えを持っていないということなんです。なぜ一体専売公社農民を痛めつけなければ自分の仕事がやっていけないのであろうか、逆にそういうことを私はお尋ねしたいと思いますが、御本人がいらっしゃらないからここで議論しても始まらないのですが、そういった共同体である。組合もそうなんです。外郭団体としての耕作組合もそうなんです。塩をつくっている方もそうなんであります。それがいわゆる大きな意味の専売一家というように私は考えておりますから、今後もそういうようないろいろな問題が出てまいりましょうけれども、私は、そういうような組合に対する理解ある態度で臨んでいきたい、そういう態度から出発していきたい、かように考えておりますので、ひとつ十分御了承願いたいと思います。
  141. 平林剛

    平林委員 私のお尋ねしたポイントの、阪田前総裁がお述べになったように、労働問題についての感覚として、専売公社はストライキ権があってもよろしいということについて、同じ意見だ、大体同じような見解であるということとしていまのお話を承ります。  ただ、あなたはいま、専売公社は税の問題を除いて民間企業と変わりないという私の説に対して、違うと言ったが、どこが違うかおっしゃってください。民間企業専売公社の違うところ、どういう御認識を持っておりますか。
  142. 東海林武雄

    東海林説明員 それはたいへん議論になりそうですけれども、企業の形態が基本的には違うということですね。企業の目的が違っております。ですから、民間企業であったら、これは利潤ということを基本に置いておりますから、それを逸脱するものは、私は企業の本来の性質じゃなかろうと思います。ですから、たとえば葉たばこを買うにしても、たたいて買いさえすればいいか、どこからでも買うのか、そういう立場に専売公社はなっておりますか。なっておりませんでしょう。民間の会社で、私が自分の独自の会社でやっているといたしますと、それはいいところのものを安く買います。しかし、ただ単にそういうことだけではいけないのであって、共同体だというところに民間公社との非常な違いがあるんだということを私は申し上げているのである。ですから、この公共企業体のあり方専売公社の場合でありますけれども、いろいろな点の相違というものは、これは私が申し上げるまでもなく平林さんがよく御承知のとおりなんでありまして、その点は税の問題だけではないんだということを申し上げたかったわけなんであります。
  143. 平林剛

    平林委員 これは時間もないからお互いに……。いまのやりとりだけではあなたも理解ができないかもしれませんが、いま言ったように、民間企業利潤を本体とするでしょう。専売公社ではそれが専売益金という形で国家に吸い上げられていく、私はそれを単純に税と言った。その点を除けば、たばこ企業というものはキャラメルやあるいはビールやそういうものとそんなに変わりはないではないか、私はこういうことを申し上げた。だが、もちろん葉たばこの買い方について、民間ならばどこからでもたたいて買うとおっしゃった。その点はたばこ耕作者にとってはある意味ではいい点かもしれません。しかし、企業の形態としては、国庫に利潤を吸い上げていくいわゆる専売益金制度、こういうものや、あるいは企業の運営が国の会計制度によって、縛られている点、そういうことを除けば、企業の動きそのものは民間とは変わりはないじゃございませんか。そこで働く労働者というものは民間企業労働者と変わりはないんじゃございませんか。ストライキ権のようなものは与えてもいいと言う阪田前総裁、官僚出身であるけれどもそういうことばを述べられているのだから、あなたも民間のセンスとしていかがですかという聞き方をしたわけです。その点はあなたも少し勘違いをなさっておるんじゃないかと私は思うんですがね。この問題はもう少しあとでまた議論をいたしますけれども、たぶんその点に狂いはないと思うので、お答えも阪田前総裁見解とそう変わりはない感覚を持っていますということを私は確認したんですが、その点はいかがでしょう。
  144. 東海林武雄

    東海林説明員 これは少し議論になりますけれども、企業の形態が違うということ、そういうものを抜いてしまったら民間企業と同じだという立場においてやるということについては、私は感覚的に同感です。同じですが、現実の問題として、今度公社の現在の姿でそういうものを認めるかどうかということになると、これは私としては、逆に今度は認められない、現在の状態では認められないということをはっきり申し上げていいんじゃないかと思うのであります。これはもう少しお時間を拝借してひとつゆっくりお話を承りたいし、また私の意見も聞いていただきたい、かように考えております。
  145. 平林剛

    平林委員 そうすると、私端的に聞きますけれども、罷業権については現段階では認められない、それは国の法律できまっているのですよ。そういうことは公共企業体等労働関係法によってきまっているのですよ。私はそんなことを言っているのじゃないのです。ただ、民間人の経営者としてのセンスから見てこの方向が唯一完全なものであるかどうか。あなたも今日、マッカーサー元帥が来られて、そして国鉄と専売公社から罷業権を奪った歴史的な経過から考えてみられて、現在国の法律ではきまっておるけれども、それについてはいろいろ検討しなければならぬ点があるのじゃないか、こういうことを言っているのです。もう少し民間人としてのセンスでお答えをいただきたい。
  146. 東海林武雄

    東海林説明員 民間人のセンスと申されますけれども、現在は私は民間人じゃございませんので、公社総裁の立場からお答えしたいと思いますが、センスからいきますと、これは企業の本質からいきまして、そういう罷業権を認めるかどうかとということははっきりしておるわけなんですね。これは認めるべきだ、認めるのがほんとうだ、本筋だ、こういうことになっております。ですから、私がかりに民間人であった場合には、罷業権を認めるか認めないか、これは問題にならないと思います。だから、そういうような考え方からいけば、私は、現在認められない、現在の状態ではだめなんだ、しかし、企業の本質からいけばこれは認めるべきだという考えには変わりございません。
  147. 平林剛

    平林委員 まあそれでけっこうです。  そこで、私はきょうはこの問題よりも他の問題でちょっと申し上げたい点があったわけです。  総裁専売公社に来られまして半年、その間ある程度工場だとか、たばこ耕作者だとか、小売り人の団体だとかに接触する機会が多かったと思うのでございますけれども、たばこ耕作者との接触について、たとえばたばこ耕作者に対して専売公社が一年に一度表彰するという制度がございますね。この表彰式というようなものに臨んだことはございますか。
  148. 東海林武雄

    東海林説明員 これは表彰式に臨んでおります。
  149. 平林剛

    平林委員 その表彰式に臨まれたとき、何か特別なお考えをお持ちになりませんでしたか。
  150. 東海林武雄

    東海林説明員 特別な感想でございますか。
  151. 平林剛

    平林委員 はい。
  152. 東海林武雄

    東海林説明員 そのときに特別な感想というのは、ああいう機会に、ただ農民方々——これは全部じゃございませんで、代表の方々ですから、私はそういう機会にその方々を通じて全農民に呼びかける、こういう気持ちでお会いしているし、表彰された方々個人個人ではなくて、その所属する組合であるとか団体であるとかの代表としての方々というものにお会いしているつもりでやっております。
  153. 平林剛

    平林委員 私の見解を少し聞いてもらいたいと思います。  私は、あの専売公社並びにたばこ耕作組合が共催する耕作者の表彰式に臨んで、今日までのあの表彰式のあり方そのものが専売公社たばこ耕作者の立場というものを象徴的にあらわしたものだと実は考えておるわけであります。あなたはさっき、民間ならば葉たばこというものは本来売り買いという立場に立つべきもので、そういう点が違いますというふうに私に答えましたですね。本来は売り買いがあってもいいでしょう。ところが、専売事業という形がとられておるために、専売公社たばこ耕作者の間柄というものは、先ほどから議論がありましたように、昔から専売公社一つの権力、国家権力によって一等、二等、三等と瞬間的にきめられるというようなことで、これがいいか悪いかは別にして、それで一年間の労苦が一瞬にしてきまることにおびえながら、それによって自分の生活の程度がきまるということに深い関心を持ちながらそこに臨んでいる耕作者の立場、そういう相互関係というものがきまっておるのであります。同時に、その象徴的なのが、私はあのたばこ耕作者に対する表彰のあり方だと思います。収納価格が安い、もう少し検討しなければならぬという議論は方々からお聞きになったと思うのであります。それを補う意味で、一年に一度従来から専売公社たばこ耕作者に表彰状を渡して表彰する制度をとってきた。私は、ここに専売公社の対耕作者の地位の象徴的なあらわれがある、こう言っておるのです。そう見ておるのです。しかも、ごらんになっておわかりのとおり、そこに出す表彰金あるいは表彰に要する品物、どういうものをお出しになるか。総裁もたぶん初めてのことでしょうから御関心を持ってながめられたと思います。そう多額な金額じゃございません。あるいは優等とか一等とかというふろしきを出して、それを賞品にかえているところもございます。少し中身がよくなっても、電気がまとかなんとか、そういう家庭電化製品を贈るという程度でございましょう。しかし、たばこ耕作者は、今日まではこの表彰制度をありがたいものだと思っておったのです。一年に一度専売公社がこうやって表彰してくれる、ありがたいことだ、そして、そのときにお酒の一本も出れば、昼間から酒を飲めるというのは専売公社でなければできぬ、こういうことで、従来のたばこ耕作者は満足しておったかもしれぬのです。しかし、時代は変わってきました。そして生産費所得補償方式を要求するような時代になってきたわけです。ことしの木の要求をする農民の姿、顔を見ても、時代の流れというものは総裁にもおわかりになると思うのです。耕作者だって同じなんです。ところが、依然として続けられておるのがこの表彰制度です。その表彰制度も、その会場にお行きになればわかるように、総裁はたぶん演壇の上に上げられたでしょう。一段高いところに上がっています。そして、たばこ耕作者は低いところにずっと並べられて、名前を呼ばれると、以上総代が下から行って、卒業式の免状をもらうような形でその賞状をもらい、賞品をおしいただいている。この姿が、長い間の伝統、忍従に苦しんでおる耕作者の象徴的な立場をあらわすものだ、こう私は言うのです。そこで、民間から入ってこられた総裁は、この耕作者の地位というものを高めるような努力をし、従来の権力支配によって軽く扱って押えていくという考え方から一歩変えたところに持っていく任務があなたにあるのだと私は思うのですよ。オリンピックの表彰をするときとどうですか。優等はないけれども、一等、二等、三等は壇の上に上がるでしょう。そして下のほうからメダルを出すでしょう。たばこ耕作者に対する表彰の態度は上から下でしょう。  そこで、私は、これはこまかいことですが、これが長い間の専売公社の伝統で、耕作者はそれに耐えてきた。私は、しきたりというものは、必ずしも全部廃することがいいとは言いません。よい伝統は残しておいていい。しかし、そういうものを漸次改善していくという努力をすべきだと思うのですが、総裁はいかがお考えですか。
  154. 東海林武雄

    東海林説明員 どうもうっかり表彰式にも行けないことになりますが、表彰式ということになりますとああいうことになりますけれども、それが私は必ずしも権力を象徴しているものとは思い上がっておらないつもりなんです。私は、平林さんがよく御存じのとおり、農民の代表がおいでになったときに会ったでしょう。会ってどう言っているかということをあなたはよくおわかりになっているはずなんです。それなら私をそんなに責められる必要はないのじゃないかというふうに思います。まあどうぞよろしく。
  155. 平林剛

    平林委員 私は決してあなたを責めているわけじゃないのです。そういうことをひとつ気づいてもらいたいということなんです。
  156. 東海林武雄

    東海林説明員 よくわかりました。
  157. 平林剛

    平林委員 小さなことのようだけれども、これは歴史的なものがあるのです。ですから、私は、あなたのセンスでそこを改善していってもらいたい。表彰する耕作者を高いところにまで上げろとは言いませんが、せめて同じ広場でおやりになったらどうか。  それから、この表彰のときにどういうやり方をとられておるか。あなたもお感じになったと思いますが、専売公社がまず総裁として表彰する、地方局長表彰がある、それから知事の表彰がある、それから市長の表彰がある、そしてその副賞がある。表彰式へ行ってごらんなさい。一人の優秀なるたばこ耕作者は賞品をもらうために四回から五回行ったり来たりする姿をごらんになったでしょう。あんなことをおやめなさいと私は言いたいのです。たとえば、総裁表彰があったら、あとの副賞は、この方には総裁表彰のほかに副賞がついています、また知事の表彰もつけられていますということを紹介して、その栄誉をたたえるだけでもいいのじゃないか。四回も五回も行ったり来たり、中には、もらえない耕作者の人は笑っておりますよ、その姿を見て。こういうところもぜひ改善してもらいたい。いわんや、肥料会社だとか何とか会社までが麗々しく演壇の上から耕作者に賞品と賞状を渡しておるのです。こっけいじゃありませんか。何の関係があるのですか。肥料会社だとかあるいはそういう専売公社の外郭団体が演壇の上に上がって耕作者を表彰していただくことも改めたらいかがですか。そういうことが、小さなことだけれども、たばこ耕作者の地位を少しずつ改善をしていく。あなたはそうは思わないとおっしゃっだけれども、つまり、昔の権力支配、それからその権力に負けておる耕作者の姿をそうは思わないと言うけれども、私はそこが少しぼけていると思います。あなたをいじめるわけではないですよ。いじめるわけではないけれども、そういう感覚で今後耕作者の表彰式のあり方についてひとつ改善していってもらいたい。事大主義であってはいかぬ。耕作者専売公社の立場というものはそういうところからも改善していってもらいたい、私はこういうことを希望するわけでございます。総裁にわかっていただいたようだから、これ以上は申し上げません。  次に、たばこ耕作者の表彰が、いまのところそういう賞状とわずかな賞品で収納代金の足らざるところを補って公社耕作者とのつながりをつけていたことは事実としてあろうと思うのであります。しかし、本来であれば、たばこ耕作者というものは三十年も四十年も耕作している人があるわけであります。専売公社に勤務すれば二十年で大体年金がつくのです。しかし、親子三代にわたってたばこ耕作する人たちには、何かの事情で廃作する場合でも何らの措置が行なわれておらない。そこで、いま専売公社は別に区分しないで考えたいということで、今度の総裁は、さっきあなたもおっしゃったように、耕作者に対する態度もまるで公社職員に対するがごとくおやりになっておる。その態度はたいへんよろしいのであります。そこで、こうした立場にある耕作者に対して、たとえば三十年、四十年耕作して事業に貢献した人たちに対して報いる何かの措置がなくてはならぬ。それには、専売公社がある程度基金を置いて、耕作者に対する年金制度のようなものを考えたらどうか。私は、一片の表彰状とわずかな賞品にかわる何かの年金制度が考えられないものかということを長年主張してまいったのであります。  ところが、専売公社はそれをおやりにならぬものだから、最近はたばこ耕作者のほうが耕作者年金制度というものを打ち出されました。私はこの点を実は注目しておるわけであります。これについて公社からちょっとお話をいただければ幸いでありますけれども、耕作者年金制度というものがたばこ耕作者組合の主体によって行なわれております。その実態はどうであろうかということを、ちょっと御報告いただきたいと思うのであります。
  158. 黒田実

    黒田説明員 ただいまの年金制度の問題でございますが、昭和四十年四月一日付で財団法人全国たばこ耕作者共済会というものが設立されたわけでございまして、これは公益法人になっておりまして、たばこ耕作団体の組織を利用して、幹部も大体耕作団体の幹部の方がつとめておる、こういうことでございます。  この目的といたしましては、たばこ耕作者の教養と福祉の向上をはかり、もってたばこ専売事業の発展に寄与する、こういうことになっておりまして、事業の内容が五つございます。  第一は、たばこ耕作者の教養の向上に関する事業、第二が、たばこ耕作用資材の研究、普及に関する事業、第三が、海外たばこ事情調査に関する事業、第四が、たばこ耕作者等の福祉向上に関する事業、第五が、その他この会の目的を達成するための必要な事業ということになっておりまして、ただいまお触れになりました耕作者の共済年金制度は、第四の、たばこ耕作者等の福祉向上に関する事業の一部になっておるわけでございます。  この年金制度について最近までの実績を申し上げますと、四十年度末におきまして、加入者の数が四万六千四百九十八人ということになっておりまして、掛け金の額が三億六千九百九十四万円ということになっております。このほかに、耕作団体の役職員の分がございますが、ただいま申し上げましたのは耕作者の方だけの分でございます。  公社といたしましても、一応この公益法人に関しましては、法律によりまして公社が一応国の行政機関とみなされまして、許可とか監督の権限を持っておりますので、今年五月開かれました評議員会と申しますか、それに出席いたしまして、決算等につきましての監事並びに公認会計士等の報告も聞いたのでございますが、大体現在順調に運営されているということになっております。
  159. 平林剛

    平林委員 私は、公社総裁、含めて生産部長にもこの問題については重大な関心を払ってもらいたいということを要望しておきます。というのは、いまお話しになりましたように、専売公社の外郭団体であるたばこ耕作組合中央会が、おおよそ同じ職員をもって鶴、亀、特というような一つの年金制度を創設するに至りました。その運営は、財団法人全国たばこ耕作者共済会がやっておられます。現在までの実情を見ますと、四万六千四百九十八人が加入しておりますから、大体一割に満たない加入者数でございます。発足してから一年間経過した掛け金収入は、三億六千九百九十四万円、これに対して給付の実情は、まだ初年度でございますから少ないことは事実ですが、収入三億六千九百九十四万円に対し、耕作者に支払った金は十九万八千百円、おそらく二年度、三年度においても、こうした年金制度でございますから、支払う金額は即座にウナギ登りに上がるとは考えられません。そうすると、どういうことになるか。一年間に三億六千万円、二年間、三年間で、掛け金が年間五千円から一万円でございますから、これは膨大な金額になるわけであります。そして十年たてば七千五百円年金をもらえるというのですが、他の政府管掌の年金制度と比較いたしまして、インフレあるいは物価調整その他についてもこまかい規定がない。こういうことになりますと、多数の耕作者がこれに加入することによってどれだけの恩典を受けるか。また加入率も、一年たってわずかに一割にも満たないということになりますと、これからの増加率というものは非常に心配されます。加えて金額だけは大きいということになります。そうして、それは三菱信託銀行に特定の契約をもって預け入れる。私はこれを運営するところの財団法人全国たばこ耕作者共済会の事業内容を見ましたら、先ほどお読みになりましたように、耕作者の教養の向上に関する事業たばこ耕作用資材の研究、普及に関する事業、海外たばこ事情調査に関する事業、その他目的達成のための必要な事業とありまして、年金問題に主たる目的を持った会かと思いましたら、その他の中に入るという程度であります。ここには私ども神奈川県からは五名くらいしか加盟しておりません。それからよその県でも、三重県なんか三名しか入っておりません。福岡県が九十八名、長崎県が四十八名、一番多いのは茨城とか鹿児島とか香川とか岡山であります。この耕作者年金制度のあり方については、ある程度耕作者の中に微妙な疑問というものがあるから普及率が少ない。この共済会の規約内容から見ましても、年金制度が主体であるものではなくて、海外の視察とか、その他教養に関することということでこれだけの膨大な資金が集められております。私はきょうはこまかいことには触れませんが、適当な機会にこの問題についてまた全般の耕作者利益のために質問を継続していきたい、こう思いますけれども、総裁はじめ関係者においても、この問題については十分な留意を払ってもらいたい。そうして、これが大きな間違いを起こさないように十分な指導をせられる必要がある、こう考えるのでございます。そうして、本質的な解決としては、私は長い間葉たばこ耕作を通じて専売事業に貢献した者に対して、むしろ積極的に公社がこういう問題に対して取り組む必要があるということをきょうは強調しておきたいと思います。きょうは時間がございませんし、最初の問題で少し時間をとったので予定の時間に終えられませんでしたが、どうかひとつ私の意のあるところをくみまして、適当な機会にこの問題についての御報告並びに指導、本質的に根本的な解決をはかるために早いうちにやってもらいたい。抜き差しならぬことになりますとまたたいへんな問題でありますから、早いうちに根本的な解決はどうあるべきかということを考えてもらいたいということを要望いたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  160. 東海林武雄

    東海林説明員 ただいまのお話、十分承りまして、今後の運営つきまして研究してみたいと思います。ありがとうございました。
  161. 三池信

  162. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 泉さんにお伺いするのですが、このごろ海外からウイスキーが相当輸入されておると思いますが、あらかたでいいですが、最近の洋酒の増加率をちょっとお伺いしたいと思います。泉さんでなくてもどなたでもけっこうですが、大体の傾向でいいですから……。
  163. 松本茂

    ○松本説明員 最近の洋酒の輸入の状況でございますが、ブドウ酒は四十年におきまして五百八キロリットル、前年に比べまして七八・三% ビールは飛ばしまして、ウイスキーは一千二十二キロリットル、前年に比べまして七二・四%、ブランデーは三百三キロリットル、前年に比べまして九二・一%、ジンが二百四十九キロリットル、前年に比べまして一五二%、リキュールが七十四キロリットル、前年に比べまして九三%、そういう状況でございます。
  164. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大体どうですか。毎年増加しているのじゃないですか。戦前に比べて戦後ふえていると思うのですが、その点は傾向としてどうですか。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
  165. 松本茂

    ○松本説明員 三十二年と四十年と比べてみますと、ブドウ酒は二五四%、ウイスキーは四一五%、ブランデーは一五八三%、そういったふうになりまして、かなり増加を示しております。
  166. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 外国からたくさんの洋酒が入ってくるのですが、これに対して日本酒の海外輸出の問題について国税庁はどんなふうにお考えになっておられますか、それを伺いたいと思います。
  167. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように外国の酒がわが国に 入ってくるのに対応いたしまして、わが国産の酒類をできるだけ輸出いたしまして外貨の獲得をはかるようにということで、いろいろ業者を指導いたしまして、業界の努力を促しておるわけでございますが、御承知のとおり日本酒——清酒は日本独特のものでございますので、外国人の嗜好の関係からいたしましてなかなか輸出しにくい、したがいまして、現在のところ輸出しやすいのはビールそれからウイスキー、その次に清酒ということになっておるわけでございまして、国産の輸出の数量は、先ほどの輸入の数量に比べましてごく微々たる姿にとどまっております。しかし、この状況ではいけないと思いますので、できるだけ外貨獲得のために輸出の努力をするよう業界に努力を要請いたしておるような次第でございます。
  168. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 具体的に清酒などの輸出の面でどういうことをやっておられますか。
  169. 泉美之松

    ○泉政府委員 具体策といたしましては、まず第一に、ウイスキーにつきましては、できるだけわが国の在外公館におきましてお客を接持するときなどに日本産のウイスキーを使っていただくということをお願いいたしまして、それによって日本のウイスキーがイギリスのものに比べてそう劣るものではないということの認識を広めていただくように、いわゆるPR的な活動をやっていただくということをいたしております。  それから清酒につきましては、御承知のとおりわが国から日本料理の店がいろいろ外国に出ていっております。ことにすき焼きなどは外人の非常に好むところでございますので、そういうすき焼きの際に清酒をあわせて飲んでもらうというようなことで、そういう店にそれぞれ清酒を置いて、外人もそういう清酒を飲んでいただくというような指導をいたしております。それからまた、外国で見本市を開きますが、その見本市の際におきましては清酒も出品をいたしまして海外にPRをいたしておるわけでございます。同時に、外国に輸出いたしました際に、そういう輸出をした清酒業者にメリットがあるようにということからいたしまして、清酒を輸出いたしました場合に原料米で輸出加配という制度をとりまして、輸出の数量に応じまして米の加配をもらえる、こういうことで業者にメリットがあるというような措置も講じておるような次第でございます。
  170. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 泉さんは最近アメリカかヨーロッパへ行かれたか、また行かれないのか、それをちょっと伺いたい。
  171. 泉美之松

