○滝井委員 そうではないのです。三年したら当然なるとおっしゃるから、この覚え書きは知っているか、こういうことなんです。しかもわれわれがいま問題にしておるのは、この
了解事項というものは、明らかに
患者さんがなおっていないと言えば、片一方
医者がなおっておる、こういった場合に、そこに
患者と
医者との間に開きが出てきておるわけでしょう。
医者はなおったと言う。
患者は頭が痛い、目まいがします、こう言えば自覚
症状が出てきているじゃないですか。それならば
患者を納得させるためにどうするかといえば、
了解事項では両者の
意見の調整を求めるためにそれを第三者なら第三者に見てもらわなければいかぬのです。それをやったかという
細谷君の
質問なんですけれ
ども、それを権威ある大学の
先生がどうだ、若いのがどうだと言うけれ
ども、これは権威ある
先生だってわからないのですよ。その証拠にはここに安河内君の書いたのをもらってきた。安河内君は
療養所の所長です。所長が四十一年の一月二十日の「リハビリテーション医学」というのに書いておる。何と書いておるかというと、こういう
一酸化炭素中毒患者のリハビリテーションというものは、いままでのリハビリテーションのような方法でやってはだめなんだ、これはメンタルリハビリテーションという全く
世界に
類例のない新しい方針を出してやらなければいかぬ、いままでわれわれはそれを気づかなかったのだ、こう言っておるのですよ。そして、これはようやく最近になって気づいた。そこで
三池の一酸化炭素の
中毒患者の
医療委員会で討議をしてもらって、急性
一酸化炭素中毒に対する治療指針というものが示されて、そしてわれわれは初めてこれを取り上げることにしてきたのだ、こういうことになっておるわけであります。そして私
たちがことしの九月に石炭の
調査で行ったときに、率直に安河内君からいろいろ
説明を受けました。非常に心理的なものが多いということも聞いたのです。それからいま基準局長の
答弁の中にも、特殊のグループというのはよくなってやっているんだ、こういう御
説明があった。そして、医学的にこういうことをやるのははなはだよくないことだけれ
ども、安河内君のところであえてやっておるわけですが、それは職員と旧労と新労と組夫とに分けてやっておるわけです。その心理的な
経過を詳細にやっています。そして、職員でなお
中毒患者は六二%、旧労は九六%、新労は六五%、組夫は三五%、こういうように社会的に非常に地位の低い組夫というのが
中毒患者が非常に少なくて回復者が多いということは非常に注目しなければならぬ問題点だ
——いわば旧労が多いことは、何か労働組合が圧力かけてきているんだというような言い分をこの
医者はちょっと書いている。しかしそういう心理的なメンタルリハビリテーションが必要だというのは、大牟田の現在の
状況、いわゆる労働組合の
状況というものが非常に人間的には反映してくるわけです。これは、たとえば上林山防衛庁長官がみんなの前で追及されると、大々的なお国入りをやるのは鹿児島のお国柄でございますなんということを言い出したでしょう。そんなものは鹿児島のお国柄でも何でもないですよ。そういう、
大臣でさえ責め立てられるとやはりぼうっとなって変なことを言い出すのです。そういう心理的な影響というものがこの
患者にはきわめて重要な影響を及ぼしておるのですよ。しかもその心理的な影響を及ぼすことも、安河内君は心理緊張と愁訴数
——いわゆる憂いを訴える疾状というものをちゃんと論文に書いておる。そして打ち切りをやらせようというとこれが出てくる。いままで何回も打ち切りをやらせようとした。そうすると
患者の愁訴が非常に多くなるのです。それほど精神的には不安定なんですよ。ですから、まだ若い大学の
先生もえらい
先生もみんな同じですよ。えらい
先生が何かやったのが最高の権威で、勉強もし情熱も持っている若い
医者のやったことはだめだなんということはだめです。こんなものはみんな新しいものです。
一酸化炭素中毒の研究というものは進んでいないのだから。いままでは、一酸化炭素の中毒を起こすと大脳の皮質が全部死滅してしまうと
考えておった。しかるに最近は、高圧酸素使用というような新しい方法ができて、その状態がぐっと少なくなっている。こんなものは年寄りの
医者はやっていない。若い
医者が研究してどんどんやっておるのです。だから、年寄りの権威のある
医者と若い
医者の調べたものがそう月とスッポンのような違いはない。新しい分野ですから、むしろ研究は若い
医者がしているのですよ。そういう意味で、いまのような発言を
大臣がしてはいかぬのです。しかもこれは未開の分野であるということは大牟田の所長自身が書いて、われわれにこの資料をくれたのです。そこでこの前から私が言っているように、そういう
患者は心理的な影響がきわめて微妙なので、これにはやはり組合その他の所属の関係もあるし、賃金の問題が重要な影響を及ぼすということを私はこの前ここで言いました。そして一挙にこういう
処置をとらずに、少なくとも大牟田の労災の
療養所から、あまり賃金その他の経済的な影響の負担をかけずに、軽減、削減をすることなく、次の荒尾の回復
療養所というか訓練所というか、この荒尾の訓練所にやる。そのときに、賃金というものは切り下げぬ状態でやるべきじゃないかという提案をしたら、これは
検討いたしましょう、こういうことだったでしょう。そういうこともやらずに、今度は法律をたてにとってやるならば何も
質問する必要はないです。こういう特殊な、しかも
三池であんな大
事故を起こしたあと始末をやる場合に、基準局長のように法律が三年だから法律でしゃくし定木にやるのだというなら政治は要らないですよ。もし基準局長がそういう政治的なものをやるならば、社会党は、お気の毒ながらあなたはこれから国会へ来てもらう必要はない。それほど血も涙もない、それほど弾力のない基準行政をやるというならば、もう少し
三池の爆発の状態を調べてきなさい。そこには粉じんがたまっておったからこそ爆発したんじゃないですか。その粉じんを何であなたは行って検査しなかったか。それをやらずに、いまになって
三池の首脳部には何ら責任がない、そうして
患者は三年の法律で打ち切っていくというならば、粉じんがたまっておったその現実は一体どうするのだ。だれの責任か、君の責任だ。直ちにここで辞表を出しなさい。これだけの多くの人間を殺したというのは君の監督不行き届きだよ。そうだろう。法律のとおりにやるならば、法律よりまずそれをやらなければいかぬ。まずそこからえりを正してこれをおやりなさい。それならわれわれはこれを受ける。それをやらずして、いまのこの
患者のものを法律だけでいくというのは何事ですか。しかも国会で何ときめておった、
参議院で。
参議院できめたものは、衆議院もそれを了承して国対
委員長同士できめているのです。それをいまになってしゃくし定木でやるというなら、何でこの前の
委員会のときにこれをやると言わなかった。この前の
委員会のときは
検討しますと言っておったじゃないか。それを、われわれ野党がこれだけ問題にしておるのを何らの相談もなくやるというのは何事ですか。それは官僚政治じゃないですか。そういう政治は許されない。断じて許されない。