    ○泉政府委員 どういう御意味かよくわかりませんが、実は私、昨年の五月半ば過ぎから約二十日間ほどヨーロッパ各国に旅行いたしました。
  172. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 泉さんは国内の税制の大元締めでありますからそういう安易なことを、言っておられると思うのですが、実は私、昭和二十八年にアメリカへ行ってから三度アメリカに行ったのですがことしの三月に行ってみて驚いたことがあるわけです。  私がなぜそういうことを聞いたかといいますと、ニューヨークで日本料理店が昭和二十八年にたしか三軒か五軒くらいしかなかったのですが、この間三月に行ったときには日本料理店が五十三軒あった。私は芸術見本市で行ったのですが、日本酒が非常に好評を博しておる。そして、いますき焼きだなんて言っておられるが、すき焼きばかりでないのです。いま日本料理は、御承知のように、われわれの食う料理——てんぷらとか、かば焼きとか、そんなものばかりじゃなくて、日本の料理を食う人が非常にふえておる。しかも、ニューヨークに日本人が大体一万人ばかりおるらしいのですが、実際に料理店へ行く人は、大体七割五分くらいはアメリカ人です。そのアメリカ人が日本の料理を食えば当然日本酒をほしがるということで、非常に好評を博しておるわけです。しかし、それならどういう施策をやっているかというと、これは泉さんの責任かどなたの責任か知りませんけれども、ほとんどそういう手当てをやっていない。これは最近「醸造報知」を見てもわかりますが、ニューヨークそれからロスアンゼルスその他にも日本酒が好評を博しておるということだけは事実なんで、私は最近に行ってきたから、泉さんはいつごろ行かれたかということを聞いたわけです。しかし、実際は酒のほうの税金は内地では取らしておるけれども、せっかく外国に行くにかかわらずそういう施策を何らしてないように見受けて帰ってきたのですが、その点は一体どういうようになっておりますか、伺いたいと思います。
  173. 泉美之松

    ○泉政府委員 私は実はヨーロッパだけしか参りませんので、アメリカの事情は詳しく存じませんが、ただ清酒業界といたしましては、先ほど申し上げましたように、アメリカあるいはイギリスその他世界各地でジェトロが見本市船を持っていきまして見本市を開催いたしております。そのつど清酒をPRするという努力をいたしておりますし、また、先ほどお話しのアメリカにおきましては、御承知のとおり、戦後アメリカ人が日本へ多数やってこられまして、その際に日本酒がなかなかいいという嗜好を持って帰られ、その後アメリカへ帰った後も日本酒を愛好している人がだんだんふえてまいっておるようでございます。したがいまして、清酒業界を通じましてそういうことのPRをいたしまして、清酒の輸出をはかるようにという努力をお願いしておるわけでございます。ただ、いまお話しの、日本から進出いたしておりまする料理店などで日本酒のPRをあまりやっておらないということでございますが、実は私、どの程度やっているのかについて十分知識を持っておりません。業界にはお願いはいろいろいたしておりますけれども、具体的にどういうことをしているかということまで確認いたしておりませんので、さっそく業界に従来から言っておりますことについて、具体的などういう措置をとっているかを十分確めたいと思います。
  174. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 私は数年前にも堀さんなんかと一緒にヨーロッパへ行ったのですか、そのときにはジェトロを中心にして日本の酒が一万円ぐらいで売られていました。これはベルリンとかハンブルグあたりで、びんが非常に高級な関係で二万円ぐらいになりましたが、しかし、今度ヨーロッパからアメリカへ行ってみて、いかに清酒が盛んであるかということがわかった。私たちがカーバイトビルというところでパーティーをやったわけです。そこで酒を寄付してもらったのですが、酒が一番先に売れました。千五百人ばかり入ったのですけれども、少なくとも二十分くらいで全部酒が売れてしまった。それで、酒がきらわれるのは、カキの腐ったようなにおいがするということで、においがいやがられるということでありますけれども、どこへ行きましても日本料理にはかなり日本の酒がつくような情勢になっておる。しかし、これは通産省か大蔵省か知りませんけれども、それに対する施策がない。せっかくわれわれも毎年毎年外国から灘酒をたくさん輸入しているにもかかわらず、日本から海外へ行くというような道が非常に閉ざされているということは、これは私は大蔵省としては片手落ちじゃないか。あとでいろいろ税金問題で話しますけれども、そういう点で、もう少し泉さんも国のこまかい税金ばかり取らないで、日本からアメリカへ行って現状を見てきて、これは間税部長でもいいですけれども、そういう考え方にならなければ、せっかく世界の人に喜ばれるものをわざわざしまっておくというような感じで、私はそういう点で非常に片手落ちじゃないかと思うのです。そういう点は何らかの方法を講ぜられる必要があるんじゃないかと思いますが、その点は国税庁のほうにもそういう話はありませんか。
  175. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、日本で洋酒を相当多量に輸入しておりまして、その外貨支払い額も相当多額にのぼっておるわけでございますから、できるならば、日本でできました酒類をできるだけ外国に輸出して外貨の獲得をはかるべきだ、これはもうお説のとおりに思っております。私ども、そういった点につきまして、従来から各業界にいろいろ努力をお願いして、先ほど申し上げましたように、清酒の場合には輸出加配の制度を設けるとかいったような措置もとっておるわけでございますが、なお今後そういった点につきまして十分の努力をいたしたいと思っております。  それから、こういった輸出は役所だけでやるというわけにはまいりませんので、何といたしましても、まず第一は業者の努力が必要であろうかと思います。私どもとしましては、業者が努力するにつきましていろいろ隘路となる点、これは関税の課税のしかたでございますとか、向こうの酒税の課税のしかたでありますとか、そういったこと、あるいは向こうにおきまして原産地証明の問題であるとか、あるいはアルコール度についてのいろいろな規制がございますが、そういった問題、こういったことにつきまして輸出にいろいろ障害となるようなことがございますれば、役所同士の間の話し合いをいたしまして、そういうことの解決をはかっていく、そして業界の努力と相まって輸出が行なわれるようにいたしたい、かように考えるわけでございます。
  176. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 隘路の問題ですが、その陸路の一番大きな問題は、やはり日本の酒の税金が高過ぎるということじゃないかと私は思うのです。  そこで、ぼくは泉さんにちょっとお伺いするのですが、毎年酒税はどれくらいの標準で取るべきかという目安というものはあるのですか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  177. 泉美之松

    ○泉政府委員 御承知のとおり、輸出品に対しましては酒税を課税いたしませんので、したがって、日本の酒税が高いからそれが輸出の障害になるということではないと思います。むしろ、外国の酒類の価格日本の税金のかからない生産費との関係で、それに輸出のいろいろコストがかかるわけでございますが、それとの関係できまること、だと思います。  それから、一体酒税の毎年の目安はとおっしゃるわけでございますが、御承知のとおり、酒税は明治の終わりごろから大正の中ごろまでにかけましては、税収中第一位を占めておったわけでございますが、その後所得税なりあるいは法人税のウェートが高まってまいりまして、酒税の地位はだんだん後退いたしております。現在のところ、大体租税及び印紙収入全体の一一、二%というのが一つの目安みたいになってまいっております。昔は、御承知だと思いますけれども、専売益金と酒税とはバランスして考えるということでやってまいっておりますが、御承知のとおり、専売益金のもとになりますたばこの消費は年々あまり伸びない、酒類のほうの消費が伸びる割合に比べますとたばこの消費はあまり伸びない、しかも、たばこにつきましては地方税としてたばこ消費税を課しておりますので、国の収入となる専売納付金はわりあい減ってきておる、こういった二つの事情からいたしまして、昔のように酒税と専売益金とがバランスした姿ということは今日では期待できない。したがいまして、先ほど申し上げましたように、酒税といたしましては租税及び印紙収入の大体一一、二%くらいを確保していくという姿になっておるわけでございます。
  178. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そこで、いつも問題になりますのは、二級酒の酒の減税をやれという声が一般にあるわけですが、この点について業者のほうからも要望があるし、それから大衆もやはりしょうちゅうよりは二級酒ということで一般に普及されておるわけですが、この下げる限界というのはありませんか。たびたびわれわれも業者から聞くのですが、何といっても二級酒が一番大衆に近いわけですが、その大衆の酒としてもっと二級酒の税金を下げる、と同時に、この問題はほかの問題と関係があるのですが、外国の標準としても、やはり日本の生活程度考えると二級酒の税金がまだ比率として高過ぎると思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  179. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 二つお尋ねがございましたのでお答え申し上げます。まず第一は、清酒二級につきまして減税ができないか、さらにまた、その際に減税の幅はどういうふうなものが考えられるか、こういう御質問でございます。  私は、現在の減税の要求が直接税のみならず間接税にもあることも十分承知しております。酒税につきましては、御案内のように昭和三十七年に減税いたしまして、その後の減税がないだけに、その声が熾烈なものがあろうかと思うのでございます。しかし、清酒二級の減税は、また別の角度からの要請のようにも聞こえるわけでございます。三十七年の減税は、当時ございました特、一級、準一酒、二級、これが三本立てになりまして、特級、一級、二級になった、その際、準一級と一級が統合された後の一級酒の税率に比べまして、減税の幅が、格差が少なかったのではなかろうか、そのために、清酒一級のほうが二級に比べまして消費の伸びが順調である、こういった角度から一級との格差を是正する意味においての二級酒の減税が唱えられるようにも承るのでございます。この問題につきましては、確かにそういった要素も見えますけれども、同時にまた、一方消費の高級化、高度化、この影響があるやに見受けられるのでございまして、単純にそういった面からをつかまえまして清酒の二級の減税につながるかどうか、これはよほど慎重に検討しなければならぬ、かように私自身思うのでございます。  さらにまた、御存じのように、清酒のみならず砂糖消費税のような間接税は、多分に従量的な、一定の数量に応じます定額的な税でございますので、消費者物価の問題あるいは所得水準の問題との関連におきまして、この定額的な税をどういうふうに考えていったらいいか、所得がだんだんと上昇いたしますと、過去の定額的な税は相対的に割り安となり、いわば減税されたような面が、従価税の価格を基準といたします税率に比べまして出たような面もございますので、簡単に減税ということも、現在の財政事情、さらにまた、定額税の理論からいってもむずかしいような気がするわけでございます。  さらにまた、御案内のように、所得税に対しますところの課税最低限八十万円といった減税要求も熾烈でございます。このような要求もございますので、全部総合的に考えまして、ひとつどういった形でこの問題をとらえたらいいか、さらにまた、清酒のみならず油類業界は大蔵省の所管でございますし、健全な発展は私どもの願うところでございます。それに対しまして酒税が桎梏となっておりましては、これは非常に申しわけない、そのあたりをどういうふうに考えてまいりますか、ひとつ財政問題もあわせまして産業行政の角度を入れながら検討をすべきではないか、こういうふうに考えております。  第二は、清酒二級の税負担というものは外国あたりに比べまして高いのではないか、こういうお話でございます。言うまでもなく、清酒といった商品は日本独特の商品でございまして、外国におきましてはこういった酒類はございませんし、ありましても日本から輸入したものでございまして、おそらく特別な税率がかかるものでございまして、これは対象とできません。そういたしますと、その国で飲まれております普通酒との関係でどうか、こういった問題になろうかと思うのでございます。現在清酒二級の税負担は、日本の中におきましては、小売り価格に対しましては三〇・三%でございます。そこで外国では、普通飲まれておる酒がどの程度の負担割合になっているか、これはなかなかむずかしいのでございますが、ブドウ酒をとるか、あるいはウイスキーをとるか、あるいはビールをとるか、ドイツならばビールでございましょうし、フランスならブドウ酒になるかもれません、あるいはイギリスならウイスキーになるかもしれません。  そこで、イギリスのウイスキーをとってみますと、これが六九・九%になり、フランスのブランデーをとってみますと一二・七%となり、ブドウ酒だといたしますと、イギリスでは一四・四%でございますが、フランスで四・三%、ビールとなりますと、これは各国によって違いますが、イギリスは三一%でございますし、西ドイツは八・七%、アメリカは一〇%といった税負担になっております。  したがいまして、これは外国と比較しましては一律的には答えは出ない、やはりその国その国の過去の沿革、あるいはまたこれまでの酒税の負担、小売り価格の状況、これらから出てくるのではないか。おっしゃる点は減税の幅に結びついてお考えかもわかりませんが、私は、この問題はわが国独自の酒類でございますので、わが国独自の見地からどの程度の負担がいいかというふうに考えるべきではないかと思っております。
  180. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 標準の置き方で違いますけれども、たとえばフランスのブドウ酒、これはイタリアもブドウ酒だと思うのですけれども、ウイスキーなんというものはやはりイギリスだって高級のあれですから、これは標準にならぬと思う。だからドイツのビールとかいうもの、そういう低いものと比較しないと、日本の酒というものはなお税率が高いということがわからぬと思う。塩崎さんは取るほうですから、やはりそういうようなウエートを違ったところに置いておられますけれども、減税減税といって個人の所得減税をやられるのはけっこうであります。われわれももっと下げてほしいという要求を持っておりますけれども、しかしながら、課税されない人の負担はどういうようになるかというと、私はたばこを吸いませんけれども、酒やたばこが安くならなければ生活は苦しくなる、決して減税の恩典に浴さないような下の階級も相当あると思います。こういう点を考える必要があるのではないかと思いますが、その点はどうお考えになっておりますか。
  181. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 確かに、御指摘の点はごもっともな点でございます。酒税の負担を考える際に、外国の特定なものを選ばないで普通のものを選べ、こういう点は、私は確かにあろうかと思います。そういった意味で検討の材料でございますが、先ほど申し上げましたように、わが国ではこれまで、酒税に対する負担と申しますか、財政依存の傾向は、たばこと並びまして非常に強かったわけでございます。その点、私は外国とも違った面があろうかと思います。外国と比較いたしますと、外国ではむしろたばこによる税収のほうが、ドイツやフランスや、たしかイギリスもそうだと思いますが、酒税よりも多いのではないかと思うのでございます。むしろ酒税の負担のほうが軽い。これはしかし、同時にまた、売り上げ税との関係もありますので一律的には申せませんが、わが国では、現在のところでは逆に酒税のほうが、専売益金と地方たばこ消費税と合わせましたよりも多い、こういった関係になっております。これらをどういうふうにしてまいりますか、やはりその国その国の特殊な事情を考慮しなければならない、かように思うのでございます。  さらにまた、酒、たばこというものは、確かに所得の低い方ものまれまして、それから推定いたしまして所得税の見返りと考えるには、なかなかおっしゃるようにむずかしい点がございます。これはまた、別途の財政収入上の見地、あるいは社会的に見まして消費をある程度制限してもらいたいというような要請のあらわれました税だと考えますと、これもひとつがまんしていただきたいという面もあろうかと思うのでございます。さらにまた、たびたび申し上げて恐縮でございますが、所得税の課税最低限八十万円を早くしろというようなお話をここでもしょっちゅう聞かされておりますので、これらとあわせまして検討すべきではないか、かように考えております。
  182. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 減税の問題は、ひとつぜひ考えてもらいたいと思います。  もう一つ泉さんにお伺いしたいのですが、昔の酒屋というものは非常に経済的に恵まれておったし、設備も非常に簡単なおけを使っておった。ところが、最近はおけなんか使っている酒屋さんはなくて、相当膨大な設備費が要るということは御存じだと思うのです。そこで、私もここで二、三回提唱したことがありますが、やはり金融公庫のようなものをつくってやるべきじゃないか。少なくとも、国の財政のたとえ一〇%でも背負って、間接に税金を取っておる中小の酒屋さんの立場を考えれば、当然、国がある点までこれに対する見返りのような形でやるべきではないかというふうに私は考えておるのです。昨年国政調査で秋田に行って、秋田で私は進んだ酒の業者のいろいろな設備を見て、私の選挙区には相当酒屋さんが多いので、考えて全く隔世の感がある。おそらくこれは、相当借金をしてああいう大きな設備をつくっているんじゃないかと思いますが、こういう点については、一体国税庁はどういうふうにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。
  183. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のとおり、清酒製造業につきましては、特に戦後におきまして、いろいろ新しい設備を入れないといけないというような傾向になってまいっております。そこで御承知だと思いますが、私どもといたしましても、清酒の近代化計画というのを実施いたしてまいっております。この四十一年は、ちょうどその第三年目に当たっておるわけでございますが、この近代化計画にあわせまして、この近代化を業者がはかっていく際に、その資金的な裏づけをする必要があるということからいたしまして、これに大きく分けまして三つの対策を用意しておるわけでございます。  第一は、設備近代化資金というのでございまして、これは近代化計画を立てております清酒製造業としょうちゅう乙類の製造業に限っておるわけでございますけれども、国庫補助金と道府県の予算額、これは同額でありますが、それに従来からの償還金額と合わせまして、中小企業近代化資金助成法に基づいた融資が行なわれておりますが、その一環としまして、清酒製造業としょうちゅう乙類の製造業につきましてそういう近代化資金を貸し付ける、そのあっせんを行なうということをいたしております。  それからいま一つは、企業合同と申しまして、清酒及びしょうちゅう乙類の製造業の近代化をはかりますためには、何ぶんにも業者数が従来かなり多くなっておりまして、今後、従来の業者の数のままでみんなの人がそれぞれ栄えていくというわけにはなかなかいかない。だんだんと市場が拡大し、宣伝力を要するようになってまいりますと、企業体自身が合同して——もちろん合同することだけが能ではございませんけれども、合同して企業体として大きな、強力なものになる必要があるというふうに考えられますので、企業合同の際に、それを奨励する意味で企業合同資金をあっせんするということにいたしております。これも国庫の貸し付け額と道府県の予算と同額になっておりまして、その合計額が貸し付けられることになっております。  このほか中小公庫の特別融資と、それから先ほどお話がございましたが、従来木おけを使っておりましたのを、戦後になりまして、木おけではアルコール類が発散しやすい関係がありますので、ほうろうタンクのほうがいいということからいたしまして、ほうろうタンクに切りかえております。そのほうろうタンクの購入には相当の資金を要しますので、これまた中小公庫と、それから長期信用銀行、この両行に特別に融資ワクをつくってもらいまして、そこでほうろうタンクの購入資金をあっせんするというようなこと、このほか従来からの取引関係からいたしまして、普通銀行、相互銀行あるいは信用金庫等との取引ももちろんございますけれども、私どもとしまして、特に近代化計画の関係で力を入れておりますのは、いま申し上げましたような特殊な金融の道を購ずることとしておるわけであります。
  184. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 企業合同とか、いまいろいろ並べられているそういう条件が、業者にはなかなかのみにくい面があると思うのです。これは泉さん、間税部長をやっておられたから御存じだと思いますが、独立した酒屋さんが他人と一緒に合同してやるということは、日本人はそういう考えは少ないので、これは言いやすくしてなかなか行ないがたい問題だと思うのです。  そこで、これは政治的になることでございますけれども、たとえば国の収入の大体一〇%をいま酒税で取っておる。たとえば一二%取れば二%だけは還元してやる。少なくともこれはある程度まで奨励という意味も含めて、やはり業者に何らかのあたたかい手を差し伸べるというような方法はとれないものか。これは将来問題になると思うのですが、おそらく海外へ酒を輸出するのにも、いま中小企業が非常に困っているのですが、そういう近代設備をやる場合においても、国の監督でもいいけれども、何らかの形で恩恵的なことをやってやる必要があるのではないか。取るだけのものは取らして——これは塩崎さんも泉さんも、中小企業の個人の所得を取るのにどのくらいの手数がかかるかということは御存じだと思うのです。けれども、酒屋を媒介にして、国の税金をかけるために酒をつくってまで取るというのは、いまはそうでもありませんけれども、そういう課税方法があったと思うのです。いまなおこういう方針だからこうだというのではなくて、やはりこういうような抜け道をどこかでつくってやるようなことをしないと、業者がやればいいじゃないかと言うけれども、それは業者はやりたいけれども、なかなか手が回らない。国でそういうことをやらなければ——何らかの形でそういう業者が宣伝もやれるような道をつくってやる必要もあるのではないかというふうに考えて、実は私はアメリカから帰ってきたのですが、そういう点で、いままでのような、従来のそういう考え方から少し飛躍をこの面で考える必要があるのではないかと思うのですが、その点は、そういう考えはないのですか。
  185. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、酒類につきまして、これはひとり清酒だけではなしに、しょうちゅうその他の酒類を含めまして、相当多額の税金を国庫に納めておるわけだから、これらの事業について金融が円滑にいくように、いわば酒類金融公庫をつくってもらいたい、こういう要望がございますことは承知いたしておるのでございます。ただ、大蔵省といたしましては、そういったいろいろの物資別にいろいろの金融機関をつくるということになりますと、従来からの金融機関の設置の方針と関係いたしまして、なかなかむずかしいことになるだろう、まあ酒についてつくるなら、そのほかの物資についてもいろいろつくってもらいたいという要望もかなり出てくるわけでございますので、そういった点を考えあわせまして、酒類について金融公庫を設けるということよりも、既存の金融機関で新しいそういう要望に応じた金融のワクを設けて、そうして業者が利用しやすい姿にしていく、これが望ましいのではないか。そしてまた、先ほど申し上げましたように、設備近代化資金あるいは企業合同資金のほうは、これは県のほうが国からの補助金と合わせまして貸し付けを行なうということでございます。そして、このほうは金利がないというようなことでございます。そういうものを利用していただくというのがいいのではないかという考えを持っております。ただ、設備近代化資金につきましては、お話のように、従来業者がなかなか利用しにくいような条件になっております。と申しますのは、従来の条件でございますと、企業近代化を行なう場合の業者の中に、製成数量が三百キロリットル以下の企業がおるということと、もう一つ、製成数量が八百キロリットル以下でなくちゃいかぬという要件になっております。八百キロリットルと申しますと、大体五千五百石くらいのものでございますから、そのためにそれ以上のものは対象にならないということでございまして、それではこの設備近代化をやりたいという人がなかなか利用しにくい姿になってくる。そこで、実は本年からそいうう点につきまして直しまして、清酒製造業者で百五十キロリットル以上つくっておれば、設備近代化資金の借り入れの対象になる要件を備えておる、そして、もちろんそれだけでなしに、どういう機械設備を買うかというようなことがありますけれども、しかし、従来のように対象が非常に限られておったのを、対象を広げるという努力をいたしまして、業者が利用しやすい姿にするということにいたしております。いま一つは、従来は設備近代化資金は合同会社でなければ借りられないということになっておりました。四十一年度からはそういう必要はないということにいたしておりまして、そういった面もあわせまして、従来のやり方に改善を加えながら、そういう金融面で業者が円滑に利用し得るような方向を見出したい、このように考えておるわけでございます。
  186. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろ説明されるけれども、あなた方の考え方はいいけれども、実際には実行されてないのです。あってもなくても同じようなことになっちゃうのです。それはお役所のことですから、法律はうまいことつくって、あとは野となれ山となれというような考え方があるのじゃないか。私は、何でもかんでもそういうことをやれと言うのじゃなくて、国税庁の一端をビールや酒やしょちゅうの連中もしょっているのじゃないかということから、何でもやれるということはたいへんなことですから、そういう思いやりもあっていいのじゃないかということを申し上げているわけです。  同僚議員からたくさんの質問があるようですから、みりんのことについて二点ばかりお尋ねしたいのです。御承知のように、あとで永末委員質問されるらしいのですが、みりんはいま調味料になってしまったが、これはどのくらい税金を取られていますか。こんなみりんぐらいは、はずす必要があるのではないかと思うのですが、その点はどのようにお考えになりますか。この前、もう三、四年前に私は聞いたことがありますが、もうそろそろはずしてもいいと思うのですが、どうですか。
  187. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、みりんにつきましては、従来から調味料としての用途が多いということでありますけれども、みりんとしょうちゅうとあわせて飲むとかなり有効な致酔飲料になるというようなこともありまして、かなり税率の高い面があったわけでありますが、この点につきましては、昭和二十八年、三十三年、それから三十七年と、数回にわたってみりんにつきまして減税を実施してまいりまして、現在ではかなり低い税率になっておるかと思います。しかしまた、他方で、御承知のように調味料として使われております味の素につきましては、かつて物品税が課税されておったにもかかわらずいまは課税になっておらない。そういったバランスから考えると、みりんについて酒税を賦課するのはどうかという御意見があります。そのことは私どもも十分承知いたしておるのでございますが、もちろん、調味料として使用される面が多いとは申しながら、やはり致酔飲料として使用される面もございます。したがって、味の素のように全然無税にするというわけにはなかなかまいりかねるかと思うのでございますが、酒類につきまして減税を行なうというような機会がございますれば、いまお話のような点をくんで、特にみりんの製造業者の中には非常に零細企業が多うございますから、そういった面もあわせ考慮して、何らかの点を考えなければならぬのではないかというふうに感じております。
  188. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一つ、みりんは旧式みりんと新式みりんがあるでしょう。その問題も、これは業者の中では相当問題になっておることです。その問題は、泉さんはよく知っておられるはずで、いまいろいろ問題になっておるようですが、その問題の解決方法ともう一つ、一体いまみりんはどのくらいつくられているのか、これは間税部長でいいです。それから、どれだけ税金を取っておるか。これはわずかなことだと思うのです。だから、味の素が無税なら、調味料として無税にしていいのじゃないかと思うのですが、これは旧式みりんと新式みりんの問題があるのです。正直言って、いろいろこだわる問題もあると思うのです。しかし、こんなものは簡単に片づける方法があるのじゃないかと思うのですが、もう時間がありませんから、それだけ申し上げておきます。  そういう点についてもう少し積極的に解決してほしいと思うのですが、その点はどうですか。
  189. 泉美之松

    ○泉政府委員 数字につきましてはあとで間税部長からお答え申し上げますが、お話のように、みりんにつきましては新式みりんと旧式みりん、これは本来の名称といまの実態とはやや違ってきておりまして、みりんの原料アルコールをみずからの製造業でつくってみりんを製造しておるものと、それから原料アルコールを他から移入いたしましてつくっておるものと、こういうふうに分かれております。そこで、この旧式みりんの製造業者は、先ほどお話がございましたように、非常に零細な企業が多くなっております。そこで、そのアルコールにつきましても、通産省の専売アルコールのほうから安いアルコールの払い下げを受けるようにいたしまして、それをアルコール供給業者を経まして安い値段で仕入れるということにいたして、そういう零細企業者と新式みりんの製造業者である大企業者との間のコストのアンバランス是正をはかることにいたしておるわけでございますが、しかし、それだけの措置では、まだまだ必ずしも十分にそういった大企業と零細企業との間のバランスがとれにくいような状況になっております。したがいまして、そういった面から、先ほど申しましたように、みりんについて今後検討しなければならない問題があろうか、このように考えておるわけでございます。
  190. 松本茂

    ○松本説明員 みりんの最近の課税数量の状況でございますが、三十七年からここ四十年までの経過を見てみますと、三十七年が一万四千キロリットル、三十八年が一万五千キロリットル、三十九年が一万七千キロリットル、四十年が一万五千キロリットルということでございまして、前年に対する伸び率を見てみますと、三十七年が二二・六%の増、三十八年が九・四%の増、三十九年が一五・七%の増となっておりますが、四十年は八七・九%となりまして若干落ち込んでおります。  それから課税額でございますが、三十七年から申しますと、三十七年度が八億一千六百万円、三十八年度が九億八千五百万円、三十九年度が十一億五千七百万円、四十年度は十億二千五百万円ということになっております。
  191. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後ですが、泉長官、あなたは国税庁長官として、いまや税金の位人臣をきわめておるわけです。そこで、世界の情勢も知らないで事務ばかりとっておってもだめだと思うのですよ。やっぱり海外の情勢がどうなっておるかということくらいは国税庁長官として知らないといけないと私は思うのです。これは福田大蔵大臣に話しますけれども、そういう高い見地に立ってやっていただきたいと思う。  それからもう一つは、あなたは間税部長をやっておられて、酒のこともあなた方陳情ばかり受けて、東京にばかりおられるから、現実の地方の酒屋さんがどんなに困っておるか、どういうことをやっておるかということを——私ら地方を回って歩きますけれども、やはり零細業者の苦しい立場、そういう問題もやはり高い見地から——これは塩崎さんもそうでありますけれども、あなたも将来長官になるだろうと思うのです。これは私が言ったとおりになるのです。この次は泉さん、あなたが長官になるだろうと言っておったら、そうなっておられる。なってもあまり忙しい仕事をしないで、どうせ腰かけだ、どこかほかの会社に行くんだからということでなくて、五年か十年くらい国税庁長官でがんばるくらいのつもりでやってもらわなければ、業者は信用しない。しょっちゅう転任転任ばかりでしょう。あなたの責任じゃないけれども、私は、少なくとも最近二、三年外国へよく行くので、日本の料理の問題、酒の問題について、非常に変わっているので驚いたのです。だから、そういう面を考えて、ぜひひとつ、あまり国税庁の長官室にばかりおらぬで、よそを廻って、こまかいことを気にしないでいただくことをお願いして、私の質問を終わります。
  192. 春日一幸

    春日委員 ちょっと議事進行のために発言。  きょうは、なおあと五、六人質問があると思うのだ。お互いに審議を尽くすことはやぶさかではないけれども、泉君の答弁を聞いておると、イロハのイからおしまいのンまで全部答弁が長過ぎると思うのです。時間もすでにもう三時ですから、質問者もできるだけ簡便に要点に限り、答弁はその質問事項に限って、付帯事項は必要ならまたあらためて聞くことにして、簡潔にやっていただきたい。
  193. 吉田重延

    吉田(重)委員長代理 春日委員の御意見はごもっともと思います。政府答弁はできるだけ適切に、簡略に、時間をかけないようにお願いを申し上げます。  岩動道行君。
  194. 岩動道行

    岩動委員 私は、当面する酒類行政の問題二、三点について、この機会に政府見解を明らかにしておいていただきたいと存ずるのであります。  まず第一に、いわゆる酒団法の運用の問題でございますが、この中で特に最近、古くして新しい問題として、酒類の正常取引、酒税の確保、あわせて取引の安定をはかるというのがいわゆる酒団法の目的でございます。この四十二条の規定によって、不況カルテルあるいは先般の法律改正によりまして合理化カルテルといったものは、設けられることが可能になったわけでございますが、このようなカルテルの結成になる前に、今日依然として過大な競争、そのためのリベートあるいは値引きというような過当競争の面が、かなり各方面で起こっているというのが現状であろうかと思うのであります。そこで、不況に至るまでの措置として、現在の酒団法で、はたして十分な措置が講じ得られるのかどうか、この点について国税当局の御意見を承りたいのであり、ますが、今日の不正常取引、リベートあるいは値引きの競争、こういったようなことに対して、国税庁はどのような具体的な指導あるいは措置をとっておられるかを、まず承っておきたいと思います。
  195. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のとおり、酒類につきましては最近だんだんと供給量がふえてまいりまして、そのために、業者の間の正常な競争が盛んになることは当然でありますけれども、最近の傾向を見ておりますと、やや正常の程度を越えた値引き、リベートといったような動きがありまして、このまま推移いたしますと業者が共倒れになるという危険も予測されましたので、実は昨年の暮れからそういったリベートにつきましてはできるだけ圧縮していただきたい、もちろん自由競争のいい面もございますので、自由競争をやっていただくことは差しつかえないわけでありますけれども、不当なリベートを支払うということを自粛してもらいたいということを要望いたしまして、その結果、各酒類、特にビール、しょうちゅう、合成清酒、清酒、こういった酒類につきまして、それぞれリベートの自粛措置を業界自身が申し合わせてやるということになっておるわけであります。私どもといたしましては、業界がそういう努力をされるにつきまして、役所のほうで、できるだけその業界の申し合わせがうまく実行できるようにお力添えをするというようなことをいたしております。  なお、申し上げるまでもございませんが、この酒団法の規定に基づきまして、従来からも販売規制と申しますか、実は招待規制と申しまして、観劇とか旅行とか、そのほかに招待する場合の規制措置がとられておるのでございます。昨年の傾向は、そういうことのほかにリベートが非常にふえてくるおそれがございましたので、このままでは業者同士困るということを考えてそのような措置をとったわけでございます。
  196. 岩動道行

    岩動委員 そこで、大体行政指導で業界と協調して過当なリベートなどは防止していきたい、こういう方針をとっておられることでありますが、しかし、もしもそのような過当な競争で公正な取引を阻害するような市場の価格の混乱を起こすといったような場合には、記帳の簡素化を取り消すとか、そういったことも国税庁としては考えておられるというふうに私は承知いたしておるのであります。しかしながら、記帳の簡素化を取り消すといったようなことで、はたして十分な措置が講じ得られるのかどうか。場合によっては酒団法の改正をして、このような不正常な取引が行なわれないような予防措置を講ずる必要があるのではないか。こういったような点について、特に国税庁の今後の方針というものを含めてお答えをいただきいと思います。
  197. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、いろいろな対策を準備しておくことが、そういう取引の正常化のために役立つということは考えられます。しかし、現在までのところ記帳の簡素化の手続を取り消すという処分までまだいたしておりません。それによって、はたして実効があがらないかどうかという点についてまで問題は発展いたしておりません。まずリベートの自粛ということを行ないまして、それにもかかわらず、なお一部の業者がそういうリベートの圧縮を行なわないで過当なる競争に走るということになりますれば、いま申し上げますような簡素化の手続を取り消すという処分もいたさなければならぬかと思っておりますが、現在のところ比較的にリベートの自粛措置がわりあい励行されておりまして、現在のところそういう必要もないように思われます。将来の問題としては法制的にいろいろ検討しなければならぬかと思いますが、現在のところ、いますぐに必要であるとは思っておりません。
  198. 岩動道行

    岩動委員 大体過当なリベート競争が行なわれていないというか、それがかなり自粛されてきているということはたいへんけっこうな傾向でございますが、何と申しましても、酒の販売に従事しております事業者は、中小企業というよりも零細な小規模事業者がきわめて多いわけでございます。したがいまして、これらの中小企業対策としても、正常な取引によって営業が健全に行なわれ、しかも酒税の保全が十分に確保される、このような方向でさらに政府の御努力もお願いしたい、業界に対しても十分な協調と御指導をお願いいたしたい、かように考えるわけであります。  次に、これは酒造家の問題になるわけでありますが、原料米の割り当てを本年度はどのようにして行なわれるおつもりであるのか。これは大企業であるメーカーと小企業であるメーカーとにおいては、いろいろと考え方も交錯しているかと思うわけでございます。この原料米の割り当て方針について、まずどのようなお考えを持っておられるか、これを伺いたいと思います。   〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕
  199. 泉美之松

    ○泉政府委員 四十一酒造年度の清酒用原料米の割り当ての問題につきましては、まだ国税庁において検討中の段階でございまして、今後十分日本酒造組合とも連絡いたしまして、業者の意見も聞きまして、その上で具体的に決定してまいりたいと思っておるわけでございます。御承知のとおり、現在近代化計画が進められておりまして、今年は第三年目に入っておりますが、近代化計画の推進過程におきましては、原料米の割り当てにつきまして大幅な改正は行なわないというたてまえになっております。したがいまして、基本的には大体従来のやり方を基礎にしていく考えでございます。しかしながら、従来のやり方につきましてはいろいろ問題があるわけでございまして、特に原料米が実績のある、真に原料米を必要とする企業にそれぞれ応じたように割り当てられているかどうかということにつきまして私どももいろいろ問題として考えておりますし、業界自身にもいろいろ意見があるようでございます。したがいまして、そういった点を考えまして、できるだけ実勢を反映するように努力いたしたい、そのために従来から移出実績数量割りといったものも考えているわけでございますが、その際特に自製酒の課税移出数量割りというものに重点を置くほうがいいのではないかという考えを持っております。  それから、御承知のとおり清酒業界におきましては製成数量の約二五%がおけ取引の対象になるわけでございますが、これにつきまして、真におけ取引の提携を円滑にして企業の安定をはかるという意味からいたしまして、提携おけ取引の場合はある程度優遇措置を講ずる、普通のおけ取引に比べまして優遇措置を講ずるというような考えをとったらどうかというふうに考えておりますが、まだ具体的に本日申し上げるほどまでに考え方が固まっておるわけではございません。
  200. 岩動道行

    岩動委員 実勢に合った、改善された配給を行なうようにひとつ十分なる御配慮を賜わりたいと思います。  次に、原料米の価格でございますが、これは先般政府において生産者米価が確定をいたしたわけでございます。そこで、原料米の価格をどのように今後おきめになるかということがきわめて大きな関心事でございますが、前年も千四百二十円の値上げをいたしております。ことしは政府の生産者米価が千五百二円ということになったわけでございまするが、本年度も大体去年と同じような方針でこれをおきめになるのか。もしもそのようなきめ方をされるとすれば、原料米が非常に大きな割合を占めておるこの事業におきましては生産費のコストが非常に大きくなる。したがって清酒の価格を引き上げなければならないという問題にもつながってまいるわけでございます。この辺に対するお考えをひとつ承っておきたい。
  201. 泉美之松

    ○泉政府委員 御承知のように、酒造用米の値段は一般の飯米の消費者価格と違いましてコスト主義できめるという方針をとっております。したがいまして、今回のように生産者米価が石当たり千五百二円引き上げられるということになりますと、酒造用米についてもその引き上げを行なわなければならないといった問題が起きるわけでございます。ただ、そういたしますと、それが清酒の生産コストとなりまして値上げの問題も起きてまいります。そこで、今後農林省及び主計局との間におきまして、原料米の価格をどういうふうにするかということを御相談申し上げなければならない事態になっておるわけでございます。従来はコスト主義と申しましても、一般飯米の消費者米価がどういうふうになるかということを横目でにらみながら酒造用米の値段もきめるというやり方をとっておりました。今回は一般飯米用の消費者価格がなかなかきまらないのではないかという心配がございますので、酒造用米についてだけ先走ってきめることになるのかどうか、その辺いろいろ問題のあるところでございまして、現在のところまだ農林省、主計局のほうと折衝いたす段階になっておりません。十月ごろまでには接触をいたさなければならぬかと思っておりますが、その際にいろいろ検討しなければならぬというふうに思っております。
  202. 岩動道行

    岩動委員 これは清酒価格の引き上げにかなり密着した問題になると思いますので、慎重に、しかも物価値上がりに影響しないような方法で特段の配慮を今回はしていただかなければならないのではないか、かように考えますので、政府においては十分なる配慮を特にお願いを申し上げておきます。  これに関連をいたしまして、特に製造石数の少ないメーカーはいろいろ合理化もしていかなければならない、あるいは企業合同もしなければならぬということで、先ほど佐藤委員に対する政府側の御答弁もあったのでありまするが、中小企業としての援助については、どうも酒屋さんは大蔵省がうしろについているからということで、一般の金融機関あるいは府県等においては、どちらかといえば、あれは大蔵省が背後にいるからあまりめんどうを見なくてもいいんだというような感じがして、とかく取り扱いの上において不利な立場になっているような感じがないでもないのであります。したがいまして、大蔵省では中小企業という立場に十分に認識を示して、そうして積極的に関係の金融機関あるいは府県等に対しても協力を強く要請するように特段の配慮をひとつお願いをいたしたい、かように思うのでありまするが、この点について政務次官はどのようにお考えですか。
  203. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 従来、清酒業に対しては御指摘のような傾向なきにしもあらずと私自身も感じておりましたが、最近大蔵省もやはりおひざ元ということでだいぶ積極的に、金融面でも先ほど国税庁長官答弁のごとく、四十一年度からは企業合同あるいはまた三百キロリットル以下の企業は参加しなければならぬとか、ややこしい条件は抜きにして、百五十キロリットル以上の製造業者には、そのものずばり近代化資金も貸し付けの対象にするとか、あるいはまた精米機を貸し付けの機械の対象にする、こういうふうな配慮もいたしておるようでございますし、御趣旨の線は一そうわれわれも留意して、大部分が零細な企業者であるという配慮を怠らないように善処をいたしたい、こういうふうに思います。
  204. 岩動道行

    岩動委員 時間もありませんので、一、二点については要望だけを申し上げておきますが、酒税の減税、これは先ほど主税局長が言われましたように、昭和三十七年に一割の減税が行なわれただけであって、もうすでにかなりの年月がたっている。しかも、税調においても、このような税金は何年かに一度大幅に減税をするのがよろしい、こういったような見解も示しているようであります。したがいまして、そろそろ四十一年度にはその時期がきているのではないか。一方において、いまのような生産者米価の引き上げからコスト高がかなり予想されるというときにおきましては、減税がまた相当大きな問題としてこれはぜひ実現の方向に持っていかなければならない。財源問題はもちろんございます。四千億円からの酒税でありまするから、一割減税しましても四百億円というかなり大きな財源を食ってしまうわけでございまするから、そう簡単にいく問題ではないと思います。しかし、この際、諸般の事情を十分に勘案をして、英断を持って酒税問題にぶつかっていただきたい。政府税制調査会におきましても、十分なる検討を積極的に大蔵省からも要請をして進めていただきたい、これを特に要望を申し上げておきます。  それから、酒類の小売り免許の問題でございますが、これは大体私どもが要望してまいりました線に基づいて、過当競争が起こらないように慎重な免許を行なっていくということで、新規免許の問題はかなり落ちついてまいってきているかと思いまするが、引き続きこの問題は従来の方針どおり進めていただくことを特にこの機会に御要望申し上げ、また、国税庁においても留意をしていただきたい、かように思う次第でございます。  最後に、これはまだ大蔵当局として答弁をする段階に至っていないかと思いまするが、最近ビール会社の合併問題が新聞紙上に伝えられておるわけでございます。もしも新聞紙上に伝えられているようなビール会社の合併が行なわれますると、きわめて大きなシェアを持つ会社ができ上がって、日本のビール界は寡占、独占の形態に入ってくる。これはいろいろな問題を含んでおって、一方においては、企業の合理化、そしてコストの引き下げ、したがって消費者への奉仕という面も出てくるかと私は思いますが、他方においては、寡占、独占なるがゆえに価格の維持あるいは引き上げ等も容易に行なわれるといったような問題も起こってきはしないか。このような点からして、この合併問題はきわめて大きな問題を含んでいる。したがって、慎重に取り扱わなければいけない。大蔵省としては酒類の免許の面からこのこの問題を扱うということになろうかと思いまするが、公正取引委員会は合併の実態として、これの利害得失を判断してこれを認めるかあるいは認めないかという結論を出そうかと思うのであります。その辺は公取とも十分なる連絡をとって、酒類行政の上からも誤りなき指導をしていただかなければならない。この点について大蔵当局の今日の段階においてのお考えがもし伺えるなら、この機会に伺っておきたいと思います。
  205. 泉美之松

    ○泉政府委員 新聞紙上に伝えられておりまするサッポロビールと朝日麦酒との合併問題につきまして、私どもはまだ正式にお話を伺っておりません。したがいまして、新聞紙上で伝えられておる姿についていろいろ考えておる段階でありまして、まだ国税庁としての態度をきめておるというわけではございません。ただ、お話のように、この合併につきましては、過剰投資的なことがなくなる、あるいは最近やかましく言われておりまする宣伝が非常に重複して宣伝費を多量に使われておるといったような面がなくなるというメリットがあることはわかります。しかし、その反面、いまお話のように、従来からもわが国のビール産業は寡占状態にあったわけでございまして、その寡占の程度がさらにはなはだしくなるという点からいろいろ問題があろうと思いますので、公取とも連絡を十分とりまして慎重に考えていきたい、このように思っています。
  206. 三池信

    三池委員長 小林進君。
  207. 小林進

    小林委員 先ほど専売が農民をいじめているという話をしましたが、国税庁もやっぱり農民をいじめる総本山だということになる。きょうは酒の質問をすることになっているのだが、あなたは酒造米を昨年は一体幾らでお買いになりまして、今年度米価の改定ができましたから、ことしは幾らで一体買われるつもりなのか、ちょっとお聞かせ願いたい。去年買った値段は幾らで、ことしは幾らで買うのか。
  208. 泉美之松

    ○泉政府委員 酒造米の価格は、四十年産米につきましては一万七千七百十五円と相なっております。
  209. 小林進

    小林委員 ことし政府がおきめになりました米価は幾らでございますか。
  210. 泉美之松

    ○泉政府委員 生産者米価は一万七千八百七十七円でございます。
  211. 小林進

    小林委員 これは何等米でございますか。
  212. 泉美之松

    ○泉政府委員 政府買い入れ価格は一−四等の平均価格と承知いたしております。
  213. 小林進

    小林委員 一−四等の平均価格で間違いございませんか。——そうじゃないでしょう。政府の今年度の一万七千八百七十七円というのは、一−四等を含めて早場米から袋代から各種の奨励金からもち代まで全部入れた平均価格なんです。それくらいのことを勉強してこなくては困る。それなら、あなたの言われた酒米はどうなんです。あなたの言った一万七千七百十五円というのは一体何なんだ。
  214. 泉美之松

    ○泉政府委員 酒造米の価格は硬質一等米を基準としてきめておりまして、先ほど申し上げました一万七千七百十五円と申しますのは、硬質一等米につきまして酒造業者が買い入れる値段でございます。
  215. 小林進

    小林委員 その点は間違いない。さすがに自分で買う米なんだから知っている。そうすると、去年のいわゆる平均価格というのは、私は知っているが、あなたには教えない。教えないが、ことしの平均価格が一万七千八百七十七円で、あなた方の去年買った硬質一等米よりもこの平均価格のほうが高いのだから、この比率でいくと、あなた方が少なくとも今年度の硬質一等米で買わなければならぬ米価というものは大体どのくらいかということはちゃんと計算が出てこなければならぬはずだ。もはや買い入れ準備をしてなければならぬはずだ。大体どのくらいで買いますか。
  216. 泉美之松

    ○泉政府委員 昨年の硬質一等米の酒造用米の買い入れ価格一万七千七百十五円と申しますときに、その算定の基礎になります硬質一等米の政府買い入れ価格は一万六千七百八十円でございまして、いわゆる政府買い入れの米穀につきまして今回千五百二円値上がりしたわけでございますが、その千五百二円の値上がりする前の一万六千三百七十五円に比べまして、硬質一等米であるだけに高目になっておるわけでございます。したがいまして、今回平均価格のほうが千五百二円値上がりしたわけでございますから、当然硬質一等米のほうの価格もそれ相当の値上がりになると思います。そのほかに政府買い入れ価格政府経費をいろいろ加えまして酒造用米の価格がきめられるわけでございますが、この政府経費の中身が、酒造用米の場合には、御承知だと思いますけれども、一般の飯米と買い入れ手続を異にいたしておりまして、生産地におきまして酒造業者に引き渡されるというような条件になっておりますので、政府経費の計算のしかたが一般の飯米の場合と違ってまいることになります。したがいまして、そういう政府経費のほうが酒造用米の場合に幾らになるかという計算を目下農林省のほうでなさっておるわけでございまして、その結果が出ました後に私どものほうと折衝することになるわけであります。  しかし、いずれにいたしましても、基本的には 政府買い入れ価格が上がっているわけでございますから、それ相当の酒造用米の売り渡し価格の引き上げの問題が起きてくることは当然であろう、このように思っております。具体的な金額が幾らになるかにつきましては、農林省のほうの計算を待たないと現在のところ申し上げかねます。
  217. 小林進

    小林委員 これはなるほどうっかりしておったのだが、そうすると、硬質の一、二、三、四等の米の格づけや酒造用米の価格は、あなたのほうには関係なしに政府がおきめになるのですか。
  218. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のとおり食糧庁長官の告示できめることになっております。その告示をきめる際に、需要者の代表といたしまして、国税庁のほうでいろいろお願いしてきめていただくことになっております。
  219. 小林進

    小林委員 それでは、酒米の価格の問題は、ひとつまた食糧庁なりあなたのところの出しつぶりの悪い主計局なりに話を持っていくことにします。  しかし、去年だけでも、政府がきめた一等の硬質米と、その硬質米の中の特に酒造米としてあなた方がお買いになる好適米の間には、同じ一等でも九百円何ぼ、千円足らずの値段の差があるのだから、その分でいけば、最高の米だから、ざっとの計算でことしはまず石二万円と踏まなければならぬ、二万円までいかぬでも一万九千円台はしなければならぬ。そういうことになってきますと、でき上がった酒の値段も引き上げなければならぬと思うがどうですか。価格に影響ありませんか。
  220. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、清酒の原料は米がほとんど大部分でございますので、したがって、米の値段が上がりますれば、それがコストに影響いたしまして清酒の価格に影響いたします。  昨年、実は酒造用米につきましては千四百二十円引き上げられたわけでございますが、その際に、実は清酒につきましては一・八リットル当たり六円余りのコストアップ要因が起きております。しかし、六円余りであるからしばらく値上げはしんぼうしてもらいたいということをお願いしまして、業界の協力を得まして現在のところい値上げをしないでまいっておりますが、本年さらに昨年の千四百二十円を上回るような買い入れ価格の引き上げということになりますと、昨年と今年と両方合わせたコストアップ要因のほかに、御承知のとおり本年運賃改定が行なわれまして、運賃か値上がりをしております。それから酒造従業員の給与も引き上がっております。そういったいろいろなコストアップ要因を考えますと、清酒につきまして従来のとおりの価格でやっていけということは無理になろうかと存じております。
  221. 小林進

    小林委員 あなたがみんなぺらぺらしゃべってしまったから、結局わしが問わぬでもいい問題になりましたが、結局そのとおりなのです。去年はともかく一石について米価は千四百二十円上がったというだけで、ともかく一升について六円のコスト高を来たした。今年は先ほどから言っておりますように、これは一千四百二十円どころではありません。政府自体がもはや千五百二円ぐらい去年よりも米価を上げておる。九・二%値上げをしておるのですから、そうすると、今年度の原料たる米の引き上げだけでも、一升当たり去年あたりの六円なんかではおさまらぬで、まず七円か、八円前後と見なければなりません。また百姓をはたいて安い米をふんだくれば別だろうが、そうでないなら七、八円ぐらいになる。そのほかに、いま言われているように鉄道運賃が三割、二八%も引き上げられておる。人件費もまた何ぽか引き上げられてきている。とすれば、当然このコスト高に基づく価格の改定というものが行なわれなくてはいけないでしょう。あなたはそれを押えることができますか。業者を泣かせて押えるか。悪代官の長たるものでありますから、押えようと思えば押えられる力があなたにはある。どう処置せられるや、所見いかん。
  222. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、もし酒造用米の値段が相当上がるということになりますと、二年続きましてそういったいろいろのコストアップ要因が重なるわけでございますので、従来のままの値段でやってもらいたいというわけには参りかねると思います。ただ、清酒の値段は、御承知のとおり現在は自由価格になっておりますので、その値上げを行なうかどうかということは業者の任意に行なえることになっております。ただ、私どもは、酒類が国民生活上持っております重要な地位にかんがみまして、できるだけ業者に自粛を求めまして、消費者の反発をかわないようにということで指導いたしておりますけれども、しかし、このようにもし酒造用米の値段が相当上がるというような事態になってまいりますと、それで生産された酒類が出回ってくるころまでには、価格の問題について従来のとおりやっていくということは困難になろうと思います。したがって、どういう対策を講ずるか、それまでにいろいろ値上げをしないような措置ができるかどうか、あるいは値上げをすることはやむを得ないか、そういった問題について十分な検討をしなければならぬ、このように思っておるわけでございます。
  223. 小林進

    小林委員 国税庁長官の十分検討しなければならないという答弁は、私は聞きあくほど聞いている。まだ大蔵委員になって一年もたたないけれども、検討検討のことばを聞くこと、まさに百数十回だろう。問題は明らかになっているじゃないですか。米価は食糧管理制度によって政府みずからきめるということになれば、米価をはたくわけにいかないでしょう。生産コストも高まってきている。だから、酒の値段を上げるか、さもなければ酒税というものを引き下げるか。道は二つに一つじゃないですか。それとも、国家権力で、酒製造業者は何でもいい、いままでの値段を上げるなといって押えるか。押えるわけにはいかない。それは酒屋というものは独占資本だから、百姓の米をはたくようなわけにいかない。大事なスポンサーだから。こっちの値段を押えるわけにいかないとすれば、政府みずからの収入を犠牲にして、酒税の減税をやるか。どうです、やる意思はありますか、政務次官。政務次官は副大臣だ。副大臣ともなれば一応国会に対する大きな方針もあるだろうが、どうです。酒の値段を高めて大衆を苦しめるか、国の収入を減らしても、減税措置をして現在の値段で押えていくか、さもなければ、国家権力で、酒税は下げない、米の値段を上げる、酒屋は泣けといって酒製造業者の頭をはたいて現在の値段で押えていくか、道は三つだ。どっちをやりますか。
  224. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 当面の経済政策として、物価安定対策ということが基本的な政策であることは御案内のとおりでございますが、そういう面から考えますと、国民生活に密着しておる酒の相場というものは、できるだけ現状からあまり上がらないということが適当だと思うのであります。ただ問題は、先ほどから御指摘のとおり、現実に四十一年度産米米価が上がるわけでありますから、酒米はコスト主義でやっておる関係から、どこかでつじつまを合わせなければならない。その場合は、やはり企業合同、そのほか企業自体の自己努力、同時にまた、販売の過当競争、こういった面のいわゆるリベート、値引き、この幅を圧縮するということ、それと税金問題、私は三者どれか一つというのではなくて、すべてを総合して、総力を結集して物価対策に沿いながら問題の解決に当たる、こういう以外には方法はない、このように思う次第でございます。
  225. 小林進

    小林委員 あなたの抽象論はそれでわかりましたが、それではいま一つ掘り下げて聞きますが、さっき国税庁長官は、酒は自由販売だ、だから価格は任意だとおっしゃった。けれども、やはり流通機構の安定のために、こちらは自粛を要望したり希望を述べたり監督するとおっしゃいましたね。  それでは、一体自由価格だというのは間違いありませんか。
  226. 泉美之松

    ○泉政府委員 自由価格であるということは間違いございませんが、ただ酒税が課せられておりますので、その酒税を生産者が負担するわけにまいりませんので、これを消費者に転嫁しなければならない、したがって、酒税の転嫁ができないような価格で売られるということになりますと、酒税の保全ができなくなります。そういう事態になりますれば、いわゆる酒団法によりまして大蔵大臣から命令を下すといったような措置がとれることになっております。したがいまして、純粋に間接税を負担しておらないような物資の自由価格とは、自由価格といいましても、そこに性格が違ったものがございます。
  227. 小林進

    小林委員 自由価格であるというならば、あなた方は酒税の確保のためにある程度価格の干渉をするとおっしゃるけれども、その干渉はどの程度にされるのですか。事実上、あまり干渉が過ぎれば自由価格じゃないでしょう。管理価格になるでしょうし、自由価格というからには、税金を納めなければ差し押えしなければならぬだろうし、それは命令権の発動もやる場合もあるだろうけれども、どの程度の干渉ですか。自由価格と称する範囲の干渉というのはわからない。酒屋さんが納める税金なんだから、その税金を腹の中に入れて自分で幾らで売りたいというやつを、おまえの価格は安過ぎるから困る、こいつはもうかるから高く売ろうとすれば、高いから困る。まるであなた方の一存で、高ければけしからぬ、安ければけしからぬ、そんな自由価格がありますか。その自由価格の範囲の中における干渉の限度というものを教えていただきたい。
  228. 泉美之松

    ○泉政府委員 これははなはだむずかしい問題でございます。法律的にいえば、従来、戦後長い間公定価格制度がとられておりましたが、その公定価格制度が昭和三十五年から基準販売価格制度に移りまして、それがさらに昭和三十九年から基準販売価格もなくなってまいったわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、酒類につきましてはかなり重い酒税が課せられておりますので、その転嫁が円滑にいかないと酒税の保全ということが行なわれがたい、こういう点からいたしまして、私どもといたしましては、業者が公正な自由競争を行なっていくという前提のもとに、しかも、その同じ清酒二級なら清酒二級につきましても、消費者に売れ行きのいい酒とそうでない酒とあるわけでございますから、その間に、売れ行きのいいものは比較的に高い値段で、そうでないものは低い値段でということで、そこにおのずから価格の秩序というものができ上がっていくことになろうかと思います。そこで、そういう価格の秩序をあまり乱す場合に、行政的にそれは適当でないということを申し上げておる、そして行政指導をして業者の方の協力を得てやっておるわけでございます。  それから、あまり高い値段で売るのはけしからぬとおっしゃいますが、これは清酒には特級、一級、二級とございますので、本来ならば一級の税をかけてもいいほど高い値段でありながら、二級の税金しか払わぬでそういう値段で売るということになりますと、消費者は高い値段で買う、国のほうは二級の税金しかいただけないということでは適当でなかろうということで、そういう二級のものにつきましては、高く売るにしても一定の限度がある、こういうことになっているわけでございます。  したがいまして、法律的には自由価格ではありますけれども、いま申し上げましたように、いわば酒税の負担がありますだけに拘束される面がかなりあるわけでございます。しかし、行政的には、個々の業者についてそういうことを申し上げるよりも、業界——清酒につきましては日本酒造組合中央会を中心といたしまして、府県の連合会、それから税務署単位に酒造組合がございますので、そういった団体を通じて指導するよう心がけておる次第でございます。
  229. 小林進

    小林委員 時間がないからあまりあなたとくどい話もしていられませんけれども、先ほど質問があったように、三十七年の四月に酒税を一割下げたときに、これを減税してもう少し安い酒を大衆に飲ませようじゃないか、そういう心がけで下げたのでしょう。それから下がっていないじゃないですか。なおかつ、先ほども言うように、何か税調でも三年に一回くらいはなるべく減税していって、大衆に安くよいものを飲ませるようにしたほうがよかろう、こう言っている。ところが下がっていない。そういうような傾向の中で、奇特な酒屋さんがいて、たとえば二級酒五百十円のやつを四百円足らずで大衆にサービスして飲ませている。りっぱじゃないですか。そういうことをやると、国税庁がのこのこと出かけていって、おまえのところは安く売るからけしからぬといって、酒屋さんが安く売っているのを干渉してくる。その干渉が必要ならば、昔のとおりやはり統制価格にしたらいいじゃないか、管理価格にしたらいいじゃないですか。特級は幾ら、一級は幾ら、二級は幾らとしたらいいじゃないですか。それを、自由販売にしておきながら、今度はそれぞれの業者が自分のそろばんで、薄利多売だから、一本ずつ売るのとまとめて売るのとでは、まとめて売るほうが運搬賃もかからないしするから、たくさん買ってくれるときには思い切ってうんと安くやりましょうと言ったら、待てといって売らせない。どこにそういう基準があるかといったら、その基準はむずかしい。むずかしいというのをだれがやるかといったら、結局税務官吏だ。あなた方の子分連中の、いわゆる一笑一ぴんに基づいて一あなたのところはそこまで言わんだろうけれども、私は口が悪いから、わいろでも持っていってうまいこと頼んだら、おまえのところはしょうがないから四百円以下でもいい、あの酒屋は憎らしいから、四百二十円で売ったからあれは販売停止してしまえ、そういう行政的な処置が酒税関係の一税務官吏によって行なわれるような危険性がある。これは現実にやっている。そういうようなことでは困るから、自由販売なら自由販売にしたらいいじゃないか。それで酒税を納めなかったら差し押えをやればいいじゃないか。あなたは差し押えの親分じゃないか。あに酒税のみならんや。法人税や所得税を納めなければどんどん取り立てて、はなはだしいのは孫子の代まで追及して取り立てている、それを酒に関する限り、酒税というものを確保する必要があるから、そんな安い価格じゃ売られません、高い価格でも売られません、あとで行政指導でいきます、それが公平なやり方ですか。泉君、それでいいのですか。いま少し納得のいくような説明をしなさい。
  230. 泉美之松

    ○泉政府委員 業者の個々の値段につきまして、先ほど申し上げましたように、酒が酒税を負担する物資であるだけに、その酒税の転嫁が円滑になるということが基本になろうかと思いますが、その上におきまして自由な競争でやっていく場合におきまして、あまり税務官庁のほうから干渉がましいことを加えることは適当でない、これはお話のとおりだろうと思います。したがいまして、できるだけ自由競争のいい面を発揮していただくように現在酒類の価格につきましては自由価格といたしておるわけでございます。  ただ、繰り返して申し上げますけれども、かなり重い酒税の転嫁が円滑に行なわれるという点からいたしまして、やはりメーカーのコスト、販売業者のコストを考えますと、ある程度値段で売れないと酒税の転嫁が円滑にいかないおそれがあります。小林委員は、滞納になってからやればいいじゃないかというお話でございますが、その滞納になる前の段階において転嫁を円滑に行なわれるようにしておくことが必要であろう、このように考えるのでございます。
  231. 小林進

    小林委員 あなたの言わんとすることがわからぬわけじゃないのだが、国税庁長官が言うとそれはおかしい。酒に関する限りは、税金を納めなくちゃならぬようだから事前に手当てして、自由競争になったからおまえの酒屋は守ってやるということなら、税金を納めるところはみんなそうやったらいいじゃないか。あなた方は、日本じゅうの所得税から法人税から全部やっているじゃないか。所得税や法人税は遠慮会釈もなくふんだくって、血の出るような思いのものを取って、破産してもかまわぬ、また、親子兄弟泣きの涙でも取るじゃないか。そうしておいて、酒屋だけは親切に、酒屋の税金は納めなくちゃ困るからそこだけはひとつ防いでやりましょう、親切に扱ってやりましょう。これは何です。そこに酒税行政のでたらめがあるというのだ。あなたのほうは中小企業の酒屋はどうでもいいのです。五百石、千石程度の酒屋に対してはなかなか守ろうとはしない。言ってみると、やはり酒税行政というものは大量生産である。年に十万石も百万石もつくるようなところには、重点的に、税金を納めれば守ってやるという考えである。何しろ国税庁はやることが実際えげつない。(「小千谷税務署」と呼ぶ者あり)小千谷税務署ばかりじゃない。全国至るところこれはもう問題にならぬ。これは原国税庁長官の前だから、いまの公取の北島君か、あの時代からの数々の恨みが国税庁にはある。きのうやきょうの恨みじゃない。しかし、そういう私怨をもって公的な場所でものを言っておるのではない。私怨は私怨、公怨は公怨でやっているのです。私の言っていることは公憤の問題だ。実際よろしくない。  そこで、酒の一年間の製造石数だが、二級がいま八〇%を若干切れていますか、一級酒が二割三分程度にだんだん増石になっている。その一級はいいが、二級酒を飲む消費者階層の区分をひとつ教えてもらいたい。二級を飲む庶民階級の中にもいろいろなものがあるが、どうですか。
  232. 泉美之松

    ○泉政府委員 昭和四十年一二月から四十一年二月までの数量で申し上げますと、二級酒は清酒全体を一〇〇%といたしまして、その七二・四%に相なっております。
  233. 小林進

    小林委員 一級は……。
  234. 泉美之松

    ○泉政府委員 一級は二三・三%、特級が残りの四・三%に相なっております。この数字は、三十七年に酒税法が改正される前の三十六年で見ますと、二級が八八・三%、一級、準一級合わせまして一〇・二%、特級が一・五%であったわけでございます。ごらんになりますように、特級、一級の割合が非常にふえまして二級の割合が落ちております。全体の数量といたしましては、もちろん三十六年のときの八十二万九千キロリットルに比べて百十五万八千キロリットルにふえておるわけでございます。したがいまして、二級の数量も七十二万三千キロリットルから八十三万九千キロリットルにふえておるわけでございますが、清酒全体の中の比率としては低下いたしておるわけでございます。 それから、二級酒を飲んでいる階層はどういう階層かというお話でございますが、これを所得者別に、どういう所得者の人はどういう酒を飲んでいるという調査は、家計調査のほうはやっておりますが、なかなかそこまでの調査はできかねております。
  235. 小林進

    小林委員 大体、ぼくの質問の要点は、長い階級的な習慣に基づいて庶民の立場から言っているのだから、私の質問の足りないところは察知して答えなさい。  大体、一級が伸びて二級が伸びない、だんだん減ってきたということは、結局大メーカーの、あなた方が飲んでいる何とかいう灘あたりの一級をつくっている酒業者の酒がだんだん伸びて、販売されていって、そして地方における、品質においてはちゃんと一級の格があるけれども、あなたのところへ持っていって試験なんか受けて一級に格上げしてもらったらだれも買い手がない。だから、一級に格上げしないで、二級のままにして試験も受けないで売っているという、内容はいいが二級のそういうりっぱな酒がだんだん売れなくなってくる。一級と二級の格差を縮めてきた。あなた方の酒税行政というものは、いよいよ大製造メーカーのいい酒ばかり売らせるようにして、地方における中小メーカーを弾圧する姿勢にほかならない。この辺がまた気に入らない。こういうことで私は質問している。  第二点は、いまの階級差別はわからないが、われわれの大体の調査によれば、その残された七十何%の二級酒を飲んでいるうちの約四割から五割は、市民税も納められないような低所得階層ですよ。何の楽しみもないのが、帰ってきて、そして二級酒を部屋の中に置いて、ちびりちびりと飲んで初めてわが人生のかすかなる喜びを感じている、こういう階層の人たちなんです。私の知っている人たちなんか、一升買っている人なんかいないのです。いまでも一合ずつ酒を買ってきている。私はたくさん知っている。君は何でそんなことをやるのか、二級酒の一升くらい買えないのかと言ったら、金がないわけじゃないけれども、一升買ってくるとどうしてもちびりちびりと手が出て、一本買ってくると三日でなくなってしまう、一合ずつ買ってくれば十日もつ、それだから、私は金がないわけじゃございませんけれども一本は買ってこない、そういう切実な方々が二級酒の四割以上を飲んでいるのですよ。それをあなた方は、ほんとうに安い値段で飲ませようとすれば、やれ酒税がはいりませんの、やれ流通機構を撹乱するのといって、みんな痛めつけているじゃないか。それが一体庶民階級に徹した酒税行政といわれますか。そういうことばかりあなた方はやっておる。  そこで、そういう庶民階級に安い酒を飲ませるために酒税行政をどうするか、あなたの所見いかん。
  236. 泉美之松

    ○泉政府委員 小林委員も御承知だろうと思いますが、国税庁は、酒税に関しましては、酒税を賦課徴収するという徴税官庁としての面と、それから酒類行政と申しますか、いわゆる産業行政と申しますか、酒類という物資の所管官庁としての産業行政の面と、二つの面があるわけでございます。  そこで、この両者の面の調和をうまくはかって相互の間をうまくやっていくということが問題になるわけでございます。御承知のとおり、なかなかむずかしい問題でございます。御指摘のようないろいろおしかりを受ける面もあるわけでございます。私どもといたしましては、いまお話のような点を十分くみまして、酒税の賦課徴収という税務官庁としての本来の仕事と、それから酒類という物資の所管官庁としての産業行政の面、この両面をうまく調整をとりまして、消費者の利便ということを十分考えながらやっていかなければならぬと思います。  小林委員の御指摘になりました具体的な問題につきましては、具体的にどういう事例があったのか、十分お聞きいたしました上で処理をいたしたいと存じます。
  237. 小林進

    小林委員 それでは時間もないから、私は要望だけしておきますが、いまも言うように、酒の小売り業者というものは、あなた方は認可、許可にいろいろ問題があるようだけれども、これは将来に向かって減らしなさい。これは減らしたほうがよろしい、私は、きょうの午前中にはたばこ小売り店は希望者は全部ふやせと言った。たばこの場合は専売で金がきまっているのだから、まさかピース四十円を三十円や三十五円に値下げして売れない。どこでも四十円で売る。酒の場合は、乱売をしたりいろいろ過当競争があったり、そこに不正が生まれる。そういう危険性があるから、なるべく酒は薄利多売主義で、私は小売り業者は減らすべきだと思う。あなた方はあまり多くの小売り業者をふやし過ぎた。だからむしろ流通機構を悪くせしめている。これは減らしたほうがよろしい。  それから、販売の点は、やはり昔の統制に返ってきちっとやるか、さもなければ完全な自由販売をやりなさい。あなた方は、品質の面やそういう不当なる違法の行為だけながめていればいいのであって、値段の面まで一々役所が干渉してがちゃがちゃやるくらいなら、自由販売をやらせたらいい。いずれかに徹しなさい。役人が羽ばたきして酒屋を一軒一軒抜き打ちして、かわいい酒屋と憎い酒屋ができたりするような、行政官吏の一びん一笑によって酒類業者が左右されるようないまの制度はよくない。私は言ったからには、期日を置いてあとからまた御返事をいただく。  第三番目には密造酒です。いまないかと思うけれども、まだある。それはやはりあなた方の酒類行政が悪政だから、酒は飲みたし、高し、銭はなし、そういうことで、昔から見れば相当減っているけれども、まだ密造酒が総消費量の三、四%くらい——推定ですからこれはわかりませんけれども、そういうように密造酒、どぶろくがある。こういうものはやはり衛生上もよくない。これは徹底的に取り締まると同時に、酒類行政は庶民の立場でしなければならぬ。あなたの話をさっきから聞いているけれども、税金が取れるとか取れないとか、政府のふところ勘定ばかりで、酒を買って飲む庶民大衆、市民税も町民税も納められないようなそういう大衆が、酒一ぱいに人生の苦痛を忘れようとする、そういう四割方の人々に対して、ほんとうに酒を飲ませようという気持ちが一つもない。酒税行政、国税行政の最も冷酷な一面をあなたの答弁の中に私は把握して、心から残念にたえない。  以上の点を改良せられることを強く要望して、私の質問を終わります。
  238. 三池信

    三池委員長 堀昌雄君。
  239. 堀昌雄

    ○堀委員 だいぶ時間がたっておりますから、できるだけ時間をはしょって合理的にやりたいと思います。  いま減税の話が出ておりましたから、先にちょっと減税の問題ですが、泉さんは私に、間接税の減税は三年目くらいにやるのが適当だとあなたが主税局長のときに二回答弁をした。三年目越したら、四年くらいにはこれはどうしてもやるべきだ、こう言って、四年目になったら、とたんに物品税だけは与党から話が出たけれども、酒のほうの税金は取り残されて今日に至っておる。あなたは私のいまの質問を聞いてどんな感じでしょうね。泉長官のほうから、過去の食言に照らしながら、ちょっと反省を含めて、いまのあなたの酒税に対する減税の感触をひとつ最初に伺っておきたい。
  240. 泉美之松

    ○泉政府委員 堀委員のおっしゃいましたように、私、かつて間接税については三、四年に一回あるいは四、五年に一回は減税を検討すべきであるということを申し上げたと思います。ただ、それにつきましては、日本の経済の発展が順調にまいっております段階におきましては、そういうこともあるいは可能であったかと思いますが、御承知のとおり三十九年からの不況の影響を受けまして、四十年、四十一年度は税収の伸びが非常に少ない、そのために公債発行も行なわなければならない、こういった事態になってまいりまして、当初われわれが経済計画で予定しておりましたときの状態とは事態がだいぶ変わってきておるわけでございます。したがいまして、物品税につきましては本年度減税が行なわれたわけでございますけれども、酒税につきましては減税が行なわれておりません。この点につきましては、これはもう堀委員御承知のとおり、物品税は従価税でございますが、酒税は従量税になっております。したがいまして、コストアップのつど価格が上がっておりますので、酒税の小売り価格に対する負担率というのは三十七年当時に比べまして現在は下がってきておる、小売り価格が上がっただけ酒税の額は変わらぬ関係で、負担率としては下がってきておる、こういった関係にありますので、そのために物品税とはやや違ったことになろうかと思うわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、酒税につきましていろいろ減税の要望があり、かつまた、先刻お話がございましたように、特に二級酒と一級酒との関係から、二級酒業者の間で減税の要望が強いことは堀委員のよく御存じのところでございます。そういう意味から所得減税、企業減税というものとの間のバランスをよく考えながら、減税全体について優先順位をつけて検討していくべき問題であろう、かように考えるわけでございます。
  241. 堀昌雄

    ○堀委員 あなたの後段のほうはいいけれども、前段のほうは、あなたが私に答弁したのは去年の通常国会ですよ。いいですか、去年の通常国会というのは景気下向きの最中で、ことしは上向きつつあるのです。いまのあなたの答弁は、その下向きつつあるときに三、四年に一回、こう言ったのです。それは会議録を見ればちゃんと書いてあるからいいのです。  そこで、あなたに言ってもしかたないから現在の主税局長に少し伺いますけれども、私は去年の予算委員会で本年度の減税についていろいろ総理と議論をした結果、ちょうどクリスマスのときでしたが、一体減税をされない人たちにあなた方何をプレゼントしますかと聞いたわけです。そうしたら福田さんは、生活保護基準を上げます、こう言ったんですよ。私は生活保護基準を上げることはたいへんけっこうだと思います。しかし、やはりいまの納税をしていない人の大多数は、さっき小林さんも触れられたように相当な範囲にわたってきておるし、その中で最近の酒類の状態を見てみますと、特級、一級と二級との関係というのは非常におもしろい関係になってきて、要するに六大都市ではだんだんと特級、一級というのがふえてきており、二級というのは今度は減ってきておるのです。このことは同じようにその他の市町村でも起きていますけれども、都市で非常に著しく起きて、その他の市町村ではその傾向はあるけれども率は少ない。要するに、地方的な地域において依然としてやはり二級酒のほうが飲まれておる。それの中身を少し調べた資料を中央会が出しているのですけれども、それを見ますとこういう事実があるのです。  要するに、現在しょうちゅうやそれから合成酒を飲んでおる者で、もし好きな酒といったら何かというと、やはり清酒だと言っているのです。清酒が飲みたいけれども、やはり所得の関係で、しょうちゅうや合成酒でがまんをしなければならぬ者というもののパーセンテージが少し出ているのです。これは酒造組合が調査した昭和四十年度消費の需要動向調査報告の中に、これは時間がありませんから申しませんが、そういう事実が一つある。それからもう一つは、大体消費の階層別で調べてみると、これは明らかに農林漁業に従事しておる者というものの比重が非常に高い。そうして二級酒の使用者というのは、所得の関係から見てもやはり低いところに多い。こういうふうになっていますから、私は、その二級酒の減税のしかたはいろいろあろうと思いますけれども、大体今年で三十七年から五年目にもなるので、二級酒とか乙類しょうちゅうとか——乙類しょうちゅうというのは鹿児島県を中心に二級酒にかわる飲料ですから、そういうふうなほんとうに零細な所得者に対しても適当な時期に、まあ幅は財政規模に応じて考えなければならぬとしても、やはり何らかの配慮はあってもいいのではないか。さっき泉さんが家計調査の中でもそう詳しく出てないと言われたけれども、実は私が家計調査の原表を調べてみると、家計調査の原表では率は所得階層別に出ているのです。いろいろなものを調べても、明らかに実は二級酒だけは最近はかなり低所得方向にシフトしてきておる。そして上層部はどんどんいま一級のほうにシフトしつつある。乖離現象が起きてきている。下から移ってくるから合成酒の消費が非常に減ってきたわけですね。合成酒の最近の減り方というのは、私が皆さんに説明する必要もないけれども、あとでちょっと合成酒としょうちゅうの値上げに関係があるからあれですが、一九五九年にしょうちゅうは二二であったものが、一九六五年には六のウエートになっていますね。合成清酒は二七あったものが一三というように、しょうちゅうは三分の一くらい、合成清酒は半分くらいに大体この年間に消費量は減ってきておるというふうにこの資料は出しているわけです。これはトータルでなく、サンプル調査の資料です。トータルはまた別に出ていると思いますけれども……。ですから、私はやはりいろいろな角度から見ながら、ただ漫然と酒の税金全体をどうこうというのではなくて、やはりある程度そういう低所得の者で、所得税の減税のメリットの及ばないところにも何年に一回かは、まあそれが三年でいいのか五年でいいのかはそのときの財政事情もありましょう、しかしいつまでもそのままでいいということにはならないのではないか。来年はちょうど五年目ですからね。現在あなたのほうの出しておる見積もりは大体で八百億円くらいです。本年度の二級酒に対する税収見積もりは八百五億三千百万円ですね。だから、現在の二級酒の税金は百五十四円四十四銭ですから、もしかりに二割減税するとすると約百二十円くらいになる。三十円ほど引ける。二割減税したとすると、減収としては、これはことしまるまる取れるかどうかはやってみなければわからないとしても、約百六十億円くらいのものですから、全体の減税の規模から見て、本年度は間接税に対して三百四十七億円物品税の減税をやったのですから、それほどやらなくても、二百億円内外の処置をしてでも、たまにはそういうメリットがあってもいいのではないのか。ただしかし、私はこれについては、下がったものはやはり必ず大衆に還元をしてもらわないと、中間でまたもじゃもじゃになるのでは困るのだから、その点ははっきりしなければならないけれども、私はこれまでずっと酒の問題をずいぶんいろいろやってきたが、やはり四十二年はかなり積極的にこの問題に取り組んでいい時期にきておるのではないか、こう思います。いろいろ議論はあるのでしょうが、簡単にひとつ……。
  242. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 御指摘の点、確かに積極的に取り組むべき問題だと思います。また御指摘のように、酒税全般ということじゃなくて、どこが一番ポイントであるか、そのうちで、清酒二級あるいはしょうちゅう、合成酒といった、低所得階層の人たちが飲む酒類につきまして、その租税負担が適当であるかどうか、さらにまた、それを製造する業界がどんなような地位にあるか、これらを中心として私どももひとつ検討してみたいと思います。けさほども税制調査会の一般税制部会におきましてその問額を一わたり御説明申し上げ、検討を依頼したわけでございますが、また秋から詳細に検討していただくことになっております。  ただ問題は、先ほど泉長官も言われましたように、いかなる税を負担軽減すべきかという今後の租税政策の問題といたしまして、やはり所得税、あるいは所得税のみならず、地方税においての住民税、さらにまたこの酒税の問題、これらを総合的に検討いたしましてやるのが適当ではないか、さらにまた物品税のような従価税は、先ほど泉長官のお話がありましたように、自然に税収がふえてまいる、従量税のほうは、依然として金額を据え置きますと、税収が消費量だけしかあがらない、消費者物価が上がるようなこの際、所得税について問題がありますのと逆の意味で、据え置くこと自体についても問題がある、さらにまた、所得水準が上がるような際に、それとの比例関係においてどういうふうに考えたらいいか、私はこれは、これは酒税だけじゃなくて、砂糖消費税、たばこ、全般を通じて検討して、そして適正な負担を出していただきたい、かように考えております。
  243. 堀昌雄

    ○堀委員 いま財政需要が非常に締まっていて、国債を発行している。国債発行下の減税ですから慎重を要することはもちろん私もよくわかります。ただしかし、問題は、これは二級酒対策とかなんとか、そういう形でなくて、やはり税のあり方として、そういういまの低所得階層の問額に対する部分は、確かに地方税の問題も考えなければなりません。これは国税が非課税になっても地方税を払うわけですから、きわめて重要です。しかし、わりにストレートにいく一つのものとして、これは一つのテーマであるわけですから、その点については税制調査会にも各種の資料を出して、ひとつ十分皆さんが理解できた上で検討されるようにお願いをしておきます。  次は、いまこれから非常に問額になると思うのですが、本年度の生産を含めてのあり方の問額です。  さっき長官は、本年度の生産のあり方について、自製酒割りあるいに提携おけ売り加配というようなものを、少しメリットを見て実勢反映をしていきたい、こういうお話で、私も考え方はけっこうだと思うのですが、ここで私ひとつ根本的な問題をちょっと聞いておきたいと思うのは、私はこれまで六年ですか、七年になりますか、泉さんが間税部長以来この問題を取り上げて今日に至って、ともかく自由化によるほうが問題が解決をしやすいという角度で、実は自由化コースをかなり推進をしてきたわけです。ところが、推進しても推進しても、実際私が願っておるようなかっこうになかなかならない。  たとえば、希望加配のようなものについて言えば、希望加配なんだから、皆さんが自分の企業の立場でお考えになっておとりになれば、トータルとしての生産数量は調整できるという道が講ぜられておるにもかかわらず、九六・何%というふうにみんなが手をあげてとってしまうから、何のための希望加配かわからないという現実の状態になっておるわけです。おまけにアッパーリミットをだんだん下げていくというようなことは、希望加配というものの考え方から見たら私はナンセンスだと考えております。そこで、今後のやり方というものは、基本的に自由化の方向でやるのがいいのか、計画生産による指導をするのがいいのか、この基本的な問題に一ぺん立ち返ってみなければならぬのではないかという感じが、最近私はしておるわけです。  そのことはどういうことかといいますと、自由化をする方向でいこうとするならば、やはり希望加配のようなものは、アッパーなし、天井なしに一ぺんとらせるという形にするのでなければ、いまのような中途はんぱな、自由化のようであり、統制的であるような処置というのでは問題は解決しない。だから、まずひとつアッパーのようなものを取り除いて自由にとるのか、それでなければ、これから私が提案をするような一つの行き方を考える以外に手はない。  その一つの行き方というのは、いまあなた方のとっておる提携おけ売りの加配の問題このおけ売りの系列化というものをもっと前進をさせる、ドライブをさせる、そしていまのおけ取引に非常に問題がある点については、ここに今度酒造組合が「おけ取引安定化対策」というものを出しておりますが、この中で私は非常におもしろい問題に気がついたのです。こう書いてある。「県酒造組合の審議会においては、当該買取申込が真にやむを得ないと認められるかどうかについて意見を述べる。」——これは要するに、おけ売りのオーバーフローしたものを買い取り、また適当に売ろう、こういうことですね。これは一つの発想ですが、そこでまず「審議会の審議内容はおおむね次の如し。」「A 当該組合員の生産量は、自己の販売能力に即応してなされたものであるかどうか。」これが買い取りの一つの基準だそうです。「B 提携を行なっておる場合には提携先が引き取らないことについてやむを得ない事情があるかどうか。」「C おけ売りまたは課税移出について積極的な努力がなされているかどうか。」「D 品質に問題はないか。」「E その他協同組合が買取りを行わなければならない特別な事情。」こうなっているわけです。こういうものの背景にあるのは、自分が販売する能力のあるものをつくっておれば、これは実は初めから要らないのですよ。こんな買い取り機関なんか要らない。いまは自分が販売する能力があるものを越えた米をとって販売をして、その自分の販売能力を越えたものをフリーマーケットであるおけ売り市場に出しておる。だから私は、ここのところを少しきちんとして、四十一BYに米を割り当てる前に、早急に全国の業者に対して、あなたのところの過去における自己販売分はこれだけですよ、未納税移出はこれだけあなたはしていましたよ、その未納税移出をこれだけした中で、いつまでにどれだけ売れたのですか、要するに正常に売れたのはどれだけですかというような形であれした資料をみなに渡してやって、そうしてこれをもとにしてあなたは来年度の生産数量を出しなさい、その内訳は提携おけ売りでこれだけはやります、相手はここですといって、提携おけ売りをしたもののおけ売り量を出す。あるいは、自分で販売できるのはこれまではこれだけです。現状から見て本年は自分でこれだけは売ります。残った部分というのが、要するに不安定なフリーマーケットに出ていくおけ売り分です。  そこで私は、これからフリーマーケットに出ていくおけ売り部分を若干削減するようにしたらどうだろうか。大体、全部を提携おけ売りにこう追い込んでいく、そうしてくると、売るほうと買うほうでこれを調整しなければならないけれども、ある程度の系列化が完全にできてきて、フリーマーケットに出るというのは非常に少なくなる。フリーマーケットに出すのを要求するものは希望加配はやりません。要するに、フリーマーケットをできるだけ狭くして——狭くしてもどうせ少しは出るでしょうけれども、狭くして、そうして原則としてはできるだけ全部を安定系列にしていくという形にして、そのためには提携おけ売り加配を、要するにおけ売りの提携をしたものの率によって、いまのように六〇%からどうというのでなくて、六〇%、七〇%、八〇%、九〇%というふうに段階をもうけて、それに伴って両方にメリットを出してやろう、そういうふうにしてこっちへ全部できるだけ追い込んで、フリーマーケットへ出てくるおけ売りというものをできるだけ減らすという形にして、全体をある一つの計画生産のプログラムを立てておいて、そうしてあなた方の考えておる百八万キロリットルなら百八万キロリットルとそれをにらみながらその調整を少しやろう、個別的に調整する、そうしないと、いま二級酒で皆さんが心配しておるように、とにかく自分で余分にとっておいて、そしてそれをフリーマーケットへどんどん出せば値段が下がるのはあたりまえですから、値段が下がる、そしてこっちで自家製酒を売るときも値引きしておる、両方で下がるのでは、実際企業としてメリットがあるはずはないのですよ。  だから、あまりこれを続けていったのでは、これは二級酒メーカーも限度があるでしょうから、ここらで、自由にやるほうをとるのか、あるいは、それはある程度計画生産指導といいますか、それに対するメリットをきちんとして、そっちの方向へみないきなさいというかっこうにするか、そろそろこの問題はどっちかを考えないと、あまり中途はんぱなかっこうだけでは、正常取引という問題を推進しようと思っても、生産との関係をにらまない正常取引は私はやはりなかなかむずかしいだろうと思う。私は、正常取引をやらせるために全力をあげたいと思うけれども、やはりこれは生産をある程度どっかでそういう形の処理をしないと、思ったような正常取引にならないのではないか、こういう感じがするのです。  だから、私のいまの議論は、裏返して言ったら、おけ買いを過去においてこれだけ程度しましたからこれだけ程度しますといったものが、余分に自分の酒が売れたからといっておけ買いをしようとすれば高くなりますよ。高いものを買わざるを得ない。いまはそこへ非常にフローしていて、幾らでも買えるしするからそれは高くなる。同時に、たとえば六〇%か七〇%か、どこからか先は提携おけ売りをやるためには契約の条件を少し考えてやるべきだろうと思う。途中でキャンセルしない、これだけ以上とるものはキャンセルしない、ただし、それから先はひとつ生産指導をやりなさいという形にして生産指導をやらして、質的なレベルアップしたものに対しては、指導した責任があるのだから、その先は情勢がどうなろうとも引き取りなさい。おけ買いの申請を出したものは引き取りなさい。要するに、ある程度おけ買いの側にも責任を持たせなければならぬ。おけ売りの側だけの責任において自由に買ったりやめたりされたのではこれも気の毒ですし、これはやはりそういう全体の情勢を考えないと、部分的な処置だけではできないから、そこで、ほんとうをいえば、みんな自分で幾らつくったのがいいということを判断すべきだけれども、残念ながらいまの酒造家はそれだけの能力もたいし、やろうとしない。だから、これを少し指導をしてやってみたらどうですか。これが私のひとつ計画のほうへいこうというコースですね。  だから、自由化にいくのか、計画へいくのかということはそろそろ皆さんよく検討した結果腹をきめなければ、この問題というのはなかなかむずかしいと私は思うのですが、どうでしょう。
  244. 泉美之松

    ○泉政府委員 堀さんから非常に御勉強になっておられる点を承って恐縮に存じております。  お話のように、酒造用米の配分につきましては、私、間税部長の時代からいろいろ苦心をしておりますけれども、なかなかうまい方法になっておりません。それでお話のように希望加配の制度を設けたわけでありますが、これもアッパーリミットなしに希望加配を認めるということになりますと、全体の生産量が幾らになるかという点について業者の不安が非常に強くなります。堀委員もご承知のとうり、清酒業者は、個々の業者としては全国で生産される全体の清酒の量は少いほうがいいけれども、自分がつくる量は大きいほうがいいという考えが根本にあるわけです。したがいまして、希望加配の制度をアッパーリミットなしに認めるということになると、みんなたくさんつくりたい、その結果は、みんな売れなくて共倒れ続出ということになるおそれがあるわけであります。そういう点からいたしますと、アッパーリミットなしにはいけない。そうかといりっアッパーリミットをきめるとなると、どうしても全体の生産数量が、特にここ一、二年消費の伸びが少ないものですから、どうしてもアッパーリミットを上にきめることができない、そこで希望加配の本来の使命を果たさないようになってしまった。希望加配の制度ができました当初は、五十数%のあれであったわけでありますが、現在は九五%をこえるような割り当てになっておる、これでは希望加配の本来の姿は実現されておりません。  そこで私どもといたしまして考えますと、どうも希望加配の制度を伸ばしていくのは、先ほど委員お話の自由化構想のほうに持っててくのはなかなかむずかしい、したがって、いまお話のように提携おけ取引の方向にだんだん追い込んでいったような、いわば計画的な生産の姿に持っていかざるを得ない、このように感じております。  先ほど申し上げましたように、自製酒の課税移出割りとそれから提携おけ取引加配の割合を高めたいというのは、まさにお話しになりましたような点を考慮してそういう方向へ持っていくのがいいんではないか、こういう考えでおるわけであります。
  245. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。考えがそれならば、いま私は多少具体的にいろいろ申し上げたけれども、ただ単にいまの自家製割りを幾らにするとか提携おけ売り加配を幾らにするとかということだけでなく、やはり問題は、メリットがあると同時にデメリットもくっついてないと問題はなかなかそっちへいかたいわけですね。ですから、その点については、いま私がずらずらっとしゃべっただけですからあれでしょうけれども、やはり少しルールをつくって、きめのこまかい処置をしていけば、私はこの問題というのはかなり前進をするだろう、こう思いますから、その点はひとつ皆さんのほうで、これから時間があるから、まずやはり先に計画生産をするのならば、個々の企業の計画に対する自分なりの判断と計画を出させる方向、それを少しぜひ指導をしてもらいたい。そうして、それもいきなり言ったってだめだから、さっき申したような形でやって、要するに、そのフリーマーケットに出した分が多いものは、これは希望加配はもうだめです、それは自信がないのだから。やはり確実に売れるというのは、自分が過去に売ってみて今後の伸びがこれだけあるからこれだけは売れるというものはこれはいいでしょう。それから、提携おけ売りをこれから大いに話をしなさい。話をして成立をしたこの分もいいです。しかし、あと残りのあるものは、ゼロにはできぬでしょうから、それがさらに全体の中の二〇%をこえるというようなものはもう希望加配は御遠慮なさい。それをつくればつくるほどあなたは売れなくなりますし、安い、メリットのない生産をしなければならないからこの分はやめたほうがいいでしょうというような形の指導を私は個々に各国税局を通じてやらせる程度の処置はしていいのではないか。それがやはり私はあなた方の企業に対するほんとうの親切な処置になると思う。いまあの人たちはよそばかりみて自分のことを見てないのだから、やはり自分のことを見させるような機会を与え、指導をするということが合理化の問題の基本であって、ただくっつけたり、びん詰め工場をやるのが何も合理化じゃないのですよ。まず自分の企業を合理化するということを個々の企業に理解をさせる指導を十分やらせるということを考えてもらいたい。  あともう少しやりたかったけれども、時間がありませんからもう一つだけやっておきますが、この正常取引の問題でずっとこう見て、やはりこの資料を見ますと、なぜ二級酒を飲むかということに対して、二級酒を飲むのは安いからだというのが七四%くらいある。少なくとも二級酒を飲むのは消費者側にすれば安いということが非常に大きな魅力なんです。  そこで、私が言っているのは、これまでも言うように、値締めをしてリベートの部分を外へ出させる。安くなればそのかわりもっとよく売れるということを私は明らかにしておる。それから、小売り業界のほうもやはり実態を調査をされて、その結果、酒販店の利用状況についての実態調査報告書の中で、私この前の委員会でも一ぺんここで申し上げたと思うのですけれども、私の関心があるのは、商品ごとに値段をつけてほしいというのが、この酒販店に対する消費者の意見、要望の中の五一%を占めて、これが最高なんです。だから私は、まず何としても、値引きをした部分をいま値締めをして、そのいわゆる建て値ですね、最終的な建て値、一種の価格表示を、ビンにレッテルを貼らして、この酒は幾らですということを、これはひとつ国税庁で指導をさせる。そうすると、やはり値段か安ければ、こう見て、ああこれが一番安いから一応これを買ってみよう、そして飲んでみてうまければ、これにしようということになり得るのではないか。だから私は、何とかこの際小売り店皆さんが実態調査をされたのを生かして、全国的にそういうのをやらせる。これは小売り店にやってもらうよりも、私はメーカーの責任でそのくらいはやらせるべきだと思うのです。自分の商品というのは最終的にこのぐらいしか売れぬというのをメーカーが自分で理解をしてやるようにこれはやはり仕向けるべきだ。ですから、その点メーカーがどうしてもやらなければ、小売り店を指導してやってもらってもいいけれども、要するに、価格表示を清酒は一斉にやらせるということをひとつここで確約してもらいたいのです。
  246. 泉美之松

    ○泉政府委員 いろいろお話ございましたが、酒造用米の配分にあたりまして、私は自製酒課税移出割りとか、あるいは提携おけ取引加配といったメリットの面だけを申し上げたわけです。堀委員は、それだけでは不十分だから、デメリットも与えろ——御意見まことにごもっともであると存じますが、デメリットを与える与え方はなかなか問題があること、これは御承知のとおりであろうと思います。そこで、私も簡単にお引き受けするわけにまいりませんけれども、しかし、ものごとはメリットの反面デメリットがないとなかなかそういう方向にいかない、これは御意見のとおりだと思います。うまい方法を考えてみたいと思います。なかなかそう簡単にはいきかねるかと思いますけれども、十分検討をいたしたいと思います。  それから、酒類について、小売り店におきまして価格の表示をさせたらどうか、これはまことにごもっともでございます。ただ、酒類につきまして、ビールのように消費者に対する値段の一定しているものもありますが、清酒のようになりますと、銘柄格差というものがだんだんあらわれてきております。私は、この銘柄格差というのは、いまはリベートを自粛してもらうということで行政指導いたしておりますけれども、やはり自由競争といういい面はぜひ生かしてまいらなければなりません。したがって、このリベートの圧縮がある段階に進みましたならば、今度は建て値において銘柄格差があらわれてくるようにすべきである、かように思っております。現在の段階では、このリベートといいましても、お話のように酒類業界の中にとどまっておりまして、消費者になかなか影響が及ばない、そういうリベートの出し方ではだめなのでありまして、建て値において、消費者に明らかに、この酒は幾らというふうに表示したほうがいいと思っております。  ただ、業者が不安に思っておりますことは、世の中では安かろう、悪かろうという考え方もあります。安いから飲むという話もございますが、安かろう、悪かろうという考え方もありますので、そこで、安くして売れるかどうかということについて非常に不安を持っております。そのために、銘柄格差があることはみずから承知しておりながらなかなかそこに踏み切れない、これが現在の実情になっているわけでございます。しかし、それはある段階にいきますれば踏み切っていかなければならぬ点であると思います。ただ、同じメーカーの酒類にしましても、消費地が異なりますと、たとえば東京では幾らで売れるけれども、もっと遠隔の北海道では幾らだとか、あるいは九州では幾らでしか売れない。同じ製造元の同じような酒でも、東京で売れる値段と九州で売れる値段とは、やはりその銘柄の名前の通っている程度いかんによりまして若干違いがあります。したがいまして、メーカーに表示義務を負わせるというのはなかなかむずかしいと思います。終局小売り店に表示させるよりほかはなかろうと思います。  そこで、小売り店に表示させる方法としてどういうことを考えるかということにつきまして、いろいろ問題点もございます。これらの点につきまして検討いたして、実行してまいりたい、このように思っておるわけでございます。
  247. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの点、何も一律にメーカーはやっているわけじゃない。メーカーは知っているわけですよ。自分のところの商品が九州で幾らで売れるのだ、北海道で幾らで売れるのだということはみんな知っているのですよ。メーカーが知らないで、小売りだけが知ってかってに売っているなんという、そんなぼんやりしたメーカーは、いまないのです。だから私は、そうでなくて、もう一歩進めて言えば、いまビールを見れば、サントリーとタカラというのは必ずコップがついてくる。サッポロとアサヒとキリンにはコップがついてこない。朝もちょっとそこで言ったが、キリンはテレビでは広告しない、そしてアサヒとサッポロが一生懸命放送している。要するに、銘柄格差はこういうふうにはっきりしているのですよ。だから、それをもう少し表に出したらいい。ある程度以上どうしても安くできないならば、よろしい、値段はそうだけれども、とくり一本つけましょう——要するに消費者にサービスさせる。杯を何個つけるとか、とくりをつけるとか、ビールでやらしているのだから、清酒だって、いまのあれが消費者向けが四円ですか、それを十円までアップしていいですよ。十円までアップするならアップして、しかしそのかわりひとつ消費者に杯を何個やりましょう、値段をあまり下げるのがいやなら、そうやってカバーしてもいいから、消費者に焦点を置いて価格行政の指導をやらせるという方向をとっていかないと、私は、いまのような安易な形でやっているのでは、さつき小林さんもいろいろおっしゃったけれども、消費者はちっとも安いものを飲まされているわけじゃないので、全部中間でいかれるような形になっているから、私はかねがね問題にしてきておるのです。しかし、このごろでは小売り業界もいろいろ苦労して値締めをやっておられるから、私も過去のことについては触れませんけれども、ひとつそれを踏み越えて、消費者にサービスをすることによって、そういう売れない酒が、もし銘柄に力がないのならば、カバーをする。しかし、うまくない酒、よくない酒はどうやったって売れないのだから、やはり生産指導について庁としてももう少し何か、あまりうまくない酒をつくっているところがもしかりにあったとしたら、もっと技術指導もやってやるべきじゃないかと思うのですよ。中央に醸造試験所もあるのだから、そこらの技師が、中央にばかりいる必要はないので、全国を回ってきき酒も少しやって、これはどうもひどいなということがあれば、そういうものについては技術指導をやるくらいの配慮があってしかるべきじゃないか。税金を取るだけが能じゃない。さっきの小林さんの話じゃないけれども、私は、そういう点も含めて、ひとつ前向きに酒類行政について検討を進めていただきたいと思います。  きょうは時間がないから、私もここで終わります。
  248. 泉美之松

    ○泉政府委員 いまお話の技術指導の点につきましては、堀委員御存じだと思いますが、全国の国税局に鑑定官室長というのがおりまして、その下に鑑定官及びその補佐官がおりまして、できるだけ良質の酒類をつくるように、特に前年の生産酒類の品質のあまりよくないものにつきましては、その翌年に十分な技術指導をいたすように心がけておる次第でございます。
  249. 三池信

  250. 春日一幸

    春日委員 私は、酒税の確保と酒類業界、特に小売り事業の安定、こういう問題に重点を置いて、当面所与の問題について質問いたしたいと思います。  一昨年でありましたか、酒類の基準販売価格が撤廃されまして、酒類の流通価格については業界が自主的に決定して営業を行なうことに相なっておるようであります。しかしながら、長年にわたりまして酒は実質的にその時点まで公定価格みたいなものによって流通されておったのでありますが、ここに一昨年から自由価格となったことによりまして、その後酒類の価格並びに小売り業界、こういう方面について特に混乱のきざしがあらわれてまいっておると思うのでありますが、この点に関する国税庁の認識はどのようなものでありますか。これをひとつ最初に伺いたいと思います。
  251. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のとおり、酒類の価格につきましては、ウイスキーなどは早く、昭和二十四年から自由価格になっておるわけでございますが、清酒、合成清酒及びしょうちゅとビールにつきましては、三十五年に公定価格制度から基準販売価格制度に移り、三十九年の六月から基準販売価格を撤廃いたしまして自由価格制度になったわけでございます。  この基準販売価格制度あるいは公定価格制度時代におきましてもリベートという問題はあったわけでありますが、三十九年自由化になりましたあと、販売競争がだんだんと激化してまいりました。この点は先ほども申し上げましたように、酒類の生産需給の関係が、戦後一時は需要に対して供給がなかなか追いつかなかったわけでありますが、だんだんと供給がふえてまいりまして、ここ一、二年はかなり供給量に対して需要の伸びが少ないといったような面が出てきております。そのためにかなり過当な競争が行なわれ、中にはその結果倒産するものまでも出てまいった、このような事態が起きましたので、先刻申し上げましたように昨年の暮れ、あまり過当な競争を行なって共倒れになるといことは避けるべきであるということから、リベートの自粛措置をお願いいたして今日に来ておるわけでございます。  さりとて、そういう状況であるからいまの自由価格の制度をやめて、もとのような公定価格制度に戻るべきかということになりますと、それは適当でない、やはり自由価格制のいい面は残しつつ、過当な競争は避けて公正な競争が行なわれるような方向へ持っていくべきである、このように思っております。
  252. 春日一幸

    春日委員 だいま長官も述べられておりますように、全国にあります四千軒になんなんとする大中小さまざまな醸造元、こういうものの蔵出し方式また販売価格、またリベートの多い少ないというような面についてもすでに大いなる混乱があらわれてまいっておると思うのであります。なお、総合小売り店等では、酒というようなものは、何となくその標準価格、基準価格というものが消費者にとって印象的でありますので、これをおとり商品としてことさらに酒を乱売する向きがこのごろだんだんとあらわれてまいりました。  こういうような二つの現象をとらえて判断をしてみますると、これでは酒専業の小売り業の経営を不安定におとしいれるのおそれはないかということです。この問題について国税庁の認識はいかがでありますか。  いま申し上げましたように、リベートが多いのがある、少ないのがある、おけ売りする、びん売りする。いろいろある。それが非常に自由であるということから、自由にして公正なる競争の原則を越えて、言うならば、度を過ぎた過当競争におちいっておる面が実質上にある。自由価格でありますので、総合的小売り屋は原価で二級酒なり一級酒なり特級酒なり売っつていく、ビールなんかも売っていく、それをおとりにする。酒なんかはもうけなくても、それによって客寄せをしてほかの商品を売ればいいのだから……。そういうことをこのままに見のがしておく、このまま事態の推移にゆだねておくならば、専業によって酒販業を営業している小売り事業は成り立つかどうか、このままほうっておいていいかどうか、その認識はいかがでありますか。
  253. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、スーパーマーケットなんかにおきましては、酒をいわゆるおとり商品として扱っていくという傾向がなきにしもあらずでございますので、私どもといたしましては、酒につきましては重い酒税が課せられておるので、これをおとり商品として扱われると、酒税の転嫁が円滑に行なわれないということになるのみならず、お話のように、他の一般の小売り業者が非常に迷惑をこうむることになりますので、スーパーマーケットで酒類を扱う場合には、これをおとり商品として扱わないようにということをお願いしておるのでありまして、その関係からいたしまして、スーパーマーケットで酒類をそういうおとり商品として扱うということはあまりないように聞いております。ただ、ときどきスーパーマーケットが開店するときにそういう事態が起きるということがありますので、そういったときには、小売り業者の組合から、そういう点について他の油類専門業者が困らないようにしてもらいたいというような申し出もございます。そのつどそのスーパーマーケットにそういった点を申し入れしまして、おとり商品として扱わないようにお願いをいたしておるような次第でございます。
  254. 春日一幸

    春日委員 ただいま長官は、それぞれ所轄の税務署長なり税務官署からスーパーマーケットその他総合小売り業者に対して、酒類をおとり商品として取り扱わないようにお願いをしておる、また、そのような事実があらわれてきたときには、当該小売り酒販組合からその当事者に対して、そういう売り方をしないでください、われわれが立ち行きませんからといってお願いをすると言っておられるけれども、それについては何も法律的根拠はないのである。自由経済の本質は、自由にして公正な競争の原則の上に立つのであるから、いい品物を安く売る、これは当然事項である。むしろそのことは称賛に値する経済活動、経済行為である。そんなことを法律の根拠もなしにお願いするといっても、何のために国税庁はお願いできますか。お願いされたほうにしてみれば、いらぬお世話だ、いいものを安く売るのに何を言うか。いわんや、政府の低物価政策を世をあげて待望しておる、安く売るのに何を文句があるかと言われたら、返すことばがないではないか。また、団体法においては組合交渉ということがあるけれども、酒団法においてはその制度に認められていないのである。だから、組合が当事者に向かって乱売行為をやめてくれといったところで、これまた同然いらぬことだ、いい品物を安く売ること、これまた低物価政策の国論に向かって協力しておるのであるといってしまえばそれにて終わりだということでございましょう。  だから私は、あなた方がいまどのように把握されておるかは知らないけれども、われわれは大衆政治家としてそれぞれちまたちまたを経めぐって歩いておるが、その中で小売り屋が困っておるのは、現実におとり商品として使われておる、度を過ぎた競争がなされておる、だから、酒屋としてみれば、やっていける体制が確立されてはおらないのである、まことに困った状態である、こういう困窮をきわめておるという困難の声をしばしば聞いておるのです。さればこそ、あなたのほうでは基準価格というものを設定して、そして酒販組合の協力のもとに、いま法律の根拠なくして何らかの政策効果をあげようと努力されておるものと私どもは理解しておるのである。  しかし、それにはおのずから限界がある。実際、組合員を拘束するといったところで、組合員自体を拘束する法的根拠はない。いわんや、組合員外に向かっては何らの拘束権がないのである。したがって、産業政策としても経済政策としても何らの効果がないのである。そこに問題点があるのである。何事かがなされなければならぬと思うが、何事をなさんとしておるのか、何にもしないで安閑として手放しにしておいて、それで酒税の確保は確実にできるとあなたのほうは確信があるか。この点について国税庁長官の確信ある御答弁をお願いしたい。
  255. 泉美之松

    ○泉政府委員 いまお話のように、スーパーマーケットでおとり商品として酒類を扱っている事例がないことはないと思いますが、その数量はきわめて少ないものだと私は思っております。しかし、お話のように、われわれがそういう点につきまして協力を求め、あるいは小売り商の組合が協力を求めましても、それは別に法律に基づく根拠があるわけではございません。したがって、相手方が協力してくれないとどうにもならないという面はございます。  しかし、それでは、そういった点につきまして、法律的な措置としてどういう制度を認めるべきかということになりますと、自由価格になっておる関係上、なかなか制度がむずかしい、まあ酒税の転嫁ができないほど値下げをするなどという場合には、個別のアウトサイダー規制命令を出すということも、これはできないことではありませんけれども、それを行なうには、組合が規制行為を行なっていなければならないというような要件がございます。したがって、そういう事態がすぐにできるかどうか問題があります。しかし、いずれにしても、現在のところ、酒類業組合法のアウトサイダー規制命令が一つの法的根拠として考えられておるわけであります。このほかにどういう法的措置をとるべきかということになりますと、なかなかむずかしい問題があろうかと思います。  しかし、いずれにいたしましても、おとり商品として酒類が扱われますことは非常に困る事態が起きますので、そういった点につきましては、事態の推移を見ながら今後検討してまいらなければならぬ、このように思います。
  256. 春日一幸

    春日委員 ひとつ、得がたい機会でありますから、単なる質疑応答ということでなしに、問題を解決しながら、結局はこの酒税の徴収が確実にとり行なわれるように、やはりそれぞれの制度というものを確立していく、現状においていかないならばこれを改善していく、法律というものが不完全であるならば、その法律の修正を行ないながらその面の補完をはかっていくという、こういう意味合いで御答弁を願いたいと思う。ただ、むずかしいむずかしい、検討するというだけでは、こんなに長い時間をかけてお互いに論じ合うということの意義がないわけである。効果がないわけである。  私が申し上げたいと思いまするのは、この酒の小売り業は、言うなれば一種の規格商品である。このような規格商品というようなものに対しては、必要経費であるとか、利潤であるとかいうものを考慮しても、大体競争の値幅というものはおのずからあるのです。商売をやる以上は、それによって健全なるマージンが確保されなければならない。そのような健全なる利潤によって、親に孝行、子供に教育、それの蓄積によって老後の安泰をはからねばならぬというある一定の常識的利潤というものが客観的に容認されておると思う。だから、自由競争といっても、競争にゆだねる効果というものは、消費者の立場から価値判断すれば、それはたいしたものじゃない。激しい競争をさせて、そこの中から切磋琢磨して適正利潤が確保されていくというような筋合いのものでなくして、これは常識的に検討すれば、原価が何がしであるか、それから手数料、利潤、コスト、これに加えて大体健全な販売価格というものは算定できるわけなんでございますね。だから、自由競争にゆだねるといったって、そのことを唯一無二の金科玉条に考えなくても、やはりある一点においてこれを捕捉できるものとこれは大観すべきである、観念すべきである。こういうような意味合いにおいて、酒の小売り酒販の販売価格というものについては、私は現実の問題としてある程度の行政措置がとられてよからんと思うのですよ。  そこで私はお伺いをしたいのだが、現在小売り酒販の諸君の努力によって基準価格が設定され、国税庁またこれをバックアップして、そうして組合員がその基準価格によって販売を行なうべき旨それぞれの強力なる指導がなされておるが、これはいかなる理由によるものであるか。まずこの点について、ありのままの現状をお述べ願いたい。
  257. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、小売り酒販におきましては、全国的に、基準価格とおっしゃいましたが、基準価格といいますか、これ以上値下げして売らないという限度をきめております。これをお互いに守るようにしようということで行なっておるわけでございます。特に、小売り業者から料飲店へ売る場合に、いわゆる過当競争の結果値引きリベートが多いわけでございます。その点につきまして現在お互いに申し合わせしまして、これ以下に値引きリベートはしないようにしょう、こういう申し合わせを行なって、それを実行しておるような次第でございます。
  258. 春日一幸

    春日委員 それが、小売り酒販の諸君が事業を自主的に防衛することのために、余儀なくしてそのような方法をとるに至ったということは、度を過ぎた競争が行なわれたから、また行なわれておるので、そのことは小売り酒販の事業そのものの安定を欠いて不況におとしいれるおそれがあるからそういうことをやったと思うのですね。そうでございましょう。しかも、その基準価格というものは合理的なものであるから、国税庁といえどもこれはバックアップせざるを得ない。こういう立場からいうならば、官民協力の中でこのことがなされておるのでございますね。そう承知してよろしいか。
  259. 泉美之松

    ○泉政府委員 私どもといたしましては、それに十分満足しておるわけではございませんけれども、現状においてはそういう申し合わせを行って、不当な競争はしない、お互いに共倒れになるようなことにならないようにしていくということは、現在の段階では必要なことであると思ってバックアップをいたしておるような次第でございます。
  260. 春日一幸

    春日委員 よろしい。私はやむを得ないことだと思う。けれども、そのことは、法律に根拠がないのみならず、独占禁止法からいうならば、値段について申し合わせを行なうということは、むしろ非難事項である。不況カルテルも合理化カルテルも、何もカルテルの承認を得ないでそういうことをやることは独禁法違反である。独禁法違反であるけれども、このままほかっておいては酒税の確保もできないし、特に小売り酒販においては、その事業を正常なる形で運営することが困難におちいってきておるので、余儀なくしてこのことをやっておるのである、かくのごとくに理解せなければならぬ。やっておるけれども、余儀なくしてやっており、国税庁も主管庁としてこのことを容認し、このことを支持しておるのであるが、端的に言うならば、独禁法違反の行為が行なわれておるのであるということですね。だから、こういう状態でほかっておいてはいけないということを、私はいまここに強調いたしたい。  ということは、このような事態におちいるおそれのある場合はどうしたらよいのであるか。われわれはこの問題を本委員会で論じまして、たしか泉さんが間税部長のときであったと思うのだけれども、一般事業者に対しては安定法からアウフヘーベンをしたような形の団体法がある。私はこの団体法の原案をつくり、しこうして、社会党時代でありましたけれども、私と自民党の代表とで、とにかくこれは議会で共同修正をして成立せしめた経緯等もございまして、団体法の各条項について、私はその政策理念でありますとか、そういう問題を掌握しておりましたので、この祭この酒団法の中に団体法の機能を持ち込むべきである、このようなことを強く主張いたしました。その後、酒団法第四十二条の五号、六号が改正になって特に入れられたのです。他の一般業者に認められておるところの不況カルテル、合理化カルテルを、この酒類の販売業者にのみ認めていないということは不当なことである。これを自由価格制に移行するならば、なおさらのことである。ゆえに、酒団法を改正しなければならぬと、その時点において強調し、その時点においては、あなたのほうではこれは十分検討を要することであるが、いまその時期ではないというそのときの答弁ではありましたが、しかし、その後機運が成熟されましてか、これは二年ばかり前でしたが、法律が改正されて、不況カルテルも合理化カルテルもその必要があるときにはこれが認められる法のたてまえに相なっておるのである。だから、いま酒の小売り価格が一昨年、昭和三十九年まで実質上公定価格で流通価格が形成されてきておったのだ。そのような経過の上に立って、自由価格になってから非常に過当競争があらわれてまいりまして、さらには、一般的にはおとり販売みたいなものがごく少数者であっても——とのことは経済行為の特異のバイブレーションというものがあって、あそこでは安く売っておるということはずっと響くのであって、そこまで買いに行かなくても、あそこではこれだけで売っておるのだ。これは経済行為の特質とも言うべきバイブレーションが働いて、そんなに安いものがあるということで不当に高く買っているような印象を実際に消費者に与えておる。だから、余儀なくしてあのような基準価格というものが設けられたのだが、この際、すべからくこの法律第四十二条第五号に基づいて、協定価格——こういうものが結成されて、そうして法律のバックボーンを持った権威ある価格形成、そうして法律の裏づけによって組合の運営がなされていく、これを何をかためらうかということなんです。こういうような法律が厳然として存在しておるにもかかわらず、あらかじめこのような事態を想定し、そのために法律の改正まで行なっておいて、四十二条第五号、第六号、こういうものの機能を発動せしめないという理由は一体何であるのか。組合にいって、協定価格をつくって申請しなさいよ。申請を出したら、大蔵大臣がこれを承認すれば、そんなむずかしいことを言わなくたってできるのです。そして、すべての業界が現在やっておるではないか、すべてということではありませんけれども、不況事態におちいる、もしくはおちいるおそれのある業界は、みんな商工組合を結成して、生産数量の制限、価格協定、取引方法の制限、みんなやられておる。国民は法律の前に平等である。いわんや、四千億円になんなんとする国税徴収の国家的責務を果たすこの業界に対して、その基本的営業権、営業権の中の基本的人権の一種ともいうべきこの権利をあえて発動を抑止しておるというその理由は一体何であるのか。私は協定価格をつくらせて差しつかえないと思う。現に基準価格をつくって守らせようとしておるではないか。法律によらずして基準価格をつくるのは、独禁法違反の疑いがある。法律の違反をせしめてそれでよろしいか。しかも、あなたがそれとぐるになっておるというのは、共同正犯として、あなたは国家公務員を、罷免されなければならぬ。おそるべき罪業をあなたは犯しておるのですよ、だから、そんなあぶない橋を渡らなくても、法律はつくってあるから、法律のレールの上に乗せたらどうですか。いかがですか。
  261. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、酒団法第四十二条の規定が改正になりまして、酒類販売業者におきましてもカルテル行為ができるように相なっております。  ところで、カルテルにつきましては、これは公正取引委員会の所管でございますけれども、考え方といたしましては、価格カルテルは、事態の推移によることではありますけれども、できるだけ最後のカルテル行為にしてもらいたい。まず製造数量なり、あるいは販売方法の規制カルテルを先にして、価格カルテルは最終の段階にしてもらいたいというような意見があるわけでありまして、そこで私どもといたしましては……。
  262. 春日一幸

    春日委員 ちょっと、私はこの間うち他の問題について、その不況カルテル、要するに価格協定ですね、この問題について公正取引委員会意見が、いま長官がお述べになったがごとく、通産省にこれが提示されておるということについて、私は法律上疑義がある。  ということは、われわれが立法いたしました時点においては、この問題を中心として、とにかく深く論じ合った、深く討議したのである。すなわち、あの団体法の機能は、当初の立法は、まず不況におちいってからでなければ、そういう共同行為をすることができない、こうありましたのを、その後法律を改正して、不況におちいった後ということは、病気になってから治療を受けるということではいけないのである。病気にならない前に、事前に、予防的にこの共同行為ができるようにというので、なるおそれがある場合でも共同行為ができるようになってきた。その共同行為を行なう場合は、生産数量の制限や取引方法の制限をやって、なおかつ不況事態が克服できないときでなければ、価格協定ができないというような構想であったけれども、それはいけないのである。すなわち、価格協定を先行せしめても、生産数量制限を先行せしめても、それはその業態の不況事態を克服するに最も有効な手段は何であるか。そういうことも、主管庁でありまするところの官庁が公取と合議をしてこれを決定しておるのであって、他の共同行為を行なった後にあらざれば価格協定ができないということは、これはその法意に沿わざるものである。立法の趣意に沿わないものであって、これは公取と話し合う必要のある問題 でありまするが、そのことは十分検討願いたい。すなわち、それは、不肖私、春日一幸が著述しました団体法の解説という中によく解説してあるのだから、これは何も私が独断的に書いたものではなく、当時の速記録、それから政府の答弁、そう いうものの中で法理並びに法意を十分説いて、そ のことは書いてあるのである。したがいまして、その法律のたてまえは、価格協定は最後でなければならぬという条文がありますか。それは調査されておると思うが、その中にあるというふうに法律を読まれたら、その団体法でもいいし、この酒団法でもいい、御答弁を願いたい。法律にないものを——政府あるいは行政官庁は法律によって行政を行なうのであって、法律を恣意的に解釈することは許されていない。われわれがつくったとおりにやればいいのであって、余分なことは許されないのである。ほんとうですよ。国会という国権の最高の機関が決定したものを、公取などのごとき、国税庁のごときが、自分の恣意によってその法律を曲げて解釈する、そんなことは許される問題ではないのです。価格協定は最後でなければできぬという法的根拠があれば、お示し願いたい。
  263. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、不況カルテルをつくる際に、価格カルテルは最後でなければならぬということは法律に書いてあるわけではございません。要するに、不況自体を克服するためにどのカルテル行為が有効かという見地から決定さるべきだと思います。ただ、公正取引委員会と私どもといろいろ話し合いをいたしました段階では、公正取引委員会のカルテル認可の運用方針としては、できるだけ価格カルテルを最初に持ってこないで、まず生産数量なり販売方法のカルテルをやって、それでもまだ有効でないというときに価格カルテルをつくるようにしてもらいたい、こう いうようなお話がございまして、私どもとしましては、そういう趣旨をくみまして、現在の段階で は生産規制あるいは販売方法の規制を先にいたしておるような次第でございます。
  264. 春日一幸

    春日委員 生産数量の制限といったって、酒なんかは造石数は割当であって、実際問題として初めから制限されておるのです。われわれのように、長年政策論議、特に経済政策を論議しておる者はすべてのものを立体的にかつ多元的に判断し得るのだけれども、生産数量の制限なんというものは、酒なんかは初めからできておる。そんなものをもう一ぺんやってと言ったところで、そういうものはこの問題にそぐわない考え方なんです。いわんや、公取の委員長の北島君は、かつて国税庁長官までやっていた。あなた方は、言うならば同じ穴のムジナみたいなものだ。そして、いま申し述べましたように、現実に酒の利幅というもの、値段のアローアンスというものはきまっておる。したがって、自由競争にゆだねるべきか、自由競争によって適正価格を形成せしむべきか、大体わかっておるのだ。値くずれを防ぐようにする。そうして、四千億円の酒税を確保すべきか、政策の緩急、先後の序列は何であるか、そんなことは北島君とあなたたちが話し合えば——生産数量の制限をやってでなければ酒の値段決定できないかどうか、そんなことを北島君に言ったら笑われますよ。生産数量の制限なんということは、酒には初めからできておる。そんなことは必要ないのだ。価格協定をやりましょう。しかも、利幅というものはきまっておるのだから、そんなことは簡単なことですし、そんなことはツーと言えばカーと言って、彼はむしろ歓迎的に出てくると私は思う。  藤井君、そうでしょう。藤井君は正義の士だから、ぼくはお互いに政策論議を正しく論じ合っておるのであって、ほんとうにみんなが前向きに問題の解決をはかりたいと思う。最近は協定価格ができれば組合はしゃんとした姿勢で——私はある組合にちょっと出てみたのです。基準価格を守れ、組合は監視員を置いて値くずしをやった者を通報するとか、いろいろないやらしいことをやらねばならぬ。組合員にして見れば、何のためにおれらがそんな監視を受けなければならぬかと言って怒るのですよ。怒ると、組合の幹部は、いやしかし、こうすることによってお互いの利益を確保するのですというように陳弁これつとめて、協定価格ができれば、われわれは酒団法四十二条第五号に基づいて協定価格決定し、これで国の許可を得たんだ、したがって、お互いにこれを守ろう、守らぬ者については、この値段を守るべき旨所管大臣の勧告を受けることができるんだ、法に基づいてやるんだといえば、組合の運営はさわやかに権威を持ってやっていけるですよ。いま基準価格といっても、法律の根拠はどこだと言われると何もない。逆に消費者から、酒の小売り段階で基準価格なる値段の申し合わせ行為を行なっておる、申し合わせによって一定の価格販売を行なおうとしておる、このことは、法律によらざるところの共同行為、独禁法違反である、そんなことを言われたら組合の連中はやっていけるものじゃない。だから、やはり健全なる六万軒の小売り業者がやればやっていける体制の確立、さればこそ、そのために法律というものはぴしゃっとその条文をつくっておる。不必要な条文ならことさらに何のための法の改正が行なわれたのであるか。異様なことではないか。察するところ、小売り屋のほうは協定価格はつくりたいにきまっておる。けれども、あなたのほうでこれを押えておるに相違ない。押えていなかったならば、すべからく北島公取委員長国税庁長官とが胸襟を開き、ひざを交え合って大いなる会談を行なって、そうしてこの問題の局面の打開をはかられてはいかがか、これについて長官の御答弁を願いたい。
  265. 泉美之松

    ○泉政府委員 いろいろな御示唆をいただきましてたいへんありがたく存じております。  先ほど申し上げかけたのでありますが、清酒、合成清酒、しょうちゅう甲類及び洋酒のメーカーと卸業者の組合では、販売方法につきまして招待規制であるとか、特売行為等につきましていろいろ規制行為を行なっておりますが、小売りの組合はまだそういう販売方法について規制を行なっておりません。そこで、不況カルテルを結成して乱売行為を行なわないようにすべきではないかという点はごもっともと考えられるわけでございますが、それではどういうふうにそういうカルテルを考えていくべきかということになりますと、事態を見ますと、メーカーあるいは卸の競争と比べて小売りの競争がより激しいかどうかということになってきますと、どうもメーカーのほうの規制が先ではなかろうか、小売り業界も、なるほど料飲店への販売につきましては乱れておる面がございますけれども、それより多くメーカーあるいは卸のほうに問題があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。  そこで、メーカーにつきましてもいろいろ協定価格をつくるかどうかということで、実はここ数年来しばしば会議が開かれておるわけでございますが、技術的に見ましていろいろ難点がございまして、これを申し上げますと非常に長いことになるのでありますが、いろいろ検討はいたしておりますけれども、まだ協定価格制度を設けるというまでに至っておりません。小売り酒販組合におきましても、協定価格につきましてはいろいろ検討されておるのでありますが、技術的に、たとえば料飲店へ売る場合でも、料飲店へ売る数量と取引条件、数量のいかんによりましては、必ずしも一本当たり値段が同じというわけにはいかない。そういった点からいたしまして、限度を設けるにしましても非常に技術的にむずかしい問題がございまして、現在いろいろ検討されておる段階にあるわけであります。  ただ、春日委員はおっしゃいましたけれども、小売り酒販組合のほうで協定価格を設けたというのを私どものほうでチェックしておるという事態はございません。ただ、お互いに集まってどういうふうにしたならば協定価格制度がうまくできるかということについて、むしろ一緒に検討しておるような状態であります。チェックしておるようなことはございません。
  266. 春日一幸

    春日委員 あなたのほうでフリーハンドであるならばそういうぐあいに答弁されなければいけない。二者択一なんですよ。たとえば、法律のたてまえは、全国小売り業者六万軒ある中で三万一軒が賛成すれば、そういう調整組合は結成することができる、そこの中の三分の二が合意に達すれば調整規定というものを作成することができる。出されてきたならば、これを大蔵大臣は中小企業安定審議会に諮問を発し、その答申を待って許可すべきかすべからざるか、それによって決定すべきものであって、法律のたてまえは、大臣だって専決ということにはなっていないんだ。そういうような民主的な、すなわち、わが国の経済体制の民主主義的制度を確保することのために法律はそういう構成になっておる、実際問題として。あなたは、聞けば一高、東大時代は頭がすばらしくよかったそうだけれども、この法律に関する限りあなたの把握はまことにドンキーのごときものである。いま申し上げたように、申請もてこ案に——あなた速記録を見てごらんなさい。協定価格を設定すべき段階ではない、あなたにそんな権限なんかありゃせぬ。大体そのような圧力というか、そのような影響力を与えること自体が官僚独善であって、政治の前提となるものは経済にある。経済における民主主義体制というものをあなた自体抹殺しておるのである。そんな権限はありませんよ。全国に六万軒という酒の小売り屋があったら、三万一軒が賛成すれば商工組合を結成できる。そこの中の三分の二というものが賛成すれば協定価格というものは設定できる。許可するかしないか、出された後において中小企業安定審議会の民主的機関、これは三者構成になっているんですよ。消費者の利益は、そういう連中が行って意見を述べて、その答申を待って、公取の意見を聴取しながら、大臣がこれを承認していくか、していかないか、そういうことができていない先に、国税庁長官が協定価格を設定すべき段階でないと思うと言うがごときは慎まなければならないし、酒団法並びに団体法の法律というものはそういうような権限を行政府に認めていないんです。だから、私がいまあなたとここでこういうことをやり合ったところで、あなたも国税庁長官として一個の見識を持って、責任ある立場でその処理に当たられておるでありましょうから、よくひとつ団体法——団体法というものは、独禁法から出て、そこから安定法にきて、安定法から団体法にきて、団体法の構成が酒団法の中に入れられたのですよ。だから、その一連の経過をずっと総合的に判断すれば、酒の小売りについて協定価格を設定するのは時期尚早だなどというようなことは、あなたが言い得るはずのものではないのである。よくその点御研究願いたいと思うが、御所見いかがでございますか。
  267. 泉美之松

    ○泉政府委員 私は現在の段階で時期尚早と申し上げたのではなくて、およそカルテル行為をつくる場合にはメーカーのほうが先につくるべきものではなかろうかという感じを申し上げたのでありまして、お話のように、酒団法四十二条のカルテル行為を行ないます場合におきましては、中央酒類審議会に大蔵大臣が諮問をいたしまして、決定しました不況判断の基準によって大蔵大臣が認可するかどうかということになっておるわけであります。  それから、先ほど申し上げましたように、カルテル行為で協定価格をつくるということにつきましては、技術的にいろいろむずかしい点があるわけでございます。せっかく小売酒販組合におかれましてもいろいろ検討されておるわけであります。それに私どものほうも参加をいたしておるような次第であります。その点では、したがって、もしうまい方法が見つかれば、今後そういう事態の推移に応じて考えられていくことでありますし、それをチェックしておる意思はないということはくれぐれも申し上げておきたいと思います。
  268. 春日一幸

    春日委員 それはチェックされてよいものではないので、ひとつ組合側と長官の側と十分相談されて、少なくとも法律によって保障されておりまする事業に関する基本的人権、こういうようなものが不当に圧迫されたり、不当に阻害されたり、抑圧されたりすることのありませんように、これは十分御検討を願いたいと思う。そこに至りますまで、その結論には若干の時間がかかると思われますので、現段階における指導価格みたいなものですね。現在の指導価格、これについても、私は、すみやかに何らかの法律的な裏づけをしてやらないと、独禁法違反の疑いがなくはないと思うし、組合の執行部自体としても、何も法律上根拠のないことを、かってにそういうものを取りきめて組合員に服従を迫るということについては、私はやはり組合内部の問題としてさまざまな問題もあろうと思う。したがって、私は、この酒団法についてはいろいろ検討してみたのだが、そこの中の四十二条の十号の中に「組合員の事業に関する経営の合理化、」その次に酒類販売価格の安定化、これをひとつ入れたらどうですか。すなわち、四十二条の五号、六号に至らざる前に、酒類の販売価格の安定化のために、組合自体が何らかのことがなし得る、現在やっておるようなことがなし得る、やはりこういう法律の上に、共同行為ではなくして、善良な安定化のための行為が、組合としての事業がなし得るように、こういう項目を一項目入れるということは、私は、酒の小売り価格について安定帯を設けて、この販売業団体をして小売り商に周知徹底せしめていく、指導せしめていく、そういうような機能を団体に持たしめていく、保持せしめていく、これは私は必要最小限度の措置であると思う。これについて御所見はいかがでございますか。「組合員の事業に関する経営の合理化、」十号にあります。その次に「技術の改善向上」という前に、酒類の販売価格の安定化という文言ですね。それを一項目入れてあれば、いま組合がやっておる基準価格というものについて、この程度で売ろうじゃないか、そういうことについて、組合は組合員からも非難も受けないであろうし、公取からも別にとかくの御論議を受けることもなくなると思う。何かしてやる必要があると思う。いかがでございますか。
  269. 泉美之松

    ○泉政府委員 御意見承ったわけでございますが、酒類販売価格の安定化ということで、どの範囲のことが入りますか、価格の安定化の方法、手段としてはいろいろありますけれども、しかし有効な手段としては、いまお話のようにこれ以下では売らない——これ以下では売らないということは、最低の協定価格ということでございます。それならば五号のほうに入るわけでございます。したがって、いま行なっておりますのは、法律違反というお話がございましたが、五号の協定ができる前の前段階であるわけであります。前段階を法律上認めることができるかどうかということになりますと、立法の問題になりまして、私がお答えすべきかどうか問題でありますけれども、これは法制局方面にもいろいろ問題があることかと思います。  したがって、そういう方向でいけるかどうか、やや疑問に思っておりますが、いずれにいたしましても、組合の定款であるとか、そのほかにおきまして、何らかの措置を講ずることが必要ではないかと思っております。その点につきましては今後十分検討いたしたいと存じます。
  270. 春日一幸

    春日委員 時間がまいりましたから私終わりますが、これは現実の問題としまして何事かがなされなければならない。法律があるけれども、いま問わず語りに、製造段階においてまず措置をとってというようなことをあなた言っておられるけれども、法律はそういう仕組みになっていないのです。小売り、卸、それから製造という三段階が現実にあるのでありまするから、少なくとも製造と販売という二つに分けるならば分けるということもあり得るであろうけれども、製造がなされなければ販売について何もなされないという、そんな理解は成り立たない。これは団体法だって同様です。製造は製造なり、販売は販売なり、よって立つ根処が違うのです。ただ、商品は一緒であるということだけなんだ。だから機構が違い、メカニズムが違うのだから、その点については十分ひとつ御検討いただいて、あなたも間税部長として長年この問題については深くタッチされておる問題でありますが、われわれもここに十五カ年間すわって、酒類行政についてはそのたびごとにこれを深耕細打して、十分きわめてきた問題であって、思いつきで意見を述べておるのではない。いわんや、私のごときは、経済政策のわが国における最高権威ともいわれる人物ですから、私がその権威とうんちくとをもってかく語る以上は、あなたは胸襟を開いて、ほんとうに大先生の教えを受けるような、きわめてすなおな気持ちで聞いてもらいたい。  それからもう一つ問題点は、団体法の中に定められておる組合交渉ですね。これはやはり法律を改正して酒の小売り団体が醸造所の団体と交渉ができるとか、あるいは員外者と交渉ができるとか、スーパーマーケットと交渉ができるとか、いまその組合交渉というものが法律の根拠が何もない。ないから、向こうに応諾する義務もないのですよ。交渉に応ずる義務もない。団体法は、組合交渉を申し出た場合には相手は応諾せなければならない。その結果についてノーと言うか、イエスと言うかは別問題として、組合交渉には応じなければならない。したがって、小売り酒販の諸君は、スーパーマーケットやデパートや員外者のあれによって問題が続出をいたしておる。このようなときに、法律に基づいて組合交渉をぶっかけていく、そうして公正なる理論を吐いて行政府の保護を求めていく、第三者の批判にさらしていく、これは必要にして不可欠の要件であると思う。これもやはり法律改正の問題として、あわせて十分御検討願いたいと思うが、御所見はどうでありますか。
  271. 泉美之松

    ○泉政府委員 中小企業団体法におきまする団体交渉の規定を酒団法に取り入れるかどうかという点につきましては、その際にも申し上げたことがあると存じますけれども、中小企業団体法における団体交渉というのは、交渉の相手方が規制行為を行なっておる場合に、それに対して他方の規制行為を行なっておる組合が団体交渉できるということでございまして、いまの小売り商の組合が、たとえば規制行為をかりに行なっておるとしました場合に、相手方が規制行為を行なっておらない団体、スーパーマーケットに団体交渉をしようといってもそれはできないことになっております。したがって、そういう点からいたしますと、単純に団体交渉の規定をすぐに取り入れるというわけにはなかなかいかないだろうと思っております。
  272. 春日一幸

    春日委員 それは違っているのです。組合交渉をぶっかけることができる相手は、その事業に関係がある組合に対してやることができるでのあって、それは大企業にもできる。それから中小企業にもできる。その事業に関係があらば、員外者であろうと、しかもその組合が規制行為をやっておろうがやっておるまいが、できるのであって、できないのは、その法律を制定したときに二つ三つ除外例を特につくった。農業協同組合とか何か、組合交渉に応諾する義務のないものを制限列挙してつくった。ところが、組合交渉に応諾せなければならないものの組合については、その事業に関係あるものということになっておる。そんなものは相手が共同規制行為をやっておろうとおるまいと関係ないのです。その点も、これは法律の条文だからちょっと読んでみればすぐわかる。読んでみて、私の言うたとおりならば、あらためてあなたは私の権威を再認識されるだけのことである。わかりましたか。  そういうことだから、私も不実なことや荒唐無稽なことを言っていない。この国会の場所において論じ、こういう質問をする以上は、私はやはり十分調べて、一カ月ぐらい勉強してそれから質問しておるんだから一ちょっとオーバーかもしれないが、思いつきでやっているんじゃないのだから、われわれは十数年間の造詣の上に立って質問しておるのです。  それじゃこれで終わりますが、その組合交渉の問題についても、これは法律のたてまえがいかがあろうとも、その必要ありとするならば、そのような法の構成をもって改善の措置を講ずべきである、このことを強く要望いたしまして、この次の大蔵委員会で、私が質問いたしました諸般の問題については、業界の諸君と十分懇談をされ、しかる後、最善とおぼしき措置をとられたい、こういうことについて将来の構想をそのとき長官からあらためて承る、このことを約束いたしまして、本日の私の質問は終わります。
  273. 三池信

  274. 永末英一

    永末委員 本日は、時間が非常におそくなりましたので、酒の生産についてとみりんの税金について、二点だけ御質問申し上げます。  私は、酒のように大衆消費の最前線に出ていく商品、これらにつきましては、大衆の消費嗜好というものに合わさっていくわけでございますから、本質的にこれは大衆の選択の自由を認めるというわれわれ民主社会主義者の立場からいたしますと、統制すべきものではない、自由にすべきものであると考えております。  そういう観点で現在の酒造米の割り当てを見ていきますと、先ほどからやりとりがございましたように、希望加配というものが一つの軸になって、言うならば、よい酒を安く売る、こういう政策をとられてきたようでございます。ところが、この希望加配の割合の設定のしかたのためにだんだんこれが固定し、また少なくなってくる。それだけいわゆる酒を生産するについての自由度というものが低くなってきているように思います。先ほど国税庁長官は、この点の質問に触れられても確たる方針を示されなかった。つまり、一つの問題は、酒造米総量を大きくすることが業界に売れない酒をつくらせるもとになるから、それを勘案すると、希望者に全部加配をやるわけにはまいらない。したがって、現在まで立ててきた希望加配量の立て方を変えないとするならば、総量があまりふえないということになりますと、これは必然的に毎年制限量は下がってくる。そうしますと、酒造界全体におけるいわゆる自由競争というものの度合いが低くなってくる、この点についての解決策がない。何か解決策がおありならお伺いしたい。
  275. 泉美之松

    ○泉政府委員 酒造米の配分につきましては、永末委員御承知だと思いますけれども、昭和十一年の生産数量を基準といたしました基準指数、これはその後だんだん調整が行なわれてきておりますけれども、それを基礎にしてできておったのを、昭和三十三酒造年度からだんだん基準指数割りでなくて、他の要素を加味して配分を行なうという要素を加えてまいったわけでございます。したがって、酒造米の配分にあたっての希望加配だけがこり基準指数によらない方法なのではないのでありまして、そのほか移出数量割り当てあるいは企業の合同加配、提携おけ取引加配、小醸家加配、こういったいろんな加配制度を設けまして、できるだけ実勢のあるものに、その実勢に応じた酒造米の割り当てをするというやり方でやってまいっております。したがいまして、希望加配の方向で自由に、できるだけ基準指数によらないやり方を進めていくということは、先ほども堀委員にお答えいたしましたように、私どもの経験から見るとなかなかうまくいかない。したがって、やはり移出数量割りとか、あるいは提携おけ取引加配、こういった方向に重点を置いて、しかも、従来のごとき基準指数、昭和十一年を基礎にした基準指数割りでなしに、現在の実勢に応じたような方向に持っていきたい、こういうことでいろいろ苦心をいたしておるわけでございます。したがって、希望加配のウエートが——もちろんこれは制度としては残しておくつもりでございますが、そのウエートを高めないからといって、実勢に応じた酒造米の配分ができなくなるということではなかろうと私は思う。できるだけ実勢に応じたような配分の方式をとりたいと思って、いろいろ検討いたしておるような次第でございます。
  276. 永末英一

    永末委員 私の申し上げたいのは、いろいろやっておられる、それはちょうど減税のときに、いろいろな所得控除や税額控除をやっているけれども、基本的なところを忘れていろいろ細工をされても、それは事の本質について的確な解決策にならない。あなたのいま言われたようなことをやっておられることは百も承知をいたしておるわけです。しかし、問題は、生産能力と販売能力のあるものがそれを実行し得るようにするためにはどういう割り当て方法がいいかということを考えました場合には、当初希望加配を考えられたときには、これを一つのてことして行なおうというので、したがって、その割り当て酒造米全体に対する分量は相当多かったと思うのです。しかし、その立て方が固定化しておったために昨年度のごときは減ってきておる、こういうことが実相ではないか。そこで、それは提携おけ取引もありましょうが、一体何を軸にして、いまの固定化しておる、しかもいろいろ問題の残っておる酒造界に対していまのような競争原理を入れていくか。何か方針があるでしょう。何をてこにするか。あれやこれやでやる、こういう方針ですか。
  277. 泉美之松

    ○泉政府委員 私どもとしましては、基本的には移出数量割りを基礎にいたしまして、そのほかに、企業合理化加配と申しますか、企業合同なりあるいは共同びん詰めなり行なった場合の合理化加配を加えていきたい、こう思っております。
  278. 永末英一

    永末委員 移出数量というのは、その前年度の実績によって少しずつ変わってくる数量なんです。したがって、これはいわば結果的に出てくる数量ですね。生産するときに変えさせるということが加わわらなければ、これは固定化していく、このようにわれわれは見ておりますが、いかがですか。
  279. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、移出数量割りは前年の移出実績をとりますために、ある程度固定化するということは免れません。しかし、やはり移出数量がふえる傾向にある場合と減る傾向にある場合とでは、その結果は翌年にあらわれてくるわけでありまして、お話のように、生産能力、販売能力ということでございますけれども、この生産能力というもの、あるいは販売能力をはかる客観的な基準というものはなかなかむずかしいのであります。生産能力だけでいこうといたしますと、その生産能力で米をもらいたいためによけいな過剰投資が行なわれるおそれもあります。それから、販売能力ということになりますと、結局これは移出数量で出てくることになると思います。そういった点からいたしますと、固定化するおそれがありますけれども、移出数量割りを大きな基礎にして、その上に合理化加配等を加えていくのがいいのではないか、こう思っております。
  280. 永末英一

    永末委員 このごろの自民党の政策のように、だんだん物価が上がってくる、しかも酒造界のそれぞれの割り当てがだんだん固定化してくる、こういうことになりますと、物価の値上がりというものはそれぞれの経営の内容にいわば悪影響を及ぼしてくる。そこで、経営が苦しいから値くずれ等のいろんな問題がまたそれに伴って起こってきておる。そこで、これをくずす道は何かといえば、私が当初申しましたように、この業界に対しては、もう少し自由競争原理が全体として行なわるべきではないか。  そこで、一つの問題は、造石総量、全体の総量というものの判定。これは、あなたのほうは、先ほどからのお話を伺っておりますと、この程度なら消化されるだろうということで一応めどを立てておいででございますけれども、その造石総量がふえていくならばもう少し自由競争原理が入る、しかし、これが固定化してくれば、そんなものは入る余地がない、こういうことになる。  そこで、全体の造石総量を何をめどにおきめになっておるかを伺いたい。
  281. 泉美之松

    ○泉政府委員 これは、例年やっておりますとおり、酒類の消費数量というのは酒類消費資金の動きときわめて密接な関係がございます。前年の消費数量——前年だけじゃありません。前数カ年の消費数量から消費の伸び考え、さらに国民所得計算上出てきます消費資金の伸び、こういったものを考えあわせて数量を考えていかざるを得ないわけであります。ただ、最近の傾向といたしましては、御承知のとおり、三十九年、四十年と不況が続きまして、本年は若干よくなる面が出ておりますけれども、やはりそういった景気の動きに対して酒の消費というのが少しずつおくれて出てまいります。したがって、三十九年、四十年には消費はあまり伸びておりません。四十一年はおそらく対前年にいたしましてかなり伸びると思います。四十二年になれば、さらに経済もよくなると思いますので、もっと伸びるかと思います。そういった経済の伸び等を見比べながら消費数量を考えていく、そうして、消費数量をそういうふうにしますと、現在でき上がっている商品のストックがございますが、そのストックの関係で生産数量を幾らにするかということをきめていくことになるわけであります。
  282. 永末英一

    永末委員 一つの問題は、これを決定する一つめどというのはやはりストックの量ではないか。つまり、完全消化なら問題はないのでありますけれども、ストックが非常に過大になってくる、これが問題になる。  したがって、いろんな観点がございましょうが、ストックといってもいろいろ時期がございますので、次の瞬間にさっとはけることもございますけれども、ストックがどんどんはけていくようなら数量はふえて、はけないなら自由競争原理は働かぬ、こういうことになるんじゃないかと思います。ストックはここ数年間どういう状況なんですか。数量より比率を言うてください。
  283. 泉美之松

    ○泉政府委員 清酒につきましては、ストックの量というのは、御承知のとおり、新酒ができ上がりますのが最近はだんだん早くなりまして、十二月の末ころにもう多少できまして、一月、二月に相当できるわけでありますが、従来の考え方は、二月末の前年つくった酒類の持ち越し高を基準にいたしまして、それがあまりふえますとオーバープロダクションになっておる、それが減ると生産が少ないんだということでやってきておるわけでありまして、その二月末の前年つくった古酒の持ち越し数量を幾らくらいに見るのがいいかということで、これはいろいろ見解がございます。従来は二十万石くらいがいいんだという考えもございましたが、最近のように清酒の製造時期が早くなるにつれまして、二月末の持ち越し数量は二十万石なくてもいいんだ、極端に言えば、古酒はゼロであっても、新酒だけでも、けっこうもう十二月末から二月末までにすでに相当新酒ができておるわけでありますから、それでもけっこうやっていけるのだ、こういう説がございます。ただ、一面、新酒は調熟しませんとややくさみを帯びておりますので、したがって、調熟した後に出荷するのがいいという点からいたしますと、新酒ができておっても、やはり調熟に要する期間を見込んで二月末に若干の古酒の持ち越しは持っておったほうがいい、こういう説と、両方ございます。私どもといたしましては、二月末の古酒の持ち越しをゼロにするよりは若干持っておったほうがいい、こういう方向で生産数量を考えてまいっておるわけでございます。もし御必要でございますれば従来の……。
  284. 永末英一

    永末委員 時間が少のうございますから簡単にお答え願いたいのですが、若干とか、二十万石というようなものは、全数量からすればゼロに近いわけでしょう。つまり、全体から言いますと、大体完全消化ができるというのが、あなたのほうの次年度における総造石数量を考える場合の方針でしょう。それは数字から言えば一〇〇%じゃございませんよ。しかし、ほかのメーカーのように操業短縮をしなければあぶないのだというようなことは全然ないのであって、大体そういう意味では造石総量を完全消化、こういうことが造石総量を決定される方針ではございませんか。
  285. 泉美之松

    ○泉政府委員 これは、お話のとおりでございまして、二月末の持ち越し数量が二十万石といたしましても、それは三月一ぱいあるいは四月の初めには売り切れてしまう数字でございます。しかし、その問題は、二十万石といっても、その全体の七百万石に近い生産数量の上から言えばごくわずかでございますけれども、それを持ち越すか持ち越さないかということは、個々のメーカーにとってみると、金融の面も反映いたしまして、非常に大きな問題になってくるわけであります。
  286. 永末英一

    永末委員 私の申し上げたいのは、その二月末というのは春先の消費を見越しての持ち越しで、ほかの生産部門では、ストックというのは売れるか売れぬかわからぬということであって、あなたのほうは、売れるものをどの程度持ち越すかということが問題だ。そこで、そういう意味合いで造石総量を決定されると、業界は固定化するのは当然ではないか。固定化した場合には、物価値上がり等々の余弊を受けて経営が苦しくなる。  したがって、このごろの酒造業界の利益率は停滞もしくは低下のきみにあると私は承知しておりますが、どうやってこれを切り抜けるかという場合に、一つ問題を提起したいのは、外国産米をもっと入れたらどうかと私は思うわけであります。その場合に、技術的に外国産米を何%ぐらい入れられるか、御研究があればお答え願いたい。
  287. 泉美之松

    ○泉政府委員 技術的に幾らかという検討はまだいたしておりませんけれども、外国産米と申しましても、これはいろいろあるわけでございますが、そのうち、私どもが技術的に検討させたところでは、韓国米は、これは最も日本米に近いのでありまして、これは数量的には相当余地がある。それから、台湾米はそれに次いでいい、しかし、加州米とか、カナダあるいはアメリカの米になりますと、いろいろ砂がまじっておるとか、品質がよくないとかといったようないろいろ問題がございまして、これはそう入れることは好ましくない。したがって、外米を入れるとしても、なるべくならば韓国米あるいは台湾米でお願いしたいということを食糧庁に申しておるような次第でございます。
  288. 永末英一

    永末委員 私の申し上げたいのは、そういうことではなくて、これからわれわれが東南アジア等との貿易をどういう構造をもってやっていくかという場合に、彼らの一次産品で一番大きなもののうちの一つに米がある。いま台湾米とか韓国米あるいは加州米、カナダ米というのでありますが、それはいまわれわれが現に取り次いでおる米だけである。しかし、ビルマにしろタイにしろ、日本米に非常に酷似した米をつくっておる。しかし、この米を使って日本の酒をつくるかどうかということについて研究がなされたことがないわけです。したがって、それらの米は食糧品としてしか入ってこない。したがって、これらの国に対するわが国との貿易構造というものは、きわめてアンバランスのままやっておる。ところが、わが国の産米自体が決してウナギ登りにのぼっていく状況じゃないし、人口はふえていく、そうなりますと、酒造米は何も内地米でなければならぬというわけではない。したがって、工業原料としてこういう米を入れるという余地が考えられ、しかもこの米は、いまは食管会計がございますけれども、これが安く入りますならば、先ほど申し上げましたように、製造原価を切り下げるための非常に有力な要素にもなる。ところが、ただいまは、いまのようなやり方でございますから、あなたのほうの事務報告でも、国内生産米が足らぬからやむを得ず輸入したというような考え方でございますけれども、積極的にそういう方向に外国産米を輸入し、それを使わせるということの努力が、言うならば、いまの固定した一つの酒造業界の経営の中に新しい要素を加えるのではないか。これは日本経済全体としても考えるべき問題だと思いますが、いかがですか。
  289. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、東南アジアの米で酒をうまくつくれるかどうかということの実験はまだいたしておりません。したがいまして、その実験をいたした上でないとお答えしにくいのでありますが、やはり、日本米と同じ米でありましても、成分その他いろいろ違う面がありますので、これを酒造米としてうまく使えるかどうかは、よほど研究してみないといけないと思います。  ただ、お話のように、わが国の米の生産消費の将来を考えますと、いつまでも日本産米の米だけに依存しているということには問題があろうかと思いますので、そういった広い見地で、私どもが先ほど申し上げましたように、当面は韓国米あるいは台湾米でお願いしたいと思っておりますけれども、将来、そういう東南アジアの米で清酒がうまくつくれるかどうか、そういった点は十分検討していかなければならぬと思っております。
  290. 永末英一

    永末委員 韓国米みたいに、韓国自身が米がなくて困っているところの米を持ってくるようなことはやめて、将来十分検討ということではなくて、さっそくあなたのほうの試験所で日本の米に酷似したものを取り寄せて研究する。私は専門家ではございませんから、適質かどうかわかりませんけれども、さっそく取り寄せて、そうして研究をして、そういう方向に、いまのいわば停滞ぎみの酒造行政というものを転換してほしい。それができるならば、しろうとには全然わからぬような割り当てで四苦八苦されるよりは、もっと違った現象が起こるのではないか。これは強く要望しておきます。  そこで、非常に小さなことでございますけれども、業界の経営のために共同化を促進されておられるのでございますが、その中で、特にこのごろ起こっている現象として、中小業者が集まって共同しておけを置く場所をつくろうじゃないかということがあるわけでありますが、それは近代化促進法による資金が流れてこない、そんなものはワクの中にない、こういうことでございます。それならば、自分たち企業努力だけでやらなければならぬが、もう少し近代化促進法を活用して、これらの問題についても資金を充てる必要があるのではないか。まことに小さな問題ではございますが、そういう小さな問題で困っておりますので、その点についての御見解を伺いたい。
  291. 松本茂

    ○松本説明員 各メーカー、か原酒をつくりまして、その清酒を共同蔵置する、そういう共同蔵置場をつくるについて資金的なめんどうを見たり、そういった推進的な措置を講じたらどうか、こういうお話だと思いますが、もし共同びん詰め会社をやるような場合、それが共同蔵置場というような場合には、これは国税庁といたしましても方向として非常に推奨しているところでございまして、近代化促進法で承認を受けました場合には、設備近代化資金におきましても、あるいは合理化資金におきましても、あるいは中小企業金融公庫の特利の資金におきましても、いずれも融資を受けられるようになっております。また、それを協同組合の事業として行なう場合には、やはり近代化資金助成法によりまして高度化資金を受けることができる、こういう道は開けているわけでございます。ただ、名メーカーが寄りましてそういうふうに原酒の共同蔵置場をつくるという場合に一つ問題がある点は、そういうものをつくることによりまして、本来それがなかなか売れにくい酒である、おけ売りをしようと思っても、つくり過ぎて販路がなかなか見つけにくい、そういったものをこういった共同蔵置場に原酒を置いておくというふうな、そういった趣旨でございますと、これは全体から見まして適当なものではない、こういうふうに考えられます。ただ、一時的に摩擦的に起こったおけものの調節というふうな場合には、先ほど申しましたような資金的な背景もございますので、私どものほうでも、制度上も認めていくような方向考え、検討を行ないたいと思います。
  292. 永末英一

    永末委員 酒の生産はまだ聞きたいのですが、時間がおそくなることもいかがかと思いますから、みりんをひとつ伺います。  昨年度のみりんの生産数量は幾らになりましたか。
  293. 松本茂

    ○松本説明員 三十九年度におきまして、みりんの製成数量は、本みりんが一万三千四百六十六キロリットル、本なおしが三千六百三十五キロリットル、合計いたしまして一万七千百二キロリットルでございます。
  294. 永末英一

    永末委員 みりんの税金が下がりましたのが、まず三十川年四月。それはその前年度の実績をお考えになったと思うのですが、もう一ぺん下がりましたのが、三十七年四月。ところが、その場合、いわゆる三十三年度の本みりんだけをとりますと三千四百二十キロリットル。それから、三十七年でございますから、その前年度の三十六年度をとりますと六千七百四十七キロリットル。大体ふえ方にして一・八六倍程度である。ところが、その期間は三年でございますが、いま四年たっておりますね。四年たって、まさに一万三千四百六十六キロリットル。これはいま御報告のあったとおり本みりんだけでございます。そうしますと、これは優に一・八六倍をこえておる、こういうことになるわけですね。そうすると、この三十四年から三十七年に減税をされた思想をそのまま使いますと、すでにみりんの減税の時期になった、このようように判断いたしますが、いかがですか。
  295. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 減税の問題でございますので、私からお答え申し上げます。  先般も佐藤委員からこの問題の御提起がございました。長官からもお話がございましたが、確かに、みりんの性格、特に調味料としての性格から見て、現在の税負担がいいか悪いか、さらにまた、みりんと同じように競争するもので税金がかかってないもの、商品との間の税負担論のバランスがいいかどうか、こういった角度からの御議論かと思います。  確かにそんなような点もございますが、何と申しましても、アルコール分を含む酒類の一部であり、さらにまた、先ほども長官からお話がございましたように、しょうちゅうと本みりんとの混合で簡単に本なおし的なものもできるというような事情もあり、これは頭が古いかもしれませんが、現在税率がこんなふうになっておるわけでございます。これはどういうふうに考えてまいりますか、私は確かに考えるべき問題だと思いますけれども、これは減税政策全般の問題としてひとつ考えるべきではないか、かように考えております。
  296. 永末英一

    永末委員 私がいまの数字を出しましたのは、一体そのみりんで何ぼ税金を取るかということは、税金を取るほうが頭にあるわけです。ところが、いまのように生産数量が上がってくれば、あなたのほうでほしい税額はもういま出ているはずなんです、半分にしても。そういう意味合いでお伺いしているのであって、しかも、本みりんの話が出ましたが、それならば、本みりん程度のキロリットル当たりの税金にするのか、そういう問題がある。大体、もっと基本的に言えば、酒税というもののかけ方を一体どういうことで考えておるのか。清酒にいろいろ差別があり、洋酒にもいろいろ差別がございます。その場合に、キロリットル当たりの税額はそれぞれ違うわけです。一体、何を基準に、この酒は何ぼ税金をかけるか、それをちょっと伺いたい。
  297. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 二つ御質問がございまして、第一は、減税の結果、製造数量あるいは蔵出し数量が伸びたことによって期待している酒税はあがったのではないか、こういった御質問だと思います。  確かに、減税の結果みりんの数量は伸びたのでございます。しかし、伸びたのでございますが、ほかの酒類も同様な傾向で、三十二年ぐらいからの指数を見ていると伸びているようでございます。したがいまして、これをどういうふうに評価いたしますか、なかなかむずかしい、必ずしも予期どおりの税収があがったと言えるかどうか、このあたりなお検討すべき余地があるのではないかと思います。  それから、第二の問題は、酒税の税率の算出根拠は何かというむずかしい問題でございます。  清酒あるいはみりん、あるいはビール、あるいはウイスキー、こういった非常に種類の多い酒類に対しましてどういった根拠で税率が盛られているかという問題でございますが、私どもは、この問題につきまして、過去からいろいろなことを言っております。主としてはアルコール分が中心であり、アルコール分の度数の高いものが重かるべきであるというようなことが酒税の第一義的な問題として言われております。酒税をかけるねらいは、やはりアルコール分の過度の消費を押えるということから沿革的に出たのに違いない、そうなりますと、アルコール分というものが一つの目安であろう、しかしながら、もちろんそれだけではないのでございます。しょうちゅうのように、アルコール分が高いものでありながら、やはり飲む階層も考えなければならぬ、こんなようなことで税率ができ上がっていると私は思います。ビールは非常にアルコール分か少ないのになぜこんなに高いのであるか、これはやはり過去における消費慣習が、清酒やしょうちゅうに比べまして、都市の高所得階層において相当飲まれておった、多分に舶来的な思想が過去においてあったのではないかと思うのでございます。さらにまた、戦争中の非常な酒類不足、これに応ずるところの自然発生的な価格、これらを目安といたしましてできまして、そういった沿革の中には多分に日本人の消費慣行をあらわしていると私は思いますが、これが基礎になっている——第一義的には言えませんが、そういうところからスタートをして、それを一つ根拠にしながら、大方の御要望にこたえながら減税してきましていまのような税率ができ上がっている。お答えになるかどうかわかりませんが、それが私の申し上げたい根拠なのであります。
  298. 永末英一

    永末委員 要するに、アルコールを飲んでいい気持ちになる、いい気持ちになるようなものはひとつ自分の収入にしようというような封建時代の流れ、封建時代と言うとおかしいが、それはどこの国にもあるわけですね。そういう権力者がわが人民に対してきわめて意地悪をやっている税金なんですね。税金を取りだすと、税額のほうが頭にきて、これは確保しなければいかぬ、酒税の保全をやらなければならぬという形になる。しかしながら、この二つの立場はあなた方の立場かもしらぬけれども、せめて、もし第一の前提が生きてくるならば、飲んで愉快にならないようなものは対象にならない。これは先ほど佐藤さんが言われたかと思いますけれども、飲んで愉快にならないようなものは、ほかの酒類と違うのでありますから、みりんがいま飲料か調味料かといえば、御承知のとおりに、そのほとんどすべてが調味料であるということは御否定なさらないだろうと思う。そして、調味料と他の調味料との間の権衡をとるとするならば、他の調味料は物品税が全廃になって、ゼロでございますから、税額はそれとの権衡をとる必要がある。もしアルコールが入っているからというならば、愉快の度合いでやったらいいでしょう。愉快の度合いということになると、先ほど本なおしの話が出ましたが、いまの世の中で本なおしをがぶがぶ飲もうというような人はおりません。それは例年本なおしの生産総量が下がってきていることからも容易に推測できるのであって、それならば、一体みりんに税金をかけておるのは、だれに転嫁しておるかといえば、それを調味料を使っておる人たちに転嫁しておる。これはほかの酒類とは違うのです。したがって、いまあなたがおっしゃった酒税の根拠というものとみりんは一応無関係だと私は考えますが、いかがですか。
  299. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 私が申し上げましたように、確かにアルコール分が中心的な酒税の賦課の根拠になっておることは、私も永末委員のおっしゃるとおりだと思います。しかし、みりんも確かに調味料的な要素はございますが、御存じのように、十三・五度のアルコール分を含んだものでございます。さらにまた、ほかの酒類との混和ということもできます。さらに、もう一つ考えてみなければいけないのは、それはやはりアルコール分があるということで酒税法の適用を受け、また、製造業者は免許制度の対象になっておるものでございます。それあたりをどういうふうに考えてまいりますか。完全にみりんの製造について自由にし、さらにまた、米の割り当てについて自由にするというところまでまだいかないようなものでもあろうかと思います。しかしながら、最近の情勢は非常に調味料間の競争の激しい状況でございます。そのために、酒税が競争に対して不公正に働く場合には、これは私どもも十分考えなければならない。しかし、これは一方財政上の問題もありますので、それをあわせまして慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  300. 永末英一

    永末委員 財政上の問題というと、みりんの税金なんか、たいしたことはないですね。財政上とかいう問題じゃないです。  それならばちょっと伺いますが、三十四年にキロリットル当たり二十二万五千円から十四万円に切り下げ、三十七年度に十四万円から現行の六万七千円に大幅に減額した。そういう計算をした根拠は何ですか。
  301. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 私は、大幅に切り下げたことは、まさしくその背後に調味料として観念したことが大きな理由であったことはよく存じております。それに尽きると思います。
  302. 永末英一

    永末委員 それで、当初申し上げましたように、三十四年から三十七年は三年間、現在はすでに四年間たっておる。しかも生産総量もまさに二倍以上になっておる。ならば時期ではないかということを申し上げておる。時期でしょう。答えてください。
  303. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 減税は、すべての税制についての御不満はすべて並べまして、世論のあるところがどこかということが私は一番大事なポイントだと思うのでございます。所得税あるいは住民税あるいは固定資産税、本委員会におきましても通行税でももう廃止したらどうかというようなお話があります。おのおの税収も、そのこと自体つかまえればそんなに大きいものでもないものもたくさんあるわけであります。そのあたりどういうふうに考えますか、これはおそらく世論の動向を見てきめるべき問題ではないかと思うのでございます。
  304. 永末英一

    永末委員 もし世論調査をやって、家庭の主婦を対象にして、あなたの使っておられる調味料のみりんはこれだけ税金がかかっておるんだ、味の素はゼロだ、みりんの税金は存続してよろしいかと言ったら、これは一〇〇%撤廃になると思います。私は別に撤廃しろと言っておるのではありません。他の調味料と均衡をとるならゼロにすべきでございます。たとえば、類似のもので赤酒というものがある。この赤酒に対する税金とみりんに対する税金は、みりんのほうが高い。また、本なおしの同じキロリットル当たりの税金を見ても、みりんのほうが高い。そういうことを考えてみたら、世論とか財政とか言われますけれども、みりんの本質から言っても、これはいわゆるアルコール飲料そのものではないし、さらにまた、三十四年、三十七年の減税のときにそれを勘案されたとあなたが言われたのでありますから、それを断行される時期にきておると私は思うのですが、いま申し上げたいろいろな観点から、もう一ぺんお答え願います。
  305. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 おっしゃる時期がきておるかどうかという問題でございます。私は、その時期の判断は、やはりそういった各種の減税の要望を並べて、総合的に、相当大所高所の判断から行なわるべきであろう。主婦に聞けば、まさしくそう言われるかもしれませんが、また、みりんを使わない方もおるし、それ以上に配偶者の所得減税、例の五万円あると配偶者控除がなくなる、そのほうがひどいじゃないかと言う方もおられるかもしれません。そのあたりは世論の動向をどういうふうにつかむか、なかなかむずかしい問題がございます。十分検討すべきだと思います。
  306. 永末英一

    永末委員 私は世論調査を業としてすでに二十年になっておりますから、世論の動向を察するのは、春日一幸委員式の言い方ではございませんが、大体わかると思うのです。  ただ、私が申し上げたいのは、低物価政策をやろうとするならば、いろいろなことがございますけれども、その中ででき得る合理的な説明のつくものは勇断をもって行なわるべきである。しかも、国の財政、酒税収入総体についてはきわめて軽微な影響しか持たない。これが飲料であるならば、ほかの酒税に完全に影響を及ぼします。しかし、これは、どなたもお認めになっておられるとおりに、飲料ではない。だとするならば、ほかの酒税には直接影響がない。しかも、家庭の主婦にとって、もしこれが減税になってくるということになれば一つの朗報であるには間違いございません。そういう大所高所に立って御判断願いたい。  大所高所の話でありますから、藤井政務次官に御所見を伺います。
  307. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 酒税全般の中の一つの問題として、御趣旨は十分了解いたします。十分検討させていただきます。
  308. 永末英一

    永末委員 きょうはおそうございますから、この程度で終了いたしますが、残しました問題は、いずれ近い機会に各理事としても御相談くださいまして、酒税に関する質問の機会をまたつくっていただきますように、委員長にお願いしておきます。
  309. 三池信

    三池委員長 次会は、来たる十九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十七分散会